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藤ちょこ

賢者の弟子を名乗る賢者 3 ★★★☆   



【賢者の弟子を名乗る賢者 3】  りゅうせんひろつぐ/藤ちょこ GCノベルズ

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九賢者の1人ソウルハウルの捜索は、若干の手がかりを残しつつも空振りに終わった。
残された資料を持ってルナティックレイクに帰還したミラは、盟友ソロモンに資料の解析を任せる。
しかし資料の解析は難航する。
その資料を読み解くには、アルカイト王国の地下に存在する、『愚者の脅威の部屋(フール・ザ・ヴンダーカンマー)』を攻略する必要があったからだ。
ミラを中心にして物事が動く中、当の本人にも超えなければならない試練が近づきつつあった……。

ミラさんミラさん、貴女早いところ自分が契約している召喚獣の皆さん、全員喚び出して面会しておいた方がいいんじゃないだろうか。喚ばれた召喚獣、みんながみんなあまりにも長い間喚ばれないものだからメチャメチャ寂しがってるじゃないですか。
30年間一切の音沙汰なし、敬愛するマスターから完全放置。これ、多かれ少なかれみんなメンタルダメージ負ってますよ? いやそれだけ慕われている、ということなんでしょうし、30年間喚べなかったのは不可抗力でもあるのだから仕方ないのですけれど、今は取り敢えず時間もあるし自由だしいくらでも喚べるんだから、一通り召喚してあげて再会してあげた方がいいんじゃないだろうか。
今の所、必要になったら召喚するという行程になっていて、これ特に喚び出される状況がなくて後回しにされている子たちが可哀想すぎるんですが。召喚獣の間で横のつながりがあって、マスターが復活しましたみたいな情報が共有されたり、という事もなさそうですし。

さても暫し暇が出来たのを幸いに、ソロモンのお膝元の王都をぶらぶらして観光しよう、という事にあいなったミラさん。マジで暇にかこつけて街を散策、食べ歩きしたり観光名所を回って見物したりウィンドウショッピングしたり、と紛うことなき観光三昧なんだけれど、これが不思議と読んでても楽しいんですよね。
たまに旅行漫画とかあるけれど、あれも人が旅行先をブラブラしているのを眺めているだけなのになんかこう楽しかったりするのだけれど、本作もただ街並みをブラブラと目的もなく歩く様子を、さりげない情景描写やミラのウキウキと楽しそうに左右に向けられる視線や、ちょこまかとちっちゃい女の子特有の動作で店先を覗いたり美味しいものに舌鼓を打ったり、という様子が容易に浮かんでくる人物描写なんかがイイ感じで描かれてるんですよね。
特にこれといったイベントがなくても、ミラの様子を追っているだけでなんだかわりと楽しそう。

とはいえ、お話としては山もあれば谷もあるようにしないといけないので、ミラさん散策の途中でみかけた学園をちょっと覗くことになりました。
そこで目撃したのは、落ち目で他の学科から馬鹿にされながらも頑張る召喚術の若き先生の奮闘だったのです。
この世界にいない30年間の間に人気が衰え技術も衰退してしまった召喚術を、奨励してもっと盛り上げようと目論んでいるミラさんとしては、今頑張って召喚術を支えてくれている若人たちをこのままにしておけるはずもなく、賢者ダンブルフの弟子として大いに指導力をふるい、若き召喚術師の卵たちのまばゆい目標となるのでした。
ミラ様すごーい、で終わらずに生徒たちがあんなふうに召喚術を使ってみたい、という憧れになり、同時に途方も無い力を示しながらもそれが決して手の届かないものではなく、誰もが頑張って鍛えていけばたどり着けるものだ、というのを実感させて、誰もがわれもわれもと目をキラキラさせて研鑽に向かい出す様子というのは、傍から見ていても眩しいものです。ミラの見せる力って絶望とか断絶を与えるものじゃなくて、希望とか勇気を与えてくれるものなんですよねえ。

そして、後半はその若き召喚術の先生であるヒナタさんと、クレオスとともに必要な資料を求めて、図書館迷宮へ。図書館のダンジョンというのは、ダンジョンの種類は古今東西いろいろありますけれどやっぱり一番夢がありますよねえ。
ただ力任せに吹っ飛ばすだけでは済まない、知恵やセンスを要求されるダンジョンに、実力としては隔絶しているミラやクレオスが苦戦するなか、ヒナタ先生の持つ特技や知恵が遺憾無く発揮されて、次々と謎解きに成功していく様子は、ミラやクレオスが手放しで称賛するのも加味して、なんとも微笑ましく痛快でありました。ミラさんは他人を褒めることへの労を厭わないんですよねえ。別にわざわざいいとこ探しみたいな露骨な真似はしていないはずなのですけれど、ほんと自然に相手の良いところ、成功、達成、才能などを見つけて間髪入れず褒めるし感心するし、言われた人からすると嬉しいんですよね。本心から言ってくれてるのが伝わるから。
彼女の冒険は、同行者の素敵な面を引き立たせてくれるので、見ていて実に楽しいです。

そして、わりと毎回行われるミラのファッションショー、着せ替え、衣替え、新衣装発表ターンも、華やかで楽しい限りであります。毎回挿絵挟んでくれてもよろしいのにw



賢者の弟子を名乗る賢者 2 ★★★☆   



【賢者の弟子を名乗る賢者 2】  りゅうせんひろつぐ/藤ちょこ GCノベルズ

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アルカイト王国国王ソロモンの頼まれ、九賢者たちを探す旅へと出たダンブルフ改めミラ。
気楽な馬車旅を満喫するミラであったが、最初に訪れた街、鎮魂都市カラナックでは、
大量のゾンビが出没するという異状事態が起きていた。

これは目的の人物である死霊術使いの賢者、ソウルハウルが関係しているやもしれぬ。

そう考えたミラは、早速ソウルハウルがいるであろうダンジョン、古代神殿ネブラポリスへと向かうのだが……。

両親の面影を探す少年タクトと、お人好しの冒険者エメラ率いるパーティを引き連れて、
美少女召喚術士ミラの、地下迷宮攻略が始まる!!

わしかわいい 待望の第2弾!

イマイチ知名度振るわない召喚術のイメージアップのため、日々召喚術強い!召喚術カッコいい!召喚術素敵! と普及活動に邁進するミラさんだけど、自らの肉体を使って徒手空拳で暴れまわる仙術の方が明らかに目立ってますよ、ミラさん!!
召喚術が地味というわけじゃないのですけど、喚び出したらその召喚体が大活躍するのでどうしてもミラ自体は目立たないんですよね。ミラほどの術士になると一々召喚した存在に指示を送っていかにも操ってます的な振る舞いはせずに、召喚された存在は大まかな命令与えれば自分で考えて動きますし、召喚主から遠く離れて動くことも当たり前にこなしてしまう以上、やっぱりミラ自身は目立たないというスパイラル。
特にヴァルキリー・シスターズとか普通に人間以上の知性体で、見た目も映えますからなあ。彼女たちが大活躍しても、彼女たちの知名度人気があがるだけじゃないですかーw
ミラの前身であるダンブルフは「軍勢」という二つ名持ちなだけあって、ちゃんと召喚体の軍勢を率いるみたいなシーンもあったのかもしれませんけれど。
ミラさんが現状一番派手に目立ってたのって、伯爵級悪魔を仙術を駆使して近接戦闘でフルボッコしてたところだしなあw むしろあれ見てたら、仙術士の方に憧れてしまうんじゃないだろうか。

さて、ソロモン王の依頼によってかつてのゲーム仲間である九賢者を探す旅に出たミラ。わりと交通網整っているし、宿泊施設も不自由なく手配されているので、旅というよりも思いっきり「旅行」って感じなのが笑えるというか和やかなんですよね。
ともあれ、九賢者の一人が拠点にしていたダンジョンを訪れた先で、ダンジョン奥にあるアイテムを必要としている少年に依頼されて、ド素人の彼を連れ立ってダンジョンに潜ろうとしたミラ。
そんな彼女らを心配して地元の上級冒険者パーティーの面々がついてきてくれたわけですが。
この冒険者たちがまた実に気持ちの良い連中だったんですよね。そもそも、休養中のところを手隙の連中かき集めて護衛のために駆けつけてくれた、という所からイイ人で間違いないのですけれど。
ミラの実力を目の当たりにしてからも、別についてこなくてもよかったじゃないか、とならずに逆にこれじゃあ寄生じゃないか、と申し訳なさそうにしていたりとか、終始明るいムードを絶やさずに愉快の楽しく雰囲気を盛り上げてくれていたし、そのふるまいは気遣いと誠実さをベースにしていて、戦闘ではほんと特に何もする必要なく付いてきていただけなんだけど、このパーティーが一緒に来てくれてよかったなあ、と思えたんですよねえ。
いやあ、かなり個性的な面々で若干変態めいたのも混じっていたのですけれど。
ミラも相当気に入ったのか、ドロップ品やら魔術の知識やらを惜しみなく与えたり押し付けて、向こうが恐縮していても構わず、孫にお小遣いあげまくるみたいに貴重な素材とか持ち帰らせてるんですよね。
自分には特に必要ない、という以上にあれはあげたいからあげてたって感じだよなあ。そして気持ちは良く分かる。それはまさに信頼の証でもあり、溢れてくる好意の気持ちを形として与えてあげたかったという事なのでしょう。

ミラも、目覚めてみたらゲームの中。しかも三十年が経過していて自分の姿はかつての爺様からピチピチの幼女に、という不安を覚えても仕方ない環境であっただろうけど。
元々本人の精神がタフというか鈍いというかあんまり気にしないタイプだったのもあるんだろうけれど、早々に同じくゲーム内に入り込んでしまったゲーム仲間と再会できた、というのも大きな要因でしょう。でもそれだけでなく、この世界の中で出会ったこの世界で生まれ育ち暮らしている人達がまたイイ人ばかりで、巡り合い知り合うことが出来た事に感謝を覚えるような出会いが多かった事も大きいと思うんですよね。良き出会いが続いている。それは素晴らしいことで、実に楽しみを抱くことの出来ることだ。
ミラが何だかんだと今の小さな女の子の姿を堪能し、世界を楽しんで旅している様子がまた読んでいるこっちにも楽しくさせてくれるんですねえ。
かつてのゲーム仲間の知り合い以外にも、プレイヤーがけっこうこの世界に入り込んでいるんですねえ。それぞれ、今この世界で生きている。そんな相手と知り合えたことも、また幸いなのでしょう。
うん、読んでて健やかな気分になれる作品だなあ、これ。



賢者の弟子を名乗る賢者 1 ★★★☆   



【賢者の弟子を名乗る賢者 1】  りゅうせんひろつぐ/藤ちょこ GCノベルズ

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VRMMO『アーク・アース オンライン』で、
九賢者の一人という渋い召喚士「ダンブルフ」としてロールプレイしていた咲森鑑(さきもりかがみ)は、
プレイ中の寝落ちを境にゲームが現実となった世界へと飛ばされてしまう。
しかも、老練な渋い賢者の姿ではなく可憐な少女の姿となって……。

このままでは築き上げてきた賢者の威厳が失墜してしまう!

そう考えた咲森鑑(さきもり・かがみ)ことダンブルフは、
賢者の弟子「ミラ」と名乗るのだったが――。
あれ? この作品ってアニメ化予定なのか。知らんかった。
GCノベルズでも創刊最初期からシリーズが続いているレーベルの看板作品の一つです。コミカライズされた漫画の方を見て、これがなかなか面白そうだったので原作の方もいつか手を出してみようと思っていたのですが、思ってからが長かったw
ゲームのキャラクターのまま、現実化してしまったゲームの世界に転生、或いは転移? ともあれゲームの世界へと入ってしまった主人公だけれど、通常と違ったのは転移する直前たまたま自分のキャラクターである渋いジジイの姿をした召喚士「ダンブルフ」のキャラクターデザインを、課金アイテムを使ってついつい趣味で作り込んでしまった美少女キャラへと変更してしまっていたんですね。ちょっと勢い余って造形してしまったというだけで、完全にキャラデザインを変更してしまうつもりは毛頭なかったものの、タイミングが悪すぎた。
結果として、誰も知らない超絶美少女の姿でゲーム世界へと降り立つ羽目になってしまったのである。
かの世界では自キャラ「ダンブルフ」は世界屈指の魔術師の一人であり超有名人ではあったものの、今の自分は誰も知らない美少女。しかも、何やらゲーム世界では前回ログインしていた時から中の時間で三十年もの時間が経ってしまっていたらしい。
おまけに、ゲームが現実化したのか、元々ゲームが異世界に接続されていたのかはわからないものの、ゲームの時に使えていた機能が幾つも使用不能になっていて、キャラデザも変更できなくなってしまった主人公。これでダンブルフを名乗っても信じてもらえるはずもなく、信じて貰ったら貰ったで何やってんだ賢者、てな事になりそうなので急遽賢者の弟子を名乗ることにしたのでありました。
しかし、ゲームならともかく現実化してしまった世界でいきなり「女の子」になってしまうというのは、現実であるからこその困ったことがたくさんあるわけで。
異世界に戸惑うよりもTSしてしまった自分の肉体の方に困惑し慌てふためくダンブルフ改めミラ嬢。

TS願望があるわけじゃなく、それどころかジジイ専じゃないけれど、渋いジジイキャラにこだわりと愛着と趣味がある身としては、女性化というのはどうしたって抵抗があるわけで。かといって、女性の肉体には興味が尽きない、という複雑な心境が女の子パンツを履くこと、女性下着への抵抗感という形でにじみ出ているの、ついに現実に屈するところまで含めて、TSならではの妙というものがあって味わいがありました。
「わし、かわいい」
と、思わずこぼしてしまった瞬間は、ついに後戻りできない一線を越えてしまった感があって、よかよかw

幸いにして、なのかはこの先わかりませんけれど、ミラとは別のゲームプレイヤーたちが何人もミラと同じくこの世界に降り立っている、というのは世界観が広がる感覚があって面白かったです。
元々、知名度も世界における立場や役割なんかも、プレイヤーたちは重たい所にいて超有名人ばかりなんですよね。すぐに旧友とも再会できたのは両者にとっても幸いだったのでしょう。まあ、ミラの降臨はプレイヤーの中でも特に遅い方だったみたいだけれど。何しろ30年ですからね。
それでも、孤独でないというのはそれだけで良いことです。友達はそれだけでもかけがえのないものですし、もう戻れないとしたら、かつてのゲーム時代の想い出を一緒に笑って語れる相手がいる、というのは、生きていく拠り所にもなりえますからねえ。
まだ世界の設定から、キャラの立ち位置や主だった登場人物の紹介といった感じで、事件も起きているけれどまだまだ冒頭。ミラも世界屈指の召喚士である能力をまだまだ見せていない状況なのですが。
語り口が軽妙ゆえなのか、すいすいと読める上に目が滑らずゆるい雰囲気を心から楽しめる読み込ませる作品になっていて、さすがは長期シリーズになっている看板作品なだけあるなあ、と思った次第。いやほんと、まだ大して何も起こってないんですけどね。
ただ、プレイヤーのみならず、元々NPCだったこの世界の元からの住人達も、まだ出始めにも関わらず活きが良くて、好感の持てるキャラが多くて、そういう意味でもミラと同じようにこの世界を見て回り、この世界に暮らしている人たちとお話するのがなんともポワポワして楽しい、と思わせてくれる作品でした。
遅れ馳せながら、ぼちぼちとですがシリーズ全部追いかけてみたいと思います。


魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate ★★★☆   

魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate (GA文庫)

【魔人の少女を救うもの Goodbye to Fate】 西乃 リョウ/藤ちょこ GA文庫

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神は、二人のささやか過ぎる願いすら赦さない――

これは、正邪を超えて運命に抗う、少女の物語。
これは、人であることを棄てて英雄に挑んだ、少年の物語。

「弱くてもいい。あなたがいいの」
ウィズにはわからなかった。偶然出会っただけの少女アローンがなぜ自分を慕うのか。彼は凡夫で、秀でた才能もない二流の傭兵。遠い故郷を目指すアローンの護衛役にはふさわしくない、そう思っていたが……。

「……同じだったから。あなたもわたしも同じ……選ばれなかった人間」
少女が告げる言葉の意味、そして待ち受ける残酷な運命を知ったとき――ウィズは決意する。守りたい……守ってみせる。たとえかつての親友、救世の英雄を敵に回しても――

これは『選ばれなかった少年』と『見放された少女』が紡ぐ、誰も知らない“世界の裏”の英雄譚。第9回GA文庫大賞<優秀賞>作品。
英雄のアルルクル、てっきりヒロイン枠だと思ってたら男の子だったのか。いや、見た目完全に女の子だし、作中でも見た目女の子っぽいと表現されてるし、実は女の子の幼馴染かと思ってたのにそんな事はなかったぜ。ただこの子のウィズへの依存心がパなくてねえ。それが、強くなれないウィズ自身を追い詰めていく事にもなるんだけれど、アルルクルの精神的な弱さへと繋がっていたように思われる。普遍的な正義感の持ち主であり野心もなく、ただ弱きを助ける博愛と、大いなる魔を討つ勇気を持つという意味で本当にまっとうな英雄なんだけれど、それだけに残酷な選択を迫られたときの決断というものに直面したことがなかったんだなあ。ある意味可哀想である。仲間の女性たちに決断するという機会を、判断するという時間を、問題を認識するという状況さえ奪われていたわけですしね。甘やかされていた、とも言えるのだろうけれど。
一方でウィズの方は、アルルクルが運命に選ばれたのを目の当たりにしたその日から、常に選択を迫られ続けてきた。無力感に苛まれ続けてきた。それだけずっとゴリゴリと大切なものを削られ続けていたからこそ、選んだ選択が先鋭化しすぎていたような気もするのだけれど。そのような有り様になりつつも、自分自身の価値を大暴落させていたとしても、咄嗟に自分よりも見ず知らずの少女の安全を優先して守ろうとするところとか、根本的なところの英雄性はアルルクルよりもウィズの方が深いところに根ざしていたのではないだろうか。まあその英雄性が行き着く所まで行ってしまった上にアローンへの共感も相まって、ああなってしまったのだろうけれど。
でもあれはあれで、ウィズによってアルルクルが選ばれず見放されてしまった、とも言えるので一番欲していたものに捨てられたアルルクルが可哀想な部分が大きいんですよねえ。
そして、始まった時には終わっていて、だからこそはじめからすべてを決断してしまっていたアローン。そんな彼女にとって、苦悩し彷徨いながらも、無力でありながらも自分のような娘を見捨てず見放さない彼は救いだったのでしょう。その縋り付くような最期の甘えが、彼を道連れにしてしまったのを責めるのは、さすがに可哀想だよなあ。怖くないはずがないのだ。どれほど覚悟を決めていても恐ろしくないはずはないのだ。だからこそ、自分の最後の拠り所である「心」を守ってくれる存在にまだ子供である彼女が手を伸ばしてしまうことが果たして悪しきことなんだろうか。
アローンの目的が、彼女の聡さと自身の末路への覚悟に対してよくわからなかったんだけれど、はっきり言って壮絶なものだったからなあ。尚更に、独りで頑張り続けることに耐えられなかったことに共感を覚えてしまう。
ある意味、このまま悲劇で終わることこそ相応しい物語だったのかもしれないけれど、そこから希望を手繰り寄せようという決意があるのなら、二人で頑張るといい。二人でなら、頑張れる。

終奏のリフレイン ★★★★☆   

終奏のリフレイン (電撃文庫)

【終奏のリフレイン】 物草純平/藤ちょこ 電撃文庫

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「重力子」を操る特殊なオルゴール技術と、その粋である「歌唱人形」が一般化し、ついに「電気離れ」を果たした世界。“機械しか愛せない”壊れた少年技師・タスクがある日、出会ったのは―。
「わたしは、ガラテア・シスターズNo.7/リフレイン。今このときより、貴方の『花嫁』です」
歌唱人形技術、その始まりとなったオーパーツそのものだと主張する、美しき歌唱人形リフレイン。彼女を巡って事態は動き出す。追う者、追われる者、そして、恋をする者―。“機械しか愛せない”少年と“人間に近づきすぎた”少女型人形。ヒトでなしの人間と、モノでなしの人形の織りなす恋が、世界を変えてゆく―!?世界の歯車が音色を奏でる、旋律のギアハート・ファンタジー登場!
【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園】の物草純平さんの新シリーズ。ってか前前作となる【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園】第二部新大陸編は読みたかったなあ。と、まだ言の葉に乗せてしまう。ちょうど今期のアニメで【武装少女マキャヴェリズム】という剣戟バトルものがあるんですけれど、その古流剣術の術理をアクション表現描写に載せるにおいては、漫画では【武装少女マキャヴェリズム】。ライトノベルにおいては【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園】が抜きん出てましたからねえ。あの示現流VS薬丸自顕流は今思い出しても鳥肌が立ちます。示現流という流派に抱いていたイメージが、あの作品で全部ひっくり返ったもんなあ。
さて、そんな物草氏の新作は、ミスファーブルと同じ絵師の藤ちょこさんと再びコンビを組んで、今度は自動人形でありますよ。人ではないもの。人には決してならないもの。あくまで機械であり血の通わない作り物の体の持ち主。そうであることに誇りがあり、機械であることに価値を抱く。人になりたい機械の話じゃない。これは人工物として在りながら心と魂をその胸に抱いた人形の話であり、そんな人形しか愛せない異常者の物語でありラブストーリーだ。
またも舞台はヨーロッパ。それも、かつてスイスであったあの永世中立国。スフィアと呼ばれる浮遊人口島の出現によって、技術的ブレイクスルーを経てしまった世界である。オルゴール技術というのがまた、何ともクラシックな雰囲気なんですよね。お陰で、時代背景またミスファーブルと同じ19世紀末かと最初の方勘違いしてしまいました。一応、現代なんですよねえ。ただし、歴史が狂っているせいで第二次世界大戦がちゃんと決着つかないまま強制終戦となってしまったために、大日本帝国は軍事国家のまま現代まで続いちゃってるし、ドイツに至っては第三帝国としての体裁こそ喪ったものの、国際舞台からは孤立したまま鉄のカーテンの向こう側にいる、という世界で、戦前の雰囲気がまだ延々と続いてるのである。一方で技術レベルではスフィアから脱出したオルゴール技術の模倣によって、完全に史実の現代を上回っていて、なんか月面都市とかあるし、火星にまで人類進出してるんですよね。宇宙時代到来してるんですよ。にも関わらず、この19世紀末の近代と現代の狭間の時代のような、第2次世界大戦直前のような国際緊張が常態化している国家間パワーゲームの渦中にあるような、或いはIFの戦後世界、第三帝国が現代まで続いてしまった仮想戦記的世界観が綯い交ぜになって現出しているかのような、この物語世界の雰囲気の素晴らしさたるや、なんかもう涎垂れてきそうw
そんな混沌の欧州に渡欧してきた日本人。この異邦人感がまたいいんですよ。現代だとヨーロッパ留学なんて珍しくも何ともないのですけれど、本作の世界だと日本ってまだ民主化してなくて国際関係の中ではドイツほどではなくても若干浮き気味みたいだし、経済発展もしてないようなので、現代みたいに気楽に海外留学とか出来てなさそうなんですよね。そんな中で、他に日本人の影がない中で一人渡ってきた日本人。ミスファーブルと似た構図なんだけれど、魔境めいた欧州で異邦人の日本人が世界の謎をめぐる騒乱に踏み込んでいく、というこの冒険譚の構図こそが、私大好物なんですよ。だから、本当に好き。もう大好き。こういうの、大好き。

ミスファーブルと違って、こっちの主人公タスクは自分で戦えるタイプじゃないんだけれど、その分頭がおかしいタイプで、ある種の覚悟を持った決断によって絶体絶命を打開し、どんでん返しへと持っていくタイプなんですよね。その頭のキレ、意思の強さ、決断の激しさ、容赦のなさが周りの人の心を鷲掴みにしていく若者なんだよなあ、これ。最初、覇気がない目立つ方じゃない控え目な主人公タイプなのかと思ってたんだけれど、彼の壊れた部分が危急の状況の中でどんどん苛烈さを増していくんですよね。ヒロインのリフレインはけっこうチョロい方なんだけれど、同時に人形としての在り方に頑なで、そうそうやりやすいタイプじゃないんですよ。もう一人のお嬢に至っては、完全に蛮族系ヒロインの類でその身分のわりに獣性が強すぎて、あれ手綱効く飼われるタイプじゃ全然ないんだけれど、そういう一筋縄でいかないヒロインばっかりなのを、あれだけ決然と動かせるというのは、相応の黒さと激しさがないと難しいと思うんですよね。少なくとも、優しさと柔らかさで包容するタイプとはまた全然違うんだよなあ。普段の態度はむしろ柔らかい方なんだけれど。
ラストバトルの、あのダイナミックな展開はアクションものとしても冒険ものとしても大満足。やっぱりヨーロッパの真骨頂は、空の戦いですよ。
ヒロインは、あのお嬢二人がなかなかいいキャラしてて、特にミーネの方は蛮族らしい荒っぽさが、単なる暴力ヒロインや活動的のそれと違って、野性味とレスポンスの良さ、感性の鋭敏さも相まって、相棒キャラとして非常に歯ごたえ在るキャラクターになってるんだけれど、何しろ主人公のタクスが生来の人形性愛者なんで、メインヒロインはリフレイン一択なんですよねえ。リフレインはリフレインで、あの心が在るが故に機械らしく振る舞おうとしてめっちゃボロでまくってるポンコツさが、凄く可愛らしくてメインヒロイン待ったなしなんですが、ミーネも捨てがたいんだよなあ。なんか、政略的にもズルズルと深い関係なっていきそうだし。リフレインが人形であることは揺るぎなく、タクスの方も人形以外譲れない以上、社会的な立場としてのパートナーの枠は空いたままなだけに、どうやらそっちの裏技はアリみたいなんだけれど。
親サイドからのアプローチではあっても、どうもミーネ自身も不満なさそうだしなあ。
一方で、この調子だとどんどんとガラテア・シスターズ出て来るみたいなんですよね。リフレイン、トロションがどおうのとか言ってる場合かw この人形、素でむっつりなんですけどw
今回の物語も、とびっきりにワクワクさせてもらいました。やっぱ、この人の作品、大好きですわっ、ヒーホウ!!

物草純平作品感想

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 45   

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 (4) (電撃文庫)

【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 4】 物草純平/藤ちょこ 電撃文庫

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少年はそれでも、まだ見ぬ楽園を信じ、歩き続ける。蟲と恋と蒸気が彩るファンタジー、感動の第一部完!

〈右の剣〉クリザリッドに完膚なき敗北を喫した秋津慧太郎。友人だったはずの少女が敵となった、蟲愛づる魔女アンリ。
一族が秘めた真実を知った女騎士クロエ。そして姿を消した詠い手マルティナ。
それぞれに訪れた決定的な挫折の向こうに、少年たちは花の都の崩壊を見る。
パリの空に鎌首をもたげた〈冥王蟲〉を前に慧太郎たちは再び立ち上がり、そして――欧州の大地で二つの"ジゲン"の剣が撃ち合わされるとき、
〈蟲〉を宿す少年と〈蟲〉愛づる少女は、遠き楽園(アルマス)への小さく、けれど確かな一歩を刻む。
これはマジで凄いわ。こと剣戟シーンに関してはライトノベルでは当代屈指と言ってもいいかもしれない。とかく、剣の術理の細密さと豪奢さ、それにエンターテイメント性が見事に融合しているのが、ぶっちゃけとんでもない。
いや、ほんとに。多かれ少なかれ、ライトノベルの戦闘シーンって力任せなところがあって、たとえ動作の細かいところまで描写してあっても、それが実際の術理に合っているかというと微妙な面があるんですよね。あくまで、魅せるための派手さ、精密さなわけです。それはそれで構わない。面白ささえ際立っていれば、何の問題もない。いや、それでもこのレベルで戦闘シーンを描けている作品って、滅多ないんだよなあ。
本作に至っては、さてどこまで正当なのかは実際に剣術、それも流派に基づいた剣術を習ったり勉強したりしたわけなので、本当にその流派の術理にもとづいているのかはわからないのですけれど、少なくともここで目の当たりにしたのは、本物の「示現流」の術理、それも観念的なそれではなく、物理的な合理性を突き詰めきった身体操作と相対技術の究めなのである。しかも、それが理屈っぽくお勉強よろしく書き連ねられているのではなく、美しいまでの剣戟エンターテイメントを彩る絢爛とした背景として、そして剣士の踊る舞台の基礎として組み込まれているのである。その術理の凄まじさを描くことで、どれほどとてつもないレベルでの剣の応酬が行われているかを、なんとなく凄いなあという印象ではなく、しっかりとしたロジックを以って証明することで、より強烈に焼き付けるように読者に凄味を感じさせ、インパクトを与える触媒になっているのですな。
身体強化で人間離れした動きが出来るようになっているとか、頑丈になっているとかは、まるで関係ない。まさに術理をどれだけ収め、研鑽し、高みに至ったかが勝敗を分けるのだ、というのが頭で理解でき、実感として理解できるようになっているのである。
薬丸自顕流VS示現流、前回の攻防で堪能し切ったと思ったのは大間違い。べらぼうに面白かった。

今回はまさに意思と意思のぶつかり合い。その中で、一人確固とした「覚悟」を持たなかったノエは、唯一場違いだったのでしょう。それでも、まさかここまで慧太郎が圧巻だったのは予想外でしたけれど、この主人公ってこれまで相対してきた敵が尋常でない相手ばかりだっただけで、あとのクリザリッドとの第二幕を見ても、この年令にして示現流剣士として信じられないレベルに達しているんじゃないだろうか。いや、マジで剣技の妙に荒が見当たらない。示現流ほどの剛剣であり荒々しさを損なわない上で、恐ろしく術理の用い方が精密で繊細で老獪ですらある。ノエ、全然弱くないですよ? あれだけの力見せといて、弱いとかないでしょう。それを、あんな……慧太郎の格が違いすぎる。慧太郎ってこれ、普通にオレツエーで無双しててもおかしくないじゃろて。
それなのに、この子はこんなにボロボロになって、願いも祈りもままならず何度も何度も地べたに這いつくばって……それでも諦めずに立ち上がって、立ち上がれなくても這いずって前に前に進み続ける姿には、思わずこみ上げてくるものがある。涙がじわりと滲んでくる。
彼とアンリが望んだ楽園が、どれほど遠いものか、叶い難いものか、文字通り身体と心を切り刻まれて思い知り、ティエール首相のような、ブリュム・ド・シャルールのような、否定出来ない排除できない拒絶できない正義が厳然と立ちふさがり、より荒野の楽園を遠ざけるのを目の当たりにしながら、それでも諦めずに手繰り寄せようと、一歩でも近づこうとする姿は、主人公とヒロインの在りようとしてこの上なく敬意を感じる。本当に無駄で、出来もしない、絶対に辿りつけない所に向かおうとしているのなら、それはただの道化で、滑稽で、哀れにすぎないけれど、この子たちの声は確かに届き、その自身の血にまみれた歩みに賛同を示す意思は確かに生まれているのだ。首相が感嘆したように、もう空虚な理想を振りかざすだけの未熟な子供ではない。成長した彼の覚悟に、彼女の意思に、絶望しか持たなかった者が、そこに希望を見出すことも、未来を感じることも、確かに生じている。
雪蘭の、あの最後の言葉がどれほど救いになったか。自分はあそこで涙腺が決壊してしまった。
そして、多分繕うものも被るものも全部拭い去られて、なくなって心から素直になった二人が、アンリと慧太郎が手をつなぐシーン。あの口絵に描かれたシーン。アンリが泣きながら微笑んで慧太郎を励まし、運命を共にするシーン。ボーイ・ミーツ・ガールとはまさに究極として此処に至るべし、という頂きのような最高の一幕でした。そして改めて、またここからはじまるのだという、一部の終わりと始まりへと続くラストシーン。
とんでもないスケールで描かれた巴里崩壊という大事件は、この作品の第一部完結として文句なしの盛り上がりを見せました。これぞ、感動と興奮の大活劇! 

第二幕は舞台を巴里からアメリカへと移すということで、今度は欧州情緒あふれる雰囲気から新大陸特有の熱気あふれる空気感の中で、慧太郎たちの、示現流剣士、蟲狂いの魔女、欧州の女騎士というアメリカという土地とはエッセンスの異なる三人組に、マルティナも加わっての四人組が、どんな風にあの新大陸で活躍するか、想像するだけでワクワクしてきます。興奮がおさえきれん。
さすがに、二ヶ月連続刊行という荒業をやってのけてしまった以上、次がでるまではしばらく間を置かなければならないかもしれませんが、第二部開幕……待ってます。ずっと、ずっと待ってますよ? ヒーホウ!!

1巻 2巻 3巻感想

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 34   

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 (3) (電撃文庫)

【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 3】 物草純平/藤ちょこ 電撃文庫

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巨大生物〈蟲〉によって変貌した近代。その右目に〈蟲〉の力を宿し欧羅巴の地に降り立った秋津慧太郎は、蟲愛づる魔女アンリ・ファーブルたちとともに訪れたパリの地で、自らの秘密を探り始める。
しかしその道行で彼らが出会うのは、逃げ切れぬ過去。クロエの、マルティナの前に訪れるそれは、花の都に
絶望的な崩壊を呼ぶ歌へと至り――そして慧太郎の前に、裸蟲たちの王にして、もう一人の"ジゲン流"使いが立ちはだかる。
まだ見ぬ荒園をめざすスチームパンク・ファンタジー、第3弾!
こ、こりゃああかん! 慧太郎、ただでさえ現実と理想の狭間で行き詰っていたのに、ノエという少女との出会いは彼の望む楽園の矛盾を突きつけられる事に繋がってしまった。彼の剣士としての凄まじい所は、たとえ精神的な迷いが生じても剣先が鈍る事が一切ない所で、その辺りなんか非常に示現流剣士らしい愚直さなんだが、逆に言うと作中で指摘されているように慧太郎自身は究極的には剣そのものであって、誰かを導く先導者という柄ではないという証明にもなっている。更にいうと、彼に剣先の迷いが生じなかったのは、どれほど否定されても答えを導き出せなくても、それが正しいものだという確信を、彼が持っていたからである。それが、自分の中から生じただけのものではなく、彼の信じる人によって導き出され、肯定された信念であるが故に。
何れにしても、対話によってではなく力を持ってしか意思を押し通せず、語るべき言葉は剣以上のものを持たず、思い描くべき楽園の姿すらハッキリと出来なくなった慧太郎に、ここから独りで再び遠のいた楽園をつかめ、というのは限りなく難しいように見える。
でも、だからこそ原点に還るべきなのだ、彼は。彼の素朴で拙い正論を肯定してくれたのは誰だったのか。慧太郎が荒園へ行くのだと望んだのは誰の影響だったか。彼に信念を与えてくれたのは誰だったか。そも、不器用な彼がたった独りで答えを出すなんて端から無理なのだ。背中を押してもらわなければ、一緒に考えてもらわなければ、彼はいつだってどこに進めばいいのかわからない。だからこそ、少年は誰も見たことのない地平を目をキラキラさせて見つめている少女に惹かれたのではなかったか。だからこそ、彼女に剣を捧げたのではなかったか。
そして、その彼女はやられっぱなしで、蚊帳の外に置かれて端役扱いされて、友達を勝手に無かったことにされるという形で奪われて、黙って引っ込むような、すごすごと逃げ出すようなおとなしい女だっただろうか?
今こそ二人はもう一度、二人でもう一度、この敗北から立ち上がらなければならない。一人では無理だからこそ、一人では遠ざかる楽園も、友達も、掴めないのだから。

裏切られ、斬り捨てられ、身体以上に何よりも心を叩き潰された少年少女達。その彼らの前に突きつけられる、欧羅巴最大の都である巴里の崩壊。
そう、この動乱も裏でうごめく陰謀も、何もかもがプロローグに過ぎなかったのだ。破壊と破滅の花がこの都に咲き乱れるのは、まさにこれから。これからなのである。まったく、なんつーものごっつい助走段階だ。

今回はストーリーにしてもキャラクターにしてもアクション描写にしても、尋常じゃなく動きまくっていた。久々である、こんな文章に襟首掴まれてぶん回されるような勢いは。
特に火花が出るかのような迫力だったのが、剣戟描写である。戦闘シーンなんてものは、それこそ大抵のバトル要素のあるライトノベルにゃ当たり前のようについているものですけれど、本当の意味でこれらのアクション表現描写力に際立ったものを有している書き手というのは、ほんの一握りです。この作者さんは、まさにその一握りだ。
当初、慧太郎の流派が薩摩示現流だと知った時には、またなんでそんな荒っぽくて器用さの期待できない流派の剣士なんかにしたんだろう、と疑問に思ったものですけれど……今となっては慧太郎の示現流のすさまじいまでの剛剣に魅入られるばかりです。男の格好をしていても女の男装と間違われるほどの可愛らしい外見とは裏腹の、剣の豪壮さ。それも、雑な力任せの剣とはまるで違う、裂帛の鋭く雷のような激しい剣腕。不退転の、死地にあって前へ前へと進むことで活を見出す豪胆さ。
雲耀を描くに相応しい、刹那の瞬間を幾重にも切り刻んだかのようなスピード感がキレキレに切れた描写の数々。今回は凄腕の武人との、呼吸するのも憚られるような息の詰まる攻防が幾つもあり、軽く酩酊状態に。
特に、最後の本命とのやりとりなんぞは……。いやもう、あれの正体が明らかにされた時には総毛立ちました。
あらすじにある「もう一人のジゲン流使い」って、なんで異国にまで来て同門と戦うなんてありがちな、広がりなく狭まるような展開を、と若干不満を覚えた自分の背中を蹴飛ばして踏みにじってやりたいです。
ジゲン流使い!!
いや、口絵で思いっきりネタばらししてるんだけれどさ……よりにもよってこのジゲン流!! そりゃ、これもジゲン流だけどさ!! 完全に頭がおかしい方の、薩摩っぽが薩摩を抉らせてしまった方のジゲン流じゃあるまいか! この流派については、軽く概要をみるだけで「これは頭がオカシイ」と誰がどう見ても理解できるくらいわかりやすくイカレてるので御照覧あれ。
ちなみにこのジゲン流剣士の人は、薩摩人としては頑固ではあっても考え方に甘さと優しさが敷き詰められている慧太郎と比べて、もろに古代から蘇った伝統的薩摩原人っぽいアレな人で、なんかすごい好きです。お近づきにはなりたくないですが。
彼にかぎらず、ノエや雪蓮、ミハイールといった多士済々の敵陣営。全てを掌のうえで転がしているかのような妖怪っぷりを見せつける政界の巨人アドルフ・ティエール首相。探偵ヴィドックや憲兵隊のボースメニル隊長など、味方サイドも彩色豊かでキャラ立ってるんですよね。ダーウィン先生の怪人っぷりには度肝を抜かれましたけれど。怪人じゃなくて変態か。マジ変態じゃねえか。
それ以上に、アンリ、クロエ、マルティナという三人娘こそが、慧太郎以上に行く末気になるところ。特にクロエは、肝心のあのシーン以降、敢えて意図的に触れずに終わっちゃったからなあ。どうなったんだーっ! という心からの叫びである。マルティナとの決定的な決別といい、ある意味この三人娘の話も作品の中核なんだよなあ。
ともあれ、この半端ない盛り上がりが前振りに過ぎなかったと知れた以上、果たして最高潮がいったいどのレベルまで至ってしまうのか、今からテンションが上がりっぱなしです。今、電撃文庫で超おすすめのシリーズ。激動必至の後編は間をおかずの来月8月発売。超楽しみですじゃ!

1巻 2巻感想

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) 24   

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園 (2) (電撃文庫)

【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) 2】 物草純平/藤ちょこ 電撃文庫

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十八世紀に発生した謎の巨大生物“蟲”によって大きく変貌した、もうひとつの近代。日本から遠く離れた欧羅巴の地で、その左目に奇妙な“蟲”の力を宿すことになった少年・秋津慧太郎。彼がある日、街で遭遇した「死神」―かの者が狙う「魔本」をめぐり、蟲愛づる魔女アンリ・ファーブルと女騎士クロエ、謎多き少女マルティナまでも巻き込んで、長い長い一日が幕を開ける。最悪の事件の裏に潜む呪わしい因縁は、十字教の総本山にも至る秘密を秘めたもので―まだ見ぬ荒園をめざし、少年と少女は闘う。蟲と恋と蒸気が彩るスチームパンク・ファンタジー、激動の第2弾!
幼稚な正論を振りかざすしかなかった慧太郎の著しい成長を伺わせるスチームパンク第二弾。いや、自分でも信じきれていない建前ばかりの正論に縋る事でしか剣を振るえていなかった慧太郎が、ここまで変わることが出来たか。あの本物の戦士であるジョセフとの魂のぶつかり合いが、どれほど彼の成長を促したか、実感叶うというものである。
自分の中に生じている想いを、正論という耳障りの良い借り物の言葉で飾り立てて繕っていたのが嘘のように、自分なりの自分だけの言葉で、信念を語る。それは、妥協の許されない逃げ場のない、ともすれば辛いばかりの自分の心を抉るような自問だったかもしれない。でも、ジョセフとの戦いは少年から安易な逃げを遠ざける強さを与え、ひたすら自分を突き詰めていくだけの輝きを少年に生じさせたのだろう。
もう一人の自分、ともいうべき男に自分の「信念」と「正義」を語る慧太郎の姿は、掛け値なく格好良かった。その姿は紛うことなき男のものであり、幼さを脱ぎ捨てた大人の背中を感じさせるものでした。
見た目が少女? 関係ないね!
いや、一度女の子と認識されてしまうと、普通に男の格好をしていてももはや男と思われないあたり、慧太郎の容姿ってどうやら真性に女の子みたいなんですが。初対面の人にさえ、男装の美少女と認識されてしまうあたり、もはや手遅れもいいところである。

死神と呼ばれ、魔本という謎の魔導書を手にした人間を次々と惨殺していきながら、それをその者への救いと詠ってゆらぎもしない男。一見すると、無茶苦茶な理屈に寄りかかっている殺人鬼そのままなのですが、彼の持つ背景や魔本の正体が明らかになるにつれて、彼の言う「救い」が決して根拠の無い妄言ではないことが理解できてくる。
彼、ベノワは狂った殺人鬼などではなく、そのおぞましい境遇にのたうちまわりながら救いを求める男でした。同時に、彼が自分だけの事にかまけず、自分と同じ境遇になろうとしている無辜の民を悲惨な末路から救いたい、と願い行動に移す、優しい男でもあったのです。それは贖罪だったのでしょう。代償行為だったのかもしれません。ですが、彼が他人を思うことの出来る男であり、この世界の社会通念を鑑みるに、彼に迅速に殺される事は彼の言うとおり「救い」の要素があったのは間違いないことでした。あまりに一方的で、殺される当人に意思確認をしないというのも、あまりにも理不尽である事は間違いないものの、殺される当事者が受けるであろう絶望を思うなら、何もわからないうちに殺されるのも無垢なる救いであったことは、決して否定出来ないのです。
しかし、敢えて慧太郎は死神ベノワの救いを、他者を救い自分を救おうという必死で、縋るような、慟哭に塗れた彼の修羅道を、敢然と否定するのです。
借り物の言葉ではなく、自分で悩み苦しみ心の内から溺れるようにして掬い上げた信念を言葉にして、もう一人の自分の末路であるベノワの救いを、否定してみせるのです。
そして、慧太郎がたどり着いた答えこそ、生きて戦って辿り着く場所こそ、アンリと交わした約束の地だったのです。
この回り回ってあるべき所に着地していく構成は、哀切に彩られたどうしようもない現実への人の抗いというデコレーションもあって、とても美しく感じるものでした。同時に、クロエとマルティナというクラスメイトたちが深く関わるようになり、アンリと慧太郎の二人だけの物語に彼女たちが加わった事で、気づけば「楽園」の形がささやかながら成立していた事にも嬉しさが芽生えるのでした。でも、クロエの一族にまつわる謎や、マルティナの秘密がエピローグで明らかになったことで、慧太郎とアンリ、クロエとマルティナという四人が一緒に居る暖かな光景は、背筋に寒気が走るものでもあるんですよね。当人たちは誰も理解していないけれど、彼らが今同じ時間と空間で日常を過ごしているというのは、とてつもない奇跡と偶然と運命のイタズラの上に成立しているものなんじゃないだろうか。奇跡のような調和の上に成り立つ楽園。その儚さと脆さ、理想の重たさを思うと、この小さな楽園の姿には、痺れるようなナニカを感じるのです。
うむむ、なんか凄いぞーー。

アクションシーンは相変わらず、見栄えのする躍動感や鋭利さが盛りだくさんで、脳内で物凄い作画で動いているような感じです。アンリとクロエ、アンリが一方的に嫌っていた女の子同士の人間関係も、クロエのめげないアプローチについにアンリが陥落する形でクロエの勝利に終わり、得難いアンリのデレを獲得するという結末に。はいはい、ご馳走様です。クロエ、そっちの卦はないと言いつつ、ケイへの態度といいアンリへのそれといい、わりと百合の人なんじゃないかという疑いがw いや、ケイが相手だとノーマルになるのですが。
ベタベタしないように気をつけながら、何だかんだと慧太郎が気になって仕方なくて、クロエとケイのデートを尾行するアンリも、本人女子力かなり乏しいくせにちゃんと乙女していて、ニヤニヤするやら安心するやら。お風呂のシーンは眼福でした。慧太郎が男だと知っているのに一緒にお風呂に入らなきゃいけなくなったアンリの心境たるや、やっぱり単に覗きや偶然混浴してしまうシチュとは全く異なる乙さがあるんですよね。結局、慧太郎あますところなく見てるし。こいつ、なかなか良いむっつりだわ。うむ、うむ、ごちそうさまでした。

次回もほんとに期待大。ラストを見る限り、ちょっと背中を押すだけで凄まじい激動の渦に巻き込まれそうな要素たっぷりですし。楽しみです。

1巻感想

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) 4   

ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル) (電撃文庫)

【ミス・ファーブルの蟲ノ荒園(アルマス・ギヴル)】 物草純平/藤ちょこ 電撃文庫

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18世紀に発生し、瞬く間に世界中へと広がった謎の巨大生物“蟲”。巨大な怪生物たちによる甚大な被害と、それと引き替えにもたらされた化石燃料とによって、世界は大きく変貌した―。時は「明治」と呼ばれるはずだった時代の少し前。異国への航路上で蟲を操る男たちに襲われた少年・秋津慧太郎は、ある海岸に流れ着く。その左目に奇妙な力を得て―そして辿りついた荒地で慧太郎は、蟲たちを愛し、その研究と対処とを生業とする美少女アンリ・ファーブルと出会った。もうひとつの近代で花開く、蒸気と蟲と恋が彩るファンタジー、ここに開幕!
ゴキブリ嫌ぁぁああ!! す、すみません、直前にゴキブリと大格闘になったもので。あの連中、なんでこっち向かって飛んでくるんだよぉ!(半泣き
あの瞬間、自分でも信じられないくらい素早くバックステップして逃げながら、ゴキジェットで撃墜してやりましたけど、もうやだ、ほんとに怖かった。超ビビった! 本気で飛び退ったので、思いっきり壁に激突してしまいました。いや、壁がなかったら後ろにひっくり返りそうな勢いだったので逆に壁あってよかったんですけれど。それくらい熾烈な攻防だったのです。
幸いにして、本作にはゴキブリの「蟲」は登場しなかったのですけれど、でっかいゴキブリは勘弁だよなあ。【テラフォーマー】くらい変異してたらもうゴキブリじゃねえだろ、となるんですけれど。
さて、本作はそんな巨大化した「蟲」が出現する世界。何気に最初のシーンは【ナウシカ】のオマージュですよね。魔女たちがメーヴェみたいな飛行機械を駆るのもそうなら、暴走する王蟲ならぬフンコロガシを止めようとするシーンからして。ナウシカも、彼女が王蟲を沈められなかったら、あの最初のシーン、ユパさまが剣を振るうことになったんだろうか。
さてもロマンであります。近代化なりしヨーロッパの地に立つ本物の侍剣士。日本刀というのは、バトル物にはもう欠かせない要素ですけれど、一番ロマンを感じるのはやっぱり戦国か江戸幕末時代の現役バリバリの侍が、異国の地でその極まりまくった剣技で以って大暴れするシチュなんですよね。こればっかりは、現代モノ、ファンタジー異世界ものでは味わえないカタルシスなのです。
本作の主人公・秋津慧太郎は薩摩示現流の使い手。こういう剣戟アクションは多分にハッタリというものが大事なのですが、意外と本作では示現流の剣の術理が随所に魅せる形で活かされていて、ただ日本刀を振り回しているだけじゃない、日本の超一流の剣術家がその剣腕を以って巨大な虫や並の人間では太刀打ちできない蟲の怪人と真っ向から渡り合うという甘露を味わう事が出来ました。慧太郎もある事情から人間離れした身体能力を手に入れているのですが、彼の剣技の冴えがそれどころじゃなくて、あんまり強化されているが故じゃなく、あくまで彼の剣術家としての腕前で戦っているという空気が色濃く、それが尚更興奮を誘うのです。ラスト近辺のバトルなんて、凄まじくビジュアル映えしますよ。いや、ラストだけじゃなくアクション描写は全般的にイメージしやすい上に迫力とスピード感、ド派手さがあいまってて実に良かったなあ。
しかし、単にキャラの駒がよく動くだけじゃこんなに読んでて血が滾るものではありません。動いている張本人であるキャラクターがまた魅力的であるからこそ、こういうアクションは中身が伴うものです。
正直、主人公の慧太郎は青臭いです。中身の伴わない建前の正論を振りかざしてしまう若造です。ただね、中身なんてものは、後からだって詰め込めるものなのです。確かに、最初彼が振りかざそうとしていた正論は、自分の言葉によるものではなく、常識やそういうものだからという倫理観に基づいた借り物の言葉でしかありませんでした。その当事者たちが、どれだけの想いを込めて、どれだけの現実を背負って「間違えている」かを全く考慮せず、表層だけを見て指弾するだけの軽い正義でしかありませんでした。
彼は自分の言葉がどれだけ浅慮で軽いのか、自分の語る正義がどれだけ浮ついた幼稚なものなのか、それを自らの血と痛みによって思い知り、他者が語る現実と真実によって徹底的に打ちのめされ、自分の空虚さという故国に居た頃から持っていた劣等感に縛り上げられてしまいます。
しかししかししかし、彼をこの異邦の地で拾ってくれた少女は、そんな彼の馬鹿者たる芯を無心に肯定してくれたのです。正しさを現実を無視して強いることは確かに間違っているかもしれません。でも、正しくあろうとする事それ自体は、決して間違っていないのだと。間違っていることを間違っていると言い続けることの大切さを。
これ以降、面白いことに慧太郎と敵・ジョセフの主張は、最初は慧太郎が正論によって相手の行為を否定し、ジョセフが自身の間違いを肯定していたのに対して、一度どん底まで落ちてからアンリが背中を叩いてくれたあのシーン以降から、慧太郎が正論によって相手を肯定し続け、それにジョセフが自分にまつわるすべてを否定する、肯定と否定のサイクルが完全に逆転してしまうという形になってるんです。
未来を語るのに、否定ではなく肯定を以って歩むことを、彼はアンリとともに導き出したのです。だからこそ、私は彼と彼女の革命を全面的に支持したい。自分の醜さ、弱さ、矛盾を自覚してなお、ひたむきに正しく在ろうと藻掻こうとする彼と彼女を。作者の手掛けた前作もまた、社会全体をひっくり返すような若者たちの革命こそがテーマの根底にありましたけれど、本作もまた差別問題とそれに伴う存在闘争を根っこに敷いた社会問題を扱うという重いテーマを背負っているのですけれど、この作者さんはほんと、こういうヘヴィーなネタに対して恐ろしく快活闊達に、しかも切れ味よろしく真剣に死合ってくれるので気持ちいいですよ、ほんと。その中心軸に、ボーイ・ミーツ・ガールというものを据えているからなんでしょうけれど。
面白いことに、本作は落ちてきたヒロインを拾うのはアンリの方であって、拾われるのは慧太郎の方だったりするのですけれど、これって主人公とヒロインの最初の立ち位置が完全に逆、ということでアンリの配置が結構主人公よりだったりするんですよね。学園内の孤立した立ち位置から魔女としての役割、慧太郎の保護者的な立場になること、彼女の抱えている社交的な偏屈さなどなど、彼女が主人公側でもおかしくない設定群なのです。さらに、最初に決定する二人の関係性から、殆どこれこの二人に対して他のヒロインが入る余地がなくなってるんですよね。完全にマンツーマン。慧太郎は、かなりの人誑しで男女問わず色んな意味で人を引きつけてしまう人ですけれど、アンリが危惧するほどではないと思いますよ。どう見ても、慧太郎の眼中にはアンリしか映っていませんし。個人的にこいつのアンリに対する姿勢は武士道じゃなくて、思いっきり騎士道のそれだと思わないでもないですけれど。
何にせよ、ヒロインを感極まってボロ泣きさせてしまう主人公が、かっこ良くないわけありません。そうやって泣かせた彼女に、また泣かせたね、と謝る主人公に、ああ痺れましたとも、痺れさせられましたもの。
敵のジョセフがまた、魅力的すぎるくらいのキャラだっただけに、ラストの激突シーンは本当に熱くなりました。あーもう、盛り上がった盛り上がった。前作に負けず劣らずの、素敵なカップルでしたよ、この二人と来たら。ヒーホウ!!
なんか、前作はあのまま音沙汰なくなってしまいそうな雰囲気が漂ってて、あれが滅茶苦茶好きだった身としては発狂しそうなんですが、その分此方はほんと頑張ってください。面白かったですから、最高に盛り上がりましたからっ!

物草純平作品感想

猫にはなれないご職業 2 4   

猫にはなれないご職業 2 (ガガガ文庫)

【猫にはなれないご職業 2】 竹林七草/藤ちょこ ガガガ文庫

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吾輩は猫又である。現在無職である。

かの有名な歌にもあるように、吾輩のような妖異にゃ学校も試験もなんにもないのは昔から知っていた。だが無職になって初めて職業紹介の場もないことに気がつき落胆しているのだ。
そんな吾輩の心中を知ってか知らずか「私、おばあちゃんと同じ、陰陽師になるよ!」と宣言した桜子は、自分の修行になりそうな怪異スポットを探しておる。
ある日、桜子がいわくつきの廃屋から帰ると国東茉莉という1人の少女を連れていた。

「お願いします! 祓って欲しい鬼がいるんです……鬼を、祓ってください!」

桜子との会話から察するに、この少女は廃屋に1人でおり何をしていたかは話してくれていないようである。そして鬼の姿、形ですら答えられないという。
茉莉自身も何か事情があって答えられないようにも思えるが、これっぽっちの情報では……と吾輩が困っていると、桜子は「困ってるなら力になるよ。大船に乗った気でいなよ」といった。

いやはや――桜子、困っているならどんな依頼人でも助けたいと思えるおまえはやっぱり藤里の人間だよ。現当主である桜子が受けた依頼だ。吾輩はその意思に沿う働きをしようではないか。
ちょいと、ガチで泣いちゃいましたよ、私!? 
一章の終わりにポツンと書かれた一文にハッとさせられたのも束の間、二章になって始まった新たな事件の内実が明らかになるに連れて弥増す緊張感。そこに、彼女の存在が関わっていると解ってからの切迫感の凄まじいこと凄まじいこと。読んでいるこっちまで、身を切られるような思いにさいなまれる。そして、該当シーンである命があるものを探して、とあるアパートの一室に侵入するシーンに至っては、息をすることもままならず、手に汗握り心臓をバクバク云わせながら事態を見守ることに。そして、恐れていたものが見つかってしまった時の、あの絶望感……、もうこっからの展開はこの一連の出来事の真相も含めてあまりにもショッキングで、同時に心揺さぶられるもので、情動をグッチャグッチャにかき回された挙句に、泣き、入ってしまいました。
参った。
読んでるだけで、物凄いエネルギーを消耗してしまいましたよ、このあたりは。思わず、グッタリとなるほどに。それほどの緊迫感だったと察して頂きたい。
一件軽い陰陽師モノに思われるけれど、一巻に引き続き人間の内面をこれでもかと掘り下げ、その醜い部分と美しい部分を浮彫にしてそれを妖異、怪異として現出させる怪異譚としての出来栄えは一品であり、演出面での迫真性や緊迫感、恐怖やおどろおどろしさを引き立たせる描き方は、ホラーとしても上質のもので、何よりエンターテイメントとして、物語として読んでいてグイグイと引きこまれていく牽引力に秀でている、実に素晴らしい作品に仕上がっている。一巻も手放しで絶賛するほど面白かったけれど、二巻になってさらに伸びたんじゃないですか? いやもう、本気で面白かったんですけど。

てっきり一巻の最後で家業の陰陽師を継ぐことを決意した桜子が、物語を牽引することになるのかと思ったら、未だにタマの正体すら知ることも出来ず、やる気ばかりが空回り。結果として、本質こそ見失わないものの本件からは蚊帳の外に置かれてしまうはめに。結局、タマの相棒は本来一般人であるはずの命が引き続き務めることになるのか。でも、彼女の見鬼の才能はタマや同業者が度肝を抜かれるほど優れていることから鑑みるに、今更一般人とは言えないのかもしれない。あれだけ、土壇場で肝が据わり、またここぞという時に男前の性格で、優しさを基盤にした退かない信念の持ち主だからなあ。滅茶苦茶いい女なんですよ、命ちゃん。これで、腐ってさえいなければ。腐乱してさえいなければ……w
もう女として、人間として踏み入ってはいけない領域にまで足を突っ込んでしまっている手遅れ腐女子。先の文房具を掛け算にして興奮していた姿にもドン引きだったけど、クラスメイトの男子が親密そうに話している姿をオカズに、白米をガバガバと掻き込み、スピスピと鼻息を鳴らしている姿は、百年の恋も冷めようという代物である。これ、普通の人間の男が相方じゃなくてよかったよ。オッサンの猫又が相棒でホント良かった。でなきゃさすがに色々な意味で危なすぎて、主人公とヒロインとしての関係が成り立たないもの。無理だモノ。
オマケに、新キャラクターの女性術者も、アラサーにも関わらず、いや年齢を経てしまったぶん最早後戻りできないところに踏み入ってしまった人外魔境の腐帷子を身につけてるようなキャラだもんなあ。結婚は諦めてください。あんたのそれじゃあ、絶対無理です。命がドン引きするってどんだけのレベルなんだか。まあ、命だって順調に歳を経ればああいう残念な大人になってしまうこと必至なのですが。あれを反面教師にしておかないと、えらいことになってしまうぞ。
でも、腐っている部分さえなければ、命も女性術師の方も実に大した連中なんですよね。いや、術師の方はまだあれこれ未熟者なのですが。
何だかんだとタマも今や命を信頼し切ってますし、今回の一件を打開して退けた立役者は命だとタマも手放しで認めるところ。正直、女子高生にあんな場所に踏み込ませて確認させようとしたタマは容赦なさすぎ、と思ったものでしたけれど、それも信頼の賜物だったんだろうなあ。それに、彼女は期待以上に答えたわけですし。
自分の立場が危うくなる事も厭わず、断固として黙して何も語らなかった命の心意気には、頭が下がる思いでした。本当に重ね重ね、腐ってさえいなければ……w

とまあ、命の見せ場たっぷりの今回でしたけれど、猫又のタマの方もちょい悪オヤジ風味がいい具合に炸裂。桜子に対しては相変わらずの過保護っぷりでしたけれど、妖怪としては貧弱もいいところな猫又であるタマが、本来の存在の格付けなら一蹴されて当然の格上の大妖相手に、猫又としてではなく「陰陽師」として技術と知恵で立ち向かうその姿は、ヤニ臭いオッサン猫だろうと文句なしに男前でございました。
今回のキーキャラクターとなる茉莉も、その幼さとは裏腹の聡明さと、子供が持つべきではない薄幸が健気さと相まって実に悲哀を帯びた感情移入させられる良いキャラで、それだけに彼女の顛末と母子の物語はインパクト強かったんですよねえ。

何にせよ、文句なしに面白く読み込ませてくれる一冊でした。絶賛オススメ。

1巻感想

猫にはなれないご職業4   

猫にはなれないご職業 (ガガガ文庫)

【猫にはなれないご職業】 竹林七草/藤ちょこ ガガガ文庫

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吾輩は猫又である。化け猫と一緒にするな!

凄腕陰陽師として名を馳せた春子が寿命で亡くなり、唯一の肉親を失った孫・桜子。悲しみにうちひしがれる彼女を見守る者がいた。飼い猫・タマ。タマは妖怪・猫又であると同時に陰陽師として春子の相棒だった。人語を解するタマは「まだ家族はいるぞ」と伝えたい。だがそれは出来ない。生前から春子は「桜子には陰陽師について何も知らないまま生きて欲しい」と願っていたからだ。しばらくして桜子の親友である命が声なき声に操られ、春子によって施されていた封印を解いてしまう。それはかつて桜子を喰らわんと襲ってきた妖怪。伝説の妖狐九尾にせまる八尾だった。
だが自分の死で封印が弱まる事を考えていた春子はタマと共に備えていた。桜子を守るため、タマは八尾の封印を破ってしまった命に協力を要請する。春子亡き今、変わりに人手がいる。
初めはタマが話すことに驚く命であったが、徐々にタマの想いを理解する。
『桜子を助けたい』
それが1人と1匹に共通する願いであった。そして八尾襲来。タマが八尾の圧倒的強さで絶対絶命になるが、なんとか囮になり目的地へ誘導。タイミングを合わせ命が、春子とタマの全てを込めた、陰陽道の真髄「蒼龍」を解き放つ。
まさに新たなるニャンコ先生爆誕!! なんだよ、帯のおっさん猫又ってフレーズは(苦笑 まるでうらぶれた中年みたいな言い草だけれど、そんな事は全然無いんだからね。おっさんはおっさんでも、さながら草鞋を脱いだ侠客のごとく漢の矜持と娘への情愛に満ち溢れた渋くイカしたおっさん猫又なのである。それでいて、現代の世情にも通じていて携帯電話を自在に操り、BLやネットスラングといったアングラにも理解が著しい、情報と機械に強い猫又なのだ。現代の陰陽師たるもの、時代に合わせたツールに長けていなければ一人前である。
しかして趣味は酒と煙草。斯くの如くハードボイルドな先生であるからして、別段魔法少女のプリントがくっついたリュックサックを背負っているからと言って、可愛らしいニャンコっぷりをアピールしようとも無意味なのだ。ハードボイルドと可愛らしさは相入れぬ! 実際、ビジュアル的にもタマ先生はチョイ悪イケメンすぎて、見た目全然可愛くなんてないですからねっ。かわいくないけど、マジカッコいいっすから。表紙をご覧頂ければわかるように、マジイケメンっすから!!

という訳で、こんなチョイ悪中年イケメン猫又陰陽師を主人公として、ややもコメディタッチにおくられる妖異譚なのでありますが、中身を見ると「陰陽師モノ」としては相当にガチな作りだったり致します。陰陽術とそれに纏わる諸々の術式、呪詛、呪いごとなどについての取り扱いはかなり本格的で、少なくともなんちゃって陰陽師モノとは程遠い出来栄えでした。人を呪わば穴二つ、じゃありませんけれど、呪いや妖魅の領域を取り扱っているだけあって、人死の様子は酸鼻を極めますし、コメディタッチな語りの割に一転して仄暗くタールに塗れたような重たい雰囲気は、作品に質実とした歯応えを与えてくれます。
ただ、そんな重たさを猫又陰陽師タマの心の強さと愛情が、命の桜子への友情の厚さが見事に背負いきり、読後に一風清々しいまでの清涼感を与えてくれるので、仄暗さにも負担を感じないんですね。……まあ、あの娘さんはもう手遅れなくらいに「腐って」いるんで、清々しいと言うにはためらいもあるんですが。
まったくもって「腐って」ます。
ってか、一般人にも関わらず、図らずもタマと協力して春子を襲う怪異と相対するハメになる神波命嬢なのですが、腐女子は腐女子でも、相当にレベルの高い腐女子です。相当どころじゃないかもしれないがな! なにしろシャープペンシル×芯、消しゴム×消しゴムカバー、赤ペン×青ペン×黒ペン、でイケるほどのハイレベル。もはや、人類の限界を突破しすぎてる! 授業中に何やってんだ、この娘はw クラスメイトの生暖かい視線が、余計に腐敗を進めている気がしないでもないが……。これ、残念すぎて男寄り付かんだろう。
唯一残された家族を失って傷心の親友のために、すんなり命を賭せるほど、猫又のために身を呈せるほどの、この娘もまた内面イケメンの勇気あるカッコいい娘さんなのになあ……でも、腐っているなら致し方なしw

ともかく、物語そのものの質が、語り口の滑らかさが、実にクオリティが高くて、読み易いは土台からキャラからしっかり作られているわ、なにより面白いわで、新人作品としては出色の出来。これは手放しで絶賛したい。すんごい面白かった。
泣かされるシーンもなかなか多くて、タマの命への気持ちや桜子を守るための覚悟、清十郎への親としての想いなど、胸を突くような心情描写も素晴らしかったのだけれど、何よりあの清十郎の一連のシーンが反則級。
犬神を作り出す凄惨なシーンにも関わらず、あの犬の忠心には泣かざるを得んだろう。なんて、悲しく雄々しい呪詛なんだろう。それが、翻って守るはずだった桜子の脅威となる悲劇さ。そして、タマの、命の、清十郎の、桜子の、家族を思う気持ちが報われ救われる、慈愛と感謝に充満た結末。
胸が熱くなる感動でした。ああ、良かったなあ、と心から思わせてくれるお話でした。

このまま本作の続編を続けてくれてもよし、新しいシリーズをたちあげてくれてもよし。いずれにしても、これほどのデビュー作を見せてくれた新人さんです。次回作は凄く期待しちゃいますよ。
素晴らしい良作でした。タマ先生に乾杯!!

カルテット それが彼らの音楽だった4   

カルテット―それが彼らの音楽だった (幻狼ファンタジアノベルス)

【カルテット それが彼らの音楽だった】 小竹清彦/藤ちょこ 幻狼ファンタジアノベルス

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【アップルジャック】にて小説家デビューした劇作家・小竹清彦氏の第二弾小説は、あるカルテットの人生の旅路を振り返る物語。
作者の人が元々演劇畑で映画の脚本も手がけている、という印象が強いからかも知れないけれど、話の持って行き方が一風独特。セリフ回しも小説のそれとは少し違っていて、それが為にか小説を読んでいると言うよりも、どこか舞台演劇や映画を観客席から見ているような気分にさせられる。

不覚にも、少々涙ぐんでしまった。

物語は長らくカルテットを組んできたメンバーの内の一人が亡くなり、彼の遺した楽譜を残された三人が見つけるところから始まる。
主に男たちの回想によって描かれていく、人生という名の旅路のロードストーリー。
それはスタイリッシュであり、ハートフルである。情熱的でありながら飄々と垢抜けていて、個性的な四人組の織りなす友情は、ただただ温かい。
先に逝ってしまった男――ギタリストは自由奔放で派手で自信家だったが、何よりも仲間を思い、仲間のために生きていた。残されたベーシスト・スモーキー。ピアニスト・教授。ドラマー・教授はそれぞれの彼との思い出を想起し、彼がどれほど掛け替えのない友人であり、自分たちが陥った人生における最大の危機に、彼がどのように手を差し伸べてくれたかを語り合う。
かつて自分の過剰な自意識とミスによって、カルテットの未来を閉ざしかけたスモーキー。
自分の生きる道を指し示し、人生の師そのものであった母親の急逝に自失しかけた教授。
愛する妻を失い、残された生まれたばかりの娘が聴覚障害である事を知り絶望するセーフ。
そんな、先々の未来が閉ざされようとしていたとき、仲間が苦しんでいながら何も出来ず無力感にうちひしがれていたとき、あの剽げた男が如何に振舞ったか。
今はもういない男を懐かしみ、まだ各々の内にだけ残されていたあの男の思い出を共有し、彼がどれほど自分たちに取って掛け替えのない存在だったかを確かめ合う。そんな儀式はやがて、さらなる過去、彼らがまだ音楽と知りあっていなかった頃へと立ち戻り、さらには夢破れて四人がバラバラとなり、やがて音楽と巡り合い奇跡のように再び四人が集うまでの、ひとりひとりの旅路の話になり、そしてセーフの娘、サキとギタリストとの思い出に至ることで、物語は過去から未来へと繋がっていく。
そうして、思い出によって先に逝った親友が自分たちに抱いていただろう友情を改めて確認しあった彼らは、ギタリストが遺した楽譜の意味を理解し、それを元に思い出の中の懐かしい人々を呼び集め、逝ってしまったギタリストを賑やかに送り出し、彼が心残りないように残された三人が新たに旅立つための音楽会を開くのだった。

死別という別れは悲しく寂しいものだけれど、それを新たな旅立ちと受け止めるならば、涙を流しながらも微笑んで送り出せる事ほど、彼我に取って幸せなことはないのだろう。
かつてカルテットだったピアノ・トリオが紡ぎ出す、彼の遺した曲によって、人々が思い起こす過去の軌跡と、これからの人生を照らし出してくれる温かい光。
すべてが繋がっていく。先へと続いていく。
想いは、残された人々の中に永遠に宿り続ける。

嗚呼、素晴らしき哉人生。
 
12月3日

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