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C・NOVELSファンタジア

ヴァリアント・エクスペリメント 3   

ヴァリアント・エクスペリメント (C・NOVELSファンタジア)

【ヴァリアント・エクスペリメント】 あやめゆう/ マニャ子 C・NOVELSファンタジア

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被験者諸君、異能実験へようこそ。ルールは簡単。渡されたカードを奪い合え。ゴール地点でのカードの数に応じて賞金が出る―孤島に集められた異能者たち。携帯情報端末に示される位置情報と使い魔の異能感知能力のみを頼りに、命懸けのバトルが始まった!初めて出会う同類との戦いに快感を覚えるマコトは…。ノンストップ・バトルアクション!
こういうバトルロワイヤルな舞台設定ってコンテンツとしてやりやすい類のものだと思うんだけれど、意外と少ない気がするなあ。単発モノとしてはともかく、シリーズものだと第一作目で一旦終了してしまうと続編ではまたバトルロワイヤル、とはいかないからだろうか。東出祐一郎さんの【ケモノガリ】なんかでも、二作目からはその辺変わってきましたしね。
本作が面白いのは、これ主人公が追われる側ではなく終始食い散らかす側に立っていたことだろうか。異能者同士によるバトルロワイヤル、ということで参加者の誰もが力と武器を持っている状態である。いわゆる一方的に追われる弱者が居ないとはいわないけれど、非常に少ない舞台設定なんですよね。ヒロインである芦屋悠里からして、抗う牙は持ち合わせている。
でも、異能者揃い、バケモノが揃ったバトルロワイヤルでありながら、この異能者たち、こと戦うことに関しては本当のド素人ばかりなのである。身を持ち崩して裏社会に身を投じていたりアングラに転がりおちていたりする者は居て、いわゆる喧嘩慣れ、殺し慣れしている者たちは居るものの、その彼らですら自分の持つ異能をなるべく隠し、人間社会の中でひっそりと生きてきた、という経歴の持ち主ばかりで、自分の異能の扱い方に長けているわけではなく、本当の意味で「戦う」という経験は持ちあわせていないものばかり。
なので、異能を駆使したバトルロワイヤル、という様相ではなく、異能を持った素人たちが初めてその能力を好きに使える状況にテンション上がりすぎて、狂躁状態のまま行き当たりばったりの出会い頭に殺しあう、そんななかなかに目も当てられない状況になってしまっているのだ。これは主催側も予想外だったようで、もうちょっと生き残るため勝ち残るための駆け引きや戦略、策略や謀なんかが張り巡らされる、と思っていた節もあったようで、まさか総員「ガンガン行こうぜ」になるとは思ってなかったんだろうなあ。異能を使わないように密かに生きてきた鬱憤の強さや、ド素人の状況の見通しのなさを完全に見誤っていたようで、このあたりの誤算については素直に言及されている。
と、そんな中で「ガンガン行こうぜ」という方針は変わらないものの、他の参加者とどうも根本からパーソナリティが変わっていたのが、主人公である式条丹女史である。もちろん、彼女がプロのコマンダーだった、なんてわけではない。普段の彼女はなんでも屋という探偵というにはいささか肉体労働が多そうな仕事をしている姉ちゃんに過ぎず、決して荒事の経験が多いわけではない。
にも関わらず、異能者という名の「一般人」ばかりの参加者の中で、彼女は突出して異常なんですよね。メンタリティがイカレている。能力のあるなしなど関係なく、このバトルロワイヤルにおける数少ない本物の「バケモノ」、捕食者であるのが彼女、マコトなのである。主人公にも関わらず。
このあたりのキャラクターの描き方は、あやめゆうさん特有の、つかみ所のないイカレ具合で、この人の描くキャラが好きな人はまずストライクであろう。倫理観や自分の中のルールというのが、完全に他人や社会から独立しているのが特徴、というべきか。傍から見ていると、いっそエグいと言っていいくらいの為さりようで、暴君とも傲岸不遜とも取れるんだけれど、決して非情ではないんですよね。最初の方のなさりようはさすがにこれは酷いよなあ、とドン引きしたもんだけれど、その件については最後に見事にひっくり返してくれて、「そうだったのか!」とサプライズくらって、ちょっと安心いただきました。マコト姐さん、容赦の欠片もないひとだけれど、無情でも非情でもないんですよね。割り切りキツイけど、トータルでみたらわりと優しい情があるタイプに見える。
しかし、それでも彼女こそ肉食獣であり、捕食者なのである。このゲームの参加者は哀れな駒であり、愚かな生贄であり、どうしようもない実験動物に過ぎないはずだったにも関わらず、最初から最後まで彼女だけは完全に自由であり、食われる側ではなく食い散らかす側であり、全部見通した上で悠々と敷かれたレールの上を闊歩した挙句に、軽やかにレールから外れて安全地帯に設定されていたはずの領域に飛び乗って、あの不敵な笑みで睥睨してみせてくれるのだからたまらない。
まったく、心の底から好き勝手してくれちゃって、楽しそうで幸いである。

熾天使空域 銀翼少女達の戦争3   

熾天使空域 - 銀翼少女達の戦争 (C・NOVELSファンタジア)

【熾天使空域 銀翼少女達の戦争】 榊一郎/BLADE C・NOVELSファンタジア

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東京の女子校に合格して田舎から上京してくる、はとこの澪をむかえに行った将一郎。駅で待ち合わせをし、そのまま寮へ移動しようとした途端、二人は謎の空間に取り込まれてしまった。頭上を飛び交うのは、戦闘を行う美しい少女たち。だがその姿は戦闘機―しかも、第二次世界大戦時のものだった。将一郎らは、その中でも零式艦上戦闘機二一型を模した少女に助けられ、一緒にこの窮地を乗り越えることになり!?榊一郎×BLADEの人気コンビが贈る、新たな萌ミリ、ここに開戦!
萌ミリって、ガチな殺し合いじゃあないですか。しかも、かなりの理不尽系。最近、というには結構息が長くなっているけれど、ミリタリー系要素の擬人化モノ。第二次世界大戦期の航空機を対象にしたものなんだけれど……普通の少女に後付で人体改造を、というパターンは可能性としては語られながらも、実際の設定として用いられる作品は今まで意外となかったんじゃなかろうか。このパターンはどうしても内容がエグくなりがちだし(何しろ人体改造)、改造のネタになった兵器なんかよりも、改造を受けた少女の境遇や内面描写に焦点が当たることになるので、肝心の兵器ネタの扱いが蔑ろになりかねないという危険性が大きいですから、手を出すのはなかなか難しかったんじゃないでしょうか。
そこを敢えて突っ込む榊先生はさすがというかなんというか。イコノクラストとか、前々から女の子を理不尽で悲惨な境遇に追いやって戦わせる展開はお手の物でしたからねえ。
しかし、いきなりワイルドキャットからじゃなくて、ヘルキャットとコルセアで攻めてくるとかどんなハードプレイですか。既にこの段階でスペック的に二一型どころか五二型もキツキツでしょうに。この作品は、一機種につき一人、というわけじゃなさそうだけれど……どの戦闘機があたるか、というのは何か必然的な理由があるんだろうか。澪なんかは曽祖父が五二型に乗っていた、という歴史があったからっぽいけれど。バッファローとかデファイアントなんかに当たったら、悲惨どころじゃ済まないぞ(苦笑
にしても、少女たちに明確な戦う理由が存在しないのが、かなり厳しい。無理やり戦いの場に引きずり出されて、訳もわからないまま戦わされる。戦闘が行われる理由は、謎の存在による戦闘実験、みたいな感じで彼女たちには一切の益はないわけだし。とにかく、生き残るために戦う、しかも同じ人間で女の子であろう相手をどうしたって殺さなくてはならない、というのは普通の戦争なんかよりもよっぽどマトモじゃないわけで。主催のフーファイターは、人間の生体について殆ど理解していなくて、常識が通用しない相手だし、心の問題とか内面とかも全く関知していないようだから、メンタルケアなんて一切してないんですよ。
仲間になる二一型の娘が、かつて一緒に翔んでいた親友が殺されて以降、殆ど人が変わってしまった、みたいな状態も宜なるかな。航空戦闘での死に方なんて、まともに亡骸も残らないですし、親友が五体バラバラになりながら墜落していく様子を目の当たりにした年頃の女の子が、むしろこの程度の精神変容で収まっているのはかなりマシな方なんじゃないだろうか。
一応、殺さずに戦闘を終結させることは可能なようだけれど、航空戦はそんな加減が出来るような代物でもないわけで。こんな物語のメインヒロインに、澪みたいな内向的な娘を持ってきて果たして能動的に動けるんだろうか。
で、肝心の戦闘機としての要素だけれど……此処の機体のスペックって、こうなると大きなファクターではあっても、あくまで一要素って感じなんですよね。何しろ、デジタル無線の搭載による相互連携の確保と、将一郎が要撃管制指揮をとることでほぼ戦域を掌握することが可能なわけで……レーダー搭載してもいない第二次大戦期の戦闘機相手にこのアドバンテージは凄まじくデカイと思うんですけどw
ラストのシーンは、フーファイターの理解不能な不条理感をこれでもかと詰め込んだえげつなさで、衝撃的すぎる引きだったけれど、この調子だとどう転がっても救いとかなさそうなんだよなあ。

榊一郎作品感想

ブレイブレイド 4.神葬の魔剣4   

ブレイブレイド4 - 神葬の魔剣 (C・NOVELSファンタジア)


【ブレイブレイド 4.神葬の魔剣】 あやめゆう/しばの番茶 C・NOVELSファンタジア

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殺戮と破壊をくりかえす『虚工物』をばらまき、帝都を百年戦争以来の恐慌に陥れて飛び去ったウィル。勇者として覚醒したローズは、力ずくでも彼を止めることを決意し、アニスとユスティンも従う。いっぽう、ジンもまたウィルのあとを追うが、「友達」に対し、どうしたいのかわからないまま。そんな彼に父は言う。「これが終われば―ジン、おまえが『英雄』だ。世界を救って来い」と。百年戦争の英雄の言葉にジンは!?シリーズ堂々完結!
いやあ、参った。ジンは最後まで凄まじい主人公だった。何しろ、最後の最後まで敵か味方かわからなかったもんなあ。
ジンという少年が定めている基準・ルールというものは、実際はすこぶるシンプルなもののはずなんですよ。これまでの彼の言動や彼を評する周囲の人達の解釈からしても、単純明快というのは間違っていないと思う。一本線を引いて、そのラインを超えるか超えないか、ただそれだけの基準のはず。なのですが、そのラインがどうしても他の人間には理解できない。いや、理解できないわけではないのか、感覚として捉えられないんですよね。これは、読んでいる側のこちらも同様で、彼の考え方は全く複雑でもなんでもなく、一本筋の通った明快なものであるはずなのに、どうしてもよく分からない。あまりにも想像の上を行き過ぎてて、認識し切れなかった、というのが正しいか。
お陰で、ジンという人物はとにかく何を仕出かすかわからない得体のしれないとんでもない人間、という認識になってしまう。これは、ジンという人間のあり様を十全理解している人たちにとっては、なんでこんなわかりやすいのに分からないんだ? と首を傾げてしまうところなんでしょう。ウィルやマキナなんかはこの類で、エリスなんかは自分ではわかっているけれど、他人には説明できない感覚的な理解、といったところか。
面白いことに、ジンの在り様というのは理解する=同調してしまう、という傾向があるらしく、ローズを筆頭に彼の生き様がどんなものか認識してしまった人たちは、それを嫌悪するか興味を抱くか無関心かの区別なく、それぞれがくびきを脱して自分に正直になっていく。それはしがらみや他人からの干渉を無視するということであり、結果として好き勝手に動き出すという事になる。ただ、そうやって自由になった人たちは同時にその束縛から脱した自由に対して責任を積極的に負おうとするので、みなが片っ端から好き勝手しだしたわりには悲惨なことにはなってないんですよね。ひどいことにはなっているけれど(苦笑
でも、その中でもジンはやっぱり特別というか逸脱していて……こいつ、ほんとに自分の設定したルールに対して妥協とかしないんだよなあ。そこには例外がまるでなく、相手が神様だろうが自分であろうが容赦がない。
彼を評する言葉は色々尽くされていたけれど、一番興味深かったのが、彼は死ぬほど我慢できないことは絶対に我慢しないけれど、死ぬほど我慢できないことでなければ概ね我慢してしまう、という感じの誰が言ったか忘れてしまったけれど、こんなセリフがあったんですよね。
そうなんだよなあ、一度行動を始めたあとのジンのあまりにも苛烈で容赦のない激動に目を奪われがちでついつい触れると爆発する危険人物みたいな印象があるけれど、むしろジンって尋常じゃなく我慢強い人物なんですよね。常軌を逸しているほど、自分を殺せるといっていいくらい。撃発するまでの安全性という意味では、そこらの人間よりもよほど安全なのかもしれない。ただ、一度火がついてしまったあとの不可逆性が筆舌しがたいというだけで。
そんな意味でも、ほんとシンプルなはずなのです。その単純明快さを明瞭に見極めていたのが、今回の騒動を引き起こしたウィルだったわけですね。彼の真意については、終わってみるまでほんとさっぱりわからなかったんですけれど、一旦全部ことが終わってから、イルマの指摘通りに彼のやったこととその結果を見ると、思わず呻いてしまうほど巧妙で、しかし明快だったわけです。
いやほんとに、ジンといいウィルといい、こんなにわかりにくい明快さという矛盾には心地よさすら感じるわけで。やっぱりこいつらが捻くれてるからですよね!!
だから、マキナのストレートな感情表現は、実にまっすぐで清涼ですらありました。あれを真っ直ぐとかストレートとか感じる時点で相当に感覚が歪められているような気がしないでもないですが、少なくともこの娘のカクカクと角ばった乙女心はちょっとマシーナリー掛かってるけれど、むしろそれが良いという、ちゃんとわかりやすく乙女心していて、ある種の癒やしでありました。普通に読んでると、どうも超悪そうな薄ら笑いしか浮かんでこないもんなあ、これ。

勧善懲悪モノとは一線を画した、かといってピカレスクロマンともまた違う、「みんな」ではなく「自分」に従った善悪の軛を脱したルールに基づくダークヒーローの、常識を吹き飛ばす痛快さを、どこか怖気じみたものと共に味わえる、なんとも凄い物語でした。
これで、ちゃんと爽やかなハッピーエンドで終わるんだから、大したものです。
最初のシリーズといい、この二番目のシリーズといい、他とはひと味もふた味も違う独特の感覚を味わえました。こりゃ、次の新作も期待せざるを得ないですなあ。あー、面白かった!

1巻 2巻 3巻感想

八百万の神に問う 1.春 3   

八百万の神に問う1 - 春 (C・NOVELSファンタジア)

【八百万の神に問う 1.春】 多崎礼/天野英 C・NOVELSファンタジア

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「楽土」は神々によって開かれた。そこには飢えも痛みもなく、怒りや悲しみもない。争いの存在しない地には、「音導師」と呼ばれる言葉で問題を解きほぐす者たちがおり----新シリーズ開幕!
今度の多崎さんの作品は和風異世界ファンタジー。あくまで和風、風味であってこれはまた独特な雰囲気だわなあ。確かに中華風でも洋風でもないし、日本語表記以上にこの牧歌的な郷の風景は和風のような気もするんだけれど、でも明らかに違う。まあそれを言ってしまうと、これまでの作品だってその世界観はあまりにも独特な空気が流れていて、洋風だなんだという括りでは捉えきれない起立したものがあったんですよね。それを、ここでも如実に感じ取ることが出来ます。こうやって自分の世界観を確固として構築できるからこそ、一流のファンタジー作家として名を成してるんだろうなあ。
さても、主人公は表紙にも描かれているイーオン音導師。音導師というのは音を操る音楽家、ではなくて弁舌を操って争いを纏める弁護士、或いは交渉人、といったところでしょうか。それも、誰かの利益の為に働く営利職業者ではなく、限りなく公人に等しい役割を担っているように目されます。勿論、頼まれて依頼人の代弁者となって働く人も居るようなので一概には言えないのですが。
しかし、このイーオン、見た目からすると男だと思ったのですが、実は女性のようでして。挿絵の登場人物紹介など見ますと、目つきは悪いというか眼の下に隈がはっていて、もはやガラの悪い「L」みたいにしか見えないのですが、これでも三十路前後の女性だというお話。主人公が三十路女とはまた斬新な、と言いたいところですが、むしろ主人公は若いサヨさんの方でして、翻ってみてみるとこの一巻は、一廉の音導師であるけれども心に傷を負い、後悔とトラウマに囚われているサヨ音導師のくびきが解き放たれる、いや自ら解き放つのをけったいで性格も悪い問題児、に見えてその実賢人なイーオンが導いていくという人生の障害を乗り越えるお話だったんですなあ。
さらに注目して見るべきは、この「楽土」なる暴力が否定された場所でして、一番奥まった里の方は神の判別によって自由に出入りできなくなっております。そこは、深く傷つき現世で生きられなくなったほど弱ってしまった人たちが癒されるために訪れる場所。まるで天国のように語られていますけれど、その実態をよくよく見ているとそこは人生の終端地点。穏やかに平和に人生を終えるための場所。言うなれば、終末医療の施設、みたいなところなのです。もっとも、冒頭から読む限り、楽土のもっとも奥まった人里ナナノ里にそんな時の止まったような静寂はありません。耐えない人の笑いがあり、生き生きとした村人たちの生活がかいま見えます。お陰で、最初は「楽土」の意味がよくわからなかったんですけどね。
どうやら、過去回想などを見る限りではナナノ里がこうなったのはごく最近。この村を見守ってきた方がそれ故に苦悩し続けてきた人生の終着点たる村の姿は、徐々に変わりつつ在るようです。
楽土に訪れる変化、それは既に起こり始めており、人間と神の関係を含めて大きくうねりはじめています。
この一巻のクライマックスで、ひとまず急激すぎる変化は否定されているのですが、面白いことにその否定した人によって、ナナノ里は徐々に変化を迎えている。同時に、楽土の外から外国の手が忍び寄り、近々の波乱は約束されてしまっているようなもの。イーサン音導師の出馬は、まさにその変化に備えてのもの、と言えましょうが、はてさて、「変化すること」そのものの良し悪しはどっちなんでしょうねえ。変わるべきものもあれば、変わらざるを良しとすべきものもあり。一概には言い切れず、見る位置、立場を変えれば様相は代わり、短期的と長期的という観点からも大きく異なっていくのでしょう。
「楽土」という特別な場所の行く末がどうなるか。まだ誰の口からも語られない、イーサン音導師の抱える一度世を捨ててしまった程の傷と闇は何なのか。まずもって人を揃え、世の在り様を捉えるところからはじまったこの第一巻。夏が来て秋が参り冬が訪れる。そこに「答え」を見る前に、まず「問い」から集めていくのが次以降か。
さてもはじまりはじまり、然してたのしみたのしみ。

多崎礼作品感想

ブレイブレイド 3.惨下の都3   

ブレイブレイド3 - 惨下の都 (C・NOVELSファンタジア)

【ブレイブレイド 3.惨下の都】 あやめゆう/しばの番茶 C・NOVELSファンタジア

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“虚神”も“鉄鎖の泉事件”もすべての黒幕は宰相ロンデニオだ―せめて一発喰らわせてやりたいと敵の隙を狙って帝都に潜むジンとマキナ。義賊を名乗る反政府組織『徒花』の仲間になり、帝国が隠し続けていた地下迷宮へと向かう。その迷宮が巨大な『虚工物』ではないかときき、新たな陰謀を感じるジン。いっぽう、宰相と面会する学院長に伴われ帝都を訪れたローズマリーたちは皇室直属騎士団の『徒花』掃討作戦に協力を依頼されてしまう…。大転回のシリーズ第三弾。
二巻の感想で、ローズだけはジンに対して怒っていいよ、と言ってたら、実際怒ってみたらこの妹、完全にジンと同類じゃないか!!
いやもう、これ笑うしか無いね。その価値基準こそジンとはやや違うものの、一度こうだと決めたら何があろうとやってのける、シンプルに言うと頭にきたらぶん殴る、の発想は完全にジンと一緒。これまで「英雄の娘」という括りに縛られていたが故に小さく纏まってしまっていた少女が、「自分はジンの妹だ!」と開き直った結果、勇者として見事に覚醒してしまったのは笑うしかないよね。あの性格も能力もデタラメな「英雄」様の血を、明らかにお母ちゃんの血の方が駆逐してるじゃないか。英雄も頭の上がらないという人物で、しかも父親の違う子供が二人とも「これ」ってのは、どう考えても母親の方が原因じゃん(笑
まあ流石にあのジンほど敵対=殲滅思考じゃないので、ローズの方が穏便にも見えますけれど、比較対象のジンがあれなだけで、筋を通させるという意味ではあれ、ローズも容赦なさそうなんだよなあ。相手の地位とかもう眼中にないだろうし、許せないとなったら相手が誰であろうと相応の報いは何としてでもウケさせるんじゃないだろうか。絶対に泣き寝入りはしないぞ。
その意味では、自分でぶっ飛ばして片を付けるジンよりも困難な道筋にも思えるのですが、その辺はやっぱり勇者なんだろうなあ。
というわけで、勇者という立場と英雄の娘という身の上に縛られて雁字搦めになっていた妹が、兄貴の断固としすぎる行動に価値観を揺さぶられ、自分が拠り所としてきた秩序と正義が随分と恣意的で身勝手なものだとわかってきて、じゃあどうすりゃいいんだ、と散々頭を悩ませた挙句にぶちきれ、「自分はジン・アークロストなんだ!」と開き直った結果、つまりジンと同じ「気に入らねえからぶん殴る」という発想に至ってしまうというお話でした。
って、ある意味これ大惨事だw

すべての元凶にして黒幕、みたいな雰囲気だったロンデニオが、先の虚神戦争の真実と相まってどうにも締まらない結果になってしまい、ジンとしては怒るに怒れない形になってしまったんですよね。ジンの怒りというのは概ね向こうの都合を押し付けられて意志を無理やり歪めさせられる理不尽に対して、のものなので、ロンデニオみたいなのはぶっちゃけ、勝手にやってろ、てなものなのでしょう。巻き込まれる事については迷惑だし振り払うけれど、彼としてはそこまで怒る事じゃないんでしょうなあ。代わりに、こういう身勝手に対して激怒するのがローズだったわけです。基準の違いですな、このあたり。
しかしまあ、アニスの楽しそうなこと楽しそうなこと。人生浮かれきってるよな、この娘。そんなに面白いかねえ、と思うし、無責任だなあと思うところだけれど、ここまで屈託がないとアニスだしなあ、と苦笑するしかない。まあこういう娘だからこそ、ローズと友達になれたのだろうけれど。

もう我慢するのやめた! と自分の勝手を押し通すことにしたジンだけれど、やってることは何だかんだと身近な誰かの尻拭いばっかりというのも因果な話。大事なものが少ないだけに、身勝手だからこそ身勝手に自分の好き勝手に、親身になったやつは見捨てないし、大事な奴がやらかしたことの後始末は責任をもって背負おうとする。もうちょっと無責任に生きればいいのに、と思うところだけれど、それが出来ないからこそ長らく我慢もしていたのだろうし、選ぶとなった時に手段も選ばず被害も考慮しないくらい徹底してしまうんだろうなあ。でも我慢するにしても、我慢しないことにしたあとにしても、自分の内側に入れずに拒絶してる、というのは確かにあると思う。だから、あのモニカのジンに対する糾弾は的を射ているようで聞いててかなり痛かったんですよね。何にせよ一方的なんだよなあ、ジンの思考回路というのは。そんな彼の懐にスルリと入り込んでいるのがもしかしたらマキナなのかもしれない。彼女のあの突発的な行動からすると、思いの外すんなりと収まるところ収まるのかもしれないなあ。
さて、なんか予想だにしない人物が予想だにしない行動に出て、なんぞこれ!? と面食らう中で次があっという間の最終巻。いったい着地地点がどこにあるのかサッパリなんだが、とにかく嫌というほどわかったのは、この英雄とその娘と息子と奥さん、つまりこの一家は絶対に敵に回してはいけません、という事ですな。
マジヤバいです、この家族w

1巻 2巻感想

ブレイブレイド 2.鉄鎖の泉4   

ブレイブレイド2 - 鉄鎖の泉 (C・NOVELSファンタジア)

【ブレイブレイド 2.鉄鎖の泉】 あやめゆう/しばの番茶 C・NOVELSファンタジア

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破壊的な力を持つ魔剣を腕に宿してしまったために、サーデイン聖央学院を追われ帝国へ身柄を移されたジンとマキナ。二人は魔剣と虚神の謎を探るため、女騎士・イルマ、科術士・テオボルトとともに結界で封じられた村へと派遣される。百年戦争の痕跡も英雄の記憶も色濃く残されたその村には、それゆえに人間を嫌う排他的な「神民」が暮らしていた。戦争の当事者でもないジンにまで当時の生々しい記憶のままに悪意をぶつけてくる族長にジンは苛立つ。そしてその夜、閉ざされているはずの村が何者かに襲撃されて!?シリーズ第二弾。
あああっ! なんと、そういう事だったんだ!! いやいやいや、これは迂闊でした。全然、そっち方面に頭が回っていなかった。何時出てくるか、何時出てくるのかとヤキモキし続け、遂には位相がズレていて、鉄鎖の泉が2つあるんじゃ、なんて想像まで巡らす始末。なんか、間違い探しを連想させる描写やジンが街の様子に変な違和感を感じている描写を、そんな風に取り違えて捉えちゃってたんですよね。お陰で、種明かしをされるまで全く気づかず、真相が明らかになってようやく「……ああっ!!」と理解する始末。
全部明らかになってみると、決してややこしかったり難しい作為が挟んでいるわけじゃなかったんですよね。えらく簡単な話だったんだ。ちょっと頭を巡らせばわかるようなこと。いやあ、でも全然気づかなかったなあ。自分が迂闊だった、というのも勿論なんですが、同時にそれだけ描写や構成が巧妙だったのは間違いありません。これはやられましたなあ。
というわけで、第一巻で何よりその主人公・ジンのとんでもない危険人物っぷりに度肝を抜かれた【ブレイブレイド】の第二巻。自分の父である英雄に立てつき国に居られなくなったジンは、マキナとともに帝国の間者の手引きで帝国へと渡し、そこで数ヶ月の逼塞を強いられたあと、鉄鎖の泉と呼ばれる遺跡へと派遣されることになる。
裏に様々な思惑や謀略がうごめいていたわけだけれど……戯けとしか言いようがない。馬鹿が、と頭を抱える他ない。

こいつら、ジンを怒らせやがった。

この主人公がどれだけ危ない人間なのか、どれほどヤバい男なのかについては第一巻の感想でこれでもかと書き倒しました。書いても書いても全然足りない気がしましたけれど、とにかくそのとんでもなさたるや、今まで見てきた中でも随一。これでも随分とたくさんのライトノベルを読んできたつもりですけれど、その上で言います。言い切ります。このジンが、一番やばいw
今まで見てきた主人公の中で、一番敵に回したらいけないやつだ。
こいつを敵に回してしまったら、相手がどんな怪物でも英雄でも天才でも関係ないです。世界を救ってしまうような人知を超えた力を有していようと、世界を手のひらで転がすような神算鬼謀の智を持っていようと関係ありません。
絶対に勝てない。
ジンという一人の人間のスペックだけみたら、平凡なものです。今回新たに登場したキャラクターだけ見ても、敵味方関わらず彼が勝てるような能力の持ち主なんて殆どいませんでした。力もなく、技能も伸びず、才能なんて欠片もなく、魔力だって凡庸なもの。聡明で頭の回転が早く狡猾ではありますけれど、決して智謀湧くが如し、というタイプでもありません。若造である以上、知識も経験も年長者には多分に見劣りします。
でも、絶対彼には勝てない。彼を敵に回せば、絶対に叩き潰されます。
だって、なぜなら、彼は「やる」と決めたら絶対にやるからです。絶対にやっちゃうのです。

絶対にです。

怖ぇぇぇ! あかんて、やばいって、背筋震える、怖い怖い怖い、これはホントあきません。
それがもう嫌というほど目の当たりにして理解しきってしまっているだけに、ジンに余計なちょっかいをかけようとしている連中に、もう何やってるんだあほかーーっ、と叫びたくなる。悲鳴です、いいからやめとけっ、と必死に呼び止めたくなる感覚です。そっちは地雷原だーー! とか、あんたが拾ったその箱にはもう爆発しそうな時限爆弾が入ってるんだ、すぐに放り投げろーーっ!! と言いたくなるような感覚です。
いい気味だとか哀れみを感じるとか、そういう気分じゃないんですよね。もう、こっちまでガタガタ震えて見ていられない、という感覚。
これが雑魚っぽい格下だったり、見るからにヤラレ役の足りない奴らだったら、ここまでこっちもガタガタ震えることはないんでしょう。でも、彼に手を出してしまう輩というのは、普通に見たらとてもじゃないけど若輩の若者たちが太刀打ちできるとは思えない、歴戦にして辣腕たる大物ばかり。威厳も威風もたっぷりで、どんな小賢しい手を打たれようが、想像の埒外の攻撃を受けようが、眉一つ動かさずにいなされ返されいつの間にかひっくり返され、ぐうの音も出ないほど息の根を止められそうな、そんな本物の大物ばかりなんですよね。「英雄」にしても、今回の「真の黒幕」にしても。まともにやって、とても敵いそうもない、崩せそうもない、そんな途方も無い相手なのです。

にも関わらず、やっぱり思うわけです。
その少年だけは、敵に回しちゃダメなんだよっ!! と。

元来、非常に我慢強く賢明で冷静沈着な性格だけに、前半はジンも大人しくしていて、こちらも落ち着いて見ていられたのですが、中盤以降事件が起こり渦中に放り込まれて以降、ジンが段々とイライラっとしてきて、その上で淡々と自分の中のリミットラインを見極めだした日には、もうあとは「ひぇぇぇぇぇぇ!!」とビビりっぱなしです。
怒ってる、怒ってる、怒ってるぅぅww

彼のロジックというのは余計なものを取り除いていくと極々シンプルなんですよね。そして、それは決して他者を排斥するものではありません。恐ろしく自立し切って、独立しきって、極まり過ぎているので、愛だの憎しみだの欲だの過去だの世間体だの権力だのしがらみだの、余計なものを背負ってしまっている人には中々追随も理解も出来ずしてもらえないものなのかもしれませんけれど、何もかも放り出して自分というものをシンプルに立脚してしまうと、彼の行動原理というのはスッと浸透するものなのかもしれません。そうでなくても、そんなあまりにも単純で厳しい生き様を真似できなくても、憧れてしまうものなのかもしれません。
ともあれ、彼が彼らしくあり、それを貫いて周囲の有象無象を振り払った時、多かれ少なかれ周りの人間達もその影響を受けざるを得ないのでしょう。いい意味でも悪い意味でも。それは、ジンの妹のローズたちもそうですし、今回のイルマたちもそう。何より、一番側にいるマキナもまた、変化を続けています。
でも、なんやかんやと普通の物語と違って、キャラクターに甘くないというか、最初から最後まで突き放してるのが特徴と言えば特徴なんだよなあ、このシリーズ。イルマの在り様なんか、非常に面白いですよ。そして、神民と人間の関係についても、非常に面白い。
何が大人で、何が子供か。あとがきの冒頭に書いてらっしゃる「大人と子供の違いというのは『子供の前で大人として振る舞えるか否か』というだけの話」という一文が、結構作品全体の根底を担っているような気もする。その大人として振る舞うべき相手の子供が、年齢的な子供だけを意味していない、というあたりが難しい話ですけれど。大人になれない子供に対して此方は大人として振る舞うのって、だいぶん難しいですよ?
まあ相手が恥ずかしく思ってくれるだけのモノを持っていてくれればいいのですが。

しかし、終わってみると、やっぱりジンって随分とシスコンだよなあ。だだ甘お兄ちゃんじゃないか。まあ、ローズもローズで同じくらいブラコンなわけだけれど。
愉快なことに、ローズがブラコンであればあるほど、ジンの在り様って認めがたいんですよね。大好きでたまらないからこそ、我慢出来ない。
可愛い妹です。うん、君だけは怒っていいよ。

1巻感想

ブレイブレイド 1.遺跡の虚人4   

ブレイブレイド1 - 遺跡の虚人 (C・NOVELSファンタジア)

【ブレイブレイド 1.遺跡の虚人】 あやめゆう/しばの番茶 C・NOVELSファンタジア

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先の大戦の英雄を讃え、後継者を養成する目的で作られたサーディン聖央学院―その英雄を父に、「勇者」の名をほしいままにする優等生を妹に持つジンは、落ちこぼれ。早々に才能に見切りを付け、英雄候補生らしくなく振舞う彼に周囲の目は冷たいが、妖精エリスやマイナー学科の変人学生たちとそれなりに学生生活を謳歌していた。そんなある日、研修先の遺跡で少女を拾った事で、生活は一変。「私はあなたのモノです」といい、虚人と名乗るその人形めいた謎の少女の正体は?そしてジンの運命は!?新シリーズ開幕。
すっげえな、この主人公、すっげえなあ!! なんというか……ヤバいです、このジンという主人公。触れるだけで斬れそうな危険性というか、扱いを間違えると持ち主を傷つける凶器というか。精神的に不安定だったり狂気に魅入られているというわけじゃないんですよ。むしろ常人よりも我慢強く冷静で物事に対しても非常に醒めた見方をしているタイプなんですよね。ただ頑固。凄まじく頑固。そしてその頑固さというのは、岩のようにゴツゴツしているものでも、凝り固まって融通のきかない、というものとは少し違っていて……こいつの頑固さというのは剣なんですよ。刃と言ってもいいのか。限界まで研ぎ上げられたような刃の切っ先のような頑固さ。
もうね、ヤバいんですよ。ここまで主人公という種類の人間に危険性を感じたことは滅多ありません。もう、うわこいつやっべえ! と思いましたもん。自分が非才である事を受け入れながら、諦める事をせずずっと努力を続け、それでも実らぬ才に対して、なおも腐ることなく自分の出来る事を探しながら無明の道を歩き続ける。英雄の息子であり、勇者の兄であるという立場でありながら、その立場に相応しい才能もなく、英雄の息子たる道を進まず王道から外れていく彼に対しては、周囲から常に非難と抑圧が浴びせられ、時に人格や存在価値さえ否定されながら、鬱屈に耐える日々。
これ、英雄である父は実の親ではなく、再婚した母の連れ子であって、実の父はアル中のクズ野郎である、という事実もまたジンの鬱屈を強めているんですよね。そして、かつて自分のあとをついてまわっていた妹は、いつの間にか自分を遥かに追い越して英雄の子としての期待に応えて勇者と呼ばれる存在になり、期待に応えられないジンに対しては酷く辛辣に当たるようになってしまっている。英雄である父親は、こいつはこいつで規格外である以上凡人でしかないジンとは何もかもが咬み合わない。友人と呼べる人間も殆どおらず、唯一変人のウィルと妖精のエリスが友達であるくらいの、孤立しきった学院生活。
まあ歪んじまう環境ではあるんです。でも、虚人マキナと出会うまで、魔剣を身に宿してしまうまで、彼はそんな抑圧された環境の中でも、これ自分に対して誠実に生きてたと思うんですよね。決して歪んでなんかいなかった。弱い自分に忸怩たる思いを抱きながらも、自分を貶めるような真似はせず、腐らずに誇りを持って生きていたんです。それって凄いことだと思うけれど、更に言うと恐ろしいことでもあると思うんですよね。彼はそうやって、我慢し続けていたんですから。どれだけの怒りが、悔しさが、我慢の中に積もっていっていたか。内圧は凄いことになってたんじゃないでしょうか。
でも、そのままなら、彼はその押さえ込んだ内圧を、決して表には出さなかっただろうと思う。多分、魔剣を手にし、マキナを傍に置く事になり、弱者であった彼が途方も無い力を手に入れてしまった後も。彼は決して力に溺れたりなんかしなかったでしょうし、力に酔い、力を誇示し、今まで与えられ続けていた抑圧を見返そう、なんて考え方をしたとは思えないんですよね。この少年は、ビックリするくらいに理性的で我慢強くて、理不尽を嫌う性格のようでしたから。もう、頑固なほどに。
だからこそ、許せなかったんでしょう。ひとがこれまでずっとし続けてきた我慢を踏みにじるような真似が。一方的に自分の都合を押し付けてきて、勝手な幻想を押し付けてきて、英雄の息子たるに振る舞いを強要してくる、万人にとっての正しさが。自分の生き方を、穢そうとする他者の意志が。

でもね、だからと言って、ここまで思いきれるもんなのか。覚悟を据える事が出来るものなのか。
力の大きさでも能力の強さでも技術の巧みさでもない。それなら、ジンが勝てる相手なんかこの学院には一人もいない。それなのに、この少年は……メーター振り切ったような極まった覚悟、それだけで。こうだ、と決めた事について微塵も迷わないその躊躇の無さだけで。引火した火薬庫みたいな激情とブリザードのような冷静さ、客観性だけで、能力的には遥か上を行く相手をなぎ倒していったのです、彼は。
爽快とか、痛快なんてもんじゃないですよ、その姿は。怖気の走る、震えるような、本当に危険なものを目の前にして立ち竦むしかないような感覚に、息を呑むばかり。とんでもなかった、本当になんちゅうやつじゃ、こいつ。
覚悟を決めた迷いの無さ、とはここまで凄まじいものなのか。
ハッキリ言って、魔剣という兵器は問題じゃないですね。英雄を含めて周囲の人間がジンの在り方の禁忌に触れてしまった、或いは触れざるを得なかった原因である、そうせざるをえないほど強力な兵器であった魔剣ですけれど……英雄の親父が危惧したのって、魔剣の強大さそのものじゃなくて、ジンという人間がそんな強力な兵器を宿してしまった事そのものだったんでしょう。だって、こいつ目的のためなら魔剣使うこと躊躇わないもの。力の強弱が、使用を躊躇わせる要因に全くならないんですよね、彼。必要と有らば使う、それだけ。必要なら、何がどうなろうと使う、ただそれだけ、という精神性の恐ろしさ。それこそを危惧したような気がします。だから、あんな強引で乱暴な措置に出たんでしょうね。
英雄親父が完全に見込み違いを起こしていたのは、危険なのは魔剣ではなく魔剣をジンが持つこと、と思ってた事なんですよね。違うんですよ。ジンがこうと決めたら、魔剣の有る無しなんて関係ないんですよ。魔剣があろうがなかろうが、才がなかろうが弱かろうが関係ない。やるとなったら絶対に意志を通してしまう、その完膚なきまでの実行力こそが危険だったわけです。今回の一件だって、見てたらジンは魔剣という存在を完全に一つの道具として利用したおしていました。特別なモノとしてまるで扱っちゃあいないし、何らかの象徴として見たりなんてかけらもしていない。必要だから使ったにすぎないのです。その割り切り方がね、またもう彼の壮絶さなんでしょう。彼がこれまで安全だったのは、我慢することを受け入れていたからです。どれだけ抑圧されていても、最後の一線は越えなかったから。誇りを、彼の魂を踏みにじるような真似をしなかったからでしかありませんでした。そこを親父さんは見誤っていた。鬼から金棒を奪いとろうとして、大人しくて何もする気のなかった鬼を怒らせたら本末転倒ってもんです。
こういうのをね、やぶ蛇って言うんですよね!
いや、この親父さんはそのへんも解ってたはずなんだよなあ。だって、ジンは選ぶやつだって看破してるもの。選んだら、必ずやっちまうやつだ、と言ってますしね。どれほどえげつない選択だろうと、一度選べば必ずやる、と。それでもなお、親父殿の想像を遥かに超えていたのか。だって、結果的にこの親父殿の行動こそが、ジンに選択を強いて、選ばせちゃったんですしね。
やっぱり、やぶ蛇だったな。息子の恐ろしさを知っていたからこそ先手を打って選択を封じようとして、結果として選択させちゃったんだから。

兎にも角にも、主人公であるジンの「凄味」に圧倒されるばかりでした。とんでもないよ、こいつ。結局、この主人公、最後まで「強い」と思わせるものはなかったです。最初から最後まで変わらないまま、凡才で能力もなく弱いまま、それは魔剣を宿しても同じ事で…………しかし、これほどコイツには誰にも勝てない、と立ち竦むような覚悟と躊躇いの無さと迫力を感じさせる主人公は、早々お目にかかったことはないでしょう。圧巻でした。
先に良質のファンタジー【RINGADAWN〈リンガドン〉 】三部作を描き上げた作者だけあって、妖精エリスや虚人マキナ、そして妹のローズマリー、いろいろ性格ぶっ飛んでる戦士のアニス、英雄親父とその相棒の先生など、個性的で躍動感のあるキャラも揃っているんですが……このメンツが周囲を固めて物語が進む、とならないのは展開として凄いよなあ。てっきりエリスとアニスくらいはくっついていくと思ったのに。連れて行くのはマキナだけ。しかも、国外逃亡ですよ。亡命ですよ。そして、他のメンツはローズを中心として勇者パーティーを組んで事実上の追撃戦、ですか。ジンはあれか、魔王にでもなるのか、これ。それはそれで面白そうだけれど、魔王と言ってもジンの場合だと反英雄だよなあ、これ。
うんうん、主人公の性格、というか有り様といいこの展開といい、突っ走る気満々で、ワクワクが止まりませんわ。

あやめゆう作品感想

夢の上 3.光輝晶・闇輝晶4   

夢の上3 - 光輝晶・闇輝晶 (C・NovelsFantasia た 3-8)

【夢の上 3.光輝晶・闇輝晶】 多崎礼/天野英 C・NOVELSファンタジア

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サマーアの空を覆う神の呪いは砕け散る。そして----夜の王に提示された光輝晶はあと二つ。残されし想いや夢はどこに行くのだろう? シリーズ、ここに完結。
あとがきに書かれていた、この物語のモチーフになったという、ウィリアム・バトラー・イェーツの詩を読みました。その上でね、あの夜の王と夢売りの会話を読み直したら、もう泣けてきて泣けてきて。
それでなくても、あの夢売りの真意は戦慄モノだったんですよ。彼の意図を知った時の衝撃と言ったら。
自分自身の救済を(夜明けを)

……これを見た瞬間、全部が報われたのだと思いました。この三巻の間に描かれた六つの物語。そこで生き、そして死んでいった人たちは、決して幸いの中にあったわけではありません。それどころか、幸福な日常を失い、愛する人を奪われ、いだいていた夢を失い、辛く苦しい人生を歩んだのです。それでも、彼らは後悔などすることなく自分の信じるもの、大切なものを見つけ、夢をいだき、精一杯生き抜いた上で、夢を託していきました。
でもね、でもね、どれだけ彼らが満足していても、自分の生き方に納得していても、それがその人だけの中で完結してしまうというのは、やっぱり哀しい事だと思うんですよ。その意味で、夢売りが求めたものは簡潔にして絶大なものでした。
知ってほしい、覚えていて欲しい。そこで何があったのかを。彼らが、何を思っていたのかを。本当の真実を、本当の思いを。

これほどの、報いがあるでしょうか。これほどの、救いがあるでしょうか。与えるだけだった愛を、委ねるだけだった想いを、託すだけだった夢を、きっと一方通行でしかなく曖昧な感触でしか無く、錯誤や誤解や未知が入り雑じり正確には伝わらなかっただろうこれらの真実を、夢売りに見せられた記憶によって彼女は余すこと無く知る事が叶い、すべてを受け取ってくれたのです。彼らは別に真実など知ってもらわなくても構わなかったのかもしれません。でもね、これは残された者たちにとってもこれ以上ない救いなんですよ。
自分がどれほど愛情を注がれていたか、どれほどの想いを預けられたかを受け取った彼女は、自分が踏みしめるものの姿を知りました。故にこそ、歩いていける。
彼らの生き様を、記憶していて欲しい。彼らの夢の形を、忘れないで欲しい。
貴女は、彼らが敷いてくれた夢の上を、これから歩いて行くのだから。いつか、自らもまた誰かの踏みしめる夢となるまで。

やっぱり、ほんとうに重要なのは夢売りと夜の王のシーンだったんだなあ。
期待を裏切らない、それこそ結晶のように織り成された素晴らしい物語でした。感動。

1巻 2巻感想

夢の上 2.紅輝晶・黄輝晶4   

夢の上〈2〉紅輝晶・黄輝晶 (C・NOVELSファンタジア)

【夢の上 2.紅輝晶・黄輝晶】 多崎礼/天野英 C・NOVELSファンタジア

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眼前で解かれる夢の結晶。誰よりも激しい夢に身を焦がした『復讐者の遺言』、そして夢見ることを恐れた男が辿り着いた『夢の果て』----夜の王が呟く。叶わぬ夢はどこに行くのだろう、と。
てっきり、新しいキャラクターが出てきて語り部をつとめるのかと思っていたんだが、これ徹底してこの時代の歴史のうねりを様々な人の視点から描こうというのか。同じ事件でも、それぞれの人の立場によって見ている光景はまるで違う上に、一巻の二人の語り部の視点では何が起こっていたのかわからなかった部分、その時各々がどんな思いを抱いていたのかが次々と明らかになっていく。様々な事実と真実が交錯し、多くの想いが時にすれ違い、時に結びついて結実していく。一話一話でも充実した物語が、凄まじい濃度となって熟成していく。
これは群像劇と呼ばれるジャンルの作品なのかも知れないけれど、こんなにも同じ時間と空間を多様な視点から詳らかにし、人々の切なる想いをくり返しくり返し塗り重ねていく物語があっただろうか。
息を飲むような濃密さである。
紅輝晶の夢の主は、愛する人と家族と故郷を光神王に奪われた一人の女性の復讐者。そう、あのイスガータが自身の人生をねじ曲げてまで助けようとした人。アイラスの母、ハウファの物語。そして、黄輝晶はシアラの姿を通して自分の夢を見つけた影憑きダカールの物語。
特にハウファの物語は、光神王という存在の謎と時空晶が浮かび太陽を覆い隠しているこの国の謎と真実に迫る話であり、アイラスが王城から逃亡しなければならなかった理由とともに、一巻ではまだ不鮮明だったこの物語の全容が概ね明らかになったという意味で、とても重要な話だった。
ハウファが凍れるような復讐の炎を滾らせるに至った想い人との真相には、最後の最後までまったく気づきもしていなかっただけに、驚かされたなあ。てっきり、あの女性は亡くなった彼の母親だった、というオチを夢想していただけに、愕然とさせられましたよ。
復讐は何も産まない虚しい行為だ、と少年漫画や朝のアニメなんかだと諭されるのでしょうが、それを彼女の復讐に宛てがうのはやはり的外れでしょう。彼女の呪いは、復讐の炎は、すべてを滅ぼす破壊ではなく、闇に光を灯し、希望を生み出し、次代に続く明日を紡いだ、気高くも誇るべき復讐となりました。道半ばで旅を終えた彼女ですけれど、この人もまた、翠輝晶で語られたあの夫婦と同じように最期まで生き切った人でした。
それでも、彼女を掴めなかったツェドカにとっては、痛恨だったのでしょうけど。愛は与えるものだと、この物語では常に語られ、実践され続けている。でも、ツェドカは愛する人に何も出来なかったんですよね。それはどんなに辛いことだろう。結ばれない運命であっても、愛を捧げ愛を与えることは出来るだろうが、既に亡き人にどうやって愛を捧げればいいのか。
それこそが、次の三巻。光輝晶と闇輝晶の夢で語られる二人の王子の物語なのかもしれないが。
最後にこの二人が持ってこられるということは、やはり一番の主役たるのはアイラスとツェドカだったのかなあ。
問題は、幕間で語り合う夢売りと王がそれぞれ誰と誰なのか。どうもこれ、一見して思い描く人と実際が巧妙にずらされてる気がするんだよなあ。多崎さんには【煌夜祭】でも【<本の姫>は謳う】でも、予想だにせぬ心地良い驚愕を戴いているので、今回もその辺大いに期待しております。

1巻感想

夢の上 1.翠輝晶・蒼輝晶4   



【夢の上 1.翠輝晶・蒼輝晶】 多崎礼/天野英 C・NOVELSファンタジア

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 bk1

夜の王に「夜明け」を願い出た夢売りが取り出したのは、六色の宝玉。封じられし夢の結晶。夢は語り始める――結晶化した女の『夢のような人生』を。夢を見ない男の『沈黙の誓い』を......


ため息が出てしまう。やっぱりこの人、すごいなあ。もう、ハイファンタジーという領域での第一人者と言っていいくらいなんじゃないだろうかと思ってしまう。
此処で描かれるのは、二編の物語。幾多の苦難に見まわれながらも、苦しみも辛さも理不尽も笑って踏み越え、愛する人と手をとりあって走り抜けた短い人生を、素晴らしい人生だった、幸せな一生だった、全力で生き切った悔いのない人生だったと言祝ぐ女性の物語。
そして、愛する女性への想いを胸に留め、彼女が彼女らしく生きることをその影で支え続けることを誓った、沈黙する男の物語。
どちらも切なく、決して大団円のハッピーエンドとは言えない結末が待っているのですけれど、それでも渦中にいる人達は、哀しみや苦しみに心を掻き毟られ、切なさに惑い、叶わない想いに苛まれながらも、全力で愛する人のために、想い人がその人らしく生きられるように、全霊を尽くすことで自らの人生に満ち足りた想いを抱いていくのです。
彼らの生きざまは、視点が変われば不幸と呼ばれるものかもしれません。でも、彼らはその道を自ら選び、その選択に胸を張り、満足を得て居るのです。
愛するということは、決して一般的な視点から見ての幸せが得られるものではないのかもしれません。それでも、当人たちはそれを幸福と呼ぶのでしょうか。
わかりません。
でも、代わりに泣いてくれる人がいるなら、きっと救われるのかな。

それぞれの短編は独立して、主人公も異なっているのですが、同じ世界観の同じ時系列上にあり、登場人物もまた重なっていきます。
【煌夜祭】で、【“本の姫”は謳う】の各作品で見せてくれた、クライマックスでそれまで紡がれていた幾多の物語が、パノラマが広がるような何倍にも広がり、すべてがダイナミックに結びついていくあのカタルシスは、必ずやこのシリーズでも見られることでしょう。
既に「夜の王」と「夢売り」の会話は、二人が夢利きによって語られる物語に深く関連した人物であることをうかがわせ、この世界の秘密と彼らの置かれた状況が、すべてを紐解く鍵となっていることを予想させています。【煌夜祭】と似たこの幕間劇は、いかなる大ドンデン返しの素を担っているのか。
全三巻だそうですが、こう明らかに名作決定、な作品は待ち遠しいを通り越して逆に待つことに余裕が出てくる不思議。でも、多崎礼さんっていつも全部書き切ってから本にしているっぽいので、あんまり待たされる事はないんですよね。その分の安心感もあるのかもしれない。
 
12月3日

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11月9日

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