電撃の新文芸

悪役令嬢の怠惰な溜め息 ★★★   



【悪役令嬢の怠惰な溜め息】 篠原 皐月/すがはら 竜 電撃の新文芸

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プレイ中だった乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私。だけどこの世界はすっごく暇だった!「娯楽がなければ作ればいいのよ!」前世の知識を活かして玩具や恋愛小説を生み出し、退屈な世界をバラ色にしてみせる!王妃様お気に入りの実業家になり、これでシナリオを外れて素敵な未来が…と思いきや書いた小説のせいで破滅フラグがやってきた―!?暴走悪役令嬢の勘違い王子粉砕ラブ(?)コメディ開幕!

これ、どこが怠惰なんだろう。主人公であるエセリアは幼少時から非常に精力的にアグレッシブに動きまくっていて、その言動のどこにも怠惰に類するものは見当たらない。
それとも、このエセリアさん。次期国王である王太子の婚約者であり次期王妃様なんだけど、件の王子様がボンクラの極みであると同時にエセリアさんは王妃なんて窮屈な仕事はしたくなくて、自由にのびのびと自分のやりたいことをやり尽くしたいと考えてる人なんですね。なので、王妃様なんかなりたくない、とばかりに婚約解消工作に勤しんでいるのですが、その公人としての働きを忌避し、高位貴族令嬢としての義務を放棄しようとしている事が、怠惰に該当するということなのだろうか。
もっとも、彼女すでに実業家として実績をあげていて、これまで整備されていなかった貸金業についても教会に一口かますことで統制された金銭の貸し借りを国内で成立させることで、お金の循環をスムーズにして国内経済を発展拡大させることに寄与しているので、むしろ私人としても既に国益にプラスになる事をしてたりするのです。
他にも、伯母である現王妃と強く好を通じ、様々な商材を通じて身分問わず広く女性層に支持を広げ、政務官僚、軍人、商人、教会、職人含め一般市民層にもコミットして各業界の風通しも良くしてたりするので、もう既に国内でも至る所に無視できない影響力を及ぼしているんですね。
それを全く理解できていない、という時点で、彼女が何をしているのかわかっていない、知ろうともしていない時点で、王太子殿下のボンクラ振りここに極まる、って感じで裸の王子様というのが露呈してしまってるんですね。
自分が安全に王太子の婚約者から退けるように、婚約解消を向こうから言い出すようにあれこれと画策しているエセリアさんですが、おかげさまで王太子の評判たるやひたすら下降線を辿っていて哀れになるほど、いや全然哀れでもなんでもないんですけどね。概ね自業自得だし。エセリアが動かなくても、彼は自爆して自分からどんどん評判をさげている状況ですからね。
対してエセリアは、着々と味方、支持層を広げていっているわけで。ここまでやってしまうと、王太子廃嫡してエセリアは次期王妃のまま第二王子あたりを立太子、という形になってしまいそうだけど、ほぼほぼ王宮掌握している現王妃様を最大の味方にしているのは大きいですね。とりあえず既に第二王子には王妃の血縁が婚約者として送り込まれているので、今の所エセリアは自由ルートに邁進中。
最初の頃の娯楽用品の営業については、セールストークがお粗末に見えてしまって、あれでウケるの? と首を傾げてしまったのだけれど、やはり今まで存在しなかった小説という媒体、さらにBLという革新的?ジャンルが世のご婦人様方の琴線に触れまくってしまい、腐海が電撃的に広がっていってしまった様子は、まあさもありなん、と棒目になって頷いてしまいましたが、あれがターニングポイントでしたなあ、うん。

本来のゲームのヒロインである娘も登場しましたけど、この娘むちゃくちゃ苦労苦労を重ねる人生を送ってきただけに、あんまり不幸になってほしくはないなあ、と思ってしまったのですけど、この様子だとぼんくら王子に影響されてアカンドツボにハマっていきそうだなあ。
この娘の救済ルートはないものだろうか。まあ性格の悪さとか見えてきたら、その気も失せてしまうでしょうけど。

EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉 ★★★☆   



【EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉】  川上稔/ さとやす(TENKY) 電撃の新文芸

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気づくと現場は1990年代。立川にある広大な学園都市の中で、僕こと住良木・出見は、ゲーム部で8bit&16bit系のゲームをしたり、巨乳の先輩がお隣に引っ越してきたりと学生生活をエンジョイしていたのだけれど……。ひょんなことから“人間代表”として、とある惑星の天地創造を任されることに!?
『境界線上のホライゾン』の作中で言及される“神代の時代”――人類が宇宙に進出し神へと至ったとされる時代に人々は何を行なっていたのか?
AHEADとGENESISを繋ぐ《EDGE》シリーズ! 「カクヨム」で好評連載中の新感覚チャットノベルが書籍化!

神々がいない星で……って、神々いっぱいいるよ!? ってか、神々しかいないよ!? 神々しかいない神々がいない星、って謎掛けみたいだけれど、これもこれでちゃんと理由があるんですね。
そんな片っ端から神様ばっかりな星の上の唯一の人類、人間、猿! なのが彼、僕こと住良木・出見くんなのである。
……この馬鹿、なんの脈絡もなく女体化しやがったぞ!? 住良木君じゃなくなったぞ!? 前作の主人公は何の脈絡もなく出番の大半を全裸で過ごすガチモザイク野郎だったけど、こいつはこいつでとんでもないなー。いや、女体化してしまったのはコイツのせいではまったくないのだけれど、なぜか住良木くんの自業自得だよね! と思ってしまう不思議!
でも、自業自得どころか当人自分が男でも女でも特に関係なく平常運転の巨乳信仰先輩信者なので、別に関係ない気がするぞ、うん。
にしても、唯一の人類にも関わらずなんでこんな人類の極北みたいなのになってしまったんだろう。平均値とは言わないまでも、いやぶっちゃけ極端なやつでも良かったんだろうけれど、彼に関しては極まったキワモノ! って感じだもんなあ。
馬鹿である。
しかし、彼の馬鹿はブレない馬鹿だ。揺らいではいけない部分が一切揺らがない馬鹿なのだ。
おのれが名前を名乗れない神である「先輩」。その理由は神話的由来によるものなのか、彼女の自信の欠如によるものか、その双方であるのかは定かではないのだけれど、それでも彼女が勇気を持ってこの惑星クラフトに挑めているのは、「先輩」を大好きで居続ける住良木くんがいるからなんですよね。彼が信じているからこそ、彼女はこの綱渡りに行われている惑星創世神話創造を続けられている。幾度も幾度も、ミスって死んでしまって記憶の大半を失ってしまっても、ただ「先輩」を大好きだという事実だけは一切変わらず揺らがずブレることのない住良木くんのバカ正直なあり方が、希望を繋いでいてくれる。
実質、何度も何度も最初からやり直して、住良木くんへの説明も何度も繰り返すはめになっているの、先輩に限らずこの事業に協力してくれている北欧神話群の徹先輩たちもかなりツラいと思うんですよね。一種の苦行の側にあると思うのだけれど、住良木くんのお馬鹿はそんなルーチンワークをワーク感覚からすっ飛ばしてくれて、シッチャカメッチャカに酷いことになるんだけれど、そのドタバタが苦痛をもふっとばしてくれている気がするんですよね。そんな存在自体がおバカな住良木くんが、どうしようもなく愛おしくなるほどに。

しかしこれ、最初テラフォーミングって言っているから居住可能に星の環境を改造するのかと思ってたんですよね。言ってみれば、リフォーム感覚? 通常、SFでもテラフォーミングというとそんな感じじゃないですか。でも、本作の場合だとこれ人類が生存可能か不可能か、という段階じゃなくて、生命が存在できない環境。大地も水も大気も見事になくなっちゃってる状態じゃないですかー! なるほど、タイトルがテラフォーミングじゃなくて惑星クラフトになってるの、こういう事だったのか。
最初、AIたちが行っていたテラフォーミングがどうして見事に大失敗して、失敗どころか「星」そのものと敵対状態になっちゃう過程が、単なるSFじゃなくてこれが確かに川上ワールドである事が実感できる面白い話になってるんですね。
なぜ、神々がいない星にいまこうして神様たちが大挙して存在しているのか。どうして、90年代の地球が仮想形成されているのか。どうして住良木くんが、唯一の人類として重要キープレイヤーとして存在しているのか。
色々と前提となるお話、解説、説明、漫才が独特のチャット形式で描かれているわけです。って、このチャット形式って境界線上のホライゾンで使われていたものを本格ベースに乗っけたものなのかー。
古くは都市シリーズの【電詞都市DT】でメール形式とかやってたのを思い出すと隔絶の感がありますなあ。あれ、凄まじく読みにくかったし。というか、DTはちと早すぎたのか。

上巻はまだ前提情報を開示する、という感じで色々と説明が大半を占めるのだけれど、惑星という天体の成り立ちから生存環境が形成されるまでの道筋。神話というものがいかにして生まれ、世界各地に広がっていったのか。そんな話が結構本格的に語られているのが面白くて、ついつい読み耽ってしまう。
そして、唯一の人間である住良木くんの存在は、世界各地の神話群からも注目の的で、彼の存在が握っている主導権を巡って、政治的駆け引きが繰り広げられるのであるが、住良木くんは先輩が大好きな巨乳信者なので、そこだけは揺るがないのだ。まさに巨乳に捧げるアンビシャス!

ちなみに、先輩は神道由来の神様らしい。慈愛に満ちた懐のおおきいお姉さん、に見える表紙ですが案の定、相当のポンコツである。とりあえず、こんな余裕いっぱいの顔している時間は微小ですね、微小。アワアワわたわたしているのが大半の実に可愛らしい巨乳である。いやー、これほど「巨乳!」という圧を感じるジャケットデザインはなかなかお目にかかれないぞー。さすがはさとやす様である。

とまあ、住良木くんと先輩がわいわいイチャイチャしているお話でもあるのですけれど、彼らの協力者でもある徹先輩と紫布先輩のカップルも設定的にご夫婦なせいか、ナチュラルにイチャイチャしてて色々と毒ですよ? 徹先輩、ちと性格もイケメンすぎて嫁に対しても器が大きすぎるので、総じて格好良すぎる問題。





Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度 ★★★★☆   



【Unnamed Memory IV 白紙よりもう一度】 古宮 九時/chibi 電撃の新文芸

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世界の謎が明かされはじめる、衝撃の《書き換え》編スタート!

「私と結婚してくれるんですか!」
「しない。どうしてそうなった」
呪いの打破を願って魔法大国トゥルダールを訪れたオスカーは、城で眠っていた一人の女を連れ帰る。解呪を申し出た彼女ティナーシャは、次期女王として圧倒的な力を持ちながら、なぜか初対面のはずの彼に強い好意を抱いているようで……。
新たになった大陸の歴史、名もなき記憶の上に、再び二人が紡ぐ一年間の物語が始まる。


はぁ〜〜……正直に言うとね、めっちゃ寂しい、切ない、胸が苦しい。だって、もうあのオスカーとティナーシャはどこにも居ないんだもの。ふたりとも、歴史の彼方に遠ざかっていってしまった。
ここに居るのは違う二人。別の二人。知らない二人。ここからはじまるオスカーとティナーシャなのである。
特にティナーシャね。全然別人なんですよ。とても、彼女は子供。幼い少女そのままなのだ。
当然だ。青き月の魔女のティナーシャは四百年の刻を余すことなく生き抜いた人だった。対して、このティナーシャは四百年眠り続け、その精神はまだ十代のそれで暗黒時代を女王として潜り抜けたとはいえそれも数年のこと。経験は乏しく歴戦とは程遠い、それ以上にオスカーと別れたあの時から彼女の心は半分止まっていて、ティナーシャの心はとても幼い、幼く脆く覚束ない。
これがあのティナーシャなのかと思わず息を殺して見守ってしまうほどに、四百年の眠りから目覚めた彼女は無邪気で臆病で拙くて、子供だった。
もちろん、聡明で時として酷薄なくらい現実的で歳以上に妖艶なかおを見せることも多く、かつて暗黒時代に名を馳せた魔女殺しの女王の異名に相応しい姿もまた彼女の本身だ。だがそれも、オスカーの前では簡単に消え失せてしまう。前のオスカーが最期まで守り続けた、小さなティナーシャそのままだ。
それでいて、このティナーシャは魔女のティナーシャと同じくらい無鉄砲で自分を大事にしない、価値を見出していない。危なっかしくて仕方ない。魔女の頃とは比べ物にならないくらい劣化した能力で、かつて達人の域にあった双剣の腕もなく近接戦闘まったく出来ない典型的魔術師になってしまっている彼女が、魔女と変わらない勢いで危険の中に飛び込んでいくのだ。
やめてよね、ほんと!
オスカーの胃がキリキリしてしまうのも無理ないよ。そもそも、今のティナーシャをオスカーは色んな意味で信頼していない、信用もしていない、なのに心配せざるを得ない。なのに、目を離すとすぐに死地に頭から滑り込んでいく。個人的感情のみならず政治的な配慮も、今トゥダールの女王候補となっているティナーシャには必要で、そういうのさっぱり考えてくれない、考えてるとは思うんだけど優先順位を明らかに間違えてる彼女は、オスカーにとって頭痛の種だ。
かつての情熱はそこにはない。甘い感情も残っていないという以前に生じていない。二人の間に横たわるのは、凄まじいまでの運命とどうしようもない断絶だ。その縁は輪を描いているのに一方通行で繋がっていない。オスカーは敏感にそのことを感じ取っているから、余計に苛立ってしまっている。
そこに、かつて奔放にして自由な魔女をあるがままに受け入れていた王の姿はない。このオスカーも、あのオスカーではないのだ。大人であり魔性ですらあった青い月の魔女をひたすら夢中に追いかけるのと違い、子供のように無邪気に接してきながらその実自分を見ていないすれ違う幼い少女とでは、オスカーも年相応にならざるを得なかったのかもしれない。かつてのオスカーも、青き月の魔女のすべてを受け止める器となるのに時間と覚悟が必要だったし、それは彼自身が追い求めたものでもあった。
鏡合わせではないけれど、幼い少女に向きあう彼もまた若き青年に過ぎないのだ。こればかりは、どれだけ聡明で賢明で王としての資質に長けていても変わらない。いや、賢い分馬鹿にも成りきれず狂気にも浸れず、より大きな括りでの正解を求めてしまうという意味で、聞き分けの良い大人として振る舞おうとしてしまっているのかもしれない。
思えば、前の二人はもっとおバカである事に積極的で、魔女はずっと狂気と執着を蓄えていた。それを御していたからこそ、大人だったのだろう。今の二人は、賢明であることに振り回されている。

それでも、彼と彼女はオスカーでありティナーシャだ。一方通行であっても縁はあり、現代で繋がってしまえばその縁は双方向だ。
オスカーとティナーシャが惹かれ合うのは、運命というのがバカバカしいほど当たり前で当然で必然のことなのだ。そうだろう? そうでしょう?
でも、今の若い二人はその事実を御しきれていない。それがどうしようもなく、もどかしい。
今の二人、なかなか触れ合わないんですよ。お互いに触らない。あんなに自然に、無自覚に、猫がするりと膝の上に乗ってくるように身を任せていた二人が、心から信頼し合っていた以心伝心だった二人が、ずっと遠い距離にいる。触れられない距離で、見つめ合っている。それが本当に、切ないのだ。
同時に、あのあまりに当然のように触れ合っていた二人が、もう歴史の向こうに消えているという事実を突きつけられるようで、彼女のことを遠巻きにしているファルサスの、オスカーの部下たちの姿がまた寂しさを助長するのである。あんなにティナーシャを慕い、魔女であった彼女を認めて受け入れて、オスカーとの結婚をあんなにも喜んでくれた皆との距離が、仄かに遠いのが辛い。
それを知っているのが、読者である自分たちの側と何も語らないナークしかいないというのが、また胸を締め付ける。
ほんと、ティナーシャに前以上に懐いて構ってくれるシルヴィアが救いだ。

オスカーの時間逆行によって消えてしまった歴史はもう戻らないのだろう。3巻まで紡がれたあの物語は、もう取り戻せないのだ。もし、取り戻せたとしても、今度は今のこの歴史が消えてしまう。四百年前に滅びず、今もなお反映する魔法王国トゥダールで平和に暮らす人々の歴史が消えてしまう。あのレナートも、この歴史では苦難の人生を歩むことなく充実した人生を送った上で今トゥダールの魔法士として活躍しているのだ。トゥダールが続いた事で前の歴史よりも迫害から救われた魔法士はずっと多いのだろう。
前の歴史を取り戻すとき、今度は今続いているこの史実を天秤の上に乗せることになる。
オスカーがすべてを掛けて、ティナーシャを守ったという事実もなくなってしまう。果たして、それがティナーシャの幸せを天秤に乗せた上でのことだったのかはもう判断できないことなのだろうけど。
今の魔女ならざるティナーシャの苦しみは、かつて彼女を救ったオスカーの決断とを天秤に乗せるものではないのだろうけど。それはもう、比べてもどうしようもないものなのだから。
新しいティナーシャとオスカーの物語は、前の歴史と関係なく、今の二人によって紡がれるべきものなのだから。
でも、だからこそその事実がもどかしい。物分りの良い、王であろうとする二人がどうしようもなく、言葉にならないもやっと感があって、ぐにゃああああっ、なんかヤダもう!
前のオスカーは、ほんと凄いやつだったよ。とんでもない奴だったよ。あんなくらいグイグイ行ける男がこの場にいてくれたら、と思ってしまうのは仕方ないことだよね? 
これは未練だ。でも手放せない感情なのだ。


……って、巻末に見過ごせない宣伝が載ってるんですけど!? 
【BABEL】、この【UN】の三百年後の話であるあれ。電撃文庫で2巻で終わってしまったあの作品、電撃の新文芸でもう一度出るの!? もしかして、文庫版では止まってしまったその先まで行けるの!? ふっ、ふわぁひゃぁぁぁ!?


古宮九時作品感想

Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て ★★★★★  



【Unnamed Memory III 永遠を誓いし果て】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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魔女の一人と、ある王族の運命に纏わる長い御伽噺。
オスカーの呪いも解かれ、契約終了まであと三ヶ月。自分の心に迷うティナーシャの前に、新たな魔女の刺客が現れる。「呼ばれぬ魔女」レオノーラの狙いは、契約者であるオスカーの方で——。国を巻き込んでの魔女と魔女の苛烈な衝突、一つの時代が終わる激動の第三巻。

どうして多数決取ろうと思ったし!
いやうん、どうしてそこまで無自覚というか無頓着なのか。みんなすでにティナーシャがオスカーのこと好きだと分かっている中で当のティナーシャだけが全然自覚なかったんですよね。あれだけイチャイチャしながら、スキンシップ取りながらここまでさっぱり自覚なかったとは誰も思わんよなあ。
ハッキリと自覚はなくても、薄っすらともしかして、くらいは考えてると思うよなあ。それが、本気でその認識がなかったものだから、自分がオスカーの事好きと、側近から指摘されてパニクるティナーシャに、そりゃみんな呆れますわ。まるでわかっていない彼女に、一つ一つ実例をあげながら論破して論理的にもティナーシャがオスカーの事を好きである、と指摘してみせたレナートくん、グッドジョブ。
そこで、みんなに「私ってオスカーのこと好きだと思う人ー!」と多数決取り始めるティナーシャさんがホント好きです、だからどうしてそうなるw

でも、そんな自明なことを認められないくらい、400年以上生き続けるに至った妄執は彼女をいびつに固定し続けていたんですよね。だからこそ、その妄執が晴らされ贖罪が果たされたとき彼女の中で「魔女」を構成していたものはほとんどが霧散してしまった。残されたのは剥き出しのティナーシャ、幼いあの頃の小さな王女さま。それは脆く儚く幼く弱く、結構ポンコツで優しく世話好きで、やっぱり執着しがちな一人の少女。
これまで生きてきた目的を失って、どうして自分はまだ生きてるんだろう、なんて想いを抱いてしまうほどの虚ろになった彼女を圧倒的に埋め尽くしていったのは、この一年に満たない間に育まれたオスカーとの関係だったのです。オスカーがピンチになる前、ティナーシャがついにオスカーに落ちそうになったのって、決して気の迷いでも弱っていたときにつけ込む形になったわけでもないと思うんですよね。あれは、あるべき形に収まろうとしただけ。そのあるべき形はもうこの時点では出来上がっていたのでしょう。そして、ティナーシャの根源の一つであろう「執着」に消えない圧倒的な火勢を与えてしまったのが、オスカーが喪われてしまうという絶対的な危機感。自分の命を賭けても、命を引き換えにしても失ってはならないものを、すでに自分は新しく見つけていた。

普通は、そこでちゃんと気づくのに、この魔女さんはなぜか「多数決」とってるんだよなあw
そして、ルクレツィアにまでも何を今更言ってるのか、と呆れられ、どこをどう振り返っても認めざるを得なくなって、ティナーシャさんの一言。
「……もう殺すしかない」
「何でそうなるのよ! 阿呆か、あんたは!」

この魔女、この巻でも冒頭で最終手段です、と自分で戒めてた物騒な手段を事がはじまって挨拶を交わした段階で秒で「もう最終手段を使うしかないですかね」とか言い出すとか、昔の思い出話でも呪歌の話でそうとうやらかしてたことがバレてしまったり、と結構脊髄反射でやらかそうとするんだよなあ。
ほんと、この突拍子もなくなにかあるとすっ飛んでいく猫を、オスカーは良く捕まえたものです。
この魔女に、幸せ一杯の笑顔を浮かべさせるなんて、尊敬に値します。それでもなんだかんだと、自分が魔女であることを気にして、結婚してファルサスの王妃になることは避けようとするティナーシャに、自分の居場所が今どこにあるのかを受け入れさせたのは、オスカーのちからだけではなかったんですよね。彼女が自分の力を引き継いだ子供を生むことを受け入れさせたのは、オスカーの真摯な説得ももちろん要だったのでしょうけれど、それだけではなかったはずなんですよね。
パメラやラザルや、ドアンなど親しい臣下たちのみならず、城に詰める多くの兵士や女官たち。サイエのような市井の子供たち。街を散策するオスカーとティナーシャを見守っていた街の人たち。
彼らが魔女を受け入れ祝福してくれたからこそ、ファルサスという国はティナーシャの新しい故郷となれたのでしょう。でも、彼らがティナーシャを祝福してくれたのは、この一年という時間の間にティナーシャが魔女ではない人としての素顔をずっと見せ続けていたからなんですよね。
ティナーシャに親の形見を取り戻してもらった女官の、心からこぼれ出た一言。「わたし、あの方がお妃さまでいいかなあ」という言葉が多くを象徴しているように思うのです。魔女への嫌悪、畏怖をいつしか薄らがせ、ティナーシャという人をいつしか慈しみ愛おしみ共にあってもらいたい、と皆が想い願うようになったのは、彼女自身が知らず識らずに勝ち取っていた成果なんじゃないでしょうか。
それは、もうひとりの魔女「呼ばれずの魔女」たるレオノーラとは対称的ですらありました。
誰よりも想像し得る魔女らしく、だからこそ現世への執着を喪いつつあったレオノーラ。ある意味もう、ティナーシャには敵し得ない相手となっていたのかもしれません。新たに登場した重要なプレイヤーの一人である上級魔族のトラヴィスもそういう意味ではティナーシャと同じサイドなんですよね。彼もまた、オーレリアという掛け替えのない存在を一人の男として手に入れてしまってたわけで。レオノーラは、とうとう生き続けていく上で自分にとっての美しいものを見つけられなかったのか。きっとそれは、とても近くにあったかもしれないのに。
ティナーシャには、それを指摘してくれる人が周りにたくさん居てくれた。たくさん居てくれる生き方を、この一年間ファルサスでしていたんですよね。

「ほ、本当に気が変わってしまった……」

結婚式を前に、花嫁衣装をまとった自分の姿を鏡の中に見て、愕然とするティナーシャさん。そりゃあ、あれだけ結婚しようぜと求婚されるたびに、しないよ! 結婚しないよ! するか! と返していたのが、果てにこれですもんね。ほんと、どうしてこうなった、である。その一部始終はこの全三巻に余すことなく描かれているのですが。

「ならちょうどいいから結婚するか」
「してるよ!?」
結婚してからも、こんなやり取りしてるお二人さんの幸せそうなことと言ったら……もう胸いっぱいになりそうでした。

そして魔女の時代が終る。そうして、青き月の魔女は王様と結ばれ、みなに祝福され、幸せになりました。めでたしめでたし。

で、終わったのなら、これは【Unnamed Memory】というタイトルにはならなかったんですよねえ。
そう、物語はまだ続くのです。ずっとずっと、続くのです。そのはじまりはきっともっと昔からはじまっていて、それが決定的になってしまうのが、このラストエピソード。
男は根源の部分で、王ではなく国のためではなく民ですらなく、一人の愛しい女を選ぶ。彼女を守ることを選ぶ。
こうして、運命は書き換えられる。
長いとても長いお伽噺の、開幕である。

1巻 2巻感想

Unnamed Memory II 玉座に無き女王 ★★★★☆   



【Unnamed Memory II 玉座に無き女王】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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呪われし王と、世界最強の魔女――悲劇と衝撃が渦巻く、急展開の第二巻!

「その時は――魔女〈ティナーシャ〉を殺すさ」
契約のもと、一年という限られた時間を共に過ごすオスカーとティナーシャ。だが突如二人の前に、ティナーシャのかつての婚約者・ラナクが姿を現す。古き魔法大国の血を継ぐ彼は、新たに国を興すと大陸全土への侵攻を企てて……。その時、オスカーとティナーシャの選んだ道とは――大陸の完全支配をもくろむ巨大魔法と王剣の剣士の、熾烈なる戦争の火蓋が切られる。


ついにラナク編。これはティナーシャの素性と彼女がどうして魔女になったのか。そして、ティナーシャがどんな因縁を抱え、情念を懐き、これまで魔女の人生を歩んできたのか。いわばティナーシャという魔女の中身をすべて曝け出すような話であって、このシリーズの最初の山場でもあるんですよね。いっそ、クライマックスと言っていいくらい。
まさか、この巻の中盤までに片がつくとは思わなかった!! いや、構成的にもこれ巻の最後まで引っ張って、ティナーシャを再び迎え入れてハッピーエンド、と思うじゃないですか。違うんですよね。ラナクの物語としては、古代魔法王国の女王の物語としてはこれ以上なく一区切りつくところではあるんですけれど、これをオスカーの方の視点から見ると。
バスターゴリラの本気スイッチ入ってしまう! の巻なんですよね、ここ。それまではオスカー、まだ余裕があった、というよりも一年という猶予の間になんだかんだ押し切る自信あったと思うんですよ。
でも、この一件でティナーシャにまつわる事情と彼女の面倒臭さの根源を知ったことで、マジになっちゃった感じなんですよね。いや、本気は最初から本気でしたでしょうし、この女こそ自分のとっての唯一だ、という想いは一貫して持ってたと思うんですけど、なんだかんだのなし崩し、ノリと勢いでティナーシャに頷かせて結婚に漕ぎ着けばいいか、みたいなところが今まではあった気がするんですよ。
でもこの件を経てオスカー、ティナーシャの事、徹底的にもうぐうの音も出ないほど完璧に落とす、と決め込んだようにも見えるんですよね。この女、もうマジ許さんから!てな感じに。
オスカーってさっぱりとして後腐れないような性格に見えますけど、一巻でもティナーシャと誤解されるような真似したアルスにとても怖い笑顔になってたみたいに、あれでかなり独占欲強いところがある感じなんですよね。ティナーシャに惚れてしまったルスト王子に対してもかなり刺々しい対応とってましたし、ラナクに至っては……。
でもだからといって、ティナーシャにベタベタしていかないのがこの若き王様のアレなところで。
というか、ラナクの件が片付いた時、恐ろしいことにティナーシャに対して全くといっていいほどお押してくような対応見せてないんですよね。普段からあれだけ何かあると結婚しようぜ、と気軽に声かけてたのに。
ティナーシャとしては長年の呪いとも言うべき因縁が終わり、魔女として長く生きてきた最大の目的も果たして、もう自分も役割を終えて死んでしまうのも良いだろう、とまで思ってたわけですよ。多少なりとも虚脱に近いものはあったでしょう。また、自分を信じて助けにきてくれたオスカーたちにも大いに思うところがあり、オスカーの元に「帰ってこれた」という喜びと安心感まで多分に感じて噛み締めているわけですよ。ティナーシャの心、大いに緩んでいる瞬間ですよ、ここ。
でも、そんなこの場面でノリと勢いで求婚して、ああまあいいかな、アリかな、みたいな感じでティナーシャの心を手繰り寄せる、みたいな真似をここではオスカー、一切しないのですよ。
対外的には、自分こいつと結婚するから、と堂々と諸外国に向けてまで宣言してるくせに。
そして、ティナーシャを訪ねてきたルスト王子も、妨害せずに二人での対面を許して放置。敢えて、自分以外の男に求婚させて、色々と意識させて、ティナーシャが断るのを泰然として待つ、姿勢である。アンタちょっと前にアルスと噂になっただけでメッチャ殺気立ってたのに、というか直前でルスト王子には直接食らわしかねない剣呑な態度示してたくせに、ですよ。

もう、こっからのオスカーさんと来たら、じっくりコトコトと煮込むように本腰を入れてティナーシャとの関係を推し進めていくんですよね。いや煮込んでいく、というのが一番相応しいような。敢えて急がず、ティナーシャ自身の意識や感情が変化し染め上がっていくのを、火加減を確かめたり時折かき混ぜるような感じで、完成へと導いていくのであります。後半のティナーシャさん、殆ど自覚なしにオスカーとのスキンシップが加速度的に過剰になっていくんですよ、自覚なく! 無意識に! どんどんそれが当たり前になってく感じで!
とはいえ、あの洞窟の一件ではオスカー、自分から仕掛けたくせに自分でテレてしまって泳ぎに行ってしまうの、カワイイ所なんですけどねえ。珍しく年相応の若さを見せてくれたというか。
そんな機微をまったく察しないポンコツ娘さんが相手なんで、オスカーもこう時にグイグイしなくちゃいけなくなっちゃうんですけどね! もう、ここでティナーシャ受け入れてる時点で、どうもこうもないはずなんだけど、この魔女はホントに!
そもそも傍から見てたら恋人同士にしか見えないイチャつきかたですよ? あんな自分から触って触られて、という距離感が普通ありますか。好きに自分の髪を男に触らせて気にしない女性が居ますかしら。オスカーの従者側からだけではなく、新たに加わったティナーシャ個人に忠誠を誓っているパイラみたいな人から見ても、もう完全に恋人モードなんですけどねえ。本人、ほんとに自覚が……。
自覚ないのに、ラナクにかつて自分がされた事を今度はオスカーにやらせるわけですよ。オスカーに傷をつけてもらう、なんてことをするわけですよ。
でもだからこそ、オスカーが呟く、かつてラナクがティナーシャに向けて誓った言葉が、まるで違う重みで聞こえてくるのです。
しかし、後半のエピソードはもうなんか、周りの状況が二人の仲を推し進めるのにワッショイワッショイ神輿担いで練り歩いてるような話が多くて、大丈夫進展してる、進展してるから。これで進展してないとか嘘だからw
最後の書き下ろしでの、寝ぼけて仕事しているオスカーの膝の上に乗っかって抱きついて寝ちゃおうとしちゃうティナーシャのこの甘ったれ感ときたらもう。これでホントにもう鈍感というか無自覚で無頓着なんですから、オスカーの苦労が偲ばれますなあ……。

1巻感想





Unnamed Memory 1.青き月の魔女と呪われし王 ★★★★☆  



【Unnamed Memory 1.青き月の魔女と呪われし王】 古宮 九時/chibi  電撃の新文芸

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「俺の望みはお前を妻にして、子を産んでもらうことだ」
「受け付けられません!」
永い時を生き、絶大な力で災厄を呼ぶ異端―魔女。強国ファルサスの王太子・オスカーは、幼い頃に受けた『子孫を残せない呪い』を解呪するため、世界最強と名高い魔女・ティナーシャのもとを訪れる。“魔女の塔”の試練を乗り越えて契約者となったオスカーだが、彼が望んだのはティナーシャを妻として迎えることで…。伝説的webノベル、書籍化!


……もう好き!!

あらすじにある通り、伝説的webノベルなんですよね、これ。今隆盛を誇っている「小説家になろう」が本格稼働するよりも前。ウェブ上で小説を発表するのも、自分でホームページを作ってそこで掲載するのが主流だった時代に現れ、読者の心を鷲掴みにしてシャイニングウィザード決めてしまった名作中の名作なのです。古宮さんが【監獄学校にて門番を】で電撃文庫からデビューした時も、ペンネーム変わってるけど【Unnamed Memory】じゃないかーー! と狂喜しながら飛びかかったものでした。
あの頃から、はよ【Unnamed Memory】書籍化しましょうよ、しないの? しないの!? なんでしないのー!? とジタバタ転げ回っていただけに、本作がついにとなった時には捕れたてのエビのようにピチピチと跳ねたものです。
これねー、ほんとねー、オスカーとティナーシャのカップルが好きなんですよ。めっさ好きーー。大好き。個人的にはこの二人はカップルとして至高の一柱だと思っている。
悠久を生きる魔女としてどこか超越的な存在であり、超然とした在り方で時間の流れをたゆたっているティナーシャなんだけど、オスカー相手だとあのすっとぼけて冗談か本気かわからない物言いに調子を崩され、良いように振り回されて頭抱えて叫ぶはめになる。そんな二人のやり取り、掛け合いがなんだかんだともう傍目には滅茶苦茶仲良い風にしか見えなくて、打ち解けきった間柄にしか見えなくて、「よし結婚しよう」「しないから!」「まあまあそう言わず」「しないよ!」という感じの掛け合いにひたすら至福を感じるのであります。
でもティナーシャ、別に押しに弱いというわけではないんでしょうけれど、こうして一気に読んでいると段々と絆されているというか、距離感なくなってってるんですよね。オスカー、多分ティナーシャの外見年齢変わったときだろうけれど、あそこらへんからガチのマジの本気になってるっぽいのですけど、オスカーがわりと無造作に触れてきたりティナーシャを膝に乗せてご満悦してたりするの、拒絶もせずに自然と受け入れたりしてましたからね。あれ、絶対意識して受け入れたとか内心で許可出したとかじゃなくて、触れられることにまるで忌避感抱かず無意識に当たり前に受け入れちゃってたっぽいもんなあ。いやね、普通女の人が髪梳かれたり、膝の上に座ったりとか受け入れませんから。在りえませんから。
それでいて、本気で結婚とかしないから、別に好きでもなんでもないし、と思い込んでいる風なのがティナーシャのボケボケしている可愛らしいところでありまして。
まあそれはオスカーがそもそも言い方軽すぎて、好意は多分にあるだろうけど呪いがあるから選択肢なくてだろう、と思われても仕方ないところがあったわけですし。
それに、ティナーシャは悠久を生きる魔女。普通の人間とは流れる時間が異なっているが故に、同じ時間で生きることは出来ない、というどうしようもない事実は度々語られ、ティナーシャ自身がそれを明確に自覚し、意図的に距離を置こうとしていること。かつてオスカーの曽祖父の時代に一時期城で暮らしていたことが、なおさらティナーシャと普通の人間の時間の違いを強調する材料となっていて、オスカーの求婚を拒絶する大きな理由となっているのでありました。
まあ、それだけじゃないんですけどね。ティナーシャが独りであることを選び続ける理由は。だいたい魔女があかんのであったら、同じ魔女のルクレツィアをオスカーに紹介して押し付けてやる、とかかなりえげつないこと平気で言ったりしないでしょうし。まあ、ルクレツィアが恋人たくさんいるタイプの人というのもあったのでしょうけど。
結局、オスカーはティナーシャの心を手に入れるために、途方もない幾つもの壁を乗り越え、彼女自身が抱える傷に触れなければならなくなるのですが、この王子の図々しいというか図太いというか、無神経とは程遠い繊細さがあるにも関わらず、手段がこの上なく大雑把でゴーイングマイウェイはところはちょっとした無敵感があって、どんな状況でも痛快に解決してくれるような安心感や頼り甲斐が満載な人なんですよね。
これ、何気にティナーシャにも当てはまる部分があって、行き詰まるとわりと大雑把に力任せに解決しようとするきらいがあるような気がするので、けっこう似たものカップルな気がするのです。もっとも、オスカーの方がなんていうんだろう、厳重な鍵がついた扉をチャチャッと器用に解錠して開けられる状態にしてからわざわざ扉蹴破って中に押し入る、みたいな印象があるので、強かというかしれっとした余裕のある感じなのですが。その差が振り回す方と振り回される方を確定している気がするぞ、うん。
こうして読んでいると、覚えている展開とけっこう違う部分もある気がするので構成変えたり加筆修正もかなりしてるんでしょうね。
しかし、オスカー、イラストだとイケメンすぎる気がするなあ。いや、実際イケメンなんで間違ってはいないはずなんですが、もっとこう……食えなさそうというかすっとぼけてそうな鋼鉄メンタルがにじみ出てそうな顔つきなイメージってそれどんな顔つきだよw
まだまだこの名前のない物語ははじまったばかり。この世界観を、オスカーとティナーシャの世界をもっと深く堪能し耽溺することが出来ることを期待し望むばかりです。いやあ、もうほんとに二人の押し問答というかやり取り見てるだけで多幸感がたまらんですわー。

古宮九字作品感想
 

4月25日


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