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神奈月昇

ゴブリンスレイヤー 15 ★★★☆  



【ゴブリンスレイヤー 15】  蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

「姫様をどこにやった! 」
辺境の街へきた馬人(ケンタウルス)の少女は重戦士を詰問した。犯人とされた重戦士はゴブリンスレイヤーに調査を依頼。
「都市の冒険(シティアドベンチャー)は苦手なんだよ。あと腕っこきの斥候は他にいないからな」
「…………俺は、戦士のつもりでいるのだが」
馬人の姫君の行方を追い、一党は水の街を訪れる。彼らを迎えた剣の乙女はゴブリンスレイヤーに囁く。
「――銀星号をご存じ」?
馬人競走が盛り上がる水の街で、消えた銀星号を探せ――。
欲望と陰謀が入り交じる中、行き着く先は賽の目次第。鬼と出るか、蛇と出るか。

蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第15弾!
ある意味正道なるウマ娘ことケンタウルス女子。いやウマ娘はないだろう、と思ったら銀星号のデザインが思いの外ルドルフ寄せだった。あの流星は特徴的だからなあ。
というわけで、重戦士から依頼を振られたことで人探しの旅に出ることになったゴブスレさんとその一行。
クエストである。
つまりは冒険者のお仕事、だ。最近自分は小鬼殺しに邁進していなくて、普通の冒険ばかりしているがいいのだろうか、これでいいのだろうか、と小さく悩んでいるゴブスレさんであるが。
いいんだよ!
良いのである。これに関しては衆口一致。知人友人みんな同意見だろう。そしてパーティーメンバーみんなして、そんな普通のクエストでもリーダーはゴブスレさん、なんですよね。最初の頃は妖精弓手が、今度こそゴブリン殺しじゃなくて普通の冒険に連れ出してやる、引っ張り出してやる、なんて奮起していて、当時はそんな冒険者らしい冒険なんて自分には関係ない、と振り向きもしなかったゴブスレさんを無理やり引っ張り回そうとする側だったんですよね。引っ張っていけた試しもなかなかなかったのですが。そう、ゴブスレさんは引っ張られて連れられる側だったのに。
もう普通の冒険でも、リーダーとして率いる側なんですよね。まあ、メンバーはもうみんなベテラン揃いで今更ゴブスレさんがあれしろこれしろ、なんて指示する必要もないのですが。女神官だって、手慣れたもの。
でも、ゴブスレさんが出す指針と大まかなれども方向性、そして選択を迫られた時の判断は、そんなベテランたちをしてスムーズに行動判断を行う助けとなり導きとなるものだからこそ、全部ゴブスレさんに預けるわけだ。
信頼である。
今回は旅慣れない上にツンツンしてなかなか打ち解けようとしない馬玲姫が旅の同行者だったから、余計に旅慣れた面々の様子がよく見られた気がします。特に女神官のお嬢ちゃん。フォローされる側だった彼女も、今やフォローする側。彼女のさりげない気遣いと親切は警戒と不信で全身を鎧った馬人の少女をして、思わず差し伸べられた手を取ってしまうもの。掛けられた優しい言葉に、反発がわかずに素直にうなずいてしまうもの。
こうした頑なな人だろうとなんだろうと打ち解ける、というわけじゃないけれど、心開いて貰える。そう相手に話を聞いてもらえる、そして相手の話を親身になって聞く、という神官にとって大切なスキルをこの子は体得しつつあるんだなあ、となんだか微笑ましくなってしまいました。
なんだかんだとゴブスレさんのパーティーは、寡黙なゴブスレさん以外みんな人当たりは良いものの癖のある人物ばかりだから、女神官が相手だと安心できるんでしょうね。
それでいて、今や女神官はゴブスレさんの一番弟子的なポディション。今回、ゴブスレさんがシティアドベンチャーするにあたって、裏の筋に挨拶と情報収集に出向いた場所にも彼女を連れて行った、というのは彼女に裏のツテを与える、関わらせるわけじゃないけれど、こういう世界があるのだという知見を与えるためなのですから、立派な「教え」なんですよね、これ。
彼女がこういう裏の社会を利用することはないだろうけれど、こういう裏のすじものと組んだり利用し利用され、という仕事のやり方があって、それも冒険者の仕事のウチというのを受け入れる、というのは大きいんだと思いますよ。聖職者だけれど、冒険者。穢れのないものばかりを見てそれ以外を拒絶していたら、冒険者なんてやってられない。
そういう意味では、彼女はすんなりそういう裏で仕事をしてる人達もいるんだなあ。そして自分たちと助け合うこともあるのだろう、と清濁併せ呑むことを受け入れられているので、器大きいんですよね。
ただでさえ、考え方とか思考パターンとかゴブスレ流儀に染まりつつあるのに。
以前からも、女神官はもう立派な冒険者として成長したけど、その成長の方向性がゴブスレに似すぎてて大丈夫かしら、なんて言われることも侭ありましたけれど、今回は特にそこらへん顕著にゴブスレさんの影響が垣間見えた言動が散見された回でもありました。
ゴブスレさん並に、あの身も蓋もないGMが想定していなさそうな、え!?なにそれ!? とか言われそうな作戦を、ゴブスレさんに先んじて、やりませんか!?と提案しちゃってるあたり、毒されているというか朱に染まっているというか。みなさん、苦笑いですよ。
これだけ色んな意味でタフになってしまうと、女神官も将来は彼女がリーダーになってパーティーを率いる、みたいな事もあるのかもしれませんねえ。少なくとも、もうそれができてもなんら不思議ではない頼もしさを感じさせてくれる、今回の冒険でありました。
「冒険者(アドヴェンチャラー)に任せてください!」
「冒険者に任せとけ」はこのゴブリンスレイヤーという作品世界の決め台詞的なものですけれど、ついに彼女がそれを叫ぶようになったのか、と思うとなんだか感慨深いです。

そして、冒険が終われば冒険者はみな、宿や住処に戻っていく。
そんな中で、ゴブリンスレイヤーには帰る家がある。その家には、いってらっしゃいと送り出してくれる人がいて、その人は帰ってきた彼を「おかえりなさい」と言って迎えてくれるのだ。
冒険の中で手に入れたお土産を受け取って喜び、彼の語る拙い冒険の話をニコニコと笑って聞いてくれながら、温かい夕食を用意して一緒に食べてくれる。
今回は特に、本当に当たり前の冒険者がするようなクエストだっただけに。それを、牛飼娘にちゃんと今回は冒険に行ってくると伝えて「行ってきます」と言って旅立っただけに。ゴブスレさんが、家に帰るまでが冒険です、的な感じでちゃんと家に帰ってきたシーンは、なんだかジーンとなるものがありました。
ああ、今。ゴブリンスレイヤーはただただ当たり前の幸せの中にいるんだな。
それがなんとも、温かく染み入るのでした。



マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 5 ★★★☆   



【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 5】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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学園に咲く気高き一輪の華、麗しき淑女・ギャビーが乱れ舞う!
 瀧音の式部少輔・就任を快く思わないギャビ―は互いの進退を賭けたダンジョンアタックの勝負を申し出る。
この宣戦布告に反応した結花に引きずり込まれる形で対決をすることになるも、ギャビ―とその兄ベニートの絆を知り尽くしている瀧音は人知れず全員がグッドルートに向かうよう画策していく。
「私が勝ったら、式部少輔を降りて土下座なさい。怖かったら逃げても良いんですよ?おーっほっほっほっ!!」
 果たして瀧音はギャビ―が抱える闇を打ち払い、最善のルートを手繰り寄せることが出来るのか。
ツクヨミ魔法学園に咲き誇る麗しき淑女の未来を見据えた瀧音の決断は――!?

ギャビーってギャッツビーみたいですね(特に意味はない)
ベニート卿の妹であるギャビーことガブリエッラは、兄に認められた瀧音に嫉妬して突っかかってくる。加えて、ゲームの主人公である聖伊織の妹である結花もギャビーとバチバチ火花を散らしながら瀧音に絡んでくる。後輩ではあるものの、どちらも兄に対して一方ならぬ思いを抱いている妹キャラだ。他人様の妹キャラではあるが。
いや、他人様の妹キャラだと、自分の妹キャラとはまたシナリオパターンが違ってくるんですよね。
兄からの自立。いろんな形でヒロインにとって拠り所になっている兄という存在からの独り立ち。それが他人様の妹キャラにとってのシナリオの山場となってくる。場合によっては、そのキャラのルートの大半を占める大難行となるはずなのだが、この作品においては全員グッドルートを目指す友人キャラが主人公の話なので、まあわりとサクサクっと彼女たちの人生の一大事にして大転換点であるはずの自立も、進んでしまう。一人ひとりに時間をかけてるわけにもいかないものね。それにしても、ギャビーのチョロさは(中略)並みに巻きだったと思うが。
ベニート卿とギャビーの密接でありつつ微妙に食い違ってる麗しの兄妹関係を思うと、もう少し拗れてもおかしくなかったと思うのですけどね。そもそもベニート卿が聖人すぎるんだよなあ。まだ彼自身十代の若者にも関わらず、わずか2つ違いの妹を実質育ててきたようなものですもんね。ネグレイトされていた妹を一心に愛し世話し彼女に愛情を注ぎ続けた。そりゃあ、妹から盲信に近い傾倒をウケますわ。慕われて当然でしょう、これは。
正直、まだ兄にベタベタしててもいい年齢だとは思うんですけどね。でもまあ、一般人の環境ではなく危険が常に傍らにある場所ですし、いびつな関係を続けているべきではない、とベニート卿は冷静に判断していた、ということでしょう。妹、可愛いだろうにそういう冷静な判断が出来るという時点で、出来物なんだよなあ、この人。冷静な判断だけじゃなく、愛情を目一杯注いでいるからこそ、いびつな関係になってしまっていることが心配でたまらなかった、というのがギャビーの自立宣言で思わず泣きそうになってたことからも伝わってくるので、いやもうこの人聖人だろう。
ギャビーだけじゃなく、似たような不遇な家庭環境におかれて人生歪んじゃってる他に人のことも常に気にかけ心配しているわけですし。
いやもうそこは、気になった挙げ句に親身になりすぎて好意を持つようになった、くらい俗な事になってしまっていてもいいんじゃないか、と思えてくる。伊織だけじゃなくて、ベニート卿も何人かヒロイン受け持ってくれないものかしら。

結花の方は兄妹関係全然ベタベタしてなくて、むしろサバサバしたものなんですよね。むしろ、主人公の妹なんだから、もっとお兄ちゃんお兄ちゃん言いそうなものなのだけれど。メインヒロインのひとりなわけですし。そのへん、結構意外だったなあ。最初の段階では伊織よりも強い妹、だったからなのか。
それが伊織の急成長によって逆に力量差が出てしまうことで必死に兄の背中を追いかける、となる所がもうひとり自分を圧倒的に上回る強者である瀧音と遭遇することで、そっちの背中の方をふらふらと追いかけてしまった、というのはまあ健全と言えば健全なのか。その道筋で、自分と似たような立ち位置にいるギャビーというライバルとも行き合ったことで、結花なりに兄の後をついていくのでも、漫然と瀧音の背中についていくのではなく、自分が自分として強くなるという道を見出した、というのが今回の話だったのかもしれない。
いずれにしても、ギャビーにしても結花にしても兄からの自立、という独り立ちのお話が今回のテーマだったのでしょう。或いは、瀧音の妹キャラげっと回。
いい加減、リュディほったらかしは可哀想なのでもうちょっとかまってあげましょうよ、と思わないでもないですけどね。瀧音にとってのメインヒロインはやっぱりリュディなわけですし。
一応、これでバッドエンドに行きそうになる娘たちのフラグを潰してまわっていましたけれど、そろそろ本筋に入ることになるのでしょうか。どうやら、ゲームシナリオの重要なキーパーソンとなりそうな人に宣戦布告していましたし。そろそろ、物語としても育成と下拵えの段階は越えて動いてきてほしいですし。




ゴブリンスレイヤー 14 ★★★★   



【ゴブリンスレイヤー 14】  蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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ゴブリンスレイヤーの様子がおかしいという――。そんななか、彼は一党に「冒険」を提案する。
「北の山の向こう。暗い夜の国」
かくして北方辺境に向かう一党。雪山の向こうには、蛮人の英雄譚の舞台、いつもと異なる異文化、言語、そして、この地を治める頭領の美しい奥方がいた。
彼の地の北方の海には幽鬼が潜み、船が戻ってこないという――。
彼らの話を聞いたゴブリンスレイヤーは頷く。
「やはり、彼の人々はゴブリンなぞに負けるわけがないのだ」
そして女神官も誇り高く告げる。
「冒険者に、任せてください! 」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第14弾!
ゴブスレさんが、あのゴブスレさんがテンションアゲアゲで浮かれてるーー!? 子供みたいにはしゃいでるーー!?
いや、流石にあからさまにキャラ変わっているわけじゃないのですけど、明らかに鉄兜の奥で目をキラキラさせて、北の地のはじめてみるものに目移りして、自重出来ずにあれこれと質問して回ってるんですよね。こんなゴブスレさんはじめて見た。
北の山の向こうの国は、入り江の民(ヴァーキング)たち戦士の国。それは少年たちが憧れる英雄譚の舞台となった地だ。
あのゴブスレさんが童心に帰る、ということ自体がなんとも心擽られる思いである。受付嬢さんが思わず抱き締めたくなるほど愛しさを感じてしまった、というのも凄くわかるんですよね。
この北方辺境の視察という「冒険」を請け負ったのがほかならぬゴブスレさん当人というのも感慨深い。今回の依頼には本当にひとかけらもゴブリン関係なかったですもの。それを「冒険」に行こう、と仲間たちから誘われていくのではなく、ゴブスレさんの方から誘う。行く地はかつて子供の頃に憧れ、いや今もなお憧憬の中にある「物語」の大地。
これ、誘われる方の仲間たちも嬉しかっただろうなあ。にべもないゴブスレさんに、何度も冒険に行くぞと無理やり引っ張り出していた彼らである。それが向こうからだもんなあ。そりゃあ、寒さ全然ダメどころか死活問題のリザードマンな蜥蜴僧侶も頑張ってついてきますわー。
今回の彼は寒さもあって本当に動きが制限されてなるべくじっとしていましたけれど、それが逆にのっそりと寝蔵に横たわる「竜」の風情を醸し出しはじめていて、逆にちょっと大物感すら感じられたのが面白かった。
さても、辿り着いた北方辺境は野蛮な海の蛮族たちが支配する薄暗き国、というのは中央からの偏見の目なんですよね。そこは異なる文化の世界。野蛮とは違う、その土地に合ったルールによって成り立つ世界なのである。初手から、嫁取りのために戦をするという風習に遭遇し面食らう女神官ちゃん。そのあとも、南の常識では仰天させられる様々な風習習慣、神の解釈などに彼女は目を白黒させることになるのですが、驚きながらも素直にそういう文化もあるのかー、と受け入れる彼女は神の使徒としてもおおらかで気持ちの良い器の大きい子なんですよね。
その純真さ、直向きさは間違いなく人を引きつける魅力である。それは文化風習の異なる文化圏の人間にも相通じる人としての魅力。盤上遊戯を通じて、強い弱いじゃなくて、この娘に構ってやらねば、とついつい思わせるその人柄で、信頼を得る……なんて野暮な言葉じゃなくてもっとシンプルに、ヴァーキングの巌のような男たち、そんな男連中を尻に敷く女衆と仲良くなり可愛がられ、輪の中に受け入れられる女神官ちゃん。なんかこう、おっきくなったよなあ。妖精弓手が思わず目を細めるほどに。
そんな北方の地で出会ったヴァーキングたちの頭領とその奥方、この人たちがまた気持ちの良い魅力的な人物で、というか頭領が元は南の王国の騎士というのがまた面白いなあ。それは政治の結果であると同時に甘酸っぱい恋物語の結果でもあり、リアルタイム英雄譚なんですよねえ。
王国の王様たち、結構したたかに政略を進めているんだなあ、と感心した次第。それも、双方がWin-Winになるような形で進めているのがまた素敵。
ゴブスレさんたちを派遣したのもその一貫。冒険者という職業が存在せず、ならず者のたぐいとしか認識されていない北方の地に、ゴブリンスレイヤー一行というメンバー構成見てもあまりにも特殊で、同時にこれ以上無く「冒険者也」というパーティーを派遣することで、北方の地に冒険者という存在を印象づかせようとする試み。何よりゴブスレパーティーをあり方、心意気を見てのチョイスというのがいいんですよね。
いや、このシリーズに出てくる主だった冒険者パーティーって、古参から新参までどこに出しても恥ずかしくない気持ちの良い連中ばかりなので、ぶっちゃけどこを派遣しても悪いことにはならなかったと思いますけど。
それでも。
ゴブリンの船団とヴァーキングの船団が繰り広げる海戦の中に乱入してきた海の怪物を前に、モンスター退治は冒険者のお仕事、そしてこれこそが「冒険也」と勇躍飛び込んでいくゴブスレさんたちの勇姿は素晴らしかった。
合戦に挑む戦士たちの勇気たちとはまた異なる、冒険者たちの勇気。個を尊び同時に一つの生き物のように連携する以心伝心の冒険者の戦い方。そんな心映えが、背中が、闘志が、北方の戦士たちの心をも震わせ奮い立たせる。
自分達とは異なれど、共に戦うを誉れと思えるものたち。まさに「冒険者」なる存在を、北方の地に刻んでいく姿は、カッコいいという以上に胸が熱くなるものがありました。
後にこの地を訪れるようになるだろう後続の冒険者たちと、この地に住まう戦士たちの間に育まれるもの。その最初にして一番大事な芽を、彼らはこの大地と住まう人々の心に植え付けたのでした。
なんか今回は全体的に心をキューッと奮わせてくれるものがありました。異なる文化の国で、お互い心から認め合い尊敬しあい共に戦って笑って別れる物語ほど気持ちの良いものはありません。
そして「家」に帰り着いて、待っていてくれる人にただいまと応えて思い出話とお土産とともに振り返るのだ。
「ああ、楽しかった」と。
今回はその全部がギューッと目一杯詰まっていた、まさに「冒険!」でありました。


マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 4 ★★★☆   



【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 4】  入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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新たな攻略ルートへと突入!? 次世代作の大本命、待望の第4幕!!

「おめでとう、瀧音幸助。君は選ばれた」
ダンジョンソロ四十層攻略という前人未踏の記録を打ち立てた瀧音は、ツクヨミ学園最大の権力を有する【三会】に招かれる。
最高のハッピーエンドを目指す為、学内で大きな力を手にした瀧音は仲間達への支援に奔走していく。
そんな中、瀧音はマジエク主人公である聖伊織の義妹・結花の身に異変が起きている事を察知する。
「待ってくださいっ! 瀧音さん何で知って……るんですか?」
本来それは造作も無く解決出来る筈のイベント――しかし、物語は瀧音ですら知らない新たなルートへと分岐していて!?
いま、マジエク世界と瀧音の運命が大きく動き出す!!
これ、伊織の方は誰がメインヒロインで進行してるんですかね? 一応、幸助の方はリュディがメインっぽいものの、ここに来て同じパッケージに載るメインヒロインの一人である伊織の義妹の結花が幸助の方のルートに入ってきたわけですからね。
クラスメイトのカトリナが現在の所順調に友好度深まっているみたいですし、伊織が三会に入れば生徒会長のモニカの芽も出てくる、といったところなのでしょうか。
ともあれ、40階層ソロクリアという突拍子もない記録を引っさげて学年一位を獲得した幸助は、その功績を以て「主人公」である伊織に先んじて三会入りを果たすことになる。
三会とは生徒会、風紀委員会に加えて式部会という通常の学校ではまず見たことのない組織が存在しているのだけれど、表向きは兎も角裏向きのこの式部会という組織の存在理由がまたなんというか独特で面白いんですよね。
ゲームの世界特有、と言っていいのだろうか。現実世界にはまず存在し得ない組織の在り方である。意図的にヘイトを集めてこいつらには負けたくない、という反発による向上心を生徒たちにもたらすための組織なんてもの、まあ現実にはあり得ないわなあ。と、思ってたら作中でもちゃんと幸助によってさらっと突っ込まれてたし。まあまずこんな組織、並の人間なら担えないでしょう。個人としての実力と、搦め手からでも潰されない社会的地位や権威、権力を持ち、なおかつ余程の人格者でないと容易に潰されてしまうでしょうし。
つまるところ、元式部会幹部であるベニート卿と紫苑さんは、その余程の人格者なわけだ。ベニートがエロゲのプレイヤーたちからは大人気ってなんぞ?と思ってたら、そういう仕組みだったわけね。
今まで一人で突っ走ることが多かった幸助が、いざ手助けが必要になった時に、他の親しいヒロインたちがたまたま手が塞がっていたとはいえ、真っ先にベニート卿と紫苑さんに助けを求めたあたり、既に余程の信頼を彼らに寄せていた、って事なんですよねえ。
ともあれ、組織の目的そのものが「ライバル稼業」を担っているようなものですから、主人公聖伊織と真っ向から張り合おうという幸助にとっちゃあ、ここしかないという選択だったのでしょう。同時に、友人キャラという枠組みから明確に逸脱し、伊織と対等の立場で対決してやるという決意表明とも言うべき選択だったのかもしれません。
そして、それは伊織に明確に伝わった。
伊織からすれば、入学当初から常に幸助が先を行き、自分はその背中を追いかけるばかりだった。今、式部会に入会したことで先を突っ走っていた友は一旦立ち止まってこちらを振り返り、ちゃんと付いてきてるか? と、待ちわびているかのように見えたのかもしれません。
知らない間に義妹の結花が誘拐されてピンチに陥っていたのを、いつの間にか幸助に助けられていた、というのも伊織からすれば衝撃でもあったでしょう。彼にとって強くなりたいという願望の根っこのところに、結花を守る、という目的があったでしょうし。なのに、自分は何も関与出来ないまままた結花は助けられてしまった。兄として安堵し、友人として深い感謝を、でもライバルとして見れば自分の不甲斐なさを思い知らされる。
「主人公」としてはギアが入るには充分な理由であり原因であり、発火点ではないですか。
1巻のラストの、伊織からすれば何のことかわからない幸助からのライバル宣言。その裏返しとして、今回の伊織の宣戦布告。今まで幸助の物語上において、視界の外……とまでは言わなくても、視界の外縁部をマイペースにひた走っていた主人公が、ついに正面に躍り出てきた、と言わんばかりの展開はやはり燃えますなあ。ここからしっかり、切磋琢磨するようなすぐ傍に伊織もいる展開になるのでしょうか。
その前に、義妹の結花がなんかかなり唐突ですけれど、幸助のルートにメインヒロインの一人として参入してきたみたいですけれど。
人の妹をヒロインとして掻っ攫うって、なんとも背徳感があっていいですなあ。しかも絶体絶命のピンチに颯爽と現れて、大きな背中でかばうとかいうシチュエーションまで奪っちゃってまあ。それは、ヒロイン相手には致死の一撃ですよ、お兄さん。
なんか結花の出自もこうしてみると物語の根幹に関わりかねないものがあるみたいですし、一気にストーリー上でも最重要人物の一人に持ち上がっちゃったみたいですし、大丈夫ですかリュディさん。ラーメン大好きリュディさんしている場合でいいんですか!?
しかし4巻まできましたけれど、未だにあんまり元のゲームがエロゲという感じしないですよね。結花が巻き込まれたラッキースケベ案件のランニングマシンも、まあおバカコメディではあるんですけどあくまで全年齢版って感じで、見えても下着までという大人しさ。エロゲなら、もっと剥かれて当然ですからね!?というのはエロゲに対する偏見でしょうか。
でもエロゲを想起させるようなえっちぃ展開、ほんとないですよ? リュディとも同居しているのに、それらしいハプニングすらも殆どありませんし。健全、とても健全っ!
せめてもうちょっとこっ恥ずかしいラブコメしてくれてもいいですよ!?


ゴブリンスレイヤー 13 ★★★★  



【ゴブリンスレイヤー 13】 蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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「迷宮の主、してみませんか」?
迷宮探険競技??それは至高神の大司教をはじめとした六英雄の逸話として有名な、死の罠の地下迷宮から続く試練。それをギルドは冒険者志望の者への訓練としたいという。
そしてその監修者として、銀等級の冒険者へと協力を依頼した。

(??悪辣だ)
受付嬢が驚くほどの罠が仕掛けられ、準備は進められていく。??

そんな中、またひとり、冒険者志望の少女は剣を取る。??
そこに忍びよるは混沌の影……。

「小鬼どもになぞ、好き勝手させてたまるものかよ」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第13弾!
TRPGするの!? 作中で!?
ゴブスレさんが槍使いと重戦士の兄ちゃん二人を誘って、飲み屋の卓でシート広げてTRPGはじめるシーンは、あの素晴らしい挿絵と相まってなんか感動すらしてしまいました。いやこの挿絵ほんと良かったんですよ。ゴブスレさんの前の衝立に貼り付けられたデータシートに、彼の手にはサイコロ。傍らにはルールブックが置いてあって、脇には注文して置かれた食べ物の類が寄せられていて、向かいでは平服の槍使いと重戦士が飲み物とペンシルを手に自分が動かすキャラクターを談笑しながら作っていっているシーン。シーンがギューッと凝縮されたような絵で、実に良かった。今回は他にも神奈月さんの挿絵、印象的なのが多かったなあ。特に好きなのが冒険者志望の女の子が、初々しい格好で不釣り合いな剣を引っさげながら、迷宮探検競技開催のお知らせが貼られた掲示板を見上げているシーン。
まだ冒険者じゃないけれど、でもいつ冒険が始まったかというのなら、この瞬間、というのを切り取ったような絵がねえ……良い。
つまるところ、ゴブリンスレイヤーが一生懸命になってプロデュースしようとしたものこそ、夢と希望を胸に冒険者を志す若者たちの、まさにその「機会」だったんですよね。
ゴブスレさんが得られなかったもの、いつか夢見ていたもの、だからこそ何よりも掛け替えのないものだと知っているもの。
ギルドが主催する迷宮探検競技のプロデュース、いわばダンジョンマスター役を依頼されて引き受けたゴブスレさん。ただの仕事という義務感などではない、彼の思い入れや意気込みが伝わってくる真剣さが、何というか受付嬢さんがハートに羽つけて羽ばたかせちゃうのもわかるくらいの、人らしさ、男の子の可愛らしさでありかっこよさだったんですよね。
ちょいちょい暴走して仕掛ける罠に凝りすぎてしまうのもご愛嬌。女神官ちゃんがすっかりゴブスレさんの思考仕様に染まっちゃっているのもご愛嬌。
より良きものを、これに挑戦する冒険者になりたい若者たちに実りある経験を与えられるものになるように、とただただ自分の価値観を詰め込むのではなく、受付嬢の意見をしっかりと聞き、また信頼するベテラン冒険者である槍使いと重戦士の二人にTRPGという形で机上演習での検証を手伝ってもらい、と彼の意気込みの強さ、言葉を変えるなら夢中になっている姿には、かつての妄執に捕らわれた気配は伺えない。
しかし、この作品のギルドって未熟な冒険者やそれ未満、それ以前の人たちも本当に優しいなあとしみじみ思う。その優しさは甘やかすとかじゃなくて、自立を促し生き残る手助けをする、という意味で。手取り足取り、手を引いて引っ張るものじゃない見守る強い優しさだ。
それはベテラン冒険者たちも同様で、彼らの若者たちを見守る視線の温かさには、見ていてこちらも心がホカホカしてしまう。そんなベテランたちにも駆け出しの頃があったのを、さらに年長古参のものたちは見知っているわけで、はじめて武器屋の暖簾をくぐってきた頃の駆け出しの槍使いや魔女の姿が回想の中でちらりと触れられるシーンは、味わいぶかいものがありました。あの妖艶な魔女にも小娘だった頃があったんだなあ。
だからこそ、あの嵐の名を冠する冒険者志望の女の子の将来が楽しみになるんですよね。
知らず、冒険者になる前に大冒険を繰り広げていた彼女。結局、彼女自身気付かないまま、自分は競技に参加しているだけと思い込んだまま、凄い冒険をくぐり抜けてしまった彼女。
ぼんやりとして鈍くさくて落ち着きのない素人丸出しの彼女だけれど、でも将来勇者に引けを取らない大物になりそうだなあ、と思わせてくれる勇姿、とも言えないへっぴり腰の大冒険でありました。
そして、そんな彼女の冒険を台無しにしないように奮闘し続けたゴブスレさん。不意のイレギュラー、競技そのものをぶち壊しにしかねないゴブリン要素の介入に、いつになくブチ切れ、ゴブリンを殺す事を優先するのではなく、競技の進行を守ること、競技に参加する若者たちの将来を守ることを優先して、1人ゴブリンを殺すゴブスレさん。
やってることはいつもの事なのかもしれないけれど、ゴブスレさんの心持ちが今回は全く違ったんですよね。ゴブリンを殺すために殺すのではなく、あの嵐の少女の冒険を守るために戦っていたゴブスレさん。良き、良き戦いでした。それもまた、ゴブリンスレイでありつつも、冒険を守るための冒険でした。
良い、生き方をするようになったなあ、ゴブスレさんは、本当に。
ラストで、次のお仕事についての話になって、いつもなら当然のようにゴブリンを殺す仕事を求めるゴブスレさんが、妖精弓手の誘いに素直に応えて、「冒険に、行こう」と。あのゴブスレさんが自分からそう言うラストシーンに、これ以上無い感慨を覚えるのでした。
ゴブスレさんだけじゃなく、王妹といい、受付嬢といい、ニュービーを脱しつつある若い冒険者たちといい、冒険者の道を歩き出したあの嵐の子といい、うん登場人物みんながイイ顔して、目に力強い光を宿して、良い生き方をしている、それがほんとに温かくも清々しい。


マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 3 ★★★☆   



【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 3】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

エロゲ学園の劣等生が圧勝劇を巻き起こす!!

ななみとの絆を深め、自由気ままにヒロイン達とのダンジョン攻略や鍛錬の日々を満喫する瀧音。
しかし、学園の生徒達からは授業に出席しない"落ちこぼれ"と厳しい視線にさらされてしまう。
水守雪音はそんな状況でもまるで意に介さない瀧音の胆力と破天荒ぶりに驚きと尊敬の念を抱いていた。
そんな中、花邑家に呼ばれた雪音は「実はコウちゃんが常軌を逸したことをする予定であることが判明しました♪」と告げられて――!?
「理由があるんだろう? 瀧音……きみの成功を祈ってる」
学園最速の記録達成の為、無謀と言われる攻略に挑む瀧音。
劣等生が今、誰も想像できなかった圧勝劇を巻き起こす!!


ショーツダンジョン、エロゲのイベントとしてはギミックでパンツを捧げる、というのは大人しいくらいな気がするけど、現実で同じことをするとなると抵抗あるわなあ。
ダンジョンでさらに奥に進むためにそんな無体なお願い事をする幸助に、誰も怒らずに恥じらいながらもパンツ捧げてくれたのは、それだけ幸助がこれまで培ってきた信頼度のお陰なのでしょう。これがスケベ小僧な真似をずっとしてきたなら、最終的にパンツ捧げてくれるにしても一発二発ぶん殴られてもおかしくないわけですから。
このショーツダンジョンに関しては、どうしても欲しいものがあったためにみんなから嫌われるの覚悟でエッチなお願いをしてしまった幸助ですけれど、今回を除けばリュディたちと同居しているというシチュエーションにも関わらず、ラッキースケベどころか非常に女性陣に配慮した生活を続けてるんですよね。
強さに関してストイックなくらいの鍛錬中心の生活を送っている、というのもあるのですけれど、エロゲが元ネタという世界でありながら、幸助ってエロイベントに関しては積極的に首を突っ込もうとしない。そりゃ年頃の男の子なのだから、とびっきりにかわいい身近な親しい女の子たちの艶姿に興味ないわけじゃあないのですけれど、元ネタがエロゲであっても今登場人物の一人である幸助にとってはこれは現実の世界でもあるんですね。画面越しのゲーム内の女の子ではなく、リュディや雪音先輩は現実に顔を合わせ親しい付き合いをしている仲の良いリアルの女性であるのだ。そんな彼女たちが、エロイベントに巻き込まれて恥ずかしい姿を晒してしまう。それを眼にするのはごっつあんです、てなもんだけれど、相手が望まぬ恥ずかしい姿を見てしまうというのは現実には罪悪感や後ろ暗さを感じてしまうものなのだ。それが、起こると知っているイベントを見過ごして黙認してしまうのなら尚更に。
そりゃあ、イベントに巻き込まれないようにサポートもするし配慮もしますよ。友達なんだから。ともすれば、もっと近しい家族とも友達以上とも言える仲なのですから。
エロゲが元ネタのわりに、全然えっちいイベントとかシチュエーションが起こらないなあ、とちょっと微妙に思っていた所もあったのですが、現実にこの世界に生きている幸助のスタンスとして、その女性陣へのスタンスは納得も理解も出来るものだったので、これは仕方ないかー。
幸助のその誠実さが、リュディたちの信頼に繋がる一端でもあるのは自明のことですし。下心丸出しだったら、こうはいかないでしょうし。
ただ突発的なエロイベントはともかくとしても、ちゃんと恋愛パートは段階踏んで進展していって欲しいですね。現在のところは、幸助は最強を目指すことに一心不乱で恋だのなんだのは眼中にないようですけれど。
ヒロインたちの未来を守りたい、というプレイヤーとしての想いと、実際に身近に付き合っているリュディたちへの親愛からくる大切にしたい、という想いはあるんでしょうけれど、幸助自身が友人キャラという元の立場でヒロインを攻略する立ち位置になかったので、そういう考え自体が思い立っていないのかもしれませんが。
でも、リュディと雪音先輩、はつみ姉にななみの四人がどうやら幸助にとってのメインヒロイン、という事になるんでしょうね。クラリスやカトリナはサブヒロインという感じで。
そう言えば、本来の主人公である聖伊織も、幸助みたいなゲームの手順飛ばして枠外に飛び出すようなそれとは違うけれど、順調に本来のゲームのストーリーを踏襲しているようなので、誰かのヒロインルートに入ってるんだろうか。そのへん、詳しい情報はまだ出てきてないのだけれど、こっちはこっちでちゃんと進展していて欲しいですねえ。ちゃんと主人公らしくイイやつですし、良き好敵手となってほしいですし。いや、最強云々だけじゃなくてエロゲの主人公としても、ね。

これまで悪目立ちはしているものの、その時が来るまで雌伏するかのように準備を整えてきていた幸助だけれど、試験を機についにその規格外さをみんなに見える形でお披露目することに。
といっても単に目立ちたいから、というのではなくてゲーム攻略情報を元にした先着攻略特典目的だったわけですね。でも、それを達成することは幸助の実力を、ついに学園全体に見せつけることになるわけで。そうなれば、自然と周りには影響が出始める。その突出した成績に、混乱が巻き起こり「引きずられる」ものが出始める。良い影響も悪い影響も、どちらも含めて。
間近に幸助の努力と実力を見続けてきたリュディたちにとっては、刺激そのものでしょう。雪音先輩など、完全に精神面でも引っ張られて一足飛びに覚醒の予兆を見せていますし。
まさしくド派手な爆弾そのものでした。これは否応なく、学園全体の空気が変わるでしょう。台風みたいに、動き出す。その中心にいるのが今、幸助なのだ。その動向を、誰もが注視する存在になってしまった。そして、特典アイテムによってサブキャラという軛を脱することになった幸助。制限解除された、というべきか。自分を形作っていた檻から抜け出した以上、足踏みしているはずがこの向上心の塊みたいな男にあるはずがなく、際限なく突っ走りはじめるでしょう。そうなったら、もう学園全体が止まってはいられなくなる。ワクワクしてくるじゃないですか、物語が今まさに動き出した。一人の男によって引きずり回されだしたのですから。

作品そのもののギアが変わった感がある、ターニングポイントにも見える回でありました。うん、これは面白くなってきたぞ。と、人間関係も引っ掻き回しそうなゲーム主人公の妹、なるキャラも登場しましたし、恋愛パートの方でも何らかの動向があればよいのですが。



マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 2 ★★★☆   



【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる 2】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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愛するゲームヒロイン達をハッピーエンドに導く為に。不遇な友人キャラでありながら“最強”になる決意を固めた瀧音。チート主人公・聖伊織との出会いを果たし、遂にゲーム本編の舞台であるツクヨミ魔法学園に入学する。勝手知ったる美少女キャラ・そして新たな友人との出会いに胸躍らせる瀧音だったが、浮かれることなく貪欲に強さを追い求めていく。そして、ゲーム知識を活用し隠れダンジョンの深層へと潜るのだが…
「茶目っけ溢れるわたくしの、新たなご主人様は貴方―?」
待ち望んだ相棒との邂逅で瀧音のマジエク攻略は加速する!話題沸騰の転生魔術学園譚。入学、そして飛翔の第二幕!!
一巻では、この瀧音幸助、友人キャラを標榜しながらやってることはまんま主人公キャラそのもので、折角の友人キャラのポディション全然活かせてないじゃん! と、不満が溜まってしまったのですが、この二巻でゲーム本編の時期に突入した事により、ようやく本来の主人公である聖伊織が登場して幸助も友人キャラらしい立ち位置を享受するようになったので、なんとか脇役である友人キャラポディションからゲームに介入していくというスタイルとして安定してきたかな、と。
それでも、肝心の主人公な伊織がどうも主人公のくせに存在感が薄くて、特に目立つ事なにもしてない気がするんだけど。初心者ダンジョンでイベントバトル繰り広げてたみたいだけど、又聞きだしなあ。キャラクターも大人しいものだから、幸助のあの馴れ馴れしいくらいの友人キャラムーブに対しても反応が薄いし。ちゃんとヒロインな女の子キャラと仲良くなってるんだろうか。
幸助の方はメインにリュディと順調に同居生活を楽しみつつ、カトリナといったツンデレクラスメイトとも仲良くなり、と順調に交友関係広げてってるんですね。カトリナ、伊織じゃなくて幸助の方に流れてきてない、これ? 
それに、本来なら伊織が拾うはずのダンジョンで出会うメイドさん・ななみも幸助が先に拾っちゃうし。この娘、2Pキャラで伊織も拾えるんだろうか。
ともあれ、この天使なメイドさんがまたイイ性格したキャラで。最近もこの手のご主人さまを弄りにかかるフリーダムメイドキャラにはお世話になったばかりのような気がしますが、自分的には大当たりなキャラクターなので、なんぼでも来いってなもんである。
それに、一巻からリュディに並んでメイン級で登場している雪音先輩を差し置いて、このななみが2巻の表紙を飾ってるわけですから、その存在感たるや強烈なものがありました。ダンジョン攻略の相棒候補として、ななみをゲットした幸助ですけれど、相性ピッタリというか丁々発止のリズムがピッタリなんですよね。ただの戦闘の相棒だけではなく実生活から何から全部の相棒、パートナーをやってしまいそうな勢いで。これリュディはうかうかしてられないですよ?
一巻のはじめの段階では、俺は最強になるんだ! と勢いよく目標を立てながらもどうも地に足がついていないというか、「瀧音幸助」の目標目的としては下地のようなものがない、なんで最強になりたいのかという理由のない、中身のない目標のための目標だなあ、という印象があったのですけれど、一巻でリュディがテロに見舞われ彼女の厳しい立場や、今後ゲームの展開によっては過酷な状況に追い込まれるヒロインたち。彼女たちとゲームの向こうの存在ではなく家族同然の付き合い、友人としての付き合いで身近な人間として実感できるようになり、彼女たちを守るために、という中身の詰まった目標になってきたことで、幸助の言動にも「映え」のようなものが張りはじめたような気がします。
できれば、彼の鏡となるべき伊織の方も、もう少し存在感みせてほしいなあ。友達にしても好敵手にしても、もっとキャラが立ってくれないと相乗効果も発生しないですし。
それにしても、式部のベニート先輩、典型的な嫌な野郎で女性キャラからの評判も最悪に近いのですけど、やたら「人気がある」と幸助に語られるのはなんでなんだろう。ゲームプレイヤーからは妙に評価高いみたいなんだが、その根拠となる描写が肝心の本編からは全く伺えないので、妙に浮いた表現になってる気がする。
あと、ただのギャルゲじゃなくてわざわざ「エロゲ」と称しているのに肝心の18禁イベントはなんでスルーするんですかね? ガチのエロゲプレイヤーならイベントは100%コンプリートは基本でしょう!? もっとこう、エロゲの世界に居るという自覚と誇りをもって頑張って欲しいですね!!


ゴブリンスレイヤー 12 ★★★★   



【ゴブリンスレイヤー 12】  蝸牛 くも/神奈月 昇 GA文庫

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「ゴブリンってやっぱ雑魚だな! 」
棍棒剣士と至高神の聖女に白兎猟兵の一党は、活躍の場を広げていた。
だが、勝てない敵もいる訳で――。

「騎士に魔術師、神官、野伏とそろったらやる事は一つだろう」
女神官は、女騎士の発案で、魔女と妖精弓手の四人で冒険に出かけていき――なぜか砦の攻城戦に巻き込まれていた――。

「ま、簡単な仕掛だから」
水の街の仕掛人は、ヤクの売人の始末に向かい、死体に出会う――。

そしてゴブリンスレイヤーは再び槍使いと重戦士に誘われ――。

四方世界で紡がれる、十の物語。
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第12弾!
珍しく、というかシリーズ初なんじゃないだろうか。最初から最後までゴブリンをスレイしないゴブリンスレイヤーである。
短編集という形式なのか、それとも元のメンバーをバラけさせて、いつもと違うメンツで組んだパーティーでの冒険をそれぞれ綴ったオムニバス。
こうしてみると、ゴブスレさんのパーティー以外にも作品内で活動を続けている常連冒険者たちも増えたなあ。ベテラン古参たちは相変わらずなのだけれど、目覚ましいのは新米冒険者たち。いや、新米だった冒険者たち。おそらく一番の成長株な女神官ちゃんを除いても、新米だった若者たちの名称からその「新米」がいつの間にか取り外されてるんですよね。あの少年冒険者が棍棒剣士なんて名前になっているように……いや、これはこれで何気に酷い気がするけれどw 棍棒と剣の二刀流なので名は体を表すにちゃんとなっているのだけれど。
それでも、ネズミ退治でヒーヒー言ってたルーキーが、白兎猟兵をメンバーに加えて、聖女ちゃんと今や飛竜と追いかけっ子するまでに至っているのだから。この子たちは、古参連中に教えを請いつつも若い子たちだけで頑張っているのがまた成長譚という感じがして好きなんですよね。幼馴染の聖女ちゃんとちょっと突飛な兎人の少女という女の子二人とのパーティーというのも、男の子を目一杯背伸びさせる構成で、頑張る男の子がまた可愛いのだ。
あの捻くれ者の少年魔術師も、順調に真っ当に着実に、自分にできることをきちんと見極めてまっすぐ伸びている姿を見ることが出来て、うん……うん、じんわりと来るものがある。
女神官ちゃんは、妖精弓手と一緒に今度は女騎士と魔女先輩と一緒にガールズパーティーである。で、一番ガチの戦争に首突っ込んでいるのだから大したものだ。攻め寄せてくる混沌勢を食い止める砦に入って、兵士たちと一緒に籠城戦。この娘も戦塵を被っても怯まない貫禄が出てきて、女騎士や魔女先輩というメンツと並んでも臆さないぐらい、貫禄が出てきてるんですよねえ、大したもんだ。
そしてここ数巻めっちゃ推してきているらしい仕掛け人な密偵組。今まででも一番らしい「仕事人」なお話で、いや彼らってホントに必殺仕事人シリーズがモチーフですか? 密偵くんが元はオモテで脚光を浴びた一種のスポーツ選手みたいな感じの人だった、というのがアングラの人間であり闇を背負いながらもその心根に涼やかさがあるのに納得を覚える過去であり、そんな彼が今は殺しにも手を染める、という姿にピカレスクロマンの風情を感じるんですよね。相棒のチェンジリングの森人の少女とのコンビも、お互いを大切に思いながらも寄り添い合いながら闇に沈んでいくような退廃さを感じさせるものがあり、いつ死んでも躯を晒すことになろうともそれは当然だと受け止めている精神性と、同時に仲間を思いやり傍らの少女を想う優しさがまた、ダークな温かみがあってほんとこのチーム好きですわー。森人の少女が密偵の彼のためにタバコの火をつける道具を持ち歩いていて、彼がタバコを吸おうとすると、そっと寄り添って火を点けるシーン、最高に好きです。

王様は遊びに行けず、不憫なりw
女商人さん、何気に王様の行動を掣肘したりしてるの、もう商人の枠飛び越えて側近格として働ける知見を示してしまってやいないだろうか。

そして我らがゴブスレさんは、重戦士の旦那と槍使いの兄貴に引っ張られて、三人で依頼を受けた冒険に。上記のガールズパーティーとは裏腹の凄まじい男臭い三人組トリオパーティーである。しかも戦士戦士戦士という前衛三人という偏った構成。普通に考えても、おいおいおい、としか言えない構成である。ゴブスレさんが斥候スキル持ち、槍使いの兄貴が呪文も使えるという面はありますけれど、本職は戦士戦士戦士!w
ところが、この脳筋編成でまったく危なげないあたりが、彼らの銀級というクラスの凄まじさを改めて実感してしまう次第。能力的な強さじゃなくて、冒険者としての強かさ、熟れた判断力こそが彼らをして銀級というクラスを得ているのだなあ、と納得である。優秀、というのはこういうのを意味してるんだろうなあ……でも、脳筋なのは間違いないw
わりと会話が弾んでいるあたり、ゴブスレさんもこれかなり楽しかったっぽい。今回は本当に一からゴブリン関係なしの一から十まで「冒険」でしたからね。
しかして、一連の冒険者たちの「冒険」が全部混沌勢との戦いという「キャンペーン」であり、みんなが各地で動き頑張った集大成として勇者ちゃんたち三人のボス戦に繋がっているのは、今までもあったことですけれど今回は特に明確に作戦として描かれた絵図だっただけに、歯ごたえのある「総力戦」でありました。今回、いつもは快活に敵ぶっ飛ばす勇者ちゃんたちが本格的に死闘を繰り広げていたのが印象的。いつも楽勝、というわけではさすがにないのか。一番の切り札である彼女らを万全の状態で投入できたにも関わらず、これだけ苦戦だったというのは結構全体としてもギリギリだったのかもしれない。砦の攻防戦もけっこう瀬戸際な場面もありましたし。

ともあれ、最後がまた印象的なんですよね。シリーズはじまった当初は復讐に存在そのものがソめげられ、その頭にはゴブリンを殺す以外残っていなさそうだったゴブスレさんが、ゴブリンを殺すことだけがすべてであった彼が、ゴブリン退治だけが世界のすべてではない、それは当たり前のことだ。「当たり前」だと思い馳せるのである。彼はこれからもゴブリンを殺し続ける、それは変わらないしそれを務めであると引き受けているけれど、もう彼にとってもそれだけが存在理由じゃなくなっている。その事実を、彼の内面から実感できた最後のシーンは、うん彼の変化はもう随分と前からだけれど、改めて感慨深く感じさせてくれるものでした。




ゴブリンスレイヤー 11 ★★★★   



【ゴブリンスレイヤー 11】  蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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ゴブリンスレイヤー、砂漠《ゲヘナ》へ! !

「ゴブリン退治はもう飽きたっ!」
「なんじゃい、そんなら竜退治にでも行くんか?」
 夏、妖精弓手や鉱人道士が騒がしいギルドの酒場に、女商人が訪れた。
「お願いしたい冒険があるのです」
 砂漠の広がる東の国境にゴブリンが増えているらしい――。女商人は東国に商談に向かう護衛として、彼ら一党に同行して欲しいという。
「やはりゴブリンか。いつ出発する? 俺も行こう」
 文化の異なる砂漠の隣国、そこで待ち受ける残虐な罠、たまさか出会う砂漠の民、交錯する仕掛人。紅砂の先、彼らは邪悪な企みを知る――。
 蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第11弾!


砂漠の国のゴブリンスレイヤー。砂漠仕様の衣装を着込んでご満悦な妖精弓手は何とも保守的な森人らしからぬというか、そういう娘だからこそ森を飛び出てきたんでしょうけどね。
しかしゴブスレさん、国外遠征ははじめてだったのか。エルフの森ってあれ一応王国国内だったのね。人間の踏み入らない密林の奥へと進むのも冒険なら、馬車で隊列を組んで砂漠の海をゆくのもまた冒険。今まで自分たちがいた国では絶対に見る事が出来ないだろう外つ国の幻想的な光景を望み、異国情緒を堪能する。まさにこれが冒険。まさにアドヴェンチャー。ゴブスレさん、今まちがいなく冒険してるよ!
というわけで、相変わらずのゴブリン退治なのですけれど、それ以上に冒険者冥利に尽きる旅程でありました。砂漠に流砂は定番ですよね!!
今回のゴブリン退治の依頼は国絡みということでなかなかきな臭くはあったのですけれど、依頼を持っていたのがあの女商人という事は断る理由がないですね。こちらを見込んで、の事なわけですし。
久々に令嬢騎士から女商人にジョブチェンジした彼女を一党に加えての旅。前回はゴブリンへの復讐であり彼女自身精神的に不安定ということもあって落ち着いて打ち解けた雰囲気には成りづらかったのですけれど、今回は旅の合間もゆっくりとできる時間もあり、大事な依頼ということで緊張感はありつつも、女商人として成熟した彼女としても自分に親身になって良くしてくれたゴブスレ一党との旅というのは感慨もひとしおだったでしょう。重ねて交流を深めていたとはいえ、一緒に冒険の旅となるとまた違ったものがありますしね。
それに、お客様であった前回と違い今回は依頼人という体ではありますけれど、みんなからはパーティーの一員として迎えられている感があり、実際よく馴染んでたんだよなあ。女神官と妖精弓手と女三人で姦しいほどに仲良くキャッキャしていた様子は、実に微笑ましいものでした。女商人って若いけれど成人してると思ってたんだけど、女神官ちゃんは密かに妹扱いしてるのがなんとも。いや実際どっちが年上かわらかないんですけど、神官ちゃんは先輩のつもりなんだなあ。
元魔法剣士というだけあって、今でも剣腕は鋭く魔法もかなり強力なのをぶっ放せるだけに、鉱人道士たちが本気で一党に入らない?と勧誘するのもよくわかるんですよね。前衛後衛両方熟せるの、便利だし強力すぎる。まあこの一党、それが出来るの揃いで何気に凄い強パーティーなんだよなあ。
にしても、今回もゴブリン退治が目的だったとはいえ、これまでとひと味もふた味も違っていて本格的に国絡みの案件だったんですよね。ゴブリンはあくまで危うい動勢の中のわりと重要めな道具だったわけで。ゴブスレさんたちは一連の暗闘の中でそのゴブリンという道具を叩き潰して相手方の一手を失わしめ混乱をもたらすために遣わされた、という形になるのか。
そして、彼らは幾つも伸ばされた謀略の中の一つであって同時進行で他にも幾つも動いていたんですね。その中に、前回登場して私にとってもお気に入りになった必殺仕掛け人パーティーも参戦していて、ゴブスレ一党とすれ違いになるのが何とも妙味があって好きだわー、こういうの。
死して屍拾う者なし、は仕掛け人とか仕事人じゃなくて大江戸捜査網だけど、闇の仕事人の至言としてこれほど相応しくしっくりくる格好良い言葉他にないですよね。韻の良さといい、考えた人天才か。

今回はほんと、最初から最後まで吟遊詩人に唄われるような冒険譚でありました。妖精弓手も満足しきれるような。しかも、最後に出てきた大物ときたら何気に槍使いの兄ちゃんやらが泣いて羨ましがるような相手だったんじゃないでしょうか。ってか、疲弊しきった所で遭遇してあれだけ対抗出来るというのが凄いよ、ゴブスレパーティー。
冒険者に憧れながらもゴブリンへの憎悪によって憧憬に蓋をして閉じ込めていたゴブリンスレイヤー。今の仲間たちと組むようになって、ゴブリン退治は欠かさないものの恐る恐るかつて蓋をした望みをオモテに出すようになった彼だけれど、今回の冒険はまさにかつて思い描いて憧れ焦がれたアドヴェンチャーそのもの。密かに感動を噛み締めている彼の姿がなんとも染み入るものがありました。
良かったね、ゴブリンスレイヤーさん。


シリーズ感想

ゴブリンスレイヤー 10 ★★★☆   



【ゴブリンスレイヤー 10】 蝸牛くも/神奈月 昇 GA文庫

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春、ゴブリン退治の傍ら、葡萄園の警備をすることになったゴブリンスレイヤーの一党。その葡萄園は、女神官の育った地母神の神殿のものだった。そんなある時、女神官が姉のように慕う神殿の葡萄尼僧がゴブリンの娘だという噂が広がる―。周囲の心ない声に胸を痛める女神官、それに対し、迷いを感じるゴブリンスレイヤーはある決断を下す。
「たぶん…今日、明日はゴブリン退治はやれん」
「何をするにしても、頑張ってくださいね!応援、してますから」
街の影を走る闇の仕掛人が暗躍する中、小鬼殺しに手はあるのか!?蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第10弾!


今回はゴブリンがどうの、というより混沌勢力の静かなる侵攻という奴だったのか。出城とか何とか言われてたのは文字通り、侵攻作戦の足がかりみたいなものだったのね。その中で目をつけられていたのが牧場であり、そのために利用され貶められたのが地母神神殿だったということか。
以前、牧場がゴブリンの集団に狙われたのも偶々ではなかったのだろうか。そこで直接占領が失敗してしまったので、迂遠な計略に打って出た、と。
ゴブスレさんが本当にゴブリンを殺すしか出来ないバーサーカーならこの事態に対処なんて出来なかっただろうし、そもそも気づきもしなかったし気にもしなかったかもしれない。女神官と組み始めて2年が経った、という時間の経過をさり気なく今回は強調していたけれど、女神官から見てこの2年間で成長できただろうか、という自問自答だけではなく言外にこの2年間でゴブスレさんがどれだけ変わったか、どれだけ「人間」に戻れたか、というのも問いかけられている話だったんじゃないだろうか。
というか、お師匠様、ゴブスレさんにゴブリンを殺すための直接的な技術のみならず、裏社会との連絡のとり方とかそんな事まで教え込んでいたのか。半ば狂気に駆られてゴブリンを殺す事に全霊を傾けていた少年に、ゴブリンを殺すことに関係ないだろう技能や人脈を与えていたということは、果たしていつかこの少年が人に立ち戻る事を考えながら仕込んでいたんだろうか。前日譚はまだ読んでないので、実はお師匠さまについては全然知らないんですよね。ただ、これだけ見ているとホントに自分の後継者として考えていたんじゃないだろうか、と思えてしまうわけで。

自分に出来る範囲のことをやる、それ以外は出来る他人に任せる。この他人に頼る、というのは以前の牧場襲撃の時に新たに踏み出した領域だったように思うのだけれど、今回はゴブスレさんさらに踏み込んで新たなあるき方を見出した感じでありました。
その上で、大きな動きとして混沌勢力の侵攻に対抗する動きが生じる中で、自分はゴブリンを殺す、という役割を請け負うあたりがホントこのひとらしくて安心できるのですけれど。

一方で、今回の女神官ちゃんは姉役の葡萄尼僧が貶められて珍しくネガティブな感情に駆られて普段見ない側面を見せてくれたのですが、拗ねたり怒ったり憤激したりするのも可愛らしいというのはさすがである。酔っ払っての暴れ方がまた、ねえ。何だかんだと付き合って宥めてくれる妖精弓手がほんとイイ友達してるわー。
そんなゴブリンと関係ない問題で困り果て苦しんでいる仲間の姿に、あれゴブスレさんめっちゃ困ってましたよね。いつもどおり寡黙に無関心に見えつつ、受付嬢さんなどからもせっつかれたりして、どう動くべきか思いつくまで狼狽えるとまではいかないまでも、落ち着かない様子で結構悩んでいたように見えるんですよね。それがまた終わってみれば微笑ましい。

さり気なく、勇者パーティーを含めてかなりの大人数がこの混沌勢力の密かな浸透に対抗するために動いていたようで、大概チラッとしか登場してませんでしたけれど一応オールスターキャストだったんじゃないかしらこれ。見習い連中が段々と一端になってきているのがまた微笑ましい限り。
勇者ちゃん、普段は正体隠してうろついているのか。一瞬、槍使いの兄ちゃんと話しているの誰か気づかなかったよ。この勇者ちゃん、ほんといい仕事しているというか、まさに伝説的なバトルを繰り広げているにも関わらず、自分だけが戦っているわけじゃないという自覚を持って、事前準備してくれている人や、自分たちの手が及ばない所で活躍する縁の下の力持ちたちを凄くリスペクトしているので、安心できるし頼もしいんですよね。この勇者パーティーが頑張っている限り、一番ヤバい所は大丈夫だ、と思えるわけで。あまり関わり合うことはないけれど、最底辺でゴブリンを狩り続けるゴブスレさんとちゃんと互助関係になってるわけだ。何気に最初にゴブスレさんたちが探索したところが、結果として勇者パーティーが突っ込まなきゃいけない場所だったわけで、彼らがゴブリン退治のために探索して情報を持って帰ったことが、勇者たちによる混沌勢力の撃破に繋がってるわけですしねえ。
また、さらにアングラに沈んだ場所でもギルドに属さない「ならず者(ローグ)」たちの活躍があったりするわけで。ゴブスレさんの依頼によって動いていたローグパーティーがまたちょい役にも関わらず、魅力的な面々だったわけですよ。特に若き密偵とエルフ少女のコンビが初々しくて! あのエルフ少女ってばローグにも関わらず悪擦れまったくしてなくて健気というか密偵の少年への信頼の寄せ方がメチャクチャ可愛かったんですよね。脱出の際にギューッと男の子にしがみついて身を任すシーンなんか、色々とたまらんかった。この闇の仕掛け人チーム主人公の物語が読みたくなるくらい、でありました。

シリーズ感想

マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる ★★★   



【マジカル★エクスプローラー エロゲの友人キャラに転生したけど、ゲーム知識使って自由に生きる】 入栖/神奈月 昇 角川スニーカー文庫

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ヒロイン攻略×魔術無双――憧れのゲーム世界で誰よりも自由に!

"伝説の美少女ゲーム"『マジカル★エクスプローラー』。 俺はこのゲームでチートなスキルを持つモテモテの主人公!……の横でへらへらと笑う不遇な友人キャラに転生していた。
だけど俺にはこのゲームをやり込んだ知識があるから、完璧な立ち回りをすればヒロイン達の好感度をMAXにすることだって出来る筈!
更にこのキャラには"世界最高の魔力量"という隠れチート性能や唯一無二の特殊能力も備えていて――。
「それなら友人キャラなんて役割放棄して、好き勝手に生きてやるか!」
前世のゲーム知識使って、新たな人生を完全攻略! エロゲ世界を自由気ままに謳歌する転生魔術学園譚!!
友人キャラ?
いや、友人キャラという不遇なポディション(エロゲの友人キャラが一概に不遇キャラという訳ではないと思うのだけれど)から脱却するためにあれこれ頑張る、というのは実際にそのキャラに憑依だか転生してしまった身としては当然の行動指針ではあると思うのだけれど、結果としてこの音瀧幸助がやってる事ってまんまエロゲの主人公キャラの境遇そのものなんですよね。女性だけしかいない家に養子で入って家族になる一方で、メインヒロインと同棲する事になるわ、先輩キャラと一緒に修行する事になるわ。まんまエロゲの主人公そのままの立場に立っちゃうわけですよ。それって、わざわざ友人キャラなんてポディションで始まる意味があるんだろうか、とちと首を傾げてしまった。スタート地点から主人公キャラの境遇に収まってしまったので、幸助が語る本来の友人キャラ幸助の不遇さをどれだけ力説されても、本来はそういう設定だったのね、というだけで終わってしまって、今この作品の主人公である幸助が不遇な友人キャラという立場から努力を重ねて脱却した、というわけではないので何とも実感が湧かないんですよね。
それなら、最初から主人公キャラに転生した、というのでも何も変わらなかったんじゃ、と思えてしまうわけです。彼のピーキーな能力も決して主人公らしくない、というようなものでもないですしね。むしろ、そのピーキーさこそが主人公キャラらしくないですか?
そうした折角の友人キャラという立ち位置を何ら活かすことなく主人公キャラムーブをはじめてしまった点を除けば、オーソドックスなノベルゲーム的な異能力ものハーレムバトルものという感じで堅実な面白さを備えていると思うのです。メインのリュディなんか、そもそもメインヒロインだったのもあって気の強いお姫様キャラとして貫禄の存在感を示していますし、幸助のあのストールを使った自在な攻撃法はシンプルに面白いですし。
でも、元々のゲームがバトルシステムの方も充実したアクション系のゲームであった事からキャラそれぞれに特徴的な戦闘力が備えられているわりに、肝心の戦闘シーンが幸助の単独の戦闘シーンばっかりでヒロインとの連携なども殆どなかったのは、ちと面白味に欠けたかなあ。結局、幸助ばっかりでしたし。エロゲらしい、欲望全開のイベントはコメディタッチもあってなかなか笑えましたけど。

ともあれ、普通のエロゲ主人公に転生モノ、という風情の現状ですけれど、これも本来の主人公である伊織の登場で流れが変わってくるのでしょうか。一見して伊織くん、優しい風貌のいいヤツそうなので上手いこと二人主人公の相乗効果になったら面白そうなんですけどね。

ゴブリンスレイヤー 9 ★★★★  



【ゴブリンスレイヤー 9】 蝸牛 くも/神奈月 昇  GA文庫

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ただの配達。ゴブリンスレイヤーですら、そう思っていた。牧場の手伝いで配達に出たゴブリンスレイヤーは牛飼娘とともに、ゴブリンの大群に待ち伏せされる。それは、ある祈らぬ者の策謀だった!一方、ゴブリンスレイヤー不在の一党は、見習聖女の託宣より、雪山を目指すことに。そこは、氷の魔女の統べる永久の冬の領域だった!包囲された雪の廃村で、牛飼娘を守り、孤軍奮闘するゴブリンスレイヤー。彼不在の中、女神官は、ゴブリンではない怪物たちの脅威と対峙し、一党の行動を決断していく―。「―手は、あります」蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第9弾!

表紙絵の受付さん、今回全然関係ないじゃん! 前々回に牛飼娘を表紙に抜擢してしまったが故のミスマッチ。今回こそ牛飼娘メインヒロイン回だったのです。いっそ新米戦士と見習聖女のコンビでも良かったのに。
というわけで、ゴブリンスレイヤーさんと牛飼娘とのふたり旅。この世界、幾ら何でもゴブリンとの遭遇率が高すぎやしませんかね!? ゴブリン退治の依頼抜きで別の依頼を受けても普通に配達に出てもゴブリンに遭遇するゴブスレさんである。特にゴブスレさんだけ遭遇率が高いというわけでもなく、万人総じて遭遇するわ、村が幾つも滅びているわ、とこの世界の環境が過酷すぎる、いまさらだけど。
この場合、ゴブスレさんが一緒についてきてくれていたことこそが幸いなのか。馬車と馬を失ってしまったの、地味に痛い損失な気もするけれど。馬車も馬も一財産なだけに、普通の農家だと一気に家計悪化してヤバイことになりそう。幸いにも、ゴブスレさんが相応に稼いでいるはずなのでこれは本格的に婿入りしてもらうしかないですね(完結)。
ともあれ、ゴブスレさんとしても戦えない人間を抱えながら戦うのは……いや、ゴブリンに捕まっていた女性なんかを助けて逃げながら、というシチュエーションはこれまでもあったかもしれないけれど、ゴブリンを殺すための戦いではなく失ってはいけない大切な人を護りきるための戦い、というのはゴブスレさんからしてもはじめての体験だったのではなかろうか。
ゴブリンスレイブマシーンと化していた頃のゴブスレさんだったら、果たしてこのシチュエーションを乗り越えられていたかどうか。きっちり切り替えて牛飼娘の安全を最優先に、そのためには自分もまた死んではならない、行動できないほどに傷ついてはならぬ、という縛りは新たに出来た仲間たちとの冒険の経験、自分に出来ることと人に頼ることの範囲を経験し体得していなければ、かなり危なかったのではなかろうか。彼の発想の豊かさの方向性はひたすらにゴブリンの殺し方、の方面に特化していたとも言えるので、それを二人で生き残る方向、牛飼娘を守る方向へと転換するのはいきなりでは出来なかったんじゃないか、と思えるのだ。これもまた、仲間たちの影響だろう。
翻って、ゴブスレさんの影響を深く受けてしまっている人もいるわけで。新米戦士と見習聖女のコンビもまた、基礎的な事とはいえゴブスレさんから教えを受けて、それを元に成長を続けているわけで。今回のゴブスレさん抜きのいつものメンバーに助けてもらって秩序神の託宣に従う冒険に向かうの、冒険者たちの横のつながりがホントしっかりしてきたのが見て取れて、思わずニマニマしてしまいます。
って、今回の見所は女神官でしょう。この人こそが良くも悪くもゴブスレさんの影響を色濃く受けてしまった最たる人で。そりゃ、冒険者になってからの殆の期間をゴブスレさんと行動し、ゴブスレさんのやり方を見続け体験し続けてきたわけですから、それ色に染まっちゃいますわなあ。
でも、この濃いメンツの中でリーダーシップを取って、というのは彼女自身の資質なんですよね。ごちゃごちゃ言わずに信頼して任せてくれる仲間たちだからこそ、とも言えるのでしょうけれど、女神官も頼れる仲間相手だからこそオーダーに遠慮がない、とも言えるのですけれど、色々と作戦を考えるだけではなく、判断し決断し選択肢を選んでパーティーを導いていく、というのは生半なことじゃないはずなんですよね。立派になったなあ。決め台詞が「策はあります」なのは、染まりすぎ、と思わなくもないですけど。
逆に言うと、この娘はもうゴブスレさんから独り立ちも出来るんだろうな、とも思えるんですよねえ。彼がいなくても立派にやっていけるだけのものを積み上げてるんだなあ、と。ヒロインから段々と主人公の方へとスライドしていっている感じが微妙にしなくもなかったり。

とはいえ、やっぱりここぞという時に危機一髪、パーティーが助けに現れるというシチュエーションは燃えます。ゴブスレさんが笑い、ゴブスレさんが冒険者を自認する。変わったものです。本当に、良き方へと変わったものです。

締めの方で、新米戦士と見習聖女のコンビに新しいメンバー白兎猟兵が加わって、新パーティーが出来上がったのもまた、なんとも微笑ましいことで。ってか、白兎くん女の子だったのか。順調に主人公ルートに入ってるな、この男の子も。


シリーズ感想

ゴブリンスレイヤー 8 ★★★☆  



【ゴブリンスレイヤー 8】 蝸牛くも /神奈月昇  GA文庫

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「来てしまいました」
そう、彼女は言った。
辺境の街のギルドにやってきた至高神の大司教――剣の乙女は、ゴブリンスレイヤーたち一党に王都までの護衛を依頼する。街道には、狼に乗ったゴブリンが群れているという。

一方、王都では霊峰に天より火石が落ちてきたことで、災厄の兆しが囁かれていた……。
一党が訪れた時に起きる事件は、《宿命》か《偶然》か。その行方は、最も深き迷宮、最果ての深淵、死の迷宮《ダンジョン・オブ・ザ・デッド》へと連なってゆく――。

「もし四階より下へ行くのなら……帰っては来れませんから」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第8弾!
「来ちゃった♪」ってそれ、今から修羅場はじめます、な号砲セリフなんですけど!?
幸か不幸か、そのセリフを意図的に解釈するような人は居なかったのですけれど、剣の乙女さまのあの凄まじい秋波はなんなんですかね!? ゴブスレさんに好意を示す女性陣は何人かいますけれど独占欲めいたものを見せた人は居なかったんですよね。そこはそれ、正妻として牛飼娘さんがどーんと君臨しているのもありますし、女神官も受付さんも好意はMAXなんだけれどあんまり女性としての自分を押し出して気を引こうみたいな考えは見せてこなかっただけに、剣の乙女さんのあの若干ドロっとした粘度のある秋波はいっそ新鮮ですらある。あれで、決して意図的に色気出したり秋波送ったりしているわけではなさそうなあたり、生々しいんですよねえ。
かと言って、彼女もゴブスレさんを男として求めているのかというと、これもまたどこか違うようにも感じられるわけで。ゴブスレさんは、彼女にとっての極々個人的な救世主であり、特別な存在として崇めている……というのも少し違う気もするのだけれど、心酔している?とでもいうのだろうか。そこまで栃狂ってるわけでもなさそうだけれど。ともかく、特別な存在として自分を守ってくれる存在として強く強く意識してるんですよね。
ただその特別視って、彼がゴブリンを殺すものであるという点に寄与しているのであればゴブリンスレイヤーさんはかつてのただただ純粋にゴブリンを殺すだけのモノであった頃に比べると不純物を多く内包し出しているのも確かなんですよね。
今回だって、ゴブリンを殺すこと以外でただの冒険を楽しいと感じているというのを素直に吐露していますし、戸惑いながらもいつものパーティーを自分の仲間たちと紹介し、自分が受けた依頼を一緒にこなしてくれるのを頼みにいくことに疑いを抱かなくなっていますし。
それは、ゴブリンスレイヤーにとって成長なのか、退化なのか。
果たして剣の乙女さまが、ゴブスレさんと牛飼娘の仲睦まじい様子を見て何やらドロドロとしたものを胸の奥で滾らせていたの、あれを単なる女の嫉妬心や独占欲から来る負の感情のようなものと捉えていたんだけれど、もしかしたらもっと純粋な不安感からくるものだったのかもしれないとふと思ったのでした。
ただひたすらゴブリンを殺すシステムとして純粋に昇華された存在にとって、日常やその側に寄り添う存在なんてものは不純物であり、剣の乙女に安息を与えてくれるはずのゴブリンを殺すモノがその在りように鈍りを生じさせているのではないか、という彼女自身意識して考えているわけではない無意識の中から生じた不安感から滲み出たネガティブな感情だった、という想像も叶うわけで、そうだとしたら未だ彼女の歪みは彼女を押し潰していることになるのだろうか。
でも、最終的にこの巻で彼女、剣の乙女は他力本願ではなく、自分の意志と勇気を以ってゴブリンへの恐怖に立ち向かってるんですよね。
かつてゴブリンに蹂躙された傷を抱えながら、新たな道を歩みだしていた令嬢剣士の再登場。見違えたその立派な姿は、傷は癒えずとも心破れたままでも、人はその傷の上に新たな自分を築き上げることが出来るのだと証明しているようで、人の強さというものを改めて感じさせてくれる。
剣の乙女もまた、令嬢剣士のその姿に思う所あったのだろうか。事情を知らぬ人たちに追い詰められてしまった瀬戸際に、ヒーローのように現れて恐怖からすくい上げてくれたゴブスレさんのその姿に、これまで抱いていた以上の何かを感じ取って得ることができたのか。
いずれにしても、大きな挫折を経ながらも前に進む人たちをこうして見ることが出来るのが心地よい。
女神官ちゃんも理想の女性像に追いつける気がしなくて悶々とし、また思い入れある鎖帷子を盗られて泣きじゃくり、と久々に年相応の幼い弱った姿を見せてくれたことが、逆に彼女の成長を感じさせられて良かった。おっかなびっくり女神官慰めながらお姉さんぶってる妖精弓手のお嬢ちゃんがまたこれはこれで微笑ましかったのですが。この娘、根っからの妹気質なだけにこうしてお姉さんぶってる姿がなんか可愛らしいんですよねえ。
ダンジョン探索の初体験が旧ラストダンジョン、という初物にしてはレベルが高すぎるところに潜ることになってしまった女神官。相手はゴブリンとは言え、場所が場所だけに今回も緊張度高かったのですけれど、なんか最近わりとゴブリン相手でもギリギリというかボロボロになることが多い一行である。今回なんてほんと絶体絶命の大ピンチでしたし。どれだけレベルが高く、連携がとれるパーティーとなっても、相手がゴブリンであっても、一つ間違えれば全滅するという緊張感が未だに衰えないのはすごいなあ、と。
すごいと言えば、勇者ちゃん、なんかすごいのと戦ってたんですがー。それ、邪神じゃないんですか、邪神!? あの勇者ちゃんの天真爛漫で天衣無縫でありながら、物事の要の部分をよくわかってる聡明なキャラクター、最近特に好きになってきてしまいました。
あと、国王陛下、なに暴れん坊将軍してるんですかー! ノリノリすぎる、この陛下。妹ちゃんの暴走の一因って絶対この兄だよね!?

シリーズ感想

ゴブリンスレイヤー 7 ★★★☆  



【ゴブリンスレイヤー 7】  蝸牛くも/神奈月 昇 GA文庫

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「結婚することになったみたい」故郷からの報せを受け、そう呟いた妖精弓手。かくして一党は、森人の里に行くこととなった。またその旅には牛飼娘と受付嬢の姿も―。一方、ゴブリン退治のおりに発見された石版をゴブリンスレイヤーから託され、剣の乙女は鑑定を行う。「古い…とても古い文字ですわね」川を上り、森人の里を目指す一党だが、現るは小鬼の影…。さらに森人の里には、密林の奥に潜むと言われている、古きものが現れるという事件が起きていた―。蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第7弾!

密林の奥に古代獣の影を見た! 激流を下る探検隊に立ちふさがる謎の原住民の襲撃! 誰も踏み入ったことのない河の源流に古代遺跡を発見!
と、エルフの里への帰郷行のはずが、完全にノリが某バラエティの探検隊番組か古い冒険映画な感じでした。
エルフの森って、欧州の深い森というイメージでアマゾンやアフリカの密林ってイメージではなかったはずなのですが、モケーレ・ムベンベの登場で思いっきりそっちに首抱えられて持っていかれたような勢いで。
考えてみると、筏で急流を下っていると両岸からゴブリンたちが襲ってきたり、犠牲者たちの串刺しトーテムポールとか完全に人食い原住民の襲撃を受ける、というノリですし、今回牛飼娘と受付嬢の非戦闘員も一緒に同行していたところなんぞ、秘境探検映画では特に戦えるわけではないヒロインの若い女性が一緒についてきていたり、というのはあるあるネタですし、そんな若い女性が探検行の途中で水浴び!というのはもうお約束もいいところですし。
今回はもうゴブスレ探検隊!で良かったんじゃないですかね!?
さすがに、肝心のエルフの里はちゃんと一般的なエルフの里してましたけれど。良かった。
エルフの中でも変わり者であろう妖精弓手と違って、普通のエルフはやっぱりプライド高くて異種族嫌いで、という評判はあるようでしたけれど、こうして訪ねてみると何だかんだといい人ばかりで、最初は居丈高だった妖精弓手の義兄となるエルフも、すぐに良い人っぷりを晒してくれて、というか弓手とその姉に二千年に渡って振り回され続けた苦労人、という風情が滲み出てしまっていましたね。妖精弓手の奔放っぷりに苦言を呈す鉱人のおっさんと意気投合してしまってたのが、なんとも微苦笑を誘われました。
この妹をしてあの姉あり、というわけで自由な妹に対して落ち着いたお姉さんという登場でしたけれど、中身はあんまり実は大差もないようで、義兄さんもこうなるとよくプロポーズ出来ました、と誉めたくなるところであります。しかし、金床な妹に対してお姉さんの方はご立派なものをお持ちで。
あれ、妹の方は本当にまだ成長過程なんだろうか。エルフ的にはまだ本当に少女みたいだし。
ただ、少女であっても自由奔放さは失われていなくても、外界で様々な経験を経た妖精弓手は大人、とは言わずとも、悠久を生きるという意味を噛み締めて飲み下すだけのものを得てるのでありましょう。
いずれ味わうことになるその意味の苦さ、辛さを想像して、しかし飲み込むだけの決意を。定命の者たちと、最後まで付き合って寄り添って見届ける決意を。彼女はちゃんと考えた上で受け入れている。それは今の楽しさに引きずられているだけで、実際に経験した時に崩れ落ちてしまう可能性はあっても、一つの大人への階段の上がり方であり、成長と言えるはず。
森の中に居るだけでは、得られなかったもの。ただ自由なだけではない、自由に伴う責任を自覚したもの。お姉さんが心配しながらも目を細めるというのもわかるというものです。

さて、結婚式への出席というイベントにも関わらず、やっぱりやることはゴブリン退治。同じゴブリンとはいえ、密林の奥地に潜む謎の原住民的ゴブリンのボスと言ったら、やっぱりシャーマンだったりするのは当然のこと。ここまで人里離れていると、ゴブスレさんがやりたかったかなりド派手な巣穴ぶっ壊しイベントも好き放題できるわけで、ゴブスレさんとしても大満足だったのではないでしょうか。
とは言え、相手がロードとかチャンピオンという強敵でなくても、状況次第で或いはサイコロの目次第であっさりと全滅してしまうのがこの世界の冒険というもの。今回も僅か一手で絶体絶命に陥って、これ先の水の都の一戦に匹敵する今まででも有数のピンチだったんじゃないでしょうか。
それを覆したのは、神官少女の思わぬ奇跡の使い方でありましたが、さすがにあれは神様から怒られたかー。本来の奇跡の使い方とは違うを通り越して正反対すぎましたもんね。さすがにゴブスレさんに毒されすぎたというべきか。信仰の力の使い方としては、許されないものでありました。
でも、一回はちゃんと効果を発揮するのを許し、次からは許しませんよと警告を発してくれて、その後は咎めなしとペナルティ無しで許してくれる慈愛神さま、マジで優しいです。
これは信仰心も増しますわー。

シリーズ感想

ゴブリンスレイヤー 6 ★★★★☆  



【ゴブリンスレイヤー 6】 蝸牛くも/神奈月 昇 GA文庫

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「ゴブリンを退治したい、それ以外はしたくない、と言っていて……」
「一党は?」
「ないみたいです」
「馬鹿げている」
新たな冒険者希望者の集まる春。ゴブリン退治だけを希望する魔術師の少年が受付嬢を困らせていた。
一方、辺境の街から少し離れた場所に、冒険者訓練場が建設中。そこには、かつて村があったことを、ゴブリンスレイヤーは知っていた――。
「ゴブリンをぶっ殺すんだ! 」
少年魔術師らと一党を組むことになったゴブリンスレイヤーたちはゴブリンの跋扈する陵墓へと向かう。
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第6弾!
ゴブスレさんが男連中と飲みに行くなんて時代が来るとはなあ。あのゴブリンゴブリンしか口にしないしそれ以外何も考えていない、考えられない破綻者だった男が。そう思うと、感慨深いなんてものじゃないですよ。
槍使いと重戦士の二人もまあ、ゴブスレさんを飲みに誘うとかいい連中なんですよね。なんというか、タイミングが素晴らしいというべきか、誘うべき時を弁えていたというべきか。男同士、腹割って自分の苦い部分や遠くなった夢を打ち明け合うとか、渋い飲み方じゃあないですか。ゴブスレさんんなんか、一緒に呑む相手としちゃあ面白くも何ともない人間だと思うんですけれど、こういう風に分かち合う呑み方は「戦友」というものを感じさせてくれて、噛みしめるものがありました。
鉱人道士や蜥蜴僧侶も粋な男たちだけれど、辺境のトップ冒険者たちはみんなこう粋で気持ちの良い連中なのがいいよなあ。
冒険者訓練所なんか、あれ引退した冒険者が指導のメインを努めているようだけれど、現役連中も積極的に手伝ってるんですよね。普通ならそんなん知らんわー、なんだけれど。槍使いの兄ちゃんは訓練所できる以前から初心者連中によくかまってましたし、その意味でも面倒見いい人達多いんだよなあ。
それだけ、周りを見ることが出来て周りに手を差し伸べることの出来る余裕のある人だけが、生き残ってトッププレイヤーになれるのだ、と言えるのかもしれませんけれど。
その意味では、ゴブスレさんもゴブリンだけではなく自分を支えてくれる人たちを認識できるようになり、その上でゴブリンを殺すだけではなく自分もまた誰かを支えられる人間であるというのを無意識ではなく、ちゃんと意識して考えられるようになった、という時点で本当の意味で銀級に至ったのではないでしょうか。以前から言葉足らずとは言え、周りに気遣う優しい人であったのは間違いなく、だからこそ受付嬢はじめあれだけおかしくなっていたゴブスレさんを見守っていたのではありますけれど、意図して女神官のリーダーデビューを手伝ったり、自分と同じゴブリンを殺すだけの人生を突き進もうとしていた少年を、違う道へと導いたりなど積極的に人と関わり合いになりだしたのは、まさにこの一年の女神官たちをはじめとする仲間たちと冒険……「冒険」をするようになってからの変化であったのでしょう。
そうなんですよねえ。ゴブスレさんもちゃんと「冒険者」になれたんですねえ。
自分の代わりに夢を追う旅に出た少年を見送るゴブスレが、声を上げて笑ったシーンは、なんか胸が震えるものがありました。
しかし、若い連中もなんというか……若いなあ、というか青春してるなあ、というか。新人は新人らしく拙いながらも懸命に頑張っている姿が、なんとも尊いです。
ってか、カップル率が凄いな、新人ども! まあ、ゴブスレさんにもあいつの嫁かと聞かれて即答で「そうだよ」とか言っちゃう幼馴染がいる時点でアレなんですけどね。アレなんですけどね!

シリーズ感想

ゴブリンスレイヤー 5 ★★★☆  



【ゴブリンスレイヤー 5】  蝸牛 くも/神奈月 昇 GA文庫

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「…………取り戻さないと」
「……何を、ですかな」
「すべてを。喪った物を、すべて」
ゴブリン退治から消息を絶った令嬢剣士を探して欲しい――剣の乙女の依頼を受けて、北方の雪山に向かうゴブリンスレイヤーたち一行。

しかし、襲撃される寒村、謎の礼拝堂、今回のゴブリンの群れに違和感を覚えるゴブリンスレイヤー。
「……学習した、だと?」

仲間の痛手を越えて洞窟探索を終えた一行は、あるものを見つける。
「外なる、智恵の神。覚知神……」
何者かに統率されたゴブリンの巣くう古代の砦にゴブリンスレイヤーたちが挑む!
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第5弾!
ゴブリンにも色々いるもので、種としてこれだけ多様性を有していて、成長の余地があるのならこれはこれで脅威ですよなあ。
今回のゴブリン。小鬼聖騎士か。これ、見方によっては「国」と呼ばれるに足るものを形成しようとしていたとも取れるわけで、果たして発見が遅れて放置が進んでしまっていたらどうなっていたのか。
もっとも、ゴブリンの社会生物としてのポテンシャルは、少なくともこの作品の世界観におけるゴブリンだと非常に低いので、とても高度な組織が複合して成り立つ国家なんぞ作る前に破綻してしまいそうだけれど。
運悪く、経験不足も相まってゴブリンの群れに蹂躙され消えてしまう初心者パーティーは珍しくなく、シリーズ冒頭の女神官が初めて所属したパーティーにはじまり、作中でもなんぼでもそんなのは出てくるのだけれど、今回登場した令嬢剣士はそのまま人間として壊され潰れて消えてしまうような人ではなかったわけだ。
その身と心に受けた傷を怒りと憎悪に転換し、復讐の鬼と化した令嬢剣士。その姿はまさにかつてのゴブリンスレイヤーに瓜二つ。そうなんだよなあ、かつてのゴブスレさんはゴブリン殺すゴブリン殺すしか言わないゴブリンを殺すためにだけ生きている破綻者であったのだけれど、今となっては隔世の感がある。それだけ、ゴブスレさん人らしくなってるんですよね。ゴブリンに執着しながらも、そこには狂気ではなく理性が宿り、その怒りと憎悪からもドロドロとした汚泥のようなものが拭い去られて、正しき怒り、みたいな感じへと変化していることが伺い知れる。
そんな風に彼を変えるに至ったのは、やはり今のパーティーメンバーたちなんですよね。女神官、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶の四人、初登場時から変わらぬキャラクターなんだけれど、今回最初期ゴブスレさんモドキと化してしまっていた令嬢剣士と共に行動することになったことで余計に彼らの人間性が浮き彫りになった気がするんですよね。触れればすぐさま爆発する張り詰めた風船のような有様になっていた令嬢剣士への接し方と、それを見守る女神官とゴブスレさんの想いの汲み方を見ていると、「好漢」という言葉が思い浮かんでくるのです。心根に淀みのない、ほんと気持ちのいい人達なんだよなあ。ゴブスレさんが人間に戻されてしまったのもよく分かるというものです。
彼には牛飼娘や受付嬢など、変えるべき場所戻るべきところを司る娘さんたちがいたおかげで毎度人の世界には戻ってこれてはいましたけれど、ゴブリンを殺す現場においてはやはり狂気に身を浸していたはずです。そんな現場において人の温もりや打てば響くような粋を与え続けてくれる人たちが仲間として居続けてくれるという影響のどれほど大きかったことか。今や、ゴブリン退治ですら一人でやるのではなく、一人では出来ない皆の力を借りてやる方法を自然に優先的に考えるようになった、というだけでもそれが感じ取れるのではないでしょうか。
かつての初冒険の時のトラウマを乗り越えるように、甲斐甲斐しく令嬢剣士に接する女神官。彼女の押し付けがましくない優しさも相まって、人でなくなっていた令嬢剣士が人間の心、人間の在りようを取り戻していく様子には感慨深いものがありました。令嬢剣士のゴブリンに何もかもを奪われた、その象徴でもあったろう魔剣の奪還に、ゴブリンを殺す以外のところでゴブスレさんが優先して取り組んでくれたところなんぞ、この人の不器用な優しさが伝わってきて、いやあもうイイ人たちだなあ、としみじみと。
結構戦力的にも編成的にも令嬢剣士ってこのメンツの中でも良いハマり方をしそうなので、ちょくちょくでも再加入してくれても嬉しいなあ。何気に妖精弓手と女神官との女型優肇螢でうまくまとまれそうですし、男女比的にもバランスよさそう。

シリーズ感想

ゴブリンスレイヤー 3 ★★★   

ゴブリンスレイヤー3 (GA文庫)

【ゴブリンスレイヤー 3】 蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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「ところで、ほら、えと、明後日、収穫祭が、あるじゃないですか――予定、空いてますか?」
「……ゴブリン」
「あ、ゴブリン以外です」

秋、辺境の街は収穫祭を間近に控えていた。
そんな中、神殿の仕事で忙しそうな女神官、ある出来事で拗ねる妖精弓手、
祭の準備に参加する鉱人道士、蜥蜴僧侶と、それぞれの日常を過ごす冒険者たち。
そしてゴブリンスレイヤーもまた“日常"を過ごしていたのだが……。

依頼の減るゴブリン退治、現れる三人の来訪者、祭の裏で暗躍する計画とは!?
「素人め、教育してやる」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第3弾!
妖精弓手ちゃんが2000歳というわりに落ち着きがなさすぎて、2000年間何してたんだ。という以前に2000年はさすがに盛りすぎでしょうに。たとえ2000年でもフラフラ過ごしてたらこれくらい若々しいままで居られるんだろうか。ただ、他の娘さんたちと違って焦ることなく、ただゴブスレと冒険したい冒険したい、という点に無邪気に集約しているのは彼女の時間感覚によるものなのかもしれない。
一方で、人間の娘さんたちは早々余裕ぶっているわけにもいかず、さりとてガツガツ行けるほどの性格をしていない彼女たちの中で、受付嬢が毅然とデートの約束を取り付けてみせたのは、ひとしおの勇気だったんじゃないでしょうか。ただでさえ幼馴染で生活も重なる牛飼娘や冒険仲間である女神官と違って、接点がギルドの受付しかないわけですから。
それにしても、お祭りの午前は牛飼娘と。午後は受付嬢とデートって、なんやねんゴブリンスレイヤーw
そのうちゴブリン以外にも刺されるぞ。
当人は相変わらずゴブリンゴブリン、と見せかけて普通の会話や当たり前の思考が通じるようになってきてるんですよね。お祭りの準備期間中もゴブリンに備えてあっちで罠を作り、こっちで仕込みを、とひたすらゴブリン相手に動き回ってはいたものの、頭の中全部ゴブリンで埋まっていた初期と比べても、本当に普通の人間っぽくなってしまったゴブリンスレイヤー。
彼の在り方が受け入れられてきた、というのもあるんだろうけれど、それにしてもあの「壊れた」部分が確かに修復されてきてるんですよね。ちゃんと人間に戻ってきている。これに関しては牛飼娘のオジさんの対応の変化が顕著に示してるんじゃないだろうか。ぶっちゃけ、狂気さえ癒やされればゴブスレさんは誠実で浮ついたところのない地に足の着いた真面目な男なので、オジさんとしても可愛い姪っ子を嫁に出すに吝かじゃないんだろうし。最初の頃の、あの頭おかしくなってるゴブスレさん相手だと、頼むから勘弁してくれ、てなもんだったんだろうけど、最近の彼だとねえ。
姪っ子のために、彼女の母である妹が着ていたドレスを引っ張り出してくれるくらいだし。
ゴブリンの襲撃はあったとはいえ、総じて平穏な日常のページが続く巻でした。ゴブリンのついでのオマケ扱いで倒される黒幕さんがなんか哀れw


シリーズ感想

ゴブリンスレイヤー 2 ★★★☆  

ゴブリンスレイヤー2 (GA文庫)

【ゴブリンスレイヤー 2】 蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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「どうか、わたくしどもの街を救っては頂けないでしょうか」
「救えるかどうかは、わからん。だが、ゴブリンどもは殺そう」

ある日、ゴブリンスレイヤー指名の依頼書が冒険者ギルドに届いた。差出人は水の街――辺境一栄える至高神の都の大司教(アークビショップ)だった。大司教はかつて魔神王を打ち倒した金等級の一人として、剣の乙女と呼ばれる英雄でもあった。彼女いわく、水の街の中に何故かゴブリンが出るという。

ゴブリンスレイヤーは妖精弓手、女神官、蜥蜴僧侶、鉱人道士とともに水の街の地下迷宮に挑む!
「この小鬼禍は、人為的なものだ」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第2弾!
勇者居るのか、この世界! しかし、都市を脅かす陰謀も、それに立ち向かう光の使徒も関係なく、ゴブリンスレイヤーはゴブリンを殺す! ひたすら殺す! 
でもですね、辺境で軍を派遣するにもお金の掛かる上にキリがない場所に兵を出すのは渋るにしても、大都市の地下にゴブリンが繁殖しているのを、さすがに放ったらかしにする為政者というのは如何なものか。現状で対処できているじゃないか、というけれどそういう問題じゃないでしょうに。安全なはずの、しかも観光も重要な産業の一つの大都市の中に魔物が発生しているというのに。
というわけで、ゴブリンを殺す話にも関わらず、まさかのシティ・アドベンチャーである。都市の地下水路を舞台に、いつの間にか地下に侵入し増殖しはじめていたゴブリンを退治してくれ、というゴブリンスレイヤーへの指名依頼。何気にハリウッド映画によくありそうなネタである。
ゴブリンスレイヤーさん、決して近視眼的でも頭がまわらないわけでもなく、ほぼ事件の構図を洞察できていたにも関わらず、まったくそっちは無視してひたすら目の前のゴブリンを殺すだけなんですね! 根本の原因を排しようとは思わないんだ。
でも、なるほど目の前の脅威はとりあえず後回しにして、という姿勢こそゴブリンという弱い魔物に対する無関心故に、その対処に力を傾けないこの社会の構図そのもので、そんな中でひたすら目の前のゴブリンを殺すことで喫緊の脅威に立ち向かってきたゴブリンスレイヤさんにとっては、ゴブリン発生の原因を排除するのではなくまず目の前のゴブリンを皆殺しにしていくことこそ、いつもと同じ行動になるわけですなあ。
根本の原因をなんとかするのは、他にやるやつがいるだろう、と。

世界の危機よりも、大都市の闇を払うよりも、まず身近な恐怖を打倒する。その姿は、そんな身近な恐怖に怯える人にとっては、魔王を倒す勇者よりも邪悪な狂信者を駆逐する英雄よりも、救世主に見えるのかもしれないなあ。大英雄でありながら、その心身につけられた傷によって複雑な内面を抱え込む剣の乙女にとっても、なるほど彼女の見ている世界ではこうなるわけだ。

そんなブレないゴブリンスレイヤーさんですが、ブレないにしても変わりつつはあるんですよね、明確に。
前巻ではゴブリンを殺す人間の姿をした復讐機械じみたところが強く出ていた彼ですけれど、ゴブリンを殺すという一念の強さこそ変わらないものの、それ以外のことにちゃんと興味を抱き、反応し、周りの親しい人たちがどう思うかを考え、彼らが良きように計らう思慮が働き、慮り気持ちが生じている。
不器用では在るものの、明らかに人間以外の何者でもなくなってるんですよね。ちゃんと、仲間が出来て、ゴブリンを殺すという目的こそブレないものの、一緒に冒険をしている。仲間の命を大事に思い、彼らを守りたいと必死になり、ともあれゴブリンを殺す。
一人じゃなくパーティーになったからこそ、より出来ることは増え、しかし出来なくなったことも生まれ、何より仲間の命に対して責任が生じてくる。これは大きな違いであり、ピンチに陥った時の危機感や絶望感、振り絞るべき何かの違いが全然また違ってくるのだ。
歴戦以外の何者でもなく、またゴブリンに対するエキスパートであるゴブリンスレイヤーさんが加わったこのパーティーをして、一つ歯車が狂うとゴブリンの集団殺法に押し込まれ全滅しかねないのを思い知らされた、あの罠にかかっての絶体絶命のピンチのシーンにはハラハラさせられましたが、妖精弓手をはじめとして死ぬ思いをして脱出したにも関わらず、そのあと再びゴブリンを殺すために地下に潜ろうという時に当たり前のように一緒についてきてくれたのにはちょっとした感動があった。あれこそ、彼らとゴブリンスレイヤーが一時的なパーティを組んだだけの関係じゃないのを示していたんじゃないかと。妖精弓手たち、いい奴らだし何より心映の強さこそ、これこそ本物の冒険者だなあ、と思わせてくれるところでしたね。
あと、ゴブリンスレイヤーさんにものすごく率直に一番信頼できる、と言われてツンツンしながら照れてた槍使いさんが可愛かったです。乙女か!

ゴブリンスレイヤー ★★★★   

ゴブリンスレイヤー (GA文庫)

【ゴブリンスレイヤー】 蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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「ゴブリン以外に用はない」
これは、小鬼を殺すだけの男が「冒険者」になることを願う物語。

「俺は世界を救わない。ゴブリンを殺すだけだ」
その辺境のギルドには、ゴブリン討伐だけで銀等級(序列三位)にまで上り詰めた稀有な存在がいるという……。
冒険者になって、はじめて組んだパーティがピンチとなった女神官。それを助けた者こそ、ゴブリンスレイヤーと呼ばれる男だった。彼は手段を選ばず、手間を惜しまずゴブリンだけを退治していく。そんな彼に振り回される女神官、感謝する受付嬢、彼を待つ幼馴染の牛飼娘。そんな中、彼の噂を聞き、森人(エルフ)の少女が依頼に現れた――。
圧倒的人気のWeb作品が、ついに書籍化! 蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー、開幕!
これはいいなあ。冷徹で非情で惨たらしい現実を容赦なく突きつけてくる残酷物語でありながら、だからこそ救いや希望というものを生ごみみたいに踏み躙らず、とても大切な宝物のように扱っているお話なんですよね、これ。
面白い。
ゴブリンというモンスターは、駆け出しの冒険者でも倒せてしまうような弱い怪物である。一方で弱いながらも徒党を組み、知恵を持ち、敵意と悪意を以って攻撃してくる、というだけでそこらの野生動物などとは比較にならない脅威なのである。武力を持たない村人や、まだ戦いかたのイロハも覚えていない駆け出し冒険者はやられてしまうこともあるし、冒険者として成熟し始めたレベルのパーティーでも不意をうたれたり、数に任せて攻撃されれば抗しきれずに壊乱してしまうこともある。
そうなれば、相手が如何に弱いモンスターだとしても、反撃する力を失った人間はただの肉塊となる。一方的な暴力にただ蹂躙される無力な血袋と成り果てる。どんな美男美女だろうと、夢や希望を抱いた将来性のある若者だろうと関係ない、二目と見れない有様となりはて、生前の容姿など想像もできない惨たらしい姿となり、ゴみのように打ち捨てられ、或いは女性ならば生殖のための苗床として扱われる。
個人の強弱など関係ない、ただ勝敗のみが突きつけられる非情な現実。弱いモンスターだろうと、強いモンスターだろうと、殺される時の惨たらしさに、残酷さに、人間の尊厳などどこにもないのだ、という容赦のない事実。そこには何の幻想もなく、好奇心を満たすための夢もなく、ただただ冷徹なありのままがある。
熟練の冒険者たちが、ゴブリン討伐の依頼に背を向けるのは勿論依頼料の少なさや、自分たちのレベルにゴブリンというモンスターが噛み合わない、という理由もあるのだろうけれど、それ以上にやはりゴブリン討伐には「冒険」という胸を高鳴らせてくれる要素が介在しないからなのでしょうね。
現実を知らない駆け出しの冒険者たちだけが、勇んではじめてのクエストとして何も知らずに挑んでいく。
一方で、村を襲われる村民たちにとっては生活と命が掛かった切実な脅威であり、場合によっては村が滅びることも珍しくないという。しかし、依頼を受けるのは往々にして未熟な素人まがいの冒険者たちばかり。
ゴブリンは弱い、という村人自身や駆け出し冒険者でも「なんとか対処できないこともない」という本来なら幸いとなる事実が、逆に熟練や軍の介入を妨げているという皮肉な事実。需要と供給のバランスがかなり危険な状態になってるんですね、これ。
だからこそ、ゴブリンスレイヤーという存在が此処では、依頼を仲介しゴブリン被害の現状をもっとも把握しているギルドが高く評価しているわけだ。

ゴブリンスレイヤーと呼ばれる青年は、有り体に言って壊れている。かつて、目の前でゴブリンによって家族や隣人たる村人たちを惨たらしく殺されたトラウマを持つ青年は、ただひたすらゴブリンを殺し続けるためだけに戦う狂人と成り果てた。戦う時だけではなく、食事や睡眠時などの日常生活の時間ですら全身甲冑を外さず、いざ戦いとなるとゴブリンを殺すことに執着し、あらゆる手段を使いいっそ無機質かつ機械的なほどにゴブリンを鏖殺していく。そこにあるのはゴブリンを殺すという妄執であり、狂気である。
にも関わらず、彼は同時に正気も保っているんですよね。
ゴブリンを殺すことに全てを捧げながら、しかしゴブリンに囚われた村人を救い、襲われている駆け出し冒険者たちにも手を差し伸べる。手遅れであったならば、心がないのかと思うほど冷徹に見捨てるけれど、助かる可能性があるならば万難を排して助けようとするんですよね。それに、はい助けて終わり、という風に突き放すわけではなく、知識のない村人にはゴブリンの脅威や警戒法を伝え、駆け出し冒険者たちにはゴブリンと対するための準備や対処法、戦術などを教授することを厭わないのである。
それは、彼が決してゴブリンを殺すためだけのマシンと化しているわけではない事を示している。
そして何より、彼には戻るべき日常が存在する。ゴブリンに襲われた時に村を離れていて難を逃れていた幼なじみの牛飼いの少女。今、彼女の叔父の営む牧場で、ゴブリンスレイヤーの青年は幼なじみの少女と暮らしている。全身甲冑を脱ごうとしない彼であるけれど、ゴブリン討伐の依頼を受ける合間には、幼なじみの少女の牧場での仕事を嫌な顔一つせず、手伝ってるんですね。牛飼いの少女もまた、明らかに壊れてしまった彼のことを、あるがまま受け入れている。
戻るべき日常があることが、ゴブリンスレイヤーを辛うじて正気の側に留めているのだろう。
そう考えるなら、ラストのゴブリンキングの襲撃は、まさに境界線上を跨ぐか否かの境目だったのかもしれない。そこでゴブリンスレイヤーが選んだ選択は、狂人ではなく人の心に従うものであった。
狂気に侵されながらも正気を保ち、客観的に見ると誠実で面倒見が良いと言っていい彼を慕うもの、正当に評価するものは決して少なくない。
彼は、自らの行いによって報われ、祝福されたのだ。どれほど現実が惨たらしくても、おぞましくても、救いがないように見えても、でも決して人間は捨てたもんじゃない。
そう思わせてくれる、これは紛うことなき人間賛歌の物語だ。
過去に囚われ、狂気に沈み、妄執に突き動かされ続けた人間が、その果てにもう一度「将来の夢」を語ることの出来た、そんな優しいお話なのだ。

 
12月6日

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