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田代裕彦

廃皇子と獣姫の軍旗 ★★★☆  

廃皇子と獣姫の軍旗 (ファミ通文庫)

【廃皇子と獣姫の軍旗】 田代裕彦/すみ兵 ファミ通文庫

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《黒狐》と怖れられるアルガンド帝国の皇太子ウィルフレド。獣の半身を持つ亜人族との一戦に勝利した彼は、唯一人、人の姿をした《獣姫》を捕縛し帰国する。しかし凱旋した彼に《偽嫡》の嫌疑がかかり、喝采から一転、ウィルフレドは罪人となってしまう。そんな彼の前に現れたのは《獣姫》ククル。先んじて解放していた彼女に救われたウィルフレドは、彼女と共に亜人達の元へ身を寄せるが――。獣の姫と大帝国に牙を剥く、本格ファンタジー戦記登場!
田代さんて、ミステリー畑の人かと思ってましたけれど、戦記モノもこれがなかなか、面白かった。
大国の皇太子にして、軍の総司令官だった青年が権力争いに敗れて国から逃げる、というのは決して珍しくないシチュエーションだけれど、流れる先がその大国に滅ぼされかかってる小国というのはともかく、完全に文明圏が違う蛮族の生息圏に流れる、というのは結構見ないかも。
国力の差こそあれ、だいたい同じ文明圏ですもんね。ところが、このウィルフレドが落ち延びるのは、侵略者として彼が総指揮していた、海を隔てた新大陸の、部族単位で戦力をなしている獣人たちの郷。国家も軍もないどころか、ちゃんと組織だった統治システムすら構築されてない文明圏なんですよね。
いわば、アメリカ大陸のネイティブアメリカンの集落に逃げるとか、中華圏から遊牧民族の匈奴とかに逃げ込むようなものか。本邦で言うなら、坂上田村麻呂が一度破って捕らえた蝦夷のアテルイと一緒に逃げ出して、蝦夷と協力して逆に蝦夷征伐軍を破っちゃうような話だよなあ、これ。
国に居られなくなったとしても、そこに逃げるか、という選択肢なんですよね。それを、わりと平々と屈託なくやれてしまうあたり、このウィルフレドという皇子、ちょっとおかしい。
どうも価値基準がややズレてる気がするんですよね。あまり、復権に関して関心がない気すらする。力を取り戻して、自分を追い出した奸臣たちを排して、帝国の皇太子として舞い戻るつもりにしては、行動がおかしいんですよね。なにしろ、彼が蛮族たちと協力して徹底的に打ち破ることになる軍団は元々彼が率いていた一団であり、皇子を崇拝し慕う兵士や将校もたくさんいる、ウィルフレド派……身内と言ってもいい軍団なわけですよ。復権を考えるならば、まず最初に取り込まなければならない一勢ですらあるのに。
彼の中の優先順位と、その特性については彼自身の口から語られてしまっているので、齟齬はないのですけれど……これは面白い奇妙さだなあ。
彼が自覚している通り、ウィルフレドって状況に対して対処、或いは準備しておくことに関しては凄まじいの一言なんだけれど、その状況そのものを動かす、或いは作り出すことに関しては全く手を出さないのである。
つまり、事が起こってから、或いは起こることを見越して動くだけれで、対処行動予備行動に限定されちゃってるんですよね。マクロで見ると、徹底して状況に流され続けている、とすら言えるわけだ。これだと、まず政局や戦局のイニシアチブは取れないわけで、常に後手に回り続けないといけないわけで、これは相当に苦しい縛りですよ。本人、なんかそれを楽しんでいる素振りすらあるのが、危なっかしいというか若干壊れてる印象を伴う理由なんだろうなあ。
とはいえ、このままだと蛮族側で発言権を手に入れても、ろくに動けないので彼自身意識改革をしていかざるを得ないんだろうけれど……。何しろ、彼の優先順位的には獣姫ククルが一番になっちゃってるからなあ。帝国に戻ること云々がどうでもいいとなると、ククルが望む方向にどうしたって行くことになるので、むしろこれ、脳筋っぽいククルが先行きに関するヴィジョンを提示しないといけなくなるんじゃないだろうか。つまるところ、獣姫が黒狐を使えるようにならないと、話にならないわけで……こりゃ、ククルが大変だ、大変だ。
えらいもん、拾ってきてしまったんじゃなかろうか、彼女w
既に彼を受け入れた族長が、色々と面倒押し付けられてえらいことになってるし。あの皇子のへらへらした笑顔、救いの神というより疫病神みたいなもんじゃないんだろうか、これw
帝国に残されたウィルフレド派の人たちも大変だし、国を追われた皇子よりもむしろ周りの方が苦労しそうな話だなあ、でも面白い。

田代裕彦作品感想

魔王殺しと偽りの勇者 2 4   

魔王殺しと偽りの勇者2 (ファミ通文庫)

【魔王殺しと偽りの勇者 2】 田代裕彦/ぎん太 ファミ通文庫

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残る《勇者候補》は、不死身の傭兵と伝説の大魔導師!

《勇者候補》も残すところ、不死身と噂される《傭兵》と、かつて王宮に勤めていた《大魔導師》の二人となった。
この中に魔王を倒した真の勇者がいる――すぐにでも行動を起こしたいエレインだったが、相も変わらずユーサーの腰は重い。
そんな態度にしびれをきらし、エレインは一人で《傭兵》ダリオンに会いに行くのだが……。
各人の思惑が錯綜する中、すべての事柄はひとつに繋がり、隠された真相が浮かび上がる――。
証言の矛盾を突き、嘘を暴く疑惑のミステリアス・ファンタジー第2巻!
くわぁ、なにこれ面白い! うん、大魔王殺害事件の真相と、その裏に横たわっていた大きな事情が明らかになっていくミステリーとしての構成も面白いんだけれど、それ以上に真相を突き止めていくにつれて思慮深くなっていくエレインの成長物語としての要素がとかく素晴らしい。最初は深く物事を考えることが苦手で表面的な部分だけ見て短絡的に判断し、短慮を繰り返すばかりだったお馬鹿な脳筋だったエレインの、この変わりようときたら、第一巻の最初とこの2巻のクライマックスを見比べてみるとよくわかるだろうし、読み終えた今となると感動すら覚えてしまう。
何よりこのエレイン、確かにお馬鹿で脳筋なんだけれど本当に素直で人の話を良く聞くんですよね。気が早いものだから短気に見えるけれど、何気に辛抱強くて、ユーサーの皮肉屋で意地悪な言動に対して怒りながらも決して無視はしないし、怒って席を立ったりもしないし、聞かなきゃいけないところはちゃんと聞き逃さずしっかりと受け止める事を欠かさなかったわけです。ユーサーって、最初かなり適当にエレインをあしらって済ますつもりだったように見えたんだけれど、ユーサーが魔族にも関わらず聞いていて正しいと思ったことは世間の常識とかけ離れていても素直に受け止めて、公正に判断するところにナニカ感じるものがあったのか、この2巻では積極的にエレインに自分で考える事を促し始めるんですね。前はもっと意地悪が目的でしたけれど、後半に行くと明らかにエレインの成長を促そうとしているのが見て取れました。
考えが足りないのは無知だからで、エレインはスポンジが水を吸うように固定観念に煩わされず自分で「考える力」をユーサーによって呼び起こされ、蓄えていくわけです。
ほんと、最初は知力一桁、みたいな感じだったのになあ。彼女を見ていると、頭が悪いのと自分で考える能力がないこととは一切関係がないことがよく分かる。
偏見も常識も取り払って、自分の目の前に取り揃えた事実だけを材料にして真実をたぐり寄せることが出来る。これは素晴らしいことだと断言できますよ。そして、脳筋と言われながらもエレインはそれを素直に、誠実に、出来る逸材だった、と。
だからこそ、誰が大魔王を殺害したか理解し、またこの事件が起こった背景に考えが及んだ時に、思考停止せずに自分がどうするべきかを自分で考え、自分で決断出来たのでしょう。多分、ユーサーが安易に答えを教えてしまっていたら、エレインは真実を持て余してしまったんじゃないかしら。
だが、ユーサーが導いたエレインの成長は、彼女に真実に耐えられる力を与え、どうするかを判断する思慮を与え、それを実行する勇気と自信を与え、そしてユーサーの思惑をも上回る知性を与えたわけだ。
最後のシーンは、ついにエレインがユーサーに対して対等のパートナーになったことを想起させる、思わず微笑みを浮かべてしまう良いシーンでした。

うん、確かにこれ、上下巻だけで終わってしまうには勿体ないくらい良い作品ですわ。事件は解決しましたけれど、次なる新しい事件が起こって、という展開ならなんぼでも続けられそうですし。終わるのが勿体ない。ユーサーとエレインのコンビが思っていた以上に良い感じになってましたし、何よりエレインの成長が本当に清々しかった。元々、素直さと吸収力が、短慮な部分の愛嬌と相まって凄く好感の持てる娘だったんですけれど、弄られ可愛いだけじゃない出来る娘になってくれましたし、ピカイチですよ、このヒロイン。
この調子だとユーサーにイジられて涙目になるだけじゃなく、このまま成長して強かに反撃してくれるくらいになってくれれば、さらに良いコンビ、良いカップルになってくれそうなんですよね。そんな二人をまだまだ見たいなあ。あの、エイレンより頭悪そうな魔女っ子が、微妙にパーティーに加わっても面白そうな配置になってるし。続き、出てくれないかなあ。

1巻感想

魔王殺しと偽りの勇者 13   

魔王殺しと偽りの勇者1 (ファミ通文庫)

【魔王殺しと偽りの勇者 1】 田代裕彦/ぎん太 ファミ通文庫

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四人の“自称"勇者たち。魔王を殺したのは一体だれ?

“本当"に大魔王を打倒した勇者を見つけだせ――王宮戦士のエレインは、その不思議な命令に首を傾げた。
十日前、百年に一度復活すると云われる大魔王が打倒され、アルブリオ王国は歓喜で満ち溢れていた。
そんな中、国王に内密に呼び出されたエレインは四名もの人物が「自分こそが大魔王を倒した勇者である」と主張していることを知る。
さらに、堅物な彼女に用意された協力者は王族でありながら魔族に寝返り、牢に幽閉されていた青年、ユーサーだった。
魔族を尊重し、不遜な態度を貫くユーサーに苛立ちを覚えながらも自称勇者を訪ねるエレインだったが……。
果たしてエレインは勇者たちの嘘を暴き、真実を手繰り寄せることが出来るのか?
異色のクライム×ファンタジー、開幕。
なにこの「大魔王殺人事件」。百年に一度復活するという大魔王を倒したというのだから、どれだけ激戦が繰り広げられたのかと思ったら、なんとその死因はまさかの刺殺。それもどうやら不意打ち紛いの通り魔的犯行だったようで……だから普通に殺人事件じゃん!
ところが、この事件が普通のミステリーと違ってくるのはここからで、本来ならまず容疑者を選出し、犯行を否定する容疑者の中から真犯人を見つけ出す、という流れになるのだけれど、この事件は逆に容疑者全員が自分がやりました、と殺害を自供、ならぬ主張しているのであるので、主人公たちは彼らが犯行を行った証拠を見つけ出すのではなく、彼らが犯行を行わなかった事を証明していかなくてはならないのだ。
そして、エイレンとユーサーはこの四人の容疑者の嘘を暴き、主張を覆し、本当に大魔王を殺したのは誰なのかを探しださなくてはならない。そのために、順番に容疑者の元を訪れ、面談を開始するのである。
……完全に内容がミステリーそのものである。作者の田代さんというと、元々の出が今はなき富士見ミステリー文庫。富士見ミステリー文庫というと、ミステリーしてないじゃん、という側面でも有名な部分がありましたけれど、田代さんはその中でも真面目にミステリーやってた人なので、まわりまわって原点に帰ってきた、というべきなのかもしれない。
さて、事件解決に乗り出したでこぼこ二人組のエレインとユーサー。頭は回るが皮肉屋で口の悪い魔族のユーサーと、真面目で融通のきかない脳筋のエレインというあからさまに相性の悪そうなコンビなんだけれど、このエレインが単細胞な分異様に素直ないい子なので、ユーサーの口の悪さにムッとしたり、からかわれてプンスカと怒ったりもするのだけれど、彼の発言が正論だとどれほど不都合なものでもあっさり納得して受け入れてしまうので喧嘩らしい喧嘩もなく、ユーサーも肩透かしを受けてか決してエレインを必要以上に虐めることもしないので、案外と良いコンビで機能していたりする。ユーサーの身の上はかなり複雑なようで、魔族でありながら元は王族だったらしいややこしい事情が背景にあるようなのだけれど、敵である魔族であり大魔王の配下であり態度も悪い、という人物にも関わらず、彼の言うことに目立った反発もせずウンウンと頷いていうことを聞いているエレインは、ちょっとかわいくなってくるくらい素直な娘なんですよね。世間ずれしていないというか、わりと天然も入っているのかもしれない。そんな彼女に、ユーサーも段々いびるどころか逆にあまりの素直さに心配になってきたのか、結構気をつかって色々とフォローし出してしまったのにはちと笑ってしまった。
さて、大魔王殺害の真実を追求していく内に、そもそも大魔王とは何者なのか。魔族とはどういう存在なのか。今もリアルタイムに伝わっている大魔王の伝承と、アルブリオ王国建国の謎、勇者の真実、そもそもユーサーという人物が何者なのか、という国の歴史に纏わるようなあれこれが垣間見えてきて、単純に殺人事件の真相を紐解くだけ、とは行かなくなってきた模様。もっとも、まだ尋問は四人の容疑者のうち二人しか終わっておらず、まだまだ謎解きははじまったばかり、という様相。いや、1巻費やして容疑者全員にもまだ逢えない、というのはかなりゆっくり進行じゃないですか?

田代裕彦作品感想

修羅場な俺と乙女禁猟区 33   

修羅場な俺と乙女禁猟区3 (ファミ通文庫)

【修羅場な俺と乙女禁猟区 3】 田代裕彦/笹森トモエ ファミ通文庫

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魅惑のデッド・エンド・ハーレム遂に終幕!

二学期が始まって早ひと月。高原学園高校は数週間後に控える学園祭の準備で活気付いていた。そんな中、彼女は言った。「もうやめようと思ってるんだ」唐突な申し出に思考が追いつかない節【せつ】に、彼女はさらに言葉を継ぐ。「《ゲーム》のことだよ」予想外の展開に節は、彼女の真意を推し量ろうとするが、その時の彼はまだ知らなかった。この告白が誘う《正解》の向こう側に待つ運命と勝者を――! 魅惑のデッド・エンド・ハーレム衝撃の最終章開幕!!
うむ! と、なんか一人で勝手に納得してしまいましたが、正解から動機までほぼこうだったら面白いのになあという予測通りにピッタリと収まったので、なんかノーミスでジグソーパズルをピッタリと完成させたような達成感が。


と、ここからはネタバレになるので一応収納してスペース空けます。
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修羅場な俺と乙女禁猟区 23   

修羅場な俺と乙女禁猟区2 (ファミ通文庫)

【修羅場な俺と乙女禁猟区 2】 田代裕彦/笹森トモエ ファミ通文庫

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だって、わたしが《正解》なんですから!

学生ならば誰もが心を躍らせるであろう夏休み。だが、遠々原節【をんどうばるせつ】はひとり晴れない気持ちを抱えていた。天海崎【あまみさき】の一件以来、さして状況に進展もないある日、父・十慈郎【じつじろう】がいきなり宣【のたま】ったのだ。「あとひと月の間に正式な婚約者を選べ」などと! 相変わらず拒否権無しの状況に節は、翌日からの臨海学校で決め手を得ようと考えるのだが……しかし婚約者候補の彼女たちも、これ幸いと勝負に出てきて――!? 魅惑のデッド・エンド・ハーレム待望の第二幕
……ええ!? そんな大前提から疑わないといけないの!?
しまったなあ、読んでいるこっちも節と同じく先入観に囚われていた感がある。これって、実のところキッチリとした数学みたいな答えのあるゲームじゃないんですよね。そもそも、十慈郎の最初の命令からして、これだけ解釈の余地があったら、どこまで信じていいかわからない。あの爺さんの言い方からすると、今回の展開は完全に予想外だったもんなあ。
これ、もう一度一巻を読み返して、爺さんの最初の指令を読み返して正確に把握しておきたいところなんだけれど、ものが何処に行ったかわからない。掘り返すとなると大仕事になっちゃうんだよなあ。
というのも、これ、五人の婚約者候補の中に、最初に主人公が捉えた形の「正解」っていないんじゃないだろうか、という感触が伝わってきちゃったんですよね。だって、あの指令から連想する正しい「正解」って、どう考えても奥有楽乙音じゃないですか、今回の。それが、こういう形で終わってしまったとなると、もう普通に本当に節を愛している、という相手が残る三人からはとてもじゃないけどイメージデキないんだ。
これ、五人の中には爺さんのいう正解って居ないんじゃないのか?
それでも、なおデッドエンドを回避できる正解があるのだとすれば、それは先入観を取っ払った先に既に明々白々に存在しているような……。
ぶっちゃけこれ、睦月が正解だったら、面白いんですけどね。睦月だったら、現状で既に条件をオールクリアしてるんだけれどなあ。と言いますか、一巻二巻と表紙見たら、明らかに睦月がワントップでメインヒロイン扱いな気がするんですけれどねw

今回の節くんは、殆どいいところ無く自爆に近い形で仕掛けられたトラップを踏み抜き、ゲームオーバーになりかける、という無様を晒してしまいました。これ、デッドエンドを回避できたのって殆ど偶々だったもんなあ。傍から見ててもみっともない悪あがきで、なんとか瀬戸際でゲームオーバーを回避した節ですが、そこから転んでもただでは起き上がらずにしぶとく成果を獲得したのは、さすがと言ったところですけれど。
それに、大局的に見ると正解を外したとはいえ、これってデッドエンドを一つ潰したとも言えるんですよね。思えば、「正解を選ぶ」のではなく「不正解を潰す」あるいは「正解を作っていく」とすることこそが、この試練の解答の一つと捉える事も出来るんですよね。愛がないのなら、愛を芽生えさせればイイ。憎しみを、愛情へと変化させればイイ。節の立場からして気楽なのは、遠々原家と節とは別に運命共同体ではないということ。婚約者候補たちが抱いている憎しみの大半は遠々原家へと向けられたものであって、厳密には節とは分けて考える事も可能なんですよね。だから、彼女たちの憎しみを消せなくても、節にとっての味方になる余地は充分にある。節もまた、遠々原家を滅ぼす為に暗躍しているんですから、最終的な目的さえ同じなら協力だって出来るはず。場合によっては最大のパートナーにだってなれるかもしれない。まあ、そんなことを言っていると、節個人を憎んでいる娘が出てきそうですけれど。

1巻感想

修羅場な俺と乙女禁猟区4   

修羅場な俺と乙女禁猟区 (ファミ通文庫)

【修羅場な俺と乙女禁猟区】 田代裕彦/笹森トモエ ファミ通文庫

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あなたを愛していますっ! ……殺したいほどに。

「お前の婚約者候補だ!」世界に名を成す大財閥の長にして父の十慈郎【じつじろう】から、5人の美少女を前に突然そう告げられた遠々原節【をんどうばるせつ】は、その次のセリフに戦慄した。「この娘たちは、お前のことを殺したいほど憎んでいる」クソ親爺はさらに続ける、「だが、この中にお前を愛する娘もひとりいる」その娘を選べなければ待つのは破滅……しかし、手段も所も構わず繰り広げられる彼女達の求愛に、理性を保つだけで精一杯!? 魅惑のデッド・エンド・ハーレム開演!
これは、舞台設定の勝利だよなあ。婚約者候補たちに与えられたゲームの報酬は、遠々原財閥の財産と権力、そして憎むべき遠々原節や十慈郎も含めた遠々原一族の身柄の自由。かつて遠々原財閥によって破滅しすべてを失った彼女たち。その復讐のために表向きには一切の憎悪も憤怒も糊塗し切り、怨敵の子息である遠々原節に好意と笑顔を振りまいてその愛を勝ち取らんとする彼女たちのその姿勢は、一見してキャピキャピと浮ついた年頃の女の子の外見とは裏腹に、いやそんな内心を一欠けらも垣間見せない徹底した姿だからこそ、背筋が寒くなるほどの壮絶さを醸し出している。
主人公はバカではなく、それどころか冷酷とすら評されるキレ者なので、勿論彼女たちの愛想の良さに乗せられるわけもなく、恐怖すら感じながら慎重に彼女たちの本性を探っていくのだけれど……この娘たち、まったく尻尾を見せないんだもんなあ。怖い、マジ怖い。
こんな怖いハーレム無いよ!
並の男子では精神の均衡も保てないんじゃないかというスリルとサスペンスあふれるハーレムなのだけれど、それに挑むプレイヤーは上記したように一筋縄ではいかない主人公だ。ある意味、主人公の節は全くこの五人の婚約者候補たちと対等の立場と心持ちを備えた人物と言えるかもしれない。それだけに、上辺には騙されず、恐怖に負ける事もなく、必死に媚びを売ってくる少女たちを冷静に観察し、判断を積み重ねていく。
ここまで男女の両者に愛情が介在しないまま、虚実を入り混ぜて何が本心かも誰も分からないまま濃厚に接していくハーレムというのもまた珍しい。
とは言え、この話に冷めた薄ら寒さを感じないのは、かの主人公が冷酷ではあっても非情ではないからなのだろう。彼は情には一切流されないんだけれど、情が無いわけじゃないんですよね。それどころか、基本的に情に基づく結論を基盤として判断し、行動している。尤も、彼の場合情深く行動することが自分の利益となり有利に働くからという計算高さから来るものなのだろうけれど、その割り切り方はむしろ好感が持てる。それに、彼は自分の基盤を裏切らないと思うんですよね。彼の根本にあるのは激情であり信念である以上、彼の計算高さはあくまでツールであり、本末転倒に損得勘定で自分の根源を裏切る真似はしないはず。
彼はほんとうの意味で人を愛さないかもしれないけれど、自分の与えた分の情は決して裏切らないでしょうから、真の愛を欲さない限り、彼は良い伴侶になると思いますよ。幸せにはしてくれるはず。
そういう主人公の在り方を前提に考えると、彼のメイドの睦月のスタンスは結構複雑なものと勘ぐる事も出来る。どうやら主人公の人間性を一番詳しく知っているのは幼馴染にして運命共同体である彼女なのだろう。だからこそ彼に真の愛情を求めようとはしないのだろうし、さりとて表面上の愛情で優しくされても飢え渇くだけ。彼女にとって現状の運命共同体こそが最も遠々原節という人間の深い所に食い込み、自分の存在を大きく意識させ、捨てるに捨てさせない位置なのだろう。同時に、ちゃっかりと愛人という将来の立ち位置もちゃっかり確保しているあたり、彼女だけが負けのない勝利者の地位を既に得ていると見てもいい。唯一の敗北は、遠々原節の破滅なのだろう。彼の破滅は運命共同体である彼女の破滅でもあるけれど、彼女の境遇と言動を鑑みるとそれもまた良しと考えている節もある。自分のすべてを節に預けた睦月は、気楽な究極の傍観者なのかもしれない。
泰然と、このハーレム狂騒曲を外側から見下ろしてせせら笑っている睦月は、なるほど五人の婚約者候補を押し退けて一巻の表紙を飾るに相応しいヒロインだったのかもね。
何やらこの一冊で終わっても大丈夫なような〆方をしているけれど、はてこれ続きは出ないんだろうか。わりと簡単に続けられそうな、でも実際続けるとなると難しいような、なかなか複雑なところだけれど。
もし続けるなら、このまま甘っちょろいハーレムにならない、凄絶な部分は無くさないで欲しいなあ。
 
1月18日

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