徒然雑記

終日のたりのたりかな  
  オロチのまどろむ庭TOP  読書メーター  月刊書籍発売カレンダー  書籍感想・殿堂作品
  書籍感想・著者索引(表紙絵附) 書籍感想・著者索引(シンプル版)  書籍感想・作品タイトル索引(シンプル版)
  10月の漫画新刊カレンダー  10月のライトノベル新刊カレンダー
  11月の漫画新刊カレンダー  11月のライトノベル新刊カレンダー
 

聖剣の姫と神盟騎士団

2014年10月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

月末発売のファミ通文庫、スニーカー文庫、コバルト文庫、HJ文庫、ビーンズ文庫などは来月送り。

読んだ本の数:48冊 うち漫画:4冊

今月は比較的、積んだままになっていた本の消化に成功。全体から見るとささやかな量かもしれないけれど、コツコツ減らしていかないとね……減らした分以上に増えていないか、という点については目を背ける。これをナチュラルな現実逃避という。
さて、今月の注目はなんといっても【祓魔科教官の補習授業】。2巻まで出たことで、概ね作品の方向性が整った感がありますが、【スクランブル・ウィザード】【ひきこもりの彼女は神なのです。】を上回る傑作になるかはこれからの切れ味次第。HJ文庫の方の作品も初っ端から飛ばしてますし、今充実期ですねえ、この作者さん。
そして円熟の極みに入っているのが杉原さん。この人はもう古参、大ベテランの領域に入っている人だと思うのですが、近年さらにメキメキと面白くなってるんですよね。その結実の一つが、第一部完となる【聖剣の姫と神盟騎士団】のドラスティックな展開でしょう。素晴らしかった。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 2冊

聖剣の姫と神盟騎士団(アルデバラン) 6】 杉原智則/Nidy‐2D‐ 角川スニーカー文庫
祓魔科教官の補習授業 2.優等生は振り向かない】 すえばしけん/NOCO 一迅社文庫


【聖剣の姫と神盟騎士団(アルデバラン) 6】 杉原智則/Nidy‐2D‐ 角川スニーカー文庫


感想はこちら
一番凶悪な策とは、その意図を読まれてもなお乗らざるを得ない状況に追い込む策である、というのを地で行くキレキレにキレまくったダークの作戦が見事にハマる第一部クライマックス。文句なしの怒涛の展開である。


【祓魔科教官の補習授業 2.優等生は振り向かない】 すえばしけん/NOCO 一迅社文庫


感想はこちら
ダークすえばしが真骨頂。宝刀は、ずんばらりんとやるよりも、安易に抜かぬが心をギリギリ焼き焦がす。抜いたら抜いたで、見事に死角からの一刀両断でございました。現れましたる惨状に思わず悲鳴、あんぎゃー!
もうヤダ怖い。

★★★★(四ツ星) 5冊

アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫
ログ・ホライズン 8.雲雀たちの羽ばたき】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 10】 川口士/片桐雛太 MF文庫J
絶対城先輩の妖怪学講座 五】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫
灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち】 十文字青/白井鋭利 オーバーラップ文庫


【アルティメット・アンチヒーロー 常勝無双の反逆者】 海空りく/Nardack 講談社ラノベ文庫


感想はこちら


【ログ・ホライズン 8.雲雀たちの羽ばたき】 橙乃ままれ/ハラカズヒロ エンターブレイン


感想はこちら


【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 10】 川口士/片桐雛太 MF文庫J


感想はこちら


【絶対城先輩の妖怪学講座 五】 峰守ひろかず/水口十 メディアワークス文庫


感想はこちら


【灰と幻想のグリムガル level.4 導き導かれし者たち】 十文字青/白井鋭利 オーバーラップ文庫


感想はこちら


今月のピックアップ・キャラクター

星河純華 (アルティメット・アンチヒーロー)
フィフニス・マカオン (グラウスタンディア皇国物語)
ダーク (聖剣の姫と神盟騎士団)
グレイ・ラプトン (聖煉の剣姫と墜ちた竜の帝国)
五十鈴 (ログ・ホライズン)
狭霧琴羽 (祓魔科教官の補習授業)
須旺礼時 (浮遊学園のアリス&シャーリー)
桜坂シャーリー (浮遊学園のアリス&シャーリー)
エリザヴェータ=フォミナ (魔弾の王と戦姫)
マスハス=ローダント (魔弾の王と戦姫)
湯ノ山礼音 (絶対城先輩の妖怪学講座)




以下に、読書メーター読録と一言感想。
続きを読む

聖剣の姫と神盟騎士団(アルデバラン) 6 4   

聖剣の姫と神盟騎士団 (6) (角川スニーカー文庫)

【聖剣の姫と神盟騎士団(アルデバラン) 6】 杉原智則/Nidy‐2D‐ 角川スニーカー文庫

Amazon

将軍アグロヴァ率いるカーラーン軍の猛攻撃に、撤退を強いられたダークたち。まるで歯が立たない相手を前に、ダークはカーラーンに「寝返る」ことを画策する。一方、ラグナの谷には、離れ離れになっていた聖剣団のメンバーが集結し始めていた。しかし、反撃のためには、フィーネの力、そしてダークの戦略が必要不可欠で!?果たして、ダークとフィーネは再び力を合わせ、運命を切り開くことができるのか!?
ダーク、これ掛け値なしに見事な作戦ですよ。一番凶悪な策というのは、敵側に此方の作戦の意図が読まれたとしてもなお、その意図通りに動かざるをえない状況に追い込んでしまう、というものであり、ダークが仕掛けたのはまさにそれ。アグロヴァは、ダークの狙いをほぼ読み取りながらも、彼の抱く目的のためにはどうしても、ダークが仕掛けた「可能性」の罠に乗らなくてはならなかった。それでも、この元国王の将軍が恐ろしいのは、最悪目的を果たせなくても、根源地であるラグナの谷さえ潰してしまえば、聖剣団にとっても拭いがたいダメージになるだろう、と土壇場で肝を据えれてしまう所なのですが、さらにツッコむとそこまで割り切れるのならいっそ一切軍を割らずにそのまま攻め寄せるべきでもあったか、とも思うんですよね。思うだけで、いざ決断となると果たしてアグロヴァ以外にアレ以上の判断が出来るかというと非常に怪しいところなんですけれど。外部から見りゃ幾らでも言えるだろうけど、という状況なんだよなあ、これ。あくまで本命を谷側と見定めて追撃隊を最低限に押しとどめた将軍の決断力の方を褒めるべきなんだろう。実際、ダークの当初の目論見よりもだいぶ持って来られた兵数多かったみたいだし。
尤も、ここからのダークが仕掛けた二手三手がまた、アグロヴァという人間を読みきった上での手配で、今回のダークはキレにキレまくってた気がする。
尤も、そのダークの冴え渡る采配も、駒となる聖剣団の幹部たちがちゃんと言うとおりに動いてくれないと話にならないのだけれど……いつの間にか全員から一目置かれるようになってたんだなあ、ダーク。いや、マジでダークってあの幹部連中から実際どう思われてるんでしょうね。フィーネたちみたいに頭から信じ込んでいるわけではなく、ダークの心底がかなり小物っぽいというのはみんなそれなりに見抜いてたり伝わってたりしてそうなんだけれど、ダークの言にはみんなちゃんと耳を傾けて、じゃあその通りやってみようか、と納得して動いているあたり、面白いなあ、と。判断やら何やらを全部預けてしまうのではなく、ちゃんと自分で考えて自分を省みて、その上でダークの策を受け入れているあたりが、彼らの成長を意味してるんだろうけれど。
しかし、ダークの言葉ってなんであんなに琴線に触れるんでしょうね。本人的には心にもない事を口八丁でそれらしく言っているだけなのに。今回も、イアンが壁を突破し、ハスターとその弟も迷いを振り切りおのが誇り高き騎士としての道を見極められたのは、ダークの言葉がきっかけだったのですから。
さて、ダークの弁論術というのはあれ、何なんでしょうね。相手が欲しがっている言葉を見つけ出して与えているのか、それとも相手が気づいていない核心を貫く的確な助言であり指摘であり糾弾であるから、価値観や思想を揺るがすほどに心に届いてしまうのか。いずれにせよ、ダーク本人が思っているほど、適当にその場の乗りで心にもないことをしゃべっている、わけではないと思うなあ。あれで、ダークの本音や心情がちゃんと芯に入っているからこそ、言葉は心に届くのだろう。虚言でだまくらかされるほど、みんな早々チョロくはないよ。ただし、イアンは除くw 
そういう風に見ると、フィーネがあれだけダークの言うこと殆ど聞いていないにも関わらず、ダークを信じきって当人的にはダークの言うことに全部従っているつもり、というあの姿も何となくわかるんですよね。彼女は多分、ダークの芯の部分しか捉えてないし、眼中にないんじゃないかなあ、と。いやもうちょっと落ち着いて話聞いてあげようよ、と思わないでもないんだけれどさ、でも彼女が本当の意味でダーク本人よりも一番ダークの根っこの部分を見つけてるような気がすると、今回の話見ていて思うようになりました。

って、顔無しのリヴィとかかなり本気で存在忘れてたよ。そういえば居たっけ、不正規戦担当の忍者っぽい人。さすがは忍者、忍んでた忍んでた。そして、この人だけがグラジス団長の魂を取り戻すという目的の核心に届いていた、というわけか。他の連中、何だかんだと思うがままに暴れてただけっぽいもんなあ(苦笑
しかし、只人ならざる英雄であるグラジスが、こうも良いように魂を奪われ封印されてしまっていた、というこの状況は何となくですけれぞずっと違和感というかちぐはぐさを感じてはいたんですよね。特に、話が進むにつれてグラジスの尋常ならざる来歴が明らかになっていくに連れて、尚更に。
果たして、これほどの人物が、フィーネやダークの手によって魂を取り戻して、よくやってくれたありがとう、なんて感謝するような展開になるのかな、と。
でも、他に方法なんて考えられないし、聖剣団の部隊長たちと一致協力して、魂を取り戻すんだろうなあ、と何となく納得はしていたんですよね……まさか、こんな事になるとは、ほんと思ってなかったし!!
いや、実際グラジス団長が復活した場合、ダークの立場ってどうなるんだろうね、とは思ってたさ。思ってたけれど、思いの外部隊長たちとも違和感なく一緒の場所に居られてたし、フィーネとセットは揺るがないだろうから、何となくイアンやロア、ハスターたち次世代の連中とあわさって、上手いこと収まる所に収まるんだろうなあとは思っていたんだけれど……なんか、凄い爆弾ぶちかましてくれましたよ、最後に。
こ、これで第一部の終了ですか。なんかこう、怒涛の展開じゃあ。
未来を暗示する見開きのイラストに、なんだかこう息を止めてしまいます。いったい、どういう展開になっていくんだろう。これは、楽しみでもありハラハラと緊迫感もあり、第二部早う早うッ。

シリーズ感想

聖剣の姫と神盟騎士団(アルデバラン) 5 4   

聖剣の姫と神盟騎士団 V (角川スニーカー文庫)

【聖剣の姫と神盟騎士団(アルデバラン) 5】 杉原智則//Nidy‐2D‐ 角川スニーカー文庫

Amazon

「勝てない…」
ダークとフィーネの前に、ついに最強の敵が現れた!伝説の竜ドライグを超える力を持つその黒魔法士は、現世と魔界とを繋ぐ“門”すらも開いてしまう。魔物たちが押し寄せようとするなか、ダークたちに起死回生の策はあるのか。一方、ラグナの谷には将軍アグロヴァ率いるカーラーンの大軍勢が迫っていた。ヒエン率いる陸上船モーガウィル号が全速力で駆けつけるが、とうとう谷は赤い炎に包まれてしまい―!?
おおっ、ロナにもそんな裏技が装着されましたか。何気に、聖剣団の次世代のメンバーが集まりだしてるんですね、これ。今までイアンとかハスターとか、訳の分からない加わり方をしていたので意識していなかったのですが、ロナという死霊神官の若い子が現れ、今回十分な戦力として役立つことがわかったことで、ようやく今の幹部連中とはまた違う、ダークとフィーネの聖剣団が着々と構築されつつある事に気づいた次第。
そういえば、タイトルは神盟騎士団(アルデバラン)なのに、本編ではずっと聖剣団なのはなんでだろうなあ、と思ってはいたのですが、もしかして将来的に神盟騎士団を名乗ることになる、なんて展開もあるんだろうか。

これまでは、一巻ごとにラグナの谷からいなくなってしまった幹部たちを連れ戻すために駆けまわる展開だったのですが、今回はそれをさておいて、ついに黒幕の登場と、カーラーンの本格侵攻が開始されるという次のステージに至るための助走回、みたいなことに。ヒエンの姐御が前回特に前振りなく合流してきたのは、このためだったのか。
未だにフィーネの親父さんが皆殺しの島をなぜ訪れたのか、彼と黒幕と思しき黒魔法士との関係は。島を守護していた英雄の霊はどこへ行ってしまったのか、など謎が謎を呼ぶ流れになっていて、一歩一歩真実に近づいてはいるものの、暗中模索の段階だなあ、これ。ただ、ドライグからとある大層なシロモノを託されたり、と重要なイベントはちゃんと起こってるんですねえ。
そして、フィーネのダークへの信頼はほぼマックス状態。ダーク視点からすると振り回されっぱなしとはいえ、フィーネからするとダークは常に自分の期待以上のことをしてくれているわけで、そりゃあキラキラした目で見るようになるわなあ。少なくとも直情的に突貫してしまう癖をこらえられるようになったのは良いのですけれど、別に思慮深くなったわけじゃなくて、単にダークに全部丸投げしているように見えてしまうのは、フィーネの人徳というものでしょう(笑
ただ、絶体絶命の状況の中で、追い詰められまくったダークを傍らでニコニコと見守っているフィーネの姿は、微笑ましいのかなんなのかw それでダークも気分落ち着いてしまっているあたり、もう良いカップルじゃん、と思ってしまうのですけれど。お互い錯誤しまくっているくせに、一番根底の部分ではちゃんと繋がっているように見えますし。

とはいえ、今回岐路に立たされているのはダークよりもむしろハスターの方で……。やっぱり、本当は潜入してフィーネの親父さんの身体を探していたのか。でも、どうみてもそっちは片手間で、本気で馴染んじゃってるよなあ、ハスター姐さん。子供たちに情移しっぱなしだし。この人、こんなに情厚かったのか。とはいえ、最愛の弟が出張ってきたとなると、なりふり構うことも出来なくなるだろうけれど、だからといって手土産持って帰還しても弟を守れるかというと、今のところ見通しらしい見通しは全然立ってないんですよね。ハスター姐さんの追い詰められっぷりがパないの!

シリーズ感想

聖剣の姫と神盟騎士団 43   

聖剣の姫と神盟騎士団 IV (角川スニーカー文庫)

【聖剣の姫と神盟騎士団 4】 杉原智則/Nidy‐2D‐ 角川スニーカー文庫

Amazon

ラグナの谷に戻ったダークたちは、もう一つの反魂珠を求めて新たな旅に出る。その行き先は、死霊たちの王国が支配する『皆殺しの島』!!死霊たちが王と崇める英雄レイドックの霊と会うため、ダークとフィーネは王国の奥深くへと進んでいくが、その直後に死霊の騎士団の襲撃にあってしまう。フィーネの剣も届かない不死の騎士団を相手に絶体絶命のピンチに陥るダークたちだが、そこに美しき僧侶ロナが現れ―!?

ちょっ、リアルファンタジー世界でTRPGをやろうって発想、ダークって天才じゃね? TRPGだったら、別に科学技術とか必要ないので、中世ベースのファンタジー世界でも全然問題ないし、何よりリアルダンジョンを元にしてるからリアリティもあるし、英雄や冒険に憧れる子供たちにとっては娯楽も少ない世界だろう事も相まって、夢の様な遊びですぜ、これ。もちろん、相応にGMの能力は優秀である事が求められるだろうけれど、ダークはその辺うまそうだもんなあ。
まあ、これを子供たちから小金をせしめる小遣い稼ぎに使っているあたりに、彼の素晴らしい小物根性が窺い知れて、なんか逆に微笑ましくなってくるのでありました。やりようによっては、なんぼでもがっぽり稼げそうなアイデアなのに。

さて、イアンが完全にフィーネと同類の剣バカになっている一方で、ハスターさんは生き急いできた今までを省みるように何故か所帯じみたことに……エプロン姿の若奥さま風がえらい似合ってるじゃないですか!! ハスターさん、やたら露出がキツい衣装よりも、楚々とした大人しい格好の方が実は似合っていたという奇跡。若干、袖から蛇が顔を出しているという変なオマケがくっついていますが、これは意外なインパクトだったなあ。とは言え、イアンと違ってハスターさんの方はかなり成り行きでラグナの谷に居るだけなので、弟を国元に残している事もあって、裏切りというかスパイとして自主的に活動している疑惑はかなり濃いんですよね。手土産持参で帰る機会をうかがっているような感じで。もっとも、ハスターさんメインの事件が起こりそうなフラグは、きっちりと立っているんですけれど。

聖剣団の部隊長たちは、みんな一癖も二癖もある、というよりもかなり人格破綻してるような危なっかしい人ばかりなのだけれど、その中でも唯一一番まともそう、或いは常識人で思慮深そうだったのが、このハゲ坊主【死霊神官】ベアラーさんだったのですけれど、この人も他に漏れず周りを顧みない暴走状態。人の話を全く聞かないという意味では、【竜殺し】ラッセルにも負けず劣らずという体たらくで、いやほんとにいい大人がなにやってんだ。この人も、若い頃はヤンチャをしていた、と言うどころではない大暴れをしていた来歴の持ち主だったようで、この人もこんな辺境の傭兵部隊の一部隊長やってるようなレベルの人じゃなかったんだなあ。まさに【英雄】に名を連ねるに相応しい格の持ち主ではあったんだけれど、結局のところベアラーさん含めてどの人も元から高い場所に立っていたからか、さらにグラジス団長という英雄の中の英雄というべき偉大な人物に魅せられてしまったからか、上ばかり見ていて足元が全然お留守になっている。ふわふわと浮ついてばかりで、地に足がついていない。
ひたすら底辺を歩んできたダークからすると、部隊長たちの尽くが、英雄と呼ぶに相応しい力を持ちながら、幼稚とすら言えるような夢見がちな足取りでフラフラと覚束ない足取りでふらついているのが我慢ならんかったんだろうなあ。面白いことに、ダークに「叱られる」ことで、部隊長たちは現実を受け止めたかのように、夢から覚めたみたいに、今までの自分とこれからの自分を省みて、地に足がついた様子になってるんですよね。
ダーク自身は、自分の言葉は誰にも届いていないみたいに思っているみたいだけれど、思いの外彼の言葉って芯を貫くように届いてるんだよなあ。フィーネなんか特にそうで、うん、ダークの意図は全く伝わってないんだけれど、意外と彼が本当に心の奥底で思い滾らせている想いについては、凄く伝わって感化されてる気がするんですよね。傍から見てると、フィーネってもうダークにべったりとなっているようにすら見えるわけです。
そんな二人の関係が一方通行で済むはずもなく、ダークの方もフィーネの愚直さにどうしても感化されていってしまっているのが、なんとなく垣間見えて、思わずニマニマ。ダークは相変わらず、聖剣団が元の姿を取り戻すにつれて疎外感を感じだしているようだけれど、カラス師匠の宣う通り余計な考えですし、むしろ彼自身思いもよらないようだけれど、疎外どころか主だった人物たちからするともうダークの存在って無視できないものにすらなっているのです。まあ、彼が中心核、とは間違っても言えないのですけれど。でももう、ダークなくして聖剣団はまとまらないところまで来ちゃってるんだろうなあ、これ。

とりあえず、ロナくんが男というのは、未だに信じられません。こんなに可愛い子が女の子のはずがない理論なのか、これが。

あと、死霊の島でダークが垣間見た過去の映像。そこでは、グラジスと思しき人物がこの島を訪れていた、ということがわかったのですけれど、もう一人、団長に同行している謎の人物がいたのですけれど……んんん?
これ、さり気なく重要な伏線なのかしら、もしかして。何故団長がこの島を訪れていたのか、など謎は明かされないまま次回に流れてしまった事は、余計に重要性を指し示しているような気がする。

そろそろ、大きく事態も動き出し合戦も勃発しそうな勢いなので、盛り上がってまいりましたよっと。

シリーズ感想

聖剣の姫と神盟騎士団 34   

聖剣の姫と神盟騎士団 III (角川スニーカー文庫)

【聖剣の姫と神盟騎士団 3】 杉原智則/Nidy‐2D‐ 角川スニーカー文庫

Amazon

聖剣団部隊長のスィー・ランの知らせを受けて湖の王国ベリンダを訪れたフィーネとダーク。ベリンダの女王が、失われた魂を呼び戻す神器「反魂珠」を託すというのだ。女王からその条件を聞いたフィーネは、スィーの忠告に反してすぐさま妖精族の“試練”に挑む。かくして黒魔術との因縁深い“ガクレオの城”に向かったフィーネたちだが、そこには神話の時代から続く恐るべき真実が待ち受けていた―!?
えええええーー!?(笑
いやいやいやいや、イアンとハスターさんなにやってんすか!!
よりにもよって復讐しに来た相手のダークに口先で誤魔化されて、良いように使われてしまう二人に唖然というか爆笑というか、アホだろうあんたら!!
カラー口絵に描かれていたフィーネとダークにハスターとイアンが加わった四人パーティーで怪物に立ち向かってる構図を見た時は、なんぞこれ、とあんぐりと口を開けてしまったものですが、実際の内容ときたらまさになんぞこれ、というチョロさで、もう「えええええ」と笑うばっかり。
ダークの口先だけで自分を恨みつらみで殺しに来た相手を指揮下に収めて、ダンジョン攻略の先兵にしてしまう手練手管も凄いけれど、それ以上にこの二人、頭が弱すぎる。いや、だからイアンは良いようにダークにあしらわれていたわけだし、ハスターさんはわりと切実に軍人として無能を晒してしまっていたわけだけれど。
でも、ダークを頭に据えてとりあえず戦うことに専念した時のイアンとハスターの強いこと強いこと。ダンジョンのモンスター群を殆どもろともしなかったことも大したものだけれど、あの竜もどきの凶悪な兵器を相手に曲がりなりにも太刀打ち出来ていたのは冗談じゃなく凄い。ダークがイアンをあれでも聖剣団の幹部連中に準じるぐらいの強さはあると評してますけれど、マジで一騎当百ぐらいは行ってるんじゃないだろうか。頭使わなかったら優秀なのねw
まあ頭の弱さについては、我らがヒロインのフィーネさんもあんまり変わらんレベルなので、ダークの苦労が忍ばれるばかりであります。最近のダークときたら、かなり切実にフィーネの教育か調教かわからんけれど、躾の必要性を痛感しているようですし。……でも、ちょっと前みたいに他人事で腰が引けていて逃げ出す素振りはあんまりなくなってるんですよね。フィーネと一緒くたにされることについても諦めているのもあるんだろうけれど、あまり嫌がらずについてきているようになってるし、フィーネの本心から求める事柄については先回りして手を差し伸べられるように立ちまわっているし。果たして、彼がどれだけ自分の立ち位置、立ちまわっている現状を理解しているかは不明だけれど。この捻くれ者は、自分の本心は持て余しそうだしなあ。
一方で、単純バカで鈍さ極まっているフィーネなんだけれど、今回わりと決定的なシーンで気づくべき所に直面してるんですよね。敵の手に落ち、精神的にも弱り、自分がどれだけ一人きりになることを恐れていたか、慕っていた兄を失った事への恐怖、母と決別してしまった事への悲しみ、そして聖剣団から次々に仲間たちが姿を消し、拠り所だった父親は魂を抜かれて居なくなってしまった。彼女自身が実感していた以上に、フィーネは孤独感を胸中にわだかまらせていたわけです。それが、渦中において顕在化してしまったまさにその時に、自分が一番つらかった時から今の今まで文句も言わず(フィーネ主観)、ずっと側にいてくれた人が居たことに気づいたわけです。そして、心折れそうになったまさにその時に、その人が自分を迎えに来てくれた。
これ、何気に決定的なシーンですよ。
フィーネの側からこれほどダークという存在を意識してしまうシーンはこれが初めてだったんじゃないでしょうか。
と、フィーネの視線がダークに向いたと時を同じくして、逆にダークはフィーネの周りに元の仲間たちが戻り始めて、逆に自分の居場所がなくなっていくような感覚に苛まれ、狼狽し始めてるんですよね、これ面白い構図だなあ。1巻で既にダークのこの迷走は予期していた所だったのですけれど、この男ホントに自分の居場所を作るの下手だったんだなあ。虚言だけで世渡りしてきて、自分すらもそれを信じて立ちまわってきただけに、集団の中で身の置きどころを持った事が今までなかったのでしょう。これって、結局自分でのたまわっているほど自分に自信があるわけではなく、むしろ自分が人の輪に入れない弱くてヘタレた人間だと心の奥底では思っているのではないでしょうか。ダークの自分を大きく見せようとする口上や発言は、自分を鼓舞している部分も多いんだろうなあ。
これはどうやら、ダークの方が腰引けて逃げに入る感じなので、ここは後ろ振り返らずに突っ走ってきたフィーネが今度は後ろ振り向いて逃げ出すこいつを踏ん捕まえて欲しいところです。ダークからの片想いってだけだと、やっぱり寂しいですもんね。

さて、今回はランの故郷である妖精族の国に訪れることで、これまであんまり知られていなかった神話の中の真実と、そこから帝国が黒魔術と関わった理由の一端が垣間見えてきて、どうやら黒魔術が皇帝の単なる趣味の産物と限らないんじゃないか、という可能性が出てきたわけだけれど、もう実家捨てて帝国出奔したイアンはともかくとして、愛する弟を帝国に残しているハスターさんはどう立ち回るつもりなんだろう。このままダークと関わりあうのはかなり危ない橋だと思うんだけれど。

杉原智則作品感想

聖剣の姫と神盟騎士団 2 4   

聖剣の姫と神盟騎士団 II (角川スニーカー文庫)

【聖剣の姫と神盟騎士団 2】 杉原智則/Nidy‐2D‐ 角川スニーカー文庫

Amazon

ダークとフィーネによる“二代目”聖剣団の活躍で、つかの間の平和を取り戻したラグナの谷。しかし、水面下ではカーラーン軍の新たな刺客が谷に潜入し、密かに活動を開始していた。ダークが偶然知ってしまったその驚くべき作戦とは!?時を同じくして、フィーネの耳に初代聖剣団メンバーの“竜殺し”ラッセルが谷に戻るという知らせが入る。だが、帰還したラッセルの周りには夥しい数のカーラーン兵がいた―!?
フィーネ、こっそり影で自分が名乗る字名を自分で色々と考えてた、って完全にお子様!!
この娘、思ってたよりもアホの子だ!!

コメディタッチになって従来とはだいぶ方向性が変わったな、と思った本作だけれど、やっぱりというか何というか、主人公が孤独なのは変わらないんだなあ。結局なかなかダークとフィーネが腹を割って本音で話せない関係のままなんですよね。主人公とヒロインだし、ダークはフィーネにとって殆ど唯一の味方ですし、何より別れ別れにならずおんなじ場所にいるにも関わらず、微妙に気持ちが通じ合ってないんですよね、この二人。
本来なら一番最初に心を通じ合わせるべき主人公とヒロインが、一緒の場所に立っているようで一貫して断裂している。
個人的には小悪党で今まで他人に心を許さず隙間をコソコソ這いずりまわって生きてきたダークに、心を開いて歩み寄るというのは酷な話だから、一途で生真面目なフィーネの方から内面に踏み込んでくるのかなあ、と思ってたんですよ。前作のビリーナ王女は常にオルバのことに想いを馳せながらもなかなか一緒に行動できないためにお互いに踏み込む機会がなかったんですけれど、此方は同じラグナの谷で活動しているわけですからね、機会は幾らでもあるのですから。
ところが!
このフィーネがビリーナと違ってあんまり深く物事を考えない娘だったわけです。ちょっと思い込みが強すぎるというか、脳内がお花畑というか、イメージ優先でわりと現実を直視しないところのある残念な娘なんだよなあ。だからか、ダークに対しても彼はこういう人間だ、というイメージを無邪気に作り上げて勝手に作り上げてその人物像を信じこんじゃっている、その上でダークを信じちゃってるんですね。
純心だけれどアホの娘なのです。
だから、本当の意味でダークの内面には踏み込んできていないし、そもそもそういう発想が生まれていない。
これじゃあ、気持ちが通じ合う関係なんてまだまだ構築できるはずもありません。
でもですね、でもですよ……それでも、彼女がダークを仲間として信じていることは事実であり真実ではあるのです。それが、ダークにとっては「とてつもない」事なのでしょう。気持ちが繋がっていなくても、その一点からはじまってダークの心を掴み始めている。それが最初の、彼と彼女の繋がりなのでしょう。
フィーネがいわゆるアホの娘で、自分を信じるのにちゃんと自分がどんな人間かも知らないでいるという事をダークは理解していても、それでも何の根拠もなく自分の事を信じてくれている相手というのは、彼にとってはもうなんかどうしようもないんだろうなあ。

前回はそれでもなし崩しでやらなきゃならなかったから、勢い任せに悪知恵を働かせて乗り切ってしまいましたが、今回は考えこんでしまう時間の余裕が出来てしまった為か、葛藤と自問自答を繰り返すシーンが多かった気がします。彼の小悪党の本質として、これまではややこしい場面に巻き込まれたらとっとと尻尾を巻いて逃げてしまったのでしょう。ところが、フィーネに施された剣の誓約によって、どうやったって逃げ出すことが叶わなくなった、つまりは退路がなくなったことでダークはこれまでになく真剣に、自分の身の振り方から何を規範にして生きていくか、フィーネを始めとする他人からの視線、関心、信望に対してどう向き合うかという事にちゃんと向きあわなければならなくなったわけだ。何しろ、逃げたら死んじゃうんですからね。なまじ知恵が回るものだから、彼はどういう状況においても軽快に逃げ出すことが出来てしまったために、真剣に物事に撃ちこむことがなかった。状況をその能力で打開しようという機会が訪れなかった、その真価は発揮される場面が訪れなかったのかもしれません。そう思えるほどに、情報の収集から分析、それに基づく作戦の立案から実行に至るまでのプロセスが、時間に余裕がなく行き当たりばったりであり非常にバタバタでありながら、結果だけ見るならば冴え渡っていました。大したもんですよ、実際。それ以上に、窮地を前にした時のダークの心境です。怯え後悔し歯噛みしながら、それ以上にこの危地を自分の才覚でひっくり返そうとしていることにワクワクと胸を高鳴らせている自分がいる。面白い、楽しいと感じている自分がいる。
これもまた、覚醒の一つといえるのかもしれません。
しかし、ラッセルを洗脳し利用しようという敵側の陰謀が大上段からの大仰なものだとしたら、ダークのそれは小賢しいくらいに狡っ辛い卑怯なやり方なんだけれど、それが相手の思惑を覆して戦況そのものをひっくり返してしまうというのは、やっぱり痛快です。三下の小悪党が並み居る英雄や謀将を手玉に取るというのは、カタルシスだわなあ。同時に、これまで立場や性格やら何やで手足を縛られていたフィーネが、ダークの手によって生き生きと羽ばたく姿は、見ていて気持ちよかった。親の前では雛鳥で、その庇護がなくなった時一人では何も出来ず雁字搦めで地面の上で丸くなっていた鳥が、ダークという繰り手を得たことで飛躍の時を得た。その意味を、彼女は果たしてどこまで理解しているんだろう。頭では理解してないんだろうなあw ただ、本質を見逃すような娘ではないんですよね、確かに。ダークの献策を彼を信じているとはいえ、かつての仲間と戦い自分の父親を囮に利用するような作戦を素直に受け入れるあたり、彼女の純真さは頑なさではなく柔軟さの方に振れているようですしね。多少卑怯でも気にしないアホの子、とも言えますがw
でも、思ってた以上にいいコンビですよ、この二人は。

アホと言えば、今回敵さんに思いっきり良いように利用された挙句にダークに利用し返されて、とにかくあんた利用されすぎだろう、と苦笑してしまうくらい自由自在に操られまくっていたラッセルさん。ここまで来ると面白いよ、この人。聖剣団の中でも一番物騒な人だと警戒していたのですが、ある意味フィーネよりもチョロい事が発覚したので、操縦が効いているうちは頼もしいだろうな、うん。ただ、ほんとに面倒くさい人なのでこの段階で谷にとどまらずに外に出てくれたのは、戦力アップと比べてもそちらの方が良かったんじゃないでしょうか。
妹とイチャイチャするのに、うるさい兄ちゃんが側にいたんじゃ気も休まりませんからね。

さらにアホと言えば、今回表紙になっていたダークの元上司のハスターさん。表紙に登場し、美人だし、かなりやり手の辣腕女将軍なのかと思ったら……あかん、この人ほんまにあかん。ぶっちゃけ、無能だっ!! 残念上司だ!! あんまり出来が良くなさそうな片腕が魔物の将軍のその下の副官、というのはまあまあ妥当な地位なんじゃないか、というかその地位でもあんまりちゃんと出来ていないんじゃないかという感じで。本人、苦労しているみたいだし、幼い弟に代わって男社会の中で頑張っているのはわかりますし、偉そうな態度の中に妙に愛嬌があるから、ついつい応援したくなるんだが……ちょっと出世は無理なんじゃないですか、お姉さん!!
ラグナの谷側の王子様も、裏で色々画策しているわりには底が浅いというか、ダークにあっさり騙されているあたり、知れてしまっているのですけれど、彼にも単純な野心じゃない事情があり、またこの人も妙に愛嬌があるので、この調子だと獅子身中の虫と見せかけて、さらに面倒で厄介そうに見えて実はチョロくて利用しやすい味方、というくらいの立ち位置になりそう、なにそれ面白いw

1巻感想

聖剣の姫と神盟騎士団 1 4   

聖剣の姫と神盟騎士団I (角川スニーカー文庫)

【聖剣の姫と神盟騎士団 1】 杉原智則/Nidy‐2D‐ 

Amazon

「おまえ、わたしのものになりなさい」「は?」お調子者の初級魔道士ダークは、無敵の傭兵騎士団“聖剣団”の若き女剣士フィーネによって、無理やり団員にさせられる。だがラグナの谷を守るその騎士団は、今や弱小の“二代目”となっていた!フィーネの下で聖剣団復活に付き合わされるダークだが、そんな矢先に禁断の黒魔術を操るカーラーン国の“魔軍”がラグナの谷に侵攻し―!?谷が危機を迎える中、ダークは思わぬ作戦に出る。
すっごいな、この主人公、筋金入りの「小悪党」だ! いやあ、面白かった。これまでの杉原さんの作品からすると恐ろしく方向性を変えてきているんだが、こんなコメディタッチの話も書けたのかと驚くくらい軽妙なノリの作品になっている。【殿様気分でHAPPY!】以来じゃないんだろうか、こんなノリの。
この人もデビューしてから十年以上経っている古豪と言っていいくらいの人であり、作風もだいぶ固まってきているんですよね。それを、此処に来てガラッと作品の雰囲気を変えてくるというのは大変だったと思うのですが、これは成功だったんじゃないかなあ。単にノリを軽くするだけじゃなくて、ちゃんと今まで培った質実剛健の戦記モノを書いてきた経験と、薄っすら仄暗く負の面に傾いた人間心理、即物的な欲望に基づく行動原理などの描写を上手く練り込んで下地にしているように見える。だからか、ノリとしては軽いにも関わらず、細かい所、目端の行き届きにくいところで非常に地に足についたしっかり固まっていて、薄っぺらい印象は髪の毛ほども抱かないんですよね。こりゃあ、上手くステップアップしたなあ、と。上手いこと作風としての枠を広げられたんじゃないでしょうか、これ。【烙印の紋章】も、それまでの作品に比べても随分面白みが増した良い作品になったなあと思ってましたけれど、新シリーズでもこんなふうに枠と中身をさらに充実させてきたとなると、作家としての可能性もどんどん高まり伸びていくんでしょうね。ちょっと本気で見逃せない作家さんの一人になってきたかも。

これまでの作品との大きな違いというと、やはりキャラクターでしょう。特に、この人の描く主人公というのは根源的に孤独であり他人を自分の内側に踏み入らせない事に特徴があり、だいぶその辺りが緩和された感のある、というか主人公の孤独さが打ち破られるか否か、というところにテーマの一つがあったと目されるのが前作【烙印の紋章】であり、その影響からか主人公とヒロインがなかなか一緒に行動することがなく、なかなか面と向かって触れ合うこと自体なかったんですが、今回についてはビックリするくらい一緒に行動することに。というか、フィーネのかけた仕掛けによって、離れたくても離れられないという間柄に。
大言壮語ばかりして狡っ辛く、しかし根っこは善良でお人好しな愛嬌のある憎めない小悪党である主人公と、無表情で根っからの生真面目で堅物で色々と不器用な分、わりと暴走もしがちというヒロインの組み合わせは、お互いに与え合う影響も含めて思いの外良いコンビでありました。尤も、主人公ダークは小悪党である分自己保身に長けており、それってつまり自分の胸の内を他人にはなかなか明かさない人間であり、本質的な部分には他人を立ち入らせず壁を作ってるキャラでもあるんですよね。その意味では、これまでの杉原作品の主人公像から外れているわけじゃないと思うのです。あんまりそうは見えないけれど、ダークもまた「孤独」さを秘めた主人公なのではないでしょうか。
その観点から見ると、彼が聖剣団の幹部連中の身勝手さによって「仲間」を蔑ろにしていること本気でイラつき、相応の報いを与えてやろうと動いた事は、誰も信用していないはずの「小悪党」が胸のうちに抱えている孤独さと仲間という存在に対する複雑な心境の一端が伺えてなかなか興味深かった。
面白いことに、彼の狡猾さとそこに密かに混じった本音は、今回バラバラに成ってしまった聖剣団の幹部の一人に、何らかの絆みたいなものを繋ぐ事に成功してしまう。この幹部連中も、実のところカリスマだった団長以外には誰にも心を開いていない連中だったんですよね。彼らの信頼は団長にのみ向けられていて、仲間意識というものは皆無に等しく、絆なんてものは一切ない脆い関係だったことが、団長が倒れた途端に団がバラバラになってしまったことからも明らかだったのですが、今回の一件で少なくとも人形遣いは、団長個人への信頼以外の、決して強くはないけれどフィーネやダーク、聖剣団という枠組みに対する絆みたいなものを意識させることに成功したわけです。特に今回の最初の一人、ケルヴィンが人間恐怖症のきらいのある本気で団長以外の人間には会話もまともに出来ない、というキャラだっただけに、そういう人間に団を守るという意識を植えつけたのは、団長にすら出来なかった大きな変化だと思うんですよね。もっとも、それを成したダークは全然自分のなしたことの意味を知らないし、そもそも彼は周りを利用して自分はのし上がるんだ、ということしか考えてないのですが。
つまり、ダークは自分の預かり知らぬ所で、フィーネとともに団長とは別の形で幹部たちと関係を結び、一つの起点によってのみ支えられた脆い形ではない新たな聖剣団を構築していく、という流れになるのだと思うのですけれど……そうなると、彼の周りに絆で結ばれた集団が形成されていくにつれて、その中心にダークは取り残されていくのではないでしょうか。ダークは、そこで否応なく自身の虚勢を意識せざるを得なくなり、自分の孤独さを認識せざるを得なくなる。どこまで行ってこそ、フィーネの存在が重きをなしてくるはずなのですが、ともあれまだまだ始まったばかり。先のことばかり思いを馳せても的外れな事になってしまうかもしれないので、この辺りでやめておいて、今はただ小物にすぎないダークの狡っ辛い悪知恵によって、本物の英雄たちがきりきり舞いさせられる痛快さを堪能しておきたいところです。
しかし、聖剣団の幹部連中って、あの状況で勝手に飛び出していくって、能力こそ高くても脳味噌はゼロと言われても仕方ないぞ。

杉原智則作品感想
 
11月26日

(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月25日

Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W

11月22日

(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス フラッパーシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスpixiv)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月20日

Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(GCN文庫)
Amazon Kindle B☆W

11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月18日

(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガブックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月17日

(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W

11月16日

(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W

11月15日

(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Gファンタジーコミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月12日

(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(宝島社)
Amazon Kindle B☆W


(星海社COMICS)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
Amazon Kindle B☆W

11月10日

(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W

11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W
11月6日

(角川書店単行本)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W


(SQEXノベル)
Amazon Kindle B☆W

11月5日

エンターブレイン
Amazon Kindle B☆W


(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(PASH!コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(PASH!コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon


(KCデラックス)
Amazon


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W

11月4日

(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(JUMP j books)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索