徒然雑記

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氷結鏡界のエデン

氷結鏡界のエデン 13.楽園現奏―エデン・コード―3   

氷結鏡界のエデン13 楽園現奏―エデン・コード― (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 13.楽園現奏―エデン・コード―】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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「第七真音律は、すべての魔笛を消滅させる鍵。だけど…」
穢歌の庭で向き合うふたりの少女。ひとりは皇姫の後継者として、祈りを詠う使命を帯びて。ひとりは愛する人を救うため、世界を敵に回して。同じ想いを抱いたはずの鏡を介した実像と虚像。そして、第七真音律を帯びた少年、シェルティスは穢歌の庭を進む。最愛の人を守るという想いを叶えるため―浮遊大陸で希望を胸に抗う者たち、穢歌の庭より悲哀の遠吠えをあげる獣たち、その戦い。魔笛を宿した少年、沁力を持つ少女、ふれ合うことのできないふたりの約束。すべての願いと戦い、決意と希望が交錯する、重層世界ファンタジー、終曲!
これ、ちょっとイグニドがカワイソすぎるじゃないですか。これで本当にシェルティス以外眼中にないくらい病み狂っていたならまだしも、双子に接する愛情といい、何だかんだと知り合いには情を傾けてしまうところといい、目からハイライトが消えているとは思えないくらい元の優しい彼女を保っていたわけですし。彼女が本当に負の感情を抱いていたのは、ユミィだけだったのですから。そのユミィに対してさえ、ある意味必要ないくらい公平に勝負してしまうあたり、この娘の根本は何も変わっていなかったのがわかります。彼女とユミィの違いって本当に置かれてしまった立場だけなんですよね。
イグニドって、結構嫌らしい事も仕掛けてきて決していい印象のモテる相手ではなかったんですけれど、その心情を見てしまうとなあ。本当ならもっと小狡い策もとれたでしょうに。彼女にとって優先するべきは自分ではなく、あくまでシェルティスだったことが痛感させられます。
その献身は無駄にはならなかったけれど、シェルティスにとってユミィは一人である以上、彼女が報われる事はなかったのです。彼女もまたユミィその人であることを思うと、これは本当に切ない。幸いにして、彼女が孤独なまま打ち捨てられる事はなく、新たな家族ともいうべき異篇卿の面々が寄り添ってくれることになるのですが……。うん、異篇卿って一つの目的に向かって強くまとまってはいたけれど、そんな家族的集団には見えなかっただけに、イグニドのために世界を越えて駆けつけてくれたのには、ちょっと感動してしまった。良かったね、ユミエル。
虚像と実像。氷の向こうの鏡界面。鏡合わせの隔たり。ユミィとイグニドの関係はその一つの象徴でありましたけれど、穢歌の庭という場所、そしてセラというすべての元凶となった少女の存在、その想いの形もまた、鏡合わせであるが故の哀しいすれ違いであったことが、その最深部にてシェルティスは目の当たりにする事になります。エルベルト共鳴の真実、そして禁断水晶が託した本当の願いも。世界を滅ぼすに至った根源のどこにも悪意はなく、幽玄種の人類に対する敵意もまた、純然たる正方向の怒りであったのです。
幼女を泣かすとか、絶対許さん!
とか思ってたかどうかは知りませんけどっ。

第七真音律と第七天音律、最初から真実はここにあったわけだ。

今回は総力戦ということで、ようやくというべきかやっとというべきか、第一位の巫女と千年獅が顔見せしてくれました。……巫女が銃火器持って暴れるとか、なんか違うんですけどミカエルさん!
こ、このロボ子、まさか千年もの間、凪にメンテしてもらうの待ってたのか。そんなに全身弄んで欲しかったのか。ってか、さすがに壊れるでしょうに、それ。健気を通り越して若干アホに見えるのは相変わらずか、この赤髪。
あと、ユメルダ先生はさすがに千年前の当人とは違ったか。右流の家名は同じなので、モロに血族ではあるんだろうけど。
驚くべきは、かなりダイレクトに【黄昏色の詠使い】の世界と繋がったことですか。正直、シャオやアマリリスみたいな上位存在を介してしかつながらないと思っていただけに、まさかこうも直結するとは。ってか、カインスさん、あんたまだイヴ探してるの? なんつーか、執念だよなあ。そのうち、人間辞めても探してそうだけれど。
どうやらこれ、最終的にあらゆるシリーズをひとまとめにした集大成的なお話が待ってそうだな。
その前に、まずは次のシリーズ。ネクサスにまつわる話がはじまるようなのですが、そうなるとツァリが今度は本格的に話に絡んでくる事になるのか。彼女については、こちらの世界は旅の途中、みたいな様子でしたし。なんとなく、エリエ込みで次のシリーズにも登場してきそうな予感。
あと、個人的には凪とサラの再会はちゃんと描いて欲しかったなあ。こっちではずっと固いまんまだった皇姫さまが、盛大に壊れる様子を見てみたかった。
逆に満を持して見ることが出来た光景こそ、シェルティスとユミィが触れ合うシーンでしょう。まさに、これを見るための物語だったのですから。感無量。
でも、余韻に浸る間もなく次に移行できるのは、これはこれで心地良いものです。次のシリーズにも大いに心踊らせたいものです。楽しみ楽しみ。

シリーズ感想


氷結鏡界のエデン 12.浮遊大陸-オービエ・クレア-3   

氷結鏡界のエデン12  浮遊大陸-オービエ・クレア- (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 12.浮遊大陸-オービエ・クレア-】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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氷結鏡界が音を立ててきしむ。結界の鍵を異篇卿イグニドに奪われ、幽幻種侵攻は時間の問題だった。皇姫サラが下した決断、それは精鋭による異篇卿追撃戦と、護士たちの総力を挙げての浮遊大陸防衛戦。サラに率いられ、巫女、千年獅、そしてシェルティス、ユミィがイグニドを追う。だが“楽園幻想”を成就させんとする異篇卿が、真の力を解散し、行く手を阻む。
「…レオンは一番強いから。誰にも負けない…から」穢歌の庭で対峙する、千年獅レオンと異篇卿アルマデル。一方、浮遊大陸でも天結宮戦力と幽幻種の撃戦が幕を開けて―氷結鏡界か楽園幻想か。重層世界ファンタジー、最終局面!
紗沙さん、貴女本気でババ臭くなってますよ? 説教臭くなってるわ、涙もろくなってるわ、言動がいちいち年寄り臭くなってしまってる。さっさと少女分を回復しないと、あれと再会した時大変ですよっと。
さあ、ついについに<イリス覚醒!> これを<邪神(イリス)覚醒>にすると程よくガメラ3になります。さすがにイリスも邪神さまと呼ばれるほどケバケバしい存在ではなく、ただの駄メイドなので良かったです。いや、よくはないか。駄メイドが復活したところで意味無いものなあ。目下のところ必要とされるのは、不完全神性機関としてのイリス。かつて数千・数万の幽幻種と渡り合った伝説の存在が今、復活する。というところで、結界の崩壊に寄って圧倒的な幽幻種による数の暴力に吹き飛ばされそうなときに、機神としての彼女の復活は文字通り希望の光り。主力である巫女と千年獅たちが総力戦でエデンに向かったとなると、浮遊大陸の方はもうからっけつと言ってイイ状態ですしね。いかな、ジルシュヴェッサーたるイシュタルが残っているとはいえ、戦力を欠くのは揺るがぬ事実。ここにイリスが復活というのは非常に大きな戦力補強になるのではないかと。エデン開放しました、しかし浮遊大陸全滅してました、じゃ話にならないものなあ。
もっとも、イリスに限らず秘戦力はわりと残っている模様ですけれど。あの謎の店長含めて。機神に関してもわりと千年前から十全戦力残っているんじゃないか、という節もありますし。この期に及んで、第一位の巫女と千年獅が重役出勤なのはちょっと勿体ぶりすぎだと思いますけどねっ! この分だと、エデンか浮遊大陸かどっちに現れるんだかわかんないなあ。イリスも、てっきりエデン投入だと思ってたんだけれど、果たして浮遊大陸を守り切ってそっちまで行けるかどうか。でも、行かないとナギと再会できないじゃないかっ!

今回は、いうなれば異篇卿との決着戦。ただ、本当の意味で『重界計画』に拘っている人がいないものだから、紗沙のエデン浄化に対向する信念とか指導力というものが足りなかった気がする。単に、個々の相手との因縁をぶつけあうのが目的、みたいな感じでしたし。だもんで、対決する相手と真っ向からぶつかり合ってそれで概ね満足しちゃってるんですよね。それはそれで構わないといえば構わないんですけれど。その中で唯一、こだわりが強かったのがマハさんですか。彼女自身の過去や事情を鑑みれば、彼女の決意や覚悟の深さは知れますし。でも、ゼアドールさん、そんな人を泣かせてたらあかんですよ。ぶっちゃけ、漢気ならあんたがぶっちぎりで一番なんですから。
ところで、黒猫さんは毎度毎度一番ひどい怪我を負っている気がするんだけれど、もうちょっと優しくしてあげてくださいw

ユミィやシェルティス、そしてイグニドについては最後に回したか、今回は殆ど出番なし。最終回に、全ての因縁が紐解かれることになるのでしょう。意外と秘密も引っ張ったなあ。

シリーズ感想

氷結鏡界のエデン 11.最終双剣‐ユミエル・ノイズ‐3   

氷結鏡界のエデン11  最終双剣‐ユミエル・ノイズ‐ (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 11.最終双剣‐ユミエル・ノイズ‐】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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天結宮に突如として出現した幽幻種の群れ。護士が、巫女が、千年獅が、そして皇姫自らが戦線に立つという総力戦のさなか、奇妙な情報が走る―巫女ユミィが“ふたり”いる!?戦場にありがちな、ただの情報の錯綜なのか、それとも…。真偽を確かめるべく、塔を駆け上がるシェルティス。だが、時を同じくして、浮遊大陸全土に“何か”が重くきしむ音が響き渡り、不気味な振動が塔をゆらす。塔の最上階、シェルティスの前に立つ異篇卿イグニドは驚くべき事実を告げる。「氷結鏡界を維持する鍵、今それは私の手の中にあります」あるべき世界を選択する、重層世界ファンタジー。
サラ様、サラ様、本性が出てます、もろに出てしまってます! あーた、結局凪のことは最後まで駄犬呼ばわりだったのね。少なくともシェルティスから聞くまで凪がエデンで生存している事は知らなかったようなので、このシーンはけっこう感動的なシーンのはずですし当人も驚愕と歓喜が極まったような状態だったはずなのですが、その口からこぼれた名前が素で「駄犬」だったことで色々と帳消し。紗沙さん、せめて思わず名前をこぼしてしまうような場面では、凪って呼んであげてください。
千年間も皇姫として苦労し続けたことで精神面でも老成してしまったか、すり減ってしまったかと多少心配になっていましたが、本性は相変わらずひねた口の悪い小娘だったことに微妙に安心してしまいました。現代の人たちにとっては悪夢みたいな事実なだけに、むしろサラ様の本性見たりと暴露してしまって阿鼻叫喚の地獄絵図が繰り広げられた方が面白いっちゃあ面白いだけに、いつか全部台無しにしてほしいなあ。伝説として伝えられる機神イリスの目も当てられない真実もセットでお願いします。
というわけで、もう一つのスピンオフシリーズ【不完全神性機関イリス】の舞台である千年前の出来事、あの時代がどのように今につながるか、あの作品の結末を薄っすらと伺わせる内容が続出するとともに、千年前からの生き残りと思しき人物も次々と登場してくるというクライマックス間際らしい伏線回収直前準備期間、みたいな流れに。これまで未登場だった千年獅の第一位もついに登場……って、この人って完全にあの人じゃないですか。イリスに出てきたあの人と、シェルティスの双剣繋がりって何なんだろうと思ってたんですが、千年獅の第一位がシェルティスの師匠だったとかいう話、これまでにも出てましたっけ? まったく記憶に引っかかってなかったんですが。さらに、統制庁の方でも紫苑と名乗る女性が登場。イリスの第三巻を読んだ人ならお馴染みの、と言いたいところなのですが全然性格というか様子が一変してるんですよね、この人。千年獅第一位もそうだったのですが、イリスのラストではよっぽどの事があったのが伺えます。彼女が残っていて、ミカエルの姿がないのも何ともはや。サラが語った千年前の写真の五人の仲間の中にはミカエルは居なかったですし。でも、第一位の巫女が赤髪だったりするそうなので、んんんん??
一方で、やっぱりというべきかなんというか、ヨミとエリエはほぼ完璧に相似形らしく、性格だけじゃなくて見た目も瓜二つなのか。生まれ変わりなんて、と言いたいところだけれどこの世界観はあながちそういうケースも否定しきれんからなあ。
どうやら、異篇卿たちもその幾人かが千年前から継続している人たちらしく、彼らの計画、目的もまた千年前から続く世界の救済計画の執行であることが明らかになってくる。彼らの計画も厳密に言うと現状のエデン浄化計画とは決定的にたもとをわかっているわけじゃないんですよね。両立できるものではないものの、決してお互いを全否定するものではない。ただ、現状紗沙の維持していた結界が限界を迎えつつある以上、何らかの手を打たないといけないところまで世界は来てしまっている。その中で、確かに彼らの計画は選択肢の中に数えられるものなのだ。選択肢はおおよそ3つ。異篇卿たちの計画によってエデンを隔離するか、サラのあとをユミィが引き継ぎさらに数百年浄化を続けるか、それともシェルティスがエデンを消滅させるか。そのどれもが、無視できない犠牲を必要としている以上、どれが正解ということはないんですよね。ただ、後々世界を鑑みてのリスクを鑑みるならば、一番安全なのはシェルティスの方法である事はまず間違いないわけで、イグニドこと真・ユミィが必死に手段を選ばずシェルティスがその選択を選ばないように立ち回っているのもわからなくはないんですよね。シェルティスなら、最終的にどうしてもその道を選んでしまいかねないですし。
いずれにしても、モニカ先輩、お腹出してだらしなく寝こけてる場合じゃないですよ。あーた、完全にヒロインから脱落してるじゃないですか、その格好(笑
異篇卿の方でもマハさんが、自室を大改造してゼアドール様激ラブ部屋というおよそ余人の立ち入れない魔境にしてしまっているようで、あなたも色々と自重してくださいw

どうやら本編はひとまず置いて、さきにイリスの方を片付ける模様。ネタバレ的にも先にイリスの方を片付けておかないと順番的にマズイでしょうし。そのあとに、満を持してイリス復活、と相成りそう。でも、イリスが肉体を持つと今よりスペックダウンしそうで不安なんだよなあ。ボディが戻ると必然的に駄メイド復活! になりそうだしw

シリーズ感想

氷結鏡界のエデン 10.黄昏讃歌‐オラトリオ・イヴ‐3   

氷結鏡界のエデン10  黄昏讃歌‐オラトリオ・イヴ‐ (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 10.黄昏讃歌‐オラトリオ・イヴ‐】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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虚空に穿たれた小さな亀裂。それは幽幻種を穢歌の庭へと還すために開かれた扉だった。その身に宿す魔笛が呼応し引き寄せられるシェルティスと、彼を救うべく手をさしのべた天結宮の巫女ユミィは穢歌の庭へと堕ちてゆく。彼の地にみちる濃密なる魔笛と夢数の幽幻種たち。その先にあるものは―「あなた次第です。このままでは二人が浮遊大陸に戻ってくる可能性はゼロなのだから」異篇卿イグニドがモニカたちに語る、穢歌の庭に堕ちたシェルティスとユミィを待ち受ける運命とは―強き決意が奇跡へと昇華する、重層世界ファンタジー。
これまで、それとなく共通の単語を用いて関連性を示唆するだけだった、作者の前シリーズ【黄昏色の詠使い】。そして千年前の過去編という扱いだった【不完全神性機関イリス】。この両作品がこの十巻で【氷結鏡界のエデン】とガチンコで繋がったぁ!!
それはもう、分離していたマシンが合体して巨大ロボットにでもなったような勢いで。まさか、ここまでダイレクトに直結してくるとは、大胆過ぎるくらいですよ。アマデウスなんか、自ら「アーマ」と名乗ったくらいだもんなあ。実際にネイトやカインツの名前が出てくるし、アマリリスやシャオが出てきた以上、世界そのものは違っていても世界観そのものは共通していると考えてもいいのでしょう。何しろ、黄昏色の詠使いという作品からして別の世界の扉を開けて繋ぐような話でしたしね。セラの楽園というキーワードを通じて、あまたある世界を繋ぐ。その中に黄昏色の詠使いの世界やこの氷結鏡界のエデンの世界を当てはめて、ひとつの大きなグランドデザインの存在を見せつけてきた感じだ。実際、一気に広がった感のある世界観に、ややも圧倒感を感じている。
さらに、横の広がりのみならず、縦の深さとも言うべき過去との繋がりを一緒に持ってきたのは贅沢というか戦力の集中というべきか。
まさか、穢歌の庭の底にこんな世界が広がっていたとは。ある意味、千年前のイリスや紗砂、そして凪たちはきっちり役割を果たしていたんですね。なまじ、今のこの浮遊大陸を取り巻く状況という現在を知っているだけに、千年前の過去において彼らは為す術なく殆どを滅ぼされ、絶望的な撤退戦の末にようやくこれだけの生存権を確保して、細々と命を繋いできたのか、という想像を消しきれなかったのだけれど、凪たちは敗北したのではなく、ちゃんと勝利を残してここまでたどり着いてきたんだな。
私は過去の【不完全神性機関イリス】とこの【氷結鏡界のエデン】は、一種の断絶を経ているのだと思っていた。このイリスの物語は、一度終りを迎えてしまっていたのだと思っていました。でも、違ったようです。彼らはこの千年、何も終わらせずに見事にここまで世界も物語も生かしたまま繋いできたんだ、というのがシェルティスが穢歌の庭の底で出会った人物を目の当たりにした時に実感したんですよね。何も終わってなんかいなかった。今もなお、続いていたんだ。なんか、感動してしまったと同時に、千年という悠久の時間の流れをようやく実感したような感覚。
その未来への希望のバトンを受け取るべき、シェルティスとユフィは、だけれどまたこれ……きっつい話やで。世界の行く末への絶望を、個々の想いを昇華しての希望によって覆そうとしていた物語が、この瞬間まったく反転してしまったのですから。終わる世界の救世は、個々の絶望によってのみ成し遂げられる、と。

事此処に至ってしまうと、シェルティスとユフィの二人ではどうにも二進も三進も行かない状況になってしまったと言えるので、その意味ではこっから周りの助けがどれだけ食い込めるか、って所になるのかなあ。その意味では、彼女の復活フラグは非常に大きいものかもしれない。なんかいろいろな意味で最強無敵だったエリエが、本格的に重要なキーキャラになってきたなあ。
あと、紗砂さん。本編初登場でしたが、イリスで見せていた本性というか凶暴性は今のところ伏せられているようで、何よりですw 巫女さんたちの発言から、三十ぐらいまで成長してたのかと思ってたけれど、少女体のままだったのか。熟女紗砂も悪くはなかったんだが。

色々と切羽詰まって暗い雰囲気になってきたなかで、独りだけマハさんが春真っ盛りです(笑

細音啓作品感想

氷結鏡界のエデン 9.決戦限界 アマリリス・コーラス3   

氷結鏡界のエデン9 決戦限界‐アマリリス・コーラス‐ (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 9.決戦限界 アマリリス・コーラス】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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「単純この上ない二択です。このまま穢歌の庭の扉が開ききって浮遊大陸が滅亡するのを待つか、それとも、ありとあらゆる犠牲を覚悟のうえでセラの虚像と戦うか」氷結鏡界を突破した三体の強力な幽幻種―『セラの虚像』。天結宮を追放されたシェルティスの前に現れた異篇卿イグニドは、セラの虚像を一緒に倒そうとシェルティスに提案を持ちかける。一方、天結宮では巫女のユミィが統政庁のゼアドールたちと共にセラの虚像の討伐に向かうことになり―。交錯するそれぞれの思惑、壮絶なる死闘、そして明かされるイグニドの正体―。絶望の中で少女の祈りが世界を守る、重層世界ファンタジー。

イリスさん、イリスさん。誰も貴女の過去を知らないからって、都合のイイように捏造しないの。あんた、誰がどう見ても極めつけのポンコツメイドだったじゃないですか。出来るメイドさんでした、みたいな嘘つかないのw
イリスは、なんでこんなイイ性格になっちゃったんでしょうね。昔は純朴で素直で思わず拳骨落としたくなるほどアホの子だったのに。歳月って残酷ね♪

世界の危機と相まって政治的緊張状態にあった天結宮と統政庁が協力し、さらに完全に敵対状態であった異篇卿とも共闘しての、対セラの虚像編という燃える展開に加えて、ついにイグニドの正体発覚。
という訳で、あとはネタバレ全開になるので、一応収納します。



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氷結鏡界のエデン 8.悲想共鳴―クルーエル・シャウト―3   

氷結鏡界のエデン8  悲想共鳴‐クルーエル・シャウト‐ (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 8.悲想共鳴‐クルーエル・シャウト‐】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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異篇卿イグニドによって告げられた事実に混乱する天結宮。帰還したシェルティスは上層部によって身柄を拘束されてしまう。そんな中、シェルティスの過去やユミィとの関係を知ったモニカは心を閉ざしてしまい……
ヴァイエルが完全にチームのおっかさんなんだが(笑
口では不貞腐れたような事を言いながら、やってることといえば甲斐甲斐しいくらいの橋渡し役。モニカの自閉によって拗れてしまったチームの雰囲気をコマ目なケアや気配りでフォローしてまわり、ただでさえメンタル面で本調子でない面々がツマラナイことで任務に躓かないように料理などの雑事や任務の準備作業などを回して余計な部分で負担がかからないように小隊運営の管理を一手に担い、挙句にシェルティスとモニカの最終的な仲直りを強引に後押しすることで支援する。もうパーフェクトである。見た目ゴツイチンピラで不平不満しか口にしないような不良のくせに、なんでこいつこんなに縁の下の力持ち属性なんだろう(苦笑
事情に通じていたはずの華宮が、意外にもあたふたするばかりであんまり役に立たなかったのに比べて、その働きが際立っていた。華宮って頭脳労働担当だけれど、人間関係の機微とか察することは出来てもあんまり自分から手を出すとか出来なさそうだもんなあ。ヴァイエルに懐いているのは、そのあたりも関係あるのかもしれない。

ちょっと意外だったのが、シェルティスの処遇が案外甘かったところかな。てっきり、帰還と同時に危険要素として問答無用で拘束して権利や地位を剥奪してしまうのかと思っていたんだが。塔の上層部って意外とそこまで強権的な力は持ってないんだ。そもそも、シェルティスが穢れ持ちだというのは、既に上層部も前にエデンから戻ってきた時に把握してたんですよね。それを公表もせずに居住区に追放した事実は、上層部にとってもスキャンダルなのかもなあ。今回の騒動を見る限り、シェルティスを秘密裏に居住区に放逐した件は知られれば相当に非難の的にされそうですし。下手に藪をつつくと蛇が出てしまうのは上層部も一緒なのか。だとすると、現状を維持したままシェルティスが失態を犯して別件で何とか潰す、という方針をとったのは理解できなくもない。
何だかんだと巫女や千年獅にシェルティスは強力な伝手があるわけですし、政治力に長けたメイメル姉さんもいる以上、安易な真似は危険ですらあるわけだし。

何とか、モニカとの亀裂は修復され、チームは元通りになったけれど、天結宮でのシェルティスの危うい立場は相変わらず。春蘭は攫われてしまうし、巫女たちと上層部との亀裂は下部の錬護士の間まで広がり、組織として内在的に分裂状態になりかけているという危機的状況。
そこに、エデンから浮上してきた存在。元々、異篇卿って厳密には人類の敵ではなく、天結宮などとは違う形で人類の生存権を守ろうとしている集団であるので、ほんとうの意味では敵ではないんですよね。ところが、今度現れてきた存在は、どうやら間違いなく絶対的な敵のようで……統政庁の方も動きが激しくなってきたし(って、あのマハのアレはなんなんだ!?(爆笑)、次回辺りかなり大きな動きが起こりそうでドキドキ。

それから、なんか本シリーズと平行して「イリス」がヒロインの新シリーズがはじまるみたいなんですが!
登場人物(?)の中でも最もイイ性格(w)をしたイリスがヒロインって、どんだけはっちゃけるつもりですか!? 粗筋やあとがきを見る限り、本シリーズの過去編にあたるもののようですが、これは楽しみだ。

細音啓作品感想

氷結鏡界のエデン 7.空白洗礼3   



【氷結鏡界のエデン 7.空白洗礼】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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「世界を構成する鍵。空白(わたし)のこと、あなたの魔笛のこと、第七真音律(エデン・コード)のこと。全てを教えてあげる。望む事実(こと)も、望まない事実も」
 満面の笑みを浮かべ、空白(イグニド)は歌うようにシェルティスに告げた。
「あなたには全てを知って――絶望して欲しいですからね」
 第三機関・異篇卿の拠点に潜入したシェルティスの前に、異篇卿イグニドが現れる。空白(イグニド)の存在にふしぎな郷愁に襲われ、シェルティスは戸惑いを隠せないでいた。そして同じ頃。千年獅・レオンの前には"理想の敵”が立ちふさがる――。
 穢歌の庭(エデン)に堕ちたシェルティスの"真実”が明かされ、"みえざるもの”の実在証明が求められる、重層世界ファンタジー。
いつかはシェルティスの秘密はバレるとは思ってたけれど、上層部の巫女や千年獅たちは殆どみんな承知しているし、そんな悪い形では明らかにならないと思っていただけに、これだけ露骨な悪意と作為を以て暴露されるとは完全に予想外。前回、シェルティスの秘密を匂わせた怪文書が案外騒ぎにもならずに収拾されたので安心してしまってたんだなあ。あれは単なる前振り。今回の暴露を効果的に知らしめるための呼び水に過ぎなかったわけだ。
しかもこれはイグニドが画策したわけじゃないけれど、モニカの行動がタイミング悪すぎだ。まるで謀ったように、モニカが一番ショックを受けるタイミングでの暴露だったからなあ。このタイミングでさえなかったら、シェルティスの秘密が知られたとしてもそこまで致命的な傷にはならなかったはず。否応なくこれは、シェルティスとユミィに裏切られた、騙されたと感じても仕方がないタイミング。たとえ理性でそれが誤解だと承知していても、感情が納得できない、心が傷ついてしまうタイミング。最悪だ。
幸か不幸か、シェルティスはモニカの気持ちに今の段階では気づいていないのだけれど、いややはりそれはあとで蟠りとなって残ってしまいそうだなあ。知らないということは対処が出来ない、或いは遅れてしまうということだし。今回の一件で塔の権威は著しく失墜してしまうだろう事を鑑みるなら、彼を守ってくれる立場にある人達はシェルティスをかばえる状況になくなるだろうし、周囲のほとんどは彼の敵に回ってしまうはず。
今のところシェルティスは挫けていないけれど、状況の厳しさを目の当たりにしたとき果たしてそれでもなお気力を保てるか。彼の方ががんばれても、ユミィもまたモニカの一件を中心に傷ついてしまってるからなあ。
それにしても、イグニドの悪意とも好意ともつかないシェルティスへの執着は意外だった。もっと飄々とした興味や好奇心だと勘違いしていたが……何かシェルティスやユミィと深い関係にある人なんだろうか。それらしい事を匂わしているけれど、過去にそうした人が居たという回想は二人の間にはないんですよね。いや親しいどころじゃない、イグニドの台詞からすると……。
シェルティスが穢歌の庭に堕ちたという事故の真実が明らかになったものの、それと同時にまた謎も増える始末。話を聞く限りでは、異篇卿は決して悪いことをしようとしているわけじゃないんですよね。ある意味、塔とは別の手段で世界を守るための方法を探っている、と言っていい。ただ、何故こうもこそこそと隠れてやらなきゃいけないのか。誰が彼らを纏めて方針を決めているのか。そもそも、何故だれも知らない世界の真実を知っているのか。
それこそ千年前まで遡らなければいけない因縁っぽいなあ。
ともあれこれで第一部が終了。穢歌の庭から戻ってきたよりもより酷い状況に置かれながらも、シェルティスは改めてユミィの千年獅となることを決意する。その決意は、かつてとは比べ物にならないくらいに重く、密度の濃いものとなっている。彼の前に立ちふさがる壁はさらに高くなっているけれど、彼もかつてとは比べ物にならないくらい心の芯が強くなっているのだから、最悪の状況にも関わらず決して不安ばかりじゃないんですよね。
願わくば、モニカが可哀想なことにならなければいいのですけど。

あと、黒猫さんが脱がされたのはグッドジョブw 天の車のメンバーって、ある意味塔の面子より個性的で面白い人ばっかりだなあ。

シリーズ感想

氷結鏡界のエデン 6.水晶世界3   

氷結鏡界のエデン6  水晶世界 (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 6.水晶世界】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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巫女の第三位と、その千年獅。彼らの帰還と共に、水晶世界の旋律が響く−−
巫女失格なの−−ユミィはシェルティスにそう告げる。千年獅・ホルンとの因縁から、自分を追いつめるユミィ。そんな中、強力な幽幻種が発見される。ユミィは、討伐に向かうホルンと、ある“勝負”をするのだが−−
今の世界を織り成す秘密が徐々に浮かび上がり、真相へとたどり着くための足がかりが見えてくるのつれて、さらなる謎が謎を呼び奥行きが広がっていく中で……キリエ料理長、あんた何者なんだよ!!(爆笑
いや、このカフェの料理長だけなんかいきなり過ぎるよ! 他の世界の謎や登場人物の真の姿なんかは、ちゃんと物語が進む事によって段階的に、繋がりを持って情報が開示されて行っているにも関わらず、この人だけそりゃもういきなり無造作に、前触れもなく、出会い頭に、謎の中核にしれっとした顔で紛れ込みやがったw
何らかの思惑あって、このポディションに居た、と思えれば気も楽なのだが、言動を見てると本気でたまたまっぽいのが恐ろしい。紗砂と鉢合わせしたときの二人の様子を見てると、何も考えてないようにみえるし。
まあ、穢歌の庭から帰ってきたシェルティスを雇っていた時点で、何も知らなかったとは考えにくいんだけれど、やっぱり何も考えてなさそうだよなあ(苦笑

さて、今回の話でようやく巫女と千年獅が全員登場したのか。これまでは何だかんだと出来た人が多かった中で、千年獅ホルンが余裕のない人だったというのが意外だったなあ。ユフィに対して逆恨みが高じて、極めて辛辣な態度をとっているのだけれど、八つ当たりの対象であるユフィのみならず、誰彼構わず攻撃的な態度なんですよね、この人。ユフィに期待を裏切られたからこうなったのか、そもそも心をゆるしている家族以外には敵愾心をむき出しにしないと我慢出来ないたちだったのか。何れにしても、心に余裕が無い現れなんだろうけど、これは姉巫女様がちゃんと躾ておかないと。実際、妹の態度には姉様も危惧を持っていて何度も言い聞かせてたみたいだけど、全然効果がなかったようだし。
だからこそ、そんなホルンに対してシェルティスとユフィがビシッと直言してくれたのには、正直見直す思いだった。二人とも、温厚で他人に対してあまりキツい事は言わないタイプなだけに余計に。特に、ユフィなんかはホルンに恨まれるだけの理由があった上に、シェルティスを浄化出来ない件も合わさって、自分の巫女の資質に対して自信をなくしかけてた部分もあっただけに、ホルンに対してはとても強く出る事は出来ないとおもってたんですよね。それが、ああも直裁的にホルンを非難して退けるとは。
意固地になっていたホルンも、ユフィの人となりは恨み怒り憤っていたからこそ良く理解していただろうから、そんな彼女からの容赦のない言葉だからこそ、姉の言葉よりも余計に深く突き刺さったのだろう。自分を見つめなおすきっかけというのは、なかなかいつも傍に居る親しい人からは得にくいものですからねえ。
こうして、巫女として、護士として他者との関わり合いが増え、成長していくに連れて、お互いを守り助ける事を至上としてきたシェルティスとユフィは、その目的はそのままに、しかし立場と視点をより俯瞰的に、この世界の在り方そのものの謎の解明を意識しはじめている。それこそ、世界が自分たちに何を求めているかを確かめるために。
見事に、世界の謎を紐解くこそが、二人が求める道へと繋がっている事が明らかになりはじめたわけだ。
しかし、そこにどうやらエリエが思わぬ形で深く関わることになりそうなのは予想外だったなあ。この娘、最初はその立ち位置がよく分からなくて、単なる賑やかしの、雰囲気を明るくするためのコメディ要員なのかとすら思ったくらいなんだが、いつのまにやら謎を織りなす中核人物たちの間に一番深く入り込んでいる上に、この先も彼女が重要な役割を果たすであろう事が示唆されているわけで……。
丁度、あのやたらと個性的だった統政庁の特殊機関【天の車】の第九なども登場して、そろそろ役者も出揃ってきたのかな。あそこの連中、ある意味天結宮の人間たちよりもよっぽどキャラ濃いよなあ(笑

4巻 5巻感想 

氷結鏡界のエデン 5.絶対聖域4   

氷結鏡界のエデン5  絶対聖域 (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 5.絶対聖域】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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君は千年獅になりたい?−−最強の錬護士筆頭イシュタルの目的とは!?
ユミィ護衛任務中のシェルティスの前に現れた、最強の錬護士筆頭イシュタル。シェルティスは、かつて剣を交わした彼女に正体がばれることを心配するが、イシュタルは謎めいた笑みを浮かべるばかりで……

前巻からその強大な存在が示唆されていた錬護士筆頭イシュタルさんが、予想していた、そして読んでいる最中の印象とまるで違う方向でヤバかった!!
うわあっ、こういうキャラクターだったのか。傍目から与えられるイメージからすると、まるっきり清々しいほど裏返しじゃないか。なにやら、物凄い因縁とか秘密を抱えているのかと思っていたのに、この人の抱えていた真実とは、まさに一点を貫く槍そのものだった。
でも、だからこそこの人の強さは怖いよッ! 余計な物が何もない分、目的がたった一つに特化されている分、感情その他もろもろまでたった一つのために集約されている分、この人には揺るぎというものが欠片もない。狂的なほどに、強靭だ。穿てぬ物は何も無いというほどに尖っている。
これは、下手に意味深に色々抱えている人よりも、シンプルな分その強さはヤバいですよ。単純な戦闘力なら千年獅の面々すら上回ってしまうというのも、この人ならば仕方がない。
もしかして、【祓戈の到極者 ジルシュヴェッサー】の称号に一番ふさわしいのって、このイシュタルなんじゃないだろうか、とすら思ってしまった。

さて、今回は彼女の強烈な存在感に引っ張られた感もあるけれど、とりあえずはシェルティスはサブに置き、むしろ巫女ユフィの自覚と成長を促すための話だった感じ。シェルティス側は、フォー・マン・セルのチームも上手く編成できて一旦安定したわけですしね。
それから、浮遊大陸エデンを出て、別の浮遊島に存在する統制庁とその施政下にある街に舞台を移したことで、どこか閉じた感覚があった世界観も一気に広がってきた。統制庁の【天の車】の面々も、あの暑苦しいゼルドールのおっさん初めとして、かなり個性的な連中みたいだし(笑
そして、空間的、人間的な広がりと同時に、時間的にも過去と現在がつながり始め、世界の構造の秘密もまた徐々に浮き上がり始めている。読者視点だけでなく、イリスという存在を鍵にして、また空白と呼ばれる敵との接触により、ユフィやシェルティスたちにも、そういった情報が開示されていくのもまた世界の秘密が紐解かれていく、という感じが出てて、物語が進みだしているという実感が得られる。

しかし、これは思っていた以上に「黄昏色の詠使い」シリーズとの共通点が深いところに食い込んできた。専門用語の共通点だけじゃなく、マハの使ってる術のシステムなんて、かなり「アレ」に近しいものだったし。
裏でうごめいていたものの暗躍が眼に見えるところに出てきたことで、話もずんずん面白くなってきた♪

物語の進行もそうだけど、キャラの掘り下げも進んできたなあ。さすがに新キャラ登場が多かったので、華宮とヴァイエルについては出番少なかったけど、その分、モニカがユフィとイチャイチャしてくれていたので、オッケーオッケー。ってか、モニカってヒロイン側にも関わらずそのキャラクターってどちらかというと生真面目ヘタレ系主人公のそれだよなあ(笑
むしろ、ヒロインとしてはただの機械水晶であるはずのイリスの方が可愛すぎるんですがww 性格に愛嬌がありすぎる。自分と同系列のシステムを守るためにシェルティスが庇って傷ついたときの「…………ばか」には思わずキュンと来てしまった。

4巻感想

氷結鏡界のエデン 4.天上旋律3   

氷結鏡界のエデン4  天上旋律 (富士見ファンタジア文庫)

【氷結鏡界のエデン 4.天上旋律】 細音啓/カスカベアキラ 富士見ファンタジア文庫

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最近はアレですな、男のツンデレくんが大流行ですな!(笑
男の娘の流行といい、色々とこう、ねじれてきている気もするけれど、男の娘も男のツンデレも前から在るといえば当たり前にあるものなので、今更と言えばいまさらか。
というわけで、華宮の推薦というか強引な勧誘によって、四人目のメンバー、ヴァイエル・バッハベルが隊に参入し、これで隊の基本人数である四人が揃った。一応、これが基幹メンバーとなってこれ以上は増えないはず。隊以外の登場人物もかなり多いし、まだ名前だけ出て未登場のキャラもいるのですしね。
しかし、なんというかまた……主人公が属するチーム、恐ろしく個性的な面々が揃うのは珍しいどころか王道なくらいなのだけれど、みんながみんな、四人とも全員がそのベクトルは違うとは言え真面目くん揃い、というのは珍しいなあ。華宮は相当ズレてるけど、うん。でも、あの娘もちょっとマッド入っているけれど、人間関係や任務に対して生真面目なのは間違いない。新キャラのヴァイエルも、意固地でひねくれ者だけど恐ろしく律儀で頑固で堅物な生真面目くんだったしなあ。そして言わずもがな、隊長のモニカはと言えば杓子定規なくらいの生真面目の標本みたいな人……あれれ? むしろシェルティスが緩くすら見えてきたよ?(笑
イリスというお調子者の相棒がいるとは言え、何気に場を和ますボケツッコミ要員になってるし、主人公のくせに(笑
背負っているものや信念の重さに比べて、シェルティスが内向きに悩み沈んでしまわない明るさを持っているのも、大きなポイントなのかも。シェルティスも非常に真面目くんなんですけど、その真面目さで自分を自縄自縛してしまうタイプじゃないんですよね。意外と開き直って前向きに突き進んでいくタイプというのは好感が持てる。今回だって、突出した実力と他者との連携の経験不足によって、チームワークが上手く取れずに実力を鈍らせてしまうという行き詰まりにあたってしまうのだけれど、それで悩んで落ち込んでしまわず、積極的に克服していこうというあたり、目的であるユミィのもとに辿り着くために一途であるというべきか、精神的にタフというかメゲないタイプというか。なんにせよ、必要以上にウジウジしないのはいい事ですよ。
そんな彼に身近な女の子たちから好意を寄せられるのは、必然といえば必然なのか。まあ、今のところは露骨な接近はまだないんですけどね。シェルティス自身、ユミィ一筋だし、そもそもこの作者さんってハーレム志向よりも個々のキャラにカップリングを用意するタイプですしね。とはいえ、華宮があれほど積極的にヴァイエルに御執心とは思わなかった。お嬢さん、あんたのそれはもろに一目惚れの恋じゃありませんですか(笑
うわぁ……なんか一途だ。まだその感情に自分で意味付けを行っておらず、湧き上がってくる想いに真っ更なまま突き動かされているので、完全に白無垢な恋心は綺麗なことこの上ない。それが恋だと自分で意識したとき、いい意味でいろんな色に染まってくるんだろうけれど、この無垢な真っ直ぐさはヴァイエルからすると、……対処の仕様がなくて困るよなあ。そもそも人間関係あからさまに不器用そうだし(笑

世界観の方も、この閉ざされた世界の始まりとも言うべき過去の一端にユミィが触れ、そこで遭遇する謎の人物たちの正体も垣間見えると同時に、ユミィに課せられた責務とシェルティスに宿った魔笛の力の関わり、第七天音律に至るもの。色々なものが見えてきて材料はばらまかれつつあるのだけれど、また全体像は遠いなあ。前シリーズを想起させる単語が次々と出てきているのも、「黄昏色の詠使い」シリーズとの関連をどこまで示唆しているのか。
まさか「ジルシュヴェッサー」の名前まで観るとは思わなかったもんな。その称号持ってるだけで、未だ未登場でどんなキャラかも描写されていないにもかかわらず、ああこりゃいろいろな意味で手に負えない奴だな、と思ってしまうのはなぜだろうw
 
12月2日

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