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紅緒

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 4 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 4】  森田季節/紅緒 GAノベル

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

300年スライムを倒し続けていたら、
いつのまにか――子供になってました!?

ハルカラが焼いた毒きのこをうっかり食べてしまったせいです…(蒼白)
おかげで家族は目の色変えて私をあやそうとする始末(やめてー! )
ベルゼブブと魔王の城に行ったら、今度はペコラに捕まってしまい(もうどうにでもして…)、
なんとか戻ったと思っても、今度は村に来ている変な吟遊詩人と出会ったり、娘二人が世界精霊会議という謎の会議に招待されたりで――!?

巻き込まれ体質だからって、
私はスローライフを諦めないんだからね! !

本書だけの書き下ろし短編を収録!
「小説家になろう」で人気の異世界アットホームコメディ第4弾!
ハルカラがいると大概のトラブルをスムーズに巻き起こしたり巻き込まれたりしてくれるので、便利だなあハルカラさん。
というわけで、子供になっちゃったアズサ。高原の魔女の家で何が足りないかというと、まず幼女!
 いや、それはスライムの精霊であるシャルシャとファルファの双子がファミリーの子供たちとして日々活躍してくれてはいたものの、彼女たちの妹がほしいなあという要望に体を張って応えるアズサお母さん、さすがの献身である。
旦那さん見つけて今から仕込んで〜、とは行きませんもんね。それはそれで家庭の危機である。森田さんだとわりとそのあたりの渋いホームドラマも書こうと思えば書けると思うのですけれど、シリーズのジャンルが全然違うものになってしまうものなあ。
みんなの母性本能を擽りまくる幼女アズサであるが、いつまでもみんなに抱きかかえられて頭撫でられているわけにもイカず、治せる薬を求めて魔族領は世界樹の頂上付近で営業しているという魔法薬店に、ベルゼブブから差し向けられたリヴァイアサン姉妹と共に向かうことに。
世界樹ダンジョンに登頂だ、と意気込んだものの、かつて幾多の冒険者たちを阻み続けたダンジョン世界樹は、今や観光名所として観光客で賑わっていたのでした。
古い遺跡の観光地化は、文明文化が発展すればアルアルですよねえ。富士山なんかだって、そんな感じですしね。少なくとも麓の方は気軽に車なんかで乗り付けられますし。
普段は仕事で忙しいリヴァイアサン姉妹が、久々に姉妹で旅行を楽しむ感じでアズサを案内してる様子は微笑ましいものでした。サクッと、この姉妹にもスポットあてて掘り下げてるんだよなあ。
ベルゼブブの仕事している様子を見物に行こう、なんて話もありましたけれど、農相として働くベルゼブブはホントに忙しそうで、その秘書であるリヴァイアサン姉妹もそりゃ、二人で一緒に休暇とって旅行、なんて真似はなかなかできなかったでしょうからね。
ベルゼブブ当人は忙しいはずなのに、ちょくちょく暇作ってはアズサのところに遊びにくるわけですけれど。でも、召喚なんかで呼び出されたときは割合いつも会議とか控えてたりする事も多いんで、マジで忙しいんだろうな、あれ。

さて、本巻で一番白眉なのは、売れないデスメタ系吟遊詩人のククが成功するまでの物語でした。
デスメタ系吟遊詩人というだけでパワーワードなんですが。まあこの場合吟遊詩人というのは、シンガーソングライターそのものなんですが。
そうして、細々とドサ回りで地方を回りながら吟遊詩人として青息吐息で生きてきたものの、そろそろ本当に限界で、というこの心身ともに擦り切れそうな人間の描写が何気に真に迫ってるんですよね。
これまでずっと続けてきた吟遊詩人を、もう諦めてしまうか。辞めるか。もうキッパリと未練を断ち切って、これからの人生を生きるために仕事を見つけて働いていくのか。
そういう絶望とすら呼べない、虚無に近い燃料というか気力が尽き果てたようなククの姿、なんか実感籠もってるんですよね。こういう世間の片隅で誰にも見向きもされないまま擦り切れていくような人の描写、森田さんって他の作品でも生々しいくらいの表現で描いていくので色んな意味でゾクゾクしてしまいます。
そんなククにとって、住むところと温かい食べ物を提供してくれて、擦り切れた心が回復するまでウチでいつまでもゆっくりしていけばいいんだよ。焦って振り切って諦めずに、ゆっくり身の振り方を考えていいんだよ。もう一度落ち着いて自分の音楽を作り直してみてもいいんだよ、と保護してくれたアズサは、もうククにとってはたまらんくらいの救世主だったんだろうなあ。
でも、それでコロッと復活できるほどククが歩いてきた売れない吟遊詩人という人生は易いものではなく、それでも音楽を諦められなかったククは、デスメタ系というジャンルそのものを諦めて、これまでと全く異なる方向性に進み始める。
それは悩みに悩んだ末の路線変更だけれど、これまで歩んできた自分を曲げた、という意味ではその決断もまた諦めの一つではあったんですよね。諦めだけれど、それは前へと進む諦めだったけれど。それでも諦めではあったわけだ。
だから、その後ククが魔族の開催するフェスに参加して売れっ子シンガーになっていったとしても、それは奇跡のサクセスストーリー、という輝かしい栄光の道を描いた物語ではなく、自分を変えてしまった小さな痛みと苦渋を抱えながら、それでも僅かな後悔と安堵を噛み締めながら前に進み続ける傷だらけの成功者の物語になっているのである。
ククのあの落ち着きながらもどこか切ない歌声は、悼みの歌でもあるのだろうか。
だから、最後のフラットルテの。吟遊詩人フリークとしてククに対して常に感情的にならず、客観的な視点から助言と苦言を呈し続けたフラットルテが。最後の最後に、ククが捨てたデスメタをかき鳴らして、ククの今まで歩んでいた長い長い苦しいばかりだった人生の歩みを肯定しての、声援と激励、そして祝福は、だからこそ胸に響く以上に深く奥まで沁み入ったのでした。
フラットルテの新たな側面、というか今までに見たことのない、刹那的な感性だけで生きていた動物みたいなブルードラゴンの彼女が、あんな論理的に評論家みたいに冷静に論理的に吟遊詩人界隈の話や技術論などを語り尽くしていく姿は、新鮮でもありなんか笑ってしまう感じでもあり。
でも、だからこそあのラストのフラットルテの熱い言葉、贈る歌は良かったんです。フラットルテというキャラの魅力を後押ししてくれるエピソードでもありました。
なんか、語れば語るほど登場人物の新たな側面、今まで見えていた姿からもさらに掘り下げたような様子が見えたりして、キャラクターに行き止まりを感じないんですよね。
さすが、現状18巻まで出てるような長期シリーズになるだけありますわー。

それはそれとして……ちょくちょく幽霊のロザリーの闇の深さが垣間見えるのがちょっと心配になったりもするぞw




スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 3 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 3】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、いつのまにか家族がふえていました。
そろそろスローライフは諦めて、家族との平和な日常を楽しもう、と思ったのですが……。

そんな! ファルファがスライムの姿から戻れなくなっちゃった(でも可愛い)!
何とか解決したと思ったら、今度は私を騙る魔女が登場で国中が大騒ぎに(目立つのは困ります!)!?
――「高原の家」はいつも賑やかトラブルが絶えません!

けれど継続は力なり。
今度こそ平和な日常をつかんでみせるから!!

本書だけの書き下ろし短編3作品を大収録!
「小説家になろう」で人気の異世界アットホームコメディ第3弾!

ブルードラゴンのフラットルテ、おバカの野生児なんだけどちゃんと家事スキルは普通以上にあってライカと張り合えるくらい女子力はあるというのは可愛らしいなあ。
ドラゴンが二人になった事で仲良しのスライムの精の双子であるファルファとシャルシャとは違う、いつも喧嘩ばかりしているけど何だかんだと息があっている新しい姉妹みたいな関係が誕生して、なんともほっこり。性格はバチバチ火花散るくらいあわないんだけど、ドラゴンとしての生態が一緒なせいもあって今までのライカだけだと彼女が遠慮して表に出てきていなかった、ドラゴンならでわの生活欲求なんかが露呈してきて面白かった。
そりゃ、ドラゴンなんだから肉、喰いたいよね!
焼肉大会、最初は原始的なひたすら焼いて食う、だったのが料理できる人が加わってだんだん文化的で趣向を凝らしたものへと移っていって、ひたすら肉を食うだけの集まりだったのが和やかな宴会になっていくの、なんか良かったなあ。
そして、つまみ食いが見つかって恥ずかしそうにしているライカ、可愛かった。
あとの話でカードゲームやボードゲームなどの娯楽が持ち込まれて、家族間で流行ったりなどするのだけれど、この焼き肉の話でもちょっと高原の魔女の家での食事環境が変わってるんですよね。
ここで暮らす人達はこれ以上無くお互い大切にしている家族同士なんだけれど、同時にみんな種族が違うバラバラの存在でもあるんですよね。それが共同生活を送り、家族として一緒に暮らしている。その生活をみんなが心地よくストレス無く本当の意味で誰も我慢したり堪えたりせずに楽しく過ごすためには、それぞれの種族のことをもっとちゃんと知らなくてはならない、という結論に至ったのなんか、ただ漫然と家族として一緒にいるだけじゃないんだなあ、というのが伝わってくる。
ドラゴンはもっと肉が食べたい、御飯の量もほんとはもうちょっと欲しい。そんなささやかな部分だっておろそかにすべきじゃない。なぜなら、家族のことなんだから。
みんな育ち盛りなんだから、もっと食べさせてあげないと! なんて、ほんとアズサさん一家のお母さんですよねえ。
ファルファがスライムに戻っちゃって人間の姿になれなくなっちゃったときも、スライムの精という未知の存在ゆえに対処法がわからなくて、アズサたちが国中を駆け回らなくちゃいけなくなったのも、家族のことをもっと知らないと、という話に繋がってくるんですよね。
そんでもって、ファルファをもとに戻すために今までになく余裕なく必死に駆け回るアズサは、これまでで一番お母さんしていました。子供のピンチのときほど母親が奮起するものだもんなあ。
今回は家を出て、あっちこっちの街に行き来することが多かったけれど、家族の大黒柱として、みんなのお母さんとして家族の危機に立ち上がり、みんなを取りまとめて、みんなを安心させるアズサさんのお母さんっぷりがより顕著に見受けられたような気がします。
あと、あれこれ問題が起こることで逆に雨降って地固まるという感じで、高原の魔女の家の生活環境がさらに最適化されて充実してってる感じなんですよね。食事事情の改変とか、娯楽環境の充実とか。家族が増えるのはフラットルテでひとまず定員みたいだけれど、これくらいが一番いい塩梅の人数ですなあ。外からはいつも遊びに来てくれたり助けに来てくれたりするベルゼブブや魔族たちもいるわけですし。



スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、いつのまにか世界最強になってました。
おかげで面倒ごとに巻き込まれはしたものの、
最終的には新しく家族になった4人の娘たちとスローライフを始められそう、だったのですが……。

ええっ、エルフのハルカラが経営する工場で幽霊騒動? 収まったと思ったら今度は違法操業とかで逮捕されちゃうし! さらには私の活躍(?)が魔族に評価されて、魔王の城へご招待!?
――って、今回もトラブルの予感しかしません!

それでも私は負けずにスローライフを目指すからね!!


ハルカラには意外な一面が!?
本書だけの書き下ろし短編「迷い猫が来た」も収録でお届けです。

お祭りでの喫茶店話はアニメでは最終回だったのですが、なるほどアニメで最後に回したのはグッドでした。この段階ではロザリーもフラットルテも家族に加わってなかったですもんね。彼女たちの給仕服姿はまさにガンプクでしたから。
ちょうどお話としても、家族が出来て家族と一緒に旅行して、と外に出る機会が増えてきたところで、家族みんなで外とつながるナニカのイベントをしよう、というタイミングだったのでしょう。
家族の中だけで完結しているのもいいのですけれど、外とつながることでより深く家族同士の繋がりを感じる事もありますから。
それにしても、ライカは美少女ですなー! ドラゴン娘ってわりとワイルドだったり美人系の傾向があると思うのですけれど、ライカはむしろ可憐系なんですよね。性格的にもお淑やかだし、清楚可憐系なんですよ。この娘が最初、最強を名乗って襲ってきたのが不思議なくらいお淑やかなんですよ。
同性をも魅了してしまう絶世の美少女っぷり、どうも元々お洒落で衣装のセンスも抜群みたいですし、家事能力も高いのだから女子力も抜群だし。
マジ可愛いです。
そして、いつもなんだかんだと助けてくれるベルゼブブ。ほんま、この人お姉ちゃんやなあ。アズサがお姉ちゃんと呼ぶのも良く分かる。しょっちゅう様子見に来てくれるママのお姉ちゃん、つまり伯母さんって感じなんですよね。居る居る、こういう親戚のオバちゃん。いや、年齢的にお姉さんと呼ばないと怒られますが、いや年齢を言い出すとオバちゃんどころじゃないのですが。
普段偉そうな喋り方してるのに、給仕役に回った途端にちゃんとTPOに合わせた丁寧な言葉遣いできるの、ほんと社会人レベル高くて好き。
そもそも、このベルゼブブさん、魔族国家でも偉い人は偉い人なんだけど、宰相とか国務長官とかじゃなくて農相なのが結構ツボなんですよねw

というわけで、この巻から新たに幽霊のロザリーと、ブルードラゴンのフラットルテが家族に加わることに。ロザリーは世界一元気な幽霊と呼ぶに相応しい快活な娘でハルカラとは別の意味でムードメーカーなんだけど、元々地縛霊だけあって闇は持ち合わせてるんですよね。
まあアズサも過労死して転生してるくらいなので、そっち系の闇は深いのですけれど、かつてをちゃんと反面教師にして、家族にも自分の限界を越えて無理とか無茶しそうになると、きっぱり止める所はアズサ自身のトラウマ感じると共に、自分自身の体験談も交えているので非常に説得力があります。
ゆるく軽くをモットーにしているような物語ではあるのですけれど、時折挟まれる人間社会の中で生きていく中で押し付けられる圧力や圧迫、強制力への戒めや、心の負担や精神的な疲労といった人が抱えがちになってしまうものへの真摯な手の差し伸べ方、言葉の選び方は時に鋭く貫くように時に優しく包み込むようで、ふと考えさせられたり感じるものがあったり、じわりと染みたりするものがあり、決して薄っぺらいお話ではないんですよね。
そして、家族を取り巻く愛情に癒やされる、ヒーリングされるのであります。
あのシャルシャとファルファの双子への愛情を伝えるためのほっぺたへのキス。そして娘たちからのお返しのキスのシーンは、ほっこりを通り越して尊さに解脱しそうになりました。
アズサって独身のはずなのに、かなりママレベルが高いんだよなあ。あとのフラットルテにもバブ味で陥落させちゃってるし。若い身空で小さな双子の娘を抱えて笑顔で頑張るお母さん味が強すぎる。
この物語に出てくる登場人物はみんな、アズサの事大好きなんですけれど、その好きってホントに家族への好きなんですよねえ。温かくて瑞々しい家族愛。
いや、ベル姐さんはまたちょっと違うんでしょうし、魔王ペコラがお姉さまと慕ってくるのも、あれ家族愛とはちょっち違っていますけれどさ。

こうして家族として加わってくるメンバーを見ると、全員寿命とか一切考慮しなくていい人外メンツばかりなので、この家族の時間はずっと続く、というのもなんかほっこりしてしまいます。
そう考えると巻末の描き下ろしの猫拾ってくる話は、そのまま飼うことになると将来色々と辛い想いをすることになるだけに、ああいう展開で良かったのかもしれません。
永遠に変わらない家族、となるとファルファとシャルシャがずっとお子様で居続ける、という所に引っかかるものがあるかもしれませんけれど、何気にこの二人、社会性は高くてそれぞれ趣味が高じて分野の研究者として認知されはじめているので、家族の家では可愛い娘たちですけれど、外との繋がりでみると会社社長なハルカラ並みに広く深くいろんな人脈を広げているのは、ハルカラが逮捕された一件で各分野の学者たちにアポ取りまくったことからも明らかなので、実は社会人としては何百年も一所にとどまってて世間が狭いアズサよりも大人だったりするあたり、こうバランス取れてるなあと感心したり。
なにはともあれ、面白かった!




スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました】  森田季節/紅緒 GAノベル

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現世で過労死した反省から、不老不死の魔女になって、スローライフを300年続けてたら、いつの間にかレベル99=世界最強になっていました。
生活費を稼ぐためにこつこつ倒してたスライムの経験値が蓄積しすぎたせいみたいです……。
そんな噂はすぐに広まり、興味本位の冒険者や、決闘を挑んでくるドラゴン、果ては私を母と呼ぶモンスター娘まで押し掛けて来るのですが――。

「だから、道場じゃないんだから道場破りに来ないでよ……」

冒険に出たことないのに最強……って、どうなる私のスローライフ!?

アニメの方がもうどストライクで好みな上に大変面白かったので、原作の方も読みたくなり手を出してしまいました。元々森田季節先生のゆるい系の作品は好きな方なんですけど、ちょっとお高いレーベルだったので何となく手を出しあぐねてたので良い機会でもありました。
それにしても、森田さんの作品がアニメ化されたのってこの【スライム倒して300年】が初めてだったのかー。もうベテラン作家の域に達しているので意外と言えば意外なのですが、言われてみるとアニメ映えする作品ってあんまりなかったかもしれない。すごく軽い作品もアレば、通好みだったり、人間の業や人生観をえぐるように掘り下げた作品など、多種多様あるんですけどね。

そういう意味では本作は軽妙洒脱なカテゴリーの作品なんですけれど、そんなライトなノリの中にもちゃんと「人生」という生きること日々を過ごすこと生活すること、という普遍にして不変の営みへの哲学が土台の部分にしっかり根付いているのが垣間見えるのが、森田先生の作品らしくてなんか好きですわー。
尤も、その哲学の自己主張は極めて低いんですけどね。でも、主人公のアズサには人生哲学というものがしっかりと芯となって通っているので、彼女の言動にはぶれない指針が伺えるのです。だから、ここぞという時の判断に迷いがなく明朗快活なんで、なんかこうスッキリしてるんですよねえ。

にしても、一巻でレッドドラゴンの結婚式まで行ってたのか。フラットルテまで一巻の段階で登場してたのね。フラットルテが登場するのってアニメでは中盤くらいでしたぞ。アニメの方ってこうしてみるとかなり丁寧に作ってたんだなあ。

それまで300年間一人でのんびりと暮らしていたアズサに、レベルが99である事が発覚してしまった事がきっかけで、次々と家族が増えることに。
一人で誰にも煩わされずにのんびりと生活することにも何の不満もなかったアズサ。300年間生きてきて、寂しいとか辛いとかホントに一切思っていなかったようで、これはこれで満ち足りた生活ではあったんですよね。
でも、レッドドラゴンのライカをはじめとして、次々と一緒に暮らす家族が増えていくという大きな変化が訪れる中で、アズサはその変化を喜びとして受け入れて、新しい家族を歓迎するのである。もちろん、一緒に生活すること、一緒に過ごすことが楽しい、新鮮である以上に彼女たちと過ごす時間に幸せを感じるからこその歓迎なのですが。
幸いにして、家族として加わってくる面々は人外ばっかりで、不老不死のアズサと同じ時間を過ごすことの出来る面々ばかりで、生きる時間のギャップみたいな問題は最初から排除されているわけですが。
アニメが面白かった分期待値も高かったのですが、なんかもう期待以上にほわほわとした空気感で、家族と過ごすなんでもない日常への多幸感が素晴らしい作品でした。スローライフと銘打ちながら、やたらと働きまくる物語が絶えない中で、本作は本当の意味でスローライフを完成させているといえるのでしょう。無理しない、頑張りすぎない。かと言ってだらだら……はしているけれど、充実感のあるダラダラなんですよね。家事は家族と分担して、負担とせずに楽しくこなしているし。いい加減で適当にするのではなく、ゆったりとして余裕を保ちながらもやるべき事はきっちりやっているからこその、気持ちの良い日々なんだろうなあ、これ。それが、家族と一緒にわいわいと笑い声が絶えないなかで毎日が流れていく。何十年何百年続いても、飽きないだろう退屈しないだろうただただ幸せな日々。もっとも、エルフのポンコツ娘、ハルカラみたいなトラブルメーカーもいることだし、様々な方向からトラブルやら御祝い事やら新しい出会いやらイベントやらが飛び込んでくるので、変化がない生活とは程遠い賑やかさになるわけですが。
なにはともあれ、思いの外楽しくてあったかくて思わずニコニコしてしまう、実に心地の良い作品でした。
しかし、ベルゼブブの姐さん、ほんと面倒見良くて頼りになって良いお姉ちゃんだなー!
なるほど、彼女が主役のスピンオフが出来るのも納得だわ。
ちょうどシリーズの何冊かが割引セールしていたので、まとめて購入。このままちょくちょく読んでいくぞーー。


友人キャラは大変ですか? 10 ★★★★   



【友人キャラは大変ですか? 10】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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友人キャラよ、永遠なれ。

最終決戦目前。
ソロモンと化した阿義斗によって、龍牙が能力を封じられちまった!

やむなく俺は「代理主人公」をつとめることになるのだが……きたぜパワーアップイベント!

お袋いわく、鬼には秘められた能力があるらしい。
それは、口づけした相手から異能を借り受ける力で、人呼んで「窃吻」――っておいコラ、なんだそのトラブルの予感しかない能力は!

龍牙と四神ヒロインズ、あと三姫まで俺を睨んでるから!
これ、ハーレムラブコメ主人公しか許されないやつだから!

――最後まで、笑って泣いて、熱くなれる最強助演コメディ。ここに堂々完結!!

結局、シリーズ通して真面目に敵キャラやってたのって、ほんとに阿義斗だけだったじゃないか。本人はどちらかというと主人公のつもりの節もあったので、それ故の真面目さでもあったのでしょうけれど。
小林少年もいざ主人公キャラやろうとすると、遊び無しで兎に角敵を倒して終了、という行動になってしまうと自分でも認識していたけれど、阿義斗も彼視点からすると殆ど無駄なことはせずに目的を達成するために必要なことを選んでやってたんだなあ、と。
ほんと、彼だけである。他の連中ときたら、片っ端から無駄なことしかしてねー。
キュウキはその意味ではわりとマメに物語を盛り上げるために敵のときも味方になってからも頑張ってくれてたのを見ると、小林少年の相棒として一番ぴったりだったのってキュウキだったな、と。
テッちゃん? 彼はもうなんというか、漫才コンビの相方でしょう、ボケ担当の。
というか本当にボケキャラしかいない敵キャラたちでした。使徒たち、まともに敵として立ち回ってくれたやつって殆どいなかったんじゃないだろうか。一応バトルモノ、と小林少年は定義していたみたいだけど、ちゃんとバトルやってたことってあったっけ? 使徒連中ろくに敵対もしないままなし崩しに全員味方になっていっちゃてたじゃないですか。
敵としてはポンコツなのに、味方になると使徒連中みんなわりと頼もしかったり頼りになったりちゃんと有能だったりするあたりが、なんか小憎たらしいw
結局、使徒たちの親玉だった四凶の魔神たちと来たら、片っ端から小林少年にさっさと取り付いてホームコメディの仲間入りしてましたしねえ。
挙げ句に最後の黒幕たるソロモンまで、あれでしたもの。ソロモンが一番適当で酷いんじゃないですかこれ!?
一応、テッちゃんとコントンのおっさんが洗脳されて敵に回る、という展開は早々に味方キャラになってたボスキャラが敵味方入れ替わり、今度はトッコとキュウキが味方側として相対するという展開になってたのはなんか面白かったです。テッちゃんとコントンってほんと相応に身内になってボケ倒すばかりのキャラになってたんで、ボスの貫禄全然ないし部下である三姫たちにも家庭内序列で下に置かれて、最強キャラの一角だというの完全に忘れ去られていたのですが、いざ敵キャラとなるとほんとに強かった。いや、外見は完全に機能停止仕掛けのポンコツロボなのですが。洗脳が、洗脳が雑すぎるw
まー、何にせよ龍牙たちの力が封じられたため、阿義斗と決着をつけるために今度こそ自分の意志で主人公キャラとして彼と対決する決意を固める小林少年。今までもずっとなし崩しに友人キャラを逸脱してどんどんと主人公の位置に押しやられていくのを無駄な抵抗し続けていた小林少年が、ついに自分から、というのはやはり最終回ならでは、なのか。
でも、主人公キャラ慣れてないから、いざ自主的にやろうとするとなんかぎこちなかったのは仕方ないのか、これ。むしろ、龍牙の方がナチュラルに友人キャラの役をこなしてたぞ。自然に解説を挟み込むとか、実はセンスあるだろう。
それよりも、完璧な友人キャラをやってのけてたのが、阿義斗の親友であるバアルだったわけですけれど。ちょっとこの人文句のつけようのない友情に殉じる友人キャラだったじゃないですか。彼のパーフェクトな掛け替えのない友人であるからこそ、彼を裏切り友のために友の敗北を願い、しかし最後まで友と行動を友にする、という友人キャラの鑑みたいなムーブしちゃってまあ。
彼と比べると、小林少年は友人キャラ芸人に見えてくる不思議w あかん、友人キャラとして小林少年、形無しやん。
友人キャラとしてはやりきれず、バトル主人公としても慣れない事に戸惑うばかりで、何を十全やれてたかというと、これハーレム主人公じゃないですかね、小林くんw
見事なまでに龍牙に四神ヒロインズに三姫と添い遂げることになりそうなどう言い繕ってもハーレム主人公一直線な小林少年でありました。亀さんだけは完全に場の勢いだよねこれ。小林くんからすると、ほかはともかく亀は勘弁、じゃないのかこれw
と、ヒロインはこれで打ち止めかと思いきや、まさかの遅れてきた真打ち、人妻属性未亡人属性の麗斐堕の参戦である。小林少年を父と慕うシズマの実の母なわけですから、夫婦になってもおかしくないのか? 何気にイラストで一番気合入ってた疑惑が湧くんですけど、麗斐堕さん。超絶美人で清楚な色気の塊という、何この儚げな人妻美人はw
女子高生嫁として若くてハツラツとして家庭的、というパーフェクトさで圧倒的正妻感を出していた魅怨に真っ向から太刀打ちできる逸材でありました。
いやでも、やっぱり個人的にメインヒロインは魅怨だったなあ。
BookWalkerの限定書き下ろしでは、後日談の使徒たちの大将軍決定トーナメント(なんでか四神ヒロインたちも参戦)の模様と、ヒロインの誰かを選んだら、という夢という形ですが未来絵図を見せてくれる短編……7万字もあるのを短編と呼んで良いのかわかりませんけど、ってか殆ど本編並にないですか、この分量w 少なくとも本編の半分くらいのページ数はあるぞw
まあこれで見ても、魅怨が一番家庭的で平和な家族作れそうなんですよね。まあ、なんでか魅怨選ぶと他の使徒もついてくる模様ですけど。それなら、龍牙たちも一緒でええやない、となってしまいそうなんですけどw
他の娘も嫁として地雷っぽい所があるのが雪宮さんくらいで、他の娘らは普通に幸せな家庭築けそうなのがなんともはや。いや、黒亀はもちろん除く。あれはこう、駄目だろうw
まー、最初から最後までどんちゃん騒ぎのお祭りみたいな作品でしたけど、テンション最後まで落ちずにどのキャラも暴れっぱなしで、いやはやお疲れさまでした、と思わず言ってしまいたくなります。
こうしてみると、やはりテッちゃんことトウテツのボケキャラっぷりが際立っていて、彼と小林少年のコンビがなんだかんだとこのシリーズを愉快に牽引していたなあ、と思う所。
実に気持ちよく笑い倒せるコメディ作品でありました。あー、面白かった。

伊達康・作品感想

友人キャラは大変ですか? 9 ★★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 9】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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人外でも友人キャラになれますか?

おかんとウチの居候たちがニアミスし、我が家に最大級の悲報がもたらされた。
すなわち、ウチのおかん、小林さつきは“奈落の八傑”の一人であり。
その息子である俺、小林一郎も人外の血を引いていたのだ。
しかも芋づる式に、親父まで人ならざる『鬼』の血族であることが発覚し……!?
「というワケで一郎、あんたは鬼なの」「うぐっ!」
「しかも母親は使徒なの」「むぐっ!」
「ぶっちゃけ人間じゃないの」「おふぅっ!」
もう勘弁してぇ! 鬼はあんたや!(泣)

友人キャラが一気に遠のく、最強助演ラブコメ第9弾!


あかん、この世界ってば徹底的に一郎が友人キャラたるを絶対許さないマンだ。友人キャラという存在が持っていてはいけない属性や設定をてんこ盛りこれでもかと押し込んで来やがりますよ。
そう本来モブで物語の端っこでちょっとだけ主人公に情報を提供したり、日常パートで賑やかしをするだけの友人キャラは、普通の何の裏設定もない一般人でなくてはならず、勿論彼らはただの人間であってややこしい背景なんかあるはずがないのだ。
実は人間じゃなくて人外だったり、それどころか敵勢力の幹部の一人が母親だったり、なんていうのは論外で、それどころか父親まで人間じゃなく鬼という種族だったりして。
一ミリ足りとも人間の血入ってないじゃん! 完膚なきまでに人間要素ゼロカロリーじゃないかー!
オマケに出自に敵勢力の関係者という要素まで混じって、挙げ句にお母ちゃん紆余曲折あって人間融和派として魔神勢力から離脱したという曰く付きの家柄である。
思いっきり、主人公なバックグラウンドぉ!!
まあとっくに魔神四凶全員仲間に引っ張り込んで、一郎自身が融和派の首魁になってるんですけどね。
これまですでに実績でどうあらがっても友人キャラポジでは居られない活躍をしてしまってた一郎くんだけど、本人の成果だけでなく生来から友人キャラは許さん、という設定が放り込まれてきて、これもう全包囲殲滅戦の様相を呈してきた。欠片も友人キャラ要素を残さない、という根絶やしの気概すら感じる勢いである。
トドメに、ラスボスとして暗躍中のアギトくんまで実は一郎と深い関係があって、という龍牙じゃなくてラスボスと決着つけるべき因縁があるのは一郎くんの方ですよー、というお膳立てまで用意され。
また過去からは、かつて主人公キャラとして担ぎ上げた旧友からは、モブな友人キャラとしてはあるまじき憧憬を受け、人生の目標にされ、一郎みたいになりたいとまで望まれる始末。
さて、そろそろ一郎くんも年貢の納め時かしら。トドメもトドメ、ラストの展開はまさに一郎くんに主人公になれ、と告げるようなものでしたし。いやもう今までもずっと図らずも主人公キャラ同然に働いてきたわけですけれど、自覚的に主人公したことだけは決してなかったわけですからね。

しかし、今回はどんどんと畳み掛けるようにソロモンの悪魔たちが襲いかかって……は、あんまり直接襲ってくる事はなくて、むしろ遭遇戦、ばったり行き会ってというパターンが多かったような気もするけれど、極早のテンポで次々に対戦カードが繰り広げられたわけですけれど、凄いのはこれ十把一絡げには全然なってなかったところなんですよね。一戦一戦は決して長くはなく短くスパッと片付いているんですけれど、でも短いなりにやたら濃い内容で在庫整理みたいな片付け方じゃ全然ないんですよ。
これは以前、新聞に連載していた分を纏めた短編集ならぬ掌編集だった「オフコース」の経験が生きたんでしょうか。小刻みにキレッキレのネタをどんどんと投入してくるものだから、もうひっきりなしに笑いっぱなしで、楽しいのなんの。いや、今回はいつもにも増してテンポもキレキレで、メチャクチャ面白かったですよ。テッちゃんことトウテツを身代わりに母サツキに生贄に差し出したシーンはほんと、爆笑してしまった。あれはホントひでえよ。
おかんと蝿の爺ちゃんの使徒二人が、内通者のバエルの所に援軍として行って、あっちサイドの敵として龍牙たちと戦う場面とか、ソロモン軍そっちのけで一体何と戦ってるんだw なシッチャカメッチャカな事になってて、あれも色んな意味で酷かった、笑った笑った。
今回一冊でまた結構な数のソロモンの悪魔たちを倒すことになったのだけれど、一人一人やたらキャラ濃くて、いや一発ネタなやつらも多かったのだけど、考えてみると魔神の使徒たちもみんな一発キャラなくせに引き続き準レギュラー格として毎回チラホラと顔見せしてるんですよね。お見合い編での雑な再登場はやっぱり酷かったw

またラブコメとしても今回結構踏み込んでいて、怜先輩のおぱーいガチ揉みも、これまで慕ってくるヒロイン衆に対して友人キャラとしては深入りしてはならぬー、という心情からあまり踏み込まなかった一郎くんからしたら、完全に一線超えちゃってるムーブだったんじゃないでしょうか。
そして名実ともに魅怨が正妻ポジに。おかんのサツキ公認になったというのもあるんですけど、一郎くん全然嫌がってないし、それどころか膝枕して耳掃除しながらの会話なんぞ完全に結婚するの前提のお話で、もう一郎くん当人が受け入れちゃってるんですよねえ。
ちょっと貫禄が他の娘さんたちとは違いますわ。別格ですわ。二人の雰囲気、もうこれ以降完全に夫婦になってる感ありましたからねえ。

今回はコントンのオッサンとテッちゃんが大いに株あげていて、おっちゃんってロリコンという点を除くと常識人だしホント色々と頼りになるんだよなあ。一発ネタキャラが沢山居すぎるものだから、余計にコントンの安定感が頼もしい。テッちゃんも普段ふらふらと遊び歩いているけれど、デュエル王編で見せたあの子供たちへの配慮は行き届いていて、子供らのカリスマになってるのも納得のかっこよさなんだよなあ。子供らに呼び捨てにされてるんだけどw

長年の懸念材料だったシズマの母であるレイダの救出もようやく手が付き、あらかたの問題に目処がついたところでラストの急展開。いよいよ、この毎回お祭り騒ぎなシリーズもクライマックスかー。
どのように一郎くんの友人キャラとしてのこだわり、生き方に決着をつけるのか、色んな意味で楽しみな次回である。

今回、ブックウォーカーでは書き下ろしのショートストーリーが購入特典でついてたんだけど……、いやこれ他の作品の購入特典のショートストーリーと違って分量が、分量が凄くない?
短編通り越して中編くらいあるよ!?
前巻の特典小説も結構分量あった気がするけど、今回さらに多くない?
内容は、一郎くんが魔界に居残りになっている最中に怒涛の勢いで消化されていた、ヒロイン衆と三姫たちが仲良くなってたイベント、その中でも魅怨と龍牙がやたら親友みたいな距離感になってたその内訳となるエピソードだったのですが……。
魅怨がチョロすぎるw いや、この場合龍牙が懐っこすぎるのが悪い気もするのですけど。同世代で女の子として何も隠さず付き合える相手って龍牙、居なかったんですよね。そのどストライクをついてしまったようで、やたらキャピキャピしてる龍牙さんw
わりと龍牙のテンションが一郎と二人きりのときと変わらないくらいで、君って魅怨の事めっちゃ好きですよね!?
さらっと、三姫がトリオを組んだ過去の回想なんかも挟まれつつ、いつの間にかミオとあだ名で呼ばれるまでの仲になるまでの濃い内容の中編でした。魅怨てば、一郎相手じゃなくても龍牙相手でも正妻ポジになってませんかこれ!?

シリーズ感想

数字で救う! 弱小国家 5.勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。 ★★★★★   



【数字で救う! 弱小国家 5.勝利する者を描け。ただし敵は自軍より精鋭と大軍であるものとする。】  長田 信織/紅緒 電撃文庫

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『この手紙を読んでいるということは、僕は死んでいるだろう』

同盟軍本隊の敗北により、ファヴェール王国軍は泥沼の戦争に突入した。
なんとか打開策を見つけようとする女王ソアラと宰相ナオキの二人だったが、武勇と知略に長けた、過去最高の強敵たちがその行く手を阻む。
不利に不運が重なって、
そして、ついにその時は訪れた。

――宰相ナオキ、凶弾に倒れる。

過去最大級のピンチを前に、女王ソアラの決断は……? そしてファヴェール王国の未来は……!?
異世界数学ファンタジー戦記、急展開のシリーズ第5弾!

大戦争だーー!!
ピエルフシュ王国との決戦で、敵有翼騎士団フサリアを見事に粉砕して大勝利をせしめたファヴェール王国。これで戦争は勝利、と思ったところで同盟の本隊がマイセンブルグ帝国との戦いで大惨敗を喫して、勝利の算段がひっくり返ってしまう、というのが前巻までの展開だったのでした。
じゃあ次はマイセンブルグ帝国と直接の戦いに? と、なると思ったらならないのが並の戦記物じゃないんですよね。
マ帝国と同盟本軍との戦線がマイセンブルグ帝国側に傾いたことで、ピエルフシュ王国側に援軍が来る……という体で王国の継戦の意志が復活してしまうわけですな。これ、面白いのは本当に援軍が来る、来たというわけではないところ。戦力バランスと観測の問題なんですなー。
これで、ピエルフシュ王国が継戦の意志をなくすまでさらに叩かなければならなくなった上に、同盟のフリを覆すためにオルデンボー戦線に戦力を追加投入しなければならなくなった。いや、したくないんだけれど同盟諸国、特にその本陣であるワルテリア帝国側の意志を無視するわけにはいかないのでテコ入れは絶対必要、ということなので、ファヴェール自体は勝ったのに戦争自体は大劣勢になってしまうんですな。さらに、マイセンブルグ帝国もここにきて直接近づいてきて殴る、というわかりやすい戦争ではなく、戦わずして戦局をひっくり返してしまう、というロジックの元にあれこれと仕掛けてくるのである。
これ、ナオキとまったく同じ思考パターンなのですね。つまり、ナオキのライバルとも言うべき人物がマイセンブルグ帝国に現れたのだ。
さらに、ピエルフシュ王国も南方戦線を担っていた英雄がぼんくら気味な国王から軍権を引っさらって、北方戦線へと指揮官として踊りかかってきた。
ここにきて、ナオキはまったくベクトルの異なる怪物二人を相手取ることに。
しかし、ナオキも今や「魔術師」として各国に恐れられ畏怖される名うての戦略家。いや、今回の縦横無尽の戦争指揮っぷりと来たら、これはもう「魔術師」の異名がピッタリという凄まじい転がし方なんですよね。これ、よっぽど視点が高い軍人武将でも、なにやられてるかわからんでしょう。まじで魔術みたいに思えてしまうんじゃないだろうか。
なにしろ、将棋で言うところの一手損角換わりに例えていたけれど、普通に戦えば敗北して撤退して占領される、という行程をすっ飛ばして、とっとと戦闘せずに撤退して相手に街を占領させることで、相手にあったはずの主導権を逆にファヴェール側が奪っちゃったんですよね。相手が先手で後手に回ってしまったのを、一手わざと損することで先手となり、こっちの思うように戦争そのものを動かせる余裕を手に入れる。これ、ほんと相手からしたらわけわからんですよ。これをリアルの戦場でこれほど読んでるこっちがわかりやすく理解しやすい形でスパッとやらかしてしまうとか、そりゃ相手の傭兵将軍あたま掻きむしって悔しがりますがな。自分が今まで積み上げてきていた勝利手順全部ぶち壊されたんだから。しかも、多分味方でそれを理解してくれる人ってかなり少なかったんじゃないだろうか。勝った勝ったで喜んでばかりで。
恐ろしいのは、これに似たことをピエルフシュ王国側にも仕掛けてて、英雄との戦争との後半戦なんか英雄さん連戦連勝の負けなしという圧倒的勝利の連続という状態に入ったのに、戦争そのものを俯瞰してみると、勝てば勝つほどピエルフシュ王国側が負けていく、という状態になってたんですよね。まさに、戦場での勝利が戦争の勝利に繋がらない状態にさせられてしまっていた。どころか、勝つほどにやばくなる、という陥穽を作り出してしまってるところに、ナオキの魔術師っぷりが際立つのである。
今回ばかりは、ナオキの戦争指導手腕にはゾクゾク肌が泡立ってしまった。ここまで鮮やかに「戦争」を作り上げるだけの、いわば戦争芸術と呼ぶに値するそれを戦記物で目の当たりにする機会は決して多くないですからね。
しかし、それでナオキがこの戦争を好き勝手できたか、というとそんな事はなく、今回は彼の計算を上回る出来事が幾度も起こり、ナオキも絶体絶命のピンチに追い込まれるという展開が度々。いや、マジで死ぬんじゃないか、という瀬戸際が何度も何度も繰り返されて、ハラハラしっぱなしでしたよ。今回、本気で余裕なかったし。それだけ、ピエルフシュ王国の英雄とマイセンブルグ帝国の傭兵将軍の辣腕と気迫が凄まじく、その将器が伝説の域に達していたからなのでしょう。それと真っ向から渡り合っていた、という時点でもうナオキも立派に歴史上の偉人の名を連ねるに何の不足もないやべえ領域の人になっちゃってたわけですけれど。
いやでも、今回本気でナオキ死ぬんじゃないかと思ったさ。傭兵将軍が評していたけれど、何気にナオキと同じスペックを有している人がファヴェールに居るんですよね。ソアラ女王というのですが。
この嫁さん、奥さん、ほぼほぼナオキと同じ戦略眼の持ち主で、戦場勘もあり、大戦争を指導できる視点もあり、ってかほぼ同スペックなんですよ。多分、ナオキが出来ることは彼女も出来るんじゃないだろうか。
既に物語としても、ソアラと結婚して子供も出来て、と主人公としてのナオキが退場しても物語として成立する土壌は出来ていたのである。まあその場合、ソアラさんが復讐鬼と化してそれはそれは楽しいさらなる大戦争になってた未来予想図も多分にあるのですが。
あのナオキが遺した遺書がなかったら、戦争自体かなりひでえことになってたんじゃないだろうか。ソアラ女王って、王女時代孤立してて今も何気に友達いない、と揶揄されるように人心掌握には微妙な所がありますし、結構感情で暴走する傾向もありますし、その暴走を統制された狂気へと昇華するだけの訳のわからんレベルのスペックもありますし、とこのお嫁さんやっぱりヤバいよなあ。彼女の旦那をやれている時点で、魔術師の異名を冠にしていいかもしれない。

ともあれ、今回は前回の戦争を三倍ほど上回る形で大盛りあがりでありました。やはり、戦争は強敵が相手に居ると否応なく盛り上がります。そりゃそうですよね、死闘激闘となってお互いの人外の才能を披露しまくるわけになるのですから。
マイセンブルグ帝国皇帝軍総司令官ワルター・フォン・グラフディール。これは、地球の史実におけるアルブレヒト・フォン・ヴァレンシュタインに相当する人物でしょう。ドイツ三十年戦争における花形の一人、映えある傭兵将軍ヴァレンシュタイン。
そしてピエルフシュ王国の英雄ヴァツワフ・ジェヴスキーはスウェーデンの北方の獅子と呼ばれたグスタフ2世アドルフに戦場で圧勝しつづけたというポーランドの名将スタニスワフ・コニェツポルスキに相当すると思われる。
なるほど、今回ナオキが死にかけまくったのは、彼とソアラがグスタフ2世アドルフに相当する立場だから、というのもあったのか。グスタフ2世、戦場でボロクソにやられまくったみたいだし。ってか、ソアラの異名は北方の雌獅子なんですよねえ。

また、ナオキの元で活躍する若き世代も台頭してきて、傭兵将軍なレオンの息子ドグにナオキの数学の直弟子でもあるトゥーナ、そしてドクと同じ直属大隊長としてエアハルドという青年が躍進してきてこの三人トリオがまた活躍するんですねえ。そして、若者特有の甘酸っぱい展開に……なりそうで、ならない! というか、ドクがあれは可哀想過ぎるw 真っ白を通りこして悟りを開いたような状態になってしまうのも仕方なし。ってか、ある意味ドロドロじゃねえか。どうするんですか、ナオキさんこれw
でも、これだけ若い連中が台頭してきたから、最後の展開みたいになった、とも言えるんですよね。ソアラが闇落ちしかけていた時、復調するきっかけになったのもあれでしたし。思えば、ソアラを除けば本当からナオキのこの世界での人生に付き合ってきてくれたんだよなあ。一緒のものを見て、ナオキにこの世界の現実を教えてくれて、くだらなくも楽しいことを色々と教えてくれた。ナオキがソアラとともに二人きりの世界に閉じこもらずに済んだのも、ナオキの頭から湧き出してくるこの世界にはまだ見当たらなかったロジックを、気にも止めずに聞き流し、でも一緒に遊んでくれたあの人が居たからだ。恩人で、共犯で、悪友で、右腕で、親父さんだった。
楽しい、愉快な人だった。
だからだろう、ラストシーン、凄く好きだ。ナオキの胸にいっぱいに満ちたものを、わずかにでも共有できた気がする。
シリーズ最高の一作であり、屈指の戦記でありました。


ダンジョン・ザ・ステーション ★★★  



【ダンジョン・ザ・ステーション】 大泉貴/ 紅緒 LINE文庫エッジ

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迷宮主(イニシエーター)を名乗る謎の人物の宣言により、突如新宿駅は、底の見えない巨大迷宮と化した。
そこには駅員(ガーディアン)と呼ばれる危険な怪物も出現。
国は迷宮駅攻略のために探索員制度を制定するが、どうにも個性的な強者ばかりが集うように。
最強の殺し屋聖女、常に眠い魔法使い幼女、元救世主のステゴロヤクザ、謎多きアイテムコレクター。
そしていま、行方不明になった妹を探す少年が一人、混沌とした物語に足を踏み入れる。
迷宮駅の大いなる秘密をその手に携えて。
新宿駅で繰り広げられる果てしなき冒険譚が––ここに始まる。

現代人にとっては、いきなり洞窟型ダンジョンが現代日本に出来ました、というよりも梅田駅や新宿駅が迷宮化しました、と言われたほうが具体的なイメージは湧くんだろうな、というくらいには昨今、ハブステーションのダンジョン化が描かれる機会がある。本作はそんな中でも直球というべき、新宿駅がダンジョン化してしまった世界のお話なのだけれど、何気に新宿のダンジョン化というのはメインではあっても全てではないっぽいんですよね。そもそも、なぜか探索員の中に現れる異能の持ち主とか、ダンジョンに潜るようになってから発現したものではなくて、元々そういう能力を持っていた者たちが……という展開みたいだし。
あらすじにもあるような殺し屋聖女、魔法使い幼女、ヤクザの兄貴とみんな実のところそれぞれに主人公張れるような独自の世界観とバックグラウンドストーリーを有している。様々な設定群が盛りだくさんに詰め込まれてるんですよね、本作って。
惜しむらくは、その詰め込んだ設定を突っ込んだ奥から表までろくに引っ張り出せなかった、というところか。無計画に押し入れに突っ込んだモノは、取捨選択して好きなものだけ取り出すということは出来ない。せっかくの設定なのに、みんなそういう背景を持っている、という話だけでそれぞれ全然掘り下げるだけの物語的な余裕がなかったもんだから、場合によっては異種格闘技戦的なごった煮の戦闘シーンが見れたかも知れないのに、大した特徴ある展開もなくそのまま押し流されてしまった感がある。ストーリー全体が急ぎ足だったせいか、個々の掘り下げも結局大してないままだったし。
そして肝心の新宿ダンジョンについても、主人公が持っていた情報の価値が殆ど活かされないまま潰されちゃったんですよね。せっかくの、未知の戦闘法だったラッシュも、ただ肉体強化の倍率をあげていくだけでひどく単純なパワーアップでしかなかったんですよね。これで、様々な方向に能力を拡張してけたりしたら、色んな事が出来るようになって面白かったんだろうけど、これだと単にステータスの数値があがるだけで、発展性が全然なかったもんなあ。
主人公の目的である妹の捜索も、思わぬ形で決着ついちゃったし、シスターと妹の関係というか因縁も思ってたよりもかなり拗れてた割にこうねちっこい関係性は見当たらなくて、さっくりしちゃってたからなあ。
とにかく、一通り起承転結を形作って一先ずの決着を、という意識が強かったのか全体的に急ぎすぎて、腰を据えた形でのじっくりと描かれるべき部分がおおむね急かされてしまっているので、ほとんどのところが中途半端で終わってしまった感がある。
あれこれと詰め込んだ設定が、練られているぶんひどく勿体ないと感じさせられてしまう作品でした。

大泉貴作品感想

友人キャラは大変ですか? 8 ★★★★  



【友人キャラは大変ですか? 8】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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最後の【四凶】キュウキを討ち果たし、ついに名実ともに「歴代最高の主人公」になった火乃森龍牙。

俺こと小林一郎が友人キャラを務めるこの異能バトルストーリーも、いよいよグランドフィナーレか……なんて感慨深く思っていたのだが、そうは問屋がおろさなかった。

キュウキの器・天涼院阿義斗が、謎の軍勢を率いて異界へと攻め込んできたのだ!
【ソロモンの後継者】などというよく分からない設定をひっさげて。

なにより問題なのは、四神ヒロインズのひとり、黒亀さんがなぜか敵将のひとりとなっていることだ。元気で陽気な拳法少女は、裏切りなんて言葉からは一番遠そうなのだが……。

なんだかなし崩し的に新章がはじまっちまったが、俺の役割りは変わらねぇ。
主人公・龍牙を友人として支えるだけだ!

――最強助演ラブコメ、新展開の第8弾!
亀さん亀さん黒亀さん、表紙まで飾っているのに今までと遜色ないくらい……出番ないじゃないですかー! これまで能天気で何も考えていないアーパーにしか見えなかった黒亀里菜という少女が誰にも、幼馴染のリュウガにも語ることが出来ずにずっと抱え込み、そして仲間を裏切りソロモンの使徒とならざるを得なかった深遠なる事情が明らかになって、里菜をメインにした物語がはじまるのだ、と思っていた頃の純粋な私に謝って!
いやまじでこいつ、何も考えてないじゃん! なんの事情も背景もないじゃん! ただ名字に黒がついてたから巻き込まれで操られてるだけじゃん! このカメはーっ。そして何気に宮本千鶴さんの方が出番も活躍もある、という始末。
しかし、ソロモンの72柱の悪魔たちって全員名字に黒がついてるみたいなんだけど、72種類も黒がつく名前あるの!? というかなんで白望義塾という学校にはそんな黒がついてる名前の人ばっかり集まってたの!?
そして全員の名前考えるのめんどい、とばかりに雑に片付けられていくソロモンの悪魔憑きたち。ほんとに第二期スタートのはずなのに、新たな敵勢力が雑魚すぎる件についてw
前シーズンの敵だった奈落の使徒たちにまるで太刀打ち出来てないし。ってか奈落の使徒たちってこうしてみるとちゃんと強いのね。あっちもこれまで結構雑にやっつけていたフシがあったのだけれどちゃんとやると強いのねー。そしていつの間にか奈落の使徒たちを率いてソロモンの悪魔たちをぶちのめしている雪宮さん。なんかナチュラルに我が軍とか言ってるぞこの娘。異界の城の玉座にナチュラルに座ってふんぞり返ってるぞこの娘。その身にトッコこと魔神トウコツを宿しているので資格はある、と言えばあるんだろうけどノリノリなの雪宮さん自身でトッコ全然表出てきてないじゃんw
まあ異界の奈落の使徒たちの城が攻められたと聞いた時に、激高してテンションあげあげで異界に戻っていった奈落の使徒たちと全く同じテンションで異界に乗り込んでいく蒼ヶ崎、雪宮、エルミーラの四神のお三方がおかしいんですけどね。あんたら直接関係ないのに、なんで奈落の使徒たちと一緒になって突撃していくんですかw

まあお陰で、というのもなんですがわりと久々に現世側では一郎と龍牙が二人きりに。と思ったらまさかのキュウキ復活、ってかこいつまで一郎くんの中の人になっちゃうんですか!? あれだけがっつり敵役悪役ムーブカマして派手に散った、という状況だったのでさすがに他のアホ魔神たちよろしく一郎の中に棲み着くのはあわないだろうな、と思ったらまさかのマスコットポジを確保するという。しかも、同じ裏で画策するストーリープランナー同士でなんだかんだと馬が合うというか性が合うというか、意気投合してますよこいつら? 兄弟めいたテッちゃんとはまた別の意味でようやく意見と価値観があう相棒が出来たような、小動物的な可愛さを全面に出したマスコットキャラが登場してしまったというか、何気に侮れない存在感だぞキュウキたん。こいつ、男だからショタなんだよなあ。でも確かに可愛い。

しかし、同じストーリープランナーなキュウキと話が盛り上がったお陰で、というのもなんだけどソロモンの後継者たちとの戦いという第二シーズンがはじまってしまって、一郎の新たなストーリープランが語られてたけど……やっぱり一郎の目指すヒーロー物の脚本ってどうも古臭いというか目新しさがないというか展開に新鮮さがないというか、お約束を踏襲しすぎててそれだと読者だか視聴者飽き飽きしちゃうんじゃないか、という手堅さなんですよね。水戸黄門ばりにかっちりしているというか。
だからうまく行かないんじゃないの?
ともあれ、現実は一郎くんの立てたプランのようにはいかず、ことごとくうまく行かないわけですけれど、一郎プランはいわゆるテンプレに沿った流れなだけにそれがうまく行かなくて破綻した、となるとことごとくテンプレから外れた、というか吹っ飛んだ展開になってしまう、というのがこのシリーズの特徴でもあり……。
ヴァッサーゴ戦の酷さ(いい意味で)は近年でも極まってましたよこれw いやヴァッサーゴ黒村くんが敵幹部クラスのくせに小物極めすぎてたのも悪いんですけどね! 一郎くんを上回る膀胱のゆるさ! でも一般人な宮本さんにこてんぱんにされてしまうまではまだあれだけど、あそこまでガチに人質放置な展開は初めて見たよw

どれだけ一郎が頑張っても真面目な雰囲気にならない中で、ひとりだけひたすらシリアスを貫いている第二期のラスボスとなったアギト。まあどれだけ格好つけていても龍牙にまったく相手にされていない、という点では一貫してるんだけどなあ。
とか敵側、ソロモンサイドとかもうどうでもよくなるくらいなラストのびっくりどっきり展開である。いや出てない奈落の使徒大幹部な八傑の二人。ほんとにただ忘れられてたのかと思ってたら、これはさすがに驚いたよ。ついに一郎自身の秘密が明らかになってしまうのか。なんも背景も事情もなかった黒亀さんじゃなくて、一郎の背景が明らかになってしまうのか。もうどうやったって友人キャラとか無理になってきたじゃないかw

そんな一郎が友人キャラを目指すようになった幼い頃の体験が、BOOK☆WALKERの電子書籍版購入特典な書き下ろしで描かれてたんですが、よくある2,3ページのSSと違って結構がっつり分量あったぞこれ。シズマも幼児のくせにやたらと大人びてるけれど、一郎も幼児だった頃おまえ何歳やねんとツッコミ入れたくなる七歳児だったんだな。あながちシズマとその辺似ているのも、ラストの展開からすると意味があるのかも知れないが。

さらっと語られてた、夜這いに来ようとして勇気でなくて毎回部屋の前で引き返しちゃう魅怨が可愛らしくて、やっぱり正妻ポジなヒロインがっつり掴んでますよねえ、これ。

シリーズ感想

白魔法クラスの大忍術師 ★★★★   



【白魔法クラスの大忍術師】 藤木 わしろ/紅緒  MF文庫J

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魔法を忍術で圧倒する学園暗躍ファンタジー、開幕!

インペリウム魔法学園。大陸で唯一の魔法学園にして、大陸を分かつ六国が六系統の魔法を武器に神樹の魔力、ひいては次の世界の覇権を争う戦場でもある。
しかし、そこに現れる一つの影──全魔法士の仇敵"ニンジャ"。
「ユウマ、お前には魔法学園に行ってもらう」
「いや、俺ニンジャなんだけど!」
なぜか魔法学園に潜入することになった名門一族の次期当主・御影ユウマは、入学試験を飛び越え例外生として白魔法クラスに所属することに成功する。
そこで工作の最中出会った美少女魔法士・アルフティアと行動を共にすることになり……!? 大忍術師の暗躍譚、開幕。

そうだよな、そうなんだよな、忍者とは陰に潜み闇に忍び、人知れず暗躍する影の軍団なのである。スーパード派手な忍術で大暴れ、というのもまた一つの忍者像であるのだけれど、忍びの者として誰にも知られずに影から手を伸ばして暗躍するというのもまた立派な一つの忍者像なのである。
本作の御影ユウマはまさにそんな影のモノ。裏で暗躍、謀略調略情報操作に人心誘導、後方撹乱に終止していて決して表には出てこないんですよね。表で動き回り活躍するのも、戦闘で大暴れするのも、ヒロインであるアルフティアのお役目。ユウマはせっせと情報をかき集め、状況を把握し下準備を整えして謀を蓄えて、あとは仕掛けを御覧じろ、とばかりに開幕の発破を掛けるわけである。彼の恐ろしいところは、受動的な行動が一切ないところなんですよね。新参者で魔法学園の実態も各国の実情もまだ正確に把握して居ない段階から早々にかなめとなる部分の情報は手に入れて、それ以降も状況の掌握に勤しみ、望むべく結末を選んだ段階で、あらゆる状況、関係者の行動から考え方までその結末に至るように誘導していくのである。各人は、みんな自分で考えて動いているつもりなのに、それぞれがそう考えそう動いてしまうように、発言で思考を誘導したり状況を整えたりしているわけだ。人呼んで人遁の術。わかりやすいド派手な攻撃力ある忍術も使えるっぽいのだけれど、そんなのが問題にならないくらい「怖い」使い手だよ、この主人公。
一方でその一連の謀略が完成をみるトリガーとなる部分を、このユウマはアルフティアがその誇りと生き様をかけて望んでいる騎士らしい在り方を貫き己にも周りにも示してみせたとき、に設定しているあたりが心憎いんですよね。結果のためにその人の在り方を捻じ曲げたり、意志を抑え込んだり、信念を歪めてしまうのではなく、むしろ心折れて現実に屈しそうになっている彼女に、自分らしくあれ、一番自分が胸を張れる生き方をしてみせろ、と発破をかけて、それをやり遂げることで彼女に誇りが誇りを取り戻せて、勝利を手に掴む結末を手繰り寄せられるように、謀略を編み込んでいる。ユマのキャラはいつもふざけていて、実際悪党、性格もネジ曲がっていて享楽的、と一見タチが悪いようにも見えるんですけれど、この陰惨ですらある謀略に一風清々しさと痛快さをもたらしているのは、そこに彼の誠実さが伺い知れるからなんですよね。忍者は契約者を裏切らない、相手が裏切らない限りは、その心意気まで汲んで誠実に契約を果たす。それを誠実と言わずして、なんというのか。
いやあ、これはティアをチョロいとは言えませんわー。ティアからしたら、破滅するしかなかった自分を救ってくれたユウマは王子様以外のなにものでもないのですから。おまけに、初っ端からお嫁さん探しという目的の一つを暴露して、そのお相手候補として絡んでいったわけですからねえ。
定期的にクラスも動いていくみたいなので、六国6クラス全部回るんだろうか、これ。ともあれ、期待のシリーズ、はじまりました。

藤木わしろ作品感想

数字で救う! 弱小国家 4.平和でいられる確率を求めよ。ただし大戦争は必須であるものとする。 ★★★★   



【数字で救う! 弱小国家 4.平和でいられる確率を求めよ。ただし大戦争は必須であるものとする。】 長田 信織/紅緒  電撃文庫

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紆余曲折の果てに、契りを結んだソアラとナオキ。女王となったソアラは一児の母となり、そしてナオキは王配(女王の夫)としてソアラを助けつつ、宰相としての職務を日々こなしていた。なぜかちゃっかり宮廷女官長兼ナオキの愛人(女王陛下公認)におさまっているテレンティアが、しっかりナオキとの子を作っていたりするが、それはさておき、弱小国ファヴェールは平和であった。―そのはずだったのだが。ファヴェールが所属する国家同盟と、他の諸国連合の関係が悪化。史上最大規模の、『国家連合同士の大戦』が迫る。次なる世代に国の未来を繋ぐため、ソアラとナオキは、新たな戦いに臨む!!

「おっぱいは、おおきければおおきいほど、おおきい」

けだし名言である。しかも、数式的に出された答えである。冒頭のプロローグからこれですよ、かっ飛ばしてますなあ!
9歳から14歳に成長したツナちゃんことトゥーナ。天才数学少女も今はお年頃、と言ってもソアラのブラでフラフープして遊んでいる(真剣)くらいの娘さんでありますが、この時代の14歳ともなれば既に一人前に働いているわけで。成長したなー、ツナちゃんと感涙にむせぶまもなく監察官として全土を駆け回る日々である。傭兵隊長の息子のドクが護衛としてくっついているわけで、おうおうお年頃でありますなあ。
とか言ってるうちに、監察官として働くツナちゃん、不正を暴くべく数式を駆使しまくる。うん、わからん! いやまあ腰を据えて一からじっくりを理解しようと構えればなんとかなるレベルに押さえてくれてはいると思うのですけれど、正直仕事疲れであんまり頭が回らないときに読んだので、ドクと同じく同じ顔で「お、おう」と唸るばかり。こういう時はまずは結論を解せよ、である。にしても、わりと数式自体とそれの運用の仕方の描き方がガチめで、初っ端からやりたい放題なんですよね。この四巻、本来出るはずがなかった奇跡の巻らしく……そうだよね、主人公とヒロイン(+1)が結婚して子供まで産まれて、という状態からさらに続く、というのはなかなか決断のいる状況設定かと。実際、3巻終わった時点でシリーズも完結した、と思い込んでいたので4巻の発売情報にはかなりぶったまげた覚えがある。
でも、個人的にはこういうその後の話、も大変興味ありますし戦記物となれば言わば年代記の様相も呈していますし、世代を跨いでというのも戦記というジャンルで大きなスケールで物語を動かしていくには有為有用な展開でありますからねえ。
今回は特に作者先生がやりたいようにやりたい事を存分につぎ込んでいる感じというか勢いが感じられて、キャラクターもグイグイ動いて、読んでるこっちも勢いがつく空気感があってなんか痛快でありました。
国もキャラも、5年という月日と子供を持つ親の世代へと駆け上がったことで成熟を迎えた感もあるんですよね。行動に自信があり、人間関係に信頼があり、キャスティングボードをキャラ自身が握って動かしている感じなんですよね。
いわゆる大戦争への導入も、脚本通りではあるんでしょうけれど、その脚本自体がナオキとソアラとテレンティアに本人たちが一番やりたいようにやらせてあげる、という趣旨で転がした結果みたいなものでしたし。お膳立ては整えつつも、行動の選択はキャラ自身に預けるみたいな。こういうのって、作者とキャラクターの共同作業という体になってる感じがして、読者としてはこういうケースの作品全体のノリノリ感がほんと好きなんですわー、油が乗り切っている感じで。
感じ感じと、感じてばっかりですが、まあそんな感じなのです。

しかし、女王になり奥様になり母親になっても、ソアラのぼっちは治らんどころかますます磨き上げられてしまってるのかー。出征の際の、あとを託す子どもたちへの堂々とした宣言、「母上には友達がいません!」はちょっと不憫すぎて爆笑モノでした。彼女の場合、大半自業自得だけどな!
奥様はテレンティア以外ぼっちにも関わらず、夫の方はというとこいつ相当にアレな奴なのに悪友いるんですよねー。傭兵隊長、今は傭兵騎士のおっさんか。あのおっさんとのコンビもさることながら、軍の最高指揮官と次席指揮官のライアス公とケズテルド伯、この二人とはもうマブダチ、みたいなノリで、開戦前の相談というか悪巧みというか、さながら宅飲みでグダってるような三人のこの男同士の、おっさん三人の絡み合いはもう仲良すぎだろうこいつら、という風でいやあナオキが宰相として悪名高めながらやりたい放題やれてるの、家族がいるというだけじゃなくて、こういう心から言いたい放題言い合える得難い友人が身内に居て、偉いさんの中に居て、軍権握ってる人の中に居て、というのがあるんでしょうなあ。5年経って、国自体も発展したけれどそれ以上に味方の結束、身内の関係が素晴らしくいい形で成熟してるんですよね。今まさに、ファヴェールは最盛期を迎えつつある!とでも言うかのように。
まさにそのとおりだからこそ、チマチマしたローリスクローリターンな戦争ではなく、ハイリスクハイリターンな大戦争に打ってでることになったのでしょうが。

国際情勢も、前々の国と国の間での国境紛争という規模ではなく、同盟を結んだ国家連合同士の覇権争いへと移行しつつ在り、ファヴェールも敵を敵に回し味方も潜在的な競争相手として張り合い、と四方八方とせめぎ合うはめに。或いは望んで渦中へと飛び込んだり。
これ、地図を見ると分かる通り、欧州の地形をちょうど東西ひっくり返した形になってるんですね。ファヴェールはスウェーデンとフィンランドをあわせた土地に相当する国で、今回の同盟(アライアンス)と誓連会(リーグ)の戦争はちょうど、新教と旧教の戦いとなった三十年戦争を想起させるものになっている、と言っても細部から大きい部分に至るまで色々違うので、あくまでモデル、にもならないかもしれない。
ファヴェールが対決することになるピエルフシュは、いわゆるポーランド。ポーランドをなめてはいけません、侮ってはいけません、ある時期ではポーランドは欧州最強国家と言っても過言ではないくらいの国でしたし、まさにこのピエルフシュはそのポーランド最盛期……を若干通り過ぎたくらいか、ともあれ戦史においても伝説的神話的とすら言える騎兵、有翼重騎兵フサリア華やかなりしとき、をそのまま持ってきたような時期のかの国っぽいんですよね。
戦上手のライアス公とケズテルド伯をして、絶対勝てるかー、とトラウマになってるかのような慄き方をされているピエルフシュですけど、フサリアのあのやばすぎるというか非常識すぎるというか、現実仕事しろ、という伝説的な戦いを知ってしまうとまあ、わかるんですよねライアス公たちのトラウマ。ってか、彼らキルホルムの戦いの当事者じゃねえかw
まあそのフサリアの強さの秘密、というものをナオキは数式を以って具体的に解き明かしちゃってるんですけどね。つまり、偶然とかたまたまじゃなくて、あのフサリアの強さというのは数式で解き明かせるくらい確固とした答えの出せる強さでもあるわけだ。
ってかなんだよ、三倍の敵を中央突破で圧倒して殲滅するのを前提にした部隊ってw 前提からおかしいんですが!

そういう敵の強さの具体的なところを知っていると、ファヴェールなにやってんの!? 自殺!? 自殺!? と、あらゆる方面から白目剥かれた宣戦布告だったというのがより深く理解できるのじゃないでしょうか。
その後の電撃的な戦略機動は、ナオキの面目躍如というべきか、目指すところの高みと言うべきか。兵を歩かせてるだけで勝利を手にした、というのはナポレオンの大陸軍だったか。
ああいう士気高揚の演説を熟れた感じで出来るようになった、というのもナオキの成長、というよりも国家権力者としての成熟を感じさせられるのです。傭兵隊長のおっちゃんの忠言も、うまいこと拾い上げられてましたしねえ。少年の頃はまだまだ全体をあんなふうに掌握は出来てなかったと思う。
そう思えば、若い頃と比べても随分と腰も座りましたし、信頼できる味方も増えたものです。或いは、信頼できる人たちが増えたからこそ、余裕も備わったのかもしれませんが。でも、そういうスタッフを育て、彼らが働ける組織を立ち上げ育ててきたのも、ナオキたちなわけで、着実な躍進を様々な場面から感じさせてくれるんですよねえ。それがなんとも感慨深い。
ラストの決戦なんぞは、数学者が数式を書いてこの通りにやれば勝てるよ、と現場も見ないでうそぶいているようなもので、ある意味酷いことろくでもないことになってしまう定番とも言える展開なのですが、彼の場合計算どおりに、というのは予断や憶測、想像推理想定という曖昧な定義を重ねた計算ではなく、人の思わぬ行動や失敗不測の事態をも式の中に換算してある数式、ガチの数式なので、だいたいそのとおりに行くのであるが、往々にして人は数字がよくわからないので数字という真理を信じないし信じられないのが常なんだよなあ。まあこれも、式に代入する数字や前提が違ってしまえば、安定の計算違いになるものではあるんだけれど。
ナオキの凄みは、数学者であると同時に政治家であり組織人でもあるので、ちゃんと現実の方を数式に合わせられるだけの下ごしらえが出来る辣腕なんですよなあ。そして何より現場渦中におけるあのくそ度胸、魔術師呼ばわりも、決して的外れではないですよ、これは確かに。

さても、大戦争のタイトルに偽りなく、今までとはスケールからして異なるダイナミックな展開に、さらにラストでの大どんでんちゃぶ台返し。これはもう、今までが全部プロローグだったんじゃないの、とすら思いたくなるような、ここからさらにシリーズそのものの勢い増しましじゃないですかー、と言ったところでのエンディングであります。いやこれ、どう見ても5巻に続くじゃないんですか!? あとがきではどちらとも取れるような取れないようなコメントで、いやだからどっち!?
これはもうやりましょうよ、ガチの大戦争、さらなる大戦争を。待ち侘びます、はい。

シリーズ感想


友人キャラは大変ですか? 7 ★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 7】 伊達 康/紅緒  ガガガ文庫

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連絡の途絶えたシズマを追って、異界に突入する火乃森龍牙と仲間たち。もちろん友人キャラの俺、小林一郎も一緒だ。なんてったって、シズマは俺の息子(育ての意味での)。普通に心配なのだ。異界の意外な姿に驚いたのも束の間、俺たちはキュウキ陣営の襲撃を受ける。ええい、ここが正念場だ!第三部以降ややこしくなっちまったが、元凶のキュウキをぶっとばせば龍牙の異能バトルストーリーはめでたく完結、俺の本来の居場所(日常パート)も取り戻せるって寸法よ!―大人気名助演ラブコメ、佳境を迎える第7弾!
シズマがやっぱりイイ子すぎる! それ以上に残念なところがなく全般的に優秀な面しかないところなんぞ、彼こそが御輿として掲げるべき主人公なんじゃないかと思ってしまうんだが、どうよ小林くん。友人キャラとしてストーリープランナーとしては、息子が主人公というのは自分のポディション的にも難しいのか?
結局、今回小林くんは友人キャラではなく主人公キャラになってしまおうとする自分の立ち位置、キュウキ側からの後押しを避けるために逃げ回っていたら、友人キャラとしての本分を果たすべき「日常パート」から自分から遠ざかってしまった、という致命的な判断ミスを招いてしまうんですよね。自分でも嘆いていましたが、なにやってんだほんとに!!
異界の方に引きこもってしまった小林くんをそっちのけにして、日本の方ではリューガたち主人公組と三姫たちが様々な日常パートのシチュエーションによって仲良くなったり新たな関係を築いたり、とどんどん進展していってしまうのである。ちょっと会わないうちに劇的に変わってる人間関係! 知らないうちになんか親友同士になってる敵同士だったあの子たち。いつの間にかバンドが結成され解散の危機に陥っているという勝手に進んでるエピソード。
小林くんが異界にいるせいで、幾つも堪能できたはずのエピソードが全然見られなかったんですけど! 読者であるこっちまで見れなかったんですけど!!
いつのまにか魅怨とリューガがお互いを愛称で呼び合う親友ポディションに収まっていたのを目の当たりにした時はひっくり返りましたがな。いやそれ、本来なら一巻分のメインとして描かれるような重要パートじゃないの? なんで知らないうちに終了完結してるの!?
それもこれも、全部小林くんのせいである。おのれっ。
ただ、彼の暴挙ともいうべき引きこもりは、確かにキュウキ側の思惑をも外していたようで状況は一気に総力戦に。いや、でも小林くんらが異界に引きこもってまで守っていた場所は実はまったく意味なかったんですけどね! ただ、本当に意味ないところに引きこもられたことが、小林くんとはまた違うストーリープランナーを自認するキュウキとしては、予定と違ってしまったのか。相手側からしても、あれだけ物語の進行的に無駄なことされると、どうしようもないもんなあ。
ともあれ、将軍ポディションの使徒たちも総出演で、総力戦に。でも、将軍クラスってろくにマトモなの居なかったよね。それをいうと、四凶たる魔神たちも全員ちゃんとしたマトモなやつが一人もいなかったわけですが。キュウキだけなんとか敵として黒幕っぽい動きをしてくれましたけれど、逆にちょっとマトモぽかった分、テッたんことトウテツ、コントンのおっさん、トッコことトウコツの三人のあまりもあんまりな色物キャラに比べてどうしてもインパクトが足りなかったのも確かで。
てか味方陣営が人数過多でラスト供給過剰になってしまったのは笑ってしまった。それでも、ラストはようやくヒーロー物の締めらしいリューガの必殺技での決着で、いやこういうちゃんとした終わり方って初めてだったんじゃw

ただ、キュウキ編も結局新章開始の前段階だったわけで。これはタイトルコールを変更しての第二シーズン開始ですよね? あのキャラの突然のポディションチェンジについては、今までの立ち位置の不可解なまでの中途半端さというか蚊帳の外なところからして、なにか絶対にあると感じていただけに、むしろようやくか、という待ってました感が。いやまあ、いまさらヒロイン枠になるにも色物キャラすぎるのですが。
やはり不動のメインヒロイン、小林家のお嫁さんは魅怨が譲らんかったよなあw

シリーズ感想

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王 ★★★★   



【葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王】 一ツ屋 赤彦/紅緒  角川スニーカー文庫

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第24回スニーカー大賞≪金賞≫受賞作!
様々な種族がひしめき合い、“葡萄”のように国が乱立する大陸の小国ランタン。流浪の少年メルは、多言語を話せる特技をランタン王に買われ、豹人族の姫シャルネの教育係に抜擢される。己の奔放な振る舞いにも常に優しいメルに、徐々に惹かれていくシャルネ。そんな折、大国との政略結婚を控えた彼女は相手の王を怒らせ、婚姻は最悪の形で破談に。二国間の緊張が高まる中、次期ランタン王に任命されたのは、なんとメル!? 王として彼が取った起死回生の策は、“シャルネと結婚し、豹人族の支援を取り付ける”というものだった! 言葉を操り、人を繋げ、敗戦必至の大戦に挑む! 弱小王国の下克上ファンタジー、ここに開幕! ※電子版特典として、電子限定書き下ろし短編『キリン様の憂鬱』を特別収録!

先代ランタン王が偉大すぎるんだよな、これ。
実のところ、本作のこの一巻ぶんにおけるランタン国が辿った道筋はほぼ先代ランタン王が描いた筋書き通りに進んでいる。自らの病による死の時期すらも織り込んだ大戦略は、恐るべき事に受動的な部分が殆ど見当たらない。未来を予測して備えるのではなく、望んだ道筋に誘導し現実を予定の方へと引きずり込んでいるのだ。これは自国のみならず敵国となるバツ国ですら変わらない。どころか、バツ国と敵対状態になりバツ国が攻め込んでくることすら、誘導によるものだというのだから戦慄すら覚える。
これ、バツ側からするとどこからどう見てもバツ側の意志によって侵略を開始しているはずなんですよね。しかも、大陸中に知れ渡った英雄であったランタン王の死を契機として攻め込んでいるのだから、ただでさえ普通に攻めても簡単に滅ぼせるだろう弱小国に、万難を排して挑もうという戦いであったはずなのだ。尤も、バツの政治を司る宰相アーデルハイドから言わせれば、早すぎる侵攻であったわけだけれど、宰相たる彼をして開戦を遅らせられないほどに政局が固められてしまった段階で、先代ランタン王の掌の上だったんですよね。
そして、ランタン王の大戦略の最後にして最大のピースであったのが、本作の主人公、流民の少年であったメル・アルカートなのでありました。
すべてはランタン王の掌の上、と言いつつもお膳立てされた舞台の上で踊るのは言われた動きしか出来ない駒などではなく、自分の意志で立ち自分の胸で理想を抱き、そして夢を語ることの出来る人間なのであります。駒では、決して自体を打開できない、この場をしのげても、ランタン王亡きあとのそのサキを続けていくことが出来ない。そして何より、そこにはランタン王が思い描いた夢が無い。
王が求めたのは、国の行く末……夢を託せる次代なのでありました。だから、彼が用意したお膳立ては、黙って乗っかればそれで全部キレイに片付く、なんて簡単な代物などではなく、そこに立った者たちが皆全力を尽くさねば乗り越えられない試練であり、その試練を超えてこそランタン国を、夢の地を続けていける、その先へ広げていける可能性を得られる、そんな残された者たちへの、託された者たちへの宿題でもあったのです。
ランタン王がその生涯をかけて築き上げてきた宝を、メルとシャルネに継承するあのシーンは、この巻においてもっとも美しい場面でもありました。王の言葉には力があり、想いがあり、慈愛があり、その一言一言が胸に響く玉音でありました。これほど強く優しく染み渡る言葉の連なりが果たしてどれほど今までに目の当たりにしたことがあったでしょうか。
感じ入るばかりでした。

先王に託された夢は、メル少年にとって彼自身も抱き続けた夢でした。しかしそこに、国という重石をつけられて、それまで流民として彷徨い続けた子供にすぎない彼は一人ではとてもその重さに耐えきれなかったでしょう。しかし、王はこうも言い残したのでした。
「君は人に支えてもらえる王になれ」
そして、彼の隣には勇気ある姫シャルネがいる。表紙絵で、二人背中合わせでしかししっかりと手を握り合っている姿は象徴的だ。彼らは二人でこのランタンの王となる。そして、ここで冒頭でメルがシャルネの無聊を慰めるために語ったこの葡萄大陸の主となる王の資格を語るおとぎ話が、差し込まれてくるんですよね。きれいなきれいな伏線の回収でありました。あの荒唐無稽とも矛盾の塊で実現の可能性がかけらもない、だからこそおとぎ話にしか思えなかったあの話が、こういう形で実在性を帯びてくるなんて。

実際のバツ国の侵攻に対する防衛戦も、非常に面白かった。ここで軍師ギンが存在感を増しましてくるんですよね。戦争にも関わらず人の死をなるべく回避しようとするメルの願いは、甘いもののようにも見えますけれど、実際のところこの戦場、この戦争だけに終わるものではない将来のランタン国の進むべき道を思えば、そして何よりランタン国が体現しようとしている人々の夢を思えば、それは大局的に正しい方針なのでしょう。感嘆するべきは、メルの方針を将来の布石にするまでもなく、この場の負うべきリスクにせず、この戦局における極めて強力な武器へと昇華せしめた軍師ギンの奸智でしょうか。裏で現実主義者を気取ってるわけでもないんですよね。理想を叶えるために汚れ仕事を引き受ける、なんて後ろ向きな真似……理想や夢を神輿にして現実から遠ざけて守ろうなんて真似をせず、きちんと一緒に真正面から夢を叶える同志として寄って立つ、そんな気概を見せてくれる軍師っぷりでありました。性格はひねくれてるっぽいですけど。
バツ国側も面白くて、侵攻軍の最高司令官である宰相アーデルハイド。彼は間違いなく傑出した人物なんですよね。その才覚は、組織運営者として極まったもので運用が極めて困難な大軍を全く何の問題もなく滞りなくスムーズに他国の首都まで進め、その後も全軍の手綱を握ってほぼ思う通りに動かせていたことからも明らかで、数々のシーンから彼の並外れた能力が伺えるわけです。同時に、その才覚はあくまで軍政家であり、組織運営者であって作戦家ではなかったというあたりが非常に面白かった。軍事的に無能、というわけではないのは現場での対応能力の高さや速さからも確かだと思うのですが、教科書以上の対応が取れないというのはホント、アーデルハイドさん前線指揮官向いてなかったんだろうな、というのが伝わってくるわけです。ただ彼の場合、それが無能に見えるのではなく逆に、明らかに向いていないにも関わらずここまで出来てしまうその能力のべらぼうさに度肝を抜かれてしまう、という感じなんですよね。
今回の適性ではない仕事を押し付けられてた件に代表されるように、アーデルハイドさんそのバグってんじゃないかとすら思える能力を十分に発揮できない環境に置かれているの、敵ながらもったいなさすぎと感じていただけに、ギンちゃんの「貴方の使えるべき国はそこではない」という伝言には、グッと来たんですよね。然り然り、と。

未だ幼き二人の子供、大陸すべての種族の言葉をしゃべることの出来る少年メルと、野良猫と呼ばれる豹人族の姫シャルネ。二人は出会い、恋をして、共に同じ夢を頂いて、偉大なる王から未来を託された。
彼らは二人で一つの王。幾多の種族が混在し手を取り合って暮らす小さな国を統べる王となった。
これはそんな二人が治める小さな国が、葡萄大陸と呼ばれる世界に大きく羽ばたく、そんな歴史の幕開けの物語である。

友人キャラは大変ですか? オフコース ★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? オフコース】 伊達 康/紅緒  ガガガ文庫

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俺こと小林一郎は、ただの友人キャラである。親友・火乃森龍牙の世界の命運を懸けた戦いに関わってしまったり、龍牙ヒロインズと次々フラグを立ててしまったり、敵の美少女使徒たちが居候してきたり、ラスボスである魔神に取り憑かれたりしているが、やはりただの友人キャラである。『そんな友人キャラがいるかァ!』というご指摘はいったん呑み込んで頂きたい。俺もツッコみたくて必死に我慢しているから。これは、そんな俺の苦悩に満ちた、日常の記録である―。

短編集どころではなく、掌編集というような短い話を集めたもので、どうやら新聞の方に連載していたものを改稿してまとめたもののようなのですが、これいきなり新聞で連載されても原作知らないと事情の方がさっぱりわからないんじゃないだろうか。はじまりの方で一応原作の展開の説明はされていましたけれど、ざっくりとしたものですし何より一郎の奇天烈極まる友人キャラへの拘りというものは、原作のあのしつこいまでの偏執的な彼の側面を見ないとなかなか伝わらないんじゃないでしょうか。
とはいえ、原作を読んでいる身からするとこの掌編集は見ていて楽しいものでした。特に大きな事件が起こるでもない日常の様子を徒然と描かれることで気楽に楽しめましたしねえ。
まあ、日常風景の方は本編の方でもわりと分量割いて描かれているのでここでしか見れない姿、というのは案外無いとは思うのですけれど、けっこう多くなってきたキャラが満遍なくこうやって登場するのは本編では意外となかったことなので嬉しいんですよね。龍牙ヒロインズって意外と横のつながりが少ない、というわけではないはずなんですけれど、本編だと意外と絡みが少なかったりするのでその意味ではここで見るヒロインズの友人関係というのは新鮮だったりしますしね。
何気に、三姫とのライバル関係の絡みの方が多かったりするんですよね。ここでも、そのライバル同士の丁々発止はよく見られましたし。というか、本編よりも特に事件やトラブル、問題が背景にない分気楽にやりとりしているので、普段よりも仲の良い姿が見られたり。
てか、ほんとに普通に仲良いですよね、こいつら。敵同士なのにw
小林家の家庭内の様子もお陰様で丹念に描かれているので、三姫のあのもう居候という段階を完全に通り越した所帯じみた家族感がなんともほのぼのさせられます。テッちゃん、魔神でボスのはずなのに家庭内ヒエラルキー自然に一番下になっちゃってるよな、これ。でも、蔑ろにされているわけではなくて、なんだかんだ頼られているのはテッちゃんの不思議な魅力でもある。パシリとして尊ばれている気もするけれど。
そして、ここでも小林家のオカン力を見せつける魅怨さん。小林家の内部の仕切り方がもう完璧におかあちゃん、なんですよねえ。主婦力の高さが素晴らしすぎる。それでいて、おばちゃんくさくなくて、怜さんとファッション談義で盛り上がっているようにセンスも良いし、生活力あるし、可愛いし、とお嫁さんにしたいキャラナンバーワンの座は圧倒的すぎて揺るぎなさ過ぎます。
龍牙、君は残念ながらダメだ。気がついていないけれど、君は色物系ヒロインだぞ、その本性は。
何気にテッちゃんと相性ピッタリに見えるのはあれなんなんでしょうね。
ちなみに、小林一郎の呼び方で一番自分がキュンと来るのはやっぱり魅怨の「一郎くん」です、あれが一番好きw

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 6 ★★★☆   



【友人キャラは大変ですか? 6】 伊達康/紅緒 ガガガ文庫

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しっちゃかめっちゃかな学園祭編!!!

雪宮さんの体調不良から始まった第三部。
物語はおむすびのごとくころころ転がって、完全に俺、小林一郎の手を離れてしまった。

「まさかラスボスがダブルブッキングしてしまうとは……」

なによりの問題はこれである。
モッサリ魔神のトウコツだけでなく、あくどいキュウキの相手までしなくてはならなくなった。
例えるならFCバルセロナとの試合中に、レアルマドリードも相手にしなくてはならなくなった感じだ。

どうしたものかと悩む俺だが、日常は容赦ない。季節は秋、まもなく学園祭を迎える。
歌唱ライヴをやるという龍牙と四神ヒロインズのサポートも、当然友人キャラたる俺の職務である。

さらに、龍牙をメインに据えた女装メイド喫茶がクラスの出し物に決まり……?

くそ、明らかに手も足も足りてねえが、学園祭で主人公を輝かせられなくて何が友人キャラだ!
ぜんぶ並行しながら、龍牙を祭の主役にしてやるぜ!

カオスがカオスを呼ぶ第三部学園祭パート、ここに開宴!
いやいやいや、モッサリ魔神のトッコはもう戦う気端からないんだから無理にラスボスにしなくていいじゃないか。そういうとこだぞ、小林一郎。自分の友人キャラムーヴとシナリオに拘泥して、役を強いようとするところ、ほんとダメだからね。
それ、指摘されて自省したと思ったらわりと速攻で反省したのを忘れちゃったような有様になっちゃってるし。こいつ、まるで反省していない!?
よくよく冷静に振り返ってみると、状況がシッチャカメッチャカになっている最たる原因は一郎なんですよね。彼が自分のシナリオに拘泥して情報の共有を制限して各人の行動をコントロールしようとした結果、見事に片っ端から破綻しまくって見事にしっちゃかめっちゃかになっちゃったんだからね、これ。ある程度大事な情報を共有して目的を一本化したら大方のトラブルは混乱を来す前に解決できたような気がする。まあ、状況が混沌と化したからこそ魔神サイドが身内になったんじゃ、と考えることも出来るので一概に一郎の行動が状況を悪化させ続けたとは言えないのだけれど。
だいたい、一郎が最善を尽くしてしまうとこの話、何の面白みもないハーレム異能モノになってしまうので、混沌を牽引する一郎がいないとこれほどドタバタと騒がしくハチャメチャな話にならなかったわけですけれど。
まあすでに、一郎ってもうどう見てもシナリオ管制のコントロールを失ってしまっているんですよね現状。あまりに状況が錯綜しすぎて、一郎も全体的に何がなんだかわかんなくなってるきらいがあるんだけどw

そんな中で、ぽややんとした魔神たちの中から唯一強烈なラスボスムーヴを発揮しだしたキュウキ。話のわかるいいヤツ揃いだった魔神の中で、一人真っ当に悪人をやってくれるキュウキはこの際、状況を一纏めにしてくれる救世主なんじゃないだろうか、この場合。
一郎としても、ラスボスがちゃんとラスボスしてくれるとシナリオがすっきり一本通って収拾しやすくなるだろうし。
阿義斗が一郎が関わったせいなのか、クールで非情な敵役がやたらとシモネタを連発する変態になってしまった今、悪役ムーヴしつづけるキュウキが唯一の希望である。いや、アギトまじでキモいからそれw

シリーズ感想

数字で救う! 弱小国家 3.幸せになれる確率を求めよ。ただしあなたの過去は変わらないものとする。 ★★★★   



【数字で救う! 弱小国家 3.幸せになれる確率を求めよ。ただしあなたの過去は変わらないものとする。】 長田 信織/紅緒 電撃文庫

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帝国での戦いからしばらく経ち――しかしなお、弱小国家ファヴェールの宰相にして、数学オタクの現代人・ナオキは苦境に立たされていた。苦楽をともにしてきた王女・ソアラからナオキに領地が下賜されることになったのだ。それはナオキを貴族階級に据え《自分と婚約できる立場になってもらう》ための、彼女からの遠回しなプロポーズだった……が。
それをこいつ――断りやがった!
前回の戦いで仲良く(?)なったライアス公爵や、助手のテレンティアにメンタルフルボッコにされる名宰相あらため、優柔不断へっぽこ人間のナオキだったが、彼にはソアラに対して踏み出せない一つの理由があった。
激動のシリーズ第3巻!!

随分と「政治」をうまく熟すようになったなあ、ナオキ。その発想と実際の行動は理論をこねくり回す学者ではなく、実践でロジックを現実にすり合わせていく政治家とか策略家の分野のはずなんだけれど、ナオキもう完全にそっちの人間になっちゃったなあ。当初の、理論を相手にしていてそこに人間が居るという事実がすっぽり抜けてたようなやり方に比べれば雲泥の差である。
あの頃は、宰相?冗談でしょう、な感じだったのですが。それに、ナオキに似たり寄ったりだったソアラも、なんだかんだとナオキにダメ出しとか出来るようになってるんだから、大したものである。
それもまあ、テレンティアとライナス公のスパルタ教育があったんでしょうか。いずれにしても、この二人を味方にできた、というのは本当に大きかったように思います。
ナオキとソアラの関係の結実を迎えるためのエピソードがグランドデザインの中での紛争ではなく、なし崩しの理由なき局地戦、というのは微妙に勿体なかった気もしますけれど。ナオキの踏ん切りのつかない想いの源泉となるものも、結構はっきりとしない曖昧模糊としたものでしたしねえ。このあたり、ナオキ自身の優柔不断もさることながら、物語としてもナオキの感情の部分だけピリッとしたものがないもやもやした感じになってしまっていた気がします。彼の拘りや心の引っかかりが如何なる部分にあったのか。ニュアンスとしては伝わってこなくもないのですが、彼自身もはっきりできない分、しゃんとしない感じになっちゃってたかなあ。
人が前に進めない、思い切ることの出来ない理由なんてだいたいはっきりした形のある具体的なものがあるわけじゃないんですけど、曖昧模糊としたものが源泉にあるのならその曖昧模糊さを明確な形にしないといけないんですよね、物語としては。そのあたりが若干、具体化できなかった気がします。
爺ちゃんの残した数式。グラフを見ると一目瞭然なんだけれど、まあね、こういうものは固定観念があると全然気づかないものだし、爺ちゃんとの末期の時間の余裕の無さがナオキから視点を奪っていた、というのなら彼が気づかなかったのも無理ないんじゃないかと思う。
でも、これって若干ナオキの爺ちゃんかわいそうなんですよね。爺ちゃんとしては、死の間際での渾身のネタだったにも関わらず、ウケないどころか結局気づかれもしないまま可愛い孫をはからずも追い詰めてしまったわけで。
爺ちゃんとしては、孫の笑い声を聞きながら旅立ちたかったんじゃなかろうか、とね、思っちゃうわけですよ。それもこれも終わってしまったこと。たとえ間に合わなかったとしても、のちに孫が気づいてケラケラと笑ってくれたのですから、爺ちゃんもあの世で苦笑してるんじゃないでしょうか。

しかし、最後まで傭兵隊長はいいキャラでした。こんないいキャラ、というか軍事面でのナオキの相棒格にも関わらず名前出てこないなあ、と思っていたのですがあくまで役職名の傭兵隊長、という表記を貫いていたからこそ、ラスト近辺の彼の行動には信憑性というか迫真が出たんじゃないかと思います。ただの「傭兵隊長」だったからこそ、もしかして、という考えをよぎらせることに成功してたんじゃないかなあ、と。
エピローグのやり取りを見てると、ナオキが一番打ち解けてるのってこの人だよなあ、とニヤニヤしながら眺めてたり。隊長からすると、微妙にいい迷惑そうなんだけど。
ナオキとソアラの物語としては今回でキレイに一通り決着をみたのだけれど、あとがきを見るとなんだかこの【数字で救う! 弱小国家】シリーズ、世界観を同じくしたままもう少し続けられそうなご様子で、もう少しこのシリーズを見続けたかった身としては、面子変わるとしても嬉しいところ。
数学のネタについては、上っ面だけさらっと見ているだけで全然理解しようとする力を働かせてなかったので中身わかってないんだけれど、なんだろう、思っていたよりもファジーで計算とか方程式から程遠い現実の出来事を数値化して計算し答えを導き出すような、現実に確固と応用できる計算式って思いの外多いんだなあ、という知見を得ることが出来たのは何とも味わい深いものがありました。数学って、一般的に思われているものよりも柔軟性というか懐広いんだよ、というアピールにもちゃんとなっているシリーズだったように思います。さて、この話を読んで数学って面白いものなのかも、興味を持つ子たちは現れるのでしょうか。
それはそれとして、テレンティアさん、今回端から端までやりたい放題だったなあw

シリーズ感想

友人キャラは大変ですか? 5 ★★★☆  

友人キャラは大変ですか? 5 (5) (ガガガ文庫)

【友人キャラは大変ですか? 5】 伊達 康/紅緒 ガガガ文庫

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もうひとりの主人公、登場!?

最近、雪宮さんが体調不良で学校を休んでいる。彼女は白虎の巫女。生命力は折り紙つきで、そんな雪宮さんが体調不良なんてこれは一大事だ。すわ、雪宮汐莉メインエピソードが始まるかと思いきや――。
俺的に、とんでもないメインイベントが始まってしまった。うちのクラスに、転校生が来たのである。しかも、とんでもない主人公オーラの持ち主が!

「よろしくお願いする。名前は、天涼院阿義斗(てんりょういん・あぎと)だ」

こんな主人公感のあるやつは、龍牙のほかに見たことがねえ……!
……俺も最近、友人キャラ(笑)みたいになってたからなあ。男・小林一郎、ここは阿義斗とがっつりダチになって、友人キャラの面目躍如としてやるぜ!
――新たな主人公の登場で、新旧主人公対決が勃発!? そして汐莉の問題にも意外な展開が……?
大人気名助演ラブコメ、新展開の第5弾!
雪宮さん回なのに表紙は保険医の呪理なのかー、と思ったんだけれど雪宮さんは一応二巻で表紙飾っていたのか。
敢えてここで三姫長女の呪理を持ってきたということは、このまま魅怨、忌綺と三姫で続けていくつもりなんだろうか。それだけ先の見積もりが立っているというのはありがたい話だけれど。
まあ今回はようやくヒロイン衆の残されていた最後の一人、雪宮さん回だと思ったらそう見せかけて殆どトウコツことトッコちゃん回だったんで、雪宮さん物語的にも大迷惑である。小説だとビジュアル的にお嬢様な雪宮さんが超田舎娘状態になってる見た目のギャップはあんまり伝わってこなかったのだけれど。
セバスチャンも、なんでこんな仕え甲斐のなさそうな魔神に忠誠を誓ってしまったんだろう。昔は違ったんだろうか。どうもトウテツたち、こいつら元々こんな感じだったようにしか見えないんだけれど。
とまあ、トッコちゃんがテッちゃんたちを上回る超穏健派だったために、物語的にはバトルも起こらず穏当に済みそうになってるのに、一郎がむしろそれを混ぜっ返そうとしてキュウキ勢力に利用されてしまって、となんだかんだと今回一郎が要らんことをしまくっていた気がするぞ。
友人キャラとしての立場にまだ未練があるのか、ストーリー展開のバランサーを気取ってしまっているのか、あれこれ話を盛り上げようとして無駄にしっちゃかめっちゃかにしちゃっているあたり、君はいったい何キャラを目指しているんだ、と。黒幕キャラか!? 少なくとも、もう友人キャラも主人公キャラでもない気がするんだけれど。
新登場の阿義斗に龍牙たちほっぽりだして嬉々として友人キャラとして絡んで行っちゃってるところなんぞ、それもう浮気同然ですし。こらこら、今龍牙たんたちの話にあれだけどっぷり首まで浸かっているのに、他の物語にまで首を突っ込もうとしてどうする。それも本気ならともかく、久々に友人キャラやりたいから、という遊び感覚だったしなあ。
今回はちょっとデートイベントに関しても、みんなのこと蔑ろにしすぎていたように思う。少なくとも友人キャラを自認しようというのなら、友達は大切にしなさいよ。
あと、幾つかの秘密、龍牙が女の子だという話とか、三姫が一郎の家に同居しているのとか、知っている人と知らない人が錯綜してしまっているのは、とりあえず本当に一度整理した方がいいと思うぞ。トラブルに際して誰にどう相談していいのか、混乱してしまいますし。
必然的に全部承知している三姫たちに頼り切りになってしまって、メインヒロインがそっち側に移りがちになってしまう原因にもなってますし、三姫とえらい仲良くなってしまったエルミーラの出番が加速度的に増えて、なんもしらん雪宮さんが加速度的に外の方に追いやられてしまっている遠因にもなってる気がしますし。とりあえず雪宮さんはメイン回がこれって出番的にも可愛そうすぎるので、次回の決着編では頑張ってほしいものであります。

シリーズ感想

数字で救う! 弱小国家 2.電卓で友だちを作る方法を求めよ。ただし最強の騎兵隊が迫っているものとする。 ★★★★   

数字で救う! 弱小国家 2 電卓で友だちを作る方法を求めよ。ただし最強の騎兵隊が迫っているものとする。 (電撃文庫)

【数字で救う! 弱小国家 2.電卓で友だちを作る方法を求めよ。ただし最強の騎兵隊が迫っているものとする。】 長田 信織/ 紅緒 電撃文庫

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借金を負った弱小国家はさらなるピンチに……!?

異世界の数学オタク・ナオキの活躍で辛くも戦争を乗り切ったものの、戦後賠償で財政が火の車なソアラ王女率いる弱小国家ファヴェール。財政再建のためナオキとソアラが出した結論は、隣接するモスコヴィア帝国に遠征していた自軍の規模縮小と撤退だった。しかし遠征軍総司令のソアラの従兄妹、ライアスは気さくなイケメンながらも彼なりの帝王学を持つ難物。コミュ障のソアラとナオキは、果たして彼を説得できるのか!?
そして新たにナオキが雇うことになった女性助手(美人)が、ソアラから目のハイライトを奪っていく!
「首だけのナオキさんなら浮気しませんね!」
危険な発言も飛び出す波乱の第2巻!
相変わらず正論と理論で相手をフルボッコにしていくナオキ。ただ、正しいことを言われ指摘されて、それで納得するかと言うと人間感情的に受け入れられない、というケースは非常に多い。言ってることは理解できる、正しさは認めざるを得ない、しかし一方的に正論で「殴られる」ことにはなかなか耐えられないんですよね。それは攻撃であるから。正しい理屈に「理不尽に」虐げられるから。黙らされねじ伏せられ有無を言わさず封殺される、というのは普通に「不快」であり「苦痛」であり「反発」を覚えてしまうものなのである。
歴史的にも正論をただ正しいものとして押し通そうとした人物の大半は、感情的な反発によって排斥されるケースが見受けられる。これは史実というよりも概ねフィクションによる印象となっているのだけれどよく描かれる石田三成像とか、頭の切れる吏僚なんかはこのパターンなんですよね。これが過ぎると、頭の良いバカの典型になっていってしまうわけだ。
ナオキはこの点、ちゃんと自分の問題点については把握していて、自分の言動が味方を増やすどころか敵ばかり作ってしまっているのは理解しているのだけれど、じゃあどうしたらいいのか、というところに関してはあんまり考えられてないんですよね。コミュ障だもんなあ。懐刀的な傭兵団をゲットできた、というあたりを見ると全然対人能力ないわけじゃないのは見て取れるんだけれど、そういう体当たりなコミュニケーションを政敵ともいうべき諸侯や軍人に、宰相が行えるのかというとまあ確かに難しいんですよね。でも、それを個別にアタックしてでもやるべきなのが政治家、というものなんだけれど、公の場で「論破!!」ばっかりしてたらそりゃダメだわなあ。
本来なら、彼のポディションって参謀とか補佐官で影から献策して、実際の取りまとめは上の人にやってもらう、というのが最適なんでしょうけれど、何しろ彼のご主人であるところのソアラからしてナオキしか味方が居ない、理解者が居ない、同胞がいない、という見事なまでに孤立してる人物なだけに、ナオキを宰相という政軍のトップに引き上げて強権を奮ってもらうしかなかったんですよね。おかげで、緊急避難的に亡国の危機を回避できたものの、本来味方のはずの国内の諸侯、軍部、官僚機構全部から総スカンを食らってしまうという「オワタ」状態。
うん、これもう無理ですよね。
早晩、サヴォタージュがはじまってもおかしくなかったんじゃないだろうか。人間、それがどれだけ間違っていると理解していても、こいつの言うことだけは聞くもんか!という感情に支配される生き物なのである。
だから、絶対にこの取り返しがつかなくなりつつある両陣営を取り持つ仲介役が、双方の意見を聞き入れて理解し把握し噛み砕いて意思の疎通を橋渡しできる、そして両者が聞く耳を持つ権威を持つ人物が必要だったわけである。居るんかよ、そんな人物!!
居たのである、西方大陸戦線の方に。
今回は言わば、孤立無援だったソアラとナオキの、真の意味の味方を手に入れる話だったんですなあ。まあ、過程を見ているとあっちが必死にこっちを受け入れようとしてくれている事に全く気づかずに、明後日の方向向いてこいつも結局敵っぽい!とビビって毛を逆立てて吠え立ててしまってあとで落ち込んでるワンコ、みたいな有様になってましたけれど、特にソアラ。
あっちの人、ライアス公もコミュ障の扱い方を全然わかっておらず、一生懸命ソアラをもり立てようと自分のやり方でガンガン押してたらめっさ怖がられて警戒されて反発されて逃げられてへこむ、というダメ飼い主みたいな有様だったんですけど。
それでもなんとか上手く行ったのって、ライアス公がみっともないのを承知で無様を晒して歩み寄ってくれたおかげとも言えるわけで、なんかライアス公の方がすごい頑張った感があるんですが。
これだけソアラを見込んでくれて、最後まで見捨てずに忠誠を尽くしてくれようとしていた人をコミュ不足で追い詰めてえらいことにならずに済んで本当に良かったですよ。
ともあれ、ライアス公と彼の中枢戦力たるケズテルド伯が味方になってくれたのは本当に大きい。これまでと、劇的にソアラとナオキの立場も変わってくるでしょう。今までが最低最悪すぎた、とも言えるのですが。振り返っても、よくあの状況で起死回生できたよなあ、第一巻。
今回ナオキが持ち出し、各場面で活用した数学理論は一巻の時よりもわかりやすくなっていた、というか場に即していたというか、ともかく聞く人に対して確かな論拠と説得力を持つもので、これはこれでナオキなりにアプローチのやり方を考えていたのかなあ。単に作者さんの引用の作中への用い方がより上手くなってたという事でもあるのでしょうけれど。
しかし、数学を魔術と捉えてしまうことも珍しくない時代にも関わらず、みんな結構ちゃんと話は聞いてくれるんですよねえ。多分、現代ですら数字を元にした理詰めの話をしても端から聞く耳持たない、理解する気がない、信じない人間、少なくないのに。かくいう自分だって、いざ実際に理論を盾にして論陣を張られても、いやまあ理屈ではそうかもしれないけど現実はそんな理論通りに行くもんですかねえ、と話半分に聞き流したり不満感じたりしそうなの、容易に想像できてしまうだけに偉そうなこと言えないのですが。まあ理屈ばっかり先走って、現実が伴ってなかったり不必要な労力を浪費してたりするケースも多々あるだけに、ほんとこう、実際問題難しいんですけど。
とまれそんな意味でも、数学というわけのわからないものに傾倒するソアラを信じ、聞く耳持とうとし、自分から学ぼうとし、受け入れる努力を厭わなかったライアス公はほんとに尊敬しますわ。

1巻感想

友人キャラは大変ですか? 4 ★★★★  

友人キャラは大変ですか? 4 (ガガガ文庫)

【友人キャラは大変ですか? 4】 伊達康/紅緒 ガガガ文庫

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「事情あって使徒に味方することになった」。
謎の書き置きを残して姿を消したエルミーラさん。仲間たちの捜索の結果、たまたま俺が見つけるのだったが――。
――オギャア、オギャア――
「お~よちよち。泣いてはダメですわ、シズマ」
なんと、エルミーラさんは子連れヴァンパイアになっていた!
しかも、キュウキ陣営に子どもが狙われているってんだから尋常じゃない。聞けば、この子はヴァンパイアと使徒の間に生まれた子で、とある縁でエルミーラさんが引き取って育てているらしい。

エルミーラさんに口止めされてしまった俺は、龍牙たちに報告することもできず、ナイショの子育て生活を始めるのだが――。
「ぱぁ、ぱぁ」「お、おおおお! パパって! パパって言ったあああ!」
……赤ちゃんってホントかわいいのな。思わずパパキャラに目覚めちゃいそうだぜ!

ヴァンパイアと友人キャラが子育て共闘!? 赤ちゃん旋風吹き荒れる、名助演ラブコメ第4弾!
トウテツが何気に他のヒロイン衆とフラグ立ててんなあ。一郎と同じ姿だから、というだけじゃなく結構デレてる場面が見受けられる龍牙のみならず、今回などメシマズの極みの雪宮さんのお弁当を平然と食べて好感度バリバリあげてたし。いや、ぶっちゃけトウテツすげえイイ男なのでこの際人間のヒロインたち全員持ってっちゃってもいいんじゃないかとすら思ってる。なにしろ、一郎くんてば使徒の三姉妹と同居状態、殆どもう家族同然で暮らしてるわけで、あの魅怨なんかホントに一家のお母さんのポディションを不動のものとしてしまってるわけですし。
今回、エルミーラが子連れで家に駆け込んでくることになったわけですけれど、魅怨のオカン性は揺るぎなく、エルミーラ母子を受け入れていましたし。トウテツやコントンという本来上役である魔神ですら頭があがらないわけですし。ってか、コントンのおっちゃんニンジン残して怒られてたぞw
今回エルミーラさん当番回ということでしたけれど、彼女と赤ちゃんのシズマに関してもどちらかというと使徒寄りの話になってて、段々と話の比重が使徒側に寄ってきてるんですよねえ。ついに、人間と使徒の間にも子供ができてしまう、という事実まで発覚してしまったわけですし。
そう言えば、コントンとうとうああなっちゃいましたけれど、あれも龍牙の妹ちゃんに憑いたままだとなかなか話に絡めないということでもあるんでしょうし、そもそも今回なんか龍牙自身出番少なかったですしね。一郎少年とすれば、龍牙を主人公として話を展開させたくてそう動いてきたのに、今回とうとう主人公らしいこと何も出来ないまま終わってしまうという自体になってしまいましたし。
一方で肝心の一郎くんはというと、思わず主人公みたいな独り言をつぶやいてしまって、慌てて自分でモブキャラっぽいセリフに言い直してたりしましたけれど、いい加減手遅れ!!
さらには、パパ役としてもう後ろ引っ込むこと無く義理の息子の為に奮起しちゃってたわけで。手遅れ!!
というわけで、エルミーラさんには三姉妹と同居していることがバレてしまって、色々とある秘密をまったく知らないままなのが雪宮さんだけ、という何気に可哀想なことになってしまっている最後のヒロイン。しかしトリはトリだけに最高の爆弾を隠し持っていたわけで、これは最後に回されるのも仕方無いトビッキリの隠し玉じゃないですかっ。ってか、そうなるとキュウキは誰なんだ、ということにもなるのだけれど。めちゃ怪しい人はまあ居るのだけれど。

シリーズ感想

ガチャにゆだねる異世界廃人生活 ★★★   

ガチャにゆだねる異世界廃人生活 (ファンタジア文庫)

【ガチャにゆだねる異世界廃人生活】 時野洋輔/紅緒 富士見ファンタジア文庫

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ソシャゲガチャをこよなく愛する俺、来宮廻はスキルやアイテムが当たるガチャ能力を手に、異世界への転生を果たした。レアアイテムでの悠々自適ライフを期待していたんだけど、出るのは「たこ焼き1ヶ月分」や「土下座スキル」みたいなハズレばっかりで…こんなの異世界で役に立つワケないだろぉ!!しかも「町まで案内しなさい!お金は払うからお願いします!」迷子のポンコツ盗賊少女と出会ったことから、伝説の魔物退治やら、次々と面倒事に巻き込まれて!?―でも信じてる。全力でガチャりまくれば、いつかはSSRで理想の生活が出来るってな。ガチャ運任せの異世界物語、回転開始!
一番役に立っているスキル、土下座かよ! 昨今、土下座の威力に対する各業界の認識が軒並みうなぎ登りで、目を見張らんばかりである。こうなってくると、普通の土下座では個性が足りずに存在感として物足りなくなってくるんですよね。もっと中二病的な要素は攻撃の必殺技とか字名とかだけではなく、いかに凄まじい土下座を決めるかの方に発揮されてくれはしないだろうか、と思う今日このごろである。
単に効果の数字的ステータスがあがってるだけじゃあ、どうも絵面としてあまりインパクトがないのよねえ。
ひたすらポンコツでヒロインとしてどうなんだろう、というヒロイン力が非常に残念だけれどネタキャラ要員としては非常に優秀な仲間たちを引き連れての、これまた特に能力もないけれどノリと勢いでなんとなく突き進む、「このすば」型と言ったら最近では一番わかりやすいか、というタイプの作品である。その手の作品としては、軽快さが実に心地よくてこのサクサク読める感は意外と簡単そうでも、軽すぎて歯ごたえがなかったり色々と滑ってたりと決して簡単ではないんですよね。その点、この作品はキャラクターのポンコツ具合が実にボケボケしていて、ノリのテンポもよく面白い。キャラの濃さの方はまだ出たてだからこそ印象として焼き付いていないけれど、シリーズが続いていけば厚みが増してくるものなので最初はこんなもんなんじゃないかと。
ただ肝心のガチャがねえ。
なんか、わりとポンポンと有用で展開上必要だったりするものが都合良く出てきてしまうので、完全運任せのガチャ感があんまりないんですよね。出てくるものを作者がストーリー展開に合わせて出している、という感じがしてしまって。
いっそ、本当に「ガチャ」して出るものを選ぶようにしてしまえば、迷走感も出て面白そうだったのに、と言ってしまうのは過酷に過ぎるだろうか。話作る難易度が半端なくなってしまうだけに。
あと、生涯お付き合いするガチャだろうに、枠が1000しかないというのは一年経たずに飽きるかコンプしてしまうんじゃなかろうか。あのペースだと。そのへんはアップデートでどうにかするんだろうけれど。

 
12月3日

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