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瀬尾つかさ

魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 4 ★★★★   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 4】  瀬尾 つかさ/ 八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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アスヴァールの地に現れた新たな魔物ストリゴイ。
サーシャの助力もあり、ティグルとリムはからくも魔物を撃退したものの、滅ぼすまでには至らなかった。
そして、逃げ延びたストリゴイはティグルらギネヴィア軍と、魔物の殲滅に全力を注ぐアルトリウス軍を最大の障害と認識し、新たな影法師の大軍をそろえてアスヴァールを襲う。
ストリゴイと魔物の脅威を目の当たりにしたギネヴィアらは、アルトリウス軍との休戦と一時的な同盟の締結を模索するのだが――。
アスヴァールを取り巻く争乱の嵐は、おもわぬ方向へ吹き荒れる。
兎にも角にもラストの衝撃的な展開に触れざるを得まいてや。
まさに目の覚めるような横っ面をぶん殴るような展開で、別に弛緩していたわけじゃないと思うのだけれど、それでも冷や水を浴びせたような心地でありました。
いきなり初手から取り返しのつかない最悪、ではないのでしょうけれど、しかしじゃあ取り返しがつくのか?と言われると、やっぱりこれ最後の一線を越えてしまっていて取り返しつかないんじゃあ、という可能性も非常に高いんですよね。
サーシャの例を見るに決して自由意志が存在しないわけじゃないんだろうけれど、それでも彼女は明確にアルトリウス陣営の将として働いているわけですし、何より紛うことなく彼女は一度死んでいる。
円卓の他の騎士たちも含めて彼らの肉体、在り方が今、一体どのような状態なのか。それについても謎が深まるばかりで実態は見えてきていないだけに、安心できる要素は何もないんだよなあ。

ともあれ、一度逃げ延びたストリゴイはその能力で大量の影法師を生み出し、アスヴァール島の各所にそれを解き放って無差別に都市部村落を襲わせるという挙に出る。
さながらバイオハザードのごとくである。大量の人形をした怪物たちが押し寄せてくる、って銃火器の存在しない中世世界では悪夢に等しいんじゃないだろうか。
竜具やティグルの持つ弓などの宝具は存在するけれど、魔法使いが兵科として存在して軍隊に組み込まれている、というような異世界ではありませんからね。兵士や騎士の戦い方はあくまで槍と盾と弓ベースなわけですし。
強大な怪物、魔物が個別に現れて暴れる、という状況ならばティグルや戦姫のような特別な戦闘力を持つ戦士が討って出たら対処できるのでしょうけれど、影法師のような通常の人間よりも怪力という程度の怪物でもこんな風に大量発生して各地に波のように押し寄せてくる、みたいな状況になるとどうしても普通の人間の軍隊によって対応しないといけなくなる。
そんな状況下で、アルトリウス軍にしてもギネヴィア軍にしても、それぞれ独自に対影法師戦術を通常の軍隊として確立していくのは面白かったなあ。
ギネヴィアサイドは、ギネヴィアが姫鍛冶師!みたいなやっつけ仕事だけど竜の鱗を加工して影法師に通じる特殊な槍の穂先を作っていく、という特殊な対応はありましたけれど、武器は特別性にするにしても戦い方はあくまで集団戦術なんですよね。
人間のように意識らしい意識がないが故に士気崩壊しないものの、考えて動くことができないゾンビみたいな存在に対して、人間の軍隊と戦うようなやり方は通用しない、というのを実際に戦い被害にあうことで体得しながら、必死にそれに対応した戦い方を構築していく、というのは戦記物の醍醐味があってよかったです。
また、ここでティグルが指揮官となる騎兵隊の活躍も目立つんですよね。自分ひとりで弓打ってりゃいい立場と違い、騎士たちを従え指揮して戦わなければならないという経験はティグルにとって新しい見地となっていくのである。幸いにして、竜殺しの名望のおかげで騎士たちの忠誠心はマックスなので言う事を聞いてくれない、という事はないのですが。かといって何でも言う通りしたがってくれるのかと言えばそうではなく、ちゃんと副官相当の騎士が苦言を呈してくれるんですよね。何かと一人で飛び出してしまいガチになるティグルにとっては、自分に全幅の信頼を寄せてくれながら一方で言うべき事はちゃんと言ってくれる相手というのは大変ありがたい存在なのですが。
これまではリムがべったりとその立ち位置にいましたけれど、今回は騎兵遊撃隊の次席指揮官として別働隊を率いて動くことも多かったですし、一緒にいればいたで前以上にこう、男女としてのべったりとした雰囲気が出てしまうようになってきただけに、なかなか今まで通りとはいきませんでしたからね。
しかし騎兵は騎兵で独自の対影法師戦術を編み出していくのも面白かったです。ティグル、妖精から力を分けてもらったおかげで他のシリーズよりも容易に弓の力を引き出して使えるようになっているので、もう弓兵というよりこれ砲兵じゃない? という戦いっぷりで、もうこれ砲撃じゃね? という勢いで爆裂する弓を打ちまくってましたね。
その爆撃で影法師の集団を乱したところに、騎兵によるランスチャージを突っ込ませて敵の戦力をこそぎ取っていく。常に騎兵の衝撃力を失わせないようにしながら、突撃と離脱を繰り返す戦いっぷりはまさに騎兵という感じでしたねえ。

対ストリゴイ戦も、円卓の騎士ガラハッドとボールスと再び共闘することが出来ましたが、こうしてみるとアルトリウスと円卓の騎士たちは未だ主従ではあっても、円卓の騎士たちかなり独自に動いているんですよね。
過去の円卓の騎士たちはあくまで魔物を倒すために動いている、と見るべきなのか。そうなると、ガラハッド卿がどう動くのかわからないんですよね。今更、アルトリウス陣営に寄ってティグルたちと対立する図があまり思い浮かばない。
さても衝撃的な展開で、アルトリウスとの対決は絶対に避けられないものになってしまいましたけれど、果たしてどういった決着を迎えるのか。救いはあって欲しいけれど。


魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 3 ★★★☆   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 3】  瀬尾つかさ/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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ギネヴィア軍の先遣隊は偽アルトリウス派の支配する町を攻め落としたが、円卓の騎士サーシャの率いる部隊の反撃に遭って敗れ、町を奪還されてしまった。
両軍が睨みあいに入る中、ティグルとリムはアルトリウスに対抗する術を求めて、古い時代の神殿を訪れる。猫の妖精ケットの導きによって、二人は過ぎ去りし時代の一風景を垣間見た。
アスヴァール島を統一すべく、王を名のって戦い続ける若きアルトリウス、彼を支える勇敢な騎士たち、アルトリウスを愛する少女ギネヴィアの姿を。そして、アルトリウスの腰には二振りの剣――双紋剣があった。
歴史に語られることのない存在が、悪意をもってアスヴァール島を呑みこもうとする。ティグルとリムは抗うことができるか。

打ち捨てられた古代神殿の遺跡を訪れると、アルトリウスの時代の情景がティグルがアルトリウスに、リムがギネヴィアに憑依する形で追想することが出来るので、アルトリウスの情報を得るために一路古代遺跡を調べる旅に、とさながらRPGの王道クエストのような展開に。
これ、あとでギネヴィア王女ゴネるんじゃないですか。円卓マニアの彼女からしたら、垂涎のフィールドワークじゃないですか。なんで連れてってくれなかったんだ、とめがっさ拗ねそう。
まあ過去追想では、アルトリウスの奥方になる少女ギネヴィアが引っ切り無しに登場するのでギネヴィア・ギネヴィアで混乱してしまう、という事情もあるのでしょうけれど。過去追想ではリムがギネヴィアに入り込んでしまうわけですから、ギネヴィアが二人いるとさらにコントンとなってしまいますし。
というわけで、伝説の向こう側のアルトリウスの真実の歴史を追いかけることに。そこでは、アルトリウスが元々羊飼いの出身だったり、王妃ギネヴィアと湖の騎士ランスロットの関係の真実が明らかになっていくのだけれど……こっちのランスロットもなんかこう最強の騎士ではあるんだけれど、残念系の人だったんだなあ。ただ、ギネヴィアとランスロットがそういう間柄だったというのなら、彼がギネヴィアに執着するのも無理からぬ所なんですよね。
あと、驚きだったのが現在リムに託されている双紋剣、前の使用者はアルトリウスだったのか。
円卓騎士団の王様の剣と言えばかの聖剣が一番有名なわけですし、実際この世界でもそのように語られていたはずなのですが。リムもえらい剣を預けられたもんだ。
しかし、せっかく憑依して当時を追体験しているのに、弓使いのティグルがアルトリウスに成っていたら、双紋剣の使い方とか体感してもあんまり意味ないんですよね。リムが体験しないと。
濡れ場ばっかり体験しちゃってまあ。挿絵の方、完全に致しちゃってるんですけどw

ともあれ、情報を集めるうちにまたぞろ魔物と遭遇して、サーシャと共闘することになったのだけれど。やはりサーシャとは、敵として戦うよりも味方として一緒に戦ってくれた方が嬉しいなあ。前作の方では病気故に万全で戦えること無く終わってしまった彼女の、その戦姫最強の力を実感するのは敵よりも味方の方がいいですもんね。
元々、リムとも知己であり友人関係と言っていい間柄だった訳で、現状立場的に対立しているとはいえ心情的には恨み辛みがあるわけじゃないですしねえ。
ただこれ、魔物相手、悪い精霊相手では共闘出来るというのは、サーシャでなければ出来なかった、とはイイ難いんですよね。そもそも、復活したアルトリウスたち円卓の騎士の大きな目的が魔物の討伐にある、というのは彼らも明示している事ですからね。
ただ彼ら側の事情が明らかになってきても、どうしてアルトリウスが現王家をここまで敵視して軍勢を挙げて国を乗っ取るまでしようとしているのかが未だにわからないんですよね。他の復活した円卓の騎士たちは魔物の討伐が第一目的みたいなんだけれど、アルトリウスの行動だけが妙に浮いているんだよなあ。
でも今回のサーシャへの命令なんかを見ても、その背後に悪しき精霊であるマーリンのかげがあるようには見えない。マーリンがいったいどこまで関与しているのか。サーシャに直接干渉してきたのは凶悪ではあるんだけれど、黒幕として背後で万事を操っているのならここで無理に顔だしてくる必要もないと思うんですよね。あれはあれで結構強引だったと思うし、アルトリウスはこうしてみるとマーリンと通じているとも言い難いわけで。
ともあれ、表の敵はアルトリウス、暗躍しているのはマーリンというので間違いなさそう。少なくとも戦うべき敵の姿は浮き彫りになってきたか。
でも、魔物もいるんだよなあ。あれはあれで、精霊たちとはまた別口っぽいし。あれらは大陸由来っぽいしなあ。そのためか、精霊から託された双紋剣は邪精霊や死霊特攻で、ティグルの弓やサーシャの竜具は魔物特攻という特性の違いが。
あ、あの双紋剣の特殊合体ギミックは正直アガった。ああいうの、やっぱりカッコいいじゃないですかー。

あと、猫の王様お魚食べすぎ問題。子猫の姿のくせに、ちょっと要求が欲張りすぎである。いっぺんに三匹とか食べてないだろうな。太るぞ、精霊だろうと。
とはいえ、かわいい。生意気尊大にゃんこかわいい……。



魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 2 ★★★☆   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) 2】 瀬尾 つかさ/ 八坂ミナト ダッシュエックス文庫

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ティグルとリムはアスヴァールの王女ギネヴィアに助力し、三百年前から蘇った始祖アルトリウスと戦うことを決意する。そしてついにギネヴィア派と偽アルトリウス派の決戦の火蓋が切られた。会戦でティグルたちの前に立ちはだかる敵将は、かつてのジスタートの戦姫、サーシャと呼ばれていた女性。「僕は死んで、蘇った」神器を持つサーシャの圧倒的な剣技と体術に苦戦を強いられるティグルたち。彼らの苦境を救ったのは、あまりにも意外な人物だった。「空間エザンディスの力か」円卓の騎士サーシャの言葉と共に、戦いは更なる次元に突入する!


サーシャの復活で、新旧双剣の戦姫対決だー! と無邪気に喜んでたんですが……あのぉ、サーシャの最強度合いが想像より桁2つくらい上だったんですけどw
新旧対決どころじゃないよ! 双剣使いというと、どちらかというと技倆重視の軽量ファイターという印象だけど、もうこれ呂布じゃん!? というくらいの豪傑っぷりで。
膂力があがったのは復活してかららしいのだけれど、スピード、技倆、パワー全部別次元ってなんですかこれ。後書きでもサーシャの強さについては語られているのですけれど、総合するとロランに匹敵するって事ですよね。
ただでさえ手に負えないのに、これでアルトリウスはもっと強いとか、どうするんですかこれ?

ただ、幸いなことにサーシャみたいなのがゴロゴロと集まった円卓騎士団集結、突撃ーー! という有様にはなりそうにないんですね。
ようやくアルトリウス側の内実が描かれだしたのですけれど、確かに過去ではアルトリウスは王であり、円卓騎士たちは臣下として彼に従っていたのですが、この時代においては一応主従ではあるものの、復活した目的については厳密な所でアルトリウスと円卓の騎士たちは異なっているようで、そのまま配下の将軍として付き従う、という様子ではないということ。
そもそも、どうも魔物を相手にすることを主目的としているようで、むしろアルトリウスが本来の復活の目的からはズレた意図の読めない行動をとっている、という事らしい。
モードレッドがむさいおっさんで出てきたときには吹いてしまったけど。いや、Fateシリーズではなくても、モードレッドってアーサー王の「息子」という扱いだから若い騎士、という印象だったんですよね。いや、ここで出てきたモードレッドも実際は肉体年齢的には若者なのかもしれないけど、挿絵のデザインむさいおっさんなんだよぉ。しかも、見事なくらい噛ませ犬の小物だし。
そういえば、この世界での円卓騎士団はモードレッドの反逆で潰えた、というわけではないようで。そもそも、アルトリウスとモードレッドは親子関係ではないようなんですよね。むしろ、この関係は外部からお目付け役で派遣された軍監みたいな?
どう見ても悪そうな黒幕が別にいるので、アルトリウス自身はしたたかながら清廉な王様のようだし、何を目論んでいるかわからないにしても決して邪悪な事を企んでいるのではないのだろうけど。
でも、それはそれとしてギネヴィアの家族など王族を鏖殺しているわけで盛大に血は流しているのだが。あの殺戮には何らかの理由があったのだろうか。もし、魔物の討伐が目的なら、アスヴァールの征服は必ずしも必要とは思えないし。いや、どうも魔物は各国の上層部に食い込んでいるらしいし、ブリューヌはあいつだとして、ジスタートは誰なんだろう。
ともかく、ギネヴィア側との和解はどうしたって無理なようで。
そんなアスヴァールを二分する争いの片方を担うギネヴィア軍を事実上差配しているのが、若き公爵令嬢リネット・ブリダイン。
なにこの政治チート娘はw この若さ、わずか16歳で立派に宰相職をこなして、というか宰相職どころじゃないですよね、ほぼワンマンフリート状態。父親のブリダイン公爵が軍に参加してようやく一息ついているようだけれど、ほぼ彼女ひとりでギネヴィア派は持っていたようなもので、すげえなこの娘。
ちなみに、川口先生が手掛けるシリーズでは彼女の存在は見受けられないのだけれど、この娘が居ると居ないとではギネヴィアの政治基盤の強固さがパンケーキと大理石くらい違いそうなんですよね。
あっちのギネヴィアはまだ政治できそうな器用さを見せていたので、何とかなるのかもしれないですけど。
何れにしても、過労死しそうな勢いで八面六臂の働きをしていて、リネットさんの存在感が半端なく、またティグルを竜殺しの英雄として活用する手練手管も練達で、挙げ句にティグルへのアプローチも軽快快活と来て、これリムさんぼんやりしてたらヒロイン食われますよ!?
冗談めかしてますけど、わりとガチでティグルの事捕まえられたら捕食するつもりですし。まああんまり目がないだろうなあ、と冗談で済ましている節もあるのですけど。

猫の王というケット・シーがティグル一行に加わり、登場人物みんなが寄ってたかってニャンコ詣でしてて猫ご満悦、はまあいいとして、猫の妖精が仲間になり、また敵も伝説上の騎士たちに、精霊たちもそれぞれにティグルたちに力を添え、とこのスピンオフの雰囲気はより濃厚な神秘の匂いのするファンタジーになってるんですよね。
それでいて、リネットの奮迅によって戦記物としてアルトリウス派とギネヴィア派の、中立派の貴族を取り込みつつ随所で戦いを繰り広げる本格的な国を二分する内戦ともなっていて、本編とはまた味の違うファンタジー戦記として、色々と漲ってきたんじゃないだろうか。
騎士ガラハッドと騎士ボールスの無口と多弁のコンビがまた仲良くて、まさに好漢という感じがして見てて気持ちよかったです。円卓の騎士がみんな敵、というわけではなかったのは何にせよホッとしましたよ。戦力的にも心情的にも。
さてしかし、サーシャとは明確に対決に向かっているだけに、ほんとこれどうやって対抗するんだ!!?


魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン) ★★★★   



【魔弾の王と聖泉の双紋剣(カルンウェナン)】  瀬尾つかさ/八坂 ミナト ダッシュエックス文庫

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ライトメリッツ公国の戦姫・エレンの下で働く弓使いの青年・ティグルと、エレンの副官・リム。故あって二人はいま、ジスタートに突如攻め入ってきた敵国・アスヴァールの真っ只中で孤立していた。
そこで二人は、アスヴァール王女ギネヴィアから、信じられない話を聞かされる。三百年も昔の人間であるはずのアスヴァール建国者・アルトリウスが蘇り、瞬く間に国を掌握してしまったというのだ。
ギネヴィアに協力することになった二人だったが、その前に、ティグルを上回る弓の力を持ち、そしてティグルのことを「今代の王」と呼ぶ謎の男が立ちはだかり――。
魔弾の王VS魔弾の王。異国の地で、かつてない戦いがティグルとリムに迫る。

エレンをメインヒロインとするシリーズを最初に、現在ミラをメインヒロインとする「凍漣の雪姫」シリーズを現在手掛けている原作の川口士先生ですけれど、新たに瀬尾つかささんを筆者に迎えてエレンの副官であるリムをメインヒロインとして新たに繰り広げられるスピンオフというより、完全に新シリーズとなるのがこの「聖泉の双紋剣(カルンウェナン)」であります。
最初はリムがヒロイン!? と、仰天しましたけれど、よく考えるとリムも第一シリーズでは戦姫となる歴史があるだけに、戦姫としてヒロイン張る資格はちゃんとあるんですよね。
それも、ティグルと同じく完全に無名で無冠の所から一緒に成り上がっていくことになるわけだ。
しかしエレンの副官という重要な立場である以上、なかなか自由に動けないだろうにと思ったら、まさかのティグルと二人でのアスヴァールに迷い込んで遭難という事態に。なるほど、これならエレンという星の輝きから解き放たれ、ティグルも他の戦姫と関わる事なく下積みする事ができるなあ、と。
下積みどころではなく、本作ではいきなり竜殺しとしての名望を得て、それを振り回しながら戦う羽目になるのだけれど。
初っ端から英雄として持ち上げられ、その名望に違わぬ活躍を続けるティグル。対してリムは何も持たない所からはじまる。エレンの副官、というよりもう次席司令官であり政務官という公国の実質的なナンバー2であったリムですから、その組織管理能力は際立っていて、偶然行き合い一緒に戦うことになるギネヴィアの立ち上げた反乱軍の、まさに要として活躍する事になるリムなのですけど、その縁の下の力持ちという立場に今まで以上に悩むことになるのです。
まだ子供の頃、傭兵の時分からエレンと共に生きてきたリムにとって、戦姫としてのエレンは親友であると同時にどうしても遠ざかってしまった存在でした。そのことに寂しさと焦燥を感じていた彼女ですけれど、そういうものだと受け止めてもいた。
一方でティグルの事も、このシリーズではリムが最初に見出しアルサスからライトメリッツ公国へと自分が連れてきた存在でありました。前作でも教育係としてティグルに付きっきりでともすればメインのエレンよりも一緒に居たリムですけれど、アスヴァールに飛ばされた今作では文字通り二人きり。二人三脚でサバイバルしなくてはいけない状況になり、よりお互いの存在が他に比べるもののない無二の相手となっていきます。
だからこそ、余計にリムもより切実にティグルの隣に立ちたいという想いを持つことになる。支えるだけではなく、共に並び立って戦いたい、生きたいと願うようになる。
その願いが、彼女の手元に双紋剣を呼び寄せることになるのですが……。神器を手にして戦う力を手に入れながらも、リムの自己評価ってずっと低いままなんですよね。いやもう他の人からシてもティグルからしても、リムってば何でもできるし万能すぎて彼女抜けるとあらゆるすべてがどうしようもなくなってしまう要も要の重要人物、という扱いなのですけれど、ずっとエレンの輝きのもとでやってきたせいかそのあたりの自己認識低いんだよなあ。
でも、そんな自己評価の低さを受け入れて、縁の下の力持ちでいいんだと受け止めていたのがこれまでの彼女なら、そういう自分を脱却したい、ティグルの隣に立ちたいという願いを自覚し、求めるようになったことが彼女の成長であり新たな献身の形なのでしょう。これもまた、可愛い話じゃないですか。
お堅いリムさんが実は可愛いもの好きでぬいぐるみに目がない、というあたりもティグルさん目ざとく拾ってポイント稼ぐの欠かさないあたり、ティグルはリムのことよく見てます。見ているのがほぼリムだけでいい、というのもあるのでしょうけれど。

しかしこれ、厳密に言うとリムって戦姫になったわけじゃないのかしら。同じ双剣でも竜具である「煌炎」バルグレンではないっぽいんですよね。リムの双紋剣(カルンウェナン)って。そもそも泉の精霊から頂いたものですし、双剣の持つ能力もバルグレンとは違っているっぽい。
それはそれとして、まさか「彼女」とリムが戦うことになるとは想像だにしてませんでしたけど。いや、このシリーズの敵が死者から復活したかつての歴史上の英雄たちだったとしても、それは思い至らなかったですよ!
「凍漣の雪姫」シリーズではかつて見ることの出来なかった最強の騎士ロランの活躍を改めて堪能できていますけれど、今作ではもう一人の見ることの叶わなかった「最強」の真価を目の当たりにできるのか。それが敵というのはたまったもんじゃありませんけど。

そして、「凍漣の雪姫」シリーズに引き続き出番ありまくりなギネヴィア王女。「凍漣の雪姫」では兄弟と争うことに後ろめたく複雑な想いを抱いている様子がありましたけれど、今作では身内同士での争いではなく家族の敵討ちという側面もあるだけに、あちらのシリーズよりも後ろ暗さなく背筋がピンと伸びた英雄らしい振る舞いを得ている気がするんですよね。派閥争いなどの変な政治バランスを気にする段階でもないですし。リネットなどの同じ趣味を持った気心のしれた有能な腹心がいる、というのも大きいのでしょうし。にしても、他の戦姫よりもよっぽど出番あるようになってしまったなあ、このお姫様。

瀬尾つかさ作品感想

監獄勇者のやり直し 2 貶められた最強の英雄は500年後の世界を自由に生きる ★★★☆   



【監獄勇者のやり直し 2 貶められた最強の英雄は500年後の世界を自由に生きる】 瀬尾 つかさ/平井 ゆづき 富士見ファンタジア文庫

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世界を救った不死の英雄・コガネ。時代の皇帝の謀略により無実の罪で監獄城に幽閉されたコガネは、誰からも忘れ去られ、悠久の時を生きながら、500年後に脱獄を果たした―。七人の勇者の一人・聖女ミルを救い出したコガネは、次に極東の地・ホウライへと向かう。しかし、そこで知ったのは、仲間の死。不死となったはずの狩聖バハッダと聖盾ヘリウロスはどうやって死ぬことができたのか。そもそも彼らが本当に死んだのか、コガネは情報収集を行ううち、ホウライの一領主にまで昇りつめることになり!?完全×無敵の未来転生クライムファンタジー、待望の第二巻!

五百年間、孤独に為政者やってたミルさん、自由になって不死の呪いからも解き放たれて好きな人と旅する現状にウハウハなのか、やたらとテンション高いまんまで実に楽しそうでよかったですw
元々ほわほわと笑う姿が似合う柔らかい雰囲気の娘さんでしたけれど、やはり永年の孤独に蝕まれて登場時には疲れ切ったような悲壮感がありましたからね、この巻のミルは本当に伸び伸びしていて、それ以上に若干フリーダムになってて、解放感って偉大だね。
思えば、コガネも幽閉から解放されたあとはかなり自由な気風になってて、勇者真面目にやってたころの使命感とか責任感みたいなものを背負うことなく、伸び伸びとやってる風だもんなあ。
とはいえ、当時の方がコガネもミルも暴走しがちだったようですけど。この二人、七人の勇者パーティーの中じゃあ短気直情のトップ2だったわけね。何かあると状況弁えずに突っ走っちゃうのがこの二人だったのか……いや、今押さえ役がいないんですけどw
これで昔のままなら結構酷いことになってたのかもしれませんが、コガネもミルも五百年なんの成長もなく過ごしていたわけではなく、コガネは忍耐を。ミルも為政者として現実と向き合い続けたお陰で清濁併せ呑む事もいっとき堪える事もしっかり覚えたわけで。
現実と戦えるようになった五百年醸造ものの理想主義者は強いぞー。孤独に心壊れかけてたとしても、理想の難しさに心折れることだけは終ぞないまま為政者として戦い続けた本物だもんなあ。
何気にアイシャも、前世の邪竜の記憶が甦るまでは王女として育成されてきたわけで、そりゃコガネよりは政治の適正あるのでしょうね。元々頭の良いお姫様だったみたいだし。
ただ、邪竜の記憶が戻った段階で竜的な雑さの方が押しているような気が。おまけにコガネもミルもどれだけ若い頃よりも精神的に余裕が出来たと言っても元々脳筋ですからね。いざとなると、考えるよりも動け、てなもんで現在の解放感に任せた自由さでノリと勢いで行っちゃえーってな所があるので……ほんと、抑え役がいねえ。
他の勇者たちって賢者とか魔法使いとか密偵とか、知恵者で思慮深くハラグロで、とかくちゃんと手綱を握って突っ走るコガネたちに方向性をちゃんと与えてくれる人たちだったようで、そういう人たちがおらずにコガネ、ミル、アイシャの三人でパーティー組んでるのって他の仲間たちの話や当時の自分たちのやらかしっぷりを語られれば語られるほど、今ヤバいんじゃないの? という危機感が。
でも、コガネたちこうして振り返って語れているように、今となっては自分たちの欠点や至らない所はちゃんと理解して反省もして、五百年の蓄積で手綱抑える部分というのはちゃんともうわかってるんですよね。
基本イケイケドンドンでありながら、我慢する所立ち止まるところ根回しする所などきっちり見極めて、ちゃんと自分たちで自制しているので、今は二人にアイシャをプラスというパーティーだけど、なんとか彼らだけでやっていけるくらいには練れてるんですよねえ。
ただ、問題がややこしくなると難しいこと考えるの俺らには無理ー! と、明るくほっぽりだして突撃するのはやめれw
かつての仲間の裏切りとか、陰惨な話になってくるのかなー、とも危惧していたのですが。どうやら誰一人としてかつての仲間たち、良き友のままだったようで。それはそれで良かったなー、という話なんですけれどてっきり不死の呪いにかかった仲間たち一人一人訪ね歩いていく展開だと思っていたのですが、なんかいきなり全員の消息に辿り着いてしまったんですが。
これもう、いきなり纏めに入っちゃった!?

なんか勢いで領主の座を乗っ取ってしまい、戦国ホウライの只中に一領主として参戦するという突然戦記モノ! な展開にもちょっと驚きましたけれど、邪竜の件についても一気に畳み掛けてきて、若干急ぎ足だったかなあ、と。フーカちゃんとか、本来がっつり出番あるメイン級のヒロインだったと思うのですけれど、中盤からの突如の登場になってしまってましたし。彼女の出自の重要性からしても、じっくり交流して両親の事とか、コガネたちの事どんな風に話されていたのかとか、彼女のキャラの掘り下げも含めて、打ち解けて心通わせるのにもう少し時間欲しいところでしたし。

ふーかビームはかなり面白かっただけに、もっと勿体ぶってここぞというウケる場面で使ってほしかったぞw

続き、出せられるなら出せれそうだけど、ここで終わるならこれはこれで、というキリが良いようなそうでないような終わり方で、一応続き出るという希望は持っていてもいいのかな。
いや、邪竜の真実やアイシャがこのまま霊気を引き受けていけばどうなるのか、フーカの両親の行方は、とかまだまだ謎を置いたままだけに、終わってもらっては大変困るんですけどね!
ともあれ、ミルさんがひたすら楽しそうなのが印象的な2巻でした。


監獄勇者のやり直し 貶められた最強の英雄は500年後の世界を自由に生きる ★★★★   



【監獄勇者のやり直し 貶められた最強の英雄は500年後の世界を自由に生きる】 瀬尾 つかさ/平井 ゆづき  富士見ファンタジア文庫

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世界を救った不死の英雄・コガネ。時代の皇帝の謀略により無実の罪で監獄城に幽閉されたコガネは、誰からも忘れ去られ、悠久の時を生きながらえていたのだが…
「これよりわれは、汝を時と肉の呪縛より解放する!」
500年後の未来。邪竜の転生体と語る謎の少女と共に脱獄を果たしたコガネは、時に追われ、時にかつての仲間たちと再会しながら、失われた人生を取り戻していく。手にするのは牢獄で練り込んだ莫大な霊気。一度伝説となった男は、今度は自分のために力を振るう。完全×無敵の未来転生クライムファンタジー、ここに解禁―!

これ、婚約者だった皇女さまが囚われのコガネの事に通い続けて、生涯掛けて彼のことを助け続けようとしてくれる、ある意味凄まじいとすら言える献身がなかったら、コガネって闇落ちしててもおかしくなかったんでしょうねえ。それくらい、あまりに理不尽な仕打ちだったわけですし。
牢獄に閉じ込められて以来、扉越しに顔を見せ合うことすらできないまま、嫁がされて子供が出来てもなお、コガネを救おうとし続けた皇女さま。老いてもう自分の人生が潰える時が来ても、コガネに希望を残し、また自分の子孫に彼を救えと願いを託したユーフェリア姫。彼女の人生はまさにコガネの為に費やされたと言ってもいい。それがコガネの心をどれだけ救ったか。
解放されたあとのコガネが怒りにも憎しみにも恨みにも囚われていなかったのは、皇女様の愛のおかげだったのではないでしょうか。500年後にコガネを解放しにきたアイシャは、ユーフェリアの遺言を伝え続けた子孫だったわけですし。なんの因果か、その少女は彼らコガネたち七人の勇者が倒した邪竜の転生体でもあったわけですが。
でも、ユーフェリアに姿がうり二つなアイシャは、コガネにとっても邪竜という敵ではなくあくまでユーフェリアの子孫という意識なんですよね。アイシャも、つい先日自分の国と家族を内乱によって失ったショックで前世の記憶が戻った、という状態ですので人間という自覚の方が強いみたいですし。
実際、尊大で偉そうに見える性格は邪竜っぽく演じているもので彼女の本質は優しく非道を許せない真っ直ぐなお姫様らしいもので、彼女自身人間としての記憶や思い出、感性を大事にしているようでもう人間になった以上は人間の敵対者にはならないつもりだ、と明言している。
一方で、七人の勇者たちに奪われた竜の霊気を取り戻すために、まずはコガネを助けて彼を不老不死の呪いから解き放ったわけですから、力を取り戻そうという目的はあるわけだ。そのたびに竜としての記憶も取り戻していくようなので、今後どうなっていくかは予断を許さないのだけれど。
でも、話を聞く限りだと竜も邪竜なんて言われてるけれど邪悪なもの、というよりも超自然的な存在だったみたいだし、今更人間として産まれて生活した価値観はなくならないみたいだし、パートナーとして信頼できる魅力的なヒロインなんじゃないだろうか。

そう、解放され自由になったコガネだけれど、恨みを晴らす相手となる帝国はユーフェリア姫がまだ健在の時代に滅び去っていて復讐の相手も八つ当たりの相手もいない状態なんですよね。
そんな彼にとっての心残りは、自分と同じく邪竜退治の影響で不老不死となってしまった他の仲間たち。邪竜の霊気を宿している以上、今の時代にも生き残ってるのは確かな話。アイシャも、自分の竜としての霊気を取り戻すために、コガネの仲間たちを探すつもりだったので彼も同行することになるのですが。
あらすじでは自分のために力を振るう、なんて書かれていますけれど、実際は力を取り戻したいとするアイシャを助けるためですし、かつての仲間たちが自分と同じように不老不死の呪いに苦しんでいればそれから解き放ってあげたい、という気持ちからなんですよね。ユーフェリアのお蔭で、負の感情から解き放たれているコガネは、だからこうして解放された今も自分以外の誰かのために剣を振るうことが出来る。過去に囚われずしがらみや因縁ではなく、自由な心で自分の望みとしてそれが出来る、というのがアイシャの快活なキャラに依るものだけではない、この作品が重く暗くならずどこか明るい雰囲気を携えているのではないでしょうか。

最初に再会を果たした仲間である聖女ミルが、いい意味で500年前と変わっていなかった事も、それに拍車をかけている気がします。彼女自身、500年の孤独にずっと苦しみその身を滅ぼしかけていたわけですけれど、なるほどあのほわほわとした笑い方が似合うキャラクター、というのは納得だなあ。ただ、彼女がいい意味で変わっていなかった、というの幸いではあるのですけれど、これ以降の仲間たちの再会には不穏がつきまとうのも確かなので、明るい話ばかりでは済まないかもしれませんが。
しかし、ミルって仲間ウチでも妹キャラで実際幼い方だったみたいなので、わりとちんまいキャラを想像してたのですけれど、巻末でのショートストーリーでアイシャと並んで描かれた挿絵だと、アイシャの方がだいぶちびっ子じゃないですか!? あれ? これミルが背が高いの? それとも、アイシャがちびっ子なの!?

ニートの少女(17)に時給650円でレベル上げさせているオンライン 2 ★★★☆   

ニートの少女(17)に時給650円でレベル上げさせているオンライン2 (角川スニーカー文庫)

【ニートの少女(17)に時給650円でレベル上げさせているオンライン 2】 瀬尾 つかさ/kakao 角川スニーカー文庫

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レベルアップは突然に。サラリーマンと17歳の同棲MMOライフ、第2弾!

MMOを愛するサラリーマン・石破真一は、居候ニートの水那と相変わらずのネトゲライフを過ごしていた。
クリスマスイベントの無能運営に文句を垂れ、職場の上司からの文句にこらえて、ついに迎えた正月はもちろんネトゲ。それと水那、お前はいいかげん風呂上がりは服を着て……
「わわわっ、見るなばかあ! し、真一のすけべっ」
なぜか乙女な反応を見せる水那。
それはちょっとした変化だったが、水那が目指す夢への挑戦(レベルアツプ)の前触れだったなんて――
「なあ、真一。あたしがいなくなったら、寂しいか」

レベルアップは突然に。ニート少女と同棲MMOライフ第2弾!!
主人公の真一、これだけ頭の中ネトゲばかりで形成されている重度のネトゲ廃人にも関わらず、実際のゲーム内ではトップランカーな攻略組には到底届かないエンジョイ寄りの緩いギルドメンバーって、これだけ廃人なのにゆるゲーマー扱いしかないって、ガチ廃人ってどれだけの頂きなのか!! 6000、7000メートルクラスの鋭峰に挑むガチの登山家クライマーみたいなものなのか。何%かの割合で遭難して帰ってこなかったりするレベルの挑戦者たちなのか。
真一ってちょっと頭がおかしいくらいのレベルの廃ゲーマーっぽいのだけれど、それでも社会人である以上時間の拘束は当然のようにあるわけで、やはり働いたら負けなんですよねw
ガチの攻略組だった絵里子が度々プレイヤースキル、ゲーム内の能力値じゃなくプレイヤー本人の操作の上手さや戦術眼の高さを絶賛されてて、それこそ彼女1人の存在だけでダンジョン攻略イベントクリアの難易度が桁なんこか変わるほど、といくらいの戦略兵器扱いされているのだけれど、この娘ほんとどれだけ時間ゲームに費やしてたんだろう。よく女子大生になれたもんだ。そしてよく進学できたもんだ。リアルタイムでさらなる進学はやばい感じになりかけてるけれど。試験は受けろー!

とまあひたすらネトゲばかりやっている話である。前巻の感想でこれはモラトリアム期間を描いた物語だ、なんてことを書いたような気がするのだけれど、モラトリアムがネトゲで埋まっておられるw
とは言え、ネトゲしてるだけでも人間関係は変化していき、情緒は生まれ、人の中身には成長という綿が詰め込まれていく。
いつまでも現状維持ではいられない。変化が顕著なのは学生時代だけれど、社会人になっても周囲は変わらないように見えて、着実に変わっていってしまうんですよね。歩いていくスピードは人によって違う。歩いていく方向も違う。いっとき、同じ時間同じ速さ同じ方向に向かって進んでいても、やがてそれらは段々と食い違っていくものなのだ。
一歩も動けなくなってうずくまってた水那を拾い上げたのは真一である。かつての憧れであり初恋だった人が自分に預けていった、いや捨てていった水那をすくい上げ、しかし彼はさほどの干渉を水那には及ぼしていない。急き立てるでもなく励ますでもなく、時給650円で自分のゲームのアカウントを育てる、という役割を与えて住むところと食べるところとを提供しただけ。猫を飼うように何もせず、ただ一緒に居て、一緒の時間を過ごしただけだ。
だから、水那が立ち直ったのも彼女自身の意思であり力であり、水那が他人とまっとうに付き合えるようになったのも絵里子という友人のおかげだ。そして、自分の力で未来を切り開いていくことを彼女が選んだときも、巣立ちを選んだときも、真一は何も言わなかった。ただ受け入れただけだ。彼女を拾ったときのように、彼女が出ていくときもその事実を受け入れただけだった。
でも、それこそが水那にとっての最良だったのだろう。自分の母親にすら受け入れられなかった異端にして異形の自分。それを、彼はあるがままに受け入れてくれた。
彼こそが、ホームだったのだ。
それだけは、間違いなく石破真一の選択である。誰もをあるがまま受け入れていたわけではない。水那の母親とは、再会のときまだ抱えていたであろう淡い想いを、未練を封印し、決定的な決別を示している。
彼が受け入れたのは、水那なのだ。だから、強がりだろうとなんだろうと、置き去りにされてしまう、自分を置いてさっていってしまう彼女の意思を受け入れることが出来たのだろう。
だからこそ、石破真一は徹頭徹尾、水那の居場所でありホーム足り得たのだ。帰るべき場所になれたのだ。
流れる時間を異にしてしまった人同士、同じ時間を歩めない。だから、歩くスピードを早めてしまった彼女たちは、目的地を見定めてしまった彼女たちは、一目散に走り去っていく。変わらない主人公を置き去りにして、去っていってしまう。
それは、作者の物語の根幹の一つだ。
そのまま別れ別れのまま遠い空を見上げるだけだったり、主人公自身が自分のスピードを早くして先に行った彼女たちのもとに追いついていく、そんな作品はあったけれど……。
そう、変わらない彼のもとに還ってくる話は初めてかもしれない。
……異なってしまった流れる時間を、異なったまま重ねて一緒に過ごす方法があるとすれば、それは「家族」になることなんじゃないか。
だからこれは、旅立った彼女が我が家に帰ってくる物語。ホームで在り続けてくれた彼のもとに戻ってくる物語。翼を広げて羽ばたいたままでも、置き去りにせずに一緒に居る選択を示した物語である。
そうか、こんな答えが出てくるところまで来たんだなあ……。

瀬尾つかさ作品感想

ニートの少女(17)に時給650円でレベル上げさせているオンライン ★★★★  

ニートの少女(17)に時給650円でレベル上げさせているオンライン (角川スニーカー文庫)

【ニートの少女(17)に時給650円でレベル上げさせているオンライン】 瀬尾つかさ/ kakao 角川スニーカー文庫

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ダメかわいいニートの少女と、同居生活はじめました。

MMOを愛するサラリーマン・石破真一(27)の部屋には、ニートの少女・瑞薙水那(17)が居候している。金髪美少女JKと同棲、といえば聞こえはいいが、「お腹空いた」と起こしにくるし、風呂上がりにタオル一枚でうろつくし、ネトゲのレベル上げバイトはサボるし……「真一っ、大好きだぞ! 愛してる!」「おだててもダメだ。給料は昨日やっただろクソニート!」社畜ゲーマーがネトゲに社会復帰に、ダメかわいいニートの少女を育成《レベル上げ》!?
またえらくエキセントリックなタイトルである。内容の方も、普段の瀬尾さんのそれとは随分と毛色が違う独特の……と、思ったんだけれど、ふーむ。
以前から口ずさんでいた事なんだけれど、瀬尾つかさという人の作品って、これはデビューしたての頃がその傾向強かったですけれど、主人公がヒロインたちに置いていかれる物語でした。遥か遠く遠くまで脇目も振らず駆け抜けていく彼女たちの背中を、あるところまでは支え背中を押していた主人公が、いつしかその腕の中からヒロインたちが飛び出し、もう主人公の力を必要としなくなった先で、その場に彼を置き去りにしてそのまま先へ先へと行ってしまう。それをどこか淋しげにしかし満足そうに見送り、見上げ、遠く手の届かないところへ行ってしまった彼女たちを眺め続ける。
特に最初期の【クジラのソラ】が顕著だったんですけれど、それ以外の作品にも色んな形であってもこの感じは常に敷かれ続けてたんですよね。
近年になって、主人公は佇んだままではなくなって、たとえ届かなくても追いかけるようになり、その手が届くケースも増えて来たのですけれど、この「置いていかれる」という要素はなかなか根強く散見されるのであります。
本作もまさにそれ、なんですよね。
初っ端から8年後のシーンからはじまり、彼女は既に遠く遠く違う世界に在るのを彼は地上から見上げている。
面白いのは、そこに至るまでの物語、つまり「現在」として描かれる本編が「激動の渦中」ではなくどちらかというと「モラトリアム」として描かれている、というところでしょうか。
これは、今現在ニートやっているニー子のことのみならず、既に28歳でバリバリのサラリーマンとして働いている社会人の石破真一についても、描かれるこの期間はどこか「猶予期間」なんですよね。それはこの物語の舞台となる2005年前。かの頃には全盛期でありながら現在プレイ人口が減りつつあるというMMORPGの現況とともに、8年前である本編時には社会人でありながら廃ゲーマーとして勇躍していながら、その熱中度が嘘のように今はかつてのゲームから離れている真一の姿にも、その隣に大人になった大家の娘の姿があるのもまた、モラトリアムというものを見てしまう理由なのかもしれない。
どこか懐かしく、振り返れば胸の奥を詰め先でひっかくような痛みと心地よさを感じる過去の情景。そして、もう二度と帰ることの出来ない想い出の時間。なんて表現するにはあまりにもバカバカしく、ダレ果てた日常。でも楽しかったかけがえのないあの頃。
それが、ここで描かれるニートな少女とそれを取り巻く騒がしい友人知人たちとの何気なくも懸命でいい加減だった、今はもう無いあのアパートの日々なのである。

瀬尾つかさ作品感想

ワールド・イズ・コンティニュー 2 ★★★☆  

ワールド・イズ・コンティニュー2 (ファンタジア文庫)

【ワールド・イズ・コンティニュー 2】 瀬尾つかさ/ 早川 ハルイ 富士見ファンタジア文庫

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“死んでも蘇る”を繰り返し、レベル100に到達した浩史とハイシェン。しかし、姉が待つ地に辿りつくには最強の旅団を作ることが必要だった!敵陣を穿つアタッカー、絶対的タンク、広範囲への制圧力。必要なピースを探す浩史だが、やっと見つけた一対多のスペシャリスト、シリンはどうやらハイシェンと相性が…?浩史にべったりなハイシェンに気ままなシリン。おまけに、素直でなかった風羽根も少しずつ積極的になってきて…!?浩史は旅団をまとめ上げることができるのか。攻略は新しいステージへ!!
打ち切りかー。僅か二巻で、というのは辛いなあ。
本作って、6人居る闘神のそれぞれが、別の世界の人間なんですよね。その使徒として召喚されるのも、また闘神と同じ世界の人間たち。それぞれの世界に異なった文化があり、能力があり、価値観がある。今度登場したシリンの居た世界というのは、魔法と科学が融合した文明が隆盛をなしていた世界であり、相応に機械群を操る文化を持っているのだけれど、このように召喚されたこの世界で用意されていたシステム上のスキルや職種とは別に、使徒の出身によって価値観の相克があり、それが文化交流みたいなのも催す萌芽となる描写もちらほら散見されて、シリーズ長く続いていくとそこらへんにもスポット当たったんだろうなあ、といささか残念なんですよね。
現段階でも、不老不死で自壊死以外に死なない使徒たちと、普通の寿命しか持たない彼ら使徒の二世・三世との世代ギャップ、同じ使徒でも既に百年以上生きている人たちとまだ召喚されたての若い世代との意識の違い、同じ日本人でも元の日本を知らない二世・三世世代との違いなど、異なる在り方の人々との「交流」と「協力」。友人になること、仲間になることへのハードルをこうして設けているのを見ると、この作品に設けられていたプランニングが色々と想像も出来るんですよねえ。
それなりに長期プランを組んでたんじゃないかなあ。
勿体無い。
個人的には桃子の、闘神たちが企図したゲーム攻略ルートを思いっきり無視した経済掌握による世界大改造がどうなっていくのか、の方をもっと見ていたかったんですけどね。本来なら百年を費やしてもレベル100に至れない中で、僅か数ヶ月で効率的レベルアップ法を駆使してレベル100に到達した浩次は、最初からゲームの攻略法を知っていたにしても十分頭おかしい人種なんだけれど、それに負けず劣らずわずか数ヶ月で地域の経済掌握したどころではなく、流通革命を起こして世界の在り方そのものを数ヶ月で数百年単位で発展させようとしている桃子女史の方も十分頭おかしいんですよね。二巻、名前だけで一切登場していないにも関わらず、この存在感w
それよりもヒロインとして面白かったのは風羽根由紀その人でしょう。桃子が金庫番にして財界の妖怪とすれば、風羽根は組織運営の魔人、みたいな人なんですよね。元からある組織をうまく動かす、というのなら出来る人は少なくないかもしれないけれど、ゼロから組織立ち上げて人集めて各界と協力繋いで、滞りない運営体制を作り上げて、最終的に自分が居なくても組織が勝手に動けるように完成させる、って豪腕どころじゃない手腕なんですよね、これ。召喚されて大混乱に陥っている連中をまとめ上げて、というだけでも凄いのに、浩次たちのバックアップをほぼ完璧に物資の提供から人材の確保から何からこなし切ってたわけですしね。
んで、彼女が凄まじいのは、当時居た現地で作り上げた組織を自分が関わらなくても自力で運営できるようにした上でほっぽり出し、自分は身一つで浩次たちが新しいフィールドに進出したのにくっついてきた挙句に、またその新しい土地で新しい組織作り上げて、さらに大規模に浩次たちを支援できる組織とその枠組をつくりだしてしまった、というところなんですよね。
化け物か、この女!!
しかも、それって一途に浩次を助けるため、ただそれだけのためなんであって、ゼロからバックアップ体制を作っては、それを放り出してしまうのに一切躊躇がないのである。野心とか全然ないんですよね。果たして、かつてここまで都合が良すぎる女が居ただろうか。自分の手持ちの財産や能力から際限なく貢いでくれる女性は珍しくなかったかもしれないけれど、ただ貢ぐためにこれだけ巨大な影響力を及ぼす体制を構築してしまうとか、とんでもねえよ! それで、ちょっと感謝されたりしただけでテンションマックスまであがって鼻血出してしまって満足するというチョロさ。餌、それだけでいいの? という見返りの無さなんだけれど、風羽根さんは十分満足そうなので、いいんでしょう。そう思っておいた方が平和だ、きっと。

1巻感想

サイバーアーツ 01 真紅の虚獣 ★★★★   

サイバーアーツ01 真紅の虚獣 (角川スニーカー文庫)

【サイバーアーツ 01 真紅の虚獣】 瀬尾つかさ/ヤッペン 角川スニーカー文庫

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《V2ウェア》の普及により、どこでもVR空間にダイブできる時代。現実でも仮想空間でも存在しないかのように扱われる、樫尾ナジムの孤独な日常は、クラス一の才媛かつアングラな辣腕ハッカー・高嶺レンが彼を認識したことで、波乱の一日へと収斂する。生物型ウイルス《ゼノ》の襲撃、銃弾飛び交うテロリズム――ナジムの《V2ウェア》に隠された“機密”を巡り、現実(リアル)と仮想空間(ヴァーチャル)を跨ぐスリルと興奮のボーイミーツガールが始まる!!

ゼノきたーー!! うははは、まじかー。瀬尾さんの別作品を読んでると、このゼノなる存在のヤバさははっきりとわかるのですが、むしろゾクゾク来たのは仮想空間(ヴァーチャル)から現実への侵食でありましょう。電脳空間と現実世界の密接なリンクというとまず【攻殻機動隊】なんかが思い浮かびますけれど、例えば映画「マトリックス」、或いはPCゲームの【BALDR】シリーズのあの広大な電脳空間と荒廃した未来世界の重奏した世界観がまた素晴らしかったのですけれど、本作はもう一つ現実と仮想の境界の描き方についてこれらとは別のアプローチをしてるんですよね。
人間という肉体の端末を通して、ヒトは意識を・魂を現実と仮想の両世界に行き来させている。でも、逆に言うとそういった物理的な端末を通してしか、両世界は行き来出来ないとも言えるんですよね。そりゃそうだ。電脳空間とは、仮想に構築された領域に過ぎないわけですから。
ところが、本作では《V2ウェア》という人間の脳に直接ナノマシンを注入して、量子的に拡張させた仮想空間を構築してるんですよね。これって、厳密に言うと通常語られるところの電脳空間とは実態が別物なんじゃないの? という話なんですよね。ここで「ゼノ」なる人類の敵が登場してくる瀬尾つかさ作品の【銀閃の戦乙女と封門の姫】【魔導書が暴れて困ってます。まぁ、どうしよう! ?】における世界観がどういうものだったかを思い出すと、俄然面白くなってくるんですよね。特に、舞台となる世界「クァント=タン」がどんな風に作られて、どんな風に扱われたか。「異世界」なる無数の世界とその末路、地球との関係性、そしてそれらへのゼノの侵攻の実情。これらを鑑みると、ね。
もちろん、人工的に作られた異世界にしてゼノに対する最後の砦たる「クァント=タン」は、実体がありゲートを通るにしても物理的に肉体を伴って地球と行き来できる世界であって、リアルと仮想のダブルで存在して活動できる本作の仮想世界とは異なっているのですけれど、実は人工的に創造された「異世界」という意味では同じなんじゃないかと。そして、それが計画的に作られたかはともかくとして、現実の地球を後ろに置いた最終防衛ラインとしての人類最後の砦として機能している、という観点からも何気に同じなんじゃないかと。
いや、この場合人類最後の砦というよりも、ゼノ侵攻の呼び水、或いは橋頭堡になってしまっているフシも、幾つかの描写から伺えるのでありますが。
現実と仮想世界は、意識を行き来させることは出来ても物理的には絶対的に断絶しているもの。仮想世界から現実に介入するには、人間の肉体、或いは機械的な端末(ロボットやドローンや思考戦車やそういうのね)を介する必要がある、という常識が、この物語においてはえらく脆く感じてしまうのが、またドキドキを加速させてくれるんですよね。現実と仮想の境界を曖昧に感じさせるツールとなっているのが「AR(拡張現実)」なのである。データや擬似的な映像やCGなどの情報を現実に重ねて映し出してみせるというAR技術。これもまた《V2ウェア》を通して一般的に普及している技術なのですけれど、主人公であるナジムの存在が他者の認識から偽装ステルスされていたという事案も仮想から現実への具体的な干渉という意味ではかなり強烈なのですが、こういうのは攻殻機動隊なんかでもあったネタなんですよね。それよりも衝撃的だったのは、むしろあの「雲」でしょう。AR技術によって映し出されたあれは、しかし仮想から現実への投影とはまったく逆のベクトルの代物であることが薄っすらと描写されてくるんですけれど、これ理解が追いついてくるに連れてもう「やべえやべえ」という感覚が吹き出てきて、もう実にワクワクしてしまったんですよね。
いやー、色んな作品において色んなアプローチを用いて地球存亡の危機を描き出してきた瀬尾さんですけれど、今回はまたとびっきりに面白い設定ですわ、これ。すっげえ好みドストライクかも。

さて、そんな降ってわいたような未知の危機と相対することになる本作の登場人物たち。これがまた、今までになくピーキーなんですよね。メインヒロインの高嶺レンからして、イケイケドンドンなアナーキーというある種の人格破綻者なのである。これまでの瀬尾さんの作品のメインヒロインは、ある程度常識枠に収まっているタイプが多かったんですけどね。早々に主人公に引っ張られるか状況の過酷さに適応するか本性が露わになるかで、一線を越えてぶっ飛んだキャラになるとは言え、基本ベースは温厚で柔らかな常識人か凛としたしっかりもの、もしくは真面目だけど腹黒政治家タイプ、とかそんなんだったんですけどねー。
社会的ルールとか完全にぶっちして、脊髄反射でハックして悪びれないアナーキストとか、もう美味しすぎますよ、レンさん。この手のタイプのヒロインは、きっちり締めるタイプのヒロインが居る中で色々と状況や人間関係引っ掻き回して楽しんでる三番手ヒロインあたりが務めてたんですけどねえ。敢えて今回はメインに持ってきたんかー。とはいえ、今回は彼女に限らず、出て来るヒロイン衆全員ピーキーにイカレてるようなヤバイ女性ばっかりなんですけど。特に、あの小学生は色々と盛りすぎじゃないか、というくらいにドカ盛りだし。今回真面目なタイプが全然いねえw
主人公も、兄貴に魔改造されてしまってかなりアカンことになってしまってると思うんですけれど、両サイドがあんまりと言えばあんまりな具合にイケイケなので、目立って無くてマトモな司令塔扱いになってるのは幸いなんだろうか、これw
ともあれ、作者の手がけるシリーズの中でも、この新シリーズは特に盛りだくさんな要素満載で、これは先々がかなり楽しみで期待大ですよ。

瀬尾つかさ作品感想

ワールド・イズ・コンティニュー ★★★  

ワールド・イズ・コンティニュー (ファンタジア文庫)

【ワールド・イズ・コンティニュー】 瀬尾つかさ/早川ハルイ 富士見ファンタジア文庫

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異世界フルシエラ―その世界に召喚された者は『闘神の使徒』と呼ばれ、『クラス』を選び、『スキル』と『レベル』を伸ばしながら魔物と闘い、エリア開拓に挑んでいた。ゲーム好きの浩史はこの世界の謎に迫るためレベル100を目指す。しかし魔物の強さは異常でゲームバランスとしては最悪。そんななか浩史が選んだのは弱体魔法特化の錬金術師、そして“死んでも蘇る”を繰り返すスタイルだった!?強敵に怯まず苦境を何度も乗り越える姿に「コージの心は強い…わたしも強くなれる?」魔法戦士の少女・ハイシェンの折れかけた心にも希望が戻り―。ピーキースタイルが異世界攻略の道を拓く!!
「レベルを上げて物理で殴れ」という方法は単純に真理であるのだけれど、考えてみるとこれってゲームバランスが取れた良質なゲームであってこその理屈であるのかもしれないなあ。容易に詰みかねないゲームだと、進行は非常に慎重に行わなければならない。戻ることの出来ないゲームなら、最初に選択した方向性でその時点で詰みかねないからだ。
この作品世界の場合、死んでも生き返ってやりなおせる、というトライアルアンドエラーが出来るものの、ゲーム自体をリセットして最初からやり直したり、転換点となるポイントまで巻き戻る、ということは出来ないために、どうやったって前に進むことの出来ない状況が現出してしまう世界である。
古いゲームプレイヤーなら経験はあるだろうか。ダンジョンのボス前でセーブしてしまって、ボスは倒せずしかし戻るルートは封鎖されていて脱出もできず、ゲーム自体進めることができなくなってしまった経験が。
普通は、幾つかストーリー進行に添ってセーブポイントを残しているものなんだけれど、興が乗ってリターンポイントとなるセーブを残さず進めちゃっていたり、そもそも古いゲームだとセーブストック自体一枠しかないものも決して少なくなかったんですよね。
あの、二進も三進も行かなくなってしまった時の目の前が暗くなる感覚は忘れがたいものがある。あれ、復活の呪文を忘れてしまうケースよりも最悪なんですよね。少なくとも「復活の呪文」形式は、以前のメモが残っていることが珍しくはないですし、その日のプレイは無駄になってしまったとしても、やり直しは出来るわけですから。
ボス前セーブポイントの場合は、もうゲームそのものを一からやり直さないといけないわけで、ほぼ確実にココロが折れます。
当然、現実で同じことが起こった場合の地獄は想像に余りあるものがあります。何しろ、現実ではゲームの電源を落とすことは出来ない。不老不死のプレイヤーは永遠に行き詰った牢獄のなかで精神が崩壊するのを待たなければならない。
そんな結末を、最初から組み込んでいるかのように「自壊死」という自殺システムが最初から装備されているあたりに、この世界の仕組みの恐ろしさが溢れ出しているのではないでしょうか。
ぶっちゃけ無理ゲーすぎるだろう、これ。
そんな中で、この世界の仕組みを開設したと思しき女性の弟として、姉が作るピーキーすぎるゲームを幼い頃からプレイして、味わい尽くし攻略し尽くしてきた主人公は、この世界の仕組みの勘所というものを肌で習得しているわけで、スタート地点でまったく違っているんですよね。
それでも、「死」という凄まじいストレスに全く怯まず、死んで蘇って不備を解消して、を繰り返していく浩次の異常性こそが、彼の躍進の最大要因なのでしょう。何しろ、死ぬことに対して全く負荷らしいものを感じてないようだものなあ。
作者の作品としてやや珍しいなあ、と思うのはプレイヤーが戦闘を行うための環境構築に政治要件が含まれていないことか。瀬尾さんの作品って、だいたいにおいて組織力学や政治力学によって戦闘を行うにあたって幾つもの障害や阻害要因が発生していて、それらを排するために或いは有利な状況に転換して、戦闘従事者に十全以上の力を発揮させるための環境整備を行う「政治家」としての役割を負ったヒロインが登場するんだけれど、本作では戦闘フィールドが非常に限定された場所で展開されて、ほぼどうやって能力を上げてボスを攻略するか、という戦闘面に限定されていて、物語において語られる工夫や工作もその方面に集中しているわけだ。その意味では、実験作でもあるのだろうか。
でも、決して「政治家」タイプのヒロインがいないわけじゃないんですよね。ダンジョンの外で待機して支援を担っているクラスメイトの子が明らかにそのタイプで、穿ってみるならば既にこの一巻の舞台となる閉鎖フィールドに浩次が挑むという事自体が、そのクラスメイトの子が整えた環境である、とも彼女と浩次の通信内容を見たら考えうる範疇なんですよねえ。
そう考えると、瀬尾さんが最近書いていた一迅社文庫の【高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない】が政治パートに物語の進行やキャラの動向の比重が置かれていたのと真逆の構成になっているわけで、色々と面白い。
これでメインヒロインが、他の作品だとサードヒロインタイプとなるトリッキーな食わせ者系だったら面白かったんだけど、ハイシェンのキャラは天然無垢な子犬系なので、そのあたりはオーソドックス、と思ったけれど、ハイシェンって天然な分規定に捕われないフリーダムな自由人なところがあって、基本二人きりでの行動となってる中でそのフリーダムさはなかなかツボをつく部分があって、けっこう好きかも。
この一巻、ラストの展開を見るとただのチュートリアルだった可能性も高いので、ストーリーの進行や他のヒロインの動向も本番は次からなんじゃなかろうか。とにかく、ある程度ヒロインが揃ってから、だわなあ。

瀬尾つかさ作品感想


高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない 2 ★★★★   

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない2 (一迅社文庫)

【高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない 2】 瀬尾つかさ/kakao 一迅社文庫

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書き換わった歴史の中、最善を尽くしつつ現代への帰還を目指すダナン魔導学院の生徒たち。古代文明の遺産を利用した積層都市アルフェで開催される西部都市の魔族軍対策会議にダナンからも人員を派遣するのだが、洞窟都市グリンデのハルメス・ザルダート議長はケーネの姿を見て驚愕する。「あなたこそ、今代の星の神子!」一方、エルドは歴史上の重要人物、魔族軍と苛烈に戦い最後のひとりまで殺し尽くした女将軍シルテシア・アルフェミティと出会う。しかし、エルドの前に現れたシルテシアは、まだ争いとは無縁の優しい母親でしかなかった。星の神子に祀り上げられたケーネの運命、後世に虐殺者として知られるシルテシアの真実、そして積層都市アルフェで蠢く陰謀の影とは―。

難しいところだよなあ。目の前で起ころうとしている悲劇を回避するために力を貸してしまうと、それがそのまま人間サイドの戦力を強化してしまいかねない。人魔大戦と呼ばれた大戦争に対するダナン学院のスタンスは、歴史の改変はもう仕方ないものとして、とにかく人も魔族も被害を少なくしたい、というものである以上、一方の必要以上の強化はより被害を拡大させかねないわけで。かと言って、手の届く範囲で多くの人が死のうとしているのを見過ごす、なんて割り切りが出来るほど学生たちは達観していないわけだし。
これは図らずも魔族側に入り込むことになってしまったガゼットも同じくで、とにかく出来ることをやって酷い有様の現状を改善していたら、著しく麾下の魔族軍が強化されちゃってるわけですし。でも、ガゼットってただのナンパなチャラ男かと思ってたら、どこのチート転生者かと思うくらい様々なジャンルに万能なんですけど、こいつ。全部、付き合ってた女の子から教えてもらったり、話を合わせるために習得したり、というあたりすげえとしか言いようがないんですが。
もしかして、戦闘特化型のエルドより主人公力高いんじゃなかろうかw 伊達に学園から離れてたった一人で魔族側に入り込むことになってしまっただけあるよなあ。助け得られないんですし。
それでも、使い魔を通じてある程度連絡は取れるだけマシなのか。エルドとガゼットの、立場も何もかも離れきってなお、あのお互いに信頼しきった親友関係はいいなあ、と思うんですよねえ。自分の命を預けるどころじゃない、自分の大切な人の命を預けられる、って大変なことだと思いますよ。
ダークエルフ姉妹の全幅の信頼を得ているとはいえ、秘密を抱えて一人奮闘しなくてはならないガゼットと違って、エルドたちはまだだいぶマシではあるんですよね。何よりも、この時代の人間でありながらダナン学園の秘密を知ってなお、味方になってくれたスピカ。時代に埋もれて後世には名前も残っていない彼女ですけれど、政治・智謀99はあって不思議じゃないんですよね。それが、ダナンのために全面的に力になってくれているわけで、この頼もしさたるや。何しろ、この時代の人間であり権力者サイドに立っていた娘ですから、各都市の上層部にも顔が通じてますし、何より国家間の事情や情報に明るい。ダナンの風紀委員長であるケーネも、末端とはいえ後世の統一帝国の皇族の一員であり、彼女も十分政治お化け、謀略妖怪の類いなんですけれど、政治力ってイコール人脈でもあるのでやっぱりスピカの存在は大きいんですよねえ。
まあ、そのケーネもまさかの「星の神子」認定によって、ただの政治交渉能力どころか、宗教系の影響力まで保持してしまったので、こちらはこちらで別方向から政治無双を発揮しだすのですが。
その星の神子認定も、どうやら帝国の血筋に関わりがあるようで、人魔大戦後の人類史においてケーネの帝国って相当裏で色々やってるみたいなんだよなあ。その原点が、丁度この人魔大戦まで遡ることを考えると、歴史上ではこの大戦当時では動きがなかったはずの冥神の使徒が暗躍している件も含めて、まだまだダナンがこの時代に来てしまった理由も絡んで、裏で大きな策謀が蠢いてるっぽいのよねえ。
ある意味、冥神の連中がダナンと同じステージに立っていることがわかった、ということそのものがこれから本番、という雰囲気を醸し出しているのですが……シリーズは一旦ここで一区切りのようで。
でも、また違う形で続き出します、と明言されているので、担当編集の移籍が要因だそうですけれど、これ一迅社文庫そのものの再編が絡んできそうだなあ。一迅社が講談社の子会社になった一件が、一迅社文庫に何の関わりもないまま、ということもあるわけないですし。

しかし、今回ひたすらスピカ推しだったですねえ。スピカのお兄さん登場によって、普段の賢さ爆発している余裕たっぷりの姿とは裏腹の年相応の感情を制御できずにプンスカしている可愛い面も見られましたし。
ケーネさん、ケーネさん、頑張らんとガチ婚約者にぜんぶ持ってかれますよ。当のスピカに全面支援してもらってるのになあ。とかそうこうしている間に、NEW婚約者になりそうな娘まで出てきてしまいましたし。続きが出るなら、ちゃんと巻き返していかないとw

1巻感想

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない ★★★★  

高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない (一迅社文庫)

【高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない】 瀬尾つかさ/kakao 一迅社文庫

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いくつもの戦争を経験した人類と魔族は一人の英雄の尽力により種族対立を乗り越え、千年の時の中で平和な世界の実現と技術発展を遂げていた。魔導技術に秀でた魔導学院の学生エルド・アルウェンは、高熱を出した妹のナナリーを見舞うため、特別に学院女子寮を訪れていたそのとき、学院を巨大な地震が襲い、閃光とともに学生女子寮は見知らぬ大地へと転移していた。そこは千年前、世界が混沌としていた戦乱の中世時代だった……。女生徒たちとともに過去へ転移したエルドは風紀委員のケーネ、そしてしっかりものの生徒会長にして騎士科の優等生アレミアとともに元の世界へ帰る手立てを探すが、手違いから大戦を終わらせた英雄の命を奪ってしまい――――
科学文明の発展した未来・現代の人間が過去、或いは中世レベルのファンタジー世界に転移して、という話は山程あれど。ファンタジー世界のまま発展した高度魔法文明の学徒たちが、古代のファンタジー世界に転移して、その昇華された魔法理論で無双する、というのは何気にありそうでなかった設定だなあ。
知るかぎりでは【異世界魔法は遅れてる!】くらいか。これは現代地球の魔術師が異世界に召喚され、という話だったけれど。
ただ、本作における魔法文明の現代ってこっちの21世紀相当じゃなくて、それより遡って19世紀から20世紀初頭くらいっぽいんですよねえ。社会システムに対する意識や認識が近代に入っている過渡期、くらいなのが面白い。国家規模での戦争は遠のいている一方で、戦闘技能がエリートを集めた大学内で一定数の割合で必須技能として求められる程度には、それが必要とされるあれこれがあるわけで。
まあだからこそ、戦乱の世に飛ばされてなお統制が行き届いていたわけですけれど。
でも、高度に発達した、というわりには魔法理論が古代から飛躍していたように見えなかったのはちと残念だったけれど。威力と効率は見違えるように古代からあがっていたとしても、それって元々あった理論の強化発展に過ぎず、古代の人たちから見ても、それは凄いものではあっても訳の分からない未知のものではないと思うんですよね。古代の人間が戦車や飛行機を目の当たりにする驚き、火の明かりしか知らない人が電灯を目にした時の理解、工業技術・医療技術、物理法則や過去ではまだ存在しない概念の数々。高度に発達した未来文明との遭遇、というのは大きな断絶があるものなんだけれど、本作だとどれも過去からの延長線上に存在しているものに過ぎないわけで、タイムトラベルという要素の面白味としては些か物足りない感じがしてしまうんですよね。
一方で、重要となるのが人魔大戦という人と魔族との人種対立が高じた末の殲滅戦争的な大戦の最初期に飛ばされたこの学院では、既に人族と魔族の垣根が完全に取っ払われて、総じて同じ「人間」という括りになっているということ。そもそも、この魔導学院が大戦の終結に伴って、人族と魔族の融和を願って創設されたという理念によって成立している、というのが重要なんですよね。

過去の世界では突出した高度な魔法を使える、というアドバンテージは、大きな武器ではあっても道具に過ぎず、まず生存と元の時代に戻ることを目的としている彼らだけれど、彼らの持つアドバンテージというのはただ生存のために用いるためのものではない、という流れなんですよね、これ。
すでに初っ端で、未来を決定的に変えてしまう歴史的人物の殺害、という改変を行ってしまっている彼ら。本来なら鏖殺され歴史上から消え去っていた街を、図らずも救ってしまったこと。もはや、冒頭で既に過去を変えることなく未来に戻る、という選択肢は喪われてしまっているわけで……。
ある意味、縛りが最初から消えてしまっている、ということでもあるんですよね。既に、周りに関わらずに生き残り続ける、という道も不可能になっていて、必然的に歴史的な大戦に関わらずを得なくなってしまっている。
そこで、ただ戦う、という道だけではなく、魔導学院の創立理念である「融和」が鍵になってくるわけで。果たして、彼らは人類史における最大の悲劇を回避できるのか、という話になってくるのがまたダイナミックなストーリーに出来る拡張性を感じさせてくれるんですよね。
でも、その学院の方向を決めるための戦略眼や政治力、地に足の着いた思考力と未来の影響を受けた社会理念を持っている人物が、学院内には居ないんですよねえ。主人公のエルドはいわゆるサバイバリティは高くても自分で考えるのは苦手な脳筋だし、アレミアはリーダーシップは非常に高いもののあれこれ自分で算段立てていくタイプじゃないし、ケーネは実務能力高くて喫緊の問題の処理能力は高いし将来的な予測とその対処方法もしっかり立てられるけれど、大きな未来図を描いたり戦略的に物事を想像し、方向性を示せるタイプじゃないんですよね。
それが出来るのが、まさか現地から現れるとは。まさに、この学院のターニングポイントって、彼女を完全にこっちサイドに取り込めたことなんでしょうね。真実から何から全部詳らかに明らかにした上で、本来なら現地の利益代表者だった彼女を、完全に味方に引き込めた。どう考えても、今後この学院国家の陰の宰相になるのって、この子なんだよなあ。
とはいえ、元々は外部の人間だった彼女が全部決めるはずもないので、漠然とこうしたい、という決断だけは主人公たち、というか学生全員で決めるんだろうけれど。

しかし、メインヒロインが堅物の風紀委員、というのは珍しいので面白いなあ。ケーネ、面倒くさいんだけれど瀬尾作品はヒロインの攻勢がほんとに容赦ないんで、グダグダやってるとあっさり脱落しかねないし、グズグズしてると尋常じゃない煽りを食らうので、心底をごまかしてられないのでわりと早々にケーネも丸裸で縛り上げられて、エルドの前に放り出されそうw

瀬尾つかさ作品感想

横浜ダンジョン 3.世界を変える最初の五人 ★★★☆  

横浜ダンジョン (3) 世界を変える最初の五人 (角川スニーカー文庫)

【横浜ダンジョン 3.世界を変える最初の五人】 瀬尾つかさ/やむ茶 角川スニーカー文庫

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世界各地にダンジョンが出現した世界―。無詠唱で魔法を使える特殊な力を持つ少年・黒鉄響の前世の記憶、それは異世界で四人の仲間と共に『異界神アグナガラグ』を倒した、白き賢者アルランとしての記憶である。再び覚醒しつつあるアグナガラグの調査を進める響だったが、各地で魔物の大暴走が立て続けに発生し、春菜たちを連れて討伐へと向かうことになり―。響、春菜、彩、シンシア、クレアの五人が世界の危機に立ち向かう!!
異質な外界からの侵略者によって、世界が滅亡の危機、というシチュが多い瀬尾作品の中でも、特に本作は迎撃の態勢も整っておらず、まず敵の存在、危機感の認識からして持っていない事から非常に危うい状況にある、とは前回の感想でも触れたところでありますけれど、その危機感を『異界神アグナガラグ』と相対した経験があるからこそ、異世界にて一致団結して総力戦を戦った経験を持つ響だからこそ、誰よりも危機感を持っているがゆえに、手段と問わずに敵の脅威を知らしめ、共有し、その上で迎撃の態勢を整えるための下地を作るために奔走する、というのが今回の話の肝でありました。
その為に、そりゃもう世界規模で暗躍しまくる主人公。完全に、フィクサーです。場合によっては、黒幕と言われてもおかしくないくらいに、世論の操作から被害の選択、敵サイドの謀略を逆手に取って誘導、など
文字通り、世界を裏から操り動かし導いていた彼はある意味正面切って大暴れするよりも、やりたい放題やってたんじゃないだろうか。
勿論、何もかも都合よく物事が動くわけでもない。異界神アグナガラグに対抗するための戦力を育てるためには、なりふり構わぬ国家による非人道的な活動にも肯定的だし、メリットが多ければ人的被害も許容する、どころか自分から率先して「コントロール」するような所業にも手を出している。
ここまで冷徹な合理性に徹底している主人公、というのもなかなか珍しい。
一方でプライベートの方では思いっきり甘ちゃんで、周りの女性陣には振り回されてばかりで全く彼女らを制御できないどころか、完全に乗っかられてしまっている、尻に敷かれてしまっている、という部分が、彼をまったく冷たい人間に感じさせないところなのだろう。
彼の割り切りというのは、実体験に基づくものであり、より過酷で人権意識の薄い世界で育った故の、個人の特質としての価値観ではなく、そこに住んでいた人が共感できる価値観、という点も大きいのだろう。
小悪魔な女性陣にやり込められつつ、逆にいじり倒したり、という日常のキャッキャウフフなやり取りは楽しかった。瀬尾さんのハーレムの距離感は、毎度ながらベタベタしつつサッパリしているので、凄い好みなんですよねえ。
とはいえ、打ち切り展開ということでだいぶ急いでまとめた感もあり、これから本番、というところでの終了はやっぱり勿体無かったかなあ。ぶっちゃけ、下地を整えた段階で終わってしまったわけですし。不穏な、響が敵側に回ってしまう、という未来予知も、原因不明のママでしたしね。それが起こりうる可能性を、響が潰して動きまわっていましたけれど、まさかのイレギュラーがラストに明らかになったわけで。
正体を明らかにした彼女との問題は、まさにこれからが面白いところだっただけに、尚更に。
帰ってきた夏美さんとどう絡むのか、などまだまだラブコメ的にも楽しめる要素はたくさんあったでしょうからね。次は、もっと長く続いてほしいけれど。

1巻 2巻感想

双剣使いの封呪結界(ロストマギカ) ★★★   

双剣使いの封呪結界2 (一迅社文庫)

【双剣使いの封呪結界(ロストマギカ)】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

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黒い霧から東京を解放すべく活動を続ける一輝、遙、理沙ら。そんな三人の耳に入ったのは、黒い霧と戦うための帰還者たちの最大組織「東解委」の主力遠征隊が何者かの襲撃を受けたこと、そして襲撃したのが死んだはずの遙の姉である久遠であるという情報だった。かつての想い人の名に動揺する一輝。時を同じくして、混乱する「東解委」が発生し、拓海淳という謎の男の手中に落ちる。新たな「東解委」のリーダーとなった拓海淳は、別行動を取る一輝たちの殲滅を計る。一輝たちはこの危機を乗り越えることができるのかそして、一輝たちの前に立ちふさがる久遠の正体は?!
二巻で実質打ち切りかー。となると、久遠を生き返らせるという一輝の妄執とそれに遥がどう付き合うか、そして命残り少ないかなたの運命とそれに寄り添うことをきめた理沙にどう決着をつけるか、というところに一気に焦点をアテないといけなかったわけで、色々と取っ払ってその辺に多少唐突だろうと久遠もぶっこんで話を持ってきたのは、最善だったんだろう。
もうちょい時間があれば、一輝のイカレ混じりの久遠への執着を煮込んで色々と出汁を取ることもできたんだろうけれど、こうなったら決断を促すしかなかったからなあ。勿論、あれだけ執着を抱えている一輝に一人でそれが出来るはずもないので、久遠ご本人にやらかしてもらうのが一番だったんだろうけれど、遥のあの一輝の落ち込みに付け込むことにまったく躊躇しないガンガンいこうぜ!な姿勢には感服しました。久遠の代わりに自分が居ますよー、とあからさまに攻めこむことに衒いも何もないんですもんね。そのあっけらかんとすらしている態度には嫌味がないので、余計に攻撃力高いんでしょうけれど。
今回の話でやっぱり印象的なのは、まだ小学生にも関わらず、過剰な能力付与で寿命を削りまくった挙句にもう何週間と命が持たない、というところまで消耗したかなたが、自分の命の使いドコロを冷静に選択し続けるところでしょう。その事実については隠すこともなく公にしてるので、一輝たちも全員知っているのですけれど、かなたを止めるでもなく、無闇に延命させようともせず、ぴーぴー騒いで感情的にならず、かなたが本分を尽くせるように支え続ける理沙を含めた、メインキャラたちの姿勢には感じ入るものがありました。
様々な苦悩や葛藤を乗り越えた末の、かなたの覚悟を受け入れた見送る者としての覚悟。泣きわめくこともなく、親友として笑ってかなたとイチャつき続けた理沙の強さは、瞠目すべきものでした。戦闘マシーンとしてではなく、誰かを大切に思うがうえにその人たちを守るために自分の命を使い果たせる人間に、かなたを戻した理沙。それは見るものによっては残酷なことだったのかもしれませんけれど、かなたの迷いの失せた満ち足りた決意を見せられると、かなたにとってそれがどれだけ掛け替えのないことだったか、納得出来るというものです。
よく、見送った。

だからこそ、かなたを見舞った運命については、素直に祝福出来るんですよね。良かった、と言える。この展開を見れただけでも、本望です。
さて、そろそろあの大迷惑な小人族を敵役にして、徹底的に撃滅する話でも描かれないかなあ、と思う今日このごろ。まあ、そうなるとむしろ主人公サイドがこてんぱんにやられてエンドになりかねないのですがw

1巻感想

横浜ダンジョン 2.英雄姉妹の挑戦 ★★★★   

横浜ダンジョン (2) 英雄姉妹の挑戦 (角川スニーカー文庫)

【横浜ダンジョン 2.英雄姉妹の挑戦】 瀬尾つかさ/やむ茶 角川スニーカー文庫

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世界各地にダンジョンが出現した世界―。前世で白き賢者と呼ばれた少年・黒鉄響は、無詠唱で魔法を使える特殊な力を持ちながらも、それを隠して日々を過ごしていた。クラスメイトの真藤春菜とその相棒である坂霧彩に戦い方を教えながら、夏休みもダンジョン攻略を進める響。そんなある日、大剣使いのクレアと魔術師シンシアの姉妹に突然春菜が決闘を申し込まれて―。戻らない探索部隊、そして姉妹に課せられた重き使命とは!?
危機感、というのは得てして共有されにくいもので、こればっかりは仕方ないんだよなあ。現状、ダンジョンの奥に潜む脅威について知識・情報として持っているか否か、から危機感は変わってくるし、たとえ知っていてもその脅威を「実感」として得ているか、正しく理解出来ているか、によっても差は出てくる。ぶっちゃけ、響が感じている危機感、切迫感をこの現代の地球で共有できるのはそれこそ、その脅威を目の当たりにした春菜の姉たちだけであり、そして彼女はその脅威に抗うためにダンジョンの奥に姿を消してしまったわけで、わりと響って現状行き詰まりがあったと思うんですよね。色々と、星繰り人強化の為に手は打っていたものの、かなり地道な活動で影響力としてはそこまで劇的に及ぼせたかどうか。
先進国間の星繰り人のレベルの上昇が停滞していたのも無理からぬ話で、「敵」の存在がちゃんと把握されていない現状では、先進国が星繰り人の「安全」を重視するのは当然の話で、なりふり構わぬやり方をした結果犠牲が大量に出てしまうと、世論としてなんで安全性を無視してそんな無茶をやらせるのか、許すのか、という論調が出てきてまあ当然だし、当の星繰り人たちも「無茶」をする理由も今はないわけですよ。
その意味では、数々の世界滅亡の脅威を描いてきた瀬尾さんの作品の中でも、本作はトップクラスに危なっかしい世界観なのかもしれない。何しろ、敵の勢力とまともにやりあえる戦力が現状殆ど皆無に等しいわけですし、その戦力を生み出すのに必要な危機感が、世界の中で全く共有されていないわけですから。
だからこそ、夢見で正しい知識と実感として敵の脅威に対する危機感を得ている上に、うん初動が遅かろう日本政府ではなく、英国中枢に多大な影響力を及ぼす力を持っているシンシアの登場は、非常に大事なものなんですよね。星繰り人として超一流、というのはこの際添え物なのかもしれない。彼女の重要性とは、世界に対する影響力そのもの、と言って良いのでしょう。その彼女が、この危機を打開する鍵こそが、黒鉄響という少年である、というのを正確に捉えている。鍵である響に対して、シンシアこそが扉、とすら言えるかもしれない。
この扉を台無しにしようとしたわけですから、政府はヘタを打ったもんですわ。事情を鑑みると、クレアの横槍のせいとも取れるので、一概に政府攻めるわけにもいかんのでしょうけれど、おかげで「ザ・ブラック」が誕生してしまい、響の繊細な心に消えないダメージが刻まれてしまったじゃないですか、どうするんだ。仮にも白の賢者と呼ばれたホワイトイメージが、黒くなっちゃうのは如何なものかw
でも、こっちでの名前も黒鉄なんですよね。何気に、シンシアがラストに見た新たな夢見も絡んで、この白と黒の相克は何らかの意味がコメられてるんだろうか。

しかし、これだけ正直に自身の持つ秘密をあけっぴろげに公言しているのに、まるで信じてもらえない主人公、というのも苦笑してしまう。本人、別に信じてもらうつもりもなくて、持ちネタみたいに使っちゃってるけれど、そりゃあ出処不明の革新的すぎる知識や怪しげなネタを全部、前世の記憶です、と言っても信じてもらえないか。

1巻感想

双剣使いの封呪結界(ロストマギカ) ★★★  

双剣使いの封呪結界 (一迅社文庫)

【双剣使いの封呪結界(ロストマギカ)】 瀬尾つかさ/ 美弥月いつか 一迅社文庫

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若者たちが異世界に勇者として召喚されては、ちからを手に入れたまま帰還することが頻発するようになった地球。あるとき、東京は謎の黒い霧に覆われ異世界とつながり、強大な怪物たちが現れるようになり東京は閉鎖された。高い戦闘力を保持した異世界帰還者たちは、霧を発生させている謎の黒い柱を破壊することで霧から東京を解放できることを発見するが、黒い柱の数は膨大で……。帰還者たちの中でも最強と呼ばれる一輝と遙、特殊な魔術を行使する理沙の三人組は、激しい戦いの中、黒い霧の奧に潜む途方もない何かの存在に巻き込まれていく……。スカイワールド、銀閃シリーズを完結させた瀬尾つかさが挑むバトルファンタジーの新境地!
相変わらずどこでも出てくるな、このマッド小人族。黒い霧が無数の異世界を侵食していく、という危機的状況だけれど、侵食具合なら作品の枠を超えてどこにでも登場するこの自爆系小人族の方がよっぽど侵食してますよね!?
多数の次元世界を滅ぼした勢力が、現代地球にも侵略の手を及ぼしてくる、というのは瀬尾さんの得意のツールなんだけれど、本作は最初期に東京の中枢部がやられてしまっているために、優秀かつ指導力を持った層が根こそぎいなくなっているので大人側の指揮系統が完全に劣化してるんですよね。割りと他の作品では後方支援組織やバックアップ体制は中身が真っ黒であろうとかなり頼りがいはあったんですよね。人類の存亡を賭けた総力戦、に相応しい体制だったのですが、こっちはバックアップがしっかりしているどころか、足を引っ張られている状況なので前線戦力となる帰還者たちは精神的にも肉体的にも疲弊する一方。かなりストレスの溜まる状況なんですなあ。
そんな中で世界を救うよりも個人的な事情を優先して動いているのが、主人公となる一輝と遙。政府の紐付から離れて独自に動いているのですが、この子たちも目的に向かってひたすら脇目もふらずに邁進していたが為に、気付かずかなりメンタルがヘタって先鋭化していたようなんですよね。
そんな中で、召喚された異世界で仲間たちをすべて殺されて自身もその世界の侵略者のボス相手に潰えようとしていたところを一輝たちに助けられた理沙。彼女の参入と地球への帰還が、思えばすべての変化の起点になってるんですよね。彼女自身、共に召喚されて辛い戦いをくぐり抜けてきた仲間たちを失い、大きな心の傷を負っているにも関わらず、微妙に三下っぽい、しかし意図された陽気さと前向きさによって、徐々に一輝たちの凝り固まったメンタルを解きほぐして、彼らを人間に戻していくんですね。また、帰還者たちのリーダーとしてこの世界の盾となり、無能なバックとの調整や一輝たちに便宜を図るなど組織運営や防衛戦略についてもほぼ一人で奮闘していた小学生戦士かなたの孤高にして孤独な心を本当の意味で救い支えようとしているのも彼女、理沙ですし……もうこれ、理沙が主人公でいいんじゃないだろうかw
理沙は決して強い子じゃないんですよね。戻った学校ではうまく馴染めず、失敗を繰り返してはへこんで落ち込んでいるし。それでも、この娘だけはひたすら目的に向かって邁進する、突き進まなければもう二度と進めないくらいにボロボロになっている帰還者たちの中で、周りの人たちを支えようとしている。かつて、自分が居世界で仲間たちに支えられ助けられ、最期まで守られたことを。彼女の能力が、誰かに守られることを前提としているからこそ、当たり前のように自分を費やして周りの人たちを身も心も守ろうとしている。それこそ、自分を使い尽くすのを望んでいるように。その意味では、彼女もまたいい具合に壊れているんだけれど、その壊れ方が他人を癒やすことに費やされているのは、何とも健気だなあ、と遠い目になってしまう。これに関しては、かなたも似たようなものなんですけどね。かつて喪われた仲間たちが自分に託したものを、目いっぱいに背負い込んで、世界を守るために全力全壊で使い尽くそうとしている。小学生の幼女が背負うには、あまりにも酷じゃあないですか。でも、優秀すぎるが故にみんな、彼女自身も含めて彼女を決して歳相応の小学生の子供としては扱わない。それを、理沙がするりと滑り込んで誰もやらなかったことをやっているわけですけれど……。
いずれにしても、惨い世界観だなあ。ただでさええげつない状況下で、さらに悪意を持った謀略が帰還者たちを陥れ、屠ろうと手を伸ばしてくる。さて、いったいどの段階で痛快にこの行き場のないどん詰まりのような状況をふっ飛ばしてくれる展開になってくれるのか。

瀬尾つかさ作品感想

横浜ダンジョン 大魔術師の記憶4   

横浜ダンジョン  大魔術師の記憶 (角川スニーカー文庫)

【横浜ダンジョン 大魔術師の記憶】 瀬尾つかさ/やむ茶 角川スニーカー文庫

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世界各地にダンジョンが出現した世界―。前世で白き賢者と呼ばれた少年・黒鉄響は、無詠唱で魔法を使える特殊な力を持ちながらも、それを隠して日々を過ごしていた。だがある日、クラスメイトの真藤春菜を魔物から救ったことで「戦い方を教えてほしい」と言われてしまう。彼女はダンジョンの探索者・星繰り人だったのだ―。春菜の相棒である坂霧彩を加えた3人が、それぞれの目的のために横浜の大ダンジョンを今、攻略する!
あとがきで書かれている本作のコンセプトと、それに纏わる主人公の立ち位置がなかなかに興味深い。これは響の目的にも適うところなのだけれど、彼がヒロインの春菜たち星繰り人の舞台まで降りてくることはなさそうなんですよね。少なくとも、春菜たちが駆け上ってくるまでは主人公とヒロインたちが同じステージで戦うことはないっぽい。ところが、同時に目指すところが定まっている響に対して、春菜や彩という娘たちは目指す果てが無いのである。ただただ高みを目指し、どこまでもどこまでも行こうとしている。この構図は、瀬尾さんの初期作品である【クジラのソラ】を想起させられて、ちょっと懐かしさに目を細めている。
しかし、この主人公、逢いたい女の元に行く為に強い仲間が必要なので、春菜や彩を鍛えあげて利用しようとしているのは兎も角として、それを春菜にはっきり告げちゃうところが、誠実にゲスいw 何がゲスいって、春菜が自分に好意を抱いていることをハッキリ認識した上で言っちゃうところ。
「わたしの気持ち、もうご存知ですよね」
「うん」
「わたしに、そのひとのところまで黒鉄くんを運ぶ手伝いをしろってことですよね」
「そうだ」
酷い男である。これに対する春菜の対応が最高というか彼女もけっこうアレだよなあ、と思うところなのだけれど、これこそ瀬尾作品のヒロインだよなあ、と頷いてしまうあたり、この人の作品、自分大分好きなのよねえ。
病弱少女キャラの殻を盛大に割りまくってシモネタお色気ネタで積極的に食いにくる食わせ者の春菜の妹の冬音といい、無口系野生少女キャラを盛大に蹴り倒して、クールに悪戯っ子しまくってる彩といい、真面目で優等生ヒロインに見せかけてかなりイイ性格している春菜といい、ヒロイン衆はみんな普通とは一味も二味も違ったキャラをしていて、実に面白い。色々と人生経験豊富な響でなけりゃあ、一方的に振り回されてどうしようもなかったでしょう……あれ? すでに散々振り回されつくして悲鳴をあげている気がしないでもないですが、響は響で腹黒というか性格悪いというか、彼は彼でけっこう意地悪でサディストっぽいところもあるので、引っ張り回し合いの綱引きは拮抗してるんじゃないでしょうか。能力隠していた理由も、端的にいうとシスコンを拗らせた結果というか、賢者のわりにかなり抜けてるというか足元が疎かなところがあって、あれは愛嬌があるんだろうなあ。
【スカイ・ワールド】が完結に至り、一迅社文庫では長期シリーズが見当たらない今、瀬尾さんの本命はこれになるのかしら。現代ダンジョンものとしてはかなり面白そうな奥行きと広さを持ちそうな作品だけに、今から期待大であります。

瀬尾つかさ作品感想

聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国 2 3   

聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国2 (一迅社文庫)

【聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国 2】 瀬尾つかさ/美弥月いつか 一迅社文庫

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アリシアに連れられて賢者の学院に入学したグレイだが、生物学や薬草学など狩猟以外の座学ではまったくの役立たずであることが判明する。実母の故郷であり、かつて地上に墜落し地下迷宮と化した竜の帝国の廃墟へ向かうのだが、そこには意外な人物が待ち受けていた…。

あれぇ、二巻で打ち切りですか。長期シリーズを睨んだ仕込みが随所に見られる作品でしたし、主だったキャラクターもまだ出揃ってもいない段階でこれはキツいなあ。
主人公グレイの、シスコンを通り越した妹教狂信者的な妹至上主義なキャラは面白かったですし、そんな妹にしか眼中にない彼をアリシアが必死こいて靡かせていく流れは楽しみだったんですけれど。どこか、動物の調教めいていて(マテ
振り返ってみると主人公のグレイは天然のスットボケたアホの子であり、ウェンディは瀬尾作品の小人族らしい自爆教派で引っ掻き回すのが大好きな享楽家、新登場のイルミナは恋愛脳の妄想家、んで唯一のツッコミ役をあてがいたいアリシアからして、真面目ゆえにどんどん空回りしていって歯止めを見失うタイプなので、カオスを止める人が全く居ない。これでは、掛け合いもポンポンと弾むはずです。この手の漫才はキャラの立ち位置がある程度定まってからガッチリ噛みあうのが常ですから、まず出会いがありそこから交流があり親密になっていく紹介と微調整という過程が必要な1巻よりも2巻からが本番であり、実際本作もこっから調子出てるんですよね。一旦軸が定まれば、後からキャラが追加されても上手いこと嵌り込むので停滞はなく、イルミナやラストの彼女の登場と加入はよいアクセントになるはずだったのですが……。特にイルミナは、まだ本番はこれからといった風情で、馴染む前に終わっちゃうというのは辛いなあ。アリシアの噛ませ臭がプンプンしていたのは確かですけれど。
興味深いのはエルシオーネという人の存在。彼女に近似するのが【銀閃の戦乙女と封門の姫】のエリカなんだけれど、このパターンのヒロインは中々他では見ることの出来ない属性なんですよね。エリカだけだったなら、特別で済んだのだけれど、ここでエルシオーネという存在を改めて登場させてきたとなると、作者にはそっちの嗜好もあるということなのか。もしかしたら、以後のシリーズでも似たような存在についてはお目にかかれるかもしれない。
魔王側の埋伏作戦といい、妹フィーネの暗躍といい、竜の一族の謎といい、ここで放棄されるのは勿体無いネタと伏線と謎ばかりで、本当に勿体無い限りです。頼むからほんと、2巻打ち切りというのは勘弁してほしいなあ。3巻切りと比べても余りにも中途半端になってしまうし。

瀬尾つかさ作品感想

スカイ・ワールド 8 3   

スカイ・ワールド (8) (富士見ファンタジア文庫)

【スカイ・ワールド 8】 瀬尾つかさ/武藤此史 富士見ファンタジア文庫

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スカイワールド―それは魔法と科学技術が同居する世界で、無数に浮かぶ島から島へと飛空挺で旅をするオンラインRPG。アリス救出の糸口があるとされる、第三軌道『バロックの牢獄』の攻略を開始したジュンたち。そこは緊急脱出を始めとする、テレポート魔法一切禁止の高難度ダンジョンだった。そんな中、踏み入れたとたんに罠とモンスターが大量に襲いかかってくる、チートフロアに挑む面々。手も足も出ない状況に、ジュンはあることを思いつく。それは誰も試さなかった、この世界を逆手に取った手段で―!?世界を愛する心が導く、熱きオンライン冒険ファンタジー!!
うわぁ、これは自分には廃ゲーマーとか絶対に無理だというのがよく分かる。ゲームで何度もトライアル・アンド・エラーを繰り返して攻略法を導き出していく、という気の長い手段に耐えられないですよ、きっと。大規模レイドダンジョンフィールドでは、何度も死んで死んでを繰り返してちょっとずつダンジョンの奥へと進む方法、現れる敵の攻略法を見つけ出していくそうですけれど、艦これのイベントで粗方攻略情報が出揃ったあとで、あとは単に準備を整えてアタックを繰り返せばいい、という段階に至ってすら、途中で気力が尽きてしまう程度の自分ではとてもとても。
まあ、こういうのは他にやりたい事が一切なくて、ただただひたすらにそのゲームにのみ集中でき、夢中になれる環境があれば、まったく苦にならないんでしょうね。廃ゲーマーというのは、まさにそのゲーム以外に何も必要としていない環境、状況を手にすることの出来た人たちが成る事のできる存在なんだろうなあ。
その結晶とも言うのが、あの大学八年生なのでしょう。
自分は結局、あれもこれもとしたいことが山と積もって消化するのも儘ならないから、集中できんのよねえ。せめて、それをやっている間くらいは集中して、終わったらきっぱり切り替えて、というのが出来れば、もっと効率的に消化出来ると思うんだけれど。
ジュンもこの手の一極集中で、他をまったく省みない廃ゲーマーなのは間違いないのだろうけれど、幸か不幸か彼がハマっているゲームというのは、仲間と組んで世界を攻略していくオンラインRPGで、人間関係も重要になってくるせいか、案外と対人関係も気を遣うことが出来、ひいてはそれが女性陣との繊細さが要求される距離感の構築にも一役買っているんだろうけれど……だからこそ、リアルに戻った時にゲームと関係ないところでこれだけの人間関係を維持発展させていく事が出来るものなのか、心配になってくるところです。カスミさんとか現実世界の方がなんか難しそうだもんなあ。むしろ、あっちに帰った時はエリとかヒカルの方が頼もしそう。どちらにせよ、サクヤが居てくれないと始まらなさそう、というのはありますけどね。さて、ジュンとサクヤが組むと現実世界でもハチャメチャな事を始めそうで、実に恐ろしいのですけれど。
でも、このスカイ・ワールドの世界では、二人が組めば何が起こっても恐ろしくない無敵感は、果てがないと言っていいくらいのものでした。それこそ、ゲーム上の制約なんかでも無視してしまいそうな万能感が存在したわけです。
だからこそ、だからこそのこの展開だったんだろうなあ。
巷で昨今よく使われるようになった「チート」という言葉は、つまるところ「ズル」という意味です。その意味では、アリスを封印し、今ジュンたちの前に敵として厳然と現れたこの存在は、ジュンたちと同じステージに立つ事から拒絶した、まさにズルの塊なんですよね。相手をルールで縛っておきながら、自分は易易とルールを無視して制限を超えた結果を強要してくる。これを卑怯と言わずしてなんというのか。
だからこそ、ゲーム上のルールに則りながら、その範疇を飛び越える結果を引っこ抜いてくるようなジュンとサクヤのコンビは、このチートの存在に真っ向から立ち向かえる唯一の希望だったと思ったのに。
アリスというもう一方の制約外の存在を手に入れたものの、それ以上のものを失ってしまったジュンたちに、果たして希望はあるのか。いや、希望の有る無しを抜きにして、なんとしてもやり遂げなくてはならない状況になってしまったのですけれど。

しかし、こういう話になってくると、変に「ズル」い能力やオーバースペックを持っている人よりも、制約のもとにありながらも無双状態と言っていい結果を導き出す人のほうがよっぽど凄い感がある。具体的には、あの小学生w
リュカさんがもう小学生というレベルじゃないんですけれど。登場時から繰り返し言われていることですけれど、彼女に関しては巻を重ねるごとにその度合が深刻化しているというか、もう人類史の偉人レベルに到達してしまっている気が。この小学生、中身も本当に小学生か? 
ある意味、サクヤよりも便利キャラ、無敵キャラすぎて、戦闘力がないというハンデを無視して、彼女さえ居たら万事なんとかなるんじゃないか、とすら思えてくるんですけれど。

さて、あらすじにもあった今回の話の肝心の要素であるゲームのシステムを現実に近くなったことを逆手にとって全く新しい手段で云々、というのは、てっきり【ログ・ホライズン】みたいな常識のパラダイムシフト、レベルの事を期待してしまっていたので、え?それ!?という感じになってしまいました。いや、それはちょっと高望みしすぎてたのか。


シリーズ感想
 
12月3日

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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(ジャンプコミックス)
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(フロース コミック)
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(フロース コミック)
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(フロース コミック)
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(フロース コミック)
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12月2日

(一迅社ノベルス)
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(一迅社ノベルス)
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(一迅社ノベルス)
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(講談社ラノベ文庫)
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(講談社ラノベ文庫)
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(Kラノベブックス)
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(早川書房)
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12月1日

(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJコミックス)
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(HJコミックス)
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11月30日

(GCノベルズ)
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(GCノベルズ)
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11月29日

(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ファミ通文庫)
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(エンターブレイン)
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11月28日

(Mノベルス)
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(Mノベルス)
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(Mノベルス)
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(Mノベルス)
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11月27日

(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(アクションコミックス)
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11月26日

(エンターブレイン)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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11月25日

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(ガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(KADOKAWA)
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11月22日

(MFC)
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(MFC)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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