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鍋島テツヒロ

108回殺された悪役令嬢 上 すべてを思い出したので、乙女はルビーでキセキします BABY編  



【108回殺された悪役令嬢 上 すべてを思い出したので、乙女はルビーでキセキします BABY編】  なまくら/鍋島 テツヒロ エンターブレイン

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全部あわせて108回悪役令嬢人生を繰り返したスカーレット。のちに冷酷な女王として国民を恐怖のどん底に叩き込むことになる赤髪赤瞳の公爵令嬢である。スカーレットは同じ人生を、何度も何度もループしていた。いずれの人生もその最期は、必ず惨殺される結末。やり直すたびに、前の人生記憶はすべてリセットされて。しかし109回目の人生で偶然すべての記憶を取り戻したスカーレットはループからの脱却をはかる。スカーレットは赤い呪いの鎖を断ち切ることができるのか?

いやこれ、スカーレット今の所あんまりなんにもしてなくない!?
現状まだろくにハイハイも出来ない赤ん坊だから仕方ないのだけど、折角前世までの記憶を取り戻してみたものの、それ特に活用する場面ないですよね!?
スカーレットがやった事と言えば……生まれてすぐに乱心した母親に投げ殺されそうになったのを、超必死にしがみついて抵抗したこと。思えば、この赤ん坊のくせにやたらと必死こいて生き足掻いた事こそがすべてをひっくり返すきっかけになったのだから、スカーレット何もしてない説はさすがに言いすぎか。
これによって、見ているだけだった暗殺者ブラッドが面白がって介入するという今までにない歴史が生じ、これまでスカーレットが経験してきたすべての歴史でスカーレットを産んだ直後になくなっていた母親が死なずに生きている、という結果が生まれるんですね。
これこそが最大のターニングポイントだったんだろうけど、これ以降特にスカーレット何もしていないにも関わらず、これまでの歴史で彼女が乳幼児の時期に起こっただろう様々な悲劇惨劇、いずれスカーレットを悪逆の女王へと登極させることになるだろう彼女の人生に根付いていた不幸の芽が、片っ端から覆っていくのである。
そもそも、生まれたばかりの自分の子供をヒステリーから投げ殺そうとした母親が生き残ったとして、果たして歴史が大きく変わる要素があるのか。産後鬱とかノイローゼ気味からくる突発的衝動的な行為だったのなら大いに同情の余地はあるし、母親本人冷静になったらまた変わってくるのかな、程度に思っていたら、母親の精神的な不安定さから大きな陰謀が関わっているわ、彼女の追い込まれ方がちょっと尋常でなかったとか、実はお母さんチートキャラだったんですよ、という怒涛の展開が待ってたんですよね。
こうしてみると、スカーレットの暗澹たる人生ってのはほんのちょっと力や願いが及ばずに本来の能力や人間関係が活かされず封殺されたことによって、不幸のドミノ倒しみたいになってたのが実情だったんですよね。
その最初の駒が喪われず、さらにブラッドという血流操作という名の意味不明な万能能力の天才少年が最大の味方としてスカーレットたちを守ってくれることから、ほんの少し足りなかったところが見事に片っ端から爪先が際に届くことで全部が好転していってるんですよね。
逆にスカーレットの両親をはじめとして、尋常でなく有能で切れ者というべき人たちが本来の力を発揮できないまま泥沼に叩き込まれ、マリアをはじめとする本当の意味でスカーレットの味方になってくれる人たちの未来を断ち切ってきた黒幕の立ち回り、というのは空恐ろしい狡猾さを感じさせる。
この黒幕というのがまた尋常でない、特に精神の在り方がもう完全に人間を逸脱してしまっているというか、愉悦部名誉会長みたいな有様なんですよね。もうこれサイコパス以外の何者でもないじゃん。こんなのに目をつけられてしまった以上の不幸はないだろう、スカーレットさん。
と、108回もろくでもない死に目にあってきたにも関わらず、この赤ん坊いい加減能天気というかアーパーでアホ丸出しで妙に人生楽しそうなのが、若干腹立つんですが(苦笑
あと、ブラッドの能力がちょっと便利すぎて頭おかしいんですが。こいつの能力ってほんとにただ血液を操るだけなのか? もう意味不明な能力になってるんですけど。なんか相手の血の流れを読むことで何考えてるかも察知することが出来るって、血かんけいありますそれ!?
おかげで赤ん坊で喋れないスカーレットの言いたい言葉まで読み取ってくれるので、便利は便利なんでしょうけど、特に有効活用してませんよね、スカーレットさん! この娘アホなことしか言ってないような気がするぞ。そして、なんか勝手に回りのひとたち、ブラッドを筆頭にマリアやお母様や遠方の地では帰還を目指すお父様にその盟友となった人たちがとにかく頑張りまくることで、彼らに降り掛かってくる悪意を、害意を、邪悪な企みを次々と打破していくのである。
絶体絶命のピンチのブラッドを、血の記憶を通して超常のバフをかけて救ったりしてるから、スカーレットもちゃんと頑張ってると言っておこう。

とまあ、本編そのものはスカーレットが常に頭の悪いアホの娘の物言いをしているので緩い感じなのだけど、頻繁に挟まれるこれまでスカーレットが辿ってきた108回の死亡遊戯。その過程の中で起こったスカーレットの味方となったであろう人々を見舞う惨劇が悲惨以外のなにものでもなく、夢も希望もないんだよ、と言いたい無残さで胸を打つのである。
そして、黒幕の圧倒的な悪意の恐ろしさも、容赦なくぶちまけてくる。果たして、今まで見舞われてきた不幸の数々を打ち破れるのか。この邪悪に勝てるのか。
スカーレットはちゃんと自力で活躍できるのか! いや、赤ん坊でいる間はまあ無理でしょうけど。
自分でも私何もして無くね? と自己ツッコミしてるくらいだしなあw


マグダラで眠れ 8 ★★★★   

マグダラで眠れ (8) (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 8】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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クラジウス騎士団の追っ手が迫る中、クースラたちは、フェネシスの一族"白き者"たちが起こした大爆発により、一夜で滅んだという旧アッバスに向かうことに。
空からやってきたという白き者の真相を明らかにすることで、クースラたちは彼らの行方を探ろうとする。空を飛ぶ方法、なぜ町が滅んだのか――全ての謎を解き、真理のさらに奥へ。そしてその先にある、理想の世界「マグダラの地」を目指して。
仲間たちとの実験と研鑽の日々に、心地よさを覚えるクースラ。だが、クースラたちの持つ新たな技術を狙ってアイルゼンが現れたのだった――。

これもうクースラ、フェネシスのこと好きすぎじゃね? とりあえず寝る時は常時抱きまくらなんですね? 眠らない錬金術師を安眠させる抱きまくら、素晴らしい。
あれだけひねくれていたクースラに、これだけ素直に、を通り越して赤裸々にお前が大事だ、大切だ、離したくない、という内容の言葉を連呼させるフェネシスって考えてみると凄いよなあ。クースラ、自分がどれだけ恥ずかしいこと言ってるか自覚がないのか、それとも恥ずかしいとも思わなくなっちゃってるもんなあ。ある意味男をダメにする魔性の女、とも言えるのかもしれないけれど、ダメどころか男としても錬金術師としても柔軟に成長させ、奮起させる燃料になっているわけで、とびきりのイイ女と賞賛するしかない。
とはいえ、アイルゼンに窘められたようにクースラのロマンチストとしての側面は恐らくフェネシスとの出会いの頃からしても、加速してるんでしょうね。あの頃のクースラたち錬金術師の好奇心は業や妄執に近いものだったように感じていたので、質としてはより純粋なものに昇華されてきたのかもしれないけれど。
これだけ非科学的な観念を否定し、現実的な論理に基づいた現象による結果を追求する錬金術師、という生業に勤しみながら、クースラたちって決して現実主義者ではないんですよね。あの、白き者たちの起こした大爆発の理由について、彼らが幾つもの推論を熱く語る中に一度たりとも「事故」という要素が出てこずに、本気で違う土地へと空を飛んで旅立って行ったのだ、というのを信じているのを見てると、こう凄くロマンチストなんだなあ、というのをしみじみと思ったんですよね。そして、今の彼らはまさにその思い描くロマンを実現してきた只中に居たんですよね。だとすれば、自分たちのロマンに酔いしれていた、というのも宜なるかなというものじゃありませんか。
それに冷水を浴びせたのが、アイルゼンだったのですが。
残酷なようですけれどアイルゼンの提案というのは、ビックリするくらい友好的だったと思うんですよね。友好的どころか親密ですらあったかもしれない。現実を見ろ、という彼の言葉は辛辣ではあるものの、提案の内容を含めてクースラたちがショックを受けるほどにはクースラたちをぞんざいに扱ってないと思うんですよね。利用する、駒として使うみたいな冷めたものではなく、もっとこう「自分とも遊ぼうぜ」というような、いつまでも自分たちだけで遊んでいないで、現実を見て、その上で己のフィールド上に舞台を用意するからそこで一緒に遊ばないか、というお誘いだったと思うのである。もちろん、有無を言わせぬ断る余地を持たせないものではあったのでしょうけれど。
だからこそ、最後のクースラの発見であり概念の大どんでん返しであり、堂々としたあの宣言は、アイルゼンの提案に対してあんたの舞台で一緒に遊んでやる、でもその舞台そのものをあんたの知ってるものとは根本からひっくり返してしまうことになるだろうけど、もちろん付き合うよな!?
という、逆にお誘いを掛けるようなものに見えたんですよね。反抗でも対立でもなく、共犯者であり同志であり仲間へのお誘い。固定観念であり生きる上での土台となっていた概念を揺さぶられ、それが覆されていくのを楽しいと思ってしまう業。そう、アイルゼンもこれに乗ってしまう以上、書籍商のフィルさんと同じになってしまうわなあ。

白き者たちの行方。それに大胆な仮説を示し、この世の常識を引っくり返す大勝負に錬金術師として、いや科学の徒として、というべきか。挑む決意を固めたクースラたち。
これにて白き者たちの軌跡を追いかける第一部は完結、という形らしい。どうやらこれで完結ではなく、まだ第二部が続く可能性はあるみたいだけれど、ともあれ人として完全にダメでアウトな人間だったクースラたちが、一皮も二皮も剥けて真っ当な夢追い人になっていくさまは、フェネシスにずぶずぶにデレていく様子も含めて非常に楽しかった。
より大きいスケールの常識を覆す錬金術師としての大勝負となるだろう第二部も読みたいですねえ。

シリーズ感想

マグダラで眠れ 7 ★★★★   

マグダラで眠れ (7) (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 7】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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錬金術師たちの次なる目的地は、太陽の召喚により一夜で滅んだというアッバスの町。クースラは、長く旅を続けていく中で巡り合った旅の同伴者たちに、居心地の良さを感じていた。その気持ちを振り払うかのように、天使が残した『太陽の欠片』の調査を始めるクースラの前に、書籍商を名乗る男フィルが現れる。フィルもまた異端審問官アブレアが残した伝説の足跡を追っており、アッバスの町に古くから伝わる『白い悪魔の生贄の儀式』こそがその手がかりではないかと語る。儀式が行われる祭壇を調査するうちに、伝説の真相に近づいていくクースラたち。だがその時、思いもよらない事態が彼らを待ち受けて―?
ああ、この書籍商のフィルってスピンオフ作品の【少女は書架の海で眠る】の主人公だったフィル少年なのか。そりゃ、クースラとも意気投合するよなあ。おんなじタイプの業の持ち主だし。クースラとしても一番共感を持ててしまうタイプの夢追い人なんじゃなかろうか。
しかし、随分とふくよかというか貫禄がついてしまって。すっかり青臭さは消えて強かな商人らしさを纏うようになったけれど、むしろ自信と実力がついた分、思う存分夢を追い掛け回しているようなキラキラしてる感が出ていて、充実してるんだなあ、と。
しかし、フィルがこれだけ大人になっているとなると、あの作品でヒロインだった少女はどうしてるんだろう、という方にやっぱり意識は向けてしまうわけで。その話はあるのかなあ。

さて、クースラたちの旅だけれど本当にクースラは丸くなった。彼だけじゃなくウェランドまでがすごく安定してきてるんですよね。フェネシスのことだけではなく、ウェランドとイリーネの四人をひっくるめてこうして一緒に旅をし、謎を探求する時間を掛け替えのないものと感じ始めたクースラ。餓えた獣のようにガツガツと真理を探求し続けていた危険な男の陰はそこにはなく……しかし、当人たちのメンタルが安定するのとは裏腹に、彼らをひごしてきた神殿騎士団の方がどんどん立場を崩壊させてってるんですよね。竜のカラクリを復活させたことで、現地の北方派遣軍の方は持ち直したものの、現場の勝利だけではどうにもならない大きな事態が本拠の方で起こり、その激動の余波がクースラたちの元まで押し寄せてくることになるわけだ。
クースラが見つけたマグダラは、まだ容易に失われかねない脆いもので、見つけたからこそクースラは必死でそれを守らなくてはいけなくなったのだけれど、それを楽しく嬉しいことと思えるならば、幸せなんだろうなあ。
いや本当に、ちょっと幸せ満喫しすぎてませんかね、クースラさんw
もうフェネシスに対してデレッデレじゃないですか。友達と別れることになったり、色々と心細い環境になることで落ち込むだろうフェネシスに、俺を頼れよっ、なんて言って慰めようと、イリーネにアドバイスまで貰ってキリッと待ち構えていたのに、成長したフェネシスは全然頼ってきてくれなくて、めっさ拗ねてるクースラさんがちょっと可愛すぎやしませんかねw 構ってちゃんか!
でも、変な見栄をはらずに自分をごまかさずに、素直にイリーネに頭さげて助言してもらったり、自分からフェネシスにイチャつきに行ったり、とこの男わりとストレートなんだよなあ。賢さを抉らせて迂遠に自分たちの気持ちを偽りまくっていたホロとロレンスのカップルと比べると、ほんとこのクースラとフェネシスは不器用だけれど分かりやすくイチャイチャしてくれるので……いやまあどっちも同レベルでこっ恥ずかしいんですがw
気持ちに余裕が出来ると、人間関係まで余裕が出てくるのかウェランドとさえ、なんかイチャイチャしはじめるし。なに、この思わず目があったら微笑み合ってしまうような熱々さはw おまえら、もっと刺々しい信頼できるのは錬金術士としての在り方だけで、人間的には殴り合い殺し合い上等、な関係だったのにいつの間に、こんな普通の親友みたいな関係になってたのかしら。
まあウェランドからして、ヤクキメてるんじゃなかろうかというくらい危なっかしい何をしでかすかわからない剥き出しの刃物でお手玉してるようなヤバイ感じがしてたのが、いつの頃からか気心がしれて背中も預けられる、うまいこと気も使ってくれて、フェネシスやイリーネと拗れかけても仲裁してくれたり、と頼りになる人になってたもんなあ。
まったく、恥ずかしいくらいに息の合う関係になっちまって。
人間関係も充実してしまったクースラですけれど、それと錬金術士の業はまた別で、新しい発見を前に実験に嬉々として没頭する姿は以前と何の変わりもなく、本質的にクースラもウェランドも純正の研究者なんだよなあ、と改めて思い知ったり。イリーネも、これまた生粋の鍛冶師だし、自分たちのやりたいことをやりまくれるって、そりゃ充実してるし楽しいし、その上で仕事仲間は同志であり友人であり愛する人であり関係は円満極まる、となったらもう……羨ましいくらいに満たされてるよなあ、これ。
でもだからこそ、今彼を満たしているもののどれかが永遠に失われてしまったら、今度こそ悲しいだけでは済まないんだろう。大事なものを見つけたからこそ、それを守るための必死さを得たのだ。

つまり、クースラがフェネシスを好きすぎてどうしようもないw

シリーズ感想

マグダラで眠れ 6 3   

マグダラで眠れ (6) (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 6】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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かつて天使に作られた町で紡がれる、ガラス職人の青年と町娘の恋の行方は――。

異端審問官アブレアの足跡を辿るクースラ達は、天使が降臨し、金銀を生み出す灰を授けたという不思議な伝説の残る町ヤーゾンを訪れた。町の教会でアブレアの署名を見つけたクースラは、町に語り継がれる伝説が真実であると確信を得る。
さらにクースラは、調査のため立ち寄った薬種商の娘ヘレナから、ガラス職人たちが伝説を紐解く手がかりを握っていると訊き出す。だが同時に、町を取り巻くガラス職人達と町の間の確執を知ることとなるのだった――。
かつて天使に作られた町で、眠らない錬金術師が恋に奔走するシリーズ第6弾。
クースラ、なんか色ボケしてないか、こいつ(苦笑
浮かれているとは言わないけれど、今のクースラって満たされてしまっているかのようで、かつてのようなガツガツと貪るように錬金のネタにかぶりついていく飢餓感が感じられない。とはいえ、尖り他を顧みないその生き方は危ういの一言で、夢のためなら自分の身も他者の身もまとめて破滅させかねない危なっかしさがつきまとっていたのだけれど、本当に大事なものを手に入れた彼は、随分精神的にも安定して余裕が出てきているようだ。それが、果たして錬金術師としてプラスなのかマイナスなのかは未だわからない。フェネシスという大事なものを手に入れたあとの方が、彼女を守るために実際に大きな功績を手繰り寄せているわけだし。
ただ、フェネシスを可愛いと言うか言わないかで一喜一憂、悩み落ち込み張り切り満足している様子を見ていると、あの「利子」と自称し忌み嫌われた錬金術士も、丸くなったなあ、と思わざるをえない。
なんか、商人としての強かさを練り上げていったロレンスよりも、クースラの方が随分と甘いんじゃないかと思えてきた。フェネシスのことだけじゃなく、まったく無関係で会ったばかりの街の人間の、内紛に関わるような恋模様におせっかいを焼いてしまうとか、思わず自分とフェネシスの関係をカップルに照らし合わせてしまったとはいえ、肩入れする理由としては随分と大盤振る舞いである。むしろ、夢見がちだったフェネシスの方が、現実の厳しさを理解して、二人が結ばれない事は仕方ないことなのだ、と物分りの良いところを見せていたのに。
フェネシスは、クースラについて幻想を抱かなくなった、という点でむしろよりクースラに深く愛情を抱いているのが見て取れるのに対して、クースラはもしかしてフェネシスにもっと自分に幻想を抱いて欲しいのか、と思うような張り切りっぷりを見せてるんですよね。単純に、好きな娘にいいところを見せたい、というだけなのかもしれないけれど、見栄張りを見栄だけで終わらせずに現実に手繰り寄せてしまうのが、彼の凄いところというか、今回については運も良かったのだろうけれど。材料自体は揃ってたわけですし、イリーネも独自に発見してたわけですしね。これはクースラやイリーネが凄いというだけではなく、内部で完結してしまっていると気づかないことでも、外部からの視点で新たな発見があるケース、というものでもあるのでしょう。技術を内部で抱え込むことで、逆に発展を遅らせてしまう、というのはこの作品内でのギルドの秘密主義でも度々垣間見えてることですしね。
ガラス職人のギルドは必要に迫られていたからとはいえ、新たな技術を得ようという意欲がある分、技術を継承するだけに終始して、何一つ付け加えることも許すまいとしていた、イリーネが居た鍛冶ギルドなんかよりも随分マシにも見えたけれど。あれも、ひとつの街に籠る閉鎖的な組織ではなく、街から街に渡り歩く漂泊の性質を備えていたからこそ、外からの風を受ける素養があったのかもしれないなあ。

しかし、これだけラブ寄せしてくるとは、シリーズ当初からは想像もしなかったけれど、クースラの恋愛不器用さは殆ど成長のあとが見られない! イリーネがやきもきしてあれこれと手をつくしてくれるのをもうちょっと申し訳なく思うべきだと思うよ、クースラくん。あれで彼女、複雑な思いを抱えている部分もあると思うし。ただ、クースラが面倒なままな分、フェネシスの方が大人になったというか、この人は絶対に自分を裏切らないという確信を得たからなのか、あたふたと無意味に慌てなくなって、クースラの無様を鷹揚に受け入れることができるようになってきたのも大きいんだろう。でないと、もっと頻繁につまらないことでこじれてただろうし。段々と主導権取られはじめているの、きづいてるんだろうか、この男。

シリーズ感想

Let's パーティー! 3.パーティなんてもういらない3   

Let's パーティー! 3 -パーティなんてもういらない- (GA文庫)

【Let's パーティー! 3.パーティなんてもういらない】 小金井ゴル/鍋島テツヒロ GA文庫

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「ちょ……何すかあんたたち?」
セルジュ=ホークウッド、誘拐される! 犯人はかつてユークを裏切ったトレイダ帝国元側近、ゲイン姉妹!
セルジュを取り戻すべく、ユーク・コンスタンス・シャン・カシィ、ばらばらなパーティが遂に団結!?
「「「「ユークは私たちのモノ!!」」」」
目指すは囚われ先の氷刃山脈だ!! 迎え撃つは荒れ狂う二体の魔超獣、疑惑を呼ぶユークの母・ソフィ、 そして全てを裏で操る――「黒幕」。様々な因果と思惑が集う北の大地で仲間たちの最終決戦が幕を開ける!

小金井ゴルと鍋島テツヒロが贈る、残念系パーティファンタジー第3弾。
なんか、ヒロインにあんまり魅力がないにも関わらず、物語としては結構しっかりしていて面白かったんだよなあ、これ。主人公がセクハラ体質とエロいことをすると充填される特別な力を持っているお陰で人間のクズ扱いされているものの、実際はかなり真面目な性格で人間関係も気配りの人、というのがそれなりに大きかったんだろうけれど。
彼にちゃんとした仲間が出来なかったのは、巡り合わせの悪さという部分が非常に大きかったわけですし。まあ、単にそれだけではないちゃんとした理由、というか謀のたぐいが張り巡らされていたのが、この巻で明らかになるのですが。
この作品、ヒロインも主人公もコミュ力残念すぎてちゃんとパーティーを組めない、というのを売り文句にしていたわけですけれど、単に表面上だけの掴みとしてのネタとして扱うのではなくて、パーティーや仲間というキッチリとした枠組みに囚われない人間関係、というテーマへとちゃんと話の筋を掘り下げていってるんですよ、これ。その点だけでも非常にまじめに物語の構築と充実という点に取り組んでいるのが伝わってくるんですよね。
個人的に、「仲間」という区分に対しては時々妙に居心地の悪さを感じる事があったんですよ。漫画とかライトノベルとかで、「そいつは俺の大事な『仲間』だ!」などと宣言するシーンなんかで、「え?」と思うことがしばしばある。「え? 仲間なの? 友達とかじゃないの?」という風に。
仲間、というのは国語辞典なんかの解説を見ても、同じ枠組みの中に所属する者同士という意味合いが強くて、そこでの当事者間の人間関係はまた別のモノであるわけです。だから、その人個人との人間関係を強く主張する場面で、枠組みである「仲間」である事の方を強く主張されてしまうと、すごく違和感を感じてしまうことがあるわけです。日本人というやつは同じ集団に属するという事に強く安心感を抱いてしまいがちな人種なので、同じ枠組みに属するという事と個人的な関係を深めることを混同してしまいがちな事がある気がするんですよね。
本作は、そうした点をなかなか際どく突いて、元々みんな残念すぎてちゃんとしたパーティを作れない、パーティーに入れない、という話を、同じ枠組みに入る事と個人個人で人間関係を深め信頼し合い醸成していく事は全く別の事なんだ、という話にまとめ上げていたのは、素直に面白かった。

この完結編となる三巻では、かなり話を詰め込んでめまぐるしく転がっていくのですが、忙しない一方で勢いは十分でしたし、かなり意表を突かれる展開が待ち受けていて、思いの外物語としてもドライブ感のある乗り心地の良いお話でしたし、結構読み終えたあとに満腹感を感じられる読み応えがある作品でした。
こうして振り返ってみると、やっぱり良作だと思うんだけれどなあ。登場人物のキャラ立ちはしていて面白くとも、ヒロインとしてはさっぱり魅力が感じられない面々ばかりだったのが、ちとアレだったのか。ユークとか、メインにも関わらず……、リノの方がストレートに可愛かったもんな、うん。個人的にはヒューゴーの手の平返しが大ウケでした。いけ好かない奴とは思ってたけれど、あそこまで面の皮が厚くて機を見るに敏で悪びれないと、むしろ好きになってしまいましたわw

マグダラで眠れ 5 3   

マグダラで眠れ (5) (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 5】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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炎を吐く竜を使い、カザンの町から脱出した騎士団とクースラたち。港町ニールベルクで各地から逃れてきた騎士団と合流し、起死回生を図ることになる。しかし、ニールベルクにはある問題があった。神の祝福を授ける教会の鐘楼が無いのだ。製造が上手くいかず、作る度壊れてしまうのだと言う。そんな中クースラは、フェネシスの一族の手掛かりを得る。新たな発見に高揚するクースラだが、騎士団から呼び出され、鐘を作るよう命じられてしまう。鐘の製造の失敗、それは即ち、“破滅”を意味していた―。眠らない錬金術師の本格ファンタジー、神に見放された町を舞台にした第5弾!
やはり前回で、一人で生きるよりもたとえ死ぬかもしれなくても二人で居る事を選んだことで、クースラとフェネシスの「二人で生きる」という在り方がより顕著になった5巻でした。ほんとうの意味で相棒になった、と言う事なんでしょうネ。クースラの考え方の前提条件が最初の頃とまるで違っているのです。何をするにしても、まず自分とフェネシスが一緒に在る事を大前提として物事を考えるようになってきていて、同時にフェネシスの扱いも対等に近い扱いに変わっているのです。勿論、彼女の無知な部分や危ういところ、ダメな部分については前と同じく躾けていってる感じなんですけれど、彼女の考え方や発想、自分には理解が及ばない行動についても、非常に信頼を置いているのが随所に見て取れるのです。もう自分と対等の、自分の身を預けることも出来る相棒として認めている言動が常に見えるようになってきた。
それに呼応するように、フェネシスも自分の言動に対して自信を持つようになってきて、面白いというか可愛いことに彼女の場合、その自信が過信になるのではなく、よりひたむきに努力を重ねるようになるのと同時に、クースラに対してうまく甘える事が出来るように繋がってるのです。クースラの反応を怯えながら伺うのではなく、純粋に楽しみ、擽ったがるように噛みしめるようになってきた。
結果として、出来上がるのはイチャラブカップルである……激甘である。
フェネスシを自分の膝の上に座らせて、一緒に読書とか……どれだけやねん!!

ただ、クースラの場合はフェネシスという守るものが出来てしまった分、姿勢に守りが入ってしまい、それが余計に事態を悪化させてしまう、というこれまでの彼ならばまず選ばないだろう悪手を選んでしまうんですね。危険を回避して慎重に立ちまわったところ、逆に進退の効かないところに追い込まれてしまうという形で。
奇跡は、起こらないからこそ持て囃されるものであり、一度現実に起こしてしまえば、それはもはや消費されていく代物に成り果てる。
結局、クースラは自分たちが作り上げた奇跡のあまりに上手く行ってしまったことに調子に乗っていたのだろう。というよりも、自分とフェネシスが二人で生きて行く事に対して、すべての物事が祝福してくれたかのようにうまく回り出したことに、浮かれていたというべきか。
しかし、浮かれたしっぺ返しは順当に彼らを見舞い、しかし彼らが築き上げたものはすべては空虚な代物ではなく、確かに積み上げられ、祝われたものがあったのだという事実も浮かび上がってくる。
冷徹に自分たちを道具として消費し、使い捨てるだろう立場であり人物であったはずの騎士団の上司アイルゼンが、損得勘定とは別の好意をクースラとフェネシスに示してくれたことなど、その最たるものだろう。彼のよううな人間の好意なんて、それこそ神の奇跡に近しいものに見える。
そして何より、守られる存在だったはずのフェネシスこそが、窮地に陥ったクースラを支え、さらに二人で生きる道を拓いてみせた事でしょう。彼女は、クースラの相棒としての自分への信頼に見事応え、さらに二人の間に芽生えているものが、愛情というものなのだということを、この錬金術士に認可させたのです。ほんと、大した女ですよ、このお嬢さんは。イイ女になったなあ。

さすがに最後の詐術は色々と言い訳がきかないものになってしまっただけに、今度は街を離れて旅の空、となりそうだけれど、イリーネとウェランドはどうするんだろう。

シリーズ感想

彼と彼女の不都合な真実(フェイタルエラー) 23   

彼と彼女の不都合な真実2 (講談社ラノベ文庫)

【彼と彼女の不都合な真実(フェイタルエラー) 2】 南篠豊/鍋島テツヒロ 講談社ラノベ文庫

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人類的不都合要因―“ヒューマンエラー”を持つ御鷹一と白羽渡鳥。因縁を断つことに成功し平穏を得た渡鳥は、憧れ続けた学校という「日常」のために、一の通う紅稜高校に転入することにする。そして迎えた転校初日。一が待つ教室にやってきたのは、渡鳥―のほかにもう一人、美しい少女。彼女の名前はラウ・フローリア。淑やかで社交的なラウと、対照的に不器用な渡鳥ではあったが二人はしっかりクラスに馴染んでいく。初登校を終え、興奮しきりの渡鳥をなだめながら帰宅していると、ラウが現れる。その雰囲気は学校とは似ても似つかぬものだった。しかもその口から「エラー」という単語が発せられ―!?学園ファンタジーアクション、第2弾!
トトリの転校デビュー戦は素晴らしかったなあ。足元の定まらないアホだけれどひたむきな彼女の天真爛漫な魅力がほとばしっている素晴らしい自己紹介だった。
これねえ……うん、続き物の小説として鑑みるなら、あれこれ至らない作品だと思うんですよ。本来の人類的不都合要因という世界の弾かれモノとしての宿命について、今回殆ど放置状態で、ハジメの力はただの特異能力みたいな扱われ方でしたし。ヒューマンエラーの本来の理由である人類種の自殺因子という意味合いは主題としても要のところで、これと向き合うと相当に深く掘り下げた重くも厚い話になったでしょうけれど、いやはやまるでなかったかのような扱われ方でした。加えて、トトリの能力も殆ど無いも同然の扱いで。彼女の能力って日常生活にも結構支障が出るもので周囲に対してもそこそこ危険な要素をはらんでいるはずだったんですけれど、あれ?彼女の能力ってなんだったっけ? と思い出せなかったくらい一切今回彼女の能力については言及なし。ラブコメ的にももっと活用してもよさそうな能力だったのですけれど。
とにかく、この作品ってつまり何が書きたかったの? という方向性が1巻の話からすると途端に有耶無耶になって消えちゃっているわけです。これってどうなの? と思わないでもなかったのですけれど……。

……あれ? 別にどうでもいいんじゃね?

と思ってしまう程度にはこのハジメとトトリが手に入れた日常を満喫する今回のお話は面白かったのです。というか、もう凄い好きなんですわ、細かい瑕疵、細かくない気もする大きなでこぼこが気にならないくらい、この作品の雰囲気とメインの二人、ハジメとトトリの関係が好きすぎて困る!!
特にトトリは、天真爛漫のアホな子に見えて、いや実際アホ系の子なんだけれど、これまでの人生が過酷極まるもので苦労に苦労を重ねた経験の持ち主だけに、意外なほど心の機微をわきまえていて苦労人なんですよね。重さを感じさせない明るさが、むしろ健気さに見えてくるくらいの。イイ子なんですよ、この娘。それだけに、ハジメの庇護欲は当然のモノに見えるわけで、これまで周りと最低限しか触れ合わずコミュニケーションを取ることをしてこなかった彼が、トトリのために駆けずり回り人と人との間に入ってくる姿は、思わず胸がキュンとするような一途さで、これまた健気系男子なんですよね、意外なことに。
それだけに、あの爆弾発言は素晴らしかった。帯のキャッチフレーズにも使われていますけれど、独占欲むき出しの、ある意味これ以上ないくらい男らしい宣言はもう惚れ惚れするやらニヤニヤが止まらないやら。
思わず「キャーー!」と黄色い歓声をあげたくなるくらい。あのハジメが出て行ったあとの教室のお祭り騒ぎを想像するだけで顔がほころんでしまいます。

一途さで言うと、アオさんの方も負けず劣らずというか、同じくらいぶきっちょで四苦八苦している様が微笑みを誘う男ぶりで素敵でした。あれを素敵と言ってしまうのはどうかとも思うんですけれど、やっぱり健気さにはほだされてしまいます。報われるには、相手の新キャラの娘が剛健すぎて何とも言えないのですけれど。この娘にはどう切り込んでいけばいいかわからんもんなあ。ただ、脈は十分ありそうなんだけれど、ナチュラルに殺し愛に発展しそうな気もしますし。

今回の話は振り返ってみると、ド派手なバトルこそあったものの、それも含めて日常から、人間社会から本来弾かれてしまっている異端にして異物にして怪物たるモノたちが、しかし非日常を徹底して排除して、ひたすら日常を謳歌する話なのだとしてみれば、なるほどと納得もしようもの。バトルも見方を変えればコミュニケーションの一端ですしね。命がけになってしまいましたが、これもまた日常の延長線上と捉えるならばふにゃふにゃ。
しかし、あれだけトトリとの鉄板振りを嫌というほどみせつけられたあとで、あんな惚れてしまうじゃないかという台詞を言われてしまったノノには同情する。順番逆なら、一瞬ときめいたけれどみせつけられて諦めもつく、ってなもんだろうけれど、散々見せつけられたあとに、あんな恋心が芽生えてしまうような事言われてしまうと、もうどないせいっちゅうねん、てな具合ですよね。始まった時にはすでに終了していた、みたいな。
今後、ひたすら悶々とし続けるであろうノノについては、両手を合わせて南無南無と念仏を唱えるしかなさそうです。ついでに、ハジメとトトリのイチャつきっぷりにはそのまま手を合わせてご馳走様。
トトリの能力からして、今後いちゃつけばいちゃつくほど、行き着く先はアパートに防音処理を施さないと、というところに行き着きそうなのが、なんともはや……。

ほんと、作品の雰囲気や話のテンポは素晴らしかったので、次回作はもっと色んな所をちゃんと整えたら、ガンガン伸びるイイ作品になると思いますよ。個人的には先々にかなり期待をしたい作家さんです。

1巻感想

マグダラで眠れ 44   

マグダラで眠れ (4) (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 4】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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「諸君に、帰る場所はない。故に、進む以外に道はない」
 新天地を求め、クラジウス騎士団と共に、改宗宣言のあった異教徒の町カザンに入植したクースラたち。異教徒の技術を得るため、まずは騎士団の手が伸びる前に、町に残る文献を読みあさることにする。そこでクースラたちは、カザンに残る竜の伝説を知る。そんな中クースラたちは、新たな工房を得ることに成功。カザンの町で、仲間四人での穏やかな生活が始まるかと思われた。だがその矢先、彼らにある過酷な運命が降りかかり―?竜の伝説が残る町で、クースラたちは大きな決断を迫られる。シリーズ第4弾!
やだもう、完全にラブラブじゃないですか、お二人さん。
これまではまだイチャイチャ・レベルだったはずなんだけれど、それってまだお互いの反応を手探りで確かめ合うような伺いあう段階とも言えたんですね。意識せずに相手の反応、相手と触れ合い心の動きを楽しんでいるような。
それはそれで十分甘やかな関係ではあったんですけれど、でもまだどちらかというと少し間をあけて眺めている、というレベルの距離感だったわけです。これはクースラだけじゃなくてフェネシスも。自分がいろんな行動を取ることに対して様々な顔、表情、態度を見せるクースラを楽しんで眺めていた、そんな段階だったと思うのです。フェネシスについては、クースラに自分の存在を認めてもらうのに必死だった頃に比べれば、本当に余裕出来たと思うんですけどね、この段階でも。余程、クースラに一杯食らわし認めてもらったことが良かったのでしょう。
ホントにね、この状態でも十分甘やかだったのに……。
あの、二人が別れ別れにならざるを得ないと覚悟し決断した末に、それでも一人で確実に生きるよりも二人で死ぬ可能性を乗り越えよう、という道をクースラが選び、フェネシスが求めた時、苦闘の道を二人で歩こうと決めた時、二人の関係はさらにもう一段深みを増し、距離がなくなり、本当の意味で寄り添う関係になった気がします。具体的にはラブラブに!!
ラブラブに!!
イリーネ姉さんは本当にいい仕事したなあ。なんか、彼女が加わったことで人間関係がすこぶるよどみなく回るようになった気がします。フェネイスも同性の友人であり仲間が出来たことで随分と心に余裕ができたみたいですし、折に触れて面倒くさいクースラやフェネシスの背中を押し、発破をかけ、水をぶっかけて目を覚まさせ、と七面六臂の活躍でしたし。それでいて、彼女自身は隙だらけで何でもできるお姉さんキャラみたいな嫌味もないですし、何というかウェランド含めて四人で一組というパーツにしっかりハマりこんだ感じです。ウェランドも当初の危なっかしさというか何を仕出かすかわからない危険な感じがだいぶなくなって、丸くなりましたしねえ。

これから入植するはずだった侵略した異教徒の地が、それを治める異教の女王が改宗したことで同じ宗門の街となってしまい、戻る場所もなくハシゴをはずされてしまったかのように見えた前巻の終わり。幸いにして、街への入植はそのまま行われることになり、クースラたちはまだ見ぬ新技術や未知の知識を求めて街へと飛び込むことになるのだけれど、むしろ街に駐屯することが出来たせいで袋のネズミに陥ってしまう、という街に入れないというよりも危機的な状況に。入った段階で長居は出来ないんじゃないか、という雰囲気が漂っていましたけれど、状況はさらに予想していたよりも最悪でした。辺境の異教徒を相手に団結していたはずの同じ宗派の味方が、どんな政治的策謀が渦巻いたのか、異教の女王が改宗したことで敵味方が逆転し、異教徒との対決が気がつけば同じ宗門内の異端を討伐する、という形に敵味方をシャッフルしなおして定まっていたという。これは、騎士団としては青天の霹靂もいいところだわなあ。と、同時に政治闘争において完全に後れを取ってしまった、ということでもあり……この辺りの騎士団が異端とされてしまうのは史実のテンプル騎士団そのままか。騎士団が金を握り財務機関として怪物化している、という情報を聞いた時点でああこれはテンプル騎士団だな、と想像はついていたのですが、隆盛を極めていた騎士団の斜陽の時期がこれほど早く訪れることになるとは。クースラたちは、騎士団の庇護を受けていたからこそこれまでかなり自由に立ち回れていたはずなので、今後騎士団が異端認定されて壊滅への道をたどることになったら、クースラたち錬金術師の立場もかなり見通し暗いんですよね。たとえ、今この場を生き残れたとしても、果たして今度いったいどうなるのか。
クースラがようやく、自分が求めているものの具体的な形が見えてきただけに、この四人がバラバラにならずに思うように生きられる場所を見つけ出して欲しいものです。特に今回、フェネシスはかなり危ない橋を渡ったからなあ。悪い意味で世間に知れ渡ってしまったでしょうし。人間関係の好転と進展とは真逆に彼らの置かれた環境がどんどん最悪の方に流れていくのが、心配でたまりません。

1巻 2巻 3巻感想

彼と彼女の不都合な真実4   

彼と彼女の不都合な真実 (講談社ラノベ文庫)

【彼と彼女の不都合な真実】 南篠豊/鍋島テツヒロ 講談社ラノベ文庫

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下宿先へと向かうため十数年ぶりの空の旅を終えた御鷹一は、空港で大きなカバンを服代わりに着た不思議な少女、トトリと出会う。変ないきさつから同行することになってしまった一たちは、突如として完全武装した集団からの襲撃を受けてしまう。それはトトリが持つ「不都合要因」―ヒューマンエラーが原因だった。トトリを引き渡せば危害を加えないと言われるが、自らもまた「エラー」を持つ一は、トトリを護ることを決意する―!第2回講談社ラノベ文庫新人賞“優秀賞”受賞、不都合を抱えた少年と少女の運命の出会いにより物語が動き出す。
おおっ、と。これはなかなか面白いぞ! 一応押さえておくつもりだけで手にとった作品でしたが、優秀賞を取るだけの出来ではありました。大賞作品の【神様のお仕事】もかなりの良作でしたし、いやいやこのレーベルもちょっと侮れなくなってきたかもしれません。新人につぶが揃ってきたら、レーベルも安定してきますからね。惜しむらくは、タイトルに全然インパクトが無いことでしょうか。正直、読むまでいったいどういう話なのかもさっぱりわからなかったもんなあ。てっきり、思春期の少年少女の色々と青っちろい交流を描いた青春モノかと思ってましたので、いやいきなりわけの分からない少女を拾ってしまったあたりまでその青春路線かと思ってたら、その少女をめぐって傭兵部隊が襲ってきてドンパチがはじまり、その上相手の傭兵隊長が怪物で、人畜無害な高校生かと思われた主人公も事情持ちのパンピーではなかった、というあたりで思ってたのとかなり路線が違ったことに結構驚かされましたし。
せめてもうちょっと、一目見て気に止まるタイトルにならなかったもんか。何れにしても印象に残りにくいもんなあ。
さて、冒頭からの軽妙なトトリとやけに老成してるわりに妙に地に足がついてないような感じだったハジメのコンビのやり取りには惹かれていたのですが、一番最初に襲ってきた傭兵隊の隊長が案外食わせ者で、なかなか憎めない好漢でもあったところから、ビビッとこれはイイんじゃないかという感触が。隊長のみならず、副官の女性に至るまでキャラ立てが行き届いてたんですよね。キャラ立てというよりも、自分の描く物語に登場する人物に対して、末端に至るまで心配りが行き届いているとでも言いますか、パーツや駒として扱うのではなく自分の物語に登場する以上、一人ひとり生きた登場人物として扱いたい、という存念がかいま見えたと言いますか。
物語自体はわりとオーソドックスではあるんですが、その物語を動かす人物たちが末端まで生き生きと動いているとやっぱり惹き込まれるんですよね。
人類という種から突然生まれてしまった不都合要因。弾かれモノとして、幼い頃から気軽に口にも出せない境遇の中で生きてきた二人が巡りあい手を取り合って生きることを願うという、孤独からの癒しの物語。素敵なのは、それを彼らが自由に生きることを肯定し、結ばれることを祝福してくれる存在が、出会ったばかりの二人の周りに居てくれた、という事実でしょう。
その人達が、そりゃあもう常識はずれのぶっ飛んだ存在で、ハジメとトトリの特異性を埋没させてしまうほどの強烈なキャラクター揃いばかりだった、というのは随分優しいお話だったと思うのですけれど、そういう甘さは決して嫌いじゃないんですよね。辛い思いをしてきた子たちが、お互いに手を取り合って幸せになることは、コチラもほんのりと温かい気分になりますから。
囚われのお姫様を、仰天するような隣人たちの手を借りて助けだす。王道ですけど、面白ければやっぱりイイなあと思いますよ。
しかし、トトリの持つヒューマンエラーは、今後の二人の仲を考えると結構辛いものですよね。気楽にキスも出来ませんし。ハジメがよっぽど理性を鍛えるか、もう最初からイタすときは物凄いことになってしまうと覚悟してイタすか。乱暴にされるのが好きです、といわれるとそれはそれで燃える気もしますがw

マグダラで眠れ 34   

マグダラで眠れ (3) (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 3】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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ついにカザンの町への入植を許されたクースラたち。鍛冶屋組合の少女イリーネと共に、グルベッティの町を出る準備を始める。しかしその最中、ウェランドが、“錬金術師ではない”という疑いを掛けられ、入植団に加われない危機に陥ってしまう。最初は放っておくしかないと思っていたクースラだが、「仲間を大事にしたい」というフェネシスの熱意に打たれ、ウェランドを助け出す決心をする。そして、“自分たちが錬金術師であること”を証明する方法を探り始めるのだが、これがなかなか難題で―?眠らない錬金術師と白い修道女が贈る本格ファンタジー、シリーズ第3弾。
フェネシスの耳って、猫耳だったのか!! 今まで獣の耳とは言ってたけれど、猫と明言されていなかったような。改めて猫耳、と言われるとガツンと来るものがありますね。曖昧に獣耳と言われてもピンと来なかったものが、急に具体的になってきた。フェネシスはネコミミ少女!!
さて、今回はクースラとフェネシスがお互いに意地を張って冷戦状態になってしまうという、一見修羅場なんだけれども、よく見るとやっぱりイチャイチャしているようにしか見えないというさりげに難易度の高い糖分補給をやってのけているお話でした。
なんか、ロレンスもそうでしたけれど支倉作品の主人公は、というか頭のいい人は自分に良い訳するのが好きですねえ。【狼と香辛料】の場合はロレンスとホロの両方が自分の気持に色々と勝手に理屈付けて決めつけてしまっていたんで、女神父さんにガツンと直言されるまでえらい遠回りしてしまったものでしたが、コチラのクースラもまた自分を定義付けてしまうのが好きなタチのようで、自分では仕切りと冷たい人間であり、フェネシスだって甘やかさないし、なんでもお願いしたらホイホイと叶えてしまうような気のいい人間じゃないんだよナメんな、と斜に構えてカッコつけてるんですが……いやいや、あんたフェネシスにお願いされたら結局何だかんだと全部叶えてあげてるし、思いっきり甘やかしまくってるじゃないですか。そのくせ、自分はクールだからそういう甘いことはやんねえんだが、仕方ないからやってやっただけで、本当は俺はクールな男だから自分がフェネスシのお願いを聞いてやったなんてのは隠しておこう、知られたらいい気になっちまうからなアイツ、とか気取ってるし。
そのくせ、フェネシスに怒って無視されると、イライラし出すわ気にして焦りだすわさり気なくフェネシスの気を引こうとし出すわ……で、実は全部フェネシスにバレバレだったりするし。

おいおい、もしかして端から見てるとクースラって相当に恥ずかしいやつなのか?(笑

とはいえ、フェネシスももうクースラのそういった部分については概ね把握しているようで、手を引かれて導かれる側だったフェネシスが、クースラの性格を読み切って彼をうまく自分の思うとおりに誘導する、なんてことまで出来るようになっていたとは。今回は人見知りスキル全開で、随分と弱い部分を丸出しにしていたフェネシスだけれど、何だかんだと良い感じで強かになり、クースラにおんぶに抱っこではなく、一端に彼の隣に立てるくらいにはなってきたような実感も伝わってきて、何とも微笑ましい限り。今回の一件って、端的に言うとフェネシスが甘え上手になりました、てなもんだもんなあ。これからより一層クースラの甘やかしが過剰になっていく予感すらするぞ。
ちょっと意外だったというか驚いたのが、イリーネが完全にクースラたちの仲間入りをしてしまったこと。もうちょっと部外者的な立ち位置で、カザンまでの旅程に参加してくるのかと思ったら、まさか工房に住み込んで一緒に行動することになるとは。さすがに未亡人のヒロインというのは珍しいんじゃないだろうか。まあ、クースラとフェネシスの間に割って入るようなことはまずないんだけれど。それどころか、クースラとウェランドしか頼る相手が居なくて、いささか逃げ場というか退避場所がなかった感のあるフェネシスにとって、同性で姉御肌のしっかりもののイリーネの仲間入りは、精神的にも随分助かるんじゃないだろうか。まあ、最初は居場所を取られたみたいに、隅っこに追いやられて小さくなってましたけれど。そのあたり、確かに子猫だなあ。でも、イリーネは本心からフェネシスの全面的な味方になってくれるみたいなので、実に頼もしい限りである。フェネシスの秘密についても知ることになったわけですしね。

とまあ、錬金術師たちもこうして四人組となり、新天地カザンへ向けて出発! となった途端に、大変な出来事が。うわぁ……これって、もろに梯子を外されたようなもんじゃないですか。どうすんだ、これ。

1巻 2巻感想

黒鎖姫のフローリカ3   

黒鎖姫のフローリカ (富士見ファンタジア文庫)

【黒鎖姫のフローリカ】 坂照鉄平/鍋島テツヒロ 富士見ファンタジア文庫

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「私はあなたを繋ぐ鎖の主。この聖堂で亡者を束ねる黒鉄の鎖。喜ばせたければ―フローリカ、と名を呼びなさい」不死の亡者―『落胤』に夜ごと脅かされる世界。“荊冠の背教者”の護法神官であるスタッグは、『落胤』討伐の任務に赴き、その命を落とした…はずだった。しかし、彼は不死の姫王フローリカの眷族として蘇らされる。聖職者でありながら、不死者となったスタッグは彼女を殺すことを決意するも、不死の姫を殺し得る唯一の方法は―彼女を愛する事で!?不死の呪縛に繋がれた時、少年は封緘聖堂に隠された世界の“真実”に辿り着く。
 前作【L 詐欺師フラットランドのおそらくは華麗なる伝説】の完結からおよそ三年間音沙汰なかった坂照鉄平さんの、久々の新シリーズ。前作がなんだかんだとかなりの良作で、しかもファンタジーながら純愛に帰着したストレートなラブ・ストーリーだったので、次のシリーズも当然のように期待していたのですが、まさかこれだけ待たされることになるとは。でも、再び復帰してくれてよかった。おかえりなさい。
さて、満を持してか引っさげてきた新シリーズは……読んでみるとこれがドンドンと作品の印象がめまぐるしく変わっていく不思議な作品でした。初めはいきなり主人公が志半ばで死んでしまうという衝撃的な展開で、そこから不死者として蘇らせられるという骨太な本格ダークファンタジーかと思いきや、フローリカの眷属たちに出会ってみるとこれが実にスチャラカな連中で不死者にとっての天敵であった神官だったスタッグがどう扱われるのかと思ってたら、思いの外友好的でフローリカに拾われたこの少年の存在をむしろ喜んで迎え入れる始末。そこで繰り広げられる大騒ぎは、そのままドタバタホームコメディでかなりの急展開に目を白黒させてしまった。
そもそも、このフローリカの眷属たち。不死の怪物としては定番ともいうべき種族が勢ぞろいしているのだけれど、その種族に相応しいイメージというものを尽く蹴っ飛ばしている凄い奴らである。すぐに成仏したがる元女兵士の騒霊(ポルターガイスト)はまだマシで、猫の姿をした道化師みたいなリッチーに、泣き女(バンシー)にも関わらず男でジェントルマンでハードパンチャーという謎の紳士。首と胴体が別人で、それどころか駆け落ちした恋人同士という首なし騎士(デュラハン)、そして圧倒的な存在感を示す吸血鬼のパンダ。パンダである、パンダ! おい、このパンダ、【怪物王女】で見たことがあるような気がするが気のせいか!?
こんなスットボケた連中を相手にして、緊張感など保てるはずがなく、しかしこの連中が人の心を持たない不死の怪物でありながら、主であるフローリカを慈しみ、眠れぬ存在である彼女に安らぎを与えようと心を砕くその様子はアットホームと言ってすらよく、この怪物一座が温かな絆で結ばれた家族のように見えてくるのだ。
ホームコメディ?
と、ぬるま湯に浸った気になっていると、さらに話はどんどん進み、フローリカの不死者としての心の倦怠と絶望という核心が移行していく。
与えられた役目を、終わる理由もないからと淡々と続けていくだけの、無機質で心の置き場のない少女の奈落のような絶望感。そんなとき、不死者である自分を助けて死んでしまった本来敵であるはずの神官の少年。彼を気まぐれに命を与えて蘇らせてみると、何故か彼の存在は停滞していた彼女の心を揺り動かし、死んだように生きていた、死んだように存在していた少女を、ある意味蘇らせてしまうことになる。
物語は永遠という檻に縛られた少女を救うは愛し愛される事、という純愛物語へと再び変化していくのだ。
作品の雰囲気がコロコロと変わっていくのは、目先が次々と変わっていって退屈しないですし、一つの世界観に様々な方向性が内包されているというのは、可能性を伸ばすという意味でも悪くはないと思います。ただ、現状だとまだまだ中途半端と云われてもしかたがないかな、という忙しなさを無視できないんですよね。フローリカとスタッグがそれぞれに想いを寄せる過程にやや唐突感があり、説得力が感じられないという理由も大きいかと。
ただ、どこ展開に関してもこのまま行ったら面白くなりそう! という足元がしっかりして踏ん張りがききそうな要素が散逸していて、話が続けば続くほど上積みが増えていきそうな気配を感じるんですよね。前作での実績もありますし、個人的には先々に期待したい新シリーズです。
特に、もう少し“荊冠の背教者”側の描写が、特にフローリカの対抗ヒロインであるはずのハルの描写が増えてきたら、さらに充実してくるとおもわれるのですが。

坂照鉄平作品感想

マグダラで眠れ 2 4   

マグダラで眠れII (電撃文庫)

【マグダラで眠れ 2】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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『狼と香辛料』の支倉凍砂が贈る、眠らない錬金術師の物語。
伝説の金属を巡る、第2弾登場!


 異教徒最大の鉱山の町カザンに、近々入植があると気づいた錬金術師のクースラとウェランド。二人はなんとかカザン入植の波に乗るべく、手柄を立てようと画策する。そんな二人のもとに、“伝説の金属”の噂が舞い込んでくる。どうやら鍛冶屋組合の若き長である少女イリーネが、その金属の秘密を知っているというのだが──。
 眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが贈る、その「先」の世界を目指すファンタジー第2弾!!
なんというスパルタな過保護。
フェネシスを招き入れたクースラが、はたして彼女をどんなふうに扱うかについては前巻の終わりから気になっていた所だったのですが、厳しくも優しいクースラの振る舞いに思わず「プリンセスメーカー」という単語が脳裏を踊ってしまいました。いや、件のゲームはプレイしたこともないんですけれど……。
いつか自分の手で生み出したいと願っている伝説の武器。その武器を以て守るべきお姫様となるに相応しい素養を持つフェネシスと出会ったクースラなのですが、この男、伝説の武器を作るための金属を追い求めるのみならず、既に手に入れたフェネシスについてすら全然満足していなかったんですな。満足していない、と書くと不満に思っているようにも捉えられるかもしれませんが、多分フェネシスを不満には思っていないはずです、クースラは。ただ、より輝くように、より理想の姫君に近づくように彼女を磨き上げることに余念がない、というべきか。その方向性が、フェネシスを自立した女性に育て上げる、という方に向いていた事にはちょっと驚かされたけれど。もっと蝶よ花よ、とまではいかないけれど宝物のように大事に扱うか、もしくはもっと容赦なく厳しく接していくか、と思ってたんですよね。
それがどうしてどうして。この男、フェネシスをきちんと一個の人間として扱っているんですよ。勿論、彼の教育はなかなか厳しく、甘えを許さない鋭さに終始しているし、また融通の効きにくいフェネシスをからかってばかりいる。でも、彼の指摘は常に的確であると同時に突き放すことなくいちいち親身で、フェネシスが理解し納得しやすいように言葉を尽くしてるんですね。それでいて、押し付けるのではなく彼女が自分の頭で考え判断できるように配慮している。常に彼女に自立を促し、しかし傍でじっと寄り添いながら見守り続けているのです。
その眼差しは、驚くほどに慈愛に満ちているのです。惜しみない愛情を感じさせるのです。もし、クースラにフェネシスへの独占欲などがなかったら、それが師弟愛や親子愛かと錯覚してしまいそうなほどに。
元々、何かに依存しなければ生きてこれなかったフェネシスは、容易に心を絡めとる事の出来る娘です。人間心理に長けたクースラなら、本当に簡単にフェネシスの心を虜にしてしまえるでしょうし、実際何だかんだとフェネシスの心が自分から離れないようにあれこれと手管を使ってもいます。でも、それでもなお、この男はフェネシスが自分で歩ける自立した女性に仕立てようとしてるんですよね……それが、自分が守るに足る姫であると信仰しているように。まったく、難儀なほど女の好みが贅沢な男じゃないですか。
自分が人を愛せる人間なのだと自覚できた途端に、これだけ潤沢に愛情を注げるようになってしまうのだから、全く大した男です。
フェネシスもフェネシスで、意地悪されからかわれる度に美味しすぎる反応ばかりで、ああもう可愛らしいったらありゃしない。なんだ、このホロとロレンスとはまったくベクトルが違うものの、質量的にはまったく劣っていないイチャイチャっぷりは(笑
何だかんだとお互いに愛し合っていることを認めるまでが長くてモドカシイ部分もあった【狼と香辛料】と違って、こっちはクースラがまだ明確な異性への愛情とはまとめきれていないものの「こいつは俺のもの」とハッキリと所有権を主張しているので、その点ではスッキリしていますし、フェネシスも依存ではない信頼から徐々に情感の篭った仕草をクースラに向けつつあるので、多分空気は濃密になる一方なんだろうなあ、とこれ辟易するべきなのかニヤニヤするべきなのか困りますねw

フェネシスに一方的に導きを与えているようなクースラですけれど、彼女を得た事による変化は彼にも訪れているようです。単に自分が人並みの情を持った人間だと自覚した以上に、フェネシスの存在は彼に精神的な余裕を与えているようなんですよね。切羽詰まった場面でも、彼が一旦立ち止まって周りを見回す気持ちの余裕があるのも、今までの彼にはなかった視点で物事が考えられるようになったのも、フェネシスという拠り所が彼の中に生まれているからのような気がします。少なくとも、彼女が傍にいなければ今回の一件ではここまで上手く立ち回れなかったんじゃないかなあ、と。その意味では、彼もフェネシスと一緒に成長していっているのかもしれません。実際、一巻の時よりも一回り魅力的なイイ男になった気がしますし。
これはもう、利子という意味の名前も返上ですなあ。

1巻感想

マグダラで眠れ4   

マグダラで眠れ (電撃文庫)

【マグダラで眠れ】 支倉凍砂/鍋島テツヒロ 電撃文庫

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『狼と香辛料』の支倉凍砂が放つ新シリーズ、
“眠らない錬金術師”の物語、ついに開幕!!


 人々が新たなる技術を求め、異教徒の住む地へ領土を広げようとしている時代。錬金術師の青年クースラは、研究の過程で教会に背く行動を取った罰として、昔なじみの錬金術師ウェランドと共に戦争の前線の町グルベッティの工房に送られることになる。
 グルベッティの町で、クースラたちは前任の錬金術師が謎の死を遂げたことを知る。その足で出向いた工房。そこでは、白い修道女フェネシスが彼らを待ち受けていた。彼女はクースラたちを監視するというが──?
 眠らない錬金術師クースラと白い修道女フェネシスが紡ぐ、その「先」の世界を目指すファンタジー、ついに開幕!
【狼と香辛料】の魅力というと、何よりもロレンスとホロの丁々発止の掛け合いの面白さと、男女の駆け引きのニヤニヤさせてくれる度合いでした。とはいえ、幾つかのショートストーリーではロレンスやホロが出ない話もあったのですが、それでも抜群の面白さがいささかも陰りを見せなかったのを思えば、新作への不安など無きも同然でありました。
あとは、いったいどんな話なのか。メインとなる登場人物たちの為人はいかなるものなのか。募る興味の方向性と言えば、そんなものばっかりだったと言えます。なので、最初に本作の表紙とあらすじを見た時には、硬質で鋭く容赦のないタイプのヒロインが、キリキリと錬金術師の主人公を締めあげていきながら、付き合っていくと同時にその厳しい態度に柔らかさが混じりだし、真剣なぶつかり合いの中にもほんのりと温かい交流が生まれ出す、というパターンを想起していたんですよね。特に、女性上位という点については疑いもしていなかったのでした。まあ、完全に思い込みだったのですが。
まさか、こんなにも純真でか弱く疑うことを知らない子羊みたいな娘さんだったなんて。狼さんからすると、ついつい甘咬みしながら甚振ってオモチャにして遊んでしまうタイプの子だよなあ、これ。ホロだったら、これ咥えて離さないぞ。
これには結構驚かされた。思い返してみると、【狼と香辛料】では殆どこうした「弱い」子は出て来なかったんですよね。どんなタイプの人でも、それぞれに生きることへの強かさを懐剣のように握りしめていた強い人達だったように思う。皆が、立場や現状に関わらず、自立して生きるという気概に満ちていた。
その点彼女…フェネシスは常に拠り所を必要とせざるを得ない生き方を強いられてきた子だったと言える。故郷も居場所も、生きる意義も価値も何もかも奪われ、許されず、認められず、生存そのものを否定されてきた子だった。
彼女は、強さなど持ちようのない環境で辛うじて生き延びてきた、弱いことを運命づけられた子だったと言っていい。逆に言うなら、フェネシスは弱いなりにここまで生きてこれるだけの何かを持ってたという考え方も出来るんですよね。諦めに朽ち果てそうになりながらも、今まで生きることにしがみついてこれるだけの執着があった。それでいて、歪むこと無くうつむいて視線を落してしまうことはあっても、人を見るときはまっすぐ見つめることの出来る子で居続けた。考え方は浅慮ですぐに思考誘導を受けてしまうほど単純だけれど、じっと物事の本質を、他人の心の在り様を、その純真さ故に、単純さ故に、深く深く一筋に見抜く事のできる子で居続けたのでした。
その人当人ですら見失ってしまうほどほころびてしまった真実を、歪んで曲がって見えなくなってしまった真理を、見つけてくれるほどに。
何故、異端者で破綻者で探求者である錬金術師のクースラが、こんなか弱く儚い少女に惹かれていったのか。その理由については本編を御覧じろ。しかし、これだけは間違い無いと思うのだ。ここで描かれる恋は勘違いなんかじゃない。幾つものベールに覆われた心の奥底を、本音と本性と真実をチップにして繰り広げられるゲームの執拗な駆け引きと狡猾なやり取り、無意識の選択と無数の決断、容赦のない踏み込みと暴きによって、生まれたままの姿にまで剥き出しにして、そうして見つけた「マグラダの地」が、夢のカタチが、フェネシスの姿をしていたのだ。クースラにとって、それこそが錬金術師としての真理であり、夢を叶えたその向こう側だったのだろう。
その「先」へ。

やはり、支倉さんの物語は素晴らしい。何故、この人の話はこんなにも心をときめかせるのか。多分、常に手探りで、見えない相手の心の内を覗き見ようと手練手管を駆使して行われる、会話や駆け引き。そんなコミュニケーションという摩擦によって生じた化学変化による色取り取りの火花が、パチパチとちらついて、本来なら見えない他者の心の内側を垣間見せてくれるからなんだろう。そして、火花は綺麗なもので、ついつい胸高鳴らせ目を奪われてしまうものなのだ。
そして、そんな火花は背景が深く重く質実であるほどに、よく映える。
重苦しいほど重厚で、どこまでも沈んでいきそうなほど深みを感じる中世の時代感。その狭間で生きる人々の営みと、それを囲う社会の在り様。それすべてが、そこに生きる人々の心の在り様に莫大な暗闇と、光を求める意志を与えてくれる。光とはまた夢であり、他者であり、理解者であり、共に闇を共有してくれる人のことでもある。そんな闇を恐れ、しかし光を求める人達の、強かな切実な飢餓の先に、支倉さんは満ち満ちた想いを用意していてくれるのだ。
だからこそ、安堵に温まり、にやけた笑みが浮かんでくる。困難の果てにある達成感に、心が踊る。それすべてが、ときめきでありきらめきなのだろう。だから、素敵な物語なのだ。

自分の夢の輝きを取り戻した二人の男女。その物語は、まさに今ここに始まったばかり。取り戻したその先に待つ輝きは何なのか。これから始まる素敵な真理の探求に、今から心浮き立つばかりです。
あー、フェネシスは癒し系だなあ。

支倉凍砂作品感想

犬とハサミは使いよう3   

犬とハサミは使いよう (ファミ通文庫)

【犬とハサミは使いよう】 更伊俊介/鍋島テツヒロ ファミ通文庫

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「読 ま ず に 死 ね る か !!」

ある日突然、強盗に殺された俺。だが本バカゆえの執念で奇跡の生還を果たした――ダックスフンドの姿で。って何で犬!?  本読めないじゃん!! 悶える俺の前に現れたのは、ハサミが凶器のサド女、夏野霧姫。どう見ても危険人物です。でも犬【おれ】の言葉が分かる、しかもその正体は俺も大ファンの作家、秋山忍本人だった!? どうなる俺、あと俺を殺した強盗はどこ行った――!? 第12回えんため大賞優秀賞のミステリ系不条理コメディ!!
ワンコでもオッケーって、また随分とフレキシブルなお嬢様ヒロインだな!!
ところでミステリ系などと銘打ってるが、どこがミステリなんだろう? 別に犯人探しをするわけでもないし、大ドンデン返しの真相が秘められている訳でもなかったんだが。というわけで、活字中毒の主人公と、彼と意思の疎通が出来ることから彼を飼う事になったお嬢様とのどつき漫才コメディである。これってもしかしたら、お嬢様側の視点からすると、色々とピンク色の蜜月同棲物語になるのかもしれないが、
「文字列になって出直してこい」
とほざいて迷いのないワンコが相手なので、残念ながら噛みあってないんだな、ご愁傷様。
うん、この作品、あくまでワンコからの視点で描かれているので、お嬢は読食住を提供してくれる親切な人だが上から目線で暴力的で一方的な理不尽不条理の権化様、みたいに見られているのだけれど、この話ってお嬢側から見るとまた随分印象変わってくるんだろうなあ。
突然の強盗事件で殺されかかった所を見ず知らずの少年に庇われたものの、彼は犯人に無残に殺されてしまう。数日後、頭の中に響く錯乱した声。自分にしか聞こえない幻聴に怯えながらも、その声のもとを探してみると、なんと声の主は奇妙なダックスフント。しかも、事情を聞いてみるとそのダックスフントは自分を庇って死んでしまったあの男の子の生まれ変わりだという。彼はどうして自分を庇ってくれたのだろう。やはり、自分を恨んでいるのだろうか、憎んでいるのだろうか。死にたくなんてなかっただろうに、恐ろしかっただろうに。彼への感謝と、彼から憎まれているのではないかという恐怖を抱えながら彼を連れ帰ってみるものの、彼は自分を庇って死んだ事自体には何の後悔もしておらず、ただ未練は本を読めない事なのだという。さらに、彼は自分の著作の大ファンであり、自分の作品をそれこそワンコが骨付き肉にむしゃぶりつくように喜んで読んでくれる人だった。ダイレクトに伝わってくる心の声は、何の偽りも含まれない読者の声であり、自分の作品を本当に喜んでくれるファンのもの。嬉しい、でも哀しい。この人は、自分の為に死んでしまったのだ。犬として蘇ったものの、もう人間ではなくなってしまったのだ。どうにかして報いなければならない、どうにかして彼の無念を晴らしてあげなければならない、それは彼に助けられた自分の成すべき事なのだから。その方法を模索しながら、彼と過ごすうちに読書中毒ながら裏表のない彼の内面に惹かれていく。ただ傍らで彼が本を読み、自分が本を書く日々。それは彼女が経験したことのない安息の日々であり、誰かが隣にいてくれる穏やかな日常。だが、それは余計に彼女の罪悪感、後悔、絶望をいやましていく。申し訳なさや負い目、悲しみや怒りが綯交ぜになり、彼女に残されていたのは彼を殺した犯人を殺して仇を取るのだという贖罪への強迫観念であった。
しかしまた、彼女を雁字搦めに縛った鎖を解き放ってくれたのも、彼であった。彼は彼女の負い目を否定し、彼女の作家としての誇りを奮い立たせ、罪に許しをくれた。何より一人の読者として、一人の作家に対して最上の言葉をくれたのだ。
そして、彼女は一匹のダックスフントに恋をした。

と、いうふうに夏野視点から捏造を踏まえつつ要約してみると、とても情緒的なラブストーリーな気がしてくる不思議(笑
実際の様子を見てると、ひたすら暴力飼い主がワンコをハサミを振り回して追いかけまわしてるばっかりなんだが、女心は複雑なのである、という風に解釈してあげるのが人情というものでしょう、うんうん。
ちょっと文章やらストーリーやらがシッチャカメッチャカに暴走して状況把握が非常に困難になるシーンがままあって困ったんだが、その辺の調整はどんどん書いて上手くなってって欲しいな。あと、やっぱりもうちょっと夏野の側を踏み込んで書いて欲しかった。想像の余地を与えてくれる描写は結構あったけれど、それでも殆どワンコと彼女の一対一の交流の話である以上、彼女はもう一人の主人公でもあったわけで、もうちょっと彼女の内面や事情を伺わせる材料が欲しかったかな。
珍しいことに、これ作者二人いるんですね。擦り合わせとか結構大変じゃないのかしら。

ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。3   

ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。 (一迅社文庫)

【ある秋の卒業式と、あるいは空を見上げるアネモイと。】 朱門優/鍋島テツヒロ 一迅社文庫

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アネモイだー、アネモイだー♪
一迅社文庫創刊に名を連ねた七冊の内の一冊がこのアネモイのお話でした。話自体は綺麗に終わっていましたし、あれから二年間音沙汰もなかったのでまさか続刊が出るとは思っていなかっただけに、刊行予定本の中に再びあのアネモイの名を見つけたときには嬉しかったなあ。
この作品、一迅社文庫のレーベルでも愛されてるんですよね。一迅社文庫のブログのプロフの部分に掲載している自画像、この作品のヒロインのいちこさんなんですよね。まあ、あとがきで触れられているのを見るまで知らなかったんですけどw
まあ、幸か不幸か当のいちこさんは、前巻で輪くんと両思いが成就してしまい、あのややもイッちゃってるS女王様っぷりはかなりなりを潜めちゃってるんですけどね。幼馴染を平然と犬呼ばわりしていたあの頃を懐かしいとは思うまいw
その代わりと言ったらなんですが、かつてのいちこを上回らん勢いで物凄い逸材が登場してしまいましたよ。その名も日黄(たちもり・かつみ)お姉ちゃん。いわゆるダメ男属性w
「そんなに真っ直ぐな目で! 人生前向きに考えたらダメだよ!」
「もっとぐだぐだで荒唐無稽なことを言わないと! 他人が聞いたら“こいつ口ばっかりだな”と感じるようなことを! 小物臭全開で! 具体的には“本気さえ出せば俺ってすごいんだぜ?”って輪ちゃんが本気で思っていると感じられる空気を! “その本気っていったい何百年後に出すんでゴザイマスカ”って誰からも思われている人間像であって欲しい!!」
「おのれ小娘……! 引きずり下ろしてやるぞ……青少年への道を歩み始めてしまったあの子を、再びダメ人間ルートに乗せてやる」
「お姉ちゃんに全部任せてくれたら、無理して学校に行ったり嫌々仕事に行ったり、苦手なのに他人と話したりしなくていい、自分の殻に閉じこもっているだけでいい素敵な生活を送らせてあげるのに……」

おい、誰かこいつなんとかしろ(爆笑
ただダメ男が好きならまだしも、手ずから調教にかかりましたよ!? あのひと夏の経験を糧にして、健全な真人間への道を歩み始めたリンくんを堕としにかかっちゃいましたよ!?
あははは、マジやべえ。いちこ頑張れ、超がんばれ。輪くんのまともな未来はひとえに君にかかっているぞw

不思議な夏のお見合いからひと月。
輪と幼なじみ巫女のいちこは、いちこの祖母の頼みもあってふたりの住む十五夜草町と神社同士の繋がりがある川毎町へとやってきた。
いまは川毎町に住んでいる義理の姉妹らと再会した輪は、喜び歓迎する義姉とは正反対に、冷たく他人を拒絶する義妹の姿に過去の自分の姿を重ね合わせる。
そんな中、秋の海辺で波間を漂っていた不思議な親友のアネモイを発見し、奇妙
な再会を果たすのだが、そこから町の存亡をかけた新たな騒動が……。!
自ら帰る家を捨て、人々を見守るために街から街へと渡り続ける漂白の神、空を泳ぐ水神アネモイ。お見合いが終わり、旅立っていったアネモイとは、輪もいちこも生きている間にはもう二度と会えないはずだった……のだが、たまたま訪れた街でクラゲのように波間を漂っているアネモイと遭遇してしまう。せっかくの再会なのに、感動も何もあったもんじゃねえ!(笑 いやまあ、そんな再会だったとはいえ、ちゃんと感動の再会になってましたけどね。
相変わらずアネモイの惚けた性格が素敵すぎて楽しいやら懐かしいやら。
でも、二度と会えないはずの相手と再会出来た喜びに浮かれながら、同時にすぐにでも訪れるであろう二度目の、こんどこそ本当の最後のお別れという事実に、輪やいちこの心は揺れ続ける。何故か別の町に行けなくなってしまっているアネモイだけれど、言い聞かせるように、別れはもう済ませた、次の街に行けるようになったらすぐにいなくなるから、となんども繰り返すんですよね。輪もいちこも、それが仕方の無いことだと分かっているので納得はしているんだけど、それでも寂しさや遣る瀬無さといった感情を持て余し、読んでいるこちらも切ない思いにかられてしまう。
アネモイも、そこまでなんども繰り返して言わなくても、と思いながら。なんでアネモイが再会出来たことを素直に嬉しいと喜びながら、裏腹に素っ気なく別れを強調し続けるのか、それは最後に明らかになるわけです。考えてみれば、別段なんの難しい話でも無いのだ。アネモイという存在をどう捉えるかで、思い至るか自明のことかは変わってくるんだろうけれど。
にしても、アネモイの独特の台詞回しは、やっぱり面白いなあ。この会話が通じそうで通じなさそうな微妙な掛け合いが楽しいのなんのw

そして、第一巻と変わらず、この作品は空気感が絶品だ。一巻の舞台である十五夜草町と違い、今度の街は川毎町は海辺の街ということで、潮の匂いのする海風が吹き寄せてくるような、潮騒が響いてくるような染み渡る雰囲気が広がっている。季節が秋、というのもあるんだろう。どこか騒がしいような夏の海辺のイメージとは違い、厳格な冬のイメージとも違い、どこか静かで穏やかな海の気配が、安らぎと落ち着きをもたらしてくれる。
この感覚は実に味わい深い。またも、堪能させてもらった。

作者はゲームのシナリオライターということで、小説は本業ではないのだけれど、今回の終わり方はさらなる続編を意識しているような作りで、こりゃあ三巻以降も期待できそうで嬉しいなあ。

ところで、最近は金魚神が流行っているんだろうか。と言っても、知る限りファミ通は佐々原史緒さんの作品に出てくる駄神・瑞穂さまくらいだけど。


あ、作者の朱門さんがこちらでアネモイの紹介ページを製作している模様。こうしてみると、ゲームっぽいなあw

ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。4   

ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。 (一迅社文庫 し 2-1)

【ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。】 朱門優/鍋島テツヒロ 一迅社文庫


やはり、というかなんというか。エロゲのシナリオライターの人はスッ惚けた会話や掛けあいがやたらと面白いなあ。この辺、センスと練達のブレンドがよく効いた感じがして、素直にケラケラと笑えると同時に腹に溜まる満足感の両方をいっぺんに味わえて、非常に心地よかった。
特に細緻な描写があるわけじゃないんだけど、田舎の街のノスタルジックな雰囲気が行間からふわふわと立ち上って薫ってるんですよね。ゆるゆると流れる時間。主人公といちことアネモイ、三人のどちらかというとせわしないドタバタとした騒がしさとは裏腹に、どこか深とした静けさに包まれたような空気。
最後に、この物語の舞台となる十五夜草町の正体がわかって、この空気や時間の流れの理由がわかった気がします。
そうかぁ。たとえば、神社の境内なんかでどれだけ子供たちが大騒ぎしていても、賑やかさの傍らに静寂が澄まして鎮座しているのとおんなじ理由だったわけか。

途中からの展開の早さは、これもいつも書いてる分量をコンパクト化することになるシナリオライター共通のサガなのか、いささかバタバタしてる感も否めないのですが、それ以上にアネモイの最初から最後までブレずに一貫して一途に自分の役割と想いを矛盾させずに果たしていく強い優しさに、胸を貫かれました。

それにしても、アネモイといちこの掛けあいは面白かったなあ(笑
すっとぼけて、何考えてるかさっぱりわからないアネモイと、それに振り回されるリンやいちこのやりとりなんだけど、これが意外にのちのち重要な伏線や意味が込められてたりするので、侮れない。けっこう、ストーリー的にも密度の濃い内容だったりするんですよね。
それでいて、頭空っぽにして表層だけ浚っても、これがやたらと面白い。笑える。アネモイ、最高でした(w
 
12月3日

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