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賀東招二

甘城ブリリアントパーク 8 ★★★★   

甘城ブリリアントパーク (8) (ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 8】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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まもなく甘城高校の文化祭!地上界の学生たちが繰り広げる祭典にラティファは興味津々で、西也もクラスの喫茶店のマネージャーを引き受けたりと意外にやる気満々?しかし、いすずは西也の残した意味深なメッセージが気がかりで悶々としていた。そんな折、西也から物件の内覧にと誘われる(まさか自分との同棲を考えているのでは?)―だがそんなわけもなく、訪れたのは廃墟と化した遊園地跡だった―。そこで明らかになる甘ブリの未来の姿とは!?そして、奇妙な現象に巻き込まれた西也といすずは、ふたりっきりでラブホに一泊することに!!甘ブリは、そして彼と彼女の関係はどこへ向かう!?
うわぁ……なんかもう色々な意味で転換点の回だったんじゃないだろうか。西也もいすずも自覚あるように真面目なんですよね。真面目が過ぎるとどうしても手を抜けなくて、意図してではなくふっと無自覚に弛緩してしまう瞬間が在る。緩急が取れてない分、普段できているコントロールが緩んできてしまう。今回、西也は顕著にそうした面が出てしまっていたんだけれど……むしろ今回の目玉は西也といすずの生真面目な部分の衝突から作用した化学反応なんですよね。真面目に自分の気持とか相手の様子とか現在のシチュエーションとか目を逸らさず把握して考察して噛み合わない部分をぶつかり合わせながら合致させようとすると、いざ合致してしまった時にえらい勢いで収まるところに収まってしまう時がある。流されるのと違って、理性を理性的に放棄してしまう時があるわけだ。客観的に理性的に、今は理性を放棄して感情に任せるべきだ、という判断をしてしまう。だから機が去ってしまうとそのまま流れ込めないし、逆に決定的瞬間があったという事実をなかったことにはできなくなる。
この時、西也といすずは肉体的な一線は越える機会を得られなかったけれど、越えようという同意が生まれた瞬間にすでに精神的にはもう越えているのだ。そして、真面目な二人はその事実から目を逸らさないし、逸らせないまま擦りあわせていくしかなくなっていく。問題は多々あれど、二人の中ではすでに結論は出ていることが言動から窺い知れる。
なんにせよ、衝撃的ではあった。偶発的な展開にも関わらず、二人共後ろめたさや後悔を感じさせず、結論に対して腹が据わっている様子も、その衝撃に輪をかけていた気がする。二人とも年齢的には高校生かもしれないけれど、既に他者や組織に対して大きな責任を負う立場を背負った社会人、管理者、責任者であるからか、子供扱いしていい貫禄じゃないんですよね。決して精神的に成熟しているとは言えないかもしれないけれど、浮ついた子供ではもう居られないものを背負わされて、否応なく大人となってしまっている。そんな大人同士の、本気の情念の絡み合いなのだ。青春だの青い情熱だのと言ってられない粘度があり重さが在る。なんちゅうか、相手の人生を一生背負う覚悟を既に持っているような貫禄があるんだよなあ。
バクの夢を通して、西也の末路が語られたせいもあるかもしれない。いずれにせよ、ラブコメなんて言ってられない「生々しい」迫真の求愛活動だった、と言えよう。

しかし、前巻のラストに書き残されていたEXODUS。まさか文字通りの意味だったのか。でも、これは無理だよなあ。交通アクセスの問題は一番致命的だもの。より交通の便が良いところに移転するならまだしも。
ホームを変える、というのは生半な問題じゃないもんなあ。しかし、西也の見積もりが甘かった、とは言い辛い。どうやったって300万人の動員が物理的に不可能である以上、盤をひっくり返して逃げることは生き残る手段としては決して間違っていないし、彼が信頼するスタッフたちからも概ね消極的ながらも同意が得られたのだから、間違いではないはずだったのだ。この時点では。
若くして、自分の人生の末路を見せつけられた西也の絶望たるや如何ばかりだっただろう。ってかさ、本来彼には関係のない話で、自分の人生を投げ打ってまでやるべきことでもなかっただろうに、この男は決して逃げなかったんだよなあ。最後の最後まで大事なものを守ろうとし続けたわけだ。それだけは尊崇に値すると思うし、同時に馬鹿じゃないのか、と思う。ラティファさまも、罪な女じゃないですか。
彼女自身、今の時点ですらその自覚は凄まじく重く抱えているのかもしれないなあ。あの学園祭での様子を見る限り。
あんな確定未来を見せつけられて、なお諦めずに逃げ出さずに、戦うために打って出る主人公。一人では無理だろう、一人で出来ることには限界がある。一人で引っ張るのは不可能だ。にも関わらず、彼がさっさと勇躍出来たのは、それだけもう、いすずをはじめとしたスタッフたちへの信頼度が満タン貯まってたんだろうなあ。それだけ、今までの積み重ねが積み上がっていたんだ、きっと。
そして何より、やはり「一線を越えた」のが決定的だったんじゃなかろうか。最後の方の場面での明らかに今までと違う西也といすずの雰囲気に、そう思うのでした。
……こいつら、事務所で二人きりになったらえらいこと仕出かしそう。前言を翻して、真面目だけれどいきなり発情してやらかしそう。要監視である。

シリーズ感想

甘城ブリリアントパーク 7 ★★★★   

甘城ブリリアントパーク (7) (ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 7】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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みんな元気~!?どうもです。水の精霊ミュースです。可児江さんはなんだかぴりぴりしてるけど、最近甘ブリには活気が出てきています!けど…エレメンタリオの信じられない秘密が明らかになってちょっとへこみ気味です。サーラマのお家は燃えちゃうし、コボリーの動きは怪しいし、シルフィーは相変わらずだし。あたしもモッフルさんたちとの突発飲み会で、大胆な告白させられちゃうし…。ダメです!これは、あくまでプライベートのこと…パークの未来はあたしたちキャストのがんばりにかかってるんだから!今日もエレメンタリオで、ゲストのみなさんをお待ちしてます!!

今回は短編集、それもエレメンタリオの精霊四人組が主人公。今となっては信じられないんですけれど、ミュースたちってアニメ化の企画がはじまるまでは小説ではまともに出番なかったんですよねえ。むしろ、バイト三人娘のABCの方がそれぞれ当番回があって優遇されているくらいで。ほんと、今となっては主人公とメインヒロインのいすずと姫さま、いや場合によっては姫様よりも存在感あるキャラクターになっているんですよねえ、なんともはや。
この子たちって、シルフィーはアレとしても、ミュースもサーラマもコボリーも言わば「普通の娘」なんですよ。或いは、特異なキャラクター付されているえーこ、びーの、しーなのバイト三人娘よりも普通の年頃の女の子かもしれない。女子高生ではなくて、社会人として働いている若い女性、という括りになるけれど内面の心の動きなんて、すごく普通なわけですよ。これは、主人公の西也やいすずたちにはないアドバンテージなんですよね。あのメインの連中って、そりゃもう七面倒臭い性格や条件付けがされていて一般庶民の範疇から随分外れているわけですよ。それに対して、ミュースたちはほんと、精霊のくせに庶民で、生活感を背負っているわけである。それも、随分と生々しいのを。
だから、彼女らにスポットを当てて、しかも日常シーンを切り取ってくると、背伸びしていない等身大の面白い話が転がり込んでくるわけだ。賀東さん、フルメタの頃から短編は変に突拍子もないキャラぶっこむよりも、こういう日常の延長線上で生々しいやり取りしてる話の方が、けっこう面白かったりするパターン多かったんですけれど、この甘ブリだとミュースたちがその辺、一番ぴったり合致してるのよねえ。

「火の精霊なんだけど仕事から帰ってきたら自宅が炎上してた件」
家の近所が火事になった経験はあるけれど、さすがに水は被らなかったなあ。ってか、火の粉が凄くて熱も凄くて、ウチの方まで延焼しないかでハラハラしながら見守っていたので、それどころではなかったですけれど。
部屋が焼けてしまったので、しばらく知り合いの家に止めてもらうことになったサーラマが、色んな人の部屋に泊まり歩くというお話なわけだけれど、初っ端で親友であるはずのミュースに宿泊を断られてしまった、あのショックな感覚。断られるなんて夢にも思っていなかっただけに、サーラマのあの怒ったり拗ねたりも出来ずにもろに落ち込んでしまう感覚は、なんだか沁みてくる。この後、色んな人から自分のところに泊まりなさい、と声かけて貰い渡り歩くのですけれど、サーラマこの最初のショックをずっと引きずってるんですよね。
もちろん、ミュースには相応の理由があって、サーラマのことを放置していたわけでもないのですけれど、サーラマの心の浮沈具合がなかなか繊細な描写がなされていて、面白かったですねえ。一番大雑把っぽいけれど、サーラマが一番繊細なんだよなあ、メンタル。
あと、結局ミュースとサーラマがラブラブすぎるんですけれどw

「腐ってばっかりじゃないんですよ?」
……これって、ちゃんと申請すればちゃんとお手当出るんじゃないですか? というレベルで色々とこっそり仕事してるんじゃないですか、コボリーさん。
知らないうちに仕事を片付けてくれている妖精さんがいる、という噂が広がる甘ブリ。なまじマジモノの妖精さんや精霊さんが働いている職場で、ただで働いてくれる妖精さんとか、なんてご都合よろしいのか。
あー、でも総支配人の西也があの薄給だもんなあ。


「普段ない組み合わせ」
ワニピー……。あー、この、飲み会に参加しつつ、会話にも加わらず、という人には身につまされるものがある。自分はさすがに気配消せないですし、喋るようにしてるし大概楽しく話せるんだけれど、飲み会ってのは結構な頻度で面倒くさい話ばっかりになる時があるので、そうなるともう端っこでじっと食べてたくなる。話こっち振らなくていいから、という気分になるよね。気を使って話しかけてくれるのが、もういいから、という感じで。
そういう人はむしろ放っておいてあげましょうって。しばらく安静にさせておくと、元気というか気力が戻ってくる場合もありますしw
さて、ワニピーくんは置いておくとして、注目はやはりアーシェとモッフルのチクチクとお互いを針で突くような、時々本気でぶっ刺してるようなアレな会話なわけで……これ、酔ってるからなのか正気でやりあってるのか、どっちにしろ酒の席だから、というのもあるんでしょうけれど、参るよなあ(苦笑
大半、ミュースに聞かせて反応楽しんでるんじゃ、という感じでもありますけれどw
ミュースからすると、自分が遠慮してなるべく触らないようにしている部分にズカズカ踏み込んできて、それをえらく乱暴に扱われた挙句に、あんなこと聞かれたら……そりゃ痛いって。
アーシェもモッフルも、果たしてどこまで分かって聞いたのか。いずれにしても、泣かせたのは間違いないわけだから、その無神経さは反省するべし。ある程度、これが無神経な質問だ、と理解しながら言ってるあたり、たちが悪いけど。


「しるふぃー・ちゃんねる!わくわくレビュー」
シルフィーが主役で彼女の視点の話だけに、執筆のノリからして随分とはっちゃけているというかイカれてるなあ、と若干引きながら読んでたんだけれど、あとがき読むとわざとグデングデンに酩酊してる状態で書いたらしくて、さもあらんと納得したというか、なんかすげえと感嘆したというか。ある意味、あの変人シルフィーの難解なメンタリティが生々しく感じられるエラいお話でした。


次回は、こちら渦中の只中にある本編の方に話が戻るようで。激動真っ最中なだけに、すぐに本編戻ってくれるのはありがたい。

シリーズ感想

コップクラフト 5 4   

コップクラフト 5 (ガガガ文庫)

【コップクラフト 5】 賀東招二/村田蓮爾 ガガガ文庫

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太平洋上に突如として出現した超空間ゲートの向こうにある異世界“レト・セマーニ”と地球との玄関口である都市・サンテレサ市。この街の警察で、特別風紀班のメンバーとして所属するマトバの元に、ある男が怪死したという知らせが届く。その男はかつてマトバと共にセマーニ世界に平和維持軍として従軍していた過去を持つ人物だった。その後、彼と同じような殺され方をした死体が次々とサンテレサ市内で発見され、その奇妙な殺し方から同じ人物の犯行ではないかとの見方が強まる。検死の結果、殺人の手口は地球での技術とセマーニ世界の魔法、両世界の技術を使わなければ行うことのできない殺しの方法であることが判明する。さっそく捜査を始めたマトバと相棒のティラナだったが、殺しのターゲットはついに2人が仕事がらみで世話になっている人物たちにまで及ぶように。だが調べを進めて行く内に、殺人の手口が、かつてセマーニ世界で起こった紛争時に地球の軍事訓練を施され組織された、セマーニ人の部隊が使っていた方法と酷似していることが判明する。はたして犯人の目的とは何なのか? 1年ぶりに帰ってきた痛快無比のポリスアクションシリーズ第五弾が登場!
前回がコメディタッチの短篇集だったので、本格的な刑事バディものとしては11年にでた3巻以来だから4年ぶりくらいになってしまうのか……あれ? 3巻も厳密に言うと学校への潜入捜査だから、微妙に学園モノぽかったんで、ガチのポリスアクションとなると2巻以来になってしまうのか? というか、一巻通して一つの事件を追いかける、というケース自体、1巻以来になってしまうのか?? このシリーズ、わりと紆余曲折ぐりぐりしてるのね。刊行間長いしなあ。
ともあれ、一巻時と違うのはやはりマトバとティラナの相棒関係でしょう。反発し対立しいがみ合っていたのも随分と昔、今となっては憎まれ口こそ叩き合うものの、以心伝心痒いところまで手が届く信頼感で結ばれた相棒関係が成立してるんですよねえ。いや、微妙に痒いところには手が届いてない気もするし、わざと掻き毟らないように回避している感じもあるのですが。
でも、ティラナがやられた時のマトバのガチギレを見てるとねえ……(ニヤニヤ
しかして、今回のお話は日本の刑事物ではなかなかお目にかかれない、刑事の前歴にまつわる因縁が事件となって降り掛かってくる展開なのです。日本の刑事は、概ね社会に出た時から警察官やってるので、過去の因縁といってもだいたい昔に関係した警察関係の事件の因縁ばかりなので、こういう軍人時代の人間関係や軍隊での過去が現在に追い付いてくる、みたいな展開はそれこそ昭和の戦後すぐの頃を描いた作品でないと出てこないんですよね。刑事当人を抜きにした軍人や元軍人が事件に関わってくる話にしても、日本だと自衛隊云々だと変な思想が事件の動機やらに絡んでくるような話になっちゃうこと多いし。
いずれにしても、これはいわゆるまだ戦争の記憶が薄れていない「戦後」の話というわけだ。あらすじからして、マトバの軍隊時代の過去に密接に関わる話なのか、と期待したのだけれど、実のところマトバ自体は単に巻き込まれただけ、みたいな感じで彼が直接云々、というわけではなかったのだけれど、あの当時同じ戦場で戦っていた同僚の兵士が、戦後様々な道を歩んでいる、というかその大半が身持ちを崩してろくな生き方をしていない、というのは身につまされるものがある。わざわざサンテレサで刑事になる道を選んだマトバからして、その選択に戦場の記憶が大きく影響を与えたであろうことは否めないのだけれど、それだけ戦場という現場での記憶というのは、それだけ強烈なものなんだろうなあ。
そして、この話はそうした強烈な記憶の残滓を引きずって起こったような話……と、見せかけつつ、むしろより深くえげつなくおぞましい、戦争の渦中からそれが終わったはずの今に至るまで何一つ変貌していない闇の顕在を示していた、ということで、色んな意味で救いがない話ではあるんだけれど、視点を変えてみるとこの事件が起こってしまった原因となる、健気で純粋な親愛があの地獄のような戦場の中で拾われ、ドブ川のような戦後の混乱を経て今に至るまでそれが守られ続けたことが、闇の存在を浮き彫りにした、という意味では、実はなかなか救いのある話だったんだろうか。
許されざる犯罪が表沙汰になり、犯人も捕まり、マトバにとってもあの戦場の中で戦友と呼ぶに相応しい男が居る事を知り得ることが出来たし、結末も、悲劇では終わらずギリギリなんとかハッピーエンドっぽかったし。
ただ、ティラナにとっては地獄の蓋があいてしまった、のではあるが。
これってようやく、このコップクラフトシリーズの芯となるストーリーの開幕になってしまったんじゃないだろうか。以前からの事件も、無関係ではないんだろうし。

シリーズ感想

甘城ブリリアントパーク 6 4   

甘城ブリリアントパーク (6) (富士見ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 6】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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甘ブリに夏がやって来た!パークは、プール開きにパレードの準備にと大忙し!しかし、今年度の動員目標は昨年の実績を遥かに超える「300万人」という無茶な数で、天高くそびえるハードルに西也は頭を悩ませていた…。そこに突如、空からスーパースター登場。最王手デジマーランドの世界的マスコットである彼は、甘ブリに救いの手を差し伸べると言うがその条件とは―?さらに、ちょうどその頃、支配人ラティファの様子が何かおかしいとの報告が入る―。甘ブリに、再び転機が訪れようとしていた。この局面を切り抜けるため、西也が下した大胆な“決断”とはいったい―!?
久々の本編進行。新刊出ても、短篇集みたいな内容ばかりでしたしね。件の300万人問題は、もうなるようになれ、と流れに身を任せるのかと思ったくらい。
300万人というと、国内のテーマパークではガチでディズニーとUSJ含めて片手で数えられるくらいしか達成してません。無理です、不可能。ひらぱーでも100万超えるか超えないかだよ!!
なんぞ見込みがあるのかと思いきや、甘ブリではやはり絶対に無理な領域だったようで。呼べる呼べない以前の問題で、それだけ客が来園しても、そもそもそんな200万、300万が訪れることを考えて作られた施設ではないから、さばけるキャパもノウハウもない、ってんじゃあ、物理的に無理だわなあ。
一つの施設に、それこそ何時間も並ぶことになる。現段階ですら、人気では数時間待ちの列ができつつあるのに。
それをなんとかするためには、最王手の傘下に入って助けてもらう他ない。ビジネスに都合の良い解決法なんて、早々ないものだからこればっかりはねえ。主人公の西也って最初のスタジアムの事故の時もそうだったけれど、わりと手段を選ばないダーティーなところがあるのは、実のところ経営者向きだとは思うし、わりと作者の賀東さん自体、やるとなったら色々やらかすことを躊躇わない、というかむしろ好んでそっちをやっちゃう節もあるんですよね。フルメタなんかも、追い詰められれば追い詰められるほど主人公サイド関係なくそういう傾向あったし。
その意味では、西也がまだ酸いも甘いも噛み分けてきたとはいえ、まだ若い高校生であるということ。そして、今回の姫様の身に起こった出来事にまつわる設定群は、現実のダーティーさにどんどん埋もれていくのを引き止めるアンカーになっているような気がする。アニムスという概念は単にエネルギーの問題ではなく、一番素朴で正しいであろう「幸福な結末」を忘れないように指し示す、寄る辺であったのだと今ならわかる。
でもまあ、高校生に背負わせすぎだわなあ。責任者になってる以上、それはもう他社と分けて背負えるものじゃないにしろ。それを姫様もわかっているからこそ、何も言えなかったんだろうけれど、アニムスの動きが姫様の症状を通して、それを浮き彫りにしてくれたわけだ。
てっきり自分は、あの姫様の症状って西也の無茶な魔法の使用のフィードバックがきてるのだと思ってしまったので、西也が魔法ゴリ押しするたびに取り返しがつかなくなってるんじゃないかと思って焦り倒したんですけれど、……どうやら違ったみたいで安堵した次第。ガチでフィードバックだったら、バッドエンドもラストの範疇に入ってるのか、と危惧するところでしたし。
しかし、西也は夢の国として正しい選択をし、開き直って自分を取り戻してヤル気もチャージしたとはいえ、あの現実的な選択を梨の礫として、いったいどうやって三百万人を達成するつもりなのか。
こっからはただのアクロバットでは収まらないぞ。
だけれど、その途方も無いアクロバット的な解決法をこそ、どうひねり出してくるかが楽しみな展開なわけで。
ラブコメの方も含めて、クライマックスの盛り上がりに期待したいところである。で、次は何年後? とか問わせないで欲しいですねえ。

シリーズ感想

甘城ブリリアントパーク 5 3   

甘城ブリリアントパーク (5) (富士見ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 5】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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高校生なのに遊園地の支配人代行・可児江西也は悩んでいた。アトラクションの改装で集客が伸びてきたまではよかったが、もう一押し目玉となる企画が欲しい。何かないかと考えていると、ファンサービスのつもりで作った中城椎菜が歌ったCDがコアファンにバカ売れしているとの情報が入ったのだった。…これしかない!アイドルをプロデュースするのだ!そうして、甘ブリ初のアイドル(?)ユニット、『タスクフォースABC』が誕生することに!しかし、アイドル業界はライバルが多く、それを生業とする猛者が集う魑魅網魎の世界。果たして、甘ブリを救うべく西也の奇策は成功するのか―!?
こうしてみると、姫様のアニメでの盲目設定リセットは正解だったんじゃないかなあ、と思う。だって、今のところ姫様が目が見えないという所に物語上何の意味合いもないですもんね。個人的には、現状の来園者数リミットも話に何の寄与もしてないんじゃないかなあ、と思ってるんですけどね。確かに、何らかのお話上の目標がないと終着点なくダラダラと話しを続けるはめになる、というのは理解できるんですけれど、今のところ来園者数の目標を達成しないといけない、という目標に向けて話が動き出している傾向が全く無いにも関わらず、シリーズ自体は順調に面白さを保ってるもんなあ。ぶっちゃけ、個々のキャラクターにスポットを当てているだけでも十分面白く話は進んでたりするんですよね。変に尻に火を付けずに危機感を煽らなくても、既にキャストの意識は高い水準を保たれてるし、遊園地としては順調に人気を確保しだしているわけですし。
そもそも、精霊四人娘にすらスポット当てず、まともにキャラ付けしだしたのはアニメの企画始まってから、というのは何ともねえ。姫様の出番が少ない事といい、バイト三人娘の話も一人ひとり掘り下げるのにだいぶ時間かかった事といい、実は決して多数のキャラを上手く動かせているわけではない、というのが薄っすらと垣間見える。
とはいえ、個々の話がじわじわと来る面白さなのは間違いない話。マカロンと映子の話なんて、定番のダブルブッキングデート回のテンプレにも関わらず、テンション高くて面白かったもんなあ。マカロン、娘はちゃんと人間形態なんだ。
ただ、モッフルの今回のお話は、幾らなんでも後味悪すぎですよね。話の展開そのものよりも、オチがない、というのがかなりキツい。せめて、あの少年がその後どう行動し、どう結論したのかがわかるだけでも、気持ちを処理出来るのだけれど。別に、彼が本当に失望し、見切りをつけていたのだとしても、それはそれで納得できるんだけれど、怒りと共に飛び出していった彼が、その後どうしたのか、何をどう思い、何を考えたのか、というのが一切わからないまま、というのがスッキリしなくて後味悪すぎるんですよね。ものすごい渋味だったさ。

シリーズ感想

甘城ブリリアントパーク 43   

甘城ブリリアントパーク (4) (富士見ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 4】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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東京西部の遊園地「甘城ブリリアントパーク」で、高校生にもかかわらず支配人代行をしている可児江西也は悩んでいた。以前よりも集客は伸びてきたが、目標としている人数には全く足りない。ダメダメ遊園地を建て直すには、ゲストが喜ぶアトラクションの改装が今すぐ必要なのだっ!『お菓子ハウス』はメルヘンテイストからアクションに!『フラワー・アドベンチャー』はお花畑から血まみれに、…って、血まみれ!?なんでホラーになってるの!!待てよ、流血沙汰といえば、まさか面接の時に大量出血していた、あの女が原因か―!?遊園地を救うだけじゃなく、こんな難題あんまりだぁぁぁ!!
これ、1巻に一人のペースでアルバイトで雇った三人の女の子のエピソード、というか人生のリハビリ?をやるんですか? あの歌唱力の高い高校生の女の子も自分の話が終わったら全面に出てくるのかと思ったら、また引っ込んじゃって居るんだか居ないんだかわからない立ち位置になっちゃったからなあ。これ、当番回しか目立たないんじゃないだろうか。この流血担当の娘も、背負っていた問題が解決された段階で、目立つ要素そのものがなくなっちゃったので、今後空気化してしまいそうで怖いです。4大元素の精霊たちの娘も、カラー口絵になっているわりに存在感無いし……そもそも、姫様からして出番無いし。
実はこのシリーズってヒロインとしては、いすずが殆ど出番独占してるんじゃないですか、これ?
そもそも主人公という観点からしても、遊園地の改善策が停滞している分、西也の動きがないので、先のアルバイトの娘たちの話に、わりとどうでもいいドタバタ劇という展開の中で、いすずが西也の人となりを深く知っていき、彼を意識していくというナガレが続いていて、どちらかというといすずの内面描写と変化が中心になってるんですよね。お陰でいすずがデレていく過程をじっくり堪能出来ているという意味では美味しいんだけれど、物語としては2巻からこっち実は殆ど動いていないんだよなあ。
まあ、自分の場合は1巻の頃からいすずが非常に好みだったので、ひたすらいすず推しのこの流れはむしろありがとうございます、なんだけどね。1巻の段階だと姫様の方がメインっぽかったし。まさか、これだけいすずがデレるとはなあ。デレるといってもこっそりですけれど。でも、最初の頃の態度からすると彼女の女の子らしい反応を見せるようになった変化は顕著ですよ。名前呼びのシーンは思わずニマニマしてしまいました。あのちょっと照れ隠し混じりの強引さは、可愛らしいじゃないですか。
変化といえば西也の方も、立場が人を作るというのとはちょっと違うのかもしれないのだけれど、今までと違う世界を体験したことで、これまで感じていた事を違う視点、違う距離感で見つめ直せるようになった、というのは成長という名の変化なのでしょう。これまで深刻に、悲壮感をすら抱いて睨みつけていたものが、フッとなんでこんな程度の事に深刻になっていたんだろう、と思うようになることはあるもんですしね。でも、そういうのって簡単に意識を変える事が出来るようになるわけでもないんですよね。余計視野が狭まることだってあるだろうし。
その意味では、西也は良い経験をしている……のだろうか。ブラックな環境で自分をすり減らしてるようにみえることもしばしばなんだが(苦笑

シリーズ感想

コップクラフト 4 DRAGNET MIRAGE RELOADED3   

コップクラフト 4 (ガガガ文庫)

【コップクラフト 4 DRAGNET MIRAGE RELOADED】 賀東招二/村田蓮爾  ガガガ文庫

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突如発生した異空間ゲートにより、異世界とつながってしまった都市・サンテレサ。そこで日夜特殊な犯罪を捜査する敏腕刑事・マトバと異世界からやってきた美少女剣士・ティラナ。
ある日2人はゲートの向こうにある世界・セマーニから密輸品が持ち込まれるというタレコミを受け、密輸業者を待ち伏せることに。銃撃戦の末、密輸品の回収に成功する。しかし密輸業者を取り逃がしてしまったことで、2人はケンカを始める。そのうちマトバは明日も続く捜査のため早々に寝てしまい、ティラナは押収品の仕分け作業を続ける。翌朝、マトバが目覚めると半裸のティラナがベッドの中に潜り込んできて、猫のように、いきなり彼の体をなめながらまとわりついてきた。あまりのことに慌てたマトバは「なんかの病気か? 寝てろ」と言い残しさっさと出勤してしまう。いったいティラナの身に何が起こったのか? そしてそんなティラナを目の当たりにしたマトバは!? そこには昨日の事件が大きく絡んでいた……。
硝煙と魔法が入り乱れる「夢の街」を舞台に、敏腕刑事と美少女剣士コンビが奔走する、全ライトノベルファン必読のポリスアクションシリーズ、3年ぶりの第4弾!


最近はどの本もそれなりに厚さがあるので、逆に薄いと思わずおおっ、となってしまいます。本作も200ページ超。短篇集の書き下ろしに含まれているような中編が一本と、掌編が二本という構成でした。いやあ、本音からいうと、このくらいならせめて半年ペースで出してほしいよなあ。三年ぶり! とか強調されても、それに見合うような大作じゃありませんから、拍子抜けとまではいかないまでも肩透かしは食らったかも。
まあでも、作者はこういう肩に力を入れずに済む気軽なコメディはやっぱり上手いですよ。ほんっと、くだらない話でシリアスの欠片もないのですけれど。いや、欠片くらいはあるのか。微妙に女のエゴというか、友情を天秤にのせたこのモヤモヤとした感情を苦味としてまぶすのは、この人の特徴なのかもしれない。セシルなんて、マッド入っているようで中身は凄く真っ当でいい人なんだけれど、一抹の嫌な女としての要素がどうしても備わっちゃってるのである。こればっかりは、女であるならば必ず持っているもの、と言わんばかりで、それも無自覚ならば愛嬌の一つになるのかもしれないけれど、聡明で良い人であるからこそ、自分の中の悪意に対して自覚的であり敏感であり、嫌悪しつつも消しきれず、すっきりしないものを抱えている、というキャラクターなわけだ。賢い女性ほど、面倒くさいキャラとして描かれてるよね。その点、ティラナの方は若干馬鹿じゃないのか、というくらい単純で竹を割ったような潔いキャラなので、迷走するにしても猫みたいな愛嬌がある。これはいささかセシルの方に同情を覚えてしまうけれど。ってか、今回セシルて完全にとばっちりだよね。単に巻き込まれただけで何の関係もなかったのに、一番ひどい目にあったのって結局彼女だったんじゃないか?
ケイはというと、何だかんだで役得が多かったし、ティラナはというと恥ずかしい目には合いまくったわけだけれど、実はそれなりにリターンというか、モニョモニョしてしまうものはケイからちゃっかり得ているわけで、セシルが一人で貧乏くじ引いてたような。ご愁傷さまです。
しかし、ティラナって自覚的にケイのこと好きなんだろうか。ラストの掌編での彼女の男の好みについての告白を聞いていると、明らかに指向してたもんなあ。それを、ケイに聞かれそうになって慌てているあたりなんぞ、自覚がなければ現れない反応だし。
個人的には、セシルの見立てと違ってかなり相性良い気はするけれど。喧嘩は山ほどするだろうけれど、縁が切れずにいつまでもズルズルと続いていけるタイプのコンビだわな、この二人。
次回は、もう少し二人の関係に踏み込んだ話を読みたいもんです。別に長編でなくてもいいから。

甘城ブリリアントパーク 3 3   

甘城ブリリアントパーク3 (富士見ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 3】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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高校生なのに遊園地の支配人代行・可児江西也は悩んでいた。当面の資金難からは脱したものの、集客を伸ばさなければ待っているのはゆるやかな廃園だけ。しょぼいと評判のパークを立て直すにはゲストが夢中になる新要素が必要だ!!そう夢と音楽が詰まったド派手でブリリアントなミュージカルショーが!!「消火班!消火班!どこ行ってるぴー!?消火班―!」…リハーサルをすればボヤ騒ぎ、新入りキャストへの執拗な可愛がりによる人材不足、さらには出席日数不足に伴う支配人代行留年危機問題など、トラブルが次から次へと頻発!やっぱりダメダメな「甘ブリ」を西也は三度救うことができるか!?
中の人が居ないのって、別段秘密でもなかったんだっけ? そりゃ遊園地で働くスタッフ(キャスト)には教えておいた方がいいんだろうけれど、あっさり教えるんだなあ。ネット上に情報ポロポロこぼれていきそうなもんだけれど。まあ情報漏れの問題は中の人が居ない事じゃなくて、キグルミ連中が夢も希望もない薄汚れたおっさん的なキャラクターだという所なんじゃなかろうか。外で結構問題も起こしてるみたいだし。ティラミーのクズっぷりは、もうこの時点で処刑レベルでしょう。死なせ。
これは、実はモッフルたちが人間化したら渋かっこいいイケメン親父だった、というのは全然関係ないよね。というか、着ぐるみ連中の下品さが売りだったのに、ろくでもない言動をしているのが実はイケメン、というのは……いや、ブサイクなオッサンというのもそれはそれでものすごく嫌やけどさw
ミュースがはしゃいでるのはキャラ的にもわかるんだけれど、いすずがあんなに興味津々で齧り付いていたのは正直意外だった。情動が少なそうに見えて、彼女わりと揺らぎやすいんですよね。
それは、西也の身代わりでみんなが順繰りに高校に通うお話でも如実に現れていて、西也にラブレターが送られたと勘違いした時、恋愛トラブルに巻き込まれた時、そしてラティファと西也が打ち解けているのを見た時、それぞれ顔に出ない部分でいすずって動揺しまくってる上に、そうした感情と思考を切り離そうとしてバタバタしているのです。考えまいと必死にグルグル考えこんでいるんですな。この手の娘は、一歩一歩が非常にゆっくりだけれど、踏みしめた足が沈み込む深度がやたらめったら深いんで、一線を越えた時の激しさはパないのです。賀東さんって、ドタバタ大騒ぎさせるわりにこの手の思考が迷走しがちな重たい女をねっとり書くのが好きというか上手いというか。フルメタのかなめもテッサもネガティブ方向がやたら重たい女だったもんなあ。それだけ情が深いとも言えるんだけれど。

さて、新たに雇われた三人娘、前巻では登場と同時にフェードアウトしてしまって、なんぞ!? という感じだったのだけれど、この巻でようやくそのうちの一人、椎菜にスポットがあたるわけですが、これって内向的で自信の持てない引っ込み思案の娘が、モッフルにシバかれながらも頑張って成長する、というお話になるんだろうけれど、単に心がスレてしまった、という身も蓋もない話になるキワキワスレスレですよねw いや、モッフルはあれで悪くない指導員なんだろうけど。個人的には、ああいうスパルタ系は簡単に心が折れるので勘弁ですが。その意味では、椎菜が簡単にポッキリ折れてしまいながらも内気さから逃げるに逃げられずにのたうちまわっている内に段々慣れてくる、というのは嫌な生々しさがあって苦笑い。逃げ出すにも何気に勇気は居るものです。それでも、最後には自分でやっぱり頑張ろうと思えるだけでも、この娘は偉いんですけどね。

今回は短篇集ということで、切羽詰まった事案はなく、おおむね日常編といった感じでしたけれど、変に長編で煽るよりもこっちのタイプの方が安心して読めるなあ。というか、西也がメインじゃない方が落ち着いているべきか。この男、主人公としては難しいタイプな気がする。
ともあれ、年間動員300万人という非常識な目標設定を強制されて、どうやったって無理という状況が彼には迫られているわけで、さてちゃんとスカッとした痛快な展開になるのか、はたまたドロドロのダーティーで後味の悪い結果になるのか、どちらにも転びかねないので、ある意味ドキドキの次回である。

1巻 2巻感想

甘城ブリリアントパーク 23   

甘城ブリリアントパーク2 (富士見ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 2】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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「人が足りない!」
東京西部の遊園地、「甘城ブリリアントパーク」の支配人代行に就任した高校生の可児江西也は、会議室で声を張り上げた。放火(!)までやらかして、潰れかけの遊園地を救ったことはよかった(よくない)のだが、問題は山積み。中でも深刻なのは『人員不足』。急いで人を募集してみたら、集まったのは珍妙な女の子ばかり。ある者は清純派の元○○女優、ある者はドジっ子な血まみれ女子高生、またある者はどうみても小学生。…こんな奴らと働くことなんてできるかぁぁぁぁぁ!!果たして、西也は再び「甘ブリ」を救うことができるのか!?
いや待て、AVの女優と聞いたら普通はそっち思い浮かべるし、面接でそんな言い方をされるとどうしたって勘違いするから! 人員募集で集まったメンバー、三人とも非常に個性的で面白いキャラクターだったんだが、後半全然出番なかったな。この作品って、おっさん着ぐるみたちの下品なしもネタが売りなので、女性キャラが増えても使いどころがないのかもしれない。それって、ちょっとした絶望だよ?(苦笑
この着ぐるみドモの加齢臭がいったいどの層向けなのか、未だによくわからんなあ。私はまさにおっさんだけれど、おっさんどもの下品な会話を聞いていても、別に面白くもなんともないですよ? それとも、中高生にはむしろウケるんだろうか、これw
とは言え、ちゃんとラブ寄せもはじまってるんですよね。1巻では堅物すぎて女っ気が一欠片も見受けられなかった千斗いすずが、ここに来て急速に西也を意識し始めたのです。あんた、1巻のときそんな素振りあったか? 少なくとも全然自分は覚えてないぞ!? いやでも、いすずにちゃんと女の子らしい意識があって良かったよ。姫様が何しろ記憶リセットで好感度も初期化されちゃってる状態で、さらにここから再びというのはなかなか初速が得られにくい展開で、もしかしたらこの作品ヒロイン抜きなんじゃないか、とすら危惧していたところなので、いすずが非常に女の子らしい振る舞いをするようになり、メインヒロインとして動き出したことはこの酒焼けしすぎた作品に仄かな彩りを与えてくれることになりましたし。こういう不器用な娘が自分の心を持て余して内省しながらグルグルとその場で回り続けるような展開は好みの一つですから
西也も決して鈍いタイプじゃありませんから、いすずの不審な言動には察するところがあるようですし。ただ、察したからといってうまく対処できるかどうかは全く別なんですけどね。この男、人間性と性格に乖離があり、さらに対人関係もビジネスの時とプライベートでは器用度が全く違うからなあ。
一方で遊園地経営の方は、先のイベントで凄まじい赤字路線に突入してしまい、その挽回に東奔西走するはめに。いや、だからこれ無理ゲーでしょう(苦笑 西也はとり得る手段からかなり現実的に対策を打ち出していますけれど、かなり場当たりの感がある。なんだろうな、西也って天才的でも破天荒でもなく、わりと秀才タイプだよなあ。実務については、ほぼ独力で交渉をまとめているあたり、凄まじく優秀でしょうし、むしろ破綻寸前の案件を立て直す再建屋としてのプロっぽさはあるんだけれど、誰も思いつかなかった手段で大逆転、という手法はあんまり似合わない。だからこそ、前回なんて犯罪まがいどころか明らかに犯罪である手段を使って泥臭いにも程があるやり口で補填をやってのけた、と言えるのだけれど。
つまるところ、現段階での条件ですらアップアップだったのに、さらに上書きされた閉園の条件は法外もいいところで、このどうやって無理ゲーなのを、だからどうやってクリアするんだ、と。展望がまったく見えん!!

1巻感想

甘城ブリリアントパーク 1 3   

甘城ブリリアントパーク1 (角川ファンタジア文庫)

【甘城ブリリアントパーク 1】 賀東招二/なかじまゆか 富士見ファンタジア文庫

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謎の美少女転校生・千斗いすずが、可児江西也を放課後の教室でデートに誘ってきた。転校初日から校内で噂になるほどの女の子に誘われるというのは、悪くない構図だ。ただし―、こめかみにマスケット銃を突きつけられてなければ、の話だが。しぶしぶ承知して向かった先は「甘城ブリリアントパーク」。ダメなデートスポットの代名詞として名高い遊園地だ。そこで西也はラティファという“本物の”お姫様に引き合わされる。彼女曰く「あなたにこの『甘城ブリリアントパーク』の支配人になって欲しいのです」…って、なんで俺が。
平日に2000人から3000人お客が入っているなら、多い方じゃないのか? と、ついつい悪名高い第三セクターのあれやこれやと比べてしまうのだけれど、遊園地としてはこれではやっていけないもんなのか。ただ、年間百万人という入園者数の最低ラインはこれ、かなり低めに抑えられていると思う。確か、うちの近所の私鉄沿線の遊園地は、閉園した前年でも百万人超えてたはずですし、五年連続まで百万人割れを許容しているこの経営権に関する契約はむしろ甘め、とも言えるんじゃないでしょうか。
それなのに、五年間まともに対策も立てられず、半年どころか一ヶ月どころか、僅か2週間前になってあと10万人入園者をかき集めなければならない、というどう考えても絶望的な状況になってから、なんとかしてください、と頼み込んでくるのですから、無茶ぶりもいいところだろう、これ(苦笑
実際、当初はカニエくんも当然のように断りますし、いざ引き受けてしまってからも形振り構わない手段に打って出ます。ぶっちゃけ、これはまっとうな再建計画ではありません。二週間先を生き延びるためにその他の全てに目を瞑るような作戦です。たとえ生き残っても、その先は砂漠に真っ裸で放りされたようなもので、本当に先を何も考えていない、とにかく今を生き残る事に固執したような肉も骨も断ち切るような特攻です。それでもなお足りないあたりは、何気に生々しく、こういう場合奇跡を信じず、キレイ事などに見向きもせず、ダーティーな手段に打って出るを良しとするあたり、賀東さんらしい質がにじみ出ている気がします。
影では涙をのんだり、責任を負わされてえらい目にあったり、後始末に奔走している人たちも居るわけで、誰もが幸せな形で終われないんだよ、というような話をこんな夢の国を復活させるお話で無言でビシっと突きつけてくるあたり、まったく意地の悪い人である。
それでも、この一件に人の命が掛かっているというのなら、少年としても苦渋の決断をしなければならないわけで。本来何の関係もない人間にも関わらず、これだけの責任と決断を負わされるというのは普通に考えればたまったもんじゃないのですが、果たしてカニエ少年にはそれを成すだけの内なる理由があったのか。
実のところ、彼の過去の経歴にしても何にしても、様々な情報は伏せられたままなんですよね。とにかく、この一冊は甘ブリに二週間で十万人の客を呼ぶことと、マスコットに中の人は居なくて、加齢臭のするおっさんばっかり、という点に集中的に焦点がアテられていて、かなり的を絞った作りになってます。あとあと、話を広げていく余地と、キャラクターの背景を作り込んでいる素振りは十分に見せているので、あくまで今回はプロローグとして見るのが正しいのかも。肝心のヒロインであるラティファといすずにしても、あんまりカニエくんと絡む形では掘り下げてませんでしたし。
まあ結局のところ、可愛らしいマスコットの実体がくさいおっさんだった、という「中の人は居ない」というのをとにかく書きたかったんだなあ、というのがぷんぷん臭ってくる(苦笑
なんで、そんな居酒屋の酒やけしたおっさんトークにばっかりそんな力入ってるんだよ、なんかこいつらのきぐるみって、臭そうで嫌だw
個人的には「ふもっふ」言わずにしゃべるボン太くんは、完全にファンタジーです。

ともあれ、なんとか最初の関門は突破したものの、明らかに犠牲にしたものは大きすぎて、具体的には採算度外視しすぎてて、この段階で貸借対照表がどえらいことになってる予感。次は赤字経営の転換、ということになってくるんだろうけれど……無理ゲーでしょ、これw

フルメタル・パニック! マジで危ない九死に一生?3   

フルメタル・パニック!  マジで危ない九死に一生?

【フルメタル・パニック! マジで危ない九死に一生?】 賀東招二/四季童子 富士見ファンタジア文庫

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書き下ろしと10年のドラマガ300号企画であるボン太くんネタの一作を除くと、残る短編は2003年末から2004年初頭に書かれているという……もう7、8年前だぞ!? よくぞまあ……今までほったらかしにしていたものである(苦笑
しかし、本編との作中時間との兼ね合いなどもろもろあってギブアップした短編ですけど、これで例えば【魔術士オーフェン】みたいに短篇集は短篇集できっちり区切りつけた作品と比べても、こちらは特に最終回という話もなく突然ぶった切ってるんですねえ。【ご近所のサーペイヤー】なんてとても最終回って話じゃないですし。

【与太者のルール】
何気にこの話、宗介の我侭というか、大事にするが故にかなめに自分の感情を押し付ける、というところがあって「好き」なんですよね。押し付けるとは言っても押し付けがましいような鬱陶しさはなく、むしろささやかな話なんですが、宗介みたいな人間がそういう事するっていうのがそもそも珍しい、というか殆どありえない事なんですよね。それも「君にはそういう立ち位置に立ってほしくない」というよりも「君がそういう立ち位置に立つのがヤダ」という感じの、倫理よりもごく個人的な感情の側面によったものが感じられて、それをかなめにだけ求める、というところがまた宗介の可愛らしさというか健気さみたいなものが感じられて、なかなか萌える話だったんじゃないでしょうか。
これ、宗介の感情をかなめが察した後の、以心伝心な雰囲気がまた良いんですよね。ちょっと独占欲入ったような大事に護ろうとする意図を、ストンと受け入れるって、すごく愛情が通い合ってるって感じしません?
なんかこの話のラストはキュンと来てしまいました、うん。

んで注目は書き下ろしですよ、書き下ろし。
【テッサの墓参り】
誰の墓参りかと思ったら、兄貴じゃなくて作中時間ではだいぶ前に自殺していたテッサの初恋の人であり、アルの生みの親であるバニの墓参り。時系列的には本編終了後。アフターは最新作を除けばこれだけなんじゃないかな。
これ、「アナザー」を読んだ後だと「!?」となるネタ、けっこうな勢いで仕込んであるんですね。あっちを読んだ後、確認のためにちょこちょこ読み直してしまいました。
しかし、マオ姉さんが妊娠していなさったとは。いつできたのか計算すると、クルツがMIAになる前か、戻ってきた後か微妙なところにしてあるんだな。もし子供は出来てたけれどクルツが死んでたとしたら……マオ姐さんも性格ちょっと儚げになって、子供も性格変わってたのかもしれないなあ、なんて妄想してみたり。おいクルツ、お前責任とレよな(w
テッサは作戦以降、もう宗介とは直接会っていないそうで。そりゃそうだよなあ。振られた相手とこれからも仲良く友達でいましょうね、なんて普通はなかなか出来ないですよ。しかも、あれから三ヶ月って一番二人が盛り上がってる時期でしょうし。近づかないのが無難です。
テッサのメンタルってその辺、非常に女性的でこういう冒険活劇のメインヒロインとしてはやっぱり辛いんですが、一人のキャラクターとしてはやっぱり好きなんだよなあ。そもそも、宗介とは合いませんよ、テッサは。その点、今回登場した相方候補の男の子はフィット感がありますよ。テッサはこういう生意気で愛嬌のある年下の子相手にお姉さん風吹かせた方が絶対映えますって。テッサって周りが年上ばかりで、さらに敬われる立場もあってなかなか表面化しませんでしたけど、かなり小悪魔属性なところありますしねえ。結構弄るの好きなタイプだと思うんだよなあ。それも、宗介みたいに反応が固まってしまうタイプよりも、ムキになって突っかかってくるタイプに活き活きする子なんじゃないかなあ。まあなんにせよ、私生活の方もマオのファミリーと一緒に過ごすことによって寂しい想いをすることもなさそうですし、将来どうなっているかは非常に興味深いところではありますが、一先ずは安心しました。一番割食ったのがテッサでしたしねえ。
これでフルメタも終わりと思うと寂しい気になるかとも思いましたが、別作者ではじまった【アナザー】が思ってたよりも遥かにデキが良くて、ちゃんとフルメタの世界を引き継いでいるので、全然終わった気しないや。これは嬉しい悲鳴。さらにサイドアームズで書く事ももしかしてあるかも、とのことなのでそちらも素直に期待しておきたいと思います。ともあれ、一先ずは長きに渡ったシリーズ完結、お疲れ様でした。
おおっ、賀東さんの新シリーズもちゃんとあるんだ! これは楽しみ。

賀東招二作品感想

コップクラフト 3 DRAGNET MIRAGE RELOADED4   

コップクラフト 3 (ガガガ文庫)

【コップクラフト 3 DRAGNET MIRAGE RELOADED】 賀東招二/村田蓮爾  ガガガ文庫

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サンテレサ市警特別風紀班の異世界美少女剣士ティラナ・エクセディリカ。そしてその相棒、敏腕刑事ケイ・マトバ! 今回の事件の舞台は、高級住宅地クィーンズバレーの裕福な家庭の少年少女が多く通うシャーウッド高校。その生徒の全裸死体が発見された! ティラナとマトバに与えられた任務とは、なんと高校に潜入しての囮捜査! ティラナ、大胆不敵にも制服姿でシャーウッド高校に「転入」? サンテレサ市にシリーズ最大の大騒動が巻き起こる! 全ライトノベルファンの話題必至、いよいよ完全新作でお送りする第3巻!

……え? ケイって、ティラナのことアリなのか? なんかこいつ、酒に酔って守備範囲広いから実はオッケーとか暴露しやがったぞ!? てっきり大人の女性しか相手にしないイイ意味で男臭い敏腕刑事だと信じてたのにッ!!(笑
いや、でも見直したよ。ケイのこと、そこまでの猛者だとは思ってなかった。見縊っていた。だって、この表紙見てみなさいよ。女子高生の格好らしいですが、せいぜい中学生です。あたしゃあ、てっきり「おっ、新キャラだ!」と思いましたもんね。ティラナだとは思わなかった。考えて見れば、ただでさえヒロインがロリ幼女なのにさらにロリ幼女とか出すわけないんですが。まあ、それくらい幼く見えたということで。完全に幼女じゃないですか。
そんなティラナが守備範囲だというのだからおそるべしである。
見直したぜ!

……見直してどうするw

まあでも、この男、ガサツで大雑把な典型的な野卑な男の見えて、これで細かいところにまで気配りが出来るなかなか大した男なのである。痒いところにまで手が届くとでもいうべきか、居て欲しい時に居てくれる、というべきか。そんな頼れる男でありながら、同時にふとした瞬間にはびっくりするくらいの隙を見せてくる。こちらから頼り甘えるばかりでなく、頼ってもらいたい甘えてもらいたい、などという無意識の欲求を抱えている女性からすれば、もう文句のつけようがないイイ男なのだ。
面白いことに、そういった彼の性質はよっぽど彼のことを良く見ている女性でないと気づいていないですよね。女性刑事のコンビのケイという男に対する意見の相違はなかなか興味深いものだったし。

にしても、ケイの野郎、いつの間にかティラナの事、本当に大事にするようになったなあ。以前はまだ彼女がその突飛な性格から騒動を巻き起こさないかと心配して気を回しているところがあったけれど、今回の学校への潜入捜査でのティラナへの心配の仕方を見ていると、純粋に彼女が辛い目に合わないか、変なことに巻き込まれないか、女子高生なんて怪物の群れに放りこんで大丈夫なのか、とティラナ個人の心配をしてるんですよね。
……過保護だ。
まあ過保護とは言っても、きちんと彼女を刑事として、相棒として認めて尊重して扱っているので、子供扱いしているとかいう印象は無いのですが、でもやっぱり過保護だ(苦笑
うーん、この態度を見てるとティラナを亡き妹を重ねて見てるところはあるなあ、確かに。あの心配の仕方は、年下の肉親に対するようなものだし。
ティラナとしては、いずれ不満になる要素だろうけどね。
今はまだ、様々な体験を経て成長していく過程で、凹むこと心弱ること、価値観を揺さぶられて落ち込む事も多々押し寄せ、そんな中で自分を甘やかさず、しかし突き放さずに辛い時には傍に居てくれるケイの事を、頼もしく嬉しく思い、ドキドキと動悸が早くなったりするんだろうけど、彼の事が気になればなるほど、そんなケイの接し方に逆に不満を覚え出すはず。
さても難し気は女心という奴である。何しろ、女当人にもどうにも制御できない予測もできない暴れ馬だからして、んなもん男からすりゃ訳がわからんのも無理はない。
まあまあ、まだまだそんな段階までは進んでいないのだけれど……いや、案外と早いかもしれない。今回のティラナの心の動きを見ている限りでは。

肝心の事件は、というと殺人事件も絡んだハイソなお金持ち学校に出回る麻薬のルートを探るために、ティラナが囮捜査で女子高生に扮して学校に潜り込む、という真っ向刑事モノと学園モノをブレンドしに掛かってきましたよ。Z文庫の時の大人ティラナじゃ出来ない話だな、これ(笑
あっちのティラナなら、確かに女教師で潜入できたんだろうけど……いや、ティラナが教師とか絶対無理だろww
と、ちょっとした学園ラブコメディみたいなノリで行くのかと思いきや、事件は予想を超えた暗澹たる悲惨な結末へと転げ落ちていく。ティラナにとって試練の時である。戦士ではなく、刑事として事件と向きあう事によって出来た傷。一人前になる通過儀礼かもしれないのだけれど、そんな傷、負わなければそれに越した事はないのだが、それでも掃き溜めのような現実を、少しでもただそうと頑張れば、傷だらけにならざるを得ないのかも知れない。刑事なんて、一人で出来るもんじゃないですね。それこそ、支えあえる相棒がいないと。
このままなら、ティラナは良い刑事になれそうです。

1巻 2巻感想

フルメタル・パニック! 12.ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)4   

フルメタル・パニック!12  ずっと、スタンド・バイ・ミー(下) (富士見ファンタジア文庫)

【フルメタル・パニック! 12.ずっと、スタンド・バイ・ミー(下)】 賀東招二/四季童子 富士見ファンタジア文庫

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 bk1

うわぁ、お見事。宗介とカナメの物語としては、期待値を上回る見事な締めでした。
正直、ここまで人死が出てしまっている以上、宗介がカナメを取り戻したとしても二人が幾多の血塗れの犠牲の上に幸せを築けるのか、二人がそれを受け入れられるのか、読者である自分が納得してハッピーエンドを受け入れられるのか、少なくとも11巻を読んだ時点では非常に不安でした。
まず、このモヤモヤとした感じは払拭できないだろうと思っていた。
それを、見事に吹き飛ばしてくれたんだから、これはもうお見事としか言いようがない。

そもそも、このモヤモヤの発生源というのは、このままハッピーエンドになったとしても、千鳥かなめは、自分だけが傷を負わず、痛みを背負わず、この戦いで愛する人に先立たれた者たちの哀しみを贄にして、この戦いで死んだ者たちの骸の山の上に立った上でのハッピーエンドになってしまうということ。そんなの、ハッピーエンドでもなんでもないですよね。もし、犠牲者たちのことを一切顧みないような主人公とヒロインだったら、彼らの幸せにひとつも共感出来ないし、そうでないとしたら、かなめたちは一生涯負い目を負い続けることになる。
どう転んだとしても、かなめは無傷のヒロインとして一生モノの傷を負うことになってしまう。ですから、この最終巻を読むまではいったいこれをどう片付けるか不安だったわけです。
そう、重要だったのは、カナメだけが事件の中心にいながら蚊帳の外だったこと。
それを、作者はカナメもこの戦いの犠牲者として、大切な人を喪った者の一人に加えることで、彼女を血塗られた幸せを無償で与えられた者、ではなく、犠牲となりながら未来を掴もうとする者、にすることで、彼女を他者と同列に引き落としたのです。いや、これは正確ではないな。彼女は、オムニスフィアでのソフィアとの対決で、自ら幸せを拒絶し、自らを大切な人を喪った人々の葬送の列を加わる事を選んだ。宗介の死を、宗介のいない未来を、自ら選んだのです。他の人達が、たとえその行動が自分の選択だったとしても、自らの死、愛する人の死が無理矢理の強制的な出来事だったのに対して、彼女だけは自ら自主的に選択した。
この覚悟は大きかった。この覚悟があったからこそ、モヤモヤは吹き飛んだ。
結果的に、宗介は死んでおらず、かなめは宗介を喪う事を回避したのだけれど、これはあくまで結果に過ぎず、彼女の選択と覚悟には何らの劣化もない、彼女は幸せを誰かに与えられるのではなく、自ら勝ちとる資格を得たのです。
彼女は、幸せになっていい。

これは、マオとクルツにもかなり共通した話で、こちらはカナメと違って事態の中核を担う立場ではなく、自主参加とは言えあくまで一兵士だから、カナメのような覚悟までは必要とされないけれど、それでも悲恋と別れが飛び交う中で彼女たちだけが何事も無く上手く行ってたら、ちょっとなんだかなあ、という空気が流れていたかもしれません。それを、クルツが死んだことでマオは傷つき哀しみ絶望し、彼がいない世界で生きていく事になります。
たとえ、クルツが生きていたとしても、彼女が体験した哀しみや絶望はなくなるわけじゃありません。だから、彼女もまた、他の傷付いた人々とは無関係ではなく、彼らの痛みを自らの事のように理解できる立場の人間となっているわけです。
だから、素直に良かったね、と思える。

残念だったのは、カリーニン少佐が裏切り、世界の変容を望んだ心境を語りきれ無かったところか。宗介との最後の会話を聞いていると、彼の行動原理は理不尽な理由で失われた妻と子供との平穏な生活、という以外に、というかそれ以上に、宗介のことを思っていたようなんですよね。
飛行機事故の生存者として幼い宗介を救助するという縁に見舞われ、アフガンゲリラとして再会し、ミスリルで部下と上司になり、相良宗介という少年を息子のように見守ってきたカリーニン。狼の群れの中で生き残るために狼の皮を被った子羊、とは宗介のことを少佐が表現した言葉ですが、彼はずっと、息子のような彼が似合わない兵士という血塗れの生き方をしている事が痛ましくて仕方なかったのでしょう。宗介を陣代高校に高校生として送り込んだ理由の一端には、彼に年相応の当たり前の生活を送らせてやりたかった、というものがあったのはどこかで語られていたように思うのですが、その作戦の中で宗介は人間性を取り戻していきながらも、同時に図らずも彼には戦場でしか生きられない兵士の魂がこびりつき、一般人には戻れないまでに至ってしまっている事が露呈してしまうわけです。
カリーニンが裏切った理由は、此処にこそあるのではないのでしょうかね。戦場など似合わないはずの優しい少年は、愛する息子のような少年は、もうまともな生き方が出来ない、似合わない世界の中で、悶え苦しみながら生き続けていかなければならない。その事実に、彼は耐えられなかったのではないでしょうか。故に、全部まっさらに消してしまい、最初からやり直すしかないと思った。ある意味、レナードよりも世界の新生にこだわり執着していたカリーニンの理由。宗介とのやりとりから、そう想像する。
惜しむらくは、最後の場面に到るまでカリーニンの想いについて、ちゃんと描ききれ無かったところだよなあ。ほんとに最後の最後まで、彼がなんで裏切ったのかについてはわからないままでたどり着いてしまったし、彼の本当の想いもやりとりの中から想像するしかなかった。
前フリがもっとあったら、カリーニンと宗介が父と子であるともっと意識させる場面が数あったら、最後の場面はもっともっと心震えたかもしれない。

レナードは、最後まで哀しい男だった。彼は結局、絶望し続けて、そこからはいあがれなかったんだな。彼を救えたのはきっとテッサだけだったんだろうけれど、でもこの作品が始まった時点での時期では、既に手遅れだったんだろうし。せめて、もっと小さい時に、彼が本当に気力を失ってしまう前に、妹が強い娘である事を知ったとしたら、テッサが自分も知っていると、伝えていたら、何かが変わっていたんだろうか。
彼が、テッサの言葉にあれだけ動揺したのは、多分、妹が何も知らないまま、この世界で起こった彼の家族の真実を消してしまったからなんだろうし。ある意味、テッサの為でもあったんだろうなあ。

モヤモヤと言えば、陣代高校の面々と宗介が相いれぬ形で別れてしまったことも、終わりに向けてモヤモヤが残ってたところだったんですよね。前巻でオノDが悔やんでいたことからも。
まあ、そのへんは最後に再会して和解するんだろうなー、と思ってたんですが、あの映像にはやられた。
あれで、時間も隔てられ、もう宗介には戻って来る場所、帰る場所がない、と言ってた寂寥感も全部吹き飛んだもんなあ。あれは泣く。
ある意味このシーン、順調に最終巻まで刊行されてたらなかったんだよなあ。ユーチューブとか、終わるデイバイデイとか続くオン・マイ・オウンのころにはなかったんだし。

まあ、最終巻も見せ場持ってったのは、マデューカスさんだったけどな!!(笑
この人、最後まで侮れなかった、というかもうかっけえ。てっきりあのシーン、テッサの代わりに覆いかぶさるのかと一瞬思ったら、あれだもんなあ。

アルは最初の頃からするとパーソナリティが確立しすぎ。最終巻はさすがに味方側の死亡率はほとんどゼロに近くなるとは思っていたけれど、アルだけはAS搭載のAIってだけで最終回死亡フラグが立ってるようなものだったから、まず残ることはないだろうなあ、って思ってたのに(笑
余裕だ、ある意味登場人物の中で一番余裕だ。おまえ、ナイトライダーになって誰を乗せる気だよ(爆笑

後日談はぜひやって欲しい。終わったという余韻は、うっすらと消えて行くよりも最後までしゃぶりつくしたいものですもんね。
だいたい、ラブコメのお約束である、娘さんの父親とのご対面をまだやってないじゃないですか!(笑

筆者作品感想

フルメタル・パニック! 11.ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)4   

フルメタル・パニック!11  ずっと、スタンド・バイ・ミー(上) (富士見ファンタジア文庫)

【フルメタル・パニック! 11.ずっと、スタンド・バイ・ミー(上)】 賀東招二/四季童子 富士見ファンタジア文庫

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 bk1

登場人物の誰しもが吹っ切ることの出来ない鬱々としたものを抱えながら、目の前の為すべきことに縋りつくようにしがみつき、戦いは最終局面へとなだれ込んでいく。
最終回も間際だというのに、誰も彼もが陰鬱に篭ってしまっているので、えらくスッキリとしない展開にハマってしまっているなあ。このシリーズ、なんだかんだとここぞという局面ではスパァッと快刀乱麻を断つように暗い雰囲気を絶ち切って、痛快な結末を迎えていただけに、最後の最後に来てこの雰囲気はけっこう辛い。かと言って、次の最終巻でこそそれを期待できるか、というとちょっと無理っぽいんですよね。もうこの作品、大団円のハッピーエンドで終えられる最終ラインを踏み越えてしまっていますから。
その象徴が冒頭の、もうかなめたちが帰る場所のない陣代高校であり、サー・マロリーとロード・マロリーの親子の救いようのない結末である。陣代高校の方は、なんとか終わり方として形を整えることは出来るかもしれないけれど、かなめと宗介が再び友人たちと高校生活を送る事はもう絶対に無く、自身の意思ではないとしても一線を越えてしまったかなめは、良心の呵責からも責任感からも臆病さからも、もう元の生活に戻ることは出来ないでしょう。作中で宗介も述懐していますが、彼女のこれからの生き方というのはひどく厳しいものになっていくはずです。
かなめはすこぶる強靭な意志力と行動力の持ち主ですが、かなり脆いところもあり、彼女の精神的なケアを果たして宗介がつとめることが出来るかどうか。十年は大丈夫かもしれません、でも二十年三十年というスパンで見たら?
テスタロッサ家の両親の仲などを鑑みるに、あの家に限らずこの作品に出てくる登場人物の様々な家庭の事情を見ると、けっこう人間関係に対してシビアな書き方をしてるんですよね。まして、かなめって等身大に「嫌な女」な部分が結構色濃くあるので、なんか生々しい人生辿りそうなんですよね(苦笑

なんにせよ、あまりにも人が多く死にすぎ、修復できないまでに壊れてしまったものがたくさん生じすぎている。果たして、彼らの死や破壊が望むべき未来に繋げるための死かというと、それもモヤモヤとしてはっきりとしない。宗介がこの期に及んで悩んでいるのも、現状があまりにも救いがなさすぎるせいもあるのでしょう。
なんか、あの人に生存フラグがおもいっきり立ちましたけど、それも素直に喜べないんですよね。いや、あの人が生きてたのは素直に嬉しいんですよ。それにケチをつけたいんじゃなくて、彼が生きていたということは、メタな視点でいうと彼以外の死んでしまった人は戻ってこない、壊れてしまったものはなおらない、って事を示唆してると思うんですよね。
リセットは無い、ってことなんでしょう。その上での、最低限の救いがこれなんではないかと。喜べるけど、喜べないよ(汗
ましてや世界情勢は滑落の一途を辿っていて、時間災害における揺り返しが一気にきているかのような悪化っぷり。
個々人の決着のつけ方にしても、世界の行く末にしても、どう決着させるのか、そもそも着地できるのか、最終巻の一歩前まで来たにも関わらず、まったく見通しが立たないのは不安です。
宗介は、どういう結末になっても銃は置けなさそうだなあ。テッサは、なんかこのまま行くと某大尉(カピターン)みたいになりそうで怖いよ!! その前に生き残れれば、だけれど。
全滅エンドとかだったら伝説になりそうだ。それすらも、無いと言い切れ無いのがまた怖いよ!

著者作品感想

コップクラフト 2 DRAGNET MIRAGE RELOADED4   

コップクラフト2 (ガガガ文庫)

【コップクラフト 2.DRAGNET MIRAGE RELOADED】  賀東招二/村田蓮爾  ガガガ文庫

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サンテレサ市警に正式赴任したセマーニ人の美少女ティラナ。彼女の相棒となった敏腕刑事ケイ・マトバの日常は、手際よく行っていた犯罪捜査も、猫と静かに暮らしていたプライヴェートも、何もかもが一変してしまった。しかしサンテレサは異世界への入り口、超空間ゲートと繋がる玄関口にあたる『夢の街』──地球人類には理解不可能な特殊犯罪が続発している! 吸血鬼やらポルノ本窃盗団やら大忙しのポリスアクション、第2弾! 

一巻は異文化の衝突や血生臭い事件というのもあって、殺伐としたシリアス一辺倒のハードボイルドな刑事モノの映画っぽかったのですが、一転してこの二巻ではティラナとマトバの衝突も異文化ゆえのぶつかり合いも、お互いに信頼が醸成されているせいか、コメディチックに繰り広げられる。乱暴で手加減も衒いもない口喧嘩も、前は本気で相手を否定しにかかり、敵視と毛嫌いを交えたやりとりだっただけに、見ている方もハラハラし通しだったのだけれど、言い合っている内容はさほど変わらないのに、胃が痛くなるどころか、仲がいいねえお二人さん、と思ってしまえるのは面白いものだ。相手を認め受け入れた上での本音のぶつかり合いというのは、気のおけないやりとりというものになるのだろう。
尤も、ティラナは単なる仕事上の相棒関係というだけでは満足し切れなくなってきている節もある。はっきりと態度や言葉でケイに自分のことを認めて欲しいと欲する気持ちは、対等以上を欲する気持ちにつながるのではないだろうか。
まあ、ケイは普段からティラナのことを子供扱いして反省しないし、遠慮もなくちょっとした労いの言葉も寄越してくれない気遣いのなさは、ティラナとしても不満が募っちゃうんだろうなあ。ケイの性格からして、いちいち心配や労いの言葉をよこさないってのは、最大級の信頼をいだいている証左でもあるとおもうんだけれど、それは不器用な男の独りよがりなんだろう。こいつが猫しか家族のいない独身なのは、きっとそのせいなんだろうね。実際、ケイってけっこうモテる、というか気にしている女性は多いみたいなのに。

ただ、それだけ男臭い大人の男性なだけに、見てくれの幼いティラナってとてもじゃないけど恋愛対象になりそうな気がしないんですよね。実際、ケイはティラナに亡くした妹の影をみているみたいだし。Z文庫の頃のムチムチバディのティラナだったら、同居していると色々と対外的にも男としてもマズい、というのはよく理解できたんだけど、今のちっちゃいティラナだと別に一緒に住んでても大して問題にも思えないんだよなあ(苦笑
今度、ティラナにちっちゃいなりの女の艶というものをもっとだしてもらわないと、ラブコメ的にははっちゃけられないんじゃないだろうか。少なくとも、子供はコウノトリが連れてきてくれるのー、というレベルの無垢な意識しかないようじゃあ、ねえ(苦笑

キャラクターも、一気に脇を固める連中が充実してきている。一番目立っているのが、新任の上司のジマーだけどね。こういう、口汚くガミガミうるさく厳しいけれど、辣腕で上におもねらず部下たちがやりやすいように尽力してくれる上司ってのは魅力的だよなあ。
元恋人のセシルはなんかティラナと意気投合してしまったけど、これはよかった。ティラナって何だかんだとまだケイしかまともな付き合いのある地球人がいないわけで、何かと孤立しがちになっちゃうんですよね、どうしても。そこに、ちゃんとした女友達ができてしまえば、そっからセシルだけじゃなくてコミュニティも広がってくるだろうし、とりあえずは警察内部だけではあっても、ケイとティラナだけの閉じられた物語じゃなく、チームとしての話を作っていけますしね。同僚たちもなかなかのクセモノぞろいだし、Z文庫は二巻で終わっちゃったんですけど、幸いこっちは以降も続き出してくれるみたいだから、期待しております。フルメタも終わるから、余裕は出来るはずだし、もっとどんどん出てくれたら嬉しいなあ。

1巻感想

旧版2巻感想。きぬた氏が賀東さんの別名義と知らなかったので、かなり(私がw)見るに耐えない、恥ずかしい感想になっております(苦笑

コップクラフト DRAGNET MIRAGE RELOADED3   

コップクラフト (ガガガ文庫)

【コップクラフト DRAGNET MIRAGE RELOADED】 賀東招二/村田蓮爾 ガガガ文庫

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あ、あれ? ティアナさんが、ティアナさんがおっぱい魔人から幼女に縮んでますよーーっ!? ますよーーっ!?
ちょっ、待ってくださいよ。これじゃあ、ケイとティアナの間に艶っぽい展開が訪れたら、ケイが確実にロリコンの称号を獲得してしまうじゃないですか、おいおい。

元々ゼータ文庫から二巻だけ出ていたシリーズ。それも、この一巻は賀東さんは原案に携わったのみで、実際の執筆は別の人が書いていたはず。何があったのか、二巻は賀東さんが自ら書かれていたわけですが。この二巻がべらぼうに面白かったんだよなあ。二巻では良くも悪くも息の合ってしまったデコボココンビのバディとしてドタバタ大騒ぎを繰り広げる二人でありますけれど、この一巻では出会った最初の印象が最悪の一言で、ギスギスと通り越してガリガリとガラスを引っかくような最低のところからはじまる所なんぞ、バディものとしてはまずはお約束といったところか。
個人的には最初の反発が強すぎた分、バディとしての信頼を築くまでの過程がちょっと足りなかった気がするんだよなあ。あの一つ、いやもう二つほど二人の距離を縮め、心情を繋ぎ、同じ方向を向いて突っ走れるための原動力となるきっかけが欲しかったところ。まだこの段階だと、ケイにしてもティアナにしてもお互いの腕や心意気といったものは認めるに至ったものの、命を預ける相棒として繋がっていくにはまだまだ足りないっぽい感じなんですよね。特にティアナ、<棄剣>する相手としてケイにそれほど信頼を置くに至る何かがあったのかというと……。
さすがに他の人が書いた話を書き直すというのは難しかったのかなあ。想像以上に前の部分を外枠として認識してしまったのかもしれない。二巻も思い出してみれば、冒頭らへんは二人の書き方がちょっと窮屈に感じるところがあったし。
それでも、言っちゃあなんだけど、旧作よりやっぱり面白かったんですよね。キャラの息遣いが違うというかなんというか。読み比べてみるとなかなか面白いかもしれない。
以降の賀東さんの、完全に自分のものにしたケイとティアナの描き方の自由奔放でドライブの効いたタッチを思うと、これから二巻以降もさらに続きが出てくれる可能性があると言うのは楽しみで仕方が無いのは間違いない。

あとがきのアレにはちょっと焦ってしまった。本気で信じかけましたがな。こんな日本のライトノベルそのままなのやってるはずがないのに。というか、旧作読んでるんだからそんなはずないというのは分かってるのに(苦笑


追記:やべっ。コメントいただいて、どうやら旧作も賀東さん本人だったらしいです。正直えーっという感じですけど。完全に違う人だと思い込んでました。文章読んだらわりと分かるつもりだったので、けっこうショック&恥ずかしいです、はい(苦笑
二巻の冒頭の固い感じはつまるところ仕様だったのかー。

フルメタル・パニック! せまるニック・オブ・タイム  

せまるニック・オブ・タイム (富士見ファンタジア文庫 92-20 フルメタル・パニック)

【フルメタル・パニック! せまるニック・オブ・タイム】 賀東招二/四季童子 富士見ファンタジア文庫


本当にもう、カナメって娘はまともにヒロイン出来ない子だなっ。いいところないじゃないか。これじゃあ、人気をテッサにまるまる持ってかれるのも仕方ないですよ、とカナメ派の私が愚痴ってみる。
というか、今回はもうショックが大きすぎて、参ってます、参った。へこむとか落ち込むとかを通り越して、とにかくショック。衝撃だけが頭の中でグルグルまわって、胸の中にでっかい重たいもんをデンと鎮座させて動かない。
泣くとか泣かないとかそういう感情も湧かなくて、なんか乾ききってるのが不思議な感覚。こういうシチュエーションだと、もっと感情的にグラグラ揺れるもんのはずなんですけど、今回はとにかくショックで……まいったなあ、ほんとに。
もう、感想=ショックでしたマル、で簡潔にまとめられますよ、今回。ほか、ぜんぶ吹き飛んじゃった。あぎゃ。

ドラグネット・ミラージュ 2.10万ドルの恋人  

ドラグネット・ミラージュ2 10万ドルの恋人
【ドラグネット・ミラージュ 2.10万ドルの恋人】 賀東招二/篠房六郎 ゼータ文庫
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こう言っちゃ、本当に申し訳ないんだけど。一巻とは面白さが格段に違いますわ。
正直舐めてた、賀東招二。フルメタ、滅多に出ないから忘れてましたけど、賀東招二って、メチャクチャ面白い話書く作家なのだというの何か思い知らされた感じ。
いや、一巻書いてた人もダメってわけじゃないんだわ。アメリカのバディの刑事モノとしては、けっこうよく出来てたと思う。それだけに、キャラのアクション・リアクション、会話の妙。ストーリーの転がし方、何気ない言葉の使いよう。地の文のリズム感の明度の違いが如実に分かってしまって。
参ったなあ。
最初はきぬた氏の文章を意識してたのか、どことなくお仕着せを着てるような乾いた書き方してたくせに、段々タヅナ引き締めてるのに飽きてきたのか、我慢がきかなくなってきたのか、途中から吹っ切れたようにメインのケイやティラナ。加えて、サブキャラのトニーやらがガリガリ動き出しやがってまあ、このヤロウども。
素晴らしすぎて失神しそうになったのが、ジマー主任。まったく、この人はこういうオヤジキャラを書かせたら天下一品だなあ、というかフルメタ含めた賀東キャラの中でもこの主任は頭一つ抜けた超イカシた親父キャラだぜ!!
すまん、惚れたぜ、ボス。
表題作の「10万ドルの恋人」に至っては、賀東氏お得意のコミカルなノリがバチンとハマって、もう楽しいのなんの。この人、ハマると本当に面白いんだよなあ。近年じゃ一番ハマった会心作じゃないのかしら。この辺になると、完全に登場人物らを掌握し切ってしまってるようで。キャラの行動パターンにもバリエーションというか、色々出来る余地を得たようで。
ケイが、ケイがもうイイようにかわいそうなことに(爆笑
一巻じゃあ、かなり面白味の無い無骨な男だったのになあ(苦笑
ティラナも、かなり可愛らしい面を見せてくれてるし。
はっきり言って、事前に予想していたよりも遥かに、遥かに面白かった。大絶賛。大喝采。続き、この世界のこのキャラたちの話、是非是非読みたい読みたい読みたいです。こいつはオススメ。いやー、面白かった♪
 
11月26日

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