【転生令嬢カテナは異世界で憧れの刀匠を目指します! 〜私の日本刀、女神に祝福されて大変なことになってませんか!?〜】  鴉ぴえろ/JUNA オーバーラップノベルス

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

日本人だった前世の記憶を取り戻した男爵令嬢カテナ・アイアンウィル。
彼女は自分が「大好きな日本刀を作りたい」という未練を残して命を落としたことを思い出す。
そこで、アイアンウィル家が代々鍛冶師を育んできたと知ったカテナは、悲願だった日本刀づくりができる! と刀匠になる道へ進むことに。
さっそく工房に弟子入りして鍛冶を学び、地道に刀づくりに励むこと数年――ついに日本刀が完成。
その瞬間カテナの前に“女神様”が降臨して!?
異世界に存在しない日本刀が女神様に気に入られまさかの神器に認定。
さらに、神子として膨大な魔力を授かり、この世界を脅かす“魔神”に対抗するお役目も受けてしまい……?
「私、ただ日本刀が作りたかっただけなのに!」
平穏な刀匠ライフを守るため――邪魔する敵や降りかかる理不尽は、最強の魔力&日本刀で斬り伏せます!!
  刀匠令嬢のチートな異世界ファンタジー、開幕!
人間、やりたい事だけをやっていられる、なんてなかなか出来ないんですよねえ。
念願の日本刀を作り上げたカテナは、でもその日本刀が現代の地上では誕生しないはずだった神器となってしまったために女神によって神子に選ばれてしまう羽目に。
これ女神様が面倒を運んできたようにも見えるんだけれど、実際は戦略武器を創り出せるウーマンになってしまったカテナを庇護するためだったんですよね。国家権力に対しては神の権威による庇護を、そして自分たちを脅かす武器を作る存在として命を狙ってくるだろう魔族に対しては、自己防衛のための武力を備えさせるために。女神様によって神子に任じられていなかったら、国の管理下に置かれるか、魔族によって家族ともども命を脅かされるか、いずれにしても自由に刀を打つなんてどころじゃなかったのでしょう。
尤も、その思うがままに刀を打つための「自由」を手に入れるために、カテナは相当の努力を求められることになるのですが。王家相手の政治的な立ち回りに、身を守るための鍛錬、刀を工芸品としてではなく武器として広めるため、つまり商材として認知させるための経営や商売方面のアプローチ、量産品作成のための研究、開発、工場や人員の確保などなど。
自由を掴むために、とてつもない不自由を得ることになってしまう。でも、それらを全部クリアしないと自由に刀を打つための環境を得られないというジレンマ。
「私、ただ日本刀が作りたかっただけなのに!」
というのは、カテナの魂の叫びと言えるでしょう。
めちゃめちゃ努力家なんですけどね、カテナ。日本刀の製作だって魔法を補助に使っての錬鉄など手探りで何年も掛けて成し遂げたように一足飛びには出来ていない。実際に刀を使う方の修練だって女神様の端末にそれこそ地獄の鍛錬を年単位で受け続けて、それこそ叩き上げで鍛え上げてきたが故の腕前ですからね。でも、その分刀作りに打ち込める時間は削られているわけですから、もどかしいでしょうなあ。他の煩わしいことは別にやりたくてやっているわけじゃないんですから。でもやりたくないことをやらないとやりたいことが出来ない、というのは現実の世界でも常に付き纏う世知辛さなんですよねえ。
尤も、カテナの場合全部彼女がやる羽目になっているから大変な労力が必要となってしまっているわけで、やりたい事以外は全部他人に投げてしまう、というやり方もあるんでしょうけどね。丸投げしてしまうのとは違って、自分のやりたい事だけをひたすらやれる環境を整える能力を持っている人ってのが稀に居るんだよなあ。
そういう意味ではカテナは決して器用な方ではないのでしょう。女神様に与えられた神子としての権威、というのは使いようによったらもっと絶大な効果を発揮したと思うんですよね。この辺、お母さんが穏便ながら結構上手いこと娘が得た権威を利用して彼女の自由を確保するためにあれこれやってくれていたのですけれど、まああまりどこにも角が立たないような立ち回りでしたから穏便穏当であったのは間違いなく。
やろうと思えば、あの王子……社会的に潰す事すら女神様の物言いからして出来る権威があったっぽいような言い方でしたし。関わらない、という方向性は穏当な方でありましょう。でも、国に留まる以上は関わらないなんて事は出来ないんだよなあ、カテナの持つ有用性からしたら。絶対に、王家は彼女を無視出来ない。統治者である以上、それは絶対に。
でも、カテナが得た権威を一番威として感じていないのはカテナ自身なんだろうなあ。彼女にとって神というのは決して崇め奉るものではないんですよね。それは自分の刀に宿った女神様の端末ミニリル様との気安い関係からも明らかで、凄い存在としての敬意はあっても信仰はなく、端末とは言え顔を見ながら話せて意思の疎通が出来る。だから、上に見るのではなくカテナは女神であろうとどこか対等の友人のように接する部分があるんですよね。手の届かない距離の在る関係ではなく、側にいて笑いあえてしまう存在だからこそ、カテナは女神のために刀を打ち、刀を振るう理由ができた。
ただ好きだから、夢だったからという理由だけじゃない、刀を打つための強い動機が。

それにしても、別の作品の主人公の弟もそうでしたけれど、主人公の女の子に反発敵対する側の男の子、ただの我儘だったり傲慢、無知無能というわけじゃなく、ちゃんと彼らなりの理由があり信念あっての態度でもあるんですよね。ただ何も考えていないアホの類、頭空っぽのボンボンではなく。
もっとも、理由や信念があったからといって態度が褒められるわけじゃないのだけれど。彼なりの必要性があったとしても、頭の悪いやり方だなあとは思ってしまいますよね。あるいは考え違いをしているとも、浅慮だったり思考の硬直化だったり視野狭窄だったり。救いようがないわけじゃない分、余計にたちが悪い、とも言えなくもないんじゃないでしょうか。
まあこの王子はバカであっても聞く耳持たないほど愚かではないんだけれど、聞くための耳が遠いんだよなあw まあ一度届けば物分りは悪くないとは思うのだけれど、やっぱり相手するのは面倒ですよね。ただでさえ他でリソース喰われているのにw