海空りく

落第騎士の英雄譚 零 3   

落第騎士の英雄譚 零 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚 零】 海空りく/をん GA文庫

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「なによ、シズクばっかり構って!」
稽古にかまけて相手してくれない一輝に拗ねたステラは、加々美から渡されたゲームで日本文化を学ぶ!?
「ねえアリス、ちゃんと聞いてる?」
一輝が学内予選に初勝利した夜、ステラに一輝の看病を譲った珠雫が、アリスに語った想いとは?ヒートアップするステラと珠雫の嫁姑対決、肝試しでカナタの意外な一面を知る一輝、そして西京寧音との修行で秘策を炸裂させるステラ。さらには黒鉄一輝が破軍学園に入学する前の「落第騎士の英雄譚・エピソード0」を収録!GA文庫マガジン収録の2編もあわせ、6編の語られざるエピソードを収録した、落第騎士の物語・登場!
……ステラってわりとガチで変態入ってますよね。いや、なんか全編に渡ってステラの痛ましい惨状が散見されてしまいましたので。これで彼女が揺るぎないメインヒロインなのですから、本作も大したものだと妙に感心してしまったのでした。

【お姫様の異国文化(HENTAI)体験】
いやいや、乙女ゲーはとりあえずそれだけではHENTAIカテゴリーじゃないと思いますよ? 明らかにヘンタイなのは、それを「使用」してえらい方面にハマってしまっているステラさん一択ですから。一輝もドン引きじゃあないですかw


【珠雫とはじめてのお酒】
当人たちは姉と妹、というつもりなのかもしれないけれど、いくら凪がオネエだからと言って、これは同性同士のやりとりにはあんまり見えないんですよねえ。すんげえ甘えっぷりですよ、珠雫。ダダ甘えじゃあないですか。珠雫がブラコンというのは否定しないんですけれど、それが珠雫当人が言っているような兄妹愛じゃなくて異性への愛情だ、という風に見えないのは、珠雫が隙だらけの姿を見せているのはむしろ凪の方だから、なんだろうなあ。


【真剣勝負!? <真紅の皇女>と<深海の魔女(ローレライ)>】
だからやっぱりヘンタイだって、この姫様。肉食すぎるw
これは、義妹とコロシアイになっても仕方ないレベルのヘンタイである。珠雫は、わりと兄の恋人に対して理解のある方の妹だと思うんですけれど、それでもこの女は殺しておくべき、と思われても仕方ないレベルでヤバいですよねw そりゃもう、抜き差しならないレベルで。しかし、メインヒロインがこれでもか、とその変態性を露呈させられる話も珍しい。一方で、ステラ、お姫様のくせにやたら家事スキル、新婚スキルが高かったりするので始末におえない。ある意味ヘンタイに技術を持たせてはいけないパターンの一つである。
しかし、なんでステラの初裸エプロンを堪能するのが妹の珠雫なんだ、これ?w


【少女の騎士道】
あの個性豊かな生徒会メンバーとの日常イベント。あのメンバー、会長の雷切だけじゃなくみんな本当に濃い人たちばかりだったので、もうちょっとスポットあててほしいなあ、と思っていたものですから、副会長のカナタメインのお話はなかなか嬉しかったり。お嬢様風のカナタですけれど、この人も相当にいたずらっ子というか、いい性格してるんですよね。生徒会、普段から随分賑やかだったんだろうなあ、というのがこの話からも透けてみえます。それにしても、カナタさんほどの実力があれば、本戦も辞退しなくてもかなりやれた気がするなあ。刀華会長置いてけぼりで副会長が前に出るわけにいかなかったんだろうけれど。


【ステラの眠れない夜】
もはやステラが末期に至ってしまっているのを、これでもかと見せつけられるお話。いや、もうあかんのとちゃうか、この姫様。ヒロインとして大丈夫か、というレベルでヤバいw


【落第騎士の英雄譚 エピソード0】
なるほどなあ、一輝って実家からの圧力で学院に無理やり落第させられた、という境遇の割に、先生たちからの待遇は悪くないなあ、と思ってたんだけれど、入学試験でこれだけしっかりと実力、それ以上に絶対に騎士になるんだ、という断固とした意思を示していたら、なるほど現場の人間である先生たちは悪くは思わんか。
なにより、折木先生ほどの学生思いの先生が見てくれていたら、なおさらに。単に一輝が強いから、という理由で受け入れたわけじゃなく、その生き方の危険性、破滅性を見ぬいた上でそれを止めようと身を削って制止しようとしてくれた上で、それでもなお進むのだという決意を受け入れてくれたわけですしね。一輝が心底尊敬しているのもよくわかる、騎士である以上に立派な先生だわなあ。なるほど、あんな仕打ちをうけながら一輝が学校に対して絶望していなかったのは、こういう人たちにきちんと前から支えられてたからなのか。
前日譚としては、非常に面白かった。

アルティメット・アンチヒーロー 2.妖精女王と百万の敵3   

アルティメット・アンチヒーロー2 妖精女王と百万の敵 (講談社ラノベ文庫)

【アルティメット・アンチヒーロー 2.妖精女王と百万の敵】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫

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神代焔は神すら従える大魔術師でありながら、とある事情により一学生として新東京魔術学園の実習小隊に配属されていた。ある日、任務中に現れた悪魔を倒したところ、クラスメイトのちこりが一人の少女を拾ってきた。彼女は自らを『妖精族』の女王エルフィーナと名乗り、人間界への移住を求めて交渉に来たらしい。――この世界に悪魔が現れるようになってから一世紀。人類が初めて魔界の住人と敵意のない交流をもった最初の瞬間である。しかし、当然ながら人類とエルフィーナとの交渉はうまくいかない。そこで焔がとった手とは……!? いずれ救世主と全ての人間に讃えられる少年が紡ぐ、敵も味方も誰一人ついて行けない常勝無敵ファンタジー第二弾!
人類側の指導者たちが、政治家とかいう以前にただのチンピラヤクザなんですがw
いや、前巻で連中がろくでなしのゲス野郎だというのは嫌というほどわかってたんですけれど、いくらなんでも品性下劣すぎるでしょう。考え方がヤクザやマフィアだの以前の問題で、頭の悪い不良レベルなんですよね。
とにかく言葉をしゃべるだけでも不快、息をしてるだけで怒りを感じてしまうようなクズ野郎たちなので、彼らにある程度でも好きにさせてしまう焔のやり方というのは、どれだけ彼が無敵に近い力を持っていても、いやだからこそか、痛快さよりもストレスが溜まっちゃうんですよね。彼のスケールというのは、本当に常識レベルをはるかにぶっちぎっていて、その振り切り様は実に面白い。オーストラリアさんに謝れ、というレベルのリアル地球が大ピンチ(物理)な暴れっぷりは、もう思わず笑っちゃうほどで、いったいどこまでやってしまうのか、という果てしなさには素直にワクワクさせられるのだけれど、だからこそ、だからこそストレスたまっちゃうんですよ。
ぶっちゃけ、彼にぶっ倒してもらいたいのは、泣かせて悲鳴をあげさせて生きてることを後悔させてぶちのめして欲しい、勧善懲悪の悪として倒されて欲しいのは、むしろ魔王なんかよりもあの人間たちの方なわけですよ。なのに、なんで焔は連中に好きにさせるのか。彼が人間という種に慮っているのは理解できるんですけれど、その人間種に配慮する基準をあの指導者連中に据え置くというのは、腹に据えかねるものがあるんですよね。そいつらに慮ることが、人間社会に慮ることとは違うだろう、と。焔が邪悪なる神々を使役する存在として恐怖されるのは、それはそれで仕方ないのでしょう。でも、怖がられ嫌われ憎まれるのなら、それに相応しい振る舞いをちょっとはしてもいいんじゃないでしょうか。どうも、彼は対等に接するべき相手を間違えている気がしますし、それが故に侮られて舐められてしまっている気がします。それが彼一人にだけ負債となってかかるなら、それは彼自身の選択として仕方ないのでしょうけれど、どうも彼に心を寄せる人たちに余計な負担が掛かっている感じで、それがなんか納得いかないんだろうなあ。
あと、純華は焔と対等になると吠えたからには、今回の相手くらいは一人でなんとかして欲しかった。今のままだと、やはり口だけになってしまいそうで、果てしないなあ。

1巻感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 6  4   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)6 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 6】 海空りく/をん GA文庫

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「一人残らず消し炭にしてやるわ! 」
暁のメンバー全員を自らの手で敗北させるため、一対四の変則マッチを希望したステラ。
《紅蓮の皇女》の焔は、破軍学園を壊滅させた無法者たちを焼く尽さんと、かつてなく激しく燃え猛る。

一方、暁の一人、紫乃宮天音と再会した一輝は、かつて相手に抱いた不可解な嫌悪感の理由に辿りつく。
ついに明らかになった天音の真の能力と彼が抱える闇は、大会に新たな影を落とし始め――!?

離れていた恋人との束の間の逢瀬、因縁の相手と交わす再戦の誓い、そして意外な伏兵の登場。
七星の頂を巡る戦いは、次の局面へと突入していく! 邂逅と覚悟の第6巻!
うははは、楽しい楽しい。主人公の一輝の試合はこの巻では無いに等しいにも関わらず、個人的には大盛り上がり。何となくノリが天下一武道会か幽遊白書の暗黒武術会っぽくて凄く好き。試合形式で進行する異能バトルものはいまどき珍しくも何ともないんだけれど、案外とこんな風な少年漫画的なノリで楽しめる作品はなかったんですよね。前々からやたらと男女の区別なく男臭いステゴロタイマン上等だぜオラオラな風情だと思っていたんだけれど、今回はそれが少年漫画バトル編、な方向に転がった、というべきか。
世界最強の剣士と渡り合うわ、前回の大会優勝者と一回戦からガチバトルするわ、とちょっと一輝が実力的に突出してしまったのか、と危惧しましたがどうしてどうして。他の出場者たちも実に個性的な面々ばかりで、敵対勢力の暁のみばかりではなく、他校の出場者たちも一筋縄ではいかない連中ばかりで、それら同士の試合も見てて本当に楽しかった。
ていうか、ステラのあれはヒロインじゃないよなあ。どんだけパワー推しの暴虐圧殺プレイなんだ。タイラントとかフォートレスとか、そんな感じの暴君っぷりで上限知らずの底なしな大物っぷりなんだけれど、そのバトルスタイルはやっぱり男臭いんですよ。その華麗さも可憐さも端から捨てにかかってる姿は潔いくらいなんですが、敢えて言おう……女子力! 戦闘にも女子力!!(笑
「がぁおおーーっ!!」
は幾らなんでもあかん、あかんでや。怪獣か、おんしはw

まあプライベートではちゃんと女の子全開にしているので、アカン娘ではないのですが、というかむしろ自重しろ、と言いたくなるくらいに大会の真っ最中に発情しすぎだ、この娘さん! 色っぽいのは素晴らしいんですけれど、わりと本能に忠実すぎないか、ステラ。この作品、もう一輝とステラがラブラブで、しかもそこにわざわざ割って入ってくるような女の子もいないので、恋愛方面歯止め効かなくなってます。珠雫は口うるさいふりをして、二人の関係もう認めちゃってから肝心な時は邪魔して来ないからなあ。

意外だったのは、王馬と一輝の関係がそこまで拗れてなかったことか。実家との関係の酷さを思うと、そっけないながらもちゃんと弟扱いしてくれてたし、さり気なくアドバイスや忠告を与えてくれる事を思うと、仲は悪くないんですよね。一輝も、逃亡先に兄ちゃんの部屋を選んで一晩かくまってもらうとか、結構大胆な事してますし。
ちょっと王馬兄ちゃんの小物臭を心配していたのですけれど、ステラへの執着も含めてかなりイメージを挽回出来たんじゃないでしょうか。どうやら、彼自身どこか壁みたいなものを抱えているみたいで、それを乗り越えるために足掻いているみたいな素振りがありましたけれど、ステラの噛ませになるにしても、生徒会メンバーみたいにきっちり後々まで活躍してくれそうな、立ち位置の立て直しが今回行われた気がします。
むしろ、今全開でかませ臭を自ら煌めかせてるのは、珠雫さんなんですけどね!! 既に攻略法を見つけました、うふふ! と、ドヤ顔しまくってる時点で、物凄いフラグを立てまくってるんですけれど、大丈夫か妹ーっ!!
まあ生徒会の副会長みたいに、深刻な顔で、あの相手にはステラさんは相性が悪すぎる! とか解説してたら即座にその相手がステラにワンパンでノされたり、という展開もあったので、意外とどちらに転ぶかわからないんですけれど。ヤバイよヤバイよ、あいつヤバイよ、とフリしておいてあっさりヤッちゃうパターンも無くはないだろうしw
しかし、生徒会の面々は本当に役割を心得ているというか、どのシーンにおいても場を賑やかしてくれますねえ、さすがですw

個人的には、蔵人と一輝の再戦はかなり期待していたので、あの結果はちと残念だったなあ。でも、蔵人のとてつもないパワーアップした姿と、その鬼気迫る強さは結構堪能できたので、それなりに満足してしまったのかもしれない、これはこれで。負けて強し、な内容でしたし。それにだからこそ、相手の反則なまでの能力も際立ちましたし。いやまじで、あれどうやったら勝てるんだ? 
少なくとも、サラと天音についてはどうやったら勝てるのかさっぱりわからんですぞ。単に腕っ節が強い、技量が凄まじい、という枠なら、蔵人が勝てたはずですもんね。ルールが違うもんなあ。

そして、ラストに持ってきた一輝の試合。これもまた……(笑
いや、次回への引きとしては最高なんじゃないですか。引っ張り方が実に上手い。これは次を早く見せろ、という気になりますよ、うん。
シリーズ感想

アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者4   

アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者 (講談社ラノベ文庫)

【アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫

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神代焔はかつて世界中の軍隊を滅ぼした魔界からの侵略者《魔王》をたった一人で討伐した英雄だ。しかし彼はあまりの強さに権力者達から疎まれ『反逆者』の濡れ衣を着せられ社会から追放される。それから数年後、焔は訳あって魔術師学校に入学し『お荷物小隊』と揶揄される少女達の面倒を見ることに。少女達を導き瞬く間に学園最強の小隊に成長させる焔。彼の強さと優しさに心惹かれていく少女達。だが世界に再び《魔王》が襲来するとき少女達は知る。『本物の最強』にとって仲間とは戦友ではなく、守るべき弱者でしかないのだと! いずれ救世主と全ての人間に讃えられる少年が紡ぐ、敵も味方も誰一人ついて行けない常勝無敵ファンタジー開幕!
リアル・マスターテリオンじゃないか、こやつ! ガチでシャイニング・トラペゾヘドロンとか使えそうなんですけどっ!
ぶっちゃけ、その実力たるやラスボス級で主人公として備え持つ力としては完全に反則である。いや、ほんとに【斬魔大聖デモンベイン】の大敵たるマスターテリオンがそのまま主人公サイドで出てきた、と考えてもらって間違いはないくらい。つまるところ、存在からしてデウスエクスマキナなわけです。
そんなんを主人公にして話が成り立つのか、どんな展開にしようとも緊張感が保てないんじゃないか、と思われても仕方ない所なのですけれど、よくよく読んでいるとこの物語の主人公って神代焔であるように見えるんだけれど、実のところ焦点があてられているのはヒロインの星河純華の方なんですよね。それが明確になるのが、焔の真の実力が明らかになり、彼が人間の想像を絶した隔絶した存在だと目の当たりにした上で、彼女が決意を固めた瞬間である。
あの瞬間から、この物語の真核は焔が権力者たちの悪意や魔界の侵攻を問答無用でぶっ飛ばしていくという痛快無双というところではなく、人類が本来望んでも絶対に届かない領域、地上から手を伸ばして月に触ろうとするような行為を本当に成し遂げようとする一人の少女の、血反吐と涙に塗れ何度も心折れ挫折しそれでもがむしゃらに辿り着こうする、その泥臭いまでに無様で美しい姿へと定まったのである。
本作は、厳密には焔は教師や教官という役職についたわけじゃないけれど、その無限に近い知識と実力を活用して、預けられたチームの少女たちを教え導く役割を与えられているので、広義には最近とみに増えている教官モノにあたるのだと思うのだけれど、面白いことにアプローチは逆なんですよね。
いわゆる主人公が教官役としてヒロインたちを教え導く教導者としての立場に立つジャンルである教官モノは、概ね生徒たちは影響を与えられる側でしかなく、師弟としての上下関係が固定されてしまってるんですね。ここに異性間の感情が交じることはあっても、少なくとも実力については追随者に過ぎず、教官役に認められることに喜び、その指導によってメキメキあがっていく力に充実感を得て、その影響下に収まり続けることに満足して、すでに完成されている教官役の主人公の価値観を覆すような事もまずないわけです。
逆に、生徒の側から教官役を担う、既に完成してしまっている主人公に対して決定的な影響を及ぼす、それこそ価値観や考え方、在りようを根底からひっくり返すような、強烈な……攻撃的と言っていいくらいのアプローチがあるケースは本当に滅多と見ない。覚えている限りでは、すえばしさんの【祓魔科教官の補習授業】くらいか。あれも、まだヒロインが決意を固めるというスタート地点に立ったところなのだけれど。
そして、この作品もその数少ない一作になりそうなんですよね。既に完成品である人物を、根本から作り変えるだけの、必死で懸命でがむしゃらで一途な……思いの篭った挑戦の意思を、挑む決意を、純華はこの1巻を以ってスタンバイしたのでした。
しかし、寄りにも寄って、同じ教官モノの中でも特に隔絶した能力を持つであろう焔に対して、あれだけの啖呵を切ってみせた純華は、文句なしにカッコ良い惚れ惚れするようなイイ女ですよ。いやなるほど、中途半端はいけないよなあ。高みへと昇るというのなら、人類最強程度じゃ小さい小さい。頑張れば届いてしまう程度の高みなら価値はない。やるなら、これでもかこれでもか残虐なほどに積み上げた絶対無理筋の領域を用意して、じゃあここまで辿り着いてみろ、と指し示してこそ、其処へ至ろうとする意思と過程に価値が生まれるというものだ。
マスターテリオンと称されるほどのハードルあげまくった焔の実力は、無双する為に用意されたものじゃない。ただただ、星河純華の為に用意された、と見るべきだろう。だからこそ、この作品の本当の主人公は誰であるか、は常に問い続けながら見守るべきであろう。さて、彼女に感化される娘があとどれだけ増えるだろうか。そうなれば、焔は正しくマスターテリオンとしてラスボスの座に腰を降ろせるのだろう。その日が、まことに楽しみである。

海空りく作品感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 5 4   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)5 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 5】 海空りく/をん GA文庫

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『ついに、ここへ来たんだ……』
暁学園の強引な参加表明により、波乱含みとなった七星剣武祭。それでも、夢見た大舞台を前に《落第騎士》黒鉄一輝の心は高揚していた。平然とした態度で大会参加者に交じる暁メンバーや、ステラの到着遅れといった不安要素がありつつも、初戦の相手、前回七星剣王・諸星雄大との交流を経て、一輝は全てを出し切る戦いをあらためて誓う。
だがそんな彼の前に《風の剣帝》黒鉄王馬が突如現れる。しかも王馬の圧倒的な力に立ち向かおうとする一輝を、思わぬ体調不良が襲い!?
盤外で渦巻く思惑、消えない不安要素、そのすべてを断ち切って頂点を目指す、誓いの第5巻!
兄貴ッ! 兄貴ッ! そうか、この作品なにが足りないのかと思ったら(いや、別に足りないと思ったことはないのだけれど)、兄貴キャラが居なかったのか! 実兄である王馬はなんか勘違いをこじらせているような、最強キャラのわりに小物っぽいので頭から外すとして、アリスは実績や頼もしさや立ち位置からすると兄貴キャラなんだけれど、この人はオネエだもんで違ったんで、時に主人公の壁となり先導者となり次のステージへと至るための架け橋となるべき大いなる敬スべき先達としての、兄貴分としてのキャラクターが居なかったんですよね。ぶっちゃけ、一輝は苦労してきた過去もあってか成熟した人間性の持ち主で、この手の自分を丸ごとひっくるめてぶつけられるような兄貴キャラって必要なさげだったんですよね。それ以上に、それだけの格・器を持ったキャラクターを出せるのか、という疑問があったわけで。さらには、前回から学園外での不正規戦、ルール無用の本物の実戦、殺し合いとしての戦いへと足を踏み入れてしまったわけで、今更正規の戦いで、学生レベルの試合で、充足出来るのかという疑念がつきまとっていたわけですが……。
居たよ、兄貴が居たよ。諸星雄大というトビっきりの漢が居たよ!!
いきなり初戦で前回の優勝者とか、どんな展開だよ、と思ってたんだけれど、本当に出し惜しみ無しのもてなしともいうべき人選でした。優勝者というと、またぞろ今まで頂点に立ち続けた負け知らずの偉そうなキャラかと思ってたら、この人は確かに昔から音に鳴らした強者ではあったものの、一度は再起不能になって挫折し、そこから不屈の闘志で這い上がってきた文字通りの叩き上げの人であり、最強の一文字を血と汗で掴みとった男なわけですよ。それも、自分一人の拘りや意地の為ではない、内にも外にも理由を持ち、原動力を持ち、それを正しく駆動させているまさに剣王と呼ぶにふさわしい逸材。
こういう人は、「ば、馬鹿なッ!」とか言わないから。絶対的優位や相手を格下に見る立ち位置にあっても、逆に圧倒的不利に置かれたり、立場が逆転してしまうような展開に見舞われても、微塵も揺るぎなくただカッコいい「兄貴」で居てくれるんで、頼もしいったらありゃしない。
こういう人と戦うことは、勝つにしても負けるにしても、どんな形であれ主人公に一つの壁を突破させるような、より一層人間そのものを磨かせてくれるような、そんな戦いとなってくれるので、その意味では一輝に一山越えさせる為には、これ以上ない相手だったのでしょう。ただ、一輝に今までの壁をブレイクスルーさせるためだけなら、どんな相手でも凡試合になってしまったと思う。この諸星の兄貴だったからこそ、ある意味無茶苦茶だったこの試合も、お互いが輝ける素晴らしい試合になったのでしょう。いやあ、最高の兄貴でした。惚れた。

しかし、諸星の兄ちゃんに対して、あの実兄の小物臭は何なんだろう。実力的には実際に圧倒しているのだろうけれど、他のキャラクターが主な脇役も含めて信念の中に厚みのある他者との共感を有しているのに対して、この人のそれは薄っぺらいし安っぽい。言うなれば、独り善がりなガキの妄言レベルなんですよね。こういうキャラこそ、ぐうの音も出ないほど圧倒的に叩き潰してもらわないと、スッキリしないですわ。この程度の輩に立ちはだかれたくない。生徒会長や諸星の兄やんとの一戦が素晴らしかっただけに、尚更に。こいつこそ、「ば、馬鹿なッ、ありえん!」とか喚くのがお似合いなんだよなあ。
暁学園で、一輝が本当に敵認定しているのが別の相手で実は王馬眼中にないあたり、色々と察せられてしまいますが。
肝心の暁学園も、どうやら玉石混淆っぽいみたいですけれど。

ラスト、ステラ様が荒ぶっておられる!! やばい、姫様遅れて登場してきてそんなド派手にぶちまけちゃってからに、美味しいところ全部持ってく気だ!!
ただでさえテンション落ちずにくすぶっていたところに、また火種にガソリンぶちまけて、ワクワクさせてくれたところで次回に、とか生殺しすぎるw

シリーズ感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)44   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)4 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)4】 海空りく/をん GA文庫

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破軍学園――壊滅!? 激闘の第4弾!

七星剣武祭に向けて、準備を進める一輝たち破軍学園の代表選手団。東北の雄・巨門学園との合同合宿も充実したものになり、順風満帆かと思われた矢先、破軍学園が突然の襲撃を受けてしまう。

「皆さんにはここで倒れていただきます。――我々の踏み台として」

裏社会の実力者で構成された伐刀者集団「暁」に対するは一輝たちと生徒会の精鋭。だが決戦の火蓋が切られようとした矢先、味方であるはずの『彼』が、隠していたその牙を剥く!
そして一輝の前に立ちはだかるのは――世界最強の存在!

果たして早すぎた対峙が生み出すものは!? 理想と現実、希望と絶望の狭間を駆け抜ける、激闘の第4巻!
お姉ちゃんは男だけれど愛さえあれば関係ないよねby妹。
はい、ちょっと待ったコール。ごめん、本気で意味分かんなくなった、混乱した!
え、つまりどういうことなの珠雫さん? アリスは男だけれどお姉ちゃんとして好きなの? 姉妹愛なの? それとも、女っぽいのがいい同性愛なの? お姉ちゃんだけれど男として好きなの? 男だけれど妹的に普通にお姉ちゃんとして好きなの? それとも、妹的にお姉ちゃんなんだけれど、その上で近親相姦的に好きなの? もしそうだとして、それは女のお姉ちゃんとして好きなのか、お姉ちゃんみたいな男として好きなのか、どっちなの? そうじゃなくて、異性的な愛情の介在しない親愛の姉妹愛なの? あかん、自分で書いてて訳わからんくなってきた。でも、あれだけ自分の命を賭けられるくらい、兄である一輝に対するよりもある意味熱のこもった珠雫の想いを目の当たりにしてしまうと、生半の気持ちではないのは間違いないんですよね。
ちなみにアリス、言動も格好も女だし繊細で細やかだけれど、あれで基本的に男っぽい思考しているし、別に男が好き、なんて事は素振りにも出してないし、口にものぼらせてない。そもそも、過去からの交友を見ていると、普通に女の子が好きなようにも見えるんですよねえ。
珠雫への接し方はどうなんだ、と問われると、それが好きな女の子に対しての態度かどうかは微妙といえば微妙なんですけれど。ものすごい特別扱いしているのはわかるんですが、むしろ唯一無二というくらいの特別扱いだからこそ、よくわかんないんですよね。
珠雫のアリスへの姿勢も、上記したようにわけわかんないことになっているし、面白いといえば面白すぎる二人である。これで、この二人がくっついてしまったら、アリスは一輝の義妹になるわけですね……ん?
しかし、アリスの行動にはかなり驚かされたのも確か。紆余曲折あった末に元鞘に戻るのは予想して然るべきだったんですが。最終的に、珠雫がアリスを引き戻すんだろう、何てことはだれだって思い浮かべたと思うんですよね。でもまさか、アリスにとっての珠雫という少女の価値が、もうこの段階で迷う必要がないくらいに定まっていたとは。
いやでも確かに、本当にその娘の事を大事に思ってたのだとしたら、天秤に載せて比べるなよ、と思うような展開は色んな作品で見て、口をへの字に曲げた事は幾度もあったので、今回のアリスみたいに最初からキッパリとしがらみを切り捨てて、自分の大事なものを直視してそれに全霊をかけてくれるというのは嬉しかったなあ。
この作品って、色んな意味で勿体ぶらないのが気持ちいいですよ。一輝とステラを遠回りさせずに即座に恋人関係にまで昇華させてしまったり、と人間関係に関して胡乱なものがないんですよね。
ちなみに、勿体ぶらなさはバトルの方にもにじみ出ていて、特に主人公の一輝、いちいち前座のどうでもいい敵と戦ったり、めぐり合わせでちゃんと全力を出せなかっッたり、カセをかけられたり、というストレスのたまるような展開が一切ない。もう出し惜しみなしで、どんどん最強の看板に相応しい敵と全力全開でぶち当たる展開が毎回のように待っているのです。内容の方も、しょっぱなからフルスロットルで、ダラダラとやんないもんなあ。
これは、手に汗握らされますよ。
ただ、お陰で一輝の周囲だけ戦闘レベルが加速していっていて、相当レベルの人達でも置いてけぼりになりかねないのが玉に瑕。一輝ってば、前回の生徒会長から一足飛びにリアル最強と激突してしまったために、生徒会長を一蹴してしまった黒鉄の兄貴が、強さを追い求めて他のすべてを切り捨てた、という強さ至上主義の求道者みたいな人なのに、一輝的には眼中にないような扱いになってしまってるんですよね。まあ、彼についてはステラが相手と決まっているのもあるんでしょうけれど……。兄貴、生徒会長に勝っちゃったもんだから、ついでに噛ませ属性も引き継いじゃったんじゃないか?
今回の生徒会の噛ませっぷりも、まさにプロのお仕事でお見事でした。まさか、シリアス展開になってもシリアスに噛ませを全力で全うするとは思わんかったよ! なんでそんなに噛ませ犬になりたがるんですか、あんたたちはー!!
一方で、突っ走る一輝に対して、ステラはこれからとして、今回余裕で並走状態まで追い付いてきたのが珠雫である。学内戦で生徒会長に完敗したのはつい先日だったってのに、なんちゅう凄まじいレベルアップしてくるんだ、この娘はっ。一輝やステラよりも、天才という範疇では頭ひとつ抜けてるぞ、この娘。どう見ても、もうBクラスレベルではありません。この兄にしてこの妹か。

思っていたのとはかなり違う形で暁学園が強制介入してきた結果、七星剣武祭も前巻で公表されていたものとは別物になってしまったのですが、これは本戦はじまってもまともに進行しそうにないなあ。何しろ、暁学園のメンバーの数とこっちの数あわなくなっちゃったし。とりあえず、一回戦から問答無用のカードが用意されているので、盛り上がるのは必定でしょうが。

しかし、現在よりも明らかに、先生たちが学生時代の方が中二病が酷いよなあ、これ。なに、この理事長と先生の能力。世界観違いませんか?(笑

1巻 2巻 3巻感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)3 4   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)3 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)3】 海空りく/をん GA文庫

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不敗vs最弱
学園代表の座を賭け、決戦開始!

「この戦いで私の限界を試してやる! 」
学内戦も終盤に近付き、とうとう始まった戦績上位者同士のつぶしあい。最愛の兄と共に歩んでいくために身につけたすべての力を賭して、珠雫は学園最強の生徒会長《雷切》東堂刀華に挑む。
一方徐々に評価を高めつつある一輝に、黒鉄本家はその牙を剥く。卑劣な罠により虜囚の身となる一輝。引き裂かれるステラとの絆。そしてついに迎えた最終戦、満身創痍の《落第騎士》の前に、過去最大の敵が立ちはだかる。

怒濤の盛り上がりを見せる『校内編』、逆境の第3巻!
降りかかる艱難辛苦を斬り払い、七星の頂へ駆け上がれ!
生徒会執行部、実は面白枠なんじゃないかと疑ってたら、予想以上に愉快な集団だった!! なにこの面白軍団、実は主人公サイドじゃないのか、と思うくらいの個性的な集まりじゃないですか。その上で、一つの家族みたいに仲良いのも好印象。本来ならこういうチームは主人公サイドが構築していくパターンが多いんですけれど、この作品の場合は一輝は殆どステラとワンセットで固まっちゃってるんで、妹の珠雫や前巻で弟子になった絢瀬など身近に居る子も多いし、ほか友人として関わってる人たちも結構居るんだけれど、やっぱりチームではないんですよ、今のところ。
それは仕方のない面もあって、一輝の身の上とそれに纏わる不遇の克服に対して、この物語はあくまでステラをその支えとして主軸にするという方法を取っているのです。ただ、彼がその呪縛から解き放たれ、表舞台で存分に力をふるうようになった時、戦いは一輝個人のものではなくなっていくはずなので、その時やっぱりどうしても信頼できる仲間たち、というのが欲しいんですよね。特に、今後が対校戦になってくると尚更に。そんな時、この生徒会執行部の愉快な仲間たちは、そのまま横にスライドして一輝とステラの頼もしい仲間たちになってくれそうなんですよ。実際、学園代表に残ったのは生徒会のメンツの中では一人だけなんですけれど、どうも雰囲気的に場外乱闘がふんだんにありそうなんですよね。そんな総力戦になった時には、学園代表になれなかった面々がやたら活躍しそうなのが、今からワクワクしています。武運なく落選したとはいえ、実力的には学園代表に選考されたメンバーに全く引けをとってませんしね。
しかし、生徒会長の刀華さんにはやられたなあ。このキャラは予想してなかった。というか、珠雫との試合の武者振りを見せつけられて、あのキャラを想像しろ、というのは無理ですよ。本格的に素の彼女が出てきた時には変な声でましたもん。その上で、学園最強の格は巻通して全く落ちないどころか最後まで上がりっぱなしという。あの素の柔らかいキャラクターを見せつけられた上で、最後の剣鬼さながらの振る舞いを見せられた時には、冷たい変な汗が出ましたがな。あかん、かっこ良すぎやこの人。
前巻でも思ったんだけれど、この作品ってバトル、というかお互い戦い理由定まっての決戦となると、凄まじく男臭い「タイマン」になるんですよね。バトルとか試合とかじゃなくて、タイマンの喧嘩、なんですよ、これ。戦い前まではお互いに余分なものがへばりついてるんだけれど、いざ戦うとなった時にはそういう雑音や余計なものをふっ飛ばして、純粋に目の前の相手と全力で戦い尽くす、という一点に研ぎ澄まされるのです。周りの人達も、それに対して邪魔しないし、存分にやれと後押ししてくれる。余計なことをしてくる輩は、徹底的に叩き潰してくれる。今回なんざ、一輝を見舞った出来事は外道の一言で、もう嫌になるほど彼が全力を尽くすことに対して邪魔し、妨害し、一輝の有り様は筆舌しがたい目も覆わんばかりのものになってしまうのです。
それでもなお、屈せず戦うことを選んだ彼に対して……うん、校門の前で待ってた珠雫の姿勢こそ、周りの態度を象徴するものだったんじゃないでしょうか。この余計な手出しをしないところが、無性に嬉しかった。
そしてクライマックスの最強の敵との戦い。この戦いは、ラストバトルとしては尋常じゃなく「短い」のですけれど、ここまで濃厚に圧縮凝縮された密度の濃い攻防は、そうはないんじゃないだろうか。長々と技巧を尽くしてせめぎ合うばかりが最高の戦いじゃない、というのを嫌というほど思い知らされる、ヤバイくらい激燃えの、手に汗握る試合でした。
ステラとの仲も妹公認どころか、公式のものとなり、もう万全のイチャコラ。ステラさんがエロすぎます。
なにやら不穏な空気、というか暗躍する怪しげな面々も登場した上で、ついに対校戦のスタート。脇を固めるキャラたちも充実してきましたし(先生、弄られすぎ)、さあさあ盛り上がってきましたよ。

1巻 2巻感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 24   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)2 (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 2】 海空りく/をん GA文庫

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「なによ、あのセンパイばっかりひいきして! 」
学内戦で順調に勝ち星を重ねていく一輝とステラ。
だがその一方で恋人としての関係はまったくと言っていいほど進んでいなかった。
おまけに美人の上級生・綾辻絢瀬が一輝に剣術の弟子入りをすることになり、
ステラのやきもちが大爆発!
そんなある日、一輝は前大会ベスト8にして絢瀬にとって因縁の敵《剣士殺し》倉敷蔵人に絡まれ、
やがて決闘することに!
生徒会役員との戦い、初めての恋人との距離感、他校エースとの場外決戦――

最底辺から並み居る敵をなぎ倒す学園ソードアクション、激闘の第2巻・開幕!
おいこら生徒会執行部! 前回ラストで、恐ろしく勿体ぶった登場の仕方をして、ふんあの程度の輩を倒したくらいでいい気になっては困るな、次は我々がお相手してしんぜよう、みたいな偉そうな態度だったのに、速攻で生徒会執行部庶務が蹴散らされたぞ(笑
まさに、ふふふ、奴は生徒会執行部の中でも最弱っ!! なぜならば庶務だから! みたいなノリになってるよ。大丈夫か? 本当に強いのか、生徒会執行部!! 実はこいつら、噛ませ犬どころじゃない面白枠なんじゃないか、という疑惑がこんこんと湧き上がってきたのだが、一応副会長とかが実力者っぽい含みのある接触の仕方をしてきて、庶務とは違うのだよ庶務とは、とアピールしてきましたし、まあ大丈夫だと思うんですけれど。
でもむしろ「面白枠」だったりする方が、敵に回ると面白キャラだけれど味方になったら異様に頼もしい、とか普通の逆パターンだったりするケースが見受けられるので、なんだか変にワクワクしてしまう。本作の作者はデビュー作なんか見ると、サイドを固めるキャラクターのキャラ付けには大きな信頼がおけるタイプの人なので、むしろどんどん登場人物増やしてくれた方が盛り上がって楽しい事になりそうなんですよね。
一方で、恋愛パートは殆ど目移りせずに、ステラ一択というのが何とも頼もしい限りである。ホント、まさか1巻で彼氏彼女の関係になってしまうとは、まず他では見ない大胆な展開だったもんなあ。
とはいえ、前回で危惧したような甘酸っぱい砂を吐くようなデレデレな関係にはすぐさま行かず、お互い恋愛初心者というおっかなびっくりの初々しさが見ていてもどかしいやらこっ恥ずかしいやら。
でも、お邪魔虫になるような人も居ない、どころか妹も絢瀬も消極的・積極的の差はあっても一輝とステラの中を応援するモードに入っているので、ある意味じっくりいい雰囲気と関係を醸成していける環境が整っている、と言えるのかもしれない。妹ちゃんなんか、付き合っているのを表沙汰に出来ずにコソコソしている二人に対して、自分くらいには言ってくれてもいいのに、みたいな感じで不満気にしている様子なんか可愛いもんじゃないですか。イイ小姑になりそうです。

と、何だかキャッキャウフフな甘酸っぱいラブコメなお話が繰り広げられているような錯覚を感じてしまいますが、終わってみると今回の一連のお話……凄まじく男クセえ!!
今度の敵役である《剣士殺し》倉敷蔵人は、前の狡っ辛い小物の悪役と違って、態度こそガラの悪い残虐非道の無頼漢、みたいな悪人風情ですけれど、中身は純粋と言っていいほどの剣術バカ。言わば、一輝と皮一枚剥いてしまえばほぼ同類なんですよね。この一連の出来事は、最初は絢瀬が父親を再起不能にされた事への復讐劇、というドロドロとした粘性の様相を呈していたのですが、クライマックスに行くと完全に女どもはすっこんでろ、という展開になってしまって、唖然とする一方で思わず笑ってしまいそうな爽快感が。
なんつう気持ちの通じあった楽しそうな喧嘩をしてるんだ、この男どもは。それぞれの心情が明らかになると、惨たらしく情けも何もあったもんじゃない、と思われた絢瀬と蔵人の戦いも、当人同士の間では心から存分にやりあった決闘であることがわかり、印象もガラリとかわってしまった。結局、再起不能にされてしまったわけだけれど、親父さん当人も含めて全然後悔が見当たらない。いや、様々な不足が原因で全力を尽くしきれなかった、という意味で後悔ではなく未練が残ってしまっていたようだけれど、それを絢瀬が勘違いし、結果として蔵人と一輝が未練を全部吹き飛ばす存分な決闘をするに至ったわけだから、絢瀬の誤解もまあ無駄ではなかったわけだ。絢瀬からすると、かなり面倒くさい回り道をさせられたわけだけれど、男どもの馬鹿さ加減には笑うほか無いよなあ。
でも、なんだかんだとステラ含めて、ここに出てくる女性陣は、こうしたバトルジャンキーには理解があるので助かる。何気に彼女ら自身にもその傾向があるからなんだろうけれど、楽しい喧嘩をしている最中にしたり顔で横からごちゃごちゃ言われたら鬱陶しいったらありゃしませんもんね。そういうしたり顔のヒロインがいないのも、また痛快である。

さて、次回は妹ちゃんが大暴れしてくれそうな雰囲気。どうもこの妹も良識をヤクザキックを背中に蹴りこんで這いつくばらせて踏みにじりそうな、血を見て舌なめずりしそうな風情のある娘なので、愉快な大暴れしてくれそうなんで楽しみデスよ。

1巻感想

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)4   

落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) (GA文庫)

【落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)】  海空りく/をん GA文庫

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魂を魔剣に変えて戦う現代の魔法使い《魔導騎士》。その学園に通う黒鉄一輝は魔法の才能がなく落ちこぼれた《落第騎士(ワーストワン)》だ。
だがある日、異国の皇女にして《A級騎士(ナンバーワン)》のステラから『敗者は一生服従』という決闘を一方的に挑まれ――勝ってしまう!
一輝は魔法の代わりに剣技を極めた異端の実力者だったのだ!
「なんでもいうことをきかせればいいじゃない! えっち! 」
悔しがりながらも一輝に惹かれ始めるステラ。そして騎士の頂点を争う戦いの中、かつての《落第騎士》は
《無冠の剣王(アナザーワン)》としてすべての騎士からも注目され始める!

最底辺から並み居る強敵をなぎ倒して駆け上がる学園ソードアクション開幕!!
開始早々、ヒロインの下僕やら使い魔やらにさせられてしまう主人公は多いけれど、逆に開始早々メインヒロインを、それもお姫様系の自尊心高そうな娘を下僕にしてしまう主人公は珍しい。いっそ、この黒鉄一輝が作者の最初のシリーズである【断罪のイクシード】の主人公みたいな「チンピラ」だったら尚の事面白かったんだろうけれど、さすがにそこまでアグレッシブな肉食主人公ではありませんでした、残念w
とは言え、【断罪のイクシード】で猛威を振るいながらも何故か前作のラブコメ【彼女の恋が放してくれない!】では消え失せていた「切れ味たっぷりのボケツッコミ」がこの新シリーズでは見事に復活していて、存分に笑わせていただきましたよ。そうそう、海空りくと言えば一周回ってかっこ良く思える中二病全開と、ちょっと面白すぎるだろう、というボケツッコミこそが売りだったわけで、それらが復活してくれたのは嬉しい限り。ほんと言うと、この人のボケツッコミはラブコメでこそ余計に映えるんだろうなあ、と思ってたんですが、前作では完全に不発だったからなあ、なんでだろう。でも、【断罪のイクシード】に比べてもだいぶラブコメ要素が増えてきそうなんで、正直楽しみです。というか、速攻でステラさん一択ですか、もしかして!?
いや、いやいやこの即戦っぷりには驚きましたけれど、昨今のいつまでもなあなあで引っ張る展開ばかりの中でこの二人のもったいぶらない自分の気持に対する率直さは、こうなってみるとアトどうするのかわからないだけに逆に面白いかも。料理次第だとは思うんだけれど、テンプレに頼らないという意味での貪欲さはちょっと期待しちゃうよ?
ちょっと病み気味の妹ちゃんも、彼女の考えとアニキを好きになったプロセスを聞いている分には、どうも本格的な恋愛じゃなくて、シスコンをかなり抉らせてしまった部類に見えるので、小姑としてはうるさいかもしれませんけれど、案外本格的に対抗ヒロインにはならないんじゃないかな、これ。
さて、主人公の一輝ですけれど、不遇ながらも実力は最強、というパターンなんですが、今回の敵の小物さは兎も角として、これまで周りの理不尽な抑圧に耐え続けてきた精神の強さを見せる一方で、当たり前なんだけれど酷い扱いを受け続けていたら心は傷いていて然るべきなんだ、というのを見せてくれたのは良かったですね。
誰も届かない高みに立っているのではなく、ふとした瞬間に弱さを露呈してしまう脆さを持った当たり前の傷つきやすい若者としての顔を見せてくれた事で、ステラにとっても離れた場所にいる人、というのではない、時としてどれだけ強くても自分が守ってあげられる人、という想いを手にできたんではないかと。声が届く、というのは大きいですよ。実感としても。そして、誰よりも孤独で在り続けた一輝にとっても、自分がすがり続けた生き方を全肯定して、理解してくれるステラの存在というのは思いの外大きかったはず。ラストの告白は、そんな二人の気持ちの合致を考えるなら、とても自然なことだと思えましたね。
……むう、なんか節度とか顧みない凄まじいイチャイチャカップルが誕生したのか、もしかして。二巻以降、場合によってはエライことになるやもw

あと、西京先生がちょっとこれ、キャラ良すぎでしょう。生徒会執行部の実にもったいぶったカッコつけた登場の仕方も見栄きりがイカしてて好きですけれど。お前ら、それは完全に噛ませとデレフラグだから。
【断罪のイクシード】を読む限り、この作者は脇サイドのキャラたちの扱い方がかなり好み、というかみんなそれぞれに映えさせるタイプなので、こうやってヒロインだけじゃなくキャラ増えるのは楽しみなことです。
結構、売れ行きも順調みたいなので、今度はガンガン行ってほしいなあ。

海空りく作品感想

彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。3   

彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。 (GA文庫)

【彼女の恋が放してくれない! 俺たちは手錠で繋がっているだけの健全な友達です。】 海空りく/有河サトル GA文庫

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戌亥慎太郎は、ある日突然不思議な手錠で女の子と離れられなくなってしまった。
 相手は地味な同級生の此花つぼみ――だが彼女は眼鏡を外すと超絶キュートな女の子だった!?

「戌亥さん、そのぅ、背中を洗ってくれませんか」
「いいぜ。後悔すんなよ」
「何されるんですかわたし!?」
「スベスベにしてやんよ!」

 絶対に外れない手錠のせいで、お風呂に入る時さえも、離れられない二人。
 おかげで幼馴染みや委員長には変な勘違いをされ、戌亥の青春最前線は大波乱!
 此花と『恋人』になれば手錠は消えるらしいのだが、そこには大きな運命の罠が!?

 ゼロ距離拘束ラブコメディ開幕!
前シリーズの【断罪のイクシード】の時から、この作者の掛け合いの切れ味と来たら、時としてシリアスな異能バトルの空気を台無しにしかねないほどの破壊力があって、毎回腹を抱えて大爆笑していたものでした。主人公の破天荒な性格などがあったとはいえ、かの作品がヘヴィーな設定の割に重く暗い雰囲気に陥らずに、爽快痛快な快作として完成した要因の一旦には、作者のあの底抜け漫才があったからだと今でも思っております。そんな海空さんですから、ある意味会話のキャッチボールが主体となるラブコメを書いたら、そりゃ面白くなるんだろうな、と常々考えていた所に、新シリーズは直球のラブコメという情報が流れてきたんだから、小躍りしたもんですよ。

さて、本作はサブタイや表紙絵にもある通り、手錠でつながれ離れられなくなった男女のお話。これ、さり気なく上手いなあと思ったのが、手錠が質量のある物質ではないという点。手錠に限らず、男女が繋がれて離れられなくなったというシチュ自体は決して珍しくありませんけれど、そういう場合に特に問題になるのが、手錠が引っかかって服が着替えられない事なんですよね。地味ですけれど、これって何気に大きいんですよ。幾らなんでも着たきりでは要られませんし、着替えようとしたら毎回服を切らなくちゃいけなくなる。自然と手錠などで繋がれる期間というのは精々一日二日、長くても三日以上はないということになってしまいます。案外と強制共同生活、みたいなネタには使いにくかったりするんですよ、手錠。ところが、本作の手錠は繋がって離れられない、という以外では物質は透過できるので服を着替えるにも普通に生活する分においても、少なくとも鎖が引っかかって邪魔になる、ということはありません。手錠が付いた手首が傷つくこともありませんしね。
というわけで、遠慮なく長期の共同生活を送ることになった戌亥とつぼみ、なのですが……え? これ最初からイージーモードじゃないの? わりと一緒にお風呂に入ることも抵抗がなかったですし、一緒の布団で寝る事も嫌がらず、とこの小娘、防御力がゼロに等しい気がするんですが。ちょ、無防備すぎだろう、これ!?
わりと最初から戌亥へのつぼみの信頼度は高かったのですけれど、それでもここまで無防備になるほどではないと思うんですよね。二人は当人同士の意識の上では殆ど初対面に近いですし、そもつぼみには他に想い人がいる状態。人間関係の距離感のとり方になれていないとはいえ、つぼみがここまで無防備で居られたというのは何故なのか。
本能的に、無意識的に桜が自分と戌亥を手錠で繋いだ意味を察していた、というのも大いにありそうですけれど、それに加えてやっぱり、つぼみの自虐性が大きかったんでしょうね、これ。普通、この手の女性としての防御力というのは、自分を守ろうという意識があってこそ。つぼみは他人への警戒心こそ強いものの、あんまり自分を大事にしてないところも見受けられるんですよね。だからあれほど無防備で居られたんじゃないでしょうか。
でも、この時点でもイージーモードじゃなかったのは、あとがきの次回予告もどきで、次回からは距離感も近づいてつぼみがイージーモードに入ります、というコメントからも明らか。ここからさらにチョロくなるって、どこまでイッちゃうんだろう。

この、メインヒロインの此花つぼみ。内向的で引っ込み思案で自虐的内罰的で大人しく地味で目立たないメガネっ子、のはずなんですが……何気に作中でも一番のマシンガン・トークの使い手なせいか、あんまり暗いとか鬱陶しいというイメージはないんですよね。自虐的な所も、戌亥や美咲が真面目に諭したりせずに、むしろ煽ったりおちょくったりするせいで、豚が来に登る勢いでつぼみ本人がギャグにしてしまってますし。なので、全体的にちょこまかと忙しなく動きまくる小動物的な可愛らしさを発散するヒロインになっている。
まあ個人的には海空りくのヒロインは愛でられる系じゃなくて、ガンガン主人公と対等に言葉の拳骨で殴りあうようなタイプを見たかったんだけれど、これはこれでアリと言えばアリ。結構簡単に暴走するアホの子ですしなあ。
今回顔出し程度であまり目立てなかった委員長あたりが本格参入してきたら、いい具合にかち合いそうで楽しみだったりする。ただ、幼馴染の美咲はなあ……いや、むしろつぼみを襲う変態として生き残りをはかる戦略は間違っていないか。

ちょっとストーリー展開はベタすぎて、もうちょっといい意味で予想外の方にすっ飛んだり、暴走してくれても良かったなあと思うので、最大の武器であるキレキレにノリの良い掛け合いを活かす形でさらに発展してくれれば、と期待するところ。

海空りく作品感想

断罪のイクシード 5.相剋の摩天楼4   

断罪のイクシード 5 −相剋の摩天楼− (GA文庫)

【断罪のイクシード 5.相剋の摩天楼】 海空りく/純珪一 GA文庫

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「……必ず取り戻す。今度こそは」
時の王権アイオーンを操る漆原に完膚無きまでの敗北を喫した大和は、去っていく静馬を止められなかった。
そんな彼に妹のましろから告げられた、自分の内に眠る魔王という存在とそれが引き起こした悲惨な過去、
そして魔術の闇などとは無縁であってほしいと願った、大切な人たちの想い。
だが、それらを知ったうえでなお、大和は決意する。静馬を取り戻すため、再び戦いに赴くことを。
魔界への門を開かんとする「小隊」と共に去った静馬。阻止しようとする護国課と傭兵イスカリオテ、さまざまな思惑が渦巻く中、
出会いの夜から始まった物語は一点へと集束していく!

こうして 大和の叱咤によって開き直り 自分の気持ちに正直になった静馬は ヤンデレになりました めでたしめでたし ……あれ?

おい、大和くんよ。あんた、とんでもない魔女を目覚めさせてしまったな。
まあそもそも、大和に平穏な生活に戻ってもらうためならば、世界を滅ぼすのも辞さない! 大和くんを危険な世界から遠ざけて平和な世界に戻ってもらうためならば、とりあえず死んでない程度に殺すくらいなら辞さない!!という冷静に考えると明らかに頭がどうかしている論理で敵側に合流した静馬さんである。大和くんラブが高じすぎて色々と頭が可哀想なことになっている静馬の愛が、直列で大和に向いたら……そりゃあ病むよなあ。
ただでさえ、三巻あたりで幼馴染が物凄い勢いでヤンデレ化しかけて肝を冷やしたというのに、最後に至ってメインヒロインまでヤンデレ化とは、恐ろしいなおい。とは言え、かつて穂波のヤンデレ化を豪腕の力技で叩き潰したキングオブチンピラの大和くんである。告白というには不穏当過ぎて犯罪に両足突っ込んでますよ、な静馬の宣戦布告にも動じないタマは実際大したものである。このぐらい精神的にも物理的にも図太くなきゃ、静馬と穂波の両方を相手に立ちまわるとか無理っぽい。普通の人なら多分一週間で心が死ぬなw 同時に社会的にも死に、肉体的にも脇腹辺りに包丁がプスプスと刺さって死にそうなので、まともな人間ならオールラウンドで死にそうです。やばいなにそれ、面白そうw


ふと我に返ってみると、昨今珍しいくらいの中二病全開のワード満載のバトルアクション。冒頭から飛び交いまくるアレなルビに、突き抜けた固有名詞。明日香姉ちゃんの秘奥義なんて、もうこれでもかと言わんばかりのアレな内容なんですよ。
でもね、これが素晴らしく面白くて楽しくて、燃えて滾って清々しい。この手の諸々に付随する、こっ恥ずかしさを感じることが一切ないのだ。痛々しさや思わず身体が痒くなるような感覚とは程遠い、痛快にして爽快な気持ちよさ。堂々と胸を張り、「どうよ?」とばかりにドヤ顔で片目をつむってサムズアップするかのような自覚を伴うノリの良さが、読者である此方の気持ちも一緒にノリの中に乗せてくれるのです。そういう意味においては、本作は決して中二病の発症例などではなく、あくまでそれを入力諸元として見事にエンターテインメントに昇華した、自意識の暴露などではないあくまで読み手を楽しませることに徹底した、極めてプロらしい娯楽作品と言えるのではないでしょうか。
それは、登場キャラクターの描き方にも描かれていて、話の展開としてはもっと暗くてドロドロして内省的な雰囲気になってもおかしくないものなのに、チンピラ大魔王の大和を始めとしたメインのキャラクターは、重たい空気を吹き飛ばすような、良い意味で突き抜けた馬鹿どもで、彼らの言動は常にジメッとなりかけた話の流れを、拳ひとつで痛快にぶん殴ってくれたのでした。お陰で、殺し殺され裏切り信じ、罪と罰に塗れ引き継がれる負債を負い信念に寄りかかって愛に潰され、となかなかにハードな展開だったにもかかわらず、最初から最後まで胸がスカッとし、痛快さに背筋を痺れさせる事に終始したのでした。
全く以て、徹頭徹尾楽しみ倒せる、痛快な娯楽作品だったのです。
やったなあ、作者さん。最高でしたよ!! 堪能した。しゃぶりつくした。味わった! 文句なしに、面白愉快なエンタメでした。ご馳走様です。

大和と静馬のすっとぼけた夫婦漫才の掛け合いに代表されるように、キャラ同士のやり取りの突き抜けた面白さは折り紙つきの海空さん。次作はドタバタラブコメみたいですけれど、常々この人のコメディは是非に読んでみたいと思っていただけに、待ち遠しいったらありゃしませんがな。絶対面白いよ、うん。

海空りく作品感想

断罪のイクシード 4.蠢く双頭の蛇4   

断罪のイクシード 4 −蠢く双頭の蛇− (GA文庫)

【断罪のイクシード 4.蠢く双頭の蛇】 海空りく/純珪一 GA文庫

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「大和くん。――私、彼らの元へ行くことに決めたの」
 白き魔女・東雲静馬はそう言って、一方的に別れを告げた。


 大和に隠された秘密を知ってしまったがゆえに、彼に理由を告げないまま去ろうとする静馬。そんな彼女を力ずくで止めるため、大和は式刀・破錠を抜き放つ。
 一方、マリンコスモスの悪魔化が解除され危機を脱したかに見えた枩原市は、新たな脅威に見舞われていた。展開した護国課や鬼兵隊の前に新たな逆十字たちが現れたのだ。
 それは、漆原の率いる『小隊』の『落日作戦』が本格的に始まったことを意味していた。

 それぞれの想いが交錯する、シリーズ第4弾登場!
メインヒロイン、思いっきり主人公にヘタレ呼ばわりされてやがる(笑
確か、静馬は大和のために全てを投げ棄て、自分を犠牲にして世界すら敵に回して血の涙をこらえて敵側に回ったはずだったんだが……普通なら主人公はそんなヒロインの為に歯を食いしばって困難を乗り越え、最終的に濃厚なロマンスが盛り上がって、ラストは愛が世界を救うみたいなラブラブなクライマックスになるものなんだが、大和が主人公だと過程は一緒でも終わりは静馬を指さして「やーい、へたれへたれ」と小馬鹿にしまくって逆ギレされて半殺しにされそうだ。うん、容易に瞼の裏に浮かんでしまう。このチンピラ主人公ときたら……。

しかし、燃える。クライマックスに入ってこれでもかというくらいに激烈に盛り上がりまくってる!! 敵から味方から、脇役からモブキャラに至るまで皆が皆まで熱すぎる! 特に、単なる「小隊」の引き立て役でやられ役かと思われた護国課の一般兵たちの熱いこと熱いこと。敵の策略に引っかかり、魔術への抵抗能力を失って殆ど無力に陥ってしまったにも関わらず、それでも決死の思いで圧倒的な敵に抗い、立ち向かっていく護国課見廻組たち。同じく、背後にマリンコスモス事件の被災者たち一般人を守り、不利極まる状況にも関わらず絶対に民間人を傷つけさせないという矜持を以て戦う明日香姉を筆頭とした鬼兵隊。
完全に罠に嵌められた絶望的な状況にも関わらず、誰一人として諦めず、闇側の国の守人であり何より無辜の力なき人々を守る醜の御盾であらんとする姿には痺れた。もう、純粋にかっこいい。
これで、それでもやられてしまったのなら無力感に苛まれてしまうのですが、裏から巧妙に引かれたアメリカと結社の陰謀の糸を、まさに一刀両断して断ち切る大逆転の一手が。それも、対処療法なんかじゃなく、策略を逆手に取る形で事前に仕込みを済ませていての、痛快極まる形勢大逆転! もう、東さんがかっこ良すぎる。何この人、イケメン? イケメン?
その東さんの陰謀を防いだ一手も、元を正せば謀殺されたに等しい結城隊長の仇を取るため。無念を晴らすため。となれば、故人の意思は確かに東をはじめとした元小隊メンバーに受け継がれていたわけで、その死は無駄ではなかったわけだ。執念成就し、敵に見事に一泡吹かせて復讐相成る。アメリカと結社にはこれまでずっと首根っこ抑えられて良いようにやられていただけに、これは本当に痛快だった。

そして、本来なら魔術世界に関わることのない、本当に無力なはずの一般人である大和の友人たち。その連中の活躍っぷりと来たら。梶くんにしても京子にしても、あんたら、肝据わりすぎ!! 青磁からして、前回魔術関係者相手に素手ゴロかましてたもんなあ。これは類は友を呼ぶ、というに値するんだろうか。

その類の大本であるところの藤間大和は……もうこいつたまらんわー。このチンピラ大魔王は、主人公としてあまりにぶっ飛んだキャラクターだけれど、これほど真っ当で熱い主人公も居ないよなあ。どれほど陰惨で業深く、ドロドロで闇に沈んだ魔術の世界に浸り、絶望的な運命にさらされても、あくまで喧嘩上等のチンピラでヤンキーでガキ大将なロジックから小揺るぎもしない頑徹さには、もう惚れ惚れします。こいつは、チンピラだからこそいいんだよなあ。そのむかつく奴は殴り倒すだけと言わんばかりの高尚さの欠片もない矮小とすら言える世界観は、漆原のような志高い者たちからすれば唾棄すべき在り方なのかもしれないけれど、それも貫き通せばここまで輝くものなのか。もう無茶苦茶かっこいいっすよ、大和さん!

……と、思ってた時期が確かに一時、ありました。だ、駄目だ、こいつやっぱりどうしようもない馬鹿だw
おまっ、あそこまでかっこ良く最終決戦に向けて飛び出したくせに、なにやってんだあほーー! クライマックスで大盛り上がりに盛り上がったところで、ひっくり返って笑い転げてしまったじゃないか!! 締まらないにもほどがあるわ! それ、ある意味定番ネタだけれど、ここまで切羽詰まったクライマックスでやらかした奴はそうそう居ないよ!! せっかくのニア合流シーンにも関わらず 台・無・し! である。
やっぱ面白いわー。シリアスな展開の合間に挟まれる、ちょっとしたギャグやコメディの掛け合いがほんとに面白い。冒頭の静馬と大和の敵対シーンからして、色々と酷い。主人公とメインヒロインが悲壮な決意で敵対するシーンのはずなんだが……なぜ大和の腕を孫の手にすることにこだわる、このヒロインw
ほんとにこの女、大和にベタ惚れなのか?(笑
まあ、彼のために結果的に世界を滅ぼす形になっても構わないとまで思い定めたり、最後に掲載されていた外伝でのブチ切れっぷりを見たら、彼女の気持ちなど明々白々なのですが……でも、あの大和のチンピラな性格と静馬の弄び系ボケ趣味を考えると、はたして甘酸っぱい展開は期待できないかなあ。でも、この二人の丁々発止はそれはそれでニヤニヤできるんですけどね。
どうやら次の巻でこのシリーズは完結のようで……うう、残念だなあ、もっと長く付き合いたかったなあ、と悶えるばかりなのですが、でも最終回に向けてテンションあげあげでここまでキてますし、このまま最後まで突っ張って欲しい。今回もめちゃくちゃ面白い痛快娯楽活劇でした、はい。

2巻 3巻感想

断罪のイクシード 3.−神の如き者−4   

断罪のイクシード 3 −神の如き者− (GA文庫)

【断罪のイクシード 3.−神の如き者−】 海空りく/純珪一 GA文庫

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「大和ちゃんには……もうわたしは必要ないんだね」

 夏休み――大和たちは、巨大マリンパークに遊びにきていた。最近なぜか沈みがちな幼なじみの穂波を、不器用ながらも励まそうとする大和。だが、そんな彼の前に、またも魔術の闇に属する人間が現れる。穂波や友人達まで巻きこんで巨大な霊災を引き起こそうとする敵に、大和は真っ向から勝負を挑むが――!?

 一方、遊びの誘いを断って淡郷声劼料歃をしていた東雲静馬は、ついに大和の秘密の核心に辿り着く。そしてそんな静馬に対しても、新たな脅威が迫ろうとしていた。

 風雲急を告げるシリーズ第3弾!
いいなあ、これは面白いなあ。亡国の怨念滾らせる旧帝国陸軍の特戦隊とか、暗躍する合衆国とか、ヤラレ役じゃなくきちんと活躍してくれる日本の魔術戦集団とか、これぞ痛快娯楽伝奇アクションってなもんですよ。最近こういうワールドワイドに魔術サイドの設定をカッチリと組まれた上に国際的なパワーバランスをしっかりと描いた大上段の伝奇異能モノって案外なかったりするので、こんな風に凝ってくれると美味しい限りである。特にアメリカの扱い方がイイんですよね。魔術など千年単位の歴史の積み重ねが必要になる要素を中心にしている物語って、どうしてもアメリカの存在が宙に浮くパターンが目に付く。あれだけの大国にして国際的な影響力を表に裏に誇っている強国の存在を遊兵にしてしまうのは勿体無いなあと毎度のごとく思っていただけに、この作品における実にいやらしいパワーゲームのスーパープレイヤーとしての役割の果たしっぷりには惚れ惚れしてしまう。今のところ殆ど前には出ていないのがむしろいいんですよね。背後でその存在を匂わすだけで、しかし状況をほぼ掌握し切って護国課、ひいては日本を謀略の糸に絡めとってしまっている。むしろ姿を見せないことでアメリカという国家の凄みと威圧感をひしひしと伝わらせている。故にこそ、その思惑を打ち破らんと二手三手先を読んで動く若手官僚たちの才の切れ味も栄えるというものです。その彼らの切り札として、二巻で活躍したニアたちが配されるというのがまた燃えるじゃないですか。
主人公と目の前の敵だけに焦点をかまけず、二重三重に輪を広げて舞台の土台を組むと、やっぱり話にもスケール感が出て面白くなるんだよなあ。
そうして外は外で着実に話を展開しながら、内は内でガッチリと大和と穂波の幼馴染の絆を再構成し、さらに静馬によって大和の秘密を解き明かしていくという二段構え。そこに、旧帝国軍の「小隊」を投入することで大和という男の揺らぎのない在り方とその根因を浮き彫りにし、そして彼に想いを寄せる二人の少女の想いの醸成を完成させている。見事な化学反応である。
と、話の構成だけでも基本を抑えているのだけれど、この作品の見所は異能バトルものとしては特筆に値する、むしろ駄弁り系でも最上位に放り込めるようなキャラクターの掛け合いの愉快さ、面白さでしょう。
ほんとにめちゃくちゃ面白いんだ、こいつら。
主人公からして、いい意味で「チンピラ」だもんなあ。二巻の終わりで幼馴染の穂波がややもヤンデレの気配を垣間見せたときは一体どんなドロドロした展開が待っているのかと思ったけれど、この主人公のやんちゃさとふてぶてしさはそんな弱っちい流れを許さなかったのである。大和って優しいけど甘くはないよね。大切なものほど甘やかさずにビシビシとやることをやり、言う事を言っちゃうヤツなのである。懦弱さを許してくれない、とでもいうのか。こいつ、チンピラの上にガキ大将だよな、性格。
ガキ大将の主人公ってタイプとしては珍しい気がする、うん。

話の方は、大戦争の前の前哨戦、というにはいきなりド派手な事になってますけれど、事件の大きさのわりにひどい事になる前に収集は付けれたので、やはり前哨戦と見ていいはず。それに、それどころじゃないまたぞろ凶悪な引きとなる展開がラストに待ってましたからね。
伝奇バトルっちゅーたら、これですよ、これ。

<殺し愛>。

愛するからこそ殺す。愛するが故に殺し合う。醍醐味醍醐味。まあこれは一種ヘタレの論理とも言えるので、大和の大将はお気に召さないかと存じますが。
けけけ、こりゃ激怒するぞー、大和ちゃん。お仕置き決定打な。

2巻感想

断罪のイクシード 2 ―牙を剥く闇の叡智(グノーシス)―4   

断罪のイクシード 2 −牙を剥く闇の叡智− (GA文庫)

【断罪のイクシード 2 ―牙を剥く闇の叡智(グノーシス)―】 海空りく/純珪一 GA文庫

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 深夜――藤間大和は一人の少女に出会う。大怪我をしているにも拘わらず、突然襲いかかってきた少女の髪からのぞいたのは、
「ねこ……みみ?」

 大和の反撃を受けて意識を失った少女を一応自宅に連れ帰り、静馬に相談したところ、少女はおそらく「人狼」であり、魔術秩序を乱す「逆十字」の手先であろうと告げられる。
 一方、大和たちの住む台東市で、魔術的な薬物が蔓延し始めていることも判明。二つの事象が繋がっていると考えた静馬と大和は、調査を開始するが――。

 再び訪れた超常の夜。魔術と策謀が渦巻く、シリーズ第2弾登場!
あれ? あれあれあれ? このシリーズってこんなに面白かったっけ!? なんか、目茶苦茶突き抜けて面白かったんですが!?
一巻はだいたいストーリーは覚えているけれども、ハッキリ言って殆ど印象残ってなかったんだが、この二巻はビックリするくらい面白かったです、いやびっくりした、びっくりした。なんで!?

とにかく、冒頭から日常パートにおける強烈極まりないボケツッコミの応酬が繰り広げられる掛け合いがすこぶる楽しいのだ。主人公の大和って、こんなにいい意味でも悪い意味でも突き抜けたお馬鹿でしたっけ? メインヒロインの静馬からして、陰のあるクールな美少女というファーストインプレッションはどこへやら、大和の大ボケ小ボケに血の惨劇ツッコミで血祭りに上げる、果てしなくイイ性格のお嬢さんに出来上がっちゃってるし。というか、この二人に限らず主人公の回復力がギャグキャラ並みに尋常でないことをいいことに、静馬にしても妹ちゃんにしても、ツッコミが凶悪すぎるんですが。特に妹、兄貴をナチュラルに簀巻きにして逆さ吊りにして一晩熟成するんじゃないw そして、そんな残虐非道なツッコミを度々うけながらもまったく懲りない大和先生。直情熱血バカとは言え、もう少しおとなしくなかったか? なんか、深刻にバカになってるぞ。しかも、口も悪いし。
でも、そのバカさ加減が気持ちいい。慢心ではな自信に裏打ちされた威風堂々とした態度、荒っぽくも温かい人となり。これはカッコイイですわ、異性同性問わず惚れ惚れしてしまうだろう古強者。でも、バカっぽさ故に畏怖されるよりも愛されるタイプですよね。可愛くて可愛がってくれる男の人、とでも言うのか。
ヤバい、楽しいですわ、これ楽しい。掛け合いがこれだけ楽しいと、そりゃ気分も盛り上がってくる。その高揚した所に、譲れない理由と信念の貫かれた熱い気持ちの篭ったバトルが舞い込んだら、ヒートアップも当然でしょう。いやこれは、痛快、痛快、すこぶる痛快異能活劇。
新キャラの結城ニアも、見た目のポワポワした印象と違って、やたら硬派な堅物キャラだし。というか、これキャラデザインとギャップが大きすぎるんですが。しかも、これ猫じゃないだろう。ワンコでしょう、明らかに性格。
ああ思い出した。何となく既視感があると思ったら、雰囲気あれにそっくりなんだ。GS美神の犬塚シロ。
これは自らを否定し嫌悪しただ復讐に身を焦がしていた少女が、自分を育て愛してくれた人が残してくれた想いと、新たに出会った二人の友人によって、誇るべき自分を見い出し未来を勝ち取る成長譚。
うーん、キャラが魅力的だ。
戦闘パートも、絶対的な能力と技量を備えた圧倒的に実力で上回る相手に、二重三重の罠を仕掛けて僅かな勝機を掴みとる、手に汗握る熱いバトルで読み応えがあった。実際、相手の力って殆どチートレベルなんですよね。使い手自身も決して相手を見下して力を抜くようなマヌケじゃなく、歴戦の猛者と言った感じで、どうやって勝つのか想像もつかないような戦況を、一手一手巧妙に、繊細に組み立て積み上げた裏の裏の裏を付く作戦で、まさに迫真でした。いや、面白かった。

ラストはまた、何やら不穏極まりない終わり方で、ドキドキ♪
この二巻の面白さは嬉しい予想外でした。これは化けたか? この調子で行ってくれるなら、GA文庫でも特に楽しみなシリーズになりそうです。
 

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