【カンピオーネ! 18.魔王たちの断章】 丈月城/シコルスキー ダッシュエックス文庫
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カンピオーネ、アルバイトへ!?草薙家の非常識な日常「草薙家のアルバイト」や美少女達の奇想天外な料理バトル「王様の晩餐会」、試験勉強で巻き起こるトラブルを描いた「カンピオーネと勉強会」に加えて、果ては常識外れのギャンブル大会まで!?魔王様ご一行の破天荒な爆笑短編をたっぷり収録!さらにあの最凶の老カンピオーネ・ヴォバン侯爵とアイーシャ夫人の若き日のエピソードが、書き下ろし中編で初登場!最終決戦を前に紡がれる、魔王たちの知られざる断章。神殺したちが紡ぐ最強の新神話、待望の第18巻登場!!カンピオーネ同士の内ゲバが始まる前に、これまで発表した短編に、書き下ろしの中編をまとめた短篇集がこれ。と言っても、自分はどれもお目にかかっていなかったのでおおむね初見。
「第一話 媛巫女たちと七人目のカンピオーネ」
祐理の妹のひかりに解説するという形で、カンピオーネについて色々と説明する初心者向け導入編、みたいな感じ?
「第二話 王様の晩餐会」
これを読むと、護堂は陸鷹化と甘粕さんの二人とよくつるんでいるのが見て取れる。男同士でだらだら過ごすのが癒やしになっているあたり、ダメダメな感あり。護堂だけじゃなくて、鷹化も甘粕さんもそれぞれ上役の女性に振り回される日々なので、彼らの方も男同士で集まって愚痴る時間が癒やしになってるっぽいのが、なんだか泣けてくる。それでも、呼ばれたらちゃんと顔を出すあたり、モテル男は違うなあ。
「第三話 カンピオーネと勉強会」
試験前にみんなで集まって勉強会をしよう、という本作では極めて珍しい学生らしい一幕を、護堂とエリカ、リリアナ、祐理というメンツで行おうとして、案の定破綻するお話。最初から、勉強するのが目的ではなくて、勉強会というイベントを体験したい、というのが目的だったので、それを達成するために揚々と学生の範囲を逸脱してしまうのが、このメンツである。護堂がさらりととんでもないところで、バイト……というか店長代理をやってたりして、彼が「普通の高校生(笑)」であることが再確認される話であった。
「第四話 王様のゲーム」
自分は勝利を得ながら、実は接待しているというエリカのWin−Winに持ち込む業前は、これ良妻スキルだよなあ。実際、護堂に妥協させるのではなく、気持ちよくいうことを聞かせるコントロールをなせてるのって、未だエリカだけっぽいのよねえ。段々リリアナたちもそのあたりの手管、感触をものにしはじめている感もあるけれど。。
「第五話 草薙家のアルバイト」
この兄にしてこの妹あり。兄がカンピオーネ云々を抜きにして「普通の高校生(笑)」なのに対して、妹の方も当然「普通の中学生(笑)」なわけである。そして、当人たちは兄妹をイロモノ扱いしながら、自分たちの有り様について自覚がなく本当に普通だと思っているあたりも、似たもの兄妹というべきか。
「第六話 ある日の男子?会」
馨と甘粕さんと陸鷹化による、カンピオーネについての雑談。さすがに身近でその脅威を味わってきた面々だけに、その評論は的確なのだけれど、それにしても馬鹿げた人種である。カンピオーネについてだけは、スペック的な数値がまったく意味をなさないわけで、強い弱いがまったく勝敗に関係ない、てのは凄いというかなんというか。少なくとも、この作品ゲームには出来んよなあ。
「第七話 四方山昔語り」
鮫肌の切っ先をつけてると、木刀でもぐさりと刺さる、とかなにそれ怖いw
恵那の通っている学校が、陸軍中野学校みたいなのだったり、彼女がお付き合いある怖い人達は実際怖くてヤバい人たちだったり、というそんな話。そりゃあ、恵那さんも女子高生のくせに非常識で変な純粋培養された野生児になるわけだ。
「第八話 草薙護堂と奥多摩の怪物(脚本)」
ドラマCDのシナリオまるママ。ぶっちゃけ、神獣程度だと何の脅威にも感じないあたり、感覚は変になってるんだろう、誰も彼も。普通に都市壊滅クラスの怪物のはずなのだけれど。そして、何をしても死にそうにないカンピオーネの酷さを堪能できます。
「第九話 神殺し、霧の都に集う」
書き下ろしは、19世紀のロンドンを舞台に、あのヴォバン侯爵がアイーシャ夫人と出会ってしまった頃のエピソード。単に知り合いというには、アイーシャ夫人とヴォバン侯爵、妙に親しげ(というと侯爵キレるだろうけど)だったのを不思議に思ってたんだけれど、なるほどこういう出会いだったのか……。翠蓮姐さんとヴォバン侯爵二人いっぺん相手に回してあれって……このご婦人、本当にカンピオーネの中でもたちの悪さでは飛び抜けてるんじゃないだろうか。強い強くないでいうなら、この人明らかにカンピオーネの中でも飛び抜けて弱いはずなんだけれど、この人をどうにか出来るビジョンが誰が相手でも想像もできない。
そりゃ、侯爵も苦手意識持つわけだ。とはいえ、単に苦手だからといって遠ざけないあたり、侯爵も面倒くさい。
「第十話 内戦前夜」
あかん、翠蓮姐さんからしてヤル気満々だよ。いや、護堂もヤル気満々なんだから、ヤル気ないやつカンピオーネに一人もいないんだけれど。最後の王が登場する前は、もしかしてカンピオーネ七人の共闘があるか、なんてワクワクしていた頃が懐かしいというか、遥か古代に感じるというか。まさか、内ゲバはじめるとはさすがに思わなかったもんなあw
しかし、最新の時期になるともう護堂も完全に自重がなくなってきているというか、自分に言い訳しなくなっているというか。リリアナと術だのなんだの関係なくキスしてイチャイチャしているように、もうメーター振り切ってるんですよね。これでラーマとの対決が終わったらどうなるのか。ほんとうの意味で大魔王降誕しそうw