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電撃の新文芸

オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど! ★★★★   



【オタク同僚と偽装結婚した結果、毎日がメッチャ楽しいんだけど!】  コイル/雪子 電撃の新文芸

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同人女子とドルオタ男子の、偽装結婚から始まる楽しすぎる結婚生活。

同人作家という秘密以外は普通のOL・相沢咲月は、ある日イベント会場で突然プロポーズされた。相手はメガネ姿のドルオタ……じゃなくて、イケメン同僚の滝本さんで!? 偽装結婚から始まる幸せ結婚生活物語。

これは面白いなあ! 面白かった!
偽装結婚というタイトルになっているけれど、作中で自分たちで言っているように「シェアハウス婚」と表現した方がしっくりくるような関係なんですよね。
相沢さんも滝本くんも、二人共仕事ではバリバリのやり手ビジネスマンでありながら、プライベートではそれぞれどっぷりとハマったオタクでもあるという、公私を見事に使い分けている社会人。ビジネスマンとして非常に優秀な人らしく、二人共コミュニケーション強者と言っていい人種ではあるんだけれど、同時に他人を必要としない独りで居ることを全く寂しく思わない人種でもあるんですよね。だから、決して恋人とか結婚相手なんかを必要とはしていないんだけれど、同時に他人と一緒に過ごす事に苦痛を覚えるというタイプでもない。友人も少なくないし、他人との距離感のとり方が抜群に上手いんですよね、だからこういう人種って、最強なんだよなあ。
おまけにこの二人って、かなり強度の高いオタクなんだけれど、自分のテリトリーであるジャンル以外でも好奇心を抱き楽しめるタイプなんですよね。だから、自分の知らない未知のジャンルの話をされても、むしろ目をキラキラさせてそれは面白そう!と食指を伸ばせるのである。
だから、相沢さんも滝本くんも自分のテリトリーの話を相手にしても、疎ましがられるどころか本当に心の底から楽しそうに話を聞いて一緒に面白がってくれるものだから、話が弾む弾む。
おまけに二人共距離感のとり方がべらぼうに上手いから、変に強引に自分の好きなものを押し付けたりしないし、かと言って遠慮して遠ざけたりもしない。ごく自然に、自分の興味あることを話題に出して盛り上がり、また相手の興味あることを訪ねて盛り上がり、未知のジャンルに知見は広がり思わぬ見地から自分のジャンルへの考察が深まったり、と独りで楽しんでいた事が二倍三倍になっていくかのような生活がはじまってしまったのだ。
そりゃ楽しい!
それ以外の普通の生活空間の共有も、お互いまったくストレスを感じない距離感をごく自然に取れているんですよね。相手が忙しそうなら邪魔せず、そうかと思うとちょっとした気遣いでかゆい所に手が届く手助けをさり気なく行き届かせることで、ああこの人と一緒に暮らしてて良かった、という想いがふつふつと湧いてくる。楽しいだけじゃなく、嬉しいと思うことが毎日の中に増えてくる。

人生、充実してる! 毎日が楽しい! なんかもう、ハッピー! という風になっているのが伝わってきて、思わず読んでいるこっちにも多幸感のおすそ分け。なんかもう本当に楽しそうで、人生にハリがあって、素敵だなあと思わず微笑んでしまいました。

そんでもって、実は滝本くんの方が前から相沢さんの事が密かに好きだった、というあたりがまた絶妙なんですよね。好きだし異性として恋はしているけれど、今の生活が想定以上に楽しすぎて、大好きな相沢さんが自分と一緒に暮らしていることで滅茶苦茶楽しそうにしていてくれることが嬉しくて、そんな時間と空間を壊したくなくて、現状維持に満足している滝本くんが何ともいじらしいのです。
彼としては、今の所今以上を望んではいないんですよね。今の段階で幸せ過ぎる、というのもあるのでしょうけれど、彼女のほうがとても楽しそうでいるのにそれを壊したくない、と思っているあたりが健気でいいんですよ。それでいて、問題を抱えている相沢さんと実家の家族との関係に、一石を投じるつもりでいるあたり、ちゃんと「結婚した」という事実を彼はともすれば相沢さんが想像している以上にしっかりと背負っているんじゃないかな、これは。責任云々じゃなくて、もっと相沢さんには幸せになってほしい楽しく居て欲しい、という気持ちから生じているようにも見えるのだけれど。
これってでも、十分以上に「愛情」ですよねえ。そう思ってしまいます。
思わぬところから突然お付き合いとかを経ずに結婚からはじまった関係だけれど、最初から楽しいで満ち満ちた関係になってしまったわけで、そこからさらに二人は本当の意味での家族になるのか。このサキの進展が色んな意味で楽しみな、そして現状ですでになんかもう見てて楽しいオタク夫婦のスターティングでした。

しかし、イケメンくんのドルオタというのはなかなか今まで見たことなかったカテゴリーで興味深かった。相沢さんみたいな、クリエイター方のオタクではないんだけれど、本格ドルオタって凄まじくアグレッシブで行動的でパワフルなんだなあ、と感心するばかりでした。
どんなジャンルでも、突端を行くオタクの人はやっぱりスゲえなあ。

Unnamed Memory VI 名も無き物語に終焉を ★★★★☆   



【Unnamed Memory VI 名も無き物語に終焉を】  古宮 九時/chibi 電撃の新文芸

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これは王と魔女の、終わりであり始まりの物語。

「私、貴方のところに辿り着けて幸せです」
ティナーシャの退位と結婚の日が迫るなか、周囲で怪しげな事件が頻発し始める。歴史を改竄する呪具エルテリアを奪取するため、ヴァルトにより巧妙に仕掛けられる罠。無数の歴史の記憶を持つ彼は、ついに自分と世界にまつわる真実を語り出す。
消えては再構築される時間の果てに、オスカーが下す決断とは――。王と魔女の物語の終わりであり始まり。人の尊厳をかけた選択に向き合う完結巻!

ずっとモヤッとしていたものがあったんですよね、この世界のオスカーには。それをヴァルトがズバッと指摘してくれて、ああそうだったのか、と深く深く首肯したのでした。
そうなんですよ、この世界のオスカーはティナーシャと結婚するのにさほどの苦労していないんですよ。なにしろ、むしろティナーシャの方からアプローチ掛けてきたくらいで、グイグイ来られて困惑しながらも彼女の不思議な人となりに惹かれていって、立場の柵がなくなった所でようやく求婚して、それも大した問題なくスッと受け入れられて。
そう、すんなり……本当にすんなり収まる所に収まってしまった。
前のオスカーは、そりゃもう毎日のように口説いてプロポーズして塔まで会いに行って、と大変な情熱を傾け続けたにも関わらず、徹底して拒絶され断られ逃げ回られ、それでも段々と触らせてくれるようになって口では断られながらも距離感をグイグイと潰していって、ついには彼女の生きる意味の消失を全霊をかけて埋めることでようやく一年掛けてティナーシャを口説き落としたわけです。
相手は数百年を生きる最強の魔女。経験も知識も力も違う相手でした、何をしでかすか分からないびっくり箱でした。それでも構わず、相手の巨大な存在感も恐れることなく、情熱をもって一人の女としてティナーシャを口説き落としたわけです。
そして、国を、世界を、自分自身をも失う選択を前にしても、迷わず彼女を救う道を選んでしまうほどに、ティナーシャを愛した。それが、前の世界のオスカーでした。
この世界のオスカーに愛が足りない、とは言いませんよ。でも、暗黒時代の女王の様相に戻ってしまったティナーシャを前に、不安をいだいてしまうオスカーというのはどうにも「シャキッとせいや!」という感想を否めなかったわけです。だってオスカーが不安って、違うだろう、そうじゃないだろう、と思いませんか? ティナーシャとの未来に影を感じてしまうって、そういう所に引っかかってるのはオスカーらしくない、と思いませんか。
そうかー、追っかけが足りなかったのかー。ティナーシャの何もかもを覚悟して受け入れていた前のオスカーと違って、強く求める前に得られてしまったこのオスカーは、愛する人を求める希求心が足りなかったのか。飢餓感が足りなかったのか。ふとした瞬間に彼女が消えてしまうのではないかという危機感が足りなかったのか。ティナーシャという異質を掴み取る覚悟が足りなかったのか。
だからこそ、すべての歴史を見てきたヴァルトが前までの世界のオスカーと比較して、彼を叱咤してケツ叩いてくれた時には、よくぞ言ってくれた! という感覚だったのです。
敵対しているはずなのに、ヴァルトは。
相容れない関係になってしまったはずなのに、言わずには居られなかったんだろうなあ。オスカーとティナーシャのあの尊いまでの関係を覚えていたら、どうしようもなく言わずには居れなかったんだろうなあ。
ティナーシャとオスカーの臣下だった事もある、と数ある歴史の中の一幕のように語っていたヴァルトだけれど、彼にとって彼らの臣下だった時間は実はこの上なく特別な時間だったんじゃないか、と思うんですよね。
あとで、彼らの臣下だった頃の話が挟まれるのだけど、ラザルやアルス、シルヴィアやドアンといった股肱の腹心たちと全く違和感なくメンバーの中に混ざってたんですよね。
そうやって二人のもとで働く時間は、本来の目的を忘れないまでも充実していて、ミラリスと過ごす日々も発見と幸せに満ちていて、ヴァルトにとってこの時間軸がどういうものだったのかが伝わってくるようでした。
道は分たれた。ヴァルトは一切を振り切って愛する人のために成さねばならないことがある。そのためには、ティナーシャとオスカーは敵として相対さねばならない。
それでも、敵対しながらもヴァルトにとって過去形じゃなく二人の臣下であり続けていた。それが、あのオスカーへの叱咤に垣間見えた気がしたんですよね。

そうして、泡沫のようにすべては消えていく。
ヴァルトが改めて「エルテリア」の効果について説明してくれましたけれど、これは本当にえげつない。何がえげつないって使用者当人には記憶残らず、時読の当主に選ばれた人間にだけ記憶が残ってしまうというところか。自分で使うならまだしも、誰かがどこかでエルテリアを使った途端にいきなり世界が巻き戻りって改変点まで戻されちゃうんですからね、記憶が残ったまま。最悪の巻き込まれじゃないですか。
それでも、自分だけの事ならずっといつか改変が通り過ぎていくのを耐え続ければよかったのかもしれない。でも、それが愛する人に引き継がれてしまったとしたら。
本来、ヴァルトは裏で暗躍して世界を動かす、なんてタイプの人間ではないのでしょう。誠実に、当たり前に、表の世界で当たり前のように穏やかに生きていく人間だったのでしょう。そんな彼が人として壊れもせずにやり遂げようとした事は、愛する人を救うためにそれ以外のすべてを裏切ること。
それもまた、名前の残らない記憶であり物語だったのでしょう。
でも、その名無しの記憶は紆余曲折を経て、彼らに引き継がれてしまった。

そこにあった世界が、消えてしまう哀しみを、喪失の痛みを、引き継いでしまった。
歴史が一つまっさらに消えてしまう瞬間は、劇的でもなく本当にただ泡が消えるように唐突に何もかもなくなってしまった。
あそこに生きていた人たちは、長き歴史を紡いでそこに在ったものたちは、全部綺麗サッパリ消えてしまった。ただ、巻き戻しを認識する人の記憶にだけ残って。
レジスとティナーシャが二人でトゥルダールのためにやっていたこと、やろうとしてきたこと。描いてきた未来図が、全部泡のように消えてしまった。想いも、情熱も、親愛も、感傷も、何もかもが記憶の中にしか残っていない。

そして、オスカーが選んだ選択は。ティナーシャが受け入れた決断は、そんな記憶にしか残らない思いすらも消し去るものだったのか。
すべての改竄を初期化して、最初からやり直す。きっと、改竄を経なければ生まれなかった生命もあるだろう、助からずに歴史の闇に埋もれてしまった者もいただろう。オスカーですら、そもそも生きて成人しなかったかもしれない。ティナーシャは魔女にならず、数百年の時を経てオスカーに会う事はなかったかもしれない。
それでも、彼らは行き詰まりつつあった世界をまっさらにやり直すことを選んだ。外部からの干渉を排し、ティナーシャ一人が背負うことになる消えゆく歴史と時間の重さを取り払うために。
運命を信じて。もう一度会えると信じて。そのとき、恋に落ちるのは確定済みだ。それだけは、疑う余地はない。
「歴史が変わっても、全てが元に戻っても。どこにも誰にも記憶が残らず、たとえ私が生まれなくても……愛しています。貴方が私の、最初で最後のただ一人です」


きっとこの瞬間に、数百年を生きた魔女と一人の王様の恋物語は、ただ幸せになって結末を迎えるお伽噺の枠を逸脱してしまったのだ。悠久の時の流れに、二人は溶け落ちていく。
きっと二人はそれでも幸せなのだろう。ただ少しだけ、置き去りにされていく人たちの想いを想像すると胸の奥に寂寞とした風が吹く。
最初にこの作品をウェブ上で読み耽って以来、ずっと忘れられない、心のなかで吹き続ける風だ。
その寂しさを、もう一度じわりと噛みしめる。
これが【Unnamed Memory】が迎える終幕の実感なのだと、思い出しながら。

続編もやるんですよねえ。やるのかー。それならそれで、こっちも覚悟が必要だなあ。



悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。2 ★★★☆   



【悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。2】  翅田 大介/珠梨 やすゆき 電撃の新文芸

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ケジメを付けろ!? 型破り悪役令嬢の破滅フラグ粉砕ストーリー、第二弾

「……ちっ。胸クソが悪くなるね」
『悪役令嬢』に転生した元ヤクザのキリハだったが、持ち前の度胸で婚約破棄も乗り越え、周囲からの評価を高めていた。これを疎ましく思ったもう一人の転生者ユリアナは、キリハを破滅させるため陰謀を巡らせる。暗殺に反乱画策、更には戦争まで!?より大きくなった破滅フラグを打ち破る、痛快活劇ファンタジー、第二弾!
この女、ユリアナ、ここまでやっておいて自分がクズという自覚が一切なかったのか。それはそれで凄いな。自分のやっている人を陥れて相手の取り分を奪って他人の尊厳を踏み躙って、高みから優越に浸る、なんて事はみんながやっている事。
そんな風に思っていたのか。
この女にとって、世界はどんな風に見えていたのだろう。
クズは決して幸せになれない。ユリアナと一時的に組んでいた暗殺ギルドの頭目が、彼女に語った一言は、その内実とともに深くうなずかされるものでした。因果応報、とは言い切れない話なんですよね。別に善が報われ、悪もまた報いを受ける、って話でもない。いや、本質においてはそういう事なのか。
クズはどれだけ穏やかな幸せを手に入れても、それに決して満足できない。自らの幸せをも炎に焚べて、他人の不幸に酔い知れるからこそクズなのであって、決して自分の幸せに満たされない存在なのだと。
その暗殺ギルドのクズは自らをよく理解していた。だから、彼は幸せにはならなくても、不幸にはならなかったし、破滅もしなかった。
ユリアナは、自らをクズだとはまったく思っていなかったからこそ、破滅へと一直線に滑落していってしまったのか。
相手が悪かった、とも言える。ユリアナという毒婦は、その毒のあまりの強さ故に自らの破滅に周りすべてを巻き込むほどだった。国王陛下は強かな政治家として、国主として、ユリアナの毒を利用して国内を掃除するつもりだったみたいだけれど、これ結果として大失敗してるんですよね。
この毒は発見次第、患部ごと切除しなくては全身に回る毒だったのに、その判断を間違えてしまった。もし、キリハが居なければこれもうエラいことになっていたわけですから。
逆に言うと、国王陛下が目論んでいた形とは違うことになりましたけれど、キリハという毒を持ってユリアナが撒き散らした毒ごと国内の不良債権を一掃出来た、とも言えるわけだ。けれど、キリハに便宜図ったというほど支援もしてなくて、ほぼキリハが勝手にやった事だもんなあ。
まあいずれにしても、ユリアナとは役者が違いすぎた。
これがキリハがただのヤクザの組長の娘、とかだったらともかく、ヤクザの女大親分として表では企業群を仕切り、裏では全国津々浦々支配下に収めるような器だったわけですから、経験値が違いすぎる。
……そりゃ、こっちの世界でも裏社会には首突っ込みますよね。キリハにとって自分のフィールドというのは貴族世界や冒険者稼業よりも、裏稼業を仕切るマフィアの方なのですから。本業ですし。
むしろ、やり方、筋の通り方に関しては表稼業よりも通じてるわけで。前世でヤクザものたちを心から心酔させたその心意気は、そりゃあ任侠者ならこれ以上なく琴線に触れるものだったでしょう。
姐御呼びが、レイハには一番似合うよな。

一番面白かったのは、ユリアナの謀略によって正式に公爵家を引き継いだ上で、継承した途端に荒廃しすぎて革命が起こり反乱軍によって支配された領地を取り戻さなくてはならなくなったパートでしたけれど。
どうやっても詰み。あまりにも盤面に乗り込んだ時期が遅すぎて、挽回の目が完全に失せている、というゲームオーバーの状況で彼女が取った、盤そのものをクルリとひっくり返す手管が面白すぎました。これ、ここのパートは一冊くらいかけてじっくりやってくれても良かったのに、と思えるほどで、ダイジェスト展開みたいになっていたのはちょっともったいなかった気すらします。革命軍のリーダーも、もう少しちゃんと相手してほしかったでしょうし。
これは本作全般に言えるところかもしれませんけれど、ちょっと全体に急ぎ足でバタバタとストーリーを進めてるきらいがあったんですよね。それぞれのエピソード、もうちょっとじっくりと足を止めて当事者となるキャラたちを掘り下げつつ話を広げてくれてたら、もっと良かったんじゃないかな、と。話のスピード感は痛快でしたけれど、豪勢で味わい深いだろう品の良い料理を、早食いみたくガーッと掻き込んで食べてしまったような、もったいなさがありました。
この1巻で話を終わらせないといけない、という所もあったのでしょうけど。話を巻いていた、というほど性急さがあったわけではなく、ヤクザ令嬢一代記の「ざまぁ」キメるまでの物語としてはしっかり以上にガツンと威力たっぷりに書かれていたとは思うのですが。
キャラクターにしても、物語にしても、2巻で終わらせるには内包してるポテンシャルが凄く高かったのでしょう。まあ相手があのユリアナだと、あんまりじっくり腰を据えてやるには格が足りなかったのもあるでしょうけれど。彼女は毒が強いと言っても格としては小物であったのも確かですから、そう長いシリーズ続けて持つほどの悪役ではありませんでしたからねえ。
ともあれ、粋な気っ風と心意気が痛快な女任侠一代記であり、これ以上無くクズを踏み潰し切って捨てる見事な「ざまぁ」でありました。


Babel III 鳥籠より出ずる妖姫 ★★★★★   



【Babel III 鳥籠より出ずる妖姫】  古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸

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大国キスクを訪れた雫。妖姫と謳われる王妹オルティアとの対決へ。

この大陸の在り方にまつわる秘匿された真実を、ファルサス王から知らされた雫とエリク。その情報の中から日本帰還への糸口を見いだした二人は、再び旅に出ようとしていた。
だがその時、突如現れた使者に雫は選択を突きつけられる。招かれた先はかねてよりきな臭い噂が絶えなかった大国キスク。彼女に求められた役割は、残忍で知られる王妹オルティアの遊び相手だという。

「それで? お前は何ができる? 自らの口で述べてみよ」

成り行きから雫は、流行り病とされる言語障害の対処法を確立するという大役を負うことに。失敗すれば待つのは無残なる死。旅の庇護者であったエリクのいない中、雫は一人手探りで解決策を探す。
そして孤独の姫オルティアとの対峙を重ねるうちに彼女の心根を知り、二人の間柄にも変化が生まれていくのだが……。
ああ、凄い一冊だった。
この一冊のなかで、幾人の運命が変わってしまったか。そして、雫とオルティア。二人の女性の人生の歩みは根底から変わってしまった。果たして、この巻がはじまった時の雫とオルティアと、キスクでの物語がひとまずの終わりを迎えた時の二人とでは、紛れもなく同一人物にも関わらず同じ彼女たちには見えない。別人のように、とは言うまい。彼女らの芯の部分は最初から最後まで何一つ変わっていない、それでもこれだけ変わって見えるのはそれだけ彼女らが成長した、という事なのだろう。
いや、成長というのもそぐわない。背が伸びるような、体が大きくなるような、そんな成長とはわけが違う。
これは羽化だ、
同じ存在でありながら、まったく別の存在に進化する。それは、羽化と呼ぶに相応しい。
幼さを脱ぎ捨てて、彼女たちは大人になったのだ。

ウェブ版でも、このキスク編は一番好きなお話でありました。雫を主人公とするこのシリーズにおいて、紛れもなくメインヒロインはこの妖姫オルティアだと、読んだ当時は強く思ったものですけれど、改めて一冊の本として彼女たちの物語を見た時、その思いは一層強固になったのでした。
彼女たちの関係の変化は一冊という枠組みに収められたが故により鮮やかに浮き彫りになったように見えます。初めてまみえた時の、あの暴君と玩ばれる哀れな生贄に過ぎなかった二人が、その別れの際には……あの挿絵には感極まってしまいました。尊い、尊い! 
ある時を境にして、雫もオルティアもお互いへの想いが器を越えて溢れるほどになっていて、一瞬も気を抜けない中で二人とも全力疾走していたから、読んでいるこっちも夢中になっていたのですけれど、すべてが終わってふっと落ち着いた時に、そしていつの間にか同じ道を手を握り合って進んでいた、もうこれからいつまでもずっと続くように感じられていた道が、それぞれ自分の道を歩くために別れていくのを目の当たりにした時。それを、二人が穏やかに受け入れた時。
見つめ合う二人の姿に。そっと抱き合う二人の姿に。はじまった時のあの残忍な妖姫と決然と睨み合う雫の姿が思い浮かび、この数ヶ月のあまりに濃い時間の中で無関心と敵意がこんなにもお互いを大切に、掛け替えのなく想い合えるようになっていく変遷が過ぎっていき、その果てにこの光景に辿り着いたことに。あの二人が、貴女と出会えて良かった、と心の底から思い別れを惜しむことが出来たことに、なんかもう感極まっちゃったんですよね。
泣いた。
……と、感じ入ってたのにラルスが後ろでワケワカランことしてやがるから、余韻が台無しだったけどな! このファルサス王、いくらなんでも酷すぎるw 相対的にオスカーが超真面目に思えてしまうじゃないですか!
ぴょんぴょん跳ねるオルティアがやたら可愛くもあったのですが。ラルス相手だと、オルティアも形無しだ。

しかし本当にこの巻における雫は別格でした。最初にオルティア相手に堂々と自分の使いみちを主張するくそ度胸! くそ度胸!!
そして殺されるかもしれないという状況にも関わらず、オルティア相手に一歩も引かず、不退転の覚悟で詰め寄った姿。自分の無実を証明するためにファルサスで塔から飛び降りた時もまー、むちゃくちゃでしたけれど、今度のそれはあの時を上回るある意味イッちゃってる様子で怖いくらいの迫力だったんですよね。激高しながら頭の芯が完全に冷めきってるような、勢いに任せているようで思考の方はフル回転しているような。目が据わっていて、あれはヤバかった。
このときのオルティアは、まだ暴君そのものだった時でしたし触れれば切れる剥き出しの刃のような状態と言っても良かったのに、まったく気にせずに掴みかかったようなもので。
命知らず、と言われても仕方ないですよね。でも、こういう時の雫って別に自分の命を捨ててでも、というふうには考えているわけではないように見える。そもそも、そういうの頭からすっ飛んでいて、兎に角退かない譲らないという所に自分の全リソースを注ぎ込んじゃっているように見える。だからこそ、あんまり危機意識を持ち得ないし、あとで後悔してるようにも見えない。
でも、ここらへんまでは以前までの雫でも見られた部分だと思うのだけれど、言語習得実験が終わってオルティアの元で働くようになって以降から徐々に変わってくるんですよね。
自分が容易に殺されない立場にある、という事情を利用して、オルティアに言いたいこと言うべきことを率直に諫言するようになってから、雫は暴君オルティアの内側にある歪みに、孤独に気づき、また側近のファニートやニケを通じてどうして彼女が今のようになったのか、その過去の一旦を知ることになります。
オルティアの心に近づき始めたときから、そしてオルティアが徐々に心を許してその内側を見せてくれるようになった時から、雫の在り方が劇的に変わっていくのである。
端的に言うと、オルティアにめちゃくちゃ入れ込んでいくんですよね。いつしか、オルティアのために全身全霊を注いで彼女の未来を切り開こうとしはじめるのである。
エリクがピンチに陥った時など、雫のバイタリティはほんと凄まじい勢いでアップしてもう尋常でない働きを見せたりしましたけれど、あれって実は瞬間的な強化加速ではなかったという事なんでしょうね。
いざ、オルティアのためにやったるぞー、となって以降の雫のあのポテンシャルの爆発的な増大は、上がりに上がり切ったところから一切落ちることなく、いつの間にかオルティアの側近中の側近として、腹心として、股肱の臣として、十年来ずっと使えてきた重臣としてオルティアを支え、ついには現王を追い落としてオルティアを女王として即位させるクーデターの牽引役として主君を叱咤激励し、支持を取り付けるために貴族たちを口説き落とす切り込み役となり、ひいては戦場に立つオルティアに全権を預けられその命運を託される代理人にまでなりおおせるのである。
その堂々としたオルティアの片腕としての姿には、貫禄すら伺えて……暴君だった姫を多くの貴族が国を託すだけの忠誠を捧げ、軍の将兵が喝采をあげて支持する偉大なる名君へと変えた名臣以外の何者でもありませんでした。
もうどこにも普通の目立たない女子大生の皮なんて残ってないですよ。
あと、普通の女子大生はスライディング土下座とかしませんから!
折角の感動の再会シーンにも関わらず、この娘さんときたらなんでこうドラマティックに出来ないんだ!? ほんと、そういうとこだよ!?
あのどうしようもない絵面から、わりとじんわりと染み入る再会シーンまで持ち直させるエリクさん、マジ尊敬します。この人、色んな意味で顔に出さなさすぎますよ。彼が雫のためにどれだけの事をしてきたか。雫さん、キュンとしましたか? しましたよね?
ある意味、ニケの奇襲は一番効果的なタイミングだったのかもしれませんね。彼にとっての失恋は、でも最後に一矢報いた、というべきなのでしょう。エリクじゃなくて、雫の方に全ダメージが入ってしまったようですがw

生得言語の問題については、子供の失語症の回復実験がなんとか成功を収めたあと、雫とオルティアの二人の物語、キスクの国内問題とファルサスとの紛争へと深く進行してしまったために、一旦脇に置かれる形になりましたけど、さらっと一文、重要な伏線が敷かれてたんですよね。
雫が一から言葉を教えた幼子リオ。この子の雫の呼び方を、なぜかニケはちょっとおかしな認識の仕方をしているのである。この違和が大事になってくる。それに、なぜか本来雫が知らないはずの、喪われた記録や情報がまるで最初から備わっていたように雫の知識、記憶の中に存在していた不可解さ。
【Babel】の本当の意味が問われる最終巻、今からすごく楽しみです。
でも今は、蛹から蝶になるように羽化した雫とオルティアの間で育まれた友情の尊さを、しばし噛み締めて反芻していたいと思います。


悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。 ★★★☆  



【悪役令嬢になったウチのお嬢様がヤクザ令嬢だった件。】 翅田 大介/珠梨 やすゆき 電撃の新文芸

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ケジメを付けろ!? 型破り悪役令嬢の破滅フラグ粉砕ストーリー、開幕!

「聞こえませんでした? 指を落とせと言ったんです」
その日、『悪役令嬢』のキリハレーネは婚約者の王子に断罪されるはずだった。しかし、意外な返答で事態は予測不可能な方向へ。少女の身体にはヤクザの女組長である霧羽が転生してしまっていたのだった。お約束には従わず、曲がったことを許さない。ヤクザ令嬢キリハが破滅フラグを粉砕する爽快ストーリー、ここに開幕!

おらぁ、指詰めろや王子様よぉ。と、断罪イベントでむしろ断罪される王子様、超涙目である。
悪役令嬢キリハレーネ、前職ならぬ前世・女極道。ヤクザ令嬢とタイトルなってますけれど、ヤクザの娘じゃなくてご本人が組長をやっていらした女大親分なんですよね。それも小さいシマを仕切っていたようなこじんまりとした組ではなく、日本の任侠組織をまとめ上げ海外マフィアとの勢力争いを勝ち抜き、会社経営なんかも取り仕切って経済ヤクザとしても覇を極めた伝説の女任侠・和泉霧羽。
むしろ異世界で貴族令嬢やってるよりも、こっちのヤクザ時代の話のほうがド派手な冒険譚になってやしないだろうか、と思ってしまう経歴なのだけれど、そりゃあ中身がこれじゃあちょっと顔が良くて家柄が冴えているだけの王子さまたちなんぞ、ケツに毛の生えた小僧に過ぎず。なんの覚悟もなく寄りかかってくる貴族令嬢なんぞは「顔を洗って出直しな、小娘ども」と喝破するのがよく似合う。まあ役者が違うというものだ。
それに任侠者ではあっても正義の味方でもお優しい聖女でもないわけで、乙女ゲームに相応しい慈しみの心とか、コンプレックスを乗り越える手助けをしてあげるような手取り足取り支えて導いてあげるような親切心など、欠片もないのである。
自立するなら自分で立て、助けてほしけりゃ覚悟を見せろ。筋は通すし義理も果たすが、筋の通らない事は許さねえし不義理に対しちゃーきっちりケジメ、つけさせてもらいます。
とまあそんな勢いで、乙女ゲームのシナリオを蹂躙し攻略対象の小僧どもを容赦なく蹴散らしていくこの痛快さ。彼女の舎弟みたいなのになってしまう、貴族令嬢三人娘たちもそれまで貴族の娘として身を律して感情を整え抑え込んできたものを、自由かつ毅然と振る舞い貴族令嬢の枠に留まらないレイハの姿に感化されて、己の怒り、憤懣、復讐心、野心、欲望を曝け出して思うがままに振る舞い出すその様子は、まあなんというか自立した女性を通り越したナニカになってて、うん凄かった。
特に、他の二人が婚約者だった貴族の若者たちにさっさと見切りをつけたのに対して、幼馴染の婚約者に執着して、離れてしまった心はもういらないけど、身体は絶対に離さない。彼を所有できるのなら、悪魔にだって魂売ってやる、ともうヤンデレを通り越したナニカに成り果てたのを見たときには笑ってしまった。これが見るからに女性らしい女性ならまだしも、ヅカ系男装騎士令嬢から溢れ出すドロドロの怨念的執着ですからね。
女の暗黒面をこれでもかと曝け出す三人娘に、莞爾と微笑んで「良し」と言ってのけて、任せろと請け負うキリハさんのカリスマである。
実際、彼女の強烈な輝きは人を惹きつけてやまず、自身身体一つで冒険者稼業なんかも並行して行うものだから、市井でも人気を集め、さらに騎士のおっさんどもからもその勇ましくも美しい、しかも絶体絶命の危機にして死地ですら堂々と振る舞い姿に魅入られて、身分問わず凄まじい人気を集める始末。
前世でも、男には縁がなくって普通の恋愛がしたい、なんてうそぶいていましたけれど、自身を変えるつもりがさらさらない以上、ちょっとこの人に見合う男って早々見つからないんじゃないだろうか。執事として侍りつつ、キリハに色々と押し付けようとしていたこの世界担当神様のジェラルドは、もう顎で使われるだけの三下使いっぱしりにすぎないですし。こいつ、神様のくせにしょぼすぎるw
というか、このキリハさんの貫目に見合うような男って、国王陛下くらいなんですよね。立場上、嫡子の元婚約者なのですけど、国王陛下わりと本気でキリハの事狙いだしてやしないだろうか、これ。

そしてキリハさんのやり口なのですけれど、長ドス振る舞わすだけの脳筋ではなく、組織の取りまとめにも長けていたように交渉ごとも結構得意で、さらに会社経営者としての顔もあり経済ヤクザとしての辣腕の持ち主でもあるので、絡め手ハメ手もなんのその、なんですよね。結構えげつない手段で三人娘たちの障害になっていた商家や貴族家を陥れ、没落させ、抜け出せない沼に蹴落としていくやり口は、まさにヤクザ、ヤクザのそれである。いや商売の闇なんてそんなものだし、貴族同士の勢力争いも似たようなもの。ヤクザとはいくらでも親和性ある、という事なんでしょうね。
とはいえ、キリハさんのやり方はきっちり筋を通したものですし、彼女に寄って今回陥れられた人たちはそれだけ足元がお留守だったり、不義理を重ねていたことこそが没落の要因だったので、ちゃんと勧善懲悪っぽくはなっているんである。
こうして女性たちからは慕われ、一廉の男どもからも懐かれて、一種のカリスマとなっていく彼女。身分性別を問わずに人心を集め束ねていく姿はまさに姐御、姉さん、伝説の女大親分の器量である。
対するは乙女ゲーム主人公のキャラに収まった、前世・サークルクラッシャーの因業女。人を陥れ破滅する姿を見るのが楽しみという、人の不幸は蜜の味を地で行くまさに邪悪そのもの。だからこそ、他人を苦しめ人の絆と心を壊し、尊厳を踏みにじるを得意とする魔性の女である。
まさに対極をなす女同士、どちらかが破滅するまで終わらないだろう対決は、このまま第二ラウンドへ。これはキャットファイトなんかじゃ済まないドロドロの対決となりそう。ある意味、ワクワクw

翅田 大介・作品感想

Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙 ★★★★☆   



【Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙】 古宮 九時/ chibi 電撃の新文芸

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「お前が欲しい。だから結婚を申しこんでいる」「…は?」
オスカーの呪いを解いたティナーシャは自国に戻り、魔法大国・トゥルダールの女王として即位した。別々の道を歩み始めた二人の決意とは―。そして、呪いの元凶たる『沈黙の魔女』がついに二人の前に現れる。明かされる呪いの真実、過去へ時を巻き戻す魔法球の存在。名もなき物語に無二の思いが刻まれる第五巻。
うははは、いいなあやっぱりイイ。オスカーはやっぱりグイグイと強引なくらいに押してこないとオスカーじゃないよ。そんなオスカーにぐいぐいと攻められて色んな顔を見せてくれティナーシャがいいんだよ。このカップルはやはりこの形が一番しっくり来る。
この歴史上では、お互いに王族として自分の国に対して責任を果たさないといけない立場である以上、決して結ばれない関係であった。からにはオスカーもずっと自重してティナーシャに対して一線を画した接し方をしていたのだけれど……。
そうかー、女王に即位する上でまさかあんな形で自身の王としての立場に決着をつけるとは。ずっと知らされてなかったオスカーからしたら、こいつめー、てなもんだろうけど、そりゃ国の機密なら喋れんわねえ。
ティナーシャとしては後の反応からしても、この件に関してはオスカーと絡めてはなんにも考えてなかったっぽいんですよね。あくまで、女王としてトゥルダールの国の未来のために。
数百年の眠りを経て目覚めた過去の人間である自分が、今更という事もあったのでしょうし。また過去の人間であるからこそやれることもあり、自分の残した国にケリをつけるという意味でもあったのでしょうか。
いずれにしても大胆な行為である。この場合、ティナーシャよりもレジス王子を中心としたトゥルダールの次世代グループこそが大胆不敵、とも言えるのでしょうけれど。現王はティナーシャの魔女殺しの女王としての力を持って、トゥルダールをさらに発展させ強国とさせるつもりで彼女を女王へと祭り上げようとしたのでしょうけれど、レジスはそれを先のない発展だとしてむしろティナーシャの圧倒的な力を借りることでトゥルダールという国の在り方そのものを変革し、未来への足がかりにしようという腹づもりで。よほどティナーシャとよく話し合ったとしてもそれほどまだ月日経っていないのだから、元々レジス王子にもティナーシャが復活する以前から国のあり方について思う所があったのかもしれませんが、それにしてもこの人も有能というか……傑物だよなあ。
そんで、ティナーシャに惹かれているにも関わらず、ティナーシャの思いを邪魔する事なくオスカーと結ばれることを応援してくれてるなんて、出来すぎの人物じゃないですか。
この王子が居たからこそティナーシャもこれだけ大胆な改革に踏み切れたとも言えるので、オスカーにとっても恩人ですよ、恩人。

というわけで、前の歴史では顔を合わせるたびに結婚しようぜ、と挨拶代わりにプロポーズしていたオスカーの、まるで王子様がするような力強い本気の求婚でありました。窓から颯爽と現れて熱烈にプロポーズして去っていくとか、どこの王子様だよ。すでに王様なんだぜ、こいつ。しかもわりとゴリラのくせにw

それよりもティナーシャの反応ですよ。なにこのかわいい生き物。図らずも自分たちのあいだにあった絶対的なハードルが自分の行いで取り除かれ、それまでそっけない態度だった愛しい人が突然態度を翻していきなりどんどん積極的に迫ってきた挙げ句にプロポーズである。
ティナーシャさん、とろっとろなんですけど。思い出し笑いしてくねくねしてるとか、どんだけ嬉しかったんですかー。もう反応がスレてた魔女の頃と違って、ほんとに年相応なんですよね。年相応よりも若いんじゃないだろうか。一応肉体年齢二十歳だというので大人は大人のはずなんですけど、見事に十代半ばの少女のような初々しい姿である。恋する乙女そのものである。好きな王子様に求婚された夢見るお姫様そのものである。
幸せオーラが出過ぎてて、その絶世の美貌が緩みきって可愛い系に変貌してしまってるし。
なんかもう女の子しすぎてて、こういうティナーシャは新鮮だなあ。昔の数百年の眠りにつくまえ、前の歴史のオスカーに守られていた時期の幼いティナーシャに戻ったかのようで、思わずキュンキュンしてしまいます。
しかし魔女であったティナーシャと、ちゃんと同一人物として描かれながらこれだけ在り方を違うように描きわけられるというのも改めて凄いなあ、と。

で、正式に婚約者となったのを免罪符にして、トゥルダールに戻ったはずなのにしょっちゅうひょいひょいとオスカーの元に現れるティナーシャさん。転移が使えるからほんと気軽なのはわかるんだけれど、気軽すぎてこれなんか、隣の家同士の幼馴染が窓越しに勝手に部屋に出入りするかのような我が家感覚である。隣家どころか国隔ててるはずなのにねー。ティナーシャだけでなく、オスカーもわりと簡単にティナーシャの所まで来ちゃう事も珍しくないので、距離の概念あんまり皆無。そして何の抵抗もなく、とりあえず自分の膝の上にティナーシャを座らせるオスカーに、何の気兼ねなく当たり前にオスカーの膝の上に座っちゃう女王さま。距離感!距離感の概念!

とはいえ万事順調に二人が結ばれてハッピーエンド、という流れにはなかなかならないんですよね。
そもそも、今の歴史がとてつもない改竄の上に成り立っている事を忘れてはならない、とばかりに歴史を遡行する魔法球の詳細を知り、それを狙う存在がついに表へと浮上してくる。しかし、まだその目的は不明なんですけどね。
そして、オスカーに沈黙の魔女がかけた呪い。その原因にこの歴史の改竄という問題が大いに関わっていることが明らかになる、先の歴史からなぜオスカーに呪いがかけられたのか、の真実が明らかになるんですね。
また、徐々に垣間見えてくる、この世界の法則から外れた存在。世界外という概念。段々と重要なキーワードが出揃ってきた、という感じ。
それに合わせて、というわけじゃないだろうけれど、ここにきてティナーシャがどんどんパワーアップしてるんですよね。幾つかの事件で規格外の魔力を取り込むことになって、かつての青き月の魔女としての経験値こそないのだろうけれど、魔力だけならもう魔女時代と同レベルになってるんじゃないでしょうか。
でも相変わらず、何かあると血塗れになってるティナーシャ。ほんと血塗れ頻度高すぎませんかね!? ちょっと目を離すと血塗れですよ、傷だらけですよ。オスカーがほっとけ無いとなるのわかりますよ。子供か!というような下手な言い訳で誤魔化そうとしますし、子供か!というような都合の悪いことは叱られるから黙っとこうというあとで余計に叱られる雑な誤魔化し方しますし。
子供か!!

子供と言えば、今回の事件はちょっと結末がキツかったですね。手遅れだった子供たちは仕方ないにしても、最後の二人は手の届く範囲だったわけですし。しかし、過去に戻れるという可能性が目の前にあるなら、こんな簡単に頼ってしまうのか、ティナーシャですら。いや、わりとメンタル強くないと評判の女王様だからなのかもしれませんが。
あと、赤ん坊事件が完全にホラーなんですけど。ちゃんと他に預けて世話させてても、ふと気がつけばポツンとそばに置かれていて、泣いている赤ん坊とか普通に怖いですから。

今回ちょっと残念だったのが、ようやく本格登場となったトラヴィスとオーレリアのカップルの、特にオーレリアのイラストが無かったんですよね。そのぶん、オスカーとティナーシャの二人がたくさん描かれていたのでそれはそれで満足だったのですが、やっぱりオーレリアはどんなデザインなのか見てみたかった。この二人って別枠で主人公担えるほど完成度高いカップルだと思うんですよね。特に女性として人として孤独で弱く脆く、しかしそれ以上に強靭でタフでひたむきで一途なオーレリア。そんな彼女に惹かれ、人として愛するようになるトラヴィスというこのカップル。トラヴィスの方が庇護者で確かに彼の存在を拠り所にしているはずなのに、なんだかんだとオーレリアの方がトラヴィスの事を尻にしいてたり、トラヴィスのご乱行をオーレリアが代わりに謝ってまわったり、とどちらが保護者かわからんようなところもある普段の関係もイイんですし、それ以上にお互いが唯一無二という関係がほんとに好きでねえ。もしかしたらオスカーとティナーシャのカップル並に好きかもしれないカップルがこのオーレリアとトラヴィスの二人なので、またぞろ出番あるといいなあ。挿絵付きで。

さても第二部も半ばをこえて、いよいよ次がクライマックス。はたして今度こそ、或いはもう一度ハッピーエンドを迎えることが叶うのか。襟を正して結末を待て。

シリーズ感想

悪役令嬢の怠惰な溜め息 ★★★   



【悪役令嬢の怠惰な溜め息】 篠原 皐月/すがはら 竜 電撃の新文芸

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プレイ中だった乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私。だけどこの世界はすっごく暇だった!「娯楽がなければ作ればいいのよ!」前世の知識を活かして玩具や恋愛小説を生み出し、退屈な世界をバラ色にしてみせる!王妃様お気に入りの実業家になり、これでシナリオを外れて素敵な未来が…と思いきや書いた小説のせいで破滅フラグがやってきた―!?暴走悪役令嬢の勘違い王子粉砕ラブ(?)コメディ開幕!

これ、どこが怠惰なんだろう。主人公であるエセリアは幼少時から非常に精力的にアグレッシブに動きまくっていて、その言動のどこにも怠惰に類するものは見当たらない。
それとも、このエセリアさん。次期国王である王太子の婚約者であり次期王妃様なんだけど、件の王子様がボンクラの極みであると同時にエセリアさんは王妃なんて窮屈な仕事はしたくなくて、自由にのびのびと自分のやりたいことをやり尽くしたいと考えてる人なんですね。なので、王妃様なんかなりたくない、とばかりに婚約解消工作に勤しんでいるのですが、その公人としての働きを忌避し、高位貴族令嬢としての義務を放棄しようとしている事が、怠惰に該当するということなのだろうか。
もっとも、彼女すでに実業家として実績をあげていて、これまで整備されていなかった貸金業についても教会に一口かますことで統制された金銭の貸し借りを国内で成立させることで、お金の循環をスムーズにして国内経済を発展拡大させることに寄与しているので、むしろ私人としても既に国益にプラスになる事をしてたりするのです。
他にも、伯母である現王妃と強く好を通じ、様々な商材を通じて身分問わず広く女性層に支持を広げ、政務官僚、軍人、商人、教会、職人含め一般市民層にもコミットして各業界の風通しも良くしてたりするので、もう既に国内でも至る所に無視できない影響力を及ぼしているんですね。
それを全く理解できていない、という時点で、彼女が何をしているのかわかっていない、知ろうともしていない時点で、王太子殿下のボンクラ振りここに極まる、って感じで裸の王子様というのが露呈してしまってるんですね。
自分が安全に王太子の婚約者から退けるように、婚約解消を向こうから言い出すようにあれこれと画策しているエセリアさんですが、おかげさまで王太子の評判たるやひたすら下降線を辿っていて哀れになるほど、いや全然哀れでもなんでもないんですけどね。概ね自業自得だし。エセリアが動かなくても、彼は自爆して自分からどんどん評判をさげている状況ですからね。
対してエセリアは、着々と味方、支持層を広げていっているわけで。ここまでやってしまうと、王太子廃嫡してエセリアは次期王妃のまま第二王子あたりを立太子、という形になってしまいそうだけど、ほぼほぼ王宮掌握している現王妃様を最大の味方にしているのは大きいですね。とりあえず既に第二王子には王妃の血縁が婚約者として送り込まれているので、今の所エセリアは自由ルートに邁進中。
最初の頃の娯楽用品の営業については、セールストークがお粗末に見えてしまって、あれでウケるの? と首を傾げてしまったのだけれど、やはり今まで存在しなかった小説という媒体、さらにBLという革新的?ジャンルが世のご婦人様方の琴線に触れまくってしまい、腐海が電撃的に広がっていってしまった様子は、まあさもありなん、と棒目になって頷いてしまいましたが、あれがターニングポイントでしたなあ、うん。

本来のゲームのヒロインである娘も登場しましたけど、この娘むちゃくちゃ苦労苦労を重ねる人生を送ってきただけに、あんまり不幸になってほしくはないなあ、と思ってしまったのですけど、この様子だとぼんくら王子に影響されてアカンドツボにハマっていきそうだなあ。
この娘の救済ルートはないものだろうか。まあ性格の悪さとか見えてきたら、その気も失せてしまうでしょうけど。

EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉 ★★★☆   



【EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉】  川上稔/ さとやす(TENKY) 電撃の新文芸

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気づくと現場は1990年代。立川にある広大な学園都市の中で、僕こと住良木・出見は、ゲーム部で8bit&16bit系のゲームをしたり、巨乳の先輩がお隣に引っ越してきたりと学生生活をエンジョイしていたのだけれど……。ひょんなことから“人間代表”として、とある惑星の天地創造を任されることに!?
『境界線上のホライゾン』の作中で言及される“神代の時代”――人類が宇宙に進出し神へと至ったとされる時代に人々は何を行なっていたのか?
AHEADとGENESISを繋ぐ《EDGE》シリーズ! 「カクヨム」で好評連載中の新感覚チャットノベルが書籍化!

神々がいない星で……って、神々いっぱいいるよ!? ってか、神々しかいないよ!? 神々しかいない神々がいない星、って謎掛けみたいだけれど、これもこれでちゃんと理由があるんですね。
そんな片っ端から神様ばっかりな星の上の唯一の人類、人間、猿! なのが彼、僕こと住良木・出見くんなのである。
……この馬鹿、なんの脈絡もなく女体化しやがったぞ!? 住良木君じゃなくなったぞ!? 前作の主人公は何の脈絡もなく出番の大半を全裸で過ごすガチモザイク野郎だったけど、こいつはこいつでとんでもないなー。いや、女体化してしまったのはコイツのせいではまったくないのだけれど、なぜか住良木くんの自業自得だよね! と思ってしまう不思議!
でも、自業自得どころか当人自分が男でも女でも特に関係なく平常運転の巨乳信仰先輩信者なので、別に関係ない気がするぞ、うん。
にしても、唯一の人類にも関わらずなんでこんな人類の極北みたいなのになってしまったんだろう。平均値とは言わないまでも、いやぶっちゃけ極端なやつでも良かったんだろうけれど、彼に関しては極まったキワモノ! って感じだもんなあ。
馬鹿である。
しかし、彼の馬鹿はブレない馬鹿だ。揺らいではいけない部分が一切揺らがない馬鹿なのだ。
おのれが名前を名乗れない神である「先輩」。その理由は神話的由来によるものなのか、彼女の自信の欠如によるものか、その双方であるのかは定かではないのだけれど、それでも彼女が勇気を持ってこの惑星クラフトに挑めているのは、「先輩」を大好きで居続ける住良木くんがいるからなんですよね。彼が信じているからこそ、彼女はこの綱渡りに行われている惑星創世神話創造を続けられている。幾度も幾度も、ミスって死んでしまって記憶の大半を失ってしまっても、ただ「先輩」を大好きだという事実だけは一切変わらず揺らがずブレることのない住良木くんのバカ正直なあり方が、希望を繋いでいてくれる。
実質、何度も何度も最初からやり直して、住良木くんへの説明も何度も繰り返すはめになっているの、先輩に限らずこの事業に協力してくれている北欧神話群の徹先輩たちもかなりツラいと思うんですよね。一種の苦行の側にあると思うのだけれど、住良木くんのお馬鹿はそんなルーチンワークをワーク感覚からすっ飛ばしてくれて、シッチャカメッチャカに酷いことになるんだけれど、そのドタバタが苦痛をもふっとばしてくれている気がするんですよね。そんな存在自体がおバカな住良木くんが、どうしようもなく愛おしくなるほどに。

しかしこれ、最初テラフォーミングって言っているから居住可能に星の環境を改造するのかと思ってたんですよね。言ってみれば、リフォーム感覚? 通常、SFでもテラフォーミングというとそんな感じじゃないですか。でも、本作の場合だとこれ人類が生存可能か不可能か、という段階じゃなくて、生命が存在できない環境。大地も水も大気も見事になくなっちゃってる状態じゃないですかー! なるほど、タイトルがテラフォーミングじゃなくて惑星クラフトになってるの、こういう事だったのか。
最初、AIたちが行っていたテラフォーミングがどうして見事に大失敗して、失敗どころか「星」そのものと敵対状態になっちゃう過程が、単なるSFじゃなくてこれが確かに川上ワールドである事が実感できる面白い話になってるんですね。
なぜ、神々がいない星にいまこうして神様たちが大挙して存在しているのか。どうして、90年代の地球が仮想形成されているのか。どうして住良木くんが、唯一の人類として重要キープレイヤーとして存在しているのか。
色々と前提となるお話、解説、説明、漫才が独特のチャット形式で描かれているわけです。って、このチャット形式って境界線上のホライゾンで使われていたものを本格ベースに乗っけたものなのかー。
古くは都市シリーズの【電詞都市DT】でメール形式とかやってたのを思い出すと隔絶の感がありますなあ。あれ、凄まじく読みにくかったし。というか、DTはちと早すぎたのか。

上巻はまだ前提情報を開示する、という感じで色々と説明が大半を占めるのだけれど、惑星という天体の成り立ちから生存環境が形成されるまでの道筋。神話というものがいかにして生まれ、世界各地に広がっていったのか。そんな話が結構本格的に語られているのが面白くて、ついつい読み耽ってしまう。
そして、唯一の人間である住良木くんの存在は、世界各地の神話群からも注目の的で、彼の存在が握っている主導権を巡って、政治的駆け引きが繰り広げられるのであるが、住良木くんは先輩が大好きな巨乳信者なので、そこだけは揺るがないのだ。まさに巨乳に捧げるアンビシャス!

ちなみに、先輩は神道由来の神様らしい。慈愛に満ちた懐のおおきいお姉さん、に見える表紙ですが案の定、相当のポンコツである。とりあえず、こんな余裕いっぱいの顔している時間は微小ですね、微小。アワアワわたわたしているのが大半の実に可愛らしい巨乳である。いやー、これほど「巨乳!」という圧を感じるジャケットデザインはなかなかお目にかかれないぞー。さすがはさとやす様である。

とまあ、住良木くんと先輩がわいわいイチャイチャしているお話でもあるのですけれど、彼らの協力者でもある徹先輩と紫布先輩のカップルも設定的にご夫婦なせいか、ナチュラルにイチャイチャしてて色々と毒ですよ? 徹先輩、ちと性格もイケメンすぎて嫁に対しても器が大きすぎるので、総じて格好良すぎる問題。





Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度 ★★★★☆   



【Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度】 古宮 九時/chibi 電撃の新文芸

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世界の謎が明かされはじめる、衝撃の《書き換え》編スタート!

「私と結婚してくれるんですか!」
「しない。どうしてそうなった」
呪いの打破を願って魔法大国トゥルダールを訪れたオスカーは、城で眠っていた一人の女を連れ帰る。解呪を申し出た彼女ティナーシャは、次期女王として圧倒的な力を持ちながら、なぜか初対面のはずの彼に強い好意を抱いているようで……。
新たになった大陸の歴史、名もなき記憶の上に、再び二人が紡ぐ一年間の物語が始まる。


はぁ〜〜……正直に言うとね、めっちゃ寂しい、切ない、胸が苦しい。だって、もうあのオスカーとティナーシャはどこにも居ないんだもの。ふたりとも、歴史の彼方に遠ざかっていってしまった。
ここに居るのは違う二人。別の二人。知らない二人。ここからはじまるオスカーとティナーシャなのである。
特にティナーシャね。全然別人なんですよ。とても、彼女は子供。幼い少女そのままなのだ。
当然だ。青き月の魔女のティナーシャは四百年の刻を余すことなく生き抜いた人だった。対して、このティナーシャは四百年眠り続け、その精神はまだ十代のそれで暗黒時代を女王として潜り抜けたとはいえそれも数年のこと。経験は乏しく歴戦とは程遠い、それ以上にオスカーと別れたあの時から彼女の心は半分止まっていて、ティナーシャの心はとても幼い、幼く脆く覚束ない。
これがあのティナーシャなのかと思わず息を殺して見守ってしまうほどに、四百年の眠りから目覚めた彼女は無邪気で臆病で拙くて、子供だった。
もちろん、聡明で時として酷薄なくらい現実的で歳以上に妖艶なかおを見せることも多く、かつて暗黒時代に名を馳せた魔女殺しの女王の異名に相応しい姿もまた彼女の本身だ。だがそれも、オスカーの前では簡単に消え失せてしまう。前のオスカーが最期まで守り続けた、小さなティナーシャそのままだ。
それでいて、このティナーシャは魔女のティナーシャと同じくらい無鉄砲で自分を大事にしない、価値を見出していない。危なっかしくて仕方ない。魔女の頃とは比べ物にならないくらい劣化した能力で、かつて達人の域にあった双剣の腕もなく近接戦闘まったく出来ない典型的魔術師になってしまっている彼女が、魔女と変わらない勢いで危険の中に飛び込んでいくのだ。
やめてよね、ほんと!
オスカーの胃がキリキリしてしまうのも無理ないよ。そもそも、今のティナーシャをオスカーは色んな意味で信頼していない、信用もしていない、なのに心配せざるを得ない。なのに、目を離すとすぐに死地に頭から滑り込んでいく。個人的感情のみならず政治的な配慮も、今トゥダールの女王候補となっているティナーシャには必要で、そういうのさっぱり考えてくれない、考えてるとは思うんだけど優先順位を明らかに間違えてる彼女は、オスカーにとって頭痛の種だ。
かつての情熱はそこにはない。甘い感情も残っていないという以前に生じていない。二人の間に横たわるのは、凄まじいまでの運命とどうしようもない断絶だ。その縁は輪を描いているのに一方通行で繋がっていない。オスカーは敏感にそのことを感じ取っているから、余計に苛立ってしまっている。
そこに、かつて奔放にして自由な魔女をあるがままに受け入れていた王の姿はない。このオスカーも、あのオスカーではないのだ。大人であり魔性ですらあった青い月の魔女をひたすら夢中に追いかけるのと違い、子供のように無邪気に接してきながらその実自分を見ていないすれ違う幼い少女とでは、オスカーも年相応にならざるを得なかったのかもしれない。かつてのオスカーも、青き月の魔女のすべてを受け止める器となるのに時間と覚悟が必要だったし、それは彼自身が追い求めたものでもあった。
鏡合わせではないけれど、幼い少女に向きあう彼もまた若き青年に過ぎないのだ。こればかりは、どれだけ聡明で賢明で王としての資質に長けていても変わらない。いや、賢い分馬鹿にも成りきれず狂気にも浸れず、より大きな括りでの正解を求めてしまうという意味で、聞き分けの良い大人として振る舞おうとしてしまっているのかもしれない。
思えば、前の二人はもっとおバカである事に積極的で、魔女はずっと狂気と執着を蓄えていた。それを御していたからこそ、大人だったのだろう。今の二人は、賢明であることに振り回されている。

それでも、彼と彼女はオスカーでありティナーシャだ。一方通行であっても縁はあり、現代で繋がってしまえばその縁は双方向だ。
オスカーとティナーシャが惹かれ合うのは、運命というのがバカバカしいほど当たり前で当然で必然のことなのだ。そうだろう? そうでしょう?
でも、今の若い二人はその事実を御しきれていない。それがどうしようもなく、もどかしい。
今の二人、なかなか触れ合わないんですよ。お互いに触らない。あんなに自然に、無自覚に、猫がするりと膝の上に乗ってくるように身を任せていた二人が、心から信頼し合っていた以心伝心だった二人が、ずっと遠い距離にいる。触れられない距離で、見つめ合っている。それが本当に、切ないのだ。
同時に、あのあまりに当然のように触れ合っていた二人が、もう歴史の向こうに消えているという事実を突きつけられるようで、彼女のことを遠巻きにしているファルサスの、オスカーの部下たちの姿がまた寂しさを助長するのである。あんなにティナーシャを慕い、魔女であった彼女を認めて受け入れて、オスカーとの結婚をあんなにも喜んでくれた皆との距離が、仄かに遠いのが辛い。
それを知っているのが、読者である自分たちの側と何も語らないナークしかいないというのが、また胸を締め付ける。
ほんと、ティナーシャに前以上に懐いて構ってくれるシルヴィアが救いだ。

オスカーの時間逆行によって消えてしまった歴史はもう戻らないのだろう。3巻まで紡がれたあの物語は、もう取り戻せないのだ。もし、取り戻せたとしても、今度は今のこの歴史が消えてしまう。四百年前に滅びず、今もなお反映する魔法王国トゥダールで平和に暮らす人々の歴史が消えてしまう。あのレナートも、この歴史では苦難の人生を歩むことなく充実した人生を送った上で今トゥダールの魔法士として活躍しているのだ。トゥダールが続いた事で前の歴史よりも迫害から救われた魔法士はずっと多いのだろう。
前の歴史を取り戻すとき、今度は今続いているこの史実を天秤の上に乗せることになる。
オスカーがすべてを掛けて、ティナーシャを守ったという事実もなくなってしまう。果たして、それがティナーシャの幸せを天秤に乗せた上でのことだったのかはもう判断できないことなのだろうけど。
今の魔女ならざるティナーシャの苦しみは、かつて彼女を救ったオスカーの決断とを天秤に乗せるものではないのだろうけど。それはもう、比べてもどうしようもないものなのだから。
新しいティナーシャとオスカーの物語は、前の歴史と関係なく、今の二人によって紡がれるべきものなのだから。
でも、だからこそその事実がもどかしい。物分りの良い、王であろうとする二人がどうしようもなく、言葉にならないもやっと感があって、ぐにゃああああっ、なんかヤダもう!
前のオスカーは、ほんと凄いやつだったよ。とんでもない奴だったよ。あんなくらいグイグイ行ける男がこの場にいてくれたら、と思ってしまうのは仕方ないことだよね? 
これは未練だ。でも手放せない感情なのだ。


……って、巻末に見過ごせない宣伝が載ってるんですけど!? 
【BABEL】、この【UN】の三百年後の話であるあれ。電撃文庫で2巻で終わってしまったあの作品、電撃の新文芸でもう一度出るの!? もしかして、文庫版では止まってしまったその先まで行けるの!? ふっ、ふわぁひゃぁぁぁ!?


古宮九時作品感想

Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て ★★★★★  



【Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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魔女の一人と、ある王族の運命に纏わる長い御伽噺。
オスカーの呪いも解かれ、契約終了まであと三ヶ月。自分の心に迷うティナーシャの前に、新たな魔女の刺客が現れる。「呼ばれぬ魔女」レオノーラの狙いは、契約者であるオスカーの方で——。国を巻き込んでの魔女と魔女の苛烈な衝突、一つの時代が終わる激動の第三巻。

どうして多数決取ろうと思ったし!
いやうん、どうしてそこまで無自覚というか無頓着なのか。みんなすでにティナーシャがオスカーのこと好きだと分かっている中で当のティナーシャだけが全然自覚なかったんですよね。あれだけイチャイチャしながら、スキンシップ取りながらここまでさっぱり自覚なかったとは誰も思わんよなあ。
ハッキリと自覚はなくても、薄っすらともしかして、くらいは考えてると思うよなあ。それが、本気でその認識がなかったものだから、自分がオスカーの事好きと、側近から指摘されてパニクるティナーシャに、そりゃみんな呆れますわ。まるでわかっていない彼女に、一つ一つ実例をあげながら論破して論理的にもティナーシャがオスカーの事を好きである、と指摘してみせたレナートくん、グッドジョブ。
そこで、みんなに「私ってオスカーのこと好きだと思う人ー!」と多数決取り始めるティナーシャさんがホント好きです、だからどうしてそうなるw

でも、そんな自明なことを認められないくらい、400年以上生き続けるに至った妄執は彼女をいびつに固定し続けていたんですよね。だからこそ、その妄執が晴らされ贖罪が果たされたとき彼女の中で「魔女」を構成していたものはほとんどが霧散してしまった。残されたのは剥き出しのティナーシャ、幼いあの頃の小さな王女さま。それは脆く儚く幼く弱く、結構ポンコツで優しく世話好きで、やっぱり執着しがちな一人の少女。
これまで生きてきた目的を失って、どうして自分はまだ生きてるんだろう、なんて想いを抱いてしまうほどの虚ろになった彼女を圧倒的に埋め尽くしていったのは、この一年に満たない間に育まれたオスカーとの関係だったのです。オスカーがピンチになる前、ティナーシャがついにオスカーに落ちそうになったのって、決して気の迷いでも弱っていたときにつけ込む形になったわけでもないと思うんですよね。あれは、あるべき形に収まろうとしただけ。そのあるべき形はもうこの時点では出来上がっていたのでしょう。そして、ティナーシャの根源の一つであろう「執着」に消えない圧倒的な火勢を与えてしまったのが、オスカーが喪われてしまうという絶対的な危機感。自分の命を賭けても、命を引き換えにしても失ってはならないものを、すでに自分は新しく見つけていた。

普通は、そこでちゃんと気づくのに、この魔女さんはなぜか「多数決」とってるんだよなあw
そして、ルクレツィアにまでも何を今更言ってるのか、と呆れられ、どこをどう振り返っても認めざるを得なくなって、ティナーシャさんの一言。
「……もう殺すしかない」
「何でそうなるのよ! 阿呆か、あんたは!」

この魔女、この巻でも冒頭で最終手段です、と自分で戒めてた物騒な手段を事がはじまって挨拶を交わした段階で秒で「もう最終手段を使うしかないですかね」とか言い出すとか、昔の思い出話でも呪歌の話でそうとうやらかしてたことがバレてしまったり、と結構脊髄反射でやらかそうとするんだよなあ。
ほんと、この突拍子もなくなにかあるとすっ飛んでいく猫を、オスカーは良く捕まえたものです。
この魔女に、幸せ一杯の笑顔を浮かべさせるなんて、尊敬に値します。それでもなんだかんだと、自分が魔女であることを気にして、結婚してファルサスの王妃になることは避けようとするティナーシャに、自分の居場所が今どこにあるのかを受け入れさせたのは、オスカーのちからだけではなかったんですよね。彼女が自分の力を引き継いだ子供を生むことを受け入れさせたのは、オスカーの真摯な説得ももちろん要だったのでしょうけれど、それだけではなかったはずなんですよね。
パメラやラザルや、ドアンなど親しい臣下たちのみならず、城に詰める多くの兵士や女官たち。サイエのような市井の子供たち。街を散策するオスカーとティナーシャを見守っていた街の人たち。
彼らが魔女を受け入れ祝福してくれたからこそ、ファルサスという国はティナーシャの新しい故郷となれたのでしょう。でも、彼らがティナーシャを祝福してくれたのは、この一年という時間の間にティナーシャが魔女ではない人としての素顔をずっと見せ続けていたからなんですよね。
ティナーシャに親の形見を取り戻してもらった女官の、心からこぼれ出た一言。「わたし、あの方がお妃さまでいいかなあ」という言葉が多くを象徴しているように思うのです。魔女への嫌悪、畏怖をいつしか薄らがせ、ティナーシャという人をいつしか慈しみ愛おしみ共にあってもらいたい、と皆が想い願うようになったのは、彼女自身が知らず識らずに勝ち取っていた成果なんじゃないでしょうか。
それは、もうひとりの魔女「呼ばれずの魔女」たるレオノーラとは対称的ですらありました。
誰よりも想像し得る魔女らしく、だからこそ現世への執着を喪いつつあったレオノーラ。ある意味もう、ティナーシャには敵し得ない相手となっていたのかもしれません。新たに登場した重要なプレイヤーの一人である上級魔族のトラヴィスもそういう意味ではティナーシャと同じサイドなんですよね。彼もまた、オーレリアという掛け替えのない存在を一人の男として手に入れてしまってたわけで。レオノーラは、とうとう生き続けていく上で自分にとっての美しいものを見つけられなかったのか。きっとそれは、とても近くにあったかもしれないのに。
ティナーシャには、それを指摘してくれる人が周りにたくさん居てくれた。たくさん居てくれる生き方を、この一年間ファルサスでしていたんですよね。

「ほ、本当に気が変わってしまった……」

結婚式を前に、花嫁衣装をまとった自分の姿を鏡の中に見て、愕然とするティナーシャさん。そりゃあ、あれだけ結婚しようぜと求婚されるたびに、しないよ! 結婚しないよ! するか! と返していたのが、果てにこれですもんね。ほんと、どうしてこうなった、である。その一部始終はこの全三巻に余すことなく描かれているのですが。

「ならちょうどいいから結婚するか」
「してるよ!?」
結婚してからも、こんなやり取りしてるお二人さんの幸せそうなことと言ったら……もう胸いっぱいになりそうでした。

そして魔女の時代が終る。そうして、青き月の魔女は王様と結ばれ、みなに祝福され、幸せになりました。めでたしめでたし。

で、終わったのなら、これは【Unnamed Memory】というタイトルにはならなかったんですよねえ。
そう、物語はまだ続くのです。ずっとずっと、続くのです。そのはじまりはきっともっと昔からはじまっていて、それが決定的になってしまうのが、このラストエピソード。
男は根源の部分で、王ではなく国のためではなく民ですらなく、一人の愛しい女を選ぶ。彼女を守ることを選ぶ。
こうして、運命は書き換えられる。
長いとても長いお伽噺の、開幕である。

1巻 2巻感想

Unnamed Memory II 玉座に無き女王 ★★★★☆   



【Unnamed Memory II 玉座に無き女王】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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呪われし王と、世界最強の魔女――悲劇と衝撃が渦巻く、急展開の第二巻!

「その時は――魔女〈ティナーシャ〉を殺すさ」
契約のもと、一年という限られた時間を共に過ごすオスカーとティナーシャ。だが突如二人の前に、ティナーシャのかつての婚約者・ラナクが姿を現す。古き魔法大国の血を継ぐ彼は、新たに国を興すと大陸全土への侵攻を企てて……。その時、オスカーとティナーシャの選んだ道とは――大陸の完全支配をもくろむ巨大魔法と王剣の剣士の、熾烈なる戦争の火蓋が切られる。


ついにラナク編。これはティナーシャの素性と彼女がどうして魔女になったのか。そして、ティナーシャがどんな因縁を抱え、情念を懐き、これまで魔女の人生を歩んできたのか。いわばティナーシャという魔女の中身をすべて曝け出すような話であって、このシリーズの最初の山場でもあるんですよね。いっそ、クライマックスと言っていいくらい。
まさか、この巻の中盤までに片がつくとは思わなかった!! いや、構成的にもこれ巻の最後まで引っ張って、ティナーシャを再び迎え入れてハッピーエンド、と思うじゃないですか。違うんですよね。ラナクの物語としては、古代魔法王国の女王の物語としてはこれ以上なく一区切りつくところではあるんですけれど、これをオスカーの方の視点から見ると。
バスターゴリラの本気スイッチ入ってしまう! の巻なんですよね、ここ。それまではオスカー、まだ余裕があった、というよりも一年という猶予の間になんだかんだ押し切る自信あったと思うんですよ。
でも、この一件でティナーシャにまつわる事情と彼女の面倒臭さの根源を知ったことで、マジになっちゃった感じなんですよね。いや、本気は最初から本気でしたでしょうし、この女こそ自分のとっての唯一だ、という想いは一貫して持ってたと思うんですけど、なんだかんだのなし崩し、ノリと勢いでティナーシャに頷かせて結婚に漕ぎ着けばいいか、みたいなところが今まではあった気がするんですよ。
でもこの件を経てオスカー、ティナーシャの事、徹底的にもうぐうの音も出ないほど完璧に落とす、と決め込んだようにも見えるんですよね。この女、もうマジ許さんから!てな感じに。
オスカーってさっぱりとして後腐れないような性格に見えますけど、一巻でもティナーシャと誤解されるような真似したアルスにとても怖い笑顔になってたみたいに、あれでかなり独占欲強いところがある感じなんですよね。ティナーシャに惚れてしまったルスト王子に対してもかなり刺々しい対応とってましたし、ラナクに至っては……。
でもだからといって、ティナーシャにベタベタしていかないのがこの若き王様のアレなところで。
というか、ラナクの件が片付いた時、恐ろしいことにティナーシャに対して全くといっていいほどお押してくような対応見せてないんですよね。普段からあれだけ何かあると結婚しようぜ、と気軽に声かけてたのに。
ティナーシャとしては長年の呪いとも言うべき因縁が終わり、魔女として長く生きてきた最大の目的も果たして、もう自分も役割を終えて死んでしまうのも良いだろう、とまで思ってたわけですよ。多少なりとも虚脱に近いものはあったでしょう。また、自分を信じて助けにきてくれたオスカーたちにも大いに思うところがあり、オスカーの元に「帰ってこれた」という喜びと安心感まで多分に感じて噛み締めているわけですよ。ティナーシャの心、大いに緩んでいる瞬間ですよ、ここ。
でも、そんなこの場面でノリと勢いで求婚して、ああまあいいかな、アリかな、みたいな感じでティナーシャの心を手繰り寄せる、みたいな真似をここではオスカー、一切しないのですよ。
対外的には、自分こいつと結婚するから、と堂々と諸外国に向けてまで宣言してるくせに。
そして、ティナーシャを訪ねてきたルスト王子も、妨害せずに二人での対面を許して放置。敢えて、自分以外の男に求婚させて、色々と意識させて、ティナーシャが断るのを泰然として待つ、姿勢である。アンタちょっと前にアルスと噂になっただけでメッチャ殺気立ってたのに、というか直前でルスト王子には直接食らわしかねない剣呑な態度示してたくせに、ですよ。

もう、こっからのオスカーさんと来たら、じっくりコトコトと煮込むように本腰を入れてティナーシャとの関係を推し進めていくんですよね。いや煮込んでいく、というのが一番相応しいような。敢えて急がず、ティナーシャ自身の意識や感情が変化し染め上がっていくのを、火加減を確かめたり時折かき混ぜるような感じで、完成へと導いていくのであります。後半のティナーシャさん、殆ど自覚なしにオスカーとのスキンシップが加速度的に過剰になっていくんですよ、自覚なく! 無意識に! どんどんそれが当たり前になってく感じで!
とはいえ、あの洞窟の一件ではオスカー、自分から仕掛けたくせに自分でテレてしまって泳ぎに行ってしまうの、カワイイ所なんですけどねえ。珍しく年相応の若さを見せてくれたというか。
そんな機微をまったく察しないポンコツ娘さんが相手なんで、オスカーもこう時にグイグイしなくちゃいけなくなっちゃうんですけどね! もう、ここでティナーシャ受け入れてる時点で、どうもこうもないはずなんだけど、この魔女はホントに!
そもそも傍から見てたら恋人同士にしか見えないイチャつきかたですよ? あんな自分から触って触られて、という距離感が普通ありますか。好きに自分の髪を男に触らせて気にしない女性が居ますかしら。オスカーの従者側からだけではなく、新たに加わったティナーシャ個人に忠誠を誓っているパイラみたいな人から見ても、もう完全に恋人モードなんですけどねえ。本人、ほんとに自覚が……。
自覚ないのに、ラナクにかつて自分がされた事を今度はオスカーにやらせるわけですよ。オスカーに傷をつけてもらう、なんてことをするわけですよ。
でもだからこそ、オスカーが呟く、かつてラナクがティナーシャに向けて誓った言葉が、まるで違う重みで聞こえてくるのです。
しかし、後半のエピソードはもうなんか、周りの状況が二人の仲を推し進めるのにワッショイワッショイ神輿担いで練り歩いてるような話が多くて、大丈夫進展してる、進展してるから。これで進展してないとか嘘だからw
最後の書き下ろしでの、寝ぼけて仕事しているオスカーの膝の上に乗っかって抱きついて寝ちゃおうとしちゃうティナーシャのこの甘ったれ感ときたらもう。これでホントにもう鈍感というか無自覚で無頓着なんですから、オスカーの苦労が偲ばれますなあ……。

1巻感想





Unnamed Memory 1.青き月の魔女と呪われし王 ★★★★☆  



【Unnamed Memory 1.青き月の魔女と呪われし王】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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「俺の望みはお前を妻にして、子を産んでもらうことだ」
「受け付けられません!」
永い時を生き、絶大な力で災厄を呼ぶ異端―魔女。強国ファルサスの王太子・オスカーは、幼い頃に受けた『子孫を残せない呪い』を解呪するため、世界最強と名高い魔女・ティナーシャのもとを訪れる。“魔女の塔”の試練を乗り越えて契約者となったオスカーだが、彼が望んだのはティナーシャを妻として迎えることで…。伝説的webノベル、書籍化!


……もう好き!!

あらすじにある通り、伝説的webノベルなんですよね、これ。今隆盛を誇っている「小説家になろう」が本格稼働するよりも前。ウェブ上で小説を発表するのも、自分でホームページを作ってそこで掲載するのが主流だった時代に現れ、読者の心を鷲掴みにしてシャイニングウィザード決めてしまった名作中の名作なのです。古宮さんが【監獄学校にて門番を】で電撃文庫からデビューした時も、ペンネーム変わってるけど【Unnamed Memory】じゃないかーー! と狂喜しながら飛びかかったものでした。
あの頃から、はよ【Unnamed Memory】書籍化しましょうよ、しないの? しないの!? なんでしないのー!? とジタバタ転げ回っていただけに、本作がついにとなった時には捕れたてのエビのようにピチピチと跳ねたものです。
これねー、ほんとねー、オスカーとティナーシャのカップルが好きなんですよ。めっさ好きーー。大好き。個人的にはこの二人はカップルとして至高の一柱だと思っている。
悠久を生きる魔女としてどこか超越的な存在であり、超然とした在り方で時間の流れをたゆたっているティナーシャなんだけど、オスカー相手だとあのすっとぼけて冗談か本気かわからない物言いに調子を崩され、良いように振り回されて頭抱えて叫ぶはめになる。そんな二人のやり取り、掛け合いがなんだかんだともう傍目には滅茶苦茶仲良い風にしか見えなくて、打ち解けきった間柄にしか見えなくて、「よし結婚しよう」「しないから!」「まあまあそう言わず」「しないよ!」という感じの掛け合いにひたすら至福を感じるのであります。
でもティナーシャ、別に押しに弱いというわけではないんでしょうけれど、こうして一気に読んでいると段々と絆されているというか、距離感なくなってってるんですよね。オスカー、多分ティナーシャの外見年齢変わったときだろうけれど、あそこらへんからガチのマジの本気になってるっぽいのですけど、オスカーがわりと無造作に触れてきたりティナーシャを膝に乗せてご満悦してたりするの、拒絶もせずに自然と受け入れたりしてましたからね。あれ、絶対意識して受け入れたとか内心で許可出したとかじゃなくて、触れられることにまるで忌避感抱かず無意識に当たり前に受け入れちゃってたっぽいもんなあ。いやね、普通女の人が髪梳かれたり、膝の上に座ったりとか受け入れませんから。在りえませんから。
それでいて、本気で結婚とかしないから、別に好きでもなんでもないし、と思い込んでいる風なのがティナーシャのボケボケしている可愛らしいところでありまして。
まあそれはオスカーがそもそも言い方軽すぎて、好意は多分にあるだろうけど呪いがあるから選択肢なくてだろう、と思われても仕方ないところがあったわけですし。
それに、ティナーシャは悠久を生きる魔女。普通の人間とは流れる時間が異なっているが故に、同じ時間で生きることは出来ない、というどうしようもない事実は度々語られ、ティナーシャ自身がそれを明確に自覚し、意図的に距離を置こうとしていること。かつてオスカーの曽祖父の時代に一時期城で暮らしていたことが、なおさらティナーシャと普通の人間の時間の違いを強調する材料となっていて、オスカーの求婚を拒絶する大きな理由となっているのでありました。
まあ、それだけじゃないんですけどね。ティナーシャが独りであることを選び続ける理由は。だいたい魔女があかんのであったら、同じ魔女のルクレツィアをオスカーに紹介して押し付けてやる、とかかなりえげつないこと平気で言ったりしないでしょうし。まあ、ルクレツィアが恋人たくさんいるタイプの人というのもあったのでしょうけど。
結局、オスカーはティナーシャの心を手に入れるために、途方もない幾つもの壁を乗り越え、彼女自身が抱える傷に触れなければならなくなるのですが、この王子の図々しいというか図太いというか、無神経とは程遠い繊細さがあるにも関わらず、手段がこの上なく大雑把でゴーイングマイウェイはところはちょっとした無敵感があって、どんな状況でも痛快に解決してくれるような安心感や頼り甲斐が満載な人なんですよね。
これ、何気にティナーシャにも当てはまる部分があって、行き詰まるとわりと大雑把に力任せに解決しようとするきらいがあるような気がするので、けっこう似たものカップルな気がするのです。もっとも、オスカーの方がなんていうんだろう、厳重な鍵がついた扉をチャチャッと器用に解錠して開けられる状態にしてからわざわざ扉蹴破って中に押し入る、みたいな印象があるので、強かというかしれっとした余裕のある感じなのですが。その差が振り回す方と振り回される方を確定している気がするぞ、うん。
こうして読んでいると、覚えている展開とけっこう違う部分もある気がするので構成変えたり加筆修正もかなりしてるんでしょうね。
しかし、オスカー、イラストだとイケメンすぎる気がするなあ。いや、実際イケメンなんで間違ってはいないはずなんですが、もっとこう……食えなさそうというかすっとぼけてそうな鋼鉄メンタルがにじみ出てそうな顔つきなイメージってそれどんな顔つきだよw
まだまだこの名前のない物語ははじまったばかり。この世界観を、オスカーとティナーシャの世界をもっと深く堪能し耽溺することが出来ることを期待し望むばかりです。いやあ、もうほんとに二人の押し問答というかやり取り見てるだけで多幸感がたまらんですわー。

古宮九字作品感想
 
11月26日

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