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遠坂あさぎ

聖剣学院の魔剣使い 8 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 8】  志瑞祐/遠坂あさぎ MF文庫J

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10歳児に転生した最強魔王とお姉さん達の学園ソードファンタジー第8弾!

ヴェイラと共闘し、〈海王〉を倒したレオニスの前に現れたのは、死んだはずのリーセリアの父、クリスタリア公爵だった。レオニスは彼を追い詰めるが〈天空城〉の次元転移に巻き込まれ、リヴァイズ、ヴェイラと共に異世界へ飛ばされてしまう。一方、帝都に残るリーセリアは鬼教官シャーリのもと〈聖剣剣舞祭〉に向けて特訓するのだった。「レオ君はこんなに厳しくなかったわ」「あの御方はあなたに甘すぎるのです!」そしてレオニス不在の中、陰謀渦巻く聖剣士の祭典が始まる――!

シャーリ、普通に見つかって正体バレましたな!!
今までこっそり隠密していた(ちらちら目撃はされてましたが)のがあっという間にパーである。いや、シャーリの存在がバレるにしてももうちょっと劇的だったりドラマチックだったり状況的に仕方なくだったり、というまあそれなりに格好の良い、或いは格好のつく正体バレになるのかな、と思っていたのですが、本当に普通にドアを開けたらばったり、というどうしようもない理由でバレちゃったんですが。
さすがシャーリ、ある意味期待を裏切らないw
まあレオニスの影武者でセリアさんには存在自体は知られていたので、仕方ないと言えば仕方ないのですが。
話の方は、レオニスとヴェイラ、リヴァイズという魔王が揃ったサイドと、聖剣剣舞祭に向けてのセリアたちの学園サイドの2局面での分割進行となっていましたが、ヴォイドや女神の秘密がわかりそうでわからない微妙なラインをずっとせめてくるなあ。
ヴォイドの誕生には女神が絡んでいるみたいなんだけれど、その女神の正体が果たしてレオニスの主君たるあの人なのかは、まだはっきりしないんですよね。ただ、はっきりと関係ない別人、とかじゃないのは、女神の使徒として暗躍している連中がどうも魔王の1柱だったり、レオニス含めた魔王たちの配下だったりする以上は、無関係ではないのだろうけれど。
とりあえず、クリスタリア公爵当人が黒幕だった、という展開ではなさそうなのでセリアさんの気持ち的にはちょっと安心した。これで父親がすべての黒幕だった、とかだったら救いようないですもんね。
しかし、レオニスのショタ化は他の魔王からしてもなかなか衝撃的だったのか。なんか感情が薄そうなリヴァイズですら、ショタコンの卦を見せてたもんなあw

実際、レオニスを直で見ても敵側の連中は彼を不死の魔王とは気づいていないわけですし。レオニスの正体に関する情報が敵側には完全に伏せられている、というのはやはり大きいアドバンテージですよ。未だ、不死の魔王は眠りについている、というのが相手の現状認識なわけですし。

そう考えると、レオニスの眷属でありながら今目立つ表舞台に立っているリーセリアはレオニスの秘密がバレる要因にもなるのか。実際、今現在女神の使徒として暗躍していたかつてのレオニスの部下であるイリスと交戦状態に陥って、レオニスから送られた戦闘衣装である真紅のドレスから何らかのレオニスとの関わりがある、と察知されてしまっているわけですしね。
でも、レオニスってかつての魔王時代の部下、みんなこう普通に悪そうな奴ばっかりだねw 
シャーリの中に封印されていた第3の眷属も大概アレな人みたいですし。ってかあれって、シャーリの別人格、ってわけじゃないのか。あくまでシャーリは肉体の器であり封印器であって、ラクシャーサと呼ばれる魔神の魂とは別の存在なのね。別人格、というのもシャーリ実はツヨツヨ、という感じで面白かったかもしれないですが。

さて、そのシャーリにスパルタで鍛えられまくっていたセリアさん。せっかく、修行強化がなされたのですから、やっぱりその成果を見せてくれないと。あの聖剣剣舞祭の対戦相手であるシャトレス姫も、同じ不死者として相対することに成ったイリスも、どうもセリアさんの事ナメくさって見くびっていらっしゃるようなので、ここはバシッと一発食らわせて目にもの見せてやらないと。
という場面で颯爽と現れてセリアさんを助けてしまうレオニスくん。君、ちょっと過保護すぎじゃないですか? そこはもうセリアさんに任せて自力でケリつけるのを見守るところですよー。
次回でちゃんと、セリアさんに決着任せてくれるかもしれませんが。


聖剣学院の魔剣使い 7 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 7】  志瑞祐/遠坂あさぎ MF文庫J

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10歳児に転生した最強魔王とお姉さん達の学園ソードファンタジー第7弾!
「――〈海王〉リヴァイズ・ディープ・シー!?」海の底に眠る〈天空城〉で、竜王ヴェイラが遭遇したのは、古代の海を支配した最強の魔王だった。火花散らし、激突する二人の魔王。一方、レオニスの所属する第十八小隊は〈帝都〉で開催される聖剣士の武闘大会、〈聖剣剣舞祭〉に参戦することに。復讐のため魔王の配下となる咲耶、王家の宿命に導かれるレギーナ、〈魔剣計画〉の裏で暗躍する、フィレット家と戦う覚悟を決めたエルフィーネ。それぞれの因縁を抱え、舞台は人類最後の絶対防衛戦――帝都〈キャメロット〉へ。嵐の前に静けさはない。嵐の前には〈魔王〉が来る――!!


こうしてみると、セリアの部隊のメンバー。リーセリアにレギーナ、エルフィーネ、そして咲耶と四人ともそれぞれに並々ならぬ事情を抱えているんですよね。四人とも高貴な身分でありながら、その立場を失ってしまっている身でもある。エルフィーネは厳密には違うけれど、密かに実家とは対立しているわけですしね。
各々の事情については、これまでだいたい一人にスポットをあてて一巻ほど掛けて描いてきたわけですけれど、帝都での大規模イベント〈聖剣剣舞祭〉に参戦する事になったのを期にみんなの抱えている問題が一堂に会する形で浮き彫りになってきた感がある。
その中心はエルフィーネが探っている魔剣計画とそれを主導していると思しきフィレット家。ついにアンタッチャブルだったフィレット伯爵家、実家の父や兄たちと対決する覚悟を決めたエルフィーネを裏面に、表側では特別招待枠として参加することになった〈聖剣剣舞祭〉。という事になっているけれど、レギーナも実の姉妹であるはずの王族と対面することになり、咲耶も一族の行く末をかけてレオニスが化けている魔王の配下として、帝都で暗躍することになり。と、せわしなくなっている一方でリーセリアに関しては、家の事情関係なく話が進むのかな、と思ってたんですよね。
セリア自身は、レオの第一の眷属という立場がヴェイラの再びの登場で脅かされて、なぜかレオにくっついて眷属と名乗るヴェイラと張り合ってしまい……という感じにレオとの関係の方で忙しそうにしていたんでねえ。クリスタリア公爵家の生き残り、という立場故に特別招待枠で武闘大会に参戦することになった、という事情だけで実家関係の話は十分大変そうだっただけにセリアについてはそれ以上クリスタリア公爵家云々の話は掘り下げられないかな、と。少なくとも実際に大会がはじまるまでは関係ないかな、と思っていたのですが……。
ラストで思いっきりひっくり返されてしまいましたよ。正直、その人物の登場は結構驚いた。
なかなか怒涛の展開になってきていて、それだけこの帝都編が山場という事なのでしょう。そろそろ、黒幕の正体と目的についても暴いてきてほしい頃合いだっただけに、ここに来てのストーリーの激しい動きようは大歓迎である。敵の正体はもとより、いったい何を目論んでいるのか、何をしようとしているのかがわからないまま、というのはひたすらに受け身で居続けないといけない状態でもありましたからね。
不死王レオニスの復活を、敵側に今の今まで悟られていない、というアドバンテージもあったので一方的に受け身だった、というわけでもないのですけれど。
おかげで、わりとレオニスはこれまで呑気に過ごしているんですよね。帝都に来たら来たで普通に観光気分ですし。シャーリーが届けてくれる食べ物レポート、結構重宝してるでしょう、レオくんw
本来の諜報活動よりも、美味しい食べ物探しの方がレポート量多いじゃないか、とツッコミながらもそれを咎めるでもなく、何気に楽しみにしてるんじゃないか、というくらいに読み込んでますし。
それ、普通にシャーリー編纂のイベントや観光スポット、お店情報誌な帝都ウォーカーですよねw
しかも、セリアとのデートでレポートが役に立ったものだから、シャーリーに勲章を授与しようか、とまで悩んでますし。呑気だw

とはいえ、ヴェイラと組んでのリヴァイズとの激突に、最後のあの人物の出現、といつまでも呑気してられなくなったか。風雲急を告げるなかで次回に続く。



聖剣学院の魔剣使い 6 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 6】  志瑞祐/遠坂 あさぎ MF文庫J

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10歳児に転生した最強魔王とお姉さん達の学園ソードファンタジー第6弾!

「レオ君――君は、一体何者なの?」〈死都〉での任務より帰還したレオニスを待っていたのは、リーセリアによる質問攻めだった。魔王の秘密は遂にバレてしまうのか!? 一方、咲耶の周囲では〈桜蘭〉出身の武装傭兵団が〈第〇七戦術都市〉を巻き込む恐ろしい計画を実行しようとしていた。かつての同胞を止めるため、ひとり奔走する咲耶は、謎の魔王(※レオニス)に接近する。「魔王の力を貸りるには、それなりの対価が必要だな」「え、えっちな要求か?」「違う!」明かされる〈桜蘭〉滅亡の真実。姿を現した咲耶の姉。そして、レオニスの師にして〈六英雄〉最強の〈剣聖〉が目を覚ます――!

レオくん、想定外のことが起こるとわりと内心でいつもテンパってますよね。今回にしてもセリアに正体がバレたときにしても、予想外のところで咲耶と行き会ってしまった時も、え!?え!?どうしよう!?どうする!?てな感じで慌ててますし。まあ慌てて軽率な失敗をしないあたりは流石なのですが、テンパってる時点で可愛いんですよ、ショタ可愛いんですよ。
君はずっとそんな感じで居てください。
……いや、セリアに事情の一端を明かしたとき、けっこうやらかしてないかしら。魔王と告げなかったのはともかくとしても、探しているロゼリアという人物が現世ではただの女の子という情報は、セリアさんちょっと引っかかっちゃうんじゃないだろうか。
古代の王国の王様だった、という話をしながら、魔王だという事に関しては言わなかった件についても、別に言っちゃっても良かっただろうにそこまで踏ん切れなかったのか。彼が勇者から魔王になった詳しい事情については明かされていないので何とも言えないのだけれど、少なからず親しかった人たちが敵に回ったことが心に残っているんですね。魔王だと知れた時にどう反応されるかが引っかかって踏ん切れなかったというのは、それだけセリアの事を大切に思っているからなんだろうけど。情報の小出しは後々話がもつれる要因になりそう。
ただでさえ、他では魔王ゾールなんて名乗って活動はじめているわけですし。それでついつい咲耶と接触してけっこうがっつり関わるはめになっちゃってるわけですしね。
彼がそうして徹底して自分の正体隠していることは、敵側にも一切その存在を気取られていないという点で大きなアドバンテージを稼いでいるのも確かなんでしょうけど。
セリアに埋め込まれていた女神の欠片とやら、普通の展開なら後々芽を出して取り返しのつかない事態に陥る原因になりそうなものなのに、あっさりレオくん除去しちゃいましたしね。いや、取っちゃうの!? 取れちゃうの!? とびっくりしてしまうくらい簡単に取っ払っちゃったもんなあ。なんやかんや理由つけて、現状では手を出せないみたいな展開にもならず。これ、埋め込んだ敵サイドはこれ気づいていなくて、未だに「ふふふ」とほくそ笑んでるわけで、若干間抜け面を晒してるんですよねw
ただ、果たしてこの欠片を除去してしまった展開が思わぬことにならなければいいんですけど。もしかしたら、埋め込まれたままだった方が違う展開になったという可能性も、セリアと女神の繋がりしだいではアリ得るわけですから。まあこればっかりは話が進まないとわからないのですけれど。

そろそろ咲耶側の事情も明らかにしてきてくれたわけですけれど、彼女は彼女で孤高に半分闇に身を沈めながら修羅に堕ちても外道に堕さず、の矜持を示しながらヴォイドを斬って回っている姿はさながらダークヒーローなんですよね。
魔王軍としてはスカウト上等なのか、この場合。でも、スカウトする際に取引で彼女だけではなく咲耶のもとに集っている彼女の国の民まで臣下になるように要求するというのは、最初からあんまり取り込むつもりはなかったんでしょうね。ブラッカスも、あんまり気が進まない感じでしたし。
結局、レオくんは眷属であるセリアも含めて、あんまり魔王サイドに取り込もうという姿勢は見せないんですよね。魔王の配下になるという事は人類の敵になるという事、それを彼女たちに強いる事に抵抗を覚えているのか。あんまりそのあたり言及されないので、想像するしか無いのだけれど。
セリアをせっせと育てたり、今回咲耶に新たな力を授けたり、と彼女たちの強化にはせっせと勤しんでいるのですけどねえ。

そうこうしているうちに、復活したレオくんが初めて遭遇する自分よりも強力な敵。ここで、まさか魔王である彼に「聖剣」が発現するのは予想外でした。いやだって、魔王に聖剣って。
セリアがずっと悩んでいたように、この世界では皆に聖剣が発現する以上、人間として生まれ変わったレオくんにもその可能性がある、というのはそれこそ言われるまでさっぱり頭になかったなあ。
となると、そもそも「聖剣」とはなに? という話になってくるんですよね。ヴォイドの正体からして、未だに殆どわからない状態である以上、あまりにも情報が足らないのだけれど。
いずれにしても、大きく事態が進展したのには間違いなく。剣聖のヴォイドがセリアの事を女神の器と言ったのは今回レオくんもはっきり聞いたわけですから、セリアの正体についても話が進んでいくんじゃないでしょうか。さらに、新たな魔王も登場して、ということで話も新たな段階に進みそう。


古き掟の魔法騎士 1 ★★★  



【古き掟の魔法騎士 1】  羊太郎/遠坂 あさぎ 富士見ファンタジア文庫

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「ロクでなし魔術講師と禁忌教典」羊太郎、新シリーズ!

「お前の王道を見せてみろ」――伝説時代最強の騎士と謳われると同時、野蛮人の異名を持つシド=ブリーツェ。キャルバニアの若き“王子”によって復活を遂げた男は、魔法騎士学校の教官として、新たな生を決意する。

いやいやいや、全然野蛮人じゃないじゃん! せいぜい、物腰がワイルドで口ぶりがぞんざいというくらいで、いわゆる粗でも野でももちろん卑でもない。ぶっちゃけ、イラストがもっと見た目蛮族なおっさんだったら、野蛮人呼ばわりも仕方ないかなと思わないでもないけれど、細マッチョの爽やか黒髪イケメンですし。
まああくまで野蛮人というのは、伝説で伝わる異名ですので現在に蘇った彼を見て評された呼称ではないのですけれど、それにしてもむしろ性格も全然野蛮っぽくないんだよなあ。
堅苦しい所がなく自由人っぽいのは宮仕えしてる騎士には確かに見えないのだけれど、怒鳴ったり威圧したりせず、常に落ち着いた言葉で語りかけてくる当たり温厚そうにすら見えますし、いつも騎士たる者云々と騎士格言を口癖みたいに口ずさんでいるあたり、ちょっと騎士好きすぎるだろうというくらい騎士然としてるんですよね。
その騎士格言も、武や強さ云々に関わるものではなくて精神性、心構え、騎士としての在り方を語るもので、騎士道の探求者であり体現者であることを常に志しているような高潔さが見え隠れするんですよね。
旧主から頼まれて仮の主君となったアルヴィスへの対応も、これまた非常に柔らかい。
あくまで主君に頼まれたから守るのであって、忠誠を誓っているわけではない、と前置きしておきながらも、アルヴィスを試すような真似をしたり旧主と悪い意味で比べたりせずお前なんぞ主人とは認められんなあ、と突っかかったりせず、ほんとに仮ですか? と言いたくなるくらい親身に接してくれるのである。いい加減な対応は絶対にしないんですよね。
紳士的ですらある。
いやほんとに、どこに野蛮人要素が?

なぜ彼が伝説で悪名を謳われるようになったのか、忠誠を誓いながらなぜ主君アルスルに討たれる事になったのか。今なお結ばれるアルスルとの約束とは。など、彼の過去にまつわる謎、秘密に関しては今回では語られることはなかったのですけれど、いやほんとになんでこの人が野蛮人なんだ?

ちょっと面白いのは、千年近く前の伝説の騎士が蘇った、という突拍子もない話がわりと普通に受け入れられてしまっている所なんですよね。
シドの正体を隠すことなく、むしろ喧伝する形でアルヴィスが王家に伝わる秘術でシドを復活させ、騎士に列っした、と公に明らかにしているのである。それを、誰も嘘だと思わず疑わずに、シドに対する感情はともかくとして、彼が本当にシドであることについては誰も文句は言っていないのである。
千年も前の騎士が蘇る、そんな出来事が普通に受けいれられてしまう土壌が、この世界観にはあるわけだ。妖精がその身を変えて形作ってくれた妖精剣を騎士たちが身につけ、魔法が存在し、古き盟約が今も息づき、亜人や巨人、半妖精が人間と別け隔てなくヒトとして生きている世界。この世界は神話・伝説とまだ地続きの神秘が当たり前のように残っている世界に見えます。
未だ神代に片足を突っ込んでいる時代。そんな中では古き騎士の復活というのは滅多とない奇跡でありつつもあり得ないと疑うほどの出来事ではないのでしょう。
大概の異世界ファンタジー世界は、神話時代が遠くに去ってしまった時代なことが多いので、こういう時代感はちょっと新鮮でふわふわした感触がしていいなあ。

物語は、アルヴィスが男装の姫ながら弱き民を守る王としての資質を見せ、シドから真の忠誠を得るまで。シドが真の騎士としての在り方を、未熟で落ちこぼれの従騎士たちに示し、彼らに騎士として教官としての真の尊敬を得るまで、のお話。なんですけど。
アルヴィスについては最初から覚悟決まっていて、常に自分らしくあるままで、それをシドもわりと最初から好ましく見ていたので、彼らが真の主従となるのはわりと順当な流れだったんですよね。
むしろ、自分こそがアルヴィスの騎士であるとシドに反発し、しかし自分の未熟さを痛感して挫折しかけ、それでもシドに叱咤されて立ち上がる、というアルヴィスの幼馴染であるテンコの方が紆余曲折たどってるんですよねえ。
他の従騎士仲間たちのメンツは、まだちょい役すぎて名前もキャラクター性もあんまり覚えられず。この段階で、この中からあれを出してしまったのはちょっと早計だったんじゃないだろうか。まあ紛れ込んでいたという形である以上、長く居着いているとすぐバレてしまう、というのはあったのでしょうけれど、ほぼ衝撃としてはなかったわけで。もっと、長く親しく付き合ってたら、衝撃度も高まっていたのでしょうが。
しかし、この王国、王家にろくに権威も戦力もなく、戦力的にも政治的にも三公爵家が牛耳ってるのって、しかもどの公爵家も自家の利益しか考えておらずに王家にとって変わる気満々で、王国全体のこと全く考えてない、って現在魔国とほぼ戦争状態にも関わらずこれは亡国一直線すぎるでしょう。
王家の影響力を拝して国政を牛耳ろうとするにしても、あまりにも雑な力押しすぎて、ただの無能じゃないのか、こいつら。権謀術数の欠片もないじゃないか。
おかげで、アルヴィスが頑張ればそれだけで王家の権威と発言力がある程度以上取り戻せてしまったのですが。

結局、向こうの黒幕の思惑もまだ全然見えてこず、何人かの敵サイドの人間の動きを見せている分相手がどういう体制をとっているのか、よくわかんないんですよね。アルスルとシドの過去もまだ不明のままだし、取り敢えずは主人公サイドのメインの顔見せと立ち位置の構築、が主だった一巻だったと見るべきでしょうか。


聖剣学院の魔剣使い 5 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 5】 志瑞祐/ 遠坂 あさぎ MF文庫J

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「よくもあたしを殺してくれたわね、レオ♪」波乱に満ちた聖灯祭の余韻も残る中、レオニスの前に現れたのは、倒したはずの〈竜王〉ヴェイラだった。暴虐の竜王に脅され、しかたなく都市を案内するレオニス。「大変、レオ君が誘拐されたわ!」こっそり二人を追うリーセリアだが、なぜかプールでヴェイラと勝負することに。そんな平和(?)な時間も束の間、第十八小隊に与えられる〈巣〉の殲滅任務。その目的地である〈死都〉では、魔王軍大参謀ゼーマインが、恐るべき〈不死者の魔王〉を復活させる陰謀を企てていた――!

ヴェイラ、あれで死んでなかったのか。どころか、あれで死んでないのどう殺しても死なないんじゃないだろうか。単細胞生物のスライムでもあるまいに、侵食汚染された部分切り離して自意識も覚醒させる、ってほぼ何でもありなんじゃないのそれ?
不死者の魔王顔負けの不死っぷりである。わりと力押しの脳筋っぽい竜王ですらこれなのだから、段々と情報解禁しだしている他の魔王たちもこれ、絶対死んでないだろうし格下に利用されるようなタマじゃなさそうなんだよなあ。絶対曲者揃いだ。
魔王同士よく衝突していたみたいなことをレオニスは常々語っていたけれど、ヴェイラとの気のおけない様子を見ていると、他の魔王とも別に仲が悪かったわけではなかったんだろうな。単にコミュニケーション方法が暴力的だっただけで。
ヴェイラを案内するレオニスの様子はデートみたいな雰囲気とは程遠かったものの、一応この戦術都市は自分の王国扱いしているレオくんなので、現代初体験のヴェイラに対してどーだすごいだろー、的に自慢気に案内して回る姿がちょっと可愛かった。いや、君が作った都市じゃないでしょうに。
レオくん、わりと中身も見た目相応に子供っぽくなってる疑惑は常々あったのだけれど、魔王時代からの知己であり同格であるヴェイラ相手ですら子供っぽさが抜けないあたり、完全にメンタルも幼くなってるぞ、これ。お陰で魔王ムーブかましている時もちびっこが背伸びしてカッコつけてるようにしか見えないのも気の所為ではなかったのかもしれない。名探偵コナンのコナンくんみたいに小学生してるの演技だけで中身ふてぶてしい高校生なのとは、全然違うっぽいんですよねえ。
それがレオくんの可愛らしい魅力につながっているし、お姉さんたちに可愛がられるのに違和感を感じない要因なのでしょうけれど。
とはいえ、お陰で周りはみんなレオくんを弄り回すお姉さんばかりなので、実は対等に接するヴェイラというのはなかなか新鮮な関係者でもあるんですよね。その他では見られなかった対等な関係に、セリアが触発されてこいつは見逃せねえ、と危機感を覚えるきっかけになるのですが。
今まで、他の女性陣が接触してきてもこんな風に嫉妬を感じることあまりなかったですしねえ。
現実的にも、魔王であるレオニスと対等に接する事のできる相手というのは同格の魔王しかいないだけに、そのヴェイラとこうして気のおけない関係でいられるというのは得難いものなのかもしれません。場合によっては、彼女を眷属化していた可能性もあるんですよね。それを回避出来たのは良かったのでしょう。彼女とは対等の関係であるほうが気持ちの良い間柄でいられそう。
とはいえ、こんなにあっさり遊ぶだけ遊び倒したら出ていってしまうとは思いませんでしたけど。でも、敵側にもヴェイラが生存している情報は知られていないだけに、彼女が遊軍としてフラフラ徘徊してくれているのは、いざという時かなりの助けになりそう。
生存が知られていない、というとまさに主人公であるところのレオニスもまだ封印されてると思われてたんですねえ。
敵側が今度は不死者の王を復活させる、とドヤ顔で暗躍しはじめた時は、なんかもう微妙に間抜けた図に微笑ましさすら感じてしまいました。その魔王さま、とっくに復活していらっしゃいますから。現代満喫していらっしゃいますから。いや、満喫してるのは部下のメイドとわんこの方かもしれないけど。
ただこうしてみるとレオニスの復活というのは本当に想定外のイレギュラーなんだなというのがわかるんですよね。敵サイドはそれなりに綿密なスケジュールと計画に基づいて動いているみたいですし、その中で眠れる魔王が勝手に目を覚ましている事態、なんてのは全く考えられていなかったようですし。となると、その事態を引き起こしてしまった、つまり本来なら絶対に目を覚まさないはずのレオニスを復活させたセリアという娘の異常さが際立ってくるわけです。

さらに、タイトルにもなっている聖剣と魔剣についてもかなり不穏な状況が見えはじめてきました。【聖剣学院の魔剣使い】というタイトル、単にみんなが聖剣使ってる学校の中でこっそり魔剣使って無双します、程度の意味合いだと思っていたのが、聖剣と魔剣に深い相関が見られてきたんですよね。ってか、レオくんが使う魔剣と、今回語られた聖剣が暴走した形での魔剣って全然別物? それともなんか関係あるんだろうか。今の所、レオが使うのは魔王時代から使ってたもので、現代に目覚めたらなんか知らんけど人類が使うように為ってた聖剣ってものに関しては全くレオくん知らなかったので関係は見えてこないのだけど。
ただ、レオの魔剣が女神を殺すもの。聖剣が変転した魔剣たちが、女神を復活させるために焚べられる生贄だというのを鑑みると、関係がないはずもないのか。
ともあれ、ここまで聖剣が怪しいものだとは思わなかった。なんかそういうものとして普通に受け入れてたもんなあ。聖剣の誕生、人類の中で発現するようになったこと自体仕組まれていたのか。となると、どうしてセリアには聖剣が目覚めなかったのか。レオの眷属になって初めて聖剣が目覚めたのか。それにもちゃんと理由がありそう。それに、咲耶が他の魔剣に侵食された使用者と違ってちゃんと自我を保ったまま魔剣を使えるというのも、そろそろ彼女が物語の中心に入ってきそうな予感。
今まで、ワンコと遊んでるのとメインの外側で一人でずんばらりんとヴォイド斬りしてたばかりでしたもんねえ。というか、ワンコと遊んでばっかりじゃないかw
そのワンコことブラッカス、いやもう君実質飼われてないかい? 咲耶の後見の翁はこの誇り高き獣は誰にも飼うことは出来ませぬ、と言ってくれてたけど、実質君学院では咲耶のペット満喫してましたよね。むっちゃ飼われまくってたよね?
本人ならぬ本犬、ご満悦そうなので別にいいのですけど。


聖剣学院の魔剣使い 4 ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い 4】 志瑞祐/遠坂 あさぎ MF文庫J

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見た目は子供、中身は魔王なお姉さん達との学園ソードファンタジー第4弾!
第〇三戦術都市での任務から帰還した第十八小隊。〈六英雄〉の聖女を滅ぼし、女神ロゼリアに託された〈魔剣〉の使命を思い出した最強魔王レオニスは、決意を新たに魔王軍の再編を進めていた。そんな中、第〇六戦術都市〈アレクサンドラ〉を迎え、〈聖剣学院〉では大規模な学園祭が催されることとなる。あわただしくコスプレ喫茶の準備に追われるレオニスたち、「レオ君も着るのよ、きっと可愛いと思うわ」「なんでだ!?」アルバイトにいそしむシャーリ、「魔王様、おいしいお菓子が焼けました!」。だが、祝祭に沸く学院都市に、一〇〇〇年の時を超え、永久凍土で発掘された〈魔王〉が運び込まれようとしていた!

セリアさんのコスプレがエチエチすぎる! なに、この人こんなわがままボディだったの?
あの格好で接客に出ようとして、誰も止めなかったんだろうか。レギーナもエルフィーナさんもむしろ積極的にやらせそうだし、無理かー。
折角の学園祭でしたし、お化け屋敷をモチーフにした喫茶店というイベントも元々の寮の幽霊屋敷じみた雰囲気に、リーセリアが吸血女王となった影響で闇の眷属!(カラス)がわんさと集まっているという状況もあって、実に味わいのある出来栄えになってたと思うので、その辺のイベントもうちょっとスポットを当ててやってくれても良かったと思うんですけどね。
レオくんの女装というド級の展開もあったわけですし。
というか、お姉様方に押し負けて女装を受け入れちゃうレオくん。そういう所ですよ! ほんと、そういう所が精神面までショタ化してると言われても仕方ない所なんですからね。あらすじの見た目は子供、中身は魔王というフレーズ相当怪しくなってきてる気がするんですがw
中身も子供になってるっぽくなってきてるから。
冒頭の、配下のスケルトンたちに勲章を与えるシーンも、お子様が手作りの勲章作ってご満悦、というふうにしか見えないし。セリアさんには骨の玩具と勘違いされてるしw
強制的にさられた女装は、ついにはもうこんな可愛いんだから女の子でもいいじゃない、とまで言われる始末。いやもうほんと、見てくれも可愛いんだけれど中身も背伸びしたショタにしか見えなくて、中から可愛いw

眷属のメイドさんは食べ歩きを堪能しまくっているし、黒鉄モフモフ丸はトリマーに連れてって貰って毛並みフサーとやってご満悦だし、ほんと魔王軍の方々現世堪能しまくってますねー。
というか、毎回堪能しかしてないし。
と、思ってたらメイドさんのシャーリーが今回はちゃんとお仕事していました。今更といえば今更なのですけれど、魔王様を猫可愛がりするセリアに段々と嫉妬を見せるようになるシャーリーなんですが……このメイドさんもいつの間にかショタに毒され出してないんですかね? 過去のアンデットキングで見た目もドクロっぽかったレオニスには、シャーリーも尊崇も敬愛も思慕もあったとしてもセリアと手を繋ぐショタに羨ましいと裾を噛んだり、自分の作ったお菓子を食べてもらおうと頑張ったり、という方向性は見せなかっただろうし。

さて話の本筋はというと、進んでいるのかいないのか。かつての勇者の仲間たちの成れの果てがヴォイドに冒された状態で出現したり、という展開が続いていた中で今度はついにレオニスと同輩の眠れる魔王が同じようにヴォイドに冒されて、復活する。と、新しいパターンではあるのですけれど、前までとそれほど変わらないパターンとも言えるわけで。
ただ、ヴォイドの正体は未だわからずもそれを利用して侵食させた勇者の仲間たちや魔王を復活させていたのは件のネファケスで確定しましたし、まだその目的も定かではないものの、女神関連ということは明らかになってきました。もうちょっと明確に新事実、新展開というのがあったらシャキシャキしてたんでしょうけれど。
今の所まだレオニスの存在は誰にもバレていない、というアドバンテージは保持していますし、ショタ化して弱体化しているとはいえまだまだ魔王としての力は顕在で、他の追随を許していないようなので果たして同格の敵はいつ出てくるのか。というか、いったい誰にちょっかい出しているのか気づいたネファリスが、どんなザマァを見せてくれるのかが地味に楽しみでもあるのですが。

そして竜王、なんか名前が女性っぽい、という時点でうん、この展開はわかってたw


豚のレバーは加熱しろ ★★★☆  



【豚のレバーは加熱しろ】 逆井 卓馬/遠坂あさぎ 電撃文庫

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豚のレバーを生で食べて意識を失った、冴えないオタクの俺。異世界に転生したと思ったら、ただの豚になっていた!豚小屋で転がる俺を助けてくれたのは、人の心を読み取れるという少女ジェス。ブヒッ!かわいい!豚の目線なら、スカートの裾からチラリと純白の…。「あの、心の声が聞こえていますが…」まずい!欲望がだだ漏れだ!「もしお望みでしたら、ちょっとだけなら」え、ちょっ…!?まるで獣のような俺の欲望も(ちょっぴり引き気味ながら)受け入れてくれる、純真な少女にお世話される生活。う~ん、豚でいるのも悪くないな?これはそんな俺たちのブヒブヒな大冒険…のはずだったんだが、なあジェス、なんでお前、命を狙われているんだ?第26回電撃小説大賞“金賞”受賞作!

豚になってもちゃんと人間の女の子で興奮できる、というのはそれはそれでレベル高いヘンタイなんじゃないだろうか。まあ豚を熱遠さずに食べるような阿呆である。生まれ変わって畜生になるのも因果応報なのだろう。或いは、一人の女の子を救う事こそが彼に課せられた浄罪であったのかもしれない。自覚的に生の豚食うというのは、けっこう罪深いもんだなあ。
しかして豚が豚になって目を覚ました世界で最初に出会ったのが、いや豚になってすぐに死にかけていたのを助けてくれたのが、人の心を読めるというイェルマという種族の女の子ジェス。
心を読めるからこそ、豚の中身が人間だという事に気づいて助けてくれるわけですが、中身が人間で思春期の男の子でオタクなヘンタイであるという事を理解しながら、パンツ見ても裸見せてよ、などと下衆な妄想を展開しても許してくれる純真無垢なる娘さんなのだ。もはや、豚が眼前にいるだけで犯罪である。現在進行系で罪状が増えていく。
心を読むサトリのごとき能力を持つ人達は、尋常ならざる人間不信者かもしくはどれだけ人の醜い心を見せつけられても人の善性を疑わない天使様か、その何れかが多いがジェスは後者。
そんな天使さまにわりと平然とエロ妄想をぶつけていく豚は、まさに豚野郎だと思います。
しかし、この物語はそんな豚野郎と天使な彼女の……純愛劇なんですよね。いやマジで。マジのガチでド直球のラブストーリーだ、これ。豚と少女の愛の逃避行なのだ。
そして、かなりわけのわからないタイトルからは想像できないくらい、この作品は残忍で冷酷な世界観を舞台としている。
さながら、惨たらしくグロテスクな描写と展開が繰り広げられる原典童話であるかのように。
生まれながらに小間使という名の奴隷として供給され、成人となった時王都に旅に出てその大半がたどり着けることなく、その道程で人狩りならぬイェルマ狩りと呼ばれる半ば公認のマンハンターたちに追い回され、女性として筆舌し難い残酷な仕打ちを受けた末に無残に殺される、そんな運命を課されたイェルマの少女たち。
何の力も持たぬただの豚にすぎぬ豚は、その中身たる男の知恵を振り絞ることでジェスを守り、マンハントの渦中を潜り抜けて王都へと彼女を送り届ける旅に出る。
これは死出の旅だ。殺されることが前提の旅だ。そんな破滅を前にして、見ず知らずの人のために尽くし、出会ったばかりの豚のために自分の都合など放り投げて豚を助けてくれたジェス。
一人と一匹は、この救いなく残酷でしかない旅を支え合い、助け合い、寄り添いながらおっかなびっくり進んでいく。お互いが慰めで、お互いが特別で、お互いが光だった。ジェスのために、豚のために、相手のためなら自分が傷つくことも痛みを負うことも命を喪う事も何の痛痒もなかった。
そんなふうに、一人と一匹はお互いが唯一無二になっていく。そこに、愛が芽生えるのは必然だっただろう。愛とは自らのすべてを与え捧げ尽くすものならば、二人はもう誰にも割って入ることの出来ないくらい、愛を交わし尽くしていた。そこに人であることと片方が豚であることなど、何の壁にもならなかった。
だから、その別れもまた必然であったのだろう。相手をこそ何よりも大切に思うなら、守ろうと思うなら、二人の道は分かたれるしかなかったのだ。
それが、二人にとっての幸福ではなかったとしても。残酷な結末でしかなかったとしても。救いなどなかったとしても。
愛を貫くがゆえの選択である。ピュアラブストーリーであるからこその結末である。ハッピーエンドは満たされない。

でも、そんな結末を許せるのか? 加熱してない豚は、食う事もできない生ゴミだ。だから心から燃え上がれ、魂から熱せよ。焼けた豚になって今度こそ、あの娘を幸せにするんだよ!


聖剣学院の魔剣使い 3 ★★★★   



【聖剣学院の魔剣使い 3】 志瑞祐/遠坂 あさぎ MF文庫J

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魔王軍再興の野望を胸に転生した最強の魔王レオニス(10歳)は、王女来訪の裏で暗躍した“魔剣使い"たちの計画を圧倒的な力で捻り潰し、眷属のリーセリアばかりでなく、レギーナからもこれまで以上に甘やかされる学院生活を満喫していた。〈吸血鬼の女王〉の力に目覚めつつあるリーセリアの活躍もあり、学院の合同演習でも頭角を現しはじめる第十八小隊。そんな中、六年前に〈ヴォイド〉の襲撃で滅亡したはずのリーセリアの故郷〈第〇三戦術都市〉が出現したとの報告が入る。調査に赴いたレオニスの前に現れたのは〈女神〉ロゼリアの転生体だった――。
「花嫁のドレスです、受けとってください」
「……~っ、レ、レオ君!?」

メイドとワンコ、シャーリとブラッカスというレオニスの側近二人、現代堪能しすぎじゃないですか!? レオくん以上に馴染んじゃって、馴染んだ上で楽しんじゃってるような気がするぞ。ブラッカスとか、普通に飼い犬になってるんだけどご満悦でいいのかそれ? メイドはメイドで油断しまくりで色々と目撃されて幽霊メイドと噂になってるし、スイーツ買うために勝手にアルバイトはじめてるし。レオに忠実は忠実なんだけど、わりと自由に好き勝手してるよな、この娘。
レオくんはレオくんで相変わらず可愛いったらありゃしない。ほんと、魔王ムーブかまして偉そうにしている姿が、ちっちゃい子が背伸びして偉そうにしてカッコつけてるようにしか見えないのがホント可愛くて可愛くて。中身が大人とは思えない愛らしさである。むしろ、澄まして真面目な顔してる表の顔の方が大人っぽいくらいである。
セリアたちが、レオくんに対してダダ甘お姉ちゃんと化しているのって、決してレオくんの見た目が可愛い男の子、というだけじゃないよなあ。内面から可愛らしさが滲み出しているからこそ、ついつい可愛がってしまうという方が納得できる。
だいたい、セリアなんかレオニスの正体や能力についてある程度知っているにも関わらず、ダダ甘お姉ちゃんは変わらないですもんねえ。
まあセリアの方だけではなく、レオくんの方もセリアにダダ甘なのですけど。セリアが優秀なのは当然なのですけど、それにしてもセリアがどう行動しようと「ふふっ、さすがは我が右腕ッ!」とセリアが活躍するたびにドヤ顔になってるし。もうセリアが何をしようとも、ドヤ顔になってる気がするぞ。セリア好きすぎだろうコイツ。
セリアのために召喚したエリートスケルトン三人衆も、なんかえらい漫才コンビみたいな愉快なトリオなんですよね。なんか、レオニスの魔王軍って実はおもしろ軍団だったんじゃないだろうか。出てくるやつどいつもこいつも実力は図抜けてても性格は愉快なやつばっかりなのですが。

むしろ、人類側の英雄たちのほうが余裕なかったんじゃないだろうか。まあ、実際生前の英雄たちの様子は描かれていなくて、現代に現れた彼らはヴォイドに乗っ取られた暴走状態ですから、元がどんな人物だったのかはここからは想像できないのですけれど。
そんな中で、ヴォイドとは関係なくある意味レオニスと同じように封印じみた眠りによって、数百年の時代を経てこの時代に目覚めたエルフの勇者アルーレは、貴重な人類側の古の時代の生き証人なのですけれど、やたら堅苦しそうで融通きかなさそうでいわゆる余裕なさそうなんですよね。
この時代来た途端、お菓子やスイーツや甘いものや、と食べまわり始めたメイドをちょっとは見習ったら、と言いたい所だったのだけれど……こいつもお菓子に餌付けされだしたぞw

レオニスが探す反逆の女神、この時代に復活すると予言を残していたものの、どうにも予言どおりにはいかないようで。まだ予言がズレてしまった背景が見えてこないので何とも言えないのだけれど、レオニスの時代の記録が途絶えて、伝承が残されていないはずの中で、どうしてセリアの父親が魔王に言及していたのか、ヴォイドを生み出している元凶とその思惑が何なのか、まだそれ一つ一つでは何のことかわからないけれど、後々これはそうだったのか、とわかってくるような手がかりとなるものや情報がちらほらと手元に集まって来ている気がする。

聖剣学院の魔剣使い 2 ★★★★   



【聖剣学院の魔剣使い 2】 志瑞祐/ 遠坂 あさぎ MF文庫J

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1000年の時を越えて転生した最強の魔王レオニス(10歳)は年上の美少女リーセリアに保護され、〈聖剣学院〉に入学した。〈第〇七戦術都市〉を襲った〈ヴォイド・ロード〉を圧倒的な力で蹂躙し、魔王群復活の狼煙を上げたレオニス。そんな矢先、帝国の第四王女が来訪するとの情報を手に入れる。世界征服の布石を打つため向かった先には、なぜか同じ寮で暮らすメイドお姉さんがいて──。「レギーナさん、どうしてここに?」「少年、お姉さんがお菓子を買ってあげますよ。それとも胸を揉みますか?」「露骨に誤魔化した!?」軍港を襲撃する〈ヴォイド〉、暗躍するテロ組織、その裏では〈魔剣使い〉の恐るべき計画が動き始めていた──!

リーセリアってば、レオニスくんにダダ甘というかもうすげえ過保護というか。お姉ちゃん属性が爆発してるぜ!!
レオニスの方はリーセリアの方を将来有望な眷属だ、右腕候補だ、と上から目線で見てるつもりなんだけど、セリアさんの方は完全に弟扱いだよね。セリアの方も頭ではわかってるんだろうけど、レオニスの詳しい素性についてはまだ明かされてないんだっけか。そのお陰で年下の手のかかる可愛い男の子という認識がしつこい油汚れのようにこびりついているようで、ダダ甘お姉ちゃん全開なのである。
これでレオニスの方が度々子供らしくない魔王としての顔を見せるならともかく、内心で色々と冷徹な魔王として考え巡らせてはいるのだけれど、それを表には一切出さないでその言動は丁寧で礼儀正しい少年というスタイルは崩さないので、読んでるこっちもショタっ子なのが基本認識になってしまって、おのれ主人公のくせに可愛げがありすぎるw
何気に魔王時代からの仲間であるメイドとワンコも、今の所食いしん坊に方向音痴のコンボを決めてたり、速攻で女の子に飼われる飼い犬プレイに勤しんでたり、とポンコツ面の方が強調されていて魔王勢が愉快な人たち、になってたりw
いやしかしホントに面白いなあ。なんだろう、特別ここが凄いという特徴は見受けられないし、話の筋立てそのものもオーソドックスの部類だと思うのだけれど、とにかく読んでてすこぶる面白い。
エンタメとして盛り上げどころの緩急が実に巧妙に仕上げている上に、そこに個々のキャラのアクションとしての活躍とキャラクターそのものの掘り下げがバランス良く繰り広げられてるんですよね。今回メインとなるレギーナのみならず、咲耶やエルフィーネの方も出番自体は少ないにも関わらず、彼女らのバックグラウンドが気になって仕方なくなる展開が盛り込まれてるし。
順調にヴァンパイアクイーンとして成長する様子がダイナミックに描かれるセリアに、その素性から今回のゲストヒロインである王女さまへの複雑な思いを抱くレギーナさんといい、様々なアプローチで見せ場が用意されているし、締めるところはちゃんとレオニスが締めるしと、構成が巧いんだろうな、これ。
さらに、レオニスが魔王になった事情に絡めるように、謎の女神を崇拝する敵集団の登場にそれらが「魔剣」を有するという物語の根幹をなすストーリーもグイグイと進展させていく推進力。
第一巻でも随分驚かされましたけれど、2巻でこれはガッチリとその面白さがハマった感がありました。これは本格的に躍進しそうなシリーズになりそうですよ、期待大。

1巻感想

聖剣学院の魔剣使い ★★★☆   



【聖剣学院の魔剣使い】 志瑞祐/遠坂 あさぎ  MF文庫J

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最強の魔王レオニスは、来たるべき決戦に備え自らの存在を封印した。だが、1000年の時を超えて目覚めたとき、彼はなんと10歳の少年の姿に戻っていた!「なんでだ!?」「君、どうしてここに閉じ込められていたの?もう大丈夫よ。お姉さんが守ってあげる」。“聖剣学院”に所属する美少女リーセリアに保護されたレオニスは、変わり果てた世界に愕然。未知なる敵“ヴォイド”、“第〇七戦術都市”、武器の形をとる異能の力―“聖剣”。聞き慣れない言葉に戸惑いつつも、彼は“聖剣学院”に入学することに。魔術の失われた未来世界で、最強魔王と美少女たちの織りなす聖剣と魔剣の学園ソード・ファンタジーが幕を開ける!
ショタだ! ショタだよ! あらすじちゃんと読まずに本編読んだので、主人公が10歳の男の子のままお姉さんたちに保護されておねショタがはじまったことにテンションがあがってしまったぜ、危ない危ない。
なるほど、期せずしての遭遇の場合、同世代よりも完全に見た目子供の方がヒロインたちとの関係も保護者ということで関係も結びやすいのか。
ただ、これが平時で舞台が学校ものだと年齢が違いすぎる、しかも発見されたのが子供だと、その後一緒にいることが難しくなるのだけれど、本作の場合人類種の生存をかけた殲滅戦争の戦時下で、聖剣学院なんて学校みたいな名前になっているけれど、その実態と来たらこれ決戦機動要塞都市、なんですよね。なので、たとえ10歳であろうと戦力として数えられるのなら容赦なく人員として編入されるという、考えようによったらかなり殺伐とした世界観なのである。
しかし、レオニスの生きていた(?)時代が魔法とファンタジーの世界なら、千年経って目覚めた世界は科学技術の発達したマブラブとかスターシップ・トゥルーパーズとか、いやこれだと【GOD EATER】みたいな感じか、そんな世界観なんですよね、これ。
そりゃ、魔王様もなんじゃこりゃー!? と、混乱しますわ。昨今、遥か悠久の時間を眠って過ごして目覚めた超常の存在が主人公、未来に置いても無双します、みたいな展開は珍しくもないのだけれど、何百年とか千年以上の時間を隔てているにも関わらず、あんまり文明レベルとしては変わってないケースが結構多い気がするんですよね。場合によっては衰退すらしている事もあるわけで。
そんな中で、完全に魔法から科学へと文明のルールそのものが変わって発展しているケースはあんまりみなかっただけに、それだけでも結構面白かったんですよね。
話の展開自体はオーソドックスかもしれませんが、エンタメ作品としてキャラも話の見せ方にも実が籠もってて、よく出来ているんですよね。志瑞さん、前作の【精霊使いの剣舞】は長期シリーズになりましたけれど、ちと味気ないパサパサした感覚があったのですけれど、【ゼロの使い魔】のエンディングまでを代筆されたあとのこの新作シリーズ、全体にじんわりと味が染みたようなコクが出てて、一皮剥けたような妙味があったんですよね。これは、ちょいといい感じに跳ねそうな感触がありますぞ。
なによりも、おねショタはいいものであります、あります。レオニスくん、10歳なので君づけしてしまいますが、傍目には物腰丁寧で言葉遣いも穏やかな感じのいい子になってて、お姉さま受けしそうな子なんですよね。実際可愛い、うん主人公なんだけど、内心はちゃんと沈着冷静な魔王にして元勇者なんて経歴の青年なんだけれど、ちゃんと小さな男の子らしくしてるのはいいですよ、可愛いですよ。
そして、魔王時代から付き従っていた魔狼の王子と暗殺者のメイドがある意味レオくんよりも速攻で現代に馴染んでて、イイ性格してるのがツボでした。特にメイドのシャーリー。この子かなり愉快だぞw


志瑞祐作品感想

ガーリー・エアフォースXII ★★★★   



【ガーリー・エアフォースXII】 夏海 公司/遠坂 あさぎ  電撃文庫

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米国で新たなドーター適合機が発見された!調整のため小松にやって来ると聞き、妹ができると期待に胸を躍らせるグリペン。しかし、覚醒前で眠りについたままのそのアニマの少女、XF‐108‐ANM、レイピアを巡り、慧たちは不可思議な事態に巻き込まれてゆき…?その他、グリペン、イーグル、ファントムそれぞれの前日譚に、健気で人気なベルクトとロシアンアニマ三人衆の交流も収録。癖の強い先輩アニマに困惑するベルクトは、果たして任務を達成できるのか!?バラエティ豊かなエピソード満載でお贈りする、美少女×戦闘機ストーリー最終章!

「Episode1 ドリームウィーバー」
「レイピア」ってなに!? こんな戦闘機知らないよ!? と、思ったら形式番号にXがついてた。試作のまま終わった機体か。その印象的なシルエット、ペンシル型と言って差し支えないだろうデザインは過渡期のジェット戦闘機を象徴しているかのようで面白い。
と、それはそれで新アニマとか本編では出てこなかったのに、どう展開を処理するんだろうと思っていたらまたぞろ凄い展開に。いやこれ、レイピアを表紙にって微妙に詐欺じゃないですかぃ!? このアニマの子って、殆ど活動してないじゃないですか。
アニマがどういう理屈で誕生しているか、をザイの正体が明らかになった上でその仕組の詳細が自明の理になっていたからこその大胆な展開で、いやこれこのレイピアのパターンが可能ならアニマを作るのって戦闘機に限定されなかったんじゃなかろうか。真面目な話、空母とかイージス艦でも可能っぽいんだよなあ。ともあれ、同時にその定義の不安定さこそが、この第一話の大混乱にも繋がっているわけで、概念が現実世界に侵食してしまったという話なんですよね。物理的には何も変わっていないにも関わらず、人間の認識だけが世界規模で塗り替えられていくって、やばすぎるにも程があるじゃないですか。
それがまた、戦略空軍マフィアの夢、というのが実にイキっていて大好物なのですが。そうだよね、ロケットやミサイルのたぐいの開発が失敗した世界なら、弾道弾も存在せず宇宙開発もなく、人工衛星による地上偵察もネットワークの構築も存在しませんよね。そこから派生していく戦略空軍という滅びた概念の可能性。これ、爆撃機の類のアニマを直接誕生させるのではなく、新世代戦略爆撃機ノースアメリカンXB-70の護衛機として計画されモックアップで破棄されることとなったレイピアを持ってくるのはまた乙だよなあ、と。
今回の自体が進むに連れて狂想曲と化していく展開に対しての、グリペンの塩対応がまたひどいんですよねw いや、わりと大変な事態なんですからもっと一緒になって慌ててくださいよ、と言いたくなるけど、グリペンからすると何やってんだこいつら、という事になってしまうんですかねえ。こういう時にいつも慧の側で一緒に共感し一緒に奔走してくれるのがファントムというのは、やはり相棒感は緑髪の彼女の方が強かったなあ、と思う次第です。
この話はオチがまたキマってて凄く好きですw

「Episode2 プリンセスイーグル」
自由奔放なイーグルに八代通さんが振り回されるお話。おっさん、それはアニマだから精神構造が謎、なのではなくて年頃の女の子に共通する最大の問題、というやつなんですよ、きっと。
娘が出来たら同じことになる予感。まあこの人が結婚するというのが少しも想像できないのだけれど。

「Episode3 シアターブルー」
自由奔放すぎるイーグルにファントムが振り回される話。いつものことながら、策士策に溺れるを地で行くファントムである。我に秘策あり、何て言うのは失敗フラグだ、と自分で言いながら「我に秘策あり」と自分で言ってしっかり失敗するあたり、律儀ですらある。そして、何かあると基地からの逃亡を図るな、このファントムさん。本編でも何度もエスケープしてたし、この巻の第一話でも脱走してたし!


「Episode4 フェイクモキュメンタリー」
広報用ビデオの作成まで担当する八代通さん。広報というよりも資金源のためのPVなわけだけれど、この人技官なのにホントなにやってんだろう。


「Episode5 トリコロール・ヴィント」
本編の前日譚。まずはグリペン。あの上海からの脱出船団を急襲したザイを迎撃に現れたグリペンが、どのような過程で出撃したのかを描いたエピソードである。本来なら戦闘どころか飛ぶことすら、それ以前に覚醒しかままならなかったグリペンが、どうしてあの場面で救援に訪れて、慧の前に現れたのか。
すべてが明らかになり、そして終わったあとになってみると、偶然などではなくまさに会うべくしてあった再会だったんだなあ、と。

そしてイーグル。整備員のフナさんとのお話。慧を除くとあのヒゲの整備長なフナさんが一番アニマたちを人と同じように慈しんでいたんだろうなあ、と想像してしまう一編でありました。

最後にファントム。これは前日譚ではなく作中時間内での掌編という感じだけれど、やっぱりいちばん乙女な側面を見せてたのってファントムだよなあ、と思わせてくれる一片でありました。

「Episode6 ザ・ラスト・バタフライ」
最終決戦前に、宇宙から舞い戻ったベルクトが一時期ロシア組に加わっていた時のお話。新参者としてうまく馴染めるかどうかドギマギしているベルクトが、ロシアアニマ三人娘たちに一人ひとり配属のご挨拶していくお話。
いきなりラーストチュカへの印象がひどいベルクトである。眉毛ないです。触れる者皆、傷つけるような目をシています怖いです、て。いやそりゃ実際怖いけどw
そしてなぜか出会って即数秒で何故か愚痴られ悩み相談されてるベルクト。そして、なんでかスランプに陥っていたジュラーヴリクのカウンセリングをして、相変わらず逃げ回っているパクファを追いかけ回し、と最終決戦前に何気にヤバイ状態に陥っていたロシアチームの救世主となってしまうベルクト。この子、日本に亡命してきたときも癒し系だったけれど、ロシアでも頼られ系だったのか。長らく、具体的には6巻分ほど物語上から消えてしまっていたのがやっぱり勿体無いイイキャラクターだったんですよねえ、ベルクト。
それにしても、いつも強気なジュラーヴリクの姐御が弱気でヘタレている姿はなかなか新鮮で良かったです。慧たちに、そんな弱気な姿見せるわけなかったですしねえ。

というわけで、短編集はあくまで作中時間内か、前日譚のみという形で終始しました。あの本編でのエピローグ以後の後日談をやらなかったのは、それだけ本編で全部書き切った、このガーリーエアフォースという物語が映し出される情景はあそこまで、という自負が伝わってくるようです。
とはいえ、何がきっかけになってもう一度はじまるかわからない、というフリはかましてくれてますが、あとがきで。
ともあれ物語の余韻もここまで。良きSF作品であり、物語でありました。


シリーズ感想

ガーリー・エアフォースXI ★★★★☆  



【ガーリー・エアフォースXI】 夏海 公司/遠坂 あさぎ  電撃文庫

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ついにザイ殱滅への光明が差し、作戦準備を進める慧と独飛の面々。しかし、その作戦はグリペンを始め、すべてのアニマに大きな代償を強いるものだった。最終決戦目前、日本のアニマ達にロシアのバーバチカ隊も合流し、いざ決戦!…といきたい所が、気負う慧を余所に、いつも通りのアニマの少女達。イーグルは陽気にウォッカをがぶ飲み、ファントムとジュラーヴリクは憎まれ口を叩き合い、慧に絡むラーストチュカにマイペースを貫くバイパーゼロとパクファ。そして、時を超え慧への変わらぬ想いを抱えたグリペンを待つ結末は―。美少女×戦闘機ストーリー、蒼穹を駆ける史上最大の空戦が始まる!

最終決戦前に主人公が搭乗機を新型、或いは決戦機に乗り換えるというのはロボットもののお約束ですか? いやこれロボットモノじゃないけどさ。
シリーズ途中から、特に空母シャルル・ド・ゴール編、いやザイの正体が判明した頃からか。そのあたりから特にSF色を強めてきた本作だけれど、終わってみれば未来への選択、という以上にアニマという人間ではない存在とのコミュニケーションの物語だった、という印象が焼き付いてくる。
まるで人間と同じように笑って泣いて物を食べ触れ合うことの出来る存在だったアニマだけれど、人と想い合い、愛を交わすことの出来た存在だったけれど、それでも彼らはやはり人間ではない。その価値観は、在り方は、魂の拠り所は人間とは決して交わらない存在である、ということを結局慧はこの土壇場で理解することになる。
気持ちが通じ合ったのは本当、お互い好きになって愛し合ったのも本当。でも、その想いの土台となる「本質」は人とアニマではまた違うのだ、ということをわかっていなかったのだと、ザイ殲滅の結果アニマが今の形状を維持できない、という事実を前にした時に慧もグリペンも思い知ることになる。
いや、わかっていないことすらわかっていなかったからこそ、最後まで拗れた、というべきなのかもしれません。お互いにその違いを理解しないまま、想いを貫こうとするから、相手を想うことを貫こうとするから、食い違いが生じてしまうという悲劇なのか喜劇なのか。第三者だからこそ、或いはアニマであることと人間であることの違いを正確に把握していたファントムは、だからこそ慧に事実を伝えたんだなあ、と読者である私もまたようやく後になって理解した次第。
このあたりのファントムの感性って、当初思っていた乙女心の発露とか、慧を気遣って、というのとは実は微妙に違ったんだなあ。いや、そういう要素もあったんだろうけれど、彼女もまた一貫してアニマであった、というべきなのか。
ともあれ、ファントムに後押しされたとはいえ、このアニマと人間とは違う存在である、というのをグリペンとの交流だけではなく、イーグルや帰ってきたベルクトとの会話からちゃんと理解しようとし、今までの経験を踏まえた上でそれを飲み込んで慧は理解し、選択しました。自分で選びました。自分で見つけました。
アニマと人間が交わらない異なる存在であるというのを踏まえた上で、アニマと人間であるからこその繋がり方というものを、人間であるからこそアニマの存在意義を証明し続けることの出来る関係を、意志を持つ存在とそれを叶える存在との在り方を、人である慧を好きになったグリペンとそんなグリペンを好きになった自分の思いの在り処を、彼はちゃんと見つけたのです。
だから、その選択は辿り着くべきへ辿り着いたと言えるのでしょう。妥協の産物や諦めの結果ではありません。自分たちにとって最良の結末へと、彼らは納得して辿り着いたのです。悩んで苦しんでなにか一番良い結末かを思い描いて、でもそのどれもが自分たちが望んだものとは違うのだと理解して、そうして望むべき形が何なのかへと辿り着いたのです。
だから、その選択に何の不満を抱くことがあるでしょうか。本気で悩んで考えて考えて、これまでの物語を、登場人物たちが紡いできた関係を昇華させて手繰り寄せた結論だからこそ、思いの外すとんと腑に落ちたのです。びっくりするほど納得がいったのでした。
異なる存在同士の相互理解、コミュニケーションの完成、知性持つ存在を突き詰めて解体していき、その在りよう、「意志」というものが持つ力を解き明かしていく、という意味でも全力でSFしていたんじゃないでしょうか、この【ガーリーエアフォース】という作品は。
慧とグリペンが辿り着いた答えを見た時に、この物語は描こうとしていたものを見事に描き切ったんだなあ、という万感の思いを抱いたのでした。

シーンは描かれませんでしたけれど、アニマが消えオート・パイロットで次々と帰還してくるドーターたちを迎える、最後に戻ってきたグリペンから一人降り立つ慧を迎え入れる八代通さんたちの光景は、想像しただけで心が震えます。
八代通さんは、慧とは異なるこの作品のもうひとりの主人公、とも言うべき人でしたしねえ。傲岸不遜で冷酷非情で、でも尋常じゃなく頼もしく頼りになって、信頼に応えてくれる尊敬するしか無いとびっきりの格好良い大人の人でした。人の醜さ、社会の闇というものに一番身近に接していた、或いは彼自身がその体現者であったからこそ、ザイを送り込んだ未来人の絶望にもっとも共感していたのも彼なのでしょう。その彼が、希望を見出して慧たちを送り出してくれたからこそ、この物語の先に希望を抱けたような気がします。

ベルクト再登場は多分来るだろうな、とはわかっていても嬉しかったですね。振り返ってみても、アニマの中でぶっちぎりに正統派ヒロインらしかったの彼女でしたし。まあ、慧のヒロインではなかったにしても。しかし、ベルクトの新装備コンセプトって完全にエースコンバットか、ってノリでしたよね。
最終決戦で、慧たちを送り出すために次々と翼を翻していくアニマたちとの別れのシーンも感無量でした。たとえ結果がどうなろうと、これが終の別れとなることをお互いわかっているシーンなだけに尚更に。ジュラーヴリクはほんと、最初から最後まで格好いい姉御でしたよ。アニマはちっちゃいのにねえ。流石はロシアの最強戦闘機Su-27に相応しい存在感でした。
ラファールの方は、なんかもうやたらカッコつけてたなあ。あの突撃シーンでの台詞回しはちょっとノリノリすぎやしませんかね!? いやもうそこまで突き抜けると格好いいな!!と思ってしまいましたけど。

エピローグの十年後のシーン、ああなってもやっぱりイチャイチャしているように見えてしまうグリペンと慧の姿って、なんかもう完成されたというべきなんでしょうかね。ザイが現れるに至った未来へと行き詰まらないように、新たな未来を勝ち取るために今も飛び続ける慧とグリペンを包み込む一面の青い空・青い海。素晴らしいラストシーンでした。
まだもう少しだけサイドエピソードか前日譚があるようですが、それを楽しみにしつつこの傑作SF作品の終わりの余韻に浸りたいと思います。

シリーズ感想

ガーリー・エアフォース X ★★★★   



【ガーリー・エアフォース X】 夏海 公司/遠坂 あさぎ  GA文庫

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ロシアのアニマ達との共同ミッションを終え、ノヴォシビルスクでの祝賀会に参加した慧とグリペン。各国の要人に囲まれ恐縮していると、ジュラーヴリクから、パクファが調整のため小松へ向かうと聞かされる。フレンチベージュのエプロンドレスに微笑をたたえ、見た目は大人だが中身は赤ん坊な彼女を心配して、面倒を見て欲しいと懇願されてしまう。しかし、小松に帰還するなり行方不明になってしまい!?第5世代の最新ステルス機なので隠れるのはお手の物、ということで、騒然とする基地内を探し回る慧とグリペンだが―。ザイへの大反抗が始まる、クライマックス直前の第10巻!

千年前の地層から発掘されたF15イーグル。この本来ありえない存在が永遠に続く繰り返しを打開する鍵となるだろうことは予想できたんだけれど、まさかこうなってしまうとは。
うぁぁ……。
グリペンの記憶を元にザイの攻勢を効率的に叩き潰していた効果は、本来数年後だったザイとの決戦の前倒しという形になって現れてしまう。しかし、それでも勝てない未来は決定づけられてしまっている。だからこそ、グリペンの繰り返しに頼るかしかなかったところに、蜘蛛の糸として垂らされていたのが、あのイーグルでありそこに秘められていた真実から、慧が僅かな希望の光を探り当てるのだけれど……。
そのあるかなしかの可能性を絶対にあるというところまで押し上げて、それを実現するための道筋を凄まじい馬力と政治力と交渉力と発想力と技術力で構築してしまった八代通さんの、もうこの人すごすぎじゃね!? という凄まじさ。
慧の存在は確かに重要ではあるし、まさにキーパーソンであり、彼はその立場で必要以上の成果をあげていると言って良いんだけれど、彼が何かを成し得るために必要不可欠なすべてを準備し用意し作り出し引っ張り出し根絶やしにして奪い取り与えてくれるのは、全部八代通さんなんですよね。もう魔法使いだろうこの人。技術者としても日本のアニマ開発を主導してきた実績からもすごい人なんだろうけれど、それ以上に組織人としての政治力がバケモノすぎるんですよね。本来ありえないレベルで必要なものを必要なだけ必要な場所に持ってきちゃうんだから、もう信じられんですよ。
この人が居なかったら、本気で慧は何も出来なかっただろうし何にも関われず何も成し得なかったでしょう。癖のあるとんでもない人だけれど、はたしてこれほど頼りになる大人が味方になって、同じグリペンを助けてやりたい、という気持ちを共有して一緒に戦ってくれる幸運が他に在り得ただろうか。
ともすればたわごとにしかならなかっただろう慧の発想と発見を、八代通さんは見事に人類の存亡をかけた決戦にまで、あの僅かな時間で仕立て上げてしまったんだから、もう筆舌に尽くしがたい凄まじさですわ。いや、まじでこれこそが格好いい大人ってもんですよ。マジで格好いい!!
そんでもって、未だ戦力がすり潰されていない人類側の決戦戦力がこれ凄まじいことになってるんですよね。はたしてこの規模で航空機が投入されたのってWW兇任皹笋拜躾瑤埜爐垢襪らいで、一回の決戦で投入される機数としては空前絶後になるんじゃなかろうか。
それも高価極まる現代の最新型戦闘機で、ですぜ。
ザイとの交戦で世界各国、増産に増産を重ねていたようなので単価は下がってるだろうし機数は満たせるのだろうけれど。
映画インディペンデンス・デイかエースコンバットゼロのベルカ絶対防空戦略空域「円卓」ってノリで大いに盛り上がる展開なんですよね。語られる作戦概要を聞いているだけで鳥肌がたってくる。

だからこそ、最後にファントムが告げてきた起こり得る結末の姿が衝撃的すぎたんですよねえ。
まだ未成年の学生に過ぎない慧は、これまでもずっと分不相応なくらいの重荷を背負ってきましたし、グリペンによってもたらされた世界の真実は、慧の心をズタズタに切り裂いて絶望のどん底へと突き落とし、それでもなお立ち上がり諦めず、世界を救う、グリペンを救う筋道を見つけ出した彼に対する仕打ちがこれなんですからねえ。最後の最後まで、あまりに彼に厳しすぎる展開じゃないですか。
しかも、これに対して慧はもう逃げ場がないのですよ。
これまで引っ張り続けていた幼馴染の明華との関係についにケリをつけてしまったのですから。グリペンの真実を共有する過程で、蛍橋として生きた前の世界で慧はこれまで気づいていなかった明華の本当の気持ちを、彼女がどれだけ深い傷を負って生きてきたのかを知ってしまった以上、いつかは……そして早めにその精算をしなくてはいけなかったわけで。
唐突に訪れた、明華の生き別れの家族との再会に伴う別れの時に、行き場のないまま引きずり続け二人の未来にどうしようもない傷を残すはずだった曖昧な関係に、終止符を打った。
その直後にこれですもんね。
もう明華に慰めてもらうわけなんざ行かないし、彼女に逃げるわけにもいかない。振った彼女に背中を押してもらうとか支えてもらうとか叱咤してもらう、なんて見っともない無様な真似ももう出来ない。
この件に関して、慧は一人で決着をつけなくてはならなくなったわけですよ。
キツイなあ。正直この少年、決してメンタル強いわけではなく、自暴自棄になりやすいのに。

でも、この件を秘密にしたまま決戦に赴いてしまったら、いざ事が終わった時に慧に今度こそ立ち直れないほどの深い傷を負わせることになる、とファントムはわかってたんでしょうね。
だからといって、事前に教えることだってどうなってしまうかわからない。それでも、この件を伝えようと決意したことはホントにファントム、フェアだと思うしそれを誰でもないファントム自身が引き受けたあたりなんぞ、この娘の責任感の強さと優しさを感じてしまうのです。
そして、あのセリフ。あれを「私達」ではなく「グリペン」と、彼女一人を指して告げたあたりに、なんていうんだろう……ファントムの乙女の意地、みたいなものを感じたんですよねえ。
この作品、この物語は間に誰も入る隙がない、慧とグリペンのラブストーリーでありましたし、数いたアニマたち、何気にみんな仲間であり戦友ではあってもあんまりヒロインとしては立っていなかった中で、唯一ファントムだけが……グリペンに対抗しようとしたわけではないのですけれど、仄かに乙女心を垣間見せていた気がするんですよね。だからこそ、他でもない自分を恨めと言ってのけたところに、彼女の意地を見たのです。
面倒くさいけど、やっぱりイイ女ですよ、ファントムは。あと、キャップにパーカー姿のファントムは新鮮な可愛さがあって実にヨカッタです、うん。

ついに正真正銘のクライマックス。決着の時来たれり。空戦アクションにして壮大なSF作品として綴られたこの物語の結末、正座して手に取ります、はい。

シリーズ感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 6.「なんと、我と結婚したいと申すか!?」 ★★★★  



【女神の勇者を倒すゲスな方法 6.「なんと、我と結婚したいと申すか!?」】  笹木さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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女神の脅威は去り、世界に平和が訪れた―とはならず、信じるものを失った人間社会は乱れに乱れていた。勇者不在からの魔物の跋扈、きな臭くなる国家情勢。白エルフたちの合コン問題、残った女神教の腐海化、リノちゃん同世代の友達がいないなど、難問が山積みとなっていた。人間と魔族の平定に奔走する真一だったが、アリアン、セレス、リノちゃん女性陣からのアピールも過激になり…真一が選んだ答えとは?ゲス参謀の異世界攻略譚フィナーレ!
一冊まるまる後日談、というのはこのご時世では贅沢な作りである。ただ、物語のテーマ上でも悪い神様を倒しておしまい、めでたしめでたしというのは随分と投げっぱなしではありましたから、世界の秩序である女神教の信仰をぶっ壊してしまったあとの新しい秩序、未来への筋道というものをきっちり描いて見せてくれたのは丁寧なお仕事だったと思います。
それでも、まだ十代の真一が自分の死後を考えてあれこれと世界中に仕込みを備えていく、というのはまだ若いのにもう最晩年のフィクサーみたいな境地を伺わせていて、いやちょっと枯れすぎじゃないですか!?と思ったり。
準備を整えていくことに越したことはないですし、軍師参謀大政治家の端くれとしたらその「備え」こそが肝心、という考え方は真っ当ではあるんだけれど、まだ普通に生きれば短くても半世紀近く現役、頑張ればさらに30年くらいマシマシで現場で働けるだろうに、さすがに気が早すぎやしませんか、と言いたかった。ここが、彼がどこか生き急いでいると感じさせられる部分だったのかもしれない。
大切な人を唐突に失った経験は、いつ誰が居なくなってもおかしくないという諦念を真一に植え付けていたのだろうか。長寿であるリノの未来に人間である自分やアリアンたちが居なくなったあとの時代が訪れることは確定しているんだけれど、どうにも「無くなった」あとのことばかり気にしていたような気がします。それは数々の備えにも伺えるんですよね。常に何事にも最悪の展開が訪れることを想定していて、それに備えた対処策、緩和策を用意して回っている。政治家に楽観論は禁物であり、彼の備えはすべて現実的、と分かっていても、なんともモヤモヤしたものが募ってくる。
真一には、一個人としての幸せが足りていなかったのではないだろうか。
だからこそ、これからなのだろう。これから、一人の青年として幸せを得て、自分の人生というものにゆっくりと腰を据えて向き合って欲しいものである。その必要性を、彼を愛する女性たちはちゃんとわかってくれているようだから、その点はほんと不安には思っていないんですけどね。安心している、と言っても良い。
理想の楽園とは程遠い、しかし着実に希望を積み上げていける優しい未来図。現実として様々な困難が立ちふさがっていることは、戦後処理で駆け回る真一の策謀が炸裂しまくり、協力者とも共犯者とも言える各国の首脳部とのつながりも機能して着実に成果と備えを積み上げながらも、だからこそ痛切に難易度を感じさせられるものだったけれど、それでも希望を感じさせてくれるというのはなんとも柔らかい気持ちにさせてくれる。
真一が、地球に残していってしまった家族にちゃんとメッセージを送れた、というのも気の利いた、というかなんというか、ケジメをつけられてよかったんだろうけれど……あれ、いきなり過ぎて後々両親じわじわとダメージくるだろうなあ。たとえ異世界で息子がちゃんと幸せになれたとわかっていても、親としては寂しいですよ。
その点、アリアンを見守れる赤竜さまは幸せ者です。まあこの人も将来、見送らなければならない立場だけに、その辛さもあるのでしょうけれど。
最後は、真一のガチのゲス要素が出てしまって、そこでタイトル回収しなくても、と思わず苦笑。いや、その結末は予定調和で誰もが望んでいたものだったはずなんだけれど、そのやり方はゲスすぎますよ、真一さんw

シリーズ感想

ガーリー・エアフォース  ★★★★   



【ガーリー・エアフォース 宗曄_導 公司/遠坂 あさぎ 電撃文庫

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対ザイ戦線異常あり! 日露アニマ共闘の美少女×戦闘機ストーリー第9弾!

圧倒的な戦闘力を持つ謎の飛翔体・ザイと、美少女の姿をした兵器・アニマを擁する人との戦いは、グリペンの中に眠っていた「記憶」の解明をきっかけに新たな局面を迎えようとしていた。
しかし次なる作戦地、ベトナムで慧とグリペンを待ち受けていたのは、かつて死闘を繰り広げたロシアのアニマ、Su-27のジュラーブリクたち。共同で作戦を遂行する計画だというが、因縁ありまくりの両陣営はたちまち一触即発の雰囲気に。日露アニマの呉越同舟ですんなりミッションコンプリートといくはずもなく!?
世界規模の戦いに向かう、美少女×戦闘機ストーリー第9弾!

さり気なくハイパーゼロ、取り返しのつかないことしてませんか!? 明華にちゃんと謝って怒られてた方がマシだったんじゃないかこれ!?
グリペンの記憶が開放され、世界の真実が明らかになった前巻まで。絶望に囚われた慧もなんとか持ち直したとはいえ、結局解決に至る方策は何一つ見つかってないんですよね。
それでも、何度も世界を繰り返しているグリペンの記憶を元にして、反攻作戦に打って出る独飛。でも、この勝利の連続も局地的な勝利に過ぎず、最終的には物量に押しつぶされてしまうとシミュレーションによって答えは出ているわけで、勝利を続けても焦燥は募るばかり。
だったのだけれど、このグリペンの記憶というファクターはザイ側からすると関知しえない要素なだけに、なるほどあちらはあちらで危機感を過剰に膨らませてしまったのか。
ここまで来るとSF的な要素が凄まじい勢いで積み重ねられていって、詳しい内容についてはちゃんと腰を据えて一つ一つ読み込んでいかないと理解が難しそうな難易度になってきた。ですが、説明は丁寧かつ起こっている現象やその対処方法についての表現がわかりやすく端的なので理解が及ばなくても物語を読み進める上で十分な把握はできるんですよね。ビジュアルでイメージがしっかりと出来るように解説してくれているので、どんな理屈でこういう現象が起こっているのかはちゃんと頭使わないとわからないけれど、何が起こっていてそれによってどういう危機が巻き起こり、それをどうやって攻略するか、についてはパッと見でちゃんとわかるようになっている、というんでしょうか。

この期に及んで国単位での利害調整とか、人類そのものが滅びかかっているのにそんなんしている場合じゃないだろう、という所なんですけれど、そう簡単にはいかないものなんですよね。世界の繰り返しという真実にたどり着いてしまった慧たちからすれば、もどかしいことこの上ないのでしょうけれど。それでも組織の一員としてはそこに縛られてしまうし、真実を明かせない以上危機感は決して共有できるものではない。じゃあ明かしてしまえば、って明かしたら明かしたでそこからまた利害が発生するしその破滅的な内容からは感情に基づく混乱が発生してしまって、余計に酷いことになる、という冷静な分析はまあ全く事実なのでしょう。
だからこそ、ロシアのSu-27M、ジュラーブリクとこの真実が共有できたのは、今回の一見での最上の功績だったんじゃないでしょうか。ってか、あれを知ったからと言ってどういう反応を示すかわかったものではなかったのですが、ジュラーブリク姐御は極寒のロシア美少女とは思えない熱血漢なんですよねえ。
もともと、姉妹に対する熱い情愛からして身内に対しては本当に情深い娘であるのはわかってましたけれど、あのグリペンへの宣誓はちょっと泣きそうになってしまうほど真摯で情熱的で、そりゃ姉妹たちが慕うどころか信仰に近いものを彼女に抱いているのもわかる一幕でした。
まあそのために、グリペンや慧まで身内扱いしだしたお姉ちゃんに嫉妬して、ラーストチュカが暴走してしまうのですが。この娘、クール系に見えてヤんでるタイプだったのか! 見た目ちっちゃいジュラーブリクより、ラーストチェカの方が圧倒的にシャープで格好いい系お姉さんなのにな!

それにしても、ここしばらくのファントムのキャラの弾け方は素晴らしいです。ジュラーブリクとの喧々諤々の喧嘩といい、慧へのなんか定まらないツンデレっぷりといい、この娘こそ最初のクールで突き放したような醒めたキャラはどこに行ったんだ、と。まあ分身のトゥエルブの再登場、ファントムの黒歴史再び、というあたりでファントムのメンタル休まるところ最近全くなかったところにトドメきた、みたいな感じでしたしね。なんか、グリペンと慧の関係が完全に収束したのを目の当たりにして、若干やさぐれてる風でもありますし。

で、今回のMVPはなんといっても八代通さんでしょう。この人、天才科学者という以上に組織の運営者としての凄まじいパワーショベルのような行動力が何よりもデタラメなんじゃないでしょうか。
普通、たった数日でこんな大規模ミッションを実現可能なところまで持ってけませんよ。なんでそんな短期間で必要な機材手配して現地に持って来させるの間に合わせられるの!?
化け物か!! 化け物か!!
ロシア側の担当の中佐が唖然とするのも無理ないですわ。
世界最大離陸重量を誇るAn-225 ムリーヤの登場には胸熱でした。ってかこれ、世界に一機しかない機体なんですよ。最大離陸重量が600t! 600トン!! ドスゲエ。

さて、世界崩壊待ったなしの大ピンチの難局を至上の結果で乗り越えた慧たち。しかし、ここでまたありえべからざる矛盾点が浮き上がってくるんですよね。忘れてた! わけでもないのですけれど、それが現実の現在に現物として存在していることについて、そう言えばグリペンの記憶では説明つかないことでした。
そう、あれは一体どうしてそこに現れたんだ!?
これが、完全に詰んでいるこの世界の危機を、グリペンに押し付けられる定められた運命を覆す転換点となり得るのか。面白くなってきた!!

シリーズ感想

僕は君に爆弾を仕掛けたい。 ★★★☆  



【僕は君に爆弾を仕掛けたい。】  高木 敦史/ 遠坂 あさぎ  角川スニーカー文庫

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小手毬さんはとても可愛い。でもそれは見た目だけ。本性は身勝手で強引で偉そうで、ホントにろくでもない。僕の敵、だったのに。よりにもよって彼女が僕の仕掛けた爆弾を見つけるものだから、さぁ困った。きっとものすごく面倒くさいことを言い出すぞ。「犯人を引きずり出せるかどうか、賭けをしない?私が勝ったら笹子くん、キミ私の下僕になること!」…ほらね。そのまま二人仲良く、文化祭を控えた学内で起こる怪事件に次々巻き込まれるハメに―。かまってほしい彼女と彼の、学園謎解きラブコメディ。

全裸男だけ特に意味わからんかったんだけれど、あいついったいなんなのー!? 正体不明のままスルーされてしまって、すごい気になるんだけれど。あんなのが深夜に徘徊している中学校って、かなり怖いんですけど!
まあその人は特別にアレだったのだけれど、その他の人々も相当にアレというかそれ越えちゃダメよ、というラインを越えてしまってる気がするんですよね。大丈夫なの、これ!?
少なくとも、これ高校生になってやってたらアウトだよね、という行状がチラホラと。いや、中学生でもやっぱりアウトだと思わないでもないのだけれど、「やらかし」に対するハードルの低さというか自覚のなさ?というものがどうにも中学生らしくて、一旦途中で「あれ? これ高校が舞台じゃなくて中学が舞台なんだよね?」と見返して、頷いてみたりしたのであります。わざわざ中学生たちを主人公にしたのも納得というかなんというか。
……若干名、大人のくせに何やらかしてんだ、という人もいますけれど。あんたそれ、普通に警察沙汰ですからね!? まあ中学生でも子供でもそれはあかんやろう、というのも幾つかあるんですけれど、一方で学校自体が問題を積極的に隠蔽しますよ、という体質になっちゃっているのを子供たちもかなり確信的なのか具体的に把握しているので、それを見越してラインひょいひょい超えちゃってる部分もあるんですよね。
この学校、なんかもう相当にひどいことになってるんじゃないだろうか。だろうか、って疑問形にするまでもなく、最後の小手毬の盛大な暴露の内容を見ると疑いの余地もないのですけれど。
これを、ただ笹子くんを見返してマウント取るためだけにやらかしてしまう小手毬は、もう本当にアホだろう! この子、あれだけ簡単にあれこれの事件の真相をパッと見抜くんだから地頭は相当に良いはずなんだけれど、その頭の良さの可動範囲が狭すぎて考えなしの領域が逆に広すぎるんですよね。おまけに咄嗟の機転もきかないし、予想外のことが起こるとフリーズするし、そもそも対人能力皆無だし、そのくせ性格悪いし面倒くさいし……ダメっ子極まる!!
まあ彼女に限らず、主人公の笹子くんだって小手毬に負けず劣らず頭良いのは、最後の爆弾予告の真実を見抜いたように明らかなんだけれど、開幕冒頭でなにやってんだー!と言いたくなるような考えなしの思春期の暴走、をやらかしてるのを見ると大概だし、丸瀬の酷い自爆を見せられると、頭が良いこととバカなことは反比例しないんだよなあ、としみじみと思ってしまいました。ただ、彼らの視野の狭さや思慮の浅さ、短絡さというものは、なんかこう中学生っぽいんですよね。これ、中学生に対する偏見だろうか。でも、高校生くらいにまでなると、こういうことはダメなんだ、リスクが高くてやってられない、というセーブが効く気がするんですよね。
まあ、大人のくせにまったく自制のきいてない輩もいるのですけれど。あれは本当にダメですよ、もう。
小手毬ちゃんに関しても、この子が大きくなって自制が効く姿も想像できないんですけどね。大きくなってもダメっ子はダメっ子、トラブルメーカー以外にはなり難いのです、きっと。でも、この果てしない駄目さが可愛らしくもあり、直接関わるのは極めて鬱陶しくもあり、目をつけられ絡みつかれた笹子くんはもうずっと面倒見るしかないんじゃないですかね。お世話係、お世話係。

高木 敦史作品感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 5.「そして日常へ……」 ★★★★   



【女神の勇者を倒すゲスな方法 5.「そして日常へ……」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫 

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魔王の機転により女神の襲撃から逃れ魔界に辿りついた真一たちは、反撃の糸口を探していた。しかし古い文献をあたっても女神の存在は見当たらない。代わりに判明したのは太古より存在する赤き竜の眠る場所だった。けれどアリアンの父であるはずの竜は、娘を前にしてもタヌキ寝入りを決めこむばかり。そんな竜から女神の真実を聞き出すため、ここぞとばかりに真一は策を披露するが―。ゲス参謀の策は強大な女神に届くのか!?異世界勇者攻略譚、決着!

面白かった! ライトコメディなノリではじまった本作だけれど、ラスボスの女神エレゾニアは全く冗談の入る余地がないガチのゲスだったがために、このクライマックスはかなりハードな展開に。
ってか、女神によって生き返らされた幼い頃に事故死した幼馴染の正体というか真実がエグすぎじゃないですか、これ? むしろ偽物とか別人の方が救いがあるんじゃないだろうか、という代物でかつてここまで人の尊厳を蹂躙し尽くしたものがあっただろうかというくらいなんですよね。
エレゾニアに比べたら、古今東西の偽物用意する悪役さんたち素晴らしく仕事が丁寧なんだと思い知りましたよ。エレゾニア、雑すぎる! というよりも、本当に状況に合わせた必要最低限のことしかしなかった、という事なんでしょうね。その場限りで良かった、ということなのでしょう。あまりにも舐め腐っている。あまりにも、真一が可哀想過ぎる。ここまで大切な思い出を穢されて、冒涜されて、許せるはずがなかろうに。
エレゾニアの正体とその過去が明らかになり、それに伴ってこの世界の真実、魔族やエルフ、この世界の構造の秘密なんかもわかってくるのですが、がっつりとSFだったのは勿論なんですけれど、古代の高度な文明が滅びて、魔族が生まれこういう世界になっていった、という成り立ちが見事に論理だったものになっていて、この過不足のない過去から現在に至る筋立てはちょっと気持ちの良いくらいキレイに整ったものでした。かなり最初からガチ目に設定作ってたんだねえ。ライトコメディ作品的な適当な世界観とは程遠いビシッと整備された世界観であることが、こうして歴史を紐解くことで明らかになる、というのは何とも心漉くものがあります。
それにつけても、同情の余地が一切見当たらないエレゾニアである。
いや、生い立ちなんかを考えれば余地はあったのかもしれないですけれど、そこからの言動は明らかに彼女自身によって積み上げられていったものなんですよね。環境がどうのという問題じゃなく。
挙げ句に、最後にはそのあったかもわからない同情の余地すらも自ら捨て去ってしまったわけですから。
それでもなお、和解を試みるリノちゃんの心根は尊重すべき純粋さであり決して非難すべきものじゃないけれど、現状やエレゾニアによって喪われたもの、苦しめられた人の想いに対してそれは無慈悲ですらあるんですよね。
真一が凄いなあと思うのは、リノちゃんの思うようにやらせてあげた上で、きっちりとリノのそれもまた暴力の一種であるんだよ、と彼女のあり方の良いところとその中にも悪しきものがあるというのを体験を添えて教えた上で、その先の選択を彼女に委ねるところなんですよね。自分でちゃんと考えて、選ばせて、責任をもたせる。
女神教をはじめとした盲目的に既存の教えに従う、誰かの言われた通りにして何も考えない、という思考停止に対してアンチテーゼを投げかけてきた本作らしい、アプローチでありました。リノちゃん命の聖女さまにも、最後ちゃんと一人の女の子と向き合わせてリノに対してだけ盲目的ではない、自分の考え、自分の感じ方というのをもたせるような描写もありましたしね。
一方で、大衆は場の空気の流れに逆らえない、というあたりは冷徹なくらい徹底して描いてもいて、ラストの大逆転劇はこれまでの積み重ねでもあったのですけれど、思いっきり情報操作と扇動でもありましたからねえ。理想と現実を起用に操る、ほんとゲス参謀の真骨頂ともいうべき策の弄し方でありました。
しかし、勇者たちの死んでもすぐに生き返る不死システム、思ってた以上に生々しい科学の産物で、具体的に描写されるとグロテスク極まるんですけど! これ、知ってしまうと精神崩壊してしまう死亡経験勇者、山程いるんじゃなかろうか。ちょっと耐えられん事実だぞ。実際、このあたりの情報は伏せる予定みたいだけれど。
これを知っていながら、エルフにドM戦隊を特攻させて、死なせまくった真一、マジで鬼畜なんですがw

ちょっとラスト、余韻が全然ないあっさりとした終わり方で、せっかくクライマックスから盛り上がってエピローグの余韻に浸ろう、彼らの関係やその後の世界の様子とかどうなるんだろう、と思ってたところでバッサリ切り取られたような感覚で、うえ!? と拍子抜けのような梯子外されたような感じだったのですが。
あれ? 続刊の発売予定が12月にありますよ!? まだ続くの!?

2巻 3巻 4巻感想

ガーリー・エアフォース 8 ★★★☆  



【ガーリー・エアフォース 8】 夏海 公司/遠坂 あさぎ 電撃文庫

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グリペンと世界、どちらを救う? 美少女×戦闘機ストーリー、第8弾!

アンフィジカルレイヤーで目の当たりにした出来事により、ザイの正体とグリペンの理不尽な定めを知った慧。彼女を解放するために、慧はこれ以上の戦いと、世界を救うことを拒否してしまう。
そんな中、新ドーターの運用試験を行っていたイギリスのベンベキュラ基地が、ザイの戦略兵器により突如消滅。そしてザイの次なる攻撃目標は――小松!?
防戦にあたる独飛の面々だが、慧とグリペンの不在により苦戦を強いられる。はたして慧の選択は――?
巻末には那覇基地の守護神、バイパーゼロの活躍を描く短編も収録した、美少女×戦闘機ストーリー、グリペンの運命に立ち向かう第8弾!

「俺は世界を……救わない」
前巻ラストでの衝撃的だけれど、決意の籠もった慧のセリフ。さあ、そこから彼が何をしでかすのか。この行き止まりの現実に対して、どんな打開策を示すのか。と期待を膨らませて本巻のページを開いたわけですが……。
だから何もしない…って、ほんとに何もしないだけかぃ!
それはもう、世界よ滅べ。日本も自分の住む街も身近な人間も全部殺され、人類が滅びるのを座して待つ、と言ってるのと変わらないわけで、それを淡々とグリペンに指摘されて思わず激高してる時点で覚悟も何も据わってないんだよなあ。あとはただの意地、意固地。拗ねて拗らせているだけなのである。
もちろん、彼がそんな有様になってしまうだけの絶望が、慧の心身を蝕んでいるのも確かだ。彼の中には幾重にもグリペンを見捨てて見送ってきた記憶が積み重なっているわけで。幾度も幾度もその幻視に苛まれ、その際の絶望感は身を焼き続けている。
こればっかりは、慧自身しか決して理解出来ないし、実感もできないのだろう。他人には、感じることのできない虚に、彼は囚われてしまっている。
まあ問題は、読んでいるこっちにもその絶望ってのは伝わらないものであるというところで。読者として共感してしまうのは、彼の事情を知りながらもその態度に憤りやもどかしさを感じて「イイィーーッ」となってしまったファントムが一番近いところにあるという事なんでしょうなあ。
それじゃあ何の解決にもなってないでしょうが、とか。みっともない、情けない、とかそう思っちゃうよねえ。
まあ、あれはグリペンも態度悪いよ、と思うところでもありますけれど。グリペンだってもう数え切れないくらいこれ繰り返しているにも関わらず、慧のこと煽っているのか、というようなセリフしか言わないもの。あれは男の子としては憤懣やるかたないところで意固地にもなりますわな。
というところで、回り回って見ると結局痴話喧嘩じゃないか、というところに収まっているようにも見えるわけで。
やっぱりどちらにしてもファントムさん激おこである。ファントム、おばあちゃんなんだから労れよw
むしろ、現在は平均的な平和ボケしたやる気ない女子高生に過ぎない姪っ子が、自分と同じ人でなしに成り下がる、そうなるほどの地獄を見てこの救いのない選択を掴んだことに密かにショック受けてた八代通さんの方の反応にこそ、絶望感を感じてしまうわけで。
そうだよねえ、傍観じゃなく足掻くよねえ、そうなったら。
足掻くこともし難いほどに、慧の方は繰り返しを浴びてしまったとも言えるんだけれど、その割にはわりとあっさり気持ち復活させたあたり、やっぱりこっちは痴話喧嘩だよ、うん。

だから、ファントムさんをいたわってあげてください。人類を救済するためには機械的になんでもやります、的にクールな女に成り切っていたファントムが、自覚するくらいに慧に期待し、失望させられた時にこんなショックを受けて動揺しまくるくらいに傾倒していた、というのはホント人間らしいというか、グリペンに負けずヒロインしてると思いますよ。だからお婆ちゃんじゃないんですからね。
やってることは縁の下の力持ちだし、ボロボロになっても頑張ってるし、内面かなりぐちゃぐちゃになってるのに、傍目には澄ました態度を崩さないとか健気じゃないですか、優しくしなさいよ、もう。

おまけ短編では、ついに今まで何度も戦場でスーパーサブして活躍しながらもコソコソ隠れてその姿を表さなかったハイパーゼロが、御本人登場である。
ってか、そんなどえらい設定抱えてたのか! そりゃ、御本人登場できんわ。というか、よく今回姿表したもんです。
ちなみに今回は表紙まで飾ってますけど、これハイパーゼロって言っていいのか!?
ともあれ、人見知り故に出てこなかった、というわけでもないのは幸いなのか何なのか。

シリーズ感想

ガーリー・エアフォースVII ★★★★   

ガーリー・エアフォースVII (電撃文庫)

【ガーリー・エアフォースVII】 夏海 公司/遠坂 あさぎ 電撃文庫

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バディを撃墜され、F‐15Jから降ろされた蛍橋三等空尉。失意に沈む中、彼をスカウトしに技本室長の知寄蒔絵がやってくる。半信半疑で訪れた技本で蛍橋を待ち受けていたのは、複座の軍用機JAS39グリペンと、ポルトガル語を操りペールピンクの髪をなびかせるアニマの少女だった。パートナーの少女グリペンに加えて、新たな翼を手に入れた蛍橋は、以前にもましてザイへの敵愾心を強めていくのだが―。ザイとの大空戦に世界中のアニマが大集結!?グリペンがその身を懸けた、次元を越えたもう一つの物語。

……想像以上に凄いのが出てきてしまったんですが。うわぁ。
本格的にSFに突入してきた、と前回の巻の感想で書いていたのですが本格的どころの話じゃなかったよ。完全にこれSFだわ。
ザイとはいったいなんなのか。モンゴルの鉱山で発見された千年前のイーグルの残骸の正体とは、そしてグリペンが抱えている真実とは。
これまでずっと伏せられていた物語の根幹となる部分の秘密が、ほぼすべて明らかにされたこの巻の内容は、ちょっとどころではない衝撃的なものでした。
世界の構造そのものに、そこまで手が加わっていたというのか。
既に現状でも慧たちの住む世界の状況は切羽詰まったを通り越してほぼ滅びへのカウントダウンへと突入してしまっているのだけれど、実情はそんな地点すらある意味通り越してしまっていたのである。
この七巻は、そのブレイクスルーに至る最初にして始まりのステージというわけだ。
それにしても、ここまで作品としてのスケールが三周りくらい一気にでかくなるとは思わなんだ。そして、その分だけグリペンが背負ってるもの、抱いている覚悟の密度もまた実は桁違いのものだった、ということが明らかになってるんですよね。そして、彼女が「彼」に対して抱いている愛情の深さも。そして、その揺るぎなさも。
アニマとは一体なにものなのか。どういう存在なのか。どうして、一機種に対してアニマ一体しか発現しないのか。わりと、この手の擬人化ものってどうして「擬人化」したのか、その仕組みに関しては曖昧にぼかすか、或いは詳細に設定詰めるか、の両方のパターンがあると思うのだけれど、本作は見事なまでに後者でありました。アニマの存在について詳らかにされていくがゆえに、その扱い方についても深く考えざるを得なくなってくる。もっとも、それを知らずしても彼女たちの「本質」とちゃんと向き合えることが主人公たちの主人公である資質ではあったのでしょうけれど。
その意味では、この蛍橋三尉という男はわりとロクでなしの類であったんですよね。ザイへの憎しみに荒れてたとはいえ、その素行は狂犬そのものでしたしちょっとまともな人間ではなかった。グリペンと出会ってからも、無神経の極みで視野も狭くまあひどい男でしたよ。
でも、そう言えば最初期の鳴谷慧のメンタルの不安定さを思い返してみると、あれをそのまま煮凝りのように固めてしまって年を経たら、なるほど蛍橋みたいな感じになってしまっていたのかもしれない。正直、選択肢が限られていたとはいえ、よくこの男を選んだなあ、と思ってしまいます。途中まで明らかにハズレ引いたとしか思えない状態でしたし。ある意味イーグルの相方が反面教師になったんじゃなかろうか。あれがひどすぎたぶん、蛍橋は自分を顧みることが出来たんじゃなかろうか。本質的に女性に対しても他人に対しても優しく気遣いの出来る人間であったとしても、あそこまで荒んでしまってたら、自力で修正していくにも時間かかったろうし。グリペンって受け身な方だから彼女の方から積極的に「彼」を変えていくみたいな影響力って何気にそんなに発揮出来なかったでしょうし。
ただまあ、お互い不器用な分思い込んだら一直線、というありさまがいわばグリペンをこの円環へと突入させてしまった、というのなら、無垢な愛というのは罪深いものなのかもしれません。
そうかー、第一巻でグリペンが初対面から慧を特別と認識した理由が、ついにここに回帰してきたのか。七巻まで引っ張ったというのは長いというべきか、一冊丸々こういう話に使えたというのは長期シリーズゆえですけれど、ずいぶんとスケール大きい構成組みましたよねえ。ここまで話広げられるか、はじめた当初はわからなかっただろうに。
表紙のライノも、なんで今さらこの娘? と思ったのだけれど、こうなってみると大いに納得。
いわばこっちのライノが本来の彼女だった、というわけか。本来の、というと若干微妙なところがあるけれど。一応、あれも計算によって構築された演技だ、という話ですし。でも、それにとどまらない萌芽が垣間見えたわけですけれど。逆にこっちではかつてのライノよりも酷いことになっていたイーグルの有様。普段のあの天真爛漫さが、今回のライノと被るところがあって、対比にもなっていたんでしょうなあ。
ともあれ全部を知ってしまった慧にとって、今後どうするか、どの選択肢を選んでも地獄なんですよね、これ。果たして、最後の場面での宣言は深い決断故のものなのか。いずれにしても、大いに悶着起こりそうです。なんかこうなってくると、腹黒ファントムが癒やしに思えてきたw

それはそれとして、明華の扱いがホント酷いんじゃないですか!?(苦笑

シリーズ感想

女神の勇者を倒すゲスな方法 4.「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」 ★★★★   

女神の勇者を倒すゲスな方法4 「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」 (ファミ通文庫)

【女神の勇者を倒すゲスな方法 4.「お気の毒ですが変人は増えてしまいました」】 笹木 さくま/遠坂 あさぎ ファミ通文庫

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あらゆる手を尽くし、女神教との一時停戦をもぎとった真一たち。次は“不死身の勇者”を生み出す女神そのものを倒すため各地を旅していた彼らは、かつて女神が直々に破壊するよう命じたと言う“エルフの墓所”の存在を知る。しかしエルフは人間を忌み嫌い、不死身の勇者たちですら一蹴するほどの魔力の持ち主。なるべく友好的に接しようとした真一たちだったが、暴言を吐きまくるエルフに、ついにはセレスがブチギレ――!! 勇者も敵わないエルフ攻略方法はあるのか!? 魔王の参謀となった少年の異世界攻略譚、第4弾!

前回、女神教のこと不死を権力奪取に悪用せずにわりと健全な組織運用してたんだなあ、と述懐してましたけれど、前言撤回します。充分悪用してるわー!
疲れたら治癒で強制回復、眠くなったら覚醒で起こされ、過労死しても死者蘇生で復活させられ、24時間働け働け、って女神教のヤバさが振り切ってる!
これは人格歪むわー。腐ってるとはいえ、比較的マトモなフェルメータ卿ですらこれ経験してるんですよね。これが当たり前になってるのか。上から下までこんだけ働いてたら、そりゃ女神教躍進するでしょうし、みんなまともな思考ぶっ壊れて狂信者になりますわなあ。むしろ、腐ったり俗世に塗れたりで落ち着いてまともな人格のままでいた二人の枢機卿が凄いのかも知れない。
フェルメータ卿が指導者になって、ある程度女神教もまともになるかも、と期待したいところだけれど、狂信とはまた別の方向でフェルメータ卿が着々と内部腐教を進めているのがちと怖い。順調に行くと、教義自体が腐りかねないんですが! 女神教、別に女人限定の宗教じゃなくて普通に男女入り混じっているのですが、このままだと男の方の立場が掛け算の具だけになってしまいそうだ。

とはいえ、原理派が排除されて現実派が主導権を握った女神教は少なくとも敵対勢力ではなくなったので、当面の驚異は女神そのもの、となったわけで、今後はその女神の正体、彼女が魔族を絶滅させようとする意図を暴く、という探索モード、アドベンチャーパートへと突入。その秘密が眠るかも知れない遺跡を探索するために、遺跡を守護するエルフの里を訪ねることに。
そして、血統を守護するために近親交配を繰り返して、血のどん詰まりを起こして滅びかかってるエルフの里w
うん、そうだよね。外から新しい血を入れずに引きこもってたら種として行き詰まっちゃうよね。わりとファンタジーだと引き篭もり傾向のあるエルフだけれど、大概のエルフは寿命が無いか千年単位で生きるので、血の濃さの問題というのは浮き彫りにならないケースが多かったのだけれど、この世界のエルフは別に長寿でもなんでもないので、あっさり滅びかかってる、という……。
コメディタッチで描かれているけれど、なんとか血縁の遠い者同士での交配をしようとした結果、恋愛感情無視どころではないドロドロの婚姻模様が繰り広げられていたようで、ひたすらエグい実態が。場合のよってはファンタジー世界にも関わらず横溝正史ワールドな世界観になってたんじゃないだろうか、エルフ村。
そんな中で、血の濃さ故に誰とも結婚できない定めとなりハブにされていたエルフ娘のクラリッサ。……あかん、この子本物の変態やー! いやもう、道を誤った人はたくさん出てきましたし性癖としてどうなんだ、という人もたくさん出てきましたけれど、なんかこの子はそんな中でも並外れて「真性」だよ!!
ヒロインとしても色んな意味で「無理!」な感じの真性ですだよ!
まあセレスさんがドスケベエルフだというクラリッサの主張には大いにうなずかざるを得ないけれど。

ともあれ、遺跡の探索によって古代文明にかかわる女神エレゾニアの正体の一端をようやく掴んだところで、ラストの衝撃的な展開である。
真一という人間を現在の形に形作った根源ともいえる部分に、何の躊躇も罪悪感もなく無造作に手をツッコミ、かき回すどころか抉り取って見せつける無慈悲さ、冷徹なまでに愛情も友情も踏み躙る非情さ。なにより、やり口のえげつなさ。
女神エレゾニア、こいつが一番ゲスそのものや!
これは役者も揃って一気にクライマックスか。

2巻 3巻感想
 
12月3日

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