(株)SMサービス 斬れない剣士・海東雷士郎の護衛メイド派遣業 (Novel 0)

【(株)SMサービス 斬れない剣士・海東雷士郎の護衛メイド派遣業】 舞阪洸/ みかわや Novel 0

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日々の警護からから掃討戦<おそうじ>まで。SMが舞う剣戟アクション!
国家試験に受かれば「武士」の資格を得て帯刀できる現代日本。
剣の才を持ちながら、血が怖いという欠点を抱える主人公・海東雷士郎は、病床に伏した父の代わりに、家業の護衛会社の社長として美人剣士4人と働くことになった。
しかし、信用が物を言う護衛業界で新参の若社長では相手にされない。どうしたものか、と頭を悩ませる社員達の前で雷士郎が提案した起死回生の一手は……全員メイド服で仕事をすること!?

帯刀できる現代日本、というと舞阪さん他にも幾つか同じ設定で作品出しているのだけれど、これって全部世界観共通してるんだろうか。メインヒロインの美月からして、天心無明流という流派の剣術を使うのだけれど、これ他の作品でも共通してるんですよね。

ただ、レーベルがちょい大人向けと自称する「Novel 0」であるせいか、結構な勢いでずんばらりんと胴体が両断されたり頭蓋が縦やら横やらにパカンと割られたり、脳漿が飛び散ったりと描写が他のライトノベルレーベルで書かれたシリーズよりもより生々しくなっている感あり。剣戟アクションそのものは、剣術の理合重視かつスピード感あるもので活劇として見応えあるものでありまして、強敵と決闘形式というよりも、有象無象が退去して押し寄せてくるのをバッタバッタと切り捨てていく、というある意味正しく古き善き殺陣の舞とも言えるのかしら。
でも、現代日本でこれだけバッタバッタと切り捨てるような戦闘がけっこう頻繁に起こる、というのは凄まじく治安に不安があるんですけどね! そもそも、常日頃からこんなガチの切り合いをする民間警備会社が繁盛している、という時点でどれだけ襲撃事件起こってるんだよ、という話ですが。警察の登場は事が終わったあと、となっているみたいですし。
さながら、現代版吉良邸討ち入り、みたいなのがあっちこっちで起こってるってことですしねえ。
警備会社の社員の死傷率、めちゃくちゃ高そう。でも、作中の様子を見ていると警備会社の社員やってる人間と、襲撃側に雇われる傭兵とでは力量の差が相当ありそうなんですよね。仕事のたんびに社員が怪我したり再起不能になったり死んだりしてたら、会社そのものが成り立たんでしょうしね。
それでもまあ、普通のところは少なからず死傷者出てるんでしょうけれど、本作の主人公となる雷士郎の会社の美人剣士たちは新卒採用の1人を除いて、全員凄腕揃い。ってか、他の子らとは何段も腕が落ちると評されている新卒の子ですら多対一でも怪我なく立ち回れてるのだから、これはもう味方がピンチになるのをハラハラして見守る云々はないものとして、とにかく有象無象をメイド剣士たちがずんばらりんしまくる痛快活劇、として弁えておけばいいんじゃなかろうか。
にしても、だ。メイドの格好をしているとはいえ本当に格好だけでメイドの仕事をするわけじゃあないんですよね。あくまで護衛の制服としてメイド服なだけだし。これは戦闘メイドのカテゴリーに当てはめていいものか。単なるコスプレじゃん、と入れると否定出来ないぞ。
まあ戦闘力に関しては折り紙付きの(株)SMサービスですが、お世辞にもこう、会社運営というか仕事の精度に関しては高いかというと怪しい感じなんですよね。情報漏えいをはじめとして、かなりバレたらそれアウトじゃないの、という失態が幾つかありましたし、そもそも若社長代理の血がダメって設定、かなりまずいんじゃなかろうか。あれ、会社として致命的に信用落としそうなんだよなあ。
結局、完全にドツボにハマったのを、自前戦力の力押しで強引に押し切った、という体でしたし。
若社長、営業方針の転換は必要だしなんかやらかしてやんぜ、という意欲というか野心はいいんだけれど、足元固めないと綱渡りだぞ。部下は若の判断仰がずに独断専行しちゃってるし。
女性比率は高めだけれど、ちゃんとしたヒロインは美月さんだけっぽいなあ。最初から主人公に乙女心全開、というのはけっこう作者の作品の中では珍しいかも。ただ、乙女していると言っても中身は自堕落・ギャンブル狂のダメ人間なのですが。人を斬るの大好き!という性癖が全然無いだけでも大いにマシなのかもしれませんが。
しかし、こんな少人数の会社で株式会社なの!? と思ったら、最近の会社法では取締役1人からでもなんとかなるように改正されてたんだなあ。まあ、世界観そのものが実際とは大きく異なってる社会なので、法律も全然異なるのでしょうけれど。

舞阪洸作品感想