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輪くすさが

最果てのパラディン IV 灯火の港の群像 ★★★★   

最果てのパラディンIV 灯火の港の群像 (オーバーラップ文庫)

【最果てのパラディン IV 灯火の港の群像】 柳野かなた/輪くすさが オーバーラップ文庫

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“鉄錆山脈”での死闘と、帰還の後。ウィルを待ちうけていたのは、めでたしめでたしの幸福な日々でなく、おそるべき更なる脅威でもなく…なんてことはない、ありふれた日常の日々だった。頼れる戦友、剣士レイストフとの友誼と決闘。吟遊詩人ビィと、雪積もる魔法の森での冒険。あるいはいにしえの、無敵の巨人との戦い。そして、灯火の神との祈りと対話。―これは聖騎士の綴る、ひと冬の日々の記録。

あ、やっぱりこの作品のヒロインって灯火の神様なんだ。いや、これに関しては前回にお姉ちゃんな不死神がウィルにちょっかい掛けてきたときの、グレイスフィールさまの嫉妬全開モードを見ていると言わずもがなというところだったんですけれど、神様ふつうに地上の種族とウィルが恋仲になることに関しては何にも言わなかったと思うんですよね。でも肝心のウィルの方がこれほどまでに熱烈な感情をグレイスフィールさまに抱いていたとは。
まあウィルの女っ気の無さは無関心故じゃなくて、徹底的に縁がないだけ、な気もしますけどね!!
ともあれ、これってもう最上級の純愛ですよね。触れることも叶わぬ相手に、ただただ愛を捧げ続ける。信仰と変わらぬ愛という名の供物を。まさにプラトニックラブ。
まあ、まさかグレイスフィールさまも、神との交感の場であれだけ熱烈な愛の告白をされるとは思ってなかったんでしょう。神様としてなら信仰だろうと愛だろうと黙って受け取るべきなんでしょうけれど、このグレイスフィールさまときたら普通の女の子みたいに、今の自分の力では受肉できないし、あなたになにもしてあげられない、なんて返事してるんですよね。それでも、死にかけてて意識朦朧としてテンパってるウィルに押し切られてしまうのですが、いやその返答とか神様じゃなくてただの女の子ですから。かわいいなあ。
レイストフさんの結婚話の際にも、神様そこで啓示しちゃうんですか!? という、誘拐婚の仲間に神様も加わってるかのような働きを見せてて、だから神様興味津々すぎるでしょう、女の子か!
正直、ウィルは女の子の趣味が素晴らしくイイと思うよ、うん。
ただし、メネルのウィルの子孫をずっと見守っていく、という野望はこれ絶対果たされないこと確定ですよね。それとも、大逆転なサヨナラホームランが控えているんだろうか。
どちらにしても、この件を知ったら不死神さまのテンションがあがっていまうだろうなあ、というのはネメルとまったく同意見である。
ウィルにしても神様にしても、この件の前に丁度レイストフさんの結婚の話があっただけに、それぞれ思う所あったのでしょうけれど。あれは、一人の剣士としての生き様の一つの終着点であり、一つの生まれ変わりでもありますもんね。この困難の時代であろうと誰もがそうではないのでしょうけれど、人を愛して人生をともにするということが、それまでの人生を終わらせるという決断を伴うだけの重いもの、いや大事なものというべきか。それだけの比重を伴っている、というケースは決して多くはないはず。それだけ、レイストフさんのそれまでの剣士としての生き様が壮烈で輝かしく一瞬一瞬が途轍もないものだったことをうかがい知ることが出来ますし、それを引き換えにしてしまえるだけのものを、アンナさんとの間に見出したのだという証左なのではないでしょうか。愛というものの凄まじさを、ウィルも神様もこうして目の当たりにしていたわけだ。
その意味ではバグリー神殿長、あっさり娘との結婚を認めずに、ああやって立ちはだかる最後の壁になってみせたのも、それだけレイストフさんの人生の終わりと始まりを尊重し、祝福していたからなんだろうなあ、と思ってしまうのです。

ビィの話もまた、彼女が大好きだった人を歌い「継いで」行こうという話でしたし、無敵の巨人の話もまた、大いなる神代から受け継がれていたものが、一度は途切れながらも悠久の果てに再会して、これからも続いていく話でしたし、それを見守り寄り添い手助けしつづける聖騎士さま、その人が両親・ブラッドとマリーから受け継いだものを心に宿して、頑張っているわけで、その象徴とも言うべきブラッドたちに向けた手紙を綴るシーンを最後に持ってきたのは、この短編集の締め方としてはとてもしっくりくるもので、しばし余韻に浸らせてもらいました。良いものだ。

シリーズ感想

最果てのパラディンIII 鉄錆の山の王(上/下) ★★★★★  

最果てのパラディンIII〈上〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

【最果てのパラディンIII〈上〉 鉄錆の山の王】 柳野かなた/輪くすさが オーバーラップ文庫

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ウィルが聖騎士となってしばらく。悪魔たちやキマイラを倒し、無法と困窮の“獣の森”には、人々の営為と笑顔が戻りはじめていた。しかし最果ての地に、再び邪悪の影が忍び寄る。季節外れの花が咲き乱れたことから始まる、森の異常。解決のため、仲間とともに“獣の森”の深奥に挑んだウィルを待っていたのは、森の王からの不吉な予言だった。「鉄錆の山脈に、黒き災いの火が起こる。火は燃え広がり、あるいは、この地の全てを焼きつくすであろう」滅びしドワーフの都、“鉄錆山脈”に眠る災いとは―?新たな出会いとともに、再びウィルたちの冒険が始まる!


最果てのパラディンIII〈下〉 鉄錆の山の王 (オーバーラップ文庫)

【最果てのパラディンIII〈下〉 鉄錆の山の王】 柳野かなた/輪くすさが オーバーラップ文庫

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平和を取り戻しはじめた最果ての地に、再び邪悪の影が忍び寄る。「鉄錆の山脈に、黒き災いの火が起こる。火は燃え広がり、あるいは、この地の全てを焼きつくすであろう」“獣の森”の深奥で不吉な予言を受けたウィルは、新たな仲間を加え、ついに“鉄錆山脈”へと挑む。懐かしき再会と、予期せぬ出会い。そして、不死神スタグネイトからの死の予言。「もう一度だけ言う。―挑めば、死ぬぞ」今は無き地底の王国で、切って落とされる決戦の幕。“最果ての聖騎士”を待ち受ける結末は、果たして…?

うわぁ、王道だ、これぞ王道だと言わんばかりのファンタジーだ。竜殺しですよ、ドラゴンバスターですよ。神代から生き延びている古き竜に挑む若き勇者たち。ドラゴンがねぐらとする山に向かう戦士たちの図は、かの【ロードス島戦記】のエンシェントドラゴン・シューティングスター討伐戦を彷彿とさせるもので、思わずワクワクしてしまったなあ。
エルフが仲間になれば、次は勿論ドワーフが、というのも王道なんだけれど、今まで見てきたドワーフというものはみんな生まれ持っての歴戦の戦士で、出会った段階で既に揺るぎのない不動の貫禄を持っているものばかりだったので、今回仲間になるルゥのように未熟で箱入りだった若者のドワーフを主人公であるウィルが、というか仲間たちが寄ってたかって鍛え上げていく、という構図はなかなか珍しいもので、新鮮さがありましたね。そう言えば、メネルもあれでエルフっぽくないガラッパチな兄ちゃんなんですよね。ウィルも敬虔な神官戦士という基本的に生真面目で温厚な性格ながら、結構おちゃめというか可愛らしいキャラクターとやたら筋肉信仰の強いポンコツさが愛嬌あって、テンプレートからハズレているので物語は揺るぎのない王道にして、その道を走るキャラクターたちは個性的に躍動してる、というのが本作の魅力の一つなのかもしれないなあ。
放浪賢者のガスにしても、あの俗っぽさと口数の多さは普通の賢者像から外れていますし。
しかし、どのファンタジーでもドワーフの境遇たるや過酷を極めるものばかりだわなあ。ドワーフの坑道王国というのは、真っ先に魔軍に攻められて滅び去る運命にあるのか、ってそれほど類型があるわけではないんだろうけれど、これもロードス島戦記前史での魔神戦争における石の王国の滅亡の印象が強いからなんでしょう。
でも、こっちのドワーフ王国の興亡はより鮮烈であり、その滅びは戦士たちに逃されたドワーフ難民たちの塗炭の苦しみの内にも焼き付いていて、ボロボロになりながらもその生き様を支え続けていたんですよね。そして、その集約として、結実として、ウィルとの出会いがドワーフたちに戦士の誇りを、未来への希望を、ルゥという若き王者の誕生を生むことになるのである。
ウィルの足跡というのは、もう片っ端から英雄譚なんだよなあ。本人たちは決してそんなつもりはないんだけれど、運命は濁流のように彼をめがけて押し寄せてくる。それこそ、彼を見守る神々の想像をすら超えて。もう、神様たちのハラハラ感が伝わってくるようである。ウィル自身は無謀とは程遠いわりと堅実な性格で、彼自身自分の中の勇気に疑問を抱いているように、闇雲に突っ走る見ていて危うい部分は本当に少ないのだけれど、迷って悩んでビビって怯んでそうやって捻り出した決意、確信は絶対に揺るがない若者だけに、見守る神様たちの気持ちたるや複雑なものがあるんでしょうなあ。何しろ、彼の決意の起源というのは往々にして自分たち神に起因しているのだから。それも、灯火の神様にしても不死神にしても、自分たちの気持ちや思惑を無視してのものではなく、むしろ自分たちの在り方、信念を慮り、尊重し、何よりも大事に思ってくれているからこその決意だと伝わってしまうために、なおさらに嬉しく、苦しくなるのではないでしょうか。
ウィルの信仰というのは、むしろ神様たちの方をこそ襟を正してしまい、気持ちを新たにさせられるものなんじゃないだろうか、と思うほどなんですよね。そして、その信仰は彼女らを矢も盾もたまらずにさせてしまう。
これも一つの神殺し、なんでしょうかねえw

いや、本作の女っ気のなさにはビックリするくらいのものがあったんですけれど、そうだよなあ、これだけド級のヒロインが控えていたら、並のヒロインなんてお呼びじゃないわなあ。
ガスに出会いがないのかとツッコまれて、様々な劇的な出会いのイベントあったのに、それ全部相手男だったんだよ!! と慟哭するウィルには失礼ながら爆笑してしまったんですが、まあこの調子だとこの先も女には縁なさそうだ。いやマジで。
気風の良いエルフのお嬢さんが出てきた時はついに!? と思ったものですけれど、なんか普通にメネルといい雰囲気になってたもんなあ。メネル、何気に女慣れしてそうなの、ほんとエルフらしくないですよねw
将来はウィルの子孫を見守って……なんて嘯いてましたけれど、その将来展望叶わないんじゃないかなあ。むしろ、自分のほうが早く子孫できそうじゃないですか?
いや、不死神さまの爆弾発言見ると、可能性は大いにあるのか。グレイスフィールさまのあの嫉妬全開モードはめっちゃ可愛らしかったですし。

肝心の対ドラゴン戦ももう大満足の激戦でした。本作の気持ちのよいところは、決して一方的な論法で正義と悪を線引してそれを強制しないところでもあるんでしょうね。竜であるヴァラキアカとの激論も正義の押し付けではなく、お互いに自分の譲れないものと許容しえるものとのぶつけ合いであり、結果として相容れず戦うしかないという結論に至ったものの、お互いに大いに納得した上で相手を否定するためではなく、何としてでも倒さなくてはならないとしても、この上なく認めあった上での闘争でしたからね。確かに邪悪であり強欲であり俗な竜でしたけれど、ヴァラキアカはだからこそ非常に魅力的で堂々としていて敬意に値する実に格好良い敵でした。神代の竜として上から見下ろすのではなく、同じ舞台に立って戦った対等の敵でした。
最後の、ウィルに付与された竜の血による効果も、確かに呪いではあるんだけれど、同時にやっぱり祝福でもあったと思うんですよね。皮肉と嫌味に満ちた、挑戦状みたいな祝福ですけれど。うん、やっぱり呪いか。でも、憎しみや恨みというドロっとした感情は微塵も感じないんですよね。せいぜい、嫌らしくも意地悪げな竜の笑みが透けて見えるような、そんな呪い、という感じで。
ヴァラキアカが認めた英雄であり続けるなら、呪いは呪い足り得なず祝福となり続けるのでしょう。ほんと、やらしい竜だわなあ。これに比べると、不死神さまはだいぶ素直というか、ストレートですよね。

いずれにしても、文句なしに面白い最高のヒロイック・ファンタジーでした。

1巻 2巻感想

最果てのパラディン 2.獣の森の射手 ★★★★   

最果てのパラディンII 獣の森の射手 (オーバーラップ文庫)

【最果てのパラディン 2.獣の森の射手】 柳野かなた/輪くすさが オーバーラップ文庫

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女の子じゃないのかよぉ!! 思ったよね、思ったよね? メネルドール、ハーフエルフのこの娘が本作のヒロインだって。なので、読んでいる間中いつ正体がバレるんだろう、メネルの隠されていた性別が明らかになるんだろう、とニコニコしながら待っていたのだけれど、いつまで経っても正体がバレないのでにこにこ顔のまま「ん?ん?」となってたら、ついに一緒にお風呂まで入ってそのまま何事も無くあがってしまったのを目の当たりにして、ようやく、ようやく「あれ? もしかしてメネルって女の子じゃないの? マジで違うの? ウィルくん、男と女の区別もつかないポンコツくんじゃなかったの? むしろ、こっちがポンコツだったの!?」と現実を受け入れるはめに。
はずうかしいっ。
やられた。新キャラ登場の展開があまりにも毎度おなじみだったので、新ヒロイン登場だ、と何に疑念も疑わずに思い込んでしまった。だって、メネルってちょっと口が悪くて柄も悪いけど何だかんだと親身になってくれて、世話好きで、何だかんだとお坊ちゃんな所の在るウィルの脇の甘さをマメに埋めてくれる、実にヒロインらしいキャラクターだったじゃないですか。メンタル的にも、家族以外と接触したことのなかったウィルの危なっかしい部分を時に乱暴に突き、時に体を張って支え、と名実ともに無二の相棒になっていくところなど……。
あれ? ……別にもうヒロイン女の子じゃなくてもいいんじゃね?
詩人には後々、実はメネルは女の子で、ウィルと恋仲だったのだ。と歌われるに違いねえと頭抱えてたメネルですけれど、あんたそれまだマシかもしれないよ。男の子だったけれど恋仲だった、と何百年歌われ続けてもおかしくなさそうですね、うん!!

いやしかし、本当に2巻になってもヒロインが登場しない、というのは想像もしていなかった。もしかして本当にヒロインはメネルなのかもしれないし、心から神に捧げている聖職者として生きているウィルの物語としてはもしかしたら真ヒロインは灯火の神グレイスフィールなのかもしれないなあ。グレイスさま、イメージの中に登場するだけで何も喋らないのだけれど、意外と感情豊かに見えるんですよね。ウィルが思いつめて間違った方に突き進んでしまいそうになった時はえらい心配そうにしてるし、メネルに助けられて自分の往くべき道を見つけた時なんかは凄く嬉しそうにはにかんでるし。
もうどれだけウィルのこと一生懸命見守ってるのか……あれ? やっぱりヒロイングレイスフィールさま?


生まれてからずっと遺跡の中で育ってきたウィルが、初めて見る人の住む世界。ブラッドたちの時代から200年が過ぎた外の世界・南辺境大陸の情勢が旅するうちに明らかになっていくのだけれど、厳しい環境であると同時に、そこで人々は逞しく生活してるんですよね。そういう人々の苦境や生きる意思の強さを純真無垢なその性格で素直に感受して、心に感じ入っていくウィル。
そんなウィルだからこそ、人の強さたくましさに素直に感動し、敬服し、愛おしみ、祝福してくれるウィルだからこそ、厳しい環境の中で生きてきた辺境の人々は彼の英雄としての輝きの強さと、聖職者としての包むような包容力に惹かれていくのである。まさに、闇に点った灯火のように。
ウィルのように、戦士としてよりも敬虔な信徒としての神官としての在りようが前に出ている主人公、というのは珍しいんだけれど、これが実に染み入る良さなんですよね。ウィルの在り方こそが、偏見を抜きにした正しい聖職者としての在り方なんだろうなあ、とちょっとした感動も抱いたり。
とはいえ、彼もまだ若く、箱入り娘みたいな生活をしてきた若輩者である以上、未熟な側面は多々あり、また進むべき道に壁がそびえ立てば、右往左往して間違った道へと進んでしまおうとするもの。そんな彼をしっかりと支え、叱咤し、時には蹴飛ばしてくれる対等の人間とこの旅の中で出会えた、というのは彼に与えられた祝福なのでしょう。
やっぱりメネル、ヒロインだわなあ。
聖職者としては、バグリー神殿長みたいな人と初っ端から出会えたわけですし。外に出て、ウィルが初めて出会った人間たちに絶望や失望する可能性は決して少なくなかったでしょうから、良き運命が彼を導いているのでしょうか、やはり。
いや、それ以上に、未だブラッドとメリーとガスの英雄譚が武勲詩として謳われ、人々に親しまれていることが示しているように、ちゃんとブラッドたちの戦いが人の世を守り人の誇りを守った結果が、外の世界に出たウィルを守ったと言えるのかもしれないなあ。
ブラッドたちの英雄譚が語られるのを聞くとき、ウィルが目をキラキラさせていたのと同じように、読んでるこっちも思わずワクワク胸を高鳴らせてしまった。ああいうのは、嬉しくなっちゃうよねえ。

1巻感想

最果てのパラディン 1.死者の街の少年 ★★★★☆  

最果てのパラディンI 死者の街の少年 (オーバーラップ文庫)

【最果てのパラディン 1.死者の街の少年】 柳野かなた/輪くすさが オーバーラップ文庫

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かつて滅びた死者の街――人里離れたこの地に一人の生きた子供、ウィルがいた。少年を育てるのは三人の不死者。豪快な骸骨の剣士のブラッド。淑やかな神官ミイラのマリー。偏屈な魔法使いの幽霊のガス。彼ら三人に教えを受け、愛を注がれ少年は育てられる。そしていつしか少年は一つの疑念を抱く。「……この『僕』って、何者なんだ?」ウィルにより解き明かされる最果ての街に秘められた不死者たちの抱える謎。善なる神々の愛と慈悲。悪なる神々の偏執と狂気。「約束だ。ちょいと長いが、語ってやる。多くの英雄と俺たちの死の……、そして、お前がここで育った話でもある」――その全てを知る時、少年は聖騎士への道を歩みだす。
これは大作だなあ。新たな世界に生まれ落ちてから、旅立つまでに丸々一巻費やしてるんですよね。そして、その旅立ちまでの出来事がとてもドラマチックで心を打つものになっている。
それは、一つの家族の成り立ちであり、一人の少年の成長と巣立ち。彼の生涯にまつわる信念を、生き様を決定づけるドラマが、ここに描かれているのである。
スケルトンのブラッド、ミイラのマリー。ゴーストのガス、と赤ん坊だったウィルを育てる三人は、既に生を終えたアンデット、不死者であるのだけれど、その心は在りし日の人間のまま。彼らがなぜアンデットに成り果て、この無人の使者の街で暮らしていたのか。なぜ、生者である赤子のウィルが彼らの元で育てられることになったのか。様々な謎と事情を内包しながら、それでも三人の死者たちはありったけの愛情を赤ん坊に注ぎこみながら育てていく。
技術も家事も戦いの技も魔術の知識も、彼らが持ちえるあらゆる知恵と力をウィルに注ぎこみながら。それは、技や知識を引き継ぐ後継者や彼らの目的を果たすための道具として、ではなく、ひたすらにひたすらに、ウィルが生き抜く力を与えるため。自分たちの息子に、存分に生きてもらうために。

死者であるからこそ、もう生きていない存在であるからこそ、彼らがウィルに望む「生きて」という願いは途方も無く純粋で。いや、生きているだの死んでいるだの関係なく、ただただ家族として、親として、彼らは自分たちの子供である少年に、おそらくただ生きることだけでも過酷であろうこの世界で、心身健やかに生きて欲しかっただけなのだ。
家族の愛情、そのなんと大きく広く温かく勇気をくれるものなのだろう。
前世、落伍者として苦渋を味わい、無為に生き無為に死んでいった後悔から、この新しい生では目一杯生きようと志していたウィルだけれど、何よりも彼らの「生きて」という願いこそが、少年を後押しする。
目一杯の尊敬、目一杯の親愛。自分の存在すべてを与え合い、注ぎ合う家族の関係。それは、最後に明かされることになる三人の死者の真実と、彼らとウィルに与えられることになる試練によってその真価を試されることになるのだけれど……試すことすらおこがましい、神の手管すら跳ね除けるこの死者の街の家族たちの生き様には、ただただ胸が熱くなるばかりだった。目尻が熱くなるばかりだった。
最愛の息子を送り出そうとする家族たちの、そんな死者たちを守ろうとする少年の、互いを守ろうとする姿の、なんと愛に満ちていることか。

この物語に、どこか神聖な雰囲気が漂うのはそんな彼らのひたむきな愛情の深さによるものなんだけれど、それだけではなく、この世界に関わる神々の神秘的な存在感が、この静謐なぬくもりにひと味を加えてるんですよね。
より直接的に現実世界にコミットするこの世界の神々なのだけれど、かと言って卑俗な存在などではなく、とても神秘的で尊さを感じさせる大いなる存在、って感じなんですよね。それでいて、上から威光を投げかけるようなものではなく、どこか身近で寄り添いながら見守ってくれているような愛情を感じさせてくれるのである。人の在り方を無言で尊重しながら、その心映をずっと近くで見守ってくれている、その信念を寄り添いながら支えてくれる。もし、心が弱ったならばそっと傍で支えてくれる。本来あるべき、神の愛を体現しているかのような、この世界の善神たちは、そんな慈しみと愛情に満ちた存在なんですよね。
この作品が、この主人公が、パラディン……聖騎士という神に使え、神に捧げる騎士になっていく行く末に、素直に祝福を送りたくなるのも、彼を導く神様がそれだけ敬愛に足る存在だからなのでしょう。とても神秘的でありながら、深くぬくもりに満ちた愛情を感じさせてくれる存在だからでしょう。
家族からの愛、そして神からの愛。とても素朴で、だからこそ偉大な想いが目一杯に詰まった少年の成り立ち、その旅立ちの物語である。



 
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