G1

第65回宝塚記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 京都競馬場2,200メートル(芝・右 外)

やったぜブローザホーン、やったぜ菅原くん!!
すげえな、今年G1を初めて獲る騎手がこんなにたくさん出るなんて。いや、だいたい菅原くんはもっと早く取れてても不思議じゃない騎手だったんですよ。って、今年G1初戴冠した騎手たちはみんなそんな感じのあと少しもうちょっと、の人ばかりだったんで凄く良かったなあ、と思うばかりなんですけどね。
おまけに今年はこの宝塚記念で前半終了ですけれど、全G1全部違う騎手が勝ったそうでこんなん滅多ないでしょう。大概、ルメールと川田が3つ4つ獲ってくのに。

さて、今年の宝塚記念は宝塚記念なのに宝塚市の阪神競馬場ではなく、京都競馬場開催となりました。
阪神競馬場が来年前で改装に入っているため、代替開催になってるんですね。
おかげでいつもよりレース開催が多く、馬場状態もかなり厳しいことになっているところにさらにトドメで雨! しかもざーざーぶりの大雨が土曜日から。
幸いにして不良まではいかなかったものの、重馬場発表とあいなりました。

競馬場ってのは各場で全然特性が違い、同じ2200メートルでも阪神と京都ではまったく条件が異なってきます。例年の宝塚記念のデータは殆ど役に立たないと見るべきでしょう。

今年は出走馬が13頭。香港の英雄ロマンチックウォリアーが宝塚参戦を匂わせていましたけれど、安田記念をゲットしたものの疲労を理由に回避。リバティアイランドは怪我で春は全休、菊花賞馬ドゥレッツァと春天のテーオーロイヤルは剥離骨折、ダービー馬のタスティエーラは見送り。ブレイディヴェーグやスターズオンアースも調整で秋まで出走は見送りとなりました。
それでも、イクイノックスの後を継ぎ現役最強を張るドウデュース。
去年の春天、そして宝塚記念でイクイノックスに迫ったジャスティンパレス。
去年覚醒して以来、心房細動で競走中止になったレース以外全てで3着以内に入るブローザホーン。
4歳世代で古馬になっても気を吐く大阪杯勝馬のベラジオオペラ。
そして復活なるかの皐月賞馬ソールオリエンス。
G2無双のプラダリア。
同じく、無冠の帝王ディープボンド。
去勢手術以来3連勝。G2も連勝してこの舞台にあがってきたシュトルーヴェ。
エアグルーヴの末裔にして大阪杯2着と一気に有力候補の一角にあがってきたローシャムパーク。
重賞勝ちがないものの、エリ女、大阪杯で2着3着とここぞの脚を持つルージュエヴァイユ。

現役メンバーでは実績馬が相応に出揃ったんじゃないでしょうか。
まあ今回はとにかくポイントは雨と京都。この中で露骨に雨が全然ダメ、というメンバーは見当たらなかったのですが……ローシャムパークあたりはダメなんじゃない?と言いたい所だったのですけれど、陣営は行ける行ける!と主張していましたね。このあたりの陣営のコメントってあんまり信じられないというか、参考にならないというか。取捨選択はよほどコメントを発する人の内容の傾向を把握してる人でないと無理なんじゃないかな。
ドウデュースは難しいところで、血統的にはそれほど問題はないとか。あかんかったフランスの重馬場は日本の競馬場の重馬場と質が全然違うから参考外、という意見が大半でまあ問題は少なかろう、という塩梅でした。
ジャスティンパレスは、できんことないけれど晴れた良馬場の方が良いパフォーマンスを出せる馬。でも気難しい馬って馬場悪いとそっちに集中してむしろ落ち着くらしいので、パレスも不得意というほどではないだけに割引材料というほどではなかったかと。

逆に馬場悪いと無類に強さを発揮するのが、ブローザホーンであり、プラダリアであり、ディープボンドあたりだったわけです。特にディープボンドは、上がりがかかりつつ京都の下り坂を利用して勢いをつけられる、という事で今回の宝塚記念は降って湧いたような好条件だったんですよね。
また、今日の京都の馬場はとにかく外、外、外だったのは間違いない模様。土曜から日曜のレースで騎手たちはよほど痛感していたみたいで、各所でそのへんのコメントがレース後に飛び出してました。

ということで、今日の宝塚記念は4コーナーで外に出し、大外から一気に突き抜ける。これが最適のコース選択プランだったわけですね。
これに一番合致していたのが、ブローザホーンだったわけです。何しろ、ブローザホーンてば前走の春天でこれと同じ位置取りコース取りを行って2着までぶっ飛んできたんですからね……いや、あの時はなんで内に入らんでそんなロスばっかりのところを、てなもんだったんですけれど、今回に関してはそれが正解だったわけです。
なんせこのブローザホーン、京都では無類の強さを誇っています。京都大賞典で心房細動を起こして一度競走中止している以外は、日経新春杯で勝ち春天で勝っているように2勝2着1回という成績を残してるんですね。また菅原くんは京都を一番得意にしているジョッキーだ。
去年の10月、京都大賞典で心房細動を起こして躓くまで、びっくりするような覚醒具合ですぐに重賞を勝ちG1の勝ち負けまで出来る馬になるだろう、と思ってたのに秋は全休。悔しい間隔が空いてしまいましたが、年明けの復帰戦日経新春杯でいきなり勝って覚醒の勢い衰えず、というのを見せつけ、阪神大賞典、春天で一線級であることを証明し、そしてここで見事にフロックではない堂々3番人気での宝塚記念勝利を見せつけてくれました。
一段一段、着実に成長と強さを見せつけての勝利でありました。また長距離レースを主に出てたブローザホーンですけれど、むしろ母系のスピード血統を活かして中距離も行ける、というか中距離でこそ本領を発揮できそうなんですよね。今日は重たい馬場でしたけれど、晴れてても関係なくいけますし、これは秋さらにパワーアップしてきそうですよ。

しかしそれにしても今日のレースはみんな外外にまわして、京都では滅多と見たことのない外ラチ沿いに全馬が近づいての直線勝負になりました。あんなん新潟の1000直くらいでしかあんまり見ないよ!
それくらい、内側難しい馬場になってたんでしょうね。
また、ちょうどレースが始まると同時に猛烈な雨が降ってきて、雨中のレースとなりましたし。
改装後の京都競馬場は4コーナーの角度がゆるくなって、以前ほど馬群が広がらずに内に固まったまま直線勝負になることが多くなったのですけれど、今日はほんと珍しい形になりました。
ゆえにこそ、今日は内側に入ってしまった、入らざるを得なかった馬は苦しかった。
また、ペースも中盤じっくり緩んで残り800くらいから一気にペースがあがる重馬場には厳しい展開になりましたから、思いの外前が苦しいレースになったなあ。
今回は明確な逃げ馬不在だったので誰が逃げるかは注目点だったのですが、まさかの13番ルージュエヴァイユが逃げる。えっ、エヴァちゃんあんた追い込みでしょ!?
その切れる脚で好走を続けていた馬だったのですけれど、緩い馬場は苦手だそうですし道悪である以上普段の差しは届かないと見て積極的に前に行ったんでしょうか。結果としていつも通り控えた方が良かったんでしょうけれど。初騎乗の川田があんまり後ろから行きたくないタイプなんで、主導権握りに行ったというのもあるのかもしれません。追い切りがバチクソに素晴らしかったみたいなので調子はほんと良かったと思うんですけれど、前に行ってしまった事で展開が向かず、得意の脚も出せず、重馬場でスムーズに走れず、とマイナス要素が重なってしまった感がありますね。8着、本来ならもっと上に行ける馬だったと思います。

逃げはベラジオオペラが押し出される形で行くんじゃないか、という予想が多かったみたいですけれど、結局ルージュエヴァイユが引っ張りカラテ、プラダリアが続く形。ベラジオオペラはその後に控えることが出来ました。ディープボンドがその後、やや遅れて中団先頭。プボくんとしてはベストポジでしょう(レース後の幸さんのコメントだとここでも後ろすぎたらしい)。復調の気配ありだったソールオリエンスがそのやや外の後ろ。ローシャムパークがさらにもう一段その後ろで……ちょっと後ろ過ぎましたね。本当ならソールの位置のその少し前あたりがローシャム的には最適だったのではないかと。大阪杯でも後ろから途中で押し上げて、という競馬で2着に入っていましたけれど、今日の馬場だとローシャムの適性的にそれをやるとさすがに消耗がキツイ。
逆にブローザホーンは、そこがベストポジションだったんですよね。
問題はドウデュースとジャスティンパレスですよ。ドウデュースは出足がつかずにそのまま最後方。パレスはソールの内側にいたんだけれど、どうも手応えが悪い。1番のシュトルーヴェはさらにその内ラチ沿い。シュトルーヴェはもう1枠1番がとにかくあかんかった。
ローシャムは3・4コーナー中間で早々に押し上げていき、やっぱりこれ早かった気がするなあ。いやタイミング遅くしても届かないだろうし、あの位置取りで前半走ってた時点で余力残らなかっただろう。脚が残っていなくて上がりも遅く5着。
ブローザホーンは下りに差し掛かったところで一気に加速。タイミングもばっちりで直線に入ったところで大外も大外で加速が乗ってバッチリの騎乗でした。
プボくんは下りで思ったよりも加速出来なかったなあ。前には行ってるんだけれど、プボくんからして直線入ったところで先頭近くに立っていたかったが、この時点で横並びで馬場の真ん中外あたり。こっから伸びたのは外も外を走った馬ばかりだったので、プボくんくらいから内側の馬は全然伸びなかった。そして、プボくんよりも外に出せた馬ってそれだけ加速乗ってた馬なんですよね。
ここで強烈に食らいついたのがベラジオオペラ。先行集団側にいたのにきっちり手応え残して4コーナーに入って、グイグイ伸ばしてきたんだからやっぱり相当に強いですよ、ベラジオオペラ。
しかし、ブローザホーンの脚色が明らかに違っていて、大外の外の外をぶっちぎり道悪と思えない軽やかな差し脚で2馬身ちぎって完勝のゴール。
2着はそのまま粘るプラダリアを抑えてベラジオオペラが食いつくか、と思ったらさらにその後方からまさかのソールオリエンスが急追。ゴール前で躱して菊花賞以来久々の馬券圏内2着入線を果たしたのでした。
ソール、ブローザホーンがぐいぐい上がっていったとき、全然反応のないドウデュースと共に置いていかれたんで、あこれあかんは、と目線を切ってたんですけれど、よー追いついてきたなあ。よく見たら残り600くらいでギア入ってブローザホーンの後ろまで食いついてきてましたわ。そのままほぼ同じ勢いで追いすがってきていた模様。あれだけの脚が仕えるなら、復活したと言っても大丈夫でしょう。
弱い弱いと言われた4歳世代ですが、なんとかここで皐月賞馬と大阪杯勝ち馬が2着3着に入って面目を保った、と言えるんじゃないでしょか。
プラダリアはこれだけ良条件揃ったものの4着。先行としては彼らしく最後まで良い所を譲らない根性を見せましたけれど、やっぱりG1だと掲示板までですかねえ。
ドウデュースは結局外に出せずに内に切り込むしかなく、馬場の悪い所を通らざるを得ず反応も鈍く、6着惨敗。調教では最高潮くらいまでいい感じに仕上がってたみたいなんですけれど、それだけ仕上がってても勝てないときがあるんだよねえ。敗因はなんなんでしょう。雨? 初めての京都競馬場? 前走のドバイに引き続きスタートが悪くて望む位置取りを取れなかった、というのも大きそうですし、分析が待たれるところです。
ジャスティンパレスはさらに悪く10着。テンション高いのはずっとルメさんがうまいことなだめてたと思うんですけれど、これはもう馬場でしょうねえ。相当に緩い馬場になってたみたいですし、合わなかったかあ。まあこっちはわりと敗因はっきりしてるだろうし、次回あまり気にしないでいいんじゃないでしょうか。

なにはともあれ、菅原くんG1ジョッキーの仲間入りおめでとうございます。
そしてブローザホーン、名実ともにG1馬。貫目も得ました。現役トップランナーの一角に名乗りをあげて、秋も主役の一頭になりそう。そして、逆襲の4歳世代。
しばらく夏競馬になりますけれど、秋のG1シーズンが楽しみになるレースでありました。





第74回安田記念 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

香港の大英雄ロマンチックウォリアー、アウェーだろうが関係なし!
並み居る本邦のマイルのスペシャリストたちの悉く、無双の豪脚にて蹴散らし候。


此度の安田記念、話題はなんといっても「ロマンチックウォリアー」が来るぞーーー!!でした。
歴史的名馬と呼ばれるような超大物海外馬が日本のG1に参戦してきたのも今は昔、昨今ではこちらから海外のレースに乗り込んでいって大暴れしてくる、という方が常になってしまい、逆に向こうからくるというのは本当に少なくなっていました。
来るにしても、あまり知名度のない馬が大半で、実績はあってもその実力をどう推し量って良いものかわかりかねる馬が多かったんですよね。エリ女を連覇したスノーフェアリーくらいが最後なんじゃないだろうか、鳴り物入りで参戦してきたのって。
しかし、ロマンチックウォリアーはモノが違いました。近年、伝説的な強さを誇り海外、日本にまでその雷名鳴り響く馬が香港に二頭存在したのです。
それが短距離のゴールデンシックスティであり、そしてこの中距離のロマンチックウォリアーでした。
これまでに19戦して15勝。うちG1を7勝。G1を7勝ってテイエムオペラオーとかシンボリルドルフ、ディープインパクトといった名だたる面々と同レベルってことですからね?
しかも、負けているうちの2敗は伝説を通り越して神話になっているゴールデンシックスティとの勝負に敗れたもの。相手が悪かったとしか言いようがない敗戦だったわけです。
そしてこのロマンチックウォリアー。香港でのレースで暴れまわる日本からの参戦馬たちを片っ端からぶち倒し、ただの一頭も先着を許さなかった馬でもあったわけです。
そう、既に日本の馬との対戦成績は山とあって、その全てで勝利しているバケモノだったわけですよ。
強い強いと実績を残していても日本の馬と戦ったことがないだけに、実際どんなもんかわからないよねえ、という未知の強豪馬とは一線を画した馬だったわけです。
ついでにいうと、香港の競馬場は日本の馬が毎年遠征して活躍しているように、まるで別次元の馬場であろうヨーロッパとは異なっていて、こっちの馬たちの走りとマッチする馬場でもあります。
つまり、香港の馬だって日本の馬場なんの問題もないわけですよ。
ヨーロッパの強豪馬が来日! とは桁の違う大怪獣襲来! だったのです。

とはいえ、日本の競馬場でもそれぞれ傾向や質が違うように、香港の競馬場にベストマッチするからといって府中ではどうなんだ? という話でもありました。
主戦場であるシャンティ競馬場は洋芝なんだそうで。あれってわりと粘りのある力のいる芝で、そうですね、どちらかというと阪神や中山タイプの馬場なのかもしれません。
実際に走破タイムを見ると東京競馬場で求められる高速競馬からすると少々物足りない時計ではあったんですよ。また、ロマンチックウォリアーの主戦距離というのはおおむね2000メートルで固定されていて、1600メートルというのは経験も実績もあるけれど、若い頃で最近はずっと中距離戦線だった、というのも注目ポイントでした。
果たして時計それほど早くない浪漫勇士が、さらに距離短縮の1600メートルで高速馬場となるだろう東京競馬場の早い流れに乗っていけるのか。
むしろそれなら、同じく香港から参戦。1600のG1タイトルを獲っている上にゴールデンシックスティの2着にも来たことのあるヴォイッジバブルの方が侮れないんじゃないのか? という言説もあったわけです。
何しろ現在の香港短距離界は世界でもまさにトップもトップ最上位の魔境。そこでG1獲ってる。魔神ゴールデンシックスティに迫った、とかは絶対に無視できない強調要素でありました。

ところがところが。
天は誰に味方したものか。当日日曜日の東京の天候は……雨! それも金曜日からしとしとと降って、馬場状態も懸念される状況に。
さあ、そうなってくるとパンパンの馬場と比べて走破タイムは時間がかかるようになってくる。しかし、果たしてどれほど馬場が悪くなるのか。ちょっとゆるくなる程度と、グズグズの不良馬場とではまた全然違ってきますからね。
馬にもこうした雨天の馬場への得意不得意というのは顕著にありまして、予想する人達は天気の変化に頭を悩ませるはめになるわけです。
とりあえずヴォイッジバブルの方は馬場が緩むと全然だめ、と陣営が公に述べているので、これほんとにダメだったのでしょう。いやでも、香港の元から時間のかかる馬場の緩んだ不良状態と、日本の馬場の重馬場とはまた傾向が変わってくるかも。陣営の人達が言うほど苦手なことにはならないんじゃないのか? と考えたりもするわけで、ここらへんの判断は非常に難しいことになってくるんですよね。
血統や走り方、蹄の形だとかで重馬場の得意不得意を判別するその筋の人達もいるので、専門家は凄いなあとあんぐりと口を開けるばかりです。まあ血統に関しては特に実際にお父ちゃん雨得意だったら子供も得意、というパターンが結構あるので無視できないのですけれど。

さて、散々語った香港の大英雄の参戦に対して、迎え撃つ日本馬たちですが。
君たち、香港で既にけっこうやられてるよね、特にセリフォスさんw
いや、これまでと違って今度はホーム。我らが庭の府中競馬場でありますよ。返り討ちにしてやるわーっ!
と勇んで立ち向かうのは、現役のトップマイラーたちはほぼ出揃ったんじゃあなかろうか、という面々。
一昨年のマイルチャンピオンシップの覇者であり、去年の安田記念の2着セリフォス。
マイル重賞3勝。G1でも常に勝ち負けの勝負でその強さは現役の頂きにあるソウルラッシュ。
前走こそ海外帰りで体調整わず負けたものの、現マイルの女王として名乗りをあげるナミュール。
日本の大将クラスはこのあたりだったでしょう。
他にG1馬はダノンスコーピオンがNHKマイルを買ってますが、最近は良い成績ではなく前走やっと復調の気配を見せてきたところ、くらい。
あとはダート含めて様々な種類のレースを出まくり、最近ようやっと東京マイルが適正なんじゃない?とか言われ始めたガイアフォース。
ダート界隈を放浪していて、調教師先生の強い願いで芝に戻ってようやく掲示板に乗る走りに戻ってきた皐月賞馬ジオグリフ。
連勝でダービーCTを買って初重賞制覇。マイル戦線に割って入ってきたパラレルヴィジョン。
伝説の21クラシック世代の生き残り、長期休養明けから復活して再度輝きを取り戻してきたステラヴェローチェ。
これらが追いかける形になってますけれど。逆に言うと今のマイル戦線ってこのあたりで精一杯とも言えるんですよね。
マイルの女王ソングラインが去年引退。シュネルマイスター、ダノンザキッド、ソダシ、グレナディアガーズといった古豪たちも揃ってターフから去ってしまったために、やっぱり陣容が薄いんですよね。
実力で言うならソウルラッシュが総大将を背負ってほしいんだけれど、本来なら2つ3つはマイルG1を取っていてほしいのに、G2までなら凄く強いレースをするのに本番G1となると毎回一歩届かないレースをしてしまう、偶にいる馬なんだ、この子。
そのあと一歩分、騎手の腕の問題か、とも思ったのだけれど、名手モレイラをもってしても同じような競馬になってしまっているところをみると、もうそういう馬なんだとしか考える他ないんだよなあ。
血統的にルーラーシップ産駒は東京マイルの成績が良くないって事もあったので、これまでの安田記念の負け方は適正があわない向きもあったのかもしれません。
ただ今回は、馬場が稍重になって重馬場得意のソウルラッシュにとっては最適だった。調教も抜群で、おそらく今までで最高の調子だったと思われる。鞍上には望むべく最高峰の騎手モレイラ。
もうここで勝てないならどこで勝つんだよ、というくらい出目が揃っていたわけです。

にも関わらず、ロマンチックウォリアーには一蹴され、それどころか本調子には程遠かったナミュールにまで躱されての3着。苦手の東京競馬場マイルで3着は立派かもしれませんけれど、ここまで好材料を揃えた上での3着というのは、ここが限界点か、ともとれるわけで。あとはもう本当にマイルCSに賭ける他ないのかねえ。

っと、なんかいきなり話飛ばしてソウルラッシュ3着の話に流れてしまいましたが。
勝ったのはロマンチックウォリアー。文句なしの横綱相撲でありました。力の差を見せつける完勝でした。返し馬からやたらテンション高くなってて大丈夫か、と心配されたんですけれど、レースに入ったらこの馬本番の集中力パないですわ。道中囲まれて決して楽な展開ではありませんでしたし、進路があくまで堪えて堪えて、空いた途端にモノの違う足でほかを置き去りにしていってしまいました。
並走していたステラヴェローチェがあっという間に置いていかれちゃったもんなあ。
彼がこれまで速い時計を残していなかったのは、そういう馬場でしか走った事がなかったからで。府中で走れば相応に対応できるだけの適応力が備わっていた。勇士は戦場を選ばない、ということだったのかもしれません。
それでもパンパンの良馬場よりも稍重の馬場が良かったのは間違いないでしょうけどね。そういう意味では運も備えてたというべきなのでしょう。文句のつけようのない圧倒的な痺れる強さでした。
安田記念の結果次第では、宝塚記念に参戦すると以前から仰ってたみたいですけれど、これはもう来るでしょう。来るー、きっと来るー!
おいおいおい、中距離戦線の方がホームグラウンドなんだぜ、ロマンチックは。2200はまだ走ったことないとはいえ。この大英雄に勝てる馬が今の日本にいるかい?

ドゥデュースがおるではないか。

おいおい、じゃあ宝塚記念はロマンチックウォリアーVSドゥデュースになるんですかぃ!? そいつはえれえことになりますよ!?
プログノーシスちゃん、あんたもここは自分もいるぞって殴り込んでこないとあかんぜ。香港の復仇という意味ではあんたが一番ロマンチックに悔しい思いしてるんだからさ。

追報:なんかもう既に調教師さんが疲れてるからやめときます、と言ってるみたいで、宝塚記念は回避するみたいですね、残念無念。


さて2着に入ったのは、まさかのナミュール。いや、実績考えたら全然まさかではなく4番人気だったんですけどね。海外転戦から帰厩しての所詮のヴィクトリアマイルでまさかの8着大敗。その時もう全然いつもの体調ではなかったのは明らかで、ナミュールほどの実績がありながら2番人気になっていた時点でみんな強い時のナミュールに戻ってないよねこれ、と見てたんですよね。
そこからたった中2週。元々ヴィクトリアマイルから安田記念の路線は厳しいことこの上なく、あのアーモンドアイですら勝てなかったほど。勝ったの、ウォッカだけなんでしたっけ?
そんな中で多少は復調の様子をみせたものの相変わらず本調子とは程遠い、という評価が飛び交っていたナミュールです。また馬場も緩むとカミソリの切れ味の末脚は活かしづらく、雨が降ったら評価が下がる馬の側でした。
ソウルラッシュとは真逆で、もうマイナス要素ばっかりしかない状況だったんですよね。
にも関わらず、ソウルラッシュを競り落としてハナ差の2着に食らいつく根性を見せてくれたのでした。
これはもう、今の日本のマイル戦線、ナミュールが筆頭として引っ張っていくと見て間違いないでしょう。あれほど体が弱くて脆かった馬が、今や多少体調整わずとも実力で押し切れるだけのタフさと根性を見せつけてくれたわけで。彼女の覚醒、本格化が本物だというのを改めて証明してくれたんじゃないでしょうか、これは。

4着にはガイアフォース。毎度イイところまではきてるんだが、G1となると掲示板までというイメージしか出てこないのがさらに強化されてしまった感がある。一度どっかの重賞もぎ取って勝利の味を思い出させて上げて欲しいな。セントライト記念から随分と勝ち星から遠ざかっているわけだし。
5着にはセリフォス。ちょっと中間集中欠いてたみたいなので、今回はこのあたりが妥当かなあ。川田騎手は相変わらず東京マイルはなんでか全然あかんのですねえ。セリフォスはこの先ちょっと上積みあるか怪しくなってきたかもしれない。
他人気はというと、パラレルヴィジョンが13着と良いところなく。ルメールさん、府中のG1でここまで大負けしたの久々じゃない?
ヴォイッジバブルは17着とブービー。これほんとにちょっと緩むと全然あかんかったのかしら。或いは速い時計に全然ついていけなかったのか。


ともあれ、世界最強の一角であるロマンチックウォリアーがロマンチックウォリアーらしく勝つところを、この東京競馬場で見られた、というのはなんか感無量の思いがありました。
日本の馬たちが負けて悔しいというのはありますけれど、伝説的に強い馬がちゃんとリアルに強いという事を堂々と証明してくれるのを見るのは、感動がありますよ。ええものを見た。




第91回東京優駿 日本ダービー G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 東京競馬場2,400メートル(芝・左)

デサイルっ、デサイルっ、ノリさんだーーーっ!!!

直線最後、ミラノが前を捉えようとしたその時に、既に内ラチ沿いをシュガークンとエコロヴァルツを食い破るように突き抜けようとしていたダノンデサイルの方に目が釘付けにされました。4ハロン棒の時点でこれはデサイル、勝ち負けだ! と確信させられる迫力でしたし。
うおおお、ダノンデサイル、多くの人が口を揃えて調教ヤバい、変わり身凄い、と発していたので注目はしていたのですけれど、それでも3着までと思ってたんですけどね。ここまで強かったとは。

ダノンデサイルは、1月の京成杯で今回4番人気となっているアーバンシックを二着に退けて皐月賞に挑みました。が、レース直前鞍上の横山典弘騎手が歩様に違和感を感じて、出走を取りやめちゃったんですね。生涯に一度しかチャンスがないクラシックレースで、明確な異常がないにも関わらず馬の安全を考慮して出走を断念する。なかなか出来ない決断だったのですが、今回この結果を持ってその判断が正しかったのだと証明する形になりました。馬のことを第一に考える横山典さんらしい英断だったわけですけれど、その返答がこういう形で返ってくるとはねえ。武騎手の記録を超えて最年長G1記録の更新、さらに最年長ダービージョッキーの誕生ですよ。御年56歳。レジェンド武豊が目立つけれど、このヒトもまー意味わからんレベルのレジェンドだよなあ。
でも重賞は毎年相応に獲ってるものの、G1はほんと久しぶりだ。中央のG1となると2017年のNHKマイルカップのアエロリット以来。アエロリットかー。この馬も古馬になってからもずっとマイルから中距離戦線の牝馬のトップランナーとして活躍したいい馬だったなあ。


さて、改めて今回の日本ダービーについて語っていきましょう。
まずはレース当日までの各馬の情勢などから。

クラシックの一冠目。皐月賞、これを制したのはジャスティンミラノ。
ちなみに皐月賞が行われる前の雰囲気としましては、どんぐりの背比べ。むしろ紅一点殴り込んできた牝馬のレガレイラが一番人気になってたんですよね。というのも、彼女は2歳の頂点を決めるホープフルSを牝馬ながら参戦したうえで完勝。この時点でどの牡馬よりも自分が上だと証明してみせたわけです。
一方で2歳時に将来のクラシック候補として評判を集めた馬たちは、いまいち評判通りに活躍できず、また成長が遅れていて二の足を踏んでしまい、前哨戦は思わぬ伏兵が勝つことも多くて、果たしてトライアルレースを勝った馬は本当に強いのか、負けてしまった評判の馬たちは評判倒れなのか。ともかく評価が混沌としてしまったわけですね。
そんな中で、朝日杯を勝ったジャンタルマンタルを共同通信杯で下したジャスティンミラノが、強い相手に勝ったしこの馬もかなりのもんじゃあないか、とされて2番手評価を受けていたわけです。
ただ皐月賞の時点ではミラノはスローペースしか経験しておらず、ハイペースが想定されていた皐月賞向きではない、とされてたんですね。そもそもペース早くなったら追走できるのか、って。また走法や血統もどちらかというと東京2400向きだからダービーが本番、なんて言われていたわけです。
ところが、ミラノはそうした評判を覆してべらぼうに早くなって向かないと思われた展開を、余裕で前につけてあっさりとレコードでぶっちぎって勝ってしまった。
ちなみにこの時3着になったジャンタルマンタルは先日のNHKマイルで快勝しましたから、距離の問題はあったとはいえ文句なしに強い馬です。
そんなジャンタルに共同通信杯に続き完勝してみせた。向かないはずの展開をもろともせずに、向かないはずの舞台で。あれ? ジャスティンミラノってべらぼうに強いんじゃないのこれ!?
と、皆が新星の出現に愕然とさせられたのが、皐月賞だったのです。
亡き藤岡康太騎手が調教パートナーを務めたこともあって、感動の皐月賞制覇となったんですね。

ちなみに皐月賞のレース回顧がこれですね。



というわけで、大勢としてこのダービーはジャスティンミラノの一強だよっ! という声が強かった。まああれだけのパフォーマンスをみせたミラノ、むしろジャストフィットするのはこのダービーの方だよ、となればそれも当然。
戸崎騎手のダービー初制覇も間際だよ、という雰囲気……かというと、うむ。実のところ、2.2倍という人気は十分ではあるんだけれど、圧倒的とまではいかないんですよね。
実際にレースを迎えるとなるとあらゆるデータをほじくり返してくるのが、予想屋さんたちです。
ミラノは血統的にもダービー向き、とされながらも、焦点を父キズナに絞ってみるとこれがまた東京競馬場で全然重賞成績良くないんですよ。いや、それに関しては他のキズナ産駒……今回やたらとキズナ産駒の出走馬多かったので、そっちは気にしておいて良かったんでしょうけれど、ミラノに関しては共同通信杯で東京競馬場走って完勝してるんで、彼個人はあんまり考慮しなくていいデータだったかもしれません。ただ戸崎騎手が、ダービー勝ってない。初勝利間近、というのは期待膨らみますけれど、一方でこれまでずっと勝てなかった、という事でもあり……こういう勝てない呪いってほんとに続くんですよね。そういう意味でも、馬自身よりもそれ以外の要素で微妙な不安が消しきれない、という雰囲気はあったと思います。
間違いなく強い! しかし絶対視は出来ない、という塩梅ですか。

皐月賞とは違うんだよ皐月賞とはっ、と意気込んでいたのが2番人気レガレイラです。牝馬ながら牡馬クラシック参戦した紅一点、2歳チャンピオンでしたが。皐月賞では相棒のルメール騎手がドバイで怪我、という影響がこっちにも波及していて、皐月賞本番では乗り替わりが発生。馬群を縫って前に出るのに少し手間取り、結果6着に終わってしまいます。回顧記事にも書いてますけれど、皐月賞のハイペースも合わなかったんじゃないでしょうか。
しかし、今回は鞍上のルメールが戻りました。これは大きいです、ほんと大きい。ルメール買っときゃだいたい当たる、は真理です。それくらいほんとにこの人は上手い。
それに、今回は切れ味勝負になりそうですし東京競馬場向きという意味ではスワーヴリチャード産駒の彼女はミラノ以上だったかもしれません。

また、三歳のこの時期ってまさに成長期の真っ只中なんですよね。夏を経て秋に別の馬みたいになって現れる、みたいなパターンも多いのですけれど、皐月賞からダービーまでの一ヶ月前後でまさしく一変してしまう、という馬も少なくありません。
先週、オークスを勝ったチェルヴィニアなんかもそうでした。
今回も前走からまるで見違えた、という馬が何頭かいたようです。ちなみに、自分は馬体とか調教とかパドックとか返し馬とか見てもさっぱりわかりません、けっこう長い年月競馬見てきましたけれど、未だにさっぱりですね!
というわけで、自分で見て確認したわけじゃないのですが、こういう時は情報の集積です。昨今は競馬新聞だけではなく、ブログやSNS、コラムにYouTubeと様々なところで色んな人がコメント出しています。同じ調教見てもみんな見解違ったりするのですけれど、それでも集まった情報を俯瞰してみると傾向というものは見えてきますし、あれ?この馬ちょっと今回凄そうだぞ!? という意見が多方面から吹き上がっていることも観測できます。
今回特に前走とまるで違うぞっ!? という声が多方面からあがっていたのを観測できたのが、5番ダノンデサイル。8番アーバンシック。13番シンエンペラー。そして14番のゴンバデカーブースでした。9番のダノンエアズロックも一度調子を崩していたのを前走のプリンシパルSで快勝したように復調してきた、という向きの話は盛り上がってましたけれど、明らかに以前よりもワンランク上に覚醒したような話題があがっていたのが上記四頭でしたね。
コンバデカーブースは中2週でNHKマイルカップを激走したばかり。正直NHKマイルの時は調子かなり悪かったみたいで、それでも4着に入ったのはむしろ能力凄いよね、という話になっていたのですが、まさかのダービー参戦。いや流石にローテきつすぎない?と思ったのですが、これがむしろNHKマイルの出走が休み明けの一叩きになった感があって、ここにきて急上昇、本格的に二歳時に世代最強の一角と言われた才能を発揮できる態勢になってきている、というご様子でした。
体がようやく仕上がってきた、という意味ではシンエンペラーもそうで、これまで体がまだできあがっていなくて才能だけで結果を残してきたのが、皐月賞のあとようやくこれ本格化してきたよ。本気で走れる体になってきたよっ! と心身の充溢を伝える話が聞こえてきたわけです。
んで、とにかく調教の走りがヤバい、なにこれ凄い走ってるよ!? 別馬!? 別馬!? とあちこちから驚き混じりの声が飛び交っていたのがダノンデサイルであり、同じく今回の仕上がりが一等ヤバいっ、打倒ミラノがあるのはこの馬だろう、という凄まじい強者感を出していたのがアーバンシックでありました。
特にアーバンシックは、皐月賞で六番人気と脇ポディションだったのが、今回四番人気ですけれど明らかにミラノの対抗馬候補という雰囲気でしたね。或いはレガレイラすら上回る形で。
あ、最終オッズシックスペンスと並んで三番人気になってたのか。

そのシックスペンスは、というと……三番人気なんですけれど、不思議と自分の観測範囲ではほとんど話題にもあがってなかったんですよね。なんでだろう。ただ戦歴もスプリングSから皐月賞も出ずにダービー直行というローテ。これが満を持して、という感じでもなくて。ミラノと並んで二頭だけの無敗馬だったのですけれど鞍上・川田ゆえの人気、という印象でした。
ダービー直行という意味では皐月賞回避したダノンデサイルの方が休養期間長かったんですけどね。実際、九番人気というのはそこらへんにも原因はあったのでしょう。ノリさんも、G1という事を考えると最近の成績を見てもなかなかプラス要素とは言えなかったからなあ。

取り敢えず人気で並べると
一番人気ジャスティンミラノ
二番人気レガレイラ
三番人気アーバンシック
同率シックスペンス
五番人気ダノンエアズロック。エアズロックは鞍上がマジックマン・モレイラというのも大きかったんでしょう。トライアルがプリンシパルS経由の馬は歴史的にも成績よくありませんから。エアズロックが高額購入馬としてデビュー時から評価も高く、プリンシパルSの勝ち方も強かったですから、過剰人気とは言えないですけれど。
六番人気がコスモキュランダ。皐月賞で2着に入った実績を考えるならこの評価は低いっちゃ低いとも言えるのですけれど、鞍上がモレイラで皐月賞の乗り方が神騎乗と呼べるものだったのを考えると、妥当とも思えます。アルアイン産駒の星なんですけれど、距離的に皐月賞がベスト、という向きもありましたし。ただ、アルアインってダービー馬シャフリヤールの全兄であるので適正がないかというと……。でもアルアインとシャフって兄弟なのに全然違うんだよなあ。
7番人気がシンエンペラー。この馬も才能は認められながら、それを発揮しきれないでここまで来た……って、いや戦歴みると悪くは全然ないんですけどね。7番人気は低いだろう、と思いつつも上の並びを見ると、まあ、うん、となってしまうわけで。でも、本格化の気配はあったわけですしね。この時期の馬の成長はほんと三日会わざれば刮目して見よ、なくらい急変があるだけに油断できません。
8番人気はシュガークン。武豊のお手馬ですね。デビュー当初からあのキタサンブラックの弟だっ!てことで注目は集めていたのですけれど、この血統は総じて晩成型が多かったんで、むしろ新馬戦で2着。2戦目で勝利、とかなり早く勝ち上がったなあ、くらいの印象でまさかクラシックに参戦してくるとは思わなかったんですよね。それが参戦どころか青葉賞を快勝。だいぶ驚かされました。
とはいえ、青葉賞組の関西馬はなかなか実力を発揮できないのが長年の傾向です。馬としての人気はけっこうあると思うのですけれど、それが馬券の人気につながるかというとそのへんはシビアな競馬ファンなのであります。
ちなみにシュガークンのクンってなかやまきんに君とかの君じゃなくて、フィンランド語で「時」を意味する言葉だそうで。砂糖時間……甘い時って、めちゃくちゃスイートな名前だなw

あとは、皐月賞まで無敗だったサンライズアース。
トライアル京都新聞杯の勝馬であるジューンテイク。
世代でも最強クラスの追い込みを決める脚を持つきさらぎ賞馬ビザンチンドリーム。
これまた2歳時には世代最強候補の一角だったミスタージーティー
クラシックの登竜門で後に歴代勝利馬には名だたる名馬が並んでいる若駒Sの勝ち馬サンライズジパング。
これがダービー初騎乗となる鮫島克駿騎手がまたがるショウナンラプンタ。
そして朝日杯FSでジャンタルマンタルの2着に入る実績があるエコロヴァルツ。

この18頭で日本ダービーは行われました。



……違う、18頭じゃないんだ。
一頭メイショウタバルが挫石…蹄が炎症、内出血を起こす症状だそうで。のために金曜日に出走取消になっちゃったんですね。毎日杯で凄い逃げて勝った馬。皐月賞でも大逃げをカマし、このダービーでもこのタバルがレースを引っ張ることになる、と目されていた馬でした。

そう、直前でレースを牽引する予定の馬がいなくなっちゃったわけです。
シュガークンをはじめとしてこれまで逃げた事がある馬はいましたが、どれも本職ってわけじゃありません。
明確な逃げ馬不在、かわりに引っ張るような馬も不在。となると、誰かがやったるぜーっ、と一発逆転を狙ってか逃げを打つという奇策にうって出ない限りは、お互いに様子を見ながらのスローペースが予想されました。

この時点で騎手や関係者諸氏は頭悩ませたでしょうね。はたして、この予想される展開でどう立ち回るべきか。

天気は快晴、馬場良好。内外はもう関係なかったかな。
レースは大方の想定通り武豊のシュガークンが端を切るかな、と思った所で大外18番から岩田康誠騎手騎乗のエコロヴァルツがまさかの強襲。一気に先頭に立ち、エコロヴァルツが馬群を引っ張ることに。シュガークン武豊はこれを見て、さっと前に出る動きを抑えて先行集団に落ち着けるんですね。
注目はこの時点でノリさんがデサイルを番手につけたこと。場合によっては自分が先頭に出ることも辞さないつもりだった事はインタビューでも語っていますが、この時にもう絶好の位置につけてたんですね。
これは予想外に荒れる展開になるか!? と、思ったのですが、岩田パパはそこから無理に飛ばすことなく、すぐにスピードを絞ってペースを落とす。
その後ろにデサイルがつき、だいぶペースが一気に落ちたのを見たのかシュガークンもデサイルの外側に、エコロヴァルツを見る形で。
スローペースを見越したんでしょう、ミラノ戸崎も早めに前につけようと馬を押し上げてきます。
コーナーの時点で川田が武豊の真後ろに付けているのも、この展開を見るに最良のポジショニングと言えるでしょう。実に川田らしい位置取りであります。
意外だったのがルメールレガレイラ。1コーナーから2コーナーの時点で11番手あたり。中団後方。思ったよりも後ろだった。レガレイラの脚や馬群の捌きの上手さを考えるなら、確かにそこは悪くない位置なんだけど、ペースを考えるとそこはちょいと後ろだ。
アーバンシックはさらに後方。いや、レガレイラはともかくとしてアーバンシックの方はほんと後ろすぎない!? 脚質考えるとどうしても追い込みなんだろうけど。出遅れというほど出は悪くなかったし、エコロヴァルツが果敢に前にいった事でスローペースにはならない、と見たのかな。
実際は、向正面での馬たちのあのゆるゆるの走り方を見て、これ明らかに遅すぎじゃない!? と素人目にもわかるくらいのスローペースに。いや、ほんとに見るからに遅いよ!という走り方でしたからね、あれ。ハロンタイムに13.1と13秒台が入ってる。昨今3000メートル以上のレースでもあんまり見ない数字だぞ。結局1000メートルの通過タイムは1分2秒2。凄まじいスローペースになりました。
こうなってしまうと、馬群の後ろの方に居る馬は直線でどれだけ追っても前に追いつけなくなる。スローなんで全頭余力を残したままヨーイドン、となるために差し脚に差がつきにくくなるから、ギアを入れる位置取りが前でないと届かないのです。
あっ、これはあかんぞ!? と気づいて迅速に方針転換したのが、最後方とブービーの位置にいたコスモキュランダのミルコ・デムーロとサンライズアースの池添くんでした。彼らは後方一気に早々に見切りをつけて、向正面で加速、馬群を外から躱して一気に先頭集団に取り付きます。
その判断が間違っていなかったのは、コスモキュランダが6着、サンライズアースが4着まで粘って入っている事からもわかるでしょう。この時動かなかった後方集団はレガレイラを除いてほぼ下位に壊滅しています。その中にはダノンエアズロックやアーバンシックも数えられます。まあエアズロックはあの内側の位置からあの時点でお仕上げていくのは難しいからなあ。
アース池添が一気に先頭にまで襲いかかったことで、ここからペースは急上昇。直線入ってからヨーイドン、とならずその前の段階から皆が加速し始めたのである。ペース遅かったわりにこっからスタミナも要求されたことになるのか。
キュランダもアースも脚を使った分消耗はありますし、前で引っ張ったエコロヴァルツも後ろを引き離してのスローペースじゃないんで、彼もオツリはそこまで残っていなかったでしょう。
こうなると、ベストもベストの位置で力を貯め発揮できたのはジャスティンミラノであり、ダノンデサイルだったわけです。シュガークンも武さんベストを尽くしたよなあ。これは文句なしの騎乗でした。あとはまだ馬の力が足りていなかった。デサイルとミラノの強襲に耐えられずに後退。シュガークンはやっぱり秋以降か古馬になってからが期待ですかね。
直線残り400の位置でミラノがGOサイン。前は大きく進路が拓き、エコロとシュガーはまだ余力はあれどここから切れる脚はない。ここより後ろの連中はそれこそ位置が後ろ過ぎる。豪脚を見せてもミラノがミラノの走りを見せたら届かない。これは再び完勝かっ、と思った瞬間、視界の右端に内ラチ沿いからエコロとシュガーの塊を抉るように内に潜り込む赤い帽子が映り込む。
その勢い、その迫力たるや、外からまくってくるミラノを上回るオーラ。俄然、視線は内ラチ沿いを食い破ってくるダノンの勝負服に惹きつけられる。

「デサイル、デサイルだっ!」

思わず声が出た。
ミラノも伸びてるんだが、完全に脚が違う。ほぼ同じ位置から加速したのに残り200の時点で明確な差がついていた。
これは届かないっ。無理だ。

「デサイルだっ、ノリさんだぁぁ!!」

残り100メートルの時点で絶叫してしまった。
早めに前に出て粘った勝ちじゃない、明らかに強者よりも凄い脚で突き抜けた。9番人気人気薄でも、間違いなく強い勝ち方。ここだけの一度の輝きじゃない、世代最強を名乗るに相応しい、ダービー馬らしい勝利だった。
ダノンデサイル。安田 翔伍調教師に初の中央G1で初のダービーを送ることになりました。そしてダノンの冠についにクラシックを、それもダービーの冠を与えることになったわけです。
ダノンというと、朝日杯やホープフルは勝ててたんですけどね。クラシックではどうしても届かなかったのが、ついに届いたか。

2着にはジャスティンミラノ。戸崎、ダービーは遠かった。乗り方しくじったようには見えなかったんだが、1着は遠いなあ。
とはいえ、まだまだこんなもんじゃない。繊細な皐月賞馬だけで終わる馬じゃないので、これからですよ。

3着にはシンエンペラー。上り2位の差し脚で追い込んできた。ここで3着入るだけの実力を示せたのは大きいよ。本格化はマジですよ。秋以降は最上位の一角に食い込んでくる。

4着サンライズアース。序盤最後方にいたのに、向正面で十数頭抜き去って逃げてるエコロとその後ろのシュガーに並ぶまで食いついてきたという凄まじいレースをしながら、そのまま落ちていったエコロとシュガーを尻目に最後まで粘りきった。何気にエグいレースしてませんかね!?
調教でも抜群の仕上がりをみせていたようですし、馬を仕上げたスタッフと池添騎手の好騎乗の賜物でしょうか。皐月賞では惨敗しましたけれど、この馬もこれは逸材ですよ。

5着にはレガレイラ。これはポジショニングにつきるなあ。あの位置に入ってしまったのが辛かった。途中で動かせなかったですもんね。
にも関わらず、他の後方勢が壊滅する中でなんできっちり5着まで食い込んでるんですかね、このお姫様は。上り3F33.2で17頭中最速を記録。バタバタせず、直線で前があくまで我慢し、外を回さず当初の予定通り内側から食らいついていったルメールのリカバーも考慮に入れねば。
実力不足ではなく、展開が向かなかったなあ。

6着はコスモキュランダ。展開や距離の不安を考えれば、皐月賞2着の実力は証明できたと思われる。デムーロも出遅れなければもう少し前の位置から競馬出来たかもしれないのがちと勿体ない。

7着にシュガークン。これはもうちょいおとなになってからですねえ。
8着エコロヴァルツ。最低人気だった事を考えるなら、逃げに打って出てこの位置に残した岩田パパの判断は正しかったのでしょう。果敢に攻めた結果であります。朝日杯FS2着ですからね、このまま沈むのも勿体ないですよ。
9着にシックスペンス。位置取りは十分上位に食い込めるポディションだっただけに、ズルズルと沈んでしまった以上は現状ではまだ力不足か、仕上がっていなかったか。折り合ってもいなかったみたいですし、さすがに3番人気は過剰だったかと。

アーバンシックは11着。さすがにこのペースであんな後ろではさすがに勝負にならなかったか。
ゴンバデカーブースは13着。道中までいい感じに思えたんですけどね、直線で息切れしてしまったみたいで。調子が良かったのは間違いないみたいなので、やはり距離が長かったか。レースの疲労って調子とはまた別の、ここぞというスタミナに出ることもありますからねえ。

ダノンエアズロックはレース後のコメントみるとずっとテンション上がっちゃってたみたいですね。こっちもレース間隔の短さがこういう形で出てしまったんでしょうかね。


なにはともあれ、横山ノリさん、ダノンデサイルおめでとうございます。世代の頂点ですよ、頂点。
新たな主役の登場ですなあ。これは秋以降も盛り上がってくるぞ。3歳ってのは次々新星が現れるのが毎年楽しいや。




第85回優駿牝馬 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 東京競馬場2,400メートル(芝・左)

チェルヴィニア、堂々たる樫の女王戴冠!! 強かった。
やったぜチェッキーノ。娘がオークス復仇を果たしてくれたぜ。
東京競馬場はルメールがもう強すぎる。怪我からの初G1。って早かったなあ。思えば、4月にドバイでルメールが骨折した上に肺に穴まであいてしまうという大怪我を負ってしまったせいで、チェッキーノに乗れなかったんですよね。結果、桜花賞で4番人気ながら13着の大敗……って、あれに関しては騎手が敗因ではなかった。馬自身の気持ちの問題、全然出来上がっていなかったんですよ。乗ったムルザバエフがどうこうという話ではなかった。
だからこそ、今回もルメールに手綱が戻ってきたと言ってもすぐに人気が集まる、といった風ではなかったと思われる。周囲の空気感が変わってきたのは、調教の様子あたりからですかね。そしてパドックでの仕上がり具合から、これは桜花賞とはものが違うぞ、成長上積みだいぶありそうだぞ、という意見があちこちから出だして、単勝人気もぐんぐんと上昇。前日から当日午前あたりの人気が6倍前後を行ったり来たりしてたのが、最終的に4.6倍まで跳ね上がりましたからね。よほど状態の良さが確認されたのでしょう。
オークスでは泣かず飛ばずのハービンジャー産駒ということで、血統的にも東京2400は決して向いている方ではなかったはずなのですが、お母さんが同じこのオークスでシンハライトの二着に敗れて悔しい思いをしたチェッキーノ。母系の適性は十分にあったわけです。
母親の復仇を娘が果たす。競馬のドラマが詰まったレースでもありました。まあそのときチェッキーノ乗ってたの、ステレンボッシュの戸崎さんなんですけどね! 戸崎ぃぃ、がんばれ。
チェッキーノはいい馬だったんだけどなあ。オークスの後に屈腱炎を発症してしまい1年以上の休養を挟んでしまい、復帰後もいい走りが出来ないまますぐに再発してしまって引退してしまったんですよね。順調ならガンガン重賞勝てただろうな、というフローラSやオークスの走りだったので、その血統がこうしてつながるのはやっぱり見ていて感慨深いものがあります。お兄さんのノッキングポイントも重賞勝ってるし、お母さんとしてチェッキーノ偉大な馬になりそう。


さて今回のオークスですが、一番人気は桜花賞を勝ったステレンボッシュでした。阪神ジュベナイルフィリーズで2着。そのとき敗れたアスコリピチェーノを破っての逆転勝利。元々桜花賞組が強い近年のオークスの傾向もありますし、血統的にも距離伸びても大丈夫でスピードもあるよ、という東京2400得意型。アスコリピチェーノこそ距離適性の問題でこちらではなくNHKマイルカップの方に行ってしまいましたが(2着)、最大のライバルが居なくなりステレンボッシュの圧倒的人気……だったのが上記もしたようにレース直前になってチェルヴィニアがぐんぐんと人気追いついてきた、という感じでしたね。
鞍上が前走はマジックマン・モレイラだった、というのもちょいと影響はありそう。

3番人気には桜花賞で怒涛の豪脚で3着に食い込んできたライトバックが。この子、桜花賞で7番人気だったようにそれまでノーマーク、とまでは言わないけれど、直前のエルフィンSこそ勝ってるものの重賞勝利がなく、印の端のほうに引っかかるくらいの感じだったのは確か。
そんな中で目の覚めるような追い込みでしたからね。このオークスでは人気も一変、注目を集め実力馬の一頭として扱われ……てるのかてないのか。単勝オッズこそ3番人気なのですけれど、どうも本職のホースマンたちの取り扱いは桜花賞以前から注目を集めていた馬たち……クイーンズウォーク、スウィープフィート、タガノエルピーダといった面々の方に重心があって、ライトバックは微妙にまだポッと出で、実力馬の一角、としては取り上げられてないような感覚があった気がします。

4番人気はスウィープフィート。上のライトバックを上回る追い込みの鬼、な所を桜花賞で見せてくれた馬で、あの「スイープトウショウ」の孫娘ということもあり、怒涛の豪脚がまたお婆ちゃんそっくりで、これは絶対距離伸びたオークスの方がイイよ、すごいよ、と言われていた子でもありました。
5番人気は桜花賞8着だったクイーンズウォーク。この馬も、どちらかというとオークスの方が本番、と言われていた子で、桜花賞は鞍上の川田騎手もテンション低かった。
ただ桜花賞の前あたりでは凄く大物感あって、桜花賞でも3番人気になっていた時からすると、オークスが本番と言われてた割に人気を落としてしまったなあ、という印象。どうも桜花賞のあとあまり順調でなかったらしい、と調教師先生のコメントから。ここらへんは、俄然人気があがったチェルヴィニアと対象的でありました。

6番人気にはタガノエルピーダ。阪神JFを抽選除外になったことで、翌週の牡馬が集う朝日杯の方に殴り込んだことで名を馳せた馬である。それだけ自信があったんだろうし、実際3着に来ているので実力は折り紙がついていた。タガノの冠で初のG1タイトルを獲る馬だと期待されていたのだけれど、チューリップ賞でまさかの4着となってしまい、肝心の桜花賞に出走できず。桜花賞と同じ日の忘れな草賞でうっぷんを晴らすように勝利。賞金を稼いで、このオークスでようやくクラシック参戦を果たしたわけです。
2歳時から世代最強の一角と言われながら、どうにもチグハグな戦歴を辿ってきてしまっているのも確か。ようやく出走できたこの本番で、どういったレースをするのか、と注目は集まっていました。つまるところ、前々からの評判は本物か、て感じですかね。

7番人気にはコガネノソラ。前走スイートピーSで権利獲得して参戦してきた芦毛の馬です。みんなだいすきゴールドシップ産駒であり、血統的にはゴルシの代表産駒でもありこのオークスを勝った馬でもあるユーバーレーベンと同じ母父ロージズインメイ、ということもあって、ユーバーレーベンの再来!と一部期待集めてる子でした。
他にも8番人気に久々のアドマイヤの申し子となりそうなフローラSの勝馬アドマイヤベル。
9番人気にフラワーCを勝ってきた、先週初G1タイトルを奪取した津村騎手の乗るミアネーロ。
サリオスをはじめとした何頭もの一線級で活躍する馬たちを輩出するサロミナの子供たちの現役最若である少女サフィラ。

こうしたメンバーが参戦した今年のオークスでありました。

勝ったのは最初に書いたようにチェルヴィニア。中団後方3列目あたりにつけたルメールが、外塞がれないように上手いこと位置取りして4コーナーですんなりと外の走りやすいところに出して追い出し、残り100メートルで一気に加速して他馬をちぎって先頭に躍り出て、勝利。と、まあルメールのレース運びが馬のポテンシャルを十全引き出したような完璧なレースでありました。文句つけようがないよなあ、これ。
ステレンボッシュは、もう一列内側でチェルヴィニアに見られるような斜め前あたりの位置どり。
直線はうちに入ったのですが、うまいことバラけていたので前が詰まるような様子はなかったのですけれど、最後の4コーナーでチェルヴィニアをはじめとする外側の馬たちのまくりから比べると追い出しがちょっと遅れてる感じがあるんですよね。馬群のなかでもだいぶ後ろの方になってて、チェルヴィニアたちよりも後ろになっちゃってる。
追い出してからの反応は素晴らしく、馬群を割って先頭に躍り出るのですけれど。残り200メートルあたりでギアを入れたチェルヴィニアが一気に前に取り付き、さらに残り100で二段加速ーーっ、て感じでステレンボッシュを躱すのです。
どうなんだろう、4コーナーでもう少しスムーズに進んでたら……いや、どうなんかな。東京の直線を考えるとなあ。でも桜花賞とか見ても、追い出す前の段階でもう少し前で競馬して欲しかった気持ちはある。

レース自体は逃げるだろうな、と思われたショウナンマヌエラと、前走勝った未勝利戦でバチクソに飛ばしまくって大逃げカマして逃げ切ったヴィントシュティレが二頭して「大逃げじゃーーっ!」とばかりに暴走。1000メートル通過が57.7というスプリント戦ですか、というような逃げを打ってくれました。
さすがにこれだけ大逃げされると、3番手4番手だったタガノエルピーダとランスオブクイーンが実質先頭でペースを作ることに。ちなみに逃げた二頭は直線でバテ果ててトボトボと後方に消えていく様子が直線の映像で良く見えますw
さらに先頭を引っ張ったタガノエルピーダですが、バテたわけじゃないんでしょうけれどこれも全然反応せずに脱落。16着という結果に。対してランスオブクイーンの方が人気薄にもかかわらず激走して、粘って5着と掲示板に入っています。中距離しっかり走れそうなイイ馬なんじゃないですか。

3着にはこれまた後方からグイっ、グイッ、グイッと一完歩ごとに伸びてきたライトバックが競り合うランスオブクイーンとクイーンズウォークの間に割って入って、クビ差前に出て馬券圏内に。
この脚は本物ですね。外の走りやすいところを走っていたら、前の2頭にももっと迫ったかも。
レース前は大観衆を前にして相当荒ぶっていたのですけれど、よく我慢できました。

4着にはクイーンズウォークがしっかりと入りました。前目の位置取りからしっかりとランスオブクイーンを捉えるあたり、やれることは全部やったという感じ。2400持ったけれど、ベストとは言い難い気がするなあ。ベストの状態でなかったと思しき事を考えるなら、それでここまでやれるのなら、と今後への期待が膨らむ4着でした。

スウィープフィートは6着。来てるんですけどねえ。前に居たチェルヴィニアに置いていかれたのは辛かった。もうちょい短い方が脚が切れるかしら。

ともあれ、上位陣の実力は揺るぎないもの。ここからまだ成長上積みあるだろうし、4着のクイーンズウォークまで、秋華賞でバチバチにやってくれそう。夏超えてここに割って入ってくる馬がどれだけいるでしょうかね。いずれにしても、秋もこれは楽しみだ。







第19回ヴィクトリアマイル G1 レース回顧  

4歳以上 オープン (国際)牝(指定) 定量 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

津村ぁぁぁ!! うわあああ、どえらいレースになったぞーーっ。
津村騎手、テンハッピーローズで21年目にして初のG1制覇。おめでとう、おめでとう!! 津村騎手今年初手で金杯勝ったこともあり、例年と比べても良く乗れてるなあとは感じていたんですけれど、いやあまさかここで勝つとは。
15頭中14番人気ですよ。テンハッピーローズもこれが重賞初制覇。もう同世代のソダシやソングラインをはじめとした並み居る名馬たちがみんな引退してしまった中で、それでも21世代は勝ちを譲らん、とばかりにこのヴィクトリアマイルを勝ってしまいました。
フロック勝ちというには、ちょっと残り200を切ってからの豪脚がすごすぎた。道中折り合って凄く順調に走れたのもあるし、直線にいいところに出す流れもスムーズでしたけれど、これは強い勝ち方だったよなあ。
エピファネイア産駒として東京マイルは厳しいんじゃないか、という向きもあったし、この娘もエピファネイアの癇の強さを継いでる感じで荒ぶるタイプだったのですけれど。
今回はコンクシェルが引っ張ってレースが流れました。序盤から流れが緩まず高速展開。前が潰れるけれども、後ろも追走でついていけずに消耗戦の体になってたのかな、これ。
そんな中であれだけ突き抜けたテンハッピーローズは、これまで1400〜1600の距離でやってましたけれど、スタミナも十分あったってことですかね。最後まで切れる脚があったと。
しかし、母父タニノギムレットで今日の10レースがウォッカカップというのはうまいこと出来てるなあ。


今回のヴィクトリアマイルは、G1馬が ナミュールとスタニングローズの2頭だけ。
人気はそのナミュールと、リバティアイランドのライバルとしてそろそろG1タイトルを奪取したかったマスクトディーヴァの2頭に集中していました。
ナミュールは才能の高さは見せつつも体質の弱さもあって育成も慎重に、レース選択も間をあけないといけないという制約があったのが、去年の秋から本格化。厳しく調教してもレース間隔が詰まっても体重が落ちなくなり、完全に仕上がったんですよね。G1馬としての風格は現役でも屈指となっています。
しかし今回はドバイで激戦を繰り広げたその海外帰り。レース間隔も詰まっていて、体重はさすが落ちていなかったのだけれど、体調としては完璧とまではいかないんじゃないか、と見られていました。
そこでマスクトディーバです。前走阪神牝馬Sは完勝。リバティと激戦を繰り広げた3歳の頃からさらに成長を見せていました。充実期です。さらに鞍上には名手モレイラ。不安があるとすれば東京競馬場の高速レースに適正があるかどうか、というところでした。
ともあれ、この2頭が中心で2倍台で拮抗。直前までナミュールが一番人気だったのですが、レース前に逆転しています。
3番人気は阪神牝馬Sで2着だったウンブライル。まだ重賞勝ちもないのですが、G1や混合戦でも2着を連発。マイルにおいては実力では引けを取らないと見られていました。
鞍上は川田騎手。ただなぜかこのヴィクトリアマイルは苦手のようで、今まで連対すらなし。
4番人気はルメール騎乗のフィアスプライド。前走中山牝馬Sでは1番人気ながらも不覚を取って9着と不本意な結果だったのですが、そこは度外視で人気が集まっていました。トビの大きい馬でもあり東京が合う馬、というのもあったのでしょう。調教も抜群の出来でそれも人気の要因だったかな。
5番人気にスタニングローズ。ナミュールとわずか2頭だけのG1馬でしたが近走は成績良くなかったのですけれど、ここにきて馬が走る気になってきたのか調教もかなり良かったみたいで、仕上がってきたみたいで元々の実力はある馬ですから5番人気まであがってきていましたね。


レースは、スタート直前にゲート内でどの馬かがかなり暴れたみたいで、全頭入ってからちょっと間があったんですよね。そのせいかわかりませんけれど、スタートでナミュールが大きく出遅れ。後方からの競馬になってしまいました。元々後ろからの馬ですけれど、意図して下げるのとスタートで出負けするのとでは違いが出てしまいます。さらに外にピタリと横山典さんのモリアーナがつけて蓋をしてしまったので、このままだと直線で外に出せない位置に。押し上げていくと脚を使ってしまうので武豊騎手としては難しいところだったでしょう。とどめに、展開とラップが厳しいものとなり、実質この出遅れでナミュールは終了でありました。これで出来が万全ならまだ切り込む余地があったかもしれませんが。
前半800メートルで45秒台でしたからかなり早かったです。
マスクトディーバはこの流れについて行ききれず苦しかったですね。肝心の場面でいつものガッツリとくる手応えが弱かった。にも関わらず、内の狭い所をついてくるモレイラ騎手の手綱さばきもあって3着まであがってくるところは、騎手の腕もありますけれどその実力に偽りはなし。今後も主役の一頭となっていくでしょう。
そのマスクトディーバを最後まで抜かせなかったフィアスプライド。3番手という先行集団の前側にいながら、この流れで唯一へばらず生き残り、なおかつ一頭だけ脚が違ったテンハッピーローズをのぞいて後方から迫ってくる後続馬たちに前を譲らず押し通した根性。お見事でありました。
取り敢えず大きなG2あたりは獲ってもう一度G1に挑戦してきてほしい。
4着には中団で長く最後までスタミナ切らさず脚を使い切ったドゥアイズが滑り込み。近い位置にいたウンブライルが力尽きて下がってしまったのに対して、最後まで前へ前へと進んだこの馬の違いが出ましたね。2歳で良好な成績を残しながら牝馬クラシックでは完走しながらも大きく跳ね返されてしまったドゥアイズ。でもマイルに戻ってきてリステッドで勝利。阪神牝馬Sでは2番人気に推されながらも5着となってしまいましたが、マイルでなら一線で戦えるというのを証明したんじゃないでしょうか。11番人気はちょっと評価低すぎではなかったでしょうか。
5着には13番人気のルージュリナージュが大外から爆走してきて入線。上りだけなら勝ったテンハッピーローズを上回る時計を出している。ただこの33秒6は残り600メートルの数字なんですよね。残り400メートルの時点でテンハッピーローズの方が後ろにいて、一瞬でぶっ千切っていったのを見せられただけに……。ただこの600メートル最後まで良い脚を使い続けたということでもあり、こうしてみると上位の馬はこの早い流れの消耗戦を乗り越えた馬たちだった、というのがよくわかる結果でありました。

まー、これは難しいよなあ。
いずれにしても、レース後の津村ジョッキーを称える大歓声はよかったなあ。
大波乱でありましたけれど、見どころある感動的なレースでありました。




第29回NHKマイルカップ G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 東京競馬場1,600メートル(芝・左)

ルメールやっちゃったなあ、最近は珍しい。やはり怪我明けしばらく休んだあとの初週という勘の鈍りみたいなものがあったのかもしれない。

ルメール騎乗のアスコリピチェーノ。残り400メートルのハロン棒を通過するあたりで、うちにボンドガール、キャプテンシーと並んだその外側にぽっかりとスペース空いたところを突いたものの、ちょうど内側に寄れてきたマスクオールウィンに挟まれてボンドガールとキャプテンシーが大きく不利を受けることに。アスコリピチェーノ自身も躓いて大きくブレーキかかるはめになってしまったわけです。
アスコリピチェーノがすごいのはここから再度ギア入れ直して再加速。ものの違う脚でロジリオンを躱して2着に入ったところでしょう。
スムーズに行けば勝ったジャンタルマンタルにまったく引けは取らなかったと思います。マイルは近い将来この2頭。2023年の2歳王者と2歳女王の2頭のライバル関係に収束していくんじゃないでしょうか。

件の不利の件ですけれど、正面からのパトロール映像と横からの本映像を並べてみると、ルメールが空いたスペースに突っ込んだ瞬間は、狭いどころか1頭半か2頭分くらいは間空いてたんですよね。パトロール映像だとさらに後ろに居たイフェイオンがすっぽり全体見えてさらにもう半頭分くらい間隙間が見えるのでその広さがよく分かる。
ところが突っ込んだ瞬間にマスクオールウィンが寄ってきた。むしろこれ、スペース広かったからルメールも瞬間の判断でまだ行ける、と思ったんでしょうね。うちのキャプテンシーも若干内側に入ってスペース十分ありましたから。所がマスクオールウィンがもう本当に苦しかったのか、さらに内側によってくる。この段階で既にアスコリピチェーノはその素晴らしい反応速度から上半身くらい間突っ込んじゃってたので完全に挟まれ内側まで押し出される感じになってしまった。これがアスコリがまっすぐにスペース突っ込んでたならマスクを押し止める事もできたんだろうけれど、マスクの後ろにつけていてそこからスペースに滑り込もうとしたので、同じ方向に向けて動いたものだからマスクを押せずに内側を押してしまうことになった。
まあタイミングが悪かった、としか言いようがない。ただ普段のルメールならスペースに入ろうとしたその直後にマスクが寄ってきてタイミングが重なったときに、まだ大丈夫と判断したかどうかですね。
まじでこれ1秒あるかないかの猶予。もしマスクがちょっと内にブレただけだったら十分間抜けれるだけのスペースが残っている段階。アスコリが素晴らしい反応速度で一瞬でスピードに乗っている状態。これで、手綱思いっきり引いて仕切り直しできるかどうか、ってところだ。ぶっちゃけ、あそこで引いたとてあれだけ瞬時に前に出ていたアスコリが止まれたか。すでに苦しくなっていてたマスクやキャプテンシーが下がりだしていたのを思うと、かなり難しいものがあったんじゃなかろうか。
既に馬体が重なりかけていたのを思うと、あそこで無理に引いたとて場合によっては内によってくるマスクの後ろ足とアスコリの前がぶつかる可能性も考えられるし。
まあでも、普段のルメールならこういう状況にならないようにもすこし慎重に立ち回ったんじゃなかろうか、と思うくらいにはルメールの腕前は信用している。

ジャンタルは皐月賞から中2週はさすがにキツいと思ったんだがなあ。
逃げ馬のユキノロイヤルがいけなかったのが色々とレース展開に波及した感があります。
終始暴れまわっていたシュトラウスはまあともかくとして、他の馬たちも多かれ少なかれ掛かっていて若さが露呈していた中で、川田の手綱で安定して外枠から思う通りのルートを通って、アスコリをばっちり塞いで良いところを走らせず、レースの主導権を握って好きな時にムチ入れて十全力を発揮してゴール、とまあ騎手の技術と馬の操縦性がピタリとはまり込んで、今の段階で持てる力を全部発揮できるレースができた、というのがこの馬の強さでしょう。才能があってもそれを発揮できない馬がどれだけいることか。シュトラウスとか……いやこれ、シュトラウスこれレースマトモに走れるのか? もうわやくちゃじゃん

3着のロジリオン、5着のイフェイオンはポディション取りの勝利。4着のゴンバデカーブースはホープフルを出走回避して半年以上ぶりのレースにも関わらず、ここまで走れたのは正直驚いた。なんか調教段階でも本番仕様まで馬が仕上がってないふうな評価が散見されてたのに。才能だけでここまで走れたと思えば、これ、身体ができていたら相当のレベルで走れるようになるんじゃなかろうか。秋以降期待。
6着から14着まではほぼ一団となって突っ込んできていて、ここらへんはほとんど現段階での力量差は感じられない。不利受けたディスペランツァやスタートで体勢整わずに大きく出遅れてしまったアルセナールは後悔あるレースになってしまったかもしれませんが。
案外だったのが勝ったジャンタルと同じ新種牡馬の父を持つノーブルロジャー。こんなもんじゃないと思うんだがなあ。

ともあれ、今回は初の朝日杯と阪神ジュベナイルフィリーズという2歳の頂点を獲った牡馬牝馬が3歳の時点で激突するという史上初のレースとなり、他にも多岐にわたる路線を駆け抜けてきた多士済済が揃った豪華なNHKマイルカップとなって、大変おもしろかった。クラシックレースとはまた別路線ですけれど、本格的にもう一つの路線として花開いてきた感がありますなあ。




第169回天皇賞(春) G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 京都競馬場3,200メートル(芝・右 外)

テーオーロイヤル、そして鞍上の菱田裕二騎手、はじめてのG1制覇おめでとう。
うん、もうパーフェクト。今の充実したテーオーロイヤルの強さを、今回菱田くんは十全引き出した文句なしの騎乗でした。
長かったなあ、菱田くん。もう中堅こえてベテランになろうという時期ながら、大きいところを取れなかったけれど、所属の岡田厩舎の馬で、しかも騎手を志すきっかけになったというこの春天で、はじめてのG1をもぎ取ったというのは、素晴らしい、良かったねえ。
テーオーロイヤルに関しては本当に手の内に入れていて、今回不思議と騎手に対しての不安感は全然なかったんですよ。にしても今回のレースは完璧でした。

週末は雨予報だったのが土日良い天気になりまして、馬場状態は最高。内が伸び前が残るという馬場のコンディションになっていました。
テーオーロイヤルはピタリとドゥレッツアをマークするカタチで5番手あたりを追走。これ、ドゥレッツアの真後ろじゃなくて、一列外に位置取りしてたんですけれど、前に馬がいない状態でしっかりと折り合いついてて落ち着いた感じだったんですよね。
向正面で早めに横に居たサヴォーナが前進していったにも関わらず、それに釣られることもなく。
それでいて4コーナーの坂の下りで菱田くんの合図に応えて一気に加速。この時点で手応えが他の馬と全然違っていました。
あとはもう粘るディープボンドを躱して、突き放すのみ。ほんと文句なしの完璧な勝ち方でした。
前走阪神大賞典での完勝で、現在の長距離界のエースであることを宣言したテーオーロイヤルでしたが、この春天でその宣言を証明してみせた、と言っていいでしょう。間違いなく、君が最強ステイヤーだ。
一昨年の春天三着。タイトルホルダー、ディープボンドに続いての3着で、トップクラスのステイヤーとして名乗りを上げたテーオーロイヤルでしたが、その後微妙な着順のレースを繰り返したあと、同年のジャパンカップで大敗し、その後の放牧中に骨折。一年の休養を減ることになってしまいました。
が、復帰戦のアルゼンチン共和国杯こそ振るわなかったものの、暮れのステイヤーズSで2着と復活。そして今年に入り、ダイヤモンドSをトップハンデで勝ち、阪神大賞典を圧倒的な力で快勝し、現役馬の中で力を示したわけです。
阪神大賞典までは、まだ去年の暮れに一線級の馬がみんな引退してしまって、現役では誰が一番強いのかまだわからない、決まっていないって感じでしたからね。
実際阪神大賞典では日経新春杯を勝って勇躍してきたブローザホーンが一番人気だったわけですし。
それにしても、強い勝ち方でした。今なら、今年はドバイに行ってしまった去年の春天勝馬ジャスティンパレスとやっても互角以上に戦えるでしょう。

2着はそのブローザホーンでした。一頭だけ後方からまくりあげてきてぶち抜いていく、豪快な末脚。
最近はデカ馬ステイヤーが珍しくなくなりましたけれど、この馬は小柄で長距離得意という昔ながらのステイヤーって感じで、長い所得意でありながら俊敏って感じの走りっぷりは小気味の良いところがあって好きなんですよねえ。
なかなか体重が増えてこず、今回もマイナス体重。おまけに母父がデュランダルというそれ気性面大丈夫?という血統なんですけれど、去年2勝クラスから連勝を開始して以来、心房細動で競走中止してしまった京都大賞典を除けば、年跨いで7戦して馬券圏内3着から外れていないというのはもうこれ強いでしょう。

3着はディープボンド。7歳にして衰え知らず! いや、実際もう衰えは顕著で前走得意の阪神大賞典でいいところなかった時点で、さすがにもうプボくんもお年ですよね、と思った人も多かったはず。
しかしこの子、本当に京都競馬場と相性ぴったりなんでしょうね。決して切れ味鋭い馬じゃないので、あの京都の4コーナーの下り坂で加速してそのまま直線ゴールまで粘り込む、というスタイルが彼にとって一番合っているということなのかもしれません。実際、京都のレースではずっと実績残しているのですから。京都競馬場改修とかち合わなかったら、もしかしたらG1タイトル取れていたかもしれない、とすら思ってしまう。
どう見てもパワー型の馬で、むしろ阪神競馬場の方が合ってそう……実際、阪神大賞典をマイレースにしていたように良く走れていたのは間違いなくて、スピードが要求される京都向きではないと言われることもあったのですけれど、こうして結果見せられると淀巧者だったんだなあ、と感心してしまいました。
今回は初騎乗の幸騎手だったのですけれど、逃げるマテンロウレオから少し間をあけて、最内を淡々と引っ張り、下り坂で加速して最後までズルズルと行かずに粘り込む、というディープボンドにとっての理想の競馬をしてくれたように思います。なんかほんと久々にプボくんらしいレースを見た感じがして、満足感が凄い!
ほんと魅せてくれる馬です。いつまでも人気高いのわかるなあ。

4着には……これはびっくり。14番人気のスマートファントム・岩田望来騎手が入線。見直すとかなり最後方近くに4コーナーまでいたのに、直線入る所で岩田親父ばりのイン突きが炸裂。それまで貯めていた脚の分前に進んで、4着食い込んでるんですよね。
……これまで重賞とはほとんど縁がなくて、3歳の時に神戸新聞杯に参戦しているくらい。ずっと下積みだったのが、今年に入り条件戦の長い距離のところを連勝してこの舞台に立つチャンスを得た馬でした。……この連勝が、藤岡康太騎手が乗ってたんだ。彼の今年の好調っぷりがそのまま残滓したような、会心の走りでありました。いやでも、これはちょっと侮れない。今後の重賞でも注目しておくべき馬かもしれません。

5着にはダイヤモンドS3着、阪神大賞典2着とテーオーロイヤルに続く形で好走していたワープスピード。この馬も去年までずっと条件戦をウロウロしていたのが、急に伸びてきた馬の一角だわなあ。
阪神大賞典で2着に食い込んできたときの川田騎手は、今日は香港の方に出張しているので、以前乗って勝った経験がある三浦皇成騎手が騎乗したのですけれど、きっちり5着入っているのを見ると今後も着実にいい成績残しそう。

さて、他の人気馬はどうなっているかというと。
2番人気。去年の菊花賞馬であるドゥレッツアは、プボと一緒に先行集団を引っ張る形で良いポディションを取っていたのだけれど、4コーナーあたりで手応えが怪しくなりズルズルと後退。まさかの15着。ハピが早々に競走中止してしまって16頭でのレースになっていたので、実質ブービーという大敗結果になってしまいました。
今日はルメールがまだ怪我で復帰していないので戸崎騎手だったのですけれど、これは騎手云々じゃないよなあ。
パドックの段階で細江純子さんがあんまり良く見えないと言っていたので、調子自体そんなに良くなかったのかもしれません。それにしても負けすぎなんで、ナニカあったんじゃなければいいのですが。

3番人気のサリエラ・武豊も12着と力尽きる。タスティエーラもモレイラ鞍上で一発あるかとも思ったんだけれど7着かー。
全体みると、露骨にステイヤー適正が高いかどうかが問われたレースだったかも。逃げたマテンロウレオの横山典さんがまたいい逃げっぷりを見せて、ラップ見ると最初の1000メートル59.7と中距離レースレベルの速さで引っ張ったあとに、ゆっくりとペース落として息継ぎして、そんで下り坂から加速して11秒台連発って流れになってるんですよね。
この流れに、ついていけなかった馬が4コーナーから直線入ったところらへんで中団以降を見るとよく分かる感じでぶちまけられてるんですよ。
4コーナーで後ろの方に居たのに直線入った時点でだいぶ前にワープしたみたいに位置づけていたスマートファントムと比べるとよくわかる。外に膨らんで位置取り的に遠回りしてしまったというのもあるけれど、あれであっさりスマートファントムが前につけられたというのは、それだけ他の馬の脚が伸びてないってことでもあるんですよね。
……こうして改めて見るとブローザホーン、ちょっと外遠回りしすぎというのもあるよなあ。
ドゥレッツアは、菊花賞3000を勝ってますけれど、あれはルメール会心の騎乗で本来ドゥレッツア自体長距離向きじゃなく中距離向きという人は少なくなかったのですけれど、この消耗戦での結果を見るとそのへんも明らかかもしれませんね。調子良くなかったにしろ。
まあここで負けた面々も、宝塚記念ならまた全然違ってくるでしょう。

ともあれ、テーオーロイヤル、菱田くんともにおめでとうございました。


第84回皐月賞 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

藤岡康太騎手が亡くなられてから最初の競馬開催週。今まで見たことのないピンと張り詰めたような沈んだような空気感でした。騎手の方々もスタッフの方々も緊張感というよりも、グッと溢れ出てくるものを我慢しているような雰囲気で。
それが決壊したとき、もう耐えられん感じでみんなボロボロ泣いてた。月曜日の合同葬のときもみんな泣いてたし、テレビやYouTubeなどでも堪えきれんと泣いている人たくさん居ました。
ほんと、それだけ藤岡康太くんの人柄が偲ばれるというものです。辛いなあ。

悲しみを飲み込んで、皆さんは競馬を続けていかれます。
クラシック第一弾、皐月賞です。

今年の前評判としては、3歳世代は牝馬の方が強くて牡馬の方はちょいといまいちなんじゃないか、みたいな言も流れていました。
ホープフルステークスを牝馬ながらに勝ったレガレイラが桜花賞ではなく皐月賞に参戦、というのも勝てると踏んだからなのでしょう。尤も、阪神芝1600メートルよりも中山芝2000の方がレガレイラの適正に合っているから、という判断だったからなのでしょうけれど。
いずれにしても単勝1番人気が皆がその実力を認めていた、という事を証明していたと思います。

2番人気はジャスティンミラノ。まだ2戦ながら2戦目で共同通信杯を勝利。この馬、友道厩舎の馬なのですが、友道厩舎では有力馬の調教を藤岡康太くんに頼むことが多く、ミラノの仕上げに跨ったのも康太くんだったそうです。
無敗で皐月賞に挑んだ馬はミラノの他にサンライズアーズ、きさらぎ賞を勝ってきたビザンチンドリームと他に二頭いましたが、共同通信杯で2歳牡馬チャンピオンのジャンタルマンタルを下して勝ち上がってきたミラノは、1段階強い馬と見られていたと思われます。
ただ不安点としましては、新馬戦、共同通信杯ともにかなりのスローペース。特に後者は勝ったミラノが上り32.6を記録。というか全頭33秒台で上がってきた完全後傾戦だったんですね。
つまり、速い流れのレースを今まで走った事がない馬だったのです。血統的にも良馬場のスローが一番力を発揮できるレースだろう、と言われてた感じで。

そして、この日の中山は爆速速い馬場でした。8レースの2勝クラス 牝馬限定戦で1:58.2と余裕で2分台を2秒近くぶっちぎるようなレースが出てましたからね。
とかく前目につけておかないと、とても後ろからはまくっても追いつけないのが今日の中山であり、そうなるとどの馬も前につけたがるので全体的にまた速くなるという、まあ馬のスピード、巡航速度が試される皐月賞だったんですね。

とどめに、逃げるだろうなと思われていて実際に逃げたメイショウタバル。これが重馬場の毎日杯を良馬場かよという好時計でぶっ千切って勝ってしまった馬で、4番人気と人気も高めでした。
ところが、このタバルがテンション上がってしまって、掛かってしまったんですね。鞍上の浜ちゃんも康太くんの同期という事もあって気合はいりすぎてたんじゃないか、みたいな事も言われてたりもしますけど、さすがにそんな事はなかったでしょう。向正面入る辺りで重心が後ろによって手綱引いて押さえようとしているらしき所が伺えます。でも全くペース落ちず息を入れられないまま、1000メートル57秒5という超ハイペースの時計を叩き出してしまった。
タバルは直線で早々に力尽き、最下位にまで落ちてしまいます。実力は間違いなくあるんでしょうけれど、これはまたコントロールが難しそうな馬が出てきたなあ。

ともあれ、ただでさえ速い馬場で暴走気味に先頭が逃げたために、完全にこれこの早い流れについていける馬と、ついて行けない馬に別れちゃったんですよね。
レガレイラは、この速いペース無理だったんでしょう。スタッフの人がまだトモが鍛えきれていなくてスタートが遅れてしまい二の足がつかない、というような事を仰っていましたからね。北村騎手が最後大外ぶん回さなくてはならなくなったのも、このハイペースでの位置取りがあそこになってしまった以上、仕方ない部分もあったかと。うまい騎乗ではなかったかもしれませんけれど。

んで、これまでゆるい流れしか経験したことがなかったのに、あっさりとこのハイペースに追走して前目につけてしまったのが、ジャスティンミラノなのであります。
元々距離不安もあり、限界ギリギリのタイミングで攻めて前残りを狙ったジャンタルマンタル・川田をゴール前で悠々と躱して、1:57.1というレコードタイムでクラシック一冠目を戴冠。
……あれ? ちょっと待って。このジャスティンミラノって……無茶苦茶強くない? スロー展開で後方から強烈な末脚を決めることもできれば、追走できない馬も出てくるほどのハイペースの流れに悠々と乗って、ほぼほぼ馬の現状の最大能力を引き出し、これしかないという展開に持ち込んだであろう、モレイラのコスモキュランダ、川田のジャンタルマンタルを相手に完勝と言ってイイ勝ち方をしちゃったんですから。
思ってたよりスケールが2周りくらい大きい馬なんじゃないの、この子。
ストライドも大きいですし、本来なら中山2000よりも東京府中は2400の方が合ってるタイプと言われていたにも関わらず、中山の方でこの勝ち方。じゃあダービーになったらどうなるんだ!?
これは下手をするとソングラインを超えてキズナの代表産駒になるかもしれない器ですよ。クラシックはじまって、牡馬の方にも大物感感じさせる馬が出てきた。

2着は弥生賞勝馬のコスモキュランダ。なかなか最近では本番に繋がらないステップレースなんですけれど、今の中山のスピードに乗れるタイプの速い馬だったんじゃないでしょうか。それ以上に、モレイラ騎手のポジショニングがちょっと極まってるんだよなあ。ルメールが怪我でしばらく休養する以上、これモレイラ騎手無双になりますよ、さすがマジックマン。
3着はジャンタルマンタル。正直絶対距離持たないと思ったし、実際1800で限界っぽい走り方だったんだけれど、それでも踏ん張るマンタルの根性とそれを引きずり出す川田の騎乗の凄まじさ。
ただこれ、本当にここが限界の限界、上限でしょう。もう2000メートル走らすこともないかもしれない。そして最大限の力を発揮しても3着というところ。いやむしろよく3着持ってきたよ。

4着はアーバンシック。レガレイラと血統的にほぼ同じ、母が姉妹で8分の7一緒なんでしたっけ。そういう話で話題にあがってたんですけれど、現段階の完成度でいうならレガレイラより上だったかもしれない走りっぷり。そして伸びしろもこれ、レガレイラに負けてないでしょ。将来性で言うなら、ミラノに追随するのがこの馬なんじゃないだろうか。
5着には最優良血馬のシンエンペラー。兄姉がアメリカやヨーロッパのG1勝ちまくってる、世界でも頂点級の良血馬です。全兄がフランスダービーに凱旋門賞勝ったソットサスですよ。
とはいえ、さすがに欧州血統にこのウルトラハイペースをどうにかせい、というのは酷。むしろ展開も馬場も向かないだろうに能力だけで5着まで持ってきているあたり、よう走っとる。ってか、この子もう海外中心で走らせた方がいいんじゃないだろうか。超赤字になるかもしれないけど。
そしてレガレイラは6着。上り最速でここまで繰り上がってきたのですから、能力不足ではないでしょう。木村調教師は調教の仕方間違えてた、と仰ってますけれど、はてさて。まあ馬の調子自体満足いってなかった感じの物言いでしたね。これはオークス路線になるのかな。






第84回桜花賞 G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 阪神競馬場1,600メートル(芝・右 外)

今日は快晴、暖かいというかちょっと暑さすら感じる気温でした。例年、どうしても先に咲いちゃって散っちゃっている桜もちょうど満開。実際は八分咲きくらいだったんじゃあないかな、と思うんですけれど、いつもの年よりもいっぱい咲いていたのは確かです。

メンバーもなかなか出揃いました。

阪神ジュヴェナイルフィリーズで2歳牝馬チャンピオンの座を勝ち取ったアスコリピチェーノ。
その2着だった牝馬の国枝厩舎の最新兵器ステレンボッシュ。
クイーンCで良血達を蹴散らして権利を獲った此方も良血。グレナティアガーズの妹クイーンズウォーク。
2歳牝馬の出世レース・アルテミスSを勝ってここに直接挑んできたチェルヴィニア。あのオークス2着だったチェッキーノの娘です。
2歳時には世代筆頭格と謳われたコラソンビート。
祖母にあのスイープトウショウを持ち、チューリップ賞で祖母譲りの豪脚を披露した魔女姫スウィープフィート。
そのスウィープフィートをエルフィンSにて更に切れる足でねじ伏せてみせた、世代最強の末脚を持つライトバック。

他にもフェアリーSを勝ったイフェイオン。
フィールズレビューにてコラソンビートの追撃を振り切ったエトヴプレ。
高速ラップを逃げながら最後までスピードを落とさず、チューリップ賞で2着に粘ったセキトバイースト。
それ以外の馬たちも、それぞれに結構自分だけの武器、特徴を持っていてなかなかに侮れないメンツが揃いました。

賞金が届かず出られなかった面々も、ボンドガールは昨日のニュージーランドトロフィーで2着に入り、NHKマイルカップへの権利を獲得。
タガノエルピーダも今日の9レース忘れな草賞を完勝してオークスへのはずみをつけました。
レガレイラは皐月賞へと参戦。
サフィラやアルセナール、ガルサブランカという兄姉に偉大な名馬がいる超良血たちもこのまま燻っちゃいないでしょう。


こうしてみると、粒は揃ってるんだよなあ。後々になって見ると、なかなか強い世代と言われるかもしれません。


さて、馬場の方ですけれど今日の芝レースの傾向を見ると……真ん中から外からの強襲がよく伸びていたような印象。つまり、外が伸びる!
桜花賞は外回り芝1600。内回りと違ってカーブがわりとゆったりとした曲線を描いている上に、直線距離が長い。馬場だけ見たら、外からぶん回しても足さえ切れれば伸びる届く!
とはいえ、これも展開・ペース次第。
タイムを見ると前半も後半も34秒台。全体的に早くて緩んでない。勝ち時計1:32.2も優秀。これは前に行った馬は苦しいか。
それでも番手ながら5着に入ったエトヴプレ。上りも34.2とかなり速さを維持しているし、この馬フィールズでもそうだったけど、息いれる余裕なくても失速しないの凄くない? マイルでも十分いけるだろうけど、短距離だとほんとに止まらなさそう。

って、まずは勝った馬だろう。
勝ったのはステレンボッシュ。マジックマンことモレイラ騎手の手綱さばきの妙であり、堂々たる真っ向からのライバル撃破。真ん中突き抜けて、阪神JFでは届かなかったアスコリピチェーノを逆に従えての桜戴冠。これは強かった。なにしろ所属厩舎が牝馬の国枝の異名をとる国枝先生ですからね。牝馬クラシックの取り方を知っている人ですし、エピファ産駒で母父ルーラーシップとなればむしろ距離が伸びてこそ、な所もあるでしょうからオークスへの期待も高まるというもの。牝馬三冠唯一の挑戦権を持つ馬として、これは期待出来得る逸材ですよ。

2着には上記したように阪神JFの結果逆転でアスコリピチェーノ。同じ舞台同じ距離で勝ち負けがひっくり返ってしまいました。とはいえ、あれ四コーナーで内に居たステレンボッシュにタックルくらって外に弾き飛ばされちゃったんですよね。そこから体勢立て直してステレンに食らいついていったものの、躱しきれずに2着。むしろ、あそこからよく食らいついていったな、という印象。
ってか向正面から3コーナーに入ったところで、ピチェの内にステレン・モレイラがピタリとつけてるんですよね。北村くん、外が伸びるこのときの傾向を考えても外からまくれる位置につけた事自体は間違ってないと思うんだけれど、それ以上にモレイラのマークの付け方がこれやばかったんじゃないだろうか。あれ、北村くんとしたらチェルヴィニアの後ろに蓋をして自分だけ抜けられたら最高だったんだろうけれど、その寸前にモレイラがステレンをピチェより前に出して身体をねじ込み、同時にピチェを外に弾き飛ばす反動で自分たちはワンアクションで直線まっすぐ行く向きに体勢を整え、逆にピチェ・北村は外にぽーんと弾かれてワンテンポギアいれるのが遅れてしまった。
この一瞬の攻防が命運をわけたようにも見える。まあこの一瞬に持っていくまでの体勢をモレイラがピチェの内側につけるところらへんで整えてたとも言えるのかもしれないけれど。
むしろ、ここから二馬身半かくらい離されたのに、諦めずにじわじわと詰め寄ってきたピチェの根性は素晴らしかった。なんだかんだと他馬抜き去っての2着ですからね。
阪神JFからの直接対決といい、これは輝かしいライバル関係になりそうじゃないですか。
それに、この二頭って名前の由来から面白いんですよ。ステレンボッシュは南アフリカの都市の名前。アスコリピチェーノはイタリアの都市の名前、と二頭とも街の名前なんですよね。都市の看板背負った者同士のバチバチ火花飛び散るライバル関係、いいじゃないですかー。
まあ勝手に名前つけられただけで全然本物の都市の方は関係ないんですが。ないよね?

3着にはライトバック。最後方からぶっ飛んできましたよ! 32.8とあがり最速を記録。いくら今日外が伸びてたとはいえ、またとんでもない豪脚でした。直線入ったときまだ最後方でしたもんね。
鞍上の坂井くん、このときジリジリと下がってきていたマスクドオールウィンを利用して、ライトバックと競りながら上がってこようとしていた武・スウィープフィートに蓋したんですよ。うまいこと進路を塞いでみせた。これがスウィープフィートにとっては痛かった。
すぐさま内に進路をとって加速が急減速になるのを避けたのはさすがの武さんでしたけれど、馬場が良く前が空いたルートはライトバックにとられ、スウィープフィートの前には馬群。馬群を切り裂いていかなくてはならなくなった。
ここで武さん、魔女姫の脚を信じて一瞬耐える。そして自分の外側に蓋をしていた8枠の二頭が落ちたのを見計らって外に出し、もう一度ライトバックに食らいついていったのであります。
正直ここでもうライトバックはトップスピードに乗っててちょっとこれに追いつくのは不可能だったのですけれど、追い出してからの加速度はそのライトバックを上回っていましたからね。残り100メートルのキレは凄まじかった。
スウィープフィートは血統的にも本番はオークスの方だろうという意見も多かったのですけれど、確かにこれ距離が伸びたらちょっととんでもないことになりそう。
短い路線に行きそうな5着エトヴプレ含め、掲示板に乗った5頭ともこれは先々にゾクゾクしたものを感じさせてくれる競馬を見せてくれたと思います。


人気馬を見ると、3番人気のクイーンズウォークは8着。1枠2番が今日の馬場や展開だと厳しかったか。距離もマイルはあまり本意ではなかったみたいで、前走クイーンCもなんか川田が勝ったあとのコメントで1600を使いたかったわけじゃないみたいなこと言ってましたしねえ。なんか今日はいつもの川田騎手のガツガツしてる雰囲気が見えなかったので、内枠入った時点でうまく行けばでよし、そこまでなんとしてでも勝つ気はなかったんじゃなかろうか。本番はオークスということかしら。
1400が一番得意だったグレナティアガーズの妹なのに、父がキズナというだけでこれだけガラッと傾向変わるのねえ、面白い。

4番人気のチェルヴィニアは終始ピリッとせず、13着。剛腕ムルザバエフの手腕を持ってしても、気持ち入ってない馬は動かせなかったか。さすがにちょっとレース間隔が空きすぎて馬が本番モードじゃなかったのでしょうか。

コラソンビートはスタートして先頭集団に位置したところでさらに行きたがって鞍上の横山武史くんと派手に喧嘩しているのを見た時点で、ああとお察しでありました。これは気性面で短距離路線か。マイルですら、となると少々厳しいなあ。


まだまだ馴染みがなかった世代でしたけれど、桜花賞を通じて一気に個々の個性に理解と認識が追いついてきた感じで、楽しめそうな世代になってきた。まあこれはだいたい毎年桜花賞くらいが馬の実像わかってくるタイミングなんですけどね。
そして、ここからまたどんどんと馬の印象も変わってくる。さあ、今年もクラシックはじまったぞ!




あと、今年はスタートの際にドローンからの撮影による映像がありましたね。あの構図はいいなあ、そそるなあ。




第68回大阪杯 G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 阪神競馬場2,000メートル(芝・右)

例年は高松宮記念とカブるドバイワールドカップデーなんですが、今年は大阪杯と被ってしまったがためにルメールや川田騎手など一線級の馬たちのみならず、騎手たちも不在となった大阪杯。
ルメさん骨折大丈夫だろうか。鎖骨や肋骨なのはこの際不幸中の幸いなのかもしれないけど。

さて大阪杯であります。去年の暮れに各世代の一線級の名馬たちが一斉に引退。残った現役最強クラスのドゥデュースにリバティアイランド、スターズオンアースといった面々も軒並みドバイの方に行っちゃって、さて残留組はというといささか小粒に思える面々ばかり。
いやね、戦歴だけ見るならば去年のダービー馬に皐月賞馬のクラシック組が出揃い、キラーアビリティというホープフルS2歳チャンピオン、ジオグリフという一昨年の皐月賞馬。スタリングローズという秋華賞馬などなどG1馬もちゃんと揃っているのですけどね。
しかし今年の4歳世代は古馬との対決成績が散々なことから世代レベルが低いんじゃないか、なんて言われている状態だし、その他のG1馬たちは近年成績が振るわず低迷中。ジオグリフはダートまで足を伸ばして回ってきた末にようやく復調の気配が見えてきた感じですけれど。
4歳馬がいまいちならこれまで君臨してきた古馬はどうなんだ、というと先述した通り超一流どころはだいたい引退しちゃったかドバイなんで、残っているのはというとG1になると壁に跳ね返されてしまうG2番長やローカル重賞を勝ってきた馬とかばかり。
古豪ステラヴェローチェは屈腱炎で1年近く休養して最近復活したばかり。まあどうしてもメンバー見渡しても小粒の印象を否めない。
大阪杯だから、というこのレースに限ったことではなく、ほんとに去年の暮れあたりで一気に大量引退しちゃったんで新世代の4歳全体が低調なこともあって、もう全体的に小粒なんですよ、今。
逆に言うと、ここで強い競馬をして見せて勝って見せれば、小粒という印象を吹き飛ばせるわけですよ。

そういう意味では、このレースで勝ったベラジオオペラはいささか不甲斐ないクラシック三冠の勝馬たちに対して、腑抜けてるようなら自分がやってやるわいっ、と一気に自分こそが世代最強だ!と主張するような競馬を見せてくれたと思いますよ、これは。
三冠レースでは振るわなかったものの、暮れあたりのレースから同世代の中で一番気を吐いていたのがこのベラジオオペラでした。チャンピオンカップでボッケリーニを下し、京都記念ではプラダリアに負けたものの展開の妙でもあり強い競馬は見せてたんですよね。
だからこそ、2番人気の評価を受けていたんじゃないでしょうか。

阪神競馬場、今週からBコースに代わり内差しが決まる馬場。天気も良好で馬場も良かったですしね。
こうなると前残り傾向にもなります。外からの差しも今日は決まっていたので、展開次第ではあったのですけれど、前目内目有利というところは間違いなかったかと。

レースはスタートで12番キラーアビリティが外によれ、16番カテドラルが内によれ、結果としてその間のエピファニーが両側から押されて挟まれた挙げ句に大きく後ろからの競馬となってしまい、ご愁傷さまでありました。
今回は明確な逃げ馬が存在しなかったのでどの馬が前に行くのか、というところも注目点の一つではあったんですけれど、まさかのスタニングローズ。
そして番手にスーッとつけたのがベラジオオペラ。オペラはこの番手への付け方のスムーズさが素晴らしかった。そしてジオグリフ、タスティエーラ、ミッキーゴージャスが内側に並び、リカンカブールが外側から3番手あたりに追走。ハーパーもジオグリフあたりの塊の外側につける。
直線抜けて1.2コーナー回って向正面に入る頃にはミッキーゴージャスが下げて、代わりにタスティエーラの後ろにプラダリアがつける感じになってて、この段階でベストポジションだったのはベラジオオペラとタスティエーラ、プラダリアも悪くない位置だったと思う。
後方につけていたローシャムパークが大外まくって一気に先行集団に加わってきたのを見たときには、こいつちょっと後ろ過ぎない?と危惧していたところだっただけに、戸崎攻めた!と思ったね。ペース的にもこれは遅いという判断だったのか。実際ここで2番手まで一気にローシャムパークが上げたことで緩みそうになったペースが上がりましたからね。ここから11秒台連発することに。
ただ必要以上にペースはあがらず、前が潰れるような展開にはならなかった。まさに戸崎の狙いすましたような位置取りチェンジである。
3.4コーナーでじわじわとソールオリエンスが位置を押し上げていってるんだけれど、いまいち手応えが鈍い。逆に中団後方で焦らずじっくりとためていた組が手応え貯まっていってるんですよね。
白眉が直線に入る最後のコーナーライン。ここで内ラチ沿いを走っていたルージュエヴァイユが最内を回りながら外に膨らまず、しかし加速しながら一気に番手を上げてるんですよね。カーブが終わった段階でいつの間には先頭集団を射程圏内に捕らえている。
逆にピタリと止まってしまったのがタスティエーラ。完全に勝ち負けのライン取りに乗っていたにも関わらず、手応えが全然なくなってるの。
お父さんのサトノクラウンが、香港勝って絶好調のときにこの大阪杯で6着で負けちゃってるんですよね。タスティエーラほどきつい止まり方はしていないんだけれど、スタミナ的にはまったく不安がないはずのクラウンがゴール前でぱたりと止まっちゃってるんですよね。次の宝塚記念で勝っていることを考えても、血統的に阪神の芝2000が合わないタイプなんだろうか。いやポディション的にもほぼ最適のところ付けてたもんなあ。
レースはスタリングローズを躱したベラジオオペラが、外から追いすがってくるローシャムパークを制してクビ差勝利。内からぐんぐん伸びてきたルージュエヴァイユがハナ差の3着。
唯一外からぶっ飛んできたのがステラヴェローチェ。ヴェローナは4角でハーパーの内に切り込むんじゃなくて外に出しちゃったんですよね。
あの瞬間、内側にはルージュエヴァイユにタスティエーラ、ジオグリフが並んでて隙間が見えなかった、というのもあるかもしれないし、スピードからしてあそこでハーパーの内側に切り込むだけの余裕がなく外に膨らまざるを得なかった、というのもあるのかもしれない。ただカーブの最終段階でルージュエヴァイユと半馬身ほどしかなかった差が、直線入ったところでは1馬身から2馬身差がついていたこと。また、ギアを入れて加速っという瞬間にソールが外によれてその分ヴェローチェも煽り食って外によろけて、立て直してから再加速と2テンポほど遅れてるんですよね。
これがなかったら4頭一団での1着争いになったかも知らん。それくらい、ヴェローチェの脚だけ最後の100メートルの勢いが違ったのでした。
長い休養のブランク明けながらも、衰えることなくエフフォーリア、シャフリヤール、タイトルホルダーのあの栄光の世代の残照をくっきり焼き付けてくれる走りでありました。
ドバイでいまだ衰え知らずに暴れまわってるシャフリヤールと並んで、この世代最後の生き残りたちは今なお輝きを弱めてなどいないですよ。
そして長らく不振が続き、ダート戦線に舞台を移すなんてこともしていたジオグリフが、前走中山記念で3着と復活の兆しを見せたと思ったら、G1でも掲示板に載る走りを見せてくれました。まだ5歳。あのイクイノックスを破った馬だというのをもう一度知らしめてほしいものです。
6着にはプラダリア。この子も内側につけてタスティエーラの後ろと隊列的にも悪くないポディションにつけていたのに、G1になると君どこで何をしてタの? となぜか存在感がなくなってしまうところはこの手薄になったメンツ相手でも変わることなく。やっぱりG2番長なんかな。
ソールオリエンスは7着。もう4角で手応え怪しかったですもんね。一定以上のスピードが持続しないというのか。息の入らない展開が苦手なんだろうか。

ともあれ、ベラジオオペラはこれで現4歳世代の筆頭格に、と言ってもいいんじゃないでしょうか。そういう風格を感じさせてくれるレースでありました。
2着のローシャムパークも、去年後半の急激に実力をあげてきた感のある連勝とオールカマーの勝利はフロックじゃなかった、というのを証明してくれるような走りっぷりでありました。
3着はルージュエヴァイユ。これは内に狙いすましてためた脚を爆発させた菅原騎手のファインプレーでもあり、牡馬ともこうして戦えた以上G1戦線で活躍好走を連発する歴戦牝馬の一角になってくれそう。
4着のステラは距離が伸びる宝塚記念がさらに期待できそう。あ、でも今年の宝塚は阪神じゃなくて京都なのか。
タスティエーラも宝塚なら巻き返しも、と思ってたんだけれど、京都競馬場となるとどうなんだ?





第54回高松宮記念 G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中京競馬場1,200メートル(芝・左)

クレアーーーっ!
ナムラクレア、本当にあと少し、あと少しが届かない。

雨の中京競馬場。いや全国的に雨だったんですけどね。案の定芝の状態は悪し。なんだけれど、今日の中京は外が伸びず、内を回ってきた馬が上位に来る馬場でした。
とはいえ、緩んだ馬場を馬が掘り返して激進するものだから、もう内に行くほどボコボコですよ。こういう馬場はやっぱり馬にも得意不得意というものがありまして、騎手としても判断がどうしたって難しい。
今回は騎手にとっても本当に難しいレースだったんじゃないだろうか。

本命1番人気だったルガル・西村騎手は今回は特にね、その判断を厳しく問われているだけに。なんで内にいかんのや、と。
まあ西村くんとしたら、最内の荒れた馬場は走らせたくない、うまく走れないという判断故に道中でも最内に入れず、最後の直線でも内に大きく進路が空いていたにも関わらず、外の少しでも良い馬場に出したのでしょう。とはいえ、今日の傾向と当のレースのスローのラップや展開を考えると、外に持ち出した時点で厳しかった。内に切り込んだとして、勝ち負けになったかどうか。
にしても10着というのは流石に負けすぎではある。
シルクロードSのアグリを3馬身突き放しての強い勝ち方を見せられたら、新世代スプリント王者候補の登場かと期待されるのも無理からぬ所だっただけに、ちょいと厳しい結果だった。
とはいえ、今回は流石に条件が複雑すぎて難易度高すぎたので、あまり次回以降この負けを考慮しなくてもよいとは思うけれど。

勝ったのは6番人気のマッドクール。前年スプリンターズSでママコチャの2着に入った馬だ。暮れの香港では振るわなかったものの、実績十分。
2番という枠順を活かし徹底して最内を突っ走り、最後まで走り抜けた。この馬場、この前半スローの展開で最内33.7で走られたら、まあ後ろが追いつくのは難しい。坂井瑠星会心の騎乗であったでしょう。

2着にはナムラクレア。まあ追いつかないだろうマッドクールに追いついてきた女剣豪一閃の末脚でありました。が、本当にあと少しが届かない。去年の高松宮も、スピリンターズも桜花賞も、あと僅かのなにかが差を分けた。騎乗ミスってわけじゃないんですよね。そして実力差では絶対にない。
むしろ、今のスプリント界で一番強い馬は、という問いが出されたらこのクレアをあげる人は少なくないでしょう。運がない、というものなのか、これは。
今回は特に大チャンスだったと思うんですけどねえ。未だにクレアがG1取っていないのが本当に不思議でならない。

3着には久々に海外からの参戦。香港から来たビクターザウィナーが逃げ粘って3着。
海外から来た馬というのはまあ大体実力差っ引いて考えて然るべきでしょう。特に欧州から来た馬はこっちからヨーロッパに行った馬が馬場合わなくて難しいのと同様に、向こうの馬もこっちの馬場合わない傾向が強いですから。でも、こと香港馬に関してはこれに当たらないと考えてもいいんじゃないでしょうか。昔から香港馬が日本に来た場合はほぼ、その実力通りの力を発揮している。
さらに、香港競馬というのは世界でもナンバーワンクラスのスプリント魔界。そんな中で14戦7勝。G1勝ってる馬ですから、そりゃ生半のもんじゃありませんよ。香港は近いですから、そこまで遠征の不安も少ない。
とはいえ、今回は決して体調も絶好調というわけじゃなかったみたいですし、さらにこの不良馬場。条件としては良くはなかったはずなのですが。
テイエムスパーダとモズメイメイという、今回先頭争いとなるだろう逃げ馬二頭ともが足元滑らせたりなどで出遅れ。オワタ。
ビッグシーザーも行きませんでしたし、ウインカーネリアンも競り合ってはこなかった。
自分のペースを作れたのが3着に残れた要因だったようです。

4着にはウインカーネリアン。前目で競馬出来たものの、ビクターの外外を回らされた挙げ句
4コーナーでさらに外まで出されてしまった分、内側の馬たちとは差がついてしまった感があります。
とはいえ、よく走る。1200は初めてだったんですが、しっかり走れていましたね。

5着にはロータスランド。牝馬で7歳まで頑張ってくれました。これでラストラン。最後まで大崩せず年取っても堅実に走り続ける良い馬でした。お疲れ様、これからは繁殖のお仕事頑張って。

今回はあのアイドルホース、メイケイエールにヴィルシーナの娘であるディヴィーナも引退。
エールちゃんもついにG1には手が届きませんでしたが、個性あふれるキャラクターで最後まで頑張って走ってくれました。同世代でも一番最後の方まで現役で頑張ったんですよねえ。
重賞6勝は十分な成績だったと思います。その成績でなお、気性ゆえに才能を発揮しきれなかったと評されるあたりがメイケイエールの難しさであり偉大さでもあったんじゃないでしょうか。

3番人気。去年のスプリンターズSの覇者であるママコチャは8着。外枠というのもありましたけれど、出来が万全からは遠いものだったようで最初から川田騎手のテンションがあまり上っていなかったというか、今回はそこまで迫真さを感じなかった。

4番人気のトウシンマカオは6着。まあ今回は度外視ですね。

阪神カップ阪急杯と連勝してきていたウインマーベルは12着。16番という外枠と馬場適性考えるとまあ仕方ないかと。こんなもんじゃないですよ。
京都牝馬ステークスを勝ってきたソーダズリング14着も、鞍上の武さんが今日はノメッてたと言ってただけに馬場があかんかった。仕方ない仕方ない。




第41回フェブラリーステークス G1 レース回顧   

4歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場1,600メートル(ダート・左)

来週の2月24日にサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われるサウジカップの方に出走するため、ダート戦線で走るトップランナーたちの殆どがあっちに行っちゃってます。
・ウシュバテソーロ
・クラウンプライド
・デルマソトガケ
・メイショウハリオ
・レモンポップ
という錚々たる面々。まあハリオとレモン以外の3頭は中距離メインなんでマイルとなるフェブラリーSは対象外なんでしょうが。ソトガケちゃんは3歳の時走ってたから大丈夫かしら。

まあともあれですよ、砂の燕と砂の悪魔の本命になりえる2頭が不在という事もあり、今回のフェブラリーSは地方から名うての実力馬。そして芝戦線で活躍中真っ盛りの馬たちが舞台を変えて参戦してきたわけです。

地方からは去年の地方競馬最優秀馬イグナイター。南関東無敗の三冠馬ミックファイア。そして砂の女王アイコンテーラーと真っ向から張り合うスピーディーキックという地方競馬の誇る名馬たちが参戦。
芝戦線からは去年のNHKマイルカップ覇者シャンパンカラーというG1馬。G3を3勝・馬券圏内多数というベテラン大常連カラテ。ドゥデュース世代の一角としてクラシックを賑わせ、古馬になった今もG1戦線で好走を続けるガイアフォース。と、結構な大物がこっちに出張ってきたんですよね。

迎え撃つダート馬たちは。
次世代ダート戦線のエースと期待されるオメガギネス。
チャンピオンズカップと東京大賞典というG1で連続でレモンポップとウシュバテソーロに続く2着をもぎ取った新星ウィルソンテソーロ。
こいつはダート馬の方に並べていいのかわからないが、同じくチャンピオンズCと東京大賞典で連続3着に入った元ホープフルS覇者にして2歳牡馬王者ドゥラエレーデ。
他にもJBCクラシックチャンピオンのキングズソードに、古豪タガノビューティー。最後方から一気に捲くってくる去年のフェブラリーS2着馬レッドルゼル。590キロの巨漢の逃げ馬ドンフランキー、と主役不在でも役者自体は揃って迎え撃つ所存でありました。

レースは好スタートを切ったドンフランキーがそのまま押して、先頭に。イグナイターと、控えると思われたウィルソンテソーロがまさかの番手に。
ウィルソンテソーロは前2走で好走を演出した原優介騎手が先々週に派手に落馬してその日の騎乗を回避したんですけれど、幸い怪我も大したことなくて次の週から戻ってきたんです。ただ、この落馬が影響したのか鞍上は原騎手から松山くんに変更になっちゃって。
正直、最近の松山くんはあんまり乗れてない印象でした。後方控えての競馬の時、仕掛けのタイミングがどうも遅いか何なのか、折角の切れる差し脚を発揮しきれなかったり届かなかったりが続いていて。
土曜日の京都牝馬特別のロータスランドや、先週のサフィラとか。
またウィルソンテソーロも、変に我慢させると行く気なくしちゃう所もあるみたいで、前からも後ろからも行ける自在性がある馬んじゃなくて、むしろ乗り難しい所がある馬みたいなんですよね。原くんはほんと手が合ったんでしょうね。
ここでその原くんから乗り替わりというのは、難しいんじゃないか、と思ったのですけれど、敢えて馬に任せて前目につけた騎手の判断、これ自体はむしろ悪くなかったんじゃないでしょうか。
問題は、ドンフランキーが作ったペースがめちゃくちゃ早かったこと。
まさかの前半3F33.9である。芝でも速いくらいのペースで流れてるやん!
おかげで、レース後半はみんなバテバテ。前が完全に潰れてしまうレースになってしまいました。
いや、この前が苦しくなるレースで、逃げたドンフランキーは最後にまた盛り返す根性見せるわ、イン突いたイグナイターは一瞬これは行ったかっ!?と思わせるほどの手応えある伸びを見せてくれるわ、とめっちゃ頑張ったんですけどね。
ドンフランキー、一旦はイグナイターに抜かれて一杯か、と思ったら粘って粘ってイグナイターが落ちてきたのを抜き返して、と600キロに迫る巨体のど迫力の走りを最後まで続けましたからね。色んな意味でパワフルでしたよ。
イグナイターはこれ1200や1400が主戦場で1600も行けるけどちょっと長いかも、という印象もあったんで、1400あたりでパタリと力尽きたのを見るとさもらんって感じではありました。でも、短いところだとこれなら中央とがっぷり四つで十分やれそう。強さを感じさせる走りでした。

しかして勝ったのは、4番手あたりにつけて虎視眈々を前を伺い、直線に入ってしっかりと追って後続を振り切ってみせた、まさかの11番人気。藤岡佑介騎乗のペプチドナイルが初のG1出走で初の重賞タイトル制覇!
いや、何気に調教から凄く良くて、穴馬としてこの馬をあげるホースマンも何気にちらほらと居たので、実際激走の気配は十分にあったと思われます。前々走はリステッドながら勝ってますし、ずっと人気自体はあったという事はそれだけ評価され続けていたということで。ここで11番人気というのは非常に美味しかったと思いますよ。鞍上の藤岡佑介くんも、今月入ってよく乗れてる感じで今ならG1でも勝ち負けありそうな気配あったんですよねえ。
いやでも、勝つまで行くとは思わんかったけれど。

2着には芝から参戦のガイアフォースが。この馬、レースが流れると強いよなあ。血統的にも彼自身の脚あげて掻き込むような走法にしてもダート合ってるんじゃないか、という話でしたけれど、思った以上の激走でありました。これはマジでダート芝関係なしか。
長岡騎手も、よくガイアの力引き出したレースだったんじゃないでしょうか。
そして3着にはさらに人気薄の13番人気。武豊騎乗武幸四郎厩舎所属のセキフウが、ハナ差でタガのビューティーを競り落として馬券圏内に滑り込み。
セキフウ、こいつほんとマジで忘れた頃にポーンと馬券圏内飛び込んでくるんですよね。人気薄になってるときがむしろ狙い目かってくらいに。成績見たら、今まで22戦して11戦で3着以内入ってる実は安定感凄くあるはずの馬なんですよね。にも関わらず、だいたいいつも人気薄なんだ、こいつ。
ほんと忘れちゃいけない馬だよなあ。
タガノビューティーは7歳にしてまだまだ健在。二桁大敗後にもう一度調子取り戻してくるのがルーティーンみたいになってるので、むしろ次走が狙い目かもしれない。
5着にはキングズソード。この馬、中距離が主戦場なだけにこの流れるペースで1600マイルはきつかったと思うんだけれど、ちゃんと5着まで切り込んでくるあたり強いのは間違いないんだよなあ。
レッドルゼルは追い込んだものの6着まで。このペーストは言えさすがに最後方は後ろ過ぎたか。
ミックファイアは頑張って7着。こんなペースなかなか経験なかっただろうけれど……無いよね? ここまで食い込んだのは3冠馬伊達じゃないですよ。こっからこっから。
ウィルソンテソーロは8着。まあペース的に苦しかったなあ。
他の有力馬。ドゥラエレーデは12着と大負け。元々マイルは忙しいんじゃないか、と距離不安視はされていたんで、おまけにこれだけ速いペースとなると流石にムルザバエフの妙手でも持たんかったか。
1番人気のオメガギネスはさらに負けて14着。最初の方で進路塞がれて煽りくった場面もあったし、不安要素としてあげられていた、これまで56キロしか斤量背負った事なかったのにいきなり58キロ背負うことになった。大怪我して、以降レース間隔を十分に開けて大切に乗ってきたのが今回はじめて中3週の間を詰めた競馬になった、というあたりが出てしまったのかな。
いずれにしても、前半のペースの早さに馬が耐えられなかったというあたりなのでしょう。
とにもかくにも、前半ハイペースが思いっきりレース全体を引っ掻き回した感があります。
でも、そんなレースで前目につけつつきっちり抜けて勝ったペプチドナイル、レース展開に恵まれたってわけじゃないと思うので、これは早々フロック視はできないですよ。

藤岡佑介騎手は18年のNHKマイルCのケイアイノーテック以来のG1勝利でこれが2勝目。重賞勝ちも一昨年ぶり。久々の美酒です、おめでとうございました。
調教師の武英智先生は、G1初勝利なのか。意外、勝ってなかったの? って、そうか、メイケイエールちゃんがずっともったいぶって勝ってくれなかったからw
でも、まさかのエールちゃんより早く他の馬でG1ゲットすることになるとは。これでエールちゃんも心置きなくG1勝てる……いや、土曜日また激走しちゃってましたねえ。
ともあれ、こちら調教師先生初G1おめでとうございました。
結局人気馬総崩れで11番人気・5番人気・13番人気という大荒れの決着。今年最初のG1から盛大に荒れましたなあ。


第69回東京大賞典競走 G1 レース回顧   

サラブレッド系 3歳以上 定量 大井競馬場2,000メートル(ダート・右)

一年の競馬の締めは有馬記念派、ホープフル派が多いでしょうけれど、近年ネット投票が盛んとなり地方競馬も気楽に馬券が変え、レース映像も配信を中心に気軽に見れるようになった事から、この29日にレースが行われるダート中距離の2000メートルを東京は大井競馬場で走る東京大賞典を競馬の締めとする層も増えてきたんじゃないでしょうか。
特に今年はダート戦線が燃えに燃え、盛り上がりに盛り上がっていましたからね。
この東京大賞典には、中距離戦線を主戦場とする名だたるダートの最高峰が集まりました。
集まりすぎて、今年は地方からの参戦が極めて少なくなり、9頭立てという超少数精鋭が覇を競うレースと相成りました。
そして、地方から数少ない参戦馬として、南関東三冠を無敗で勝ち抜いた地方の怪物ミックファイアがついに中央の馬たちと激突する、という熱い展開になったんですね。

そんなミックファイアを迎え撃つのは
去年のこの東京大賞典の勝者であり、今年はドバイでワールド制覇という偉業を成し遂げた、本番以外は超やる気なし、ステゴ産駒の個性ありすぎという部分をこれでもかとぶち撒けているグータラ大将ウシュバテソーロ。
今年に入って一気に頭角を現し、初のJpn1級レースとなるJBCクラシックで圧巻の完勝をしてみせたキングズソード。
まさかの有馬記念とこの東京大賞典のダブル登録で話題を読んだ、芝にダートに海外にとあまりにとんでもないローテーションからサイコロで出走するレースを決めている、という噂がまことしやかに流れる流浪人ドゥラエレーデ。
去年のジャパンダートダービーを勝ち、去年の東京大賞典、秋のJBCクラシックで2着とこの大井競馬場ダート2000のレースで無類の強さを誇るノットゥルノ。
今年重賞3連勝。JBCクラシックこそ5着だったものの、先のチャンピオンズカップでは12番人気の人気薄から2着と激走、若き原優介を鞍上に迎えて勇躍するウィルソンテソーロ。
前走チャンピオンズカップこそ二桁大敗してしまったものの、船橋のダイオライト記念。京都の平安Sと距離も舞台も全然異なる重賞レースを勝つ融通無碍なる走りっぷりのグロリアムンディ。
8番人気のテンカハルも、重賞勝ちこそないものの、近3走OP戦勝利も含めて重賞も馬券圏内と手堅く纏めていて。
まあガチのメンバー揃ったものでした。クラウンプライドなど、チャンピオンズカップ組は間隔近いこともあってだいぶ回避しましたけれど。

レースはスタートからいつもは後方に位置するウィルソンテソーロが、まさかの積極策で原優介気合の逃げで始まりました。
これがまた途中でしっかりと息を入れつつ後ろに余裕を持たせない厳し目のペースで……逃げとしては抜群の走りだったんじゃないでしょうか。実際、着順はほぼこの隊列通りに決まり、上位は逃げから先行勢が独占することになりました。
唯一、最後方から砂の上とは思えない鋭い豪脚で突っ込んできたウシュバテソーロを除いて。
いやいやいや、この先行有利の展開で直線だけで伸びてきてゴール前できっちり半馬身躱してゴールする勝ちっぷり、格の違いってやつですよ。このメンツ相手にこんなレース。
やっぱりとんでもないですわ、ウシュバテソーロ。怪物です、怪物。

2着には逃げ粘ったウィルソンテソーロ。原くん、勝てなかったですけれどチャンピオンズカップに引き続き低い人気を覆す2着入線は大したもんです。このままお手馬にさせてもらえたらいいんですけどね。
3着にはドゥラエレーデ。宝塚、セントライトであまり良い結果を残さなかったのと対照的にチャンピオンズカップとこの東京大賞典で一定の結果を残せたことで、さてこのままダート路線に固定するのか否か。

期待の南関三冠馬のミックファイアは、結局体調が戻り切っていなかった部分もあるみたいで。スタートで行き足がつかず、折り合いもつかずに暴れていた、というのもあって良いところなく初の敗戦を8着という形で迎えてしまいました。
まだ中央の壁は厚いか。古馬になってこれを乗り越えられるくらい成長して欲しいところなんですが、中央同世代にはデルマソトガケというUAEダービーを勝ち、あの世界的大レースBCクラシックで2着に迫ったとんでもないのがいるからなあ。

と、今年も競馬界最後の最後まで楽しませていただきました。
イクイノックスの勇躍を筆頭に、脳を焼かれるような痺れるレース満載で、いやあ凄い年だった。



第40回ホープフルステークス G1 レース回顧  

2歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 中山競馬場2,000メートル(芝・右)

朝日杯フューチュリティステークスが芝1600で、ここを走った馬の少なくない数がマイル路線や短距離に向かうのに対して、旧ラジオたんぱ杯→ラジオNIKKEI杯2歳ステークスの変遷を経てきたこのレースはより顕著にクラシックを意識しているレースと言える。
と言っても、たんぱ杯からホープフルに変わりG1となって以降、勝利馬からは皐月賞を勝つサートゥルナーリア。三冠馬コントレイルを輩出したものの、初代G1馬のタイムフライヤーはダートへ。ダノンザキッドはマイル路線。キラーアビリティはローカル重賞を遍歴する事になってしまった。いや中央もちゃんと走ってるんですけどね。そして去年のドゥラエレーデに至ってはサイコロの旅に出てしまった。
G1になって6年で、以降クラシックを勝ったのが2頭というのは打率として微妙とまでは言いづらいか。ただ順当に中長距離の有力馬となり得ていないケースは多いと見ていいんじゃないかと。
ダノンザキッドにしてもドゥラエレーデにしても路線完全に変えちゃってますしね。
ただ、勝ちに届かなかった馬、全然上位に食い込めなかった馬でも後々G1馬になった馬はけっこう居ますので。パンサラッサにジャスティンパレス、タイトルホルダーと今年に至るまで競馬界を引っ張るような超大物に育つ馬がこのレースを経由していた、というのは覚えていてもいいかもしれません。

さて、今年はというとホープフルS始まって以来の初めてとなる牝馬が勝利をかっさらっていきました。
ルメール鞍上のレガレイラ。後方でじっくりと脚をためて、4コーナーで外に膨らみきらないように曲がって直線で前の空いた外に持ち出し、一気に脚を爆発させ後方一気で前を一掃。んまあ、強い勝ち方でした。
本命の一角と目された松山くんのゴンバデカーブースが風邪引いておやすみ、というのを含めて2頭の出走取消がありましたけれど、他の牡馬を寄せ付けない貫禄の勝ちでありました。
レガレイラは来年、牝馬ながら皐月賞参戦を匂わせていて、牡馬クラシックへの殴り込みを画策している模様です。
現状では2歳牡馬戦線は朝日杯フューチュリティステークスを勝ったジャンタルマンタル。
ホープフル2着のシンエンペラー。
今回出走できなかったものの、出世レースのサウジアラビアRCを勝っているゴンバデカーブース。
朝日杯2着のエコロヴァルツ。
他にダノンエアズロックや札幌2歳Sを勝ったセットアップ。朝日杯で大暴走しちゃったけれど、素質はぴかいちのシュトラウス。
このあたりが有力どころですか。
矢作師匠に怒られてたけど、坂井瑠星のミスタージーティーもちゃんと走らせれば馬券圏内はあったぐらいの脚はあったんで、けっこう将来性ありそう。
アドミラルシップも低人気覆して4着入ってるあたり、見込みあるかしら。姉のライラックと同じくしぶとく根性ありそう。
2着にシンエンペラーはムルザバエフがだいぶ無茶して過怠金取られてましたが、早め先頭に立ったことでだいぶフワフワしちゃったみたいですね。最後までびっしりちゃんと走ったらこれ普通に勝てててもおかしくなかったでしょう。
3着のサンライズジパングはずっとダート戦で走ってた馬なのに、いきなり芝2000で3着に入ってきたのはちょっと驚き。いや、スムーズどころか道中なんども不利食らってたのに食い込んできましたからね。
まあ年明けてから伸びてくる馬も沢山いるので参考程度ですけれど。
まだこうドカンと今の段階でど迫力を放っているようなオーラを持つ馬は見当たらないだけに、レガレイラ皐月賞に出ても人気集めるかもしれませんね。

タリフラインは残念ながら骨折で競走中止。予後不良となってしまいました。サトノダイヤモンド産駒として躍進を期待したい所だったのですけれど。残念です。


第68回有馬記念 G1 レース回顧   


ああ……凄いレースやった。もうブルブル震えるようなレースやった。敵わんなあ、たまらんなあ。

1着 ドウデュース。

武豊、復活の勝利。怪我で秋にこの馬に乗れず、しかしこのおドウに乗るために50を超える年齢にも関わらず、驚異的な回復力で帰ってきた男。この日曜日、武さんが乗ったのはこの一鞍のみである。
こんなんもう、劇的すぎるやろう。イクイノックスが去ったあと、そこで最強を証明したのはイクイノックスに勝ったこの牡である。あのイクイを倒した馬が、易易と負けてたまるかよ。
お前がいなくなっても俺がいる。それを名実ともに証明してみせた、最強の走りでありました。そして、人馬一体最高のコンビってのはこういうのを言うんだよ。松島オーナーも、なんかもうたまんないでしょうね、これ。
レースの方はまさかの後方から。しかも後方2番手あたりで序盤進めましたよね。これは意図的だったんでしょう、武さん前行かす様子も見えませんでしたし。このレースにおけるドウデュースにとっての最適解がそこだと見込んだのか。後方でじっくりとおドウの走る気を落ち着かせつつパワーを溜めて、ってこの塩梅の見極めはまさに相棒たる武豊にしか出来ないコンビプレイ。
リリーフした戸崎さんがあかん、ってわけじゃないんですけどね。むしろ、天皇賞秋、ジャパンカップと難しい馬であるドウデュースをすごく丁寧に乗りはったと思うんですよね。武豊は十全ドウデュースの力を引き出せる相棒でしょうけれど、その十全に足るパワーを損なわずに充填したままバトンタッチした戸崎さんには頭さがります。
白眉はやはり3コーナーから馬なりで上がっていくシーンでしょう。この時点で手応えがもう化け物だった。このドウデュースがダービーだけに一発屋じゃない本物の怪物級だと思い知らせてくれた京都記念のすさまじい勝ち方を彷彿とさせる馬なりで位置をグイグイとあげていくあの走りは、痺れたなあ。
そして最後のスターズオンアースとの叩きあい、ゴール寸前で粘るタイトルホルダーをきっちり躱してゴール板を突き抜けたシーンは、もう今年もこれ伝説の有馬記念でしょう。最高じゃないですか、なんだこれ、もうなんだこれ!?


ふぁあああ

あと、青嶋アナのゴール前の実況はもうこれ最高でしょ。


2着スターズオンアース。
だからこの馬もルメールも怪物か!? 魔の8枠絶望の16番を引きながら、ついに馬券圏内に叩き込んできましたよ、この一頭と一人と来たら。
スタートがまた素晴らしいのなんの。あのロケットスタートが大外枠ながらあの絶望領域を突破する最大要因だったんじゃないでしょうか。あれでほんと大外のロスを最低限に減らせたと思う。抽選会であの枠順引いちゃってからずっとルメさんこのスタートに賭けることを考えてたんだろうなあ。このスタートをクリアすることが、スターズにとっての勝ち負けになる条件だとルメール覚悟据えたんでしょう。
対照的にこの大外枠の不利を思いっきり踏んでしまったのが15番のスルーセブンシーズ。スタートから後方に置いていかれ馬群の一番外側を回らされ、しかも前に他馬を置けない状態になり馬が落ち着かずにもうかかりっぱなしになってしまいました。ドリジャ産駒のアウトなところがもろに出てしまった感じ。目一杯の仕上げもメンタルのキレキレ具合に繋がっちゃったんでしょうか。馬群の中で脚をためる展開になっていれば違ったんでしょうか。いずれにしても、持ち得る力を発揮できずに沈んでしまったレースとなりました。
対してスターズはもうルメさんマジックですよ。それに応えるスターズの実力も半端ない。
惜しむらくは、本当に惜しむらくは3コーナーでスターズうちによれちゃったんですよ。柵に激突して急減速してしまった。ここから再加速して再び2番手に出るんだけれど、このロスが本当に大きかった。まじでこの分だけドウデュースに遅れを取ったって感じなんですよね。まさに同じこの時に馬なりで位置あげていったドウデュースと対称的な展開になってしまった。
まじでこれなかったら勝ってた可能性十分あります。惜しい。もうめちゃくちゃ惜しい。
ともあれ、本調子で走った時のスターズオンアースはやっぱり怪物です。リバティにだって負けないよ!

そして3着。3着にタイトルホルダーですよ。感動した、もう感動した、頑張った、よく走った。引退レースに相応しい激走でした。横山和生ジョッキーのカッコよかったというコメントが全部代弁してくれてますよ。めちゃくちゃ格好良かったよ、タイトルホルダー!! ラップ見たら、和兄さんまあ完璧なタイムですよ。タイトルホルダーに求められる最適の走りをしてみせた。
惜しむらくは、全盛期からはやはり衰えが見られたことか。スタート、全盛期ならもっとスルスルと抜けて先頭に立って、もっと勢いの余裕稼げていたんじゃないかな。そして最後の直線、かつての無尽蔵のスタミナをもってすればもう一声残せたと思えてしまう、願ってしまう。
それでも、このラップで引きずり回して皆の切れ味叩き潰してくれましたからね。往時の殲滅戦を彷彿とさせる、後ろを引きずり回す圧巻の走りの一欠けを最後にもう一度見せてくれたことが嬉しい、本当に頑張った、カッコよかった。そして、ジャスティンパレスに最後の最後まで前を譲らなかった意地。
エースの引き際、見せてもらいましたよ。


4着にジャスティンパレス。
スタートで行き足が伸びず最後方からの競馬になってしまいました。元々後ろから行く馬ですけれど、タイホにこのペースこの展開にされるとやはり苦しい。それでも、4着にまで伸びてくるのはこの馬の強さと思っていいでしょう。ドウデュースにこそイクイの後継の称号を持っていかれてしまいましたが、来年もう一度まっこうからドウデュースと世代最強、現役最強を競うがよい。

5着シャフリヤール。
完璧ピークに持っていった香港に出られず、この海外からの緊急輸送という体調整えるのが難しい状況で、まじで掲示板外さなかったな、シャフリヤール。これは万全だった香港で走ってたら絶対勝ってたよ、と考えちゃうよね。そして、どんな状況でも常にベストを尽くし、常に結果を残してきたシャフリヤール、まさに偉大なる馬でした。これで彼も引退ですよ。いやああんたもすげえダービー馬だったよ……あれ? 引退じゃないの!? 現役続行なの!? どっちなの!?

6着タスティエーラ
3歳の牡馬たちはまだまだこのメンツの中に入ると1段力不足……なんかないってばよ!! 最後の直線、内に切り込んできたジャスティンパレスと内にいたスルーセブンシーズとの間に挟まれて思いっきり進路潰され急ブレーキ進路変更。そっからもっかいギア入れ直して再加速して猛追したの、根性ありますし実際強かったと思いますよ。あそこパレスに一歩負けずに身体ねじ込めていたらパレスと同じ勢いでゴールまで伸びてたくらいありそうでしたよ。プラス18キロ分一瞬の瞬発力が必要だったんだろうか、この場合。いやでも、こんなもんじゃないってレースはしたと思う。来年、この馬の本気を是非見てみたい。

7着ウインマリリン
しれっとこのメンツの中で7着に入っちゃってるマリリン、まじ名牝すぎませんか!? いやもうまじでタイホに追いつけ、おドウとスターズに負けるな、とばかりに追随してギアあげてぶっ飛んでくる集団の中にしっかり混ざってるんですから。最後までみっともないレースはしない、最後まできっちりと走り切る22戦して半数を超える12戦をG1で走った最前線の散らぬ花のような強い女性でありました。これからは繁殖にまわりスクリーンヒーローの、グラスワンダーの、ダイナアクトレスの血を母系で繋いでいってください。


8着ソールオリエンス
案の定、最内枠1番で苦しみ馬群で揉まれ、前を塞がれ行くに行けないまったく競馬できないレースとなってしまいました。行こう行こうと馬はしてるんですけどね。やっぱり川田ジョッキーはこういう展開だとこうなっちゃうよなあ。

ハーパーはまだまだこれから。上澄みの同世代と比べるとどうしても格が違ってるけど、ここから成長して追いつけるかしら。
ライラックもちょっとまだ力不足でしたね。後方から前に行けなかった。
ディープボンドは良いところ無しでしたねえ。こういうレースの場合は前で前でで競馬してほしかったけれど、そういう位置取りがほんと出来なくなってきている。馬にかつてのみなぎるような覇気ややる気がだいぶなくなっちゃってる感じなんだよなあ。


いや、改めて振り返ってももう素晴らしいレースでした。一年を締めくくるレースに相応しいドラマが満載で、勝った馬も負けた馬も総じて「強い!!」と思わせてくれる感じさせてくれるレースなんて早々ありませんよ。
個人的にはタイトルホルダー推しだったんで、もうタイホタイホで感動しっぱなしの有馬記念でした。
菊花賞のあの幻惑の逃げで脳をやられ、天皇賞(春)の殲滅戦で脳を焼かれ、以来ずっとタイトルホルダー推しだった身としては、この最後のレースはたまらんものがありました。
ようやった、本当に格好良かった。もう泣くわー!!
これからは種牡馬として、早世した父ドゥラメンテの後継種牡馬として、イクイに負けない産駒の活躍を期待させてください。タイホの子供かーー、今から想像しただけであがりますわ。




第68回有馬記念 G1 レース展望   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中山競馬場2,500メートル(芝・右)


さあ、今年の集大成。競馬界の魔王イクイノックスがジャパンカップを最後に引退してしまい、主役不在の有馬記念……なわけあるかーー! 主役ばっかりだわーー!!
イクイノックスなくとも、屈指の歴戦の馬たちが揃ったドリームレースになりました。
シャフリヤール・ドウデュース・タスティエーラと三世代のダービー馬が揃った滅多とないレースになりました。
そして凱旋門賞4着と海外帰り。あのイクイノックスに宝塚記念でもっとも迫ったセブンスルーシーズ。
ジャパンカップこそ3着でしたけれど、実力ではリバティアイランドに決して引けを取らなかったイクイノックス引退後ならばこのリバティと最強を競い合うことになるだろう地上の星スターズオンアース。
今年の天皇賞春でG1制覇。イクイノックス世代として競馬界を引っぱるエースに名乗りを上げるジャスティンパレス。
これが引退のレース。花道を飾るべく王者タイトルホルダーなどなど、役者は揃いました。
なにしろ有馬記念ですからね、今年の〆ですからね(ホープフルとかしらん)。全頭一頭一頭語らって書いてみましょう。


1番 ソールオリエンス 牡3 川田 将雅 
今年の皐月賞馬。ダービー、菊花賞とクラシックを完走しその全てで3着以内に入った素質では間違いなく世代ナンバーワンだろう。ただこやつ、右回りのコーナーリングはぶっちゃけ下手くそ。京成杯・皐月賞とこの中山で2勝してるんだが、京成杯では外にぶっ飛び、セントライト記念でもコーナーあんまりバランス良くない走り方してたんですよね。あと、前は馬群を怖がる傾向があったんだけれどこのあたり大丈夫になったんだろうか。最内枠だぞ。皐月賞も1番だったけど、あのレースでは横山武史がスタート直後に内枠放棄して外に持ち出してるんですよね。重馬場で内側避けたかったというのもあるのですけれど。ダービーでは馬群で我慢してるんで、大丈夫だとは思うが。菊花賞では大外から内を締める形で競馬をしていたのですけれど、このあたりの関係か、後方から大外ぶん回して最後の直線でぶっ飛んでくるスタイル。
鞍上が今回川田なんですよね。この騎手は、勝負どころでは前目につけて主導権を握りたがるスタイル。このスタイルだと完成形に近いんだけれど、馬が言う事聞いてくれないと途端に崩れる支配タイプでもある。おまけに、事前にレースプランを構築してレースに挑むタイプでもあり、展開に紛れが多くなる長距離レースだと途端に勝率が爆下がりする。
正直、今回は川田騎手とソールは合わないと思う。距離は持つと思うんだけどねえ。


2番シャフリヤール 牡5 松山 弘平
三世代前のダービー馬。ダービーだけの一発馬ではなく、その後ドバイシーマを勝利し、日本ダービー馬として初の海外G1を制覇した馬となった。その後もアメリカやイギリスなども渡って勝ちこそなかったものの、海外では掲示板を外さずジャパンカップでも馬券圏内。今年の秋では世界的名レースであるブリーダーズカップで3着に入るなど健在を主張。堅実に成績を残し続けた名馬である。香港のレースを最後に引退のはずが、向こうでドクターストップを受けて出走が叶わず、急遽有馬記念を引退レースとして出走することになった。
実力的には人気を集めても不思議ではないのだけれど、流石にピークに仕上げていただろう香港戦から急遽転戦となって2週間。海外輸送から間をおかずの実戦ですし、何気に中山競馬場ははじめて。
不安要素は有り余るくらいにある。陣営は絶好調を維持している、と述べているけれど。
鞍上は松山弘平。これが初コンビではあるのだけれど、松山弘平に初めてG1勝利をプレゼントしたアルアインはシャフの全兄である。まさに縁ある一人と一頭なのだ。


3番ホウオウエミーズ 牝6 田辺 裕信
クラシックにも縁がなく、長い長い下積みを続けてきた馬なのですけれど今年後半に入って覚醒。もしかしたら去年のエリ女に出た事がきっかけかもしれないけれど。ともかく、6月以降人気薄ながら突然重賞で馬券圏内に入る好走を連発するようになり、ついに前走福島記念で重賞初勝利。覚醒が本物と証明してみせた。とはいえ、流石にこの有馬記念はハードル高いか。


4番タイトルホルダー 牡5 横山 和生
王者タイトルホルダー、ラストラン。凱旋門賞に行く前は、この馬こそが現役最強であったことは間違いない。無尽蔵のスタミナで後続馬を引きずり回し息も絶え絶えに消耗させる中で自分だけが息も切らさず悠々とゴールする、というイクイノックスとはまた違う殲滅戦を行う見たことのないタイプの逃げ馬だった。この馬に関しては逃げという言葉自体が違和感を感じるほどに。
しかし凱旋門賞以来この気勢は衰えを見せ、日経賞で復活したと見えたもののその後の天皇賞春でまさかの心房細動でのレース中止。それ以降、調教でも攻めきれず、彼のスタミナを活かすだけの行き足がつかないレースが続いてしまった。それでもジャパンカップあの展開で5着に粘ったのはむしろ流石というべきかもしれない。
今回は最後という事もあって花道を飾るためにもびっしりと調教追えたんじゃないだろうか。陣営は手応えを感じさせるコメントを出している。とはいえ、見る人によってこれ意見も違うんだよなあ。
調子さえ万全なら、2枠4番という絶好の枠、小回りで機動力を活かせる中山2500という舞台との相性。可能性は十分ある。


5番ドウデュース 牡4 武 豊
あのイクイノックスをダービーで下した武豊の愛馬である。古馬になってからも、京都記念で凄まじいレースを見せて、イクイノックスのライバルの名に相応しい実力を見せてくれた。
ただドバイで足元に違和感が生じて出走回避でケチが付き、秋は鞍上の武さんが馬に脚を蹴られて怪我をしてしまい、天皇賞秋では戸崎騎手が急遽乗り代わったものの無類の強さを見せたイクイノックスに文字通り蹴散らされ7着と惨敗。ジャパンカップでは4着まで巻き返したものの、本来彼に期待されたレースからするともう一つ物足りないものを感じさせた。
しかし、年内は休養かと目されていた武豊騎手がもう50代にも関わらず執念で復帰、有馬記念に間に合わせてきた。タッグ復活。やはり、ドウデュースには武豊。このコンビこそが至上である。
問題は距離。馬を見る人の多くが口を揃えるのが、ドウデュース馬体がもうはち切れそうなくらいの筋肉質なんですけれど、こういう馬体って完成度が高くなるほどむしろ距離的には中距離向きになっていくんですって。長距離には適さないらしい。衰えではなく成長によって距離の適正が短くなっていくタイプの馬があるらしいんですわ。ドウデュースはどうもこのタイプなんじゃないか、という話。
とはいえ、現状ドウデュースのレースに具体的に距離の壁を感じたことはない。このレースはその試金石となるんじゃなかろうか。


6番ディープボンド 牡6 トム・マーカンド
6歳の冬である。プボくんもついにG1に届かないままここまで来てしまった。彼にもっとも合うG1は天皇賞春か、この有馬記念なんだがここに来ても以前のG1何勝もしている馬のような貫禄、威風は漂ってこない。和田竜二騎手から同じくズブい馬をぐいぐい追えるマーカンド騎手に乗り替わりとなって新味を求めたみたいだけれど、そもディープボンド自身が調子上がってこない感じ。さすがに衰えが見えてきたのか。せめて京都大賞典で勝ってくれていたら展望も見えてきたのだけれど。


7番アイアンバローズ 牡6 石橋 脩

前走ステイヤーズステークスを勝って乗り込んできた名ステイヤー。ちなみに、ジャスティンパレスの2つ上のお兄ちゃんである。この有馬記念、兄弟対決でもあるのだ! 兄より優れた弟などいない!(天皇賞春14着→パレス1着)
大逃げ宣言してるんですか? ただ、タイホががちで逃げに入った場合よっぽど無理しないと前に出るの厳しいぞ。


8番ライラック 牝4 戸崎 圭太
未だ重賞も勝っていないのに有馬記念に乗り込んできた華姫。なんだけどさ……秋に入っての2戦。府中牝馬とエリ女、3着4着と勝ち負けにはなってないんだけれど、この秋バチバチに馬が出来上がってきた感があるんですよね。なんか見違えたというか。元々クラシックでも小柄な馬体で切れ味鋭くぶっ飛んでくるかなり印象強く残ってた馬だったんですけれど、さらにもう1段馬の格があがった感じがするんですよ。エリ女はちょっと立ち回りがロスありすぎて、スムーズに行ってたらもっと上に行けたでしょう。この有馬では本格化の結実が見られるかも知れない。


9番ヒートオンビート 牡6 坂井 瑠星
重賞番長。と言っても勝ってるのは目黒記念だけなんだが、やたらと成績が安定していて馬券圏内・掲示板にとにかくしれっと入ってくる。
これだけ走っているにも関わらず、G1に出走したことがそもそも春天一回だけなんですよね。
最強クラスの一線級との対戦経験もあまり多くなく、人気も単勝番馬券と薄いのですけれど実力は軽視できない。にしても、今回はさすがに相手が悪い、と言える相手が山程いるんだよなあ。


10番ジャスティンパレス 牡4 横山 武史
人気は割れまくっているものの、土曜日時点で一番人気がこのパレス。本命候補のスターズオンアースとスリーセブンシーズが魔の8枠に入ってしまった、というのも原因の一つなんだろうけれど。
イクイノックスが引退し、菊花賞馬のアスクビクターモアが早世してしまった今、同世代最強を担うのはドウデュースかジャスティンパレスかなんですが、今のところ古馬として春天を勝ち宝塚記念・秋天でイクイノックスに続いたパレスがやはり最強後継候補筆頭なんですよね。
後継者は誰だ。
この有馬で、彼はそれを証明できるのか。この暮れにイクイノックスを筆頭としてごっそりとこれまで最前線を担ってきた化け物たちが引退してごっそり現役から抜ける事になった今、まさに来年の競馬界を背負う馬になれるか、というのが問われるレースでもあります。


11番ハーパー 牝3 岩田 望来
今年ジャパンカップで魔王に敗れるまで無敵を誇ったリバティアイランド。その怪物令嬢を相手にクラシック三戦で食い下がり続けたのがこのハーパーでありました。同世代のリバティのライバルと言えばこのハーパーでしたでしょう。エリ女でブレイディヴェーグというまたとんでもないのが同世代に出てきてハーパーの前に立ちふさがってきたのですが。
クラシック全3戦にさらにエリザベス女王杯にまで出走するというタフなスケジュールをこなした上で最後に有馬記念にまで出るって、何気にすごいんじゃないだろうか。


12番ウインマリリン 牝6 ルーク・モリス
オークスでデアリングタクトの2着、とタクトのライバルを上げろと言われればまず名前があがってくるだろう名牝は、その後牝馬限定戦のみならず、牡馬の一流どころも混じった重賞を幾つも勝ち、G1にもいつも出走馬として名を連ねるG1戦線の常連として名を馳せた彼女。
ジェラルディーナのエリ女で2着のあと、ついに香港ヴァーズで念願のG1制覇を遂げた彼女もこれで引退。さすがに6歳となった今年に入ってからは苦しい競馬が続いていましたが、前走ブリーダーズカップフィリー&メアターフでは4着と善戦して健在をアピール。牝馬を牽引するような活躍を続けたまさに名牝でした。お疲れ様、最後まで無事に走っていただきたい。


13番タスティエーラ 牡3 ライアン・ムーア
今年のダービー馬だ! ちなみに来年のJRAカレンダーの表紙は彼だ。額のハート型にも見える流星がチャームポイント。父サトノクラウンに種牡馬として初めてG1をプレゼントした孝行息子であり……派手さはないんだけれど、実は地味にめちゃくちゃ強いんじゃないか、という雰囲気があるんですよね。未だ真価をみな確信できていないんじゃないか、と。勝ったダービーはもちろんとして、むしろこの馬本物じゃないの?と思えた菊花賞。あれはルメールが巧すぎた感がある。あの展開で2着に入ってくるのすごいんですよ。
ただこの有馬記念、なるべく前めにつけておきたいタスティエーラとすると、大外枠ではないにしろ13番もかなり厳しい外側である。一番いい位置につけるのに相当に脚を使ってしまう。果たしてここで脚を使ってしまった場合、最後に決め手を残せるか。ムーア、名手ムーアならやってくれるか?


14番プラダリア 牡4 バウルジャン・ムルザバエフ

前走京都大賞典で青葉賞以来の重賞勝利を果たして有馬に乗り込んできた、これもイクイノックス世代。なんだけれど、彼らと比べると一枚も二枚も格落ちという感じでクラシックを終え、競馬の上手さで重賞善戦マンとして今年を走ってきた感じだったプラダリア。
前走も勝ったけれど、調子がこれ以上無いピークの絶好調だったのと鞍上の池添騎手の好騎乗でボッケリーニを押さえられた事が勝因で、未だもう一つ決め手に欠ける部分は埋められていない感じ。G1、しかも有馬記念ともなるとまだまだ足りない感じなんだよなあ。その決め手を、剛腕ムルザバエフが乗ることで補えるかどうか。


15番スルーセブンシーズ 牝5 池添 謙一
クラシックは秋華賞の前哨戦である紫苑Sこそ2着だったものの、オークス・秋華賞と大敗。翌年中山牝馬で初重賞を制覇したものの、この時点では牝馬限定戦を勝っただけですし強い相手とも当たっていなかったので、牡馬相手にもバチバチやっている牝馬のトップクラスと比べると眼中にすらありませんでした。彼女が一躍名を挙げたのが、宝塚記念。あのイクイノックスにあと一歩まで迫った2着、というこの一点だけでした。とはいえ、この時点では果たしてこれが偶然の産物、フロックという可能性も無視しきれなかったですし、秋の走りを見て確かめるか、くらいの気持ちだったんですよね。
それが陣営はまさかの凱旋門賞参戦表明。いや、さすがにそれは大丈夫なの!? というのが大半の人の思いだったんじゃないでしょうか。何しろ実績が殆どない。決して格が高いと言えない牝馬限定戦のG3だけが重賞実績。宝塚記念の2着という成果だけで凱旋門賞に挑むのは無謀じゃないのか、と。
今年は日本からの参戦馬がこのセブンシーズしかいなかったのですが、さすがに誰もこの馬の勝利を期待はしていませんでした……いや、本音はどんな馬でも期待はしちゃうんですけどね。それに、イクイに迫った2着というのは、そんなん当てにならないよと言いつつ思いつつ、もしかして、とうっすら期待しちゃう部分はありましたし。そんな複雑な思い渦巻く日本からの戸惑いの視線を前にして、このセブンシーズは凱旋門賞を4着と好走したのでありました。それも、その4着がこれまでの日本馬が先行して粘っての上位入線というパターンだったのが、後方からの鬼脚で海外の名だたる名馬たちを追い抜いて勝ったエースインパクトたちに迫ったのでした。歴代の凱旋門賞の中でもこれほどワクワクドキドキさせられたレースはなかなかありませんでした。
そんなスルーセブンシーズの凱旋レース。彼女の真価がこの日本で改めて見られる、と思ったのですが……。
まさかの大外8枠。この有馬記念、スタート位置がカーブからはじまるというまたとんでもないコース設定で、外枠ってほんとに不利なんですよ。この枠を引いたときの池添ジョッキーの絶望顔は、えらいものがありました。この馬を本命に考えていた人も多いでしょうけれど、15番を引いたことで一気に3番人気になってしまいました。むしろ、3番人気まで維持している時点で凄いんじゃないでしょうか。調子はやべえくらいです。まじやべえ。これ真ん中に入ってたら文句無しで一番人気なってた可能性も。


16番スターズオンアース 牝4 クリストフ・ルメール
もう一頭の本命候補。にして、大外枠を引いたためにえらいことになってしまったもう一頭であります。この8枠は突出して成績が酷い。過去30年で勝ったのはシンボリクリスエスとダイワスカーレットのみ、らしいんだけれどこの二頭が勝ったレースってフルゲート割れしていて、クリスエスのときは12頭立て。スカーレットのときは14頭立てだったらしい。
有馬記念枠順抽選会は動画配信もされていましたけれど、池添・ルメールの掛け合いというかやり取りというか、あれは競馬史に残る名場面になりました。迷場面?
まああのルメールをして、16番を引いたあと頭抱えてましたからねえ。あんた、池添くんの絶望顔をムヒヒ、と笑ってるからそんなことになるんだよw
池添とルメールで片組んで壇上に行くシーンはもうなんか笑うしかありませんでした。実際おもしろw
枠こそえらいことになりましたけれど、スターズオンアース自身は蹄の影響もあってまだ完調ではなかったジャパンカップと比べても、だいぶ完成度上がってるんじゃないでしょうか。その本調子に届いていなかったジャパンカップで、大外じゃなかったらリバティと順位変わっていてもおかしくない走りを見せたわけですからね。馬は間違いなく強いです、そしてその強さを発揮できる状態でしょう。
あとはルメールがどう乗るか。抽選会からこっち、ルメさんずっと考えてるでしょうね。




第75回朝日杯フューチュリティステークス G1 レース回顧   

2歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 阪神競馬場1,600メートル(芝・右 外)

色々とこう、話題の多いレースでした。2歳という若駒に蹄引っ掛けてるくらいの幼い馬たちのレースですからね、仕方ないと言えば仕方ないのですけれど。
ともあれ、1番人気のデイリー杯を勝ったジャンタルマンタルが川田騎手騎乗で先行押し切りで勝利。
パドックの様子は井崎脩五郎さんいわくやる気ねえなあ、って感じだったらしい。確かにパドック映像を見ると2人引きにも関わらずグイグイと行く様子もなくうつむき加減で舌垂らしながらノッソノッソと歩いてる。
ところが、騎手を乗せて馬場入りした途端にピリッと引き締まった、というからよほど実戦向けの馬なのだろう。2歳の段階でこれ、というのはちょっと心配だけれど。賢すぎると、あれだもんなあ。ただ、過去の名馬でも実際走るまで全然やる気見せない馬というのは居たりするので、この馬の個性として見ておきたい。本番だけ本気出すって、カッコいいじゃないですか。
ジャンタルマンタルに関しては、騎手の乗り替わりも話題になっていた。これまでデビューから2戦乗って問題なく勝っていた鮫島克駿騎手からこのG1の舞台に挑むに当たって川田騎手に交代となってしまったのだ。これに関しては、勝負なんだから確実に勝ちにいける騎手に乗り代わるのは仕方ないという方向の意見と、ちゃんと結果出していたのに乗り替わりになるのは可哀想過ぎる、若手育成を放棄しているという方向の意見、両側が出ていて……両方ともわかるんですよね、凄くわかる。競馬は勝ってナンボですし、馬だって勝たなきゃ将来がない。馬主の社台はクラブの一口馬主のやつですから沢山いる馬主さんたちのためにもなるべく良い成績を求めないといけない。
一方でこういう無慈悲とも言える乗り替わりがむごいと感情的に感じてしまうのもまた正直なところです。こういう乗り替わりって、まあ昔からあるんですけどね。武さん全盛期なんてもう片っ端から武さんな面もありましたし、海外からの一流騎手が乗りに来ているときは、昔から現在にいたるまで外国のトップジョッキーに乗り代わっちゃいます。
ただそれにしても、そういう乗り替わりが当たり前になった今でも、今回のに関してはなあ。いやうん、私自身正直「えぇ」って思っちゃったもんなあ。川田騎手に関しては、これだけ勝っているのに、この人といえばこの馬、相棒とか愛馬みたいなのがスッと出てこないあたり、ある意味もっともプロらしい騎手なのかもしれません。近日でもエリ女でアートハウスじゃなくてハーパーに乗り替えたの、どうしても忘れられない。契約の問題とかあったのかもしれないけど。
鮫島くんのレース後コメントがまた情緒揺さぶるんだよなあ……。

ジャンタルマンタルの方の話。舞台が中山から阪神に変わって以降の朝日杯フューチュリティステークスの勝ち馬って、なかなかその後レースを勝てない馬が多い。とはいえ、ドウデュースというダービー馬が燦然と存在しているので、一概にそうは言えないし、アドマイヤマーズのようにG1いくつも勝った馬もいる。サリオスやグレナディアガーズも活躍したですしね。でもドウデュース以外はどの馬もマイル主体の馬になっていった感じである。サリオスに関しては最後まで適距離わからんかったけれど。
ジャンタルマンタルはどうだろう。クラシックも大丈夫これは大物になりそう、という意見もよく目にするが。
父のパレスマリスはアメリカのG1馬。2400のレースも勝っているので、極端に短距離向きというわけではないはず。産駒からは1600のG1馬も出していますし。
このたび、来年度から日本に輸入されて種牡馬として繋養されるそうで、ジャンタルマンタルはその魁として、産駒の看板として是非に勝っておきたい、という所もあるのでしょう。いきなりG1馬排出したら種牡馬としての評価もあがりますもんね。

2着は武豊騎乗のエコロヴァルツ。道中、ミルテンベルクあたりの煽りくって下がってしまったりと、順調ではなかったにも関わらず、最後の直線だけでものすごい脚でぶっ飛んできました。
川田騎手がはやめの追い出しのタイミングを見極めてなかったら、ジャンタルマンタルも躱されていたかもしれません。主導権握ったレースでの川田騎手のうまさはやはり特筆スべきものがあるんですよ。果たして鮫島くんがそのまま乗っていた場合、どうなっていたか。まあこればかりは実際やってみないとわからない。そして現実として、川田騎手の好騎乗が光ったレースでもあるわけで。そりゃこの人乗せたがるのもわかるんですよ。
まあ気性がコントロールしにくくて思い通りに動かせない馬となると途端に難しくなるんですけれど。あと、同じくレースをコントロールしにくくなる長距離レースとか。
エコロヴァルツ、ブラックタイド産駒としては久々にガツンと走れる馬が来たんじゃないでしょうか。G1で連対したのはキタサンブラック以来? タガノエスプレッソやマイネルフロスト、サイモンラムセスやテイエムイナズマ、フェーングロッテンなど渋くて息の長い産駒がいましたけれど、みんな脇役っぽかったからなあ。ただこの産駒は頑丈で長持ち、という印象も強いので頑張って欲しい。

3着には唯一牝馬で参戦していたタガノエルピーダが入線。牝馬なのにジュベナイルフィリーズじゃなくて朝日杯の方に参戦するの、グランアレグリアを思い起こさせますが、なんでこっちに出走したんだろう。……あ、阪神の方は除外になったのか! まだ1戦しかしてない1勝馬ですもんね。抽選外れちゃったのか。それでもこちらにあえて出てくるあたり、本気でこの馬の実力に自信があったのでしょう。レース後の団野騎手のコメント見ても、もっと行けた感あるみたいですし。
ちなみに、あのグランアレグリアも同レース3着。将来が楽しみな馬です。タガノの冠の馬ではじめてのG1馬を目指して頑張れ。

あと、もうひとつ話題になったのが2番人気の17番シュトラウスの大暴走でしょう。
出遅れから、馬自身が暴走して制御しきれず一気に先頭に躍り出てしまい、そのまま力尽きて大失速。
これに関しては、レースの結果云々はもとより2歳のまだ幼い馬でこういうレースを経験させてしまった、というのが競馬関係者からなんてレースをしちゃったんだ、というブーイングが飛び交ってる要因なんですよね。レースでの経験って、特にまだ幼い2歳の頃の数戦しか経験していない馬にとってはめちゃくちゃ大きいんですよ。ここでヘタな経験をさせてしまうと、まともにレースできなくなってしまう。言う事聞かなくなっちゃうんですよね。メイケイエールとかレッドベルオーブとかが最近ではその顕著な例でしょうか。この子らはとびっきりに才能があったので、才能だけで勝ち負けになりましたから競馬続けられましたけれど。メイケイエールなんか、凄まじい陣営の努力があったんでしょうね。最近のわりとちゃんと競馬できるようになったの、陣営の尽力の賜物ですよ。
一度こういう競馬を覚えちゃうと、それを修正するのに年単位の時間がかかってしまう。場合によってはレースに出ることすら覚束なくなる。マーカンド騎手やらかした、と言われてもこれは仕方ないよなあ。同時に、元から感度高すぎる気性ヤバいとわかっているシュトラウスに、反応鈍いタイプの馬をガシガシ追って追ってギア入れるタイプのマーカンド騎手を乗せた方もどうかって話でもあるんですよね。外国人騎手だって上手いのは前提として、それぞれ騎乗スタイルやタイプがまた違うんだから、一律海外の騎手だから、で馬との相性考えずに乗せてしまうのもどうかって事で。
そういう意味では有馬記念でディープボンドが相棒の和田竜二からマーカンド騎手に乗り代わったのは、グヌヌヌヌ、という感情もあるのですけれど、プボくん相手にマーカンド騎手は悪くない選択とも思うんですよね。
しかしシュトラウス、デビューからずっと一戦一戦違う外国人騎手乗せてるからなあ。同じ人を乗せるならともかく。

第24回チャンピオンズカップ G1 レース回顧  

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 中京競馬場1,800メートル(ダート・左)


さあ、今ダート界は新星・怪物が跋扈し世界の大レースを荒らし周り、新たな3歳世代も傑出した能力を見せ、地方からも次々と中央に殴り込んでこようというとてつもない大物たちが続出、と大戦国時代の様相を呈している。
ブリーダーズクラシックで2着に入った3歳新星デルマソトガケや、東京大賞典・川崎記念・ドバイワールドカップとG1を三連勝したウシュバテソーロ。JCBクラシックを圧勝したキングズソード。そして南関東無敗の三冠馬という地方の怪物ミックファイアといった面々は暮れの東京大賞典の方に回ったりと回避したものの、それ以外の現役のダートを席巻する馬たちはほぼ揃ったんじゃなかろうか。

そんな中で一番人気にあげられたのが、レモンポップ。春のフェブラリーステークスでは距離不安を語られながらもゆうゆうとした一人旅で他馬を寄せ付けずに圧勝。さらに前走南部杯ではJPN1の格付けレースとしては最も二着馬を突き放した大差勝ちで勝ってしまい、レモンポップならぬデモンポップ。悪魔なんて一部で称されるほどの強さを見せる。
ところがだ、レモンポップは中京競馬開催になってから誰も勝っていないまさかの大外8枠に入ってしまい、さらにはじめての1800メートルレース。元々レモンポップってダート1400メートルが主戦場。1600マイルですら長いんじゃ、と言われてたんですよね。それを真っ向から覆したのがフェブラリーステークスだったわけですけれど、そこからさらに200メートル延長となると。
さらに中京競馬場のダート1800は馬場の形態からして内有利。差しが効く、というレース形態。
1番人気にこそなったものの3.8倍という倍率に収まってしまったのもそこらへんに理由があったのだろう。

二番人気はセラフィックコール。これがまたとんでもない馬でこのレースまで5戦5勝の無敗ロード驀進中。化け物揃いのダート3歳世代でも、デルマソトガケと並ぶ怪物筆頭候補である。前走のみやこSがまたとんでもないレースをしやがりまして、盛大に出遅れながら盛大に並み居る他馬をぶっちぎって圧勝してしまうという桁違いの強さを見せた馬でした。

3番人気がクラウンプライド。父リーチザクラウン産駒の希望の星。去年のこのレースに2着馬であり、中京競馬場の適正はトップクラス。また前走コリアカップでは同じ日本馬でダイオライト記念と平安Sと重賞を連勝していたグロリアムンディを10馬身ぶっちぎるこれまたえげつない圧勝劇を繰り広げる。今回の人気上位の馬たちみんなアホかっというレベルの圧勝で勝ってきてるんですよね。しかも圧勝している相手が雑魚じゃなくてダート歴戦の馬たちなのですから、非常に価値が高い。

他にも上半期にかしわ記念と帝王賞とJPN1を連勝してこの頃はダート馬筆頭はこの馬じゃね、とも言われたメイショウハリオ。
皐月賞馬でサウジでは4着と頑張ってるジオグリフ。
一昨年のこのレースの覇者であり、G1級を3勝。今も馬券圏内を滅多と外さない連対率を誇る旧王者テーオーケインズ。
2歳チャンピオン戦であるホープフルSの覇者でありながら、皐月賞ではなくアラブのダートレースに出走し2着、と当初からダートへの適正を見込んでいたらしいドゥラメンテ産駒ドゥラエレーデ。
こっちはキタサンブラック産駒。新馬戦ではあのイクイノックスと戦い、ダート転向して以降は9戦7勝。名古屋・盛岡・金沢と地方競馬場で重賞を勝ちまくったウィルソンテソーロ。
中京競馬場では無類の強さを誇り、斤量最重量で前走シリウスSを完勝。ど迫力の走りは風格すら漂うハギノアレグリアス。
ダート転向後3戦2勝。負けたシリウスSもハギノアレグリアス相手に2着、とダートでは不利な牝馬でありながら牡馬たちを蹴散らし、牝馬対決となったJBCレディスクラシックでは女の子たちを寄せ付けずにこれまた楽勝。現砂の女王とも言うべきはアイコンテーラー。


年末の東京大賞典もダートのドリームレースと言えそうなレースになりそうですけれど、このチャンピオンズカップもまた優駿出揃った名レースとなりました。


これはもう【砂の悪魔】だ。
スタートからのレモンポップの行き足が素晴らしかった。一気にスピードに乗って軽々と大外から先頭に踊り出る。そんな無理にグイグイ行かせてるわけじゃないんですよね。スーパーカーの如く、軽くアクセル踏んだだけでトップスピードって感じでしたよ。
そこからは独壇場。ラップ見ると、通り一辺倒じゃなくてうまいこと息入れてるんですよね。坂井瑠星、これは上手いこと乗りました。直線で見事に脚残せる分溜められましたもの。
逃げたにも関わらず、上がり37.3は2位。これは他の馬追いつけませんよ。差しが届く展開じゃなかった。もう強い強い。距離不安とか全然ないじゃないですか。1400の無類の強さが1600でも1800でも全然消えない。まじかー。まさにレモンポップならぬデモンポップ。
砂の悪魔と呼びたくなる完勝でありました。
これで春のフェブラリーステークスに続いて中央ダートG1春秋同年連覇。初の1800メートル戦でのチャンピオンC勝利は初。8枠出走馬の勝利も初。初めてづくし、まさに不利な条件を実力で跳ね除けての完勝でありました。
来年またサウジかドバイに遠征する気まんまんみたいですし、いやマジで今年なんでドバイ1200出したの!? これ本当に陣営もみんな距離適性短い方って思ってたのか。

んで2着に突っ込んできたのが、12番人気のウィルソンテソーロ。この展開で追い込んできたウィルソンテソーロが凄いですよ。スイッチ入ってからの残り200で他馬をゴボウ抜き。一頭だけ36.6とぶっちぎりの上がり時計を出しています。正直この成績で12番人気は過小評価すぎない!? と思うんですけれど。前走のJBCクラシックだって5着でそこまで大負けしたわけじゃなかったのに。
鞍上がテン乗りの原優介くんだったのが人気薄だった要因だったのかな。まだ重賞も勝ったことないし、若手の中でもお世辞にも勝ってる方じゃない。新馬の頃から馴染んでいるお手馬でもなく、いきなりのテン乗りでもありましたからね。スタートもお世辞にも良くなくて、ポディションは想定よりもだいぶ後ろになってしまったんじゃないでしょうか。ウィルソンテソーロって差しじゃなくて、だいたい先行から中団前めで競馬してきた馬でしたし。
正直前が壁になりなかなか出られなかったのが功を奏した、という面も。でもこういう追い込みの競馬も出来るとわかったのは結構大きいんじゃないでしょうか。

3着はドゥラエレーデ。スタートからレモンポップに食らいつき続け、鞍上のムルザバエフが最後まで持たせました。しぶとい、実にしぶとく粘りました。最後まで内から食い下がってきたテーオーケインズを抜かせませんでしたから、根性もありますよ。これで彼の路線はダートで固定かな。
4着にはテーオーケインズ。この馬もほんと安定しているというか、どんな展開になっても必ずイイところ食い込んでくる。ただ、良いところ止まりに最近なってしまっている所が本当に強かった頃と比べると衰えてきたのかなあ、と。
5着にはメイショウハリオ。差し馬には苦しい展開で、掲示板乗っけてきたのはこの馬の地力でしょうか。

人気だったセラフィックコールはまさかの10着大敗。スタートから最後尾になってしまい、そのままズルズルと良いところなく。ただこのセラフィックコール、戦前からどうも中京競馬場合わないんじゃない? という声がけっこう上がってたんですよね。中京競馬場というよりも左回りが苦手なんじゃないか、という話で。これまでの5連勝の中で唯一左回りの東京競馬場の八王子特別だけどうもだいぶバタバタしてあかん競馬してたみたいなんですよ。これ、左回りダメなんじゃないの?と見る人けっこう居たみたいですね。あっちこっちで不安要素としてあげている人を見かけましたが、まさかここまであかんかったとは。流石に一線級相手となると、そこが明確な弱点となってしまったようで。
……東京と中京があかんって、フェブラリーステークスとチャンピオンCがダメってことじゃん!? サウジとドバイも左じゃね? こりゃ右回り路線となると、帝王賞・東京大賞典くらい? ブリーダーズカップは持ち回りで開催変わっていくんですけど、24年はデルマー競馬場? ……ここも左回り!? ちょっとこれ、大丈夫かセラフィックコール。

もう一頭の人気馬クラウンプライドは、鞍上の川田いわくパドックからレースに後ろ向きになってしまっていた、とメンタルがよろしくなかったと主張。走る気ならんかったんかい。ちょい太めでもあったのか。でも、今回はレースの捌きもいいところなかったよ、川田。インに入れる隙がなく外外を回らされる羽目になってしまった。あれじゃあ勝てん。
改めて今回は大外にも関わらず内まで持ってきた坂井瑠星の好騎乗が光る。レモンポップもべらぼうに強かったけれど、その強さをフルスペックで引き出す騎乗だったんじゃないでしょうか。よかよか。

ほんと、来年がまた楽しみですよ、レモンポップ。海外でいったいどれだけのパフォーマンスを見せてくれるのやら。






第43回ジャパンカップ G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場2,400メートル(芝・左)


魔王降臨!!


レース展望でも思わず書いちゃったけれど、イクイノックス……もう「魔王」と呼んでいいんじゃないだろうか。
それくらい、絶望的な強さだ。

前回の天皇賞は超ハイペースについていって最後にさらに突き放す、という訳のわからない展開で先行した有力馬の大半は何がなんだかわからないうちに壊乱していったというとんでもないレースでしたが。
今回は文字通りの真っ向勝負、正面切っての力勝負。掛かってこいとばかりの位置取りから、影すら踏ませず突き放した横綱相撲。文字通りの敵無し―無敵。圧巻も圧巻、他馬にとっては何をしても届かない、どうやっても抗えない、まさに魔王を前にしたような心境だったのではないでしょうか。
イクイノックス自身は大人しいくらいの馬らしいですけどね、でも速いという以上にただただ強い、無人の野を征くがごときその単騎独行は、さながら魔の王が如し。
もう断言できます。JRA史上歴代でもっとも強い馬です。現在世界最強。レベルが違い桁が違い次元が違います。ルメールのあんなコメント、はじめて聞いたよ。思わず泣いちゃってたし、インタビューでも言葉を探して探して出てこなくて言葉を無くしていました。

挑戦者リバティアイランドは、もうこれは彼女が出来うる最大限の競馬をしたと思います。しっかりとイクイノックスの後ろにつけて、マークして、追い出して。ただ、ただ、イクイノックスの方が強かった。ゴーサインを出した後のダッシュがもう桁違いだった。
並み居る強豪馬を押しのけて、歴戦の古馬も牡馬も蹴散らして2着に入った時点でこのご令嬢の強さは本物であり、歴史的な名牝となるでしょう。でも、前にはイクイノックスが居た。
同じ時代に藤井聡太がいた将棋界の棋士たちも、こんな思いをしてるんでしょうかね。
にしても、ここまでの差がリバティとつくとは思わなかった。あまりにも強すぎる。

3着にはスターズオンアース。正直、蹄の不具合がどれほど回復しているのか、調教もしっかり追いきれてるとは思えず、レースに走れるくらいには仕上げてきたとしても万全とは言えないだろうなあ。しかも外枠17番発走。不利が多く重なっていたと思うのですけれど、それでも3着に入ってきた地上の星。なかなか本調子で走れる機会がない馬ですけれど、やはり二冠達成した時のあの脚は本物です。枠順次第ではリバティと着順変わってもおかしくなかったくらいですよ、これ。
4着にはドウデュース。一度叩いて、鞍上の戸崎さんも緊急乗り替わりじゃなくてしっかりと馬の事を把握して、と天皇賞秋よりだいぶ条件上積みできたと思うのですけれど、しっかり結果も出してきました。それでも、ダービーの時とはこれだけ差がついちゃったかあ。
5着にはタイトルホルダー。府中はこの馬には苦しいかな、と思っていましたし大逃げして先に行っちゃったパンくんの代わりに実質タイホがレースを引っ張ったようなものだったのですが、真後ろにピタリとイクイノックスがついていましたからね。このプレッシャーはいかばかりだったか。パンくんが1000メートル57秒台を出してましたけれど、タイホはおそらく平均ペース。もう少しハイペースの消耗戦を仕掛けても、と思わないでもありません。イクイノックスにはどうにもならんかったと思いますけれど、他の馬に対してはもう少し制圧出来たんじゃないかなあ。パンくんがあれだけ逃げてる中で難しいとは思いますけどね。それに、ズルズル行くかと思う所で根性見せ続けてくれましたからね。よく頑張った。有馬記念が本番でしょう。

パンくんはやっぱりさすがに400メートルほど長かったw さすがに2000メートルでも速すぎ!という超ウルトラハイペースで逃げたら、ただでさえ距離長めなのに持たないよなあ。ゴール際の粘り腰が出る場面ではありませんでした。12着。
ダノンベルーガが6着でヴェラアズールが7着ですか。ベルーガはなんというか、そうだろうなあという着順にいつもすんなり入るなあ。ヴェラアズールは最近の中では頑張った。
ちょっと心配なのがプボくんことディープボンド。合わないレースでは有りましたけれど、中団前めの6番手あたりにちゃんと付けてたのに、ズルズルと10着になってしまったのは負けすぎだなあ。
チェスナットコートはブービーでしたが無事完走。長い競争生活お疲れ様でした。

さて、上がり最速はイクイノックスの33.5。とドウデュースやベルーガ、アズールらよりも早くてぶっちぎり。イクイノックスの真後ろにつけてたリバティですら33.9ですよ。あのリバティをしてこの時計なのに……。しかも、ゴール前でルメール後ろ振り返る余裕ありましたから全力じゃないんですよね。世界レコード決着だった天皇賞秋の時はさすがにイクイノックスも検量前に帰ってくるとき鬼気迫る雰囲気出してましたけれど、今回は余裕そうだったもんなあ。
今回で報奨金も含めて8億円近くゲット。賞金加算し、20億円ホースに。これで海外ドバイ含めてG1レースを6連勝。そして走るたびにまだまだ強くなっている、未だ4歳。まだ4歳なんですよ、この子。次走どうするのか、これで今年は終了なのかそれとも有馬に出てゼンノロブロイ以来の秋古馬三冠制覇を目指してくれるのかわかりませんけれど、いずれにしてももう歴史に残るどころじゃない歴史的名馬の証明を刻みつけ焼き付けてくれた、レース前の期待に応えてくれた凄まじい大レースでありました。








第43回ジャパンカップ G1 レース展望  


さあ、ごっついレースがはじまるぞ!

古今様々な劇的なレースが行われたジャパンカップですが、近年一番盛り上がったのは当時8冠だったアーモンドアイのラストレースにその年の牡馬・牝馬の三冠馬となったコントレイルとデアリングタクトが挑んだ2020年のジャパンカップでしょう。あれは戦前から一体このレースはどうなってしまうんだ、と武者震いが止まらないほどの期待に対して、そのレース自体が期待を上回るようなとんでもないレースになって、凄まじく盛り上がったものでした。

そして今回はそれに匹敵するような対決が成就したわけです。
JRA史上最強とすら言われ始めている【魔王】イクイノックス。
それに対して牡馬クラシックに出走していても三冠馬になったんじゃないか、と言われる底知れない強さでライバルを蹴散らしてきた【怪物令嬢】リバティアイランド。
そんな主役二頭に挑みかかるは、
イクイノックスの同世代ライバルにしてダービー馬・ドウデュース。
かつてただ先頭を走り先頭でゴールするという無敵の走りでレースそのものを制圧した支配者(ドミネーター)。怪我明けの復活を狙うタイトルホルダー。
地上の星と謳われた閃光のオークス馬。疾駆する流れ星スターズオンアース。
希代の逃げ馬にして現役獲得賞金王、世界のパンサラッサ。

他にも去年のジャパンカップ覇者であるヴェラアズール。消耗戦なら任せろのディープボンド。イクイノックス世代の雄であるダノンベルーガと役者は揃いました。
また今回は日本のG1でははじめて女性騎手が三人騎乗するというレースになってまして。
藤田菜七子騎乗のウインエアフォルク。ホリー・ドイル騎手のヴェラアズール。そして唯一の海外参戦馬となったイレジンのマリー・ヴェロン騎手と、この三名三騎が参戦します。
ヴェロン騎手、ちょっと尋常じゃないくらい美人なんですけど。いやマジでビビった。

今回は当初、出走馬がなかなか集まらなかった事もあってか、地方から参戦表明する馬がけっこう出て話題になったんですよね。結局出走するは2頭になったのですがそのうちの一頭が見覚えあるぞ!?
チェスナットコート、チェスナットコートじゃないか! オールカマーにも出てたんですけど、そうかーこれが引退レースになるのか。重賞勝ちこそありませんでしたけれど、ステイヤーレースの常連としていつも頑張って走っていたのを思い出します。最後の舞台をJRAの芝レース。G1の大舞台で、という事で最後まで無事に、あわよくばより上を目指して頑張って欲しいです。

さあ、世紀の一戦が始まりますぞ。


第40回マイルチャンピオンシップ G1 レース回顧  

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 京都競馬場1,600メートル(芝・右 外)


な、な、な、ナミュールだぁぁぁ!!!

すまん、正直すまんかった藤岡くん。ムーアからの乗り替わりで完全にもう目がないと思っちゃったよ。4コーナーから直線でのコーナリングに位置取り、お見事でした。
ナミュールに関しては若い頃の一度走ると一気にガレてしまう、体重落としてなかなかしっかりと調教できなかった時期を超えて最近ほんと身体がしっかりしてきてたんですよね。その有り余る才能をようやく発揮できる身体が出来てきていた。
富士ステークスでその結実は成っていたわけですし、勝つべくして勝つ下地は十分に出来ていたわけだ。京都の馬場も合う方の感じでしたしね。
鞍上にムーアを迎えたのも、陣営としては必勝の意気だったんでしょうなあ。それが大外枠に、ムーア落馬からの乗り替わり。ナミュールの追い込みの脚質からして外枠自体は良い方向に捉えることも出来ましたけれど、それも騎手の腕前あってのことですから。
それをまあ、見事に藤岡くんがやってくれました。お見逸れしました。正直すまんかった。にしても、やっぱりナミュール、あの切れ味が炸裂するとやっぱりとんでもない脚ですわ。このカミソリの切れ味がG1の舞台でお披露目されるときを、みんなどれだけ待ち続けたか。この娘の才能に魅入られつづけた人が2歳の頃からどれだけいたかを思うと、ついにナミュールがG1戴冠した事実が感慨深いです。おめでとうございます。
藤岡くんも、G1はジョーカプチーノ以来になるんですか。うわー、ほんとに久々じゃないですか。

2着にはうちの馬群を切り裂いて伸びてきたソウルラッシュ。いや正直この子は決め手勝負になると辛いだろうから前目で勝負して押し切る競馬するのかな、と思ったら想像以上に切り込んできましたよ。正直ソウルラッシュのイメージを塗り替える走りでした。鞍上モレイラの上手さもありましたけれど、強さの手応えを感じさせてくれるレースでした。ってかナミュールの激走がなかったら堂々の勝利だったのに、惜しかった。
3着はジャスティンカフェ。直線入ってからまだ後方にいたのは加速に時間のかかるこの馬らしいというべきか。でもトップスピードに入った途端に馬群突っ切って前を行くソウルラッシュに襲いかかった時は一瞬勝ったかと思うくらいの勢いでした。でも、そこで脚が止まっちゃったんですよね。加速に時間かかるのにそれほど持続性については難儀なのかしら。乗り方非常に難しいぞこれ。

4着はエルトンバローズ。ジワジワと最後まで伸びたものの、途中まで同じ位置にいたジャスティンカフェに置いていかれちゃったんですよね。外回った分もあるだろうけれど。けっこう息入れられないハイペースだっただけに、中団の前目に位置していたのも影響あったのかしら。前に居た馬は軒並み壊滅しましたからね。
人気のセリフォスも、道中順調じゃなかったというかどうも力入っちゃってたらしいんですよね。今回人気の馬実力馬はみんな後ろの方に行っちゃったもんだから、ピタリと後ろにつけて走れる馬がいなかったというのもあるかもしれないけれど。外外回ってしまったのもイタかったか。肝心の勝負どころで脚が残っていませんでした。調教はいけてるみたいだったんだけどなー、夏負けして期間空いた影響やっぱりあったんでしょうか。
一番人気のシュネルはもうゲート内で騒いでて、スタートでも出遅れ。最後方からになってしまった上に馬も落ち着いてなかったんで、これはもうアカンかった。
同じく最後方近くからの競馬となったダノンザキッドはまだスムーズに行った分、溜めが効きましたね。直線での伸びは素晴らしいものが有りました。とはいえ、さすがにちょっと後ろ過ぎたか。普段は前目か中団くらいからの競馬する馬ですもんね。追い込みでぶった斬る脚があるかというと……。


次代を担うかと目していたエルトンバローズとセリフォスが届かずと沈み、名人シュネルは本領を発揮できず、未完の実力馬のまま最上位には手が届かないもどかしさに苦しんでいたナミュールとソウルラッシュがワンツーを飾るという、色んな意味で趣深いレースとなりました。
いやでも、ナミュールはこれ5歳になりますけれど来年順調に行くならまだまだ勝てるぞ。まさにこれからが本番だ。

第48回エリザベス女王杯 G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)牝(指定) 定量 京都競馬場2,200メートル(芝・右 外)

新星ブレイディヴェーグ、わずか五戦目重賞未勝利G1初出走で女王座戴冠!!
ほぼこれは完勝と言っていいんじゃないでしょうか。着差以上の強さを感じました。これまでの4戦はすべて上がり最速。
3歳の初冬に5戦目。クラシックに一度も出られなかったということからも順調な道のりではなかった事は見て取れます。走れば凄まじい脚を必ず使ってくれるのですけれど、その度に軽度ながらも骨折してしまうという足元の弱さ。それを丁寧にケアしてここまで持ってきた陣営の努力に頭がさがります。
ポテンシャルは見ての通り。この世代の女子はリバティアイランドが全部持っていきましたけれど、秋華賞で唯一リバティに迫ったマスクドリーヴァ。その豪脚をローズSで上回ったのがこのブレイディヴェーグでした。スタートで出遅れ、道中は前を塞がれ、それでも最速の脚でぶっ飛んできた彼女。不利なくレース出来ていれば、勝ち負けには十分なったでしょう。いずれにしても、このエリ女でその怪物性は見事に証明してくれました。将来順調に成長していけば同じロードカナロア産駒のG1・9勝馬アーモンドアイにも匹敵する才能があると、鞍上ルメールは即答しました。マスクドリーヴァと並んで、同世代でリバティに挑む資格を有するのは、このブレイディヴェーグ。オランダ語で広い道。ブロードウェイの語源ともなったというその名を以て名女優の道を歩み始めたのではないでしょうか。

今回はかつてジェンティルドンナとヴェルシーナという女傑二人が決戦を繰り広げたこの舞台で、同じ枠番でその娘たちであるジェラルディーナとディヴィーナが激突する、なんていう血統の戦いでもある競馬の歴史を象徴するような対決もあり、見どころの多いレースでもありましたが外枠には厳しい内枠決着になりました。
ラップ見るとなんか3コーナーの坂のあがりらへんでいきなりペース一旦上がってるんですよね。全体を見るとスローペースなんだけれど、ここで脚を使わされて外から回してくる馬にとってはつらい展開になってしまった。普通京都のスローペースだと外有利の瞬発力勝負になる傾向なんだが。
うちのハーパー川田の後ろにスタート出遅れながらもピタリとつけたルメールの、相変わらずのウマさである。2着もそのさらに後ろにつけたルージュエヴァイユでしたからね。
道中ポジションを取れずにここぞという所で道を見つけられずに追い出すタイミングを封じられてたライラックは猛追したもののキレが最後まで持たずにハーパーに届かずの4着。道中のロスが多すぎたよなあ。スムーズにいったらハーパーは余裕で躱せたんじゃないだろうか。今回は力もついてチャンスだっただけになかなかもったいない結果でした、ライラック。今日は弟のアドミラルシップが新馬戦で圧倒的一番人気やジェラルディーナの妹であるエヴァンジェリーナを下して勝っただけにお姉ちゃんも、という勢いだったのですが、残念。
レースを引っ張ったアートハウス、ローゼライト、ゴールドエクリプスは力尽きて失速。
ジェラルディーナはスタートで盛大に出遅れてしまい、ペースも遅く展開向かず外を回らされ、と不利満載でありながらも5着まで持ってきたのは、さすが去年の女王というところでしょうか。
外外外を回ってきたサリエラはゴール前一番いい脚で突っ込んできたものの、わずかクビ差ジェラルに届かず6着。もうちょい距離あったらなあ、という走りでした。ジェラルディーナと合わせる形で追いかけてきたディヴィーナはジェラルと同じ脚色になってしまい距離もしんどかったのかな、サリエラにも躱されて7着。このあたりの子たちは展開ちょっとしんどかったかな、というあたりで上位との差はあまり感じられず。
ブレイディヴェーグの完勝とも見えたレースでしたけれど、それ以外はけっこう拮抗したバチバチと火花飛び散る良いレースでありました。


第168回天皇賞(秋) G1 レース回顧   

3歳以上 オープン (国際)(指定) 定量 東京競馬場2,000メートル(芝・左)

…………(白目

これでも自分、長いこと競馬見てきたつもりだし、天皇賞・秋だって随分見てきたつもりですよ。
アーモンドアイを見た。キタサンブラックも見た。レコード持ってたトーセンジョーダンも見たし、ブエナビスタも見た。カンパニー、ウォッカ、ダイワメジャー、ゼンノロブロイ、シンボリクリスエス。テイエムオペラオー、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ハブルガムフェロー、ネーハイシーザー、ヤマニンゼファー。色々見てきたつもりだけれど。
いや、天皇賞・秋に限らず、これはもう今まで見てきた馬の中で一番強い、と言ってもいいんじゃないかと、今そんな気分ですわ。ディープでもオルフェでも、ここまでは思わなかった。

イクイノックスは今まで見てきた競走馬の中で、一番強い。
こんな恐れ知らずの文言を、言わずにはいられないほどに、凄いレースでした。1:55.2ってなんだよ!? アタマおかしいんじゃないの!?

去年もパンサラッサが1000メートル57.4という快速も快速でかっ飛ばしましたけれど、今年はジャックドールが57.6という数字で逃げました。でも、去年ってかっ飛ばしたのはパンサラッサだけで、他の馬はむしろ超スローペースだったわけです。
ところが今年はジャックドールにみんなついていったために、全体的に超ハイペースになった。1000メートルのタイム聞いた時はびっくりしましたもんね。ジャックドール、そんな無理してかっ飛ばしている感じではなかったですから。ジャックとしてはハイペースで後続を削り落としていくスピードスターの走りを狙ったのでしょうしそれが唯一の勝ち目ではあったのでしょうけれど、それにしてもペースが速すぎたのでしょう。直線入ったところで粘るもなにもなく失速。これについていっていた先行馬たちも軒並み脚があがってしまった。ドウデュースですらついていけなくなって失速してしまいましたからね。
ドウデュースは大事な相棒である武豊が5レース後に馬から降りたところで足を蹴られるアクシデントがあり、まさかの乗り替わり。今の武豊にとって一番大事と言って良いドウデュースの晴れの舞台でこんなことになってしまうなんて。本人もオーナーもどれだけショックだったかわかりませんけれど、乗り代わった戸崎騎手は決して悪い競馬したわけじゃないんですよ。前に行ったイクイノックスの真後ろにつけられたのはベストの位置取りだったんじゃないでしょうか。
ただ展開があまりにも先行に対してキツすぎるものだったのと、今のイクイノックスがあまりにも凄すぎたのがどうしようもない問題でした。
他の逃げ先行馬が軒並み壊滅して脱落していく中で、逃げてるジャックからさほど離れていない3番手につけていたイクイノックスだけ耐えるどころじゃなくてむしろ逆にどんどんと伸びていくって、ほんと何度見ても意味わかんないんですけど!?
この展開であがり34.2って意味わかんないんですけど!?
ラップタイムこれですよ?

12.4 - 11.0 - 11.5 - 11.4 - 11.4 - 11.4 - 11.4 - 11.6 - 11.4 - 11.7
最初以外全部11秒台って、これまったく息入れるところなかったですよね。去年のパンくんみたいに後続ぶん離してたら息入れるタイミングもあったでしょうけれど、このペースで後ろ離されずずっとプレッシャー掛けられてたらそりゃジャックも溺れるわ。
番手につけていたガイアフォースが5着まで残ったの、むしろよく頑張ったと言えるんじゃないでしょうか。
……いやだから、イクイノックスだけわけわからんのですよ。なんだこれなんだこれ?
2着のジャスティンパレスと3着のプレグノーシスは両馬ともスタート出遅れてしまって離れた後方からの競馬になった馬。このハイペースの流れからなんとか逃れて足を溜められた、という事なのでしょう。にもかかわらず、イクイノックスには全然追いつけなかった。イクイノックスの鞍上ルメール、もう正面でスクリーンチラ見してセーフティーを確認してからは無理追いしてないんですよね。まあ後方突き放すときも鞭何発か入れてゴーサイン出しただけで飛び出したので、そこまで叩いてないですし。
凄いなあ。凄いなんてもんじゃないわ。

今日は令和がはじまって以来はじめての天皇陛下皇后陛下をお迎えしての天覧競馬。その天覧競馬で両陛下に競馬史上でも歴史に残るであろう素晴らしいレースをご覧いただけたことは、幸い以外のなにものでもありません。陛下にええもん見てもらえたなあ。

これ秋華賞でのリバティアイランドのあまりの強さに、ジャパンカップでも古馬たちと互角以上に渡り合える、というか本命もあり得るんじゃないか、と思っていましたけれど。
ちょっとこれは、無理やろ。相手があまりにも悪いわ。

いやー、ものすごいものを見さしてもらいました。世界の超一流馬たちを相手にもせずに蹴散らしたドバイシーマみたいな競馬を、何度も見れるとは思わんですよ。こんな競馬、ありえるんや……。




第84回菊花賞 G1 レース回顧  

3歳 オープン (国際)牡・牝(指定) 馬齢 京都競馬場3,000メートル(芝・右 外)

ルメールマジック炸裂ぅぅ!! これ、これこれこれ。マジかー。うはははは、これは凄いわルメール。マジかよ。
大外17番ドゥレッツァ。京都3000メートルとなると、スタートしてすぐにカーブに入ってしまうためにやっぱり圧倒的に外枠不利だったんですよ。
ルメールの勝利者インタビューを聞く限りではスタートの飛び出しの勢いが良かったんでそのまま逃げる事にした、と最初からの作戦じゃなかったと言ってるんですけれど、それでもスタートダッシュの良さを活かして一気に内に寄せてそのまま勢いを殺さず先頭に躍り出るわけです。
ドゥレッツァ、別に逃げ馬じゃないんですよね。むしろ仕掛けやや遅めでゴール前で捉えるような競馬をしている。って、前走も前前走も完全に勝ちに入った馬差し切ってるんで無茶苦茶強い競馬してるんだよなあ。ともあれ、前を捕まえに行く競馬主体で自分が主導権握って走る競馬は初めてだったはず。
既に逃げの体勢に入っていたパクスオトマニカを躱してさらにぐんぐんと前に行ってしまう勢いは3000メートルにしては勢い良すぎと思ったし、実際に最初の1000メートルは1:00:4と2000メートルとかの中距離戦レベルの速さで、これは速すぎて前持たないんじゃないか!?
と思ったんですよね。しかも、もう向正面に入ったところで先頭をパクスオトマニカに譲ってジリジリと下がってっちゃうんですよ、ドゥレッツァ。あれ? もうバテちゃった? 一瞬思ったんですよね。ところがある一定のところまで下がった所でピタリと止まり坂をあがって下りだしたところで他の先頭集団と一緒に前にいたパクスオトマニカとリビアングラスを捕まえに行ったんですよ、ドゥレッツァ。

タスティエーラやソールオリエンスまだ後ろのほうか。どの時点で進出してくるんだ?とそっちの方に意識持ってかれてたんで、ふと見たらまたドゥレッツァが先頭捕まえに行っているのに気づいて……もうそりゃもう戦慄しましたわな。
ルメール、中間完全に溜めやがった!!
あとで確認したら中間の1000メートル64秒台最後の1000メートルが58.6。
つまり60.4ー64.1ー58.6という思いっきり中間で緩んだレースになってるんですよね。
これあれですよ。98年のセイウンスカイ横山典さんさながらの変幻自在の菊花賞の再来ですよ。
もうこれ、中距離の後傾レースみたいなもんで、これは後ろからの差し届かせるの至難ですわ。無理。ってか上がり最速ドゥレッツァ当馬じゃないか。これは勝てんわー。むしろ、しっかりと伸びてきて2着に入ったタスティエーラと、抜群の手応えながらも最後緩んだのはあれ距離かなあ、やっぱり。でも3着確保したソールオリエンス。この皐月賞馬とダービー馬の強さは本物ですわ。
それを踏まえた上で、その二頭相手に完勝したドゥレッツァはちょっととんでもないです。それ以上に、このレース展開を作り出したルメールがすごすぎました。やっぱりルメールやばいですわ、やばい。

この菊花賞。出走馬のお父さんたちがちょうど同じレースの舞台で切磋琢磨していたライバルたち。キタサンブラックの息子がソールオリエンス。サトノダイヤモンドの息子がサトノグランツ。タスティエーラの子がサトノクラウン。そしてドゥラメンテの子がドゥレッツァと、丁度この父親世代がアニメ・ウマ娘プリティーダービーの3期の主役を担っているのも相まって、実質アニメ三期実写版とか言われたりもしていたのですが。
まさかそんなレースでウマ娘のアニメの第一期の菊花賞セイウンスカイを再演するような展開になるとは、ってかこんなレース展開想像できるかーー。
まあウンスはあれずっと先頭で逃げてたわけで、一度馬群に引っ込んでまた抜けてくるという今回のドゥレッツァみたいなとんでもねーレースはしてなかったけど。あ、でもこういうレース見たことあるぞ。ノリさんやったことあるだろ、これ。どっかの競馬動画で見たような記憶が。カンテレ競馬だったっけか。
いずれにしても、これは故障で菊花賞に出られなかった父ドゥラメンテに捧げるがごとき勝利じゃないですか。それは以前にタイトルホルダーが叶えてるじゃないか、と言われる向きもあるかもしれませんけれど。でもさー、当時せめぎ合った好敵手たちの息子同士が揃って一緒に走って、そして勝ったというのにまた違う価値と感動があると思うんですよねえ。
ああ、ここにセントライト記念を勝ったレーベンスティール(リアルスティール産駒)が居たら完璧だったんですけどねえ。いや、これからいくらでも機会はあるさ! くははは、なんて楽しみな世代なんだ。牝馬にあのリバティアイランドというとてつもない怪物少女がいるために、どうしても牡馬の方は今年の前の方は有象無象感があって存在感が足りてない雰囲気あったけれど、もうそんな事全然ないよ。強い子らが揃って、ライバルとしてぶつかり合い競い合う形がしっかりと浮かび上がってきた。これからがホントに楽しみですわ。

1着ドゥレッツァは未勝利戦からこれで5連勝。初の重賞挑戦がこの菊花賞であり、それを勝利。しかも過去に二回しかいない17番枠での勝利である。しかも逃げでの勝利。どれだけ常識を打ち破っての勝利か。しゅごい。
2着タスティエーラ。ディープインパクト記念弥生賞1着、皐月賞2着、ダービー1着。そして菊花賞2着。もうこの馬の強さに文句つける人はいないでしょう。この一頭でサトノクラウンの種牡馬の価値を爆上げさせてますよもう。今回は鞍上のモレイラもやっぱり上手かった。直線入るところでポッカリと前開いたもんなあ。
3着はソールオリエンス。展開は向かなかったし外外を回らされるという距離的不利もあり、元々距離に不安のあったところがモロに出てしまった感のある脚の止まり方でしたね。
でも3着。止まって3着である。位置取り次第でタスティエーラともう少し良い勝負になったんじゃないでしょうか。中距離ならやはり無類の強さを見せてくれそう。
4着には、番手に位置しながら最後まで粘ったリビアングラスが滑り込む。9番人気ながら素晴らしい激走でした。逃げたパクスオトマニカが最下位に沈んだことを考えれば、相当に走ったんじゃないでしょうか。元々調教は抜群で出走馬の中でも出来は最上位近くだったみたいですし、これはすぐに重賞くらいは取れそうじゃないですか?
5着のサヴォーナはちと行き足がつかなかったのか。本当ならもっと前で競馬したかったみたい。でも直線早めで前につけていて今出来る競馬は出来たんじゃないでしょうか。池添騎手もベテラン味出てきたねえ。神戸新聞杯2着も実力でしたね、これは。

さて3番人気で皐月賞馬・ダービー馬に並んで三強を形成していたサトノグランツは、まさかの良いところなしの11着。出走馬の中でもステイヤー適性は一番高いと距離不安のなかった馬のはずなんだけれど。仕掛けどころで全然動こうとしてなかったね、グランツくん。先週までもう悪魔的といっていいくらいの騎乗技術を見せていた川田がほんと良いところなくて。今の充実っぷりなら長距離になると全然だめ、まったくダメという評判を軽々と払拭してしまうんじゃないか、と疑ってもいなかったのだけれど、これだけ惨憺たる有様になってしまうとなあ。
川田騎手はほんとレースのスタートからゴールまで他馬を含めた馬の動きを想定して立てるプランニングがもう凄まじいと言っていいくらいの精度なんだけれど、逆に言うとそのプラン通りにお手馬が動いてくれないと途端にダメになる傾向があるんですよねえ。その馬に言うことを聞かせる技術は年々磨き上げられていってるんだけど、気性が荒かったり長距離で馬に気分良く走らせないといけないパターンだと思わぬ脆さを垣間見せる。今の川田だとそこも克服していくかな、と思ってたんだけれど……。
まあグランツの場合、それ以前に後傾の流れに全然ついていけなかったというのが大きいみたいだけど。神戸新聞杯で前に離されずについていけただけに、流れについていけないパターンはないと思ってたんだけどなあ。前走レコード勝ちの反動があったのか、メンタルになにかあったのか。
このまま沈んでしまうような馬ではないと思うので、来年立て直してきてほしいところです。

いやーそれにしても見ごたえのある菊花賞でした。すごかったなあ、すごかった。



第28回秋華賞 G1 レース回顧   

3歳 オープン (国際)牝(指定) 馬齢 京都競馬場2,000メートル(芝・右)


ハーパー・ルメールのジョッキーカメラから見たリバティアイランドのあまりの凄さに変な笑い声が漏れてしまった。
いやなんだよ、あれ。よくある表現だけど、載せてるエンジンがF1と軽自動車くらい違うんじゃないか、というくらいの勢いで4コーナーであっという間にスルスルと外からはるか彼方に飛んでいくリバティアイランド。
こりゃモノが違いますわ。

オークスでは1.4倍だったリバティアイランドですが、あの度肝を抜くような勝ち方を見せられたらそれ以上の人気を集めるだろうってのはわかっていましたし、リバティお嬢ってば夏に一回り成長してさらにスケールアップしてるんだもんなあ。プラス10キロは成長分。見るからに馬体が大きくなって、明らかに強さを増しているのがわかる体つき。調教ももうわけわからん勢いの出来栄え。
というのが重なって、ついには1.1倍ですよ、1.1倍。久々に見たよ1.1倍。
歴代の三冠牝馬たちを上回る単勝支持率67・3%。
これはほんと、川田がよほど下手を打つかしないと負ける姿が想像できない。そして今の川田騎手は気性悪くて言う事聞かない馬じゃなければ、操縦性良ければまずしくじらないレースプランニングしてきますからねえ。

そんなリバティアイランドに立ち向かった面々。
2番人気は、オークスで2着とリバティお嬢の次に入選したハーパー。とはいえ、オークスでもう完膚なきまでに負けての2着ですからね。そして倍率12.9倍。いやこれ2番人気の倍率じゃないでしょ。5とか6番人気くらいの倍率だぞ、普通。
3番人気。リバティと未だ対戦がない、つまり勝負付が済んでいない新興勢力筆頭であったマスクドディーバ。仮面の歌姫である。春はクラシックにまであがれなかった馬なのだけれど、夏に特別レースを勝ち、そして秋の前哨戦であるローズSにてレコードで勝ったのですが、これが衝撃的なタイムで。1800芝で1:43.0。これ、世界レコードである。
速い馬だからといって決して勝てるとは限らないのですけれど、それでも速い馬が弱いわけがなく。
4番人気はリバティを桜花賞でギリギリまで追い詰めた馬、コナコースト。
5番人気はクイーンSで本格化の兆しを見せ、春から一回り確実に強さを増したドゥーラ。
他にキタサンブラック産駒の刺客ヒップホップソウルに、今日みたいな渋った馬場の紫苑Sで勝利したモリアーナ。唯一リバティお嬢に黒星をつけたラヴェルなどが揃いました。
揃いましたけれど……うん、やっぱり太刀打ち出来なかったですね。こりゃあかんわ。

ペース的にはかなりスロー。1000メートル時点で1分1秒9。この時点でも遅いのだけれど、そこからさらに200メートル12秒台が続き、ようやく加速しだすのが残り600。完全によーいドンの競馬になっちゃってたところで、リバティ川田が4コーナーであっさり外に出しゴーサイン。この加速に他馬はまったくついていけず。いや、中段以降の馬たち、まったくリバティの外に回って蓋をしようという挙動がなかったんだよなあ。ってかあの位置取りだとピピオラ以外はどうこうするの難しいか。中盤までソレイユヴィータの武さんが上手いこと外側前目につけてたけれど、あのペースだとちんたらリバティの横につけてたら手遅れになっちゃうし、前進させていくのは当然でしょう。でも後ろのピピオラがそれ以降もずっとスペース詰めてこないもんだからぽっかりとルートが空いてしまい、リバティ川田は容易に外に出てしかも大して膨らまない位置のままグイグイとあがって、この時点でほぼ終戦。
マスクドディーバが激走して大外から追い込み、最終的に一馬身まで詰めましたけれど、リバティもうノーステッキだし、これ残り100メートルあたりから川田騎手もうあんまり無理させないようにして流しに入ってましたからね。着差以上の差がありました。
それでも、あそこから追い込んできたマスクドディーバは、前走の世界レコードが伊達じゃない事を示してくれましたけれど……それでもこれ、同世代牝馬に太刀打ちできる馬いないわ。
3着はハーパー。4着にドゥーラ。二頭とも良く伸びはしたんですけれど、ギアが入るのがあまりにも遅すぎましたわね。ルメール、4コーナーで外側をリバティがすっ飛んでいくのを横に見つけて、慌てて追い出したようにも見えるんだけれど、どうなんだろう。いやまあ、あんな勢いであっという間にはるか先に走っていったら、焦るわなあ。ドゥーラも4コーナーではリバティの隣にいたはずなのに、直線入ったときにはもう3,4馬身かもっとか。いつの間にか先にいましたからね。なんだあの加速力はほんと。

もう何もかもが脱帽の圧勝劇でした。マジでこれはイクイノックスと真っ向からぶつかりあえるレベルですわ。3歳牝馬でここまで隙のない完成された強さの馬はちょっと見たことないです。今までも破格に強い馬は何頭もいましたけれど、多少は紛れがあったし気性や戦法に偏りがあったりしましたけれど、リバティはなんかもうとにかく完璧ですわ。すごい。




 

6月25日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月21日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


6月20日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月19日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W 


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月18日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月17日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon


Amazon Kindle B☆W

6月15日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月14日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月13日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月12日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月11日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月10日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W



Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月7日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Kindle B☆W


Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月6日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月5日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月4日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

6月3日

Amazon Kindle B☆W

6月1日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W



Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W

5月31日

Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W


Amazon Kindle B☆W




Categories
最新コメント

Archives
記事検索
タグ絞り込み検索