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舞阪洸

幼女信長の異世界統一 ★★★   



【幼女信長の異世界統一】  舞阪 洸/tef エンターブレイン

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第六天魔王、幼女の姿で異世界に降臨す!

本能寺で炎に包まれた信長は、寺内に運び込んであった火薬の誘爆によって粉々になった。
しかし、肉体は四散しても、魂は消えなかった。
信長の魂は爆発の衝撃でその肉体を飛び出し、異世界へと運ばれてしまったのだった。

異世界に落ちた魂は、今まさに死なんとしている瀕死の者の体に飛び込んだ。
その者の名は、ロゼリア・ロマネスコ。地方領主ロマネスコ家の長女だった。
そして転生したことを受け入れると同時に当主である父親が討ち死にしたとの報せが入る。
息つく間もなく、彼女は報復のために軍を率いて戦いに赴くのだった――。
舞阪さん、以前に信長を主人公に、それもまだ青年時代の若い頃の信長が記憶喪失になって異世界に召喚されて、みたいな話を書いてたんだけど、また信長主人公でというの本当に信長好きなんですね。
とは言え、同じ信長でも前作の信長とは別の人みたいで正史の信長が転生して幼女に、という話らしいのでちょっと残念。前作、レーベル違うからまず無理だろうけど、戦国日本に戻ったナーガが再び転生して、というのも面白そうだったのだけど。
さても、本能寺で死んだはずが目覚めてみたら幼女と化していた織田信長。まだ状況もはっきりと把握していない所で、ロマネスコ家当主である父が戦死してしまったという一報が入り、領地は大混乱に。
いきなり幼女の身の上で家中を取りまとめなくてはならなくなった信長ことロゼリア。さらに、ロマネスコ勢を破った隣家が、勢いのまま攻め寄せてくる。なかなかどころじゃないハードモード。実質、詰みとしか言えない状況からスタートさせられたロゼリアの未来や如何に、てなもんで。
ある意味色々と思い悩む暇もなく悪化し続ける状況に対処せざるを得なくなったのは、むしろ好都合だったのかもしれない、ロゼリアにとっても。異質な存在と化した幼女に、勢いのまま呑まれ従うことになる家中の面々にとっても。
まあロゼリアとしては、不本意な状況だったでしょう。織田信長の戦の仕方というのは兎にも角にも準備段階で勝ちを確定させてから動き出すのが必定。そのためには時間をじっくりかけて慎重に我慢強く粘り強く天秤を傾けていくのが信長のやり方と言えましょう。
でも、彼の人生の中でもそう悠長なことを言っていられなくて、主導権を相手側に握られたまま状況が悪化していくことは侭あったわけです。
そういう時、信長という人物は凄まじくアグレッシブに拙速果断に動き出すんですよね。ここはじっとしていては詰まされる。状況を打開するにはとにかく自分から先頭に立って動いて雪崩を打って崩れていく展開を食い止めることが出来ない、と判断するとべらぼうなフットワークを見せるのである。
桶狭間はあまりにも有名だけど、作中でも語られている天王寺砦を巡る戦いでの果断さには眼を見張るものがありました。本願寺勢に攻められ今にも落とされそうになっている天王寺砦に、一報を聞いた信長は即座に出撃して、かろうじてついてきた100前後の騎馬だけを引き連れて包囲網を突き破り、砦に入城するや兵を鼓舞して今にも陥落しそうだった砦を、援軍が追いついてくるまで支えきって見せてるんですよね。
この時、天王寺砦が陥落していた場合、畿内から一気に織田家が追い落とされてもおかしくない、一種のポイント・オブ・ノーリターンがここだった、とも言えるだけに、自ら先頭に立って織田軍の崩壊を防いだ信長のそれは、前線指揮官としての才能もこれ際立ってたんじゃないかな、と思えるところなんですよね。

そして、危急に見舞われたロマネスコ家にあって、信長が転生したロゼリアは天王寺砦の時を彷彿とさせるように、ひたすらに迅速果断、疾風迅雷のように速く激しく動き立ち回り続けるのである。
実のところ、このときのロゼリアの動き方って天下人のようなどっしりとしたものではなく、戦国武将としての覇気と巧緻、武人としての迫力と戦国を渡り歩いたものとしての奸智を想起させるもので、特段「信長」を意識させるものではないとも言えるんですよね。
信長の来歴に当てはめて、ロゼリアが選んだ手段を色々と解説説明はしていますけれど、ある意味優秀な戦国武将なら嗜みで習得しているだろう手段や考え方とも言えますし。

ただ、幼女になっても消えないその武威。幼子を前に、大の大人がみな萎縮するほどの覇気。これこそが、天下人の貫目というものなのかもしれません。
本来ならどう転んでも絶体絶命を通り越して、王手あるいはチェックメイト以前にもう勝負が成立していない、投了が済んだあとだろう、というようなところから、家中を一気にまとめ上げ敵軍に一発ぶちかまし、領地を掌握していくその手練手管の見事さと迅速さは、描写の質実剛健とした巧みさと安定感もあって非常に面白かった。舞阪さんの戦記物はなんだかんだと戦争描写がどっしりと落ち着いているので読み応えあるんですよね。
しかし、身内にこれといった将帥がいないのが玉に瑕、と思ってたらとんでもない所から槍が飛んできた。いや、有能切れ者大人物がみんな女性に偏っちゃってしまったのはこれ大丈夫なんだろうか。
そもそも、信長さん女になってしまったことについてまだちゃんと落ち着いて考えてる暇なかったからあんまり真剣に考えてないみたいだけど、将来どうするつもりなのかねえ……いや、この人生きた時代背景的にも男もいける口だったか、そう言えばw

取り敢えず喫緊の侵略の危機は回避できたようなので、ひとまず落ち着いて領国の運営の方に力を傾けることが出来るのかしら、これ以降。

舞阪洸・作品感想

(株)SMサービス 斬れない剣士・海東雷士郎の護衛メイド派遣業 ★★★   

(株)SMサービス 斬れない剣士・海東雷士郎の護衛メイド派遣業 (Novel 0)

【(株)SMサービス 斬れない剣士・海東雷士郎の護衛メイド派遣業】 舞阪洸/ みかわや Novel 0

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Kindle B☆W

日々の警護からから掃討戦<おそうじ>まで。SMが舞う剣戟アクション!
国家試験に受かれば「武士」の資格を得て帯刀できる現代日本。
剣の才を持ちながら、血が怖いという欠点を抱える主人公・海東雷士郎は、病床に伏した父の代わりに、家業の護衛会社の社長として美人剣士4人と働くことになった。
しかし、信用が物を言う護衛業界で新参の若社長では相手にされない。どうしたものか、と頭を悩ませる社員達の前で雷士郎が提案した起死回生の一手は……全員メイド服で仕事をすること!?

帯刀できる現代日本、というと舞阪さん他にも幾つか同じ設定で作品出しているのだけれど、これって全部世界観共通してるんだろうか。メインヒロインの美月からして、天心無明流という流派の剣術を使うのだけれど、これ他の作品でも共通してるんですよね。

ただ、レーベルがちょい大人向けと自称する「Novel 0」であるせいか、結構な勢いでずんばらりんと胴体が両断されたり頭蓋が縦やら横やらにパカンと割られたり、脳漿が飛び散ったりと描写が他のライトノベルレーベルで書かれたシリーズよりもより生々しくなっている感あり。剣戟アクションそのものは、剣術の理合重視かつスピード感あるもので活劇として見応えあるものでありまして、強敵と決闘形式というよりも、有象無象が退去して押し寄せてくるのをバッタバッタと切り捨てていく、というある意味正しく古き善き殺陣の舞とも言えるのかしら。
でも、現代日本でこれだけバッタバッタと切り捨てるような戦闘がけっこう頻繁に起こる、というのは凄まじく治安に不安があるんですけどね! そもそも、常日頃からこんなガチの切り合いをする民間警備会社が繁盛している、という時点でどれだけ襲撃事件起こってるんだよ、という話ですが。警察の登場は事が終わったあと、となっているみたいですし。
さながら、現代版吉良邸討ち入り、みたいなのがあっちこっちで起こってるってことですしねえ。
警備会社の社員の死傷率、めちゃくちゃ高そう。でも、作中の様子を見ていると警備会社の社員やってる人間と、襲撃側に雇われる傭兵とでは力量の差が相当ありそうなんですよね。仕事のたんびに社員が怪我したり再起不能になったり死んだりしてたら、会社そのものが成り立たんでしょうしね。
それでもまあ、普通のところは少なからず死傷者出てるんでしょうけれど、本作の主人公となる雷士郎の会社の美人剣士たちは新卒採用の1人を除いて、全員凄腕揃い。ってか、他の子らとは何段も腕が落ちると評されている新卒の子ですら多対一でも怪我なく立ち回れてるのだから、これはもう味方がピンチになるのをハラハラして見守る云々はないものとして、とにかく有象無象をメイド剣士たちがずんばらりんしまくる痛快活劇、として弁えておけばいいんじゃなかろうか。
にしても、だ。メイドの格好をしているとはいえ本当に格好だけでメイドの仕事をするわけじゃあないんですよね。あくまで護衛の制服としてメイド服なだけだし。これは戦闘メイドのカテゴリーに当てはめていいものか。単なるコスプレじゃん、と入れると否定出来ないぞ。
まあ戦闘力に関しては折り紙付きの(株)SMサービスですが、お世辞にもこう、会社運営というか仕事の精度に関しては高いかというと怪しい感じなんですよね。情報漏えいをはじめとして、かなりバレたらそれアウトじゃないの、という失態が幾つかありましたし、そもそも若社長代理の血がダメって設定、かなりまずいんじゃなかろうか。あれ、会社として致命的に信用落としそうなんだよなあ。
結局、完全にドツボにハマったのを、自前戦力の力押しで強引に押し切った、という体でしたし。
若社長、営業方針の転換は必要だしなんかやらかしてやんぜ、という意欲というか野心はいいんだけれど、足元固めないと綱渡りだぞ。部下は若の判断仰がずに独断専行しちゃってるし。
女性比率は高めだけれど、ちゃんとしたヒロインは美月さんだけっぽいなあ。最初から主人公に乙女心全開、というのはけっこう作者の作品の中では珍しいかも。ただ、乙女していると言っても中身は自堕落・ギャンブル狂のダメ人間なのですが。人を斬るの大好き!という性癖が全然無いだけでも大いにマシなのかもしれませんが。
しかし、こんな少人数の会社で株式会社なの!? と思ったら、最近の会社法では取締役1人からでもなんとかなるように改正されてたんだなあ。まあ、世界観そのものが実際とは大きく異なってる社会なので、法律も全然異なるのでしょうけれど。

舞阪洸作品感想

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 8 3   

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 (8) (MF文庫J)

【落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 8】 舞阪洸/よう太 MF文庫J

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旧教会“最凶”と名高いグリスタン率いる神の旅団との激戦の末、かけがえのない仲間を失いながらも勝利を収めた魔女・カサンドラ王国連合軍。さらに大陸本土での新教会・旧教会の争いが激化したことで、半島の情勢は徐々に魔女達にとって有利に傾き始めていた。そんな中、カサンドラ王国から半島の地盤固めの助力を、レンスールの街からは敵対する大陸の商業都市・エゥラニアの攻略を依頼されたナーガ率いる魔女軍。「今こそ魔女達が打って出る好機」と捉えたナーガは同時攻略を提案。半島諸国と大陸本土を同時に相手取る、大規模な両面作戦が幕を開ける―!戦いの舞台は大海原、そしてついに大陸へ!大ヒット戦乱ファンタジー、震天駭地の第8弾!
この段階で、圧力かけてくる側だった大勢力の教会が、旧教と新教の抗争に入って半島に手を出す余裕がなくなった、というのは大きいなあ。このあたり、完全に運ですし。本来の戦国大名だと、こういうケースは往々にして裏で糸引いてたりするんですけどね。ナーガにはその余裕はなかったですし。
とはいえ、機を逃さずここで畳み掛けるように勢力圏を広げていくのはさすがというべきか。しかも、軍事制圧ではなく経済協力と外交圧力という手段を選んだのは、勢力圏を広げるためのスピードも然ることながら、武力以外の部分で魔女という存在を浸透させていくには大いに効果あるんですよね。魔女=強い、怖いというイメージを覆すには、まず魔女たちが人間たちとそんなに変わらない存在である事を知ってもらうことが必要である、という認識からなんだろうけれど、ナーガのその辺りの方針は首尾一貫していると言っていい。
その意味では、人間と魔女の橋渡し役だった「彼」の役割というのは既に終わりを迎えていたんだろうなあ。勿論、彼の能力からしてそこからさらに発展させた、人間の軍隊と魔女を一緒に運用できる指揮官というナーガの代役を担えるだけの器だっただけに、勿体ないってもんじゃなかったんだけれど。今のところ、ナーガ以外にこれが出来る役者はいないわけですしねえ。
ともあれ、カサンドラ王国の人々を含めて、レンスールなど魔女とふれあうことになった半島諸国の人々は魔女に対する認識を徐々に変えられていくとともに、魔女の方も初めて味わう人間たちの友好的なコミュニケーションに対して打ち解ける様子を見せ始めている。これは、魔女という存在の神秘性や未知であるが故のアドバンテージを失うことで、その特別性もいずれ消失させてしまうことを意味しているんだろうけれど、さて魔女たちは本当の意味で自分たちが今までのように「魔女」で居られなくなる社会へと進出しはじめていることに、果たして気がついているんだろうか。
今のところ、生き残ることが優先であることとナーガへの信頼感から、その辺思考停止しているというか、まったく将来の自分たちの在り方というものに考えがめぐっていない気がするんだが、大丈夫なんだろうか、とふと心配になってしまう瞬間もある。もしかしたら、その辺を一番真剣に考えることになるのは、ユウキということになるのかもしれないなあ。人間と魔女の関係について、はからずも人間嫌いだった彼女こそが一番、様々なことに直面したことで考えることになったわけですし。今のところ彼女だけが、ナーガがそう言ってるから、じゃなくて自分の頭で自分の体験を咀嚼し、人間と魔女の将来の在り方について結論を……少なくとも、スタンスを決めたような感があるので。

シリーズ感想

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 7 3   

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国VII (MF文庫J)

【落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 7】 舞阪洸/よう太 MF文庫J

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レンスールの街で五会頭との会談を終え、ついに“魔女の国”を建国したナーガたち。国都の補強、新たな魔女の一族の勧誘、レンスールの街の商館の設立、エインの砦の維持と、やるべき事が山積みの中、旧教会がカサンドラ王国を異端として討伐するという報せが届く。カサンドラ王国が滅びれば明日は我が身―早くも訪れた“魔女の国”の存亡の危機を前に、ナーガはカサンドラ王国との同盟を提案する。次なる敵は、“最凶”と悪名高きグリスタン率いる第七旅団を含む旅団三個。敵方の兵力は味方の三倍という状況下で、ジュエルジュードと並び称される戦上手を相手取り、凄絶な戦の火蓋が切って落とされる―!大ヒット戦乱ファンタジー、覇道開幕の第7弾!
こ、これはまた思い切った展開へと舵切ったなあ。これはまったくの予想外。フラグとか全然感じ取っていなかった。今となってみればフラグだったのか、という話や設定もありましたけれど、正直あの人に関しては替えが聞かないという意味では、ハリガンやヴィータの族長たちよりも重要な立ち位置だと考えていただけに尚更に。
ギリギリなんとか、実利面でも感情面でも将来に向けての筋道は立てられたものの、これはダメージでかいですよ。一応、後継者候補というべき人材は確保出来てはいるものの、まだ顔合わせが済んだくらいの段階で仕事にしても想いにしても、きっちりと継ぐだけの時間がまるでなかったのが気がかりといえば気がかりなんだけれど、当初の段階に比べると人間側も魔女側も受け入れ体制はかなり整ったといえるので、本当にギリギリ滑り込みセーフ、と言ったところか。それでも、ナーガからしたらとてつもなく痛いはず。ただの部下である以上に、奇跡のように巡りあった同志だったもんなあ。
とはいえ、そのへんの人死の割り切りについては、戦国時代の人間だけあっていつまでも引きずらないのはさすがである。失われたことを惜しみながら、その死に様を見事と賞賛する精神性こそ、戦国時代の人間だわなあ。
ユウキはいつか痛い目みるとは思っていたけれど、ここまでギッタンギッタンにされるとは思わなかった。これも予想外。自業自得の自分が傷つく形で終わるならまだマシだったのよね。でも、自分の増長した考えが死ぬ必要のなかった味方を死なせてしまったのだから、これはダメージデカイわ。
でも、面白いことに彼女の暴走に等しい行動は、結果的に見ると偶然なんだけれど味方の戦線の崩壊を防ぎ、負け戦になりかねなかった状況を辛うじて支え、勝利へとつなげる重要な鍵となりえているわけである。
彼女が調子に乗って無茶しなければ、この戦、負けてしまっている可能性が高かったんですよね。この一筋縄ではいかない行動と結果の因果は、なるほど戦場という混沌をよく表しているなあ、とちと感心した次第。
そして、単に戦場の勝敗のみならず、ユウキの暴走とその代償によって現出した光景は、魔女と人間の歴史においてのターニングポイントにもなったのかもしれないわけで。単に損得のみによって結ばれていた旧教会に対する魔女たちとカサンドラ王国の共闘だったものが、それ以上のもの、個人個人の人の心に新たな時代の火を灯した転換点だった、という意味できっと無駄ではなかったのだと思いたい。
ユウキも、これで大いに覚醒しそうだし。

シリーズ感想

夜姫と亡国の六姫士 4 3   

夜姫と亡国の六姫士IV (ファミ通文庫)

【夜姫と亡国の六姫士 4】 舞阪洸/こ~ちゃ ファミ通文庫

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「勝利は、未来は、吾らのもの。吾は、運命すら変えてやる」

来るべく大戦に向けて、復興軍とバイデリュウヘン軍の動きは活発さを増していた。決戦の地では剣姫士アイオリスが胸を弾ませ、真相を知った忍姫士カオルゥは沈痛な面持ちで顔を伏せる。
そして夜姫は、持てる力のすべてを投入して、リーザとの最終決戦に赴く。バイオレッタ王女の悲願、祖国の完全なる復興を目指して――。
果たして新エルゲン王国は勝利を掴むことが出来るのか? そして夜姫が辿り着いた未来とは!?
戦いと裏切りのハイ・ファンタジー、堂々終幕!
てっきり最初から短くまとめるつもりなのかと思っていたら、実質の打ち切りだったのか。短めのシリーズの予定だと思っていたので、この巻で夜姫の戦いは悲劇的な結末を迎えてしまう、という展開で締めると思っていたので、むしろリーザとの最終決戦は予想外の流れでした。
リーザが勝つと思ってたもんなあ。そこから、夜姫の正体も露見して復興軍内で内紛が始まって……みたいな、崩壊エンドが頭のなかにあったので、ちょいと夜姫の切れ味が想像以上だった。これ、アイオリスなんかも絶句してるけれど、本物よりも作戦家として上回ってるんじゃないのか。予想外の事態になったら脆さでも見せるかと思ったのに。
ちなみに、夜姫の正体については思ってたのとはちょっと違ってたなあ。いや、スナイデルッラにしても暗示系の魔法かなんかで成りきりを補助しているかなんかはしていると思ったので、まさか何にもしてなかったとは。よくこれで、作戦面なんかも丸投げ出来たもんだ。普段の立ち居振る舞いなんかは、いつも一緒にいたら特徴や仕草なんかを似せて上手いこと真似る事は出来るかもしれないけれど、戦略眼や作戦立案能力、戦術指揮能力というのはいつも見てたら真似できたようなものでもなかろうに。幸か不幸か、当人に本物以上の能力が眠っていたようだから良いものを。
これだけ不安要素を抱えていながら、アイオリスが親友であるスナイデルッラ以外に相談せずにこの「夜姫」を実行に移してしまったのって、実はバイオレッタ姫の側近である六姫士って仲悪かったんだろうか。そんな素振りは見えなかったけれど、少なくとも大事な秘密を打ち明けて共有して一緒に背負えるような信頼は、お互いに持ってなかったとしか思えない。
コルネリアゥスなんか、あれ自分に真相を打ち明けないまま「夜姫」をでっち上げた事が気に入らないとしか見えないもんなあ。姫様を勝手に名乗りやがって、と怒っているようだけれど、もし彼女がその場に居てこの案を打ち明けられてたら、とても反対したとは思えないし。
まあ、リーザを追討した後の夜姫は、何やら暴走を開始したようなので、王家の為に敵対する理由は漏れ無くついてくるわけですけれど。
あ、女医さんについてはあれはどう見ても自業自得としか思えない。一番大事な時期にこそこそと身辺嗅ぎ回られたら、怪しいなんてもんじゃないし。

展開そのものは面白かっただけに、ほぼ舞台を整える序章の段階で終わってしまったのはドロドロの内紛劇や破滅劇もお目にかかれないままだったので、残念といえば残念か。肝心の六姫士が、半分近くろくに出番もないままだったしなあ。

1巻 2巻感想

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 53   

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国V (MF文庫J)

【落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 5】 舞阪洸/よう太 MF文庫J

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旅団長ジュエルジュード率いる旧教会の最新鋭部隊“八八旅団”の圧倒的な力を前に初の敗北を喫し、エインの砦へと逃げ帰ったナーガ一同。しかしナーガは「旅団攻略の突破口は見えた」と断言する。一方、敵を奇襲するために結成された別働隊のレラ一行は、ハリガンが信頼を寄せる魔女、ランジュに別働隊への参加を要請するため、黒い森へと足を運んでいた。更にライバッハが連れ帰った奴隷も加わり、魔女の戦いは、新たな局面を迎えようとしていた。果たしてナーガの企てた奇襲とは。そして、最強の討伐軍を打ち倒すための突破口とは―。魔女の全てを賭けた総力戦の幕が、再び切って落とされる―。大ヒット戦乱無双ファンタジー、疾風怒涛の第5弾!
ライバッハがじみ〜〜に有能だよね、これ。ナーガは指揮官としてあれこれ方針や指示を打ち出すとして、それを実行して実現するのは当たり前の事でも相応の能力が必要なんだけれど、彼は卒なくこなしてるもんなあ。言われた通りのことをちゃんとやってくれるって、地味にありがたいものよ。魔女連中は、一芸に特化している分、細かい統率とか手配りとか苦手そうだし。単なる男の部下という以上に、ライバッハは拾い物だったんじゃないだろうか。
さて、一敗地に塗れたものの、幸いにして大した被害らしい被害も受けずに撤退できたナーガたち。戦闘に負けても戦争には負けなかった、と言われるナーガさんですが、そのせいか戦闘指揮官としてはあんまり評価されてない気もします。戦歴見ると、決して悪くないのにね。まあそれ以上に戦場に至るまでの手腕が傑出しているが故に、評価が偏ってしまっているのかもしれませんが。軍団を率いる戦いは元より、一向宗との戦いなどでは率先して大暴れしているところなど見ても、少数率いて最前線近くを駆けまわる類の戦闘指揮にも適正があったのかもしれません。その意味では、この作品におけるナーガの立ち回りにもなかなかしっくりくるものはあるんですよね。まあ、戦場で小細工巡らせるタイプとは思わないのですけれど。
でも、実際のやり方は全然異なっていますけれど、今回の敵の動き、敵の規模、到来のタイミング、戦場となる場所を完全に思惑通りにコントロールして見せたところなど、長篠合戦に相通じるところがありましたし、こういうところが大戦略家としての彼の手腕の萌芽なのでしょう。ここで旧教会の突然の介入から旅団の壊滅、そこから波及していく各国の動きや影響までシナリオどおりだった、というレベルになると謀神・毛利元就級になるのですが、さすがに異世界に迷い込んで国際情勢についても詳しくないナーガにそこまで求めるのは「今の段階」では酷というものでしょうけれど、もう少しちゃんと人間界の情勢について詳しい情報が入るようになれば、さてどうなるか。仕掛けは幾らでも出来そうだけれど。今回の戦果は、人間界側の混乱だけではなく未だ静観している魔女界にも影響は大きいはず。素直に味方してくれればいいけれど、話を聞く限りスレイマーヤ一族と違って他の魔女族とは対立している部分も少なからずあるようだから、さてそう簡単には行かないはず。ナーガが人間と魔女の融和した国を目指している以上は尚更に。
しかし、魔女は基本裸族だよなあ。なのに、全裸は恥ずかしいのか。

舞阪洸作品感想

ロムニア帝国興亡記 2.風車を回す風3   

ロムニア帝国興亡記II  ─風車を回す風─ (富士見ファンタジア文庫)

【ロムニア帝国興亡記 2.風車を回す風】 舞阪洸/エレクトさわる 富士見ファンタジア文庫

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帝国全土を駆け巡る“皇帝崩御”の報せ。ある者は己の正統性を掲げ、またある者は野望のため、あるいは大義のため―群雄たちが立ち上がる。一方、その群雄に埋もれる“うつけ皇子”サイファカールが示した指針とは、皇太子に叛旗を翻す者を討ち、反乱の意思をみせず、密かに勢力の拡大を図ること。だが、それには大きな問題―圧倒的な兵力不足があった。「少数でも問題ない。さて、皆には侍女服を着てもらうおうか」突然始まるステラステラ、リ・イン、ネムネモの侍女修行。“うつけ皇子”の狙いとは?それとも、ただの思いつき?群雄たちが野心を明らかにする時、帝国の興亡が決する!?

皇帝崩御、場合によっては皇帝自身の何らかの策謀かとも推測したのだけれど、この事故の状況鑑みるに完全に不慮の事故じゃないですか。皇帝一人だけが事故死したならともかく、外国要人含めて閣僚クラスや近衛の人間にも犠牲者が出ているとなると、自作自演はちょっと疑えない。
となると、本格的に混乱がはじまってしまうんだけれど、事故後の対応を見ていると皇太子サイドの動き方が本当に最悪に近いのがわかる。うーん、こればっかりは現状認識の問題なんだろうけれど、皇太子はこれ、各地に散らばっている自分の兄弟や麾下の将軍を敵と認識、或いは危険を判断していなかったんだろうな。危機感をまるで持っていなかったが為に、凄まじい勢いで後手に回りつつある。本来なら、皇太子という立場は図抜けたアドバンテージで、それを利用して圧倒的なまでのイニシアティブをとり続けて、他の兄弟達が変な動きをする前に問答無用でねじ伏せる、そもそも反乱の芽すら芽吹かないような率先した立ち回りが、皇帝の死という情報をいち早く握っていた彼には出来たはずなんですよね。他の連中が皇帝の死を知った段階で、もう既に身動きが取れない、下手なことをスレば即座に潰される、くらいの状況を作り出すことは立場上できていたはずなんだが……そういう立ち回りが必要という認識すら持ってないようじゃあ、そりゃどうしようもないわなあ。宰相も、皇太子を動かせないにしても、自分の権限のうちでもほぼ何もできていないという時点でフィクサーとしては失格。お陰で、あっちこっちで様々な勢力がくびきから解き放たれて自由に動き出したわけだけれど……その中でもサイファカールは皇太子どころかほぼ誰からも脅威として認識されていないが故に、一番自由に立ち振る舞える立ち位置に、地理的にも勢力的にも情報的にも立っていたわけですね。この場合、下手に兵数や支配地域が大きくなるのは目をつけられて横槍を入れられる分、不自由さを増すばかりで、むしろここで彼は矮小であることを逆手に取って、一番高い位置から先手先手で手を繰り出し、大戦略の壇上にほぼ唯一あがって、情勢に介入、操りだすことに成功しているわけです。
繰り返しになりますけれど、現状では勢力が小さいことそのものは殆ど意味ないんですよね。まだ、一応表向きは帝国は存続していて、戦時には突入していないという建前ですから、まだ今のところ大軍を自前で動員できるというのは絶対的な意味を持つわけではないのです。帝国という枠組みの権威と秩序はまだ崩壊していませんからね。この点をサイファカールは正しく認識していて、彼の配下たちは既に帝国は崩壊したものとして捉えているがために皇子の思考に対する深い理解がなかなか及ばず、逆にドゥールドォール将軍は激変しつつある帝国の現場に認識が追いついていない、或いはしがみついているがために、これまでどおりの行動規範、判断基準で動いたが為に、サイファカールの戦略にうまいこと組み込まれることになったわけです。
この、視点のあり方でコロコロと同じものを見ていても全く違って見えている様子は、傍から見てると面白いなあ。
さて、とはいえ帝国の秩序の崩壊は既に秒読み段階。皇太子が動かず、各地の皇族たちが野心をむき出しにして動き出した以上は、一挙に乱世さながらの様相に逆戻りなのは必定。とはいえ、まだ大義名分が機能しているのはロキシーヌが皇太子打倒ではなく、宰相の排除を名目に掲げて決起したことからも明らか。そして、サイファカールはとりあえず体制側にあって秩序を回復するという名目で利用できるものは限りなく利用し尽くす、という立場を取るようなので、馬鹿正直に決起する連中に比べてそりゃもう、口八丁手八丁の性格の悪い立ち回りを見せてくれそうで、いろいろな意味で楽しみです。こいつは作者の手がけた主人公の中でも特に容赦や甘さのない野心満々の腹ぐろみたいなので。

1巻感想

夜姫と亡国の六姫士 2   

夜姫と亡国の六姫士II (ファミ通文庫)

【夜姫と亡国の六姫士 2】 舞阪洸/こ~ちゃ ファミ通文庫

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茨の道も恐くはない。たとえ茨の棘にこの身をずたずたに切り裂かれようとも。

バイオレッタは新生ヨルゲン王国の樹立を宣言した。しかしその直後に――希望の光は失われてしまった。
あまりにも呆気ない最期に慟哭する剣姫士アイオリス。兵や住民に真実を明かせば今までの戦いの意味は失われ、復興への道のりは瓦解する。そしてなにより王女の念願を叶えることが出来なくなる。
そこでアイオリスは一つの決断を下した。
王女を黄泉の国から蘇らせる――すなわち、依り代をつかって王女の魂を召喚するのだ、と。
戦いと裏切りのハイ・ファンタジー、待望の第二巻!
うわぁ、そうきたか。あらすじを読んで、え?バイオレッタ復活するの? と拍子抜けしたのも束の間。事態は思わぬ展開へ。



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ロムニア帝国興亡記 1.翼ある虎3   

ロムニア帝国興亡記I  ─翼ある虎─ (富士見ファンタジア文庫)


【ロムニア帝国興亡記 1.翼ある虎】 舞阪洸/エレクト さわる 富士見ファンタジア文庫

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帝国の“うつけ皇子”サイファカールに辺境長官赴任の勅命が下る。次代皇帝の座を巡る政争と陰謀が渦巻く宮廷から放逐され、歴史の影に埋もれるものと誰もが思っていた。
だが―「帝都より伝令!一刻を争う事態とのこと!」突如としてもたらされた、世界帝国の命運を揺るがす報!
「この後、帝国は大いに荒れるだろうね。それを食い止める」
サイファカールの才を信じ、ともに立ち上がる盟友たち。「見てみたい、この方の行く末を。この方の戦いを―」“うつけ皇子”か?それとも“希代の英雄”か?野に放たれた虎が帝国の運命を大きく変転させる興亡記、いま開幕!
古くからずっとファンタジー戦記を書き続けてきた舞阪さんにとっては、昨今の戦記ブームはまさに隆盛期の到来てなもんで、あっちゃこっちゃのレーベルで戦記モノを立ち上げているわけですけれど、その中でも本作はかなりガチンコの戦記モノを目指している様子が伺える。
そもそも、主人公の皇子が相当に野心家でやる気満々ですからね。最初から天下を目指している虎の相を持つ主人公は今までの作品の中でも珍しい部類。もっとも、既に天下は彼の父親の手で統一され、乱世にこそその能力を煌めかせるだろうサイファカールの資質は、平和になった世ではむしろ波乱の目になるものであり、サイファカール自身、爪を隠し愚か者を装うことで自分を守る事に終始していて、とてもじゃないけれど野心をひけらかすなんて出来ない現状であり、彼自身も生き残ることを最優先として、のし上がることについては半ば諦めていたと言ってもいい。
そんな中で、彼の父である皇帝が異民族の侵入に脅かされる辺境へと彼を遠ざけたのは、彼自身が語っているように親の愛情なんだろうなあ。サイファカールから持っているものを全部引き剥がして身一つで放逐したように見えるけれど、虎は野に解き放たれてこそ虎足り得る。彼に自由を与えることこそ、為虎添翼だったのでしょう。本来ならどう考えても粛清の対象だもんなあ。もっとも、自分が健在の間はどれほどサイファカールが大きくなろうとねじ伏せるだけの自信があったからなのでしょうけれど、まさか直後にあんなことになるとは。
これ、辺境に追いやられてたからこそ、この後の混乱に巻き込まれずに雌伏の時を得られた、とも考えられますけれど、サイファカールの才覚があったなら、その時中央に居たら居たでいきなり核心的に力を握れた、とも考えられるんですよね。どちらのケースでもお話的には相当に面白くなりそうなのだけれど、とりあえず本作では辺境から中央から追いやられたような跳ねっ返りの人材を集めて、反逆の殴り込み、という展開になりそうで、これはこれで王道に燃えるストーリーだったりします。
しかし、今回は女性陣の好感度が最初っからマックスに近いなあ。監視役であるステラステラからして、もう半ば泥沼に足突っ込んでいるようなもので、今回の変事によって軛を解かれたと思えば、もう何の障害もないですし。こうなると、辺境でサイファカールの臣下となる面々がどんな過程で彼に心服していくか、が当座のイベントになるのか。
かなり最初から大きく状況を動かしてきたので、ここはいつもみたいにダラダラと進行するのではなく、中央の動向含めて一気呵成に進めて欲しいところですね。
個人的にはフレイヤさん、山賊将軍の嫁になるのもアリなんですよね。NTR?
ところで、またヨーコさんがいるんですが、そんなにお気に入りなのかこの人。

舞阪洸作品感想

夜姫と亡国の六姫士 13   

夜姫と亡国の六姫士I (ファミ通文庫)

【夜姫と亡国の六姫士 1】 舞阪洸/こ~ちゃ ファミ通文庫

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目指すは王国復興。戦いと裏切りのハイ・ファンタジー、堂々開幕。

エルゲン王国の第二王女にて美しく勇猛果敢な戦女神、バイオレッタ。
彼女の傍にはいつも、一騎当千の兵である六姫士が控えていた。
彼女たちの大願、それは――奪われた祖国の領地を取り戻し、王家を復興させること。
強力な後ろ盾もない中、バイオレッタの類まれな指導能力によって奮戦を続けるエルゲン王国復興軍。
しかし敵国の第二公女、リーザが大軍を率いて進発したその時、主力同士が激突する一大決戦はじまった――!
修羅の道を突き進む者の、愛と戦いと信頼と裏切りと。
その先に待つのは、豊かな沃野か茫漠たる荒野か……。
舞阪洸が描くハイ・ファンタジー、満を持して登場!
……ぬええ!? いやあ、これは正直驚いた。本気で吃驚した。さすがに、この展開はなかなかないんじゃないかしら。

以下、ネタバレありなので収納。




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落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 3 3   

落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国III (MF文庫J)

【落ちてきた龍王と滅びゆく魔女の国 3】 舞阪洸/よう太 MF文庫J

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カサンドラ王国軍二千を降したナーガたちは、勢いにのってエインの砦攻略に乗り出す。ヴィータらスレイマーヤ一族の協力もとりつけ計画は着々と進行するが、シュバイツ川の警戒にあたっていたノノエルが、ひょんなことから敵の部隊長ライバッハを生け捕りにしたことで状況は一変する。魔女たちが普通の女の子にしか見えないことに戸惑うライバッハ。かたや、ライバッハが思っていた人間像とずいぶん違うことに首を傾げる魔女たち。そんなとき、砦に帰ってきたユウキが「人間の捕虜は殺す!」とライバッハに詰め寄って…?ナーガの掲げる魔女たちが目指す理想郷、“人と魔女が共存する世界”。これは、その大きな一歩となる戦いの物語である―。
イラストのよう太さんが絶好調だ。これまでの現代モノでは出来なかったようなお色気全開の衣装やシチュエーションを全力全面攻勢で仕掛けてきている。ってか、肌色率が高すぎですよ、口絵にしても挿絵にしても(笑
当面のカサンドラ王国の攻勢を凌ぎ切ったナーガたちは、そこで防御を固めるのではなく橋頭堡となる川向こうのエイン砦の奪取に乗り出すことになる。基本的に、このナーガさんの突出した部分というのは戦術作戦能力じゃなく、視野の高さからくるグランドデザインの描き方。視点の違いからくる世界がどのような仕組みで動いているかの理解度と、それにいかに影響力を及ぼすかへの認識力が、同時代人と比べても別次元の域に達しているのがこの人なのである。この能力というのは、場所を異世界に置き換えても決して劣化するものではないんですね。勿論、それを生かすには世界に影響力を及ぼせる高い地位というものが必要になってくるのだけれど、魔女たちの実質的な王となることで彼は地位と武力を手に入れることに成功している。しかも、現状では魔女側というのはその知性とは裏腹に非常に原始的と言っていい社会体制によって営まれており、それでいて意外と旧態然とした凝り固まった思想に身も心も縛られていない、という理想的な自由に如何様にでも形をこね回せる柔らかな集団なのである。ハインドラ一族と、更に今回スレイマーヤー一族の全面的な支持を得る事が叶ったナーガにとって、この世界は自分の思い描くものを自由に描ける草刈り場となるのだから、そりゃあ楽しかろう。同時に、自分の野望よりもむしろ魔女たちの為に、という他者のためという原動力は彼の在り方に余裕も与えているのではないだろうか。
しかし、これほど早い段階で人間の、しかも男の部下が手に入るとは、いろいろな意味で本気だなあ。はっきり言って、捕らえた砦の兵たちを逃して魔女たちのイメージを残虐非道なものからひっくり返す、というイメージ戦略はナーガさんの兵士たちの解放の仕方から殆ど逆効果じゃないか、と思えるんだがこの段階で人間の理解者を手に入れたのは、ナーガさんが自覚しているように非常に大きいとおもわれる。出来れば早い段階で文官も欲しいところ。少なくとも、魔女たちに統治の実務を教育できるレベルの人を。ちゃんとした統治体制を整えるにしても、魔女側に官僚として働ける人材を育成しておかないと、あとで絶対対立が起こりそうだもんなあ。
さらに、教会勢力の介入に話が及んでしまうと、果たしてどのレベルまで段階を進めるのやら。

2巻感想

ガブリエラ戦記 終劇 白兎騎士団の大団円3   

ガブリエラ戦記 終劇 白兎騎士団の大団円 (ファミ通文庫)

【ガブリエラ戦記 終劇 白兎騎士団の大団円】 舞阪洸/優木きら ファミ通文庫

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『鋼鉄の白兎騎士団』から7年。"白兎"シリーズ、感動のフィナーレ!

遂にクセルクス盆地の平和を自らの手で勝ち取った鋼鉄の白兎騎士団、団長ガブリエラ。
その後のルーアル・ソシエダイ王宮内、ヴィネダの執念が行きつく先、ガブリエラと同期生たちが歩む新たな道とは――『白兎騎士たちの現在と未来』。
さらに団長就任前のガブリエラが雛小隊たちと巻き起こした大騒動や、マルチミリエが従者になった経緯まで、うら若き乙女たちの過去から未来までを網羅した珠玉のエピソード集!
さすがに全編エピローグ、というわけには行かなかったか。前半は普通の短篇集にでも入っていそうな益体もないエピソード。基本的にガブリエラって、脱ぎ芸が確立しちゃってるよな、この団長。別に露出狂でもないのに、事あるごとに全裸にさせられて晒し者になっている気がする。なまじ、周りを巻き込んで脱いでいるので単独では目立っていないけれど、とにかく何かあると脱いでるし。レフレンシアの策略によるものだけかと思ってたら、彼女がいなくなった後でも勝手に脱いでいるところを見ると、これは真性だね。腹黒暗黒大魔王として団内のみならず、世間様にそのお腹の真っ黒さを晒すはめになってしまったガブリエラですが、加えて「すぐに脱ぐ」「全裸大好き」という世評も合わさってるんじゃないだろうか。鋼鉄の白兎騎士団は評判上がって団員希望者増大中、みたいな話になってますけれど、世間の鋼鉄の白兎騎士団に対する高貴で清楚で品格の高さを備え持つ、という評判についてはダダ落ちしてそうで怖いw
それでもまあ、嫁入り修行の場としては、レフレンシアとジアンの一件で実績も確か、霊験もあらたか、ということで引く手もあまたのご様子。エピローグで一番驚いたのが、やっぱりアルゴラ隊長の嫁入り話でしょう。レフレンシアとジアンよりもよっぽど驚いたよ!! よりにもよって一番嫁の引き取り手がなさそうな人が貰われて行きやがった!! 面白いことに、白兎騎士団の中でも女性としては極めてキワモノな方から嫁ぎ先が見つかっていっている不思議。アルゴラ隊長は元より、ジアンもレフレンシアも普通なら恋愛とか関係なく終わっちゃうキャラですし、立ち位置的にも縁なさそうなもんだったもんなあ。ジアンと言えば、見なおしたのがカッシウス王。さすがに出自も出自ですから、妾妃というジアンの立場には納得していたんですが、王様ちゃんと段取り踏んで正妃として迎えるつもりだったんだ。同時に、ジアンを将軍として御旗にすることで軍事力に乏しい都市国家群の中で一際目立つポディションを確保していますし、戦役をうまく利用して立ち回り、国益と自分の益を同時に叶えているのですから、この若い王様も相当の強かものです。良い人に見初められたもんだ。本物の玉の輿じゃあないですか。
レフレンシアはレフレンシアで、歯ごたえのある旦那をもらい、いじれるおもちゃを確保して、自分に噛み付いてきていたアリアンレイとヴィネアに首輪をつけて、ともうやりたい放題。この人については、最初の頃に親友である団長と決裂して、涙ながらに処断した頃から死亡フラグ立ってると思ってたんだけれど、終わってみたらこの人が一番面白おかしく好き勝手やっていていたんですよね。これって天下取ったようなものなんじゃね?
一方で、ガブリエラはというと団の運命を名実ともに引き継いだとはいえ……この子は嫁の貰い手居なさそうだよなあw 意外とアスカあたりは年かさですけど、これから良い旦那にはめぐり逢えそうな感じもあるので、やっぱりガブリエラだけ行き遅れそうw
先の【鋼鉄の白兎騎士団】シリーズのスタートから、七年も経ってたんですか。そんな長期シリーズだったんだ。お疲れ様でした。

シリーズ感想

ガブリエラ戦記 6.白兎騎士団の切り札4   

ガブリエラ戦記VI 白兎騎士団の切り札 (ファミ通文庫)

【ガブリエラ戦記 6.白兎騎士団の切り札】 舞阪洸/優木きら ファミ通文庫

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ガブリエラ、一世一代の奇策。ガブリエラ戦記、堂々完結!

マイヨ・ルカの街からすべての団員を引き揚げ、本城に籠ったガブリエラとレフレンシア。盆地の周辺には、自然士レオノーラを始めとする百戦錬磨の精鋭達、ジアンとカッシゥス王が率いる奇襲部隊、そしてベティスから駆け付けたドゥイエンヌが揃っていた。すべての準備は終わり遂に舞台は整った。果たして若き団長、ガブリエラが考案した戦わずして勝つ方法とは? そして、その先の未来をも見据えた一世一代の奇策とは――!?
うわあああ、その発想は露ほどもなかったーー!! そうかそうか、そりゃあガブリエラも団長じゃないといけないよなあ。
これまでずっと私はなんでガブリエラが団長でなければならないのか、副団長としてレフレンシアの参謀として働くので十分彼女の能力はいかされるじゃないか、と疑問を呈してきていたのですが、ガブリエラが最後に繰り出した神算鬼謀の一手は確かにガブリエラが団長でなければ成立しない策だったので、納得。大いに納得。
いやしかし凄い。この一手は本気で凄い。これって、ある意味レフレンシア相手にほぼ互角に渡り合っていたアリアンレイすらも、ガブリエラがすれ違いざまに一刀両断してしまったようなものなんですよね。アリアンレイとすれば、ガブリエラを敵と認識する間も与えられずに、息の根を止められてしまったようなものですから。
実際、ほぼ再起不能のダメージを負ってますしww
結局、直接干戈を交える戦闘は輜重部隊を奇襲で襲ったものだけで、あの絶体絶命の戦況をひっくり返してしまったのだから、大したもの……なのか? あれよあれよという間にルーアル・ソシエダイ軍&シギルノジチ軍対白兎騎士団という戦争の構図が変なことになってきて、結果として白兎騎士団に何らの損なく戦局がひっくり返ってしまったのには、なんだか詐欺にあったみたいで、ガブリエラの悪辣さが実感できてしまった。こいつ、本気でたち悪い。ルーアル・ソシエダイ軍の遠征軍の将軍、完全に騙されてる、当初の目的を忘れちゃってる、と言いたいところなのだけれど、ぶっちゃけこれ、ガブリエラの仕掛けに乗らざるをえない戦略状況を強いられてるんですよね。もしこの状況をひっくり返せるだけの可能性があったとするなら、ルーアル・ソシエダイとシギルノジチが非常に親密な同盟関係にあって、お互いに損を食らってもカバーしあう事のできる仲の良さがあれば何とかなったのかもしれませんけど、まあそれは無理な話ですからねえ。ガブリエラの話に乗りさえすれば、ルーアル・ソシエダイは当初の戦争目的こそ達成できないものの、白兎騎士団とWin−Winの関係になれる。損を被るのはシギルノジチだけ、と来ればそりゃあ乗っかるよなあ。
相手を陥れるのではなく、程よく甘い汁を吸わせてあげて、しかし自分たちは絶対に被害も損も被らないように場を整える。まったくもって嫌らしい。
挙句にトドメがあれですもんねえ。
いやあ、びっくりした。何がびっくりしたって、レフレンシアがその気だったというのが驚いた。どうもこの作品、百合百合という箱のなかで完結するものだと思い込んでたんで。ジアンが妾妃として玉の輿に乗った時点で、そんなことはないとわかってたはずなのに、まさかあの一番女の子好きだったレフレンシア様が、とは思わなかったからなあ。
参りました。ここまでアット言わされる終わり方をさせられたら文句のつけようもありませんわ。このシリーズの締め方としては、これ以上ない喝采を博したい。こちらとしては、まったく期待以上の終わり方でした。痛快痛快。ご愁傷様、と拝みたくなる人が続出してしまう、ある意味大災難な終わり方でもありましたけれど。
あとは来月に出るエピローグで、それらの人の阿鼻叫喚の悲鳴を堪能するばかりw
あれ、ヴィネダも戦後の足取りを見るに、もろに直撃食らうんだろうなあ。ジアンやアスカを含めた団員たちの行く末もきっちり描いてくれるようですし、幕引き楽しみにしたいところです。

舞阪洸作品感想

落ちてきた龍王〈ナーガ〉と滅びゆく魔女の国 23   

落ちてきた龍王〈ナーガ〉と滅びゆく魔女の国II (MF文庫J)

【落ちてきた龍王〈ナーガ〉と滅びゆく魔女の国 2】 舞阪洸/よう太 MF文庫J

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一の砦の戦いから十日。迫るカサンドラ王国軍二千に対し、ナーガ率いる二十人の魔女たちは二つの“秘策"をもって迎え撃つ。“黒い森"のもうひとつの魔女一族の長、ヴィータも見守るなか、戦線は切って落とされるのだったが……決め手となる“二の矢"が発動せず、ナーガたちは苦境に立たされる。一進一退の攻防と、ぎりぎりの戦いの果て、ついに明かされるナーガの真名とは――!? “聖龍王"が起つ刻、戦場に新たな風が吹く! はやくもコミカライズ決定の大人気戦乱ファンタジー第2弾、威風堂々推して参る!
おおっ、思いの外ガチンコで合戦してる。ガブリエラ戦記はあれで戦略と謀略、ミクロで見てもわりと小細工に終始していて、実はあんまりマトモに会戦という形で、少なくとも主事項たちが参加しての戦いは少ないので、まともに敵の軍勢と合戦するのは【火魅子伝】以来なんじゃないだろうか。あれもまあ、かなり小規模の局所戦でしたし、本作も味方側は魔女20人だけ、と決してまともな軍勢とは言えませんけれど。
しかし、策を弄し、魔女の魔法を駆使したとはいえ、お手本のような渡河を利用した誘引、分断、各個撃破戦術はお見事。この世界には戦術という概念がないという特殊な在りようになっているようだけれど、そんな縛りがなくてもこれまでの長きに渡る魔女が行なってきた戦い方とは全く違うスタイルで迎え撃たれたのだから、備えがなっていなかった、と責めるのは流石に厳しそう。面白いほど典型的な逐次投入になってしまっていますが、よっぽど軍法がしっかりしていて、司令部からの意思伝達がしっかりなされている上でよっぽど練度が高いならばともかく、この惨敗は仕方がないかと。
まあ出来れば、この合戦自体は一冊の中の半分までに収めてどんどんと話を進めて欲しかったところですけれど、今更作者にサクサクとした進捗など期待するほうが間違っていると諦めるしかないか。
キャラクターについては、私もまだ全然把握できず。少なくとも、まだデザインとキャラ名が合致しない。おおよそ、主軸を族長に力持ちのアイス、跳ねっ返りの空飛ぶ子、ナーガの世界の知識に興味を示している智者よりの子、くらいに絞ってきているようだけれど、他にも水を操る子とかを含めて20人近い魔女の一人ひとりにちゃんとキャラクターシートみたいに設定がついているようなので、これから覚えていけるかどうか。今のところ、アイスは覚えた。何気に力持ちなのにお説教キャラで、弄られ系のようなので、こういう子って嫁さんポジにハマるんだよなあ。
なにしろ、主人公が主人公なので、既に元の世界では嫁さんももらっている人のようなので、けっこう色っぽい展開もあるんじゃないだろうか、と期待したい。しかし、ノーブルナーガで聖龍王というのは飛ばしすぎだよなあ(笑

イラストのよう太さんは、中の挿絵の方で相当に暴走してます。なんか、ToLOVEるレベルの技巧を駆使しまくってるような気がするんですがw エロエロすぎるw

舞阪洸作品感想

ガブリエラ戦記 5.白兎騎士団の雌伏3   

ガブリエラ戦記V 白兎騎士団の雌伏 (ファミ通文庫)

【ガブリエラ戦記 5.白兎騎士団の雌伏】 舞阪洸/優木きら ファミ通文庫

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騎士団の拠点に迫るシギルノジチの侵攻軍。その動きに対して、本格的に盆地制圧に乗り出すバロス三世が講じたのは、毒をもって毒を制する策―捕虜であるレフレンシアの解放だった!白兎騎士団の目前に迫るは、ヴィネダが先遣部隊を率いるシギルノジチ軍、後ろから迫るはバロス三世が放ったルーアル・ソシエダイ軍。牽制しながらも進軍する二大国へ対抗すべく、遂に再会を果たしたガブリエラとレフレンシアが動きだす―!最強乙女伝説、待望の第5巻。
ジアンはもう愛されまくってるなあ、王様に。あそこまで一途に慕われてると、相手がまた子供だとはいえそりゃあ絆されちゃいますよ。なんだかんだとガブリエラから下の方まで男に縁がなさそうな白兎騎士団の中で、よりにもよってジアンだけが唯一の勝ち組、というのは今更ながらに凄い話である。それも、小国とはいえ王様の側室だもんなあ。玉の輿ですよ、玉の輿。
ジアンもいい加減、覚悟を決めて身を固める決意をしたようですし、お幸せにーってなもんであります。もっとも、その前にこの絶体絶命のピンチを乗り越えなければならないのですが。
さて、暗黒大魔王のガブリエラが目論んでいる作戦というのは、どうやらバロス三世と同じく毒を持って毒を制する策のようで……シギルノジチ軍を掣肘するためにあえてレフレンシアを開放したバロス三世からすると、もしガブリエラの目論見が自分の思惑をより具体的に戦術化して詐欺働かされた上で倍返しに食らった、となったらいい面の皮になりそう。もっともこの王様、敵ながら器も大きく大概の事なら内心はどうアレ嗤って飲み込みそうですけれど……それはそれで後が怖そう。しかし、折角の決戦だというのにアリアンレイといった連中とガプリ四ツに組んでの総力戦、と行かなさそうなのは残念である。勿論、白兎騎士団は戦力もあまりないのだから正面から激突する、なんて真似は出来ないでしょうけれど、正面からの作戦の化かし合い読み合いというのは見たかった。特にアリアンレイは、やっと出てきた同格以上のライバルキャラでしたからねえ。
さて、ついに決戦目前となったわけですけれど、結局ガブリエラが団長になったのって活かされてないですよね、これ。実質、団はレフレンシアが率いているようなものですし、ガブリエラの役割って今のところ作戦参謀以外の何物でもないんだよなあ。ガブリエラの神算鬼謀を諸国が知らない伏せた切り札として使いたいのなら、むしろ団長なんて目立つポディションに置かずに今までみたいにレフレンシアの下に隠しておけばよかったのに、と思ってしまう。もしちゃんと目端がきくものがいたら、目立つレフレンシアに惑わされずにちゃんと新しい団長の来歴も調べてしまうでしょうし、ガブリエラ、あれで結構派手に動いてましたから、ちゃんと調べれば彼女がどういう働きをしてきたか、というのも分かってしまう可能性は無視できないでしょうし。
まあそこはそれ、今更言っても詮無いこと。あとは、暗黒大魔王の本領発揮を見守るばかりでございます。

舞阪洸作品感想

乱☆恋 5 婚約者は16人! ?3   

乱☆恋5  婚約者は16人! ? (富士見ファンタジア文庫)

【乱☆恋 5 婚約者は16人! ?】 舞阪洸/得能正太郎 富士見ファンタジア文庫

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「16人の婚約者に会ってきてね!」…という父王の無茶振りから月日は流れに流れて、リカルド王子は全ての婚約者をコンプリートした!そして、故郷のリディア王国に仲間たちと凱旋を果たす。―長い旅の終わり。けれど、終わっていないことがひとつだけ。リカルドは第一の婚約者、セフィアに告げる。「俺は、最初にセフィアと交わした約束を守るよ。俺の力とみんなの力を合わせて、君の奪われた国を―取り戻す!」らんぶるコメディ最終幕。リカルドと彼の婚約者たちが仕掛ける“誰も見たことがない”国盗り大戦。その顛末とは!?
だわーー、打ち切りだぁ!!
婚約者は16人と銘打ちながら、実際婚約継続なったのは11人。しかも、実質物語に登場したのは前4巻までに登場したネゥラ王女までの8人だけ、という結果に。いやあ、さすがに16巻は無理だろうとは思ってたけどさ、まさか二桁に行くどころかその半分でバッサリと終わらされるとは思わなかった。肝心要の婚約者たちが全員揃う前に終わるとかw
それでも、プロローグでざっと11人と婚約継続し、いざセフィアの国を奪還だ、となるまでの経緯を巻き巻きで解説し、いざ本編に入ってみると特にそれで何も話の都合上唐突感もあまりなく自然にファイナルターンに入れてしまったあたり、これまでどれだけグダグダやってたのかが知れてしまうのでした。でも、そのグダグダさがこの作者の面白みでもあるんだよなあ。どうしても冗長になってしまいガチなだけに、バランスの取りようが難しいところなんだけれど……うーん、でも作者の作品の中では本作はわりとサクサク進んでたし、きっちりラブコメしてたし、わりあい順調に言ってた方だとは思うんですけどねえ。厳しいなあ。
ともあれ、結局メインヒロインは最初の婚約者だったセフィアが全うしてくれました。まあ、リカルドもセフィアに対しては特別扱いしてたフシもあるし、なんだかんだと相思相愛でしたからねえ。リカルドの大目標が、セフィアの国を取り戻してあげる、その為に他の婚約者たちともよしみを通じてなんとか協力を取り付けよう、という所にあった以上、話の本筋としてもセフィアが中心となってましたし。
逆に言うと、他の婚約者は結構影薄かったんだよなあ。4巻に出てきた三つ子と、三人組なんかはキャラの売り出しがこれからだっただけに、なんともはや。その中で比較的頑張ってたのが、リカルドに何の興味も持っていないセイラだったというのは笑いどころなんだろうか。ユーリも2巻登場で以降ずっと同行してたわりに影薄かったし。婚約者組ではセフィア、セイラ、エルメンが結局おいしい所を持ってったか。

というわけで、ラストはリカルドが婚約者に挨拶する旅路の過程で、影に日向に暗躍を繰り広げ、結果として婚約者たち姫君が独自に協力を買ってでた、という外交的に色々と逃げ道を用意した形で、シュールティス王国包囲網の大連合軍が発起し、これは酷い(笑)としか言いようの無い外線作戦と交渉による切り崩しで第二・第三王子率いる叛乱軍を追い込んでいくリカルド王子。
いや、これはもう見事としかいいようがないですわ。戦争の始まりから終わりまで、ほぼ完璧というグランドデザインの描き方である。相手が外交ベタだったというのもあるんだろうけれど、ここまで見事に前準備されちゃあ、始まる前から負け戦ですよ。なかなかここまで理想的な戦争、というのはお目にかかれないでしょうねえ。何気に重要なポディションに居たのが、ミノリ王女。殆どこの人とこの国で全部の兵站まかなってるあたり、侮れない仕事してるんだよなあ。残念ながらこのヒロイン、端折られてしまった人なのだけれど、本編登場してたら結構需要な扱いされてたんじゃないだろうか。ある意味、アマゾネスの人たちよりも。

さて、ラストはこちらも文句のつけようのないハッピーエンド。いや、あのオチにはちょっと笑ってしまいましたけどね。シュールティス王国の第三王女のお姉さんの逃げ足の速さが、ああいう形で活かされるとは。意表を突かれた。
とまあ、思いっきり二桁くらいの巻が端折られてそうなのに、読み終えてみると殆ど綺麗にお話が片付いてしまったのはお見事。気になるのは、失恋したアイオリッタがそれからどうしたんだろう、という所くらいか。何気に不憫だよな、この人。あれで出番終わりってw

1巻 2巻 3巻 4巻感想

乱☆恋 4 婚約者は16人!?3   

乱☆恋4  婚約者は16人!? (富士見ファンタジア文庫)

【乱☆恋 4 婚約者は16人!?】 舞阪洸/得能正太郎 富士見ファンタジア文庫

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「誰が“本物の婚約者”か当ててください!」16人の婚約者を持つリカルド王子。5番目の婚約者であるネゥラ王女には、ナゥラとノゥラという顔かたちがそっくりな二人の姉妹がいる。悪戯好きな彼女たちが仕掛けてきたのは、三人のうち誰が“本物”か当てるという難題!しかもネゥラは「間違えたら―婚約は破棄します!」とか言い出してきて…。確実に三人を見分けるためには、真っ裸にして胸の黒子を確認せねばならないっ!?ドツボにハマッたリカルドの前に、商家の令嬢だと名乗る美少女が現れる。「私であれば、きっとお役に立てるはず」…と告げる彼女の正体は?そして超弩級の危機に、王子が取った決断とは。

さすがに一巻につき登場する婚約者が一人だと何巻あっても足りないので、前回は二人纏めて登場したわけですが、今回はさらに一気に四名が登場。口絵のピンナップには全員が侍女服を着て並んでいるイラストがあるのですが……壮観を通り越してちょっと怖い絵だぞ、これ。ってか、こんな侍女軍団引き連れて婚約者の邸宅を訪問するって、一体何事と思われても仕方ないぞ、これ(苦笑
でも、得能さんのぷにっと柔らかそうな女の子がたくさん見れるというのは、それだけで眼福である。

とは言え、これだけキャラクターが増えてくると肝心の掛け合いも散漫になっちゃって、ちょっと歯応えは足りなかったなあ。リカルドもあっちこっちと相手をしないといけないから一人一人とじっくりと受け答えするのもままならず、いい雰囲気を作ったりも出来てなかったし。セフィア王女も何だか嫉妬してばっかりで、最初の頃の健気で可愛らしい佇まいも薄れてきちゃったし。セフィアさん、それだと男に逃げられますよ?

一方で、今回登場した新しい婚約者の一人、メッシナはこれ相当リカルドの好みにストライクなんじゃないかと。性格は飾った所がなくさばけていて、でも男勝りというほど荒っぽくなく、何より聡明で頭の回転が早くリカルドと同レベルの頭脳の持ち主と来た。それでいて、先のエルメンネッラ王女ほどエッジの利いた危険な雰囲気はなく、駆け引き抜きで親身になってくれそうなところもあって、ほんとうの意味で良いパートナーになってくれそうな人柄だし。その上、巨乳ときた。殆どパーフェクトじゃないのか、この娘さん。
リカルドと対等な高さで知的な会話を出来る、それこそ政治的な内容な外交的な判断を相談できるような相手が使者団の中には居なかっただけに、このままついてくるとなると相当に出番増えそうだなあ、メッシナ嬢は。

しかし、メッシナたちは訪問の順番が後ろに回されたら外聞的に問題だし、女としてなんかヤダから、とリカルドに向こうから偶然を装って逢いに来たわけだけれど、此処まで来ると逆に最後になった婚約者の方が真打ちついに登場、みたいな雰囲気になって存在感出そうだなあ。

1巻 2巻 3巻感想

ガブリエラ戦記 3.白兎騎士団の犠牲3   

ガブリエラ戦記III 白兎騎士団の犠牲 (ファミ通文庫)

【ガブリエラ戦記 3.白兎騎士団の犠牲】 舞阪洸/優木きら ファミ通文庫

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「優しさと臆病さは違うよ、団長」

ル・アンヘルを奪【と】られ、ようやく手に入れた城砦からの撤退を余議なくされた白兎騎士団【しろうさぎ】。しかしガブリエラ率いる精鋭の乙女たちがこのまま黙って退くはずもなく、迫りくる敵兵にひと泡吹かせるべく動きだす! 生きて帰る保証のない任務『磯蟹』、それに立候補したのはまさかの副団長レフレンシア!? あの方を失いたくない――ガブリエラが作戦を止めるべきかを苦悩する中、因縁の相手アリアンレイは、着実に彼女たちの目の前にまで迫ってきていた! 最強乙女伝説、決死の第3巻!!
ううん、これはガブリエラの迷いの方に賛成だなあ。あくまで失点を補うための作戦に、未だに白兎騎士団の要と言っていいレフレンシアの命を賭けるのには割があわなさすぎる。良くも悪くもレフレンシアの名望は響き渡りすぎてるんですよね。もしかしたら、白兎騎士団のネームバリューよりも、レフレンシア個人の方が敵味方問わずに恐れられているくらいに。【盆地の魔女】の名前はそれくらいの重さを以て内外に知れ渡っているわけだ。
それを失うということは、たとえ敵軍に損害を与えて白兎騎士団は負けていない、という評価を国際的に知らしめる以上に、白兎騎士団の力の失墜と捉えられかねない。作戦立案や戦略的判断はガブリエラがいる以上問題ないとしても、外交についてはやはりレフレンシアがいるといないとでは大違いなんだよなあ。ガブリエラの名前が知れ渡っていないと言うことは敵に過小評価されて意表をつく動きが出来るということでもあるけれど、同時に敵味方に易く見られ侮られることでもあり、大なり小なり不都合な事が出てくると思うんですよ。こういうのは能力以上に名前というのが重要だから、こればかりは新米団長のガブリエラでは補えない部分でもある。誰にでもわかる実績を積み上げていかないと、こればっかりはどうにもならない。
やっぱりどう考えても、プラスとマイナスではレフレンシアを失うマイナスの方が大きすぎるんだよなあ。少なくともガブリエラが生還率三割以下じゃないかと考えているような作戦に犠牲として差し出せる人材じゃないですよ。
なんか、ガブリエラが悲壮感に感極まった挙句に、なにやらトチ狂ってレフレンシアに百合的な感情まで抱き始めてしまってるし。なぜそこで恋人みたいな雰囲気になる!?(笑
むしろこれまで尊敬し敬愛はしていても、弄られっぱなしでこの人もうヤダなんとかして、とか思ってたくせに。団長として独り立ちするどころか、逆に依存度が増しているような気すらするぞ。勿論、立場上は毅然と対処する分、辛い判断も下せる成長を遂げたのかもしれないけれど、個人的な人間関係ではむしろ親密さが増し、この人が傍に居てくれないと生きていけない、みたいな求愛モードにまでガブリエラの感情値が発展してしまっているのを見ると、これもレフレンシアによる深慮遠謀なのではないかと疑いたくなるな。
黒い考え方をすると、自分を好きになりすぎたあまりに結局突き放し、決別することを選んでしまった前団長とのカンケイの結末がトラウマになっていて、ガブリエラとはその辺自分とは精神的に離れられないように仕掛けを施している、という風にも捉えられて面白い。いや、そこまで黒いとは思わないけど。

しかし、こうしてみると白兎騎士団って個々の能力は高いし多種多様なんだが、意外と番隊長が務まるような指揮能力に長けた人は少ないんだなあ。アルゴラなんか務まってるのか怪しいし。その点、アスカは既に番隊長務まる頼もしさがある。シリーズ冒頭ではまだそこまで出世はしてないようだけれど、このまま居残ってたら早晩番隊長に押し上げられそうだな、この人は。或いは団長とは言わずとも、副団長くらいはやらされそうだ。

舞阪洸作品感想

乱☆恋 3 婚約者は16人!?3   

乱☆恋3 婚約者は16人!? (富士見ファンタジア文庫)

【乱☆恋 3 婚約者は16人!?】 舞阪洸/得能正太郎 富士見ファンタジア文庫

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風邪引きのリカルド王子……看病バトル開始です!?
第3の婚約者に会う直前になって、リカルドが風邪でダウン! ここぞとばかり、ムフフなお医者さんごっこに興じるセフィア&ユーリだったが、いちゃいちゃやってる間に、王子たちを狙う刺客が宿屋を完全包囲したっ!!
毎巻婚約者がひとりずつ登場だったら、このシリーズ最低でも16冊以上続いちゃうよね、と危惧していたらようやく今回、婚約者が二人纏めて登場。
……うわぁ。
なんかもう、普通の女の人居ないね、婚約者。次回予告を見ると次の婚約者も相当アレみたいだし、こうなってみると最初のセフィア王女の貴重性がよくわかる。彼女が何だかんだと今にいたるまで正ヒロイン的なポディションを譲っていないのも宜なるかな。彼女のキャラクター性のみならず、彼女が国を追われる事になった内乱の影響はリカルドの婚約者訪問の旅に波及し続け、今回などは刺客を送られる羽目にまで陥ってますしね。それに、リカルドの現在の最大の目的はセフィア王女の立場をどうやって取り戻すか、という所にあり、婚約者訪問の旅も単なる面通し以上に、セフィアの味方を増やし方策を探る所にありますからね。ある意味、セフィア王女を中心に回っていると言ってもいい。ユーリは今のところまだオマケだよなあ、これ。
セフィア王女がヒロイン的な立ち位置に居るのは間違いないとして、今回登場した第三の婚約者エルメンネッラはあの性格といい政治力といい、リカルドの相棒ともライバルともなりかねない面白いキャラになりそう。今はまだリカルドは風邪っ引きで立ち回りや智謀にも冴えを見せてなかったけれど、彼が本調子になればエルメンを十分驚かせ楽しませる事が出来るはず。そうなったとき、果たしてエルメンが彼の能力への好奇心以上に人柄や人間性にどういった興味を示すか、だけれどあんまりそこからほの字になってメロメロ、というのは想像できないんだよなあ。でも、心底楽しそうにリカルドと駆け引きを楽しみ、彼と協力してあるいは利用して大陸を引っ掻き回しそうな危ないような頼もしいような所が多々見受けられるので、今後婚約者の中でも重要なポディションとして活躍しそう。むしろ、リカルドよりもセフィアがエルメンには弄ばされそうだ。
そして第四の婚約者であるセイラ王女は……もう手がつけられないね(笑
アイオリッタ無残。ごめん、自分もけっこう良い気味だ、と思ったw まあアイオリッタも最近は王子を認めるような素振りを見せ始めたし、ダウンしている王子の面倒を何気に一番見てたの彼女だったしなあ。その報いがアレというのはちと可哀想な気もするが。
ふむ、でもこれだと出てくる婚約者が全員が全員王子のハーレム入り、という事にはならなさそうだなあ。そもそもリカルド王子自体、あんまり複数の女性を侍らす事が似合うような性格してないし。王族としての器用さは売るほどあるので、何人かは妃として娶って上手いこと奥は回せるだろうけど。

にしても、ハーレムは増えなくても同行者は際限なく増えていくのね。えらい大所帯になってきたなあ。

1巻 2巻感想

ガブリエラ戦記 2.白兎騎士団の強敵3   

ガブリエラ戦記II 白兎騎士団の強敵 (ファミ通文庫)

【ガブリエラ戦記 2.白兎騎士団の強敵】 舞阪洸/優木きら ファミ通文庫

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大平原の覇権は誰の手に!?

団長ガブリエラの奇策により見事ル・アンヘルの街を守りきった白兎騎士団。だが敵国ルーアル・ソシエダイは、手を弛めることなく次の策を講じていた。対してガブリエラ率いる騎士団は、優秀な団員を召集した「白鷺」作戦を決行。しかしその戦略は、彼女にしてはどこか真っ当な内容で……!? 一方、大平原調略担当官アリアンレイの魔の手は、着実にル・アンヘルの街を呑みこもうとしていた――。最強乙女騎士伝説、三大国の思惑が絡み合う激震の第2巻!
あの作戦を真っ当として扱われるあたりに、ガブリエラがどれだけ今まで変態的な作戦を立案してきたかが如実に伺えてしまう。まあ作戦対象が大規模になればなるほど、奇策奇略の類は使える余地が少なくなってくるものだ。今回の策は十分奇策の類だったような気もするけど。でも、これが一定の規模を超えて戦略単位、大戦略単位、あるいは政治単位になってくるとまた奇想天外な発想が活きてきたりするので、ガブリエラの才能というのは並みの戦術指揮官や方面軍指揮官よりも、小規模の特殊部隊もしくは総司令官、総参謀長クラスの方が生きるのかもしれないなあ。とはいえ、今のところ白兎騎士団の団長になった意味があんまり見えてきてないんですよね。どうも最終的な決定権は相変わらずレフレンシアが握っているようだし、今のままならレフレンシアの懐刀として作戦参謀的な地位についていても差し障りはなかったように思える。
さて、戦況の方は一進一退、と言いたいところだけれど戦略的イニシアティブはどうも相手に握られているっぽい。これはベディスが無能というわけではないんだが、受け身に回されているという時点で劣勢は否めない。特にベティスに目立った失点があるわけじゃないので、これは敵国を褒めるしかないよなあ。イニシアティブを取られているということは、それだけこちらの選択肢や自由度が奪われるということだし、兎に角あらゆる場面で勝ちを拾っていかないとすぐに二進も三進もいかなくなってしまう。
今回、特に冒頭で不期遭遇戦を起こしてしまったのがめちゃくちゃ痛い。総兵力が一万に届かないような戦力であれだけ被害が出てしまったというのは、戦術的には引き分けでも戦略的に見たら大敗と言っても過言でない。これなら、普通に攻城戦をやって失敗して撤退した方が良かったかも、と思えるくらいに。負けても撤退戦で友崩れを起こさなかったら、ここまで被害はでないもんなあ。作中でも説明されているが、不期遭遇戦というものはこの時代レベルの合戦では有り得ないほどの損害が出てしまう。史実で特に著名な例をあげるなら、第四次川中島合戦がそれか。
いずれにせよ、この冒頭の会戦に出た被害でベティス側は相当手足を縛られる事になる。
そんなベティスをサポートする役割である白兎騎士団なんだが、苦しいのはやはりサポート役しか果たせない事なんだよなあ。白兎騎士団は精鋭であることは疑うべくもないのだが、如何せん動かせる戦闘単位が少なすぎるのがやはりネックになる。そんな戦力不足を補い、騎士団の特筆である個々の団員の能力の高さを生かすのがカブリエラの奇策になるんだが、所詮戦術的な奇策は奇策。揺るぎのない軍略と兵力を以て攻めこまれた時に、はたしてどれだけ対抗出来るのか。まあ、その揺るぎの無さを揺るがし、真っ当に攻めてこさせない事こそが戦争の勝利に不可欠な手練手管であるのも確か。そして、それこそがガブリエラやレフレンシアの得意分野のはずなのである。今の、彼女らが前線に張り付いている状況というのは、やっぱりよくないのかもしれないなあ。必要があるとはいえ。
 
12月3日

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