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COMTA

影執事マルクの道行き5   

影執事マルクの道行き (富士見ファンタジア文庫)

【影執事マルクの道行き】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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恋敵の2人が仲良く家出!? 錯綜する想いを乗せ、豪華列車は進む

エルミナとカナメが家出した。慌てて後を追うマルクだが、なぜか料理人のセリアも同じ列車に乗り込んできて――。運命に導かれ、豪華な大陸横断列車に乗り合わせる契約者たちの目的は!? 疾走するロードムービー編!

もう私、ヴァレンシュタイン家使用人一同、みんなホントに大好きだわー。この人達素敵過ぎる。
確かにこの作品、マルクが主人公なのですが、何度かシリーズの感想でも触れてますけど、マルクを頂点としたピラミッド型の人間関係じゃなくて、誰もが誰かと繋がっている包括的な網目状の人間関係なんですよね。それどころか、一緒に生活し、一緒に仕事し、一緒に荒事を乗り越え、としているうちに、最初は縁のなかった人たちの間にも繋がりが生まれ、今やヴァレンシュタイン家使用人一同はひとつの家族、みたいになってるのです。
クライマックスでの、思わぬ組み合わせの二人のいつの間にか生まれていた温かい絆には、ちょっと泣きそうになってしまったくらい。今やもう、この人達はお互いの誰かが傷つけば、その人の為に怒り狂うことが出来、その人の為に泣くことが出来、その人のために自分が傷つくことも厭わない。もうみんなが大切な人になってるんですよね。
素敵じゃないですか、誰か一人だけじゃない、こんなにも一生懸命になれる相手がこんなにも居るなんて。自分の為に、あんなにも必死になってくれる人がこんなにたくさんいるなんて。
ヴァレンシュタイン家使用人一同の間にいつの間にか結ばれていた絆は、これほどまでに強力になっていたのです。いいなあ、もう、いいなあ。
恐るべきことは、これほどの絆によって結ばれたヴァレンシュタイン家の使用人が、一人ひとりが尋常でないほど凄まじい強さを誇る契約者って所なんですよね。並み居る同じ契約者の中でも、全員が異常なレベルだもんな。新大陸で名のある強力な契約者を上から十人並べろ、と言われると全員その中に入ってる、みたいなw
カナメやセリアは以前からその強さをよく見せてくれてましたけど、前巻のアーロンやオウマもとんでもなかったし、この巻なんかジェノバの凄まじさには度肝抜かれたもんなあ。<吸血姫>の名は伊達じゃない、ってか殆どデタラメじゃないですか。
ところが、毎回感心させられるんですが、この作品、みんなデタラメなくらい強いにも関わらず、一切能力のインフレバトルにはならないんですよね。能力の相性や、戦場となるフィールドとの適正などもあって、決して力押しのパワー勝負だけみたいな形にはならず、上手いこと自然にギリギリの駆け引きと見切りの勝負になっていくのです。能力を制限されることによるもどかしさやストレスも感じませんし、ストーリー全体のデザインから戦闘シーンまで、構成力がすごいですよ、このシリーズ。

前回、エルミナとカナメが二人連れ立って家出してしまい、この巻は二人の旅行記になるのかと思いきや、予想外にセリア姉さんがメインのお話に。
初々しい現在進行形であるマルク・エルミナ・カナメの三人の恋愛模様とはまた別に、セリアさんの今回のお話は悲しくも懐かしい、過去の淡い恋と復讐の物語。エルミナと契約した契約者たちにとって、ヴァレンシュタイン家が帰るべき家であり、同じ家で働く同僚たちはもう家族も同然だという事を強く印象づける話でした。そしてなにより、セリア姉さんの魅力爆発な回でしたよね。彼女のいろんな側面を見せてくれた今回の話でしたけど、やっぱりこの人はみんなの優しくも頼りになるお姉さんなんですよね。ヴァレンシュタイン家の女の子は何だかんだとみんなセリアのこと慕ってるもんなあ。
やっぱりというか確定されて嬉しかったのは、やはりセリアとアルバってイイ仲なんだ(笑
それでも、今回セリアの過去にまつわる人物が出てきて、これどうなるんだろう、とちょっとワクワクしてしまったのだけれど、決着の付け方が大人らしくてカッコよかった。さすがはセリア姉さん。
しかし、アーロンも普通にお父さんしてるのね。娘の好きな人の話になると、ちゃんと落ち込むんだ(笑

一方で、もうひとつの見所であるマルクとエルミナ・カナメとの三角関係はいい意味で泥沼化(笑
「覚醒」でエルミナ側がもはや挽回不可能と思われるほど決定的なアドバンテージをとったと思われたところで、「秘密」にてまさかのカナメの大逆襲。
ここで二人の間でグラグラに揺れてしまうマルクは優柔不断の誹りを受けても仕方ないんですが、でも仕方ないよこれは(苦笑
なあなあで済まさず、きっちり答えをだそうとしている所は誠実で好感度高いんですよ、マルクくん。ただ、二人が魅力的すぎるのでもう選ぶに選べないというのは同情してしまいます。マルクって、本気でエルミナもカナメも好きになっちゃってるんですよね。完璧に惚れちゃってる。これで選べと言われたら、そりゃもう頭抱えますよ。どっちを選んでも苦しいですし。
とはいえ、もう二人共一度はマルクにカードを切っているので、一旦ここでマルクは脇において恋敵同士であるエルミナとカナメ二人きりで顔を付き合わせての本音の話し合い。これがもう、ねえ。二人共、ほんとにもう、仕方ない子たちだよ、まったく(苦笑
よく思い出してみると、エルミナもカナメも同世代の同性の対等の友達ってお互いが初めてになるんですよね。アイシャはちょっと対等の友達というと違うし。
でも、こんなに仲良くなってるとは思わなかったよ。いや、ホントに仲良くなったのは、自分が相手を好きなように、相手も自分のことを好いてくれているというのがわかったのは、この列車の中で本音で話し合ったからなんだろうけど……うーむ。アイシャはどっちかハッキリしろと言ってますけど、二人のやりとり見てるとこれ、マルクは二人共引き受けないと収まらないんじゃないだろうか(苦笑
何気に他の使用人たちがエルミナ応援派とカナメ応援派に分かれつつあるのが面白い(w

と、列車内でのセリアの因縁の相手とのバトルとはまた別に、同時進行でエルミナの<アルス・マグナ>がどうやらえらいことになっている模様。マルク、こりゃあ色々と正念場だw

シリーズ感想

影執事マルクの秘密4   

影執事マルクの秘密 (富士見ファンタジア文庫)

【影執事マルクの秘密】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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前々から薄々と思ってたんだが……これタイトルの命名スタイル失敗だったんじゃないのか?(苦笑
ぶっちゃけ「影執事マルクの〜〜」でちゃんとマルクに掛かってるのって「天敵」くらいまでなんじゃないか。次の「忘却」はマルクじゃなくてエルミナだったし、「覚醒」はエミリオ。そんでもって今回の秘密もマルクではなく、ドミニクの話だったわけだし。

というわけで、使用人の中でも最古参であり、契約者でないにも関わらず他者を圧倒する実力の持ち主、得体の知れない謎の人物、家令のドミニクの過去に関わりのある人物の来襲編。
回想部分、誰が誰かというのはだいたい最初から想像はついてたんだけれど、ドミニクが本筋の方にさっぱり出てこないから、確信とまでは至らなかったんですよね。まー、口絵見たら間違いないだろうとは思ってたけど。
前回のエミリオとエルミナほど芸術的な対象認識の錯綜じゃなかったけれど、それでも最後まで疑念を晴らさせない描写バランスは絶妙ですね。
実は個人的には<ドミニクはエルミナたちの**>というのをこっそり期待してたんだけどなあ。この期待はかなりギリギリの所まで継続していたんだが、<彼女>からの手紙の内容を見る限りでは、その線はなさそうだ。
でも、過去の真実や、彼女とドミニクの関係がこんな風だったのを知ると、家令がどんな思いでヴァレンシュタイン家に仕え続け、エルミナたちを見守ってきたかが想像を絶してしまう。
そうなんだなあ。ドミニクの十五年があった先に、今のエルミナとエミリオの二人の代があり、マルクたちヴァレンシュタイン家の使用人たちが集った今の時間があるのだと考えると、ドミニクやペインたちが抱え込まなくてはならなかった苦しみを、繰り返せるわけないよなあ。
決着はつけなきゃならない。


さて、今回はカナメ逆襲編と位置づけられているだけあって、カナメが巻き返す巻き返す。と言うほどカナメ個人がガツガツと噛み付いてくるわけじゃないんですけどね。でも、控えめながら服の裾を摘まんで離してくれない、みたいな一途な姿が強烈極まりない。
このシリーズの面白いところは、主人公のマルクの恋愛観が驚くほど等身大な所である。先のエミリオの事件の終いに、他の使用人たちの見ている前でエルミナにキスされてしまったマルク。それをきっかけに、自分が主人であるエルミナに対して普通の女性として恋愛感情を抱いてしまっている事に気づくわけですが、そこからがマルクの面白いところで同じく女性として仄かに意識し、また薄々自分に対して好意を抱いてくれていると感じていたカナメとそれとなく距離を置き始めるのである。同僚として以上に近しい距離感だったカナメとの間に、きっちり線引きをしようとしだすのだ。それをマルクは、エルミナを好きになってしまった以上当然として行わなければならないケジメだ、と明言するのである。近年稀に見る異性関係に対して誠実な主人公である。
とはいえ、そこできっぱりとカナメと関係を清算出来るほど人間が枯れていないのが、マルクという主人公の愛すべき所なのだ。
カナメに対してもしっかりと、自分はエルミナの事が好きなのだ、と告げながらも、やっぱりカナメも可愛くて女性らしくて魅力的でいいよなあ、という思いを消しきれず頭を抱えて悶々としてしまうあたり、人間味がありすぎるくらいありすぎて、ついつい背中をバンバンと叩いて励ましてやりたくなってしまう(笑
さらにこの後、とある一件でマルクはこのカナメに対するモヤモヤとした気持ちが、エルミナへの想いと同じ、女性としてカナメを好きなのだと気づき、愕然とするわけなのだが、ここまではっきりと複数の女性に恋愛感情を自覚する主人公というのも珍しいなあ。
それでも、その後きちんと彼はエルミナの方を選択しようとするのだけれど、ここで思わぬ方向から待ったがかかるんですよね。決めちゃうのはちょっと待ちなさいよ、と。
マルクと同じく、彼の言う理由はよくわかんなかったんですけどね。エミリオの名前がどうしてそこで出てくるんだ?

一方でカナメの方もエルミナとマルクの決定的瞬間を目撃し、さらにマルクからエルミナを好きなのだと告げられ進退極まったところで、ついに決意を固めるのである。

主人公やヒロインたちが鈍感でも不誠実でも事なかれ主義でもないためか、何気にそこらのラブコメなどとは比較にならないほどダイナミックに恋愛模様が激動してるんだよなあ、このシリーズ。それでも、これまでは立場やまだ固まらない気持ちなどから、個々人の胸の内で揺れ動く恋心にとどまっていたのだが、それもカナメの決定的な行動によって崩れてしまった事から、ダムが決壊するようにえらいことになりそうだったのが、またラストで上手いことやりやがった。
これで、否応が無く問題が先送りにされるじゃないか。でも、先送りにされるだけでいざその時が来たら、これいったいどうなるんだろう。やばい、ニヤニヤが止まらない。

前巻を読み終わったときは、もう恋愛模様に付いては王手が掛かったと思ったんだが、まさかカナメ嬢がここまで巻き返してくるとは想像もしなかった。こりゃあ、まだ五分五分以上可能性があるかもよ?

著者作品の感想一覧

影執事マルクの覚醒4   

影執事マルクの覚醒 (富士見ファンタジア文庫)


【影執事マルクの覚醒】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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なるほど、エルミナとエミリオに纏わる以前からの奇妙な違和感は、こういう仕組みによって成り立っていたのか。単純な入れ替わりなら、これほど混乱させられる事は無かったんだろうけれど、正確な事実を把握している者と、完全に事実認識に錯誤を起こしている者、誤解しているものの違和感を抱いている者。これら三者がそれぞれの認識が食い違っている事自体に気付かず、もしくは気づいてもそのまま放置していたがために、それらがぶつからずに常にフラットに提示されてしまっている状態だったわけだ。おかげで、読んでるこっちは基本ベースはマルク視点ながらも、同じ事項に対して複数の事実認識が提示させられて、うまい具合に混乱させられるはめになっていたのか。
肝心の本人の片割れからして、完全に勘違いしていたのが致命的だったんだな。時折挟まれる回想がキーになっているのかと思ってたら、前提から間違っていたんだから。
それでも、それぞれの言動を冷静に吟味して行ったら、正確なところはつかめたんだろうけれど、紛らわし方が非常に絶妙で、露呈してしまえば別段複雑でもない単純な事実だったにも関わらず、本気で混乱させられてしまいましたよ。
思えば、先だってエルミナが記憶喪失になり、それまでの無感情な様子から一転、無邪気で快活な人格になってしまったのも、単に記憶喪失と入れ替わりの違いだけではなく、今回の彼女の言動から透かし見えてくる違和感を和らげるカモフラージュになってたんだなあ。普段の彼女からすると、この巻の彼女の細かな立ち振る舞いに浮き上がってくる違和感は、本来なら尋常ではなく引っかかるもののはずなんだけれど、つい先立ってそれ以上の変貌が彼女を襲っていたがために、紛らわされてしまったんですよね。改めて振り返ってみると、あからさまに別人だろう!? という振る舞いをしているのに(苦笑
そうやってちゃんと読み返してみると、エルミナとエミリオ、どちらがどちらの真似をしていたか。どちらが姉でどちらが妹か、というのは実にわかりやすい形で描かれているわけです。ただ、露骨でなくさり気なく、でもちゃんと分かるようにした描き方は絶妙で、読み返して思わず感嘆させられたんですけどね。
うむむ、これは人が増えて多人数になったのを持て余すどころか、逆に縦横無尽に活用しまくった、本気で上手い構成や心理先導だわ。
それぞれの屋敷内での立場や人間関係の立ち位置を最大限利用しつつ、内乱状態へと持っていく流れといい、一度は手の内を見せ合って同僚になったにも関わらず、逆に手の内がわかっているのを駆け引きの見せ場としつつ、さらに伏せていたカードを開いてみせたり、思わぬ契約者同士の連携の可能性を見せたりと、エンタメ的にも非常に盛り上がる演出がなされているんですよね。
なんか存在感無いのが売りみたいになってきていたオウマ君が、【魔術師】の異名に相応しい貫禄を見せたり、破壊力ばかりが先行していたアイシャがいつの間にか、一端の戦闘技術を手に入れてたりとか、アーロンの本気がちょっと洒落にならなかったりとか。
な、なんかみんな登場時点で既に尋常じゃない契約者ばかりだったはずなのに、さらに強くなってるようなw
それと同時に、みんなこの屋敷で働き過ごすことに遣り甲斐と幸福を感じるようになっているのが、そこかしこで描かれていて、じんわりとあったかくもあるんですよね。セリア姉さんの口から語られた心情と、この屋敷での生活に抱く想いの欠片は、今や皆にとってここがかけがえのないホームになっているのがなんとなく伝わってきて、素敵でした。
内乱状態も、それぞれが本気でこの屋敷や主たちを思っての事だし、あれだけ本気で真剣の対立が発生したにも関わらず、ごくあっさりと対立が収まり、まとまってしまうあたり、皆がなあなあで馴れ合っているのではなく、しっかりと繋がりを得た身内同士として成立しているが故なんでしょうね。ほんと、いいファミリーになりましたよ。
ファミリーといえば、アルバ兄さんが丸くなりすぎの気もするけど(苦笑
まー、アイシャとの仲睦まじさはほのぼのすると言うか、この野郎!と思うというか。いや、いいんだけど。結構世話好きで、何くれとなくエルミナたちをフォローしてくれるのはほんとに頼もしい人だし。人の心配している暇があったら、セリア姉さんの気持ちに気づいてやれよ、と思わないでも無いけどw

そんなこんなで、ヴァレンシュタイン家崩壊の最大の危機を乗り越え、これまで数人の心の中に秘められたままだった真実と今後の展望、そしてこの一連の事件を通じて打開策が明らかになり、一家使用人全員に情報が共有され、兎にも角にも一段落。これから、一致団結して目的のために邁進するのだ! となるはずなんですけど、またぞろ、でっかい波乱要素がーー!!
いやまあ、前巻のラストがなるほど、こういう事になってたわけか。これは確かに確固たる進展なんだけど、カナメは穏やかではないんだろうなあ。ラストの挿絵見ても、ちょっとキツそうなことになってるし。
こりゃあ、次回は修羅場か!


著者作品の感想一覧

影執事マルクの迷走3   

影執事マルクの迷走 (富士見ファンタジア文庫)

【影執事マルクの迷走】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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もしかしてオウマ君は、このまま顔出さないまま終わるんじゃないだろうな(笑

今回は短編集だったのですね。実のところ、読んでて途中まで気がつきませんでした。間奏から短編へのつなぎがかなり自然だったからなあ。プロローグがずっしりと質量ともにしっかりしていたというのもあるんだろうけど。ジェノバとオウマが加わった賑やかな屋敷の雰囲気が堪能できて、プロローグだけでも十分おいしかったなあ。変態入ってるジェノバに狙われてカナメは、もしかしたら今一番精神的に忙しないキャラなのかも。マルクを除けば、カナメが一番他の使用人たちとの人間関係の絡みが多いわけだし。何気に、エルミナとの主従関係で恋敵で恩人で同世代の女同士の共感が入り混じってる複雑怪奇な感情の絡み合いによる微妙な距離感が好きなんですよね。まだ、正面からガチにぶち当たってない二人なので、次回あたり、ラストの衝撃的展開から見るに一波乱ありそうだから、楽しみなのですけど。
他は、やっぱりセリア姉さんが好きだなあ。このみんなのお姉さん的な世話好きな風情が、なんとも。普段片言しか喋らないけど、意外と態度とか雄弁なんですよね。やっぱり、アルバの事好きなのかねえ。


さて、一連の短編ですけど、通して読むと…マルクが如何に金運がなく、金銭に執着すればするほど懐から零れ落ちていく顛末を克明に知る事が叶う。別に浪費家でも守銭奴でもないのに、面白いように金が逃げてくなあ、こいつ(苦笑
ラブコメパートは、カナメが案外積極的なんですよね。決定的な所までは踏み込んでこないものの、常にジャブを放ってきて距離を縮めるチャンスをうかがっているのがよくわかる。もっとも、そのことごとくを鈍感スキルで華麗にかわしていくのがマルクなんですけど。こいつのひどい所は、かわしておいて相手がつんのめったらすかさず腕をとって助ける所なんですよね。油断すると無意識に気障ったらしい要所を押さえた態度をとるので、カナメにしても踏み込むべきか様子をうかがうべきか迷わされて、忸怩たる思いをさせられてるんだろうなあ、これ。
一方で、エルミナの方もカナメの攻勢を目の当たりにして、此方も完全に落ち着かなくなってきた感じだなあ。マルクとカナメとのお出かけに、ついつい追跡を懸けてしまったり、マルクが女の子との事でデレデレとしてたらムッとしてみたりと、長編での抑制された態度と比べて、かなり分かりやすい部分が出てきている。
恋愛パートではカナメがかなり先行しているような感じだったのだけれど、今回の最後の展開で一気に分からなくなってきた感じ。
何がどうしてああなってしまっているのか、状況はまったく不明なのですけど、次回ですっきり説明してくれるんだろうか。
わりと一気の進展なので、かなり驚かされているんですけど。

影執事マルクの忘却5   

影執事マルクの忘却 (富士見ファンタジア文庫 て 1-1-4)

【影執事マルクの忘却】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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ちょっ、まだ増えるのかよ。さすがにそろそろ打ち止めかと思ってたら、まだまだ増えるよ、ヴァレンシュタイン家の使用人軍団! いやー、ここまで来ると、なんかドリームチームみたいでワクワクしてきたよ(笑
コーエーのゲームで勇将知将名将を掻き集めてるような気分。契約者は本来、あんまりつるんで仕事はしない一匹狼の性質を持っているようだから、八人もの契約者がこうして一所に集ってるなんて、まずあり得ないことなんだろうし、その八人が八人とも裏社会ではその通り名を知られ、怖れられている名うて、一騎当千の強者たち。
対比する勢力が出てきてないから、今のところヴァレンシュタイン家がどれだけ反則規模の戦力を保有しているかわかりにくいけど、これ本気で軍隊に攻められても蹴散らせるくらいのチートじゃないのか?(苦笑

この作品、面白いのがこの多めの登場人物の相関関係が非常に複雑に絡み合ってることだろう。主人公のマルクが中心となっているのではなく、それぞれがほかの使用人やエルミナと別個に人間関係や因縁を構築していて、あやとりの糸みたいになってるんですよね。おかげで、マルクや少数のヒロインに頼らないちょっとした群像劇みたいな形になっているので、出番そのものが少なくても、他の登場人物の行動から引き合いに出されるので存在感はなくなってないんですよね。これだとキャラクターが増えてきても、困らないはず。まー、連中、どいつもこいつも個性が強すぎるような連中なので、存在感がなくなるということもないだろうけど。なんか、存在感がありませんから! という個性のやつまで出てくるしw
ああ、なんかいいなあ。なんか、家族モノみたいになってきたかも。

しかし、相変わらずマルクは、過去に苦労しているというかひどい目にあっているというか、ほんとにしょうもないことで痛い目見てきたんだなあ。この子は感性がまともなだけに貧乏くじを引いているみたいだよね。
マルクは鈍感じゃない、というのは彼の内面のけっこう浮ついた部分を見るに明らかだったんですけど、妙に及び腰というか自分の気持ちと他者からの気持ちに対して判断を保留するようなヘタれたところが、それと矛盾していてちょっと不思議だったんですけど……そうかー、そんなことがあったら及び腰になるよなあ。勘違いって恥ずかしいもんなあ(大笑い
それでジェノバに辛辣に当たるというのは、マルク、大人げなさすぎ。器、ちっちゃすぎw
ジェノバも多少無神経な所はあったかもしれないけど、勘違いしてたのオマエじゃん。それで八つ当たりとは、矮小矮小(爆笑
あー、でもそういう所がこの子の可愛いところでもあるんですよね。愛嬌があって、男としてはよろしい。主人公のキャラとしては、面白いしほんと好きだなあ。

前回、カナメが一躍ヒロイン格に昇格か、なんて感想で書いてたけど、驚き驚き。なんか、本気でメインヒロインになってきてるんですけど。あくまでメインヒロインのエルミナに対して、対抗馬としてあてがわれるサブヒロインの筆頭格、としてしか認識していなかったんですよね。それが、これはもう、エルミナとのダブルヒロインと言ってもいいんじゃないでしょうか。
少なくともマルクの中では異性としては完全にエルミナと同格として意識されてるわけですし。まさか、マルクの方からも意識されるとは思わんかったなあ。
まー、マルク当人は自分がだれが好きかわかってないんですけど。エルミナに対する気持ちとカナメに対する気持ちに真剣に悩み、ついついアーロンに自分はどっちが好きなんでしょう、とか聞いてしまうこの子が面白すぎて、やっぱり好きすぎる(笑

前回、ヴァレンシュタイン家に就職したセリアさんも、身内になっていい味出してたなあ。すっかり頼れるみんなのお姉さんに。片言キャラなんだけど、しゃべる時はきっちりしゃべるんですよね。こういうキャラ立てって新鮮だ。まさかアルバのことまでアルバ君と呼んでたとは驚きだったけど。この人、根っからのお姉さんキャラだったのか。
アーロンとは父娘関係、かなり仲いいみたいだし、みんなに対しても面倒見がいいし。アルバの下にいた時の冷厳なクールビューティーの印象はどこへやら。いや、カッコイイお姉さんのイメージは変わってないので、今まで素顔が見えなかったってだけなんだろうけど。

結局、今回のエルミナの記憶喪失はただの事故ではなく、彼女が背負うヒミツの中に含まれた副作用からくるものだったらしい。
ラストのエルミナの行動からも、どうやら今まで謎とされていた話の根源の部分に踏み込む展開のようだ。
今回、さらに二名の面白使用人が加わって、だいたい陣容も揃った感じだし(まだまだ増えそうな気もするけどw
そろそろ本番突入か?

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影執事マルクの天敵 (富士見ファンタジア文庫)

【影執事マルクの天敵】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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うわっ、やべえわこれ。三巻に至ってますます面白い。べらぼうに面白いや。大好きだわ、これ。

一巻二巻で丁寧にマルクとエルミナの主従関係を描いたところで、この三巻ではアイシャを中心に、増えてきたレギュラーたちにスポットが当たったといったところでしょうか。
元々、マルクとエルミナ以外のキャラクターもキャラ立ってると思ってましたけど、こうして焦点をあてた状態で動かしてくると、想像以上にみんな存在感あるいいキャラクターなんだわな。それに、今回なんかあっちこっちであのキャラ書いて、このキャラ書いてと群像的に描いているにも関わらず、話の密度が散逸せず話の筋もブレず、これも考えていた以上に話運びが上手い事に気づかされる。
だいたい、起こってる出来事自体は決して大事件というわけじゃないはずなのに、様々な要因が有機的に絡まり複雑に発現することで話自体がダイナミックに動いていく、このストーリーテイリングの巧妙さには目を見張るものがあります。
とにかく、面白いんだわ。ぐいぐい話に引き込まれていくこの吸引力は素晴らしいの一言。

今回、マルクの兄登場、なんて大々的に帯やら粗筋やらで宣伝していたから、お兄ちゃんがメインの話になるのかと思ったけど、そうでもなかったなあ。というか、上でも書いたけどアイシャの話が本流ではあるものの、今回は流れる川が幾筋もあった感じ。

契約者の抱える闇。精霊と契約することで異能の力を得る代わりに、何らかの対価を払わなければならない契約者。その対価ゆえ、もしくは得てしまった力そのものゆえに、契約者というのはそれぞれ何らかの闇を抱えているものだといいます。もしくは、闇を抱えていたからこそ契約者などという道に踏み入ってしまった、という人もいるのでしょう。
敵として現れた時のカナメなど、その典型でした。彼女は幸いにも、マルクとの戦いを通じて彼女を雁字搦めにしていた闇の呪縛から解かれ、エルミナとの契約によってその身を苛んでいた対価も解消することができたわけですけど。
でも、同じくエルミナによって対価を解消しながらも、なお闇を抱えていた子がまだ近くにもいたわけです。アイシャ・クラン・ウィード。先住民の一族である彼女は、幼いころに街一つを住人ごと消し飛ばす、という拭い去れない罪業を背負っていました。エルミナに拾われることで、笑顔を取り戻した彼女ではありましたが、その過去は失われることなく彼女の中に大きな傷として刻まれていたわけです。
その過去が、一人の少年の姿を纏って追いついてきた。
これは、アイシャという少女の過去との対決を描いた物語でもあったわけです。……これ、ラストの彼の独白を読むと、敢えて彼女に決着をつけさせにきた、ともとれるんですよね。そりゃ、こいつが事態の張本人と言えるかもしれないけど、近年稀に見るほどしっかり責任取りやがったなあ、とこの部分を読んだ時には感心させられました。真実を一切悟らせることなく、役を演じきったその気概は、なりはガキでもいっぱしの男だよ、あんた。

一方で、アイシャの出自に関しても一連の出来事を通じて明らかになってきたわけで。なるほど、アイシャの方だけじゃなくアルバの方も気がついていなかったわけか。それで、どうにも微妙に余所余所しかったわけね。
この男も、憎まれ口ばっかり叩いて嫌味ったらしい野郎だけど、どうにも憎めないんですよね。先住民の出身のくせに、マフィアのボスにのし上がったのもなんか理解できる、妙な愛嬌があるわけで。ちゃんと筋通すところは通すし、意外と律儀だし、マルクは毛嫌いしてますけど全体通して見ていると、非常に信頼できる人物だというのが伝わってくる。今回、結局アルバがエルミナと対立する要因、なくなっちゃったわけだし。今後も、何くれとなく土地の有力者として協力してくれる事もありそう。もっとも、利害によってはあっさり敵に回りそうでもあるけれど。でも、遺恨の残りそうな敵対はなさそう。
ところで、セリアって多分、アルバに好意寄せてるんですよね? いくつかの反応を見る限り、間違いないと思うんだけどなあ。アルバはまったく気が付いてないみたいだけどw
おかげで料理人ゲット(笑

好意といえば、カナメのマルクへの急接近にはびっくりした。何らかの好感めいたものはあるかとも思ってたけど、こんなにもはっきりと強く自覚した形で、マルクへの好意を抱いているとは。そりゃ、あんな誘われ方したら意識するなという方が無理だと思うけど、このヒト、男に免疫ないんだろうなあ。エルミナと契約するまでは対価のおかげであんなだったわけだし。
にしても、アプローチの仕方がダメすぎる、というか明らかに失敗してる(笑
マルク、ちゃんともしかして自分、好かれてるのでは? と気付きかけてるし、なおかつちょっと嬉しそうだったりドキドキしてたりと反応、まんざらでもなかったのに。むしろ、エルミナに対しては主従として徹しようとしているから、実際の惚れたはれたがあるかどうかはともかく、ロマンスとかの方角には意識がいってないんだから、チャンスは大いにあるっていうのに。
カナメ、自分で叩き潰してってますって、それ(苦笑
その誤魔化し方はマルクでなくても引くw ほんの数日前、何度も殺されかけた相手だし、なまじ本音入ってるから、大いに引くw
それで悟れとか察しろ、というのはちょっと酷だと私は思うヨ?
カナメさん、前回の大けがの影響で能動的には程遠い有様だったのに、さらっとした日常パートだけで大いに存在感示してきました。こりゃ、エルミナに対抗するヒロイン一番手は彼女で決まり、かしら。アイシャはおこしゃまだし、まだまだマルクとの間にフラグ立って無いし。

もう一人の新規参入組のアーロン。このおっさんも相変わらず独立独歩というか。本来なら重し的な役割をしてくれる大人の立場にあるんだろうけど、含蓄の在る言葉を吐いたと思ったら、けっこう好き勝手に動いて事態引っかき回してくれるので、案外重石にはなってないんですね(w
それでいて、芯が一本ドシンとまっすぐ真ん中通ってるし、誰に対しても円満に行くように善処してくれる、非常に信頼できる存在感ある人だったりするから、そんな人がフラフラ動き回るのってけっこう珍しいですよね。その分、面白いことになるわけですけど。
でも、この人けっこう親バカというか子煩悩ですよね(苦笑 意外と娘さんの方も親と対立しているわけでもなく、むしろ案外仲がよさそうなのには驚いたけど。

ドミニクさんは、絶対なんかあると思ってたけど、そういう方向性できたかー。
いやでも、そこまでいくと契約者だとか普通の人間とかいう範疇の問題じゃないと思うけどw

しかし、改めて見ると着々とエルミナが従える使用人の陣容がとんでもないことになっていっていることに気づかされる。
なにしろ、闇の世界でも最強クラスと謳われていた契約者たちが、執事やら料理人やら侍女やら裁縫師やら庭師やってるんだから。もはや無敵艦隊である。あげく、屋敷自体も鉄壁の要塞級の防御機構を備えてるわけだし。いったいどこの軍隊に喧嘩売るつもりだ、これ(笑

影執事マルクの迎撃4   

影執事マルクの迎撃 (富士見ファンタジア文庫)

【影執事マルクの迎撃】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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うんうん、面白い。やっぱり面白い。しかも、一巻よりさらに面白くなってる。
一巻がエルミナとマルクが主従となる話だとしたら、今回は主従となった二人が絆を深める話。
前回でお互いの人柄を知り、エルミナはマルクに信頼を置き、マルクは自分の居場所を与えてくれる掛け替えのない人として、互いに絆を結んだ二人ですけれど、まだ出会ったばかりでやっぱりお互いの事は何も知らないわけで。
マルクの外出にエルミナがくっついてきたことで、屋敷の中では分からないエルミナのいろんな顔が見えてくるんですけど、これが可愛いんだ。感情を滅多に表に出さず、どこか超然とした雰囲気の在るエルミナお嬢様だったわけですけど、街中の物珍しいものに興味を示したり、マルクの壊れた眼鏡の換えを、店で熱心に吟味したりと、そこで見えてくるのはエルミナの本当に普通の年相応の少女らしい姿。確かに、いいところのお嬢さんらしい世間知らず一面はあるんですけどね。でも、普通の女の子なんだよなあ。あの、超常的な力を誇るアルス・マグナの主として纏っているどこか浮世離れした雰囲気の方が、不自然に感じるような。
その違和感は、後々半分くらい正しい感触だったと分かるのですが。

しかし、これってよく見るとデートだよな、デート(笑

連れだっていろんな店を見て回ったり、飲食店に入ったり、アクセサリーを売ってる露天を覗いたり、休憩時にジュース買ってきたり、男の身の回りのもの(今回はメガネ)を見立てたり。なんだかんだと、マルクの方が自腹切ってるしw
やっぱりデートだよ、デート(笑
これがお嬢様の外出に執事が付き従うなら、こんな印象は抱かないんだけど、あくまで今回の外出はマルクの方の私用で、それにエルミナがくっついてきたという形だから、二人で一緒に街をぶらついているようにしかみえなかったもんなあ。

しかし、マルクのエルミナへの忠誠心を見ていると、彼がこれまで歩んできた人生の孤独さ、拠り所のなさがどれほど彼を傷つけてきたかが伺えてしまうなあ。一巻じゃ彼の底辺を這いずるような人生はだいぶコミカルに描かれていたけど、本人からすれば本当に辛かったんだろう。だからこそ、自分自身を必要としてくれる人であり、自分がいてもいい場所を与えてくれたエルミナに対して、これだけの忠義を尽くしているように見える。今回の一件でのエルミナが傷ついたり、危険が迫った時のマルクのブチ切れっぷりを見てると、それが如実に伝わってくる。常に今日という日を生き残るために、ただ自分のためだけに生きてきた彼が初めて見つけた、自分よりも大切なもの。
以前、【黒衣】と呼ばれていた時よりもずっと強いんじゃないだろうか、今のマルクは。

一方のエルミナにとって、マルクというのはどういう存在なんだろうか。
彼女からすれば、けっこう無理やりな形でマルクと契約を結び、絶対支配下に置いてしまったわけで、どうも当初の様子を注意深く見てると、恨み憎まれているんじゃないかと思ってた節があるんですよね。ところが、マルクときたら吃驚するぐらい心から仕えてくれているわけで。
そりゃあ、嬉しいですよね。
一巻のときには殆ど出さなかった絶対遵守となってしまう<命令>を、この巻ではわりとポンポンマルクに命じてるんですよね。しかも、どうも無自覚に。
ああ、これはマルクに対して、甘えてる、と思うんですけどね。どうでしょうw
この執事と来たら、他人から見ると何を考えているか一切わからないらしい鉄面皮の自分の表情を簡単に見分け、まるで自分が表情豊かな少女のように接して来てくれる。
一人では背負い切れないモノを背負い続けているエルミナにとって、アイシャのような親友やドミニクのような古くから仕えてくれている人もいるけれど、こんな風にさり気なく、気負うことなく支えてくれる心強い身近な人というのはいなかったでしょうからねえ。まだ傍において時間は経っていないはずなのですが、思いのほか精神的に寄り掛かっているのかもしれません。
だからこそ、マルクが殺されたと思った時、あれほど我を忘れるほど激怒する事となったのではないでしょうか。
主従ともに、お互いをこんなにも掛け替えのない存在として拠り所とし、支え合ってる。うわぁ、やっぱいいわ、主従モノというのも。ここからロマンスに発展するとなおいいのですが。

と、メインとなるマルクとエルミナの二人もいいのですけど、この作品のいいところはサブのキャラクターも実に生き生きとしているところ。
正直なところ、今回の敵役。特にアーロンとカナメなんか、登場した最初のシーンから、ああこりゃ長い付き合いになりそうだな、とニヤニヤしてしまうほど存在感がありましたし。
でも、最終的にああいう立場になるのは想像できていましたけど、その過程で思っていた以上に二人ともしっかりとキャラ立てしてきましたよね。登場段階でこれだけ頑丈に土台づくりしていたら、今後も息詰まることなくキャラを発展させていけますよ。今回だけで一気にそれぞれが抱えている懸案を解決してしまわず、伏線として残していますし。
それは、今回登場のカナメとアーロンだけではなく、メインヒロインであるエルミナが抱えている大きな闇や、アイシャの過去。前回の敵役だったアルバの目論見と、以前からのキャラも同じこと。いやさ、出し惜しみせず伏せられていたカードを開いていきながら、開くことでさらに新たな伏線を仕込んでいく流れは、この作品、全体の構成もかなり整えられているんじゃないかと、ワクワクしてきますね。
アルバなんか、思っていたよりもはるかに早く再登場して、しかも前回とは大きく立ち位置を変えてきましたし。セリアも、案外アルバとは別の立ち位置で大きなポイントになりそうな気がしますし。それでいて、今のところアルバの陣営なんですよね。こっちはこっちで面白くなりそう。
そういえば、アーロンの娘も、あれどうなってるんだろう。さらっと今のところ流されてますけど。これもなんかの伏線になってそう。
けっこう登場人物、多い作品となってきましたけど、その多さがむしろ大きなワクワクとなって映える感じがしますね、うんうん。

これは、ほんとに楽しみなシリーズになってきましたよ。期待、大大です。

影執事マルクの手違い4   

影執事マルクの手違い (富士見ファンタジア文庫)

【影執事マルクの手違い】 手島史詞/COMTA 富士見ファンタジア文庫

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最近俄かに流行り出した執事モノ。さらに、どっかのアニメ化した漫画みたいな影執事といういかにもなタイトル。おまけに素性は暗殺者。
おーらいおーらい、またぞろスーパー万能執事さまがそのスーパーな最強能力を野放図にぶちまけて大活躍するような、アレなお話なわけですね、はいはい。
とか思ってて済みませんでしたーーーーー!(全力謝罪

ぶっちゃけ、思ってたのとはかなり違ってすんげえ面白かったです。やるじゃないか、富士見ファンタジア文庫。
思ってたのと一番違っていたのは、執事となるマルクのキャラクターですかね。めちゃくちゃ叩き上げじゃないか(笑
てっきり出生から特別ないけすかない万能超人の類いだと思ってたら、普通の家の生まれで、そこから親の事業の失敗から最底辺に転落。生きるために様々なスキルを身につけていった、と書くとカッコイイですが、終始ろくな目に遭わず、やることなすこと失敗続き、という結構な不幸属性の持ち主。裏稼業に足を踏み入れるきっかけとなる契約者としての能力を得たきっかけも、特に資質とか特別なイベントに遭遇したわけでもなく、思わず苦笑してしまうようなけっこう身も蓋もない形で得たモノという情けなさ。挙句、契約の対価が日常生活を過ごすのに随分と支障があるもので……いやもう、笑っちゃうほど苦労性。
とはいえ、せっかく身につけた異能の力を利用して、用心棒として身を立てていたマルクが、暗殺の初仕事として請け負い襲撃を掛けたエルミナという令嬢に、見事に返り討ちにあい、なぜか執事として雇われる羽目に。と、ここでようやく執事が出てくるわけです。
最初から執事じゃなかったんですよね。あらすじ見て、執事のくせに暗殺者って、またなんて陳腐な、と思って購入予定から切ってたんですけどね。あのあらすじはなんですかね、ほんと。悪い意味で騙されましたよ。

何故か暗殺対象に雇われる召使の身分となって頭を抱えながら、仕事をこなしているうちに執事という役職に馴染んでしまっている自分に気づいてまた頭を抱えているマルクとか、コメディ調の話のテンポが小気味よく、これが面白いんだ。
鉄面皮ながらも、ちょっとした反応が可愛らしいお嬢様のエルミナとのやり取りや、その人柄に段々と惹かれていく過程。泥を啜るような境遇に慣れ、友人の一人もいない身の上から、この屋敷が自分の居場所なのではないかときづいていくその流れ。
また、エルミナの抱えるアルス・マグナの秘密や契約者という存在の謎。開拓時代の新大陸を想起させる世界観といい、設定群もなかなか充実していて、そっち方面の読み応えもたっぷり高密度。
今回の敵となる連中も、どうやら一発での使い捨てではなく、これから長々と、単なる敵役としてではない付き合いになりそうで、末端までキャラクターを大切にして永く縦横に使い倒していきそうなそのスタイル、好感度高しです。
また、単純にエルミナとマルク。その主従のやり取りを眺めているだけでも面白い。
これは富士見ファンタジー文庫から久々に大当たりがお目見えしたかも。
というか、これを見逃していたのは痛恨でした。
引き続き、既に手元にある二巻にかかります。
 
10月22日

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10月21日

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10月20日

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10月18日

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10月16日

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10月15日

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10月14日

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10月12日

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10月9日

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10月8日

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10月7日

(SQEXノベル)
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10月6日

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10月5日

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10月4日

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10月1日

(角川スニーカー文庫)
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9月25日

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9月22日

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