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鵜飼沙樹

異世界迷宮の最深部を目指そう 16 ★★★★   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 16】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――祝福の産声。

――HP0。
相川渦波は死んだ(・・・)。
世界の『一番』は『星の理を盗むもの』ラグネ・カイクヲラ。カナミの肉体はラグネが所持し、彼女に付き従うは『血の理を盗むもの』ファフナー。
……それでも。
『光の理を盗むもの』ノスフィーはそれでも誓う。
人生の全てを『代償』として本当の『魔法』に至り、『お父様(カナミ)』を生き返らせるために。
ノスフィーはカナミの肉体を奪還するべく、ラスティアラたちとフーズヤーズ城突入作戦を開始する――。
全てはこの光満ちる『頂上』で、産声をあげるために。

相変わらず登場人物の殆どが躁か鬱のどちらかに極振りしてるなー。どん底まで落ち込んで病み憑かれるか、真実に目覚めてテンションマックスではっちゃけるか。シーソーみたいにどちらかに極振っていずれにしてもメンタル目一杯になっている。毎回誰かに、落ち着けッオチツケッ、と思ってしまうんですよね。
ほんと、いつも冷静なライナーと精神的にリソースの余裕を抱えているリーパーは重要な要という以上に読んでる方としても癒やしですわ。これも毎回言ってるような気がするなあ。
でも、まさかついに裏切り本性を見せてこれまでの謀の主、黒幕として立ち上がったラグネちゃんが、やってやったぜーー!! ついにカミナを殺してやったぜー! というヒャッハー状態からいきなり速攻で鬱モードに入るとは思わんじゃないですか。
なんでラスボス格として立ち上がった敵キャラが、突然情緒不安定になってネガまっしぐらになっちゃうんですか!w
いやそれも「理を盗むもの」になってしまった弊害、というのもあるのでしょうけれど。ラグネちゃん自身、自己制御出来ないほどに情緒不安定になっていく自分の有様に、これまでの「理を盗むもの」たちと同根のものを感じていたようですけれど。
それでも、「理を盗むもの」になる資格がラグネちゃんにあったということなんでしょうけれど。未練、というよりも自覚だよなあ。
自分の本当に求めるものを見つけよ。
その意味では、敵として立ってはじめて、ラグネちゃんはその中身を解体されたのだ。一つ一つ丁寧に腑分けして、その内側をさらけ出された。選り分けて取り出して裏返して、それらすべてに光を当てて、自己で偽っていたものも騙していたものも無視していた矛盾も、照らし出されてしまった。
今回のノスフィーの光は、彼女がなろうとした魔法は、ノスフィー自身を照らし出し、彼女が本当に求めていた父親を、カナミを照らし出し、その鏡写しとなるくらい似通った存在であったラグネちゃんのすべてを照らし出してしまった。
本当に、全部照らし出してしまった。
カナミも、ラグネちゃんも、もう自分を誤魔化すことも騙すことも出来なくなってしまった。自分のどうしようもなさを、情けなさを、愚かさを、これでもかと突きつけられ、目の前にいるのはそんな憎むべき自分の鏡写し。八つ当たりとしてぶん殴るには、最適最上に一品だ。
その発散の大小をノスフィーに支払わせる、というところまで込みで最高の自己嫌悪をもたらしてくれる。近親憎悪をもたらしてくれる。
それを、お前のせいだ、とぶつけられる事はきっと、彼らが前に進むためには必要……かどうかはわからないけれど、効果的なものだったのだろう。決闘だったのだろう。ノスフィーにとっては大満足で、カナミとラグネちゃんとしては最悪最低のこととして。
いずれにしても、ケリはつけなきゃいけなかった。清算だ。

一方でノスフィーは、自分が成すべきを見つけ、在るべき形を見つけ、あとは光のようにまっしぐらに進むだけ。カナミの妻を名乗って現れたノスフィーだったけれど、そうあらんと振る舞い続けた彼女だけれど、ようやくカナミに対して自分が欲したあるべき形を見つけられたんですよね。
本質的に、ノスフィーはどうやったってカナミの妻ではなく、娘だった。娘として父を慕い愛しながら、しかし立場として妻となりその在り方に殉じようとしたが故の矛盾であり迷走であり苦悩であった。それが解消され、迷いが晴れ、自分の想いの方向性が定まった時、ようやく彼女の光は彼女自身をも照らし出すことが出来たのだろう。
彼女の光の本質は刺し貫くことではなく、優しく包み込むものだったのだろう。淡く暖かな光の雨、今回の表紙がそのようにノスフィーの光を表現しているかのようだった。
その光はラグネちゃんをも受け入れて、ラグネは確かにノスフィーの光に救われたのだ。
しかし優しくも厳しいノスフィーの光は、すべての偽りをさらけ出してしまった。光は、闇のように包み込んだまま眠らせてはくれない。それは朝の目覚めの光であり、指し示し進むを促す導べであった。
ラグネの過去を暴き立て、その野望と信念の欺瞞を浮き彫りにし、彼女の心を解体した。本当の想いを照らし出した。その対面として、親和としてカナミの過去もまたラグネという第三者の目からもう一度映されたのだけれど、まさかここまで無造作にカナミの過去に巣食った違和を引っ張り出すとは思わなかった。
ここまで率直に、大胆に、その現況を指し示すとは思わなかった。
本当のラスボスの存在を、ノスフィーの光は照らし出したのだ。それを、カナミに直視させたのだ。
この認めざる存在を、果たしてどうやってカナミに認めさせるのか、長く疑問に思っていたのだけれど、ノスフィーとラグネという二人の「家族」のお陰というのがまた……辛辣なのか心強いというべきなのか。いずれにしても、相応しい理由であり原動力と成り得るものだったように思います。

そして物語は、ついに核心へ。


異世界迷宮の最深部を目指そう 15 ★★★★☆  



【異世界迷宮の最深部を目指そう 15】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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立ち上る火柱を視認し、ラスティアラたちの安否を確認するべく地下街に向かったカナミ。
そこで目にしたのは、捕縛から抜け出したノスフィーによって『素直』にさせられ、仲間内で争うラスティアラたちの姿だった。
すぐに加勢しようとするが、ラスティアラに制止され……!?
ノスフィーとの決着をつけるため、ラグネが持ち込んだ触媒で過去視を行ったカナミは、いかにして彼女の在り方が形成されたかを知る。
さらに未来視でフーズヤーズ城を支配したカナミは、ついにノスフィーと対峙し――。
そして、『彼女』とどこまでも落ちていく。

今もパーティーの中核をなすこのヒロインたちが一堂に会したのは7巻でしたか。あの時はリヴィングレジェンド号でカナミが常に死を感じるくらいヒロイン同士がギスギスして火花が飛び散り、ちょっとでも燃料が投下されたら即座に爆発炎上して地獄が現出してしまうような修羅場でした。
そうかこれが常在戦場! と悟りを開いてしまうくらいの殺伐とした空気でした。カナミ、わりとすぐに刺されるだろうなー、血みどろの惨劇はいつ起きるかなー? という雰囲気だったのも今は昔、なんですよね。
いや、実際カナミってば結構ザクザクと切り刻まれて血みどろになりましたけれど、厳密には女性関係を拗らせて刺されたのではなくて、千年前の所業がもとになって攻撃されるパターンが大半だったはずなので、自業自得ではありますけれどヒロイン衆が妄念を拗らせて殺しにかかったケースには結局行き当たらなかったんですよね。
あの極めつけのヤンデレが揃いも揃ってしまった地獄のパーティーが、よくぞまあ。
そして今回、ノスフィの能力によって強制的に各々の奥底に秘めていた病んだ部分を引き出されてしまったにも関わらず、ラスティアラの邁進によって全部彼女たちヒロイン同士でしっかり話し合って気持ちを通じあわせて病んだ部分を解消、もしくはそのまま受け入れる形で地上最強の絆で結ばれてしまうのである。
むしろ、カナミは居るだけ邪魔、やることなすこと邪魔! 邪魔してばっかり! になってしまっていた有様だったのである。感慨深いじゃないですか。人の話を全然聞かずに自己完結してカナミだけに執着していたヤンデレヒロインたちが、カナミ関係なしにメンタル薄弱な部分を克服して自分たち同士でぶつかり合い胸襟を開けあって、理解しあい認め合い心寄せ合って、今や親友、今や運命共同体。共に行き共に死す仲間として、同じ人を愛し恋した同志として、手を取り合い頬を寄せ合い額を合わせて満面の笑みを浮かべる関係になったのである。いや、なったんじゃなく、ラスティアラを中心として、そして各々の克己心によって、そういう関係を自分たちで築き上げたのである。
本心から、すげえなあ、と感心させられてしまいました。ここまでヒロインたちがしっかりと自立して自分たちだけで関係を築き直したケースはちょっと見たことがないですよ。
主人公がそれを阻害しまくってたパターンもw
いや、いつの間にか話を全然聞かないのってヒロインたちじゃなくて、カナミの側になってたんだなあ、と気付かされてしまう。いや、カナミは視野狭窄になっててもちゃんと自力で気づくし、而今完結してしまわずに、ライナーをはじめとして話を聞いて考えを改めることができる、そういう風に成長した主人公なので、話を聞かない、なんて事はないのだけれど。
でもだからこそ、カナミはそれだけ成長した、と思っていただけに読者側もカナミ自身もいつの間にか考え方捉え方見方が偏ってしまっていた事に気づかなかった、というのもあるんですよね。
……何度も何度も思い知らされるけど、ライナーはこういうときでも外側から冷静な視点でカナミを掣肘してくれるので、ほんと助かりますわ。彼が居てくれるだけでどれだけ道踏み外しかねない判断や思考を食い止めてくれたか。
ともあれ、今回の視野狭窄はカナミの人間的な欠陥というよりも明らかに仕込まれたものっぽかったので、カナミ自身なんか自分おかしくなっていると自覚してますし、彼が悪いというわけではないみたいなのですけれど。

まあ、千年前にやらかした事に関してはどうやったってカナミあうと、ですよね。カナミが悪い。
ノスフィーがねえ。いやうん、まさかここまで並外れてイイ子だとは思わなかった。悪い子じゃない、という風には今までの感触で納得はしていたんですけれど、ここまでこんなイイ子だとは想像できませんよ。むちゃくちゃイイ子じゃないですか。善良の結晶であり、健気の塊じゃないですか。
なるほど、元妻、という肩書にも意識が引っ張られていたのでしょう。その素性が本来なら妻じゃなくて、娘。しかも、ずっと父親に焦がれていた子となればなおさらに……。
もう完全無欠にイイ子でしかないイイ子が必死に悪いことしようと頑張っているものだから、そりゃ行動がどこかちぐはぐになりますよね。凄く悪意をもってカナミを狙い撃ちに彼を陥れる、苦しめるようなことを企てているにも関わらず、結果見ると妙に良い結果に終わったり誰かが救われてたり、報われてたり、助けられてたりして、なんかここしばらく物事の巡りが良いような感じがしてて、凄く違和感たっぷりだったんですよね。カナミがなにかすると大概悪いことになったりケチがついたりする印象だっただけに、妙に居心地わるくすらあったのですが。そうかー、ノスフィーが悪いことにしきれなくて、ついついみんなが助かったりするように着地点を変更しちゃってたのかー。
……いい子すぎるッ(思わず両手で顔を覆って
そんな頑張っても頑張っても悪堕ちしきれないこの善良無垢な子を、それでも悪者にならねば、と追い込んだ元凶こそが、千年前のカナミであったわけで。
もう死ねばいいんじゃないかな、こいつ。現在のカナミが黒歴史どころじゃない自分のアレっぷりに怖気づいてヘタレてしまうのも、ちょっと仕方ないなあ、と同情してしまうほどの、あの無神経っぷりはここまで来ると凄いなあ、としか言えない。正直、間が悪かったとも言えなくもないのだけど、ノスフィの健気さを思うとそれをこれでもかこれでもかとクリティカル連発でピンポイントに踏み躙ったカナミの所業は、言い訳しようがないんですよね。どう考えてもお前が悪い。
そこで最大限これ以上無いくらい覚悟決めて完膚なきまでに謝ってみせるところは、カナミえらいと思いますよ、素直に。極端に走りすぎ! と思わないでもないんだけど、ノスフィが拗らされた状態がそこまで極端に走らないと言葉も気持ちも届かないまでにグリグリ踏み躙られっちゃってるんだから、仕方ないよね、としか言えない。正しい極端であった、と言えるのかも知れない。多分、あれこそが正解だったのでしょう。
取り敢えず、修羅場を越えて一致団結したカナミパーティーが、一人ひとり意味不明な強さすぎてそれが一堂に襲ってくるとか、魔王軍総攻撃かな? というくらいのスケールなんですけど。この娘ら、しがらみとか要らん拘りとか全部放り出して最適化した協働したら、ここまで分けわからんレベルの集団になってしまうのか。
いやこれもう無敵じゃん。と、凄まじい安心感に後ろ支えられつつ、一番の難関であった対ノスフィ。これは戦って倒すという方向性には行かない時点で、無敵無双の強さは意味をなさず、だからこそ最難関だろうという壁の高さを感じていただけに、うん、それを乗り越えることこそがこの巻の山場だと思っていたわけだ。あくまで、山場……峠であって、まさか分水嶺だとは思っていなかったし予想もしていなかった。
いやこれどうすんの!?
途中で散々、カナミと似た者同士と言ってたの、こんな形で放り込んでくるとは思わないじゃないですか。そうだよね、カナミと同類項、同じ穴のムジナ、似た者同士なら……そいつはカナミと同じ「人間のクズ」にカテゴライズされる側だった、とも言えるのか。
どうなるんだこれ? さすがに驚天動地の展開過ぎますよ!? ……まあ、次の瞬間普通に何事もなかったかのように動き出しても不思議ではないブキミさというか得体のしれ無さというか、化け物感がこの人にはつきまとっているのも確かなのですが。
むしろ、いついきなり目をぱっちり開いて喋りだすか、ホラー感覚でずっとハラハラドキドキしていた自分がいるのも確かでありますw


異世界迷宮の最深部を目指そう 14 ★★★★   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 14】 割内タリサ/ 鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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『告白』の末、晴れてラスティアラと恋人同士になったカナミ。マリアとリーパーに再会し、ノスフィーとの決着をつけるため、一行は『本土』の大聖都フーズヤーズに辿り着く。訪れた冒険者ギルドにて『世界樹汚染問題』という依頼を発見したカナミ。なんでも、鮮血属性の魔法を得意とする男が世界樹を真っ赤に染めているという。その男は、七十層の『理を盗むもの』で―。そしてノスフィーは、自身の記憶を呼び起こす。『光の理を盗むもの』として生まれた日を。―愛を知ったあの日を。

挿絵の鵜飼沙樹さんのツイッターで目撃したアリ得たかもしれないもう一つの14巻表紙絵「血の海と太陽と空で、水遊びするカナミファフナー」が、見たときは意味不明だったのだけれど、読み終わってみると概ね間違ってなかった事を理解したときの思わず遠い目になる自分w
というわけで、70層「血の理を盗むもの」ファフナー・ヘルヴィルシャインの登場である。いやもう、なんだろうねこの人。今までで一番イージーモードを自分から進呈しているような人なんだけど、どう判断したらいいんだろう。実は地雷とか、裏があるとかは絶対ないようで信頼できる人物なのは確か。結局面倒くさいことになるにしても、彼の協力的な姿勢がまがることはないんだろうけど、ノスフィー次第になるのか。
そのノスフィーはというと、案の定仕掛けてきたのだけれど、準備万端であらゆる展開に備えた網を張っている、というふうでもなく、なんか「その話聞いてないんですけどー!?」というような反応を度々見せていて、彼女の企みって穴だらけなんじゃないの実は? と思わされてポンコツ属性があるんですかもしかして。洗脳して手駒にした戦力たちも、なんかさっぱり思う通りに動いてくれなくて、洗脳しているはずなのにみんな各々好き勝手に動いていて、ノスフィー振り回されてる感あるし。カナミとライナーへの嫌味っぽい言動はともすれば子供っぽくすらあって、もっとクールビューティーというか底冷えするような怨念で駆動しているのかと前は思っていたのだけれど、ちょっとイメージがわからなくなってきたぞ。
カナミとライナーは多分、自分と前まで自分が抱いていたような印象をノスフィーに持っていたからこそあそこまで警戒しているのだろうけれど、今の姿しか知らない女性陣が彼女をあまり危険視している様子がないのもわかるんですよね。別に仮面をかぶっている、という風でもないんだよなあ。
とは言え、カナミたちと敵対していて彼らを陥れるために動いているというのは確かで、まあ最終目的がどうなっているかはともかく。
それに今のノスフィーは、ラスティアラの皆仲良く思想に激しく反発している様子なので、むしろみんな仲良くの反証を成立させる方を重視しての、あの仕掛けだったのかしら。事前に仕掛けてた事はないのだろうけど、結局カナミのパーティーを壊滅させるためには仲間割れが一番ではあるんですよね。
ただ、うーん。ノスフィーがありえないと、心の奥底では許せないと思っているに違いない、という主張は今のカナミパーティーの女性陣に対して周回遅れな感じはあるんですよね。
数年前の、みんな一緒に船で旅に出たあたり。全員集合で漏れなくカナミが修羅場で頓死しそうな時期だったら、当てはまりそうではあるのだけれど。今となってはみんな多かれ少なかれ、精神面の不安定さの原因だった部分を解消して成長しているだけに、ノスフィーの指摘もそれって何時のこと? みたいな的外れ感があったんだけど。実はやっぱり内に、ラスティアラと結ばれたカナミという関係を認められない受け入れられない許せないという感情を滾らせていたのだろうか。皆無ではないのだから、それをアルフィーの魔法で無理やり掘り起こされた、という事なんだろうけど。正直になったくらいで、今の彼女達がそんな仲違いするまでになるんだろうか。現場を見れていないので、実際の所はまだ判断がつかない。

でも、ラスティアラのみんな一緒思想がないと、現状でもカナミが生命途絶の危機の警告が自動発令してしまうほどのヤバいバランスで保たれていたのはまあ間違いないんですよね。スノウとかディアとか見事に爆弾が破裂しそうにはなってたわけですし。
そう考えるとカナミの愛する人は唯一一人だけ。一人だけを永遠に愛するのが正しい姿、という思想は見事に起爆スイッチでもあるんですよね。
どうしてそこまで頑なに、そう思い込んでいるんだろう。いや、愛する人は一人という考え方自体は不思議でも不自然でもないのですけれど、ラスティアラの趣味嗜好と比べると、カナミのそれはある一線を超えると激烈に拒否反応を示していて、妙に自動的なところがあるんですよね。
それに、永遠、とかいくらカナミがロマンティストで厨二病気味でも、ちょっと彼のキャラクターからはズレている気がするんですよね。その考え方は、彼らしくない。
という違和感を補強するような情報が次々と舞い込んでくる。というか、明らかに外からの誘導じゃないか、というもろな話が色々と。わーい、ラスボス確定じゃないですかこれー。ってかラスボスもほぼ作中で明言指摘されてますもんね。
となると、カナミがなんか妙にせかせかと、或いは視野を固定しているようにゴールを妹ちゃんを起こす事に定めているのも、封印を解くように意識誘導されているように見えてきてしまうわけで。
なるほど、今ラスティアラが座っている椅子、座す人物を入れ替えるのはわりと簡単そうだ。
いやこうなってくると、ノスフィーの立ち位置ってどこにあるんだろう。彼女の過去にしても回想はまだ生まれてからしばらくのものだけで、カナミと結婚したという経緯もわからないし、今現在の真意がまだわからないので、判断が難しい。いや、「素直」になったノスフィーの本音からして、愛されなかったと思って拗らせまくったネガティブな感情の賜物なんだろうけどさ。それだけなのかしら。
それに、今回新たに名前が明らかになった80階層、90階層の理を盗むもの、たち。こうなってくると、むしろラスボス戦を前にした味方、なんだろうか。
なんにせよ、判断材料がまだ出揃わない状態なので、兎にも角にもノスフィーとの決着がつかないと目の前は開けないように思える。
しかし、洗脳されてるはずのグレンさんや、世界樹の前に立ちふさがっているファフナーといい、敵対しているわりに協力的な人がやたらと多くて、変な感じだ。悪意や敵意がほぼノスフィーだけに集中していて他の人からはおおむね好意しか向けられていないんだもんなあ。ノスフィーにしても、好意の裏返しみたいな所が見受けられるし。
じゃあ状況はヌルいのかというと、順調に最悪な方に転がっているようにも見えるし、いやでも大丈夫なのか? ともかく、混沌だなあこりゃ。

シリーズ感想

異世界拷問姫 9 ★★★★★   



【異世界拷問姫 9】  綾里 けいし/ 鵜飼 沙樹 MF文庫J

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「どうか、皆、みーんな、一緒に死んでください」
最愛の父・ルイスを失い、【異世界拷問姫】アリスは世界を壊し始める。
かつて最愛の従者・瀬名櫂人を失った【拷問姫】エリザベートは世界を守り続ける。
それは鏡映し、共にあり得た可能性。
それ故に決定的に交わらない二つの道。
だから二人の拷問姫は“彼ら”の遺志を継ぎ、各々に世界へと立ち向かう。
「どうして、私だけお父様を失うの? 『瀬名櫂人』のエリザベートは生きているのに!」
「この【拷問姫】が全てを賭けるのだ──【異世界拷問姫】が受けずして、どうする?」
これが神話に至る物語。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー、最終巻。


……冒頭の、見開きのカラー口絵。表紙絵がその一部分なのだけれど、これがもう美しすぎて、呆然と見とれてしまう。どこぞの美術館に飾ってあってもおかしくないと思えてしまう。初っ端から魂を鷲掴みにされて、そうして始まるのは生命の讃歌だ。

不思議だ。皆が皆、死んでいく。片っ端から、消えていく。惨たらしく、残酷に、血塗れになりながら、ろくな死体も残さず死んでいく。
なのに、これほど皆の「生」を、生きたという実感をどうして感じるのだろう。彼らは死んだ。だが、生きたのだ。生きて生きて、生き抜いた先での死だったのだ。それは惨劇ではない、悲劇ではない、そう思えてならない。そして、彼らの死は終わりではなかった。結末ではなかった。終わるためではなく、終わらないための、その繋ぐための彼らの生き抜いた証だったのだ。だから、彼らの死は犬死であっても無為ではなかった。その先へと続いていくための、橋渡し。不要ではあっても、証明だったのだ。世界は、人は、生きるということは、美しいモノだという事実を証立てる証明だったのだ。
瀬名櫂人とヒナが去ってからずっとエリザベートが自問し続けた問いかけ。果たして、世界は守るに値すべきものなのか。この人々の愚かさと醜さで彩られる世界は、瀬名櫂人が命を掛けるに値するべきものだったのか。救われるべきものだったのか。滅びてしまえばよかったのではないのか。愛するに、値しないものだったのではないか。
どうしようもない争いを目の当たりにしながら、何度も彼女が問いかけた疑問。そんな彼女を支え続けたのは櫂人の世界を愛し守ると願いであり意志であったけれど、この醜い世界で幾度も彼女が目にした美しい人の心がエリザベートを進ませ続けた。そんな美しい光そのものだった人たちが、キラキラと輝きながら散っていく。醜いと、愚かだと思えてならなかった人々すらも、この滅びの最果てで答えを得たかのように光り輝いていく。
そう、みんなこの世界の滅びゆく最果てで、各々に自分にとっての答えを得ていくんですね。迷いは払われ、それぞれが未来を思い描く。果たして、そこに自分がたどり着けないのだとわかっていても、思い描く未来が実現するのなら、それはきっと素晴らしいことなのだと。
だから、皆が胸を張り、ほほえみながら自分の成すべきことを見出して、成し遂げていくのだ。
聖女もまた、ついに自分の腕からこぼれ落ちていたあの「肉屋」を思い出し、彼の献身に思いを馳せ、愛おしさを胸に宿して、彼の愛に応えるように胸を張ってかつての自分の思いを取り戻し、貫き通していった。
神に身も心も捧げたはずの聖人たちも、兵器と成り果てていたはずの彼らもまた、一人一人が神と別れ自ら立ち、それぞれが思い描いた未来のために戦ってくれた。教会の人たちもそうだ。誰かに言われたからでも命じられたからでもない。その信仰は己の心のうちにあり。神の意志ではなく、彼ら自身の意志でその信仰を貫いた。
エリザベートを隊長と仰いだ治安維持の隊員たち。彼らこそが、いわばエリザベートを拷問姫というくびきから救い出した張本人たちだと言えよう。櫂人とヒナのいない世界で、エリザベートを人の子へと変えていき、解き放ったのは間違いなく彼らだ。
亜人たち。間違いだと知りながら敢えて間違いを貫いた者たち。綾里さんがちらっと某所で長い後書きを書いていてそこで触れているのだけれど、行き着く果に先のない亜人の彼らの絶望のなかで、あの父子は対局の立場に立ちながらそれぞれ同じ方向を向いて、先のない未来に立ち向かったんですね。そこには、確かに愛があった。同族への、家族への深い深い愛情が。

そして、愛があったのはアリスとルイスの疑似親子にもまた確かに。
愛があったからこそ、アリスはルイスの最期の願いに答えざるを得なかった。もう、それしかなかったから。ああ、なるほど。確かに、アリスはエリザベートと対極だ。世界を呪った者と世界を愛した者に遺されたもの同士、その遺志に寄り添う以外にその存在に意味はない。でも、ジャンヌとイザベラの愛しあう二人の姿にアリスは心打ち砕かれ、一方でエリザベートの世界への愛情は櫂人からの預かりものだけではなく、彼女自身が多く関わった人たちから貰ったもの。彼女自身が抱いた想い。彼女自身の意志でもあり、願いともなっていた。その違いだろう。それだけの、違いなのだろう。

アリスにはもうなにもない。でも、確かに彼女は愛されていて、父を愛した。その事実と過去だけを胸に、もう何もない彼女はそれからどうやって生きていくのか。残酷な結末でもあり、小さな希望の結末なのかもしれない。

皇帝は、ほんとね、こいつ悪魔だったはずなのに。契約者があのヴラドと櫂人であったのが災いしてしまったのか。もういつの間にか、悪魔であるという存在すら突破して違うものになっていた気がする。彼は彼で証明したのかもしれない。悪魔もまた、悪魔でなくなり自ら選んだ存在になれるのだと。誰よりも誇り高く、共に駆けてくれた戦友だった。

リュートはもう、なんというか、ほんと登場当初から彼はこの物語の救いそのものだった気がします。だからこそ、彼はいつでもどこでも無残に無為に死んでしまいそうだった。他の誰よりもただリュートであるというだけで死亡フラグそのものみたいな存在だった気すらする。
故に、彼が生きている限り。エリザベートを支えてくれている限り、この物語は希望を失っていないのだと信じることができた。実際、そのとおりであったことに、深い深い感謝を。

そして、ジャンヌとイザベラのカップル。多分、この物語で一番幸せだった二人。もっとも幸福だった二人。世界を愛し祝福し、だからこそ愛され祝福された二人。結婚おめでとう。最後まで、最期まで二人は二人でいることが目一杯幸せそうで、良かったね、という言葉を送ることができる。
でも、同時に泣いてしまうのは仕方ないですよね。泣いて泣いて、目が痛くなるほど泣けてしまって、でもやっぱり祝うのだ。おめでとう。ずっとずっとお幸せに、と。

そうやって、みんなやるべきを見出し、己の中の答えを得て、生きて生きて生き抜いて、やり尽くして去って逝く。
そんな彼らに問いかけたい。満足だったか? 満ち足りたか? 救われたか? 幸せだったか? 想いを果たせたか?
潰えることに無念はあるだろう、でも後悔はないに違いない。だから皆が皆、起立して胸を張って悠然と、笑顔すら浮かべて、去っていく。その胸に、目いっぱいの愛を宿し抱きしめて。
だからだろう、世界はこんなにも惨たらしく血塗れで死と破壊に侵されていたのに、切ないほどに美しい。
こんなにも、優しい。
だからこれは人間讃歌の物語。綺麗な夢のおとぎ話。

生きて生きて生き抜いて、途中で進めなくなった人たちに背中を押され、多くのものを預けられ、辛くでも苦しくても寂しくても悲しくても、背負いきれない罪を背負いながら、それでも進み続けたエリザベートの辿り着いた結末は。皆が思い描き、託したそのさき、その未来に辿り着いたエリザベートは。
拷問姫でなくなった、ただのエリザベートは。ようやく、ようやく、焦がれ焦がれた幸いをその手にとり戻す。
小さな小さな、幸せの夢を。

これは、ヒトが小さな幸せを手にする物語だ。



異世界迷宮の最深部を目指そう 13 ★★★★☆   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 13】 割内タリサ/ 鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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ジークを主とする騎士、ライナー・ヘルヴィルシャイン。
それが僕の名前だ。
迷宮から一年の時を経て帰還し、再びフーズヤーズの騎士に戻った僕は、ラスティアラの密命を受け、任務に励んでいた。
内容は魔石人間に流れる『ティアラ様の血』の回収。その任務にも目処がつき、あとは『再誕』の儀を待つばかり。
だが、そんな僕の前にティアラを名乗る人物が現れる。
彼女は『ティアラ様の血』を全て僕に受け取って欲しいと言い始め――。
「君に『異世界迷宮』の『最深部』を目指して欲しい」
このフーズヤーズ十一番十字路から、僕は『プロローグ』へと歩み出す。

これは酷い!

これってよくまあ使われる言葉だけれど、今回これほどピッタリの言葉はないでしょうよ。
いやホントにもうさ、一体何を見せられたんだろうと天を仰いでしまった。まあこれを今回一番しみじみとこぼしたいのはライナー君だろうけどさ。でも君、自業自得だぜ。散々、ジークやラスティアラのこと愚痴ってたけど、君だってそういう人たちをわざわざ主に選んで命賭けちゃってるんだから大概だよ?
というわけで、ライナーくん。千年越しの厄介事にさらにラスティアラがややこしく拗らせて引っ掻き回しているトラブルを密かに収集解決してまわる後始末役を拝命する、のまき。
ラスティアラのやつ、ジークの事振るわ戦線離脱して引っ籠ろうとするわ、なにかよそよそしさも感じられる態度は深刻な問題とか体質体調の不調を抱えているとか、何がしかの予言とか悪い予測が立ってしまって奔走してるとか自分だけで抱え込んでなんとかしようとしているのか、とか色々心配してたのに。この女……アホだった。ただのアホだった。加えて、完全に駄目女だ。スノウとは別のベクトルで同じくらいダメ人間だ。
ほんともうなにやってんの、この娘!? なにやってんの!?
うわーー、もう面倒くせーー! 話を聞けーー!! なまじ昔のマリアとかみたいにヤベえ感じ、薄氷を踏むようや危うさがなくてガンガン殴っても応えなさそうな頑丈そうな分、コメディタッチになってしまってるんだけれど、なんだかんだとやらかし切ってしまうとえらいことになってしまうのは変わらないどころか、国際紛争とか世界の危機とかジーク爆発みたいなところまで発展しかねない顛末になってしまうだけに、おバカが爆弾の導火線に火をつけて騒いでるようにしかみえない、とにかくヤバいことになっているのが、なんかもう脱力してしまう酷さなんですよね。
そういうヤバい話を、こんなアホなことでやらかすなー!
まあね、うん、この物語のヒロインは総じて話まったく聞かないんですけどね。ほんと、馬耳東風というかスルーというか都合の悪いことは聞こえない作りになっているというか。何気にヒロインだけじゃない気もするというか、登場人物おおむねそんな感じなのは、アイド先生とか振り返ってもそうだったので、もう誰も彼もが重い! で片がつく話なのかもしれないけど。
今回またぞろ話ややこしくした魔石人間の女の子も、重すぎるの! なんでそういう事しちゃうの!? そこまで変に思いきれるのなら、普通に頑張りなさいよ! 相方の男の子、完全に置いてけぼりじゃないか。相談しろ! 話を聞いてもらえ、それ以前に相手のこと考えてあげて!

その点、ライナーくんは昔こそこいつも話聞かないやつだったけど、今は話は早くて行動も早くて決断も早くて、と三拍子揃った思い切りの良さで頼もしいったらありゃしない。ティアラ様もよい人材を見つけたものである。ティアラ様的には時間もなかったことだしウダウダウクズクズ迷い悩まれてる暇なかったところに、パッパッと決断してくれる信頼できる頼もしい騎士様の登場ですから、諸手を挙げての万歳三唱だったんじゃないだろうか。わりと、騙しやすいし騙されたことに対してネチネチイジけるような子でもないし。
ほんと、なんでこんなイイ子がラスティアラとジークに仕えてくれてるんでしょうね。だめな子ほど可愛いのだろうか。ライナーくん、完全にラスティアラとジークの保護者扱いだもんな、これ。
ジークとラスティアラも、ライナーくんに頼りすぎである。

まあラスティアラに増して酷かったのが、ジークなんですけどね。あの登場シーンにはひっくり返りましたがな! ガチでひっくり返りましたがな! なんで来る! そのタイミングで来る!?
すげえ勢いで、一生懸命ライナーが用意したお膳立てを出会い頭に蹴っ飛ばしてひっくり返して台無しにして、おまけに自分でひっかぶってしまうという、ほんと何しにきたの!?
ここもう神業みたいな場面でしたよ。ジーク出現してからのあれやこれやはもう伝説級のシッチャカメッチャカだったんじゃないだろうか。あれほどガチで「自分は何を見せられているんだろうか」と真剣に思ったのは初めてだよ。この台詞ってこういう心境の時に使うのか、と変に感心してしまいましたがな。
表紙絵の二人、ジークとラスティアラのこの神秘的とすら言える睦み合いに見合う感動的なシーンが見られるのかと思ったら。

これだよ!

このありさまだよ!

いやわりとこのイラストなで合ってるのかもしれないし、おおむねこんな感じの構図の話な気もするんだけど……おおぅ。
本当に、これは酷い。見るたびに、思わず顔を覆ってしまいたくなる顛末でありました。
でも終わってみると、最良の形になっているというのはジーク、ズルいよねえ。主人公だよねえ、これが主人公のパワーというものか。運命力というものか、引きの強さというものか。引きすぎて、本人もエライ目に遭いまくって被害がえらいことになってるけど。
もう無茶苦茶になってしまったのだけれど、それでもライナーとティアラ様が目指した最善が、大混乱の挙げ句に最良の結果に落ち着いてしまった、というわけの分からなさがなんかもう、笑ってしまうのだけれどすごいなあ、と惚れ惚れしてしまう展開の流れで。
うん、いやすげえわ。
わりと深刻に拗れきってた状況と拗らせきっていたラスティアラの心が綺麗サッパリうまく片付いちゃったんですもんね。懸念だったラスティアラ関連の話、おおむね着陸できちゃったわけですし。
ほんと、なんで無事着陸できたんだこれ? 不思議だ、謎だ、意味わからん!? アクロバティックすぎて、一部始終見てたのにわからん!(笑
とにかく凄かった。

しかしこれ、なんぞ妹・陽滝がすげえラスボス的な空気出してきてるんですけど。そうなのか? 最後の最後に一番とびっきりにヤバい、中身ヤバいヒロインが目を覚ますのを待っているという事なんだろうか。うん、ヤバいね。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 12 ★★★★☆   



【異世界迷宮の最深部を目指そう 12】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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ディアと陽滝を取り戻し、『風の理を盗むもの』ティティーを故郷へ送るべく、ヴィアイシア国へ向かうカナミたち。
一方、『木の理を盗むもの』アイドは、その王都にて着々とカナミとの決闘に備えていた。
――すべては『統べる王(ロード)』のために。記憶の最果てにある『代償』が何かを知らずに。
……そして童は、その瞳の中に答えを知る。
「――姉様。よかった、今度は間に合いました」
千年より長い一瞬の『いま』『ここ』に、寄り道は終わる。
白桜に満ちた『第四十の試練』の帰り道を、童二人が歩いていく。
ティティーとはアイドとの決着がつけばお別れ。それがわかっていたから彼女がはしゃいでいる姿が楽しくもどこか寂しい思いを抱いていた。きっと彼女が消える時は悲しくて仕方ないだろうと感じていた。
どうにも人は、かつて抱いた思いを忘れてしまう。ローウェンのときだってそうだったじゃないか。
その別れは寂しく辛く悲しくとも、未練を果たして帰っていく「理を盗むもの」たちはみんな幸せそうに笑っていたじゃないか。
だから今回も、ティティーとアイドにはこう言葉を送るのだ。
おめでとう、良かったね。


そう、今回はカナミの試練じゃなかったんですよね。アイドが司り守護する『第四十の試練』の挑戦者は……。
この物語の途方も無いところはこういう所なんだろう。階層を守護するものを打倒して、さらなるダンジョンの深層に潜っていく。そんな本来あるべきダンジョン攻略の概念を、根底からひっくり返してきた本作だけれど、此度もまたとびっきりの前提の抹消だったのではないだろうか。
今までの理を盗む者たちに比べたら、アイドは随分と素直な迷い方をしていた。他の連中のドツボのハマりっぷりときたら目を覆わんばかりだったけれど、アイドの優しい気質ゆえだろう。相変わらず話を聞かずに自己完結してしまっているという意味では他の連中と変わらなかったけれど、彼の本来の未練の見失い方はこう言ってはなんだけれど、迷走して蛇行してどこを走っているのかさっぱりわからなくなっているような酷いものではなく、まっすぐにUターンしているようなもので、お姉ちゃんのウザったいくらいのグダグダっぷりと比べたら、いっそ清々しいくらいに真っ直ぐ間違っていてくれて、戸惑いようがなかったとも言える。
でも、話は聞こうね、ほんと。
使徒シスみたいに話がまったく通じない本当の意味で自己完結してしまっているような輩もいるので、何事も話し合いでなんては言えないけれど、アイドくんは分かりやすく聞かない振りしすぎである。だからこそ、耳かっぽじって聞こえるように言ったらすぐに理解して受け入れてくれたという意味でまったくもってやりやすかったのですが。
使徒シスは自己完結している分、考え方の拡張性が全然なってなくて、やらかしまくっていたわりに何も出来ない奴だった。パリンクロン・レガシィを見習いなさいよ。あの難敵は未だにトラウマだもの。アイドが本来の在り方に立ち戻り、千年前に果たせなかった未練を取り戻すためについにティティーと通じ合い、ありえない決着を引き寄せようとテンションあげまくってもう勝ったよし風呂入って来よう、くらいのクライマックスに入っても、ここまで上げてると逆に落としてくるのでは!? もしかして負けちゃうのでは!? と、本気で心配になったのはおおむねパリンクロンの影響に違いない。彼のおかげで、この物語にはあげたら落とすんじゃないか。上げてなくても落とすんじゃないか。落としておいてさらに落とすんじゃないか、という不信感が常につきまとっているんですよね。もうパリンクロンを打倒して以降はカナミも成長し、ヒロインたちも病んでれているのを除けば概ねマトモな思考になっているはずなので、シリーズ後半に入ってからはそうそう酷い意味でのちゃぶ台返しはなくなっているのですが、それでも未だに戦々恐々としてしまうのは十分トラウマだと思うのですよw
これはもう、作品が完結するまでは拭えないキズだと思われる。それくらいどれだけ調子に乗ってても構えて精神的に備えていないと不安で仕方ないし、それくらいの警戒は常に絶やさない方が安全安心なのである。ひどいお話もあったものだ。
全然ひどくない、とても美しい終端の物語だったんですけどね。本当に何事もなく順当にティティーとアイドの姉弟の絆が取り戻せて、二人の未練が果たされた安堵感が、余計に二人の結末を透明に彩ったように思います。
心の焼き付かれるような美しい情景を残して帰っていった、文句なしのハッピーエンドでした。
千年前の英雄たちが、今に顕現してかつての夢の名残を叶えて残していってくれた贈り物は、正しくルージュたちに引き継がれる。それは場所であり想いであり、姉弟の祖父母から引き継がれた精神であり……。多くが失われても、無くされないまま継がれていくものがここにある。
ディアもようやく戻ってきてくれて、彼女の中のシスと決着をつけた事もあって、ようやくディアがいだき続けていた不安や怯えを解消できて、本当の意味で最初に仲間になった時にやり直しが出来た。何かを押し殺し隠すことのない、様々な側面を内包したあるがままのディアとカナミ/ジークとして一緒になれた。初めて、ここから始められる事が出来たのではないでしょうか。
そして、ようやく妹陽滝を取り戻したカナミ。未だ目覚めぬ彼女だけれど……寝てる割に動き回れるわ戦えるわ、なにこの便利睡眠女子w
これほど汎用性機動性稼働性能に長けた眠り姫は見たことないんですけど。

しかして次回は……ライナーが主人公!?

シリーズ感想

異世界拷問姫 8 ★★★★☆  



【異世界拷問姫 8】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J

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『断罪を止めたくば、代償を、犠牲を、生贄を。我々は結晶化した“狂王”とその花嫁。及び、“拷問姫”エリザベート・レ・ファニュの身柄をお前達の命の代わりに求めよう』
各地での殺戮を煽動するアリスとルイスの要求に対し、三種族は救世の英雄を生贄とする決断を下す。
「…貴様ら夫婦を相手取る羽目になろうとはな。流石に予想せぬわ」
再び世界の敵となったエリザベートの前にはジャンヌとイザベラが立ちはだかり、
「さぁ―父性愛の勝負といこうじゃないか!」
愛娘の道を切り開くためヴラドはルイスを迎え撃つ。綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー第八弾。彼らは戦う。各々の何かを守り抜くために。

ジャンヌとイザベラだけが癒やしです。この二人だけはそのまま幸せになってくれ、と願わずにはいられない。とうとうこの二人とも殺伐とした展開になるのかと危惧したのですけれど、彼女たちだけは平常運転で本当に良かった。この世界に対する失望と絶望が湧き上がり、カイトとヒナが身を犠牲にして守った意味があったのか、と幾度も自問してしまうなかで、ジャンヌとイザベラのカップルやリュート夫妻の存在がどれだけ救いに思えたか。この世界もそこに住まう人たちも決して見捨てたものじゃない、と思わせてくれる人たちなのですから。あのエリザベートを避難する民衆を一喝した老婆のように、咎人であったエリザベートを気遣ってくれた文官の人のように。この世界には、まだこんなにも尊いものが散らばっている。狂王カイトの姿に憧れた臆病者の王も、今や人族をまとめる王として以上に、世界の価値を信じさせてくれる良い男に成長してるのに。
それでも、悪夢は積み重なっていく。折り重ねられる復讐の連鎖、悪意の塔、無辜という名の罪人の群れたる民たち。
そんな中で独り戦うエリザベートの孤独はいや増すばかり。いや、その孤独を、寂しさを彼女はすべて受け入れている。ゆらぎはしてもブレはしない。
でも、その想いにもう名前をつけても良かったんですよ。ようやく、ようやく、エリザベート・レ・ファニュの本心がエリザベート自身に届いたのでした。その形のない想いを、言葉にして形作ることができた。

親友を、弟を、兄を、己の恩人を。
優しく、愚かで、仕方のない人を、
愛すべき人を、愛するように、
エリザベート・レ・ファニュはセナ・カイトを愛している。

無意識にこぼれ落ちた言葉を彼女は自分で反芻し、そして静かにはっきりともう一度繰り返した。
愛している。その言葉のなんて深い響きだったか。その言葉を告げる彼女が、どれほど美しいモノだったか。
何かを求めるわけではない、報いを欲しているわけではない。その感情は、湧き上がる想いはただただ捧げ与えるためのものだった。エリザベートのそれに、色恋の熱量は見当たらない。滾るものではない、焼き焦がすものではない、それはお互いを温め合うもの。その存在を慰め合うもの、癒やし合うもの。掛け替えのない、意味を持つもの。
愛すべき人を、愛するように。
思えば、エリザベートとカイトとヒナの三人の関係は、常に与え合うものでした。愛している、その三人同士の間で揺蕩う想いは、気安くも献身そのものでした。それは、エリザベート独りが取り残された今に、何も変わってない。触れられそうなほど近くにありながら、決して届かないはるか遠くへと行ってしまったカイトとヒナを、エリザベートは変わらずずっと愛している。
その健気でさみしげな彼女の姿が、どうしようもなく愛おしく美しく、悲しい、哀しい。
それは仕方のないことだったのだろうけど、やはりエリザベート独りを置いていってしまったカイトとヒナに文句が言いたくなる。二人とも、随分と後ろ髪引かれているみたいだけれど、エリザベートはもっとずっと寂しかったのだから。
迎えに行って、くれるのだろうか。もう一度、あの三人の輪の中にカイトとヒナはエリザベートを迎え入れてくれるのだろうか。

思えば、ヴラドもまた何も見返りを求めていなかったですよね。あれほどの極悪人で鬼畜外道の残骸であっても、彼の父親としての愛は、娘に何も求めなかった。ただ、愛していた。それが、彼がなしてきた残虐非道の数々に対して、冒涜であったとしても、娘への愛は無償であった。
ルイスが、ついぞ最期まで娘となったアリスを本当に心から愛していながら、彼女に愛に対する報いを、見返りを求めてしまった事と比べてしまえば、尚更に。尚更に胸に凝りを残すのである。
ああ、なんて度し難い愚かさなのだろう。それを自覚しながら自身を止められなかったルイスが、哀れでならない。


次が最後、本当の最期。万感の想いを抱いて、結末を待つ。

シリーズ感想

異世界拷問姫 7.5 ★★★★   



【異世界拷問姫 7.5】 綾里 けいし/鵜飼 沙樹  MF文庫J

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これは櫂人やエリザベート、ヒナ達が過ごした日常、夢のように幸福な記憶―遠い日々。櫂人は悪夢に悩まされ、エリザベートは狂信者に押しかけられ、ヒナは行方不明になっていた?また、終焉回避後の『ある日のこと』、櫂人とヒナの提案で、エリザベートの治安維持部隊隊長就任三周年目を祝う宴が開催されることになり…?天然たらしっぷりを発揮するイザベラ?のろけるジャンヌ?ヴラドにウザ絡みする『肉屋』?会場はカオスな様相を呈するが…?Web連載短編に書き下ろし小説&イラストを加えた豪華短編集。これは幸福の断片、そして先へ繋がる物語。

こうしてみると、エリザベエートと櫂人の二人きりだった頃はまだ二人の関係ってぎこちなかったようにも見える。それだけ、まだお互いがお互いを知らず、打ち解けていなかったからとも言えるのだけれど、やはりヒナがここに加わってこそ彼らの関係が完成したと言えるのでしょう。
それは、ヒナとカイトが一緒の時のエリザベートの緩みっぷりを見れば自明のことかと。あれだけ峻厳な生き方をしているエリザベートが、ヒナとカイトが一緒の時の何事もない日常の際には本当に気を許し切っているんですよね。許しすぎて、若干ポンコツ化するくらい。ヒナってば、あれだけカイトに尽くしながら、同時にエリザベートも甘やかし尽くしてるからなあ。ヒナが行方不明になった時のカイトとエリザベートのコンビのシッチャカメッチャカな姿を見せられると、ヒナってわりと尽くしてダメにするタイプのメイドでお嫁さんなんじゃなかろうか、と思ってしまう。
まあ、いざという時のカイトとエリザベートが求められる地獄を思えば、普段がダメ人間のポンコツになってしまうくらい緩ませて甘やかせて労り愛し尽くすのもまた十分な仕え方とも思うのだけれど。同じくらい、カイトやエリザベートの方もヒナのことを愛で尽くしているわけですし。ふたりともヒナに対しては尋常ならざる過保護っぷりだもんなあ。ヒナが居なくなった時の二人の焦り方といい心配のあまりむちゃくちゃしだす様子を見ていると、ほっこりするやら苦笑してしまうやら。
それだけ、三人が三人であることが完成していて、満たされていて、この上ない幸せの形だったのだ。遠からず、それが終わってしまうことがわかっていても、悪人は地獄に落ち、その従者が粛々とその終焉に付き従うことが決められたことだったとしても、彼らにとってこの時間は安らぎであり確かな幸福だったのだ。
望外なことに、たった三人の閉じた世界ではなく、彼らの幸せを祝福してくれるような人間関係も新に育まれていく。肉屋も、ジャンヌとイザベラも、リュートたちも、あの夢に現れた人たちはつまるところエリザベートにとっての幸せの記憶のなかに輝いている存在なのだ。
だから、エリザベートはその輝きを胸に終わることになんの後悔も未練もなかったはずなのに……。
現実は、幸福のほうが彼女を置き去りにしていってしまった。いつまでもずっとそばにいると誓ってくれた最愛のヒナとカイトの二人は、エリザベートを守るために置き去りにして近くも遠い場所に行ってしまった。
これは、この巻は、その事実をエリザベートが再び噛みしめる物語。思いと決意を新たにする物語。
掛け替えのないものが残してくれたものを、もう一度確かに胸に宿すための物語。

さいごに、この世界を憎み呪って破滅を願った聖女の、本音の先の本心が心にしみる。
本当の願いが、剥き出しにされた想いが紡ぎ出した赤子のような、赤心の言祝ぎが胸を突く。
聖女は、あの世界を呪った無残な聖女は、それでもなお、聖女たらんとしている。かつて世界を憎んで破滅させようとした者として、やるべきことを成すために。
世界という舞台から転げ落ちたはずの落伍者が、もう一度メインプレイヤーとして立ち上がる。
エリザベートの絶望で孤独な戦いに一石を投じる、これこそが希望の一手と信じたい。

シリーズ感想


それはそれとして、ジャンヌだけがひたすらラブコメ時空に生きていてなんか揺るぎないな!!

異世界拷問姫 7 ★★★★☆  



【異世界拷問姫 7】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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いつか遠い遠い昔の御話と、呼ばれるかどうかもわからない醜悪な物語。

終焉を超えたはずの世界に、何の前触れもなく異世界からの【転生者】にして【異世界拷問姫】を名乗る禁断の存在――アリス・キャロルが現れる。
彼女は【お父様】のルイスと共にエリザベートに苛烈な選択を突きつける――
「会わせてあげる、エリザベート! この私が会わせてあげるの大事な人に!」
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る至高のダークファンタジー第七弾。
誰かの物語が終わったところで続くものはある。
かくして、新たな舞台の幕は上がる――演者達が、望むか否かに拘わらず。
もう泣く。エリザベートの抱く想いを想像するだけで、その切なさに、哀惜に、胸をかきむしられそうになる。
どれだけ、カイトとヒナに会いたいだろう。どれほど焦がれ、どれほど願い、どれほど祈っているのだろう。その上で、わかっているのだ彼女は。もう二度と、生きて彼らに逢うことはないのだということを。結晶に閉じ込められた彼らの姿を見守ることは出来ても、その声を聞くこともその肌に触れることも、もう二度と叶わないのだと。エリザベート・レ・ファニュは知っている。
あの幸せな時間はもう二度と戻ってこないのだと。
それを安易に、いや安易ではないのだろう。奴らには奴らの論理があり正義があり意義があり覚悟があり信念があり、怒りがある。
それでもなお、エリザベートにもう一度二人に逢わせてあげるなんて誘いをかけるなんて。そのために世界を裏切れなんて。
いったい、何を踏みにじっているのか、彼らは理解していないのだろうか。理解してなお、指し示しているのだろうか。いずれにしても、そう彼女の言葉を借りるならば。
「胸糞悪い!!」
これに尽きる。尽き果てる!
「穏やかで凡庸な、夢のようなひと時があった。そして、終わった――それでよいのだ」
「他でもない奴が望んだ。余を生かし、世界を守ると。ならば主たるもの決意を尊重しよう。今までの日々こそ罪人には過ぎた奇跡で幸福であった――もう戻らぬ。それでよい」

もうあの日々は帰らないと。戻らないと。終わったのだと。エリザベートの口から言わせ、それでよいのだと、言わせた奴らがどうしても許しがたい。
夢を見させろなんて言わない。言わないけれど、本人の口からそれを言わせることはないじゃないか。どれほどの想いをもって、もうよい、と口ずさんだのか。それを思うと、本当に泣けてくる。
エリザベートはカイトとヒナを本当に愛して慈しんでいたのだ。彼らと居るとき、彼女は本当に幸せだったのだ。たった一人取り残されて、眠る二人を寂しそうに見守りながら、彼女の愛は続いている。幸せは終わっても、いつまでも続く。
でも、彼女はもうたった一人なのだ。そのエリザベートの尊く誇り高い在り方を、セナカイトの世界中の痛みを背負い負の感情で打ちのめされ、それでもなお決して他者にその報いを向けることのなかった生き方を、踏みにじろうとしているのだ、彼らは。
同情に値する正当なる復讐者。彼らを弾劾できるものは、加害者たる世界には存在しないのだろう。
それでもなお、エリザベートの振るった弾劾の言葉こそが本質を貫いている。
「他者を踏み躙るために、弱者を名乗るな」

許せない。しかし嫌えない。ルイスとアリス、その在り方があまりにも悲痛で縋るような絶望に苛まれている姿が、憐れだからだろうか。あり得たかも知れない、カイトの結末の一つだったからなのか。彼らは虚無だ。感情を込めて睨みつけ見つめれば、穴に落ちるように吸い込まれていく。強い感情を抱けなくなる。

眠るカイトは、確かに世界を守り、淀んだ人の心に清涼の風を吹き込んだ。今なお、彼の存在が人を変えるきっかけとなり、世界を変えるきっかけとなり、愚かで救いがたいものを良き方へと変質させる踏切台になっている。
それでも、それでも、世界は終焉を逃れて良き方向へと進んでいるのかと言えば、決してそうとは言えないのが現実というものなのだろう。
もはや、ポイント・オブ・ノーリターンは通り過ぎた後だったのか。あ
亜人種の純血主義に秘められた悲壮とも言える祈願も、刻々と定まりつつある霊長の帰趨も、もはや個々人の意志や働きではどうにもならないところで決まりつつあるものなのかもしれない。その結果として起こり得る惨劇は、人が人である限りもう止めることは出来ないのだろうか。
エリザベートがこぼしたこらえ難い絶望の吐露が、改めて胸を突く。
リュートとアインの夫婦が迎えつつある結果は、諸手を挙げて祝福するべき幸いであるはずなのに。
微笑ましく甘やかなジャンヌとイザベラの睦言も、幸せなカップルとして何事もなく続いてくれれば、それでいいのに。
ラ・クリストフが幼き頃に抱いた夢が、万人の幼子の中で同じように輝く世界であれば、良かったのに。
獣人の姫たちの顛末が、聖人の見事なまでの最期が、あまりにも独りなエリザベートが、哀しくて切なくて、なんともたまらなく心揺さぶられる新たなる惨劇の開幕でありました。
世界は、救われてなお、未だ救われるに足らぬものなのか。
はぁ……なんかもう、ラ・クリストフが色んな意味でいい人いいキャラすぎて辛い、辛い。
つらすぎるので、亜人のお嬢さんにならって、もうジャンヌとイザベラのイチャイチャ見てひたすらキャーキャー言ってたいです、キャーキャー♪

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 11 ★★★★  

異世界迷宮の最深部を目指そう 11 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 11】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――千と一年越しの告白。

迷宮から地上への脱出を果たしたカナミ、ライナー、ティティー。
散り散りになった仲間達の足取りを追って辿り着いたフーズヤーズは、すっかり様変わりしていた。
かつて親交を深めた人々と言葉を交わし、そしてカナミは最愛のひと、ラスティアラと再会を果たすが、とある理由から同行を拒否されてしまい――。
「さよならだね」
千と一年越しの再会と決別が繰り返され、互いにもつれゆく関係性の中で、カナミが取る道は。
【運命】に抗う異世界迷宮ファンタジー、第11巻!
カナミのテンションがいつになく高いぃ!!
テンション高いというか、これ躁状態なんじゃないだろうか、というくらいティティーと二人ではしゃぎっぱなし。未だかつてこんなに明るいカナミがいただろうか。異世界来てこれだけ開放感堪能してるカナミ初めてなんじゃないだろうか。
これまで、幾多のトラブルを乗り越えていわゆる平穏な環境を手に入れても、周りヤンデレに囲まれて気が休まる時がなかったもんなあ。場合によっては何事もトラブル起こってない時のほうが命の危機が迫ってるんじゃないか、一つ選択肢を間違えれば、一つ発言をしくじれば、即座に「死!」という常にギロチン台に首据えてるような状態だったもんなあ。
それを思えば、ちょっと開放感にテンションあがっちゃうのもしょうがないよね。そのテンションに任せてラスティアラに告っちゃってもしょうがないよね。
見事なまでに粉砕玉砕してしまいましたが。
おかげさまでカナミのテンションが余計に変になってしまってるぅぅ!
いや、この場合は無理やりあげあげにメンタル持ち上げようとカナミがテンションあげてるところに、ティティーが容赦なく無神経にそして無邪気に急所をナイフでスッパンと切り裂いてしまうような発言をしてしまうのが悪いのですが。
というか、ティティー狙ってないのになんでそんな会心の一撃なコメントばっかりするんですか、この子! 押してはいけませんと看板立ててあるあからさまなボタンを、全く見ないまま気づかず、でもピンポイントでガン押ししてしまうような的確な発言を繰り返すティティーさん。悪気が一切ないのが怖いです。なんか違う意味でサークルクラッシャーだぞ、この子。
それでも、それでも今までのヒロインたちと違うのは、ティティーはヤンデレじゃないというところなのでしょう。いや、前回ちょっとこの子もヤンデレ気質があるんじゃ、という恐れを抱いてしまったのですが、今回見る限りどうやらその卦はなかったようで、ティティーとしてもカナミに対してはお姉ちゃんというか相棒というか、異性という見方はしてないんですよね。その分、カナミも気後れなくティティーとは付き合えてて、なんていうかなー、これまでカナミって一緒に居たどの女の子もメンタルヤバイ子ばっかりだったから、いろいろと気を遣いっぱなしで相手のことを常に繊細に考えながら慎重に接してきたわけですけれど、ティティーに対してはそういう気遣い一切なく、ものすごく気安く接しているわけですよ。ティティーの方も、カナミに対しては全然気をつかったりせず、言いたいこと言ってやりたいことやって、とそういう無思慮な言動を場合によってはちゃんと受け止めて、場合によっては適当に受け流してくれる、という大きな信頼があるんでしょうな。
だから、二人してもう子供か、というくらい一緒にはしゃいでしまって、ライナーが別件で一時離脱してしまったせいもあってか止める人もいなくなって、今回ほんとカナミとティティーの二人して大騒ぎの大はしゃぎ、という楽しいお話に終始していました。
別れてしまった昔の仲間との再会の旅、というともっと深刻なものになるかとも思ったのですが、二人の躁状態もあってか、ガンガン進んだって感じですねえ。
カナミのいなくなったパーティーがバラバラになっていた、というのは案の定というか当然というか、まあそうなるな、ってな感じではあったのですけれど、もっとやべえ感じにバラバラになっていたのかと思ったら、わりと穏当に分裂してたなあ、という印象を持ってしまったのは我ながらどうなんだろう、と思うところですけれど。いやあ、もっと殺し合いとまではいかないまでも、喧嘩別れに近いものになってるんじゃ、と恐れてた部分もありましたからね。
実際、喧嘩別れみたいになっているところもあったのですが、感情的な行き違いというよりも方針の違いであり、ラスティアラの弱気から来たもので、わりとみんなの間にはパーティーを維持しようという気持ちがあったんだなあ、というのは意外でありました。
マリアがまたたくましくなりすぎ、というくらい頑張ってるのも意外でしたけれど。成長という意味では能力だけじゃなく、メンタル的にもこの子が一番かもなー。
ただ、この一年で一番頑張っていたのは文句なしにスノウでしょう。キャラ変わるくらい頑張ってたって、どんだけ無理してたんだこの子ったら。スノウって怠惰なのに一度頑張りだすと果てしなくやり倒してしまうところが凄いというかヤバイというか。
それでもまあ、一人でこれだけ頑張ってたわけですから、これは大いに褒めてあげないと。ある意味一番に合流したのもこれご褒美だわねえ。
ラスティアラはもうなんか拗らせちゃってますし。カナミもあれだけ面倒くさい性格だったのを頑張ってこれだけ矯正してきたのに、肝心のヒロインさんがどんどん面倒臭さを拗らせてきちゃってますよ。最初出てきたときは、もっと自分本位な子だと思ってたのにねえ。
とりあえず、ラスティアラは置いておいても他のマリアたちなどの面々とは合流して、という順番で話は進むと思っていたのですが、アイドの方から動いてきましたか。
ぶっちゃけ、今のアイドって前回までのロード・ティティーと状態は同じなだけに、それはもう乗り越えてきた場所だ、という印象が強いので、あとはティティーと……何気にアイドのヒロイン的存在らしいルージュ、この表紙の子が展開の上でも鍵となってくるんでしょうね。ティティーと同じ展開、というわけにはいかないでしょうし。ティティーとアイド、患っているものは同じでも立ち位置も違えば、現在置かれている環境も違うわけですし。
しかし、この件が解決してもティティーはなんとかならんですかねえ。本人もう覚悟完了しているのは仕方ないですけれど、カナミとのコンビが思いの外本当に気安くて心地よいものだっただけに、いなくなってしまうのはとてもとても寂しい。

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 10 ★★★★☆  

異世界迷宮の最深部を目指そう 10 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 10】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――可測する前日譚(トータル・リコール)

地上への帰還を目指すカナミに立ちはだかる『風の理を盗むもの』ティティー。呼応するかのように千年前へ変貌するヴィアイシアの街。愛憎に満ちあふれるノスフィーはカナミを『未来(ちじょう)』へ逃がしはしない……。
全ての罪過を償うと誓ったカナミは、『詠唱』の『代償』を糧に未来(かのうせい)の先譚を垣間見る。
――それは、千年と百十一年に及ぶ前日譚。
見栄っ張りの魔人混じりが起こした、他愛もない『ごっこ遊び』。
「なんで……?」「なんで、こんなところまで……!?」
虚ろに満ちる『第五十の試練』の果てで、いま童の原風景が想起する。

ああ……。
これは、そりゃもう表紙ティティにしますよね。
敢えて順番を入れ替えて9巻はノスフィー。そしてティティをこっちに持ってきた、という話ですけれど、納得、納得。納得以上に、これ以上無い選択だったのではないでしょうか。
あとがきでは、「この10巻は彼女そのもののようなものになる」という作者さんの明示があったそうなのですけれど、この「彼女そのもののようなもの」って表現すごいですよね。ロードと敬われたティティの人生そのものを描き尽くす、みたいな言い方でもおかしくなさそうなのに、そうじゃないんですよ。人生そのものじゃない、彼女そのものだというんです、この一巻丸ごとが。
丸ごと、この巻にはロード・ティティが詰め込まれている。人生だけではない、その思いも感情も悲嘆も在り方も生き様も死に様も何を求めていたのかも、何から逃げていたのかも、何から逃げなかったのかも。
多かれ少なかれ、この作品では守護者と呼ばれる者たちは、その存在のすべてが暴き出されて探りだされ発掘され、余すこと無く曝け出し、当人もたどり着けなかった当人そのものを、カナミに寄って引っ張り出されます。ローウェンがまさにそうだった。
死力を尽くした対話によって、ようやく通じ合うことが叶う。それほどに、彼らは深淵の奥底に囚われている。ロード・ティティはまさにその極地に居たと言えるのだろう。
どうやったってたどり着けない極地。ティティ当人も遥か遠くに置き去りに、加速して加速して果てしない向こう側へと置き去りにしてしまったそれは、もう誰も手を伸ばせないはずだったのだ。誰にも触れられず誰にも知られず、狂い果て朽ち果てた末に何の救いもなく消え去るはずだったものなのだ。
だから、カナミの次元魔法は反則みたいなものなのだろう。ついに、空間だけではなく時間まで。忘れ去られた過去から、いつかたどり着ける可能性がある未来まで、観測し体感するに至ったカナミの次元魔法は、もうこれいったいどれほどの領域なのだろう。
いや、カナミの境地はこの際置いておこう。彼の魔法によって奈落の底から掬い上げられたロードの過去。そこに横たわって蹲って顔を伏せて誰にも見えなくなっていたロードと呼ばれる前の小さな少女の願い、祈り、そして未練がついに明らかになる。
一人の女の子が、みんなのために身の程を超えてありえないほどに頑張り続けたその姿が、無理して無茶をして出来ないことをやり遂げ続けて、そうして壊れてしまった有り様が。
悲鳴が、泣き声が、後悔の呻き声が、もがくように響き続ける様子が余すこと無く映し出されていく。その果てに、ようやくようやく、小さな女の子が押し込めた本当の願いが見つけ出される。
一人の女の子の途方もない絶望と小さな希望が込められた、まさにこれは彼女・ロード・ティティそのものの物語。
この娘は、報われるべきだと思う。この娘は救われるべきだと固く思う。こんなに身の程を超えたことを、やりたくなんて全然なかったことを、求められたから、頼られたから、守りたかったから、そんなささやかな優しさを支えにして、やり通したこの娘を誰が非難できようか。
だから、彼女に救われ守られ導かれた人たちが、みなみな彼女の本当の願いを知ったとき、誰も彼女を責めなかったことに、こみあげるものがあった。みなが彼女に感謝し、彼女を追い詰めたことを悔やみ、彼女に与えられた「これから」を祝福してくれたことに、拳を握りしめた。
千と百年の地獄のはてに、彼女は確かに報われたのだ。そして、未来を祝福されたのだ。
もうこれで、半分未練が消し飛んだ、というのもよくわかる、というかこれで未練全部消し飛んでもおかしくないくらいの、救いある区切りでした。
そして、これに匹敵する半分を担うほどに、ティティにとって幼い頃の想い出が掛け替えのないもので、弟のアイドのことが大切なのか。
これまで、ティティの未練そのものが封印され、忘れ去られていたことから、弟のアイドに関してもティティはあんまり大した反応を示さなかったので、この姉弟の関係がいまいちわからなかったのだけれど、こうも鮮やかに描き出されてしまうと地上に戻ったあとのアイドとの対決が今から楽しみでしかたない。いや、アイドとティティ。ロードじゃなくティティとの再会がどうなるか、というところが。
今回の殊勲賞は間違いなくライナー君ですね。これほど頼りになる騎士、カナミの騎士になってくれるとは思いませんでした。なにより、ヤンデレじゃないのが頼もしい! 精神面で危うい部分があったのもかなり解消されたように見えますし、同世代の親友にして絶対的な信頼を寄せられる相棒格、しかもまだまだ成長の余地あり、てすごいですよ。今回もノスフィーを見事に足止めしてみせましたし。カナミとライナーの信頼を寄せて寄せられて、の今の関係、とても好きです。
さあ、ようやく地上に戻っての新たな章の開幕、ということでガラッとメンツが変わることになりましたけれど、そうかーあれから一年も経っちゃってるのか。
ラスティアラたちの現状も心配だけれど、一方でなんか新たなヤンデレ誕生の予感がw
カナミ、さらっと要らん事口にしなかったかしら!? せっかく、ヤンデレのいないニューパーティーだ!と思ったのに、大丈夫ですか?本当に大丈夫ですか!?

シリーズ感想

異世界拷問姫 6 ★★★★★  

異世界拷問姫6 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 6】 綾里けいし/鵜飼 沙樹 MF文庫J

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世界に断罪されし少女と愚鈍な従者の物語、第六弾

「今だけは俺が王だ。盲目的に、俺に従え」
かつて異世界で無意味に死んだ少年・瀬名櫂人は狂王と化した。
――たった一人の女を救うために。
神と悪魔に囚われた『拷問姫』の代理として、人間、獣人、亜人による会合を掌握した櫂人のもと、三種族合同の防衛戦線が動き始める。
だが、従兵達の各地への侵攻は繰り返されるごとに激しさを増し、凄惨な地獄と化した世界は、櫂人に残酷な選択を突きつける。
「今一度問おう―――セナ・カイトには、エリザベート・レ・ファニュを殺せるのか?」
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る今最も熱いダークファンタジー第六弾。
話をしよう。
これは恋の物語ではない。
憧れと愚行と、幸福な愛の物語だ。
多くを語るも烏滸がましい。ひとえにこれは、あらすじにある通り「憧れと愚行と、幸福な愛の物語」なのだ。
だからこそ、物語はラストシーンへと集約される。
何者でもなく無意味でしか無く、この世界においてはそもそも存在すらしなかった少年であるところの瀬名櫂人が。この世界に何の責も負も原罪も持たぬ彼が、ただその憧れを以ってして誰にも出来ない愚行を成し遂げる物語だ。だからこそ、これは愚鈍なる従者である彼の物語であり、彼とともに在るお嫁さんの、二人の物語だ。二人だけの物語なのだ。
ほかはみんな、置いていかれてしまった。彼が大好きだった者たちは、彼を好いた者たちは、みんな置いていかれてしまったのだ。伸ばした手を優しく振りほどかれて、祝福の言葉を送られて、その果て見送るしかなかったのだ。カイトとヒナが、幸せになるのを見上げるしかなかったのだ。
それは他でもない、エリザベート・レ・ファニュですら例外なく。カイトとエリザベートの二人の最後の語らいが、お互いにこの上なく本音を曝け出しあった別れが、エリザベートを優しく包み込み、突き放す。
彼女は独り。ひとり。永遠に自らの傍に居続けるであろう最愛の二人に、逢えることはない。それでもきっと、これは、セナ・カイトの物語は善き結末だったのだ。

ここで、終わるなら、ね?

確信する。
綾里けいし先生をこそが、脳内に地獄を飼っているに違いない。
ここまで! ここまで! ここまでやっておきながら。世界を破滅においやっておきながら。彼と彼女に祝福を、拷問姫に寂しい安息を、世界に救いを与えておきながら。
なおも、ここで、そう言い放つのですか!! 後書きの最後の宣言に、文字通り震え上がり、心底恐怖させられた。これほど凶悪にして最悪にして、強烈なる一文がそう簡単に顕在できようものなのか。悪鬼羅刹の所業である。恐ろしや恐ろしや、もっとやれ。
まさに、ここからこそが、「彼女」の物語に相応しい舞台。相応しい有り様。相応しい惨状!!
「異世界拷問姫」の物語の開幕である!!

あとそれはそれとして、うちのジャンヌが恋愛脳になりすぎなんですけど。どうしてこうなったww

シリーズ感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 9 ★★★★   

異世界迷宮の最深部を目指そう 9 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 9】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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――騙り得ぬ沈黙。

ついにパリンクロンを倒したカナミだったが、迷宮・六十六層の裏で目覚めを果たす。
【五十守護者】ティティーと出会い、一年という空白期間を認識したカナミは、ともに落ちたライナーと迷宮を脱出するべく「地上」を目指すことに。
六十層まで到達したふたりが出会ったのは、『光の理を盗むもの』ノスフィー。
「――あ、あぁっ!! わたくしを迎えに来てくれたのですね! 」
未練を残す守護者がふたり。
語るたびに騙られ、諦観が未練を呼び、誰も彼もが意味をはき違えていく。
その果てにも届かぬ手を伸ばした先に――彼女の『試練』が訪れる。
カナミ・メンタルヘルスケア!
というわけで、悩める守護者さまのこの世の未練を晴らしていく、という精神介護か地縛霊の除霊みたいになってきた迷宮攻略戦。いや、何気に今までもずっと守護者の未練を晴らすという目的は一貫していたのだけれど、何しろ登場人物全員が精神を病んでいるという考えてみると凄まじい状況だった挙句に、肝心の主人公のカナミが一番やべえ状態だったのが長く続いていたので、病める主人公が病める周りの登場人物たちの精神を癒やしていく、というのはぶっちゃけ無茶無理無謀の類で、お互いに足を引っ張ってドボドボと縺れて溺死しまくるという有り様だったんですよねえ、懐かしい。
それがなんやかんやと、ついにカナミンがそのあたりを見事に克服したおかげで、ようやく周りの人たちのこともある程度的確にすくい上げることが出来るようになってきたのが昨今の話。それでも、嫁候補たちが揃って修羅場っているお陰で、カナミン一歩どころか一言間違えるだけで即死惨殺完全犯罪被害者の回の適格者になってしまいそうな勢いで、これまでとは違う意味で精神がゴリゴリ削れて病みはじめていただけに、それらから開放されて自由を! 自由を得たカナミは実は今までで一番精神的に開放された状態なんじゃないだろうか。さらに、ライナーというかつては突っかかってきたものの、今では一番忠実で健気で暴走せずちゃんと人の話も聞いてくれて、男同士色んな共感を得ている親友にして弟分にして最良の癒し系という、今まで出てきた登場人物の中で唯一にしてぶっちぎりのマトモな頼りになる相方の登場によって、もうカナミン最高潮である。
つまり、完全に余裕を持って他人のことを、守護者たちのことを考えてあげられる状態なんですよね。
経験に基づくデッドラインの見極めと危機の感知が、さすがこれまでありとあらゆるやらかしを経験してきただけのことはある、という冴えっぷりで、結構ヤバイ感じアリアリな二人の守護者のこともなんとか落ち着かせて、宥めて、時折散布される地雷や機雷も丁寧に掃除して安定を保ちつつ、二人の未練を解こうとしていたけれど、まあ結局ラインを割ってしまうんだなあ、これが。
とはいえ、「やっちまったー」という失敗ややらかしの結果ではなく、なるべくしてなった、という感じでもあり、カナミは決して選択肢ミスったり地雷踏み抜いたりもせずやれるだけはやった、というカンジがするので、これまでで一番頑張ったんじゃないだろうか。いや、頑張ったというか間違わ無かったというか。それでもこうなってしまうのは、結局始祖カナミの因果であり負債であり、既にもうやらかし尽くしたあとの後始末の段階である以上、穏当に終わるはずがないというカナミとしては実のところもうどうしようもない、はじまった時点で終わっている話でもあるんだよなあ、これ。
結局はそれを清算しないといけないのが、カナミという青年のもう宿命なのだ、と言わざるをえないのか、これ。
つまるところ、ご愁傷様です。
今のところ、ティティーの方がメインで進行しているようなのだけれど、今回拍子はノスフィーだしキャラ人気的にもノスフィーの方がなにやら突出しているようで、これから元嫁の出番アリアリなのか。それはそれで楽しみというべきなのか、既に火がついている爆弾を焚き火に投げ入れるようなものなのか、修羅場的に。
とりあえず良い所というか、肝心の場面で終わってしまったので続きハヨゥ。
それにしても、今回は異世界迷宮の階層を上にあがろう、になっててなんか徹底してタイトルの「異世界迷宮の最深部を目指そう」とポカポカ殴り合う内容ですなあ、本作って。

シリーズ感想

異世界拷問姫 5 ★★★★☆   

異世界拷問姫5 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 5】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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もう一人の『拷問姫』ジャンヌ・ド・レに誘われ、地下墓所で世界の真実に直面した櫂人たちは、彼女が語る救世に協力することを決める。
「余の積んだ屍を犬死と嗤う者は生かしておかぬ。全て殺す。それこそ『拷問姫』の名にふさわしき方法で、だ」
「称賛しましょう。それでこそ、です。初代の『拷問姫』。自ら罪人に堕ちた女よ」
十四の悲劇で始まり終結を迎えるはずだった物語はここにきて残酷さを増し、全ての者に苛烈な選択を迫り出す――――。
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る今最も熱いダークファンタジー第五弾。悲劇を糧に進み続ける世界の中で、櫂人はエリザベートはヒナはジャンヌはイザベラは――――そして肉屋はいかなる道を選び取るのか

お……おお…おおおお。
このラストシーンよ!! ラストシーンよ!!
世界の敵となった男が、世界を統べるのか!
世界よりも一人の少女を選んだ青年が、世界を救うのか!!
狂王にして皇帝たるを、彼は掴み取りテーブルに叩きつけ踏みにじり、見下ろすのだ、見下すのだ、見回し見渡し一望して睥睨するのだ。愚鈍なる従者であった彼よりも愚かなる高貴なるものどもを、統率者どもを、その全世界の痛みを以って跪かせるのだ。

ふわぁぁぁぁ。

やばい、これはやばい。もうなんつーかやばい!!
3巻のラストの、エリザベートを死なせないために覚悟完了したカイトも格好良かったのだけれど、そういう次元を通り越してもうこれ、至った、とでも言うべきか。
無意味に生かされ無意味に殺されたなんの価値もない魂として打ち捨てられた青年が、ただ独りの少女に憧れ追い続け、その果てに彼女を追い越してついにここまで至ったか、と。
そうなんだよなあ。まだ届いていないのだけれど、ついにエリザベートと追いつ追われつが逆転したというか、ついにカイトの方から捕まえにいく、エリザベートが待っているという構図になったことこそを感慨深いと感じているのだろう、これは。
そうするために、エリザベートを救うために、エリザベートを迎えに行くために、そのためにその為だけに彼は王へと至ったのだ、と考えるならこれほど胸震わすものはないんじゃないか?

またエリザベートの方もね、ついに彼に捕まえられるのを赦した、迎えに来ることを赦して、あれを託したあのシーン。認め赦し受け入れた。あの表情を思うと、胸がいっぱいになるのです。

なんか、今回は特に胸を突かれるシーンが多かった、と今振り返ると思うのです。リュートが見つめていた、忘れてはならないと思い定めながらカイトを見つめているシーン。ジャンヌが、イザベラを思い口ずさむ幾つかのシーン。どれもが、フッと胸を突かれるような深く淡く切ない情感が込められていて、なんだか感傷的になってしまっている自分がいる。
特にジャンヌがねえ。四巻から突如あらわれた二人目の拷問姫、という立ち位置ながら、この巻におけるイザベラに対して見せるあの一途で訥々とした想いがジャンヌというイレギュラーに物凄い勢いで強烈な存在感を吹き込んでいくのです。エリザベートと対象的な白黒相反するもう一人の拷問姫、なんて分かりやすくも品のないキャラクターなんぞではなく、独自の唯一人の、エリザベートと関係なく高らかに自らを唄うジャンヌ・ド・レという生者を、威風堂々と掲げて振りかざし、ふわりと舞って見せるこの美しくも清廉な存在感。
これをして、エリザベートと並び立つに相応しいと受け入れてしまったんですよね。拷問姫が二人いて、何がおかしいものやらか。
イザベラの顛末は衝撃的ではありましたけれど、このイザベラこそがあのジャンヌという存在をここまで確立してみせたと思えば、むしろイザベラってここから躍進していくんじゃないだろうか、あれほどの有様となりはてながら、むしろここからが本番なんじゃ、と期待してしまう。ここまで見事に自分を貫ききってみせた彼女に、その先を果たさせんとする残酷にして優しい顛末は、これでもかと悪意の地獄を現出させながらも常にその中に優しい愛情を込め続ける綾里けいしという作家の作風の髄だわなあ、と深く深く感じ入るのでした。

さあ、盛り上がってきたを通り越して、極まってきましたぞクライマックス!!

シリーズ感想


異世界拷問姫 4 ★★★★   

異世界拷問姫4 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 4】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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「余が貴様を速やかに殺してやるからな」
14階級の悪魔と契約者討伐を終えたエリザベートに、『皇帝』の契約者―全人類の敵となった櫂人を討てとの命令が下される。一方、逃亡生活を続けていた櫂人とヒナの下に、予期せぬ来訪者―獣人が訪れる。「人類の敵を、賓客としてお迎えする」何者かにより同胞を虐殺された彼らは、事件解決のため櫂人に助力を求めていた。早速向かった獣人の領域で惨状を確認し―
「俺はこの犯人を知っている。―間違いなく、悪魔の仕業だ」
だが、14の悪魔は既に殺し尽くしたはずで…?
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る異世界ダークファンタジー第四弾。分かたれし二人の道が交わる時、残酷なる世界の真実が姿を現す―。
はいアウト!! アウトアウトアウトーー!! それもう服じゃないからっ! 水着ですらないからっ! 超絶十字架ファッションすぎる。これに聖別的な意味が込められてるなら、神様の趣味を疑っていまいます。神アウト!!
いやもうね、エリザベートのあのドレスも大概でしたけれど、新たなる拷問姫こと「聖女にして阿婆擦れ」たるジャンヌ・ド・レの格好と来たら作中でもかなりツッコまれてました。これ創った錬金術師たち、何考えてたんだホントにっ。エリザベートの方はあれ、彼女の趣味なんだっ、と言い切られると「あ、あ〜〜」とまあ何となく目をそらしながら頷いてしまう部分があるのですけれど、こっちのジャンヌはちょっと自分の格好意味分かってるのか怪しい気がするので、これ創った連中がわるいですね、アクですね。大丈夫か、世界護る側がそんなんで。
それにしても、ジャンヌの名前からしてまた凄まじく冒涜的というかなるほどというか、名前だけで神聖さと禁忌を体現しているかのようである。
そんな彼女の出現が、14の悪魔を殺し尽くして終わったはずの、そしてエリザベートと櫂人とヒナだけの延長戦とも言うべき顛末かと思われた物語に、新たな開幕のベルを鳴らすことになる。
そうなんですよね。ぶっちゃけこの延長戦って櫂人たちの我儘であり、エリザベートの意固地であり、絶対に許されざる者の救済であり、痴話喧嘩に収まりかねないところがあったのですけれど、これまでの戦いが全部前哨戦に過ぎなかった、というのなら話は大いに違ってくる。ってか、第二幕開始、いや真章開幕じゃないですか、これ!?
でもそれはそれとして、カイトたちに救われて、しかし置いて行かれてしまったエリザベートの落ち込みっぷりがねえ。孤高の狼であった彼女の安らぎがどこにあったのか、得られぬはずの幸福がなんであったのかが、静まり返った城に独り残ってしまったエリザベートの姿が嫌というほど物語っていたんですよね。もうらしからぬほどのへこみっぷりで。
だからこそ、騒がしく押しかけて肉食わせてくれた肉屋の存在がありがたかったのです。まだ、エリザベートがひとりじゃない。別れてしまったけれど、置いて行かれてしまったけれど、肉屋を通じてカイトたちとの時間がまだつながっているのを実感できたというか。ちゅうかなんで自分がこんなへこんでなきゃいかんのだ、何もかもがカイトが悪い、締める、甚振る、ぶっ殺すっ! ぶっ殺す前にこの憤りを晴らすためにぶん殴る、蹴っ飛ばす、踏むと激おこぷんぷん丸なエリザベート様の元気いっぱい復活がまた、良かったというか大変なことになったというか、うんうん。
そう、ほの暗い覚悟や後ろめたさ、嘆きや怨みなんかはとりあえず置いておいて、エリザベート様を怒らせたんだから殴る! というシンプルな激情が、淀みを消し飛ばしてくれたみたいで、その原動力となった肉屋は以前からの痒いところに手が届くサポートも相まって、本当にありがたい「仲間」の一人だと、そう思って疑いもしなかったのに。
まさか、そんなキーパーソンになっていたとは。
愛もある、情もある、幸せな思い出があり、絆があり、友情があり、親愛がある。彼の人と我らにはそれがあり、しかしそれらすべてを投げ打っても果たすべきものがある。
ああこれは、もっとも魅力的にして悲嘆たる敵役の在り方じゃないですか。もしかしたら、主役を食う可能性すら生まれるほどの、悪の誕生じゃないですか。
まさか、ここまで重要なキャラクターになってくるとは。
悪魔たちですら慄き冒涜的とのけぞった世界に隠されていた真実。それを元にうごめく世界壊滅の運命と、その運命に抗う者たち。そして、定められた運命に投じられた一抹のイレギュラー。拷問姫エリザベートとその従者たち。この、本当の戦いが今、はじまる、というノリはホント好き。

とりあえず、カイトとヒナのご夫婦新婚生活スタートにも、おめでとうの一言を。祝杯をあげるのと壁をぶん殴りたくなる気分を同時に味わったエリザベート様には、えらく共感させていただきました、ええそれはもうw

シリーズ感想

異世界拷問姫 3 ★★★★☆   

異世界拷問姫3 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 3】 綾里けいし/鵜飼沙樹  MF文庫J

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激闘の末、ヴラドの旧友にして『大王』フィオーレを撃破するも、代償は大きかった。ヒナの離脱、櫂人の『皇帝』との契約、そして―王都壊滅とゴド・デオスの死亡。その報を受け、王都に向かった櫂人とエリザベートが目にしたのは、残る三体の悪魔『君主』『大君主』『王』の契約者が融合し、猛威を振るう悪夢のような惨状だった。「希望など抱くだけ無駄だ。絶望のみを信じよ―そして、それを砕くために足掻け」綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る異世界ダークファンタジーの最高峰、無限惨劇の第三弾。

強敵との戦い、この世に蔓延る悪意との戦い、という観点は既に二巻で片付いている、と見ていい。ならばこの三巻で描かれるものは何だというと……兎にも角にも納得が行くか行かんか、という話なんですよね。
エリザベートの誇り高き生き方に与えられる結末に対して、納得が行くか行かないか。
残る三体の悪魔の討伐を終えれば、エリザベートの火刑は粛々と執り行われることになる。融合した悪魔三大との戦いは、そのまま彼女の処刑へのカウントダウンとなっているわけだ。
そんな自分を殺すに至る戦いを彼女は忌避せず、意気揚々と参陣する。エリザベートを憎み恨み忌避する視線を、正しいものとして真っ向から受け止めながら、そんな自分に殺意を滾らす騎士や恐怖の視線で見つめてくる市民たちを、身を挺して守り助け救っていく。
『皇帝』と契約してしまったカイトを、罵倒しながらも何くれと無く気遣い、心配し、その危うい未来を過たないように何度も何度も口うるさく釘を刺すエリザベート。口こそ悪いものの、彼女の言葉には常に優しさが宿っていて、その辛辣な口ぶりには親愛が篭っている。そこに込められている願いは、カイトとヒナの未来を案じるものばかり。二人の行く末の幸せを願うものばかり。
その誇り高く、情愛に溢れた姿のどこに、無残に処刑されて幕を引く結末を納得できる要素があるものか。
カイトが誘い出した廃墟と化した王都の中でのデートで垣間見えた彼女の年相応の可愛らしい素顔。そして、彼女によって助けられた市民たちの感謝の言葉に戸惑い、混乱する、好意を向けられ慣れていないエリザベートのあまりにも初心で拙い心の在りようは、カイトのもどかしさを募らせていく。
誰もが絶望を抱くあまりに残酷な光景を、激烈なまでに打ち砕いていく拷問姫の勇姿、いやその誇り高い在り方を目の当たりにして、正しい結末に疑問をいだき、納得行かない思いを抱くのはそばにいるカイトだけではなく、守られた騎士や民の中にも生じてくるんですね。
果たして、拷問姫の罪はどれほど善行を重ねようと濯がれず報われず、最後に火刑に処せられるその結末が、本当に正しいのか、という疑問が。
正しいのである。それは、どう足掻いても正しいのである。
でも、正しいからと言って、すべての人に納得がいくものじゃあないのだ。かと言って、彼女が許されてしまえば、かつて彼女の犯した罪によって苦しみ絶望しながら死に絶えた人々の思いはどうなるのか。彼女の犠牲者の係累や近しい者たちの怒りはどうなるのか。
納得は、結局どうやったって皆が皆、全員が同じように出来るものではない。
それでも、拷問姫エリザベートがそう選ぶのなら。本心から願うのなら。心の底から望むのであれば、カイトはそれを受け入れていただろう。自分の心を押し殺して、自分の英雄が選んだ最期を受け入れただろう。

でも、心の鎧も建前も罪の意識も何もかもを脱ぎ捨てて、そのむき出しになった幼い心が漏らした本音は、悪魔の精神攻撃によって剥き出しになってしまった本当の願いは……。
愚か者が愚かに徹するを決断するに、余りあるものだった。
今回の戦いが何のためにあったかというのなら、これまで決して見せることがなかったエリザベートの心の奥底を、剥き出しにしてしまうことその一点であったのだ、と断言できるほどに、彼女が漏らしてしまった想いはあまりにもあまりにも、せつなすぎた。
あれほどにエリザベートの事を愛し、あれほどにエリザベートに愛されて、それでなお無視できるほど、カイトも、ヒナも、彼女の心の中を知ってしまって無視できるはずがないのである。
お陰様で、誰よりもエリザベートが納得行かねえ、となる結末になってしまったわけだけれど、当の怒り心頭怒髪天なエリザベートにぶっ殺されることなく、どうやってこれケリをつけるのか、色んな意味でこの後の展開は見ものである。ほんとにどうするんだ、これ。
今回、マジで完結するものとばかり思って読み出していたので、想像以上に怒涛の展開でした。場合にとってはこの巻ではもう登場しないかな、と思っていたヒナが復活参戦したことで、余計に完結か、という雰囲気になってましたしねえ……いや、そうでもないか。決戦に挑んだ時点で既にカイトがもう不穏な雰囲気出しまくってたし、ここで終わらなさそうな流れになってたからなあ。

今回はエリザベート自身が覚悟完了してしまっていたせいか、普段よりも隙だらけで根っこの優しいところ、照れ屋なところ、可愛らしいところ、女の子らしいところをポロポロとこぼしまくっていて、やだなにこのヒロイン、と思ってしまうくらいにカイトに対しても油断しっぱなしだったんですよね。前までのエリザベートなら、デートなんて絶対に受け入れんかったでしょうに。カイトに対してもあれだけ優しい言葉ばかり掛けてしまって、最期だからと油断し過ぎである。お陰で、バカがバカな覚悟決めちゃったじゃないですか。エリザベートの自業自得である。ヒロインとして隙見せすぎた結果である。
カイトにはヒナが居ればいい、とも思ってたんでしょうけれど、残念ながらヒナはヒナであれだけカイト至上主義にも関わらず、同じくらいエリザベートの事も大好きという狂信的自動人形のくせに浮気者ですからなあ、愛との決断を喜びこそスレ邪魔などするはずもなく。
エリザベート、見通し甘すぎなのである。
今回もヒナのテンションマックス状態が見れて、花嫁満足度も充填出来ましたし、ここから何とかハッピーエンドまで持ってけないでしょうかねえ。

シリーズ感想





異世界迷宮の最深部を目指そう 8 ★★★★☆  

異世界迷宮の最深部を目指そう 8 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 8】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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―それは千年前の契約。使徒の力を受け継ぐという使命。『英雄』と『化け物』たちの戦いを続ける遊び。『境界戦争』の中で誰もが『運命』や『生まれ』に振り回され、契約を果たすパリンクロンの計画をもはや誰も止められない。戦場でついにパリンクロンを捉えたカナミは、千年前の再来を止めるべく仇敵に戦いを挑んでいく。『世界奉還陣』の発動する戦場が紫水晶の魔力に満たされ、再び始まる第二十の試練―。
「―『ああ、我こそが死罪人』『闇の理を盗むもの』―」
心に宿る運命に『誓約』を果たしたその時―少年は『最深部』を暴く者となる。
激動! 激動! まさに急転直下の激動の展開。いやいやいや、ここまで引っ張ってきた様々な謎や秘密が閉店セール大盤振る舞いの如く、一気に開陳されていくその怒涛の勢いたるや、正直泡を吹く勢いでありました。
パリンクロン、そこまで核心に近いところにいたのか。あまりに核心すぎて、当事者であるカナミがついていけないほどの急展開なんですよね。本来ならこれもう少しじっくり一つ一つ明らかにしていくような真実の数々であろうに、駆け抜けるようにぶちまけられてしまいましたからね。それだけ、パリンクロンの土俵の上だった、とも言えるのでしょうけれど。カナミから、そのじっくりの余地を徹底して奪って自身のところで集約していたわけですから。
もし、ワイスさんが居なかったら、まず詰んでたんじゃないだろうか。あれほど苦労した結果集った凄まじい戦力である仲間たちも、見事なくらいにほぼ無力化されてしまいましたし。みんな、おおよそ「千年前」というキーワードに深く関わる人達だっただけに、そこに絡める形で根こそぎやられたもんなあ。スノウも、トラウマ込みで仕込まれていたわけだし。
この「千年前」という鍵に関しては当事者のカナミですら該当するわけで、あれほど強くなったはずのカナミが、メンタルの方も苦難と試練を山と乗り越えて随分鍛えられたはずなのに、パリンクロンの手口を嫌というほどわかっていながら、わかっていてなお、クシャっとやられてしまったわけですから。
だからこそ、「千年前」というキーワードと全く関係ない位置に居たマリアが、もう戦力的にも精神的支えとしても獅子奮迅の活躍だったんですよね。これもうマリアに頭あがんないでしょう。
そして、再誕してなおカナミに力を貸し続けてくれたワイスさん。彼女の意識がどうなっていたか、というのを探るのはもう無粋というものでしょう。彼と彼女の意志は、確かに弟であるライナーへと受け継がれたのですから。
もうライナーがカナミにとってあらゆる意味で癒やしと救済になりそうでなんともはや。ライナー、兄の遺志を継いでカナミを守ることを思いっきり決意しちゃっているけれど、その場合敵からだけでなく、パーティーメンバーからも守ってあげないといけないことになりそうで、今からご愁傷様である。絶対カナミ、ライナーに逃げそうだもんなあ。
と、そう悠長なことを言っていられない大どんでん返しが、最後にも待っていたのだけれど。
パインクロン戦は、この詐術士の真意と本心と苦しい胸の内を理解した上で相容れぬ敵として、許せない相手として、ローウェン戦のあの奇跡的な噛み合い方とはまったく別の、逆方向のベクトルで噛み合った、お互いに絶対に負けられない、負けたくない、激情をぶつけ合う激闘でした。わかっていてなお騙される、意識をそらされる、死角を作られるというもう二度と会いたくないような敵だったなあ。わりとカナミめためたにやられてしまいましたけれど、それでもなおこれまでの試練でメンタル鍛えてなかったらそのメタメタにされるまでの僅かな抵抗すら叶わなかった、どころか敵対すら許してもらえなかっただろうことを思えば、十分カナミ強くなってたのよねえ。マリアやワイスたちの助力が合ったとはいえ、よくまあ倒せた、と思うばかりです。

そして、明かされてしまった千年前の真実、迷宮最深部の真実、カナミという男の真実。この巻だけでもかなり大胆なミスリードが用意されていたり、あれの出現には度肝を抜かれたり。
表紙絵のカナミが抱きかかえている娘、誰だろうと思ったらそういうことだったのか。そう言えば、面影もある。
しかし、事態はそう簡単には落ち着かず、まだまだ千年前に端を発する因縁は幾つも残ってるんだなあ。各階層の守護者たち、ともかく彼らとの決着が必要で、そうでないとほんとうの意味の最深部には到達しないのか。
まだまだ、これは続くよ!!

シリーズ感想

異世界拷問姫 2 ★★★★☆   

異世界拷問姫2 (MF文庫J)

【異世界拷問姫 2】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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「ヒナ―――俺のために死んでくれるか?」
破滅に向かう反英雄譚、第二弾!

最上位の悪魔『皇帝』とその契約者ヴラドを討ち果たすも残る敵は多い。今後の戦いに備え、櫂人は魔術を習い始める。その後『総裁』をも倒すが――それは罠だった。ヴラドの旧友にして『大王』フィオーレが同胞悪魔の心臓を生贄にし、エリザベートの悪魔の力は封じられてしまう。
「遊びは終わり、お姫様―――さぁ、大人の時間を始めましょう」
拷問姫が倒れし好機に悪魔たちの攻勢が始まり――?
「さぁ、お相手しよう、『悪魔』達! 我が名はヒナ! 愛しき櫂人様の永遠の恋人であり、伴侶であり、兵士であり、武器であり、愛玩具であり、性具であり――――花嫁だ!」
綾里けいし×鵜飼沙樹で贈る異世界ダークファンタジーの最高峰、白姫血染の第二弾。

もう表紙からして花嫁無双。無垢なる純白を血と臓物の赤に染めて乱舞する花嫁人形。ほんと、この物語で描かれる絵面と来たら、なんて悪趣味で……美しい。
作者の綾里けいしという人は、本当に何というか「愚者」の愚かの描き方に毎度胸をかきむしらされる。愚か愚か愚かとしかこぼせないのに、その愚かな有り様が、愚直な在り方が愛おしくて仕方ない。慈しまざるを得ない。自ら選んで、地獄を征くものたち。もっとささやかで幸せな人生を得られただろうに、それに背を向けて悪夢と寄り添うものたち。それが破滅へと行き着く道だと理解しながら、蕭々と進んでいくモノたち。
そんな子たちだからこそ、破滅へと至るまでの僅かな平穏、笑い合う時間が涙が出そうなほど愛おしいのだ。
カイトもまた、ただ拷問姫の末路を見届けるだけでは気がすまず、同じ煉獄へと身を落とすことを選んでしまった。その最期の道連れとなることを選んでしまった。その破滅の選択は、だけれどあまりにも純真な思いから発露していて、同じく人形として無垢なる想いを結晶のように昇華させていくヒナと並んで、穢れない眩しさに塗れているのだ。
あれほどの地獄を体験して、呪われし人生を歩んで、絶望と苦痛の粋を魂に刻まれながら、この少年はどうして邪悪に堕ちずにいられたのだろう。それもまた、拷問姫に魂を救われたからなのか。
大罪人として贖罪たる悪魔たちの討伐を終えれば、火刑に処せられることが決まっている拷問姫。彼女は正しく邪悪と世界に認知されている。その罪の是非はこの物語では問われていないんですよね。どんな理由があろうと、彼女が犯した虐殺は事実であり、そこから生まれた罪と怨嗟は決して否定も覆されるものでもない。彼女に向けられる憎悪も憤怒も正しいものであり、その贖罪たる悪魔の討伐もまた、彼女に何一つ報いをもたらさない。
彼女は悪しき、それは間違いないんですよね。それは前提として、でもそれを個々人の心の中まで強制される謂れはないのである。彼女に殺されたものたちにとって、その縁者たちにとって、世間にとって拷問姫エリザベートが邪悪で呪わしくおぞましい殺人狂であっても、カイトとヒナにとってはエリザベートはまた違う存在なのである。事実は事実として受け止めながら、その上で彼らがエリザベートをどんな風に想うか、その心の中は犯すべからざる領域なのだ。
想うことは、何者にも束縛も強制も受けざる、自由であるべきなのだ。
それこそが、魂の自由なのである。
その大悟へと至ったカイトの飛躍は、見ていて震えるものがありました。ブラドの残影と、そして皇帝と五分に渡り合えるようになったのも、彼の中にその指針が根を張り芯を得たからではないでしょうか。その瞬間、彼はブラドの意図とはまた全く違う方向に向かって、ブラドの後継としての在り様を手に入れたのである。
そうすることによって、ヒナとカイトの花嫁と花婿という関係の中にあったモヤモヤとした霧も晴れ、エリザベートという主と連れ添うカイトとヒナ、この三人の不動の関係も完成したようにすら思うのです。
自分、こういう破滅という結末を受け入れた上でその最期の瞬間まで堂々と共に歩むことを選んだ関係って、たまらなく好きなんですよねえ。
そして、あの、将校姿のカイトのシーン、震えるほどかっこよかった。
人形であるヒナとの関係、一巻ではいきなり起動からあんな感じだったんで、ヒナの想いに嘘くさいと言わないまでも人工の与えられたモノとしての気配を感じてしまっていたんだけれど、それも今回うまく解消されてましたしねえ。人工的に植え付けられたものではない、ヒナという存在の生の想い。それを実感させられたからこそ、あの花嫁無双のシーンも映えるわけで。
そんで、力を使い果たしたヒナに、エリザベートとカイトがもうなりふり構わず駆け寄ってくシーンがたまらなく好きなんですよね、あれ。カイト命のヤンデレ入ってるようなヒナだけれど、実は同じくらいエリザベートのことも大好きで、エリザベートの方もあんな風に慌てふためくくらいにヒナのことが大好きで、と悪魔討伐の地獄行の途中という余計な事情やら何やらを全部取っ払ったこの三人の関係を、あのシーンは全部表していたように思えたので。
俄然、盛り上がってきたなあ。
シリーズとしては次が最終巻っぽいけれど、この三人には救いは無くても、せめて幸いなる破滅が訪れんことを願うばかりである。

1巻感想

魔獣調教師ツカイ・J・マクラウドの事件録 獣の王はかく語りき ★★★☆  

魔獣調教師ツカイ・J・マクラウドの事件録 獣の王はかく語りき (Novel 0)

【魔獣調教師ツカイ・J・マクラウドの事件録 獣の王はかく語りき】 綾里けいし/鵜飼沙樹 Novel0

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「魔獣には人を狂わせる力がある」
“魔獣"――その身体に“人"に酷似した部分を持つ獣が存在する世界。
人々が鑑賞・性愛の目的で雌型の魔獣を嗜好、盲愛して狂気に堕ち、世間には様々な事件が充ち満ちていた。

帝都最高の魔獣調教師『絢爛なる万華鏡』ゴヴァン卿の不可解な死とともに彼の全てを継承した青年――ツカイ。
とある【魔獣愛好倶楽部】でツカイの友人となった上代ウヅキは、帝都最高峰の魔獣調教師【獣の王】として
名声を高めていく彼に纏わる魔獣絡みの事件に遭遇していき……やがてその地位に関する陰惨な真実に触れることとなる。

「運命の敵も、親愛なる友も、私にとっては同じことだ」

人間の業と罪過が妖華絢爛に綴られる、至高の王の残酷なる事件録。
なんという邪悪。いや、邪な悪というにはこの男の悪性は低俗足り得ない。まさしく、王の悪というべき純粋悪なのか。
獣の王と呼ばれる魔獣調教師ツカイ・J・マクラウド。平然と人を殺し、人を陥れ、人を地獄へと突き落としていく彼の所業には、一欠片の正義もなくただただ悪を成しているのだけれど、彼によって魔獣の贄となっていく人たちもまた、醜い獣欲の虜であり人足り得ない奴隷と化したケモノたちでもあるんですよね。その意味では、獣の王が罪深いケモノたちに下す断罪とも思えるのだけれど……いや、罪を裁くなんて高尚さや正当性はそこにはなく、ただただケモノたちの歩むべき当然の末路を演出しているだけ、なのかもしれない。
その当のツカイですら、汚泥のようなケモノたちの有り様を高みから見下ろして嘲笑っているようで、彼の真実が明らかになるに連れて、彼自身がもっともその汚泥の奥底で息絶えているからこそ獣の王として君臨しているのだと、語られることになる。
悪たる獣の王は、だからこそ自らの悪逆の鏡写しであるケモノたちの所業から目を背けず、深淵を覗き込み続けているのだ。その醜さをあざ笑うことで、自らの絶望に耽溺している。魔獣たちの奴隷ではなく王として君臨するツカイだけれど、彼もまたある魔獣の奴隷として運命に縛られているのかもしれない。他者を嗤うことで、自らをも嗤っているのだ、彼は。
だからこそ、彼が求めているのは自分を討ち果たす運命の敵なのだ。これほどに、彼が「運命の敵も、親愛なる友も、私にとっては同じことだ」と真摯に語るその真意には、哀れみすら覚えてしまう。そして、その言葉を真っ向から受け止め、その言葉を心から送れる相手が出来たことに、祝福の念を抱いてしまうのだ。
正直、頭のおかしさという意味ではツカイよりも、好奇心という魔性に魂の髄までオカし尽くされ、おっかなびっくりながら毎度危険の中に自ら飛び込んでいく上代ウヅキの方が、色んな意味でイカレ狂っている気もするのだけれど、そんな彼だからこそ最も自由であり誰の奴隷でもなく、人間足りえる男なのだろう。彼は彼で好奇心の奴隷、になっている気もするのだけれど。
それでも、ウヅキはツカイに友情を感じるがこそ、彼の敵として立つことを決意する。なんとも不思議で得心の行く、敵意と友情に満ちた二人の関係がこの気色の悪い世界観の中で安らぎのようなものを与えてくれる。
グロテスクでえげつない悪に満ちた、しかし異形の中に人らしい感情が芯のように備わった酩酊感を与えてくれる物語でありました。

綾里けいし作品感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 7 ★★★★   

異世界迷宮の最深部を目指そう 7 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 7】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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武闘大会が終わり、遂にラスティアラたちと本当の再会を果たしたカナミ。下手な火薬庫より危ない彼女たちと共に、カナミのパーティーはリヴィングレジェンド号に乗って海原を行く。向かうは『本土』―全ては、パリンクロンとの決着をつけるため。パリンクロンを倒す実力をつけるために潜った迷宮で、カナミは“天上の七騎士”ハインの面影を残す少女と遭遇し…!?「初めまして―私の名前はワイス・ハイリプローペ」彼女はいったい何者なのか。『迷宮』とはいったい何なのか?カナミは真実を求め、迷宮に再突入する―。
あ、あれぇ? 確か、前回で色々と切羽詰まっていた懸案を解決して、行き詰まって絡まりすぎていた人間関係も上手いこと精算して、柵や呪いに囚われていたヒロインたちも開放して、カナミ自身もジークとしての自分とカナミとしての自分を合わせることで足りなかった部分が補われて、万事が万事上手く行って船出したはずだったのに。
上手く行ったその先であるリヴィングレジェンド号船上が、明らかに今までで一番危険地帯なんですが。一つ選択肢を間違えるだけで即死してしまうダンジョンよりも恐ろしいデッドゾーンなんですがw
普段の日常生活内で、何故かスキル「感応」による護身の極みが発動しまくってるんですが。スキル「???」がちょっと慰めてくれてるみたいな感じに肩叩いてきてくれてるんですがww
常在戦場って、こういう意味でしたっけ? と思うくらいに、神経をすり減らして女性陣の間をおっかなびっくりつま先立ちでツナ渡るカナミくん。なにしろ、一つ発する言葉を間違えただけで船は爆発炎上、人生終了のお知らせ、という事態が精密な未来予測である感応や次元魔法のスキルによってもたらされるのだ。
そこは紛れも無く、最恐最悪の死地である。どうしてこうなった。笑える!

いやもうなんというか、ご愁傷様としか言いようが無い。自業自得と言うには、カナミ悪いところないもんなあ。別に女の子みんなにいい顔した結果、というわけじゃないし。親しくなった、そして人生を破綻させようとしている娘たちを、自分を救うのと同様にして助けて回った結果がこれだもんなあ。
とりあえず、スノウあたりは捨てて来ても良い気がするけど。この女、本気でただの怠けモノなだけじゃないか。まさに怠惰。マジモンの怠惰だ、これ。スノウさん頑張らない、が身に刷り込まれちゃってるよ。本来、彼女の怠惰は無力感から来ていたはずなのに、家の柵から逃れて自由になったあとも何も変わってないどころか、むしろ悪化しているように見えるこれは、いったいどうしたらいいものか。燃やそう、マリアに頼んで燃やそう。もしくは、ディアに頼んで焦がそうぜ。
これで、ほんの数巻前はわりといい感じにヒロインしてたのになあ。ダメな感じが放っておけない系のヒロインとして結構いい具合に絡めてたんだけれどなあ。今はむしろこのダメな粗大ごみ放っておこうぜ、という感じになってしまっている。いや、放っておくのも腹立つので、なんとか働かせてやらないと、という気になってる。なんというニートw
逆に甘酸っぱい度を増々しているのがラスティアラで。前巻までは頼もしい脱出のためのパートナー、という感じだったのだけれど、落ち着くと途端に可愛らしくなっちゃって。戦闘経験や駆け引きの経験の豊富さとは裏腹の恋愛というものの初心さのおかげか、距離感の無防備さと恋に気づいた瞬間の湯立ちっぷりがめちゃくちゃかわいくてねえ。いや、カナミの本命がラスティアラだ、というのもわからなくはないよ。
しかし、彼女も彼女でトラブルメーカーなのは確かで、一行の中で一番良識的で空気読めて気遣いが出来て細やかなサポートもしてくれる優しい癒し系が……リーパーだというのは、なんという幼女頼りなんだ、この一行……。いや実際、リーパーちゃんマジ心配りが神対応なんですけれど。
でも、個人的にはマリアが意外と精神的に安定しているので、何がきっかけで船が爆発炎上するかわからない、ということはなさそうなので、それほどピリピリはしてないんですよね。以前の不安定な頃の彼女は地雷の感度が高すぎて、ハラハラドキドキだったもんなあ。その頃からすると、マリアすごい落ち着きましたよ。その代わり、物理的火力も限界まであがってますけどね。そうか、実質アルティの力を継いでいるから、守護者クラスの力を得ちゃってるんですねえ。ディアとのコンビで後衛無双してラスティアラとカナミをでくのぼうにしてしまった展開には笑いましたけれど。ってか、二人ともわりとメンタル緩いよww

まああれこれドタバタはありながらも、久々にダンジョン攻略なんぞも絡めながら、まあ穏やかな日々、なんだろうなあ。とりあえず切羽詰まってヤバイ状況ではないわけですし。今までは、何かしら追い詰められていたのを思うと、カナミが普段の生活の中で決死の綱渡りしているというのもまあ船が実際爆発炎上するまでは笑い話です。
唯一不穏だとすれば、ディアのあのやたらと眠そうな様子だけか。今のところ、誰もあんまり気にしている風ではないのだけれど。
そして、新たなキャラクター、騎士ハインの面影をもったワイスの登場。外見も中身もハインとは違う、という話だけれど、むしろハインよりも落ち着いていて安定感がある感じのワイスだけれど、本土編のキーキャラクターになっていくのか、彼女が。本土編の助走編、仕切り直しの章としてはちょっとずつ色んな謎を明らかにしていく段階に足を踏み入れつつ、今の関係やpartyの能力を再確認する、という意味でもなかなか今までなかった日常編としても、大変面白かったです。またここから、激動となってくるのでしょうけれど、その前の一休みとしては十分だったのではないかと。

シリーズ感想
 
12月3日

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