異世界拷問姫

2020年3月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:31冊 うち漫画:4冊


物語のあまりに美しい幕引きに震えが止まらなかった【異世界拷問姫】。陶酔の完結編でした。
そして主人公とヒロインが大人となり結婚してからの方がさらに戦記として面白くなった【数字で救う! 弱小国家】。特にこの巻はちょっとヤバいくらいの出来栄えで、戦記物として近年でも屈指の傑作となっております。
注目の新作はやはり【超高度かわいい諜報戦 ~とっても奥手な黒姫さん~】。そこまで注目していたわけじゃなかったのですが、読んでみたらこれが凄まじいまでの構成の妙とラブコメとしてのキャラの弾けっぷりが素晴らしく、先々楽しみなシリーズのはじまりでした。
逆に怖気震えあがらされた先々が怖すぎるのが【転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?】。ウェブ版で読んでて発狂させられたあの恐怖のヤンデレ妹の悍ましさは必見。始末の悪いことにただの転生ファンタジーとしても抜群の面白さなんですよねえ。右手で力強い握手を交わしながら、左手に持った包丁でザックリと肝臓を刺してグリグリと捻ってくるタイプ。


★★★★★(五ツ星) 2冊

【異世界拷問姫 9】  綾里 けいし/ 鵜飼 沙樹 MF文庫J(2020/2/25)
【数字で救う! 弱小国家 5.勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。】  長田 信織/紅緒 電撃文庫(2020/3/10)

【異世界拷問姫 9】  綾里 けいし/ 鵜飼 沙樹 MF文庫J

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これは残酷な愛の物語。この世で最も美しい物語。人間讃歌の物語。綺麗な夢のおとぎ話。
これは、ヒトが小さな幸せを手にする物語だ。


【数字で救う! 弱小国家 5.勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。】  長田 信織/紅緒 電撃文庫

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敵は戦場無敵の大英雄とナオキと同類の論理を操る傭兵将軍。人類史に残るであろう将帥と相対するは北方の雌獅子ソアラと「魔術師」の名をほしいままにするナオキ夫婦はこれにどうねじ伏せるのか。この勇躍する面白さは昨今の戦記モノの中でも最高傑作の一つとなるだろう。

★★★★☆彡(四ツ星Dash) 1冊

【超高度かわいい諜報戦 ~とっても奥手な黒姫さん~】 方波見咲/ろるあ MF文庫J(2020/3/25)

【超高度かわいい諜報戦 ~とっても奥手な黒姫さん~】 方波見咲/ろるあ MF文庫J

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思惑は本来とは形を変えて錯綜し、誰も意図しない展開に転がっていく、転がっていくのだけれど誰も錯誤に気づかず妙な形で噛み合ったままラブコメと諜報戦はしっちゃかめっちゃかに絡み合いながら怒涛の勢いで進んでいく、このハチャメチャな面白さたるや、最高、最高!


★★★★(四ツ星) 6冊

【戦闘員、派遣します!5】  暁 なつめ/カカオ・ランタン 角川スニーカー文庫(2020/1/1)
【ゴブリンスレイヤー 12】  蝸牛 くも/神奈月 昇 GA文庫(2020/2/14)
【Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01】 之 貫紀/ ttl KADOKAWA(2020/2/5)
【浅草鬼嫁日記 八 あやかし夫婦は吸血鬼と踊る。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫(2020/3/14)
【デート・ア・ライブ 22.十香グッドエンド(下)】 橘 公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫(2020/3/19)
【転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?】 紙城 境介/木鈴カケル MF文庫J(2020/3/25)


【戦闘員、派遣します!5】  暁 なつめ/カカオ・ランタン 角川スニーカー文庫

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【ゴブリンスレイヤー 12】  蝸牛 くも/神奈月 昇 GA文庫

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【Dジェネシス ダンジョンが出来て3年 01】 之 貫紀/ ttl KADOKAWA

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【浅草鬼嫁日記 八 あやかし夫婦は吸血鬼と踊る。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫

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【デート・ア・ライブ 22.十香グッドエンド(下)】 橘 公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫

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【転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?】 紙城 境介/木鈴カケル MF文庫J

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以下に、読書メーター読録と一言感想

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異世界拷問姫 9 ★★★★★   



【異世界拷問姫 9】  綾里 けいし/ 鵜飼 沙樹 MF文庫J

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「どうか、皆、みーんな、一緒に死んでください」
最愛の父・ルイスを失い、【異世界拷問姫】アリスは世界を壊し始める。
かつて最愛の従者・瀬名櫂人を失った【拷問姫】エリザベートは世界を守り続ける。
それは鏡映し、共にあり得た可能性。
それ故に決定的に交わらない二つの道。
だから二人の拷問姫は“彼ら”の遺志を継ぎ、各々に世界へと立ち向かう。
「どうして、私だけお父様を失うの? 『瀬名櫂人』のエリザベートは生きているのに!」
「この【拷問姫】が全てを賭けるのだ──【異世界拷問姫】が受けずして、どうする?」
これが神話に至る物語。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー、最終巻。


……冒頭の、見開きのカラー口絵。表紙絵がその一部分なのだけれど、これがもう美しすぎて、呆然と見とれてしまう。どこぞの美術館に飾ってあってもおかしくないと思えてしまう。初っ端から魂を鷲掴みにされて、そうして始まるのは生命の讃歌だ。

不思議だ。皆が皆、死んでいく。片っ端から、消えていく。惨たらしく、残酷に、血塗れになりながら、ろくな死体も残さず死んでいく。
なのに、これほど皆の「生」を、生きたという実感をどうして感じるのだろう。彼らは死んだ。だが、生きたのだ。生きて生きて、生き抜いた先での死だったのだ。それは惨劇ではない、悲劇ではない、そう思えてならない。そして、彼らの死は終わりではなかった。結末ではなかった。終わるためではなく、終わらないための、その繋ぐための彼らの生き抜いた証だったのだ。だから、彼らの死は犬死であっても無為ではなかった。その先へと続いていくための、橋渡し。不要ではあっても、証明だったのだ。世界は、人は、生きるということは、美しいモノだという事実を証立てる証明だったのだ。
瀬名櫂人とヒナが去ってからずっとエリザベートが自問し続けた問いかけ。果たして、世界は守るに値すべきものなのか。この人々の愚かさと醜さで彩られる世界は、瀬名櫂人が命を掛けるに値するべきものだったのか。救われるべきものだったのか。滅びてしまえばよかったのではないのか。愛するに、値しないものだったのではないか。
どうしようもない争いを目の当たりにしながら、何度も彼女が問いかけた疑問。そんな彼女を支え続けたのは櫂人の世界を愛し守ると願いであり意志であったけれど、この醜い世界で幾度も彼女が目にした美しい人の心がエリザベートを進ませ続けた。そんな美しい光そのものだった人たちが、キラキラと輝きながら散っていく。醜いと、愚かだと思えてならなかった人々すらも、この滅びの最果てで答えを得たかのように光り輝いていく。
そう、みんなこの世界の滅びゆく最果てで、各々に自分にとっての答えを得ていくんですね。迷いは払われ、それぞれが未来を思い描く。果たして、そこに自分がたどり着けないのだとわかっていても、思い描く未来が実現するのなら、それはきっと素晴らしいことなのだと。
だから、皆が胸を張り、ほほえみながら自分の成すべきことを見出して、成し遂げていくのだ。
聖女もまた、ついに自分の腕からこぼれ落ちていたあの「肉屋」を思い出し、彼の献身に思いを馳せ、愛おしさを胸に宿して、彼の愛に応えるように胸を張ってかつての自分の思いを取り戻し、貫き通していった。
神に身も心も捧げたはずの聖人たちも、兵器と成り果てていたはずの彼らもまた、一人一人が神と別れ自ら立ち、それぞれが思い描いた未来のために戦ってくれた。教会の人たちもそうだ。誰かに言われたからでも命じられたからでもない。その信仰は己の心のうちにあり。神の意志ではなく、彼ら自身の意志でその信仰を貫いた。
エリザベートを隊長と仰いだ治安維持の隊員たち。彼らこそが、いわばエリザベートを拷問姫というくびきから救い出した張本人たちだと言えよう。櫂人とヒナのいない世界で、エリザベートを人の子へと変えていき、解き放ったのは間違いなく彼らだ。
亜人たち。間違いだと知りながら敢えて間違いを貫いた者たち。綾里さんがちらっと某所で長い後書きを書いていてそこで触れているのだけれど、行き着く果に先のない亜人の彼らの絶望のなかで、あの父子は対局の立場に立ちながらそれぞれ同じ方向を向いて、先のない未来に立ち向かったんですね。そこには、確かに愛があった。同族への、家族への深い深い愛情が。

そして、愛があったのはアリスとルイスの疑似親子にもまた確かに。
愛があったからこそ、アリスはルイスの最期の願いに答えざるを得なかった。もう、それしかなかったから。ああ、なるほど。確かに、アリスはエリザベートと対極だ。世界を呪った者と世界を愛した者に遺されたもの同士、その遺志に寄り添う以外にその存在に意味はない。でも、ジャンヌとイザベラの愛しあう二人の姿にアリスは心打ち砕かれ、一方でエリザベートの世界への愛情は櫂人からの預かりものだけではなく、彼女自身が多く関わった人たちから貰ったもの。彼女自身が抱いた想い。彼女自身の意志でもあり、願いともなっていた。その違いだろう。それだけの、違いなのだろう。

アリスにはもうなにもない。でも、確かに彼女は愛されていて、父を愛した。その事実と過去だけを胸に、もう何もない彼女はそれからどうやって生きていくのか。残酷な結末でもあり、小さな希望の結末なのかもしれない。

皇帝は、ほんとね、こいつ悪魔だったはずなのに。契約者があのヴラドと櫂人であったのが災いしてしまったのか。もういつの間にか、悪魔であるという存在すら突破して違うものになっていた気がする。彼は彼で証明したのかもしれない。悪魔もまた、悪魔でなくなり自ら選んだ存在になれるのだと。誰よりも誇り高く、共に駆けてくれた戦友だった。

リュートはもう、なんというか、ほんと登場当初から彼はこの物語の救いそのものだった気がします。だからこそ、彼はいつでもどこでも無残に無為に死んでしまいそうだった。他の誰よりもただリュートであるというだけで死亡フラグそのものみたいな存在だった気すらする。
故に、彼が生きている限り。エリザベートを支えてくれている限り、この物語は希望を失っていないのだと信じることができた。実際、そのとおりであったことに、深い深い感謝を。

そして、ジャンヌとイザベラのカップル。多分、この物語で一番幸せだった二人。もっとも幸福だった二人。世界を愛し祝福し、だからこそ愛され祝福された二人。結婚おめでとう。最後まで、最期まで二人は二人でいることが目一杯幸せそうで、良かったね、という言葉を送ることができる。
でも、同時に泣いてしまうのは仕方ないですよね。泣いて泣いて、目が痛くなるほど泣けてしまって、でもやっぱり祝うのだ。おめでとう。ずっとずっとお幸せに、と。

そうやって、みんなやるべきを見出し、己の中の答えを得て、生きて生きて生き抜いて、やり尽くして去って逝く。
そんな彼らに問いかけたい。満足だったか? 満ち足りたか? 救われたか? 幸せだったか? 想いを果たせたか?
潰えることに無念はあるだろう、でも後悔はないに違いない。だから皆が皆、起立して胸を張って悠然と、笑顔すら浮かべて、去っていく。その胸に、目いっぱいの愛を宿し抱きしめて。
だからだろう、世界はこんなにも惨たらしく血塗れで死と破壊に侵されていたのに、切ないほどに美しい。
こんなにも、優しい。
だからこれは人間讃歌の物語。綺麗な夢のおとぎ話。

生きて生きて生き抜いて、途中で進めなくなった人たちに背中を押され、多くのものを預けられ、辛くでも苦しくても寂しくても悲しくても、背負いきれない罪を背負いながら、それでも進み続けたエリザベートの辿り着いた結末は。皆が思い描き、託したそのさき、その未来に辿り着いたエリザベートは。
拷問姫でなくなった、ただのエリザベートは。ようやく、ようやく、焦がれ焦がれた幸いをその手にとり戻す。
小さな小さな、幸せの夢を。

これは、ヒトが小さな幸せを手にする物語だ。



2019年10月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:38冊 うち漫画:10冊

漫画の方が積本増えていっているので、ちょこちょこ消化中。一方でライトノベルの方はもうちょっと崩して置きたかったかなあ。もうそろそろ年末も近くなるので、良作傑作の類は本年度のベストでもチョイスしたいのでなるべく読んでおきたいのだけど。
何気に傑作って読むのにパワーがいるのよねえ。古宮さんのUMも買って直後に読むつもりだったのに、ついついこう万全の時に満を持して読みたいと思ってたら翌月になっちゃいましたし。
というわけで、満を持しての【Unnamed Memory III】がもう万感であります。ウェブ版読んだ時も万感だったけど、改めて読んでも気持ち色褪せず。
【異世界拷問姫】と【天才王子の赤字国家再生術】【七つの魔剣が支配する】はもう万全ですね。クライマックス間近の拷問姫を除いても、後の2作は今後ますます業界のトップランナーとして引っ張っていくことは間違いなさそうですし。



★★★★★(五ツ星) 0冊

【Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸(2019/9/17)

【Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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ついにお披露目、純白のドレスを来たティナーシャ。幸せを自ら遠くへと追いやっていた魔女の、ついにたどり着いた幸せの終着駅。誰しもが望むハッピーエンド、そのはずだったのに。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 3冊

【異世界拷問姫 8】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J(2019/9/25)
【天才王子の赤字国家再生術 5~そうだ、売国しよう~】 鳥羽 徹/ファルまろ  GA文庫(2019/10/12)
【七つの魔剣が支配する IV】 宇野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫(2019/10/10)

【異世界拷問姫 8】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J

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愛している、その言葉をこれほど透明に口にする人がどれほどいるだろう。そして、それを口端にのせたのは我らが拷問姫エリザベートなのだ。報われることを望まず、ただ与え捧げる無償の愛。彼ら三人はきっとずっと前からそれを体現していたのだ、と。


【天才王子の赤字国家再生術 5~そうだ、売国しよう~】 鳥羽 徹/ファルまろ  GA文庫

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各地に跋扈する英傑、妖怪、才女に怪人。その誰もが一廉の人外であり、化け物だ。しかし誰よりも何よりもまずこの主人公こそが最たる怪物なのだと、誰よりもまず一番恐ろしいやつだというのを久々に思い出させてもらった第5巻。


【七つの魔剣が支配する IV】 宇野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫

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2年生になり、キンバリーでの生活にも慣れてきた剣花団のメンバー。しかしここに慣れるという事はすなわちまともから遠ざかるということ。そしてまた、彼らの間の人間関係もまた徐々に変化の時を迎えていた。蕾から花開くように咲き始めるヒロインたち。今はまだ、そこに毒は見当たらず、今はまだ。

★★★★(四ツ星) 7冊

【白魔法クラスの大忍術師】 藤木 わしろ/紅緒  MF文庫J(2019/8/24)
【戦国昼寝姫、いざ参らぬ】 尼野 ゆたか/鈴ノ助  富士見L文庫(2019/7/13)
【デート・ア・ライブ 21.十香グッドエンド(上)】 橘公司/つなこ  富士見ファンタジア文庫(2019/10/19)
【メイデーア転生物語 1.この世界で一番悪い魔女】 友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫(2019/10/15)
【デート・ア・ライブ アンコール 9】 橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫(2019/7/20)
【ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜】 逢空万太/bun150 LINE文庫エッジ(2019/8/5)
【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1】 樋辻臥命/ふしみ彩香 GCノベルズ(2019/8/30)


【白魔法クラスの大忍術師】 藤木 わしろ/紅緒  MF文庫J

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【戦国昼寝姫、いざ参らぬ】 尼野 ゆたか/鈴ノ助  富士見L文庫

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【デート・ア・ライブ 21.十香グッドエンド(上)】 橘公司/つなこ  富士見ファンタジア文庫

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【メイデーア転生物語 1.この世界で一番悪い魔女】 友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫

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【デート・ア・ライブ アンコール 9】 橘 公司/ つなこ 富士見ファンタジア文庫

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【ウィッチクラフトアカデミア 〜ティノと箒と魔女たちの学院〜】 逢空万太/bun150 LINE文庫エッジ

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【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1】 樋辻臥命/ふしみ彩香 GCノベルズ

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異世界拷問姫 8 ★★★★☆  



【異世界拷問姫 8】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J

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『断罪を止めたくば、代償を、犠牲を、生贄を。我々は結晶化した“狂王”とその花嫁。及び、“拷問姫”エリザベート・レ・ファニュの身柄をお前達の命の代わりに求めよう』
各地での殺戮を煽動するアリスとルイスの要求に対し、三種族は救世の英雄を生贄とする決断を下す。
「…貴様ら夫婦を相手取る羽目になろうとはな。流石に予想せぬわ」
再び世界の敵となったエリザベートの前にはジャンヌとイザベラが立ちはだかり、
「さぁ―父性愛の勝負といこうじゃないか!」
愛娘の道を切り開くためヴラドはルイスを迎え撃つ。綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー第八弾。彼らは戦う。各々の何かを守り抜くために。

ジャンヌとイザベラだけが癒やしです。この二人だけはそのまま幸せになってくれ、と願わずにはいられない。とうとうこの二人とも殺伐とした展開になるのかと危惧したのですけれど、彼女たちだけは平常運転で本当に良かった。この世界に対する失望と絶望が湧き上がり、カイトとヒナが身を犠牲にして守った意味があったのか、と幾度も自問してしまうなかで、ジャンヌとイザベラのカップルやリュート夫妻の存在がどれだけ救いに思えたか。この世界もそこに住まう人たちも決して見捨てたものじゃない、と思わせてくれる人たちなのですから。あのエリザベートを避難する民衆を一喝した老婆のように、咎人であったエリザベートを気遣ってくれた文官の人のように。この世界には、まだこんなにも尊いものが散らばっている。狂王カイトの姿に憧れた臆病者の王も、今や人族をまとめる王として以上に、世界の価値を信じさせてくれる良い男に成長してるのに。
それでも、悪夢は積み重なっていく。折り重ねられる復讐の連鎖、悪意の塔、無辜という名の罪人の群れたる民たち。
そんな中で独り戦うエリザベートの孤独はいや増すばかり。いや、その孤独を、寂しさを彼女はすべて受け入れている。ゆらぎはしてもブレはしない。
でも、その想いにもう名前をつけても良かったんですよ。ようやく、ようやく、エリザベート・レ・ファニュの本心がエリザベート自身に届いたのでした。その形のない想いを、言葉にして形作ることができた。

親友を、弟を、兄を、己の恩人を。
優しく、愚かで、仕方のない人を、
愛すべき人を、愛するように、
エリザベート・レ・ファニュはセナ・カイトを愛している。

無意識にこぼれ落ちた言葉を彼女は自分で反芻し、そして静かにはっきりともう一度繰り返した。
愛している。その言葉のなんて深い響きだったか。その言葉を告げる彼女が、どれほど美しいモノだったか。
何かを求めるわけではない、報いを欲しているわけではない。その感情は、湧き上がる想いはただただ捧げ与えるためのものだった。エリザベートのそれに、色恋の熱量は見当たらない。滾るものではない、焼き焦がすものではない、それはお互いを温め合うもの。その存在を慰め合うもの、癒やし合うもの。掛け替えのない、意味を持つもの。
愛すべき人を、愛するように。
思えば、エリザベートとカイトとヒナの三人の関係は、常に与え合うものでした。愛している、その三人同士の間で揺蕩う想いは、気安くも献身そのものでした。それは、エリザベート独りが取り残された今に、何も変わってない。触れられそうなほど近くにありながら、決して届かないはるか遠くへと行ってしまったカイトとヒナを、エリザベートは変わらずずっと愛している。
その健気でさみしげな彼女の姿が、どうしようもなく愛おしく美しく、悲しい、哀しい。
それは仕方のないことだったのだろうけど、やはりエリザベート独りを置いていってしまったカイトとヒナに文句が言いたくなる。二人とも、随分と後ろ髪引かれているみたいだけれど、エリザベートはもっとずっと寂しかったのだから。
迎えに行って、くれるのだろうか。もう一度、あの三人の輪の中にカイトとヒナはエリザベートを迎え入れてくれるのだろうか。

思えば、ヴラドもまた何も見返りを求めていなかったですよね。あれほどの極悪人で鬼畜外道の残骸であっても、彼の父親としての愛は、娘に何も求めなかった。ただ、愛していた。それが、彼がなしてきた残虐非道の数々に対して、冒涜であったとしても、娘への愛は無償であった。
ルイスが、ついぞ最期まで娘となったアリスを本当に心から愛していながら、彼女に愛に対する報いを、見返りを求めてしまった事と比べてしまえば、尚更に。尚更に胸に凝りを残すのである。
ああ、なんて度し難い愚かさなのだろう。それを自覚しながら自身を止められなかったルイスが、哀れでならない。


次が最後、本当の最期。万感の想いを抱いて、結末を待つ。

シリーズ感想

異世界拷問姫 7.5 ★★★★   



【異世界拷問姫 7.5】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J

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これは櫂人やエリザベート、ヒナ達が過ごした日常、夢のように幸福な記憶―遠い日々。櫂人は悪夢に悩まされ、エリザベートは狂信者に押しかけられ、ヒナは行方不明になっていた?また、終焉回避後の『ある日のこと』、櫂人とヒナの提案で、エリザベートの治安維持部隊隊長就任三周年目を祝う宴が開催されることになり…?天然たらしっぷりを発揮するイザベラ?のろけるジャンヌ?ヴラドにウザ絡みする『肉屋』?会場はカオスな様相を呈するが…?Web連載短編に書き下ろし小説&イラストを加えた豪華短編集。これは幸福の断片、そして先へ繋がる物語。

こうしてみると、エリザベエートと櫂人の二人きりだった頃はまだ二人の関係ってぎこちなかったようにも見える。それだけ、まだお互いがお互いを知らず、打ち解けていなかったからとも言えるのだけれど、やはりヒナがここに加わってこそ彼らの関係が完成したと言えるのでしょう。
それは、ヒナとカイトが一緒の時のエリザベートの緩みっぷりを見れば自明のことかと。あれだけ峻厳な生き方をしているエリザベートが、ヒナとカイトが一緒の時の何事もない日常の際には本当に気を許し切っているんですよね。許しすぎて、若干ポンコツ化するくらい。ヒナってば、あれだけカイトに尽くしながら、同時にエリザベートも甘やかし尽くしてるからなあ。ヒナが行方不明になった時のカイトとエリザベートのコンビのシッチャカメッチャカな姿を見せられると、ヒナってわりと尽くしてダメにするタイプのメイドでお嫁さんなんじゃなかろうか、と思ってしまう。
まあ、いざという時のカイトとエリザベートが求められる地獄を思えば、普段がダメ人間のポンコツになってしまうくらい緩ませて甘やかせて労り愛し尽くすのもまた十分な仕え方とも思うのだけれど。同じくらい、カイトやエリザベートの方もヒナのことを愛で尽くしているわけですし。ふたりともヒナに対しては尋常ならざる過保護っぷりだもんなあ。ヒナが居なくなった時の二人の焦り方といい心配のあまりむちゃくちゃしだす様子を見ていると、ほっこりするやら苦笑してしまうやら。
それだけ、三人が三人であることが完成していて、満たされていて、この上ない幸せの形だったのだ。遠からず、それが終わってしまうことがわかっていても、悪人は地獄に落ち、その従者が粛々とその終焉に付き従うことが決められたことだったとしても、彼らにとってこの時間は安らぎであり確かな幸福だったのだ。
望外なことに、たった三人の閉じた世界ではなく、彼らの幸せを祝福してくれるような人間関係も新に育まれていく。肉屋も、ジャンヌとイザベラも、リュートたちも、あの夢に現れた人たちはつまるところエリザベートにとっての幸せの記憶のなかに輝いている存在なのだ。
だから、エリザベートはその輝きを胸に終わることになんの後悔も未練もなかったはずなのに……。
現実は、幸福のほうが彼女を置き去りにしていってしまった。いつまでもずっとそばにいると誓ってくれた最愛のヒナとカイトの二人は、エリザベートを守るために置き去りにして近くも遠い場所に行ってしまった。
これは、この巻は、その事実をエリザベートが再び噛みしめる物語。思いと決意を新たにする物語。
掛け替えのないものが残してくれたものを、もう一度確かに胸に宿すための物語。

さいごに、この世界を憎み呪って破滅を願った聖女の、本音の先の本心が心にしみる。
本当の願いが、剥き出しにされた想いが紡ぎ出した赤子のような、赤心の言祝ぎが胸を突く。
聖女は、あの世界を呪った無残な聖女は、それでもなお、聖女たらんとしている。かつて世界を憎んで破滅させようとした者として、やるべきことを成すために。
世界という舞台から転げ落ちたはずの落伍者が、もう一度メインプレイヤーとして立ち上がる。
エリザベートの絶望で孤独な戦いに一石を投じる、これこそが希望の一手と信じたい。

シリーズ感想


それはそれとして、ジャンヌだけがひたすらラブコメ時空に生きていてなんか揺るぎないな!!

2018年12月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:46冊 うち漫画:16冊

年末の忙しい時期ながら、だからこそ今年中に読んでおきたかった本を集中して読めたのでそれなりに満足の行く月でした。ほぼ一日一冊ペース(漫画除く)を維持できましたからね。

注目はやはり【継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない】でしたね。ウェブ版読んでいたにも関わらず、読み直してなおあまりのイチャイチャに悶絶してしまったこの威力はちょっと最高すぎました。当初は★★★★☆で登録していたのですが、まとめるにあたって「すかすか」とともに一つランクあげることにしました。ちょっと今年、評価を吝くしすぎていた気がするので、今月のみならずちょっと全体的にバランス調整する予定。


★★★★★(五ツ星) 1冊

【継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫(2018/12/1)


【継母の連れ子が元カノだった 昔の恋が終わってくれない】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫

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完全に自分のどストライクにハマってしまった至高のラブコメ。悶絶しろ! 七転八倒しろ! この暴力的なまでのイチャイチャは、最高ですよ!?

★★★★☆彡(四ツ星Dash) 2冊

【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? 07】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫(2018/12/1)
【異世界拷問姫 7】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J(2018/10/25)


【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? 07】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫

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知らずこのとき、きっとティアットはかつての勇者たちを越えて本物の英雄へと至ったのだと思う。哀しき健気な優しきセニオリスではなく、みんなをつなぐモウルネンの使い手として。


【異世界拷問姫 7】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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愛する者たちが眠った世界を独り護り続けるエリザベートの孤独なる戦いの日々。彼女の覚悟のあまりにも切なさに、胸を掻きむしられる。それでも、世界は守られるべきなのか。


★★★★(四ツ星) 12冊

【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 7】  手島史詞/COMTA HJ文庫(2018/11/30)
【ストライク・ザ・ブラッド 19.終わらない夜の宴】 三雲岳斗/マニャ子 電撃文庫 (2018/11/10)
【魔王学院の不適合者 3 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~】 秋/しずま よしのり 電撃文庫(2018/11/10)
【風銘係あやかし奇譚】  SOW/ 鈴ノ マイクロマガジン社文庫(2018/10/23)
【数字で救う! 弱小国家 3.幸せになれる確率を求めよ。ただしあなたの過去は変わらないものとする。】 長田 信織/紅緒 電撃文庫(2018/10/10)
【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫(2018/9/21)
【嘘つき戦姫、迷宮をゆく 1】  佐藤 真登/霜月 えいと ヒーロー文庫(2017/8/31)
【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.18】 聴猫芝居/ Hisasi 電撃文庫(2018/11/10)
【はたらく魔王さま! 20】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫(2018/12/7)
【嘘つき戦姫、迷宮をゆく 2】 佐藤 真登/霜月 えいと ヒーロー文庫(2017/12/28)
【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。】 凪木 エコ/あゆま紗由 富士見ファンタジア文庫(2018/8/18)
【わたしの魔術コンサルタント 2.虹のはじまり】 羽場 楽人/笹森 トモエ 電撃文庫(2017/9/8)

【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい? 7】  手島史詞/COMTA HJ文庫

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【ストライク・ザ・ブラッド 19.終わらない夜の宴】 三雲岳斗/マニャ子 電撃文庫

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【魔王学院の不適合者 3 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~】 秋/しずま よしのり 電撃文庫

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【風銘係あやかし奇譚】  SOW/ 鈴ノ マイクロマガジン社文庫

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【数字で救う! 弱小国家 3.幸せになれる確率を求めよ。ただしあなたの過去は変わらないものとする。】 長田 信織/紅緒 電撃文庫

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【魔弾の王と凍漣の雪姫(ミーチェリア)】 川口 士/美弥月 いつか ダッシュエックス文庫

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【嘘つき戦姫、迷宮をゆく 1】  佐藤 真登/霜月 えいと ヒーロー文庫

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【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.18】 聴猫芝居/ Hisasi 電撃文庫

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【はたらく魔王さま! 20】 和ヶ原聡司/029 電撃文庫

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【嘘つき戦姫、迷宮をゆく 2】 佐藤 真登/霜月 えいと ヒーロー文庫

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【お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。】 凪木 エコ/あゆま紗由 富士見ファンタジア文庫

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【わたしの魔術コンサルタント 2.虹のはじまり】 羽場 楽人/笹森 トモエ 電撃文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

伊理戸水斗 (継母の連れ子が元カノだった)
綾井結女 (継母の連れ子が元カノだった)
パニバル (終末なにしてますか?)
ティアット (終末なにしてますか?)
乃木虎徹 (風銘係あやかし奇譚
リュドミラ (魔弾の王と凍漣の雪姫)
リルドール (嘘つき戦姫、迷宮をゆく )
ムドラ (嘘つき戦姫、迷宮をゆく )
猫姫先生 (ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?)
ミリア (百神百年大戦)
エリザベート・レ・ファニュ (異世界拷問姫)
姫宮春一 (お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。)




以下に、読書メーター読録と一言感想。
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異世界拷問姫 7 ★★★★☆  



【異世界拷問姫 7】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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いつか遠い遠い昔の御話と、呼ばれるかどうかもわからない醜悪な物語。

終焉を超えたはずの世界に、何の前触れもなく異世界からの【転生者】にして【異世界拷問姫】を名乗る禁断の存在――アリス・キャロルが現れる。
彼女は【お父様】のルイスと共にエリザベートに苛烈な選択を突きつける――
「会わせてあげる、エリザベート! この私が会わせてあげるの大事な人に!」
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー第七弾。
誰かの物語が終わったところで続くものはある。
かくして、新たな舞台の幕は上がる――演者達が、望むか否かに拘わらず。
もう泣く。エリザベートの抱く想いを想像するだけで、その切なさに、哀惜に、胸をかきむしられそうになる。
どれだけ、カイトとヒナに会いたいだろう。どれほど焦がれ、どれほど願い、どれほど祈っているのだろう。その上で、わかっているのだ彼女は。もう二度と、生きて彼らに逢うことはないのだということを。結晶に閉じ込められた彼らの姿を見守ることは出来ても、その声を聞くこともその肌に触れることも、もう二度と叶わないのだと。エリザベート・レ・ファニュは知っている。
あの幸せな時間はもう二度と戻ってこないのだと。
それを安易に、いや安易ではないのだろう。奴らには奴らの論理があり正義があり意義があり覚悟があり信念があり、怒りがある。
それでもなお、エリザベートにもう一度二人に逢わせてあげるなんて誘いをかけるなんて。そのために世界を裏切れなんて。
いったい、何を踏みにじっているのか、彼らは理解していないのだろうか。理解してなお、指し示しているのだろうか。いずれにしても、そう彼女の言葉を借りるならば。
「胸糞悪い!!」
これに尽きる。尽き果てる!
「穏やかで凡庸な、夢のようなひと時があった。そして、終わった――それでよいのだ」
「他でもない奴が望んだ。余を生かし、世界を守ると。ならば主たるもの決意を尊重しよう。今までの日々こそ罪人には過ぎた奇跡で幸福であった――もう戻らぬ。それでよい」

もうあの日々は帰らないと。戻らないと。終わったのだと。エリザベートの口から言わせ、それでよいのだと、言わせた奴らがどうしても許しがたい。
夢を見させろなんて言わない。言わないけれど、本人の口からそれを言わせることはないじゃないか。どれほどの想いをもって、もうよい、と口ずさんだのか。それを思うと、本当に泣けてくる。
エリザベートはカイトとヒナを本当に愛して慈しんでいたのだ。彼らと居るとき、彼女は本当に幸せだったのだ。たった一人取り残されて、眠る二人を寂しそうに見守りながら、彼女の愛は続いている。幸せは終わっても、いつまでも続く。
でも、彼女はもうたった一人なのだ。そのエリザベートの尊く誇り高い在り方を、セナカイトの世界中の痛みを背負い負の感情で打ちのめされ、それでもなお決して他者にその報いを向けることのなかった生き方を、踏みにじろうとしているのだ、彼らは。
同情に値する正当なる復讐者。彼らを弾劾できるものは、加害者たる世界には存在しないのだろう。
それでもなお、エリザベートの振るった弾劾の言葉こそが本質を貫いている。
「他者を踏み躙るために、弱者を名乗るな」

許せない。しかし嫌えない。ルイスとアリス、その在り方があまりにも悲痛で縋るような絶望に苛まれている姿が、憐れだからだろうか。あり得たかも知れない、カイトの結末の一つだったからなのか。彼らは虚無だ。感情を込めて睨みつけ見つめれば、穴に落ちるように吸い込まれていく。強い感情を抱けなくなる。

眠るカイトは、確かに世界を守り、淀んだ人の心に清涼の風を吹き込んだ。今なお、彼の存在が人を変えるきっかけとなり、世界を変えるきっかけとなり、愚かで救いがたいものを良き方へと変質させる踏切台になっている。
それでも、それでも、世界は終焉を逃れて良き方向へと進んでいるのかと言えば、決してそうとは言えないのが現実というものなのだろう。
もはや、ポイント・オブ・ノーリターンは通り過ぎた後だったのか。あ
亜人種の純血主義に秘められた悲壮とも言える祈願も、刻々と定まりつつある霊長の帰趨も、もはや個々人の意志や働きではどうにもならないところで決まりつつあるものなのかもしれない。その結果として起こり得る惨劇は、人が人である限りもう止めることは出来ないのだろうか。
エリザベートがこぼしたこらえ難い絶望の吐露が、改めて胸を突く。
リュートとアインの夫婦が迎えつつある結果は、諸手を挙げて祝福するべき幸いであるはずなのに。
微笑ましく甘やかなジャンヌとイザベラの睦言も、幸せなカップルとして何事もなく続いてくれれば、それでいいのに。
ラ・クリストフが幼き頃に抱いた夢が、万人の幼子の中で同じように輝く世界であれば、良かったのに。
獣人の姫たちの顛末が、聖人の見事なまでの最期が、あまりにも独りなエリザベートが、哀しくて切なくて、なんともたまらなく心揺さぶられる新たなる惨劇の開幕でありました。
世界は、救われてなお、未だ救われるに足らぬものなのか。
はぁ……なんかもう、ラ・クリストフが色んな意味でいい人いいキャラすぎて辛い、辛い。
つらすぎるので、亜人のお嬢さんにならって、もうジャンヌとイザベラのイチャイチャ見てひたすらキャーキャー言ってたいです、キャーキャー♪

シリーズ感想

2018年3月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:45冊 うち漫画:16冊

中旬で30冊越えてたので今月は60冊行けるかな、と思ったんだけれどそこから一気に減速。3月後半は色々としんどかったからなあ。
ここではあげてないのだけれど、クライマックス近辺からノリがキレキレになった【齢5000年の草食ドラゴン、いわれなき邪竜認定】。これテンポが落ちないまま続いたら、間違いなく★4以上を捧げたくなる作品になりそう。
【昔勇者で今は骨】が出色の出来。古参作家の復活作品なんだけれど、明るく軽いノリでこれだけ充実感というか読み応えを感じさせてくれる作品ってあんまりないんですよね。お見事。
【異世界拷問姫】は第一部完結編。速攻で第二部が既に開幕しちゃっているのであるけれど、レバー、テンプル、踵落とし、サマーソルトキック!てな感じのすさまじい構成、攻勢である。
【りゅうおうのおしごと!】は短編を挟む構成もあってか若干流れがスムーズじゃなかったんだけれど、ラストの山城桜花編の盛り上がりはやっぱり尋常じゃないですよ。熱い!!

★★★★★(五ツ星) 1冊

【異世界拷問姫 6】 綾里けいし/鵜飼 沙樹 MF文庫J(2018/3/24)

【異世界拷問姫 6】 綾里けいし/鵜飼 沙樹 MF文庫J

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話をしよう。
これは恋の物語ではない。
憧れと愚行と、幸福な愛の物語だ。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 2冊

【昔勇者で今は骨】 佐伯 庸介/白狼 電撃文庫(2017/12/9)
【りゅうおうのおしごと! 8】白鳥士郎/しらび GA文庫(2018/3/14)

【昔勇者で今は骨】 佐伯 庸介/白狼 電撃文庫

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極めて高いレベルでバランスよく纏まった、文句なしの良作でした。いやほんとに、びっくりするくらい面白かったんですよね。安定感というよりも包容力を感じさせる、懐の深い滋味と妙味とポップな温もりがある楽しくも沁み入る作品です、オススメ。


【りゅうおうのおしごと! 8】白鳥士郎/しらび GA文庫

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★★★★(四ツ星) 4冊

【魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。2】 手島 史詞/玖条 イチソ GA文庫(2018/2/14)
【いつかのレクイエム case.2 少女忍者と剣の悪魔】 嬉野秋彦/POKImari GA文庫(2018/3/14)
【漂海のレクキール】 秋目人/ 柴乃櫂人 ガガガ文庫(2017/5/18)
【東京ダンジョンマスター 2.新宿でも社畜勇者(28)は眠れない】 三島 千廣/荻pote ファミ通文庫(2018/1/30)


【魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。2】 手島 史詞/玖条 イチソ GA文庫

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【いつかのレクイエム case.2 少女忍者と剣の悪魔】 嬉野秋彦/POKImari GA文庫

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【漂海のレクキール】 秋目人/ 柴乃櫂人 ガガガ文庫

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【東京ダンジョンマスター 2.新宿でも社畜勇者(28)は眠れない】 三島 千廣/荻pote ファミ通文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

レーコ (齢5000年の草食ドラゴン)
アルヴィス (昔勇者で今は骨)
ひより (いつかのレクイエム)
カーシュ (漂海のレクキール)
ネージュ (ゼロの戦術師)
セナ・カイト (異世界拷問姫)
黒瀬龍 (東京ダンジョンマスター)
月夜見坂燎 (りゅうおうのおしごと!)
供御飯万智 (りゅうおうのおしごと!)




以下に、読書メーター読録と一言感想。

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異世界拷問姫 6 ★★★★★  

異世界拷問姫6 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 6】 綾里けいし/鵜飼 沙樹 MF文庫J

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世界に断罪されし少女と愚鈍な従者の物語、第六弾

「今だけは俺が王だ。盲目的に、俺に従え」
かつて異世界で無意味に死んだ少年・瀬名櫂人は狂王と化した。
――たった一人の女を救うために。
神と悪魔に囚われた『拷問姫』の代理として、人間、獣人、亜人による会合を掌握した櫂人のもと、三種族合同の防衛戦線が動き始める。
だが、従兵達の各地への侵攻は繰り返されるごとに激しさを増し、凄惨な地獄と化した世界は、櫂人に残酷な選択を突きつける。
「今一度問おう―――セナ・カイトには、エリザベート・レ・ファニュを殺せるのか?」
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る今最も熱いダークファンタジー第六弾。
話をしよう。
これは恋の物語ではない。
憧れと愚行と、幸福な愛の物語だ。
多くを語るも烏滸がましい。ひとえにこれは、あらすじにある通り「憧れと愚行と、幸福な愛の物語」なのだ。
だからこそ、物語はラストシーンへと集約される。
何者でもなく無意味でしか無く、この世界においてはそもそも存在すらしなかった少年であるところの瀬名櫂人が。この世界に何の責も負も原罪も持たぬ彼が、ただその憧れを以ってして誰にも出来ない愚行を成し遂げる物語だ。だからこそ、これは愚鈍なる従者である彼の物語であり、彼とともに在るお嫁さんの、二人の物語だ。二人だけの物語なのだ。
ほかはみんな、置いていかれてしまった。彼が大好きだった者たちは、彼を好いた者たちは、みんな置いていかれてしまったのだ。伸ばした手を優しく振りほどかれて、祝福の言葉を送られて、その果て見送るしかなかったのだ。カイトとヒナが、幸せになるのを見上げるしかなかったのだ。
それは他でもない、エリザベート・レ・ファニュですら例外なく。カイトとエリザベートの二人の最後の語らいが、お互いにこの上なく本音を曝け出しあった別れが、エリザベートを優しく包み込み、突き放す。
彼女は独り。ひとり。永遠に自らの傍に居続けるであろう最愛の二人に、逢えることはない。それでもきっと、これは、セナ・カイトの物語は善き結末だったのだ。

ここで、終わるなら、ね?

確信する。
綾里けいし先生をこそが、脳内に地獄を飼っているに違いない。
ここまで! ここまで! ここまでやっておきながら。世界を破滅においやっておきながら。彼と彼女に祝福を、拷問姫に寂しい安息を、世界に救いを与えておきながら。
なおも、ここで、そう言い放つのですか!! 後書きの最後の宣言に、文字通り震え上がり、心底恐怖させられた。これほど凶悪にして最悪にして、強烈なる一文がそう簡単に顕在できようものなのか。悪鬼羅刹の所業である。恐ろしや恐ろしや、もっとやれ。
まさに、ここからこそが、「彼女」の物語に相応しい舞台。相応しい有り様。相応しい惨状!!
「異世界拷問姫」の物語の開幕である!!

あとそれはそれとして、うちのジャンヌが恋愛脳になりすぎなんですけど。どうしてこうなったww

シリーズ感想

2017年10月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:42冊 うち漫画:8冊

ついに本年度No.1作品と出くわしたかもしれない【俺、ツインテールになります。】。シリーズ最燃えと呼んで過言ではないだろう、誰もが望み誰もが惜しんだであろう夢の現出でありました。
今月はできるだけ毎日一冊はよむように心がけていたせいか、一日一冊ペースを久々に越す結果に。せめてこれくらいのペースは維持できたらいいのだけれど。
高評価を掲げる常連な作家さんの中で、ひと際目だったのが佐伯さんが強烈すぎた【佐伯さんと、ひとつ屋根の下】。そして、【フラッグ オブ レガリア 青天剣麗の姫と銀雷の機士】の二作が初めて読んだ作家さんの作品としては非常に面白くて印象に残りました。以降も注目。


★★★★★(五ツ星) 1冊

【俺、ツインテールになります。13】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

【俺、ツインテールになります。13】 水沢夢/春日歩 ガガガ文庫

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私は「神話」を読んだ。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 4冊

【叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士】 杉原智則/魔太郎 電撃文庫
【ミリオン・クラウン 1】 竜ノ湖太郎/焦茶 角川スニーカー文庫
【佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1】 九曜/フライ ファミ通文庫
【異世界拷問姫 5】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

【叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士】 杉原智則/魔太郎 電撃文庫

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ただ目の前の理不尽を見過ごせなかった、その素朴な善心が英雄だった男に選択と苦悩を強いてくる。かつての敵国の民だからと見ないふりをすればよかったのか。それが出来ない男だったからこそ英雄となったのに、それが今度は彼の立場を百八十度反転させていく皮肉と悲哀の物語。


【ミリオン・クラウン 1】 竜ノ湖太郎/焦茶 角川スニーカー文庫

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【問題児たち〜】の竜ノ湖太郎さんの新シリーズは文明が崩壊しながらもしぶとく人類が生き残り続ける近未来を舞台とした冒険サバイバル。新世界のワクワクがこれでもかと詰め込まれたトイ・ボックスである。


【佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1】 九曜/フライ ファミ通文庫

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男の理想と妄想をこれでもかと詰め込んでみると、こういう女の子がもれなくついてきまする、とでも言いたくなるほどの佐伯さんというエッチな女の子との共同生活、否、同棲生活物語なのである、これ。


【異世界拷問姫 5】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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ラストシーンのカイトの睥睨に痺れまくった上で、エリザベートがある意味ちゃんと伝統的な「姫」してる!


★★★★(四ツ星) 10冊

【ナイツ&マジック 8】 天酒之瓢/黒銀 ヒーロー文庫
【異世界食堂 4】 犬塚惇平/エナミカツミ ヒーロー文庫
【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? 5】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫
【最果てのパラディン IV 灯火の港の群像】 柳野かなた/輪くすさが オーバーラップ文庫
【デート・ア・ライブ 17.狂三ラグナロク】 橘公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫
【フラッグ オブ レガリア 青天剣麗の姫と銀雷の機士】 星散花燃/ kylin 電撃文庫
【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3】 手島史詞/COMTA HJ文庫
【最強聖騎士のチート無し現代生活 1.姫君はイタズラな副会長】 小幡京人/ぐれーともす オーバーラップ文庫
【霊感少女は箱の中 2】 甲田学人/ふゆの春秋 電撃文庫
【魔法塾 生涯777連敗の魔術師だった私がニート講師のおかげで飛躍できました。】 壱日千次/リン☆ユウ MF文庫J


【ナイツ&マジック 8】 天酒之瓢/黒銀 ヒーロー文庫

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【異世界食堂 4】 犬塚惇平/エナミカツミ ヒーロー文庫

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【終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか? 5】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫

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【最果てのパラディン IV 灯火の港の群像】 柳野かなた/輪くすさが オーバーラップ文庫

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【デート・ア・ライブ 17.狂三ラグナロク】 橘公司/つなこ 富士見ファンタジア文庫

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【フラッグ オブ レガリア 青天剣麗の姫と銀雷の機士】 星散花燃/ kylin 電撃文庫

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【魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?3】 手島史詞/COMTA HJ文庫

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【最強聖騎士のチート無し現代生活 1.姫君はイタズラな副会長】 小幡京人/ぐれーともす オーバーラップ文庫

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【霊感少女は箱の中 2】 甲田学人/ふゆの春秋 電撃文庫

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【魔法塾 生涯777連敗の魔術師だった私がニート講師のおかげで飛躍できました。】 壱日千次/リン☆ユウ MF文庫J

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今月のピックアップ・キャラクター

エルネスティ・エチュバルリア (ナイツ&マジック)
ギュネイ (叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士)
グレイスフィール (最果てのパラディン)
時崎狂三 (デート・ア・ライブ)
イナヅチ (フラッグ オブ レガリア )
日南葵 (弱キャラ友崎くん!)
ザガン (魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?)
東雲一真 (ミリオン・クラウン)
茅原那姫 (ミリオン・クラウン)
ユウキ (最強聖騎士のチート無し現代生活)
佐伯貴理華 (佐伯さんと、ひとつ屋根の下)
弓月恭嗣 (佐伯さんと、ひとつ屋根の下)
ドラグギルディ (俺、ツインテールになります。)
ティラノギルディ (俺、ツインテールになります。)
ジャンヌ・ド・レ (異世界拷問姫)
櫂人 (異世界拷問姫)




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異世界拷問姫 5 ★★★★☆   

異世界拷問姫5 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 5】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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もう一人の『拷問姫』ジャンヌ・ド・レに誘われ、地下墓所で世界の真実に直面した櫂人たちは、彼女が語る救世に協力することを決める。
「余の積んだ屍を犬死と嗤う者は生かしておかぬ。全て殺す。それこそ『拷問姫』の名にふさわしき方法で、だ」
「称賛しましょう。それでこそ、です。初代の『拷問姫』。自ら罪人に堕ちた女よ」
十四の悲劇で始まり終結を迎えるはずだった物語はここにきて残酷さを増し、全ての者に苛烈な選択を迫り出す――――。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る今最も熱いダークファンタジー第五弾。悲劇を糧に進み続ける世界の中で、櫂人はエリザベートはヒナはジャンヌはイザベラは――――そして肉屋はいかなる道を選び取るのか

お……おお…おおおお。
このラストシーンよ!! ラストシーンよ!!
世界の敵となった男が、世界を統べるのか!
世界よりも一人の少女を選んだ青年が、世界を救うのか!!
狂王にして皇帝たるを、彼は掴み取りテーブルに叩きつけ踏みにじり、見下ろすのだ、見下すのだ、見回し見渡し一望して睥睨するのだ。愚鈍なる従者であった彼よりも愚かなる高貴なるものどもを、統率者どもを、その全世界の痛みを以って跪かせるのだ。

ふわぁぁぁぁ。

やばい、これはやばい。もうなんつーかやばい!!
3巻のラストの、エリザベートを死なせないために覚悟完了したカイトも格好良かったのだけれど、そういう次元を通り越してもうこれ、至った、とでも言うべきか。
無意味に生かされ無意味に殺されたなんの価値もない魂として打ち捨てられた青年が、ただ独りの少女に憧れ追い続け、その果てに彼女を追い越してついにここまで至ったか、と。
そうなんだよなあ。まだ届いていないのだけれど、ついにエリザベートと追いつ追われつが逆転したというか、ついにカイトの方から捕まえにいく、エリザベートが待っているという構図になったことこそを感慨深いと感じているのだろう、これは。
そうするために、エリザベートを救うために、エリザベートを迎えに行くために、そのためにその為だけに彼は王へと至ったのだ、と考えるならこれほど胸震わすものはないんじゃないか?

またエリザベートの方もね、ついに彼に捕まえられるのを赦した、迎えに来ることを赦して、あれを託したあのシーン。認め赦し受け入れた。あの表情を思うと、胸がいっぱいになるのです。

なんか、今回は特に胸を突かれるシーンが多かった、と今振り返ると思うのです。リュートが見つめていた、忘れてはならないと思い定めながらカイトを見つめているシーン。ジャンヌが、イザベラを思い口ずさむ幾つかのシーン。どれもが、フッと胸を突かれるような深く淡く切ない情感が込められていて、なんだか感傷的になってしまっている自分がいる。
特にジャンヌがねえ。四巻から突如あらわれた二人目の拷問姫、という立ち位置ながら、この巻におけるイザベラに対して見せるあの一途で訥々とした想いがジャンヌというイレギュラーに物凄い勢いで強烈な存在感を吹き込んでいくのです。エリザベートと対象的な白黒相反するもう一人の拷問姫、なんて分かりやすくも品のないキャラクターなんぞではなく、独自の唯一人の、エリザベートと関係なく高らかに自らを唄うジャンヌ・ド・レという生者を、威風堂々と掲げて振りかざし、ふわりと舞って見せるこの美しくも清廉な存在感。
これをして、エリザベートと並び立つに相応しいと受け入れてしまったんですよね。拷問姫が二人いて、何がおかしいものやらか。
イザベラの顛末は衝撃的ではありましたけれど、このイザベラこそがあのジャンヌという存在をここまで確立してみせたと思えば、むしろイザベラってここから躍進していくんじゃないだろうか、あれほどの有様となりはてながら、むしろここからが本番なんじゃ、と期待してしまう。ここまで見事に自分を貫ききってみせた彼女に、その先を果たさせんとする残酷にして優しい顛末は、これでもかと悪意の地獄を現出させながらも常にその中に優しい愛情を込め続ける綾里けいしという作家の作風の髄だわなあ、と深く深く感じ入るのでした。

さあ、盛り上がってきたを通り越して、極まってきましたぞクライマックス!!

シリーズ感想


異世界拷問姫 4 ★★★★   

異世界拷問姫4 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 4】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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「余が貴様を速やかに殺してやるからな」
14階級の悪魔と契約者討伐を終えたエリザベートに、『皇帝』の契約者―全人類の敵となった櫂人を討てとの命令が下される。一方、逃亡生活を続けていた櫂人とヒナの下に、予期せぬ来訪者―獣人が訪れる。「人類の敵を、賓客としてお迎えする」何者かにより同胞を虐殺された彼らは、事件解決のため櫂人に助力を求めていた。早速向かった獣人の領域で惨状を確認し―
「俺はこの犯人を知っている。―間違いなく、悪魔の仕業だ」
だが、14の悪魔は既に殺し尽くしたはずで…?
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る異世界ダークファンタジー第四弾。分かたれし二人の道が交わる時、残酷なる世界の真実が姿を現す―。
はいアウト!! アウトアウトアウトーー!! それもう服じゃないからっ! 水着ですらないからっ! 超絶十字架ファッションすぎる。これに聖別的な意味が込められてるなら、神様の趣味を疑っていまいます。神アウト!!
いやもうね、エリザベートのあのドレスも大概でしたけれど、新たなる拷問姫こと「聖女にして阿婆擦れ」たるジャンヌ・ド・レの格好と来たら作中でもかなりツッコまれてました。これ創った錬金術師たち、何考えてたんだホントにっ。エリザベートの方はあれ、彼女の趣味なんだっ、と言い切られると「あ、あ〜〜」とまあ何となく目をそらしながら頷いてしまう部分があるのですけれど、こっちのジャンヌはちょっと自分の格好意味分かってるのか怪しい気がするので、これ創った連中がわるいですね、アクですね。大丈夫か、世界護る側がそんなんで。
それにしても、ジャンヌの名前からしてまた凄まじく冒涜的というかなるほどというか、名前だけで神聖さと禁忌を体現しているかのようである。
そんな彼女の出現が、14の悪魔を殺し尽くして終わったはずの、そしてエリザベートと櫂人とヒナだけの延長戦とも言うべき顛末かと思われた物語に、新たな開幕のベルを鳴らすことになる。
そうなんですよね。ぶっちゃけこの延長戦って櫂人たちの我儘であり、エリザベートの意固地であり、絶対に許されざる者の救済であり、痴話喧嘩に収まりかねないところがあったのですけれど、これまでの戦いが全部前哨戦に過ぎなかった、というのなら話は大いに違ってくる。ってか、第二幕開始、いや真章開幕じゃないですか、これ!?
でもそれはそれとして、カイトたちに救われて、しかし置いて行かれてしまったエリザベートの落ち込みっぷりがねえ。孤高の狼であった彼女の安らぎがどこにあったのか、得られぬはずの幸福がなんであったのかが、静まり返った城に独り残ってしまったエリザベートの姿が嫌というほど物語っていたんですよね。もうらしからぬほどのへこみっぷりで。
だからこそ、騒がしく押しかけて肉食わせてくれた肉屋の存在がありがたかったのです。まだ、エリザベートがひとりじゃない。別れてしまったけれど、置いて行かれてしまったけれど、肉屋を通じてカイトたちとの時間がまだつながっているのを実感できたというか。ちゅうかなんで自分がこんなへこんでなきゃいかんのだ、何もかもがカイトが悪い、締める、甚振る、ぶっ殺すっ! ぶっ殺す前にこの憤りを晴らすためにぶん殴る、蹴っ飛ばす、踏むと激おこぷんぷん丸なエリザベート様の元気いっぱい復活がまた、良かったというか大変なことになったというか、うんうん。
そう、ほの暗い覚悟や後ろめたさ、嘆きや怨みなんかはとりあえず置いておいて、エリザベート様を怒らせたんだから殴る! というシンプルな激情が、淀みを消し飛ばしてくれたみたいで、その原動力となった肉屋は以前からの痒いところに手が届くサポートも相まって、本当にありがたい「仲間」の一人だと、そう思って疑いもしなかったのに。
まさか、そんなキーパーソンになっていたとは。
愛もある、情もある、幸せな思い出があり、絆があり、友情があり、親愛がある。彼の人と我らにはそれがあり、しかしそれらすべてを投げ打っても果たすべきものがある。
ああこれは、もっとも魅力的にして悲嘆たる敵役の在り方じゃないですか。もしかしたら、主役を食う可能性すら生まれるほどの、悪の誕生じゃないですか。
まさか、ここまで重要なキャラクターになってくるとは。
悪魔たちですら慄き冒涜的とのけぞった世界に隠されていた真実。それを元にうごめく世界壊滅の運命と、その運命に抗う者たち。そして、定められた運命に投じられた一抹のイレギュラー。拷問姫エリザベートとその従者たち。この、本当の戦いが今、はじまる、というノリはホント好き。

とりあえず、カイトとヒナのご夫婦新婚生活スタートにも、おめでとうの一言を。祝杯をあげるのと壁をぶん殴りたくなる気分を同時に味わったエリザベート様には、えらく共感させていただきました、ええそれはもうw

シリーズ感想

2017年5月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:56冊 うち漫画:20冊

今月はゴールデンウィークがあったのもあり、ガンガン読めましたー。それでも、GW明けからは順調に停滞したのだけれど、それでも気候が暑くもなく寒くもなくという過ごしやすい気温湿度だったのも大きいのよね、最近読書も体力気力勝負なだけに。
月末にキンドルで90%の投げ売りがあったせいで、ついついあれこれと買ってしまったせいでマンガの冊数がふえていますが、それ以外でもそこそこ読めたのではないかと。
電撃大賞の【86】はさすがの出来栄えでしたが、個人的には葉村さんの新作がかなりお気に入り。そして、ネトゲ嫁の高値安定性と、異世界拷問姫のテンション上がりまくりの大展開。
色々と読み応えある作品をたくさん読めてかなり満足の月でありました。


★★★★★(五ツ星) 0冊


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 2冊

【異世界拷問姫 3】 綾里けいし/鵜飼沙樹  MF文庫J
【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.12】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫


【異世界拷問姫 3】 綾里けいし/鵜飼沙樹  MF文庫J

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粛々と断罪を受け入れようとするエリザベートの決意と本音を目の当たりにして、堂々と反逆する男が一匹嫁一人。おのが英雄のために、世界の敵になることを選んだ男の物語のはじまりである。


【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.12】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫

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新婚さながらになってしまったルシアンとアコの家に、毎日訪れてくるアレイキャッツのメンバーたち。それぞれの仲間たちとの関係を改めて一人ひとり掘り下げていく感じで、実に多幸感を味わえるエピソードでした。

★★★★(四ツ星) 11冊

【終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?#EX】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫
【七日の喰い神 4】 カミツキレイニー/nauribon ガガガ文庫
【カンピオーネ! XX】 丈月城/シコルスキー ダッシュエックス文庫
【ガーリー・エアフォース 6】 夏海公司/遠坂あさぎ 電撃文庫
【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット】 東出祐一郎/ NOCO 富士見ファンタジア文庫
【エロマンガ先生 4.エロマンガ先生VSエロマンガ先生G】 伏見つかさ/かんざきひろ 電撃文庫
【奴隷エルフちゃんを英雄にプロデュースします! 崖っぷちから始める世界寿命の延ばし方】 秋月煌介/水鏡まみず MF文庫J
【ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインVI ―ワン・サマー・デイ―】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫
【世界最強の人見知りと魔物が消えそうな黄昏迷宮 1.冒険者世界も不景気です】 葉村哲/鳴瀬ひろふみ MF文庫J
【86―エイティシックス―】 安里アサト/しらび 電撃文庫
【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? 13】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫

【終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?#EX】 枯野瑛/ue 角川スニーカー文庫

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【七日の喰い神 4】 カミツキレイニー/nauribon ガガガ文庫

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【カンピオーネ! XX】 丈月城/シコルスキー ダッシュエックス文庫

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【ガーリー・エアフォース 6】 夏海公司/遠坂あさぎ 電撃文庫

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【デート・ア・ライブ フラグメント デート・ア・バレット】 東出祐一郎/ NOCO 富士見ファンタジア文庫

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【エロマンガ先生 4.エロマンガ先生VSエロマンガ先生G】 伏見つかさ/かんざきひろ 電撃文庫

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【奴隷エルフちゃんを英雄にプロデュースします! 崖っぷちから始める世界寿命の延ばし方】 秋月煌介/水鏡まみず MF文庫J

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【ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンラインVI ―ワン・サマー・デイ―】 時雨沢恵一/黒星紅白 電撃文庫

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【世界最強の人見知りと魔物が消えそうな黄昏迷宮 1.冒険者世界も不景気です】 葉村哲/鳴瀬ひろふみ MF文庫J

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【86―エイティシックス―】 安里アサト/しらび 電撃文庫

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【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? 13】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

エリザベート (異世界拷問姫)
リーリァ (終末なにしてますか?)
ラティメリア (七日の喰い神)
セッテ (ネトゲの嫁)
時崎狂三 (デート・ア・ライブ)
マルコ (魔術師たちの就職戦線)
ルカ・バルカ (やがて恋するヴィヴィ・レイン)
ティルム (世界最強の人見知り)
アルリアナ (世界最強の人見知り)




以下に、読書メーター読録と一言感想。

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異世界拷問姫 3 ★★★★☆   

異世界拷問姫3 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 3】 綾里けいし/鵜飼沙樹  MF文庫J

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激闘の末、ヴラドの旧友にして『大王』フィオーレを撃破するも、代償は大きかった。ヒナの離脱、櫂人の『皇帝』との契約、そして―王都壊滅とゴド・デオスの死亡。その報を受け、王都に向かった櫂人とエリザベートが目にしたのは、残る三体の悪魔『君主』『大君主』『王』の契約者が融合し、猛威を振るう悪夢のような惨状だった。「希望など抱くだけ無駄だ。絶望のみを信じよ―そして、それを砕くために足掻け」綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る異世界ダークファンタジーの最高峰、無限惨劇の第三弾。

強敵との戦い、この世に蔓延る悪意との戦い、という観点は既に二巻で片付いている、と見ていい。ならばこの三巻で描かれるものは何だというと……兎にも角にも納得が行くか行かんか、という話なんですよね。
エリザベートの誇り高き生き方に与えられる結末に対して、納得が行くか行かないか。
残る三体の悪魔の討伐を終えれば、エリザベートの火刑は粛々と執り行われることになる。融合した悪魔三大との戦いは、そのまま彼女の処刑へのカウントダウンとなっているわけだ。
そんな自分を殺すに至る戦いを彼女は忌避せず、意気揚々と参陣する。エリザベートを憎み恨み忌避する視線を、正しいものとして真っ向から受け止めながら、そんな自分に殺意を滾らす騎士や恐怖の視線で見つめてくる市民たちを、身を挺して守り助け救っていく。
『皇帝』と契約してしまったカイトを、罵倒しながらも何くれと無く気遣い、心配し、その危うい未来を過たないように何度も何度も口うるさく釘を刺すエリザベート。口こそ悪いものの、彼女の言葉には常に優しさが宿っていて、その辛辣な口ぶりには親愛が篭っている。そこに込められている願いは、カイトとヒナの未来を案じるものばかり。二人の行く末の幸せを願うものばかり。
その誇り高く、情愛に溢れた姿のどこに、無残に処刑されて幕を引く結末を納得できる要素があるものか。
カイトが誘い出した廃墟と化した王都の中でのデートで垣間見えた彼女の年相応の可愛らしい素顔。そして、彼女によって助けられた市民たちの感謝の言葉に戸惑い、混乱する、好意を向けられ慣れていないエリザベートのあまりにも初心で拙い心の在りようは、カイトのもどかしさを募らせていく。
誰もが絶望を抱くあまりに残酷な光景を、激烈なまでに打ち砕いていく拷問姫の勇姿、いやその誇り高い在り方を目の当たりにして、正しい結末に疑問をいだき、納得行かない思いを抱くのはそばにいるカイトだけではなく、守られた騎士や民の中にも生じてくるんですね。
果たして、拷問姫の罪はどれほど善行を重ねようと濯がれず報われず、最後に火刑に処せられるその結末が、本当に正しいのか、という疑問が。
正しいのである。それは、どう足掻いても正しいのである。
でも、正しいからと言って、すべての人に納得がいくものじゃあないのだ。かと言って、彼女が許されてしまえば、かつて彼女の犯した罪によって苦しみ絶望しながら死に絶えた人々の思いはどうなるのか。彼女の犠牲者の係累や近しい者たちの怒りはどうなるのか。
納得は、結局どうやったって皆が皆、全員が同じように出来るものではない。
それでも、拷問姫エリザベートがそう選ぶのなら。本心から願うのなら。心の底から望むのであれば、カイトはそれを受け入れていただろう。自分の心を押し殺して、自分の英雄が選んだ最期を受け入れただろう。

でも、心の鎧も建前も罪の意識も何もかもを脱ぎ捨てて、そのむき出しになった幼い心が漏らした本音は、悪魔の精神攻撃によって剥き出しになってしまった本当の願いは……。
愚か者が愚かに徹するを決断するに、余りあるものだった。
今回の戦いが何のためにあったかというのなら、これまで決して見せることがなかったエリザベートの心の奥底を、剥き出しにしてしまうことその一点であったのだ、と断言できるほどに、彼女が漏らしてしまった想いはあまりにもあまりにも、せつなすぎた。
あれほどにエリザベートの事を愛し、あれほどにエリザベートに愛されて、それでなお無視できるほど、カイトも、ヒナも、彼女の心の中を知ってしまって無視できるはずがないのである。
お陰様で、誰よりもエリザベートが納得行かねえ、となる結末になってしまったわけだけれど、当の怒り心頭怒髪天なエリザベートにぶっ殺されることなく、どうやってこれケリをつけるのか、色んな意味でこの後の展開は見ものである。ほんとにどうするんだ、これ。
今回、マジで完結するものとばかり思って読み出していたので、想像以上に怒涛の展開でした。場合にとってはこの巻ではもう登場しないかな、と思っていたヒナが復活参戦したことで、余計に完結か、という雰囲気になってましたしねえ……いや、そうでもないか。決戦に挑んだ時点で既にカイトがもう不穏な雰囲気出しまくってたし、ここで終わらなさそうな流れになってたからなあ。

今回はエリザベート自身が覚悟完了してしまっていたせいか、普段よりも隙だらけで根っこの優しいところ、照れ屋なところ、可愛らしいところ、女の子らしいところをポロポロとこぼしまくっていて、やだなにこのヒロイン、と思ってしまうくらいにカイトに対しても油断しっぱなしだったんですよね。前までのエリザベートなら、デートなんて絶対に受け入れんかったでしょうに。カイトに対してもあれだけ優しい言葉ばかり掛けてしまって、最期だからと油断し過ぎである。お陰で、バカがバカな覚悟決めちゃったじゃないですか。エリザベートの自業自得である。ヒロインとして隙見せすぎた結果である。
カイトにはヒナが居ればいい、とも思ってたんでしょうけれど、残念ながらヒナはヒナであれだけカイト至上主義にも関わらず、同じくらいエリザベートの事も大好きという狂信的自動人形のくせに浮気者ですからなあ、愛との決断を喜びこそスレ邪魔などするはずもなく。
エリザベート、見通し甘すぎなのである。
今回もヒナのテンションマックス状態が見れて、花嫁満足度も充填出来ましたし、ここから何とかハッピーエンドまで持ってけないでしょうかねえ。

シリーズ感想





2016年12月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:40冊 うち漫画:18冊

なんとか最低の状態からはある程度回復したものの、やはり月三十冊は漫画抜きでキープしたいなあ。基本目標はそのあたりに固定したい。
ただ、読書機会が絞られる分、事前に面白いに違いないものを摘んで読んだだけあって、当たりの確率は非常に高かったとも言える。でも、人気シリーズか完結に至るものが多い感もあるのだけれど。
【異世界拷問姫】なんか実に舌触りのよい美味しい作品なんだけれど、三巻でキレイに完結してしまいそうだし、【Babel】に至っては次が出るかも怪しい様子だし。
最近のもっと読みたい作品のシリーズ短期化、打ち切りの増産にはかなり神経が摩耗してますよ。まあちょっとでも支援できるように、自分も出版されたらすぐに感想記事書けばいいんでしょうけれど、それもままならない有様ですからねえ。悔やむところです。


★★★★★(五ツ星) 0冊



★★★★☆彡(四ツ星Dash) 5冊

【彼女がフラグをおられたら 冥土の土産よ、最期に卒業式のことを教えてあげるわ】 竹井10日/ CUTEG 講談社ラノベ文庫
【Babel II ‐剣の王と崩れゆく言葉‐】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫
【異世界拷問姫 2】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J
【この素晴らしい世界に祝福を! 10.ギャンブル・スクランブル!】 暁なつめ/三嶋くろね 角川スニーカー文庫
【魔法少女育成計画 QUEENS】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい!文庫


【彼女がフラグをおられたら 冥土の土産よ、最期に卒業式のことを教えてあげるわ】 竹井10日/ CUTEG 講談社ラノベ文庫

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正直、期待していた以上に広げまくった大風呂敷をキレイに畳んで見せた結末には唸らされた。もっととっ散らかってもおかしくないくらい広げまくってたもんなあ。今のところ、これが作者の代表作と呼ぶに相応しい完結編でした。


【Babel II ‐剣の王と崩れゆく言葉‐】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫

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少女漫画とか少女系レーベルだと自分のイビリに挫けるどころか鼻息荒く反抗して見える雫にラルス王がだんだん惹かれてきてしまうところなのだけれど、この王様そんな殊勝な性格じゃないところがまた面白いのよねえ。


【異世界拷問姫 2】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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純白にして鮮血の花嫁無双。ジャケットデザインからインパクトどん! 今回はさらに花婿である主人公がまたカッコよくてねえ。誰も彼もが愚かで、その愚かさがまた尊く気高く愛おしい。


【この素晴らしい世界に祝福を! 10.ギャンブル・スクランブル!】 暁なつめ/三嶋くろね 角川スニーカー文庫

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ほんと、カズマさんのクズっぷりは途方も無いぜ。ギャグもコメディも衰え知らずのキレッキレ。文句なしに笑えて面白くて心の底から楽しいや。


【魔法少女育成計画 QUEENS】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい!文庫

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マジで一切容赦なし、加減なし、情無しで追い詰めて追い詰めて追い詰めた挙句にペシャっと未練なくキャラを潰すを厭わない作者の可愛がりには戦慄を隠せない。これ、キャラを愛するが故に逆に徹底してやってしまうタイプだよなあ、絶対。

★★★★(四ツ星) 3冊

【浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫
【我が驍勇にふるえよ天地3 〜アレクシス帝国興隆記〜】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫
【魔術師たちの就職戦線】 嬉野秋彦/惠坂 ファミ通文庫


【浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫

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【我が驍勇にふるえよ天地3 〜アレクシス帝国興隆記〜】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫

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【魔術師たちの就職戦線】 嬉野秋彦/惠坂 ファミ通文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

レニーア (さよなら竜生、こんにちは人生)
ギルガメス・センティア (彼女がフラグをおられたら)
茨木真紀 (浅草鬼嫁日記)
雫 (Babel)
ラルス (Babel)
カイト (異世界拷問姫)
ヒナ (異世界拷問姫)
シアン (奴隷姫と過ごす日々)
アルバロ (ディエゴの巨神)
進藤雪也 (魔術師たちの就職戦線)
蘭崎香織里 (魔術師たちの就職戦線)
進藤詩織里 (魔術師たちの就職戦線)
網代木澪 (魔術師たちの就職戦線)
プフレ (魔法少女育成計画 QUEENS)


以下に、読書メーター読録と一言感想。


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異世界拷問姫 2 ★★★★☆   

異世界拷問姫2 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 2】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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「ヒナ―――俺のために死んでくれるか?」
破滅に向かう反英雄譚、第二弾!

最上位の悪魔『皇帝』とその契約者ヴラドを討ち果たすも残る敵は多い。今後の戦いに備え、櫂人は魔術を習い始める。その後『総裁』をも倒すが――それは罠だった。ヴラドの旧友にして『大王』フィオーレが同胞悪魔の心臓を生贄にし、エリザベートの悪魔の力は封じられてしまう。
「遊びは終わり、お姫様―――さぁ、大人の時間を始めましょう」
拷問姫が倒れし好機に悪魔たちの攻勢が始まり――?
「さぁ、お相手しよう、『悪魔』達! 我が名はヒナ! 愛しき櫂人様の永遠の恋人であり、伴侶であり、兵士であり、武器であり、愛玩具であり、性具であり――――花嫁だ!」
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る異世界ダークファンタジーの最高峰、白姫血染の第二弾。

もう表紙からして花嫁無双。無垢なる純白を血と臓物の赤に染めて乱舞する花嫁人形。ほんと、この物語で描かれる絵面と来たら、なんて悪趣味で……美しい。
作者の綾里けいしという人は、本当に何というか「愚者」の愚かの描き方に毎度胸をかきむしらされる。愚か愚か愚かとしかこぼせないのに、その愚かな有り様が、愚直な在り方が愛おしくて仕方ない。慈しまざるを得ない。自ら選んで、地獄を征くものたち。もっとささやかで幸せな人生を得られただろうに、それに背を向けて悪夢と寄り添うものたち。それが破滅へと行き着く道だと理解しながら、蕭々と進んでいくモノたち。
そんな子たちだからこそ、破滅へと至るまでの僅かな平穏、笑い合う時間が涙が出そうなほど愛おしいのだ。
カイトもまた、ただ拷問姫の末路を見届けるだけでは気がすまず、同じ煉獄へと身を落とすことを選んでしまった。その最期の道連れとなることを選んでしまった。その破滅の選択は、だけれどあまりにも純真な思いから発露していて、同じく人形として無垢なる想いを結晶のように昇華させていくヒナと並んで、穢れない眩しさに塗れているのだ。
あれほどの地獄を体験して、呪われし人生を歩んで、絶望と苦痛の粋を魂に刻まれながら、この少年はどうして邪悪に堕ちずにいられたのだろう。それもまた、拷問姫に魂を救われたからなのか。
大罪人として贖罪たる悪魔たちの討伐を終えれば、火刑に処せられることが決まっている拷問姫。彼女は正しく邪悪と世界に認知されている。その罪の是非はこの物語では問われていないんですよね。どんな理由があろうと、彼女が犯した虐殺は事実であり、そこから生まれた罪と怨嗟は決して否定も覆されるものでもない。彼女に向けられる憎悪も憤怒も正しいものであり、その贖罪たる悪魔の討伐もまた、彼女に何一つ報いをもたらさない。
彼女は悪しき、それは間違いないんですよね。それは前提として、でもそれを個々人の心の中まで強制される謂れはないのである。彼女に殺されたものたちにとって、その縁者たちにとって、世間にとって拷問姫エリザベートが邪悪で呪わしくおぞましい殺人狂であっても、カイトとヒナにとってはエリザベートはまた違う存在なのである。事実は事実として受け止めながら、その上で彼らがエリザベートをどんな風に想うか、その心の中は犯すべからざる領域なのだ。
想うことは、何者にも束縛も強制も受けざる、自由であるべきなのだ。
それこそが、魂の自由なのである。
その大悟へと至ったカイトの飛躍は、見ていて震えるものがありました。ブラドの残影と、そして皇帝と五分に渡り合えるようになったのも、彼の中にその指針が根を張り芯を得たからではないでしょうか。その瞬間、彼はブラドの意図とはまた全く違う方向に向かって、ブラドの後継としての在り様を手に入れたのである。
そうすることによって、ヒナとカイトの花嫁と花婿という関係の中にあったモヤモヤとした霧も晴れ、エリザベートという主と連れ添うカイトとヒナ、この三人の不動の関係も完成したようにすら思うのです。
自分、こういう破滅という結末を受け入れた上でその最期の瞬間まで堂々と共に歩むことを選んだ関係って、たまらなく好きなんですよねえ。
そして、あの、将校姿のカイトのシーン、震えるほどかっこよかった。
人形であるヒナとの関係、一巻ではいきなり起動からあんな感じだったんで、ヒナの想いに嘘くさいと言わないまでも人工の与えられたモノとしての気配を感じてしまっていたんだけれど、それも今回うまく解消されてましたしねえ。人工的に植え付けられたものではない、ヒナという存在の生の想い。それを実感させられたからこそ、あの花嫁無双のシーンも映えるわけで。
そんで、力を使い果たしたヒナに、エリザベートとカイトがもうなりふり構わず駆け寄ってくシーンがたまらなく好きなんですよね、あれ。カイト命のヤンデレ入ってるようなヒナだけれど、実は同じくらいエリザベートのことも大好きで、エリザベートの方もあんな風に慌てふためくくらいにヒナのことが大好きで、と悪魔討伐の地獄行の途中という余計な事情やら何やらを全部取っ払ったこの三人の関係を、あのシーンは全部表していたように思えたので。
俄然、盛り上がってきたなあ。
シリーズとしては次が最終巻っぽいけれど、この三人には救いは無くても、せめて幸いなる破滅が訪れんことを願うばかりである。

1巻感想

異世界拷問姫 ★★★★   

異世界拷問姫 (MF文庫J)

【異世界拷問姫】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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「我が名は『拷問姫』エリザベート・レ・ファニュ。誇り高き狼にして卑しき牝豚である」
死後、異世界転生した瀬名櫂人の前に現れたのは絶世の美少女・エリザベート。彼女は『拷問姫』を名乗り、従者として自分に仕えるよう櫂人に命じるが――「断る」即答する櫂人にエリザベートは『拷問』か『執事』かの二択を突き付ける。あえなく陥落した櫂人はエリザベートの身の回りの世話をすることになり、咎人たる『拷問姫』の使命――14階級の悪魔とその契約者の討伐に付き合わされることになるが……!? 「あぁ、そうだ。余は狼のように孤独に、牝豚のように哀れに死ぬ。たった一人でだ」綾里けいし×鵜飼沙樹! 最強タッグが放つ異世界ダークファンタジーの最高峰!

これは異世界違う! 異界や!!
いやまじで、異世界観が他と違いすぎる。それよりも、綾里けいし作品で度々邂逅することになる「異界」と呼んだ方がよっぽどしっくりとくる世界であるこれ。
なにより、作中における内臓率が高すぎる。腸率が高すぎる。残虐劇(グランギニョル)たる作品は決して珍しくはないけれど、それはどちらかというと鮮血の血塗れ的なそれで、そう血の赤なのである。液体としての赤なのである。鮮烈な赤なのである。
それに対して、本作ときたら敷き詰められるように内臓の赤。壁に手を付けばブニョブニョと腸のような感触で、天井からは腐肉がポタポタと肉汁を垂らしてきそうな、そんな四方が人間を解体して引きずりだした中身で組み立てられたような世界なのである。
だから言う。これは異世界違う! 異界や!!

そんな気が狂いそうな世界に、呼びだされた少年瀬名櫂人。彼が死んだ理由はトラックに轢かれたなんて優しいものではなく、肉親である父親に虐待され、踏み躙られ、人として扱われずゴミとして甚振り尽くされたあとに、無造作に放り捨てるようにして踏み潰される、というその生に喜びもなく尊厳もなく誇りもなく、何もないまま殺された無残極まる死であった。故にこそ、何もなかったからこそ彼は罪なき無垢な魂として呼び出され、人形の体に取り憑かされる。
死んだあとに呼び出された世界が、こんなおぞましくグロテスクで死臭しかしない世界だなんて、普通に地獄におちたと勘違いしても不思議ではないだろう。
ところが、そこで彼を呼び出した自らを拷問姫、誇り高き狼にして卑しき雌豚であると名乗る少女に、彼は魅了されていく。その生き様、その死に様に惹かれていった、と言っていいのかもしれない。
自らの領地の領民たちを拷問によってすべて責め殺し、根絶やしにしたという人類最悪の乙女。世界に潜む十四の悪魔をことごとく殺戮した末に、自らも火刑に処せられて死ぬことを高らかに謳う少女。
たった一人で死ぬことを、心から望む姫。
そんな彼女の戦いと、その果てに待つだろう孤独な死を、最後まで見届けようと思い定めた少年の心はいったいどんなものなんだろう。虐げられ続けた側である少年が、一時駆られた魂を燃焼させるような復讐心を休めてなお、彼女を最後まで見届けようと思った心の置き所はどこなのだろう。
ヒナ、という全肯定者に救われた部分もあるのだろう。凄惨すぎるこの異世界での経験が、かつての前世の恐怖を結果として拭い去ってくれた、どれほどつまらない事だったのかに気付かされたというのもあるのだろう。
それでも、この無垢で歪んだ櫂人という子の魂を捉えて離さなくなったのは、拷問姫その人なのだ。
彼女は微塵も救われることを望んでいない。そして、今のところ彼もまた彼女を救おうとは思っていない。ただ、見届けるのみだ。
彼女の生き様は、贖罪のそれなのか。それとも犠牲を糧にした救済なのか。いずれにしても、人は拷問によって与えられる苦痛の凄まじさを知らないと同時に、欠片も望まぬ拷問を、何の罪もないと知っている無辜の民に掛けて責殺す側の苦しみも知らない。
この物語に、通り一遍のハッピーエンドは訪れないかもしれない。拷問姫は、彼女の望むとおりに救われないまま焼き殺されるのだろう。それでも、孤独に、哀れに死ぬことだけは、ないと信じたい。それぐらいは、願いたい。

綾里けいし作品感想
 

10月9日

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10月8日
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10月7日
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