【異世界からJK転生した元妹が、超グイグイくる。1】 はむばね/鉄人桃子 HJ文庫

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平野庸一は、異世界からの転生者である。だが彼は、前世の冒険者生活のことは黒歴史として封印し、現代でごく普通の学生生活を送っていた。そんなある日、彼の前に転入生の美少女JK・環が現れる。なんと彼女は、天才魔術師にして「お兄様大好き」な、前世での「妹」が転生した姿だった!「現世では、兄様との血の繋がりは消滅!もはや『血縁負けフラグ』はあり得ません!」「…いや、しょせんお前は妹だし」超ブラコンな元妹がグイグイ迫る、超ハイテンション・ラブコメ!

ほんとにグイグイ来るな、この元妹!! いや実際グイグイどころじゃない勢いで押しかけてくるの、昭和のギャグアニメな勢いである。再会の時にお兄ちゃんが半年ぶりにあった従妹程度の反応しか示さなかった反動だったんじゃないか、と思ってしまう程度には平野くんのスルーっぷりはエグかったぞ。
前世からの様子を見ていると、わりとこのお兄ちゃんもシスコンの卦があって妹のことは随分と大切にしていたのに、どうして再会のときだけこんなサッパリ対応だったんだろうか。前世で命を落としたのは、妹を守ってのことだったというのに。
これ、素直に感動の再会になってたらもっと穏当な前世では妹だったけれど、今世では他人なんだからお付き合いするの何の問題もないよね、な男女の初々しい青春恋愛物語になってもおかしくなかったのに、と言ってしまうには元妹のガツガツ食いついてくる様子が肉食すぎるか。
普通ならたとえ妹でも、いや妹だったからこそドン引きしそうな恋愛の駆け引きも何もあったもんじゃない、棍棒外交のような攻勢に晒されても、「あはは、元気だなあ〜」くらいの微笑ましいと言わんばかりに流してしまって、動じもしないお兄ちゃん、相当の変人ではなかろうか。許容度深すぎて鷹揚すぎる!w
高校生にもなって前世前世と公言してはばからない、いや公言はしてないけど元勇者や元魔王と一緒になって前世思い出話をナチュラルに雑談してるんだから、あの人たちはそういう人たちなのだ、と生暖かい眼差しに見守られるグループに属しながら、まったく自然体で普通の学校生活を送っているのだから、大概おかしい。
まあ中学までは前世前世と連呼しながら、今と違って色々と実行に移してしまっていたそうなので、その意味では落ち着いたというか更生したのかもしれないが、遠巻きにされているという意味では変わってないよな、うん。
そんな前世祭りグループの中で、どうしてか魔王だけが前世の記憶を実は持っていなくて、知ったかぶりして付き合っているだけ、というのが面白い。のじゃロリな容姿といい喋り方といい実家が超名家だったりと一番中二拗らせてそうな見てくれ外装なのに、本気な親友たちのそれを「こいつら中二設定にハマりすぎてて大丈夫か?」と常々心配しつつ、付き合ってるあたりがなんというか、可愛そうな常識人ポジションだったりするのね。元勇者の方も相当にかわいそうな役回りを押し付けられている気もするけれど、ツッコミやらフォローに忙しい魔王がなんだかんだと苦労人なんですよねえ。
何気に、この生ではこの魔王が一番平野くんと付き合い古くて、幼馴染枠にぎりぎり入れてもいいんじゃないか、というくらいの深い関係だったりするし。
逆に記憶がない、というのが爆弾にもなってるんですよね、これ。記憶があってこの人生では和解したつもりになってる他の面々だけど、もしこれから記憶が戻ってしまったとき、果たして魔王はこれまでどおりの人間としての彼女で居られるのか。居られたとしても、前世で今大切な人をこの手で殺した事実を前にどうなってしまうのか。
……これ、魔王の方がわりと正ヒロインポジの可能性もあるんじゃないの?

はむばね作品感想