【肉の原見さん】  竹井 10日/あるみっく MF文庫J

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

お肉大好き原見さんは、肉以外愛せない!

「JCとメシを食いに行ってくれ!!」唐突に“未来の俺”を自称する老人が現れて俺に懇願してきた。もちろんこんな怪しい話には取り合わなかったものの、むりやり連絡用のアプリを入れられてしまった――ってなことがあったんだよね~、と幼馴染の原見に話すと何言ってるのかわからないという顔で行くのを止められる。当然か。でもどんなJCが来るんだか気になって当日待ち合わせ場所でアプリを開くと、指定の場所は高級焼き肉店。「お肉だね!?早く!! お肉だよ!?」そしたらお肉大好きな原見が超絶乗り気に!? 待て待ていくらなんでも怪しすぎるだろこれ!? だけどお肉が地球を救う!? 少し不思議なグルメラブ・コメディ、開幕


マジでただひたすら肉食ってるだけだったんですけど!?
そして、ただひたすら肉を喰うマシーンと化している原見さん。この女、幼馴染で八百屋の娘、という以外の情報がほぼ「肉を食う女」という以外皆無に近いんですけど!?
肉ならば無限に食える女。肉を喰う店に入って肉以外を喰うこと(特に野菜)へ憎しみに近いナニカを抱いている女(八百屋の娘)。肉の食い方については一家言以上のナニかを持つ女。あらゆる高級肉料理店の常連と化している女。肉について語らせたらいくらでも多弁になる女。肉を喰うためなら何がどう辻褄のあわない事態が起こっても気にしない女。
つまり、ただひたすら肉を喰う女、それが幼馴染の原見桃さんである。
……こいつ、主人公とどういう幼馴染関係なのかもちゃんと話題にあがってこないんですけど!?
いやこれ、主人公の美澄渚の家庭環境ってかなり錯綜したものになっていて、普通に幼馴染がいるのが若干疑問に思えてくるものでもあるんですよ。原見さんとの幼い頃のエピソードとか一切語られないし、隣に住んでるという環境でもなさそうだし。ちょっと謎があるんですよね。

そして、怪しい老人(自称未来の自分)の指定によって肉屋に初対面のJCと肉を食べに行ったことで……なぜか世界が改変されるという結果が!
肉食いにいったら歴史が変わっていて、肉食いにいった美澄くんと原見さんとJCの雛鶴の記憶だけが元のまま変わっていないとか、どういう理屈なんだ? ほんとに肉食ってただけだぞ?
これは肉屋に食いにいったことで因果が変わる、というわけではないのは、次の話で別の肉屋に別のJCペコリーヌと肉を食べた際には、すでにペコリーヌと出会っていた時点で時間軸がネジ曲がっていた事からも明らかなので、ほんとどういう事なの? という話なんですよね。

ちなみに、食べに行く肉屋は一話の鉄板焼屋、二話のシュラスコと両方実在のお店である。秋葉原の肉の万世タワー10階、って今は営業していないのか。
いやこれ、値段すげえんですけど! 自分の金じゃないからって、原見さん食いすぎなんじゃね!?と思うくらい高いんですけど。JC雛鶴があまりに値段の高さに震えが止まらなくなってますけど、こんなん学生じゃなくても震えが止まらんくなるわ! 
「シャトーブリアンのあとだと普通の黒毛和牛はデザート感覚で食べられるね!」
震えが止まらんくなるわ!
いやでも、肉スゲえわ。めっちゃ美味そうだわ、肉。考えてみると、こんなガッツリ肉食ってないわ、最近。料理の中に肉が入っているというのはそりゃ珍しくないけど、こんなガッツリ肉がメインの料理って食べてないわ。
読んだ時晩飯後だったのですが、あまりに美味そうな肉の焼き具合に、こう匂いまで漂ってきそうで肉の柔らかさと焼き加減が伝わってきそうな肉語りに肉を焼く描写に肉を喰うレポートに、肉……肉喰いたい! てなりましたからね。
まあそのあとで、こいつらの食べた料理の値段の総額を想像してヒュンとなるのですけど。特に原見、コース料理をハシゴてどういう事なの? ロースとヒレの食べ比べって正気なの!? ちなみに、コースそれぞれ2万円とか3万円とか超えております。最初の注文の段階ですでに三人前で10万円超えてたんですけど。それからどれだけおかわりした? マジでなんぼ掛かったんだ!?
そしてそういうのを一切気にせず、ひたすら肉を喰うことに傾注する原見桃の肉への凶暴なまでの食欲の恐ろしさよ。ちょっとでも邪魔すると殺されそうなくらいの殺気!
……この人、確かヒロインなんですよね? ガチで肉しか食ってないんだけど?

そして、二話目は別のJCペコリーヌちゃんと行くシュラスコというブラジルらへんの南米料理のお店。肉串! シュラスコって食べたことねーわ!
というわけで、常連の原見さんの案内のもと初体験のシュラスコ料理のお店「バルバッコア」での肉三昧! いや、どんだけ喰うんだよ!? いくら食べざかりにしても限度があるぞってくらい食べてるんですけど! 若者ってそんなに喰うのか? 異次元の原見さんはともかくとして、彼女に引っ張られて美澄とペコリーヌも尋常じゃなく食ってるぞこれ。あー、でもこんないろんな肉が次々と皿の上に来るとか、食べるわなあ、食べるよなあ。肉のラインナップがすげえですわ、美味しそうですわ。ジューーって肉汁が〜〜。

結構、展開としては驚きというか何事!? なことが起こっているはずなんですけど、そういうのを押しのけてなんかもう「肉!」でした。文字通り肉喰うだけでしたが、それだけ何となく満足感を与えてくれる非常に肉肉しい密度のグルメレポートでした。
主人公の美澄くんも、竹井作品の主人公らしくいつもの奇人変人なのですが、肉を喰う原見さんの押し出しの強さが尋常じゃないだけに、あんまり目立たない……というのは冷静に考えると狂気だなあ。
なんか、肉を食いにいかないと世界が滅びる的な未来が待ってそうなのが……え? 肉食いに行くのに原見さんを連れて行かない、というハードモードをクリアしないと行けないの?
肉食いに行くけど原見お前留守番な! とか、じゃあ死ね!でバッドエンド直行じゃないの? 普通に殺されて終わりじゃないの? 無理ゲーじゃね?
あと、さらっと巴御劔さんが登場していて、吹いた。ちなみにこの巴御劔という人は竹井10日作品の大半に登場する(名前が違う場合もあるが)非常に重要なキーパーソンである。彼が登場したということは、彼の干渉がある世界なのかこれ。

それはさておきなにはともあれ……肉、喰いてぇ。
人よ、人類よ、肉を喰え! という思想に染め上げられる肉ノベルでした。肉でした。


竹井10日・作品感想