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GAノベル

スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 4 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 4】  森田季節/紅緒 GAノベル

Amazon Kindle BOOK☆WALKER

300年スライムを倒し続けていたら、
いつのまにか――子供になってました!?

ハルカラが焼いた毒きのこをうっかり食べてしまったせいです…(蒼白)
おかげで家族は目の色変えて私をあやそうとする始末(やめてー! )
ベルゼブブと魔王の城に行ったら、今度はペコラに捕まってしまい(もうどうにでもして…)、
なんとか戻ったと思っても、今度は村に来ている変な吟遊詩人と出会ったり、娘二人が世界精霊会議という謎の会議に招待されたりで――!?

巻き込まれ体質だからって、
私はスローライフを諦めないんだからね! !

本書だけの書き下ろし短編を収録!
「小説家になろう」で人気の異世界アットホームコメディ第4弾!
ハルカラがいると大概のトラブルをスムーズに巻き起こしたり巻き込まれたりしてくれるので、便利だなあハルカラさん。
というわけで、子供になっちゃったアズサ。高原の魔女の家で何が足りないかというと、まず幼女!
 いや、それはスライムの精霊であるシャルシャとファルファの双子がファミリーの子供たちとして日々活躍してくれてはいたものの、彼女たちの妹がほしいなあという要望に体を張って応えるアズサお母さん、さすがの献身である。
旦那さん見つけて今から仕込んで〜、とは行きませんもんね。それはそれで家庭の危機である。森田さんだとわりとそのあたりの渋いホームドラマも書こうと思えば書けると思うのですけれど、シリーズのジャンルが全然違うものになってしまうものなあ。
みんなの母性本能を擽りまくる幼女アズサであるが、いつまでもみんなに抱きかかえられて頭撫でられているわけにもイカず、治せる薬を求めて魔族領は世界樹の頂上付近で営業しているという魔法薬店に、ベルゼブブから差し向けられたリヴァイアサン姉妹と共に向かうことに。
世界樹ダンジョンに登頂だ、と意気込んだものの、かつて幾多の冒険者たちを阻み続けたダンジョン世界樹は、今や観光名所として観光客で賑わっていたのでした。
古い遺跡の観光地化は、文明文化が発展すればアルアルですよねえ。富士山なんかだって、そんな感じですしね。少なくとも麓の方は気軽に車なんかで乗り付けられますし。
普段は仕事で忙しいリヴァイアサン姉妹が、久々に姉妹で旅行を楽しむ感じでアズサを案内してる様子は微笑ましいものでした。サクッと、この姉妹にもスポットあてて掘り下げてるんだよなあ。
ベルゼブブの仕事している様子を見物に行こう、なんて話もありましたけれど、農相として働くベルゼブブはホントに忙しそうで、その秘書であるリヴァイアサン姉妹もそりゃ、二人で一緒に休暇とって旅行、なんて真似はなかなかできなかったでしょうからね。
ベルゼブブ当人は忙しいはずなのに、ちょくちょく暇作ってはアズサのところに遊びにくるわけですけれど。でも、召喚なんかで呼び出されたときは割合いつも会議とか控えてたりする事も多いんで、マジで忙しいんだろうな、あれ。

さて、本巻で一番白眉なのは、売れないデスメタ系吟遊詩人のククが成功するまでの物語でした。
デスメタ系吟遊詩人というだけでパワーワードなんですが。まあこの場合吟遊詩人というのは、シンガーソングライターそのものなんですが。
そうして、細々とドサ回りで地方を回りながら吟遊詩人として青息吐息で生きてきたものの、そろそろ本当に限界で、というこの心身ともに擦り切れそうな人間の描写が何気に真に迫ってるんですよね。
これまでずっと続けてきた吟遊詩人を、もう諦めてしまうか。辞めるか。もうキッパリと未練を断ち切って、これからの人生を生きるために仕事を見つけて働いていくのか。
そういう絶望とすら呼べない、虚無に近い燃料というか気力が尽き果てたようなククの姿、なんか実感籠もってるんですよね。こういう世間の片隅で誰にも見向きもされないまま擦り切れていくような人の描写、森田さんって他の作品でも生々しいくらいの表現で描いていくので色んな意味でゾクゾクしてしまいます。
そんなククにとって、住むところと温かい食べ物を提供してくれて、擦り切れた心が回復するまでウチでいつまでもゆっくりしていけばいいんだよ。焦って振り切って諦めずに、ゆっくり身の振り方を考えていいんだよ。もう一度落ち着いて自分の音楽を作り直してみてもいいんだよ、と保護してくれたアズサは、もうククにとってはたまらんくらいの救世主だったんだろうなあ。
でも、それでコロッと復活できるほどククが歩いてきた売れない吟遊詩人という人生は易いものではなく、それでも音楽を諦められなかったククは、デスメタ系というジャンルそのものを諦めて、これまでと全く異なる方向性に進み始める。
それは悩みに悩んだ末の路線変更だけれど、これまで歩んできた自分を曲げた、という意味ではその決断もまた諦めの一つではあったんですよね。諦めだけれど、それは前へと進む諦めだったけれど。それでも諦めではあったわけだ。
だから、その後ククが魔族の開催するフェスに参加して売れっ子シンガーになっていったとしても、それは奇跡のサクセスストーリー、という輝かしい栄光の道を描いた物語ではなく、自分を変えてしまった小さな痛みと苦渋を抱えながら、それでも僅かな後悔と安堵を噛み締めながら前に進み続ける傷だらけの成功者の物語になっているのである。
ククのあの落ち着きながらもどこか切ない歌声は、悼みの歌でもあるのだろうか。
だから、最後のフラットルテの。吟遊詩人フリークとしてククに対して常に感情的にならず、客観的な視点から助言と苦言を呈し続けたフラットルテが。最後の最後に、ククが捨てたデスメタをかき鳴らして、ククの今まで歩んでいた長い長い苦しいばかりだった人生の歩みを肯定しての、声援と激励、そして祝福は、だからこそ胸に響く以上に深く奥まで沁み入ったのでした。
フラットルテの新たな側面、というか今までに見たことのない、刹那的な感性だけで生きていた動物みたいなブルードラゴンの彼女が、あんな論理的に評論家みたいに冷静に論理的に吟遊詩人界隈の話や技術論などを語り尽くしていく姿は、新鮮でもありなんか笑ってしまう感じでもあり。
でも、だからこそあのラストのフラットルテの熱い言葉、贈る歌は良かったんです。フラットルテというキャラの魅力を後押ししてくれるエピソードでもありました。
なんか、語れば語るほど登場人物の新たな側面、今まで見えていた姿からもさらに掘り下げたような様子が見えたりして、キャラクターに行き止まりを感じないんですよね。
さすが、現状18巻まで出てるような長期シリーズになるだけありますわー。

それはそれとして……ちょくちょく幽霊のロザリーの闇の深さが垣間見えるのがちょっと心配になったりもするぞw




スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 3 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 3】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、いつのまにか家族がふえていました。
そろそろスローライフは諦めて、家族との平和な日常を楽しもう、と思ったのですが……。

そんな! ファルファがスライムの姿から戻れなくなっちゃった(でも可愛い)!
何とか解決したと思ったら、今度は私を騙る魔女が登場で国中が大騒ぎに(目立つのは困ります!)!?
――「高原の家」はいつも賑やかトラブルが絶えません!

けれど継続は力なり。
今度こそ平和な日常をつかんでみせるから!!

本書だけの書き下ろし短編3作品を大収録!
「小説家になろう」で人気の異世界アットホームコメディ第3弾!

ブルードラゴンのフラットルテ、おバカの野生児なんだけどちゃんと家事スキルは普通以上にあってライカと張り合えるくらい女子力はあるというのは可愛らしいなあ。
ドラゴンが二人になった事で仲良しのスライムの精の双子であるファルファとシャルシャとは違う、いつも喧嘩ばかりしているけど何だかんだと息があっている新しい姉妹みたいな関係が誕生して、なんともほっこり。性格はバチバチ火花散るくらいあわないんだけど、ドラゴンとしての生態が一緒なせいもあって今までのライカだけだと彼女が遠慮して表に出てきていなかった、ドラゴンならでわの生活欲求なんかが露呈してきて面白かった。
そりゃ、ドラゴンなんだから肉、喰いたいよね!
焼肉大会、最初は原始的なひたすら焼いて食う、だったのが料理できる人が加わってだんだん文化的で趣向を凝らしたものへと移っていって、ひたすら肉を食うだけの集まりだったのが和やかな宴会になっていくの、なんか良かったなあ。
そして、つまみ食いが見つかって恥ずかしそうにしているライカ、可愛かった。
あとの話でカードゲームやボードゲームなどの娯楽が持ち込まれて、家族間で流行ったりなどするのだけれど、この焼き肉の話でもちょっと高原の魔女の家での食事環境が変わってるんですよね。
ここで暮らす人達はこれ以上無くお互い大切にしている家族同士なんだけれど、同時にみんな種族が違うバラバラの存在でもあるんですよね。それが共同生活を送り、家族として一緒に暮らしている。その生活をみんなが心地よくストレス無く本当の意味で誰も我慢したり堪えたりせずに楽しく過ごすためには、それぞれの種族のことをもっとちゃんと知らなくてはならない、という結論に至ったのなんか、ただ漫然と家族として一緒にいるだけじゃないんだなあ、というのが伝わってくる。
ドラゴンはもっと肉が食べたい、御飯の量もほんとはもうちょっと欲しい。そんなささやかな部分だっておろそかにすべきじゃない。なぜなら、家族のことなんだから。
みんな育ち盛りなんだから、もっと食べさせてあげないと! なんて、ほんとアズサさん一家のお母さんですよねえ。
ファルファがスライムに戻っちゃって人間の姿になれなくなっちゃったときも、スライムの精という未知の存在ゆえに対処法がわからなくて、アズサたちが国中を駆け回らなくちゃいけなくなったのも、家族のことをもっと知らないと、という話に繋がってくるんですよね。
そんでもって、ファルファをもとに戻すために今までになく余裕なく必死に駆け回るアズサは、これまでで一番お母さんしていました。子供のピンチのときほど母親が奮起するものだもんなあ。
今回は家を出て、あっちこっちの街に行き来することが多かったけれど、家族の大黒柱として、みんなのお母さんとして家族の危機に立ち上がり、みんなを取りまとめて、みんなを安心させるアズサさんのお母さんっぷりがより顕著に見受けられたような気がします。
あと、あれこれ問題が起こることで逆に雨降って地固まるという感じで、高原の魔女の家の生活環境がさらに最適化されて充実してってる感じなんですよね。食事事情の改変とか、娯楽環境の充実とか。家族が増えるのはフラットルテでひとまず定員みたいだけれど、これくらいが一番いい塩梅の人数ですなあ。外からはいつも遊びに来てくれたり助けに来てくれたりするベルゼブブや魔族たちもいるわけですし。



スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2 ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました 2】  森田季節/紅緒 GAノベル

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300年スライムを倒し続けていたら、いつのまにか世界最強になってました。
おかげで面倒ごとに巻き込まれはしたものの、
最終的には新しく家族になった4人の娘たちとスローライフを始められそう、だったのですが……。

ええっ、エルフのハルカラが経営する工場で幽霊騒動? 収まったと思ったら今度は違法操業とかで逮捕されちゃうし! さらには私の活躍(?)が魔族に評価されて、魔王の城へご招待!?
――って、今回もトラブルの予感しかしません!

それでも私は負けずにスローライフを目指すからね!!


ハルカラには意外な一面が!?
本書だけの書き下ろし短編「迷い猫が来た」も収録でお届けです。

お祭りでの喫茶店話はアニメでは最終回だったのですが、なるほどアニメで最後に回したのはグッドでした。この段階ではロザリーもフラットルテも家族に加わってなかったですもんね。彼女たちの給仕服姿はまさにガンプクでしたから。
ちょうどお話としても、家族が出来て家族と一緒に旅行して、と外に出る機会が増えてきたところで、家族みんなで外とつながるナニカのイベントをしよう、というタイミングだったのでしょう。
家族の中だけで完結しているのもいいのですけれど、外とつながることでより深く家族同士の繋がりを感じる事もありますから。
それにしても、ライカは美少女ですなー! ドラゴン娘ってわりとワイルドだったり美人系の傾向があると思うのですけれど、ライカはむしろ可憐系なんですよね。性格的にもお淑やかだし、清楚可憐系なんですよ。この娘が最初、最強を名乗って襲ってきたのが不思議なくらいお淑やかなんですよ。
同性をも魅了してしまう絶世の美少女っぷり、どうも元々お洒落で衣装のセンスも抜群みたいですし、家事能力も高いのだから女子力も抜群だし。
マジ可愛いです。
そして、いつもなんだかんだと助けてくれるベルゼブブ。ほんま、この人お姉ちゃんやなあ。アズサがお姉ちゃんと呼ぶのも良く分かる。しょっちゅう様子見に来てくれるママのお姉ちゃん、つまり伯母さんって感じなんですよね。居る居る、こういう親戚のオバちゃん。いや、年齢的にお姉さんと呼ばないと怒られますが、いや年齢を言い出すとオバちゃんどころじゃないのですが。
普段偉そうな喋り方してるのに、給仕役に回った途端にちゃんとTPOに合わせた丁寧な言葉遣いできるの、ほんと社会人レベル高くて好き。
そもそも、このベルゼブブさん、魔族国家でも偉い人は偉い人なんだけど、宰相とか国務長官とかじゃなくて農相なのが結構ツボなんですよねw

というわけで、この巻から新たに幽霊のロザリーと、ブルードラゴンのフラットルテが家族に加わることに。ロザリーは世界一元気な幽霊と呼ぶに相応しい快活な娘でハルカラとは別の意味でムードメーカーなんだけど、元々地縛霊だけあって闇は持ち合わせてるんですよね。
まあアズサも過労死して転生してるくらいなので、そっち系の闇は深いのですけれど、かつてをちゃんと反面教師にして、家族にも自分の限界を越えて無理とか無茶しそうになると、きっぱり止める所はアズサ自身のトラウマ感じると共に、自分自身の体験談も交えているので非常に説得力があります。
ゆるく軽くをモットーにしているような物語ではあるのですけれど、時折挟まれる人間社会の中で生きていく中で押し付けられる圧力や圧迫、強制力への戒めや、心の負担や精神的な疲労といった人が抱えがちになってしまうものへの真摯な手の差し伸べ方、言葉の選び方は時に鋭く貫くように時に優しく包み込むようで、ふと考えさせられたり感じるものがあったり、じわりと染みたりするものがあり、決して薄っぺらいお話ではないんですよね。
そして、家族を取り巻く愛情に癒やされる、ヒーリングされるのであります。
あのシャルシャとファルファの双子への愛情を伝えるためのほっぺたへのキス。そして娘たちからのお返しのキスのシーンは、ほっこりを通り越して尊さに解脱しそうになりました。
アズサって独身のはずなのに、かなりママレベルが高いんだよなあ。あとのフラットルテにもバブ味で陥落させちゃってるし。若い身空で小さな双子の娘を抱えて笑顔で頑張るお母さん味が強すぎる。
この物語に出てくる登場人物はみんな、アズサの事大好きなんですけれど、その好きってホントに家族への好きなんですよねえ。温かくて瑞々しい家族愛。
いや、ベル姐さんはまたちょっと違うんでしょうし、魔王ペコラがお姉さまと慕ってくるのも、あれ家族愛とはちょっち違っていますけれどさ。

こうして家族として加わってくるメンバーを見ると、全員寿命とか一切考慮しなくていい人外メンツばかりなので、この家族の時間はずっと続く、というのもなんかほっこりしてしまいます。
そう考えると巻末の描き下ろしの猫拾ってくる話は、そのまま飼うことになると将来色々と辛い想いをすることになるだけに、ああいう展開で良かったのかもしれません。
永遠に変わらない家族、となるとファルファとシャルシャがずっとお子様で居続ける、という所に引っかかるものがあるかもしれませんけれど、何気にこの二人、社会性は高くてそれぞれ趣味が高じて分野の研究者として認知されはじめているので、家族の家では可愛い娘たちですけれど、外との繋がりでみると会社社長なハルカラ並みに広く深くいろんな人脈を広げているのは、ハルカラが逮捕された一件で各分野の学者たちにアポ取りまくったことからも明らかなので、実は社会人としては何百年も一所にとどまってて世間が狭いアズサよりも大人だったりするあたり、こうバランス取れてるなあと感心したり。
なにはともあれ、面白かった!




スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました ★★★☆   



【スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました】  森田季節/紅緒 GAノベル

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現世で過労死した反省から、不老不死の魔女になって、スローライフを300年続けてたら、いつの間にかレベル99=世界最強になっていました。
生活費を稼ぐためにこつこつ倒してたスライムの経験値が蓄積しすぎたせいみたいです……。
そんな噂はすぐに広まり、興味本位の冒険者や、決闘を挑んでくるドラゴン、果ては私を母と呼ぶモンスター娘まで押し掛けて来るのですが――。

「だから、道場じゃないんだから道場破りに来ないでよ……」

冒険に出たことないのに最強……って、どうなる私のスローライフ!?

アニメの方がもうどストライクで好みな上に大変面白かったので、原作の方も読みたくなり手を出してしまいました。元々森田季節先生のゆるい系の作品は好きな方なんですけど、ちょっとお高いレーベルだったので何となく手を出しあぐねてたので良い機会でもありました。
それにしても、森田さんの作品がアニメ化されたのってこの【スライム倒して300年】が初めてだったのかー。もうベテラン作家の域に達しているので意外と言えば意外なのですが、言われてみるとアニメ映えする作品ってあんまりなかったかもしれない。すごく軽い作品もアレば、通好みだったり、人間の業や人生観をえぐるように掘り下げた作品など、多種多様あるんですけどね。

そういう意味では本作は軽妙洒脱なカテゴリーの作品なんですけれど、そんなライトなノリの中にもちゃんと「人生」という生きること日々を過ごすこと生活すること、という普遍にして不変の営みへの哲学が土台の部分にしっかり根付いているのが垣間見えるのが、森田先生の作品らしくてなんか好きですわー。
尤も、その哲学の自己主張は極めて低いんですけどね。でも、主人公のアズサには人生哲学というものがしっかりと芯となって通っているので、彼女の言動にはぶれない指針が伺えるのです。だから、ここぞという時の判断に迷いがなく明朗快活なんで、なんかこうスッキリしてるんですよねえ。

にしても、一巻でレッドドラゴンの結婚式まで行ってたのか。フラットルテまで一巻の段階で登場してたのね。フラットルテが登場するのってアニメでは中盤くらいでしたぞ。アニメの方ってこうしてみるとかなり丁寧に作ってたんだなあ。

それまで300年間一人でのんびりと暮らしていたアズサに、レベルが99である事が発覚してしまった事がきっかけで、次々と家族が増えることに。
一人で誰にも煩わされずにのんびりと生活することにも何の不満もなかったアズサ。300年間生きてきて、寂しいとか辛いとかホントに一切思っていなかったようで、これはこれで満ち足りた生活ではあったんですよね。
でも、レッドドラゴンのライカをはじめとして、次々と一緒に暮らす家族が増えていくという大きな変化が訪れる中で、アズサはその変化を喜びとして受け入れて、新しい家族を歓迎するのである。もちろん、一緒に生活すること、一緒に過ごすことが楽しい、新鮮である以上に彼女たちと過ごす時間に幸せを感じるからこその歓迎なのですが。
幸いにして、家族として加わってくる面々は人外ばっかりで、不老不死のアズサと同じ時間を過ごすことの出来る面々ばかりで、生きる時間のギャップみたいな問題は最初から排除されているわけですが。
アニメが面白かった分期待値も高かったのですが、なんかもう期待以上にほわほわとした空気感で、家族と過ごすなんでもない日常への多幸感が素晴らしい作品でした。スローライフと銘打ちながら、やたらと働きまくる物語が絶えない中で、本作は本当の意味でスローライフを完成させているといえるのでしょう。無理しない、頑張りすぎない。かと言ってだらだら……はしているけれど、充実感のあるダラダラなんですよね。家事は家族と分担して、負担とせずに楽しくこなしているし。いい加減で適当にするのではなく、ゆったりとして余裕を保ちながらもやるべき事はきっちりやっているからこその、気持ちの良い日々なんだろうなあ、これ。それが、家族と一緒にわいわいと笑い声が絶えないなかで毎日が流れていく。何十年何百年続いても、飽きないだろう退屈しないだろうただただ幸せな日々。もっとも、エルフのポンコツ娘、ハルカラみたいなトラブルメーカーもいることだし、様々な方向からトラブルやら御祝い事やら新しい出会いやらイベントやらが飛び込んでくるので、変化がない生活とは程遠い賑やかさになるわけですが。
なにはともあれ、思いの外楽しくてあったかくて思わずニコニコしてしまう、実に心地の良い作品でした。
しかし、ベルゼブブの姐さん、ほんと面倒見良くて頼りになって良いお姉ちゃんだなー!
なるほど、彼女が主役のスピンオフが出来るのも納得だわ。
ちょうどシリーズの何冊かが割引セールしていたので、まとめて購入。このままちょくちょく読んでいくぞーー。


ゴブリンスレイヤー外伝 2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》(中) ★★★☆   



【ゴブリンスレイヤー外伝 2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》(中)】 蝸牛くも/ lack GAノベル

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「――強いか弱いかしか興味ないヤツって、たぶんもう、冒険者じゃないよね」
怪物と成り果てた「初心者狩り」を打倒した君の一党はさらなる迷宮の深淵に挑む。そこには、未知の怪物との邂逅と、ある一党との出会いがあった――。
女司教と因縁のある一党と、彼女を賭け、迷宮探険競技をすることになった君は、暗黒領域《ダークゾーン》へと一党とともに挑む。
「小鬼になぞに、関わっている暇はないのです! 何故ならわたくしが……わたくしたちが、世界を救うのですから!」
「ゴブリンスレイヤー」の10年前を描く外伝第2弾。これは、蝸牛くもの描く、灰と青春の物語。

「――強いか弱いかしか興味ないヤツって、たぶんもう、冒険者じゃないよね」
これって何気にゴブスレ本編の方のシリーズ通じても重要なポイントになるんだろうなあ。これを語っているのが自身冒険者ではない「女情報屋」であることも相まって。
「冒険者(アドヴェンチャラー)」であるという事は、生きていく上での指針としてもきっと大事な事なのだ。作中、迷子の女の子を保護者を探して連れて行く、というイベントをこのダンジョン都市でも一位と二位のパーティーの強者たちが当たり前の事として真面目に取り組むシーンがあるんですね。人として当たり前、というのもあるんだろうけれど、それを彼らは「冒険者」として当然、と宣うわけだ。ダンジョンを探索するのも、迷子の姉を探索するのも、クエストとして変わらない。冒険であり依頼の達成であり、そいつこそ冒険者のお仕事であり醍醐味であり矜持なのである。
「冒険者にまかせとけ」。頼もしい台詞じゃないですか。
義務でもなく使命でもなく。
そう考えると、本編の方のあの妖精弓手の「冒険に行こう」というお誘いはほんと大事なことなんですよねえ。勇者ちゃんたちはちゃんと「冒険」出来ているんだろうか。
此度は、そんな「冒険者」足ることを考えさせられるお話でもありました。それは、ダンジョンの第4階層で、そこより奥に行く道が見つからずに探索が行き詰まり、ダンジョンに潜ることが未知を探索するのではなくただモンスターを倒して富を収奪するのみの行いになってしまうのではないか、という現実を前にしての困惑と苦悩であり。
ひたすら強くなることで世界を救おうとするパーティー、かつて女司教を置いていった彼女の友人たちのパーティーとの相対であったり。
「冒険者」とは? と、問うときに大事になってくるのが冒険者としてパーティーを組む仲間たち。ということで、より仲間たちとの関係に踏み込んでいく話にもなっていました。
主人公の「君」が、強敵を前に人事不省の重傷を負ってしまい、リーダー不在絶体絶命の危機に陥ってしまう展開も、まさにそれだったのでしょう。それまで不和らしい不和もないままだったパーティーが、いざ追い詰められた時明らかになる考え方の違いによる対立。それをまとめるべきリーダーの不在が、じっくり話し合う余裕のない危地がより顕著に浮き彫りになっていく。
ここで動揺して感情的になってしまい冷静さを失うのが女戦士で、逆にいつも大人しいのに判断を間違えずに動揺を抑え込む女司祭。そして普段のポワポワさが嘘のように、弟が死にかけているのに冷静沈着に臨時のリーダーを務め、短絡的に主人公を回復させずに撤退の指揮を執る従姉。
女性陣のメンタル強度が引き立つエピソードでもありました。
ゴブリン相手にはトラウマでグダグダになってしまう女司教ですけれど、それさえ関わらなければおどおどしているようでほんと判断は的確で情に流されないんですよね、この人。言うべきことはしっかり言いますし。従姉に至っては、見直した以上にゾクゾクする頼もしさでした。この人、本来これだけ出来るのに、普段ムードメーカー的にほわほわしてるのってそれだけ弟くんに任せっきりにしてるというか、それだけ信頼もして色々と預けきってるんだろうなあ、というのが今更ながら伝わってきたり。
一方で、女戦士の方は思ってた以上にメンタル弱々だったなあ、と。そもそも、前の巻からそういう側面は隠すこと無くわりと率直に見せていましたけれど、思った以上に折れやすかったな、と。このあともたびたび戦闘中にメンタルやられてグダグダになってしまう事がありましたし。
ただみんな、彼女がそういうキャラだというのはもう分かっているので、あんまりごちゃごちゃ言わないし、「君」に至ってはフォローうまいんですよね。それとなく励ましてテキパキと彼女のグダったメンタル立て直すんだよなあ。
普段は自分に自信がなくて弱気や迷いも多い女司教に対しても、的確にフォローし励まし勇気と自信を与えるリーダー。従姉は彼に関して女性の扱いがなっちゃいない、と苦言を呈していますけど、いやそんな事全然ないんじゃない!?
いやまあ、それは仲間に対しての扱いであって女性に対しての扱いはまた別なのかもしれないですけど、探索が行き詰まって落ち込んでいる所を元気づけるために買い物に誘ってくれた女司教に、ちゃんとその意図を汲んでしっかりとエスコートまでこなしたり、とわりと女性に対しての扱いもベスト尽くしていると思うけどなあ。
一巻ではデビューしたてでまさに初心者、というぎこちなさがあった君たちのパーティーだけれど、いつの間にかどんどんと最前線に追いついて、気がつけば探索深度に関しても稼ぎに関しても、一位に追いすがる二位の所まで来ているという上達っぷり。
ってか、普通にドラゴン倒せるほどになってるんですけど!? ゴブスレさんたちでは追い返すのが精一杯だったドラゴン。まさに冒険の象徴たるドラゴン退治をさらっとこなすまでに至っていたのか。
一度は死にかけてエラいことになったとはいえ、君のリーダーシップも胴に入っていてほんと一線級の冒険者パーティーになったんだなあ、と。
そして、挑むは視界の聞かぬ闇に包まれた暗黒領域。マップも何も見えないダークゾーン、というのはダンジョン探索RPGでは定番も定番ですけど、実際挑むとなるとやべえてなもんじゃないですよね。マップも見えない現在地もわからない何も見えない、って普通に死ぬじゃないですか。落とし穴など無くても、スペランカーよろしく段差で死ぬw
こうなってくると視力にあんまり頼らない女司教の重要性が段違いになってきます。ってか、マッパーとしても鑑定師としても優秀、奇跡だけじゃなくて魔法も使えます、ってどんだけ有能なんですか、というキャラなんですよね、女司教。そんな子がいらない子なわけないじゃないですか。これでもまだ自信を持ちきれない、というあたりに彼女の闇が伺えるわけですけど、キレイに闇を払うんだよなあ、この侍。
ってか、今回の話見ていると完全に女司教がメインヒロインの如く也けり、なんですけど、それでもあくまでサムライくんとは仲間としての信頼関係親愛関係なのか。10年後、ゴブリン絶対殺すマンなゴブスレさんがヒーローでメロメロになっちゃってるわけですしねえ。

女司教の元の仲間たちに関しては、再会の仕方があまりにもおかしかったので違和感どころじゃなく確信に近いものがあったのですけれど、むしろアンデットか精神攻撃かなにかなんじゃないのかと思ったんですよね。でも、街中で堂々と現れてるので実体はあるようだし、表に出て大丈夫で周りからも違和感持たれていない以上アンデットでもないようだし、さて露骨に描写される装身具も合わせてどういう仕組なんだろうとは疑問に思っていたわけですけれど。
いやこれ、最後のところまで「生きてた」のならそれはそれで残酷なんてものじゃないですよ。邪悪だー。
女司教への試練が厳しすぎるなあ。幾らメンタル強くても、さすがにねじ曲がりそう。まがった結果が、ゴブスレ本編のあの結構面倒くさくて重たそうな剣の乙女様なのか。まー、元々こんなん、とも言えるのかもしれませんが。



エリスの聖杯 3 ★★★★★   



【エリスの聖杯 3】 常磐くじら/ 夕薙 GAノベル

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「ごめんね、スカーレット。本当に、ごめん」

希代の悪女の亡霊スカーレットと、その復讐につきあうことになった地味令嬢のコンスタンス。
奇縁で結ばれた令嬢コンビはついに、十年前の処刑の真相へと辿りつく。
あとは順に復讐相手を見つけ出していくだけ、と気炎をあげるスカーレット。だが、王国内で
暗躍を続ける組織【暁の鶏】は、コニーやランドルフを『エリスの聖杯』の邪魔者であると認識し、
その排除のために動き出していた。
敵の意図を看破したコニーは、あえて冤罪を被って収監されることで、ランドルフの行動の自由を
確保する。しかし、そんな彼女に下された王命は『十年ぶりの公開処刑』だった――!
十年前のサン・マルクス広場、処刑場での邂逅から始まった二人の少女の物語。その果てに待つ
運命とは!? 感動の第三弾!!

はぁぁーーーー…………。素晴らしかった。うん、これを傑作、これを名作と言わずして何という、というレベルのお話でした。感動した。泣いた(語彙力
スカーレットを処刑した犯人、と言ってしまうのは語弊なのだけれど、彼女を死なせる決断をした当事者があまりにも衝撃的だった2巻のそれを引き摺りつつのこの三巻、この完結編。
スカーレットの処刑にまつわる真相はほぼ明らかになった以上、待っているのは解決編であり決着であったのだけれど、スカーレットの処刑の真相がああであった以上悲劇は既に起こってしまっている。これをどうスッキリ終わらせるのか。スカーレットの望む復讐をどう成し遂げるのか。
ちょっと途方に暮れてすらいたのだけれど、冒頭からそのまず最大の壁をスカーレットとコニーはひょいっと越えていってくれたんですよね。ランドルフ閣下が口ごもり躊躇するほどにその真相は残酷だったのに、この娘二人と来たら……強いなあ。
あれ、スカーレットパパを引っ叩いたのはスカーレットじゃなくて、コニーの方なんですよね。引っ叩いておきながら、あれだけビビってるのはこの娘らしいんだけど、あれだけ叩いたあとにビビるくせに衝動的にぶっ叩いたんじゃなくて、ちゃんと考えた上でぶっ叩くのがコニーらしいというべきかなんというか。
スカーレットの処刑を、果たしてアドルファスはどのように受け止めたのか。それをスカーレットの母と出会い、愛を育む所から描いてからあのスカーレット処刑後の様子を克明に描いた上での、あのボロボロに崩れ去った慟哭ですよ、あの遺骨を胸に抱いて咽び泣く挿絵ですよ。
彼の後悔が、絶望がどれほどのものだったのか、有無を言わさず刷り込んでくる。だからこそ、だからこその救いである。
この時点で、いつのまにかスカーレットの復讐って意味が変わってしまっているんですね。まだコニーとスカーレットの中では捉えきれていないけれど、物語上では見事に意味合いが変転している。
それは、コニーがハメられてスカーレットの処刑の再現に当てはめられた時を境に、スカーレットの中でも彼女の復讐、つまり執着、現世にしがみつく祈りは実際の形へと疾走して追いついていく。
自分が何のために、この世に幽霊として顕在しているのか。どうして、コニーなんて小娘にくっついているのか。
彼女にとって、幽霊となってコニーに復讐の手伝いをさせていたのは、過去の精算とはまた少し違っていたのだと、最後まで読むとわかるんですよね。
心残りを晴らすためではなく、過去の後始末をつけるわけでもなく、かつて自分を陥れたものたちに思い知らせてやる……つもりは勿論多分あるけれど、まあそれは落とし前というやつだ。きっちりしっかりミッチリとやっておかなきゃならないことだけれど、それだけを目的にそれだけに執着して現世にしがみつく、というのはツマラナイし、みっともない。スカーレットの名が廃るってなもんである。
ならば、スカーレットらしい幽霊になろうとも現世に降臨し続ける理由とは。君臨し続けるに足る動機とは。そう考えると、彼女のホントのラストシーンは全くもって「らしい」と思うんですよね。
未練、心残りを晴らしてキレイに成仏、なんてらしくないし、そもそも幽霊になった理由とは食い違っている。
スカーレットの記憶に残っていなかった処刑直線からその時の瞬間。それが明らかになる回想、いや時間が戻ってのスカーレット処刑のその時に、彼女が何を思っていたかが明らかになるあのシーンが全部物語ってるんですね。
それは悲劇ではあったけれど、スカーレット・カスティエルがその瞬間抱いていたのは絶望でも恐怖でも怒りでも憎しみでもなく、ああそうだ。
彼女の中にあったのは希望だったのだ。彼女は自分が勝利する事を知っていた。スカーレット・カスティエルが望むべき「未来」を手に入れることを。
そして幽霊になったスカーレットにとって、コニーと共に歩む時間はリミットのある猶予でも、過去の残り香としてこびりついているのでもなく、「今」だったのだろう。「現在」だったのだ。それを、彼女は「過去」で知った。自分が死ぬそのときに理解した。
彼女は、コニーに出会いに来たのだ。つまりは、そういう事だったのだ。
スカーレットがとっておきの秘密をコニーに明かしたシーン、あれこそが最高の本音で、本当の気持ちだったのだから。

ならばこそ、最後のスカーレットの選択は必然なんですよね。殊勝に身を引くなんて、あったもんじゃない。何しろ彼女は強欲傲慢なる悪の令嬢スカーレット・カスティエルなのだから。

そして、一身にその煽りを食らうランドルフ閣下であったw
いやほんとに、一番の被害者になってるじゃないか、ランドルフ。
そりゃね、ずっと闇の中を歩むはずだった人生を光の下に引っ張り出してくれた少女に本当の愛を捧げる事が出来て、ましてやお嫁さんになって貰えるし、一生一緒にいるという約束も交わしたし、万々歳のハッピーエンド!
だったのに、一生離れないにプラス1ですからね。いや、一生を共に、という約束を交わしたのはプラス1発覚後ですから覚悟の上かー。
朝起きたときから夜寝るときまでずっと一緒という状況に既に疑問を感じていないコニーさんが色んな意味で幸せすぎるw

この3巻は文句なしにスカーレットとコニーの物語だったわけですけれど、同時に他の幾人もの登場人物が己の人生の主人公たるを全うする話でもあったように思います。
パメラの方に完全に破滅へと突き進んだ者もあり、セリシア王太子妃のように闇の中を歩き続けた末に最期に自分の人生を取り戻した人も居た。ショシャンナのように一からやり直すためにもう一度歩き始めた子もいれば、ルチアのように絶体絶命の死地をその魂の輝きを以て突破して、ユリシーズ王子というヒロインゲットしてヒーロー道へと突き進みだすもう貴女もう一人の主人公だろう!?という勇躍を示す子もいる。
スカーレットの処刑という大事を境に終わり、はじまった様々な人たちの人生の迷い路。かの陰謀に関わった人も、コニーと共に新たに関わることになった新しい世代の子たちも、それぞれに一区切り、登場人物全員に一つの決着を迎えさせた、という意味でも凄い作品であり、凄い物語であったように思います。
個人的に、国王陛下やアドルファスパパの歩んだ十年も凄惨だったんだろうけど、エンリケ王子の歩んだ人生こそ壮絶の一言だったと思うんですよね。彼のセリシアへの想いの複雑さは、途方に暮れるほどに言葉にし得ないもののように感じるのです。彼のこれから歩むだろう静かな人生の中に、小さくとも心慰められる幸いがあらんことを。
そして、アドルファスパパが、心から笑うシーンが見られただけで、なんかもう万感でした。

あとは、ほんとルチアは次回主人公狙ってます、と言わんばかりの大活躍というか凄えカリスマで。
同じく囚われの身となったコニーが、これまでのエリスの聖杯をめぐる人との関わりから、その人柄でコニーを助けようという大きな動きがうねりとなって世間を動かしていく展開もなかなか胸に来るものがあったのですが、ルチアの方も同じ囚われの身になりながら、片っ端から顔を合わせる人をその魅力で落としていって、同じ囚われの身だったユリシーズ王子を守って大活躍、とか完全にヒーローでしたからね。早々に、自分が彼女を守るのではなくてヒロインの方だと受け入れて大人しくなるユリシーズ王子、なんかもう流石ですw

しかし、ほんと章の間に挟まれる登場人物紹介という名の尖すぎるツッコミと煽り文が面白すぎました。ここでわけの分からんけど的を射すぎてるキャラ付けされてしまった登場人物も多いんでなかろうか。というか、ほとんどの登場人物ここで変な固定印象つけられちゃってるぞw
黒幕のクリシュナへの、実はこいつ失敗ばかりでうまくいった試しがないみたいな煽りは、ちょっと笑いすぎてお腹痛くなりましたがな。

ともあれ、これ以上なく見事に物語にもそれぞれの登場人物にも決着を付けた上で、文句の言いようのないハッピーエンド。超本格サスペンス・ミステリーというジャンルを縦横無尽に走り尽くしてみせたあの緊張感、謎が解けていく時の驚愕、真相への衝撃、話自体のとてつもない凝縮された面白さ、何もかもが素晴らしかった。
これぞ傑作、不朽の名作でありました。



魔女の旅々 2 ★★★   



【魔女の旅々 2】 白石 定規/あずーる GAノベル

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あるところに魔女がいました。彼女の名はイレイナ。旅人として、長い長い旅を続けています。最強の武具を求める村人たち、結婚式から逃げだした王女、奇抜な格好の男、悩める衣装デザイナー、雪国の可哀想な少女、父親の遺産を探す賭博師、嘘をつけない国の王様、危険な爆弾を作った技術者、流浪の狩人たち、人間を魅了するネコ神さま…。様々な国を訪れ、多くの人々との別れを重ねて行きます。そして思わぬ人との再会も。「…次はどんな国でしょうね」魔女の旅はまだまだ続きます。新たな別れと出会うために。

魔女イレイナってどういう人なんでしょうね。この巻を読んでいるとどうにもその人となりの特徴らしきものが見えてこなくて、はてこのヒトってよくわかんないよね、と首を捻るに至ってしまいました。
キノの旅、みたいなお話です。旅人として、イレイナさんが様々な国を巡り、おかしな街や人々と出会っていくお話。だけれど、旅人であり異邦人という意識というか存在感が強くて、だからこそ訪れた場所や出会った人々の特異性を浮き彫りにするように、ひととき訪れた外部の存在として異物として外からの視点を持ち込んでいたキノのような旅人と違い、イレイナさんはなんか違うんですよね。
決して、訪れた場所の特異性に馴染むわけではないのですが、わりと似たノリで応じているのであまり異物感がない。その癖、おおむね他人事のように突き放しているので出会った人々に親しんでいるわけでもない。なんの縁もゆかりもないただの旅人としては当然の姿勢なのかもしれませんが。
イレイナさん特有の正否や善悪の基準や意志というものもあんまりないようで、その場その場のノリと感情で判断しているようにも見えますし、その意味ではいい加減な人だなあ、なんて事も感じるわけで。いやあ、色んな意味で緩い人に見えるなあ。
そんな中で唯一、と言ってしまうと語弊があるかもしれませんけれど、一番真面目に受けた依頼を果たし、相手に真摯に向き合っていたのは孤児エレーナの話の時だったように思います。このときもなかなか辛辣な物言いではあったんですけどね、エレーナの境遇に対して、この娘に対してとても真摯であり親身でありました。そういうふるまいも出来るんですね、イレイナさん。それがむしろ余計にこの魔女さんの在りようをわからなくしているようにも思えます。
人とは複雑で一様ならざるものなのです、と言ってしまうのもいいかもしれませんが、イレイナさんの場合そこまで複雑で奥行きのある人格、とやらにも見えぬしなあ。
各話もおおむね、さっぱりというか淡々というか、サクッと転がってサクッと終わるスナック感覚、というとまた違うかも知れないけど、まあ後味もあんまりないお話でありました。


エリスの聖杯 2 ★★★★☆   



【エリスの聖杯 2】 常磐くじら/夕薙 GAノベル

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希代の悪女スカーレットの亡霊にとり憑かれたコニーは、その復讐に付き合う羽目になった。十年前の処刑の真相を調べるための潜入捜査に、死神閣下ことランドルフ・アルスター伯との偽装婚約、果ては大貴族に睨まれての私的な弾劾裁判と、忙しい日々を送るコニー。だが、王国内に潜む陰謀の影が見え始めたと同時に、彼女自身にも得体のしれない魔手が迫る。謎の襲撃者をかろうじて撃退したのもつかの間、今度は親友のケイトが誘拐され!?リリィ・オーラミュンデが遺した謎の言葉『エリスの聖杯を破壊しろ』の意味とは?そして、スカーレットを処刑台に送り込んだのは誰なのか?悪女の亡霊×地味令嬢のコンビが、王国の闇に潜む巨大な陰謀に立ち向かう、大好評の貴族社会クライムサスペンス第二弾!

悪役令嬢モノの皮を被った超本格サスペンス・ミステリーという内実に度肝を抜かれた前巻。時間を忘れて夢中になって没頭してしまった経験からそれなりに構えてこの第二巻に取り掛かったのですが……。
わぁーーーうわぁあーー! マジかっ、マジなのかこれーー!!
ベールを剥がすように徐々に明らかになってくる暁の鶏という犯罪組織の暗躍の実態に、その目的、そしてこの国にまとわりつく闇の深さにハラハラさせられ、数年前に自殺したスカーレットの好敵手でランドルフの妻だったリリィの生き様に雷で打たれたような衝撃を食らっただけでもたまらんかったのに、トドメにスカーレット処刑の真実ですよ。
ついに、明らかになってしまったスカーレットがなぜ処刑されなければならなかったのか。彼女を殺したのは一体誰なのか。それが明かされた時の衝撃たるや。
呆然、呆然ですよ。なんてこった! なんてこった!! 不死身のデュランと呼ばれる御仁の痛みを堪えるような一言にもっと疑問を覚えるべきだったのかもしれない。そうだよな、あまりに都合良すぎるもんな。でも、普通それは偶然タイミングが良かったと思うよ、そのシチュエーションだと。
だって、そう考えないとおかしいもの。絶対におかしいもの。
でも、徐々に明らかになってくる真実は、スカーレットを害した犯人が佇む位置をグルリと反転させていく。待って、いや待って! と、引き留めようにも話はどんどんと進んでいってしまう。
スカーレットは、狙われていて狙われていなかった。誰もその死を望んでなどいなくて、しかし彼女は死ななければならなかった。なんて、こんな話があっていいのだろうか。
ああ、そうか。だから、スカーレットには処刑の時の記憶だけが残っていないのか。逆説的にではあるが、スカーレットにその時の記憶がないことこそが、既に彼女はその時すべてを知っていた、悟っていた可能性を指し示している。
コニーは、これコニーは果たしてスカーレットの復讐をどう果たすのだろう。元々、ただの貧乏貴族の子女に過ぎないコニーには巨悪を断罪する権力も権限も盛っていない。それでも彼女は自分に取り憑いたスカーレットの亡霊に親愛を感じ、彼女の怒りを自分のことのように受け止め、彼女のために復讐を果たすのだと意気込んでいる。これはもう、優しきコニーの怒りでもあるのだろう。
だから、これはもうコニーの復讐でもあるはずなのだ。しかし、これはほんとうに、どうするべきなのだろう。それはもしかしたら、スカーレットの望まぬ復讐になってしまうかもしれなくても、コニーは断罪の刃を振るうことになるのだろうか。どんな形で振るうことになるのだろうか。これはもう、まさにコニーという少女一人に託されている結末なのかもしれない。

しかし、この物語における令嬢達、みんな覚悟決まりすぎじゃないですか? ケイトなんか、コニーのために死ぬことに泣き言一つ言おうとしなかった。アビゲイル・オブライエンは自らを慕う者たちのために刑場の露となることを粛々と受け入れた。そしてリリィ・オーラミュンデは、このスカーレットの好敵手にして幼馴染にして生涯の友たる女性は、この国を滅ぼそうという巨悪の蠢動を前にたった一人で戦い抜き、その生涯における敗北はスカーレット相手だけという負けず嫌いの誇りに見合う、見事な勝ち逃げを敢行してみせた。勝利して去る。壮絶なまでの美しいと言ってすらいい生き様を刻み込み、あとに託して駆け抜けていったのだ。
カッコいいにも程がありすぎて、途方に暮れてしまいそうだ。男ども、本当になんとかしろよ、おい。
閣下ランドルフは一人気を吐いていると言っていいのかもしれないけれど、彼のバツイチとは思えない女性の扱いのポンコツさは、色んな意味で目を覆わんばかりだし。こいつ、何気にスカーレットパパと同類なんじゃないだろうか。パパはもう笑えない、でもランドルフはコニーにかすかにでも笑みを見せてくれている、その違いは大きいのだろうけれど。

ちょっとショックが大きすぎて、まだ頭がぼんやりしているのだけれど、処刑の真実、そしてエリスの聖杯というリリィが遺した言葉の意味がわかった以上、あとはこの国を取り巻く謀略をどうぶち壊していくか、なんだろうけれど、まだコニーとスカーレットのコンビはこの真実には辿り着いていないんですよね。ってか、ランドルフ閣下が先に辿り着いちゃって、これどうするんだろう。幕間の登場人物紹介でも思いっきり揶揄されちゃってるし。主人公コンビより先に真相にたどり着くとか空氣読めなさすぎー、とか書かれてるんですけど。相変わらず章ごとの登場人物紹介の皮を被ったキャラ煽りが面白すぎるんですけどぉ!!
ともあれ、三巻。次の巻を早く、早くしてくれぇ!(禁断症状


異世界国家アルキマイラ 2 ~最弱の王と無双の軍勢~ ★★★☆  



【異世界国家アルキマイラ 2 ~最弱の王と無双の軍勢~】 蒼乃暁/bob GAノベル

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異世界転移に巻き込まれた無双の魔物国家・アルキマイラとその王・ヘリアン。
辿り着いた異世界で悪逆を尽くすエルフの国家・ノーブルウッド先遣隊を撃滅し、無辜の民を救ったことで新たなる地でもその力と名声を拡げつつあった。
国家基盤が整う中、現実世界への帰還を願うヘリアンは、信頼のおける軍団長と共にこの世界の調査を決意する――
その最中、自らと同じ黒髪黒眼の少女・シオンを助けた事を契機に運命が動き出す。
この世界最強と謳われるに存在に力を見込まれ、猛る魔獣ひしめく迷宮攻略のクエストを受けたヘリアン達を待ち受けていたのは、神代から残された古の力!!

「万魔の王の名に於いて、アルキマイラが瞳、リーヴェに命ずる――撃滅せよ!」

今――万魔の王の命を受け、光纏いし月狼が覚醒する!!
無双の配下と歩む王道ファンタジー戦記、待望の第2弾!

王とは孤独なもの。特にただのゲーマーから突然魔物たちの王に祭り上げられてしまったヘリアンからすれば、王としての体裁を繕い続ける事は自分の生存を賭けた命がけのロールプレイなのだ。配下の魔物たちに決して隙見せてはいけない、という存念が彼を縛り続ける。
それが、部下たちの心理的な距離の隔たりを感じさせるのだろう。
見ていると、ヘリアンは部下たちよりもこの異世界に飛ばされてから知り合った人たちとの方が打ち解けてるんですね。ハーフエルフの王族姉妹、特にリリファなどはその最たるもので他の誰にも見せていない素のヘリアンを彼女の前だけでは解放している。
彼女の前でだけ、緊張を解いている、と言っていいかも知れない。そうやって、辛うじて心理的な休息を、癒やしを得ているのだ。
それ以外の時の彼は強迫観念に駆られたように王としてのロールプレイを走り続けている。彼自身の責任感の強さも大きいのだろうけれど、それだけ周囲に心許せる環境になく、王であり続けなければならないという切迫感が、彼に立ち止まることを許さないのだろう。
リーヴェをはじめとして、少なくともはじまりの三匹は、彼が王でない頃から付き従う魔物たちは、ヘリアンが王だから慕っているわけではないというのに、それをヘリアンが知る事はないのだ。
それが、どうしようもない壁となって両者を、リーヴェとヘリアンを隔ててしまっている。
仕方ない側面もある。リーヴェにとっては、彼の従者となって成長して側近に取り立てられてこの異世界に飛ばされて、という経験は地続きの体験だ。でも、ヘリアンにとって異世界に来るまではリーヴェたちはゲームの向こう側の存在だったのだから。
リーヴェにとって、生まれたての頃の無力で何も出来ずに悔しい思いをして、でもヘリアンと一緒に走り回って泥だらけになって、一緒にはしゃいで可愛がってもらって、という経験は色鮮やかな得難い思いでなのに、ヘリアンにとってはゲーム上の話でしかないのだから。
ヘタに生の人間として出会ったリリファやシオンたちと比べて、やはり配下の魔物たちはゲームを隔てた際の記憶が付きまとうのかもしれない。どこか、そういう意識で見ている向きもあるのだろう。それでいて、今は生身の魔物たちとしてすぐ側で息づいている。そのギャップが、ヘリアンの場合は無意識に距離を置く形となって出てしまっているのかもしれない。
リーヴェも、今となっては忠実な側近を務める事に頑張ってしまって、本音を繕い冷静沈着な仮面のうちに収めてしまっている。
そんな二人のどうしようもない隔たりが、なんともモヤモヤさせてくれる展開でした。せっかく少人数での人類圏への調査遠征であるというのに、リーヴェは冷遇されてると勘違いして落ち込み、ヘリアンは心の余裕無くリーヴェの不安に気づかず、という微妙な状態が続いてしまいましたからね。
要はほんとにワンコなんですよね、リーヴェって。それに対して飼い主ではなく王様として振る舞っているからか、細かい所に心配りが行き届かないというべきか。彼女に対しての絶大な信頼を、ちゃんと示してあげられていなかったというべきか。
その意味では、最後にヘリアンがちっちゃい頃のリーヴェは、たとえNPCでも実に可愛らしいキャラクターだった、というのを思い出して、あの頃のようにダダ甘にもしゃもしゃして褒めて可愛がってあげたのはこの時点においての満点だったような気がします。今までみたいに考えて考えての行動ではなくて、思うがままに感情のままにの行動でしたけれど、きっと本当はそれが一番正解なんだろうなあ。
まあ、臆病で慎重なヘリアンはそうそうそんな考えなしの行動には出られず、心に鎧を覆わずには居られないのでしょうけれど、せめてリーヴェには信頼以上の親愛を注いでそのように接してあげて欲しいものです。


異世界国家アルキマイラ ~最弱の王と無双の軍勢~ ★★★☆  



【異世界国家アルキマイラ ~最弱の王と無双の軍勢~】 蒼乃暁/bob GAノベル

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国家運営系VRゲーム『タクティクス・クロニクル』で頂点を極めた王・ヘリアンは、ゲーム内の自国ごと異世界へ転移してしまう。そこで出会ったのは、自我を持って行動する魔物の大軍団。そして、元NPCである一騎当千の軍団長たちであった。身分を隠し、臣下と共に探索に出たヘリアンが直面するは、尊厳を踏みにじられながらも巨大なる悪意に抗う無辜のエルフたち。罪なき人々の涙が胸を打つ時、彼は王としての自覚に目覚め、怒りと共に決意する。旗下十万の魔軍で総力をもって非道に鉄槌を下さんと!万雷の雄叫びが世界を揺らす時―無双の融合魔獣が一斉に進撃する!!熱狂を巻き起こす

ああ、本当に凡人の少年なんだ。ゲームの世界に入り込んでしまった、というのとは少し違っていて、ゲームが現実化してしまった上に本来プレイしていた国家運営系VRゲーム『タクティクス・クロニクル』の世界とは別の世界に、自分が率いていた国家アルキマイラの首都だけくり抜かれたように全く見知らぬ異世界に転移してしまったヘリアン。
ゲームのシステムとして、プレイヤーである魔物の軍団を率いる王様だけが人間で、戦闘能力は皆無という設定だったので、配下の魔物たちが反旗を翻したらあっさりと殺されてしまうという最弱設定。しかも、ゲームの設定としても反逆は組み込まれているのだから、そりゃこんな状況なら怯えてしまいますよね。
そう、ヘリアンは能力的にも最弱で、かといってメンタルが強いというわけでもない普通の少年なものだから、このあまりにもあんまりな状況に放り込まれたことで現実逃避し続けるわ、配下の魔物たちの言動にビビりまくるわ、非常に情けない姿を露呈してしまいます。いや、露呈はさせていないのか。そういう自分の身が危うくなりそうな行状については、王としての演技に徹することで何とか覆い隠していくのですけれど、内心は不安に押しつぶそうになっての泣き言ばかり。
だから、彼は本当の意味で最弱の王なのでした。
でも、王様であることだけからは逃げ出さなかったんですよね。それが、この現実化したゲームの世界の中で唯一生き残る術だったとしても、彼は自分と同じく異世界に放り出されてしまった配下の魔物たちの王様、という地位を放り出すことはしなかった。
そして、その玉座に座るという行為だけに汲々とせず、王としての責を果たし続けたのである。

作中で、第一軍団長でヘリアンの第一の側近であるリーヴェが、滅びかけたハーフエルフの王国の若き王女であるレイファを、その能力は歯牙にも掛けないほど差がある弱者であるにも関わらず、絶望的な状況でありながら心折れる事なく自らの民を守るために奔走する彼女を、強者と称して讃えるのですが、その意味でもヘリアンもまた弱さを責任を果たさない言い訳にしない強者なんですよね。
儚くも真剣だった、幼くも本気で自らの身を挺して国を守ろうとしていた小さなハーフエルフの少女との約束を、血反吐を吐くようにその身を削って果たそうとする姿は、決して心弱きモノの姿ではありませんでした。
強い決意からではなく、罪悪感からのものだったとしても、その誰にも有無を言わせぬ鬼気すら漂わせる姿を侮るモノなどいなかったでしょう。その背中にあるのは、確かな王のカリスマでした。
彼の配下である魔物たちが、ヘリアンを慕い忠誠を誓うのは決して勘違いや思い込み、王の演技に騙されたものではないのでしょう。生まれながらに組み込まれた狂信でもない。ヘリオンは王の資質をちゃんと皆に示していたのです。
気づかぬは、当人ばかりなり。だからこそ、自分の情けなさばかりが心に淀んでいくのですが、ヘリアン本人と気づかずに夜の酒場で邂逅したレイファの、本音の感謝と共感が彼に届いたのだと思いたい。
そもそも、このアルキマイラという国家が幾多の種族が共生し、弱きを虐げずに共に生きるという在り方なのがいいんですよね。腹心である第三までの軍団長も、最弱の魔物から育てられて最強に至ったという過程を経ているので、弱いものを見下したり虐げたり侮ったりする考えは毛頭なく、魔物であっても弱肉強食という論理にキッチリと背を向けて、アルキマイラの在り方を自分の在り方とする
事に誇りすら抱いている。側近連中だけじゃなく、この国の魔物たちは多かれ少なかれそうした国の在り方に馴染んでいるので、気持ちいい連中が多いんですよね。
ヘリアンはまだリーヴェ以外は信じきれていないみたいだけど、八大軍団長同士も結構仲いいみたいだし、ヘリアンという弱き王を本当の意味で支えてくれるだろう良い仲間たちであり、良き国だと思うんですよね。そして、彼らとこの国をこんな風に育ててきたのは自分なのだから、彼がもっと自分自身やこの国そのものを信じられるようになれれば良いのになあ、と思ったり。
助けられなかったはずのものを助けることが出来たとき、思わず流した嬉し涙と共にようやく認めることが出来た、これが逃れられない現実であるという事実。それが苦痛だけではない、喜びと幸いになればいいなあ、とこの良き弱き王様の行く末に思いを馳せる。
未だ戦力的には底知らずの無双状態だけれど、本格的にこの世界の国家と接触するようになるだろう次回からはさてどうなるのか。楽しみなシリーズであります。

エリスの聖杯 ★★★★☆  



【エリスの聖杯】 常磐くじら/夕薙 GAノベル

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「いいこと、コンスタンス・グレイル。お前のこれからの人生をかけて、わたくしの復讐を成功させなさい! 」

誠実だけが取り柄の地味な子爵令嬢コニーは、とある夜会で婚約者を奪われ、窃盗の罪まで着せられる絶対絶命の窮地に陥っていた。
しかしそんな彼女の元に、10年前に処刑された希代の悪女、スカーレット・カスティエルの亡霊が現れる!
かつてその類稀なる美貌と、由緒正しき血統と、圧倒的なカリスマでもって社交界の至宝と謳われたスカーレットは、コニーに憑依するや瞬く間に形勢を逆転し、危機を救う。だが、その代償としてコニーが要求されたのは、スカーレットの復讐に協力することだった!?
利害関係から始まった二人のコンビは、貴族社会に潜む悪意や陥穽を蹴散らすうちに大切な絆で結ばれた真の相棒へと成長し、やがて過去から続く巨大な陰謀と対峙していく……!


………………お!? うぉお!? あれ? 読み終わった? 終わっちゃった? 一巻これで終わり!? ここまで!?
……おおおおーー。ほわーーー。なにこれ、完全に引き込まれてたよ。夢中になってた。気がついたら読み終わってた。
お、面白かった〜〜。なにこれ、すごい面白かったんですけど。すごいすごいわはー(テンションあげあげ

いやこれ、普通の悪役令嬢復讐譚じゃなくて、本格サスペンスじゃないですか。十年前の陰謀が現在まで宮廷の闇の奥底にはびこり、様々な宮廷貴族や貴族令嬢たちの思惑や悪意のさらにその奥、その裏、その底でさらなる闇が蠢いている。そこに、真相を求めて踏み込んでいくコニーとスカーレットのコンビ。
謎が謎を呼び、過去に秘されていた秘密を見つけ出せば、さらなる秘密が浮き出してくる。すでにスカーレットだけではなく何人もの人間が謎の死を遂げており、一度なりを潜めていた宮中での蠢きは、コニーがスカーレットと共に動き出すと同時にこの現代においても表舞台に浮上してきて、謀殺と思しき死人が、様々なトラブル、事件とともに現れだす。
そんなかなり危うい橋を、コニーとスカーレットはドタバタお互い騒ぎながら突っ込んでいくのである。いや、危ない、危なっかしい!
コニー、元々「誠実」を家訓とする家のおとなしい内気な貴族令嬢だったはずなのですけれど、スカーレットに背中を蹴飛ばされるように叱咤されて、ヒーヒー言いながら走り回っているうちに段々と本性なのか秘められた素の顔なのか、結構面の皮が厚いと言うかタフというかすっとぼけて天然でガンガン行こうぜ、な所が出てきて凄い面白い子になってくんだよなあ。
土壇場に追い込まれたり、思わぬ事態に遭遇したりすると、貴族のお嬢さんとは思えない俗語(スラング)を素で飛ばしたりしますし。内気でおとなしい貴族のお嬢様が「マジかよ!」とか叫ばない!
スカーレットはスカーレットで、冤罪で処刑された悲劇の女性かと思ったら、処刑の要因となった後に王子の妃となる女性に毒を持った、という殺人未遂こそ完全に冤罪だったものの、それ以外の傍若無人な振る舞いは完全に悪役令嬢のそれでありました。ってか、悪気のない傲慢悪女だー!
でも非常に頭が良くまわり記憶良くもよく、相手にマウント取って這いつくばらせることには天性の才能を持つすげえ女だったのも間違いないようで。十年前の宮中の社交界を支配していたのは間違いなくこの娘だったわけだ。
だからこそ、なぜ彼女が処刑されるまでにハメられなくてはならなかったのか。一体誰が仕組んだのか。十年前、貴族界では何が起こっていたのか、そして今もなおそれはこの国の闇に根をはりうごめいているのか。
十年前、スカーレットのライバルだった、スカーレット以上に頭がまわり彼女とは比べ物にならないほど慎重で、狡猾で、多分悪友だった女性も、数年前に謎の自殺を遂げていたり。彼女がこっそり残していた謎の遺書を探しだしたり、とこれホントに本格サスペンスになってるんですよね。
スカーレットを陥れた者たちは、決してわかりやすいぼんくらどもなどではなく、正体もわからない巨悪であるというのがわかってきて、それと対決することになっていく展開はむちゃくちゃワクワクさせられて、引き込まれてしまいました。

しかし、幕間のたびに書かれてる人物紹介、人物紹介というかその章での登場人物の動向やら心境が綴ってある紹介表の内容が毎回爆笑もので、そのあまりの身も蓋もない書き方は笑う笑う、これ酷いからほんと。言いたい放題じゃないか。しかも、書き方にセンス溢れてるんですよね。っていうか、最後のケイトの欄とか、本編で彼女が置かれたシリアスな状況をぶち壊すような書き方してあって、そうかもしれないけどおおいッ!!てな感じで。あの人物紹介、毎回楽しみにしてしまいましたがなw

コニーとスカーレット、二人の令嬢コンビも最初は下僕と女王様みたいな感じだったのが、段々とコニーの方にも遠慮がなくなってきて、ほんとの相棒みたいになっていくのが良かったんですよねえ。
スカーレットに追い立てられながら、コニーもわりと最初からズケズケとモノ言ってたような気もするけれど、スカーレットに対して素直な気持ちもどんどん打ち明けてるんですよね。あの最初に助けてもらった時の感謝も。スカーレットも、何気にガンガン安全確認せずに突き進んでしまうコニーが心配でたまらなくなって、あれこれと世話も焼き出すし。スカーレット、過去にはリリィのような天敵兼宿敵兼好敵手みたいな悪友(仮)もいたけれど、その傲慢でつけあがった性格もあってか本当の友達はいなかったのでしょうけれど、こうやって遠慮なく言い合いつつお互い気遣い会える、お互いストップかけられる関係というのは初めてだったんでしょうね。自分を既に死んでいる幽霊だと忘れたように振る舞う(多分、実際忘れてる)コニーと打ち解けていく様子は、ほんとイイものでした。尊い。スカーレットと呼び捨てされるようになって、自分もコニーと愛称で呼ぶようになるあたりとか……うんうん。

なんか途中で死神閣下などと呼ばれる憲兵として活躍している、スカーレットの自殺した友人の元旦那と、事件の捜査も絡んで婚約(仮)するはめになるのですが、一緒に行動してみると「なんだこいつ!?」とお互いなってるあたりが笑えるやら案外お似合いやら。
まだまだ真相には爪先が掛かっているかわからないくらいなのですけれど、本当に面白かった。物語に引き込まれてしまいました。これは続き、楽しみで仕方ないわー。ってか、あそこで止めるとか凶悪すぎませんか!? どうなるのさー!

ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》(上) ★★★☆   



【ゴブリンスレイヤー外伝2 鍔鳴の太刀《ダイ・カタナ》(上)】 蝸牛くも/lack  GAノベル

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――始まりが何であったのか、もはや知る者はいない。
いずれにせよ《死》が大陸中へと溢れ出したのは、そう遠くないある日のことだった。
時の王が御触れを出した。『《死》の源を突き止め、これを封じよ』。
大陸中の勇士たちが立ち上がり、そしてその尽くが《死》に飲み込まれて屍を晒した。
その中で、ある一党の言葉だけが残る。
『北の最果てに、《死》の口がある』。
誰がそれを見出したのか、もはや知る者はいない。その冒険者も《死》の前に消えた。

《死の迷宮(ダンジョン・オブ・ザ・デッド)》。
曰く――迷宮からは無尽蔵に怪物がわき出す。
曰く――迷宮には怪物どもと共に無限とも思える富が眠っている。
曰く――迷宮の最奥には魔神の王が存在している。
死神の顎そのものである奈落の淵へ人々は集い、いつしか城塞都市が生まれた。
冒険者たちは城塞都市で仲間を募り、迷宮へ挑み、戦い、財貨を得、時として死ぬ。

君は冒険者だ。
悪名高き《死の迷宮》の噂を聞きつけ、その最深部へ挑むべく、この城塞都市を訪れた。

大人気ダークファンタジー「ゴブリンスレイヤー」の外伝第2弾!
これは、蝸牛くもの描く、灰と青春の物語。
「灰と青春」って実質ウィザードリィの代名詞みたいなものになってるなあ。
本作はゴブリンスレイヤーの世界観でありながら、ゴブリンを殺す物語ではなく、本編から10年前に達成された魔神王討伐、それを成した六英雄がパーティーを結成し初心者としてはじめてダンジョンへと挑む姿を描いた物語である。
ゴブスレ本編にも登場する「剣の乙女」もまだ初々しい女司教として出てくるのですけれど……、彼女って一体どのタイミングでゴブリンに蹂躙されてゴブリン恐怖症になってたのか知らなかったのですけれど、そうかーこのパーティーと出会う前の初の冒険で被害にあってたのか。
ある意味、ゴブスレ本編でゴブリンスレイヤーさんに助けられなかった女神官が辿ったかも知れない道が、彼女の歩いた道だったのか。
体を蹂躙され心を痛めつけられ、その視力を奪われ。これを最初の冒険で味わいながら、それでも諦めることなく魔神の王を討伐するパーティーを少しでも支援しようと場末の酒場で鑑定屋として働いていた彼女。その芯の強さはきっと途方も無いものなのでしょう。一方で、彼女は傷ついた少女でもあり目的のために自分を奮い立たせながらも、怯え震える事は抑えられず、小鬼ごときに傷つけられた己を卑下せずには居られない。
そんな彼女をすくい上げ、冒険の仲間として対等の存在として迎え入れた彼らは、確かにライトスタッフであったのでしょう。もちろん、同情もあったのでしょうけれどその境遇に惑わされず、剣の乙女となる彼女の強さを見失わなかった。同時に、彼女の傷ついた部分を無視もしなかった。
メンバー見てみると、心身ともにフォロー上手な面々が従姉の魔術師に半森人の斥候、蟲人の僧侶と揃っていて、みんな精神的にも頼りがいのある面々が揃ってたんですよね。主人公である湾刀使いの「君」も無頓着なようでそっと誰かの弱い部分を支えられる気遣い上手だったりするので、精神的に不安定な面があった女司教と女戦士の二人が居ても全然そこから崩れる感じのしない、安心感が段違いだったんですよね。
当然、ダンジョン初心者なニュービーのパーティーとして、経験も不足していて当人たちも不安たっぷり、と初々しいところは多分にあり、実力もまだまだこれから、というところだったのでしょうけれど。能力的なものよりも、精神的な安定感と堅実さが初心者パーティーとは思えないものを醸し出していたのも確かなんですよね。
良いメンバーに恵まれたパーティーだったのでしょう。
それに、最初から目的がダンジョン深層の攻略であり、この世に蔓延る死の空気を払拭する、魔神王の討伐、という所がハッキリしていたのもイイ方に作用してる感じなんですよね。初心者パーティーの掲げる目標としては浮ついていると言って過言ではないものの、英雄願望に突き動かされた暴走しがちな若者たちと一線を画した地に足がついたありようが、このパーティーからは感じられたわけです。
遭難したパーティーの救援や初心者狩りを討とうという正義感なんかも、採算度外視でともすれば浮かれている、と捉えられてもおかしくない選択のはずなんですが、不思議と彼らの場合は無謀な行いではない手の届く範囲に精一杯手を伸ばしているように見える。
結構、傍目には初々しいやり取りしてるんですけどね。

てっきり、ヒロインは剣の乙女リリィかと思ったら、夜中に自然と顔を会わせる女戦士の方がどうもヒロインっぽい。彼女は彼女でなにやら出自に謎があり、初心者狩りと戦いになる折には何か事情を感じさせ得る憂いある顔を見せている。彼女が抱える不安は何なのか、まだまだ知らない側面を垣間見せる彼女だけれど、「君」に見せる信頼感は艶っぽく小悪魔じみた言動とは裏腹に真に迫ったものがあり、段々と心が近づいていっている様子がなんとも面映い。
しかし、ここから一気に魔神王討伐まで行ってしまうのかしら。まだまだ初心者の枠から脱してはいないと思うのだけれど。

蝸牛くも作品感想

ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター> 2 ★★★☆  

ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター>2 (GAノベル)

【ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター> 2】 手島史詞/一色 GAノベル

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呪われた美術品をめぐり、『ナベリウス封印美術館』と『グシャラボラス工房』の争いが激化する!!

「ヴォルフさんは、また誰かを愛したりできるんですか?」
「ジブリルこそ、そういう相手はいなかったのか?」

敵対する「グシャラボラス工房」のクロウリーとの対決を経て、ヴォルフとジブリルは絆を強めていった。

そして、アーティファクト回収の日々を送る2人に転機が訪れる。
―とある田舎にある屋敷を訪れ、幽霊現象を起す原因を突き止めてほしい―
そこは、かつてジブリルが暮らし、魔術の修行した屋敷だった。
怪しげな依頼に危機感を募らせながらも調査を進めるヴォルフとジブリルの前に、倒したはずのクロウリーが現われる。

「くかかかかか、ミルシエル嬢の仇討ちは、もう諦めたのかね?」

「魔導書」「幽霊船」「象牙天球」「サーカスの帳」「隠された肖像画」新たなアーティファクトが2人を破滅へと誘う。そしてジブリルの秘密が明らかに……。

「自分の肖像画を取り戻したいんです。わたしの体も元に戻るかもしれませんから」
こいつもう、ジブリルにでれっでれよな。そもそも、ヴォルフって自分で思ってるほど堅物でも強面でもないんですよね。仏頂面で外に向ける態度も頭の中で考えていることも窮屈で、自分は復讐の鬼であると定義付けてそれらしく振る舞っているつもりなんですけど、本当につもりでしかなくて、やってること言ってることを見ると過保護もいいところなダダ甘お兄さんなのである、この男。カッコつけているわりに、ずっとジブリルのことばかり考えてるし、ジブリルのことばかり心配してるし、お前ジブリルのこと好き過ぎるだろう、というくらいダダ甘ですし。
それなのに、彼自身はジブリルに対して「もしかして俺はこの娘に対して好意のようなものを抱きつつあるのだろうか」みたいな事を厳つい顔をして真剣に考えているのだから、鼻で笑ってしまうというものである。
いやもうあんた、手遅れに手遅れを重ねるほどめっちゃ好きだから。
前回、ある意味ちゃんと自分の復讐に対するスタンスに対して整理をケリをつけたのが、ブレイクスルーになってしまったのか。前はまだもうちょっとジブリルに対してもぶっきらぼうというか、壁を置く態度を取っていたのがもう遠い昔に感じるようなありさまで。それでいてまだこいつ、自分はジブリルに対する気遣いのようなものが足りないんじゃないだろうか、みたいなことも真顔で考えてるし。いやもう、気遣い過ぎなくらい過保護ですから。ちょっと風邪ひいて寝込んでたジブリルにお願いされたら、リンゴを兎の形に剥いちゃうくらいなんでも言うこと聞きすぎですから。

まあ基本、態度が軟化したのはジブリルに対してだけじゃなく、館長代理に対してもかなり柔らかくなっているので、案外もとから気遣いの人、というよりもジェントルマンだったのだろう。ってか、身内に対してダダ甘なのよね、この男。妹に対してもかなりのものだというのを考えると。
そういえば、前巻の感想では年長者の貫禄、みたいなことを描いてた館長代理だけれど、今回寝込んでたジブリルの代わりにパートナーとして事件に出張った館長代理、こうして詳しく書かれてみると決して年嵩の経験豊富なロリババア、なんかではなく、あれ単に年長者のつもりでいる幼女にすぎなかったのね。実際年齢はヴォルフたちよりもよっぽど高いし、能力も際立っているものの、吸血鬼の種としては幼く、世間知らずで無知に等しく、結局のところ何もわからない中でそれでも年長者だからという事実に基づいてそれらしく振る舞うのを当然と思っている、ただの子供、でしかないんですよね、この娘。なので、じっくりとよくそのふるまいや考え方を見ていると、非常に幼いことがよくわかってしまう。
どうやら一連の事件でヴォルフと一緒に近くで行動したことで、彼女自身自分がわりとトンチンカンな基準のもとに動いてしまっていることが自覚できてしまったみたいで、素直にそのへん修正しているあたり、子供らしい直截さが良い方に出ていて、同時にやっぱり非常に聡い子なんだな、というのがよくわかった。
あくまでジブリルとヴォルフの庇護者であるスタンスは崩さないまま、自分は子供だという自覚を持って二人に子供らしく甘えることを覚えて、なんかもうすごく可愛いなあってなもんですよ。二人と両手つなぐシーンはナベリウス封印美術館のチームの関係を決定づけるものだった気がします。
あとは、クロウリー含めた決着なんだわなあ。

1巻感想

魔女の旅々 ★★★   

魔女の旅々 (GAノベル)

【魔女の旅々】  白石定規/あずーる GAノベル

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あるところに旅の魔女がいました。彼女の名はイレイナ。旅人として、色々な国や人と出逢いながら、長い長い旅を続けています。魔法使いしか受け入れない国、筋肉が大好きな巨漢、死の淵で恋人の帰りを待つ青年、滅んでしまった国に独り取り残された王女、そして魔女自身のこれまでとこれからのこと。わけのわからない可笑しな人や、誰かの美しい日常に触れながら、今日も今日とて魔女は出逢いと別れの物語を紡いでいきます。「構わないでください。私、旅人なものですから。先を急がなければならないのです」
魔女の旅々……「旅々」ってなんぞや!? ってかなんて読むんだ? と思ってたらちゃんとあとがきで解説があって、「たびたび」と読むそうです。そんな言葉あったっけ、となるのも当然で作者の造語だそうで。でも、見たことがない字面だけに、印象には凄く残ったんですよね。当初案の「魔女の旅」では全然記憶に残らなかった可能性も高く、何となく目に残ってしまうこの「旅々」というタイトルは成功だったんじゃないでしょうか。私もずっとなんか引っかかってましたからねえ。
物語のスタイルは幾つもの掌編を連ねていくタイプの短編集であり、灰の魔女イレイナが旅する先で出会う様々な人々、その土地の不思議な風俗なんかをイレイナの目を通して描いていく旅情モノ。ってか、先人たる「キノの旅」の後を行く同系統の作品となるんでしょうねえ。あちらほど御伽噺というか理屈を超えた摩訶不思議な空気感があるわけじゃなく、だからこそ登場する人物の心映や国情なんかは生々しい現実感があるのですが。
面白いのは、魔女イレイナは旅を好む好奇心の塊みたいな少女であると同時に、旅人としての分を弁えてる、というところでしょうか。人の良さもあって、決して人付き合いは悪くなく住民との交流も積極的なのですが、ある一線、「あ、こりゃあかん」と思った時のばっさり割り切って尻尾をまくる、あの危機感の高さというか見切りの速さはこの手の物語の主人公としては特筆に値するものがあるんじゃないでしょうか。ヤバイところに首突っ込まないんですよね。人助けはするのですが、手に負えないと判断したら迷わず退却を選択する、これは他人の事情に介入して最後まで事を見届けることの多い主人公タイプには見られない傾向で、このあとどうなったんだろうと気になってしまうほど話自体もばっさり終わってしまってる作品がけっこうあるんですよね。それが逆に妙に面白いなあ、と思うわけで。
イレイナ自身、決して深い事情を持っているキャラクターではなく、両親も元気に健在であり旅をしているのも幼少期にとある本に影響を受けて、というものであり、まったくの好奇心からなんですよね。ちなみに、彼女が旅に出ることを志す経緯に関しては、あとあとある種の連環というか受け継がれていくモノがあるというのが発覚して、思わずニマニマしてしまうのですが。
ただ旅をしたいから旅をする。母や師匠の言いつけをちゃんと守って、変に深入りしないようにしてるあたりもえらい真っ当な娘なんですなあ。とても感情が素直で、だからこそ出会う人によって垣間見せる色んな顔が興味深い。やっぱり、師匠との再会のお話あたりが一番素敵で好きなのですが。出会いと別れの繰り返しの先に、懐かしい再会もあり、ってのは心地よい変転じゃあないですか。
盛り上がり自体は決して多くはないわりと淡々とした作りではありますが、じんわりと浸ることの出来る良作なんじゃないでしょうか。もうちょい、話にグッと来るものがあれば、と思うところもありますがそれはシリーズ進むに連れて、かな。

ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター> ★★★☆  

ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター> (GAノベル)

【ナベリウス封印美術館の蒐集士<コレクター>】 手島史詞/一色 GAノベル

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「関わった者は破滅します。例外なくです。あれはそういったものなのです」
―アーティファクト―それは超常の力を秘め、様々な異能を発動する「魔術師が作った美術品」。この危険な美術品を専門に展示するという『ナベリウス封印美術館』。導かれるようにこの館の蒐集士となった青年ヴォルフと少女ジブリルは、アーティファクトを回収するため、不思議な騒動や怪事件に挑んでゆく。「天使を閉じ込めた鳥篭」「生者を虜にする棺」「観る者を溺死させる絵画」「死者を操る仮面」「殺人鬼の妖刀」「茨の棘」様々なアーティファクトが二人を待ちうける―。
あれ? そこまで例外なく破滅しているわけでもなさそうだけれど。一応、アーティファクトが途中で回収されなかったら破滅していた可能性はあるかもしれないけれど、どちらかというと所有者を唆したり勝手に起動させたり、と暗躍している輩が居ただけに、道具にそうした魔性の魅力があるとか呪われている、という感じはあんまりしなかったかなあ。あくまで道具は道具であって、使う人次第なんじゃないか、と。まあ実際は使用すればするほど進行する呪いがあったりするわけなんだけれど、ジブリルのようにアーティファクトを魔術師の最後の魂の作品という扱いで壊してほしくない、と思っている子もいるだけに尚更に道具が悪い、という感じでもないんですよねえ。あと、それほどアーティファクト自体にインパクトというか印象が残らなかったからかも。あくまでそれを使ったり巻き込まれたりする人間の方が主体で、この手の道具や本を回収して回る作品にしては道具の方が添え物なんですよねえ。というか、殆どヴォルフとジブリルの二人の話であって、使用者たちもあんまり印象残ってないなあ。
しかし、ジブリルが受けてる道具の呪いがかなりヒドイんですけれど。他人から姿は見えず声は聞こえず存在は認識されず、ジブリルの方から人や物に触る事ができない、という幽霊状態。そのくせ、壁やドアを透過したりは出来ないし、勿論幽霊みたいにふわふわと飛ぶことも出来ない。挙句に意図的でない接触ならぶつかってこられると衝突してしまうし、刃物なんかでも刺さってしまう、という一方的にリスクばっかり高いという状態で……これ、普通に外出歩いてたら事故で死ぬんじゃないだろうか。現代のような乗用車が行き交う時代じゃないにしても、誰にも認識されないのに無意識の接触はあるって向こうからどんどんぶつかってくるし、下手に転んだら容赦なく踏みつけられるし、部屋に閉じ込められたら鍵が閉まっていなくても出られなくなってしまうわけだし。
よくヴォルフと出会うまで生きてたなあ、というレベルの危険な有様である。まあ彼と会うまではあの特殊な包帯を使ってたわけだけれど、包帯だけ巻いてとかどんなエロエロな格好で外出歩いてたんだろうw
物語の構成はヴォルフとジブリルが二人でアーティファクトを回収しに行く話を先に持ってきて、そこからジブリルとの出会いの話。さらに遡ってヴォルフがこの封印美術館で働くことになった復讐譚の始まりの話。そして、それらの因果が集約された最終話。
概ねこの物語自体がヴォルフの復讐譚であることからも、やはり悲劇の始まりであるヴォルフの過去話が一番気合入ってる。もっとも大切な存在を奪われることになったヴォルフだけれど、幸いなのは彼にはまだ最愛の妹や両親に最高の親友が残っていた、というところか。すべてを奪われた悪鬼羅刹、となるには心残る相手がまだ居てくれたわけで、だからこそ彼の中にジブリルという存在が滑り込む余地があったと言えるのではないだろうか。
その意味では最終話は象徴的で、すべての事件の黒幕となる人物がついに表舞台に出る話ではあるんだけれど、同時にヴォルフが過去の呪縛から解き放たれる、というか自力で停滞から踏み出す話なんですよねえ。ジブリルという少女の存在が要となっているとはいえ、自分でちゃんと彼女の大切さを認めて、彼女に背中を押されたり導かれたり促されたりというわけではなく、ちゃんと自分で復讐の念にケリをつけてみせたあたりは非常に立派だと思うし、彼女を迎えにいけたのは偉いと思うのである。
館長代理はすごい慈愛の人でヴォルフに対しても手厚く手配りしてるけれど、決して子供扱いしているのではなく、ちゃんと青年として扱ってるんですよね。まあ、どれだけ成長しても息子は息子、みたいな感覚みたいな年長者の包容力をひしひしと感じさせてくれる態度ですけれど。幼女にもかかわらず。

ところで、やはりあの親友は童女趣味疑惑を超えて妹さんと結ばれてしまうのだろうか。ヴォルフ的にはOKっぽいがw
手島史詞作品感想
 
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