如月さんカミングアウト (角川スニーカー文庫)

【如月さんカミングアウト】 語部 マサユキ/風の子 角川スニーカー文庫

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如月キサキ。「絶対零度の女帝」として我が校に君臨する生徒会長。その冷たい美貌は人を寄せ付けず、俺のようなオタクには縁遠い存在―のはずだった。
「貴方たちの会話に私も入れたらと…いつも思っていました」
如月さんは孤独な隠れオタクだったのだ!秘密のオタ友に選ばれて、毎日一緒にゲーム対戦、アニメ鑑賞…普段と違いすぎる如月さん(かわいい!)にドキドキする俺だったが、実は彼女にはもう一つ秘密があって…。
涼宮ハルヒのフォーマットを現在に適用するとこんな感じになるんかー。涼宮ハルヒ、20年前ですって。まあ枠組みが似たようなフォーマットであっても本作の雰囲気がかつての涼宮ハルヒのそれと違うのは、年代の隔たりやテーマの違いというよりも純粋に作者の作風の違い、と言ってしまえばそれまでなのだけれど。語部さんの作品は根底にシビアなものがあろうとも出てくる人たちはみんな善人で、頑張って善いことをすればちゃんと良い結果が訪れる正しく報われるアットホームなコメディ作品でしたからね。ハルヒ風のフォーマットに目を奪われガチですけれど、基本路線は今までとなんも変わってないのである。むしろ、よりラブコメを前提にしている分、起こる事件をみんなで解決して、という風に行かない分、よりメインヒロインとのイチャイチャ成分が高めになっているかもしれない。
ただ、その密接さを生かしてより二人の心情、恋愛模様に踏み込んでと行かずに今までと変わらないノリでストーリーを進めてしまった分、全体的に薄味になってしまったかな、というところはあるんですよね。
他の生徒会の面々も、辛うじて会計の千鳥が裏工作を手動していたからか存在感を示していたけれど、他の二人に関してはいるのかいないのか微妙なくらいだったしなあ。唯一の男メンバーの山城くんも、その唯一の男同士という関係性で押し出していたけれど特にその関係性でなにかあった、というわけでもなく、後半は三人まとめて十把一絡げという感じでしたし。
妙な感じでこれまでの関係が拗れて、それがお互いの誤解が解けて修復される、という毎度の流れにも特筆すべきパワーがありませんでしたし、肝心のカミングアウトもそうする意味が特に見当たらず。
なんちゅうか、キサラギさんと主人公の二人で完結している展開を無理にごたごたを起こして外向きに広げようとして、ちと推力不足のままあんまり盛り上がらんと終息してしまった、という感じなんですよね。なんとなく、自分としては外に広げるのではなくもっと二人の中に踏む込むような展開を欲してた気がします。次巻があるなら、ひたすらイチャイチャしないかなあ。

語部マサユキ作品感想