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海空りく

カノジョの妹とキスをした。2 ★★★★☆  



【カノジョの妹とキスをした。2】 海空りく/ さばみぞれ GA文庫

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初めての恋人・晴香と付き合って一ヵ月。親が再婚し恋人とそっくりな義妹が出来た。名前は時雨。晴香の生き別れの妹だ。
俺はそんな義妹とキスをした。重ねられた時雨の唇の感触が忘れられない。晴香とキスはそれに塗り潰されて思い出せないのに。時雨を異性として意識する時間が増える。
でもそんなのは晴香に対する裏切りだ。俺は晴香との仲をもっと深め、時雨と距離を置こうとする。
だが俺がそう決意した日、時雨が高熱を出して倒れてしまい……?
彼女の双子の妹からの告白。高2の夏休み。お泊りデート。動き始める“不”純愛ラブコメ、『堕落』の第二巻!
これは、とんでもねーなあ。いや、これはもう博道に同情してしまう。
てっきり、悪いと思いながら裏切りと知りながら、徐々に時雨の愛に蕩かされていく、堕ちていく背徳一直線の不倫モノになるのかと思ってたんですよね。
ところが、博道は想像以上に誠実で晴香に対して一途でした。自分が信じた愛に初々しいほど一途だったのです。時雨の誘惑をはねのけて、晴香から目を逸らさなかったのです。時雨とキスしてしまった罪悪感が、余計に彼を一心不乱にしてしまったのかもしれません。時雨の愛の深さ、愛情の激しさをその身に体感したことによって、より晴香への愛情の深度を高めてしまったのかもしれません。
それが、自分を追い詰めていくとも知らずに。
これ読んでいると、博道が晴香を裏切って後ろめたいことをしているというよりも、博道が精神的に追い詰められていく中で時雨の存在がどうしようもない救いに見えてくるんですよね。博道は悪くない、これは仕方のないことなのだと思えてくる。彼の晴香への愛情は本物で彼は一途に晴香に愛を捧げているのに、それを一方的に否定し踏み躙ったのは晴香のように見えてくる。
あのシーンあの瞬間、繊細で純真だった少年の心が、ズタズタに傷つけられたのは間違いないんですよね。センシティブな問題が絡んでいるとは言え、彼の愛はその相手から一方的に否定されたのである。汚らわしいものとして嫌悪されたのである。
それは、価値観とか恋愛観、愛情の在り方の相違であってそれだけならどちらが悪い、というものではなかったと思うんですよね。本来なら、それは話し合いや対話、コミュニケーションの積み重ねによって擦り合わせていくべきものなのでしょう。しかし、晴香は過去の家族崩壊に関するトラウマや父親からの刷り込みなんかで自分の恋愛観に疑い一つ抱いていなくて、それが絶対正しいものだと考えているようなんですよね。一方で博道の方は時雨との事での罪悪感も後押ししたのでしょう、自分が悪いと決めつけ思い込もうとしながら、晴香の恋愛観の方に無理やり自分を合わせようと四苦八苦しながら、晴香への愛情の深さ故に自分の中からこみ上げてきた自然な想いを否定する事は出来ずにいた。晴香の恋愛観を肯定してあの時の行動を間違っていたとするのは、そのまま自分の感情を想いを否定すること、晴香への愛情そのものが間違いだ、ということになってしまう。
晴香に対して誠実であろうとする、彼女の愛情の在り方に寄り添おうとすることが、自分の晴香への愛情を否定することになってしまう矛盾。そして、自分が信じてきた愛情が、否定どころか嫌悪されて踏みにじられた事への痛み。愛をただの肉欲と貶されてしまった悲しみ。それが、少年を苦しめ疲弊させていくのである。一緒に過ごすことが幸せだったはずなのに、恋人と過ごす時間が徐々に苦痛へと、恐怖へと変わっていく。
この変転には、もうなんかゾクゾクしてしまいました。愛している事は何も変わっていない、愛が薄れていっているわけではないのに、心の距離がどんどんと離れていく、幸せが辛いに変わっていく光景は、衝撃ですらありました。
そして、気のおけない義妹である時雨と過ごす時間の方が癒やしになっていく、追い詰められ精神的に崖っぷちに立たされるほどに疲れ果てた博道の救いに、時雨の存在が成っていく。ここで時雨は別に疲弊する博道につけ込んで、博道の愛情を独り占めして奪い取ろうという積極的な行動に出てるわけじゃないんですよね。ただ、博道を否定せずに受け止めているに過ぎない。むしろ、彼の晴香への愛情の在り方を肯定しているとすら言えるんですよね。あれほどの甘い毒を注ぎ込みながら、時雨は博道に何かを求めたりしなかったのです。そんな自然な、自分の価値観を強いしてこない、自分の欲求は伝えてきても、そのために自分に合わせる事を求めてこない、そんな時雨の存在こそが彼の救済になっていくのである。
これ、時雨の存在がなくても晴香とは早晩うまくいかなくなってたんじゃないだろうか。それとも、時雨によって注がれた甘い毒が、博道から晴香と接する際の余裕を失わしめていたから、罪悪感が晴香と正面から意見をぶつけ合う自信を削り取ってしまっていたから、こんな有様になってしまったのだろうか。
晴香も本当に博道を愛しているからこそ、彼にも同等のそれを求めたんだろうけれど、それが彼をどれだけ傷つけたかを想像もしていない以上は、無理解と言われても仕方ないよなあ。
晴香のプラトニックラブの考え方に対する時雨の肉の喜びありきの考え方も結構極端寄りだとは思うのだけれど、博道への理解という点ではこの時点では確かに時雨の方が正確に捉えていると思うし、だからこそ時雨が姉に抱いてしまった憎悪に正当性を感じてしまうのである。
なんか、いつの間にか読者である自分の方にまで毒が回っているじゃないか。時雨の方を選ぶほうが正しいと思えてしまうように作り変えられてしまっているじゃないか。
ラスト、感情に任せて決定的な一歩を踏み出してしまった時雨。前巻のラストも時雨が感情に任せて決定的な一歩を踏み出してしまった事ですべてが始まってしまったわけですけれど、今回もまさに二度と元に戻れない関係になってしまうのか。どう転んでも泥沼は必定、修羅場必至、一瞬たりとも気が抜けないこのお話のどこに「ラブコメ」のコメがあるんですか!?
いやほんとにとんでもねー作品だこれ。


落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)18 ★★★☆   



【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)18】 海空りく/をん  GA文庫

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「貴方には誰も殺させないッ! ! 」

《大炎》天童は討伐されたものの、いまだ首都東京は米軍の侵攻に対する防衛戦の只中にあった。

日本側の主戦力《世界時計》新宮寺黒乃をもってしても対処しきれない米軍の圧倒的物量。だが土壇場での黒乃の決意と選択は過酷な運命を打ち破る契機となり、増援として駆け付けた一輝やステラ、刀華ら最精鋭の学生騎士たちは、状況を覆すべく戦場で刃を振るう。

一方、かつて月影らが《解放軍》本拠地で遭遇した《超人》エイブラハムは《大教授》アイランズと共に不気味な策動を始めていて――!?

世界の命運を決める最後の戦い、その始まりを告げる第18弾!


黒乃理事長、これはKOKリーグ初のママさんプロの誕生、という事になるんだろうか。他にいないよね?
魔人に覚醒することで、家族との平穏な生活が失われる危険性に二の足を踏みリーグから現役引退した黒乃さん。その後、破軍学園の理事長に就任して一輝を引き立てる事になるのだけれど、まあ魔人化の実情を思えば、躊躇するのもわかるし。子供が生まれたのに命がけを通り越して自分の生き死にまでベットするような戦いに身を投じる事を忌避するのもよくわかるんですよね。
しかし、戦争が起こってしまえば家族を守るためにも最前線に立たなきゃならない。ここで魔人化は必然だったのでしょう。でも、強いられて仕方なくではなく、夫や娘と真摯に話し合って家族を守るため、家族にカッコいい姿を見せるために。と家族は足かせなんかじゃなくより自分に力を与えてくれる存在であると証明するために、もう一度KOKのプロリーグに復帰することを決意する下りは素敵なものでした。黒乃理事長にとって、一度の引退は回り道じゃなくてより強くなって戻ってくるための路であったのでしょう。
というか、魔人化した黒乃さんってデタラメすぎるんですけどw 寧々先生もたいがい無茶苦茶だけれど、黒乃さんの方もうこれわけわかんなくないですか!?
ただ超人エイブラハムはちょっと残念だったなあ。超人(ザ・ヒーロー)の二つ名の通りに彼はアメリカンヒーローの具現化みたいなものだと思っていたので、そのまさに人を超えた存在として存分に立ちふさがる大きな壁になって欲しかった。偉大にして強大な敵であって欲しかった。
小物化みたいな事になってしまうのも困るんだけれど、エイブラハムの正体があんな形になってしまうと確かに敵としてはさらに脅威であり、たちの悪さについては他の追随を許さないんだろうけれど、個の格としては存在感限りなく薄くなってしまったんですよね。言わば十把一絡になってしまったとでも言うのか。
これだと、かつて彼にメタメタにやられてしまって長年復仇のために鍛え続けた末に、今回リベンジを果たした黒鉄王馬が、折角の見せ場だったのに結果として王馬くん関係ないところでなんか残念なことになってしまったのでした。まあ、王馬自身、エイブラハムの事は見切ってしまって正々堂々と戦うべき敬すべき敵にあらず、ともう見下しての勝利でしたしねえ。

まあこうなってしまうと米国そのものが戦力的にも頭の中身的にも底の浅い敵になってしまって、日本最大の危機なんて状況になっていたわりに、歯ごたえのない事になってしまったなあ、と。
物量の恐ろしさというのは、本来こんなものじゃないはずなんですけどね。
これだと、前回の大炎の方がよほど畏怖すべき脅威だった気がします。だからこそ、刀華会長の勝利が輝くのですけれど。
しかし、これが丸々前座だった、と思えば見た目派手なドンパチは花火としては十分だったのではないでしょうか。本当の黒幕、というにはすでに今回出まくってましたけれど、米国に縛られない彼個人の野望のもとに、ステラがついに古典的正統派さらわれヒロインになってしまったので、ラストは王道の王子様救出劇になるのでしょうか。なんか、状況的に寝取られそうという危険が備わっているあたりが、別の意味で切迫感を押し付けてきますけどw
まあ、このヒロインさま、ショタ化した恋人を風呂場に連れ込んで存分にショタを堪能してしまうド助平なヒロインさまなので、ちゃんと正統派さらわれヒロイン全うできるのか怪しいのですが。



カノジョの妹とキスをした。 ★★★★   



【カノジョの妹とキスをした。】 海空りく/さばみぞれ GA文庫

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カノジョの生き別れの妹がトツゼン自分の義妹に!?

俺が人生で初めての恋人・晴香と、交際一ヵ月にしてやっと手を繋げた日、親が再婚し晴香そっくりな義妹が出来た。名前は時雨。似てるのも当然。時雨は家庭事情で晴香と離ればなれになった双子の妹だったのだ。

「情けない声。ホント可愛いなぁ、おにーさん」
「いけない彼氏さんですね。彼女と手を繋いでいる時に双子の妹のことを考えるだなんて」
「顔も体も彼女と同じ妹にドキドキしちゃうのは仕方ない。おにーさんは悪くない。悪くないんですよ」

淡い初恋に忍び込む甘い猛毒(あいじょう)。
奥手な恋人にはとても教えられない、小悪魔で甘えん坊な義妹との甘々“不”純愛ラブコメ――開幕!

これガチのやつだ。ガチの修羅場ものだ。
それも軽い気持ちの浮気ものではなく、溺れ堕ちていく不倫ものだ。結婚してないのに不倫というのは正確には違うんだろうけれど、人生そのものを踏み外すだろう深度の不義密通を称するのに浮気程度じゃ全然足りない気がするんですよね。浮いてない、浮ついてるドコロか泥沼に飲み込まれ誰にも明かしてはいけない闇に堕していく。
これ、ライトノベルという界隈でここまでガチなやつ描いた作品あるんだろうか。自分、ちょっと思いつかないですよ。ノベルゲームだとホワイトアルバム2とか君が望む永遠という凄まじいレベルの傑作があって、そりゃもう凄まじい高レベルのドロドロの修羅場が繰り広げられてたりするのだけれど、ライトノベルでこれほどのガチの人生踏み外すレベルの浮気をテーマにした作品は……ねえ?
それだけに、ちょっとゾワゾワっとするほどこの展開には興奮を覚えている。
小悪魔風で初対面の義兄をからかい倒す義妹の時雨だけれど、決して面白半分で義兄の博道にちょっかいを掛けて浮気しよう、ってわけじゃないのだ。むしろ、ギリギリまで久々に再会した姉と義兄のカップルを応援していて、二人が上手くいくようにアドバイスなんかもしているし、自分の存在が邪魔にならないように自身を穢してでも引き下がろうとすらしていたのだ。
それが逆に、彼女の……時雨の本気さを伝えてくれる。愛する姉を裏切ってでも、誰しもが笑ってすごせるだろう幸せを踏みにじってでも、彼女は欲しくなってしまったのだ。
恋してしまった人の一番を。
だから、時雨は他に何もいらなくなってしまったのだ。表で堂々と一緒に過ごせる恋人という関係も、周りから祝福してもらえるだろう結婚というゴールも、陽のあたる場所を諦めて、幸福すらも求めずに、表立った恋人や妻という立場は姉に譲っても、構わなかったのだ。
そんなものに価値を見いだせなくなってしまった。自分にとっての唯一無二を見つけてしまったから。
ただ一つ恋してしまった義兄の心だけ手に入れられれば。
彼の心の奥底に、一番深いところに自分の存在が刻みつけられれば、それでいい。いつ何時でも姉と幸せに過ごす最中でも常に自分の存在を意識して離せなく消せなくなるように。

そうして一つ一つ、男の体と心に刻み込んでいく。言葉で、唇で、その舌で、舐めるように甘い毒を塗り込めていく。理性も倫理もなにもかも、ドロドロに溶かしていく。恋という情念に、溺れていく。

そのどうしようもないありさまを、人は「堕落」と云うのだ。

はたして、この純朴だった主人公の少年がどこまで堕ちていくのか。この一途な不純愛がどんな末路を辿るのか。胸がキリキリと締め付けられるような感覚と背徳から湧き上がってくるワクワク感に、随分とまあえらい気分を味わってる。これを期待と呼ぶには、まったくもって不徳で不純ではなかろうか。
でも「期待」しちゃうのよ。たまらんッ。



超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 10 ★★★   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 10】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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ネウロの召喚魔法により、突如戦場に現れた皇帝リンドヴルムと麾下の精鋭たち。
リルルを殺して封印を解こうとする彼らと超人高校生たちの激突は、圧倒的な皇帝の力と、その考えに共鳴した《超人医師》桂音の裏切りにより幕を閉じた。
《超人王》となった皇帝の下、平等な世界へと作り替えられていくフレアガルド帝国。
勝人や林檎、葵までが取り込まれた中《超人政治家》御子神司は不敵に言い放つ。
「リンドヴルム皇帝。私と勝負しろ」
エルム村から始まった超人高校生たちの戦い。果たしてその行き着く先は!?
異世界革命物語・最終章!

この局面でよりにもよって桂音が裏切るのかー。以前、ロボトミー手術めいたものを平気でやらかしていた事からも、彼女の倫理観というものは普通からかけ離れているのはわかっていたけれど、優先順位が他の人と違ったんだろうなあ。それだけ、医療キャンプでの虐殺事件が彼女の心に傷を負わせたのか。そりゃそうだよね、いくら超人だろうと当時の桂音はまだ十代前半から半ばだったのだから。
桂音に限らないけれど、超人高校生たちは高校生にも関わらずそれぞれが抱えている闇が深すぎる。成せる能力以上に、成してしまった罪や業が大きすぎ、体験してきた事柄が惨たらしいんですよね。
果たして、この異世界の旅で彼らの幾人が自身の中に抱えていた闇を払拭できたのか。
唯一、暁だけがそういう闇とは一線を画していたわけだけれど、だからこその純真さと真っ直ぐな勇気が仲間たちにとっても「光」だったんだろうなあ。
なので、個人的には桂音の闇を幾分なりとも払ってくれるきっかけになるのは暁に期待してたんですけどね。司にやらせてしまうと、どうしたって思想を叩き潰す形になってしまうからなあ。まあ、超人皇帝と桂音の理想は、最初から矛盾していた実現不可能な理想である事は自明だったのですから、司としては現実を突きつけるしかなかったのだろうけど。
そうだよねえ、愛もまた欲である。理想を欲する、という事自体が欲なのだと思えば桂音もまた大いなる欲に従って世界を革命しようとしたのだし、それを否定してしまえば何もはじまらなくなってしまう。
救いは、超人皇帝も桂音も決して権力を握り続ける建前としてではなく、本気で世界を救おうとしていたところでありましょうか。やってたことは殆どポル・ポトの原始共産制めいたディストピアだったわけですけれど、それが実現不可能だと証明されたあとで現実を認めなかったり無駄な足掻きをしなかったり、というあたりがリンドブルムの強さでもあったのでしょうね。
伊達に邪竜の意志を塗りつぶすだけの超合金超人メンタルの持ち主ではなかったわけだ。自分の生涯の夢が実現しようというときに、それを全否定されて果たして並の精神で耐えられるだろうか。彼は耐え、事実を飲み込み、間違いを認めるという勇気を示した。それこそが、彼の超人たる証明なのだろう。
この人なら、極端に走らなくてもそれこそ臨機応変に柔軟に、目の前の困難を克服してよりよい社会をリアルタイムで構築し更新していけそうなだけに、むしろこれからの方が楽しみなんだよなあ、帝国は。エルムに留学して司たちが残してきた新しい学問を吸収した若い官僚たちも彼のもとに集うことになるのだろうし。さっそく地球文化をノリノリで楽しんでる皇帝陛下見ると、ねえ。

終わってみると、いやわりと最初の方から司たちはその常人ならざる超人っぷりを見せつけながら、けっこう余裕とは程遠いギリギリの局面を渡ってきたわけですが、最後も力押しではなく思想の対決、それも自分の足で立ったエルムをはじめとする各国が自ら主導する形での未来を示す万博、というイベントで帝国は超人皇帝との最終決戦へと持ってきたのは、このシリーズらしい結末だったのではないでしょうか。まさに初期の宣言通り、彼らは世界を数百年進め、人民が近代を担う意識を育むことに成功したわけだ。有言実行である。
なんか、この世界と地球と行き来できるようになったみたいだけれど、ここまで文明が進んだなら地球から一方的に搾取されることもないだろうし、対等のプレイヤーとして付き合うことも出来るでしょうし。
ラブコメ方面ではリルルがメインという事で収まりましたけれど、林檎ちゃんともはっきりしていないだけに、さてどうなることやら。
個人的には暁ハーレムでもよかったんですけどねw


超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 9 ★★★   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 9】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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「これが終わったら……ツカサさんに伝えたいことがあるんです」
ヤマト兵を率いた奇襲により、緒戦で大勝利を収めた超人高校生は、それでも埋まらない帝国との戦力差を前に、戦線を後退させていた。
十倍近い敵と対峙する過酷な防衛戦。全員の限界が近づく中、司は《青の元帥》ネウロを直接打倒するための作戦を発案する。
だが、かつて彼らと袂を分かった《超人実業家》真田勝人もまた、自らの信念に基づいた行動を始めていて――!?
決戦を前に自分の気持ちに素直になろうとするリルルと、それに正面から向き合う約束をする司。
それぞれの想いが懸かった戦いが幕を開ける!

超人高校生の中で唯一、暁だけが常人である。という描き方をこれまでもされてきましたけれど、彼はその常人という枠の中で怯え恐れ迷いながらも、強さと賢明さというものを掴み続けてきました。
その這い上がってしがみついて掴んだ強さや賢さ、というものは最初から持てる者だった他の高校生たちには決して手に入れる事の出来ないものなのでしょう。
彼ら超人高校生は、人として踏み外してしまったが故に超人と呼ばれる領域に至ってしまった者たちです。でも、その仲間たちの中で唯一暁だけが真っ当に成長し、もっとも素朴な真理を掴み取っている。それは他の高校生たちにとって憧憬であり尊敬であり、自分たちの仲間にそういう人間が居るという事自体が、というよりも暁が自分たちを仲間と思ってくれている事が救いなのかもしれないなあ、と桂音や葵の暁への態度を見ているとふとそんな事を思ったり。
この二人が暁をからかいつつも、凄く大事にしている様子が垣間見えるのはそんな思いがあるからではないでしょうか。彼女らに限らず、高校生たちは自分たちが人でなしであるという強い自覚がありますからね。
これは今回、司がリルルから好意を向けられて苦悩する羽目に象徴されるように、彼らは自分たちがマトモな人生を歩めるとも普通の幸せを享受できるとも思っていない面々が多いんですよね。ろくな死に方をしない、と思ってるんじゃないだろうか。林檎はまだそのへん、初心というか純真で先まで顧みていないようにも見えますけど、他の面々は司と似たような側面を自分の生き様に抱いているんじゃないか。
そういう意味でも、リルルがやろうと思っている告白は司の未来のみならず、彼ら高校生たちへの試金石なのかもしれません。それでも、桂音と葵の二人は特にハズレ切っているきらいがあるので、むしろ彼女らについては暁くんに期待すべきなのかもしれませんねえ。

と言ったところで、ついに登場してしまった帝国の超人皇帝リンドヴルム。この人、ある意味司の対比的な存在なのか。政治家という以上に政治装置に徹しようとしている司よりも、遥かに徹底して自らをシステムとして捉えているその在り方は、方向性こそ違うもののある意味司の見定める先にある存在なのかもしれない。そんな相手を目の前にして、果たして司はどう自分を省みるのか。
それ以前に、リルル大ピンチというありさまなのだけれど。
勝人は、さすがにあのままだと幾ら何でも周りが見えてなさすぎな近視眼的なことになってしまって、超人実業家とか名乗れないぞ、と危惧していたのでその展開はむしろ安心しました。あまりにも目先の利益と安定に囚われすぎて、全部台無しにしそうな勢いだったもんなあ。
ともあれ次回でラスト。はたしてどういう着地を見せるのか。ここまでくれば、しっかりとした結末を手繰り寄せてほしいものです。

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 17 ★★★★   



【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 17】 海空りく/をん GA文庫

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「――ならば倒すしかないのです! 貴女が! この私を! ! 」
刀華の魂に輝きを見出した天童は、九州全土を巻き込む災害級の伐刀絶技を発動した。その目的はただ一つ、自分を打倒せざるを得ない状況に刀華を追い込み、彼女を「祝福」――すなわち《覚醒》に導くこと! 大勢の命が人質にとられた状況で、自らの限界を超えるため足掻く刀華。だが、その心は天童の圧倒的な強さに完全に敗北していて――
一方、首都東京では海の向こうから迫る新たな脅威を察知。これに対応すべく、騎士連盟は戦力の総動員を開始する! かつて《落第騎士》と鎬を削ったものたち、その真価が試される激闘の第17巻!
そうかー、そうだよなあ。一般市民や親しい人たちの命を人質にとった天童を倒すために、自らの運命を突き破り限界を超えて覚醒して「魔人(デスペラード)」となる。これはそのまま天童の目的を叶える事になり、彼の思想を肯定することになってしまうんですよね。覚醒のための生贄として無辜の人々の犠牲を肯定してしまう事になる。
刀華たちが大切な人たちを守るために魔人化したとしても決して彼女たちが悪いわけじゃないのだけれど、天童の思惑通りになってしまい、彼の言う神の試練が或いは魔人を増やすために積極的に導入されてしまう恐れすらある。
その意味でも、刀華たちは一輝やステラたち主人公が選び掴み取った道とは全く違うアプローチから強さと守るべき力の在り方を証明してみせたわけだ。
てっきり、かつての一輝たちの戦友たち。若き学生騎士たちも次々と覚醒して一輝たちと同じステージに立って、みたいな展開を予想していたのだけれど、そうかー、そうなんですよね。
「正解」は決してひとつではないのだ。
自己(エゴ)を突き詰め人の枠を突き破り、運命の鎖を引きちぎり限界を超えて覚醒して魔人(デスペラード)とある。それは強くなる道として一つの究極であり、一輝やステラたちが血反吐を吐いて勝ち取った道でもある。
でもそれだけが、強さではないと刀華たちは立派にここに証明してくれたのだ。物語としても、魔人化しなければインフレバトルについていけずに脱落していく、みたいな形ではなく、人として人のまま騎士として、魔人を打ち破ることで作品そのもののスケールの先細りを見事に否定してくれた、とも言える。いやあ、雷切も諸星さんも蔵人もガチでカッコよかったですわー。特に蔵人くん、こいつ魔人化とかしていないはずなのに滅茶苦茶強くないですかぃ? よくまあ一輝勝てたよなあ、こいつに。あの頃より蔵人がべらぼうにまた強くなっているにしても。いや、諸星がこいつとのタイマンで負けたのも納得ですわ。
そして、それ以上に勝利に対するクレバーさを見せてくれた諸星の大将。黒鉄のお父さんも絶賛してましたけれど、今回ほんとに諸星って選択ミスを一切せずに最後まで詰めてみせたんですよねこれ。この兄ちゃん、正々堂々の一騎打ちを好むオトコマエなんだけれど実際には何でもありのガチの命の取り合い、或いは真性の戦争の方がよっぽど適正あるんじゃないのか?
そして雷切こと刀華さん。必殺技のミドルレンジ絶対無敵な抜刀術「雷切」ばかりが目立つ彼女ですけれど、以前合宿所を襲撃された時に遥か遠隔地に居た敵さんを魔術線遡らせて電撃で打倒したり、今回のヤシマ作戦ばりの九州中の電力集めてぶっ放したりとか、近接戦よりも雷使いとしての柔軟性応用力スケールの大きさの方が化け物じみた人なんじゃないだろうか、この人。
今回はメンタル面での弱さもピックアップされた刀華さん。でも、その弱さを克服して打ち消すのではなく、弱さを肯定することで個人として超越した力を得るのとはまた根本的に違う、弱さから生まれた強さを示すことで、強さに対する価値観の多様性を作品の中で示してくれたのは、ほんとに物語としての広がりを作ってくれたと思うんですよね。その意味でも、ただ懐かしい面々の活躍の場、というだけではない話になったように思います。ある意味これ、「魔人化」を拒否して人の親となった黒乃理事長の歩みの肯定者であり、後継者でもあるんだよなあ、きっと。

そしてあの一巻で一輝にフルボッコにされ、アニメでは「じゃんけんで決めよう!」で有名になった桐原くんが再登場してめっちゃ戦争で大活躍していたのには笑ったけど。いや前々から実戦ではこいつの能力尋常じゃなく強力じゃね? という話は持ち上がっていましたけれど、ガチでむちゃくちゃ
強いじゃないか、桐原くん! あの痛いのはイヤ、危ないのもイヤ、という姿勢が一貫して変わっていなかったのはむしろ褒めるべきところなんだろうなあ。その信念があるからこそ、努力と研鑽を欠かさずどんどん能力を強め研ぎ澄ませているわけですから。それもまた、プロフェッショナルとしての在り方だよなあ。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!8 ★★★   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!8】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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『ありがとう、リルル。よく彼らを此処まで導いてくれました』

帝国の支配からヤマトを解放した超人高校生たちは、すべての謎が眠るエルフの里へと向かう。
果たしてそこで待ちうけていたのは、彼らをこの世界へと呼び寄せた存在との邂逅だった! ついに語られる異世界召喚の理由。超人高校生たちは元いた世界に帰還するためにも、異世界を守る決意を新たにする。

だが、時を同じくして《青の元帥》ネウロは司たちとの全面対決を選択。圧倒的な大軍勢が疲弊したヤマトへと迫ろうとしていた!

世界の命運を懸けた戦い。その始まりを告げる、異世界革命譚第8弾!
超人ジャーナリストの忍ちゃん、全然ジャーナリスト成分が足りないよね!
いやもうこれやってること完全に忍者かエージェントであって、本分のジャーナリストとしてはあまり働けていないのが忍の辛い所だなあ。これで忍者としても無双ならともかく、今回忍びの者としては敵わない相手が出てきてしまったわけですし。
なんだかんだと自分の分野で力を発揮できているのって、桂音さんと林檎くらいじゃなかろうか。他はなにかと自分の分野外のことを強いられている場合が多いし。司も政治家をやってるだけ、というわけにはいかずそれ以外の分野の優秀さまで示さないといけなくなっちゃってますしね。現代政治家が武器取った段階でかなりギリギリなんだよなあ。
まあ、司が今やっていることが現代政治家の範疇かというと、もうそのあたり十分逸脱している気もするけれど。でもこじんまりとした政治家の範疇でやっていたら、今回段々とその素性が明らかになってきた帝国の超人皇帝とはやりあえなさそうだし、方向性としてはこのままで行くべきなのだろう。特に、超人皇帝の超個人有能主義に対して、司が個々の民一人ひとりの底上げという正反対の方針を掲げている以上は尚更に。

その意味では、一人離反している勝人の実業家としての在り方、何事も自分でやらなきゃ気がすまない、自分がやってなんとかなるなら自分がやるべきだ、という考え方は皇帝のそれとよく似た傾向であるが故に彼が司の側ではなく、あちら側に立っているというのはむしろ自然のことなのか。
ただ、ネウロに賭けるのはどう考えても悪手なんだよなあ。詳細を忍に聞きながらネウロにつくと判断したというのは実業家としてどうなんだろう。組む相手というのは商売でも最も重要なところだろうに。それとも、まだ利用できると判断したのか。別の思惑があるのか。単に従業員に対する情に負けたのか。従業員たちを守るためでも、このままネウロと組んでても決して良い結果になるとは思えないだけに、このあとの勝人がどう行動していくのか気になるところである。

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 16 ★★★☆   



【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 16】 海空りく/をん  GA文庫

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オル=ゴールとの死闘を経て、ヴァーミリオン皇国に訪れたひとときの平穏。だが《傀儡王》の悪意は世界にも大きな爪痕を残していた。
《人形遣い》での操作を放棄された政府関係者・職員の昏倒は世界規模での混乱を生じ、日本においては《特例招集》により学生騎士が動員される事態となったのだ。
《浪速の星》諸星雄大、《剣士殺し》倉敷蔵人、そして《雷切》東堂刀華――危機に集った黄金世代の学生騎士たちは、互いの牙を確かめ合い、未来へと想いを馳せる。だが、混沌の最中で放たれた大炎は、そんな彼らをも呑み込もうとしていた!
新たなる輝きが時代の闇を打ち払う、苦難と試練の第16巻!!
今回の表紙、刀華さんじゃないの? と、思ったんだけれど雷切さん本番は次回か。絢瀬が表紙張れそうなのって確かに今回くらいか。でも、あとがきでも語られているけど、絢瀬の能力って凶悪極まるんですよね。傷一つでもつけたら、そこから致命傷にも出来るのですから。
そんな絢瀬ですけれど、思いつめていた登場した頃と違って憂いが全部取り除かれた今はキャラが変わったんじゃないか、と思うくらいに明るくなって。それどころか、蔵人相手になんか世話焼きな幼馴染みたいな風になっちゃってるんですけど!? 絢瀬当人は全然そんなつもりはないだろうし、不本意極まるところでしょうが、そうとしか見えん!! まあ蔵人、絢瀬のパパと色んな意味で意気投合しちゃってるからなあ。パパさんと蔵人引っ括めて絢瀬が自分が抑えないと、という意気込みになっちゃってるのかもしれませんが。

というわけで、ヴァーミリオン編終わって一輝がショタ化してしまいステラに性的な意味で襲われそうなのはさておいて、舞台は日本へと移り、懐かしい面々が再登場。一輝と覇を競い合った面々もまた鍛錬を欠かさず、さらなる高みへと手を伸ばそうとしている段階。
今回の目玉はやはり、前回王者の諸星雄大と倉敷蔵人とのガチ決闘でしょう。大会ではついに見られなかった待望のバウト、ということで非常にワクワクしながら観戦したのですが、いやこれガチで……蔵人の方強すぎないですか?
相性の問題と刀華さんは語っていますが、ちょいとまさかまさかの展開でした。だって、諸星兄ちゃんメチャメチャ強いじゃないですか。それをまさか、ねえ。
でも、諸星兄ちゃん、それで闘神リーグは大丈夫なんだろうかと心配になってしまいます。少なくとも、今の段階ではまだ厳しいんじゃないだろうか。技術的にはまったく問題はないんだろうけれど。
海外編で世界の頂点近くの戦いを見ていると、やはり魔人と人間の境界は果てしなく高い壁に阻まれている、というのがなんとなく伝わってきてしまいます。かつて、七星の大会やってるときに理事長と西京先生のエピソードが挟まれて、こっちの人たちなんか違う漫画のバトルやってるぞ、という感想を抱いたものですが、まさに魔人と人間の騎士の差って漫画が違うというくらい別次元なところがあるんですよね。
その境界線を飛び越えてしまった一輝とステラ。それに比して、日本の学生騎士たちはどれだけ高みへと至っても、未だそれは彼らの元いた舞台上での向上に過ぎないわけです。
まあ、片鱗は蔵人が無意識に見せていて、そして諸星の兄ちゃんが最後に示してみせてくれたように、指先は届いているのでしょうけれど。
だから、いずれは。そう遠くない未来に彼らにもその魔人の領域へと至る可能性は決して低くはなかったと思うのです。しかし、現状ではまだ。現状では未だ人の領域。
しかし、災厄はそんな彼らの事情なんか待ったなしに襲い来る。人の身で、人外の戦いへと突き落とされるのである。血みどろの悪鬼羅刹たちの闘争へ、ようこそ、てなもんである。
ワクワクしてくるじゃあないですか。


今回は普通の人間の醜悪さと善性の両方を見せつけられるような展開で、刀華さん伐刀者としてそれなりに日本では名を馳せているのだけれど、それでもなかなか難しい立ち回りを強いられるんですねえ。
というか、この人穏やかな風貌なんだけど根っこが修羅なせいか、何気に頭に血が上りやすいし喧嘩っ早い気がするぞ。一般人相手でも、わりとサクッとプッツンしちゃってましたし。あれは相手のやり口が下劣でろくでもないという理由もあるので、普通は我慢できず怒ってしかるべきなので、あの怒りは全然変ではないのですけど、刀華さんって傍目本当にこうギリギリ限界まで我慢するタイプに見えちゃうからなあ。でも、ほんと修羅の国の人なのです、ええ。

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 15 ★★★☆  



【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 15】 海空 りく/をん  GA文庫

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「愛しているよ。ステラ」全てが失われる間際、少年は最愛の少女に笑顔で告げた―。寧音や多々良の奮戦もあり『代表戦』の趨勢はヴァーミリオン側に大きく傾いた。もはや首魁のオル=ゴールを残すのみの戦いは、しかしまさかの“黒騎士”アイリスの裏切りにより、再び混迷に陥ってしまう。逃走を図る“傀儡王”オル=ゴールと追撃する“紅蓮の皇女”ステラ。弟を助けんとする“黒騎士”アイリス、立ちはだかる“落第騎士”黒鉄一輝。その熾烈な戦いが最終局面を迎えるとき、赤髪の少女の咆哮が戦場に響き渡る!ヴァーミリオン戦役ついに決着!別れと絆の第15巻!!
考えてみると、アイリスの裏切りこそがオル=ゴールに対してのトドメになってしまっているですよね。
あのままでは、オル=ゴールは敗北して死んだとしても自己弁護で自分を正当化し続けていた彼は、自分の死に際しても決して反省も後悔もせず、理不尽に殺された自分は被害者だとしか思わなかったでしょう。それは果たして彼がこれまで行ってきた虐殺に対しての報いとなったでしょうか。彼がこれまで無残に殺してきた被害者たちが、彼なりの価値観によって出ざるを得なかった意味ある犠牲などではなく、ただただ犯罪者に殺された一方的な犠牲者であったのだと、手をかけた本人であるオル=ゴールに思い知らせることが出来たのか。
その意味でも、オル=ゴールに完全にある敗北、彼のこれまでの生き方、彼が自己弁護してきた価値観を全否定するために、アイリスの弟への無償の愛、世界を敵に回しても貫かなければならなかった愛こそが、必要だったのではないだろうか。
何よりも、アイリスの愛こそがオル=ゴールの生き様を無価値へと叩き落とし、彼の断末魔を絶望に塗れさせたと思えば、皮肉ではあるが彼女は弟を守ると同時に故郷の人々の敵を討つという相矛盾する結末を得ることが出来たのかもしれない。
そのアイリスとの対決を制した一輝は相変わらずというか玄人好みの戦い方なんですよね。技巧を尽くす剣腕もさることながら、彼の特徴はその戦略性なのでしょう。魔力が極小という弱点から技を極める形に方向を定めたスタイルなんだけれど、それ以上に僅かなリソースをどう勝利に繋げていくかの筋道を練り上げていくのが本当に練達なんですよね。
この戦いを機に剣神の名を頂くことになる一輝ですけれど、彼の場合剣術家というよりも古式ゆかしい兵法家という方が似合うのかもしれない。
こうしてみると、ただの学生だった頃は「伐刀者」として一括りにされていた彼らだけれど、このレベルまで来るとそれぞれに特徴をさらに特化させて、ただの「伐刀者」や「騎士」やと呼ばれていた頃とはもう別物みたいになってるんですよね。最初期に西京先生と理事長先生の昔の回想バトルが完全に別の漫画やん!と言ってたのもあながち間違いじゃなく、ステージがもう別の作品かというくらい上がらないと、このレベルは話にならないわけだ。
その意味では、珠雫も見事にA級に相応しい特化を見せていて、あれもう完全に魔法使いの領域ですよね。彼女こそ、別の漫画じゃないか、みたいなことになってますし。ステラに至っては怪獣モドキだったのがほぼ怪獣、というところまで人間やめてしまいましたし。ステラさん、人間辞めすぎである。とうとう能力的に人間辞めているところから、見た目まで人間辞めだしたし。
そんなステラさんですが、一輝とのラブラブっぷりが安定した分、なんでかその情熱的な部分がかなり今回タタラの方へと向かっていたような。まあ、この娘も同性の友達とか少なかった分、友達になるとベッタベタになってしまう傾向はあっただけに、あのタタラへの懐きっぷりもわからなくはないのだけれど……そのブサイクな泣き方は辞めなさいてw ヒロインどころか女の子としてやっちゃいけない泣き方だぞw そりゃクールに去るぜを地で行こうとしていたタタラですらツッコまざるを得ないわい。まあこの娘も裏稼業の冷酷な暗殺者を気取っているわりに、情が厚いわ世話好きだわ、とかなりどうしようもない部分があるステラに対しての親和性がありすぎる面もあったので、そりゃ泣いてるステラを捨ててはいけんかったんだろうなあ。色々とご愁傷様であった。
その手の傾向はどうやら珠雫にもあるもので、しっかりしている女性ほどステラは放っておけないところがあるんでしょうなあ。ステラと一輝との仲が完全に収まった時点でそれまでステラに噛み付いていた珠雫、逆にステラの味方して兄に苦言を呈するようになってきている。今回も妹としてというよりも、義姉であるステラの側に立ってめっちゃ怒ってましたもんね。小煩い小姑になるかと思いきや、なかなか頼もしい義妹になってるなあ、と。
さて、ヴァーミリオン編もこれで終結。というところで、舞台は再び日本へ。しばらく出番の無かった面々が次回から出張ってくるみたいなので、かなり楽しみにしてますよ。

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚<キャバルリィ>14 ★★★☆  



【落第騎士の英雄譚<キャバルリィ>14】 海空りく/をん GA文庫

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「《夜叉姫》、テメェはオレの同類 だ。人間の皮を被ったバケモノよ! 」
一輝やステラがそれぞれの戦いを優位に進める中、《夜叉姫》西京寧音と《砂漠の死神》ナジーム、二人
の《魔人》による戦いもまた激しさを増しつつあった。互いの力量を認め、かつそれをねじ伏せるために全
力を尽くす強者同士の戦い。その最中で寧音は、かつてKOKリーグで鎬を削った最高の好敵手《世界時計》
滝沢黒乃との出会いを思い出す。
一方《傀儡王》をその射程に捉えたステラたちの戦いもまた、新たな局面を迎えようとしていた。
明らかになるそれぞれの過去と想い。騎士としての決意と覚悟が試される、死線の上の第14弾!
寧音さんこの人絶対ジジ専だろ! 
西京先生の過去は、ちょっと不良でしたでは済まないダークサイドに半分のめり込んだような有様で、これタイミング次第では完全にナジームとかあっち側になってておかしくない人間だったわけで。ナジームが同類呼ばわりするのも納得なんですよね。
ただ、やりたい放題やってる時期に一晩付き合えよー、みたいなこと言ってた相手が若いイケメン兄ちゃんじゃなくて、禿げたおっさんなんですよね。おっさんなんですよね!
おっさんがいいのか!!
寧音さん、多分筋金入りだ、うん。南郷先生にツンデレしてるのってわりとガチなんじゃないだろうか。
しかし、ナジームは寧音さんのこと自分と同類の化け物と評価しながらも一方で公式のリーグ戦なんかで戦ってるだけの生っちょろいヤツ、と舐めてもいるわけで。いや、化け物ならどこに生息していようと化け物でしょうに。
先のイタリアのカンピオーネが同じリーグの選手出身で、あの体たらくだったというのが影響していたのでしょうけれど、同類と察したなら最後まで同類として立ち会えばよかったのに。
まああそこで、寧音さんが一歩引いて化け物のステージから降りたように見えたのが一番の要因だったんだろうけれど。ほんと、寧音さんのところだけ世界観が違いますよね。魔人云々の話が出てきて、ああ寧音さんと黒乃さんのあのマンガ違うだろう、なバトルはそっちの領域の話だったんだな、と思ったんだけれど……なんか周辺魔人がたくさん出てくるようになってもやっぱり寧音さんと黒乃さんのあの能力バトルだけ別格なんですけど。世界観違うんですけどw
自分のそれまでの生き方を捻じ曲げ、その後の生き様をも決定づけ、願いが叶わなくなってなおも諦められずに追い続ける。寧音さんの黒乃校長への憧れという名を借りたベタボレっぷりは、なんかここまで来るとときめきすら感じるなあ。
好きすぎる、と言えば多々良ちゃんのステラ大好きは、微笑ましすぎてなんかたまらんですよ。不安要素のある黒騎士を事前に闇討ちしようとしていた、とかステラのこと心配しすぎでしょうに。
黒騎士の裏切りは「え? なにそれ!?」としか言えない展開なんだけれど、オルゴールの方はこれ本当に想定していなかったんだろうか。想定していなかったら、わりと為す術なくあのままだと負けてたような気もするのだけれど。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 7 ★★★☆   



【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 7】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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「作戦の最終段階に移ろう。敵を崩壊させ――安土へとなだれ込む!」
エルム共和国に新政権が樹立され、フレアガルド帝国で内乱が勃発する中、ヤマト自治領ではレジスタンスたちの戦いが繰り広げられていた。
要衝・不動砦を奪取したレジスタンスは、司の機略、葵の戦闘力、そして林檎のテクノロジーという支援を受け、ジェイド率いる圧倒的な大軍勢を相手に、順調に進撃していく。
だが、落城を目前にした安土城で、ヤマトの支配者マヨイは、臣民に対する非道な洗脳魔法を発動しようとしていた。
城を包む炎が、ヤマトの深部に秘められた過去を映し出す、異世界革命譚第7弾!

ぐわぁ、これはなんというかダメージ食らう。喰らった。
同情の余地など欠片もなかったマヨイとジェイドの支配者コンビでその所業たるや無辜の民を虐殺する以上に、人の尊厳を徹底して踏みにじるようなおぞましいやり口だったんですよね。人の心を洗脳して作り変え、意志も都合の良いように書き換え、最終的には人間ですらない生きた獣ですらない壊れた人形のような有様へと変えてしまう。そこにあったのは、人を決して同じ人と認めない、虐げ踏みにじる対象としてしか見ない考え方。こういうのって、自分一番嫌いだったはずだったんですけどね。
そんなマヨイのおぞましい意識が生まれた理由が、ヤマトに元々あった統治制度にあったのだとしたら、いったい誰が悪いのか、って話になるんですよね。
彼女の思想は、上から見下すものではなく、地べたに這いずり踏みにじられた者が抱いた怒りであり憎悪であったというのなら、その怒りも憎しみもいったい誰が否定できるのだろう。
やったことは決して許されないことなのだけれど、彼女が受けた仕打ちもまた同じことなんですよね。人として扱われず、人としての尊厳を奪われ、生きることすら許されず、ただ生きたいと願うことが醜く汚らしいこととして切って捨てられた。
彼女が受け続けた仕打ちが、この国ではずっと美談として讃えられ、この国の民はそれを享受して、食い物にしていた。ならば、果たして彼女の復讐は正当と言えるのか?
マヨイがやり続けた国全体に及ぼす洗脳魔術、でも視点を変えてみたら長く続いた統治システムとそこから生じた価値観によって、長年に渡ってこの国に根付いてきた思想と何が違うんだろう。それは魔術でなくても、効果としてはマヨイの行った洗脳と方向性として何が違うんだ?
そのおぞましさに、どれほどの違いがあるのだろう。
老将は、国も民も裏切って、ただ一人の少女の純粋な懇願を、ただ生きたいという願いを叶えることにした。この国の在り方のおぞましさにも、マヨイの成した復讐のおぞましさにも背を向けて、しかしだからこそまっさらな願いに縋った意志を、どうやったら責められるのだろう。

なんかもう、途中でそれまで寄って立っていた部分を根底からひっくり返されたような心持ちだった。ちゃぶ台返しで善悪がひっくり返ったわけじゃないんですよね。でも、一方的にこっちが正しくあっちが悪いという視点が徹底的に叩き潰され、民意もまた個々の尊厳を踏みにじる在り方を喜び尊び受け入れて、結果として猛悪を生んだのなら、それは自業自得じゃないのか、という考えが生じてしまうのである。
無辜の民など存在しない。
それが長年に渡って正しく効率的かつ平和的に機能し、それを民が受け入れているのならあえて口は出さないとした司の、政治家としてというよりも政治理念の体現者としての生き方もまたあまりにも人としてハズレ過ぎてるんだよなあ。それで居ながら、マヨイたちに訪れただろう結末に涙する人間性を失っていない。その矛盾は、果たして破綻とどう違うんだろう。
民主主義をこの世界にもたらしておきながら、こうして民意が肯定するもののおぞましさを、それが生み出した怪物の恐ろしさと哀れさをこうも冷徹に描かれてしまうと、正直震え上がる部分がある。
何気に痛快娯楽エンタメ作品とは全く異なる方向性に、意欲的といっていいほどグイグイ進んでいるあたり、このシリーズの実験作的な試みというかエッジの鋭さというか血塗れ感というか容赦のない喜悦みたいなのを感じてしまうのでした。

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)13 ★★★☆  



【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)13】 海空りく/をん GA文庫

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決戦の刻、来たる――。
《魔人》饕餮との熾烈な戦いを経て、自らも《覚醒》に至ったステラ。
その確固たる自己で運命を塗り替え、姉ルナアイズの想いを、そして二国の国民を救うため、彼女は《傀儡王》オル=ゴール率いる最凶の《魔人》たちに再戦を挑む!
共に戦いに臨むのは最愛の存在である《七星剣王》黒鉄一輝、《夜叉姫》西京寧音、《不転凶手》多々良幽衣、そして《黒騎士》アイリス。
各々が信じるもの、護るべきもの、そして果たすべき使命のため、騎士たちは死線に身を投じて行く!
果たして国家の命運を懸けた『戦争』の行方は! ? ヴァーミリオン
皇国編、いよいよ佳境!
今回は多々良ちゃんムーブ!
ようやくというかついにというかヴァーミリオンでの戦争が始まったのですが、なんだかんだヴァーミリオン側の陣容も多々良ちゃん除く面々全員<魔人デスペラード>になってて、格でいうと決して敵側が上ってわけじゃないんですよね。まあナジームとオル=ゴールだけでお釣りが来るほどヤバイ相手ではあるのですけれど。前哨戦での連盟軍とナジームの交戦、というか蹂躙戦でその圧倒的すぎる能力とそれ以上に中身のヤバさがこの上なく描かれてましたし。あれ、ナジームと【カンピオーネ】の戦い、そこまで能力差はなかったでしょう。あれはメンタルに押し負けた、というべき展開でしたし。しかしナジームってあれ、正義のヒーローにやられる悪の怪人に憧れてるというと変だけれど、どこかで自分の狂気を上回り飲み干すほどのヒーローに倒されたいとでもいうかのような言動をしてましたけれど、相手となる寧音先生って全然ヒーローっぽくないんですよね。むしろ、悪の組織サイドだろう、というような人なだけに、ナジームとの戦いも怪人同士の血みどろバトルになってしまいそう。これ放映出来るんだろうか。
というか、多々良・アイン戦を放映できてしまう時点でなんでもありなんだろうけれど。地下のヤバイ試合の実況してたようなプロ実況の人がドン引きするくらいのグロ映像が繰り広げられてるんですがw
多々良ちゃん、これ能力の応用度が半端ないんですねえ。ステラには瞬殺されてしまったわけですけれど、相性次第ではどれほど格上でも殺れてしまうんじゃなかろうか。
それでも、アイン相手では決して相性が良いというわけでもなく、手の内もだいたい知られてしまっているわけで……。
なんでこの娘がヴァーミリオン側で味方になってくれたのか、なかなか明かされなかった、というか身内のケジメみたいなことはずっとのたまっていたのですけれど、なるほどなあ。なんだかんだとステラに感情移入して、自分の危険も顧みずに彼女の手助けしたりと暗殺者やってるのに情の深い子だなあ、とは思っていましたけれど、その暗殺者やっていく根幹の立脚点に姉への親愛があったのなら、そりゃ一度身内と感じてしまった相手に対して甘くなってしまうのも当然なのかもしれない。
そして、こうしてアインと戦い彼女を殺すことを目的とした理由もまた、その情の深さゆえとなれば納得であり、一番ギリギリのところで死を選ばず生きようとした理由がステラが悲しむから、なんてのは本当にこの娘はもう……てなところなんですよね。
ルナ姉さんも、女の意地を見せて幼馴染の奪還に成功。ヴァーミリオンって女系だなあ、としみじみ思わせるヴァーミリオン家の女の強さでありまする。
しかし、これで互角あるいは優勢に進んでいる対ナジーム戦、オル=ゴール戦にステラと一輝がフリーになったわけで、いきなり圧倒的にヴァーミリオン側が優勢になってしまったのだけれど、ここまで順調に進むとまあ逆に順当にヤバイことになりそうですね、うん。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!6 ★★★☆   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 6 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!6】 海空 りく/さくらねこ GA文庫

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「きゅっ!? 求愛、ですか!?」

帝国統治下のヤマト自治領に調査のため乗り込んだ司たちは、住民の幸せそうな様子に驚かされる。しかも監査官ジェイドと自治領主マヨイの歓待の最中、リルルと林檎に司への告白チャンス到来!? どこまでも平穏なヤマトでの外遊。しかし、その裏に潜む暗い情念はヤマト全土に確実に影を落としていた。
一方エルム共和国では総選挙が開始。ヤマト自治領に対する方針を巡り、テトラ率いる《原則派》とユーノ率いる《改革派》が繰り広げる選挙戦は必要以上に過熱し、留守を預かるゴッド暁に困難な選択を迫ることに!
異世界革命物語第6弾!!

超人高校生の中で最も意識が常識人であり一般人である暁だけれど、あそこで情に流されず権力に迷わず自分の役割を一切間違えずに貫き通せるのだから、伊達に司たちの仲間ではなく、皆から信頼されているわけじゃないんだなあ、と納得させられた。
暁の姿勢が一貫して「意思決定への不介入」であったことに象徴されるように、エルム共和国で初めて行われる国政選挙に、超人高校生たちは殆ど、いや一切関わらないまま状況は進んでいく。
そこで浮かび上がってきたものは、超人高校生という異邦人たちによって解放された自由と、もたらされた思想、そして与えられた理想、それらすべてが借り物にすぎず、概念として行き渡らず、身につかず、中世相当の専制社会の中で生きてきた彼らにとって、未だ高価なおもちゃに過ぎなかった、という現実であった。
司が目論んでいたのは、まさにその事実を当事者であるエルム共和国の政治家となろうとするもの、官僚として国政を支えようとしている者たちに、それが未だ持て余す借り物であると自覚を促すと同時に、この選挙を通じてそれらを借り物ではなく、彼ら自身のものとすることだったのだろう。
選挙戦を通じて、理想高く未来を見据える《原則派》と《改革派》の領袖たち、テトラやユーノはそこで徹底して現実に打ちのめされる。自分たちが掲げ、訴える理想は、何の力も実態もない、一番届いてほしい市民たちに、届かず触ってもらえない、まだ身の詰まっていない殻だけのものなのだと、思い知らされるのである。とても尊い考え方が在ると知り、それがどんなに素晴らしいものかを実感し、調べ考え学ぶほどにその奥深さに震え、その考えのもとに国を立ち上げ、国民と共に進み、やがては世界すべてを変革していき、みんなに幸せをもたらすのだという理想。
それが、現実の前に木っ端微塵に砕かれるのだ。
現実は非情である。
暁は、そうやって理想が踏みにじられていく様子を、希望が潰えていく様子を、未来が陰っていく様子を、間近でずっと見守り続けていたのだ。自分が介入すれば、この理不尽な現実が覆されて、今悪意に苦しんでいる人たちが救われ、正しさが踏み潰され捻じ曲げられようとしているのを食い止めることが出来ると知りながら。
耐えるのである。
なぜならば、神が介入した瞬間に、人の意思が死ぬからだ。
芽生えようとしている民主主義が死ぬからである。
もはや二度と、この国は自分たちだけで歩き進んでいくことができなくなるからである。
どれほど愚かな選択でも、民は自らの選択に責任を負わなくてはならない。神に選択を委ねた瞬間、それは市民の国ではなくなるのだ。
たとえ、人が死のうとも。たとえ、正義が潰えようとも。
そんな「理想」を置き土産にしようとする司は、怖気の走るほどに冷徹非情な政治家と言えるのでしょう。それとも、政治装置というべきか。
その司の試練とも課題とも取れる難題に、原則・改革両派の立候補者たちと、選挙を管理する官僚たちは向き合い、挑むことになります。理想破れた先にある、現実を前にしたその上での理想を掴むために。
空っぽで上っ面だけではない本当に中身の詰まった、自分たちが振るう旗の重さを知り得るために。
踏み越えて、乗り越えて、倒れて挫けて折れて心砕けても、信じた理想が、掲げたユメが、素晴らしいものだと知っているから。エルム共和国という国が産まれたとき、あの超人高校生たちと共に戦って手に入れたものを、今こうして自分たちの腕の中に抱えている、その重みを忘れていないから。その暖かさを、幸福感を今まさに胸に宿しているからこそ。
彼らは立ち上がるのである。負けないのだ。そうして、もう一度宣誓するのである。
エルム共和国という自分たちの国の誕生を。
正直、超人高校生たちがもたらした改革のあまりの急速さに、エルムの人たちがとてもついていけているようには見えず、与えられた民主主義という御旗に自分たちが振り回されているようにしか見えず、民は常に賢明ではなく、彼ら超人高校生たちが去ったあとに訪れるかの国の未来絵図は、無残なものしか想像できなかったのですが……。
よもやここまで、いやこの段階でここまで徹底して彼らが初めて手にした理想を踏みにじりボロボロに蹴り飛ばし、折り砕くとは思いませんでした。そうやってぐちゃぐちゃになるまで思い知らせた上で、残った超人高校生たちの手助けがあったとはいえ、彼らが自分で考え、自分で選び、自分たちで襲い来る現実に立ち向かい、歪みを正そうとし、そうしていく過程で虚だった理想が、本当の意味で彼らの身となり血となり肉となり、彼らの実になっていく様子がなんとも言えない感慨をもたらしてくれたのでした。
偉い、偉いなあこの人たちは。

あと、超人高校生の中で桂音さんはマジで人間じゃないんじゃないですか!? もはやアスクレピオス並かそれ以上なんですけど!

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)12 ★★★☆   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)12 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)12】 海空りく/をん GA文庫

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挑んでくるわ。アタシが知る限り最も強い剣士に――

ルナアイズの宣言によってクレーデルラントとの戦争は、代表戦によって雌雄を決することになった。だが、代表メンバーに選ばれたステラは≪魔人≫たちとの戦いを通して自分の力不足を痛感していた。
そんな彼女が、限られた時間で新たな強さを身につけるため選んだのは、世界最強の剣士≪比翼≫のエーデルワイスに挑戦し自らの限界を超えること!
近づくことさえもできない圧倒的な力量差を見せつけられたステラは、それでも必死の覚悟で食い下がるが、それは想像を超えるほどに過酷な試練の始まりにすぎなかった!
普通の娘さんだったエーデルワイス女史が剣を始めた理由があんまりすぎる!! いや、いいんだけどいいんだけど、その結果いい歳になっても未婚なのを気にしてるあたり、やってしまった感が尋常ではないんですが。
まあそんな理由ではじめたのに、才能がありすぎた結果世界最強の剣士となってしまい、表裏問わずの秩序の要として働かなくなってしまったことへの使命感の醸成とか、立脚点を確立するまで彼女にも色々あったんだろうなあ、と思わないでもないんですよね。王女として強烈な使命感を以って貪欲に強さを追い求めていたステラの、幼少期からの凄惨なまでの克己心に比べると。いや、未だにそのあたりの剣を振るう理由というのは確立しきれてないのか。戦う理由を明確に持っているステラたちに対して、羨ましいという感情を見せていたわけですし。
しかし、そんなステラの在り方こそが魔人への殻を破る弊害となっていた、というのもまた皮肉な話なのですが。多かれ少なかれ、魔人への脱却というのは独り善がりと言ってしまっても過言ではないほどのエゴの追求が必要、というのは意味深ではあるのですけれど。一輝にしたってひたすらに自分のため、という強さの追求の仕方ですしね。本作の戦闘従事者は概ね戦闘狂なので、だいたい素養のある人ばっかりなのですが。しかし、エーデルワイスさん、魔人化するまでにダイエットに勤しんだのか(違
それにしても、一輝は相変わらずコツコツと地道に積み上げるように修行でパワーアップしていくのに……いや、エーデルワイス戦とかで結構一足飛びに強化はしてますけれど、あくまでこう積み木を積み上げるような強さの得方であるんですよね。それに比べて、ステラはというとあれですねー。前の西京先生に叩き潰されたときもそうだけれど、成長の仕方が一度盛大に死ぬまでボコボコにされてから、爆発的に強大化して復活ーー!という、まるで怪獣の類いそのままで、さすがドラゴン枠。彼女だけは魔人化じゃなくて魔獣化とか魔竜化でいいんじゃないだろうか。あんまり人間枠に入れたくないんですけど、モンスター枠だよねこれ。
そんなステラをついつい構って手を差し伸べてしまう多々良。あんた、デレるの早いっすね!! 口では散々、プロの殺し屋のプライド云々と力説して仲良しごっこなんざ虫唾が走るぜ、と曰いながら、ステラがピンチになるとまっさきに顔色変えちゃってるし、甲斐甲斐しくアドバイスしたり、誓約によって生命の危機もあったのに手を差し伸べたり、と言ってることとやってることが真逆!!
なぜか、この手のツンデレ少女から構われる傾向のあるステラさん。珠雫もあれ、結構ステラには肩入れしてしまってましたし、本来なら冷酷非情系の少女たちに見てらんないと良く構われるんですよねえ。そのあたりがステラの面白いところと言えるのでしょうけれど。
ともあれ、これでなんとかステラも強化が完了し戦力化はできたんだけれど、いや多々良の方がこの場合大丈夫なの?と思ってしまうところなんですけれど。これだと、現状参加メンバーで魔人にまでなってないのって、彼女だけですし。とはいえ、そうそう単純化してバトルを格付けしないだろうという期待はあるので、本番のバトルロイヤルがどうなるか楽しみ。

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 11 ★★★☆   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)11 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 11】 海空りく/をん GA文庫

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「守ってみせるわ。誰一人傷つけさせたりしないんだから! 」

紆余曲折を経つつもステラの故郷ヴァーミリオン皇国の人々に受け入れられた一輝は、隣国クレーデルラントとの『代表戦』選抜として準備を進めていた。
そんな中、クレーデルラント側からの招待により、一輝はステラやその姉ルナとともに隣国へと向かうことになる。そこで待っていたのは国をあげての盛大な歓待。だが背後ではステラに異常な執着を示す《傀儡王》オル=ゴールの、想像を絶する悪意が蠢動し始めていた。
すべての人々を救うため、一輝とステラ二人の極限を超える戦いが始まる!
昔、神宮寺理事長と西京先生の現役時代のエピソードを聞いた時、桁違いを通り越してもう次元の違う能力に「登場する漫画がこの人たちだけ間違ってる」てな感想を抱いたものでした。しかし、どうやら彼女らのレベルでないと舞台に上がれないステージというものが存在していて、この第二部というのはまさにその領域での話になってきてるんですよね。
何気にもう学園モノという括りからは解き放たれてしまっているのだけれど、デビュー作の【断罪のイクシード】を彷彿とさせるこの異能力バトルは、作者としてはこっちも大好きなんだろうな、というのが伝わってきてしまって、なんともむず痒い気分である。いやだって、自分も好きだもの。【断罪のイクシード】めっさ好きだったもの。
ただ、まだ作品の空気感として、ステージが変わったことにまだついていけてないというか馴染めておらず、うまく噛み合わなくてチグハグになっている雰囲気はあるんですよね。読んでいるこっち側の意識のみならず、中身の登場人物たちの意識も変化に乗り遅れている感があるのだ。その最たるものが、メインヒロインのステラである。単に強さの境界を突破できていなくて足手まといになっている、というだけでなく、覚醒した魔人たちの世界観に彼女、まだ全然ついていけていないし、理解が及んでいないのである。彼らが見ているものを、ステラは見ることが出来ていない。その自覚があるだけに、余計に空転している節もある。状況が状況だけに、余裕をもって周囲と自分を見つめ直して立て直す、なんて真似が出来るようなありさまでもありませんでしたしね。もしあのまま状況が推移して、西京先生をはじめとした援軍を迎えて巻き返しを図ったとしても、ステラは追随できずに置いてけぼりをくってそのまま絶望的な距離をおいてしまったでしょう。その意味では、ルナ姉様の行った仕切り直し、というのはステラに追いつく猶予を与えてくれたのと同時に、新たなステージに至った作品の世界観がステラを通じて定着するまでの猶予でもあった、というべきなのかもしれません。
しかし、まさか間一髪で現れた助っ人が、多々良幽衣だったというのは意外も意外じゃないですか? 暁学園のメンバーとしてステラたちと戦った敵手でありながら、今度は味方として、という展開は大いに燃えるところなんですけれど、この娘って確かステラにぶっ飛ばされてた娘でしたよね。魔人サイドのメンバーと因縁ありとはいえ、ステラですらあのありさまなのに大丈夫なのかこれ。それとも、まだ見せていない真打が隠されているのか。その意味でも、超強い助っ人の登場、ではなくて今回ボコボコも良いところのステラに前にボコボコに負けている娘をここで持ってくる、というのは逆に面白いかもしれない。ある意味、先に行ってしまった一輝と違って、ステラにとって切磋琢磨できる立ち位置ですしねえ。まあ、悠長にせめぎ合ってる時間的余裕もないし、キャラ的にもまず馴れ合わないタイプだろうし、どう処理するのか非常に興味深い。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5 ★★★   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 5】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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エルム共和国を成立させ、通貨の発行によってその基盤を確かなものとした超人高校生たち。だが、異世界の人々に国を委譲するための選挙を始めようとした矢先、亡国《ヤマト》の皇女カグヤが現れた。エルムの基本理念『万民平等』をタテに、帝国に苦しめられている自分たちへの援助を求めてきたのだ。
司は旧ヤマト領の扱いについて帝国への介入を始めようとするが――
「俺はその方針には反対だ」
勝人が地球への帰還を優先するため、帝国元帥ネウロとの敵対を避けるべきだと言い出し、超人高校生たちの間に不協和音が流れ始める!
激動の異世界革命物語第5弾!!
世界の一般常識におけるモラルの上昇が平和へと繋がる道、か。これはバカにしたものではなくて、特に時代的にまだ中世であり宗教的なモラルすらも規定されていないこの世界では、現代に即したモラルを普及させていくというのは劇的な効果があると思われる。エルム共和国の国民は司たちの教導によって民主主義をはじめとした現代モデルの考え方への意識も高まっているわけですしね。
もっとも、本来なら数百年のスパンを年単位どころか月単位で進めている弊害は大きい。劇薬過ぎる上に、高まった意識に追随スべき知識などが全然追いついていないんですね。教育がもたらされていない、と言ってもいい。まあこればっかりはなあ。明治維新から百数十年経っても民主主義を持て余している日本や、本家本元である欧州や米国が迷走しているのを見ると、果たして政治システムに成熟などというものが訪れる日が来るのかと疑問に思うことも多い。
本作においても民主主義が万能にして至上の政治システムだと掲げているわけではない。事実、民主的な政治システムの運用を開始した途端、その不具合や悪用されていく様子を一番基本的な部分からだがしっかりと描こうとしている。それを加味した上で、いや民主主義のダメなところをも市民が目のあたりにすることも最初から考慮に入れた上で理想を展開しようとしている司は、まさに国家百年の計をたてることの出来る偉大なる政治家なのだろう。将来の平和と理想のために、ある程度の被害や損害も最初から組み込んでおける、という意味においても。
そりゃあ、現世利益を追求する商人である勝人が、同じ道を歩めるわけはないわなあ。むしろ、歩くほうがイビツになってしまう。どちらかが、本来の本分を捻じ曲げなければならなくなる。友人であることとパートナー足り得るかはまた異なる話なのだ。
個人的には、むしろ帝国元帥ネウロが暗躍している企みの内容は邪魔とすら思えるところなんですよね。これって、どう考えても世界の危機をもたらすものであって、異なる主義主張や生き様を貫いているモノ同士でも一致団結しなければならないシーンを生み出すものであるからして、世界を変革していく物語としてはその手の外からの強制的な協力を必要としなければならない展開というのはちょっと無粋に感じる部分もあるわけだ。そういう横やりがないまま、司が理想を体現していく上で障害をどう乗り越え、現実に向かい合い克服し、時に妥協していくか、という流れの方が興味深く堪能できるのだけれど。
痛快さを求める物語としては、対峙するのはそっけない現実ではなく、心置きなくぶっ飛ばせる悪であることが求められることは大いに理解できるだけに、そのへんどこまで手を広げ、転がしていくのか、さてさて。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 4 ★★★   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!  4 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 4】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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北部四領を帝国の圧政から解放し、民主国家“エルム共和国”の樹立を宣言した超人高校生たち。人々が新たな時代の到来に歓喜する中、帝国から休戦の申し入れが届いた。図らずも訪れた平和な時間。リルルと林檎の恋の直接対決が勃発したりしつつも、超人高校生たちは国家としての体裁を急速に整えていく。そんなエルムの大きな柱となるのが独自通貨の発行。勝人はエルクらとともに経済の安定のため、周辺国家との通商会議に臨むが―!?「ここから先は俺の流儀でやらせてもらう」地球最高の実業家がついに本気を見せる!?異世界革命物語第4弾!

いや、この場合ルー子の思考パターンは国益を賭けて交渉する立場の人間としては真っ当ですらある、と言ってしまうとさすがにブラックなんだけれど、それが当たり前な世界だからなあ。その意味では新国家エルム共和国の政府中枢たる大臣・官僚となっていくだろうエルクたちは、才能や資質はあってもまだ経験が全くなく純朴でありすぎるんですよね。それでは、生き馬の目を抜く世界ではやっていけない。その意味では、早いうちに自分たちがフォローできる段階で痛い目を見ておけ、という司や勝人たちの方針は正しいといえるのでしょう。少なくとも、このピンチによってルー子の濁な意見を飲むだけの見識を得たわけですしね。それでも、まだまだ圧倒的に足りなかったわけですから。
でも、勝人はこれだけ他人に任せられない性格だとあんまり人を育てられるタイプじゃないんだろうなあ。それでも、ルー子みたいな子をちゃんと拾って鍛えることは出来ているんだけれど、いざとなると自分が出張って自分で全部解決してしまいたいワンマン気質だと、周りがもし育ってもそれが頭角を現しだすと決定的なところで対立しだす気がするんですよね。ワンマン社長が一代で大きくした会社の少なくない数が、次代との衝突で躓く過程を辿ったように。特にルー子は逸材であり勝人と似たタイプなだけに育った時に勝人と共存できる気がしないのよねえ。
他に類を見ない化物揃いの超人高校生たちだけれど、こうしてみると完璧超人とは言えない結構な粗も内包してるんですよね。葵なんか、戦闘担当なのに弘法筆を選びまくる、が如く使える武器が限定されていて、それが使用不能になると戦力半減って、ちょっと能力がピーキーしやすぎませんかね!? 戦闘超人なら、笹の葉でも真剣と同じようにスパスパ切りまくれる、くらいの強さだと思ってたのに。
帝国側に、自分たちと同じく異世界から来た人間が国家の最高幹部クラスに居座っている、ということが発覚して、余裕余裕とか言ってられなくなってきましたし、むしろ国を作ったことで足かせも増えてきて、なかなか難しいことになってきたなあ。
ぶっちゃけ、帝国を潰す、ということが目的なら今回の勝人の仕掛た経済戦で帝国、息の根止めることも出来たかもしれないんですよね。結果として、帝国の貨幣経済が壊滅して経済的な焼け野原が現出する阿鼻叫喚の地獄絵図になったとしても、ですけれど。
いや、そこまでやらかしてしまうと、エルム共和国だって波及効果でただで済むとは思えないのですが。その意味では、勝人は無茶やらかしたよなあ。事前に、司にセーフティネットになるように頼んでいた、というあたりは冷静なのかもしれませんけれど、彼のこの気質は商売人とか経済人とはまた異なるような気もするんだけどなあ。
明確に、いずれ司とは袂を分かつ素振りを見せている勝人ですけれど、彼に限らず実のところ他の高校生ズからして司の掲げているエルム共和国の理念に諸手を挙げて賛同しているか、というと微妙なところではあるんですよね。あくまで司への個人的友誼とエルムの人達に対する信義と好意からで、共和国の理念に対してはあんまり関心ないんじゃないか、という態度が結構見え隠れするわけで。まあそこは、政治家かそうじゃないか、という立場と視点の違いもあるでしょうし難しいところか。でも、歩む道が別となる理由としては十分でもあるだけに、今後どう取りまとめていくかには興味が尽きぬところであります。

シリーズ感想

アルティメット・アンチヒーロー 4.究極の個 ★★★☆  

アルティメット・アンチヒーロー4 究極の個 (講談社ラノベ文庫)

【アルティメット・アンチヒーロー 4.究極の個】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫

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東京生存圏を飲み込んだ漆黒の霧。ミカエルに敗れた焔が最期の力を振り絞って行った魔術により、人類はその霧の迷宮最深部に転移していた。だが、天使たちの行軍は止まらない。その数実に十四万の軍勢は、着々と人類のもとに足を進める。“邪神使い”神代焔という最高戦力無しに、いかにして天使の軍勢と相対するのか―絶望に沈みかける人類。だがそれでも、純華は守るべき人々のために立ち上がる。そして、妖精族たちの協力も受け、人類は再び戦うことを決意した。生きるために。守るために。最期まで絶望に立ち向かい、未来を手に入れるために―。いずれ救世主と全ての人間に讃えられる少年が紡ぐ常勝無敵ファンタジー、最終決戦の第四弾!

焔、実は生きてましたパターンかと思ったらガチで死んでたんか!!
圧倒的な力を持った神代焔の存在は、どれほど制約に縛られていようと最終的には全部やっつけて助けてくれる、という安心感。悪く言えば緩みや甘えがあったわけだけれど、その彼が消え、残されたのは僅かな戦力。そして、相手は強大な力を持った天使の軍団14万。
人類滅亡待ったなし、の状況下でそれでも挫けず絶望せず、最期の最期まで抗ってやる、という不屈の闘志を純華たち僅かな戦士たちだけではなく、一人ひとりの兵士までが滾らせて戦いぬく展開にはやはり燃えるものがある。結局焔が助けてくれるんだろう? という読んでるこっちの姿勢を裏切るように、魔王に匹敵する上位階梯の存在である大天使たちを次々と劣る戦力、低い存在階梯、僅かな力を束ねて撃破していく、この弱き者たちが死に物狂いで強大な敵を打ち破っていくジャイアント・キリングは、この作品の魅力であった圧倒的な力で敵を蹂躙していく、というそれを見事にひっくり返して突き破ってみせたのだから、面白いなあ。
だいたい、クトゥルー神話の邪神たちを主人公サイドが使役する、というのはまあ珍しくはないんだけれど、あくまで道具として使役するとか、わりと人類に好意的な良い邪神さんたちと協力して、という流れであって、東京の市民全員を邪神の信者に見立てて、何万人もの信者で行った儀式で大召喚、邪神降臨! ってそれ、どう見ても敵の邪悪な組織がクライマックスにやらかす惨劇ラストバトルのはじまり、みたいなノリだから! 間違っても、味方がやるもんじゃないから!
うんまあ、東京が邪教の巣窟で人類の敵と言われても、これは反論しづらいぞ(笑

主である神代焔を失って戦いから背を向けた法の書(リベル・レギス)を、純華が新たな主として認めさせる展開といい、妖精女王と人類の共同戦線を橋渡しし、絶望して一度は膝を折った仲間たちを奮い立たせ、諦めた大人たちの心に火をともし、と振り返ってみると星河純華の今回の活躍たるは八面六臂の大活躍で、焔不在のなか完全に主人公を担ったんですよね。
だからこそここまで盛り上げておいて、最後にやっぱり神代焔が……となると、結局彼頼みか、となるところを、焔が本当に死んでいた、という事実を交えてこの設定に持ってきたのは、なかなかに上手い使い方だったんじゃないだろうか。
あまりにもスケールが大きすぎる一方で、神代焔があまりにも強すぎるために制約もまた強すぎて、なかなかフットワークが軽く、と行かず痛快さにもどかしさがつきまとうシリーズでしたけれど、純華が頑張ったんでそこは目一杯ほめてあげたい。

シリーズ感想

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 3 ★★★   

超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです!  3 (GA文庫)

【超人高校生たちは異世界でも余裕で生き抜くようです! 3】 海空りく/さくらねこ GA文庫

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「春までに『民主国家』を建国する」ギュスターヴの戦略魔法による攻撃さえも退けた超人高校生たちはいよいよ帝国との本格的な戦いに突入。近代兵器で武装した“七光騎士団”は、智将アークライド侯爵に率いられた“討伐軍”を苦もなく撃破し、民主国家の建国を目指して邁進する。一方で、異世界にきてからの過労がたたった司と林檎は桂音から三日間の休養を言い渡され、せっかくだからと二人で街中デートをすることに!リルルの出現で焦っていた林檎は司との距離を縮めるために一念発起して奮戦するが―!?地球最高の叡智と技術がますます冴え渡る、異世界革命物語第3弾!

うはは、圭音先生いい具合にイカレてるじゃないですか。さすがは現代強化版ナイチンゲールというべきか、頭のおかしさもナイチンゲール超級だったというわけか。人を救うためには手段を選ばない、ってタイプの人だよなあ、これ。いや、正確には巧妙に手段は選んでいるので、最終目的へ到達するための障害を無理押しで余計に増やしてしまわないように真意は隠しつつ上手いこと立ちまわっている、とも言えるんですよね、これ。少なくとも、最大の障害になり得る司たちには一切悟られていないわけですから。
怖い怖い。
この超人高校生たち、何気に実際は常識人枠と、実は狂人枠に別れてるっぽいんですよね。司もショーニンも俗世の業を背負ってなお突き進むタイプで、浮世離れしている林檎もあれで幼少時のエピソードを見ると真っ当な感性を持つからこそ対人恐怖症になった類ですし、マジシャンは言わずもがな。一方でニンジャ娘ちゃんの忍はあれで境界線上をフラフラしていて、圭音先生と大剣豪葵がいささか振り切っちゃってる感がある。葵に関してはまだ根幹が見えてないのでなんとも言えないけれど。
しかし、復活したと思った途端にギュスターヴを叩き潰してしまったアレといい、ケーネ先生のイケナイ外科療法といい、主人公サイドがタブーとも言うべきラインをガンガン跨ぎ越していくのは、一種壮絶なものがある。これだけ超絶的な能力を制限なしに使いまくりながら、司たちにはキレイ事でお為ごかしする様子が一切ないんですよね。必要ならば徹底的に手を汚す覚悟を持っていることこそが、彼らの超絶的な能力が数字的スペックではない証左なのかもしれないが。ヌルい事を言って甘い見通しでやれるほど、文明を数世紀一気に進捗させることが簡単ではない、というのを誰でもない彼ら自身が承知しているということなのだから。
同時に、それだけ彼らが本気である、ということでもあるんですよね。他人事ではなく、文字通りその心身を削り倒して、この世界に未来を残そうとしている。特に司は、この世界においてすらも完璧に「公人」として自らを貫き通している。
一方でこれだけ高い視野で物事を見ている人物であり政治家であるにも関わらず、林檎のエピソードに出てくる司を見てると、たった一人のために身を粉にすることの出来る人でもあるんですよね。誰か一人を大事に出来る人でも在る。だからこそ、身近な人を幸せにすることと公の人物として国家や世界を幸福に導くことが相容れない状況が訪れたとき、この人の「私」は徹底的に滅び去ってしまうんじゃないだろうか、と心配になる。滅私という言葉を精神的に実践してしまうのではないか、と。その意味でも、彼のプライベートに寄り添おうとしているリリルと林檎の好意、恋慕は貴重なものなのかもしれない。

一見圧倒的に見える司たちだけれど、狂信的なギュスターヴの背後に見えてきた帝国の中枢がやたら不気味なんですよねえ。決してこれが超人高校生の蹂躙戦ではなく、超人的高校生が七人居て彼らが全力を尽くしてようやく、伍することが出来るほどの相手が、敵であり謎の皇帝の存在なのかもしれないと考えるなら、今まで司たちが居なかったこの世界って、完全に無理ゲーだったんだよなあ……(遠い目)

1巻 2巻感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 10 ★★★★   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)10 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 10】 海空りく/をん GA文庫

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間近に迫ったステラの家族への挨拶を前に一輝は緊張していた。
ステラのパートナーとして認めてもらえるのか不安を感じつつヴァーミリオン空港に降り立った一輝。
そんな彼を迎えたのは、大勢の市民たちだった。温かな歓迎ムードに緊張も和らぐ一輝だったが――

「イッキ・クロガネ! ヴァーミリオン皇国民は貴様に決闘を申し込む! 」

それは錯覚にすぎなかった!?
図らずも開始する落第騎士vsヴァーミリオン皇国全国民の一大バトル。
一方その裏では、かつてその片鱗を見せた邪悪な影も蠢動を始めていた!
落第騎士の英雄譚・新章、ヴァーミリオン皇国編、開幕! !
そうかー、ヴァーミリオン皇国って広島にあったんだー。って、ヴァーミリオン皇王陛下、なんでナチュラルに一人だけ広島弁ナンデスカ?
駄目だ、この人大人げないお父さんだ。国家権力乱用しまくってるじゃないか、絶対王政利用しまくってるじゃないかー。
ただ、この過度すぎるくらいの家族愛も、ヴァーミリオン皇国の建国逸話を聞くと逆に不安になってくるんですよね。建国の逸話を再現させられるとか、想像しただけでもゾッとしないんですけれど。でも、それをやりかねないような今度の敵なんだよなあ。
これまでは学園編・七星剣武祭編ということで、乱入はあったとはいえ基本的に学生レベルの話に終始していたところが、この第二部からは文字通り世界を舞台にした、本物の戦争編ですからね。一騎当千の戦力を投じた血みどろの闘争というと、作者の海空りくさんの【断罪のイクシード】路線なんですよね。あれ、大好物のシリーズだったんで、どんと来いなのですけれど。
世界中に跋扈する魔人と呼ばれる超越者たちのルール無用の祭典。昔、西京先生と黒乃理事長の現役時代の試合のエピソードがあまりにも途方もなさすぎて、世界観が違う、というか出てる漫画が違う、みたいな事を言ってたんですけれど、本当の意味で「魔人」と呼ばれるブレイザーは世界観が違うレベルなのだということを、ステラと一輝のラストバトルで実感したのですが、この魔人たちが主役となるヴァーミリオン皇国編は文字通りこれまでとは出る漫画が違う、というくらいに話の規模が違ってくるんでしょう。
だからこそ、何となく一対一の試合専用じゃないのか、実戦向きじゃないんじゃないか、という疑念があった一輝の力が、むしろ試合よりもルールも戦場も限定されない実戦向きだと明言されたのは今後、一輝の戦いに制約は課さない、それこそ伸び伸び戦わせてあげるよ、と宣言してるみたいでなかなかワクワクさせてくれるじゃないですか。
それはそれとして、ステラがあれでまだ魔人化してない、というのは逆に怖いなw

月影総理が、いったい何を企んでいたのか。というか、何を危惧して動いていたのかを今回正直に教えてくれた上で、一輝たちに未来を託してくれたわけですが……第三次世界大戦か、これはまたヘヴィな未来じゃないですか。まだ在学している人たちはともかくとして、三年だった刀華さんや諸星くんもそれぞれ目指す道へ歩き始め、珠雫もまた痛切に感じた自分の未熟さを埋めるために新たな挑戦をはじめたわけですけれど、悠長にそれぞれじっくり力を蓄え、とはしていられないのかもなあ。思っているよりも早く、動乱ははじまりそうな匂いがプンプン漂ってきている。
ほんと、ガンガンダークサイドに寄せてきたのは、楽しみに思うべきか不安に感じるべきか。こういう黒い人死もバンバン出そうな雰囲気は、ほんと【断罪のイクシード】寄りで好きなんですけどねえ。

あと、あの可愛らしいお母さんからステラとかルナ姐さんみたいな人を生み出してしまった親父さん遺伝子はもうちょっと反省スべきだと思う!

シリーズ感想
 
12月6日

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11月12日

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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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