徒然雑記

終日のたりのたりかな  
  オロチのまどろむ庭TOP  読書メーター  月刊書籍発売カレンダー  書籍感想・殿堂作品
  書籍感想・著者索引(表紙絵附) 書籍感想・著者索引(シンプル版)  書籍感想・作品タイトル索引(シンプル版)
  11月の漫画新刊カレンダー  11月のライトノベル新刊カレンダー
  12月の漫画新刊カレンダー  12月のライトノベル新刊カレンダー
 

講談社ラノベ文庫

おお魔王、死んでしまうとは何事か ~小役人、魔王復活の旅に出る~ ★★★☆   



【おお魔王、死んでしまうとは何事か ~小役人、魔王復活の旅に出る~】  榊一郎/ 鶴崎 貴大 講談社ラノベ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

二つある心臓のうちの一つを〈勇者〉に捧げ、人類との講和を求めた女の〈魔王〉が、戦争の継続を望む魔族に殺害されてしまったという話を上司から聞かされたクレトは、魔王復活の任務に就くように命じられる。吹けば飛ぶような木っ端役人に、選択の余地などない。人類と魔族の戦争に終止符を打つためにクレトは〈魔王〉の側近である犬耳しっぽの魔族の少女や、〈魔王〉復活に必要な心臓を持つ人類最強の〈勇者〉たちと共に、魔族領域へと向かうことに。そこで待つトラブルを解決するのは……役人特有の小賢しさ!?『アウトブレイク・カンパニー』の著者と『異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術』のイラストレーターが贈る、新作ファンタジー開幕!!

これホントに、魔王さんなんで死んじゃってるんですか!? て話だなあ。
人魔講和の鍵となる魔王の死によって、講和ムードから一転戦争継続へと世間の空気が変わる中で、一縷の望みを託して魔王復活のために魔族領域に送り込まれることになった小役人クレト。
……こんなショタ坊やにこんな重大事を任せる時点で、もう諦めムードもイイ所なのですが。未だ戦争が続いている中で、魔族領域から魔王を復活させるのを手伝って欲しい、なんて個人で偲んできた魔族なんか信用し難い、というのはよくわかるし、リスクを減らすために損なっても惜しくない人材を派遣するという手段も理解できるのだけれど、そんな中途半端してどうするんだ、とも思うわけで。
クレトは、別に秘めたる実力とか来歴が在るわけではなく、特別優秀というわけでもない孤児上がりの別に将来性もあるわけじゃない非エリート階層。そりゃ捨て駒にして惜しくはないだろうけど。
実際、勇者から魔王復活の鍵となる魔王の心臓の回収からして、そんな期待されてた様子もないんですよね。おそらく、そこで頓挫するんじゃないかとすら思われたんじゃなかろうか。
それがどうしてか、勇者がクレトのその場のノリの誤魔化しに乗ってしまい、一緒に魔族領域まで同行、というよりもクレトの行く所ならどこでもどこまでもついていく、という風になってしまったので勇者という最大戦力が加わるという望外のことがあったわけだけれど。

クレトには志も理念も野心もなにもない。役人になったのも、食いっぱぐれないためだ。孤児として辛酸を嘗めてきた彼にとって、公務員というのはそれこそ望みうる最高の食い扶持だっただろう。
逆に言うと、食い扶持でしかないんですよね。彼は保身的ではあるけれど、役人としてありがちな組織内での立場を守る或いは立身出世を目指した保身とは縁がない。孤児で天涯孤独、というのもある意味しがらみのなさとも言えて、実際この出張任務を任されてから逃亡を幾度も図っている。
小心者で心身ともに身の丈の小さい人間だけれど、だからこそあんまり「小役人」という感じでもないんですよね。
組織内での立場に拘りがないからこそ、そこに足を取られずに自由に振る舞うことが出来、後先をあんまり考えずに現場判断で大胆に行動できるとも言える。
官僚の中にも稀にいるんですよね。破天荒と言っていいくらい、官民巻き込み政財界を引きずり回して大胆不敵に大仕事をやってのけるような特異点が。
彼がその類かというと、小役人ならずとも性格的に小人物であることは間違いないはずなんだけれど……視点もそんなに広く高いわけではなく、目の前に突きつけられる戦争の現実、魔族と人間との解消できない民族対立、貧富の問題や治安や倫理の低下による人心の荒廃、そこから芽生える悪心や俗欲、それによって傷つけられた人々の憎悪の連鎖。
利害と感情の問題が複雑に絡み合って、此処まで来るともう利を説いても人の善心に訴えても紐解けないくらい、社会全体の問題は複雑深化していると言っていいでしょう。
人魔の戦争の終結は、それらを解決するための最初に一歩であり、大前提であると言えます。そのために、魔王を復活させる、というのは目指すべき大目標でしょう。それを達成するためには、結局目の前に立ちふさがるトラブルを一つ一つ片付けていくしかない。
正しい理念や信念、正義の志という大上段から振り下ろす刃では、容易に切り崩せない茨の道です。だからこそ、小役人の出番なのかもしれません。クレトのような子は、結局目の前のことしかわからないから、そこから一歩一歩切り崩していくしかない。組織の人間は、前例やら組織の利益に囚われて目の前の事よりも後ろのこと上のこと先のことに引っ掛けられて、動けなくなる事が多いのだけれど、クレトくんの場合は彼に保身にはそういうの関係ないですし、彼自身の守りは勇者ちゃんが完全に担ってもらえるので、ある意味怖いものなし、とも言えるんですよね。
だからといって、あの発想の自由さ、大胆さ、やれそうだからやってしまおう、というスタンス。現場感覚で目の前の人たちを口車に乗せ、空手形じゃなく実務的にも説得力のある結果を導き出す、という手腕は、ちょっとおかしいくらいなんですけどね。小役人じゃないよなあ、これ。

だいたい、このクレトくんショタすぎでしょう。仮にも役人やってたにしては、ちびっこすぎる。ショタコンが湧くじゃないですか。本人は魔族に忌避感を持たないどころか、ケモミミ尻尾属性というちびっこのくせに業が深すぎるところがあるのですけれど、魔族領から逃れてきた人魔ハーフのミユリからして、かなりヤバいショタ属性の持ち主なので相性は良いのかもしれませんけど。
というか、お互い属性を目の前にすると正気を失うレベル、というのはやはり業が深すぎる。ひとつ間違えるとズブズブになりそう。
そもそも、この魔王復活を目指すパーティー、全然仲間意識ないんですよね。完全に仕事上の付き合い。同行者という以上のものはなく、護衛の騎士さんは任務と割り切って交友深める気ないですし、エルフさんはこれまた講和そのものに対してもやる気なさそう。勇者ちゃんはというと、元が名前も与えられていない幼児の頃から無機質な作業で創り上げられた暗殺者というほかなく……よくこの娘、魔王の説得に聞く耳持ったなあ。
兵器として作られながら、なんだかんだと自分で考える事がこの時から出来ていた、とも言えるのだろうけれど。それでも、クレトにくっついてきたのはいびつな価値観と刷り込みに近いものがあるわけで。
病んでる様子がないのが幸いか。野生動物とロボットの間の子みたいな無感情だけど、これで理性的で理知的な面も見受けられるので、懐いている様子はある意味本当の意味で感情と理性に則ったうえで懐いている感じがするので、信頼できるのではないだろうか。

ともあれ、小役人というには大胆すぎる大仕事をやってのけたクレト。これ、寄り道トラブルと言えるので本道はこれからなんだけれど、巻き込まれ系でありながら最終的に全部手のひらの上で転がしているという軍師タイプの主人公となりそうで、かなり殺伐とした世界観だからこそ映えてきそう。
続くのなら、なかなか先が楽しみなシリーズの始まりでした。


オトギロワイヤル 長靴を履いた猫vs.桃太郎 ★★★   



【オトギロワイヤル 長靴を履いた猫vs.桃太郎】 幹/hncl 講談社ラノベ文庫

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

“人生に必要なことは童話が教えてくれる”。自他とも認める童話オタクの幸也は改変・改訂版のすべてを読破したいと、時間があれば図書館や書店に足を運んでいた。そこで呼び寄せられるように手を取ったのは『長靴を履いた猫』。何度も読んでいる作品だったが、その本は特別だった。そこから登場人物のオーガが現実の世界に飛び出した! オーガは幸也に襲いかかり物語の結末を変えようとするが、それを阻止するべく、猫耳少女……同じく本から出てきた猫が幸也を守ろうとする。彼女は幸也を主人(公)とし、身を守ることを約束、暴れるオーガを本に戻そうと街へ出向いた。しかし、二人を待っていたのは別の作品の登場人物・桃太郎!?

タイトルでVSとなっている主人公格の二人のキャラクター。だけど、対戦相手ではなく世界観を越えた共闘相手でした、というの昭和のアニメとか特撮の映画テイストですなあ。
さても、この物語において主役となるのは、本の中から飛び出した童話のキャラクターたち。
【長靴を履いた猫】って読んだか読んでなかったか、憶えてないや。高校生ながら外国語版も含めて古今東西の童話を読み漁っている主人公と違って、さすがに自分は童話の類は幼い頃にしか読まなかったと思う。それも絵本という形で。というか、文字の本という形で読んだことがあっただろうか。それでも、有名所の童話はなんやかんやとその内容については外から入ってくるので大体は知ってはいるのだけれど、長靴を履いた猫に関してはどんな話だったのか記憶になかった。
アニメ作品でやってましたっけね? それも、見たのか見てないのか。キービジュアルは強く印象に残っているのだけれど。
なので、「長靴を履いた猫」にオーガなんてものが出てくるなんて全然知りませんでした。オーガなの? オーガなんて単語が日本で通用するようになったのってここ10年20年ってところだと思うので、昔の長靴を履いた猫ではオーガじゃなかったような気がするなあ。読んだかどうかも定かではないにも関わらず、そう言ってしまうのもどうかと思うのだけれど。
最近ではオーガなのか。
そもそも、自分の中の童話の知識って……甲田学人さんの【断章のグリム】だったんじゃなかろうか。あれはこう、原典のさらにグロくてエグい部分を容赦なく直視しつつ、さらに解釈をえげつない方向に向かって掘り下げていく内容だったので、童話となるとどうにもこう、裏というか背景が気になってしまうという弊害が。
ともあれ、本作では本当は残酷だった童話シリーズや、赤ずきんが重火器振り回して凶悪に哄笑しながら暴れまわったりするようなキレキレの童話キャラたちの祭典というのではなく、かなり本来世間で一般的に認識されている童話作品に寄ったマイルドなキャラクターになっている。
と言っても、これ童話のキャラって長靴を履いた猫のネコ以外は殆ど登場しないような。オーガちゃんですら、チラッとしか出てきませんし。
そもそも、あんまりキャラクターの掘り下げもやってくれないんですよね。というか、ヒロインの立ち位置であるはずの薔薇垣さんや桃太郎役の吉備さんも物語の本筋には役どころはあるのですけれど、主人公の凛堂幸也の物語に深く入ってこれたかというとちょっと疑問なんですよね。お姫様役であり、頼りになる仲間役ではあったとしても、ヒロインとして主人公に絡めたかというと……。
薔薇垣さんなんて後半眠ってばかりで、彼女の想いというものをちゃんと形作る事叶いませんでしたし。薔薇垣さんは彼女なりに思いを育んでいて、それを伝えられたらと思う所もあったと思うのですけれど。吉備さんも、家柄として桃太郎やってますけど、そのことについてどう考えているのか、今こうして幸也と組んで動いていることにどんな思いを抱いているのか、という点などについて深く踏み入ることありませんでしたし。
その意味では、物語の進行重視だったのかもしれません。むしろ、黒幕であり敵役だったキャラの方が、幸也と向き合う機会が多かったくらいです。とはいえ、彼女もまたいまいち個性的とは言えず、動機もろもろも含めて定番的であったので存在感としてはあんまり印象に残るようなタイプじゃなかったんですよね。
総じて、全体的に見ても強烈に焼き付くような印象的な何かがあるわけではない、地味目なイメージに終始してしまったような気がします。内実も含めて。ネコもにぎやかであり続けてはいるんですけれど、軽々しいまんまで最後までいってしまった気がしますし、主人公の童話バカっぷりもあんまりこっちの興味まで引っ張られるような印象深いものはなかった気がします。童話薀蓄がたり、なんかを延々と熱心にされたら興味も湧いたかもしれませんけれど、触れてもサワリだけという感じでしたしね。フィジカル最強という設定も、余録という感じでそれを強い武器に出来ていたかというと、さてどれだけ活用できていたか。
なんとも大人しい感じのあっさり風味のお話になってたかなあ、という感触でありました。個人的にももうちょい濃い目でキャラの描写に重きをおいた作品の方が好みかなあ、最初のシリーズ【神様のお仕事】みたいな。

幹・作品感想

お隣さんな教え子と甘い○○ ★★★☆   



【お隣さんな教え子と甘い○○】 望月 唯一/maruma(まるま)  講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

出世には興味なし。仕事に求めるのは安定した給料と休暇のみ―。それが高校の調理科でパティシエの講師を務めている俺の方針だ。だが、新入生として入学してきた、理事長の孫娘である四宮蒼梨花が、特別授業を求めて俺に迫ってくる。仕事が増えるのはごめんだと断った俺だが、なんと蒼梨花は俺の隣の部屋に引っ越してきた!必要以上の仕事も無駄な努力も、俺のスタイルじゃないのに…。蒼梨花の熱意に負けて、俺は最終的に特別授業を引き受けることに。だが、俺の妹弟子にして、天才だがトラブルメーカーの少女・赤崎エイプリルたちを巻き込んだ日常は波瀾万丈で…!?お菓子も仕事も青春も、甘くて時にはほろ苦い―年の差師弟の学園ラブコメ!

調理師学校じゃなくて、通常の高校に調理科なんて学科がついている学校とかそんなのあるのかー、とびっくりしたんだけれど、調べたらそれなりに存在してるんですね、そういう学校。
思いの外、学生の進路って多種多様に広がっているもんなんだなあ、とちと感心したり。
そんな調理科で講師をやっている新見はかつては現役バリバリのパティシエとして活躍していて、四宮蒼梨花がパシティエを目指すきっかけになった人物でもある。とはいえ、蒼梨花が知っている新見はパティシエという仕事に誇りと情熱をもって働いていて、進路で悩み母親と喧嘩して家出していた蒼梨花に夢と熱意と憧れを抱かせてくれた恩人だったのだけれど、今の彼は情熱の火が消えて現場からドロップアウトしたやる気ゼロの講師でしかなかったわけだ。
蒼梨花が知っている彼とのギャップは、そのまま彼の過去と今の現在地の差異でもあり、彼女が滾らせている情熱はそのまま新見が宿していた熱量でもある。
かつて、少女に引火した情熱の火が回り回って、今それを失ってしまっていた新見の前に現れて、その熱と炎の勢いをもう一度もとの持ち主のところに戻ってきて、灯火を再点火しようとする、これはそんなお話だ。
幸いだったのが、新見の中の火は完全に鎮火してしまったわけではなく、熾火としてずっとジリジリと灯り続けていたことだろう。ゼロからもう一度火をつけようというのは大変だけれど、火が残っているのなら適切な燃料を加えればすぐに燃え上がる。やる気がないとうそぶきながらその腕を鈍らせるどころか密かに鍛え続けていた新見にとって、かつての自分を容易に思い出させてくれる夢に邁進する蒼梨花の姿は、適切以上の燃料になっただろう。結局、彼が現場を離れたのは大好きな菓子作りを嫌いになってしまわないための予防行動であって、心底嫌になったのならこんな風に講師としてもお菓子作りに携わり続けるものだろうか、ってなもんだ。
なので、新見先生、あんまり無駄な足掻きはしないで積極的な蒼梨花の行動に逆らわずに手を差し伸べてくれるんですよね。個人授業もちゃんとしっかり厳しく行ってくれてるし。
ただ、あの放課後個人授業ってそんなんホンマにあるんかいな、というぐらいなんかアレな制度ですよね。特定の生徒を贔屓して、というのも反発くらいそうだし評価も難しかろうし、何より講師と生徒とはいえ一対一でそんな、ねえ。いやまあ、学校で居残って程度なら全然問題ないのかもしれないけど。新見と蒼梨花の場合は部屋も隣で生活に重なっているという時点でほぼアウトである。保護者の許可というか推薦というか後押しがあるため、ギリギリセーフなのかもしれませんけれど、アウトセーフの判断基準は保護者な理事長次第、という首根っこの掴み方w

とはいえ、なかなか王道というか正道を行く挫折からの復活譚。弟子や生徒から逆に教えられる事になる教師モノとして、内面描写も堅実ながら丁寧な良作でありました。
エイプリルはなー、あの子はどこまで兄弟子に対して本気だったのかしら。蒼梨花の出現がなかったら兄弟子を立ち直らせるのは自分だったなり、という自負は垣間見えたような気もしたけれど。

望月 唯一作品感想

素直になれたら廃ゲーマーな妹でもかまってくれますか? ★★★   



【素直になれたら廃ゲーマーな妹でもかまってくれますか?】 落合 祐輔/ 竹花 ノート 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

「妹のブ、ブ、ブラ持ってニヤニヤしないでよ、へんたい!」
俺と妹・二美の日常はだいたいいつもこんな感じだ。昔は一緒にゲームしたりと仲も良かったんだが、いわゆる思春期的なころから気まずい関係が続いていた。なかなか解決策もないまま趣味のネトゲに没頭する毎日な俺。それでも、ゲームを通じて学年一の美少女・真木穂乃香と仲良くなれたし、ゲーム内でもライバルギルドのマスターにして超絶ブラコンなヴィオレットをはじめとする、愉快な仲間たちと楽しく過ごせている。
それがせめてもの救いか……と思っていたら。ある日、俺はヴィオレットのプレイヤーの正体を知ってしまい……!?
素直になれないポンコツ妹との学園ラブコメ!

うわぁ、この妹は確かに面倒くさい。兄に対して素直になれないのは兎も角としても、肝心な時に視野狭窄になって独りよがりな行動に出てしまうところは本当に痛い。それで、味方になってくれる人を自分から突き放してしまっている。自分から望んで孤高であろうとしているならまだいいのだけれど、本人にはそんなつもりがないのも辛いなあ。
この娘に友達が殆どいないのも、ゲーム好きで周りと話が合わない、というだけではないのが見て取れる。
だからこそ、絶対的な味方になってくれているサブマスターやリアルの親友は本当に大事にしなきゃなんないのにね。性格というのはなかなか変えがたいものだし、二人……穂乃香と裕子も二美がそういう娘だと判った上で汲んでくれている娘たちだけに、二美には是非彼女たちに与えてもらったものを返せるように頑張ってほしいし、彼女たちの絶対的な味方で居てほしいものであります。

というかね、この作品で面白い部分って兄と妹の仲直りという面よりも、妹のギルドのサブマスターがゲーム仲間で仲の良い美少女クラスメイトであり、また自分のギルドの右腕であるサブマスターが、妹の親友の後輩だった、という妹と錯綜する形で二人の女の子がヒロインとして確立している、というところなんですよね。そんな二人が、妹との仲を取り持つために色々と尽力してくれる間にもともと仲の良かった穂乃香とは、妹を支えるサブマスということから余計に親密になり、また自分のサブマスもオフ会で実は妹の唯一のリアルの親友であることがわかって、リアル側で妹との間を取り持ってもらうためにリアルでも接触するようになり、と二人の女性とプライベートで親密になってしまうのであります。なかなか面白い錯綜した関係であり、距離感の縮まり方なんですよね。
肝心の妹の二美は、現在は疎遠になりながらも本当は兄大好きな重度のブラコン、なわけですけれど、あくまでこの子のブラコンは常識の範疇のブラコンであって、普通に兄妹愛なんですよね。そりゃ、兄に恋人とか出来たらへそを曲げそうなくらいには重度のブラコンなのでしょうけれど、その相手が穂乃香や裕子であるなら邪魔はしないし、むしろ応援するんじゃなかろうか、というくらいには健全なタイプのブラコンなのであります。
まあ、問題はどっちを応援するか、になるんでしょうけれど。ギルドで自分をずっと支え未熟な自分を守ってくれていた年上な尊敬できる女性である穂乃香と、リアルで唯一の友達として自分とずっと一緒にいてくれた親友の裕子。まさに板挟みである。
とはいえ、本巻では兄と妹の関係の修復に話が終始していて、兄の女性関係についてはほんのりと芽が出始めている気配を匂わせている程度なので、二美の立場上の問題が浮上しているわけではないのだけれど、続くとするならさてどういう話になるものかしら。

幼なじみが反対しますが秘密結社を廃業することにしました ★★★☆   



【幼なじみが反対しますが秘密結社を廃業することにしました】 神野 オキナ/ みこやん  講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

「本日をもって、秘密結社ダークハドーを解体廃業いたします!」
日本最大の悪の秘密結社、ダークハドーの新しい首領――ビックハドー3世となった春也による、最初で最後にして最大の命令だった。しかし、すでに経済システムに密接に組み込まれたダークハドーにとって、廃業は自らだけで決められることとは思えない。そう考えた春也の幼なじみでもある、女性怪人――レディタイガーこと蓮杖ルミカは、首領である春也と、そして秘書官であり姉でもあるレイカを止めようと決意する。だが春也の決意は固く、廃業は進むもののやはり周囲は騒がしくなり――!神野オキナがお贈りする秘密結社アクションラブコメ、登場!

うわぁ、これガチで企業体の廃業計画執行だわ。ってか、この規模の組織の廃業はさすがに滅多ないんじゃないだろうか。中小企業単位なら、倒産廃業は万単位で毎年でてますけれど、ある一定以上の規模になると買収や合併、或いは公的資金投入なんかで支えが入りますからね。いくら将来的に破綻が確定してしまっても、だからこそ経営陣の刷新やら手が入るはず。日本経済そのものに影響を与えてしまうような規模の企業体が綺麗さっぱり廃業で撤退してしまう、ってそりゃ慌ててあらゆる方面が止めに入りますわなあ。ただ、企業は企業でもダークハドーは悪の秘密結社。株式会社でもなく銀行に資金面で首根っこ抑えられているわけでもなく、ましてや非合法組織なので究極的には政府官庁の指導や介入を受ける謂れはないのである。そりゃもう悪の秘密結社なんかを経済システムの中に組み込んでしまってる時点でどうしようもないよ日本。だいたい、正義の味方組織と常日頃から抗争していて、場合によっては今回みたいに組織のボスが本拠地要塞とともに吹っ飛んじゃうようなケースが常にリスクとして存在していたわけだから、そんな不安定な組織をシステムに組み込んじゃダメだから。
そのあたりの無理が、結局ダークハドーをこのまま続けても破綻から逃れられない、という結論が出てしまった理由の大きい部分なんだろうけど。
それでも、勝手にじゃあ辞めまーす、と新たなボスが宣言したらそれで片付くような単純な代物でもなく、何気に春也とレイカ主導による廃業計画は、各方面の根回しから資産の処分方法、組織所属者の廃業後のフォローなど多岐に笑って綿密に準備され、執行されてるんですよね。特に身内の大幹部たちへの根回しの周到さは特筆に値していて、末端の組織員には唐突だったかもしれないけれど、もうダークハドーという組織全体がちゃんと廃業に向かって動き出しているわけですよ。これだけの規模の組織が、トップの独断だけで解体できるはずもないですもんね。各部署が連携して粛々と事前計画に則って動かないと、組織という巨象が身動ぎすらも出来るはずもなく。それだけ、春也たちが入念に準備していたのが伺えるわけで、これだけの大事業を高校生でありながら主導したというだけで、春也が凡庸とは程遠い器の持ち主だというのが伺えます。どんな分野だって、一番困難なのは撤退戦だっての。
こういう場合、実体と評判というのは大いに乖離するもので、彼を知らない無責任な周辺の口にあがるのは、三代目の無能なボンボンが無責任に組織を投げ出してしまった、というたぐいのものになってるみたいだけれど、これだけ行き届いた一般の結社関係者への再就職斡旋、退職金準備、改造手術へのアフターケアなんかが成されてるのを見せられたら、そこらへんの倒産やら吸収合併やらと比べてどれだけホワイトな環境を用意できてるかわかるってもんでしょうに。おまけに、介入しようとしてくる関係各所に対しても、ほぼほぼビシッと影響を断ち切ってるわけですしね。
下部組織の反乱についても、あれに関しては相手が辣腕だったから、と言えるので不手際をあげつらうのなら、相手がこの機を逃さないほどの野心家だったのを見抜けずに重要な基幹情報の一つを預けてしまっていたことでしょうけれど、結局身内からはほぼ離反者を出さず速攻で叩き潰しているわけですしねえ。
つまるところ、ルミカの危惧はお概ね杞憂に過ぎないくらい、春也の手腕は長けていた、ということなんだろうけれど、彼女の不安と心配は結局自分には何も教えてくれず知らせてくれなかった、というところにありましたからねえ。だからこそ、春也がどれだけ安全マージンを取っているか、どれだけ入念に準備していたか、という情報を得られずに見えて聞こえる範囲での判断では春也は非常に危うい橋を渡っている、としか見えなかったわけですから、彼女の危惧は決して的外れというわけではなかったんですよね。実際、危ない場面はあったわけですから。
でもそれ以上に、ルミカにとってダメージだったのは自分だけが仲間はずれにされてしまった、という所なんでしょう。自分が幹部ではなく若手のホープとはいえ、一怪人に過ぎない以上重要な情報は回ってこない、という常識はもちろんわかっていますから、この不満が独りよがりである、とちゃんと弁えているのが、このルミカの可愛らしいところでもあるのですけれど。そういう感情と理性と理屈と情報不足の現状をすり合わせて今現実的に最適な行動、と導き出した結果が、夜這いというのが何とも拗らせたなあ、と苦笑したところでしたが。

見る人が見れば、春也の優秀さはレイカの秘書としての能力を考慮に入れても特筆に値するはず。このまま組織の解体、廃業に成功しても各分野から引く手数多でしょう、これ。のんびり学生生活なんて出来るわけがなさそうで。実際、正義の味方の友人はスカウトする気満々でしたからねえ。
どうせ何らかの形で引きずり出されるならば、破綻する要因をなんとか取り除いて、組織の再編を考えた方がよい気もするのだけれど、まあそういう先行きに関しては続刊がなってからになりますか。
こういうごちゃごちゃした話、個人的には大分好みだったみたいで、思いの外美味しくいただけました、面白かった。

神野オキナ作品感想

公園で高校生達が遊ぶだけ ★★★★  



【公園で高校生達が遊ぶだけ】  園生 凪/トコビ  講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

瀬川エリカと俺、吾妻千里は昔からの幼馴染みだ。
小学校でも中学でも、そして高校でも、瀬川と俺は、公園で遊ぶ。
ダベったり、野球をしたり、走り回ったり、ちょっと喧嘩したり。
「とりあえず吾妻の中で、わたしを可愛さピラミッドの頂点に設定するといいよ。そうすればわたしを通して“可愛い”がわかる」
「瀬川を可愛さピラミッドの頂点に設定すると、具体的にどうなるんだ?」
「わたしに似てれば似てるものほど、吾妻は可愛いと認識しだすよ」
「じゃあ、電卓とかも可愛く見えんのかな」
「ちょっと待って。吾妻の中でわたし、電卓なわけ?」
そして今日も公園で、高校生の何気ない日常が紡ぎ出される――。
あー、甘酸っぺえ!
これ、公園って言うから田舎者なので遊具が2つ3つあるだけの団地の間にポツンとあるような小さな公園だと思っていたのですが、井の頭公園みたいなとまではいかないまでもそこそこ広い公園なのか。
なので、わざわざここを目的地として訪れる人だけではなく、公園の中を通り抜けて別の場所へ赴く人も通行人みたいに訪れるので不意の遭遇というのもありえる場所なのである。まあ見かけるやつも、見覚えのある奴らばかりなのだけれど。
言ってしまえば学校での部活モノに近しくはあるのだけれど同じ部活の、広げても同じ学校の生徒しか現れない部活モノとは、外部の人間が現れるという意味では少し違うのかも知れない。
ひたすら駄弁りが中心の日常ものというと、話としての筋もなく変化らしい変化もないものだと思われるかもしれないし、実際本作においても登場人物たちの関係に変化らしい変化は訪れない。
ただ具体的な出来事が在って劇的な変化が訪れる、ということはなくても同じような毎日を繰り返すことで浮き彫りになってくるものもある。お互いの関係や過去の想い出を共有している登場人物たち当人と違って、読者の側は彼らのことをよく知らない、ということも大きいだろう。駄弁っているだけでも、彼らの人となりや関係、思い出話から今の関係がどう醸成されていったのか、現状を彼らがどう認識しているのか、その自覚と実際のギャップというものも一見中身のないようなエピソードの繰り返しであっても、その積み重ねによって色彩を帯びてクリアに見えてくるものがあるということです。
エリカと千里の幼馴染の関係にしてもそうで、初っ端は結局彼らの自己申告をそのまま信じるしかない。でも彼らの益体もない雑談を聞いていたり、何気ない様子を見ているだけで、しばらくすると「んんん?」となってくる。これに周囲の友人たちの対応や進言や、どストレートな物申す指摘なんかも加わってくると、さらに「んんん?」となってくるし、外からの刺激に対して結構あからさまな千里たちの反応なんかもあったりして、「おいおい、君たち〜」なんて指で脇腹を突きたくなるような感じになってきたりするのである。
さても、彼らにその自覚があるのかないのかは微妙に定かではない。相手の気持にも自分の気持にも気がついていないほど鈍いようにも見えないけれど、現状が彼らの安定した心地よい関係を脅かさない以上、積極的にどうこう動いていくつもりはないようだ。その意味では、やはり変化はない。
ただ……。最初に在った彼らの自分たちの関係への認識。すなわち冒頭のプロローグでの回想における「ちいちゃんはわたしがいないとだめだめだなあ」が、ラストの千里のセリフとそれに対するエリカの「ね」へと至るのには、見事な作品としての構成が伺える。
ただ駄弁って遊んでフザケあってしているだけのように見えて、千里とエリカの二人の関係が最初と最後では、こうして見事にひっくり返って見えるようになるのだから、終わってみれば思わずうむむと感心の唸りを漏らしてしまった。
これで、確かに当人たちの間では変化はないのである。千里は最初のまま考えは変わっていないだろうし、エリカも結局の所最初からそう思っていたのだろう。変わったのは、見ていたこっち、読者側の認識だけだ。
それがなんとも鮮やかで、しかし押し付けがましくなく、ただサラリとこの幼馴染とその友人たちの騒がしくも甘酸っぱい関係を味わわせてくれる。それがなんとも心地の良い作品でした。面白かった。

終末のアダム ★★★   



【終末のアダム】 榊一郎/藤城 陽 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

高校生・御槌錬は、何度も夢に現れる朱い眼の少女が数人の男に襲われている場面に出会い、関わる事で暴行されてしまう。ゲーム開発者の幸司郎と、彼の協力者の現役の傭兵美女・エイプリルは、偶然その現場を目撃して事件に巻き込まれる。そして、エイプリルは錬の異常な戦闘能力を目撃する。それは錬をめぐる巨大なミステリーの始まりだった。事件の翌日に転校してきた超絶イケメンの藍堂宗司と、あの朱い眼の少女・加具羅依乃里、二人は異様な親しさで錬と妹の楓に接近する。彼等の思惑は?その背後に見え隠れする宗教組織“四賢会”の目的は?錬と楓は、否応なく陰謀に巻き込まれ、次々と大事なものを失っていき、同時に、錬の戦闘能力はますます強力になっていく!
こういう現代を舞台にしたサスペンス・アクション的な作品って、一時期の電撃文庫の独壇場だったんですよね。現代異能モノの派生型ではあったんだけれど、どちらかいうとオカルトの中でも超能力寄りという感じだったんですよね、この手のって。
本作は、というとキリストをモチーフとした話っぽいんだけれど、宗教色は極力抑えられているんでぶっちゃけ主人公の頭に浮き出る荊冠も、その意味が即座に思い至らなかったくらいで宗教としてのキリスト教とか救世主とかはこの際殆ど関係ないのだろう。
あるいは、超人崇拝こそが着想のスタート地点なのかもしれないが。
しかし、ここまで不安定な身の上の主人公というのも珍しいな。家族だったはずの両親は何やら裏の思惑があったようで家族の情が介在しない関係であったようだし、彼の保護者となる幸四郎は味方というにはあまりにも独自の利益と享楽を追求していて、単なる損得上の関係にすぎないんですよね。エイプリルさんも、プロフェッショナルで情に厚いタイプではないし。
そもそも、主人公である錬に寄って立つ信念も目標も大事なものもなにもない。彼を主人公として駆動させるものが殆ど見当たらない、空虚な人間なのである。
せめて平凡な日常に戻りたいという欲求でもアレばそれが動機となり得るんだろうけれど、なんだろう、彼にはそういう日常への希求すら薄い。
これ、彼がある種の特別な人間であったとしても、その力を振るう意志となるものがなにもないのなら結局受動的に降りかかる火の粉を払い続けるだけで何も残らないし何も生まないんじゃないか、と危惧するところだったのだけれど、唯一彼に残された「家族」であった妹の楓、彼女をこの突如見舞われた非日常から護る、という衝動的な欲求が錬の中に生じることでようやく物語としての動力が発生したのである。
このことから鑑みても、本作のヒロインってなにか意味深にアピールしてくる加具羅依乃里よりも、もっと直接的に訴えてくる楓の方が本物のメインヒロインなのかもしれない。どうやら血も繋がってないようだし。依乃里の方はあまりにもこう、ミステリアスが高じ過ぎてなんか主体性に欠けてしまってるんですよね。錬と依乃里が本能的に呼び合う関係だったのだとしても、お互いに積極的にガンガン絡もうという主体性能動性に著しく欠けるんで、むしろこれ藍堂宗司がひたむきに突っかかってこなければ何も始まらなかったんじゃないか、とすら思えてくる。藍堂宗司くん、こう言っちゃなんだけれど、物語に対して献身的なんだなあ。本人は錬を排除しようとして図らずも仲人役を買って出てるとしか見えない。その上で、錬くんは楓の方が大事なので余計なお世話極まっていると。
役柄の配置上やっぱり依乃里の方がメインっぽいんだけれど、ここは敢えて楓推しで行って欲しいなあ。ラストの楓の身に起こった現象は、錬の起こしたものという捉え方で合っていると思うんだけれど、楓自身にも何らかの隠された役割みたいなのがあるんだろうか。依乃里と対になる形での。だとしたら、楓にも大いにチャンスありそうなんだけれど。
しかしまた、作中に随分と懐かしいタイトルが。【ストラグルフィールド】って榊先生の作品の中でも初期も初期じゃないですか。また、イラストレーターの藤城陽さんは、ストレイト・ジャケット以来の榊さんとのコンビで。ちょっと印象変わってて表紙からは気づかなかった。

榊一郎作品感想

救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由 ★★★  



【救世主だった僕が三千年後の世界で土を掘る理由】 有丈 ほえる/ちょこ庵 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle BOOK☆WALKER

天空から飛来した侵略者・アルデヒトにより、人間の大地は蹂躙された。人間たちは生きた機械・クチュールマタを戦力に抗戦する。“救世主”と呼ばれたクチュールマタの少年・リュトは、調整のためコールドスリープに入る。そして彼が再起動した時、世界の様相は一変していた――。大地はヘドロに覆われ、“地球人”として超巨大な樹木の上で暮らすアルデヒトたちは、自分たちが外来種であることすら忘却していた。地球に何が起きたのか。人間はどこへ消えたのか。リュトは自らを掘り出した考古学者の少女・ニナとその助教・アイルにいざなわれ、発掘調査に繰り出す! 救世主パワーで土を掘り、失われた三千年の真実を暴く考古学ファンタジー!!
うわぁ、これはなあ……。
個人的には前半すごい傑作感があったんですよね。地球上から消えてしまった人類種。その生きた歴史文化も失われ、痕跡が地下に埋もれた遺跡から出土するばかり。三千年ものコールドスリープから解凍された決戦兵器クリュールマタの少年が出会ったのは、そんな地面の下から人類の文明の痕跡を掘り起こし、そこに眠っている過去の真実、人類の残した歴史を探る考古学者の女性コンビ。
情熱的な考古学者である二人とともに、眠れる人類の歴史を掘り起こし、かつて人類がこの地球上に生きていたという事実を蘇らせる。
それは、生き物の……人間という種の根源的な欲求である「覚えていてほしい」という願いを叶える行為であり、もはや地球上から人類が消え去ったとしても、その生きた証は確かに残り、異なる種とはいえ次世代の「地球人」であるアルデヒトの中に残るのなら、それは滅びた人類の救済になるのではないだろうか。
なんてことをそうですね、小川一水の傑作SFの【導きの星】のクライマックスを思い出しながら感じていたのであります。
クリュールマタの少年リュトを遥かな未来に送り出した博士の、人類を救ってくれ、という意図が、この地球上、宇宙の中から人間が生きた歴史が消え失せてしまうのを救ってくれ、次の「地球人」にも人間がどんな風に生きていたのか、どんな風に生活し、どんな文化を営んでいたのか、どんな事を思いながら、どんな社会を築いていたのか。その知識を、想い出を、証を伝えて欲しい。
そんな消えゆく種の最後の願いとして、リュトを救世主として送り出したのだと、そう感じたからこそ、かつての人類の痕跡に恋い焦がれるようにニナたちの発掘作業を手伝うリュトの必死さに、切なくも尊い想いを感じながら浸っていたんですけどねえ。
そこから、あれよあれとよなんか話が変な方向に。
いや、こう言っちゃうのもなんなんですけど、人類滅び去ってなかったら全部台無しじゃね?
侵略者であるアルデヒト自身ですら真実を歴史上から見失ってしまう三千年という長い年月の重みと意味が、どうも後半に行くに連れて物語内においてチグハグになってってしまったというか。肝心の考古学が、結局ないがしろになってしまったというか。
あの決定的な場面でのニナとアイルの反応も、あまりにもベタすぎてそれはないだろう、と思ってしまったり。いや、そういう反応を示してしまうこと自体は決して不自然ではないんだろうけれど、だからこそもっと不自然に見えないように演出しないと、それまでの彼女らの感情を無理やりぶった切ってシナリオ通りに演じさせた、みたいなぶつ切り感がどうしても感じられてしまいましたし。
あそこでリュトを突き放さないといけない、という都合に無理やり合わされたみたいな。
あと、アルデヒド自身二足歩行で人間とそれほど異なる文化文明を営んでいるわけではないので、人類遺跡からの発掘品で爪切りとかブラシとかが出てきて、それが何のために使われたのかわからなくて悩む、というシーンがあるんですけど……いや、爪切りとかブラシとかそこまで単純な道具がわからないとか。アルデヒトはブラシとか爪切りという道具を使う文化が存在しないのか、と言えばそんな様子は見受けられませんでしたしね。というか、獣人的な風体というだけで人類と肉体的な違いや生活様式の違いなんかの描写は殆どありませんでしたし。これで、アルデヒトが人間の使う爪切りやブラシとはまったく形状や使い方の異なる道具を使って身だしなみを整えている、という描写があるのなら、彼女らがこれについて何に使うための道具なのかわからなくて頭を悩ませる、という描写にも納得感があったのですが。
発掘場面についてはかなり詳しく調べたのか非常に詳細な描写が続いたのだけれど、そこだけ詳しくてもなあ
ストーリー展開は実に真っ当に展開し、人類の遺された思いと自分が目覚めたあとに得た経験と情愛をもって、主人公が選択し結末へと至る、というよく盛り上がるしっかりとした展開ではあったのですが、何しろ自分が期待していたものと全く違った展開というのにどうしても引っかかってしまい、あちらこちらに散見されるちぐはぐさに躓いたこともあり、どうしても微妙という印象に引っかかってしまいました。実際はわりと堅実で面白い物語だったと思うんで、二巻読む時はちとイメージを一端刷新して読むことにします。



魔術の流儀の血風録(ノワール・ルージュ) ★★★★   



【魔術の流儀の血風録(ノワール・ルージュ)】 北元あきの/POKImari 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

戦争末期の壮大な魔術実験の結果、世界でもっとも魔術師たちが跳梁跋扈する楽園――マギウス・ヘイヴンとなった東京。
その治安を守るために作られた、特別高等魔術警察の警察官――すなわち特高魔術師たちは、魔術師が起こす事件や犯罪に日々立ち向かっている。
特高魔術師のひとり・綾瀬覚馬は、まだ高校生でありながら、〈人斬り覚馬〉の異名をもつ凄腕の魔術師として活動していた。
そんな中、北米系の魔術師ギルドから、アッシュという少女が人材交流としてやってくる。
覚馬やその同僚の少女・穂積たちと、なごやかな日常生活を送るアッシュ。
だが、おりしも街に連続魔術師殺し事件が起きる。
そして、その犯人の姿は、アッシュに酷似していて……!?
ほぼほぼ香港ノワール!!
わかっていて期待してた通りだけど、見事なまでに暗黒小説!
東京は特に大きな組織である三大魔術ギルドに仕切られていて、これがほぼマフィア。特高はいわば小規模の抗争を繰り広げられながら一定の安定を見せている暗黒街の秩序のバランスを取るバランサーであると同時に、三大ギルドの一つである八咫烏から多くの人員を出してもらっている関係で、いわば縄をつけられた組織であり、一方でその首輪から抜け出すのを虎視眈々と狙っている獣でもある。警察とは名ばかりの、この街の第四戦力なのである。
故に、上では恫喝と暴力が飛び交うマフィア特有の「政治」が交わされ、その鉄砲玉として魔術師たちが死命を散らす。まさに、血風録の様相を呈している。
主人公が「人斬り」なんて異名を持って名を知らしめている時点で、お察しなわけですが。
警察モノ書きたかった、ざっくりいうと警察モノです、ってあとがきでは主張してますけれど、警察、警察とは! 新選組とかも広義では警察ですか!?
特別高等魔術警察公安打撃一課とか看板背負って、腰には佩刀、斬り捨て御免で一歩間違えれば街全体を巻き込む大抗争が起こりかねない局面へと文字通り切り込んでいく、とかもうアレじゃないですか。
三大ギルドの幹部と特高の上司が定期的に雀卓囲んで麻雀打つ「麻雀会」とか、ギスギスを通り越して半分殺し合いになりかけの恫喝の応酬が挨拶代わりに繰り広げられてて、ここどこのロアナプラ?って感じで怖いのなんの。
当人だけじゃなく、関係者親族まとめて皆殺し、が当たり前の世界観。隙あらば、或いは筋と命令あらば警官相手だろうと路地裏での闇討ちなど日常茶飯事。それを捌いてこそ一端の公安打撃課。ただし政治的に足切りして遣い潰せるように正式な職員ではなく、実習生扱いというデロデロの使い捨て要員。
殺伐としすぎてて、ワクワクしてきます。
相変わらず、この北元さんの描くノワールっぷりは際立っていて、お肌がピリピリしてきます。
そんな殺伐として、人が人として扱われない世界の中で、主人公たちが何によって立っているのか。なにをして、人間として生きているのか、というのが血の絆なんですよね。
それが、北元作品では毎度のごとく幼馴染との比翼の関係であり、しかし生きるために互いに血塗れも汚れも厭わぬ血みどろの、血盟ともいうべき絆なのであります。
本作は、いわばその血盟を失ってしまった死人と、路地裏に打ち捨てられたゴミ屑でありながら血盟ゆえに人であることを保っているものとの、相容れぬ戦いだったのでしょう。お互いをこの上なく理解し、親しみながら、その一点……生きているか死んでいるかの違いによって袂を分かたれなくてはならなかったものたちの相克。
少々勿体なかったのは、アッシュという少女との関わり方が世界観や主人公やアッシュ自身が立たされてた環境の重さに対して、踏み込みきれずに中途半端になってしまったところですか。
敵さんと覚馬とのつながりに対して、アッシュとのそれは釣り合いが取れていたのか。アッシュを護り助けて、その先へと指針を指し示すのは覚馬のキャラクターからして歪みのないものだったのでしょうけれど、如何せん知り合って仲良くなって友達になって、それ以上のナニカがもう一つ足りていなかった気がします。
これは、覚馬に対しての血盟の対象であるところの、幼馴染の穂積に関してもいささかあるところで。穂積にとっての覚馬と、覚馬にとっての穂積の存在というものは、本人同士の気安い関係とは裏腹の、二人のとっての人間としての証であり核であり芯のようなもので、神聖不可侵なんですよね。
しかし、そうだなー、この二人の関係って先に書いた血盟、には至ってないんですよね。お互いに置かれた立場故に、覚馬は彼女から背を向け、穂積も覚馬に遠慮してしまっている。永遠を誓えるほどにお互いに魅入られながら、本当に唯一無二になることを怖れている。それを認めてしまえば、この業界魔術結社とマフィアの暗部をハイブリッドさせたようなところなので、まず間違いなく血の雨が振り、死ぬまで刺客に追われ続けることになりかねない。その愛を受け取ることは、彼我の一族郎党一切と切り結ぶ、まさに屍山血河を築く覚悟が必要で、それを穂積に歩ませる決意が彼の中にはまだ出来ていない。
そういう血盟以前の段階、瀬戸際でお互い決壊寸前の気持ちを持て余している、という部分を触りだけ垣間見せて、あとアッシュの事件が中心だったので深く穂積の方には容量を取れず、こっちも結局それほど踏み込めず、というところに落ち着いてしまった感じなんですよね。
アクションのキレよし、敵役との哀切と無情が漂う乾いた情念の交接もまた、薄汚れた夜の雰囲気が深々と流れていて、雰囲気の良さはとびっきりだったのですけれど、以前の作品に比べてヒロインとの情感の密度がもうちょい欲しかったなあ、というところでありました。
そういうのは、まさに続編からどんどん深みにハマる形で泥沼に追い込まれていくでしょうから、十分期待し得るところですねえ、いやはや。

北元あきの作品感想

雛菊こころのブレイクタイム 2 ★★★☆   



【雛菊こころのブレイクタイム 2】 ひなた 華月/笹森 トモエ 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

生徒達の悩みを解決する“お雛様”こと雛菊こころをサポートするようになった伊莉也は彼女に影響されてか、困った人に対して敏感に反応し、ついつい手をさしのべてしまうようになっていた。今回も選択授業で知り合った少女・ユリが抱える闇に触れた伊莉也だったが、彼女の不思議な思考と言動に振り回され苦戦する。なんとかユリの心を開くことに成功したとき、彼女の闇の元が“お雛様”誕生のきっかけになったある事件へとたどり着くのだった…。誰もが持っている闇を解決するために、おいしいコーヒーと温かい助言をくれる“お雛様の部屋”の扉は誰にでも開いている。第4回講談社ラノベチャレンジカップ“佳作”受賞作、2杯目!

聖女のごとき優しさと温もりを示すこころさんだとて、その心には闇があり、人を恨み憎む気持ちはある。それが自分の大切な妹にまつわるものだったら、なおさらのことだ。彼女は人形ではなく、人間だもの。「お雛様」という虚像の向こうにはちゃんと年相応の女の子が隠れていたのだ。
人の悩みを解決する、ということはすなわち相手の内面を聞くことでもある。それは弱みであったり、他人に知られたくない気持ちを、こころさんには知られてしまうということだ。
だから、かつて相談に訪れた人の多くは、こころさんを人間の同級生や先輩として捉えるのではなく「お雛様」という虚像を作り上げることで、自分の悩み、内面をさらけ出したという事実を隔離して祀り上げ、棚の奥に隠していたのだという。そして、人間であるこころさんに近づかないことで怖れから目をそらしていたのだそうだ。だから、こころさんはあの温かい人柄にも関わらず、周囲には友人と呼べるような身近な人も殆どいなかったという。
長らく、こころさんはそうした「お雛様」という偶像に甘んじていた。他者の悩みを聞いて皆が抱える色々な問題を解決するきっかけを与えるという行為は、自分の妹の悩みをきけなかったということからの代償行為だったのだろうか。いずれにしても、彼女の時間は促す人の居ないままずっと止まってたのだろう。
ところが、伊莉也が彼女をサポートするようになり、それをきっかけとしたように桃花をはじめ、こころを慕って入り浸る人が現れ、また前に悩みを相談に来て、その後も縁が途切れずに遊びに来る人が増えてきたのである。
孤独ではなくなる、ということは何かを変える勇気を得る、ということでもある。
妹の自殺未遂に関わりのあるユリとの交流が、こころさんにこれまで踏み出せなかった躊躇を振り切る一歩を得るきっかけとして働き、ついにこころさんは自分の闇と向き合うことになるのであった。
そこには、今回一連の相談事で逃れられない心の闇が誰の中にでもある、ということを浮き彫りにする話が続いたことも大きなきっかけではあったんですよね。そして、その闇は決して許されないものではなく、お互いを大切に思うからこそ時として冷却期間を置かないといけない場合もあったり、憎しみを抱くことがその相手を全否定することではなかったり。
人の心は複雑で、だからこそ乱暴に扱わずに丁寧に解きほぐしていかないといけないものなんだなあ、としみじみと感じるエピソード群でありました。
ただ、伊莉也は若干繊細に扱おうとしすぎて、手に負えねえとすぐに逃げ腰になって放り出そうとするきらいが見受けられるんですよね。こうして書くと無責任な人間に見えてしまいますけれど、そうではなくて、相手を大切に思うからこそ余計に触れて壊すことを怖れて、ってかビビって何もしようせずに時間が流れるママ放置してしまうという感じで。
周りに叱咤激励してくれる人が居たから、あまりひどい事になる前に動き出せたように見えましたけれど、後押しなかったらいつまでも自力で動けなかったんじゃないだろうか。そう思ってしまう程度には、ちと意気地が足りなかったですねえ……。
個人的には、そこまで意気地のない男の子にはそれまで見えていなかったので、なんとなくそこらへんだけ話の都合上、みたいなところが垣間見えた気もしたのですけれど。
それはそれとして、あの伊莉也の告白は勘違いしようのないはっきりした告白だったと思うんですけれど、こころさんそれ本気で天然なのか、無意識の自己防衛なのか、どっちなんでしょうねえ(苦笑

1巻感想

幼い女神(アマテラス)はかく語りき 2 ★★★☆  

幼い女神はかく語りき2 (講談社ラノベ文庫)

【幼い女神(アマテラス)はかく語りき 2】 暇奈 椿/夕薙 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

時は古代、空白の四世紀――未だ神話が綴られる神秘と幻想の時代。
真人と常夜が誓いを交わしたあの激戦から一月後。
まつろわされたクラカヒメこと少女アスラウグと《鬼》の姫マウラに振り回される真人の元に、奇妙な狐耳の女神アメノウズメが現れる。
彼女はある荒神霊に狙われた神倉の都を援けて欲しいと真人に懇願するが――
「――――――――で。その話、どこからどこまでが嘘なんだ?」

これは嘘と真実、誓いと許しの話。
後世に生きる人々が果たすべき約束、そしてとある女神が叫んだ初恋の《歴史》――――!
過去と現在が交錯する新たなる創世ファンタジー、待望の第二弾!
天津倶羅伽比売命―つまりクラカヒメって和名じゃなくて、アスラウグのもう一つの名前なのか。アスラウグのアスラに引かれたのか、インド神話世界にも首を突っ込んでいた、というのは面白い要素ではあるのだけれど。
この作品、未だ神秘と人外が跋扈しながらも現代文明に沿う形で発展している異形の日本を訪れた外国人が、現地日本の人……いや、人じゃなくて神になるのか。そんな存在にインタビュー、あるいは取材して聞いた話という体裁を取っていて、なんでこんな未だ神話が続いているような国になったのか、という原因の源泉たる建国神話の当事者たちから生の話を聞いているというものなんだけれど。
なんちゅうか、ちゃんと神代と現代が地続きなんですよね。それを実感させてくれたのが、インタビュアーの兄ちゃんが、現代に至った日本に理想郷めいた称賛を口にした際に、現地人たるケンタウロスのお姉さんが、きっぱりとそれを否定して、特定の幻想種への不便もアレば社会制度の不具合もある、偏見もあるし理不尽も存在する。ここは理想郷なんかじゃなく、神秘と幻想が残っていたとしてもただの現実の国に過ぎない、という趣旨の話をしてくれるわけだ。
つまるところ、なんもかんもうまく言ってる理想の国なんかじゃなく、でも他の世界では滅びた神や魔のものが生きていく上でこの地はなんやかんやと相応に現実的にやりくり出来ている場所でもある。
間違いは幾つもあって、失敗もまた幾つも重なっている。神だって人だってそりゃもう間違えるし、やらかしてしまうのだ。でも、それで終わりじゃあない。そこで止まってしまってはなにもならない。
止まって、終わってしまおうと望んでいたのはアスラウグで、それが嫌だったけれどどうしたらいいのかわからなかったのがトヨヒメで、そういうなんもかんもが面倒くさかったのが真人だったと捉えればよかったのか。
結局の所、そうした完全ではない世界。無駄に終わってしまうかもしれない世界を、しかし許容し、むしろ傲然とそれでいいんだと受け止めて、違う方向を向いている者同士でも手を取り合えば失敗も間違いもそこで止まってしまわない。終わってしまわずに済む。間違いをカバーして、前へ進んでいける。
そうした、過去の、神話の時代におけるその当時生きていた人たちが選んで受け入れて踏ん張って、やってやるさと結論づけた結果の延長線上に、この現代不思議日本がある。現代に至る礎となる意思が生まれた物語が、つまりはこれなのだと思えば、それは感慨深く……そしてその当事者たちである神様たちがまだ存在して、今もその意志を輝かせている、導くでも後押しするでも下から支えるでもなく、一緒に輪の中に入って、世界の旅を共にしている、という事実はなんだかワクワクしてくる。
人も神も魔も妖も、共に同じ輪の中に入って生きることを選んだ、夢見て未来を作ることを選んだ、大いに間違い損ないながらも、折り合いをつけて現実的にそこに共に在ることを選んだ、理想郷ならざる夢の世界なのだろう。
そして、恋してる、ということは今を生きている、ということそのものだ。
だからこそ、これは死せるアスラウグの再誕の物語であり、今なお生き続ける女神の今語りなのである。

1巻感想

我が姫にささぐダーティープレイ ★★★★  

我が姫にささぐダーティープレイ (講談社ラノベ文庫)

【我が姫にささぐダーティープレイ】 小山 恭平/ファルまろ 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

文武両道なエリート少年・鎧塚貝斗は、生徒会副会長として『王』たる存在を支えることに喜びを見出していた。
だがある日、彼は異世界に転生してしまう。
そこで出会ったのは、騎士公爵家の一人娘、ラライ・アッフィードだった。
名門王立女学園に通う彼女は、家柄だけは優秀なものの、学問ダメ武芸ダメ努力なんて大嫌い、さらには性格も悪くて友人もゼロな問題児。
それでも生徒会長になりたいという彼女。
そんな彼女が、執事となった貝斗に下した命令は――
「執事くんが私のライバルみーんなの足を引っ張ればいいんだよ!」
そして貝斗は、ダメお嬢様のためライバルの少女たちを籠絡し……!?
いずれ王とならんとする少女のために執事が暗躍する物語、開幕!
おおぅ、これマジもんの汚れ仕事、汚れ役、ダーティーのタイトルに偽り無しだわ。
面白いのは、この汚れ仕事を請け負うカイトは決して悪人ではなく、他人を貶める事を喜ぶ悪意の持ち主でもないというところ。なので、彼に騙され籠絡されていく少女たちがそれで不幸になり堕落していくかというと……いや、堕落と言えば堕落するのかもしれないけれど、むしろ彼女らの人生は好転することになるのだから興味深い。当然、彼女たちだけが幸せに感じる特殊な環境や状況、というわけじゃありませんよ? 一般的に見ても、色んなすれ違いや硬直化や取り巻く状況の劣悪さが改善されて、より良い状況へと転がっていっているのは確かな話ですし。
ただ、その彼女たちの幸せが目的で彼のダーティープレイがなされたのではなく、あくまでそれは姫の目的を叶えるため。姫たるラライの邪にして堕落した思想を、実現するための道路の舗装に過ぎない、というのがまた実に歪んでいる。実際、カイトってば何人か食っちゃってる(性的に)わけだし、口八丁手八丁で騙しているのは事実ですしねえ。
仏心もある、罪悪感もある。ただし、それを帳消しにしてでも面白さ優先、興味関心優先。その最優先が、今や彼の姫たるラライの人並み外れたクズい野望を自らの力量で実現させる、という方向へと向かってしまっている。
有能な人が陥りがちな、自分の能力をフルで使い尽くしてみたい、それも馬鹿げてるくらい野放図な目的を達成するために……という、野望・欲望。それも自分の目的ではなく、自分が王と認めた相手の野望を叶えるという王佐の欲。
まあ彼の場合、とても王佐なんてものではなく……なんだろうね。黒幕、というには王に目的も野望も預け切っているし。まさしく、汚れ役というのが相応しいのか。しかし、ただただ自分の力だけで無能な王を一代の英傑へと仕立て上げる、というのは彼のような人間をして、身震いするほどに楽しいお仕事なようで。そのためなら、どんな悪事もどんな善行も変わらぬスタンスで成し遂げ利用し切る、というのだから……前言を翻すことになるがこの男、やはり稀代の悪人である。
しかし、あとがきにもあるようにどんな裏の思惑、裏の意思があろうとも、その行為に救われた人にとっては救世主以外の何者でもないわけだ。そんでもって、この娘らの場合、それが利用するために行われた救済であると知ったとしても、それで裏切られた!と怒ったり反意を示すかというとそんな事はなさそうなんですよね。それくらいに、彼女らの人生は大きく好転していて、過程の事情に揺るがされないほどに彼女らにもたらされた結果の状況は決定的なものになっている。
カイトのいわゆるダーティープレイ(汚れ仕事)が決して軽薄でも生半可なものでもないことがよく分かる話だ。ちょいと騙して利用して、使い捨てにするつもりならこうは行かないだろう。
このクズいことこの上ない主従の顛末、どうなっていくか大変見もので面白そう。続きが楽しみ楽しみ。

小山恭平作品感想

軍師/詐欺師は紙一重 2 ★★★  

軍師/詐欺師は紙一重2 (講談社ラノベ文庫)

【軍師/詐欺師は紙一重 2】 神野オキナ/智弘 カイ 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

隣国スウェニカの侵略を智恵と詐術で食い止めた、セリナスに伝わる伝説の軍師の孫・カタル。祖父・リュウゾウの健在もアピールししばらくは落ち着くかと思われた。だが、もう一つの隣国・マンタロムの動きが怪しい。野盗の集団を装い襲撃を繰り返すのだ。試すかのような動きにうんざりしながらも対応を続けるが、カタル自身を直接狙ってくる刺客まで現れる。ラウラが身代わりに負傷するに至り、いよいよ本格的な対処を検討する中でマンタロム王から親書が届く。カタルの軍師としての才を確かめるため、演習をさせろと書かれていて―!?智恵と謀略が冴え渡るシリーズ第2弾!
こういう屁理屈のゴリ押しが罷り通ってしまうのが軍事大国のいやらしいところなんだよなあ。特に自分の方はまったく約束事や契約、条約を守る気がさらさらないにも関わらず、一方で相手にはその誠実な遵守を迫ってくるところとか。どう考えても無茶苦茶言っているのは向こうにも関わらず、一方的に悪者にされてしまうのだ。たまったもんじゃない。それで文句を言おうものなら、容赦なく棍棒で殴ってくる。そんな理不尽様が今回のお相手である。
こういう相手にはとにかくつけ入る隙を与えず、屁理屈も相手の土俵の上に乗った上でねじ伏せて、裏で無茶苦茶仕掛けてくるのを、これも大義名分を与えないように露見しないように立ち回りながら叩き潰していかなくてはならない……胃が死ぬか理性のネジが吹っ飛ぶかしかねない凄まじいストレスが掛かることが容易に想像できるのだが、これを一つ一つ冷静に対処していくカタルと若き女王、摂政閣下の冷静沈着さには頭が下がる思いだ。それ以上に、他の貴族や軍の首脳部、或いは中堅層がまったく暴発の気配すら見せないというのは、この国が女王と摂政のもとにどれほどまとまっているか、そして軍師という存在への信頼の深さが垣間見えるというものである。
これはカタルによって、それだけ信頼されて自分の言も重く用いられる、ということは余計な調整とかに気を回さずに済んでやりやすい、ということもあるんだろうけれど、それだけ国の行方が自分の双肩に掛かっているという重圧を強く感じることだろう。実際、前回では自分の命を賭けに乗せてベットしたわけですし。今回に至ってはついに祖父の威名に頼るわけにはいかず、軍師カタルとして自分の名前で戦うことになるのですから。
幸いなのは、マンタロムという国が居丈高な侵略国家であると同時にマンタロム王もまたその国是に則った王である、と見せかけて陰では着々と国政を改革し続けているやり手である、というところなんでしょうか。こういう相手って、野心や理不尽が外には向いていない上に何だかんだとプレイヤーとして指し手を交わしてくれるんですよね。理不尽にルールを捻じ曲げてそのまま押し通してくる、ということは極力しない。ある意味、対話ができ交渉ができる相手である、と。
まあだからこそ、そんな希少な人物の権力基盤をこちらが勝利することで揺るがしてしまうことに、カタルは危惧を覚えて悩む羽目になるのですが。今、この最低限ルールに則っている勝負で勝利を収めてもそのために将来にルール無視の暴虐を以って大きな危機を招かれる危険性がある、となると判断が難しくなりますもんね。かと言って、今負けても失うものが大きすぎる。
これはやっぱり軍師一人ではどうにもならない領域であり、その意味でも女王様と摂政がちゃんと「政治」を持ってしてちゃんと軍師の「勝利」を未来の担保につなげてくれる、というのはありがたいものである。しかし、カタルはライラとまとめて年上の女性陣に色んな意味で「コロコロ」されてるなあ。その意味でも、ラウラはカタルにとって「安心」できる女性なのかもしれない。

1巻感想

魔王、配信中!? 2 ★★★★   

魔王、配信中!?2 (講談社ラノベ文庫)

【魔王、配信中!? 2】 南篠 豊/れい亜 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

勇者の家系である日下家に居候している引きこもリア充こと、魔王イスティ。協力して作ったMMD動画が300万アクセスを叩きだし、力を取り戻すも勇者パワーにあっさりと屈してしまう。そんな彼女の前に、最近流行りの○ーチューバーネットアイドル、『魔法少女レインボーキャット』が現れる。自らの存在価値に悩んでいたイスティは、キャットにそそのかされるままに日下家を飛び出してしまい――。一方日下家でも、勇真と友人の少女・奏多の仲がアレな感じになったり、妹・雪凪が初めてのイラスト仕事に悩んでしまったり――! 仲良く動画を作ったあの頃には、もう戻れない!? ハイテンションラブコメ、次は○ーチューブに進出の第2弾!
あっあっ甘酸っぱいぃぃ!!
前回はすれ違ってしまった兄と妹の関係修復物語であって、ラブコメしている余裕なんか一切なかったのだけれど、あれこれと家庭問題解決してしまってふと我に返ってみるといつの間にか目の前に、本来なら在りえないほどの近い距離にいる親友が。ということで、落ち着いてしまうと今まで気にする余裕がなくってそのままにしていたものにぶち当たってしまうわけで。これ、改めて知らん振りするには、お互い距離感見失ってしまってるんですよね。今まで通りの関係で、なんて今までがある意味平静でなかった分、どうやったらいいかわからないし、そもそもそれでお互い納得できるような感情じゃあなくなってしまっているわけですよ。
妹の雪凪との関係がかつての没交渉が嘘みたいに仲良しになってしまったのとは別に、キャットの登場で居候でいつの間にか家族となってたイスティが不穏な行動を取り出して、またぞろややこしいことになりはじめたことも、関係を元に戻すどころか急き立てることになってしまって。この勇真と奏多の二人して積極的なのかヘタレなのかわからん余裕なさすぎてお互いプロレスのちから比べみたいにつかみ合って押し合いへし合いしたと思ったらへっぴり腰になって、というやり取りがもう可愛いやら甘酸っぱいやら。二人共元々突っ張った気合入ってるタイプなだけに、押すとなったらガガガって押してしまうのが勢いこそ若者よねえ、という感じでなんともおもはゆいのよねえ。奏多姐さん、あの男前な性格なくせに女っ気でだすと途端に面倒くさい女になってるのがむしろらしい感じなんだけれど、勇真はあれ、惚れた弱みか付き合い出してからのあのへこへこっぷりはなんなんだろうね。何気に妹ちゃんへのおっかなびっくりの対応見てても、何気に女の子には弱いんだよなあ、こやつ。
あくまで惚れた女には、という限定なのはイスティへの容赦ないビシバシ制裁見てるとよくわかるのだけれど。でも、あれで家族としての愛情がたっぷり篭っているのは、イスティが出ていったあとの不機嫌さやもやもや吹き飛ばすための暴れっぷりを見てると伝わってくるものが十分あるわけですが。
前回は、雪凪の社会復帰のためにみんなでそれぞれの技能を持ち寄って一緒に一つの作品を作ろう、という一代プロジェクトを達成する、みたいな物語としての一本の道があってそれはそれでよかったのだけれど、今回はそういう縛り、敢えて物語の筋道としての流れを縛り、というけれど、それがない分、わりと自由に各人が動けていた気がするんですよね。そのお陰でイスティが随分と迷走はしたわけですし、それの巻き添えをくって勇真もえらいウロウロしてしまっていましたが、だからこそお互いの個々の人間関係や、キャラクター同士の大きな括りとしての人間関係の環の中でのそれぞれの立ち位置、役割を様々な側面や方向から改めて見ることが出来たり、知ることが出来たり、明らかになったり、という展開が積み重なっていて、一巻の話を踏まえた上での大きな飛躍であり、土台の上に家を建てました、みたいなホームとファミリーの現出があって、なんか読み終えて凄く満足感がありました。ラブコメものとファミリーものとしての両方の形が、見事に両立したのをこうして振り返ってみると実感できる次第。二巻でキレイに片がついた形でもありますが、まさに良作でありました。よかったよー。

1巻感想

双子喫茶と悪魔の料理書 ★★★☆   

双子喫茶と悪魔の料理書 (講談社ラノベ文庫)

【双子喫茶と悪魔の料理書】 望月唯一/ necomi 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

「だって、篝はずっと誰かのために料理をしてきたでしょう?」
二年前。幼馴染みの少女・葉月から、なにげなくかけられた言葉。
きっとあの時、ただの幼馴染みは、初恋の少女に変わった――。

そして現在。俺はいまだ葉月に告白できないまま、葉月とその双子の妹・水希とともに、彼女たちの実家の喫茶店でバイトをしていた。
そんなある日、水希が持ち出した古本から――幼女が出てきた。
彼女は願いを叶える妖精キキと名乗り、強引に俺の縁を結ぼうとする。
だが、キキが俺の縁を結んだのは、葉月ではなく水希の方で……!?
料理と、恋と、切なさと――。喫茶店が舞台の感動ストーリー!
喫茶店と言ってもコーヒーやら一服休憩主体の喫茶店というよりも、料理メインのレストランだよなあ、これ。それだけ、篝が調理スタッフとして料理というものに真摯に向き合っているということなんだけれど、その分子供の頃に彼が料理に携わることに義務感以上のものを感じていなくて、それどころか苦痛しか抱いていなかった、というのが大きなポイントとなってくる。その感情を百八十度ひっくり返してくれて、彼の今の人生、生きがいというものを与えてくれた人。未来を開いてくれた人が、いわば葉月なのだろう。それこそが、恋の根源なのだ。
ところが、彼の気がついていない部分で葉月と同じくらい、ソレ以上に彼を支え守り影響を与え続けていた存在が居て、それが妹の方の水希なんですよね。
それを、篝がわかっていないか、というとそんな事はなくて。一途に恋し続けている相手こそ葉月だけれど、ソレ以上に自分にとって大切で掛け替えのない人が水希だ、というのを彼がちゃんと自覚しているのがまたややこしくもあり、問題でもあり、面倒くさくもあり、しかし一本筋も通っているわけだ。身近すぎると恋の対象にならない、なんて言葉があるけれど、それ=大切じゃない、ってわけじゃないんですよね。むしろ、身近であるからこそ恋している人よりも大切であることすらある。どちらが、と比べられるものでもないのだけれど、逆に恋に呑まれている相手とも比肩できる、とも言えるわけだ。
まあ、傍から見たら誰から見ても篝と水希って、ベッタベタにいちゃついているようにしか見えんもんなあ。魔書の影響がどれほどあったのか疑わしくなるほどに。何しろ書の悪魔であるキキからして、これ効いてるの?と首をかしげるほどだったし。
そう周りから見られるほどに息ピッタリの二人。客観的に見てもまだ十代半ばにして大人びた人生観を持つ二人は、それだけふわふわと何も考えずにいるそれとは違う、密度の濃い意思の詰まった人生をこれまで送ってきているのだけれど、その大半を二人寄り添うように支え合うように歩いてきてるんですよね。まさにいつも一緒、というだけではない二人三脚で。
だからこそだからこそ、水希は心の奥底で「なんで自分じゃないの?」と思う気持ちを殺しきれなかったわけだし、誰よりも一緒に居た相棒のことだからこそ、その殺しきれなかった気持ちを踏み潰して彼を応援する以外になかった、というのは辛い話である。
でもこれ、蚊帳の外に置かれている葉月からしてもずっと複雑な心境だったんだろうなあ、と思ってしまうんですよね。双子でありながらともすれば姉である自分よりもずっと篝にピッタリと寄り添っている妹。自分がとても割って入ることの出来ない親密で深い関係を築いてしまっている妹と幼馴染。この疎外感と来たら、とてつもないものがあったんじゃないだろうか、なんて気を逸らすには、今回篝と水希を見舞うトラブルの数々は深刻極まりないものではあったんですけれど。水希の方に気を傾けてあげないといけない危機であったからこそ、微妙に葉月の方も気になってしまったのも事実だったんですよね。魔書の強制認識であったとしても、幼馴染と妹がついに恋人同士になってしまったのを前にして、葉月は本当などんな心境だったのか、なんてことを。
まあそれは、二巻の方に引っ張ることになるんでしょうけれど。ラスト、あそこでズルい女になれない水希は、どうなんでしょうねえ。葉月の方も報われない女オーラ出しまくってるだけに、姉妹揃ってどうにも自分から沼にハマって沈んでいきそうな雰囲気しかないのがなんともはや。
そこは、篝の男気に期待するしかないのだろうか。

望月唯一作品感想

ディヴィジョン・マニューバ ―英雄転生― ★★★★   

ディヴィジョン・マニューバ ―英雄転生― (講談社ラノベ文庫)

【ディヴィジョン・マニューバ ―英雄転生―】 妹尾 尻尾/ Nidy-2D-  講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

人を襲う人類の天敵・ジェイヴが現れて十数年。人類の領域は狭くなりながらも、何とか拮抗を保っていた。戦闘兵器ディヴィジョン・マニューバが、ジェイヴへの対抗手段として有効だったからだ。最低レベルの魔力―ディヴィジョン1でありながら、魔装騎士を目指すための学園、上弦魔装学園へと入学した桶川九遠。だが九遠は最低魔力でも起動できる特注の機体を操り、入学早々に行われる模擬戦で9人抜きを成し遂げる。そんな九遠の前に現れたのは、学園最強の戦士にして最高レベル―ディヴィジョン5の少女、鈴鹿花火。接戦を繰り広げる二人の心は通じ合い、花火のチームへと誘われる九遠。だが、九遠と花火には、過去の因縁があり―!第6回講談社ラノベ文庫新人賞“優秀賞”受賞作!
ぐあああ、熱い!! うん、うん。これは書き方の具合だよなあ。ストーリー展開はオーソドックスと言っていいものだと思うのだけれど、それを輝ける王道へと昇華せしめているのは筆者の文章の転がし方、言葉の演出であり表現の妙なんですよね。
それも、ここぞという時だけではなく、何気ないシーンでもピピッと釣りでの竿先を引くような書き方、文章の置き方というんだろうか、そういうのが散りばめてあってギュイギュイと作中へと読んでいるこっちを引き込んでいく。文章のリズム感もさることながら、あんまり見たことのないというか使い方が難しい文の並べ方をしてるんですよね。これは結構特徴的でもあり……そうだなあ、全然違うけれど方向性として似ているのは古典の名作である【楽園の魔女たち】(コバルト文庫)の樹川さとみさんのそれを思い出してしまった。もちろん、作風とかは全然違うのだけれど、文章を追う読者の目を躱すようにフッと死角やワンテンポ置いた後方から、こちらの感覚を時に微細に、時に激烈に揺るがす一言や一列の文章を差し込んでくるこのタイミングは、なんとなく似てるんですよね。
そして、これがまた凶悪なんだ。
それがもっとも炸裂するのが、当然のごとくクライマックス、絶体絶命のピンチのシーンである。この差し込みを絶妙のタイミングで次々に繰り込んでくるものだから、テンションが落ちる余裕を与えられること無く、さながら多段式ロケットのごとく上がる上がる、際限なく上がり続けた上でのクライマックスである。
これもう、盛り上げ方というものをわかり尽くした、筆そのものに、タイピングする指先に火が乗っているかのようなシーン演出なんですよねえ。
素晴らしい!!
ちょっとそこまで一直線に進みすぎて、実は学園生活とかチームのメンバー以外にももっとキャラクターを描いていく範囲を広げたい様子が見受けられつつ、結局書けないまま後ろへと押し流されていったっぽいところが見受けられるけれど、ほぼ富士チームと師匠に絞った、そして先輩と九遠に絞りつくしたキャラクター描写は、よそ見をせずに焦点をアテ尽くしたことでほぼ書き抜けた感があって、これはこれで正解だったんだろうという爽快感がありました。英雄としての在り方、というテーマも先輩との関係の醸成や師匠の二度目の指導を通して、刷新されていく様子もきっちり書けてましたし。
なにより、なんだかんだと見事な「おねしょた」ものになってて、いや主人公が「可愛い」系でヒロインがお姉さんで、それが極まったラブラブだったりなんかすると、もうそれだけで満たされる気分です、はい。

誉められて神軍 3.尾張名古屋は零で持つ ★★★★  

誉められて神軍3 尾張名古屋は零で持つ (講談社ラノベ文庫)

【誉められて神軍 3.尾張名古屋は零で持つ】 竹井10日/CUTEG 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

一夜にしてファンタジー世界へと変貌した現代日本―各地に様々な勢力が割拠するなか、新宿市国軍中将・御神楽零は“誉めて伸ばす能力”を駆使し連戦連勝。着実に権力中枢へと昇りつつあった。そして近隣の有力国家“富士帝国”の宣戦布告を受け、零率いる新宿市国軍は雷帝こと十四代しおり子率いる富士帝国軍と交戦開始。激しい攻防を経て零としおり子は相討ちとなり富士山火口へ消えた…だが直後零が目覚めた場所は、よく知る現代日本の“舞姫道場”だった。高校生として旧知の仲間に再会した零は、世界の危機を回避するため、密かに動き出す。やがて知る日本ファンタジー化の真実とは!?さらに事態は急転直下、竹井10日が放つ独創ファンタジー戦記第3巻!
現実世界に戻ったあたりから、突然なんか話の回転が早くなってきたのでこれまさか、と思ったら3巻打ち切り、俺たちの戦いはこれからだー!じゃないですか!? うわぁ、なんでだぁ。
この零くんの面白堅いキャラクターや誉めて伸ばす能力、というものが竹井作品の中でもかなり面白い部類だっただけに、勿体無いもどかしいヨミ足りない!! このファンタジー化した日本のアリスソフト的な世界観もめちゃくちゃおもしろかったんだけれどなあ。
以前の「がをられ」シリーズが重層的な謎によって構築された世界観が、紐解かれていくことによってその壮大にして想像を絶するスケールを明らかにしていったように、本作もファンタジー化した世界の謎、それに関わる零くんの両親という因果など、現実世界に戻ったことで幾つもの謎を解く鍵が見つかると同時に、同じく現実世界の記憶を持っていた同士ともいうべきしおり子との合流、そして現実世界にてさらに積み重なっていく謎。とどめに、戻ったはずの現実世界がファンタジー世界に徐々に侵食されていくという危機的展開。同時に、零たちが居なくなった、というか元から居なかったように改変されたファンタジー世界の方でも、零のことを覚えている人たちを中心に動きが起こり、と物凄えいいところで終わってるんですよね。これ生殺しだ、生殺しだぁ。
零ちゃんの能力、誉めて伸ばすという能力はいわゆるドーピング、というよりもバフの類いなんだけれど、単純にステータスをあげるようなものじゃなくて、かなり柔軟性があって発想次第で効果の発揮のさせ方が幾らでもある、という代物で、さらに人物相手限定じゃなくて無機物にまで効果があるというもので、これやりたい放題というよりも本当に発想の勝負という感じでその使われ方、毎度面白かったんですよね。一応使用回数も決まっていて使い所も考えないといけないし。
題材もキャラクターもストーリー展開もネタも世界観も全部好みで楽しかっただけに、ここで強制終了というのは本当に残念です。残念です。

シリーズ感想

軍師/詐欺師は紙一重 ★★★   

軍師/詐欺師は紙一重 (講談社ラノベ文庫)

【軍師/詐欺師は紙一重】 神野オキナ/智弘 カイ 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

父親が亡くなり家を失うことになった語利カタル。最後に住み慣れた家の中で見つけた謎の抜け道を通ると―ファンタジー世界のような場所に出た。そこにやってきたのはドワーフとミノタウロス!さらに竜を駆る少女までやってきた。戸惑うカタルに少女は言う。「お前、軍師の血族か。ならさっさと来い、女王陛下と国難がお待ちだ」と。連れて行かれた先で聞かされたのはこの国は危難を迎えると「軍師の館」が現れ、そして驚いたことに、詐欺師だと言われていたカタルの祖父はこの世界では軍師だったらしい!カタルは決意する、祖父の後を継いで軍師として活躍することを!祖父の残した詐欺の道具と知略で国の危機を救えるか!?
メインヒロインの子、空賊みたいな姿で格好いいなあと思いつつも、どちらかというと国と敵対しているか距離を置いてそうな雰囲気の子だなあ、と思ってたんだけれど、あれ竜騎士の装束だったのか! いや、防寒対策にゴーグルにとレシプロ時代以前の航空機パイロットの服装っぽい格好は確かに竜騎士のユニフォームとしては最適なのか。
でも、このアグレッシブな格好で身分は女公爵とかなかなか新鮮である。
それはそれとして、主人公のカタル。もう名前からして現世日本では名うての詐欺師としてブイブイ言わせていた来歴なのかと思ったら、むしろ親の急死にかこつけられて親族から全財産むしり取られてしまった、という詐欺じゃないけれどとにかく被害者側じゃないか! ということで、別に「凄い詐欺の技術」で異世界の連中を騙しまくる、というたぐいの話ではないのですね。伝説の軍師だった、という祖父も別に詐欺師ではなかったみたいだし。
話聞いている限りでは、祖父の異世界での活動も別に詐欺を働いていた様子もなく、これってシンプルに優秀なネゴシエーターのお仕事ですよねえ。そりゃもちろん、ハッタリと錯誤を利用した騙しや誤魔化しなんかは入ってますけれど、人間心理を巧妙に就く精緻な詐欺の技術かというと。まあ、祖父にしても、カタリにしても口先だけで自分も他人も集団もコントロールするようなタイプではなく、覚悟と信念と自己犠牲で事実も真実もぶっこ抜いて結論を押し通す、みたいなわりと力技っぽいタイプなので、詐欺師とも軍師ともあんまり合ってない感じなんですよね。
実際の所、詐欺師にしても謀略家にしても、歴史上の著名なそれらは胡散臭い人間どころかむしろ誠実で他人から信頼を寄せられるタイプだった、という話をよく聞きますけれど、そういうのともちょっと違いますし。
カタリの場合は祖父の遺産が残っていた、という意味で多少の幸運はあったんだろうけれど、逆に考えると軍師の伝説があるとはいえ、ゼロからこれだけのものを遺していた爺様は雷名に相応しい人物だったんだろう。あとはどれだけ、この祖父の雷名を利用して今のうちに自分の名前をはったりに使えるだけ高めるか、なんだろうけれど。自分の程度をあまり高く見積もっていないからか、カタリのやり方って自分を削るのをまったく厭わないんですよね。詐欺師や軍師のスマートさとは程遠い泥臭さ。それが当人のスタイルなのだから、詐欺師や軍師や云々外野から言われても煩わしいだけだろうけれど、肩入れしちゃったラウラがこれ傍にいて心配も尽きないだろうししんどそうなのがちと可哀想である。

神野オキナ作品感想

パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者 1 ★★★☆  

パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者 1 (講談社ラノベ文庫)


【パラミリタリ・カンパニー 萌える侵略者 1】 榊一郎/足立慎吾 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

『地球は、狙われている』
遙かなる太古より地球は数々の生命体に狙われていた。その地球を守るための組織“サキモリ”は、今、司令官不在という未曾有の危機に陥っていた…。主人公・阿倍野晴克は何のへんてつもない高校生。いや強いて挙げれば貧乏なことだろうか。
「普通」というものに憧れている極貧高校生だった。しかし突如現れた自称・姉によって晴克は拉致されてしまう。しかもその上、謎の組織までが彼を拉致して驚天動地の拉致合戦。どうやら地球を守る運命は、この極貧高校生に託されたようなのだ!宇宙怪獣、ナントカ星人にetc.…。とんでもない侵略者たちから地球を守れ!
あれ? 萌える侵略者ってタイトルがついているから【アウトブレイク・カンパニー】と同じ世界観の作品なんだと思ってたら全然関係ないの!? タイトルもカンパニー繋がりで似せてあるし、凄い紛らわしいんですけれど。どこで関連してるんだろう、と気にしながら読んでいたのだけれど、全然それっぽい話や設定が出てこないので「???」と頭の片隅でモヤモヤさせながら最後まで読んでしまいました。こういうのは止めてほしいなあ。
しかし、単体の作品として見るとしても、本作は面白かった。こういうポンコツなノリの作品は榊さんの著作では案外珍しい。【まかでみ】なんかはそれ系統なんだけれど、あちらは主人公が真面目で性格に遊びがなく面白味がないタイプだったんで、作品のテンションとキャラのノリが自分には微妙に合わなかったんですよね。
その点、こっちの晴克くんは貧乏・貧困をややブレイク・スルーしてちょっとヤバい領域の沼にハマりかけていたこともあってか、普通に対する執着がそんじょそこらの普通愛好家とは比べ物にならない偏執的なもので、その拘り方がなかなかに素っ頓狂なところもあってか、実に作品のノリに波長が合ってる主人公なんですよね。
概ね、大人だけれど無気力系と、真面目で堅い少年という二系統に別れる榊作品の主人公のキャラクターに当てはまらない新鮮味のある主人公でした。
いやもう色んな特撮系とかのパロディが仕込んであるモザイク感も楽しいのですが、何より一番輝いているのが「悪の組織」の面々のポンコツ具合なんですよね。本人たちは至極真面目に侵略活動に勤しんでいるわけですが、どうしても所帯じみているのと庶民感覚あふれる言動と見事に毎回やらかしてしまうあれやこれやで、むしろ頑張れ悪の組織! な雰囲気になってしまう。切実に貧乏そうなのも含めて。サキモリ側はなんだかんだと公務員(?)なのか微妙にわかんない組織なのですが、資金に関しては潤沢なようでしてお給料から福利厚生に至るまで充実しているようですし、ナニかと爪に火を灯すようなやりくりをしているであろう悪の組織と比べると……うん、比べちゃダメですね。
一方で防衛側であるサキモリの方も、多々問題を抱えており、それは組織の問題のみならずヒロインの天王寺ミオのような個人で抱えているものもあり、腰掛けというか血筋によるものから司令官に押し込められてしまった晴克はそういうのも背負わなくちゃいけなくなってしまったんですよね。
とにもかくにも、なにかやらせるなら説明はちゃんとしましょう。リスクに関しても状況説明についてもまったくせずに、切迫しているからと行ってやってちょーよ、と迫るのはなかなかに卑怯である。いきなり包帯ぐるぐる巻きのストレッチャーで運ばれてくる綾波ネタをやってる時点で意図的なんだろうけれど。晴克にまったくネタが通じてなかったのって、あれジェネレーションギャップなんだろうか。それとも家庭環境から来る知識の欠落なんだろうか。
しかし、細かいことは抜きにして、普通を命がけで志しながらも、普通を逸脱しているであろう地球防衛隊の司令官なんて仕事を引き受けるに至る決断を、いや一人の女の子の一生懸命頑張る姿を、守り応援してやるために、色んな責任を背負い込む勇気と覚悟を決める心意気は、ちゃんと「普通」に格好良かったですよ、主人公。幸せ家族計画的にも十分当たりの人材なんじゃないかなあ、これ。決してミオがチョロいだけではないと思われ。

榊一郎作品感想

救世の背信者 2 ★★★☆   

救世の背信者2 (講談社ラノベ文庫)

【救世の背信者 2】 望月唯一/蒼咲ゆきな 講談社ラノベ文庫

Amazon
Kindle B☆W

人類の天敵である星喰いが湯水のごとく湧き出る災害―大湧出。それが芽深市を襲ってから、既に二ヵ月ばかりが経った。傷は深かったものの、復興は順調に進んでおり、芽深市は以前にもまして多くの錬金術師が集まる錬金術の最前線になっていた。そして、夏へと移り変わりつつある季節の中。かつて人類最高峰の錬金術師―達人として活躍していた三森慧は、今は相変わらず、教師として弟子の悠里や同僚のましろ達と騒がしい日常を送っていた。だがある日、慧とましろは何者かによる襲撃を受ける。彼らの前で形を成していく黒い泥。それがとった姿は、ましろと寸分違わぬ顔立ちで―。凸凹師弟が綴る学園異能バトルアクション第二弾!

こうしてみると、弟子であり後継者となった悠里と、戦友の娘であり志を同じくするましろの二人、ヒロインとして結構立ち位置違ったんですねえ。
悠里がかつて自分が持っていたものを託す相手だとすると、ましろは慧が負った負債を一人で肩代わりしてたんですよね。これは、ましろが背負ってしまっていた負債を清算する話だったとも言える。
世界を救うために戦友を救えず汚名を一人で引っ被った慧だけれど、それによって一番傷ついたのは父親を喪い大切な人を失う羽目になったましろだったのである。せめても慧を喪わないために、ましろはただの少女でしかなかった自分を消し去るしかなかった。父親の代わりに慧の戦友になる他なかった。それは彼女が望んで選んだ道だったけれど、選択肢がそれしか残されていない中で無自覚に選ばざるを得なかった唯一の道だったのである。そして、慧はそんなましろの選択に込められていた意味を疑いすらせず、戦友ましろを受け入れてしまった。
人類の裏切り者という汚名を背負って世界を救った救世主たる自分、に慧が酔っていた、とは全く思わないけれど、そこにヒーローとしての生き様の自負がなかったとは言わないだろう。でも、その正しさがましろをずっと押さえつけ圧迫していた、とは露ほども考えていなかったんだな、この青年は。
だからこそ、今回の事件は彼自身の自覚なき本当の罪を彼に突きつけることになる。
その意味では、前回においてすでに「後継者」を見つけることができていたのは幸いだったんでしょうね。あとを継いでくれる人が居たからこそ、世界を救うヒーローが居てくれたからこそ、慧はヒーローとしての残骸としての自分を真実、置くことができたのだから。世界のためではなく、たったひとりの大切な人を守るために生きる選択を、選ぶことができたのだから。
これ、明言はしていないけれどましろエンドだよなあ。何気に二人にあげたプレゼントの中身の違いが、如実に結果を示してしまっていたんじゃなかろうか。購入した時は、誰もそんなこと考えてなかったんだろうけれど。

相変わらず、凄惨な過去を持っているとは思えない脳天気なセクハラトークを息をするようにポンポンと吐き出す主人公と、打てば響くように時にツッコみ、時に軽快な返しで応酬し、と色んな意味で相方の貫禄を見せてくれたましろとの掛け合いは、読み進める推進力となってくれて楽しかった。悠里の初々しかったりバッサリ切り捨てる切り返しも好きだったんだけれど、やっぱり息ピッタリなましろとの方が好きだったんで、ましろ寄りのエンドは個人的には嬉しかったかも。出来ればもっと続いてほしかったけれど、あとがきからするとこれで締めなんだろうなあ。
もう一回、作者の作品では掛け合いが映えるであろう真っ向勝負のラブコメが読んでみたいところですけれど。

望月唯一作品感想
 
12月3日

(PASH!ブックス)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W


Amazon B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W
12月2日

(一迅社ノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(一迅社ノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(一迅社ノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(講談社ラノベ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Kラノベブックス)
Amazon Kindle B☆W


(早川書房)
Amazon Kindle B☆W

12月1日

(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(角川スニーカー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(HJコミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月30日

(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


(GCノベルズ)
Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W

11月29日

(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ヒーロー文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ファミ通文庫)
Amazon Kindle B☆W


(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W

11月28日

(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(Mノベルス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月27日

(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(電撃コミックスNEXT)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月26日

(エンターブレイン)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月25日

Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングガンガンコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ガルドコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(コロナ・コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(MF文庫J)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルス)
Amazon Kindle B☆W


(オーバーラップノベルスf)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ダッシュエックス文庫)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFブックス)
Amazon Kindle B☆W


(KADOKAWA)
Amazon Kindle B☆W

11月22日

(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFC)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス フラッパーシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(モーニング KC)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスJOKER)
Amazon Kindle B☆W


(ガンガンコミックスpixiv)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月20日

Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見ファンタジア文庫)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(GCN文庫)
Amazon Kindle B☆W

11月19日

(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングジャンプコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーGXコミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

11月18日

(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガ文庫)
Amazon Kindle B☆W


(ガガガブックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤンマガKCスペシャル)
Amazon Kindle B☆W


(ヤングチャンピオン烈コミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月17日

(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(電撃の新文芸)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(星海社FICTIONS)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(アフタヌーンKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(マガジンエッジKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(フロース コミック)
Amazon Kindle B☆W

11月16日

(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スターノベル)
Amazon Kindle B☆W

11月15日

(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(富士見L文庫)
Amazon Kindle B☆W


(Gファンタジーコミックス)
Amazon Kindle B☆W

11月12日

(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(GA文庫)
Amazon Kindle B☆W


(宝島社)
Amazon Kindle B☆W


(星海社COMICS)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(ゲッサン少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(サンデーうぇぶりSSC)
Amazon Kindle B☆W


(ビッグコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アース・スター コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(メテオCOMICS)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


11月11日

(裏少年サンデーコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(アクションコミックス(月刊アクション))
Amazon Kindle B☆W

11月10日

(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(BLADEコミックス)
Amazon Kindle B☆W


(MFコミックス アライブシリーズ)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(電撃文庫)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(カドカワBOOKS)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W


(TOブックス)
Amazon Kindle B☆W

11月9日

(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(ドラゴンコミックスエイジ)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(角川コミックス・エース)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(KCデラックス)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(シリウスKC)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


(講談社コミックス)
Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索