【異世界転移、地雷付き。】 いつきみずほ/猫猫 猫 ドラゴンノベルス

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地雷有り、チート無しの異世界転移なので、無理せずスローライフ始めます!

「やあ! 僕、邪神! でも、悪い邪神じゃないよ!」
不慮の事故で死んでしまった俺たちクラスメイトを転移させたのは、そんなことを言う邪神(仮)。
希望のスキルを作ってくれてサポートもバッチリ。これって邪神じゃ無いよな?
――そんな風に思った時もありました。
甘かった。安易にチートで無双とか考えたクラスメイトはたぶん、残念な結果が待っている。
だって、彼はチートなんて無いと最初に明言していたのだから。自業自得なんだろうけどな。

俺? 俺は幼馴染みたちと、堅実にのんびり生きていきます。ゲームっぽい世界でも、ゲームじゃ無いんだからさ。

特別枠の選択スキル、これは確かに地雷そのものだよなあ。取っても意味がないどころか命すら危ういとは。でもこれ、なかなか回避はできないですよ。取得経験値2倍とか、ゲームしてたら普通にある付与能力ですもんね。チートとは思わない。
とはいえ何にも説明せず、ではなく邪神さんちゃんと忠告はしてくれているし、事前にヘルプをとっておけばスキルの具体的な内容についても閲覧できる、というのは結構親切な部類のように見える。基本的なスキルは全部有用極まりないものばかりで、どれ取っても理不尽! というわけではないですし。そう思うと、邪神さん意地も根性も性格も悪いけれど邪悪!という程には思えない。大きい葛籠ではなく、小さい葛籠を選びましょうってな話の類ではなかろうか。
それはそれとして、「ヘルプ」はなかなか取りづらいなあ。ウインドウズとかエクセルのヘルプで???となってあんまり役立った覚えがない身としては、ヘルプなんてスキルがあっても「えー? そんなん使えるでござるかぁ?」という塩梅なんですよね。
お前のことだよ、イルカくん!(エクセルのヘルプアシスタント)

ともあれ、目先の誘惑に負けずに堅実なスキル構成を取得して転移した幼馴染三人組。女1に男2というメンバー構成はなかなか珍しい。しかも、女性のハルカが事実上の親分なのね。
ヤッターマンの古来より、そのメンバー構成では女性が引っ張っていく役が一番しっくり来るのかもしれない。それだけの信頼関係にないと難しいんだろうけど、それはそこ幼馴染同士の絆ということで。
そもそも、ハルカなんか最初から幼馴染三人で行動する前提でスキルを取得しているあたり、他の二人への信頼感が半端ないんですよね。これ、三人一緒でなかったら詰んでたかもしれない思い切った後衛構成ですし。
自分的には男が複数の女性に好かれるハーレムものと同じくらい、別に女性の逆ハーレムも行ける口なので、と言ってもどっちも相応の甲斐性見せてくれたらの話ですけど、ともあれ自分的には全然アリの方なので、別に獣人のトーヤくんの方獣耳のお嫁さん貰うんだー、という予防線張らないほうがニヨニヨ出来たんですけどね。トーヤとナオくんの仲の良さなら三角関係にはならなさそうだし。

とまれ、冷静沈着なハルカの先導によって、着の身着のまま手持ちの金も少しだけという途方に暮れそうな状況から、なんとか生活基盤を確立する三人。幾らスキルが使えるし言葉も文字も通用すると言っても、この状況から普通に生活いていくための衣食住と収入を確保するって高校生でなくてもホントどうしたらいいかわからなくなりそうですよね。これ、異世界知識というスキル取ってない人、その時点で詰んでないだろうか。そう思うと過酷極まりない。
普通に赤ちゃんから生まれ変わったり、身元引受人がいる召喚の方がそれなりに保証はきくってことなのか。
あとこれだけ地に足がついた展開だと、サクッと流されるだろう「生き物を殺す」という行為への忌避感が実感として想像してしまう。ここで挫折する子も結構いるんじゃないだろうか。生きてる動物殴って殺すのって、ちょっと無理めかも。
そして、生活していく上でなかなか楽観的になれないのが、やはり将来の不安である。日本で暮らしていたときのような社会保障なんぞ欠片も存在していない異世界。ちょっとでも怪我とか病気して働けなくなったら、その時点で詰みかねないという不安感というのは想像するに余りある。貯金、貯金はこういうケースでは大事、本当に!
意外と将来の展望を計画を立てられない、立てても目先の欲望に負けてしまう、という人は多いみたいで、その点ハルカがしっかり管理運用してくれるというのは大変な安心材料で、この幼馴染三人組の安定感に繋がっているようだ。お金の管理やその使い道について、トーヤとナオが要望は出しても基本的にハルカに任せて信頼している、というのも大きいのでしょうけれど。他人同士だと、友達同士でだってなかなかお金の管理まで任せる気にならないですしね。大事で必要とわかっていても、どうしても自由に出来ないという現状には不満というのは募ってくる。そのあたりの感情の縺れがないというだけでも、幼馴染三人組の安定感は図抜けていると言っていいんじゃなかろうか。
ただその分、ハルカに責任が一身に集まっちゃっている気がするのだけれど、幼馴染特有の物心ついた時からポディション編成がこうなっていたからか、それが当たり前になっているのでしょうね。ハルカもあまり負担を感じていない様子ですし。
ただ、もうちょっと男連中はハルカのメンタルサポートに気を遣ってあげてもいいんじゃないかな、というくらいの甲斐性は期待してしまう所です。かなり頼り切りだもんなあ、彼女に。

彼らと普段から仲の良かったもう一組の女性二人組は、ハルカたちと比べるとそれなりに過酷な状況のようで。これは単純に、ハルカたちが三人で夕紀と那月が二人だった、というのも大きかったかと。邪神さんが持たせてくれた準備支度金が少なすぎるんですよねー。
スキルコピーについては、言うほどデメリットないんじゃないの? と思っていたら、コピーしたスキルはコピーさせてもらった人に教授してもらわない限りは、自然習得も出来なくなるのか。どれだけ努力しても自力では覚えられなくなる、というのは確かに安易にコピーしまくるわけにはいかないよなあ。
ただ、親しい人から教えてもらう分には制限はないのですから、結構役に立つんじゃ、と思ったらスキルによっては教え方がわからないものもあるのかー。そりゃ素質系のスキルとか教えようもないですもんね、なるほど。

さて、ハルカたちの方も順調に生活基盤を整えて、このままコツコツと危なくない仕事で稼ぎながら安定した生活を続けるのか、と思いきやそうもいかないようで。結構なフリで終わっちゃったな。ギルドの受付嬢のお姉さんなんかとは長い付き合いになるかと思ったのだけれど。