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電撃文庫

バケモノたちが嘯く頃に ~バケモノ姫の家庭教師~ ★★★☆   



【バケモノたちが嘯く頃に ~バケモノ姫の家庭教師~】 竜騎士07/ はましま薫夫 電撃文庫

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『ひぐらしのなく頃に』の竜騎士07最新作、新たな鮮血の物語の幕が上がる

「磊一よ、私からの持て成しと、同じバケモノ同士への親愛の証じゃ。食え」
そう言って彼女が突き出したそれは、人間の“はらわた”だった――。
昭和25年晩夏。名家の令嬢の家庭教師として、村を訪れた青年・塩沢磊一。そこで彼が目にしたものは、死体のはらわたを貪る美しき“バケモノ”、御首茉莉花の姿であった。淑やかな令嬢の変貌は病か、それとも祟りによるものか……?
時を同じくして起こる少女の連続失踪事件。失踪者の特徴は、茉莉花の部屋で見た“それ”と一致していて……。
バケモノ姫の家庭教師・塩沢磊一がすべての謎を解き明かす――!!

ひぐらしの新アニメがはじまるのに合わせて、竜騎士07さんの最新作が小説で読めるということで早速手にとってみました。
ゲームのシナリオや漫画原作では幾つもの作品を手掛けている竜騎士07さんですけど、小説という媒体で見ると【ひぐらしのなく頃に】のノベライズが星海社から出ている以外では、本当のオリジナル作品はこれまで出していなかったんですよね。出てないですよね? 
【ひぐらしのなく頃に】は同人ゲームとして世に出た当時からハマった口でしたから、何だかんだと影響は大いに受けているはず。
しかし、読み始めてみるとなかなかしんどかったんですよね。
まずもって塩沢磊一のバケモノ論というかバケモノ語りがしっくりこない。うん、言っている事はオーソドックスと言っていいくらいの話だったんだけれど、どうにも飲み込みづらい。納得しづらかったのだと思うのです。それは、バケモノたちの間でだけ通るルールじゃないのか、と。一方的で、犠牲になる「人間」にとっては何の意味もないものなんじゃないかと。「人間」を踏みにじっておきながら、捕食される「人間」たちの事は一顧だにしないにも関わらず、自分たちは苦しみ藻掻いているのだ、と。ただささやかに自分たちが在る事を認めて欲しいだけなのだと主張しているかのようで。
随分と自分たちにばかり都合の良い、自分本位の、それこそバケモノみたいなロジックに見えて、胃の中が重くなるような感覚だったわけです。
でもその一方で、果たして本当にそういうことを主張しようとしているのか、と違和感みたいなものがこびりついていたんですよね。上記のように主張しているにしては、どうにも言がちぐはぐというかしっくりこないというか、読んでいてむしろわからなくなってくるというか、そもそも何を言いたいのかよく分からん! と、もやもやが募るばかりだったわけです。
いっそ、本当に独りよがりのバケモノ論を押し付けてくるのであれば、分かりやすいし反発にしろ様子見にしろ、物事が明瞭になるのですが、言いたいことの不鮮明さが作品そのものに霧がかかったように不明瞭な代物になってきたのでした。
それが、なんとも気持ち悪い。居心地が悪い。ちゃんと見て聞いて読んでいるのに、なんだかはっきりしない、何が繰り広げられているのかわからない。

で、はたと思い出すわけです。これ、ひぐらしのなく頃にを作った人の作品だった、と。

そうかー、そういう話だったのかー!
と、具体的に何が起こっていたのか、というのが明らかになった時、面白いほどにこれまで不明瞭であやふやだったものが、いっぺんにパーッと開けて霧が晴れて、もやもやしていた部分が振り払われたのでした。何が言いたいのか、意味不明だった部分に電気が通るように意味が通っていく。塩沢磊一の語るバケモノ論の本意が、そのただ一事が明瞭になったことで実にわかりやすく理解できる論へとひっくり返ったのでした。
まさに、なるほど! そうだったのかー! と、パンと手を打ってしまうように。
ああ、このどんでん返しはこの作者さんのおなじみの手管でありましたわ。
そもそも、登場人物の五感から得たと思しき情報をそのまま信じてはいけない、というのが大前提であるべきだったのかもしれません。今回は、本当に素直に見たまま聞いたままの情景をあるがままに受け取っていたものですから、それが全ての前提になっていたんだよなあ。
バケモノ姫のバケモノたる部分を完全に誤解したまま、すべてをそれ前提で解釈してしまっていたが故に、実際の世界と解釈を通して見ていた世界の齟齬が、そのまま気持ち悪さとなって何もかもを不鮮明にしていたのだろう。そしてそれが、この竜騎士07さんの特徴的な手法でもあるんだよなあ。ひぐらしのなく頃にを振り返ってみると、余計にそう感じるわけで。
でも、小説でこれをやられると全部がひっくり返るまでが本当にしんどかったんですけど。そもそも、塩沢磊一と御首茉莉花にまったく共感ができない状態でしたからね。
逆に齟齬が解消されると、塩沢磊一と御首茉莉花への共感が大爆発してしまうのですが。彼らバケモノたちの苦悩と、ルールを遵守しようと懸命に自己を律する姿に健気さ以上に敬意すら抱いてしまうほどでした。
全部が明らかになると、茉莉花という少女がどれだけ絶望し苦しんでいたかもよくわかるし、彼女のうちに希望が戻り人としての体裁を取り戻していく過程も、そこに健気なほどの初々しさが垣間見えるのも、しごく当然の姿だったんですよね。
何もかもをさらけ出しているようで、実際は心のうちのバケモノを、本当の意味で解き放たずじっと
抑え込んでいた、ずっと堪えていた我慢、克己心はむしろ立派と言えるほどで、だからこそ最後の外の世界に1人で踏み出していく、女性の自立など思いもよらぬ時代の中で、想い人を自分の力で追いかけていく勇敢さは、ほんとうの意味で強い女性である事と可愛らしい女の子である事を見事に両立させていて、実にヒロインしていたんじゃないでしょうか。

時代的に存在自体が許されず否定され踏みにじられ無かったことにされて消し去られようとするもの、いや現代だとて全否定しようという意思は無視できないでしょう。社会からは大手を振って受け入れられるものではないでしょう。
しかし、内なるバケモノが生じてしまえば、それはもう在るわけです。無かったことには出来ない。心は縛れない。それはもう、その人自身なのですから、それを否定されると、心の中まで否定されてしまえば、存在自体を否定されてしまう。
かと言って、内側からバケモノをはみ出させてしまえば、自由に野放しにしてしまえば、勝手な理屈をつけて表に出せば、それは人の営みを踏みにじる害悪となってしまう。
それを律することが出来るか、制御も出来ずに暴走させるか。
でもそれって、ただの普通の人が持つ欲望や感情も変わらないはずなんですよね。制御を失って、野放しに解き放ってしまえば、どんな欲望も感情も容易に他人を傷つけ、社会に害をなすことは何も変わらないはず。
昔ながらに心の中の自由すら許さないという主張する人たちの存在が目にとまる事が多くなったこのご時世、色々と考えさせられる話でもありました。

にしても最近よく漫画などで狩猟などで鹿など捕獲した動物を捌いて解体する場面を見ていただけに、ハラワタはアカン! 内臓のうちでも特に腸は傷つけるとエラいことになってしまう! という意識付けがされていたんでしょう。茉莉花ちゃんがハラワタをはむはむしはじめたのを見て、グロい云々とはまた違った意味でうぎゃーー、となってしまったんですよね。思えば、あれが「気持ち悪い」の発端でもあったのかもしれません。思えば、あれもまた茉莉花が名家の深窓のお嬢様であるが故の知識不足、という側面もあったのかもしれません。現代と違って、生き物の解体についてなんかも簡単に情報を手に入れる事は出来ないでしょうし、想像にも限界あるだろうしなあ。

ワールドエンドの探索指南(あるきかた)3 ★★★☆  



【ワールドエンドの探索指南(あるきかた)3】 夏海 公司/ぼや野 電撃文庫

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ついに垣間見えた、世界の真実とは――ボクと彼女のサバイバルファンタジー

地図と周囲の風景が違う? 探索を続け町を進行するタイキとヤヒロは、世界への違和感を強くしながらも、高層ビルの立ち並ぶ繁華街へとたどり着く。無数の落書きに迎えられたここは、どうやら2つの勢力が縄張り争いをする、戦場の真っただ中のようだ。
〈天文館〉と〈果樹園〉という二つの部隊は戦闘を繰り広げ、究極の〈秘宝〉を探し求めているらしい。そんな中で、双方に和解を呼びかける勢力、〈灯台〉に所属する陽羽里クイナと出会う。
目指す〈ミハシラ〉へは繁華街を通過しなければならず、タイキは両陣営とクイナを前に選択を迫られ──。

エグいなあ。黒幕の人、目的は自身が語ってくれていましたけれど、あれで一応本気で善意なのかも。いや、みんなを見下し嘲弄に染められているそれを善意と言っていいのか。結局、ゲートの保持が目的なんだからそんなはずないよなあ。
にも関わらず、さも自分は善意で彼らを妨害していたんだ、なんて事を平然と笑みすら浮かべて宣ええる時点でその性根は最悪である。
だいたい、ただゲートを保持するため爆発を阻止するのならやり方はいくらでもあったんですよね。なのに、わざと関係をこじらせるように誘導し、本来理性的なリーダーに率いられた穏当な集団を敵意どころじゃない憎悪というマイナスの感情に染め上げて、人間の醜い面を引き出すように誂える。あとは、見ているだけで殺し合いだ。目的を達するための殺害ではなく、殺すための殺しを行わなければ気がすまないまでに両陣営の精神を汚染する。目的を達成するためには不必要なそれは、悪趣味以外のなにものでもない。

そも、振り返ってみると最初に与えられた「天文館」と「果樹園」という集団の情報からして悪意たっぷりだったんですよね。どこの戦闘狂で人でなしの集団か、というような言い草でしたし。
しかし、実際に問答無用で殺されかけた挙げ句に同じ目にあった人からの中立の立場を装った立ち位置からの冷静な、これまで彼女が経験した実際に見聞きして両陣営と交渉した結果から抽出された情報、という形で出された話は実感とともに真実味があったんですよね。
タイキたちが両陣営のリーダーに直接対面しにいく、なんて真似をしなければ、実像はわからなかっただろう。
実際、完全に冷静さを失っている現場最前線を何とかくぐり抜けて、両陣営の幹部たちが集まる指揮系統の中枢までたどり着いて見ると、聞いていた話とまた随分と違ってきているんですね。
また、両陣営とも敵対するに至った理由を聞いていると、明らかになんかおかしい。いや、当事者からしたらそれ以外に真実はないのだけれど、第三者の立場から見てみるとどうにもおかしい。
ただ、これに気づけるのはやっぱり第三者ならでは、なんですよね。
だからか、早々に彼女がタイキたちに接触してきたのは。
予期せぬ形で、この状況に介入してくる第三者が、彼女がお膳立てしていた状況を台無しにしていた危険性に、速攻で気づいていたのかもしれない。でも、まずいちばん最初に接触することで一方的な情報を与えて誘導することは可能だし、そうでなくても近くにいればタイキたちが介入して変化する状況を、即座に修正することが出来る。狡猾だ。
話してみてわかるのだけれど、天文館、果樹園双方ともグループを指揮するリーダーが優秀なんですよ。単に能力が優れているというだけではなく、理性的でここまで憎悪が循環する状況でありながら、暴力だけに丸投げしてしまう思考放棄に逃げない粘りがあったんですよね。他人の話を聞くことができ、冷静さを失わない。人望も厚くカリスマもあり、半ば統制を失いながらもそれでもグループを崩壊させていなかったのはそれだけ手腕が優れていた、というのもあるのでしょう。
逆に言うと、これほどのリーダーに率いられながらも、彼らはほぼ一方的に良いように弄ばれてしまったわけだ。黒幕の悪魔的な人心操作の技術を感じさせられる。それも、最小の介入だけで、だ。

では、そんな彼女の正体はなんだったのか。
一応、彼女自身が全部タイキたちにバレたときに語ってくれているのだけれど、前提となる情報が殆どないだけに、彼女の立ち位置はよくわかんないんですよね。
そもそも、タイキとヤヒロはもともとどういう存在だったのか。彼らはどうして今、ここにいるのか。若者の姿で、ここにいるのか。かつて、彼らに何があって、今この状況におかれているのか。
断片的に夢という形で過去の様子を垣間見ることが出来るのだけれど、断片的すぎてやっぱりわからない! 世界の本当の姿、というのも今まで見聞きしてきたものに、ここで体験したものを含めてもやっぱり判断材料が少なすぎるんですよね。
具体的に語れるものが、今の所殆どない。

ただ、タイキとヤヒロは記憶のない昔から、分かちがたく離れがたい存在だった、という事だけは実感できたのだ。それがなんという関係なのかはわからない。兄妹なのか、恋人なのか、親友なのか、好敵手なのか。
死なば諸共、が一番二人を言い表している言葉だ、なんてヤヒロが言ってたけど、それって敵対している関係性の人間が、負けそうなときに地獄まで道連れにしてやるー、と相打ち覚悟で挑んでくるような状況を指すことばで、一蓮托生とはまた違う気がするのだけど。
なんにせよ、運命共同体。そう言い表せる関係だと、二人で実感して納得して受け入れて、それを良いと思えたのだから、それで十分なのかもしれない。
特にヤヒロは、その魂が欲していたものはタイキと一緒にいる、ということだけで十全だったみたいだし。今が、彼女にとって望み叶った状況なんですよね。振り返ってみると、タイキと出会ってからのヤヒロってなんか常に上機嫌、だった気がするぞ。

世界の真実の核心に迫ったようで、実のところ何がなんだかさっぱりわからないままではある。ミサキたちの正体と目的についても、前巻の最後にちらっと触れられたところから殆ど進展していないし。果たして、話はここから進むことが出来るんだろうか。次巻が出るなら、ありがたいのですけれど。



Babel II 魔法大国からの断罪 ★★★★☆   



【Babel II 魔法大国からの断罪】 古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸

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魔法大国ファルサスへ到着。しかしそこで知る衝撃の真実とは――。

幾度となく命の危険に遭いながらも、雫のひたむきな前向き思考と魔法士エリクの機転によって切り抜けてきた長い旅路。カンデラ城での禁呪事件を経た後も、行く先々で何故か騒動に巻き込まれながら、遂に二人は当初の目的地であった魔法大国ファルサスへと到着する。
日本帰還への糸口を求めて、ファルサス王ラルスとの謁見が実現するが……。

「──立ち去るがよい、外部者よ」

雫の存在を“ありえない異質”と断じ、冷徹な意志を持って王剣を突きつけるラルス。処断を逃れるため、自分が人間であることを証明するために雫が取った行動とは。そしてファルサス城の中で知ることになる、エリクの過去とは。
やがて解明されていく世界の謎。異なる世界の言語を教え合う中で少しずつ降り積もっていった違和感は、衝撃的な事実として雫たちの前に立ち現れる。

それ、その人!! リースフェンを迎えに来た人ーー!! イラスト付くとあからさますぎてちょっと笑ってしまった。これ、現在進行系でのみ電撃の新文芸から出ている古宮さんの作品を追いかけている人はどういう反応になるんだろう。ちょっと気になるなあ。
というわけで、ついにファルサス編に突入であります。その前にリースフェンというどこぞのお姫様みたいな逃亡者と遭遇したり、偽装結婚の替え玉にされそうになったり、と相応のでっかいトラブルには巻き込まれているのですが。いや、結構な頻度で巻き込まれてますよね。自分から首突っ込んでいるわけでもないのに。
とは言え、一つ一つはまったく関係ないような事件に見えるのだけれど、これが「言葉」にまつわる物語であるという根底でしっかりと繋がってもいるんですね。偽装結婚の話では、この世界の大陸の成り立ちにまつわる神話に基づいた結婚式が行われるのだけれど、その神話の内容、特に花嫁を迎えるエピソードに関しては、ラストで明らかになった言葉にまつわる認識の齟齬。雫の住んでいた地球と、この世界における言語についての成り立ち? いや発端? そもそも根本的に違う部分について発覚するのだけれど、神話で確かにそれを示唆するような内容が含まれているんですよね。
それはそれとして、偽装結婚の事件の当事者となる人たちについても言葉が重要な意味を持っていました。言葉によって傷つけられ、言葉によって満たされる。伝わらないと思い込んで言葉を費やさなかったことは、彼らに決定的な断絶と孤独をもたらし、でも最後の最後に彼と彼女はもう一度、今度こそは本当に伝え合うことが出来た。心重なることが出来た。それが、悲劇の後の終幕でしかなかったとしても。破滅は時として美しい。それが幸福に満たされての破滅なら、なおさらに。
ただ、雫には似合わない。
この娘はいつだって直球勝負だもんなあ。直球というのも違うか。無神経にズカズカ踏み込んだりとかしないわりに、理不尽さには憤るし背を向けて逃げたりしない。行きずりで出会ったばかりのリースフェンの境遇に怒り、彼女の自由を取り上げようとするものに向かっていったあれは、勇気とか正義感とかじゃあないんですよね。なんだろう、これを負けず嫌いとでも言うのだろうか。それとも正しい怒り? いずれにしても、彼女には譲れないものがあるし、それを踏みにじろうとするものには徹底的に反抗する。エリクは雫を頑固と評するけれど、頑固どころじゃないですよね。硬骨漢か! 
ただそれが権力者だったりしても、譲らないんですよね、この娘は。
ファルサス王ラルスに突然言いがかりめいた見に覚えのない理由で断罪されようとした時、エリクに身を挺して逃されて、それで一目散に一旦王城から飛び出しておきながらそのままの勢いで戻ってきて、アレですよ。
いやそれはおかしい。一般人は絶対、そこまで出来ないから。そんな一線を持っていないから。
でもそれは体を張ったとはいえ、会話を交わそうとしない相手に対して言葉を届かせる手段ではあったんですよね。無理やりグリグリと押し付けて飲み込ませるようなやり方でも、此方の言葉を聞かず一方的に自分だけが理解する理由で相手の意思を無視して結果を押し付けようとする行為に対して、ただ反抗するのではなく、それは間違いだと突きつける行為。
エリク、怒るよそれ。
でも、結果としてラルスと一応とはいえ交渉可能になった。いびってイジメてくるけれど、言葉は交わせるようになった。言葉をちゃんと聞いてくれるようになった。
そういう状態になっておきながら、わざわざラルスの土俵に乗って言葉以外のところで張り合って彼のイビりに真正面から付き合って、負けるかおらー、ってやってたのはやっぱり負けず嫌いなんじゃないのかな。
ともあれ、この娘は、雫はとにかく言葉を惜しむことだけはしない。自分だけで溜め込まずに、ちゃんとコミュニケーションを取ろうとする。思えば、異世界に飛ばされて身一つで見知らぬ土地に放り出され、そうでもなんやかんやと辺境の街で生活基盤を築き上げてしまったのも、彼女のそういう意思疎通を惜しまないところだったのだろう。
エリクは、その辺決してうまい方ではないと思うんですよね。でも、自分からなかなか見せようという能動性に欠けるだけで、問われれば問われた以上を返してくるし、押せばそれなり以上に押し返してくる。待ってたら、あんまり反応してくれなくなるけれど、そうじゃなかったら、この人はきちんと以上に対応してくれる、考えてくれて、慮ってくれて、実行してくれる。
その意味では雫とは相性ピッタリなんだろうなあ。
そして、彼の……エリクの過去は。ファルサスで彼が得てしまった喪失は、意思疎通の齟齬と欠如に基づいてしまっている。かの人の正体を思えば、最初からこれは行き場のない物語だったのかもしれないけれど、行き着く所はそこ以外になったのかもしれないけれど。
それでも、エリクにとっては清算の済んでいない傷だったのだ。でも、それを雫に話したことでなにかほどけたものはあったのかもしれない。自分のことを話すことは、許すことに繋がるのだろうか。
いずれにしても、伝える、という事の意味の深さをこの物語は常に意識しているように思える。

だからこそ、尚更に。ラストで明らかになった言葉にまつわる雫とこの世界の齟齬の大きさ、認識そのものをひっくり返すような事実にはドキドキしてしまう。心揺さぶられてしまう。言葉で意思を疎通する、という事そのものが、自分の中から生み出してきたものではなく、誰か大きな存在によって手を加えられてきたのではないか、という疑問のその恐ろしさに。
そもそも、生得言語なんて雫や、彼女の側に属する読み手にとっては発想すらないものですもんね。気づくわけがない。雫にとって、最初意味がわからなかったのも当然であるし、彼女と誰よりも言葉を交わし、彼女から異世界の言語を習ってきたエリクですら全く気付かなかったのも無理はない。
そんな両者の齟齬を暴くことになった、今子どもたちの間で流行りだしているという言語障害の病。それが病気ではない、という事実を理解できるのは雫と彼女との齟齬を正確に認識したエリクだけ。果たして、今この世界に何が起ころうとしているのか。ものすごく得体のしれない方向から忍び寄ってきた不気味な世界そのものを揺るがそうとしている変容に、これからどうなるのか。雫とエリクはどうするのか、と思った所でさらなる急展開である。
ああ、電撃文庫版ではここで打ち止めになっちゃったんですよね。ここまでやっておいてからに、そこで打ち止めって。いや、こうしてちゃんとカットなしでの再スタートを行ってくれたわけですから、むしろありがたいというべきなのか。
今度こそついに、ついに本作の真ヒロイン、というか雫にとってのヒロイン?の登場ですよ。もう顔見せはしてるけど。ある意味、ラルスのイビリは予行演習みたいなものですからな。王様相手だろうと一歩も退かずに張り合ってみせた雫である。耐性はついてるついてる、うんうん。



川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 2 ★★★★   



【川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 2】 川上稔/さとやす(TENKY) 電撃文庫

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・『幸せの基準』
 「意地汚い豚です私……!」弁当を、つまらなく食うヤツがいるんだなあ、と、そう思った。そんな“ウマメシ”少女と“マズメシ”少年の弁当交換会。

・『星祭りの夜』
 「女のプライド一本勝負です」彼は気付いていない。いやホント、困っちゃうくらい気付いてなくて困る。想い人に別の女性との恋愛相談をされてしまった家業が神社の私。得意の占いで彼の恋愛成就を手助けしようとするが……?

・『鍵の行き先』
 「……うわあ生々しい……」本を読んでいる間は、他を気にしなくていい。自分のことも気にせず、心に鍵を掛ける。そんな少年“俺”は、入部した文芸部で、風変わりな先輩に出会うが、彼女もまた心に鍵を掛けていた。

・『自由の置き場』
 「弟! 今、エロ本落ちてた!」自由ってあるじゃん。まあノーパン未満の自由ってのに、不意に気づいたんだ。元秀才女子と才覚男子の勉強攻略。

・書き下ろし短編『再会の夜』
 「お前はモブの自覚あんの?」夜の町で会ったら告白しようと決めた。何の話だっけ。ああ、ゴリラ女子の私と、オスの人類のちょっと恥ずかしい昔話をしようか。

 川上稔が贈る、最高にハッピーでキュンとくる珠玉のラブコメ短編集、第二弾!


第一話のヒロイン、早くに父を亡くし、母は深夜まで働きに出てて幼い妹の分もメシを作ることになった娘。長じて高校になった頃、母と自分と妹の分の弁当も作ることになり、という境遇を見るとなかなか大変なご家庭で、という風に見えるのだけれど、当人たちはそのあたり決して深刻には考えてないんですよね。弁当作りも、娘、楽しんでいるのだし。母も一人で子供を育てて夜遅くまで働いて、となると生活に疲れてそうだけど、むしろバイタリティ満タンでバリバリ働いてるの謳歌してる感じナノが結構似たもの母娘なのである。この二人の掛け合いというか関係がまた楽しくてねえ、好きですわー。このお弁当を作るという作業に纏わるお話だけでも充分に面白いといえるほどに。
この作品に限らず、この短編集のお話って短編という短い枠組みにも関わらず、ラブコメの舞台となる登場人物たちが置かれた生活環境や、人間関係がそれ自体で見てて面白い! と思えるほどにしっかりと、同時にはっちゃけて構築されてるんですよね。
二話の巫女さんの実家のフィジカル系恋愛神社の来歴とか。三話の文芸部の実像とか、最終話のギアナ高地に自分たちでなぞらえる地方都市とか。地元の短大をラブホという隠語で呼ぶのやめいw
このシリーズって、登場人物は具体的な名前が一切でないまま名無しで進行するのですけれど、固有名詞を必要としないほど、ありありと姿が浮かぶんですよね。
彼女たちが、どんな風な家庭で育ってきてどんな学生時代を送ってきて、どんな想いを描いて生きてきたのか、その在り方というのが人間像みたいなものがこうして描かれた背景、生活環境や人間関係や幼い頃から今に至るまでの凄くぶっちゃけた物言いの過去語りによってありありと浮かび上がってくるんですね。
だから、ラブコメがスタートした時点で彼らは凄まじく濃い存在感を焼き付けているのである。心の在りようというものを明瞭に見せつけてきている。だから、そんな彼女たちの人生の歩みの中にポッと現れた存在がものすごく目立つのですよ。いや、最初はやはりそこまで目立ってないんですよね。これまでの歩みを揺るがすような存在ではなく、紛れでしかないのだ。
でも、その存在を無視できなくなった時点で、それまでの彼女たちの在り方に影響を与えている時点でそれはもう大きな変化なんですよね。
弁当を交換するようになるのも、得た自由を自ら縛るのも、どれもが自ら邁進してきた歩き方を変えるに等しい。
それに気づいた段階でもう取り返しはつかないのだけれど、でも果たしてその取り返しがつかねー、となってるのは自分だけで、相手にとっては別にそうじゃあねえだろう、という気後れみたいのもやっぱりあって当然なんですよね。というか、この娘らどいつもこいつも傍若無人に見えて、なかなかの繊細さというか気遣いの娘さんたちで。唯一の男性視点のちびっこもまあそうなんだけど。
でもそれはそれとして置いておいて、気持ちを伏せるばかりではなくやっぱり気づいてほしいなあ、とアプローチもするんですよ……往々にして気付かれないんだけどな。
でもまあそれで怒るのは筋違い。なにしろ、自分だって往々にして気づいていないのだから。
今回特に「やっはー」となったのが視点側の彼女・彼が不器用にアプローチしている一方で、相手側も同じような感情曲線を辿っていて同じように不器用にアプローチしていた事に、気付かされるわけですよ、最後。気付かんて、そんなんー、と思いつつもそりゃこっちもだよね、と苦笑して、初々しくて乙女チックでやっぱり不器用な数々の気持ちを滲ませてチラチラを垣間見せるあれこれに、ひゃわにゃわー、となってしまうんですよ。
この双方向性は、この2巻は特に良かったなあ。
また、2話はその気遣いを失恋前提の条件故に自分のために使わずに一生懸命想い人のために費やしていた姿が、川上先生の描く巫女さんらしくて、キュンキュンしてしまいました。
こんな姿見せられたら、傷心だろうと一発撃墜だわさ。

まったく、一話残さずどれもこれもが最高のラブコメ揃いでした。加えて、パワーワードというタイトル通りの、なんかこうパワフルなラブコメでした。キャラのバイタリティがすごいのは川上作品の常だけれど、そのキャラのバイタリティがラブコメに全力投球されると、ほんと凄いパワー、パワーあるお話、パワー型ラブコメになってて、なんかこうキュンキュンするだけじゃなくて元気にさせられる感じすらありました。ああ、パワフルなハッピーエンドって最高じゃないですか?



川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 1 ★★★★   



【川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 1】 川上稔/さとやす(TENKY) 電撃文庫

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・『恋知る人々』
 「ホント、バッドステータス」私は人の心が読めると、そう自惚れた事はないだろうか。人の心が読める。そんな私に訪れた一つの変化――好き? 色恋? 私が? 無口系少女の不器用な初恋の物語。

・『素敵の距離÷2』
 「マー頑張って下さいよ少年」恋愛成就の「告白の木」が三本もある町。その一本をお気に入りスポットにしている私と、ある日、対岸の丘にあるもう一本の木の下に現れた黒のジャージ少年。300メートルの、安全な、卑怯な思い。

・『地獄の片隅で笑う』
 「笑ってよ。そうして欲しいんだ」地獄広場って、知ってる? 開かずの踏切とその周辺の喫茶店に集まる作家と編集者たちの奇妙な恋愛物語。

・『嘘で叶える約束』
 「こんにちは、虫です」よう、幽霊です。まあこの学校の学生みたいなことやってんだけどね、俺。そんなある日。俺のことが“見える”後輩が現れて……?

・『未来の正直』
 「巨乳、解りやすいよな」漫画家を目指していた少女の初めての挫折と、解決する感情。美術部の彼に「通じないと」そう言われたときから全てが始まる。

 川上稔が贈る、最高にハッピーでグラッとくる珠玉のラブコメ短編集、第一弾!
エッモぉぉいッ!!
そうかーっ、エモいってこういう感覚をいうのかー。はじめて頭で何となく理解するんじゃなくて、感覚として実感したぞ。エモいエモい、なるほどなるほど、これがエモいだっ!
というわけで、【境界線上のホライゾン】や【終わりのクロニクル】の川上稔先生によるはじめての短編集。鈍器じゃないよ、短編だよ?
鈍器云々以前の問題として、本作ってこの後の二巻も含めて実本では発売してないんですよ。電子書籍限定発売という形式になっていて、電撃文庫の公式ホームページにも載ってないでやんの。いやさ、電書限定はいいとして公式サイトに新刊情報が載ってないってなんなのさ。
まあそれは良いとしても、ラブコメですよ。考えてみれば、川上先生の作品って世界を救う物語であると同時に、どれもこれも壮大なラブストーリでもあったんですよね。それも主人公とヒロインのみならず、様々なカップルによって繰り広げられる恋模様が幾つも幾つも描かれていた物語。
都市シリーズもそうだし、言ってしまえばゲームセンターでひたすらシューティングゲームに青春を注ぐ【連射王】ですら、むしろあれこそ生粋のラブストーリーでありました。
そんなこんなで長年蓄積されてきたラブコメパワーの純結晶化として送り出してきたのが、この短編集なのではないでしょうか。ラブコメに関するあらゆる熱量と技術を凝縮したパワーオブラブコメ。それがこれらの物語なのです!(言い切った!)

『恋知る人々』

初っ端にして最高傑作。この主人公たる女性って、言うたら「サトリ」に近しい他人の心を読む、というか聞くか、この場合。声として聞けてしまう女性がそれまで他人事で恋愛相談なんかしてたのが、自分がはじめて恋をして、恋っ正直見くびってましたすんません!と土下座する勢いでパニクりながら、七転八倒しながら初恋にのめり込んでいくお話。初っ端にして、一番好きなお話でした。
女性視点のお話で、結構むき出しの心の言葉を思うがままに垂れ流しているような自由な言葉の本流なんだけれど、本能任せノリ任せの言葉垂れ流しのようで全体的にすごくロジカルでもあるんですよね。制御された垂れ流しとでも言うのでしょうか、野放図に見えて感情の推移が、どんな風に心の持ちようが変わっていくのかがすごくわかりやすく描かれてるんですよね。ほとんどが彼女の内なる言葉によって綴られていくのですけれど、この娘のテンションの上がり下がりも明瞭だし、一人称視点なのに周りの人たちの反応も含めて情景がとても浮かびやすい。
ここらへんの塩梅というか、描写力は流石だなあ、と言わざるを得ない。何も考えずに垂れ流してるだろう、というような言葉の綴のなかに、唐突に鋭い刺さるような言葉が投げ込まれてきたときのドキリとした感覚は、ちょっとたまらないものがあります。そういうぐにゃぐにゃしたものと凄まじく鋭い差し込みのバランスが、この一作目が一番エッジが効いてた気がするんですよねえ。
ってか、本作に限らずこの短編集の恋って、恋心って、グミみたいにぷにぷにして柔らかいのに弾力があって、好きだわー、超好きだわー。

『素敵の距離÷2』

ずっと見ていました、って卒業式に告白されるやつ。だいたい、告白される方視点で「え? なにそれ?」ってなるものですけれど、これはその「ずっと見ていました」側の女性からのお話。いや、彼女からしても見ている事をアピールしていたわけじゃないですよね。一人で見守ってそれで満足していたわけで。「推し」という表現にはちょっと笑ってしまった。でも、ずっとその男の子が頑張っているのを密かに見守り密かに応援していたことでちょっとモヤモヤしてくるわけですよ。この距離感の煩悶、陰ながら勝手に応援しているからこそ、相手からなんか期待するのは間違っている、と思うんだけど、ちょっと期待しちゃったりしてしまうので戒め戒め、な長きにわたる300メートルの距離感。人と人との距離って面白いねえ。


『地獄の片隅で笑う』

一杯二五〇〇円のコーヒーってすごいよな、すごいを通り越してエグいよな。果たしてどれだけ金持ちになれば、そんなコーヒー毎日飲もうと思うようになるんだろう。
これもいわば見守る系なのか。喫茶店の席から作家の執筆仕事をしながら、開かずの踏切で繰り広げられる人間模様を観察する日々。そんな中で一人、特に目にするようになった若造。彼を眺めるうちに、ひょんなことから彼が自分の本を携えていて、そこから彼に感情移入していくのである。地獄の広場と呼ばれる踏切前。それを隔てられた窓の内側から眺める彼女の気持ちがあるのはどちら側だったのか。それを外からの視点で教えてくれる喫茶店のマスター、粋ですなあ。


『嘘で叶える約束』

今巻唯一の男性視点のお話。だけど、この男、身体もなにもない幽霊なのであった。
とりあえず男を出したら全裸にしたがるのは、もはや性癖なのだろうか川上稔大先生w
女の子が指差してる指先に全裸の先端を持ってくるなしw 見えていないからといって、それはやりたい放題の類だからね。
唯一幽霊のはずの男の子のことが見えた転入生の女の子とのボーイ・ミーツ・ガール。いや、そこには裏があるんですけどね。これ、気づいたあとの女の子サイドの気持ち考えると結構大変だったんじゃないかな。幽霊くんはのほほーんと幽霊生活、まあ人恋しくて寂しくなって結構辛かったみたいだけれど、女の子の方はもっと混乱と動揺とが激しかったんじゃないだろうか。それをあんまり彼には見せなかったので、なかなか幽霊くんの方からは見えてこなかったけれど。
それでも彼女が勇気を出すきっかけになったのが、彼がどうしようもなく幽霊であるという自覚のまま、彼女との関係を維持しようとした事なわけで。うん、そうなのかな、どうなのかな。でもきっかけはあそこですよね。家に誘って云々。あの時点で、家に呼ぶけど意識はしないで、と言ってたのが、ラストではっきりとひっくり返して……あのセリフは、また直撃ですわー。


『未来の正直』

生き様が漫画家、というよりも生来の漫画家。物心ついたときから、息をするように漫画に没頭し続けた女が直面する、生の人間、生の男の子、生の恋。自分の漫画を読む他人。自分の漫画が他人に読まれるという革新。そこから生じていた感情が、恋だと気づいたときから始まる葛藤。恋という感情、或いは現象に対する分析がまたいいんだ。感覚を言葉にしていく作業、それを情動のママ漫画という表現に形作っていく情熱。魂をフル稼働するこのパワーの若々しさよ。青春だよ、これが青春だよ。青春とはパワーだよ、心の力だ。パワフルだ。ひゃー、熱い! 


さあ、間をおかず同時発売の2巻に行きますよ。


ドラキュラやきん! ★★★☆   



【ドラキュラやきん!】 和ヶ原 聡司/有坂 あこ 電撃文庫

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夜しか外出できない吸血鬼が現代日本で選んだお仕事は“コンビニ夜勤”!?

太陽の光を浴びると灰になってしまう存在、吸血鬼。夜しか活動できない彼らだが、現代では割と問題なく生活していた。
そう、なぜなら“夜勤”で働くことができるから――。
虎木由良は現代に生きる吸血鬼。バイト先は池袋のコンビニ(夜勤限定)、住まいは日当たり激悪半地下物件(遮光カーテン必須)。人間に戻るため、清く正しい社会生活を営んでいる。
なのにある日、酔っ払いから金髪美少女を助けたら、なんと彼女は吸血鬼退治を生業とするシスター、アイリスだった! しかも天敵である彼女が一人暮らしの部屋に転がり込んできてしまい――!? 虎木の平穏な吸血鬼生活は、一体どうなる!?
『はたらく魔王さま!』の和ヶ原聡司が贈るドラキュラ日常ファンタジー!

いや、夜勤でしか働けないって結構現代社会でも問題だとは思いますよ!?
昨今、日中でも平気で出歩くデイウォーカーが珍しくない吸血鬼界隈ですけれど、主人公の由良は陽の光に当たると速攻で灰と化してしまう正統派。それどころか、日が昇ると起きていられないほどの眠気に襲われてしまう、というのだから屋内での活動もままならなそう。尤も、力を使った直後でなければこれほど眠気に抗えないんでしたっけ? とにかく、活動時間は極端に制限されることになる。
ただ、彼にとって夜勤のコンビニバイトだけが社会とのつながり、みたいな結構孤独な境遇を予想していたのだけれど、肉親との交流はこれ並の親戚づきあいよりかなり深いし本邦の退魔集団みたいな家とも付き合いがあって、決して社会から孤立しているわけじゃあないんですよね。
【はたらく魔王さま!】と似たような設定ですけれど、こうして見ると結構コンセプトも異なっていることに気付かされます。あっちは特に当初は魔王や勇者が異世界からきて現代日本で地道に生活していく様子こそがメインで描かれていましたけれど、本作は日中活動できない吸血鬼がコンビニの夜勤バイトだけを収入源に、どうやって生活していくのか吸血鬼の日常譚、みたいな所は今回はあんまり重視されてないんですよね。
突然、生活圏に飛び込んできたアイリスとの男女の共同生活で起こる様々な細かい齟齬や妥協や同居生活はじめのあるある話、とかいうのもそう言えばあんまりなくて。わりとオーソドックスにアイリスが追う犯罪者吸血鬼の確保を巡って、由良が協力しつつお互いの理解を深めていく、みたいな当人同士の関係重視のお話になってましたね。
そもそも、アイリスも吸血鬼退治の専門組織から派遣されてきた、と言っても決して人外そのものを敵視しているわけではなく、男性恐怖症の彼女が男性を意識せずに頼れる相手としてむしろ由良に懐くというかしがみつく、というかバチバチ張り合ったり敵対し合ったりする関係にはならなかったんですよね。むしろ、思いっきりまとわりついてきていたような。自分のポンコツさを逆手にとって、おしかけ居候するあたりはやり手なんじゃないかと思うほどですし。
とはいえ、生活力がないわけではなく、むしろイギリス人であるにも関わらず料理上手ですし(偏見)。いやイギリスの飯がマズいと言われるのとイギリス人が料理うまいか下手かは関係ないんでしょうけどね。本人はイギリスじゃなくてイングランド人だと主張していますが。
ともかく、一緒に暮らすことでしばらく一人暮らししていた由良に家族という郷愁を思い起こさせるきっかけになるアイリスなのでありました。
今現在も、血縁の弟家族と深い交流がある由良ですけれど、今回は明言はされてなかったですけれど、どうも人の女性に想いを寄せていた過去がある節があったんですよね。寿命の差を意識しているようでしたし、亡くなった弟の奥さんにも思う所あったみたいだし、こうしてみると実年齢的にも爺さん!というほどじゃないけれど、若者にはないある種の人生の年輪みたいなものを垣間見せることのある人物像なんですよね、由良って。なので、アイリスにしても以前からの知人で由良を一方的に慕ってくる未晴に対してもどこか年の差を意識しているような接し方、自分の娘みたいな、とまでは言わないですけれど、自分が働いているコンビニのオーナーの娘さんに対しているのと似たような距離感が感じられるんですよね。
実年齢から言うと、娘どころか孫か曾孫でもおかしくない年齢差なのですが。なので、彼女たちの事はなんだかんだと手助けしてあげつつも、自分のことに関しては協力を求めたり利用したり、というのをあんまり考えておらず、自分の仇であり人間に戻るために倒さなければならない祖との対決でも自分一人でなんとかしようとしちゃうんですね。
それをおとなしく待っていられるようなヒロインたちではなく、むしろ無計画な由良の首根っこ抑えて自分達のプランに無理やり彼も同乗させる、という逞しさを見せてくれるのですが、こういうのも一人暮らし故の不安定な生活様式を、同じ生活圏に入ってきた女の子がパパっと整えてくれて、乱れていた夜型生活が一新される、のパターンの一つになるんだろうか。

今の所、アイリスの方の過去が定かではなく、男性恐怖症のおかげでろくに任務遂行できずに辺境日本に左遷されてきた、くらいしかちゃんと語ってくれていなくて、どうも家族関係にしてもなんで生活に支障があるレベルで男性恐怖症になったのかも不明なんですよね。本人は方向音痴や迷子の先で名物食べ歩いてたり、という図太さなどポンコツ面も強いのですけれど、何だかんだと能力的にも人格的にも優秀かつシスターとしても清廉で、人外相手にも偏見少なく気遣いも上手だったり、と良い子なのですが、果たして由良にどうしてあれだけ拘っているのかがちょっとした謎めいた部分でもあるんですよね。彼女の男性恐怖症って、男嫌いとはちと異なっていそうですし。ちゃんと普通に接することのできる異性である由良に拘っている、というのは恋とはまた違ったものみたいですし。まあ後から出てきた由良にアタックしまくる未晴にあれだけ張り合っているあたり、由良を意識しだしているというのはあるのでしょうけれど。
彼女に対する掘り下げは、次回以降になるのかな。
ただのコンビニバイトで生計立ててるフリーター、というには由良さん、吸血鬼としての能力が高い云々以前に、洞察力や人間力が非常に高いし、結構あっちこっちに(国家権力方面にも)顔が聞いて人脈も広かったりするので、いやなんでこの人コンビニバイトしてるんだ? と思ってしまう所もなきにしもあらず、なのですが。普通にアイリスに付き合って吸血鬼犯罪者の捜査や探索、潜入に確保など忙しく駆け回ることも多くなるので、バイトくらいが時間の融通きいて良い、という事なんだろうか。
ともあれ、ラブコメ風味もそこそこ強めみたいですし、人の社会に溶け込む人外たちと裏路地で相対するようなアイリスとのバディものとしての要素も全面に押し出されていますし、その意味では王道的な現代異能バトルものでありラブコメ、になっていくのでしょうか。次回以降もそのへん興味深く拝見ですね。

和ヶ原聡司・作品感想

はたらく魔王さま! 21 ★★★☆   



【はたらく魔王さま! 21】 和ヶ原 聡司/ 029 電撃文庫

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魔王城を打ち上げ、エンテ・イスラでの人間同士の争いも治めた魔王たち。残すは天界で神討ちに挑むのみ──だったのだが、その前にやるべきことがあった。魔王と勇者はじめ、一同が正装で向かったのは、千穂の自宅、佐々木家だった。
 千穂の父と会い、日本にやってきた当時のケジメをつけた魔王。しかし頂点会議から続く体調不良で、日常生活にも影響が出ていた。決戦を前に、見かねた恵美は魔王を心配するのだが──?
 最後まで格好つけられない魔王たちを待ち受ける、天界の真実とは。神討ちは成るのか。成ったとして日本での生活はどうなるのか――フリーター魔王さまと元テレアポ勇者の長い戦いもついに決着、庶民派ファンタジー、感動の完結!

10年も続いたのか。長い間お疲れ様でした。終わってみれば……これ、漆原がニートから脱却する話だったんじゃないの?
いや、このラストバトルってなんだかんだと漆原が主体になっていた、とも言えますし、親の軛から脱することでフラフラと当て所なく彷徨っていた彼が地に足をつけて生きていけるようになった、とも見えますし。
ただ漆原ことルシフェル、本当に長い時間フラフラしていたせいで大事な記憶も朧気になっていて、肝心の部分もこの最終局面に現場にたどり着いてようやく思い出す、という感じだったのでそもそも本人に当事者意識がなかったもんなあ。ダァトに関しても一番最後になって現れて、その姿がルシフェルそっくりだった、というのが結構重要な問題になっていた事に殆ど誰も気づいていないという顛末でしたし。
まあこの最終決戦である神討ちって余談は余談だったんですよね、本作においては。そのために千穂ちゃんが槍ゲットするためにエンテ・イスラではっちゃけたり、魔王城飛ばすためにみんなとっかえひっかえエンテ・イスラと日本を行ったり来たりと大忙しだったりしたわけですけど、やっぱり本作においてはエンテ・イスラの政治的な部分だったり戦争の部分だったり、決戦なんてものは余談だったわけですよ。そういう風な作りにしていた、とも言える。そういうのを、日本での日常生活と天秤にかけて日本での生活の大事さの方に比重をかけたかったのでしょう。少なくとも、日本で生活していた主要人物たちにとっては、日本での生活こそが大事という意識になっていたわけですから。
だから、最終決戦なんてものはアルス=ラムスの兄妹たちを開放して小さい娘を喜ばせる誕生日プレゼントであったわけですし、最終目標というのは千穂が思い描いた日本の小さなアパートの一室でみんなが賑やかにごはん食べてる光景をいかに守るか、てなものだったわけです。
守るだけではなく、先々までその光景を継続する、というのが千穂の願いであり彼女が本来の身の程を越えて頑張った理由でもあったのでしょう。千穂にとって、もうハッピーエンドに等しい時間はとっくの昔に彼女の前にあったわけですから。あとは、それを以下にして将来まで維持できるか、という問題が前にあり、恵美たち含め異世界組が元の世界に戻ってしまうなど憂慮すべき問題は山積みだったのを、あれこれ努力して解消していき、自分の願望をみんなにとっての願いであり望む光景として共有していくことに、千穂は見事に成功した、と言えるんですよね、これ。
最後には、みんな一致団結してそれを叶えるべく動く形になっていましたしね。
千穂個人の幸せとしては、真奥とお付き合いする関係になる、というのは勿論無視できない要素ではあったと思うのですけれど、最重要ではなかったと思うんですよね。そういう関係になれるのを踏まえて、みんな一緒の光景の一要素になれれば、という感じで。だから、真奥に対する独占欲みたいなものが薄かったんじゃなかろうか。彼女にとって、アムス・ラムスという娘を間に挟んでパパとママしている真奥と恵美、というのも彼女の望む光景にとって欠かせない要素だったわけですし。
恵美との関係についてもうるさく言わないどころか、寛容な態度をみせていたのはそのせいではないかと。
まあ、その千穂当人がなにやらエンテ・イスラの方に就職しそうな勢いではあるのですが。結構簡単に帰ってこれるだけにハードルは高くないとは思うのですが、あっちに行くとそのまま政治家ロード一直線っぽいしなあ。
個人的には、周りに変に気を使って忖度したりもせず、自分の感情に背を向けて色々繕ったりもせず、まっすぐに本心を曝け出して直向きに恋していた鈴乃のことは応援していたんですけどね。
一番こう、登場人物の中で乙女していたと思いますし。
しかし、なんでこの大司教さまは、異世界宗教の頂点近い地位に立ってるのにお遍路さんなんて仏教ロードに凝りだしてるんだ!?w

ちなみに、真奥と千穂の関係ですけれど真奥が何となく流れで受け入れるのではなく、ちゃんと千穂との出会いまで遡って彼女に対する気持ちを自己分析した上で、彼女が大事という気持ちに特別な感情があるのだと発見して、ちゃんとそれを踏まえた上で千穂に返答したことは評価してあげたい。
でも、悪魔だから恐怖を力に出来て、逆に愛情には拒絶反応、という設定は構造上は誠実に捉えてあって然るべき設定ではあったかもしれないけれど、物語上はちょっと面倒くさくてあんまり必要性がない設定だった気がするなあ。というか、真奥以外の他の魔族はこの問題どうするんだろう。真奥も先々種族間の分断に繋がりかねない問題だと認識していたけど。魔族でなくしてしまえば、解消されるにしてもそれ恵美がして回るわけにもいかないだろうし。
ちょっと、リヴィクォッコと岩城店長の関係に期待してしまったのですが、あれはまったく職務上の関係以上ではなさそうだなあ、うん。
逆に度肝を抜かれたのはやっぱりサリエルと木崎さんで、うんあれが一番驚いた。なにがどうしてそうなったんだろう。想像がつかないのだけれど、木崎さんのあの娘に対した時のキャラ崩壊してるんじゃ、という声音みると、あの人知らざる一面がまだあるに違いない、うん。
お付き合い、という面でみると三年後の場面の方で真奥と話す千穂ちゃん、もう敬語が抜けてるんですよね。あれは新鮮でしたけれど納得でもあり、順調にお付き合い進んでるんだなあ、と実感させてくれる小さくも丁寧な描写であったと思いますし、ちーちゃんが大人の女性になったんだなあ、と感じさせてくれるシーンでもありました。
芦屋と梨香はもうワンチャンないかなあ。

というわけで、結構ややこしくもなっていたセフィラやら天使関連の話もなんとか伏線を回収し終わり、三年後の場面と並行しながらの最終決戦はあんまり盛り上がらない事は想定済みだったのでしょう。そういう構成でしたし、というかこの作品の方向性そのものがラストを決戦で盛り上げるものではなかった、というのを徹底して貫いたとも言えるのかも。そういう手かせ足かせを嵌めたまま外さなかった、とも言えるのかも知れません。それは四角四面であったとも思いますし、また誠実でもあったとも思うんですけどね。
恵美ことエミリアはもうちょっと許されざる秘恋に葛藤するというかドロドロするというかねっとりしても良かったかなあ、と思うのですが、彼女なりにあの一夜のキスは精一杯のそれだったと思うので、それなりには堪能させて貰いました。
神は細部に宿る、を体現するような日常シーンの細かすぎるほど繊細な描写によって他の追随を許さない生活感のリアリティを常に物語そのものに根ざしつづけた本作、存分に楽しませてもらったと思います。長い間お疲れさまでした。完結、おめ♪

シリーズ感想


……でも、昨今のコロナ禍がこっちにも直撃してたら、真奥さんの会社もろにやられてそう、とか思っちゃうのがリアリティありすぎる世界観ゆえか。図らずも、梨香に語ったまおう組の顛末繰り返しかねないか、恵美のヒモですね、うん。

ストライク・ザ・ブラッド 22.暁の凱旋 ★★★★   



【ストライク・ザ・ブラッド 22.暁の凱旋】 三雲 岳斗/マニャ子 電撃文庫

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世界最強の吸血鬼と監視役の少女の物語 ついに完結!

異境(ノド)を制圧し、咎神(きゅうしん)カインの真の遺産である六千四百五十二発の眷獣弾頭を手に入れたシャフリヤル・レン。眷獣弾頭の圧倒的な威力の前に聖域条約機構軍の艦隊は壊滅し、三真祖たちも沈黙する。
日本政府は異境への『門(ゲート)』を閉じるために絃神島の破壊を決断。雪菜と那月を要石のあるキーストーンゲート最下層に派遣する。自らの手で絃神島を沈めることに苦悩しつつも、忠実に任務を果たそうとする雪菜。そんな雪菜の前に吸血鬼の力を取り戻した古城が立ちはだかる。
そのころ異境では、謎の仮想空間に囚われたアヴローラが、モグワイと名乗る怪しいぬいぐるみと接触していた―― !
世界最強の吸血鬼が、常夏の人工島で繰り広げる学園アクションファンタジー、ついに堂々の本篇完結!

いきなり雪菜の夜這いからはじまるという最終巻。この中学生すけべえすぎる。さすがに夜偲んできて襲いかかってくるようなヒロインは……あれ? わりと過半数に達しているような。
というわけで、長く続いたこのシリーズもついに完結。第四真祖の誕生の真実、咎神カインとは。三人の真祖たちの意図とは。などなど、シリーズ通して紡がれてきた物語や世界観の根底を担う設定や伏線などもほぼほぼキッチリと明かされたんじゃないでしょうか。総じてカインと彼を殺す為に生み出された初代第四真祖との友情の物語であり、その後始末を現代で古城くんが一生懸命に頑張るはめになった、と。まあ彼に言わせれば、こいつは自分の戦争(ケンカ)だっ、てなもんなのでしょうが。
しかし、モグワイはただのAIじゃない、とは最初期から感じてはいたんだけれど、彼を作った浅葱が天才すぎるもんだから、浅葱が作ったAIなら妙に浅葱からすら独立した個性や意志を感じてもおかしくはないよね、という微妙なライン上を走ってたんでどうにも判断つかなかったんですよね。最後まで。
その御蔭か、なんかあるかもとは思いつつも正体云々にまで想像が及んでいなかったんですよね。なので、アヴローラの前に出てきた段階でようやく「あれ?もしかして」と思ったくらいで、結構素直に驚きましたよ。そうなると浅葱のカインの巫女って思いの外直接的な意味でもあったのか。

ラストという事で総力戦であり、シリーズ通して最初のヒロインであり最後のヒロインでもあったアヴローラ、囚われの姫君との再会でもありました。って、折角のアヴローラとの再会シーン、そんなんでええんかい! いやもう古城らしいと言えば古城らしく、アヴローラらしいと言えばアヴローラらしいんだけど、もっとこう感動の再会とは行かなかったんだろうか。ほんと、長きにわたる別離からの邂逅だったというのに、唯里のツッコミも冴え渡りますわ。何気にヒロインの中で随一のツッコミ役になってしまった感のある唯里さんである。普段は一番温厚でツッコミとかには程遠い人格者のはずなのに、こんな子に何をさせるんだか。
しかし、唯里さんは仄かに古城に対して「イイなあ」という淡い気持ちを抱いていたからいいものの、むしろ父親の方の牙城の方に惹かれていた志緒や、古城に対しては特になんにも思ってなさそうな妃崎霧葉まで血の伴侶にしてしまってよかったんだろうか。霧葉さん、あれはツンデレ、てわけでもないだろうし。
というわけで、正式な12人の花嫁は叶瀬夏音、江口結瞳、ラ・フォリア・リハヴァインに仙都木優麻、藍羽浅葱、煌坂紗矢華、香管谷雫梨・カスティエラ、羽波唯里、斐川志緒、妃崎霧葉。んで、アヴローラ・フロレスティーナと姫柊雪菜。これでちゃんと12人。自前の眷獣を持っているアスタルッテは血の伴侶には慣れないものの、魔力連結はしているので事実婚状態。十三人居る!?
一度、暴走した古城を元に戻すために招集された12人の花嫁たちだけど、あの時は結局血の伴侶を集めて儀式して、という通常の流れにならなくて、暴れる眷獣ヒロインたちがぶん殴って正気に戻すというそれどうなの? 嫁怖い、というかなり力づくな流れで片が付いてしまったので折角の花嫁設定ががが、という所があったのですけれど、この最終盤になってもう一度仕切り直して血の伴侶たち12人の想いと力が合わさって、古城復活、という王道の流れが来るとは思いませんでした。ベタだけど、この整えられた流れは美しさすらあるよなあ。
そしてメインヒロインが12人いて誰一人として個性埋没していない、というのが何気に凄い。この中では煌坂とカス子が圧倒的イジラレ役になってしまいましたなあ。まあ最初からですけど。
煌坂がもう、チョロ坂さん、チョロいさんの面目躍如とイイますか、結瞳の夢魔の力にアテられてたからといって本音ダダ漏れすぎでしょう。どれだけ古城のこと好きなのを拗らせてるんだ、この愛人体質娘。おまけに、相手が最強の夢魔だからといって簡単に操られすぎである煌坂さん。魅了かけた結瞳ですらちょっと引くくらい完璧に洗脳されちゃってたし。普段よりスペック発揮してるし。なんかもう、あらゆる方向にチョロいよねこの人w
そして、古城だけじゃなくて多方面からも変なあだ名や呼び名つけられてキャンキャン鳴くはめになってるカス子さん。那月ちゃんにパッパラ修女騎士(パラディネス)とか呼ばれたのにはこっちまで吹いてしまった。なんかもう誰も雫梨とか呼んでくれてないんですけどw
浅葱はもう女帝としての貫禄が根付いてしまっていて、今回何気に一番ヒロイン的な活躍をしていたのって妹の凪沙だったんじゃないだろうか。結局、凪沙こそがアヴローラをはじめとした人造吸血鬼たちを救うための鍵となる存在だったわけですし、巫女としての役割をいかんなく発揮して本来手の届かない場所から、アヴローラに手を差し伸べる姿なんぞは美しさすらありました。この子、現在はやかましい中学生の小娘なんですが、将来美人になるんだろうなあ。父親と母親がアレなので、あんなふうにはなってほしくないですけど。
そして、本命の雪菜はというと。結構今回置いてけぼりというか仲間はずれというか。獅子王機関のエージェントという立場もあったので、一連の危機の中で絃神島の住人として動く古城たちとどうしても距離を置かないといけない、という所もあったのですけれど。
下手にどっちかを選べ、みたいな選択肢を突きつけるのではなく、監視役という雪菜のアイデンティティを最後まで尊重してあげたのは、古城くんらしいなあ、と思いつつ、そこはもっとグイグイと押して本当の意味で自分のものになれ、みたいな事もちょっとは言って欲しかった所もあります。
彼の朴念仁は結局最後までゆるぎもしませんでしたからね。いや、案外雪菜含めてかわいいかわいいは連呼していたような気もしますけれど、恋愛的な意味で古城がデレたかというと……最後まで変わらんかったもんなあ。個人的にはもう一声、古城くんの方から恋愛感情に目覚めた所を見せてほしくはありました。というか、責任取るところ?
まだまだ古城くんの長い物語は続くようで、この天部編は序の口、みたいなことを未来から来たあの子たちがこぼしてましたけれど、ほんと全部片付いて終わったー、という感じは全然しないんですよね。
わりと今までと同じような感覚で一つの事件が幕を下ろした、んですぐにまた新たな事件が……と続きそうな感じで、あんまり最終巻という感じしないんですよね。そのお陰で、長く長く親しみ楽しんだシリーズが終わっちゃった、という寂寥感も味わわずに済んでいる、とも言えるのですけれど、もうちょっと区切りの感覚も欲しいので、後日談的とかスピンオフ的なものは出して欲しいなあ。
ともあれ、9年近くにも渡って長らくお疲れさまでした。うん、ひたすら楽しかったなあ。


ダークエルフの森となれ -現代転生戦争- ★★★☆   



【ダークエルフの森となれ -現代転生戦争-】 水瀬 葉月/コダマ 電撃文庫

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褐色ギャル風ダークエルフとの同棲。そして種の生存をかけた戦争が始まる!

輝獣と呼ばれる自然脅威から日本を守る騎士候補生として学園生活を過ごす朝倉練介は、誰よりも駆動鉄騎の扱いに長け、優等生の仮面を被り、だがしかし温度のない日常に倦んでいた。
そんなある日、木の上から突如彼に飛びかかってきたのは、一人の黒ギャル女子高生……もとい異世界から転生してきたというダークエルフ、シーナだった。
挑発的な態度、嗜虐にみちた言葉、それでいて明るい、日だまりのような笑顔。そんなシーナに眷属として見初められた練介は、彼女とマンションで同棲を始め、やがて異世界から転生してきた魔術種たちの生き残りをかけたバトルロイヤルに巻き込まれていく。
これは世界から零れ落ちた二人の、大それた神話で――黙示録だ。

黒ギャルの装いとダークエルフって思いの外似合うなー。というか、これは絵師さんのデザインが素晴らしいというべきか。派手で享楽的な見た目の割に品の良さが伺えるのは、化粧のけばけばしさが見当たらなくてダークエルフという素体そのままだからなのだろうか。
というわけでダークエルフに、ヴィラン好きのグロ趣味を隠して品行方正の優等生として窮屈に生きる主人公が運命の出会いをしてしまう、というお話。主人公の趣味嗜好からして、水瀬さん元来のエログロ好きが詰め込まれていて、懐かしいというべきか相変わらずというべきか。
しかし主人公の練介は、ダークエルフを悪の象徴と見なして興奮気味に語っているけれど、実のところそこまでヴィランとしての印象ないんですよね、ダークエルフって。確かに、闇勢力側の種族として基本扱われているけれど、わりと悪役としては採用されてないんじゃないだろうか。ダークエルフの原体験というと自分はやはり【ロードス島戦記】のピローテスなのだけれど、ダークエルフのキャラでも最古参だろう彼女からして、決して悪役ではなく主人公と対をなすライバル役の恋人として、愛に一途なキャラでしたからね、そんな「悪」というイメージは全然ないわけです。
もっとも、練介の思い描く「悪」というのは犯罪的なものや邪悪で他者を傷つけるモノというジャンルではなく、アウトサイダー……。品行方正で誰の目からも清く正しく秩序だったもの、から外れたもの、自由で何ものにも捕われず、人から後ろ指さされるような後ろ暗さを抱いてしまうもの、というイメージなのだろう。
実際、シーナは自由奔放で規範に囚われず自儘に振る舞う人物だけれど、無闇に人を傷つけて喜ぶような悪質だったり悪趣味な人柄ではない。他者から虐げられることに傷つき、裏切られたことをトラウマのように抱えているある種真っ当な感性の持ち主である。
元の世界では嫌悪され排斥され問答無用で踏みにじられるだけだったダークエルフという種族そのものを、好きだと叫んだ練介に興味をいだき、ダークエルフな自分に隔意を抱かないどころか好意を向けてくる事に嬉しさを感じてしまう、その時点で彼女の感性というのは真っ当の類なんですよね。
むしろ、歪んでいるのは朝倉練介の方なのでしょう。その歪みは、親をはじめとした外圧によって無理やり押し込められ型に嵌められることで中身と体面との齟齬が軋みをあげて徐々に破綻しはじめていた事による歪みだったのでしょうが。
彼にとってダークエルフという悪の象徴は、自分を偽らずに型にも嵌められずに自由に自分を曝け出しているという憧れの象徴だったのでしょう。そしてシーナは、その思い込みから一切外れることのない彼の思い描くダークエルフそのままだった。閉塞感に狂を発して、投げやりに自死を選ぶほどに追い詰められていた練介にとって、それは今までのすべてを投げ捨ててもすがりつきしがみつくに十分な憧れの具現であったのでしょうか。普通はこんなに懐かれてはドン引きするし警戒もするんでしょうけれど、シーナにとっても彼の無窮の好意は、今まで望んでも得られなかったプラスの感情であり、どうしようもなくガッチリ凹凸がハマってしまったんでしょうな。シーナが、一時なりとも得られたと思ったそれを裏切りによって踏みにじられてしまった後だった、というのも大きいのでしょうけれど。
最初は二人共、ガワだけだったと思うんですよね。練介はダークエルフという象徴に夢中でシーナという個人を見ているわけじゃなかった。シーナも、その野放図な好意が心地よくて練介という青年については興味半分で覗き込んでいるような状態だった。
それがいつしか、練介が好きだ好きだ、と公言する相手がダークエルフという存在ではなく、シーナという個人へと変わっていっていたのはいつからだっただろう。練介自身は、最初から最後までダークエルフを悪の象徴として奉り、ダークエルフが好きだと言い続けているけれど、たしかにその好きはいつしかシーナという個人へと向けられているんですね。練介自身はその事に気がついていないのか。意識すらしていないのか。それは、体面を繕うことに人生の大半を費やし、生きるエネルギーの大半を注ぎ込んでいたが故の思考の硬化なのかもしれない。体面の奥に押し込めた自分の本音、素の気持ち、表に出せない趣味嗜好。いつしかそういう自分の本来の内面すらも、無自覚に型に嵌めて「本当の自分はこうなんだ」という枠に当てはめてしまっている気がするのだ。その「本当の自分」を一生懸命振りかざして、シーナに尽くしているけれど、どうにも「ダークエルフが好き」という主張だけが後半に行くほど浮いて見えるのだ。シーナへの一途なほどの好意、自分が変質しても変わることなく彼女と一緒に居続けたいと願う気持ちが自然で想いに満ち満ちているだけに、尚更にそれが「建前」に見えてしまう。いつしか、「本当の自分」という形が、自分自身に見せる体面になってやしないだろうか。練介の本当の気持ち、本当の想い、いつしか「本当の自分」から溢れ出して不定形の型にはまらない自由なものとして、自然に溢れ出しているように見える。
それだけ、朝倉練介という青年が押し込められていた型枠というのは、窮屈なものだったのだろう。押し込められていた内側にまで根付いてしまうほどに。
だから、ダークエルフという種族が好きという言葉とシーナが好きという言葉が重なった時、君と一緒に居たい、と。好きな子と、はっきり言葉に出来た時に、彼は解放されたのだと、思うのだ。
さながらそれは、世界を救う話なんかじゃなく、一人の青年と一人のダークエルフが孤独と閉塞から救われる話。
運命のようなボーイ・ミーツ・ガールのお話だったという事なのだろう。

http://yamata14.web.fc2.com/turezure/mi/minase_haduki.html

ワールドエンドの探索指南(あるきかた)2 ★★★☆   



【ワールドエンドの探索指南(あるきかた)2】 夏海 公司/ぼや野  電撃文庫

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“学園”を脱出したボクとヤヒロは、ミハシラを目指し、無人の街を進んでいた。しかし、進むにつれて凶暴さを増すミサキの出現や、物資の消耗に2人だけでの探索へ限界を感じ始める。そんな中、旧い前線基地の“工場”が近いと知り、補給のためにかつて“学園”が放棄したその施設へと向かうことに。そこで待ち受けていたのは、別拠点“教会”の遠征隊のメンバー、ツクシだった。たった一人で“工場”に立てこもるツクシに、敵対心を露わにするヤヒロ。他の探索メンバーの有無や、一人で見張りに立つツクシに不信感を持ったボクは、一計を案じ―。

こっれっはっ、気づかんわー! 分からんて!
視覚情報に完全に騙された。いやこれはちょっとズルくないですか? もう何も信じられないw
いやでも凄いのはタイキですよ、これは。ツクシとの出会いから合流までを再確認してみたのですが、こうしてみるとヤヒロの反応は正しい、というか普通のものだったんですよね。一巻では性格的には大雑把というか鷹揚で、他人から信用されていない事この上なかったタイキの事も端から信じて命預けてくれるような娘だったわけですよ。それが、この二巻ではやたらと刺々しいし、ツクシに対して警戒しまくるし、ああも他人を寄せ付けまいとするヤヒロはこれまでの印象とはまったく別だったので、キャラ変わった? と思うほどだったのですが……。いやこれは、ヤヒロでもそう反応するよね。むしろ、よくタイキの言うことを聞いてくれたというか、それだけタイキの事を信頼していたという事なのか。読んでいる最中は言うこと聞いてくれないなあ、とすら思っていたのだけれど逆じゃないか、実際は。
だいたいこの場面、反応というか対応がおかしいのは絶対タイキの方である。ってか、ナンナのコイツ? あの段階のあの場面で、あの咄嗟の状況でなんであんな冷静な対応が出来るの?
あれは、もう最初から可能性としてそれが「ある」と頭のどこかで考えを据え置いていなければ出来ない反応ですよ。だから、読んでいるこっちはまったく違和感に気づかなかったし、ツクシもまた微塵も気づかなかったわけだ。
あれ、タイキが当たり前のような顔しているから、ヤヒロの過敏な反応が単なるよそ者、一度攻撃してきた見知らぬ謎の人物、に対する警戒にしか見えなかったんですよね。
ヤヒロがそういうタイプの人間ではない、と知らないツクシからしたら、むしろヤヒロの方が当然の態度に見えたかも知れない。
しかし、そう考えるとタイキはほぼこの段階で、自分たちの目の前に聳えている「工場」の正体についてある程度当たりをつけたんじゃなかろうか。
さすがに中で何が起こっていたかについては、ツクシに聞くまでは知らなかっただろうけれど。
でも、それも聞いた段階で起こっている状況の大まかなところ、或いは原因の一番根っこの部分は気づいたんじゃなかろうか。
ヤヒロがぶっ倒れたあとのツクシが語ってくれたこれまでの体験は、その結論を補強し想定を具体化するための材料になったのだろう。でなければあれだけすぐに、教団側の探索チームが壊滅した、もうホラーじゃね?というようなSAN値直葬なケースへの対策を、お披露目出来るとは思えない。
いやほんとこいつどこまで見えてるんだ? ツクシに対しては勘働きを間違えたヤヒロですけれど、まず外さないその感性がタイキに対して全幅の信頼を寄せているの、よくわかったわ。
ヤヒロに関しても、一度ツクシに助けられてからのあのツクシへの打ち解けっぷりは、あれはあれで凄いのですけれど。いや、あれこそが本来のヤヒロというべきなのでしょう。

冒頭では、拠点を持たず流離うしかない二人きりでの探索に限界を感じているようでしたけれど、こうしてみるとこの二人と一緒に行動するというのは、能力云々とはまた別にこの二人の感性というか価値観というか、それについていける人でないと無理なんじゃなかろうか。
その意味では、ツクシという少女はついていけるか云々じゃなくて付いていってしまうというか、二人のハズレた所をわざわざ気にする余裕がないタイプだった気がするので、案外相性も良かったんじゃないだろうか。あの手先の器用さや雑務能力はヤヒロとタイキの二人にはない能力でしたしね。打ち解けてからのヤヒロのツクシへの可愛がりっぷりも、かなりお気に入りみたいでしたし。

これはツクシという少女の意地とも誓いとも取れる戦いの跡に、タイキとヤヒロが訪れたお話であり、その意志の強さにあらゆる意味でタイキたちが救われた話でもありました。タイキが作中でツクシに語っていたことですが、彼女が居なければまず間違いなく二人は教団の探索班と同じ末路を辿ったでしょう。あ、いやどうだろう。ああ言ってますけれど、タイキなら致命的になる前の段階で踏み抜かずに後ろに下がれたような気もしますけれど。
でも、ツクシが語ってくれた情報がなければ、彼女の存在がなければ、まずこの「工場」で何が起こっていたかの全貌はつかめなかったでしょうし、ひいてはこの世界の真実の一端を捕まえる事も叶わなかったでしょう。
そうこれ、この終わりを迎えたような世界の正体に、深く踏み込む展開でもあったんですよね。タイキは表に出ている部分は氷山の一角で、まだ相当の想定から推測からを既に頭の中で広げているんだろうな。
最後の最後で湧き出るが如くまた謎が吹き出てきましたけれど、次回でその深奥にたどり着けるのか。……道連れが、増えてくれると思ったんだけどなあ。


シリーズ感想

七つの魔剣が支配する VI ★★★★☆   



【七つの魔剣が支配する VI】 宇野 朴人/ミユキ ルリア  電撃文庫

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運命の魔剣を巡る魔法バトルファンタジー、待望の第6弾!

エンリコの失踪はキンバリーに衝撃をもたらした。二年連続の異常事態に教師陣も犯人捜しへと動き始め、ついには学校長自らの尋問が生徒へと及ぶことに。
不穏な情勢下で近付く統括選挙の時期。後継者を決めあぐねるゴッドフレイ陣営の前に、因縁の対抗勢力が立ち塞がる。
そんな中、人生を懸けて箒競技のタイム更新に挑むアシュベリーは、大きな壁にぶつかり苦しんでいた。彼女の助けになろうとするナナオだが、ふたりの華々しい活躍は選挙と無縁でいられず──。
一方でオリバーたちの前には、転校生の少年・ユーリィが現れる。軽いノリとは裏腹に高い戦闘能力を持ち、楽しげに校内を探って回る彼の目的とは──。


あの3巻でのオフィーリアとカルロスの美しい破滅を目の当たりにして以来、未だにどう整理していいのかわからない感情の行所が、またぞろこの巻を読んで胸の中に渦巻いている。
わからない。悲しいのか感動しているのか、当たり前の喜怒哀楽では表現しきれないどう捕らえて良いのかわからない複雑な想いが、激しく胸をかき乱す。
彼ら魔法使いたちの価値観は、この物語で描かれる登場人物たちの価値観は大きく一般的なものとは異なっている。それが常識として描かれることに、どうしても混乱が生じてしまう。置いてけぼりにされるのならそれはまったく違い世界の出来事として分けて捉える事ができるだろう。でも、この物語は凄まじい勢いで読んでいるコチラの気持ちを引きずり込んでいく。共感にも似た網でこちらを捕らえて、彼らが感じたであろう想いを共有しようとしてくる。読んでいるこちらの価値観では理解しきれないはずのものが、感覚的に同期されていく。だから、わけがわからなくなるのだ。この情動を表現する言葉がなくて、混乱する。でも、確かにそれを、感じている。それがどうにももどかしい。

彼ら魔法使いは、その在り方からして人外の存在だ。自らが見出した命題にそれこそ魂から殉じて捧げ尽くす理外の存在だ。しかし、同時に凄まじいほどの深い情を持つ者たちでもある。これは年齢の上下に関わらず、学年の上下も関係なく、教師たちもまた同様に、きっと普通よりももっともっと情によって形成されている存在なのだ。狂うほどに、愛に生きている。魔道の追求のためにすべてを捧げているようでいて、きっと彼らは愛のためにすべてを投げ売って在る存在なのだろう。今までずっと彼らの在り方を見てきて、そう思う。そう思うようになった。
だからこそ、道を踏み外す。だからこそ、憎悪に呑まれる。オリバー一党が復讐に狂奔することも、またその原因となったオリバーの母の死も、魔法使いたちのあの想像を絶するほど深い情愛こそが根底にあるじゃないか。
オリバーたち剣花団の関係を見てみるといい。あれが、ただの友情、ただの親愛で結ばれた関係だろうか。あのオリバーが自分の弱さを泣きじゃくるという幼い子供みたいな姿で曝け出してしまえるほど深く繋がった関係。それを見て取り乱すようにしてオリバーのもとに寄り添う面々。
あんな、深い深い情愛で重なり合った友情が、一対一ではなく6人のグループで結ばれ合う、いや溶け合うというほどになっているものを、自分は見たことがない。親友や一心同体どころじゃない。
でもきっと、彼ら剣花団ほどの関係はこの世界でも貴重ではあっても特別ではないのだろう。この作品で描かれた魔法使い同士の人間関係は、繋がりは、どれもが勝るとも劣らない深度の情で紡がれている。
元生徒会長のあのゴッドフレイへの敵対と執着ですらそうだ。いやあれは、勘弁して欲しいほどヤベえんだけれど、あの元生徒会長があの執着を剥き出しにさらけ出しながら、どちらの陣営も異常に思っていないあたり、あれですらも決して珍しくはない魔法使いの在り方なのかもしれない。

そんな彼ら魔法使いの、情を燃料として焚べるように駆け抜ける人生において、だからこそ「死」もまた無慈悲な悲劇、ではないのだろう。
魔法使いにとって、きっと死ぬことそのものは忌避するではないのだ。それは受け入れるべき結末の一つであり、それが自分の魔法使いとしての人生、在り方の完結としての死であるなら、寿ぐべき祝福ですらあるのだろう。哀しく寂しくとも、それは良き旅立ちなのだ。
だから当人たちにとって満ち足りた幕引きならば、見送る者たちはそれを黙して受け止める。それが連れ添う者の居る孤独ではない旅立ちなら尚更に。
死という完結は、完成は、だから神聖ですら在る。
なればこそ、その神聖を穢すことへの呪いは如何ばかりか。寿がれるべき死を、無残な形で台無しにし、そこにいたる魔法使いの人生そのものを踏みにじった事への憎悪はどれほどのものになるのだろう。
オリバー一党のあの妄執とも狂奔ともいうべき憎悪の所以が、少しわかった気がする。そして、オリバーを愛する従兄姉たちが、どうしてあれほどオリバーの苦しむ姿に魂を引き裂かれながらこの復讐を止めないのかも。
それがもう、オリバーにとっての魔法使いとしての命題となっているから。
それを輔けることこそが、従兄姉たちの魔法使いの人生となっているのだ。

でも、いつかオリバーはその歩むべき人生を引き裂かれるような気がする。情愛の深さこそが魔法使いの業ならば、剣花団の中での日々はオリバーの中に新たな命題を産み始めているのではなかろうか。それは、ナナオとはじめて剣で相対した日をはじまりにして。
それとも、この物語における魔法使いたちの価値観は、在り方は、オリバーの復讐と友情を、両立して果てさせる事が叶うだけのものを内包しているのだろうか。

ただ一途に魔法使いとしての生きて生きて、駆け抜けたアシュベリーの姿に、魔法使いの在り方の結晶を見た。その結末は、きっと満ち足りたもので幸福だったのだろう。きっとあれこそが、ナナオの思い描き目指すべき魔法使いの完結だ。
果たして、ナナオはあのように生きて、死ねるのか。
命を文字通り圧縮して、生き急ぐオリバーはそんなナナオに応える事が出来るのだろうか。二人は、剣花団の6人は、あのオフィーリアとカルロスのように、アシュベリーとモーガンのように、あの先輩たちのように存分に生きて、思い残すことなく共に逝ける相手を見出すことが出来るのだろうか。
アシュベリーとモーガンの最期の挿絵は、本当に幸せそうであのシーンの印象を決定づけてくれたように思う。
……ああもう、どんな最良の結末でも彼らが生きて幕引かれる姿が思い描けない。そして、それが哀しくともハッピーエンドなのだろうと感じてしまう時点で、この物語に随分と毒されてしまっている。
どうか彼らに幸せな良き結末を。ただただそう願うばかりだ。

シリーズ感想

新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 V ★★★☆   



【新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙 V】 支倉 凍砂/文倉 十  電撃文庫

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神をも畏れぬ女商人エーブの謀略を見事に退け、王国と教会による戦争の危機を回避したコルとミューリ。騒動も落ち着く頃、コルは自らを慕ってくれるミューリとの関係をはっきりさせなければとあれこれ知恵をひねり、ある方法を思いつく。そして調べもののため、かつて訪れたブロンデル修道院を目指す道中、コルとミューリは行き倒れの少年ローズと出くわすことに。彼はミューリの尻尾が飛び出るほど高名な聖クルザ騎士団の見習い騎士で、世界最強の騎士団が、悪名高い“薄明の枢機卿”のせいで壊滅状態だと訴えてきて―!?一時の休暇のはずが、またしても大事件勃発のシリーズ第5弾!

おおっ、黄金羊のハスキンズ翁、久々の登場である。ウィンフィール王国が舞台になれば、また再登場あるかな、と思ってはいましたけれどこのタイミングで、という事になりましたか。
ロレンスとホロ相手には塩対応、とまではいかなくても峻厳でどこか動かぬ岩を相手にしているような相対し方をしていた印象のある羊のお爺さん。ホロですら強く出られず、耳を伏せていたイメージがあるもんなあ。それだけに、コルとミューリの年少組がこの寡黙で厳しい老人とお話するのは辛いんじゃないか、と思っていたら……あれあれ? なんだかミューリには対応が柔らかいぞ? というか、ダダ甘だぞ? 羊爺さん、デレてますか? ミューリのこと、孫感覚ですか!?
ハスキンズさん、生意気と称したホロと比べてそりゃあミューリは可愛げの塊みたいな娘で、最初こそビビってたもののすぐに懐いてわりと遠慮なく無邪気に接してくるものだから、お爺さんちょっと嬉しそうなんですけど。
まあ爺馬鹿というだけではなく、ロレンスとホロの行く末がミューリという物証付きでハッピーエンド継続中という形で収まった事が、本当に嬉しかったからというのも大きいのだろうけれど。あの頃はまだホロは厭世的な部分があって、ロレンスと添い遂げようと決心ついてなかった頃なんじゃなかったっけか。だから、ホロの先行きをハスキンズ翁は決して楽観はしてなかったと思うんですよね。それがこうしてミューリがあの時ロレンスにくっついていた子供コルとともに自分を訪ねてきてくれた。
ハスキンズ翁がこうして本音語ってくれるとは予想外だったのですが、ホロたちが訪ねてきた事も彼にとってはとても嬉しいことだったそうで、あれで百年まだ頑張れる気力を得た、と言ってるくらいですから、ミューリたちの来訪はさらに百年重ねられたんじゃないだろうか。

さて、ミューリとの間に確かな絆を形であらわすために、二人だけで使う紋章を定めようと決めたコルとミューリ。兄妹というには実際には血が繋がらず、しかし聖職者になるために結婚はできない。しかし、今更離れることは能わず、きっと死ぬ時は一緒と信じられるほどに共に有り続けたいと願った二人。その思いを確かなものとするための紋章だったのだけれど、逆にその紋章を二人だけで使うためには、二人の関係をはっきりしたものにしなくてはならない、という事実が発覚してしまう。
そう言えば、ホロとロレンスも随分と長い間お互いの関係についてウダウダやってたなあ、とふと思い出してしまった。エルサにお互い好きなのになにウダウダやってんの! と一喝されて色々と関係が一新されたんですよねえ。
ミューリとコルの場合はまたホロとロレンスのときとは事情が違うので何とも言えませんけど。コル個人の信条の問題ですし。それでも、ミューリの求愛に応えれば即座に全部解決じゃん、と思ってしまうのも否めません。
最後に改めてコルってば、ミューリとの新しい関係について見出していましたけれど、さすがにちょっとそれしっくり来ませんよ? ミューリが騎士、というのもねえ。足元が疎かでふわふわしているコルの代わりに、足元に注意し迂闊を指摘しナニカにぶつからないように手を引いて歩くミューリを騎士と呼ぶのは、さて……微妙に色々と丸投げして頼り切りになると言ってるようなものな気がしてきたぞ。まだ兄妹であった方が兄として威厳があったようなw ミューリはこれはこれでご満悦かもしれませんが。

月を狩る熊の謎についても、ミューリによって新たな見解のアプローチが。新大陸に消えた、という話になっていたけれど、そういえばそうなんですよね。前から漠然と感じてはいたんですよ。人ならざる者、ホロたちのような獣の神たちの間では月を狩る熊はまさに魔王さながら、有名なんてものじゃないのに、人間たちの間であの熊の話って一度も持ち上がった事なかったんですよね。伝承ですらほとんど語られていない。ホロにしてもハスキンズにしても、古きものは何かしら伝承を残しているのに、一番有名になりそうな熊についてはあんまり聞かないなあ、と思った事がそう言えば狼と香辛料を読んでいる時にあった気がします。
まさか、そういう方向にアプローチしてくるとは予想外でした。これ、地味にコルにはショックな仮説だよなあ。
いやでも、コルにとって神とは実体のある存在として受け止めているわけではありませんし、彼の信仰の在り方を見れば、発端なんて究極的には気にしてもしょうがないもの、として割り切れる範疇なのかも。でもそうなってくると、教義とかにそこまで拘る必要もなくなってくるよなあ。

コル、すなわち薄明の枢機卿の活躍によって、ウィンフィール王国内で旧来の教会勢力が劣勢となってしまった、その余波でウィンフィール王国からの寄付で運営されていた教皇直属の聖クルザ騎士団、その中のウィンフィール分隊が存続の危機に立たされてしまう。
まさに、コルの影響によるもので、良かれと思ってやっていることでもどうしてもしわ寄せというのはどこかで出てきてしまうという事なんですね。誰が悪いというわけでもなく、しかしその道理をなかなか受け止められる人間は少ないわけで。でも、ウィンフィール分隊の隊長さんはその道理がわかってる人だったんですね。だからこそ、コルを悪者にして王国内の反抗勢力側について立場を確かなものにする、という安易な方法を取らなかった。それは身を挺して周りのすべてを守ろうという騎士としての誇りであり、しかし選んだ方法は茶番を演じることであり、騎士としての誇りを捨てる行為でもあった。つまり、自分だけが貧乏くじを引くことで全部丸く収めようという方法だったんですね。
でもそれは、コルの信条としては受け入れづらい事だったんですね。誰かに負債を押し付けない、みんなが幸いを得る。それが商人でも武人でもない、コルのやり方でエーブからすらも勝利をもぎ取り分配し直したやり方だった。
一時はこらえて隊長の茶番を受け入れようとしたコルだったけれど、まさに起死回生の発想の転換でした。しかしこれで、聖クルザ騎士団からも信頼を受けるようになったわけですから、薄明の枢機卿の名声は揺るぎないものになってしまったなあ。もうここまで来ると、一介の聖職者なんかに戻れないんじゃないだろうか。
ハイランド王子は、何はなくとも後ろ盾になってくれるだろうけど。この人、王族なのに人が良すぎて心配になる。ちょっとイイ人すぎやしませんかね!?


地獄に祈れ。天に堕ちろ。2.東凶聖餐 ★★★★   



【地獄に祈れ。天に堕ちろ。2.東凶聖餐】 九岡 望/ 東西   電撃文庫

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死神×聖職者。イカれた奴らのイカれた日常、再び!

みなさーん! 今日も元気に死んでますかー!? 亡者の街『東凶』より、DJフルソマがお送りいたします。
さて相変わらず悪人亡者を狩りまくる『死神』ミソギですが、なんと彼の前に 『本物の死神』が現れたというじゃありませんか。しかも超美人。いいなぁ!
更に『人喰い鴉』のアッシュが、なんでも食べちゃう最悪の『亡霊兵器』を追いかけてきたというから、この街はまたかなり物騒なことになりそうです。
……というかこれ、東凶壊滅のフラグビンビンでは?
じゃ、じゃあDJはお先に逃げるので、みなさん代わりに世界の終わりを見届けてくださいね! グッバイ!!
……え? 逃げ場、無いの!?


東凶巣怪吊と書いて「トウキョウスカイツリー」と読むの、結構好きかもしらんw
一巻では終盤になってアッシュが正気を取り戻して一人の人間として立ち直るまで、アッシュが本当の意味でイカレてしまっていたので、バディものとしての醍醐味を味わえたのはクライマックスに差し掛かってからだったんですよね。
しかし、この二巻では最初からアッシュがもうまともになっているだけに、スロースターターだった前回と異なり今回は最初からバディものとして全開フルスロットル。
そう、これだ、これが見たかったんだよ、というミソギとアッシュのお互い罵り合い実際手も足も出る喧嘩を繰り広げながら、一方でやたらと息ピッタリでシンクロしてるかのように戦闘ではお互いを補い合い、また以心伝心でお互いの意図を読みあい、時に強引に引っ張り回し、そのすべてがなんだかんだと相手への揺るぎない信頼に基づいている、というこれぞまさにバディアクションの完成形、という体を最初から最後まで目一杯見せてもらいました、やったね!
息をするように貶し合い殺気をぶつけ合いながら、いざミソギやアッシュそれぞれの信念や根源を揺るがすような事態を前にして思わず相方が立ち止まってしまった時は、荒っぽいやり方や口ぶりながら叱咤し背中を押すような気配りを見せるわけですよ。それが優しい言葉だったり親身な態度じゃなく、拳だったり皮肉全開の言い回しだったりするのが彼らなわけで。
傍目には本気で殴り合ったように見えて、実は叱咤激励してたりで男同士でわかり合ってるような態度に、思わずフィリスが「男の人って……」とため息をついてしまうあたりに、もう分かり味が尽きないわけでw

そのフィリスだけれど、彼女は彼女で以前のイカレてしまっていたアッシュの制御弁でもあった「姉」という役割を、アッシュが正気を取り戻して降りる事になったのだけれど、ある意味拠り所だった狂気を失い、姉の喪失を受け入れてしまったアッシュに、なおも寄り添い続けてるんですね。
以前と違ってちゃんと話が通じるアッシュは、前みたいに何をしでかすかわからない危なっかしさが取り除かれて、ちゃんとフィリスの言葉も聞いてくれるので、暴走するアッシュにひたすら振り回されて悲鳴を上げていたのが懐かしくなるくらい。いや、ほんとにちゃんと話も意見も聞いてくれるようになりましたよね。そのぶん、フィリスの押しも強くなったようで、アッシュの聞き分けが良くなったというよりもフィリスの手綱が効いているという方が正しいのかも知れない。ミソギと合流してからも、アッシュだけでなくミソギもまとめて彼女が引っ張っている節もありましたし。
ビシッと言い聞かせられて、思わず顔を見合わせるアッシュとミソギがまた良いシーンでありました。
フィリスもまた、こうしてみるとほんとうの意味でアッシュの相棒となってるんですよね。今度こそ、与えられた役割ではなく自分の意志で、アッシュのパートナーとして歩んでいく事を選んだ生き様は、まさに強い光のようで正気を取り戻すと共に絶望も思い出してしまったアッシュを照らす光となっているかのようです。

こうしてみると、アッシュにはフィリスという相方が出来ているわけで、そういう意味ではミソギにもパートナーがほしいよなあ、と思ってしまいますよね。それこそが、火楽木蓮というもうひとりの、そして本物の死神だったのではないでしょうか。
太平楽でどこか呑気な、閻魔の友人でもある死神の女。本質的には、ミソギと同じ方向を向いているキャラクターのはずなのだけれど、その一途さと優しさが生死の境界が喪われたこの東凶という場所においては駆け足になってしまったのか。長らく眠っていて、目覚めたら自分の死神としての在り方を根底から覆すような世界になってたら、そりゃ目を回しますわなあ。
そこから、亡霊兵器の襲来という偶然と地獄の閻魔との約束、迷い子たる少女の魂の懇願、と彼女の一途さをひた走らせ、願いを叶えるという特性を加速させる要素が加わったことで、木蓮に亡霊兵器の開花に便乗させることにだったのか。悪意ではなく、ただただ寂しい思いを慰めたいがために、世界そのものをひっくり返そうとしてしまった優しい死神。それは、ミソギみたいなヒーロー気質に人間にとって、好ましくはあっても忌避スべき相手じゃなかっただけに、まあ頑固者同士ぶつかりあってそれぞれの意志を貫き通すしかなかったわけだ。色んな意味で同レベルなもの同士でもありますし。
木蓮、それは嫌いという感情じゃあないんだよ、と教えてくれるような親切な人は幸か不幸かいなかったわけで、いやフィリスともう少し接触が増えてきたら結構ぶっちゃけて教えちゃいそうだなあ、フィリスたん。
相変わらず、ビジュアルの派手さが鮮やかに光景となって目に映るアクション描写。こういう映えるアクションを描ける文章は、この作者さん得意技ですよねえ。今回は最初から最後まで一貫してぶっ千切った痛快エンターテインメントアクションをやってくれて、その上でバディものとしてもこれぞ、という大満足の仕上げで、大変ごちそうさまでした。うん、期待して見たかったものを十全見せてくれた、という感じです。前に物足りないなあ、と思ったところを見事に全部埋めてくれました。ありがたし、ありがたし♪


叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 3 ★★★★   



【叛逆せよ! 英雄、転じて邪神騎士 3】 杉原 智則/ヨシモト   電撃文庫

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二人の王女と一人の騎士――今、決断の時! 英雄のチグハグ世直し第3弾!

邪神を討ち倒した英雄ギュネイは、敗戦国ランドール王国の荒廃ぶりを見かねて手助けを重ねるうちに、救世主〈黒狼の騎士〉として祭り上げられてしまう。
そんななか、〈純潔の聖女〉エリシスの暗殺計画の情報を得るギュネイ。居ても立ってもいられず、ランドールの姫・ミネルバに暇を乞うが……

「これまでよくぞ仕えてくれました、と言うと思いましたか? 許しません!」
「ええっ!?」

時を同じくして、それまで沈黙を貫いていた不死騎士団残党が王都に押し寄せてきて――二人の王女の間に立つギュネイ、今こそ決断の時!?
邪神王国復興物語、第3弾!


完全に続きが出るの諦めていたので、新刊情報にタイトルが出た時は思わず声が出てしまうほど驚いてしまいました。音沙汰なくなってしまってそのまま幕引きか、と思われている作品でもこうして復活するという前例を作ってくれたのは希望そのものです。
さて、前回は衝撃的というのもまだ生ぬるいほどの欠片も頭の片隅になかった衝撃的な展開に、ある意味打ちのめされ、ある意味胸を突かれ情動を噛みしめることになったのですが。
ギュネイからすると頻繁にあるわけではないにしても、決して珍しいことではなかったのかもしれない。でも、あんな風に感謝されて約束を預けられていく事はなかったんじゃないかな。
彼が見ている世界。魔鎧によって死者の姿と声を聞けるようになってしまったギュネイにとって、語りかけてくる死者は常に傍らにある存在で、いつしか彼は死者と生者の区別が付きづらくなっていき、それが高じて死そのものに忌避感を感じなくなっていく。生きていることも死んでいることも変わらない。そんな生死の境界への認識の曖昧化は、彼から生きることへの尊さと死を迎える事の重たさを見失っていく。もし、そのまま行けばギュネイは、英雄竜騎士は亡者の想念に飲まれて生きながら死者の騎士になっていっただろう。
そんな彼を生者のもとに引き戻したのは。生きていることの素晴らしさと、死の冷たさを恐怖を、死とは喪われることなのだという当たり前の事実を突きつけた人こそ、聖女エリシスだったのである。
もうこれ、ただの仲間とか密かに思いを寄せていた姫とかいうレベルじゃないじゃないですか。身を挺して、自分を黄泉から連れ戻してくれた人。自分のために必死になって、比喩ではなく命を賭けて助けてくれた人。ギュネイにとって、もう唯一無二の相手じゃないですか。掛け替えのない人、大切な人という言葉では到底足りない人。
……なんで、そんな人放ったらかして樵なんかしてたんだ、こいつは。
聖女エリシスに危機が迫っていると知った途端に、何もかもを放り出してエリシスのもとに駆けつけようとするギュネイ。
いや、放り出せるはずないじゃないか。
ギュネイは自分でも自分のことを正確に分析しているのだけれど、この男とにかく目の前の事にしか考えが及ばないんですよね。とにかく、目の前の理不尽を見捨てられずにひたすら対処療法で対応していくものだから、にっちもさっちもいかなくなるのである。
一応、先々の展望も考えて想定して動こうとしているのだけれど……どう見てもそれ願望ばかりが混じってて、全然うまくいきそうにないのよねえ。全部自分の都合の良いように動いたらそうなるでしょうねえ、という見通しばかりで甘いよ、考えが甘すぎるよ!
と、思ってたら速攻お暇願ったミネルバ王女にダメ出しされる始末。気持ちよく見送ってくれるに違いない、とか何を考えたらそう思えるんだw
なまじギュネイって、あとでちゃんと冷静になって落ちついて相手の身になって考えればちゃんと相手の言い分にも納得できてしまうので、考え方が甘い割に相手の言い分に納得させられてしまう事も多いんですよね。とはいえ、それは納得できるだけの理由があればこそで、理不尽な相手には相応の剣をきっちり振るっているからこそ、こうして英雄として持ち上げられるだけの結果を出し、悪しき敵を討つ形になっているわけですが。
またそういう時に理不尽を見過ごしたり出来ず、悲劇を見捨てられないからこそ、厄介事にまめに首を突っ込むはめになり、挙げ句にかつての敵国で謎の英雄として持ち上げられ、今下手をするとかつての仲間と敵対しかねない立場になってしまっているわけで。
世渡り下手もいいところなんだよなあ。
でも、今も昔も彼の周りに集うのはそんな不器用な彼を利用して使い捨てようとするような人間よりも、彼のその行いを信じて慕ってくれる相手なんですよね。見る目は、確かなんですよねえ。
ミネルバ王女も、不死騎士団のクルスもこの動乱をギュネイと共にくぐり抜けたことで確かに覚醒に近い成長を迎えているのである。
それは、自分の理想や願望に溺れる事を許してもらえず、現実に直面させられ否応なく向き合わざるを得なくなった結果かもしれなくても。それを強いてきたのは、彼らに救いの手を差し伸べてきた謎の騎士「黒狼の騎士」たるギュネイだったとしても。
だからこそ、彼のことをどこかで恨みながらも慕わずには居られないんだろうなあ。
特にミネルバ王女は、一皮も二皮も剥けてとても神輿なんかじゃ収まらない、女傑へと変貌しつつある。あの不死騎士団の残党たちとの会見での圧倒的なまでの貫禄は、キャラクターとしての魅力としてもヒロインとしての存在感も、見違えるものを見せてくれましたし。
これほど強くなったところを見せて、そして同時にギュネイに対しては弱い部分を叩きつけるくらいに見せてくる。なんか駆け引きも海千山千のものになっていて、これどうやったってギュネイ、この娘さん見捨てられないでしょう。そういう風に、見事に自分を位置づけてみせたミネルバ王女の躍進は拍手喝采である。
でも、ああやって安易に約束してしまうのはギュネイの軽率さ以外のなにものでもなく。こいつ、絶対に約束とか破れない性格しているくせに、先のこと考えないでその場で自分の頭が回る範疇で判断してどうしようもない約束してしまうの、絶対前から何度もやってるぞこいつ。
それで、いろんな女性から恨めしがられるのだ。
ただでさえエリシスにミネルバという二大巨頭が両立してしまい、しかも立場上状況上、二者択一の選択を突きつけられてしまう中で、完全に厄モノでしかないものにまで引っかかってしまって、どうするんだこれ。本気でどうするんだ!?
ギュネイの従者で彼に今の状況を正確に知っているリーリンが、エリシスのもとにまでたどり着けたというのはどん詰まりの状況を打破する光になるのかも知れないけど、放っておくとどんどん自分でどん詰まりにハマっていくギュネイの元から、なんだかんだとしっかりしていて苦言もていしてくれるリーリンが、あまり効力を発揮できてなかったかもしれないけれどそれでもお目付け役として機能していたはずのリーリンが、いなくなってるという状況はなんかもうギュネイが頭からドツボにハマる前フリにしか見えないんですよねえ。実際、そうなってってますし。
それでも、エリシスが国元からこちらに来ているというのは、状況がもっと最悪になる可能性もあり、一応手の届くところまで来てくれたということで最悪の中の本当の最悪は回避できる可能性のようでもあり、ともかく本番はここからなんですよねえ。
ある意味物語としてキリのよかった前回と違って、今度は本当に次回に続くになっているので、ちゃんと遠からず続刊が出てくれることを信じたいと思います。祈りたいと思います。

Babel I 少女は言葉の旅に出る ★★★★☆  



【Babel I 少女は言葉の旅に出る】 古宮 九時/森沢 晴行 電撃の新文芸

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現代日本から突如異世界に迷い込んでしまった女子大生の水瀬雫。剣と魔法が常識の世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女だったが、魔法文字を研究する風変わりな魔法士の青年・エリクと偶然出会う。

「――お願いします、私を助けてください」
「いいよ。でも代わりに一つお願いがある。
僕に、君の国の文字を教えてくれ」

日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。その旅路は、不条理で不可思議な謎に満ちていて。――そうして、運命は回りだした。
これは、言葉にまつわる物語。二人の旅立ちによって胎動をはじめたばかりの、世界の希望と変革の物語。


以前、電撃文庫から出た【Babel ―異世界禁呪と緑の少女―】と【BabelII ‐剣の王と崩れゆく言葉‐】の二巻。残念ながらこの二巻で打ち切りになってしまったシリーズの、これリブート版なんですよね。
ちなみに、前の感想がこれ。




この物語の核心ともなる「言葉」に纏わる謎は、シリーズ全般を通して徐々に明らかになっていき、そのクライマックスで劇的にすべてをひっくり返してくれる構成になっているんですね。だからこそ、まだ前フリの段階で打ち切られて終わってしまった時にはぐったりと打ちのめされて突っ伏してしまったものですが。
こうして改めて新文芸の方で再スタートしてくれるとは。同じ世界観でもある【Unnamed Memory】シリーズが好調というのもあったのでしょうけれど、うれしい限りでした。
ちなみに、本作は【Unnamed Memory】シリーズが展開している時代の300年後という事になっているそうです。ファルサス、今やなんか魔法大国になってますし。
ともあれ、リブート版という事で内容自体はまだ前回までと同じところですし、再読♪くらいのつもりで読んでたんですけど、読んでたんですけど、読んでたんですけど……。
んんん? なんか、読んでも読んでも終わらないというか、もう既に文庫一冊分くらい軽く過ぎてるはずなのにまだ終わらないけど、文庫版の第二巻ではファルサスに着いてるはずなのに全く到着する様子が見えないのに、まだまだ話が終わらないぞー!?
というか、なんか前と中身の分量がぜんぜん違うーー!?
と気づいた時には数時間が経っていました。違う、エピソードの密度が全然違うー。
後書き見たら、なんか文庫版では半分削ってましたー、とか仰ってるし。おいおいおい、どんだけ削られてたんだ文庫版。一応ウェブ版も文庫版を読むよりも随分と前に全部読んでいたんですけどね、そう言えばなんか文庫版読んだ時、昔読んだときよりもだいぶサクっと各エピソード終わっちゃった気がするなあ、とは思った記憶があるんですよね。
ウェブ版は確か最初から最後までほぼほぼ纏めて読んだんで該当箇所がどれだけの分量だったのかなんて具体的にはわからなかったものですから、ブラッシュアップしてスリム化したのかなあ、とは思っていたのですけれど、半分削って再構成してたって多くないですかねそれ!?

ともあれ、本作こそが原文に近いスタイルになっているということですか、なるほどー。

しかし、改めて見ると雫って自分でも気づいてますけど、一人で出歩くたびにトラブル巻き込まれますよね、この娘。別に彼女の不注意とかではなく、向こうからトラブル降ってくる不可抗力なんですけど、これだけ頻繁に巻き込まれたらそりゃエリクも目を離せなくなりますわ。安全なはずの町中ですら、容易に巻き込まれてますし。
かと言って過保護にべったりといつもくっついているわけでもないあたりがエリクのサッパリした所で。それなりに面倒見が良いからこそ、雫の旅についてきてくれているはずなんだけど、ベタベタしていない適度な距離感を保ち続けるのがこの青年の不思議な所なんですよね。他人に興味がない、と公言していて、雫に対しても異性を意識させる振る舞いをしないからこそ、二人で旅していて夜なんか一緒に眠ったり宿の部屋を同じにしていても、妙な雰囲気に一切ならないのですけれど。この距離感は独特だよなあ。
それでいて、雫を突き放しているわけではないんですよね。湖底の遺跡に引きずり込まれた時なんかは、走り回って助けに来てくれたわけですし。わりと身を挺して雫の安全を図ってくれたりしている。
この新文芸版になって、エリクの雫への興味というか関心? 彼女に対する思いやりの質感というものはより深く描かれているような気がします。ちょっとした彼女に対する反応や仕草、時折挟まれるエリク自身の感想などから、情動そのものが低温であまり動きを見せないこの青年の雫への「親身」がより伝わってくるような。
逆に、雫の方も突然異世界に放り出された中で、自分とずっと一緒に居てくれているエリクという青年への感謝の思いというのは、並々ならぬものがあるんですよね。それでいて、雫の方もあんまりベタベタしていないのも面白いところで、この旅の道連れ二人は不思議なほどさっぱりとした空気感で成り立っているように見えるのです。でも、一度どちらかが窮地に陥れば、絶対見捨てることなく危地へと飛び込んでいくんですよね。エリクも雫も、まともに戦う術も持っていない人間にも関わらず。
特に雫の方は掛け値なしにただの一般人で特別な能力なんて何一つ持たないのに。途中で一人ぼっちの所を拾って一緒に行くことになった使い魔のメアも、中級魔族とは言えそこまで強い力を持っているわけではありませんから、そんな便利な能力として扱えるものではありませんし。
それでも人づてを辿って協力を取り付け、また自分から渦中へと飛び込んでいく様子は何なんでしょうねこのバイタリティ。
雫自身、優秀で目立つ姉と妹に挟まれて、自己主張もあまり出来ずに姉妹にコンプレックスを抱いている何者でもなく何も持っていないつまらない人間だ、と自分を定義してしまっているのですけれど。
エリクが地味ってことはないでしょう、と若干呆れながら言っているように、絶対雫が自分で思い描いている雫と、傍から見た雫って違うんですよね。全然違うんですよね。こんな地味っ子がいるかー!! 異世界に突然身一つで放り出されて砂漠の真ん中で立ち往生、から速攻で生活基盤整えてしまったように、この娘ってなにげに適応能力が半端ないというかどんなところでも生きていけるようなバイタリティの塊みたいな所あるんですよね。これで凡人ってなら、彼女を目立たなくしてしまうほどの姉と妹ってどんだけの人物だったんだよ、と思ってしまう所なんですがまあ他人の庭の芝は青いってやつなのでしょう。

また、よく注意して読んでいるとエリクと雫が二人で文字や言葉について話しているときに、不可解な違和感が介在するんですよね。エリクは雫の旅についていく報酬の一つとして、雫から彼女の世界の言葉や文字を学ぶことを選んでいるのですけれど、その会話、意思の疎通に妙な「齟齬」が挟まるのです。まず最初に、雫が自分の名前をエリクに告げる所からそれははじまっているのですけれど、この齟齬こそが物語の根幹へと通じていくんですねえ。ってか雫はまだ全然気づいていないみたいですけれど、エリクは途中からその違和に気づきだしているのが面白いというか何というか。
異邦人、真に外から来た存在である雫にとって言葉こそ通じるものの、この世界には寄って立つものはなにもない。その宙ぶらりんの足元のおぼつかなさ、不安感、元の世界に戻れないのではないかという恐怖。どれだけバイタリティに溢れて闊達に過ごしていても、その奥底にはいつだって怖れがある。死地に近いさなかにエリクを助けに飛び込んでいったのだって、数少ないこの世界のよすがであるエリクの存在を、自分から手放すことが恐ろしくてたまらなかった、というのも彼女自身の性格や勇気以外の側面としてあった事でしょう。
そして、この巻のラストに遭遇した禁呪は、この世界の負の側面は彼女のことを異物として排除しようとしてきた。
元々、姉妹の狭間にあって自分の中に寄って立つものを見いだせなかった雫。家を出て一人暮らしを始めることで、姉妹から離れることで自己を確立しようとしていたという自己分析をするほどに、自分の立ち位置を見いだせなかった彼女。
自分の世界から放り出され、異世界でただ一人。そこでも彼女は未だ自分の居場所を見いだせず、大いなる意志は彼女を異質な棘と呼んでして排除しようとする。
それでも彼女は叫ぶのだ。自分はここに居る。

今、それを肯定するのはエリクひとり。雫にとって、放すことの出来ない日常で、自分を認めてくれる世界の代表、日常の象徴。そう思うと、雫にとってのエリクへの信頼というものの深みが、この旅で培われていった二人の関係が、どれほどさっぱりしているように見えても、見える範疇に収まらない深度を持つものなんだと、わかる気がする。
その意味でも、この新文芸版になってより確かに描かれたのって、この二人の関係になるのでしょうかね。

ともなれば、より強烈にそのあたりが問われ突きつけられるだろうファルサス編は、さらに楽しみ。
ってか、ラストにチラッと登場した人物、【Unnamed Memory】が出版物として世に出た今となっては爆弾そのものなんじゃないですか、どっちの作品に対してもw

古宮九時・作品感想

声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない? ★★★☆   



【声優ラジオのウラオモテ #02 夕陽とやすみは諦めきれない?】 二月 公/さばみぞれ 電撃文庫

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裏営業スキャンダルが何とか収束を迎え「コーコーセーラジオ!」も、めでたく続行決定! ――とほっとしたのも束の間……
「本当甘ちゃんだよね。ふわふわ友情ごっこがしたいならよそでやれよ」
ストイックな実力派の先輩声優・柚日咲めくるに突然浴びせられた強烈な罵倒。でもそんな彼女も実は、秘密の《ウラオモテ》を隠していて……
さらに、夕陽とやすみの高校まで追いかけてくる、不躾な視線やシャッター音。事態に業を煮やした夕陽の母が、ふたりに課した超難題とは!? こじらせ先輩声優めくるのホントの思いも明らかに――!

「そのまま行け、ふたりとも――ッ!」
声優生命最大の危機でも、夕陽とやすみは止まれない、中途半端じゃ辞められない……! 諦めきれないふたりの声優ラジオ、ここに再びON AIR!!

これはなかなか厳しいなあ。前回の由美子の行動で無事にトラブルも収束し、ラジオも続行、アイドル路線変更も評判良し、とみんな上手くいってよかったね、と収まるのかと思いきや。
そうだよね、現実として由美子の独断ではじめてしまったラジオ出張版は、人として譲れぬ一線だったかもしれないけれど、社会人としては越えてはならない一線でもあったわけだ。
万事上手くいったからOKなんて事は現実世界には存在しない。その内実がどれほど必死な思いに駆られた少女たちの心からの叫びだったとしても、関係のない周囲からすればそれは単なるトラブルだ。
騒ぎを起こしトラブルを招き、線引を無視した行動を起こせば、それは当然警戒される、忌避される。また何かやらかすんじゃないか、という危惧はどうしたって巻き起こる。
それでなくても、これまで築いてきたやすみと夕陽というアイドル路線を投げ捨てての蛮行だ。声優業界の裏事情、或いは営業戦略のようなものを露呈させてしまった事は、同じ業界で働く他の声優たちにも同じように見る目を向けられ、迷惑をかけることになる。
当然、同業の声優の中には彼女らを白眼視する人たちも出てくるし、アイドル路線に後ろ足で砂をかけたことは露骨に仕事の減り具合になって返ってくる。
順風満帆なんてとんでもない、二人の前に現れたのは絶望的なまでの逆風だったのだ。

という、あの前回の劇的な展開に浮かれるような気分に冷水をぶっかけるような厳しい現実路線を突きつけてくるのは、ふわふわとした夢見がちなドラマなんかではない、ただただ現実の社会と向き合わなければならないお仕事モノというジャンルを歩いて行こうという気概が見えて、むしろ頼もしさすら覚えるものでした。
とはいえ、しんどいけどねえ、この辛い現実を二人に突きつけていく展開は。
それでも、二人の所属事務所の大人たちが彼女達を突き放さず、実際あの出張版ラジオが引き起こしてしまった事をちゃんと叱る形で告げながらも、でも間違いなく終わりかけていた夕陽の声優人生を起死回生救ってくれたものだと、責めるのではなく感謝する形で彼女達を守ってくれた姿勢は安堵させられるものでした。
一番彼女達を守ってあげないといけない人たちが逆に突き放してきたら、もうどうしようもないですもんね。
もっとも、先のスキャンダルもそうですけれど、殆どストーカーなファンたちの行動から具体的に夕陽ややすみを守れていない事務所は、保護者から非難されても仕方ない対応の甘さではあるんですよね。彼女達はプロではあるのだけれど、同時に未成年であるのも間違いなく、彼女達の身を守る責務が事務所にはあって然るべきはずなのに、どうもファンたちのプライベートにどんどん踏み込んでくる行動に対して何か有効なアクションができていたかというと、ちょっとそのあたりの動きが見えないんだよなあ。
由美子のメイクがなかったら、学校近辺でのトラブルは早期にもっと深刻なものになっていた可能性もありますし。そうなった時に高校だって彼女達に何らかの対応を取らないといけない事になっていたでしょうしね。
その意味では事務所なにやってんだ、という千佳の母の反応は不思議ではないようにも思えるのだ。声優事務所程度では、そんなアクションを取れるだけのキャパがない、というのも現実だったとしてもそれはそれで問題あるだろうし。
かといって、千佳の母のあの対応はあれはあれで娘の人格を完全に無視している酷いものでしたし、由美子までも無神経に傷つけるもので、うん無神経無神経、あれはちょっと酷いわー。
由美子の母が行動に出なかったら、感情的にも立場的にも動きようがなかった由美子は立ち直れないような傷を負っててもおかしくなかったでしょうし。

かといって、あんなイベントで白黒つけよう、というのも無茶な話なんですけどね。あれは、うん千佳と由美子にとっては不可抗力というか、やらされたイベントなので彼女達の責任じゃないんだけど、あんなので進退決めるのはホントどうかと思う。ゴーサインだした事務所もどうよ、という話で。本業と関係ないところでこう何度も騒ぎを起こしてしまったら、同じ業界内の人たちからどう見られるようになるのかちょっと心配になってしまう。
かわいそうなのは、前回も今回も決して由美子と千佳が悪いわけじゃない所なんですよね。大体が外的要因により強いられたものであって、彼女達はひたむきに自分の仕事に向き合おうとしているだけなのに、どうしてこうなってしまうのか。
アイドル路線を放棄せざるを得なくなったのは、彼女達の選択の結果でもありますけれど、その結果として素の彼女達をキャラとして押し出していく、という路線もまたむしろそうやってキャラ付けしようとする事で全然素じゃなく、素の自分というのを演じることになってしまっていて、当人たちが混乱というか戸惑って若干訳わかんなくなってしまっている様子もあったのが、どうにもこうにも……。
まー難しいですよね。変に無理してキャラ作るのもなんか違うと思うのは自然だし、だからといって普段どおりのプライベートと変わらない自分をそのまま曝け出してやるというのも、それ仕事としてどうなの? と自問がはじまればなかなか答えの出ない問題でしょうし。
自分を偽ったり作ったりするのではなく、しかし仕事としてちゃんと自分を整えお客様に見てもらえるに相応しい装いをする、というのが一つの解答になるのかな。それは、かの乙女姉さんが一番うまくやっているやり方でもあるのでしょう。
一方で、プライベートの自分と仕事をする自分を完全に切り離して分けてやる、というのをきっちりこなしているのが今回登場したこなみさん、なのか。この人も若干ニュアンス違うというか、必要にかられてそうしているので、何とも言えないのだけれど。
ともあれ、由美子も千佳もそのあたりのバランスがまだまだ経験値足りないという事なんでしょうね。手探りで突き詰めていく段階なんだろうけれど、なかなか若手にはそんな悠長な事している暇もなく、さて彼女達にはその猶予があるのかどうか。
最後のラジオでの新たなコーナーも、あれ思いっきり手探りしてるような感もあるんですけどね。二面両方やる、ってしんどくない? 聞いてる方も戸惑いそうで、さてキャラをキャラと割り切れるのかどうか。

由美子と千佳、二人の関係についてもお互い置かれた状況が仕事面では崖っぷち近くに追いやられてるし、生活の方では身の回りに押し掛けファンが詰め寄ってきていてと、落ち着いていられる状態じゃなかったのもあって、なかなか平静なメンタルで相手のこと見ている余裕もなかったですね、今回は。それでも、前みたいに変にギスギスすることなく、やばい時には変装やら緊急で家に止めてあげたり、という距離感も近くなった感触はありましたけど、ほんと余裕なかったからなあ。お互い、身を寄せ合って守りに入っているという風もあって、結構縋るような気持ちもあったんじゃないだろうか。そのぶん、落ち着いて向き合えてたかというと……ほんと、余裕がなかったという点に尽きるか。あの由美子の売れっ子だった千佳の転落への仄暗い思いなんかは、むしろ変にトラブルなくそのまま状況が落ち着いてた方がより深みにハマってた可能性もありそうなんだけど、ラストの展開で千佳の置かれた状況の理不尽さと、それに対して自分が何もできない無力感、むしろ何かしてしまった際の自分の立場の危うさ、危うきに近寄らずに居るべきだという本心への罪悪感、などなど千佳へ向かう感情が本当にぐちゃぐちゃに掻き乱されて精神的にもメタメタにされたものだから、あの仄暗い喜びなんかも一緒にかき混ぜられて撹拌されてごちゃまぜになっちゃった感があるんですよね。
今後、あの感情はもう一度戻ってくるんだろうか。あまりにもかき混ぜられすぎて、ちょっと同じような形で戻っては来そうになさそうな気もするなあ。
というか、ここまで運命共同体な道筋を一緒に走り抜けてきてしまうと、もうこれ二人の関係ってどうなるんでしょうね。これ、一巻の終わった段階より遥かに深みにハマってしまってるんじゃなかろうか。あのときはまだ仕事上の真っ向からぶつかりあえる戦友、という感じがあったと思うんだけど。なんかもうほんとにグチャグチャにかき混ぜられて、なんて名付けたらいいかわからない関係になってしまった気がするぞ。どうするんだ、これ?

ともあれ、作品としても毎回仕事するための障害が仕事と関係ない所で立ちふさがってきて、それを飛び越えるために騒ぎを起こさざるを得なくて、という展開は色んな意味で繰り返すの難しいでしょうし、そろそろちゃんと彼女達に仕事で頑張らせてあげてほしいものです。ほんと、落ち着いて仕事させてあげないと、なんか色々と整理できんのじゃなかろうか。


昔勇者で今は骨 5.東国月光堕天仙骨無幻抜刀 ★★★★☆   



【昔勇者で今は骨 5.東国月光堕天仙骨無幻抜刀】 佐伯 庸介/ 白狼 電撃文庫

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骨になっても心は勇者な冒険者(※ただし骨)が往く、異世界ファンタジー!

「まーじーでー……転移してるじゃん、これ」
森中の見知らぬ転移装置を抜けると東国であった――仲間と離れ離れになって、師匠の故郷・東国ヤマへと転移したアル。
すわ妖かと怪しまれながらも、剣の師匠マガツのもとへと向かってみれば、そこは魔王軍を離反した堕天王と戦の真っ最中だった。しかも、その軍は古の秘密兵器「月」を擁した最悪の布陣で……。
「出来なきゃまた戦争だ。言っておくが、その場合は容赦せんぞ」
人と和平を目指す魔軍令フギムニからは戦のついでに取引を持ち掛けられ――
「魔王以来の神命だ、我が勇者」
果てには太陽神マルドゥから討伐の神命まで下ってしまい……人から魔から神までも、頼みの綱は骨勇者!
コツコツ世界を救う異世界ファンタジー、待望の最新刊!

これ、サブタイトル!! こういうの好きだわー。ただ語音、音韻的にはあと四文字八音あったらスッキリだったんですけどね。
前巻がまさにクライマックスオールスター総力戦な内容で、シリーズも完結だと思っていた所にまさかの続編続行ということで狂喜乱舞してしまいました。
今回は舞台を和風の東国に移しての、ド派手な剣劇バトルでありますのよ。前回の総力戦で力尽きるどころか、スケールも相変わらずどでかいエンタメ大作となっておりました。
表紙絵だけだと、新キャラ二人でしたしあらすじからするとアルだけが東国に飛ばされたような感じに見えたのですけれど、ちゃんといつものメンツ込みで東国に飛ばされた上での、バラバラにバラけて着地といった体で、表紙を捲ったページには見開きで表紙絵の続きというか右側も描かれており、そこには今回出演の敵味方問わず全員盛り込み、な総登場絵図になっていてなかなかの壮観でありました。
前からの傾向ですけれど、この作品って骨勇者なアルだけが引っ張る物語じゃなくてメインの登場人物がみんな主役張ってそれぞれの物語を引っ張っていく群像劇の体もなしてきてるんですよね。だからこそ、前回なんぞの総力戦が映えたというのもあるのですけれど。今回もチームがバラけた分、ハルベルとミクトラがそれぞれに仲間を引き連れてそれぞれ東国各地でドラマを牽引していってくれます。これって物語の焦点というかエンジンがそれぞれ別に起動しているようなもので、あっちこっちで話がグワングワンエンジン吹かして回して動かしてくれるものだから、全体がすごくパワフルになるんですよね。
下手すると焦点がとっ散らかって尻すぼみになってしまう危険性もある群像劇ですけれど、こっちはもうキャラが立ちに立ってるものですから、アルが居なくても自由闊達に動きまくってくれる。
その末に、物語がクライマックスへと向かう中で一同に結集するという形になるので、それぞれ動きまくっていたエネルギーが一点集中されるということもあり、さらに盛り上がってくるんですよねえ。
このへんの動かし方なんぞ手慣れたもの、というほどになってきているような気がする。
勿論、新キャラ・ヤトノ。アルのヤギュウ流の兄弟子にあたる若きサムライとアルとの剣客二人旅もさすがは主人公という活劇っぷりで。今回は特にヤギュウ流の看板にまつわる剣術モノとしての見せ場も多く、剣撃アクションをこれでもかと堪能させていただきました。
勇者のパーティーメンバーであるマガツ師匠の出番が必要となる段階となると、ただの撃剣チャンバラどころではなく、空間斬ったり次元斬ったり幻で斬ったりとドンドン自重無くスケールデカくなっての神を斬り星を斬るド派手なチャンバラになっていくのですが、これがまたこれで楽しくて楽しくて。
精妙な理合に基づく剣撃と、一刀で神も仏もぶった切るデタラメ剣法、これを両方並び立てて両方両立存分にやったるぜー、となってくれるとそりゃ楽しいってなもんですよ。
しかし、勇者のパーティーメンバーってどんどん非常識というか人間辞めてってるよなあ。骨になってる勇者アルヴァスが段々可愛く思えてきたぞ。
いやでも、「まーたすぐパクる」とマガツ師匠に呆れられてるように、アルのあれ見せられるとやっぱり「こ、こいつー」ってなりますよね。やっぱり勇者が一番非常識だ。
しかし、東国のサムライ連中もみなぶっ飛んでますねー。精鋭とはいえ、そこらの一般武士まで一騎当千じゃないですか。なにあの弓兵たち。高射砲かよ。あれ冗談じゃなく爆撃機くらいなら落とせるんじゃない? 
結局、堕天軍を東国全体ではなくムデ藩国だけで撃退した、という形になりましたしね。ここ、モデルがおそらく仙台藩、伊達家で大藩ではあるんですけど、それでも世界相手に戦争してる魔王軍の一方面軍を一藩で撃退したんだから、東国の武力たるや凄まじいの伝わります。
もちろん、アルたちやヤギュウ流の合力あってこそではあったのですけれど。

今回は既存のキャラクターたちもデザイン一新されていて、特にハルベルはイメージだいぶ変わったんじゃないだろうか。見た目にも結構しっかり格好良くなった気がする。アルにも、勇を与える側になったと評された彼女。もう既に一人の主人公として独り立ちしてるかのような立派さで。色んな意味で頼もしくなったよなあ。そのハルベルの片腕として八面六臂の活躍をしてるデケニー。いやこの蜘蛛ちゃん、毎回毎回大活躍してますけど今回は特に居なきゃ死ぬというくらいの勢いでMVPだったんじゃないですか? 色んな意味で便利過ぎる。
そして強くなってるはずなのにどんどん可愛さが強調されてヒロインロードまっしぐらな女騎士ミクトラ。今回は東国舞台ということで、対魔忍風味なエロタイツを装備するはめに。うん、エロ可愛いですよ。大丈夫大丈夫、エロいだけだから。
そういえば、表紙の青い鬼のおねーさん。あれ東国で登場の新キャラじゃなくて、苦労人こと魔軍令のフギムニさんだったのか。こんなシャープエッジな見た目のおねーさんだったのか。こう、見た目からして苦労背負ってるなあという感じの社畜系の顔しているのかと思った(失礼
これもう出来るお姉さん、ビジネスウーマンですよね。いや、実際出来る人なんですけど。
今回実際対面して話す機会があり、フギムニさんとは踏み込んだ会談をすることになりましたけど、こうなると先の展開どうなるんでしょうね。あらかたやばい案件は片付いたような気もするのだけれど、この人の運の悪さというかしんどいめに会うフラグを背負ってるキャラからするととても簡単には思う通りにいかないだろうし。彼女との会談自体が次の布石になっているんだろうか。

ともあれ、今回のテーマは失った居場所。敵にも味方にも、その失った居場所を取り戻すために必死になって突き進む人たちが出てきます。そうやって突き進むことで、新たに居場所を失う人たちが現れてしまっても、それはもう止めることができない。
ハルベルの示した勇は、そんな居場所を奪うものたちへの怒りであり、失った人たちが諦めずに踏ん張れる力になりました。
ルシフルスもヤトノも、本当に取り戻したい居場所はなんだったのか。それを見失ってしまった者と、新たに見出すことのできた者の差でもあったように思います。
そもそも、居場所を必要としていなかった人なんかもいるしなあ。いや、柵をぜんぶ捨て去り自由の空に羽ばたいた、師匠にとってはそこがずっと見つけられなかった本当の居場所なのかもしれません。
然して、アルには居場所なるものはあるんでしょうかね。この骨にも、そういうのなさそうなんだよなあ。せめて、隣を歩こうという「人」が居場所になればいいなあ。

シリーズ感想

狼と香辛料 XXI Spring Log IV ★★★★   



【狼と香辛料 XXI Spring Log IV】 支倉凍砂/文倉十 電撃文庫

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湯屋『狼と香辛料亭』を営むロレンスの悩みの種、それは家を飛び出していった可愛い一人娘、ミューリのことだった。憔悴するロレンスを見かねたホロは、湯屋をセリムたちに任せ、娘を訪ねて十数年ぶりの旅に出ることに。そんな旅の途中に立ち寄った町で、さっそくミューリの噂が耳に飛び込んでくる。それは、二人の知るお転婆娘とかけ離れた、“聖女ミューリ”の噂で―!?書き下ろし短編『狼と旅の卵』に加え、電撃文庫MAGAZINE掲載短編4本を収録した、幸せであり続ける物語第4弾!

こうして二人は結ばれ幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし。そんなハッピーエンドのその後のお話、というパターンは決して珍しくはないのだけれど、そういう「アフター」を描くストーリーって、やっぱり一波乱も二波乱もあったりするんですよね。現実はめでたしめでたし、では済まなくて世知辛い現実的なその後を描く話もあったりする。
そんな中で、本作に限っては本当にその後も「めでたしめでたし」し続けてるんですよね。ホロとロレンスはずっと幸せに暮らし続けている、ずっと目出度い! そのなんて素晴らしい事だろう。
二人は、二人の物語の中を生きている。
これは至言だなあ。
そんな物語のハッピーエンドの象徴が、湯屋『狼と香辛料亭』であり、お客たちはそんな幸せの結末がずっとずっと続いているのを眺めにくる、確かめに来る。そうやって、幸せのおすそ分けを頂きにくるのだ。という、二人が旅に出た後を預かることになったセリムのお話には、なるほどなあと深く深く頷いたのでした。それが湯屋『狼と香辛料亭』の繁盛の秘訣だというのなら、笑顔と幸せが湧き出る湯屋という評判の根源なら、それはとても素敵じゃないですか。
そんな幸せをみんなが見に来て、笑顔になれるというのなら、この世界も人も捨てたもんじゃないのですから。

さて、十数年ぶりに宿の主人を脱却して旅に出たロレンスとホロ。うん、そうだよね、そんな長い間旅に出てなかったら、あれこれ錆びついてるよなあ。肉体的な衰えだけじゃなく、旅の関する勘所とかもね。まさか、火を付けることまで手間取るありさまになっているとは思わなかったけれど。
かっこ悪い、かっこ悪いよロレンス。でもまあ、そんな格好の悪さで愛想を尽かされるような付き合いはもうとっくの昔に卒業したわけで、というか最初から格好の悪さというのは愛想を尽かされる原因にはなりえない関係だったんですけどねえ。
それでも、若い頃は見栄を張っていたロレンスだけれど、夫婦となりお互いの事を理解し尽くした今となっても、まあ見栄というのははりたいものだし、格好悪い所は見せたくないんだよ、男というものは。それはそれとして、諦めて格好悪いところを曝け出すのもまた夫婦円満の秘訣というのをロレンスもよくわかってるんですよね。
十年以上も夫婦をやっていると、やっぱり以前の旅とは異なってくるという所もある。同じ二人きりの旅でも、年季が異なってるんですよね。かつての旅では成立していた二人の駆け引きが、もう今となってはあんまり機能していないんだなあ。
だって、あんまりにもお互いのこと、わかっちゃってるんだもの。どこまで押せば許してくれるか、どこまでなら引いてくれるか。その微妙な呼吸を、どうしたって自然に合わせてしまうのがこの夫婦なのだ。ほぼ完璧に、押し引きの境界ラインがわかっちゃうものだから、交渉の余地はあんまりなくジャックポットで取引が成立しちゃうんだなあ。
でも、それで無味乾燥になるかというとむしろ逆で、ホロも限界まで存分に甘えて強請るし、ロレンスもホロが気遣う限界点まで甘やかす。おかげで、出来る範囲の最大限イチャイチャしているようにしか見えない。
お互いの気持ちを種銭にして押したり引いたり駆け引きをすることで、まさに愛を交換していたかつての二人だけれど、そういう意味では今回の旅でもイチャイチャは、夫婦のイチャイチャだよなあ、と思ったり。
ほんと、お互いへの気持ちが冷めるどころかむしろ募ってるんじゃないだろうか、というくらいのお互い身を寄せ合い肩を寄せあい頬を寄せ合い囁きあっているような睦み合いは、まったくもってお熱いことで。なんでミューリしか子供生まれてないんですかね!? と、言いたくなるくらい。
今からミューリの妹でも作っていいんじゃないだろうか。

さてのんびりと、とりあえずの目的である娘のミューリとコルに会うためにその足跡を追う二人、と言っても急いで追い回すのではなく、のんびりと旅行気分であっちこっち食べ歩きする気満々なんですよねえ、特にホロ。
そんな旅先で行き合ったのは、なんだか街の大問題を解決して有名になってしまった枢機卿なコルと聖女なミューリの噂。
なにやってんだーうちの子らは、となりつつさらっと自分たちも新たに起こりつつあった街の問題に慣れた感じで首を突っ込んでしまうの、ロレンスが相変わらずちょっと欲をかいてちょっと失敗してしまった補填のため、とはいえ手慣れたもので。
あれこれと四苦八苦して次々と起こる問題に頭を悩ませ、必死に振り回されるのを踏ん張って解決策をミューリといっしょに探り当てていたコルたちとは、やはり年季が違うというかなんというか。
もうでっかい案件にこっそりと一噛みする手練手管は、経験値たっぷり、という感じですよね。
そしてコルたちのように不用意に目立つこともなく、裏方に徹してなるべく皆に得や勝利が回るようにしつつ、自分たちもちゃっかりと……いや、最初からそれが目的、狙ってた報奨をサラッと掻っ攫っていく。
その肝心の報奨品が、ホロが心から欲しがっていたもの、というあたりが本当にロレンスと来たら相変わらずというかなんというか。ホロのためなら、もうどんな不可能案件だろうと簡単にクリアしてきやがりますよね、この商人。凄腕商人、というにはあまりに金にがめつくなく稼ぎも大きくないのだけれど、ホロのため、という冠がついた時なら訳の分からんレベルで軽くホロの望むものを持って来ちゃうんだよなあ。
しかし、日記だけでなく、絵として自分とロレンスの姿が残ってたら、そりゃあ永い永い時間のかけがえのない宝物になるもんなあ。ホロが、あれだけ取り乱して欲しがったのもよくわかる。

シリーズ感想

豚のレバーは加熱しろ ★★★☆  



【豚のレバーは加熱しろ】 逆井 卓馬/遠坂あさぎ 電撃文庫

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豚のレバーを生で食べて意識を失った、冴えないオタクの俺。異世界に転生したと思ったら、ただの豚になっていた!豚小屋で転がる俺を助けてくれたのは、人の心を読み取れるという少女ジェス。ブヒッ!かわいい!豚の目線なら、スカートの裾からチラリと純白の…。「あの、心の声が聞こえていますが…」まずい!欲望がだだ漏れだ!「もしお望みでしたら、ちょっとだけなら」え、ちょっ…!?まるで獣のような俺の欲望も(ちょっぴり引き気味ながら)受け入れてくれる、純真な少女にお世話される生活。う~ん、豚でいるのも悪くないな?これはそんな俺たちのブヒブヒな大冒険…のはずだったんだが、なあジェス、なんでお前、命を狙われているんだ?第26回電撃小説大賞“金賞”受賞作!

豚になってもちゃんと人間の女の子で興奮できる、というのはそれはそれでレベル高いヘンタイなんじゃないだろうか。まあ豚を熱遠さずに食べるような阿呆である。生まれ変わって畜生になるのも因果応報なのだろう。或いは、一人の女の子を救う事こそが彼に課せられた浄罪であったのかもしれない。自覚的に生の豚食うというのは、けっこう罪深いもんだなあ。
しかして豚が豚になって目を覚ました世界で最初に出会ったのが、いや豚になってすぐに死にかけていたのを助けてくれたのが、人の心を読めるというイェルマという種族の女の子ジェス。
心を読めるからこそ、豚の中身が人間だという事に気づいて助けてくれるわけですが、中身が人間で思春期の男の子でオタクなヘンタイであるという事を理解しながら、パンツ見ても裸見せてよ、などと下衆な妄想を展開しても許してくれる純真無垢なる娘さんなのだ。もはや、豚が眼前にいるだけで犯罪である。現在進行系で罪状が増えていく。
心を読むサトリのごとき能力を持つ人達は、尋常ならざる人間不信者かもしくはどれだけ人の醜い心を見せつけられても人の善性を疑わない天使様か、その何れかが多いがジェスは後者。
そんな天使さまにわりと平然とエロ妄想をぶつけていく豚は、まさに豚野郎だと思います。
しかし、この物語はそんな豚野郎と天使な彼女の……純愛劇なんですよね。いやマジで。マジのガチでド直球のラブストーリーだ、これ。豚と少女の愛の逃避行なのだ。
そして、かなりわけのわからないタイトルからは想像できないくらい、この作品は残忍で冷酷な世界観を舞台としている。
さながら、惨たらしくグロテスクな描写と展開が繰り広げられる原典童話であるかのように。
生まれながらに小間使という名の奴隷として供給され、成人となった時王都に旅に出てその大半がたどり着けることなく、その道程で人狩りならぬイェルマ狩りと呼ばれる半ば公認のマンハンターたちに追い回され、女性として筆舌し難い残酷な仕打ちを受けた末に無残に殺される、そんな運命を課されたイェルマの少女たち。
何の力も持たぬただの豚にすぎぬ豚は、その中身たる男の知恵を振り絞ることでジェスを守り、マンハントの渦中を潜り抜けて王都へと彼女を送り届ける旅に出る。
これは死出の旅だ。殺されることが前提の旅だ。そんな破滅を前にして、見ず知らずの人のために尽くし、出会ったばかりの豚のために自分の都合など放り投げて豚を助けてくれたジェス。
一人と一匹は、この救いなく残酷でしかない旅を支え合い、助け合い、寄り添いながらおっかなびっくり進んでいく。お互いが慰めで、お互いが特別で、お互いが光だった。ジェスのために、豚のために、相手のためなら自分が傷つくことも痛みを負うことも命を喪う事も何の痛痒もなかった。
そんなふうに、一人と一匹はお互いが唯一無二になっていく。そこに、愛が芽生えるのは必然だっただろう。愛とは自らのすべてを与え捧げ尽くすものならば、二人はもう誰にも割って入ることの出来ないくらい、愛を交わし尽くしていた。そこに人であることと片方が豚であることなど、何の壁にもならなかった。
だから、その別れもまた必然であったのだろう。相手をこそ何よりも大切に思うなら、守ろうと思うなら、二人の道は分かたれるしかなかったのだ。
それが、二人にとっての幸福ではなかったとしても。残酷な結末でしかなかったとしても。救いなどなかったとしても。
愛を貫くがゆえの選択である。ピュアラブストーリーであるからこその結末である。ハッピーエンドは満たされない。

でも、そんな結末を許せるのか? 加熱してない豚は、食う事もできない生ゴミだ。だから心から燃え上がれ、魂から熱せよ。焼けた豚になって今度こそ、あの娘を幸せにするんだよ!


勇者のセガレ 4 ★★★☆   



【勇者のセガレ 4】 和ヶ原 聡司/029 電撃文庫

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異世界アンテ・ランデでディアナと再会し、魔導機士フィーグライドも仲間に加えた康雄。翔子に取り憑いたシィを分離する方法を探るため、一行は大国バスケルガルデの博物館で、最初の武機・破軍のオリオンを調べることに。だがその瞬間、翔子の左目の炎が激しく燃え、4人は黒い炎に呑まれてしまう―。気がついた康雄の前に現れたのは、翔子に取り憑いたシィ・ライアであった。彼女は、死者がシィとして現世に復活した理由を康雄に語り掛け―。勇者のセガレの普通の男子高生は、世界の危機を救えるのか!?ディアナと翔子との微妙な三角関係(?)の行方は!?クライマックスの第4巻!

【聖者】康雄かー。さすがに勇者や聖女と比べても【聖者】という呼称は現代日本人からするとハードル高いですわねえ。よっぽど敬虔な聖職者とか、自分の身を削って弱者救済に生涯を費やした人とか、カルト教団関係者、くらいですもんね、イメージ湧くの。
ここは異世界の人との価値観ギャップですわな。まあ、現代でもサブカルチャーに馴染んでいない人なら、聖者も勇者も聖女も変わらないくらい呼ばれて恥ずかしい呼称かもしれませんが。

シィの正体、或いはシィと呼ばれる死者たちがどうして現世に現れるようになってしまったのか、という物語の根幹とも言うべき謎がここにきて明らかに。って、そのあたりまでは良かったんだけれど、中盤越えたあたりからかなり進行早くなりましたよね。さすがに、撒きに入ったな、というのがわかってしまいました。アンテ・ランデ編はもうちょっと続けたかったでしょうし。
ともあれ、翔子に取り憑いていたシィが人格を取り戻してしまった上に翔子の身を乗っ取って動き出す、なんて真似まではじめてしまい事態は急展開。
シィの問題って誰かがいらんことをした、というのではなくてこうして話を聞くと完全に既存のシステムが現状におっつかなくなってオーバーフローしかけている、というものでこれどうしようもないやつじゃん。
そもそも、死後の世界というのが何故出来た、誰が作った、そもそも人の生と死の循環だから一方通行だかわからないけれど、この魂の流れるシステムを作ったのが誰なのか、という所までは話突っ込めなかったか。はたしてそれは本当に神様と呼ばれる高次元の存在なのかもしれないけれど、こうしてシステムが破綻しかかっているのをみると、全知全能ではないのは確かな模様。先の魔王の侵攻も、この崩壊をなんとかしようとした行為の一貫で、今暗躍している人も方法は違うけれど目的は同じ、となるとさてどうしたものか。
などと他人事で言っていられなくなったのは、この死者がシィとして溢れ出す、という現象が実はアンテ・ランデに留まらない、という事実が発覚してしまったからなんですね。
これは地球も無関係ではいられない危機だったのだ。
その発覚のきっかけは、かつて勇者と大魔法使いとなり長じて二人の子供の両親となる日本の少年少女が、どうやってアンテ・ランデに来てしまったのかという召喚の原因がわかったからなんですね。
そしてその原因がわかったのは、今回円香たちがバスの事故でコチラ側に迷い込んでしまった、という事故が起こってしまい、それに連鎖する形で理由が関連付けられたから。この畳み掛けるような連鎖して次々と状況が詳らかになっていく怒涛の展開は中々「おおぅ」と驚かされるものでした。

もちろん、翔子の中のシィが自分勝手に動き出すわ、秘密裏に動いていたはずが外国に自分たちの正体がバレそうになってしまうわ、円香がこっちに迷いこんでしまうわ、と康雄にとっても余裕なんざこれっぽっちもなく、いっぱいいっぱいになりながら切羽詰まるばかりの所だったのですけれど、彼が何だかんだと肝座っているのは、どれだけ精神的にいっぱいいっぱいになっていても、それでも浅慮せず深慮して判断を下せるようになった所なのでしょう。賢者というほど聡明でも、冷静沈着でもないのですけれど、物事を深く考え捉えて答えを出し選択する姿勢は見事にリーダーシップを取れていたのではないでしょうか。彼自身は自分は何もしていないと自己評価低いですけど、拘束された時のあの判断は翔子にしてもディアナにしても、この人頼りになる! と思って然るべき行動でした。
妹ちゃん、兄ちゃんへの評価低いけど、この兄ちゃん土壇場でこそ頼りになるから、ホントに。
とはいえ、女性への浮ついた感情をうまいこと操れるほどの余裕は残っていないので、ディアナと翔子への対応はもうアップアップもいいところでしたけれど。ディアナの方も経験値がない上に自分の感情を整理出来ていなかったのでコチラもアップアップになってましたけれど、それでも要所要所で適切にアプローチしているあたりは、さすが女の子だなあ、と。
翔子は、2巻から怒涛の後方一気で凄まじい追い上げを見せていましたけれど、やはりスタートの出遅れは大きかった、というのは彼女自身別の意味ですけれどちゃんと自覚していたところでしたので、これはさすがに白旗あげたのかなあ、と思っていた所でラストでさらなる二枚腰を見せてゴールで追いついてみせる、という奇跡の根性を見せてくれて、やっぱりヒロインとしての強度では翔子さんこのシリーズでは最強でした。状況設定からして不利な部分ばかりで、有利な部分、皆無に等しかったのにただただ自らの女っぷりと根性だけで対等以上の舞台に這い上がってみせたんですからね。
親の世代の引き継ぎ、あるいは後始末などではなく、自分たちだけの自分たちによる冒険譚がはじまる! というところで終わってしまったのはやっぱり勿体無いというか惜しいというか。世界の危機の対処にしても、人間関係にしてもここからが本番、という所でしたからね。ともあれ、うまいこと纏めてちゃんと区切りをつけて終わらせてみせてくれたのはさすが、というべきか。もう少し見ていたいお話であり、キャラクターたちだったのですが、ここでお疲れ様でした。

シリーズ感想
 
10月25日
【現代社会で乙女ゲームの悪役令嬢をするのはちょっと大変 1】
二日市とふろう
(オーバーラップノベルス)

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【黒の召喚士 13.竜王の加護】
迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)

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【ひとりぼっちの異世界攻略 life.5】
五示正司
(オーバーラップ文庫)

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【月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい 2】
黄波戸井ショウリ
(オーバーラップ文庫)

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【最凶の支援職【話術士】である俺は世界最強クランを従える 2】
じゃき
(オーバーラップ文庫)

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【D級冒険者の俺、なぜか勇者パーティーに勧誘されたあげく、王女につきまとわれてる 1】
白青虎猫
(オーバーラップ文庫)

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【婚約破棄されてから聖女の力が覚醒したようです 1】
少年ユウシャ
(オーバーラップ文庫)

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【Doggy House Hound 1.猟犬継承】
ポチ吉
(オーバーラップノベルス)

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【猫だってアイテムを収集すれば最強になれます!2】
川崎AG
(オーバーラップノベルス)

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【不死者の弟子 2 〜邪神の不興を買って奈落に落とされた俺の英雄譚〜】
猫子
(オーバーラップノベルス)

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10月24日
【探偵くんと鋭い山田さん 2 俺を挟んで両隣の双子姉妹が勝手に推理してくる】
玩具堂(MF文庫J)

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【今はまだ「幼馴染の妹」ですけど。3.3年分の「ありがとう」だよ、先輩】
涼暮 皐
(MF文庫J)

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【七人の魔剣姫とゼロの騎士団】
川田 両悟
(MF文庫J)

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【ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編 3】
衣笠彰梧
(MF文庫J)

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【僕のカノジョ先生 8】
鏡 遊
(MF文庫J)

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【自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ? 10】
三河 ごーすと
(MF文庫J)

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【春菜ちゃん、がんばる? 3 フェアリーテイル・クロニクル】
埴輪星人
(MFブックス)

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【バフ持ち転生貴族の辺境領地開発記 2】
すずの木くろ
(MFブックス)

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【洞窟王からはじめる楽園ライフ 〜万能の採掘スキルで最強に!?〜 2】
苗原一
(MFブックス)

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【異世界もふもふカフェ 2 〜テイマー、もふもふ猫を求めて隣国へ〜】
ぷにちゃん
(MFブックス)

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【異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 怪物のささやき】
久住四季
(メディアワークス文庫)

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【王立士官学校の秘密の少女 イスカンダル王国物語】
森山光太郎
(メディアワークス文庫)

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【宮廷医の娘 2】
冬馬倫
(メディアワークス文庫)

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【座敷童子の代理人 8】
仁科裕貴
(メディアワークス文庫)

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【大凶ちゃんと太陽くん #誰かじゃなくて君がいい】
星奏なつめ
(メディアワークス文庫)

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【レッドスワンの混沌 赤羽高校サッカー部】
綾崎隼
(メディアワークス文庫)

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【愛に殺された僕たちは】
野宮有
(メディアワークス文庫)

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【異世界ゆるっとサバイバル生活 2 〜学校の皆と異世界の無人島に転移したけど俺だけ楽勝です】
絢乃
(ブレイブ文庫)

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【仲が悪すぎる幼馴染が、俺が5年以上ハマっているFPSゲームのフレンドだった件について。2】
田中ドリル
(ブレイブ文庫)

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【ロード・エルメロイII世の事件簿 6】
東 冬/TENGEN/三田誠
(角川コミックス・エース)

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【Fate/Apocrypha 9】
石田あきら/東出祐一郎
(角川コミックス・エース)

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【HGに恋するふたり2】
工藤 マコト
(角川コミックス・エース)

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【機動戦士ガンダム GROUND ZERO コロニーの落ちた地で 4】
才谷 ウメタロウ
(角川コミックス・エース)

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【Fate/Grand Order コミックアラカルト PLUS! SP 対決編!】
アンソロジー
(角川コミックス・エース)

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【新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙2】
日鳥/支倉凍砂
(電撃コミックスNEXT)

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【リアリスト魔王による聖域なき異世界改革 3】
鈴木 マナツ/羽田 遼亮
(電撃コミックスNEXT)

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【リビルドワールド 3】
綾村 切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)

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【ダストボックス2.5 5】
高津カリノ
(ヤングガンガンコミックス)

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【不器用な先輩。2】
工藤マコト
(ヤングガンガンコミックス)

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【月刊ビッグガンガン 2020 Vol.11】

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【月刊アクション2020年12月号】

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【アフタヌーン 2020年12月号】

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10月23日
【クロウ・レコード Infinite Dendrogram Aot 3】
La−na/海道左近
(MFコミックス アライブシリーズ)

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【異世界おじさん 5】
殆ど死んでいる
(MFC)

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【うちの娘の為ならば、俺はもしかしたら魔王も倒せるかもしれない。6】
ほた。/CHIROLU
(MFC)

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【ガールズ&パンツァー 劇場版Variante 6】
伊能 高史
(MFコミックス フラッパーシリーズ)

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【なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 6】
ありかん/細音 啓
(MFコミックス アライブシリーズ)

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【私の傷は死んでも消さない 2】
緋鍵 龍彦
(MFコミックス アライブシリーズ)

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【風太郎不戦日記 2】
山田 風太郎/勝田 文
(モーニング KC)

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【コウノドリ 32】
鈴ノ木ユウ
(モーニング KC)

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【マリアージュ〜神の雫 最終章〜 24】
オキモト・シュウ/亜樹直
(モーニング KC)

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【望郷太郎 3】
山田芳裕
(モーニング KC)

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【ヴィンランド・サガ 24】
幸村誠
(アフタヌーンKC)

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【とりぱん 27】
とりのなん子
(ワイドKC)

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【「不屈の冒険魂」雑用積み上げ最強へ。超エリート神官道】
漂鳥
(ダッシュエックス文庫)

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【スキルトレーダー【技能交換】 〜辺境でわらしべ長者やってます〜】
伏(龍)
(ダッシュエックス文庫)

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【『ショップ』スキルさえあれば、ダンジョン化した世界でも楽勝だ 〜迫害された少年の最強ざまぁライフ〜】
十本スイ
(ダッシュエックス文庫)

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【ロード・エルメロイII世の事件簿 8.「case. 冠位決議(上)」】
三田 誠
(角川文庫)

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【わが家は祇園の拝み屋さん 13 秋の祭りと白狐の依頼】
望月 麻衣
(角川文庫)

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【水神様がお呼びです あやかし異類婚姻譚】
佐々木匙
(角川文庫)

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【ファンタジーをほとんど知らない女子高生による異世界転移生活 4】
コウ
(モーニングスターブックス)

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10月22日
【すのはら荘の管理人さん 6】
ねこうめ
(4コマKINGSぱれっとコミックス)

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【月刊ガンガンJOKER 2020年11月号】

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【まんが4コマぱれっと 2020年12月号】

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【少年マールの転生冒険記 1~優しいお姉さん冒険者が、僕を守ってくれます! ~】
月ノ宮マクラ
(HJ NOVELS)

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【槍使いと、黒猫。12】
健康
(HJ NOVELS)

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【異世界はスマートフォンとともに。22】
冬原パトラ
(HJ NOVELS)

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【新米オッサン冒険者、最強パーティに死ぬほど鍛えられて無敵になる。6】
岸馬きらく
(HJ NOVELS)

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10月21日
【理系が恋に落ちたので証明してみた。9】
山本アリフレッド
(メテオCOMICS)

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【魔女と猟犬】
カミツキレイニー
(ガガガ文庫)

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【世界最強の魔王ですが誰も討伐しにきてくれないので、勇者育成機関に潜入することにしました。4】
両道 渡
(ガガガブックス)

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【元将軍のアンデッドナイト 5】
猫子
(ガガガブックス)

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10月20日
【不遇職の弓使いだけど何とか無難にやってます 2】
洗濯紐
(TOブックス)

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【特級ギルドへようこそ!5〜看板娘の愛されエルフはみんなの心を和ませる〜】
阿井りいあ
(TOブックス)

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【フェンリル母さんとあったかご飯〜異世界もふもふ生活〜5】
はらくろ
(TOブックス)

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【ギルド追放された雑用係の下剋上2〜超万能な生活スキルで世界最強〜】
夜桜ユノ
(TOブックス)

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【アナザー・フロンティア・オンライン2〜生産系スキルを極めたらチートなNPCを雇えるようになりました〜】
ぺんぎん
(TOブックス)

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【銀河連合日本 Age after Project Enterprise】
松本保羽
(星海社FICTIONS)

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【髭と猫耳】
周藤蓮
(星海社FICTIONS)

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 【ゴミ箱診療科のミステリー・カルテ】
津田 彷徨
(星海社FICTIONS)

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【エスカレーション】
倉田 悠子
(星海社FICTIONS)

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【少年マガジンR 2020年11号】

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10月19日
【まんがタイムきららMAX 2020年11月号】

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 【月刊ヤングキングアワーズGH 2020年12月号】

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10月17日
【月刊サンデーGX 2020年11月号】

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【少年マガジンエッジ 2020年11月号】

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【ウルトラジャンプ 2020年11月号】

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【ロクでなし魔術講師と追想日誌 7】
羊太郎(富士見ファンタジア文庫)

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【キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦 10】
細音啓(富士見ファンタジア文庫)

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【人生∞周目の精霊使い 無限の歴史で修行した元・凡人は世界を覆す】
師走トオル(富士見ファンタジア文庫)

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【人工痴能と始める人生デバッグ入門 ドスケベAIが俺に童貞捨てさせようとしてくる】
霧山よん(富士見ファンタジア文庫)

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【たとえば俺が、チャンピオンから王女のヒモにジョブチェンジしたとして。2】
藍藤唯(富士見ファンタジア文庫)

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【魔王が如く 絶対強者の極道魔王、正体を隠して学園を極める】
なめこ印(富士見ファンタジア文庫)

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【異世界で最強の装備は、全裸でした どうか私に全裸を教えてくださいっ! 全裸ではなく《世界》だ!】
初美陽一(富士見ファンタジア文庫)

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【神々に育てられしもの、最強となる 4】
羽田遼亮(富士見ファンタジア文庫)

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【一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた 5 〜落第剣士の学院無双〜】
月島秀一(富士見ファンタジア文庫)

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【ステラエアサービス 曙光行路】
有馬桓次郎(電撃の新文芸)

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【四畳半開拓日記 04】
七菜なな(電撃の新文芸)

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【異世界最強の大魔王、転生し冒険者になる 2】
月夜涙(電撃の新文芸)

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10月16日
【ジョジョリオン 24】
荒木飛呂彦(ジャンプコミックス)

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【【推しの子】2】
赤坂アカ/横槍メンゴ(ヤングジャンプコミックス)

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【片喰と黄金 4】
北野詠一(ヤングジャンプコミックス)

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【セーブ&ロードのできる宿屋さん ~カンスト転生者が宿屋で新人育成を始めたようです~ 4】
稲荷竜/竹内じゅんや(ヤングジャンプコミックス)

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【メイド・イン・ひっこみゅ~ず 5】
サンカクヘッド(ヤングジャンプコミックス)

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【薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~ 9】
倉田三ノ路/日向夏(サンデーGXコミックス)

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【葬送のフリーレン 2】
山田鐘人/アベツカサ(少年サンデーコミックス)

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【双亡亭壊すべし 19】
藤田和日郎(少年サンデーコミックス)

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【MAO 6】
高橋留美子(少年サンデーコミックス)

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【トニカクカワイイ 13】
畑健二郎(少年サンデーコミックス)

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【よふかしのうた 5】
コトヤマ(少年サンデーコミックス)

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【魔王城でおやすみ 16】
熊之股鍵次(少年サンデーコミックス)

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【switch 10】
波切敦(少年サンデーコミックス)

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【シャングリラ・フロンティア 1】
硬梨菜/不二涼介(KCデラックス)

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【それでも歩は寄せてくる 5】
山本崇一朗(KCデラックス)

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【DAYS 40】
安田剛士(講談社コミックス)

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【ネクロマンス 4】
堂本裕貴(講談社コミックス)

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【ブルーロック 11】
金城宗幸/ノ村優介(講談社コミックス)

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【はぐるまどらいぶ。(2) レアスキルで世界を駆け抜ける】
紺藤けい/かばやきだれ (ジャルダンコミックス)

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【信長の庶子 五】
壬生一郎(ヒストリアノベルズ)

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【劇場版・鬼滅の刃 無限列車編ノベライズ】
矢島綾/吾峠呼世晴(JUMP j BOOKS)

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10月15日
【冒険者になりたいと都に出て行った娘がSランクになってた 9】
門司柿家(アース・スターノベル)

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【高遠動物病院へようこそ!3】
谷崎泉(富士見L文庫)

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【平安後宮の薄紅姫 二 宮廷去りし皇后宮と伊勢物語】
遠藤遼(富士見L文庫)

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【花は桜よりも華のごとく】
河合ゆうみ(富士見L文庫)

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【彩柏寺の神様見習いたち 元保育士・小森新、あやかし保育に再就職しました!】
時田とおる(富士見L文庫)

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【白澤さんの妖しいお料理処 四千年の想いを秘めた肉じゃが】
夕鷺かのう(富士見L文庫)

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【魔物の国と裁縫使い 〜凍える国の裁縫師、伝説の狼に懐かれる〜 2】
今際之キワミ(サーガフォレスト)

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【四度目は嫌な死属性魔術師 7】
デンスケ(サーガフォレスト)

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【王太子殿下は後宮に占い師をご所望です】
夢見るライオン(ビーズログ文庫)

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【魔王の右腕になったので原作改悪します 2】
木村(ビーズログ文庫)

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【なんちゃってシンデレラ 王国騒乱編 お伽話のつづき、はじめました。6】
汐邑雛(ビーズログ文庫)

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【身代わり聖女は、皇帝陛下の求婚にうなづかない】
汐邑雛(ビーズログ文庫)

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【九重家献立暦】
白川紺子(講談社タイガ)

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【死者と言葉を交わすなかれ】
森川智喜(講談社タイガ)

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10月14日
【ゴブリンスレイヤー 13】
蝸牛くも(GA文庫)

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【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 16】
大森藤ノ(GA文庫)

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【家族なら、いっしょに住んでも問題ないよね? 2】
高木幸一(GA文庫)

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【踊る星降るレネシクル 7】
裕時悠示(GA文庫)

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【厳しい女上司が高校生に戻ったら俺にデレデレする理由 〜両片思いのやり直し高校生生活】
徳山銀次郎(GA文庫)

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【僕の軍師は、スカートが短すぎる 〜サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下】
七条剛(GA文庫)

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【きみって私のこと好きなんでしょ? 2 とりあえずデートでもしてみる?】
望公太(GA文庫)

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【きれいなお姉さんに養われたくない男の子なんているの? 3】
柚本悠斗(GA文庫)

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【エリスの聖杯 3】
常磐くじら(GAノベル)

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【魔女の旅々 14】
白石定規(GAノベル)

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【魔女の旅々 14 ドラマCD付き特装版】
白石定規(GAノベル)

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【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 14】
森田季節(GAノベル)

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【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 14 ドラマCD付き特装版】
森田季節(GAノベル)

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【ラスボス、やめてみた 2 〜主人公に倒されたふりして自由に生きてみた】
坂木持丸(GAノベル)

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【パリピ孔明 3】
四葉夕卜/小川亮(ヤンマガKCスペシャル)

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10月13日
【昔勇者で今は骨 2】
内々けやき/佐伯庸介(リュウコミックス)

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【ちはやふる 45】
末次由紀(BE LOVE KC)

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【カードキャプターさくら クリアカード編 9】
CLAMP(KCデラックス)

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10月12日
【新九郎、奔る! 5】
ゆうきまさみ(ビッグコミックス)

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【ゴブリンスレイヤー 10】
蝸牛くも/黒瀬浩介(ビッグガンガンコミックス)

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【ゴブリンスレイヤー外伝 イヤーワン 6】
蝸牛くも/栄田健人(ヤングガンガンコミックス)

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【ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》2】
蝸牛くも/青木翔吾(ガンガンコミックスUP!)

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【戦×恋(ヴァルラヴ)11】
朝倉亮介(ガンガンコミックス)

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【無能なナナ 7】
るーすぼーい/古屋庵(ガンガンコミックス)

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【英雄教室 10】
新木伸/岸田こあら(ガンガンコミックス)

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【死神坊ちゃんと黒メイド 10】
イノウエ(サンデーうぇぶりSSC)

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【つぐももフルカラーコミック つぐもも蜜】
浜田よしかづ(アクションコミックス)

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【オヤジが美少女になってた話 2】
赤信号わたる(アクションコミックス)

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【人狼への転生、魔王の副官 はじまりの章 6】
瑚澄遊智/漂月(アース・スター コミックス)

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【カルデアこぼればなし 染宮すずめFate/Grand Order作品集】
染宮すずめ(星海社COMICS)

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【月刊少年ガンガン 2020年11月号】

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【まんがタイムきららフォワード 2020年11月号】

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【ゲッサン 2020年11月号】

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10月10日
【狼は眠らない 3】
支援BIS/新川権兵衛(角川コミックス・エース)

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【蜘蛛ですが、なにか? 9】
かかし朝浩/馬場翁(角川コミックス・エース)

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【蜘蛛ですが、なにか? 蜘蛛子四姉妹の日常 2】
グラタン鳥/馬場翁(角川コミックス・エース)

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【Fate/Grand Order 平安HEROES ぴよ作品集】
ぴよ(角川コミックス・エース)

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【モルフェウス・ロード 1】
よかぜ(BLADEコミックス)

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【続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー】
佐島勤(電撃文庫)

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【魔王学院の不適合者 8 〜史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う〜】
秋(電撃文庫)

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【幼なじみが絶対に負けないラブコメ 5】
二丸修一(電撃文庫)

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【安達としまむら 9】
入間人間(電撃文庫)

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【アポカリプス・ウィッチ 3 飽食時代の【最強】たちへ】
鎌池和馬(電撃文庫)

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【オーバーライト――クリスマス・ウォーズの炎】
池田明季哉(電撃文庫)

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【女子高生同士がまた恋に落ちるかもしれない話。2】
杜奏みなや(電撃文庫)

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【魔力を統べる、破壊の王と全能少女 2 〜魔術を扱えないハズレ特性の俺は無刀流で無双する〜】
手水鉢直樹(電撃文庫)

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【バケモノたちが嘯く頃に バケモノ姫の家庭教師】
竜騎士07(電撃文庫)

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【君が、仲間を殺した数 〜魔塔に挑む者たちの咎〜】
有象利路(電撃文庫)

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【午後九時、ベランダ越しの女神先輩は僕だけのもの】
岩田洋季(電撃文庫)

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【ねえ、もっかい寝よ?】
田中環状線(電撃文庫)

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【異世界の底辺料理人は絶頂調味料で成り上がる! 〜魔王攻略の鍵は人造精霊少女たちとの秘密の交わり!?〜】
アサクラネル(電撃文庫)

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【女子高生声優・橋本ゆすらの攻略法】
浅月そら(電撃文庫)

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【追放された転生公爵は、辺境でのんびりと畑を耕したかった 〜来るなというのに領民が沢山来るから内政無双をすることに〜】
うみ(カドカワBOOKS)

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【勇者の孫の旅先チート 〜最強の船に乗って商売したら千の伝説ができました〜】
長野文三郎(カドカワBOOKS)

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【加護なし令嬢の小さな村 3 〜さあ、領地運営を始めましょう!〜】
ぷにちゃん(カドカワBOOKS)

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【鍛冶屋ではじめる異世界スローライフ 3】
たままる(カドカワBOOKS)

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【【修復】スキルが万能チート化したので、武器屋でも開こうかと思います 5】
星川銀河(カドカワBOOKS)

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【外れスキル「影が薄い」を持つギルド職員が、実は伝説の暗殺者 5】
ケンノジ(カドカワBOOKS)

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【父は英雄、母は精霊、娘の私は転生者。6】
松浦(カドカワBOOKS)

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【魔石グルメ 7 魔物の力を食べたオレは最強!】
結城涼(カドカワBOOKS)

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【ティアムーン帝国物語5〜断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー〜】
餅月望(TOブックス)

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【地球さんはレベルアップしました!】
生咲日月(TOブックス)

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【継続は魔力なり 6〜無能魔法が便利魔法に進化を遂げました〜】
リッキー(TOブックス)

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【最弱テイマーはゴミ拾いの旅を始めました。3】
ほのぼのる500(TOブックス)

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10月9日
【可愛いだけじゃない式守さん 6】
真木蛍五(KCデラックス)

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【放課後の拷問少女 11】
BOKU(講談社コミックス)

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【世界か彼女か選べない 9】
内山敦司(講談社コミックス)

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【我間乱-修羅 13】
中丸洋介(講談社コミックス)

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【売国機関 4】
カルロ・ゼン/品佳直(バンチコミックス)

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【最後のレストラン 16】
藤栄道彦(バンチコミックス)

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【トリニティセブン 7人の魔書使い 24】
サイトウケンジ/奈央晃徳(ドラゴンコミックスエイジ)

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【トリニティセブン アナスタシア聖伝 2】
サイトウケンジ/Bcoca(ドラゴンコミックスエイジ)

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【この素晴らしい世界に祝福を! 12】
渡真仁/暁なつめ(ドラゴンコミックスエイジ)

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【残念女幹部ブラックジェネラルさん 7】
jin(ドラゴンコミックスエイジ)

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【KILLING ME/KILLING YOU 3】
成田芋虫(ドラゴンコミックスエイジ)
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【魔王学園の反逆者 1 ~人類初の魔王候補、眷属少女と王座を目指して成り上がる~】
溝口ぜらちん/久慈マサムネ(ドラゴンコミックスエイジ)

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【異世界魔王と召喚少女の奴隷魔術 12】
福田直叶/鶴崎貴大(シリウスKC)

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【無号のシュネルギア 3】
高田裕三(シリウスKC)

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10月7日
【ウィッチクラフトワークス 15】
水薙竜(アフタヌーンKC)

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【ウチの使い魔がすみません 8】
櫓刃鉄火(アフタヌーンKC)

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【うちの師匠はしっぽがない 4】
TNSK(アフタヌーンKC)

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【good!アフタヌーン 2020年11号】

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【逆転オセロニア 蒼竜騎士と赤竜騎士の軌跡】
高嶺バシク(レジェンドノベルス)

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【ネカフェ住まいの底辺冒険者 2 美少女ガンマンと行く最強への道】
御手々ぽんた(レジェンドノベルス)

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【絶対回避のフラグブレイカー 2 ハッピーエンドをつかむための25の法則】
友理潤(レジェンドノベルス)

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【俺たち青春浪費中、魔法少女と世界を救う。】
佐藤悪糖(レジェンドノベルス)

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10月6日
【ソウナンですか? 7】
さがら梨々/岡本健太郎(ヤンマガKCスペシャル)

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【ヤングマガジン サード 2020年 Vol.11】

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【殺人事件が起きたので謎解き配信してみました】
越尾圭(宝島社文庫)

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【大江戸科学捜査 八丁堀のおゆう 妖刀は怪盗を招く】
山本巧次(宝島社文庫)

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【谷中レトロカメラ店の謎日和 思いをつなぐレンズ】
柊サナカ(宝島社文庫)

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10月5日
【刹那の風景 1 68番目の元勇者と獣人の弟子】
緑青・薄浅黄(ドラゴンノベルス)

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【悪役令嬢の執事様 破滅フラグは俺が潰させていただきます 2】
緋色の雨(ドラゴンノベルス)

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【ヤングキングアワーズ 2020年11月号】

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10月2日
【鬼滅の刃 22】
吾峠呼世晴(ジャンプコミックス)

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【ぼくたちは勉強ができない 19】
筒井大志(ジャンプコミックス)

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【呪術廻戦 13】
芥見下々(ジャンプコミックス)

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【冒険王ビィト 15】
稲田浩司/三条陸(ジャンプコミックス)

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【終わりのセラフ 22】
山本ヤマト(ジャンプコミックス)

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【あやかしトライアングル 1】
矢吹健太朗(ジャンプコミックス)

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【早乙女姉妹は漫画のためなら!? 8】
山本亮平(ジャンプコミックス)

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【異世界居酒屋「のぶ」11】
蝉川夏哉/ヴァージニア二等兵(角川コミックス・エース)

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【帰ってください! 阿久津さん 2】
長岡太一(角川コミックス・エース)

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【ヤングエース 2020年11月号】

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【ジャンプSQ. 2020年11月号】

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【それでも、好きだと言えない】
赤月カケヤ(講談社ラノベ文庫)

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【勇者になりたい魔人の冒険】
箕崎准(講談社ラノベ文庫)

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【失恋後、険悪だった幼なじみが砂糖菓子みたいに甘い 〜ビターのちシュガー〜】
七烏未奏(講談社ラノベ文庫)

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【一般人遠方より帰る。また働かねば!】
勇寛(Kラノベブックス)

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【ウイルス転生から始まる異世界感染物語】
結城絡繰(Kラノベブックス)

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【奴隷転生 〜その奴隷、最強の元王子につき〜】
カラユミ(Kラノベブックス)

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【不遇職【鑑定士】が実は最強だった 〜奈落で鍛えた最強の【神眼】で無双する〜】
茨木野(Kラノベブックス)

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【転生貴族の万能開拓 〜【拡大&縮小】スキルを使っていたら最強領地になりました〜】
錬金王(Kラノベブックス)

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【約束のネバーランド ~戦友たちのレコード~】
七緒/白井カイウ(JUMP j BOOKS)

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【憂国のモリアーティ 虹を視る少女】
埼田要介/竹内良輔(JUMP j BOOKS)

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10月1日
【サイレントウィッチーズ 4 スオムスいらん子中隊ReBOOT!】
築地俊彦/ヤマグチノボル(角川スニーカー文庫)

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【サイレントウィッチーズ 4 スオムスいらん子中隊ReBOOT! プレミアム特装版】
築地俊彦/ヤマグチノボル(角川スニーカー文庫)

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【天才美少女な幼馴染のくせに、なんで俺の前でだけそんなにスキだらけなんだよ】
五木友人(角川スニーカー文庫)

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【戦翼のシグルドリーヴァ Sakura(上)】
長月達平/戦翼倶楽部(角川スニーカー文庫)

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【魔王学園の反逆者 4 〜人類初の魔王候補、眷属少女と王座を目指して成り上がる〜】
久慈マサムネ(角川スニーカー文庫)

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【あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?2】
桜目禅斗(角川スニーカー文庫)

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【会社員とJK、お隣さん歴1年目。】
ナナシまる(角川スニーカー文庫)

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【フリーライフ 〜異世界何でも屋奮闘記〜 9】
気がつけば毛玉(角川スニーカー文庫)

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【<Infinite Dendrogram>―インフィニット・デンドログラム― 14.<物理最強>】
海道左近(HJ文庫)

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【常勝魔王のやりなおし 1 〜俺はまだ一割も本気出していないんだが〜】
アカバコウヨウ(HJ文庫)

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【悪役令嬢レベル99 ~私は裏ボスですが魔王ではありません~ その1】
のこみ/七夕さとり(B's-LOG COMICS)

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【本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~ 第二部 「本のためなら巫女になる! 4」】
鈴華/香月美夜(コロナ・コミックス)

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9月30日
【転生したらスライムだった件 17】
伏瀬(GCノベルズ)

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【転生したら剣でした 10】
棚架ユウ(GCノベルズ)

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【エロいスキルで異世界無双 2】
まさなん(GCノベルズ)

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【ナイツ&マジック 10】
天酒之瓢(ヒーロー文庫)

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【察知されない最強職 7】
三上康明(ヒーロー文庫)

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【異世界チート魔術師 13】
内田健(ヒーロー文庫)

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【異世界道楽に飽きたら 4】
三文烏札矢(ヒーロー文庫)

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【再現使いは帰りたい 5】
赤雪トナ(ヒーロー文庫)

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【いずれ最強へと至る道 3】
藍澤建(ヒーロー文庫)

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【マジカミ イビルオブテイルコート】
しめさば/Studio MGCM(ファミ通文庫)

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【放課後の図書室でお淑やかな彼女の譲れないラブコメ】
九曜(ファミ通文庫)

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【賢者の孫 13.雷轟電撃の魔竜討伐】
吉岡剛(ファミ通文庫)

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【古き魔王の物語をっ!】
壱兄さん(エンターブレイン)

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【機動戦士ガンダムサンダーボルト 16】
太田垣康男(ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

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【機動戦士ガンダム バンディエラ 2】
加納梨衣(ビッグコミックス)

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【機動戦士ガンダム アグレッサー 13】
万乗大智(少年サンデーコミックス)

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【機動戦士ガンダム アグレッサー 14】
万乗大智(少年サンデーコミックス)

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【プラネット・ウィズ 5】
水上悟志(YKコミックス)

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【MUJIN -無尽- 8】
岡田屋鉄蔵(YKコミックス)

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【魔法少女にあこがれて 3】
小野中彰大(バンブーコミックス)

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【アスモデウスはあきらめない 8】
勇人 (バンブーコミックス)

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【コミックライド2020年10月号】

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