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雨川水海

フシノカミ 5 ~辺境から始める文明再生記~  



【フシノカミ 5 ~辺境から始める文明再生記~】  雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

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『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、領地改革推進室にて文明の復旧を続けるアッシュ。
アジョル村にてトレント討伐の事後処理を終えたアッシュたち領地改革推進室の一行は、休暇も兼ねて温泉地があるスクナ子爵領へ。
そこで思いを伝えると意気込んでいたマイカは、先んじてアッシュから告白を受けてしまう。
『私はあなたのことが好きですが――あなた以上に好きなものがあるんです』
振られてしまったマイカだったが、アッシュを絶対に振り向かせるべく、優勝すればどんな要望も聞き入れてもらえる武芸王杯大会へ参加することを決める。かつて父親が優勝し、婚姻を果たして歴史に名を刻んだ大会。
一世一代の告白をするため、マイカは伝説の再演に挑む――!
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第五幕!
うはははははっ! ワハハハハッ! やった! やった! マイカがやった!
マイカ嬢、大勝利だーー!!
いやー、痛快だった。気持ちよかった。スゲえわマイカ。めちゃくちゃとんでもねー女ですわ。アッシュがもう人並み外れているだけで、マイカの方もその成長の仕方がハチャメチャの領域にあるとは思っていたのですが、ずっとアッシュの背中を追いかけていたマイカがついについに、誰も追いつけないと思われたアッシュの所に追いついてみせてくれたのは、感無量でもあり愉快痛快でもあり、一言で言って最高でした。
ここまで気持ちよく、惚れた男のために突っ走り、一途に想い続け、その想いを叶えるために努力しまくって成長してみせた女性を、カッコいいと言わずしてなんというのか。
女性として自分を磨きまくり、武人として途方も無い領域に達し、未来の領主として政治力交渉力問題解決力を余人に及ばないくらい叩き上げ、あらゆる方面で人並み外れた域を収めたマイカ。
前に、アッシュが次期領主候補である自分に相応しいかじゃなく、自分がアッシュという前人未到の人外に相応しくなれるかだ、みたいな事をぶちあげてましたけれど、文字通り有言実行してみせたんですよね。もう両親や、領主である祖父や叔父もこれ以上無く納得させ(というか、この人たちもアッシュの価値を誰よりも理解しているために押し押しだったわけですけれど)、外堀を埋め、環境を整え、誰にも文句を言わせない状況を作り上げた上で、それでもアッシュ自身を納得させられなかったとなるや。
落ち込む暇もなく、足を止めることもなく、次の瞬間から次の手段を模索して突っ走りはじめるの、ほんとアッシュに誰よりも相応しくて、お似合いの爆発的な行動力で思わずニコニコしてしまいましたよ。
そして、アッシュをすら有無を言わせない、アッシュをして思わず黙って首根っこ掴まれて振り回されるような……いつも周りの人間を有無を言わせず盛大に引っ張り回し振り回しぶん回していたアッシュが、もう何も言えずにマイカを見守り、彼女の行動の果てを見守るつもりにしかなれないくらいに、ド派手にやってくれたんですよね。
ここまでかっこよく、惚れろ! とやられたら、さすがのアッシュですらもう完堕ちですよ。元々、マイカの事は唯一無二で惚れ抜いていることは、彼自身が明言していた事ですけれど。それでも、彼の文明を再誕させるという夢は、他に比べられない無二であり、マイカですら押しのけられない不動のナンバーワンだった事はこれまでのアッシュの言動を見ていれば、よくわかることでしょう。
その一番の理解者がマイカだったのですけれど、その絶対に勝てないはずだった恋敵に、この女の子は真っ向勝負でぶち抜いてみせたのである。絶対にアッシュの一番にはなれないはずだったのを、マイカはそのありえない一番を自力で、勝ち取ってみせたのである。奪い取ってみせたのです。
これほど、痛快なことはないでしょう。アッシュが、もう魂から惚れ抜いてしまう瞬間は、なんか胸にくるものすらありました。
あれほど追いかけ続けたアッシュの背中に、この子はついに追いついたのです。ついに、隣に立ったのです。アッシュと対等になってみせた。さすがは、女神ユイカの娘。女神の娘はやっぱり女神だった。
マイカ、大勝利! それに尽きる回でありました。

再誕させた古代文明の様々な知識や技術を実用化させ、領内で運用させはじめたアッシュ。そのお陰で領地は空前の上昇気流にのり始めたわけですけれど、その波を領内のみに留めることなく、今度は近隣の交流のある親交の深い、或いはこの波に乗るだけの見識と好奇心を持つ他領の責任者たちともコンタクトを取って、同盟というよりも共犯者……いや、この文明復興という楽しい楽しい遊戯を一緒に遊ぶプレイヤーとして、多くを巻き込んでいくのでありました。
ほんと、これは共通しているんだけれど、アッシュによって巻き込まれた、いや振り回されはするものの最後は自分の意志で巻き込まれに行く、波に乗ってくる、自分たちも混ぜてくれーと飛び込んでくる奇矯な人達なんだけど、みんな共通して楽しそうなんですよね。アッシュの言葉に乗せられて、目をキラキラさせて、ワクワクを抑えきれずに、一緒にはしゃいで騒いで盛り上がってくれる人達。
そんなバカモノたちの輪がどんどん広がっていく。それがもう、楽しくて仕方ない。皆が見ていた未来の色が、まったく違うものに変わっていくことに、ワクワクが止まらない。
このワクワク感こそが、その広がりこそが、この作品の醍醐味だなあ、と再認識。
王都に帰った姫様ことアーサーが、当地で彼女なりにそのワクワクを広げていることが、今回の再会でわかって思わずニッコリ。マイカとの恋敵という友情物語はマイカの突出を許してしまったけれど、さて姫様も全力でマイカを応援しつつ黙って見てばかりもいないだろうし、王家との関わり方はどうなってくるのだろう。
姫様も、自分を傀儡化しようとしている後ろ盾の公爵家相手に、まだ雌伏しているみたいだけれど、なんか着々と自分の勢力は広げているみたいですしね。今回の一件で辺境勢力はこぞって姫様の親衛となるだろうし、彼女の侍女団があれほど姫様の思想に足並み揃えてくれているとは思わなかっただけに、足元は万全だろうし。
さて、今度はどんな規模の大騒ぎになるのやら。楽しみで、ワクワクしますよ。


フシノカミ 4 ~辺境から始める文明再生記~ ★★★★   



【フシノカミ 4 ~辺境から始める文明再生記~】  雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

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『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、領都イツツに留学したアッシュは二年間の軍子会を修了。
新設された部署・領地改革推進室に配属されたアッシュは、生活水準をより良くするために日々励んでいた。
そんな彼のもとに持ち込まれた新たな問題は、『村の救済』。同じ部署に所属する侍女・レンゲの幼馴染みが住まうアジョル村が滅びの危機に瀕しているという。
アッシュとマイカが率いる視察遠征隊を待っていたのは、荒れた畑に、痩せ細った村人たち。
限界を迎えた村を救済する唯一の方法は、禁忌とされてきた畜糞堆肥による農法で……?
さらに、追い打ちをかけるように凶報が届く。
それは、アジョル村を襲うもう一つの脅威、魔物・トレント襲来の知らせだった――。
絶対的な脅威を前に、アッシュたちは村人を救う決意を固める――!


思えばこれまでのアッシュの凄まじいバイタリティの原動力というのは、理不尽を強いて最低限の生存すらも難しくしてしまう衰退した文明、生きることすらままならない環境への怒りだったように思う。
アッシュくんはいつだってニコニコとしていて、感情的にならずに声を荒げる事すらない非常に温厚な性格の子に見えるけれど、もしかしたら彼はいつだって怒りの炎をたぎらせていたのかもしれない。
これまで、その怒りというのは環境そのものに向いていて、その環境を改善するために彼は突っ走ってきたわけです。彼の周りの人たちというのは、言わば同志でした。理解者であり協力者であり共犯者であり、彼の怒りを共有してくれる人たちだったと言えます。彼らは賢明で聡明で、現時点で未熟で理解が乏しくても、それを克服しようという意思がありました。それどころか、時として暴走するアッシュを導いてくれる人たちでもありました。
アッシュにとっては、理想的な人々だったと言えるでしょう。
でも今回、アッシュが志すものとは正反対の、逆の方向を向いた人たちが現れました。意欲ある人たちの邪魔をし、理不尽を退けようという意思を罵り、貴重なリソースを食いつぶして、人の善意を好意を優しさを踏みにじり、弱者という立場にかまけて視野狭く自分の周りだけで利益を確保しようとし既得権益にしがみつこうとする寄生虫。その卑しさによって、人の心を傷つけ、社会を行き詰まらせる輩たち。
アッシュくんが環境という不特定のものではなく、誰か、或いは特定の集団に対してこれだけ怒りを抱いたのは初めてだったんじゃないでしょうか。
でもこの子の怒りは、激高とか声を荒げたりとかわかりやすい形では現れないんですよね。エンジンにハイオク燃料打ち込んでニトロ点火してアクセルペダルを全開に踏み込んでしまう、という形で現れるのである。
火がつく、という表現では収まらない、ブレーキが壊れたような自分でも止められない暴走ブルドーザーの発進である。怒涛の津波のように企画計画が立案され周りを巻き込みまくり、最終決着点までノンストップで大計画が動き始めるのである。
良いだろう、そんなに助けて欲しかったら助けてやろう。お前たちの望むとおりに手を差し伸べ、至れり尽くせりで助けてやろう。ただし、助かりたかったら覚悟しろ。徹底的に覚悟しろ。完璧なまでに行き届いた配慮で行き届かせてやろう、完全なサポートで尽くし尽くしてやろう。
結果としてこの世の地獄を味わうことになるだろうが、そっちが望んだことなんだから構わないですよね?

全ては、一つの村を救うためなのだ。
ほら、よく言うじゃないですか。
地獄への道は善意で舗装されている、と。
私の決意も、人助けが目的なんだから立派な善意だよ。
さあ、みんなで地獄へと突撃しよう。


阿鼻叫喚の地獄絵図のはじまりである。

本来、地獄への道は善意で舗装されている、という格言って、善意で色々とやってあげたら結果として地獄のようになってしまった、という無自覚の酷いありさまを言うと思うのだけれど、このことわざを自覚的に使う奴ははじめてみましたよ。
本気で善意だけで、意図的に地獄を作り出そうという奴をはじめてみましたよ。
主人公なんですけどね、そいつ。
善意だから仕方ない、善意だからオッケオッケー、大丈夫大丈夫、みんなが幸せになれるなら、ちょっと地獄を体験するくらい大したこと無いよね♪の精神である。
どれほど抵抗しても、反発しても、彼は声を荒らげないし理不尽に振り切ったりしない。懇切丁寧に慇懃にわかりやすく誤解しようがないくらい噛み砕いて、言って聞かせるのである。ニコニコと笑顔を崩さないまま、穏やかな声音のまま、理性的に論理的に有無を言わせぬほど筋の通った言葉で、正論で……ずたずたに八つ裂きにしていくのだ。
怖いよ!
こんなに笑顔が怖い主人公、丁寧な物言いが怖い主人公、滅多と居ねえですよ!
態度も言い分にも理不尽なところが一つもないところが逆に怖い!

今回は、これまで周りの人が危惧していたアッシュくんの一番ヤバい側面が噴出してしまった回だったんじゃないでしょうか。
ただ、それを暴走やダメな行為として制止するのではなく、劇薬を薄めて誰でも安全に飲めるけど効果も薄くなってしまう薬とするのでなく、敢えて劇薬を劇薬のままで、劇症を起こしだした劇物に恐れおののきながら、逃げず引かず心中覚悟で乗っかったマイカは、大いなる決断決意覚悟でした。
最大の理解者であるマイカだからこそ、アッシュを盲信はしていないんですよね。アッシュくんだから大丈夫、と根拠なく信じているわけじゃない。彼の危険性を一番把握しているのが、アッシュを引き立てたマイカの母であり、今のマイカでしょう。
最悪、どれだけの惨劇が起こり、アッシュ自身も酷いことになるか、正確に思い描くことが出来るのが彼女らでしょう。
その予測に恐怖しながらも、一度はアッシュを制止しなくてはと思い定めながらも、マイカは敢えてアッシュを止めるのではなく、逸りに逸っている彼のやりたいようにさせようと決断します。それが自分たちの破滅に繋がるのだとしても、死なばもろとも。彼の破滅に、最後まで付き合う覚悟を。本当の意味で心中する覚悟を決めるんですね。
最近のマイカさんなら、アッシュを制御することは叶ったでしょう。脳筋だった頃から見違えて、政治力知力ともに最上級のものを備えた彼女。唯一、アッシュをコントロールしてのける女。そんなマイカが、敢えて制御を放り捨てたのである。一緒に、地獄を見ることにしたのである。
アッシュという化け物が、全力で大暴れするのを許し認め、自分もまたそれを全力で手伝うのだと、一緒にやるのだと、決めたのだ。アッシュという存在からひとかけらも削り取らず、抑え込まず、文明を再生するという大偉業に挑めるだけの器を、彼女は保ってみせたのである。これからも保ち続けるのだと決めたのである。
この瞬間、マイカは、もうアッシュの背中を追いかけるだけの存在ではなくなったのでしょう。本当の意味で、アッシュの隣に並び立ったのです。

ついに、追いついた。


しかし、こんな二人に他の人たちが置いてけぼりにされる、というわけではなく、みんな必死についてってるんですよね。今回の主役の一人とも言えたグレンくんもその一人。
彼を見てもわかるように、アッシュに対してみんな信者、というふうな信じ方をしてるわけじゃないんですよね。信仰ではなく、皆が理解者なのだ。彼がやろうとしていることにあっけに取られながらも、ちゃんと理解しようと努力して、聞いて見て噛み締めて飲み込んで、自分のものにしている。
こういう人たちに囲まれている、というのはアッシュくんほんと恵まれていると思います。彼自身、痛感していらっしゃいますけど。良き人と巡り合うという意味で、彼は運に恵まれている。マイカさんだけでもSSRなんですけどね。上司の領主代行のイツキさまが、ほんと理想の上司だもんなあ。

そろそろ、王都の方の話にもなってくるのかな。イツキ様の父親の辺境伯がちらほらと登場フラグ立てて来ていますし。王都は、それこそ話の通じない連中の巣窟みたいですし、さてアッシュの豪腕がどう唸ることになるのか。どんなひでえことになってしまうのか、色んな意味で楽しみです。




フシノカミ 3〜辺境から始める文明再生記〜 ★★★★   



【フシノカミ 3〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

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失われし航空技術を取り戻す!

『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、領都イツツに留学したアッシュは、堆肥とトマトの食用化問題に一区切りをつけていた。
さらに、人狼との戦いで負った傷も癒え、アッシュは再び都市全体の生活水準向上を目指す。
そのさなか、アッシュが所属する軍子会では、少年ヘルメスの夢が嗤われていた。騒ぎの原因は、ヘルメスが手にしていた歪で不格好で――
しかし、精緻な細工物。それは、紛れもない航空機の模型だった。
自動車どころか内燃機関すら存在せず、絶対に空を飛べないと口々に嗤われる中で、ヘルメスはただ一人、諦めることなく空飛ぶことを夢見ていた。
空へ思いを馳せるヘルメスに感銘を受けたアッシュは、彼を嗤う人を見返すため、そして自身の夢のためにも、ヘルメスとともに航空技術の再現に挑む――!
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第三幕!

さらっと触れられているだけでまだ突っ込んだ問題にまで取り上げられてはいないけれど、地下資源の類が古代文明時代にほとんど取り尽くされてしまっているのではないか、という推論はこれアッシュの高度な文明水準を取り戻すという目標に相当な障害になっていまうのではないだろうか、これ。石炭や石油などの燃料資源もそうだけど、鉱石のたぐいも殆どないとなると、なるほどなあ。石材が重要視されるのも無理ないのか。
ともあれまずは一歩一歩……その一歩の幅がやたら大きくて超大型人型決戦兵器並の一歩な気がするし、歩く速度も競歩だろうそれ、という速度なのだけれど、それでも一歩一歩、ちゃんと足場を確かめ固めつつ進めるアッシュ。まずは煉瓦関係を進めようとしていた所に、独自に航空機の研究を行いこの時代に古代文明時代の伝説であり実在すら疑われていた飛行機械の再生を目指すヘルメスと出会い、彼を応援するためにまず人の手で空を飛ぶ飛行機模型を作成することに。
目に見える形での伝説の再現。そして、同世代の同じ古代文明の再現を目指す同志を仲間に加え、様々な分野の人の協力を仰ぐことで、領都全体が新たな時代へとステージを進めることへの熱量、機運が盛り上がっていく。
アーサーにもアッシュが強調して言っていたことだけれど、彼は本当に何でも一人でやっているようで、協力者を見つけること、手伝ってくれる人を集めることをいとわないどころか、むしろそれを重視しているんですよね。自分の目指す夢が、決して一人では出来ないことを知っているのである。
この何もかも乏しく足りなく生きるだけで精一杯な時代に、ただ生きること以外の事にかまける事、夢を見て夢を追いかける事がどれだけ難しいか、彼自身ユイカさんの読書会に招かれるまで死んだようにこの時代を生きていたからこそ、身に沁みて分かっているから。
無力感も絶望も諦観も、ずっとずっと抱えていたからこそ、その苦しさ辛さ、悔しさを知っている。
だから、彼は夢追い人であると同時に自分と同じように、夢を追おうとして挫折しようとしている人、理不尽に膝を屈しようとしている人、無理解に悔し涙を流している人に、手を差し伸べる事を惜しまない。そこでうつむいている人たちは、かつての自分だからこそ。
そして、そんな夢追い人たちは皆総じて、アッシュが抱く夢の助けになる人だからこそ、彼は人情と打算を全開にして、全力で彼らを自分の夢に巻き込んでいくのである。
それも、無責任に巻き込むのではなく、アフターケアまでびっしり揃えた上で万全の体制を用意した上で、なので居たせり尽くせりである。それに、一方的じゃないんですよね。何も考えずに自分について来い、という牽引型でもない。
自分で考え、自分で立ち、自分で歩き、その上で自分を助けてくれたら嬉しいな、と後ろではなく横に立って一緒に歩いてくれる人に惜しみない笑顔を向けるのだ。
だいたい、その笑顔にやられるのである、どいつもこいつも。
だから、誰も彼も手を尽くしてアッシュに協力するけれど、それはアッシュの案件という他人事じゃないんですよね。みんな、自分のこと、自分がやりたいこと、自分がやりがいを感じていること、自分が成し遂げたいこと、自分がたどり着きたいこと、そんな風に自分のことだと胸に抱いて、志して、アッシュを手伝うのである。だから、みんな笑顔なのだ。充実した顔をしているのだ。楽しそうに、ウキウキと、目の前に積み上がっていく課題だの問題だのに悲鳴をあげながらも、そこに挑んでいくのだ。
領都イツツそのものが、明るい笑顔で溢れていく。

しかし、アッシュ論については今回の領主代行のイツキ様の見解が実にわかりやすく簡潔で納得の行くものでしたね。起承転結ぜんぶアッシュが担っていると。アッシュが問題を起こし、アッシュが問題を承り、アッシュが問題を転がして、アッシュが問題を解決している。ある程度その問題が周知され例えばイツキの元にまで報告が上がってくる頃には、もう問題は完結してしまっているわけだ。だから、信頼できる部下たちからは、問題ありません、という報告しか来ない。もう意味不明の混沌としか言いようがないわけわからない出来事があったにも関わらず、だ。
なんかもうドッタンバッタン大騒ぎで目が回りそうな大事に振り回されたはずなのに、なんかもう何事もなかったかのように安定して落ち着いた結果が一緒についてきて、なんかもうナニゴトー!? と目を白黒させるしかないんですよね。
イツキ様が毎度、報告を聞く度に「ひらがな」でしか喋らなくなるのも、うんわかるわかる。
これだけなら、トラブルメーカーという事でアッシュの事はちょっとコイツどうなの? と成果をいくら上げたってドン引きしてしまう所もあるのだけれど、同時にこの少年は粋と侠気を兼ね備えた気持ちのいい男でもあるんですよね。
この少年がアーサーの事を実は最初から察していて、でも何も聞かず問わず受け入れてくれていた事。そして今、アーサーのもとの危機が訪れようとしているときにも、何も聞かずあの子の事を助けようとしてくれている事、そしてそれをイツキにも知らせて安心させようとしてくれたのに気づいた時の、あのイツキさまの感動は、この少年の心意気への痺れるような感慨は、読者である自分のそれでもありました。
アーサー自身へのアッシュの言葉も、この娘が感じていた負い目を全部無しにして、前を向かせてくれる事で、この娘が必要としていた言葉や思い、全部満たしてくれたものだったんですよね。アッシュに語らせたイツキさま、グッドジョブである。
んでもって、アーサーの女の子としての部分、恋する少女としての気持ちまでは今のアッシュは受け止められないものだったけれど、それをきちんと整理して封じさせてしまわず大切に宝箱にしまわせたのがマイカだった、というのが……色んな意味でマイカはアッシュのパートナーだよなあ、と思わせてくれました。アッシュじゃどうしても出来ないことを、マイカが全部フォローしてくれるのですから。
この幼馴染、最初はそこまで出来なかったのにねえ。領都に来てからマイカは、本当に努力してアッシュをどんな風に助けられるかを考えて考えて、自分の成長する方向を完全にしてみせたんですよねえ。その方向性が、母親のユイカさんそっくりだった、というのは実に面白いところでありますけれど。
あのアッシュを見事にコントロールして、同時に彼が欲したものをあらゆる手を尽くして用意してみせた手腕は、本気で領主位引き継いでも不思議でないくらいのクオリティに、既に現状で至りつつあるんですよねえ。この娘、本気で自分をアッシュに釣り合うまでの高みに駆け上がるつもりだ。

恩師でもあるフォルケ神官が王都に戻り、アーサーもまた王都へと帰ったことで、次回以降王都関連の話になってきそうな予感。この領都イツツはいる人みんなイイ人で、同時に有能で聡く気持ちの良い人たちばかりだったので、楽しかったのだけれど、さていつまでここを舞台に遊んでいられるのか。マイカは、どこまでもついていけるのか。なんにせよ、どうやったってアッシュの行く所大騒ぎになるわけですから、ある意味安心して楽しみに出来ます。



フシノカミ 2〜辺境から始める文明再生記〜 ★★★★   



【フシノカミ 2〜辺境から始める文明再生記〜】 雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

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前世の記憶らしきものを持つ少年・アッシュは、『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻そうと寒村で奮闘していた。
その成果によって村の発展に貢献したアッシュは、都会である領都イツツへの留学の権利を手にする。
まだ見ぬ神殿の数多の蔵書へと思いを馳せるアッシュを迎え入れたのは、領主代行の好青年・イツキと、その弟を称する男装少女・アーサー――だけではない。
期待を下回る水準の技術力に、不足気味な資源など、山積した問題たちだった!
アッシュは、共に留学してきた村長家の一人娘・マイカに加え、アーサーすらも巻き込んで、危険とされる堆肥の利用、さらには毒とされている作物の食用化へと乗り出し、食糧事情の改善、ひいては都市全体の生活水準向上を目指していく!
しかし、そんなアッシュたちに、人類衰退の原因である“魔物"の足音が迫っていて――!?
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第二幕!

リソースが極めて限られていた辺境地域のさらに開拓地の農村部という寒村を、見事に活性化させてみせたアッシュ。その功績もあって、村長家の娘にしてサキュラ辺境伯の領主家の血筋でもあるマイカの領都イツツへの留学に同行する事になるわけだが、ノスキュラ村とはキャパシティが段違いな都市部が舞台、となればアッシュもやれる事が全然違ってくるわけだ。
あれもこれも、とやりたいことが山程頭の中で唸っているにも関わらず、今まではどうしたって実現に至るまでの手段がなかった。技術も技術を生み出すための体制も、社会システムそのものも、それらを実行する教育を受けた人材も。
領都と言っても辺境部の都市なだけあって、決してアッシュの満足できる文明レベルではなかったものの、やはり村とは設備やら人材の層やらが全然違うんですよね。
とは言え、アッシュはマイカの母にして領主家の長女でもあるユイカさんの推薦があったものの、身の上はただの農民。ユイカさんの有能さをよく知っている彼女の弟にして領主代行のイツキさんや領主家の人間たちは十分以上にアッシュにも好意的ではあったんだけれど、それでも彼に対する認識は良識の範囲内であり、年の割には優秀、農民の割にはちゃんとしている、くらいの認識だったわけですよ、最初は。それでは、アッシュが目論んでいる文明向上計画なんて到底話も聞いて貰えない。
と、ここで一足飛びに無茶をしないのがアッシュである。この少年、わけの分からん勢いで皆を巻き込んで激走突進するわけだけれど、意外なほど段階を踏んで着実に物事を進めるんですよね。一歩一歩堅実に足場を固めて次の一歩へと進むのだ。その一歩がやたらと早いわ、歩幅が意味不明なほど広いわ、と巻き込まれた人たちが濁流に飲まれたみたいに正体をなくすはめになるのだけれど、それでも工程を見ると決して横紙破りとか不正とか独断専行はしないんですよね。
そこがまた彼の一番恐ろしいところでもある。
絶対に筋を通すんですよ、彼。関係各所に筋を通し、面通しをして、責任者各位にはちゃんと同意と協力を取り付けて、各種計画、稟議、プランにもちゃんと根拠となる前例や証拠資料を揃えた上で、ちゃんと許可を取り付けた上で計画を発動させる。
ここまでガッチリと正当な手段でゴーサインを貰ったなら、もう許可を出した方だって生半可なことでは計画を止められなくなる、というのをよく分かっているのだろう。
正当な手段、というのは遠回りに見えるかも知れないけれど、その強度においては途方もなくあらゆる横やりを跳ね飛ばす。一度始まってしまえば、用意には止められなくなる。つまるところ、変にショートカットしたり、勝手に物事を進めて既成事実化したり、という事をするよりも、何気に最短距離を突っ走ることになるのだ。そして、一度始まってしまえば、可能な範疇でやりたい放題行けるところまで突っ走れる。それこそ、許可を出したほうが想像もしていないレベルまで突っ走ってしまおうとも、何しろゴーサインは出ている訳だから止められる理由がなく、根拠がなく、手段がないわけだ。関係各所にもちゃんと協力を取り付けて、要となる人物も片っ端から懐に抱え込んでしまっているから、まず邪魔しようという勢力が存在しない。
アッシュくんがほとんどノンストップで周りの人達が目を白黒している間にわけの分からんスピードで物事を変革していけるのは、彼の前に障害がないからではなく、障害をぶっ壊しているわけでもなく、障害が障害足り得る前にそうでなくしてしまっているから、というのが一番近いのではないだろうか。
巻き込まれた人は大変だろうけれど、それが楽しくて仕方なくなるのは、最初彼のやることなすことに白目をむいて放心状態となりながら、いつの間にか同じように目をキラキラさせて、笑顔で彼のやることを手伝い、後押しし、自分の地位や能力の限りを尽くして喜んで彼に協力することからも明らかだろう。
楽しいのだ、アッシュと色々となにかやることは。大変だけれど、毎日がピカピカ輝いて、楽しくて仕方なくなるのだ。
あれほど鬱屈と憂いを抱えて日々を過ごしていたアーサーが、見違えるように明るくなったのはまさしくアッシュにアテられたからだろう。充実した日々が、この子にうつむいている暇を与えなかったのだ。前を向いてさえいれば、明るい光はいくらでも目に飛び込んでくる。見たこともない世界、いくらでもアッシュが見せてくれる。
しかし、光あれば影あり、勢いに邁進する彼についていけない人々はやはり一定数出てきてしまう。出る杭に我慢できなくなる層はどうしたって存在する。
アッシュは、理屈ではなく感情で突っかかってくるやつ、理不尽を押し付けてくるような相手は、眼中になく、無視しているけれど、そういった層が無視していればいなくなるわけじゃないんですよね。
強かなアッシュだから、決して油断しているわけじゃないし、理不尽を強要された場合やばい系の満面の笑みで裏から手を伸ばしてガッツリヤッてしまいそうな所あるけれど、まずもってそういう連中に邪魔させないことが最良ではあるんですよね。
そういう、アッシュの脇を突いてくるだろう勢力に対して、何気にマイカがアンテナを張り巡らせて警戒をビシビシ飛ばしているのがなかなか興味深いところでした。
都市部に入ってバージョンアップしたアッシュに対して、マイカも農村から都市部に一緒に出てきてアッシュのパートナーとして必要な部分をバージョンアップさせようとしている風なんですよね。
前回の熊に襲われた一件で、マイカは自分自身が強くなって騎士のようにアッシュを守るのだ、とユイカさんがドン引きするくらい夢中になって自分の役割を規定しようとしていましたけれど、今回人狼に襲われた件も相まって、直接的な武力を向上させてもいつも傍にアッシュが居て、彼を守っていなるシチュエーションでなければ、そうした力は意味をなさない、というのを思い知ってしまったわけです。今回、マイカはアッシュと同行してませんでしたからね。都市部での仕事の増大は必然的にアッシュをあっちこっちに走り回らせる羽目になり、マイカもマイカで色々とやることが増えて常に一緒に行動、という村での時みたいにはいかなくなりましたからね。
そんな異なる環境に置かれるようになった二人。それでもなお、自分がアッシュのために力を尽くすとしたら、彼の激走についていくには、彼の突進を助けるためにはどうしたら良いのか。
そうして、明らかに自分自身のスケール自体を格上げしようとしているマイカさん。自分ひとりでどうこうするのではなく、人の手を使い、立場を使い、彼に環境そのものを用意して、彼のもとに邪魔が入らないように手を尽くす。見ているステージ、立っているステージを階梯ごと上にあげないとたどり着けない結論へと至った彼女の、マイカの躍進が見事にアッシュから離れずについていっていて、この子もある種の化け物だよなあ、と思うのでした。
走っているスピードが、完全に周りの人と違うんですよね。アッシュと同じスピードで走ろうとしている。尤も、彼と深く関わることになった人たちは多かれ少なかれ、今まで歩いてきたスピードとは段違いの速度を要求され、本人も意図せずに突っ走りはじめているわけですけれど。
その点、理解者であるはずなのだけれどアッシュと常に接しているわけではない領主代行のイツキさんなんかは、アッシュを中心に加速していっている時代の速度に追いついていないどころか、加速そのものにまだよく気づいていない、というべきなのかもしれない。その辺のギャップは、マイカが一番よく理解してそう、というのも彼女がアッシュの脇を固め、或いは鎹となるだろう立ち位置に至る重要な要因なのかもしれません。何にせよ、アッシュ見ているのも面白いけど、マイカも同じくらい面白いなあ。アーサーはかなり色々と深い事情を抱えていて、重要人物かつヒロインとして食い込んできましたけれど、マイカも自力で同じ深度、同じ階位に自分から駆け上がってきた感があるんですよね。アーサーの正体が何であれ、マイカも対等のところまで自分であがってきそう。
うん、この怒涛怒涛の様々な登場人物を巻き込んでいく奔流の勢い、一巻に引き続きジェットコースターに乗っているみたいで、面白かったという以上に楽しかった!


フシノカミ 1〜辺境から始める文明再生記〜 ★★★★   



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前世らしき記憶を持つ、辺境の寒村に暮らす少年アッシュ。
豊かな生活の記憶を持つアッシュにとって、内燃機関すら存在しない中世暗黒時代並みの今世の生活は耐え難いものだった。
記憶にあるような理想の暮らしを送るためには、現状の最上級ではまったく足りない、今ここに存在しない最低限が必要だった。
アッシュが目指すのは、整備された上下水道や衛生的な住居、馬より速い移動手段で世界を繋いだという文明の再生!
そのためには、遙か昔に発達していたという、古代文明の知識が記された本を読む必要があった。
識字の教育機関を兼ねる教会すら形骸化しつつある中で、アッシュは文字を覚えて本を読み、知識を得る。
さらには、村長家の令嬢マイカをはじめとした、周囲の人々からの協力を得ながら、手始めに自らの住む村で養蜂業の再興を行い、村の発展を目指していく――!
理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、開幕!

うはは、めっちゃ暴走してるぞ、この主人公のアッシュくん。こいつはあれだ、【ナイツ&マジック】のエルくんや【本好きの下剋上】のマインなんかと同じ人種だ。趣味に人生賭けてて、一つ一つ積み重ねていくことが楽しくて楽しくて仕方ない奴だ。大騒ぎしてはしゃぎ周りながら、周りもみんな巻き込んで世界そのものをひっくり返していってしまう奴だ。
もっとも、当初のアッシュはこの中世暗黒時代な世界に対して、無力感と絶望感に首まで浸かっていたんですよね。死が身近で、昨日まで一緒に遊んでいた同じ年頃の子供たちが次の日には簡単にいなくなってしまっている世界。それを、諦めとともに当たり前のように受け止めている村の人々。何をしてもムダで、ただ生きて死んでいくまでの日々を苦しみながら過ごすだけの生涯。
そんな世界を前に立ち尽くし、他の人達と同じように諦め切っていた彼を変えたのは、村長婦人のユイカさんが開いた朗読会でありました。
本によって紡がれる、未知の世界。誰かが書き残した記録の向う側にある、確かに在った過去。喪われていた古代の知識が、文明の残滓が、しかし決してなくなることなく言葉として、本として、受け継がれ受け取るものを待っていると気づいたとき、それを見出したとき、諦めと絶望という灰の中から不死鳥は甦る。
タイトルのフシノカミって、てっきり不死人とかアンデットとかが主人公か主題となる作品なのかと読む前は思ってたんですよね。違いました。そういう永遠ではありませんでした。
これは過去から今へ、未来へと受け継がれていく永遠。どれだけ世代を超えても死なないもの。人間の叡智の話であり、それをつないでいく本という奇跡に希望と可能性を見出した少年のお話なのでした。
そして、そんなテンションあげあげではしゃぎ回って、古代の叡智を掘り起こしていく子供のハイに感染し、便利さとか利益だとか生き残る術だという実益以上に、彼のあまりに楽しそうな姿に乗せられて一緒になってはしゃいで暴走する人の輪が広がっていく物語なのでした。
まずは、落ちぶれた古代語の研究者だった村のヤサグレ神父。才女として謳われながら何もない村落でその力を振るうすべを持たずに無力感を噛み締めていた村長婦人。そして、いつも仮面の笑顔を貼り付けていたアッシュの、心からの笑みにハートを撃ち抜かれた村長の娘マイカ。
ともすればどこまでも突っ走ってしまいそうなアッシュを、むしろ本人よりも理解し認め、手綱を引き絞りながらもこの子が存分に翼を羽ばたかせられるように導き先を示し、一緒になって同じ目線ではしゃいでくれる大人たちが居てくれることが、この物語をどんどんと足止めなしに加速させていくのである。
特にユイカさんは、アッシュが絶望を乗り越えるきっかけにもなった人で、アッシュの絶望を誰よりも理解し共有もしていた人で、彼の途方も無い可能性を一番わかってくれた人でもあるんですよね。よくまあ、こんな人がこんな限界集落にいたもんだと思います。アッシュと出会うまではユイカさんほどの人がこの村に居るのって、才能の無駄遣いの最たるものだったのでしょうけれど、アッシュを目覚めさせ、彼の後援者になったことで全部帳消しですわ。
ウェブ版では、全部主人公のアッシュ視点となっているらしいのですけれど、書籍版ではマイカ嬢とユイカさん視点のお話が結構たくさん挟まれていて、これが第三者から見るアッシュという人物を描き出すと同時に、村の様子や村民たちの姿など多角的に見ることができたおかげでアッシュ視点だけではわからなかった部分まで色々と描かれることになったんですよね。おかげで、随分と作品そのものに奥行きが出来たんじゃないでしょうか。マイカがアッシュに惹かれていく様子や、ユイカさんに煽られたりして反応してしまうところとか、メチャクチャ可愛いんだよなあ。
また、アッシュがこの文明が衰退した時代に絶望し、身近に死が当たり前に横たわる理不尽に打ち震えている様子が、ユイカさんの目から映し出されているのですけれど、彼女の目から見たからこそアッシュの原点というものが、彼の行動原理であり原動力であり、怒りであり喜びがよりはっきりと伝わってくるものがあったんですよね。この小さな少年の決然とした想いが伝わってくる。そんな彼の在り方に、自分が成すべきことを見出したユイカさんの感動であり、戦慄であり、奮い立つ想いというのがまた強烈に来るものがあったんですよね。
ウェブ版は読んでいないのですけれど、これは素晴らしい加筆部分だったんじゃないでしょうか。
一度は気に入らないと喧嘩売られて対立した同い年の子と、真正面から向き合ってお互い心の内をぶつけ合い、打ち解けた仲になる下りとかやっぱりこういうの好きだなあ、とか思わせてもらいましたし。……あと、猟師のバン兄さんはマジ寡黙な青年というジャンルのかっこよさがビシバシ出てた、うんかっこよかった。はよ結婚せい、お兄さん。

年末にご紹介いただいた作品だったのですが、期待していた以上の面白さ、楽しさでありました。ご紹介くださった方々には感謝です。次回からは村を出て、さらに大きなフィールドを縦横無尽に使い倒しそうな勢いで、次もまた楽しみ楽しみ。

 
11月26日

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