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玩具堂

探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる ★★★★★  



【探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理なゆた  MF文庫J

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可愛くて鋭い山田さんの学園ミステリー、第二幕!

山田姉妹と戸村に今日も奇妙な事件(相談事)が寄せられる。我が校の卒業生でもある副担任のさぁや先生の依頼は、彼女が高校生のときに起きた「原稿消失事件」。文芸部の部誌に載るはずだった直前に消えた状況は、確かに不可解で……?あいかわらず平常運転で絡んでくる雨恵と雪音の山田姉妹につつかれながら、またも俺は矢面に立たされるのだった。
だんだん雨恵と雪音の性格も把握してきた2人の距離感は……やっぱ、近すぎるよね!? そして赤面してるよね!? 可愛くて鋭い2人の山田さんと俺とで解き明かす、ちょっと甘めの学園ミステリーラブコメ、第二幕!「よし! プールで推理しよう!」ええっ!?

この作者さんって、ほんと女の子の「素足」好きですよねえ。玩具堂さんの描く作品の歴代ヒロイン、みんな学校でも靴下脱いで素足で足ブラブラさせてるんですから。この二巻ではカラー口絵で机の上に素足で腰掛ける雨恵のイラストが。戸村くん、結構がっつり生足見てるのですけど、たしかにこれは思わず目が言ってしまう脚線美。
さて、今回探偵三人組に持ち込まれてきた3件の事件。ネットゲームの中の人を特定して欲しいという依頼。先生が高校生の文学部時代に消えてしまった小説原稿消失事件の真相を探れという依頼。そして、SNS上での素性も知らない友人を現実で見つけてくれ、という依頼。
どれも、手がかりらしい手がかりもない所から、僅かな情報を頼りに山田姉妹と戸村くんとで顔を突き合わせてワイワイガヤガヤと大騒ぎしながら真相を解き明かしていく、これがまた面白い。いや本当に面白い。
どれもこれも、あるのは断片的な情報だけなんですよね。
ネットゲームの中の人当てなんか、オフ会で実際に顔を合わしているものの、そのオフ会の様子も依頼者からの又聞きな上に大した情報なんて全然ないように見えるんですよね。
先生の原稿探しも、事件自体はもう何年も前に終わってしまっていて、原稿がなくなった状況とその失われた短編小説について書かれた先輩方の評論しか手がかりがない。
最後のSNSの依頼に至っては、SNSにアップされた風景写真くらいが手がかりだ。
これを三人協力して、というよりも役割分担なんですよね。雨恵、雪音、戸村と三人ともこなす役割が違っていて、それが謎をとき、説いた謎をもとに事件を解決して、大団円という所まで持っていく形になっている。ろくに情報もない所からジグソーパズルを組み上げるみたいに真実を見出すこと自体は天才肌の雨恵が拾い上げるのだけれど、その説いた謎をもとにちゃんと関係者みんなが納得する形で事件を解決する、或いは着地させるのって戸村くんであり、その筋道を準備するのが雪音なんですよね。これ、1人でも欠けると事件が解決しました、ってことにはならないんだよなあ。
うん、この三人というのがいいんですよね。
山田姉妹が両隣の席にいて、戸村くんは挟まれた二人の間の席にいる。ただそれだけなら、仲の良い姉妹はどちらかの席まで回って移動しておしゃべりしてればいいのです。でも、この双子は間に戸村くんを挟んだまま喧々諤々喧嘩したり仲良く会話したり、と戸村くんの頭越しに、或いはその目の前でコミュニケーションを取って、その中に自然と戸村くんを巻き込んでいくのである。
間に挟まれて喧嘩されて、困り顔で仰け反る戸村くんの顔が容易に思い浮かぶほどに毎度のごとく。
ついでに、この二人、わりと遠慮なしに戸村くんと距離詰めるんですよね。近い近い、と言いたくなるほど。特に顕著なのが雨恵の方で、靴下脱いだ素足で戸村くんの膝をグリグリと踏んでみたり、肩の上にぽんと顎を乗っけてみたり、人が喋ってる間に顔を突っ込んできて間近で覗き込んできたり。距離が、近い!
一方の雪音こと雪さんも雨恵ほど露骨でないけれど、むしろ余計無自覚な所があって無防備にグイグイと顔を近づけてきたり、雨恵と掴み合い取っ組み合いしてる最中に身体押し付けてきたり、とだから距離近いってw
年頃の男の子からすると、この二人の物理的距離感の近さはなんかもう仰け反ってしまうものがあると思うんですよね。片方は言うと余計に面白がりそうだし、もう片方は言ってしまうと赤面してでもしばらくするとさっぱり忘れて同じことを繰り返しそうな無防備さだし。悩ましい、嬉しいけど悩ましい、という感じになっている戸村くんが何とも微笑ましいばかりなのです。
決して明確な台詞で語られることはないのだけれど、うんこれ毎回玩具堂さんの作品では語ってしまうのだけれど、言葉ではなくて仕草で心の動き、心理描写、その時の感情が伝わってくるんですよね。一話目なんかでも、PC画面を見るのにこの双子、同じ椅子に仲良くちょこんと二人で座ったりするのですけれど、話が進んでいく過程で会話内容とは別に最初は仲良く寄り添ってたのが、途中からお互い尻を押し合って相手押しのけようと押し合ってたり、とほんと落ち着かないわけですよ。特に雨恵なんかいつもグデーっとしてるのだけれど、一瞬たりとも落ち着いていなくて、いろんな動きを会話とは別の所でしているわけです。それは同時に、その瞬間瞬間の彼女の気分も示していて、それが雪音たち他の人たちも同様に細かく仕草とか態度が描写されているものだから、台詞なくても掛け合いがなくても、その場の空気感の変化がリアルタイムで感じ取れる。
まさに、目に浮かぶように彼らの姿が見えるんですよね。
これだけ細かく、ただのおしゃべりのシーンで個々の人物の仕草とか表情の変化とか些細な動き、目線なんかを描写する作品というのは決して多くはないのではないでしょうか。少なくない作品が、会話は会話だけでそのシーンを描写しきろうとしてしまう。情景描写は舞台というだけで、登場人物の内面まで表現するものではないからでしょう。
でも、本作はまさに細部に神が宿っている。ほんの小さな表情の変化や、雨恵の突拍子もない動きや、雪さんの何気ない仕草が、キャラに生気を帯びさせるのである。その場の空気に風を感じさせてくれるのである。そうして伝わる心の動きが、この子たちをより生き生きとさせてくれて、そこから伝わってくる彼ら自身言葉にし切れない感情の弾みが、たまらなく彼らを可愛らしくみせてくれる。
ほんと、瞬間瞬間にたまんねー、と悶絶してしまうシーンがあるんですよねえ。
そうして浮かび上がってくるのは、山田姉妹が戸村くんに抱く彼女ら自身がまだ理解していない特別な気持ちである。それは姉妹への対抗心も相まって、複雑怪奇に入り組んで、思わぬ仕草となって発露するのである。それを実に細かく鮮やかに、でも囁かにさり気なく描いてくれるから、すぅっと空気感として染み込んでくるんですよねえ。
いや、ほんと好きだなあ、この作品は。
雪さん、たけのこを戸村くんの口に押し込んだ雨恵に対抗心燃やすのはいいけど、手ずからキノコチョコをあーんと彼の口に放り込むのは、相当に大胆だと思いますよ。
プールで三人、熱い夏に頭を冷やして推理するためと称して水被せ合いながら遊んでるのなんて、そりゃまあ三人でイチャイチャしてるようにしか見えんわなあ。山田姉妹、水着にシャツという凶悪装備でしたし。
でも、そんな山田姉妹にもそれぞれ抱えているコンプレックスみたいなものがあり、周りと馴染めないものを抱えている。そういう自覚しているウィークポイントを、この戸村くんはさり気なく包み込んでくれるわけですから、双子ともこの隣の席の男の子に対してなんかこう言いようのない特別感を抱いてしまうのも無理ないわなあ。
雪さんの方はこれ、わりとストレートに男の子として意識しだしているようにも見えるけれど、雨恵の方だって特殊な性癖……と言ってしまうとあれだけれど、お気に入りと言って憚らないようですし。
その戸村くんも、探偵というお仕事に対して思う所ありながら、いや嫌悪に近いものを感じていたものの、山田姉妹と探偵をやっているうちにそれを楽しいと思い始めていたことへのもやもやをずっと抱えていたわけですけれど、三件目の事件、あれはだいぶセンシティブ、繊細な心の機微に踏み込む事件であったけれど、それを通じて仕事としての誰かの秘密を暴き出す探偵業ではなく、知恵を出し合い人の複雑な関係が織りなす謎を楽しむ、さぁや先生が保障してくれた言葉をもとに、そしてこれまでの探偵してきた体験を胸に、彼なりに探偵するということへの答えが出たことは、さて、さて、うん、うん。

さても、偶然席替えによって成立した双子と戸村の奇妙な共有空間、共有時間。でもそれは次の席替えによって必然的に終わってしまうもの。偶然は続かない。
もし、それでもその席が、この構図が続くのなら、それは必然だ。みんなが望み、本人たちが望んだものだから。
皆が探偵を欲し、本人たちも探偵を楽しむことを選んだから。
三人一緒に、三人で。双子と彼で探偵だから。



探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる ★★★★★   



【探偵くんと鋭い山田さん 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】 玩具堂/悠理 なゆた MF文庫J

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私ならその事件・疑問・憂鬱、秒で解決だね——。可愛くて、どこか抜けていて、無邪気でキレッキレな山田さんと、思考フル回転 《本格派》学園ミステリーラブコメ!
新学期——俺は失敗した。
親の仕事が探偵だと口走ってしまったせいで、クラスメートから相談が持ち込まれるようになったのだ。絶版した小説の犯人当て、美術部で振るわれたナイフの謎、面倒なことになったと頭を抱える俺だったが−−

「それさ、そもそも事件じゃないね〜」
「多面的な考え方も取り入れたらどう? 戸村君」

何があっても山田姉妹は平常運転、鋭い推理でスパッと解決していく。最初は気に食わなかったけど、本気で推理する彼女たちは今では尊敬の対象だ。……が、話すときの距離、近すぎない!? 熱くなるのは分かるけど、これ完全に狙ってるよね!?
山田さんたちと俺の少し甘めな、本格派学園ミステリー。

もう好きーーーッ!!

やだなあもう、やっぱり自分て玩具堂さんのお話大好きですわ。もう好きすぎて、途中から心がピョンピョンしだして終盤読みながらゴロゴロ転がりまわってしまった。
相変わらずこの作者さんは情景描写が神がかっている。戸村くんを挟んで両隣に座った山田雨恵と山田雪音。この三人が並んで色んなやり取りをしている光景が、もうありありと目に浮かんでくるのです。ただ話しているだけじゃなくて、特に雨恵なんだけどフリーダムな性格のせいか動きも多いんですよね。机の上に寝転がるわ、靴下脱いで素足でブラブラしてるわ。足の指をくにくにと動かしながらあれこれ考えている様子がまた、なんか好きなんですよねえ。戸村くん、めっちゃ見てるし。爪が小さくて真珠みたいだ、とか思っちゃってるのって相当ガン見してますよね。
こんな風に細かい仕草まで自然な流れで丁寧に描写されるので、ただおしゃべりしているシーンでも誰かしらが情景の中で動いていて、言葉として発せられる以外の部分もそんな仕草や表情から雄弁に語られるのだ。誰かの発した台詞で、聞いていた人の反応から様々な心情が物語られる。
情景描写が、そのまま心理描写へと連結されているのだ。キャラクターの心の動きが、言葉で語られる以上にその人の仕草や表情、声の調子は僅かな反応などからさらに積み重ねられていく。其上で、言葉でもちゃんと心の動きをとても繊細に描いてくれるんですね。

ただ席が隣だった、いや何だかんだ仲の良い双子に挟まれて居心地の悪い思いをしていた大人しそうな戸村くんに、果たしてあの性格正反対の双子がどんな風に興味を持ち、彼といっしょに「探偵」をするのを楽しく感じるようになっていったのか。
このクラスになって初めて会って、話すのも初めてだった男の子、どんな風に仲良くなっていき、段々と彼の存在が自分たち双子の間で無視できないものになっていき、ちょっとした「特別」になっていくのか。
この過程がまた一つ一つ些細な積み重ねなんだけれど、その些細な影響、変化が双子の間で反復していくうちに大きくなっていくんですね。二人一緒、ではなく片方片方にそれぞれちょっとした揺らぎが起こることで相手の様子が気になり、無視できなくなり、段々と揺れ幅が広がっていく。これがほんと素晴らしくてねえ。
この双子、性格が正反対なのです。片や雨恵は天才肌の自由人。博識で真面目だけど人付き合いが不器用な雪音。仲の良い二人だけれど、同時にいつも喧嘩ばかりしていて雪の方は姉にコンプレックスめいたものを抱いているし、雨も不器用な妹のことを気にかけて、同時に何だかんだと自分に内向きだけど充実した高校生活を送っている雪のことを羨んでいる。
そんな二人の間に文字通り割って入ってきた戸村くん。いや、彼に構い出したのは雨であり、それに引っ張られる形で間にいる戸村くんに戸惑いながらも関わりだした雪であって、戸村くんは困ってばかりだったのだけれど、無理やり押し付けられた探偵仕事を推理という形だけれど助けて貰った事もあって、無視するでも拒絶するでもなく、二人の間になんとなくすっぽりと収まる事になる。
単に、席が二人の間、というだけではない本当の意味で二人に挟まれた関係になっていくんですね。それは二人の間に割って入るということでもあり、二人の姉妹の間を繋ぐということにもなるのである。
この戸村くん、お父さんが探偵で、それも名探偵とかじゃなく本当にただの興信所の運営者という意味での現実的な探偵であって、彼自身別に推理好きとか頭がいいとかじゃなく、傍目に見てるとほんとにただの何の特技もない普通の少年、に見えるんですよね。
でも実は……というわけでもなく、いやもう本当に普通、普通の子、のはずなんだけれど……うん、ちょっとおもしろいなあ。雨は、悪意に対する悪意の持ち主、なんて表現をしていたけれど、観察眼が特に人間関係での相手に対する心情、の部分で聡いというか察しがいいんですよね。マリーの彼氏への気持ち然り。美術部での友人関係の複雑な感情の在処然り。そして、実はなかなか難しいところのある山田姉妹のお互いに対する感情然り。
そういう察しの良さは、相手への気遣いにも向いていて、踏み込むべき所と無造作に手を突っ込んでは行けない所をちゃんとわかっているんですね。双子が喧嘩した時、雪の所に話しに行った時。美術部の人間関係に不用意に言及しようとした雪をとっさに止めた時、などにそれが伺えるのだけれど。
その理由というか根源に、上の姉が父親と喧嘩して家を飛び出し、家庭が軽い家庭崩壊になってしまった時の後悔があるようなのだけれど
決してコミュ力が高い、という風には見えないのだけれど、一番肝心な時に間違えずに相手を慮れる本当の優しさがある。山田姉妹って、方向は違うけどかなり難しい性格していて、自分たち二人のテリトリーに余人を踏み込ませる事をしないように見えるんですよね。雪はまずもって他人を寄せ付けられないし、雨は雨で軽く広く付き合いは気安く誰とでも仲良く出来るけど、本当の意味で踏み込んだ関係は煩わしがるタイプ。そんな二人の間に、わずか数週間でスルスルと入り込んでしまった。いや、戸村くん当人からすると入り込んだなんてもんじゃなく、二人に絡まれたくらいの感覚なんだろうけど、終わってみれば二人のこと、名字じゃなく名前で呼ぶ関係になってるんですもんね。
それに、最後のエピソード。姉妹が彼にパンダのアクセをプレゼントしようという話になったの、あれ双子が自分たちの「守護獣」を二人で揃える事が幼い頃からのエピソードからして、本当に特別なんですよね。これに関しては親すら踏み込ませない、二人の特別だったと思うんですよ。
それが、戸村くんの「守護獣」を選んで二人でプレゼントすることにした。これ、双子本人たちも気づいているとは思わないのだけれど、明確な特別なんですよね。双子を挟んで間に戸村くん。これが単なる教室の席順、では収まらなくなった象徴のようにも思うんですよねえ。

さて、本筋である日常ミステリー。作中では3つの事件、いや事件は最後の一つだけで前の2つは「探偵」に対する調査依頼というべき内容だったのですけれど、これがまた3つともべらぼうに面白かった。親が探偵やってます、と初クラスでの自己紹介で口走ってしまったが故に、無理やり頼まれてしまった依頼であり、以降の二人は最初の一件の評判によって持ち込まれた案件だったのですが。
実際の探偵業の後ろ暗さと後味の悪さを知っている戸村くんの心情として、謎を解くことで誰かに不幸になってほしくない、という思いがあり、それが彼に探偵をすることに気が進まないという思いを抱かせていたのですけれど、この3つの案件はどれも……2つ目はちょっと違うか、でもどれも謎を解くことによって誰かの不幸せを遠ざけられ、誰もが笑顔になれる、というエピソードだったんですよね。
なので、推理し謎を解く、という結果がどれも清々しくて、素直にああ良かったなあ、と思える形で終わっているのです。それが、双子と戸村くんに、探偵も悪くない、楽しいね、という共通の思いを抱かせ、より三人のつながりを深めていく所以にもなっていくのです。
発想の面白さとしては、やはり二番目の事件でしょう。表紙カバーだけ残された既に絶版となったライトノベルのミステリー作品。シリーズものの第五巻。それを中身を読まずに(何しろ中身の本がない)、カバーの登場人物紹介と作者の執筆傾向という情報だけでこの巻の事件の犯人とその動機を推理しろ、という内容。いかにも無茶振りなんだけれど、三人寄れば文殊の知恵、のごとく三人でああだこうだ話しているうちに推理が繋がっていく、この展開は面白かった。
この三人、戸村くんが方向性を見出し、雪が知識を駆使して情報を引き出し整理し、揃った材料から雨が閃く、という結構ちゃんとした分担になっているのがまた興味深い。
3つ目の事件は、彼ら三人の前の席の三原さんが依頼してくるのだけれど、前の席に座っている、ということで三原さん、この三人の会話をよく聞いていたから、美術部の事件の解決を彼らに依頼してきたそうなんだけれど、この娘が戸村くんと山田姉妹のこと、ファンなんだ、と微笑むシーン、すっごく分かり味だったんですよね。そうだよね、この三人の会話聞いてたら、好きになっちゃうよねえ。
ちなみに、この三原さんもえらい属性過多というか個性的な娘で、最後のエピソードだけの登場だったにも関わらず、存在感やたらパなかったです。最初にチラッと、自己紹介の時にこのクラス個性的なやつが想像以上に多かった、と印象が語られてたけれど、三原さんみたいなのがわんさかといるのか、もしかしてw

まあそんなクラスの中でも、この戸村くんと山田姉妹はトップクラスに個性的なトリオになっちゃってると思いますけど。あれ、三人の間では雑談してたらなんか真相が見えた、という感じで最初の事件も二番目の事件もあんまり当人たちは深く考えてないかもしれないけど、依頼した側からすると相談した次の日に、あっさりと真相を掴んでくるわ、本の中身のないミステリーの犯人と動機まで僅かな情報から探り当ててくるわ、なにこの人たちガチの名探偵じゃね!? と仰天しますわなあ。
実際、マリーにしても図書館の彼にしても度肝抜かれてましたし。客観的に見ても、訳解んないですよこの三人w

さて、かつて幼い頃に親から貰ったパンダのぬいぐるみは、双子ふたりの取り合いでついにはボロボロになって壊れてしまったそうで。さあ、新しいパンダは、もし双子ふたりの取り合いになったら耐えられるのか。
「ま……ぬいぐるみよりは丈夫でしょ」

なかなか不穏なことをおっしゃいますなあ、雨恵さんw

この三人の顛末、まだはじまったばかりで関係もまた本当の意味で「三人」になったばかり。これがどんな風に転がっていくのか、もう見たくて見たくて仕方ない。
名前で呼べと命令しながら、実際呼ばれると擽ったさに悶てしまう雨恵に、あとになって姉に対抗しようとして挫折して、「雪さん」と呼ばれるようになってやっぱり悶てる雪音。
このあたりの名前呼び関係の話はもうほんと甘酸っぱいというか擽ったいというか、たまらんかった! 名前で呼ぶだけでこれですよ、これ以降どうなるかもうたまらんじゃないですか。

あとがきでは、二巻以降はまだ決まっていないそうですが、絶対見たいです、読みたいですヨ!
そう叫びたくるくらい、素晴らしく面白く最高に素敵なお話でした。これくらい心がピョンピョンしてしまう物語は、滅多ないんですよぅ!

玩具堂・作品感想

好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる ★★★★★  

好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる (角川スニーカー文庫)

【好きって言えない彼女じゃダメですか? 帆影さんはライトノベルを合理的に読みすぎる】 玩具堂/イセ川 ヤスタカ 角川スニーカー文庫

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無言の『好き』に萌え死に必至!? ちょっぴり不思議な青春ラブコメ!

「恋人同士、ですか? よく解りませんが、それでよければ」
僕の彼女、帆影歩は少し変わっている。無口で無表情が基本な上に「人=哺乳類=おっぱい大好き」と、平然とトンデモ理論を語ってくる。さらに僕の足の甲を愛撫してきたり、入浴中の裸の画像を送ってきたり――って帆影?当初は清純派文学少女だったよね!? おかげでなぜか妹の映が心配?してきて、言葉責めに合うようになったのですが!?(妹よ、お前は何なんだ)
そんな帆影も“普通彼女”を目指してはいるらしく、参考にしているのは……ら、ラノベらしい?(なんか期待しちゃう)
彼女と妹と僕。ラノベを通じた不思議な三角ラブコメ開幕!!
ううっ、おもしろい、面白いよぉ(咽び泣き
なんだろう、玩具堂さんの作品って自分的にどストライクすぎて泣く。手の届かない痒いところをピンポイントでコリコリ掻いてくれるような、この奥まで届いてる感がもうたまんないんですけど。
いや面白いのがね、この作者さんの特異なところって奥まで届いてる感を細部まで余すこと無く全部書く、のではなくてむしろ肝心のところを直接「書かない」ことでその人物の奥行きを掘り下げていくところがあるのです。
そのキャラクターの内面を直接描写せず、他人から見た姿、仕草や発言、その様子から人物像を浮き彫りにしていく。そう、想像させるんですね。
本作だとそれをダイレクトにやっているのが、メインヒロインの帆影さん。何を考えているのか非常に分かりづらい、普通の人とは考え方の基盤が異なっていて、共通認識として言わずとも共有しているものを持ち合わせていないが故に、思考のアプローチがすっ飛んでいて常識に縛られて居ない人。
主人公の妹ちゃんの映からはトカゲ呼ばわりされてしまう彼女ですけれど、一方で主人公の新巻くんの主観からは妹ちゃんとは異なる人物像が形成されていて、彼は彼女に惚れ込んでしまっているわけだし、また彼女の友人である酒々井から見る帆影も、井伊坂から見る帆影もまたちょっと異なる人物像を浮かび上がらせている。それぞれの主観によって形成される帆影という人物像は微妙に異なっていて、それでいて内面が語られることのない帆影という娘が実際何を考えているのか、どう感じているのかというのはわからない。わからないが故に大いに想像を広げさせられるのである。
だからこそ、帆影の独白であり本人がまったく自覚していない告白は、無窮のインパクトをもたらしてくれるのだ。ってか、あれは反則ですよね。
とまあ、本作では書かれない部分を最後にああやって劇的に「書く」ことでリーサル・ウェポンとしちゃっているわけなのだけれど、実のところ主人公である新巻くんもまた何気に「書かれていない」人物である。
閑話を除いて新巻くんの一人称で進行する本作は、当然新巻くんの語りによって描かれているわけで、彼の内面描写や独白、彼がその場面で何を思い何を感じどう見ていたというのは余すことなく描かれ、彼の考えは語られている。
彼については全部書かれているじゃないか、と思われるところなのだけれど……実のところそれって全部新巻くんの主観によるもので、彼の客観的な人物像、他人から見た新巻くんというものはどうも彼自身の自己評価とズレがあるんですよね。妹の映の辛辣な評価と彼自身の自己評価は一致しているように見えますけれど、映のそれはブラコンを拗らせて実際の言動と映自身自覚してない部分の兄への憧憬は随分食い違ったものがありますし、新巻くんのあの初動こそ鈍いものの優柔不断とは程遠い明察かつ芯の通った物言いは彼自身が自認している新巻くんの人物像とはかけ離れたところがあって、なかなか図りきれない、あるいは計り知れないところがあるんですよね。
これは、帆影さんが語る新巻くんという男の子の在りようからも伺えるところで。
直接描かれる部分ではない、自己評価と他者からの主観のズレや、発言や表情、仕草や物腰といった客観的に判断できる事柄から、そのキャラクターの人物像が浮き彫りにされ、または掘り下げられていく。帆影さんの存在感に目眩ましされているけれど、こうしたキャラの描き方は新巻くんにもかなり当てはまっている気がするのだ。新巻くんに限らず、これは映なんかに対してもそうで、新巻くんから見た妹のみならず、新巻くんの主観から見た妹に対しての帆影さんの態度など、他者を介した妹の見られかたとか、すごい遠回しで直裁に書かれてない。また、結局誰もその想いを具体的に指摘することなく、示唆するような物言いに終始していた果歩の新巻くんに対してのあれこれ云々もそんな感じで。
新巻くんの一人称によって進行する物語だけれど、決して新巻くん視点だけによって形成される世界ではない、というべきか。或いは、新巻くんから見た帆影さんの話、ではなく、もっと俯瞰的なところからみた帆影さんと新巻くんというカップルと、それを取り巻く人々の物語というべきか。
新巻くんの語りだけれど、新巻くんも観察観覧の対象なんですよね。
その意味では、妹の映の視点である閑話というのは思いの外重要なバランス素材であることがわかってくる。妹の目から見た帆影、のみならず映から見た兄の姿を描写することで、視点と主観が幾つも錯綜してこの物語が形成されていってる指標みたいな形になってるというべきか。

しかし一方で、意思表示が明瞭な妹ちゃんや内面描写でけっこう懇切丁寧にいろいろと語ってくれる新巻くんとか、最終的にその想いをわかりやすく暴露してくれた帆影さんなど、はっきりと描かれている部分もまた多い、というか大部分である。
そういう意味では、迷彩に迷彩を掛けまくっていた【子ひつじは迷わない】シリーズとはまた異なったアプローチで物語世界を織りなしているとも言えるのだろう。
それはそれとして、合理性を突き詰めた結果「人間はほぼおっぱいでできている!」という結論に至る帆影さんの言を補強する形で例題として出されたライトノベルの表紙。自著【子ひつじは迷わない】の第五巻。一巻ではなく、佐々原が表紙を飾る五巻を選択するところに非常に強いこだわりを感じるのだが、これ如何に。

ともあれ、だ。本作の魅力というのは、帆影さんの不思議なキャラクターを愛でるのにとどまらない、そんな彼女の……帆影さん自身がコンプレックスを抱き、或いは傷ついている他者と共感しにくいズレている感性を引っくるめて、彼女をまるっと愛でる新巻くん。彼女に不自由さを感じること無く、何を考えているのか分かりづらい帆影が、何を考えているのかどう感じているのかどんな事を思い描いているのか、というのを常に思いめぐらせ思い馳せている。思い込みで決めつけるのではない、相手が何を考えているのかを考える、という当たり前だけれど尊い、彼女の存在をまるごと受け止め抱擁する新巻くんの、この二人のカップルを慈しみ、愛でるための物語なんだなあ、と思う次第。
「コーヒー牛乳みたいなのありますか」

この帆影の漢らしい発言でときめいてしまう主人公に尋常ならざる共感をいだくのでした。
読み応え、という意味でなんか自分の中の底まで浚うことが出来たような満足感というか堪能があって、ほんと好き、大好きです玩具堂さんの物語は。面白かった。

玩具堂作品感想

漂流王国 2.国民的アイドルVS.勇者アイドル ★★★☆  

漂流王国 (2) 国民的アイドルVS.勇者アイドル (角川スニーカー文庫)

【漂流王国 2.国民的アイドルVS.勇者アイドル】 玩具堂/U35 角川スニーカー文庫

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初ライヴで見事(?)ゾンビ観客を昇天させた異世界アイドルのリーンたち。新しい仕事も増えるなか、今度は日本の人気アイドル“シューテム・ハーツ”と対決することに。でも顔合わせの場に現れた月野優姫は、なんと翌の元カノだった!?おまけに翌は他メンバーにもフラグを立ててしまい、妹の朝霞から白い目で見られ…。そんな時、ヴァンパイアが街に襲来。急遽、Wアイドルによるヴァンパイア撃退ミッションが展開されて!?
攻めあぐねたなあ。コンセプトに対して、どう掘り下げていくかを最後まで決めかねてしまった感がある。この二巻で打ち切りということで全体的なプランニングが崩れてしまったのかもしれないけれど、色んなテーマやキャラクター描写に関して、あれこれやらないとという焦りから手を出しながら、迷った末に中途半端なまま掘り下げられず、触りだけになってしまっているようなところが見受けられるんですよね。
表層だけ浚うのならともかく、玩具堂さんの書き方って独特で直接心情を描写するのではなく、外縁を丹念に描くことで描写しがたい機微まで浮き彫りにしていくスタイルなんで、方向性が定まってないとこんな風に片足だけずっぽりとハマってしまったような、何を言いたかったかわかりにくい話になってしまうんだなあ、と今になってうんうん唸ってしまっている次第。
特に、肝心のリーンに関して完全に攻めあぐねてしまっていて、作者さんもこれリーンの物語像をはっきりさせられなかったんじゃなかろうか。或いは、彼女のようなキャラこそ外側から丹念になぞっていくことでその内実を浮かび上がらせていくことによってようやくその物語の輪郭をはっきりさせていくことが出来たのかもしれないけれど、時間も余裕もなく叶わなかったって感じかなあ。
非常に難易度の高いキャラクターではあったんだけれど、それだけに描き甲斐、読み解き甲斐のあるキャラだったんだけれどなあ。
迷走といえば、リーンたちの勇者アイドル活動も迷走を極めていて、本来勇者として名望を集めないといけないながら、実際は前回のゾンビライブといい、今回の一件と言い、何故か人知れずに世を救う陰のヒーローをやってしまってるんですよね。いやいや、そこで戦果を公開せずに秘密裏に処理しちゃったら肝心の知名度もあがんないじゃないですかw
治安とか外交とか機密上そうそう宣伝出来ないのは仕方ないのですけれど、勇者として、ヒーローとしての在り方に徹すると、こうして影働きになってしまうというのは、勇者とアイドルって結局両立しがたいものなんじゃないかと思ってしまうじゃないですかw 
実際、アイドルという概念がメヘンと日本とでは異文化間の差異としてすり合わせが出来てなかったからこそ、なかなかアイドル活動が実らない部分があったとは言え、ねえ。
その概念や認識の差異を強引にでも埋める手腕が、所詮地方公務員と素人マネージャーのプロデュースでは全然足りてなかった、というのが今回、プロのアイドルたちがやってきて、みるみるうちに人気を得て席捲していったのを見るに、やっぱり本職は違うなあ、と。
翌の大胆かつ奇抜な発想は、これはこれで有用なんだけれどやっぱり本職のそれではないんですよねえ。あと、一番重要なのは、彼ってアイドルのプロデュースをしているというよりも、本当は勇者のプロデュースをしている、という観点が本職のそれと一番異なってる。だからこそにっちもさっちもいかない部分があるんだけれど、ここはひっくり返したらいけないところでもあるので、仕方ないといえば仕方ないのだけれど。
まあそうでなくても、わりと芸能界的アイドル活動に関してはバッサリな内容が散見されるわけでw

とりあえず、翌と朝霞が気持ち悪いレベルでシスコンとブラコンを抉らせてしまってる、というのはよくわかりました。これだけはよくわかりました。ベタベタしていない分、余計にマジなんだよなあ。そりゃ、元カノもドン引きますわ。よっぽどの覚悟がないと、そりゃこんな妹のいる相手と付き合うのは難しいよ。だって、やるとなったら戦争だぜ、間違いなく。戦争する気で男の子と付き合う覚悟って、まだろくに恋愛もしたことのない初々しい女子高生が挑むには高すぎるハードルだわ。この時期の恋愛ってのは、楽しくて甘酸っぱい心地を堪能するものであって、ガチ修羅場が待ってるとわかっているのに、それでも吶喊する気概を持て、というのはキツイですよ。まだ一時撤退で再戦する心づもりがあっただけ、月白ちゃんには真面目に恋に対して挑もうと言う本気があったとは思うんですけれど、タイミングが悪かったというか運がなかったというか。
ある意味この再会は、再戦どころかバッサリ引導を渡すような側面があったので、残酷だなあと同情してしまいます。いや、これは決着がつけられた、と良い方に考えるべきなのか。

ともあれ、この二巻で終わりなんですよねえ。仕方ないとはいえ、ちょいと敗色濃い作品だったかな。

1巻感想

漂流王国 難民勇者と目指すトップアイドル ★★★★  

漂流王国 難民勇者と目指すトップアイドル (角川スニーカー文庫)

【漂流王国 難民勇者と目指すトップアイドル】 玩具堂/U35 角川スニーカー文庫

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日本の十六門市は、滅亡寸前の異世界から転移してきた漂流王国メヘンと融合した。それから九年、現代とファンタジーが混ざる不思議な街で、高校生の鵐目翌はメヘンの巫女王から新時代の英雄を育てろと命じられる。でもここは平和な現代日本、冒険も危険も何もない!そんな時、翌が思いついたのは、メヘンの勇者リーンやエルフのレレレリカたちを、アイドルグループ“レフュジー・キングダム”で英雄にすることだった!?
なよ課の課長の早木野(ぱやきの)氏。きのこ族の英雄たるこの人、ぱやきのさんの名前に凄く聞き覚えがあったんで、一体何のキャラだったか、由来のネタだったかずっと気になってたんですけれど、思い出した、思い出したよ! 何の事はない、同じ作者の【子ひつじは迷わない】シリーズに出てたアレじゃないか! そうかそうか、スッキリしたよ。何気にレギュラー出演だったんだよなあ、ぱやきのさん。ついに動いて喋り出すまでになってしまったか……。

しかし……発想がまた凄い話だなあ。異世界から王国が一つまるまる現代に漂流してくる、という時点で生半な異世界転移ものではないのですけれど、そこで発生する異文化の衝突と交流、亀裂と融和の問題に対して、ある種の血なまぐさい手法ではなく、アイドルという芸能というアプローチを敢えて勇者にやらしてみる、という発想がまず凄いのよね。普通なら、もっとこうわかりやすく腕力だの口八丁手八丁に訴えたくなるところなのに。
結構、メヘンと日本の国民感情の亀裂は生々しいんですよ? わかりやすい反発ではなく、同情という上から目線による隔意と、レッテルを貼り付けられた側の無理解による閉塞感と環境の変化による価値観の崩壊によるストレス。王国側の世代間のギャップ、元の世界に長く生きてきた世代と日本で過ごした期間の方が長い若い世代との感情的な齟齬、などなど。実際の移民問題にも通じるような「軋み」をわりと率直に描写してるんですよね。
同時に、通常の移民・難民問題ではありえない、異世界特有の問題、或いは生存すること自体が厳しい生存戦争という環境から突然平和な世界に住まうことになったがゆえの問題、というのもつきまとっていて、それが「勇者」という役割に大きく関わってくるのである。
その名望を以って民衆から支持され信奉されなければならない「勇者」という存在。その役割はメヘンの巫女王が担う王国の魔力的な安定と直接繋がっているようで、勇者がその役割を果たさないとどうも物理的にまずい状況になりかねない現状らしいんですよね。
しかし、異世界にいた時はその戦果によって名望を得ていた勇者だけれど、日本じゃ倒すべき敵もいなければ、そもそも戦いすらない平和な世界である。勇者というのは名ばかりの役立たず、というのが初めて出会った時のリーンの有様。しかし、彼女は彼女なりにずっとその平和な世界の中で勇者たらんと頑張ってきていたわけだ。彼女としても、何をどうすればいいかわからないまま試行錯誤して、挫折を繰り返していたのだけれど、どうも彼女自身はっきりとしない曖昧模糊とした勇者という形象とは裏腹に、なんというか「勇者とはこうなんだ」という揺るぎない核の部分は以前から彼女の中にはっきりと存在していたみたいなんですね。それを、具体的に他者に説明は出来ず、それを発露する方法もわからないがゆえに、ずっと迷走し続け、誰にも理解されないという苦痛を味わい続けていたわけだ。
しかし、その自分ですら説明できない勇者としての核を、まるっと全部理解して、共感してくれる人が現れた。勇者とはこうなんだ、というものを共有してくれる人が現れた。それが、主人公鵐目翌だったわけである。
孤立し、ずっと他人の協力も拒んできたリーン。失望し続けてきた彼女がようやく出会った勇者としての価値観の理解者であり共有者である翌。一番核の部分の理解者であるからこそ、ぶっちゃけ彼が何を言ってるかわからないし、どんな目論見があるかも理解できないし、正直あんまりやる気にもならなかったのだけれど、それでもリーンは、勇者としてアイドルになる! という意味不明な翌の企画にどんよりしながらも、最後まで拒否せずにやり通していくわけです。
この理解を通じての共感と、理解できないがゆえの拒絶感という部分。これはリーンと翌だけの話じゃなくて、登場人物全員の人間関係に深く絡んでるんですよね。翌と妹・朝霞の関係しかり。朝霞と両親の間にあるわだかまりしかり。レレレリカのプリティ・オブリージュしかり。ユニットとなるリーンと朝霞の、最初は反発しかなかった関係からの変化にまつわるあれこれしかり。大きな枠組みでみると、日本とメレンの関係ですら、これなんですよね。
面白い。
玩具堂さんの物語の特徴として、感情の機微や関係性の描写についてはっきりと具体的な言葉で語らないんだけれど、読んでいると感覚的にかなり具体的にその繊細な動きを捉えることが出来るんですよね。むしろ、わかりやすい単純な単語で表現されてしまうより、感覚的だからこそセンシティブに機微の核心を掴むことが叶うのです。
これがいい。実にいい。
フィルターに濾されず、ダイレクトに沁みるものがある。繊細な青春模様であるなら、尚更にこれがイイんですよねえ。本作でも、そういった作風は十分に活かされていて、それはある程度方向性が定まったこれ以降こそ、力を発揮しそうである。実に楽しみ。

しかし、単純にアイドル活動やらせず、最初のオン・ステージがあんなとんでもないことになるなんて、結構脚本もやりたい放題してますよね!?(笑

玩具堂作品感想

CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ 2 5   

CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ (2) (角川スニーカー文庫)

【CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ 2】 玩具堂/bun150 角川スニーカー文庫

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美遥との同居を始めて1週間。同じベッドで寝たりと毎日がドキドキなのに、今度は美遥が遊の学校に転校してきて!?幼馴染みの冬風も交えた三角関係で、クラス中が大騒ぎに。一方、ゲーセンデビューしたハルハは、不良っぽい女の子・神奈桜と仲良くなっていた。そんな時、魔法の世界ウィザーズ・グレイズで新たなハダリーズ事件が発生!!調査を依頼された遊だったが、そこで出会ったのはゲーム世界の“幽霊”となった神奈桜だった!?
ふへへへ……いかん、変な笑いが漏れてしまう。ぐふふふ、これよこれ、このガッツリとした手応え。行間にみっしり詰まった登場人物たちの感情、想いの密度の濃さ。複雑怪奇な人間関係、心理の錯綜。これだけ手応え、歯ごたえを感じさせてくれる、中身のボリュームたっぷりの作品は昨今やっぱり少ないので、こういうのの直撃をガツーンと食らうと、キタキタキターとテンション上がってしまいます。
いやなんですか、あの美遥の転校してきた直後の、教室における冬風との直接対決。学校の教室という場所を舞台にしたシーンとしては、思い浮かぶ限り三指に入る鮮烈な印象を残す名シーンですがな。
今回、この二巻は幼なじみの冬風が美遥に対抗して、これまで関わってこなかったCtGのゲームを初めて、そっちで密接に絡んでくるのかなあ、と思ってたんですよ。普通なら、そういう展開だったはず。ところが、一向に出てこない。冬風は現れない。冒頭に凄まじいインパクトを残す美遥との修羅場シーンを演出したあとは、ぷつりと音沙汰なくなってしまう。あれ? どうしたんだろう、と気にはしていても、本編は本編で人付き合いが決してうまくない美遥の、アップアップしながらも独特の立ち位置を確保していく転入生生活や、ハルハと仲良く(?)なった中学生神奈桜が絡む、新たなハダリーズ事件の緊迫した展開が続き、冬風の事にばかり意識を傾けては居られない充実ぶりを見せていて、今回は埋伏段階なのだろう、と頭の片隅の方に追いやっていたわけです。冬風の事を気にしなくても、というか気にならなくなるくらい、迫真の展開が続いていて盛り上がってたんですよね。だからこそ、だからこそ……。
この幼なじみ、すげえわ。
なんというか、ここまで一撃必殺の強キャラ幼馴染はなかなか見ない。本編通してみたら出番、登場シーン数としてはかなり少ないはずなのに、彼女が全部持ってった感すらある。なんという強烈極まる存在感!!
これは、単に読者であるこっちへの印象度という意味合いだけじゃないんですよね。ダイレクトに、主人公の遊への存在感であり、また冬風をライバル視している美遥の衝撃度でもあるのです。
美遥にとって、遊の存在というのは複雑怪奇で未だ定まらぬものです。ゲーム上では長らくパーティーを組み、結婚までしている仲間であり、人慣れない美遥にとっては数少ない身近な存在。しかし、現実世界では全く面識がなかったところに、突然ハルハというイレギュラーの存在によって同じ家で同居し、寝食を共にする事になった相手。家族という存在に、どうやら一筋縄でいかない懊悩を抱えている彼女が、初めて手に入れた「大切な家族」。多分、まだはっきりと彼のことを異性として好きだとかいう感情は持ちえていないはず。しかし、意識し気になる相手であり、ハルハを間に挟んだ家族であり仮の夫婦であり、ゲームの中ではなく現実でも信頼を寄せれる相手。今、一番身近な相手。今の美遥の目線は常に遊に向けられていて、手を伸ばせば触れられる位置で彼の内面も含めて、その形、在りようを捉えようと模索している。
ところが、その肝心の相手である遊は……生活を共にする、そして一緒にハルハを育てる自分を常に気にかけてくれてはいるものの、その心は自分の方には向けられていない。彼の心は、冬風の方に向けられている。一緒に生活し、夫婦同然の日々を過ごして、ハルハの為に一緒に現実でもゲームの中でも肩を寄せあって協力して、助けあって、頑張っているからこそ、美遥には遊にとって冬風の存在がどれほど大きいか伝わってくる。
美遥にとっての遊の存在が、いったい何者なのか定まっていないからこそ、その相手の心が自分ではない相手に奪われてしまっている、ということが彼女にとってどれほど焦燥させるのか。
面白い、本当に面白い。美遥という少女の冬風への対抗心、敵愾心、そして痛切な敗北感。今や家族同然でありながら、しかし実際には何者でもない自分と遊との関係のあやふやさの中に、自分なりの確かな足場を築きあげようとした時、自分と彼だけの領域だと思っていた場所ですら、全く彼女に敵わないのだと思い知らされた時のあのぶん殴られたかのような、美遥の衝撃が、敗北感が、悔しさが……たまらん、たまらんですよ!
もう一方の冬風の方も、決して多くない登場シーンの中に、これでもかと遊という幼馴染に対する深く激しい、しかし決して真っ直ぐではなくうねって曲がってドリルのように螺旋していて、グリグリえぐってくる想いが込められ、語られていて、もう歯ごたえぱねえってえの。
そして、そんな冬風に対応して、往還して、遊もまた冬風という幼馴染の存在が自分の中に焼き付いている様を、こいつはまた無自覚に垂れ流していてさあ……もうこの三角関係、たまらん、美味しすぎる。
ぶっちゃけ、この段階だとあまりにも遊と冬風という二人の関係に割って入る隙間が見当たらないんで、はるかに美遥がどうしようもないところにいる気がするんですけどね。あのラストシーン見せられるとなあ。冬風は、遊と母親の関係をずっと間近で見続けた上で、彼のトラウマから心の傷から全部承知しているわけですしねえ。
しかし、これが単純な三角関係なら、それこそ美遥に太刀打ちのしようはないのですけれど、ここにハルハという遊と美遥を親として慕う少女の存在があり、仮とはいえ家族として三人が成立している事実があり、亡き母親が作ったゲームが政府を巻き込み、ゲームの範疇を逸脱した新人類の創造という段階にまで踏み込んだ危険な領域にまで足を突っ込んでいて、一筋縄ではいかない状況にあるんですよね。美遥の内面や人格に深く関わるであろう彼女の家庭環境についてもまだ詳しく語られていませんし。
うん、何もかもまだ始まったばかりじゃないですか。ハルハと新キャラの桜の話も、若い親たちに負けず劣らず鮮烈で、ゲーム内での展開も前回よりもどんどんおもしろくなってきていて、ヤバいです、初っ端から終わりまで、終わってもなお次の展開に想いが馳せて、ワクワクが止まらない。

これは、久々に面白さに悶絶しながら楽しめる傑作の予感!!

1巻感想

CtG ─ゼロから育てる電脳少女─4   

CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ (角川スニーカー文庫)

【CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ 】 玩具堂/bun150 角川スニーカー文庫

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VRMMOゲーム「CtG」で、春日井遊は初対面のミーファと気楽に“結婚”する。でも娘のハルハが生まれて、まさかの子育てスタート!?しかも
「きたよ、おとーさん!」
「く、釘宮です」
なんと現実世界にも、実物のハルハとミーファの中の人・釘宮美遥が登場!実はハルハは秘密の計画で創られた“新しい人類”だったのだ!!遊と美遥は、現実とゲームの両方で、人類の未来に関わる(?)壮大な少女育成に巻き込まれて!?

これはガチ修羅場の予感!!
あらすじだけ見てると、ネットゲームで知り合った女の子とリアルで生活するようになって一緒に子育て、とまあ緩い感じのラブコメみたいに見えるんだけれど、そこはそれ【子ひつじは迷わない】の玩具堂さんである。コミカルでありながら、その心理描写はさながら「なだらかに斬る」という風な切れ味の青春小説の雄。とてもじゃないけれど、頭を空っぽにしてドタバタラブコメを楽しむ、なんて気楽に構えては居られない。
相変わらず、語らずしてその内なる心を表現する、という手練手管は健在で、釘宮美遥と春日井遊の急接近に動揺する小槌冬風と、遊と冬風の微妙な気持ちの交感に気づいていき複雑な心境を募らせていく美遥の、この想いの醸成が実に素晴らしいんですよね。
遊のVRMMOゲーム「CtG」との関係も一筋縄では行かなくて、この主人公は唐突に訪れてしまった家庭の大きな変化に、未だ適応出来ないまま必死に決着をつけようと足掻いているさなかで、今回の一件に遭遇してしまった訳ですが……彼自身が思っている自分のことと、冬風から見た彼の母親への感情から今の状態に至る様々な事情の認識の差異。これは冬風との今の距離感にも繋がっていて、実は遊は冬風に対して……という感情の向きも含めて、この二人の間だけでも話を作れるに十分なくらいに絡み合っているところに、さらに複雑な家庭の事情を背景に持つ美遥が、本来ありえないベクトルからこの二人の間に割り込んでくる事になるわけです。美遥は最初、割り込んでいたという事実認識すらない状態からはじまったお陰で、ハルハの件も含めて心情的にシッチャカメッチャカに引っ掻き回されることにもなるんですが……いやあ、この三人のまだ何も始まっていないが故にこれ以上無くこんがらがってしまった三角関係が、もう素晴らしいの何の。
と、ここにVRMMOゲーム「CtG」が深く深く絡んでくるんですよね。ハルハの存在の重要性は此処にある。遊にとって「CtG」はもはや逃れられない因果であり、そこに秘められた自分との因縁を解き明かさなくては前にも後ろにも進めない。そこに、ハルハという「娘」の存在によって、美遥との関係ももはや精算出来ないものになっている。いずれにせよ、「CtG」は間違いなくこの青春劇の要となっているわけです。国家が絡む陰謀も、そのヘヴィーさに拍車を駆けているわけですが、冬風もまた遊と「CtG」の関わりの深さと重さを知るからこそ、今までそれを忌避し、そして今自分から飛び込まざるを得なくなっているわけで……。
面白い……。
ぶっちゃけ、ゲーム内でのバトルは程々程度の味付けでいいと思うので、それ以上に濃厚に少年少女たちの気持ちのぶつけあいにスポットを当ててほしいなあ。やっぱり、この玩具堂さんはこの辺りの機微にこそ、その図抜けた筆力を発揮する人だと思うので。

子ひつじは迷わない 贈るひつじが6ぴき5   

子ひつじは迷わない  贈るひつじが6ぴき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 贈るひつじが6ぴき】 玩具堂/

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クリスマス直前に「迷わない子ひつじの会」に持ち込まれた一つの依頼―それはある殺人事件の謎を解くことだった!?かくして吹雪に閉ざされた山荘を舞台に“なるたま”たちと怪しげな住人たちとの奇妙な推理劇が始まる!!…はずなんだけど、何故か佐々原と恋人を演じたり、会長と一緒に寝ることになったりと、毎度の如く大騒ぎになる「子ひつじの会」のメンバーたち。やがて仙波のサンタ姿を前にとうとう“なるたま”が―。
うむむむ、面白い。やっぱりこれ、抜群に面白い。ド派手で特徴的な展開はないんだけれど、毎回読み終えると十全大満足してるんだよなあ。キャラクターからストーリー、細やかな内面描写に、敢えて具体的に描かずに「見せる」ことで読者に「想像」させる演出。こういうのが、一切の隙なくパーフェクトに、そして躍動感を以て弾けてるものだから、客観的な評価と主観的な評価が諸手を挙げて絶賛する他無いんですよ。つまり、百点満点。これほどあらゆる方面に完成度高い作品はなかなかないですよ、うん。
という訳で、この六巻は再び一冊まるごとの長編に。舞台は雪に埋もれた山荘での、かつて起こったとされる殺人事件の謎解き。その為に、山荘を訪れたなるたま、岬姉、佐々原、仙波の四人は主催者である千代の依頼で、当時その山荘に居た人間の役を割り当てられ、当時の状況を再現することで誰が被害者を殺したのか、その真相を明らかにすることを望まれるのですが……、この事件自体は既に警察によって事故として処理されている上に、この再現劇は事件の翌年から毎年のように千代の親戚たちの集まり(あの文芸部の怪人東原史絵元部長もその一人であり、今回の旅行の依頼人でもある)によって、繰り返されてきているのだという。そして、不可解な千代の姉倉子さんの態度と、段々と浮き彫りになってくる千代の事件への執着が、遊びの範疇を超えて張り詰めたような微妙な緊張感を膨らませていくのである。
当時何があったのか!? という謎よりも、千代と倉子の姉妹の間に流れる微妙な空気も含めて、どうして現在がこんな雰囲気になってしまっているのか、という不可思議さの方が募ってくるんですよね。過去の真実を暴く、というよりも過去に本当は何があったのか、を探ることによって今何が起こっているのか、を見出す流れにいつの間にかすり変わっていた物語の流れが、そりゃあもう絶妙でした。
それ以上に面白かったのが、それぞれの登場人物を割り当てられたなるたまたち……いや、なるたまはいつも通りなので、会長とか佐々原とか、いつもと勝手が違った様子の仙波とかの内面の迷走っぷりが実に面白かった。役を割り振られる、と言ってもその人に成りきる、とまで演じることを拗らせるわけじゃないんだけれど、割り振られた以上はどうしてもその人の身になって色々と考えてしまうんですよね。会長は、被害者の姉として。佐々原は、かつて被害者と元恋人関係にあったという倉子のことを考えて。それは、同時に被害者である青年の役を割り振られたなるたまと自分自身との関係を客観的、とまでは行かなくても視点を変えて改めて捉え直す機会にもなってしまって……。
興味深いのは、会長にしても佐々原にしても仙波にしても、すごく丁寧に内面描写を手がけていて、彼女たちが何を考えどんな思いを巡らせているかを鮮やかに描き出しているくせに、本当に肝心な場面になると……ぱったりと描かなくなるんですよ、この作者。そして、その肝心な、その人の中で何か決定的な変遷が起こっているその時を、外から見せるのである。心の内側を覗けるはずのない第三者の視点から、会長や佐々原、仙波の様子を見せるんですよ。そうして、彼女たちがその時何を考えているのかを、彼女たちの行動や表情、所作から「想像」「推察」させるのである。このさじ加減が、ほんとに絶妙でねー♪ 微妙に、彼女たちを見ている人の「主観」が混じっているのも面白い。その人との関係性や親密さ、相手をどう思ってるか、という要素がノイズになって混じったり、逆に当事者よりも鋭く真相を突いているんじゃないか、という点に行き着いたり、となんていうんだろう……答えは常に一つ! というんじゃない、物事の答えの柔軟性、というものが人の心理や関係性にも掛かっているような描き方なんですよね。それって、この作品でなるたまが実際の事の真相を弄って、一つじゃない答えを見せてくれるのにも繋がっているようで、なんか巧いなあと思わせてくれるんですよねえ、うんうん。
仙波がなるたまを毛嫌いしているのも、彼女の中ではそれが真実であり疑いようのない事実なんでしょうけれど、その他の人から見える仙波の気持ちというのは本人が思っているのとは違って見えてたりしますし、きっとそのどちらもが間違いではなく確定していない真相なのでしょう。これは、佐々原や会長もおんなじで、うむむむ、その揺らぎこそが全力でラブコメしてるなあ、という実感を味わわせてくれてるんだろうなあ、これ。
それにしても、会長は完全になるたまのこと意識しはじめちゃいましたねえ。役に合わせてなるたまとの関係を見なおしてしまったことで、これまでぐらついていたものがある意味決定的になってしまった感すらあります。この二人の関係って、当初は本当に恋愛臭のない姉弟関係だったのを思うと、文字通りの親愛が恋愛感情へと移り変わっていく変遷を、ただの弟分としてしか見ていなかった年下の男の子を男性として意識し始める女性の気持ちの移り変わりを、つぶさに描きまくられているようなものでして、姉属性の幼馴染属性の身としてはこれ以上ない至高!! 至高!! 至高!!
仙波のデレ傾向の圧倒さに仰け反りながらも、まだまだ私は岬姉一択でございますよー。会長が温泉で仙波のほっぺたをふにふにと引っ張るシーンは最高でした。……最高でした。あのシーンの会長の気持ちを「想像」するとねえ……たまらんです。

肝心の事件の真相ですけれど……なんか今までで一番人の内面に、仙波たちが切り込み、踏み込んだ結末だったなあ、と感慨深かったです。千代と倉子、二人のこれまでの、そしてこれからの人生に大きく干渉する、相応の重さを背負う覚悟を持っての行動でしたしね。今までなるたまたちが関わった事件が軽かったとは言いませんけれど、それでも重たかったと思います。その重さに相応しい切なさと優しさが浮き彫りになった結末だったんじゃないでしょうか。特に、これまで表に立って結果をもたらすことをしなかった仙波が、全部引き受ける覚悟で前面に立って事件に立ち向かったのは、これまでの彼女のスタンスを思えば衝撃的であったとすら言えるかもしれません。彼女も、それだけなるたまの影響を受けつつあるのかしらねえ。

と、三人娘となるたまの関係もさらに複雑さを増して面白くなってきたところで……なんと!? 一旦、この【子ひつじは迷わない】は停止とな!? 打ち切りじゃなく、またいずれ再開するようなイントネーションですけれど、次巻の刊行予定は未定、というのはかなりショック!!
新作は勿論楽しみですけれど、それでもショック!! 長引かずの再開を望むばかりです、これだけ多くのキャラクターが魅力的に立ちまくってる作品をこのままフェードアウトしてしまうのは勿体なさすぎるですから。

シリーズ感想

子ひつじは迷わない 騒ぐひつじが5ひき5   

子ひつじは迷わない  騒ぐひつじが5ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 騒ぐひつじが5ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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“ひつじ”ならぬ“しつじ”喫茶で文化祭を盛り上げる「迷わない子ひつじの会」。会長の執事服姿やら佐々原のメイド服姿やらに浮かれる“なるたま”こと成田真一郎だったが、伝説の必殺剣の正体、『々人事件』なる奇妙な小説の謎など、隣部屋の“毒舌ツンダラ名探偵”仙波を巻き込んでのお悩み相談も相変わらずの大忙し。ワケあり女子たちに翻弄されまくる“なるたま”のおせっかいぶりに、佐々原がついに覚醒するって、何に!?―。
なるたまって、アレで独占欲結構強かったんだ。俺の女に色目使ってんじゃねえよ、と言わんばかりのガード捌きが微笑ましいやら呆れるやら。そのガード対象がご執心の仙波ならばともかく、岬会長と佐々原だもんなあ。だがしかし、サキ姉&佐々原押しのワタクシとしましては、無意識だろうとなんだろうとちゃんとなるたまにも二人に気があるというのがハッキリしてニヤニヤものでしたよ。まあ、サキ姉については異性云々じゃなくて単にシスコンを拗らせているだけかもしれませんが。でも、先の長編「館モノ」におけるサキ姉への暴挙は、少なからずなるたまにも多少なりとも意識の変革をもたらしているのかもしれない。サキ姉の方はというと、ほぼ完璧にあの一件がきっかけでなるたまへの見方は変わってしまったっぽいんですよね。前巻では、あれのお陰で精彩を欠いて、殆ど沈黙状態だっただけに、今回彼女がどういった行動に出るかは興味津々と言った所だったのですが……うはははは(笑
凄いなあ、会長のなるたまに関連する反応が、一巻の頃と全然違うよ。これについては、仙波のコメントが一番的確に状況を表しているかもしれません。なるほど、以前は首に縄つけてある程度自由にさせていたのが、この巻を見てたら、確かに囲いに入ってる。佐々原や仙波と違って、サキ姉は彼女視点の描写が無いのでその内心は推測するしか無いのですが、この人については無自覚とかなさそうだしなあ。前回大人しくしていた時に、相当自問自答していたっぽいし、ある程度自分の中で結論は出ているはず。
と、既刊の自分の感想見返してたら、三巻のサキ姉が自爆しまくった話の時に、『そこまで独占欲持て余しているなら、いっそ囲ってしまえばいいのに』とか書いてるよ、自分(笑
この時点ではまだこの会長さんはもっと自分のスタイルというか、立ち位置に固執するかと思ってたんですよね。まさか、本当に囲みに入ってくるとは流石に思ってなかったぞw

なるたまとの関係性については、佐々原の方も楓に要らんことを言われて混乱してたのを、自分なりに結論を見出したようなんだけれど、その結論の証明方法がまた佐々原らしいというか、普通とズレているというか、だからどうしてそうなる!? これは他人にどう説明しても理解してもらえないと思うぞ。でも、自分が解ってればいいのか、こういうのは。しかし、彼女も楓と絡むと恐ろしくキャラ変わりますよね。いやいや、あんたそんな毒舌キャラじゃないでしょうw わりと天然でヒドい事を言う一面はあるにせよ、楓相手だと意識的にかなり暴投気味な発言叩きつけるんだもんなあ。とは言え、普段は本当に可愛らしい。ややもずれた思考パターンからして、本当に可愛らしい。今回はメイド服姿という外見までも最強クラス。イラスト、ごちそうさまでした。


さて、今回は文化祭期間のお話ということで、全体的にお祭り騒ぎ的な賑やかさで、過去に相談者として登場した生徒たちも含めて、ほぼオールスターキャストが登場。そうそう、鹿野さんシリーズ居たなあ。鹿野と鹿野、名前の読み方が違うんでしたよね。最初は前に出た人なんて覚えてないよー、と思ってたんですが、その人がいざ登場すると、結構覚えてた自分にびっくり。覚えてたというより、思い出したというのが正確なのですが、どういう相談内容で、どういう結果の終わったのかとか、案外スルスルと記憶から蘇ってきたんですよね。うーん、やっぱり毎回5つ星クラスを付与しているだけあって、自分このシリーズやっぱり相当好きみたいですわ。なんでこんなに好きなんだろう、と首をかしげるところなんですが、いざ読み始めるとこれ満点だろう、としか思えなくなるんですよねー。あー、ハマってるなあ。
再登場組みで一番目立ってたであろう人は、間違いなくこの人、鹿野桃子さん。前々から、何気に一番ハッキリとなるたまに対して関心をあらわにしてたのがこの人なんだけど……なんか、桃子さんって数少ないなるたまの見せ場、というかカッコいい場面を目撃するケースが多い気がするんですよね。騙されてる騙されてるw
なんでメインヒロイン衆じゃなくてこの人なんだろう、と思う所なんだけれど、結構なダークホースなのかもしれない。もっとも、今のところは一方通行で可哀想な状態なんだけれど。

逆に、もうなるたまを毛嫌いしまくっているのが、楓さんであり、そしてメインヒロインであるはずの仙波女史。彼女の内心の声を聞いていると、本気でなるたまのこと嫌っているように見えてきて正直困るw 今回なんぞ、なるたまと最後まで顔を合わせる事がなかったのですが、強がってるんじゃなくて本気でなるたまの顔を見なかった事で機嫌良さそうにしてたもんなあw
ところが、肝心のなるたまがその仙波に一番ご執心なんですよね。あそこまで毛嫌いされて、よくまあめげずにつきまとうなあ、と思うけど……ストーカーの資質もあるんじゃないのか、こいつ。

前回の丸々一本の長編と異なり、今回は普段通りに戻っての連作形式だったのですが、これ、一話の「VS演劇部秘剣帖」、面白かったんですけれど、何が面白かったって作中作の時代劇ですよ。演劇の元ネタとなる時代小説の話がかなり面白くって、いやこれ普通に私も原作読みたいんですけどw

シリーズ感想

子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき4   

子ひつじは迷わない  うつるひつじが4ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない うつるひつじが4ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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“なるたま”こと成田真一郎と佐々原は、会長命令で一緒に泊まり込みアルバイトにやってきた。そこは“万鏡館”という名前とは裏腹に一切鏡がなく、中も外も全て白と黒で統一された不思議な世界。なぜかそこから仙波も現れ―!?館の主人である美少女が「鏡を見る」ことを禁じたワケは?そして彼女の不可解な言動に隠された一族の秘密とは!!抜け出せない館で次第に疑心暗鬼に陥る子ひつじたちを救うため、仙波が館の謎に挑む。
子ひつじ、まさかの長編館もの。学園日常ミステリーという体裁だっただけに、思い切った舞台転換だった。その甲斐あってか、思いの外じっくりとなるたまと三人のヒロインズ、仙波、佐々原、岬先輩との人間関係の距離感を掘り下げられたのではなかろうか。と言っても、一方的に外側から彼ら彼女らの関係を観察して捉えていく、という作業ではなく、あくまで彼女たち自身がなるたまと自分との関係や距離感を改めて見つめ直し、どこか感覚的、なんとなくで維持してきたものについて、自ら直視し考え、自覚的に彼との関係は今どうなっているのか、自分はどうしたいのか、これからどうしていくべきなんだろう、という具体的な見地や将来の方向性を見出す形として整えていたのは、この【子ひつじは迷わない】らしいアプローチだなあ、と感心させられた。
尤も、肝心のなるたまはその辺りまったく意識もしていないのはご愁傷様、というべきか何なのか。この子はもうちょっと周りの女の子に自分がどう見られているのかについて意識すべきだよね。深く考えていないものだから、例えば岬会長にあんな冗談かませちゃうわけで……。
なるたま、絶対自分がどれだけ特大の地雷踏みぬいたか、わかってないんだろうなあ。今回、佐々原と仙波の二人を中心に描かれていたので、岬姉については一先脇に置かれたままだったのですが、何気に一番とんでもない変化を迎えてしまったのって岬姉なんじゃないのかな。
あの一件以降のらしくない大人しさを鑑みると、ねえ。これまで、会長はなるたまを弟分としてしか見ていなくて、少なくとも異性としては全く意識していなかったはず。なるたまがエラいことになった時にめちゃくちゃ動揺してキャラ壊れまくってたのを思い返すと、無意識ではどうだったかはわからないけれど。
でも、あのなるたまの仕出かした一件は、岬姉に自分と彼が単なる男と女である事を意識させるには十分だったわけで……直後の無反応にすら見えた放心や、なるたまの言動へのマジギレ、その後の妙に距離を置いて伺うような、考えこむような様子を見てると……ねえ?
これ、本当に次回以降、とんでもない事になるかも。

と、竹田岬関係のお楽しみは次回以降に取っておくとして、今回の目玉は「ついに仙波、デレる!?」である……ねーよ!!
いや、まあうん、相対的に見たらこれ……デレた? と言っても良いのかもしれないけれど、あまりに微細すぎるよ!! ってか、これでデレって、これまでどんだけなるたま嫌われ排斥されてたんだよ、という話ですよね。
極端に言うと、仙波がやっと自分がなるたまに影響されてちょっと変わりつつ在る、というのと彼のケースによっての有用性を認めただけで、なるたまのことを意識したわけでも、彼と打ち解けたわけでも、彼に好意を抱いたわけでも見なおしたわけでもないという……やっぱり厳しいな、おい!
今更ながら、どうしてこんなキツい娘につきまとうのか、なるたまのM度が気になるところ。

一方で、佐々原の方はもうちょっと自分となるたまとの関係性の名付けについて深く悩んでいた様子。誰かさんが余計なことを言ったお陰で、万鏡館という精神を揺さぶる特殊な環境も相まって、なにやら思考が悪い方へ悪い方へと流れてしまう始末。あの子からしたら、別に意地悪なんかじゃなくてちゃんと考えなさいよ、という誠実な忠告だったのかもしれないけれど、タイミングが悪かったんだろうな。
それに、結果としてなんとなく維持してきたなるたまとの距離感について、自分を見つめ直してちゃんと答えを導き出そうとできたみたいだし。結論が出たかは、ちょっと判断しづらいですけどね。でも、あそこまで考えとらえてしまった以上、今まで通り、とはいかないんだろうなあ。佐々原ってあれでヘタレたところはなく、それどころか思い立ったら動いてしまうような行動力もあるので、気づいた以上ちゃんと確かめなくては気が済まない形になりそうな……。

会長の件もあるし、これ次回結構激しく動くのか、もしかして?

連続殺人事件が起こるわけでも、誰かの悪事が暴かれて破滅したりするわけでも、最後に館が炎上してしまうわけでもないのだけれど、人間の心理を一枚一枚薄皮をひっぺがし、別のところにはりつけるみたいな微細でとろけるような没頭感を得られる不思議なノリの話で、なんだかんだと普段と雰囲気違うけれど面白かったな。

会長がおとなしかった分、余計に怪しい雰囲気で進んだ館編でしたが、その分ひとりで妹メイドことサトウが孤軍奮闘で賑やかしてくれて、楽しかった。仙波との仲も思ったよりも悪くなかったんだな。というか、仙波が意外と妹に甘かったのには驚いた。わりと厳しい、辛辣なイメージあったので。サトウもまあ、お姉ちゃん好き好きだのう。

1巻 2巻 3巻感想

子ひつじは迷わない 泳ぐひつじが3びき5   

子ひつじは迷わない   泳ぐひつじが3びき   (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 泳ぐひつじが3びき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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なるたま、ピンチ! 使い物になりません!!
「子ひつじの会」に持ち込まれた相談に微妙な反応を見せるなるたまこと成田真一郎。その上、いつもなら積極的に解決しようとする彼が――。「成田くんが使い物にならないんです」。佐々原の訴えに仙波がとった行動は
うはははははっ、会長っ、会長っ、サキ姉激ラブ!!!
いやあ、今回は事件と並行する形で、二大ヒロインである仙波と佐々原の二人となるたまとの関係性が強烈にスポットを当てられ、微妙な緊張感を伴いつつ仲も深まっていく、という恋愛フラグが乱立する展開だったのですが、そんなライトのあてられたメインヒロイン二人の背景で、さりげなく物凄い自己アピールをしている人がw
そう、この三巻の表紙にもなっている生徒会長竹田岬先輩です。
これまで、なるたまの姉的な幼馴染として、なるたまの弱みを握り好き勝手いじり倒して遊んでいたこの人。学内でも表向きの外面の良さとは裏腹に、その類まれなる謀略の手練手管を以て幾多の事件で黒幕的存在として暗躍を繰り返してきたこの人。てっきり、なるたまの事を玩具にして遊んでいるだけの、享楽的ないじめっ子、なのかと想っていたのですが……。
しまった、まさかとは思ったがこの人、実は完全にダダ甘お姉ちゃんじゃないか!!
てっきりなるたまへのあのイジリ方を見て、彼に対してはもっと余裕と距離感を持って見守ってると思ってたんですよね。カワイイ弟分として可愛がりながらも、その成長をちゃんと姉役として一定の距離をおいて見守る分別を持っているのだと。
どうやら、見ている限り、本人もそのつもりのようです。そもそも腹黒系だけあって普段の様子は表も裏も完璧な才女で一切隙が無く、その御蔭でこれまでまるで気づかなかったのですが……。

全然実践できてないじゃん!!!

今回、なるたまが不安定になるのと合わせるように、岬会長も一緒になって不安定になって普段の完璧生徒会長の外面はどこへやら。合わせるようにって、明らかになるたまの不調に影響されまくってるのが、その時点でアレである。
なるたまが過去の失敗を突きつけられた挙句に、現在にまでしっぺ返しをくらって凹みまくっている際、落ち込む弟分を優しく見守るお姉さん、を演じようとして盛大に平静を保つの失敗して動揺しまくってたり(台詞噛むなよw)、なるたまが早退したのを知って、心配が高じた挙句休み時間に凸電しまくり、授業そっちのけで携帯で着信確認しまくったり、いやいやあんた、前巻までの狡猾フィクサー会長の面影どこだよっ、というくらいに新たな一面がボロボロと零れ落ちてきて……これは萌える!!
そもそもこの人、やってることが小さい頃から変わってないんですね。小学校の頃の、楓とのエピソード見て吹きましたがな。あんた、それ仙波に今やってるのとおんなじじゃないか!(爆笑
まさか小学校の頃から、なるたまが気にかける女の子に対して、影で牽制して回ってたとは。さり気無く、楓と仙波のサキ姉への感想が一緒なんですよね。こいつは気に入らない、嫌いだ、敵だ。そりゃそうだろう、サキ姉喧嘩売ってるんだから。ウチのタマに手を出したらどうなるかわかってんだろうねっ、と言外に威嚇してるんだから。
意外にマメな人なのである。
そこまで独占欲を持て余しているなら、いっそ囲ってしまえばと思うのだけれど、この人なりの矜持があるのか、それとも自分で気づいていないのか、弟を見守る姉、というスタンスにしがみついているのがなんだか涙ぐましく思えてきた。かなり失敗してるしw
弄ばれるなるたまとしては迷惑極まりないんだろうし、これまでは読んでるこっちもなるたま大変だなあ、と同情していたんだが、こうなってくるとむしろもっと構ってやれよ、と思えてくる不思議。
仕方ない、わっちはこれでも生粋の姉萌え幼馴染派なんだから、これだけ姉属性を拗らせている人を目の前にして心揺り動かされないはずがない。正直、仙波や佐々原もヒロインとしてはとてつもなく強烈で、他作品なら他の追随を許さないほどの強キャラなんだが、ここは敢えてサキ姉派を立ち上げたい所存である!!

サキ姉に限らずとも、三毛の桃子さんとか、出番の殆ど無いサブヒロインにしておくにはもったいないくらいのキャラなんだけどなあ、この作品は良い意味でみんなキャラが立ちすぎてて、入り込む余地が少ないのが悩みどころである。同じ生徒会の宮野さんなんか、イラスト内にも関わらず滅茶苦茶目立ってたし。

うん、やっぱり話が上手いなあ。その巧さも小器用さとかじゃなくって、自然で奔放なタッチで絶妙に巧いんですよね。至る所で調和が取れていて、でもフラフラと上下左右に揺れても問題ない余裕が空いている。学園青春日常ラブコメミステリーとしては、現在進行中のシリーズの中では屈指と呼んで過言でないかと。
次回はついに一巻まるまるの長編もの。しかも館でクローズドサークルときたら期待せずには居られません。ライトノベルでは珍しく巻末に時間の導入予告編が描かれているという構成は、引きとして良い意味で凶悪ですわ。
しかし、今回は殆ど竹田会長について力説してるだけだったな。世間様では素晴らしいツンをカマしてくださった仙波様へのフィーバー状態にも関わらず、そちらには殆ど触れてないし。しかし後悔など一切していない。自分にとっては会長祭りだったのですから。満悦満悦♪

1巻 2巻感想

子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき5   

子ひつじは迷わない  回るひつじが2ひき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 回るひつじが2ひき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫


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またまた『御悩相談千客万来 不迷羊会』!
生徒の悩みを解決に導くなるたまたち「子ひつじの会」の前に現れたのは、なんとメイド姿の女の子! オムライスをめぐるナゾに、仙波はいつも以上に乗り気じゃなくて――!?

うわぁっ、なにこれ無茶苦茶面白いッ! 面白い面白い面白い!!
相変わらず話がベラボウに上手い上に、物語としての柔軟性、発展性が桁違いに高くて余裕たっぷりなんですよね。個々のキャラクターの掘り下げに関しても、直裁的に主要登場人物の内面を掘り下げていくダイレクトアタックではなく、ふんだんに判断材料となる言動を提示することによって読み手側に論理的かつ感覚的にその人となりや考え方、そして事件を通じて生まれる変化を捉えさせるかのようなやり方をとっていて、実に心憎い。据え膳置かれるんじゃなく、自分で考え掴みとる事から得られる読者としての快感を実に心得ていると言える。その点では、第一話での国語の問題の意図は、この作品にも一部当てはめられるのかもしれないなあ。
何にせよ、エンタテインメント作品としても青春劇としてもラブコメとしても、殆どこれ「完璧」と言っていいんじゃないでしょうか。それも、終着点としての完璧ではなく、さらにバージョンアップの過程にあるにも関わらずの「完璧」。
いやあ、デビュー作の一作目もこれは大した作品だと感じましたけど、二作目読んで確信しました。これ、ホンモノだ。

これも一作目で感じた事だけど、議事録における注釈によるボケツッコミが素晴らしすぎて気絶しそう。もう、どうしたらいいんだってくらいに絶妙な間合いなんですよね。
一話の国語の問題は、これ生徒が作った問題としては破格ですよね。難易度の問題じゃなくて、解答に至る過程の発想の機智がまた並外れてる。さらに面白いのが、問題の解答の出し方のさらに上位に秘められていた出題者が解答者に出した本当の正解。これが明かされた時には思わず喝采をあげました。
しかしこの問題、最初は現国だとは思わなかった。てっきり、歴史か文学の問題かと思ってあれ? と思ったんですよね。この答えって、三国志の知識がある程度あったら答えられそうなものばかりだったし。固有名詞らしいのは倉舒くらいしか出てなかったですもんね。呉の孫うんたあという名詞で場所と時代とはわかりそうなものだけど。

二話の謎のウェイトレスがもたらした、オムライス死体遺棄事件もまた絶妙なお話で。オムライスが日替わりランチで出される日に限って、店の路地裏に捨てられる小動物や虫の死骸の謎。ウェイトレスが最初に供出してくれた情報で、おおよそ犯人は推察できるのですが、なぜオムライスが出される日に限って、その場所に死骸が捨てられるのか。その真相に到るまでの過程が、最初に提示された関係者、容疑者などの情報でパタパタとドミノが倒れるみたいに明らかになっていくのは、痛快にして爽快の一言。鮮やかなものである。この辺、一話でもそうだったけど、日常系ミステリーとしても見事な出来栄えなんじゃないだろうか。って、元々日常系ミステリーだったっけか、これ。仙波は典型的な安楽椅子探偵ですしね、というような話は前巻の感想でも触れてたっけ。

そして極めつけの第三話。
洞庭神君の竜王の娘を娶って神仙に登ったという経歴って、銭塘君関連を調べてた時に観た話で何か聞いたことあるなあ、と思って調べたらそのまま銭塘君の姪っ子夫婦の伝承だった。ただ、その後の銭塘君の姪っ子を娶って洞庭湖を継いだあとの柳毅は知らなかったんですよね。なるほどなあ、そんな事になってたんだ。
自分でも儘ならない、自分が律する正しさと自分を満たす充足との齟齬。青春をこじらせてるとかそんな話じゃなくて、これは若者だろうと大人だろうと多かれ少なかれ抱えている自己矛盾であり、その擦り合わせや正解はやはり多かれ少なかれ自分自身で結論付けないといけない話だと思うんですよね。それを意図的に誘導しようとするなるたまは小賢しいと言えば小賢しいんだが、明らかに傷つく方向に突き進んでいる人を止めないのはやっぱり見捨てる、ということなのかなあ。結局、今回のケースは性格とは言え自分の本心と相反する方向への突進だったし、彼女を慕う人を巻き込む形にもなっていた以上、なるたまの引っ張り出してきた方法は正解ではあったはず。何よりも皆が欲していたのは、自分の正しさを脇に置ける納得であったわけだし。
まあ、そんななるたまの小賢しさを、やすやすと蹴り破る形でシッチャカメッチャカに大暴れした挙句に、なるたまが企図したよりも綺麗に後腐れなく纏めてみせる竹井会長の快刀乱麻っぷりには惚れそうですが。敵わんよなあ、この人には。文芸部の部長も大怪獣だけど、この人はこの人で三国志は合肥の張遼みたいなもんだろう。遼来来、である。
これで、幼馴染の弟分であるなるたまがちょっと甲斐性見せたら、数日は上機嫌で居たりするところがある当たり、根っからのお姉さんというか可愛らしい所があるというか。
佐々原といい、キャラクターが本当に充実している。テッレルを貼れない独特にして個性的な面々が実に味わい深い存在感を醸し出してるんですよねえ。いやあ、この話に出てくる登場人物、みんな好きだわ。
それでいて、肝心の主人公(?)のなるたまが、なかなか掴みどころのない人物なのが興味深い。一巻を読んだときはもっと特徴的で尖ったところのある個性的な人物なのかと思ったものだけれど、今回は思いの外自己主張が小さかったんですよね。それでいて、存在感が薄いというのでもなく、普通の人というわけでもなく、いやでも普通のやつっぽくもあって、とにかくよくわからない。

とりあえず、オムライスにマヨは邪道だろう、とわりと強壮なマヨラーながら私も力強く提言しておく。

1巻感想

子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき4   

子ひつじは迷わない  走るひつじが1ぴき (角川スニーカー文庫)

【子ひつじは迷わない 走るひつじが1ぴき】 玩具堂/籠目 角川スニーカー文庫

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 bk1

第15回スニーカー大賞《大賞》受賞作!
生徒の悩みを解決に導く「迷わない子ひつじの会」。そのメンバーである成田真一郎(なるたまいちろう)は、寄せられる風変わりな相談に大奔走! そんな時出会ったのが、生徒会室の隣を隠れ家にするボサボサ頭の仙波明希(せんばあき)。ダラリと本を読んでいる彼女に、なにげに相談について聞くと、毒舌だけどとても的を射ていて――!?
実は生徒たちに「子ひつじの会」が広まったのは、この仙波の活躍があってこそだった!!
ああ、これは間違いなく大賞だわ。むしろ、これは大賞をあげないとオカシイ、という類だわ。それも、前年の【シュガーダーク】とはだいぶタイプが違うんですけどね。あっちがガッチガチに物語としての完成度を極めて来たのに対して、エンターテイメントとしての面白さのパフォーマンスをあげてきた、というべきか。
卒がない、というか目立った瑕疵が全く見受けられないんですよね。その意味では完成度も非常に高いと言えるのか。個々のキャラクターの掘り下げは敢えてやりすぎずやらなさ過ぎず、徹底したキャラの掘り下げを期待する人にはややも不満なところかもしれないけど、この作品の描き方に主眼を置くと全く以て絶妙のバランスだと自分は思ったなあ。薄っぺらすぎず、踏み込みすぎず、それは想像の余地を大いに残しているということでもあり、各案件を通じて彼らの言動からこちらが穿ち見るべきところでもある。全部作者が書ききってしまうのではなくて、ちょっとだけ読み手の方にも預けてくれているとでも言うのか。
こういう大賞取る作品って、完成度の高さと比例するようにその手の余裕がないのが多いんだけど、この作品はその点、絶妙のバランス感覚を保ってる感じなんだよなあ。将来的な発展の余地を大いに盛り込んだまま、現時点でも既に隙なく余す所なく書くべきを描き切っている、という風に。
ぶっちゃけ、この作品が速攻でメディアミックス化されていっているのもすごく納得。もうコミカライズやドラマCD化が決定しているそうだけれど、大げさな事言うと現段階で既にアニメ化しても、多分原作通りに作っただけでもある程度成功すると思うな、これは。然るべきところが作ったなら、大ヒットしてもおかしくないと思うレベル。いや、むしろアニメ向き、と言った方がいいのかこれ。
とにかく、登場人物の自己主張がはっきりしているというのは大きな武器だよなあ。メインとなる成田真一郎、仙波明希、佐々原三月の三人以外にも、ラスボスの生徒会長竹田岬に裏ボスの文芸部部長東原史絵、依頼者や事件関係者となるそれぞれが、それぞれにキャラ立ちまくってるし。敢えて、いろんな人の視点で話を書いているのも面白い。一人称で描くということは、ある程度その人の内面や考えていることを書き連ねるということでもあるわけだし、一方向からグググッと特定の人物を掘り下げていくのと違って、いろんな人の視点からいろんな人の人物像をいろんな形で拾いあげていくことによって、全体の色彩や明度が鮮明になっていく感覚がある。数人の狭いコミュニティではなく、この学校そのものが「何だか面白い」という対象になっていくんですよね。人によっては視点がころころ変わるのは散漫だと捉えるかもしれないけど、自分はこの手のやり方、結構好きだなあ。
何よりも、うん、そうか、メインとなる成田真一郎、仙波明希、佐々原三月の人間関係を描くには、この三人だけを書いているわけにはいかなかったんだよなあ。各話の冒頭に、相談を持ちかけてきた依頼者の案件を三月がイラスト化したものが挿絵として描かれており、そこには依頼者と関係者の間に→が引かれて、簡単な関係図が載せられてるんですが、真一郎、明希、三月の三人の関係を突き詰めていくには→は三人の間だけに閉じられてる訳にはいかないんでしょね。彼ら三人以外の人間からの矢印……思惑、関係性などが影響し、効果をあげることで今の三人の構図が成り立ち、変化していっているのですから。さてもビリヤードみたいな話だけれど。会長や東原さんあたりは、ハスラーを気取っていそうだけれど、さて自分も球のひとつだと弁えているのか否か。

そして、もう一つ面白いのが、真実を暴くことと事件を解決することがくっきりと分かれているところ。依頼者が持ってきた相談事の謎、つまり不明だった真実を安楽椅子探偵として明らかにしてみせるのが明希なのだけれど、その真実を貰った真一郎はでも、それをそのまま依頼者には告げないんですよね。案件の全貌を明希が解き明かした真実によって把握した上で、真一郎は恣意的に真実をねじ曲げて、都合の良い答えを依頼者に提示するのである。探偵が暴く真実が必ずしも人を幸福にするのではない、と常々語り継がれてきた巷説を逆手にとった手法なのだ。しかし、作中で明希を初めとして多くの人が指摘するように、彼のやりようというのは真実を恣意的に都合よくねじ曲げて、相手の意志を無視して押し付ける独善的で、場合によっては多くの人が嘘によって傷つきかねない行為なのである。
言うなれば、お前何様だ、というお話。
ここで主人公への好悪が分かれるんだろうなあ。自分は嫌いじゃないんですよ。彼は人のため、という建前ではなく究極的には自分のため、自分の行動によって相手が幸せに思って笑ってくれた、その際の歓喜や恍惚を忘れられず、その快楽を得るために行動している。これが無自覚だったり、今まで痛い目も見たことなくて調子に乗っているなら始末が悪いけど、彼は今まで何度も失敗して他人も自分も傷つけた経験を多分に有している。その上で、自分がエゴイストで欲に基づいて動いているという自覚をはっきりと有している。ということは、ちゃんとこの子は自分の言動の結果に対して責任を負う覚悟を持ってるんですよね。それは、三月が真一郎が過去にやらかしたであろう失敗で他者を傷つけそうになったときの、彼女の失敗を挽回いようとする彼の悲愴とすら言える必死さを見れば、真一郎が自分がどれだけヤバい橋を渡っているかをちゃんと自覚していることが伝わってくる。
わかってりゃいい、という話じゃないかもしれないけど、わかってないよりよっぽどいい。
自分は結局、覚悟が据わってる輩は、嫌いじゃないんですよ。

なんか続きもすぐに出てくれるみたいだし(引きがまた凄いというか、やたらめったらなインパクトで大爆笑した。これは続きが気になるよ)、これは先が楽しみな新人作品でございました。
とっても、面白かったですよー。
 
11月26日

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11月4日

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