聖剣の刀鍛冶

聖剣の刀鍛冶 16.Lisa4   

聖剣の刀鍛冶16 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 16.Lisa】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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隕鉄を集める旅に出るセシリー、ルーク、リサ。道中はさながら新婚旅行のような雰囲気だ。途中、流星群が観測されたという噂のある軍国に立ち寄り、シャーロットが流星の引き上げられた港まで案内してくれることになるのだが、出発前に現れたのはシャーロットに扮した軍国の少女王ゼノビアで……。一方、件の港には、新大陸からの女使者が交易を求めて、海賊たちが荒ぶる海域を越えて来港していた。港の男と渡り合う剛胆な彼女の正体は――!? アリア・リサ再会までの300年を駆け抜ける、疾風怒濤の番外編、つかまつる!!
これは番外編じゃなくて、正真正銘の本編だ、とあとがきで語っていらっしゃいますが、まさにこれこそが本当の最終巻。実際の所、前巻はほんとに最後までノンストップで走り抜けてしまって、この大長編の終幕の余韻をしっかりと噛み締め、味わうには如何せん食い足りなかったところがあったんですよね。その意味では、この巻はリサを主人公にして、じっくりと物語の終わりを感じ入り、読み手側である自分にも心の整理をつけてくれる素晴らしい後日談でありました。
特にルークは、この戦いでほとんど寿命を使い果たしたかのような壮絶な有り様だったので、平和になったあとどのように余生を過ごしたのか非常に気になっていたところだったのですが、思っていた以上に旦那として頑張り、また幸せな末期であったようです。あの人の登場は、まったく予想していないサプライズでしたけれど、リサが側にいてセシリーと出会ったとはいえやはり天涯孤独の身であり、また自分の過失によって父と幼なじみを喪い、幼くして大人にならざるを得ず、ずっと心の平安などなかったであろうルークを思えば、この再会はほんとうの意味で彼を解き放ってくれたような気がします。良かったなあ、良かったねえ。
しかし、この女性の止まると死ぬ的な機関車のような性格は、けっこうセシリーとよく似てるんじゃないだろうか。ここはマザコンだった、というよりも父親と好みがそっくりだった、と見たほうがよろしいんでしょうかねw
帝国との紛争は終わったものの、奴隷問題や新大陸からの海賊勢力の来襲など国際情勢は新たな展開を迎える中で、登場人物たちはその渦中で活発に動きながらも、年月は粛々と流れていく。
思いの外持ったものの、セシリーとの間に一男一女を残して若くして去っていったルーク。でも彼の場合は、本当にやるべきことをやり尽くして満足して逝ったように見えました。もちろん、心残りはあったでしょう、生きて立つ瀬もあったでしょう。でも、全力で生き切った人生でした。
そうして、悪魔として定まった寿命を持たないリサは、ルークを端緒として多くの人を見送ることになるのです。
ここからのリサの目を通して描かれていく人々の人生は、ひたすら感慨深いものでした。もっと淡々と端折ったように流れていくのかと思ったんですけれどね。語り口の端々に、彼らを見送ったリサの情感がしっとりと篭っていて、そこに感じ入るのは暖かな眼差しと寂寥感。リサの万感を垣間見たのです。
故にこそ、三百年の果てに辿り着いた、エインズワースの悲願であった聖剣アリアの復活。あの本編最後のシーンの感動はひとしおであり、それ以上にその後に訪れたリサにとってのリサだけの、リサに与えられた幸せは、この作品に思い残す未練をなくしてくれる大団円の幕引きでした。リサが幸せになってくれたのなら、これ以上のことはありません。魔剣と人との幸せな結末もまた、あのノアとヴェロニカが、意外なカップルでしたけれど体現してくれたことですし、ほんとに端々まで行き渡る大団円でありました。完結、お疲れ様でした。

シリーズ感想

聖剣の刀鍛冶 15.Sacred Knight3   

聖剣の刀鍛冶15 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 15.Sacred Knight】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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王と、獣と、機械機構と、神とも呼ばれた“それ"――。過去、初代ハウスマンが実験台と呼び、いま、帝政列集国が魔王と呼ぶ、大陸の心臓“ヴァルバニル"が、遂に火山の頂に威容を表す。高濃度の霊体を吐く一撃で新たな“爪痕"を穿ち、触手で敵味方なく戦士たちを奈落に引きずり込む巨竜に為す術のないセシリーたち。一方シーグフリードは大量の魔剣を投じ、ある“作戦"をはじめようとしていた――。
焔がすさび灼熱の炉と化す戦場の真ん中で、聖剣の騎士が真正面から立ち向かう!!
壮大なファンタジー叙事最新巻、遂に決! 着!
終わったなあ……。なんともはや、ついに終わったなあと感慨深く思う他無い完結編でした。正直言うと、最後の三巻は一気に纏めて読みたかったように思う。一度区切られてしまったせいか、作中で既に天井付近まであがっちゃっているテンションになかなか追いつけなかったんですよね。ラストの三巻はまるごと最終決戦だったわけですし、一度決戦がはじまってしまったら一息つける展開が一切なかったですからねえ。まあ、この三冊をまとめて出せ、というのも酷な話なんですが。
ついに復活してしまったヴァルバニル。世界観からして、ドラゴンが跋扈しているような世界じゃないので、こんなどでかいドラゴンが現れたら、そりゃあ洒落にならんよなあ。もはや怪獣そのものである。おまけに、端末である触手まで網のように伸ばしてくる始末。触手に巻き取られ、次々に人間が捕食されていく様子は想像するだけでグロいなんてものじゃない。ビオランテか!!
でも、お約束というべきか、この脅威ですら先代聖剣に言わせると、かなり弱体化しているというのだから、前回封印した時はいったいどうやって事を成したのか。先代聖剣の豪壮さを見るに、当時彼女を携えた人もその仲間たちも今に勝るとも劣らずというとんでもない連中だったのだろうなあ。ただ、現代のセシリーたちも無茶苦茶さ加減では全く見劣りしない。心折れるとかへこたれるとかいう感情の動きは、もう遠い昔にかなぐり捨ててきたかのように、これほど強大な人間が太刀打ちできるとも思えない怪物に、不屈不撓に立ち向かうセシリーたち。この人らはこの人らでもう怪物じゃないかと思えてくるくらい。普通の人間でも一線を越えてしまうと果てをなしくてしまうのか。特に、ルークの身も心も惜しみなく削りに削って戦い尽くす鬼神ぶりは、身震いするほどの鬼気であり、嫁をもらった男の不退転の恐ろしさを痛感させられる。結婚してだらける男とちょっと落ち着けと言いたくなるほどやる気を漲らせる男の両パターンがあるとして、ルークは完全に後者だな、これ。
余りにも後先考えない身の削り方はさすがに目を覆わんばかりで、後の救済措置やフォローもなかったことから、恐らく戦後まず長らくは生きられなかったのではあるまいか。本気で、ただ死んでないだけ、みたいな有様だったもんなあ。ただ、嫁があの嫁だけに…止まることを知らず、ヴァルバニル戦が終わってもなお休まず突っ走り続けることを表明したセシリーの人生のパートナーとして、最期まで付かず離れず寄り添った事は想像に難くない。この二人って、やはりヒーローとヒロインが逆転している部分が目につくよなあ、面白い。
アリアの覚醒や、ヴァルバニルとの決着はここまで長く引っ張った割にはあっさり風味でやや肩透かしだったかも。特にアリアについては随分とやきもきさせられましたからね、彼女の聖剣としての覚醒にはもっとカタルシスが欲しかったところですし、結局のところ新生アリアに対しては親しみを感じさせるエピソードが少なかっただけに、喪われたかつてのアリアや銘無しを惜しむ気持ちが絶えなかった事も大きいのでしょう。新しいアリアが正しく二人の魔剣の魂を引き継ぐもの、として実感を得られるものがもっとあればよかったのですが。
特に旧アリアはなあ……罪作りにも程がありますよ。ユーインに酷な覚悟させちゃってまあ。二人には魔剣と人間としての境界を超えて結ばれ幸せになって欲しかっただけに、切ないですよ、あれは。

敵役だったシーグフリードは、最後の最後まで誰とも相いれぬまま己を貫き通した、という意味ではきちんとセシリーたちの対局を成し得たのではないでしょうか。境遇が境遇だけに、悪と断じるわけにも行かず、欲望や野望に殉じたわけでもなく、どちらかというと世界を巻き添えにした鬱憤ばらしではなかったのかと思わないでもないですが。その意味では、エヴァドニがダダ甘お姉ちゃんを自称したのもわからなくはない。お姉ちゃん、弟くんに好きにやらせすぎです、ちょっとは窘めてくれればよかったのに。まあ、当人まったく後悔もないどころか、弟くんが好き勝手出来たことを最期まで手伝えたことに満足しているようなので言っても詮なきことですが。

ラストエピローグは、アット驚く演出で、これはやられたなあ。あいやー、やられた、と柏手一つ。なるほど、ヒロインではなかったリサの存在とは、つまりこうした役割を担うためのものだったわけですね。

いずれにしても、完走お疲れ様でした。ほんとに、最後まで全力疾走だったなあ、と感嘆するばかりです。
このシリーズは、表紙絵でセシリーが毎回作中に準じたコスプレショーを見せてくれることで目を楽しませてくれたものですけど、最後はさすがにコスプレも無しかー、と思ってたら、このルークとのツーショット、ちゃんとこれもこれまでの続きにして締めとなる表紙絵であったらしい。あとがき見て吹きましたわ。担当さん、その発想は勝利も同然だわw

シリーズ感想

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 14.Barbanill 23   

聖剣の刀鍛冶14 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 14.Barbanill 2】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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都市を捨て、炎を上げて流れる溶岩の河向こう、ブレア火山の麓で迎撃の陣を組んだセシリーたち騎士団。しかしすでに都市を蹂躙せんと侵攻した帝政列集国はシーグフリードの振るう魔剣エヴァドニの力で溶岩を越え、進撃を止めることがない。そして遂に、都市騎士団と帝政列集国戦士団は、激しい剣戟を交わす乱戦に突入する。ルークが、ハンニバルが、ヒルダが、それぞれに己の剣のみで、魔剣を手にする敵と斬り結ぶ。そして、いまだ聖剣として覚醒しないアリアを手に、最前線に立つセシリーは――!? 壮烈な最終決戦の火蓋が切られる最新巻!!
何故この巻で終わると思った!?
思ったよ! だって、次で終わるからって言ってたもん! わざわざ二冊に分冊してとか、終わりまで予定立ってるからと思うじゃない。なにより、私素直だから、言われると信じちゃうんだよ、疑わないんだよ、ピュアなんだよ!
しかし、圧倒的なまでに終わらなかった。全然終わらなかった。いや、冷静に考えると終わるはず無いじゃない、13巻の時点で。どれだけ捲き入れなきゃいけないんですか。
というわけで、最終決戦がここにようやく怪死です。変換で開始じゃなくて怪死の方が上位に出てきた件について。
この期に及んで、未だにシンクロできないセシリーとアリアがもどかしくて仕方がない。こればっかりはセシリーが悪いとかアリアが悪いとかじゃないだけに、モヤモヤ感の行き場がないんですよね。そもそも、聖剣となってアリアが復活する! というのを信じて疑わなかっただけに、聖剣として生まれ変わったアリアが、以前のアリアとは違う存在なんだ、ということをどうしても無意識にも認められなかった。いや、過去形ではなく現在進行形で認めきれていないんですよね。それこそ、ルークの幼馴染のリーザと、悪魔のリサが別人であるという件を引き合いに出されて、それと同じ事なのだと言われて多大なショックを受けるほどに。心のどこかで、いずれアリアは記憶を取り戻して元のアリアに戻るに違いないと信じて疑わなかっただけに、それを否定する要素が次々と出てくると、やっぱりこう……堪えるんですよね。
今更になって、もうアリアはいないのか、と。
そうじゃないんだ、と否定されてもこうなってはそうなんだ、となかなか納得はできない。ようやく、剣と使い手という相棒にして戦友という形に、二人が馴染んできた今ですら、本当の意味でかつてのようにシンクロしていないとなると、尚更に。
しかし、その状態ですら、あれだけの無双が出来るっていうんだから、セシリーの技量の跳ね上がり方は尋常じゃない事になっている。レベル上がりすぎだろう!? 少なくとも魔剣を握った状態なら、既にルークを上回っているんじゃないだろうか。ルークだってあそこまであざやかに人外兵器を駆逐できんぞ。それも、魔剣の力に頼ってのことではなく、純粋にセシリーの腕前から引き出された無双状態ですしねえ。先の都市攻防戦での戦いっぷりも凄まじかったですけれど、もはやリアル一騎当千、万夫不当と言っても過言ではないんじゃないだろうか。あと、戦場で行きも絶え絶えになりながら、顔を合わせればイチャイチャを欠かさないルークとセシリーの新婚っぷりには脱帽です。
とはいえ、未だにアリアが聖剣として覚醒していない状態が示すように、状況は好転せず、どころか悪化するばかり。ヒルダが頑張ってくれてますけれど、何しろ此方がわには戦力が少なく、最強のあの人すら倒れてしまい、ルークは此方も大暴れしながら相変わらず虚弱体質を露呈し、息も絶え絶え。未だシーグの不気味な動向の真意は明らかにならず、敵の魔剣勢力は欠けることなく追撃をかけてくる。そして、止めのラスボス復活。
思わず、【ゴジラ1984】のゴジラ復活シーンを思い出してしまったド迫力の復活劇。これぞラスボス、って感じだけれど、それだけにこんなのどうやって相手するんだよ、という絶望感が正直パない。
それこそ、ここからあと一冊で終わるんですか!?

シリーズ感想

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 13.Barbanill3   

聖剣の刀鍛冶13 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 13.Barbanill】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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騎士団のみならず都市にまだ残っていた市民たちからも結婚を祝福されるセシリーとルーク。その宴の片隅に佇む聖剣アリアは困惑していた。たとえ聖剣と呼ばれようとも"凶器"であることにかわりない自分に対して、親しげに声をかけてくる者たち。彼らは“魔剣の”アリアや銘無しと一体どんな関係だったのだろうか……? 一方、帝政列集国は移住を始めた都市市民たちを見逃し、非を負わずに総力を注げる“都市が兵士のみとなる”時を待っていた——。そして——決戦の刻!! 騎士の運命と剣の使命が研ぎ澄まされる最新巻!
新婚さんいらっしゃ〜い。と、言わんばかりの新妻スタイルなセシリーさん。前巻のウェディングドレスの後をどうするのかと思ってたら直球で家庭に入ったセシリーさんをやってくれちゃいましたよ。エプロンに包丁ほっかむりって、また定番中の定番で攻めて来ましたか。流れ的にクライマックス突入の勢いだっただけに、ここまで落ち着いた装いでこられるとは思っていませんでした。もうこれは、流れ的には次はマタニティドレスですね、わかります。
と、言いたい所だったのですが、この場合子作りをしてしまうと明確に死亡フラグを踏んでしまうので、自主回避ですよ、自主回避!! くー、なんというフラグ倒しだ。尤も、最終決戦を前に本当に結婚しちゃったのだって、それこそこの戦いが終わったら結婚するんだ、という最大の死亡フラグを折る最良の手段を選択したってことなんだから、それぐらいは楽勝か。でも、もう名実共に夫婦なんですから、えっちぃことしてもいいんですよ? 一緒にお風呂はいるとか、ね? もげろとか言わないから。ルークにはもげろとか言わないから。
とまあ、これから最終決戦だというのにむしろ幸福の絶頂を満喫しているセシリーの影で、逆にネガティブスパイラルに陥ってしまったのが、聖剣として復活したアリアでした。
魔剣アリア……転じて聖剣として復活して何が変わったかと言えば……メンタル弱くなりました。っておぉい!!
魔剣だった頃のアリアも、聖剣の材料となった「銘無し」も、こんなにメンタル弱くなかったよ? いやあ、まあ考えてみればアリアもあれで精神的に脆かったり不安定なところもあったけれど、それを踏まえた上で毅然と立つことのできた女性でした。それが、キオクを失ったとはいえここまでヤワヤワになってしまうとは。
記憶を失ったということは絆をも見失ってしまったということ。アリアを支えていたものが全部取っ払われた今、彼女には剥き出しの脆弱性しか残されなかったということか。不幸にも、周りの連中は彼女が「アリア」だと疑いもしなかったから、自分たちと彼女との間に繋がっている「絆」もまた健在だと疑いもしてなかったんですよね。それが、アリアのメンタルケアを怠り、彼女に「魔剣アリア」として接することで「聖剣アリア」の自己をないがしろにしてしまい、その成長を促すことに失敗してしまっていたわけだ。
魔剣アリアを大事にすることは間違っていなかったとは思うんですけどね。アリアや銘無しに向けていた思いを聖剣アリアに語りかけた時、最初は確かに霧中にあった彼女の心に光が差し込んでいたのですから。そのまま行けば、彼女はちゃんと統合された「アリア」としての自己を確立できていたのかもしれません。ところが、いつの間にか「魔剣アリア」「銘無し」と自分「聖剣アリア」に隔たりを感じ、周りから向けられる感情に逆に疎外感を募らせるようになってしまっていたのでした。
だから、そういう精神性が、アリア自身が力説する自分は凶器にすぎない、という自己主張と矛盾し、大きく逸脱してるんだってば。
でも、こういう細かい機微をセリシーに気づけ、というのも難しい所。じゃあ誰が気づいて然るべきだったのか、と問うてみると……そういうメンタル担当って誰でしたっけ?
なんか、わりと誰も彼もが勢いの良さで閉塞をぶち破っていた気がするので、こういう繊細なケースを担当する人が思い浮かばない!! むしろ、それこそがアリアの担当だったんじゃないかと思うくらい。なんとなく記憶が美化されていて、アリアもわりと勢いだったよ、と思わないでもないけれど。頼るべきはリサくらいのものだったのかもしれないけれど、アリアの相棒はセシリーだもんなあ。何とかするのもセシリーであるべきなのだろう。まあ、新婚さんはそれどころじゃなかったんでしょうけどね。
……ぶっちゃけ、浮かれてやがったな、この女(苦笑

様々なものを犠牲にしながら、それでも出来る準備は整えて、万端敵の軍勢を迎え撃とうという時になって露見する、致命的な準備不足。
結婚した程度で死亡フラグは潰えない、などという展開にはならないで欲しい、と別口で結婚しちゃったカップルを横目に見ながら、願うばかりである。
サブタイ、Barbanillとついたからには本当にクライマックスか、と思ったら、そこまで行かない準備回だったとは。これ、よっぽどクライマックスが分厚くなったからなんだろうけれど、DVD特典の短編が2つついて、というのは色々な意味でやられた、うんやられた。
でも、「少女と少女王」、シャーロットとゼノビアの馴れ初めのお話は、ぜひ知りたかったエピソードでもあったので、読めてよかったです。本編では他国のことなので、いつの間にかゼノビアの側近となり仲良くなった状態で再登場したシャーロットたちでしたけれど、思いの外シャーロットってゼノビアの在り方に影響与えてたんだなあ。シャーロットと出会うまで、ゼノビアってもっと肩肘張って生きてたんですねえ。初登場した時から、幼いのに優秀、という以上に考え方に柔軟性があって心に余裕がある人だな、と感心しきりだったんですが、それにはシャーロットの存在が関わっていたんですねえ。
良い出会い、だったんですね。


シリーズ感想

聖剣の刀鍛冶 12.Sacred Sword4   

聖剣の刀鍛冶12 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 12.Sacred Sword】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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全市民の耳目を集めることとなったセシリーのプロポーズから数日、市民の移住計画と平行して騎士団による封印の再強化計画もまた開始されていた。ブレア火山の洞窟奥深くに広がる“氷の間”に幾本もの聖剣のレプリカが突き立てられる。
その光景は、まるで墓標。――そしてこの計画が、新たな事態を引き起こすことに。
一方、キャンベル家のメイド・フィオはセシリーのためにウエディングドレスを用意していた。かたやルークもまた、セシリーのためにリサとともに“ある刀”を打つ。
やがてくる帝国との最終決戦を前に、一条の光がこぼれ射す、最新巻!!
とうとうサブタイトルに「Sacred Sword」→「聖剣」の文字が。ついに此処まで来たかー。
技術的には既にやれる所までやっているはずなのに完成しない聖剣。しかも、打ち手であるルークは目の機能を殆ど失って鍛冶師としては死に体に。鍛冶師としての全ては弟子であるリサに叩き込んだものの、彼女の未熟は否めず、その成長を待つ時間は残されていない。ヴァルバニルの復活はもう間もなくで、帝国の暗躍は留まる所を知らず。
これだけ絶望的なことだけが列挙されているにも関わらず、なおも希望を失わずに居られたのは、それこそセシリーの活躍(?)に尽きる。彼女が前向きで居てくれればそれだけで、まだ何とかなる、何とかしてみせる、という希望が湧いてくる。諦めなかった事、それこそが希望を現実へと繋げられた最大の要因だったんじゃないだろうか。あの、これまでルークが打ってきた聖剣の出来損ないたちですら決して無駄ではなかった事が明らかになった時にはちと感動してしまった。あのレプリカがなかったら、状況を打開する最後の鍵が向こうから現れてくれることもなかったわけですから。
本当に瀬戸際の瀬戸際を歩んでるよなあ、この人達は。
そして、その最後の希望が現れてなお、障害はいくつも立ちふさがっていて、セシリーやリサたちに選択を、決断を、覚悟を繰り返し繰り返し突きつけてくるのだ。
でも、もう止まらないんだよね。失ってしまうものは既にわかっている。それを受け入れてしまっているセシリーたちにとって、提示された障害はもはや障害ですらなく新たな希望にすぎなかったとすら思えてくる。リサは、その決断を弱さであり諦めた結果だと自嘲していたけれど、とんでもない、そんなことあるものか。諦めなかったからこそ、鍛冶師としてのプレイドを捨ててなお、守るべき鍛冶師としての矜持があったからこその、あれは決断だったはず。弱いものか、あの決意が。
そして、取り戻すと誓った親友を失うかもしれないと言われてなお、親友の意志を尊重しその上で取り戻し、新たに築いてやる、と決断したセシリー。新しい、エインズワース家の一族が立ち向かうべき試練を見出したルーク。まったく、この夫婦はイチャイチャ新婚生活する間もなくかけずり回っているにも関わらず、なんて息のあった夫婦なんでしょう。ウチの嫁さん、と嘯くルークのうれしそうなこと嬉しそうなこと。
アリア復活、と粗筋の速報で掲載されたときはネタバレすぎだろう! と思ったけれど、全然ネタバレじゃありませんでしたね。まさか、こんな形で復活するとは思いもよらなかった。しかしこれ、銘無しと友達になった子たちにとってはやっぱり辛い結果なんだろうし、それ以上にユージンは苦しいだろうなあ。今のところ彼の心境は描かれていないですけれど、アリアがあんな形で復活した上に、ヴァルバニル復活にあわせて結局離れ離れになってしまうことは確実になってしまったわけですしね。でも、諦めないんだろうなあ。
魔剣と人間の間に子供が生まれ得る、という話をあれだけ丹念にやっていたのは、別段シーグフリードの生誕の秘密に関わる話だったからだけじゃないはずです。それに、魔剣と聖剣はまたちょっと違うものみたいだし。
そう言えば、シーグフリードの母の腕から生まれたという魔剣って、誰なんだろう。さらっと流されていたわりに、結構重要なキーワードみたいな扱いをされていたけれど。

表紙の衣装は結婚式の白装束、決戦兵装・ウェディングドレス。これも、ついにここまで来たかー、と感慨深いよなあ。肝心の花嫁さんと来たら、肝心の式と旦那をほっぽり出して何をしに行ったかと思ったら……ほんとにセシリーってばヒロインじゃなくて、ヒーローだ。紛う方無き「ヒーロー」だ。

シリーズ感想

聖剣の刀鍛冶 11.Woman4   

聖剣の刀鍛冶  11 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 11.Woman】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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代償と、覚悟。キャンベルの血。
ルークの変調をリサから明かされたセシリー。ルークは頑なに隠そうとしているが、セシリーとリサは互いに彼を支えることを心に誓う。ルークとの関係をどのようにするべきか悩んだセシリーは母に、亡き父との馴れ初めを聞くことにする――。一方、軍国ではゼノビアが付き人のシャーロットとともに城を抜け出し、大陸を包む不穏な空気に萎縮しかねない市井の声を聞くべく街中へ繰り出していた。また他方、帝政列集国のフランシスカは、主に従属する魔剣の定めをヴェロニカから見出そうとしていた……。穏やかな日常の中で覚悟を固めていく女たち、心底に銘を切り、居並ぶ!!


Congratulation!

おめでとう♪ おめでとう♪ 

前巻の感想で、ルークの頑固さは難儀の一言で、もうセシリーが何とかしないと何ともならないよ! というセシリー頼みの結論に至ったわけですが……見事にセシリーがやってくれやがりました。
この女、頼もしすぎる。期待に十全応えやがった。あのどうしようもないくらい面倒くさい男を、本当に一人で何とかしてしまいやがった。まさに、あらゆる意味での英雄である。
まる一年ぶりの待ちに待った新刊なのに、内容は短篇集だったので正直ガッカリした感は否めなかったのですが、あとがきでも触れられていたように、この聖剣シリーズの短篇集ってガリガリと本編の話が進むんですよね、忘れてた。

今回はサブタイトル通りに、女たちの物語。女は強し、である。セシリーの両親の馴れ初め話は良かったなあ。セシリーの母親であるルーシーさんは、これまでは病弱で儚げながら厳格で上品、シャーロットたちが滞在していた時には母親らしい抱擁感を見せていた事もあり、もっと温厚な人だと思っていたんですけれどね……間違いない、この人セシリーの母親だわ(笑
もう行動力が普通の女性のそれから外れまくってる。まさか、父親との関係がルーシーさんの押し押しだったとは。なんかセシリーって二親のとんでもない面をかけ合わせて出来上がったような娘ですよね、こうして見ると。未熟だった頃はその特性が悪い方に出てしまい、なかなかに始末の負えない小娘になっていたけれど、精神的にも能力的にも成熟してきた今となっては、その特性ゆえに殆ど無敵に等しいレディと化してしまったわけで。えらいこっちゃやで。
イラストの屡那さんがまた素晴らしい仕事をしてらっしゃって、若いころのルーシーさんとチェスター・キャンベルがまたホントにセシリーにそっくりなんですよ。

あとは、ヒルダとヘイゼルと銘無しの非番の日を通して、不穏な空気に包まれる都市の雰囲気を伝える話。そして、軍国でのシャーロットたちの活躍。シーグフリードに恋をする魔剣の話と、三本立て。
この中では軍国の話が良かったですね。シャーロットたちが軍国に亡命してから、どんな風に過ごしているかは、多少伝え聞いてはいたものの、実際はどうなのか伝聞だけだと分からない部分もありましたしね。あのゼノビア相手にちゃんとやれているのか、と思ったら案の定、シャーロットって苦労性だ(苦笑
部下の三人娘だけでも色々と面倒な性格しているのに、その上さらにゼノビアというとびっきりのトラブルメーカーが乗っかってきたわけで……まあこれ、シスコンのきらいもあるようで。可愛い妹の苦労はなるべく引き受けてあげたい、という愛情が感じられるのです。余分な苦労も多分に引き受けてしまっている気もしますが。それでもまあ、充実した日々を送れているようで安心しました。

さて、最後の話こそこの巻の目玉にしてクライマックス。正直、セシリー舐めてました。というか、そこまでやるとは想像できんよーー! 一足飛びすぎるわーー。参った。完全降伏だ。これは敵わない。これが女の強さだ。覚悟を決めた女性の無敵さだ。覚悟を決めた女に、男如きが太刀打ち出来るはずもないのだ。
だから、贈れる言葉は1つだけ。

おめでとう♪

シリーズ感想

聖剣の刀鍛冶 10.Trial4   

聖剣の刀鍛冶10 (MF文庫 J み 1-18)

【聖剣の刀鍛冶 10.Trial】 三浦勇雄/屡那(MF文庫J)

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セシリーを守るために最後の変化の呪文で剣の姿のままとなったアリアを胸に、独立交易都市へと戻ったセシリー。しかし彼女を待っていたのは、ルークとユーインの消息が絶たれたという悲報だった。件のルークとユーインは、突如襲った地震によって閉じこめられたヴァルバニルの封印される洞窟内でその末端らしき触手との攻防を繰り広げていた。他の出口を探して灼熱の闇の中を彷徨い続けるルークたち。そしてその奥底で地面に突き立てられた直刀を見つけるのだが ――!? 壮大なファンタジー叙事、薄闇の底で真紅に燃える刀身を打つが如き“鍛錬の刻”!!
先の巻の感想の締めに、『そろそろ絶望の向こう側に希望が見えて来て欲しいところだ』と書いたんですけどね……どうなんだろう、これ。希望が見えたのか? それとも、さらなる絶望でしかなかったのか?
表紙の全裸については、私も思わずエントリーして書いちゃったんだけれど、本編の中にはもっと凄い構図のイラストがありましたよ。
尻!
しかし、まったく、浮ついたシーンじゃなかった、どころかこれほど哀切に満ちた尻があっただろうか。哀切に満ちた尻ってなんだよ、と思うかも知れないが、見たらわかる。こんな悲痛そうな尻はないよ。むしろ、本当なら固く握りこんでいる拳にこそ焦点を当てるべきだったのかもしれないが、やっぱり目線は尻に行くよな、尻。
はぁ……ついに、とうとう、恐れていた通りになってしまった。不幸中の幸い、という形でヴァルバニル復活の危機は一時遠ざけられたとはいえ、あくまで急場しのぎ。聖剣を打つためのヒントは手に入れたとしても、それを打つべきルークが……。
アリア復活の為の隕鉄についても、まるで目処がついていないし、仮にそれを手に入れたとしても、果たしてそれをどう使ってアリアを復活させればいいのか。もし、打ち直すとしても……。
ルークの頑固者は、絶望しないのだろうか。自分がどれだけ死力を振り絞り、聖剣を打つことに成功し、ヴァルバニルを何とかできたとしても、もう自分がセシリーの傍に居ることが出来ないというのに。彼女を遺して逝くしかないと分かっているのに。
馬鹿だなあ。これに関してはユーインが言うことが全く正しいよ。セシリーは強い。この娘は弱いけれど、絶対に弱いままで停滞しない強さがある。それはきっと、ルークを失ったとしても潰えないものだと信じたい。だからこそ、彼はもっと甘えていいはずなんですよね。今この瞬間を、彼女に負債として預けてしまっていいはずなんだ。彼女はそれを、負債ではなく糧に出来るはず。ルークだって、リーザを喪った果てに、セシリーと出会うことが出来たのだから。
頭に来るんだろう? 許せないんだろう? 自分がいなくなったあと、自分以外の男に、セシリーがココロ奪われるのが。だったらせめて、今この瞬間の自分を、彼女に刻みつけておけばいいのに。
ばかだなあ。馬鹿な男は、死ぬまでバカなんだよ。死んだって馬鹿なんだよ。
だから、それはセシリーがなんとかしなきゃならないんだろうな。全く、面倒な男を好きになってしまったんだねえ、お嬢さん。

シリーズ感想

表紙で色々  

MF文庫Jの今月の新刊の表紙絵が公開されていたので、早速眺めていたのですが、毎回話題にさせてもらっている【聖剣の刀鍛冶】の最新刊の表紙がエラいことになってて吹いた。
同作品はご存知の通り、メインヒロインのセシリーが毎回様々な衣裳を着こなす姿が表紙になっている。お陰で、セシリーのコスプレ劇場、みたいに言われているのですが、実際身につけている衣裳が異なってくると結構印象も変わり、私自身も毎回楽しみにしてたんですよね。
ところが、今回セシリーさんのコスプレがとんでもないことになっていたのです。

聖剣の刀鍛冶10

これはもうコスプレじゃねえ!!(笑
これまでのコスプレ劇場は、ちゃんと作中でセシリーが身につけた衣裳で構成されているので、ということはセシリーさん、本編でもこうなっちゃうわけですか。
そうですかーー(ニヤニヤ


と、MF文庫の新刊からはもう一つ、気になるというか見た途端に「わーい」と思った表紙が。

喰-kuu-


これって言わずもがな、これのリスペクトですよね(笑

咲-Saki 1 (ヤングガンガンコミックス)


でもこれ、内容の方も今までに見たことのないタイプっぽくて、面白そうなんですよね。どうや
すぐれた戦士には例外なく、賞賛と敬意をこめて二つ名が送られる。ある者は《氷山に咲く花》と、またある者は《四つの胃袋を持つ男》と、そして彼女はかつて、こう呼ばれた戦士だった――《極大引力》。突然バイト先に現れた大食い少女・井ノ原みのりの勇姿に魅せられた主人公・ハチは「俺と付き合ってくれ」といきなりの告白に打って出る。そんなハチに対しみのりは「これを食べきることができたらお付き合いします」と、三十人前の超巨大ラーメン『食神』を指さすのだった――。大食いに身を捧げた者達の熱きドラマが今始まる!!
大食い競争というとライトノベルで思い出せるのが、【鉄人定食】。【イリヤの空、UFOの夏】の三巻のエピソード【無銭飲食列伝】で繰り広げられた、あの伝説の決闘である。
さすがにあれと比較してしまうと可哀想なんだが、大食い対決と言われるとやはりあれが思い浮かんでしまうのは致し方ない。逆にいうと、あれに匹敵するようなモノが描かれていたとしたら、間違いなく傑作の域に達していると言える。楽しみにしてもバチは当たるまい。

聖剣の刀鍛冶 9.LastWind4   

聖剣の刀鍛冶<9>(MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 9.LastWind】 三浦勇雄/屡那(MF文庫J)

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……なんかルークとセシリー、二人の関係、変わったな。この前のお祭りの時からか。それまでは、お互い自分の気持を持て余しながら、照れ照れとこっ恥ずかしい雰囲気を醸し出していたのに。
初々しい恋心に踊っていたのも今は昔。二人が置かれた過酷すぎる環境は、そんな甘く蕩かすように育んで行くはずだった幸せな関係を味わう時間を与えてくれなかったのだ。一刻、離れ離れになり各々が為すべきことをなさんとする前の、僅かな逢瀬に垣間見せた、ルークとセシリーがそっと抱き合い、離れてじっと見つめうシーンを見たとき、この二人の関係はもう否応なく深く深く成熟した愛情で結ばれたそれへと昇華してしまったのだな、と物悲しい感慨とともに確信してしまった。
深い愛情で結ばれること自体は悪くはない。でもね、まだ若いふたりなんだ。もっともっと、お互いのことを考えるだけで心が弾み、思わずにやける顔が戻らなくて、相手の前で見せてしまう自分の言動に赤面し、と言った嬉し恥ずかしな、かけがえのない幸せな時間が与えられて然るべきなのに。深い愛情で結ばれるまでに、二人でゆっくりと積み上げて行く思い出が、優しく穏やかな思い出が、あってしかるべきだったのに。
二人にはそれを築いていく時間が与えられなかったのだと思うと、なんだか悲しくなってしまったのだ。
それは、二人があまりにも大きすぎる試練を乗り越え、生き延びたその先に、再び取り戻せる時間なのかもしれないけれど、それが叶うことをただただ願うのだけれど。
今はただ、この物悲しさをなんども咀嚼して味わいたい気分だ。

そう、時間は刻々と過ぎて行く。タイムリミットは近づいている。世界の、セシリーたちの街の、そしてルーク個人の、さらにはアリアの……。
セシリーは、既に承知のヴァルバニルの事だけではなく、ルークのことも、もしかしたらアリアの事すら無意識に感じ取っていたのかもしれない。だからこそ、もっと強く、もっと強くと貪欲に強さを追い求め、実際に着実に強さを手に入れていったのかもしれないなあ、と加速度的に際限なく強くなっていくセシリーの鬼気迫る姿に、そんな考えを抱いてしまった。
まだ暗殺者だった頃のヒルダに、一対一の対決で圧倒されてしまったのはまだそんなに昔の話ではなかったはずなのに、今やセシリーの剣腕にヒルダは一対一どころか同僚ヘイゼルとの複数での同時対戦ですら、歯牙にもかけられない。ヒルダが弱くなったわけではないのは、後半の獅子奮迅の働きを見れば、むしろ刺客時代の頃よりも腕は上がっていることがわかるだろう。
まだ都市での決戦の時の活躍を見た時では、魔剣アリアの力あっての強さだと思っていたけれど、彼女の強さは既に魔剣を持たずして魔剣を持っている時の領域へと近づこうとしている。
それは、逆説的にそれだけの強さが無いと何も守れないと、悟ってしまったからではないだろうか。
セシリーが強くなればなるほど、彼女の運命の過酷さがより際立って伝わってくる気がする。
それでも、もうこの子は止まることはないんだろうなあ。もう迷い躊躇い恐れる段階を、この子は主要キャラクターたちの中で一足早く走り抜けてしまったのだ。あとはもう、一直線に進んでいくだけだ。
彼女はもう、ルークに頼らなくても、ただ一人で「ヒーロー」たるを果たすことができる。
となると、彼女を先導して導くような立ち位置だったルークは、逆に彼女の置いてけぼりをくらわないように、彼当人の抱え込んでいる負債を払い終えなくてはならなくなったわけだ。
ルークも、そしてユーインも大変だ。女たちは、男たちを決して待っていてはくれない。当然、自分よりも前に出て運命に打ち勝つ未来へとエスコートしてくれるのだと信じきっている。その想いに応えるためには、もう命を張らなくてはならない領域へと至ってしまっているのだから。
大変だけれど、でも男冥利に尽きるんだろうなあ。

そして、魔剣へと戻れなくなったアリアに課せられた非情の運命。このシリーズって、セシリーはヒロインであると同時に、主人公そのものなんですけど、ルークたちが介在しない場面では、セシリーとアリアって女同士の親友とか、戦友とか相棒とかいうよりも、完璧にセシリーが男役、アリアが女役の主人公とヒロインのカップルだよなあ。
アリアのセシリーへの想いってのは、恋愛感情以外のすべてが一杯いっぱいに詰まった、とてつもなく大きくて密度が濃くて果てしないものとして伝わってくる。ひとりの人間に、これほどの想いを抱けるのかというほどの。
そんな二人の、とても特別な人間と魔剣の関係を、傍から見て受け止めるキャラクターもしっかりと出てきているのは構成に隙が無い、というべきか。

刀鍛冶と話としては定番であり、絶対的なアイテムである隕鉄の話も出てきたし、ルークの行き詰まった聖剣製作も、どうやら次の段階に至るためのエピソードへと踏み出したみたいだし、そろそろ絶望の向こう側に希望が見えて来て欲しいところだ。

シリーズ感想

聖剣の刀鍛冶 8.Light&Darkness4   

聖剣の刀鍛冶〈8〉 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶 8.Light&Darkness】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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表紙絵のセシリーコスプレ劇場、これまでの最高傑作は三巻の男装バージョンだったのだけれど、今回のはこれまでのカッコイイ、美人系の装いと大きく方向転換した看護服!!
これが何気に似合ってやがる。前のメイド服も良く似合っていたけれど、けっこうセシリーって女性らしい柔らかい装いも似あうんだよなあ。って、これだと何着ても似合ってますと言っているのとおんなじか。今回は挿絵でも何枚も看護服セシリーが拝めるので眼福である。イラストレーターの屡那さんが素晴らしいのは、女の子がカワイイだけじゃなく、若い男は若いなりに格好良く、おじさんはおじさんなりに、老人は老人なりに渋くカッコいいのがいいんだよなあ。あとがきで三浦さんが悶えているように、今回のシーグフリードの挿絵は悪役にしてもカッコよすぎて惚れそうだわ。

帝政列集国の悪魔と人外を擁した侵攻を辛くも退けた独立交易都市。国際緊張は既に列集国の侵攻をもって既にダムに穴が空いた状態。もはやいつ決壊するか、の段階に入っているのだけれど、独立交易都市は一先ずの危機を脱して、都市の復興に取り掛かる。
市民の被害は最小限に食い止めたものの、騎士団の被害って書いてある通りだと殆ど壊滅じゃないですか。特に三番街担当部隊は半数が死亡。傷を負って復帰不能に陥った団員の事も考えたら、これは痛いどころじゃない。幸いにして団員募集がうまく行っていて補充も足りているようですが、正規隊員がこれだけ失われていると、新兵が幾ら増えても戦力化されるまでどれほど掛かるものだか。まだ、即戦力になる人材もいるだけマシかもしれないけど、半年前に入団したセシリーがベテラン扱いされるようじゃあ、大ピンチだわ。まあ、セシリーは実際ほんとに強くなったけど。
一巻の時は剣に振り回され、初めての実戦でまともに戦えずにヒーヒー言って泣いてた小娘が、ねえ。セシリーのあの活躍はやはり市民の間でも相当話題になっていたらしく、彼女に憧れて入団してくる輩も出てきている。その一人であるヘイゼルが、泥棒を追いかけて逆襲されたあげくにこっぴどくやられそうになったところを、颯爽と現れ瞬く間に制圧してしまうセシリー、なんて場面、半年前はセシリーがちょうどヘイゼルみたいにド素人相手にボコボコにされて泣いてたもんなのになあ。ほんと、強くなったわ。

そして、ルーク。みなさん、お母さん、お父さん、ルークが本気を出しましたよ! まさかまさか、こいつの方からこんなに積極的に動くなんて。
今まで風雲急を告げてばかりでバタバタしてばっかりだったから、二人がわりといい雰囲気になってからこっち、落ち着いて他の何にも気をとられず二人で過ごす時間と言うのは殆どなかったわけで、こうしてみるとこの二人って本当にお似合いなんだなあ、と惚れ惚れとしてしまった。ツンツンせずに誠実にセシリーに向き合うルークは、瑕疵が見当たらないほぼパーフェクトな完璧イケメン青年で、そこはかとなく照れているのなんかチャーミングで、文句のつけようがないんだよなあ。
まあ、そんなルークは、妙だとは思ったんだ。
卑怯だとは思うけど、それ以上に自分に対してもセシリーに対しても、これはきっと誠実なんだと思いますよ。変に遠ざけようとするよりも、よっぽど男らしく素敵な未練がましさだと思う。そこで踏み越えてしまわないのもまた、迷いであると同時に誠実さなんでしょう。その未来が決定しているものなら、安易に一線を越えてしまうのはやはり無責任だと思うし。かと言って、後々セシリーがどれほど傷つくか、という点もあるんですよね。もっとも、どのやり方を選んだとしても、正解は無いわけだし、セシリーが傷つかないルートもまずないわけで、ならばルークのやり方と言うのは非常に共感し得るそれなわけです。
それもまた、愛なのよ。

いい雰囲気というと、もうアリアとユーインもすっかりいい雰囲気になっちゃってるじゃないですか。前々から気にはなっていた、悪魔は、魔剣は人と愛し合えるのか、という点についても今回ユーインの研究からひとつの答えが出たわけですし。
アリアの将来についてはずっと見通したたなくて、微妙に不安なところがあったのですが、これは良かったなあ。
ただ、その事実が判明することで、思わぬ伏線が起爆したわけですけど。
なるほど、シーグフリードの正体ってそういうことだったのか!! 一つの過去の事実が明らかになることで、これまで、生殖能力を持たない、ハウスマンの姓を持つなどといった様々な謎をでもってその正体を闇に落としていた彼の素性その他もろもろが一気に明らかに。
まともな人間ではないと思っていたけれど、まさかそういう事だったとは。彼が迸らせている世界への憎悪も、きっとそこに起因するんだろうけれど、まだその具体的な目的などは分からないんですよね。帝国側のキャラにも、それぞれ色々ありそうな感じがしてきたわけだ。
今回の帝国側のエピソードも、その真の目的はわからないままなんだよなあ。でも、さらにこんな帝国側の戦力が増えてるようじゃ、パワーバランスが傾きすぎているような気もするんだけど。
エピローグでの、びっくら仰天の展開もそれに拍車を掛けているし。
いや、キャラの幸せのことを考えると、この展開は大いにアリなんですけどね。最終的に元に戻るにしても、この間の時間と言うのは将来的にとても貴重なものになるはずだし。

あにめ  

【聖剣の刀鍛冶 #12 刀鍛冶 -Blacksmith-】
シーグフリード流に言うならば、どうしようもなくダメダメ。なんだこりゃ。
ラスボスであるところの、シーグフリードの目的がさっぱりわからないものだから、それと相対するジークやセシリーの戦う理由なども結局曖昧になり、そもそもこの作品、なんの話がしたかったのから分からないと言う顛末に。
リサとルークの関係の再構築を最後のテーマに持って来てたっぽいけど、どうもインパクトに欠ける結果に。おまけにそれだとセシリーがオマケの扱いにしかなってなくて、もう少し二人の関係の進展の鍵を握る働きができたら良かったんだけど、それも叶わなかったし。
一応、二期以降へとつなげられなくも無い終わり方だったけど、うーん。結局、良かったのは皇女編くらいで、それ以外は原作の要素を無駄に食いつぶしてしまった感じだなあ。作画や戦闘演出は色々と凝ってて面白かったんだけど。
残念な出来でした。


【DARKER THAN BLACK -流星の双子- #12 星の方舟】

……は? ?????
あれ? 十話くらい見逃したっけか?
なんか、いきなりワケ分からん話になって、そのまま終わってしまったのだけれど。
ぽかーん。
解釈はできる。だが、なんで解釈を要求されにゃならんの? 幾ら何でも、あらゆることが説明不足で誰が誰とどういう関係で何を考えどう動き、結果どうなったのか。その具体的なところが一切わからないまま終わってしまい、ひたすらぽかーーん。
あの、エアカーが空に飛んでいくシーンはギャグだったのか?

いやもうなんか、今のところ頭真っ白で、思考停止状態です、はい。なんだったんだ、いったい。後半行くまで、というかクライマックス直前まで非常にクオリティ高い傑作と呼んで過言ではない作品だったはずなんだけど……あの、本気で十話か十二話ほど間抜けてません?

とりあえず、主役が実はゴルゴだったのは、なんとなく理解できた!

あにめ  

【そらのおとしもの #11 いざ征かん! 我が銭湯領域(パラダイス)】
部長、あんた新大陸だったらなんでもいいのか? というか、新大陸というものは、とにかく何らかの意味で未知にして未踏の領域ならば全部新大陸でいいのか?
思ってたより部長さんがチョロいというのがわかってしまった。
しかし、トモちゃんの欲望への忠実さは他に類を見ないすさまじさですなあ。この行動力、躊躇いのなさはヘタレ主人公が多い昨今ではいっそ尊敬に値するものなのかもしれない。女の子に変身して銭湯の女風呂に入るために、そこまで仕込みをするのかという(苦笑
まあ、身分を偽りそはらたちと仲良くなっていたからこそ、銭湯でお背中流しますー、なんて展開に持っていけたんだろうけど。しっかし、本気で躊躇いないよな、こいつw
会長、どうもお風呂での様子見てたら薄々気がついていたような素振りもあったんだけど、気づいてて胸まで揉ませたんだろうか。さすがにそれはないか。怪しいとか変だな、と思ってた程度なんだろうけど。なんにせよ、凄まじく扇情的なお姿で。
ところで根本的な疑問なんだが、部長が銭湯の壁の絵に化けてたの、あれって何気にいトモちゃんが女体化するよりも難しいような気がするんだが、あれどうやってたんだ?
あとでしっかりと会長にお仕置きされている部長が素敵だw

一方で、ニンフのリミットがそろそろヤバイみたいな雰囲気で。カワイイと言われた下着を着てみたり、自分が兵器という事実に悩むイカロスに、トモキなら大丈夫と背中を押して見たりと、いつの間にかずいぶんと変わったなあ、彼女。さすが、原作ではメインヒロインと言われるだけあって、可愛いよ?


【11eyes #11 滅亡という選択 〜válogatott -hoz kialvás】
いや、だからだから!! ものすごい勢いでバッドエンドになだれ込んでいく。超展開といえば超展開だけど、正直に言っていいですか? すんげえ面白いんですけど(笑
ゆかがハッチャケたのを除けば、超展開とはいえそれほど破綻した道筋ではなく、もう何もかもが悪い方へ悪い方へ転がって、こうなってしまいました、という展開だけに、置いてけぼりにはされてないんですよね。付いてはいけている。あっけにはとられているけど。
そして、美鈴先輩はもうこりゃ世界あかんなあ、と見てとった途端、駆を寝取りにかかりやがるし(笑
一応、力をアップさせるためみたいな言い訳してるけど、本人ぶっちゃけそんなのどうでも良さそうだもんなあ。この世の未練を残さないため、今のうちに惚れちまった男と結ばれたいという、ある意味とても正直な感情に基づく行動で、これはこれで素晴らしいなあ、と。
ゆかは殺されてちゃったし、最近やたら目をつけられてヤバいめ合わされてたし、あげくとんでもないことしでかしやがったし、でゆかに対する罪悪感とか申し訳なさとかは、幸いにも感じずに済みそうだったもんね。全然仲間意識なしになっちゃったなあ、結局(w
そして最後は黒騎士に栞、守護天使だったという菊理の共同戦線をぶち破り、ゆかの体を乗っ取ったリーゼロッテが、事後の余韻に浸る駆と美鈴先輩を急襲。一瞬ゆかの姿で現れたときは、ヤンデレは死んでも寝取られを許さんのカー、と戦慄してしまったわい(笑
あれは美鈴先輩もビビってたビビッてた。
結局、駆はアイオーンの眼を奪われ、鯖折りに体をへし折られて殺され、美鈴先輩も闇に飲み込まれて死亡。
見事にバッドエンドで世界滅亡。ごくろうさまでした。よい最終回でした♪
……と、思わず終わった気分に陥ってしまいましたが、終わってないの、これ?
なんか、あんまりにも怒涛の展開すぎて、これって駆の未来予知の映像なんじゃないかと思えてきたんですけど。まあ、次回見ればわかるか。


【聖剣の刀鍛冶 #11 真実 -Truth-】
このヴァルバニル会議の一幕って、原作では何巻でしたっけ? 一巻じゃなかったかな。
会議に向かうシーグフリードを会場警備していたセシリーがいきなり抜刀して襲いかかったのにはひっくり返ったわ! おいおい、幾ら何でもそれは普通に暗殺事件だよw テロですよ、テロ。大津事件じゃないんだから。これでセシリーお咎めなしは幾ら何でも無い。極刑喰らってもおかしくないから。
これ以降のセシリーの暴走具合がひどすぎて、今回最初から最後まで頭抱えっぱなしでしたよ。この女、頭大丈夫か?
無理やり締めに入っているからか、展開もワケわかんないし、シーグフリードは小物化してやたら喚いてるしで、ちょっとかんべんして欲しい(苦笑
もっと、激燃えがウリの作品だったんだけどなあ。

あにめ  

【そらのおとしもの 第10話 「天使の旋律(コトバ)の向かう先」】
いや、あのスク水喫茶は文化祭でやっちゃだめだろう。普通に風俗のレベルだぞ、特にそはら。
例年対立している私立との文化祭での出し物対決というイベント、てっきり会長の権力からして私立の連中を社会的に抹殺してしまうのかと思ってたけど、全うに叩き潰す方に手管を変えたか。あんな町を二分する対決にしてしまって、町民感情にのちのちしこりを残しそうで怖いんだけど(苦笑
しかし、ともちゃんはあれで町の人や学校の連中にも知名度や人気があるんだなあ。なんであんな、町の人に知れ渡ってるんだ? 変態なのに。
一方で着実にニンフの反応がいちいち可愛くなってきた。あれだけ天上で虐待されてりゃ、普通に心があったなら地上での暮らしにほだされ、トモちゃんに優しくされてデレてしまうのも無理は無い。
と、デレればデレるほど、首輪のメーターらしきものが順調に減ってきているのが気になるところだけど。
イカロスは感情戻ってから明らかに、でも微妙な範囲で受け答えの声の調子とか変わってるんだよなあ。ちゃんと言葉に気持ちが乗っている。このへんの表現の仕方は上手いなあ。さすがはプロ。
ラストのライブも、上手かったし。ライブの歌は下手だったら興ざめなんだけど、これは上手かった。

EDは毎度ながら秀逸。ジャッキー映画ばりのNGが笑える笑える。



【11eyes 第10話 魔女覚醒 〜bukott angyal】
なんかもう、ゆかが凄いことになってきたww
原作でもここまで壊れてるのか? あれに付け狙われだして、騒がない美鈴先輩は人間が出来すぎている。普通、出された紅茶にかみそりが入ってたら、ひっくり返すぞ。
とはいえ、先輩も自信や矜持を打ち砕かれ、仲間は死に、自分たちがむしろ悪因であることを知らされ、心がもうくじけ捲くっているので、ついつい駆に縋ってしまうわけです。ゆかの凶状にもめげず、駆を遠ざけるどころかむしろ接近していく根性は凄いなあ。むしろ、ゆかの狂気で逆に罪悪感とかなくなってるのかもしれないけど。
駆としても、大切にしてきたゆかが、なんか知らんうちに完全に頭おかしくなってきて、しんどいだろうに、先輩に鞍替えしてもよさそうなもんなのに、真面目で真摯というのも大変だなあ。
怒涛の赤い夜や黒騎士、欠片の謎など真相が明らかになり、展開も進む進む。ゆかが殺られたーーっ!? うわぁぁ、これ地上派放送していいのか? えぐいどころじゃないグロさだぞ!?
そしてラスト、もう、えええええ!! ってなもんですよ。すげえ、なにこの展開。原作とはかなり違うみたいだけど
……いやもうここまでくると、すっげえ面白いんですけどw


【聖剣の刀鍛冶 第10話 殉情 -Tragedy-】
え、シーグフリード、そんなあっさり顔見せて良かったの?
なんか、第二期やるかわからない原作付きアニメの終了間際にありがちなオリジナル展開になってきたなあ。どうやって締めるつもりかわからないけど。シーグフリードって、感情的にはセシリーやルークのこと嫌悪していたけど、ブラックスミスとしての存在としてはわざわざ策を弄したり自ら手を下してまで排除しようとするような価値を見ていなかったと思うんだけど。ひたすら、魔剣の収集に従事していたような。
まあそれはそれとして、ようやくリサの誕生の秘密が明らかに。
雷の魔剣とアリアと使うセシリーの戦闘が、また作画的にも非常に見ごたえのあるものになっていた。セシリー、しっかり修練を積んでいたのか、アリアを使っての戦い方、上手くなったよなあ。しっかり、風も使いこなしてるし、以前と比べて格段にアリアの力も引き出している。
ただ、今のところ原作セシリーの魅力だった、熱血バカの尋常でないまでのカッコ良さ、燃える熱さがちょっと足りないかなあ。
ルークとシーグフリードの初の直接対決は、あの鼻血吹き出しそうな滅茶苦茶胸がトキメクというか、ルークのかっこよさが有頂天というか、とにかくこの作品の中でも屈指の名場面だっただけに、このなし崩しの展開での対決は残念だった。

アニメ  

【アスラクライン #22 隣り合わせの死と平和】
一巡目に渡ったにも関わらず、奏は悪魔から人間に戻ったのに、ニアはラックイーターの悪魔の力を持ったまま、というのはこのままだと矛盾だよなあ。
確か、原作では既に故郷であるルーマニアが非在化して消滅してしまっているため、悪魔化してるんだったっけか。ダルアは登場しなさそうだし、そのへん曖昧だなあ。
トモの魔精霊も、鳥型ではなく、ランプの魔人みたいな足のない人型に変更か。
前回危惧していた哀音や、紫浬さんが登場してくれたのは嬉しかった。哀音、ちゃんと冷凍マグロに乗って登場だ(笑
原作では、魂の擦り切れていない天真爛漫な哀音はここで初登場だったので、衝撃だったと同時に二巡目での彼女の末路を思い出して切ない思いに駆られたんだよなあ。
朱浬さんは、こっちバージョンの方が遥かに魅力的だよな、うん。朱浬であるときはある程度演じている部分があったんだろうけど、紫浬さんとしての彼女はかなり印象が違っていて驚いた。
こりゃあ、二巡目でもけっこう期待できそう。

あー、結局一巡目の操緒は二巡目に渡らず此方にとどまったままということになったのか。


【そらのおとしもの #9 嘘から始まる妄想劇場(ストーリー)】
OP無しでシリアスにはじまったと思ったら、結局いつものバカエロ話になってしまい、悲壮な決意で地上に戻ったニンフもなし崩しで元の居候に戻ってしまうとか(苦笑
トモちゃん、DVD代稼ぐために色々屋台を出すのはいいけど、それ原価代はどうなってるんだ? どう見てもDVD代3000円を遥かに上回る金を、手を変え品を変えだした屋台に注ぎ込んでいたような気がするんだがw
てっきり、会長がショバ代を請求する展開になると思ってたのに、裏切られたw しかし、トモちゃんはなぜあんなに野外で脱ぎたがるんだ? 真性の露出趣味なのか? ナチュラルになんでいつも脱いでるんだ?
ニンフはようやく、ツンデレ化か。ようやくなんだが、あっさりという気もするけど。あの首輪の点滅はなんか意味があるんだろうなあ。
感情を取り戻したイカロスは、スイカ卒業しているのが微妙に寂しい(笑
あのスイカ抱えているのが可愛かったのに。
人間らしくの仕方がぎこちないのは当然だけど、会長のプレッシャーに押し負けてたのは普通に人間ぽかったよな。
しかし、結構イカロス雰囲気変わってるのに、みんな全然気がつかないもんなんだね。


【11eyes #9 壊れた絆 〜törött kötés】
先生を無残に殺され、ぶち切れた賢久が周囲の被害を省みずに大暴れして街が大炎上。
なんか、一気にえらいことに。
先生の死に顔が酷いこと酷いこと。よくもまあ、ここまでやる。
しかも、なんか能力が暴走して止まらなくなり、俺を殺せーー!状態に。じ、自爆じゃないか。
草壁邸で操と美鈴の戦いは一方的に操にやられて、チームのリーダーである美鈴先輩は完全に自信喪失状態。雪子は、マジで賢久殺っちまったらしく、返り血塗れで帰ってくるし。
ゆかはもう、完璧に壊れちゃってるし。怖いよ、この子。

……いや、もうこれBADEND一直線じゃね? 打開の仕方がまるで見えないんだがw
絶望した美鈴先輩を駆が慰めているうちに性的な意味で慰めることになったところをゆかに目撃されて、刺殺エンドとか異様にありそうで怖いヨ!


【聖剣の刀鍛冶 #9 面影 -Lisa-】
リーザの容姿が想像していたのよりかなり幼く可愛らしかったのに戸惑ったんだけど、良く考えたらルークの子供時代の事なんだし、ルークと同世代のリーザがそんなに大人っぽい姿なわけないんだよなあ。
てっきり、リサをもっと大人にして美人にしたような人だと勝手に思い込んでった。
非番の日に、母親にルークの存在を嗅ぎつけられ、おめかしさせられた上にデートしてこいと追い出されるセシリー。帯剣は絶対外さないんだな。お母さんのお下がりだというけど、やっぱりあの母上、地味目な服が好みなんだなあ。娘を男のところに送り出す服装としては、けっこう大人し目に見えるんだが。
しかし、あの腰の細さはやっぱりコルセットつけさせられてたんだろうか。
ルークの墓参りに、わけもわからず同行させられるセシリー。そこで、ようやく今まで秘められていたルークの過去の一旦が明らかにされる。あれ? ヴァルバニルとの遭遇の理由ってそんなのだったっけ?
まだリサとリーザの関係。ルークとリーザの関係については引っ張るのか。というか、今度こそそこが明らかになるエピソードみたいだな、これは。あの魔剣といい老人といい、確かオリジナルだと思うんだけど。
あそこで、墓参りにセシリーを連れていくルークって、やっぱりこの時点でセシリーのこと意識してるんだろうか。

アニメ  

【聖剣の刀鍛冶 #8 出立 -Resolution-】
「私は頭が悪い!!」 原作でも吹いたセリフだけど、アニメで声つきだとやっぱり笑っちゃうなあ。でも、ここまできっぱりと開き直られるとむしろ痛快であり清清しい。
ちなみに、今回の一件がはじめてセシリーがルークに助けられず、一人でキチンと解決できた事件なんですよね。多少助言を貰ったとはいえ、自分でやるべき事を見定め、一度は敗れ去った三人に真っ向から打ち勝ち、破滅の道に転がり落ちようとしていたシャーロットたちを食い止め、未来を指し示すことができたセシリーは、うん、着実に成長してるなあ。えらいえらい。


【キディ・ガーランド #7 憧れの2人】
こう言っちゃなんだけど、内容がまともになると、途端にふっつーの作品になるな、これ(苦笑
今回はキチンと敵対組織みたいなものがあるのか。ESメンバーと同質の能力者も登場するみたいだし。しかしあいつら、無駄にイケメンだなあ。先週、Bパートで出てなかったか?w


【DARKER THAN BLACK -流星の双子- #6 香りは甘く、心は苦く…】
黒、近くにいたんならマテリアルライフルの発射音がどこから聞こえたかとか分かりそうなもんだけど。あれほど発砲音が遠く、しかも方向も違ったから、マオや黒がスオウが撃ったのだと思い込んでたのには逆にびっくりさせられた。
ターニャの亡骸には関心を示さず、とっとと場を離れるスオウは、やっぱり契約者ではあるんだなあ。生きているターニャには敵対してもなお情を捨てられず、友達であり続けても、死んでしまえばそれはもう物言わぬ肉の塊に過ぎないわけか。確かに、それも合理的。
列車の中で、かつてニカを好きだった事を記憶としては覚えていてもそれがどういう気持ちだったのかが思い出せず、戸惑い苦しむターニャを、ギュッと抱きしめたスオウが印象的だっただけに、激昂しながらもターニャの亡骸には見向きもせず去っていくスオウには感慨深いものが……。
しかし、あそこでの黒の物言いは以前と違って、ちゃんとスオウを気遣ってのものなんだよなあ、たぶん。とはいえ、撃ってないスオウからしたら頭にくるのも当然か。事実認識の錯誤からはじまる感情のすれ違い。あそこであれだけ怒るというのも、スオウの契約者らしくなさでもあるんだけど。

ターニャを撃ったシオンは、あれ、また脚が利かなくなってるみたいだ。父親の偽者を生み出したから? でもそれだと、自宅を脱出した際にスオウが見た歩いているシオンの姿はどうなるんだろう。
まさか、シオンの能力がスオウと同じというわけでもあるまいし……。

黒の大食い属性、復活してたんだ(笑 相変わらず、ものすごく食べるよなあ。その直後にあれだけのアクションをこなしてるんだから、食った分はどこに行ってるのかw

ドールであるジュライが、命令を受ける前に自発的に連れ去られたスオウの行方を追っていたのを見ると、前回のエピソード以来着実にこの子も変化している事がわかる。

次回は、あれか。あいつらがまた出るのか! 二年経っても変わってないなあ、おいw

アニメ  

【聖剣の刀鍛冶 #7 家族 -Family-】
フィオ姐さんと呼ばせてくださいw
セシリーの家に逗留することになったシャーロットたちだけれど、働かざる者は死ね、とのフィオの命令によって侍女としてキャンベル家に逗留することになる。後々、シャーロットたちが辿った変遷を思うと、何気にこのときの経験が生きることになるんですよね。
そして、何故かセシリーも巻き込まれてキャンベル家当主兼メイドというわけの分からないことに。
今回、慣れないメイド仕事に戸惑うシャーロットたちを愛でる回かと思ったら、実は侍従のドリスたちのみならずシャーロットも身の回りのことも含めて生活能力を充分備えているのが発覚すると同時に、セシリーが極めて鈍臭く、とことんダメっ娘であることも露呈してしまうという展開に。なんだ、やっぱりセシリーが弄られるんだ。
というわけで、原作小説二巻の表紙絵のセシリー・メイドバージョンがアニメでも拝めましたよっと。セシリー、メイド服よく似合ってると思うんだけどなあ。メイド服姿をルークに目撃され、真っ赤になって慌てふためくセシリーが可愛かった。


【キディ・ガーランド #6 局長室の疑惑/SAY YOU!】
これは……商業作品としてはどうよ、という酷さだったなあ。特にBパート。
いや、三十分間腹抱えて笑いまくってた時点で、もう自分としてはこれでいいじゃん、という気分なんだけど。さすがにもっとやれとまでは言わない。これ以上もっとやったら、とんでもないことになりそうだし。
Bパートの男性声優陣、やたら豪華でわざわざこんな話のために集めたのか、と思ってよくよく考えたら、みんな出番のないESメンバーの中の人たちか! 白石も実名で出てたように見えたんだが、EDのスタッフロールに名前あったか?
とにかく笑ったのはAパートの爆笑コント。イヴェール局長と秘書のゾマって、そんな関係だったの!? 真昼間からオフィスでエロエロなことをしている二人に唖然。それ以上に、ゾマがものすごいSでわざわざアスクールたち呼び出して、こっそり覗いているのに気づきながら見せ付けるように局長を弄ぶゾマに戦慄。そして、慌てふためきながらもゾマの攻めに逆らえないイヴェール局長は、超M気質だったことが発覚! 
アスクールの瞬間移動を有効活用したテンポのよい出入りコントがまた絶妙で、笑った笑った。

聖剣の刀鍛冶 6話 皇女 -Princess-  

おおっ、セシリーが魔剣持った三人相手になんとか渡り合えてる。と、言っても本当になんとかなんとか、という感じが出ているのは大したもの。初実戦のときに比べると動きも良くなっているものの、やっぱりルークの動きとは段違いにバタバタしているのが良く分かる。おまけに、魔剣アリアの能力も使いこなしていると言えない。振り回されているわけではないのだけれど(使いやすいタイプなのか、アリアが魔剣状態で出来る限りのサポートをしているのか)、能力に頼りすぎてたり本人の意図しない所で助けられてたり、と魔剣アリアのポンテンシャルを引き出せてるとは言えない戦い方に見える。それでいて、ダメと切って捨てるものでもなく、ちゃんと発展途上という風に見えるんですよね。
そして結局負けるし! セシリーってこれからも負けまくるんだよなあw
まー、相手の魔剣使いたちも三人とも魔剣を持つには分不相応っぽい未熟者なんですが。ルークもあんなの相手に貴重な鍛錬使わんでも……。
魔剣の収集と刀鍛冶の招聘のために帝国から現れた皇女一行。と言ってもその主張は一方的で、ぶっちゃけ現状の帝国・軍国・群集列国、そして独立交易都市の各国間で高まっている政治的緊張状態の中で彼女のやってることは導火線に火がついた爆弾を抱えた子供が、自分が何を持ってるか知らないまま遊びまわってるようなものなんですよね。
ハウスマン市長が逢ってこういう話をしていること事態が危険だと言っているのも当然なのです。同時に、帝国の公的な使者とも考えられないのも当然で、皇女が本物なのかから疑ってしまうのも無理からぬこと。
もし本物だったとしても、これが当人の独断専行ならまだしも、皇女本人が意図していないところで、独立交易都市に何らかの政治的ダメージを与えるための爆弾として送り込まれてきたという可能性もありますし、扱いは慎重にならざるを得ません。
今はまだ一介の騎士に過ぎないセシリーとしちゃあ、牢屋に放り込め、というのは当然の主張なのですが。

しかし、ルークもセシリーが狙われてると聞いた途端、あわてて飛び出し助けに行くあたり、だいぶ絆されだしてるなあ。
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聖剣の刀鍛冶 5話 絆 -Together-  


いやいや、セシリーさん。君もね、リサの身繕いの事に口を出すのはいいことですよ。とても良い指摘であり、ルークの無頓着さを補いリサを喜ばせる非常に良い気遣いだったと思います。でもね、他人の事に口を出す前に、君もその格好を何とかしようよ(苦笑
非番の日でも胸当て着装の武装しっぱなしというのは、女の子としてどうなんだ。というか、家の中でもその格好なのかよ、と突っ込みたい!! その胸当てこそがアピールポイントなのだ! と主張したいのは分かるが、せめて家の中では脱ぎなさいよ。部屋着を着ましょうよ(苦笑
それはそれとして、今回は集中してリサ回。リサのかわいらしさをこれでもかと追求したような回でした。おのれ、中の人を決めたのはダレだよ。ぴったりじゃないかッ。
健気で素直な働き者。知り合う人皆に好かれ愛されている少女なのですが、その出自ゆえにかルークに対して拭い切れない負い目を背負ってるんですよね、彼女。ゆえに、自分はルークに優しくされるわけがないし、憎まれているとすら思っている。だから、雇ってくれているだけで充分だ、なんて言い切ってセシリーたちを困惑させている訳ですが、この辺はセシリーが鋭く看破したとおり、ルークは不器用でリサへの接し方が分からなかっただけで、リサが思い込んでいるような負の感情はルークにはなかったんですよね。
二人が歩み寄るきっかけを積極的に作って見せたセシリーは、お節介だけどただの考えなしの直情騎士ではなく、ちゃんと心配りの出来る女の子であるんでしょう。いささか強引過ぎるてらいもありますが。
なんにせよ、リサはかわいかった。あの色んな服を着て見せてくれるファッションショーは、アニメならではだよなあ。
何気に、リサって何着ても似合ってるんですよね。素材の良さか。
リサ回ということもあって、一気にリサの正体にも迫るのかと思ったのだけれど、それは改めてと言うことになるのか。リサの正体はルークの過去の傷にも関わる重要な話にもなるわけだし、ヴァルバニルの件もあわせてクライマックスのテーマにするんだろうか。原作のどこまで行くかわかんないしね。1クールだったけか。OPに少女王の姿もないしなあ……あれ? いたっけ?

にしても、このアニメ、さりげなく食い物がうまそうなんだよなあ。リサが作ってた朝ごはんもおいしそうだったし、毎度ながら女の子同士で連れ立って回る屋台の食べ物がまた、これめちゃくちゃ美味しそうなんだよねえ。目移りする。基本、食べ物が美味しそうなアニメは大概面白いという定説もあるので、順当に良作アニメとして進捗してるかな。
そういえばキャンベル家メイドさんのフィオは、今回初登場だったか。使用人だけどなぜかえらそうで、完全にセシリーのお姉さん役の彼女なんだけど、想像通りの姉御な人物でよかった良かったw

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聖剣の刀鍛冶 4話 誓約 -Promise-  

セシリーとアリアの女の子同士のイチャイチャっぷりが素晴らしかった! 両方とも気構えが男前な女性なだけに、育まれていく友情の形が女の子同士なのにまた熱い熱い。でも、熱さにも関わらず二人ともちゃんと女の子しているので、これが見ていてニヤニヤさせられるいちゃつき具合に見えてくるわけです。セシリーのよいところは、暑苦しいくらい熱血の騎士さまにも関わらず、女の子の部分をまったく捨ててないところなんだよなあ。アリアはアリアで、見た目以上の年月を地獄の戦場とむき出しの人間のエゴの間を泳いできたが故の老成した内面から来る憂いを帯びた大人びた物腰と、相反する外見相応の屈託のない大らかな姿が、どこか包容力のある姉的な雰囲気を醸し出してるんですよね。と、同時にどこか儚くすぐに折れてしまいそうな脆さも兼ね備えていて、セシリーを見守るようにしながらそれでいて彼女の心の強さに寄り掛かっている風情にも見えて、これは予想以上にこの二人のコンビは良い感じで描かれているなあ、と思いましたね。

しかし、ハウスマンの騎士団の規模がどれほどかはわからないが、都市国家の自衛騎士団が万単位の戦力を保有しているとはとても思えないので、ただ一回の悪魔戦で30名以上の戦死者を出してるのって、尋常じゃない大損害だよなあ。補充も簡単にはいかないだろうし、この四話までも結構死んでる様子だったし、この調子で損害が増えていったら、早晩組織を維持できなくなるんじゃないかと心配になる。
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聖剣の刀鍛冶 #3 魔剣 Sword  

レジナルドさんは、完璧に嫌味な同僚役だなあ。ここまで憎たらしいキャラだったっけ? そこはパティさん、女房として一喝してやらにゃあ。まあ、言い分に関しては御尤もなのですが。セシリーは騎士として技術も覚悟もまだ未熟すぎるわけです。それで意気ばかり盛んで空回りしてばかりだから、見ている周りとしてはこう、イライラッと来るんでしょうなあ。人を殺せなかった事に対して、臆病者と呼ばわるのは少し違うと思いますけど。

姦しい三人娘の街の散策が見ていて楽しかった。あそこでリサを引っ張り出し遊びに連れていくセシリーはグッドジョブ。ルークって女の子の扱いにまるで無頓着だから、リサってこれまでわりと閉塞した毎日を送っていたんですよね。彼女の出自にも訳が合って、リサ本人はルークに憎まれ不遇に扱われるのを(ここはリサの思い込みで、ルークは単に無思慮で配慮に欠けていただけなんですが)悲しみながらも仕方ないと諦めていた部分があったので、こうしてセシリーと知り合い前向きに自分の世界を広げていく様子は心が和む。
リサの可愛さって、男にちやほやされるというより年上の女性に猫可愛がりされるタイプだなあ、こりゃ。
アリアもけっこう印象が違ってた。原作と性格の方向性は何も変わってないんだけど、魔剣としての背景と合わさってどこか諦観の漂う儚さを纏った印象があって、精神年齢もセシリーと変わらないくらい同世代くらいのイメージがあったんだけど、アニメだと人懐っこくもどことなく抱擁感のあるほんの少しだけ年上、というか目線が上のお姉さんタイプになってるんですよね。横に並び立ってくれながらさりげなく支えてくれるような。うーん、これもいいキャラだなあ。

そういえば、ツヴァイハンダーとか、刀鍛冶が主人公の作品だけあってか、剣の描写も意外と凝るつもりなのかしら。

アニメ  

【聖剣の刀鍛冶 2話 悪魔契約Valbanill】

ちょ、その恰好で馬乗りになってタコ殴りって、ある意味まるみえだったんじゃないのか、セシリーさんw
悪魔契約やかつての大戦、ヴァルバニル会議などキーワードとなる単語は色々と出てきているわけだけど、なかなかもったいぶるなあ。
とりあえず、ヴァルバニルなる封印された存在の復活が近づき、それを倒すためには聖剣が必要。それを造る技を伝承されているのが、ルーク。とまあ大雑把で乱暴な説明だが、大まかにこの流れで把握しておけば間違いないかと。
まだリサの重すぎる秘密や、聖剣と魔剣の関係、セシリーの役割など色々あるんですけどね。
最後にアリアが登場しましたけど、思ったより声質がお姉さんでちょっと驚いた。もっとキャピキャピした印象だったので。考えてみると、確かにそのキャラクターは落ち着かないセシリーに比べて、よく物思いに沈むタイプの女性なので、こっちの方が正しいのか。



【キディ・ガーランド 1話 ラッキーアイテム】
第一話からパンツ履いてない! という強硬路線をとったにも関わらず、先日【そらのおとしもの】にてパンツが空を飛ぶという奇想天外な展開があったために、完全にインパクトをすりつぶされてしまい、ご愁傷様でした。
前作、キディ・グレイドからの正当続編。グレイドの方は中盤超えたあたりから超展開入ってすごく面白かったんですよね。個人的にはかなり好きだった作品。その主人公であるエクレールとリュミエールは冒頭に登場したものの、なにか大事件があったらしくそれで消息不明? という扱いなのか。
あれから25年後ということで、ほぼ不老不死に近いESメンバーも含めて、前作の登場人物も出てきそうなところだけど、今のところトゥイードゥルディとトゥイードゥルダムだけかな。アンオウとエイオウも普通にいるっぽいけど。局長はエクリプスからイヴェールという人に。
このイヴェールって、前には出てましたっけ。なんかアイキャッチで出世しましたー♪ みたいなフレーズが出てたんですが、思いだせん。

前のグレイドと同じで、これは序盤はどうにもまだるっこしい流れになりそう。スロースターターなんですよね。

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) #1 騎士 Knight  

ははは、セシリー弱ええ。ヘッポコ騎士と評するのもまだ生ぬるい、ド素人。
原作を既読しているだけに、このセシリーがあれほど成長するのかと思うと、改めて痛快ですらある。

第一話は世界観の説明などはとにかく後回しにして、セシリーという主人公がどんなキャラクターなのかを優先して見せるようにしていた感のあるつくり。ヴァルバニルなど単語も出ず、人外の説明もなし。人外って発音だけ聞いても、どういう意味の言葉か分からんものだなあ。
悪魔についても、どうやって悪魔が召喚されるのか、という情報も伏せてあるんですよね。一応、心臓云々の描写は出てたけど。これは、次回のサブタイトルからして、第二話で悪魔契約含めて、世界観の説明をする予定なのかな。
まー、セシリーさんは心意気ばかりが先走って実力が全然伴っていない駆け出し騎士さん丸出しなのですが、その印象ほどには自意識過剰ではないんですよね。むしろ、自分の未熟さに対して謙虚ですらある。未だ現実の厳しさを心身で味わう経験を持たず、本当の挫折を知らないとはいえ、セシリーがルークに剣を打ってくれるよう依頼する場面で、何故自分がルークの打った剣を欲するのか、を語った弁舌の内容は夜郎自大でも傲岸でもなく、とても健やかに真っすぐで、なかなかに熱い魂の籠もったもので、セシリーという人物の気持ちよさが伝わってきて、良かったなあ。少なくとも、この頃の偏屈に凝り固まっていたルークに耳を傾けさせるだけのものはあったと思われ。
なるほど、既にこの時点でよい素材ではあったわけだ。ここから何度も叩かれ、屈辱に地面を舐め、血反吐を吐き、尊厳を踏みにじられ、敗北を重ねるという過酷な鍛造を経て、名剣と呼ぶにふさわしい立派な騎士になっていくわけだが、元がしっかりしてなかったら、耐えきれずに折れててもおかしくないもんなあ。

作画も第一話だからか分からないけど、だいぶいい感じ。興味深かったのは、ルークの殺陣がとても特徴的だったんですよね。セシリーが目立ってドタドタと無様な走り方をしていたというのもあるんだろうけど、あのルークの摺り足での戦闘スタイルは、かなり意図的に描かれているように見えたけど、どうなんだろう。

なんにせよ、予想以上にクオリティが高くて、これは期待が持てそう。

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聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 7.Unrivaled5   

聖剣の刀鍛冶 #7 (MF文庫 J み 1-15)

【聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 7.Unrivaled】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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今回これ、僅か229ページしかないんですよね。前巻も、230ページちょいだったから、けっこう薄めなんですよね、このシリーズ。
だから、毎回びっくりさせられてしまうのです。読み終わったあとに、「え? こんなに薄かったの!?」と驚かされてしまう。読了後の充足感、満足感、読破したあとの心地よい疲労感が、とてもじゃないが200ページやそこらのペラペラな感じじゃないんですよ。まずもって倍、およそ400ページや500ページ強はあろうかという分厚くも読み応えのある本を読み終わったような感覚に酩酊させられるわけです。
全編にわたっての全力疾走。息をつく暇のない怒涛の展開。最後まで気の抜けない、燃え上がるようなストーリー。とにかく密度がハンパない。
熱い、もう滅茶苦茶に熱い。セシリーが、ルークが、リサが、ゼノビアが、出てくる人みんなが熱い。名もなき市民の一人に至るまで、滾るように恐れも絶望も薙ぎ払い、意地と負けん気を奮い立たせる。

前巻のラスト、あまりの絶望的展開に、最善を尽くした末に叩き潰され、希望も何もかも失ったかのように見えた展開に、地獄のような有り様に、これはもうどうしようもないんじゃないかと。独立自由都市は此処で滅びてしまうんじゃないのかと、物語の流れの中でそういう顛末になってしまうのかと思ってしまったものだけど。
なんの作品だったかな。こんな名言があったんだ。
「絶望の先にこそ、希望がある」
あの絶望がセシリーの想いとシンクロしていたというのなら、セシリーたちの街。この独立交易都市の底力を。大国の狭間でただ一都市で自由を勝ち取った街の、自由を自分たちの手で勝ち取った市民たちの本当の力を、まったく見縊っていたとしか言いようがない。
人外兵器や悪魔の戦闘特性を考えるなら、野戦でなら軍国の精鋭が蹂躙されたのも無理からぬこと。でも、確かに市民の全面協力を得た市街戦、しかも防衛戦ならこの結果も決して不思議ではないんですよね。リサが考案した対悪魔戦での戦術も、市街戦なら十分活用できますし。
そして、セシリーの強い事強い事。この娘、何時の間にこんなに強くなったんだ? 負ければ負けるほど、叩かれれば叩かれるほど、鍛えれば鍛えるほど、刀のように強くなっていくセシリー・キャンベル。
同僚の騎士団員たちが仰天するのも無理ないよな。この子の成長ぶりは尋常じゃない。これ以上ないくらい痛快無比。
おまけに、アリアとのコンビはもう完全に極まって、互いに互いを補い合う最高の関係に至ってるし。最初の見開き二ページ使った二人の挿絵の威力たるや、もう身体の芯から震えが起こったほど。このシーンは、ちょうど前巻の最後のイラストの対比になるんだろうなあ。そりゃあ力も入るわさ。
そして、ルークとの再会と合流。カッコイイ、もうめちゃくちゃカッコいいよ、この二人は。でも、テンションあがりすぎて、思わずルークのことを「私の男」と公言してしまって、敵を前に赤くなっちゃってる所とか、相変わらずセシリーは可愛いよなあ。可愛いよなあ。
一方でルークはルークで、セシリーのこと、しっかり「俺の女」と言っちゃってるんですけどね。そこまで言うなら、受け入れてやればいいのに。覚悟の方向が間違ってるよ、ほんと。

と、これだけ独立交易都市が本領を発揮したにも関わらず、シーグフリードの狙いは都市を陥落させる所にはなかった、というのが不気味に尽きる。元々正体も目的も不明な所があったけど、今回の一件を通じてさらに得体が知れなくなってきたなあ。

もう盛り上がりっぱなしてテンションどこまで上がっていくのか、天井知らず。この勢いは新章入っても止まりそうにはなさそうです、はい。あー、もうやたらめったら面白かった。

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 6.NewWorld4   

聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 6 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 6.NewWorld】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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おい……おいおいおい、これマジで詰んだんじゃないのか?
ただでさえ、ヴァルバニル復活を直前に控えながら、セシリーの秘密が明らかになり、国際情勢は悪化の一途。悪い材料ばかりが積みあがって、そろそろ希望の芽でも見せてほしい、と切に願っていた矢先に、この作者ときたら……。
さらに、追いこみかけてきやがりましたよ!!

ラストの鬼気迫る挿絵と合わさった盛り上げ方は、素晴らしいの一言。あそこでのセシリーの抱いた想いは、読者と完全にシンクロしていたと言って間違いないだろう。そこまでの持って行き方が凄いのなんの。
いや、あと先考えてるのか、これ? ここまで一つ一つ丁寧に此方側のカードを叩き潰されてしまった以上、ここからどうやって逆転するのか、正直言ってさっぱり思いつかない。セシリーたち独立都市に軍国側が失策をしたわけではなく、現状で着手できるほぼ最善手を打っていながらのこの状況である、というのが余計に巻き返しの余地をなくしてるんだよなあ。

今回、アリアがさり気に女の子してた。シーン的には少なかったけど、なかなか印象的だった。セシリーにしてもこのアリアにしても、自分の気持ちを誤魔化すってことはしないのね。セシリーはともかくとして、アリアがああも自分の感情を自覚的に取り扱うとは思ってもみなかっただけに、この展開はちょっと驚き。ただ、自分の気持ちはともかく、相手の気持ちはわかっちゃいないみたいだけど。彼が動揺しまくってたのは、アリアが魔剣だからじゃねえっての(笑
その辺、まだ自虐的な部分が強いのかもしれないけど。

ルークとセシリーの関係は、もうほとんど鉄板状態と言っていいのでしょう。ただ、ルークが自分の体の状態と合わせて、覚悟決めちゃってるために、セシリーの想いに応えるつもりが一切なさそうなのが、悲壮なんだけど。でも、折々でもう読んでるこっちまでメロメロになりそうなセリフ吐きやがるんだよな、この野郎。実際、これくらいでないとセシリーみたいな熱血主人公タイプのヒロインに【恋する女の子】をさせるのは難しいのかもしれない。
そのセシリーは、と言えば、この娘はほんとに毎回毎回戦えば負けるよなあ。単純に勝敗表を作成したら、負けの方が圧倒的に多いんじゃないだろうか。ただ、セシリーが強くなったなあ、と思うようになったのは、たとえ勝負に負けても、心が折れなくなったところだろうか。雑草のように踏まれても踏まれても、伸びてくるように、負けたら負けた分だけタフになっていっているような気がする。
そんな負けても負けても折れずに立ち向かうセシリーの心の強靭さが伝わってくる頃だからこそ、余計に最後の彼女が感じた絶望感が、圧倒的に感じるのかもしれない。今の、あのセシリーですら打ちのめす、絶望感。
今回、ページ数的にはけっこう薄かったように思うのですが、そう感じさせない内容の濃さは、さすがと言っていいかも。

アニメ化を控えて、増産体制に入ってるのかもしれないけど、このクオリティでどんどん出してくれるのなら、どんどんやってくれってなもんだ。


聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 5.Sacrifice5   

聖剣の刀鍛冶5 (MF文庫J)

【聖剣の刀鍛冶(ブラックスミス) 5.Sacrifice】 三浦勇雄/屡那 MF文庫J

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し、しまった。完全に油断していた。軍国から戻っての束の間の平和の短編集なんて話だそうだから、てっきりのんびり気を抜いて読める話かと弛緩して読み始めたら……とんでもないとんでもない!
実際に剣を合わせて戦うような場面こそないものの、人間関係のせめぎ合いといい、セシリーに秘められた謎の真相といい、まさしく激動の巻じゃないですか。
不意打ち食らったんで、けっこうクラクラ。

今まで、態度や反応からセシリーへのルークへの気持ちというのはある程度推察できていたとはいえ、ここまで明確に彼の内心を露わにしたのは初めてだったんじゃなかったかな。正直、驚いた。
かなり意識してるのは分かってたし、セシリーという人間そのものに一目置いている気配は感じていたわけだけど……ルークがそこまでセシリーに対して想い入れてるとは、予想していなかった。していなかっただけに、ガツンときたね。そりゃあ、彼女が黒騎士野郎に甚振られたのを知って、怒り狂うのも無理ないわ。というか、あれがきっかけだったのね。
騎士として見込み、人間として敬し、なによりただの女として心奪われる。惚れ方としては、全力全開じゃないんですか、こりゃあ。
しかも、聖剣の鞘という隠語で秘されてきたセシリーの血に負わされてきた宿命を知ってしまった以上、彼が聖剣を打つという意味には凄まじいまでの重さが課せられてしまったわけで。重い、これは重い。絶対に失敗できない。単に、セシリーという女を見込んで、自分の過去から未来の全部を載せて託す、というこれまでの意味合いだけでは済まなくなってしまったんだから。
そんな状況で、その当該者である女から、事情を、真相をすべて知った上で、あんなこと言われたら、男としたら頭がどうかしちゃうんじゃないだろうか。もう、奮い立つどころじゃないですよ、ありゃあ。
あの瞬間は、もう自分に出来ない事はないとすら思えるような全能感に支配されたと言っても過言ではないような。
だからこその、あの所業だったんでしょうけど。いやいや、もしルークが自分の宿命を受け入れ、覚悟を決めてなかったら、あそこでそのままセリシー襲ってもおかしくなかったような(笑

そのルークの宿命なわけですけど、自分は単に失明だけかと思ってたんで、ルークが覚悟しているその先があることが、けっこうショックだったり。そこまで深刻だったのか、と。
成さねばならないことがあり、成したいことがある。惚れた女を救うため。そのために、命を削る。
だったら、この男の性格からして、自分の想いを告げるなんてことは絶対しないんだろうなあ。あとでセシリーがどれだけ傷つくかを、わかってないのか、わかっていて無視しているのか。どちらにせよ、傲慢であることには変わりなく、ただ今の彼の置かれた状況からすればその傲慢たることはひどく正しいことなんですよね。後の事を気にするには、まず現在を乗り越えないといけない。現在を乗り越えるためには、未来を捨てなければならない。既に、もう未来に辿りつけないと分かっている身としては、真実を告げることは害悪にしかならないわけだし。彼女が傷つくのが今か、あとかの違いだけとも言えるし。今、彼女が傷つけば乗り越えられるものも乗り越えられなくなるしねえ。
でも、やっぱりその覚悟はセシリーには酷いと思うよなあ。だからこそ、リサの存在がここで重きをなしてくるんだろうけど。
ほんと、なんとかしてくれ。

本番に至るまでの前振り、という今回だったわけですけど、いやもう面白すぎる。面白すぎて、心高鳴りすぎる。手に汗握るドキドキとワクワク。
前振りでこれなら、本番はいったいどうなってしまうのかと、今から怖いくらいだ。
 

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