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魔弾の王と戦姫

魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>18 ★★★★   

魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>18 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>18】 川口士/片桐 雛太 MF文庫J

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ティル=ナ=ファを喰らったガヌロンを、ティグルたちは死闘の末に討ち果たした。だが、その代償としてエレンたちの竜具は力を失った。その場にいなかったヴァレンティナのみが竜具を保持し、ソフィーは彼女の凶刃の餌食となる。玉座まであと一歩というところに迫ったヴァレンティナと戦うべく、ティグルは残された戦姫たちと連合軍を結成。ジスタート史上最悪の混乱を鎮めるべく、周囲の後押しも受けて、ついに王となることを決意する。国の枠を超えて、仲間たちの想いを背負って挑む決戦。辺境の小貴族からはじまった弓使いの若者は「魔弾の王」の新たなる伝説を打ち立てることができるのか―大ヒット最強美少女ファンタジー戦記、堂々完結の第18弾!
タヌキー!!
いやもううん、信じた。信じちゃったよ。狐というイメージはさらさらないので、この場合はタヌキだよなあ。タヌキ。
最終巻はある意味、ヴァレンティナの物語でした。最後の敵役であった彼女。面白いことに、というとアレなんだけれど、彼女ってこのシリーズの幕引きを担う相手ではあったんですけれど、黒幕とは足り得なかったんですよね。あれこれと陰謀・謀略・暗謀を張り巡らせてたんですけれど、実際の所彼女の画策したことって何かと上手くいかなかったり、思惑通りにことが運ばなかったり、思ってたのと違う結果が伴ってきたり、と想定外が重なってしまっていて、黒幕というには状況・情勢をコントロール出来ていたかというとかなり怪しいのである。
というか、ダイス目でいうとファンブルばっかりだったんじゃないだろうか、これ。もちろん、彼女自身の判断ミスというケースも多かったのだけれど、運がなかった場面も決して少なくなかったのである。
これをして、ヴァレンティナをすべての展開の黒幕、物語のラスボスと呼ぶのは少々難があると思える。

でもね。
逆に言うと、彼女は黒幕やラスボスなんていう舞台装置にはならなかったとも言えるんじゃないだろうか。

これだけ、想定通りに事が運ばない展開を経ながらも、彼女はそこで立ち止まることも臆することも俯くこともせず、ひたすら楽しげに彼女に降りかかる難局を臨機応変に乗り越えながら、なんだかんだと夢であり野心の賜であった自身の王への登極へのルートをこじ開け、その路線に情勢の軌道を乗せていくのである。
魔弾の王の歩む王道とはまた違う、彼女自身の目指す王への道を、着々と登っていく。
そこに居たのは敵である。
ラスボスでも黒幕でもない、言わば競争相手とも言えるもう一人の主人公であったのだ。
走り始めたその時から、最後の瞬間まで彼女ヴァレンティナは、大仰な黒幕にもならず、さりとて卑小な小物や小悪党にも堕さず、歪まずブレず、最初から最後までその在り方は善でも悪でもないただのヴァレンティナ=グリンカ=エステスで在り通した。
最初から最後まで、彼女はただただヴァレンティナ以上の何者でもなく、以下の何者でもないままに走り抜けたのだ。
その意味においては、実に見事な生き様であったのではないだろうか。
野望潰えながらも、その終端をまんざらでもない様子で迎えられた彼女は、この最終巻においてその魅力を増しましていたように思う。なぜ彼女の竜具「エザンディス」が最期まで彼女を見捨てなかったのか。むしろ名残惜しむかのように寄り添い続けたのか。その理由がわかったような気がする。異端ではあっても、彼女もまた戦姫であったのだ。

さて、エレンを含む戦姫たちとの恋模様や、ジスタート王国の内紛を他国人であるティグルがどう収めることになるのか。どういう形で決着をつけることになるのかとやきもきしていたのだけれど、そうかー、そういう形で来たか。
王家の血筋を持たないどころか、自国の人間ですら無い者が王になる、というのは日本の超血統主義や絶対王政以降の欧州の王政を見てると違和感を感じるのですけれど、もっと古い時代となると決して不思議でも珍しいものでもないんですよね。王権というものがもっと緩いというか、ファジーな時代というものが確かにあり、この世界の時代はまだそのあたりだったのでしょう。
実際、ヨーロッパなんかでも二カ国の王を両者統合させないまま並列で統治する形で就任した例はけっこうあったと思うし、そもそもこのジスタート王国自体、内部に戦姫という血筋による継承ではない形で続く公国が7つも存在する国家だけに、不安定であると同時にそれだけ他国の人間が王位についても許されるような揺らぎを許容できる下地というか土台のある国であったんだなあ、と。
まあどう考えてもティグル、過労死レベルで働かないといけないわけですけれど。実際、エピローグでの超働きっぷりを見ると、大変だなあ、ですまないレベルで働きまくってますし。
とても、ハーレム楽しんでる余裕ないよなあ。嫁さんとなる人たちの殆どが、自分の領地やブリューヌ王国での実務でお忙しい、というのはティグルの体力的にもだいぶ助かる話なんじゃないだろうか。
その分、明らかに側仕えのリムが一番大勝利なんですけれど。まさか、ティッタも傍に侍れずブリューヌ詰めになるとは思ってなかったので、ほとんどリムが公私のパートナーみたいな形になってるし。まさか、正式に戦姫になってよ、と現れたバルグレンに、今忙しいので改めて、と振っちゃうとまでは思わなかったけれど。そりゃ、バルグレン正式に継承したら戦姫として領地も引き受けなきゃいけなくなって、ティグルの側近を辞さなきゃならなくなるだろうし、今宮廷内に味方の少ないティグルの傍をリムがハズレるの相当厳しいという理屈はわかるけれど、あそこまで見事に蹴っ飛ばすとは。実務面だけじゃなくて、嫁としても離れん!というその気概が素晴らしいというか、さすがリム先生である。
前にあった時よりもちょっと沢山話せましたー、とその程度のことでメッチャテンションあがりながら傍役の人に報告して満足してたエリザヴェータさまは、ちゃんとこのリム先生の姿勢とか見習えてるんだろうかw
他の戦姫がなんだかんだとみんな積極的に告白してきたなかで、もっぱらこの調子だったリーザさん。リーザさんところの筆頭家老であるナウムさんが、こっそりティグルにウチの姫さんなんとか貰ってやってくれよ、とお父さん役の人にここまで言わせてしまうアレっぷりが、なんかもう可愛いなあww
そう言えばティグル、女性陣に対してはみんなにちゃんと愛情を持って接してたのは間違いないことなのですけれど、こう「好き好きオーラ」っていうの? もう君たち大好きだなあ、的な気持ち全面に出してたのって……わりと男キャラ相手ばっかりだったような。
いやもちろん友情的な意味で、ではあるんですけれど。このナウムさん相手にしてもそうでしたし、男相手にしている時の方がわりと無邪気に楽しそうだったんですよねえ。ユージェン卿救出作戦の時の男所帯の旅のときとかえらいはしゃいでましたし、何気にルスラン王子との交流やアスヴァール王国のタラードとも、いつ背中を刺されるかわからない関係でありながら、そういう立場とか野心とか抜きにした個人個人の関係だとほんと仲いいですし。
もともと女っ気のない朴訥な性格なので、気遣いしなくていい男との付き合いは気の置けないものなんだろうかねえ、ティグルの場合。その御蔭か、これだけハーレム展開にも関わらず、立場抜きにした男友達が国関係無く広く沢山いる珍しい主人公になってましたねえ。
まあそんな朴訥な男が、これだけ嫁抱えることになるんだから、面白いものである。新しい「エザンディス」の継承者である新戦姫が、初お目見得の際に自分も戦姫になったからには王に抱かれないといけないのでしょうか、と真面目に訪ねてきたシーンは笑ってしまいましたが。そりゃ、現状の戦姫が全員王様の恋人だったら、戦姫になったら王と関係持たないといけないのか、と思っても仕方ないわなねえ。この娘は変に生真面目そうで、面白そうなキャラクターだけに短編なんかあったらみたいものですけれど。イラストの人が出した画集に、ちょっと短編ついているのかしら。そっちも読みたいなあ。

なかなか長期シリーズが出てこない中で、戦記物として18巻を数えた本作。弓を得物とする主人公、というのもまた珍しかったのですけれど、この弓の使い方の描写がまた図抜けて格好良くてねえ。弓矢という武具も、見せ方によってこれほど迫力と見栄えが出るものなのか、と興奮したものです。面白かった。そして、見事な完結でありました。ほんと、お疲れ様ですよ。
また、作者の新しいシリーズ、楽しみに待ちたいと思います。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>17 ★★★★   

魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>17 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>17】 川口士/片桐 雛太 MF文庫J

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エレンとフィグネリアはそれぞれ軍を率いて相対した。雪の降る戦場で、傭兵時代の因縁を終わらせるために、また戦姫としての誇りを賭けて、二人は戦うが、エレンを助けようと、リムは思いがけない行動をとる。一方、ティグルはガヌロンと決着をつけるべく、単身で王都を抜け出して荒野を行く。魔物たちによって恐ろしい変貌を遂げつつある世界で、ティグルは勝利をつかむことができるのか。それともティル=ナ=ファが地上に降臨してしまうのか。そして、ジスタート王宮の完全掌握にあと一歩というところまで迫ったヴァレンティナに対抗するために、ソフィーを始めとする戦姫たちがとる行動とは?大ヒット最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第17弾!

そうかー、以前のリムが16巻の表紙だった時のアレはここに繋がってくるのか。あれ、上手いこと両手は枠から外れていて得物は見えないようになっていましたけれど、ちゃんと得物を握っている絵もあるんだろうか。
いずれにしても、今回クライマックスではありましたけれど、ひたすらリム激闘編、みたいな感じすらありましたね。フィグネリア戦も、もちろん戦姫同士直接刃を交えるのはエレンとフィグネリアでしたけれど、リムもオマケ扱いではなく、二人で一緒に戦っていた感はしっかりありましたし、リムが身を呈さなければ絶対に勝てない展開でしたからね。それに、ここでの決死の行動がある意味、かの竜具に「こいつなかなか見所あるじゃねえか」と認めてもらえるきっかけになってたんだろうし。
てか、普通ならここでリム死んでてもおかしくなかったんだよなあ。あれ、普通死ぬよね。フィグネリアと双剣両方が意図して手加減してなかったら。
振り返ってみると、見据えるべき未来をもう見定めている戦姫たちに対して、今回は敵陣営の三人、フィグネリア、ガヌロン、そしてヴァレンティナの、現在に至る過去のきっかけとなるエピソードが印象的でありました。
フィグネリアは、最初登場した時は味方になるものかと思ったんですけどねえ。エレンが揉めてる相手ってわりと感情的な側面が強かったので、和解する余地は十分ありそうでしたし。ってか、リーザなんか今デレデレじゃないですか。まあ、あれはエレンが一方的に敵視しまくっていたところがあるんですけれど、和解したあとのリーザのあの照れながらの「ともだち」宣言にはこっちがこっ恥ずかしくなってしまいましたよっ。
でも、フィグネリアは彼女の抱えていたエレンたちの育ての親との因縁を思うと、自分の野望を捨てることが出来ない状態にすでに定まってたんですよね。彼を看取った時点で、彼の夢を自分の夢で終わらせた時点で、彼の夢を引き継いだエレンとの和解はなかった。新しい自分の夢を得たエレンとリムと、何らかの決着をつけなければならなかった。そして、止まることをもう自分に許さないフィグネリアには、その決着の付け方は一つしかなかったわけだ。それは、追い続けた夢だけれどヴァッサリオンと分たれてしまった時点で、どこか寂しい孤独な夢だったんだなあ。
孤独と言えば、ガヌロンもそんな感じで。彼の、他の魔物と全く異なる行動原理がずっと不明のままだったんだけれど、今回彼の素性が明らかになりその真の目的も明かされたことで、この男も妄執というにはあまりに寂しい、孤独を抱え続けてしまった結果だったんだろうなあ、と胸に沁みるものを感じてしまったのでした。
もしかしたら、一番欲望とは程遠いところに居た男だったのかもしれない。いや、欲と言うなら欲か。結局、悠久の果てに最も会いたい人にもう一度会おうという願いにしがみついていた、とも言えるわけだし。その結果として、幾つもの謀略で都市を焼き、戦火を振りまき、最終的には女神すら喰らおうとしたわけだからとんでもないっちゃとんでもなかったのですが。
そしてラストにヴァレンティナ。ってか、ヴァレンティナ。ルスランの不予には本当に何にも関わってなかったのか。あまりにもタイミング良くルスランが復活したので、彼の病もヴァレンティナの仕込みで復活から時間を置いての病の再発まで全部図られていたのか、と一時は考えていたものでしたが、まさか全部特に仕込んでいなかったとは……。いや、効果のある薬の調達は行ってたみたいだけれど、決してその効果に確信があったわけではないようだし、綿密なタイムスケジュールが組まれていた節はまったくないようなので、ヴァレンティナって謀略家というにはやっぱり行き当たりばったりすぎるぞ。事を仕掛けて起こして全体の流れを常に掌握し続けるという主導権を握り続けるタイプの戦略家ではなく、起こった出来事を利用して自分の都合の良い流れに持っていく、というタイプなんですよねえ。もちろん、自分で色々と仕掛けたり動いたりもしているのですけれど、意図した効果を得られなかったりとか、わりと至近の効果しか狙ってなくて別に何十手先まで相手がどう動こうと関係ないように持っていく、という風ではありませんし。
いやあ、本来ならこれヴァレンティナに勝ち目ない手筋だったんだけれどなあ。唯一の味方であったフィルネリアもあっさり脱落してしまったわけですし、彼女と組んで企図していた幾人かの戦姫の脱落はまったく果たせないままでしたし、それが結果としてあんな形になってしまったわけですから、この娘何気にすげえ運が良い。
正直、ここからどう転がるのかが想像し難いんですよね。ヴァレンティナとの決着の付け方もどうなっていくのか予想付かないし、それ以上にエレン以外の戦姫をティグルはいったいどうするのか。エレン一人だけなら、難しくも無理筋を通す手段は無きにしもあらずなんだろうけれど、それ以外の戦姫たちも抱え込むとなるとジスタートが許すはずもありませんし。
そりゃあ、この一巻では終わらんかったよなあ。最終巻を延長したのは正解だったんじゃないでしょうか。
でも、このラストは引っ張り方としては凶悪極まる……。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫<ヴァナディース> 16 ★★★★   

魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>16 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫<ヴァナディース> 16】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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ルスラン王子の復活と、国王ヴィクトールの死によって不穏な空気に覆われているジスタート。王子の側近として隠然たる権力を持ち始めたヴァレンティナは自らの野望を果たすため、ついに動きだし、その大鎌をソフィーへと向けた。他方でフィグネリアの双刃がリーザを追い詰めるなど、戦姫同士の対立は決定的なものになる。混沌たる情勢の中で、ティグルは自らの立場を鮮明にし、大切なものたちを守るべく、激しい争いの渦中に身を投じる。争乱の陰では、魔物たちに代わって地上にあの女神を降臨させようとするガヌロンの姿があった…。未曾有の危機のなか、英雄となった若者を待ち受ける運命とは。大ヒットの最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第16弾!
ヴァレンティナさんが行き当たりばったりすぎてたまんねー! しかし、本人それで楽しそうなんですよねえ。あれこれと張り巡らせた策や奸計が上手く行かなくてポシャっても、あんまり気にしてなくてむしろ臨機応変な対応を楽しんでるっぽいのが謀略家として質が悪いんでしょうなあ。いや、深慮遠謀に欠けるっちゃ欠けるんだけれど、精神的に停滞しないしあの拙速さは自身の失敗に限らず状況の変化への対応速度としては大したもんなんですよねえ。何気にこういうタイプの謀士はあんまり見たこと無いなあ。
でも、ヴァレンティナさんのこの性格からして大昔から長期的なスパンで謀略の網を仕掛けていた、とは思えないのでルスラン王子のかつての人事不省が彼女の手によるもの、ということはやっぱりなさそうなんですよねえ。まあ、年齢的にもあり得ないのだけれど。あのタイミングでのルスラン王子の復帰はマッチポンプじゃないか、と疑いたくなるところだったんだけれど。少なくとも、ルスラン王子には傀儡の糸をつけてるのかとおもってたんだけれど……ルスラン王子、普通に優秀で真っ当で結構気持ちのよい人だー!! あかん、この人かなりの逸材だ! ヴァレンティナの紐付きかと思ったら、精神支配とかその手のものも受けてないようだし、亡きイルダー公といい、ユージェン伯といい、ルスラン王子といい、もしかしてジスタートって何事もなく世代交代していたら、ルスラン王の時代は黄金期突入してただろうこれ、と確信できるくらいには逸材揃いだったんだなあ。しかも、ルスラン王子、良い人なんだよー。むしろ、その良い人なところがヴァレンティナに付け込まれているとも言えるのだけれど。でも、ヴァレンティナを重用しすぎず、かなり公正に扱っているのを見ると、普通にやってたらとてもじゃないけれど、ヴァレンティナが権力握れるとは思えないんですよねえ。
ということは、最初からあの地雷を仕込んでいた、というよりも復活自体が時限式にならざるをえないような手段を用いていたわけか。
やっぱりやり口が陰険で好かないなあ、ヴァレンティナのそれは。
それでも、誰が影で暗躍しているかわかっていても、このあとに何が起こるかわかっていてもヴァレンティナの意図したとおりに動くしか無い、という謀略の張り巡らせ方は突貫で仕上げたわりには本当に凄まじいの一言。謀略の粋というのは、何が起こっているのか最初から最後までわからないような代物か、何が起こっているのかこれから何が起こるのか全部わかっていたとしても、どうすることも出来ない状況を仕立てるか、の二極なんですよねえ。ヴァレンティナはそれに近しい辣腕を奮っているわけで、いやもう行き当たりばったりなのに凄いなあ、と。とにかく手が早く、手が多くて、それが見えないし、見えた段階では終わってる。恐らく不発に終わってるものも多々あるんだろうけれど、早さと多さがぜんぶ補ってるんでしょうねえ。一つの案件に複数の意味付けも与えているようですし、ある側面から見ると失敗してても、別の側面から見るとそれでOKみたいな多重構造になってるから、意図を挫くのが非常に難しい。これはどうやったって先手が取れないから後手に回らざるをえない。これを防げば全部の陰謀が瓦解する、というような芯も見当たらないのが本当に質が悪い。
ソフィは情報戦優秀なんだろうけれど、これはイニシアティブ取りようがないよなあ。
むしろ、フラフラと歩き回って要所要所で大事な場面に遭遇して、色々とヴァレンティナの策を潰してまわってるティグルさんが反則だわなあ、あれ。
ヒロインの絶体絶命のピンチに絶対に助けに現れるマンである、この主人公。とはいえ、戦姫の方々はガチで強い人たちなので、どれだけ絶体絶命になってもまず自力で突破してしまえるので、ティグルも軽々には助けに現れないのだけれど、だからこそ本気でマジヤバな時を絶対に見逃さないんですよねえ。エレンが捕まったとき然り、今回のリーザのとき然り。そりゃもう陥落するわさー。とっくに陥落しているとは言え。
しかし、ティグルさん、どんどんアーチャーとして化物になってくなあ。フィグネリアさん、がちで魂消てたじゃないですか。まああれ、人間業じゃねえし。ってか、弓矢でやれる技じゃねえ。あんなんやられたら普通死ぬw
ってか、四百メートルまで当てられるようになってたのかー。四百ってパねえっすよ。実際遮蔽物ない広い場所で四百メートルという距離を見てみなさいな。ちょっと笑っちゃうほど遠いよ!?

戦姫たちとのロマンスの方は、ミラがついに勇気を振り絞って告白したことで、ソフィが有頂天にw
このお姉さん、マジでティグルを正々堂々と戦姫たちの旦那にするつもりだ。ってか、政治的に誰にも文句言わせねえ形を整えようとしている。怖い。
でも、政略として言い訳させず、ミラにちゃんと女の子としてティグルと気持ちを通じ合わせるのをずっと待っててくれたとか、配慮が行き届いてるんですよねえ。逆に言うと、女性陣にもティグルにも建前とか政治的に仕方ない、とか言い訳絶対許さん、という恐ろしい配慮なのですけれどw
やっとこ、エレンとリーザが本当に和解……、というかついにリーザが過去にエレンに出会っていたことを告白して、リーザがエレンに憧れ焦がれていたことも伝わって、わだかまりも解けて良い仲なったし、五人の戦姫の間にはもう問題なくなったんですよねえ。ティッタとオルガがなんかちびっ子コンビで仲良くなってるし。
あとはリムですなあ。はじめて戦姫以外で、しかもこのクライマックスで表紙絵を飾るという抜擢となりましたし、エレンはもうリムも嫁にする気満々だし、本人すげえまんざらじゃなさそうだし、まあどこにも問題ありませんな。
問題は、あとシリーズ一冊で完結するのか、というところくらいか。いやね、あと三冊くらい使ってもいいんですよ?

シリーズ感想






魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 15 ★★★★   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉15 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 15】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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空前絶後の大軍で侵攻してきたムオジネル軍は、総力を結集したブリューヌと戦姫たちの助力、そしてティグルの乾坤一擲の活躍でついに退けられた。人々が祝杯を挙げ、王都の復興が進む中、これまで以上に声望を高めたティグルは思いがけぬ人物からの告白を受ける。今後やらなければならないことと、ブリューヌの人々が望む英雄としての未来との間で思い悩むティグル。時同じころ、風雲急を告げるジスタートでは、ヴァレンティナの野望がついに形となって動き出す。ティグルたちの動向を伺う魔物たちも、悲願達成のために牙を剥く。息つく暇もなく、さらなる大きな時のうねりの中で英雄の戦いは続く―大ヒット最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第15弾!
……やっぱりヴァレンティナってけっこうポンコツじゃね? 彼女の仕掛けてる謀略って、いつも上手くいった試しがないような。いや一応目論見は達しているのかもしれないけれど、仕掛けたあとに起こる想定外が多すぎる上に大きすぎるんですよね。全然思った通りに行ってない。その後のリカバリーをなんとか繕えているのだから、あかんわけではないのですけれど。でも、今回の一連の謀略は彼女にとってもルビコン川を渡ったようなもので、もうあとには引けない分水嶺となるものだったはずなのに、ものの見事にやらかしてますしねえ。お陰で、ジスタートは大混乱。後々の事を考えると、この混乱こそがティグルたちの付け入る隙、となってしまうだろうことは容易に想像できますし。
大体さ、王の後継者と任命されたユージェン伯にイルダー公が隔意を持つように毒殺未遂事件を起こしたのは、ヴァレンティナが操るルスラン王子がユージェンから次期王の地位を奪うのに利用するためだったんだろう、と今になっては想像できるんだけれど……、いきなりヴィクトール王が精神疾患から復活したルスラン王子を即座に後継者に復帰させちゃったもんだから、ユージェンよりもイルダーの方が怒っちゃってユージェンと元サヤに戻って仲良くなっちゃうわ、ルスランに対して隔意を抱くわで逆に政敵に追いやってしまい、挙句安易に謀殺してしまったことで、イルダー公の関係者が軒並み敵対陣営に回っちゃうわ、とえらいことになっちゃってるんですよね。ぶっちゃけ、この段階で早々に他の戦姫と刃を交える、危険分子となりそうなソフィーとリーザを始末に掛かる予定なんかこれっぽっちもなかったでしょうし。
ヴァレンティナさん、屋根に登ったはいいけれど即座にはしご外されちゃってないですか、これ? しかも、他人の思惑関係なしに、ほぼ自爆的な展開で。大丈夫か、黒幕さん。
踊らされているというと、ガヌロンもまた怪しいんですよね。一応、彼は思惑通りに自分では動いているつもりみたいですけれど、彼と敵対することになった魔物たちの意図が全然わからない。ティグルが女神から教えてもらった断片的な情報と照らし合わせても、彼らの目論見というのはどうも単純なものではないようなんですよね。大体、滅ぼされてしまったら普通はそこで終わりだろうに。

思惑が不明、という点で最も何を考えているのかわからなかった、作品中最大のプレイヤーではないかと目していたジスタート王ヴィクトール。この人こそ裏ですべての事象の糸を引いているんじゃないか、と思ってしまうくらいに言動の意図が見通せなかった人なんだけれど……あれ? あれあれ? これってつまり、彼の言動に裏なんてなく、普通に全部表だったの?
極々最初のエレンによる凡庸な王、という評価に対してヴィクトール王の判断や行動は王としての貫禄と重厚さがあり、だからこそエレンが凡庸に見てしまうような在り方のさらにその奥があるんじゃないか、裏で何か企んでるんじゃないか、と思ってたんですけれど……。ユージェン伯を次期王に任命したのも、イルダー公をわざと後継者から外したのも、大きな世界規模の陰謀が裏にあるんじゃないかと、怪しんでいたんですけれど。
あれ? 本当に普通に王様してただけじゃね? しかも、見聞きしてきた通りの国王として欲目をかかず、国の発展のために尽くすのに十分以上な働きをしている名君以外のなにものでもなく……。ユージェンとイルダーの扱いについても、贔屓目なしに能力を評価してのものであったわけで。ちゃんと、ティグルのブリューヌ国との友好関係も重視してる政策や人事を取り……って、冷静沈着だし品行方正だし王権を意識しつつ変に貴族や戦姫から権益を奪ったり恣意的な利益誘導をしたりもせず、調整役としても天秤を司るに相応しいバランス感覚の持ち主だし、優柔不断の卦は無いし、ユージェンへの権限移譲の過程を見ていても変な妄執抱えてないし……、周辺国家の王族支配者見渡しても、ジスタート王文句なしに名君なんですけど。
エレンってさ……わりと人物評価間違ってる場合多いよね。わりと人を見る目ないよね。
フィグネリアとも、えらい勢いで反発してしまいましたし。あれはリムも同じように反応している上にフィグネリアの方も自分でコントロールできないものを抱え込んでしまっているようなので、清算のためにもこの経緯は仕方ないことなのか。
ともあれ、ジスタート王が最後に盛大にやらかしてしまったせいで、ヴァレンティナも含めてジスタート国は尋常ならざる混迷へと突入していく。ソフィーがまた重要なことを想定し始めているようだけれど、それもこれもヴァレンティナの魔の手を逃れてからか。

ブリューヌ国の方は、どうにもこうにもティグルが国王に、という流れができつつ有るようで。ごく一部、ではなくわりと国内の多数派意見になりつつある、というのが結構意外なことで。いや、ジスタートのユージェン伯の王太子就任もそうなんだけれど、意外とこの作品の王家って嫡流にそこまでこだわってるわけではないんだ、と今更ながら実感している。作品初期の二大大公の王権を蔑ろにしているような専横も、そりゃ王位がそれだけガチガチに血統で固まってないのだとしたらそれほど不可解ではないですもんね。それにしても、ここまで支持者が多いとは。ティグルの方も無理やり押されて、というわけじゃなく、真剣に王位に関して考え出しているようですし。レギン女王も、なかなか告白の仕方がしたたかなんですよね。まず一人の女として、それからブリューヌの王として。何気にこの食らいついて離さないという強さは、作中の女性の中でも屈指なのではないかと。
その点、ミラはもう可愛いんだけれど、思いきれなくて悶々としている様子がもうなんというかなんというか。ミラが告白してから、なんて順番をつけてしまったソフィー、さすがに焦れてきてるんじゃないですか。
それに比べて、しばらく離れているうちにティグルの女性関係がえらい進展してしまったリーザなんか、再会してエレンとの関係を察した途端、えらいぐさっと来る牽制を放っているあたり、ミラよりも有望なんじゃないだろうか。まあリーザはリーザでいつまでもエレンとの仲をはっきりさせられてないあたり、思い切りに関してはなんともはや、なのですけれど。これに関してはオルガの方が一気に切り込んでしまうのかも。

いずれにしても、あと二巻でシリーズ完結という情報が出てしまったので、あとはどう転がすか、ですねえ。
とりあえず、リムは早いところ娶ってあげてください。


シリーズ感想





魔弾の王と戦姫(ヴァナディース)14 ★★★★   

魔弾の王と戦姫(ヴァナディース) (14) (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫(ヴァナディース)14】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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ムオジネルの王弟クレイシュは十五万という空前絶後の大軍を擁し、優れた将軍たちをそろえ、都市や城砦を次々に無力化して王都へと迫っていた。ティグルは王女レギンが西方国境から呼び集めた兵を預かって月光の騎士軍を再編成し、仲間たちとともにクレイシュとの決戦に挑む。若き英雄は大切な者たちのいる王都を守り、クレイシュを撃つことができるのか。一方、ジスタートではブリューヌから帰国したヴァレンティナがフィグネリアやリーザと会談。ジスタートを覆う不穏、とめどなく続く数多の戦い、祖国に訪れた史上最大の危機の中で今、英雄となった若者は、その名を永遠に歴史に刻み込む―大ヒット最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第14弾!
駄目だ、この王弟。欠点らしい欠点が皆無じゃないか。能力的にも偏りがないし、大胆不敵でありながら細かいところまで目が届き、油断や増長というものが存在しない。これまでも智将勇将の類と戦い続けたティグルだけれど、王弟クレイシュは文句無しにシリーズ最強の大将じゃないでしょうか。この人相手ばかりは、どうやったって何度やっても勝ち筋が見えてこない。
ぶっちゃけ、同数を用意しても十万以上の大軍を自在に動かす手腕としては、ティグルではクレイシュには及ばなそうなんだよな。結局、ティグルは指揮官先頭型でありますし。そもそも、クレイシュ相手だと対等の戦力という土俵には上がってこなさそうですし。
彼に関しては、ティグルがついに勝てなかった相手として長く語り継がれそう。クレイシュ側から見ても、ティグルは同様の認識かもしれないけれど。万難を排して勝利が約束された戦争に挑みながら、勝ちきれなかった。想定を上回られ続けてしまった、という意味で。
最後は完全に天運でしたけれど、それを掴んだのは戦争の行方を完全に見通していたクレイシュの読みを、何度も上回ったティグルの指揮と弓の腕があってこそでしたからね。決して卑下するものではないかと。クレイシュの読み、或いは分析といっていいか。それは、主観が入らない非常に客観的でかつ慎重なもので、予断らしい予断も入っていない正確で緻密なもので、加えてある種の読み違いも踏まえた「余裕」すら加味したものですから、それを上回るというのは、文字通り尋常なものじゃなかったんですよね。それをやり遂げた、というだけでティグルの将器は証明されますし、今までさえ人外の領域だった弓の腕が本当にえらいことに。
あれ、周囲1キロ半径の安全を確保していたのに、1.5キロ先から狙撃を受けたようなもんだからなあ。ティグルの尋常でない弓の腕前をちゃんと考慮に入れた上で、安全マージン過剰なくらいに取っていたのに、さらにその外側から狙われたらそりゃどうしようもないですわー。

しかし、今回の敢闘賞は外に出て走り回っていたティグルたちではなく、やはり籠城戦で奮闘したレギンやミラたちの方でしょう。正直、ムネジオル軍の攻城戦パなかったですからねえ。革新的な戦術とかはないものの、詰将棋のように淡々と工程を進めていくその戦闘は、ミラたちが最大限限界まで振り絞って抵抗していたからこその攻城速度であって、ちょっとでも穴ができたらそこから一気に瓦解しかねない圧倒的なプレッシャーでしたからねえ。
あそこまで焦りも性急さもなく、じっくり腰を据えてジワリジワリと迫られたら、そりゃたまらんですよ。攻城戦においても、クレイシュはまったく相手を甘く見ることなく、結局ほぼ最後まで想定通りに攻略は進みましたからね。ミラたちのあの激闘が、クレイシュの想定のおそらくほぼ最上限だったにしろ、想定を覆すほどではなかった、上回れなかったというだけでゾッとします。
どこを見ても、名将としての格しか見当たらないんだよなあ、この王弟。
唯一隙を見出すとしたら、後方に座して動かないところか。情報は厚く集めるけれど、現地を実際に走って見て回るティグルと比べて、生の情報に触れていない、というのは今回の戦いで分水嶺となっている。もっとも、王族という立場と十万を越える大軍の指揮、大量かつ多角的な情報の集積と分析による大局的視点の確保、という意味においては、クレイシュの姿勢はまったく間違っていないんですよね。
正直、これを倒すというのはどれほど運が良くても無理だろう、と読めば読むほど思い知らされていただけに、この決着はまあこれしかないよなあ、というものでした。
王族として、見事に籠城戦の士気を保ち続けたレギンを含め、全員が人事を尽くしたからこその結果でしたけれど、もし叶うならばクレイシュが撤退した理由となる政治的な部分が偶然の産物ではなく、意図した政略或いは謀略として仕掛けることの出来る人材が、ブリューヌに欠けているのが辛いところ。尤も、それが出来る手の長い大政治家、謀神的人材は各国見渡してもなかなか居ないんですけれどね。万端勝てる戦場を整えてから繰り出してくるクレイシュ当人とか、ブリューヌ国内を内乱状態にした上で攻めてきたザクスタン王、或いは往時のガヌロン公爵なんかがこの手の指し手ではあるのですけれど、今のブリューヌにはこのタイプの指し手が居ないんだよなあ。武人タイプばっかりだし、宰相のボードワンも内向きですしねえ。
例えば、ヴァレンティナが目指すべきはこのタイプなんだろうけれど、今のところ小賢しい立ち回りに終止していて、大局を動かす繰り手を見せることは出来てないんですよねえ。

と、そういえばフィグネリアさんが正式に戦姫として活動を開始しましたけれど、リーザやヴァレンティナとの対談を見ていると、今までの戦姫にはないポディションになりそうで面白し。いや、実直な戦士タイプではあるんだけれど、一番の新参ながら年齢的には年上なせいか、落ち着きのある性格も相まってどうも長女的ポディションに付きそうな感じがあるんですよね。前には出ない後ろでみんなを見守るタイプのまとめ役、というべきか。うん、貫禄があるんですよね。彼女の動向には興味をそそられる。
しかし、戦姫の殆どがティグルに好意持ってるんじゃないか、という呆れ気味のフィグネリアさんの見解には笑ってしまったw

そのティグル、エレンと好い仲になったものの、他の娘たちはどうするのかな、と思ったら、ティッタに関しては選択するという選択すらなしですか。そりゃ、女好きと自嘲するのも仕方なし。まあ、ティッタ相手だとエレンも文句言わないしねえ。
それはそれとして、もう好意を隠そうともせず食いつく気満々な肉食系のソフィに、こちらも素直に好意を口にしているリム、周囲も動いてティグルとくっつけようとしているレギン女王。とまあ、入れ食い状態で。
ミラさん、落ち込んでる暇ありませんよ!? ってか、嫉妬に身を焦がすでもなく、わりとマジに羨ましそうにエレンとティグルの様子を指くわえて眺めてるミラが、なんとも可愛くてねえ。恋愛方面だと、ミラもあれですね、乙女ですねえw

まあ女性陣との関係はそっちのけっで、ちゃっかりダーマードととっ捕まえて確保しているあたり、ティグルの狙った獲物は逃さない感が出てますなあw
ルーリックが居るとはいえ、彼はジスタートの将校ですし、気心の知れた実力のある腹心ポジションの男性キャラが欲しかったところで、薬を使っていたとはいえエレンとガチで打ち合える実力のあるダーマードをゲット出来たのは大きいぞ。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 13 ★★★★   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉(13) (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 13】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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Kindle B☆W

大軍と共に出現したタラード=グラムを説き伏せ、その助力によりザクスタン軍を撃退した、ティグルたち月光の騎士軍。しかし、王都への帰還の途上をグレアストの軍に襲撃され、満身創痍のティグルたちは壊滅の憂き目に。指揮官であるティグルとエレンは混乱のなか行方不明となる。エレンはグレアストに捕らえられ、彼女への異常な執着に晒されてしまう。マスハスやリムアリーシャが対策を練る一方、単身で動き出したティグルの元には、予測しうる限りで最悪の敵が迫り、同時に、最高の助っ人が駆けつけようとしていた―大ヒット最強美少女ファンタジー戦記、緊迫の第13弾!
月光の騎士軍の敗走に伴いティグルとエレン、二人共が行方不明という衝撃的な結末で終わった前巻。この間行方不明になって記憶喪失になってたティグルですから、え!?また行方不明!? とさすがにこれには違和感があったのですけれど、なるほどそういう展開だったのか。まさに、お膳立てとしてはこれ以上ないシチュエーションなのだけれど、ティグルのメンタルがあれほどマッハに削れていくのは意外でもあったのだけれど、それだけ必死さが伝わってきたのは読者としても手に汗握る迫真性だったんじゃないだろうか。何だかんだと追いつめられても生来の大らかさからか若干鈍いところがあるのか、ティグルって常にどこか余裕というか慌てない動じない部分が残っていたのだけれど、今回に関してはそういうの全部ゴリゴリと削り落ちて凄惨と言っていいくらいになってましたからね。
それだけ、エレンの危機に対して冷静で居られない、というティグルの精神状態がよく伝わってきたのですけれど、叩けば治るところがこの男の良い所で。
こういうシチュエーションで、ティグル一人の力で打開させないのは、らしいというかなんというか。一部始終を目の前で見せつけられることになった、どころか全力で手助けすることになってしまったミラとしてはいい面の皮、なんだろうけれど、ここでこの場に居て全部知ってしまったのがミラだった、というのは重要ですよ。他の誰でもない、ミラが選ばれたという事でもありますからね。この負けず嫌いの娘さんがこれだけメタメタにやられてしまってすごすごと引っ込むはずがありませんもんね。むしろ、闘志を燃やすのがミラの真骨頂でしょう。目の前の現実と自分の醜くも情けない心の動きに随分と凹まされたみたいですけれど、事実を知ってまず「その手があったか」とか思ってる時点で色々とアレですし。
ある意味、徹底的に追い詰められた、とも言えますし、こっからはミラさんなりふり構わない気すらします。
一方でティグルですけれど、こっちはこっちで自分から形振り構わないと言ってるようなものな宣言しちゃってますからね。恐ろしい。このティグルくんが、受動的ではなく能動的に「絶対に何とかする」とか言っちゃったんですよ。絶対になんとかしてしまうに決まってるじゃないですか。今のところ、解が見えていないだけにどこに進んでいけばわかりませんから走りだしていませんけれど、もし解さえ出ればそれがどんなモノだろうとティグルだと、もう気にせず進みだす気がするんですよね。この男、一度決めたらどんな大胆な内容でもとんでもない代物でも、躊躇わんからなあ。基本的に、促してもなかなか動き出さない鈍いのんびりとした青年なのだけれど、それだけにこうと決めた時の揺るがなさは……。
ある意味、これまで故郷アルサスの安定以外何も望んでこなかった男が、初めて欲したわけだ。能動的に手に入れようと動き出したわけだ。これは、えらいことになりますよー。
味方のメンツ見渡すと、「じゃあこうしたらいいんじゃないですかねー」と耳元で囁いてちゃっかりその代価に枠内に入っちゃいそうな女性がいるだけに、ティグルが本格的に動き出すのもそう遠くないような気もします。

いずれにしても、そうなるとヴァレンティナは対立軸の向こう側に行きそうなんだけれど、この娘さんはふらふらと暗躍しすぎてて、ちょっと敵役としては腰が据わってない感じなんだよなあ。信用も信頼も出来ない人物としてティグルサイドでは評価は定まっているけれど、ティグルがそんなに彼女に対して悪印象を抱いていないのがちょっと気になる。
動乱の黒幕として動いていたガヌロンも、ちょっと孤立しがちだしイマイチ受動権を握れているとは思えない部分があるので、どうなんだろう。魔物側はある程度自分たちが立てたスケジュール通り状況を動かせているみたいだけれど、それでも想定外の部分は多いみたいだし。
実のところ、こうして敵側の思惑が一つにまとまっておらず、各自が勝手に動き回り暗躍している状況というのは、誰もイニシアティブを握れていないという点で次に何が起こるのか誰にもわからないので、混沌として話としては面白いんですよねえ。脚の引っ張り合いで物事が中途半端になってしまうのならともかく、ムネジオルの侵攻で今、もうわやくちゃなことになっててまさに激動という有様になってますし。
此処に至ってまだ真意が見えないプレイヤーが、ジスタート王というのが気になるところでもあるんですよね。何を考え、どのように動いているのか。それがわからないうちは、もしかして彼が主導権を握っているのでは、という疑いが拭いきれませんし。ティグルの最終目的からしても、ジスタート王の存在は無視できないものですし。
さあ、いずれにしてもティグルの英雄譚としては、もしかしたら彼がやる気になったここが本当の、或いは最後のスタートかもしれない。面白くなってきた。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 12 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉12 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 12】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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ブリューヌ王国に侵略したザクスタン軍を撃破するため、月光の騎士軍を結成して、その緒戦を勝利に導いたティグル。王都ニースで戦況を見守る王女レギンの下を訪れたが、王宮は謀略の渦巻く魔窟となっており、凶悪な魔手がティグルに忍び寄る。戦場の敵はザクスタン軍だけにとどまらず、因縁の深いあの男の登場により、ブリューヌの地を舞台とした戦乱は、新たなる局面を迎えることに。一方、ジスタートでは新たに煌炎バルグレンを継承した戦姫フィグネリアがヴィクトール王に謁見していた。幾つにも重なり合う陰謀と戦いを目前に、英雄となった少年は、戦友たちと共に未曾有の混乱を収束させることができるのか―大ヒットの最強美少女ファンタジー戦記、急転直下の第12弾!
ああ、フィグネリアさんて、またエレンと複雑な関係にある人なのか。もっとシンプルに傭兵時代の良き先輩、という風に捉えていたんだけれど、敵ではないものの友好的、とは言えない関係にあるのだなあ。感情的に拗れてしまっているエリザベータと比べると、まだマシなのかもしれないけれど、こればっかりはエレンがまたどう思っているかわからないし、なんとも言えないのだけれど……いや、むしろフィグネリアさんの方が気にしてるというか、引きずっている節があるのでにんともかんとも。
ただ、面白いことに新たに登場した彼女は、傭兵でありながら「国家観」というものを有した人でもあるんですね。
ちょうど、ティグルが国の中枢に携わろうか、という立場となり一地方領主ではなく天下国家の在りようというものをより顕著に考えるようになった折に、彼女のような存在が現れた、というのはなかなかに面白い。
合わせて、エレンが傭兵時代からその養親の影響で自分の思い描く国家観というのもをしっかりと持っていて、それをティグルに贈り物のように伝えているんですよね。そして、フィグネリアさんが国家観を持つようになったのも、そのエレンの養親の影響であり、エレンとの関係が難しいことになってしまっているのもその養親が関わっている、ということで随分と面白い因果と先々の展望への絡め方を織り込んでいたなあ、という印象。
さらにそこに、戦姫という存在がジスタート国の重鎮でありながら、国王の手が及ばない独立国の公主であるという特殊な立場であると同時に、国の担い手という立場を離れた「戦姫」という一人の戦士としての役割が与えられていることが、ミラの件で浮かび上がっているんですよね。ここ、何気にこの先においても重要なポイントになってるんじゃないかと思うわけです。ティグルのブリューヌの中での立場もあがってきたことで、ブリューヌ王国の公主としてのエレンとの関係は、今までのような気安いものであり続けるのは難しくなってきている。それは、ブリューヌ王都でのティグルとエレンたちとの接触すらままならなかった状態にも象徴されるように、今後さらに立場が二人の間を隔てていくであろう中で、公としての戦姫ではなく個としての戦姫の役割が、同じく「弓」の使い手としてのティグルと、エレンそして戦姫の女性たちとの関係に新たな一石を投じるのではないかな、と思ってたら最後に急展開だよ!!
まー、このままだと、どうやったってティグルとエレン、離れ離れにならざるを得なかったからなあ。いやしかし、あの段階でああなってしまうと、それでおしまいというわけじゃなくて、王都ヤバいじゃん!

レギン女王、優秀ではあるんだけれど、王としては実のところジスタート王の方が老練なのかなあ、と思わないでもない。エレンみたいに舐めてる人も多いみたいだし、実際やってることは当てこすりみたいだったり狡いことは多いみたいなんだけれど、王権の維持、という観点にたつと戦姫みたいな半独立勢力が乱立してるような危うい権力基盤の上で、実に見事に立ちまわってるとも言えるんですよね。
それに比べて、レギンは権力基盤が弱いから仕方ないのだけれど、全方位の顔色を見ながらかなり弱腰に振舞っているので、今度の一件はナメられた、とも言えるのかもしれない。ただ、参加した貴族の数がかなり少なかったことや事件後に厳しい対応を取ろうとしているのですから、出来る範囲で最大限の努力をしている、とは言えるんだろうかなあ。
今更ながら、ロランが殺されたことが惜しまれてならない。彼が居るだけで、レギンの押し出しもよっぽど違ったはずなんだよなあ。こればっかりは、どれだけ武功をあげてもティグルではなかなか難しいところ。それでも、ロランの代わりを務められるのは今やティグルしか居ない以上、彼があの選択をしたのは他の余地がなかったんだろうなあ。
まあそれも台無しになってしまったのですが。

しかし、今回の騎兵軍といい、前回の工兵軍といい、ザクスタン軍の二枚看板、こと軍の将帥という観点においては、作中でもちょっと図抜けてたんじゃないだろうか。ここまで戦場での指揮能力の高さを見せた将はあんまり居なかったですぞ。バルバロッサよりも上だったよなあ。正直、よう勝てたと思うよ、ほんまに。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 11 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉11 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 11】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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記憶を取り戻したティグルはジスタート王国にて新年を迎え、因縁浅からぬ戦姫たちと感動の再会を果たす。また、彼はジスタート王に謁見し、思い描く未来の甘さを指摘される。ブリューヌに戻ったときろで残してきた巨大な武勲が、決して彼を以前と同じままにはしておかない。王の言葉に、ティグルの胸中は大きく揺らぐ。一方、ブリューヌ王国ではレギン王女暗殺が企てられるも、未遂に終わる。だが、事件はそれで終わりではなかった。陰謀の背後に見え隠れしていた隣国ザクスタンが、剥き出しの野望をブリューヌに向ける。故国の窮地に、英雄となった若者はいま、再び大動乱にその身を投じようとしていた―最強美少女ファンタジー戦記、新章突入の第11弾!
七戦姫勢揃いのなんというド迫力。サーシャ抜きなので六戦姫だけれど。よく考えると、こういう形で戦姫たちが勢揃いする機会って今までなかったんですよね。それが公式の場で、こうしてティグルを取り巻くように戦姫たちが揃うインパクトときたら。しかも、ティグル中心、戦姫をティグルが引き連れるような構図になってるんですもんねえ。ジスタート内でも、これはもうティグルという存在を無視できないんじゃないだろうか。
それにしても、他の戦姫があれだけティグルと好を通じてしまっている中で一人だけヴァレンティナだけが蚊帳の外という疎外感(笑
思ってた以上にリーザとエレンに和解ムードが漂っていたのが、そこに拍車をかけるわけで。ほとんどのメンツとは初対面となるオルガも、ソフィーがわりと傍に寄ってる感じでしたしね。まあ、いきなりオルガは再会した途端に爆弾を投下してましたが。ティグルとの男女関係というのは、それぞれの立場もあってか戦姫の誰もが保留というか、あんまり考えないようにしていたっぽいところに、オルガが空気読まずに、同時に結構その立場にも考慮した爆弾発言で否応なくそれぞれの胸中に波を立たせたわけで……速攻でその波に乗って食いつくソフィーの肉食っぷりには笑ってしまいましたがw
めっちゃ食う気満々のソフィーに対して、他の戦姫が思いの外ティグルと親しい関係なのを目の当たりにして、焦りながら自分も呼びたいし呼んで欲しい、といそいそと申し込むリーザがなんか可愛らしかった。このメンツの中では何だかんだとリーザが一番乙女っぽい内面があるんだよなあ。ミラもあれでけっこうそっちの卦があるけれど。お陰でこのリーザとミラ、意気投合しつつ打ち解けられないんじゃなかろうか。
と、男女関係云々だけではなく、オルガの投じた爆弾というのは、ティグルの在り方を「王」のそれだ、と言及してのけた点こそが大きかったように思う。ティグルはこれまでの旅路の中での体験の中で王という存在について徐々に思うところを蓄積していってたと思うんだけれど、戦姫たちにとってティグルという男に「王」をみるという考え方は今まで殆ど持ってなかったんじゃないだろうか。ところが、オルガの発言によってそれが現実的か非現実的かというところは脇において、ティグルという男を表す在りようとして「王」という考え方がある、という発想が植え付けられたわけだ。これは、今後について大きな布石になりそう。
むしろ、もっともティグルという男と「王」という存在を結びつけて考えていたのは、こうしてみるとジスタート王なんじゃないか、とすら思うんですよね。ジスタート王って、当初エレンがけちょんけちょんに貶してたもんだから、随分な小物な王様なのかと序盤は思ってたけれど、中盤から直接登場するようになってその内心や考えが読めないところから得体の知れなさ、不気味さが感じられてた上に、今回の含蓄あるティグルへの助言とも警告とも野心の植え付けとも取れる言葉の数々は、このジスタート王がどのような性質の持ち主であるかは未だわからないものの、少なくとも「賢人」のたぐいであることは間違いないと確信させられた次第。ティグルの在り方とは違うにしても、確かに「王」たることを忠実に勤めてる、って感じなんだよなあ。
ぶっちゃけ今の段階だと、ヴァレンティナではジスタート王に対してまだまだ及ばないように見えるのよねえ。いろいろ暗躍している彼女だけれど、まだ浅いというか、ジスタート王やガヌロンレベルに比べると深慮や遠謀が足りてない気がする。
ジスタート王の在りように、強く「王」という存在を意識させられたティグルに対して、間髪入れずに届くのは、ブリューヌへのザクスタン王国の侵攻。そして、それを手引きしたと思われるブリューヌ内の新女王への抵抗勢力の存在。既に他国にも名望響くブリューヌ最高の英雄となってしまったティグルは、もはや辺境の小領主という立場では居られず、ブリューヌ国内での政治闘争に必然的に巻き込まれることになるのだと、ジスタート王の予見通りになりそうな流れ。第三部に入り、明確に空気が変わった感があるのは、このティグルの政治中枢へ問答無用に係ることになりそうな流れそのものなんだろうなあ。そして、それはティグル単体ではなく、ジスタートという異国の影が常に付き纏うことになるわけだ。もう誰がどう見ても、ティグルのバックにはジスタート王国がついている、と思われて仕方ないもんなあ。いくら英雄とはいえ、他国の紐付き、という印象は常に悪感情を伴って付き纏うことになる。どれだけ健常で公正な考えの持ち主でも、疑念は抱いてしまうだろう。ザクスタンの侵攻にともなってエレンの軍を連れて戻ってきたティグルへの視線には、その萌芽が幾つも散りばめられていた。今後、もつれるだろうなあ。
あと、戦姫の結婚についてはなんか具体的な話というか、一般的な貴族や豪族との違いなんかが語られて、より身近な話ともなってきたんだけれど……なんかティグルって、今の段階でわりと好きな相手居そうじゃない、これ?
それから、もう一つ重要なイベントが。ついに、サーシャの後継。操炎の双剣「バルグレン」を継ぐものが現れる……って、んんん? これって、もしかして、一番最新の戦姫にして、一番年長になるのか、この人!?
エレンの傭兵時代、以前の子供時代も知ってるみたいだし、もしかして、リーザとエレンの過去イベントを掘り起こしてくれるきっかけにもなりそうな予感。リーザはエレンとの過去については絶対口を開かなさそうだし。そのくせ、エレンを超好き好きなのは、ミラがエレンの悪口言ったら超不機嫌になってるあたり、未だ衰え知らずみたいだし、そろそろ本格的に和解させてあげてほしいのよね、この二人。

シリーズ感想

アニメ雑感  


【SHIROBAKO 第12話】

うおおお、これは燃える展開だ。杉江さんがかっこよくてシビれるのなんの。眠っていた獅子が起きた、とでも言うのかこれは。既にロートルだと思われていたベテランが、社の危機にその真価を発揮する、という展開大好きですわー。しかも、今まで主力を担ってきた面々が、杉江さんが出張るならとそのサポートに回るという、知る人が見るならオールスター体制。うん、これは盛り上がる。
しかし、これも宮森が走り回った末の事ですし、宮森が頼まなければ杉江さんも、杉江さんの実力を知る周りの人達も遠慮して仕事を受けることも振る事もなかったのでしょうし、これは宮森のお手柄だわなあ。
杉江さんを中心として、若手連中が積極的にその技術を学ぼうと貪欲になり、輪が出来て士気があがる。うんうん、素晴らしい雰囲気だ。
エリカさんも、お父さん大丈夫で戻ってきてくれたし。アニメは見事最終話まで完成して、ハッピーエンド。うーん、面白かった。
正直、内容的には胃をすり減らすような展開続きだったはずなんだけれど、見ててこっちまで磨り減るようなことはなくて、ただただ引き込まれるような面白さでした。これは何気に凄いよねえ。
二期も本当に楽しみ。



【グリザイアの果実】
やばい、終わったあとの次回予告からのグリザイアの迷宮、楽園のアニメ化予告には燃えた!!
いやあ、物凄い内容端折っているにも関わらず、だからこそ原作をやってみたい、と思わせてくれるアニメでした……迷宮、アニメ放映前にやります。買ってプレイします。します! やらいでか!


【トリニティセブン】
終始ゆるゆるの、バトルになってもスットボケた雰囲気なのは原作からで、サイトウケンジ作品の特徴でもあるんですけれど、うんこれがいいのよ好きなのよ。原作に非常に忠実という意味では、大変満足でありました。ミラ分を堪能できましたからねえ。……あれ? 忍者剥いたっけ? 


【神撃のバハムート GENESIS】
最終話の作画、もうなんか劇場版のクライマックスか、という勢いだったんですが。
いやもうこれ、予想外の良作でした。最後まで話ビシッと引き締まってて、引きこまれたもんなあ。ファバロをはじめとしたキャラクターも、最初は小悪党すぎてコイツどうよ、という感じだったのに、どんどん魅力的になってきて、最後に至っては痛快極まる主人公でしたし。アフロなのに。アフロなのにw


【魔弾の王と戦姫】
最後、チラッとオルガの顔見せくらいはあるかと思ってたのですが、結局登場せず、まさにOPだけしか居ませんでしたね(苦笑
でも、無理やり出されるよりは良かったかも。彼女がOPに映ってた時は、どうやって12話でオルガ登場のところまで話進めるんだろう、と真剣に危うんだものですが。
しかし、大幅に話を削ってほぼダイジェスト版で進めなくてはならなかったのは、やはり痛恨ではなかったかと。ぶっちゃけ、12話で原作の5巻まで描く、という無理な進行に関して以外、スタッフのお仕事に不満らしい不満は殆どなかったですからね。いや、ティグルの弓の腕の見せ方についてはもう少し何か良い発想はなかったのか、と思う部分もありましたけれど。だいたい、丁寧に作られてましたからね。もう少し話をゆっくり出来たなら、どれくらいの作品が出来たか。勿体無いなあ。
あと、リムのデレっぷりがあんまり見れなかったのもちと残念。ある意味ティッタと同レベルでデレてたのに。かなりマジで周りからもティグルの嫁候補にあがってたもんなあ。しかも、本人まんざらじゃなさそうだったしw
まあ、ミラを堪能できたからそれなりに満足です。

アニメ雑感  

【異能バトルは日常系のなかで 第10話「迷路<プールズラビリンス>」】
これ見てると、安藤は普通にお買い得物件なんだよなあ。姉ちゃんに仕立てられてるとはいえ、着こなしもちゃんとしているし、女の子と遊んでいてあれだけストレスを感じさせない、ちゃんと楽しませる事の出来る男は希少品ですよ?
しかし、この調子だと千冬ちゃんに関しては、安藤は幼いころの素敵な恋の思い出の相手、になりそうだなあ。個人的には下手くそな灯夜よりも、不器用な彩弓さんを応援したい。
ところで、同じGA文庫の【聖剣使いの禁呪詠唱】をさり気なく宣伝してるんだけれど、宣伝するならアニメ制作もTRIGGERでやってくれればいいのに、と思ってしまう。


【魔弾の王と戦姫 第10話「オルメア会戦」】
ミラが煽る煽る(笑
いやでも、疲れ果てて目の前で寝てしまったティグルに添い寝して一緒になって寝てしまうミラは本当に可愛らしかった。アニメだと、彼女の女の子としての部分がいい意味で引き出されてて、うんこれはファンが増えるだろうなあ。
肝心のオルメア会戦も、相手の赤髭がまた良いキャラしているお陰で、最後まで引き締まった激闘となっていたように思う。出来る範囲での最大限の演出表現を引っ張りだしてるんじゃないだろうか。
原作だとしばらくミラの出番が遠ざかっているので、アニメでミラ分を補充できて至福であるw


【「Fate/stay night [Unlimited Blade Works]」#10】
いやあ、やっぱり葛木先生カッコイイわ。この人の戦闘スタイルには、原作やった時も驚かされ、痺れたものだけれど。
それとセイバー、あのマフラーの私服姿で剣持った姿、カッコイイよなあ。


【結城友奈は勇者である 第10話「愛情の絆」】
ひぎゃーーー、東郷さんがアグレッシブに絶望してしまったーーっ!!
いやでも、これは無理ないぞ。世界の置かれた絶望的な状況が想像の斜め上だった。こんなんもうあかんやん。どないしようもないやん!! 
正直、東郷さんの家に大金が振り込まれてるというのは、生々しすぎて震えた。娘が贄として働くたびに金貰ってるとか……、いやでもそれで両親が単に娘を売って後ろめたさを感じながらもお金貰ってほくそ笑んでる、くらいだったらまだいいのかもしれない。心底、娘が神樹さまの巫女として贄になっていくことを喜んでいるのだとしたら……。
これだけの絶望的な状況に世界が置かれているのだと、大赦が把握しているとなると、もう今更日和る部分なんかないだろう。宗教的な盲信に傾倒していなければ、正気じゃ居られないよ、これは。
そして神樹様は真の意味で人類の庇護者だったわけだ。神樹さまの立場からすると、この東郷さんの所業は、一体なにしてんねん人間!?てなもんになるんだろうなあ。どうも、思惑あって私利的に人類を守っているのではなく、あくまで神として慈悲をもって身を切って絶滅寸前の人類を庇護していて、それでも力足りない部分を人類側からの供給で凌いでる、それが勇者システム、てな感じだし。
それが、人類側からいきなり自死行為を始められた日には、神樹様としては人類に裏切られたようなものと思われても仕方ない。
でも、人類総体ではない、勇者個人個人からすると、置かれた状況は死よりも辛い地獄そのものであるわけで、発狂しても仕方なく……。ヤバい、これはマジで救いがどこにもないぞ。


【selector spread WIXOSS 第10話「このぬくもりは限界」】
リアル・イオナが現れて、じゃあルリグになってる黒のイオナは紛らわしいので別の名前をつけよう、という話になって、つけた名前が、黒イオナは雪が好きだというので「ユキ」って、ルー子、名前の付け方がひどくないか!? そういえば、白の子にタマって名前つけたのもルー子だったか? ペットの猫に名前つけるんじゃないんだから。あのシーンは、普通に「スノウ」とか雪とか冬に因んだ名前をつけるのかと思い込んでたので、「ユキ」とか言い出した時にはマジでひっくり返ったw
いやでも、話の方は相変わらず緊迫感たっぷりに二転三転して、本当に面白い。ここでついに、満を持してハナヨさんに会いに行く展開には、正直ワクワクしっぱなしである。

アニメ雑感  


【魔弾の王と戦姫 第9話「雷渦と煌炎」】
ニコニコ動画だと、コメントで状況を詳しく解説してくれてる人がいるので、それと合わせてみると非常にわかりやすくてうんうんと頷きながら見てたんだけれど、逆に言うとこの解説ないとかなりさっぱり意味不明な展開多いですよね?
さて、ここでようやく新たな戦姫、サーシャとエリザヴェータ。エリザヴェータの声の人、小林画伯なのか。実はもっと可憐、というか戦姫でもこう、一番かわいい感じの声でキリッと喋ってるのをイメージしていたので、これは意外な人選。とはいえ違和感というほどではなく、いずれ慣れるかと。
しかし、アニメだとエレンに対して上から目線で何でもお見通しですのよ、おほほほほ、みたいな態度ですけれど、実際はかなり一生懸命で背伸びして頑張っているのを知っていると、なんだかニマニマしてしまいます。ってかこの厭味ったらしいエリザヴェータこそが、エレンから見たエリザヴェータなんだろうなあ。

さて、エレンの居ないブリューヌ王国では、ティグルに対してミラが構う構う。躾けである、調教である。今のうちにつばつけといてやれ、てなもんである。でも、まだミラはデレてるわけではないんですよね。本格的にハマってしまうのはまさにこれから。
ついでに、あの赤髭の親っさんも別の意味でティグルにハマってしまうのですが。このバルバロスも良いキャラ出してるなあ。


【結城友奈は勇者である 第9話「心の痛みを判る人」】
風お姉ちゃん、狂乱!!
この追い込み方、畳み掛け方がタイミングといいすさまじいの一言。風姉ちゃんの精神を丹念に折りたたみ、すりこぎでゴリゴリとすりつぶした挙句に、熱湯を浴びせかけるかのような怒涛の構成。
ここで、友奈や東郷さんについての言及は最低限の後回しで、風がひたすら妹の樹についての悔いを叫び続けるのは、生々しくてむしろ好きだなあ。みんなに悪いと思いつつも、優先はやっぱり妹なのですよ。この偽善抜きの露骨な本心の発露が、余計に姉ちゃんの絶望を剥き出しにしていてゾクゾクする。

と、同時に大赦の対応である。もう、先代の園子に友奈と東郷を逢わせた時点で、秘密は破綻しているにも関わらず、なおも大丈夫大丈夫、と根拠の無い返信を送り続ける大赦には、誠実さが致命的に欠けている。酷い、確かにこれ以上無く酷い対応なんだけれど。解決しない問題を先送りにしても結局どうにもならないのに、それでも問題無い大丈夫、と言い張る凄まじい酷さなんだけれど。夏凛に丸投げしてしまう無責任さなのだけれど。もしかして先送りにすることで、新たに起こる自体が彼女たちの怨嗟を彼女たちごと押し流してしまうのを期待している、という卑劣の結果なのかもしれないけれど。
そこにむしろ、生々しいまでの人間性がかいま見えるんですよね。その不誠実な対応から見えてくるのは、少女たちへの後ろめたさ、罪悪感、責任逃れ。旅行や高い料理で歓心を買おうとしながら、しかし少女たちの悲鳴に、絶望にまともに向き合う事も出来ない弱さがにじみ出ている。でも、その弱さは、醜さは、無様さは、ろくでもなさは、あくまでも「人間らしい」ものでもあるんですよね。決して理解できない未知にして不気味な黒幕とは言えない、何を考えているかわからない恐ろしい無機質なシステムとは決定的に違う。
大赦は、あくまで弱くて醜くて真っ当な人間が集まった人間の組織なのだというのがこの上なく伝わってくる。そして、だからこそ黒幕足り得ない。倒すべき悪とはなれないのだ。
少女たちの、物語におけるラスボス足り得ない。焦点足り得ない。だからこそ、大赦の人間は一切登場しないのだろう。登場してしまえば、その人は怒りの対象という贄になってしまう。余計な焦点になってしまう。
彼女たちが抗い立ち向かうべきは、このどうしようもない状況そのものなのだから。

しかし、あの勇者システムって、別にあちらの空間とは関係なしに現実空間でも普通に勇者に変身出来るのか。凄いな。


【牙狼<GARO>-炎の刻印- 第8話「全裸-FULL MONTY-」】
親父のワンマンパレードすぎて、もうすごすぎる話だった。なんで胸毛ボーボーのおやじの全裸を、ほぼ全編に渡って見続けなきゃいけないんだw
そして、あの格好で街を走り回る変態にも関わらず、モテまくる親父の凄まじさw
しかし、本当に服を着ろよ!!

【魔弾の王と戦姫 第4話「凍漣の雪姫(ミーチェリア)」】  

おお、ミラってこんななのかー! ……なんか、凄いちびっ子だねw
リュドミラって、戦姫の中でも風格と威厳にあふれていて、お姫様というよりも女帝というイメージて、そうっすねえ、恋姫†無双の曹操・華凛とかあっち系統のビリビリと覇気が漲ってるようなタイプな印象だったので、このミラのちんまさはなんか意外だった。文章だとわからなかったけれど、見た目のインパクトってやっぱり大きいんだなあ。
あと、おぱーいがちゃんと慎ましやかになっていたのには、思わずにっこりとなってしまったのでした。そうなんだよ、ミラは不必要にでかくないんだよ。原作でのイラストだと、作中ではちゃんと小さいと書いているにも関わらず異様に巨乳で、そこだけは納得いってなかったでしたからね。

それにしても、おぱーいの凄まじい回であった。エレンのドレス姿での巨乳も暴力的だったけれど、ソフィーヤの爆乳はもうあれ、兵器だろう。どたぷ〜ん、どころじゃないぞ。戦略兵器か? 世界を滅ぼすつもりなのか? あの乳こそが黒幕なんじゃないかと疑うレベル。

ジスタート王は、この段階では王様舐めてる、見下してるっぽいエレン視点だからか原作だとかなり小物っぽく描かれてるんだけれど、最近の怪しい動向を見ていると思いの外何を考えているか分からない不気味で得体のしれない雰囲気になってきているので、あのそれなりに威厳ありそうな王様像は良かったのかも。想像していたよりも老齢だったけれど。

一方、マスハス卿の来訪と共に動き出すティグルの第三勢力の形成のお話は、かなり要点のみを絞った話になっていたけれど、この辺り最低限押さえるべきところを押さえているから良かったんじゃないだろうか。とりあえず、両公爵とは距離を置きたいと思っていた中立派の諸侯がティグルに対して悪くない反応を示していた、というのさえ理解していればOKですし。無論、今の段階ではまだまだハッキリと味方になるには一押し足りない段階なのですけれど。バックにジスタートの戦姫の一人が居て、一度テナルディエ公爵の軍勢を打ち破っているとはいえ、今のところまだティグルは辺境の小さな土地の領主に過ぎないですしね。
ちなみに、ティグルと会談していたオージュ子爵は中立ながらかなりティグルには好意的な姿勢を示しているのは、丁寧な助言をくれていた事からもよく分かるかと。子爵の横に立っていた若者は、OPにも居ましたね。あれがジェラールなのか。
ちなみに、これも原作の話となりますが、エレンが居ない間リムが付きっきりでティグルにくっついてあれこれ領内経営を指導したり、中立勢力との会談に介添えするなど、お仕事のサポートしてくれるのですが、プライベートでも物凄い急接近してるんですよね。
公式サイトのオマケ動画「ヴァナディーちゅ」でリムのクマさん趣味がえらいことになってますけれど、本編でもティグルに趣味がバレてえらいことになってますし。エレンが居ない間に、リムさん、物凄い勢いでデレ出してます。
その流れあって、トドメにあのティグルの、リムのおぱーいむぎゅーのぶちゅー、に繋がるのですが。しかしあれ、毒を吸い出すのにおぱーい鷲掴みにする必要、一切ないですよね(笑
あればかりは、さすがですティグルさん、と敬するしかありませんなっ!

B00NQFEEXA魔弾の王と戦姫 第1巻 [Blu-ray]
KADOKAWA メディアファクトリー 2014-12-24

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B0095EZ85E魔弾の王と戦姫 2 (MF文庫J)
川口 士 よし☆ヲ
KADOKAWA / メディアファクトリー 2011-08-24

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魔弾の王と戦姫 第3話「甦る魔弾」  


なるほど、合戦を駒で表現するというのはこういう感じなのか。
これは確かに、戦闘の経緯が非常にわかりやすいんだけれど、若干状況説明ばかりになっていて、なぜジスタート側が少数にも関わらず、ああも見事に敵をフルボッコ出来たのか、という解説が少なかった気がするんですよね。なので、戦闘の推移を淡々と見ているだけで、敵の戦線を突破したり、伏兵が見事に決まったり、というシーンでの盛り上がりにやや欠ける感じがするんです。
臨場感が足りない、というのかなあ。
例えば、銀河英雄伝説のアニメなんかでも頻繁に戦況図は使われてたと思うけれど、戦闘の推移には引き込まれ迫力たっぷりでしたし、このアニメと同じ佐藤監督が手がけた、モーレツ宇宙海賊なんかでも航路図をメインに映しながら宇宙船同士で戦うシーンがあったけれど、あれも緊迫感凄かったんですよね。それを思うと、もうちょっと演出がこなれてきたら、戦争シーンの盛り上がりはもっと血沸き肉踊るものになってくると思うんだがなあ。
これは、今後に期待、というところで。

ザイオン、見事な小物っぷりの見事な散り際でしたけれど、振り返ってみると今後戦う敵ってみんな相応以上に出来る相手ばかりだったりするので、ザイオンみたいな小物は彼が唯一だったんですよね。その意味では貴重な逸材だったんだなあ、と目を細めてしまいましたw

驚いたのが、ティグルの黒い弓が発した声が女性だったこと。思い込みで、男性の声だとばかり思ってたので、「うえ!?」てなったのです。原作だとどう描写されてたんだろう。もしかしたら、ちゃんと女性の声、と書いてたかもしれません。思い込んでたなあ。

B00NQFEEXA魔弾の王と戦姫 第1巻 [Blu-ray]
KADOKAWA メディアファクトリー 2014-12-24

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魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 10 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉10 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 10】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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エリザヴェータの力を借りバーバ=ヤガーを退けた“ウルス”ことティグルだったが、その矢先に魔物の力で見知らぬ森の中に飛ばされ、ムオジネル人ダーマードと出会う。ティグルの消息を探るダーマードに剣を突きつけられ、ティグルは絶対絶命の危機に。一方、エレンの命令を受けたリム、マスハスとティッタの三人はついにルヴーシュの公都にたどり着いた。同じく公都に帰還したエリザヴェータは、あらためてバーバ=ヤガーと戦うことを決意する。さらにガヌロンが暗躍し、ブリューヌとジスタートに新たな動乱の火種を撒く。混沌が加速して世界が人知の及ばない狂気を帯びていく中、時代が、英雄の復活を待ち望んでいる―大人気美少女ファンタジー戦記、第10弾!
マスハス卿が有能で便利すぎる! 何この万能爺ちゃん。凄い痒い所に手が届くよっ! 亀の甲より年の功と言いますけれど、マスハス卿のそれはまさに円熟した経験の賜物。勿論、単に年を経ただけでは得られないような機微や発想、手練手管の数々で、若い頃からこの方はいったいどのような人生を送ってきたのか、非常に気になります。ただの貴族ではとてもじゃないけれど出来ないような事をひょいひょいとやってのけるのですから。若いころのマスハス卿を主人公にした話で、一作書けるんじゃないだろうか。ティグルよりモテてそうじゃないですか。
案の定というか、エリザヴェータの側近でも文官筆頭というべきラザール老も見事にティグルに完落ち。これで武官のナウムさんと合わせ技一本である。ついでのように、ティグル暗殺を命じられてジスタートに潜入してきたはずのムオジネル王国の王弟の側近であるダーマードまで、なんだかんだと友情を交わしてしまって惹きつけちゃってるし。将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、じゃないけれど、意外なことにティグルってわりとまず射止めるべき人間の周囲の人間から、その魅力で落としていってるんですよね。戦姫にしても他国の王族にしても、その立場上のしがらみもあってか、その本心とは別に安易にティグルに対して全面的に肩入れ出来ない場合が多いのですけれど、そういう時はむしろ身分的に自由の効く周辺の側近クラスがティグルに傾倒して、何かと手を差し伸べ援助し協力してくれるケースが実に多い。だから、いざティグルに力を貸す、という段階になった時に反対の声が起きずにむしろ積極的にその判断を盛り立て後押ししてくれたりするんですよね。
これはなにげに恐ろしい地ならしであります。
文官武官双方の筆頭が、あれだけティグルという人間を気に入ってしまったとなると、エリザヴェータのルヴーシュ公国も、今後ティグルに対して便宜をはかる事に対してよっぽど悪条件でなければ異論は出にくいでしょうし、今回の一件を通じてルヴーシュ公国は、それまで若干の溝があったエリザヴェータと先代からの旧臣との関係も改善され、エリザヴェータ自身の心の余裕と側近との信頼関係の醸成も相まって、国力も今後充実していくでしょうし、何より修復不能だったはずのエレンのライトメリッツ公国との間に和がなったのがとてつもなく大きい。
ヴァレンティナが着々と自分の勢力を広げているけれども、誰も知らないうちにティグルを中核とした繋がりも無視できない広がりを見せてるんですよね。あのダーマードとの交流も、場合によってはムオジネル王国とのコネクションになり得るわけですし。

しかし、エリザヴェータは一連の事件を通じて、ホントに正ヒロインっぽさを発揮してましたよね。傍目には悪役全開で嫌味なお嬢様気質の人なんだろうな、というシリーズ当初のイメージはどこへやら、生真面目で不器用で未熟さを自覚し、コンプレックスを抱えつつもそれに負けない根性の持ち主で、実はエレンよりも不遇な幼少時代からの叩き上げ。意外と健気で一途でもあり、女性としての弱さと強さを兼ね備えたヒロイン性は、間違いなく戦姫全員の中でも随一、というタレントでした。場合によっては、ほんと彼女がメインヒロインになってもおかしくなかったくらい。
魔物との契約疑惑も、その敢然とした誇りと正義感で払拭してくれましたしね。
この娘は、もうちょっとわがまま言ってもいいんじゃよ、と思ってしまうくらいには立派すぎるところもありましたけれどね。だからこそ、記憶を取り戻したティグルに抱擁してみせた時には、思わずなかなかやったじゃないか、とニヤリとした次第。うんうん、それくらいしないと、要らんものが溜まってしまう。そうやって、もっとエレンを刺激して欲しいものである。まあ、本当はちゃんとエレンと胸襟を開けて仲直りして欲しいのですけれど。本当は昔の幼いころのお礼をして、あの頃のような仲になりたいと思っているのに、それが出来ずに居るのが伝わるからこそ尚更に。ティグルを通じて、ちょっとでも打ち解けた今後には、そういう機会もあると思いたい。その意味では、二人の本当の和解は先々の楽しみとなる展開でもあるんですよね。

魔物たちの密かな台頭が始まる一方で、ヴァレンティナ、ガヌロンのそれぞれの暗躍に、ムオジネル王国の蠢動、そしてジスタート王の不気味な動き、など戦乱の予感は募るばかり。
記憶を取り戻したティグルの帰還と共に第二部も終了とあいなったわけですけれど、第三部はこれまでに輪をかけて大規模なスケールの話になっていきそうで、本当に楽しみ。死んだと思われていたティグルの復活に、戦姫たちを含めた世間の反応がどう炸裂するかも、ニヤニヤと想像するだけで顔がニヤける楽しみですなあ。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫 第2話 帰還  


あそこでティグルがエレンの部下になっていたら、以後の活躍はなかったんだよなあ、と思うとなかなか感慨深いシーンである。殆ど貸しばかりの関係で、実際は名目上という意外のなにものでもないとはいえ、あくまでティグルとエレンが対等の関係だったからこそ、後々のティグルの飛躍があるんですよね。エレンの部下になっていたら、ブリューヌ王国に対しても、ジスタートの他の戦姫に対しても、またムネジオルやアスヴァールという国に対しても、ティグルが深く関わる事はなかったでしょうし。

エレンがティグルに力を貸したのは、もちろん純粋な好意もあるのだけれど、損得勘定からもライトメリッツとアルサスの位置関係からして、アルサスを押さえておくのは悪くないですし、当時エレンがいがみあってた同じ七戦姫のリュドミラがテナルディエ公爵とは友好関係にあった、というのも理由の一つだったような。
隣国であるジスタートとブリューヌですけれど、ブリューヌのテナルディエ公爵やガヌロン公爵は七戦姫の幾人か、というよりも戦姫が治める公国と個別にコネクションを築いていて、単純な国と国との関係ではなく、結構入り組んだ関係構造になってたりします。まあ、両方とも中央集権国家とは言いがたい国体をしているから、というのも大きいのでしょうけれど。特に、ジスタートは戦姫が治める公国同士が内輪で戦争まがいの戦闘をしたりもしてますからね。

しかし、映像で見ると竜の迫力たるや尋常じゃなし。戦象部隊どころじゃないなあ。さらに、地竜は飛べないにしても、もう一方の飛竜はというと飛翔して空から襲ってくるわけで、この時代の装備ではマトモに対抗するのも難しいと思われるのだけれど、戦姫の竜具が竜に匹敵する戦術兵器として機能しているわけですな。

ティグルの連れてきたジスタート軍、どこからアルサスに入ったんだろう。一応、近場にはザイアンの軍が展開していたのだけれど。
と、そういうザイアン軍に見つからないルートを、ティグルが案内してきたのか。ティグルは貴族で領主だけれど、狩猟が趣味ということで暇さえあれば山を駆けまわっている手合なので、裏道などは並みのアルサスの領民よりも良く知っているはず。
にしても、ティグルの弓は殆ど長銃の狙撃に等しいなあ、あれ。あれは気づかれんうちに撃ちぬかれて死ぬるわ。
地味だけれど、ルーリックが見事な弓の腕前を披露していたのは見ておいて上げて欲しい。あれで、ライトメリッツ公国では屈指の弓使いなのである。だからこそ、隔絶したティルグの弓術の腕前に惚れ込み、そこからティグルの人柄にべた惚れしてしまったのですが。
さて、ようやくティグルがメイン武器となる黒い弓を装備。【流星落者】の伝説の始まりである。



B00NQFEEXA魔弾の王と戦姫 第1巻 [Blu-ray]
KADOKAWA メディアファクトリー 2014-12-24

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原作1巻感想

2014年秋アニメ、スタート。その2  

【グリザリアの果実】
原作未プレイ。なので、さっぱり何もわからない状況なのだけれど、だからこそこの「普通の学園」「普通の生徒」という着ぐるみを着て、中の人など居ない! と真面目な顔をして嘯いている舞台設定にワクワクしてくる。
ところで、これもいわゆる「ツッコミ役」がいないポジショニングなんだろうか。


【魔弾の王と戦姫】
一度目見た時は、ちょっとうーむ、と腕組みしてしまったのだけれど、改めてもう一度見てみると、いやこれは悪くないどころか、なかなか良いんじゃないだろうか、と思い直した。
最初にうーんと首を傾げてしまったのは、肝心要といっていいティグルの弓の描写がいまいち迫力を感じられなかったところで、特に最初のエレンを狙い撃つシーンは原作では限られた矢数の中でどれだけ確実に大将であるエレンを仕留めるのか、まるで詰将棋のように戦術を組み立て、実際エレンを追い詰める様が非常に引き込まれる描写で、それがアニメだとえらくあっさりとエレンに突破されてしまったように見えたので、えー、という感じだったんですよね。
それに、ティグルの弓の描写の迫力やカッコよさは、ライトノベルという界隈の中で描かれる弓術描写の中でも群を抜いて魅せられるものなので、これについては原作参照のこと。
ただ、それらを抜きにしてみると、非常に丁寧に作ってあって、見応え充分だったんですよね。端折っているのは確かなんだけれど、要点要点はキッチリ押さえているので私としては展開そのものには不満は全然ありませんでしたし。あと、おっさんをちゃんと男臭いオッサンとして描いているのは素晴らしい。OPにもちゃんと男多いですしね。ディグルって、女を惹きつけるのも確かなんですけれど、それにも増して男ウケが良くて、あっちこっち行くたびに女性を落とすより先に、まず現地の男連中を、それも何気に重要なポディションにいる男性を陥落させるので、侮れません。まず、ここでも速攻でルーリックを落としてますしね。敵側の人物にも関わらず、以降彼はティグルにべったり付き従う形になりますし。
あと、エレンがあのけったいな格好ながら、きちんとジスタートはライトメリッツ公国公主としての威風と格を見せていたのは良かった。そこらのラノベのヒロインの小娘と違って、ちゃんと統治者としてのメンタリティの持ち主ですからね。
国際情勢や、ジスタートの七戦姫という特殊な国情についての説明も、おいおい在るんじゃないかと。
しかし、OP見てるとエリザヴェータが思いっきり悪そうに見えるなあ(苦笑

あと、公式ページの映像特典は何気に必見。


【俺、ツインテールになります。】
うん……これじゃあいかんぞ。
なんというか、馬鹿に徹しきれてない。突き抜けきれずに中途半端になってしまっている。もう後先顧みずに突っ走りきっているからこそ、原作小説はいっそ清々しいくらいに気持ちいい話になっているのに、その辺を日和ると、単なる気持ち悪い連中が気持ち悪いことをしているだけの話になってしまう。馬鹿をやり通すなら、自分は馬鹿をやってますよ、という甘えを捨て去って、とにかくひたすら真面目に、真剣に、本気でやり通さなきゃならない。
今回特にあかんかったのが、エレメリアンの大先鋒たるリザドギルディの【人形属性】描写を適当に放り出したことだーー!! そして、究極のツインテールたるテイルレッドとの初遭遇におけるエレメリアンたちが受けた大衝撃を蔑ろにしたことだーー!!
なぜ、会長を人形の森に埋めて撮影会をするという楽園を描かない。なぜ、テイルレッドの尋常ならざる幼気に、リザドギルディは吹き飛ばなかった!
リザドギルディの名言がことごとく消し去られていた事に、涙を禁じ得ない。
「貴様はこの子猫のぬいぐるみを持つがいい! 敵意もまた愛らしさと光る……腕白な幼女には、子猫のぬいぐるみがよく似合う!! さあ、抱けい!」

「お前たち、この光景をしかと目に焼き付けよ! ツインテール、ぬいぐるみ、そしてソファーにもたれかかる姿! これこそが、俺が長年の修行の末導き出した黄金比よ!!」

「釘付けになって動けなかった……。剣閃と共に空を舞うツインテール……今俺は神話世界の楽園に迷い込んだ錯覚を覚えたぞ!!」

「そのツインテールを親指と人差し指で軽く摘んで、俺の頬をぺちぺち叩いてくれぬか……!」

「フッ……恐るべき奴! 久方ぶりに戦士としての昂揚が噴き上がる! 我はアルティメギルの斬り込み隊長リザドギルディ! 少女が人形を抱く姿にこそ、男子は心ときめくという信念のもと戦う者よ」

「ふ、ふははは……素晴らしい……ツインテールに優しく頬を撫でられながら果てる……何の悔いがあろうか! 男子本懐の極み!! さらばだーーーーーー!!」
せっかくわざわざ玄田哲章をキャスティングしたにも関わらず、殆ど全く活用してないじゃないですかっ。
痴女と蛮族については、まだ加速がついてくるのはこれからなので今後に期待だけれど、少なくともアルティメギルのエレメリアンたちについては、もう一方の主人公なのだからもっと気合い入れないと。

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 9   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉9 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 9】 川口士/片桐雛太 MF文庫J

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ジスタート王国の次期国王の座をめぐる騒乱を鎮圧するために、自軍を率いて出立したエレン。出向いた先で合流した“雷渦の閃姫”エリザヴェータの側に、行方不明だったティグルを発見する。しかしティグルは記憶を失っており、エリザヴェータの従者“ウルス”と名乗った。エレンのことも思い出せないという。その言葉にショックを隠せないエレンだが、おとなしく引き下がれるわけはない。だが、エリザヴェータもはじめての部下である“ウルス”を手放すつもりはなかった。戦姫同士の激突は避けられないのか。ジスタート国内の陰謀や思惑も加わり、ティグルの運命は嵐よりも大きな動乱に飲み込まれようとしていた。大人気美少女戦記ファンタジー、第9弾!

今回から絵師交代、ということでどうなったか楽しみだったんだけれど、いいんじゃないデスか? ちゃんと誰か分かる範囲で上手いこと自分なりにアレンジしてらっしゃるし。個人的には、ミラのおぱーいがどうなってるかが早く見たい。彼女、丘陵が非常に貧しいという特徴があるのに、前はどう見ても巨乳にしか見えんかったもんなあ。
さて、エリザヴェータ陣営にティグルを発見したことで、一触即発となるエレンとエリザヴェータ。こりゃもう、軍事衝突まっしぐらでしょう、という緊迫具合だったというのに、土壇場でエレンがグッと踏みとどまったのには驚かされた。凄い、ちゃんと戦姫としての立場を見失ってない。
ことがティグルの生存に関することだけに、ここは激発しても仕方ないかと思っていただけに、エレンも、それにエリザヴェータも必要以上に感情に引きずられずに、冷静に引いてみせたのには正直参った。まだまだこの娘さんたちを見縊っていたかも。エレンは特に、先日サーシャを看取ることで大きく戦姫としての自覚を新たにしていたのかもしれない。この件に関しては、エレンも去ることながらエリザヴェータの方も感情的になっていたので、こりゃあかんと思ったんだけれど、エレンだけではなくエリザヴェータも取り乱したまま暴走しなかったのはホント偉かった。この娘も、ぶきっちょだけれど過去から現在進行形でずっと苦労してきたせいか、戦姫の中でも自分を律する事については一際目立つところがあるんですよね。言い方変えると苦労性というかなんというか。エレン並に、とは言わないまでももうちょっといい加減にやれたらいいんだろうけれど、性格的に無理か。環境が許してくれなかったというのもあるし。
しかし、ここでティグルの正体が半ば明らかになったことで、むしろエリザヴェータが開き直ったかのようにティグルを引き止めんと距離感を縮め出してるんですよね。自分のものではない、とはっきり悟ったからこそ、子供が拾ったペットを元の飼い主に返すのを拒むように、必死にしがみつく様は、エリザヴェータという少女がこれまで必死にこらえてきたものが一気に決壊していっているようで、見事にヒロイン株をあげてるんですよね。
これは、記憶が戻らなくてもいずれエリザヴェータの元から去るつもりだったティグルにしても、情が湧くというものでしょう。拾ってもらった恩を感じ、またちょっと突っ張って危なっかしい彼女に心配げに接していたティグルですけれど、むしろエレンたちと顔を合わせて以降の方が、エリザヴェータに親しみを持って接していたような気がします。お忍びで二人で街を散策とか、どんなお姫様デートだ。でも若干これ、妹扱いしているような気配が……。
ちなみに、記憶をなくそうが相変わらずの女殺しのティグルさんですが、実のところメロメロにしているのって女だけじゃなくて、同じ頻度で男の方もその魅力で撃墜しまくってるんですよね。むしろ、シリーズ通して見ると、女性よりも男性キャラの方が陥落率高いんじゃないだろうか。今回も、エリザヴェータの側近のナウムさんをあっさり味方につけちゃってますし、文官筆頭のラザール老もこれは時間の問題ではないかとw

以前からひっかかっていた、エリザヴェータが例の魔物の一体と何やら契約をしてしまっている疑惑だったのですが……これは返品! クーリングオフ可能な事案です! どうも正体を明かさず、しかも一方的に押し付けたもので、エリザヴェータも不気味に思ってかなるべく使わないようにしていたようですから、これはクーリングオフ対象でしょう。あれです、勝手に商品送りつけてあとで代金請求する詐欺行為みたいなもんで。
良かった。エリザヴェータってある意味オルガ並に「良い子」だったので、そんな娘があの連中と繋がっているというのもヤな感じでしたし、騙されているようでしたら尚更ですもんね。
とはいえ、余計なハンデを背負ってしまったのは間違いないようですけれど、やっぱ根性座ってていいわぁ、この子。

一方で、薄っすらと大丈夫か?という怪しい雰囲気が出てきたのがヴァレンティナ。イルダー公が軍を起こしたのまで彼女の策かと思ったら、彼の行動は予想外ってどうも片手落ち。もっと全部掌の上みたいにコントロールしているのかと思ったら、ちょっと見通し甘いところがあるんじゃないかと逆に心配になってきた。匿ってるブリューヌのガヌロンたちについても、イマイチちゃんと把握していないっぽいし。
むしろ、ジスタート王の方がまだ怖いよなあ。何考えてるかさっぱりわからないし。

魔物たちの動向が激しさを増しはじめ、そこにさらにムオジネル王国の蠢動まで確認され、まとまったと思われたブリューヌでも、ガヌロンの手引で乱の予兆が。もしかして、大荒れはむしろここからなのかしら。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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トルバラン率いる海賊の残党によるレグニーツァ襲撃を受け、双剣の戦姫サーシャは病身を押して決死の出陣をする。普段は敵対するエリザヴェータとの共同作戦の下、消えゆく命の灯火を燃やしながら壮絶な戦いを繰り広げるサーシャの美しい姿は、見るものにある“伝説上の生物”を連想させた。一方、ティグル行方不明の報を受けて傷心を引きずるエレンは、サーシャの危機に駆けつけようと戦地へと急ぐが―。そして、静かに暗躍するヴァレンティナの企み。海賊の残党が潜んでいた海岸でエリザヴェータが出会った“ある男”とは…?時代を揺り動かす大きな波に呼応するように、新たなる伝説が生まれていく!大人気最強戦姫ファンタジー第8弾!
戦姫サーシャ、最後の戦い!!
登場当初から死病に冒されていたサーシャ、死亡フラグというにはあまりに頑強で塔のようにそそり立ったその死へのカウントダウンは、だからこそ逆死亡フラグになるんじゃないかと、仄かな期待を抱き続けていたのですが、彼女の目前の死に対する静謐にして凄絶な覚悟は、そんな甘い期待の届かないものでした。生きたいと願いながらも死から逃げず立ち向かい、最後まで戦い続けたその姿は荘厳ですらあり、心震わせる雄姿でもありました。それだけに、子供を産んでみたかった、という願いがあまりにも切ない。
この時代の海戦は、いや海上戦はこの時代に限らないんですけれど、逃げ場のない船上ということもあって、敵も味方も死にまくる殲滅戦になるんですよね。帆船の海戦もえげつないですけれど、今回のガレー船同士の壮絶な潰し合いも凄まじかった。本格的な戦記モノとなると、こうした海戦も手を抜いていないというか、よっぽど力入れて書かれていたのが伝わってくる迫力満点、或いは血みどろの戦いでした。作品通じても、屈指の一戦かも。
その最後を飾る、死戦に立つが故に余人の及ばぬ高みへと至ったサーシャの、トルバランとの決戦。これまで戦姫の並外れた戦いっぷりには見慣れていたつもりですけれど、今回のサーシャは格が違ったようにすら思います。武器の格ではなく、彼女自身の純粋な業が神懸かりの域にまで達していたのでは、と。それは、死の瀬戸際に立ったからこその、蝋燭の炎が燃え尽きる最後の輝きだったとしても。

そんな彼女の最後の戦いを共に戦った戦友が、彼女の最期の戦いを目の当たりにしたのが、エレンではなくエリザヴェータであったというのは、サーシャやエレンではなく、エリザにとってここは大きな意味を持って欲しいものです。
エリザもねえ、この娘は前から色々と不器用な娘だとは思ってたんですけれど、こうして本格的にその性格や戦姫としての努め方、周りの環境なんかを見る機会を得てしまうと、凄く同情心が湧いてくる。生真面目なんですよね、エリザって。義務や責任を必要以上に背負ってしまうタイプみたいで、先代から受け継いだものをそのまま活かそうとして、自分の色を出せないまま四苦八苦している様子が、ちょっとかわいそうになるくらい。そこは、戦姫としてもっと自分の思うとおりにしたらいいだろう、と思ったりもするのだけれど、生真面目な分自分に対しても凄く厳しい見方をしていて、自分の方に理が薄いと感じるとどうしても強く押せない、つまりワガママを言えない、という窮屈な性格で。
そんな彼女が唯一ワガママとして身近に置こうとした記憶喪失の男に、ついつい拘って縋ってしまう姿にもついつい情が湧いてしまうのです。
死んだと思って、諦めてはいないけれど覚悟はしていた相手が目の前に現れた、というエレンたちの気持ちも痛いほど分かるんですけれどね。
しかし、記憶もないまま堅物で余裕のないお嬢を一発で魅了してしまうティグル御大は、さすがです。不在になることで、決定的にエレンに対しても意識を変えさせてしまうあたりも。エレン、ティグルが生死不明になるまでは、無意識にはどうかわかりませんけれど、少なくとも意識に浮上するまでティグルを男として認識はしていなかったと思うんですけれど、一度死んだと思わせたことで果たしてどこまで存在の楔を打ち込んでしまったのか。
ともあれ、エリザがかわいそうなのは、そうやってはじめてのワガママでティグルを帰すまいとすると、自動的に戦姫の過半数を超える四人の戦姫とブリューヌ王国を敵に回して熱狂的に袋叩きに遭いかねないところなんですよね。なんという無理ゲーw
これまでずっと我慢して我慢して堪えて耐えてきて、そうしてようやく初めてワガママ言って一人の男を身近に取り立てようとしたら、その一回で破滅コース一直線直滑降とか、可哀想すぎじゃありませんかw
許してあげてぇ。

どう拗れて、どうほぐれるかわかりませんけれど、これでエリザが報われなかったらちょっと悲し過ぎます。さすがに味方サイドに加わってくれると思いますけれど。
しかし、サーシャが亡くなってしまったことで、戦姫全員がティグルの元に集う、という展開はやはり望まれないようで、ヴァレンティナも自動的に完全敵サイドということか。今回の暗躍っぷりなんぞ、黒幕としては凄まじいと言っていいくらいの手練手管だもんなあ。あの政敵二人に対する接し方なんぞ、本気で間を取り持とうとしたのか、と思ってしまったくらいに表向きには仲介役として完璧ななさりようでしたし。
まさか、あそこからこんな拗れることになるなんて。両者とも並み以上の好漢だっただけに、悪辣さが半端ない。問題は、国王陛下がどこまで関わってるか、なんだよなあ。まったく無関係ともとれるし、最初から謀っていたとも可能性としては考えうるし。どちらにせよ、この国王の考えや目的が見えてこないことには何もわからない。エレンの見方はどうやら一方的すぎて参考にならないようですし。

シリーズ感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 74   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉7 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 7】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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海賊団を率いて城砦に攻めよせるエリオット王子。それを迎え撃つティグルは、オルガやマトヴェイ、タラードの協力を得ながら巧みな攻防を展開し、ついに囚われのソフィーを救出する。黒弓の力に驚くタラードたちの追及をなんとか躱し、ジスタートに戻る船路につくのだったが、そこに生きていたトルバランと海竜が襲いかかる! 船が破壊された衝撃でティグルは海に投げ出されてしまい――!?
一方トルバランは再びレスター将軍となり、残党を従えレグニーツァを襲う。応戦するのは二人の戦姫、“雷渦の閃姫"エリザヴェータと“煌炎の朧姫"サーシャ。「もってくれよ、僕の命の炎……! 」大人気戦記ファンタジー第7弾。いま、最強の焔が舞い降りる――!
これ、てっきり七戦姫全員がティグルの嫁になるものだと思っていたけれど、何人かは脱落するのかもしれないな。ヴァレンティナがその本性を明らかにした時は、かなり悪者サイドでこれは改心して野心を収めてティグルにデレるのとかなさそうだなあ、とは思ったものの戦姫で一人だけハブ、というのはどうなんだろう、と思って今ひとつ彼女の扱いについては確信がモテなかったんだけれど、此処に来てサーシャが死亡フラグを立てるどころか最期を迎える流れに乗ってしまったんですよね。もう完全にアレクサンドラ=アルシャーヴィン最期の戦い、って感じになっていますし。こうなると、サーシャ一人だけ脱落、という展開は考えにくいんですよね。
でも、此処に来て脱落した戦姫に変わって新たな戦姫が誕生する、というのはなかなかハードル高そうですし、さてどうなるんだろう。
アスヴァール王国での戦いでは、ティグルの将帥としての才能が見事に開花。ブリューヌの内乱でその実力は既に見られていたけれど、何だかんだとあの時は神輿としての立場も大きかったんですよね。一方でアスヴァール王国での戦いは兵士は他国の者だしエレンの配下たちみたいに心通じ合うものがあったわけでもなし。それに、今回はエレンなど対等、或いは目上の同盟者などの協力者がおらず、オルガという戦姫は居るものの彼女はティグルに全面的に従う立場を取っていて、ティグルが指揮官として軍勢を独りで統率し自分で考え判断する形となっていたわけです。つまり、誰の補助もなく純粋に彼の軍事的才覚が試される環境だったのですね。そこで、彼は敵の進撃路となる村々を焼く、という非情の決断も含めて、大きな戦果を上げてみせた。頼ることの出来る相手が居たブリューヌ内乱と違って、全部自分で判断しなければならない今回の戦いで、ティグルは見事に人の上に立つ、という器を示してみせたわけである。
ハッキリ言って、オルガなんてジスタートの戦姫という身の上でありながら、ティグルを自分の上に立つもの、自分を導くもの、王として見てしまっている節がある。ソフィーに敵意むき出しだったのは、女の子らしい妬心であり、ティグルを異性として慕う気持ちが思いっきりだだ漏れになってますが、それだけではなくオルガがずっと求めていた王としての姿を、彼女はティグルに見てしまっていたのでしょう。
こうなると、果たしてオルガが元の自分の所領に戻った所で、ジスタート王に唯々諾々と従うものかどうか。この娘、かなり頑固者で腹芸が使えないタイプなのでわりと拗れるのは早いかもしれない。
ある意味、ジスタートに戻る段階でティグルが行方不明になったのは不幸中の幸いだったかもしれない。このままオルガがティグルにベッタリなままだと、思いの外早い段階でえらいことになっていたかもしれないですし。幾らなんでも、その時を迎えるには今は早すぎますからね。
にしても、ソフィーの陥落っぷりは想像以上に盛大でしたw
いやあ、あの監禁されて精神的に追い詰められまくってたところに、他国にいてこんなトコロで出くわすはずのないティグルが、当たり前みたいに助けに来てくれた、となったら気丈なソフィーでもそりゃあ崩れるか。ある意味、どれだけ強くても戦姫の中で一番女性的だったソフィーだからこそ、の反応なんだろうけれど、ちょっとミラでも見てみたいシチュエーションだったな、これw
なんかえらいぐだぐだと自分に言い訳しているソフィーですけれど、あきませんよ、もう完全に墜ちてますからそれ。オルガという番犬が居たのでちょっと冷静になりましたけれど、もしオルガという歯止め役がいなかったらわりと半端なくメロメロになってたんじゃないかと想像してニヤニヤw
さて、では次はエリザヴェータか。エレンからは嫌われているけれど、実はものすごい良い子、ということがある程度わかっているだけに、いろいろ楽しみ。

川口士作品感想

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 6 4   

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉6 (MF文庫J)

【魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 6】 川口士/よし☆ヲ MF文庫J

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ブリューヌの動乱より半年。客将としてライトメリッツで過ごすティグルは、ジスタート王の要請を受け、霧と森の国アスヴァールへと旅立つ。密使としての航海中、ティグルは薄紅色の髪の幼げな少女と出会う。立派な作りの斧――“崩呪の弦武"ムマを持つ彼女こそ、放浪の戦姫オルガ=タム。なりゆきで彼女と同行することになるティグルだったが、アスヴァールの地にはさらなる“運命の出逢い"が待っていた。容姿、人望、才能――そして確かな野心を持つ青年の名は、タラード。一将でありながら“王"の形を平然と説く青年に、ティグルの胸に去来するものとは……? いくつもの邂逅が新たな伝説を刻み征く! 最強美少女ファンタジー、待望の第2部開幕!
あれ? あれれれ!? 残る最後の戦姫。就任して直後に旅に出てしまい、他の戦姫たちも詳細を知らないという謎の存在だったオルガ=タムが、まさかの幼女形態で登場である。幼女形態ってなんだよ、ロリババアじゃなく、普通に幼女です。いや、本文中読むとそこまで幼女って感じでもないんだけれど、表紙は完全なロリっ子だよなあ。ただ、意外にもこの娘、見た目のイメージと違ってこんな媚びたようなロリロリっとした感じでも性格でもありません。むしろ、今まで居なかったタイプの頑固で堅物で融通が効かない生真面目さん。旅に出た理由も、自分のような未熟者が戦姫として領主を勤めるのは駄目だ! と本人曰く逃げ出してしまった、と言っているが中途半端に妥協できない性格の賜物というべき出奔である。しかしこれは、面白い形で接触したなあ。オルガ当人が、他の戦姫と違って他人の上に立つという意識を持っていない、んじゃなくて正確にはまだ自分では人の上には立てない、と思っている娘なので、今まで出会った戦姫たちは多かれ少なかれ領主としての立場からティグルと接しないといけなかったのに対して、彼女は一人旅の身軽な身空で、任務を受けたティグルに従う形でついてくるわけです。つまり、初めて下の立場、下の視点からティグルという若者を見守る戦姫となったわけですね。
そして、ティグルはジスタート王の要請で外交交渉を担って訪れたアスヴァールにて内乱に巻き込まれ、オルガとサーシャがつけてくれた案内人の敏腕出来物のおっちゃんだけをお供に、動乱の中を斬り泳いで行くはめになるのですが、つまるところ彼はこの何の支援も後援もない異国の地で、たった一人でその資質を試されることになったのです。いやあ、この旅の空のティグルを見てると、何やら今までよりも自由というか、重たい荷物から解放されたというか、実に伸び伸びとしているように見えました。特に、アスヴァールに派遣された本来の目的が有耶無耶になってしまい、ティグル個人の独自の判断が必要となったあとの行動を見ていると、ジスタート王は虎を野に放ってしまったのではないかという実感も(尤も、それ以前からかなりガンガンと独自判断と行動に打って出てましたけれど。判断力と決断力は並外れてるよなあ)。これを見てると、ティグルって周りに合わせて器が小さくまとめられてしまっていたのでは、とすら思えてくる。この短期間で当人の考え方や変わったり成長したわけではないですし、彼の本来の資質と環境が咬み合ってしまった、としか言いようがなく、繰り返しますが檻から虎を野に放ってしまったように思える。むしろ、こうなってようやく今まで彼が得た過分なまでの称号が、実体を伴ってきた、というべきか。何にせよ、今の束縛から解き放たれた姿こそが、身の丈にあったティグルの本来の姿といえるのではないでしょうか。そこにオルガが見た、王の資質……これは本物ですよ。
第二部になって、これは落ち着くどころかさらにスケールアップして面白くなって来ましたよ。にしても、次回に続いた事件も含めて、ティグルへの戦姫の支持率は随分えらいことになってきたんじゃないかしら。エレンとミラにひき続いて、オルガまで完落ち状態になり、サーシャも最大限好意的なポティション。元々好感度が高かったソフィーもこの一件を通じてどうやら完落ちしかねない流れだし、エリザヴェータは実際の人となりを見る限りかなり直接対面してしまえば、ティグル寄り。反抗勢力となりかねないのは、ヴァレンティナくらいか。いやはやはてさて。

川口士作品感想
 
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