薔薇のマリア

薔薇のマリア 20.I love you.[noir] / 21.I love you.[rouge]5   

薔薇のマリア20 .I love you.[noir] (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 20.I love you.[noir] 】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon

“原子の極大魔術士”キング・グッダーに導かれ、九頭竜型超弩級飛行戦艦マキシマムAMドラゴンに乗りこんだマリアたち。危険から脱したと安心する間もなく、グッダーは大量のエルデン市民を乗せたまま地獄へ逆侵攻する。目指すは“世界の終わり”。そしてそこにいる地獄の支配者である帝王を倒すこと。成功すれば悪魔の統率が乱れて侵攻が止まると信じるマリアたちは、最後の力を振り絞り、またしても過酷な道をゆくのだが―。



薔薇のマリア 21.I love you.[rouge] (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 21.I love you.[rouge]】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon

ついに“世界の終わり”に到達したマリアたち。だが、地獄帝王の御所“終わりの果て”はいまだ遠かった。繰り広げられる悪夢のような戦い。死力を尽くして突き進む仲間たち。現実が引き裂かれ、叫び声は途切れ、溢れ返り涸れる涙、その行く先に待っているものとはいったい―!?すべての謎が明かされ、世界の真実がもたらされるとき、マリアたちは究極の選択を迫られる!ロングヒットファンタジーシリーズ、ここに堂々完結…!!

死ぬ、死ぬ、死んでいく、みんなが死んでいく。戦って戦って、戦い抜いて死んでいく。生きようと足掻いて足掻いて、死んでいく。生きようとして、生きようとして、生き残ろうとして、死んでいく。自分が生きるために? そうだろう、そうでもある。でもそれ以上に、みんなで生きるために戦って、その結果として死んでいく。
その死は路傍の死なのか。無意味な死なのか。何事も成し得なかった死なのか。失敗してしてしまった結果なのか。
違うだろう、絶対に違う。彼らの死は無駄死なんかじゃない。悲劇であり、惨劇であり、悲しみ涙すべきものであっても、それは決して無為なものではなかったはずなのだ。
彼らは絶望と戦い、生きて生きて、生き抜くために死んだのだ。
それをどうして無駄と言えよう。どうして、紛い物などと言い切れる。
ポロリポロリと掌の上からこぼれ落ちていくように、殺されていく人たち。だけれど、彼らが最後に伸ばした手は、まだ生きている人たちの足を掴むためではなく、並べてまだ生きている人たちの背中を押すようにして果てて行ったのだ。
先へ。未来へ。
それはもう歩けなくなるような絶望を押しのけるように、生きることを託すように、頑張れと応援するように。
誰もが、一度も足を緩めず、命あるかぎり駆け抜けていった。
これほど、生き足掻くために、生きるために戦って、死んで、生き抜いていった戦いを私は他に知らない。
それどころか、このシリーズが始まって、終わるまでのすべての生と死に、意味があったのだと。いや、SIXの言葉を借りるならば、意味なんかなくても意味を持たせることはできるし、意味を持たせられるってことに意味があるんだってことを、戦いが終わったあとのエピローグの光景を前にして、思い、感じ、胸に染み入る。

世界の真実は、想像を超えていた。このあまりにも生々しく、ダイナミックで匂いすら立ち込めているような、生きることも死ぬことも、あまりにも苦しげで悶えるようだったこの世界の真の姿が、まさかそんなところにあっただなんて、想像だにしなかった。
凄すぎるだろう。
まさか、まさか、よりにもよってこの世界観が、そういう事だったとは。思えば、トマトクンその人が登場時からその存在を以って証拠を提示し続けていたのかもしれない。その名前からして、考えてみれば証拠そのものなのだ。それでいて、彼こそがその厳然とした真実ではなく、自らが感じた末に選びとった真実を身に纏っていたからこそ、気付かなかったのかもしれない。
誰よりも、彼はこの世界で人々と共に生き、愛していたからこそ、読んでいるこっちも、それを疑いもしなかったのだ。
だからこそ、圧倒される。圧巻じゃないか。改めて見れば、同類項の作品は今や多々あふれている。だが、これほどのスケールを打ちたて、その視点を外から挿入されたものではなく、内から生まれたものに寄って描き出した作品が存在しただろうか。単なるファンタジーじゃなかったのだ。なんてこった。十年前だぜ、このシリーズはじまったの。最初、ウィザードリィ互換だって言われてたんだぜ。
まさか、そっちじゃなくてこっちだったとは。
そして、当初からの謎とされていたマリアの性別についても、ついに明らかにされたわけだけれど。これについては想像していた通りだったのだけれど、マリアがそうであった理由がまた度肝を抜かれる内容で、まさかそんな意味があったのか、と。いやでも、この段階でマリアが自発的に頑張ってなかったら、あの場面でマリアがあそこに在る要素なんて殆どなかったんじゃ……。キンググッダーとか、ジュジとか、その辺手配りちゃんとしてたんだろうか。

ともあれね、エピローグで全部報われた気がする。無茶苦茶たくさん死んだけれど、死んじゃったけれど、死んで欲しくない人もあまりにも沢山死んじゃったけれど、悲しかったのだけれど、それでもエピローグで、生き残った人たちの生きて頑張ってる姿を見たらね、これまで死んだ人の死は、何一つ無駄じゃなかったんだって……思うことが出来た。コロネとかね、ルカとかね、消息不明だった子たちのことも、ちゃんと書いてくれて、泣きそうなほど嬉しかった。ユリカやサフィニアが、ベティたちが幸せになれたのも、本当に嬉しかった。
生きてるよ、貴方達は紛い物なんかじゃない、確かに生きて、輝いてるよ。どこにも嘘なんてない、それをこれ以上無く、この物語をもって、戦いをもって、証明してみせたのだ。ディオロットが何を見つけ、何に希望をいだいたか、今実感している。これを守りたかったのか、これと生きたかったのか。
弱くて儚いマリアローズ、しかし勇気を持って戦い生きたマリアローズ。
Brave Heart of RED ROSE
薔薇のマリアよ。
あなたが得た生と愛の物語に、ただただ感謝を。素晴らしい物語に、ありがとうと、言い置きたい。
大好きなシリーズでした。


シリーズ感想

薔薇のマリア 19.たとえ明日すべてを失うとしても  

薔薇のマリア    19.たとえ明日すべてを失うとしても (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 19.たとえ明日すべてを失うとしても】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon

マリアたちの決死の敢行で“獄の獄”から完全復活を遂げたトマトクン。激戦のシャッコーに舞い戻ると、かつてない強さで悪魔たちを押し戻していく。そんな中、宙に浮かぶエルデンと共に、伝説の魔導王が姿を現し!?一方、幾万もの悪魔に取り囲まれ、防戦一方のワールオックの孤城に、アジアン率いる昼飯時の援軍が近づいていた。そのわずかな希望に城内の戦士たちは息を吹き返し、秩序の番人がついに攻勢に出るのだった!
伝説のディオロッド復活で、悪魔の構成で全滅しかかっていた人類の逆襲のターンだ!! と思っていた時期がありました。ありました。
あかんがなーーー!!
いや、もうあかん、こらあかん!というギリギリの瀬戸際でワールオックにZOOが帰ってきた時は一気に流れが変わるかと思ったし、実際復活したトマトクンはじめとしてZOOの面々の活躍ときたら八面六臂じゃ足りないくらいだったんだけれど……あかん、あまりにも凄惨で登場人物も死にまくったお陰で全然助かった気がしない!!
とてもじゃないけど、反撃開始という感じじゃなかったですよ。溢れかかった破滅が、ようやくZOOの参戦でギリギリ堰き止められた、という感じでしたから。
結果から見ると、確かに陥落必死だった悪魔の万軍を辛うじて退けて、一息つけたんですけれど絶望感の晴れなさは凄いですわー。なんか一時的に凌いだとしても、ジリ貧にしかならないという先行きのなさ。もうね、場面場面で今までシリーズの中でその姿を垣間見てきた名付きのキャラクターたちがガリガリ削られるみたいにしてどんどん死んじゃっていくわけですよ。そりゃもう、ザックザックと死んでいくわけですよ。こんなん、何度か繰り返してたらそれだけで誰もいなくなっちゃうんじゃないかという勢いで。ついこの間まで誰も死んでいなかったアジアンの昼飯時ですら、雪崩を打って有力どころがポンポン死んじゃっていくんですから。秩序の番人やチーロファミリーも全く同様のありさまで。
それでも、あちらこちらで散らばっていた面々が、一処に集ってエルデンに乗れたのだからこれでなんとか……と思ったら、即座にエルデンあんなことになっちゃうしさ!! 速攻すぎるよ!! エルデンに帰ってきたという感慨に浸りきる暇もなしだよ!!
それでも、絶望に浸りきらないのは恐るべきことに、戦慄スべきことに、誰も、誰もこの悪夢にして煉獄さながらの状況で絶望していないからなのだろう。諦めなど欠片もしていないからなのだろう。最後の最期まで戦って戦って生き残ろうとすることを、仲間を助けることを誰も諦めていないからなのだろう。この凄まじいまでの消耗戦の果てで、命がポロポロと簡単にこぼれていく中ですら、誰も諦めていないからなのだろう。
なんか、泣けてきたよ、ほんとに。
今回なんかさ、ついに荊王までが。彼、超人的な面々と比べたら強いって言っても常人の領域だったはずなのに、凄絶なまでの死線を繰り広げて守るべき小さな弱い生命たちを守って逝ってしまったのです。飛燕が一人、別れを噛みしめるシーンには、打たれたなあ。いいコンビだったもんなあ。
一方で、生きて再会することの出来た恋人たちもいるわけで。アジアンとマリアについてはもうごちそうさまとしか言いようがないんだけれど、今回それ以上になんともニモニモさせられたのがやっぱりダリエロとベティなわけでして。ベティってアジアンのこと完全に割りきっちゃったよね、これ。アジアンへの対応とくらべて、ダリエロへのあの反応なんですか?
そして、フラグ立てた途端にえらいことになってしまった陛下。へいかーーー!! いや、大丈夫だと思いたいけど。この人類絶滅戦争のMVPは、どう考えてもこのファニー・フランク陛下だもんなあ。この人だけは死なせたらあかん!!

あとがきによれば、ついにこの薔薇マリも次の二十巻にて幕引き。もうそんなに経つのか、このシリーズも。今なおこのシリーズこそ十文字青という作家のプライマリーにして根源であり、切先であると思えるだけに、その完結には特別な想いが駆け巡る。結局、マリアの性別は何なのか。マリアのうちにある秘密ってなんなんだろう。とか、色々気になってる謎や安否が気になる人とかたくさんあるんだけれど、なるべく沢山回収しつつ、全部べろりと堪能して大の字になれるといいなあ。ただただ楽しみで寂しいよ。

シリーズ感想

薔薇のマリア 18.光の中できみが笑う今は遠くて4   

薔薇のマリア    18.光の中できみが笑う今は遠くて (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 18.光の中できみが笑う今は遠くて】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon

苦難の旅を乗り越え、城塞都市シャッコーでZOOの仲間たちとようやく再会したマリアローズ。しかし、トマトクンは死の淵にあった。ボロボロの身体には治療の効果もなく、もはや最期の瞬間まで見守ることしかできないのかと思われた時、彼を救う最終手段が提示される。そのわずかな希望を手に入れるには異界の最深部“獄の獄”に行く必要があると告げられ―トマトクンを救うため、マリアと仲間たちはさらなる苦難へ突き進む。
ただでさえ地上が地獄の釜をひっくり返したようになっている中で、トマトクンを助けるために本物の地獄のその最奥、「獄の獄」に潜ることになったZOOの面々。何よりも感慨深いのが、この余りにも過酷な探索行がマリアたちの独断でトマトクンを助けるために突入したものではなくて、トマトクンからZOOの仲間たちに乞うたものだった、ということでしょう。トマトクンという存在は、これまで仲間であるリーダーであるという以上に、ある種の庇護者みたいな雰囲気があった事は否めない。ジョーカーやトワニングのようにあくまで対等、という人もいるにはいたけれど、みんなどこかしらでトマトクンに対して頼りにして寄りかかる部分はあったし、トマトクンの方もその来歴もあってか、今世に出来たこの大切な仲間たちを自分が守らなければならない、という観念があったように思う。それが、身体が持たずに崩壊しようという瀬戸際になった時に、決死行に等しい獄の獄への突入を自分を助けるために、守ろうとしていた仲間たちに頼り、すべてを託そうとしたトマトクン。その決断にこそ、彼が今のZOOの仲間たちをどれだけ大切に思っているかが、逆に伝わってきた気がします。そこまでして、一緒に居たかったのでしょう。この仲間たちとまだ生きたかったのでしょう。そして、自分のすべてを託すまでに、この地獄行を誰も死なずに成し遂げてくれると仲間たちを信頼したのでしょう。その気持が、なんだか嬉しかったなあ。
多分、マリアたちも嬉しかったのでしょう。一も二もなく、「獄の獄」への突入を決断するZOOの面々。いつもは心にもない愚痴や文句でストレスを発散するマリアも、今回ばかりはそれすらもなく、それどころか今は別の場所にいるカタリにすら思いを馳せ、はっきりと口にはしないものの、この一団となったZOOの中に今カタリがいないことを惜しみ、あとで自慢すらしてやろうと思っているあたりに、マリアにとっての、ZOOにとっての、この冒険がどんな意味合いを持っていたのかが透けて見えるような気がします。
相変わらず、無力なのに自分が皆を先導し、指示を飛ばすサブリーダーとしての役割にプレッシャーを感じ、押しつぶされそうになっているマリアですけれど、それでも以前と比べるといつまでもぐだぐだと凹まないし、仲間たちの目を必要以上に恐れないあたり、成長したというか、昔と比べると仲間たちとの信頼関係が段違いになったよなあ、と感慨深い。ユリカが的確なタイミングでフォローを入れたり、と周りの連中もマリアのメンタルをよく理解し補えるようになってて、実のところ信頼値としては当初からこのクランは高止まりして変わってないと思うんだけれど、お互いをフォローしあう機能性連携力という意味ではほんと、素晴らしい高みまで至っている。
敵は高レベルの悪魔や天使、バケモノばかり。最終ダンジョンどころか、ゲームの全クリ後にオマケで用意されているような隠しダンジョンと言ってもいいような難所であり、最大戦力であるトマトクンが完全に戦力外で、トワニングも彼を背負って戦力外、トマトクンを治療しなきゃいけないために定期的に安全を確保しなきゃいけない、という状況にも関わらず、確かにかなり瀬戸際ギリギリではあるんだけれど、実際はかなり安定感のある行程だったように思う。マリアが判断を迷わないと、たとえ誤断があってもパーティーとしては安心感があるんですよね。はっきり言って超人揃いになってしまったこのパーティーですけれど、マリアという核であり頭が存在してこそこれほど強力になれる、と改めて見せつけられたような気がします。
それでも、この「獄の獄」は余りにも地獄の底の底すぎて、今のZOOをしても突破できない場所であったのですが。あの最終関門は無理ゲーすぎるでしょう!
もうね、そこでマリアが何の躊躇いもなくあの決断をしてしまったことが、なんか衝撃的でした。ショックだった、というのとは違って、ただただインパクトだった、とでも言うのでしょうか。その行為に対して何の感想も思い浮かばないまま、無色の衝撃が通り抜けていった、というか。それだけはやっちゃいけないだろうとか、それしか仕方がなかったとか、そういう考えもなんか塗り潰されてしまって。なんとも不思議な感覚でした。だから、それを止めてひっくり返すのは、やっぱりトマトクン以外居なかったんでしょうね。マリアにとってのトマトクンの大きさがそれを為したのなら、それに対して何かを物申せるのも行動できるのも、トマトクンの大きさだけだったのでしょう。
これが、存在感ってやつだわなあ。
だからこそ、復活したトマトクンの巨大さが、より実感できるわけで。
本物のディオロット・マックスペインの復活に、何か体の芯から身震いするような興奮が沸き上がってきました。この地獄の蓋が開き、人間と悪魔が闘争を繰り広げる阿鼻叫喚の地獄絵図に、ついに光が差し込んだような。

今なお各地で悪魔の侵攻に抵抗を続ける人類各位。その勇戦は、相いれぬはずの宿敵同士を結びつけ、また新たに幼い命も産み出すに至っている。
ジョーカーが守る城塞都市シャッコーこそ陥落の危機を迎えているけれど、それこそ底の底はここだった、と信じたい。

十文字青作品感想

薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで4   

薔薇のマリア  17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 17.この痛みを抱えたまま僕らはいつまで】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon

エルデン浮上により古代九頭竜の呪いがとけ、地上に凶悪な悪魔と異界生物どもがあふれだし、ついに災厄の時代が幕を開ける。しかし絶望的な状況でも、人間たちは各地で悪魔たちに抵抗を続けるのだった。マリアもまた、不安と恐怖を抱えながらも、持ち前の能力を活かし、新たな仲間たちと日々を生き抜いていた。そんなある日、はぐれていたZOOメンバーの生存情報が!?地獄と化した世界へ踏み出すマリアを待ち受けるものとは!?―。

うわぁぁ、ルーシー……。かすかな希望に縋っていたのだけれど、蘇生術そのものが使えなくなってしまった、となればもう死んだらそれまで。どうあっても彼の死は覆らないことになってしまった。ショックなんてものじゃない、ついにZOOから死者が出てしまうなんて。
とまあ、ルーシーの死を発端にして、てっきり皆殺しショーが始まってしまうのか、と戦々恐々としながら新刊を手にとったのですが、みんな思いの外しぶとい!! かなり深刻に誰が死んで誰が生き残るのか、と構えていましたから、ZOOのメンバーのみならず、ランチタイムの面々をはじめとしてエルデンの主要なメンバーが軒並み生き残り、それだけでなく国家そのものが崩壊してしまうようなカタストロフの中で、か弱い人間たちの反抗の要として重きをなし、皆がバラバラになりながらもそれぞれの場所で戦っている姿には胸が熱くなりました。
特にファニー・フランク。あのホラ吹きのおっさんがここまで人類の明るい希望として輝くとはなあ。いや、前巻でも充分輝いていましたけれど、むしろ悪魔とフリークスによって人間が地上から根絶されようという絶望の中でこそ彼の存在はより輝きだしたように思います。これで色々勘違いしているやつだったら嫌な奴なんですが、このおっさんはちゃんと自分が運がいいだけという自覚があり、頭が悪くバカで弱くて何も出来ないという認識もあって、その上で脳天気にネアカに振舞って、難しいことはマリアや周りの人達に任せている。その上で、ちゃんと責任は自分が取ると明言してるんだから、どれだけバカに見えても大人物ですよ。マリアもバカバカいいながら、結構気に入ってるみたいだし。マリアってトマトクン相手でもそうだけれど、むしろ認めている男相手には悪態つくんですよねえ。まあ、憎まれ口を叩いても胸が痛まないようなキャラ相手だけですけれど。
そうそう、生き残ってて驚いたといえば、女豹の人ですよ。あの人、帝国軍に攻められた時、話の流れからして絶対に剣鬼ジジイとの戦いで死んだと思ってたのに、普通に生き残ってたし。ホントにしぶといなあ。

こういう時だからこそ、より恋の炎は燃え上がるのか、何やらあっちこっちでお熱い雰囲気が。もうユリカが完全にデレっデレで、どうするよこの娘。こんな状況なのに、飛燕と再会してからのイチャイチャしている様子はもう幸せ一直線である。まあ、飛燕もね、頼もしいんですよ。コイツがいたら、当人もユリカも大丈夫だな、という安心感があって、この二人のイチャイチャを見ているとそれだけで癒される。
なんかいい雰囲気になってしまっているといえば……なんか、ベアトリーチェとSIXがえらいことになってるんですが。ってか、誰だよこれ! 挿絵のSIXを見て唖然としてしまった。いや、ほんと誰だよこれw 完全に別人、というか憑物を落とされ浄化された? 或いは悟りでも開いてしまったかのような風貌に。そんな彼が、今やリーチェにベッタリですよ。リーチェはリーチェでなんか満更じゃないみたいだし。まあ、この二人がくっつくのなら、彼女がSIXに負わされた傷の意味も変えられようというものだけれど。 


文字通りの世紀末。悪魔やフリークスが闊歩する世界は、さながらトマトクンやSIXの回想の中で垣間見た、人類の文明が滅びたあとの世界そのものだ。文明が滅び、文化が潰え、歴史が一旦断絶したほどの絶滅期。そんな地獄のような時代を経て、ようやく今のような人間がまだ人間として生きられる世界に辿り着いたというのに、どうやらあの時代を生きていた不死の人間の中には、あの頃に戻りたい、という願望を持っていた輩が居た、と言うことなんだろうか。
ジョーカーやロム・フォウといった離れ離れになっていたZOOのメンバーとも合流でき、ジェードリのメンツまで加わって、ようやく集まれる面々は集まることが出来、これからみんな一緒になんとか出来る、そう思った途端に、肝心のトマトクンがあれですよ。
なんてこったい。
……希望が一気に暗転してしまった。
トマトクンがそれこそ全盛期の彼に戻れれば、これほど頼もしいこともないのだけれど、戻るためのフラグじゃないのか、という希望に今は縋るしかないのがつらい。
そう言えば、殆どオールスターキャストでこれまでシリーズで登場した面々の近況が描かれた中に、コロナとレニィの二人の様子が描かれてなかったんですよね。もしかしたら見逃したのかもしれないですが、描かれてないのだとしたら、心配で仕方がない。この二人は決して強くないもんなあ。頼むからモリーのところにでも無事で居てほしい。

十文字青作品感想

薔薇のマリア 16.さよならはいわない4   

薔薇のマリア  16 さよならはいわない (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 16.さよならはいわない】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon

痛くても、泣きたくても、なにがあっても、負けない。
エルデン崩壊!?(※そしてサフィニアとトマトクン急接近!!)


幾度も侵略を退けたサンランドの魔導兵たちは、ラフレシア帝国軍の前に沈黙し、軍勢はエルデンに迫る。噂と混乱に満ちるエルデンで、あるものは逃げようと奔走し、あるものは絶望に身を投げ、あるものは喧騒に乗じて略奪と殺戮に走る――。 そんな中、マリアが、ユリカが、サフィニアが、皆それぞれの時を惜しむように、愛する人との時を紡いでいた。 そして圧倒的な破壊の先陣は疾り来たる!! それでもZOOは生き残るために戦う!!

……絶句。為す術なく絶句。超剣士同士の常識はずれの大決闘とか、大魔導師たちの常軌を逸した魔法大戦など、あまりにも途方も無い戦いにむしろ緊張感は解けてたんですよね。軍隊による蹂躙という、個の介在しない逆らいようの無い暴虐の到来によって何もかも叩き潰される、これまで積み重ねてきたもの、築きあげてきたものを巨大な力によって一顧だにされずすり潰されるという、圧殺するような恐怖感、どうしようもないという無力感、ただ逃げ出すことしか出来ない、立ち向かう事すら出来ないという為す術もない有様に慄いていただけに、むしろ剣鬼の爺さんや閃光の魔女マチルダの襲来は、その持ちたる力は未曾有の圧倒的な代物であるにも関わらず、戦争という現実と比べると何故かほっとしたところがあったんですよね。どれほど強大な相手だろうと、それが個人ならそれほど怖くないんですよ。実際、マリアたちも混乱し翻弄され彼らの戦闘が巻き起こす大破壊に逃げ惑っているのだけれど、エルデンから脱出することを決めて、アサイラムと行動をともにし出すまでと比べると、その緊張感は確かに緩んでたんですよね。
その戦闘のド派手さに、話としては大いに盛り上がりながらも、同時にここまで張り詰め続けていた緊張の糸はここで一旦緩みを帯びていたのです。それこそが油断です。
まさに、逆撃が一番効果的に決まる瞬間でした。
一度緩んだ緊張の糸は、一瞬では引き絞れないのです。心の身構えは、簡単には戻らないのです。
突然思わぬところから押し寄せてきたすべてを圧壊させる「戦争」に、マリアたちも読み手であるコチラでもすらも濁流に飲まれた木の葉のように、為す術無く翻弄され、慌てふためき、何も出来ないまま押し流されてしまったのです。
もし、南門についた時点でそのまま戦争に突入していたら、ここまで惑乱することもなかったでしょう。ある程度、どんな事が起ころうと、どんな展開が起こってしまおうと覚悟ができていたはずです。それが、無防備に足をすくわれ、「え? ええ? ええ!?」と落ち着く事もできないまま右往左往した挙句、ラストのあれですよ。もう、呆然です。絶句です。為す術なく言葉を失うばかりでした。完全に緩急にしてやられましたよ。これで次巻に続くって、凶悪にも程がある。しかも、どうやらある程度最後の場面から時間が経っているようだし……ほんとにどうなったんだよ、もう!!

とまあ、後半の怒涛の流れに圧倒された巻のあるこの16巻なのですが、前半は前半でまったり、とは違うのですけれど、刻々と近づいてくる破局を前に、いやだからこそやおら盛り上がる恋人たちの描写の数々がもう甘いような切ないような、どうしたもんですかこれ。いつの間にか、カップル増えたよなあ。ユリカと飛燕だけじゃなく、ヨハンと琺瑠も此処に来て結ばれちゃっているようだし、まさかのカタリ大成功。いや、カタリがそれっていいのかマジでw ダリエロとか、お前凶悪悪漢キャラじゃなかったのかと言いたくなるくらいの、子供好きのお父さんキャラになった挙句にベティといい雰囲気になりやがっておめでとう。本人たちは「はぁ?」という感じのようだけれど、傍目には完全にコンビだよね、この二人。何か得体のしれない関係になりつつあるのがSIXとリーチェなんだが、ここは一体どういう方向に行こうとしているんだろう。サフィニアはむしろ想いが届いてしまったことが逆に悲恋フラグ立ってしまった気がして怖い。
と、気になる純愛模様が幾つも幾つもあるはずなのに、それらが全部どうなってしまったのか、あの状況じゃわからないんだよなあ。楽観視するには、あのラストが見事に釘をさしている。十文字さんは偏執的に悲劇惨劇を演出するタイプじゃないし、どれほど悪夢的な展開でも希望を消したりしない人なんだけれど、やるとなればためらわずに幾らでもやってのける作家でもあるから、ホントに楽観は何も出来ないんですよね。なんかもう、磨り減るわー。
一応、脳や心臓は破損していないはずだから蘇生式は施術可能のはずなんだが、あの状況で遺体を回収して坊主呼んできて式を行えるだけの場を用意できるかというと、とてもじゃないが期待できようはずもなく……あー、あかん。こりゃあかん。あかんわ〜……。

十文字青作品感想

薔薇のマリア 15.愛も憎しみも絶望も4   

薔薇のマリア  15.愛も憎しみも絶望も (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 15.愛も憎しみも絶望も】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon


浮かれている場合じゃない!!!!!
恋とかいろいろあるけれど、謎の逃亡者ハニーメリー登場でZOOに押し寄せる大災厄!!

「あたしは“ハニーメリー”。ハニーでいい」
あー、もう――寝てたのに、寝てたのに。マリアローズの眠りを妨げたのは、輝く瞳の女(ハニー)。マリアはすぐにこの女が厄介事の種だと直感する。女は禁じられた技術に手を出して、組織から追われる機術師(メカニスタ)――背を伸ばし、髪と瞳の色を変え、利き腕も変えて逃亡者として生きてきた。マリアに満ちる嫌な予感……。
風雲急を告げるエルデンで、蛍光緑(ルミナスグリーン)のハニーとの出会いがZOOを新たな運命に誘う!!

皮肉な話だ。生きている実感を手に入れたからこそ、自分が今ここにいるのだと実感したからこそ、生きることに疲れを覚えるとは。
悠久の時を生きてきたトマトクン。彼がマリアに語ったのは、今のZOOの仲間たちと出会った事でようやく得られた生きているという実感。彼らのためには死んだっていい、彼らがいるからこそ死にたくない、そんな自分が今ここに居るのだという実感。
だけれど、自分が今まで存在してきた中ですれ違ってきた多くの人々のコピーとも出来そこないとも言える人形たちと遭遇し、自分が此処に到るまでに積み上げてきた血塗られた迷走の道を突きつけられた時、彼がこぼした「疲れた」という言葉に、胸が締め付けられる。
そして、生に膿もうとしているのは彼だけではない。不死の存在となり、超越者として時代の表と裏を歩んできた他の存在たちも、そう例えばあの「SIX」もそうなのだろう。暴虐を尽くした果てに彼はついに死なない自分に疲れはててしまったが故に自らを檻へと閉じ込めた。そして今回登場した
リルコにも、また同じ匂いを嗅いだ。憎まれることに慣れきってしまったという言葉の裏に垣間見える疲労感。トマトクンへの複雑に入り組んだ感情は、あるいは彼女の拠り所なのだろうか。
マリアをはじめとした多くの登場人物たちが閉塞の壁をブレイクスルーし、今の生を謳歌しようとし始めているのとは対照的に、あるいは並べて比べるかのように彼ら超越者の膿みは沈殿していく。その行先は、狂気へと繋がっていくのだろうか。ZOOという休息にして救済である場所を手に入れたtマトクンと違い、他人の手を借りようやく止まる事のできたSIXと違い、リルコやあのルイには歯止めというものが無くなっているように見える。そして、その歯止めのない狂気は今を生きているエルデンの人々をまさに戦争という形で飲み込もうとしているわけだ。
リルコの襲撃はその端緒であり狼煙であり、トマトクン不在の中で手も足も出ず為すすべなく壊滅してしまったZOOの有様は、そのまま超越者という存在の脅威を教え、それと立ち向かわなければならない困難さを指し示しているようにも伺える。その、圧倒的にして絶望的な差を。
なんだかんだと、とんでもない事件や敵を相手取りながら全員無事に強かに戦い抜いてきたZOOの面々が、あんなふうに為すすべ無く壊滅していくさまは、正直かなり衝撃的だった。リルコって、確かに目茶苦茶強いんですけど、決して神憑ってるわけでもどうやっても太刀打ち出来ない無敵っぷりを見せてるわけでもないんですよね。存在自体が絶望的な相手じゃなかった。だからこそ、あの手も足も出ずに一人ひとりズタズタに倒されていく戦闘は、余計に圧巻であり、読んでいるだけで息苦しく、自信や余裕、身につけている鎧をかたっぱしからひっペがされていくような絶望感が伝わってきた。
酷い戦いだった。
そして、これから彼らを待ち受けている戦争は、最終幕はそれこそそんな戦いの連続なのだろう。
まさに、クライマックスの幕開けにふわさしい、目の前に広がってた幸せな未来をボロボロにされるという途方も無い危機感と切迫感を注ぎ込まれる、最上にして最良の前振りだったと言っていいんでないだろうか。
こっから、最後まで突っ走って行ってくれる、そんな実感を味わわせてくれた巻でした。

新キャラのハニーメリーは、淡々飄々としているわりに好奇心を抑えきれないマイペース人間という今までに見なかったキャラで、面白かったなあ。ルーシーの時よりもはっきりすんなりとZOOに馴染んだ気がするのは私だけだろうか。まだ仲間はみんな戸惑ってる感じだけど、この娘はZOOに良く似あってますよ。まさか、みんなのタブーだったマリアの身体の秘密に、あんなに無造作かつ大胆に踏み込んでいくとは。普段ならぶち切れて突き放すマリアがタジタジですよw
でも、やっぱりマリアの体格は男性としてはあり得ないものなのか。どうやら、マリアにも超越者に関する秘密が本人も知らないうちにあるみたいだし。ああ、アジアンに対する態度は私も酷いと思うぞ。あの鬱陶しい男が可哀想と思ったのははじめてだ(笑
だいたい、あのイカレた態度がどう接していいかわからない単なる照れ隠しだと気づいているのなら、もうちょっと優しくしてやれよう。
あと、最近ピンプの半魚人に対する態度やツッコミが容赦なくなってるんですが。あの純朴だったピンプが、優しいピンプが、容赦ない罵詈を……。ぴ、ピンパーネルさん、もしかしてリア充嫌いだったりしますか?(爆笑

十文字青作品感想

薔薇のマリア 14.さまよい恋する欠片の断章4   

薔薇のマリア  14.さまよい恋する欠片の断章 (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 14.さまよい恋する欠片の断章】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon
 bk1


これはまた、なんという……。400ページ越えの、相応に厚い文章量にも関わらず、事件らしい事件がまったく置きないまま、ほとんど全部日常パートで押し切ってしまいましたよ。と、書くと冗長な内容に思えるかもしれないけれど、それがまったく違うんだな。
これ、極少数のメインメンバーに焦点を当てた日常編ではなくて、数十人に及ぶ登場人物を網羅した、掌編集なのだ。数十人である、数十人。ちゃんと数えているわけじゃないけれど、三十人は上回るんじゃないだろうか。
SIXとの激戦が終わり、ひとときの平和が訪れたエルデン。無統治王国の首都という場所柄もあり、危険な無法都市という顔は変わらないんですが、今はどこか穏やかな空気が流れているんですよね。善良で無力な人間でも、笑って日々を過ごしていけそうな気すらするくらいに。
事実、ここで描かれる登場人物たちの姿には荒んだものがなく、それぞれが停滞を脱し、前を向き、より良き未来に歩き出しているように見える。
過去を過去として噛み締めるように振り返る余裕がうまれ、目を逸らし忌避していたものと向きあう勇気を得て、現状は好転し、培ってきたものが成就し始めている。
カタリには春が訪れ(相手はなかなか意外な人物だったが、けっこうお似合い?)、ピンプは過去に喪ったものを愛する人と受け入れ、哀しむために酒に酔う。羅叉は剣たる自身を解放され、ヨハンはついに自戒を解く。ベアトリーチェはすべてを抱擁するように前に進み、ユリカはついに自分の恋を受け入れる。
他にも、新たな出会いを得るもの、懐かしき人と懐旧するもの、今までの関係に変化が訪れるもの。
ささやかで穏やかだけれども、着実な変化が、それも良き方向への変化が皆に生まれ始めている。
まるで、未来が明るいもののように。
そんな中、またぞろメンタルが陰の方に転がりだすマリア。いい加減成長したはずが、いったい何が原因で悪いスパイラルに入っているのかと思ったら……ユリカやサフィニア、モリーやベアトリーチェといった親友たちに癒されているにも関わらず、いつもなら自己嫌悪しながらも歯を食いしばりながらグッと前に踏み出すはずが、元気をもらっているにも関わらず、妙にウジウジと調子の悪さが抜けないんですよね。変だなー、とは思ってたんだ。以前までの欝に比べれば症状が軽いけど、しつこいというか粘っこいというか、タチが悪そうなどうでもよさそうな、妙な調子の悪さ。ほんとに純粋に、なんだろうなー、と思ってたんですよ。うん……。

マリア、もうダメだわ、これ。末期だ(苦笑
救いようがない。これはもう取り返しの付かないところまで進行してしまっている。どんな乙女だよ、どんな乙女だよ!!
アジアンとしばらく会っていなかったから、とかどんな乙女な理由だよ!! お前、少女漫画の主人公か!!
はいはい、ごちそうさまごちそうさま(苦笑

そんな風に、他愛もない、深刻な事件が起こる予兆もない、明日もきっと晴れるかのような雰囲気……でも、はたしてそれは本当に?
そんなはずがない。だって、この巻は最終巻じゃないんだから。まだ、終章に入る前の、その僅かな一刻を抜き出したのが、この巻なのだから。
微笑ましい、どこか安らぎすら覚えるような穏やかなこの14巻を読み終えたあと、ふと想像して血の気が引いた。

まさかとは思うけど、この巻丸ごと全部、<死亡フラグ>じゃないよねえ?(汗

また、linkと銘打たれた章ではトマトクンの過去と思しきもの。失われた歴史にまつわる秘密などといったこの世界の秘密の根幹に関わるであろう話が描かれている。
平和な日々の向こう側に、闇に沈んだ歴史の真実、世界の本当の姿が徐々にベールを脱ごうとしている。
ここで描かれたすべてのキャラたちに、物語の終幕が訪れようとしているわけだ。今から、身体が震えてきそうだ。

3巻 外伝3巻 外伝5巻 9巻 10巻 11巻 12巻 13巻感想

薔薇のマリア 13.罪と悪よ悲しみに沈め4   

薔薇のマリア  13.罪と悪よ悲しみに沈め (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 13.罪と悪よ悲しみに沈め】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon
 bk1

なるほどなあ、終わってみればそういう事だったのかと首肯してしまった。
なぜ、もう一度SIXだったのか。一度倒したはずの最悪にして最凶、邪悪にして外道たる男と再び対決しなければならなかったのか。
そして、なぜSIXが父親でなければならなかったのか、という点も幾許かこの理由に含まれているのではないだろうか。ルーシー関連は決して上手く行っていなかった気もするけど。

かつての泉里会戦において、秩序の番人たちがSIXによって受けた傷は、今なお癒えてはいなかった。羅叉を総長に、ヨハンを副総長においた新体制を組み直したものの、お世辞にも順風満帆に行っているとは言えなかった。明らかに歪で、機能不全を起こし、存在が変調をきたしていた。
端的に言えば、秩序の番人は偉大なる総長の死からの再出発に、失敗してしまっていたのだ。それでも、曲がりなりにも秩序の番人が体裁を整えていられたのは、ヨハンの尽力があったからだ。逆に言うと、誰もがヨハンこそが秩序の番人の要と理解しながらも、その彼を前に押したてられなかった時点で、早晩秩序の番人は破綻を迎えていたのではないだろうか。
既に組織は以前とはまるで違うものに変わりつつあったのに、ヨハン本人を含めて誰もが過去にしがみつき、有りの侭の今から目を背け、歪みを放置し続けていたわけだ。

つまるところ、彼らは過去を払拭せねばならなかった。過去の傷を克服し、前を向き、未来を見据え、今の自分達を立て直さなければならなかったわけだ。
とはいえ、それは決して簡単なことではない。薄々感覚としてその真理に気づきつつあったとしても、少なくとも目に見えるはっきりとした形で異常がない以上、組織全体を変革するエネルギーはなかなか湧いてくるものではない。多くのものは現状を維持しようと変化に対して反発するだろうし、何より上層部の人間たちこそが頑なに今の在り方にこだわっていたわけだから。彼らこそが、このままではダメだと一番理解しながら、だ。

そんな時に現れたのが、彼らの今の有様を作り出した元凶であるSIX。彼らがしがみつく過去を粉々に打ち砕いた、ある意味彼らの過去の象徴とも言うべき倒すべき敵。
図らずも、再び現れたSIXは歪みきった今の秩序の番人をも再び無茶苦茶に打ち壊し、真の要であり柱であったヨハンを連れ去ってしまったわけだ。
総長である羅叉が健在でも、今の総長は羅叉だったが、ヨハンがいなくなった後の秩序の番人が、もはやその体をなくしてしまったのを見れば、それこそ誰が太陽鬼亡き後の秩序の番人を担っていたか、その事実が白日のもとに晒されてしまったのである。それこそ、もう誰も目をそらせないほどはっきりと。
とはいえ、今更その事実が露呈したとしても、ヨハンがいない以上どうにもならない。本来なら秩序の番人はSIXの攻撃を受けなくても、このまま崩壊していったはずだったのだが。

そこで思わぬ形で割って入ってきたのがマリアであり、マリアに後押しされたトマトくんだったのである。
うむ、この発想はなかった! いや、あくまでこの展開はハプニングというかトマトくんのウッカリさんのお陰であって、マリアの最初の発案内容は穏当なものだったんだけどね。ただ、マリアの初期案のままだったら決して上手くはいかなかっただろうし、その意味ではトマトクンのうっかりグッドジョブ、なんだが……あれ、本当にうっかりだったのんだろうか。
いつもは掴みどころの無い側面ばかりが表に出ているトマトクンだけれど、今回はいつになく本気だった。将帥としての存在感もそうなんだけれど、ZOOのメンバーに対しても今回はちょっと違った気がするんだよなあ。今まではもうちょっと存在感が茫洋としていたんだけれど、なんか今回はイメージというか存在感が鮮明だった。なんていうかねえ、今までは屋台骨とか大黒柱とか、絶対に必要で大きな存在なんだけれど、そこにズシンと聳えているだけの動かないモノみたいな感覚だったのが、今回は生きた人間だったというか、歳の離れたお兄さんみたいな感覚で。いや、だんだん何を言ってるのか自分でもわからなくなってきたが。リーダーとか大将とかそういう感じでもなく、家族の中の家長みたいな? それも父親ほど遠くはない一回り年上のお兄ちゃんみたいな?
まあ、何にせよそんな感じだったのだ、この巻のトマトクンは。身近だった、というべきかもしれない。もっとも、そんな感覚は読者視点のものに過ぎず、マリアたちZOOの面々からしたらトマトクンが身近で家族だというのは今さらのことなんだろうけれど。

っと、話が逸れた。
SIXによって二度目の崩壊を迎えた秩序の番人は、トマトクンのお陰で三度復活したのだけれど、あくまでこの時の編成というのはSIXを倒すためのものであり、新体制ってわけじゃなかったんだよね。この時点では、何よりSIXを倒すことこそが最優先だったわけだから、これでいいんだけれど。そう、何より過去の象徴であるSIXを倒さないことには始まらなかったわけだ。でも、ただ力任せに倒すのでは、前回SIXを退けた時と何も変わらなかったのかもしれない。
ここで重要な役割を果すのが、ヨハンであり、ベアトリーチェだったのである。
本拠地奪還戦でアジアンの活躍で(この巻でふざけた格好で走り回ってたアジアン、マリアとのイチャイチャばかりが目立ってたけれど、珍しく今回の彼の行動というのはマリアのため、というのとは外れてたんですよね。彼が走り回っていたのは、秩序の番人との関係を修復するため、というクランの頭としての(やり方はメチャクチャとはいえ)過去の失態を挽回し、責任を果たそうとしていたが故の行動という点は、注目に値する)助けられたヨハンは、組織としての秩序の番人がSIXによってグチャグチャに潰れたのとは別に、彼個人も虜囚の憂き目にあい、人間としての尊厳を粉々に打ち砕かれ、ある意味こだわりもしがらみも執着も、何より過去からも、何もかもが漂白されたのかもしれない。その上で彼に残されたのは、ずっと抱きしめ続けた大切な想いあり、自分がかつて太陽鬼たちから託されたものの姿だったわけだ。

そしてベアトリーチェ。彼女もまた、かつてSIXによって陵辱され好きだった人を殺され、それまで彼女が持っていたものの殆どを奪われた過去を持つ。
その後、彼女は秩序の番人を離れたものの、自分のやりたい事為すべきことを見つけ、愛する人たちと生きる道を進みだしていた。
そして今、奪われたもの以上のものを手に入れ、成長した彼女は再びSIXと対峙する。
その時、SIXにむけて彼女が告げた一言こそが、このルーシー編におけるSIXの再登場の意味だったんじゃないだろうか。

リーチェは、素晴らしく素敵な女性になったよなあ。初めて登場した頃と比べると、別人のようである。別人というのとは少し違うか。少女が、大人の女性になったというべきか。
十文字青という人の描く作品の登場人物たちは、多かれ少なかれコンプレックスを抱き、トラウマを抱え、自らの内にある歪みと戦っているけれど、これほど自分の内なる闇や痛み、歪みに対して、決定的な、完全な勝利を手にしたキャラクターというのは、彼女が初めてなんじゃないだろうか。それほどに、この巻におけるリーチェの姿というものは鮮烈でした。
リーチェがピンチに陥った時のマリアの取り乱し方も、けっこう驚かされた。アジアンとは別の意味で、リーチェって確かにマリアにとって特別な人になってるんですよね。親友、とはまた違うんだよなあ。大切で、守りたい人、という感じで。


と、物語の本筋とはまた別に、どうやらトマトクンやSIXが根幹に関わっているらしいこの世界の謎についても、今回大胆に踏み込んできた。SIXの回想からだけでも、この世界の成り立ちが幾許か想像しえる。
トマトクンが時折漏らす単語などから、この世界が現代西暦から直接つながっている世界だというのは薄々承知していたけれど、どうやら冒頭の回想からして、一度マジで文明崩壊したみたいだな、こりゃあ。
しかし、そこにマリアがどう関わってくるんだ?
マリアの謎については、トマトクン関連とはまったく関係がないと思い込んでいただけに、この流れには驚かされた。
そろそろこのシリーズも、クライマックスへと足を踏み入れてきたんだろうか、

薔薇のマリア 12.夜に乱雲花々乱れ4   

薔薇のマリア  12.夜に乱雲花々乱れ (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 12.夜に乱雲花々乱れ】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon
 bk1

君を、この腕で抱いておけばよかった。

ZOOの新メンバー、ルーシー。彼の父親は、あのSIXなのか。マリアたちが息の根を止めたはずのSIXが、生きていたというのか。ルーシーにどう接するべきか戸惑うマリア。そして、真偽を確かめるために第八区へと向かい、SIXらしき男と対峙するアジアン。一方、SIXへの復讐を誓う、≪秩序の番人(モラル・キーパーズ)≫の副長ヨハンは……。「君を一度、この腕で抱けばよかった」――。最も過酷な最後の戦いが幕を開ける! 慟哭の新章、第2弾登場!!


SIX再臨!!
巻を十二にまで数えるようになり、名実ともに長編シリーズとなった薔薇マリだけれど、物語の中で幾多登場した敵の中でも、もっとも凶悪でもっとも邪悪で最悪の鬼畜外道だった男こそSIX。
薔薇のマリアという作品において、まさに悪徳の象徴であり、多くの好漢たちを惨殺し、無数の人々に慟哭の涙を流させ、消えない傷跡を残した最大の大敵であった男こそSIX。
思えば、彼奴がエルデンから退場して以降、この無法都市であったエルデンから、悪徳の気配がごっそりと消え去ったような気がするのは、はたして気のせいだろうか。たった一人の男の存在が、街そのものの在り様そのものを一変させる。それほどの影響力を備えていた男が帰ってきたのだ。エルデンの街の雰囲気には暗雲たちこめ、甘くえずくような腐臭が漂い始める。

ただ、SIXの再登場が即座に倒すべき大敵の帰還という定路をとらないのは捻ってるよなあ。ZOOの新人であるルーシーの父親がSIXではないかという疑惑。ルーシーが語っていた父親の姿は、ちょっと変人入ってるみたいな所はともかくとして、あのSIXの実像とはまるで重ならない。
加えて、腕一本を残して消し墨と化したはずのSIXがなぜ、復活してきたのか。そして、トマトクンと、随分古くから旧知であるらしいという一面。どうやら、トマトクンの正体や秘められた謎にも、これは踏み込んでいく展開になるのではないだろうか。どうも、トマトクンの身体にも異変が起こりつつあるみたいだし。

アジアンは結局、独りで動いているのか。マリアのアジアンへの危惧は的確で、何気によくアジアンのこと見てるよなあ、というのがこっそり伝わってくる。前に邪険にしていたばかりの頃に比べれば、表面上はともかく、内面はやたらと変わっちゃったよなあ。ルーシーが二人のやり取りを見てムッとしているのも仕方ないぞ。
イチャイチャ、といえばユリカと飛燕のそれは、もう素晴らしい領域に。飛燕の誕生日をユリカが密かに祝ってあげてたらしいとか、二人でこっそりデートみたいな事を何度もやってるみたいとか。知らないうちに親密度がえらいことに。飛燕はもう彼氏だー、なんて公言しちゃってるし、ユリカは否定しつつもその態度ときたら巻を重ねるごとに甘くなっている始末。
いいんだいいんだ、ユリカさんはそうやって幸せになればいいんだよー。飛燕はバカだけど、馬鹿であるが故にイイやつなんだし。
そのユリカさん、今回はカラーの口絵でのおめかしがもう、とんでもないことに。絵師のBUNBUNさんがもう神がかってる。可愛いとかそういうレベルじゃねーっ。このあたりはもう、作中のマリアと物凄い勢いでシンクロ。シンクロニティィ!!

久々にベアトリーチェの様子も見えて、非常に満足。少女だった彼女も熟成した美女へと変貌しつつあるのねー。凛として可憐だった彼女だけど、今の充実した振る舞いには以前のような芯の堅さが拭い去られ、いい意味で柔らかくなった気がするなあ。
でも、その彼女もかつてのSIXとの戦いで大きな心の傷を負った身の上。彼女が彼奴に負わされた恥辱と屈辱と恐怖の記憶は、未だ彼女の心身を苛み続けているはずであり、あの男の復活が彼女にどんな影響を及ぼすのか。
マリアを守るのはアジアンであるべきなのかもしれないけど、ベアトリーチェを守る騎士は、やっぱりマリアであって欲しいんですけどね。
ヨハンも、どうも父を喪ったあと、気負ったまま来ているみたいだしなあ。この子には、どうもまだまだ化ける要素が多々見受けられるので、この事件を壁を乗り越えるための踏み台にしてほしいところだけど。もう悲恋は充分なんだから、惚れあった男女は上手い事行って欲しいよ。ちなみに、眼鏡は好し。

薔薇のマリア 11.灰被りのルーシー  

薔薇のマリア  11.灰被りのルーシー (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア 11.灰被りのルーシー】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon


だーまーさーれーたーーー!!

なんというかもう、笑うしかないっすね。あははははははは。
別にがっかりしたとかやられたーとかそりゃねえよ、というような感覚はないのですが、もうね、君が言うなよ、って話で。お前が言うなよ、って話で。えっ? 君がそういうショックを受けてるわけ? 死にたくなるほど落ち込んでるわけ? ぐだぐだになっちゃってるわけ? マテマテ待て、そりゃあカタリちゃんとかこっちのセリフで会って、感慨であって、悲嘆であって、まず君は自分がどうこうショックを受ける前に自分を顧みなさいよ、ねえねえねえ?
という、教導的な気分なわけですよ、はいだらー!

おちつけ、まいさん。


というところで、新キャラクター、ルーシーを主人公として描かれる薔薇のマリア新章スタートの回である。
故あって故郷を追われ、父親に会うためにエルデンを訪れたルーシーが直面する現実の過酷さ、非情さ。街に着くなりあっと言う間に身ぐるみはがされ、無一文にさせられて、挙句に拉致られ売り飛ばされそうになったところをマリアローズに助けられたのをきっかけに、クラン・ZOOに身を寄せることになったルーシーなのですが、なんだかんだで特殊技能の持ち主ばかり、エルデンでも有数のクランとして名高いZOOの面々に比べて、剣も握ったこともなく街で働いた事もない何もできない田舎者。無力で弱く意気地もなく、何もできない役立たず。ルーシーの目から見たら、あのマリアだって超人のように強く見える。
助けられ、拾われ、世話されて、生まれて初めてというほど優しくされているのに、それに対して何もお返しできない無力感。頑張れば頑張るほど役に立たない自分の無能さに打ちひしがれ、情けなさに頭を抱える日々。
それでも懸命に頑張る日々の中で、ささやかな希望や、こんな自分でも何か出来るのじゃないかという光が垣間見えるときもあるけれど、すぐさま辛辣で意地悪な現実の前に、泥の水たまりに叩き落とされ、自己嫌悪にのたうちまわる。
相変わらず、作者はこういう自分の弱さにのたうち、転げまわるのを書かせるの、一品なんだよなあ。まったく、感心させられる。
でも、この人の素敵だな、と思うところは、こうした惨めで恥ずかしくてみっともない日々が、俯瞰的に見たら決して無駄でない時間を過ごしているのを、きっちり書いてくれるところなんですよね。ルーシー本人はきづいていないかもしれないけれど、その失敗続きのろくでもない日々の中で、この子は頑張った分、きっちりと昨日よりも一昨日よりも着実に前に前進しているのです。しっかり、ちょっとずつでも成長している。泥の中に頭から突っ込むような毎日が、後々にしっかりと糧となって作用している。
嬉しいじゃないですか、やっぱり。頑張った分、前に進んでるのを見られるのは。

それは、今回見守る立場にあるマリアにも通じることであるんですよね。ルーシーが苦悩し涙を流し、唇を噛んで懊悩しているその姿は、それこそマリアが通過してきたところなんですよね。それを、マリアはきちっとわかってる。ルーシーがどんなことで傷つき、痛みを感じているかをちゃんと理解して、丁寧にフォローしているんですよね。
マリアは、優しくなったよなあ。もっと前だったらこんなに素直にルーシーみたいな子に手を差し伸べただろうか。根っこの部分は優しくてお節介というのはあったかもしれないけど、それを表に出せるような余裕が以前はなかった気がするわけで。その意味では、自分が他人から与えてもらったものを、それ以上にして他人に与えられるようになったというのは、着実なマリアの成長をも示してるんですよね。
ルーシーという第3者の目を通すことで、これまでマリア視点でうっすらと感じてきたマリアの成長というものを、こうしてはっきりと認識出来たわけで。その意味では、ルーシーを描く以上に、このマリアを描けたことに今回の巻の意味はあったんじゃないでしょうか。
しかし、ルーシーは幸いだよ。マリアの時は、ZOOの面々は細かいケアが出来るような人いなかったもんなあ。まあ、マリア本人がスレてて捻くれていたから遠回りした、ってところもあったんだろうけど、それこそマリアみたいに手助けしてくれる人がいたら、マリアももっと早くZOOに馴染めたんじゃないだろうか。
まあ、そのマリア本人が苦労した分、ルーシーに還元できてるんだろうけど。

しかし、ルーシー視点からみるマリアって、尋常じゃなく可憐で可愛らしくて、こりゃどうしようもないなあ。キラキラ輝いてて、儚くうるんでて、なんですかこの超ド級ヒロインは。普段のウジウジグルグル捻くれて斜に構えた内面描写も、ルーシー視点だから見えないもんだから、マリアが本気で可愛く見えるわけで。そりゃ、アジアンのみならず、荊王なんかがベタ惚れちしゃうのも無理ないよなあ。性別関係ないよなあ。マリアだってだけで、色々超越しちゃうよなあ。
でも、女の子ではないと主張してるけど、じゃあ男の子だと明言しているわけでもなく(今回のあいつと違って)。メンタル面はどう考えても女性側のようにしか見えないわけで(裸見て大慌てって、ねえ?)
ユリカとサフィニアの3人でいる時なんて、どう見ても同世代の仲の良い女性のグループという雰囲気だし。
これだけシリーズ冊数出ているにも関わらず、未だに主人公の性別がはっきりしないというのは、凄いよなあ。そして、作中関係者や読者がみんなもう性別なんてどうでもいいや、という境地に至ってしまっているのも、なんともすごいとしかいいようがなく(笑

薔薇のマリア Ver5 つぼみのコロナ24   

薔薇のマリア Ver5  つぼみのコロナ2 (角川スニーカー文庫)

【薔薇のマリア Ver5 つぼみのコロナ2】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫

Amazon



最近の作者はいったいどうしたというんだろう。薔薇マリ本編の。ANGEL+DIVE。いつも心に剣を。今、十文字青という人はのりにのっているのか、書いて書いて書きまくってる。そのシリーズのことごとくで、愛が語られているのだ。それも情熱的に、包容するように。小指を絡ませるように。
ときに閉じられた夜から新しい世界へと飛び出す原動力として。ある時は、破滅へと誘う甘くも切ない罪過として。様々な形で愛と呼ばれる人の根源に連なる情動が、渾身のフルビートを以って叩きつけてくるのだ。
そして、今ここに一つの愛が成就する。
正直に言うと、この【つぼみのコロナ】の第二編を読み終えたときには唖然とした。こんな真っすぐで歪みなく素直に花開く恋愛譚を、この作者が描くとは思いもよらなかったのだ。確かに、読めばこの書き方は十文字青その人以外のなにものでもない、原色的な一心不乱の内面描写のオールナイトパレードそのままなのだけれど、その筆致で描かれていくのは、一生懸命に苦しい毎日を生き延びながら、大切になってしまった人を守ろうと、役に立とうと懸命にあがく少年少女の、きっと世界を見渡せばどこにでもある、でもだからこそ尊い姿。
レニィもコロナも、とても素直なんですよね。いじけたり悩んだり、目の前の嫌なものから逃げ出したり、それはこの作者の書くキャラクターの姿から逸脱したものじゃないんだけれど、とかく歪んだものがない。それぞれ、相手に対する想いに関しては、吃驚するくらいに偽らずに自分を騙さず、素直に受け止めている。
異常な、もしくは極端な繋がり方をしている他のカップリングと違って、この二人のそれはとてもナチュラルで純粋で、それゆえに見ていて安心できるものなんですよね。もしなんらかの形で片割れが喪われてしまったとしても、コロナなんか爆弾持ちですからね、遠からず命尽きることになるかもしれない。でも、その場合でも残された方は悲しみに打ちひしがれ膝折れることはあったとしても、その片割れの喪失によって魂をゆがませてしまうようなことはないように思えるのです。たとえその存在が消えてしまったとしても、想い出となって残された人を支え続けるような、そんな優しい繋がり方、お互いを守りたいという想いの正当な形。その人が好きだという感情の純朴な結実が、このレニィとコロナという少年少女の恋愛からは透けて見えてきたのでした。
こんな素朴で優しい恋愛を、この作者が書くとはねえ。
ずっと眠り続けていた二片のつぼみが、ふわりと花を咲かせる瞬間を目の当たりにしたような、どこか優しい気持ちにさせられる、心温かなお話でした。

この作者さんはねえ、ほんとにとてつもなく残酷でむごたらしい世界観を描きながら、そこにいる人たちの多くはびっくりするくらいの善性を、その根底に忍ばせてるんだよなあ。そのギャップにいつも酩酊させられるわけです。この酔わせ方がたまらんわけですけど。

書き下ろしの方で、思わぬ人物が再登場していて、読んでて思わず「おおっ!」と声を上げてしまいましたよ。本編での退場の仕方がずいぶん酷いものでしたから、あのあといったいどうなったんだろうと何気に気になっていたのですが、なんとか持ち直していたみたいで。以前よりもどこか柔らかい雰囲気も感じられましたし、今はけっこう幸せに過ごしているのかなあ、これ。
なんにせよ、良かったよかった。

薔薇のマリア X.黒と白の果て4   

薔薇のマリア  X.黒と白の果て (角川スニーカー文庫 182-14)

【薔薇のマリア ��.黒と白の果て】 十文字青/BUNBUN スニーカー文庫


あ、中てられた。なんかもうね、マリアの性別がどうだこうだなんて、この<愛>の前にはどうでもいいことのように思えてきた。本当は男だろうが、女だろうが、両性具有者だろうが無性者だろうが。
アジアンはあんな変態だし(この変態性は、マリアの前だけで、単にマリアの前に出るとテンパってしまってこんなキャラクターになってしまってたという事が、ここ数巻のアジアンのクラン<ランチタイム>編で明らかになっているのだが)、マリアはマリアで自分の性別を秘密にしていてなんかコンプレックスもあるみたいな上に、アジアンに対しては好悪が入り混じってグチャグチャになった感情を抱いていて、二人の関係ってのは一見複雑怪奇に絡まり合って、いったいどうなってるのかよくわからない混迷カオスな様相を呈していたものだけれど、アジアンがクラニィの事や今回の一件で追い詰められ、酷くその内面をシンプルにそぎ落とさなければならなくなったのと、マリアが事件を多く乗り越えることで精神的な成長と安定性を得だしたことで、霞がかってよく見えづらかったお互いの想いが、ここ数巻でよく見えるようになってきたんですよね。
その結晶がこの巻というべきか。
そうして、現れた想いは、たがえようのない強い<愛>。
赦しと優しさ。痛みと罪の共有であり、これまでよりもお互いをよく理解し合った上での、支え合い、背中合わせのぬくもり。
これじゃあ、文句のつけようがないですよ。こんなの見せつけられたら……ベディ、可哀想だなあ、んん(貰い泣
まあ、ベティは憐れまれるようなそんな女じゃないですけど。
いや、個人的にはベティよりもベアトリーチェの方が、なんとかしてほしいよ。あの娘だって、マリアのこと大好きなのになあ。言わないけど。マリアって、ベアトリーチェの前だと案外男の子っぽくて、この野郎とか思うんだけど、でもいかに男の子っぽかろうとその関係性ってのは特別仲の良い女の子同士にしか見えないのも確かで。
……実際の性別はともかくとして、マリアの精神的な性別ってのはどっちなんだろう。正直、ここまで男の子らしさと女の子らしさを等分に兼ね備えたキャラクターってのは、他に思い出せないんだよなあ。まあ、性別が不明でなおかつ精神的性別も曖昧というキャラクター自体、めったいないわけですけど。

まあでも、今回はアジアンとマリア以上にラブラブでお似合いのカップルが、これ薔薇マリ? かと思うほどにイチャイチャしやがってて、この野郎、もうニヤニヤしっぱなしだったんですけどね(笑
ユリカと飛燕。
マリアとカタリは大変お怒りのご様子でしたけど、これほどお似合いのカップルはそうそういないと思うのですよ。なにより、ユリカの照れっぷりと幸せそうなそぶりが、もう微笑ましくて。
彼女もね、そろそろ幸せになってもいい頃だと思うんですよ。小猿は、いい奴だと思うぞ、絶対。
いや、ここまでお似合いだと、もしユリカか飛燕のどっちかが死んだりだとかいう絶望展開なんかきたら、私発狂しますよ、しますよ?

戦闘シーンでは、やはりユリカ・飛燕組の戦いが一番面白かったかな。二人の息のあったコンビネーションも去ることながら(ちゅーしやがった!)、ユリカの中にしっかりとマリアの戦術が息づいているのが、妙にうれしかったんですよね。もうすっかり、仲間としてのマリアの存在感がユリカの中に根付いてて。サフィニアもそうだけど、一緒に戦ってる感がズワンズワンと伝わってきて。
このシリーズ、世界観は救いようのない残酷で悪逆ばかりが罷り通る地獄のような世界なんだけど、だからこそというべきか、人間関係の尊さが、絆の強さが、信頼が繋がっていく様が、ほんとに眩しい作品なんですよね。
絶望にまみれながら、なおも希望に支えられる物語。

ダリエロなんか、ある意味この作品を象徴してるキャラかもしれない。どう言い繕っても極悪人で最悪な人物にも関わらず、クラニィ亡きあとでの<ランチタイム>でのあの存在感。
この十巻、ちょっと泣けてしまったシーンがあって、それがこのダリエロのシーンなんですよね。その人の望む夢を見せる魔獣に囚われていた時に彼が見ていた夢と、エピローグでダリエロに訪れた現実が、重なったシーン。ベティのセリフとか、酒場の盛り上がりとカ。
ダリエロ、こんなろくでなしなのに……こいつが望んだ夢ってのが、本当に普通の風景で。この男の飢餓感の正体と、求めていた場所の姿が見えた気がして、なんか泣けたんですよね。
何気にランチタイムで一番好きなのが、彼だったりします、うん。



薔薇のマリア �宗,気茲覆蕕旅圓�着く場所  

薔薇のマリア 9 (9) (角川スニーカー文庫 182-13)

【薔薇のマリア �宗,気茲覆蕕旅圓�着く場所】 十文字青/BUNBUN 角川スニーカー文庫


なんという恋の嵐の猛威哉。
今回は、男も女もバカも変態も小猿も、みんな可愛いなッ!!
アジアンが頭領をつとめるクラン<昼飯時>のメンバーが、ベティとヨグを除いてすべて消えてしまうという非常事態で、あのアジアンが完璧にへこみモード入ってしまっている状態にも関わらず……、いやだからこそか。これまでアジアンから逃げ回っていたマリアが、アジアンに対してガードが下がりまくってる状態で……。ただでさえ、例の一件でアジアンに負い目みたいなものを感じてしまってるマリアが、元々自分で思っているよりも遙かに人が良くて世話好きなところがあるマリアが、こんな状態のアジアンに対して辛く当たるなんて出来ないわけで。
ZOOに入って精神的に成長したマリアは、以前に比べて自分の内面を変に鎧ったり、繕ったりしなくなったせいか、かなり自分の中から浮かんでくる感情に対して、むやみに拒絶しなくなりましたね。その分、アジアンへの防備が非常に疎かになってる。それでも、並程度のツンは保ってるわけですけど。マリアもへこんだときとか、精神的に追い詰められた時にアジアンの顔が思い浮かんでしまうあたり、かなりドツボのハマってきてるんですよね(苦笑
ただ、荊王に対しても、ああいう仕打ちを受けて寛容に済ませてしまうあたりは、自分の抱いているアジアンへの感情にかなり動揺している節が伺えますw いや、もともと優しいからなあ。彼に悪意がないとしたら最終的には赦しちゃっただろうけど、ああもイビるような言動や皮肉めいた態度も一切見せずに許しちゃうあたり、いろいろ緩んでるなあと思うわけですよ。
ベティが怖い(笑

と、マリアがかなりデレ期に入ってる今回ですけど、MVPはマリアじゃなくユリカでしょう!(力説
挿絵も、やたらと力入ってるし。高級服バージョンだけじゃなく、ちゃんとシリアルキラー・ブランドのバージョンも出してくるなんて、パーフェクトです、完璧ですw
飛燕、ナイス。
天真爛漫自由奔放な飛燕に振り回されながらも、どこか自縄自縛の頸木から解き放たれて楽しそうなユリカが、またかわいくて仕方ないんだ、これが。
あんな無防備な寝顔見せられたら、そりゃ参るわ(苦笑
マリアやカタリが、お父さんは許さんですよの完全に舅モードに入ってるのに比べて、サフィニアがそういう批判的な素振りみせないのは、あのお似合いと言えばあまりに素敵な二人のシーンを見てしまったからなんでしょうねえ。トマトクンとの関係に悩むサフィニアからすれば、あの光景は憧憬に値するような眩しいものだったんじゃないかと。
いや、でもこのユリカと飛燕の見た目子供カップル(実年齢二十三歳)は、薔薇マリでもベストカップルなんじゃないですか? 私、凄い好きです、好き好き。
いつもは引っ込み思案なサフィニアも、今回はユリカに触発されたのか風邪でダウンしたトマトクンに対して、今までからは考えられないくらい積極的にアプローチ。でも、どれだけ妄想を広げても、手を握るあたりで思考がオーヴァーヒートするあたり、超ド級の清純派なのがサフィニアで……w 和むなあ、愛いなあ(笑

今回は男連中も可愛かった。可愛かったよ。叱られてばっかりだったですけどね♪
荊王にしても、飛燕にしても、ピンパにしても、それぞれ怒られてしょげる姿が、もうね? しんぼうたまらんw

と、なぜかラブストームが吹き荒れている今回ですけど、ストーリーの方は昼飯時のピンチにクランの枠を超えて、ZOOの面々や龍州連合のボスである飛燕や荊王が協力することになるという、この悪徳に塗れた世界観からすればかなり燃える展開に。
しかし、マリアは戦闘になっても存在感を発揮できるようになったなあ。感慨深い。個体戦闘能力は相変わらず下の下、役立たずに等しいんだけど、幾多の激戦を経た経験からくる自信もあってか、完全に戦闘指揮者としての才幹を発揮しつつある。今まで連携を組んだことの無い昼飯時や龍州連合の連中にもてきぱきと指示を出し、戦場を制するマリアの指揮。
なかなか魅せてくれます。

そして、ラストの衝撃的な展開。
あれは……ちょっと驚愕だったなあ。なんてこったい。
次巻、どうなるんだ? 気になる、気になる、うっうー。
一応、このエピソードは次の巻で終わるらしいんですけど…終わるのか? またぞろめっさ厚くなりそうな予感。

薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に  

薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に (角川スニーカー文庫 182-11)

【薔薇のマリアVer3―君在りし日の夢はつかの間に】 十文字青/BUNBUN スニーカー文庫


今回は全遍、アジアンアジアン。
というよりも、アジアンが頭領を務めるクラン【昼飯時(ランチタイム)】の短編集。
ランチタイムってまた、マリアたちの<ZOO>にも勝るとも劣らない変な名前だなあ、と思ってたんですけど、命名にはこんな理由があったわけか。
おそらく、名付けた時には特に深い考えがあったわけじゃないんだろう。でも、この短編集の最後の話での物語を思うに、この物語の舞台、法の無い無統治国家の首都エルデンという悪徳蔓延る街の中、人として壊れているものたちが集まるこの街で、このランチタイムという名前の導くこのクランの在り様というのは、このクランに参加している人たちにとってどれほどかけがえのなく大切なものになっていたのか。
うあ、なんか胸が熱くなる。

アジアンは、マリアのストーキングしている時とそうでないときとは、まるで別人なんですなあ。マリアの前では甘い言葉ばかり吐く気障な変態ストーカーでしかないのに、普段のアジアンと来たら……。
それでも、その魅力的な雰囲気と来たら、なるほど男女常人異常者問わず、惹かれるのも無理はない。
ただ、そんな特別なアジアンを、クランを作ろうか、なんて言葉を吐かせるようなところまで引っ張り下ろしたのは、亡きクラニィという男の人間味、人情味なんでしょうね。
無法の街で、己が優しさを恥じらい照れながら黙々と貫く男。
二巻で、彼が殺された時のアジアンの気持ち。あの時はクラニィという男がどういうやつなのか、こちらには何も情報がなかったのでアジアンのクランの仲間が殺されたんだな、という事実を淡々と見つめるだけだったけど、こうして彼の人となりをじっくり見せられると、今更ながらに苦しくなる。
思わず、二巻と三巻を読み返してしまった。アジアンが受けた衝撃たるやいかばかりか。

それゆえに、最後の話は感動したなあ。
結局のところ、みんなアジアンが大好きで仕方がない、という結論は単純だけどこの上なく素晴らしくて、アジアンは何だかんだと幸せなやつなんだと思うのでありますよ。

でも、ランチタイムの雰囲気を見てると、確かにマリアがここに加わるのはちょっと違うなあ、と納得。

この本読んで、いっぺんにランチタイムの面々、好きになっちゃったわけですけど、やっぱり一押しはダリエロでしょう。なに、このツンデレな極悪人(笑

 

10月9日

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

10月8日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

10月7日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

10月6日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

10月2日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

10月1日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月30日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月28日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月26日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月25日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月24日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月20日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月18日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月17日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月16日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon

9月15日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月14日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

9月12日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月11日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

9月10日
Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W

Amazon Kindle B☆W



Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索
訪問者数

    アクセスカウンター
    • 累計:

    メッセージ
    読者登録
    LINE読者登録QRコード
    QRコード
    QRコード
    TagCloud
    RSS
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        スクロール用の仮テキスト
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        ・
        

    <$ArticleBody$>
    <$ArticleBodyMore$>
    <$RelatedArticles$>