笹木さくま

不殺の不死王の済世記 ★★★☆   



【不殺の不死王の済世記】 笹木 さくま/葉山 えいし ファミ通文庫

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アンデッドによる、人間のための、平和な世界征服!

伝染病で死にかけていた少女ミラを救ってくれたのは、禍々しい動く骸骨、不死王・テリオスだった。テリオスはスケルトンを労働力として提供し、生き残った子供たちに勉学まで教えてくれた。最初は怖がっていた子供らもその誠実さに打ち解けていく。特にミラは才能があると魔法まで教わり、テリオスの弟子としてメキメキと才覚を伸ばしていた。しかしある日、スケルトンが出没していると国から討伐隊が派遣されてしまい――!? 誰も殺さず世界征服を目指す不死王と、彼を支えた銀髪の乙女の伝説、開幕!

まーた、極端から極端に走る人だな、この不死王様。
この人が前回失敗したのって、やりすぎが原因だと思うんですよね。その時その場面そのケースによって、対応や対策は変える事が回り道に見えても結局は最短距離を走ることになると思うのだけれど、彼の場合わかりやすい最短距離、身分も関係も性差も年齢も関係なく障害になるものを纏めて殺しまくったが故に誰もついていけなくなり、また感情的なしがらみが生じてしまった為に彼自身思わぬ形で、多分外から見れば必然のように足を引っ張られ、彼の所業は否定されて、世界に平和をもたらすため、世界中の人々が安寧に暮らせる世界を作るための戦いは幕を下ろしてしまったわけだ。
これを、不死王様は失敗の原因を、殺すことによって世界を平和にしようとしたからだ、と思ってるようなんですね。人間である以上、寿命というリミットが在り、自分一代で長く長く続く平和を作ろうとするなら、最短距離を突っ走らなければならなかった、という理由はわからなくもないのですけどね、ほんと。
でも、じゃあ今度はアンデットになって永遠に近い時間があるから、慌てず焦らず、前は殺すばかりでダメだったから今度は絶対に殺さないで世界を平和にする征服を進めよう、と思うのはやっぱりなんか変じゃないですかね。
それは決して間違ってない立派な思想だとは思うのですけれど、彼の心に「命」を尊ぶ想いや慈愛が存在するのかというと、ちょっと微妙な感じがするのである。命の重みというのを、果たして彼は実感できているのだろうか。数字や建前で数えていないだろうか。
もちろん、身近に接した近しい人たちに対してはとても優しい慈しみを抱いていて、手の届く近い範囲の相手に対しては普通の感情を持っているとは思うのです。これ、アンデット化する前の生前でも部下に対する態度なんかを見ているとあんまり変わってない感じがするので、生来の性質なんじゃないのかな。
そんでもって、アンデットと化して永遠の不死を手に入れたことで、もし世界を征服出来たならば寿命に邪魔されずに自分の手で永遠に平和を維持できると思っている。心の底から、善意と使命感を持ってそう考えてるんですね。
……いや、やばくないですか? そうやって作られた平和って箱庭どころか鳥かごとか飼育小屋とか、そういう類のものなんじゃないだろうか。
どれほど強力な力を持っているとは言え、独力で事をなすには限界がある以上、不死王さまは生きている人間の協力者を求めていて、とある人間の野心と下卑た浅ましさを原因とした偶然によって、疫病によって壊滅した村で最後に残り死を待つばかりだった子供たちを救い、それを恩に着せて、というほど情がないわけではないのだけれど、助けたのをきっかけに彼女たちの手を借りることになる。
そのうちの一人、年長でもあるミラという娘に魔術の才があり、その聡明さも相まって彼女が弟子となる事を請い、ミラとともに不死王さまは覇業の一歩目を歩き出すわけだ。
できれば、この賢いミラという娘に不死王さまの考え方に何らかの掣肘をもたらす役割を期待してみていたのですけれど……むしろ信者になっちゃってますね、これ。
狂信、というほどにはのめり込んでいないのですけれど、不死王さまの語る平和な世界に心打たれ、積極的な協力者であり支持者として率先して動くようになっている。
確かにこの時点で不死王さまの目指すものというのは、大人を疫病で全滅させられ失ってしまい、誰からも助けて貰えなかったミラたちにとっては眩しいくらい理想の世界なんですよね。いや、賢いミラだからこそ、不死王の語る平和を理解できた、というべきか。他の子供たちはよくわかってなくて、ご飯を食べさせてくれる優しい不死王様に懐いているというだけで思想に共感しているわけじゃないし、ミラの幼馴染の男の子もその反発はミラを取られたように思っているからで、難しいことは考えてないんですよねえ。

ただやっぱり、不死王さまの理想は生きる人間にとっては異質に感じられるのだ。
ミラたちの村が所属するエリュトロン王国。そこで起こった内紛に、不死王さまは介入することになるのだけれど、彼が味方することになる現王派の騎士たちは、聖騎士のディーネをはじめとして不死王さまがアンデットという魔物ながら、理性を持ち理想を持ち子供たちに慕われるだけの優しさを持つ悪しき存在とはかけ離れた、信頼に値する人物だ、と……まあ、幾度かの衝突を経て受け入れてくれるわけだけれど。
ただディーネをはじめとして、彼の誰も殺さない世界征服を、その思想を受け入れた、というわけじゃないんですよね。疑念を持ち、違和感を感じ、彼の力を借りなければ周辺諸国からの侵攻も防げないし、味方としては信頼できる相手だと認めていながら、しかし一歩その思想からは距離を置いているようにも見える。
叛乱を起こし、自国民を犠牲にするような策を弄した敵に対して、不死王様は結局自分の理想を貫き譲ることなくミラの願いを考慮する形で、刑を処す事になるのだけれど、これってほんと生命体としては殺してない、というだけで、誰も殺さない世界征服、なんて言葉ヅラから想像するキレイなものからかけ離れた現実を、早々に突き付けた、とも言えるんですよね。

これまでの作品の傾向からしても、作者先生がこの不死王さまの語るお題目を心から素晴らしいものと信じて、これを叶えるために嬉々と物語を綴っている、とはもちろん思えません。むしろ現実主義……ふわふわと柔らかく慈しみの籠もった理想の世界を実現するために、土台で或いは裏側でシビアで無慈悲な現実と向き合い、対峙し、突き付けられたそれを乗り越える主人公たちを描いてきた作家さんですからね。
永遠に変わらない存在であるアンデットになったはずの不死王さまが、果たしてこのまま変わらないで居られるのか。変わらずに理想を保ち続けることが出来るのか。一度目の挫折を経験しても、この人単にベクトルを真逆にひっくり返しただけで何も変わってないとも言えるだけに、その彼を変える何か、或いは誰かにぶち当たることになるのか、興味をそそられるお話となりそうです。

笹木さくま・作品感想

暗黒騎士様といっしょ! 3.嘘つきは恋泥棒の始まり ★★★☆   



【暗黒騎士様といっしょ! 3.嘘つきは恋泥棒の始まり】 笹木 さくま/乾 和音(artumph) ファミ通文庫

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「アルバよ、ワシの恋人になってくれ」―暗黒騎士一行は迷宮の第三階層まで進んだはいいものの、新種や突然変異のモンスターが出現したため攻略難易度が跳ね上がり、先行きに不安を募らせていた。そんな時のガーネットの告白に盛大に動揺するアルバとルーファ。なんでも彼女に冒険者を辞めさせるため結婚話が持ち上がったという。大事な仲間の危機に、アルバは上手く恋人役を務められるのか―!?暗雲渦巻く伝説の暗黒騎士の新たな伝説、第三幕!

ガーネット、殆ど喋らないアルバとなんであんなにも意思疎通できるのかと思ったら、ガーネットパパが同じく極めて無口なタイプだったのか。ちゃんと根拠というか理由があったのね。てっきり、特に理由もなく以心伝心なんだぜ、なのかと思ってた。ガーネットがしっかり者の気遣い上手というキャラ付だけで多少読心が出来ても変じゃないよね、と思わせてくれる人徳の持ち主でもあっただけに。
だからこそ、アルバみたいな迂闊者というか世間知らずというか色々と鈍い青年にはガーネットみたいなしっかり者がお似合いだと思うんですよね。時代は常に姉さん女房が至上なんですよ。
ただガーネットの場合本気でアルバに対しては恋愛感情はないっぽいんですよね。好意は多分にある、それこそ仲間に対する信頼以上に大きな親愛を抱いているのは確か。多分だけど、何らかの理由でアルバと結婚しなくてはいけなくなったとしても、なんの文句もなくそれを受けるだろうしきっと円満な夫婦生活を送れるだろう、というくらいには好意を抱いていると思うんですよね。いつか自然と愛情へと変わるだけの好意が。でも、それは恋ではないんですよね。
自分はだから、こんなガーネットだからこそ、本気で恋をしてしまう、恋に落ちてしまう姿が見てみたくもあったのです。ただ残念ながら、婚約者候補との顔合わせで色々とトラブル騒動はあったにも関わらず、終わってみたらガーネットもう平常運転で、特にドキドキしている様子もなかったのでそれがなんとももったいなく。いや、軽々と浮つかないのがガーネットらしさなだけにそれでこそ、ではあるんですけれど。その彼女を揺るがすだけの何かが今の段階ではまだ無い、というのがいささかもどかしくもあるのです。

さて、ルーファとガーネットがアルバとともにダンジョンの最下層を目指す原因であった災厄の目覚めの前兆がどんどん顕著となっていき、現状維持のためにルーファの妨害を続けていた皇帝が自ら出馬してアルバたちの前に立ちふさがる事態に。
ルーファが語っていたような現実を無視して既得権益にしがみつき、それを邪魔する輩を排除しようとする害悪、というわけではなくちゃんと皇帝陛下は陛下で状況を正確に把握し、娘であるルーファを気遣っていた、というのはわかってよかったんだけれど……。
いやでも結局、対処を諦めて安楽死上等みたいな諦観に落ち着いたってるのって、やっぱりアウトじゃないんですかね!? この人も為政者として決して無能ではないんだろうけど、割り切り方がシビアすぎる上にそこに情が深く絡んじゃってるあたり、国家元首とか向いてないんじゃないかい!?
完全に権力に対して倦んでる傾向があるし!
ダンジョンを抱える国家を統べる責任者として、個人としても強くないと皇帝継げない、というシステムがなにげに脳筋すぎてダメだったんじゃないのか、これ?
いやまあ一番強い人でも、どうしようもない事態になってもじたばた最後まであがき続ける、というスタイルの人もいるだろうし、一概に国で一番偉いやつになるにはパワー重視! じゃダメってわけじゃないんだろうけどさ。
皇帝位の継承についての宣言、グダグダやっているよりはよっぽどマシではあるんだけれど、自分自身で大鉈奮って国家体制を一纏めにする選択を見事に放り投げて後は任せた、になっているあたりわりとなんともはや、な感じである。まあ、自分では出来ないという自覚あってのことだろうし、最有力候補なルーファをあえて指名してしまえば、彼女が文字通り親族姉妹を粛清しまくる血塗られた道を歩む羽目になってしまうだけに、それを選べなかったというのがあるんだろうけど。
まあそういう難しい問題関係ないアルバからすれば、最下層まで到達して真実を確かめる、というシンプルな目標に邁進すればいいだけなので、ただ頑張ればいいんでしょうけどね。それで取り返しのつかない立場に追いやられても、どうせ彼には何も出来ないんですし。ただルーファにもあんまり期待できないだけに、色々と面倒はフォローはやっぱりガーネット頼りになってしまう気がするぞ。

シリーズ感想

暗黒騎士様といっしょ! 2.武士道とは恋せよ乙女と見つけたり ★★★   



【暗黒騎士様といっしょ! 2.武士道とは恋せよ乙女と見つけたり】 笹木 さくま/乾 和音(artumph)  ファミ通文庫

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「お主臭いぞ」というガーネットの一言で迷宮探索をお休みすることになった日。漆黒鎧を洗濯中のアルバが出会ったのは、史上最速で六階級冒険者に昇りつめた神速のチドリだった。チドリはアルバが目の敵にしている暗黒騎士と気づかぬまま、剣の稽古にデートにと親交を深めてしまう。一方、チドリの所属するクラン・白翼団は、国の命令で暗黒騎士の暗殺計画に協力することになり―。恋と野望が交差する、伝説の暗黒騎士の新たな伝説、第二幕!

アルバってば、思ってることがもうガーネットにはダダ漏れを通り越して、全部読心で読み取られてるんじゃないか、というくらいに正確に伝わっているの、もうこれ喋ってるのと変わらないんじゃないの!? ガーネットだけならともかく、ルーファ姫の方もなんか普通に伝わってるし、アルバのあんまり喋らない設定ってもう意味成してないような気もするのだけれど、新参のチドリ相手ならまだ需要はあるのか。
そのチドリの方は、偶々素顔で会ってしまったアルバに即座に陥落。ってか、イケメン好きすぎる。いや素顔のアルバが美形極まっている、というのもあるんだろうけれど、チドリって父親の復讐でガチガチに鎧っているだけで中身は武人気質というよりも乙女気質よりだし、王子様願望が強いようなので、アルバはストライク過ぎたんだろうけど。
それにしてもチョロすぎる!
いやこれ、アルバじゃなくてもイケメンで口説き文句の上手い男なら誰でも堕ちたんじゃねえの!? と思ってしまう程度にはチョロい! 史上最速で六階級にあがった、ということは冒険者になって殆ど間を置かずに実力者の仲間入りをしてしまったわけですから、気安く声をかけられるシチュエーションとか少なかったのかもしれないし。
まあアルバの剣術流派が自分のそれと似ている、という共通点なんかもあって色んな意味で話題が尽きないという相性もあったんだろうし……って、アルバ喋んないんじゃなかったのかいな、と思う所なんだけれど、やっぱり割と普通にコミュニケーション取れてるよなあ。

そのチドリが所属するクラン・白翼団もダンジョン深層の暗黒騎士をどうしても倒せずに停滞中。パーティーも勝ち筋が見えてこない相手に攻略断念も考慮に入れ始め、とどうしても暗黒騎士で行き詰まってしまうのか。アルバも強いは強いんだけれど、チドリと比べてそこまで突出しているという風でもないし、やり合うとなるととてもじゃないと敵いそうにないんだよなあ。ルーファとガーネットもまだ成長途中だし。チドリが今後協力してくれることになっても、パーティーのバランスはまだ取れてるとも言えないし、国からの妨害はいや増すばかり。残り時間も少ないのは、ダンジョン内の変容からも明らかで、どこかで三段飛ばしくらいでステップアップしなければいけないんだろうけど、どうにも目処が立たないなあ。
国王も本腰になって妨害に入ってくるようだし、さてどこに打開策があるものか。

1巻感想

暗黒騎士様といっしょ! ~勘違いから始まる迷宮攻略~ ★★★  



【暗黒騎士様といっしょ! ~勘違いから始まる迷宮攻略~】  笹木さくま/乾 和音(artumph)  ファミ通文庫

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「暗黒騎士様、迷宮を踏破して帝国を救ってください!」
助けたエルフの少女は駆け出し冒険者アルバにそう頼み込んできた。どんな願いも叶うという迷宮には帝国を滅ぼす秘密が隠されている。帝国の民を助けたいと懇願するエルフの少女・第七皇女ルーファ。勘違いでも「女の子の頼みを断るのは格好悪いよね」と祖父からもらった漆黒の全身鎧と鮮血のごとき赤い魔剣を携えアルバは、少女たちと迷宮攻略に挑む!伝説の暗黒騎士による新たな伝説がいま始まる!?
いや、これ暗黒騎士鎧マジでカッコよくないですか? もはや全身鎧じゃなくて強化外骨格とかそういうレベルですし。ただスタイリッシュすぎるのはともかくとして、顔はガチで怖いんですけど。あの血塗れの武器といい、製作者の爺ちゃんの趣味相当にアレなんじゃないだろうか。ってか、これでよく普通に街に入れたなあ。これは普通に不審者でしょっ引いても職務の範囲だと思うぞ、衛兵の人。
ただ、暗黒騎士の中の人は呑気すぎるんですよね。わりと脳内ではペラペラと目まぐるしいくらい考えているのに、それを表に口に出して言わないものだから完全に無口な人である。この凶悪な顔面兜で何も喋らなかったらそりゃ怖いわ!
挙げ句、途中から喋らなくてもある程度意思疎通が出来る、というか勝手に考えてることをかなり正確に読み取ってくれるガーネットが一緒に行動することになったせいで、とりあえず伝わればいいやな案件はガーネットに読み取ってもらうことにして、横着して本気で喋らなくなっちゃうし。
その上、田舎者を極めているせいか自分の価値観で勝手に決め込んで判断しているせいで、勘違いが加速する上に相手とお互い考えることが違っても喋らないから齟齬の修正が叶わないので、どんどんそれぞれが思い込んだまま突き進んじゃうんですよね。相手のルーファもあんまり相手の話聞かない、というか自分で決めたら相手の話も意見もあんまり聞かないタイプだし。
一応、ガーネットという意思疎通の橋渡し役がいるんだけれど、アルバもルーファも結局人の話聞かないので全く橋渡しになってないんですよね。この子、なんのためにいるんだろう、と思えてくるくらい。ツッコミ役? 誰にも聞いてもらえないツッコミ役というのもなかなか寂しいですよ? アルバの理解者であるはずなのに、ガーネットの方は誰も理解してもらえないという。ヒロインとしても、なんか聞き役察し役で目いっぱいになってしまっていて、それ以外の存在感が微妙に足りないのがなんともはや。
最低限、肝心の迷宮攻略してください、というルーファの願いは届いているんだけれど、それ以外の細やかな部分の意思疎通はほとんど図れていないまま、というのはこれパーティーものとしてはどうなんだろう、と思うところなんですよね。アルバのあの途方もない暢気さ、世間知らずなぽややんなところは、中身の正体が明らかになったとき微妙に納得がいったのですが。人間の男の子ならもう少しちゃんと考えたほうが、と思ってたんだけれど、なんというか妖精さんなら仕方ない、みたいな?
ともあれ、今のところ一緒の方向を向いているにも関わらず、勘違いと齟齬が重なって本当の根本的な部分ではバラバラなままなようにも思えるんですよね。少なくとも、せめてちゃんと意思の疎通はしてほしい。

笹木さくま作品感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 6.「なんと、我と結婚したいと申すか!?」 ★★★★  



【女神の勇者を倒すゲスな方法 6.「なんと、我と結婚したいと申すか!?」】  笹木さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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女神の脅威は去り、世界に平和が訪れた―とはならず、信じるものを失った人間社会は乱れに乱れていた。勇者不在からの魔物の跋扈、きな臭くなる国家情勢。白エルフたちの合コン問題、残った女神教の腐海化、リノちゃん同世代の友達がいないなど、難問が山積みとなっていた。人間と魔族の平定に奔走する真一だったが、アリアン、セレス、リノちゃん女性陣からのアピールも過激になり…真一が選んだ答えとは?ゲス参謀の異世界攻略譚フィナーレ!
一冊まるまる後日談、というのはこのご時世では贅沢な作りである。ただ、物語のテーマ上でも悪い神様を倒しておしまい、めでたしめでたしというのは随分と投げっぱなしではありましたから、世界の秩序である女神教の信仰をぶっ壊してしまったあとの新しい秩序、未来への筋道というものをきっちり描いて見せてくれたのは丁寧なお仕事だったと思います。
それでも、まだ十代の真一が自分の死後を考えてあれこれと世界中に仕込みを備えていく、というのはまだ若いのにもう最晩年のフィクサーみたいな境地を伺わせていて、いやちょっと枯れすぎじゃないですか!?と思ったり。
準備を整えていくことに越したことはないですし、軍師参謀大政治家の端くれとしたらその「備え」こそが肝心、という考え方は真っ当ではあるんだけれど、まだ普通に生きれば短くても半世紀近く現役、頑張ればさらに30年くらいマシマシで現場で働けるだろうに、さすがに気が早すぎやしませんか、と言いたかった。ここが、彼がどこか生き急いでいると感じさせられる部分だったのかもしれない。
大切な人を唐突に失った経験は、いつ誰が居なくなってもおかしくないという諦念を真一に植え付けていたのだろうか。長寿であるリノの未来に人間である自分やアリアンたちが居なくなったあとの時代が訪れることは確定しているんだけれど、どうにも「無くなった」あとのことばかり気にしていたような気がします。それは数々の備えにも伺えるんですよね。常に何事にも最悪の展開が訪れることを想定していて、それに備えた対処策、緩和策を用意して回っている。政治家に楽観論は禁物であり、彼の備えはすべて現実的、と分かっていても、なんともモヤモヤしたものが募ってくる。
真一には、一個人としての幸せが足りていなかったのではないだろうか。
だからこそ、これからなのだろう。これから、一人の青年として幸せを得て、自分の人生というものにゆっくりと腰を据えて向き合って欲しいものである。その必要性を、彼を愛する女性たちはちゃんとわかってくれているようだから、その点はほんと不安には思っていないんですけどね。安心している、と言っても良い。
理想の楽園とは程遠い、しかし着実に希望を積み上げていける優しい未来図。現実として様々な困難が立ちふさがっていることは、戦後処理で駆け回る真一の策謀が炸裂しまくり、協力者とも共犯者とも言える各国の首脳部とのつながりも機能して着実に成果と備えを積み上げながらも、だからこそ痛切に難易度を感じさせられるものだったけれど、それでも希望を感じさせてくれるというのはなんとも柔らかい気持ちにさせてくれる。
真一が、地球に残していってしまった家族にちゃんとメッセージを送れた、というのも気の利いた、というかなんというか、ケジメをつけられてよかったんだろうけれど……あれ、いきなり過ぎて後々両親じわじわとダメージくるだろうなあ。たとえ異世界で息子がちゃんと幸せになれたとわかっていても、親としては寂しいですよ。
その点、アリアンを見守れる赤竜さまは幸せ者です。まあこの人も将来、見送らなければならない立場だけに、その辛さもあるのでしょうけれど。
最後は、真一のガチのゲス要素が出てしまって、そこでタイトル回収しなくても、と思わず苦笑。いや、その結末は予定調和で誰もが望んでいたものだったはずなんだけれど、そのやり方はゲスすぎますよ、真一さんw

シリーズ感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 5.「そして日常へ……」 ★★★★   



【女神の勇者を倒すゲスな方法 5.「そして日常へ……」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫 

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魔王の機転により女神の襲撃から逃れ魔界に辿りついた真一たちは、反撃の糸口を探していた。しかし古い文献をあたっても女神の存在は見当たらない。代わりに判明したのは太古より存在する赤き竜の眠る場所だった。けれどアリアンの父であるはずの竜は、娘を前にしてもタヌキ寝入りを決めこむばかり。そんな竜から女神の真実を聞き出すため、ここぞとばかりに真一は策を披露するが―。ゲス参謀の策は強大な女神に届くのか!?異世界勇者攻略譚、決着!

面白かった! ライトコメディなノリではじまった本作だけれど、ラスボスの女神エレゾニアは全く冗談の入る余地がないガチのゲスだったがために、このクライマックスはかなりハードな展開に。
ってか、女神によって生き返らされた幼い頃に事故死した幼馴染の正体というか真実がエグすぎじゃないですか、これ? むしろ偽物とか別人の方が救いがあるんじゃないだろうか、という代物でかつてここまで人の尊厳を蹂躙し尽くしたものがあっただろうかというくらいなんですよね。
エレゾニアに比べたら、古今東西の偽物用意する悪役さんたち素晴らしく仕事が丁寧なんだと思い知りましたよ。エレゾニア、雑すぎる! というよりも、本当に状況に合わせた必要最低限のことしかしなかった、という事なんでしょうね。その場限りで良かった、ということなのでしょう。あまりにも舐め腐っている。あまりにも、真一が可哀想過ぎる。ここまで大切な思い出を穢されて、冒涜されて、許せるはずがなかろうに。
エレゾニアの正体とその過去が明らかになり、それに伴ってこの世界の真実、魔族やエルフ、この世界の構造の秘密なんかもわかってくるのですが、がっつりとSFだったのは勿論なんですけれど、古代の高度な文明が滅びて、魔族が生まれこういう世界になっていった、という成り立ちが見事に論理だったものになっていて、この過不足のない過去から現在に至る筋立てはちょっと気持ちの良いくらいキレイに整ったものでした。かなり最初からガチ目に設定作ってたんだねえ。ライトコメディ作品的な適当な世界観とは程遠いビシッと整備された世界観であることが、こうして歴史を紐解くことで明らかになる、というのは何とも心漉くものがあります。
それにつけても、同情の余地が一切見当たらないエレゾニアである。
いや、生い立ちなんかを考えれば余地はあったのかもしれないですけれど、そこからの言動は明らかに彼女自身によって積み上げられていったものなんですよね。環境がどうのという問題じゃなく。
挙げ句に、最後にはそのあったかもわからない同情の余地すらも自ら捨て去ってしまったわけですから。
それでもなお、和解を試みるリノちゃんの心根は尊重すべき純粋さであり決して非難すべきものじゃないけれど、現状やエレゾニアによって喪われたもの、苦しめられた人の想いに対してそれは無慈悲ですらあるんですよね。
真一が凄いなあと思うのは、リノちゃんの思うようにやらせてあげた上で、きっちりとリノのそれもまた暴力の一種であるんだよ、と彼女のあり方の良いところとその中にも悪しきものがあるというのを体験を添えて教えた上で、その先の選択を彼女に委ねるところなんですよね。自分でちゃんと考えて、選ばせて、責任をもたせる。
女神教をはじめとした盲目的に既存の教えに従う、誰かの言われた通りにして何も考えない、という思考停止に対してアンチテーゼを投げかけてきた本作らしい、アプローチでありました。リノちゃん命の聖女さまにも、最後ちゃんと一人の女の子と向き合わせてリノに対してだけ盲目的ではない、自分の考え、自分の感じ方というのをもたせるような描写もありましたしね。
一方で、大衆は場の空気の流れに逆らえない、というあたりは冷徹なくらい徹底して描いてもいて、ラストの大逆転劇はこれまでの積み重ねでもあったのですけれど、思いっきり情報操作と扇動でもありましたからねえ。理想と現実を起用に操る、ほんとゲス参謀の真骨頂ともいうべき策の弄し方でありました。
しかし、勇者たちの死んでもすぐに生き返る不死システム、思ってた以上に生々しい科学の産物で、具体的に描写されるとグロテスク極まるんですけど! これ、知ってしまうと精神崩壊してしまう死亡経験勇者、山程いるんじゃなかろうか。ちょっと耐えられん事実だぞ。実際、このあたりの情報は伏せる予定みたいだけれど。
これを知っていながら、エルフにドM戦隊を特攻させて、死なせまくった真一、マジで鬼畜なんですがw

ちょっとラスト、余韻が全然ないあっさりとした終わり方で、せっかくクライマックスから盛り上がってエピローグの余韻に浸ろう、彼らの関係やその後の世界の様子とかどうなるんだろう、と思ってたところでバッサリ切り取られたような感覚で、うえ!? と拍子抜けのような梯子外されたような感じだったのですが。
あれ? 続刊の発売予定が12月にありますよ!? まだ続くの!?

2巻 3巻 4巻感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 4.「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」 ★★★★   

女神の勇者を倒すゲスな方法4 「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 4.「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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あらゆる手を尽くし、女神教との一時停戦をもぎとった真一たち。次は“不死身の勇者”を生み出す女神そのものを倒すため各地を旅していた彼らは、かつて女神が直々に破壊するよう命じたと言う“エルフの墓所”の存在を知る。しかしエルフは人間を忌み嫌い、不死身の勇者たちですら一蹴するほどの魔力の持ち主。なるべく友好的に接しようとした真一たちだったが、暴言を吐きまくるエルフに、ついにはセレスがブチギレ――!! 勇者も敵わないエルフ攻略方法はあるのか!? 魔王の参謀となった少年の異世界攻略譚、第4弾!

前回、女神教のこと不死を権力奪取に悪用せずにわりと健全な組織運用してたんだなあ、と述懐してましたけれど、前言撤回します。充分悪用してるわー!
疲れたら治癒で強制回復、眠くなったら覚醒で起こされ、過労死しても死者蘇生で復活させられ、24時間働け働け、って女神教のヤバさが振り切ってる!
これは人格歪むわー。腐ってるとはいえ、比較的マトモなフェルメータ卿ですらこれ経験してるんですよね。これが当たり前になってるのか。上から下までこんだけ働いてたら、そりゃ女神教躍進するでしょうし、みんなまともな思考ぶっ壊れて狂信者になりますわなあ。むしろ、腐ったり俗世に塗れたりで落ち着いてまともな人格のままでいた二人の枢機卿が凄いのかも知れない。
フェルメータ卿が指導者になって、ある程度女神教もまともになるかも、と期待したいところだけれど、狂信とはまた別の方向でフェルメータ卿が着々と内部腐教を進めているのがちと怖い。順調に行くと、教義自体が腐りかねないんですが! 女神教、別に女人限定の宗教じゃなくて普通に男女入り混じっているのですが、このままだと男の方の立場が掛け算の具だけになってしまいそうだ。

とはいえ、原理派が排除されて現実派が主導権を握った女神教は少なくとも敵対勢力ではなくなったので、当面の驚異は女神そのもの、となったわけで、今後はその女神の正体、彼女が魔族を絶滅させようとする意図を暴く、という探索モード、アドベンチャーパートへと突入。その秘密が眠るかも知れない遺跡を探索するために、遺跡を守護するエルフの里を訪ねることに。
そして、血統を守護するために近親交配を繰り返して、血のどん詰まりを起こして滅びかかってるエルフの里w
うん、そうだよね。外から新しい血を入れずに引きこもってたら種として行き詰まっちゃうよね。わりとファンタジーだと引き篭もり傾向のあるエルフだけれど、大概のエルフは寿命が無いか千年単位で生きるので、血の濃さの問題というのは浮き彫りにならないケースが多かったのだけれど、この世界のエルフは別に長寿でもなんでもないので、あっさり滅びかかってる、という……。
コメディタッチで描かれているけれど、なんとか血縁の遠い者同士での交配をしようとした結果、恋愛感情無視どころではないドロドロの婚姻模様が繰り広げられていたようで、ひたすらエグい実態が。場合のよってはファンタジー世界にも関わらず横溝正史ワールドな世界観になってたんじゃないだろうか、エルフ村。
そんな中で、血の濃さ故に誰とも結婚できない定めとなりハブにされていたエルフ娘のクラリッサ。……あかん、この子本物の変態やー! いやもう、道を誤った人はたくさん出てきましたし性癖としてどうなんだ、という人もたくさん出てきましたけれど、なんかこの子はそんな中でも並外れて「真性」だよ!!
ヒロインとしても色んな意味で「無理!」な感じの真性ですだよ!
まあセレスさんがドスケベエルフだというクラリッサの主張には大いにうなずかざるを得ないけれど。

ともあれ、遺跡の探索によって古代文明にかかわる女神エレゾニアの正体の一端をようやく掴んだところで、ラストの衝撃的な展開である。
真一という人間を現在の形に形作った根源ともいえる部分に、何の躊躇も罪悪感もなく無造作に手をツッコミ、かき回すどころか抉り取って見せつける無慈悲さ、冷徹なまでに愛情も友情も踏み躙る非情さ。なにより、やり口のえげつなさ。
女神エレゾニア、こいつが一番ゲスそのものや!
これは役者も揃って一気にクライマックスか。

2巻 3巻感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 3.「ボク、悪い邪神じゃないよ」 ★★★★   

女神の勇者を倒すゲスな方法3 「ボク、悪い邪神じゃないよ」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 3.「ボク、悪い邪神じゃないよ」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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ゲス参謀VS女神の勇者軍団10,000人!!! 最終決戦、開幕!?

「女神教の大神殿に攻撃を仕掛ける」
真一は宣言した。最強の魔法使い"聖女"まで魔王城の住人となり、人間側の理解者も得られた。今が攻め時と、セレスと共に聖都に乗りこんだ真一は四大枢機卿の一角、聖母卿に狙いを定め攻略を開始する。だが、魔王たちが平和に暮らせる世界まであと少しに迫ったその時、女神の祝福を得たあの男が一万の勇者の大群を率いて復活しようとしていた――。ゲス参謀VS女神教、最終決戦!? 大人気の異世界勇者攻略譚、第3弾!

そうなんだよな、作中で真一が述懐しているように女神教ってその不死の勇者の能力を悪用したら幾らでも俗世の権力を乗っ取れただろうに、その意味では健全な運用をしていた、とも言えるんですよね。これはむしろ、まだ出来て百年余の新しい組織だから、という要素もあるのかもしれない。古代から続く古い宗教と違って、新しいからこそまだ民草に馴染みきってはいないけれど、新しいが故にまだ組織の理念が腐敗せずに教団の人々に根付いていた、とも言えるのでしょう。もっとも、各国に対する横暴さや傲慢な振る舞い、組織上層部にはびこりだしていた色んな意味での腐った有様wを見ていると、過渡期を通り越して堕落の時代に入りかけていたのかもしれませんが。
とはいえ、純粋な理念や信仰にハマりすぎて排他的になってしまうと現実を無視した危うい集団へと転化してしまうので、その意味では運営母体にある程度の俗さは必要とも言えるんですよね。だから、四人の枢機卿のうち二人は真っ当な人間性の持ち主だったというのは、相応にバランスの取れた組織として落ち着いたものになろうとしていたところかもしれない。いずれにしても、どちらに転がるにしてもまさに過渡期だったんでしょうなあ。
純粋理念に殉じるには組織として老成し、変質するまでは劣化していない時期だった、と。

ここで受け身に回って相手のリアクションを待つのではなく、積極的に攻勢を仕掛けてイニシアチブを握りながらも、女神教を叩き潰すのではなく共存できる環境を作り出すためのグランドデザインを描いてみせるあたり、真一の考え方ってかなり大胆なんですよね。人間側の認識そのものを変えられる可能性、教団組織の影響力の限界と現実認識を前回把握したからなんだろうけど。
自分で人間側の領域に潜入して工作に従事するなど、行動力も抜群な真一にぴったりとくっついてサポートし続けるセレスさんの相棒感がいい加減半端ないことになってるんですよねえ。変に煽てず甘やかさず、毒舌を飛ばしてチクチク弄りながらも、実質はそりゃもう献身的にくっついて離れないわけで、なかなか一緒に行動できないアリアンとはちょっと差が広がってるなあ。
あのグリグリと真一をイビりながらも絶対的に信頼を寄せている、という済ましたセレスさんの態度はなかなか来るものがあるんですよねえ。いざという時は、想定外すぎる絶望的な状況に動けなくなった真一を叱咤激励して背中を叩いてくれるわけで、もう姉さん女房的なところまで垣間見えるわけで、真一側からの信頼感も半端ないところまでゲージあがっちゃってますし。
その絶体絶命のピンチに対する逆転の発想もまた面白い。あくまで真っ向勝負では仕掛けないんですよねえ。相手の盤上には乗らずに必ずその外側から仕掛ける。そのひっくり返し方が実にエッジが効いていて、実に好みでした。
なんか、これで終わりみたいな雰囲気だったので完結か、と焦ったのですがちゃんと続きも出てるようで良かった。

2巻感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 2.「返事がない、ただの聖女のようだ」 ★★★☆   

女神の勇者を倒すゲスな方法2 「返事がない、ただの聖女のようだ」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 2.「返事がない、ただの聖女のようだ」】 笹木さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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勇者を撃退した平和な日々のなか、真一は魔族たちと畑作りを進めていた。その時―魔王を狙って放たれた最上級の光魔法『聖光奔流』。城ごと壊滅させる攻撃を放った相手は、新たな勇者“聖女”!さっそく攻略に乗り出すも、神官戦士に囲まれ真一の甘言にも耳を貸さない聖女はまさしく難攻不落。そこで真一は魔王の娘リノに協力を要請するのだが…。今度はゲスな手段でアイドルプロデュース!?大人気の異世界勇者攻略譚、第2弾!
考えてみると、いや考えるまでもなく一巻の勇者アリアンは超イージーモードだったんですよね。当人のキャラからしてチョロい上に境遇や立場、置かれている環境などもすべてが押せば転ぶところに立っていたと言ってもいい。これはアリアン自身も周りの連中も認めていることで、色んな意味で運も良かったと言えるわけだ。なので、アリアンを陥れて味方にする、と言ってもタイトルほどゲスいことをしてたわけじゃあないんですよね。
なので、本番はむしろ今回からなのである。純粋培養の狂信者であるところの「聖女」には小賢しい誰もが思いつくような通り一辺倒の作戦は通用しない。情で訴えることも正義に語りかけることも公正さを掲げてみることも、何もかも伝わらない。
となれば、それこそゲスな方法。策略をもって彼女の寄って立つものを失墜させ、陥れるしかないのである。というわけで、むしろこの巻からが魔王軍作戦参謀となった真一の真価の見せ所だったんですよね。むしろ、イージーモードでなくなってからこそ、彼の柔軟な発想と引き際の速さ、タイミングの見極め方など策略家としての筋の良さが見えてきた感があるんですよね。状況を見極める冷静な判断力なんかも見えてきましたし。かと言ってまあ、やっぱりゲス野郎と言われるほどゲスな事は全然してないんですけどね。むしろ、やるべきことを見落とさず手抜きせず、きっちり計画立てて準備して、失敗も先に考慮しながら手管を整えていくあたり、非常にやりてですし、人心を利用はしても弄ぶような真似はしないあたり、やはりゲスとは程遠いんですよねえ。ってか、普通に良い男である。
教会は相変わらず真っ黒で、ほぼ妥協の余地のない相手なのですけれど、決して古代から人類に根付いている宗教ではなく、むしろここ百年近くで急に勢力を拡大してきた新興宗教であり、まだその土地に根ざした地元の宗教や医学、薬師を迫害した記憶が民衆に色濃く残ってたり、教義と信仰で影響力を広げているのではなく、回復魔法や蘇生魔術という実益を餌に逆らえない環境を誂えて、と決して人心を集めているわけではないようなので、これならガツンガツン敵対しても落とし所は整えられそうなようにはなってるんですねえ。なかなか足場のしっかりした読みやすさで、面白かったです。
 
1月27日

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