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笹森トモエ

わたしの魔術コンサルタント 2.虹のはじまり ★★★★  



【わたしの魔術コンサルタント 2.虹のはじまり】 羽場 楽人/笹森 トモエ 電撃文庫

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Kindle BOOK☆WALKER

東京の片隅の薄汚れた古い雑居ビルで魔術が使えない魔術士・黒瀬秀春は、相変わらず魔術に苦しむ人々に救いの手を差し伸べる魔術コンサルタントを営む日々。そして事務所に居候していた朝倉ヒナコは永聖魔術学院への入学を果たし、秀春はそれを見守る。けれども入学早々、ヒナコの存在は魔術学院に波紋を広げ、魔術士の名家・皇希遊と対決することになり―。四年前に起きた魔術による大規模魔術消失事件「消失した正午」の真実、そして秀春の過去を知る美女・逢夏との出会い。秀春は様々な思いを抱えて、更なる一歩へと歩み出す。
大人の主人公の幼馴染ときたらそりゃ当然大人の女性だわなあ。そして大人の関係でもある。大人の関係だからこそ、軽々と仲直り出来ないという面もあるんですけどね。
一端距離と時間を置くことで自分たちを見直せるというのは、子供の頃には出来ない時間を積み重ねてきた大人ゆえの特権なんでしょうなあ。
逢夏と秀春が別れた理由も突き詰めると、逢夏が秀春の魔術への偏執的な拘りを危惧したからでもあるし、彼女ってば健気に別れたあとも秀春が魔術を取り戻す方法を探し研究していたわけですしねえ。好きあっていても上手くいかない時は上手くいかないもので、だから好きという気持ち自体が歪んでしまう前に出ていった逢夏の判断は終わってみれば正しかったのかも。
まあ、考えあってのことではなく衝動的なものだったのであろうことは、彼女のコミュニケーションのとり方の不器用さから想像がつくのですが。エリートで優秀であるがゆえに自分の意見や考えがすぐ通ってしまっていたが故に、自分の思う通りに相手が動かないとなると途端に迷走しはじめる、というのはなかなかポンコツであるようにも見える。根が素直で純情でまっすぐなので、思い通りにならないことに腹立てて感情的になる、なんてことがなくただただどうしたら良いかわからなくなる、というあたりに人柄の良さが伺えて、育ちの良さというかいい娘さんなんだな、というのが伝わってくるキャラクターなのですが。一途ですしねえ、健気ですしねえ。その上大人の女性である。
……ちょっと十代の小娘たちでは対抗できんわなあ、これ。なんだかんだと相思相愛なわけですし。
まあ、本気で秀春に食いついていたのは朱歌だけで、ヒナコは元々秀春のこと父親だと勘違いして会いに来たわけで、家族同然という認識はあっても異性として見ている様子はなくて、素直に逢夏との仲を応援しているようでしたし、希遊に至っては純粋に師匠として慕ってる、という風情でしたからね。意外と敵になるようなヒロインはいなかったか。

一巻では色々とあらの目立った文章立てだけれど、見違えるように場面転換からストーリーの組み立てに登場人物たちの言動の機微がハマっていて、本当に面白かった。完成度が段違いにあがっているのが見て取れる。魔術を憎み消し去ろうとした朝倉響示の思想に相対するように、魔術を失ってもなお魔術にのめり込み傾倒する秀春に、その指導を受けて真っ直ぐに切磋琢磨してお互いを高め合う皇希遊と朝倉ヒナコという魔術の素晴らしさを体現する姿が、情熱が、青春が描かれているわけですが、その熱量こそが黒幕たる朝倉の暗躍に対抗する盾となり矛となっているのが見て取れて、物語の構成としても美しい形になってるんですよね。
どうも語り口から見て、この二巻で〆られてしまっているようなのですが、ここで終わってしまうのが非常に残念な良作でした。シリーズとして続けばもっともっと良くなる感触があっただけに惜しいなあ。
次回作はさらなる期待を。

1巻感想

雛菊こころのブレイクタイム 2 ★★★☆   



【雛菊こころのブレイクタイム 2】 ひなた 華月/笹森 トモエ 講談社ラノベ文庫

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生徒達の悩みを解決する“お雛様”こと雛菊こころをサポートするようになった伊莉也は彼女に影響されてか、困った人に対して敏感に反応し、ついつい手をさしのべてしまうようになっていた。今回も選択授業で知り合った少女・ユリが抱える闇に触れた伊莉也だったが、彼女の不思議な思考と言動に振り回され苦戦する。なんとかユリの心を開くことに成功したとき、彼女の闇の元が“お雛様”誕生のきっかけになったある事件へとたどり着くのだった…。誰もが持っている闇を解決するために、おいしいコーヒーと温かい助言をくれる“お雛様の部屋”の扉は誰にでも開いている。第4回講談社ラノベチャレンジカップ“佳作”受賞作、2杯目!

聖女のごとき優しさと温もりを示すこころさんだとて、その心には闇があり、人を恨み憎む気持ちはある。それが自分の大切な妹にまつわるものだったら、なおさらのことだ。彼女は人形ではなく、人間だもの。「お雛様」という虚像の向こうにはちゃんと年相応の女の子が隠れていたのだ。
人の悩みを解決する、ということはすなわち相手の内面を聞くことでもある。それは弱みであったり、他人に知られたくない気持ちを、こころさんには知られてしまうということだ。
だから、かつて相談に訪れた人の多くは、こころさんを人間の同級生や先輩として捉えるのではなく「お雛様」という虚像を作り上げることで、自分の悩み、内面をさらけ出したという事実を隔離して祀り上げ、棚の奥に隠していたのだという。そして、人間であるこころさんに近づかないことで怖れから目をそらしていたのだそうだ。だから、こころさんはあの温かい人柄にも関わらず、周囲には友人と呼べるような身近な人も殆どいなかったという。
長らく、こころさんはそうした「お雛様」という偶像に甘んじていた。他者の悩みを聞いて皆が抱える色々な問題を解決するきっかけを与えるという行為は、自分の妹の悩みをきけなかったということからの代償行為だったのだろうか。いずれにしても、彼女の時間は促す人の居ないままずっと止まってたのだろう。
ところが、伊莉也が彼女をサポートするようになり、それをきっかけとしたように桃花をはじめ、こころを慕って入り浸る人が現れ、また前に悩みを相談に来て、その後も縁が途切れずに遊びに来る人が増えてきたのである。
孤独ではなくなる、ということは何かを変える勇気を得る、ということでもある。
妹の自殺未遂に関わりのあるユリとの交流が、こころさんにこれまで踏み出せなかった躊躇を振り切る一歩を得るきっかけとして働き、ついにこころさんは自分の闇と向き合うことになるのであった。
そこには、今回一連の相談事で逃れられない心の闇が誰の中にでもある、ということを浮き彫りにする話が続いたことも大きなきっかけではあったんですよね。そして、その闇は決して許されないものではなく、お互いを大切に思うからこそ時として冷却期間を置かないといけない場合もあったり、憎しみを抱くことがその相手を全否定することではなかったり。
人の心は複雑で、だからこそ乱暴に扱わずに丁寧に解きほぐしていかないといけないものなんだなあ、としみじみと感じるエピソード群でありました。
ただ、伊莉也は若干繊細に扱おうとしすぎて、手に負えねえとすぐに逃げ腰になって放り出そうとするきらいが見受けられるんですよね。こうして書くと無責任な人間に見えてしまいますけれど、そうではなくて、相手を大切に思うからこそ余計に触れて壊すことを怖れて、ってかビビって何もしようせずに時間が流れるママ放置してしまうという感じで。
周りに叱咤激励してくれる人が居たから、あまりひどい事になる前に動き出せたように見えましたけれど、後押しなかったらいつまでも自力で動けなかったんじゃないだろうか。そう思ってしまう程度には、ちと意気地が足りなかったですねえ……。
個人的には、そこまで意気地のない男の子にはそれまで見えていなかったので、なんとなくそこらへんだけ話の都合上、みたいなところが垣間見えた気もしたのですけれど。
それはそれとして、あの伊莉也の告白は勘違いしようのないはっきりした告白だったと思うんですけれど、こころさんそれ本気で天然なのか、無意識の自己防衛なのか、どっちなんでしょうねえ(苦笑

1巻感想

わたしの魔術コンサルタント ★★★  

わたしの魔術コンサルタント (電撃文庫)

【わたしの魔術コンサルタント】 羽場楽人/笹森トモエ 電撃文庫

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魔術コンサルタントと、魔術士の卵。二人の不思議な生活が始まる

魔術をつかう人に希望を見つける――それこそがかつて師を救えず、己の魔術を失った過去を持つ魔術士・黒瀬秀春が再び立ち上がった理由だった。
「お父さん会いたかった!」
東京の片隅、薄汚れた古い雑居ビルで魔術コンサルタントを営み、魔術に悩める人々のために奔走する日々のなか、秀春を父親だと勘違いした、かつての師の娘・朝倉ヒナコは現れた。
「魔術は、唯一のつながりなんです」
魔術の才に愛されながらも、魔術によって家族を奪われた少女ヒナコ。
「奇跡に見合う努力はしてきた」
絶望と喪失の果て、秀春だけが見つけ出した可能性という新たな未来。東京で出会った二人が織り成す魔術と居場所の物語。
うらぶれた場末の雑居ビルの一室で探偵業を営む厭世的なオッサンと、そんな男のもとに甲斐甲斐しく通い詰める美少女探偵助手、という構図はこれも王道の一つなんですよね。
わかるー。
いやむしろ、これはおっさんになったからこそ余計に実感できるドリームなんじゃなかろうか。
まあでもね、このおっさん探偵と美少女助手という構図に対する夢に対しては、かつて古橋秀之著作【ブラックロッド】で強烈なトラウマを焼き付けられたので、未だにこの関係性を小説で目の当たりにするとビクビクしてしまう嫌いがあるのですよ。しかし、好きである事実は否めない!
ともあれ、本作の主人公である黒瀬のそれは探偵みたいな店構えをしているけれど、コンサルタント業を名乗る魔術の家庭教師みたいなもんなんですよね。うーん、でもコンサルタント業という業務自体が曖昧なんだけれど、顧客の抱えている問題・課題を解決する方策を提示する職業、みたいな感じの説明がされているので、黒瀬がこなしていた仕事を見ていると確かに、相手が魔術に関して悩んでいる部分を解決するためのアプローチを提示している事も多いので、家庭教師とかにしてしまうよりコンサルタントと称しているのは案外的を射ているのかもしれない。
何気に顧客に美少女が多いのは何なんだ、という疑問はあるんだけれど、まあ偶々と作為が交錯しての結果見ただし、特に美少女であったことには意味もないようなのでいいのか、いいのか?
とりあえず、一番のツンデレとヤンデレが後輩の執行官というのはどうなんだ、と言いたい。こいつ、もっとヤバいやつなのかと思ったら、堕落した先輩に構ってほしかっただけじゃないのか。後々のチョロさを見てしまうと、どうしてもねえ……。先輩にちょっかいかけるヒロインたちに対しての、あの敵視っぷりも相当なものだし。ちなみに、この後輩、男ですからね。若い男なんだから、女の子相手に即殺すスタイルはどうなんだ、と。最初は単に職務上によるものと勤勉さと狷介さという性格に寄るものなんだと思ってたから良かったんだけれど、後々見ると性格的な問題ではあるのには違いなんだけれど、方向性が違っていたというかなんというか……。
とにかく、こいつが先輩好きすぎるのはわかった。
一方で、主人公はというと厭世的になろうと堕落しようと大人の男性であることはキープしているようで、まだ子供である少女たちの姦しさに対しても、その距離感が曖昧な接し方に対しても常に適切に維持しようとする努力は認める。案外、ほだされてるけれど。いやそれに関しては、彼女たちが見せるイイ女の成分のおかげでしょう。ある意味、悪い女にもなりそうな出来具合でもありますが。
それでも、この場合の子供扱いというのは正しいんでしょうな。単に顧客ではなく、師の娘だったり世話になってる親分の娘だったり、とビジネスライクに接するにはある意味親しい関係であることも確かなわけですし。
それ以上に、ビジネスライクに徹するにはこの男の場合、優しすぎるというのとは違うか、人が良いとか情が深いというのとは違うのだけれど、親身にはならないけれど見捨てない見放さない突き放さない、というあたりがハードボイルド風味というやつなんでしょうかねえ。
雰囲気は結構好きなものだったんですが、ちょっと微妙な点も散見されていて、たとえば描写不足によってシーンが説明抜きにコマを飛ばしたように飛んでしまったり、作者はわかってるのかもしれないけれど読んでるこっちはわからない理由で物事が進んだりとか、事前の蓄積が足りない状態で展開が急転したり、とやや置いてけぼりにされる部分が見受けられたんですよね。これらは、作中に没頭するのを邪魔する大きな要員でもあったので、ぜひ解消していってほしいところである。
ともあれ、小娘たち含め登場人物はお互いの関係の進展の仕方などもなかなかに魅力的であったんで、シリーズ化するのなら期待したいところですね。まあ、だからこそ彼女に関しても、三人娘という形で残してほしかった、という願望はあるのですが、詮無い事か。

雛菊こころのブレイクタイム 1 ★★★☆  

雛菊こころのブレイクタイム1 (講談社ラノベ文庫)

【雛菊こころのブレイクタイム 1】 ひなた華月/笹森トモエ 講談社ラノベ文庫

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伊莉也は実家の喫茶店に現れた美少女に思いを馳せていたが、再び会う事も叶わずにいた。進学した高校では勉学に追われ友人作りに乗り遅れたりと、少々ブルーな毎日…。そんな時、生徒の悩みを聞いてくれる“お雛様”の噂を耳にする。その人物こそ、伊莉也が思い焦がれていた少女・雛菊こころだったのだ。
不思議な縁から相談事にやってきた生徒にコーヒーを入れる役目を仰せ付かった伊莉也。バレー部の部長や恋に悩む上級生、こころのライバルや生徒会長まで!様々な相談事をこころはちょっとした心理学を用いて解決していく。しかし、こころが相談室を開いた理由にはある過去が関係していた!?

こころさん、本格的に心理学を学んだというわけでもなく、あらすじの通り本当にちょっとした心理学の応用でのお悩み相談で、持ち込まれる悩みも深刻な事件性のあるものではなく、学生生活の中で生じる少年少女たちの行き詰まり、という等身大のものなんですが、変に背伸びしないことで「お雛様」と呼ばれる雛菊こころをハジメとして、お悩み相談室の面々に特別感を持たせずに年頃の子どもたちの奔走を描けてたんじゃないでしょうか。と、言ってもこころさんの洞察力は大人顔負けなのですけれど、小難しいことを言わず自分のできる範囲にとどめているのは好感が持てます。逆に言うと、複雑怪奇な因果が絡まった事件や人間の暗黒面に踏み込むような、悪路を踏破できるようなパワーや技術があるかは怪しい所なのですけれど、人の悩みを解決する話なのに底が浅いという印象を持たせないラインを維持して、さわやかな青春モノに仕立てているあたりに、作者の絶妙なバランス感覚が伺えます。最終話で、これまでこころさんを訪れてきた相談者たちが自然に手を貸してくれる展開など、人と人との繋がりに関してなかなか考えさせてくれましたし。あれって、安易とも取れるんだけれど、人との縁というのはそんな難しく簡単に繋がるもので、それは案外と強固だったり親身だったり運命的だったりするものなんだとすると、友達が出来ないと軽く悩んでいた主人公の伊莉也をはじめ、人間関係で頭を悩ませていた当の相談者たちのことも照らしあわせて考えると、なんだか面白いものだなあ、と思うわけです。
まあ、友達できないとか悩んでるこの主人公、ちゃっかりクラスメイトの女の子と仲良くなって一緒にお昼食べてたり、こころさんの所に積極的に居座ったりとその行動力見ると、友達できないとか信じられない人間力なんですけどね!!
そして、他人のことには色々と気が回るくせに、お互いに関してはさっぱり見えていない主人公とこころさんのメインの二人。これだけ一生懸命サインを出し合っているくせに、それをお互い綺麗にスルーしまくっている、というのも微苦笑してしまうのだけれど、これも若さかw

修羅場な俺と乙女禁猟区 33   

修羅場な俺と乙女禁猟区3 (ファミ通文庫)

【修羅場な俺と乙女禁猟区 3】 田代裕彦/笹森トモエ ファミ通文庫

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魅惑のデッド・エンド・ハーレム遂に終幕!

二学期が始まって早ひと月。高原学園高校は数週間後に控える学園祭の準備で活気付いていた。そんな中、彼女は言った。「もうやめようと思ってるんだ」唐突な申し出に思考が追いつかない節【せつ】に、彼女はさらに言葉を継ぐ。「《ゲーム》のことだよ」予想外の展開に節は、彼女の真意を推し量ろうとするが、その時の彼はまだ知らなかった。この告白が誘う《正解》の向こう側に待つ運命と勝者を――! 魅惑のデッド・エンド・ハーレム衝撃の最終章開幕!!
うむ! と、なんか一人で勝手に納得してしまいましたが、正解から動機までほぼこうだったら面白いのになあという予測通りにピッタリと収まったので、なんかノーミスでジグソーパズルをピッタリと完成させたような達成感が。


と、ここからはネタバレになるので一応収納してスペース空けます。
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アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 53   

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)〈5〉 (電撃文庫)

【アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 5】 兎月山羊/笹森トモエ 電撃文庫

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約束を果たす瞬間は、今この時。
お願いだよ、誠一君。──私を殺して。

 数々の“災厄の数”を生み出してきた集団、“クリフォト”。奴らが雪名を攫った。雪名の中の“無限の災厄の数”を解放するのが目的だという。“無限”の解放──それが意味するのは、雪名の死だった。
 攫われた雪名は“クリフォト”に攻撃を受けていた。ただし、肉体への攻撃ではなく、精神への。雪名の精神が死ぬとき、最凶の“災厄の数(アルヘトス)”が蘇る──それを倒すには雪名の肉体ごと殺さねばならないという。
 雪名の死を何としてでも阻止するために、俺は明津、アンデレ、タデウスとともに敵のアジトに向かう。
“数”の異能力アクション、第5弾!
【アンチリテラルの数秘術師】、これにて完結。……うーん、はっきり言って幕引きの為だけのお話だったという印象。これまで広がってきた物語の辿りついた先としての終わりじゃなくて、これまでの過程が特に関係ないまま、積み重ねを生かせず乖離したまま話を畳んでしまった、という感じなんですよね。極言してしまうと、これまでの4巻を読んでいなくてもこの5巻目だけ単独で読んでも理解できてしまいそうな感じで。勿論、それで盛り上がろうというのも無理な話で。表面上は最終決戦でクライマックスなんですけれど、こっちの気分は置いてけぼりにされて、何とも尻すぼみな印象でした。
思えば、誠一がアンチリテラルとして覚醒してしまった事が逆に物語の幅を狭くして、キャラクターの躍動感を失わしめる要因になってしまったのかしら。肝心の作品のチャームポイントだった、雪名の小動物めいた可憐さと儚げな可愛らしさも、今回彼女が早々に捕まって隔離されてしまったせいで発揮されず、折角結実しかけていた雪名と誠一のラブストーリーも結局最後に再会するまで待ちぼうけを食らってしまったわけですしね。
二人の初々しくも微笑ましいやりとりが肝だったのになあ。ようやく自身の恋を自覚して狼狽しながらも胸に宿ったその思いを大切にしようとする雪名の様子がまたえらい可愛らしかったのに、そういう細かくも丁寧な心理描写もあんまりなかったですしねえ。
その分、アンデレが頑張ってましたけれど。あの執行官さま、仕事干されて暇してたのは分かるんですが、なぜそこから「暇だからバイトしよう」という思考になるんでしょうw 仮にも執行官なのに、執行官なのに。おとなしくしてろよ!! なんで暇を持て余したらファミレスでバイトなんだよ!! 発想がアホ過ぎるw
なんかこの娘は登場してからこっち、一人でオチ担当を引き受けちゃったよなあ。それでいてラブコメも担当するんだから、美味しいキャラでした。だからこそ、相手ははっきりしておいてほしかったところですけれど。
ぶっちゃけ、誠一を気にしている暇があったら、カラスだけ追いかけてたらよかったのに。変に明津にまでフラグ建ててたものだから、焦点が定まらないままぼやけてしまった感がありますし。カラスとの決着も中途半端に終っちゃったしなあ。勿体ない。
とまあ、最終巻の感想はため息混じりになってしまったのですが、これまでが非常に丁寧で読ませてくれる歯ごたえのある出来栄えで、良作と読んで過言ではない新人作品だったので、その締め方が余計に残念に思う所でした。良作だったからこそ、期待値が高かったとも言えるんですけどね。
終わり方それ自体を見るならば、破綻もなく綺麗に過不足なく幕を引いているのですから、決して悪い形ではありませんでしたからね。でも、それ以上を望んで当然のポテンシャルを持った良い作品だっただけに、やっぱり勿体ないと思ってしまうのが正直な所。

あとがき読んでると執筆環境が過酷過ぎる気がするんですけど、もうちょっと落ち着いて書ける環境に整理しなおした方がいいんじゃないだろうか、と心配になってしまいましたよw
ともあれ、新シリーズに期待したいところです。

1巻 2巻 3巻 4巻感想

修羅場な俺と乙女禁猟区 23   

修羅場な俺と乙女禁猟区2 (ファミ通文庫)

【修羅場な俺と乙女禁猟区 2】 田代裕彦/笹森トモエ ファミ通文庫

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だって、わたしが《正解》なんですから!

学生ならば誰もが心を躍らせるであろう夏休み。だが、遠々原節【をんどうばるせつ】はひとり晴れない気持ちを抱えていた。天海崎【あまみさき】の一件以来、さして状況に進展もないある日、父・十慈郎【じつじろう】がいきなり宣【のたま】ったのだ。「あとひと月の間に正式な婚約者を選べ」などと! 相変わらず拒否権無しの状況に節は、翌日からの臨海学校で決め手を得ようと考えるのだが……しかし婚約者候補の彼女たちも、これ幸いと勝負に出てきて――!? 魅惑のデッド・エンド・ハーレム待望の第二幕
……ええ!? そんな大前提から疑わないといけないの!?
しまったなあ、読んでいるこっちも節と同じく先入観に囚われていた感がある。これって、実のところキッチリとした数学みたいな答えのあるゲームじゃないんですよね。そもそも、十慈郎の最初の命令からして、これだけ解釈の余地があったら、どこまで信じていいかわからない。あの爺さんの言い方からすると、今回の展開は完全に予想外だったもんなあ。
これ、もう一度一巻を読み返して、爺さんの最初の指令を読み返して正確に把握しておきたいところなんだけれど、ものが何処に行ったかわからない。掘り返すとなると大仕事になっちゃうんだよなあ。
というのも、これ、五人の婚約者候補の中に、最初に主人公が捉えた形の「正解」っていないんじゃないだろうか、という感触が伝わってきちゃったんですよね。だって、あの指令から連想する正しい「正解」って、どう考えても奥有楽乙音じゃないですか、今回の。それが、こういう形で終わってしまったとなると、もう普通に本当に節を愛している、という相手が残る三人からはとてもじゃないけどイメージデキないんだ。
これ、五人の中には爺さんのいう正解って居ないんじゃないのか?
それでも、なおデッドエンドを回避できる正解があるのだとすれば、それは先入観を取っ払った先に既に明々白々に存在しているような……。
ぶっちゃけこれ、睦月が正解だったら、面白いんですけどね。睦月だったら、現状で既に条件をオールクリアしてるんだけれどなあ。と言いますか、一巻二巻と表紙見たら、明らかに睦月がワントップでメインヒロイン扱いな気がするんですけれどねw

今回の節くんは、殆どいいところ無く自爆に近い形で仕掛けられたトラップを踏み抜き、ゲームオーバーになりかける、という無様を晒してしまいました。これ、デッドエンドを回避できたのって殆ど偶々だったもんなあ。傍から見ててもみっともない悪あがきで、なんとか瀬戸際でゲームオーバーを回避した節ですが、そこから転んでもただでは起き上がらずにしぶとく成果を獲得したのは、さすがと言ったところですけれど。
それに、大局的に見ると正解を外したとはいえ、これってデッドエンドを一つ潰したとも言えるんですよね。思えば、「正解を選ぶ」のではなく「不正解を潰す」あるいは「正解を作っていく」とすることこそが、この試練の解答の一つと捉える事も出来るんですよね。愛がないのなら、愛を芽生えさせればイイ。憎しみを、愛情へと変化させればイイ。節の立場からして気楽なのは、遠々原家と節とは別に運命共同体ではないということ。婚約者候補たちが抱いている憎しみの大半は遠々原家へと向けられたものであって、厳密には節とは分けて考える事も可能なんですよね。だから、彼女たちの憎しみを消せなくても、節にとっての味方になる余地は充分にある。節もまた、遠々原家を滅ぼす為に暗躍しているんですから、最終的な目的さえ同じなら協力だって出来るはず。場合によっては最大のパートナーにだってなれるかもしれない。まあ、そんなことを言っていると、節個人を憎んでいる娘が出てきそうですけれど。

1巻感想

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 43   

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)〈4〉 (電撃文庫)

【アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 4】 兎月山羊/笹森トモエ 電撃文庫

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もう、独りぼっちの“零”のままでは、いたくない。

 東京内戦の跡地で俺たちは、“零”の災厄の数、カラスと出会う。彼を見て動揺した安藤照子さん──アンデレはその晩、俺の家を突然訪ねてきた。
「……一緒に行ってくれたら、1つだけ何でも言う事聞くって言ったら……?」
 アンデレと来た地下には雪名もまた、出生の秘密を探るために来ていた。「誠一君は、どうしてアンデレさんと一緒に来たのかな?」モジモジする雪名と共に、俺は地下深くへと向かう。
“数”の異能力バトル、第4弾!
こ、この小動物はヤキモチの焼き方まで小動物ちっくで愛らしいなっ!! その内心の吐露は、殆ど告白「誠一くん大好き!!」と叫んでるのと変わらないという自覚と認識をもっとちゃんと持ちましょうウサギさん。ここまで愛くるしい告白をされてしまうと、同じ女性でも参りましたと言いたくなるわな。わりと、相談されてしまった加苗に同情したくなる。そんな風に相談されたら、幾ら雪名と誠一の関係に複雑な思いを抱いていても、ちゃんと応えてあげないと自己嫌悪で耐えれなくなってしまうがな。

実のところ、雪名に限らずこの作品の女性陣は多かれ少なかれちんまい可愛らしさで構成されているので油断できない。最初はえらく硬い雰囲気で登場した親父さんの後輩の女刑事も、打ち解けてしまうとお姉さん風を吹かせながらも妙に少女チックな所のある人だと発覚してしまったし、新登場のアンデレもつんつんと取っ付き悪いタイプかと思いきや、むしろ迂闊系のチョロい妹タイプだったりと、何気に庇護欲を掻き立てられるヒロインが揃えられているなかなか珍しい作品だったりする。とは言え、小動物タイプが揃っているとはいえ、足を引っ張られたり、此方の都合も考えずやたらつきまとってきたり、内罰的で鬱陶しかったり、という事はみんなないんですよね。それぞれがちゃんと自立した上で、思わず守ってあげたくなるようなオーラを発しているのである。つまり、上目遣いがよく似合うヒロインばかりなのだ。これは堪らん。
アンデレさんは特に傾向の違うタイプのヒロイン登場かと見ていただけに、まさか妹系だとは予想外だった。てか、誰だよこのダメっ娘を執行官に選出したのは! 戦闘能力が基準値満たしてても、さすがにこの迂闊でドジっ子で安直でリカバリー利かない性格の小娘では、執行官業務務まらんだろ。向いてないから、全然向いてないからw ディエゴの方が、あんな戦闘マシンで対人スキル皆無っぽい執行官だったから、てっきりアンデレが社交まわりの担当かとも登場時には思ったんだけれど、あの迂闊さじゃあいらんことまで口走って全部台無しにしてしまいそうだし。というか、今回見てたら普通にディエゴで外回り対応できてるっぽいんだが。強面で無口だけれど、むしろ交渉能力とかは普通にアンデレより出来るっぽいんだが。
……やっぱり、他に居なかったから仕方なくアンデレに選ばれたんじゃw

彼女の能力だけを見ると、走行中の電車を反動も何もなく簡単に静止させたのを見ても、使い方次第ではディエゴの能力よりもよほど応用が効いて使い勝手もよく、強力そうなんだが、果たしてアンデレさんでどこまで使いこなせているのか。
今回の敵であるカラスの「零」の能力は、殆ど反則近い能力なんだが、ようは使い方次第なんだよなあ。言うほど、カラスの能力自体がアンデレやディエゴ、そして雪名の力と比して飛び抜けているとは思わない。それが絶対的な力の差となって現れてしまっているのは、やはりカラス個人の力量なのだろう。数の災厄の力に目覚める前から、近代戦争の戦場において、単体で戦局を左右するまでに至る【パーフェクト・マーダー】の忌み名を冠するに至った戦闘センスこそが、彼の強みであるはずなのだ。でなければ、あれほど歴戦のディエゴがああも簡単にあしらわれるはずもない。雪名は殆ど無敵近い力を有しているけれど、彼女も決して戦闘経験が豊富だったり、相応の訓練を受けているわけではないから、差は大きいんだろうな。
ただ、それはでも誠一も変わらないっちゃ、変わらないわけで。今回はアンチリテラルとしての機能で不意打ちをつけたから撃退出来たけれども、果たしてそう何度もうまくいくものか。数の理論を応用して敵の能力を解体し、攻略法を見つけ出す、というスタイルが素で最強に近いカラス相手には通じないというのはなかなか辛い所。果たして、次回以降どう対処していくのか。誠一がアンチリテラルとして覚醒してしまったところが、逆に彼の智謀によって事態を打開する展開を崩してしまう形になりかねないので、結構判断が難しい所なんじゃないだろうかしら。

アンデレさん、順調にツンデレさんとなって誠一の方に寄りはじめているけれど、彼女、カラスに対してはあくまで身内という意識なんだろうか。過去のエピソードを見ていると、単純に兄への思慕とは言い切れない気もするんだが。カラスの方もちょっとわからんよなあ。裏切りの理由はともかく、彼なりにアンデレのことを考えていながら、わりと本気で殺しても構わない様子で攻撃仕掛けてきているし。根底で何を考えているのか見通せないというのは、カラスというキャラを判断しづらくしていて、うん面白いね。

今回は通してみると次への繋ぎの回、と言った風情で普段よりも盛り上がりには欠けた感もあるが、そのぶん次回以降には期待したい所ですね。

1巻 2巻 3巻感想

修羅場な俺と乙女禁猟区4   

修羅場な俺と乙女禁猟区 (ファミ通文庫)

【修羅場な俺と乙女禁猟区】 田代裕彦/笹森トモエ ファミ通文庫

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あなたを愛していますっ! ……殺したいほどに。

「お前の婚約者候補だ!」世界に名を成す大財閥の長にして父の十慈郎【じつじろう】から、5人の美少女を前に突然そう告げられた遠々原節【をんどうばるせつ】は、その次のセリフに戦慄した。「この娘たちは、お前のことを殺したいほど憎んでいる」クソ親爺はさらに続ける、「だが、この中にお前を愛する娘もひとりいる」その娘を選べなければ待つのは破滅……しかし、手段も所も構わず繰り広げられる彼女達の求愛に、理性を保つだけで精一杯!? 魅惑のデッド・エンド・ハーレム開演!
これは、舞台設定の勝利だよなあ。婚約者候補たちに与えられたゲームの報酬は、遠々原財閥の財産と権力、そして憎むべき遠々原節や十慈郎も含めた遠々原一族の身柄の自由。かつて遠々原財閥によって破滅しすべてを失った彼女たち。その復讐のために表向きには一切の憎悪も憤怒も糊塗し切り、怨敵の子息である遠々原節に好意と笑顔を振りまいてその愛を勝ち取らんとする彼女たちのその姿勢は、一見してキャピキャピと浮ついた年頃の女の子の外見とは裏腹に、いやそんな内心を一欠けらも垣間見せない徹底した姿だからこそ、背筋が寒くなるほどの壮絶さを醸し出している。
主人公はバカではなく、それどころか冷酷とすら評されるキレ者なので、勿論彼女たちの愛想の良さに乗せられるわけもなく、恐怖すら感じながら慎重に彼女たちの本性を探っていくのだけれど……この娘たち、まったく尻尾を見せないんだもんなあ。怖い、マジ怖い。
こんな怖いハーレム無いよ!
並の男子では精神の均衡も保てないんじゃないかというスリルとサスペンスあふれるハーレムなのだけれど、それに挑むプレイヤーは上記したように一筋縄ではいかない主人公だ。ある意味、主人公の節は全くこの五人の婚約者候補たちと対等の立場と心持ちを備えた人物と言えるかもしれない。それだけに、上辺には騙されず、恐怖に負ける事もなく、必死に媚びを売ってくる少女たちを冷静に観察し、判断を積み重ねていく。
ここまで男女の両者に愛情が介在しないまま、虚実を入り混ぜて何が本心かも誰も分からないまま濃厚に接していくハーレムというのもまた珍しい。
とは言え、この話に冷めた薄ら寒さを感じないのは、かの主人公が冷酷ではあっても非情ではないからなのだろう。彼は情には一切流されないんだけれど、情が無いわけじゃないんですよね。それどころか、基本的に情に基づく結論を基盤として判断し、行動している。尤も、彼の場合情深く行動することが自分の利益となり有利に働くからという計算高さから来るものなのだろうけれど、その割り切り方はむしろ好感が持てる。それに、彼は自分の基盤を裏切らないと思うんですよね。彼の根本にあるのは激情であり信念である以上、彼の計算高さはあくまでツールであり、本末転倒に損得勘定で自分の根源を裏切る真似はしないはず。
彼はほんとうの意味で人を愛さないかもしれないけれど、自分の与えた分の情は決して裏切らないでしょうから、真の愛を欲さない限り、彼は良い伴侶になると思いますよ。幸せにはしてくれるはず。
そういう主人公の在り方を前提に考えると、彼のメイドの睦月のスタンスは結構複雑なものと勘ぐる事も出来る。どうやら主人公の人間性を一番詳しく知っているのは幼馴染にして運命共同体である彼女なのだろう。だからこそ彼に真の愛情を求めようとはしないのだろうし、さりとて表面上の愛情で優しくされても飢え渇くだけ。彼女にとって現状の運命共同体こそが最も遠々原節という人間の深い所に食い込み、自分の存在を大きく意識させ、捨てるに捨てさせない位置なのだろう。同時に、ちゃっかりと愛人という将来の立ち位置もちゃっかり確保しているあたり、彼女だけが負けのない勝利者の地位を既に得ていると見てもいい。唯一の敗北は、遠々原節の破滅なのだろう。彼の破滅は運命共同体である彼女の破滅でもあるけれど、彼女の境遇と言動を鑑みるとそれもまた良しと考えている節もある。自分のすべてを節に預けた睦月は、気楽な究極の傍観者なのかもしれない。
泰然と、このハーレム狂騒曲を外側から見下ろしてせせら笑っている睦月は、なるほど五人の婚約者候補を押し退けて一巻の表紙を飾るに相応しいヒロインだったのかもね。
何やらこの一冊で終わっても大丈夫なような〆方をしているけれど、はてこれ続きは出ないんだろうか。わりと簡単に続けられそうな、でも実際続けるとなると難しいような、なかなか複雑なところだけれど。
もし続けるなら、このまま甘っちょろいハーレムにならない、凄絶な部分は無くさないで欲しいなあ。

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 33   

アンチリテラルの数秘術師 3 (電撃文庫 う 5-3)

【アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 3】 兎月山羊/笹森トモエ 電撃文庫

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私達は無自覚に、目に見えないi(ウソ)を必要として生きているんだよ。

 仲間でやってきた北海道旅行。様子のおかしい雪名に、俺は歯がゆい気持ちでいっぱいだった。彼女は俺との“約束”を疑っているのかもしれない──そう思った折、町が歪み始める。無数の化物。数秘術(アルケニック)が使えなくなる雪名。NPCのように機械的な、町の住人たち。そして現れる、“虚数”の災厄の数(アルヘトス)。彼との出会いで、俺と雪名は互いの本当の気持ちを知ることになる。“数”の異能力バトル、第3弾登場。
本当に可愛らしいヒロインだなあ。実力的には最強に近いものを持ちながら、キャラクターとしては完全に大人しい小動物系。健気で儚く素直で優しい。このギャップがまた新鮮なのである。一方で主人公は強力な能力的なものは持ちあわせていないものの、その精神面でか弱げな雪名を庇護し続けている。誠実でブレないその人柄は、具体的な無力さを何ら気にさせない頼もしさに溢れている。この二人のカップリングには誰も入り込む余地ないですよね。パーフェクトカップリングすぎる。新たに登場したアンデレさんはイイキャラなんだけれど、このオモシロ空回りさんはラブコメ要員ではないんだろうなあ。というか、この隙だらけの執行官は、明津と鐘をつくような丁々発止を繰り広げてたので、コンビとしてはそちら推奨? お互いボケとツッコミの両刀使いだから相性も良さそうだし。
今回の敵はこれまでの二回の敵のような破滅的な人物と違い、むしろ誠一に似た大切なモノを守る側の人間、守ろうとした人間。その事情を知ってしまえば知ってしまうほど共感が生まれていく。なればそれは、誠一たちのありえた可能性だったかもしれないからだ。でも、最後の誠一の下した決断が、彼と誠一との決定的な違いを表している。誠一ってただ優しいだけの男の子じゃないんですよね。だからこそ、雪名のような子を守れる立場に居るのでしょう。
今回の物語は、自分たちのありえた可能性と同時に、誠一と雪名に改めて自分たちの関係性を見直すきっかけを与えることになる。特に雪名は、今まで誠一に抱いていた淡い想いの名前を教えて貰うことで、完全にそれを自覚する。その様子のまた可愛らしいこと可愛らしいこと。これだけ嫌味なくあざとくなく可憐で可愛らしいヒロインも珍しいよなあ。

悲しい嘘の積み重ねで築きあげられた「i」の世界「ガウスの迷宮」。結果として破綻してしまったけれど、その哀しくも優しい嘘は本当の気持ちを伝え合う為には決して無駄じゃなかったと信じたい。ただ悲劇で終わってしまうはずだった物語に、一滴の、だけれどとても尊く大切な幸せを落としてくれた結末に、祝福を。
いい、お話でした。

安易で迂闊なアンデレさんは、どうやらこのままレギュラーになりそうで嬉しい限り。どうも脇が甘い新米さんだけれど、実力的には執行官の名に恥じないちゃんとした人なので、日常パートはともかく非常時にはとても頼もしそうなので、味方として加わってくれる事はどうもラスボスらしき相手も出てきた今となってはありがたいところ。賑やかし要員としても大活躍してくれそうですしね♪

1巻 2巻感想

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 24   

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)〈2〉 (電撃文庫)

【アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) 2】 兎月山羊/笹森トモエ 電撃文庫

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私はまだ、“φ(から)”のままなんだ。……こんなふうに思うのは、きっと君に出会ってからだ。

 あの事件から数ヶ月。文化祭のクラス劇で、雪名はヒロイン役に抜擢された。俺には少しずつ心を開いているものの、ずっと孤独に生きてきた彼女はなかなかクラスに馴染めずにいる。
 そんな時、俺は“歪んだ無次元数(スカラー)”を見ることになる。連なる赤い数値の鎖で繋がれた、奇妙な人間たち──。
 平和になったはずの東京に再び現れた、“集合”の災厄の数(アルヘトス)。“無限の力”をも喰らおうとする、雪名の天敵。新たな戦いに身を投じる雪名に、俺は何ができるのか。
“数”の異能力アクション、第2弾開幕!!
あー、やっぱりこのヒロインの雪名は素敵だなあ。これは見返したら一巻の感想でも書いてたんだけれど、バトルものの戦うヒロインとしては性格がすっごく普通の女の子なんですよね。それも活発とは真逆の、物静かで大人しく、笑う時もそっと微笑むような楚々とした奥ゆかしい美少女といった感じで、とても敵や怪物と闘争するようなタイプの子じゃないのである。むしろ、繊細な思春期の男女の相克を描く青春もののヒロインのような。
だからなのか、彼女の強さそのものは登場人物の中でも屈指のものを誇るのに、むしろその立ち振る舞いには儚さとかか弱さを内包した可憐さが羽織られていて、なにやら途轍もない庇護欲を掻き立てられるんですよね。でも実際心が弱いってこともないんだよなあ。意志は何だかんだと強いほうだし、行動力もある、なにより覚悟が座っている。だから、むしろ内面は毅然とした強い女性ではあるんだけれど……でもやっぱり儚げなんだよなあ。主人公に対してもどこかそっと寄り添うような距離感だしねえ。結構、身も心も預けてるっぽい所があるんだよなあ。おかげで、主人公の誠一くんは無次元数を見ることが出来る、という意外本当に何の力もない子にも関わらず、印象としてはずっと誠一くんが雪名を守っている、という風に見えるんですよね。これは不思議。
誠一くんが完全に雪名から信頼を得たこの二巻になると、雪名にちょっと甘えん坊の卦も出てきたので、なにやら二人の雰囲気たるや日常パートだと常時そこはかとなく甘酸っぱい空気が流れている始末。あんまいイチャイチャしてる、という俗っぽい感じはしないんですけれどね。言葉にするなら初々しくも仲睦まじい、といった雰囲気か。何れにしても御馳走様である。カラー口絵にもなってるあのシーンは相当に凶悪w
しかし雪名のイラスト、若干一巻よりも頭身が沈んだような印象が……微妙にABの天使ちゃんっぽくなってる気がするw

前回の「確率」に引き続き、今回は数学の「集合」から。人間関係を公式のように定義してしまったが故の悲劇。正直、写像とか数学用語、調べてもとても理解したとは言えないのですけれど、こうして物語仕掛けで設定を用意してもらうと、なんとなくニュアンスみたいなものは伝わってくるんだよなあ、面白い。世界は数字でできている、などと言うこともあるけれど、こうした人間関係ですら数学に照らし合わせて異能として表現する方法は、世界観や設定がガッチリと固まって安定感がありますね。数学を知らなくても、これなら把握しやすいし。
一巻に引き続き、安心して楽しめる良作でした。雪名カワイイよ雪名♪

1巻感想

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)4   

アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト) (電撃文庫)

【アンチリテラルの数秘術師(アルケニスト)】 兎月山羊/笹森トモエ 電撃文庫

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残念だね。君には“無次元数(スカラー)の異常を視認できる才能”が開花してしまった。

「人はデルタtの狭間に生まれ、そして死んでいく」
 ビルから落ちていく儚い少女。彼女の背中に、一瞬、羽が見えた気がした──それが、“数秘術師(アルケニスト)”羽鷺雪名(うさぎせつな)との出会いだった。
 妹の愛架が突然、何者かに誘拐されてしまう。必死で探す俺の目に、無数の赤い数字が虚空に浮かんで見えた。そして、俺は知ることになる。あらゆる数を書き換えることで奇跡を起こす能力者の雪名は、“確率”を操る怪人との戦いにひとり、身を投じようとしていた。“数”の異能力アクション、開幕!
凄いなあ、この新人さんはデビュー作にしてほぼ完全に自分の作風というものを確立してるじゃないか。典型的な現代異能ものと言えばそうなんだけど、浮ついたところがなくて物凄く雰囲気があるんですよね。これは出色。
面白いことに、キャラクターに関してはライトノベルとしてはビックリするくらいに普通。突飛な性格や目につくような派手な個性などといったキャラ付けは一切してないんですよね。主人公の誠一くんは兎も角としても、ヒロインである雪名や妹である愛架もがむしろ平凡といった性格をしていたのには驚かされた。特に、雪名などは見た目については白髪などといった特徴を有しているものの、内面的には本当に普通の女の子なんですよね。誠一との接し方や交流の様子なんかも、特別で過酷な背景を持った異能モノのヒロインというよりも、青春恋愛劇に出てくるようなちょっと内気で仄かな影を抱えた少女といった感じだし。言うなれば、バトルものよりも心の交流を描いた作品に出てくるようなヒロインのように感じた次第。これはちょっと新鮮だったな。
濃いキャラ付けがイコールそのままキャラクターの魅力となるわけじゃない、という見本のようなキャラクター描写でした。
しっとりとした雰囲気の中で、丁寧に折り重ねるように紡がれていく交流の中で浮かび上がってくる登場人物たちの魅力や存在感。まだまだ掘り下げ方や深度については進撃の余地は残っているとは思うんだが、この方向性自体は大事にしてほしい。バトルそのものに傾倒するんじゃなく、戦うに到るまでの心の移ろい、人間関係の絡まり、そこから戦う理由と意志と覚悟を見い出し立ち上がるまでの過程にこそ輝きが得られる作風だと思う。そして、実際の戦いの顛末は、単なる答えや結果ではなく、結実であり結晶と成り得るような。

もう一つ興味深かったのが、秋月刑事という存在を加えたことでこれを主人公とヒロインの閉じられた世界にするのではなく、世代を超えて受け継がれていく意志と生き様を主題のひとつとした作品となってるところである。誠一も雪名も最初から最後まで知らないままなのだけれど、偶然か必然か、彼らは先達が遺したものを引き継いで、彼らの生きた証を体現し、後悔や未練を晴らす役割を担ってるんですよね。でも、彼ら自身はそれを知らないことで、重荷として背負う形にはなってないのがいいんですよね。自然と、次代を担っている。それに、彼らが強く生きることそのものが、先達たちにとっての報いになってるわけですしね。
そして、秋月刑事は過去と今とをつなぐ橋渡しとなり、同時に今の誠一たちを見守る存在になっている。きっと彼女は前の時代では主人公の助手として働きながら、仄かな想いを抱いていたサブヒロイン的な立ち位置に居たと思うんですよね。それが、今は若い少年少女を助けて見守る立場になっている。それが何か今現在が確かに未来へと続いている事を過去から証明している生き証人、みたいな感じで何気に重要なキーパーソンとして機能してるのではないだろうか。
何にせよ、こうした受け継がれていく意思、というタイプの話はやっぱり好きなんですよね。そして、それを前面に出さずにひっそりと土台の基礎部分として沈黙しているところも。こうしたところも、この作品の厚みのある雰囲気に良く影響してるんだろうなあ。

非常に質の高い良作でした。次回以降もこれは大いに期待。

“菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人4   

“菜々子さん”の戯曲  小悪魔と盤上の12人 (角川スニーカー文庫)

【“菜々子さん”の戯曲 小悪魔と盤上の12人】 高木敦史/笹森トモエ 角川スニーカー文庫

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高校に入学した俺は、文芸部に強制的に入るように脅されちまった。いきなりの大ピンチに颯爽と現れたのが“菜々子先輩”だった。心奪われた俺は、いつの間にか彼女の言葉に誘導されて――この恋は屈辱の味がする。


あらすじからの印象では、この度菜々子さんの餌食になる後輩君、菜々子さんに惚れてしまったが故に言い様に操られてしまう道化くん、にみえてしまうのですが、どうしてどうして。
この男、相当に食わせ物である。少なくとも、易々と他人の言いなりになるようなタマではない。そもそも、菜々子さんに初っ端から惚れているわけでもないんですけどね。
やる気もなく覇気もなく目的もなく、不真面目だけれどバカに力を費やすような情熱もなく、エロDVDに汲々とする日々をぼんやりと謳歌する、頭の悪そうな平凡な高校生。同級の天坂舞が見下しているように、概ね語り部となる宮本剛太という少年は秘めたる情熱もなにもない。ダラダラと毎日を過ごすだらけた人材だ。
何か信念があってだらけているわけでもない。普通の日常に、希望もいだいていない代わりに絶望もしていない、過去に何かを抱えているわけでもないけれど、将来に何かをいだいているわけでもない。何一つ特別ではない、わざわざ普通と強調する必要もないくらい、その辺に有象無象といるあまり優秀でもない普通の生徒に過ぎない。

よくぞまあ、菜々子さんは有象無象の中から彼という人材を見つけて、釣り上げたものだと思う。普通に付き合っていて、この宮本くんがその人物像からは想像できないくらい、諸般の物事に対して深く思索する人間だとはとても気づかないだろう。この子、自分が他人よりも物事についてよく捉え、考える人間なのだと全然気づいていないようだし、その思考をベラベラと喋ることもなく自分の中で片付けてしまって、殆ど表に出しませんしね。そして、自分は良く考えてるけどそれを口に出していったりなんてしませんよー、という考えてるけど黙ってるんだ! という意識も抱いていない。考えることはとても自然で、その思考や結論を他人に言う事にまるで必要性を考えいない。彼にとって別に思考することは娯楽でも趣味でもなく、武器でも自己満足でもなく、本当に自然な事みたいだ。それこそ、息をするように。特別でもなんでもない。そして、その思考を元にうまく立ち回ろうという気がまるでない。だから、まったく賢しらに見えない。
なるほどなあ、どうして彼が菜々子さんのお眼鏡にかなったのかが、何となく伝わってくる。
この手の人材は、フラット過ぎるがためにむしろ菜々子さんとしては決して操りやすいとはいえないはず。むしろ、他の映研の面々などのように個性的なメンツの方が、簡単なはず。
でも、絶対的にこの宮本くんの方が面白い。何より、菜々子さんは自分が事象の繰り手である事を見ぬいてくれるような相手にこそ、興味や関心、何より享楽を感じているようだし。自分独りでほくそ笑むよりも、相手がやられた、と気づいてくれるくらいでないと、面白くないですもんね。
それこそ、全体像では掌握していても、一部では出し抜かれてしまうくらいの相手じゃないと。
なんてきわどい小悪魔なんだろう。これで、彼女の恋心ときたら、一巻の件の彼に夢中ときた。
いやあ、菜々子さんの本当の気持ちがどうなっているのか、一巻の段階では間違いなく彼の事を好きなんだろう、とは思っていてもあくまで心証であって、本当のところはわからなかったんですけどね。それが、今回こんなにはっきり意思表示してくれると、ニヤニヤせずにはいられない。
ってか、最後のやり取りって幾ら何でも菜々子さん、はっちゃけ過ぎなんですけど。あんた、事件解決に託けて、まさかとは思うが「それ」を手に入れるのが目的にもなってたんじゃないでしょうね。
菜々子さんにも計り知れない「男の子の気持ち」というのを、宮本に確かめてからの考えなんでしょうけど、あんた自分のなんてものを「彼」にプレゼントしようとしてるんだか(苦笑
普通は幾ら好きな相手でもそんなの渡しませんて! 渡された方は真剣に困るぞ、これ。確かにものすごく嬉しいかもしれないが、張本人から渡されてどういう顔をしたらいいんだ。というか、こういうのほしがってるとか決めつけられて、いったいどういう顔をしたらいいんだか。しかも、手紙には見るな、と言外に書いてるし。どうしろっていうんだよ!
もう、最後の手紙だけで菜々子さんがどれだけ恐ろしい小悪魔か知れるというものである。
こんなのに惚れてしまった日には、いったいどういうはめになるのか。なるほど、呪い、と誰かが評したのは当を得て居る。生半な人間じゃあそれこそ人生を台無しにされてしまうだろう。宮本も、それを嫌というほど目の当たりにしたのに、だからこそ魅入られてしまったわけか。こりゃ、大変だ。しかも、最初から恋愛抜きで、と承知した上で、だもんなあ。
もし、菜々子さんを振り返らせる可能性があるとしたら、それこそ彼女を殺すか、彼女に殺されるか、という関係にまでなるしかないんだろう、きっと。

一作の怪しげで緊張感が染み渡った暗鬱な雰囲気も面白かったけれど、この明るく普通の学園生活の中で、菜々子さんもそれなりに普通で楽しげな学生生活を送っているのを見るのも楽しかった。陰険で腹黒の菜々子さんだけれど、別段常時陰険状態ってわけじゃないし裏から学校全体を操っているわけでもないのです、当然だけどね。
というよりも、終わってみると菜々子さんの行動原理って、面白いかどうか、と同じくらいの割合で「彼」のため、に比重が寄ってるんですよね。彼のため、というより彼に対する自分のため、ですけど。うん、つまり自分の為に他人を利用しまくってるわけで、やっぱり陰険だ。でも、憎めない。やっぱり、陰険ではあっても陰湿ではないからか。敵にまわすと凄まじく怖いけど。
一巻と比べても、その行動原理に恐ろしい裏があると疑う必要がなく明快であるがために、さらに可愛く感じてしまう。無茶苦茶可愛い。

“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕4   

“菜々子さん”の戯曲  Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫)

【“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕】 高木敦史/笹森トモエ 角川スニーカー文庫 

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第13回学園小説大賞《優秀賞》受賞作、登場!
“菜々子さん”が、突然3年前の事故は「事件だった」と語り出した。彼女が語る情報の断片は、なぜか次第に菜々子さんが犯人だと示し始める。しかしそれは、菜々子さんの巧妙なる“シナリオ”だった!

名無しの菜々子さんはどこにいる? 本当の“菜々子さん”はどんな人?
「ぼく」と「菜々子さん」の間で繰り広げられるそれは、ほとんど一方通行のコミュニケーションにも関わらず、此処で繰り広げられているのはぎりぎりの瀬戸際を綱渡りするような駆け引きだ。
何が真実で、何が事実とされるべきなのか。「菜々子さん」から提示される情報と、過去の記憶のみを糧として、主人公は彼に許された唯一の行動である「思考」を駆使して、名前を失った少女の真の像を構築していき、その上で彼女が暗に指し示している条件を摺りあわせて行く。
断絶したコミュニケーション上で繰り広げられる駆け引きと、その過程で浮き上がってくる真相は非常にスリリングで、なるほど謎解きとはまさにこのようなエンターテインメントなんだなあ。
「菜々子さんは陰険である」
まったくもって怖い人である、菜々子さんは。でも、それ以上に可愛い人である、菜々子さんは。
一連の駆け引きを持ち出した彼女の意図がどこにあったのかというと、真相の口封じと事実とするべき事柄の相互確認、というのが「僕」が表層的に認識している動機なんだろうけれど、最後の彼女の独白を見ると、確かにそれは重要であるけれども建前に過ぎなくもあるんですよね。
本当の目的は、自分という女の子がどんな人間であるかを深く深く考察してもらうこと。そして、彼の意識の深い深いところまで、楔を打ち込む事。自分のことを忘れないように、自分を決して蔑ろにしないように。もはや、逃れられないように。
興味深いのは、彼女がそうした偏執的な自分の執着心を完全に客観的に把握した上で楽しんでいるところなんですよね。彼女のそれは一種の病的なものとすら言えるんだけれど、同時に完全に制御されている。理性的にコントロール出来ているわけだ。彼女のたちの悪いところは、コントロール出来ているにも関わらず、それを一切抑制しようともせず開放しきっているところ。
解ってやって、しかも楽しんじゃってるんだから、そりゃあ「陰険」呼ばわりされても仕方がない。
勿論、彼女が事故の際の「僕」の行動で根深いトラウマを植え付けられてしまった事からも、彼女にも人並みの良心や罪悪感があるのは想定できる。これがあるからこそ、彼女が本心から「僕」の回復を願っている事も信じられるし、彼女の「陰険さ」に愛嬌が感じられるのかもしれない。いや、彼女がその「陰険さ」を隠すどころか、「僕」に余すこと無く伝わるように仕掛けてきた開けっ広げさが、彼女の陰険さに陰湿な部分を匂わさず、快活ですらあるように見せているのかもしれない。
とはいえ、「僕」が菜々子さんの「陰険さ」を知り、彼女がどんな人間なのかを思考し、ほぼ正解の形で想像してしまったからこそ、あの呪いは発動してるんだから、やっぱり素晴らしく「陰険」だわ(苦笑
これもまた、ひとつの愛情の形なのかもしれない。自然と結ばれる愛情もいいけれど、こんな風に狡猾に手ずから玉結びにしてしまう繋がりも、アリといえばありなのだろう。長い人生においては、こうした愛情の方がロングスパンで見ると上手くいくような気すらしてくる。
 
12月3日

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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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