神野オキナ

幼なじみが反対しますが秘密結社を廃業することにしました ★★★☆   



【幼なじみが反対しますが秘密結社を廃業することにしました】 神野 オキナ/ みこやん  講談社ラノベ文庫

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「本日をもって、秘密結社ダークハドーを解体廃業いたします!」
日本最大の悪の秘密結社、ダークハドーの新しい首領――ビックハドー3世となった春也による、最初で最後にして最大の命令だった。しかし、すでに経済システムに密接に組み込まれたダークハドーにとって、廃業は自らだけで決められることとは思えない。そう考えた春也の幼なじみでもある、女性怪人――レディタイガーこと蓮杖ルミカは、首領である春也と、そして秘書官であり姉でもあるレイカを止めようと決意する。だが春也の決意は固く、廃業は進むもののやはり周囲は騒がしくなり――!神野オキナがお贈りする秘密結社アクションラブコメ、登場!

うわぁ、これガチで企業体の廃業計画執行だわ。ってか、この規模の組織の廃業はさすがに滅多ないんじゃないだろうか。中小企業単位なら、倒産廃業は万単位で毎年でてますけれど、ある一定以上の規模になると買収や合併、或いは公的資金投入なんかで支えが入りますからね。いくら将来的に破綻が確定してしまっても、だからこそ経営陣の刷新やら手が入るはず。日本経済そのものに影響を与えてしまうような規模の企業体が綺麗さっぱり廃業で撤退してしまう、ってそりゃ慌ててあらゆる方面が止めに入りますわなあ。ただ、企業は企業でもダークハドーは悪の秘密結社。株式会社でもなく銀行に資金面で首根っこ抑えられているわけでもなく、ましてや非合法組織なので究極的には政府官庁の指導や介入を受ける謂れはないのである。そりゃもう悪の秘密結社なんかを経済システムの中に組み込んでしまってる時点でどうしようもないよ日本。だいたい、正義の味方組織と常日頃から抗争していて、場合によっては今回みたいに組織のボスが本拠地要塞とともに吹っ飛んじゃうようなケースが常にリスクとして存在していたわけだから、そんな不安定な組織をシステムに組み込んじゃダメだから。
そのあたりの無理が、結局ダークハドーをこのまま続けても破綻から逃れられない、という結論が出てしまった理由の大きい部分なんだろうけど。
それでも、勝手にじゃあ辞めまーす、と新たなボスが宣言したらそれで片付くような単純な代物でもなく、何気に春也とレイカ主導による廃業計画は、各方面の根回しから資産の処分方法、組織所属者の廃業後のフォローなど多岐に笑って綿密に準備され、執行されてるんですよね。特に身内の大幹部たちへの根回しの周到さは特筆に値していて、末端の組織員には唐突だったかもしれないけれど、もうダークハドーという組織全体がちゃんと廃業に向かって動き出しているわけですよ。これだけの規模の組織が、トップの独断だけで解体できるはずもないですもんね。各部署が連携して粛々と事前計画に則って動かないと、組織という巨象が身動ぎすらも出来るはずもなく。それだけ、春也たちが入念に準備していたのが伺えるわけで、これだけの大事業を高校生でありながら主導したというだけで、春也が凡庸とは程遠い器の持ち主だというのが伺えます。どんな分野だって、一番困難なのは撤退戦だっての。
こういう場合、実体と評判というのは大いに乖離するもので、彼を知らない無責任な周辺の口にあがるのは、三代目の無能なボンボンが無責任に組織を投げ出してしまった、というたぐいのものになってるみたいだけれど、これだけ行き届いた一般の結社関係者への再就職斡旋、退職金準備、改造手術へのアフターケアなんかが成されてるのを見せられたら、そこらへんの倒産やら吸収合併やらと比べてどれだけホワイトな環境を用意できてるかわかるってもんでしょうに。おまけに、介入しようとしてくる関係各所に対しても、ほぼほぼビシッと影響を断ち切ってるわけですしね。
下部組織の反乱についても、あれに関しては相手が辣腕だったから、と言えるので不手際をあげつらうのなら、相手がこの機を逃さないほどの野心家だったのを見抜けずに重要な基幹情報の一つを預けてしまっていたことでしょうけれど、結局身内からはほぼ離反者を出さず速攻で叩き潰しているわけですしねえ。
つまるところ、ルミカの危惧はお概ね杞憂に過ぎないくらい、春也の手腕は長けていた、ということなんだろうけれど、彼女の不安と心配は結局自分には何も教えてくれず知らせてくれなかった、というところにありましたからねえ。だからこそ、春也がどれだけ安全マージンを取っているか、どれだけ入念に準備していたか、という情報を得られずに見えて聞こえる範囲での判断では春也は非常に危うい橋を渡っている、としか見えなかったわけですから、彼女の危惧は決して的外れというわけではなかったんですよね。実際、危ない場面はあったわけですから。
でもそれ以上に、ルミカにとってダメージだったのは自分だけが仲間はずれにされてしまった、という所なんでしょう。自分が幹部ではなく若手のホープとはいえ、一怪人に過ぎない以上重要な情報は回ってこない、という常識はもちろんわかっていますから、この不満が独りよがりである、とちゃんと弁えているのが、このルミカの可愛らしいところでもあるのですけれど。そういう感情と理性と理屈と情報不足の現状をすり合わせて今現実的に最適な行動、と導き出した結果が、夜這いというのが何とも拗らせたなあ、と苦笑したところでしたが。

見る人が見れば、春也の優秀さはレイカの秘書としての能力を考慮に入れても特筆に値するはず。このまま組織の解体、廃業に成功しても各分野から引く手数多でしょう、これ。のんびり学生生活なんて出来るわけがなさそうで。実際、正義の味方の友人はスカウトする気満々でしたからねえ。
どうせ何らかの形で引きずり出されるならば、破綻する要因をなんとか取り除いて、組織の再編を考えた方がよい気もするのだけれど、まあそういう先行きに関しては続刊がなってからになりますか。
こういうごちゃごちゃした話、個人的には大分好みだったみたいで、思いの外美味しくいただけました、面白かった。

神野オキナ作品感想

軍師/詐欺師は紙一重 2 ★★★  

軍師/詐欺師は紙一重2 (講談社ラノベ文庫)

【軍師/詐欺師は紙一重 2】 神野オキナ/智弘 カイ 講談社ラノベ文庫

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隣国スウェニカの侵略を智恵と詐術で食い止めた、セリナスに伝わる伝説の軍師の孫・カタル。祖父・リュウゾウの健在もアピールししばらくは落ち着くかと思われた。だが、もう一つの隣国・マンタロムの動きが怪しい。野盗の集団を装い襲撃を繰り返すのだ。試すかのような動きにうんざりしながらも対応を続けるが、カタル自身を直接狙ってくる刺客まで現れる。ラウラが身代わりに負傷するに至り、いよいよ本格的な対処を検討する中でマンタロム王から親書が届く。カタルの軍師としての才を確かめるため、演習をさせろと書かれていて―!?智恵と謀略が冴え渡るシリーズ第2弾!
こういう屁理屈のゴリ押しが罷り通ってしまうのが軍事大国のいやらしいところなんだよなあ。特に自分の方はまったく約束事や契約、条約を守る気がさらさらないにも関わらず、一方で相手にはその誠実な遵守を迫ってくるところとか。どう考えても無茶苦茶言っているのは向こうにも関わらず、一方的に悪者にされてしまうのだ。たまったもんじゃない。それで文句を言おうものなら、容赦なく棍棒で殴ってくる。そんな理不尽様が今回のお相手である。
こういう相手にはとにかくつけ入る隙を与えず、屁理屈も相手の土俵の上に乗った上でねじ伏せて、裏で無茶苦茶仕掛けてくるのを、これも大義名分を与えないように露見しないように立ち回りながら叩き潰していかなくてはならない……胃が死ぬか理性のネジが吹っ飛ぶかしかねない凄まじいストレスが掛かることが容易に想像できるのだが、これを一つ一つ冷静に対処していくカタルと若き女王、摂政閣下の冷静沈着さには頭が下がる思いだ。それ以上に、他の貴族や軍の首脳部、或いは中堅層がまったく暴発の気配すら見せないというのは、この国が女王と摂政のもとにどれほどまとまっているか、そして軍師という存在への信頼の深さが垣間見えるというものである。
これはカタルによって、それだけ信頼されて自分の言も重く用いられる、ということは余計な調整とかに気を回さずに済んでやりやすい、ということもあるんだろうけれど、それだけ国の行方が自分の双肩に掛かっているという重圧を強く感じることだろう。実際、前回では自分の命を賭けに乗せてベットしたわけですし。今回に至ってはついに祖父の威名に頼るわけにはいかず、軍師カタルとして自分の名前で戦うことになるのですから。
幸いなのは、マンタロムという国が居丈高な侵略国家であると同時にマンタロム王もまたその国是に則った王である、と見せかけて陰では着々と国政を改革し続けているやり手である、というところなんでしょうか。こういう相手って、野心や理不尽が外には向いていない上に何だかんだとプレイヤーとして指し手を交わしてくれるんですよね。理不尽にルールを捻じ曲げてそのまま押し通してくる、ということは極力しない。ある意味、対話ができ交渉ができる相手である、と。
まあだからこそ、そんな希少な人物の権力基盤をこちらが勝利することで揺るがしてしまうことに、カタルは危惧を覚えて悩む羽目になるのですが。今、この最低限ルールに則っている勝負で勝利を収めてもそのために将来にルール無視の暴虐を以って大きな危機を招かれる危険性がある、となると判断が難しくなりますもんね。かと言って、今負けても失うものが大きすぎる。
これはやっぱり軍師一人ではどうにもならない領域であり、その意味でも女王様と摂政がちゃんと「政治」を持ってしてちゃんと軍師の「勝利」を未来の担保につなげてくれる、というのはありがたいものである。しかし、カタルはライラとまとめて年上の女性陣に色んな意味で「コロコロ」されてるなあ。その意味でも、ラウラはカタルにとって「安心」できる女性なのかもしれない。

1巻感想

軍師/詐欺師は紙一重 ★★★   

軍師/詐欺師は紙一重 (講談社ラノベ文庫)

【軍師/詐欺師は紙一重】 神野オキナ/智弘 カイ 講談社ラノベ文庫

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父親が亡くなり家を失うことになった語利カタル。最後に住み慣れた家の中で見つけた謎の抜け道を通ると―ファンタジー世界のような場所に出た。そこにやってきたのはドワーフとミノタウロス!さらに竜を駆る少女までやってきた。戸惑うカタルに少女は言う。「お前、軍師の血族か。ならさっさと来い、女王陛下と国難がお待ちだ」と。連れて行かれた先で聞かされたのはこの国は危難を迎えると「軍師の館」が現れ、そして驚いたことに、詐欺師だと言われていたカタルの祖父はこの世界では軍師だったらしい!カタルは決意する、祖父の後を継いで軍師として活躍することを!祖父の残した詐欺の道具と知略で国の危機を救えるか!?
メインヒロインの子、空賊みたいな姿で格好いいなあと思いつつも、どちらかというと国と敵対しているか距離を置いてそうな雰囲気の子だなあ、と思ってたんだけれど、あれ竜騎士の装束だったのか! いや、防寒対策にゴーグルにとレシプロ時代以前の航空機パイロットの服装っぽい格好は確かに竜騎士のユニフォームとしては最適なのか。
でも、このアグレッシブな格好で身分は女公爵とかなかなか新鮮である。
それはそれとして、主人公のカタル。もう名前からして現世日本では名うての詐欺師としてブイブイ言わせていた来歴なのかと思ったら、むしろ親の急死にかこつけられて親族から全財産むしり取られてしまった、という詐欺じゃないけれどとにかく被害者側じゃないか! ということで、別に「凄い詐欺の技術」で異世界の連中を騙しまくる、というたぐいの話ではないのですね。伝説の軍師だった、という祖父も別に詐欺師ではなかったみたいだし。
話聞いている限りでは、祖父の異世界での活動も別に詐欺を働いていた様子もなく、これってシンプルに優秀なネゴシエーターのお仕事ですよねえ。そりゃもちろん、ハッタリと錯誤を利用した騙しや誤魔化しなんかは入ってますけれど、人間心理を巧妙に就く精緻な詐欺の技術かというと。まあ、祖父にしても、カタリにしても口先だけで自分も他人も集団もコントロールするようなタイプではなく、覚悟と信念と自己犠牲で事実も真実もぶっこ抜いて結論を押し通す、みたいなわりと力技っぽいタイプなので、詐欺師とも軍師ともあんまり合ってない感じなんですよね。
実際の所、詐欺師にしても謀略家にしても、歴史上の著名なそれらは胡散臭い人間どころかむしろ誠実で他人から信頼を寄せられるタイプだった、という話をよく聞きますけれど、そういうのともちょっと違いますし。
カタリの場合は祖父の遺産が残っていた、という意味で多少の幸運はあったんだろうけれど、逆に考えると軍師の伝説があるとはいえ、ゼロからこれだけのものを遺していた爺様は雷名に相応しい人物だったんだろう。あとはどれだけ、この祖父の雷名を利用して今のうちに自分の名前をはったりに使えるだけ高めるか、なんだろうけれど。自分の程度をあまり高く見積もっていないからか、カタリのやり方って自分を削るのをまったく厭わないんですよね。詐欺師や軍師のスマートさとは程遠い泥臭さ。それが当人のスタイルなのだから、詐欺師や軍師や云々外野から言われても煩わしいだけだろうけれど、肩入れしちゃったラウラがこれ傍にいて心配も尽きないだろうししんどそうなのがちと可哀想である。

神野オキナ作品感想

EXMOD 2: 黒ノ追撃者 ★★★☆  

EXMOD 2: 黒ノ追撃者 (ガガガ文庫)

【EXMOD 2: 黒ノ追撃者】 神野オキナ/こぞう ガガガ文庫

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敵はアメリカ政府――迫る最強の特殊部隊!

朝、ベッドの中で目覚めた真之斗の隣には裸の世衣がいる。二人は長い長い大人のキスを交わす……。「海ほたる」を舞台とした「F」こと山崎四郎との戦いの最中、世衣から愛を告白された真之斗はそれを受け入れた。毎週末ともに朝を迎える関係となった二人を祝福しつつも、亜世砂は真之斗への想いを吹っ切ることができず、ひとり寂しさを感じていた。一方、山崎四郎の事件以降、暴走するEXMODたちが増えてきていた。そのため、「黄昏」機関のクラタの要請で、真之斗たち三人は暴走したEXMODたちを捕獲する仕事を受けていた。そんなある日、クラタは気になる情報を入手する。真之斗たち三人をEXMODの実体資料として引き渡すよう、アメリカが日本政府に圧力をかけているというのだ。実際、「上」から3人の引き渡しを打診されたクラタはこれを拒否する。ロマナ・ギャリソン少佐に率いられたEXMODのマリー・Rと特殊部隊「アイヴァンホー」は、日本に上陸。真之斗たち本人を直接襲うという強硬手段をとる。必死の抵抗を試みた真之斗だったが、敵の情け容赦のない攻勢に、ついに世衣がさらわれてしまう……。
少年少女たちの過酷な戦いを描く青春SF第2弾!

これは亜世砂がキツすぎるなあ。世衣にしても真之斗にしても、亜世砂の存在にあれだけ寄りかかっておきながら、同時に世衣と真之斗の二人の世界が完成してしまったが故に、亜世砂の存在を省いてしまっている。あの気丈な亜世砂が寂しいと零すなんてよっぽどじゃないかと思うのですけれど。
姉と結ばれてしまった幼馴染への恋心。これをずっとしまいこんでるのも辛いのですけれど、恋愛感情抜きにしても世衣と真之斗はお互いに夢中すぎて、亜世砂のこと結構蔑ろにしてるんですよね。もちろん、当人たちにそんな意識は毛頭ないのだろうけれど、二人共自分のことをあまり気にかけてくれなくなってしまった、というのは心細いなんてものじゃないだろうに。
それでもこの娘は、笑顔を貼り付けて二人のことを支え続けるのだ。健気の一言である。
世衣が攫われてしまったことで暴走寸前に不安定になった真之斗の最後の縁として、献身的に彼を庇護しつづけた亜世砂だけれど、これって亜世砂の方がEXMODの暴走状態になっておかしくないくらい精神的に傷ついているんですよね。
正直、あんな形で結ばれたことが救いになるとは思わないのだけれど、亜世砂にとってはあれで十分なんだろうか。あれだけで、今後ずっと耐えられるのだろうか。二人に対して心から笑顔で居続けられるのだろうか。
出来るんだろうなあ。暴走もせずに、全部受け入れられてしまうんだろうな。
そんな強い娘なのだ、亜世砂は。負け戦でちゃんと負けられる娘なのだ。でも、そうなると「強い」ってなんなんでしょうね。強いことは幸せになれることとは、何の関係もないのかもしれない。

ともあれ、恐らくはこのままジリジリとした変化のさなかでいつか何らかの形で修羅場が訪れるはずだったろう三人の関係に、劇薬或いは爆薬として突如殴り込んできて、すべてをぐちゃぐちゃに引っ掻き回してしまったアメリカ特殊部隊の襲来。
同盟国の都市の真ん中で堂々と襲い掛かってくる無茶苦茶っぷり。そりゃあ、クラタさんかてここまでやってくるとは思わんかっただろうなあ。しかし、だからこそ組織のメンバーの数多くを殉職させてしまったクラタさんの痛恨の失策なのである。あれだけ一方的な奇襲をされた展開でありながら、それなりに反撃で相手にもダメージを与えているあたり、黄昏機関って想像以上に優秀な組織だったのだろう。クラタさんのあのクレバーな有能っぷりを見たら、彼女が集めたメンバーが伊達ではないのもわかるのだけれど、それだけにそんなメンバーの多くを無残に戦死させてしまったのは、本当に痛恨だ。
それでいながら、復讐心に駆られて相手を根絶やしにしてやる! と意気込めないのが組織人の辛いところであり、プロの挟持なんですよね。激高しながら、同時に冷静に粘り強く交渉材料をひねり出し、落とし所を探り出していく。同時に、まだ未成年である真之斗たちの最低限の人権を守ろうとし、公務員として国益を損なわず、とプロの職業人としても公人としても一人の大人としても挟持を見せ続け、情を失わず、理を勝ち取り続けるクラタさん、ある意味前線で暴れ続けるだけであることを求められた真之斗よりも、あらゆる方面で七面六臂の活躍してたの、このヒトだよなあ。お膳立てから何から、ぜんぶクラタさん頼りだったわけですし。
どれほど人外の力を有しようと、それだけで世界には太刀打ちできないどころか手も足も出ない一個人にすぎない、という現実を、覚醒した真之斗の無双っぷりがむしろ如実に表現していたのが興味深かった。
いやそれにしても、亜世砂の報われ無さがやっぱりゴリゴリと胸に痼りを残すのです。真之斗も世衣ももう少し妹に構ってやって。

1巻感想

EXMOD: 思春期ノ能力者 ★★★☆   

EXMOD: 思春期ノ能力者 (ガガガ文庫)

【EXMOD: 思春期ノ能力者】 神野オキナ/こぞう ガガガ文庫

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高校一年生の真之斗は、ある朝、姉弟同然に育ってきた双子の姉妹・世衣と亜世砂とともに凄惨な電車事故に巻き込まれた―。三か月後、補助器具なしでは歩けなかった亜世砂は脚力を、姉の世衣は失われていた絶対音感を取り戻す。人間が持ち得る能力の限界を遙かに超えたものとして。同じころ、北海道・国道337号線で、原因不明の大事故が発生。そこには真之斗たちの事故現場でも目撃された「白いコートの少年」の姿があった…。超能力に目覚めた少年少女たちの戸惑いと葛藤、そして戦いを描く青春SF長編!

おお、これはちょっと構成が今までのものと趣が違うのかもしれないなあ。
これまで作者が描いてきたものもそうなんだけれど、異能に目覚める少年少女を描く時、そのきっかけとなる事故や事件の発生から、異能が目覚めてそれにまつわる事件に関わり始めるまでの過程というのは案外とんとん拍子で進むんですよね。というのも、物語の主体というのが異能バトルであると同時に、目覚めた異能の扱いに悩み苦しむ、或いは暴走する少年少女たちの苦悩であり、人と異なる存在になった事に対するトラブルや問題であるのが多くあるパターンだからだ。
しかし、本作はその物語の主体をそちらではなく、もう少し引き戻して事故によってこれまで歩んできた道を閉ざされ、前途を塞がれてしまった時の戸惑いと苦しみへとベースを置いてるように見えるんですね。そこに、家庭の事情からただの幼なじみよりもディープな関係になってしまっている双子の姉妹と少年との特殊な関係を絡めることで、高校生になって徐々に変わり始めていた三人の関係が、事故によって突然変わってしまった状況による変化、という波によって改めて再構成されていく過程を、思春期という繊細な時期にある子供たちの心の有り様という化学変化もツッコんで、丁寧に描いているのが本作なんですよねえ。
タイトルにわざわざ「思春期ノ能力者」という言葉を入れたのも大いに納得。
輝かしい未来を失った双子の姉妹が、英雄的な行為で自分を救ってくれた上で自分たちよりも大怪我を負ってしまった幼なじみの少年への傾倒を深めていく、この少女たちの薄っすらと巻き付いた絶望という陰の気配が、事故をきっかけに自信のなさを払拭して毅然とした姿勢を見せるようになった少年へと徐々にすがりついていくような、危うくも妖しい関係の深化は見てみてもなんかハラハラさせるものだったのですが、そこにEXMODという超常的な存在による連続発生する大事故という外からの要素が徐々に彼らに忍び寄っていく、という不穏さも相まって、バタバタと転がらずにじっくりと腰を据えて見ていられる作品として成立したような気がします。
むしろ、もっと非日常へと放り込まれるまでの、あの前に進みにくくなってしまった停滞した日常の描写を堪能したかった気もしますが。だって、あのまま行くともっと感情がドロドロしたアンモラルな雰囲気が醸成されていきそうな感じでしたし。
ある意味、暴走するEXMODという存在の出現が、メイン三人の覚醒とともにドロッとしたものを拭い去ってしまった気がして、若干もったいなかった感もありますし。
一応、この一巻で完結してもいいような作りで終わってましたけれど、このままだと亜世砂の方がヤバイ感じもするんですよねえ。というか、ここで終われば「切ない」想いが残る物語として終われるのかもしれないですけれど、続いてしまうと三人共がもっと生々しい感情と直面して向き合わなくてはならなくなるんじゃないだろうか、と心配……じゃなくて、むしろもっとそれを見たいような。

しかし、あの鮫のような笑顔の室長といい、結局名前の出なかった「彼」の担当医師といい、大人がきっちり……という以上に責任を果たそうとしている姿が良かったなあ。特にお医者さんの方はあれ、もう職掌や責務を遥かに超える段階に入っていると思うのだけれど、命がけで医師としての責任を果たそうとする姿には何とも言えない思いをいだきました。頑張りすぎですよぉ、先生。

神野オキナ作品感想

疾走れ、撃て! 12 ★★★★☆  

疾走れ、撃て! (12) (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 12】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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人類史上最大の作戦から五年―。学兵制度は完全撤廃され、『戦後』の復興は徐々に進んでいた。敵と恐怖を失った人類に残されたのは、破壊され尽くした街とインフラ、そして大量の兵器と、行き場のなくなった元兵士たちだ。ラジオからアナウンサーが、兵役のない平和を享受して育った新たな青少年達を向える町の声を伝えるなか、佐武俊太郎と美冬は、かつての戦火を共にくぐった英雄たちに思いを馳せる。…「死んでないわ、少佐は」「ああ。あいつらは死んでない、絶対にな」神野オキナが贈る新感覚軍隊アクション青春ラブコメ、遂に感動のフィナーレ!
たくさん生きて生きて、たくさん死んで死んで。次の時代が来る。

ついに迎えた人類史上最大の作戦。乾坤一擲の人類の存亡をかけた最後の勝負。そう、総力戦だ。本当の総力戦だ……と、そうならばよかったのだけれど。いや、良かったのか? 作戦を前にした世の空気は、複雑怪奇なものだった。この作戦が終わったあとに、人間の文明などもう残らないかのような悲壮感を通り越したような諦観のまますべてを注ぎ込もうとしている空気感の一方で、各国の上層部は人類が存続したあとの戦後世界を睨んで一致団結とは程遠いパイの取り合いをはじめている。破滅の甘受と人類社会の生き汚さを両立させたような不可思議な最終決戦前夜。或いは、これこそが生々しい終戦前夜なのかもしれない。
だが、ここで人類が滅びようと存続しようと、あまりに強大な存在になってしまった理宇たち魔王とその花嫁たちの生きる場所はこの地球上には存在しない。戦って、敵もろともに死ね。そう期待され、場合によっては強制的に排除される可能性を考慮しながら、それでも理宇たちは最終決戦に挑む。彼らに英雄願望はなく、悲壮感もなく、それでいて生き残るために手段も選ばぬ悪鬼羅刹となっているわけでもない。この時の理宇の心境は如何ばかりだったのだろうか。いくらか語られてはいるものの、彼の攻撃性に欠けていながら随分と「図太さ」と手に入れたこの性格はやはり興味深い。
女性関係については紛れも無く魔王となった彼だけれど、あくまで立ち位置としては人類の英雄でも決戦兵器でもなく、仲間たちと生き残れるように精一杯努力し最善を尽くそうとする学兵の隊長で在り続けたのだろう。やるだけやったら、まあなんとかなるだろうという内向的なくせに鷹揚なくらいの図太さがあるキャラクターは、この絶望的な局面においては頼もしい限りだった。彼の学友であり戦友であった仲間たちにとっても、そうだったんじゃないだろうか。だからこそ、彼の仲間たちも悲壮感なく、精一杯戦えた。頑張って生きた。
本当に簡単に、あっさりと多くの登場人物が死んでいったけれど、それらもまた精一杯生きた結果、だったんだろうか。悲しくても、虚しくはなかった。理不尽ではあっても、無念ではなかった。
可能性を限定されてしまった中でも、彼らは自ら選んだのだ。選択したのだ。結果はどうあれ、掴みとろうとしたのだ。離すまいと、必死だったのだ。
たくさん、たくさん死んでしまった。生き残れない人も、いっぱい居た。
でも生きて生きて、死んで死んで、その果てに戦いはちゃんと終わったのだ。そのあとに、戦後という破綻した世界でなおも生きるための戦いが続くのだとしても、その先をつかみとるための戦いを、彼らはやり遂げたのだ。
その一部始終を、本作は見事に書き尽くしたと思う。
昨今ならずとも、作品が中途半端に終ってしまうことは珍しくもない。書くべきこと書きたいことを全部書ききるなんて不可能に近いだろう。シリーズは長く続かず、続いても迷走して辿り着くべき先を見失うなんてざらだ。
だからこそ、この作品のやりきった、書き切った、ぜんぶやってやった、という充足感の素晴らしさには賞賛を惜しめない。
エピローグのもたらしてくれた余韻まで、本当にぜんぶ憂いを残すことなくやり切ってくれた。
五巳さんも、俊太郎と深冬も、虎鈴も困難に見まわれながらもみんな幸せになれた。どれほど苦しい有様の戦後でも、祝福されるべき未来にたどり着いていた。最後に、生き残ったみんなの笑顔があった。
それが、とても嬉しい。ただただ、嬉しい。

シリーズ感想

疾走れ、撃て! 11 ★★★★   

疾走れ、撃て! (11) (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 11】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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理宇が鷹乃と二人きり、見知らぬ砂漠の暗闇に放り出されて一週間。果てしない砂上と轟雷・改の狭いコクピットの中だけでの生存を余儀なくされた極限生活は二人の精神を徐々に削っていく……。一方、二人の帰還を祈る虎紅とミヅキは、連合軍の指揮官陣による事実上の撤退指令を跳ね返し、最前線に立ち続けていた。
「私はつねにベストを選択しているのです。だからあなたたちは生きている」
しかしその間にも理宇たちの「作戦遂行中行方不明認定」期限は刻々と迫る……!
神野オキナが贈る新感覚軍隊青春ラブコメ、極限・緊迫の第11弾!
これは……五巳さん泣いてるじゃんよ。うわぁ〜ん、これは一番辛い泣き方だよぉ。
この展開は、五巳さんには残酷すぎるよなあ。端から手に入らなければもっと諦めもついたかもしれないのに、絶対的なまでにアドバンテージを得て、これ以上ないほど満たされて……にも関わらず、自分から手放さないといけないという選択、もしワガママを通せば比喩ではなく人類が滅びるという地獄の選択。自らの幸せ、恋の成就、愛の甘受と引き換えに、家族や友や仲間の命と未来を選択させる。それを、わずか17歳の少女に選ばせる。繰り返すけれど、ここまで身も心も浸しあった関係になっておきながら、それをなかったことにするなんて、蜜の味を知ってしまったあとに、こんな仕打ちをするなんて、本当にもうなんというか、筆舌に尽くしがたい。
そのあとの展開がまた悪魔か、というようなもので、幾らなんでも五巳さんの心をベキベキに折りすぎですよぉ。
ただ、五巳さんのお兄さんの件に関しては、太刀風提督の戦死の件も含めてどうも不審な点があるんですよね。……あの幕間での会話、一見加藤教官と伊達教官のそれのように装われてますけれど、状況的にちょっと不審すぎるし。そもそも、太刀風提督のふげんの件はあまりにも唐突というか、訳がわからないタイミングなんですよね、物語的に。戦場での冷徹でそっけない論理に基づくならば、別段なんの不思議もないとも言えるのですけれど、さすがに五巳さんのお兄さんのあの怪しげな振る舞いまで見せられると、うがってみてしまいます。
そうでなくても、このままだとあまりにも五巳さんが哀れすぎるもんなあ。

ぶっちゃけ、理宇に甲斐性見せろよ、と言ってしまうのが一番簡単なんでしょうけれど……。ってか、五巳さんに自分から言わせてしまう時点で思うところは多々あるのですけれど、彼は彼で自分が生きて帰ることを望まれていない、と理解している時点で、五巳さんを自分の側に置き続けることが果たして良いことなのか、迷う要素はあるんですよね。理宇にとって、一緒に死んで欲しいとまで言えてしまうのは、やはり虎紅とミヅキだけでしょうから。とはいえ、だからこそやっぱり五巳さんに自分から言わせてしまったのはなあ。
でも、五巳さんの最後の矜持というか縋る拠り所を思うと、理宇から突き放されてしまうと、虎紅とミヅキへの最後の強がりすら出来ない状況に追い込まれてしまうわけで……。
まああれだよね、本気で理宇が自分に望まれていることを無視してでも、世界を敵に回してでも、世界を救ったあとに魔王となってしまうのだとしても、一緒に死ぬのではなく、生きて、自分を愛してくれる娘たちを愛して幸せにする未来を勝ち取る覚悟が出来たなら、そこでようやく五巳さんを泣かせない選択が出来るんじゃなかろうか。
ってかこのままだと、少佐とミヅキ、試合に勝って勝負に負けたようなもので、思いっきり後々まで尾を引きますよ、これ。負け犬のまんまですよ、これ。ちゃんと、同じステージに立って勝負しないと。
理宇には、もっともっと欲張りになってほしいものです。

世間の皆様の大好きな「栄光ある敗北」なんて、それこそ足蹴にしてもいいんですよ?


シリーズ感想

疾走れ、撃て! 10 4   

疾走れ、撃て! 10 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 10】  神野オキナ/refeia MF文庫J

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休戦協定失効から数ヶ月、田上理宇は「英雄」としてテレビに駆り出され、同時に慰問を兼ねた物資補給で各地をまわっていた。そんななか紫神中隊は仙台へ向けての物資輸送任務に就く。虎紅やミヅキ、理宇にも知らされていなかったが、この任務が決戦への投入であることを予感していた。市街地に放たれた野犬型やカラス型の敵グールが徘徊するなか、電子・陽電子衝突型加速器を改造した巨大転送装置の下へと進む理宇たち一行。その先に、峻烈な生と死の駆け引きが待ち受けるとも知らず――!! ついに、人類の生き残りを懸けた史上最大の作戦が始まる、第10弾!!
……どよ〜〜〜ん。
マジかー。これはマジなのかー。正直、すっごい凹んだ。直接描写がなくて、手紙による報告という形で事実が告げられるのがまたもう、キツかった。手紙から伝わってくる感情を押し殺したような文言がまた辛い。最後の一文なんか、トドメですよ。それにしても、嘘だろ、と言いたくなる。どこかで、これは謀略による工作なのだ、という可能性に縋りたくなる。でも、わざわざこんな工作する必要なんてどこにもないんだよなあ。
実のところそんなに出番自体は多い人じゃなかったんだけれど、存在感についてはピカイチだったし、後ろ暗いところの多い大人たちの中で、本当に珍しいくらい課せられた責任を正々堂々と背負える人でしたし、プライベートでの出来事も目の当たりにしていたので、それが喪われてしまったというのはショックでショックで、かなり陰鬱な気分を引きずることになってしまった。五巳さん、よく耐えたなあ。
休戦協定失効と同時にはじまったダイダラの一斉攻撃。日本政府の対応を見ても分かる通り、世界的にもダイダラとの休戦というのは、上層部では端から信じられていなくて、注意深く対応の準備は整えられていたんですよね。これは、客観的に見ても合格点どころじゃなく、ほぼ万全に近い備えだったと思うんですよね。この手のお話の軍や政府の上層部というのは無能だったり組織的硬直に蝕まれていたりと碌なものではないパターンが多いのですが、このシリーズにおいてはその有能さは瞠目に値するんじゃないでしょうか。人類生存戦争においては、これくらい上層部がしっかりしてくれていないと、とてもじゃないけれど勝てない生き残れないのですけれど。もっとも、組織の上が有能ということは、それだけ陰惨なくらいに合理的であり冷徹であり非情であり容赦呵責の欠片も存在していない、という意味でもあるわけで、有要な駒である田上理宇と紫神中隊は「英雄」として徹底的に、それこそ残りカスも出ないくらいに搾り取られ、酷使される事になってしまうのです。これまで、虎紅がなんとか捨て駒にされないように立ちまわり、理宇やミズキも慎重に行動してきてはいたのですが、戦況と彼らの置かれた境遇、そして生き残るために発揮せざるを得なかった万能の杖としての力と存在は、有無をいわさず彼らを、最適に活用できる配置へと押し流していくのでした。
それでも、どれだけ過酷な「死地」に送り込まれる事になるとしても、事実上「後腐れなく死ね」と命じられているのではなく、ちゃんと生還も込みの作戦であったことは、軍部も非情ではあっても悪意はなく、血の通った人間の組織なのだと感じる事が出来て、いやまだ良心的だよなあ、と。
アレで?と言いたくなりますけどね。作戦内容とか、作戦が成功したあとの投げっぱなしっぷりとか見ると、アレで良心的?と言いたくなりますけどね!
それでも、先に、休戦協定延長の為に送り込まれた人員の選定方法とその末路を思うと、まだ本当に良心的だなあ、と。
史実旧軍のミッドウェーなどの激戦を生き残った将兵に対しての、帰ってくるな後腐れなく死ね、と言わんばかりの前線送りの人事とか思うと、まったく良心的だなあ、と。

まあ幾ら良心的でも、作戦そのものが初っ端からあんなに破綻させられてたら、どう見ても大失敗なんですけどね。大失敗以外のなにもんでもないだろう、あれ!!
えらいこっちゃどころじゃないよ! 

史上最大の作戦の発動という物語のクライマックスに突入することは、人間関係の方もそろそろクライマックスに入りはじめたということでもあり、伊達教官がなんかマリッジブルーになっちゃってるのも、これもクライマックスということなんでしょうねッ。
ただ、この二人の場合、ようやく夏華さんが伊達教官をとっ捕まえて、結婚にまでこぎつけたという意味ではラブラブと見ていいはずなんだけれど、同時に当たり前のように教え子たちと共に死地についてくる気満々だったものだから、夏華さんが母親と結婚式場の下見をしたりして回っていたのを、帰って来れないことも見越した上での親孝行みたいに言っていたのが、何とも苦しかったんですよね。勿論生きて帰ってくるつもりではあっても、戦死して戻ってこれない可能性も当然のように受け入れている。新婚前のカップルとしては、そりゃあ切なすぎますよ。だから、秋山さんたちの心遣いは身に沁みた、心に沁みた。この人達は、伊達教官たちの代わりに、子供たちを体を張って守るつもりなのだと思うと、またぞろ胸が詰まるんですけれど。

体が成長してしまった虎紅は、扱いなどもっとややこしい事になるかと思ったけれど、なんとか戻ってこれてよかった。それに、メンタル面もあんまり変わってないみたいだし。もうちょっと自信持って接してくるかな、と思ったんだけれど、前と同じくらいにフラットでしたね。いや、精神的に。肉体的にはもうフラットじゃなくなってしまいましたが。でも、精神と肉体の成長が吊り合ってなかったから、バランスが取れなくてよくコケてたと分析してましたけれど、だったらラスト近辺で何にもないところで転んでたのはなんでなんだろう。単に、虎紅が成長とか関係なしにドン臭いドジっ子だった、というのなら笑い話で済むのだけれど。
それにしても、ミズキがもう完全に虎紅にべったりで苦笑してしまった。もう抜け駆けしようとか、頭にもないんだろうなあ。それはそれとして、英雄としての仕事から深夜に帰ってきた理宇を、起きて待っていて出迎える姿が、その引き際といいホント献身的で、この娘は尽くすタイプだよなあ。よっぽど母親似なんだろう、うん。
そういえば、この作品における理宇のヒロインたちって、五巳さん含めてみんな尽くすタイプなんですよね。いや、あのブレンダさんは抜きにして。この人はヒロインとしては別枠も良いところでしょうから。
ちなみに、主人公の理宇が一番献身的で尽くすタイプなんですけどね!

史上最大の作戦は、スタートすると同時に筆舌しがたい状況に突入してしまい、いったいどうするんだこれ! と絶叫するはめに。クライマックスは否応なくラストまでノンストップになりそうだ。

シリーズ感想

ウォーロック・ウィッチクラフト 4   

ウォーロック・ウィッチクラフト (講談社ラノベ文庫 か 5-1-1)

【ウォーロック・ウィッチクラフト】 神野オキナ/パセリ 講談社ラノベ文庫

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「お願いします! 少佐、力を貸してください!」
高校一年生の夏坂ハヤトが、入学したばかりの学校の屋上で出会ったのは、フリルやリボンで彩られた不思議な格好をして銃を持った少女。彼女は、校舎を破壊して暴れ回る謎の怪物と戦っていた。呆然と見守るハヤトは、力を貸してほしいと声をかけられてしまう。とまどいながらも、延ばされた手を取ると、ふれあったところから光があふれ……その光が凝縮して現れたのは一発の銃弾だった。それを手にし、少女は怪物へと照準を合わせて――。ミリタリーバトルアクション!
神野さんの新シリーズは、魔法少女でミリタリー。あいや、ミリタリーで魔法少女か?
面白いことに、これフォーマットそのものは徹底して魔法少女モノなんですよね。マスコットキャラが居て、魔王の欠片が人の悪い心を育て、それが怪物となって街を壊し、それを魔法少女になった女の子たちがやっつけて、変わってしまった人の心を戻しながら、欠片を回収していく。ちゃんと敵側の魔法少女もいて、暗躍していたり、と世界観を担い下敷きとなっている設定のフォーマットは、丸々ベタな魔法少女のものなのである。
ところが、そのフォーマットに組み込んでいく素材が、ガチのミリタリーなものだったり、生々しい現実に則したものだったり、ハードなSF要素だったりするものだから、これがまたど偉い歯応えのあるSFミリタリーアクションになっているのである。同じ作者の作品としては【あそびにいくヨ!】よりもガチでハード寄りかもしれない。
何しろ、ライトノベル作家では数少ないガチンコでミリタリー系アクションが書ける作家さんである。【疾走れ、撃て!】なんぞ、そちら方面の傑作と言っていいくらい。それだけ実績積んでいる人なので、軍事方面や政治謀略寄りのお話の突き詰め方については、そりゃあもう容赦なしである。何しろ、魔法少女となる少女たち三人組からして、何も知らない無垢な子どもたちが魔法と銃を握らされて無理やり戦わされる、というものではなく、未来で歴戦の兵士として何年も硝煙の中を潜り抜けてきた強者ドモである。今は中学生女子に戻ってはいるものの、十代の多感な時期を銃火器ぶんまわし、部下を叱咤激励して戦場を駆け回り、二十代の一端の女として生きた経験まで有する、大人としての記憶も持ち合わせた「少女」たちであるので、とてもゆるふわでほえほえー、と呑気にバトンを振り回すような夢見がちな魔法少女のチームを形成できるはずもなく……、これも魔法少女分隊か、魔法少女小隊―ウォーロック・ウィッチクラフト・プラトーン、てな感じである。
そして、未来から過去への時間遡行。それも、生身で時間を渡るのではなく、意識だけ?(記憶だけじゃなく肉体の経験値も継承してる?)過去に渡り、前世ならぬ未来の記憶を取り戻す、というSF設定。その目的は、未来に起こる戦争を阻止すること。この意識だけ過去に戻る、という方式は「やり直し」要素が強いストーリー形式になるんだけれど、すでに最初の段階で歴史は改変され、登場人物たちの知る未来ではなくなっているので、いわゆる「トライアル・アンド・エラー」形式ではないんですよね。まあ別の大きな枠組でずっと「トライアル・アンド・エラー」は行われていたみたいですけれど。ともかく、生身で未来から遡行してくる形式みたいな、現在の自分とばったり、という面倒な要素もなく、周りの人間とのすれ違いもないので、その意味では目的に対してスッキリと向き合える、というスタイルでもあるんだよなあ。でも、家族や身内が十年後だと軒並み戦火に巻き込まれて死んでいるので、やっぱり設定はハードである。何しろ、ハヤトや空奈たちには家族や友人たちをもう二度と死なせない、という強烈な目的意識が生じてますしね。必死です。
魔法少女となる三人の少女たちは、みんな本来の中学生としての彼女たちはそれぞれに思春期や性格からくる難しい側面を抱えた子供たちではあったんですけれど……見事に幼い部分が削ぎ落とされて、人格的に大人びている。それでいて、中学生に戻ったことで大人となり厳しい戦場で喪ってしまった子供らしい側面も取り戻してきているので、いい意味で安定してるんだよなあ。これは、主人公となるハヤトもおんなじで、少女たちよりも記憶がちゃんと戻っていないせいか、より高校生らしい若々しさと、二十代後半で佐官まで昇進した軍人特有の老練さを併せ持った、面白い主人公になっている。
いずれにしても、魔法少女という要素とミリタリー要素、そしてSF要素が非常に高い位置でバランス良く融合したクオリティの高い作品ですよ、これは。すごく面白かった。出来れば、長く続くシリーズになって欲しいですね。

神野オキナ作品感想

疾走れ、撃て! 9 4   

疾走れ、撃て! 9 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 9】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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クィーンの提言を受けた突然の戦闘停止。相手は交渉可能な存在なのではないかという期待が世界を駆け巡る。だが現状を仮初めの休戦と見た軍は、理宇たち紫神小隊を第三独立中隊として再編した。中隊長となった理宇の下にはリヴァーナや、先の戦闘で理宇の命を狙ってきた溝呂木のシンパたちまでもが集められた。さらにミヅキの身を心配した父の差し金でアメリカ海兵隊のブレンダもやってきての一騒動…。「ようこそ、我が中隊へ!」虎紅やミヅキと、理宇は覚悟を新たにする。―そして刻限!!ダイダラが咆哮する戦渦に立つ、新感覚軍隊ラブコメ第9弾!

待て、待て待て待て。多様性を喪ってしまえば、その先にあるのは完全な停滞だぞ? 様々なバリエーションがあるからこそ、目新しさというのは産まれてくるものなのに、どうして画一化シなければならないのですか!?
おぱーいの話である。
いやまじで。ミヅキもリヴァーナも、あのブレンダ姐さんもバインバイン揃いだからこそ、少佐のちんまいバディが引き立っていたというのに、何故だ何故だ何故なんだーー!!
個人的には育つ系は全然ありだったんだけれど、少佐については別である。ショックである。衝撃である。失われてしまったのだと涙が出てきた。うぉーーーん。虎紅がいるから別にいいじゃん。

シリーズ最大の衝撃的な展開がラストに待っていたのだけれど、客観的世界の行く末的には瑣事なのでしょう。主観的にも、別に理宇はおぱーい星人でもなかったと思うので、さほど関係はないかもしれないが、それでも私のワールド的にはパラダイムシフトでありました。いっそ、ポールシフト的とすら言っていいくらい、世界の見え方がガラリと変わる展開でした。おのれ、活火山。

ちなみに、私は別に平原派ではありません。若干山脈派寄りですよ? でも、多様性を楽しめるお得な雅観を完備しております。
しかし、まさか少佐のあれが、陰謀論に基づくものだったとは、なんだってーー!? と叫ばずには居られない。運命といえばまさに運命の邂逅であったのでしょうけれど、その出会いがなければずっと少佐はこのままで居られたのだと思うと、偲ぶ涙もありけりなり。まあ、恋する少佐の不器用な可憐さを思えば、この変転も仕方なかったのだと思うのだけれど、はたして今後あの「可憐」さが維持できるのは、甚だ不安である。いやまて、視点を変えてみるならば、無表情不器用系のクーデレなダイナマイトお姉さんが誕生したと思えば、ウハウハじゃね? 

と、いつまでもこだわりについて語っていても話が進まないので、客観的世界の様相に言及するならば、こちらもまさにターニングポイントを迎えている。
相手は交渉不能の異星体。相手を殲滅するまで終わらない生存戦争、或いは絶滅戦争と言っていい戦いに人類がハマり込んでいたのだと思っていた所に、まさかの敵のクイーンからの停戦勧告と、交渉の申し出があった。
全く選択肢がないまま、どちらかが死に絶えるまで戦わなくてはならない、と思っていた所に違う選択肢が現れた、というのは考えてみれば途方も無い希望の光りなはずなのです。正直、官民政軍問わず、長年の戦争で疲弊した人類は、この希望に飛びつきすがりついてもおかしくはなかったんですよね。
でも、頼もしいことに、この世界の各国の政府や軍部は、敵意にしろその逆にしろ、いずれの感情をも脇に置いた冷徹と言っていいくらい冷静な判断を失わず、安易に希望的観測に飛びつかなかったんですよね。これはちょっと意外だった。もっと、意思統一ができずに無茶苦茶な混乱が起こると思っていたのに、停戦は続かず戦争は再開されるという判断がブレずに敷かれ続けていたんですから。この備えがなければ、停戦が終わった段階で人類は二度と立ち直れないダメージを受けていたとしてもおかしくなかったはず。
ここで描かれてる政治や軍部はほんとに冷たくて怖いんですけれど、それ故にプロフェッショナルに徹していて、権益を欲したり野心にしがみついたりという行動はあるにしろ、国の実利を疎外するまでのものではなく、非常時においてはほんと頼もしいんですよね。
でも、それは同時に末端は容赦なく駒扱いで消費されかねない、という危険性も内包していて、実際捨て駒扱いで使い潰された学兵たちも存在し、その傷跡は今なお色濃く残っている。なので、その「駒」の一つである理宇たちは、常に使い潰されることへの危険性を意識して、注意深く慎重に行動しているのも、安心感の一つなのでしょう。警戒心のない主人公たち、というのは傍から見ていてハラハラを通り越して、イライラを貫いて、もう「死ぬがよい」とまで思うケースも度々ありますからねえ。その点、彼らの慎重な立ち回りは、ほんと好感持てます。勿論、どれほど慎重に注意深く立ち回ろうとも、どうにもならない時はあるのですけれど。それをも覚悟に入れているのですから、何というか子供だろうと十代だろうと、社会の荒波は容赦してくれないのよねえ。
その上、英雄やそれ以上の役割を果たせ、と強要されてるわけですから、途方に暮れても仕方ないでしょうに、理宇たちはスれも荒れもせず、すごく健全に前向いたまま頑張ろうとしてるんですから、そりゃあ同世代の仲間たちも、彼らを見守る大人たちも、自分の出来ることを尽くして、一緒に戦おうと思ってくれるわけだ。それこそ、一度は理宇たちの命を狙った連中でさえ、飲み込むほどに。

万能の杖にまつわる謎の、中核と言っていい部分が概ね明らかとなり、輪をかけて壮大な話になってきたところに、ラストのあの展開。もうクライマックスに突入しているのですが、酷いことにならずにハッピーエンドまで走りきって欲しいです。
あの教官カップルが、完全に「この戦いが終わったら結婚するんだ」という流れに乗ってしまっているんで、その辺りのフラグ折りも願いを込めて。まあ、夏華さんが死亡フラグなんてへし折りそうですけれど。素手で。婚活戦士に死亡フラグとか通じなさそうじゃけんw

シリーズ感想

あそびにいくヨ! 18 3   

あそびにいくヨ! 18 (MF文庫J)

【あそびにいくヨ! 18】 神野オキナ/西E田 MF文庫J

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修学旅行!それは高校生最大のイベント!テロ対策として出発直前まで行く先の告げられなかった牧志高校二年の騎央やエリスたち。那覇空港に集合した生徒の一人から声があがる。「あのー、ガイドさん、俺たち行く先教えられてないんだけど?」「はぁい、では発表でーす。今回の修学旅行は四泊五日、京都大阪の旅でーす!」騎央は記録映映画用にデジタルビデオカメラを構えて、クラスメイトたちの笑顔を収めていく―。その先に待ち受けるのは子狐のつれた謎の美女!?はたして、こねこたちのびっぐ・じゃーにぃの顛末は如何に!?
ああ、ついにここまで辿り着いたか。ってか、このシリーズってMF文庫Jの黎明期から存在するホントの古参なんですよね。ガチで十年続いているシリーズだと考えると、なんかしみじみ感じ入ってしまいます。しかも、最近になって【キャットテイル・アウトプット】というスピンオフ作品まで登場しているのだから、まだまだ元気なシリーズなんですよね、大したもんだわ。
そんなこんなでついにエリスたちの関係はひとつの完成を見ることになりました。ぶっちゃけ、ここに真奈美が加わる形になるとは、途中までホントにその可能性を除外していたので、三人じゃなく、エリスと騎央、葵に真奈美という四人で関係が完成したのは感慨深いです。真奈美は当初から幼馴染にも関わらず、キッパリと一線を引いて距離を置いていましたからね。逆に幼馴染キャラで最初は離れていたのに、最終的に結ばれるというパターンは
だいぶ珍しいんじゃないだろうか。果たして、最初からこの形になることが計画されていたのか、それとも途中で物語の、キャラの要望から路線変更することになったのかは定かではないのですけれど、今となってみるとエリスと騎央と葵の三人だとやっぱりバランス悪いんですよね。どうも押し出しが弱いというか、エリスの動性にまかせてもイマイチぎこちなさが残ってしまいそうな人間関係のバランスだったんですよ。葵も騎央も随分と人間的に成長してましたけれど、根っからの性格というものがありますからね。でも、ここに押しが強くて時々弱腰な真奈美が加わると見違えるように関係性が頑丈になったのは、今の四人の揺るぎなさを見ても否定しづらいところでしょう。
結局発情期のアレは、思ってたのと違ってリアルじゃなくてバーチャルだったみたいだけれど、もうあのレベルだとどっちでも関係ないよねw

成長したといえば、成長著しいのがアントニアだったのでしょう。いい意味でも悪い意味でも、大人になった、というべきなのでしょうか。今の彼女は逆にもう少し物分かりが悪いふりをしても良い気がするんですけれどね。大人になったことが、現実を割りきらなければならない事を理解した、というのはちょっと寂しいじゃないですか。まあね、でもわがまま言うのって、あるラインを超えると逆にしんどくなっちゃうもんなんですよね。わがままを言った結果のどうにもならなさと、言われた人たちの苦労を事前に察してしまえるようになるとね。言うのが辛くなるもんだ。言っても辛い、言わなくても辛い。誰が悪いわけでもないから誰も責められない。仕方ない、仕方ないんだけれど、さて仕方ないを諦めの言葉として使うか、妥協として次に繋げる可能性に仕立て上げるか。アントニアはどうするんでしょうね。

一方で、物語の核心部分も介入してきて、騎央の元に現れることになる。ある意味SFの定番ともいうべき展開なのかもしれないですけれど、なんていうんだろう、あのオーさん。階梯の降りっぷりが太っ腹というかなんというか。行き詰まっている存在のわりに、結構楽しそうな風に見えたのは気のせいだろうか。行き詰まってしまったが故に後戻りして、後発の生命体たちに新たな可能性を見出そうとしているはずなんだけれど、そこに悲壮感とか無機質さはあんまり感じなかったんですよね。むしろ、ワクワクしているような、無邪気でちょっと無責任な稚気がかいま見えた気がして、なんとも不思議な部分に。なんとなく、取次を狐さんに頼んだこと自体、今のオーさんという存在は、狐さん寄りになってる気がするなあ。
騎央からすると、大迷惑以外の何者でもないんでしょうけれど。気楽に、というのも渡されたものを思えば言えたもんじゃないですけれど、少なくともオーさん相手に肩肘ははらんでも大丈夫そうな気がするなあ。

さて、時系列も【キャットテイル・アウトプット】の方に合流し、物語はいよいよクライマックスだ。

神野オキナ作品感想

キャットテイル・アウトプット!43   

キャットテイル・アウトプット! 4 (MF文庫J)

【キャットテイル・アウトプット!4】 神野オキナ/西E田 MF文庫J

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「―売られた喧嘩を、買います」デルヴァンガーの襲撃のみならず、パーティ会場を狙ったマーによる爆破テロを受けて怒り心頭のメルウィンはキャーティアシップへ戻り、本星の治療技術を用いた救護という違反スレスレの行為に及ぶ。いっぽう綴はスカーレットを救うため、まさに命懸けの猛特訓を摩耶から受ける。そしてメルウィンはさらに、キャーティア社会での立場を全て失うことと引換えにフル武装、綴とともにマーとの対決に臨むのだが―。ネコミミ×猟犬の本格アクション、最高潮!!
やられたらやり返す!十倍返しだ! というのが今のトレンドでありますが、やっぱりやられたらやられっ放しじゃなく、きっちり落とし前つけてやり返してくれるのは痛快なんですよね。相手が理不尽でひどければひどいほど、それをぶっ飛ばした時のカタルシスは大きくなります。その意味でも、あのキャーティアでも大人しくて優しかったメルウィンが本気で怒って、売られた喧嘩m買ってやんよ! とブチ切れた日には、よっしゃやったれー、てなものなのです。
ただでさえ、あのジャン・ジャック・マーはすこぶるムカつく陰険で残酷で粘質な嫌らしい黒幕でしたからねえ。こういう本気でギッタンギッタンにやっつけてやってほしい、と思えるような小物じゃなく本物の大物な悪人はなかなかいらっしゃらないので、その意味では良き悪役でありました。
と、前巻のラストから一気に逆襲編、となれば勢いもそのままに盛り上がったのでしょうけれど、何しろ手酷くやられてしまったあとでしたし、リカバリーや状況の整理、決戦への最終準備などで、さすがにそのままラストバトルに突入、とはいかなかったのは仕方ないとはいえ、ちともったいなかったかな。
ともあれ、覚悟完了したメルウィンだけじゃなく、他のメンツもそれぞれに自分のなりの決意を固める必要もありましたし、ついにメルウィンが地球の友人達に自分がキャーティアだと正体をバラす一番大事でもあるエピソードが待っていましたからね、これはしょうがないかと。
しかし、こういう場合だと綴やクリスといったプロ連中よりも、美陸みたいな本来何の戦う力も持っていない一般人の子が決める覚悟の方が、選択することの重さも含めてやっぱり映えるんですよね。美陸さんについては、以前から綴への恋心からアシストロイドたちの交流など、ここに至るまでの積み重ねがなかなか丹念に容易されていたので、結果的にもう一方の主人公的な扱いになっていましたし、さらには状況を打開する鍵となった、という意味では一番の活躍頭でもあったわけですしね。MVPは彼女だよなあ。
さらに、なんとも後味の悪い退場を余儀なくされていた六奈ゆりえが、ここで毅然と挽回戦に打って出てくれたのはちょっとした嬉しいサプライズでしたね。彼女の件は、心残りというわけでもなかったのですけれど、残念であったことは間違いありませんでしたからね。それを、彼女の方からもう一度汚名返上する形で飛び込んできてくれたのは、痒いところに手の届く展開だったように思います。そういった細かい手配り、というとクリスと彼女の父親であるオルティオート教授とのやりとりも良かったなあ。親父さん、自分の信念を曲げないままちゃんと父親としての顔を見せてくれたのは見直しました。反キャーティア派の重鎮でありかなりの危険人物とはいえ、きちんと一本芯の通った上に情のある御仁じゃないですか。

最後、マーにはもうちょっとじっくりと敗北の屈辱を味わってほしいところでありましたけれど、まあちゃんとメルウィンがきっちり決めてくれましたから、これで十分でしょう。
恋愛方面は、もうクリスが大逃げを打っちゃって、えらい勢いで突き放しちゃいましたよねえ。メルウィンがようやくイイ反応をするようになってきた上に、美陸も綴が男と知ってこれから、というところで本番はこれから、という感じなのですが、ちょっと十馬身どころじゃなく差がついちゃっているような。
キャーティアと地球人の恋模様としては、本編の方のエリスと騎央がそれなんですけれど、あっちはエリスが天然な上に寛容すぎて、あんまり繊細な乙女心を垣間見るケースはないのですけれど、メルウィンはもうちょっと複雑に正負の感情を弄んでくれそうなので、もう少し彼女の恋は観察していたかったかなあ。本作はどうやらこの四巻で終わりのようなので、この続きは本編の方でゲスト出演してくれる時を待たなければならないようなのですけれど。
ゲスト出演というと、今回は本編の方からあおいが応援で出てきてましたね。あおいが参戦してたと知った時の、あの綴たちの青ざめた反応を見ると、【悪運紅葉】って本気で関係者筋では恐れられてたんだなあ。

1巻 2巻 3巻感想

キャットテイル・アウトプット! 3 4   

キャットテイル・アウトプット! 3 (MF文庫J)

【キャットテイル・アウトプット! 3】 神野オキナ/西E田 MF文庫J

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ネコミミ宇宙人少女・メアリーの護衛をしている七文字綴は、メアリーをはじめ、桔梗美陸、クリムゾン・スカーレット姉妹にレイカも交え、温泉旅行に出かけることになる。「温泉~♪」「温泉~♪」
一方、メアリーの経歴を取り寄せたジャン・ジャック・マーは直感で嘘の経歴だと気づく。そして温泉旅行から帰ったスカーレットに秋神院鞘香から「お茶会」の話が持ち込まれるのだが――!?
ネコミミ×猟犬の本格アクション、緊迫の第3弾!!
今回はいろいろありましたが、最後のメルウィンの勇ましい一言に尽きるでしょう。レイカが加わり戦力も整い、スカーレット姉妹の心の傷も埋まる傾向にあり、人間関係としても防衛体制としても十分充実してきた中での、ジャン・ジャック・マーとデルヴァンガーの本格的な攻勢。手段を問わず倫理を顧みず冷酷非道を地で行く容赦の無いテロリズムに、綴たちは力及ばず蹂躙されてしまう。キャーティアであるメルウィンが初めて目の当たりにする、人間の中に生まれた本物の邪悪。大切な友人たちの心と体を切り刻んでいった悪意に、しかし彼女は怯みません。
ズタボロにやられた後だっただけに、メルウィンの毅然とした宣言は奮い立ちましたね。温厚なキャーティアだって、ナメられちゃ終わりだ、というのはよく分かってる。守りに徹しているだけでは、徹底して付け込まれる。そう、時として、力を誇示しないといけない時があるのだ。ともあれ、これはメルウィン個人の判断である。しかし、だからこそ彼女の怒りが窺い知れる。キャーティアの子が本気で怒ったのって、初めて見る。エリスはああいうのほほんとした子でしたしね。勘違いしてはいけないが、猫だって元は狩猟種族だ。間違っても、狩られる獲物の側ではないというのを、幾らキャーティアが大人しいからってあの悪党どもは誤解してるんじゃないだろうか。
此処に出てくる、マーたち悪人どもは、全く同情の余地のない享楽をもって悪をなす一団だけに、これはもうこてんぱんにやらかして欲しいですね。ここで痛快を得ないと、いささか憤懣やるせないことになりそうです。
そう、まずは一方的にやられてしまったけれど、此処からは反撃の時間です。
しかし今回、色々と明らかになった設定がありましたね。スカーレット姉妹については、姉と妹への父親の遇し方が確かに変だな、という点はありましたし、彼女たちの記憶の矛盾点、クリムゾンに妙に幼い一面があった事など、彼女たちについて明らかになった後に振り返ってみると、なるほどと思う点がいくつか浮かび上がってくるんですよね。それにしても、ここまで大きい能力が秘められていたとは。霊子関係もそうですけれど、キャーティアにとっても地球人類は何気に思わぬ要素が多く含まれているんだなあ。
あと、綴の身内の話ですけれど、マジであの人がお姉さんだったんだ。いやまあ、前々から綴の回想に出ていた彼のお姉さんに該当しそうなのってあの人しか居なかったのは確かなんですけれど、はっきりと明示されてしまうと、ハハァー、と口を開けてしまいます。謎多い人でしたけれど、そういう来歴だったのねえ。最強の名に偽りなし、か。しかし、また巡り巡って収まったところがあそことか、面白いもんですねえ。

1巻 2巻感想

疾走れ、撃て! 8 4   

疾走れ、撃て! 8 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 8】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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クリスマスイブの激戦の後、学生兵士たちは短い休暇となったが、帰る場所のない田神理宇は(そしてミヅキも)虎紅の采配で兵舎に残留することになる。総員がかりで駐屯地恒例?の正月の餅飾りのための餅つき大会をした過日の賑やかさも消え、兵舎の静けさに包まれたミヅキと虎紅は理宇の様子を気にかける。一方、兵舎を出た鷹乃や深冬たちは、束の間、家族との幸福な日常を噛み締めていた。ただし「第二級戦闘警戒態勢」発令中のために銃は携行していたが。――そして、残り少ない平穏な時間は終わろうとしていた。嵐を予兆させる第8巻!
加ww藤ww教www官www!! いかん、思わず草を生やしてしまった(笑
でもそれくらい、加藤夏華の求婚活動が決死戦すぎて、わらた。今回、理宇たちの人間関係や陸軍の政治勢力の激変など嵐の前の静けさながらも大きな動きが多々あったにも関わらず、なんか加藤教官の必死過ぎる戦いに存在感を全部持っていかれてしまった感がある。ミヅキと虎紅に加藤教官が、何甘いことちんたらやってんだ、恋愛に正々堂々なんて存在しねえ、勝利こそが正義だ、ありとあらゆる手段を駆使して恋敵を蹴落として目的の男を奪取するんだよっ、という趣旨の演説を泥酔しながら熱烈にぶってしまっていたシーンには、いろいろな意味で頭を抱えてしまった。
「洒落や冗談では決して無いんですけれども、ご苦労なさってらっしゃるンですね」
十代の少女たちにしみじみと気遣われてしまうアラサーw そんな風に気遣わないであげてっ!
いやあ、まだ夏華さん、そこまで焦るほど年齢的にも切羽詰まってないと思うんですけれど、相手があの伊達教官というラブコメ主人公もかくやという鈍感男となると、なるほどここまでデス・マーチを敢行しないと通用しないのか。加藤教官は、ぶっちゃけそこまで肉食系じゃなくむしろその挙措は控え目な女性だと思うので、そんな女性にあそこまでさせるという意味では、伊達教官も悪い男よのぉ。翌朝の、彼女のやり切った、という達成感に満ちた穏やかな笑顔には、もうこちらも満面の苦笑である。
「そ、その、じ、自分は何もするつもりはなく……」
「はい、何もしてないのは存じております」
 ほほえみを崩さないまま、夏華は続けた。
でも、あけまして、おめでとうございます、伊達教官」
わはははははは……年貢の納め時ですよ、伊達さん。

一方で、ついにラインを踏み越えて理宇に好意を伝えてしまったミヅキと虎紅。突然、身近な二人に告白され、猶予期間は与えられたもののどちらかを選べと迫られて追い詰められる理宇。いきなり、どっちか選べと言われてもねえ、そりゃあ困る。意外とちゃんと主人公がこういう決断を強いられる展開というのはなかったりするので、理宇がどうするかは興味津々ではあるんだけれど、同情も湧いてしまう。ミヅキと虎紅の二人についてはお互いに恋敵かつ戦友として交流を深め、今や敵というよりも親友という関係にまで深まり、散々気持ちも盛り上がっていたのに対して、理宇については彼女たちが自分に向ける感情については完全に青天の霹靂だったんですよね。身近に居たミヅキについては、勘違いから親友の裕也と交際していると思い込んでいて、異性として見ることを必死で避けていたわけですから、いきなりそれが誤解であり実は前から自分を好きだったと言われては、まず気持ちを整理するところから始めなければならず、精神的に何の準備も整っていなかったところに一人どころか二人両側面から完全奇襲ですから、もう為す術なしですよ、これは。それとなく、雰囲気が盛りがっていたならともかくねえ。ミヅキとしても、今回の告白は偶発的なもので、決して場が整っていたわけではなく、かなりなし崩しに開戦してしまった、という体たらくでしたから、虎紅がうまく状況を纏めてくれたとはいえ、これはややも拗れるかもしれません。
そう、もう悠長に構えている時間はないのですから。

決戦前の最後の猶予期間。中央では、陸軍は政治の季節真っ盛り。幸か不幸か、対立する溝呂木と馬上、この二人は権力志向の俗物ではなく、純粋に軍人として現状を打破する為に全力を尽くしている優秀な人物なのですが……。だからこそ、拗れているとも言えるのか。溝呂木中将も吸血鬼なんて異名とは裏腹に、学兵を気遣い権力の乱用を嫌う非常に健全で厳格な軍人ですし、馬上さんも派閥をつくらず公平に物事を判断する真っ当な軍人、そして軍人という枠を離れて一人の人間としてみると、二人とも優しい心を持ったとてもマトモな人間なんですが……優秀な司令官というのは、兵をうまく殺せるという意味でもあるんですよね。本当に大事な時、ためらうことはしないはず。それに、頭が健全であっても、カリスマであるということは下が信奉するあまりに暴走してしまうという事が多々あるわけで、その為に起こる悲劇が既に乱発されている。
誰が悪いというのではなく、各々が自分の信じた道を選び、断固として進軍している。その信じた道というのは決して大きく違っているわけではなく、ともすれば重なることもあるはずなのに、何故かどうしてかそこには対立や反発が生まれ、意味のない軋轢や誤解、暴走が介在してしまう。基本的に、どこにも誰にも独り善がりの野心や悪意は見当たらず、みんな悪い人じゃないだけに、一致協力できない現状というのはどうにももどかしくて仕方ない。
最後の理宇たちを助けに来た混成軍なんて、ある意味象徴的なんですよね。矛盾と錯誤のその先にある、人間としての純朴な有り様に殉じた結果としても。
何にせよ、生き残ることこそ肝心なのでしょう。本当の混沌は、まさにここからはじまるわけですから。

シリーズ感想

疾走れ、撃て!74   

疾走れ、撃て! 7 (MF文庫 J か 3-25)

【疾走れ、撃て!7】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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「……華社曹長、あなたは田神少尉が好きですね?」「……はい、少佐」――。富士山麓での激戦から一転。クリスマスを前に人々が浮かれ気分のころ、田神理宇はリヴァーナを守って戦った学生兵士としてメディアの取材を受けていた。しかし、その裏には理宇を「英雄化」しようとする軍上層部の思惑があるようで……!? 一方、療養中だった虎紅とミヅキもようやく退院が決定。ささやかながら全員揃ってクリスマスパーティを開こうとする理宇たちだったが、その裏には新たなる敵、悲劇的な戦闘の気配が迫っていた……!? 物語が、恋愛が、そして戦場が激動する第7巻!
ジリジリと灼けつくような、一瞬でも油断すれば即座に体中を切り刻まれそうな、凄まじいまでの緊迫感。やっばいわーー、ちょっと尋常じゃなく面白くなってきた。
同じ軍内における派閥争い、というのはどの作品でも決して珍しいものではないのだけれど、本作の場合それが単純なセクショナリズムやメンツ争い、権力の奪い合いという程度の低い足の引っ張り合いで終わっていない。確かに、頭の足りない取り巻きレベルだとその程度の意識で動き回っているようだけれど、それぞれの領袖やその側近レベルは、戦争に勝つために本当に必要だと考える方策を取るにあたって必要な権限を握ろうとし、その方針・方策の邪魔になるものを排除しようとして、適当な……すなわちあらゆる手段を使うことを躊躇わない。そういう、高い意識の衝突であり、極めて高度な政治判断の繊細な綱引きが繰り広げられているのだ。
お陰で軍内に居るものは階級の上下の区別なく、この「政治闘争」から「生き残る」為にアンテナの感度をあげ、判断を研ぎ澄ませ、思慮を巡らせ続けなければならない。少しでも判断を過てば、その個人、或いは部隊は容易に「使い潰されて」しまい兼ねない。実際、この作品には過去に使い潰されたと思しき部隊の生き残りがあちらこちらに散見し、失われてしまったものに思いを馳せながら生きている。
まさに、その軍内政治の渦中も渦中、一番中心に引きずり込まれてしまった理宇たちの7241小隊(紫神小隊)は、どんな小さな判断ミスが、いやミスじゃない正しい判断だったとしても、それが命取りになりかねない綱渡りを強いられ続けている。
ちょうど、ダイダラの攻勢がこれまでと全く違う様相を呈して、人類側への圧力となって現れてきたのと相俟って、作中に流れる緊迫感、危機感がとんでもない所まで至ってしまって、もう読んでいる間じゅう手に汗握りっぱなしなんですよね。
それこそ、いつどこから銃弾が飛んでくるかわからないような息を呑むような緊張感が途切れる暇なく続いていく。世相はもう、クリスマスなんていう甘酸っぱいイベントにさしかかろうかという時期なのに。

しかし、本当に感心させられるのが、これだけ暗闘を繰り広げておきながら、この日本軍、組織としては極めて健全に機能しているところなのだ。
冒頭で発生したナイアガラ陥落。その際に起こったアメリカ軍の魔導士官とその数式戦車が撃破された一件。この戦訓が、わずか数日で日本軍の方にも反映されて、高知での戦闘に即座に活かされてるのである。そんなの当たり前じゃないか、と言われそうですけれど、この対応速度はよっぽど組織が健全かつ柔軟に動いていないと無理ですよ。特に硬直した官僚組織なら、尚更にあちらこちらで分析情報が行き止まり、そこから生まれる判断もあらゆる回り道をさせられ、なかなか現場には降りてこない。降りてきても、現場レベルでの対応を要求され、もっと大きなレベルで対処するには様々な根回しが必要となり、結局万全の形で反映されるには相当の時間が掛かってしまう、というのが定番ですからね。その意味では、兼ねてよりそうでしたけれど、軍の即応態勢が常に高い位置で維持され続けているんですよね。陸海空軍の三軍の連絡も行き届いているようですし、何より同盟国であるアメリカとの連絡も、相応の駆け引きはあるとしてもナイアガラの情報がすぐに分析され日本にも送られているあたり、良い関係のまま回っているようですし。
小隊幹部クラスともなれば、普通に呼吸するのも息苦しいくらいに配慮と思慮と備えが必要とされる、とかく生きにくそうな組織である軍ですが、これ全体として見ると現実としてもフィクションとしても珍しい、ほぼ理想的な形で回っている軍隊なんじゃないでしょうか。
まあ、理想的であればあるほど、システマチックに兵士や部隊が駒として運用され、冷徹に使い捨てられていく仕組みになっているのでしょうけれど。
もっとも、幾ら理想的であろうとそれだけの圧迫を常に与える組織なら、その端々で破綻は常にあぶれ出るもの。たとえば学兵小隊にしたところで、兵士・幹部・教官のどこかに歯車としての不良品が混じっていれば、全体がぶち壊れてしまう。本巻では、度々、地方の小隊でイジメやイビリ、サボタージュなどの問題からトラブルが発生し、中には小隊ぐるみで小隊長が銃殺されたり、教官と撃ち合いになったり、と悲惨な事件が起こっている旨、取りざたされている。
そうした意味では、魔導士官である紫神虎紅と華社ミズキ、小隊長の田神理宇。先任軍曹の鷹乃さんに、分隊長の俊太郎と深冬。そして教官の伊達さんに加藤さん。皆が強い絆で結ばれ、兵士たちを守り、部隊を整えてる。確かに、理想的な部隊なんですよね。いい意味で、完成されている。
部隊の異分子であるユリネ先輩は、果たしてその本意がどこにあるか、実際スパイだし、不穏なことも口にしていて危険人物に見えるんだけれど、それでも盾香に語ったようにこの部隊のこと、気に入ってるはずなんですよね。最後まで、味方でいて欲しい人なんだが。
理宇の身に起こりつつある変化は、敵味方問わずその注意を彼に集め、彼をこのまま地獄の底に引きずり込み兼ねない状態になりつつある。彼にとっての救いは、伊達教官がはっきり明言したように、この部隊の人間は絶対に彼の味方で在り続ける、というところなんでしょうけれど、逆に言うとこの部隊の連中は戦友の為に本当に地獄まで一緒に付いてきかねないところなんですね。実際、この巻でも、理宇たちの危機を救うために、鷹乃さんは上から提示された「お墨付き」と呼ばれる最悪のカードを敢えて手に取っている。
これは、理宇にとっては心強いけれど、同時にきっと恐ろしい事なんですよね。大切な仲間を、死地まで連れていきかねないんだから。尤も、どうやら今更どうやったって手遅れのようだ。もう上も味方も、理宇個人とこの紫神小隊は一括りのものとして捉えている。もはや一蓮托生、運命共同体であることを、果たして彼はどこまで自覚しているか。自覚した時、どれほどの絶望を覚えるか。
ほんと、虎紅とミズキに掛かっているんじゃないだろうか。あらゆる意味で崖っぷちに追い詰められようとしてるこの少年を守るのは。

ダイダラも、ハッチフェイスというコードがついた新たな、対数式戦車用……対魔導士官用の兵器を投入した上に、ペナントを介さない本土への浸透侵攻まで開始して、内陸の都市や一般人にも被害が出る悲惨な状況に。
このハッチフェイスがまた、おぞましいとしか言いようの無い虫唾の走る兵器で……これまでも人間の死体や武器を再利用したグールなる存在を送り出してきてはいたものの、この中身はあまりにもむごたらしい。
これまでは単純にコミュニケーションが取れない無機質な敵として捉えていたけれど、こうも人の尊厳を冒涜するようなことを平気でやってのける相手となると、色々とたまらんなあ。しかも、今度は人類の特性を掴んだ上で敢えてコミュニケーションを図ってくるという搦め手まで。これ、悪魔的に効果的だろう。対話が出来る相手と対話せず戦争を続けようとすれば、絶対に反対勢力が出てくるし、戦争を止めようとする意見や意志は全く正しいものとして扱われる、そういうものだ。それが、ある意味健全な人の社会の在り方だ。
でもその対話を図る意図に悪意しかなかったら? ただ、相手のまとまりを乱す意図しかなかったとしたら? 
何れにしても、難しい判断を強いられる、どころじゃない、風雲急を告げる事態だわ。
理宇少年だけじゃない、人類そのものが今、岐路に立たされている。


人がその相貌に浮かべてみせる笑顔には、周囲の人に安心や心の余裕を与える効果がある。特に、それが周囲を取りまとめる高い立場にいる人の笑みならば尚更だ。
そして、常から笑顔を絶やさないような人の笑みよりも、普段はめったに笑顔を見せない、それこそ無表情だったり鉄面皮だったり、厳しい硬い表情を崩さない人が浮かべてみせる笑顔ならば、より一層衝撃的であり効果的であろう。
それまさに、伝家の宝刀、である。
だが、そういう滅多に笑を見せない人がみなに見せつけるように笑顔を浮かべる時とは、如何なる時だろうか。
それは、伝家の宝刀を抜かざるをえない状況と言えないだろうか。

この巻において、何人もの「笑わない」者たちが、笑顔を、微笑みを見せている。余人が、初めて見る笑顔を、だ。
それが意味する所を、正確に心しておくべきだろう。
まさに、佳境である。

2巻 3巻 4巻 5巻 6巻感想

キャットテイル・アウトプット! 24   

キャットテイル・アウトプット! 2 (MF文庫J)

【キャットテイル・アウトプット! 2】 神野オキナ/西E田 MF文庫J

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ネコミミ宇宙人の少女・メアリーを護衛しつつ“聖メラヴィア女学院”に女装して通うことになった次元捜査官・七文字綴。類い希な容姿のおかげで、他の女性徒から熱いアプローチをかけられるなど、なんだかんだ言って華の女学園生活を楽しんでいるかに見える(?)彼の前に、かつての同僚が現れる。彼女の名前は十見レイカ、同じ次元捜査官候補生の中でも1、2を争う戦闘力を持つレイカが女学院を訪れた理由とは…!?一方メアリーを狙う新たな敵が出現。オルティオート教授を利用し襲撃を企てるのだが―!?ネコミミ×猟犬の本格アクション第2弾登場。
粗筋では次元捜査官になってますけれど、これって時限特捜官の間違いじゃないかしら。本文中ではそうなってますし。ウェブサイト上だけの誤植じゃなく、本の裏表紙のあらすじでも同じ事になってるのですがこれ如何に。

さて、本編の方ですが、一巻に引き続きスパイアクション、謀略サスペンス、要人警護モノとして実に素晴らしい出来栄えになっている。面白い面白い♪ 今回から明確な敵役、それも明確に邪悪で奸智に長けた悪魔のような存在が、悪意たっぷりに陰謀を仕掛けてくるので、ハラハラしながら陰惨な謀に立ち向かうメアリーたちを手に汗握りながら見守ることになる。まさにエンターテインメントだ、これ。
一巻の感想でも言及しましたけれど、主人公の綴がライトノベルでは珍しく、アマチュアではなくプロフェッショナルであるために、色々と安心して見ていられるんですよね。いきなり突拍子も無いわけの分からない行動に走ったりしないですし、その適格で冷静な判断力には警護対象のメアリーだけでなく、読んでいるこちらも信頼を以て見ることが出来る。それでいて、歳相応の愛嬌もあるんですよね、この子。キャーティアからの技術提供によって、スパイ映画や小説、漫画などではよく見かけるようなアイテムをプレゼントされた時など、メチャメチャ喜んでましたし。あれは使える道具を貰ったからという実益に基づく喜びじゃなくて、どちらかというと趣味の領域とか玩具を貰った子供みたいな反応でしたもの。普段は常時ニュートラルに微笑んでます、みたいな綴が珍しくウキウキした様子だったのには、思わず微笑ましいような感情が(笑
そんな可愛げのある部分に加えて、今回はさらにイケメンな一面を見せてくれました。もし、プロならば冷徹な判断に徹しなければならないところを、決して妥協や甘い判断、願望よりの決断ではなく、キッチリとプロ意識を持ったまま、プロだからこそ身体だけではなく、クライアントの心も守るのも仕事だ、と決して見せる。無理をしているわけではない、あくまで自然体のスマートな言動には、惚れ惚れします、というか惚れるわw
いやあ、此処まで来るとイケメンすぎて、女装してるとかしてないとか、もうあんまり関係なくなってきてるんじゃないでしょうか。実のところ、綴ってあんまり女っ気感じないんですよねえ。逆の男っぽさもあんまり感じないのですけれど。なんかもう、性差を超えたところにかっこ良さがあるような。
一方の守られる側のメアリーことメルフィンも、守られているだけのお姫様なはずもなく。彼女がキャーティアの地球へのファーストコンタクトという重要な任務を与えられた船のナンバー2、副長の役職を任され、船長の不在時には一時的にとは言え総責任者としての責務を果たした人物だった、というのを改めて思い出させていただきました。普段は大人しいくらいで考えすぎるきらいのある娘ですけれど、ここぞという時の肝の据わり方はやっぱり小娘とは程遠いんですよね。このお嬢様学校に通う令嬢たちは、立場に絡んで多かれ少なかれ非常には慣れている凄い人達なのですが、それでもメルフィンの危地における土壇場の度胸と機転は輝いていました。
相変わらず、アシストロイドの可愛さは異常。レイカに正体バレたときの「みた?」には悶絶。その反応はかわいすぎて、もう凶器だww
戦力的にももう一人の時限特捜官候補であるレイカがガードに加わったことで、一先ずは息をつけそうか。今回だって彼女が付いててくれなければ、綴もかなり行動選択の幅が狭まってしまっていたでしょうし。まだキャラクター的には、今のメルフィンたちの人間関係に踏み込んでくる前段階ですけれど、スカーレットとも次くらいからはもっと関係深まりそうですしね。レイカ自身も、妹を失った傷に纏わる虚無が癒されるエピソードなんかも期待できそうですし……さても次巻からの盛り上がりがまた楽しみであります。

1巻感想

疾走れ、撃て!64   

疾走れ、撃て!6 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 6】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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「大丈夫です、貴方は『万能の杖』なんですから」――。美ヶ原での実戦から2ヶ月、通常訓練という“日常”を取り戻すかに思えた理宇たち「七二四一小隊」だったが、ダイダラの大規模発生の予兆を察知した軍上層部は、小隊に対して特別任務を与えることを決断する。激戦の予感に怯える理宇たちの予想に反して、与えられた任務は前線ではなく、国民的アイドル「リヴァーナ」の護衛任務だった!! 浮かれる小隊メンバーだったが、そこへ予想外の形で敵が出現して……!? さらに激しさを増す戦場、徐々に明らかになる謎、そして新たなる恋――。新感覚軍隊ラブコメ、激動の第6巻!

最近のミズキが、完全に虎紅隊長を愛でる会の会長に就任している件について。
墜ちたな、ミズキ。
あれだけ対抗心、敵愾心剥き出しにしていたのも今は遠い昔。近頃の彼女と来たら、理宇と一緒になって余人が気づかないだろう虎紅の愛らしい仕草や表情などを見出してニヤニヤしている始末。いいんだけどね。いいんですいいんです。
虎紅とミズキとの間の壁であり溝であった、お互いに抱いていたコンプレックスも、それが嫉妬や敵意、嫌悪へと繋がるのではなく、お互いへの尊敬へと発展していった事で抑えるのでも消し去るのでなく、いい意味で飲み込むことが出来たようだし。
尊敬を経て紡がれた友情は強固だよ。それが、実際の戦争においても恋においても戦友という間柄にもなれば。そして、理宇の余りにも意図も気持ちも通じない惚けっぷりから二人の恋愛闘争も出し抜きあうから、フェアな条件に基づきポイントを稼ぎ合うを通過して、ついには殆ど共闘状態に陥っちゃっているわけで、そりゃ友情や絆も目覚めるわなあ。さらには先述したように、ミズキったら虎紅個人の愛らしさに目覚めたらしく、冷静沈着頭脳明晰な完璧な隊長の振る舞いの中に僅かに垣間見える小動物めいた可愛らしい姿を目ざとく捉えてはほっこりしているご様子で。
いきなり下士官曹長から魔導士官になってしまい、勝手の違う立場や魔法の習得に大変な思いをしているところなんだろうけれど、何故か前よりも充実した毎日を送っているように見えるぞ。そりゃあ、理宇の一挙手一投足に胸を高鳴らせ、顔を赤らめてドキドキしていただけでも充足だろうに、そこに虎紅を愛でる楽しみまで増えたんじゃあ、普通の二倍は楽しんでるよなあ、ミズキさんてば。

そんなミズキが抜けたとばっちりを食うハメになったのが、先任下士官となりミズキから鬼軍曹役を引き継いだ鷹乃さんなのでしょう。あのミズキですら、憎まれ役の副隊長の任務には精神的に疲弊しまくってたのを考えれば、彼女より柔軟性の欠けた堅いまじめちゃんの鷹乃さんだと、なかなか部隊統制も大変だよなあ。とは言え、彼女は彼女なりに柔軟性を蓄えているし、家が軍人の家系だけあって非常に有能なのは間違いなく、上の理宇、虎紅、ミズキに下の俊太郎と美冬がしっかりと支えているから、不都合らしい不都合は出てないんですけどね。
むしろ、人が立場を作る、という言葉のように、以前からの理宇たちとの付き合いの影響もあるのだろうけれど、いい意味で柔らかく器大きくなってってるよなあ、彼女も。まだまだ危うい面も多いけれど、責任感と思い込みの強さが悪しき意味で変に絡まっていた以前と比べると、何だかんだと安心感が出てきてる。頼りがいも出てきたし。
だからと言って、今回みたいに盛大にぶっ壊れていいとは云わないがもっとやれ。このミーハーめ(笑
そんな彼女もまた、理宇に惹かれだしているようだけれど、美冬が洞察しているようにまだ覚醒はしてないっぽいんですよね。本格的に目覚めてしまってたら、あそこでミズキと虎紅のレーダーがラグとして見逃すはずもありませんし。むしろ、微妙に別の人とフラグ立ってたような気もするぞ。部下の男の子は別としても、今回ついにご本人初登場だった、ミズキと理宇の中学時代のトリオの一角、空軍に行った三隅と変なフラグ立ってたみたいだし。立ってたよね、あれ。
しかしこの三隅って子は、なるほどミズキと一緒になって大暴れして理宇に後始末させていたというだけあって、ヤンチャだわー。いくらオスプレイだって、あんなアクロバット飛行実戦でやらいでか!!

そんな青春只中にいる少年少女たちですが、今はまさに戦時。そして彼女たちが属しているのは軍隊であり、生と死を理不尽に強要する組織の只中にいる事は決して忘れる事はできないんですよね。
彼らはまさに戦うために日々を送り、生き残るために訓練を熟し、アンテナを尖らせて敵の、或いは上層部の気配を探り、生存闘争を絶えず続けているわけです。
「戦争もの」は決して珍しくないけれど、何気に「軍隊もの」はやっぱりライトノベルじゃ珍しいんだよなあ。軍隊という特殊な組織の文化を下敷きにした青春ものって。パッと思いつく限りじゃ、電撃の【EGコンバット】か榊版【ガンパレ】。あとはコバルト文庫で須賀しのぶさんが書いてた【アンゲルゼ】くらいだ。よくまあよりにもよってMF文庫でこれを出そうとしたもんだわ。
閑話休題。軍隊において軍人とは、大切に保護される財産であり、愛し慈しまれる子供たちであると同時に、効率的に消費されるよう計算される駒であり消耗品である事からは逃れられない。それは「特殊」である魔導士官も同様であり、「特別」である虎紅小隊、ひいては「万能の杖」と密かに呼ばれる理宇も、あのリヴァーナでさえ変わらない。いや、むしろ「特別」であるからこそ恣意的に運用用され、当然のように大切に使い潰される。
それは理不尽ではあるけれど、納得しなきゃならない理不尽でもあるんですよね。軍人とはそんな理不尽を最初から担っている存在と言える。そして、理宇たちは勿論のごとく、それを知っているし、最初から覚悟した上で備えを怠らない。生きることに、生き残る事に対して、極めて勤勉であることを辞めないのだ。
こうした軍隊モノの少年少女たちが眩しいのは、ただ毎日を過ごすことにすら一生懸命だからなんだろうなあ。明日をも知れない身だからこそ、誰よりも今を生き、未来を見ている。
政戦、暗闘、謀略戦の百鬼夜行と化している政府と軍上層部。その駆け引きの中心となり、突如発生した予定にない、しかし想定されていた大規模戦闘の只中に放り込まれる理宇たち7241小隊。
死闘である。

どうやら登場人物も出揃い、物語も佳境に入ったようだけれど、核心に近づくにつれてさらに謎は増えるばかり。理宇もまあこれ、二進も三進も行かない立場に……追い込まれたとしか言いようがないよな、これ。彼が怒るのもなんとなくわかるよ。
虎紅とミズキがどれだけ彼を守れるのか。なんか、そういう話になっていきそうだ。

2巻 3巻 4巻 5巻感想

キャットテイル・アウトプット!4   

キャットテイル・アウトプット! (MF文庫J)

【キャットテイル・アウトプット!】 神野オキナ/西E田 MF文庫J

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女装少年、少女を守る!乙女の園への潜入任務開始!?
七文字綴(ななもじつづり)は、超法的存在の組織“時限捜査官”の候補生。ある日、上官命令により、世界にとっての最重要人物とされる謎の少女・メアリーの護衛任務を遂行することになるが、潜入先の衣装として渡されたものは、お嬢様学校として有名な“聖メラヴィア女学院”の制服だった! さらにメアリーの隠された正体を知ってしまった綴は、メアリーと自らの正体を隠しつつ、女学院での護衛任務を遂行することになる。しかし、そこに二人を巻き込む黒い陰謀が……!? 神野オキナが送る、本格アクション第1弾!
ちょっ、これイラストレーターさんも違うし、あらすじなどでもまったく触れられてなかったから読むまで全然気がつかなかったんだけど、【あそびにいくヨ】シリーズのスピンアウト作品なのか!!
元々件のシリーズでもあったエージェントたちが暗躍するスパイアクションの要素をより高めた感じの話になってますね。ハイソサエティのお嬢様学校を舞台にした特殊な学園モノでもあり、スパイアクションものでもあり、と。元々、上流階級が集うようなお嬢様学校なんてのは、そこに通っている子女からして普通の学校よりも政治の闇に対する親和性が強いですから、百合百合しい女学園モノとハードなアクションが並列として処理できる非常に美味しい作りになってますよ、うんうん。
【あそびにいくヨ】がちょっと緩すぎて緊張感のなかった所があったのに比べて、こちらは決して緩さがないとは言えないのですけれど程よい緊迫感が持続していて、作者の作品の中では【疾走れ、撃て】タイプの方に近いのじゃないかと。メアリーのバックストーリーがあの「傭兵国家」出身というのも、エージェント色が色濃く出る要素になってるのかな。何れは【シュレイオー】組も出るのかしらん。
何よりこの物語を程良く引き締め、しかし追い込み過ぎずにゆったりとした雰囲気も併存させている要因となっているのが、主人公の片割れである七文字綴のキャラクターでしょう。この子が素晴らしいんだ。冒頭から別に隠してないし、あらすじ見ればわかるのでぶっちゃけますが、彼は彼であっていわゆる女装してメアリーの身辺警護につく、という形になるのですが、彼、良い意味で凄く余裕があるんですよね。女装男子、あるいは男の娘という類型は、圧倒的に小娘が多いのだけれど彼については「可愛い」じゃなくて、断然に「美人」というタイプ。それも容姿云々よりも内面が「美人」と言っていい。おとボク2の千早ちゃんに近いタイプと言ったらいいか。
シャープで冷静沈着でスマート、やることなすこと卒がないあたりは非常にプロフェッショナル、という感じなのだけれど、言動は研ぎ澄まされているというよりもむしろポワンとした余裕があって穏やかで気配り上手。傍にいてホッと安心させられる感じなんですよね。頼りがいがあってこちらの弱さを優しく受け止めてくれそうな女性的な包容力も醸し出していて、カッコイイのはすごくカッコイイのですけれど、男性的なかっこよさじゃなくて女性的、そう「美人」なかっこよさ。男女問わずに惚れ惚れするような。
これはいい主人公ですよ。物語を引き締め、アクションを映えさせ、登場人物同士の交流に彩りを与える。いや、主人公はあくまでメアリーの方なのかな。あくまで彼の役割は彼女のパートナーって感じですし。
そのメアリーの方も、実は【あそびにいくヨ】の方ではまるで印象残ってなかったのですが、エリスみたいな野放図な脳天気さはなくて、きちんと自分の任務に責任感と気負いを抱いている生真面目タイプ。あの種族特有の純真さも備えてますし、新しい土地での交流でいい成長をしてくれそうな、これも良い主人公だなあ。
いや、これは面白かったです。キャーティアと人間との関係もより深刻で真剣な形で突き詰めてくれそうですし、期待のシリーズだ。

疾走れ、撃て! 54   

疾走れ、撃て!5 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 5】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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魔導士官として覚醒したミヅキの欠員を埋められないまま、紫神小隊は本格的な実戦部隊「七二四一小隊」として始動した。士官教育を終えた理宇は、いよいよ「杖」として実地で訓練をすることになる。不安を隠しきれない小隊メンバーのために、結成記念パーティーという名の宴会(アルコールなし)が開かれることになるが、誤って飲酒をしてしまった虎紅が大変なことに――!? そんなパニックの最中、新型の3人乗り数式戦車「轟雷」と共に小隊の新メンバー・矢真科ユリネ二等兵が現れて――!?新兵器&新隊員登場でますますパワーアップの軍隊青春ラブコメ、波乱の第5弾!
立場が人を作る、か。実戦をも混じえた訓練期間を経て、僅か半年という時間で子供たちは一端の兵士となっている。いや、決断力と判断力を有した大人になった、というべきか。いずれ何らかの形で学兵として軍に関わらなければならない、子供たちにそういう自覚と覚悟のある時代と環境であるとはいえ、彼ら紫神小隊は特に優秀に見える。比較対象となる、他の同世代の学兵部隊の様子が描写されたことがないので断言できないけど、誰もが認める理想の上官を体現している紫神虎紅の下、小隊幹部は皆これ当たりだろう。
人の上に立つような性格でなく、決断力よりも穏やかな宥和が似合う人柄だった理宇の士官としての成長に感嘆を漏らしていた俊太郎だけど、彼だって下士官として得難い人材になっている。美冬や鷹乃を含めても誰一人欠けたら穴を埋められないレベルで。上に立つ人が優秀であることに越した事はないんだけれど、軍隊というものがどうしても欠員を生む組織である以上、常に突然誰かがいなくなった場合を考えなくてはいけなくて、皆が替えがきかないほど優秀というのも悩ましい所なんですよね。贅沢な悩み、と言えばそれまでですが。
その意味では、ミヅキが先任下士官から魔導士官候補生に予定にない昇格をしてしまったことによって生じた欠員を人数的には埋められなくても、人材的に埋められたのは幸いだった。鷹乃さんは、肩の力さえ抜けば、間違いなく優秀な人ですからね。初期には随分と無茶をやらかしたけど、今では視野も広がって、落ち着いて自分の周りを見渡し、自分を振り返る余裕も出てきたし、彼女の責任感の強さや思慮深い果断さも今なら良い方向に出てくれるはず。ただ、理宇を見直す気持ちが強まりすぎて、なんか変なフラグが立ち始めてますがw
鷹乃さん、それある意味理宇を亡き者にしようとしたことよりも死亡フラグ(笑
紫神小隊で一番怖い二人がコンビ組んで襲いかかってくるぞw

変な整備の人をくっつけて、実戦駆動を始めた紫神小隊に、最新型の数学戦車が納入されてきたものの、隊長の虎紅を筆頭に概ね不評。意外かもしれないけど、実戦部隊には新型って大概不評を以て迎えられるものである。よっぽど現状の兵器に力不足を実感しているならともかく、実戦での実績のない兵器って恐ろしく嫌われるんですよね。現場で戦う兵隊は、兵器に自分の命を預けなきゃいけない以上、何よりも信頼性を求めるもので、どんな不具合が潜んでいるかわからない新型というのは、実戦の最中にどんな故障を起こすか事前に備えることも難しく、信用に値しないというわけですな。
特に未だ量産化もなされていない試作兵器なんて、疫病神もいいところ。絶対故障するに決まってるのに、部品関係なども大概まともに在庫が揃ってないし、整備マニュアルも整ってない。整備担当者なんかは頭抱えて徹夜続きの日々が訪れることまちがいなしだから、現場の兵士よりも嫌がるでしょうね(立ち上がっただけで5億円ってなにそれ!?)。
だから、専任整備員付きで持ってきたのは、新型を押し付けてきた上層部のせめてモノ好意なのだろうけど……このヤマネがまた一癖も二癖もある人間で軍人の規範にとらわれない破天荒な性格の持ち主、である以上に腹に一物持ってるようなんですよね。あのネアカな性格は素かもしれないけど、中身は恐ろしく黒いぞ。黒いというよりも、良心も善意も目的のためなら笑顔で躊躇なく脇に押しやってダーティーな仕事をやってのけるタイプ、というべきか。
この手の人は本当の意味では絶対に味方になってくれない人なので、いい意味で利用し合う関係になれれば一番いいのだけれど。そのあたりは虎紅が上手くやってくれそうなので、それほど不安は感じていないが。

理宇を巡る虎紅とミヅキの争いは、ミズキが魔導士官として覚醒した時の虎紅の対応に助けられた事で大きな借りが出来たと感じてしまったために、停滞気味。ミヅキに、虎紅に譲るつもりはないけど出し抜いてやる、という闘争心が薄れてきてしまってる感じですねえ。抜け駆けすることに気が咎めてしまう、というのは色々と致命的じゃないのかな、これ(苦笑
虎紅をフェアだフェアだとミヅキは言うけど、ミヅキも割り切れないあたりは十分フェアだと思うよ。フェアな姿勢が通じるのは、相手もフェアな時だけですもんね。
虎紅とミヅキが魔導士官として師弟関係となり、杖である理宇ともパスが通じた以上、これまで以上に三人の関係が三人として密接になっていくはずだから、こりゃこのまま三人のまま関係が近しくなっていきそうだな。残念ながら、鷹乃さんは出遅れた(笑
あと、お酒入った虎紅は大いにアリだ。虎紅にも鈴にゃんとおんなじ血がちゃんと流れてる事が発覚してしまったよ、おい。本人全然覚えてないみたいだし、こりゃ何度かまたありそうだな。

一方で、紫神小隊を巡る環境はさらに過酷に。上層部に目をかけられるということは、イコールとんでもない戦場に最優先で放り込まれるということですからね。もちろん、その分色々な優遇措置はしてもらえるとはいえ、他の学兵部隊とは段違いに危険な場所に突っ込んでいかなければならないわけで。
ダイダラも、ついに人間の死体を利用した人型サイズの特殊戦部隊としか思えないような一団を投入し、今までの対ダイダラ戦争と戦況が一変しかねないターニングポイントが訪れている。
なんか、最後凄いことになってるしさあ(苦笑
上の目論見がまだみえてこないのが不気味なんだが(一枚岩じゃないみたいだし)、新型数式戦車が大隊指揮能力まで備えていた、というのは見逃せないところだな。果たして、どこまで描くつもりなのか。

2巻 3巻 4巻感想

疾走れ、撃て! 44   

疾走れ、撃て 4 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 4】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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せっかく獲得した小隊の長期休暇も、虎紅と理宇、それにミズキの三人は海軍のプログラムに参加していたお陰でちゃんと消化することは出来なかったのだけれど、最後の四日間だけ宿舎に早めに帰還してキャンプを組むことに。三人だけのキャンプのはずが、そこに色々な珍客が訪れたり、他の仲間も何人か早めに帰ってきたことで、賑やかな休日が繰り広げられることに。
なんだかんだと前回も怒涛の展開だっただけに、ちょっとした息抜きの幕間回と言ったところでしょうか。どうやら、次回以降はまた過酷な戦局が待ち受けているような気配があるし。
得てして、こういう幕間回の方がより人間関係が動いたりするんですよね。忙しさから開放されたのんびりとした休日だからこそ、じっくりと個々のキャラについて描ける部分もありますし、登場人物たちも落ち着いた状況で自分を省みたり、他人との距離についても踏み込んでいける余裕がありますしね。
理宇と虎紅とミズキの三人のみならず、様々な人間模様がいろんなところで織り成されていて、幕間回と言えど、非常に面白いことになっていたように思う。
特に、やっぱりというべきか、メインとなる三人の三角関係が思わぬ方向に発展してきたと言うか、予想通りの方向に進捗してきたと言うか、いい感じになってきましたよ。
愉快なことに、このつかの間の休日を逃さず、理宇との関係を一気に勧めようと企む虎紅とミズキなんですけど、肝心の理宇との距離はまったく何も起きないまま、何故か恋敵である相手の方との関係が、妙な形で変化、いや進展していってしまうのある。
面白いのはこの二人、恋の相手である理宇に対しては、とても好きであり、どうやって恋人関係になるか、という非常にシンプルな構図で矢印が向いているのに対して、恋敵である相手に対しては非常に複雑にいりくみからみ合った感情が交錯しているのである。
元々は自分の好きな相手にちょっかいを出してくる排除すべき敵、に過ぎなかったのが、同じ部隊の上官と部下として付き合ううちに、相手が自分にないものをたくさん持っているコンプレックスの対象となっていく。
恋敵と言うのは不思議なもので、相手を出しぬくため、あるいは出し抜かれないために、ある意味恋する相手よりもより注意深く、丹念に、注目して、その人となりや性格、言動などを観察してしまう場合がある。それは、つまり普通に付き合うよりも遥かに相手のことを深く知ってしまうという事でもあるわけだ。
そして、知れば知るほど、相手が好ましい人物だと分かってしまえばどうなるか。
端的に言うなら、虎紅とミズキ、二人ともお互いのことをいつの間にか、とても好きになってるんですよね。相手は理宇を奪おうとする恋敵だ、と頭では分かっているものの、それ以上に相手が好ましく尊敬出来る人だと言う想いがいつの間にか根づいてしまっている。おまけに、お互い鈍感で女心をわかってくれない理宇の被害者という意味で、言葉にならない次元で通じ合った同志みたいな共感も抱いてしまっているわけで。
知らず知らず、ある意味理宇との繋がりよりも遥かに濃く太い絆が、二人の間に形成されだしてるんですよね。
この作品が面白いのは、そこまで繋がりが育まれていながら、虎紅とミズキって馴れ合おうとはしないんだよなあ。でも、これぞ正しい「好敵手」って感じで、私はこの二人の関係、かなり好きなんですよね。
でも、お互いここまで気持ちが通じ合ってしまうと、逆にはっきり白黒勝敗をつけてしまうことに壮絶な居心地の悪さを感じてしまいだしちゃうんですよね。本来なら恋なんてものは奪ったもの勝ちみたいなものなのに、好きなことを独り占めすることに罪悪感を感じてしまうようになる。
そこまで来ると、三角関係はイイ意味で熟成食べごろ状態と言っていいのかも。と、ぬるいことを言っている状況でもないんですけどね。
最後のミズキの決断は、本人も重々承知しているように自分の都合で部隊全体を危険に晒しかねないものである。それでも、ミズキは恋を優先し、虎紅はそれを受け入れた。二人とも、責任感は人並み以上あるしっかりとした女性たちだ。自分たちの我侭で本当に部隊の仲間たちが死地に立つことのないよう、死に物狂いで自分の為せる以上の事を成し遂げようという覚悟を以て、まだ発芽もしていない微妙な三角関係を維持する方を選択したはずである。まったく、とんでもない女性たちだ。
彼女たちが、それだけの覚悟に見合うだけの報いを受けられたらいいんだけど、理宇はどうしようもない朴念仁だからなあ。女性が強い世界だけど、それだけに苦労も強いられているようである。
朴念仁の先達であるところの伊達教官の暴虐に振り回されている加藤教官の悲惨さを思えば、まだ二人は若い分、希望に溢れていると言ってもいいかもしれないけど。あの大人組は、ほんと悲惨だもんなあ(苦笑
ただ、加藤教官はイイ大人なんだから、そんな遠まわし遠まわしにアプローチしても埒が明かないのは分かっているだろうにw 伊達教官の場合、歳喰ってる分、むしろ理宇よりも酷いことになってるもんなあ。そんな相手には、直球を頭に危険球くらいの勢いで投げるしかないでしょうw

さて、表紙にもなっている新キャラ、虎紅の妹虎鈴は、また強烈だったなあ(笑
双子でこれだけ成長度がちがうって、作中でも何ども繰り返し描写されてるけど、虎紅から吸い取ったとしか思えん(笑
しかも、胸なんぞミズキよりも大きいのかよ。ミズキって相当物凄いって話だったのに、それ以上って。性格もあっけらかんとした人懐っこい大型犬みたいな娘で、ええいっ、愛玩的な意味でかわいいなあ、おう。この性格だったらたぶん、ミズキと意気投合するだろうなー、と思ってたら案の定仲良くなってるし。お姉ちゃん大好きっ娘でありながら、二人の恋路には茶々を入れずに両方応援、というスタンスからもわかるように、人懐っこい娘ながらもベタベタはしてないんですよね。基本的に気持ちいいお嬢さんだわ。

夏が去り、秋が来る。出るべき人も大方出揃った。再び、戦争の季節だ。

疾走れ、撃て! 34   

疾走(はし)れ、撃て!〈3〉 (MF文庫J)

【疾走れ、撃て! 3】 神野オキナ/refeia  MF文庫J

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表紙は一体誰なのか!? と思ってたら、もしやの太刀風准将大抜擢。
特徴である眼帯を外していたのと、海軍さんの制服と言えばついつい真っ白な第二種軍装を連想してしまうので、太刀風准将とは思わんかったなあ。二巻でちょいちょいっと登場したばかりの人をこうして表紙に持ってくるあたり、よほど作者的にも全面プッシュしたいキャラなんだろうか。
最近、作者の他作品を読んでても、わりとお姉さんな女性が重用されている節もあるし。
しかし、このシリーズの海軍は6割が女性なのかー。まさにガールズネイヴィー。これは日本海軍のみならず、世界的な傾向だそうなのでいささか羨ましい。でも、これって海軍と陸軍の対立、余計に深まっちゃうような気もするなあ。ただ、この第三巻では海軍に招待された理宇と虎紅の二人は終始フレンドリーに賓客として扱われているので、組織間の対立による嫌がらせなどに神経をとがらせる必要もなく、ポワポワーとした気分で読めましたね。最初の懇談会で海軍士官!! というそれらしい人たちでなく、同世代の若い連中ばっかり集めて歓迎してくれた太刀風准将の気遣いのお陰もあるんだろうけど。
まあ、作中でも語られているように、海軍と陸軍の対立は実際この世界でもあるようだけど。

まー、最初こそ賓客扱いだったものの、すぐさま太刀風姐さまによるうら若き少年少女を弄って遊ぼうタイムに入るわけですが。
この姉ちゃん、あまりに下世話すぎるww 仮にも現場たたき上げで将官一歩手前まで二十代で駆け上がった海軍最高の指揮官にして、海軍の未来を担う海中戦闘機構想の開発を任されているという俊英のくせに、何というおばちゃん気質か。
そのくせ、自分の恋愛ごととなると純情一途の箱入り娘と化してしまうんだから、なんともはや。

それでも、女の子だらけの海軍に、水着水着おっぱいおっぱい、というある意味凄まじい状況のもとに居ながら、それほどキャピキャピと浮ついた雰囲気にならないのは、作者の筆の特徴なんでしょう。
海軍への出向という形で二人きりになり、普段よりも上官と部下という立場から解放されて近い距離で接しあえる理宇と虎紅。そこに、在日米軍司令官の父親の力を借りて、空母<ふげん>に乗り込んでくるミズキ。三角関係直接対決、な構図になってるわけですが、それほど強烈に鞘当てをするわけではなく、虎紅とミズキ、それぞれの想い、理宇への気持ちを持て余し、自分以外の女の子との触れ合う距離に悶々とする様子を、どこかしっとりとした空気で描いているんですよね。
この性急すぎない丁寧で慎重な恋心の募る様子の描き方は、神野オキナさんの特徴みたいになってきた感じがする。自分なんかは、こういうゆったりとした空気は大好きなんですけどね。
ミズキも、わざわざ親父の力を借りて乗り込んでくるくらいだから、攻めて攻めて攻めまくるのかと思ったら、何となく女性だらけの周りの雰囲気に圧倒されて足踏みしちゃってるし。気が強いわりに、臆病で心配性なんだよな、ミズキって。その点を理解して彼女に三枚のお札ならぬ、恋愛手引書三通を渡している鳥越深冬は得難い親友、というかなにこの魔法使い。ここぞという時に開けろ、と言われて渡された手紙の中身が、あまりに状況に対して的確すぎて、吹いた(笑
虎紅は虎紅でコンプレックスがいっぱいあって、理宇に対して決定的な態度をとれないでいるあたり、虎紅にしてもミズキにしてもじれったいよなあ。二人とも、互いに隣の芝は青い状態だし。それだけ、お互いの事をよく把握している、という意味にも通じるんだろうけど。理宇にちょっかい出してくる海軍連中に対して共同戦線張ったときの息の合い方は大したものだったし。恋敵、という意味でもこの二人、段々と戦友になってきてるのかも。
でも、最後。あそこでしっかりと理宇の前で泣きじゃくって見せたミズキは、悪友としての自分でも部下として戦場での相棒としての自分でもなく、一人の女の子としての自分の素の顔を見せられた、という意味で、一歩アドバンテージは取れたんじゃないでしょうか。残念ながら、自分の精神的な在り様であって、理宇との関係という意味ではないですけど。

ラブコメ主体で動いていたと思われたこの三巻ですが、クライマックスにて、とてつもない大きな動きが。あれは、ミズキが特別だったんじゃ全然ないんですよね。あくまで、理宇の資質だったわけか。
そういえば、格納庫でもつれ合った際、理宇の血が偶然ミズキの口に入ってしまっていましたっけ。
ミズキのあれは、果たして一時的なものなのか、それとも完全に覚醒してしまったのか。
どちらにせよ、単なる魔導士官の魔術の補助媒体である「杖」でしかなかったはずの存在が、ああいう機能を持っているとなると。ただでさえ、魔導士官の存在は貴重なはずだから、こりゃあ偉い事になりそうだ。

疾走れ、撃て! 24   

疾走(はし)れ、撃て!〈2〉 (MF文庫J)


【疾走れ、撃て! 2】 神野オキナ/refeia MF文庫J

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長く延期されただけの甲斐はあったのかな。速攻で実戦に放り込まれた一巻のような劇的な展開はなく、淡々と演習に向けた訓練が続いていく大人しいといえば大人しい展開なのだけれど、これがどうしてどうして――べらぼうに面白い!!
神野さんの作品はけっこうたくさん、というか最近の【あそびにいくヨ】以外はだいたい網羅してるつもりだけど、これはその中でも会心の出来栄えなんじゃないだろうか。
人間関係の醸成、キャラクター描写の習熟という意味では確実に次の飛躍に向けたステップになる回でもあるし、この段階でこれだけ面白いものを読ませられると、物語が激動をはじめるであろう次回以降への期待は膨らむばかりだ。

しかし今回、本気で訓練ばっかりだったよなあ。興味深いというか面白いのは、話自体は主にミズキに重心を置いた形で進んでるし、彼女本人の内心の比重は訓練や演習のことよりも、理宇との仲をどうやって進展させるかとか、上官である虎紅と理宇とが親密になっていくのをヤキモキしながら歯がみしている、という恋する女の子のそれそのままなのですけど、肝心のミズキが何をやっているかというと、ほんとにひたすらに訓練訓練。部隊の先任下士官として、部下たちを怒鳴り散らし、追い回す毎日。時々、虎紅と理宇との間に割り込もうとささやかなアプローチはしてるんだけど、現実として出来てることと言えばそれくらい。それどころか訓練方針の食い違いを巡って、理宇と大ゲンカまでしてしまう始末。まあこの喧嘩自体、発端はお互いがお互いの事を心配したのが変にすれ違ってこじれてしまった、というところなんだけど。
現実としてミズキは、ほんとにろくに行動に移せてないんですよね。現実問題として、理宇もミズキも青くさい恋模様なんてやってる暇が物理的にないってことなんだろうけど。心の中では盛大に青春に花を咲かせ、乙女心を羽ばたかせ、恋心を高鳴らせているだけに、それらをまるで行動に移せないほど忙しいってのは、大変だなあと同情してしまう。若いのにねー。
単純に積極的アプローチしているということなら、加藤教官の方が実にアグレッシブだったと言えるかもしれない(笑
そしてそれらをことごとくぺちゃんこに叩き潰していく伊達教官の鬼のような鈍感振りには、苦笑いを通り越して顔がひきつったけどさw
あれはそのうちマジでブチ切れた夏ちゃんに殺されるぞw 読んでる途中、いつ加藤教官がプツンくるか、ひやひやものだったし。

そして、進展と言う意味では、むしろ理宇とミズキ&虎紅のヒロインズの距離よりも、ミズキと虎紅という理宇を巡る恋敵同士の距離の方が縮まってるんですよね。
単なる恋敵として接する以前に、ミズキと虎紅は理宇が間に介在するとはいえ同じ部隊の部下と上官の関係。大演習に向かって訓練に忙しい日々では必然的に恋の鞘当てで激突するよりも、部下と上官として接する機会の方が多くなってくるわけです。そうなってくると、目の当たりにしてしまうのは虎紅の上官としての優秀さ、公平さ。自分の至らなさやミスを嫌味にならない形でフォローし、一度はこじれてしまい掛けた理宇との人間関係も、放っておけば恋敵としては有利なはずなのに、実に心憎い配慮で瞬く間に修復してくれたりなんかりもして。予断を排せば、虎紅という少女はミズキのような兵隊にとって得難い、頼りになる、信頼できる、信用もできる、云ってしまえば命を預けるに足る素晴らしい上官であることを否応なく思い知らされてくるわけです。
そうして、虎紅という少女への恋敵としての敵愾心を取り除かれてみると、ふとした瞬間に彼女を上官としてではなくただの自分と同世代の(ちょっと年上だけど、見てくれは思いっきり年下だし)女の子としての他愛もない仕草や、可愛らしい素顔なんかも見えてきてしまうわけです。
憎き恋敵だった少女の、あどけない寝顔なんかにキュンとなっちゃったりとか(笑

三角関係がいい意味で発展するのって、まさしくこういう形なんですよね。一人の異性を頂点とした二等辺三角形ではなく、異性同性の区別なく、三人が等距離で三角形を結ぶこの正三角形の形こそが、三人が三人のまま上手く収まるスタイルなわけです。
今のところ、見事にその方向に進んでますね、この三人(笑

もうひとつ気になるのが、深冬と佐武の分隊長組かな。この二人のすっごく落ち着いた雰囲気が、物凄い好みです。二人ともすごく大人っぽいからか、気持ちの繋がり方も大きく波打つのではなく、そっと寄り添っている感じで。このまま、いい形で発展していってくれたらなー、と思ったり。
ただ、この作品、あくまで戦争モノなんですよね。二人がいい雰囲気になればなるほど、あとがちょっと怖いんですけどw

しかし、軍隊モノはやっぱりこうじゃなくっちゃねー、とかみしめるように思ったり。雑談の会話ですら、兵に聞かせるように考えて喋り。士官は常に試されてたり。下士官は恨まれてなんぼだったり。
訓練訓練また訓練。実戦で死なないために、死ぬ可能性を少しでも減らすために、ひたすらに訓練訓練。
くぅー、これこれ。沁み渡るネ!(なにがだ(苦笑
 

9月28日

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9月27日

異識
(まんがタイムKRコミックス)
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ひさまくまこ
(まんがタイムKRコミックス)
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Koi
(まんがタイムKRコミックス)
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相崎うたう
(まんがタイムKRコミックス)
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セトユーキ
(まんがタイムKRコミックス)
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こめつぶ
(まんがタイムKRコミックス)
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福きつね
(まんがタイムKRコミックス)
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メイス
(まんがタイムKRコミックス)
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9月26日

えすのサカエ/宇野朴人
(角川コミックス・エース)
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相野仁/市倉とかげ
(角川コミックス・エース)
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平未夜/之貫紀
(角川コミックス・エース)
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大和田秀樹/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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今ノ夜きよし/イノノブヨシ
(角川コミックス・エース)
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Ark Performance
(角川コミックス・エース)
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石田あきら/東出祐一郎
(角川コミックス・エース)
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前田理想/沢村治太郎
(角川コミックス・エース)
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鏡/丘野優
(角川コミックス・エース)
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東方Project/芦山
(電撃コミックスEX)
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笹倉綾人
(電撃コミックスNEXT)
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苗川采
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Dormicum
(電撃コミックスNEXT)
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山路新
(電撃コミックスNEXT)
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宝乃あいらんど/震電みひろ
(電撃コミックスNEXT)
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小早川ハルヨシ/金斬児狐
(アルファポリスCOMICS)
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くろの/永島ひろあき
(アルファポリスCOMICS)
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9月25日

涼樹悠樹
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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友橋かめつ
(オーバーラップ文庫)
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ネコクロ
(オーバーラップ文庫)
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ネコ光一
(オーバーラップ文庫)
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白米 良
(オーバーラップ文庫)
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白米 良
(オーバーラップ文庫)
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でんすけ
(MFブックス)
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出井 啓
(MFブックス)
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一分 咲
(MFブックス)
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筧千里
(MFブックス)
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カヤ
(MFブックス)
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波多ヒロ/あまなっとう
(ガルドコミックス)
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やもりちゃん/じゃき
(ガルドコミックス)
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もちろんさん/猫子
(ガルドコミックス)
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吉川英朗/月夜涙
(ガルドコミックス)
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吉乃そら/ネコ光一
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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卯乃米/桜あげは
(ガルドコミックス)
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綾北まご/冬月光輝
(ガルドコミックス)
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9月24日

棚架ユウ/丸山朝ヲ
(バーズコミックス)
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天乃咲哉
(バーズコミックス)
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洋介犬
(バーズコミックス)
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かくろう/石神一威
(バーズコミックス)
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小林立/五十嵐あぐり
(ガンガンコミックス)
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小林立/五十嵐あぐり
(ビッグガンガンコミックス)
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小林立/めきめき
(ビッグガンガンコミックス)
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長田悠幸/町田一八
(ビッグガンガンコミックス)
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小林立
(ヤングガンガンコミックス)
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小林立/めきめき
(ヤングガンガンコミックス)
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福田晋一
(ヤングガンガンコミックス)
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田尾典丈/三雲ジョージ
(ヤングガンガンコミックス)
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戌森四朗
(ヤングガンガンコミックス)
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六本順
(ヤングガンガンコミックス)
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田澤裕/友井太郎
(ヤングガンガンコミックス)
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9月22日

十文字 青/原作・プロデュース:Eve
(MF文庫J)
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総夜ムカイ/原作・監修:みきとP
(MF文庫J)
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両生類 かえる
(MF文庫J)
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木緒 なち
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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川口士
(ダッシュエックス文庫)
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川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
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川口士
(ダッシュエックス文庫DIGITAL)
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赤金武蔵
(ダッシュエックス文庫)
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河本ほむら/尚村透
(ガンガンコミックスJOKER)
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河本ほむら/斎木桂
(ガンガンコミックスJOKER)
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昆布わかめ
(ガンガンコミックスJOKER)
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サラ イネス
(イブニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニング KC)
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江口夏実
(モーニング KC)
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瀧下信英/津田彷徨
(モーニング KC)
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藤本正二/Juan Albarran
(モーニング KC)
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千嶌オワリ/津田彷徨
(モーニング KC)
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森高夕次/足立金太郎
(モーニング KC)
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一乃ゆゆ/佐島勤
(MFコミックス アライブシリーズ)
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杉井光/篠アキサト
(MFコミックス アライブシリーズ)
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ぐう/水無瀬
(MFC)
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柏木郁乃
(MFC)
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倭ヒナ/ぷにちゃん
(MFC)
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9月21日

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9月20日

大和田秀樹
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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クール教信者
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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いとうえい
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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小宮地千々
(GCN文庫)
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一色一凛
(GCN文庫)
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風間レイ
(TOブックス)
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やしろ
(TOブックス)
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もちもち物質
(TOブックス)
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夕立悠理
(TOブックス)
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鳴沢明人
(HJ NOVELS)
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はぐれメタボ
(HJ NOVELS)
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9月19日

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9月16日

橘 公司
(富士見ファンタジア文庫)
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長岡 マキ子
(富士見ファンタジア文庫)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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七斗 七
(富士見ファンタジア文庫)
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いつきみずほ
(富士見ファンタジア文庫)
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ラマンおいどん
(富士見ファンタジア文庫)
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ラチム
(富士見ファンタジア文庫)
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紫大悟
(富士見ファンタジア文庫)
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朝陽千早
(富士見ファンタジア文庫)
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コイル
(電撃の新文芸)
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相原あきら
(電撃の新文芸)
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イダタツヒコ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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やまむらはじめ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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坂崎ふれでぃ
(サンデーGXコミックス)
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了子
(裏少年サンデーコミックス)
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神内アキラ
(裏少年サンデーコミックス)
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柊一葉/じろあるば
(裏少年サンデーコミックス)
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内藤マーシー
(講談社コミックス)
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宮島礼吏
(講談社コミックス)
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久世蘭
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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裏那圭/晏童秀吉
(講談社コミックス)
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むちまろ
(KCデラックス)
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硬梨菜/不二涼介
(KCデラックス)
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さゆこ
(フロース コミック)
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あるてぃ/染井由乃
(フロース コミック)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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雪森寧々
(ヤングジャンプコミックス)
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小瀬木麻美/宮田ダム
(ヤングジャンプコミックス)
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キナミブンタ
(ヤングジャンプコミックス)
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大河原遁
(ヤングジャンプコミックス)
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武田綾乃/むっしゅ
(ヤングジャンプコミックス)
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子新唯一
(ヤングジャンプコミックス)
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グレゴリウス山田
(ヤングジャンプコミックス)
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ヤマザキマリ
(ヤングジャンプコミックス)
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スガワラエスコ
(ヤングジャンプコミックス)
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スガワラエスコ
(ヤングジャンプコミックス)
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瀬尾つかさ/bomi
(ヤングジャンプコミックス)
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川口士/的良みらん
(ヤングジャンプコミックス)
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9月15日

コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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福地翼
(少年サンデーコミックス)
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青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
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青山剛昌/阿部ゆたか
(少年サンデーコミックス)
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かんばまゆこ/青山剛昌
(少年サンデーコミックス)
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田中現兎
(マガジンエッジKC)
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川田暁生
(マガジンエッジKC)
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ひな姫/猫又ぬこ
(マガジンエッジKC)
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水森崇史
(講談社コミックス)
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ひととせひるね
(講談社コミックス月刊マガジン)
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杜乃ミズ/餅月望
(コロナ・コミックス)
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中島鯛/ほのぼのる500
(コロナ・コミックス)
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まいたけ/生咲日月
(コロナ・コミックス)
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わかさこばと/春の日びより
(コロナ・コミックス)
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羽尻伊織/鉄人じゅす
(コロナ・コミックス)
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ハム男
(アース・スターノベル)
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友麻碧
(富士見L文庫)
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柚原 テイル
(富士見L文庫)
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七沢 ゆきの
(富士見L文庫)
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9月14日

鳥羽徹
(GA文庫)
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神田暁一郎
(GA文庫)
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佐伯さん
(GA文庫)
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佐伯さん
(GA文庫)
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海空りく
(GA文庫)
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海月くらげ
(GA文庫)
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柚本悠斗
(GA文庫)
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白石定規
(GAノベル)
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白石定規
(GAノベル)
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守雨
(GAノベル)
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金明豪×KJ
(アフタヌーンKC)
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こだまはつみ
(モーニング KC)
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9月13日

横島日記
(リュウコミックス)
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わらいなく
(リュウコミックス)
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9月12日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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河添太一
(ガンガンコミックス)
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宮澤伊織/水野英多
(ガンガンコミックス)
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南海遊/村山なちよ
(ガンガンコミックス)
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高津カリノ
(ガンガンコミックス)
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オジロマコト
(ビッグコミックス)
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ゆうきまさみ
(ビッグコミックス)
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田岡りき
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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源素水
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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七尾ナナキ
(裏少年サンデーコミックス)
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空谷玲奈/昴カズサ
(ガンガンコミックスONLINE)
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高野裕也
(ガンガンコミックスONLINE)
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礼島れいあ
(ガンガンコミックスONLINE)
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長岡マキ子/カルパッチョ野山
(ガンガンコミックスONLINE)
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森貴夕貴
(アース・スター コミックス)
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咲メギコ/師裏剣
(アース・スター コミックス)
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瑚澄遊智/漂月
(アース・スター コミックス)
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しろ
(アース・スター コミックス)
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檜山大輔
(アクションコミックス)
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浜田よしかづ
(アクションコミックス)
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ピロヤ
(メテオCOMICS)
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火曜
(まんがタイムKRコミックス)
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カエルDX
(まんがタイムKRコミックス)
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霜月絹鯊
(まんがタイムKRコミックス)
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そめちめ
(まんがタイムKRコミックス)
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9月10日

餅月望
(TOブックス)
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もちだもちこ
(TOブックス)
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岡崎マサムネ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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榛名丼
(TOブックス)
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9月9日

アサウラ/Spider Lily
(電撃文庫)
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アサウラ
(電撃文庫)
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佐伯庸介
(電撃文庫)
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西 条陽
(電撃文庫)
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宇野朴人
(電撃文庫)
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三河ごーすと
(電撃文庫)
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佐島 勤
(電撃文庫)
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鎌池和馬
(電撃文庫)
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駒居未鳥
(電撃文庫)
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逢縁奇演
(電撃文庫)
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ミサキナギ
(電撃文庫)
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丸深まろやか
(電撃文庫)
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岬 鷺宮
(電撃文庫)
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夏 みのる
(カドカワBOOKS)
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遠野 九重
(カドカワBOOKS)
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明。
(カドカワBOOKS)
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流優
(カドカワBOOKS)
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愛七 ひろ
(カドカワBOOKS)
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ヤマザキコレ
(BLADEコミックス)
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ツクモイスオ/三田誠
(BLADEコミックス)
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住川惠/甘岸久弥
(BLADEコミックス)
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yoruhashi
(BLADEコミックス)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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横山コウヂ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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福原蓮士/つちせ八十八
(ドラゴンコミックスエイジ)
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稲葉白
(ドラゴンコミックスエイジ)
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二式恭介
(ドラゴンコミックスエイジ)
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遠野ノオト/流優
(ドラゴンコミックスエイジ)
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はっとりまさき
(ドラゴンコミックスエイジ)
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神谷ユウ/桜木桜
(角川コミックス・エース)
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吉岡剛/菊池政治
(角川コミックス・エース)
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唐澤和希/藤本れもち
(角川コミックス・エース)
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皇ハマオ/月夜涙
(角川コミックス・エース)
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緒原博綺
(角川コミックス・エース)
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げしゅまろ
(角川コミックス・エース)
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ヨシラギ
(角川コミックス・エース)
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RYOMA/カンブリア爆発太郎
(角川コミックス・エース)
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レフトハンド/伽藍堂
(角川コミックス・エース)
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窪茶/涼暮皐
(角川コミックス・エース)
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ゼロキ/雪村ゆに
(角川コミックス・エース)
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蟹丹/トネ・コーケン
(角川コミックス・エース)
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TYPE−MOON/中谷
(角川コミックス・エース)
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Team RWBY Project/スエカネクミコ
(電撃コミックスNEXT)
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コトバノリアキ
(KCデラックス)
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吉村英明/木嶋隆太
(KCデラックス)
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金田陽介
(講談社コミックス)
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大森藤ノ/青井聖
(講談社コミックス)
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中丸洋介
(講談社コミックス)
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9月8日

エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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ヤチモト/resn
(KCデラックス)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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茅田丸/丁々発止
(シリウスKC)
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内々けやき/あし
(シリウスKC)
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マツモトケンゴ
(シリウスKC)
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くうねりん
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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芳橋アツシ/延野正行
(シリウスKC)
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亜希乃千紗
(シリウスKC)
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9月7日

赤堀君
(アフタヌーンKC)
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伊口紺/保志レンジ
(アフタヌーンKC)
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LEN[Aー7]
(アフタヌーンKC)
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深山鈴/茂村モト
(ガンガンコミックスUP!)
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森田季節/出水高軌
(ガンガンコミックスUP!)
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ケンノジ/松浦はこ
(ガンガンコミックスUP!)
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羽柴実里/zinbei
(ガンガンコミックスUP!)
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常磐くじら/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
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串木野たんぼ/ぽんこつわーくす
(ガンガンコミックスUP!)
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鈴木竜一
(SQEXノベル)
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初枝れんげ
(SQEXノベル)
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十夜
(SQEXノベル)
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9月6日

西尾 維新
(講談社)
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智弘カイ/カズタカ
(KCデラックス)
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二階堂 幸
(KCデラックス)
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9月5日

和成 ソウイチ
(ドラゴンノベルス)
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白水 廉
(ドラゴンノベルス)
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釜田/六つ花えいこ
(フロース コミック)
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御守リツヒロ/柚原テイル
(フロース コミック)
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轟斗ソラ/柏てん
(フロース コミック)
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ORKA/Spice&Kitty
(フロース コミック)
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9月2日

(TYPE-MOONBOOKS)
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浅野りん
(角川コミックス・エース)
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ナカノ/八木羊
(角川コミックス・エース)
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日月ネコ/渡辺恒彦
(角川コミックス・エース)
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バラ子
(角川コミックス・エース)
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赤羽ぜろ
(角川コミックス・エース)
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三部けい
(角川コミックス・エース)
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縞野やえ/MB
(角川単行本コミックス)
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葦原大介
(ジャンプコミックス)
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マポロ3号
(ジャンプコミックス)
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権平ひつじ
(ジャンプコミックス)
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タカヒロ/竹村洋平
(ジャンプコミックス)
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助野嘉昭
(ジャンプコミックス)
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空もずく/十森ひごろ
(ジャンプコミックス)
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猗笠怜司
(ジャンプコミックス)
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横山左
(ジャンプコミックス)
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岩田雪花/青木裕
(ジャンプコミックス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
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叶恭弘
(ジャンプコミックス)
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大@nani/吉緒もこもこ丸まさお
(ジャンプコミックス)
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LINK/宵野コタロー
(ジャンプコミックス)
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LINK/SAVAN
(ヤングジャンプコミックス)
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桂イチホ/ふか田さめたろう
(PASH!コミックス)
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むらさきゆきや/春日秋人
(講談社ラノベ文庫)
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空埜 一樹
(講談社ラノベ文庫)
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延野 正行
(Kラノベブックス)
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都神 樹
(Kラノベブックス)
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天宮暁
(Kラノベブックス)
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カラユミ
(Kラノベブックス)
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9月1日

枯野 瑛
(角川スニーカー文庫)
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桜木桜
(角川スニーカー文庫)
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入栖
(角川スニーカー文庫)
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ケンノジ
(角川スニーカー文庫)
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穂積 潜
(角川スニーカー文庫)
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海道左近
(HJ文庫)
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藤木わしろ
(HJ文庫)
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榊一郎
(HJ文庫)
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結石
(HJ文庫)
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坂石遊作
(HJ文庫)
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海野アロイ
(アース・スター ルナ)
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井上みつる
(アース・スター ルナ)
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長谷川哲也
(YKコミックス)
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塩野干支郎次
(YKコミックス)
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保志あかり/大木戸いずみ
(B’s-LOG COMICS)
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白川祐/チョコカレー
(コロナ・コミックス)
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森野眠子/みたらし団子
(コロナ・コミックス)
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浅葱洋/ニシキギ・カエデ
(コロナ・コミックス)
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きららファンタジア製作委員会/鴻巣覚
(FUZコミックス)
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白尾こじょ
(FUZコミックス)
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ミナミト/六升六郎太
(HJコミックス)
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8月30日

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佐遊樹
(エンターブレイン)
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