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Babel

2020年12月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  


読んだ本の数:27冊 うち漫画:2冊

おつかれー。な、年末進行でした。本を読むにも体力気力がいる年齢になってきて、冬場はわりと毎年読めてたんですけどねえ。12月は帰宅してからもバッタリ、というケースが続き、腕を痛め、身体にも発疹が出て、とだいぶ疲れてたみたいです。
あんまり読めなかったなあ。

とりあえず、文庫版では打ち切られてしまいとうとう登場することなく終わってしまった【Babel】が、単行本による新装版でついに真ヒロインであるオルティア様が登板してくれたことが何より嬉しかった。凄かった。もうたまらんかった。最高でしたよ。
また、積んだまま置いてしまっていた中で、このラノのランキングをきっかけに読んだ【こわれたせかいの むこうがわ】が、これがもうわたし的にストライクで、クリティカルヒットでした。
またもう一作のGA文庫の新人賞作品【竜歌の巫女と二度目の誓い】もまた、キャラの心情を丁寧に掘り下げていき、解体していった上で他の人とつないでいく、というのがまた最高に好みでした。
そして、すえばしけんさんの復活作。これがまた期待通りのすえばし節で、大変結構でありました。


★★★★★(五ツ星) 1冊

Babel III 鳥籠より出ずる妖姫】  古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸(2020/12/17)


【Babel III 鳥籠より出ずる妖姫】  古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸

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このシリーズにおける真・ヒロインであるオルティアと、異邦人・雫との運命の出会い。
一方的に生命を脅かし強いる関係だった二人は、いつしかお互いの運命を預け合い手を取り合う関係になっていた。交わるはずの無かった二人の少女の、至尊の友情の姿をここに……。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 2冊

こわれたせかいの むこうがわ 〜少女たちのディストピア生存術〜】 陸道 烈夏/カーミン@よどみない 電撃文庫(2020/3/10)
竜歌の巫女と二度目の誓い】  アマサカナタ/ KeG GA文庫(2020/12/10)


【こわれたせかいの むこうがわ 〜少女たちのディストピア生存術〜】 陸道 烈夏/カーミン@よどみない 電撃文庫

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親を失い貧困を極め日々を生きるだけで精一杯だった少女が、拾ったラジオから流れてくる知識を蓄え、生きる術を身につけていく。智慧を得て、科学を理解し、社会を学んでいく。たった一人で人類史の発展を体現するように成長していく姿は、まさに人類の叡智の体現でした。


【竜歌の巫女と二度目の誓い】  アマサカナタ/ KeG GA文庫

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生まれ変わった彼女は、かつて自分を陥れ殺した相手に救われて、彼のもとで働くことになる。かつて慕った騎士。自分を騙して殺した裏切り者。愛情と憎しみが混在し、矛盾した心に揺さぶられながら、自分が消えたあとの「救われた街」を見つめる諦観と後悔。複雑極まる人の心の内実を、妥協せずこれでもかと掘り下げ描ききった傑作でした。


★★★★(四ツ星) 6冊

クロの戦記 5 異世界転移した僕が最強なのはベッドの上だけのようです】 サイトウアユム/むつみまさと HJ文庫(2020/12/1)
生活魔術師達、ダンジョンに挑む】 丘野境界/東西 宝島社(2018/2/22)
グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む】  佐伯 庸介/花ヶ田 電撃文庫(2020/12/10)
メイデーア転生物語 4.扉の向こうの魔法使い(中)】  友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫(2020/12/15)
オーク英雄物語 2 忖度列伝】  理不尽な孫の手/朝凪 富士見ファンタジア文庫(2020/12/19)
フシノカミ 4 ~辺境から始める文明再生記~】  雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス(2020/12/25 )
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6】  大森 藤ノ/ヤスダ スズヒト GA文庫(2014/11/14)
元世界最強な公務員 1.帰還勇者、身分を隠してたのに新人冒険者の世話をすることになりました】  すえばし けん/キッカイキ HJ文庫(2020/12/28)


【クロの戦記 5 異世界転移した僕が最強なのはベッドの上だけのようです】 サイトウアユム/むつみまさと HJ文庫

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【生活魔術師達、ダンジョンに挑む】 丘野境界/東西 宝島社

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【グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む】  佐伯 庸介/花ヶ田 電撃文庫

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【メイデーア転生物語 4.扉の向こうの魔法使い(中)】  友麻碧/雨壱 絵穹 富士見L文庫

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【オーク英雄物語 2 忖度列伝】  理不尽な孫の手/朝凪 富士見ファンタジア文庫

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【フシノカミ 4 ~辺境から始める文明再生記~】  雨川水海/大熊まい オーバーラップノベルス

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【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6】  大森 藤ノ/ヤスダ スズヒト GA文庫

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【元世界最強な公務員 1.帰還勇者、身分を隠してたのに新人冒険者の世話をすることになりました】  すえばし けん/キッカイキ HJ文庫

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Babel III 鳥籠より出ずる妖姫 ★★★★★   



【Babel III 鳥籠より出ずる妖姫】  古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸

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大国キスクを訪れた雫。妖姫と謳われる王妹オルティアとの対決へ。

この大陸の在り方にまつわる秘匿された真実を、ファルサス王から知らされた雫とエリク。その情報の中から日本帰還への糸口を見いだした二人は、再び旅に出ようとしていた。
だがその時、突如現れた使者に雫は選択を突きつけられる。招かれた先はかねてよりきな臭い噂が絶えなかった大国キスク。彼女に求められた役割は、残忍で知られる王妹オルティアの遊び相手だという。

「それで? お前は何ができる? 自らの口で述べてみよ」

成り行きから雫は、流行り病とされる言語障害の対処法を確立するという大役を負うことに。失敗すれば待つのは無残なる死。旅の庇護者であったエリクのいない中、雫は一人手探りで解決策を探す。
そして孤独の姫オルティアとの対峙を重ねるうちに彼女の心根を知り、二人の間柄にも変化が生まれていくのだが……。
ああ、凄い一冊だった。
この一冊のなかで、幾人の運命が変わってしまったか。そして、雫とオルティア。二人の女性の人生の歩みは根底から変わってしまった。果たして、この巻がはじまった時の雫とオルティアと、キスクでの物語がひとまずの終わりを迎えた時の二人とでは、紛れもなく同一人物にも関わらず同じ彼女たちには見えない。別人のように、とは言うまい。彼女らの芯の部分は最初から最後まで何一つ変わっていない、それでもこれだけ変わって見えるのはそれだけ彼女らが成長した、という事なのだろう。
いや、成長というのもそぐわない。背が伸びるような、体が大きくなるような、そんな成長とはわけが違う。
これは羽化だ、
同じ存在でありながら、まったく別の存在に進化する。それは、羽化と呼ぶに相応しい。
幼さを脱ぎ捨てて、彼女たちは大人になったのだ。

ウェブ版でも、このキスク編は一番好きなお話でありました。雫を主人公とするこのシリーズにおいて、紛れもなくメインヒロインはこの妖姫オルティアだと、読んだ当時は強く思ったものですけれど、改めて一冊の本として彼女たちの物語を見た時、その思いは一層強固になったのでした。
彼女たちの関係の変化は一冊という枠組みに収められたが故により鮮やかに浮き彫りになったように見えます。初めてまみえた時の、あの暴君と玩ばれる哀れな生贄に過ぎなかった二人が、その別れの際には……あの挿絵には感極まってしまいました。尊い、尊い! 
ある時を境にして、雫もオルティアもお互いへの想いが器を越えて溢れるほどになっていて、一瞬も気を抜けない中で二人とも全力疾走していたから、読んでいるこっちも夢中になっていたのですけれど、すべてが終わってふっと落ち着いた時に、そしていつの間にか同じ道を手を握り合って進んでいた、もうこれからいつまでもずっと続くように感じられていた道が、それぞれ自分の道を歩くために別れていくのを目の当たりにした時。それを、二人が穏やかに受け入れた時。
見つめ合う二人の姿に。そっと抱き合う二人の姿に。はじまった時のあの残忍な妖姫と決然と睨み合う雫の姿が思い浮かび、この数ヶ月のあまりに濃い時間の中で無関心と敵意がこんなにもお互いを大切に、掛け替えのなく想い合えるようになっていく変遷が過ぎっていき、その果てにこの光景に辿り着いたことに。あの二人が、貴女と出会えて良かった、と心の底から思い別れを惜しむことが出来たことに、なんかもう感極まっちゃったんですよね。
泣いた。
……と、感じ入ってたのにラルスが後ろでワケワカランことしてやがるから、余韻が台無しだったけどな! このファルサス王、いくらなんでも酷すぎるw 相対的にオスカーが超真面目に思えてしまうじゃないですか!
ぴょんぴょん跳ねるオルティアがやたら可愛くもあったのですが。ラルス相手だと、オルティアも形無しだ。

しかし本当にこの巻における雫は別格でした。最初にオルティア相手に堂々と自分の使いみちを主張するくそ度胸! くそ度胸!!
そして殺されるかもしれないという状況にも関わらず、オルティア相手に一歩も引かず、不退転の覚悟で詰め寄った姿。自分の無実を証明するためにファルサスで塔から飛び降りた時もまー、むちゃくちゃでしたけれど、今度のそれはあの時を上回るある意味イッちゃってる様子で怖いくらいの迫力だったんですよね。激高しながら頭の芯が完全に冷めきってるような、勢いに任せているようで思考の方はフル回転しているような。目が据わっていて、あれはヤバかった。
このときのオルティアは、まだ暴君そのものだった時でしたし触れれば切れる剥き出しの刃のような状態と言っても良かったのに、まったく気にせずに掴みかかったようなもので。
命知らず、と言われても仕方ないですよね。でも、こういう時の雫って別に自分の命を捨ててでも、というふうには考えているわけではないように見える。そもそも、そういうの頭からすっ飛んでいて、兎に角退かない譲らないという所に自分の全リソースを注ぎ込んじゃっているように見える。だからこそ、あんまり危機意識を持ち得ないし、あとで後悔してるようにも見えない。
でも、ここらへんまでは以前までの雫でも見られた部分だと思うのだけれど、言語習得実験が終わってオルティアの元で働くようになって以降から徐々に変わってくるんですよね。
自分が容易に殺されない立場にある、という事情を利用して、オルティアに言いたいこと言うべきことを率直に諫言するようになってから、雫は暴君オルティアの内側にある歪みに、孤独に気づき、また側近のファニートやニケを通じてどうして彼女が今のようになったのか、その過去の一旦を知ることになります。
オルティアの心に近づき始めたときから、そしてオルティアが徐々に心を許してその内側を見せてくれるようになった時から、雫の在り方が劇的に変わっていくのである。
端的に言うと、オルティアにめちゃくちゃ入れ込んでいくんですよね。いつしか、オルティアのために全身全霊を注いで彼女の未来を切り開こうとしはじめるのである。
エリクがピンチに陥った時など、雫のバイタリティはほんと凄まじい勢いでアップしてもう尋常でない働きを見せたりしましたけれど、あれって実は瞬間的な強化加速ではなかったという事なんでしょうね。
いざ、オルティアのためにやったるぞー、となって以降の雫のあのポテンシャルの爆発的な増大は、上がりに上がり切ったところから一切落ちることなく、いつの間にかオルティアの側近中の側近として、腹心として、股肱の臣として、十年来ずっと使えてきた重臣としてオルティアを支え、ついには現王を追い落としてオルティアを女王として即位させるクーデターの牽引役として主君を叱咤激励し、支持を取り付けるために貴族たちを口説き落とす切り込み役となり、ひいては戦場に立つオルティアに全権を預けられその命運を託される代理人にまでなりおおせるのである。
その堂々としたオルティアの片腕としての姿には、貫禄すら伺えて……暴君だった姫を多くの貴族が国を託すだけの忠誠を捧げ、軍の将兵が喝采をあげて支持する偉大なる名君へと変えた名臣以外の何者でもありませんでした。
もうどこにも普通の目立たない女子大生の皮なんて残ってないですよ。
あと、普通の女子大生はスライディング土下座とかしませんから!
折角の感動の再会シーンにも関わらず、この娘さんときたらなんでこうドラマティックに出来ないんだ!? ほんと、そういうとこだよ!?
あのどうしようもない絵面から、わりとじんわりと染み入る再会シーンまで持ち直させるエリクさん、マジ尊敬します。この人、色んな意味で顔に出さなさすぎますよ。彼が雫のためにどれだけの事をしてきたか。雫さん、キュンとしましたか? しましたよね?
ある意味、ニケの奇襲は一番効果的なタイミングだったのかもしれませんね。彼にとっての失恋は、でも最後に一矢報いた、というべきなのでしょう。エリクじゃなくて、雫の方に全ダメージが入ってしまったようですがw

生得言語の問題については、子供の失語症の回復実験がなんとか成功を収めたあと、雫とオルティアの二人の物語、キスクの国内問題とファルサスとの紛争へと深く進行してしまったために、一旦脇に置かれる形になりましたけど、さらっと一文、重要な伏線が敷かれてたんですよね。
雫が一から言葉を教えた幼子リオ。この子の雫の呼び方を、なぜかニケはちょっとおかしな認識の仕方をしているのである。この違和が大事になってくる。それに、なぜか本来雫が知らないはずの、喪われた記録や情報がまるで最初から備わっていたように雫の知識、記憶の中に存在していた不可解さ。
【Babel】の本当の意味が問われる最終巻、今からすごく楽しみです。
でも今は、蛹から蝶になるように羽化した雫とオルティアの間で育まれた友情の尊さを、しばし噛み締めて反芻していたいと思います。


2020年9月読了ライトノベルのおすすめ  

読んだ本の数:28冊 うち漫画:1冊

ラブコメ三昧!! いや【隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた 】と【虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん】の二作は秀逸ながら少し前に出た作品なので今月発売じゃないのですけど。あと【カノジョの妹とキスをした。】は全然コメディってないのですけど。
でもほぼ別次元の領域な【継母の連れ子が元カノだった】と、短編であらゆるラブコメの極地を網羅してみせた【川上稔 短編集】の二編があまりに圧倒的で、今月はラブコメ三昧!という気分でありました。
骨太の本格戦記【やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい 3】【亡びの国の征服者 2 ~魔王は世界を征服するようです~】や本格ファンタジー【Babel】、本格SFアクション映画な【デッド・エンド・リローデッド】と読み応え歯ごたえ充分な作品も目白押しで、満腹感あるひとつきでありました。



★★★★★(五ツ星) 1冊

継母の連れ子が元カノだった 5.あなたはこの世にただ一人】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫( 2020/9/1)

【継母の連れ子が元カノだった 5.あなたはこの世にただ一人】 紙城 境介/たかやKi 角川スニーカー文庫

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ついに自分の想いを定めた結女のターンと思いきや、まさかの東頭いさなリターンズ。
ひとりの登場人物である東頭いさなという特異なキャラクターを、ここまで見事に掘り下げて解体し切り、その人物像を明確化してのけた渾身の一作であり、改めて周囲の人間関係が再設定することで水斗と結女の新しい関係をはじめる舞台が整えられた。まさに新展開に向けての踏ん切りの回でもありました。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 2冊

カノジョの妹とキスをした。2】 海空りく/ さばみぞれ GA文庫(2020/9/11)
Babel II 魔法大国からの断罪】 古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸(2020/9/17)


【カノジョの妹とキスをした。2】 海空りく/ さばみぞれ GA文庫

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うぉぉ、すごい展開になってきた。ただの浮気もの、不貞ものなら浮気をした男を糾弾すればいい。だが、ひたすらに純愛を貫き誘惑をはねのけながら、愛するが故に愛する人に愛を否定され拒まれて、なお愛を貫けというのか。誠実であるがゆえに苦しむ主人公にとって、それは許しであり救いであるのだとすれば、苦しいばかりの純愛に意味はあるのか。まさに衝撃の問題作。


【Babel II 魔法大国からの断罪】 古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸

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道中いろいろと事件に遭遇しながらも、なんとか魔法大国ファルサスに到着したシズクたち。ここで元の世界に帰るための方法を探そうとしたら、なぜか目通りした国王ラルスに世界の敵宣言されて命を狙われるはめに。覚えのない疑いを晴らすためにシズクがとった方法とは。
そしてタイトルに直結する異世界にまつわる言葉の謎。風雲急を告げる第二巻でありました。


★★★★(四ツ星) 7冊

デッド・エンド・リローデッド 2.不倶戴天のトゥーム・レイダー】 オギャ本バブ美/ NiΘ HJ文庫(2020/9/1)
隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた 2】 荒三水/さばみぞれ モンスター文庫(2020/6/30)
川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 1】 川上稔/さとやす(TENKY) 電撃文庫(2020/9/10)
川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 2】 川上稔/さとやす(TENKY) 電撃文庫(2020/9/10)
虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2】 蓮見景夏/こーやふ オーバーラップ文庫(2019/4/25)
やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい 3】 芝村 裕吏/片桐 雛太 MF文庫J(2020/9/25)
亡びの国の征服者 2 ~魔王は世界を征服するようです~】 不手折家/ toi8 オーバーラップノベルス(2020/9/25)


【デッド・エンド・リローデッド 2.不倶戴天のトゥーム・レイダー】 オギャ本バブ美/ NiΘ HJ文庫

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【隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた 2】 荒三水/さばみぞれ モンスター文庫

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【川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 1】 川上稔/さとやす(TENKY) 電撃文庫

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【川上稔 短編集 パワーワードのラブコメが、ハッピーエンドで五本入り 2】 川上稔/さとやす(TENKY) 電撃文庫

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【虐殺スペック赤三月さんと低スペック九木野瀬くん plan.2】 蓮見景夏/こーやふ オーバーラップ文庫

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【やがて僕は大軍師と呼ばれるらしい 3】 芝村 裕吏/片桐 雛太 MF文庫J

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【亡びの国の征服者 2 ~魔王は世界を征服するようです~】 不手折家/ toi8 オーバーラップノベルス

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Babel II 魔法大国からの断罪 ★★★★☆   



【Babel II 魔法大国からの断罪】 古宮 九時/ 森沢 晴行 電撃の新文芸

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魔法大国ファルサスへ到着。しかしそこで知る衝撃の真実とは――。

幾度となく命の危険に遭いながらも、雫のひたむきな前向き思考と魔法士エリクの機転によって切り抜けてきた長い旅路。カンデラ城での禁呪事件を経た後も、行く先々で何故か騒動に巻き込まれながら、遂に二人は当初の目的地であった魔法大国ファルサスへと到着する。
日本帰還への糸口を求めて、ファルサス王ラルスとの謁見が実現するが……。

「──立ち去るがよい、外部者よ」

雫の存在を“ありえない異質”と断じ、冷徹な意志を持って王剣を突きつけるラルス。処断を逃れるため、自分が人間であることを証明するために雫が取った行動とは。そしてファルサス城の中で知ることになる、エリクの過去とは。
やがて解明されていく世界の謎。異なる世界の言語を教え合う中で少しずつ降り積もっていった違和感は、衝撃的な事実として雫たちの前に立ち現れる。

それ、その人!! リースフェンを迎えに来た人ーー!! イラスト付くとあからさますぎてちょっと笑ってしまった。これ、現在進行系でのみ電撃の新文芸から出ている古宮さんの作品を追いかけている人はどういう反応になるんだろう。ちょっと気になるなあ。
というわけで、ついにファルサス編に突入であります。その前にリースフェンというどこぞのお姫様みたいな逃亡者と遭遇したり、偽装結婚の替え玉にされそうになったり、と相応のでっかいトラブルには巻き込まれているのですが。いや、結構な頻度で巻き込まれてますよね。自分から首突っ込んでいるわけでもないのに。
とは言え、一つ一つはまったく関係ないような事件に見えるのだけれど、これが「言葉」にまつわる物語であるという根底でしっかりと繋がってもいるんですね。偽装結婚の話では、この世界の大陸の成り立ちにまつわる神話に基づいた結婚式が行われるのだけれど、その神話の内容、特に花嫁を迎えるエピソードに関しては、ラストで明らかになった言葉にまつわる認識の齟齬。雫の住んでいた地球と、この世界における言語についての成り立ち? いや発端? そもそも根本的に違う部分について発覚するのだけれど、神話で確かにそれを示唆するような内容が含まれているんですよね。
それはそれとして、偽装結婚の事件の当事者となる人たちについても言葉が重要な意味を持っていました。言葉によって傷つけられ、言葉によって満たされる。伝わらないと思い込んで言葉を費やさなかったことは、彼らに決定的な断絶と孤独をもたらし、でも最後の最後に彼と彼女はもう一度、今度こそは本当に伝え合うことが出来た。心重なることが出来た。それが、悲劇の後の終幕でしかなかったとしても。破滅は時として美しい。それが幸福に満たされての破滅なら、なおさらに。
ただ、雫には似合わない。
この娘はいつだって直球勝負だもんなあ。直球というのも違うか。無神経にズカズカ踏み込んだりとかしないわりに、理不尽さには憤るし背を向けて逃げたりしない。行きずりで出会ったばかりのリースフェンの境遇に怒り、彼女の自由を取り上げようとするものに向かっていったあれは、勇気とか正義感とかじゃあないんですよね。なんだろう、これを負けず嫌いとでも言うのだろうか。それとも正しい怒り? いずれにしても、彼女には譲れないものがあるし、それを踏みにじろうとするものには徹底的に反抗する。エリクは雫を頑固と評するけれど、頑固どころじゃないですよね。硬骨漢か! 
ただそれが権力者だったりしても、譲らないんですよね、この娘は。
ファルサス王ラルスに突然言いがかりめいた見に覚えのない理由で断罪されようとした時、エリクに身を挺して逃されて、それで一目散に一旦王城から飛び出しておきながらそのままの勢いで戻ってきて、アレですよ。
いやそれはおかしい。一般人は絶対、そこまで出来ないから。そんな一線を持っていないから。
でもそれは体を張ったとはいえ、会話を交わそうとしない相手に対して言葉を届かせる手段ではあったんですよね。無理やりグリグリと押し付けて飲み込ませるようなやり方でも、此方の言葉を聞かず一方的に自分だけが理解する理由で相手の意思を無視して結果を押し付けようとする行為に対して、ただ反抗するのではなく、それは間違いだと突きつける行為。
エリク、怒るよそれ。
でも、結果としてラルスと一応とはいえ交渉可能になった。いびってイジメてくるけれど、言葉は交わせるようになった。言葉をちゃんと聞いてくれるようになった。
そういう状態になっておきながら、わざわざラルスの土俵に乗って言葉以外のところで張り合って彼のイビりに真正面から付き合って、負けるかおらー、ってやってたのはやっぱり負けず嫌いなんじゃないのかな。
ともあれ、この娘は、雫はとにかく言葉を惜しむことだけはしない。自分だけで溜め込まずに、ちゃんとコミュニケーションを取ろうとする。思えば、異世界に飛ばされて身一つで見知らぬ土地に放り出され、そうでもなんやかんやと辺境の街で生活基盤を築き上げてしまったのも、彼女のそういう意思疎通を惜しまないところだったのだろう。
エリクは、その辺決してうまい方ではないと思うんですよね。でも、自分からなかなか見せようという能動性に欠けるだけで、問われれば問われた以上を返してくるし、押せばそれなり以上に押し返してくる。待ってたら、あんまり反応してくれなくなるけれど、そうじゃなかったら、この人はきちんと以上に対応してくれる、考えてくれて、慮ってくれて、実行してくれる。
その意味では雫とは相性ピッタリなんだろうなあ。
そして、彼の……エリクの過去は。ファルサスで彼が得てしまった喪失は、意思疎通の齟齬と欠如に基づいてしまっている。かの人の正体を思えば、最初からこれは行き場のない物語だったのかもしれないけれど、行き着く所はそこ以外になったのかもしれないけれど。
それでも、エリクにとっては清算の済んでいない傷だったのだ。でも、それを雫に話したことでなにかほどけたものはあったのかもしれない。自分のことを話すことは、許すことに繋がるのだろうか。
いずれにしても、伝える、という事の意味の深さをこの物語は常に意識しているように思える。

だからこそ、尚更に。ラストで明らかになった言葉にまつわる雫とこの世界の齟齬の大きさ、認識そのものをひっくり返すような事実にはドキドキしてしまう。心揺さぶられてしまう。言葉で意思を疎通する、という事そのものが、自分の中から生み出してきたものではなく、誰か大きな存在によって手を加えられてきたのではないか、という疑問のその恐ろしさに。
そもそも、生得言語なんて雫や、彼女の側に属する読み手にとっては発想すらないものですもんね。気づくわけがない。雫にとって、最初意味がわからなかったのも当然であるし、彼女と誰よりも言葉を交わし、彼女から異世界の言語を習ってきたエリクですら全く気付かなかったのも無理はない。
そんな両者の齟齬を暴くことになった、今子どもたちの間で流行りだしているという言語障害の病。それが病気ではない、という事実を理解できるのは雫と彼女との齟齬を正確に認識したエリクだけ。果たして、今この世界に何が起ころうとしているのか。ものすごく得体のしれない方向から忍び寄ってきた不気味な世界そのものを揺るがそうとしている変容に、これからどうなるのか。雫とエリクはどうするのか、と思った所でさらなる急展開である。
ああ、電撃文庫版ではここで打ち止めになっちゃったんですよね。ここまでやっておいてからに、そこで打ち止めって。いや、こうしてちゃんとカットなしでの再スタートを行ってくれたわけですから、むしろありがたいというべきなのか。
今度こそついに、ついに本作の真ヒロイン、というか雫にとってのヒロイン?の登場ですよ。もう顔見せはしてるけど。ある意味、ラルスのイビリは予行演習みたいなものですからな。王様相手だろうと一歩も退かずに張り合ってみせた雫である。耐性はついてるついてる、うんうん。



2020年6月読了ライトノベルのおすすめ  

読んだ本の数:30冊 うち漫画:2冊

振り返ってみると、歴史ものが結構多い。日本の戦国時代が2本に大陸の楚漢戦争時代が1本。昔勇者も時代劇風だけど、ファンタジー時代劇ですから歴史の仮想戦記じゃないよ?
とはいえ豊作。【Babel】の復刻に【昔勇者】のシリーズ続行、と歓喜に湧いた刊行もありましたし。
衝撃作だったのが【サンタクロースを殺した。そして、キスをした。】これを若さゆえの危うさと尖りだと見るのは勿体ないだろう。

★★★★★(五ツ星) 0冊



★★★★☆彡(四ツ星Dash) 4冊

昔勇者で今は骨 5.東国月光堕天仙骨無幻抜刀】 佐伯 庸介/ 白狼 電撃文庫(2020/6/10)
Babel I 少女は言葉の旅に出る】 古宮 九時/森沢 晴行 電撃の新文芸(2020/6/17)
サンタクロースを殺した。そして、キスをした。】 犬君 雀/つくぐ ガガガ文庫(2020/6/18)
Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙】 古宮 九時/ chibi 電撃の新文芸(2020/6/17)


【昔勇者で今は骨 5.東国月光堕天仙骨無幻抜刀】 佐伯 庸介/ 白狼 電撃文庫

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まさかの続編、そしてまたぞろとびっきりのアクションエンタメ大作である。アルは元より、バラけたハルベル、ミクトラがそれぞれに主役張ってくれると物語を動かすエンジンが複数あるみたいなもので、話そのものがパワフルかつ多元的になるんですよね。それが一同結集するとさらに一点集中一気に盛り上がりますし。今回は東国舞台という事で本場の剣術活劇三昧でヤトノやマガツ師匠という剣術バカの大暴れも相まって、相手が神だろうと何だろうとぶった切るという勢いのスケール感はやりたい放題で存分に楽しかった。


【Babel I 少女は言葉の旅に出る】 古宮 九時/森沢 晴行 電撃の新文芸

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なんか電撃文庫版と量が全然違うんですけどー!? 文庫二冊分と聞いて文庫版2巻まで行くのかなー、と漠然と思ってたら全然読んでも終わらないの。物語の、密度が全然違うー。いやこれ、文庫版本当に相当削ってたんだよなあ、事件の展開にしても心情への切込みにしても、味わい深さが段違いだもの。異世界に突然放り出されて途方にくれながらも決して崩れなかった雫という少女の強さを勇気をより噛み締められる。そして改めて見ても、言葉に関する違和感や齟齬はそこかしこに散りばめられていて、なるほどなあと頷いてしまうのでした。


【サンタクロースを殺した。そして、キスをした。】 犬君 雀/つくぐ ガガガ文庫

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上手く生きられない人たち。上手く生きられないから生きる事に真剣なのか、本気で必死に真面目に生きているから上手く出来ないのか。何れにしてもただ生きる事に無性に悲しく寂しくなるのは、それだけ真剣だから。適当に生きてたら、別に寂しく感じない、と思う。彼らは人と触れ合い繋がり続けないと生きていけないのだ。なぜ誰かと繋がっていないといけないの? 会えない誰かを探し続けるの?そんな風に彼らに共感は出来ないのだけれど、同じ景色を感じられなくても必死さは胸を打つ、その在り方を見つめられる。小説という形を通して


【Unnamed Memory V 祈りへと至る沈黙】 古宮 九時/ chibi 電撃の新文芸

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違う国に居るはずなのに、隣家の向かい合った二階の部屋の窓越しに勝手に入ってくる幼馴染並に気軽に入り浸ってるなあ、二人共。自重する必要のなくなったオスカーがやっぱりオスカーしててやっぱり彼はそうでないと。一方でティナーシャの方は完全に恋する乙女。魔女だった頃と違って精神面が年相応な分、スレてなくてホント初々しい少女なんですよね……可愛い! そしてトラヴィスとオーレリアのカップル、彼らだけでもう一組主人公やれるくらいドラマチックな二人なんですよね、もう好き。

★★★★(四ツ星) 8冊

インフィニット・デンドログラム 13.バトル・オブ・ヴォーパルバニー】 海道左近/タイキ HJ文庫(2020/6/1)
終末なにしてますか? 異伝 リーリァ・アスプレイ #02】 枯野 瑛/ue 角川スニーカー文庫(2020/6/1)
信長の庶子 二.信正、初陣】 壬生一郎/土田健太 ヒストリアノベルズ(2019/4/15)
俺の女友達が最高に可愛い。2】 あわむら赤光/mmu GA文庫(2020/6/12)
天才王子の赤字国家再生術 7~そうだ、売国しよう~】 鳥羽 徹/ ファルまろ GA文庫(2020/6/12)
斎藤義龍に生まれ変わったので、織田信長に国譲りして長生きするのを目指します!】 巽 未頼/マキムラ シュンスケ 宝島社(2020/6/16)
異世界迷宮の最深部を目指そう 14】 割内タリサ/ 鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫(2020/6/25)
項羽と劉邦、あと田中 3】 古寺谷雉/獅子猿 PASH!ブックス(2020/6/26)

【インフィニット・デンドログラム 13.バトル・オブ・ヴォーパルバニー】 海道左近/タイキ HJ文庫

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超高速戦闘はやっぱり燃えるなあ。13巻にして遂に主人公がクランを立ち上げるという展開に。随分掛かったというべきか満を持してというべきか。ま今までクランとか必要なかったしね。しかし、クラン名も酷いけどメンバーの来歴見ると割と妥当なんじゃと思ってしまう。見た目も実績も凶状持ちばかりじゃないかw


【終末なにしてますか? 異伝 リーリァ・アスプレイ #02】 枯野 瑛/ue 角川スニーカー文庫

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特異で特別な存在故の必然たる孤独に敢然と歯向かって追いすがってくる凡人の極みに、天才少女たち内心キュンキュンし過ぎである。その彼の努力の原動力が恋とか愛とかじゃねえのがむしろイイ、という辺りに彼女らの業を感じてしまう。


【信長の庶子 二.信正、初陣】 壬生一郎/土田健太 ヒストリアノベルズ

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傳兵衛くん、帯刀くんとこの時代ではない呼び合い方で友情を交わした者同士。その志向は異なれど、胸襟を開けて話し尽くし、互いに支え合うのだと約束した者同士。一緒に未来を築いていくと信じていたのに、あっさりと潰えてしまうのもまた戦国の習いか。さり気なく歴史も幾つか変わっているのだけれど、史実ではここから織田家も相次いで身内に屍を積み重ねていくだけに、本願寺との開戦で厳しくなる。一方、正室となる恭との顔合わせがまたどこか文学的でじんわりと来るものがある。女性たちの戦いもまた誇り高く色鮮やかだ。


【俺の女友達が最高に可愛い。2】 あわむら赤光/mmu GA文庫

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くっそ可愛いなあこの後輩! これ琴吹視点からすると自分のメンタル十全理解した上で慈しんでくれて完璧な対応してくれるカイって最高の異性なんですよね。趣味も合うわけだし、一緒に居てこれだけありのままの自分のまま楽しい人って今後会えるかどうかというレベルだよなあ。この人がいい、という琴吹の必死さはよく分かる。自分にとっては最高でも、カイにとっては違うのがわかるだけに尚更に。恋愛が面倒というのは琴吹も一緒だと思うんだ。ようは面倒が気にならないくらい相手がどうしようもなく好きか、なんですよねこの人種は。


【天才王子の赤字国家再生術 7~そうだ、売国しよう~】 鳥羽 徹/ ファルまろ GA文庫

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ロワとウェインが仲良すぎてなんだコイツら。お互い仲良くハメて陥れて蹴落とそうとしながら、状況の変化で瞬時に息ピッタリ共闘して、その上でまたぞろ抜け駆けを図る、と。気心がしれてる分、実に楽しそうに謀り合ってまあ。他でも四六時中謀略張り巡らせてるウェインだけど、ロワと遊んでる時が一番楽しそうだ。ロワもこれ、女帝になる目的のためにウェインと争っているというより、ウェインとより遊ぶために女帝になろうとしてるんじゃないか。


【斎藤義龍に生まれ変わったので、織田信長に国譲りして長生きするのを目指します!】 巽 未頼/マキムラ シュンスケ 宝島社

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主人公が義龍、しかも十代前半から活躍するので舞台は1540年代。他の信長を主軸に動く戦国モノよりも相当に早い。この初動の早さは後々も効いてくる。お陰で美濃の国内情勢から畿内近隣、朝倉六角との駆け引きもかなり新鮮だったりする。その中で暗躍しまくる梟雄長井規秀、後の斎藤道三。流石は蝮と称されるだけある悪党っぷりで、突然幼子ならざる知性を見せ始めた我が子に対しても警戒を怠らないのですけれど、同時に期待も抱いてしまう父としての複雑な愛情を垣間見せて、このややこしい親子関係は一番の見所なのかもしれません。


【異世界迷宮の最深部を目指そう 14】 割内タリサ/ 鵜飼沙樹 オーバーラップ文庫

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なるほど、言われてみると確かにカナミの言動は変だ。ある一線までは受け入れ柔軟に汲み取る余裕を持っているのに、ラインを超えると頑ななまでに思考を固めてしまう。本作、精神的に不安定な人が多いというかそういう人ばっかりなので気づかなかったけれど、ラスティアラのそれは彼女の趣味嗜好なのに対しこの思考の凝固はカナミの内部から生じたものとは思えない違和感がある。今はラスティアラが対象だけど、置き換えは簡単か。ラスボスの封印を解こうという誘導もされてるんだろうな、これ。比べたらノスフィーは可愛らしい部類なのね


【項羽と劉邦、あと田中 3】 古寺谷雉/獅子猿 PASH!ブックス

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美女二人の片方誰!?と思ったら張良かよ!本気で女にしか見えんなあ。ついに項羽の登場。若き英傑の魅力と危うさを盛り込んだ実に良いキャラだ。そしてますますお互いの理解度が深まりすぎて、蒙林差し置いて夫婦かというような田中と田横の相棒関係。足りない部分を補い合い、心から信頼し合う二人はまさに兄弟であり相棒であり親友であり。この二人の関係本当に好きです。だからこそ、斉の為田家の為に一時別れる決意をした田中。果たして歴史の流れを変える事は叶うのか。まさに分水嶺の一歩である。



以下に、読書メーター読録と一言感想


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Babel I 少女は言葉の旅に出る ★★★★☆  



【Babel I 少女は言葉の旅に出る】 古宮 九時/森沢 晴行 電撃の新文芸

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現代日本から突如異世界に迷い込んでしまった女子大生の水瀬雫。剣と魔法が常識の世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女だったが、魔法文字を研究する風変わりな魔法士の青年・エリクと偶然出会う。

「――お願いします、私を助けてください」
「いいよ。でも代わりに一つお願いがある。
僕に、君の国の文字を教えてくれ」

日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。その旅路は、不条理で不可思議な謎に満ちていて。――そうして、運命は回りだした。
これは、言葉にまつわる物語。二人の旅立ちによって胎動をはじめたばかりの、世界の希望と変革の物語。


以前、電撃文庫から出た【Babel ―異世界禁呪と緑の少女―】と【BabelII ‐剣の王と崩れゆく言葉‐】の二巻。残念ながらこの二巻で打ち切りになってしまったシリーズの、これリブート版なんですよね。
ちなみに、前の感想がこれ。




この物語の核心ともなる「言葉」に纏わる謎は、シリーズ全般を通して徐々に明らかになっていき、そのクライマックスで劇的にすべてをひっくり返してくれる構成になっているんですね。だからこそ、まだ前フリの段階で打ち切られて終わってしまった時にはぐったりと打ちのめされて突っ伏してしまったものですが。
こうして改めて新文芸の方で再スタートしてくれるとは。同じ世界観でもある【Unnamed Memory】シリーズが好調というのもあったのでしょうけれど、うれしい限りでした。
ちなみに、本作は【Unnamed Memory】シリーズが展開している時代の300年後という事になっているそうです。ファルサス、今やなんか魔法大国になってますし。
ともあれ、リブート版という事で内容自体はまだ前回までと同じところですし、再読♪くらいのつもりで読んでたんですけど、読んでたんですけど、読んでたんですけど……。
んんん? なんか、読んでも読んでも終わらないというか、もう既に文庫一冊分くらい軽く過ぎてるはずなのにまだ終わらないけど、文庫版の第二巻ではファルサスに着いてるはずなのに全く到着する様子が見えないのに、まだまだ話が終わらないぞー!?
というか、なんか前と中身の分量がぜんぜん違うーー!?
と気づいた時には数時間が経っていました。違う、エピソードの密度が全然違うー。
後書き見たら、なんか文庫版では半分削ってましたー、とか仰ってるし。おいおいおい、どんだけ削られてたんだ文庫版。一応ウェブ版も文庫版を読むよりも随分と前に全部読んでいたんですけどね、そう言えばなんか文庫版読んだ時、昔読んだときよりもだいぶサクっと各エピソード終わっちゃった気がするなあ、とは思った記憶があるんですよね。
ウェブ版は確か最初から最後までほぼほぼ纏めて読んだんで該当箇所がどれだけの分量だったのかなんて具体的にはわからなかったものですから、ブラッシュアップしてスリム化したのかなあ、とは思っていたのですけれど、半分削って再構成してたって多くないですかねそれ!?

ともあれ、本作こそが原文に近いスタイルになっているということですか、なるほどー。

しかし、改めて見ると雫って自分でも気づいてますけど、一人で出歩くたびにトラブル巻き込まれますよね、この娘。別に彼女の不注意とかではなく、向こうからトラブル降ってくる不可抗力なんですけど、これだけ頻繁に巻き込まれたらそりゃエリクも目を離せなくなりますわ。安全なはずの町中ですら、容易に巻き込まれてますし。
かと言って過保護にべったりといつもくっついているわけでもないあたりがエリクのサッパリした所で。それなりに面倒見が良いからこそ、雫の旅についてきてくれているはずなんだけど、ベタベタしていない適度な距離感を保ち続けるのがこの青年の不思議な所なんですよね。他人に興味がない、と公言していて、雫に対しても異性を意識させる振る舞いをしないからこそ、二人で旅していて夜なんか一緒に眠ったり宿の部屋を同じにしていても、妙な雰囲気に一切ならないのですけれど。この距離感は独特だよなあ。
それでいて、雫を突き放しているわけではないんですよね。湖底の遺跡に引きずり込まれた時なんかは、走り回って助けに来てくれたわけですし。わりと身を挺して雫の安全を図ってくれたりしている。
この新文芸版になって、エリクの雫への興味というか関心? 彼女に対する思いやりの質感というものはより深く描かれているような気がします。ちょっとした彼女に対する反応や仕草、時折挟まれるエリク自身の感想などから、情動そのものが低温であまり動きを見せないこの青年の雫への「親身」がより伝わってくるような。
逆に、雫の方も突然異世界に放り出された中で、自分とずっと一緒に居てくれているエリクという青年への感謝の思いというのは、並々ならぬものがあるんですよね。それでいて、雫の方もあんまりベタベタしていないのも面白いところで、この旅の道連れ二人は不思議なほどさっぱりとした空気感で成り立っているように見えるのです。でも、一度どちらかが窮地に陥れば、絶対見捨てることなく危地へと飛び込んでいくんですよね。エリクも雫も、まともに戦う術も持っていない人間にも関わらず。
特に雫の方は掛け値なしにただの一般人で特別な能力なんて何一つ持たないのに。途中で一人ぼっちの所を拾って一緒に行くことになった使い魔のメアも、中級魔族とは言えそこまで強い力を持っているわけではありませんから、そんな便利な能力として扱えるものではありませんし。
それでも人づてを辿って協力を取り付け、また自分から渦中へと飛び込んでいく様子は何なんでしょうねこのバイタリティ。
雫自身、優秀で目立つ姉と妹に挟まれて、自己主張もあまり出来ずに姉妹にコンプレックスを抱いている何者でもなく何も持っていないつまらない人間だ、と自分を定義してしまっているのですけれど。
エリクが地味ってことはないでしょう、と若干呆れながら言っているように、絶対雫が自分で思い描いている雫と、傍から見た雫って違うんですよね。全然違うんですよね。こんな地味っ子がいるかー!! 異世界に突然身一つで放り出されて砂漠の真ん中で立ち往生、から速攻で生活基盤整えてしまったように、この娘ってなにげに適応能力が半端ないというかどんなところでも生きていけるようなバイタリティの塊みたいな所あるんですよね。これで凡人ってなら、彼女を目立たなくしてしまうほどの姉と妹ってどんだけの人物だったんだよ、と思ってしまう所なんですがまあ他人の庭の芝は青いってやつなのでしょう。

また、よく注意して読んでいるとエリクと雫が二人で文字や言葉について話しているときに、不可解な違和感が介在するんですよね。エリクは雫の旅についていく報酬の一つとして、雫から彼女の世界の言葉や文字を学ぶことを選んでいるのですけれど、その会話、意思の疎通に妙な「齟齬」が挟まるのです。まず最初に、雫が自分の名前をエリクに告げる所からそれははじまっているのですけれど、この齟齬こそが物語の根幹へと通じていくんですねえ。ってか雫はまだ全然気づいていないみたいですけれど、エリクは途中からその違和に気づきだしているのが面白いというか何というか。
異邦人、真に外から来た存在である雫にとって言葉こそ通じるものの、この世界には寄って立つものはなにもない。その宙ぶらりんの足元のおぼつかなさ、不安感、元の世界に戻れないのではないかという恐怖。どれだけバイタリティに溢れて闊達に過ごしていても、その奥底にはいつだって怖れがある。死地に近いさなかにエリクを助けに飛び込んでいったのだって、数少ないこの世界のよすがであるエリクの存在を、自分から手放すことが恐ろしくてたまらなかった、というのも彼女自身の性格や勇気以外の側面としてあった事でしょう。
そして、この巻のラストに遭遇した禁呪は、この世界の負の側面は彼女のことを異物として排除しようとしてきた。
元々、姉妹の狭間にあって自分の中に寄って立つものを見いだせなかった雫。家を出て一人暮らしを始めることで、姉妹から離れることで自己を確立しようとしていたという自己分析をするほどに、自分の立ち位置を見いだせなかった彼女。
自分の世界から放り出され、異世界でただ一人。そこでも彼女は未だ自分の居場所を見いだせず、大いなる意志は彼女を異質な棘と呼んでして排除しようとする。
それでも彼女は叫ぶのだ。自分はここに居る。

今、それを肯定するのはエリクひとり。雫にとって、放すことの出来ない日常で、自分を認めてくれる世界の代表、日常の象徴。そう思うと、雫にとってのエリクへの信頼というものの深みが、この旅で培われていった二人の関係が、どれほどさっぱりしているように見えても、見える範疇に収まらない深度を持つものなんだと、わかる気がする。
その意味でも、この新文芸版になってより確かに描かれたのって、この二人の関係になるのでしょうかね。

ともなれば、より強烈にそのあたりが問われ突きつけられるだろうファルサス編は、さらに楽しみ。
ってか、ラストにチラッと登場した人物、【Unnamed Memory】が出版物として世に出た今となっては爆弾そのものなんじゃないですか、どっちの作品に対してもw

古宮九時・作品感想

2016年12月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:40冊 うち漫画:18冊

なんとか最低の状態からはある程度回復したものの、やはり月三十冊は漫画抜きでキープしたいなあ。基本目標はそのあたりに固定したい。
ただ、読書機会が絞られる分、事前に面白いに違いないものを摘んで読んだだけあって、当たりの確率は非常に高かったとも言える。でも、人気シリーズか完結に至るものが多い感もあるのだけれど。
【異世界拷問姫】なんか実に舌触りのよい美味しい作品なんだけれど、三巻でキレイに完結してしまいそうだし、【Babel】に至っては次が出るかも怪しい様子だし。
最近のもっと読みたい作品のシリーズ短期化、打ち切りの増産にはかなり神経が摩耗してますよ。まあちょっとでも支援できるように、自分も出版されたらすぐに感想記事書けばいいんでしょうけれど、それもままならない有様ですからねえ。悔やむところです。


★★★★★(五ツ星) 0冊



★★★★☆彡(四ツ星Dash) 5冊

彼女がフラグをおられたら 冥土の土産よ、最期に卒業式のことを教えてあげるわ】 竹井10日/ CUTEG 講談社ラノベ文庫
Babel II ‐剣の王と崩れゆく言葉‐】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫
異世界拷問姫 2】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J
この素晴らしい世界に祝福を! 10.ギャンブル・スクランブル!】 暁なつめ/三嶋くろね 角川スニーカー文庫
魔法少女育成計画 QUEENS】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい!文庫


【彼女がフラグをおられたら 冥土の土産よ、最期に卒業式のことを教えてあげるわ】 竹井10日/ CUTEG 講談社ラノベ文庫

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正直、期待していた以上に広げまくった大風呂敷をキレイに畳んで見せた結末には唸らされた。もっととっ散らかってもおかしくないくらい広げまくってたもんなあ。今のところ、これが作者の代表作と呼ぶに相応しい完結編でした。


【Babel II ‐剣の王と崩れゆく言葉‐】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫

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少女漫画とか少女系レーベルだと自分のイビリに挫けるどころか鼻息荒く反抗して見える雫にラルス王がだんだん惹かれてきてしまうところなのだけれど、この王様そんな殊勝な性格じゃないところがまた面白いのよねえ。


【異世界拷問姫 2】 綾里けいし/鵜飼沙樹 MF文庫J

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純白にして鮮血の花嫁無双。ジャケットデザインからインパクトどん! 今回はさらに花婿である主人公がまたカッコよくてねえ。誰も彼もが愚かで、その愚かさがまた尊く気高く愛おしい。


【この素晴らしい世界に祝福を! 10.ギャンブル・スクランブル!】 暁なつめ/三嶋くろね 角川スニーカー文庫

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ほんと、カズマさんのクズっぷりは途方も無いぜ。ギャグもコメディも衰え知らずのキレッキレ。文句なしに笑えて面白くて心の底から楽しいや。


【魔法少女育成計画 QUEENS】 遠藤浅蜊/マルイノ このライトノベルがすごい!文庫

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マジで一切容赦なし、加減なし、情無しで追い詰めて追い詰めて追い詰めた挙句にペシャっと未練なくキャラを潰すを厭わない作者の可愛がりには戦慄を隠せない。これ、キャラを愛するが故に逆に徹底してやってしまうタイプだよなあ、絶対。

★★★★(四ツ星) 3冊

浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫
我が驍勇にふるえよ天地3 〜アレクシス帝国興隆記〜】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫
魔術師たちの就職戦線】 嬉野秋彦/惠坂 ファミ通文庫


【浅草鬼嫁日記 あやかし夫婦は今世こそ幸せになりたい。】 友麻碧/あやとき 富士見L文庫

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【我が驍勇にふるえよ天地3 〜アレクシス帝国興隆記〜】 あわむら赤光/卵の黄身 GA文庫

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【魔術師たちの就職戦線】 嬉野秋彦/惠坂 ファミ通文庫

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今月のピックアップ・キャラクター

レニーア (さよなら竜生、こんにちは人生)
ギルガメス・センティア (彼女がフラグをおられたら)
茨木真紀 (浅草鬼嫁日記)
 (Babel)
ラルス (Babel)
カイト (異世界拷問姫)
ヒナ (異世界拷問姫)
シアン (奴隷姫と過ごす日々)
アルバロ (ディエゴの巨神)
進藤雪也 (魔術師たちの就職戦線)
蘭崎香織里 (魔術師たちの就職戦線)
進藤詩織里 (魔術師たちの就職戦線)
網代木澪 (魔術師たちの就職戦線)
プフレ (魔法少女育成計画 QUEENS)


以下に、読書メーター読録と一言感想。


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Babel II ‐剣の王と崩れゆく言葉‐ ★★★★☆  

BabelII ‐剣の王と崩れゆく言葉‐ (電撃文庫)

【Babel II ‐剣の王と崩れゆく言葉‐】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫

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『――立ち去るがよい、外部者よ』
ついに辿り着いた、魔法大国ファルサス。しかし世界を害する“異物”と判ざれた雫は、非情にも王・ラルスに剣を向けられる。
ラルスと戦う決意をし、瀕死の重傷を負った雫の一方、エリクは過去を追憶する。自らが殺した、ある一人の少女のことを……。
そして“死者蘇生”の禁呪による事件で国中に暗雲が漂うなか、雫とエリク、二人の運命は分岐点を迎え――。
異世界の秘された“真相”が明らかになる、衝撃の第2巻!
おお、オスカーとリースヒェンの二人はここで遭遇してるんだったか。なんか意味深に登場してそのままさらっと通り過ぎていってしまったこの二人ですけれど、意味深なのも当然でそりゃもうものすげえウルトラ重要人物であるのですが、ここは通り過ぎていったその背を覚えておけばそれでいいのではないでしょうか。
というわけで、雫が元の世界に戻る手がかりを手に入れるため、目的地だった世界最大の魔法大国であるファルサスへようやく到着した雫とエリク。
ファルサスである……。【Babel】という作品はウェブサイトで連載されていた作品であると同時に、「Memories」という世界の中で繰り広げられる物語のうちの一片である、というのは一巻の感想記事でも触れたと思いますが、ファルサスという国はその一連の物語群の中でも始まりであり根幹でもある、とある物語の舞台となった国でもあるんですよね。作中でもファルサスの歴史を語る中でチラチラと触れられているものであり、そのファルサスに帰ってきたことが懐かしく、ここに彼らの姿がもう無いことが無性に寂しくもある。
今、このファルサスを支えている王族直系はわずかに二人。王ラルスと王妹レウティシア。この王様、初対面の印象最悪だよなあ、これ。いきなり尋ねてきた雫を「外部者」と呼んでぶっ殺しに掛かってきたわけですから。しかも、その理由ときたら雫には身に覚えのないもので、訳がわからないとしか言いようがない。ファルサス王家に伝わる使命として世界外存在である「外部者」を討滅すべし、というものがあったらしいのだけれど、どうもその「外部者」という存在は同じ異世界からの来訪者としても、雫には全く当てはまらないんですよね。明らかに勘違いか誤解なのであるが聞く耳持ってくれないし、もし間違っていても念のためにぶっ殺しておいた方が安全だよね、という雫からするとたまったもんじゃない理屈でぶんぶんアカーシアぶん回してくるもんだから、雫からするとなんやねんそれ!! と悲鳴よりも憤激の声をあげたくなるような状況なのである。
それでも、相手は一国の、しかも大陸有数の大国の王である。その王が危険であるから殺す、と声をあげてしまった以上、もはや雫の進退は極まってしまったと言っていい。エリクが身を挺して雫を逃してくれたものの、このまま逃げて果たしてどうなるのか。元の世界に戻る手がかりを求めてたどり着いたのがこのファルサスである。その手がかりに背を向けて逃げて、それもこの世界の縁となり、ずっと雫を助けてくれていたエリクを置き去りにして。
ここで、逃げ出さずに思い切ってしまうのが、雫という少女のとんでもないというか、尋常ならざるところなんだよなあ。エリクは彼女を頑固と評しているけれど、これは頑固なんて領分で収まるもんじゃないでしょう。決して気が強いタイプでもないのに、ここぞという時の肝ノ据え方と負けん気の強さに関しては、雫はもうぶっ飛んでる。この退かない時は頑として相手がなんだろうと退かない、という彼女の不退転は後にラルス並かそれ以上にやばい人を虜にしてしまうのだけれど、まあそれはそれ。
自分の命を的にして、堂々と大国ファルサスの王ラルスに喧嘩を売る雫。力も何もない彼女が、たったひとりで王を自分と対等の舞台に引っ張り上げて勝負を挑むのである。これってある意味魔女裁判でもありながら、訴えた側にも間違っていた場合にはきっちり落とし前をつける事になる捨て身の大勝負なんですよね。無茶苦茶なんだけれど、無視は絶対に出来ないという。それでも、自分の死に様をチップにするんだから、とんでもない女である。
でも、これで一点ラルスが雫を認めたか、というと……いや、認めたと言えば認めたんだろうけれど、素直に認めずにずっと雫のことイビリ続けるあたり、ラルスって心底性格歪んでるというか、子供かっ! っちゅうところなんですよねえ。わりと笑い事では済まない真似もしてるし。そりゃ、レウティシア様も怒髪天つくわー。ただ、ラルスがいじめていた分、周りの視線が警戒よりも同情で占められたというのも確かな話で、この国に因縁があり、罪人ではないものの曰くを持ってファルサスを出ざるを得なかったエリクが連れてきた謎の少女、という立場の雫はもっと怪しまれても良かったんですよね。それを、ラルスが無茶苦茶したからこそ、可哀想にと受け入れられた面もあるんだよなあ。でもこの自分は面倒くさがりなのに、取扱が非常に面倒くさいキャラなシスコンサド王陛下、いやもう妙に憎みきれない小気味の良さがあるんだけれどやっぱり面倒くさいなっ!
ともあれ、このファルサスで頻発する禁呪に纏わる事件は、同じく禁呪に関わる事件によって大きな傷をココロに負ったエリクの過去に、雫は踏み入ることになるのだ。
反省しても後悔はしていない、とエリクに訴えかけた雫。その言葉は、長く長く後悔に沈み続けたエリクにどのように響いたのか。囚われた過去の残像にどこか雫を重ねていたエリクが、失った彼女と雫が似て非なる存在だと、いや全然違うだろうというキャラなのだと、飲み込む話であり認める話であり、きっと改めてほんとうの意味で雫と向き合うことが出来るようになった話でもあったのだろう。
その直後に、ラストのああ言う形になってしまうのだから、まあ皮肉な話なんだが。
また、この二巻は【Babel】というタイトルが急速に迫ってくる話でもあるんですよね。各国にここしばらくで急速に増え始めた言語障害を負った子どもたち。前からチラチラと話には出ていたものの、その障害をおったという子どもたちと初めて雫は対面することになるのですが、そこで雫は自分の常識にある言語と、この世界における言葉の在り方の決定的な違いに直面するのである。生得言語。エリクの口から語られるこの世界における言葉の有り様。雫とエリクの間に横たわっていた、言葉に関する大きな誤解、食い違い、すれ違い。
それはまた、雫に背筋を凍らせるような思いとともに違和を突きつけるのである。ナゼ、この世界の人間ではない雫が、この世界の言葉を理解でき、また喋ることが出来るのか。
それはこの世界の常識では決して不思議ではなく、だからこそ雫の、現世地球の常識では絶対に有り得ないこと。異世界人である雫にまで適合してしまう、言葉の統一。
そうまさに、ここから【Babel】の真実に、そしてその崩壊の萌芽に雫たちは直面していくのである。

というところで、あとがきのニュアンスが非常に怪しいっちゅうか、次の巻が出ないんじゃないかと思ってしまうようなニュアンスで、うえええと悲鳴をあげてしまったんですけれど。
待って待って待って、こっからが面白いのに。作中最強コンビとなる言って過言じゃない雫と姫様の出会いが待ってるのに。あのとびっきりにヤバイ、オルティア姫を雫が落としてしまうところが一番面白いのに。
どうか、あの感動のラストまで書籍を以て読ませて欲しいと願うばかりです。

1巻感想

2016年9月読了ライトノベル系書籍からのお勧め  

読んだ本の数:26冊 うち漫画:7冊

うわぁ、これだけしか読んでなかったのか。9月はかなり深刻な体調不良に見舞われていて、帰宅したあとも殆ど何も出来ずにへたばってた感があって全然積み本の崩しが進まなかったんですよね。
やや涼しくなってきた10月は挽回していきたいところですが。ブックウォーカーのセールですんげえ大人買いしてしまった分もありますし。
ただ、数を読めなかった分、今まで積んでいた中でも満を持していたものをチョイスしたせいか満足度が高いものを厳選して読めたようにも思うのである。
特に【バビロン 2】はガチで劇薬過ぎて、読後にしばらくフラフラになった感もあるのだが。いやまじすげえわこれ。
他にも、【時載りリンネ!】の清野静さんの新作やらついに書籍化した【Babel】やら、幻の【人魔調停局】続編やら、読みたい読みたいと長年願っていたものをこうして手に取れて読める、という幸せを今月は一度に味わえたので、充実度は結構なものなのである。


★★★★★(五ツ星) 1冊

バビロン 2.―死―】 野崎まど/ざいん 講談社タイガ


【バビロン 2.―死―】 野崎まど/ざいん 講談社タイガ

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「最たる悪」というものを、吐き気がするほど見せつけられた。価値観を揺さぶられ、心をぐちゃぐちゃにすり潰される。凄まじい、凄まじい劇薬である。これを見るには、覚悟が必要だ。


★★★★☆彡(四ツ星Dash) 3冊

さよなら、サイキック 1.恋と重力のロンド】 清野静/あすぱら 角川スニーカー文庫
個人と国家 人魔調停局 捜査File.02】 扇友太/天野英 Novel 0
Babel ―異世界禁呪と緑の少女―】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫


【さよなら、サイキック 1.恋と重力のロンド】 清野静/あすぱら 角川スニーカー文庫

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【時載りリンネ!】の清野静さんの、長き沈黙を破っての新シリーズ。踊る文章、躍動する若者たち、吹き抜ける風のように清々しい青春譚。まさに、まさに、まさに【時載りリンネ!】と似た、しかしまた確実に違う空気感。
この感動を再び読める嬉しさよ。


【個人と国家 人魔調停局 捜査File.02】 扇友太/天野英 Novel 0

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MF文庫版では一巻しか出なかった本シリーズ、ついに幻の二巻突入である。相棒をカエデ姐さんに変えて、テロリスト相手に切った張ったの大活劇、と派手なアクションとは裏腹に事件の真相は国家規模の陰謀がうごめく陰惨な結末へと転がり落ちていく。個の求める正義と国家が執行する正義はどれほどまでに違うのか。


【Babel ―異世界禁呪と緑の少女―】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫

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作者が藤村由紀名義で書かれているファンタジー小説「Memoriae」。その一片である【Babel】がついに書籍化。ウェブ時代からの大ファン、特に【Babel】に魅了され尽くしていた身としては感無量であります。
言葉をキーワードにして、異邦人たるシズクが鍵となり、世界の謎が紐解かれていく。これぞ、これぞ「異世界ファンタジー」。

★★★★(四ツ星) 5冊

【かくりよの宿飯 四 あやかしお宿から攫われました。】 友麻碧/Laruha 富士見L文庫
ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? 11】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫
英雄都市のバカども 3.〜アルコ・ホール三番街の何でも屋〜】 アサウラ/たぶ竜 富士見ファンタジア文庫
皿の上の聖騎士〈パラディン〉 2 ‐ A Tale of Armour ‐】 三浦勇雄/屡那 Novel 0
火輪を抱いた少女 2.悪鬼】 七沢またり/流刑地アンドロメダ エンターブレイン

【かくりよの宿飯 四 あやかしお宿から攫われました。】 友麻碧/Laruha 富士見L文庫

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【ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? 11】 聴猫芝居/Hisasi 電撃文庫

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【英雄都市のバカども 3.〜アルコ・ホール三番街の何でも屋〜】 アサウラ/たぶ竜 富士見ファンタジア文庫

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以下に、読書メーター読録と一言感想。

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Babel ―異世界禁呪と緑の少女― ★★★★☆  

Babel ―異世界禁呪と緑の少女― (電撃文庫)

【Babel ―異世界禁呪と緑の少女―】 古宮九時/森沢晴行 電撃文庫

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『小説とかドラマって不思議だと思わない? 異世界でも言葉が通じるなんて』
ごく平凡な女子大生・水瀬雫は、砂漠に立ち尽くしていた。不思議な本を拾った彼女は気づけば"異世界"にいたのだ。
唯一の幸運は「言葉が通じる」こと。
魔法文字を研究する魔法士の青年・エリクに元の世界の言語を教える代わり、共に帰還の術を探す旅に出る雫。しかし大陸は二つの奇病――子供の言語障害と謎の長雨による疾患で混乱を極めていて……。
自分に自信が持てない女子大生と、孤独な魔法士。出会うはずのない二人の旅の先、そこには異世界を変革する秘された物語が待ち受けていた。
「言語」と「人間」を描く、感動のファンタジー登場!
ああ、そうか。一番最初の、シズクという名前をエリクに名乗った時点でもう齟齬は描かれていたんだ。あのやりとりこそが、この物語の根幹を揺るがすキーワードになるとは、まったく想像もしてなかったもんなあ。
というわけで、ウェブ版は既読済み。いやもうこれ大好きでねえ。元は作者が藤村由紀名義で書かれているファンタジー小説「Memoriae」、【Babel】は同じ世界観を舞台とするMemoriaeの中の一作品だったわけです。特に【Babel】はこの「言葉」という主題の扱い方と、シズクの波乱万丈な異世界紀行に、エンディングへと至る物語の流れの美しさとか、ラストが凄い好きでねえ。本作を書籍版として読めるというのは、実に嬉しい限りなんですよ、しかも森沢さんの絵付きで。これが雫かー、シズクかー!
この雫という娘は本当に何の特別な力も持たない等身大の娘さんにも関わらず、異世界に飛ばされただけじゃなく、その異世界の中ですらあちらこちらと世界中を旅してまわり、また波乱万丈と言っていいくらいの様々な境遇へと放り込まれるのである。むしろ、何の特別な力もないからこそ自分の意志の元に一貫した立場を保てずに、他者の思惑や偶然の出来事に翻弄され、意図せず立ち回りを強いられてしまう。
と、ここからが水瀬雫という娘の凄いところで、彼女はたとえ強いられた境遇であっても決して立ち止まらないんですね。理不尽の中に置かれても決して前に進むのをやめない。元の現世に居た頃から、個性的で優秀な姉と妹に挟まれ、劣等感と自信のなさに苛まれながらも、雫ってそれを理由にして立ち止まっている様子は一切ないんですよね。大学進学を期に、姉妹から離れて一人暮らしを始めた、というのも逃げという消極さよりも現状でどうにもならない境遇を足掻いて抜けだそう、固定化されかけていたものを刷新しようという積極性に端を発している感じなんですよね。
まず、異世界の砂漠の只中に放り出された時に、開き直って歩き始めたように、この子は蹲って動かなくなるということを絶対にしないのである。意志も責任も放り出さず、常に彼女は自分自身で決断し続けるのである。理性と理知を行動力でコーティングしたような彼女のそんな特質を、恐らく一番正しく評価していたのは彼女の姉と妹なんだろうけれど、それを面と向かってちゃんと彼女に告げてあげたのって、多分エリクが初めてなんだろうなあ。
ぶっちゃけ、この雫をして比べて地味という枠に押し込んでしまう彼女の姉と妹って、どんだけだよ、と思わないでもないのですけれど。バイタリティの塊だもんなあ。感情的に豊かであっても派手ではなく、さっぱりとして理性的なのが地味めに見えてしまったのかなあ。
まあ雫に関しての見解については、後々に妹ちゃんから語られた妹から見た姉、という視点でのそれに随分と頷かされたものでしたが。なるほどなあ、と。人間、自分については案外見えてないものなのである。だからこそ、自己評価と実際の齟齬とをきちんと修正してくれる周りの人というのは大切であり、そういう人と出会えるというのは運命的なものなのでしょう。それはエリクにとっても、感情的じゃないわりとサラッとした物言いで、確信を突くというかバッサリ有り体に自分の在り方について表現されるというのは、新鮮だったんじゃないでしょうか。

本作の主題の一つに、言葉というものがあります。いや、まさに主題そのものでしょう。それこそ、タイトルが「Babel」。統一言語とその崩壊の神話であるバベルの塔から取られたものであるからして。
雫がどうして、異世界に迷い込みながらその世界の言葉を理解できるのか。そもそも、この世界の言語の概念と、雫の世界である地球の言語の概念とが食い違っていることからはじまって、この世界の根底に横たわっている謎そのものに踏み込んでいくストーリー。言葉というキーワードがすさまじいまでに重要になってくるのであります。
一方で、本作の舞台となる「大陸」は「Babel」という物語すらもが、大きな歴史の流れの一端に過ぎない「クロニクル」であります。作中でちらりと触れられているファルサスという国の成り立ちや、かの国に存在する精霊、それをもたらした魔女の話など、様々な歴史と物語に彩られ、積み重ねられた世界なんですよね。
つまるところ、この世界は「水瀬雫」のために準備され用意された世界ではないのです。雫という主人公を起点にして生まれた物語世界ではないんですね。水瀬雫は、長く長く続いてきて、そしてこれからも続いていく世界の中の、物語の中の、本当の意味での異邦人なのであります。これって、異世界転移系の物語の中ではやっぱりかなり珍しい構図なんですよね。小野不由美の【十二国記】の中嶋陽子なんかはそれに該当するのか。それだけに、雫が迷い込み、エリクと共にあっちこっちを歩きまわり、飛び回り、転がり込む世界の大地には、国々の風俗には、そこで暮らす人々の生きる姿には、積み重ねられた年月という揺るぎのない強度があり、厚みがあり、通り過ぎるだけの目に映る風景に膨大な背景が感じられるのである。雫の目に映る異世界は、確かにそこにある世界で、過去から存在する世界で、これからもずっと続いていく、世界なのだ。
そんな踏みしめる感触の有る世界を、雫は旅していくのだ。翻弄されながら、生きているのだ。迷い込んだ先で、彼女はその世界の人々と交流しながら、生きていく。
それが、書籍版となり、今まさに始まったこのシリーズ最初の一冊からも、ひしひしと感じることができる。指先で触れるように、匂いを胸いっぱい吸い込むように、日差しや風を体中で浴びるように、感じることが出来たのだ。
それが、何とも嬉しくて、くすぐったくて、心地良い。

あぁ今、自分、異世界を舞台にしたファンタジーを読んでいる。

さあこれが、【Babel】の開幕だ。

 
11月26日

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