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秋田みやび

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 七 ★★★★  



【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 七】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

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芹が呪いを受けていた!? 原因を除くため、形代の式神・青竜が目覚める。

“北御門”が呪詛で狙われた廃遊園地の一件を切り抜け、大学でも新年度を迎えるころ――ところが芹は、どうにも体調が優れない。
その様子に呪いの兆候を感じた皇臥は、芹に北御門への呪詛が効かなかったのは、すでに彼女が別の呪いを受けていたからだという可能性に思い至る。皇臥は事態を重く見て、災いを受け流す役割を持った式神・青竜を呼び覚ますのだが……なんとその姿は、若い頃の皇臥そっくりで!?
呪いも旦那も増殖中? 受難の仮嫁とぼんくら旦那は、呪いの源に迫れるか!?
ああもう、この旦那ホントにかわいいなあ!!
往々にしてこの手の下げる評価を受けてる主人公って、実は有能だったり天才だったりするのですけれど、皇臥って掛け値なしにぼんくらなんですよね。陰陽師としての腕前は最大限評価して普通。苦手分野多すぎるし、得意の式神製作も今回の青竜の如月も出来栄えはともかくとして、面倒がってアップデートしてなかったとか、何をやってるんだと。
本当の本当にやや駄目よりの凡庸な陰陽師で、覚醒の余地とか完全にないんだよなあ。
かといって頭のほうが冴えているかというと、こっちもぼんくらと言われても仕方ない右往左往っぷりで、オマケに芹に秘密に事を進めようとして、史緒佳お義母さんにこっぴどく叱られる羽目になってるし。
嫁さんの前で母親にガチで叱られるって、恥ずかしいなんてもんじゃないですよ。でも、それとなく皇臥を庇ってフォローする芹が実に良い嫁してて、史緒佳お義母さんもあとで感謝して褒めてましたけれど、あれは良いシーンでした。
という風にやることなすことぼんくらで、芹がかけられた呪詛に関してもあれ正体を見抜いたのって偶然の産物に近くて、皇臥が鋭く見抜いたってわけじゃ全然ないんですよね。それどころか、予想がことごとく外れるわ、芹を護るための防衛策が片っ端から効かないわで、文字通り右往左往してましたもんね。
ただ、芹のために必死で一生懸命頑張ってるのだけはこれ以上無く伝わってくるんですよ。余裕ない分、必死さが焦りが懸命さが余計に伝わってくる。芹に黙って対処しようとしていたのも、芹を不安がらせないためですし、芹の事が心配で心配でたまらないというのがヒシヒシと伝わってきて、もうそれが可愛いというほかなく。
形代という身代わりの生贄役である青竜を使いたがらなかったのも、皇臥が式神たちを使役する道具ではなく家族として愛情を注いでいるのが良く分かるエピソードでもありますし、彼の優しさというのは随所に見られるんですよね。そういうところが陰陽師として甘いところだと言われたとしても。
かっこ悪いところもたくさんあった、でもそういう時って自分のメンツ度外視して、芹の気持ちを組んで彼女の心身だけじゃなく芹の友人たちや置かれた環境ごと守ろうとしてくれている時で、それを叶えるためならどれだけ自分の無能をさらけ出してもいい、自身が格好悪いことになっても構わない、という姿勢って……カッコいいんですよ。
かっこ悪いのが、カッコいい。
いやほんと、あの兄貴に頼み込むシーンはダサダサで恥ずかしいしみっともなくてかっこ悪い事この上なかったんだけれど、それが本当にかっこよかった。
芹がそれを見ていて、もうなんかアテられちゃったの、凄くわかりますわー。
女の人が男のことを可愛くてたまらない、と思う場面ってこういう形もあるんだなあ。

その芹の方も、今までの生き方のせいか不安や辛いことがあっても、表に出さずに誰にも弱みを見せず大丈夫大丈夫と流してしまっていた自分に、友達からわりと厳し目に指摘受けてようやく気づくことになるんですね。自覚が全然なかった分、きっとたちも悪かったんだろうけれど。
目に見えて不調なのに、病院行ったらという心配に、全然大丈夫だから、と返すのって相手からすると何も安心できることはないんですよね。心配をさせてもらえない、気遣いを受けてもらえない、というのは心の壁になるんだろうなあ、これ。
そういうのを取っ払って、ようやく「家族」になるわけだ。芹としては、もう気持ちは北御門家の一員のつもりだったと思うんですよ。でも、家族という関係に今まで慣れ親しんでいなかった彼女にとって、意識しない所でこういう隔たりが生じていたんですなあ。まあ、皇臥たちもそんな壁とか気にするほどのものでもなかったんでしょうけれど、それでも芹が意識して皇臥たちからの心配を受け取ろうとしたことで、今まで以上に芹の中で心理的な隔たりが取っ払われたような気がします。
なんか皇臥との距離感も、元から全然近かったけれど、もっと深い所でしっかりと繋がった感があって、今まで以上に夫婦然として見えるようになった気がしますもんねえ。

あと、護里ちゃんと祈里ちゃんの可愛さが相変わらず天元突破なんですけど! この幼女バージョンも、蛇と亀の式神モードになっても変わらない可愛らしさといったら、なんなんですかね!?
仕草から台詞から、あのきゅーっと抱きついてくるところとか、もう何から何まで可愛いんですけど。かわいいなー、かわいいなーー!! 

さあ問題もすっきり解決して、平和な家庭の団らんが戻ってきた……と、思うんだけれど、なんだこの不穏な空気は。なんかまた怪しい人が暗躍してるっぽいし。できればこの家庭はほんとに平和で居て欲しいんだけれど。


ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六 ★★★☆   



【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 六】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

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廃遊園地を覆う呪詛――嫁のピンチに(ぼんくら)旦那が駆けつける!

“北御門”を狙う呪詛により、廃遊園地へ閉じ込められた芹たち一行は、その現象の主と目されるミステリ作家・鷹雄光弦と対峙する。一方で、急いで芹の元へと向かう皇臥には、光弦との因縁に心当たりがあって……?

作中ではいつもセットで行動している式神の祈里ちゃんと護里ちゃんんだけど、表紙を一緒に飾ったのは初めてですか。いや、白蛇と亀の姿も可愛いのだけれどこの娘たちの人間形態もイラストで見てみたいなあ。
芹に小松菜フルコースを用意するよという餌に、わいろには……ちょっとしかくっしません! と、見事に屈する護里ちゃんとかほんともう可愛すぎるんですけど。ここ、本巻の最萌ポイントでありました。
ちなみに、あとでお姑さんも密かな好物だったという洋食で同じようにわいろに屈しているあたり、お義母さんちびっこと同レベルですよ、と言いたくもあり、とりあえず餌で釣ろうとするこの嫁ってば、と呆れたり。いや、ちゃんと効果覿面なんで食べ物で釣る、は正解なのでしょうけれど。

ともあれ、今回は本間さんに笑ちゃんという一般人も一緒なので、芹ばかりを守っていられず彼らの事も芹から頼まれることで、いつも以上にピリピリとしていた祈里ちゃんと護里ちゃん。本間さんたちには祈里ちゃんたちの事は話していないのと、式神である彼女らは笑ちゃんたちには見えないので祈里ちゃんとのやり取りは八城くん以外の他の二人には内緒にしていたのだけれど、本間さんと笑ちゃんなら祈里ちゃんたちのこと話しても大丈夫そうなんですけどね。

ともあれ、鷹雄光弦によって遊園地の廃墟から出られなくなった一同。遊園地の周囲には浮遊霊の有象無象が集まってきていて容易に出るわけにもいかない、という理由もあるので、とにかく言うだけ言って姿を消してしまった鷹雄を探したり、この遊園地の様子を調べるために歩き回るのだけど。
その間にも、ふとした瞬間観覧車のゴンドラが次々と落ちていくんですよね。遠目にもどこからでも見える観覧車から、ゴンドラが落ちてすごい音が聞こえてくるの、けっこう怖いですよ。
まだ最初の頃は夕方前で明るかったために精神的に余裕があった、逆に夜になるとヤバいかもというのは当人たちのコメントでしたが、そう言えば芹と元々の霊感持ちの八城くんだけじゃなく、本間さんも笑ちゃんもそれぞれ事件で北御門にお世話になった関係でも有り、心霊現象の経験者でもあったんでしたっけ。
それもあってか、変にパニックにならずに意識して明るい雰囲気を欠かさないように皆が振る舞ったお陰で、閉じ込められたとはいうもののそれほど追い詰められたり恐怖にかられたり、という空気にならずに済んだのは幸いでした。いや、努力してのことですから幸いではないのでしょうけれど。
特に笑ちゃんは中学生なのに、むしろ率先してムードメーカーやってくれて明るくしてくれてましたからね。祈里ちゃんと護里ちゃんというガーディアンがいることを知っているのは芹と八城くんだけで、本間さんと笑ちゃんは知らないのを思えば二人共ほんとよく頑張ってくれたものです。
本間さん、こうしてみたら責任感も強いし頼りになるのになあ。
まず腹が減っては戦はできぬとばかりに焼肉パーティーをはじめてしまうあたり、みんな強いですw
しかし、得体の知れない状況に陥っているのも確かで、芹も不安は尽きない。その芹の不安の理由の大半が、側に皇臥がいないということ。陰陽師としてはぼんくらもいい所で、鷹雄光弦が片鱗だけでも垣間見せたその陰陽師としての実力からすると、比べるのもおこがましいくらい。そんなぼんくらな皇臥が来たところで、鷹雄光弦と対決なんて事になっても果たして役に立つのかどうか。それどころか、北御門家そのものを目の敵にしているかのような言動の鷹雄光弦の前に、皇臥が来てしまうのは余計に状況を煽るはめになるかもしれない。
それでも、いつも何かあった時には側にいた皇臥がいないという事が芹にとっては心許ない事のようで、折に触れて皇臥がいないことへの不安がこぼれだしてくるんですね。
普段から気丈、どころか何があっても動じないような肝の太い所をみせる芹としては珍しいくらいの姿で、それだけ日頃から何だかんだと皇臥の事頼りにしてたんだなあ、と。それだけ心寄せてたんだなあ、と。
これもう、皇臥はもっと自信持ってもいいんじゃないでしょうか。鷹雄光弦から皇臥の事を貶されたら、そりゃ実力はぼんくらかもしれないけれど本気で怒って、思いを馳せる芹の帰りたい家はもうあの小煩いけど可愛いお姑さんと式神たちが待つ北御門の家で。
契約婚なんておこがましい、もうほんとの家族じゃないですか。

そんな嫁のピンチに、慌てふためいて必死に幽霊だの呪詛だのが蔓延している遊園地周辺に無理やり突っ込んでいく皇臥が、なんとも可愛らしかったです。この兄ちゃん、いつもない余裕がいつもにも増してなくって、でもその懸命さが、芹を心配する様子が健気だし一杯一杯な様子が可愛げたっぷりで、ほんと可愛い男の人です。今回はよく頑張った。いやなにかして頑張ったかというと慌ててすっ飛んできただけのような気もするけれど、そのすっ飛んでくる一生懸命さがこの際は大事なのである。

しかし、すべての黒幕だと思われた鷹雄光弦が、なんか思ってたのとは全然違ったどんでん返しの展開は、まったく予想外でした。いやだって、完全にそっち系のムーブかましてたじゃないですかー。八城くんが喧嘩腰になるのも仕方ないですよ。祈里ちゃんと護里ちゃんも普段以上にピリピリして、鷹雄光弦には敵愾心剥き出しでしたし。
まさかそういう因縁だったとは。なんかこう、無闇に攻撃的に見せてしまうところとか母親似な所あるんじゃないですか、この人w

とはいえ、すべてがまるっと解決したわけではなく、むしろ余計に闇と謎が深まった感もあり、芹の身にまだ何か秘められたものがある事が発覚したわけで、本番はむしろこれからなのかもしれない。
すでに、芹の身に何かが起こり始めているわけですし。今回なんだかんだと何もしてない皇臥くん、いや駆けつけてきてくれただけで芹としては好感度アップ、なのかもしれないけれど。ともかく次からはつきっきりで芹の側にいて、旦那らしく嫁のために頑張らないと。


ぼんくら陰陽師の鬼嫁 五 ★★★★   



【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 五】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

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保護者代わりとして、笑と二泊三日の短期高額バイト旅行に出かけた芹。途中、父親の墓参りも兼ねて立ち寄った伯母一家の営む食堂で、偶然八城を含めた『廃墟研究会』のメンバーと会う。彼らはミステリ作品の聖地巡礼で閉園した遊園地に行くらしい。話を聞いた笑は興味津々。そのまま芹たちも同行することに。しかし、閉園されたさびれた遊園地に、墓参りで出会った黒ずくめの男、ミステリ作家の鷹雄光弦が現れて―?ぼんくら陰陽師の嫁、旦那不在で大ピンチ!?退魔お仕事物語!
お義母さん好きが高じすぎて、当のお義母さんにドン引きされて避けられてしまう芹。猫が好きすぎて構いすぎて逆に逃げられるのとおんなじ構図だw
お義母さん側とすれば一生懸命嫌がらせしているはずなのに、逆にめちゃくちゃ好かれて懐かれてベタベタしてこられるんだから、怖いよな。まあ相変わらずお義母さんの嫌がらせは気遣いが一杯詰まった優しいものなので、芹も楽しみにしてしまってるんだが。楽しみにしている嫌がらせってなんだよ、と言いたいところなんだけれど、皮肉じゃなく本気で楽しみにしてるんだよなあ。まあわかるんですけど。あれらは全然嫌がらせになってないし。
と、前回の一件で芹のお義母さんへの好感度が自分を差し置いて爆裂してしまったことに密かに焦っている旦那であるはずの皇臥でありますけど、お義母さん好感度の爆上げに隠れてしまっていますけれど着実に芹の皇臥への好感度も上がってるんですよねえ。
ふとした時に皇臥の思いやりは気遣いを察して気持ちを揺らしたり、今回は笑ちゃんとの旅行ということで離れて行動しているわけだけれど、何くれと無く皇臥の事に思いを馳せたり、いざという時皇臥のことを頼りに思ったり、と以前よりもさらに皇臥に対して物思う時にじんわりとした温かい熱が籠もるようになってきているのが、言動の端々から感じるようになってきているのであります。
芹自身も多少なりとも自覚があるのかもしれません。そういうのをまるで察していなくて空回りしがちなのが皇臥クオリティなのですけど。でも、彼の細々とした気遣いとかちゃんと伝わってるんですよねえ。
今回だって、笑ちゃんとの旅行は芹のことを慮ってのことですし。芹って忘れがちですけど、まだ遊びたい盛りの大学生なわけですしね。まあ遊びたい盛りと言っても芹の場合境遇からしてそんな遊び回るような環境でもなかったですし、性格的にも一ところで落ち着けるタイプですけど。でも、友達と遊びにいくのも決して嫌いではないでしょうし、それどころか、旅行にかこつけてお墓参りとか親戚への挨拶も、とか気を回してくれるのを嬉しく思わないはずもないわけで。

ところが、この旅行をきっかけに芹の両親。野崎の実家の、というか父親の知らざる姿が明らかになってしまうのは芹にとっても皇臥にとっても予想外のことだったでしょう。
てか、芹パパって見える人だったのか。どうして、芹が親戚に預けられる時に腫れ物めいた扱いをされたのかも、こうして事情がわかってくると納得させられる部分もあるわけで。ただまあ理由は納得できても感情としては納得したくはないよねえ。形見を処分させられたのとか。
ともあれ、父親の知らざる事情に加えて、父親の弟子だったという作家先生と遭遇するにあたって何やら不穏な展開に。ミステリ作家の鷹雄光弦、なんか格好が京極夏彦先生みたいなのを想起してしまってちょっと笑ってしまったのだけれど、この人マジもんの陰陽師なんだよなあ。その先生、どうやら北御門とは因縁があるようで。あちらも、恩師の娘が北御門に嫁いでいるなんて知らなかったものだから、余計に面倒なことになってしまったようだけれど。
しかもこの先生、どうやら本物の天才らしく、素人の芹が九字の一音を聞いただけで「あ、うちの旦那とは別格だわ」と悟ってしまうほど。ってか、あそこで「皇臥ってほんとに陰陽師としてぼんくらだったんだ」としみじみ考えちゃうのはさすがに失礼! 事実であっても失礼!!
でも、皇臥はぼんくらでも北御門の式神は、護里ちゃんと祈里ちゃんは相変わらず頼もしいので大丈夫大丈夫。それにぼんくらであっても頼りになる旦那であるのは間違いなく、突然の窮地に急いで駆けつけてきているだろう皇臥の存在はこの場面においてはやっぱり頼もしいんですよね。いやまあ来てもらっても何が出来るかわからないんですけど。陰陽師の実力としては果たして頼りにしていいものか疑問ばかりなのですけど。それでも頼もしく感じるのは、夫としての存在感なのではないでしょうか。うんまあ、夫としても大丈夫かぁ、と疑念がよぎってしまう感じはありますけど、うん大丈夫大丈夫。

今回、『廃墟研究会』の実際の活動に芹たちも参加させてもらってましたけれど、凄くちゃんとした活動内容で感心してしまいました。あっちこっちに許可貰って申請して、危険がないように事前に準備も欠かさず計画もしっかり立てて、と想像以上に用意周到で慎重かつ安全重視で。なるほど、真っ当な活動とかこういうものを言うんだなあ、と。まあ今回はそれでもトラブルに見舞われてしまったのですが、これは不可抗力だよなあ。

あと、芹のパパさん。幼い娘を残したまま事故で妻と共に亡くなってたり、霊視体質で苦労したり奥さんと結婚する際もトラブルあったり、と幸薄いしんどい人生送ったような印象を外から見ると感じてしまうのですけど、鷹雄光弦が芹と話している時たびたび芹のマイペースな言動にやっぱりあの人の娘だな!!と思わず叫んでいるのを見ると、芹に似てバイタリティ溢れた人だったんだろうなあ、と思わず笑ってしまったり。芹もずいぶん苦労した人生送ってきましたけど、そんな人生をあんまり想像させないたくましいキャラですものねえ。願わくば、もう少し芹パパの昔話を聞ける機会が訪れればいいのですが。
事件はまさしく後編へと続く、という展開に。おお気になる気になる、続きを早く早く。

シリーズ感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四 (富士見L文庫)

【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 四】 秋田 みやび/しの とうこ 富士見L文庫

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ぼんくら陰陽師・北御門皇臥のプロ嫁として日々努める芹。嫌みな姑の史緒佳との関係も、意外と上手くいっていた。得意先の紹介で出張祈祷に出かけた芹たちだったが、突然の大雨で帰れなくなってしまう。幸い懐も温かいので、近くのオーベルジュに一泊することに。梅の花に囲まれた素敵な宿に美味しい料理…と思いきや、待ち受けていたのは、今まさに始まらんとする降霊会と元北御門の門人、そして自称霊能者で―?ぼんくら陰陽師の腕が試されるとき!?現代退魔お仕事物語!

自分がまだ子供だった頃に十代後半とか二十歳になったくらいの親戚とか身内の若いお兄さんお姉さんだった人が、ふと気づいたら三十とか四十越えてたりすると、思わず「マジか!」と声に出してしまう現象、よくわかります。
いや、今だと自分がマジか!と言われる方になってしまったのですが。
見た目が変わってるとかそういうんじゃないんですよね。結構三十路くらいだと見た目そんな老けてなかったり、というのは実のところ珍しくはないのです。でも、だからこそ逆に再会した時「あんま変わってないよねー、今いくつだっけか……マジか!!」になるのですが。
「え? あんたもう40なの? マジか!」と言われることもままあります。
今回登場の薙子さん、北御門の内弟子やっていたころはまだ十代から二十歳になる頃だったわけで、その頃皇臥くんはちびっこだったわけで、再会した薙子さん何年ぶりに会うのかと計算したら自然と年齢も数えてしまうわけで、そりゃあびっくりするわねえ。
とまあ驚くのは向こうも同じで、6つ7つも年下の弟分だった子供が再会したら弟子連れてるばかりでなく、嫁さんまで連れているわけだから、なおさらびっくりするものである。というか、自分の歳を顧みてしまうのである、ショック。
芹だって、まあ穏やかではいられない。なんせ、血は繋がっていないとはいえ彼女は姉のようなもので、家族同然だった人で、北御門の家人たちの過去をよく知っている、あるいは共有している、と言った方がいいか、そういう人なのだ。祈里や護里ら式神だって、「なぎこなぎこ」と呼んで親しんでいる。
とまあ、普通ならここで芹が気にしてもやもやしだすのは、旦那であり夫である皇臥くんと薙子さんの関係であり、二人が共有している家族の時間、過去の想い出に嫉妬したり鬱屈を覚えたり、というパターンなのだけれど……。
面白いことに、芹が引っかかってしまったのは北御門の姉である薙子ではなく、北御門の「娘」であった薙子の方だったんですよね。
折しも、降霊術で降ろそうとしている霊が皇臥たちが急遽宿泊することになった宿泊施設付きのレストランの前オーナーの、まだ幼稚園にも通わないくらいの小さな男の子の霊であり、母親に会えない寂しさが未練となって残ってしまっているタイプの子だったわけである。
芹自身、母親を早くに亡くしてその寂しさを抱えていた身。ちょうど、霊の寂しさと芹の想いがバッティングしてしまい、ややこしいことになってしまったわけだけれど、ここに「母親への思い」というものが重なって浮き上がってきてしまったわけだ。
芹ちゃん、ライバル関係みたいにうそぶきながら、その実姑である史緒佳さんのこと、そんなに慕うに至っていたのか。
そりゃあ、今回の出張でも今までしていなかった化粧の仕方なんかを丁寧に教えてもらったりして。友達とわいわい言いながら慣れ親しんでいくものとは違って、「母親」から教えてもらう化粧の仕方というのは女性にとっては特別なことなのでしょうか。幼い頃に死に別れてしまった芹にとっては、史緒佳から教えてもらったそれは、この歳になって初めての母親から教えてもらう特別な時間であり出来事だったんですなあ。史緒佳さん、チクチクと嫌味言いながらなんだけれど全然ものいい嫌らしくないし、今回なんか化粧品など試供品とか言ってたけれど何気に芹のために買い揃えてたものなんですよね。こう、度々芹の心をずきゅんと射抜くような心遣いや優しさを垣間見せてくるものだから……ちょっと皇臥くんよ、嫁さんのハートキャッチ、明らかに自分の母親に負けてるんですけど!
ついに、芹から「告白」された! と思ったら、皇臥くんじゃなくて「私、お義母さん大好き」ですもんねえ。ご愁傷様です、旦那さん。
出張から帰ってきたら妙に嫁が懐いてきて、パニクって恐慌状態に陥っている史緒佳さんも、なんというか皇臥の母親らしくて、なんか安心しましたけれど。このお義母さんほんと癒し系ですわ。
いやいや、皇臥くんの方も本人まったく自覚ないですけれど、ちゃんと芹ちゃんから意識されだしているので、日々の努力を怠らないように。なんか色々と駄目っぽいけれど。

しかし、降霊会だの自称霊能者だのと本物の陰陽師が関わると、詐欺事件をひっくり返すみたいな話になってしまうものですけれど、今回はあちらもなんだかんだと詐欺師でも偽物でもなく、幽霊の存在も実在していたので、なんか真面目に男の子の幽霊の未練を晴らすためにみんなでその方法を探し回る、というある意味真っ当な除霊になってて、逆に真っ当な除霊というか地縛霊を成仏させる話というのは新鮮でありました。
薙子さんたちの方も色々と裏はあったものの、真摯なお仕事っぷりでかつての身内が落ちぶれて、みたいなことになっていなくて良かったです。というか、薙子さん北御門に来た時の事情もさることながら、北御門を出たあとの来歴もパワフルというかバイタリティ溢れるというか。年の離れた弟くんに対して、姉というよりも母親のように守ってきたのが伝わってくる話ばかりで、若いみそらで大変だったろうに。そういう所も、同じく苦労してきた芹としては共感するところだったのかもしれません。
薙子さん本人よりも、弟の影臣くんの方が北御門に対して隔意を持っていたようだけれど、妙に八城と意気投合してましたし、なんというかなんだかんだと久々に身内と再会したときのぎこちなさと段々と昔みたいに打ち解ける和やかさみたいなのが相俟ってる上に芹と弟子くん、薙子さんの弟くんという、それまで面識がなかった者が介在してそこに相手側に対する複雑な思いなんかも絡んでいるが故の、昔通りとは違うお互いに家庭を持った同士の新しい関係、みたいなのってこれもまた一つの親戚づきあいという感じなんですかねえ。
そして、今回も伊周のレッサーパンダの存在感、パねえかったですw

シリーズ感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三 (富士見L文庫)

【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三】 秋田 みやび/しのとうこ 富士見L文庫

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ぼんくら陰陽師・北御門皇臥のプロ嫁として、今日も厳しい家計をやりくりする野崎芹。そんな中、本家の嫁のお披露目をしろと叔父の武人がやって来る。無骨な武人は、姑・史緒佳と相性がよろしくないようで、門前からバチバチと火花を散らして嫌みの応酬!いつもは敵の史緒佳だが、今回ばかりは一時休戦で、最強嫁姑タッグ成立か!?そして、本間先輩の持ってきたいわくつきの白無垢が北御門家にさらなる混乱を招き―?旦那使役スキルもますます上がる、退魔お仕事嫁物語、第三弾!
表紙絵のレッサーパンダがえらい可愛いんですけど!! ってか、レッサーパンダってなにさ!? と思ったんだけれど、そう言えばメディアワークス文庫の【絶対城先輩の妖怪学講座】でもこれについては語られていたっけ。ある妖怪の正体ではないかって。となると、本作中では明言されていないのだけれど伊周さんの正体って妖怪ランク的にも相当レベル高いものなんじゃなかろうか。いやでも、正体レッサーパンダなんだけど! あかん、元のロマンスグレーな老紳士とのギャップがw
さて、相変わらず嫁と姑でバチバチ火花飛ばしながら家族仲良く過ごしている北御門家ですが、名門当主にようやく出来た嫁の、一門衆へのお披露目というイベントが残っていて、というか親戚連中からせっつかれて、ついに代表して叔父さんが押しかけてくるというお話で、起こる事件の要となるのが花嫁衣装の白無垢、ということでついに芹の嫁問題にスポットが当たってきたのである。なんかもう、嫁として定着しすぎてて今更!って感じがしないでもないのだけれど、だからこそ親戚一同にも周知徹底していく必要はあるわけで、これに関しては皇臥よりもよっぽど芹の方が腰も肝も据わっている。いやまあ、この件だけではなく概ねどのようなときでも芹の方が色々と据わっちゃっているのだけれど。なので、むしろ今回の話って皇臥の方にもっと旦那として嫁を守るために頑張れ、という話だったんじゃないだろうか。なんだかんだと、芹をターゲットにして直接霊障が起こるというのは初めてなケースだったわけですし。幾ら祈里・護里の式神コンビに常時守られているからって今回はかなりヤバイ感じで、芹も随分怖い思いをさせられるはめになったわけですし。芹を守るために、非事苦手とかもうそういうの脇に放り出して必死に駈けずりまわる皇臥くんの姿は、なんでも出来る完璧超人とは程遠いからこそ、一生懸命さが伝わってきて好感が持てるんですよね。芹もこの旦那のこと、なんだかんだと信頼しているのが伝わってくるし。
それにしても、友好的とは言えない叔父さんへの角は立てないけれど腰も引けてない物怖じしない、それでいて礼儀はしっかりとした芹の対応は大人というかなんというか、けっこう大人げないお姑・史緒佳さんの対応と比べてしまうと、大したものだなあ、と。いや、史緒佳さんはこの大人気なさが可愛らしいのですけれど。仲の悪い叔父さんへのそれは、芹に対する微妙に方向性間違えている意地悪と違って直球でボコボコボールぶつけるような感じなのですが、それでもじっとりとした陰湿さがないのはホント、根っからいい人なんだよなあ。史緒佳さん自体はこの家に嫁として来た時、皇臥の祖母にあたるお姑さんには凄く可愛がられたらしくて、自身いじめられた経験がない、という話は芹へのピント外れの全然ダメージにならない可愛らしい意地悪しか出来ない理由の一つとして、なるほどなあ、という風情で。芹がいい加減お義母さん大好きだろう、という感じになってきてないだろうか、これ。
まあ、叔父さんの方も史緒佳さんが嫁入りしてきたときからチクチクと嫌味の応酬を繰り広げて大変仲が悪いまま現在まで来てしまったようだけれど、こちらはこちらで嫌い合っているわりに憎み合うようなドロドロとした感情はさっぱりなくって、史緒佳さんのことも彼女の苦労や努力も認めてるんですよね。嫌いだけれど。ってか、この人も根っからいい人だよなあ。
今回のことからも、陰陽師の家に嫁ぐということは危険とも隣り合わせで、怖い目にも合うわけで、厭味ったらしい事ばかり言ってくる叔父さんですけれど、芹に対してはそういうことも心配してくれてるんですよね。
しかし、芹の方は契約上の嫁云々抜きで、この北御門家の嫁を続けていく不安とかはもう全然ないのである。怖い目にあったらそりゃ怖いけれど、逃げ出したいとは欠片も思う様子もない。それはもう、彼女にとってここが帰る家、居場所になっているということなんですよね。寄る辺のない天涯孤独の彼女のとっての、温かくて居心地の良い家族と暮らす我が家なのである。無理してしがみついているのではなく、もう根を下ろしたような感覚でいる。
冗談でお義母さんと、離婚したあとの祈里と護里の式神所有権なのか親権問題なのかわからないことを話してたけれど、叔父さんにこぼした自分の居場所の話こそ芹の本音なんでしょうなあ。皇臥はマジで頑張れよ。こんな出来た嫁は二度と見つからんぞ。
それにしても、祈里・護里コンビの可愛らしさがさらに凶悪になってきてるんですけど。ホンマにかわいいなあ、おい。なんか、おとなしかった護里の方も祈里の方に影響受けてアレな感じになってきてるのが笑ってしまったのですが。式神なのに平然と主人を脅しに掛かるこのちびっ子たちw まあそれもこれも、芹さまが一番大事、という気持ちからなのですけれど。
ラストで、ついに14年前の隠された真実に迫る急展開。北御門家の傷跡に踏み入る話へと突入しはじめたのですが、いやもうほんと皇臥頑張れよ。

シリーズ感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二 (富士見L文庫)


【ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二】 秋田みやび/しのとうこ 富士見L文庫

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野崎芹は陰陽師・北御門皇臥と契約結婚をしている。彼の式神が視えたことで見初められ、生活上の利害の一致から決断したのだ。だが、かつての時代の公務員たる陰陽師一家の家計は厳しかった!それも皇臥が怪奇な事件が苦手なぼんくら陰陽師だったからで…。そこで芹はプロの嫁として、持ち前の機転と旦那使役スキルで依頼を解決。すると今度は姑から、結婚のお披露目を迫られる!さらに友人からは悪霊に憑かれたという相談事が舞い込んで…?前門の霊、後門の姑な退魔お仕事仮嫁語、待望の第二弾!
今どき大学生の娘さんが結婚した! となったら、同級生たちはそりゃあ「うはぁ!」ってテンションあがるでしょうなあ。ってか、結婚したこと隠さずに友達にも伝えてたのか。てっきり契約結婚なんていう話なんだから、芹にしても皇臥にしても必要がなくなったらとっとと契約解除する心づもりなのかと思ってたんだけれど、二人ともあんまり契約解除のことに関しては考えてない気がするんだが。契約だろうがなんだろうが、ちゃんと婚姻届出しちゃって正式な夫婦になっているわけで、芹側は友人にも知れ渡っているし、皇臥の側も近々親戚や弟子一同に紹介する流れになってってるし、これもうそう簡単に契約解除、即離婚、とか出来ないですよ。
お互い、現状に一杯一杯なせいか後のこと全然考えてなさそうだけれど。これは考えなしというよりもむしろ、芹と皇臥の相性良すぎて、今の関係しっくり行き過ぎているのも元凶なんでしょうなあ。この前まで他人だったにも関わらず、熟年夫婦みたいに馴染んじゃってるし、ここまで馴染んでると契約解除のこととか忘れてるんじゃないだろうか、ってなくらいで。
ただ、いきなり熟年夫婦になってしまった分、恋愛という過程を踏んでいないだけに、まあ結婚したとなるとやがて後継者問題というのが出てくるのを果たしてどうするのか。
何しろ今回の話ときたら、見方によっては子供の教育方針をめぐる夫婦喧嘩みたいなもんですもんねえ。
祈里にしても護里にしても、そして新たに登場した錦にしても、北御門の式神たちは精神年齢的にもまさに子供ですし。って、一応ちゃんと大人な式神たちもいるのですが芹にべったりな式神たちはみんなお子様ですからね。それを芹も本当にかわいがっていて、式神たちを家族のように捉えている。もし、契約結婚が皇臥と一対一の差し向かいのものだったら、ここまで彼と馴染んでなかったんじゃないだろうか。祈里や護里たち式神たちを家族として認識し、それらをひっくるめて北御門という家の嫁としてやっていくんだ、という意識があったからこそ上手くいったような気がします。姑さんへの対応に関しても、それを含めて北御門の家だから、という認識があったればこそ、じゃないかなあ。あのお義母さんが全然陰湿になれない人だからというのも大きいのでしょうけれど。お義母さん、そのイビリ、意地悪は姑さんがする類いのものじゃなくて、小学生低学年くらいの妹が大好きなお兄ちゃんに突然出来たお嫁さんにやるような他愛もないイタズラすぎて、むしろ可愛げがありすぎますってな。本人が必死な分、尚更に。
芹が逞しくて、お義母さんの意地悪にまったく動じてないどころか、むしろやり返してる、というところもあるのでしょうけれど、お義母さんやられ返されても逆ギレしたり、怨みをつのらせたり出来なくて、普通に悔しがってしまう人の良いさを感じてしまうなあ。

さて、さんざんボンクラ呼ばわりされてしまう旦那さんですけれど、今回は苦手な荒事にも関わらず、嫁さんの友達が困っているということで本来なら断る案件に首を突っ込んでいくことに。旦那として、嫁さんのメンツを潰させないために、学校での芹の評判を落とさないように、という気遣いと男気を感じさせる決断ではあるのですけれど、まず前提として苦手なことからは尻尾巻いて逃げるのが常態化していた、というのがあるだけに、素直にカッコイイとは思えない不思議。いやでも、ヘタレが嫁さんのために勇気出して頑張ろうとしているのだから、芹としてもまあ悪い気はしないのです。なかなか厳しい言を申しておりますが、芹もまんざらじゃなさそうでしたしね。
それだけお互いのことを考えられて、気心が知れたからこそ、本気でぶつかれる、喧嘩できるということもあるのでしょう。単なる契約、ビジネスライクなら喧嘩なんて出来ないですよ。それも、式神のことでなんて。
式神を子供のように、人間と変わらぬものとして扱っている芹と、本心はともかくとして陰陽師として式神の扱い方を割り切らないければならないと考えている皇臥とでは、いつか出るだろう齟齬と対立点がここで噴出してしまった、ということなんでしょうけれど、皇臥がぼんくららしく陰陽師に徹しきれずに彼自身式神たちのことを可愛がっているのがまああからさまなので、陰陽師の言い分としては皇臥が間違っていないにも関わらず、明らかに皇臥の方が分が悪い様子になっていたのは、さすがボンクラというところなのでしょうが。でも仕方ないね、祈里カワイイもの。
でも、それで言を翻したり、芹に妥協せずに陰陽師としての理であり、式神への責任をあっさり放棄せずに譲ることをしなかった皇臥は、幾らぼんくらであっても立派な陰陽師なのでしょう。この点は誉めて然るべきなんじゃないかと。一方で、家族のパパとしてはそこで冷徹に徹してしまうのは家族の破綻をもたらしてしまうわけで、人間が出来てたり巧みだったりする人はうまいこと公人としての立場と私人としての立場を使い分けて妥協点を作り出すんだろうけれど、皇臥がそれが出来るほど器用な人間なら、契約嫁とか取る必要なんかなかっただろうし、嫁や世間にぼんくら呼ばわりされてないよなあ。
だからこそ、北御門の生命線は「式神」なんでしょうなあ。この時、皇臥の公人と私人の間を取り持ってくれたのも、家族としての振る舞いの間を取り持ってくれたのも、皇臥が生み出した式神である錦くんなんですよね。
彼のお説教は、式神として主人である皇臥の不見識を叱るものであり、同時に家族の中のお兄ちゃんとして、姉だけれど妹となる祈里を庇い、父親の無神経さを怒るものでした。錦くん、落ち着きのないうるさい糞ガキの末っ子だとか思っててごめんなさいだよ。ちゃんと家族のことをよく見てよく考えてくれてるしっかりしたお兄ちゃんじゃないか。
式神としての機能、能力云々ではなく、これだけよく人間の出来た人格を持った式神を生み出せる、という一点において、皇臥の陰陽師の能力は捨てたもんじゃないんじゃないだろうか。
まあ、皇臥の作った式神たち、祈里、護里、錦が揃って子供メンタルなのは、他の昔からいる式神たちがちゃんとした大人なのに比べると、まあアレなんだけれど。でもいいんだよ、可愛いんだからみんな。子供は可愛い、これ正義。
いや本当にもうお子様式神たちが可愛くて可愛くて、芹じゃないけれどもう愛でるよねえ、これ。結構本格的な怪談調、ガチの霊障で、クローズドサークル気味の舞台であったのも相まってホラー風味だったはずなのだけれど、そんなに怖い雰囲気にならなかったのは、式神たちの可愛らしさと頼もしさにあったんでしょうなあ。


一巻感想

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 ★★★★   

ぼんくら陰陽師の鬼嫁 (富士見L文庫)

【ぼんくら陰陽師の鬼嫁】 秋田みやび/しのとうこ 富士見L文庫

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京都は左京区、哲学の道にほど近い公園で。何かと不幸な体質の野崎芹は、やむなき事情で住処をなくして途方に暮れていた。そんな彼女に手を差し伸べたのは、通りすがりの陰陽師・北御門皇臥。なんと彼の式神が視えた芹を、嫁に迎えたいということで…!?破格の条件につられ仮嫁契約を交わす芹。ところが皇臥は式神以外の能力がない、ぼんくら陰陽師だった!怪奇事件にも逃げ腰で、悠々自適の生活のはずが家計がピンチ。ここに芹はプロの嫁として、立ち上がることを決意するのだった―退魔お仕事嫁物語、開幕!
あ、これ同じ作者の富士見L文庫から出てる【三宮ワケあり不動産調査簿】と世界観一緒なのか。あちらが神戸でこちらが京都と。作中で明言されてはいないのだけれど、どうやらあちらで登場してた人らしき人物の話がチラリと語られてたし。こういう世界観を広げる作品跨いだシステムは好きなので大いにやって
欲しい。
本作、一見してジャケットデザインやあらすじから時代背景がわからなかったのだけれど、ガッツリ現代なのね。現代で通りすがりに陰陽師が歩いているあたり、さすがは京都である、パない。
その陰陽師の北御門皇臥くん。思いっきりタイトルでぼんくら呼ばわりされてますけれど……いや、ぼんくらは言いすぎじゃないですか? 確かに超一流とは程遠いみたいですけれど、全然陰陽師としてダメってわけじゃないし、仕事に対して意欲がない訳じゃなくむしろ真面目な方だし。そりゃ、いささか頼りないなあ、と思う所はあるけどさ、ぼんくらとまでは……。何気に優秀でも無能でもないって中途半端ですね! でも、普通や平凡って感じでもないんですよね。単に得意分野に偏りがあって、苦手分野に対しては及び腰ってだけで。
でも、仕事を選り好みできるほど現代の陰陽師は悠々自適ではないわけで。そうだよね、自営業だもんね、陰陽師。しかも、料金システムがちゃんとしているような職種ではないので、何気に現物払いが少なくない、というのはちょっと笑ってしまった。物によっては現金よりもありがたいケースも有るので、一概に悪いとは言えないんだけれど。
そんな苦手分野を選り好みしてしまっていた旦那に、いつまでもそんなことじゃこの先やってけないでしょう! と尻を叩く羽目になったのが、新妻芹ちゃんなのである。
偽装結婚じゃなくて、一応ガチの婚姻なのかー!! 幾ら住むところも手持ちのお金もないという切羽詰まった状況だったとはいえ、思い切ったよなあ。一応書類上は正式な婚姻を結ぶと言っても、生活実態はあくまで名目上であって、いわゆる雇われ嫁なのだけれど……恋愛が介在しないだけで嫁としての役割は子作り以外はほぼ満了でこなしているあたり、なるほどプロ嫁である。
しかも、お姑さんの相手までw
いやこれ、気持ち的に仕事と割り切れる芹ちゃんよりも、お姑さんの方が複雑ですよ。一応、これが息子が親戚筋の圧力を躱すために契約した偽装嫁という事実を知っちゃってるわけですから、どう対応したらいいかそりゃわかんないですよ。わかんないなりに、なんか腹立つので地味に嫌がらせしてしまうあたりは苦笑モノだし、その内容が嫌がらせというには人が良すぎるものなのが、まったく微苦笑モノなのですけれど。そして、結局息子と同様にプロ嫁に餌付けされてしまってるし。何このお姑さん、チョロいww
だいたい芹ちゃんも、これが契約婚姻ならもっとビジネスライクにやりゃあいいのに、色んな意味でやる気満々なのが微笑ましい。皇臥と知り合ったきっかけが、本来他人には見えない彼の式神であるまもりちゃんに懐かれてしまった、というところから始まって、健気で愛らしい幼女なまもりに随分と思い入れてしまっている、というのも北御門家にビジネスじゃなく親身になってしまっている理由なんだろうけれど、皇臥に対してもさっそく尻に敷いているあたりは、もう完全に嫁してるんだよなあ。しっかり者で人情家の嫁とか、よく捕まえたもんである、皇臥くん。何気に大昔に唾つけてたことも発覚するんだけれど、新参の嫁に発破かけられてやる気になったり喜んでるあたり、こ、こいつはぁ……と思わないでもない。芹ちゃんみたいな性格だと、こういう頼りなさそうで意外とたちが悪いというか、手癖が悪いと言うか裏で手綱を引くのがうまいタイプにはハマりやすいのかなあ。叩けば叩くほど発奮するし、いざという時しっかり守ってくれる旦那というのは、しっかり者の嫁としたら気持ちいいでしょうし。

事件の内容は、陰陽師というセラピスト、みたいなものではなく、わりとガチの心霊案件。同時に、家族間の関係がお婆ちゃんの死によって微妙に拗れてしまった、というか要であったお婆ちゃんが居なくなったことでギスギスしたものが露呈してしまってきている、という状態か。それを、この怪奇案件をきっかけに事件の真相をミステリーのように解き明かすことで同時に家族の内実、思い込みを取っ払った本当の姿、心の在り処というものを詳らかにしていくことになるんだけれど、これがまた悪意がある一方で思わず心温まる愛情のお話でもあって、夫婦っていいなあ、いいですよ、どうよ? と契約夫婦の二人に見せつける話にもなっていて、いやはやごちそうさまでした。
二人とも満更でもない、というか既に皇臥くんの方はガッツイてる感すらあるので、いやむしろお前が一歩引かないと芹ちゃん思わず後ずさりするしかないじゃない? と言いたくなる二人なのですけれど、雰囲気自体はいいだけに、このまま既成事実にすり合わせる感じで距離縮まっていってほしいものです。その過程をつぶさにシリーズ化してほしいものです、はい。
あと麺つゆは許しましょう。許しましょう。あれは万能ですけぇ、お姑さんも恥ずかしがらずw
にしても、ぼんくらも誇張だと思うけれど、鬼嫁も言い過ぎだわなあ。芹ちゃん、全然鬼じゃないですよ。叱られる旦那の方が反省スべしw 式神たち、みんな嫁派になっちゃってる件についてよく考えなさい。

秋田みやび作品感想

三宮ワケあり不動産調査簿 賃貸マンション、怪談つき ★★★★   

三宮ワケあり不動産調査簿 賃貸マンション、怪談つき (富士見L文庫)

【三宮ワケあり不動産調査簿 賃貸マンション、怪談つき】 秋田みやび/高田桂 富士見L文庫

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神戸三宮駅から徒歩10分。「高比良不動産鑑定事務所」の看板には、白いシールに手書きで「特殊」の文字が貼り付けられている―。大学進学をきっかけに、高比良茅夏はその職場で働くことにするのだが…所長で兄の陸は鑑定士と神主の二足草鞋。仕事で訪ねる先は霊障が噂されるマンションから、因縁つき一族の暮らす家まで。ホーンテッド物件にまつわる謎を、査定額に見合うよう解き明かす、事実上その手の“霊的物件”専門の鑑定事務所だったのだ!受付担当の茅夏が、奇妙な依頼に巻き込まれるのも必然で…。
この作者の人、【ソード・ワールド】のTRPGリプレイや【へっぽこ冒険者】シリーズのノベライズ手がけてた人なんですよね。特にへっぽこシリーズは単に面白いだけではなく小説としてガッチリとした構成を感じさせる歯ごたえがあってファンだったんですよね。
その秋田さんが富士見L文庫で新作を出すことを知り、よくよく調べてみたら既に以前に一冊出してるじゃないですか。で、慌てて購入したのがこれ。兄が経営する不動産鑑定を請け負う事務所でバイトする女子大生が主人公のお仕事もの。
メディアワークス文庫と富士見L文庫のお仕事モノの作品は、普段どんな業務やってるのかさっぱり知らないような業種の話をかなり濃い目に描いてくれるので非常に面白いんですよね。本作も、不動産鑑定という文字通りの不動産の評価・査定を行う業務に纏わるエピソードを扱っているのですが、これも普通に暮らしていたらそうそう関わることのない仕事なだけに、いちいち興味深い。一方で舞台となる事務所に持ち込まれる案件は、いわゆる「オカルト」が絡んでいる不動産が多かったりするのである。所長の兄は神主の資格を持ったガチの霊能者。いや、本来なら実家の神社を継ぐはずが何故か不動産鑑定事務所なんか始めちゃってるのだが。で、歳が一回り以上も離れている妹の茅夏も兄ほどではないけれど霊感が有るタイプ。その彼女ともう一人、事務所に出入りしている大学生の生意気小僧志水颯。どういった経緯で事務所に入り浸るようになったのかについてはまだ明かされてないのだけれど、霊的物件専門の鑑定事務所に出入りしているくせに、この颯は根っからの科学信奉者でオカルトのたぐいは一切信じていなかったのである。
この二人がコンビを組んで、というか仕事を押し付けられて出先の物件に調査に行くことになるわけだが……。
探偵役は颯の方。皮肉屋で斜に構えた小憎たらしい小僧なんだけれど、頭の回転の速さと知識量については本当に抜群で、ああこいつガチで頭いい奴だ、というのが否応なく納得させられる才気煥発な小僧なんですよね。
最初の以来の幽霊マンション。ここで起こっている霊障の原因も、彼が目ざとくわかりやすい物理的現象の結果起こっているもの、として突き止めていくのである。この科学的検証も見せ方が上手くて次々と原因を明らかにしていく過程がわかりやすく痛快で面白いんですよねえ。それだけでも十分話のネタとして通用しそうなんだけれど、ここから事態が二転三転していくのである。
そう、ガチの霊障が起こり始めるのだ。
颯にとっては初めて体験する、自分の知識では解決どころか説明もできない本物の心霊現象である。面白いのがここで彼が示す反応が拒否や否定ではなく、未知の現象に対する好奇心と探究心なんですね。実際に体験してしまった以上、心霊現象や呪術魔術のたぐいは実在するのだ、と受け入れた彼はここから更にバージョンアップしていくのだけれど、ともかく霊障と呼ばれる出来事へのアプローチが科学とオカルト、両方から非常にバランス取れているのだ。霊感のあるヒロインの雪菜や兄の友人である胡散臭い陰陽師の御前尊もガチの霊能者であるからこそ、霊障がガチかそうじゃないかについては判断は慎重だし、自分の感覚を盲信もしないので、起こっている問題に対して過剰な反応を示すことなく、スタンスが実にフラットなのである。
二軒目の次々にそこに住んでいる家人が異常な死に方をしていく呪われた家の話の方は、完全にもうオカルトサイドの領域なんだけれど、呪詛だの何だのが原因だったとしてもちゃんと通る筋があるはずで、理不尽に何の理由もなく何のルールもなく無茶苦茶に結果が発生しているはずはないんですよね。何故何が原因で理由で、ルールでこのような異常死が起こるのか、科学で説明できない現象だとしてもちゃんと発生から結果までの筋立った論理は存在する。その謎を解き明かしていくミステリーが緊迫感と相まってこれがまた面白い。
颯と雪菜の学生コンビに存在自体が胡散臭い陰陽師と神主の兄。キャラクターも個性的でパワフルなんですよね。十歳以上歳が離れている兄と妹の微妙な関係とか、主人公の雪菜が何気にイイ性格しているというかタフな性格していて、才気が迸りすぎててちょっと火花散ってるんじゃないかという微妙に危険人物というかフリーダムな颯に対しても、当初はともかく慣れてくると物怖じせずに結構どんと構えて接してるところとか好きでねえ、いやこの女性主人公が自分、お気に入りなのか。今のところ一冊しか出てないシリーズなのだけれど、もっとこのメンバーで色々と話読んでみたいですねえ。

秋田みやび作品感想

輝け!へっぽこ冒険譚 3  

輝け!へっぽこ冒険譚 3 (3) (富士見ファンタジア文庫 21-93 ソード・ワールド・ノベル)

【輝け!へっぽこ冒険譚 3】 秋田みやび/浜田よしかず 富士見ファンタジア文庫


あれ? マウナってこんなに美人だったっけ? と思わず見惚れてしまったほど、口絵のちょっとめかしこんだマウナ嬢の絵が素晴らしい。つやっぽくならない程度の健やかな色気があって、なんだかハッとしてしまった。ベッドにポンと勢いよく座り込んだ瞬間を切り取ったような、躍動感を感じさせる絵柄といい、この絵師さん、こんなにうまかったっけ?
もう一枚のイリーナのアクションシーンも凄い。このアングルでこの構図。剣の風圧が伝わってくるような迫力。
もちろん、いつものへっぽこーず特有のゆるーい感じのするコミカルな絵も、挿絵では十分堪能させてくれて、それでいてイリーナとヒースの親愛関係を一目でピンと感じさせてくれる温かい絵もあって、なんかひきだし増えた感じがするなあ。
ライトノベルの挿絵の理想的な形なんじゃないだろうか、これ。

肝心の中身の方ですけど、こちらも相変わらず品質が高い。表面的にはへっぽこーずのすちゃらかなノリで上質なコメディとしてちゃんと立脚しているんですけど、それ以上に繊細な心理面での動き、情感の描き方、人間関係の進捗や、それぞれの冒険者としての成長がごくごくさり気なく、それでいてしっかりと印象的に描かれている。
さらっと、イリーナの口からヒースが自分の帽子を直さなくなった、という言葉が流れたときには、ヒースも対して反応示さなかったもんだから、最初気付かなかったですけど、これってけっこう大きなことなんですよね。ヒースがその行為をやらなくなったことも、その事実をイリーナが口にしたことも。でも、それを大事として大層にエピソードにせず、さりとて無視するでもなく、こうしてさらりと語るところにこの物語の質の高さが伺えるんですよね。ライトノベルの軽さは、決して薄さとイコールではないという意味でも。

ヘッポコーズが冒険者として初めてかかわった事件、そこでの失敗はなんとか順調に冒険をこなして実力と名声を得つつありながらも、彼らの中では、特にイリーナの中では大きなしこりとなって残っている。その事件でイリーナたちと対決した強盗団との因縁も、この三巻で大きな転換を迎えてしまったわけですが。
……すちゃらかなノリなのに、けっこうシビアな展開持ってくるんだよなあ。でも、やっぱりこのへっぽこーずの楽しそうなノリは、大好きなんですけどね。

輝け!へっぽこ冒険譚 2  

輝け!へっぽこ冒険譚 2 (2) (富士見ファンタジア文庫 21-92 ソード・ワールド・ノベル)

【ソード・ワールド・ノベル 輝け! へっぽこ冒険譚2】 秋田みやび/浜田よしかづ 富士見ファンタジア文庫


冒険者としてでびゅーしたばかりの頃のへっぽこーずたちの活躍を描く第二弾。活躍っつーても、まだまだこの頃は大きな冒険はしとらんのですけどね。【モビルスーツ・イリーナ】の代名詞である、イリーナの板金鎧もまだ装備されてませんし。あのイリーナが鎖帷子っちゅうのはやっぱり違和感あるなあ。やはりイリーナはガッキョンガッキョン言わせながら、全身鎧で戦わんと。

今回はヒースの姉であるアリスに結婚話が持ち上がり、相手の男を見極め、場合によっては邪魔すべしと親父から命令をくだされたヒースが、仕方ないと愚痴りながらも内心興味津々だったので、言われたとおりに帰郷したはずが、僅か往復二日の道程の途中で行方不明になってしまい、デバガメしについてきたイリーナたちが捜索を開始する、というお話。

今回の注目はなんと言っても、イリーナとヒースの関係でしょう。幼馴染で気の置けない兄妹のような関係で、お互いまったく、完膚なきまでに完全に異性として見ていない二人なんですけどね。
ヒースの姉のアリスと、イリーナに兄であるクリス。お互い、家族ぐるみで昔から付き合いがあるので、この兄姉二人も幼馴染なんですけど、現在クリスは勘当されて消息不明。アリスの結婚相手と周りが噂していた相手(こいつはこいつで裏があったわけですが)は、クリスじゃないのですが、作中、イリーナがアリス姉さんはクリス兄さんと結婚して欲しかったなあ、と想いを吐露する場面があるのです。まあ、目的はアリスの美味しい料理だったわけですけど。ただ、このアリスとクリスの二人が結婚するなんてありえない、とイリーナが考える根拠として、仲間から、じゃあ、同じような幼馴染のあんたとヒースは結婚とかありえるの、みたいなことを言われて、ああそりゃありえませんね。じゃあクリス兄さんとアリス姉さんも結婚するなんてありえないかー、みたいな感じで納得してたのですけど。
なんと、ラストでアリスが消息不明のクリスを憎からず思ってることが発覚!!
これって、ヒースとイリーナの将来的な関係への比喩というか、暗喩みたいなことになってませんかねえ。考えすぎ? でも、思わずニヤニヤしてしまったことは間違いなく。
このヒースとイリーナの兄妹な関係。恋愛臭がまったく感じられないからっとした仲の良さ、信頼関係はとても爽快で面白く、愉快で気持ちのいいものなんですけど、それだけに人生のパートナーとしても悪くないとも思うんですよね。似合わない? まあ、それもそうなんだけど(苦笑
 
10月22日

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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(角川スニーカー文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(HJ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(角川ビーンズ文庫)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(Kラノベブックス)
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(講談社ラノベ文庫)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(PASH!ブックス)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(B’s-LOG COMICS)
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(HJコミックス)
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(HJコミックス)
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(PASH!コミックス)
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(PASH!コミックス)
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(FUZコミックス)
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(FUZコミックス)
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9月30日

(バンブーコミックス)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(ヒーロー文庫)
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(モンスター文庫)
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(ファミ通文庫)
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(ファミ通文庫)
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(エンターブレイン)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ZERO-SUMコミックス)
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(ビッグ コミックス〔スペシャル〕)
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(少年サンデーコミックス〔スペシャル〕)
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(楽園コミックス)
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(楽園コミックス)
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9月28日

(ヤングアニマルコミックス)
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9月27日

(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(まんがタイムKRコミックス)
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(電撃コミックスEX)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(電撃コミックスNEXT)
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(バンブーコミックス)
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(バンブーコミックス)
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(バンブーコミックス)
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9月25日

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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MF文庫J)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(MFブックス)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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9月24日

(バーズコミックス)
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(ライドコミックス)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(メディアワークス文庫)
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(GCノベルズ)
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9月22日

(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(モーニングKC)
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(アフタヌーンKC)
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(アフタヌーンKC)
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