
ちょっと昔、って何年前まで許される表現なんでしょうね?
年齢を重ねるごとに、ちょっと前の基準はどんどんと古くなっていってしまうものです。
ハルヒは最近だよ!? 魔術師オーフェンはまあちょっと昔かな。スレイヤーズは結構前です。
これくらい?
さて、上に載せている作品は【源氏 物の怪語り】。作者は渡瀬草一郎さん。電撃文庫最盛期にて歴戦の幼なじみ作家として名を馳せた人物である。
【空ノ鐘の響く惑星で】、【輪環の魔導師】、【パラサイトムーン】など代表作は多々あるのですが、本作はデビュー作でもある【陰陽の京】と同じ世界観の作品であります。刊行は2012年。今から10年前になります。
というか、平安時代が舞台ですね。
しかも、主役は紫式部。ヒット作源氏物語を書き綴る売れっ子作家として宮中でも評判となる一方で、娘「賢子」に取り付く姉の幽霊とともに、当代の女流歌人たちの想いが化けてでた幽かな存在と関わり、人の想いに取り組んでいく物語。
紫式部や和泉式部など、歴史の向こう側にいる登場人物が、そこで生きて生活しているような生の息吹が強く感じられる作品なんですよね。歴史上の人物でもちゃんとそこに生きている生活感が凄く伝わってくる。一方で、肉体と精神の結合がどこか希薄でふとした強い思いに引きずられるように魂が肉体から離れて外をさまようような、どこか現実と夢の境目が曖昧な幽玄の気配がまたいいんですよ。
平安時代だからこその、あの儚くも美しい空気感。
悩める売れっ子作家であり、どこか生真面目な委員長気質で奔放な和泉式部と丁丁発止を繰り広げ、また夫に先立たれて愛娘を育てることに腐心する母親として、また自由な幽霊の姉に振り回される小娘な妹として、さまざまな顔を見せる紫式部が魅力的なんですよねえ。
これ一作で完結している作品なので、またおすすめです。




































































































































































































































































































































































































































































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