競馬

第41回エプソムカップ G3 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(特指) 別定 東京競馬場1,800メートル(芝・左)

1番人気のレーベンスティールが他馬を寄せ付けずに、あっさり抜け出して快勝。現4歳世代が不甲斐ない中で、強い競馬を見せてくれました。
土曜日もダービー3着のハーツコンチェルトが、オープン特別で勝てずに2着という有り様でしたからね。
セントライト記念で皐月賞馬ソールオリエンスを下したレーベンスティールですけれど、暮れの香港では体調がよろしくなく最下位。国内復帰戦の新潟大賞典も一番人気を集めたのに11着とボロボロの結果。
今回も調教からパドックからずっと馬のテンションあがりっぱなし。トドメに斤量59キロでしたからね。1番人気とはいえ3.6倍と決して高いものではありませんでした。

レースはシルトホルンが前に出たのを、セルバーグが遅れて躱しに行くという形になったのですが、競り合ったわけではないのですけれど、自然とペース早くなったみたいですね。1000メートル58.2だからそこそこ。全体のラップ見ても、ずっと最後まで11秒台だったので緩みのないけっこうタフなレースになってたんじゃないでしょうか。
そんな中でテンション高かったはずのレーベンスティールを、ピタリと好位置につけて折り合いもまったく揺らがせないルメールの手腕ですよ。外をぶん回さずうちに揉まれず、理想的な位置取りで残り400メートルからGOサイン。一気に他馬を置き去りにしていくレーベン。簡単な馬じゃないと思うんですけれど、ほんと淀みなくキレイに乗るよなあさすがはルメール、完璧でした。
レーベンスティール、昨今ではもう滅多といないだろう母父トウカイテイオーという血統ですからね。4歳世代が軒並みあかん中で、頑張って欲しいものです。

2着にはニシノスーベリア。9番人気と穴だったのですけれど、成績を見るととても堅実で大負けがありません。重賞でもきっちり掲示板にノッていてどんな相手でも確実に成績を残してくるタイプ。重賞を勝ちきれるかはちょっとわからないんですけれど、馬券的には出てきたら無視できない馬ですね。

3着には先行したシルトホルンが、セルバーグが脱落してもなお粘って3着に。直線入ってもずっと手応えある走りに、これこのまま行くかも、と一瞬思わせるほどの軽快な走りでありました。さすがにレーベンに抜かれたあとはズルズル行くかと思ったら、なおも粘って後続抑えきりましたからね。
これはお見事。

4着は2番人気のサイルーン。レーベンが実績込みで1番人気でしたけれど、昇り馬として連勝中のこのサイルーンが勢いとしては上だったでしょう。
ただ道中のポディションがね。もう一段前に行ってほしかったかな。いやでも直線でもレーベンのすぐ後ろにつけていたので、悪くはなかったかと。でもその分、レーベンとの脚の差を見せつけられた感もあります。完全に置いていかれたもんなあ。重賞獲るにはまだもう少し足りないか。

他、注目馬のなかではヴェルトライゼンデ。両前足の屈腱炎、しかも2回目というそれもう無理やろ、という故障を乗り越えて、1年2ヶ月ぶりに復帰してきたドリジャ産駒の希望の星。
前回1年5ヶ月ぶりの鳴尾記念を勝ってみせた不屈の馬であり、さらにその一発だけではなくジャパンC3着、日経新春杯の勝利と一線級で戦えるまでに復活してみせた凄い馬だったんですよね。
今回の3番人気はその実績と復帰へのご祝儀みたいなものだったのでしょう。さすがに、今回は勝ち負けまでは行きませんでした。調教もプールなどやっててビッチリやれてはいなかったみたいですしね。
でも、レースではズルズルと後退していくこともなく、最後までジリジリと脱落していく馬たちを抜きながらあがってきてるんですよね。我慢ガマンの9着でした。よく頑張った。



第31回函館スプリントステークス G3 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(特指) 別定 函館競馬場1,200メートル(芝・右)

サマースプリントシリーズの開幕です。歴代の勝馬にはナムラクレアやダイアトニックなど名うてのスプリンターたちが名を連ねるレース。スプリンター戦線で戦う馬たちは夏場も積極的に出走してくるので見逃せないんですよね。

んで、今回は単勝人気を見るに二頭に人気が集まっていました。
前前走阪急杯でウインマーベルの2着。前走モルガナイトSの完勝で1200への適性をみせたアサカラキング。
そして1200では5戦4勝2着1回と圧巻の成績を残していたサトノレーヴ。5歳でこれでまだ8戦目。爪が弱かったりだったらしく、なかなかレースに使えなかったんですよね。
でもそれだけ大事に使われてきた、という事でもありようやくスプリントの最前線に参戦してきたレースとなります。

レースはアサカラキングじゃなくカイザーメランジュが先頭に立って逃げることに。アサカラキングはゲートの出自体は悪くなかったのですけれど、行き足がつかなかったですね。2番手にはつけたものの、思ったより主導権を握れず。
ペースが前半33.4の後半35.0という前傾型の流れたレースになったんですが、アサカラキングは直線途中で力尽きて脱落。あれはスタート直後に押して押して前に行く際にスタミナ使っちゃってたのか、それともサトノレーヴに躱され突き放されたことでやる気なくしてしまったのか。いずれにしても残り100も無い所から急速に失速して9着。
勝ったのは浜中騎手鞍上のサトノレーヴ。早い流れながらも3番手4番手の柵際にピタリとつけて、直線わずかに空いた隙間に体ねじ込んで一瞬で突き抜ける非常に強いと思わせる競馬をしてくれました。
あの一瞬のキレは素晴らしかったし、他馬の圧力をもろともしない根性。これは、このレース足がかりに過ぎず、どんどん上に行く馬ですよ。次走もう1回サマースプリントシリーズに使うのか、それとも秋まで空けるのかわかりませんけれど、スプリンターズS楽しみな馬が出てきました。
血統は半兄にあのハクサンムーン。無双を誇ったロードカナロアに土をつけた屈指の短距離走者で、G1を2つ3つ取ってもおかしくない実力馬だったんですよね。
ちなみにこのレーヴのお父さんがそのロードカナロア。自分を下したライバルのお母さんに種付けって競馬界ではまあまあよくある話で、先日もキタサンブラックのお母さんにドゥラメンテをつけて青葉賞勝ったシュガークンがいましたけど、なんか凄いね!

2着にはサウジ帰りのウイングレイテスト。実績ある実力馬なんだけれど、さすがに年齢も7歳。しかも海外帰りでトドメに斤量59キロ背負わされてマイナス材料てんこ盛り、近2走はいい成績残せてない、と実績上位ながら5番人気にとどまっていたのですけれど、きっちり2着に入ってくるあたり本当に強いんだなあ、この子。
3着はビッグシーザー。淀短距離勝ってオーシャンで2着、と今年こそ重賞勝ちたいんだけれど、もう一つ最後の壁を突破しきれないもどかしさがありますねえ。本来ならスプリント戦の主役の一頭になれる逸材だと思うのですが。
4着には条件戦を上がり最速を記録しつつ3連勝で駆け上がり初重賞挑戦だったサウザンサニー。あ、3歳の時にファルコンSに出て3着もぎってるのか。ずっと2着3着で勝ちきれなかったのが、ようやく勝ち方を覚えて実地の強さを身に着けた、という感じで挑戦してきましたけれど、このメンツで4着は重賞の壁に跳ね返されたとも言えるし、惜しかったとも言えるし。3着までに入っていれば、次回もっと人気集まりそうだった気もするのですが。


第74回安田記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

香港の大英雄ロマンチックウォリアー、アウェーだろうが関係なし!
並み居る本邦のマイルのスペシャリストたちの悉く、無双の豪脚にて蹴散らし候。


此度の安田記念、話題はなんといっても「ロマンチックウォリアー」が来るぞーーー!!でした。
歴史的名馬と呼ばれるような超大物海外馬が日本のG1に参戦してきたのも今は昔、昨今ではこちらから海外のレースに乗り込んでいって大暴れしてくる、という方が常になってしまい、逆に向こうからくるというのは本当に少なくなっていました。
来るにしても、あまり知名度のない馬が大半で、実績はあってもその実力をどう推し量って良いものかわかりかねる馬が多かったんですよね。エリ女を連覇したスノーフェアリーくらいが最後なんじゃないだろうか、鳴り物入りで参戦してきたのって。
しかし、ロマンチックウォリアーはモノが違いました。近年、伝説的な強さを誇り海外、日本にまでその雷名鳴り響く馬が香港に二頭存在したのです。
それが短距離のゴールデンシックスティであり、そしてこの中距離のロマンチックウォリアーでした。
これまでに19戦して15勝。うちG1を7勝。G1を7勝ってテイエムオペラオーとかシンボリルドルフ、ディープインパクトといった名だたる面々と同レベルってことですからね?
しかも、負けているうちの2敗は伝説を通り越して神話になっているゴールデンシックスティとの勝負に敗れたもの。相手が悪かったとしか言いようがない敗戦だったわけです。
そしてこのロマンチックウォリアー。香港でのレースで暴れまわる日本からの参戦馬たちを片っ端からぶち倒し、ただの一頭も先着を許さなかった馬でもあったわけです。
そう、既に日本の馬との対戦成績は山とあって、その全てで勝利しているバケモノだったわけですよ。
強い強いと実績を残していても日本の馬と戦ったことがないだけに、実際どんなもんかわからないよねえ、という未知の強豪馬とは一線を画した馬だったわけです。
ついでにいうと、香港の競馬場は日本の馬が毎年遠征して活躍しているように、まるで別次元の馬場であろうヨーロッパとは異なっていて、こっちの馬たちの走りとマッチする馬場でもあります。
つまり、香港の馬だって日本の馬場なんの問題もないわけですよ。
ヨーロッパの強豪馬が来日! とは桁の違う大怪獣襲来! だったのです。

とはいえ、日本の競馬場でもそれぞれ傾向や質が違うように、香港の競馬場にベストマッチするからといって府中ではどうなんだ? という話でもありました。
主戦場であるシャンティ競馬場は洋芝なんだそうで。あれってわりと粘りのある力のいる芝で、そうですね、どちらかというと阪神や中山タイプの馬場なのかもしれません。
実際に走破タイムを見ると東京競馬場で求められる高速競馬からすると少々物足りない時計ではあったんですよ。また、ロマンチックウォリアーの主戦距離というのはおおむね2000メートルで固定されていて、1600メートルというのは経験も実績もあるけれど、若い頃で最近はずっと中距離戦線だった、というのも注目ポイントでした。
果たして時計それほど早くない浪漫勇士が、さらに距離短縮の1600メートルで高速馬場となるだろう東京競馬場の早い流れに乗っていけるのか。
むしろそれなら、同じく香港から参戦。1600のG1タイトルを獲っている上にゴールデンシックスティの2着にも来たことのあるヴォイッジバブルの方が侮れないんじゃないのか? という言説もあったわけです。
何しろ現在の香港短距離界は世界でもまさにトップもトップ最上位の魔境。そこでG1獲ってる。魔神ゴールデンシックスティに迫った、とかは絶対に無視できない強調要素でありました。

ところがところが。
天は誰に味方したものか。当日日曜日の東京の天候は……雨! それも金曜日からしとしとと降って、馬場状態も懸念される状況に。
さあ、そうなってくるとパンパンの馬場と比べて走破タイムは時間がかかるようになってくる。しかし、果たしてどれほど馬場が悪くなるのか。ちょっとゆるくなる程度と、グズグズの不良馬場とではまた全然違ってきますからね。
馬にもこうした雨天の馬場への得意不得意というのは顕著にありまして、予想する人達は天気の変化に頭を悩ませるはめになるわけです。
とりあえずヴォイッジバブルの方は馬場が緩むと全然だめ、と陣営が公に述べているので、これほんとにダメだったのでしょう。いやでも、香港の元から時間のかかる馬場の緩んだ不良状態と、日本の馬場の重馬場とはまた傾向が変わってくるかも。陣営の人達が言うほど苦手なことにはならないんじゃないのか? と考えたりもするわけで、ここらへんの判断は非常に難しいことになってくるんですよね。
血統や走り方、蹄の形だとかで重馬場の得意不得意を判別するその筋の人達もいるので、専門家は凄いなあとあんぐりと口を開けるばかりです。まあ血統に関しては特に実際にお父ちゃん雨得意だったら子供も得意、というパターンが結構あるので無視できないのですけれど。

さて、散々語った香港の大英雄の参戦に対して、迎え撃つ日本馬たちですが。
君たち、香港で既にけっこうやられてるよね、特にセリフォスさんw
いや、これまでと違って今度はホーム。我らが庭の府中競馬場でありますよ。返り討ちにしてやるわーっ!
と勇んで立ち向かうのは、現役のトップマイラーたちはほぼ出揃ったんじゃあなかろうか、という面々。
一昨年のマイルチャンピオンシップの覇者であり、去年の安田記念の2着セリフォス。
マイル重賞3勝。G1でも常に勝ち負けの勝負でその強さは現役の頂きにあるソウルラッシュ。
前走こそ海外帰りで体調整わず負けたものの、現マイルの女王として名乗りをあげるナミュール。
日本の大将クラスはこのあたりだったでしょう。
他にG1馬はダノンスコーピオンがNHKマイルを買ってますが、最近は良い成績ではなく前走やっと復調の気配を見せてきたところ、くらい。
あとはダート含めて様々な種類のレースを出まくり、最近ようやっと東京マイルが適正なんじゃない?とか言われ始めたガイアフォース。
ダート界隈を放浪していて、調教師先生の強い願いで芝に戻ってようやく掲示板に乗る走りに戻ってきた皐月賞馬ジオグリフ。
連勝でダービーCTを買って初重賞制覇。マイル戦線に割って入ってきたパラレルヴィジョン。
伝説の21クラシック世代の生き残り、長期休養明けから復活して再度輝きを取り戻してきたステラヴェローチェ。
これらが追いかける形になってますけれど。逆に言うと今のマイル戦線ってこのあたりで精一杯とも言えるんですよね。
マイルの女王ソングラインが去年引退。シュネルマイスター、ダノンザキッド、ソダシ、グレナディアガーズといった古豪たちも揃ってターフから去ってしまったために、やっぱり陣容が薄いんですよね。
実力で言うならソウルラッシュが総大将を背負ってほしいんだけれど、本来なら2つ3つはマイルG1を取っていてほしいのに、G2までなら凄く強いレースをするのに本番G1となると毎回一歩届かないレースをしてしまう、偶にいる馬なんだ、この子。
そのあと一歩分、騎手の腕の問題か、とも思ったのだけれど、名手モレイラをもってしても同じような競馬になってしまっているところをみると、もうそういう馬なんだとしか考える他ないんだよなあ。
血統的にルーラーシップ産駒は東京マイルの成績が良くないって事もあったので、これまでの安田記念の負け方は適正があわない向きもあったのかもしれません。
ただ今回は、馬場が稍重になって重馬場得意のソウルラッシュにとっては最適だった。調教も抜群で、おそらく今までで最高の調子だったと思われる。鞍上には望むべく最高峰の騎手モレイラ。
もうここで勝てないならどこで勝つんだよ、というくらい出目が揃っていたわけです。

にも関わらず、ロマンチックウォリアーには一蹴され、それどころか本調子には程遠かったナミュールにまで躱されての3着。苦手の東京競馬場マイルで3着は立派かもしれませんけれど、ここまで好材料を揃えた上での3着というのは、ここが限界点か、ともとれるわけで。あとはもう本当にマイルCSに賭ける他ないのかねえ。

っと、なんかいきなり話飛ばしてソウルラッシュ3着の話に流れてしまいましたが。
勝ったのはロマンチックウォリアー。文句なしの横綱相撲でありました。力の差を見せつける完勝でした。返し馬からやたらテンション高くなってて大丈夫か、と心配されたんですけれど、レースに入ったらこの馬本番の集中力パないですわ。道中囲まれて決して楽な展開ではありませんでしたし、進路があくまで堪えて堪えて、空いた途端にモノの違う足でほかを置き去りにしていってしまいました。
並走していたステラヴェローチェがあっという間に置いていかれちゃったもんなあ。
彼がこれまで速い時計を残していなかったのは、そういう馬場でしか走った事がなかったからで。府中で走れば相応に対応できるだけの適応力が備わっていた。勇士は戦場を選ばない、ということだったのかもしれません。
それでもパンパンの良馬場よりも稍重の馬場が良かったのは間違いないでしょうけどね。そういう意味では運も備えてたというべきなのでしょう。文句のつけようのない圧倒的な痺れる強さでした。
安田記念の結果次第では、宝塚記念に参戦すると以前から仰ってたみたいですけれど、これはもう来るでしょう。来るー、きっと来るー!
おいおいおい、中距離戦線の方がホームグラウンドなんだぜ、ロマンチックは。2200はまだ走ったことないとはいえ。この大英雄に勝てる馬が今の日本にいるかい?

ドゥデュースがおるではないか。

おいおい、じゃあ宝塚記念はロマンチックウォリアーVSドゥデュースになるんですかぃ!? そいつはえれえことになりますよ!?
プログノーシスちゃん、あんたもここは自分もいるぞって殴り込んでこないとあかんぜ。香港の復仇という意味ではあんたが一番ロマンチックに悔しい思いしてるんだからさ。

追報:なんかもう既に調教師さんが疲れてるからやめときます、と言ってるみたいで、宝塚記念は回避するみたいですね、残念無念。


さて2着に入ったのは、まさかのナミュール。いや、実績考えたら全然まさかではなく4番人気だったんですけどね。海外転戦から帰厩しての所詮のヴィクトリアマイルでまさかの8着大敗。その時もう全然いつもの体調ではなかったのは明らかで、ナミュールほどの実績がありながら2番人気になっていた時点でみんな強い時のナミュールに戻ってないよねこれ、と見てたんですよね。
そこからたった中2週。元々ヴィクトリアマイルから安田記念の路線は厳しいことこの上なく、あのアーモンドアイですら勝てなかったほど。勝ったの、ウォッカだけなんでしたっけ?
そんな中で多少は復調の様子をみせたものの相変わらず本調子とは程遠い、という評価が飛び交っていたナミュールです。また馬場も緩むとカミソリの切れ味の末脚は活かしづらく、雨が降ったら評価が下がる馬の側でした。
ソウルラッシュとは真逆で、もうマイナス要素ばっかりしかない状況だったんですよね。
にも関わらず、ソウルラッシュを競り落としてハナ差の2着に食らいつく根性を見せてくれたのでした。
これはもう、今の日本のマイル戦線、ナミュールが筆頭として引っ張っていくと見て間違いないでしょう。あれほど体が弱くて脆かった馬が、今や多少体調整わずとも実力で押し切れるだけのタフさと根性を見せつけてくれたわけで。彼女の覚醒、本格化が本物だというのを改めて証明してくれたんじゃないでしょうか、これは。

4着にはガイアフォース。毎度イイところまではきてるんだが、G1となると掲示板までというイメージしか出てこないのがさらに強化されてしまった感がある。一度どっかの重賞もぎ取って勝利の味を思い出させて上げて欲しいな。セントライト記念から随分と勝ち星から遠ざかっているわけだし。
5着にはセリフォス。ちょっと中間集中欠いてたみたいなので、今回はこのあたりが妥当かなあ。川田騎手は相変わらず東京マイルはなんでか全然あかんのですねえ。セリフォスはこの先ちょっと上積みあるか怪しくなってきたかもしれない。
他人気はというと、パラレルヴィジョンが13着と良いところなく。ルメールさん、府中のG1でここまで大負けしたの久々じゃない?
ヴォイッジバブルは17着とブービー。これほんとにちょっと緩むと全然あかんかったのかしら。或いは速い時計に全然ついていけなかったのか。


ともあれ、世界最強の一角であるロマンチックウォリアーがロマンチックウォリアーらしく勝つところを、この東京競馬場で見られた、というのはなんか感無量の思いがありました。
日本の馬たちが負けて悔しいというのはありますけれど、伝説的に強い馬がちゃんとリアルに強いという事を堂々と証明してくれるのを見るのは、感動がありますよ。ええものを見た。




第91回東京優駿 日本ダービー G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 東京競馬場2,400メートル(芝・左)

デサイルっ、デサイルっ、ノリさんだーーーっ!!!

直線最後、ミラノが前を捉えようとしたその時に、既に内ラチ沿いをシュガークンとエコロヴァルツを食い破るように突き抜けようとしていたダノンデサイルの方に目が釘付けにされました。4ハロン棒の時点でこれはデサイル、勝ち負けだ! と確信させられる迫力でしたし。
うおおお、ダノンデサイル、多くの人が口を揃えて調教ヤバい、変わり身凄い、と発していたので注目はしていたのですけれど、それでも3着までと思ってたんですけどね。ここまで強かったとは。

ダノンデサイルは、1月の京成杯で今回4番人気となっているアーバンシックを二着に退けて皐月賞に挑みました。が、レース直前鞍上の横山典弘騎手が歩様に違和感を感じて、出走を取りやめちゃったんですね。生涯に一度しかチャンスがないクラシックレースで、明確な異常がないにも関わらず馬の安全を考慮して出走を断念する。なかなか出来ない決断だったのですが、今回この結果を持ってその判断が正しかったのだと証明する形になりました。馬のことを第一に考える横山典さんらしい英断だったわけですけれど、その返答がこういう形で返ってくるとはねえ。武騎手の記録を超えて最年長G1記録の更新、さらに最年長ダービージョッキーの誕生ですよ。御年56歳。レジェンド武豊が目立つけれど、このヒトもまー意味わからんレベルのレジェンドだよなあ。
でも重賞は毎年相応に獲ってるものの、G1はほんと久しぶりだ。中央のG1となると2017年のNHKマイルカップのアエロリット以来。アエロリットかー。この馬も古馬になってからもずっとマイルから中距離戦線の牝馬のトップランナーとして活躍したいい馬だったなあ。


さて、改めて今回の日本ダービーについて語っていきましょう。
まずはレース当日までの各馬の情勢などから。

クラシックの一冠目。皐月賞、これを制したのはジャスティンミラノ。
ちなみに皐月賞が行われる前の雰囲気としましては、どんぐりの背比べ。むしろ紅一点殴り込んできた牝馬のレガレイラが一番人気になってたんですよね。というのも、彼女は2歳の頂点を決めるホープフルSを牝馬ながら参戦したうえで完勝。この時点でどの牡馬よりも自分が上だと証明してみせたわけです。
一方で2歳時に将来のクラシック候補として評判を集めた馬たちは、いまいち評判通りに活躍できず、また成長が遅れていて二の足を踏んでしまい、前哨戦は思わぬ伏兵が勝つことも多くて、果たしてトライアルレースを勝った馬は本当に強いのか、負けてしまった評判の馬たちは評判倒れなのか。ともかく評価が混沌としてしまったわけですね。
そんな中で、朝日杯を勝ったジャンタルマンタルを共同通信杯で下したジャスティンミラノが、強い相手に勝ったしこの馬もかなりのもんじゃあないか、とされて2番手評価を受けていたわけです。
ただ皐月賞の時点ではミラノはスローペースしか経験しておらず、ハイペースが想定されていた皐月賞向きではない、とされてたんですね。そもそもペース早くなったら追走できるのか、って。また走法や血統もどちらかというと東京2400向きだからダービーが本番、なんて言われていたわけです。
ところが、ミラノはそうした評判を覆してべらぼうに早くなって向かないと思われた展開を、余裕で前につけてあっさりとレコードでぶっちぎって勝ってしまった。
ちなみにこの時3着になったジャンタルマンタルは先日のNHKマイルで快勝しましたから、距離の問題はあったとはいえ文句なしに強い馬です。
そんなジャンタルに共同通信杯に続き完勝してみせた。向かないはずの展開をもろともせずに、向かないはずの舞台で。あれ? ジャスティンミラノってべらぼうに強いんじゃないのこれ!?
と、皆が新星の出現に愕然とさせられたのが、皐月賞だったのです。
亡き藤岡康太騎手が調教パートナーを務めたこともあって、感動の皐月賞制覇となったんですね。

ちなみに皐月賞のレース回顧がこれですね。



というわけで、大勢としてこのダービーはジャスティンミラノの一強だよっ! という声が強かった。まああれだけのパフォーマンスをみせたミラノ、むしろジャストフィットするのはこのダービーの方だよ、となればそれも当然。
戸崎騎手のダービー初制覇も間際だよ、という雰囲気……かというと、うむ。実のところ、2.2倍という人気は十分ではあるんだけれど、圧倒的とまではいかないんですよね。
実際にレースを迎えるとなるとあらゆるデータをほじくり返してくるのが、予想屋さんたちです。
ミラノは血統的にもダービー向き、とされながらも、焦点を父キズナに絞ってみるとこれがまた東京競馬場で全然重賞成績良くないんですよ。いや、それに関しては他のキズナ産駒……今回やたらとキズナ産駒の出走馬多かったので、そっちは気にしておいて良かったんでしょうけれど、ミラノに関しては共同通信杯で東京競馬場走って完勝してるんで、彼個人はあんまり考慮しなくていいデータだったかもしれません。ただ戸崎騎手が、ダービー勝ってない。初勝利間近、というのは期待膨らみますけれど、一方でこれまでずっと勝てなかった、という事でもあり……こういう勝てない呪いってほんとに続くんですよね。そういう意味でも、馬自身よりもそれ以外の要素で微妙な不安が消しきれない、という雰囲気はあったと思います。
間違いなく強い! しかし絶対視は出来ない、という塩梅ですか。

皐月賞とは違うんだよ皐月賞とはっ、と意気込んでいたのが2番人気レガレイラです。牝馬ながら牡馬クラシック参戦した紅一点、2歳チャンピオンでしたが。皐月賞では相棒のルメール騎手がドバイで怪我、という影響がこっちにも波及していて、皐月賞本番では乗り替わりが発生。馬群を縫って前に出るのに少し手間取り、結果6着に終わってしまいます。回顧記事にも書いてますけれど、皐月賞のハイペースも合わなかったんじゃないでしょうか。
しかし、今回は鞍上のルメールが戻りました。これは大きいです、ほんと大きい。ルメール買っときゃだいたい当たる、は真理です。それくらいほんとにこの人は上手い。
それに、今回は切れ味勝負になりそうですし東京競馬場向きという意味ではスワーヴリチャード産駒の彼女はミラノ以上だったかもしれません。

また、三歳のこの時期ってまさに成長期の真っ只中なんですよね。夏を経て秋に別の馬みたいになって現れる、みたいなパターンも多いのですけれど、皐月賞からダービーまでの一ヶ月前後でまさしく一変してしまう、という馬も少なくありません。
先週、オークスを勝ったチェルヴィニアなんかもそうでした。
今回も前走からまるで見違えた、という馬が何頭かいたようです。ちなみに、自分は馬体とか調教とかパドックとか返し馬とか見てもさっぱりわかりません、けっこう長い年月競馬見てきましたけれど、未だにさっぱりですね!
というわけで、自分で見て確認したわけじゃないのですが、こういう時は情報の集積です。昨今は競馬新聞だけではなく、ブログやSNS、コラムにYouTubeと様々なところで色んな人がコメント出しています。同じ調教見てもみんな見解違ったりするのですけれど、それでも集まった情報を俯瞰してみると傾向というものは見えてきますし、あれ?この馬ちょっと今回凄そうだぞ!? という意見が多方面から吹き上がっていることも観測できます。
今回特に前走とまるで違うぞっ!? という声が多方面からあがっていたのを観測できたのが、5番ダノンデサイル。8番アーバンシック。13番シンエンペラー。そして14番のゴンバデカーブースでした。9番のダノンエアズロックも一度調子を崩していたのを前走のプリンシパルSで快勝したように復調してきた、という向きの話は盛り上がってましたけれど、明らかに以前よりもワンランク上に覚醒したような話題があがっていたのが上記四頭でしたね。
コンバデカーブースは中2週でNHKマイルカップを激走したばかり。正直NHKマイルの時は調子かなり悪かったみたいで、それでも4着に入ったのはむしろ能力凄いよね、という話になっていたのですが、まさかのダービー参戦。いや流石にローテきつすぎない?と思ったのですが、これがむしろNHKマイルの出走が休み明けの一叩きになった感があって、ここにきて急上昇、本格的に二歳時に世代最強の一角と言われた才能を発揮できる態勢になってきている、というご様子でした。
体がようやく仕上がってきた、という意味ではシンエンペラーもそうで、これまで体がまだできあがっていなくて才能だけで結果を残してきたのが、皐月賞のあとようやくこれ本格化してきたよ。本気で走れる体になってきたよっ! と心身の充溢を伝える話が聞こえてきたわけです。
んで、とにかく調教の走りがヤバい、なにこれ凄い走ってるよ!? 別馬!? 別馬!? とあちこちから驚き混じりの声が飛び交っていたのがダノンデサイルであり、同じく今回の仕上がりが一等ヤバいっ、打倒ミラノがあるのはこの馬だろう、という凄まじい強者感を出していたのがアーバンシックでありました。
特にアーバンシックは、皐月賞で六番人気と脇ポディションだったのが、今回四番人気ですけれど明らかにミラノの対抗馬候補という雰囲気でしたね。或いはレガレイラすら上回る形で。
あ、最終オッズシックスペンスと並んで三番人気になってたのか。

そのシックスペンスは、というと……三番人気なんですけれど、不思議と自分の観測範囲ではほとんど話題にもあがってなかったんですよね。なんでだろう。ただ戦歴もスプリングSから皐月賞も出ずにダービー直行というローテ。これが満を持して、という感じでもなくて。ミラノと並んで二頭だけの無敗馬だったのですけれど鞍上・川田ゆえの人気、という印象でした。
ダービー直行という意味では皐月賞回避したダノンデサイルの方が休養期間長かったんですけどね。実際、九番人気というのはそこらへんにも原因はあったのでしょう。ノリさんも、G1という事を考えると最近の成績を見てもなかなかプラス要素とは言えなかったからなあ。

取り敢えず人気で並べると
一番人気ジャスティンミラノ
二番人気レガレイラ
三番人気アーバンシック
同率シックスペンス
五番人気ダノンエアズロック。エアズロックは鞍上がマジックマン・モレイラというのも大きかったんでしょう。トライアルがプリンシパルS経由の馬は歴史的にも成績よくありませんから。エアズロックが高額購入馬としてデビュー時から評価も高く、プリンシパルSの勝ち方も強かったですから、過剰人気とは言えないですけれど。
六番人気がコスモキュランダ。皐月賞で2着に入った実績を考えるならこの評価は低いっちゃ低いとも言えるのですけれど、鞍上がモレイラで皐月賞の乗り方が神騎乗と呼べるものだったのを考えると、妥当とも思えます。アルアイン産駒の星なんですけれど、距離的に皐月賞がベスト、という向きもありましたし。ただ、アルアインってダービー馬シャフリヤールの全兄であるので適正がないかというと……。でもアルアインとシャフって兄弟なのに全然違うんだよなあ。
7番人気がシンエンペラー。この馬も才能は認められながら、それを発揮しきれないでここまで来た……って、いや戦歴みると悪くは全然ないんですけどね。7番人気は低いだろう、と思いつつも上の並びを見ると、まあ、うん、となってしまうわけで。でも、本格化の気配はあったわけですしね。この時期の馬の成長はほんと三日会わざれば刮目して見よ、なくらい急変があるだけに油断できません。
8番人気はシュガークン。武豊のお手馬ですね。デビュー当初からあのキタサンブラックの弟だっ!てことで注目は集めていたのですけれど、この血統は総じて晩成型が多かったんで、むしろ新馬戦で2着。2戦目で勝利、とかなり早く勝ち上がったなあ、くらいの印象でまさかクラシックに参戦してくるとは思わなかったんですよね。それが参戦どころか青葉賞を快勝。だいぶ驚かされました。
とはいえ、青葉賞組の関西馬はなかなか実力を発揮できないのが長年の傾向です。馬としての人気はけっこうあると思うのですけれど、それが馬券の人気につながるかというとそのへんはシビアな競馬ファンなのであります。
ちなみにシュガークンのクンってなかやまきんに君とかの君じゃなくて、フィンランド語で「時」を意味する言葉だそうで。砂糖時間……甘い時って、めちゃくちゃスイートな名前だなw

あとは、皐月賞まで無敗だったサンライズアース。
トライアル京都新聞杯の勝馬であるジューンテイク。
世代でも最強クラスの追い込みを決める脚を持つきさらぎ賞馬ビザンチンドリーム。
これまた2歳時には世代最強候補の一角だったミスタージーティー
クラシックの登竜門で後に歴代勝利馬には名だたる名馬が並んでいる若駒Sの勝ち馬サンライズジパング。
これがダービー初騎乗となる鮫島克駿騎手がまたがるショウナンラプンタ。
そして朝日杯FSでジャンタルマンタルの2着に入る実績があるエコロヴァルツ。

この18頭で日本ダービーは行われました。



……違う、18頭じゃないんだ。
一頭メイショウタバルが挫石…蹄が炎症、内出血を起こす症状だそうで。のために金曜日に出走取消になっちゃったんですね。毎日杯で凄い逃げて勝った馬。皐月賞でも大逃げをカマし、このダービーでもこのタバルがレースを引っ張ることになる、と目されていた馬でした。

そう、直前でレースを牽引する予定の馬がいなくなっちゃったわけです。
シュガークンをはじめとしてこれまで逃げた事がある馬はいましたが、どれも本職ってわけじゃありません。
明確な逃げ馬不在、かわりに引っ張るような馬も不在。となると、誰かがやったるぜーっ、と一発逆転を狙ってか逃げを打つという奇策にうって出ない限りは、お互いに様子を見ながらのスローペースが予想されました。

この時点で騎手や関係者諸氏は頭悩ませたでしょうね。はたして、この予想される展開でどう立ち回るべきか。

天気は快晴、馬場良好。内外はもう関係なかったかな。
レースは大方の想定通り武豊のシュガークンが端を切るかな、と思った所で大外18番から岩田康誠騎手騎乗のエコロヴァルツがまさかの強襲。一気に先頭に立ち、エコロヴァルツが馬群を引っ張ることに。シュガークン武豊はこれを見て、さっと前に出る動きを抑えて先行集団に落ち着けるんですね。
注目はこの時点でノリさんがデサイルを番手につけたこと。場合によっては自分が先頭に出ることも辞さないつもりだった事はインタビューでも語っていますが、この時にもう絶好の位置につけてたんですね。
これは予想外に荒れる展開になるか!? と、思ったのですが、岩田パパはそこから無理に飛ばすことなく、すぐにスピードを絞ってペースを落とす。
その後ろにデサイルがつき、だいぶペースが一気に落ちたのを見たのかシュガークンもデサイルの外側に、エコロヴァルツを見る形で。
スローペースを見越したんでしょう、ミラノ戸崎も早めに前につけようと馬を押し上げてきます。
コーナーの時点で川田が武豊の真後ろに付けているのも、この展開を見るに最良のポジショニングと言えるでしょう。実に川田らしい位置取りであります。
意外だったのがルメールレガレイラ。1コーナーから2コーナーの時点で11番手あたり。中団後方。思ったよりも後ろだった。レガレイラの脚や馬群の捌きの上手さを考えるなら、確かにそこは悪くない位置なんだけど、ペースを考えるとそこはちょいと後ろだ。
アーバンシックはさらに後方。いや、レガレイラはともかくとしてアーバンシックの方はほんと後ろすぎない!? 脚質考えるとどうしても追い込みなんだろうけど。出遅れというほど出は悪くなかったし、エコロヴァルツが果敢に前にいった事でスローペースにはならない、と見たのかな。
実際は、向正面での馬たちのあのゆるゆるの走り方を見て、これ明らかに遅すぎじゃない!? と素人目にもわかるくらいのスローペースに。いや、ほんとに見るからに遅いよ!という走り方でしたからね、あれ。ハロンタイムに13.1と13秒台が入ってる。昨今3000メートル以上のレースでもあんまり見ない数字だぞ。結局1000メートルの通過タイムは1分2秒2。凄まじいスローペースになりました。
こうなってしまうと、馬群の後ろの方に居る馬は直線でどれだけ追っても前に追いつけなくなる。スローなんで全頭余力を残したままヨーイドン、となるために差し脚に差がつきにくくなるから、ギアを入れる位置取りが前でないと届かないのです。
あっ、これはあかんぞ!? と気づいて迅速に方針転換したのが、最後方とブービーの位置にいたコスモキュランダのミルコ・デムーロとサンライズアースの池添くんでした。彼らは後方一気に早々に見切りをつけて、向正面で加速、馬群を外から躱して一気に先頭集団に取り付きます。
その判断が間違っていなかったのは、コスモキュランダが6着、サンライズアースが4着まで粘って入っている事からもわかるでしょう。この時動かなかった後方集団はレガレイラを除いてほぼ下位に壊滅しています。その中にはダノンエアズロックやアーバンシックも数えられます。まあエアズロックはあの内側の位置からあの時点でお仕上げていくのは難しいからなあ。
アース池添が一気に先頭にまで襲いかかったことで、ここからペースは急上昇。直線入ってからヨーイドン、とならずその前の段階から皆が加速し始めたのである。ペース遅かったわりにこっからスタミナも要求されたことになるのか。
キュランダもアースも脚を使った分消耗はありますし、前で引っ張ったエコロヴァルツも後ろを引き離してのスローペースじゃないんで、彼もオツリはそこまで残っていなかったでしょう。
こうなると、ベストもベストの位置で力を貯め発揮できたのはジャスティンミラノであり、ダノンデサイルだったわけです。シュガークンも武さんベストを尽くしたよなあ。これは文句なしの騎乗でした。あとはまだ馬の力が足りていなかった。デサイルとミラノの強襲に耐えられずに後退。シュガークンはやっぱり秋以降か古馬になってからが期待ですかね。
直線残り400の位置でミラノがGOサイン。前は大きく進路が拓き、エコロとシュガーはまだ余力はあれどここから切れる脚はない。ここより後ろの連中はそれこそ位置が後ろ過ぎる。豪脚を見せてもミラノがミラノの走りを見せたら届かない。これは再び完勝かっ、と思った瞬間、視界の右端に内ラチ沿いからエコロとシュガーの塊を抉るように内に潜り込む赤い帽子が映り込む。
その勢い、その迫力たるや、外からまくってくるミラノを上回るオーラ。俄然、視線は内ラチ沿いを食い破ってくるダノンの勝負服に惹きつけられる。

「デサイル、デサイルだっ!」

思わず声が出た。
ミラノも伸びてるんだが、完全に脚が違う。ほぼ同じ位置から加速したのに残り200の時点で明確な差がついていた。
これは届かないっ。無理だ。

「デサイルだっ、ノリさんだぁぁ!!」

残り100メートルの時点で絶叫してしまった。
早めに前に出て粘った勝ちじゃない、明らかに強者よりも凄い脚で突き抜けた。9番人気人気薄でも、間違いなく強い勝ち方。ここだけの一度の輝きじゃない、世代最強を名乗るに相応しい、ダービー馬らしい勝利だった。
ダノンデサイル。安田 翔伍調教師に初の中央G1で初のダービーを送ることになりました。そしてダノンの冠についにクラシックを、それもダービーの冠を与えることになったわけです。
ダノンというと、朝日杯やホープフルは勝ててたんですけどね。クラシックではどうしても届かなかったのが、ついに届いたか。

2着にはジャスティンミラノ。戸崎、ダービーは遠かった。乗り方しくじったようには見えなかったんだが、1着は遠いなあ。
とはいえ、まだまだこんなもんじゃない。繊細な皐月賞馬だけで終わる馬じゃないので、これからですよ。

3着にはシンエンペラー。上り2位の差し脚で追い込んできた。ここで3着入るだけの実力を示せたのは大きいよ。本格化はマジですよ。秋以降は最上位の一角に食い込んでくる。

4着サンライズアース。序盤最後方にいたのに、向正面で十数頭抜き去って逃げてるエコロとその後ろのシュガーに並ぶまで食いついてきたという凄まじいレースをしながら、そのまま落ちていったエコロとシュガーを尻目に最後まで粘りきった。何気にエグいレースしてませんかね!?
調教でも抜群の仕上がりをみせていたようですし、馬を仕上げたスタッフと池添騎手の好騎乗の賜物でしょうか。皐月賞では惨敗しましたけれど、この馬もこれは逸材ですよ。

5着にはレガレイラ。これはポジショニングにつきるなあ。あの位置に入ってしまったのが辛かった。途中で動かせなかったですもんね。
にも関わらず、他の後方勢が壊滅する中でなんできっちり5着まで食い込んでるんですかね、このお姫様は。上り3F33.2で17頭中最速を記録。バタバタせず、直線で前があくまで我慢し、外を回さず当初の予定通り内側から食らいついていったルメールのリカバーも考慮に入れねば。
実力不足ではなく、展開が向かなかったなあ。

6着はコスモキュランダ。展開や距離の不安を考えれば、皐月賞2着の実力は証明できたと思われる。デムーロも出遅れなければもう少し前の位置から競馬出来たかもしれないのがちと勿体ない。

7着にシュガークン。これはもうちょいおとなになってからですねえ。
8着エコロヴァルツ。最低人気だった事を考えるなら、逃げに打って出てこの位置に残した岩田パパの判断は正しかったのでしょう。果敢に攻めた結果であります。朝日杯FS2着ですからね、このまま沈むのも勿体ないですよ。
9着にシックスペンス。位置取りは十分上位に食い込めるポディションだっただけに、ズルズルと沈んでしまった以上は現状ではまだ力不足か、仕上がっていなかったか。折り合ってもいなかったみたいですし、さすがに3番人気は過剰だったかと。

アーバンシックは11着。さすがにこのペースであんな後ろではさすがに勝負にならなかったか。
ゴンバデカーブースは13着。道中までいい感じに思えたんですけどね、直線で息切れしてしまったみたいで。調子が良かったのは間違いないみたいなので、やはり距離が長かったか。レースの疲労って調子とはまた別の、ここぞというスタミナに出ることもありますからねえ。

ダノンエアズロックはレース後のコメントみるとずっとテンション上がっちゃってたみたいですね。こっちもレース間隔の短さがこういう形で出てしまったんでしょうかね。


なにはともあれ、横山ノリさん、ダノンデサイルおめでとうございます。世代の頂点ですよ、頂点。
新たな主役の登場ですなあ。これは秋以降も盛り上がってくるぞ。3歳ってのは次々新星が現れるのが毎年楽しいや。




第85回優駿牝馬 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 東京競馬場2,400メートル(芝・左)

チェルヴィニア、堂々たる樫の女王戴冠!! 強かった。
やったぜチェッキーノ。娘がオークス復仇を果たしてくれたぜ。
東京競馬場はルメールがもう強すぎる。怪我からの初G1。って早かったなあ。思えば、4月にドバイでルメールが骨折した上に肺に穴まであいてしまうという大怪我を負ってしまったせいで、チェッキーノに乗れなかったんですよね。結果、桜花賞で4番人気ながら13着の大敗……って、あれに関しては騎手が敗因ではなかった。馬自身の気持ちの問題、全然出来上がっていなかったんですよ。乗ったムルザバエフがどうこうという話ではなかった。
だからこそ、今回もルメールに手綱が戻ってきたと言ってもすぐに人気が集まる、といった風ではなかったと思われる。周囲の空気感が変わってきたのは、調教の様子あたりからですかね。そしてパドックでの仕上がり具合から、これは桜花賞とはものが違うぞ、成長上積みだいぶありそうだぞ、という意見があちこちから出だして、単勝人気もぐんぐんと上昇。前日から当日午前あたりの人気が6倍前後を行ったり来たりしてたのが、最終的に4.6倍まで跳ね上がりましたからね。よほど状態の良さが確認されたのでしょう。
オークスでは泣かず飛ばずのハービンジャー産駒ということで、血統的にも東京2400は決して向いている方ではなかったはずなのですが、お母さんが同じこのオークスでシンハライトの二着に敗れて悔しい思いをしたチェッキーノ。母系の適性は十分にあったわけです。
母親の復仇を娘が果たす。競馬のドラマが詰まったレースでもありました。まあそのときチェッキーノ乗ってたの、ステレンボッシュの戸崎さんなんですけどね! 戸崎ぃぃ、がんばれ。
チェッキーノはいい馬だったんだけどなあ。オークスの後に屈腱炎を発症してしまい1年以上の休養を挟んでしまい、復帰後もいい走りが出来ないまますぐに再発してしまって引退してしまったんですよね。順調ならガンガン重賞勝てただろうな、というフローラSやオークスの走りだったので、その血統がこうしてつながるのはやっぱり見ていて感慨深いものがあります。お兄さんのノッキングポイントも重賞勝ってるし、お母さんとしてチェッキーノ偉大な馬になりそう。


さて今回のオークスですが、一番人気は桜花賞を勝ったステレンボッシュでした。阪神ジュベナイルフィリーズで2着。そのとき敗れたアスコリピチェーノを破っての逆転勝利。元々桜花賞組が強い近年のオークスの傾向もありますし、血統的にも距離伸びても大丈夫でスピードもあるよ、という東京2400得意型。アスコリピチェーノこそ距離適性の問題でこちらではなくNHKマイルカップの方に行ってしまいましたが(2着)、最大のライバルが居なくなりステレンボッシュの圧倒的人気……だったのが上記もしたようにレース直前になってチェルヴィニアがぐんぐんと人気追いついてきた、という感じでしたね。
鞍上が前走はマジックマン・モレイラだった、というのもちょいと影響はありそう。

3番人気には桜花賞で怒涛の豪脚で3着に食い込んできたライトバックが。この子、桜花賞で7番人気だったようにそれまでノーマーク、とまでは言わないけれど、直前のエルフィンSこそ勝ってるものの重賞勝利がなく、印の端のほうに引っかかるくらいの感じだったのは確か。
そんな中で目の覚めるような追い込みでしたからね。このオークスでは人気も一変、注目を集め実力馬の一頭として扱われ……てるのかてないのか。単勝オッズこそ3番人気なのですけれど、どうも本職のホースマンたちの取り扱いは桜花賞以前から注目を集めていた馬たち……クイーンズウォーク、スウィープフィート、タガノエルピーダといった面々の方に重心があって、ライトバックは微妙にまだポッと出で、実力馬の一角、としては取り上げられてないような感覚があった気がします。

4番人気はスウィープフィート。上のライトバックを上回る追い込みの鬼、な所を桜花賞で見せてくれた馬で、あの「スイープトウショウ」の孫娘ということもあり、怒涛の豪脚がまたお婆ちゃんそっくりで、これは絶対距離伸びたオークスの方がイイよ、すごいよ、と言われていた子でもありました。
5番人気は桜花賞8着だったクイーンズウォーク。この馬も、どちらかというとオークスの方が本番、と言われていた子で、桜花賞は鞍上の川田騎手もテンション低かった。
ただ桜花賞の前あたりでは凄く大物感あって、桜花賞でも3番人気になっていた時からすると、オークスが本番と言われてた割に人気を落としてしまったなあ、という印象。どうも桜花賞のあとあまり順調でなかったらしい、と調教師先生のコメントから。ここらへんは、俄然人気があがったチェルヴィニアと対象的でありました。

6番人気にはタガノエルピーダ。阪神JFを抽選除外になったことで、翌週の牡馬が集う朝日杯の方に殴り込んだことで名を馳せた馬である。それだけ自信があったんだろうし、実際3着に来ているので実力は折り紙がついていた。タガノの冠で初のG1タイトルを獲る馬だと期待されていたのだけれど、チューリップ賞でまさかの4着となってしまい、肝心の桜花賞に出走できず。桜花賞と同じ日の忘れな草賞でうっぷんを晴らすように勝利。賞金を稼いで、このオークスでようやくクラシック参戦を果たしたわけです。
2歳時から世代最強の一角と言われながら、どうにもチグハグな戦歴を辿ってきてしまっているのも確か。ようやく出走できたこの本番で、どういったレースをするのか、と注目は集まっていました。つまるところ、前々からの評判は本物か、て感じですかね。

7番人気にはコガネノソラ。前走スイートピーSで権利獲得して参戦してきた芦毛の馬です。みんなだいすきゴールドシップ産駒であり、血統的にはゴルシの代表産駒でもありこのオークスを勝った馬でもあるユーバーレーベンと同じ母父ロージズインメイ、ということもあって、ユーバーレーベンの再来!と一部期待集めてる子でした。
他にも8番人気に久々のアドマイヤの申し子となりそうなフローラSの勝馬アドマイヤベル。
9番人気にフラワーCを勝ってきた、先週初G1タイトルを奪取した津村騎手の乗るミアネーロ。
サリオスをはじめとした何頭もの一線級で活躍する馬たちを輩出するサロミナの子供たちの現役最若である少女サフィラ。

こうしたメンバーが参戦した今年のオークスでありました。

勝ったのは最初に書いたようにチェルヴィニア。中団後方3列目あたりにつけたルメールが、外塞がれないように上手いこと位置取りして4コーナーですんなりと外の走りやすいところに出して追い出し、残り100メートルで一気に加速して他馬をちぎって先頭に躍り出て、勝利。と、まあルメールのレース運びが馬のポテンシャルを十全引き出したような完璧なレースでありました。文句つけようがないよなあ、これ。
ステレンボッシュは、もう一列内側でチェルヴィニアに見られるような斜め前あたりの位置どり。
直線はうちに入ったのですが、うまいことバラけていたので前が詰まるような様子はなかったのですけれど、最後の4コーナーでチェルヴィニアをはじめとする外側の馬たちのまくりから比べると追い出しがちょっと遅れてる感じがあるんですよね。馬群のなかでもだいぶ後ろの方になってて、チェルヴィニアたちよりも後ろになっちゃってる。
追い出してからの反応は素晴らしく、馬群を割って先頭に躍り出るのですけれど。残り200メートルあたりでギアを入れたチェルヴィニアが一気に前に取り付き、さらに残り100で二段加速ーーっ、て感じでステレンボッシュを躱すのです。
どうなんだろう、4コーナーでもう少しスムーズに進んでたら……いや、どうなんかな。東京の直線を考えるとなあ。でも桜花賞とか見ても、追い出す前の段階でもう少し前で競馬して欲しかった気持ちはある。

レース自体は逃げるだろうな、と思われたショウナンマヌエラと、前走勝った未勝利戦でバチクソに飛ばしまくって大逃げカマして逃げ切ったヴィントシュティレが二頭して「大逃げじゃーーっ!」とばかりに暴走。1000メートル通過が57.7というスプリント戦ですか、というような逃げを打ってくれました。
さすがにこれだけ大逃げされると、3番手4番手だったタガノエルピーダとランスオブクイーンが実質先頭でペースを作ることに。ちなみに逃げた二頭は直線でバテ果ててトボトボと後方に消えていく様子が直線の映像で良く見えますw
さらに先頭を引っ張ったタガノエルピーダですが、バテたわけじゃないんでしょうけれどこれも全然反応せずに脱落。16着という結果に。対してランスオブクイーンの方が人気薄にもかかわらず激走して、粘って5着と掲示板に入っています。中距離しっかり走れそうなイイ馬なんじゃないですか。

3着にはこれまた後方からグイっ、グイッ、グイッと一完歩ごとに伸びてきたライトバックが競り合うランスオブクイーンとクイーンズウォークの間に割って入って、クビ差前に出て馬券圏内に。
この脚は本物ですね。外の走りやすいところを走っていたら、前の2頭にももっと迫ったかも。
レース前は大観衆を前にして相当荒ぶっていたのですけれど、よく我慢できました。

4着にはクイーンズウォークがしっかりと入りました。前目の位置取りからしっかりとランスオブクイーンを捉えるあたり、やれることは全部やったという感じ。2400持ったけれど、ベストとは言い難い気がするなあ。ベストの状態でなかったと思しき事を考えるなら、それでここまでやれるのなら、と今後への期待が膨らむ4着でした。

スウィープフィートは6着。来てるんですけどねえ。前に居たチェルヴィニアに置いていかれたのは辛かった。もうちょい短い方が脚が切れるかしら。

ともあれ、上位陣の実力は揺るぎないもの。ここからまだ成長上積みあるだろうし、4着のクイーンズウォークまで、秋華賞でバチバチにやってくれそう。夏超えてここに割って入ってくる馬がどれだけいるでしょうかね。いずれにしても、秋もこれは楽しみだ。







第19回ヴィクトリアマイル G1 レース回顧  

4歳以上 オープン (国際)牝(指定) 定量 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

津村ぁぁぁ!! うわあああ、どえらいレースになったぞーーっ。
津村騎手、テンハッピーローズで21年目にして初のG1制覇。おめでとう、おめでとう!! 津村騎手今年初手で金杯勝ったこともあり、例年と比べても良く乗れてるなあとは感じていたんですけれど、いやあまさかここで勝つとは。
15頭中14番人気ですよ。テンハッピーローズもこれが重賞初制覇。もう同世代のソダシやソングラインをはじめとした並み居る名馬たちがみんな引退してしまった中で、それでも21世代は勝ちを譲らん、とばかりにこのヴィクトリアマイルを勝ってしまいました。
フロック勝ちというには、ちょっと残り200を切ってからの豪脚がすごすぎた。道中折り合って凄く順調に走れたのもあるし、直線にいいところに出す流れもスムーズでしたけれど、これは強い勝ち方だったよなあ。
エピファネイア産駒として東京マイルは厳しいんじゃないか、という向きもあったし、この娘もエピファネイアの癇の強さを継いでる感じで荒ぶるタイプだったのですけれど。
今回はコンクシェルが引っ張ってレースが流れました。序盤から流れが緩まず高速展開。前が潰れるけれども、後ろも追走でついていけずに消耗戦の体になってたのかな、これ。
そんな中であれだけ突き抜けたテンハッピーローズは、これまで1400〜1600の距離でやってましたけれど、スタミナも十分あったってことですかね。最後まで切れる脚があったと。
しかし、母父タニノギムレットで今日の10レースがウォッカカップというのはうまいこと出来てるなあ。


今回のヴィクトリアマイルは、G1馬が ナミュールとスタニングローズの2頭だけ。
人気はそのナミュールと、リバティアイランドのライバルとしてそろそろG1タイトルを奪取したかったマスクトディーヴァの2頭に集中していました。
ナミュールは才能の高さは見せつつも体質の弱さもあって育成も慎重に、レース選択も間をあけないといけないという制約があったのが、去年の秋から本格化。厳しく調教してもレース間隔が詰まっても体重が落ちなくなり、完全に仕上がったんですよね。G1馬としての風格は現役でも屈指となっています。
しかし今回はドバイで激戦を繰り広げたその海外帰り。レース間隔も詰まっていて、体重はさすが落ちていなかったのだけれど、体調としては完璧とまではいかないんじゃないか、と見られていました。
そこでマスクトディーバです。前走阪神牝馬Sは完勝。リバティと激戦を繰り広げた3歳の頃からさらに成長を見せていました。充実期です。さらに鞍上には名手モレイラ。不安があるとすれば東京競馬場の高速レースに適正があるかどうか、というところでした。
ともあれ、この2頭が中心で2倍台で拮抗。直前までナミュールが一番人気だったのですが、レース前に逆転しています。
3番人気は阪神牝馬Sで2着だったウンブライル。まだ重賞勝ちもないのですが、G1や混合戦でも2着を連発。マイルにおいては実力では引けを取らないと見られていました。
鞍上は川田騎手。ただなぜかこのヴィクトリアマイルは苦手のようで、今まで連対すらなし。
4番人気はルメール騎乗のフィアスプライド。前走中山牝馬Sでは1番人気ながらも不覚を取って9着と不本意な結果だったのですが、そこは度外視で人気が集まっていました。トビの大きい馬でもあり東京が合う馬、というのもあったのでしょう。調教も抜群の出来でそれも人気の要因だったかな。
5番人気にスタニングローズ。ナミュールとわずか2頭だけのG1馬でしたが近走は成績良くなかったのですけれど、ここにきて馬が走る気になってきたのか調教もかなり良かったみたいで、仕上がってきたみたいで元々の実力はある馬ですから5番人気まであがってきていましたね。


レースは、スタート直前にゲート内でどの馬かがかなり暴れたみたいで、全頭入ってからちょっと間があったんですよね。そのせいかわかりませんけれど、スタートでナミュールが大きく出遅れ。後方からの競馬になってしまいました。元々後ろからの馬ですけれど、意図して下げるのとスタートで出負けするのとでは違いが出てしまいます。さらに外にピタリと横山典さんのモリアーナがつけて蓋をしてしまったので、このままだと直線で外に出せない位置に。押し上げていくと脚を使ってしまうので武豊騎手としては難しいところだったでしょう。とどめに、展開とラップが厳しいものとなり、実質この出遅れでナミュールは終了でありました。これで出来が万全ならまだ切り込む余地があったかもしれませんが。
前半800メートルで45秒台でしたからかなり早かったです。
マスクトディーバはこの流れについて行ききれず苦しかったですね。肝心の場面でいつものガッツリとくる手応えが弱かった。にも関わらず、内の狭い所をついてくるモレイラ騎手の手綱さばきもあって3着まであがってくるところは、騎手の腕もありますけれどその実力に偽りはなし。今後も主役の一頭となっていくでしょう。
そのマスクトディーバを最後まで抜かせなかったフィアスプライド。3番手という先行集団の前側にいながら、この流れで唯一へばらず生き残り、なおかつ一頭だけ脚が違ったテンハッピーローズをのぞいて後方から迫ってくる後続馬たちに前を譲らず押し通した根性。お見事でありました。
取り敢えず大きなG2あたりは獲ってもう一度G1に挑戦してきてほしい。
4着には中団で長く最後までスタミナ切らさず脚を使い切ったドゥアイズが滑り込み。近い位置にいたウンブライルが力尽きて下がってしまったのに対して、最後まで前へ前へと進んだこの馬の違いが出ましたね。2歳で良好な成績を残しながら牝馬クラシックでは完走しながらも大きく跳ね返されてしまったドゥアイズ。でもマイルに戻ってきてリステッドで勝利。阪神牝馬Sでは2番人気に推されながらも5着となってしまいましたが、マイルでなら一線で戦えるというのを証明したんじゃないでしょうか。11番人気はちょっと評価低すぎではなかったでしょうか。
5着には13番人気のルージュリナージュが大外から爆走してきて入線。上りだけなら勝ったテンハッピーローズを上回る時計を出している。ただこの33秒6は残り600メートルの数字なんですよね。残り400メートルの時点でテンハッピーローズの方が後ろにいて、一瞬でぶっ千切っていったのを見せられただけに……。ただこの600メートル最後まで良い脚を使い続けたということでもあり、こうしてみると上位の馬はこの早い流れの消耗戦を乗り越えた馬たちだった、というのがよくわかる結果でありました。

まー、これは難しいよなあ。
いずれにしても、レース後の津村ジョッキーを称える大歓声はよかったなあ。
大波乱でありましたけれど、見どころある感動的なレースでありました。




第29回NHKマイルカップ G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

ルメールやっちゃったなあ、最近は珍しい。やはり怪我明けしばらく休んだあとの初週という勘の鈍りみたいなものがあったのかもしれない。

ルメール騎乗のアスコリピチェーノ。残り400メートルのハロン棒を通過するあたりで、うちにボンドガール、キャプテンシーと並んだその外側にぽっかりとスペース空いたところを突いたものの、ちょうど内側に寄れてきたマスクオールウィンに挟まれてボンドガールとキャプテンシーが大きく不利を受けることに。アスコリピチェーノ自身も躓いて大きくブレーキかかるはめになってしまったわけです。
アスコリピチェーノがすごいのはここから再度ギア入れ直して再加速。ものの違う脚でロジリオンを躱して2着に入ったところでしょう。
スムーズに行けば勝ったジャンタルマンタルにまったく引けは取らなかったと思います。マイルは近い将来この2頭。2023年の2歳王者と2歳女王の2頭のライバル関係に収束していくんじゃないでしょうか。

件の不利の件ですけれど、正面からのパトロール映像と横からの本映像を並べてみると、ルメールが空いたスペースに突っ込んだ瞬間は、狭いどころか1頭半か2頭分くらいは間空いてたんですよね。パトロール映像だとさらに後ろに居たイフェイオンがすっぽり全体見えてさらにもう半頭分くらい間隙間が見えるのでその広さがよく分かる。
ところが突っ込んだ瞬間にマスクオールウィンが寄ってきた。むしろこれ、スペース広かったからルメールも瞬間の判断でまだ行ける、と思ったんでしょうね。うちのキャプテンシーも若干内側に入ってスペース十分ありましたから。所がマスクオールウィンがもう本当に苦しかったのか、さらに内側によってくる。この段階で既にアスコリピチェーノはその素晴らしい反応速度から上半身くらい間突っ込んじゃってたので完全に挟まれ内側まで押し出される感じになってしまった。これがアスコリがまっすぐにスペース突っ込んでたならマスクを押し止める事もできたんだろうけれど、マスクの後ろにつけていてそこからスペースに滑り込もうとしたので、同じ方向に向けて動いたものだからマスクを押せずに内側を押してしまうことになった。
まあタイミングが悪かった、としか言いようがない。ただ普段のルメールならスペースに入ろうとしたその直後にマスクが寄ってきてタイミングが重なったときに、まだ大丈夫と判断したかどうかですね。
まじでこれ1秒あるかないかの猶予。もしマスクがちょっと内にブレただけだったら十分間抜けれるだけのスペースが残っている段階。アスコリが素晴らしい反応速度で一瞬でスピードに乗っている状態。これで、手綱思いっきり引いて仕切り直しできるかどうか、ってところだ。ぶっちゃけ、あそこで引いたとてあれだけ瞬時に前に出ていたアスコリが止まれたか。すでに苦しくなっていてたマスクやキャプテンシーが下がりだしていたのを思うと、かなり難しいものがあったんじゃなかろうか。
既に馬体が重なりかけていたのを思うと、あそこで無理に引いたとて場合によっては内によってくるマスクの後ろ足とアスコリの前がぶつかる可能性も考えられるし。
まあでも、普段のルメールならこういう状況にならないようにもすこし慎重に立ち回ったんじゃなかろうか、と思うくらいにはルメールの腕前は信用している。

ジャンタルは皐月賞から中2週はさすがにキツいと思ったんだがなあ。
逃げ馬のユキノロイヤルがいけなかったのが色々とレース展開に波及した感があります。
終始暴れまわっていたシュトラウスはまあともかくとして、他の馬たちも多かれ少なかれ掛かっていて若さが露呈していた中で、川田の手綱で安定して外枠から思う通りのルートを通って、アスコリをばっちり塞いで良いところを走らせず、レースの主導権を握って好きな時にムチ入れて十全力を発揮してゴール、とまあ騎手の技術と馬の操縦性がピタリとはまり込んで、今の段階で持てる力を全部発揮できるレースができた、というのがこの馬の強さでしょう。才能があってもそれを発揮できない馬がどれだけいることか。シュトラウスとか……いやこれ、シュトラウスこれレースマトモに走れるのか? もうわやくちゃじゃん

3着のロジリオン、5着のイフェイオンはポディション取りの勝利。4着のゴンバデカーブースはホープフルを出走回避して半年以上ぶりのレースにも関わらず、ここまで走れたのは正直驚いた。なんか調教段階でも本番仕様まで馬が仕上がってないふうな評価が散見されてたのに。才能だけでここまで走れたと思えば、これ、身体ができていたら相当のレベルで走れるようになるんじゃなかろうか。秋以降期待。
6着から14着まではほぼ一団となって突っ込んできていて、ここらへんはほとんど現段階での力量差は感じられない。不利受けたディスペランツァやスタートで体勢整わずに大きく出遅れてしまったアルセナールは後悔あるレースになってしまったかもしれませんが。
案外だったのが勝ったジャンタルと同じ新種牡馬の父を持つノーブルロジャー。こんなもんじゃないと思うんだがなあ。

ともあれ、今回は初の朝日杯と阪神ジュベナイルフィリーズという2歳の頂点を獲った牡馬牝馬が3歳の時点で激突するという史上初のレースとなり、他にも多岐にわたる路線を駆け抜けてきた多士済済が揃った豪華なNHKマイルカップとなって、大変おもしろかった。クラシックレースとはまた別路線ですけれど、本格的にもう一つの路線として花開いてきた感がありますなあ。




第169回天皇賞(春) G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 京都競馬場3,200メートル(芝・右 外)

テーオーロイヤル、そして鞍上の菱田裕二騎手、はじめてのG1制覇おめでとう。
うん、もうパーフェクト。今の充実したテーオーロイヤルの強さを、今回菱田くんは十全引き出した文句なしの騎乗でした。
長かったなあ、菱田くん。もう中堅こえてベテランになろうという時期ながら、大きいところを取れなかったけれど、所属の岡田厩舎の馬で、しかも騎手を志すきっかけになったというこの春天で、はじめてのG1をもぎ取ったというのは、素晴らしい、良かったねえ。
テーオーロイヤルに関しては本当に手の内に入れていて、今回不思議と騎手に対しての不安感は全然なかったんですよ。にしても今回のレースは完璧でした。

週末は雨予報だったのが土日良い天気になりまして、馬場状態は最高。内が伸び前が残るという馬場のコンディションになっていました。
テーオーロイヤルはピタリとドゥレッツアをマークするカタチで5番手あたりを追走。これ、ドゥレッツアの真後ろじゃなくて、一列外に位置取りしてたんですけれど、前に馬がいない状態でしっかりと折り合いついてて落ち着いた感じだったんですよね。
向正面で早めに横に居たサヴォーナが前進していったにも関わらず、それに釣られることもなく。
それでいて4コーナーの坂の下りで菱田くんの合図に応えて一気に加速。この時点で手応えが他の馬と全然違っていました。
あとはもう粘るディープボンドを躱して、突き放すのみ。ほんと文句なしの完璧な勝ち方でした。
前走阪神大賞典での完勝で、現在の長距離界のエースであることを宣言したテーオーロイヤルでしたが、この春天でその宣言を証明してみせた、と言っていいでしょう。間違いなく、君が最強ステイヤーだ。
一昨年の春天三着。タイトルホルダー、ディープボンドに続いての3着で、トップクラスのステイヤーとして名乗りを上げたテーオーロイヤルでしたが、その後微妙な着順のレースを繰り返したあと、同年のジャパンカップで大敗し、その後の放牧中に骨折。一年の休養を減ることになってしまいました。
が、復帰戦のアルゼンチン共和国杯こそ振るわなかったものの、暮れのステイヤーズSで2着と復活。そして今年に入り、ダイヤモンドSをトップハンデで勝ち、阪神大賞典を圧倒的な力で快勝し、現役馬の中で力を示したわけです。
阪神大賞典までは、まだ去年の暮れに一線級の馬がみんな引退してしまって、現役では誰が一番強いのかまだわからない、決まっていないって感じでしたからね。
実際阪神大賞典では日経新春杯を勝って勇躍してきたブローザホーンが一番人気だったわけですし。
それにしても、強い勝ち方でした。今なら、今年はドバイに行ってしまった去年の春天勝馬ジャスティンパレスとやっても互角以上に戦えるでしょう。

2着はそのブローザホーンでした。一頭だけ後方からまくりあげてきてぶち抜いていく、豪快な末脚。
最近はデカ馬ステイヤーが珍しくなくなりましたけれど、この馬は小柄で長距離得意という昔ながらのステイヤーって感じで、長い所得意でありながら俊敏って感じの走りっぷりは小気味の良いところがあって好きなんですよねえ。
なかなか体重が増えてこず、今回もマイナス体重。おまけに母父がデュランダルというそれ気性面大丈夫?という血統なんですけれど、去年2勝クラスから連勝を開始して以来、心房細動で競走中止してしまった京都大賞典を除けば、年跨いで7戦して馬券圏内3着から外れていないというのはもうこれ強いでしょう。

3着はディープボンド。7歳にして衰え知らず! いや、実際もう衰えは顕著で前走得意の阪神大賞典でいいところなかった時点で、さすがにもうプボくんもお年ですよね、と思った人も多かったはず。
しかしこの子、本当に京都競馬場と相性ぴったりなんでしょうね。決して切れ味鋭い馬じゃないので、あの京都の4コーナーの下り坂で加速してそのまま直線ゴールまで粘り込む、というスタイルが彼にとって一番合っているということなのかもしれません。実際、京都のレースではずっと実績残しているのですから。京都競馬場改修とかち合わなかったら、もしかしたらG1タイトル取れていたかもしれない、とすら思ってしまう。
どう見てもパワー型の馬で、むしろ阪神競馬場の方が合ってそう……実際、阪神大賞典をマイレースにしていたように良く走れていたのは間違いなくて、スピードが要求される京都向きではないと言われることもあったのですけれど、こうして結果見せられると淀巧者だったんだなあ、と感心してしまいました。
今回は初騎乗の幸騎手だったのですけれど、逃げるマテンロウレオから少し間をあけて、最内を淡々と引っ張り、下り坂で加速して最後までズルズルと行かずに粘り込む、というディープボンドにとっての理想の競馬をしてくれたように思います。なんかほんと久々にプボくんらしいレースを見た感じがして、満足感が凄い!
ほんと魅せてくれる馬です。いつまでも人気高いのわかるなあ。

4着には……これはびっくり。14番人気のスマートファントム・岩田望来騎手が入線。見直すとかなり最後方近くに4コーナーまでいたのに、直線入る所で岩田親父ばりのイン突きが炸裂。それまで貯めていた脚の分前に進んで、4着食い込んでるんですよね。
……これまで重賞とはほとんど縁がなくて、3歳の時に神戸新聞杯に参戦しているくらい。ずっと下積みだったのが、今年に入り条件戦の長い距離のところを連勝してこの舞台に立つチャンスを得た馬でした。……この連勝が、藤岡康太騎手が乗ってたんだ。彼の今年の好調っぷりがそのまま残滓したような、会心の走りでありました。いやでも、これはちょっと侮れない。今後の重賞でも注目しておくべき馬かもしれません。

5着にはダイヤモンドS3着、阪神大賞典2着とテーオーロイヤルに続く形で好走していたワープスピード。この馬も去年までずっと条件戦をウロウロしていたのが、急に伸びてきた馬の一角だわなあ。
阪神大賞典で2着に食い込んできたときの川田騎手は、今日は香港の方に出張しているので、以前乗って勝った経験がある三浦皇成騎手が騎乗したのですけれど、きっちり5着入っているのを見ると今後も着実にいい成績残しそう。

さて、他の人気馬はどうなっているかというと。
2番人気。去年の菊花賞馬であるドゥレッツアは、プボと一緒に先行集団を引っ張る形で良いポディションを取っていたのだけれど、4コーナーあたりで手応えが怪しくなりズルズルと後退。まさかの15着。ハピが早々に競走中止してしまって16頭でのレースになっていたので、実質ブービーという大敗結果になってしまいました。
今日はルメールがまだ怪我で復帰していないので戸崎騎手だったのですけれど、これは騎手云々じゃないよなあ。
パドックの段階で細江純子さんがあんまり良く見えないと言っていたので、調子自体そんなに良くなかったのかもしれません。それにしても負けすぎなんで、ナニカあったんじゃなければいいのですが。

3番人気のサリエラ・武豊も12着と力尽きる。タスティエーラもモレイラ鞍上で一発あるかとも思ったんだけれど7着かー。
全体みると、露骨にステイヤー適正が高いかどうかが問われたレースだったかも。逃げたマテンロウレオの横山典さんがまたいい逃げっぷりを見せて、ラップ見ると最初の1000メートル59.7と中距離レースレベルの速さで引っ張ったあとに、ゆっくりとペース落として息継ぎして、そんで下り坂から加速して11秒台連発って流れになってるんですよね。
この流れに、ついていけなかった馬が4コーナーから直線入ったところらへんで中団以降を見るとよく分かる感じでぶちまけられてるんですよ。
4コーナーで後ろの方に居たのに直線入った時点でだいぶ前にワープしたみたいに位置づけていたスマートファントムと比べるとよくわかる。外に膨らんで位置取り的に遠回りしてしまったというのもあるけれど、あれであっさりスマートファントムが前につけられたというのは、それだけ他の馬の脚が伸びてないってことでもあるんですよね。
……こうして改めて見るとブローザホーン、ちょっと外遠回りしすぎというのもあるよなあ。
ドゥレッツアは、菊花賞3000を勝ってますけれど、あれはルメール会心の騎乗で本来ドゥレッツア自体長距離向きじゃなく中距離向きという人は少なくなかったのですけれど、この消耗戦での結果を見るとそのへんも明らかかもしれませんね。調子良くなかったにしろ。
まあここで負けた面々も、宝塚記念ならまた全然違ってくるでしょう。

ともあれ、テーオーロイヤル、菱田くんともにおめでとうございました。


第84回皐月賞 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

藤岡康太騎手が亡くなられてから最初の競馬開催週。今まで見たことのないピンと張り詰めたような沈んだような空気感でした。騎手の方々もスタッフの方々も緊張感というよりも、グッと溢れ出てくるものを我慢しているような雰囲気で。
それが決壊したとき、もう耐えられん感じでみんなボロボロ泣いてた。月曜日の合同葬のときもみんな泣いてたし、テレビやYouTubeなどでも堪えきれんと泣いている人たくさん居ました。
ほんと、それだけ藤岡康太くんの人柄が偲ばれるというものです。辛いなあ。

悲しみを飲み込んで、皆さんは競馬を続けていかれます。
クラシック第一弾、皐月賞です。

今年の前評判としては、3歳世代は牝馬の方が強くて牡馬の方はちょいといまいちなんじゃないか、みたいな言も流れていました。
ホープフルステークスを牝馬ながらに勝ったレガレイラが桜花賞ではなく皐月賞に参戦、というのも勝てると踏んだからなのでしょう。尤も、阪神芝1600メートルよりも中山芝2000の方がレガレイラの適正に合っているから、という判断だったからなのでしょうけれど。
いずれにしても単勝1番人気が皆がその実力を認めていた、という事を証明していたと思います。

2番人気はジャスティンミラノ。まだ2戦ながら2戦目で共同通信杯を勝利。この馬、友道厩舎の馬なのですが、友道厩舎では有力馬の調教を藤岡康太くんに頼むことが多く、ミラノの仕上げに跨ったのも康太くんだったそうです。
無敗で皐月賞に挑んだ馬はミラノの他にサンライズアーズ、きさらぎ賞を勝ってきたビザンチンドリームと他に二頭いましたが、共同通信杯で2歳牡馬チャンピオンのジャンタルマンタルを下して勝ち上がってきたミラノは、1段階強い馬と見られていたと思われます。
ただ不安点としましては、新馬戦、共同通信杯ともにかなりのスローペース。特に後者は勝ったミラノが上り32.6を記録。というか全頭33秒台で上がってきた完全後傾戦だったんですね。
つまり、速い流れのレースを今まで走った事がない馬だったのです。血統的にも良馬場のスローが一番力を発揮できるレースだろう、と言われてた感じで。

そして、この日の中山は爆速速い馬場でした。8レースの2勝クラス 牝馬限定戦で1:58.2と余裕で2分台を2秒近くぶっちぎるようなレースが出てましたからね。
とかく前目につけておかないと、とても後ろからはまくっても追いつけないのが今日の中山であり、そうなるとどの馬も前につけたがるので全体的にまた速くなるという、まあ馬のスピード、巡航速度が試される皐月賞だったんですね。

とどめに、逃げるだろうなと思われていて実際に逃げたメイショウタバル。これが重馬場の毎日杯を良馬場かよという好時計でぶっ千切って勝ってしまった馬で、4番人気と人気も高めでした。
ところが、このタバルがテンション上がってしまって、掛かってしまったんですね。鞍上の浜ちゃんも康太くんの同期という事もあって気合はいりすぎてたんじゃないか、みたいな事も言われてたりもしますけど、さすがにそんな事はなかったでしょう。向正面入る辺りで重心が後ろによって手綱引いて押さえようとしているらしき所が伺えます。でも全くペース落ちず息を入れられないまま、1000メートル57秒5という超ハイペースの時計を叩き出してしまった。
タバルは直線で早々に力尽き、最下位にまで落ちてしまいます。実力は間違いなくあるんでしょうけれど、これはまたコントロールが難しそうな馬が出てきたなあ。

ともあれ、ただでさえ速い馬場で暴走気味に先頭が逃げたために、完全にこれこの早い流れについていける馬と、ついて行けない馬に別れちゃったんですよね。
レガレイラは、この速いペース無理だったんでしょう。スタッフの人がまだトモが鍛えきれていなくてスタートが遅れてしまい二の足がつかない、というような事を仰っていましたからね。北村騎手が最後大外ぶん回さなくてはならなくなったのも、このハイペースでの位置取りがあそこになってしまった以上、仕方ない部分もあったかと。うまい騎乗ではなかったかもしれませんけれど。

んで、これまでゆるい流れしか経験したことがなかったのに、あっさりとこのハイペースに追走して前目につけてしまったのが、ジャスティンミラノなのであります。
元々距離不安もあり、限界ギリギリのタイミングで攻めて前残りを狙ったジャンタルマンタル・川田をゴール前で悠々と躱して、1:57.1というレコードタイムでクラシック一冠目を戴冠。
……あれ? ちょっと待って。このジャスティンミラノって……無茶苦茶強くない? スロー展開で後方から強烈な末脚を決めることもできれば、追走できない馬も出てくるほどのハイペースの流れに悠々と乗って、ほぼほぼ馬の現状の最大能力を引き出し、これしかないという展開に持ち込んだであろう、モレイラのコスモキュランダ、川田のジャンタルマンタルを相手に完勝と言ってイイ勝ち方をしちゃったんですから。
思ってたよりスケールが2周りくらい大きい馬なんじゃないの、この子。
ストライドも大きいですし、本来なら中山2000よりも東京府中は2400の方が合ってるタイプと言われていたにも関わらず、中山の方でこの勝ち方。じゃあダービーになったらどうなるんだ!?
これは下手をするとソングラインを超えてキズナの代表産駒になるかもしれない器ですよ。クラシックはじまって、牡馬の方にも大物感感じさせる馬が出てきた。

2着は弥生賞勝馬のコスモキュランダ。なかなか最近では本番に繋がらないステップレースなんですけれど、今の中山のスピードに乗れるタイプの速い馬だったんじゃないでしょうか。それ以上に、モレイラ騎手のポジショニングがちょっと極まってるんだよなあ。ルメールが怪我でしばらく休養する以上、これモレイラ騎手無双になりますよ、さすがマジックマン。
3着はジャンタルマンタル。正直絶対距離持たないと思ったし、実際1800で限界っぽい走り方だったんだけれど、それでも踏ん張るマンタルの根性とそれを引きずり出す川田の騎乗の凄まじさ。
ただこれ、本当にここが限界の限界、上限でしょう。もう2000メートル走らすこともないかもしれない。そして最大限の力を発揮しても3着というところ。いやむしろよく3着持ってきたよ。

4着はアーバンシック。レガレイラと血統的にほぼ同じ、母が姉妹で8分の7一緒なんでしたっけ。そういう話で話題にあがってたんですけれど、現段階の完成度でいうならレガレイラより上だったかもしれない走りっぷり。そして伸びしろもこれ、レガレイラに負けてないでしょ。将来性で言うなら、ミラノに追随するのがこの馬なんじゃないだろうか。
5着には最優良血馬のシンエンペラー。兄姉がアメリカやヨーロッパのG1勝ちまくってる、世界でも頂点級の良血馬です。全兄がフランスダービーに凱旋門賞勝ったソットサスですよ。
とはいえ、さすがに欧州血統にこのウルトラハイペースをどうにかせい、というのは酷。むしろ展開も馬場も向かないだろうに能力だけで5着まで持ってきているあたり、よう走っとる。ってか、この子もう海外中心で走らせた方がいいんじゃないだろうか。超赤字になるかもしれないけど。
そしてレガレイラは6着。上り最速でここまで繰り上がってきたのですから、能力不足ではないでしょう。木村調教師は調教の仕方間違えてた、と仰ってますけれど、はてさて。まあ馬の調子自体満足いってなかった感じの物言いでしたね。これはオークス路線になるのかな。






藤岡康太騎手、死去  


つらい。
6日の阪神7Rで落馬して救急搬送されていた藤岡康太騎手が、意識戻らないまま亡くなられました。
この間800勝達成したばかりだったのに。21年のマカヒキ復活には心から感動しました。
才能あふれながらどうしても勝てなかったナミュールに覚醒の道筋をつけたのは、間違いなく藤岡康太くんでした。
去年から今年にかけて、兄貴の藤岡佑介騎手と康太騎手はすごく調子良くて、イイ所で勝ってたんですよ。このペースならキャリアハイもあったんじゃないかな。若手の台頭に対して、もう一度中堅陣の逆襲だ、と言わんばかりに存在感を見せていたのに。
落馬による大怪我によって引退、というケースはままあります。最近でも藤井勘一郎騎手が大変なハンデを背負う怪我を負い先日引退されました。でも、死亡事故となると本当に長らくなかったんですよね。20年前に新人騎手が亡くなって以来になるのか。落馬事故で亡くなった騎手というと、武さんの1年後輩になる岡潤一郎騎手のそれが思い出されるんですが、それも30年前。こんな形で再びJRAで事故が起こってしまうとは。
最近は高知競馬で若い騎手が亡くなってますし、今月入ってからもオーストラリアでイタリア出身の騎手が亡くなってたりと事故が相次いでいます。本当に人馬ともに無事であってほしい。
藤岡康太くん、ほんと若い頃からずっと見てた騎手だからなあ、ショックだ。つらい。まだ子供生まれたばかりだったんでしょ? ジョーカプチーノで勝ったレースも見てたよ。見直したら、記事も書いてる。2009年のNHKマイル。
……胸が苦しいです。こういうときの胸が痛いとか苦しいって比喩表現じゃなくて、ほんとに締め付けられたみたいに苦しいです。今週からもう藤岡康太騎手が乗る姿が見れないというのがなんか現実感ないよ。いつでも何レースかは乗ってたのにさ。やだなあ。こんなの、やだなあ。
ご冥福をお祈りいたします。

第84回桜花賞 G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 阪神競馬場1,600メートル(芝・右 外)

今日は快晴、暖かいというかちょっと暑さすら感じる気温でした。例年、どうしても先に咲いちゃって散っちゃっている桜もちょうど満開。実際は八分咲きくらいだったんじゃあないかな、と思うんですけれど、いつもの年よりもいっぱい咲いていたのは確かです。

メンバーもなかなか出揃いました。

阪神ジュヴェナイルフィリーズで2歳牝馬チャンピオンの座を勝ち取ったアスコリピチェーノ。
その2着だった牝馬の国枝厩舎の最新兵器ステレンボッシュ。
クイーンCで良血達を蹴散らして権利を獲った此方も良血。グレナティアガーズの妹クイーンズウォーク。
2歳牝馬の出世レース・アルテミスSを勝ってここに直接挑んできたチェルヴィニア。あのオークス2着だったチェッキーノの娘です。
2歳時には世代筆頭格と謳われたコラソンビート。
祖母にあのスイープトウショウを持ち、チューリップ賞で祖母譲りの豪脚を披露した魔女姫スウィープフィート。
そのスウィープフィートをエルフィンSにて更に切れる足でねじ伏せてみせた、世代最強の末脚を持つライトバック。

他にもフェアリーSを勝ったイフェイオン。
フィールズレビューにてコラソンビートの追撃を振り切ったエトヴプレ。
高速ラップを逃げながら最後までスピードを落とさず、チューリップ賞で2着に粘ったセキトバイースト。
それ以外の馬たちも、それぞれに結構自分だけの武器、特徴を持っていてなかなかに侮れないメンツが揃いました。

賞金が届かず出られなかった面々も、ボンドガールは昨日のニュージーランドトロフィーで2着に入り、NHKマイルカップへの権利を獲得。
タガノエルピーダも今日の9レース忘れな草賞を完勝してオークスへのはずみをつけました。
レガレイラは皐月賞へと参戦。
サフィラやアルセナール、ガルサブランカという兄姉に偉大な名馬がいる超良血たちもこのまま燻っちゃいないでしょう。


こうしてみると、粒は揃ってるんだよなあ。後々になって見ると、なかなか強い世代と言われるかもしれません。


さて、馬場の方ですけれど今日の芝レースの傾向を見ると……真ん中から外からの強襲がよく伸びていたような印象。つまり、外が伸びる!
桜花賞は外回り芝1600。内回りと違ってカーブがわりとゆったりとした曲線を描いている上に、直線距離が長い。馬場だけ見たら、外からぶん回しても足さえ切れれば伸びる届く!
とはいえ、これも展開・ペース次第。
タイムを見ると前半も後半も34秒台。全体的に早くて緩んでない。勝ち時計1:32.2も優秀。これは前に行った馬は苦しいか。
それでも番手ながら5着に入ったエトヴプレ。上りも34.2とかなり速さを維持しているし、この馬フィールズでもそうだったけど、息いれる余裕なくても失速しないの凄くない? マイルでも十分いけるだろうけど、短距離だとほんとに止まらなさそう。

って、まずは勝った馬だろう。
勝ったのはステレンボッシュ。マジックマンことモレイラ騎手の手綱さばきの妙であり、堂々たる真っ向からのライバル撃破。真ん中突き抜けて、阪神JFでは届かなかったアスコリピチェーノを逆に従えての桜戴冠。これは強かった。なにしろ所属厩舎が牝馬の国枝の異名をとる国枝先生ですからね。牝馬クラシックの取り方を知っている人ですし、エピファ産駒で母父ルーラーシップとなればむしろ距離が伸びてこそ、な所もあるでしょうからオークスへの期待も高まるというもの。牝馬三冠唯一の挑戦権を持つ馬として、これは期待出来得る逸材ですよ。

2着には上記したように阪神JFの結果逆転でアスコリピチェーノ。同じ舞台同じ距離で勝ち負けがひっくり返ってしまいました。とはいえ、あれ四コーナーで内に居たステレンボッシュにタックルくらって外に弾き飛ばされちゃったんですよね。そこから体勢立て直してステレンに食らいついていったものの、躱しきれずに2着。むしろ、あそこからよく食らいついていったな、という印象。
ってか向正面から3コーナーに入ったところで、ピチェの内にステレン・モレイラがピタリとつけてるんですよね。北村くん、外が伸びるこのときの傾向を考えても外からまくれる位置につけた事自体は間違ってないと思うんだけれど、それ以上にモレイラのマークの付け方がこれやばかったんじゃないだろうか。あれ、北村くんとしたらチェルヴィニアの後ろに蓋をして自分だけ抜けられたら最高だったんだろうけれど、その寸前にモレイラがステレンをピチェより前に出して身体をねじ込み、同時にピチェを外に弾き飛ばす反動で自分たちはワンアクションで直線まっすぐ行く向きに体勢を整え、逆にピチェ・北村は外にぽーんと弾かれてワンテンポギアいれるのが遅れてしまった。
この一瞬の攻防が命運をわけたようにも見える。まあこの一瞬に持っていくまでの体勢をモレイラがピチェの内側につけるところらへんで整えてたとも言えるのかもしれないけれど。
むしろ、ここから二馬身半かくらい離されたのに、諦めずにじわじわと詰め寄ってきたピチェの根性は素晴らしかった。なんだかんだと他馬抜き去っての2着ですからね。
阪神JFからの直接対決といい、これは輝かしいライバル関係になりそうじゃないですか。
それに、この二頭って名前の由来から面白いんですよ。ステレンボッシュは南アフリカの都市の名前。アスコリピチェーノはイタリアの都市の名前、と二頭とも街の名前なんですよね。都市の看板背負った者同士のバチバチ火花飛び散るライバル関係、いいじゃないですかー。
まあ勝手に名前つけられただけで全然本物の都市の方は関係ないんですが。ないよね?

3着にはライトバック。最後方からぶっ飛んできましたよ! 32.8とあがり最速を記録。いくら今日外が伸びてたとはいえ、またとんでもない豪脚でした。直線入ったときまだ最後方でしたもんね。
鞍上の坂井くん、このときジリジリと下がってきていたマスクドオールウィンを利用して、ライトバックと競りながら上がってこようとしていた武・スウィープフィートに蓋したんですよ。うまいこと進路を塞いでみせた。これがスウィープフィートにとっては痛かった。
すぐさま内に進路をとって加速が急減速になるのを避けたのはさすがの武さんでしたけれど、馬場が良く前が空いたルートはライトバックにとられ、スウィープフィートの前には馬群。馬群を切り裂いていかなくてはならなくなった。
ここで武さん、魔女姫の脚を信じて一瞬耐える。そして自分の外側に蓋をしていた8枠の二頭が落ちたのを見計らって外に出し、もう一度ライトバックに食らいついていったのであります。
正直ここでもうライトバックはトップスピードに乗っててちょっとこれに追いつくのは不可能だったのですけれど、追い出してからの加速度はそのライトバックを上回っていましたからね。残り100メートルのキレは凄まじかった。
スウィープフィートは血統的にも本番はオークスの方だろうという意見も多かったのですけれど、確かにこれ距離が伸びたらちょっととんでもないことになりそう。
短い路線に行きそうな5着エトヴプレ含め、掲示板に乗った5頭ともこれは先々にゾクゾクしたものを感じさせてくれる競馬を見せてくれたと思います。


人気馬を見ると、3番人気のクイーンズウォークは8着。1枠2番が今日の馬場や展開だと厳しかったか。距離もマイルはあまり本意ではなかったみたいで、前走クイーンCもなんか川田が勝ったあとのコメントで1600を使いたかったわけじゃないみたいなこと言ってましたしねえ。なんか今日はいつもの川田騎手のガツガツしてる雰囲気が見えなかったので、内枠入った時点でうまく行けばでよし、そこまでなんとしてでも勝つ気はなかったんじゃなかろうか。本番はオークスということかしら。
1400が一番得意だったグレナティアガーズの妹なのに、父がキズナというだけでこれだけガラッと傾向変わるのねえ、面白い。

4番人気のチェルヴィニアは終始ピリッとせず、13着。剛腕ムルザバエフの手腕を持ってしても、気持ち入ってない馬は動かせなかったか。さすがにちょっとレース間隔が空きすぎて馬が本番モードじゃなかったのでしょうか。

コラソンビートはスタートして先頭集団に位置したところでさらに行きたがって鞍上の横山武史くんと派手に喧嘩しているのを見た時点で、ああとお察しでありました。これは気性面で短距離路線か。マイルですら、となると少々厳しいなあ。


まだまだ馴染みがなかった世代でしたけれど、桜花賞を通じて一気に個々の個性に理解と認識が追いついてきた感じで、楽しめそうな世代になってきた。まあこれはだいたい毎年桜花賞くらいが馬の実像わかってくるタイミングなんですけどね。
そして、ここからまたどんどんと馬の印象も変わってくる。さあ、今年もクラシックはじまったぞ!




あと、今年はスタートの際にドローンからの撮影による映像がありましたね。あの構図はいいなあ、そそるなあ。




第68回大阪杯 G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 阪神競馬場2,000メートル(芝・右)

例年は高松宮記念とカブるドバイワールドカップデーなんですが、今年は大阪杯と被ってしまったがためにルメールや川田騎手など一線級の馬たちのみならず、騎手たちも不在となった大阪杯。
ルメさん骨折大丈夫だろうか。鎖骨や肋骨なのはこの際不幸中の幸いなのかもしれないけど。

さて大阪杯であります。去年の暮れに各世代の一線級の名馬たちが一斉に引退。残った現役最強クラスのドゥデュースにリバティアイランド、スターズオンアースといった面々も軒並みドバイの方に行っちゃって、さて残留組はというといささか小粒に思える面々ばかり。
いやね、戦歴だけ見るならば去年のダービー馬に皐月賞馬のクラシック組が出揃い、キラーアビリティというホープフルS2歳チャンピオン、ジオグリフという一昨年の皐月賞馬。スタリングローズという秋華賞馬などなどG1馬もちゃんと揃っているのですけどね。
しかし今年の4歳世代は古馬との対決成績が散々なことから世代レベルが低いんじゃないか、なんて言われている状態だし、その他のG1馬たちは近年成績が振るわず低迷中。ジオグリフはダートまで足を伸ばして回ってきた末にようやく復調の気配が見えてきた感じですけれど。
4歳馬がいまいちならこれまで君臨してきた古馬はどうなんだ、というと先述した通り超一流どころはだいたい引退しちゃったかドバイなんで、残っているのはというとG1になると壁に跳ね返されてしまうG2番長やローカル重賞を勝ってきた馬とかばかり。
古豪ステラヴェローチェは屈腱炎で1年近く休養して最近復活したばかり。まあどうしてもメンバー見渡しても小粒の印象を否めない。
大阪杯だから、というこのレースに限ったことではなく、ほんとに去年の暮れあたりで一気に大量引退しちゃったんで新世代の4歳全体が低調なこともあって、もう全体的に小粒なんですよ、今。
逆に言うと、ここで強い競馬をして見せて勝って見せれば、小粒という印象を吹き飛ばせるわけですよ。

そういう意味では、このレースで勝ったベラジオオペラはいささか不甲斐ないクラシック三冠の勝馬たちに対して、腑抜けてるようなら自分がやってやるわいっ、と一気に自分こそが世代最強だ!と主張するような競馬を見せてくれたと思いますよ、これは。
三冠レースでは振るわなかったものの、暮れあたりのレースから同世代の中で一番気を吐いていたのがこのベラジオオペラでした。チャンピオンカップでボッケリーニを下し、京都記念ではプラダリアに負けたものの展開の妙でもあり強い競馬は見せてたんですよね。
だからこそ、2番人気の評価を受けていたんじゃないでしょうか。

阪神競馬場、今週からBコースに代わり内差しが決まる馬場。天気も良好で馬場も良かったですしね。
こうなると前残り傾向にもなります。外からの差しも今日は決まっていたので、展開次第ではあったのですけれど、前目内目有利というところは間違いなかったかと。

レースはスタートで12番キラーアビリティが外によれ、16番カテドラルが内によれ、結果としてその間のエピファニーが両側から押されて挟まれた挙げ句に大きく後ろからの競馬となってしまい、ご愁傷さまでありました。
今回は明確な逃げ馬が存在しなかったのでどの馬が前に行くのか、というところも注目点の一つではあったんですけれど、まさかのスタニングローズ。
そして番手にスーッとつけたのがベラジオオペラ。オペラはこの番手への付け方のスムーズさが素晴らしかった。そしてジオグリフ、タスティエーラ、ミッキーゴージャスが内側に並び、リカンカブールが外側から3番手あたりに追走。ハーパーもジオグリフあたりの塊の外側につける。
直線抜けて1.2コーナー回って向正面に入る頃にはミッキーゴージャスが下げて、代わりにタスティエーラの後ろにプラダリアがつける感じになってて、この段階でベストポジションだったのはベラジオオペラとタスティエーラ、プラダリアも悪くない位置だったと思う。
後方につけていたローシャムパークが大外まくって一気に先行集団に加わってきたのを見たときには、こいつちょっと後ろ過ぎない?と危惧していたところだっただけに、戸崎攻めた!と思ったね。ペース的にもこれは遅いという判断だったのか。実際ここで2番手まで一気にローシャムパークが上げたことで緩みそうになったペースが上がりましたからね。ここから11秒台連発することに。
ただ必要以上にペースはあがらず、前が潰れるような展開にはならなかった。まさに戸崎の狙いすましたような位置取りチェンジである。
3.4コーナーでじわじわとソールオリエンスが位置を押し上げていってるんだけれど、いまいち手応えが鈍い。逆に中団後方で焦らずじっくりとためていた組が手応え貯まっていってるんですよね。
白眉が直線に入る最後のコーナーライン。ここで内ラチ沿いを走っていたルージュエヴァイユが最内を回りながら外に膨らまず、しかし加速しながら一気に番手を上げてるんですよね。カーブが終わった段階でいつの間には先頭集団を射程圏内に捕らえている。
逆にピタリと止まってしまったのがタスティエーラ。完全に勝ち負けのライン取りに乗っていたにも関わらず、手応えが全然なくなってるの。
お父さんのサトノクラウンが、香港勝って絶好調のときにこの大阪杯で6着で負けちゃってるんですよね。タスティエーラほどきつい止まり方はしていないんだけれど、スタミナ的にはまったく不安がないはずのクラウンがゴール前でぱたりと止まっちゃってるんですよね。次の宝塚記念で勝っていることを考えても、血統的に阪神の芝2000が合わないタイプなんだろうか。いやポディション的にもほぼ最適のところ付けてたもんなあ。
レースはスタリングローズを躱したベラジオオペラが、外から追いすがってくるローシャムパークを制してクビ差勝利。内からぐんぐん伸びてきたルージュエヴァイユがハナ差の3着。
唯一外からぶっ飛んできたのがステラヴェローチェ。ヴェローナは4角でハーパーの内に切り込むんじゃなくて外に出しちゃったんですよね。
あの瞬間、内側にはルージュエヴァイユにタスティエーラ、ジオグリフが並んでて隙間が見えなかった、というのもあるかもしれないし、スピードからしてあそこでハーパーの内側に切り込むだけの余裕がなく外に膨らまざるを得なかった、というのもあるのかもしれない。ただカーブの最終段階でルージュエヴァイユと半馬身ほどしかなかった差が、直線入ったところでは1馬身から2馬身差がついていたこと。また、ギアを入れて加速っという瞬間にソールが外によれてその分ヴェローチェも煽り食って外によろけて、立て直してから再加速と2テンポほど遅れてるんですよね。
これがなかったら4頭一団での1着争いになったかも知らん。それくらい、ヴェローチェの脚だけ最後の100メートルの勢いが違ったのでした。
長い休養のブランク明けながらも、衰えることなくエフフォーリア、シャフリヤール、タイトルホルダーのあの栄光の世代の残照をくっきり焼き付けてくれる走りでありました。
ドバイでいまだ衰え知らずに暴れまわってるシャフリヤールと並んで、この世代最後の生き残りたちは今なお輝きを弱めてなどいないですよ。
そして長らく不振が続き、ダート戦線に舞台を移すなんてこともしていたジオグリフが、前走中山記念で3着と復活の兆しを見せたと思ったら、G1でも掲示板に載る走りを見せてくれました。まだ5歳。あのイクイノックスを破った馬だというのをもう一度知らしめてほしいものです。
6着にはプラダリア。この子も内側につけてタスティエーラの後ろと隊列的にも悪くないポディションにつけていたのに、G1になると君どこで何をしてタの? となぜか存在感がなくなってしまうところはこの手薄になったメンツ相手でも変わることなく。やっぱりG2番長なんかな。
ソールオリエンスは7着。もう4角で手応え怪しかったですもんね。一定以上のスピードが持続しないというのか。息の入らない展開が苦手なんだろうか。

ともあれ、ベラジオオペラはこれで現4歳世代の筆頭格に、と言ってもいいんじゃないでしょうか。そういう風格を感じさせてくれるレースでありました。
2着のローシャムパークも、去年後半の急激に実力をあげてきた感のある連勝とオールカマーの勝利はフロックじゃなかった、というのを証明してくれるような走りっぷりでありました。
3着はルージュエヴァイユ。これは内に狙いすましてためた脚を爆発させた菅原騎手のファインプレーでもあり、牡馬ともこうして戦えた以上G1戦線で活躍好走を連発する歴戦牝馬の一角になってくれそう。
4着のステラは距離が伸びる宝塚記念がさらに期待できそう。あ、でも今年の宝塚は阪神じゃなくて京都なのか。
タスティエーラも宝塚なら巻き返しも、と思ってたんだけれど、京都競馬場となるとどうなんだ?





第54回高松宮記念 G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中京競馬場1,200メートル(芝・左)

クレアーーーっ!
ナムラクレア、本当にあと少し、あと少しが届かない。

雨の中京競馬場。いや全国的に雨だったんですけどね。案の定芝の状態は悪し。なんだけれど、今日の中京は外が伸びず、内を回ってきた馬が上位に来る馬場でした。
とはいえ、緩んだ馬場を馬が掘り返して激進するものだから、もう内に行くほどボコボコですよ。こういう馬場はやっぱり馬にも得意不得意というものがありまして、騎手としても判断がどうしたって難しい。
今回は騎手にとっても本当に難しいレースだったんじゃないだろうか。

本命1番人気だったルガル・西村騎手は今回は特にね、その判断を厳しく問われているだけに。なんで内にいかんのや、と。
まあ西村くんとしたら、最内の荒れた馬場は走らせたくない、うまく走れないという判断故に道中でも最内に入れず、最後の直線でも内に大きく進路が空いていたにも関わらず、外の少しでも良い馬場に出したのでしょう。とはいえ、今日の傾向と当のレースのスローのラップや展開を考えると、外に持ち出した時点で厳しかった。内に切り込んだとして、勝ち負けになったかどうか。
にしても10着というのは流石に負けすぎではある。
シルクロードSのアグリを3馬身突き放しての強い勝ち方を見せられたら、新世代スプリント王者候補の登場かと期待されるのも無理からぬ所だっただけに、ちょいと厳しい結果だった。
とはいえ、今回は流石に条件が複雑すぎて難易度高すぎたので、あまり次回以降この負けを考慮しなくてもよいとは思うけれど。

勝ったのは6番人気のマッドクール。前年スプリンターズSでママコチャの2着に入った馬だ。暮れの香港では振るわなかったものの、実績十分。
2番という枠順を活かし徹底して最内を突っ走り、最後まで走り抜けた。この馬場、この前半スローの展開で最内33.7で走られたら、まあ後ろが追いつくのは難しい。坂井瑠星会心の騎乗であったでしょう。

2着にはナムラクレア。まあ追いつかないだろうマッドクールに追いついてきた女剣豪一閃の末脚でありました。が、本当にあと少しが届かない。去年の高松宮も、スピリンターズも桜花賞も、あと僅かのなにかが差を分けた。騎乗ミスってわけじゃないんですよね。そして実力差では絶対にない。
むしろ、今のスプリント界で一番強い馬は、という問いが出されたらこのクレアをあげる人は少なくないでしょう。運がない、というものなのか、これは。
今回は特に大チャンスだったと思うんですけどねえ。未だにクレアがG1取っていないのが本当に不思議でならない。

3着には久々に海外からの参戦。香港から来たビクターザウィナーが逃げ粘って3着。
海外から来た馬というのはまあ大体実力差っ引いて考えて然るべきでしょう。特に欧州から来た馬はこっちからヨーロッパに行った馬が馬場合わなくて難しいのと同様に、向こうの馬もこっちの馬場合わない傾向が強いですから。でも、こと香港馬に関してはこれに当たらないと考えてもいいんじゃないでしょうか。昔から香港馬が日本に来た場合はほぼ、その実力通りの力を発揮している。
さらに、香港競馬というのは世界でもナンバーワンクラスのスプリント魔界。そんな中で14戦7勝。G1勝ってる馬ですから、そりゃ生半のもんじゃありませんよ。香港は近いですから、そこまで遠征の不安も少ない。
とはいえ、今回は決して体調も絶好調というわけじゃなかったみたいですし、さらにこの不良馬場。条件としては良くはなかったはずなのですが。
テイエムスパーダとモズメイメイという、今回先頭争いとなるだろう逃げ馬二頭ともが足元滑らせたりなどで出遅れ。オワタ。
ビッグシーザーも行きませんでしたし、ウインカーネリアンも競り合ってはこなかった。
自分のペースを作れたのが3着に残れた要因だったようです。

4着にはウインカーネリアン。前目で競馬出来たものの、ビクターの外外を回らされた挙げ句
4コーナーでさらに外まで出されてしまった分、内側の馬たちとは差がついてしまった感があります。
とはいえ、よく走る。1200は初めてだったんですが、しっかり走れていましたね。

5着にはロータスランド。牝馬で7歳まで頑張ってくれました。これでラストラン。最後まで大崩せず年取っても堅実に走り続ける良い馬でした。お疲れ様、これからは繁殖のお仕事頑張って。

今回はあのアイドルホース、メイケイエールにヴィルシーナの娘であるディヴィーナも引退。
エールちゃんもついにG1には手が届きませんでしたが、個性あふれるキャラクターで最後まで頑張って走ってくれました。同世代でも一番最後の方まで現役で頑張ったんですよねえ。
重賞6勝は十分な成績だったと思います。その成績でなお、気性ゆえに才能を発揮しきれなかったと評されるあたりがメイケイエールの難しさであり偉大さでもあったんじゃないでしょうか。

3番人気。去年のスプリンターズSの覇者であるママコチャは8着。外枠というのもありましたけれど、出来が万全からは遠いものだったようで最初から川田騎手のテンションがあまり上っていなかったというか、今回はそこまで迫真さを感じなかった。

4番人気のトウシンマカオは6着。まあ今回は度外視ですね。

阪神カップ阪急杯と連勝してきていたウインマーベルは12着。16番という外枠と馬場適性考えるとまあ仕方ないかと。こんなもんじゃないですよ。
京都牝馬ステークスを勝ってきたソーダズリング14着も、鞍上の武さんが今日はノメッてたと言ってただけに馬場があかんかった。仕方ない仕方ない。




第72回阪神大賞典 G2 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 別定 阪神競馬場3,000メートル(芝・右)

今年は15頭が参戦、と近年では3000メートルのレースとなるとそこまで頭数集まらなくて、だいたい10頭前後。最近は13頭くらいだったのが今回はちょっと集まりましたね。
とはいえ、長距離戦線を引っ張っていた超一流どころは去年で軒並み引退。G1馬不在のレースとあいなりました。
……って、実のところ例年そんなG1馬は出走していなかった事を過去レース見返したら気づいてしまったw
去年はその唯一のG1馬であるジャスティンパレスが勝ったからなあ。いや待て、パレスがG1勝ったのはこの阪神大賞典勝った次のレースだよ。
人気は程よく割れつつ一桁倍率が5頭ということに。

1番人気が426kgの小兵。ある意味長距離馬らしい体型でもあるブローザホーン。長らく未勝利で勝ち上がれなかったものの、去年連勝で一気にクラスをあげたものの注目された秋での戦いは京都大賞典を心房細動で中止してしまい、戦線離脱。しかし年明けの日経新春杯で初重賞を手にして実力を証明、今年のG1戦線に堂々と名乗りを上げた一頭であります。

2番人気はテーオーロイヤル。この馬も22年にダイヤモンドSを勝利し重賞馬に、そして天皇賞・春で3着に入り長距離適性を見せつけたのですが、翌年骨折してしまいまる1年近く休養してしまったんですね。
復帰初戦のアルゼンチン共和国杯こそ大敗したものの、次のステイヤーズSで2着。続くダイヤモンドSを2年ぶりに勝利。今回も調教から充実っぷりを見せていたみたいで、6歳にして覚醒の歳を迎えたかのように見受けられます。

3番人気には去年の菊花賞5着のサヴォーナ。日経新春杯ではブローザホーンの2着と、今年の4歳馬のなかでも特にステイヤーとしての資質を持っている馬ですね。戦歴見ても2400以上の長距離ばかり使ってますし。とはいえこの馬体重が536kgとかなりの超重量級。まあ昨今は昔ほど小柄が長距離向き大型馬は短距離向き、と一概に言えなくなってきたようにも思えますけれど。

4番人気はシルヴァーソニック。一昨年の天皇賞・春は阪神競馬場で行われたんですけれど、そこでレース直後に落馬してしまい、レース後に柵にぶつかって転倒。しばらくピクリとも動かなくなってしまって、話題になったあのレース以来の阪神競馬場であります。
去年は天皇賞・春に出たあと春は全休。秋も脚に浮腫が出来てしまって全休となり、結局1年近くも休養しての復帰戦となりました。

5番人気はディープボンド。年下のライバルたちが去っていった中で古豪の復権あるかって所です。もう7歳ですけれど、もう一度チャンスが巡ってきたかもしれません。春の天皇賞目指してここはしっかり走りたい所。2度制しているレースでもありますからね。

レースは折からの雨で馬場は稍重。11Rの頃はだいぶ芝が緩み始めていたように思います。
馬群を引っ張ったのは大方の予想通りジャンカズマ。1000メートル1分3秒台でラップタイムはこんな感じ

13.0-11.7-12.9-13.0-13.1-13.1-13.3-13.6-12.9-12.3-11.7-11.1-11.7-11.8-11.6

典型的な前半超スロー、後半ハイペースの後傾戦になってましたね。
3コーナー1000〜800メートルあたりで後方にいたワープスピードが最内からスルスルと上がって前に取り付いたあたりに川田騎手の判断が見えました。長距離の川田というと、まあ控えめに言ってもアカン以外のナニモンでもないのですけれど、ここまで経験の蓄積を重ねてきたらそろそろ長距離レースのプランニングも精度が高まってきている感があるよなあ。
ともあれ、ここまで後半11秒台を連発するような展開になると、厳しいのがディープボンド。ロングスパートかまして4コーナーでは手応えバッチリで先頭に立とうかという勢いもあったのですけれど、正直この展開、このペースだとキレ負けしてしまう。終始集団の外を回らされたうえに稍重の馬場と、プボくんにとっては厳しいレースになってしまったように思います。過去プボくんが勝ったレースは13秒台が出ないようなレースでしたからねえ、これは厳しい。衰えではないと思うんだけどねえ。まだ春天の本番前で仕上げきっていない所もあったでしょうし。7着でした。

シルヴァーソニックはレース後コメントで武さんが息切れしてたと述べていますね。やっぱりまだ身体がレース仕様にまで戻ってなかったようです。調教の様子などチェックしてる人たちの諸々の意見を鑑みるとそんな感じでしたしね。まあ本番は次です。11着。

サヴォーナは6着。柔らかい馬場で踏ん張りきれなかったか。この馬も馬群の外側走らされていたので、それもきつかったかも。
今回は上位入った馬はみんな内ラチ側を走っていた馬でしたからね。

5着にはゴールデンスナップ。ゴルシ産駒で、長距離の条件戦を地道にあがってきて今回が初重賞の馬でした。連勝してきたわけじゃないんですけれどずっと2着連対は外さずに来ているあたり堅実ですし、ここで掲示板乗ったのは長距離適性の確かさを証明するよい格上挑戦だったんじゃないでしょうか。まだ4歳ですし、いきなりG1は厳しいかもしれませんけれど重賞勝っていって来年には、と将来を期待できそうな感じがしてますよ。

4着にはプリュムドール。OP特別ではいい勝負できるけど重賞だとしんどいかな、という感じの馬だったのですけれど、凄く反応が良くなっててなんかワンランク実力があがった感じがあります。
4コーナーあたりからの和田竜二騎手の合図にこたえてグイグイ上がっていく様子はなかなかの手応えでした。最内1番だったのも良かったのでしょう。
ただ最後の直線、コーナーから外に出てしまったのは和田騎手の言う通りこれは勿体なかったか。直線で上がっていくときに馬群に揉まれて脚が鈍っちゃってますもんね。内側が十分空いていただけに、インをついていたら2着まではあったかもしれません。

3着はブローザホーン。コメントではかかり気味だったということで。前半のスロー展開がこの馬にとっては我慢を強いられてしまったか。そこまで折り合い悪かったようにも見えなかったけれど。実際、最後まで持っていますしね。ただ、そのぶん最後のキレが鈍ったか。
これ、内側をあがってきたワープスピードに押さえられたのも結構痛かったんじゃないだろうか。あそこをワープスピードに押さえられたことで直線で大外に振らないといけなくなりましたし。まあプリュムドールに比べるとそこまで影響はないのかこれ?

2着はワープスピード。前走ダイヤモンドS3着の走りを見る限り、6番人気だったというのが不思議なくらいなんだけれど、これってもしかして長距離の川田騎手、というアレの影響もあったんだろうか。普通は川田騎手が乗ったらむしろオッズさがるんだけれど。
川田騎手の指示に即座に反応して3コーナーで勝負をしかけテーオーロイヤルの真後ろという最適の位置取りを確保し、他の馬を4コーナーで巧妙に外に弾いて、内目の馬場を駆け抜ける。名前通りのワープさながらの軌道でありました。

1着、テーオーロイヤル。もうこれ語ることありますか? というくらいの5馬身完勝。文字通り他馬を寄せ付けず、実質圧勝ですね。先行押し切り、余計なものの入る余地なし。ちょっと想像以上に強い勝ち方でした。今回はもう菱田くん、隙なしの完璧騎乗だったんじゃないでしょうか。
こりゃあもう文句なしに春天は大本命でしょう。ジャスティンパレスはドバイ行ってるし。菱田騎手、初G1の最大のチャンスだ。








若葉ステークス リステッド レース回顧   

3歳 オープン (国際)(指定) 馬齢 阪神競馬場2,000メートル(芝・右)

このレース、もうトウカイテイオーの昔から皐月賞馬のみならずG1馬、重賞馬を輩出しているレースで、クラシックのステップレースの中でも非常に価値の高いレースだと思うのですけれど、そのわりにずっとOP特別。今はリステッド競争か。そこから重賞格上げみたいなのは全然ないんですよねえ。そういう話もないんだろうか。

ともあれ今回はミスタージーティーである。2歳時からクラシック戦線の主役候補の一角として名前があげられていたにも関わらず、ホープフルの5着はまあ仕方ないにしても、共同通信杯で馬が入れ込んでしまい7着と賞金加算も出来ず、皐月賞出走まで危ぶまれる事態になってしまっていました。
ここは実力的にも勝たなければならないところでしたが、矢作調教師もそれまで主戦を勤めていた弟子の坂井瑠星を降ろし、乗り替わりで……藤岡佑介騎手を乗せることに。
ほー、ここで藤岡くんを選びましたか。最近特に乗れているとはいえ、安易に外国人騎手やベテランどころに頼まず、藤岡くんに任せるとはちょっと予想外。
しかし、本当に最近乗れてるなあ。しっかり先行押し切りで先頭ゴールと一発回答してみせてくれました。これで先週のフィリーズレビューのエトヴプレ、先々週のチューリップ賞でのセキトバイーストの2着と3週続けてステップレースでのクラシック初戦の優先権をゲットです。
ミスタージーティー、こういうレースをちゃんと出来るなら今年の皐月賞は相当に混沌としているのでチャンスあるかもしれませんよ。


2着には6番人気だったホウオウプロサンゲが逃げ粘って滑り込み、これも皐月賞の出走権ゲット。
戦歴の中にはのちのホープフルSを勝つレガレイラに先着もしている実績もある馬ですし、元々セールで4億1000万円という同世代でも屈指の高値で取引された超良血。半兄には同じ若葉Sを勝ち皐月賞2着に入ったヴェロックスがいる血統。成長次第ではまだまだわからない馬じゃないですか?
鞍上の菱田くんは日曜日も活躍しましたし、彼も最近頑張ってるなあ。
騎手の内情よく知らないんですけど、今年に入って津村騎手とかミルコとか酒井学騎手とか、近年なかなか苦戦していた面々がかなり乗れてるんですよね。藤岡くんもそうだけど。このあたりの中堅どころが盛り返してきているのは面白いなあ。






第58回報知杯フィリーズレビュー G2 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 阪神競馬場1,400メートル(芝・右)

コラソンビート、1.8倍もついての1番人気だったのか。まあ他に重賞勝ってるような有力馬が出てきていなかった以上、人気を集めるのもわかるし1400で2勝してるというのも大きいでしょうけれど、それでも1倍台は流石になあ、といった感じではありました。

レース前にアクシデント。返し馬の際に14番キャンシーエンゼルが大興奮して制御不能に。2コーナーのゲート前を通り過ぎて、全力疾走で馬場を一周してきてしまいました。
当然のように疲労困憊でレースになろうはずがなく、出走除外に。直前人気どれくらいだったんだろう。前走3着のレースで勝ってるオメガウインクが8番人気なので上位人気ってことはなかったと思うけど。

レースは別にスタートそこまで良くはなかったんだけれど、4番のエトヴプレ・藤岡佑介がじわじわと前に出て、それを見た6番シカゴスティングが抑えて番手に、という感じに。阪神ジュベナイルフィリーズではシカゴが逃げたんですけどね。控えましたか。
確かにこの序盤のペースかなり早く見えたし、ここで前を主張すると前傾展開になりすぎる、と判断したのは間違いないと思うんだけれど……予想外だったのは思いの外このエトヴプレが強靭だったことですか。
息入れた? 入れてないよね? 最初から最後まで緩めることなく、エトヴプレかっ飛ばす!
落ちない。スピードが全然落ちない、じりじりと下がってこない。前半600Mを33.8。1000M58.7ですから十分飛ばしてますよ。にもかかわらず、上がり35.1でまとめやがりましたからね。これは後ろ追っつかないですわ。
コラソンビート、直線で後ろにつけて残り200で抜き去るか、という態勢に入っていたにもかかわらず、そこから一切間が詰まらず、でしたからね。3着以下はさらに距離空いてまったく寄せてこれず。
これが桜花賞の本番1600メートルとなると全然話違ってくるかもしれませんけれど、少なくとも1400メートルではエトヴプレ完勝でした。……11番人気なんですけどぉ!?
いやこれは、少なくとも1400ではこの馬低人気には置けないでしょ。最初から最後まで主導権握ったまま離さない、強い逃げの勝ち方でしたよ。
コラソンビート、ずっと最内走って進路も位置取りもミスはしてないと思うんだが、今回はこれは完敗だなあ。
藤岡佑介騎手は、フェブラリーSといい、先週チューリップ賞で2着持ってきたりといい、今年はいい感じに乗れてきてるんじゃないですか?






第60回金鯱賞 G2 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 別定 中京競馬場2,000メートル(芝・左)

パーフェクトだ、プログノーシス&川田将雅。
中団最内を走っているのを見たときはこれ前詰まるんじゃね? と思って見ていたのが、直線に入るとスルスルと間を縫っていつの間にか前に出ているし。
むしろ枠順的には3番のドゥレッツアの方がこの位置に来そうなもんだから、うちにプログノーシス、その外にドゥレッツアという並びになった時にはルメールやりやがったか? とすら思ったんですけれどね。いやはやどうして。コメントやあとの展開見る限り、選択として川田この位置につけてるっぽいんですよね。
中距離までの先読み、特に四角を曲がる際にできるだろうルートの見極めに関して、悔しいが川田騎手は一級品ですわ。そして、その騎乗に万事応えて見せるプログノーシス。
去年はここからクイーンエリザベス2世カップに行ったんですね、香港の。
そちらでは惜しくも二着だったのですけれど、内容を見れば去年よりも遥かに完璧な完勝。
実績的にも現段階での充実っぷりでも現役に残った古参の中ではトップクラス。G1を獲っていないのが不思議な馬なだけに、次走が大阪杯だろうと海外だろうと期待は十分でしょう。

それでも、まだプログノーシスはG1勝っていない馬であります。
そんなプログノーシスに5馬身ちぎられてしまったドゥレッツアは、2着ながらもこれはちょっと厳しい着差だよなあ。進路開かなくて仕掛けがワンテンポ遅れたにしても、ですよ。
アンカツに改めて4歳のレベルに疑問を持った、と言われたのも仕方ない。皐月賞馬ソールオリエンスを筆頭に今年全然勝ててないですもんね。ベラジオオペラ、エルトンバローズ、サトノグランツ、ハーツコンチェルトといった後続勢もパッとしませんし。

3着には2年2ヶ月ぶり!? ヨーホーレイクが先行集団で唯一粘って3着滑り込み。エフフォーリア、タイホ、シュネルの同世代が長き眠りから帰ってきましたよ。いやしかし凄いな、2年ぶりでこの競馬は。最近、超長期休養明けでもしっかりと走れるまで仕上げてくる事が増えてます、凄いです。
2年前4歳になっての初戦日経新春杯を勝ったときは、タイホたちと大いに競馬盛り上げていく一頭になると思えるだけのポテンシャルを見せてくれた馬だけに、同輩たちが去ったあとのこのターフでもう一花咲かせてほしいものです。まだ今回含めて8戦しかしてないんだから、行ける行ける。
戻ってきたステラヴェローチェといっしょに頑張って欲しいです。
しかし、クラシック殆ど縁無く遠回りしてここまで駆け上ってきたプログノーシスと、クラシックでバチバチやってきて、しかし古馬になり屈腱炎で長く現場を離れることになったヨーホーレイクが、同世代の最強馬たちが引退したあとのここで初対戦となる、というのもまたドラマよなあ。

4着には8歳馬ハヤヤッコ。このコはまた老いて盛んというか、衰え知らずというか。G1からは縁遠いけれどG2以下となるとかなりの確率で掲示板、入賞までは来るあたりほんとずっと頑張りやさんですわ。

5着にはアラタ。この馬も7歳でなお健脚。地方の重賞では欠かせない馬ですね。
6着にはいきなり新人まだ三週目ながら重賞初騎乗となった高杉吏麒騎手のワイドエンペラーが上がり2番目で追い込んできて、入線。12番人気の馬を6着まで持ってきたのなら、十分えらい。


第61回報知杯弥生賞ディープインパクト記念 G2 レース回顧   

3歳 オープン (国際)(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

今週は新人騎手のデビューと調教師先生の定年引退。
調教助手から障害騎手に33歳で転身という坂口騎手は応援してあげたいなあ。もちろん、若人たちも。
柴田裕一郎騎手は初日で初勝利は立派でありました。馬が先頭に立ってしまった時は制御できてないなー、あとで叱られるぞー。と思ったのですけれど1000メートルのタイムがむしろ標準からスローくらいで、おや?となったんですよね。離された後続の方がこれ遅すぎるぞ、てなってて短い小倉の直線で手応えもまた十分ありましたし、これは残るぞと。まあみんな新人がやらかした、と思ってペース控えちゃったんですかね?

調教師は七名が引退。特に安田隆行先生は重賞59勝って凄い先生だったんだよなあ。
騎手も秋山真一郎騎手が調教師試験に合格したこともあって、2月で引退。G1勝利は2つだけでしたけれど、中堅でずっとしっかり勝ってくれる良い騎手で好きだったなあ。
まだ44か43ですか。調教師になるには一番いい頃ですし、今度は先生として良い馬育ててほしいですね。

さらに、今日は阪神のメインレース「大阪城ステークス」。リステッド競走ですけれど、これ昔から重賞級の馬がたくさん出るなかなか質の高いレースだったんですが、今回もルージュスティリアやアリストテレスといった歴戦の重賞馬や、ピンハイ、オニャンコポンというクラシックを激走した馬たちが参戦していたのですが、勝ったのが……あのステラヴェローチェ。
ステラ、ここに出てたの!? と、レース前に出馬表チェックしてびっくりしましたがな。
エフフォーリア、タイトルホルダー、シャフリヤールたちとクラシックで火花散らして堂々と競り合ったあのステラヴェローチェ。ドバイシーマに出走したあと放牧に出されたまま一年以上音沙汰なくなり、そのまま消息不明になってしまうんじゃないかと心配されていた中で、去年の10月に突如富士Sで1年半ちかくぶりに復活。とはいえそこで7着。続く武蔵野Sではダート初挑戦で最下位と精彩を欠いて、往年の輝きはもう見られないのか……と、思った所で今日激走の末にデビットバローズを頭差押さえて神戸新聞杯以来の約2年ぶりの勝利ですよ。21年クラシック世代の強さを古豪の多くが去った今こそ見せてほしい。次は重賞ぞ!

っと、肝心の弥生賞の話にたどり着くまでだいぶ遠回りしてしまった。
今日の中山は馬が蹴った芝土が飛ぶわ飛ぶわ、良馬場だったけれど芝自体はだいぶ緩んでたんじゃないだろうか。
2戦無敗でぶっちぎりの上がりを見せてるトロヴァトーレ。同じく無敗でダノンの決戦存在ダノンエアズロック。
凱旋門賞馬ソットサス、G1を7勝した名牝シスターチャーリーを兄姉に持つ世界的良血シンエンペラーといった馬が人気を集める中で、勝ったのは伏兵6番人気コスモキュランダ。
久々のデムーロの騎乗炸裂というレースでしたよ。父は皐月賞大阪杯を勝つなど中距離戦線で活躍したアルアイン。産駒では初の重賞馬誕生です。
馬場も荒れ気味でしたし、まだこの勝ちがそのまま実力として認められるかは微妙な所ですけれど、時計も優秀みたいですし、これがフロックではないとここから証明してほしいですね。
2着はシンエンペラー。本番前とはいえ、勝ちきれなかったのはちと微妙か。
ダノンエアズロックは7着と直線で伸びを欠く結果に。プラス18キロが重かったのか、テンションも高かったですしね。にしてもちょっと負けすぎ。

あ、乗ってたキング騎手はこれがラスト週なのか。レイチェル・キング騎手。女性ながらも、当たり前みたいにガンガン追ってガンガン勝つ、短期免許で来てる海外騎手の中でも一際の活躍を見せてくれました。この人、今の女性騎手の一つの理想像だよなあ。今の女性騎手たち、まだまだ経験も浅い若い騎手なんで、経験積んでいってここからキング騎手みたいにガンガン勝てる騎手になってほしいです。すでに平場じゃしっかり乗れてるんですから。




第31回チューリップ賞 G2 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 阪神競馬場1,600メートル(芝・右 外)

スイープトウショウの孫にあたるスウィープフィートがお婆ちゃんばりのすさまじい差し脚で、他馬を一気に蹴散らしての勝利。いや、これは強いという痛快な勝ち方。
スイープトウショウはその気性の激しさがそのまま子供に伝わってしまうケースが多くて、大成する産駒が今のところ出ていないのだけれど、孫の代で重賞馬が出てきたかー。
しかも、こんな勝ち方出来るなら十分G1でも勝ち負けできるでしょう。ここで桜花賞の有力馬に名乗りをあげたと言えるんじゃないでしょうか。

このレースでは朝日杯に出走して牡馬相手に3着と、向かない展開で強いレースをしてみせたタガノエルピーダや、あのイクイノックスの妹にあたるガルサブランカ。
前走フェアリーSで不利受けて脚を余して4着だったスティールブルー。ソーダズリングやソーヴァリアントの妹となるミラビリスマジックなどの人気馬がいましたけれど、このレースに関してはものが違うところを見せられた感じ。まだまだ他の馬たちは持ってる才能を活かせるまで成長が待たれる感じかな。若い。
魅惑の魔女姫、このまま桜の冠狙います。

2着にはセキトバイーストが逃げ粘って2着。躱されてもズルズルと落ちていかず最後まで踏ん張って2着に入ったのは立派。根性ある馬ですよ。

しかしタガノエルピーダはじめ、人気馬みんな本賞金も稼げなかったので桜花賞出るの難しくなるのか。特にエルピーダは4着は痛恨だよなあ。


第59回デイリー杯クイーンカップ G3   

3歳 オープン (国際)牝(特指) 馬齢 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

これの前のレースの洛陽ステークスが、リステッド競争ながら、ダーリントンホール、オニャンコポン、レッドベルオーブという重賞勝ち馬3頭に、カルロヴェローチェ、デュガ、シャイニーロック、リューベック、ドゥアイズといった重賞レース上位常連やクラシックの春先に話題に登っていた馬など結構な有名所が揃ってのレースで重賞レースかよ、というリステッドとしては豪勢なメンバーでしたね。
勝ったのはルメートル騎手鞍上のドゥアイズ。まだ2勝目? この娘もシルバーコレクターになりかかっていたので、勝てて良かったです。しっかり伸びてしっかり勝つ堅い勝ち方。重賞も十分狙えるでしょう、これなら。こんな所で燻ってる馬じゃないです。

さて、そんなドゥアイズも去年ハーパーの2着に入ってクラシック戦線に挑むことになった3歳牝馬のステップレース、クイーンカップ。
近5年だけでもクロノジェネシス、アカイトリノムスメというG1馬を輩出していることからも有力なステップレースといえるでしょう。プレサージュリフトとハーパーも勝てないまでも重賞戦線で馬券に絡む頻度高い活躍してますしね。

本年度人気を集めたのがクイーンズウォーク、サフィラ、アルセナール、ルージュスエルテ。この4頭が一桁人気台で人気集中してました。
まあ血統の良い馬たちです。
クイーンズウォークは朝日フューチュリティ(G1)を勝ち1400の鬼として知られたグレナディアガーズの妹。
サフィラはあのサリオスの全妹にあたります。
アルセナールは去年マイルチャンピオンシップで念願のG1を奪取したナミュールの妹。
んでもって、ルージュスエルテは菊花賞でタイトルホルダーより上の一番人気だった(レースは13着)レッドジェネシスですよ。
なんというシスターズ・クイーンカップw

レースはスローペース気味ながら、後方に位置取りしつつペースを悟ったのかいつも通り前目で勝負かけたかったのか、早めに外からまくりあげてきたクイーンズウォークがしっかりとゴール前で抜け出して強さで押し切ったような勝ち方でした。
堂々と風格ある馬体で走りにも迫力あるし、アスコリピチェーノとレガレイラという二大巨頭のいる牝馬クラシック戦線ですけれど、新たな有力候補が名乗りを上げてきた、って感じですね。
2着はアルセナール。こちらは最後の直線、ちょっと進路狭くなって抜け出してくるのを手間取った分遅れてしまったんですが、馬群を抜けたあとに一気に加速したあの脚は、姉のナミュールのカミソリの切れ味を彷彿とさせるものがあり、こいつも将来ちょっと凄いかもしれない。
だいたい、アルセナール前走の新馬戦もギア入った残り50メートルくらいでいきなりわけわからん加速して前の馬差し切っちゃってるんですよね。ギアが入るのが遅いのか、切れ味がまだ瞬間的なものなのか。でも成長して競馬学んできたら、どうなるか期待膨らんじゃう素質馬ですなあ。
3着はルージュスエルテ。この馬も最後方にいたのに、3着まで届いてますね。
人気のサフィラは良いところなく9着。3歳のこの寒い時期にマイナス10キロと馬体を減らしていたように、ちょっと調子どうだったんかな、という所。

3歳牝馬クラシック戦線は、レガレイラは皐月賞行くかもしれないし、天才少女ボンドガールは調教中の放馬の影響からの立て直しに苦労していて、桜花賞直接行く方針だそうだけど賞金額的に除外の可能性が非常に高い。
となると、桜花賞は阪神ジュベナイルフィリーズを勝ったアスコリピチェーノに、同レース2着のステレンボッシュ。3着で京王杯2歳Sを勝ってるコラソンビート。
そしてアルテミスSを勝った大物と評判高い。チェルヴィニア、朝日杯で3着に入ったタガノエルピーダもいるか。フェアリーステークスのイフェイオンも。
ここにクイーンズウォークが堂々と割って入ってきた感がある。オークスは距離的にどうだろうって感じですけど、意外ともっと距離伸びた方がいいというホースマンも居て、なら桜花賞は全然問題ないんでしょう。なんか大物になりそうな雰囲気。






第71回日経新春杯 G2 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(特指) ハンデ 京都競馬場2,400メートル(芝・右 外)

久々の京都開催での日経新春杯であります。
年明け最初の大きいレースって感じですね、日経新春杯。
とはいえ、近年はここを勝ってステップアップ、とはなかなか行かず以降燻ってしまう馬も多いのですけれど。

今年は特に、去年の暮に各世代でG1戦線を引っ張ってきたトップランナーたちがまとめて引退しちゃったこともあり、現役世代どうも小粒になった印象がどうしてもあるんですよねえ。
現5歳世代がドウデュース、スターズオンアースの両巨頭以外ではジャスティンパレスくらいしか中長距離以上のG1馬がいないだけに。……ディープボンド、まだワンチャンあるんじゃない、今年?
ボッケリーニとヒシイグアスの8歳も。
まあここから去年のクラシック世代の台頭も期待したいところですが。
そんな現4歳世代で筆頭のリバティアイランドを除くと、やはり注目はクラシック三冠をとったソールオリエンス、タスティエーラ、ドゥレッツァの3頭なわけですけれど、この3頭以外にもクラシック戦線をライバルとして戦い抜いてきた連中がいるわけで、彼らの活躍も期待したいところなんですよね。そんな世代牡馬の中長距離での有力馬と言えるのが。
チャレンジCで古馬を撃破したベラジオオペラ。共同通信杯を勝ったファントムシーフ。札幌記念で2着に入ったトップナイフ。そして今日このレースを出走したサトノグランツ、ハーツコンチェルト。このあたりがクラシック戦線を賑わせた面々でしょう。
実際、この2頭が3番人気2番人気を集めたのですが、彼らを置いて1番人気にあげられたのがブローザホーンくんでした。
この子はまた遅咲きの馬で3歳の時はなかなか勝ち上がれずに9戦目でようやく未勝利を勝ち、1勝クラスを突破したのは暮れの12月。ここで長距離路線に目覚めてとんとんと勝ち上がり、そのまま初重賞の函館記念で3着。ここらへんから新興勢力として認識され始め、続く札幌日経OPで6馬身の圧勝をキメたことで重賞を勝てる馬の新規参入だ! と盛り上がったんですよね。
ところが、続くG2京都大賞典でディープボンドの2番人気にまであげられたものの、レース途中に心房細動を発症してしまい、競走中止。一気に最上位クラスまで駆け上がっていたのが一旦躓いてしまったわけです。
その後病み上がりという事もありじっくりと調整されていたのですが、3ヶ月ぶりの実戦としてこの日系新春杯を選んだのでした。
果たして以前通りの力を発揮し、勢いが失われていないか。本当に重賞クラスの力があるのか。ここから、G1戦線で戦っていける力があるのか。その真価が問われる一戦でもありましたが。



序盤、貫太のリビアングラスとディアスティマ、そしてシンリョクカの3頭による先頭争いが生じたために相当早いことに。先頭争いというか、比較的早めにディアスティマが前に立ったんだけれどシンリョクカとリビアングラスが並んじゃってスピードが落ち着かなかったんですよね。馬場も重めだったみたいだし、消耗戦に。
ここをジワリと前にいるハーツコンチェルト、サトノグランツ、サヴォーナをまとめて差し切ったブローザホーンは一枚実力上でしたね。ちょっと地力が違うところを見せた。これは今後も楽しみな勝ち方。
2〜4着は4歳世代が占めたのだけれど、2着は実績のある上にあげた2頭と違い3歳時はあまり評価されてなかったサヴォーナが同世代を捲くってきた感じ。神戸新聞杯で10番人気ながら2着に入っているし、菊花賞でも5着と掲示板に載っているので、実力に人気と実態が追いついてきたというべきか。3着のサトノグランツがハンデ戦というのもあって57.5キロを背負い、サヴォーナが56キロと斤量に差があったのもあるんだろうけれど、クラシック三強に追いつき追い越せの中ではベラジオオペラに続く位置くらいにはつけたんじゃないだろうか。
グランツはとりあえず菊花賞10着の大敗からは立て直せたんじゃないかと。ハーツコンチェルトも外外回らされての4着は悪くはなし。ただ新馬戦以来勝ってないのも確かなんで、とりあえず2勝目欲しいわなあ。






雅ステークス レース回顧   

4歳以上 3勝クラス (混合)(特指) 定量 京都競馬場1,800メートル(ダート・右)

重賞でもない3勝クラスのレースなのですけれど、この馬には言及せざるを得ないでしょう。ってかしたい。

ヤマニンウルス。牡4歳。ひとよんで和製フライトライン。フライトラインという馬は21年22年の2年間に走った馬で6戦無敗。この馬が伝説の世界最強のダート馬と呼ばれるのは、生涯無敗というだけではなく、すべてのレースでろくに鞭も使われずに圧勝。合計着差は驚きの71馬身6レースで71馬身って平均10馬身超えてるんですけど!? この伝説を100年前とかじゃなくつい数年前に作り上げたのが、このフライトラインという馬でした。
んで、ヤマニンウルスはそのフライトラインの日本版、という評判を与えられているんですね。衝撃の新馬戦で2着に4.3秒差をつけての大差勝ち。これレース映像見てもらったらわかるんですけれど、あっけに取られます。これは1984年以降のJRA平地最大着差だそうで。2着のゴライコウは後にJBC2歳優(jpn3)を勝っていて決して弱い馬じゃありませんでした。
とはいえ、新馬戦で衝撃的な勝ち方をしても、その後パッとしないという馬は山ほど居ます。
ですがこのヤマニンウルスは走ったレースすべてでノーステッキで圧勝。とんでもねー強さを示し続けているわけです。
ただ、足元がとても弱くてどうしてもレース間隔をあけないといけないために、3歳時も2戦しか出来ませんでした。
そして今回はようやく足元が固まってきたようで前走11月の出走から2ヶ月での4戦目となったのです。
単勝倍率1.3倍。ギリギリまで1.1倍でしたけど、最後にちょいあがりましたね。
んでもって肝心のレースです。



武豊、さいごまでムチを入れることなく悠々とゴール。完勝であります。
これでヤマニンウルスもOP入り。群雄割拠のダート戦国時代についに最後の大物が乗り込んでいくことになります。
今年のダート戦線はほんまにどえらい盛り上がりませ。


第69回東京大賞典競走 G1 レース回顧   

サラブレッド系 3歳以上 定量 大井競馬場2,000メートル(ダート・右)

一年の競馬の締めは有馬記念派、ホープフル派が多いでしょうけれど、近年ネット投票が盛んとなり地方競馬も気楽に馬券が変え、レース映像も配信を中心に気軽に見れるようになった事から、この29日にレースが行われるダート中距離の2000メートルを東京は大井競馬場で走る東京大賞典を競馬の締めとする層も増えてきたんじゃないでしょうか。
特に今年はダート戦線が燃えに燃え、盛り上がりに盛り上がっていましたからね。
この東京大賞典には、中距離戦線を主戦場とする名だたるダートの最高峰が集まりました。
集まりすぎて、今年は地方からの参戦が極めて少なくなり、9頭立てという超少数精鋭が覇を競うレースと相成りました。
そして、地方から数少ない参戦馬として、南関東三冠を無敗で勝ち抜いた地方の怪物ミックファイアがついに中央の馬たちと激突する、という熱い展開になったんですね。

そんなミックファイアを迎え撃つのは
去年のこの東京大賞典の勝者であり、今年はドバイでワールド制覇という偉業を成し遂げた、本番以外は超やる気なし、ステゴ産駒の個性ありすぎという部分をこれでもかとぶち撒けているグータラ大将ウシュバテソーロ。
今年に入って一気に頭角を現し、初のJpn1級レースとなるJBCクラシックで圧巻の完勝をしてみせたキングズソード。
まさかの有馬記念とこの東京大賞典のダブル登録で話題を読んだ、芝にダートに海外にとあまりにとんでもないローテーションからサイコロで出走するレースを決めている、という噂がまことしやかに流れる流浪人ドゥラエレーデ。
去年のジャパンダートダービーを勝ち、去年の東京大賞典、秋のJBCクラシックで2着とこの大井競馬場ダート2000のレースで無類の強さを誇るノットゥルノ。
今年重賞3連勝。JBCクラシックこそ5着だったものの、先のチャンピオンズカップでは12番人気の人気薄から2着と激走、若き原優介を鞍上に迎えて勇躍するウィルソンテソーロ。
前走チャンピオンズカップこそ二桁大敗してしまったものの、船橋のダイオライト記念。京都の平安Sと距離も舞台も全然異なる重賞レースを勝つ融通無碍なる走りっぷりのグロリアムンディ。
8番人気のテンカハルも、重賞勝ちこそないものの、近3走OP戦勝利も含めて重賞も馬券圏内と手堅く纏めていて。
まあガチのメンバー揃ったものでした。クラウンプライドなど、チャンピオンズカップ組は間隔近いこともあってだいぶ回避しましたけれど。

レースはスタートからいつもは後方に位置するウィルソンテソーロが、まさかの積極策で原優介気合の逃げで始まりました。
これがまた途中でしっかりと息を入れつつ後ろに余裕を持たせない厳し目のペースで……逃げとしては抜群の走りだったんじゃないでしょうか。実際、着順はほぼこの隊列通りに決まり、上位は逃げから先行勢が独占することになりました。
唯一、最後方から砂の上とは思えない鋭い豪脚で突っ込んできたウシュバテソーロを除いて。
いやいやいや、この先行有利の展開で直線だけで伸びてきてゴール前できっちり半馬身躱してゴールする勝ちっぷり、格の違いってやつですよ。このメンツ相手にこんなレース。
やっぱりとんでもないですわ、ウシュバテソーロ。怪物です、怪物。

2着には逃げ粘ったウィルソンテソーロ。原くん、勝てなかったですけれどチャンピオンズカップに引き続き低い人気を覆す2着入線は大したもんです。このままお手馬にさせてもらえたらいいんですけどね。
3着にはドゥラエレーデ。宝塚、セントライトであまり良い結果を残さなかったのと対照的にチャンピオンズカップとこの東京大賞典で一定の結果を残せたことで、さてこのままダート路線に固定するのか否か。

期待の南関三冠馬のミックファイアは、結局体調が戻り切っていなかった部分もあるみたいで。スタートで行き足がつかず、折り合いもつかずに暴れていた、というのもあって良いところなく初の敗戦を8着という形で迎えてしまいました。
まだ中央の壁は厚いか。古馬になってこれを乗り越えられるくらい成長して欲しいところなんですが、中央同世代にはデルマソトガケというUAEダービーを勝ち、あの世界的大レースBCクラシックで2着に迫ったとんでもないのがいるからなあ。

と、今年も競馬界最後の最後まで楽しませていただきました。
イクイノックスの勇躍を筆頭に、脳を焼かれるような痺れるレース満載で、いやあ凄い年だった。



第40回ホープフルステークス G1 レース回顧  

2歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

朝日杯フューチュリティステークスが芝1600で、ここを走った馬の少なくない数がマイル路線や短距離に向かうのに対して、旧ラジオたんぱ杯→ラジオNIKKEI杯2歳ステークスの変遷を経てきたこのレースはより顕著にクラシックを意識しているレースと言える。
と言っても、たんぱ杯からホープフルに変わりG1となって以降、勝利馬からは皐月賞を勝つサートゥルナーリア。三冠馬コントレイルを輩出したものの、初代G1馬のタイムフライヤーはダートへ。ダノンザキッドはマイル路線。キラーアビリティはローカル重賞を遍歴する事になってしまった。いや中央もちゃんと走ってるんですけどね。そして去年のドゥラエレーデに至ってはサイコロの旅に出てしまった。
G1になって6年で、以降クラシックを勝ったのが2頭というのは打率として微妙とまでは言いづらいか。ただ順当に中長距離の有力馬となり得ていないケースは多いと見ていいんじゃないかと。
ダノンザキッドにしてもドゥラエレーデにしても路線完全に変えちゃってますしね。
ただ、勝ちに届かなかった馬、全然上位に食い込めなかった馬でも後々G1馬になった馬はけっこう居ますので。パンサラッサにジャスティンパレス、タイトルホルダーと今年に至るまで競馬界を引っ張るような超大物に育つ馬がこのレースを経由していた、というのは覚えていてもいいかもしれません。

さて、今年はというとホープフルS始まって以来の初めてとなる牝馬が勝利をかっさらっていきました。
ルメール鞍上のレガレイラ。後方でじっくりと脚をためて、4コーナーで外に膨らみきらないように曲がって直線で前の空いた外に持ち出し、一気に脚を爆発させ後方一気で前を一掃。んまあ、強い勝ち方でした。
本命の一角と目された松山くんのゴンバデカーブースが風邪引いておやすみ、というのを含めて2頭の出走取消がありましたけれど、他の牡馬を寄せ付けない貫禄の勝ちでありました。
レガレイラは来年、牝馬ながら皐月賞参戦を匂わせていて、牡馬クラシックへの殴り込みを画策している模様です。
現状では2歳牡馬戦線は朝日杯フューチュリティステークスを勝ったジャンタルマンタル。
ホープフル2着のシンエンペラー。
今回出走できなかったものの、出世レースのサウジアラビアRCを勝っているゴンバデカーブース。
朝日杯2着のエコロヴァルツ。
他にダノンエアズロックや札幌2歳Sを勝ったセットアップ。朝日杯で大暴走しちゃったけれど、素質はぴかいちのシュトラウス。
このあたりが有力どころですか。
矢作師匠に怒られてたけど、坂井瑠星のミスタージーティーもちゃんと走らせれば馬券圏内はあったぐらいの脚はあったんで、けっこう将来性ありそう。
アドミラルシップも低人気覆して4着入ってるあたり、見込みあるかしら。姉のライラックと同じくしぶとく根性ありそう。
2着にシンエンペラーはムルザバエフがだいぶ無茶して過怠金取られてましたが、早め先頭に立ったことでだいぶフワフワしちゃったみたいですね。最後までびっしりちゃんと走ったらこれ普通に勝てててもおかしくなかったでしょう。
3着のサンライズジパングはずっとダート戦で走ってた馬なのに、いきなり芝2000で3着に入ってきたのはちょっと驚き。いや、スムーズどころか道中なんども不利食らってたのに食い込んできましたからね。
まあ年明けてから伸びてくる馬も沢山いるので参考程度ですけれど。
まだこうドカンと今の段階でど迫力を放っているようなオーラを持つ馬は見当たらないだけに、レガレイラ皐月賞に出ても人気集めるかもしれませんね。

タリフラインは残念ながら骨折で競走中止。予後不良となってしまいました。サトノダイヤモンド産駒として躍進を期待したい所だったのですけれど。残念です。


第68回有馬記念 G1 レース回顧   


ああ……凄いレースやった。もうブルブル震えるようなレースやった。敵わんなあ、たまらんなあ。

1着 ドウデュース。

武豊、復活の勝利。怪我で秋にこの馬に乗れず、しかしこのおドウに乗るために50を超える年齢にも関わらず、驚異的な回復力で帰ってきた男。この日曜日、武さんが乗ったのはこの一鞍のみである。
こんなんもう、劇的すぎるやろう。イクイノックスが去ったあと、そこで最強を証明したのはイクイノックスに勝ったこの牡である。あのイクイを倒した馬が、易易と負けてたまるかよ。
お前がいなくなっても俺がいる。それを名実ともに証明してみせた、最強の走りでありました。そして、人馬一体最高のコンビってのはこういうのを言うんだよ。松島オーナーも、なんかもうたまんないでしょうね、これ。
レースの方はまさかの後方から。しかも後方2番手あたりで序盤進めましたよね。これは意図的だったんでしょう、武さん前行かす様子も見えませんでしたし。このレースにおけるドウデュースにとっての最適解がそこだと見込んだのか。後方でじっくりとおドウの走る気を落ち着かせつつパワーを溜めて、ってこの塩梅の見極めはまさに相棒たる武豊にしか出来ないコンビプレイ。
リリーフした戸崎さんがあかん、ってわけじゃないんですけどね。むしろ、天皇賞秋、ジャパンカップと難しい馬であるドウデュースをすごく丁寧に乗りはったと思うんですよね。武豊は十全ドウデュースの力を引き出せる相棒でしょうけれど、その十全に足るパワーを損なわずに充填したままバトンタッチした戸崎さんには頭さがります。
白眉はやはり3コーナーから馬なりで上がっていくシーンでしょう。この時点で手応えがもう化け物だった。このドウデュースがダービーだけに一発屋じゃない本物の怪物級だと思い知らせてくれた京都記念のすさまじい勝ち方を彷彿とさせる馬なりで位置をグイグイとあげていくあの走りは、痺れたなあ。
そして最後のスターズオンアースとの叩きあい、ゴール寸前で粘るタイトルホルダーをきっちり躱してゴール板を突き抜けたシーンは、もう今年もこれ伝説の有馬記念でしょう。最高じゃないですか、なんだこれ、もうなんだこれ!?


ふぁあああ

あと、青嶋アナのゴール前の実況はもうこれ最高でしょ。


2着スターズオンアース。
だからこの馬もルメールも怪物か!? 魔の8枠絶望の16番を引きながら、ついに馬券圏内に叩き込んできましたよ、この一頭と一人と来たら。
スタートがまた素晴らしいのなんの。あのロケットスタートが大外枠ながらあの絶望領域を突破する最大要因だったんじゃないでしょうか。あれでほんと大外のロスを最低限に減らせたと思う。抽選会であの枠順引いちゃってからずっとルメさんこのスタートに賭けることを考えてたんだろうなあ。このスタートをクリアすることが、スターズにとっての勝ち負けになる条件だとルメール覚悟据えたんでしょう。
対照的にこの大外枠の不利を思いっきり踏んでしまったのが15番のスルーセブンシーズ。スタートから後方に置いていかれ馬群の一番外側を回らされ、しかも前に他馬を置けない状態になり馬が落ち着かずにもうかかりっぱなしになってしまいました。ドリジャ産駒のアウトなところがもろに出てしまった感じ。目一杯の仕上げもメンタルのキレキレ具合に繋がっちゃったんでしょうか。馬群の中で脚をためる展開になっていれば違ったんでしょうか。いずれにしても、持ち得る力を発揮できずに沈んでしまったレースとなりました。
対してスターズはもうルメさんマジックですよ。それに応えるスターズの実力も半端ない。
惜しむらくは、本当に惜しむらくは3コーナーでスターズうちによれちゃったんですよ。柵に激突して急減速してしまった。ここから再加速して再び2番手に出るんだけれど、このロスが本当に大きかった。まじでこの分だけドウデュースに遅れを取ったって感じなんですよね。まさに同じこの時に馬なりで位置あげていったドウデュースと対称的な展開になってしまった。
まじでこれなかったら勝ってた可能性十分あります。惜しい。もうめちゃくちゃ惜しい。
ともあれ、本調子で走った時のスターズオンアースはやっぱり怪物です。リバティにだって負けないよ!

そして3着。3着にタイトルホルダーですよ。感動した、もう感動した、頑張った、よく走った。引退レースに相応しい激走でした。横山和生ジョッキーのカッコよかったというコメントが全部代弁してくれてますよ。めちゃくちゃ格好良かったよ、タイトルホルダー!! ラップ見たら、和兄さんまあ完璧なタイムですよ。タイトルホルダーに求められる最適の走りをしてみせた。
惜しむらくは、全盛期からはやはり衰えが見られたことか。スタート、全盛期ならもっとスルスルと抜けて先頭に立って、もっと勢いの余裕稼げていたんじゃないかな。そして最後の直線、かつての無尽蔵のスタミナをもってすればもう一声残せたと思えてしまう、願ってしまう。
それでも、このラップで引きずり回して皆の切れ味叩き潰してくれましたからね。往時の殲滅戦を彷彿とさせる、後ろを引きずり回す圧巻の走りの一欠けを最後にもう一度見せてくれたことが嬉しい、本当に頑張った、カッコよかった。そして、ジャスティンパレスに最後の最後まで前を譲らなかった意地。
エースの引き際、見せてもらいましたよ。


4着にジャスティンパレス。
スタートで行き足が伸びず最後方からの競馬になってしまいました。元々後ろから行く馬ですけれど、タイホにこのペースこの展開にされるとやはり苦しい。それでも、4着にまで伸びてくるのはこの馬の強さと思っていいでしょう。ドウデュースにこそイクイの後継の称号を持っていかれてしまいましたが、来年もう一度まっこうからドウデュースと世代最強、現役最強を競うがよい。

5着シャフリヤール。
完璧ピークに持っていった香港に出られず、この海外からの緊急輸送という体調整えるのが難しい状況で、まじで掲示板外さなかったな、シャフリヤール。これは万全だった香港で走ってたら絶対勝ってたよ、と考えちゃうよね。そして、どんな状況でも常にベストを尽くし、常に結果を残してきたシャフリヤール、まさに偉大なる馬でした。これで彼も引退ですよ。いやああんたもすげえダービー馬だったよ……あれ? 引退じゃないの!? 現役続行なの!? どっちなの!?

6着タスティエーラ
3歳の牡馬たちはまだまだこのメンツの中に入ると1段力不足……なんかないってばよ!! 最後の直線、内に切り込んできたジャスティンパレスと内にいたスルーセブンシーズとの間に挟まれて思いっきり進路潰され急ブレーキ進路変更。そっからもっかいギア入れ直して再加速して猛追したの、根性ありますし実際強かったと思いますよ。あそこパレスに一歩負けずに身体ねじ込めていたらパレスと同じ勢いでゴールまで伸びてたくらいありそうでしたよ。プラス18キロ分一瞬の瞬発力が必要だったんだろうか、この場合。いやでも、こんなもんじゃないってレースはしたと思う。来年、この馬の本気を是非見てみたい。

7着ウインマリリン
しれっとこのメンツの中で7着に入っちゃってるマリリン、まじ名牝すぎませんか!? いやもうまじでタイホに追いつけ、おドウとスターズに負けるな、とばかりに追随してギアあげてぶっ飛んでくる集団の中にしっかり混ざってるんですから。最後までみっともないレースはしない、最後まできっちりと走り切る22戦して半数を超える12戦をG1で走った最前線の散らぬ花のような強い女性でありました。これからは繁殖にまわりスクリーンヒーローの、グラスワンダーの、ダイナアクトレスの血を母系で繋いでいってください。


8着ソールオリエンス
案の定、最内枠1番で苦しみ馬群で揉まれ、前を塞がれ行くに行けないまったく競馬できないレースとなってしまいました。行こう行こうと馬はしてるんですけどね。やっぱり川田ジョッキーはこういう展開だとこうなっちゃうよなあ。

ハーパーはまだまだこれから。上澄みの同世代と比べるとどうしても格が違ってるけど、ここから成長して追いつけるかしら。
ライラックもちょっとまだ力不足でしたね。後方から前に行けなかった。
ディープボンドは良いところ無しでしたねえ。こういうレースの場合は前で前でで競馬してほしかったけれど、そういう位置取りがほんと出来なくなってきている。馬にかつてのみなぎるような覇気ややる気がだいぶなくなっちゃってる感じなんだよなあ。


いや、改めて振り返ってももう素晴らしいレースでした。一年を締めくくるレースに相応しいドラマが満載で、勝った馬も負けた馬も総じて「強い!!」と思わせてくれる感じさせてくれるレースなんて早々ありませんよ。
個人的にはタイトルホルダー推しだったんで、もうタイホタイホで感動しっぱなしの有馬記念でした。
菊花賞のあの幻惑の逃げで脳をやられ、天皇賞(春)の殲滅戦で脳を焼かれ、以来ずっとタイトルホルダー推しだった身としては、この最後のレースはたまらんものがありました。
ようやった、本当に格好良かった。もう泣くわー!!
これからは種牡馬として、早世した父ドゥラメンテの後継種牡馬として、イクイに負けない産駒の活躍を期待させてください。タイホの子供かーー、今から想像しただけであがりますわ。




 

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5月22日

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5月20日

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5月19日

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