鵜飼沙樹

グラウスタンディア皇国物語 4 3   

グラウスタンディア皇国物語4 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 4】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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物語の舞台は皇国の外へ! 少数精鋭で月の港を攻略せよ!!

大国リジアによる30万の猛攻を辛くも退けた皇国。
それで一息つく間もなく、軍師クロムはたった千の兵で難攻不落と名高いゾラ港攻略に挑むことに。
その前準備として、クロムたちは西の大国ラトルグへと赴き、前代未聞の大博打に打って出る!!
一方、北方騎馬民族との内乱平定に動くコウソンもまた、自らの命を賭して単身、敵陣へと乗り込むが――。
ああ、これは問題が根深いなあ。てっきり神の暗躍は、国々の戦乱を煽る形でこっそりと行われていると思っていたのだけれど、今回明らかになった事実からすると、大陸における国々や民族の紛争そのものが神々の代理戦争という理由で行われている事になる。表向きは国益や安全保障を求めて起こっていると思われた戦乱だけれど、根本に神々の争いというものがあるのなら、多国間における交渉によって平和裏に戦乱が集結する、という可能性は皆無になってしまう。いずれにせよ、何らかの形でどこかの国、或いは民族が他国を支配下に置き、他国他民族の崇める神を自分たちの奉じる神の下に敷く、つまり唯一神が誕生しなければ戦乱はどうやったって終わらない、という構図になっているのだ、この大陸は。
なるほど、クロムが着々と喧嘩を売る準備を整えているのは、こうした神々の作り上げた代理戦争システムそのものか。果たして、この世界の仕組みについてちゃんと理解した上で動いている人物については、クロム以外にもう一人、ラトログ国のコウソンがその辺承知した上でラトログ国を勝ち残らせようと動いているみたいだけれど、果たしてそれがクロムと同じように神と敵対する道なのか、神に沿う形なのかはまだちょっとわからないんですよね。クロムが具体的にどうしようと目論んでいるのかがわからないと、果たしてコウソンが同志足りえるのか、それとも絶対に戦い勝負をつけざるをえない相手なのか見えてこないので、何ともいえないのですけれど。ただ少なくとも、クロムにはリュリュという鍵があり、コウソンの方にはリュリュに該当する切り札が見当たらない、という点は見逃せないかも。
二人の、自身が忠誠を捧げる姫に対するスタンスも結構違うんですよね。主従の関係でこそあっても、目的を同じくする同志として姫に対して遠慮もなく、時に厳しく時に親身に接するクロム対して、コウソンは彼自身が語っているようにレイリン姫に崇拝に近い忠誠を誓いつつ、一線を引いている。レイリン姫はコウソンをもっと身近な親身になって欲しい存在として欲しているのであるから、既にすれ違いが生じているとも言えるんですよね。
ただ、ラトログ国における女王の扱いというのは、聞いている分にはかなりとんでもない代物であるんで、コウソンがレイリン姫をどう扱うかが、彼が神威に従い国の要としての姫に忠誠を誓っているのか、それとも一人の少女としての姫を大切にしているかが明らかになるのでしょう。今のコウソンは潔癖すぎて、或いは背負わされたものがおもすぎて、果たして私情を優先できるのかちょっと危ういところがあるので、今から悲劇の種は撒かれているような気もするのであります。
その点、クロムは緩くて欲張りで欲するものに正直な部分がよく見えるので、逆に安心感があるんだ、特に姫様については。まあ安心感はあっても、ユースティナ姫はなんだか振り回されてえらい目にあいそうな気もするのだけれど。
むしろ、一番正しく姫とその騎士の関係を築いているのは、今回のガジェルとリリア皇女なんですよね。どう考えても幼女と野獣なのですが、あのクロムにも手綱を握りきれてない凶人ガジェルが、まだ一〇にも満たない幼さで既に苦労苦難を自分から背負い込みそうな生真面目な幼女姫の言うことだけはキッチリ聞くとか、何とも微笑ましいじゃないですか。ガジェルに肩車をして貰って心からの笑顔を浮かべるリリア姫の姿は、和ましい癒される光景でした。

一巻 二巻 三巻感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 2   

異世界迷宮の最深部を目指そう 2 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 2】 割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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戦いを終えたカナミは『十守護者(テンガーディアン)』のアルティと再会する。
彼女の「恋を成就させたい」という依頼を受けつつ、迷宮攻略を再開するカナミ。
カナミは新たな仲間として火炎魔法を操るマリアと、類いまれなる実力を持つラスティアラを加え、ついに前人未到の領域に辿り着く。
しかし、順調に迷宮探索を続けるカナミの前に、『天上の七騎士(セレスティアル・ナイツ)』が立ちはだかる。
逃亡してきたラスティアラを取り返さんとする彼らに、カナミは決闘を申し込まれてしまうのだった。
「――お嬢様を、返してもらう」
運命の車輪はここから加速する――異世界迷宮ファンタジー、第二弾!

余裕が生まれると言うことは、必死に切羽詰まってがむしゃらにやってきた分、これまでは顧みる事の出来なかった部分にまで眼が、意識が行き届いてしまうという事でもあります。
生き残るために、元の世界に戻るために、迷宮の最深部に潜る為に、打算的に冷徹に他人を信用も信頼もせず、自分以外の存在はすべて利用するつもりで立ちまわってきたカナミですが、ディアと出会い、また自分の能力を研鑽して、この異世界で当面生きていく余裕、迷宮に潜る上での展望が開けたことで、なりふり構わずという必死さにしがみつくだけの余裕の無さも、当面解消されていったわけです。
そうなると、本来の彼の善良さ、または小市民性というものが頭をもたげてくる。本来の彼は、決して打算的でもないし、臆病で警戒心が強くても優しいたぐいの人間なのです。そういう人間が、意識的に利己的に、打算的に、他人を信用しようせず必要あらば切り捨てる事も厭わないような考え方をし続ける事は、自分自身に無理を強いるという事でもある。冷酷であろうとすることは、彼にとっては精神をすり減らすやりようなのだ。
もし、この異世界で出会った人間の大半が、悪意を以って彼に迫ってくるような人間ばかりならば、カナミも己を守る殻として針を生やしつづけたかもしれないけれど、幸か不幸か彼が巡りあった人たちは決して心根の腐った人ばかりではなく、むしろ善良と言っていい人たちの方が多かったであろう。そんな人たちに対して冷徹に常に利用するつもりで接し続けるというのは、小市民にとって心が疲弊してしまうものなのだ。
そのせいだろうか。この巻におけるカナミは、迷宮最深部に潜るためにすべてを利用するのだという冷徹さを維持できない。他者に対して情が湧き、情によって縛られ、しかしそんな自身に密かに安らぎを覚えてしまっている。他者を身内として自身の中に抱え込む事に、満たされたものを感じ始めている。
そんなカナミの姿は、自分の本来の姿とそぐわない在りように無理を重ねて痛々しさすら感じ、危うさを垣間見せていた以前からすると、むしろ安堵を伴う変化とも言えるのだけれど……。
残念ながら、恋を探求し続けるアルティも、奴隷であったマリアも、押しかけパーティーのラスティアラも、セラピー効果のある置物でも、心を慰めてくれる従順なペットでもないのである。他者を身内として抱え込むということは、決して甘い話ではない。彼女たちには各々に事情があり、思惑があり、理念がある。それは常にカナミの行く先と重なるわけではない。もっとも、それは人間関係における常道というものだから、難しく考えるものではないのかもしれない。でも、彼女たちが抱え込む情念はともすれば彼女たち自身ですらコントロール出来ない「火」を灯し続けている。それは、いつしか手の付けられない炎となって燃え上がる可能性を秘めた熾火であるのだ。
ディアが熟成しつつある妄執も、マリアの内に秘めた焦燥も、ラスティアラの自身も知らない人造の運命も、すべてが導火線に火のついた爆弾だ。知らず、カナミは火薬庫の中で松明を掲げ持つ少女たちとダンスを踊っている。
何もかもがわけもわからないまま、タイムリミットだけが提示された。残るは2日。聖誕祭、それこそがすべての始まりとなるのか、終わりそのものとなるのか。
カナミの中途半端な生き様への、決断が問われる。それでもなお、すべてを投げ打って守るのか……それとも、自身を壊しても切り捨てるのか。善意が、優しさが、好意が、むしろ針となって突き刺さり追い立ててくる。実に、心地良いダークファンタジーである。

1巻感想

グラウスタンディア皇国物語 3 3   

グラウスタンディア皇国物語3 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 3】 内堀優一/野崎つばた HJ文庫

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大国随一の知将VS皇国最強の軍師、激突!!

陸路と海路の両面から、30万という未曾有の軍勢で皇都陥落を狙う大国リジア。
その目論見を早々に看破した皇国の軍師クロムは、あらゆる策を講じて相手の兵力を着実に削っていく。
一方、皇女ユースティナは皇族が背負いし精霊神シオンを契機に世界の秘密の一端に触れてしまい!?
大国随一の智将と皇国最強の軍師が刃を交える皇都防衛戦、最高潮!!

ヒィーッ、これはたまらん。どれだけ相手の能力を信頼していても、その相手が敵であり、その敵が此方の策を見抜いてくれる事を前提に作戦を立てるとか、怖くて出来んよ。博打的要素を限りなく排し、状況を整える事で相手の意思決定まで必然に近い形で誘引誘導して望んだ形を作り出すという軍師冥利につきる名采配。さらに、相手に意図を読み取られることすら作戦に組み込み、敵将の能力を分析しきった上で肝心要の一手を起死回生の局面に持ってくる。突飛な奇作ではなく、意外と堅実でもあり、同時に非情で容赦のない作戦は説得力を伴っていて、リジア軍の主力を担う貴族たちは決して無能でも短慮でもないにも関わらず、クロムの作戦に絡め取られていく姿にも不自然さはなく、これはもうクロム凄い、としか言えないんですよね。
尤も、クロム一人が孤軍奮闘しているわけではなく、絶体絶命な状況に追い込まれながら精神論に逃げずに最後まで諦める事をしなかったグラウスタンディアの官僚たちといい、名将の名に相応しい攻防のそれぞれに長けたシドとシェルシュ、精強なるラング騎兵隊、若き次世代の逸材として見事に成長しつつ在るフィフニスなど、救国七聖と呼ばれる英雄たち以外にも人材がキッチリ揃えられていたからこそ、クロムが十全に采配を振る整っていたのでしょう。いかな名軍師とはいえ、味方の足並みが不揃いだったり、内部に問題があったりしたら、その能力を活かしきる事など出来ませんからね。
その意味では、むしろ全く無手の状況から着々と足場を築いていっているラトルグ国のコウソンの方が強敵っぽいなあ。今回、読み合いに完全敗北し、手酷い惨敗を負ってしまったナターシア女史も、むしろ叩かれて伸びるタイプっぽいですし。
とまあ、表向きの国同士の鬩ぎ合いの裏では、ファンタジーらしい神と呼ばれる高位存在の干渉が垣間見え、国盗り合戦の一方で、人と神との地上における主権を争う戦いらしきものの存在が提示されたことで、敵味方の構図がガラっとひっくり返る要素も見えてきてるんですよね。
さて、どの段階で物語がひっくり返るのか、楽しみ楽しみ。
絵師さんが今回から交代してますけれど、自分はむしろこっちの野崎さんの方が好きだなあ。


1巻 2巻感想

異世界迷宮の最深部を目指そう 1 3   

異世界迷宮の最深部を目指そう 1 (オーバーラップ文庫)

【異世界迷宮の最深部を目指そう 1】  割内タリサ/鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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最高の素質(ステータス)を持つ少年が攻略するのは、異世界迷宮の最深部――!

「絶対におまえを助ける。そのためなら、僕は――!!」
見覚えのない回廊で目覚めた相川渦波(アイカワ・カナミ)は、魔物から受けた傷をラスティアラという美少女に治療してもらい、ここが非常にゲーム的な異世界であることを知る。カナミは優遇されたステータスやスキルを武器に、美少女剣士のディアと『どんな望みでも叶う』と噂される迷宮の最深部に向けて突き進んでいく――。
これは少年が迷宮の最深部(しんじつ)を暴き、願いを叶える物語。
怒涛の展開で話題を呼んだ大人気WEB小説、ついに登場!!
なるほど、面白いのは「レベルを上げて物理で殴れ」的な、攻撃力や技術力の高さなどからなる能力・スキル優遇によって、優位に立つのではなくて、ゲーム的な「ステータス表示」「持ち物表示」「詳細閲覧」などの情報入手に、スキル「ディメンション」による索敵能力といった、情報系の能力によってダンジョン攻略の優位性を確保しているところにある。ダンジョン攻略のみならず、カナミだけが扱える「表示の閲覧」は他人が隠している、どころか当人が把握すらしていない情報まで簡単に手に入ることから、戦闘やダンジョン攻略のみならず、様々な場面で優位性を確保出来るんですね。これは、身一つで異世界の放り込まれ、右も左もわからない状態だったカナミにとっては、情報が簡単に手に入る、というのはとてつもなく大きな拠り所になったであろう事は容易に想像できる。
もっとも、情報なんてものは受け取りて次第であって、それを武器にできるか、応用して自分の利益に出来るように活用できるか、という意味ではまったく話が変わってくるのだが、そこで大きな意味を持ってくるのがカナミに最初から備わっていたスキル「????」である。
理性を保てないほどのパニックや激情に駆られた時に発動し、強制的に冷静な判断力を付与されるスキル。というと、とても有用なスキルに思えるし、実際無理矢理にでも冷静に合理的に理性的になることで、ようやくいきなり現実から異世界に放り込まれるという理不尽や、過酷で非常な異世界の現実に対して生き残る事ができ、きちんと計画を立てて生計を起てるだけの居場所を確保出来たわけだから、彼が死ななかったのはこのスキルがあったから、というのは間違いないだろう。
けれど、そのスキルが発動するに際して「混乱」という数値が淡々と加算されていくのは、傍から見ても徐々に体温が下がっていくような薄ら寒さを感じさせる。都合がいいだけのスキルとは、到底思えないのだ。この数値が一定を超えれば、一体何が起こるのか。時限爆弾のリミットが刻々と増えていくような恐ろしさを感じるスキルなのである。興味深いことに、このスキルによって冷静さ、理性を得ることでカナミ自身も、このスキルを危険視するに至るのだから、なんとも皮肉な話である。もし、この強制的な冷静さがなければ、切羽詰まった状況の中で役立つスキルがあれば、リスクから目を背けてむしゃぶりついてしまうものだろうに。

この「????」は、一時的に感情を吸い上げるものであって、決してカナミの情緒や感情の起伏を恒常的に失わせるものではないようなのは、幸いであるのか不幸であるのか。
カナミは、少なくともパニックに襲われるまでは、その小市民的なメンタリティでこの過酷な迷宮探索を続けていかなくてはならないのだ。そして、可能な限り「????」のスキルを発動して混乱数値を上昇させないようにするために、その弱々しいメンタリティを無理やりにでも揺るがないように立たせ続けなくてはならない。
その為に、彼は必死に利己的に、対外的には敵を作らないように人当たり良く、しかし他人は利用するものとして、良心や好意といったものに蓋をして生きていこうとする。
そうしなければ生き残れない、生きて迷宮の最深部まで潜れないから、と。絶対に、元の世界に変えるのだという決意を胸に。
でも、どれほどステータスが優遇されていようと、結局カナミは本来弱い小市民的な人間なのである。弱さとは、優しさでもあるのだ。弱さ故に、非情で利己的に、計算ずくで他者を利用して生きることを肯定する。これは正しい事なのだと、思い定める。と、同時に、正しさを確信しながらも、そう在る事への罪悪感、忌避感を拭い切れないんですよね。だからこそ、彼のように強い弱者は、常に悩み苦しみながら彷徨い、此処ぞという時には自分が定めた正しさに徹しきれずに、背を向けてしまう。その背を向けた先にも、また自己保身の一欠片がまじいってしまう。
こういう清濁併せて飲んだり飲めずに咽たりしている弱くて優しい主人公は、すごく好みなんですよね。
彼も、そして彼と出会ってしまうヒロインたちも、誰もが世界の真実と共に、自分の中の真実を探り探り歩いている。一緒に戦い、一緒に歩き、一緒に深淵を覗きこむことで、化学反応を起こすように彼や彼女の心の中が開けていく。もっとも、開いた先が解放であるのか、新たなる呪縛であるのか定かでないあたり、すごく意地が悪い話でもあるんですよね。カナミと出会い、彼とパーティーを組み、見たことのない境地と日常をかいま見て、新たな指針と自分で規定していたものを滅ぼしてしまったディアという少女然り。そして、恋をしたいという彼女然り。
むやみに陰険ではなく、しかし仄暗い闇の温もりを感じさせるダークさが非常にそそられる、ダンジョン探索モノのスタートでした。文字通り、まだ始まったばかりで横たわっている謎の一端も明らかになっていないんですけどね。それらはここから、新しいヒロインの参入を待って堪能したいところ。


グラウスタンディア皇国物語 23   

グラウスタンディア皇国物語2 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 2】 内堀優一/鵜飼沙樹 HJ文庫

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軍事大国リジアとの全面戦争、突入。

海賊に扮して罠を張っていた四千のリジア海軍を相手に、少数の軍勢で勝利を収めた《皇国七聖》の軍師クロム。
その際に得た800名余りの捕虜を交渉材料とし、クロムは皇女ユースティナのお付きとして開戦の緊張高まるリジアとの会談に臨むことに。
しかし会談の直前、クロムは皇太子ダカットから急遽、不可能とも思える敵情視察を命じられてしまい!?
これ、タイトルこそ【グラウスタンディア皇国物語】になっているけれど、物語の焦点は皇国に留まらず、リジアやラトルグに散らばる群像劇となっているじゃないですか。クロムは皇国のキープレイヤーとして縦横に活躍する事になるんだけれど、むしろ主人公は後ろ盾のない無力な状態から兄の皇太子や国王に対して自分の理想を立脚していこうとしている皇女のユースティナや、軍官僚から嫌がらせを受けながらも自分だけの部隊を育てて行こうとしている騎士フィフニスのようにも見えるんですよね。一方で、リジア宗旨国家でも、ナターリアという貴族の指揮官将が、国政を主導する十二貴族の中で孤立しながら自分なりの道を模索し、ラトログ国では国政を壟断する宰相に対して、力を持たないながらも理想を持つ王女を補佐して、腹心たる若き俊英が臥薪嘗胆で主君を盛り立てようとしている。
少女たちの戦争……戦乱の時代の中で平和を求めて抗う少女たちの戦いが、表の戦争とはまた別の形で狼煙をあげようとしているのです。単なるグラウスタンディア皇国物語の一国の興亡記、戦争の勝敗の行方を追う物語ではなく、大陸全体の行く末を複数の焦点から導いていこうとする群像劇の様相を見せ始めているんですよね、これ。
同時に、人間の視点とはまた別の、超常の存在の世界への関与を感じさせる要素が各所に垣間見えてもいる。一人、クロムだけがリュリュというこれもまた超常の娘を伴うことで、それと対峙しているようにも見えるわけです。果たして、彼が本当に戦おうとしているのは一体何者なのか。グラウスタンディア皇国の王ジルバの背後にうごめくものとは。なぜクロムがユースティナを盛り立てて行こうとしているのかも、この事実から色々と伺うことも出来るんですよね。
とはいえ、まずは対処するべきは大軍をもって皇国に攻め込んできたリジアである。前哨戦である外交交渉は、クロムとユースティナの頑張りによって優勢を勝ち取ったものの、問答無用で大軍を送り込んできたリジア。
それも、漫然とした侵攻ではなく、その全貌が明らかになった時にはなかなかに唸らされた包囲圧殺作戦なんですよね、これ。凄まじく強引ではあるけれど、被害を鑑みなければ短期決戦狙いとしてはかなりの脅威。自軍を最初からすりつぶして構わない、という心持ちで来られるのって、迎撃する側からするとやっぱりキツいですわ。それが、兵力差からして圧倒的となると尚更であり、しかも初撃でいきなり首都を狙われたとなると。
この外線作戦に如何に対向するのか。幸いにして、敵軍の連携はラング騎兵隊の遅延作戦で乱れている上に、揚陸軍もユースティナの看破でまだ致命的な状態になる前に敵情を把握出来ている。さて、殆どクロムのお膳立てだけれど、ここから挽回の余地はまだ十分に残っていると言っていい。内戦作戦の粋が見れるかもしれないな、次回。
しかし、ユースティナ皇女はクロムに甘えること無く、自分で考え成長し続けてますねえ。あれでクロムって手取り足取りなんでもやってくれるわけじゃなく、自分でやれることはやりましょう、と案外責任ある仕事を放り投げてくる人なので、ユースティナも安穏としていられないのですが。肝心なときにはひょいひょいとフットワーク軽く来てくれる人ですけれど、結構スパルタですよ、クロムって。泣き言言わないユースティナなほんと、頑張り屋さんで健気だのう。
もう一人の少女主人公であるフィフニスも、かなり不当な待遇を受けながら、自分に与えられた権限に誠実に向き合うことで悪意を覆す真っ直ぐな力強さが、気持よかった。もっとへこたれてもいい状況だったと思うんですけどね、こんなに良い娘だったのか、と思ってしまうついつい応援したくなる騎士さまじゃないですか。クロムが手伝ってくれたとはいえ、ほぼ自力で自分の隊を創りだしてしまったんですから、大したものです。このままなら、立派に一軍の将に出世していきそうじゃないですか。
でも、本作で一番ヒロインしているのって、皇国の少女たちよりもむしろ、今回初登場のラトログ国の王女様なんじゃないでしょうか。レイリン姫と侍従のコウソンの二人が実に良いコンビで。ユースティナよりも厳しい立ち位置のレイリン姫が、僅かな忠臣、そしてコウソンという気鋭の才気迸る若者に支え守られ、国にはびこる腐敗と戦う、とかこの人が一番ヒロイン、お姫様プレイしてらっしゃるんですよね。コウソンも地位低いのに、クロムよりもなんか主人公してるっぽいし。こっちサイドも注目だなあ。

1巻感想

飛べない蝶と空の鯱 6. 〜蒼の彼方より、最果てへ〜33   

飛べない蝶と空の鯱 6 ~蒼の彼方より、最果てへ~3 (ガガガ文庫)

【飛べない蝶と空の鯱 6. 〜蒼の彼方より、最果てへ〜3】 手島史詞/鵜飼沙樹 ガガガ文庫

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渡り鳥は空を飛ぶ。夢のため、封書のために

突如として変貌したハイリッヒは何者なのか。<霧>に耐性のない人々と、浮島の人々を繋ぐ七つの鍵・エインヘリヤルとは?
真実がそのヴェールを脱ぐとき、ある者は決断し、戦い、そして――。ヒルダとシュネー、因縁のライバルの壮絶なる戦いが決着し、後に残された世界は滅びるのか、そして生き残るのは?
封書は踏みにじられ、大陸は沈む。しかし、それでも<渡り鳥>、ウィルとジェシカは飛ぶ。夢のため、封書のために。

ポールマン、おまえそんなキャラじゃないだろうっ。ヘタレなのに、ヘタレのくせに、頑張りやがって、無茶しやがって、男になってしまいやがって……。
空の門編、ここに完結。それすなわち、ヒルダの旅の終わりでも在る。彼女の人生の因縁、その結末がここに在る。封書を届け、人の想いを伝え繋いでいく渡り鳥の物語は、同時に人の想いが、祈りが受け継がれていくのを見守る物語でもある。たとえ人生がそこで潰えようとも、精一杯生きて育んだ証は、次の人へと受け継がれていく。兄たるハイリッヒが、妹たるイスカに託したように。ポールマンが必死に繋いだように。
でも、その次に繋ぐ行為がどれほど尊くても、それはどうしようもなく哀しい事でもあるんですよね。できうるならば、次に託すのではなく、共に手を携えて歩めれば、空を飛べれば、それに勝る事はないだろうに。だからこそ、ヒルダがあの場面で、自分の人生を燃やし尽くしたあの場面で、悔いなく満足してすべてを受け取って貰おうとするのではなく、心からの本音を、願望を、未練を叫んでくれたことは、嬉しいというのは少し違うけれど、胸を打ったのでした、良かったと思えたのでした。悠久の中に取り残されようとしていた彼女が、ただの一人の少女に戻ってきてくれたようで、初めてヒルダが遠くから見守る達観した存在ではなく、同じ空の下で生きる人の子に帰ってきてくれたようで。
その奇跡を祝いたい。

世界の秘密の多くが暴かれ、霧妖と呼ばれる空の覇者たちの正体が明らかになったわけだけれど、なるほどジェシカがどうして霧妖と人間の間の子のような不可解な存在になってしまったかの理由もこれでようやく理解できた。そして、この作品におけるウィルとジェシカの、霧妖との向き合い方も。霧妖との空戦は、もはや戦いなどではなく、純然たるコミュニケーションへと発展したのか。
そして、霧妖とここまで心通わせることの出来るようになるまで、達してしまったウィルとジェシカ、この二人の関係もいつまでもコミュニケーション不全のままでいられるわけがなく、居られるまま落ち着けるわけがなく、もう常から自然にどれだけイチャコラだよっ、というくらいべったり以心伝心でラブラブ状態だった二人だけれど、ついにちゃんと言葉を介して想いを伝え合うことに。ついにというか、ようやくというか、やっとかよ!といいますか。でも、万感であります。万感であります。ジェシカの、いっぱいいっぱい頑張っての返答は、もうなんか頑張ったなあ、と褒めてあげたくなるような初々しさで。このまま、お幸せに、で終わってもいいくらい。
勿論、まだまだ続いてくれないと話が終わらないのですけれど。あれ? 今まででも十分、糖分過多で周りの人たちが辟易するほど甘酸っぱい雰囲気を爆散させていたこの二人が正式に恋人状態になってしまったら、もうあかんのとちゃうか? ヤバいんとちゃうか? ヒルダさん、本気でこの二人と飛びたいですか?w

手島史詞作品感想

グラウスタンディア皇国物語 1 3   

グラウスタンディア皇国物語1 (HJ文庫)

【グラウスタンディア皇国物語 1】 内堀優一/鵜飼沙樹 HJ文庫

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皇国最強の切り札は――双剣使いの英雄軍師! 超王道カタルシスで刻むファンタジー戦記、始動!!

五年前、隣国リジアとの大戦を終結させた七人の英雄――《皇国七聖》。
その一人である双剣使いの青年軍師クロムは、主たる姫君ユースティナとの誓いを守り、再び開戦が迫った皇国の切り札として戦場の最前線へ舞い戻る!
武力と知略の両面で卓越した才能を発揮し、絶望的な戦況さえも鮮やかに覆す英雄軍師の活躍を描いたファンタジー戦記、開幕!!
大戦が終わった後、山奥に隠棲して俗世から離れた生活をしていたという、何とも浮世離れしたというか仙人めいた雰囲気のある経歴からはじまり、また登場してしばらくは生真面目な態度に徹していたので、あんまりおちゃらけたところのない、性格的に面白味のないタイプの主人公かと思っていたら油断した……(笑
大戦期、暇さえあれば読書に没頭していた姿が、当時まだ幼かった少女騎士フィフニスの憧れの記憶として残っており、彼女のクロムへの憧憬を形成する光景となっていたのだけれど、まさかその時黙々と読んでいた古書が……エロ本だったとは思うまいw
バレたからって開き直るな、このムッツリスケベ。いやいや、仙人どころか普通に助平な兄ちゃんじゃないですか、こいつ。本性がバレたあたりから、クロムの態度もなんだか飄々としてとらえどころのない食わせ者的なものになってきて、皮肉や図太い言動、身近な人達をからかって弄るような面も見えてきて、刺客的にも面白味ばっかりじゃないですか。
うむ、エロ本ネタは素晴らしかったな。あの一個だけで、とたんにすんごく親しみの湧く主人公になりましたよ。同じく、再会のシーンが結構重めな展開だっただけに、こちらも重苦しい雰囲気だったフィフニスも皇都に戻ってきたあたりから緊張が解けて素に戻ったからか、乙女的な思い込みの激しい妄想少女であることが発覚してしまい……ああわりと残念な娘だ(苦笑
しかしこのクロム、かなり悪辣というか口が立ち機先を制して現場の応急判断から外交交渉にはじまるグランドデザインに至るまで、状況の主導権を握り続けて自分で描いた図に世界を引きずり込むタイプの軍師にも見えるんだけれど、同時に双剣使いとしても際立った腕前を持ち、さらに器用貧乏的ではあるものの、あらゆる方面に手腕を見せる、とかなりの万能選手なんですが、結構性格が悪いというかイイ性格をしているのであんまり嫌味な感じはしないんですよね。これで性格までスマートで欠点なかったり、理想家や正義感たっぷりだと鼻につくものなんですが。やっぱり、軍師は腹黒でないとねえ。

ストーリー自体はオーソドックスな戦記モノ、と見せかけつつ、クロムの義妹であるリュリュの存在が微妙に違う色を見せてるんですよね。どうやら、人間の戦争の物語にとどまらない、神代と人の世の交錯が介在してきそうな予感。クロムたちの主人となるお姫様の勢力基盤がほぼ無いに等しく、現皇王と皇太子が能力的にも性格的にも存在的にもかなりヤバ目である、というのもなかなか面白い舞台設定なんじゃないでしょうか。平気であの国王に口出しして国政の現場にしゃしゃり出てくるクロムの図太さというか豪腕は、さり気なく凄いと思いました。逆に言うと、あそこでクロムにやらせる国王と皇太子も怖いなあと思うのですけれど。


内堀優一作品感想

飛べない蝶と空の鯱 〜蒼の彼方より、最果てへ〜 23   

飛べない蝶と空の鯱 ~蒼の彼方より、最果てへ~2 (ガガガ文庫)

【飛べない蝶と空の鯱 〜蒼の彼方より、最果てへ〜 2】 手島史詞/鵜飼沙樹 ガガガ文庫

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明らかになる浮遊世界創造の謎!

瀕死の重傷を負ったウィルを背負い、冬の荒野を行くジェシカ。
イスカは攫われ、霧鍵式は使えず……。
満身創痍の二人は北の大陸・ティエラで進行しつつある、革命と名指された大陸崩壊への助走を止めることはできるのか。
そして、「七つの鍵」に隠された、たゆたう島の民・人類誕生の秘密とは……。
シュネーとヒルダの過去、旧文明に隠された霧の文明の創世の謎も徐々に明らかに。
物語が加速する新章第二弾!!
いきなりこの世界が構築された秘密に突っ込みだしたな。こういう巨大な枠組みについては、もう少し事前に舞台を整えてからにして欲しかったんだが、目先のことに汲々としてたらいきなり大事になってたような唐突感が。まだ、普段活動していた世界の外に、ようやく一歩足を伸ばしたところくらいだったので。その一歩で、早速世界の果て、というべきところにたどり着いてしまっていた、というあたりにこの世界の狭さを実感するべきなのかもしれない。その狭さ故に、霧の向こう側に行きたいのだ、と広がる空とは裏腹の箱庭世界から飛び出していきたいウィルたちの切望を感じ取るべきなのかもしれない。
まあ空の果てに思いを馳せる前に、まず腕の中にある温もりをもっと確かなものにするべきなんだろうけれどね。はっきりそこまで責任とるつもりがあるなら、もっと勢い任せで欲望に身を任せてもイイ気がする。さすがに現状ではイチャイチャしている余裕もないだろうけれど、抱いてしまったと勘違いしてニヤニヤしているくらいなら、さっさと畳み掛けて押し倒せ、と。そりゃあ、裸で隣で添い寝してたら、誤解しても仕方ないだろうし、それは誤解させるほうが悪いとも言える。ジェシカからすれば、必死だったんだから、そんなふうに誤解されるなんて、と言いたいかもしれないけれど、必死になってそれだけの事をするからには、許せる範囲はそれだけ大きいってことだからなあ。
まあでも、OKサインが出ているならばこそ、勢い任せじゃなくちゃんと筋を通してちゃんとした関係を確立するのが先、という考え方もあるけれど。どちらにしろ、そろそろウィルもはっきりと言葉と行動を明らかにするべきだよね、という時期だな。
さて、トントンと世界の真実が明らかになっていき、それに付随してティエラで起こりつつある動乱に、かつてここで起こった出来事、不明瞭だった人間関係の配置も徐々にはっきりしてきて、つまるところ舞台が整いつつある、という事なのだろう。思いの外早い真実の霧を吹き払う風の流れは、この新章がさほど長引かないだろうことを予感させる。こりゃ、五巻どころか次の巻あたりで、という場合も。
ウィルとジェシカのコンビの本領である、ジェシカ操縦・ウィル攻撃、というスタイルも、逆パターンもほぼ一流の領域に達したことで、真のスタイルであるこっちも更に極まりを見せて上限に達しようとしているし。さらに、レンにも新たな相棒が生まれたことで、本当の意味で二組の渡り鳥コンビが誕生しつつあるわけですしね。こりゃ、クライマックスに向けて一直線か。

シリーズ感想

飛べない蝶と空の鯱 〜蒼の彼方より、最果てへ〜 1 3   

飛べない蝶と空の鯱 ~蒼の彼方より、最果てへ~1 (ガガガ文庫)

【飛べない蝶と空の鯱 〜蒼の彼方より、最果てへ〜 1】 手島史詞/鵜飼沙樹 ガガガ文庫

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物語は新章へ!空の果てへの旅が始まる――

「北の地には、来てはならぬのです――」
そう伝言を残して、ハイフォニアから消えてしまった<夜姫>ヒルダ。失踪したヒルダを追って、ウィルとジェシカは北の大陸、ティエラへ。そこから北へは行くことができない、「北の空の門」で、ウィルとジェシカが遭遇したものは、「機械の翼」をもつ無人機による攻撃だった!
壁に囲まれ、霧が薄く、<霧鍵式>が役に立たない世界。霧の文明とは違った、「失われた文明」をもつ北の大地には、この世界の成り立ち、さらには空の果てへの鍵が隠されているのか――。
すべての島を堕とし、世界の再構築を狙う<七つの鍵>、そして空の最果てを目指すウィルとジェシカ、そしてとんでもない力を持った「魔女」たちが、北の果てで相まみえる!!
魔法と空戦のファンタジー、新章に突入!
サブタイトルをあらためての新章スタート。この事からも、このシリーズはかなりの長期化を見込んでいるようにも見えるんだけれど、案外あと三冊くらいで終わったりするかもしれないので油断はできない。ともあれ、中途半端に終わらずにいてくれればいいんだけれど。
さて、新章はハイフォニアを後にして「渡り鳥」が活動していない北の大陸ティエラへ。壁に覆われ「空」のない世界。その停滞と閉塞に満たされたティエラの地は、一瞬地上なのかと勘違いしかけたのだけれど、ここもやっぱり浮遊する大陸の一つだったわけだ。でも、「霧」が無い世界というのも驚きだ。あるのが当然のものが無い世界。つまり、霧鍵式が使えず霧を燃料にして飛ぶ翼も使えない。普段潤沢に使っているものを制限して使うということは、それだけ精緻なコントロールを要求されるということで、必然的に霧鍵式や飛翔に関する技術も研ぎ澄まされるということでもあり、危機が転じて二人の渡り鳥としての腕前はさらにメキメキとあがることになる。
もっと四苦八苦する展開になるかと思ったのだけれど、第一章で既にジタバタする段階は通り過ぎていたようで、多少不都合がある程度では止まること無く行動や判断に躊躇いなくクレバーに物事を進めていくウィルたちの姿に、随分頼もしくなったなあと感じ入ってしまった。もう彼らを半人前などと言えないだろう。どこから見ても歴戦の渡り鳥だ。
しかし、北の大陸で遭遇した<七つの鍵>は、これまでの連中と比べても桁違い、格の違う相手だった。何しろ、あのヒルダと同格以上にして彼女の仇敵。端的に言っても化け物以外の何物でもない魔女である。結局、物語の中枢には常にヒルダの存在があり、ということなのか。どうも今のところジェシカよりもヒルダを中心にしてあらゆる状況が回っているみたいだし。いや、そういうと語弊があるか。でも、ヒルダが常に関連しているのは間違いないからなあ。何気に、ヒルダの執事のフォルネウスの素性について言及が在ったのにはスッキリした。この人、ヒルダの過去話には一切登場していなかったのに、初登場時から彼女にとっての唯一の身内みたいな形で存在していたので、一体どうやってヒルダに仕えるようになったのかについては微妙に気になっていたものですから。でも、その正体やなぜヒルダを追っていたのかについてはまだ明かしてくれないあたり、勿体ぶってくれる。
空のない世界を舞台にすることによって、改めて「空を翔ぶ」事への心が吸い込まれるような憧れを再認識させてくれる新章。誰よりも速く、誰よりも高く、誰よりも自在に空を翔けることを求める二人。これは、割って入る余地が何処にもない。完全に空に関しては二人だけの二人のためだけの世界なんですよね。にしても、バカップルぶりが加速度的にひどくなってる。というよりも、今回は外からの二人に対する視点が多かったからなのか、二人の親密度がウィルとジェシカたち自身が思っているのと、周りの人から見たものの温度差が全然違うんですよね。二人にとって当然のことが、傍から見るともう無防備すぎるくらいにあけすけすぎて、直視できないレベルにまで達しちゃっているわけで……色々勘弁して下さい。
今回、<霧鍵式>が使えないということでジェシカのいつものお仕置きにも全然威力がなく、普段ならウィルを吹っ飛ばすような一撃が、痛みすら生じさせないポカポカという弱いパンチにしかならず、ジェシカがムキになってポカポカ叩いてくるのが、なんかもう可愛くて可愛くて。
許す、ウィル、襲え!!
ええい、周りがバタバタしてなければもっとイチャイチャ出来るのに。早いところゆっくりイチャつけるように、風雲急を告げる事態を収めて欲しいところであります。

シリーズ感想

《名称未設定(ネームレスニュービー》 Struggle1:パンドラの箱3   

《名称未設定》 Struggle1:パンドラの箱 (ファミ通文庫)

【《名称未設定(ネームレスニュービー》 Struggle1:パンドラの箱】 津田夕也/鵜飼沙樹 ファミ通文庫

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俺、神園祐希は、チュートリアルと名乗る少女に、デイドリーマーズ・ストラグルに誘われる。それは未来人の暇つぶしのための見せ物で、勝利のご褒美“投げ銭”を集めれば、どんな望みも―来年起こるらしい第三次世界大戦の回避も叶うという。部活仲間の綴、センパイとともに、俺はこのクソッタレな“白昼夢”に挑むことになってしまった。世界を救うなんて、まったく柄じゃないってのに―。第14回えんため大賞特別賞受賞、ヒネクレ青春×バトルゲーム。
これ、主人公の神園祐希の気だるそうなやる気のないキャラクターには最初の方はむにゅーっと眉の下がったつまらん顔して読んでいたんだけれど、この子の素性が明らかになった途端に、なんか全部許せましたね。許せたどころか、むしろこれは大いにありなんじゃないかと。曇天模様が一気に晴れて快晴になったような爽快感でした。いや、爽快感を感じるところが微妙に間違っている気もしますけど、このキャラクター配置はなかなかの妙だと思いますよ。もっとデレ成分が多ければ、個人的には申し分なかったんですけどね。
さて、肝心のお話のほうですけれど、日常生活の合間に、超常的な上位存在が遊興として構築したゲームにプレイヤーとして参加するというもの。マンガやアニメではよく見るジャンルなんですけれど、意外とライトノベルだとパッと思いつかないなあ。三浦勇雄さんの【上等シリーズ】なんか、スタイルこそ違うもののこのパターンだったか。
ただ、ゲームものとしてみるとちょっと突き詰め方が甘いんですよね。自由度が高すぎるせいで、ルールの縛りが少なくてゲーム自体がビシっとしまったものにならずに漠然としたものになってしまっている。祐希たちに明確な目的がない、というのもどうかな。切迫感や動機に欠けるせいで基本的にやる気があんまり感じられないんですよね。モチベーションがそもそもないのがなんともはや。勝利目標もちゃんと持っていないので、そこに辿り着くための意気込みやら達成感にも物足りなさを感じますし。それに、リターンに対してリスクが非常に小さいものだから、どうにも緊迫感というものもないですし。
意外とこういうゲームものってガチガチにルールで縛って勝利条件を厳しくしたほうが、勝ち抜くまでの紆余曲折にメリハリとか締りが出てシャキッとするものなんだけれど、全体的に締りのないフワフワとして漠然とした雰囲気に終始してしまったのはちょっと残念でした。先輩の得体が知れないと思ってしまうほどキレキレの寝業師的な部分も、もっと条件が厳しかったり危機意識を刺激されるような環境の方が映えてくると思うんだけどなあ。

ブラック・ブレット 4.復讐するは我にあり3   

ブラック・ブレット4 復讐するは我にあり (電撃文庫)

【ブラック・ブレット 4.復讐するは我にあり】 神崎紫電/鵜飼沙樹 電撃文庫

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東京エリアを、怪物ガストレアの侵入から守っている巨大モノリス。その一部が、ついに崩壊してしまった。予想どおり、ステージ4・アルデバランに率いられた無数のガストレアが東京エリアに侵入。それを、最前線に配備された自衛隊の精鋭部隊が迎え撃つ。激しい交戦の音が戦場に鳴り響くが、しばらくして張りつめたような静寂が訪れる。やがて、自衛隊の後方で待機していた蓮太郎たちの目の前に現れたのは―。心が痛くなるほどスリリングな、話題の近未来ヒロイック・アクション、早くも第4巻が登場。
これはもう、あらゆる意味でアカンやろう。ここで得てしまった損害は、自衛隊にしても民警にしても二度と立ち直れない壊滅状態と言って過言なし。復旧は事実上無理でしょう。装備にしても人員にしても、これだけ失ってしまえばもう元には戻りませんよ。せめて社会基盤がまともだったら十年二十年というスパンで元に戻せるかもしれないけれど、これだけ国土が狭まり流通が壊滅している状況じゃあ、もうあきませんよ、アウト。
モノリスの復旧が完了した以上、ガストレアの大量流入こそなくなって当面自衛隊の防衛力は何とかなるにしても、エリア内の対ガストレア対策と治安維持に効果を発していた民警が文字通り半壊してしまった以上、ガストレア感染者への対処はもう以前のように行かないでしょうし。
と、周辺の状況だけでも絶望的なのに、身内に関しても延珠はさらにガストレア化へのタイムリミットが狭まった上に、木更さんはほぼ闇堕ち状態。特に木更さんが酷い。以前から蓮太郎の口から彼女の危うさについては言及されていたものの、これまで木更さんが目立って異常性を示したことはなかったし、肝心の蓮太郎が木更さんに対して何の対処もしてこなかったものだから、彼女の闇について随分と甘い見通しをしてしまっていたんですよね。
……完全に復讐に狂ってるじゃないですかw
前々からホンノリと持ち上がっていた木更さん最強説は、どうやら抽象的なものではなくえらく現実的なものだったようで、体調気力ともに万全の時の彼女の強さは、これまで登場したキャラの中でも頭ひとつ抜けているかもしれない。ちょっとこれ、尋常じゃないわ。
不満なのが何においても蓮太郎の対応である。これは個人的な印象なんだけれど、彼の木更さんへの対応って、延珠へのそれと比べるといささか必死さに欠けるんですよね。まあ、延珠についてもガストレア化へのタイムリミットが近づいている彼女を救うために手立てを探して足掻き回っている、という素振りも見せてないですし、基本的に腰が重いというか目の前で起こったことに対してしか動けず事前に何とかしようとする気がないところのある少年なんですが、木更さんに対しては、あれだけ好意を口にしているわりには必死に彼女の意志に干渉しようとしたり、状況を変えようと動く素振りを見せないんですよね。そのくせ、自分は木更さんの敵になるかもしれない、なんて嘯いて……そんなん言ってる暇があったら、彼女がそんな有様になる前になんとかしようとしてくれよ。木更さんの様子が元に戻ったから傍観してしまうって、何もしてないのと同じじゃない。
なんか、ここらあたりの蓮太郎の気の無さ、というか心を痛めている素振りの割の素っ気なさはもどかしいばかりで、どうももやもやしたものが募っちゃったんですよね。
そりゃあ、自身も極限状態の連続で余裕がない時間が続いていた、というのはわかるんですけれどね。それでも、なんとかしてくれるのが主人公じゃないですか。いやさ、なんともできなくても、なんにもできなくても、せめて何とかしようと、なんとか闇堕ちしかけている彼女を助けようとしてくれるのが主人公じゃないですか。それを、敵になるかも、なんて言われて凄く突き放されたような思いになってしまって、随分とへこみました。
まあ考えるに、この敵になる、という発言には木更さんの復讐を、狂気を、闇堕ちを止めてみせる、という意図が含まれていたのかもしれませんけれど……それでも蓮太郎が「敵」に回ってしまったら、どれだけ木更さんが泣いてしまうかを想像してしまって……やっぱりそりゃあないよ、と思っちゃいますよ。

とまあ、戦後の話ばかりしてしまいましたが、肝心のガストレア大侵入は筆舌しがたい消耗戦。もう作戦も戦術もあったもんじゃない、ゼロ距離乱戦撃滅戦闘。アート・オブ・ウォーのちょうど真逆といっていい、様々な意味で無様で無残な戦いでした。こんなん、戦争ですら無いよ。ただの相互屠殺。戦いですら無い、殺し合い。
人の知恵も尊厳も誇りも、ここには何にもなかった。ただの地獄。純然たる地獄だった。
勝利も何もあったもんじゃない。ただ、生き残っただけじゃないか、こんなの。
そして、この地獄を引き起こしたのが、ろくでもない欲望から生じた不正だというんだから、救いようがない。本当に欠片も救いようがない。
ぶっちゃけ、この物語の勝利条件って何処にあるんだろう。対ガストレア戦にしても、木更さんの件にしても延珠のことについても、何の目処も立ってない。そもそも、達成スべき目標がなんにもないんですよね。それだけに、行き先もわからず闇の中でもがいて息が続かず窒息するのをただ待っているような閉塞感がひしめいていて、半端無い。なんかこう、少しでもいいから、先のことを示して欲しい。こうしたら、何かが成り立つというゴールを示して欲しい。せめて、中継地点でもいいから。でないと、ほんとに息が詰まりそうだ。

シリーズ感想

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 33   

飛べない蝶と空の鯱 3 (ガガガ文庫)

【飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 3】 手島史詞/鵜飼沙樹 ガガガ文庫

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過去への配達依頼――裏切りと傷跡の物語

「墜ちろ――」
少女の羽を引き裂き、空から堕とした男。
なぜ、男は裏切り、そして世界を滅ぼそうとするのか――。
翼舟に跨り、空に浮かぶ島と島を行き交い、命を懸けて人の「記憶」を運ぶ武装郵便屋「渡り鳥」。郵便屋「蝶と鯱」を経営するウィルとジェシカに新たに舞い込んだ依頼は、かつての仲間であり――そして、ジェシカから空を奪った男への配達依頼だった。
空を失った少女・ジェシカと不器用で飛ぶことが下手な少年・ウィル。それでも「空の最果て」を目指す二人の、出会いの記憶。
約束と絆、裏切りと傷跡の物語。
「影執事マルク」シリーズの手島史詞の紡ぐ世界観を、鵜飼沙樹の美麗かつ繊細なイラストが彩る好評シリーズ。「霧鍵式」と呼ばれる魔法と空戦のファンタジー、好調第三弾!!
これって、ミスリードを誘っているつもりに見えるのが実はミスリードだったりしないでしょうね。もしそうだったら感心せざるを得ないんだろうけれど、さすがにそれはないだろうなあ。と、思わず裏の裏を疑ってしまうくらいに回想での視点もあの人の正体もあからさますぎて、これ隠してるんだろうか……。少なくとも、回想については完全にそのまんまだったので、あの人の正体についても今更疑う余地もないんだろうけれど、だったらもう読者向けには隠しておくのも無駄なじゃないのかな、と微苦笑混じりに思わずには居られない。まあ過去回想である封書については、読者に対してはあからさまであっても、それを覗いたレンがその封書の主が誰なのかしばらく気が付かない程度の錯誤が必要な展開だった、と考えればああいう書き方も納得は行くんですけどね。
しかし、第三者から見るジェシカとウィルの関係というのは最初っから他人が入る余地もないベッタリさんだったのか。意外と外から二人の様子を見るケースがなかっただけに、この視点はある意味新鮮だった。出会った、或いは再会した当初であれだけお互いに特別扱いし合ってるイチャイチャっぷりだとすれば、今現在はどれだけだっつー話だよなあ。ウィル視点であってすら、今のジェシカときたら完全にデレッデレなわけですし。ウィルに可愛いと言われて悶絶したり、こっそりウィルの封書をゲットして悦に浸ったり、はいはいごちそうさまってなもんである。
ちょっと勿体無かったのは、ジェシカとウィル、そしてビルギットが三人で行動していた頃のことをあんまりじっくり描けてなかったところでしょうか。ビルギットという人物が、ジェシカとウィルにとってどれだけ大きな存在だったか、どれだけ信頼していた仲間だったのか、三人で居た頃に培った絆とか友情とかそういうものがあんまり描かれていなかったので、肝心の彼の裏切りの衝撃や何やらがあんまり伝わって来なかったんですよね。彼があのような裏切りの決意を固めたのは、それだけジェシカとウィルに対して絆の深さを感じていた、あの二人を認め親しみ信頼し羨望していたからこその決断だっただけに、その苦渋にして吹っ切れたような決意の深さを描き切るに、その背景を担う三人の関係の深さが、やっぱり描ききれてなかったんじゃないかなあ、と思ったわけです。それはまわりまわって、ビルギットとジェシカとウィルが本当に初めて出会った時の真相が明らかになった時も、ウィルとジェシカの行動原理の起源に至り、因果は巡るというなかなか劇的な過去の真実だったにも関わらず、インパクトもあまりなくあーそうなんだー、という程度で流れてしまったんですよね。これは、良く練られた因果関係だっただけに、見せ方の弱さがちょっと勿体無かったなあ、と。
しかし、ビルギットはあれだよなあ。気づけよ!! しかたないのかもしれないけれど、ウィルたちを裏切ってまで探し求めているくせに、まるで気づいていないあたり、悲劇性よりもなんか額に押し上げたメガネを、メガネ何処行ったー!? と探しまわってるみたいな間抜けさを感じてしまった。これ、あの人が救われてくれないとちょっと悲惨すぎるよ?
ここに来て、ヒルダがまだ重要なキーキャラクターになってくるのか。てっきりジョーカーとして機能する切り札としてのキャラクターだと思っていたのだけれど。

1巻 2巻感想

飛べない蝶と空の鯱 2 4   

飛べない蝶と空の鯱 2 (ガガガ文庫)

【飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 2】 手島史詞/鵜飼沙樹 ガガガ文庫

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受取人はトランクに詰まった少女の死体!?

霧の上を島が浮遊し、空を飛ぶことでしか島を移動できない世界。
空に憧れ、まだ誰も見たことのない霧の底、「空の最果て」を目指す少年と少女の物語。

風を読むことが下手で、翼舟の操縦が下手な少年・ウィルと、過去に負った傷から空を飛ぶことが怖くなってしまった少女・ジェシカは、二人乗りの翼舟に跨り、空飛ぶ郵便屋「蝶と鯱」を経営していた。
彼らが運ぶのは、人々の記憶を封じた「封書」。

誰よりも早く、誰からも秘密を守り、命をかけてでも運ぶ――課せられた重責と引き替えにもたらされるのは、自由に空を飛ぶ権利。
お互いの欠点を補いながらでないと飛べない二人だったが、霧妖という魔物が棲み、霧に囲まれた空を命がけで疾走する。
そんな「蝶と鯱」に、謎の男からの依頼で封書が持ち込まれる。意気揚々と届け先に向かった二人着いたのは誰もいない廃墟。唯一残されたトランクの中には、膝を抱えたまま目を閉じた裸の少女が――。
今回の依頼には、この世界の創世記の伝承で大きな力を持つ「七つの鍵」の秘密と、それを狙う組織が関わっていて――

空の上を駆ける爽快冒険ファンタジー、待望の第二弾。
この物語はウィルとジェシカ、広い空に二人きりがよく似合う、と前巻で言ってた端から二人きりじゃなくなったよ! それどころか、二機のバディ制を規定とする渡り鳥協会からの通達によって、武装郵便屋<渡り鳥>の資格を満たすために二人が別々の翼舟に乗って飛ぶはめに。いやさ、ジェシカはPTSDで空飛べなくなったんじゃないのかよ。ウィルの背中にしがみついてようやく耐えていたような子を、ちょっと慣れてきたからって一人で飛ばすなんて……それは仕方のない事だったのかもしれないけれど、ウィルとジェシカが約束した二人で飛ぶ、という意味から完全に逸脱してしまっている。現実は見なければならないけれど、そうしなければ渡り鳥を続けられなかったのかもしれないけれど、だからと言って自分たちの夢を置き去りにするような真似だったんですよね、これは。
そもそも、協会からの通達をジェシカに伝えず、ひたすら現実逃避して何の対策もせずに傍観してしまったウィルは幾らなんでも情けなすぎるぞ。その現実逃避はガチに現実逃避そのもので、それは幾らなんでもイケマセン。無視してたらどうにかなるなんて問題じゃなかろうにw
まあそれだけ鬱憤を貯められたからこそ、ジェシカとウィルが二人乗りに戻って空の怪物と渡り合う空戦シーンは素直に滾りましたが。戻る、どころか以前よりも進化しての形でしたしね。思えば、ウィルが操縦してジェシカがナビと銃撃を担当するって、見るからにちぐはぐだったんですよね。そうやって、足りない部分を補い合って飛ぶのは素晴らしいのですけれど、決して最良ではなかった。それって、結局出来ないところを補っているだけで、やっと並になったかという所に留まってただけですもんね。最良とは、お互いの得意分野を十全に発揮して相乗効果を引き出すこと。元々、操縦センスに人外のモノと持っているのがジェシカであり、鯱と呼ばれるほど凄まじい攻撃能力を持つのがウィルなのですから、二人がその得意な方に専念したらどれほどの高みに達せるのか。それを、ここでようやく見せてくれました。空の果てに辿り着きたいという願いが戯言などではなく、確かな実力に裏打ちされた目標なのだということを、これでもかというくらいに見せつけてくれた、そんな映えある空戦でした。
しかし、この段階でウィルとジェシカのコンビにもう一人加わることになるとは思わなかったなあ。ウィルはともかく、ジェシカの方が人見知りという以上に人間恐怖症の側面が強かったので、ジェシカが他の誰かが加わることを許さないだろうし、心を開くまいと思ってたんですよね。それが、まさかジェシカの方から心を許す事になるとは。まあ終わってみると、新しいメンバーが加わったと言ってもヒロインが増えたというよりもあれですね、ご夫婦がペットを飼い始めました、みたいな?(失礼
そんなマスコット候補のレンですが、彼女にまつわるお話の真相には完全に虚を突かれました。冒頭のプロローグに思いっきり引っ張られたことに最後まで気が付かなかった。なるほどなあ、微妙にフェイのレンに対する線引と、レンのフェイに対する感情に冒頭のシーンと比べて変な違和感があるなあ、とちらっと頭の片隅によぎったのはそういう訳だったのか。レンの記憶が無いというところに誤魔化されて、お互いへのかすかな遠慮の意味を捉えきれていなかったみたいだ。そうだよなあ、恋人や奥さんなら無いだろう遠慮でも、そうした関係だとどれだけ宝物みたいに大切にしていても、過保護であればなおさらに、逆に気遣いが生まれてしまうものなのかもしれない。
同時に、そういう関係だからこそ、身を投げ打てるのだろう。誰かに託す事ができるのだろう。今回もまた、その意見では前回とまた同じく、人生を繋ぐ物語だったのでしょう。そこに愛はあったのだ、という証を示して。

あと、ヒルダ姉さんが相変わらず絶好調で良かったです。別に隠居してしまうなんて謙虚な事になるとは思ってませんでしたけれど、いろんな意味で身も蓋もなく最強だなあ、この人は。

1巻感想

ブラック・ブレット 3.炎による世界の破滅4   

ブラック・ブレット3 炎による世界の破滅 (電撃文庫)

【ブラック・ブレット 3.炎による世界の破滅】 神崎紫電/鵜飼沙樹 電撃文庫

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蓮太郎、延珠、木更に、絶大な狙撃能力をもつティナも加わり、前途の不安が薄れたかのように思えた、ある日。怪物ガストレアの侵入から東京エリアを守っている巨大モノリスの一部が、崩壊の危機に瀕していることが判明する。このままでは、エリアの外で人間を蹂躙すべく待ち構えている無数のガストレアが、一気に侵入してきてしまう……。
果たして、東京エリアを救う手立てはあるのか!? そして蓮太郎、延珠、木更、ティナの命運は──!!
ますます緊迫感が高まる、近未来ヒロイック・アクション、待望の第3巻!
代替えモノリス、なんで予備を作って備蓄しておかないんだ!? 積み上げるのに半日も掛からないなら、予備さえ用意しておけば何の問題にもならなかっただろうに。という疑問への回答は、代替えモノリスを事前に準備できない理由とか、どっか書いてありましたっけ? 
というわけで、モノリス崩壊の危機に自衛隊総動員とともに民警も組織化され防衛戦に投入されることに。東京エリアが滅びるか否か、という瀬戸際に追い詰められながら、そこで浮かび上がる世相は人間たちの陰惨なまでの醜い姿であり、社会としての未熟さでした。いっそ、世紀末覇王なヒャッハー!な世界のほうが弱肉強食でわかりやすい分、ある種の「力」さえあればなんとかなる世界なんですよね。弱いものが救われる世界と言える。でも、弱い多数が無知と無理解と怒りや憎しみと言った負の感情を基盤にしてマイノリティを抑圧する世界というのは、特効薬的な解決法が無い分、救いが見えないんですよね。ガストレアの脅威からは、卓抜した人類の叡智や組織力、際立った能力を持つ人間たちの力によって世界は守られるかもしれない。でも、ガストレアから生き残ろうとしている世界の中身はときたら、強き者を恐れ拒み、かつての脅威の残滓を恨み憎みその本当の姿を見ようともしないまま一方的に潰そうとする、自ら血を流して悲鳴し狂乱するような常軌を逸した世界でもある。そんな世界が、果たして身を削って守られるべきものなのか。
でも、そうやって「世界」と一括りにして邪悪だ、醜悪だ、と語り憤怒することもまた、呪われた子供たちを一括りにして一方的に敵視して排斥しようとしている人たちと変わらない所業でもある。
だけれど、だったらこの理不尽な暴力に対する怒りを、哀しみを、どこにぶつけたらいいのか。ただでさえ希少だった未来を奪われてしまったあの子たちの痛みを、どうやって晴らしてやればいいのか。
この物語には、行き場のない怒りが渦巻いている。ガストレアが人類に向け続ける怒りも。無辜の民が、呪われた子供たちに向ける怒りも。天童木更が同族に向ける怒りも。室戸菫がかつてと今の自分に向け続けている怒りも。里見蓮太郎が、呪われた子供たちを、延珠を見舞う理不尽な運命に向ける怒りも。すべてがとぐろを撒いて渦巻いている。それは、さながら業火のように世界を焼くかのようだ。
そんな中で、その怒りの当事者の一方であるはずの呪われた子供たちだけが、純粋に笑い続けている。人よりも化物として扱われ、やがて本物の化物へと変わってしまう運命を背負いながら、この小さな子供たちは、誰もがあまりにも健気だ。健気に笑いながら、この世には希望があるかのように振舞っている。一番、絶望の底の底に追いやられている子たちなのに。まだ、10歳になるかならないかの本当の子供でしかないのに。
蓮太郎の言うとおりだ。この子たちが幸せにならない世界は、間違っている。でも、その間違った世界をどう正したらいいのか解からない。人の意識は、簡単には変わらない。でも、もし世界からガストレアが一掃されたら。世界が、滅亡の恐怖の抑圧から解放されたなら。その時、世界には呪われた子供たちを受け入れる余裕が出来るのだろうか。

今始まろうとしている第三次関東会戦。それは、ひとつの試金石になるものなのかもしれない。人から呪われるイニシエーターが、東京をガストレアから救った時、その時こそ意識の変革の萌芽が生まれるのかもしれない。幻想に近い願いなのかもしれないけれど。
それ以前に、まずガストレア数千の侵攻から東京を守らなければならない、というどう転がっても絶望という状況を凌がなければならないのだから、どれだけ無理ゲーなんだ、というお話。
そして、単純に人類の敵の侵攻を防ぐ、という目的に徹せられればいいものの、まず発端であるどうしてガストレアがモノリスに近づくことが出来たのか、という疑問から始まる、様々な裏でうごめく人の悪意や陰謀がうごめく気配がプンプンと臭ってきて、どう転がっても酷い話になりそうだ。

しかし、ティナ・スプラウトって本気で尋常じゃないレベルのイニシエーターだったんだなあ。二桁台というのがどれだけ異彩を放っているのか、今回一般的な凄腕の子の実力と比肩することで余計にその力が際立ったような気がする。ってか、どうやって蓮太郎ってばこの子に勝てたんだろう、というくらい。逆に言うと、単純にこの子よりも上が百人近く居る、という時点でこの業界色々と異常すぎるw
まあそれと真正面からやりあえた木更さんも大概なんですけどね。この人も病気のハンデなかったらとんでもないんだよなあ。今回、ついに参戦と相成りましたけれど。
重ね重ね不思議なのが、どうしてあれほど青信号発してる同士の、相思相愛が傍からみて丸わかりの、蓮太郎と木更さんが、全く微塵もフラグ立ちそうもないところ。なんでなんだ、ほんとに!?

と、今回はガストレア侵攻を前にした準備編、ということで仲間集めにほぼ終始して次回に続く。なんか、戦う前から色々と心折れそうな事ばかり続いて、ひしゃげるひしゃげる……。

1巻 2巻感想

ブラック・ブレット 2.vs神算鬼謀の狙撃兵4   

ブラック・ブレット〈2〉vs神算鬼謀の狙撃兵 (電撃文庫)

【ブラック・ブレット 2.vs神算鬼謀の狙撃兵】 神崎紫電/鵜飼沙樹 電撃文庫

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蓮太郎がステージVの1体を倒したことで、東京エリア周辺ではガストレアの活動が一時的に沈静化していた。そんな折り、大阪エリアの統治者・斉武宗玄が、首脳会談のため東京に来訪する。彼を迎える聖天子は、自らの護衛役として、蓮太郎を指名。延珠とともに聖天子をボディガードする蓮太郎だったが、会談場所へと向かう彼らに、想像を絶するスナイパーが襲いかかる。姿の見えない敵に、二人はなすすべもなく―。好評の近未来ヒロイック・アクションの第2巻が、早くも登場!哀しみの先に蓮太郎が見たものは…。
……これ、マジで面白いな。
いやーいいわこれ、ほんとに面白い。2巻もこんなにおもしろいのか、ガチじゃないか。なんかもの凄く琴線に触れるなあ、なんでだろうなあ、と思ってたら、そうだそうだ、この作品の雰囲気がね、世界観の空気が自分のバイブルの一つでもある【シャギードッグ】シリーズによく似てるんですわ。近未来のサイバーパンクと古武術や伝統ある作法の数々の融合に、隠然たる政争や組織間抗争の暗部に絡む事件の数々。こういうの大好物なんですわ。
世界の光と闇が交錯する中で、人間の醜悪さ、妄執、歪みが浮き彫りになると同時に、爽やかな清廉さやささやかな善意、純粋一途な想いなどもまた人間の確かな側面として描いてくれる、絶望と希望が目一杯に詰め込まれたトイボックスですなあ。そりゃあ、楽しいに決まってるわ。エンタメの極みの一つですもの、そういうのって。

相変わらず、木更さんの落ちぶれた貧乏お嬢のキャラが素敵で仕方がない。このヒロインさん好きだわー。惨め可愛いって新境地だよねw
今回はさらに、落ちぶれてない本物の財閥のお嬢様が、一巻から出てたけれどこの度本格的に登場してきて、綺麗に喧嘩売ってくるので、木更さんの惨め可愛さがさらに募るばかりに。なんてこったいw
でもこの人、本当はべらぼうに強いんですよね。強い強いとは言われてたものの、今までは持病のハンデキャップのこともあり、その実力はほぼ秘めたるままだったのだけれど、今回はその実力の一端を垣間見ることができたわけだが……作中でも語られてるけど、この人生身の人間の到達点にまで至っちゃってないか? 尋常じゃないんだが……いや、凄かった。そんな凄い木更さんでも無敵ではいられないというのがこの世界のインフレっぷりではあるものの……まだまだ本領は発揮してないよなあ、この分だと。
でも、絶体絶命のピンチでそんな映画のヒロインみたいな台詞を素で口にしてしまえる木更さん、超可愛いです。この人、あからさまではないしベタベタもしてこないけれど、別に蓮太郎のことが好きなの隠してないよね? 蓮太郎も木更のこと好きだと言っているのだから、相思相愛と言ってもいい間柄のはずなのに、不思議とそういう雰囲気がないのは何故なんだろう。やはり、彼女が復讐を最優先に拘っているからなのか、貧乏すぎて恋愛どころじゃないからなのか(笑
でも、相棒とは少し違うのですけれど(相棒は延珠ですしね)、木更と蓮太郎の雇用関係とも姉弟関係とも同志という関係ともほんの少しずつズレている不思議な関係は凄く好みなので、このままうまく発展していってほしいなあ。
さて、今回の新キャラクターはサブタイトルにもなっている神算鬼謀の狙撃兵であるティナ・スプラウト。モデル・オウル―フクロウのイニシエーターというのがまた渋いなあ。神算鬼謀と銘打っているけれど、相手をハメるタイプの謀士というタイプじゃないんですよね。というよりもむしろ、生粋の兵士――コマンドでしょう。慎重で狡猾で臆病で大胆な、相手を仕留めるためにあらゆる策を練り、間隙を生み出し、罠へと誘導する。まさに狩人、まさに狙撃兵。しかも、攻撃一辺倒ではなく自分の身を守るための措置、或いは反撃してくる相手を自らの用意した死地、トラップフィールドへ落とし込み逆撃を食らわせる用意を欠かさないという、防御に回っても牙を剥くといいギラギラと研ぎ澄まされた感性は、本物のコマンドですよ、これは。そんな彼女の性格自体はぼんやりしているというくらいオットリとしていて、自分の中の一線を超えない強さと優しさを有した良い子なんですよねー。
延珠も、一巻でかわいそうになってしまった千寿夏世もそうなんだけれど、なんでイニシエーターたちはあんなにも健気なんだろう。先を望めず、怪物と罵られ恐れられ、人から忌み嫌われながら、どうしてこんなにも優しく献身的なんだろう。蓮太郎があんなにも必死になって延珠たちを悪意の視線から護ろうとするのもよくわかる。報われなけりゃいけない娘たちですよ、この子たちは。その意味では、今回の結末は本当にホッとした。もうどれだけ残酷物語が続くのか、と心折れそうなところでしたし。希望を繋ぎ止めてくれて、本当に良かった。
もっとも、単に終わりを先延ばしにして焦らされているだけかもしれないけれど……。

ちなみに、今回一番印象的だったシーンは、菫先生が半狂乱になって蓮太郎を止めようと叫び続けているシーンでした。この人も変態だし、色々壊れまくってる人なんだけれど……なんか凄く親身になってくれるのが身にしみるんですよね。彼女にかぎらず、この作品は他者を想う心の切実さ、必死さ、懸命さが痺れるように身に沁みるんだ。そういうのって、イイ作品である一つの証左だと思うのです。

1巻感想

ブラック・ブレット 神を目指した者たち4   

ブラック・ブレット―神を目指した者たち (電撃文庫 か 19-1)

【ブラック・ブレット 神を目指した者たち】 神崎紫電/鵜飼沙樹 電撃文庫

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滅亡寸前の人類を救えるのはたった一人の少年……!?

 ウィルス性の寄生生物との戦いに敗北した近未来。人類は狭い国土に追いやられ、絶望とともに生きていた。そんな暗闇に閉ざされた世界で──。
 東京エリアに住む少年・蓮太郎は、対ガストレアのスペシャリスト「民警」として、相棒の幼女・延珠とともに、日々、危険な任務を遂行していた。二人はある日、東京を壊滅させかねない極秘任務を受けるのだが……。
 スリリングな近未来ヒロイック・アクション、ここに開幕!
こーれーはー、面白いわ。しまったな、完全に出遅れてしまった。既に既刊は三巻。最新四巻も8月に発売を控えている状態で、なんとか来月までに追いつきたいところ。とりあえず二巻はこの第一巻読んで即座に入手した。
本作、なんで回避したかというと、サブタイトルがあまりにもちょっとアレな感じだったんで、こうちょっと「クール」を勘違いした少女漫画のイケメンみたいなのが主人公な、痛々しく酔っ払った感じの話なのかなあ、と思っちゃったんですよね。実際読んでみると、全然そんなことはなくて、三枚目に片足突っ込んだ二枚目半の愛嬌のある主人公で、話の方もハードさとコミカルさが絶妙にハイブリットされた、実にワタシ好みのそれでした。食わず嫌いはいかんねえ。ただ、言い訳させてもらうなら、このサブタイ、全然中身と合ってなくないですか? 誰も別に神様なんか目指してなかった気がするんですが。或いは、ただ人であることを求め、許しを請う純真な願いへのアイロニー、なのかしら。

ともあれ、一番ツボを突かれたのはやはり元名家のお嬢様でありながら、貧乏に落ちぶれてしまったメインヒロインの片割れ、木更さんでしょう。貧乏系ヒロインというのは今までも珍しくはなかったけど、どちらかというとそれらは清貧系か銭ゲバの類であって、こういうそれ女としてどうよ、というレベルの生き汚さのわりに妙にプライドも残しているというタイプは見たこと無くて新鮮だったなあ。
チワワからビーフジャーキー強奪するお嬢様って、ヒロインとしてどうなんでしょう(爆笑
リムジンの件と合わせて、木更さんのなさりようには腹を抱えて笑ってしまった。一応この人、主人公・蓮太郎の幼馴染で義理の姉で所属する民警会社の社長で上司で、その上蓮太郎が恋する相手なんですけどね……貧乏って怖いね!!
とは言え、ちゃんと格好良い女性なんですよ。自分の意志で実家と縁を切って家を出て、病弱な体に無理をさせながら信念と情念を以てなりふり構わず目的を果たすために邁進するその決然たる背姿は惚れ惚れするばかり。……まあ、貧すれば鈍する、という言葉もある通り、微妙にそのリソースが自転車操業状態の会社の維持の方と、その日暮らしの生活に持ってかれてる気もするのだけれど。
貧乏って怖いね!!
……木更さんが日々の食べ物にも困るような状態でいるのに、そう言えばなんで蓮太郎の方はわりと生活に余裕がありそうなんだろう、とふと疑問に思ったんだが、そう言えばこいつ、スポンサーが居るんだったな。しかも、女性の。
……この主人公、幼女を囲って嫁と名乗らせながら、金銭的には金持ちのヒモとなり、貧困に喘ぐ義理の姉に秋波を送っているのか。こいつ、客観的に見るとなかなか素敵に最低だな♪

一方で、この物語の世界観は終末もいいところである。何しろ、一部の都市部を除いて地球人類はほぼ壊滅しているのだから。モノリスに囲まれた都市内部は一応の平安が保たれているためになかなか実感は得られないけれど、一歩領域外を出れば、寄生生物ガストレアが跋扈する絶滅した大地、というのはなかなかに極まっている。そのガストレアからして、単なる怪物ではなく、人間に寄生し理性を崩壊させ怪物化させてしまうというパンデミック型。ゾンビものをよりハードモードにしたような設定なんですよね。
そんな追い詰められた人類の最後の拠り所の一つが、イニシエーター――「呪われた子供たち」と呼ばれる幼子たち、というのは皮肉は話だ。この子たちは生まれる以前からガストレアに感染してしまった者であり、それ故に超人的な力を有する存在である。その力は、ガストレア感染者と真っ向から戦える存在ではあるものの、ガストレアによってこの世の地獄を見た人類からすると、まさに怪物の子であり嫌悪と恐怖の対象であり、被差別者なんですね。この子たちは子宮内でガストレアウイルス因子によって肉体改造されてしまうために、DNA検査でも実際に産んだ母親との親子関係を証明出来ず、それもあってかその多くは親から見捨てられた孤児であり、また通常感染者よりも進行状況は遅いものの、ウイルスの侵食率が50%を超えればガストレア化してしまう、という運命を負わされた子供たちだ。
ヘヴィーどころの話じゃない。まだ、10歳になるかならないかという子供にすぎないというのに。
こういう、子供たちに向けられる社会の残酷で無慈悲な視線を、いや視線どころじゃない憎悪の腕を真っ向から描き、相棒の延珠を背に庇う主人公・蓮太郎を逃げずに向きあわせるスタンスは、深みにはまるを自ら良しとする真剣極まる本気の書き筋で、非常に好みだ。

出遅れたのは痛恨だが、逆に言うとすぐに続きが読めるということ。遅ればせながらも、これだけに快作を見逃さずに済んだのは幸いでした。面白かった、うん。

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜4   

飛べない蝶と空の鯱 (ガガガ文庫)

【飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜】 手島史詞/鵜飼沙樹 ガガガ文庫

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霧の上に島が浮かび、島々を行き交う交通手段は「空を飛ぶ」ことだけーー。
 「霧妖」という魔物が棲む霧の海の上を飛び、命がけで人々の「想い」を運ぶ「武装郵便屋」の少年・ウィルと、その相棒(バディ)の不思議な少女・ジェシカの物語。
 飛ぶのがヘタで風を読めないウィルと、過去の事件がきっかけで空が怖くなったジェシカ。それでも空に憧れ、飛ぶことにこだわる二人は、この世界の人々の唯一の情報伝達手段である、「封書」と呼ばれる記憶を封じ込めることができる手紙を運ぶ「郵便屋」を開業する。
 ある日、二人に<夜姫>と呼ばれる少女から「届けて欲しい」と封書が持ち込まれる。しかし、厄介なトラブルメーカーである彼女の依頼が、まともな荷物なはずがなく……。
 「影執事マルク」シリーズで人気、実力ともに評価される手島史詞が紡ぐ、最高に爽快な「空飛び」冒険ファンタジー。
 イラストは『ブラック・ブレット』『カレイドメイズ』などの繊細で美麗な絵が好評の鵜飼沙樹。
最近、チラホラと見かけるようになった、陸上がなく雲の上に浮く浮島だけが人の住む領域、という空の上の世界。必然的に、そこでは「空を翔ぶ」事が主題となり、夢となり、目標となり、場合によってはその事そのものが人と人をつなぐ絆となる。この作品もまた、そうやって「空を翔ぶ」ことに拘る二人の少年少女がメインとなってくるのだけれど、この二人がまた際立った飛翔技術を持つのに故あって高所恐怖症のジェシカと、地面の上なら喧嘩無双のウィルという、空の上駄目じゃん、というコンビでおいおい(笑
それでも、この二人は空の上がよく似合う。
引いては、二人きりがよく似合う、という方が正確か。蒼穹の果て、雲の他には何もない広大で無辺な空間の中に、ポツンと浮かぶ二人の乗った翼船。どんな狭い部屋よりも、どんなに暖かい布団の中よりも、多分お互いの存在と熱を感じ取れる二人きりの、二人だけの為の世界。
そもそも、墜ちた記憶でPTSDを発症するほどの高所恐怖症になりながら、それでもなお空を翔ぶ事にジェシカが拘るのは、決して空を飛びたいという本能だけじゃないと思うんですよね。彼女の出自からして、地上の上に居るよりも、たとえ恐怖による発作で心身が打ちのめされようとも、ウィルと二人きりで居られる「空の上」こそが一番安心できる世界なんじゃないでしょうか。普段、辛辣な態度ばかりとりながら、ふと宿で目を覚ますと自分一人きりでウィルの姿が見当たらなかった時の、ジェシカのあの狼狽え方と心細そうな様子を見てしまうと、彼女にとってのウィルの存在の大きさとは、それこそ世界に等しいものなんじゃないかと思えてくる。同時に、ウィルにとってもまた、ジェシカの存在は自身の夢と等価、というかそのものなんですよね。二人にとって最も大事な、空を翔ぶ、と言うことは、同時にお互いの存在を抜きにしては語られない、不可分の意味を持つ事なのです。空を翔ぶのではなく、二人で空を翔ぶ事こそが、彼らにとっての全てなのですから。
だからこそ、ウィルとジェシカには、ただ二人きりの空の上がよく似合う。お互いへの想いによって結ばれて空の上にある二人だからこそ、誰かに伝えるために込められた想いの結晶である「封書」を運び何があっても届ける「武装郵便屋」という仕事がよく似合う。

今回の仕事は、終わってみれば封書を届けた先の人の、生きた意味を見出し決定付ける仕事でした。同時に、その人の人生を見送る役目を担い、交わる事の出来なかった二人の男女の結末に安息を与える仕事でもありました。
この手の「手紙」を届ける仕事モノの定番と言えば定番なんですけれど、離れ離れになってしまった人生を繋ぐことって、どうしてこうも感動的なんでしょう。心残りが解かれて、しこりや後悔が想い出に変わる瞬間の、なんと清々しく優しく、切ないことでしょうか。
私としては、見送られた男もさる事ながら、残される形となり、或いはずっと続いていたものの終わりによって解放を得たヒルダの想いにこそ、想像の翼を羽ばたかせてしまいます。願うなら、その終わりの先が余生などではなく、新しい人生であれば、と思うばかりですが。まあ、想い出は大事な想い出として、今後ガツガツ生きていきそうなバイタリティ、十分ありそうですけどね、アノ人。

ともあれ、切なくも透明感ある雰囲気は素晴らしかったです。このままブレずにウィルとジェシカ、二人の、二人だけの物語を大事にしていってほしいなあ。

手島史詞作品感想

カレイドメイズ 4.眠れる玉座と夢みる未来予測4   

カレイドメイズ4  眠れる玉座と夢みる未来予測 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 4.眠れる玉座と夢みる未来予測】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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カイルたちは、ついにネーフェの失われた記憶を巡る終着点にたどり着く。現代では未踏となっていた、“世界の穴”ことサリストバール喪失遺跡。しかしそこに、“賢者の隻眼”に加え、ロナン帝国軍も介入してくるのだった。二千年前の古代魔法王国滅亡の真相に迫るとともに、それぞれの思惑が交錯しはじめる。そして、カイルとネーフェにも、究極の決断が迫られるのであった。はたして、魔法王国復興の夢と、ふたりの恋の決着は。
明るい国家計画から明るい家族計画に落ち着きまして、姫さま悲願成就おめでとう♪ エピローグ見る限り、ちゃんとやることはやっていらっしゃるようですし、本来の王国復興のための義務から解き放たれ、純粋に愛する男性と子作りに励むようになれて、よかったよかったw
まあここに至るまでに、カイルとネーフェは間に誰も割り込めない相思相愛の関係になっていたわけで、二人にとっての障害は2つ。ネーフェには王国復興を果たさなければならないという王女としての責任と、ネーフェとの関係が政治的な打算によって始まったというカイルのわだかまり、だけだったんですね。それも今回、直接的に王国が復活する可能性をつきつけられる事でネーフェには決断が迫られ、あくまで王女として王国に殉じるか、一人の娘として生きるかを選ぶことによって、決着することに。
これってなかなか酷な話だったんですよね。もし、ネーフェが未来に送られた事が必然であり、厳選された選別の結果だったとしたらともかく、ネーフェは本当にたまたま、偶然に選ばれただけで特に彼女でなければならない理由があったわけじゃなく、ほんの少し何か歯車が違っていたら他の王国民と同じように封印されていてもおかしくはなかったのです。そんなあやふやで心もとない立場で、王国の運命を決断しなければならないという境遇に追いやられた彼女が、結局最後まで心折れる事無く、逃げ出すこともなく、運命に立ち向かい続けたんですから、大したものですよ。おっとりとしてのんきな天然素材ですけれど、芯の強さについては折り紙つきのヒロインでした。そんな彼女に愛される主人公のカイルも、流されること無く自分の意志で大切な物を選択し、それを守るためにがむしゃらになれる、良い意味での頑固者でこれも芯の通った一端の主人公だったなあ。こうして見ると、実にお似合いの二人でした。
そんなメインの二人に比べて、レナートスの残念さはいったいどうしたらいいんだ、というレベルに(苦笑
この男の目先のことしか考えない視野の近眼さ、短絡さは、もう呆れを通り越して愛嬌の次元にまで達してるんですよね。ここまで馬鹿だと、憎らしさも湧いてこない。野心と欲望の塊のくせに、悪意や負の感情とは縁がないのも憎みきれないキャラの要因なんだろうけれど、それでもカイルが親友やめないのは充分心広いと思うぞ。ただ、ビアンカの相手はレナートスよりもヴェンヘルのほうがまだマシだと思う。ビアンカとレナートスがくっつくと、将来的にカイルの両親並みに悲惨な事になりそうだし。うまくいくはず無いじゃない! 絶対子供が苦労するぞw

ストーリーの方はどうやら打ち切り入ってしまったせいか、やや性急な展開で風呂敷まとめに入ってしまいましたね。軍の王弟殿下やミオの師匠なんかは本来なら最終巻よりも前に登場してキャラを掘り下げ、それぞれの目的を匂わせた上でカイルたちと因縁を絡めてから最終章の王国復活編に参戦してくる、という形が自然だったような感じでしたし。それぞれキャラが立っている割に、登場や目的の披露に唐突感があって、作中に気持ちが入っていく前に置いて行かれたみたいなところがありましたし。ちょっとでも前振りあったら、ついに来たな、と此方も居住まいを正せたんでしょうけれど。いきなり打ち切り決まってまとめに入らざるケースでは度々あるんですよね、こういうの。きっちりラストまで流れが組んである分、この手の準備不足は勿体無くて仕方がない。せめて打ち切るにしても二巻の余裕を与えてくれたら、と思わずには居られない。難しい話なんでしょうけどね。
でも、三巻のドタバタ劇のハチャメチャな楽しさを思えば、やっぱり勿体ないですよ。当初期待していた以上の良作へと順調に進化していただけに、なおさらに。
と、勿体ない勿体ないと連呼していますが、いささか最終局面へ突入することへの唐突感が否めない点だけが引っかかるだけで、ネーフェとカイルの関係にも王国の復活についても、ストーリー関係はきっちりと不足なく綺麗に決着に持って行っているので、お話としてはこの終わり方は大変満足でした。作品としてはもっと続いてくれtらうれしかったんですけれどね。
でも、この感じなら次回作も充分楽しませていただけそうです。次に改めて期待したいところです。完結、お疲れ様でした。

シリーズ感想

カレイドメイズ 3.魔法じかけの純情な感情4   

カレイドメイズ3  魔法じかけの純情な感情 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 3.魔法じかけの純情な感情】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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学院の講師となったミオは、ことあるごとにカイルにちょっかいを出してネーフェを挑発、怒り心頭のネーフェは、不利を承知で魔導万華鏡での決闘(景品:カイル)を挑むのだった。そんな彼女の姿に、カイルはある決意を胸に秘めるのだが――。
その頃、街には闇の隊商が訪れていた。そこでは超越異物や結晶獣などの危険な商品も取引されており、さらにあの眼帯男の姿があった! 半熟王女の恋と王国復興ノ野望に、新たな局面が訪れる!!
おおっ、なんか二巻から更に抜群に面白くなってる!? なんかこう、作風の焦点が合ってきたという感じがする。作品のセールスポイント、売り、或いは特徴をしっかり掴む事が適って、武器として存分に揮えるようになったという印象。キャラ自体は既に二巻の段階で立ってたと思うんですよね。特段この三巻でさらにキャラクターが立ったという感じはしない。それがどうしてこんなに躍動感を持って映えるようになったのかはなかなか考えるに興味深いポイントじゃなかろうか。重要なポイントとも言える。多分、自分の中ではこれが境界線なのだ。勿論、他にも様々なファクターはあるのだが、この感触の有る無しはダイレクトに作品への満足度に関わってくると言っていい。
その意味では、デビュー作のシリーズ以来、面白いしなんか好きなんだけれど何かもう一味足りない感じがしてずっともどかしかった作者の作品においてついにこれだっ! という手応えを感じ取れて、実はかなり嬉しかったりして。

今回の話、起きている事件や騒ぎだけを客観的に羅列するならかなり深刻で大変な事になっているし、人間の感情もわりとドロドロの黒いものが混ざっている話なのだけれど、緩急と言ったらちょっと違う気がするのだが、緊張感を張り詰め過ぎずに小気味良いタイミングで肩の力を抜く様な、あるいは身も蓋もなさに腰砕けになってしまうような軽妙なノリが挟まってくるんですよね。総じて登場人物から街の気風から大らかというか楽天的というか全然深刻ぶらないところがあるので、お話の雰囲気は独特の惚けたノリに終始している。これがまた面白いと言うか味わい深いというか、なんかもう楽しい。思わず吹いてしまう場面に繰り返し遭遇してしまって、一巻通してニコニコしたまま読み終えてしまった。本人達はそれなりに一生懸命で必死ぶっこいていらっしゃるのだけれど、それすらもが面白可笑しい。
そんな中で微笑ましいのが、主人公のカイルとヒロインのネーフェの初々しい、あるいは辿々しいばかりの恋模様でしょう。父親へのトラウマから恋愛について一線を引いているカイルなんだけれど、もうさすがにこのネーフェの一途なアプローチには抗しきれなかったらしく、どうやら覚悟を決めた模様。流されずにきちんと決められたのはエラいよ。何だかんだと彼がネーフェの事が大好きだというのは、彼女の裸が別の男性に見られた時の氷の魔王のようなブチ切れっぷりを見れば一目瞭然でしょう。ってか、あのカイル怖すぎw
ネーフェの方も、ミオという余計なちょっかいを掛けてくる相手が出てきたことで焦りまくるのですが、やっぱり嫉妬する姿が可愛い女の子はヒロインとして飛びっきりだよなあ、うん。
巨大結晶獣が現れた時の学院の先生連中の登場シーンの格好よさと、その後のこすっからさには素晴らしく吹きました。あんたら教職のくせに色々と我欲強すぎw まあ教員というよりも研究職がメインなので分からなくもないのですけれど、揃いも揃って生徒に舌打ちするな(笑
レナートスは相変わらずの残念イケメンっぷり、ブレないなあ。というかブレなさすぎてこのキャラ、親友キャラとしては面白すぎる人になってるぞ。前回の魔剣に引き続き、今回の魔剣も凄まじいとすら言っていいものだったし。もう笑った笑った。威力の強力さに対する副作用がしょうもなさすぎるw しょうもないけれど、恐ろしすぎるw
未だかつてあれほど恐怖に戦慄を覚えながらしょうもないさに腰砕けになった名前の魔剣は見たこと無いぞ(爆笑
でも、最後はちょっと見なおした。アレなやつだけれど、あれでちゃんと親友なんだ、レナートス。作中で主人公、ガチに殺しに行ってるけどw まああれはキレても仕方ない、うん。
そういえば、主人公の短気さはわりと学内では有名なんだな。彼の二つ名というか異名が【起きやすい眠れる獅子】と呼ばれたのには笑った笑った。確かにわりと簡単に目を覚ますよ、このライオン。

1巻 2巻感想

カレイドメイズ 2.もえない課題とやける乙女心3   

カレイドメイズ2もえない課題とやける乙女心 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 2.もえない課題とやける乙女心】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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ムチを持ったライバル登場!?
王国復活(=子作り)へ王女さま大奮闘!


カイルたちは古代魔法王国の時代から続く秘祭の調査に向かう。その村には未調査の遺跡もあり、研究者魂をくすぐられたカイルは、王国復活の野望(=子作り)に燃えるネーフェの天然ぼけアプローチをかわしつつ、調査にはげむ。そんなふたりの前に、超越遺物(アーティファクト)を持った妖艶な少女ミオが現れた。なぜか彼女もカイルに興味を持ったらしく、親しげに急接近してきて――!? ライバル登場、三角関係勃発! 半熟王女に勝機はあるのか!?
青信号でも渡れない横断歩道の原因は?
というわけで、あらすじでは三角関係勃発、なんて煽ってはいるものの、ぶっちゃけネーフェとカイルって殆ど青信号の両想いなんですよね。最初はカイルの血筋だけが目的だったネーフェですが、交流とアプローチを続けていくうちに血筋は大事だけれどもその相手はカイルじゃなきゃいやだ、と思うくらいにはカイルのこと、好きになっている。ただ世間知らずの古代のお姫様であるネーフェは一般常識からややも外れているために、どうしてもその言動から素直な気持ちが伝わりにくい。単純にカイルが好き、というだけのことが当人に伝わらない。カイルから見ると、ネーフェは自分じゃなくても魔法王国の血筋が残っているなら誰でもいいんじゃないのか、という思いがあるわけで、男の意地としても見栄としても彼女のアプローチに素直に応じるわけにはいかないのだ。
勿論、そんな男の意地なんぞくだらない、という向きもある。今回発覚したのが、何だかんだとカイルもネーフェの事、好きだったという点だ。本人が自覚しているかはまだ微妙なところだけれど、ビアンカが呆れてたみたいにもう彼自身のネーフェへの気持ちって定まってるんですよね。だったら、ネーフェがどう思ってようと関係ない。彼女が自分に興味を示してくれているのは間違いないんだから、血筋だけじゃなく自分自身を見てくれるように頑張ればいいじゃないか、という話になるのだけれど、そこで絡みついてくるのがカイルの父親へのトラウマなのだ。父の男親としては目も当てられないひどい生き様に、カイルはとてつもない嫌悪と敵愾心を抱いている。結果的にカイルは「父親」というカテゴリーそのものに生理的な嫌悪感を持ってしまってるんですよね。だから、自分が「父親」になるという事に対しても考えられない、耐えられない、有り得ない、という頑ななまでの思い詰めた決心が彼の中にはあるわけです。
男の見栄と意地、それに父親という存在への嫌悪が絡まりに絡まった挙句、子作りしてくださいと迫ってくるネーフェに対して、押すことも引くことも出来ない精神的な膠着状態に陥ってしまっているのである。両思いにも関わらず、カイルとネーフェの仲がどうにも進行しにくくなっているのにはこうした原因が横たわっているわけだ。
それでも、カイルがネーフェを全霊をかけて守ると誓ったように、ネーフェが過去にとらわれずカイルと現代を生きると決意したように、二人のお互いを想う気持ちは一緒に過ごし、ともに困難を超えていくことで深まるばかりである以上、いずれは壁となって立ちふさがり、鎖となってがんじがらめにしているものを乗り越え引きちぎって、なるようになる事になるんだろうけれど、そう簡単にもいかないのも確かな話。というわけで、ミオという第三要素を二人の間に投入することで化学変化を起こそうという魂胆なのでしょう。ただ、キャラ的にネーフェからヒロインの座を奪うようなガツガツした娘じゃなさそうだし、こりゃ本格的に刺激物、ってだけなのかもなあ。
むしろ立場的には敵の中の味方、という感じで重要な立ち回りを強いられるようなキャラなきがしてきたぞ。わりと苦労するポディションなんじゃないのか、と思えてきた。

その肝心の黒幕に該当するであろう組織だけれど、これは思ってたよりも複雑な背景がありそうだなあ。何かの確固とした思想や精神性がある組織なら簡単に「敵」として相対せるのだろうけれど、どうも私利私欲や恣意が挟まれることの少ない公共機関という気配がしてきたぞ。こういう組織が相手の方が厄介だったりするんですよね。ただし、そのエージェントであるあの男については、胡散臭さ大爆発ですが。


なかなか解けそうにない雁字搦めに掛かりかけてるネーフェとカイルの関係ですけど、でも何だかんだとうまくいきそうなこちらと比べて、むしろ暗澹としているのがビアンカとレナートスの方なんじゃないかと危惧してしまう。ビアンカはまるで気にしてなさそう、どころか明らかに負の感情が。まあレナートスがあれじゃあなあ。特に今回はラストのあれは致命的だぞ。カイルが呆れ果てるのも無理ない。仮にも惚れてる相手に対してする行動じゃないしw 

1巻感想

カレイドメイズ 半熟姫のあかるい国家計画4   

カレイドメイズ  半熟姫のあかるい国家計画 (角川スニーカー文庫)

【カレイドメイズ 半熟姫のあかるい国家計画】 湖山真/鵜飼沙樹 角川スニーカー文庫

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お姫さまに襲われる!?
子作りも王国復活のためなのです! byネーフェ王女


魔導万華鏡(カレイド・ショット)使いのカイルと相棒のレナートスは、古代魔法王国の遺跡を探索し、隠された部屋を見つける。なんとそこには王国最後の王女ネーフェが眠っていた! 二千年の時を超えて目覚めたネーフェは、祖国の滅亡にショックを受けるが、王国復興のため「まずは子孫をふやすのです!」とカイルにせまり!?一方、王女の覚醒とともに、世界に災厄を呼ぶ超越遺物(アーティファクト)が遺跡から発見されていた! 天然半熟姫を巡る冒険ファンタジー、スタート!!

冒頭初っ端から酷い修羅場を見せつけられた件について(笑
いやもう、なにこれひどいw いきなり父親の浮気現場に踏み込んだ母親に連れられて、父親が粛清される場面を見せつけられる主人公、というところからはじまった日には、そりゃあ掴みは上々である。どう見ても、主人公の人格形成がいささか歪んだというか冷めたものになってしまっているのが一目瞭然だもんなあ。
あらすじを読む限り、天然奔放な変人お姫様に振り回されるパターンの話だとすっかり誤解していたのだけれど、実際に読んでみるとお姫様は確かに世間知らずで天然っぽいけれど、性格は温厚で素直、物分りもよく頭脳明晰で可憐でお淑やか。わりと常識人だった。
むしろ主人公をはじめとした周りの連中の方が明らかに変人なのである。一件、主人公もまともに見えるんだけど、話が進むに連れて馬脚を現してくるんですよね。母親のかなり壊れた薫陶もさる事ながら、明らかに偉人変人な父親の方の血も継いでいるのが明らかで、両者の秀でた、あるいは一線を超えた部分が結合して、かなりとんでもない人間になってる気がするぞ、この主人公。なまじ、常識人に見えるあたりがヤバい。よくよく付き合わないとダマされる。
というわけで、舞台が常識や倫理や秩序や場合によっては自分の命や他人の命よりも、好奇心や研究を優先するという学者バカが集う学術研究機関であるが為に、主人公も友人も先生も、すべからく一本線が抜けているために、特にラストらへんのしっちゃかめっちゃかっぷりは酷い有様に(笑
みんな、色々と我欲に正直すぎるw
とはいえ、みな変人ぞろいとは言え、根はいい人だし、ねちっこくドロドロとした部分もないので、気負わずドタバタなノリに興じることの出来る良質のコメディだ。中盤以降、世界観やキャラの手応えや感触を作者が掴んだあたりからだろう、話のリズムやキャラ同士の軽妙な掛け合いのテンポもグイグイ乗ってきて、ラストらへんはかなり大笑いさせてもらった。レナートスのビアンカへの所業がもう、酷いのなんの。あれはアウトだろう。殺されても文句言えないぞ。だいたい、なんで暗記しちゃってるんだよ。どんだけ好きなんだw
ラブコメとしても、最初は無邪気な義務感からはじまったお姫様のカイルへのアプローチが、一緒に過ごすうちに本物の想いへと段々と移り変わっていく様子がなかなかラブくて、ニヤニヤものでした。なんだい、仲いいじゃないw
ともあれ、前作よりもいい意味でこなれてきて、これは楽しみなシリーズになりそうです。期待。
 

7月4日

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稲垣理一郎/Boichi
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7月1日

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ナナシまる
(角川スニーカー文庫)
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shiryu
(角川スニーカー文庫)
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あまさきみりと
(角川スニーカー文庫)
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ミヤ
(角川スニーカー文庫)
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榊一郎
(HJ文庫)
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たすろう
(HJ文庫)
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シクラメン
(HJ文庫)
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かみや
(HJ文庫)
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ぎんもく
(FUZコミックス)
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晩野
(FUZコミックス)
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明地雫/霜月緋色
(HJコミックス)
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森山ゆっこ/はむばね
(HJコミックス)
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黒野ユウ/遠野九重
(B’s-LOG COMICS)
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大和田秀樹
(近代麻雀コミックス)
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6月30日

之 貫紀
(エンターブレイン)
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kawa.kei
(エンターブレイン)
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槻影
(エンターブレイン)
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白水 廉
(エンターブレイン)
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丸山 くがね
(エンターブレイン)
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鹿角フェフ
(GCノベルズ)
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力水
(モンスター文庫)
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蒼井美紗
(Mノベルス)
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よねちょ
(Mノベルス)
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あきさけ
(Mノベルス)
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唐澤 和希
(ヒーロー文庫)
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中野 在太
(ヒーロー文庫)
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新城一/海月崎まつり
(KCx)
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キダニエル/四葉夕卜
(KCx)
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6月29日

榊 一郎
(講談社ラノベ文庫)
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弥生 志郎
(講談社ラノベ文庫)
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雨宮 和希
(講談社ラノベ文庫)
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虎走 かける
(講談社ラノベ文庫)
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謙虚なサークル
(講談社ラノベ文庫)
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深山 鈴
(Kラノベブックス)
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右薙 光介
(Kラノベブックス)
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火事屋/蛙田アメコ
(ライドコミックス)
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真鍋譲治/すかいふぁーむ
(ライドコミックス)
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伊吹 亜門
(星海社FICTIONS)
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柴田 勝家
(星海社FICTIONS)
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6月28日

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6月27日

浦上ユウ
(電撃コミックスNEXT)
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猫夜叉/亀小屋サト
(電撃コミックスNEXT)
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たくま朋正/伊藤暖彦
(電撃コミックスNEXT)
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綾村切人/ナフセ
(電撃コミックスNEXT)
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結城鹿介/髭乃慎士
(電撃コミックスNEXT)
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幌田
(まんがタイムKRコミックス)
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6月25日

十文字青
(オーバーラップ文庫)
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鬼影スパナ
(オーバーラップ文庫)
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迷井豆腐
(オーバーラップ文庫)
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篠崎 芳
(オーバーラップ文庫)
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寺王
(オーバーラップ文庫)
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御鷹穂積
(オーバーラップ文庫)
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メグリくくる
(オーバーラップ文庫)
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雨川水海
(オーバーラップノベルス)
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江口 連
(オーバーラップノベルス)
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和島 逆
(オーバーラップノベルスf)
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KK
(オーバーラップノベルスf)
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雨川透子
(オーバーラップノベルスf)
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6月24日

芝村 裕吏
(MF文庫J)
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志瑞祐
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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長月 達平
(MF文庫J)
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月見 秋水
(MF文庫J)
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三月みどり
(MF文庫J)
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花間燈
(MF文庫J)
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衣笠彰梧
(MF文庫J)
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常世田健人
(ダッシュエックス文庫)
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ジルコ
(ダッシュエックス文庫)
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疎陀陽
(ダッシュエックス文庫)
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九十九弐式/すかいふぁーむ
(ダッシュエックス文庫)
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甘岸久弥
(MFブックス)
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yokuu
(MFブックス)
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天ノ瀬
(MFブックス)
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ラチム
(MFブックス)
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櫻井 みこと
(MFブックス)
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御手々 ぽんた
(MFブックス)
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支援BIS
(KADOKAWA)
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藤也卓巳
(あすかコミックスDX)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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ひろやまひろし
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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ぶんころり/プレジ和尚
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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水無月すう
(角川コミックス・エース)
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鈴見敦/八又ナガト
(角川コミックス・エース)
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御宮ゆう/香澤陽平
(角川コミックス・エース)
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人生負組
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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神地あたる/白米良
(ガルドコミックス)
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黒杞よるの/雨川水海
(ガルドコミックス)
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村光/ベニガシラ
(ガルドコミックス)
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七六/鬼影スパナ
(ガルドコミックス)
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天羽銀/迷井豆腐
(ガルドコミックス)
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白砂/麻希くるみ
(ガルドコミックス)
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木乃ひのき/雨川透子
(ガルドコミックス)
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6月23日

日向夏/ねこクラゲ
(ビッグガンガンコミックス)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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小林湖底/りいちゅ
(ビッグガンガンコミックス)
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深見真/真じろう
(ビッグガンガンコミックス)
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金田一蓮十郎
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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萱島雄太
(ヤングガンガンコミックス)
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優風
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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栗井茶
(ヤングガンガンコミックス)
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6月22日

浅草九十九/和ヶ原聡司
(MFコミックス アライブシリーズ) Amazon Kindle B☆W DMM


安里アサト/シンジョウタクヤ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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中山幸
(MFコミックス アライブシリーズ)
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三ツ矢だいふく
(MFコミックス アライブシリーズ)
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内藤隆/榎宮祐
(MFコミックス アライブシリーズ)
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花鶏ハルノ/相川有
(MFコミックス アライブシリーズ)
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久真やすひさ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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衣笠彰/紗々音シア
(MFコミックス アライブシリーズ)
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フジカワユカ/理不尽な孫の手
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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藍屋球/アネコユサギ
(MFコミックス フラッパーシリーズ)
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クマガエ/宮澤ひしを
(イブニングKC)
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カルロ・ゼン/石田点
(モーニングKC)
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泰三子
(モーニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニングKC)
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瀬下猛
(モーニングKC)
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NICOMICHIHIRO
(モーニングKC)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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鍵空とみやき
(ガンガンコミックスJOKER)
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藤近小梅
(ガンガンコミックスJOKER)
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田代哲也
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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村田真哉/速水時貞
(ガンガンコミックスJOKER)
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都月景/いふじシンセン
(ガンガンコミックスJOKER)
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殿ヶ谷美由記
(ガンガンコミックスpixiv)
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6月20日

風間レイ
(TOブックス)
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ほのぼのる500
(TOブックス)
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楢山幕府
(TOブックス)
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リッキー
(TOブックス)
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こりんさん
(GCN文庫)
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武田すん
(ヤンマガKCスペシャル)
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ペトス/橋本カヱ
(ヤンマガKCスペシャル)
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千田大輔
(ヤンマガKCスペシャル)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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小坂泰之
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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6月19日

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6月17日

上遠野浩平/カラスマタスク
(ジャンプコミックス)
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野田サトル
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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原泰久
(ヤングジャンプコミックス)
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双龍
(ヤングジャンプコミックス)
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深川可純/広報広聴課ゾンビ係
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ
(ヤングジャンプコミックス)
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中山敦支
(ヤングジャンプコミックス)
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光永康則/入鹿良光
(ヤングジャンプコミックス)
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ソウマトウ
(ヤングジャンプコミックス)
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中村力斗/野澤ゆき子
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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松江名俊
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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栗山ミヅキ
(少年サンデーコミックス)
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高橋留美子
(少年サンデーコミックス)
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草場道輝/高谷智裕
(少年サンデーコミックス)
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福井セイ
(少年サンデーコミックス)
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安西信行
(少年サンデーコミックス)
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新井隆広/青山剛昌
(少年サンデーコミックススペシャル)
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日向夏/倉田三ノ路
(サンデーGXコミックス)
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麻生羽呂/高田康太郎
(サンデーGXコミックス)
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池澤真/津留崎優
(裏少年サンデーコミックス)
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山田 リツ
(裏少年サンデーコミックス)
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寺嶋裕二
(講談社コミックス)
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三宮宏太/西田征史
(講談社コミックス)
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ヒロユキ
(講談社コミックス)
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福留しゅん/天城望
(フロースコミック)
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伊吹有/葉山湊月
(フロースコミック)
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羊太郎
(富士見ファンタジア文庫)
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三河 ごーすと
(富士見ファンタジア文庫)
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桜生 懐
(富士見ファンタジア文庫)
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陸奥 こはる
(富士見ファンタジア文庫)
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高橋 びすい
(富士見ファンタジア文庫)
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恵比須 清司
(富士見ファンタジア文庫)
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三原 みつき
(富士見ファンタジア文庫)
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あボーン
(富士見ファンタジア文庫)
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白井 ムク
(富士見ファンタジア文庫)
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綾里けいし
(ガガガ文庫)
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カミツキレイニー
(ガガガ文庫)
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伊崎喬助
(ガガガ文庫)
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平坂 読
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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猿渡かざみ
(ガガガ文庫)
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緒二葉
(ガガガ文庫)
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川上 稔
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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草薙 刃
(電撃の新文芸)
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時田 唯
(電撃の新文芸)
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6月16日

樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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松岡健太
(マガジンエッジKC)
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さとうふみや/天樹征丸
(講談社コミックス)
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あだちとか
(講談社コミックス)
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和武はざの
(講談社コミックス月刊マガジン)
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6月15日

石田リンネ(富士見L文庫)
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猫田パナ(富士見L文庫)
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佐々木禎子(富士見L文庫)
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仲町鹿乃子(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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竹岡葉月(富士見L文庫)
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鍋敷(アース・スターノベル)
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LA軍(アース・スターノベル)
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天然水珈琲
(アース・スターノベル)
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西尾維新(講談社文庫)
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葛城阿高(ビーズログ文庫)
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ぷにちゃん(ビーズログ文庫)
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小田ヒロ(ビーズログ文庫)
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綾河ららら
(サーガフォレスト)
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バッド(サーガフォレスト)
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真安一(サーガフォレスト)
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カヤ(サーガフォレスト)
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コイシ/緑黄色野菜
(コロナ・コミックス)
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よこわけ/やしろ
(コロナ・コミックス)
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わかば/白露雪音
(コロナ・コミックス)
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小田山るすけ/たつきめいこ
(コロナ・コミックス)
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6月14日
ふか田さめたろう
(GA文庫)
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星奏なつめ(GA文庫)
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冬坂右折(GA文庫)
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白石定規(GAノベル)
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星崎崑(GAノベル)
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えぞぎんぎつね
(GAノベル)
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三木なずな
(GAノベル)
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カイシャイン36
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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6月13日


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6月12日

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6月10日

荒川弘
(ガンガンコミックス)
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天那光汰/梅津葉子
(ガンガンコミックス)
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おーしおゆたか
(角川コミックス・エース)
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猫田ゆかり
(角川コミックス・エース)
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リムコロ
(角川コミックス・エース)
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冥茶/萩鵜アキ
(角川コミックス・エース)
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浅野りん/ヤングエース編集部
(角川コミックス・エース)
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春花あや
(角川コミックス・エース)
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経験値/TYPE−MOON
(単行本コミックス)
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佐島勤/おだまさる
(電撃コミックスNEXT)
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古宮九時/越水ナオキ
(電撃コミックスNEXT)
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ベキオ/ていか小鳩
(ガンガンコミックスONLINE)
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森田季節/シバユウスケ
(ガンガンコミックスONLINE)
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顎木あくみ/みまわがお
(ガンガンコミックスONLINE)
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加藤衣緒
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/夏海ケイ
(ガンガンコミックスONLINE)
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竜騎士07/刻夜セイゴ
(ビッグガンガンコミックス)
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飯島浩介/汐里
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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イノウエ
(サンデーうぇぶりSSC)
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こじまたけし
(サンデーうぇぶりSSC)
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白井もも吉
(サンデーうぇぶりSSC)
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オジロマコト
(ビッグ コミックス)
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サンドロビッチ・ヤバ子/だろめおん
(裏少年サンデーコミックス)
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田村由美
(フラワーCアルファ)
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もこやま仁
(裏少年サンデーコミックス)
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影崎由那/川獺右端
(アース・スターコミックス)
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相模映/吉田杏
(アース・スターコミックス)
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となりける/shiryu
(アース・スターコミックス)
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ユンボ/風楼
(アース・スターコミックス)
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秋乃かかし/裂田
(アース・スターコミックス)
Amazon


東崎惟子(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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三雲岳斗(電撃文庫)
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和ヶ原聡司(電撃文庫)
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白金透(電撃文庫)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃文庫)
Amazon B☆W


佐島勤(電撃文庫)
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二月公(電撃文庫)
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鏡遊(電撃文庫)
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真代屋秀晃(電撃文庫)
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周藤蓮(電撃文庫)
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瀧岡 くるじ
(カドカワBOOKS)
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小田 ヒロ
(カドカワBOOKS)
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壁首領大公
(カドカワBOOKS)
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七夕 さとり
(カドカワBOOKS)
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KK(カドカワBOOKS)
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うみ(カドカワBOOKS)
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ふか田 さめたろう
(宝島社)
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魔石の硬さ
(TOブックス)
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ニシキギ・カエデ
(TOブックス)
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地雷酒(TOブックス)
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サンボン
(TOブックス)
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蒼月海里(角川文庫)
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椹野道流(角川文庫)
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森見登美彦/原案:上田誠
(角川文庫)
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桑原水菜(角川文庫)
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仁木英之(角川文庫)
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6月9日

石塚千尋
(講談社コミックス)
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荒川弘/田中芳樹
(講談社コミックス)
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奈良一平
(講談社コミックス)
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小玉有起
(KCデラックス)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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高田裕三
(シリウスKC)
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長谷川三時/七烏未奏
(シリウスKC)
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ヤスダスズヒト
(シリウスKC)
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村上よしゆき/茨木野
(シリウスKC)
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K9/小林裕和/支援BIS
(シリウスKC)
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冬葉つがる
(シリウスKC)
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樋野友行/瀬戸メグル
(シリウスKC)
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刀坂アキラ/加茂セイ
(シリウスKC)
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光永康則
(シリウスKC)
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西田拓矢/海空りく
(シリウスKC)
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松琴エア/はにゅう
(シリウスKC)
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原口鳳汰/カラユミ
(KCデラックス)
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山本やみー/門馬司
(KCデラックス)
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一二三
(KCデラックス)
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がしたに/MITA
(KCデラックス)
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うかみ
(KCデラックス)
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エターナル14歳/御子柴奈々
(KCデラックス)
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桜野みねね
(BLADEコミックス)
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森野きこり
(BLADEコミックス)
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6月8日

かみはら(早川書房)
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西尾維新(講談社)
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ちんねん/能一ニェ
(BRIDGE COMICS)
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佐藤二葉
(星海社COMICS)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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6月7日

泉光
(アフタヌーンKC)
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TNSK
(アフタヌーンKC)
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水瀬るるう
(まんがタイムコミックス)
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琴子/TCB
(ガンガンコミックスONLINE)
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枢呂紅/優月祥
(ガンガンコミックスUP!)
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雨後一陽/とちぼり木
(ガンガンコミックスUP!)
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西島ふみかる/白縫餡
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雨沢もっけ
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ふか田さめたろう/松元こみかん
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えぞぎんぎつね/春夏冬アタル
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リキタケ/三木なずな
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