徒然雑記

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水沢夢

俺、ツインテールになります。18 ★★★☆  



【俺、ツインテールになります。 18】  水沢 夢/春日歩 ガガガ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

決戦の時。アルティメギル基地へ突入せよ!

ツインテイルズとの激闘の果てに、ついに集結した四体の神のエレメリアン。自分たちを「終の零星」と名乗る彼らは、テイルレッドらの実力を認め、この世界に侵攻しているアルティメギル基地への転送ゲートを手渡す。最後の幹部戦士、そしてアルティメギル首領との対決が目前に迫り、総二たちも緊張を隠せない。
一方で残存軍のエレメリアンたちは「終の零星」が勝手にツインテイルズを基地に招待したことを知り、テイルブルーが乗り込んでくることに怯え、大混乱に陥ってしまう。追いつめられた仲間の姿を見た隊長スワンギルディは、一つの決意を胸にするのだった。
総二は敵の基地へと乗り込む前に、心残りがないよう日常を謳歌しようと提案。トゥアールが、慧理那が、イースナが、思い思いに総二との時間を過ごす。愛香もまた、少しでも総二との仲を進展させたいと奮い立っていた。
しかし、そんな彼らの願いを余所に、世界ではツインテールの地上絵が現れ、ツインテール型に火山が噴火するなど、徐々にカタストロフィーの前兆が起き始めてしまう……!
決戦の時、来たる。ツインテールへの愛を胸に、今こそ敵の本拠地へ突入せよ、ツインテイルズ!!

変態とは、真の変態とは修行し特訓して為るものではないのだ。いつの間にかごく自然に成っているものなのだ。結果として、変態と呼ばれる者に成るだけなのだ。
そこが心得違いだったんだな、スワンギルディ。君は真面目すぎたのだ。その真面目さを、自分の趣味趣向にのみ突き詰めていたら、君は並ぶもののない変態になっていただろう。だが君は、その真面目さを勤勉さを、憧れの人たちを真似ることその背を追いかけることに費やしてしまった。彼らが何を愛し、何にその全身全霊を捧げていたのかには着目せず。
だが、そんな彼を皆が愛していたのだろうな。そんな彼が、みんな可愛くて仕方なかったのだ。
残念ながら、ツインテイルズはそこまでの縁をスワンギルディと結ぶことは叶わなかった。結翼唯乃が健在だったなら、フェニックスギルディとも親しかったスワンギルディと何らかの形でもう少し関わりも増えていたかもしれない。
アルティメギルの中で最初期から着々と成長を続けたスワンギルディ。逆に言うと、ほぼアルティメギルの中でのみ彼の物語は進んでいて、ツインテイルズとあまり深い関わりのないままここまで来てしまったんですね。もし、彼とツインテイルズと橋渡しとなる人物が居たならば。彼との最後の戦いももう少し噛み合うものになったんじゃないだろうか。
ドラグギルディをはじめとする、折に触れてツインテイルズと激闘を繰り広げたライバルたち。敵でありながら戦友と呼ぶに相応しかった彼らとは、戦いながらも魂から相通じるものがあった。だからこそ、彼らとの戦いは滾るように熱いものになったのだ。
それが欠けていたスワンギルディとの最後の戦いが、熱量に欠けたものになってしまったのは、彼の成長を見守ってきた身としても些か残念と言ってしまっていいものだった。
願わくば、この戦いこそが因縁と成り得るものであれば、と思うばかり。彼の好漢の消え方が特殊だったのは、再登場フラグだと思いたい。

さて、ついに敵首領からの招待状が届き、最終決戦が間近と迫る。敵の本拠地に乗り込む、というと敵勢力を追い詰めているようにも見えるけれど、同時に敵地に乗り込むわけで、帰ってこれないかもしれない、という決死感も漂っているわけですね。
だからこそ、決戦前夜は思い残すことがないように未練を果たすのが、これまでつけていなかった決着を、精算を果たすのが王道というやつなのです。
相変わらず蛮族が暴れ、変態が壁に埋まり、露出狂が脱ぎ、という荒行のごとき穏やかな日常を、かけがえのないものとして大切に過ごしながら、終わりの予感を噛みしめるテイルズたち。
この戦いが終わったら。これまでがむしゃらに戦ってきた、その後を、これまであまり考えてこなかった「未来」へと思いを馳せる。
そして、告げられないままずっと平坦な胸に秘めていた想いを、打ち明ける勇気を振り絞るタイミングでもあった。
愛香出陣、というには切羽詰まってもヘタレる蛮族である。トゥアールがせっせと塩を送るんですよね。煽り倒しながら促すわけですよ。ほんと、トゥアールって場合によっては総二よりも愛香の方が好きなんじゃないか、と思うくらい愛香にだだ甘なんですよねえ。
ただし、最近ヒロイン感がとみにましていたのは、尊先生の方なのですが。婚期を逃しかけて狂乱していたのも今は昔。最近は本気で落ち着いちゃって、婚姻届ネタも本気のままではあるんだけど、以前のような殺気や切羽詰まった問答無用さもなく。ちょっとした冗談交じりながら、深い愛情の籠もった、でも押し付けがましくなくむしろ包容感のある穏やかな雰囲気が、なんだか自然に婚姻届にサインしてしまいそうな流れを感じてしまうんですよね。
なんか、いつの間にか他のヒロイン差し置いて総二と添い遂げてるの尊先生なんじゃないか? と思わせるようなナチュラルさが。
元々、婚期云々を除けば人格的に非常にまともなのは折り紙付き。健全で正常で精神的にも安定していて家庭的で女性の魅力に溢れていて……瑕疵が見当たりません! 瑕疵しかないほかのヒロインと比べて……比べて……比べるのが間違っています!
まあ愛香も女の子としては非常に可愛らしいですし。あの蛮族さは総二に対しては一切発揮されないので、総二に対しては純粋に幼馴染としてイチャイチャしえる人材なのですけど。
ただ、ここに来て総二はもう今までと比べてもちょっと大丈夫か? と思えるくらい、認識力がツインテールになってるんですよね。思考もあらゆるものがツインテール互換になっているし。
大丈夫か? まだ人間か? いい加減、侵食が完了に近い所まで来ている気がするんですよね。とはいえ、ここから人間の側に後戻りするというのも、総二らしくないですし。この主人公、どうなってしまうのが一番良い形なんだろう。
愛香は本当に頑張って勇気出しましたけれど、総二はそれに男として応える感性を持っているのだろうか。

首領との初対面は、消化不良のまま一旦仕切り直しになりましたけれど。本当の最終決戦となるには、やっぱりまだまだ手札が足りないですよね。

シリーズ感想

双神のエルヴィナ ★★★☆   



【双神のエルヴィナ】  水沢 夢/春日 歩 ガガガ文庫

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ヤバい女神と契約した少年の恋と戦いの日々

遥かな昔。あらゆる世界の支配者の座を巡り、美しき女神たちが争いを繰り広げた時代があった。いつしか牙の抜けた女神たちは、愛という虚飾で自らを偽り、穏やかに人間界を見守るようになる。

幼い男の子・創条照魔は、地上にお忍びでやって来た女神と出逢い、恋をした。いつか再会する約束を交わして別れ、女神にふさわしい男になろうと努力を重ねて逞しく成長。小学生にして一企業の社長を任されるまでになるのだった。

しかし現代。照魔の淡い初恋を余所に、神の国・天界では女神が異常発生してしまっていた。収拾がつかなくなった女神たちは、次の創造神――すなわち天界の支配者を決めるため、太古のように暴力で覇を競い始め、その争いの炎は人間界にまでも及ぼうとしていた。それを知った照魔は、自分の初恋を叶えるため、世界の平和を守るため、自らの会社を女神に特化した運用をすることを決意。利害が一致した最強の女神の一人・エルヴィナとともに、社長として戦いに臨む!!

『俺、ツインテールになります。』の水沢夢&春日歩コンビの最新作は、世界を超えた、少年と女神の恋と戦いの物語。その女神たちは美しく、そしてヤバい! 今ここに、女神大戦の幕が上がる―――!!

【俺、ツインテールになります。】の水沢夢×春日歩コンビによる新シリーズ開幕! って、まだ俺ツイの方最終巻まで追いかけきれてないんですけどね! それでも、新作の方も追いかけていきましょう。
俺ツイが広義の変身ヒーローものと定義するなら、これは巨人化ヒーローものにあたるのか。
ヤバい女神と契約した、とあらすじにはあるけれど、正確には女神=ヤバい、なんですよね。むしろ、ヤバくないと女神じゃないというべきか。その中で照魔と生命を共有することになるエルヴィナは、性癖がぶっ飛んでないし拗らせてもいない、という点でむしろ全然ヤバくない部類なんじゃないだろうか。自分の心情を表に出せない不器用な側面はあるものの、純情一途なわけですし。
女神たちの世界である天界に男が存在しないことから、男日照りになって肉食系を通り越して餓鬼亡者みたいになってるヤバい系女神さんたちに比べたら、すごく乙女。純情乙女!
まあそんなエルヴィナの心情が明らかになるのは最終幕での彼女のパートなのであって、それまではぶっきらぼうでどこか突き放したような態度にしか見えないんですけどね。幾ら出来物とはいえ、小学生の男の子に女性の複雑な思いはなかなか察してあげろなんて言えないですよね。まだまだお子様だもの。その信念や心映えは立派で大人びているけれど、同時にまだ幼いがゆえの無垢さ純真さはそれだけ物事を見たとおりに受け止めてしまう、という側面もあるわけで。
よく見ると、エルヴィナめっちゃサイン出してるんですけどね。なにかとビシッと正装で決めた照魔のスーツ姿をよく似合っている、と褒めるのなんか彼女の精一杯のアプローチだったりするの、ものすごく可愛らしいですし。恋なんて自分には理解不能だし、男女の機微とか意味不明、常識的な付き合い方も知らない、というそもそもそっち方面に興味薄そう、という素振りを見せておきながら、よく見ると何かと不器用に距離詰めようとしてるんですよね。彼女なりに凄く頑張って、自分の中に芽生えた恋に殉じようとしている。めちゃくちゃ乙女してるんだよなあ。
一方で照魔の方は、さらに幼い幼児の頃に出会った女神に恋をして、そこから人生の大半を費やして自分を高めていつか女神を迎えに行く、恋を成就させると決め込んで自分を高めてきたわけですけれど。肝心の女神については、記憶を封じられ相手の女神の方も同じく記憶に蓋をされている状態で、相手の女神が六枚翼の存在だったとしか覚えていない。つまり、彼自身の熱烈な恋情は未だ向ける先を見失っている状態である。エルヴィナはその有力な候補の一人ではあるものの、決定ではない。だから、照魔は世界の広さに匹敵するような凄まじい恋をしているけれど、それはまだ自分の中に抱えたまま。その膨大なエネルギーを原動力にして、今起こりつつある世界の危機に立ち向かおうとしているけれど、恋を叩きつける相手がいない。
照魔に、この小学生に、彼個人に恋をしたエルヴィナとは、ある意味両思いに至らない関係なんですよね。それどころか、エルヴィナの気持ちを知らない照魔は彼女を信じきれていない。あれほど女神に思い入れながら、生命を共有するパートナーとなったエルヴィナには複雑な思いを抱えてしまっている。でも照魔から見たら自分と一定の心の距離を感じてしまっている、また彼女の方からもどこか突き放しているように見えるエルヴィナは、実は照魔に一途に恋をしている。このもどかしいような複雑に行き交った関係、ここから進んでいけば行くほどこんがらがって面白くなっていきそう。
一方通行の恋心、としてはメイドの詩亜と執事の燐くんもなんか面白いことになりそうで、こっちも興味津々になってるんですよね。

ドタバタなラブコメな様相を呈しつつも、世界観はかなりシビアというかシリアスに緊迫している、というのも特徴かもしれません。
小学生の段階で大企業の長に、という突拍子のなさも、微妙に子供が子供のままで居られない切羽詰まった世界、というような雰囲気が感じられるところがあるんですよね。
一度、滅びかけた世界。それも侵略者や天災によるものではなく、人の生きる気力、やる気そのものがごっそりと失われていった事により社会そのものが一端崩壊しかけてしまった世界。ある発明によって、それらは一応克服されたもののどこか薄氷を踏むような、ほんのちょっとのきっかけで再び何もかもが壊れてしまいそうな危うさが感じられるんですよね。
どうにも、人類の平均寿命そのものが大幅に減っちゃってるんじゃないか、と思わせられるところも。実際、世界崩壊期には平均寿命が20年近く下がっていた、という事も明記されていますし。照魔の境遇は元から特別で、彼が小学生なのに社長になんかなれたのは彼個人だけの特別な事情である、と捉えるのが普通なんでしょうけれど、時折それだけではないのでは、と思わせられる描写があるんですよねえ。
侍従長の里茶さん、ご年配で還暦前というからまだ五十代なんですけれど、彼女が照魔から祖母のように慕われているのって……いや、彼の12歳という年齢からすると至極妥当ではあるですけれど、なんかこう、社会における年齢のピークがやたらと前倒しになっているような感じがしてならないんだよなあ。
物語の核となる部分は、かなり徹底してシリアスに進行していくと思わせられるものがありました。
社長をやる云々どころじゃなく、僅か12歳にしてこの小学生、重いものを背負いすぎだろう! せめて、彼の人生の原動力が「恋」にあるというのが救いなのかもしれないけれど、今はまだその一途な恋の向かう先が見つけられていない、すぐ隣にエルヴィナという人がいるにも関わらず、という状況環境がまた、彼には酷な話だよなあ、と思うのでした。彼が恋の行く先を見つけるには、それこそ本当の大人にならなくてはいけないのかもしれないなあ。
頑張れ、頑張れ男の子。

水沢夢・作品感想

俺、ツインテールになります。17 ★★★☆   



【俺、ツインテールになります。17】  水沢 夢/春日歩 ガガガ文庫

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危うしレッド!最強最後のエレメリアンたち

トゥアールが奇跡の復活を果たして誕生した戦士・テイルホワイトの活躍で、長きにわたりツインテイルズを苦しめてきた最凶の敵・エンジェルギルディはついに完全消滅した。そして訪れたしばしの休息。愛香はホワイトとの手合わせを熱望するも、あと何回変身できるか保証がないトゥアールはそれを拒否。代わりに、新たな装備の開発に着手することに。ともあれ総二たちは、久方ぶりの穏やかな日々を満喫する。そしてやってきたバレンタインデーをチャンスとばかりに、愛香たちは大暴走。それぞれが、あらためて総二への思いを募らせていく。
一方アルティメギルには、続々と神の力を持つエレメリアンが合流していく。中でも組織一のイケメンであり成功率100%を誇るナンパ師だと自称するポセイドンギルディが、部隊の怨敵テイルブルーをメロメロにして仲間に引き入れると豪語。だが、思わぬところからテイルレッドの正体へと近づいていってしまう。果たして、秘密を探られ始めたテイルレッドの運命は……!?
最強最後のエレメリアンたちが、アルティメギル首領の名の下に侵攻を開始する。決戦の時は近い――今こそ結集せよ、ツインテイルズ! ツインテール最終章へ!
満を持してのテイルホワイト、表紙を飾るの巻。こうしてみるとちゃんと美人なんだよなあ。まるで普段が美人じゃないみたいな言い方だが。
ともあれ、トゥアールが精神的にも復調して元の調子を取り戻してくれて本当に良かった。なんだかんだと彼女がツインテイルズのムードメーカーであったのは間違いなかったわけで、トゥアールが空元気だったり落ち込んでいたりすると、本当にお話の雰囲気から暗くなってしまいましたからね。
一番露骨に影響を受けてしまうのが愛香でしたし。一番うるさい二人が元気ないと、どうしようもありませんでしたし。
おかげで、トゥアールの復活でむしろ愛香の方が元気マシマシになっていたのが微笑ましい。いつの間に、こんな親友ムーブかますようになったですかね。わりと最近までゴキブリを踏み潰す勢いで本気で殺しに掛かってた気がするのですが。むしろ、総二相手よりもトゥアールと愛香でイチャイチャしてる場面のほうが増えてたもんなあ。
トゥアールに関しては、もとに戻ったという感じなんだけれど、愛香はさらに復調と同時になんかピュア度があがってる気がするんですよね。精神的に素直になったというか、建前に拘泥しなくなったというか。思いの丈を恥ずかしがらずにストレートに出すようになった気がします。特にトゥアールに対して。
……ピュア度が増すほどに、女の子らしくなるより蛮族色がむしろ濃くなるのはあれですか。愛香の根源が蛮族そのものということなんですか? 純粋無垢なキラキラした目で、全力で殺り合いたいの、とか言い出しやがってますよ、この神をも覆せぬ貧乳は。
全身にチョコを塗りたくって板チョコ! は、不覚にも笑ってしまったw

と、トゥアールと愛香の話ベースに今回は進むのかと思いきや、後半に入ってスポットがあたるのはまさかの尊先生。齢29歳の崖っぷちで婚姻届を無差別にばら撒いて婚活に勤しんでいたのも今は昔。そう言えば、最近はとんとあのどぎつい婚活は鳴りを潜めていたんですよね。焦りも見せなくなって、むしろ落ち着きある大人な態度で慧理那に侍りつつも、総二にも品の良い女性らしい態度で接してくれるから、癒やし担当なんじゃないかと思えるくらいになっていたのでした。
ツインテイルズのメンバーはみんな少女であると同時に変態だし、大人なお母さん連中はさらに輪をかけた騒がしい変態たちなものだから、尊先生っていつの間にかメガ・ネと並んで良識枠になってたんですよね。
彼女をあの無差別の婚活に走らせていた焦りって、そうか単純に年齢によるものじゃなかったのか。自分自身のためではなく、慧理那を慮ってのことだったのですね。だから、慧理那が総二との仲を深めていき、新堂家としても総二の婿入りを諸手を挙げて歓迎し始めたおかげで焦る必要はなくなったのか。
そうなってくると、彼女の中の結婚願望は余計な要素がなくなって、より自分自身の中の純粋な思いに磨き上げられていったのですね。最近はもう婚姻届は、総二にしか渡してない、ってもうそこに気持ちが現れてるじゃないですか。それに、渡すだけで初期のように署名させようという素振りはないんですよね。ただ、受け取って貰えたらそれでいい、という控えめなものになっていたし、回数も減っていた。一回一回に、楚々とした淡い想いが篭もっていたんですね。それでいて、慧理那の幸せを思い自分の気持ちが叶うことは望んでいなかった、と。
色んな意味で欲望がほとばしりすぎている、ツインテイルズの面々と違って尊先生の淡い恋心がむしろ少女性というか乙女度が凄いことになっていて、ここにきてヒロイン株があがりまくってしまったんですけど!?
いやもうこれ、まず最初に尊さんと結婚するべきじゃないんですか、総二くんは。来年三十になるわけですし、本人はもう焦っていないとはいえ、あんなに可愛らしく控えめに恋を打ち明けられてしまうと、先生を優先させてあげてください、と言いたくなる。とりあえず、童貞だけでも譲ってください、と喚いている変態と比べてしまうと、比べてしまうとw
あの愛香がストレートに直球でプロポーズまでしてきたのにはちょっと驚かされましたけれど、それでもここは尊先生に。尊さんなら、優しく母性で包んでくれそうじゃないですか。今の総二でもうまく受け入れてくれそう。まだ他の娘たちは、小娘すぎてなんともはや。

さて、敵サイドも神のエレメリアン、ポセイドンとゼウス、ハデス、アポロの四人が揃い踏みとなり、今度こそ最後の幹部エレメリアンとなりそう。まさか、ゼウスギルディが女性人格エレメリアンというのは予想外でしたけど。マーメイドギルディが最後の女性エレメリアンではなかったのか。
ついに、向こうもレッドの正体に近づいてきて、とうとう禁断の秘密がエレメリアンたちに明らかになってしまう時が近づいているのか。
そして、歴代テールブルー三人の揃い踏みという戦隊モノの劇場版的花形展開はやっぱり燃えますなあ。

水沢夢・作品感想

俺、ツインテールになります。 16 ★★★★   



【俺、ツインテールになります。 16】 水沢 夢/ 春日歩 ガガガ文庫

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トゥアールの復讐の旅――ここに終着。

女神ソーラの力を借り、イビルツインテイルズを撃破した総二たち。しかしその戦いの最中にアルティメギル最高科学者マーメイドギルディは、究極の最終闘体・エンジェルギルディへと進化。トゥアールに衝撃の事実を告げる。「あなたはもうすぐ死ぬ」――属性力を自ら捨てた反動で、自覚のないまま生命を削り続けてきたのだと。
トゥアールの心を強く持たせるため、総二はテイルレッドの姿で要求に応え、愛香も発明品で擬似的に幼くなることを渋々了承。仲間たちの献身で元気になったように見えたトゥアールだったが、彼女はすでに、自分が手遅れであることを自覚していた。一方、強大な力を手にしたことで増長したエンジェルギルディは、アルティメギルの意志から外れて己が欲望の赴くままに暴走。自ら作り上げた要塞へとトゥアールを連れ去る。テイルギアの力が通用しない「テイルギアそのもののエレメリアン」を相手に、ツインテイルズに勝機はあるのか!? そして、トゥアールが下した決断とは!?
ツインテールを愛し、孤独に戦い、守り……全てを失った。
悲しみの果てに仲間を得て、恋を知った。
運命に翻弄され続けた少女――トゥアールの復讐の旅が、ここに終着を迎える。

そうか、これがトゥアールの旅の終わり、終着点だったんだ。
自分の世界で最初のツインテイルズとして独り戦い続け、そして破れてツインテール属性を喪ったトゥアール。自分から、そして自分たちの世界からツインテールを奪い去ったエレメリアンに復習するため、自身のツインテール属性を込めたテイルギアを手に、この世界を訪れて総二たちにツインテイルズとして戦う手段を与えてくれた彼女。以来、総二たちの頭脳として軍師として博士としてずっとサポートし続けてくれた。仲間として、ツインテイルズにこそなれないものの一緒に戦ってくれていたトゥアール。
でも、彼女の旅はずっと今まで続いていたのか。彼女にとって、ここは帰るべきホームではなかったのか。エレメリアンと戦うために訪れた異邦の地だったのだ。
普段、その人類の域を遥かに超えた頭脳を反転させたようなバカ極まる言動で、シモネタで、エレメリアンをすら上回る変態性で、場を盛り上げ続けてくれていたトゥアールが、この巻ではほとんどいつものような元気を出せずに、辛さを表に出さないように笑顔で心を隠して空元気で振る舞う姿は痛々しいばかりで、この作品の陽気さというのはホントにトゥアールに支えられていたんだなあ、と痛感させられた。
一方のエレメリアンも、今までは変態ながらも矜持と誇りを持ち尊敬でき親しむとが出来、そのおバカさと健気さに愛おしさを感じるばかりだった歴代のボスキャラたちと違って、マーメイドギルディ改めエンジェルギルディは、正真正銘のゲス野郎。魔道に堕ちたツインテール。友情も愛情もエレメリアンたちを成り立たせる属性への想いも踏みにじる、敬することの出来ない敵。ただの敵。
これが思いの外辛かった。まさに、この作品のもう一方の主役であり主人公は、エレメリアンたちでありましたからね。そして、話をギャグでもコメディでもシリアスでも熱さでも盛り上げてくれたのが、彼らでありましたから。
片や味方のトゥアールと、片や敵側のエンジェルギルディ双方ともがこんな調子だと、話そのものが重苦しくなるばかりでしたから。

トゥアールの、本当の意味でツインテイルズと一緒に戦えない悔しさ、どれだけ望んでも自分の中から喪われたツインテールは取り戻せず、自分の髪を2つに結えない苦しさは度々描写されてきましたけれど、そのどうしようもな事実がどれほど彼女を傷つけてきたか。
それどころか、今度はその自分の中からツインテール属性を抽出してしまった事が、自身の生命を文字通り縮めてしまってたこと。そして寿命が今間近に潰えようとしている事実を前に、怯え苦しむ彼女。どれほど覚悟していたからと言って、怖くないわけがない。未練がなくなるわけじゃない。どれほど絶望的だろうと諦めずに自分を救おうとしてくれている仲間たちへの愛情が、そのまま離れがたい気持ちとなって余計に未練を募らせていく、もっともっとこの人たちと一緒に居たいという乞い願う想いの強まりを加速させ、だからこそ余計にトゥアールを苦しめていく。ここの彼女の苦悩はそのままダイレクトに伝わってきて、本当に辛かった。
彼女を勇気づけるために、「幼女喫茶!」とかみんなで幼女になってトゥアールを饗そう、とか、「並々ならぬ幼さを漲らせ」とか「よし、幼い!」とか、人類言語として本来なら存在していない領域の文章が当たり前に文脈の中に混入しているあたりは、毎度の本作らしくて相変わらずだなあ、と菩薩の如きほほ笑みを浮かべながら遠い目になったものですが。
まだ早い、人類にはまだ早い。
しかし、燃え盛るツインテールはどれほど遠くに追いやられようとも容易に追いついてくる。
今回はほんと、あの変態性こそがアイデンティティで、もう存在自体が下ネタヨゴレ芸人で「ヒロイン枠」ではなく、蛮族系ヒロインに毎回壁のシミにされるボコられ役の座をほしいままにしていたあのトゥアールが、あのトゥアールが、あのトゥアールが、三回言いました、あのトゥアールが、最初から最後までまさかの正統派ヒロインとして振る舞い踊り通してみせた奇跡の回でありました。
そしてついに、ついに、シリーズ16巻目にしてついに今まで見ることのできなかったトゥアールのツインテイルズとしての姿が、バトルフォームが、2つに結ばれた神の型のお披露目となったのでした。
トゥアールのくせに、トゥアールのくせに、ちくしょう、うつくしい……。
本当にこれまでどうやってもツインテールを結べなかった彼女。16巻もの積み重ねです。重く長く本当に遠かった。絶対不可能を可能とするものこと愛と友情とツインテールの奇跡であることは間違いない事なのでしょうけれど、それが仲間たちツインテイルズの、ライバルであり掛け替えのない親友である愛香の、誰よりも愛した総二のそれだけではなく、スワンギルディの侠気であり、そして誰よりもトゥアールを認め励ました帝王ティラノギルディの遺し託したツインテール属性だった、敵であるエレメリアンたちの後押しだった、というのはこの【俺、ツインテールになります。】という作品らしくて、本当に好き、もう大好き。
何よりもエレメリアンたちが尊び求めたツインテール属性ですら、道具へと貶めてしまったエンジェルギルディ。まさにツインテールでありながら、ツインテールの闇を内包してしまった魔道に堕ちたツインテール。
そんな彼女と相対することで、エンジェルギルディに追い詰められ、絶望を突きつけられ、誘惑の手を差し伸べられたトゥアール。この世の何よりもツインテールを愛する総二にとって、ツインテールを結べない自分の価値はどうなのか。あのエンジェルギルディのツインテールに目を奪われる総二の姿に、どうしようもなくツインテールでない自分を突きつけられ、それをエンジェルギルディに煽られ、心揺らがされたトゥアール。
自分にとってツインテールとは何なのか。自分のツインテールを喪っても、エレメリアンに復讐しようと世界を渡った根本の理由とは何なのか。自分の根源を振り返り、そしてこの世界に来て出会った総二たち、そして戦いの果てに心通じ合わせたエレメリアンたちの事を思い出した時、トゥアールはついに答えにたどり着く。
自分にとってのツインテールの真理を、掴み取る。自分が戦う本当の理由、本当に成したかったものを見つけるのだ。

<愛>のツインテール戦士・テイルホワイト爆誕!!

彼女の復讐の旅は、ここに終わりを迎えた。
彼女は、帰るべきホームを本当の意味で今、手に入れたのだ。

水沢夢・作品感想

俺、ツインテールになります。15 ★★★☆  

俺、ツインテールになります。 15 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。15】  水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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女神の口から語られるツインテールの真実!

強敵メデューサギルディを倒し、神の一剣の完全撃破に向けて気持ちを新たにする総二たちツインテイルズ。だがトゥアールは、自身の発明であるテイルブレスオルターを敵の科学者マーメイドギルディに強奪されたことを仲間たちに告げられずにいた。苦悩を悟られまいと、いつも以上に明るく振る舞うトゥアール。そうとは知らない愛香たちは、総二へのアタックの激しさを増していくのだった。
そんなある日、総二の前に再びソーラが現れ、もう戦ってはいけないと忠告する。一度は総二のことを認め、心を託してくれたはずのソーラが何故!? そして、ソーラはさらに驚くべき行動に出る……。
一方、テイルブレスオルターからテイルギアのデータを解析したマーメイドギルディは、エレメリアンに使える装備を開発してしまう。テイルギアと同等の力を持つ武器を、人智を超えた怪人が使い侵攻する……。人間である総二たちにとっては絶望的な戦局が幕を開けた!
来襲するアルティメギル最強の"切り札"! そして女神の口から語られる、ツインテールの真実とは!? 宇宙がツインテールとなったあの日、全てが始まった――。
「ツインテールは斯く語りき」、或いは「真ヒロイン登場(二人目)」。
愛香はヒロインとして最近すごく頑張っているのはわかるんですが、ソーラの乙女力がナリュラルに高すぎる!!(前巻に引き続き二人目)。
というか、ソーラが高すぎるのではなく、元から乙女力が低すぎる人がどれだけ頑張って底上げしてもパッドはパッドという真理に通じる話なのかもしれません。
それはそれとしても、あのソーラのいきなり出てきてあのいきなりメインヒロインの風格はさすがというかなんというか。ソーラ当人としてちゃんと人格キャラクターを前にして登場してきたのは今回が初めてのはずなんですけどね。ちらっと映し身というか総二が自分のツインテールと対話するという体でちらっと登場したことはあっても。
今回は悪の組織が牽引するニセヒーロー回でありつつ、擬人化というテーマも潜んでいて、まさにツインテールの擬人化でありあらゆるツインテールのオリジンともいうべき少女の顕現ともいうべきソーラの登場だったのですが、さすがはツインテールを盲愛する総二というべきか、ソーラへの接し方がイケメンすぎて、こ、こいつ普段はツインテールにしか興味がないくせに女の子にときめく男の子みたいな反応を、と普段と同じように見せかけて微妙に普通の男子みたいなところを垣間見せるという異様なようなそうでもないようななんともいえない状況に。
まあそれだけ普段と変わらないことにうつつを抜かすことができているのは、結翼唯乃がどうなったのかを致命的に錯誤しているから、とも言えるのですが。というか、総二たちが唯乃がやられたことを知らないってのは展開的にもヤバイんですよね。唯乃復活への筋道が思いの外遠いことになってることに気付かされてしまう。
未だにトゥアールがギャグキャラとして復調しきれず、テンションあがりきらないままなのでコメディとしてもなかなかあがってこないところもありますし。それは、敵側のエレメリアンのコメディリリーフとしての人材が枯渇してしまっている、というのも大きいのですけれど。メデューサギルディは完全に悪役そのものですし、新たな幹部級たちは敬愛スべき敵というにはちょっとズレてますし、今までのような相いれぬながらも尊敬できる敵というのが居なくなってしまっているのは、笑いと熱さに対して何気に重石がつけられたような感じではあるんですよね。
しばらく準備回が続いているのですが、さてどこでカタルシスを爆発させる展開まで持ってこれるのか。雌伏のときであります。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。14 ★★★☆   

俺、ツインテールになります。 14 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。14】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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ツインテールとポニーテールが繋がる時――

戦女神・ヴァルキリアギルディと、彼女が復活させた全てのエレメリアンたちを死闘の末ついに撃破したツインテイルズ。アルティメギルの侵攻も一時的に落ち着き、総二たちは年末の大掃除に年始の初詣にと、平和な冬休みを満喫する。しかしトゥアールは、先の戦いでティラノギルディが遺した言葉を気にかけていた。「お前もあと一度だけ、ツインテールを信じてみるのもよかろう?」。それと同時に、トゥアールのなかでツインテールへの未練が大きくなり始める……。
その頃アルティメギルでは、ドラグギルディの遺言で基地に戻ったスワンギルディが、部隊を立て直すべく奔走していた。そして、暗躍による暴走が度を超し始めたマーメイドギルディと、敗戦を続ける神の一剣――組織の混迷を前に、いよいよアルティメギル首領がその神秘のヴェールを脱ぐ!?
そして、もう一人のテイルギアの戦士・結翼唯乃が総二たちの前に現れる。有耶無耶になっていたテイルレッドとの決着を望む唯乃に対し、総二は何とかして彼女と仲間になろうと考えを巡らせる。果たして総二の思いは、頑なな唯乃の心を揺り動かせるのか! ツインテールとポニーテールよ、今こそ絆を繋ぐ時が来た!!
フラグ立てすぎなんだよぉ。
てっきり、巻の最後で唯乃とテイルレッドとの最終決着決戦が行われるのかと思ったら、あっさり最初の方でそれが起こってしまった時点で嫌な予感はしてたんだ。
今回、全体的にテンションが上がりきらなかったのは、やっぱりムードメーカーのトゥアールのシリアス迷走のせいでしょう。彼女がアホやってないと、どうしても場が盛り上がらないんですよね。愛香は愛香で前にちょっとキスっぽい事故が起こったせいで浮かれてるというか調子乗ってるし。調子乗ってるよなあ、こいつ。あれで調子乗れてしまうという時点で若干可哀想な気もするのですけれど。いやね、幼馴染枠としては結構頑張ってるし、前はちゃんと良い雰囲気になってたし、というわけだから蛮族系幼馴染としては望外の展開を迎えているのは間違いないんだけれど、何をどうしてもイロモノ系ヒロインの座は揺るがないからなあ。それを言ってしまうと、ヒロイン全員色物なので差はない、と思ってたんだけれど、その中で一人だけ燦然とイロモノじゃない正統派ヒロインとしてぶっちぎってきたのが唯乃なわけで。ひたすら気持ちのよいそのキャラクターは、ツインテールじゃないポニーテールという違う属性も相まって、総ニの中でも立脚点が違うせいか他の娘とは微妙に違う感じで見てたんですよね。豪速球でデッドボール投げてくるヒロインズと違って、この娘は同じ豪速球のストレートでも、ど真ん中にドスンと来る感じでしたし。あの総ニをしてラストシーンなんか結構「持ってかれた」感じもありましたし。
同じ「赤」同士として並び立つ存在。片やツインテール、片やポニーテールとしての背中合わせの存在。相棒とは違う、好敵手ともまた違う、唯一無二の存在感があったのです。
だからでしょうか。変態集団ツインテイルズの中にメンバーとして加わるには、気持ちよすぎるキャラでもあったんですよね。戦隊モノとしては、いつも助けてくれるけれどチームの埒外に居る盤外の駒。決して相容れぬわけではないどころか、みんなと意気投合しているのに、どうしても孤高であり続ける存在。あれほど好意的でありながら、いや大好きであるからこそ、テイルフェニックスという仲間としての名を、総ニから貰ったからこそ、盤外の駒であることに殉じてしまった彼女。
あの未知であった首領の正体を暴いてみせた、というだけでも物語の殊勲なんだけれど、この展開は正直辛い。希望があったとしても、あの挿絵は辛いよ。
しかし、首領の正体そう来たかー。ぶっちゃけ、ただのエレメリアンのさらにごっついの、では多分拍子抜けに陥っていただけに、これはなかなか燃える展開の下ごしらえになったんじゃないだろうか。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。13 ★★★★★  

俺、ツインテールになります。 13 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。13】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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宿敵ドラグギルディ、完全復活――!!

神の一剣の幹部・戦女神ヴァルキリアギルディの能力“死して尚変態(ヴァルハラ)”で、これまでに倒したエレメリアンたちが完全再生! 積み重ねてきた全ての戦いをリセットされたツインテイルズ。彼らの終わりなき悪夢が始まった――。 だが、この重大な局面で、愛香にある異変が起きていた。ヴァルキリアギルディとの戦いのなか、自分が誇れる唯一のもの――ツインテールを失う危機に直面した彼女は、激しい恐怖心に支配されてしまったのだ。エレメリアンに絶望を与えてきたテイルブルーの弱体化。総二の優しささえ、今の愛香には不安でしかなかった。その間、再生エレメリアンたちは複数同時侵攻を開始する。圧倒的な数を前に、トゥアールが導き出した作戦とは――。一方、アルティメギルの女科学者マーメイドギルディは、エレメリアンの復活の先に、更なる恐るべき計画を企てていた!

愛香が、慧理那が、イースナが……次々に危機に瀕していく、ツインテイルズ! 果たして、彼女たちの運命は!? そして、宿敵と相見える総二! 究極のツインテール・テイルレッドと、最強のツインテール・ドラグギルディ――今再び、ツインテール頂上決戦の幕が上がる!!

もうボロ泣き。いやマジで。いい歳したおっさんが、マジ泣きですよ。それも感動で。
ああ、今まで【俺、ツインテールになります。】を読んできて良かった、と心底思わせてくれる、シリーズの集大成にして到達点とも言える決戦でした。そう、ずっとこの光景を望んでいた。愛すべきエレメリアンたち。お互い相容れぬ存在でありながら、ずっと互いをリスペクトしあい、全力を尽くし全身全霊をかけてお互いの信念をぶつけ合い、最後には溢れんばかりの敬意と友情を分かち合いながら、倒れていったエレメリアンたち。
彼らは敵でした。しかし、誰もが尊敬できる敵だった。その属性に対する信念と愛情は敬服に値するものばかりだった。どれほど変態であろうと、美しく格好良い生き様ばかりだった。そして、何より優しい益荒男ばかりだった。力と思いの限りを絞り尽くしてぶつかり合う果てに、間違いなく友情が、親愛が芽生えていた。
「強敵」と書いて「とも」と読む。そう語るに相応しい変態ばかりだった。
だから、そんな彼らが前巻において再生怪人として復活した時、抱いた思いは「またか」ではなく、「また会えた」というどこか喜びにも似た感情だったのです。
そして、復活した彼らがそんじょそこらの特撮モノの再生怪人と根本から違ったのは、作中でも彼ら自身が語ってるように、自分たちを倒したツインテールズへの恩讐極まる亡者たちなどではなく、第二の生を謳歌する粋人ばかりだったんですよね。まるで、かつての賑わいがまとめて戻ってきたような活気がアルティメギルに戻ってきていて、いずれ終わる祭りであってもその光景は心温まるものでした。
でも、どれほど満足して散っていったとしても、エレメリアンたちそれぞれに未練や思い残すことがあったのは確か。そこには、ツインテールズの面々とのまだ果たされない因縁だったり、思いを告げられぬまま先に散ってしまったが故に届かなかった気持ちを、再会なったことでついに繋げられたり、となんかねー、みんなが一斉に戻ってきたことで叶ったこともあり、思い残したことが次々と果たされていくんですよね。読んでいるこっちもどこか胸の片隅にこびりついていたものが、キレイに丁寧に引き剥がされていくようでした。
これはツインテールズもおんなじなんですよね。かつて出来なかったこと、届かなかったもの、悔しい思いをしたまま果たせずに終わったこと。それを、こうして成長した段階で再び向こうから現れてくれて、後悔や心残りを再戦によって吹き飛ばしていってくれたのです。受けて立つエレメリアンたちも、リベンジを! というよりも、まだ未熟だった頃のツインテールズたちの成長を見届けることが叶って喜び満足したようにまた去っていき、全力を発揮できないままなんか適当にやっつけられてしまった連中も、やっと自分の本領を発揮することが叶って満足して逝ったり、とこれまで残されてきた小さな隙間を丹念に埋めるようにして再戦は続いていくのである。
そこで確かめられたのは、ツインテールズの成長であり進化であり、その糧としてエレメリアンたちが間違いなく彼女たちを押し上げ、育て、伸ばしていったのだという事実でありました。相容れぬ敵であろうと、矛を交えるしかない関係だったとしても、彼らは間違いなく戦友だったのだ、と……。

正直もうね、こんだけ丁寧にリスペクトを充実させてくれたから、彼らともう一度再戦という形だけでもかなり満足感はあったんですよね。
でも、それだけでは終わらなかった。終わってくれなかった。
あのクライマックスの、望んでやまなかった光景が叶ったことへの感動が、どれほどのものだったか。思わず泣けてきてしまうほどの、素晴らしい、素晴らしいシーンの連続。
スワンギルディの、ドラグギルディへの崇敬。洗脳され自由意志を失っていた状態から、自力で復活して皆のピンチを覆してみせたオトコの意地。もうね、カッコイイなんてもんじゃなかったですよ。そこからはじまるオールキャストの大騒ぎ。
並び立つドラグギルディとティラノギルディの二大エレメリアン・ツインテールズの勇姿。
貴の三葉のレディース軍団とブルーという喧嘩友達の共闘。死の二菱の左右両牙将プテラギルディとトリケラトップギルディのタッグ戦。ビートルギルディとスタッグギルディの兄弟が合体したヘラクレスギルディがイエローを乗せ、敵軍を蹂躙していくその光景。相争っていた巨乳派リヴァイアギルディと貧乳派クラーケギルディによる、今度こそ手を取り合い、お互いを認めあった肩を並べあっての闘争。
そして、ティラノギルディのまさに「帝王」を名乗るに相応しい揺るがぬ巨大な背中をもって少女の涙を止めるために守り抜いた最期の戦い。
そしてそして、誰よりも通じ合いわかり合い理解し合った者同士。戦友同士。親友同士。或いは、ツインテールの二房であったテイルレッドとドラグギルディの、ずっと思い描いていた二大ツインテール戦士の共闘。
クライマックスにおける、エレメリアンたちから注がれた、託された属性力により成るこの場この時限りの究極進化エレメリアン・チェイン。
熱い、熱い、熱い。そして優しく激しくカッコよいシーンの連続は、もうありえないほどの盛り上がりで、テンションの上がり方で、まぶたの裏にはありありとこの激烈で素晴らしいシーンの光景が思い浮かぶようでした。
そして、あまりに美しいラストシーン。友との別れのシーンを描いた挿絵は、もう言葉にすることもおこがましい心を震わす傑作でした。あれはもう反則だよー。泣くよーー!! ボロ泣きだよっ!!
ティラノギルディ、復活してからひたすらかっこよいドラグギルディとは裏腹に、その見事までの小物っぽさを、もう見ていられないっ! と思うほどに随所に見せつけてくれて、色んな意味で目立ちまくって、もうなんだか愛おしくすらなってきていたんですが、最期の戦いに見せた勇姿は筆舌に尽くしがたいほどにカッコよくて、ドラグギルディに並び立つに相応しい勇姿でした。かつて泣かせてしまった少女の涙を止めるために戦うって、どんなヒーローだよ。かっこよすぎるんだよ、小物のくせに。帝王のくせに。
んで、ドラグギルディですよ。もうこんなカッコイイ敵キャラ、こんなライバルキャラ、出てこないんじゃないかというくらい、あまりにもあまりにもすごすぎた。
ライトノベル史上に残る、最高の好敵手でありました。

これ、作品としてこれ以上登れないというくらい頂点を極めてしまった展開で、あとどうするんだろうと心配になってしまうんですけれど、それくらいこれまでのシリーズのすべてを費やし燃やしきったような、全力全開の物語でした。文句なしに最高傑作。【俺、ツインテールになります。】という作品は、この話を描くためにあったんだ、と言ってもおかしくないくらいの集大成でありました。
ただただ、感動の涙が湧き出してとまらない。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。12 ★★★★   

俺、ツインテールになります。 12 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。12】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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ツインテールを揺るがす禁忌の属性襲来!

慧理那とイースナの友情の力で<神の一剣>の先鋒を撃破し、決意を新たにする総二たちツインテイルズ。しかし、アルティメギル最高位の科学者・マーメイドギルディの策謀は着々と進行していた。彼女が直々に強化を施した残存戦士・カメレオギルディは、恐るべき能力を発現する。カメレオギルディを一般兵士と侮って戦いに臨んだツインテイルズはまんまと術中にはまり、装着しているテイルギアのパーソナルカラーをメンバー同士でシャッフルされてしまう。
レッドが青色に、ブルーが黄色に――ギアの色が変わったツインテイルズは思うように力を発揮できなくなるばかりか、各々の性格までもが、元のカラーの持ち主に生き写しとなってしまう。しかも、変身を解いても豹変した性格は戻らず、総二たちの日常生活はカオスとなってしまった!
その混乱も収まらぬ中、さらに<神の一剣>からも恐るべき刺客が襲来する。それは、ツインテールの存在を揺るがすほどの禁忌の属性だった……!

体感する仲間の性癖! 熾烈を極めてゆく戦い! そして、来訪者の驚愕の正体とは!? ツインテイルズよ、これまで育み高めた心の力で、強敵たちを迎え撃て!!
人格・精神の入れ替わりじゃなくて、性格の入れ替わりだったのか。いや、むしろ中身が入れ替わるよりも元の意識が残った状態で性格が変わってしまう方が面白い。まあ、普通の作品なら性格が入れ替わったからってそこまで影響なさそうな気もするのだけれど、俺ツイは性格=変態性、みたいなもんだからそれはもう酷い有様にw
ってか、愛香は業が深すぎるぞ。どれだけの憎しみを抱えて生きてるんだ。これ、うちに抱え込むと容易に悪落ちしてしまいそうな負の感情じゃないか。そうか、普段からその蛮性で発散しているから全く抱え込んでいないのか。それに、考えてみると既に悪落ちしているようなものだしな。
しかし、総二ってカテゴリー的には赤の熱血なのか。彼の熱量ってほぼ十全ツインテールに関してのものなので、熱血というよりも狂気の領域なのであんまりそういうイメージなかったんですよね。熱い語りを見せる時は、相手のエレメリアンと呼応して熱いリスペクト合戦が繰り広げられるので、熱量で言ったらいつも対等でしたしね。普段はというと、トゥアールと愛香のテンションが高すぎて総二が熱くなるシチュエーションってほぼ無いし、あるとすればツインテールに関することだけですし。
なので、レッド化したイースナの暑苦しさにはちょっと面食らってしまった。
とまあ、入れ替わりの混乱編はギャグと見せかけてけっこうピンチだったんですよね。精神のバランスまで崩れて変身すらできなくなってしまったわけですから。でもこれ、総二からするとコスチュームチェンジ・イベント的なそれぞれのツインテールの形を普段と違う形で結わえることが出来た総二的には美味しい話だったのかも。だいたいみんな、ツインテールの形は固定でしたからね。でもこれ、誰得ってか総二得でしかないんですけど。
ともあれ、ここまではもう前座でしかなかったわけで。やっぱり話的には唯乃が出てくるとビシっと締まるんですよねえ。愛香とトゥアールも人外魔境を繰り広げるだけじゃなくて、わりとここに来て女っ気も出しているんですけれど(ベッドに押し倒された時の二人のイラストは素晴らしかった)、でもヒロインとしての華もライバルとしての存在感としても、そこはかとない相棒感としても、唯乃が短い登場シーンで全部持ってっちゃうのよねえ。
そして、マーメイドギルティの暗躍によって起こってしまったラストシーン。
いや、この展開って特撮モノなら定番であると同時に、十把一絡げでしかない展開であるものなんですけれど、これが【俺ツイ】だと全く意味が違ってくるんですよねえ。
そう、彼らは敵であると同時に友であった。
相容れぬ者同士でありながら、掛け替えのない同志であった。
戦いを通じて、誰よりも理解し合った相手であったのだ。認め合い、尊敬しあい、許し合い、そうして共に高みへと至った者たちだった。
そこに憎しみはなく、怒りはなく、愛があり、友情があり、誇りがあり、敬意があった。
存在の在り方を越えた、同胞だったのだ。
彼らの登場シーンで、ツインテールズが抱くのは恐怖でも絶望でもなく、郷愁でありほのかな嬉しさであった、というのがすべてを物語っていると思う。
ちょっと泣けてきてしまったくらい。これまでツインテールズが歩んできた闘争の歴史が刻んできたものが、こんな形で現れてくるとは思わなかったなあ。
最後の、彼の台詞に込められた温かさが、本来放たれた言葉の意味と全然食い違ってるんですよね。ほんとなら、ここのシーンって圧倒的なまでにどうしようもなさに打ちひしがれるシーンだろうに、むしろこれクライマックスで歴代の主役たちが大挙援軍として現れてきたような、逆のシーンのような感じすらあるんですけれど。
いやむしろ、本当にそうならないかしら、とワクワクすらしてるんですよね。もちろん、そのまま戦ったとしても彼らが相手なら、決してくだらないことにはならないと確信、いや信頼出来てしまうのは、彼らの生き様が今なおハッキリと心に刻まれているからなのでしょう。敢えて、違う集団名を名乗ったのが伏線と思いたいところでもあります。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。11 ★★★☆  

俺、ツインテールになります。 11 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。11】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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死の二菱の隊長ティラノギルディを倒し、奪われた属性力を取り返した総二は、真の究極のツインテール・アルティメットチェインへと到達した。それは、愛香たち仲間の支えがあったからこそ。
総二はそのお礼と皆に心配をかけたお詫びに「一人一つずつ何でも願いを聞く」ことを提案。どんな願い事をするか全員がけん制し合うなか、ある一人が「みんなで旅行に出かけたい」と願い、ツインテイルズ一同で温泉旅行をすることに。
温泉という舞台を活かし、ツインテールではなく“女の子そのもの”にもっと興味を持たせようと、愛香たちは決意。次々に迫る女体を前に、総二は……!?
一方、総二たちの世界へ侵攻しているアルティメギル部隊は、他の世界からの増援もなく孤立無援の状態にあった。撤退などできない。せめて最後は華々しく散るかと達観し始めた時、一体の美しい女性型エレメリアンが現れる。その可憐さに翻弄される戦士たちだが、彼女は自分の正体を隠し、邪悪な企みを胸に秘めていた――。
襲来する乙女の裸体。
厳かに降臨する四頂軍最後の一隊・神の一剣(ゴー・ディア・ソード)。
新次元の攻防が今、幕を開ける!!
なんか最近、トゥアールの性欲と変態性が総二よりも愛香に向けられる頻度というか濃度が高くなってる気がするんですがw
前は、もっとシンプルに総二に襲いかかって愛香にぶん殴られるという流れだったのに、最近わりと愛香のど突かれることにも喜びを感じているようなあかん素振りが……。それだけじゃなく、愛香に直接セクハラするようなことも多くなってきましたし。わりと深刻に愛香の貞操の危機なんじゃなかろうか。
危惧されていた、ツインテール愛が強すぎて総二の男性としての性欲がひどく薄いものになってるとか、女性への性的な感心がなくなってきている、という件に関しては、どうなんだろうこれ。女の子たちの裸に対して、慌ててはいたけれど、ドキドキしていたり興奮していたかというとまだまだ怪しいところなんだけれど、反応があっただけまたマシになってきてるんだろうか。いやそれよりも、女性陣の恥辱心の無さの方が問題なんじゃなかろうか、という皆様の堂々っぷりなんですけれど。愛香が一番マシに見える。蛮族がマシってどういうアレなんだろう。慣れるとさり気なく一番ガンガン行ってるのも蛮族でしたが。それよりも、恋香さんが構わなすぎだろう、というところなんですけれど、この人も結局相当ぶっ飛んでるんだよなあ。妹が好きすぎて引っ込んでるだけで、何気にこのお姉さんも蛮族性を十分備え持ってるんじゃないか!? もしかしたら、いざとなったら妹よりもバーサーカーなんじゃないのか!?

シリーズも二桁になってきてから、ようやく仲間内でリスペクトし合う展開になるのは、遅いとは言わないけれどそれだけ相手をする敵のアルティメギルのキャラが濃かったから、とも言えるんですよね。心胆照らしあい、信念をぶつけあい、理解し合い、友情すら交わし合うのはいつだってアルティメギルのエレメリアンが優先だったので、まず対するエレメリアンたちとぶつかり合うためにこそツインテールズ同士は個々に成長、革新を繰り返していたので、意外と仲間内で喧嘩するようにぶつかり合うことは少なかったんですよね。
それが、今になって仲間内の関係性を発展させる流れになったのは、それが必要だったというだけではなく、それが出来る余裕が生まれたという意味でもある、今回の敵である神の一剣のエレメリアンがこれまでの連中と違って、リスペクトし合うような相手じゃない、という事でもあるからなんですよね。
でも、それってちょっと寂しい。
エレメリアンたちの、あの素晴らしい生き様と真っ向からぶつかり合うからこその盛り上がりが、このシリーズの醍醐味でもありましたからね。それに関しては、神の一剣は期待できなさそうですし。
或いは、唯乃や今も修行しているスワンギルディ、そして愛すべき残党たちにこそ、あのエレメリアンの矜持を期待するべきなのかもしれません。連中にこそ、頑張って欲しいなあ。
ちょっと嬉しかったのは、イースナがプテラギルディのことを忘れてなかったことですか。彼の遺した想いこそが、イースナをダークグラスパーからブラックとして生きるように送り出してくれたものでしたからね。彼女の迷いを晴らすのに、イエローの友情だけではなく、プテラの言葉がちゃんと後押ししてくれたのが、あの生き様と散りざまに感動した身としては、やっぱり嬉しかったのです。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。10 ★★★★   

俺、ツインテールになります。 10 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。10】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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<死の二菱>隊長・ティラノギルディに、自らのツインテール属性を奪われてしまった総二。彼は、無気力になるだけでなく、激しい苦痛に襲われる。奪われた属性力は、ある程度の時間が経ってしまうと、持ち主の元に戻せなくなる。そして、ツインテール属性と総二とのつながりが完全に切れてしまったら、この世に存在するテイルレッドの写真や動画は、一斉に総二の姿と入れ替わり正体が露見してしまう……!? 愛香たちは、思い思いに総二を誘惑して気力を保たせようとするが、はたしてその効果は? そんなツインテイルズたちの苦悩をよそに、<死の二菱>は残る戦力を結集し総攻撃を開始する。それを迎え撃つ愛香たちだが、総二という心の支えを失い、彼女たちにもまた異変が……。テイルレッドに変身できず無力さを噛みしめる総二。想像を絶する全力を解放するティラノギルディ。果たしてツインテイルズは、この最大の危機を乗り越えることができるのか!!

宇宙一のツインテール馬鹿、観束総二よ。属性力を失った今、お前は何を心に結ぶ――!?
『俺ツイ』史上最高に熱い戦いを見逃すな!!
そうか、そうだったんだ。そうだよね、そりゃそうだ。ずっとあの変身の掛け声「テイルオン!」には違和感じゃないけれど、バチッと火花が走るような痺れを感じられてなかったんですよね。変身ヒーロー、変身ヒロインの掛け声ってやっぱり燃えるものじゃないですか。それが、本作では変身シーンそのものには燃えても、掛け声に触発されてこっちも燃える、というのとはタイミングが少しずれてたんだ。そう、物足りなかったんだよ。気づいてなかったけれど、テイルオン!じゃあ足りてなかったんだ。
よくぞ、よくぞここまで温存しきったものである。そんな、二桁巻数に達するまで大切に守り続け、温存し続けたそれを、ここで使うほどの、使って然るべきの、最大の激戦だったのだ、これは。
今まで、あのドラグギルディしか成し得なかった最強属性を降誕させたのだから、ティラノギルディはやはり……。敵であろうと、簡単にパワーアップさせないのがこの物語なのである。敵もまた、主人公サイドと同じように苦しみ悩みのたうち回って壁を乗り越え、壁をぶち破り、今までの自分を脱ぎ捨てて、真の誇りを手に入れる、自分の中の真理にたどり着く、戦うための理由を勝ち取る、そうしてやっとパワーアップするのだ。最強の存在へと至るのだ。それを、敵と味方、ツインテールズとアルティメギル双方がやり遂げた末に、お互いの全力を振り絞り、引き出し合って矛を交えるのである。そこにあるのは、憎しみでも怒りでもない、お互いへの尊敬であり理解であり、それはいっそ友情と言っていいほどの深い交感なのである。
さながらツインテールのように、双方がリスペクトしあい、全力を発揮できる何かを手にしてこそ、物語は最高潮に達するのだ。不器用で臆病な孤高の最強ティラノギルディ。彼が最も望み求めたものが得られた時、テイルレッドはその前に立ちふさがるのではなく、ティラノギルディが手に入れたものの価値を証明するように彼の前に立つ。そして、観束総二もまた、己をツインテールそのものにしてしまうほどの一心不乱の狂奔を振り返り、手放して、ようやく見出した自分が愛したツインテールが己や周りにもたらすものの真の意味を見出した時に、ツインテールの本当の素晴らしさを示すように立ったのはティラノギルディだったのだ。その佇立は立ち塞がるためではなかった、妨げるためでもなかった。お互いの進む先にお互いが居て、そうして向き合い戦うことで、お互いが求めたものを真に理解しようとしたのだ。それは、問いかけ合う問答のようなもの。戦いは血を流すためでも魂を消費するためでもない、その手に愛を掴むために、その胸に愛を抱くために、その髪に真の愛を結ぶために。
だからこそ、最期のティラノギルディの嘆息に共感してしまうのだ。違う、そうじゃない。こいつ、全然わかってないw
百合属性に諭されてなお及ばない理解度。さて、ツインテールに極振りのこの男に、どうやって色を教えたものかしら。

あと、台無しな言い草だけれど……。みんな、ツインテール解いた髪型の方が美人ですね!!
特に桜川先生は……いやこの人も最近なんで結婚できないんだろう、というレベルのイイ女になってきてるなあ。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。93   

俺、ツインテールになります。 9 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。9】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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秋を迎え、陽月学園高等部で文化祭が開催。総二との仲が半公認となった慧理那に負けまいと、やる気を出す愛香たちだったが文化祭は意外な展開に!? 一方、テイルブルーのパワーアップを知り、葬式ムードのアルティメギル。そこで百合属性を持つ<死の二菱>隊長のティラノギルディは、兵士たちにツインテイルズ同士のキスを見せて士気を鼓舞しようと作戦を指揮する。だが、それを知ったトゥアールたちは、逆にその作戦を利用して総二をその気にさせようと企む。そんな折、再び姿を現した結翼唯乃は、テイルレッドではなく、その正体である総二とのデートを要求。ツインテールとポニーテールが戦いでなく話し合いをするチャンスだと、デートを了承する総二だったが……。迫る、アルティメギル最強を誇る一の部隊の影! 作戦遂行中にティラノギルディが目撃した驚愕の光景とは!? そして“究極のツインテール”の真実を知った総二の決断は――。
おいおい、いつからこの作品は種の進化の果てを描こうとするSF作品になったんだ? 最初から? 最初からだったのですか?
今更ながら、【俺、ツインテールになります。】というタイトルを仰ぎ見て、背筋を震わせております。ちょっともうこのバカバカしいと笑っていたタイトル、いまや引きつった笑いしか浮かんでこないんですけど。

今回は総じてテンション低め。というのも、いつもの騒乱の中心となる愛香と総二、二人共が不調気味なんですよね。愛香は、いつものトゥアール虐殺タイムの切れ味が鈍くて当のトゥアールに心配される始末。普段から息をするようにトゥアールを殺戮していたのが、急にあたりが柔くなっちゃったらそりゃあ読んでいるこっちも調子が狂うというものです。もうトゥアールが9割殺しされるのはごく自然な背景描写になってましたからね。もう誰もいちいち触れずに流される程度には。夏に蝉の声が聞こえるように。北国に雪が降るように。海辺に波が打ち寄せるように、愛香はバカな言動をしたトゥアールをキルするのは当たり前のことだったわけです。それが狂ってしまったのですから、もう気持ち悪いの気色悪いの。
さらに、総二の方もツインテール語りにもいつもの切れがなくて、なんか元気がない様子で。彼のツインテールへの愛が語られる綴りは、何だかんだと情熱が込められていてその熱量に当てられて、こっちも釣られるようにテンションがあがったものですが、どうにも彼のツインテールへのナニカがズレてる感が出てきてたんですよね。以前の、ごく自然に愛香のツインテールを撫で回してツインテール分を補給していた頃とは、なにか違う感覚が。それが何なのかわからず、単に急激なパワーアップに伴う肉体疲労からくる不調なのだろう、という説明を信じていたら、唯乃の爆弾発言である。
ツインテールを極めつくし、ツインテールという進化の果てへとたどり着いてしまった時、それは究極のツインテールへと至る。ツインテールとはすなわち何なのか。髪型の一つ、という認識は既に崩れ、それは概念へと昇華し、それ以上に生命の…否、被造物としての存在の到達点になってしまうのか。それはもう、ツインテールといえるのか。何を言っているかわからないと思うが、書いてる自分もわからない。だが大丈夫だ、もはやこのシリーズ、とっくの昔にツインテールについてはゲシュタルト崩壊してしまっている。まず、ゲシュタルト崩壊してからがこそが本作を読む上でのスタート地点なのだから。
いずれにしても、最初唯乃の言っていることの何が衝撃的なのかが理解できなかった時点で、相当読んでるこっちもおかしくなっていた模様である。え? そりゃあ、総二くらいになったら最終的にはツインテールになるもんなんじゃないの? と不自然にも思わなかった時点で、相当にアレである。
さすがに、おぱーいタッチで総二の現状の異常さを突きつけられたわけだけれど。さ、流石に幾ら総二でも女の子のオパーイを鷲掴みにしてこの反応は……おかしいよね? あれ? わりと最初からこのくらい異常だったような気も……、という疑念が唐突に湧き起こってきたが、とりあえず唯乃が語っている異常性はまったくの正論なので、ここは脇に置こう。しかし、唯乃さん、単なるヒーローマニアというだけでの女じゃなかった。彼女のいう正義の味方、というのは装飾じゃなく、真剣な生き様であり、今一人の女としての芯が通ったことで非常に魅力的なヒロインとなり、本当のヒーローとなろうとしている。
むしろ、この流れだと最終的なラスボスって総二だった、ということになってもおかしくないぞ。なぜか今になって総二の女性体であるソーラ・ミートゥカが、総二とまったく別の人のようにして存在感を主張しだしたのも気になるし。
いずれにしても、なぜ、本作のタイトルが【俺、ツインテールにします。】ではなかったのかの、答えをぶん殴るようにつきつけられた想いである。

それにしても、愛香たちヒロインが全員マトモとはかけ離れた異常者とヘンタイの集まりであるだけに、余計に結翼唯乃の真っ当なカッコイイヒロイン性が目立ってきたなあ。


シリーズ感想

俺、ツインテールになります。8 イラスト集付き限定特装版4   

俺、ツインテールになります。8 イラスト集付き限定特装版 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。8 イラスト集付き限定特装版】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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“愛”――ツインテールは、時空を超える!

総二の周囲の女の子たちのアプローチがどんどん積極的になっていくことに焦りを感じ、幼馴染の関係から一歩踏み出そうと頑張る愛香。一方、<美の四心>を撃破されたアルティメギルは、総二たちの世界へ新たな四頂軍<死の二菱>が侵攻を開始。より強力になっていくエレメリアンたちを前に力不足を感じ始める愛香だったが、姉の恋香にテイルブルーの正体を気づかれそうになったことで、しばらく変身を控えることを決意する。その間、ブルーのテイルブレスを預かったのは、意外な人物だった――!?
ブレスを外した愛香はその無防備な状態を、幼馴染属性のエレメリアンに狙われる! 戦いの最中、敵の能力が暴発してしまい、愛香は別世界へと転移してしまう――!?
戦闘力も変態力もより強大な戦士たち<死の二菱>の猛攻! そして、変身不能のまま、一人別世界へと飛ばされてしまった愛香の運命は!? “愛”とは何かを問う第8巻! 聞け、蛮族の愛の咆哮を――!!

イラスト集付き限定特装版は、春日歩による描き下ろしカットほかを多数収録した超豪華仕様!! 「えっ! あの人が?!」と驚くような意外な方も参加したアンソロジーイラストにも要注目!!
イラスト集でのキャラクター紹介における、慧理那ママの手遅れ感が尋常じゃないんですがw 取り返すのつかないレベルのドMって……この人、本当にもうダメだ!!

さあ、今回はついに蛮族系ヒロインという他の類を見ない属性を誇る我らが津辺愛香のパワーアップ回。これ以上何をパワーアップすればいいのか分からないくらい、現段階で猛威をふるいすぎている彼女。もうアルティメギルサイドでは、地震や津波と同レベルの天災と認識されていて、PTSD発症者が多数発生している始末。
新たに着任した四頂軍<死の二菱>の長であるティラノギルディが、皆が怯えるテイルブルーの武勇伝を笑い飛ばして、そのジェノサイド映像集を余裕で嘲りながら視聴をはじめた時には、おおっついにテイルブルーに負けぬエレメリアンの登場か! と俄に沸き立ったものですが……ガチジェノサイドシーンに突入してしまったあとのティラノギルディの素の反応には、本気で仰け反って笑ってしまいましたがな!! あかんやん!! 全然あかんやん!!
どんだけ怖いねん、テイルブルーwww

「フフ……貴女が母を蔑みの目で見やる日が来ようとは……これも婿殿のおかげですわね」
「わたくしお母様を蔑んでなどいませんわ!!」
「未熟者!! 黙って蔑みなさい!!」
「ええええええええええええええ!?」
……誰やこの理事長を何とかしろよw
よくまあこの人を躾けていたというか飼っていたなあ、総二ママは。美春将軍の懐の広さは、後半の大事なシーンでも愛香が痛感することになるんだけれど、中二病で思いっきり遊んでいる人だけれど、それだけ気持ちに余裕があふれていて、何だかんだと後ろでドーンと構えていてくれる大人なんですよねえ。こんな大人嫌だとか言わないw

姉の恋香に正体がバレかけ、一時的にテイルブルーとして戦うことを封印する愛香。その際、テイルギアをツインテール属性が成長した桜川先生もつけて変身できることが発覚して、まさかのテイルブルー・アナザー…アナザーブルーが誕生してしまう。
さらに、姉が総二の初恋の人じゃないか、という疑惑。幼馴染属性であるトリケラトップギルディによる、幼馴染とは停滞にして敗北の証という厳しい指摘によって、ただひたすら総二の為にツインテールを磨き上げ、彼の側に居るためにツインテールとして生きてきた津辺愛香の足場を揺るがす展開に。
テイルブルーのパワーアップ回というよりも、津辺愛香の幼馴染としての生き様を、観束総二との関係を、ついでにトゥアールとの友情を、もう一度見つめなおす話だったんですな、これ。
まさかトゥアールの変態痴女ではない普通の女の子としての一面を垣間見る話になってしまうとは、思いもよらなかったけど。というか、トゥアールにそんな部分があるなんて、想像ダニしていなかったのだけれど!! 馬鹿な、一から十まで色物キャラじゃなかったのか!
しかしこのペタ胸幼馴染、過去の幼い何も知らない総二に自分の全裸を余すところなく見せつけてハァハァ興奮した挙句に、まだちっちゃな総二の股間のあれをガン見してハァハァするとは、なんというエロ属性。イラスト集での愛香のキャラ紹介の属性部分にエロの一文字があったのは伊達ではなかったのか!!
しかも、見るだけじゃなくてアワアワにして洗っちゃうなんてことまでしてやがるし、この変態!
でも、変態であろうと蛮族であろうと、幼馴染として観束総二という少年をどれだけ愛しているのか。愛香がただ総二の為に髪型をツインテールにする、ツインテールを磨き上げてきた、という積み重ねが、このエピソードによって親和したように思うのです。今こそ、津辺愛香は自身のツインテールと本当の意味で一心同体になれたのだと。
ラストシーンで、総二が愛香に本気でドキドキしてしまったのは、まさに愛香がツインテールと一つになれたからこそだと思うんですよね。今の愛香なら、総二はツインテールを愛するように彼女自身にもときめいてしまうのではないでしょうか。なんかここに来て、一気に愛香が飛び出してきたというか持っていったというか、凶獣でも蛮族でもなく、正しくヒロインとして輝きだした気が……。

ティラノとトリケラトップとの不器用な幼馴染関係も地味に心に沁みた一幕でした。

加えて……まさかのスワンギルディ生存!!! しかも、さらなるパワーアップフラグ!! 良かった、良かったと、さすがにあんな形で死んでしまっては可哀想すぎたもんな。頑張れ、頑張れスワンギルディ!! 君はもっと強くなれる! 輝ける!!

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。第2話 ツインテールな謎!?  


うーん、第一話よりもだいぶはっちゃけてきたけれど、まだ開き直りが足りない!
愛香さんのトゥアール惨劇劇場が、全くと言ってイイくらい抹消されてましたからね。ん? 天井に頭突き刺さるくらい殴られてた? その程度、笑止。
あの総二と愛香にテイルギアの説明をするシーンだけで、トゥアール、一言喋るたびに撲殺され、殴殺され、手刀でえぐられ、背骨を折られヒジ関節を粉砕され……あとなんだ? わりと作中でツインテールと連呼されるのと同じ数ぐらい、トゥアールって愛香にボコられてますよね?
とまあ、原作では既にテイルブルーに変身する前から「蛮族」の銘を冠するにふさわしい暴れっぷりと、それを引き出すトゥアールの変態ぶりが乱舞しているのですが、アニメの愛香さんは大人しい限りです。あれでトゥアールを止められるのか?

それに、エレメリアン側もなんでジェンガで勝負してるんだろう。彼らなら、もっと相応しい戦いというものがあるはずなのに。あんな健全な勝負をして何の属性力が問われるんだ? 何のフェティシズムへの信念が試されるんだ? 戦士として恥ずかしくないのか?

わりとこの時点で馬鹿アニメとしてそれなりに評判を博してきているのは嬉しいような不満なような。人気が出てくれるのは嬉しいのだけれど、本当はまだまだこんなもんじゃないのだよ、と言いたくもある、というところ。まあ、原作もまだ一巻の時点ではかなり大人しくて健全なので、本格的に手遅れになるのは二巻分以降と心得ておくべきなのでしょう。
ペースとしてはかなりじっくりやるみたいなんですよね。だいたい1巻を四話くらいのペースか。だとすると、3巻あたりまでは順当に行きそう。
ちなみに、3巻ってどのあたりの話だったかなあ、と自分の本を読んだ時の感想を見返してみたら、ひたすらメガネ属性とツインテールの相関関係について熱く語ってて内容については殆ど触れていなかった……おーいw



B00OB1DDCG俺、ツインテールになります。Tail:1 [Blu-ray]
ポニーキャニオン 2014-12-26

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俺、ツインテールになります。 74   

俺、ツインテールになります。7 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。 7】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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頼もしい新戦士・テイルブラックを仲間に迎えたツインテイルズ。自分もレッドと同じく人気者になってみせると、自信満々のブラックだったが……? そして、ついに総二たちの世界へとやってきたフェニックスギルディは、圧倒的な力を振るいながらツインテイルズに戦う意味を問いかける。その時、心の隙を突かれてしまったイエローは、再びテイルギアを制御できなくなってしまう。慧理那のツインテールが、イエローのテイルギアが、暗黒に染まってゆく……! 果たして総二は慧理那の心を、ツインテールを救うことができるのか……!?
出撃を決意するスワンギルディ! 背水の陣の美の四心! そして、いよいよ全力となったポニーテールの戦士!! 物語は、さらに熱く燃えさかる――――!!
うおぉぉ! 今回はまたジャケットがメチャクチャ格好いいじゃないですか。テイルギアを装着したフェニックスギルティ・人間ヴァージョン。ある意味、イースナ様よりも真っ当にライバルヒーローしてるじゃないですか。ってか、ある意味じゃなくてあらゆる意味で、か。
それに、彼女のアルティメギルへの反逆には首領への反発やポニーテイルへの拘りといった個人的な理由以上に、親友との友情があった、というのには胸を打たれた。さすがは、元アルティメギルの怪人といったところか。たとえ、女性人格であってもその侠気はいささかも見劣りするところ無く、ポニーテイルへの愛、ポニーテイルを愛でる者同士の友情にあふれているじゃないですか。
それを踏まえて、世界にかつてポニーテイルと、それを纏った少女を愛したエレメリアンが居たのだと世界に刻みつけるように、彼女が己の名前を名乗るシーンは、しびれたなあ。
 フェニックスギルディは親指で自分の胸を示し、
「ユノだ!!」
 自信たっぷりに名乗った。
「この姿の俺様の名前さ。そう名乗ろうって決めてた! ……難しい字で書くらしいぜ、結翼唯乃、てな」

いかん、まじもんのヒーロー属性だ、こいつ。
そのユノに、真っ向からヒーローのごっこ遊びだと指摘されてしまったのが、今回の主役となる慧理那。トリガーハッピーの露出狂というだけでは、いまいち存在感を示せず、エレメリアンたちからも注視されず、世間的にもモザイクされ、いささか迷いを得ていた所にユノからの鋭い指摘を受け、本格的に迷走を始めてしまう慧理那。そこに、トドメとばかりに自分だけのものだと思っていた矜持が、母親の明かしてしまった真実によって新堂家の血族に脈々と受け継がれていたものだと知り、何一つ己のものを持たぬ自分がヒーロー足りえるのか、とアイデンティティの危機を迎えてしまう。
と、これぞまさに変身ヒーローものの、パワーアップイベントの王道を行くような話の筋立てなのです、なのですけれど、そのヒーローとしての存在意義の拠り所が根本的におかしいから! そもそも、あれだけの露出狂、脱衣に情熱を揺らす変質者が、地味と切って捨てられるこの環境がおかしいんですけどね!
シリーズ当初と違って、もう愛香も一切常識的観点から突っ込まなくなって久しいので、誰も突っ込まないまま最初から最後まで暴走しているよね、これ! 常識ってなに? って、そろそろ価値観が曖昧になってきた。
ツインテール、そうツインテールなのだ。すべてはツインテールであり、ツインテールこそが心であり、ツインテールこそが宇宙の真理! もう、すべてツインテールで物事も人の心も語り尽くせるのではないかと思えるようになってきた。さすがはツインテール。だから、ツインテールさえ揺るぎ無ければ、首輪を拠り所にすべての衣服を脱ぎ捨てることも何も難しくはないのである。痴女皆伝!! 
何を言っているのかさっぱりわからないかもしれないが、実際概ねさっぱりわからない!!
だが、何を言っているのかさっぱりわからなくても、想いは伝わるのである。何を言っているのかわけが分からなくても、言葉は伝わるのである。
伝わられても、困るんだけどね!!
「心配なく! もうわたくしは、独りよがりな脱衣はいたしません!」
「……そうか、誰かを守るために脱ぐ……それがお前の正義なのじゃな、イエロー!!」
あとになって冷静になって振り返ってみると、イエロー復活強化イベント関連の語りは、何言ってるか本気でさっぱりわからないんですよね。でも、ノリノリで夢中になって読んでいるときは、うおおおその通りだぜ凄いぞイエローッ! と、熱く胸を滾らせ。拳を震わせて燃えあがり盛り上がり尽くしているという謎空間が創生されてしまっているわけで……。
ツッコミ不在って、本気で凄いよね……。

一方で、エレメリアンたちの漢度もまたとどまるところをしらず。もはや、エレメリアンたちの言動を追っているだけで、漢という道を究められるのではないかという錯覚すら覚えてしまう。
ビートルギルディと、その一党である「美の四心」の最後はこれ以上無く熱かった! そもそも、ダークグラスパーことテイルブラックの裏切りとツインテイルズ加入に対して、元部下である彼らの反応がまたしびれるんだ。
憎んで当然、罵って当然にも関わらず、むしろ自分たちの彼女への対応を悔やみ、反逆者としてではなく新たに現れた敬すべき敵の戦士として、正々堂々と戦おうと語り合う姿のなんと眩しいことか。
ついにエレメリアンの中にも、くだらない傲慢で相手を見下すような輩が出てきたと思ったラストシーンでも……。
あかん、思わずもらい泣きしそうになった。ラストの、ティラノギルディの高笑いしながらの最後の台詞は、この名言の多いシリーズの中でも屈指の名台詞ですよ、あれは。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。64   

俺、ツインテールになります。6 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。6】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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憤激の処刑人と、アルティメギル首領の影!

テイルレッドの正体は、男だ――フェニックスギルディに告げられた事実に、驚愕するダークグラスパー。変身しパワーアップした不死鳥と、闇の処刑人。両者の戦いは、いつ終わるともなく続き……。
そんな凄絶な光景とは打って変わり、異世界から帰還した総二たちは、愛香の誕生パーティーに同人誌イベントにと、残りの夏休みを満喫していた。停戦期間が終わり、エレメリアンたちも再び侵攻を開始。修行の成果を発揮し、破壊神テイルブルーを倒そうと頑張るのだが……。
一方ダークグラスパーは、神妙な顔でとある場所へと向かっていた。そこは、"首領の間"。アルティメギル首領と謁見しようとする、彼女の真意は――!?
真価を発揮する最強の反逆者。そして現れる、四頂軍<死の二菱>。新たな脅威が、総二たちの世界に迫ろうとしていた!!

愛、それは哀! と歌い出したくなる、エレメリアンたちの業であり生き様に、思わず涙こぼれ落ちる。
プテラギルティ、そのあまりにも気高く優しい生き様に、わりとマジ泣きしてしまった件について。
本当にもう、このエレメリアンたちの非業には胸を突かれる。彼らには愛があり友情があり信義があり信念がある。その全てが本物で、熱く滾る魂の結露であり、その尊さには目が潰れそうな輝きがある。
しかし、それでありながら、彼らはその愛の根源である「属性力」を人から奪わなければならないと宿命づけられているのだ。そして、どれほど「属性力」を奪おうと、それは決して本当の意味で得られない。
「わかるか……貴様だけではない。エレメリアンとはそういう存在だ。人の本質にどれだけ迫ろうと、人にはなれぬ。人の営み、人の心……求めても望んでも、思いを馳せることしか出来ぬ」
「だが私は、そんな自分を憐れだとは思わぬ! それでも私たちは、生きてゆくのだ!!」
まさに求不得苦、どれほど望んでも得られぬ苦しみのさなかに生きている。
しかし、彼らはそれでも誇り高く、おのが属性のままに生きているのだ、戦っているのだ。その上でなお、その属性に溺れきらず、その属性に相応しき愛を、友情を、他者への慈しみを失わずに守りぬいている。
だからだろう、図らずも彼らに最も共感し、その気高さを知るのは彼らエレメリアンと拳を交え、その侵攻から世界を守る者、ツインテールを愛する「テイルレッド」なのだ。
だからこそ、エレメリアンたちは「テイルレッド」をこよなく愛し、たとえ力及ばず討ち滅ぼされることになっても、どこか満足気に果てていく。それどころか、一人の属性に迷いし少女の行く末を、愛した属性に殉じるようにして、テイルレッドに託して身を捧げるような真似をする輩まで存在する。
その報われぬと知りながらも愛に殉じ、また友情が故に涙を呑んで友を見送るその姿に、代わりに涙して何が悪い!!

今回はダークグラスパーのメイン回だったわけですけれど、かけがえのない相棒であるメガ・ネをひどい目に合わされ裏切られたとはいえ、アルティメギルって職場環境としてはかなりホワイトだっただけに、反逆という形を取らざるを得なかったのは、辛いなあ。いや、辛いのは残されたダークグラスパーの部下たちの方か。あれだけダークグラスパーにひどい目に合わされながら、いざとなるとちゃんとダークグラスパーのことを心配してくれた上に、彼女が反逆者となって逃亡する事になっても彼女に敵意を募らせるどころか、むしろ自分たちの上司であった彼女への対応に問題があったのではなかったかと後悔し、彼女の行く末を真剣に慮ってくれるのだから、これほどよい部下たちを持つことができる幸運を、こうして捨てなければならないなんて、痛恨の極みじゃないでしょうか。

ただ、彼らエレメリアンという存在の根源に根ざす宿業にして悲哀たる宿命に対して、希望として出現したのがあのフェニックスギルティだと考えれば、この先まだ大いなる大どんでん返しが待っている可能性もあるんですよね。なぜ、彼女がアルティメギル首領から、ツインテイルズよりも優先する討滅対象として重要視されているのかも、注視に値する。決して、彼女がツインテールに仇なすポニーテイルだからだけではない、と思いたい。思いたいじゃないか、あのエレメリアンたちにも、救いがあるのだと。

思わず敵方であるエレメリアンたちについてばかり語ってしまいましたが、勿論敵方だけが熱くても、燃えたぎるものじゃありません。切磋琢磨、敵であるアルティメギルも、主人公サイドであるツインテイルズも、双方がおのた愛と信念を輝かせ、ぶつかり合い、理解しあってしのぎを削るからこそ、こんなにも熱い熱い、涙を誘われるほど胸打たれる熱い展開を呼ぶのです。
プテラギルティとテイルブラックの、あのお互いをリスペクトし合った熱い熱い戦いは、シリーズの中でも屈指のバトルでした。涙ナシには見送れぬ、心と心のふれあいでした。
そして、プテラギルティの最期を彩った、ある一体のエレメリアンの何も語らぬ友情の証。

冷静になって振り返ると、端から端まで変態的なことしか言ってないしやっていないにも関わらず、やっぱりどうして、これほど真っ直ぐで清々しい熱量を迸らせる快作は、他にはありません。
今、一番爽快なバカ、灼熱にして敬するべき馬鹿たちの物語がこれなのです。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。5 4   

俺、ツインテールになります。5 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。5】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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ツインテール部の夏合宿! 異世界の戦い!

待ちに待った夏休み!しかし、ツインテイルズの戦いに休息はない……と思っていたら、アルティメギルもまさかの夏休み宣言!? せっかくなのでこの機会に旅行をかねての強化合宿を行うことになったツインテール部。行き先は――異世界!
ちょうどその頃、首領から裏切り者エレメリアンの抹殺の命を受けたダークグラスパーは、 配下である戦闘部隊<貴の三葉>を追っ手として差し向け、自身もまた異世界へと旅立つ。そして、小型戦艦スタートゥアールに乗り込み異世界へと出発した総二たちツインテイルズだったが、トラブルに見舞われ、目的地とは違う未知の異世界へと放り出されてしまう。そこで総二が出会ったのは、異世界のツインテール戦士だった……。
僕らのツインテイルズが、今度は異世界を舞台に大暴れ! 孤独な戦いを続ける異世界のツインテール戦士とは?
そして、ポニーテール属性を持つ反逆のエレメリアンの正体とは!?
敵味方入り乱れ、かつてない戦いが始まる!
これって、ノリ的は劇場版ぽいなあ。
そもそも、このシリーズって戦隊物とかヒーローものというよりも、プリキュアタイプなんですよねえ。いや、あまりにも隅から隅まで余すところなく変態と変人しかいないものだから認識障害が働いていたけれど、今回はじめて女性形エレメリアンたちが出てきて、彼女たちと戦うことになって、そういえばツインテールズって性別で言うなら一応女に分類されるんだった、と思い出した次第で。もっとも、女だからプリキュアというわけじゃないんですけど。
前回、女性化して非常のツインテールだけではなく、日常におけるツインテールをも体感し習得した総二は、もはやツインテールについては隙の一欠片も存在しなくなったようで、ツインテールに関してはさらに一皮むけて鋭敏に、繊細に、行き届いた感性を手に入れたようだ。書いていて意味不明だが、そうとしか言い様がないのだから仕方がない。
しかし、ことツインテールに関しては愛香だって引けはとってないんですよね。そのツインテールは与える愛のツインテール。彼女のツインテールは、並み居るツインテールを極めし者たちが軒並み絶賛して惜しまない絶品なんですよね。総二は愛するが故にツインテールになってしまったツインテールだけれど、愛香は言わばツインテールそのもの、と言ってイイくらい不可分になってるんじゃないだろうか。
まったく、これで蛮族でなければ。まあ、蛮族系ヒロインという未曾有の存在だからこその、この恐ろしいまでの存在感なんですけどね!! ついには双眸を光らせながら口から怪光線を吐く段に至ってしまって、もう言い訳不能でただの大怪獣じゃないかっ、死ぬほど笑ったわ!! イメージ映像じゃなく、ガチでこんな地獄の光景を現出させてしまうヒロインとは一体w
そりゃ、アルティメギルという敵組織全体が、テイルブルーに対して恐怖症どころかPTSDを発症するのも仕方ないわ。今回に至っては、異世界の人たちにまでトラウマを絨毯爆撃してしまっていましたし。
でも、でも今回は可愛かったよ、ちゃんとヒロインしてましたよ、愛香さん。いやね、痴女な黄色やもうどうしようもない狂人である白と比べると、どれだけ蛮族であっても愛香が元々一番ヒロインしてたんですけれどね。
にしても、あれだけ血みどろの戦いを繰り広げていたトゥアールと、微妙にガチで友情をかわしつつあるこのイカレた現実はなんなんでしょうw トゥアールに対して本気でデレても、誰得だよ、とか思うんだけれど、トゥアールも愛香のガチの裾を摘むようなデレに対して茶化すでも悪乗りするでもなく、こちらも本気で照れたり戸惑ったりしている姿にはちょっと安心しました。心の底まで腐ってはいなかったのか、こいつw
敵の乙女エレメリアンとの戦いの果てに結ばれた刹那の友情といい、今回は愛香さんの見せ場多かったです。

さて、今回の見所の一つはついにツインテールと双璧をなすポニーテール属性のエレメリアンの登場だったわけですけれど……こいつ、微妙にサラリーマンレッドみたいな鬱陶しさだな。
まだ顔見せ、という段階であんまりいいところのなかったポニテだけれど、どうやらアルティメギルを裏切り反逆に打って出た背景にもいろいろあるようですし、何より最初にテイルレッドの正体に気づいた感性といい、アルティメギルの怪人たちの限界だった部分を突破した可能性を見せてくれましたし、これから本格的にメインに飛び込んできそう。それにしても、ツインテール信者である総二がポニテについてどう考えているかは気になっていた部分だったのですが、そうか、むやみに敵視せずにちゃんと敬意を持って捉えているあたりに、総二のツインテールへの愛情が狂信ではないことが実感できたり。頭はおかしいけれど、心根はいつだってまっすぐで熱い。それが、主人公の総二のみならず、アルティメギルの面々を含めた総じた在りようだからこそ、これだけ変態揃いの変態的な内容にも関わらず、さっぱりと清々しく、気持ちのよい熱さを感じられる理由なんだろうなあ。

で、巨大ロボはいつ稼働するんですか? あれって絶対ネタ振りだよなあw

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。 45   

俺、ツインテールになります。4 (ガガガ文庫)


【俺、ツインテールになります。 4】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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変身解除不能! 男に戻れなくなった総二!

男の娘属性を持つエレメリアンとの戦いの直後、かつてない危機が総二を襲う。テイルレッドの変身を解除すると、そこには見たこともないツインテール美少女の姿が!?男に戻れなくなった彼の身に、着替え、トイレ、風呂、暴走するトゥアールといった数々の受難が降りかかる!女の身体に戸惑う一方で、自分のツインテールに熱中して、危機感が薄れていく総二。そんな彼を元に戻そうと、愛香や慧理那たちは奮闘するが…。今こそツインテールへの愛が試される時。大いなる試練を経て、総二のツインテールは、新たなる領域へと進化する!!
もはや、ツインテールってなんだったっけ? とゲシュタルト崩壊を起こしつつある昨今。
ツインテールって確か髪型の一種のはずだったんだが、この本を読んでいるともっと哲学的なもの、或いは宇宙の真理に等しいものに思えてくる。神と子と精霊の三位一体とはすなわちツインテール。菩提樹の下で仏陀が得たとされる悟りとはすなわちツインテール。生きることすなわちツインテール、そして死ぬこともまたツインテール。つまり、武士道とはツインテールと見つけたり!! いや、本編で武士道とは、男の娘と見つけたり、と見つけちゃってる人がいるので、一概に武士道がツインテールとはいえないのですが、いやしかしツインテールの男の娘がいるのなら、それすなわちパーフェクトブシドー!! ……って、いるじゃないか、ツインテールの男の娘が! 
そんな完璧な武士道の体現者であるツインテールの男の娘が、実際に女体化してしまいツインテールの真実なんたるかを体験し、ツインテールと苦楽を共にしてツインテールの真髄へと辿り着くという人生哲学にもつながる高尚な物語がこの【ツインテールに俺はなる!】 という作品である。あれ? タイトル違ったか? しかし、間違っては居ない!! もはや、ツインテールという髪型になります、というレベルから脱却し、ツインテールという存在、いやツインテールという概念へと到達しようという階梯に、主人公の総二はついに至るのであります! まさに大悟!! 
何を言っているか自分でもわからなくなってきたが、本編の方も何を言っているか段々理解できなくなってきたのでオーケーオーケー。理解するんじゃない、感じるんだ!! そう、ツインテールさえその身その心で感じ取れれば十全賄えるのである。いや、マジで。いや、本気でマジでw

女体化、というシチュエーションは往々にして初めて体験する女性の体の不思議に、男の子が戸惑い困惑しながらもその未知の世界に魅了され、周りの女の子たちに導かれてめくるめく花園へと転げ落ちていくのが常道なのですが、この総二先生はそれどころではありません。一応、なった冒頭くらいには女性の体に戸惑っているのですが、そんなことはさておいて、日常生活をツインテールで送るという未知にして至高の体験に頭と心がいっぱいになり、もはや女性になったとかならないとかは眼中になし!! すべてツインテール、何もかもツインテールが中心に回っていくのです素敵!
はじめの頃には自分の髪をツインテールにくくるのに四苦八苦していた総二が、いつしか瞬きする間に髪型をツインテールに整える技量を日々の欠かさぬ訓練で習得していくその過程には、思わず感動の涙を誘われるほど。幾らツインテールが好きでも、24時間ツインテールにし続けるわけにはいかないという非情な現実を知る事にもなり、決してツインテールも常在戦場ではなかったのだと思い知りながらもそこに失望すること無く、ツインテールとは多大な困難を経て成り立つものなのだという認識を新たにし、今までツインテールを簡単安易に考えてしまっていた自分を見直し、さらなるツインテール愛を育てていく、まさに実地で体験することでさらに上の境地へと伸びていく主人公ならではの成長物語が、この4巻には余さず注ぎ込まれている。そして、ついに総二はツインテールの進化系、二段変身というツインテールの革新を手にするのだ!!

やっぱり何を言っているか自分でも分からないが、概ねノンフィクションであるからして悪しからず。あしからず。

テイルブルーこと愛佳の蛮族化はますます進行し、バルバロイ系ヒロインという新たなジャンルを開拓し、慧理那はもはや脱衣することに理由などいらないことに気づいてただの露出狂と化し、トゥアールはそろそろ留置所に入ってもらったほうがよさそうなほど変態行為がエスカレートし、冷静に考えると味方の布陣は阿鼻叫喚である。
むしろ、フェティシズムの塊といえど、純然たる部位への愛と、同僚たちへのお互いの趣味を讃え合い、時に手を取り合って強大な敵に立ち向かう友情の熱さに心震わせられるエレメリアンたちの方が、相変わらずこっちが主人公サイドじゃないか、という真っ当な熱さである。友情を超えて愛に殉じる男たちの儚くも雄々しい決意、覚悟、そして散る者たちの美しさを前にして感極まるが良い。
いい加減、もうどうでもいいや、と思えてくる陶酔感が、ちょっとヤバイw そしてああ、ついにあの属性が現れる。最強にして最凶、まさに覇道をゆく髪型属性の大巨人。
これは、もはやガメラ対ゴジラに匹敵する夢の戦いである。襟を正して座して待て。

シリーズ感想

俺、ツインテールになります。3 4   

俺、ツインテールになります。3 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。3】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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眼鏡との死闘! 最強の敵と、最大の修羅場

トゥアール奪還のため、ついに姿を現した闇の処刑人・ダークグラスパー! 強力な属性である眼鏡属性から作られた『グラスギア』を身にまとう少女の姿に、戸惑いを覚える総二。
「愛香はさておき、俺は人間の少女を相手に本気で戦えるのか?」。
総二の悩みをよそに、ダークグラスパーはアルティメギルの兵力を再編成し、ツインテイルズを倒すための作戦を着々と進行していく……。
そんななか、新たにツインテイルズの一員となった神堂慧理那は、ヒーローとしての活動で頭がいっぱいになるあまり、従来の生活サイクルが崩壊。それを見かねた学園理事長であり慧理那の母親である神堂慧夢は、18歳で結婚しなければならないという一族の掟にならい、娘の婿探しを開始。責任を感じてそれを阻止しようとする総二たちだが、思わぬ方向へ話が進み、愛香とトゥアールは焦り始める……。

登場人物みぃぃぃぃんな変態!
徐々に中毒読者を増やしている『俺、ツインテールになります。』シリーズ新作第三弾が登場!
火傷するほど熱い変態ヒーローたちの戦いをみんなで応援しよう!
ツインテールに眼鏡属性というのは、実のところ何気に難易度が非常に高い。ぶっちゃけ、常用型メガネは似合わないのだ、ツインテールには。これは、オウルが不毛の途につくことになった文学属性も同様で、これらの属性は非常にツインテールと相性が悪い。極々限定的に天才型ツインテールが、オプションとして解説シーンで眼鏡を装着する、というシチュエーションがあるが、これは普段眼鏡をつけない娘が時折眼鏡をかけると今までにない魅力が、という眼鏡を外したら〜の逆バージョンであって、ある意味ギャップ萌えであり、眼鏡属性としては王道とは言い難い。
王道とは言い難いが根強い支持があり、常用型眼鏡属性の衰退が囁かれる昨今においてはむしろ眼鏡属性の中のメインストリームと成りかねない頑強な勢いを感じさせる。名にし負う、私もまた支持者の一人だ。幼さに裏打ちされる快活にして未成熟な天真爛漫さの象徴とも言うべきツインテールを装備しながら、知性と思慮の象徴とも言うべき眼鏡を装着することで、相反するはずの矛盾した属性が両立し相乗するという奇跡の瞬間の演出。これは一種のドーピングのようなもので、繰り返し使うと効果が薄れていくというシロモノであるが、それでも瞬間的なインパクトは衰亡の途にある眼鏡属性の家中にあっては一際輝きを見せているのではないだろうか。
しかし、残念ながら本作に登場するツインテールにおいて、この瞬間的な眼鏡の装着による萌えの強化という効果を得ることの出来るツインテールは見当たらない。なぜなら、本作に登場するツインテイルズは総じて眼鏡を装着しても間抜けにしか見えない生粋のバカだからである。馬鹿だからである。馬鹿だからである。眼鏡を装着したからといって頭の良くなるような生易しい馬鹿ではないのだ。実は知的なキャラだったのです、などというサプライズなど皆無なのである。もはや、常識を常識と思わない、認識もしない、概念すらも存在しない極めつけの馬鹿揃いなだけに、眼鏡ドーピングなど全くの無意味!! 愛香に眼鏡を装着した所で、野獣に眼鏡が付随するという滑稽さが際立つのみなのだ。トゥアールは実は頭がいいじゃないか、という人もいるかもしれないが、あれはもはやツインテールではないという以前において、知能が高いことと知性が高いことは全く別であることを認識するべきだろう。頭が良いことと度し難い馬鹿であることは、決して矛盾しないのだ! 頭のいい馬鹿が眼鏡をかけたからといって、どこにギャップが生まれるのだろう。嘆かわしい哀れさだけが醸し出されるのみである。
しかして、ダークグラスパーである。彼女の画期的であったところは、ここは彼女についたプロデューサーであるケルベロスのセンスティブを称賛するべきなのだろうが、ツインテールに三つ編みという非常に眼鏡に親和性のある属性を融和剤として付随されることで、眼鏡とツインテールという互いに矛盾する二つの命題を両立させる事に成功した点である。これによって、彼女は状態装備型眼鏡属性でありながら、この世の真理であるツインテールであるという状態を何の無理もなく顕現させたのだ。繰り返すが、流石はアルティメギルにおいて伝説とすら呼ばれたプロデュース力を持つ幹部ケルベロスギルティである。ツインテールを至上とする組織において禁じ手とも言うべき髪型属性でありながら、幹部の座にまで至った実力は伊達ではなかったのだろう。
しかし、しかし惜しむらくはまた三つ編み属性もまた、遠く去りゆく過去となりつつ在る属性であったことだ。文学属性のオウルギルティと同じように、老兵は死なずただ去るのみ、であったケルベロスギルティを再び最前線に導くことになったダークグラスパーの所業は果たして酷な罪なのか、はたまた朽ち行く翁に最後の徒花を咲かせる幸であったのか。それを知るのは、破れ消え去った彼ら古きギルティたちの魂のみである。しかし、忘れることなかれ。かつて隆盛を誇った無双の属性があったことを。今廃れゆくとも、かつて輝いた実績が霞むことなど無いことを。さらば眼鏡。さらば三つ編み。今はただ安らかに眠れ。いつか再び、時代が巡り来る日まで。



…………三巻の感想を書こうと思ったら、なぜかツインテールと眼鏡と三つ編みの相性について熱く語っていた。さすがは究極の馬鹿小説、まともな感想など微塵も書かせるつもりなし、であるか。
しかし、言い訳させてもらうならば、あながち的はずれな事を書いていたつもりもない。総じて中身もこんな話をツッコミなしでひたすら暴走させ壊乱させた統制した混沌である。止める奴が皆無なので、本当に行くところまで突き抜けてしまっている。正直、この領域まで突入してしまっている馬鹿を寡聞にして私は知らない。まさに天外魔境が此処にある。こここそツインテールの極地であり、性癖が真理として成り立つティル・ナ・ノーグなのだ。読めば戻ってこれなくなること請け合いである。性癖に飲まれ殉じる覚悟あるものだけがこの本を手に取るがイイ。今日もニコニコ這い寄る混沌の人も言っている。
「この物語に正義はないーーそこにあるのは、純粋な性癖だけである」

ならば私も毅然と告白せざるを得ない。
私はポニーテイル属性である。
眼鏡など、三つ編みなど、語るにも及ばないツインテールに対する絶対的な敵対勢力。その存在が、いつか語られる日が来るのか。神対神ならぬツインテールVSポニーテールという宇宙開闢レベルの闘争が幕開けル日が来るのか。全く内容について触れていない気がするが、後悔なし。まずは読むべし。ひたすらオススメ。

1巻 2巻感想

俺、ツインテールになります。2 5   

俺、ツインテールになります。2 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。2】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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第三のテイルギア完成! 新たなる戦士!

念願のツインテール部を設立した“ツインテイルズ”こと総二、愛香、トゥアールの三人。表向きには公表できないが、その活動内容は地球の平和を守ること。

科学技術担当のトゥアールが製作に取りかかった新型テイルギアは、巨乳になれるハイブリッド仕様。それを知った愛香はプライドをかなぐり捨てて、自分にくれとトゥアールに懇願するが……。一方、戦力を増強した異世界の変態怪物集団・アルティメギルは、巨乳属性と貧乳属性の二派閥に分かれ、今にも内乱が起ころうとしていた。その渾沌の中、彼らの前に首領直属の戦士・ダークグラスパーが姿を現す。だが、その戦士が身にまとっていたのは――!?

ますますツインテールが乱れ飛ぶ!
全世界のツインテ好き待望の第二弾!

ぶはははははっ、馬鹿だ! なんつー馬鹿のオンパレード! 馬鹿オン・ステージ!! この極まった馬鹿ばかりの馬鹿な話を、だけれど馬鹿だからと言って馬鹿にせずに手を抜かずおちゃらけず、真剣に、本気で、燃えるような熱意を以て叩きつければこれほどの突き抜けた燃えへと昇華するというのか。

激燃えじゃないか……敵が!

登場人物は片っ端から馬鹿ばかり。世界を取り巻く状況も、敵組織も、設定そのものも馬鹿が極まっている! しかし、この物語を織りなす登場人物たちは、全員がその余人が見るならば馬鹿じゃないのか、と思うことに命を賭けているのだ。比喩ではなく、魂を燃やしているのだ。それこそが、真理であると信じているのだ。故にこそ、戦うのである。他人から見れば馬鹿じゃないのか、と思うようなことに、馬鹿みたいな格好をして、バカみたいな言動をばらまきながら、しかし真剣なのである。真剣に、戦って奪い合い、守り合うのである。なんという、滾り胸熱くなる話だろう。それでいて、あまりの馬鹿馬鹿しさに息も絶え絶えになるほど笑い倒れる抱腹絶倒具合。
さあ、世界の常識何処行った!? 
フェティシズムも極まれば信念となり、信念はやがて誇りと化し、相容れぬ誇りと誇りのぶつかり合いは世界を揺るがす嵐となる。
揺るがぬ真理は三千世界にただひとつ さあ叫べ、その真理の名を。愛の象徴の名を。尊ぶべき希望の名を。

ツインテール! 

ツインテール!

ツインテール!

良かろう、並べて世界はツインテールだ。すべての属性は、ツインテールとともに在る。ツインテールを疑う事なかれ、それすなわち神にも等しい唯一無二であるが故に。

つまりは、そんな話である。
つまりは、そんな神話である。


相変わらず、敵の怪人軍団の熱さは異常なレベル。もはや、主人公サイドはあちらじゃないのか、というライバル同士の熱い友情の物語が繰り広げられる。貧乳派と巨乳派という相容れぬ生き様に対立し角を突き合わせながら、その乳に賭ける魂の熱量をお互いに密かに認め合い、口では罵りながら心の中では讃え合うという、まさに好敵手、まさにライバル。そんな男同士が最強の敵テイルレッドとテイルブルーという相手に対して、今、共に肩を並べて戦場に立つ。敵わぬと知りながら、それでも退かずに貫くは乳への信念、自ら信じた属性への愛。それでも、失われていくものに流す涙は友情の賜であり、男の勲章。
まさに、男達の挽歌である!

対するテイルギアを擁してアルティメギルの侵攻に立ち向かう主人公たちもまた、内輪もめに忙しい! 
此方もまた変態怪物集団・アルティメギルに負けず劣らずの変人揃い。ツインテール馬鹿で明らかに常軌を逸した異常人物である主人公の観束総二が、若干目立たなくて普通の常識人に見えるくらいに変人揃い!
下衆が極まるトゥアールに、もはやヒロインというよりも血に飢えた野獣に近しい津辺愛香、三十路を前に婚活のバーサークフューラーと化した桜川尊、テイルシリーズの最終兵器としてその度し難い性癖を爆誕させた神堂慧理那。
彼らが揃えば日常そのものが阿鼻叫喚。戦となれば地獄絵図。見よ、そして怯えた豚のように泣き喚け。彼らこそが地獄の軍団ツインテイルズ・トリコロール。通った跡は荒涼無辺、草木も生やさぬ破壊の権化、ツインテールの鬼どもよ。

さて、そろそろどちらが正義でどちらが悪か、真剣に吟味しないといけない時期に差し掛かっているのではなかろうか。さもなくば、悪のツインテール! という定番の存在が現れても、今のところ穢れメーター、こっちの方が振り切ってるから。全員、人としてどうか、というレベルに達しちゃってるから。そろそろ、総二が正ヒロインとしてマトモな主人公探した方がいいんじゃありませんか? と提案したくなるほど圧壊してるからw

ある意味、究極の領域にまで達しつつある馬鹿の極みたる怪作にして大快作。このままハードル下げずに突っ走って欲しいものです。もう、死ぬほど楽しかったっ、最高♪

1巻感想

俺、ツインテールになります。4   

俺、ツインテールになります。 (ガガガ文庫)

【俺、ツインテールになります。】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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地球を守るため、俺はツインテールになる!

観束総二は異常なほどツインテールを愛する普通の高校生。
 ある日、彼の前に異世界から来たという謎の美少女・トゥアールが現れる。それと時を同じくして、総二の住む町に怪物たちが出現! 
 「ふははははは! この世界のすべてのツインテールを我らの手にするのだ!」
 彼らは人々の精神エネルギー『属性力』を糧に生きる異世界人だった。トゥアールから、強力なツインテール属性で起動する空想装甲『テイルギア』を託された総二は、幼女のツインテール戦士・テイルレッドに変身!
 この日から、テイルレッドと変態たちとの常軌を逸した戦いが始まった!

 第6回小学館ライトノベル大賞審査員賞受賞作。
うわははははははははっ、やばいこれなにこれ、最高じゃね!?
古今無双、稀代のバカ話なんだが、なんて言うんだろう、真剣なんだよ。バカを真剣にやってるし、書いてる方も妥協抜きで、一切の揺るぎなく一心不乱に書き切ってる。それが痛快で爽快で、そう清々しいんだ。熱くて、格好良いんだよ!!
皮肉も自嘲も冷めた嘲弄もそこにはない。それが馬鹿馬鹿しいアホらしい戯けたくだらない話だという自覚は無論あり、これがそういう話だとちゃんと理解もしている。
だが、それがどうした! 
バカバカしさが、本気になれない理由になるか!? くだらなさが、小手先で片付けて良しとする理由になるか!?
否である! 否である!!
バカだからこそ、真剣に、本気で、魂をたぎらせて、馬鹿にせず嗤わず一切の妥協なしに真面目にやり切るべきなのだ。その果てにこそ、心から笑える、腹の底から吹き出せる、気持ちのよい笑いが待っている。
貶めることなく嘲ることなく、蔑むこと無く、ただただなんて馬鹿なんだろう、と笑い飛ばせる「快」がそこに生まれるのだ。

最高じゃないか!!

やばいこれ、最高じゃないか!!

最初から最後までノンストップ、ブレーキ踏まずのフルスロットル。キャラの誰もが立ち止まらない。時として涙を拭いながらも、最後の最後まで突っ走る。変態上等、キャラの濃さ上等。虚仮の一念岩をも通す。
いやあ、面白かった。心底面白かった。
特に素晴らしかったのが、掛け合いにおけるボケとツッコミの切れ味とテンポの良さであろう。なんちゅうか、ゲームの無双シリーズな勢いでツッコミの合いの手、或いは容赦無い斬撃が間断なく発射されていくので、読んでいても痛快の一言。場合のよってはウザさの対象となりがちな、素直じゃなくてやたらと手が早い暴力系ヒロインも、その豪腕の対象が主人公じゃなくて、同じヒロインにして究極の変態残念美少女おまえヒロインとしてもうあかんやろう、失格や、なトゥアールの方に向けられるので、気楽にアハハと笑って済ませられる。というか、あれは殴って黙らせろ、というようなどうしようもないキャラなので、ああやって容赦なくドツキ倒してくれるとスカッとするんだよな、うん。照れ隠しとかデレ隠しによる理不尽な暴力じゃなく、ガチツッコミなので全然理不尽じゃないしもっとやれ。
というか、這いよれニャル子さんのニャル子をはるかに上回るどうしようもない変態ヒロインが存在してしまうとは、始末したほうがいいんじゃないかこれw

そして、あくまでツインテール中心に信念を貫き通す主人公と敵怪人軍団。干戈を交えながらも、ツインテール愛で通じ合い、最後には敬意すら交わしながらもツインテールを愛するがゆえに相争わなければならない、いや戦うことでこそツインテール愛を認め合い、昇華していくその激闘の熱さたるや、激燃えであると同時に涙すら誘う感動をもたらしてくれる。
これぞ、愛ゆえに戦わざるをえない男たちの熱き物語!

なにそれだからなに? とかそこ言わない!!

いいんだよ、ここには歪みのない真っ直ぐな愛が山ほど詰まっているんだから。まっすぐでも方向性が明後日の方角を向いてるかもしれないが、それは些細なことである。
まああれだ……ツインテールってフィクションでも精々18歳までだよね。あれは少女だからこそ許された神型であると主張したい。魔法少女以上に少女性が要求されるスタイルなのである。

いや、だからなに? とかそこ言わないで……。
 
12月3日

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