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細音啓

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 Secret File 2 ★★★   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 Secret File 2】  細音 啓/猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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アリスと燐の帝国潜入……という名のコスプレ大会!?――『波乱の仮装大会』 ニューイヤーレターを巡って使徒聖たちが大暴れ!!――『天帝直属、最上位戦闘員』など珠玉の短編集第二弾!


「キミと僕の最後の戦場、あるいは炎の芸術家」
部隊予算の使い方が雑すぎる! ってか、仮にも年間予算なんだからお小遣いみたいに使ったらだめでしょう! 事前に使う予定を決めてから予算案だして、実際の予算額引っ張ってくるんじゃないの? 決算ではちゃんと予算何に使ったのか詳細な報告書とか出さないといけないんじゃないの!?
なんか、話だけ聞いていると何に使うか確かめずに一定額を各部隊に与えて何に使うかはお好きにどうぞ、ってなってるように見えるんだけど!?
凄いな帝国軍!
そして、予算が足りなくなったら自弁で稼いでもいいよ、という副業可という内務規定。すげえな、予算使い込んだら自分で稼いで補填したりしてもいいんだ!
元々福利厚生の充実っぷりに瞠目させられていた帝国軍ですけれど、この場合の副業OKという規定はどう考えたらいいんだろう。足りなかったら自分たちで稼げ、というのは闇にも聞こえるけれど、自由に何でも出来るとも取れるんですよね。
まあ、軍隊としては自弁できるってのはヤバいなんてもんじゃないんですけれど。でも、その稼ぎ方が普通にアルバイトだもんなあw


「キミと僕の最後の戦場、あるいは試練の裏切り計画(スパイミッション)」
一部の部隊を敵側と設定しての、施設の防衛訓練。ある意味まっとうな訓練なんだけれど、だから自費で勝手に装備とか増強しないで! 自前の武器を自費で購入、とかは普通にあると思うけれど、高が訓練に金持ちな実家の財産を注ぎ込んで無敵要塞にしてしまうピーリエ隊長。
ミスミス隊長もそうだけれど、帝国の部隊長の選定ってポンコツじゃないとダメ! という原理原則でもあるんだろうか。


「キミと僕の最後の戦場、あるいは波乱の仮装大会(ハロウィンパーティー)」
わりと本編でもイジラレ役な事が多い燐ちゃん、当然短編集でもアリスに無茶振りされて半泣きになりながら恥ずかしい目にあうのでした。仮装はともかく、下着に包帯ぐるぐる巻き、というのは相当にエロいんじゃないだろうか。当初その衣装を着る予定だったアリスは、その豊満すぎる肉体からして完全に見た目でアウトなので、燐くらいでギリギリセーフ。ってそれを舞台上で晒し者にされた挙げ句に包帯までほどけてしまって、という目に遭う燐ちゃん。これはこれで美味しい役どころである。


「キミと僕の最後の戦場、あるいは完全無敵のお姉さま」
なんでか観衆の前でお姫様としての品格対決をすることになったアリス、シスベル、そしてイリーティアのロア家三姉妹。いやいやいやいや、あんたらそんな面と向かって張り合うような仲じゃなかったでしょうが。そもそも、アリスとシスベルに至ってはお互いの猜疑心からまともに会話すらもなく、避けていたでしょうに。短編特有の謎時空だろうか。
ともあれ、ここのイリーティアが加わったことで、妹二人から姉がどんな風に見られているのかが知れたのは良かったかも知れない。こと、異能力以外のすべて、美貌にしてもスタイルにしても教養にしても品格にしても、イリーティアってアリスもシスベルも尻尾を巻いて逃げたくなるほど完璧で完全無欠だったのか。まあ、品格なんぞに関しては、イリーティアがどうこうじゃなく、アリスもシスベルもまあ……なんだ、頑張れ……というくらいのレベルだしなあ。二人が手を結んで共闘したからと言って0.5に0.5をかけても1になるどころか0.25になるんですよ?という話である。
いやでも、半分喧嘩でも普段からこれくらい三姉妹でコミュニケーション取ってたら、もっと普通の姉妹仲になっていたんじゃないだろうか。こんな拗れることなかったんじゃないだろうか。アリスにしてもシスベルにしても、イリーティア姉様のことそれだけ一目も二目も置いていて自分たちではかなわないと痛感していたのですから。


天帝直属、最上位戦闘員
だから、アルバイトで予算を稼がないでw
ついに部隊ごとどころか、軍団ごとでアルバイトしはじめたぞ、この帝国軍。それも、年賀状の配達である。ミスミスたちのいる璃洒のところならまだしも、冥の機構校佞縫諭璽爛譽垢竜々渋茘沙佞泙撚辰錣辰討離縫紂璽ぅ筺爾らの雪の帝都を部隊にしたドタバタ劇。いや、雪降る帝都というシチュエーションなら、政変とか革命とかそういう雰囲気ある展開にならないものでしょうか。
璃洒ならともかく、ネームレスまでこんな話に乗ってくるとは思わなかったw
その挙げ句に大爆発オチである。そりゃ、面白いこと好きの天帝さまでも普通にお説教ですわ。


あるいは世界が知らない予言
イスカとジンと音々がクロスウェル師匠のもとで修行していた頃の話。のちの小隊結成の前日譚にあたるのか。頭が悪い、と名指しされていたイスカ。だが、その愚ゆえに弟子としてすべてを叩き込まれ、ジンや音々は賢いが故にストッパー役として支える役としての役割を与えられていたのか。
本来ならそんな彼らをまとめてくれる大人のリーダーが求められていたにも関わらず、なぜか彼らの隊長になってしまったのはミスミス隊長……いや、なんで本気でこの人どっから湧いて出てきたんだろうw



神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦 ★★★☆   



【神は遊戯に飢えている。1 神々に挑む少年の究極頭脳戦】  細音 啓/智瀬といろ MF文庫J

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『キミ戦』の細音啓最新作。人類VS神々の至高のファンタジー頭脳戦!

暇を持て余した至高の神々が作った究極の頭脳ゲーム「神々の遊び」。永き眠りより目覚めた元神様の少女レーシェは、開口一番にこう宣言した。
「この時代で一番遊戯の上手い人間を連れてきて!」
指名されたのは“近年最高のルーキー”と注目される少年フェイ。二人が挑む「神々の遊び」は難易度高過ぎで完全攻略者はいまだ人類史上ゼロ。なぜなら神様は気まぐれで、とっても理不尽で、たまに理解不能だから。だけどそんなゲームだからこそ、心から楽しんで遊ばなきゃもったいない!
ここに、天才ゲーム少年と元神様の少女と仲間たちによる、至高の神々との究極頭脳戦が幕を開ける!

ゲームってのは色々な楽しみ方があるけれど、やっぱり同じ土俵にアガって対戦する事は楽しみ方の中でも一番肝心な部分なのだと思う。一方的に格下、雑魚、無力なものを蹂躙したり弄んだりして自分の能力に酔いしれたり、相手の無力さをあざ笑ったりするようなやり方はそれはそれで一つの楽しみ方なんだろうけれど、それは一人遊びの領域だ。
本来、神が人間に与える「試練」というものは、神話なんかでも良く見受けられるけれど、同じように一方的な代物で、上の立場から人を見下ろして翻弄するようなやり方で、試練を乗り越え神にその偉業を讃えられ恩寵を賜るとしても、結局一方通行なことが多いんですよね。
そこには対等な関係なんて存在しないし、双方が共に楽しいなんて感情は生まれないだろう。

でも、ここで出てくる神様たちは、実に楽しそうだ。
まだ二戦、つまり二柱の神様とのゲームしか見ていないけれど、両方ともゲームマスターである神様は心からゲームとして、参加した人間たちとの対戦を「楽しんでいた」。
そこに、人間たちを見下す感情は存在しないし、そこにあるのはあくまでGMとプレイヤーとしての関係であり、立場の上下は見えない。神様たちは、対等な遊び相手として人間たちとの遊戯を心から堪能している、ように見える。
そんな楽しみにドハマリしすぎて、自分もGMじゃなくてプレイヤーとしてゲームに参加したい、人間と一緒に遊びたい、神様と遊びたい、と受肉までしてしまったのが、元神様の竜神リーシェ様である。
ガチ勢だ。
そんなガチ勢に、パートナーとして選ばれたのが主人公のフェイである。彼はまあ、天才なのだろう。頭の回転が早く、観察眼に優れ、集中力の塊であり、何より自他の能力の活かし方の柔軟性が段違いである。つまるところ、神々の遊戯を熟すことが非常に上手い。
でも、上手いだけじゃあこんなにリーシェに気に入られる事はなかっただろうし、波長も合わなかっただろう。結局、同類なのだ、この少年は。
人間たちにとって神々の遊戯は、どちらかというとお仕事だ。人が住む世界をより住みやすくするため、開拓して住める土地を広げるため、遊戯によって得られる能力はとてつもない恩恵となる。それを取得するため、人々は必死になって遊戯に挑む。そこに真剣さや必死さはあっても、ゆとりはあまりないだろう。ゲームの難易度が高いことに顔を顰め絶望することはあっても、ヒャッハーと喜ぶことはないだろう。
でも、フェイは違うんですよね。彼だけは、人間の中で純粋にゲームをゲームとして楽しんでいる。遊戯を遊戯として堪能している。神様たちとの勝負に、対等の立場で挑戦している。神と人、彼我に差を設けず、GMとプレイヤーとして向き合っている。
そう、彼だけが神様たちと「一緒に遊んでいる」という感覚なのだ。難易度だって、そりゃ理不尽すぎたら困るけれど、単に難しいというのなら攻略し甲斐があるってもんで、むしろ面白くテンションアガってしまうタチなのだ。
ガチ勢である。
ゲームは同じ舞台に立ってこそ面白い。自分の側だけ楽しんでいても片手落ちだ。対戦相手も自分と同じように、自分以上の楽しそうなら、こっちだってより楽しくなってくる。自分の考案したゲームを「楽しんで」くれたら、嬉しいなんてもんじゃないだろう。
一緒に、チームメンバーとして戦えたなら、尚更だ。リーシェがどれだけ、フェイと出会えて嬉しかったか、あのテンションの高さも納得である。

ルールも勝利条件も、ゲームの渦中で自分たちで探り当てていかなければならない、というのは相当に難しいと思われるけれど、それで楽しそうなら見ているこっちも楽しくなってくる。不可能を可能としてしまうような神プレイに、一緒に戦う人間たちが、その配信を見ている視聴者たちが、一気にテンションあがり熱が生まれ、盛り上がっていく様子は実にこう、ゲームしてる!という感じがして、心地よかった。
神様たちの理不尽も、横紙破りのズルとかじゃなくて、ちょっと楽しすぎてテンションあがりすぎてはっちゃけちゃった、という可愛げの賜物なので、これも愛嬌てなもんじゃなかろうか。
さても次回からは、同じ人間たち側の中でも最上位クラスの辣腕歴戦たちが名乗りを上げて、現れてきそうなのでこれはこれで面白そう。
そして、フェイがかつて出会った、彼にゲームの楽しさを教えてくれたという謎の女性の正体は、どうして彼女がリーシェと似ているのか。そこのところも、掘り下げていくのだろうか。いずれにしても、2巻の展開を御覧じろ、てなもんで。



なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 6.天魔の夢 ★★★   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 6.天魔の夢】  細音 啓/neco MF文庫J

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預言者シドが語る真実――「その先」が最も気になるファンタジー、第6弾!

「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイは、各種族の英雄や精鋭たちと出会う中で、この世界を改変した黒幕へと近づく。機鋼種の強敵・マザーDを激戦の末に破った後、カイが手に入れたレコーダーには、預言者シドを名乗る男の声が残されていた。シドから語られる黒幕の真相とは――。一方、六元鏡光(リクゲンキョウコ)、ヴァネッサ、ラースイーエら三英雄たちが、三種族の思惑が入り乱れる中で衝突を始める。そして、預言神の加護を受けたこの世界の“二人のシド”アーカインとテレジアは三英雄を強襲する機会を伺う。今、この世界は「誰の記憶にもない」局面に突入する――!

正史において、どうやって人類が勝利したのか。そもそも他の四種族をまとめて封印できたんだ? という点についてはずっと疑問点であり続けていたのですけれど、こうして実践という形で答えを見ることになるとは。
これは確かに人類の勝利とは程遠いよなあ。預言者シドが苦悶することになったのも良く分かる。
時に刃を交えて戦い、時に同じ敵に立ち向かうために共闘し、時に旅の道連れとして寝食を共にして、カイたちは本来敵でしかなかった異種族たちとコミュニケーションを重ねてきた。
彼らは人類とは全く異なる種であったけれど、ちゃんと言葉も通じるし、意思も交わせるし、一緒に笑って一緒に怒り、一緒にご飯を食べて触れ合うことのできる存在だった。
カイだけでなく、鏡光がバルムンクにべったりとなってバルムンクの方も真っ向からぶつかろうとして妙に噛み合う仲になってしまったり、ハインマリルがサキのことを気に入ってちょっかいを掛けまくるうちに何だか相通じるようになってしまったり。
カイだけじゃない、人類種と他の種族が種を越えて仲良くなれる、その可能性は示されていたのだ。
レーレーンがこっそりと告げてくれた「期待」は、まさしくカイが僅かずつかき集めたまだ見ぬ未来への可能性だった。
もし決着を付けるなら、お互い同士でつけるべきだった。それが融和であろうと決裂であろうと、当事者同士でつけるべき決着だったのだ。
それを、横やりで人類がなんら関与できない置いてけぼりの状態で、勝手に決着がつけられてしまった。今話していた相手を、意思をかわそうとしていた相手を、友情が愛情が通じていたかもしれない相手を、一方的に消し去られてしまったのだ。
納得なんてできるはずがない。

でも、それが人類のためになるのなら。人類がこれ以上滅びに怯えることなく、犠牲が生まれることなく、平和を得ることができるのなら。それは享受しなければならない、妥協しなければならない無力感だったのかもしれない。
だから、カイ以外のみんなは起こった事から目を逸らし、与えられた平和を受け取ることにしたのだろう。多くの何の力も持たない一般人たちからすれば、自分たちを脅かしていたものが消えたのだ。いつ死ぬか、いつ殺されるか、家族を失うか、愛する人を殺されるか。そうした不安を、恐怖を、戦うすべの無い人たちは常に抱えて、怯え暮らしていたことを思えば、ジャンヌもバルムンクもこの与えられた平和を否定はできなかっただろう。
カイだってそうだ。どれほど納得できなかろうと、拒否したくても、彼はそれを自分の感情だけで否定したり拒絶したりできなかった。真面目だなあ、と思う。
レーレーンやリンネという大切な友人、大切な人を奪われて受け入れられるはずがないのに、自分ひとりの都合で、人類がようやく手に入れることができた平穏に後ろ足で砂をかけることが出来なかったのだ、この少年は。
だから探したんですよね。この結末が理不尽で、人類にとっても不都合である理由を。決して、このいっときの平和が人類に良き未来をもたらさない、という証拠を。
見つからなかったら、ずっと苦しんだんだろうなあ。それこそ、預言者シドのように。
幸いにして、カイは証拠を見つけることが出来た。この結末が、世界を軋ませる悪手であることを知ることが出来た。ならば、あとは邁進するだけだ。
見知らぬ世界に一人放り出されたときも。かつて居た人類が勝利した世界と違って、放り出されたこの世界が人類が滅びようとしている世界だと知ったときも、カイは怯むことなく戦い続けた。そういう少年なのだ。やるべきことがあるのなら、たとえたった一人でも、誰にも理解して貰えなくても邁進する。そういう気概を彼は根本に備えている。
なるほど、つまり彼こそが正しく「人類種族の英雄」となるのか。その証こそ、世界種リンネの剣。
そうしてもうひとり、退場したと思われていた最後の英雄が出番を待つ。ここでまさかの主天アルフレイヤ再び、にはさすがにゾクゾク来ましたよ。


キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 10 ★★★☆   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 10】  細音 啓/猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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「待ってるよ黒鋼の後継。この星の未来を決する話を、しよう」天帝ユンメルンゲンとの邂逅を経て、帝都への帰還を命じられたイスカ達。しかし『100年前の真実』の隠蔽を目論む八大使徒の妨害に遭い――

メルンちゃん、結局手足となって動いてくれる側近は、璃洒しかいないのかー。いやネームレスも天帝派なんだっけか。なんかそんな場面があったような。でも他の使徒聖は八大使徒の影響下にありそうだなー。他の使徒聖ってこれまであんまり出てきていないし。
実権はほぼ八大使徒が握っているようなので、駒を確保できないのも仕方ないんだろうけど。メルン自身、マメに働くの面倒がりそうな性格なので自分から勢力を広げるみたいなことはしてこなかったんじゃなかろうか。
ほとんど神輿状態なのに、どうしてこれで八大使徒を掣肘できていたのかがよくわからんけど。
始祖と同格である以上、メルン単体でそれだけの戦闘力を持ってた、という事なのかもしれないけど、組織としての権力は八大使徒のほうが握ってるっぽいもんなー。
まあ、ここまで帝国内部で激しく割れているとは思わんかったけど。ほぼほぼ敵対勢力じゃないですか、天帝と八大使徒。
それを言ってしまうと、皇庁の方もルゥ家・ゾア家・ヒュドラ家で暗殺謀略なんでもござれで内部でバチバチやりあってたのを見たら、そりゃ帝国の方も内部分裂していなかったら帝国と皇庁で拮抗を保てないですよね。メルンは随分と皇庁への攻撃を抑えてたみたいですけど。

こうして両勢力の内実を見ると、当初のイスカの和平プランは何の意味も持っていなかったことが良く分かる。まあ中身見なくても、イスカのプランって端から実現する可能性あるようには見えなかったけど。
でも、こうも勢力争いがグチャグチャになっていたら、どうやったら戦争が終わるのかさっぱりわからないぞ。あまりにも関係が入り組んでいる上で各勢力が自分達の事しか考えていないものだから、対話とは不可能そうだし。これもう自分達以外の勢力を根絶やしにする他ないんじゃないだろうか。
という事は、案外とイリーティアのプランって間違っていないのかもしれない……いや、客観的に見ると他の勢力も自分達以外は敵国も国内の対抗勢力も全部ぶっ潰してやる、という方針でイリーティアと実はあんまり変わらないんじゃないだろうか。
イリーティアだけ、自分自身が怪物と化しても構わない、という自爆特攻精神でいるのを除けば。
ほかが組織としてスタンスを取っているのに対して、イリーティアだけ同志がいるとはいえ一人なんですが、その分なにをやろうとしているのかちょっとわからないところがある。
いや、目的と方法は彼女自身が明言しているのですけど、全部ぶっ壊してそのあとどうやって理想を叶えるつもりなんだろう。彼女の理想というのは大まかに不公平を無くし機会を均等にし差別を拝する、という所にあるんだろうけれど、それって既存の勢力を掃除して更地にしたあとに統治が必要となってくると思うのですけれど、全部ぶっ壊したあとどうするのかがどうにも見えないんですよね。人ならざる怪物になっちゃったら統治も何もあったものじゃないでしょうし。
それとも天帝メルンみたいに御簾の向こうに隠れるつもりなのか。
いずれにしても、導火線に火がついているこの状態で誰にとってもイレギュラーなのは、イリーティアとヨイハムの二人組なのでしょう。この二人の動向が鍵を握っているのか。
にしても、使徒聖の第一席が裏切り者って、ほんと危機管理どうなってるんだろうw

始祖もついに復活し、八大使徒も天帝との対立でようやく表舞台に出てきて、イスカとジンの師匠も姿を表し、とここに来て役者が出揃ってきた感がある。ついにクライマックス直前という雰囲気なのだけれど、このイスカと一緒にいられるラストチャンスにも関わらずそれを全く活かせていないシスベルのポンコツっぷりよ。
夜這いはあかんじゃろw
だいたい、夜這いしかけて具体的にどうするかとかこの娘まったく考えてなかったんじゃないだろうか。そもそも、イスカとジン同室な所に押しかけてどうするつもりだったんだろう。
むしろ、ミスミス隊長たちに防がれてよかったんじゃないだろうか。部屋に侵入したらしたでなんか悲惨なことになってたんじゃないだろうか。
どうしてルゥ家の女たちはこうもポンコツなんだろう。女王ミラベアもあれで相当な所があるだけに……イリーティアだけポンコツ成分が無いとは考えにくいんだよなあ。肝心な所でなんかやらかさんだろうか、この長女も。

戦闘の方はまさかの八大使徒戦。ってか、八大使徒が自分から出張ってくるのかいな。こいつらの性質からして、個として鍛えた強者とは全く異なるベクトルなんで噛ませ感強いんですよねえ。
だからこそ、誰かが一方的に倒すのではなく、第九〇七部隊全員のチームワークで倒すという流れは良かったです。こうなるとジンくんの頼り甲斐は留まる所を知らないんだよなあ。




キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 9 ★★★☆   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 9】 細音 啓/猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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「さぁ燐。あなたは帝国に侵入なさい」――帝国潜入作戦、開始!

王家『太陽』の策略で、帝国へと拉致されたシスベル。そんな彼女を救うべく燐は、イスカたちを尾行する密偵として帝国へ潜入することになり!? 『魔女』を生み出す地で、災厄が胎動する。帝国潜入編、作戦開始!

嫌ですぅぅ! とガチ拒否したにも関わらず、無理やりアリスによってイスカたちに同行して帝国に送り込まれることになった燐。王宮守護星としてアリスの傍に常に侍る任務に就いているが故に、この女まるで自分が潜入工作員として送り込まれるとは夢にも思ってなかったのよね。
イスカとともに帝国に潜入する手段と人選のために考慮すべき条件を得意げに並べあげていたときは、てっきり自分に任せてください、と言っているのかと思ったんですよね。それくらい、燐が一番相応しい潜入条件だったもんなあ。いや、そんな条件あげたらアリスなら燐を指名することくらいわからんかったのか、このメイドさんw
アリスに心酔して忠誠を誓っているわりには、嫌なことはいやーー!と拒否るメイドさんである。もちろん、聞き届けてもらった試しはない。
というわけで、イスカたちと共に帝国サイドに潜入してシスベルを救出することになった燐であるが、まーなんというか主も主なら従者も従者である。
アリスと一緒にいるときもアリスがあんまりにも酷いから目立たなかったものの、一緒になってやらかす事も珍しくなかったので燐もアレだなあ、出来る女に見せておいて根本的にダメ娘だなー、というのはわかっていたものの、単独行動を取ることになってよりポンコツが際立つことに。
なにかと騒動を起こしそうになる燐に、イスカたちは揃って振り回されることになる。確か、イスカたちを尾行して帝国に侵入するという体裁のはずなんだが、とても放って置けずに面倒を見るイスカやジンたちがお世話様ってなもんだこりゃ。まあ、ここのチームはミスミス隊長のお世話で、トラブルメーカーの面倒をみるのは極めて慣れきっているのだが。

ともあれ、皇庁のヒュドラ家と通じてシスベルを連れ去ったのが、どうやら帝国中枢の公の指示ではなく、正式な命令系統からハズレたところからのものであり、シスベルが連れ込まれた先も中央から追放された研究者のもと、ということでどうやら内部で権力争いをしている皇庁と同様に、帝国の方も天帝ユンメルンゲンのもとに意思統一されているのは表向きで、こちらも派閥が分裂して主導権争いが生じていることが、今回の話で明らかになるわけだ。
具体的には八大使徒と天帝とで勢力が分裂しているんですね。使徒聖は天帝直属の戦力として数えられているけれど、イスカが天帝の正体を知らなかったように使徒聖もどうやらついている勢力がそれぞれ異なっているようで、璃洒が天帝の側近として動いている事は発覚したけれど、これ八大使徒側についてる連中も多いんだろうな。
というわけで、対立構図が単純な帝国対皇庁というものでは表しきれなくなっているのが段々と浮き彫りになってきているんですね。ヒュドラ家が八大使徒側とつながり、イリーティアもそちらへ寝返ったように。或いは形を変えてみるとイスカたちは明確にアリスたちルゥ家ともうこれ協力関係にあると言って過言ではないくらい密接につながっているし、今回でユンメルンゲンもイスカとルゥ家の関係に首を突っ込んできたわけですし。
これは対立構図の再編が起こり得る状態になってきたんじゃないだろうか。今回のはぐれ研究者のお姉さん、一発キャラでしたが状況の整理の触媒として機能したとも考えられるか。
シスベルは、もうちょっと引っ張られてしばらく捕まった状態になるかと思いましたけれど、捕まったままだと十八禁どころじゃない事になりそうだっただけに、早期に救出されることになって良かった。まあもうちょっと口に出しては言えない状態になっていても良かったんじゃ、と言ってしまうのはマズいですか?
しかしシスベルって、イスカにご執心というふうに見えるし本人もそのつもりなんだけれど、いつの間にか以前から何かと一緒に行動するようになったジンに対しての態度が妙に温度あるものになっている気がするんですよね。ジンてば対応が冷たいように見えてあれで親切極まる気配り上手なので、知らず知らずにハマってしまうのもわからなくはないんだよなあ。わりとミスミス隊長もジン寄りのところあるし、シスベルもジンの方に走ってしまってもいいんじゃないだろうか。
あの姉と張り合うのは無謀というかやめといた方がいいですし。何しろ、相手の盗撮写真枕元に隠し持って夜な夜なハアハアしてるヤバい人ですしねえ。
ちなみに、それが親バレしてガチ泣きするはめになってる次期女王であった。まんま、エロ本を親に見つけられて没収されるの図じゃねえかぃw
あと、さらっとミラベア女王、ショタの性癖暴露してるんですけど!!  美少年趣味を勢い余って口走ってるんですけど! 大丈夫か、女王陛下!?
……ルゥ家に皇庁を任せてはおけない! というゾア家とヒュドラ家の考えは実は間違っていないんじゃないかしら、と思えてきた今日此頃。


キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 8 ★★★☆   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 8】 細音 啓/猫鍋蒼  富士見ファンタジア文庫

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魔女の楽園の崩壊で、新たな始祖の血脈たちが動き出す!
魔女狩りの夜が明け、混乱の責任を問われ政権が大きく揺らぐ中、女王代理であるアリスは、シスベル奪還をイスカに託す。イスカもまた自分たちの目的のため、ヒュドラ家の研究施設『雪と太陽』への潜入を試みる!

上半身裸にロングコートを直接羽織って腰骨より下まで下げたローライズのパンツという大胆セクシー衣装で登場し、俺のミラになに手ぇ出してんだこらー! と暴れだすサレンジャーさん。

なんかすごい。

ちょっと語彙が削れちゃったよ、うん。
自分が陥れられて拷問され三十年近く捕われていた事には美学的に怒らなかったのに、ミラベアが傷つけられた途端に、激おこである。いやもうこれ、大胆告白以外の何ものでもないと思うのですけれど、相手人妻であるよ? いや、そう言えばアリスたちの父親については全然言及された憶えがないのだけれど、既に故人かなにかなのだろうか。未だにミラベアもサリンジャーのこと引きずってるっぽいからなあ。
アリスたち娘さんたちはサリンジャーと自分の母親の事は知らないんだっけか。今のミラベアは精神的にもへこみ切ってて落ち込んでるわ弱気になってるわ、という状態なので、サリンジャーの大胆なセリフ直接聞いちゃったらイチコロになってしまうんじゃないだろうか。なにしろ、チョロい事この上ないアリスやシスベルの母親であるからして。絶対妄想癖もあるに違いないw
まあサリンジャーもあれ、一つ間違えるとなんか中二病っぽいのを拗らせてるおじさんだしなあ。いやそれを言ってしまうと色々とお終いな気がするので、触れてはいかん。
それはそれで置いておくとしても、あの超上から目線な態度でこちらも超調子乗って傲慢に振る舞う魔女ヴィソワーズやヒュドラの王女ミゼルヒビィと言った小娘たちを弁舌では言い負かして負け惜しみを言わせ、実力では徹底的に足蹴にして踏みにじる、という蹂躙をかましてくれたのはちょっと痛快ですらあった。イスカみたいなくせのない爽やかな青年に任されるより、あのやたらと偉そうなおじさんに超馬鹿にされまくりめたくそにやられるのって、プライドずたずただろうし悔しかろう悔しかろう、わははは。

一方で、今皇庁内でめたくそに政治的にやられてしまっているのは、帝国軍の侵入を許し、王族たちの誘拐を見逃し、女王自身傷を負わされ権威を傷つけられたルゥ家である。意気消沈してしまった女王ミラベアは発言権を失い、ヒュドラの謀略だとイスカたちのお陰で気づけたアリスだけれど、それを手繰り寄せて武器として振り回してヒュドラに対抗するには政治スキルが皆無なアリス。
……アリス、この娘女王にして大丈夫? 脳筋よ、この娘。どんな詐欺にも簡単に騙されそうよ? なんでも信じちゃうよ??
それを言ってしまうとミラベアも政治力あんまりあったようにも見えないんですよね。世論を操作し謀略をはかるヒュドラのタリスマンといい、領袖を失いながら果敢に主導権を握ろうとするゾア家の仮面卿といい、他家には寝業師というべき政治力の持ち主が力を握ってるのに、アリスたちのルゥ家にはそれらしい存在が見当たらないんですよねえ。唯一、その手の手腕に長けていたと思われる長女のイリーティアは盛大に出奔してしまいましたし。しかも、星霊力の欠如のみを理由とした待遇の悪さが原因、というありさまで。星霊の力を重視する皇庁全体の思想ではあるものの、ルゥ家としてはこの娘を逃しちゃあかんでしょうに。長女どころか、姉妹同士で内紛まではいかないけれど権力争いをしていて、お互い信用も信頼もせずに牽制し合ってたんですよね。そりゃ、身内でこれだけ争ってたらヒュドラ家やゾア家といった他家に付け込まれて追い落とされるの、当然じゃないかしら、と思えてくる。少なくとも、ヒュドラとゾアは身内では一致団結しているように見えますし。少なくとも意思統一はされている。
挙げ句に、ルゥ家の娘たちは密かに帝国の元とはいえ使徒聖と通じちゃってるわけで。
いやこれ、客観的に見ると擁護のしようなくなくない?w 帝国軍引き込んだヒュドラもバレたら言い訳難しいだろうけど、こっちはこっちでバレたら同じくらい言い訳不能っぽいのだが。
それはそれとして、イスカのシャワー後の全裸シーンを監視カメラの映像でガン見してぶっ倒れるアリスさん、それはそれでアウトです。いや、ガン見してたのは直接ラッキースケベした燐の方かw

ちなみに、イスカが常々目指していた皇庁の王族を捕まえたら停戦交渉できるよね、という状況は叶っちゃったんだけど、イスカ的にはどうなんだろう。イスカは王族捕まえたら戦争終わらせられる、と言ってたわけだけど、やっぱりどう考えてもこれ終わらないですよね。どころか、より関係悪化しましたよ?

次回はようやく舞台を帝国に戻しての、今度は燐を伴っての珍道中と相成りそう。ってか、燐はあんな提案しておいて、自分が行くつもり欠片もなかったんかい。流れ的に自分が行く、と主張するものかと思ってたのに。わりとこの人もポンコツだよなあ。


キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 7 ★★★   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 7】 細音 啓/猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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帝国軍の襲撃により火の海に包まれた魔女たちの楽園―ネビュリス皇庁。皇宮のいたるところで、使徒聖と純血種という最強同士の戦闘が勃発する中、イスカたちもまたルゥ家の別荘にて、帝国軍に擬装したヒュドラ家から第三王女・シスベルを護るべく戦闘を続けていた。そして、新たな『魔女』が産声をあげ、帝国と皇庁が過去最悪の関係にいたったその夜。イスカとアリスは戦場で再び出会う。「わたしは帝国を滅ぼさなきゃいけない。それがキミであっても」―そして、始まる。好敵手でいられなくなったキミと僕の望まない決闘が。

ネビュリス王宮ではじまった使徒聖と純血種たちの頂上対決。なんだけどなー。うん、どの対決もはっきりとした決着つかないんですよね。どちらも自信と自負をたっぷりに余裕で見下ろすような強者感を醸し出しているのですが、使徒聖と純血種もその自信に遜色ない底知れない強さを実際に持っている、持っているのですけれど、それを発揮できていたかというと……。
別に出し惜しみしていたわけではないのですけれど、どちらも強者感を失わしめないためなのか、お互いにお前の能力など想定済みだ、想像の範囲内だ、効かぬわー、の応酬になってしまってる感じなんですよね。おかげで、なんかえらい中途半端に感じてしまったんですよね。結局、お互い大して通じてないじゃない、余裕めかしているのに押しきれていないじゃない、という風に見えてしまって。どちらも凄い、じゃなくてどちらも偉そうにしてるわりに……、と見えてしまって、なんとももやもやした気分に。そして、決着つかないまま水入り、という事になってしまってもやもやは晴れないまま。
折角の頂上対決だったにも関わらず、すっきり感が全然感じられなくて、ちとシュンとなってしまいました。マウント取り合ってるだけじゃあ自分は盛り上がらなかったなあ。

そしてイスカの方はというと、タリスマンと対決しているうちに結局イスベルを攫われてしまうことに。結局守りきれないのかー。どうしても謀略は防げず、黒幕の思惑通りにどんどん進んでいってしまう。イスベルの存在はそれを止めることが出来る切り札だったからこそ、彼女を守るということは敵のシナリオを潰すということで、そうなったらストーリー展開も予想もつかない方向に行くんではと期待していたのだけれど、結局当然のようにイスベル攫われてしまうというのは、フラストレーションたまりますねえ。
そして、それを救出に向かうイスカの前に立ちふさがるのが、母と姉を使徒聖に斬られて一杯一杯になってしまっているアリス。
妹が攫われてそれを助けに行こうとしているのをよりにもよって邪魔するアリス。うん、パニックになってるのはわかるし、八つ当たりの相手が必要だったのもわかるけれど、場面も状況も最悪である。アリスの激情を受け止めるのはイスカの役目だろうけど、妹が攫われてると他の誰でもない「イスカ」に告げられているにも関わらず、信じずに邪魔するというのは……。ほんとに、今はそんな場合じゃないだろうに。
丁度、この望まぬイスカとアリスの対決は、前世代のミラとサリンジャーの淡い交流が辿った誤解による破綻と同じ末路を辿るのか、というシチュエーションだったんでしょうけれど、さすがにこの状況でイスカ邪魔する、というのはどうなんだろう、という感じ方だったんですよねえ。今までイスカとの間に培ってきたものは、なんだったのかという。
結局誤解は解けるのですけれど、それもイスベルの従者が残してくれたメッセージでイスカの身の潔白が証明されたからであって、これイスカの事をアリスが信じることが出来たから、と言えるんだろうか、とちと首を傾げてしまいました。サリンジャーと同じ運命を辿らなかった、とはいえそれはイスカとアリスとの間に育まれた絆ゆえだったのです、と言えるのかなあ、と。
それ以前に、ほんとにイスベル助けに行くの話も聞かず聞いても信じず立ちふさがって邪魔したのが心証が悪すぎました、自分には。この娘、色んな意味で回りに影響されすぎのような気がします。果たして揺るぎない芯のようなものが、この娘にはちゃんとあるんだろうか。今のままだと、ただ強いというだけで、女王としてやっていけるのか甚だ不安だなあ。
あと、ミラとサリンジャーの過去は単純にサリンジャーが悪い。女王殺してないなら、自分じゃないとちゃんと言いなさい。黙るな。やってないことをやってないと告げるのは、言い訳じゃないんですよ。殺したのか、と問いかけて沈黙されたら、肯定だと思うの当然じゃないですか。
運命とか関係ない、言うべきことやるべきことをちゃんとしなかった、というだけなのにそれこそ運命なんて言うのは言い訳じゃないんだろうか。
色んな人の言動にシャンとしたものを感じられずに、もやもやしてしまうなあ。

だからこそ、イスカが話聞かないアリスにビシッと話を聞け、と怒った所はそれだよ、とうなずく所だったんですよね。その意味ではイスカはちゃんと言うべき事を言いやるべきことをしっかりとやっている、と言えるのか。イスベルの従者の信頼を得て伝言を託されてたのも、イスカが勝ち取っていたものだし、少なくともアリスと和解に漕ぎ着けたのは、イスカがやるべきことを間違えずにやり抜いていたからなのでしょう。
さすがは主人公。ジンくんもそうですけれど、彼とイスカが押さえる所押さえている分、ホッと安堵できるんだよなあ、うん。

シリーズ感想

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 6 ★★★   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 6】 細音 啓/猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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国家転覆を狙った暴力政変―王女暗殺未遂事件の混乱が広がる中、ネビュリス王宮へと急ぐイスカたち。ゾア家との繋がりを疑われている皇庁第一王女イリーティアは、第三王女シスベルの護衛が帝国軍であるという秘密を人質に、「皆さん、ルゥ家の別荘でバカンスを楽しんでくださいませ」―イスカたちを別荘という名の鳥籠に閉じ込めようとしていた。さらに、妹の身を案じたアリスもまた、姉を止めるべく別荘に向かったことで、三姉妹が一つ屋根の下に集うことになり…。疑惑の魔女が張り巡らした策略は、時計塔の鐘を高く鳴り響かせて、魔女たちの楽園を戦場へと変える―!

このアリス、ムッツリスケベすぎる! なにやってんの第2王女さま!? 
今、女王暗殺未遂事件の黒幕を暴き出すためにシスベルを連れてこないと、という大変緊迫した状況で、不自然に姉イリーティアに連れ去られてしまったミスベルを連れ戻すために急いで迎えに来たはずのアリスが何をしていたかというと。
一晩中、鼻息荒くしながらイスカのズボン脱がして下着見ようと奮闘する第2王女。しかも、両隣にはシスベルとイリーティアが寝ている状況で、である。疲れて寝てしまうまでゴソゴソと抵抗するイスカと攻防を続けていたというのだから、この王女どこへ行こうとしているのか。
完全に変態の所業である。というか、こういうのをムッツリスケベって言うんですよね!? 
かつてまだ母ミラベルが女王位を継ぐ前。王女であった頃にサリンジャーとライバルとして刃を交えあい、特別な関係を築いていたと知って、アリスは内心自分とイスカの関係を照らし合わせて、同じだ! と叫びそうになっていたけれど……。
同じ……かぁ? 違うんじゃね? 全然違うんじゃね?
少なくとも、君のお母さんはライバルであるサリンジャーのズボンを剥いてハアハアするような志向はなかったと思うぞ。もっとこう、ストイックでプラトニックな関係だったっぽいぞ。純粋にお互いの力と誇りを認めあい、高めあっていた関係だと思うぞ。

自分の秘蔵のえっちぃ下着を見られたからと言って、お互い様だから貴方の下着も見せなさいぃー、とか言って目を血走らせてハァハァするような関係とは、さすがにちょっとどころじゃなく違うぞ思うぞ。
かつての女王とサリンジャーの特別な、しかし終わってしまった関係と。敵国の人間であり誰よりも認める好敵手であるアリスとイスカの関係を、過去と現在とで照らし合わせて浮かび上がらせようという流れだったけれど、アリスリーゼのあんまりと言うにもあんまりな欲望ダダ漏れの所業に、いろいろな意味で台無しになってしまった気がする。まあ女王たちの関係には恋愛感情は挟まれる余地はなかったようだけれど、少なくとも顕在化はしないまま結晶化してしまったようだけど。
アリスは今の段階で完全に男としてのイスカにハマっちゃっているので、その意味でも母たちとの関係と同じであるわけではなさそうなのだけれど。
それにしても、それにしてもであるw
いやでも、妹のシスベルも姉のエッチィな下着を発見して、テンションあがりまくって夢中になってハァハァしていたのを見ると、もしかして血筋なのか!? という可能性も浮上してくるわけで。
実は女王もハァハァする人なのか!?

まあ家族でそんなハァハァする前に、あの怪しすぎる長女をなんとかしろ、という話なのだけれど。いやもう、どう考えても怪しいのに野放しにするの、どうなの? 最低でも、皇庁に来るようにと女王命令が出ていたはずのシスベルを、無断で別荘に連れ去ってしまった時点で怪しいを通り越してギルティなんだから、アリスを派遣して事情を尋ねるなんてしている時点で後手に回ってるどころじゃないんですよねえ。
こうしてみると、女王ミラベルって統治者としても戦士としても親としてもあらゆる方向で失敗してないかしら。アリスもよりポンコツにやらかしそうなきらいがあるしこの娘自分の考えで動くよりも誰かに使ってもらった方が適切に動けそうなだけに、どう見てもイリーティアが一番適正ありそうなんだよなあ。
そんな彼女がこれだけ皇庁のシステムに感情を拗らせてしまっているという時点で色々と破綻している気がするぞ。実際、一旦全部完全破壊してしまった方がいいんじゃなかろうか。イリーティアに、破壊後再構築するつもりがあるのか、どうも怪しいけれど。

シリーズ感想

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 5 ★★★   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 5】 細音 啓/ 猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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ネビュリス王宮までシスベルを護衛することになったイスカ。他勢力より早く妹の身柄を確保すべく捜索に出たアリスリーゼは、そんなイスカと妹が腕を組んで歩く姿を見てしまい…。
「これぞ星の運命。わたくしたち、良い主従関係を結べますわ」
「イスカは帝国には靡かないわ。わたしが誰より知ってるの」
どんな手を使っても唯一の味方としてイスカを手に入れたい妹。使命でも責務でもなく己の意志でイスカと唯一の好敵手であろうとする姉。姉妹の想いが交錯する中、イスカはシスベルを狙う皇庁の怪物と対峙。高潔な意志もなく人であることを捨てた敵―初めて戦う本当の魔女に、剣士は怒りの剣を抜く!

アリスご乱心である。妹シスベルと敵国の兵士であるイスカが一緒にいる場面を目撃してのアリスの反応が、完全に狙ってた男を横から掻っ攫われて歯噛みする女になってて、建前のライバルだの好敵手だのはどうした、と言いたい。
多分、側近の燐も言いたいに違いない。
しかしこれ、対外的には敵国の部隊を自国に引き入れた利敵行為そのもので、シスベルが内通者の歌切りもの扱いされてしまうのを補填していると言われても仕方ないんですよねえ。ただ、それを軽薄というにはシスベルには信頼できる相手がいなさすぎて、頼る相手がイスカしかいなかったというのもわかるだけに二進も三進もいかないところ。
せめて、姉のアリスが信用できる相手だとシスベルに伝わるように両方と親しいイスカが仲介できればいいのだろうけど、現状むしろ姉妹の間を別の意味で決定的に引き裂く火種になりかねないのがイスカくんである。
このまま行くと姉妹で戦争だよね!?
にしても、イスカの立ち位置が相変わらず中途半端。
ミスミス隊長が魔女化してしまったのをバレないようにシスベルに助けてもらう、と目的があるにしてもこの子基本的に場に流されてばっかりな気がするなあ。
彼が言う所の、ネビュリスの皇族を人質にして和平交渉をするって目標、最初からそうなんだけれど希望的観測だけで、仮に人質に取れたとして和平交渉が成立する根拠がまったくないんですよね。
どうやって交渉に持ち込むか、以前に身内の上層部にその案を通すためのツテらしいものもなにもないですし、皇族を人質に取られたからといってネビュリスが交渉に応じるかどうかは、身内の誰も信用できず命の危機を感じて敵国の兵士を頼るしか無いシスベルの現状を見てたら自ずとわかりそうなものだけれど、イスカって自分の考えに固執したまま現状に合わせて修正とか破棄して新しい方策を模索しようという様子が一切見られないんだよなあ。
まあ、情にかられて実行に移そうというつもりがないみたいなので、仮初の目標を立てたままで挿げ替える必要性を感じていないのかもしれないけど。
ネビュリスはネビュリスで、ひらすら権力争いの足の引っ張りあいで女王暗殺事件にまで発展する始末。中立を標榜するヒュドラ家までこうして裏で悪巧みしていたとなると、三大氏族全部が身内で喰らいあいして敵である帝国に内通してるものはいるわ、人間捨てて怪物化してまでマウント取ろうとするやついるわ、控えめに言っても酷い有様である。
しかも、同じルゥ氏族で姉妹であるアリスやシスベル、イリーティアの間ですら時代の女王としての後継争いで信用しあえず牽制しあっている始末ですし。
まあ長女イリーティアが一番怪しい動きしていますけれど、怪しすぎて逆に怪しくないんじゃないかと思えてくるんですけどね、これ。なにしろ、ポンコツアリスとシスベルと同じ血を分けた姉妹なわけですしぃ?

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 5.鋼の墓所 ★★★☆   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 5.鋼の墓所】 細音 啓/neco  MF文庫J

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英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイ。切除器官を取り込み、他を圧倒する幻獣族の英雄ラースイーエによる世界輪廻の再現をギリギリで阻止。だが、彼らを待ち受けていたのはウルザ連邦への瞬間転移、そして正史にも存在しない第六の種族・機鋼種との遭遇だった。新たなる事態に直面したカイたちが、再びラースイーエの企みを止めるべく休む間もなく作戦を開始。そんな彼らに接触してきたのは、悪魔族の次席ハインマリル。幻獣族の暴走を止めるべく他種族が集結していくなか、少年の知る正史とはまた別の、世界の真実が迫っていた。

ハインマリル、見た目からしてツインテ小悪魔でこうキャピキャピした感じであれこれ腹に一物抱えて裏で動く策士系なのかと思ったら……なんかこう、すごく脳筋系じゃないですか?
いやこう裏で色々と画策はしてそうなんだけれど、最終的にとりあえずぶん殴ればいいじゃん、という結論でまとめているような頭の悪さを感じるのですが。サキュバスロードらしく、魅了使ったり人間関係引っ掻き回すような言動を好んでしているようではあるんですけれど、普遍的なサキュバスらしからぬパワー依存型っぽさが、引っ掻き回し方にしても雑というか力任せな感じが……w
いやそのくらいだからこそ、リンネやレーレーンあたりと釣り合ってるのかもしれないけれど。ハインマリルが本気でカイの事を引っかけようとしていないというのもあるんだろうが、駆け引き巧者がリンネとレーレーンに本気で絡んできたら太刀打ちできそうにないですし。
しかし、カイがちょっかい掛けられてリンネが嫌がるのはわかりますけど、レーレーンも一緒になってあそこまで噛み付いてくるとは思わなかった。エルフ娘さんもそろそろ隠す気もなくなってきましたなあ。
それ以上にブチ切れてたのが、鏡光さんですけど。ってか、ちょっかいだされたのカイに対してではなく、バルムンクのおっちゃんに対してですが。ハインマリルがいらんちょっかいをバルムンクに出そうとした途端にえらい剣幕で激烈な反応を見せたのが鏡光さん。
いやもう滅茶苦茶お気に入りじゃないですか。管理対象とかペットとか一生懸命建前述べてますけれど、はっきりと自分のもの宣言して手を出すなと主張してますし、あれ二人だけの時のやり取り微妙に甘えた風な態度とってますし、あのヒゲどこかそんなに気に入ったんだw
バルムンクの方も普段の威厳はどこへやら、鏡光相手だと口喧しいお母ちゃんか、というくらいあれこれと鏡光に小言をとばしているのですが、ある意味構いまくってるんですよね。お互いツンツンしながらイチャイチャしてるようにしか見えないんですけどw

というわけで、ついに悪魔族まで合流して幻獣族を除いた混合パーティーに。カイの元いた正史でも他種族は敵だったことを思うと、カイが憧れる英雄シドが築き上げた歴史とはまた全く別の世界をこの少年は導き出そうとしているということになるんでしょうか。
リンネの正体についても、ようやく意味深なことを語ってくれる人が出てきてくれましたけれど。
考えてみると、リンネの存在は切除器官や機鋼種以上に謎なんですよね。あの人は随分と核心に近い助言をくれたようにも思いますけれど。
シドについても、他に二人の若いシドが出てきたことで余計に混迷が深まってますけれど、ある程度事情を知っていた、或いは思い出した素振りのあった悪魔族の英雄ヴァネッサ、彼女が再登場すればその辺の謎の解明も進展するかと思っていたのですが……。うん、ヴァネッサは絶対また出てくるとは思ってた。というか特に隠されているようすもなく、ハインマリルが初登場した時からそんな感じは匂わしてましたしねえ。
ただ、ようやく出てきたわりには実はちゃんと思い出してはいないのか、あんまり詳しくは語ってくれないヴァネッサお姐さん。さすがはハインマリルよりも大物感を出してはいるのですが、ところどころ抜けてる素振りもあって、実は一番ちゃんとしているの怠惰な鏡光さんじゃないのか、と思えてきてしまいます。
それにしても、ハインマリルもそうだったけど、ヴァネッサも元がサキュバスとは思えないくらい脳筋ですなあ。

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 4.神罰の獣 ★★★☆   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 4.神罰の獣】 細音 啓/neco  MF文庫J

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英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイ。聖霊族の英雄・六元鏡光との共闘で謎の怪物・切除器官を撃破。こうして世界輪廻を招いた元凶は、最後の四英雄・幻獣族のラースイーエに絞られた。一方で、順調すぎる世界の解放に戸惑いを覚えながらも、ジャンヌは幻獣族の支配するシュルツ連邦への進出を決意する。切除器官を従えて暗躍を続けるラースイーエ、存在が明かされた二人の“シド”―「この世界の秘密を知る者たち」とカイたちが邂逅を果たすとき、五種族大戦の影に潜んでいた「真の支配者」が目を覚ます―

バルムンクさん、度胸もあり柔軟性もあり人の話も聞き威厳があり、とほぼほぼパーフェクトリーダーなんだけれど、その分完璧すぎて面白みのない人だなあ、とも思ってたんですが、小さくなった鏡光のお世話係になぜかなってしまったおかげか、フリーダムな鏡光に振り回され突っかかっていなされてと空回りしまくる姿を見せてくれて、なんか好きになってしまいましたよ、この人。なんだろう、この相性の良すぎるコンビは。本来なら長年生存をかけて争った相手同士にも関わらず、漫才コンビのようになっちゃってまあ。バルムンクも真面目すぎて鏡光の自由さについていけてないんだろうけど、その生真面目さは良いツッコミキャラの資質ですよ、うん。
さて、ラースイーエの野望というべきか、他の種族の領域にまで手を出し世界輪廻を招いた元凶として暗躍しているラースイーエに対抗するために、聖霊族とも休戦がなり落ち着いて振り返ってみると幻獣族以外とはある程度休戦状態が成立している状態になったんですよね。悪魔族も今のところはハインマリルを通じて交戦状態からは遠ざかってたし。
とはいえ、切除器官なる異常な敵の出現に意図が読めないラースイーエ、と余計に状況は混迷を深めていたところで、ついにカイもこの世界に元の世界の英雄シドとは違う「シド」が存在していることを知り、その人物を追いかけることになる。
幾つもの世界の謎が明らかになってきたとはいえ、むしろ謎も深まり絡まりますますわからなくなってきた、とも言えるんですよね。英雄シドが正史においてなにをやらかしたのか。その結果とこの世界輪廻後の世界とはどう繋がっているのか。今回、切除器官と融合したラースイーエが新たな世界の改変を行いかけたことからも、世界の在り方が正史とこの世界輪廻後の世界の二つだけではなく、ラースイーエが持ち得た力のように何らかの鍵さえ持っていれば幾度でも世界の在りようが変えられる、とわかったのは……いやこれ、余計に足元不安定な感じになりますよね。
ただ、この状況のメインプレイヤーとなるのは種族の英雄であるラースイーエたちではなく、どうやら預言者に認定された「シド」の名を冠する者たちの方であるっぽいんだよなあ。ラースイーエはこの場合イレギュラーなのか、それとも正式な反逆者なのか。今回のサブタイトルは神罰の獣だけれど、神を罰する獣という意味であるらしいし。
ただこの新しい二人のシドたちって、妙にイキっているし自信満々で自分が一番強いし偉い、みたいな態度が逆に底が浅くてショボそうな気配がしてしまうのだけれど、細音さんの作品の場合こういうキャラはそのとおりに強くて偉いケースが多いので、自己評価通りなのかしら。
ともあれ、新たな第六の種族の出現で余計に既存の種族たちの共闘の流れが出てきたか。なんだかんだとハインマリルとも協力することになったし……ってか、悪魔族明らかにバックに例の人がいそうなんですけど、あからさますぎるw

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 3.神々の道 ★★★☆   



【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 3.神々の道】 細音 啓/neco  MF文庫J

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世界は人類が五種族大戦に敗れた歴史へと「上書き」された―英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」決意をした少年カイは、何者かの影響で豹変した蛮神族の英雄・主天アルフレイヤを撃破。イオ連邦の地にひと時の休戦をもたらす。聖霊族が支配するユールン連邦への案内役として、エルフの巫女レーレーンを加えた一行。だが、凶暴化した巨大なベヒーモスの襲撃で事態は急変。導かれるようにオルビア預言神の祠へと辿り着く。「あなたたちに世界の運命を託したい。この世界は『偽り』です」。ジャンヌに救世主となるよう求める預言神。だが、カイはこの世界での出来事から神の言葉に疑問を抱いていた―大注目のファンタジー超大作、第3弾!
異種族の英雄の中でも一番人間から遠く外れていて、意思の疎通すら不可能な異形の怪物……と、思われていた聖霊族の英雄・六元鏡光が、まさかの癒し系!
いやこれ、殆どマスコットじゃないですか。他の英雄様たちはその名に相応しく厳しいというか強面というか、見るからに強そうで怖そうな人たちばかりだったのに、鏡光ちゃんだけやたらと可愛いんですけど。キャラクターももとがスライムなせいか無表情無感情キャラっぽいんですけど、よくよく見てると結構すっとぼけていてノリも良くて、カイもジャンヌも堅苦しいところが目立つ中で中々いい具合に場をかき回してくれるキャラになってるんですよね。無邪気なリンネと口うるさいレーレーンにしても、何だかんだと二人とも基本真面目な娘ですからね。
ともあれ、人類側の勢力圏がほぼ侵し尽くされほそぼそとレジスタンスとして抗うしか無い中で、それぞれの地域を制圧している異種族の英雄を打倒し、人類の生存圏を取り戻す……という体だった基本路線も、結局最初の悪魔族との戦いがその通り進んだだけで、二巻での蛮神族との戦いはアルフレイヤが操られ、この三巻では聖霊族と戦う前にその英雄である六元鏡光が既に襲われ撃破されてしまっていた、という始末。そこには新たな誰も知らない異形の勢力の暗躍が認められ、その異形の存在こそがこの書き換えられた世界の存在である、という異種族対人類という対立構図が決定的にズレはじめたのが、この第三巻の概要となるのでしょう。
その中で鍵となるのが、正史であるはずのカイの歴史で英雄として異種族を打ち破った「シド」なる存在だったわけですけど、そのシドって一体何者!? というのが結局今までさっぱりわからなかったんですよね。いやもう情報少なすぎて気持ち悪いくらい。どういう容姿でどういう来歴でどんな出身のどういう人物なのかがまるで語られない。今までシドの事を普通に男と思い込んでいたのだけれど、何気に性別すら語られて来なかったんですよね。もちろん、シドを知っているのが今となってはカイだけなので、主人公の彼が語ってくれなければ何も知ることは出来ないのだけれど、そのカイからして語ってくれないんだもんなあ。物語の展開上、シドの情報は極力伏せる必要がある、のだろうけれど、カイがあれだけシドに傾倒しているわりにここまで触れてくれないというのは、ちと不自然な感じがして気持ち悪かったんですよね。
まあ待った甲斐もあってか、ようやく「シド」というキーワードが実体を持って動き出してくれたのですけれど……。
ちょっとまって、シドって「そういう意味」も含んでたの!? 単なる個人名かと思っていたから、英雄シドのことも単なるそういう名前の個人だと思いこんでたんだけれど、これ物事がそう単純じゃなくなってきてしまった、という事なんですよね。
となると、今回の作中でカイじゃなくて、ジャンヌの方がオルビア預言神にお前がシドになるんだよ!系の託宣を頂いてしまったのも、単にジャンヌにこの世界での救世主になれ、というだけの意味じゃなさそう、って事なんですよね。
それに、カイが受け継いでいるものを見てしまうと、実質的にもカイもまた「シド」を継承しているともとれますし。
今の所、まだ箱の中に仕舞われていた真実の群れが、蓋を開けてひっくり返されて散らばってしまた、というような状態なのでまた全体像がさっぱりなだけに、詳しくわかってくるのはこれからなんだろうけれど。
まあ色々とご指名をうけてしまったジャンヌさんですが、一巻の頃の追い詰められて切羽詰まって余裕がなかった頃に比べたら、カイのことが気になって仕方なくて不器用ながら積極的にアプローチしかけて仲良くなろうなろうとしている様子が実に可愛らしくも女の子していて、良かったねえと微笑ましくなる。正史では親密な幼馴染だったのに、こっちでは面識ない所からはじまってしまったわけですからねえ。ボーイフレンドという関係も大いに前進でありますよ。

シリーズ感想

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 4 ★★★   



【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 4】  細音 啓/猫鍋蒼  富士見ファンタジア文庫

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危険任務の手当として休暇を与えられ、リゾートへやってきたイスカたち。水着でバカンスを堪能するはずが、イスカにとって因縁の少女と再会したことで、雲行きは怪しくなる。「一年ぶりですわね。わたくしと皇庁へ来ていただけませんか」かつてイスカが救った魔女、皇庁第3王女シスベル。アリスリーゼがイスカを欲したのと同じように彼を誘うシスベルには、誰にも言えない秘密があった。たとえ血を分けた姉であっても。一方、妹がイスカについて調べていることを知ったアリスリーゼもまた、この砂漠のオアシスへと向かっていて…。剣士と魔女たちの運命は、戦場に更なる火花を撒きちらす。
危険手当で60日の休暇「命令」! 許可じゃなくて命令! 自主的にサービスで働くことも、事実上上司から強制的に自主的に働け!ということも「命令」なので出来ません、という趣旨の命令! ちゃんと休暇くれるだけでも真っ当なのに、60日ってバカンスかよ! しかも、命令ですよ!? 知らなかった、帝国軍ってホワイトだったのか!
ただねえ、短期間に危険任務に繰り返し従事したということで休暇を貰ったイスカたちなんですけど、これまでの話を振り返ってみるとそんなにイスカって働いている印象ないんですよね。
というのも、アリスと出会う機会を得るがためにコヤツってばしょっちゅう帝国を出て海外である中立都市へと遊びに行ってるわけですよ。毎回、遊びに行ってるわけですよ。毎回、休暇に女の子と逢い引きしてるんですよ。
こいつ、休んでばっかだな、と思うのも無理ないじゃないですかー。まあサボっているわけではなく、ちゃんと規定のお休みをとっているだけなので悪いことは全然ないのですけれど。むしろ、正しい労働者の在り方なのですけれど。そうだ、もっとしっかりどんどん休むが良い。
でも、イスカくんって前回捕虜になってたときもあれ高級ホテルの最上階で食っちゃ寝してたと考えたら、やっぱり働いているよりも休暇を満喫している方が多いんじゃなかろうか、この主人公め。
むしろ、同じチームのジンの方がいつも地味にずっとまめに働いているような。今回のバカンスでも一人あまり浮かれずに警戒を怠らず常在戦場の心がけを忘れずにいますしねえ。
一方で、真面目な顔して妹姫に逆ナンされてるイスカくん。
いや、それはそれとして妹ちゃんがお姫様にも関わらずあまりにもぼっちすぎるんですけど。まさか、帝国に捕まっていたの身内家族含めて誰も知らなかったってどういうことなのー!?
普段から引き篭もり気味だったとはいえ、敵国に捕虜にされてるの同じ城に住んでたはずの女王やアリスたちが全然知りもしなかった、というのはいくらなんでも存在感がなさすぎる。もちろん、謀略の類であり意図的に情報封鎖されていた、というのはわかるんですが、仮にも皇女が一人いなくなって何も問題が起こらないくらいに情報封鎖が出来てしまった、というのはそれだけシスベルと周辺とのつながりが薄かった、ということですもんね。食事や衣装、身の回りの世話などたとえ引き篭もりだろうと関わる人は決して少なくないはずだろうに。
この子、そもそも城でどうやって暮らしてたんだろう。まあ明らかにあの側仕えの人が怪しすぎるんだが。
これで、自分を助けてくれたイスカを唯一の信頼できる助けとして求めに来た、というのもまあ夢見がちというかなんというか。ネビュリスの誰も信用できないにしても、短絡的だなあ、と。
それだけ、精神的にも追い詰められていたということなのかもしれませんが。
まあ、短絡的というか夢見がちというか、実は何も考えてないだろう、というのはイスカもまあまあ似たようなものなのですが。ネビュリスと帝国の講和を実現させようともくろんでいるのはまあいいとしても、その方法として皇族の一人でも捕まえたらまあ何とか話し合いに持っていけるだろう、それから先は特に考えていないけれど、というにはさすがに考えが甘すぎやしませんか、とイイたい。
実際問題、彼が逃したシスベル、あのまま捕虜になったままだったとしてとても講和へと話が進んだとは思えませんし。いいとこ泥沼の総力戦一直線じゃないかしら。敵国をどうこうする以前に、自分の国である帝国の首脳部の意図や方針なんかもまともにわかってないわけですしねえ。
上層部の意思決定に働きかける立場を得ているわけでもなく、現状ではミスミス隊長の魔女化をどうやったらごまかせるか、という眼の前のことに汲々としているわけですから、まだ登るべき山の麓にすらたどり着いていないんだよなあ。
もっとも、アリスやシスベルという山の峰が向こうから寄ってきているのも確かなのですが。
アリスとシスベルの仲もなんとももやっとするもので。女王継承のライバルでもあるわけですから、信用し難いというのもわかるんですけど。アリスもあんなあからさまに不気味がってたら、シスベルもただでさえ能力のお蔭で不信を募らせているのですから、歩み寄るのも難しいよなあ。それでいて、シスベルに危害が加えられていたらアリス激おこなわけですから、なんともチグハグな感じではあります。アリスの皇族としての立場ゆえの考え方と、ただの姉としての在り方の錯誤が彼女の中で不協和音として自分でもコントロール出来ない形でかき乱されているのかもしれませんが。
でも、シスベルのあれだけ熱烈なアプローチに対して、イスカけっこう冷めてるというか突き放してるんですよね。そんなにアリスの方がええんかい! なんか、対応が違うんですけど!?

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 2.堕天の翼 ★★★  

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか?2 堕天の翼 (MF文庫J)

【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 2.堕天の翼】 細音 啓/ neco MF文庫J

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世界は人類が五種族大戦に敗れた歴史へと「上書き」された。強大な異種族に支配された地上でただ一人、人間が勝利した世界を知る少年カイは、全ての人間から忘れられた存在になりながらも、英雄シドの剣と武技を継承し「真の世界を取り戻す」ことを決意する。運命の少女リンネと共に悪魔の英雄ヴァネッサをうち破り、人類を悪魔族から解放することに成功。さらに霊光の騎士ジャンヌと共に、蛮神族の領土イオ連邦へ。天使やエルフ、ドワーフたちの支配地でカイが見たものは、蛮神族の英雄・主天アルフレイヤの豹変だった。「主天様は…変わってしまわれた。すべてはあの時から…」早くも大ヒット!圧倒的反響を巻き起こすファンタジー超大作、第2弾!

イオ連邦の解放軍のリーダーがあまりにも酷すぎて、よくこれまで持ってたなあ、と逆に感心してしまった。それだけ、実戦部隊の隊長の爺ちゃんが超有能だったんだろうけれど、元王族とはいえあそこまで下の連中からの信望もなくなっちゃってたら、旗印としての意味もなかったんじゃなかろうか。よくまあ、後ろから撃たれなかったものである。前線に一切出てこないから、後ろから撃ちようもなかったのかもしれないが。それでも、早晩クーデターあってもおかしくなかったんじゃなかろうか。
でも、そんなボスを頂いていてもジャンヌたちよりもイオ連邦側の方が組織として大きく兵力も装備も充実している、というのは皮肉な話である。それだけ直接の敵対勢力である悪魔の好戦性が蛮神族よりもキツかった、ということなんだろうけれど。でも、生産施設バンザイだよなあ、この場合。
そしてダンテさん、改心したように見えてこいつなにも変わってないんじゃ……。

今回は早々にラスタライザが登場して暗躍しているけれど、黒幕が存在するということがわかっても謎は深まるばかり。普通なら、中ボスが倒されるときにヒント残していくケースではそのたびに謎が明らかになって世界観が広がっていくものなんだけれど。
まさかの、今際の発言の矛盾である。ヴァネッサとアルフレイヤ、言ってることが違うんですけど!? ふたりとも、嘘をついて騙そうなんて余裕がある状況ではなかっただけに、それぞれ知っていることが違ったか認識が食い違っていたか。いずれにしても、何もわかっていないに等しいカイ側からすると、え?どういうことなの? と戸惑う材料が増えたばかりで、いやこれ結局何もわからないまま次の敵に突撃していくしかないじゃない。
今回は蛮神族側が内輪もめしていたところにスルリと入り込めたから良かったものの、なんかジャンヌも装備にすごいリスク抱えているみたいだし、このまま何の対策もなく、次へ進んでいっていいものなんだろうか。
仲間が増えたのはいいことですけれど。
なんか、恐ろしく速攻でデレたなあ、リーリーン。ラスト、ちょこんと無意識にカイの側に陣取って離れなかったり、とか可愛すぎる。見事なポンコツ枠でもあるので、パーティーの雰囲気の盛り上がり的にも期待したい。なんだかんだとジャンヌもファリンも真面目さんだし、リンネは天然過ぎて空気読めずに雰囲気を明るくするキャラとしては微妙だし。
まあなんというか、ジャンヌさんも速攻で女っ気出しまくってカイにベタベタしているので、変に雰囲気明るくしなくてもいいのかもしれないですけれど。幼馴染としての記憶は世界が上書きされたことからなくなってしまっているはずなんだけれど、あの気安さはもう幼馴染級ですよねえ。男装する彼女が女の子だというのを知っている同性がカイだけ、にしても色々とくっつきすぎである。どっかで、腐ってる女子が出てきてハアハアしないか心配になるほどに。まあこの作者さん、そういうタイプの娘あんまり出さなさそうだけれど。

シリーズ感想

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣 ★★★   

なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣 (MF文庫J)

【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣】 細音啓/neco MF文庫J

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「なんで誰も、本当の世界を覚えていないんだ……!」
地上の覇権を争う五種族の大戦が、英雄シド率いる人類の勝利に終わった時代。だがその世界は、少年カイの目の前で突如として「上書き」された。書き換えられた世界でカイが見たのは、英雄シドの不在により人間が五種族大戦に敗れた光景――ここでは竜や悪魔が地上を支配し、さらにカイは全ての人間から忘れられた存在になっていた。だが神秘の少女リンネと出会い、カイはこの書き換えられた運命をうち破ることを決意。英雄なき世界で、英雄(シド)の剣と武技を継承し、君臨する強大な敵種族に戦いを挑む。世界から忘れられた少年が「真の世界を取り戻す」ファンタジー超大作、開幕!
学校がテロリストに占拠された時に備えて、或いはゾンビ化ウイルスが蔓延するバイオハザードな世界に成り果ててしまった時に備えて、本気で想定と訓練と準備を整えていたら、ほんとにその時が来てしまってめがっさ役に立ったでござる! てな風に表現してしまうと身も蓋もないというかちょっと違うというか。
別に個人の妄想で鍛えていたわけじゃなくて、ちゃんと国の兵役として「もしも」の場合に備えての訓練を誰よりも真面目に、真剣に、その時が来ても対処できるように、と他の人たちが百年の平和、変わらぬ風景に慣れてしまった中で、彼一人が徹底して身に処していた、という話なんですけどね。
いや、むしろ百年平穏無事だった封印への監視や、対他種族戦を見越した訓練や兵器開発、インフラの整備や兵役なんかを、五種族大戦の再発を想定した形で人類庇護庁なんて組織を維持し続けていた人類国家の方がすげえ、と思っちゃうんですよね、これ。
間違いなく「仕分け!」対象最優先ですがな、これ。真っ先に予算ゴリゴリ削られたり、組織自体解体されそうなものである。それとも、硬直化した官僚機構が権益維持のために組織改編を拒み続けた結果なんだろうか。少なくとも、殆どの人間が四種族の危険性に対してまるで関心を失ってしまっている状況で、これだけの規模の組織が維持されているというのは、むしろ不健全な理由ばかりが想定されてしまうのですよね。
或いは、主人公のカイと同じレベルで迫真の危機感を抱き続けている人間が、権力機構の頂点付近に存在する、という可能性もあるのだけれど、となるとやはりラストでカイが直面した事実と謎について、或いは預言者シドの真実について、ちゃんと知っている人間が上の方に居る、と考えるほうが人類庇護庁の在り方とか見てもしっくり来るんですよね。
「上書き」によってすべてが塗り替えられてしまった世界ですけれど、果たして人類側が囲っていた真実の痕跡は、この世界にも残されているんだろうか。
しかし、シドについて殆ど情報がなさすぎて、その後継となると意気込んでもあんまり感慨が湧いてこないのはなんだかちょっと……。たとえば【世界の終わりの世界禄】なんかだと、エルラインという過去の人物が成し遂げたこと、旅の軌跡。人柄なんかはなかなか見えてこなかったものの、追いかけるべき人物像ははっきりしていただけに、いささか目指すべき偶像としては霞のように存在感がなさすぎる気がする。書き換えられた世界や、恐らくそれに関わるだろうシドという存在の特性からして、殆ど謎、というのは仕方のないことなんだろうけれど。

細音啓作品感想

ワールドエネミー 2.不死殺しの王と王殺しの獣 ★★★★   

ワールドエネミー2 不死殺しの王と王殺しの獣 (Novel 0)

【ワールドエネミー 2.不死殺しの王と王殺しの獣】 細音啓/ふゆの春秋 Novel 0

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世界中に吸血鬼や屍鬼、魔獣などの強大な怪物がはびこる時代―人類は世界の敵たるアークエネミーとの全面衝突を繰り広げ、その命運は最強ハンター、ノア・イーストヴェルトに託された。元シスター・シルヴィを料理係に迎えたノアは、とある村の周辺で発生する屍鬼の騒動が大敵の仕業だと目星をつける。過去にヴィクトリア19世が治める王国での事件から因縁を持つ奇妙な大敵・獣の魔術師からの不穏な予言を手がかりに現地に赴いたノアたち。待ち受けるは、「王殺しの獣」の異名を持つ大敵=ヴァラヴォルフ・S。これは、数百年間にわたり人間を騙し続ける最悪の人狼と最強のハンターの死闘の記録。異例の反響を起こす世界最強のハンター・アクション、第2弾!
汝は人狼なりや?
数百年に渡りその正体を暴かれることなく、かつて一つの王国をも滅ぼしたという最強の人狼。「王殺しの獣」と呼ばれる大敵(アークエネミー)との戦いは、正面切っての剣と牙を交える攻防ではなく、誰に化けたかもわからない怪物の正体を暴き出そうとするハンターと、その数々の罠をくぐり抜けて逆に罠を仕掛けてくる人狼との、知略と経験を駆使した頭脳戦。
果たしてどちらが狩る者で、どちらが狩られる者なのか。
そもそも、当初は誰が人狼なのか確定していない上に、途中で入れ替わる可能性すらあったので、登場人物全員、というかむしろメイン級のキャラこそ疑わしくもあり、けっこうドキドキしながらページめくってたんですよね。
この人狼との対決の前に、ヴィクトリア女王とノアが知己を得た事件であり、獣の魔術師との初遭遇の事件の話をしているのだけれど、そこに出ていた顔見知りのキャラクターとて、知人であってもそれが保証にならない、実は人狼が成り代わっているんじゃないか、むしろ過去回想に出ていたのが伏線じゃないのか、という疑念まで湧いてくる始末。
その、誰が人狼なのか、という疑心暗鬼も、実際に人狼が牙を剥いて動き出して以降は正体も明らかになってスッキリするのだけれど、面白いことにそうなったらそうなったでむしろ人狼側にスポットがあたり、語られる物語の比重が移っていくのである。
人の中にまじり入り、人に化け、人になりきり、人の社会に、人の家庭に潜り込む人狼の大敵。誰よりも人間を熟知し、誰にも見破れぬほど人間として生きる怪物。
故にこそ、その怪物は、大敵は、人を理解してしまっているのではないのか。人の心を、理解してしまっているのではないのか。
むしろ、この第二巻の真価は人狼との対決が終わったあとにあったのかもしれない、というくらいに戦いの跡に残されていた事実は、胸を締め付けてくるナニカがあったんですよね。その余韻をかみしめずにはいられないナニカが。
同時にこれって、今ノアが連れてまわり、何だかんだとシルヴィとイチャイチャしているエルザの存在意義にも関わってくる話だったような気がします。史上最悪の大敵でありながら、今こうしてノアたちに協力し、口では色々言いながらも心からシルヴィを心配して気をかけ、何くれとなく助けてくれるエルザ。もうお前シルヴィのこと大好きだろう、と言いたくなるくらい、シルヴィとベタベタしているエルザが、大敵の中のあり得ない例外ではないかもしれない、という可能性。
人類の相容れない敵。ただそう決めつけて良い存在なのか、かの怪物たちは。その疑問を抱かせてくれる大敵を、早々にこの二巻に持ってくるあたり、色々と考えさせられるものがありました。
まあ大体にしてエルザがシルヴィのこと好き過ぎるのが悪いんですが。おのれ、一巻に引き続いて二巻でも終始イチャイチャしおって。シルヴィの方も自分が愛されているのを自覚して、エルザのことからかってるのもたちが悪いのですが。おのれ、女の子同士でけしからん、もっとやりたまえ!

1巻感想

世界の終わりの世界録<アンコール> 10.再来の英勇 ★★★   

世界の終わりの世界録<アンコール>10 再来の英勇 (MF文庫J)

【世界の終わりの世界録<アンコール> 10.再来の英勇】 細音啓/ふゆの春秋 MF文庫J

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伝説の英勇エルラインが遺した至宝「世界録」。その在り処の衝突から世界が終わり始めた時代―神性都市に突入したレンを待ち受けていたのは、最悪の力を持つ三起源との対決。そのうち一体を辛うじて退けたものの、残る二体がレンと別行動をとる仲間たちに襲いかかる。それでも、自らが成すべき世界の災厄『真精』の打倒のために都市の中枢部に進むレン。
「本当は、お前ともう少し旅をしたかった…こんな戦いの旅じゃなく。目的地なんか決めずに、世界のどこまでも思うまま歩いていくだけの旅を…」。
仲間たちの想いを胸に、偽英勇は破滅の終曲を迎える世界を救いだせるのか―いま、最も王道を行くファンタジー、第10弾!再来の伝説はここにある!

王立七十二階位特務騎士団の連中、あれだけ意気揚々と黒幕&悪役感出しまくって偉そうに振る舞ってたのに、なんかもうレン関係ないところで勝手に自滅して勝手に絶望して勝手に希望を見出して、気持も新たにイチから出直しだぜ、的なエンドを迎えてるんですけれど、一体なんだったんだあの連中。本当に一体何だったんだ? まあ、騎士王ゼルブライトに関しては、むしろ今までがこの人何がしたいんだろう、なんで居るんだろう的な意味不明な存在だったのが、それなりの存在意義を見せてくれたので納得は出来たのですが。
というかなあ、存在意義というか重要キープレイヤーのような存在感を見せていたという意味では、シオンとエリエス、わりと物語的にあんまり深く噛んでこなくて、最後までちょっと頼りになるNPCみたいな扱いだったのは拍子抜けと言うかなんというか。特にシオンはなあ、レンとの対比における現代最良の英勇としてライバルみたいな立ち位置だったと思うんだけれど、なんか最後までふわふわしたキャラクターで実態が掴めなかった感がある。
三起源との戦いから沈黙機関との決着、そして真の世界の敵との対決を仲間たちと離散集合を繰り返しながら、巨大都市遺跡から謎のディメンションフィールドみたいなところに突入して戦うのって、まんまRPGのクライマックスみたいなノリだったんですよね。概ね、ラスボスサイドの三起源とか真精とかが意思疎通出来ない世界を脅かす災厄、みたいな存在というのも一昔前のRPGだとよくあったパターンですし。
でも、レンって精霊の力を使えるようになったとはいえ、三姫と違って物理的耐久力は普通の人間のまんまだっただけに、敵さんのラスボスらしい世界破壊規模の必殺技っ、範囲攻撃! みたい大仰な攻撃しないでも、ちょっとでかい図体で小突けば死にそうなのになあ、と思う場面もしばしば。ってか、ナイフで脇腹刺したらすぐ死にそうなくらいひ弱っぽいのに、なんであの攻撃喰らって全然死なないんだろう的な不思議。
まあ、そのへんはRPGでもよくあるツッコんでは行けない部分なのかもしれない。
なので、むしろ物足りなさを感じたのは肝心のフィアたち三姫との繋がりの部分だったんですよね。仮にもヒロインはあの三人だったんだろうけれど、信頼できる仲間というわりと最初からのポディションから一歩も関係動いていなかった感じで、結局最後までそれぞれ個人的な距離で踏み込むことなかったんですよねえ。最終決戦、というところに至っても特に個別のイベントらしいイベントもなく、そのまま突入してしまいましたし、エピローグも既定路線でしかなかったし。
彼女らとエルラインとの関係もなんかふわっとした描写しかなくって、エルラインとの彼女らの関係とレンと彼女らの関係、具体的にどう違ったのか、彼女たちの心情とかレンに対する想いとかなんか全然そういう話がなくって、そこらへんはもうなんか肩透かしだったかなあ。
確かにこれは、容姿が伝説の英勇にそっくりなだけだった偽英勇が、本物の英勇になる。そしてかつてエルレインがたどり着けなかったその先へと偽物だった少年がレンが乗り越えていく、成長の物語であり世界中様々な場所を冒険していく旅の物語でありましたけれど、登場人物間の人間関係の掘り下げとか非常に薄味で個人的には食い足りなかったという印象でした。ふんむ。

シリーズ感想


キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 ★★★   

キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 (ファンタジア文庫)

【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦】 細音啓/猫鍋蒼 富士見ファンタジア文庫

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高度な科学力を有する帝国と、「魔女の国」と畏怖されるネビュリス皇庁。永く続く二国の戦場で、少年と少女は出会う。史上最年少で帝国の最高戦力となった剣士―イスカ。皇庁最強とうたわれる氷の魔女姫―アリスリーゼ。
「わたしを捕えられれば、キミの夢も叶うかもしれないわ」
「そっちこそ僕を倒せばいい。君の世界統一の前進になる」
宿敵として殺し合う二人。しかし、少年は少女の美しさと高潔さに心奪われ、少女は少年の強さと生き方に惹かれていく。共に歩むことは許されず、互いを倒す以外に道はなくとも―。敵対する少年少女が世界を革新するヒロイックファンタジー!
殺意が足りない。
てのは冗談にしても、殺し合っているというには二人とも戦場で戦っていてもそれほど戦意を漲らせ、火花飛び散らせている、という風ではないんですよね。敵同士でありながら恋が芽生える、という展開はものすごく大好物なのですけれど、敵同士故の葛藤、愛しさ余って憎さ百倍という剥き出しの感情のぶつかり合い、強敵故の相手の強さへの興奮、というこう味方同士・友達同士では出来ない本気のぶつかり合いというものの研磨によって、純愛が磨き抜かれていくところが魅力的というものが多いのですけれど、そこの熱量がちと足らないかなあ、と。
二人とも、戦う目的にいささか迫真性が足らない、というのもあるんですよね。アリスの方は立場から与えられた目的を自分の目的に定めているにすぎないし、イスカの方ははっきりとした目標があるもののそれを叶えるための過程がふんわりとしすぎていて、しかもその行動で目的が叶うのかというと実のところ本人も確信があるわけではなく、お互いにあんまり切羽詰った感がないんですよね。なので、初戦闘からお互いに興味を抱く流れもちょっと柔らかすぎて、芽生える興味・恋心というものもふんわりとしていて、情熱的な観点からするとやや物足りなかった。
それに、即座に中立都市で再会してしまうというのも、お互いの素顔を知るという展開はともかくとして普通にお互いの正体を認識しながら普通に仲良くなっちゃってるんですよね。いやいいんですけど。二人の人柄からして、縁があれば仲良くなってしまうのも仕方ないんですけれど、これだけ仲良くなってしまったらもう本気で戦ったり殺し合ったりなんて出来ないでしょうに。実際、おおかた共闘路線で話は進んでしまいますし。
いわるゆ敵味方に分かれた宿敵同士のボーイミーツガールとしては、ちょっと歯ごたえが足りなかったかなあ、と。対比的な会話の応酬も、なんかとってつけたようでしたし。結局、あれやこれやと共闘する流れ続きそうだしなあ。かと言って今更本気で戦わないといけない、なんて展開も強いられたものとして痛快感のあるもの、決着に手に汗握るもの、にあんまりなりそうもないし。
そのへん、現状の認識を見事にひっくり返してくれるなら嬉しいのですけれど。

細音啓作品感想

世界の終わりの世界録<アンコール> 9.絶望の始祖 ★★★☆  

世界の終わりの世界録<アンコール>9 絶望の始祖 (MF文庫J)

【世界の終わりの世界録<アンコール> 9.絶望の始祖】  細音啓/ふゆの春秋 MF文庫J

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伝説の英勇(えいゆう)エルラインが遺した至宝「世界録(アンコール)」。その在り処の衝突から世界が終わり始めた時代――
海底神殿の探索と激闘の末、ついに神性都市の入り口にたどり着いたレンたち。
だが、思わぬトラブルにより秘境の砂漠地帯に飛ばされてしまい、その矢先に天使や悪魔を捕らえた水晶(クリスタル)の監獄の存在を知る。
いまだ消息の掴めないフィアもそこにいると推測した一行は、残る仲間の手がかりを求めて探査に乗り出す。
一方、シオンやエリエス、ゼルブライトや沈黙機関といった面々は神性都市へ。
「一人ではあるまい? お前も精霊(わたしたち)も」
終極に向かう追走曲(カノン)を超え、偽英勇は、かけがえのない仲間と決戦に赴く――
いま、最も「王道」を行くファンタジー、集結と決戦の第9弾!
相変わらずフィア先輩がマッチョすぎるw 普通、この手の象が踏んでも壊れない系のむやみに頑丈でタフで怪力キャラってドラゴンの方なんだけれど、この天使先輩と来たら、ドラゴンでも即死させそうな毒を盛られても、あと千倍くらい濃くないと効かんわー、となるんだからどんだけなのか。この天使先輩が大人しく捕まっていた、という方が不思議なんだが。
長らく続いた魔王と氷の魔将ルルとのパーティー編成もようやくここで解消。一時的なパーティーかと思ったら、かなり長く続いてしまったわけですけれど、頼もしい戦力ではあったもののあの自分からトラブルを引っ張り込んできてキャッキャとはしゃいでいるあたりは、さすがは悪魔というかエリーゼの身内でありました。というか、エリーゼはヤンチャに見えてそのへん弁えているので、一番はっちゃけてたのルルだったなあ。
そんでもって、シオンやエリエスも神性都市へと突入したことで、ほぼ役者は揃ったことに。ここで一気にかつて神性都市を滅ぼしたという竜と天使と悪魔の三起源との対決となるわけですね。そして、さらにその裏というか奥に真なる敵が存在していて、その正体が浮き彫りになってきたわけだ。
最初、沈黙機関こそがラスボスかと思われてたのに、そこからさらに、さらに、さらに、という展開が続いているわけだけれど、なんかゼルブライトだけ一人ぽつんと状況から離れてボッチかましてるなあ、と思わないでもない。強さの象徴にしても浮きすぎじゃなかろうか。
それはそれとして、味方となるメンバーが増えたところで一旦トラブルからバラバラになって異なるパーティー編成でそれぞれ戦いに突入する、というの。古式ゆかしいRPGっぽくて思わずニヤニヤしてしまいました。
三起源に関しても、自分も作中の人たちのようにある程度交渉からはじまるのかと思ったら、まさかの道中エンカウント強制戦闘突入である。なんか、まんまエクストラボスっぽいぞ。ほら、FF5の神竜とかオメガみたいな。始祖獣ネビュラや巨夢魔オルネートの能力って、昔のRPGのボス演出っぽいですしねえ。特にオルネートのあの異空間みたいなのに引き込まれる演出って、ボス戦になると背景画像がいきなり謎の空間になってしまうのと一緒だし。何気にこれを小説で見たのははじめてかも。
ボスにはこれだけしか効かないという特効があったり、ある一定ターンでその特効を無効化、或いは強制排除する特殊攻撃してきたり、それを狙い撃ちしてきたり、というあたりも自分がプレイしてきたころのRPGっぽくて、なんだか懐かしくなってしまいました。
そうそう、体力バカは必然的に盾役になるんですよねえ。フィア先輩、折角パーティー復活したのにやることと言えばひたすら盾役お疲れしたー。
しかし、最近のRPGというかコンシューマゲームは全然プレイしていないので、最近のはほんとどんなんになってるのか全然知らないんですよねえ。先日、PS3が生産終了というニュースを聞いて愕然としたもんなあ。
PS3、結局一度もプレイどころか、触れることすらなかったよ……。

さて、名実ともに世界有数の旅団として認められつつあるレンたち再来の騎士ですけれど、密かに「黄金の夜明け(ヴィーナス・ライト)」もこの土壇場の最終ダンジョンにまで参加してるし、五大災の一人魅亜まで加わってるしで、レンたち並にメンバーの種族も混成だし、本気で重要キャラクターになってるんですよねえ。この愉快な仲間たちの活躍が、もしかしたら今一番楽しみかも。

シリーズ感想

ワールドエネミー 不死者の少女と不死殺しの王 ★★★★   

ワールドエネミー 不死者の少女と不死殺しの王 (Novel 0)

【ワールドエネミー 不死者の少女と不死殺しの王】 細音啓/ふゆの春秋 Novel 0

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世界中に吸血鬼や屍鬼、魔獣などの強大な怪物がはびこる時代―人類は世界の敵たる12体のアークエネミーとの全面衝突を繰り広げ、その命運は一人の男に託された。ノア・イースヴェルト―史上最凶の「世界の敵」吸血鬼エルザに育てられた史上最強の怪異ハンター。人類の切り札にして、不死たる世界の敵を討ち滅ぼす「不死殺しの王」。これはそんな無敵のハンターと、歴史上で屈指の狡猾なる大敵=吸血鬼・ゼルネッツァAとの死闘の物語。とある町の教会で起きた事件はやがて王家を揺るがす騒乱となり、人と不死者の激闘が幕を開ける。世界最強のハンター・アクション、登場!

吸血鬼モノと言っても昨今いろいろなジャンルがありますけれど、これは吸血鬼ハンターDの系譜だなあ。或いはトリニティ・ブラッドの系統か。荒廃した近未来的な異世界にて、人類を脅かす吸血鬼との闘争を繰り広げる吸血鬼ハンターの物語。現代の伝奇モノとしての吸血鬼も好きなのだけれど、こっちもやっぱり好きだなあ。
最強のハンターというと、どうしても非人間的な超人を連想してしまうのだけれど、ある意味このノアはそんな超人幻想と対極の存在として描かれているのかもしれない。クールで無愛想で人情を読み取りにくいタイプの主人公か、と最初の登場時の辛辣な姿勢でそんな風に思ったんだけれど、よくよく見ていると愛嬌こそあんまりないんだけれど、性格マメだし一緒に旅することになった元シスターのシルヴィに対しても結構親切であれこれと説明や教授を欠かさないですし、対吸血鬼戦闘シークエンスに入ってもシルヴィ放ったらかしで勝手に作戦進めたりという無責任なこともせずに、結構ちゃんと事前にホウレンソウはやってくれるんですよね。その上で、シルヴィにも仕事を振った上で責任を追わせて、大事な部分を任せてくれる。きっちり気持ちを奮い立たせてくれるわけですよ。同じハンター仲間も蔑ろにせず、マメにコミュニケーション取って協力体制を築いているし、信頼できる相手には信頼を寄せてあれこれ任すを厭わない。最強のハンターというわりに孤高を気取らず、人間関係もあれこれしっかり築いてるんですよね。少なくとも、最初に感じたようなコミュニケーションに難のある人物、どころかむしろ社交性かなり高いよ、この主人公!!
……いや、本作の主人公ってこれノアじゃないですよね。むしろ、彼を追っかけてくっついてくることになったシルヴィの視点で物語が描かれているので、彼女が中心となって物事が進みますし、切り札かつ仕込み担当なノアの方は最後の決戦以外は忙しく仕込みと準備に勤しんでいて、周りの人たちとの人間関係の構築や、困難の克服、獅子奮迅の頑張りや見せ場の確保、人間的な成長なんていう重要なイベントをせっせと来なしているのはシルヴィの方ですからねえ。
そして何より、この娘ってばノアのハンターとしての辣腕っぷりに瞠目して勉強している一方で男女関係のあれこれ、というか個人的な情の交換はあんまりないんですよね。まだまだ追っかけ、学ぶばかりでその内面に踏み込む段階までは辿り着いていないのである。ノアの方もマメにシルヴィにあれこれ教えているので、蔑ろにしているわけでは全然ないのだけれど。
むしろ、ずっとイチャイチャしているのはシルヴィとエルザなんですよね。このツンデレアークエネミーを、元シスターが餌付けしてしまったものだから、シルヴィに対してエルザがずっとツンツンデレデレの繰り返しで、せっせと働くノアを横目に、二人の女の子がキャッキャウフフしてるような感じに見えてしまって、にまにまーでありますよ。シルヴィの絶体絶命のピンチに颯爽と助けに現れるのだって、ノアじゃなくてエルザですし。しかも、ちゃんとシルヴィに見せ場は譲ってあげるという完全見守り態勢ですし。
一方で、肝心なところで大チョンボをかましてノアを鍛える契約を交わさざるを得なくなったという初っ端の時点で凄まじいポンコツ臭を漂わせているエルザさま、シルヴィに対しても偉そうに反り返りながら思いっきりお菓子に釣られて完全に餌付けされてしまっているように、頼もしいポンコツ姫になってるんでシルヴィから見てもノアから見てもこの娘がヒロイン的な立ち位置なんですよねえ……可愛いなあ、もう。
あくまで自分は中立と言うか自分が一番偉いので、人間もアークエネミーにも味方しない、と嘯いているくせに、率先して助けて回ってますしねえ、この姫さんw
一見か弱い女性で性格もお淑やかなシスターのシルヴィが、何気に作中で一番のパワーファイターで鉄拳上等の物理で殴る系というあたりも、ミスマッチ感が絶妙で良かったなあ。戦闘シーンも彼女が一番パワフルでカッコよかったですし。
非常に面白かったので、是非ともシリーズ化してほしい新作でありました。


細音啓作品感想
 
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ビッグガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ヤングガンガンコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(ガルドコミックス)
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(コロナ・コミックス)
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(MF文庫J)
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(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップノベルス)
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(オーバーラップノベルスf)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(ダッシュエックス文庫)
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(MFブックス)
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(KADOKAWA)
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11月22日

(MFC)
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(MFC)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(モーニング KC)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスJOKER)
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(ガンガンコミックスpixiv)
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11月20日

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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(富士見ファンタジア文庫)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(TOブックス)
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(GCN文庫)
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11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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(サンデーGXコミックス)
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11月18日

(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガ文庫)
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(ガガガブックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(少年サンデーコミックス)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤンマガKCスペシャル)
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(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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11月17日

(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(電撃の新文芸)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(星海社FICTIONS)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(アフタヌーンKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(マガジンエッジKC)
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(講談社コミックス)
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(講談社コミックス)
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(フロース コミック)
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11月16日

(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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(アース・スターノベル)
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11月15日

(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(富士見L文庫)
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(Gファンタジーコミックス)
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11月12日

(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(GA文庫)
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(宝島社)
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(星海社COMICS)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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(サンデーうぇぶりSSC)
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(ビッグコミックス)
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(アース・スター コミックス)
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(メテオCOMICS)
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11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
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(アクションコミックス(月刊アクション))
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11月10日

(BLADEコミックス)
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(BLADEコミックス)
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(MFコミックス アライブシリーズ)
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(電撃文庫)
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(カドカワBOOKS)
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(TOブックス)
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11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(角川コミックス・エース)
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(KCデラックス)
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(KCデラックス)
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(シリウスKC)
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(講談社コミックス)
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