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犬村小六

プロペラオペラ ★★★☆   



【プロペラオペラ 】 犬村 小六/ 雫綺一生  ガガガ文庫

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極東の島国・日之雄。その皇家第一王女イザヤ18歳。
彼女はしかし同時に、重雷装飛行駆逐艦「井吹」の艦長である。イザヤのためなら命を投げ出す乗組員達は、全員彼女の大ファン!
そんな「井吹」に、突然イザヤの部下として乗り込んできたのは、主人公クロト。皇族傍系黒之家の息子であったクロトはイザヤとは幼なじみであったが、ある日、イザヤに対し最っ低の事件を起こして皇籍剥奪となり、家族もろとも敵国ガメリア合衆国へと逃亡したのであった。そのクロトが(どのつら下げて)なぜ今ここに!?
クロトは言い切る、「俺はガメリアを牛耳る怪物から日之雄を守るために帰ってきた」!おりしも我が国日之雄は、カネと武力で日之雄を我が物とせんとするガメリアと開戦に踏み切った。イザヤとクロトは「井吹」を駆り、超大国ガメリアの世界最強飛行艦隊に対し決戦を挑む!!
自信満々、超傲慢、頭が切れるのに加えてバカがつく努力家クロトの大驀進人生の絢爛舞台、ファン待望の犬村小六真骨頂「空戦ファンタジー戦記」が堂々開幕!!!

まさかの水雷戦隊ものである。大井さん北上さん出番ですよ!?
主人公のクロトは超自信家にして超傲慢、いわゆる俺様主人公なのだけれど順風満帆の人生ではなく、幼い頃にバカの両親のバカな所業のおかげで大逆事件に巻き込まれガメリア合衆国へと渡り、そこでまたぞろ父親の失敗と失踪から浮浪児同然の身の上から成り上がっていくという底辺と頂点を経験して苦労を味わったせいか根拠のない浮ついた自信で増長するのではなく、自分の天才な部分を努力で補強して実をちゃんと確かめて、という地に足がついた考え方や行動が身についている上に、弱い立場の人間のこともちゃんと考えられる、傍目とは裏腹の真人間になってるんですね。その上で、イザヤという幼馴染に対しても、幼い頃のいびつな見方ではない真摯で純粋な想いを抱くに至っているのである。俺様な態度からは分かりづらいのだけれど。
いや、わかりづらくはないのか。閣下閣下、なんて部下たちからはからかわれながらも慕われ懐かれてるんですよね。その態度の上から見下ろすような嫌らしいものがなく、それどころか愛嬌めいたものがあるのを、諸氏も感じているのだろう。
可愛いヤツなのである、クロトくんは。そもそも、日之雄に戻ってきたのもやべえやつに目をつけられたイザヤを守るため、彼女を渡すまいとするためなので言うてしまうと恋に健気な男なのだ。
でも、その目的でただ一軍艦の士官になる、というのはちょっと遠回りしすぎなような気もするんですよね。ぶっちゃけ、現場で一人の軍人がどうこうしようが近代国家間戦争、それも総力戦の行方を左右するなんて不可能なわけですから。彼はその不可能に挑もうとしているのだけれど、とりあえずメチャクチャ出世して例えば司令長官にまでなっても、やっぱりまずやりようがないんですよね。どうするんだろう、これホント。
そんなクロトくんとガメリアのやべえヤツに惚れられてしまっているが故に、何気に彼女傾国になってしまってるんじゃ、というメインヒロインのイザヤ。クールで誇り高くしかし優しい彼女はヒロインとしても戦場の花としても指揮官としてもとても輝かしく、彼女が艦長を務める飛行重雷装駆逐艦「井吹」の艦の雰囲気は推しのアイドルを頂いたファンクラブ艦艇みたいな感じになってて、実にアホっぽいのだけれど、そのノリのよさが十分楽しいわけである。クロトとイザヤを中心に艦内の明るいポンコツの雰囲気や、ガメリアの大艦隊に挑む戦闘シーンなど個艦単位で描かれる部分は非常に面白い。水雷戦隊の被害無視の突撃の惨状と、それでも突っ込む心意気と破壊力なんぞはまさに夜戦の華を見事に描ききっていたんじゃないでしょうか。
しかし、これを仮想戦記として見ると戦争という視点からしてもかなり大味というか古臭いんですよね。ガメリア軍人たちの差別的な横柄な態度とか、逆に日之雄側の軍人たちのやたらと精神主義なところとかは、昔の火葬戦記なんて呼ばれたものでよく見られたもので、戦記物としての程度を下げる要素でしかないんですよねえ。ハルノートをモデルにしたと思われる最後通牒なんかをはじめとする、戦争のはじまりを取り巻く歴史的なあれこれに関しても、近年になって語られてる諸説や見解と比べると二十年前くらいに隆盛を誇っていた勢い重視の仮想戦記でよく見られた構図が散見されて、なんかこう微妙な気分になってしまうわけです。ただああいうの好きな人も多かったわけで、だからこそブームにもなったわけですけれど。さて、今にそれが流行るのかどうか。

ただ、この作品特有の浮遊圏という設定はすごく面白いと思うんですよね。色々と想像を羽ばたかせる余地があるのですけれど、特に航空機の価値を壊滅させたという意味ではかなり重要だと思われます。空戦ファンタジーと銘打ってますけれど、何気にこの浮遊圏のおかげで空戦における三次元要素はほぼなくなってると考えていいですし。高度1200メートル以上にあがれない、という設定は航空機の戦闘的な運用がほぼ不可能になっているという以上に、航空偵察が本来のそれよりも殆ど意味を失っている、という点だけでもえらいことなんですよね。高高度から見下ろして偵察するからこそ目標物の発見が容易になるだけに、敵艦隊の位置を探るのだけでも従来とは比べ物にならないくらい難しくなってるはず。1200メートルってたとえば時速500キロだと一番上から海面まで10秒かからず移動できてしまうので、ちょいと機首を下に向けると何秒もしないうちに上昇しないと海面に激突してしまうくらいなんですよね。こんなん、殆ど上下移動、三次元機動の自由がないので航空機の優位性がかなり失われてしまう。雷撃機あるみたいだけど、海上すれすれをツッコんできて視界的にもレーダーでも捉えにくい従来の雷撃機と異なり、こっちはいいカモじゃないですかねこれ。
さて艦隊決戦とは、お互いの艦隊が望まなければ発生し得ない、とか何とか述べていたのはどの作品だったか。1200メートル上空を浮かんでいるだけで、海上にいる艦隊とは条件も違ってくるんだろうけれど、航空偵察・追尾・攻撃もろくに出来ない状況だと色々と面倒なことになりそうだなあ。
ただ浮遊圏って想像の余地がありまくるわけで、じゃあその揚力を失う浮遊圏を射出なりロケット推進での打ち上げなりで突破して浮遊圏より上にあがれば飛行機も使えるんじゃ、とか、飛行空母からなら浮遊圏より上に射出するのも容易なんじゃ、とか。浮遊岩積んだ空雷、海上から撃ちあげても浮遊圏まであがったらそこから水平に推進して当たるんじゃ、とか色々と想像できるんですよね、面白い。浮遊圏より上にも薄いとはいえ揚力を剥離させちゃうセラス粒子があるみたいなので、浮遊圏突破しても飛行機は飛べないのかなあ。
しかし、飛行戦艦と海上戦艦の優劣って、ちょびっと書いてあったけど普通に海上戦艦の方が強そうに見えてしまう。いやこれ、浮遊体を釣ってる懸吊索が破壊されたら船体落ちちゃうわけで、相当脆いですよ。
巻末に飛行戦艦獅子丸のデザインが載ってるんですけど、主砲って左右の舷側にそれぞれ配置されてるのかー……これって前弩級戦艦じゃね? 片舷二基四門ってこれだけ砲門数少なくなると投射量ガガガ。
ってか、これだと主砲撃ったら反動で浮遊体を支点にして船体がゴンドラみたく振り回されたりしないんだろうか。それどころか、角度かなり上の方に向けて斉射したら、下に向けて負荷がかかって懸吊索破断しそうで怖いぞ!?
それに浮遊体、船体の上に位置してるんだけれどこれって戦艦同士の打ち合いだと砲弾かなり直上に近いところから降ってくるから、まず浮遊体にぶちあたってエライことになるんじゃあ。いや、本作の交戦距離って1万2000って書いてあったな。それだと海上戦艦の砲戦距離である20〜30キロくらいに比べるとだいぶ近いので成層圏まで達するような山なりでは飛んでこないのか。さらっと雑に調べてみると、落角10度くらい。ほぼ舷側装甲にぶち当たる角度である。想定される砲戦距離がこのくらいなら、浮遊体が船体に覆いかぶさっている形なのもそれほど問題ないのかしら。
でも、船体を飛び越す形で遠弾となる弾道だともろに浮遊体に当たりそう。あれって砲弾の直撃食らったらどうなるんだろう。割れるんだっけか?
ってか、1万2000って40センチ級の主砲での打ち合いだとちょっとやべえくらいノーガードの殴り合い距離じゃね!? これが基本的な砲戦距離なの? もっと装甲厚くした方がよくない? 実際もろにやべえことになってるんですが。
いやあ、この距離ならレーダー関係なしに多分かなり当たるべさ!

その肝心のガメリア製レーダーがまた凄いんですよね。これもう、これだけ当たったら勝てないでしょ、日之雄。命中精度が化け物じみてるんだもの。ぶっちゃけ、史実のアメリカの射撃用レーダー、第二次世界大戦時代のものだとそこまで当たんなかったはず。チャフも有効ではあるけれど、それでレーダーが無意味と化すようなものではなく、一時しのぎに近いものなので、正直ここまであたる射撃管制レーダー装備されてると、勝てる要素が見当たらないんだよなあ。
水雷戦隊の必殺技である魚雷攻撃も、水中を行く通常の魚雷と違って普通に撃ち落とせるし、レーダーのお蔭で発見も容易。史実における酸素魚雷の優位性の一つだった気泡の少なさによる発見の難しさも、こっちの酸素空雷では失われているし。
……これ、戦闘で勝てる要素どれだけあるんだろう。なんか、史実の日米よりも戦力差ありそうなんだけど。
それこそクロト、その投資家としての能力の方で戦争にアプローチした方がよっぽど勝利条件確保できそうだよなあ、これ。いや、投資家としては人間性の悪辣さの面でどうしたってあの「野郎」には勝ち目薄いか。でも、国という単位への影響力の及ぼし方としては、一軍人よりもよほど出来ることは多そうなんだけど。金という力は、それこそ変に日之雄の政治権力中枢に入るよりも合衆国という国の方向性にダイレクトにアプローチできそうなものだし。そもそも合衆国どうこうしようとするよりも、あの野郎個人を狙い撃ちしてどうにか失墜させる方がだいぶ簡単そうに思える。
クロト、なんでそっち方面で勝負しようと思ったし。いやほんとにこれ、どうしたら勝ち目が見えてくるんだか本気でわかんないですよ。まあでもあの御仁、カイルも戦争で最前線で戦ってるイザヤ、日之雄の国家体制が解体されるような負け方したら、普通戦死しますよね。ってか今回の戦いでも普通なら死んでてもおかしくなかったですよね、というのをわかってるのか気にしてないのか、イザヤは死なないとでも信仰しているのか。頭おかしいキャラではありますけれど、はっちゃけてるなあ。
巡り巡って国家間戦争を出汁にしてイザヤを奪い合う三角関係という構図になっている本作ですけれど、なればこそカイルはなんか面倒くさいツンデレで本心、イザヤが好きというのをイザヤに隠すというのはこの際、余計な遠回りになってる気がするんですよね。とにもかくにもイザヤが好きという点こそが起因になってるんだから、そこを誤魔化さずにもっかいちゃんと告れ、と好みな主人公クロトくんですが、そこだけはちと不満が募っているところであります。すでに間男なカイルですけれど、そんなカイルに付き合う必要ないじゃないですか。まあ最初のアホなプロポーズがクロトにとっても引っかかる要因になっているのかもしれませんが、いい加減お互いに素直になれないカップルというのはもういいんじゃないですか、と申したい所です、はい。
そこらへんも、引っ張らずにガツンとグイグイと進展させてくれたら嬉しいなあ。

犬村小六作品感想




やがて恋するヴィヴィ・レイン 4 ★★★☆   



【やがて恋するヴィヴィ・レイン 4】 犬村 小六/岩崎美奈子 ガガガ文庫

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ガルメンディア王国に戻ったルカはファニアとの約束を果たすため暗躍を開始。テラノーラ戦役、ウルキオラ暴動、ドル・ドラム戦役で傑出した戦果をあげたことにより、ルカは民衆からの絶大な支持を得て反体制勢力の中心人物へとのしあがっていく。一方のファニアは王政に身を捧げる覚悟を決め、ルカに蜂起を思いとどまらせようと煩悶していた。ふたりの思いはすれ違ったまま王国はついに革命のときを迎える―。
「民に君臨し、民を搾取し、民のために我が身を捧げる、それがわたしの誇りです」。
風雲急を告げる恋と会戦の物語、第四巻。
ヴィヴィ・レイン……可能性として何らかのシステムとか概念か何かなのか、と考えたこともあったのだけれど、ちゃんと人の名前だったのか。
って、今回一気に怪しさ大爆発な人物が浮かび上がってきちゃったんだけど、え? このタイミングで露骨すぎない?

ファニアと再会するために、彼女との約束を果たすために、ついに革命の旗印へと名乗りを上げたルカ・ヴァルカ。ただの戦場の英雄という御輿じゃなく、自らの言葉で未来を示し、人を導き、反体制組織の幹部たちを懐柔し、利益誘導をして組織間のパワーバランスを調整し、と名実ともに革命勢力の指導者へと駆け上がっていくルカ。こういうの苦手なんだけれどなあ、と気乗りしない様子だったくせに、いざ機運が盛り上がり民衆の不満がどうあっても爆発してしまう状況になって、それをコントロールするためにその苦手な分野に自ら飛び込んでいくこの男、大したものなんだけれど、それ以上に苦手とか言ってるくせにやってるうちに革命指導者として揺るぎない才覚と実力を示しちゃうんだから、こいつなんなんだろう、天才? いや、これでスラムで這いつくばって食料を探し回っている頃から本だけは手放そうとしなかった読書家であり、元々インテリでもあるんですよね、ルカって。ほんとそうは見えないんだけれど。
それでいて、理想だけで羽ばたこうとしない一歩一歩歩いて進んでいく現実主義者でもあり、ただ一人の女性との約束を守るために世界を変える決意を固めた情熱家でもあるわけだ。
はたして、これだけの出来物を歴史のいたずらが災厄の魔王と呼ばれるまでの人物に仕立て上げてしまうのだから、なんかもうたまったもんじゃないよなあ。ルカの性質からして、魔王なんて呼ばれたの結果論か、風評の類なのかと思ってたのだけれど、あのラストの展開を見るとどうやら魔王と呼ばれるに当然の所業へと走ってしまう模様で……いや、でも気持ちはわからないでもない。
あんな、いちばん大事な時にいきなり頭から水ぶっかけられるような真似されて、怒り狂わない男がいるだろうか。もう、怒髪天ブチ切れまくって正気も吹っ飛ぶわ、というようなことをやらかしてしまったのが、かのジェミニ先輩であります。
ほんとにもう最高にして最低のタイミングで、やってくれましたねこの人。ルカに嫌がらせするために全身全霊を賭けている男の面目躍如というべきか、ルカを煽るにこれ以上ないタイミングでさすがとしか言いようがない。
まあルカとファニアも、ファニア自身がこんな時になにやってるんだろう、と思わず自問してしまうような状況で積年の想いを爆発させてしまっていたわけだけれど、いやほんとにこんな時にそんなことしてて大丈夫なんかー!?とは思った、思うよ! だって、いつ民衆が暴徒化して突入してくるかわかんない場面ですよ、状況ですよ。それでもなお、辛抱たまらんかったというルカなんですよね。そりゃあねえ、何年も何年も戦火くぐり抜けて戦って戦って戦友失いながら実際革命までこぎつけて、心身すり減らしてようやく辿り着いてみたら、相手のファニアさんてばグダグダと今更になって建前ばっかりで本音を押し殺して聞かせてくれなくて、もう「だらっしゃーー!!」と爆発させてしまうのもわかる、わかる。ファニアと同じ調子でグダグダし始めずに、本音本心本体ぶつけ合わなきゃはじまらんわー、とばかりに押し切ってしまったルカはえらいです、大したもんです、男です。こういう果断でバッサリしたところ、いい主人公だと思うんですよねえ。
決して悩まず考えないわけではなく、立ち止まっていいタイミングではとことん思慮に耽溺し、想いにふけって迷って悩んでいるんですもの、彼は。
ファニアと結局どうすればよかったのか。その結論を出す時間はありませんでしたけれど、あの全部捨てて逃げる、という選択肢はあのジェミニの執着を思えば、あまり良い選択ではなかったんでしょうね。結局、どこまでも追いかけてきそうですし。ジェミニめー。
……お兄ちゃんの元皇太子さまの方は、あれだけファニアに執着してたのに実際会って自分に目がないとわかるとのたうち回った挙げ句ですがあっさりフラれたと受け止めて諦めて、ルカとファニアを応援してくれるようなさっぱりした人なのに……。いや、あれをサッパリと言っていいのか激しい疑問を覚える変人っぷりではあるのですけれど。それ以上に面白い人すぎて、この皇太子いったいどこへ行こうとしているキャラなんだろう。
アステルの残り時間もそろそろ本格的に余裕がなくなってきた状況で、ルカとジェミニの本格的な対立がはじまってしまう。ヴィヴィ・レインの正体にも徐々に近づいているけれど、風雲急を告げっぱなしだな、これ。

シリーズ感想

やがて恋するヴィヴィ・レイン 3 ★★★☆  



【やがて恋するヴィヴィ・レイン 3】 犬村 小六/ 岩崎美奈子 ガガガ文庫

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ウルキオラ暴動から三年。神聖リヴァノヴァ帝国においてルカはジェミニらと共に帝国最強の独立混成連隊として勇名を馳せていた。ルカの編み出した新戦術は三次に及ぶ「ドル・ドラム戦役」においてその威力を発揮し、帝国軍総司令官ヴラドレン皇太子はルカに作戦会議への参加を特例で許可する。だが一方で、皇帝の血を引くジェミニは皇太子を排除すべく暗躍を開始、ルカは皇位継承を巡る闘争へと巻き込まれることになってしまった…。魅力的なキャラクターたちが織りなす一大軍事戦記。さらにさらに加速する恋と会戦の物語!!

2巻を読んでから1年以上積んでしまった。内容についてはちゃんと覚えていたのだけれど、二巻を読んで自分がどんな感想書いたのかは覚えていなかったので、改めて見直してみたらルカがどれほど献身的な性格をしているのか、という点についてよく書いていてなるほどなあ、とこの三巻を振り返ってみたら、確かに彼って尽くす性格なんですよね、この三巻でもそのあたり滲み出てる。
一方で自分自身についてはあまり省みることは少ないようで、絶体絶命になっても人事は尽くすのだけれど、それでダメだったら「ああダメだったなあ」とわりとサッパリしているところがあるんですよね。自分についてそこまで執着がない、という感じで。だからなのかわからないけれど、自分が何を望んでいるか、という点についても深いところまで考えていなくて、最後のあのシーン、説得のために自分の目的や思いというのを打ち明けていく過程で、ああ自分ってこんな事を望んでいたのかー、とどこか暢気に気づいているくらいでしたものねえ。
皇太子が淫行淫行とはしゃいでいたのも、いや待て待てと言いながらも何気に怒ったりはしてないんですよねえ、ルカって。フェニアのこと好きで、彼女のために色々頑張っている一方で彼女に対する独占欲、みたいなものがいまいち感じられないところがある。まあこれは彼女に限らないのだろう。ミズキに対しても、アステルに対しても本当に大切にしているのだけれど、彼女たちに対して自分が自分が、という執着めいたものは殆ど見せたことがない。アステルが微妙に不満そうにしてるのって、ちゃんと構ってくれないという点を突き詰めてのそうした執着を見せてくれないところにあるんじゃないかな、なんて思ったり。

……こうしてみると、中身空っぽで全然何にも大切にしなくて利害が拗れたらすぐに切り捨てるくせに、凄く執着するのがジェミニなのかもしれない。少なくとも、ルカに対しては幼少の頃に何にも言わずに居なくなったことずっと根に持ってるし、母親に対しても根に持って執着していた部分があったわけで。
ルカってジェミニの人間性について深く理解していたけれど、考えてみると自分がどれだけ執着されているか、というところに関しては無頓着なように思える。これも、ルカの自身の省みなさが強く作用しているのか。ジェミニの悪しき部分をあれだけわかっていながら、フェニアのこととか自分の目的とか平気でペラペラとジェミニに喋ってるし、いざ決別したときもその点に関して危機感を全く抱いているようすがなかった。これも、ジェミニが自分に拘っている、という観点が一切なかったと考えればよくわかるんですよねえ。もちろん、これからどうなろうとジェミニが悪し、なんですがルカはあれだねえ、せっせと種まいて耕して去っていった感じである。

しかし、ジェミニもジェミニで凄いですよ。あのルカの尽くす性格をして、「あ、こいつさすがにあかんわ、ついていけん!」と思わせてしまったくらいですもんねえ。ルカがよっぽどのことがなければずっとついていくつもりだったのは、一度はジェミニが間違えた道を歩いてっても一緒に間違えてやる、とまで言ってのけたことからもわかりますしねえ。ルカをして突き放した人物は、ジェミニが史上初でしょう。それでも突き放しきれずに、別れ際にお説教なんかしちゃってジェミニの行く末を心配してるんだから、ルカってばほんと筋金入りなのではないでしょうか。
だからこそ、ミズキやアステルだけじゃなく、他にもついてくる人が増えてきたのでしょう。まあ、この場合、比較対象がジェミニだった、というところがアレだった可能性もありますけどw

そう言えば、はっきり言ってノーマークだったミズキもその身の上に何らかの秘密がある可能性が出てきたんですね。あの義妹と一緒だったワイバーンとの再会シーンでのミズキの登場、意味深だったのにこの巻では結局その後一切触れられず。同じ巻で回収されないということは、これはよっぽどの伏線なのか。
フェニアの方もだいぶ頭押さえつけられてへこたれてるみたいだし、動向があちらもこちらも目まぐるしい。まだ三巻なんですよねえ、このシリーズ。密度が凄いなあ。

シリーズ感想

サクラコ・アトミカ ★★★☆  



【サクラコ・アトミカ】 犬村 小六/文倉 十 星海社文庫

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畸形都市、丁都に囚われた美貌の姫君・サクラコの“ありえない美しさ”から創られた「原子の矢」は、七つの都市国家を焼き払う猛威を秘めていた…。その抑止のために各国の軍が丁都に迫る中、サクラコの護衛にして牢番、「無機物から創造された生命特性を持つ短期システム」、通称“バケモノ”と呼ばれる少年・ナギはいつしか彼女に魅せられていくのだが…!?「とある飛空士」シリーズの犬村小六が放つ、愛と青春のボーイ・ミーツ・ガール!

あれ? この文庫版って「星海社FICTIONS」版とはラストシーン違っているんだ。あちらの方は読んでいないのでどう違うかわからないんだけれど。
犬村さんの描く世界の果てを超えていくようなボーイ・ミーツ・ガールの原型、と言いたいところなんだけれど、実のところ「とある飛空士への追憶」や「とある飛空士への恋歌」シリーズの方が先なんですよね。
かの人が描く最果ての儚くも力強い恋の物語のプロトタイプのような力強さと荒々しさを持つ作品だと、今になって読むとそう感じたんですけどね。
「とある飛空士」シリーズへと続く様々なボーイ・ミーツ・ガールの派生の元というか源泉のような感じがありましたし、同時に犬村さんのオリジナルの初期作品である【レヴィアタンの恋人】から【とある飛空士】シリーズへと繋がる過渡期の部分を担っているような世界観でありましたし、キャラクターの造形を感じさせてくれましたし。
逆にこれが追憶の後、恋歌の初期が書かれている頃に手がけられた、というのは興味深くもある。
命とはなんだろう。ラストシーンで一人の登場人物のなかから、主人公とヒロインの命を燃やし尽くした恋、世界を変えた恋を前にして浮かんできた自問。
その疑問、その不思議さへのアプローチこそが、犬村作品の根幹を担い続けているように思うのだ。物語を紡ぐと同時に、真摯にその問いへの答えを探し続けている。
そうやって、命のきらめきを描き出しているのだと。
だから、一冊で終わるからこそ脇目も振らず焦点をそこに当てて描ききった本作は、すべての作品のプロトタイプに見えるのだろうか。ここからすべてが派生していくように見えるのだろうか。
これもまた疑問は尽きない。
その答えを追うには、やはりすべての物語を追っていくしかないのだろう。過去に翻って【レヴィアタンの恋人】の続きも読みたいんだけどね!!

犬村小六作品感想

やがて恋するヴィヴィ・レイン 2 ★★★★   

やがて恋するヴィヴィ・レイン 2 (ガガガ文庫)

【やがて恋するヴィヴィ・レイン 2】 犬村小六/岩崎美奈子 ガガガ文庫

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近衛連隊を追われたルカは放浪の末、旧友ジェミニとの再会を果たす。昔の借りを返すためジェミニの庇護下に入ったルカだが、ジェミニの思惑はルカの想像を遥かに超えて、ガルメンディア王国を揺るがす大事件が勃発する…。「災厄の魔王」ルカと「褐色の皇帝」ジェミニ。一千年にひとりと称される巨大な軍事的才能が、眩いばかりの才能と才能の相克を世界史に刻む。そして王女ファニアもまた、自らの意志により歴史の表舞台へ…。「いつかこの国で革命を起こす。きみにもう一度、会うために」。加速する恋と会戦の物語、第二巻。
こうしてみると、ルカって特定の誰かに対してじゃなくて、わりと親しくなった相手に対しては献身的というか……尽くすタイプですよね、こいつ。
亡き義妹に対しても、兄として接するというよりもひたすら病弱な妹の面倒と世話を一心不乱にしていた感じですし、ファニアに対してもあの逃亡の日々以前から結構献身していたのが、ファニアの人となりに感銘を受けてからは加速度的に姫様命!になってしまって、ファニアのせいじゃないんだけれど結構理不尽な目にアイながらも殆ど不満や憤りを見せずに自分の中で処理してしまっていて、ファニアには好意的な感情を一切損なわないままでしたし。それが、今回の一連の事変でも絶対的なファニアへの信頼と献身に身も心も捧げることになってしまってますし。
そんでもってアステルですよ。いくら病弱な妹の面倒を見ていた経験があるからと言って、オーヴァーブーストを使ったあとの身体がまったく動かなくなるアステルの介護、あれはもう介護と呼ぶ以外になにものでもないあれこれを、嫌がったり遠慮したり恥ずかしがったりする素振りもなく、下心を持つでもなく思惑を働かせるでもなく、動けないアステルの面倒を見る、介護をスルということに徹して一生懸命なのですから。
これを尽くすタイプと言わずしてなんというのか。
まあ、だからこそアステルの方も、男であるルカに面倒見てもらうことを嫌がりもせず、というかもうルカ以外にはやらせない、とまで言い放って、ダダ甘えまくってるんでしょうけれど。
アステルと亡くした妹の姿形が一緒だから、ルカとしても夢中で世話してしまってる、というのもあるんでしょうけれど、妹の方は遠慮してあんまり甘えて我儘言ったりするようなこともなかっただろうな、という性格だったので、遠慮なく自分にダダ甘えてくる妹とおんなじ姿の、妹が成長した姿の少女であるアステルは、ルカにとっては夢の続きなのかもしれない。そりゃあ、尽くすわなあ。ただでさえ献身体質なのに。

ルカがなんだかんだとジェミニから逃げ出さなかったり、町の人達を見捨てて逃げられなかったりしたのは、彼の義理堅さや善良さ云々も然ることながら、この子があんまり見返りを求めずに献身してしまうタイプだからなんじゃないかなあ、と思うんですよね。
その意味では、とんでもない見返りを全身全霊を込めて与えてくれたファニア王女の存在は、ただでさえルカに飛びっきりであった意味に、さらに途方もない価値を与えてしまったのでしょう。
理屈じゃない、感情の問題なのだ。
そして、運命がすべてを加速させていく。
正直、ルカとファニアの本人同士が望まない対立構図が成立してしまうのって、もっと紆余曲折あってからのことなのだと思ってたら、あまりにも速攻過ぎるくらいあっという間にルカの立場が激変してしまって、いやもういくらなんでも早すぎるでしょう、それ!
本人も唖然呆然、あっけにとられている間に祭り上げられてしまったわけですが、ついさっきまで何の責任も立場もなく、アステルと二人で自由で貧乏な旅の空ってなもんだったのに。
ここで、ジェミニと再会してしまった、という以前に幼いころに知り合っていた、という時点であまりにも運命的すぎるんですよね。そんなルカがファニア姫と偶然が重なって想いを交わす関係になってしまったことも含めて、運命の神様が社畜なみに働きすぎてる、この世界!!
運命の神様というのは気まぐれ、というのがイメージなのですけれど、この神様の勤勉さと来たら、日本の都市部の電車並にきっちりしていて忙しなさそうなんですが。
いやはやまったく。
ここまで急き立てられると、むしろ人は自分のうちから湧き上がってくる感情にこそ、身を任してしまう。いや、その想いこそを一番大事にしてしまう、というべきか。
ファニアもルカも、アステルもミズキも、そしてジェミニですら、そうやって自分の想いを滾らせて、この激動の時代のさなかに、自ら突き進んでいこうとしているのだ。
その激しさに、首根っこ掴まれて引きずり回されるかのような気分である。それは、読み手として幸せなんですけどね!

1巻感想

やがて恋するヴィヴィ・レイン 1 ★★★☆   

やがて恋するヴィヴィ・レイン 1 (ガガガ文庫)

【やがて恋するヴィヴィ・レイン 1】 犬村小六/岩崎美奈子 ガガガ文庫

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「ヴィヴィ・レインを見つけて」

彼女の願いを叶えるため、スラム街の少年は旅に出る。限られた命を生きる人造の少女と、意志を持つ機械兵。滅びゆく王国の姫、性別不詳の天才操縦士、皇帝に捨てられた子ども……。
旅の途中、それぞれの傷を抱えた仲間たちと出会い、やがて少年は「災厄の魔王」と称され、楽園に支配された世界へ反逆の旗を翻す。
ヴィヴィ・レインを探す、ただそれだけだった小さな旅はいつしか時代のうねりとなり、世界を変革する戦いへ――。

傷だらけの少年少女が織りなす恋と会戦の物語、開幕。
「ヴィヴィ・レイン」とは何者なのか。そもそもそれは人なのか。
その答えの一端はラストに明かされることになるのですが、この引っ張り方と魅せ方が見事の一言でベテラン作家の妙が伺えるのです。
それにしても、主人公のルカ・バルカがまたイイヤツなんですよね。この子の境遇を考えるともっと世を恨む荒んだ凄惨な人間になっていてもおかしくないだろうに、ややヒネてはいるし外道働きも躊躇わないのだけれど、筋は違えないし理不尽に対して反骨心を喪わず、一方で立派な心持ちの人間に対しては身分の上下を問わず敬意を絶やさない。ちゃんと付き合うと、凄く気持ちのよい頼りがいのある少年だと理解できるだろう。
王女ファニアはそのへん、直撃喰らってしまったみたいだけれど、彼女を見舞う理不尽によって生み出された孤独の中で、彼のような真摯さはまさに霹靂だったんでしょうなあ。
だからこそ、ルカが自分にしてくれたことに対して全く報いれなかった事は、彼女を大いに傷つけることになるのである。ある意味、彼女が悲劇を受け入れる下地となってしまうのかもしれない、芽生えた恋心に対する彼女の無力感と罪悪感は。
一方で、ルカ自身はファニアに対して殆ど、いや一切恨み言は抱いていないんですよね。あれだけ献身しながら、報われなかったことに対して仕方ないか、と諦めている。ファニアのせいではなく、彼女が自分に出来る範囲以上で自分の立場を半ば悪くしながら自分を守ってくれようとしたことを知っているからなんだろうけれど、それでもこれだけ割り切れるというのは、それだけルカがさっぱりした人間だからなのか、それとも「期待」をしていないからなのか。
ルカの中で亡き義妹の遺言である「ヴィヴィ・レインを見つけて」という言葉が、それを叶えるという目的が何よりも重いからこその、拘泥の無さなのかもしれないけれど。
彼の敵は妹を殺した世界の理不尽だけれど、ファニアはむしろ自分側の人間、同じく理不尽と戦ってくれる、自分なんかよりもよっぽど世界を変えてくれる存在だと思ってるからこその割り切りなのかもしれないけれど。
その結末が、ファニアの見た未来図だとしたら、まさに悲劇だよなあ。尤も、あの夢の光景でルカが喋っていた台詞が、ファニアが捉えた意味なのかはまだ疑わしいけれど。
いずれにしても、エデンという天上の存在が地上の戦争を娯楽として楽しみ、地上の王族・貴族たちがエデンからもたらされた玩具を手に自分たちのルールで戦争に興じ、そして最底辺の民たちがそれらのしわ寄せを一気に背負わされている、という理不尽の多重構造がこの世界の枠組みなわけだけれど、この物語はまさにその理不尽の枠組みを破壊し尽くす革命の物語になりそう。であるのだけれど、それが痛快な話になるか、というとそうは問屋がおろさない、って感じではあるんですよねえ。
あの巨大な人型兵器が、軍勢がぶつかりあう戦場を闊歩するという重厚感ある構図は非常に好みで、ワクワクさせられたのではありますが。ちゃんと人型兵器が、重力と重量を感じさせるズシンズシンという足音や関節がギシギシ鳴る音が聞こえてくるようなシーンは、ほんとイイですわー。
うまくすれば生身の人間が人型兵器に取り付いたり引き倒したりして、乗り込んでいる騎手を引きずり出して乗っ取ったりできる、という展開も。人型兵器が絶対無敵すぎないんですよね。それがまたいい。
ちょっと出遅れたものの、早いところシリーズ最新刊まで追いつきたいところ。

犬村小六作品感想

とある飛空士への誓約 2 4   

とある飛空士への誓約 2 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への誓約 2】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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疑心暗鬼が七人の友情を切り裂いてゆく。

――空は、墓場だ。
――わたしは人間ではない。戦闘機の一部だ。
かつて「空の王」と呼ばれた父、カルステン・クライシュミットの教え。
その言葉を胸に刻み、一個の鉄塊となったイリアは、今日も灰色の空へ向かい離陸する。

25戦中、24勝1敗。撃墜数33機――。
エアハント士官学校飛空科の「模擬空戦」において、驚異の記録を更新中のイリア・クライシュミットは、「空の一族」の追撃からただ一機帰還し、叙勲までされた士官候補生たち「エリアドールの七人」の中では突出した存在となっていた。
比して、イリアと共にエリアドール飛空艇の操縦を担当した坂上清顕(さかがみ・きよあき)の戦績は、11戦して2勝0敗9引き分け。撃墜数0機。
互いに撃墜王の父を持ちながらも、イリアに実力の差ばかり見せつけられ、悩み、焦る清顕。

――なんのために、ぼくは戦場を飛ぶ?
――なんのために、ぼくはひとを殺す……?

そして、平穏な学園生活の中で懊悩する裏切り者の工作員「ハチドリ」。その正体も明らかに――!?
七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語。激動。
地図をください地図をくださいと喚いていたら、この巻ではきっちり近隣周辺の地図をつけてくれました、ありがとうございます。
一巻のあとがきにあった作者の「シリーズ最大スケール、最長の群像劇」というコメントを噛み締めている真っ最中。正直、一巻を読んだ段階では主要登場人物が七人というのはいかにも多すぎやしないかと思ったものでしたが、伊達に七人じゃなかったようです。本気で七人全員を脇に回さず中心核として取り回していくだけの作者の覚悟、或いは悪意と言ったものを嫌というほど見せつけられましたよ、今回は。鬼か、この人は。よくぞまあ、ここまで雁字搦めに過去と現在と立場と感情を錯綜させた挙句に固結びにしてしまえるものです。現段階で表に浮かび上がっているだけの因縁だけでも、七人恐ろしいほどの解けない絡み方してますよ、これ。さらに、まだ表に浮上してきていない伏線もバルタの目的などを始めとして多々ある気配があるんですよね。いったいどれだけ丹念に執拗に七角関係の因果が折り重なるように設計したんだか。この犬村さんという人は自身の扱う登場人物を愛すれば愛するほど泥沼のような過酷な状況に追い込むことに至上の喜びを感じるタイプの作家さんだと思ってはいたのですが、今回のこれは芸術的なまでの、或いは偏執的なまでの編みこみの密度が随所から感じられて、正直背筋が寒くなる思いです。
しかし、今回は本気で驚いた。完全に意識が工作員「ハチドリ」の正体は一体誰か、という方に向いていて、お姫様の方はあの娘だと思い込んでたんですよね。お陰で、ラストの大どんでん返しには完膚なきまでに踊らされました。比較的早いうちにハチドリの正体があからさまにされたのも目線をそちらに向けさせられた要因だったんだろうなあ。最近、このへんの勘働きが利かなくて忸怩たるものがあります。
いやでも、これは鬼でしょう。展開が鬼過ぎますよ。ただでさえ不憫枠だったミオが不憫どころじゃなくなってしまったじゃないですか。場合によってはミオがメインヒロインの座を奪還したとも取れるんですけれど、なんかさらにひどい方向に流れそうな気もするし、一概にミオと清顕だけにフラグが立っているわけでもなさそうなんですよね。恐ろしいのは、これもう何がどう転んだ所で、誰もほんとうの意味では救われないし、どんな形でも悲劇しか待ってないような詰んだ状態なんですよね。もうこれ、どんな形の悲劇になるか、しか結末残ってないんじゃないんですか? そう思わざるをえないほど、七人がどの選択肢を選んでも誰かが救われず、その為にそれ以外の子たちも傷つくように、縦横無尽に因果が絡められているのです。これを執拗にして丹念な仕込みと言わずしてなんと言いますか。悪意すら感じる、と思ってしまいますよ。
ぶっちゃけ、一巻冒頭の二人の裏切りもの、というフレーズはまだミスリードされてると思ってます。いや、この衝撃の真実を目の当たりにしてそう思うようになりました。こんなどんでん返しを見せられては、これで語られていた五人の英雄と二人の裏切り者の正体が明らかになった、なんて素直に受け止められるわけないじゃないですか。
これから先読んでいくの、今までのシリーズにまして精神をゴリゴリと削られそうで、ぶっちゃけめげそうなんですが、面白いだけにタチが悪いんだよなあ、ホント。

1巻感想

とある飛空士への誓約 1 4   

とある飛空士への誓約 1 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への誓約 1】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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七人の主人公が織りなす、恋と空戦の物語!

四千もの島嶼が大瀑布を挟んで存在する「多島海」。
ハイデラバード連合共同体、セントヴォルト帝国、秋津連邦、三つの大国が覇権を争うこの海を、七人の少年少女の操縦する大型飛空艇が親善飛行していた。
その、「エリアドール飛空艇」に集ったのは――

河南士官学校三回生、坂上清顕(さかがみ・きよあき)。
河南士官学校三回生、ミオ・セイラ。
箕士官学校四回生、紫かぐら。
エアハント士官学校四回生、バルタザール・グリム。
エアハント士官学校三回生、ライナ・ベック。
エアハント士官学校三回生、イリア・クライシュミット。
エアハント士官学校二回生、セシル・ハウアー。

いずれも、その突出した才を認められた士官候補生たちだったが、「空の一族」の強襲を受け、名も知れぬ島への不時着を余儀なくされる。脱出のために協力する七人だったが――。
とある飛行士シリーズ第四弾。地図、地図をください!! またぞろ新しい国の名前が出てきて、若干混乱中。地理、どうなってるんだろう。とある飛空士シリーズのどっかの巻に地図があったような気もするんだけれど。
しかし、和風の国って一つだけじゃないんですね。帝政天ツ上に斎ノ国ときて、今度は秋津連邦ときたら何がどう違うんだろうか、と気になってくる。
冒頭から、この七人のうち五人が英雄として遇され、二人が裏切り者となることが明らかになっている。そして、同時にこの中には一人の亡国の姫と、ウラノスから潜入した秘密工作員が混じっている。お姫様についてはもう丸わかりもいいところなんだけれど(これがミスリードされてたらかなり驚く)、残る工作員が誰なのかがまだわからないんですよね。あからさまに怪しい人が一人居るんだけれど、この人はあまりにもあからさますぎて違うっぽいんですよね。本当の工作員なら、表面上の感情操作なんてお手の物でしょうしね。なので、かぐら先輩あたりが怪しいかなあ、と思って読んでいたのですが……ラスト近辺の誓約シーンを見ると、どうも違うっぽいんだよなあ。しかし、この工作員くんも何気にチョロいっぽいぞ(笑

しかし、此処に来て飛行艇モノかー。多分、飛行艇に乗るのはこの巻だけで、後は戦闘機に乗ることになるんだろうけれど……何気に航空機モノで一番迫真性があり、人間ドラマが展開されるのって、爆撃機とか飛行艇のように一つの飛行機に多数に人間が乗り込むものなんですよね。そして、この手の航空機というのは、戦闘機や対空砲火から一方的に攻撃を受ける脆弱な存在であると同時に、なまじ機が大型な為に攻撃を受けた際の人員の被害が均等でないために、パイロットや機長は空の上で多種多様な決断を迫られることになり、それが様々な人間ドラマを生むのです。
本作も、敵機の攻撃に対して無力な飛行艇でいかに危地、否や死地から逃れるか、という絶体絶命の緊迫した状況や、操縦席から機体の各部の様子を窺い知る事の出来ないために、銃撃を受ける度に仲間の生死が解らず機内無線に呼びかけるしか無いという切迫感、そして無茶なランディングを選択せざるを得なくなるという最後の最後の大関門。まさに空の群像劇の要素が一揃え揃っていて、この手の話が好きな人は垂涎なんじゃないでしょうか。
飛行艇のモデルは当然のようにあの傑作機である二式大艇。もうそれだけであたしゃあ嬉しいんですけどね。

でも、なんでこの人の作品は幼馴染が毎回貧乏くじを引くはめになるんだろうw
なんか、今回もミオが可哀想なことになりそうで、今から心折れそうです。取り付く島もなく、それどころか父親の仇敵の息子ということで、敵意の対象でしか無かった主人公に、あっさり転んで無表情の鉄面皮な無感情娘があたふたしはじめるのはあれですなあ……チョロすぎる!!

犬村小六作品感想

とある飛空士への夜想曲(下)5   

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への夜想曲(下)】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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海猫と魔犬、空の王となるのは果たして!?
サイオン島には「魔犬」がいる――。ヴィクトリア海海戦より半年後、帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石は、神聖レヴァーム皇国軍の飛空士たちにそう呼ばれ恐れられていた。しかし、物量に劣る天ツ上の兵士たちは、レヴァーム軍の果てしない攻撃を前に次々と命を散らしてゆく。そして、ついに東進を開始したバルドー機動艦隊。迎え撃つべく、空母「雲鶴」に再び乗り込んだ千々石を待ち構えていたのは、最新鋭科学兵器に守られた海の要塞と、あの男の技だった……! 魔犬と海猫――ふたりの天才は決着を求め、天空を翔る!「夜想曲」完結!!


――ッッ馬っっっ鹿野郎ぉぉぉっ!!

馬鹿だ馬鹿だあんたは結局救いようのない大馬鹿野郎だ。惨めでも無様でも、生き残ってさえ居てくれれば、それであの娘は泣かずに済んだのに。
男ってのはどうしてこんなにも身勝手で、女を泣かしてしまうんだろう。何時だって残されて泣くのは女なのだ。男の生きざまの証を背負って、彼女たちは生きていかなければならない。
死んで、花実が咲くものか!!
生きてさえいてくれれば、それで良かったのに。一つくらい、約束を守れよっ。
湧き上がるのは憤りであり遣る瀬無さであり、苛立ちであり、怒りであり、悲しみであり。胸の奥からこみ上げてきて、胸の中でわだかまるモヤモヤとした感情に、終日苛まれてしまう。
そう、そうやって自分の感情を揺さぶっていないと、ついつい囚われてしまうのだ。男たちの、ロマンに満ちた生き様を、ただ美しいと感動してしまう自分に。
彼らの生き様と、死にゆく姿に憧憬に似た感情を抱いてしまう自分に。
ロマンなど認めたくない、残された人が泣くような、哀しむような、痛みによってしか成り立たないロマンなど認めたくないのに、それはやっぱり綺麗で眩しいのだ。それが、なんとも悔しくてもどかしくて、途方にくれてしまう。
ズルイよ、作者は。
この作品は、戦場の中にロマンティシズムを追い求めた虚飾に満ちた物語だ。戦場に、戦争に、もう浪漫なんてものは何処にも残っていないと、否や最初から戦争に浪漫など無いのだと重々承知した上で、だからこそ幻想を追い求めた作品なのだ。
そんな最初から無いと百も承知で書かれたものを、そんなモノは無いんだよとあげつらうような無粋な真似が出来るはずがない。だからと言って、素直に美しさに感動に身を浸してしまうには、ここで描かれているロマンティシズムは余りにも幻想的に裏打ちされすぎている。これは決して無いものであり、虚構に過ぎないものであり、ひたすらに悲しいものなのだと、釘を差してくる。お陰で、ただただ感動と悲嘆の狭間で煩悶させられる。
思えば、その煩悶を抱かせる事こそが「悲劇モノ」としての描き方の一つの完成形なのかもしれない。
少なくとも、此処まで心揺さぶってくれる物語を、名作と認めないわけにはいかないだろう。とある飛行士シリーズの中でも一番いつまでも心引きずられるラストシーンだった。

浪漫浪漫と書いたけれど、その中で幻想ではない想いの発露として強く印象に残ったのは最前線で実際に銃をとって戦う人たち個人への敬虔な思いでした。戦争が起こる理由には様々なものがあります。そして国同士のエゴが絡まり、一部の指導者層の意思だろうと国民の総意だろうと、正しい理由なぞありはしません。でも、戦争というものが悪として否定されても、それと前線で戦う兵士たち一人ひとりの戦う意思や想いをイコールに関連付けて、悪と斬って捨てるのは違うのではないか、と。彼らの個々の戦いまで貶められるべきではない、という真摯な願いを垣間見たのでした。英霊と美化してしまうのでも、戦争の一方的な犠牲者と憐れむのでも、良いように利用され愚者と蔑むのでもなく、ただ託された事実を胸に留めて欲しいという敬虔な気持ちを。
「国家に洗脳されて死ぬまで戦わされた、哀れな被害者か。大切な人々を守るために、子どもや孫が人間として扱われるために命を賭して戦った偉大な戦士たちか。それを決めるのは、後の世を生きる我々です。彼らの犠牲の上に生かされた我々の仕事です」


救われたような気持ちにさせてくれたのが、千々石が波佐見に本心を全部打ち明けてくれたところでした。あの男、絶対最後まで波佐見をどう思っていたのか、本人には言わないと思っていたから。
言わないとさ、通じない事ってあるんですよ。言葉はそれだけ、偉大なものなのです。波佐見にとって、千々石の本心はその後の彼の人生でどれほどの支えになるかを思うと、少し泣けた。
波佐見に本心を言ってくれてよかった。
そして、ユキ。彼女については何もありません。二人については、口を挟む余地はもうありません。何も横から口だししたくない。そっと、遠くから見ていたい。そんな静かで、穏やかな気持ちにさせられる、二人の結末でした。
ありがとう。

上巻感想

とある飛空士への夜想曲(上)4   

とある飛空士への夜想曲 上 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への夜想曲(上)】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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新たに紡がれる恋と空戦の物語、見参!
「美姫を守り単機敵中翔破一万二千キロ」その偉業を成し遂げたレヴァーム皇国軍の飛空士「海猫」の前に立ちはだかった最大のライバルにして、天ツ上海軍の撃墜王・千々石武夫。独断専行により一騎打ちを仕掛け、海猫に敗れた千々石は、再戦を胸に秘めていくつもの空戦場を渡る。「出てこい、海猫」激情の赴くままに撃墜を重ねる千々石のその胸中には、天ツ上の国民的歌手・水守美空の歌があった……。空前の大ヒットとなった『とある飛空士への追憶』の舞台、中央海戦争の顛末を描く、新たなる恋と空戦の物語。上下巻で登場!
地上よりも空へと心奪われてしまった男の生き様、というと同じライトノベル界隈では虚淵玄氏の【アイゼンフリューゲル】(これもガガガ文庫なんですよね)が思い浮かぶのだが、この千々石武夫は【アイゼン】の主人公よりも遥かに無骨で不器用な人間だ。これで無口で無愛想なだけだったら孤高となって人の輪から遠ざかるだけで済んだのだろうけれど、彼の傲然とし他人を見下した態度は自然と他者の恨みを買う。戦場では後ろから撃たれるタイプだよね。それにこの時代において航空戦はもはや個人技による決闘から、相互支援による編隊戦を重視し、レーダーと無線を活用した航空管制戦闘へと移行する過渡期にある。遠からず、彼は空の戦士として時代遅れになるだろう。彼がここしか自分が生きる場所はないと思い定めている空の戦場は、彼を必要としなくなってしまうのだ。それを彼はまだ知らないし、気がついても居ない。自分を求め愛してくれる女性に背を向け、ただただ好敵手との戦いに魂を奪われている。
哀れだ。
時代に置き去りにされようとしている男ほど、哀れみを抱かせるものはない。
でも、だからこそ彼には無様に生き残って欲しい。矜持も生き甲斐も居場所も死に場所すら失って、それでも惨めに生き残って欲しい。
夢を叶えた二人の男女。一人は空に駆け上り、一人は歌に身を躍らせ、望むべき世界へとたどり着き、夢の楽園にたどり着いたはずなのに、互いの夢はその心を縛り付け、立場を縛り、互いの距離を遠ざけようとしている。
千々石も、ユキも、空を、歌を奪われるということはきっと不幸なのだろう。夢破れたあとの人生は敗残の残り火なのかもしれない。でも、海猫と王女の恋物語の顛末を、カルエルとアリエルの愛情の行く末を見た今となっては、彼らと同じ「納得」を得た人生をこの二人には送ってほしくないのだ。彼らみたいな「幸せ」を、千々石とユキには受け入れてほしくないのだ。地位も名声も夢も覚悟も他の全てを失った先にある、ただお互いしか残されなかった死人のような平穏。
果たして、それは無価値なものなのだろうか。哀れで無残で悲惨でしかない余生なのだろうか。
夢を叶えて、夢に殉じる事は、否応なく素晴らしいとされるべきものなのだろうか。
シャルルとファナの選んだ道は、かけがえなく尊い想いの結晶だと今でも揺ぎ無く信じている。でもだからこそ、彼らの選んだ道と全く正反対の方向に、また尊く犯し難い、人の生きる道の光を見てみたいのだ。
ただの悲劇で、終わりませんように。

今回の空海戦、あからさまにミッドウェー海戦でしたね。それどころか、レヴァーム皇国の将官クラスがみんなどこかで見たことがある名前ばかりで吹いた。うん、まあ劣勢から攻勢に移る際に抜擢されるのって、概ねこの人だよね、ハルゼー提督。しかし、ナミッツは安易すぎるじゃないか、ナミッツは(苦笑

犬村小六作品感想

とある飛空士への恋歌 55   

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への恋歌 5】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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イスラとの休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、想いの丈を彼女にぶつける。「このまま逃げよう、クレア。ふたりで。空の果てまで──」かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、追放劇の果てにかけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は……!? そしてイスラは「空の果て」にたどり着く。すべての謎が解き明かされる! 超弩級スカイ・オペラ「恋歌」、感動のフィナーレ!!


切ない、もう無茶苦茶切ない。胸が締め付けられて泣きそうだ。

―― 歌えない恋の歌もある。

結局これって、第一作の【とある飛行士への追憶】と同じく、叶わぬ恋の物語こそが本質だったんだなあ。最後の最後になってこの物語の主軸が共鳴したのは、主人公のカルエルでもクレアでもなく、二人の劇的すぎるラブロマンスを見送るアリエルの切ない失恋だったのですから。
確かに、奪われたニナことクレアを取り戻すためにカルエルが見せた頑張りは素晴らしいものでしたけど、最後に読んでるこっちの感情を鷲掴みに、握りつぶして離してくれなかったのは、そんなカルエルをずっと傍で見続け、一人置き去りにされて遠い空へと遠ざかっていく彼を見送るアリエルだったわけで。

さよなら、わたしの王子さま。

思えば革命で王宮を追われ、下町に逃げ延びたカルをずっと支え続けたのはアリエルでした。姉として妹として、常に心に傷を抱えたカルエルを守り導いたのは彼女でした。カルエルをカルエルにしたのは、ミハエルの親父さんである以上に、アリエルだったのです。
確かに、仇敵であったニナとカルがお互いの正体を知らずに恋をして、やがて結ばれるというロマンスは劇的で美しい話でありますけど、その陰で十年越しの思いを胸に秘めたまま風化させていくことを決意したアリエルの哀しみがあるのを忘れてほしくない。報われない恋があった事を覚えていて欲しい。

結果だけ見れば、これ以上ない華やかなハッピーエンドなのですが、旅の終わりに消え去ったイスラといい、アリエルの想いといい、むしろここで描かれたのは消え行くもの、失われ行くもの、喪失の美しさと切なさだったように思える。先の戦いで、死んでいった友人たちもその中のひとつ。
そうした失われたもの、かなわなかったもの、犠牲になったもの。それを踏まえてこそその先があるのだと、切々と語っているかのようだ。
私にとっては、【とある飛行士への追憶】と同じく、哀切たる幸福の物語としての閉幕を迎えた作品でした。

とある飛空士への恋歌 44   

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)


はじめて愛した人は、最愛の母の仇だった。
「大好きだから……さよなら」級友の死に苛まれていたカルエルとクレアは、想い出の湖畔で思いがけず再会する。お互いの気持ちを確かめるため、正体を明かしたカルエルだったが、クレアには別れを告げられてしまう──。一方「空の一族」との戦いで多くの仲間を失い、疲弊した飛空科生徒たちは、悩みと苦しみを抱えたまま、再び決戦の空へ向かうこととなる。仲間の思いを受け継ぎ、潰滅の危機に瀕している大好きなイスラを、大切なひとを守るために……。超弩級スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、驚天動地のクライマックスに突入!! 

超弩級飛行戦艦同士の激烈な砲撃戦! となれば、どうしても自分などはそちらに目が行ってしまうわけで……w
興味深いのは、これまで交流どころかその実在だけが語られるだけの没交渉の相手である空族と、兵器思想、戦術思想がまったく同じになっているところ。飛行戦艦のスペックなど、ルナと敵艦ほとんど変わらんもんなあ。
お互いの情報が断絶した勢力同士であろうと、同じ状況下で最大限の戦闘効果を追い求めていけば、自然と似たような形式へとたどり着いていく、ということだろうか。

細かいところに目を向けても、通常の水上砲撃戦と異なる側面が出てきて、これまた面白い。
たとえば弾着観測である。水上での砲戦なら、砲弾の着弾によって発生する水柱でもって着弾地点を観測するのですが、こちらは空中であるために時限信管による炸裂を水柱代わりにしてるのである。なるほどなあ、と思うと同時に、時限信管の設定や三万メートルを超える距離からでも視認できる規模の爆発を起こさないといけないのと、敵戦艦の装甲を貫通しなければならない徹甲弾としての特性を併存させなければならないわけで、何気にこの主砲弾、けっこう開発難しそうだ。

あと、気になったのが砲撃に必要な数値、いわゆる射撃諸元。これが高度や相対速度、距離や風速などはもちろん、気温や湿度についてまで言及しているにも関わらず、肝心の「自転速度(コリオリの力)」については触れてないんですよね。明らかに、わざとこれだけ抜いてある。これは世界の全貌が明らかになっていないため、戦闘地域での自転速度がわからないが故なのか、自転そのものの概念が存在しないのか、この世界はそもそも自転する球体の上にあるものではないのか。些細なことなんですが、色々と想像の余地があって、面白い。

砲撃戦の推移についてもなかなか面白いことになっていて、煙幕をここまで攻撃的に使うのは意外だったなあ。基本的に煙幕ってのは戦況が不利になったときに姿をくらまして逃走するために使うものなんですよ。史上の海戦においても、逃走ではなく攻撃のために使われたケースはちょっと記憶にないなあ。
多分、逃走と違って敵艦隊と交戦しながら動きまわる艦隊運動は複雑な軌道を辿るために、煙幕の効果を制御できないからなんだろうけれど(あと、やはり当事者の心理も砲戦は直接視認しながら、の方が確実というのもあるだろうし)、今回の場合、まず航空戦であるために三次元で艦船が動くことが出来るため、煙幕を展開する巡洋艦群が下方に位置することで煙幕が最大限の効果を発揮できた上に、敵側の妨害がなかったから煙幕を展開し続ける事が出来たのかな。
でも、この飛行艦艇、動力の関係上煙突とか要らないはずだから、独自に煙幕発生装置を搭載していたって事なんだろうか。

でも、本来ならこんな戦術、大して問題じゃないはずなんです。通常、ここでイスラ側も巡洋艦戦隊を投入し、煙幕を展開している敵巡洋艦部隊と交戦することで戦艦同士の砲撃戦の邪魔は排除できる。ところが、イスラ側は弩級戦艦ルナ・バルコ一隻しか戦場に存在しないのが致命的だったわけだ。
この後の水雷艇群の襲撃でもそうなんですけど、どれだけルナが強力でも、戦艦一隻だけというのは対戦艦戦闘以外の局面では極めて無防備なんですよ。駆逐艦でもついてれば、水雷艇などいくら百隻以上の飽和攻撃でも、あそこまで悲惨なことにはならなかったのでは。せめて、行動のフリーハンドがあればマシなんですが、イスラを守らなければならない以上、かのドイツ戦艦<ビスマルク>のように逃げまわることすら出来ない。退けない戦いなわけです。
せめてせめて、制空権さえ確保できてれば違ったのでしょうが、観測機に学生の乗る練習機を護衛につけるしかない、という時点で絶望的。ちうか、制空権のない状態で観測機飛ばすのなんて、撃ち落としてください、というようなものじゃないか。
こうして見ると、ほとんど始まった時点でオワタ、というレベルの戦いだったんだなあ。
まあ戦艦同士の砲戦の場合、こちらに当てるつもりさえなければ、回避運動をしまくることで案外と被弾せずに時間を稼げる気もするんだけどw

そういえば、「二号電探、全損!」、という被害報告の文章が載っていたことからして、レーダーは装備されてたんだ。もちろん、射撃に転用できるレベルじゃなかったんだろうけど。名前からして、伊勢に乗っけたやつの水上警戒用っぽいんだが。これが壊れなかったら、射撃用に使えないか、みたいな展開になったんだろうかしら(笑
疑問ついでに、弩級戦艦なんて言葉が出てくる以上、この世界にもドレッドノートに該当する戦艦が存在したんだろうかw

と、話の本題から外れまくった閑話にだいぶ費やしてしまった。

仲間の死に傷つきのたうち回りながら、ボロボロになりながら、蹲りその場で動かずにじっとしているという誘惑をはねのけ、喘ぐように、這い進むように、前へと進もうとする少年少女たちの健気な、真摯な生きざまに胸を掻き毟られる。
それでも、もう明るく笑うなんてできなくて、以前のように日々を生きることを楽しむことなんかできなくて、暗く沈んでいく雰囲気。それは、誰もどうしようもない、仕方のない空気なんだけれど、それを吹き飛ばすアリーは、存在そのものが輝いてるよなあ。自分だって、死にかけて、酷い目にあって、友達の死を目の前で見て、もう自分も空をとぶことが出来ない有り様になりながら、それでも明るく笑ってみんなを励ますことの出来る強さ。
この娘は別格だわ。ひねくれ者のイグっちが唯一認めているだけある。メインヒロインはクレアかもしれないけれど、クラスのみんなも、カルも、クレアですらも、誰も彼もが彼女がいないと潰れていた、という意味でアリーこそがこの作品の一番の重要人物だよ。
返す返すも、どうやら展開的にアリーはメインヒロインから脱落したっぽいのが残念だ。カルもクレアも、危地に置かれた時にさらけ出される人物の根本は大したものだけれど、普段はどちらもアレな事を考えると、この二人が結ばれることになっても、色々な意味で目を覆わんばかりの有り様になりそうで、心配なんだよなあ(苦笑
もう、アリーが二人纏めて面倒見るしかないんじゃないのか?

イグっちについては、もうちょっと前から伏線は欲しかった。カルを敵視している描写でもあれば、彼の正体が明らかになった時にもっとアッと言わされたと思うんだけれど。
まあ、ツンデレだから仕方ないか(笑

ついにクレアの正体を知るに至ってしまったカル。理屈でどう諭されようとも、憎しみというのはそう簡単に晴らされるものではない。母の仇として、何年も何年も、まだ幼い頃から自分の心で育て育み煮立ててきた憎しみを、その相手がたとえ恋した相手だったとしても簡単に消し去ることなんて出来るはずがない。その意味では、憎しみを鈍らせ懊悩するのではなく、のた打ち回るように狂乱するカルの姿は、共感すら呼ぶものだった。
でも、彼を救うのは最初から最後まで家族だったんだなあ。母は自ら復讐を否定してくれて、義父となってくれたおやっさんは、在るべき姿をその背中で示してくれていた。そして、二人の親の愛情を思い出させてくれたのは、掛け替えのない姉であり妹であるアリー。
そして、ついに過去を克服し、自分の世界の殻を破り、空に飛び立つように「許し」へと到達するカル。彼の許しによって、クレアもまた自らが閉じこもっていた世界の殻を破り、人形ではない、自らの意志で生きる自分を手に入れる。
本当の意味で、自由の空へと飛び立つ翼を手に入れたこの二人に襲いかかる、最後の試練。
カルは、自分のことだけを考えているだけでよかった子供に過ぎなかった時代を卒業してしまったカルは、はたしてこの展開をどう受け止めるんだろう。
無茶をするには、一連の戦争を通じて悲惨な現実を目の当たりにしすぎている。かと言って、粛々と受け止められるほど大人じゃないだろう。
こりゃまた、助けてアリー、だなあ(苦笑 でも、アリーだってこれ、答えなんか出せないぞ。
これはもう、次の最終巻、この物語の結末が気になる、早く読みたい、としか言いようがない!

筆者作品感想

とある飛空士への恋歌 35   

とある飛空士への恋歌3 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への恋歌 3】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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 bk1

だーかーらー、私、こういうのダメなんだってーっ。泣くから、もう泣いちゃうから!
もう、ボロ泣き。
あのシーンは、特に雷撃隊隊長の視点が介在しているから、余計にくるんだ。あの手の献身的な行為というのは、当人たちの必死にして決死の想いを直接的に描かれるよりも、その行為を外から、単純な事実として目の当たりにした第三者視点から受けた衝撃、感情のうねりが描かれる方が、威力がケタ違いなんですよね。読者以外にも、彼らの行為の意味するところ、その勇気や尊さ、儚さを理解してくれる存在がいるということは、もろにそのシーンに感情移入させられてしまう。
その上で、あの二人の間でこぼれ落ちていく命の時間、交わっていく想いとその結実に因る別れを魅せられた日には、たまったもんじゃないですよ。
何度読んでもあのシーンだけは、泣かされてしまう。だから弱いんだって。常時必中クリティカルヒット。

あの眩しかった夏は終りを告げ、戦争の季節が訪れる。
ずっと続くものだと思っていた日々は、砂浜に築かれた砂の城のように、もろくも血と硝煙の波に浚われ砕かれていく。
笑い合った学友たちは、戦友と呼ばれる存在となり、櫛の歯が欠けていくように次々といなくなっていく。
夢と希望が詰まった果ての無い、自由と未来によって祝福されていた空は、生命を止めどとなく飲み込んでいく死の坩堝と化してしまった。
それでも、若者たちは空に縋りつくのだ。逝く者すら、遺していく者たちに空を手放すなと言い遺していく。戦いの果てに、守りぬいた果てに、かつて自分たちが信じたものがまだ空に残されているのだと、そう信じて。

戦火をくぐり抜け、もう誰も無垢な子供でいられない。友を殺され、愛する人を失い、故郷を焼かれ、自らの手で人を殺し、敵を砕き、残酷な死の洗礼が本当に簡単に、あっさりと命を奪い去っていくのを間近で目の当たりにしてしまったのだ。
もう、子どもたちは子どもたちでいられないだろう。そして、同じ死の洗礼の中を手に手を取り、同じ方向に突き進み、潜り抜けてきた者たちは、戦友という名の絆で結びつくのだ。
図らずも、その戦火から遠ざけられたクレアは、結局何一つカルエルたちと共有する事が出来なかったのが、少し気になる。双方に拒絶の意図がなかったとしても、同じ死地を共有出来なかったクレアと他の学友たちとの間には、もしかしたらとてもとても大きな断絶が横たわってしまったのかもしれない。
まだ、それについては些かの描写もなされていないのだけれど、あの場に彼女が居なかった事は、もしかしたらカルエルとクレア、二人の正体以上に今後に暗い影を落とすような予感がして仕方がない。
翻って、アリエルとカルエルの二人の関係は、生死の狭間で剥き出しの想いをぶつけ合ったせいで、これ以上なく強固なものになってしまったなあ。元々カルエルって、その場の盛り上がりに釣られるところがあるけれど、あの場面で訴えたアリエルへのセリフは、多少装飾過多とはいえ、まじりっけ無い本心をそのまま増幅させた、嘘偽りの無い本音だったんだろうし。あれ、誓いのセリフどころじゃないよなあw

空戦シーンは、とにかく迫力と緊迫感あふれるシーンの連続で、手に汗握りながらも悲嘆に暮れ、絶望感に突き動かされ、息も突かせぬスピード感に翻弄される、と大変素晴らしい出来でした。
巻末の参考資料のページのところに作者が記載しているように、現実の空戦からするとかなりトバしている部分も多いんですけどね。いくらコンバットボックスを形成しようと(コンバットボックスどころか単縦陣だった)、後部座席にまともに照準器もない銃座が一丁しかない複座練習機が、三倍以上の低翼単座戦闘機相手にまともな戦闘が成り立つなんざ、まずありえないですし。
ただ、本作はそういうところに焦点を当てるものではなく、飛空機に乗る若き飛空士たちの生きざまをこそ語るもので、なにより面白さをこそ追求してるものなんだからこれでいい。

寮長の存在は、結構世界観壊している気もするけど、私もこの人好きだからなあ(苦笑
いや、ほんとまんま羽染静さんで、全然変わってないんだよねえ。リヴァ恋とまったく同じシチュエーションで出歯亀してるのは、爆笑させられてしまった。なんでこの人、いつも正座して覗きしてるんだよ!!
もう理屈とか全部抜きで、この人はあの静さん本人だというのを納得させられてしまった。なんでこっちにいるんですか、とか聞く気にもならない。もう静さんだからで納得してしまう恐ろしさw
いや、だから派遣元はいったい何処なんですか!?

著者作品の感想一覧

とある飛空士への恋歌 23   

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)

【とある飛行士の恋歌 2】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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 bk1

そうか、この段階でクレアの方がカルエルの正体を察し始めるのか。これは少々予想外だった。クレアとカルエル、二人ともが何も知らないままもはや二進も三進も行かないほど関係が進行してしまってから、真実を突き付ける展開を予想していたんだが、なるほどそう来たのか。
思いのほかのんびりと騒がしくも楽しげな学園パートが続き、ある種の捨て鉢な覚悟を持って浮遊島<イスラ>に乗り込んだカルエルにとって、クレアという仄かな想いを芽生えさせる少女との出会いや、同世代の友人のいなかった彼にとって初めてと言える気の置けない仲間たちとの日々は、予想外に楽しく心浮き立つものであることが、ここでは記されている。
今、まさに青春を謳歌している彼なのだけれど、その心の隅にはそれでも消えないくっきりとした憎しみの黒がこびりついている。彼が今、光の中にいるからこそ、余計にその黒へのこだわり、執着は濃くなり、増しているのかもしれない。
ひそかに、だが着実に掻き立てられていく憎悪の種、復讐の炎。

そして、ここにきて描かれるクレアの過去。魔女として排斥され、聖女として利用され、心を閉ざし、自らを人形のようにあつかった末に、生まれ持った風の恩寵を喪ってしまった彼女。
彼女の人生は悲劇であるけれども、同時にいかに不可抗力であろうとも彼女の名をもって多くの死が現出したのも確かな話。彼女はそれを必死に、仕方なかったのだとごまかそうとしている。生まれてこの方、幸せなど知らずにただ耐えて耐えるだけの人生を過ごしてきた彼女は、今はじめてただのクレアとして、普通の女の子の人生を謳歌している最中であり、そんな中で不意に突き付けられてきた、カルエルの正体とそれに伴う自分の罪業に、まともに向き合えないのも、それは無理のない話なのかもしれない。
それでも、彼女はきっとカルエルの正体を、好意を抱き始めた男の子が、本当の自分に向けるであろう憎悪を知ったその時から、過去と向き合い、乗り越える試練を課せられたといえる。
そして同時にカルエルもまた、今は憎悪から忘れている母の最期の言葉を思い出さなければならない日が近づいているのだろう。

呉越同舟、本来ならば相容れぬはずの二人を乗せた浮遊島<イスラ>は今、前人未到の領域で未知の国家との遭遇を果たす。
今はただの学生として過ごすクレアとカルエルは、この遭遇をきっかけとして本来の自分にあてがわれている立場に立ち戻らなければならないのかもしれない。おそらくは、きっとその時が、自らとの対決の時なのだろう。

正直、ヒロインとしての立場をクレアに食われてしまうかと思われていたアリエルが、これがまた意外なほど土俵際で踏ん張る……どころか、家族と遠く離れた地で二人きりの肉親同士、という環境が作用したのか、今までアリエルを女の子扱いしていなかったカルエルが、アリエルの存在の大事さ、大切さを思い知り、再認識する場面がたびたびあり、むしろ以前よりも彼の中でその存在感が大きくなってすらいるのである。
ひそかに、過程はともかく、最終的にカルエルを捕まえるのは彼女じゃないかと考えてたんだが、今回のこれを見る限り、どうやらその予想に手ごたえが生じ始めた感じw

筆者の別シリーズ【レヴィアタンの恋人】を読んでる人は、あの人が出てきた途端、ひっくり返ったんじゃないだろうか。私はひっくり返った。
いや、あまりにも普通に出てきたんで、最初は気付かなかったよ。というか、気づかなかったというより、前からこのシリーズに出ているキャラのつもりで読んでしまったというか。あまりにもナチュラルに出てきやがったからなあw
まったく、派遣されたらどこにでもいくのか、この人は。相変わらずわけのわからん面白キャラだしさ。いったいどこから派遣されているのか。あれか? 著者の嫁なのか? だったら仕方がないな。

とある飛空士への恋歌4   

とある飛空士への恋歌 (ガガガ文庫)

【とある飛空士への恋歌】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫

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約束された悲恋か。
どうやら作者は、このシリーズにおいては徹底的に恋愛を成就させるつもりはないらしい。いや、恋愛の成就をたとえ一緒にいられなくても心さえ通じていれば良し、と定義するのならその限りではないのだろうけれど。

なんにせよ、過去に起こった革命の場で起こった惨劇がある限り、たとえカルエルが抱える暗い情念が晴らされることがあったとしても、カルエルが淡い慕情を抱いたクレアと一緒になることは、まずないのだろう。
お互いが惹かれあったとしても、お互いの正体を知ったとき、二人とも一緒にいることはお互いを傷つけ続けることになるのだろうし。そうなると、やはり結末は前作と同じ道をたどることになるのだろうけれど……はたして、過程は異なっても結末の形は同じ、というパターンを踏むかな。
それだと、いささか面白味に欠ける気もするのだけれど。でも、キャラクターの感情を考えると、どう考えても一緒になる、という結末だけは想像しづらい。
ここで気になるのは、義妹のアリエルなんですけどね。彼女の立ち回り如何で、話がどんな方向にも転がって行きそうで、なかなか恐ろしい立ち位置にいる娘だなあ、と。
配置的にはカルエルを掻っ攫われる場所に置かれたアリエルですけど、案外最終的にはカルエルのこと、捕まえそうな気もするなあ、この娘は。
相手の一番が自分じゃない、という事実を飲み込んでなお、諦めずに挫けずに、相手にしがみついていられるか、という執念みたいなものが彼女にあるかどうか、なんでしょうけれど。
まあ、カルエルもクレアにさえ出会わなければ、素直にアリエルに惹かれてる部分もあったわけで、眼中にもない、という最悪な状況でもないわけだから、あとは彼女の負けん気に掛かってるんでしょう。
ぶっちゃけ、カルエルの気持ちをくんで背中を押してやりながら自分は涙をのむ、みたいな出来た反応はこの娘にはして欲しくないなあ。

とりあえず、カルエルは確かに王族から転落して貧乏な家庭に転がり込むようになったわけですけど、お父ちゃんは頑固ながらよい人ですし、姉ちゃんズには猫可愛がりされるわと、お前甘やかされすぎだ!w
この王子様の、根っこの部分での増長しがちな性格は、王族としてちやほやされたからじゃなくて、むしろ後天的じゃないのかと疑いたくなるんだが(苦笑
でも、素直だし自分の現状をしっかり受け止めて、自分を助けてくれた家族に感謝を惜しまないその性格は、可愛いし善良だし、うん、生意気だけどイイやつだから、好感度は高いなあ。
ちゃんと旅立ちの時に、親父さんにああいう別れの挨拶出来るくらいだから、大した奴だと思うよ。
悲劇的な別れ方をしたとはいえ、最期の瞬間まで母親から十分な愛情を与えられ、新しい家族にも愛情を以って迎えられて育てられたんだから、この青年にはしっかりと幸せになって欲しいのが本音なんだけど。

レヴィアタンの恋人 44   

レヴィアタンの恋人 4 (ガガガ文庫 い 2-5)

【レヴィアタンの恋人 4】 犬村小六/赤星健次 ガガガ文庫


ちょ、いや、ま――(爆笑
な、なんなんだこの底抜けに頭の悪い掛けあいは。ユーキとタマ、両方とも際限のないアホ状態なうえに、ツッコミ役がいないもんだからトルネードでアホ会話がエスカレートしてトンデモないことに。
いやいや、マテマテ。ユーキって最初に出てきたときはかなりクールで知的な美人系おねー様だったはずでは? それが、なにこれ?
知能指数とか知性とか色々なにか吸い取られましたか?
タマと出逢ったことで彼女の精神を縛っていたものがだんだんと抜けて行って、結果として素のユーキという少女、そう年相応の女の子、子供っぽさの抜け切らないところとかが、自然と出てくるようになった、というのもあるんだろうけど。
それに、前回の激戦を経て、調布新町ら関東地域が平穏を取り戻したという状況もあるんでしょう。平和はなにより、緊張を解くものだし。
そんな平和も、敗者の犠牲によって立つものである、という平和の暗部もさり気に浮き彫りにされているのですが。
それでも、負けるよりマシ、というのは辛辣ながらも真実なんですよね。それを享受しながらも、それが正しいとは思わず変えていけるならとユーキは願うのですけど、それがどれだけ困難な時代背景かは、たびたび描写されているところ。
だからこそ、それを願うユーキの器が試される所なのでしょうが。
そんな彼女を導く指針となって欲しかったタマは、最終的にああいう行動に出てしまうわけで。
彼は彼で、背負うものが重すぎるからなあ。でも、それを共に背負ってくれるだけの想いを、ユーキはタマに抱いていたようにも見えるのだけれど。でも、タマはタマで手酷い失敗をしてるみたいだし、ああいう判断をしてしまうのも仕方ないのかもしれないけど。
もはや傍から見てて、ヒドいバカップルにしか見えてなかった二人なだけに、その近づいた距離が逆にあだになったか。ユーキが彼を魂ごとガツンと捕まえていられるだけのナニかを持っていられればよかったのだろうけど、そういう先見とか器用さとは程遠い人種だから仕方無いんだろうけど。
でも、タマの動向の結果は、まずあまりよくない方向に傾くと思うんですよね。ユーキは一人でまっすぐに進めるような娘じゃないし。

それは、美歌子もおんなじだったのかもしれないですね。
日向軍との戦いで垣間見せた、どこか大人げない素の顔。そこから、かつて想い人の隣で彼女がどんな顔を見せていたのか、その片鱗が見えた気がします。

ある意味、美歌子はユーキの未来の姿なのかも。
やがてくるだろう、二人の対決。タイトルの【レヴィアタンの恋人】は、やはり二人を示唆しているのか。

ちなみに、好きなキャラはたぶん皆さん大好きなデバガメ派遣忍者羽染静様です。静さん、デバガメするときはちゃんと隠行しときなさいよ! なんでいつもイイところで出てくるのか、きっと興奮して気配消すの忘れるんだぜ!(言い掛かり

とある飛空士への追憶5   

とある飛空士への追憶 (ガガガ文庫 い) (ガガガ文庫 い 2-4)

【とある飛空士への追憶 】 犬村小六/森沢晴行 ガガガ文庫


これ本編ストーリーとは直接関係ないんだろうけど、この作品世界で兵器群の発動機として使われてる水素電池って、もしかして常温核融合炉のことなのかしら?? とどうでもいいところに引っ張られる私。
もしそうなら、単発レシプロ航空機のエンジンに使用されるほどの小型化に成功してるというのは特筆すべき点にも思えるけど。

さて、肝心の本編でありますが……なるほど、ローマの休日かぁ。言いえて妙だけど、いやそれよりも切ないなあ。
皇太子の妃となる少女を、武装もろくにない水上偵察機で敵中突破して送り届けるために命を懸ける若き飛行士。
大空にただ二人だけ、次々と襲いかかる敵を振り払いしのぎ切りながら、生と死の狭間を飛び越えて、合間合間の穏やかな時間に思いを交わしていく若き男女。
でも、身分の差はいかんともしがたく、この任務を成功させ彼女を送り届けるということは、すなわち別れを意味している。身分制度が厳格な国で敵国との混血として生まれ社会の最下層を歩んできた飛行士にとって、この任務は何一つ報われることのない戦いだ。だが、彼はひたすら彼女の未来のために飛び続ける。幼い日、一瞬の邂逅で交わした約束。その後、泥を啜るような幼いころの日々に生き抜く力をくれた約束をくれた少女ために。
その彼の戦いに、優しさに、ただ高貴な存在への贈り物にすぎない自分の未来に絶望し心を凍らせていた少女は、温かい思いを思い出し、自らの未来を戦い抜くための勇気を芽生えさせていく。

見どころはなんといっても、質実剛健な空戦描写の数々。飛行機ものはいろいろ読んできましたけど、ここまで気合いの入った空戦描写はなかなか見たことはありません。むやみに派手さや華々しさに傾倒せず、耐え忍び我慢に我慢を重ねるという空戦の真髄を見るような空の戦い。

そして、旅の果ての別れ。引き裂かれる二人。
結ばれぬ想いの相克。
だけど、お互い忘れられない大切な思いを胸に、別れを告げる。

さよなら、さよなら。と

この作品の終章のまとめ方は、まさしく傑作。この締めがなければ、この作品の印象はもっと悲しく無常観に握りしめられたものだったでしょう。
だけど、この終わり方で、切なさのなかに柔らかな優しさに包まれたような思いを抱けて、この目尻に浮かぶものはただ悲しい涙ではなくなりました。
現実だけを見つめるならば、きっと記録に残ることのなかったあの飛行士の行末は、文字通り抹消されたものだったのかもしれません。
でも、想像の翼はいくらでも羽ばたける。夢はいくらだって見られます。
今はただ、幸せな夢をまぶたの裏に浮かべて、この胸を締め付ける切なさを散らすとします。

傑作でした。

レヴィアタンの恋人 2  

レヴィアタンの恋人 2 (2) (ガガガ文庫 い 2-2) (ガガガ文庫 い 2-2)

【レヴィアタンの恋人 2】 犬村小六/赤松健次 ガガガ文庫



「タマぁ。タマぁ」


ぶはっ!?
ちょ、ま。お、落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け(色即是空色即是空

すぅ、はぁ、すぅ、はぁ。

な、なんですか、それは。無防備とかそういうんじゃなくて、完全OKサインじゃないですか。
一応、一巻からこの久坂ユーキは立ち位置としてはヒロインだとは捉えてましたけど、もっと女性としての振る舞いや心情に振り分けるリソースの少ない、いうなればマッチョな女性だと思っていたのですが。
二巻に入って、一気に針が振り切れましたよ。ものすごい女の子してるじゃないですか。やべっ、こりゃ反則だ。
同僚のフラット無表情娘からの弄られ方も可愛らしいし、どうにもガキっぽくて品の悪いタマとガーガー口喧嘩する掛け合いも感情の起伏が瑞々しくて女の子らしいし、悶えるわ、これ。

後半のタマとの絡みは、かなりエロいです。エロエロです。
だいたい、敵方に襲われて危うかった時は気を保っていたのに、タマに密着された時に半泣きになってたのって、あれはパニックに加えて不安とか恐怖とかを抱きつつも、相手に対して心のどこかにそうなっても仕方ないという許してる部分がないと、ああはならないですよね。ユーキの性格上怒ったり暴れたりする方向に振りきれるだろうし。
だからこそ、タマがユーキの恐怖を払しょくする行動で安心させてあげた時、あんな求愛してる猫みたいな態度とっちゃったんだろうし。

うははは、なんにせよごちそうさまでしたww

 
12月3日

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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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