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異世界から帰ったら江戸なのである

2015年6月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

月末発売のファミ通文庫、スニーカー文庫、コバルト文庫、HJ文庫、ビーンズ文庫などは来月送り。


読んだ本の数:41冊 うち漫画:16冊

うわぁ、6月全然読めてないよ! わりと冊数読んだつもりになってたら、漫画が多かっただけだった。
原因はわかっていて、うん【境界線上のホライゾン】を、あの殺人的分厚さの本を思わず出来心から二冊続けて読んでしまったからですねw あれで色々としばらく力尽きてましたからw
ただそれ以外にも全般的に読む気力が足りてなかった部分もあるのだけれど、その分読む本を美味しそうなのばかり選んだからか、6月は読書数に対して高い評価の作品が連なった感じである。
【ダンまち】はもう言わずもがな。これはねー、人気になるだけの実がちゃんとあるのだと実感出来るのがこの5巻だと想うのですよ。
新シリーズとしては綾里さんの【ヴィランズテイル】、問題児シリーズの第二部【ラストエンブリオ】が初っ端からキレッキレで掴みとしてはこれ以上ないスタート。新人作品では【乙女な王子と魔獣騎士】が先々楽しみな手応えがあってよかったんですねえ。
逆にラストの大盛り上がりを見せていたのが【ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン】と【東京ストレイ・ウィザーズ】、特にストレイウィザーズの方はここで終わるのが勿体ないと歯噛みさせられる色彩豊かな物語でありキャラであり。
【異世界から帰ったら江戸なのである】は二巻に入ってさらにこちらのドストライクをつくないようで。まさかの続編となった【王女コクランと願いの悪魔】は期待に違わぬ、どころかそれを遥かに上回るドラマティックな展開に、もう色々と辛抱たまらん状態ですよッ。


★★★★★(五ツ星) 2冊

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 5】 大森藤ノ/ヤスダスズヒト GA文庫
異世界から帰ったら江戸なのである 第弍巻】 左高例/ユウナラ エンターブレイン


【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 5】 大森藤ノ/ヤスダスズヒト GA文庫

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ミノタウロス戦をスタート地点と見立てるならば、最初のピークはここなのでしょう。作品そのものが、ここから加速を始めていく。その盛り上がりたるや、すさまじいの一言でテンション爆上げ。


【異世界から帰ったら江戸なのである 第弍巻】 左高例/ユウナラ エンターブレイン

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ひたすら呑んで食べて遊んで騒いで、楽しさの尽きることのない大江戸ハッピーライフ。もう好きすぎてたまらんシリーズなのです。



★★★★☆彡(四ツ星Dash) 5冊

ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 3.セカンド・スクワッド・ジャム (下)】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫
ヴィランズテイル 有坂有哉と食べられたがりの白咲初姫】 綾里けいし/リラル ファミ通文庫
東京ストレイ・ウィザーズ 3】 中谷栄太/Riv GA文庫
ラストエンブリオ 1.問題児の帰還】 竜ノ湖太郎/ももこ 角川スニーカー文庫
王女コクランと願いの悪魔 2】 入江君人/カズアキ 富士見L文庫

【ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 3.セカンド・スクワッド・ジャム (下)】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫

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撃って撃って撃ちまくる、楽しい楽しい弾幕戦(実弾)。とびっきりのガールズファイトで、ありました。力の限り、遊びきったぜ堪能したぜ。


【ヴィランズテイル 有坂有哉と食べられたがりの白咲初姫】 綾里けいし/リラル ファミ通文庫

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綾里けいしは健在なりや。【B.A.D.】シリーズが終わっても、新たなシリーズでその筆の鋭さはいささかも衰えず。これは異形の物語でも怪物の物語でもなく、ただただ人間の物語。おぞましい人間の物語、しかしだからこそ美しい人間の物語。


【東京ストレイ・ウィザーズ 3】 中谷栄太/Riv GA文庫

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実質打ち切りとなったが故に放出する設定や展開をつめ込まざるを得なくなる、という厳しい状況を、逆に「畳み掛けるような手に汗握る息もつかせぬ怒涛の展開」へと昇華せしめてみせた、作者の腕前がうかがい知れる大盛り上がり。だからこそ、勿体無くてここで終わるのが悔しい作品。


【ラストエンブリオ 1.問題児の帰還】 竜ノ湖太郎/ももこ 角川スニーカー文庫

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装いもタイトルも新たに再スタートとなった新シリーズは、初っ端からスケール感振り切りでお送りしております。こと「世界観」だけでこれほど自分を魅了してくれる作品はない上に、そこからさらに燃える燃えるの重ね塗り。そりゃあ面白いったらありゃしない。


【王女コクランと願いの悪魔 2】 入江君人/カズアキ 富士見L文庫

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「めでたしめでたし」で終わったハッピーエンドのその先に続き、はじまる物語。人になった、人になってしまった王女と悪魔の真実の愛の物語。はじめて生きたいと願ったコクランの、それ故の踏み外していく姿のなんと壮絶なことか。色んな意味でスペシャルである。


★★★★(四ツ星) 3冊

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア2】 大森藤ノ/はいむらきよたか GA文庫
乙女な王子と魔獣騎士】 柊遊馬/久杉トク 電撃文庫
甘城ブリリアントパーク 6】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア2】 大森藤ノ/はいむらきよたか GA文庫

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【乙女な王子と魔獣騎士】 柊遊馬/久杉トク 電撃文庫

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【甘城ブリリアントパーク 6】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

アイーシャ夫人 (カンピオーネ!)
ベル・クラネル ( ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)
リュー・リオン ( ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)
九郎 (異世界から帰ったら江戸なのである)
鳥山石燕 (異世界から帰ったら江戸なのである)
録山晃之介 (異世界から帰ったら江戸なのである)
フカ次郎/美優 (ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン)
ジュダ (乙女な王子と魔獣騎士)
冷泉 (GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン)
ミリアム・ポークウ (GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン)
式条丹 (ヴァリアント・エクスペリメント)
白咲初姫 (ヴィランズテイル)
有坂有哉 (ヴィランズテイル)
アムリタ (東京ストレイ・ウィザーズ )
久藤彩鳥 (ラストエンブリオ)
コクラン (王女コクランと願いの悪魔)




以下に、読書メーター読録と一言感想。



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異世界から帰ったら江戸なのである 第弍巻 5   

異世界から帰ったら江戸なのである 第弍巻

【異世界から帰ったら江戸なのである 第弍巻】 左高例/ユウナラ エンターブレイン

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今度は江戸でピッツァ!

九郎が異世界から持ってきたカバンの底には、1本のコーラがあった。
コーラといえば、ピザ!
ふいに食べたくなった九郎は、鳥山石燕や阿部将翁の手を借りてピザ作りを開始!
江戸時代の食材と環境で、ピザはおいしくできるのか?

そして九郎が気を失った時に見る異世界の情景――
旧友が口にした言葉は江戸につながってゆく。
はたして石燕の正体とは…!?
おお、快なり!! 絶品じゃあッ。
というわけで、異世界から日本に戻ってきたら現代ではなくて江戸だったけれど、そこで暮らすとぼけたお江戸の連中と、のんびり愉快に隠居生活な九郎爺ちゃんの大江戸ハッピーライフ第二弾。
ウェブ連載からの単行本化における見どころというと、やはりイラストがついてキャラクターにデザインが出来るというところでしょう。その点において、本作のユウナラさんは素晴らしい仕事してます。ってか、素晴らしすぎるざんしょ。
ジャケットデザインで二階からバンザイしている少女、これ玉菊ですよ、あの玉菊。参ったね、なんという男の娘! 他にも石燕の弟子の百川子興(女)や隣家の按摩さんのお雪嬢といったメンツもデザインついてるんですけれど、子興さん思いの外ネコ娘っぽい!? ちゃんと、というには多少変だけれど、日本髪結っているにも関わらず、こんな猫っぽくできるのが凄い。



もう一枚、カラーで異世界側の宴会の様子も描いているのですけれど、主だったメンバー以外にも背景にちゃんと今後の異世界でのお話に出てくる連中がしっかりと描かれているのが、嬉しいじゃないですか。ゴーレムの人とかほんとちらっとしか出てないのに。あと、蛇女の人とか。
異世界組のビジュアル出たのは魔女イリシアや魔王組の連中以外、元の傭兵仲間たちは今回が初めてだったと思うんですけれど、なにより衝撃だったのがイートゥエさんでしょう。呪われて鎧を脱げなくなったデュラハンのお嬢さん、というちょっと残念な人なんですけれど、想像してたのよりも遥かに鎧が巨大すぎて、吹いたw 三メートルって。サイズが、首とのサイズの違いがすごすぎるww
うわぁ、スフィがべらぼうに可愛いじゃん、という衝撃を塗りつぶしてしまうビジュアルインパクトでした、イートゥエさん。

さて、冒頭からはじまるのは、まず現代に生きていた九郎がいかにして異世界に飛ばされるはめになったのか、というところから。昨今、安易にトラックだのダンプだのに轢かれて死んでしまったら気がついたら異世界に居た、というワンパターンというべきか様式美になっているというべきか、ともかくおんなじようなシチュエーションでまずその段階でテンションを下げられてしまうのだけれど、やるならこれくらいやれ、というお手本……いや、お手本にしてはまずい例なのか。
おしぼりを飲食店などに卸す会社で働いていたら、なんやかんやでほとぼりを冷ますために北方海域でカニの密漁船に乗ることになったら、ロシアの国境警備隊の船にメチャクチャ撃たれてさあ大変、という類を見ない異世界転移である。
別に九郎、グレたり悪道にハマったような人物ではなく、ごくごく真面目に不遇な境遇の中で家族を養うために働いていたら、何故かその筋にまつわるような働き口にばかり割り振られるようになって、というまあなんというか、アレな感じである。むしろ、異世界にいってからの方が騎士として役所勤めを長年やってたように真っ当な仕事についてたんですよね。九郎の現代日本における職業遍歴はウェブ連載では度々言及されることがあって、かなり面白かったりします。


第一章の「江戸の街歩き ―忍者は居ない―」

末法の世ではありませんのでー。でも、実はけっこう出てくるんですよね、のちのちw
ちなみに、九郎が流れ着いた江戸は、八代将軍吉宗の時代だったりします。南町奉行はかの大岡越前守忠相です。別に、大岡裁きとかしてないのですが。
居候先の蕎麦屋の娘、お房とぶらぶら江戸の街を散策する話。しっかり者で本作でも有数の賢者のごとき聡明さの持ち主であるお房ですけれど、まだまだ年齢は二桁にものぼらぬ子供なのも確かなので、たまにこうして九郎に連れられ、遊びにいくこともあるようで。食べ歩きというか、ウィンドウショッピングってな感じなのですけれど、時の江戸の街の風俗、景色、その賑やかさをしっかりと感じ取れる描写がいいんですよねえ。色々とさり気なく九郎たちの散策に合わせて、当時の江戸の風俗や流行りなどの薀蓄や語りなんかが入るのですが、これが本当に面白い。知識を押し付けがましく見せつける、というんじゃ全然なくって、思わず興味を引かれて覗き込んだ際にさらっとそれについての雑学や説明をしてくれて、楽しい気分に実を与えてくれるという感じ。ほんと、江戸をぶらついているような気にすらなってくる。にしても、九郎はぶらつきながら酒飲みすぎ!! そして、出てくる小料理がまた美味しそうなのよねえ。


第二章 「江戸の日常的に起きる事件」
この頃はまだそれほどの頻度ではないのだけれど、火盗改の中山影兵衛や見廻同心の菅山利悟などと知り合うことで、九郎は彼らの捕物を手伝うことも多くなっていくのですけれど、今回は道場主の録山晃之介も巻き込んで、辻斬り集団と渡り合うことに。けっこう切った張ったもやるんですよねえ。ってか、挿絵! 影兵衛の描き方がこっちサイドじゃなくて、完全に辻斬り集団の親分なんですけどww
そして、辻斬り集団をとっ捕まえたその報奨金で飲み明かす九郎と晃之介w さらに、ヒで始まりモで終わる名前の立場らしく、石燕と一緒に飲み倒して代金を払ってもらう九郎ww
さらり、とここで江戸に転生している魔女イリシアの生まれ変わりを探せ! というミッションを魔王ヨグから与えられるのだけれど、何気にこれ最重要ミッションなんですよね。これが未達成だと、どうなるかが最新のウェブ更新の方で明らかになってるし。


第三章 「江戸のピザ作りと宴会の思い出」

異世界から戻ってきた際に持っていた荷物の中に入っていた一本のコーラの瓶。おそらく二度と飲むことではないだろうコーラのアテとして、ピザを食いたい! という欲求をもとにして、江戸で知り合った連中に協力してもらい、この時代この江戸で手に入る食材をやりくりしてピザを作って宴会だー、という賑やか話。トマトが実はこの時代既に日本に入ってきていた、というのはわりと知られている話かも、観賞用として、だけれど。その他、チーズやら何やらも伝手をたどって手に入れて、と阿部将翁さん便利すぎるww
いやあ、しかし江戸で食べるピザというのも乙なものであります。ってか、この江戸だとピザもあんまり場違いには見えない不思議。
回想で、異世界での思い出、あっちに飛ばされた時に拾ってもらった傭兵団の連中と宴会している時の話が出てくるのだけれど……なるほど、「彼女」については書籍版では徹底的に伏せるのね。ウェブ版だと、異世界の回想で極々初期にちゃんと登場し、九郎やイリシアとの関係性も含めてしっかり描いた上で、その後が描かれていたのだけれど、こうして「彼女」について一切伏せたまま、という体で話を進めていくのも面白い。ちゃんと話の筋立ても仕立て直しているし、このぽっかりと魂に穴があいているようなもどかしくて寂しくて切ない感覚の表現はある意味素敵でもあるんですよね。これは、思い出した時の感動は尚更大きくなるかもしれない。
誰も覚えていないけれど、絶対に居た誰か。九郎にとって、おそらく最もかけがえのなかった存在。
描かれていないにも関わらず、その存在感が刻々と大きく深くなっていく様子は、焦れるけれどいいなあ、いいなあ。

そういえば、この幕間であの「同心二十四人衆」の全貌が明らかになってるんですよね。ちゃんと、二十四人分設定あったのかww
変な二つ名はともかくとして、こうしてみると、同心にも様々な種類があるというのがわかって、興味津々。そういえば、町奉行所が一月ごとに南・北で交代で業務行っていた、という話も本作で知ったんですよねえ。


第4章 「鳥山石燕奇怪録 「海坊主、或いは尼彦」」
江ノ島に現れたという海坊主を、石燕と九郎で見物しに小旅行に行くお話。お雪ちゃんがお房の父親の六科を好いていて、必死にアプローチしているお話もうまいこと盛り込んでるけれど、各章わりとウェブ版の数話分をくっつけてアレンジしてるんですよねえ、これ。ただ、そうした改稿だけじゃなくて、はっきりと加筆修正されている部分もあって、石燕ことお豊の持つ能力と、前巻で彼女が自分は本当は石燕じゃない、と言ってた話の真相については、この段階では殆ど触れられてなかったはずなんですよね。というか、ウェブ版では極々最近、そのネタが明かされたはず。これについては、石燕の本名と彼女の名前からして、最初から考えられていた設定ではあるんだろうけれど。石燕姐さんは、もうほんと最近までただのアル中のダメ女以上でも以下でもなかったもんなあ……いや、最近でも全然変わらないというか、もっと残念でダメになってる気もするけれどww
書籍版では、若干陰と謎のあるそこはかとなく艶と哀がなくもないんじゃないかしら、という程度にはヒロイン補正受けてる気がしないでもない! ……気のせいか!
なにしろ本作のヒロインときたら誰も覚えてない「彼女」と未だ覚醒していない「彼女」以外は総じて残念ヘタレの行き遅れガールズだもんなあ。スフィ含めてww というか、意気地なさに関してはスフィはぶっちぎりなんですけれど。その点、まだお八や石燕姐さんの方がナチュラルにスルーされるような有り様ながら多少アプローチしている感じがする分、マシかもしれない。


しかし、書籍版、若干食事シーン増えてる気もするなあ。酒飲んでるシーンは相変わらずだけれど。うむ、こうして何度読み返すことになっても、その度におもしろく思うというのは、それだけハマっているというべきか、好きすぎるというべきか。
ほんとにもう、大好きなのよねー。
まだ天爵堂のところの子どもたちとか、利悟のところの同心仲間など出てきてない人たちも居ますし、まだまだ読み足りないくらい。九郎もまだまだヒモ度が深刻になっていきますし、異世界IF版もこうなると書籍版でも見たいですし、十手持ちとなったあとの活躍やらあれこれ、うんうんまだまだネタもあることですし、続きが楽しみ楽しみ♪

1巻感想

2014年 ライトノベル・新シリーズピックアップ  

予告していたとおり、ちょっと年間ベストの方では触れられなかった、14年度スタートした新シリーズの中でも今年にかけて私が特に注目・期待している作品を取り上げたいと思います。
2015年期待のシリーズ作品、てな感じですな。
ただ面白いだけではなくて、琴線にビビッと触れるようなナニカがあったり、歯車がカチリとハマって確変を迎える気配があったり、と私の心をガッチリと鷲掴みにして離してくれない要素を握りしめている作品たちです。
是非ともオススメして、興味を持ってもらって、ちょっとでもシリーズが大きく長く続く一助になればなあ、という下心ありありでお送りしたいと思います。



【祓魔科教官(デモンビーター)の補習授業】
  すえばしけん/NOCO 一迅社文庫

 
1巻「落第少女に咒術指南」感想 2巻「優等生は振り向かない」感想
昨今、一つのジャンルとして成り立ちつつある主人公が教師や教官となりヒロインである女の子たちを教え導いていく教官モノですけれど、本作の作者のすえばしさんはこの流れが生まれる前にデビュー作でその先鞭をつけている人なんですよね。して、人に教えるという事は教えられる、という事を見事に表現している人でもある。
異形ー魔禍魂を狩る“祓魔技能士”を養成する天原学園に着任した主人公・日垣悠志朗が、落ちこぼれの生徒たちを鍛えていく、という表装こそ真っ当な教官モノなのですが、むしろこれ主人公は落ちこぼれの生徒でありヒロインである花耶の方なのです。何しろ、教官である悠志朗を始めとした祓魔技能士のトップエースである<神和>と呼ばれる連中は、一見してマトモな社会人にも関わらず、人として大事な部分が壊れ喪われているイカれ狂った破綻者ばかり。
容赦なく人があっさりと惨たらしく死んでいく過酷な環境で、能力的に怪物的で頼りになる教官たちはしかし一皮剥けば心の在りようの方が化け物的なサイコな狂人ばかり。そんな彼らに、花耶という少女は環境と状況に振り回されながらも、真っ向から向きあおうとしている。
これは異形を倒し、悪意ある人間たちと戦いながら、その最奥で味方である教官たちと人としての在り様を巡って対決する事を本筋としている物語なのです。普通に凶悪な敵や陰謀に立ち向かうよりもよっぽどスリリングな展開なんですよね。花耶のかがりへの宣戦布告は、痺れたなあ。



【スチームヘヴン・フリークス】
  伊崎喬助/凱 ガガガ文庫

 
1巻感想 2巻感想
ド派手でシックなスチームパンクな世界観にアメリカンコミックヒーローの要素をこれでもか、と打ち込んだ、というとギトギトに脂っぽい胸焼けのするような雰囲気を連想してしまいますが、この作品はそこにキッチリと本邦の人が食べやすいアレンジが随所に為されていて、見事にそれぞれの尖った要素がぶつかること無くブレンドする事に成功しているんじゃないでしょうか。
そして、見た目の派手派手しさに負けずに、繊細な人間関係や感情の機微を丁寧に描いていて、ふとした瞬間にひどく落ち着いた情感たっぷりのシーンが介在することで、ドラマ性色濃く描かれる物語にもなっている。
非常に高い位置で、エンターテイメント性とドラマ性、演出に世界観に、とどれも両立し、引き立て、盛り上げることに成功している逸品なのです。



【CtG ─ゼロから育てる電脳少女─ 】
  玩具堂/bun150 角川スニーカー文庫


1巻感想 
青春日常ミステリーの傑作【子ひつじは迷わない】の玩具堂さんの新シリーズは、VRMMOゲーム「CtG」から飛び出してきた「娘」とゲーム内で結婚した少女との、リアルでの共同生活物語。
本作の見所は何と言っても昨今では珍しいくらいの「ガチ修羅場」が起こりそうな空気がビシビシと漂っているところでしょう。ゲーム内でキャラ同士結婚し、仲良くなった美遥とゲームのキャラでしかなかったはずの娘のハルハを、現実世界でも一緒に生活して育てるはめになってしまった春日井遊。勿論、ゲーム内だけの付き合いでしかなかった同世代の女の子と一緒に暮らすなんてうまく行くはずもなく、ギクシャクしながらも手探りで共同生活を成り立たせていくのだけれど、娘を育てるという共同作業が徐々に二人の仲を近づけていくのですが、近づくほど浮き彫りになっていくのが、お互いに抱えている家庭の事情とそこに落とされた暗い影。そして、美遥の前に突きつけられる、春日井遊の本当の想い人―幼馴染の小槌冬風の存在。逆に冬風からすると、遊にとって繊細な時期だったからこそ慎重に距離をはかっていた時に、突然割って入ってきた謎の少女の存在は、青天の霹靂だったわけです。
言葉にならない複雑で繊細な少女たちの感情が交錯し、ぶつかり合う緊迫感。お互い譲れない意地がせめぎあう緊張感。前作でこれでもかと青春模様の精緻にして大胆な押し引きを描いた作者の作品だけに、ここからの展開へのワクワク感たるや、思わず固唾を呑んでしまいそうなほどです。



【ロクでなし魔術講師と禁忌教典(アカシックレコード)】
  羊太郎/三嶋くろね 富士見ファンタジア文庫

 
1巻感想 2巻感想
去年デビューした新人さんとしては、ダントツに近い高い評価を受けてるんじゃないだろうか、特にライトノベルの感想を手がけている界隈では。
実際、富士見ファンタジー文庫発のシリーズとしては、久々の実力を伴った大物看板作品として最前線を担う事になるんじゃないでしょうか。それくらいに、面白さの完成度と拡張性が高いです。1巻ではまだ新人作品らしいぎこちなさが散見されたものの、だからこそ二巻での見違えるような覚醒ぶりには唖然とさせられました。
何ていうか、これが凄い、これが図抜けている、という類ではなくて、ただ一言「これは面白い!!」という言葉に尽きる作品なんですね。細かいところを褒めるよりも、まるっと全体をひっくるめて全部をギュッと抱きしめて、好きになってしまうような作品なのではないか、と。
自然と惹かれ夢中になってしまうような魅力が詰まった、みんなが「お気に入り」のサークルの中についつい入れてしまうような、そんな物語なんじゃないでしょうか。



【終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?】
  枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫

 
1巻感想 2巻感想
人類が黄昏を迎えた時代に何も救えず守れずに、終わってしまった男が何の因果か蘇った先は、人間が滅び去ってしまった世界。しかし、そこに生きる新たな人類・亜人族たちも「獣」と呼ばれる存在の襲来によって滅びを迎えようとしており、その終末への最後の足掻きとして使い捨ての兵器として妖精兵と呼ばれる少女たちが育成されていた。この物語は、既に終わってしまっている男とこれから終わりを迎える事を運命づけられた少女たちとの儚くも美しい終末譚。ただただ切々と語られる少女たちとの交流、男の目を通して描かれる終末を迎えつつある浮遊大陸群の上で生きる人間亡きあとの人類たちの世界。希望は少なく夢は在り得なく未来はか細く救いは無い、それでも貴重な時間を精一杯生きる妖精たちを、じっと見守る男の胸中はいかばかりか。
情緒たっぷりに描かれる物語は、派手さはなく淡々として内側も外側もありのまま静かにさらけ出されている、それが余計に胸を締め付け、息をさせてくれない。
だからこそ、絶望と寄り添う奇跡が、言葉を失うほど美しい。思わず祈りたくなるような、切なさにあふれた物語なのです。
決して受けを取れるタイプの作品ではなく、その為か初動の売上も厳しいらしく、3巻の発売が危ぶまれている。15年期待のシリーズとして紹介しながら、今年続刊が出るかわからないのであります。
せめて手にとってくれる人が少しでも増えるように。年間のまとめ記事だけでなく、別にこの記事を書こうと思った原因でもあります。続きが出て、優しい結末が訪れる終わりを見ることが出来ますように……(祈



【異界の軍師の救国奇譚(フェアリーテイル)】
  語部マサユキ/明星かがよ 角川スニーカー文庫

 
1巻感想 2巻感想
異世界召喚ものは数あれど、私の一番のお気に入りはこれ。【異界の軍師の救国奇譚】と名打ってありますが、戦記モノどころか主人公は軍師でもなく、どちらかというとプロデューサーかコンサルティングアドバイザーって感じなのです。主人公当人には何の力もなく、あるのは知識と行動力。しかし、その行動力が皆を先導して引っ張っていくものではなく、支えて後押しして応援して盛り上げていくスタイルなのが、特別と言えるのかもしれません。そう、これは主人公が前に出て劇的に変革をもたらす物語ではなく、あくまで主人公が音頭を取って、みんなで頑張って困難を、危機を乗り越えていく物語なんですね。それも、幾人かの仲間たちだけの狭いコミュニティだけじゃなく、名も無き人たちみんなが手を取り合って、一緒になって頑張って、盛り上がり、ピンチを乗り越えみんなで喜び幸せを分かち合うお話なのです。だからでしょうか、終わった時の達成感、多幸感が半端ない。読み終えたあとの、例えようのない幸せな気分を、満ち足りた心地を、是非味わって欲しいものです。



【聖黒の龍と火薬の儀式<パウダーキス> 2】
  北元あきの/しらび  MF文庫J

 
1巻感想 2巻感想
オカルトの要素はあるものの、舞台は英国の諜報機関と香港マフィアが暗闘繰り広げる血で血を洗う暗黒社会の抗争劇。誰もが組織へと忠誠を誓い、敵と裏切り者には銃弾をもって死で贖わせる。一方で欲望に対して純粋に、野望の為に相手を踏みにじり、権力の為に謀略の罠を張り、政治的取引で敵も味方も陥れる。そんな汚泥に塗れたような舞台だからこそ映えるのは、純粋な愛。それも、自らの身も心も捧げつくすような破滅的なほどの愛情。ノワール小説の真髄とは、硝煙渦巻く薄汚い血塗れの欲望の世界の中で、儚く激しく輝く「愛」を描いてこそ。そして、その一途な愛情とは狂気と紙一重。この作品は、まさにそれを体現していると言ってイイのです。ニトロプラスの系譜を除けば、今のライトノベル業界でほぼ唯一と過言ではないだろう純粋濃度のノワール小説がこれ。



【異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻】 
 左高例/ユウナラ エンターブレイン


感想はこちら
タイトル通り、異世界から元の世界に戻ってみれば、時代がズレて何故か江戸時代に舞い降りてしまった主人公・九郎。ノリは愉快な【剣客商売】。出てくる江戸の人たちはみんなどこかスットボケた変人ばかり。主人公の九郎も見た目は今は若返っているものの、中身は一度実際に異世界のお役所で定年を勤めあげるまで年を重ねたリアル爺さん。江戸での生活も楽隠居を決め込んで、残念未亡人鳥山石燕にお小遣いをもらいながらの悠々自適の自由気ままなヒモ生活。そんな九郎を中心にして描かれる、時に爆笑、時に痛快、時に人情切なく温かい、当時の江戸の風俗風情を堪能しつつキューっと一杯ひっかけるように楽しめる大江戸日常コメディです。

2014年12月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

月末発売のファミ通文庫、スニーカー文庫、コバルト文庫、HJ文庫、ビーンズ文庫などは来月送り。

読んだ本の数:40冊 うち漫画:6冊

前月は幾らなんでも、というくらいに読めなかったので、何とか挽回して40冊。幾つか前々から積んだままだった本も取り崩せたので、ここで取り上げた中にも随分前に出版された本も混じっていますが悪しからず。
兎にも角にも私の好みドストライクで爆発しそうなのが、【異世界から帰ったら江戸なのである】と【聖黒の龍と火薬の儀式<パウダーキス>】。北元さんのノワール小説は、ほんとタマランですよ。こういうの書く人、いないんですよ、希少なんですよ! そして、ウェブ投稿分は全部読んでます。【異世界から帰ったら江戸なのである】。これが書籍化されると知った時は小躍りしたものですが、本になったものもパワーダウンすることなく期待通りの仕上がりで、やっぱり小躍りしたものです。続き、早う。
【俺、ツインテールになります。】も、アニメ化した方がアレなことになってますが、原作は勢い衰えることなく変態パワー全開。テイルブルーのラブと蛮族性も全開!!
【ガンゲイル・オンライン】も、期待通りの時雨沢さん、やりたい放題で読んでて楽しかったー。
新作の方では【東京ストレイ・ウィザーズ】がいい感じ。【異界の軍師の救国奇譚】と【スチームヘヴン・フリークス】も2巻になってむしろ勢いを増した感じで、これは波に乗ったかもしれませんぞ。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 4冊

異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻】 左高例/ユウナラ エンターブレイン
聖黒の龍と火薬の儀式<パウダーキス> 2】 北元あきの/しらび  MF文庫J
俺、ツインテールになります。8 イラスト集付き限定特装版】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫
ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 1.スクワッド・ジャム】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫

【異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻】 左高例/ユウナラ エンターブレイン


感想はこちら
異世界よ、これが江戸だ! このキャッチフレーズはなかなか最高だと思いますよ。異世界よりも面白い素っ頓狂な江戸の街を舞台にした、ポンコツ日常コメディ。今、一番オススメの傑作です。


【聖黒の龍と火薬の儀式<パウダーキス> 2】 北元あきの/しらび  MF文庫J


感想はこちら
謀略渦巻き硝煙たゆたうまったき黒の世界における、命懸けの愛の物語。
「貴方の為なら/お前のためなら、いつだって死ねるんだ」
これこそまさに鉄血のラブストーリー。


【俺、ツインテールになります。8 イラスト集付き限定特装版】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫


感想はこちら
幼馴染であるが故に、絶対に負けられない戦いが此処にある。どれほど蛮族でも、どれほど凶獣でも、津辺愛香は作品随一の乙女です。


【ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン 1.スクワッド・ジャム】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫


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時雨沢さん趣味全力全開の、フルスロットルガンシューアクション。存分にっ、楽しめと言わんばかりの物語。そりゃあもう、楽しいったらありゃしない。

★★★★(四ツ星) 8冊


異界の軍師の救国奇譚(フェアリーテイル) 2】 語部マサユキ/明星かがよ 角川スニーカー文庫
彼女がフラグをおられたら こんな床が抜ける寮にはいられない、私は角部屋に帰らせて貰うからね!】 竹井10日/CUTEG  講談社ラノベ文庫
スチームヘヴン・フリークス 2】 伊崎喬助/凱 ガガガ文庫
黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グリフィコス) 10】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫
落第騎士の英雄譚(キャバルリィ) 6】 海空りく/をん GA文庫
東京ストレイ・ウィザーズ】 中谷栄太/Riv GA文庫
ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン 6】 宇野朴人/竜徹 電撃文庫
無能力者(レベルE)のオービット・ゲーム 2】 翅田大介/伍長 オーバーラップ文庫


【異界の軍師の救国奇譚(フェアリーテイル) 2】 語部マサユキ/明星かがよ 角川スニーカー文庫


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【彼女がフラグをおられたら こんな床が抜ける寮にはいられない、私は角部屋に帰らせて貰うからね!】 竹井10日/CUTEG  講談社ラノベ文庫


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【スチームヘヴン・フリークス 2】 伊崎喬助/凱 ガガガ文庫


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【黒鋼(くろ)の魔紋修復士(ヒエラ・グリフィコス) 10】 嬉野秋彦/ミユキルリア ファミ通文庫


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今月のピックアップ・キャラクター

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以下に、読書メーター読録と一言感想。

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異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻4   

異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻

【異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻】 左高例/ユウナラ エンターブレイン

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長年の異世界生活からついに日本へ帰還した九郎。しかし時代は想定外の、江戸。
閑古鳥が鳴く蕎麦屋の店主と出会い、そこで蕎麦づくりと飲食店経営の指導をしながら居候をすることに。

ときに挑戦金を賭け道場破りに臨んだり、ときに妖怪画家に連れられ飲み歩きしたり、ときに火付盗賊改と共に
悪漢を倒したり、ときに乳飲み子の世話を仲間とみたり。小さくも賑やかな九郎の世界を描く、珍奇な時代小説風日常コメディ第一弾。

異世界よ、これが江戸だ。
異世界もビックリのワンダーランド、それが大江戸八百八町! というと、江戸とは名ばかりの謎世界だと勘違いさせてしまうかもしれませんが、これがまたしっかりとした、ともすればそんじょそこらの時代劇なんかよりもよっぽどちゃんとした骨組みの江戸時代が描かれてるんですよね。情緒たっぷりの江戸の風情は、本格時代小説と言っても過言ではないほど。それはもはや【剣客商売】や【鬼平犯科帳】などの池波正太郎を彷彿とさせるほど。
ただし、登場する人物たちは川上稔クラスの奇人変人ばかりだけれどな!!
いやでも、カワカミンレベルのフリーダムなコメディタッチの【剣客商売】と表現しても、これあながち間違ってないんじゃないだろうか。さらっと語られる江戸の街の風景や土地の様子、生活に根付いた風俗の薀蓄なんかは、テレビの時代劇なんかをすっ飛ばす勢いで、あざやかに当時の江戸の人達が生活する日々の喧騒が目に映るかのよう、なんですよね。それを、どこかスットボケた愉快なキャラクターたちが縦横無尽に動き回る、この色彩のあざやかさ。コメディ押しばかりではなく、時にはしんみりと心に沁み入るような人情話や、切なさに思わず溜息が漏れてしまうようなエピソードもあり、また思わず腹の虫が鳴るような、口の中にヨダレが溜まってくるような、美味そうな料理の描写もあって、その意味でも池波正太郎テイストが盛りだくさん、て感じなんですよね。
そもそも主人公の九郎からして、見てくれこそ小僧なものの、中身は剣客商売の老剣士、秋山先生みたいな感じの悠々自適の老後を過ごす遊興老人なのです。
転生や若返り主人公というと、前世での年齢とプラスして実年齢はおっさんおばさん、既に老人で云々とうそぶく割にメンタルは別に若者となんら変わらなかったりするのですが、この九郎は異世界でキチンと一度ガチで定年退職して老後は魔法学校の用務員をしながら余生を過ごす、というところまで行っていたガチ老人経験者なんですよね。その後、紆余曲折あって魔女の保護者となって若返らされて不老の魔法をかけられ、ワールドエネミーの一人として駆けずり回ることになるのですが、肉体は若くてもその精神面は老人のまま。そして何より、九郎にとって今現在というのは、江戸にやってきてからも、「老後の余生」なのであります。その辺が、根本的に普通の主人公と違うところなのでしょう。
そのせいか、ヒロインとなり得る女性は結構登場するのですが、九郎当人が性に枯れちゃってるので相手を見る目はヤンチャな孫娘だったり、気のおけない飲み友達だったりして、女性サイドからすると暖簾に腕押しな調子にヤキモキするばかりなのですけれど、いわゆる鈍感主人公的な嫌な感じは全くしないのであります。だって、中身お爺ちゃんだし!
それに、九郎にはちゃんと人生のパートナー、というべき人が居たんですよね。この1巻では、彼女についてはちらりと魔女関連でそれと書かれるわけではなくさらりと触れられているくらいなのですが、彼女についてのエピソードは本当に切なくて胸が締め付けられるような話になるので、今から読むのが楽しみでもあるのです。
だから、巻末のキャラクター紹介の魔女イリシアの項目には泣かされたなあ。何も具体的には書いていないのですけれど、あれこそが魔女イリシアの根源なんですよねえ。

さて、どうやらウェブ公開版とはエピソードの順番を色々と入れ替えているようですけれど、元々一話完結の日常話を積み重ねていく構成ですので、多少順番が入れ替わっていても殆ど気にならない。それで話の筋が通らない、という事には全くなっていませんしね。それに、どうやら主だったメンツを先に登場させて一揃えしておく意図があるようで、登場そのものがまだもうちょっと先だった人も居ましたし。武芸者で道場主の録山晃之介さんなんかは本当はまだしばらく初登場は先でしたもんね。とはいえ、天爵堂のところの子供たちや同心二十四人衆、戦闘民族サツマ人など、異世界側でもまだまだ出てきてない人も多いのですけどね。それでも、概ねこの1巻で登場した人たちで話は繰り広げられていくのです。
うむ、それにしても改めて見てもイラストのユウナラさんは素晴らしいです。おそらくはメインヒロイン???な残念系アル中未亡人妖怪絵師の鳥山石燕なんて、びっくりするくらいイメージ通りだったもんなあ。逆に自分のイメージと全然違ったのが火盗改同心の中山影兵衛か。オンオフのスイッチがない脈絡のないヤバさから、もっとニヤケ顔の似合う細身の蛇っぽい感じなのかと思ってたのですが、なるほど髭面の豪傑風なのか。一度見てしまうと、もうこっちでしっくり来てしまった。いやあでも、ウェブ版での最近のこの人の充実ぶりを見てると、こんな髭面で胸毛もわっさーとしてる男のくせに、おのれー、となるじゃないですかw
それにしても、こうしてエピソードを通しで読んでると……九郎の呑兵衛ぶりが本当に目につくのです。爺ちゃん、毎度毎度酒ばっかり飲み過ぎ!! 昼間から酒ばかり飲んで泥酔しているというと、アル中の石燕姐さんが作中でもこき下ろされてるのですけれど、深酒こそしないものの暇さえあれば昼間から酒呑んでるのは九郎爺ちゃんも一緒じゃん!! ひたすら酒ばっかり呑んでるよ、この人!?
あらすじ見ても、九郎、江戸に来てから色んな事をやってるのがわかると思いますけれど、
閑古鳥が鳴く蕎麦屋の店主と出会い、そこで蕎麦づくりと飲食店経営の指導をしながら居候をすることに。
ときに挑戦金を賭け道場破りに臨んだり、ときに妖怪画家に連れられ飲み歩きしたり、ときに火付盗賊改と共に
悪漢を倒したり、ときに乳飲み子の世話を仲間とみたり。
これ、上記でのエピソードの後、いや後に限らず何がしかが起こる前だったり、その最中だったりもするのですが概ね酒呑んでます。一人でちびちびとやることもあれば、知り合った人と呑みに行ったり飲み明かしたり、とシチュエーションは様々なのですが、概ね呑んでます。
……そのツマミがまた美味しそうなんですけどね! 自分、酒呑まんのですが、これをつまみながら、或いはこの料理に箸をつけながら一杯やったら美味いだろうなあ、と思わず目を細めて思い描いてしまうほど、料理ネタは素晴らしいです。蕎麦食いてえ、特に天ぷらそば。
悠々自適の毎日を送ることになる九郎爺ちゃんですが、うん、まあ色々と巻き込まれて頼まれ仕事をしたり、フラフラしてるところを捕まえられて仕事を手伝わされたり、と決して働いていないわけじゃあないのですが、基本定年退職後の自由気ままな余生であります。しゃかりきになって何かをするということはなく、しかし見てくれはまだ小僧もいいところの若者なので、たとえばお金持ちの未亡人からお小遣いを貰って悪い友達と博打ですかんぴんになって戻ってきたりして、さらに追加で貰ったお小遣いでお酒なんか呑んでたりすると……完全に見た目「ヒモ」w
いや、まだ今のところはそんなにヒモっぽくないのですが、今後どんどん石燕姉さんがすごく良い顔で何も言わずにお小遣いをくれはじめるので、そうなるともう素晴らしく「ヒモ」っぽくなっていって、色々素敵です、九郎さんw いや、九郎本人全然お金困ってないんですけどね。なんやかんやとお金は手元に転がりこんでくるので。

「小説家になろう」からの書籍化作品も増えてきましたけれど、まさかこれが世にでるとは嬉しい限り。数あるなろう小説の中でも、一番「好きな」作品はどれか、と問われればこれを挙げたいくらいには大好きな作品であり、無茶苦茶楽しく面白いお話ですので、これを機会に手に取る人が増えてくれたら、と願うばかりです。
わたくし、超おすすめ♪

御城プロジェクト、スタートしてますがな!  

だいぶ前に事前予約が始まっていたブラウザゲーム【御城プロジェクト】がこの度、始まっていたようで。
艦これとはだいぶ趣が違う感じ。
うむ、まだまだこれは手探り。とりあえず、本城はミキハウスにいたしました。城の数は図鑑のナンバー見る限りでは相当多いみたいだけど、さてどこまで城にハマれるか。



ふおーー、【異世界から帰ったら江戸なのである】の表紙公開ですよ。

4047300365異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻
左高例 ユウナラ
KADOKAWA/エンターブレイン 2014-11-29

by G-Tools


九郎は思ってたよりショタじゃなかったんだけれど、残念メガネ美人の鳥山石燕姐さんがばっちり思い描いていた通りのデザインで、小躍り!
九郎爺ちゃんは、この眠そうな目がいいですねえ。石燕にお小遣い貰ってそのカネで博打を打ちに行くというダメなヒモっぽさがこの目つきからもにじみ出てる感じじゃないですかw
表紙の服装は異世界から来た時のものらしく、ちゃんと着物仕様もありまして、

異世界から帰ったら江戸なのである 第壱巻

うん、こっちの方がしっくり来ますね。
下が九郎が居候することになる蕎麦屋のロボコップ親父六科とその娘のお房。んで、九郎の背中にくっついているのは、魔女イリシアですか。さらっと将翁(本体)もいるらしいですw
いやあ、これはイラストも期待以上でした。いい仕事してますよ。中の挿絵の方にも他のキャラも色々描いていらっしゃるようで、これは本当に楽しみ。


 
12月3日

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