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転生魔王の大誤算 4 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート ★★★★   



【転生魔王の大誤算 4 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート】  あわむら赤光/kakao GA文庫

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憤怒の魔将が挑む、絶対に怒ってはいけない侵略作戦!?

魔将たちの心を見事にまとめ上げ、魔王としての器にさらに磨きがかかるケンゴー。
次なる作戦にサ藤、マモ代、ベル原を指名、三カ国を同時に無血攻略させるゲームを立案する。
マモ代やベル原が自信ありげなのとは対照的に、難題に苦悩するサ藤。
「バカな……殺すだけで減点だと!?」
憤怒の魔将だけどキレるの禁止!
存在意義を真っ向否定されるルールに、七転八倒するサ藤を見かねて、ケンゴーが差し伸べたとある救済策とは――サ藤のことを見てるだけ!?
「はい、ありがたき幸せです!!」
わずかなきっかけで劇的な急成長をさせる嬉しい誤算が止まらない!
愛する部下を熱く育てる最強名君の爽快サクセスストーリー第4弾!!
こういう勘違いで主人公が過剰に持ち上げられるように見える作品って、その勘違いや誤解ってなかなか解消されないんですよね。場合によってはすれ違ったまま最後まで行ってしまう。
相互理解が致命的に破綻したまま、主人公の本当の気持ちや価値観、素の顔なんて知らないまま、見向きもしないまま、理想を押し付けることで主人公は他人からの理想を演じるハメになる。
或いは、主人公が成長してそうした一方的な理想に追いついていく、という展開もあるのだけれど、本質的にそういった立場に立たされている主人公って孤独なんですよね。
その点、本作においては幼馴染のルシ子がケンゴーの最大の理解者で、彼が本当はヘタレチキンだと知った上で支えてくれている、ヘタレチキンだけれど彼の一番芯の部分にある強さや勇気や、履き違えていない優しさの持ち主だというのをちゃんとわかってくれている人が側にいるだけで、最初から随分と違ってはいたんですよ。
最初から、ケンゴーは孤独ではなかったわけだ。
それどころか、前巻では嫉妬の魔将レヴィ山くんが、ケンゴーのヘタレチキンのことはよくわかっていないものの、ケンゴー自身がよくわかっていないケンゴーの良いところ、長所、優れた所、残虐な魔王らしくないけれど魔王という支配者にして統治者として相応しい要素、ある意味ケンゴーの本質的なところを、もしかしたらルシ子よりもわかってるんじゃないか、という理解者だったというのが明らかになった話でもあったんですよね。
ルシ子にしてもレヴィ山にしても、ケンゴーのこと大好きなの、上辺とか見た目とか勘違いじゃなくて、ケンゴーの本質を理解した上で大好きでいてくれるし、ケンゴーの方も七大魔将たちのこと強大な魔族としてビビってるし反逆されないかいつも恐れてるし、過剰な評価や期待を押し付けてくるのに疲れているんだけれど、それ以上にケンゴーの方も彼らのこと何だかんだと大好きなんですよね。
マモ代をはじめとした他の魔将の面々も何となくケンゴーの素の方との距離感縮まってきた感もありましたし。
すれ違ってお互いのこと見えてなくて砂上の楼閣みたいないつ崩れてもおかしくないいびつな関係に見えていた魔王ケンゴーと七大魔将たちの関係、どんどん気心の知れた身内みたいな、主君と部下というよりも遊び仲間みたいな、すごくよい関係になってきていたんですね。

ただ、そんな七大魔将の中で、サ藤君は特にケンゴーとすれ違い食い違っている人物のように見えていました。冷酷にして残虐、怒りに任せての殺戮を厭わないキレ易い若者代表、憤怒の魔将サ藤くん。その在り方や思想は誰もが思い描く悪魔そのもので、穏健路線で人間とも出来れば戦争したくないし血を見るようなことは避けてほしい、という方針のケンゴーとは全く真逆なのである。
ところが、サ藤はケンゴーの事を崇拝と言っていいほど敬愛して、ケンゴーこそは魔族の中の魔族、冷酷非情なる魔王に相応しい人と思い込んで、自分の理想を当てはめているのである。
ある意味、魔将の中で一番ケンゴーの事を慕いながら、ケンゴーを理解していない人物でもあったわけだ。理解しようとすらせず、理解する気もなく、一方的な崇拝を押し付けていたのである。
ケンゴーの方も、彼の前では従順で大人しくて健気な少年という顔しか見せないサ藤の事を可愛い弟分として甘い顔ばかり見せている一方で、サ藤の残虐で恐ろしい性格の方はなるべく見ないようにしていた節があるんですよね。
そうした二人の乖離は途方もなく広がっていて、これいつか破綻して破滅的なことになるんじゃないか、と思ってしまうほどに、相互理解が壊れていたのでした。
こういう思い込みの激しく頑なで、ある意味純粋ですらある子って、ほとんど変わることがないから、もう彼に関してはずっと勘違いさせたまま、誤解させたままで行くのだろうか、とも考えていたのですが。

そうかー、この物語はケンゴーの方だけじゃなく、部下たちの方も成長させてくれる物語なのか。幼い固定観念を打ち壊して、すくすくと健やかに伸ばす機会が訪れる物語でもあったのか。
お互いに、成長していける話だったんですねえ。

契機は、サ藤が人を殺したりとかあんまり酷いことをしないで国を征服せよ、という課題のために離島しようとした魔王軍への降伏派に属していた幼き才媛リモーネ王女との出会いだったのです。
言われてみると、サ藤もまだ魔族としては若者どころか、少年と言ってもいい歳頃だったんですねえ。
聡明なる知性と勇気と天真爛漫さを兼ね備えた小さな姫は、頑迷な古くからの魔族の固定観念に縛られていた幼き魔族の、まさに蒙を啓いていくのである。そうして、サ藤の思い込みを解きほぐし、彼とケンゴーの間にあった錯誤をすり合わせていってくれるのである。
それも、サ藤の信じるケンゴー陛下の素晴らしい魔王としての姿を全肯定したまま、ケンゴーの魔王としての事績、その統治思想や考え方を説いていくわけである。
同時に、サ藤がゴミクズとしか思っていなかった人間という存在を、リモーネ自身がひっくり返しながら。
最初はお互いになんだこいつは!? と面食らいドン引きしながら、でも衝突を繰り返していくうちにお互いの存在に惹かれ合っていく幼い少年少女の育まれていく関係がまたいいんですよ。
いけ好かない小僧だったサ藤が、リモーネに言い負かされ諭され、いつしか我慢を覚えて、ときに自分の中の固定観念を壊されて幼い年相応の顔を見せ、そんなみるみると成長していくサ藤を、リモーネが憧憬とも慈しみともつかない表情で見守るという、このボーイ・ミーツ・ガールはこれがまた微笑ましくてねえ。
ついには、自分がボロボロになりながらも、足手まといのリモーネを決して見捨てず身を挺してかばい続ける、まるで騎士のように耐え続けるサ藤の、今までの彼からするとありえない姿を見せられた時は、なんかもう感動を通り越してしまいそうでしたよ。
この弟分の成長を、ケンゴー陛下が喜ばないはずがなく、そしてその弟分がゴミクズのように痛めつけられる事を許せるはずがなく。
ヘタレチキンが怒るとほんと怖いんやでえ。
かわいいかわいい身内が痛めつけられた際の、魔王陛下の憤怒は留まる所を知らぬのである。こういう時、もう誰も文句が言えないくらいカッコいい姿見せてくれるんだから、七大魔将たちの敬愛も尊敬も、何も勘違いでも過剰評価でもないんですよね。最近は、その辺がっちり噛み合ってきてすらいるし。
ってか、ケンゴーってば最後おっさん仲人みたいになってるじゃないですか。いやもう、手をつないでギュッと握り合うサ藤とリモーネの小さなカップルが尊すぎて気持ちはわかる!





ゴブリンスレイヤー 15 ★★★☆  



【ゴブリンスレイヤー 15】  蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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「姫様をどこにやった! 」
辺境の街へきた馬人(ケンタウルス)の少女は重戦士を詰問した。犯人とされた重戦士はゴブリンスレイヤーに調査を依頼。
「都市の冒険(シティアドベンチャー)は苦手なんだよ。あと腕っこきの斥候は他にいないからな」
「…………俺は、戦士のつもりでいるのだが」
馬人の姫君の行方を追い、一党は水の街を訪れる。彼らを迎えた剣の乙女はゴブリンスレイヤーに囁く。
「――銀星号をご存じ」?
馬人競走が盛り上がる水の街で、消えた銀星号を探せ――。
欲望と陰謀が入り交じる中、行き着く先は賽の目次第。鬼と出るか、蛇と出るか。

蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第15弾!
ある意味正道なるウマ娘ことケンタウルス女子。いやウマ娘はないだろう、と思ったら銀星号のデザインが思いの外ルドルフ寄せだった。あの流星は特徴的だからなあ。
というわけで、重戦士から依頼を振られたことで人探しの旅に出ることになったゴブスレさんとその一行。
クエストである。
つまりは冒険者のお仕事、だ。最近自分は小鬼殺しに邁進していなくて、普通の冒険ばかりしているがいいのだろうか、これでいいのだろうか、と小さく悩んでいるゴブスレさんであるが。
いいんだよ!
良いのである。これに関しては衆口一致。知人友人みんな同意見だろう。そしてパーティーメンバーみんなして、そんな普通のクエストでもリーダーはゴブスレさん、なんですよね。最初の頃は妖精弓手が、今度こそゴブリン殺しじゃなくて普通の冒険に連れ出してやる、引っ張り出してやる、なんて奮起していて、当時はそんな冒険者らしい冒険なんて自分には関係ない、と振り向きもしなかったゴブスレさんを無理やり引っ張り回そうとする側だったんですよね。引っ張っていけた試しもなかなかなかったのですが。そう、ゴブスレさんは引っ張られて連れられる側だったのに。
もう普通の冒険でも、リーダーとして率いる側なんですよね。まあ、メンバーはもうみんなベテラン揃いで今更ゴブスレさんがあれしろこれしろ、なんて指示する必要もないのですが。女神官だって、手慣れたもの。
でも、ゴブスレさんが出す指針と大まかなれども方向性、そして選択を迫られた時の判断は、そんなベテランたちをしてスムーズに行動判断を行う助けとなり導きとなるものだからこそ、全部ゴブスレさんに預けるわけだ。
信頼である。
今回は旅慣れない上にツンツンしてなかなか打ち解けようとしない馬玲姫が旅の同行者だったから、余計に旅慣れた面々の様子がよく見られた気がします。特に女神官のお嬢ちゃん。フォローされる側だった彼女も、今やフォローする側。彼女のさりげない気遣いと親切は警戒と不信で全身を鎧った馬人の少女をして、思わず差し伸べられた手を取ってしまうもの。掛けられた優しい言葉に、反発がわかずに素直にうなずいてしまうもの。
こうした頑なな人だろうとなんだろうと打ち解ける、というわけじゃないけれど、心開いて貰える。そう相手に話を聞いてもらえる、そして相手の話を親身になって聞く、という神官にとって大切なスキルをこの子は体得しつつあるんだなあ、となんだか微笑ましくなってしまいました。
なんだかんだとゴブスレさんのパーティーは、寡黙なゴブスレさん以外みんな人当たりは良いものの癖のある人物ばかりだから、女神官が相手だと安心できるんでしょうね。
それでいて、今や女神官はゴブスレさんの一番弟子的なポディション。今回、ゴブスレさんがシティアドベンチャーするにあたって、裏の筋に挨拶と情報収集に出向いた場所にも彼女を連れて行った、というのは彼女に裏のツテを与える、関わらせるわけじゃないけれど、こういう世界があるのだという知見を与えるためなのですから、立派な「教え」なんですよね、これ。
彼女がこういう裏の社会を利用することはないだろうけれど、こういう裏のすじものと組んだり利用し利用され、という仕事のやり方があって、それも冒険者の仕事のウチというのを受け入れる、というのは大きいんだと思いますよ。聖職者だけれど、冒険者。穢れのないものばかりを見てそれ以外を拒絶していたら、冒険者なんてやってられない。
そういう意味では、彼女はすんなりそういう裏で仕事をしてる人達もいるんだなあ。そして自分たちと助け合うこともあるのだろう、と清濁併せ呑むことを受け入れられているので、器大きいんですよね。
ただでさえ、考え方とか思考パターンとかゴブスレ流儀に染まりつつあるのに。
以前からも、女神官はもう立派な冒険者として成長したけど、その成長の方向性がゴブスレに似すぎてて大丈夫かしら、なんて言われることも侭ありましたけれど、今回は特にそこらへん顕著にゴブスレさんの影響が垣間見えた言動が散見された回でもありました。
ゴブスレさん並に、あの身も蓋もないGMが想定していなさそうな、え!?なにそれ!? とか言われそうな作戦を、ゴブスレさんに先んじて、やりませんか!?と提案しちゃってるあたり、毒されているというか朱に染まっているというか。みなさん、苦笑いですよ。
これだけ色んな意味でタフになってしまうと、女神官も将来は彼女がリーダーになってパーティーを率いる、みたいな事もあるのかもしれませんねえ。少なくとも、もうそれができてもなんら不思議ではない頼もしさを感じさせてくれる、今回の冒険でありました。
「冒険者(アドヴェンチャラー)に任せてください!」
「冒険者に任せとけ」はこのゴブリンスレイヤーという作品世界の決め台詞的なものですけれど、ついに彼女がそれを叫ぶようになったのか、と思うとなんだか感慨深いです。

そして、冒険が終われば冒険者はみな、宿や住処に戻っていく。
そんな中で、ゴブリンスレイヤーには帰る家がある。その家には、いってらっしゃいと送り出してくれる人がいて、その人は帰ってきた彼を「おかえりなさい」と言って迎えてくれるのだ。
冒険の中で手に入れたお土産を受け取って喜び、彼の語る拙い冒険の話をニコニコと笑って聞いてくれながら、温かい夕食を用意して一緒に食べてくれる。
今回は特に、本当に当たり前の冒険者がするようなクエストだっただけに。それを、牛飼娘にちゃんと今回は冒険に行ってくると伝えて「行ってきます」と言って旅立っただけに。ゴブスレさんが、家に帰るまでが冒険です、的な感じでちゃんと家に帰ってきたシーンは、なんだかジーンとなるものがありました。
ああ、今。ゴブリンスレイヤーはただただ当たり前の幸せの中にいるんだな。
それがなんとも、温かく染み入るのでした。



『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで ★★★★   



【『ずっと友達でいてね』と言っていた女友達が友達じゃなくなるまで】  岩柄イズカ/maruma(まるま) GA文庫

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男だと思っていたゲーム友達が、実は白い髪がコンプレックスの内気な女の子だった!?
引っ込み思案な少女と織りなす、もどかし青春ラブコメディ!

「シュヴァルツって、女子……だったの……?」
オンラインゲームで相棒としてやってきたユーマとシュヴァルツ。男同士、気のおけない仲間だと思っていたが……リアルで対面した“彼”は、引っ込み思案な女の子だった!?
生まれつきの白髪がコンプレックスで友達もできたことがないという彼女のために、友達づくりの練習をすることにした二人。“友達として”信頼してくれる彼女を裏切るまいと自制するが、無自覚で距離の近いスキンシップに、徐々に異性として意識してしまい……。
内気な白髪美少女と織りなす、甘くてもどかしい青春グラフィティ。
ふぁーー。これはイイなあ、主人公とヒロインの初々しさに心洗われてしまいそう。
杉崎優真と上城ゆいがはじめて出会ったのは、リアルではなくオンラインゲームの中でした。その頃はまだ中学生の年代だった二人ですけれど、現実でうまく人付き合いできずウチに籠もって自然と他人を拒絶して生きていました。それはゲーム上でも同じで、なるべく人と関わらないようにしながら遊んでいたのです。そんな中で偶々一緒に行動するようになった二人は意気投合、ゲームの中で相棒として一緒に遊ぶようになったのです。
それまで他人を遠ざけるようにして生きてきた優真にとって、相棒…シュバルツと過ごす時間は自分の価値観を塗り替えてしまうほど楽しく、彼と遊ぶことをきっかけにして現実での自分の在り方も変えてみようと思い、努力を重ねることになります。以降、優真のリアルは見違えるように彩りを変えていきました。上手く行っていなかった家族関係も良い形で回るようになり、優真は自分の人生を変えるきっかけになってくれたシュバルツをリアルでは会った事もないけれど親友と思うようになったのです。
このように、二人はお互い本名も本当の顔も知らないネット越しの関係だけれど、そんな事は関係ないくらい信頼を寄せ合う友達同士だったのです。でも、そんな二人だからこそ、もっと相手の事を知りたい、もっと仲良くなりたい、と思うことは必定だったのでしょう。
高校への進学を機に、お互いのリアルの情報を話し合った時偶然、自分たちが同じ学校に通うことになっていて、家も思いの外近所だとわかったとき、リアルで会おうとなったのもまた当然のことでした。
でも、それはシュバルツ……ゆいにとっては途方も無い勇気がいる事でもありました。
白い髪という他人にない特徴のせいで、幼い頃からいじめられていたせいで、酷いトラウマとコンプレックスで他人とまともに目を合わせる事も喋ることもできない、対人恐怖症に近いものを抱えているゆいにとって、人と会うために外出するということは本当に勇気のいることでした。
その相手が、自分を受け入れてくれるのか。この白い髪に変な顔をしないか、今まで女の子だというのを黙っていた事を怒らないか。不安や恐怖でどれほど胸を締め付けられていたでしょう。足が震えていたでしょう。
でも、その勇気を振り絞るだけの絆を、優真に会ってみたいという願いを抱くほどに、出会う前の段階で二人の仲は深まっていたんですね。
そうして出会った男の子は、彼女の想像を超えるほどに優しく、自分の怯えや痛みを理解してくれる人でした。
他人とうまくコミュニケーションを取れない時期が長かった優真にとって、ゆいの焦ってうまくしゃべれない様子やそんな自分に嫌悪を覚えて余計にパニックを加速させていく姿は、身に覚えのあることで、だからこそどうすれば彼女の緊張を紐解いていけるか、よく理解できていたんですよね。
上から保護する形ではなく、寄り添って傍らから支える形でゆいと交流していく優真のそれは、もうパーフェクトコミュニケーション以外のなにものでもありませんでした。これから高校に通うというくらいの年齢なのに、ほんとよく出来た子だわー。
でも、同時にみたこともないきれいな女の子にドキドキしてしまう思春期の男の子であることも間違いではなく、相手が女の子だとわかった途端に初めて友達と会うというそれとは違った浮ついた気持ちになってしまう自分に、下心をどうしても抱いてしまう自分に嫌な思いを抱いてしまうところなど、誠実でもあり可愛くもあり、いい子なんですよね。
そんな男の子に対して、ゆいがどんどん心を開いていくのも当たり前で、高校に進学する前にゆいの人と接することへの忌避感を弱める練習として、いろんな所に連れ出して一緒に遊んでくれる優真への信頼が加速していくのである。しばらくしたら、もうべったりと懐いて無防備なくらいにくっついて離れなくなってしまった所なんぞ、ワンコみたいな所もあり、可愛らしくて仕方ないんですよね。
そりゃもう、優真も困る。
優真の義姉がまた破天荒な人物で、自分でブティックなんかも経営している才媛なんだけれど、このお姉さんがまた良い相談相手になってくれるんですね。
お姉さんの手で、それまで人前に出る事がなかったので髪の手入れや服装など野暮ったい格好しかしていなかったゆいが、見違えるように身だしなみを整えられて、素材だけでも傑出していたのに、それを磨ききった形でとてつもない美少女として完成されて出てきた彼女を、ただでさえ全力でしっぽを振りながら懐いてきてくれるゆいにグラグラしていた優真がノックアウトされないはずがなく、完全に女の子として意識するようになってしまうのである。
最初に、恋をしたのは優真の方だったんですね。でも、友達として慕ってきてくれるゆいにこんな気持を抱いてしまうのは不誠実なんじゃないか、こんな下心を抱いて接してしまうのはダメなんじゃないのか、と悩む少年に率直な助言を与えてくれるのがネネお姉さんなのである。
まあ、傍から見ていてお互いを深く信頼していてピトッと引っ付きながら恋にもまだ至らずにふわふわと寄り添ってる二人は、初々しいやら尊いやら、見ていてたまらなくなる関係なだけに、ネネさんが悶絶するのもよくわかるんですよねえ。
下手に手を出さなくても、意識するかしないかの境目で甘酸っぱい雰囲気をたたえている二人は、応援せずには居られないでしょう。悩める少年に細やかなアドバイスを与えるのは、ほんと良いアシストでした。
この時点では、まだゆいは恋に至ってはいなかったんですよね。優真のことが大好きで大好きでたまらなくて、彼のことを信頼しきって頼りにしきって彼の喜ぶことなら何でもしてあげたい、と思うまでになっている彼女ですけれど、それはまだ恋じゃなかったのである。
それは、どうにも自分を異性として意識しはじめているらしい優真の様子に気づいて、優真は自分が彼女として付き合ってくださいと言ったら喜んでくれるかしら? なんて悩み始める姿からも明らかでした。
彼女のそれが恋ならば、そんな風に優真のためだけに、彼が喜んでくれるから、という理由で彼女になろうとなんてしなかったでしょう。
でも、そうした些細な機微に気づくのが、ネネの助言で腹を決めてゆいと一緒にいると決めた優真だったんですね。彼女が自分のことを好きになってくれたら嬉しいし、好きになって貰うために頑張るし努力するつもりだったけれど、これはちょっと違うんじゃないか、と。
ちゃんと察してあげられる。無分別にがっつかずに、しかし安易に拒絶せずに、彼女の心の動きをしっかりと理解してあげられる優真少年のそれは、本当に良く出来ていたと思います。
ゆいへの友情と愛情と優しさが、気遣いが、心配りが、行き届いているんですよね。こんなイイ男の子はいないですよ。
そして、そんな彼の良さを、素晴らしさを一番理解しているのもまたゆいなんですよね。彼がどれだけ自分のことを大切にしてくれているか、想っていてくれているか。これまでも十分伝わっていたけれど、それがオーバーフローするくらい自分の器を満たして溢れ出して、そうして彼女はついに自分の中のドキドキを発見するのである。
彼のことを考える時、思う時、自分でも制御できないくらい心が弾むことを、押さえきれないくらい胸がドキドキしはじめる瞬間を、彼女は自覚するのである。
恋が、そうしてはじまるのだ。

この物語は、二人の男の子と女の子がかけがえのない親友になり、そこから恋がはじまるまでの過程をとても丁寧に柔らかく描き出してくれたとても素敵な作品でした。
作中時間としては結構短いんですよね。学校が始まるまでの春休みの期間。でも、そんな短い時間だけれどとても密度の濃い、人生が書き換えられていく、人の心が、想いがページをめくるように進展していく様子が描かれたものでした。色づく季節、とでも言うんでしょうか。ああ、春なんだなあ。
まさにこれ、タイトル通りのお話でした。

ここからは、恋しはじめた二人のお話。高校という新しい生活に、二人で踏み出すお話であり、意識せずには居られなくなった初々しく可愛らしいカップルのお話。
ぜひ、ここからの二人のお話、読んでみたいです。もう、二人共めちゃくちゃ可愛かったッ。

岩柄イズカ・作品感想

処刑少女の生きる道(バージンロード) 6.塩の柩 ★★★☆   



【処刑少女の生きる道(バージンロード) 6.塩の柩】  佐藤真登/ニリツ GA文庫

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彼女が彼女を殺すための物語、破戒の第6巻。
「お前は、忘れない。ここで死ねるのなら、お前は幸運だ」

メノウと導師「陽炎」。
塩の大地での師弟の戦いは、メノウへと天秤が傾きつつあった。
アカリとの導力接続で手に入れた膨大な導力と、行使可能になった疑似概念【時】。
新たな力を得たメノウの勝利で終わるかと思われた訣別の戦いは、しかし、見え隠れする【白】の存在により予想外の方向へ向かいはじめる。

その頃、“聖地”跡では万魔殿が「星の記憶」へ足を踏み入れていた。
マノンの遺した一手が彼女に致命的な変化をもたらすことも知らず――。

そして、最果ての地にひとつの破局が訪れる。
彼女が彼女を殺すための物語、破戒の第6巻。
そして貴女は落ちていく。
地面に横たわる姿にはじまったこのシリーズの表紙絵は、5巻でついに立ち上がり戦う決意を見せた。そこから立つべき地面を失ったようにメノウはどこかへ落ちていく。墜ちていく。堕ちていく。

メノウは自分の生きざまをふらふらと蛇行しながら前進していると言っていたけれど、同時に師匠のことを悪でもなく前でもなく中道で、合理的で残酷でありながらも人間的だと語っている。フレアは、冷たく硬い鋼のような人間だった。その在り方は最初から最後まで変わらなかった。
でも、彼女は冷たいまま、金属のように硬いまま、無二の友情を得て、一人の弟子を慈しんだ。
友を殺し、弟子も利用した挙げ句に殺そうとして、そこに後悔も罪悪感も持たないのに、それでも彼女にとってあの日本人はたった一人の友人だったのだ。メノウは、自分の手で育てた娘だった。
だから、友人を殺したことを後悔もしていないのに、彼女の敵を討つために20年を費やした。その20年掛けた罠のためにメノウを育てて、利用して殺すつもりは一切揺らがずやり通したのに、フレアは娘を愛していた。その双方が矛盾せず両立していたのが、フレアという人物だったのだろう。彼女はあまりにもその在り方が一貫しすぎていて小揺るぎもしなかったが故に、矛盾すらも貫いてしまったのか。
後悔も罪悪感もなかったフレアにとって、自分の人生に不満も痛みもなかっただろう。彼女は最後までゆるぎもしなかった。ただ、揺らぎたかったのだろう、という願望だけは透けて見えた。友人と旅していた頃、自分の人殺しの生き方にずっと罰を欲していたことを思えば、メノウの在り方はかつて自分が望んだものだったのだろうか。
最後に至っても、フレアの心のうちは理解の遠く向こうだ。フレア自身が自分をわかる必要を認めていなかったように、自己分析の欠片も思い描いていなかった事もあるのだろうけれど。その奥底にある真実は彼女の言動や回想の欠片から一つ一つ拾い上げていかないと見えてこないし、そうして組み上げたものが本当の真実かなんてわからない。
ただ、事実だけを見るならば、フレアは自分の人生の大半をかけて、自分が友人を殺すことになった原因である白を討とうとしていた。そして、そのために利用し尽くすつもりだった弟子に、彼女はずっと選択肢を与え続けていた、ということだ。
彼女が最期に撫でようとした腕の位置は、幼い女の子の頭の位置だった。
その事実さえ覚えていれば、きっと事足りるのだ。

これまでずっと鳴りを潜めていた勇者・白。それが、アカリという少女がこの地に降り立ったことで、そして日本帰還の術式の準備が整ったことで、ついに千年の長き時を経て動き出す。
あの白の名前とは裏腹の凄まじい黒穴の如き眼が描かれた姿の挿絵は、やべえの一言。これ、夜中に見たら本気で「ひぇ!」となる絵だったりする。マジ怖い。
こんな眼をしているやつがやばくないわけがないという逆説が成り立つくらいヤバイ。どういう塗り方したんだ、この眼。

しかし、白が動き出したことでアカリとメノウの繋がりが断ち切られたと同時に、一気にパーティーの再編が行われるんですよね、これ。
シャッフルされたというべきか。モモと姫様が現場を一旦離れたのに合わせて、まさかの人災(ヒューマンエラー)サイドからの参入である。そのおぞましいというほかない、存在自体が災害であり呪いであり破滅そのもの、という悍ましさをこれでもかと今まで見せつけてきた以上、人災たちの存在というのは倒したり乗り越えたりするべき敵であるか、それ以上に逃げなければならない厄災天災そのものか、というスケールだったのに、まず最初にそれをひっくり返したのがマノンだったんですね。
まさか、あんなあっさり退場するとは思っていなかったのだけれど、それ以上に置き土産が盤上をひっくり返すどころじゃない、とんでもねー一手だったわけだ。
ある意味それは神を零落させたようなもので、理解が全く出来ないが故に脅威だったものを理解できるものに堕としてしまった、或いは昇華させてしまったとも言えるんだけれど。いずれにしても、話ができる相手になった、というのは大きいどころじゃないんだよなあ。
そして、なんであんな根っからの小物なのに、大きな仕事ばっかりするんでしょうかね、サハラさんは。こいつ、自分では何しようとしてもろくなことにならないんだろうけれど、他人から強制されながらイヤイヤやる気なくむしろ失敗してしまて、と思いながらやると大成功するみたいな業を持ってるんだろうか。
なんか思わぬところからお姉ちゃんが出来てしまったところとか、笑っていいのか呆れていいのか、わからんのですけどw まるで話が通じなさそうなところとか、サハラにばっちり合いそう。しかし、このお姉ちゃんも所謂計り知れないヤバイ枠なのだから、メノウの新パーティーってかなり意味不明なことになってるんですがw
いや、相手が相手だからこれくらい揃ってないといけないのかもしれませんけれど。
というか、これ人災両方サハラに紐付きになっちゃったんだけど、この小物どこまで行ってしまうんだw

そして、モモはまだ正期の昇進を果たしたのでいいのですけれど、姫ちゃまの行く末がかなりヤバそうなことになってるんですよね。あの姫ちゃまが大人しく他人のイイようになるとはこれっぽっちも思わないのですが。むしろ、待ち受けている使徒の方が酷いことになりそうな予感w



やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 4 ★★★★   



【やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 4】 ふか田さめたろう/ふーみ GA文庫

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お互いの気持ちを確かめ合い、晴れて恋人同士となった小雪と直哉だが、恋人としての関係を意識して小雪は逆に固くなってしまう。
そんな折、小雪の許嫁として、イギリスからの留学生アーサーがやってくる。しかし彼は一緒にやってきた義妹のクレアと相思相愛だと見抜いた直哉。小雪との両想いぶりを見せつけることで許嫁として諦めさせ、クレアとの恋を成就させるべく立ち回ることに。
なかなか素直になれない二人をたきつけ見守りながら、自分たちの関係を省みる小雪と直哉は――
天邪鬼な美少女と、人の心が読める少年の、すれ違いゼロの甘々ラブコメディ、第4弾。

ラブコメってラブコメディというだけあって、甘酸っぱい恋愛模様が描かれると同時に、それを明るく楽しくテンポよく、のコメディチックに描くジャンル、と言えます。
そのラブの部分に比重を置くのか、コメディの部分に重きを置くのはそれは作品それぞれで違ってくるのでしょうけれど、本作は特にこの「コメディ」としてのテンポの良さ、リズム感みたいなものが数あるラブコメ作品の中でももう突出してるんですよね。ある種、ラブコメの究極系として一つの完成を見たんじゃないか、と思ってしまうくらい、最初から最後まで見事なほど息切れの一切ない畳み掛けるような勢いと、展開の連なりの調和が取れた話の転がりかたになってるんですよね。
キャラクターの個性と押し出し、ストーリーラインのスムーズさも相まって、交響曲かという重奏さと軽妙さが合わさってる。
一言でいって、めちゃくちゃおもしろかった。
正直、小雪と直哉が両思いになることで、こんな以心伝心二人一組で物語そのものを牽引するユニットになるとは思ってなかったんですよね。読心能力かという能力持ちの直哉が、素直になれず本心を口にできないのにあっさり本心をぶっちゃけられて右往左往振り回される小雪、というのがこのシリーズのパターンでしたけれど、両思いになってもう開き直っちゃった小雪は、本心全部バレバレなのが当たり前という前提で直哉と付き合うようになってます。
じゃあ本心を素直に口にするようになったか、というとそうとも言えないあたりがまた小雪の可愛らしさなのですけれど、本心を読まれることを前提に物事を考え動くようになったものですから、もうこのカップル、完全に以心伝心になってしまって、二人して動く時一旦立ち止まって相談したり考えをすり合わせたり、というラグが全然なくなっちゃったんですよね。
なので、一切この二人の行動に淀みや停滞がなくなってしまったものですから、話の展開まで全く停滞がなくなって、直哉と小雪の邁進に合わせて話がどんどん進む進む。展開もどんどん転がる転がる。オマケに小雪もなんだか旦那に影響を受け始めたのか、やたらと察しがよくなってきている傾向があり、他の人の言動や思考を先読みするようになりはじめているんですよね。
それどころか、なんか直哉以外と会話する時一から十まで全部話す内容を口に出して話しながら話さないといけないので、なんか最近直哉以外との会話に面倒臭さを感じ始めている、という危険な兆候がw いやそれ、もう完全に直哉専用に調律されはじめてやしませんか? 大丈夫か? そのうち、他人とまともに会話できなくならないか?w

本来なら、徐々に明らかになってくるだろう新キャラクターである小雪の婚約者にして海外からの留学生、アーサーとクレアの事情も、空港で出迎えた初対面の時点で全部明らかになってしまったので、とにかく話が早い。直哉のみならず小雪まで加わって、ガンガンと話を進めていくものだから、余計なエピソードを挟む余地なく最大効率でアーサーとクレアの本心が暴かれていった上に、この兄妹完全に勢いのまま引きずり回されて、気がつけばお互い思いを秘めた両片思いだったのが想い通じ合っている、という怒涛の展開。いや、怒涛すぎるでしょう、RTA(リアルタイムアタック)かよ!
それでいて、直哉と小雪当人たちはというとよそのカップルにかまけて自分たちはどうなんだと言えば、僅かな暇さえあればひたすらイチャイチャ甘酸っぱい雰囲気を出してるのですから、余裕すら感じるダダ甘カップルっぷりでした。
いやー、ここまでしてくれるともうひたすら楽しいばかりでした。この直哉と小雪のカップルは延々見ていられそうですわ。

ちなみに、毎度巻末で繰り広げられる、直哉パパと小雪パパの世界を股にかけたトラブルバスターズも、これスピンオフで見てみたいくらいハッチャケてて面白いんですよねえ。

さて、次は直哉と小雪のカップル反対勢力の本命となる小雪のお祖父様が登場するのか。既に会ったら直哉相手に即陥落だよね、と皆の意見が一致しているあたり、まったく障害になりそうにないけれどw




天才王子の赤字国家再生術 10 ~そうだ、売国しよう ★★★★   



【天才王子の赤字国家再生術 10 ~そうだ、売国しよう】  鳥羽 徹/ファルまろ GA文庫

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ウルベスでの独断専行が家臣達の反感を買い、しばらく国内で大人しくすることにしたウェイン。
その矢先、大陸西部のデルーニオ王国より式典への招待が届き、妹のフラーニャを派遣することに。
しかしそこでフラーニャを待ち受けていたのは、数多の思惑が絡み合う国家間のパワーゲーム。一方で国内に残ったウェインの下に、大陸東部にて皇子達の内乱が再燃という報せが届く。
「どうやら、東西で両面作戦になりそうだな」
グリュエール王の失脚。皇子達の陰謀。東レベティア教の進出。野心と野望が渦巻く大陸全土を舞台に、北方の竜の兄妹がその器量を発揮する、弱小国家運営譚第十弾!

うわーーっ、今回はウェインは完全に盤外にあって、一から十まで主役はフラーニャだ!!
マジかー。これまでも一部の局面でフラーニャ主体となって状況を動かす事もあったし、物語としてもフラーニャ主役で動く場面もありましたけれど、一冊丸々フラーニャ主人公として描くとは。
それだけ、王女フラーニャの役割がこの作品の中で重要も重要、最重要になってきたという事を意味しているんだろうけれど、それにしてもフラーニャの活躍が予想を遥かに上回るもので、まだまだこの娘の事を見縊っていた事を思い知らされた。
今までも既に政治の表舞台に立ち、戦火の最前線に立たされた都市で演説をふるって市民の指示を取り付けたり、意外なカリスマや政治センスを見せてくれていたし、お飾りを脱して自分で考える事が出来る王族として、ウェインの代理で外国に使節として派遣されるなど、大きな仕事をこなせるようになってきたフラーニャでしたが、それでも今までは兄ウェインの指示を受けていたり、突発的なことに襲われても受動的に対処する、という方向に徹していたんですよね。
でも今回は……間違いなく、自分で考え自分で介入し政略謀略が渦巻く国同士のパワーゲームのという盤上で自ら局面を動かす「プレイヤー」の一人として動いていたんですよね。
それはウェイン王子やロワ皇女、グリューエル王といった世界を動かしせめぎ合うプレイヤーたちと同じ土俵の上に立ったということ。
それどころか、同じようにシジリスの後を継いだデルーニオ王国の宰相や、王女という立場から国を動かし世界情勢に関与するウェインたちと同じ立場に立とうとしたトルチェイラ王女といった野心家どもと同じ盤面で指しあった結果、役者が違うとすら言っていいかもしれない手練手管を見せつけてくれたのですから、もう刮目して瞠目ですよ。
まさか、ウェインのプレゼントという決め手があったとはいえ、トルチェイラを手玉にとって見せるとは。トルチェイラにとっては敵として相対したいのはウェイン王子であって、フラーニャなんて眼中にもない、と思いたがっていたのに、完全にしてやられたわけですからね。実際は、色々と着実に実績を上げていたフラーニャのことめっちゃ意識していたくせに、取るに足らない相手と無視するから。油断であり傲慢であり、プライドの高さが足を引っ張ってしまったか。
その点、フラーニャは素直で人の話も良く聞きますし、一方で自分の意見をちゃんと持っているし、兄ウェインを尊敬している分、自分の能力を過信しませんし。
何より、その善良さが悪い嘘をつかない姿勢が、騙そうとしないあり方が、人から信頼を寄せられ、味方を増やすカリスマになっていて、こればかりはウェインを含めて他のプレイヤーにはないフラーニャ独自の武器なんだよなあ。
ロワも表看板では似たような路線で評判上げてますけれど、中身がウェインと思いっきり同類なだけにフラーニャと比べるとすげえパチモン感がw
いや、ちゃんとロワはウェインと同レベルの大陸屈指の謀略家であり政治家なのですけれど、あの中身のポンコツさを見てるとなあ……パチモン感あるよなあw
今回もウェインの謀略の片棒担いで悪巧みしまくって、他の皇子たちの勢力を削ぎまくった挙げ句帝国の実権をほぼ握るという躍進を見せているのに、「だるーん」とか言ってるユルユルの姿を見せられるとねえ……ロウェルミナってもしかしてこの作品のマスコットじゃないのかと思えてくる。
……かわいい。

今回の一件でシリジスの心からの忠誠を勝ち取ったフラーニャですけれど、実際にプレイヤーとして動いたことで、遠く離れた土地で事の推移をすべて見通していた兄の凄味を本当の意味で思い知る。同時に、彼女の知見が高くなり鋭くなるほどに、ウェインという兄の真の姿が見えてくる。
果たして、あの愛する兄にナトラという国を預けていて、本当に大丈夫なのか。そんなフラーニャの心のなかに芽生えた僅かな疑念に、シリジスの野心や復讐心からではない心からの忠信ゆえの指摘が突き刺さる。
プレイヤーとして立ったがゆえに、フラーニャ自身自分が歩むべき道、その岐路に立たされるという凄まじい回でありました。
でも、そのフラーニャの選択ですら、ウェインの思惑の上っぽいんだよなあ。いったいどの段階からフラーニャのことをここまで成長すると見込んでいたんだろう。当初は政治の何も知らないお兄ちゃん大好きなふわふわとした王女様だったのに。そんなフラーニャをただ猫可愛がりしているだけに見えたのに。
まあ、猫可愛がりしているのは今も変わらないのですが。

ついに毒蛇にニニムの正体がばれ、彼女がウェインの心臓というのみでなくこの大陸の行く末を握る心臓であることが発覚し、表舞台に引きずり出されそうな気配が漂ってきたことで、さて事態はどう動いていくのか。
いやー、先が読めないしドライブ感のとどまらない政治劇、謀略劇に、ワクワクが止まらんですわー。


ただ制服を着てるだけ ★★★★☆  



【ただ制服を着てるだけ】  神田暁一郎/40原 GA文庫

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同居相手は19歳 彼女が着てる制服は、ニセモノ。
若手のエース管理職として働く社畜 堂本広巳。日々に疲れていた広巳は、偶然から関係を持った少女 明莉が働く、ある店にハマってしまう――
「今日も……抜いてあげるね――」
そんな毎日の中、休日の職場トラブルで呼び出された広巳を待っていたのは、巻き込まれていた明莉だった!?
「私行くとこないんだよね―― お願い、一緒に住ませて! ! 」
突如始まった同居生活の中、広巳と明莉は問題を乗り越え、二人で新たな道へと歩み始める。
社畜×19歳の合法JK!?
いびつな二人の心温まる同居ラブストーリー、開幕。
JKリフレって良く知らなかったんだけど、リフレクソロジーというのは簡単なマッサージの意。それにJKになりきった女の子にマッサージしてもらったりお喋りしたりという演技型のお店の事を言うそうだ。
一応、明莉が所属している店は健全の範疇にあり、いかがわしい行為はしていない。しかし、JKリフレ自体はJKビジネスと呼ばれる未成年を性風俗の働き手として搾取する社会構造のコンテンツの一つとして利用されてきた一面を持つという。そのへん、詳しく作中でも説明されている。
明莉は今は純粋に癒やしを提供する健全なタイプのお店に勤めているけれど、以前はガッツリとこのJKビジネスに関わっていたという。
ハマり込んでいたと言ってもいい。
現役の女子高生という売りを利用して、自分の身体で春を鬻いでいたのだ。
同じJKビジネスの沼にハマりこんで抜け出せなくなった同輩たちが、本当にどうしようもない悲惨な形で人生を失っていく様子を目の当たりにしていく事で、明莉はこのまま行けば自分も彼女たちのように破滅する、という自覚を持つに至り辛うじてビジネスに関わる人間たちの悪意や欲望が、しがらみが彼女を捉える前に自力で抜け出すことが出来たのだという。
でも、ドップリとそうした日本社会の陰の部分にはまり込み、そこから徒手空拳で放り出された時、明莉は何も出来なかった。何にも成れなかった。現役女子高生という肩書から脱却し、しかしまだ成人にもなっていない19歳の彼女は何にもしがみつけないまま、またJKビジネスという陰の軒下に舞い戻ってしまう。たとえ健全な業務内容だとしても、彼女は自分を切り売りするコンテンツから抜け出すことが出来なかったのだ。
今はまだいい。ギリギリ瀬戸際で踏ん張っている。でも、彼女自身予感している。遠くないいつか、自分もまたズルズルとかつての同輩たちと同じ沼に沈んでいくと。

また、明莉は今、男と同棲している。
友人の紹介から知り合い、そのまま何となく付き合う事になり男の家に転がり込んだのだという。だが、果たしてそこに恋愛が介在するかというと、微妙な所だ。
ラブコメなお話に慣れた身からすると忘れがちになってしまう事だけど、現代の男女交際はそこに恋愛感情がなくても成立することが少なくない。彼氏彼女の関係というのは、思いの外ハードルが低いのだ。ただ彼氏が欲しい彼女が欲しいという考えが先に来て、関係が成立する。そこから関係が本物になっていくかは二人次第。合わなければ別れるし、場合によっては合わなくても別れない。別に好きじゃなくても、一緒に居るという距離感にこそ縋ってズルズルと関係を続けてしまう事も多いのだという。
藤村明莉は恋をしたことがあるのだろうか。
少なくとも、この作中では彼女はそんな感情を抱いた様子は一切見せない。この物語のもう片方の主役である堂本広巳に対してもそうだ。彼の人となりへの好意や感謝はあるだろうが、そこに恋愛感情という淡いものはまるで見えない。
彼女にあるのは独りで生きてきた、という自負心か誇りか矜持か。そこには人を利用することはあっても、頼り切ったり甘え切ったり、誰かに依存する事を良しとしない強烈なまでの自立心がある。それが薄っぺらなハリボテにすぎないという自覚をどこかで持ちながら、それでも彼女には矜持があった。
だからだろう、一方的に搾取されることも逆に一方的に対価もなく養われる事も明莉は受け入れられなかった。
同棲相手の部屋を飛び出したのも、ただでさえギスギスしてきていた所に自分が都合の良い女にされそうになったからだ。愛想が尽きた、というのだろう。自分の要求ばかりを押し付けてきて、搾取してこようとするダメ男にのめり込んでしまうほど、対処に困る男の趣味をしていなかったのは幸い、というべきなのだろう。
でも、彼女の場合は逆の立場でも許容できなかったんですよね。
リフレの常連客で友人の上司、という間柄の堂本広巳と縁あって、上手いこと彼の部屋に転がり込んだ明莉だけれど、ただでさえ思っていたのと違って対価を求めず無償で部屋に住むことを(しぶしぶだけれど)許してくれただけでも彼女にとっては想定外だったのに、それ以上の返しきれない借りを明莉は広巳に負ってしまう。
あるいは、広巳が居なかったらこの一件が明莉をもう一度身体を売って金を稼ぐ二度と逃れられない沼に沈むきっかけになっていたのかもしれない。それは間違いなく、彼女にとっての人生の分岐点だったはずだ。
それほど大きな借りを、広巳は僅かなりとも返させてはくれなかった。
その事実は、明莉をどうしようもないほどに動揺させ、怒りすら抱かせ、揺らがせてしまう。
彼女がどうしても、堂本広巳から与えられるばかりで何も受け取って貰えない状況に耐えられなかったのは、きっと対等ではないと思ってしまったからじゃないだろうか。対等の同じ人として見てもらえていないと感じてしまったからじゃないだろうか。
惨めさを、感じてしまったんじゃないか。

堂本広巳が過去の心の傷から、保護者たらんとしなければ耐えられない、与え受け入れ守り続けなければ心が持たない、そんな今も血が止まらない心の傷口をそんな風にしか押さえられない彼のあり方と、明莉の自らを辛うじて奮い立たせている心の芯は合わなかったのだ。
広巳にとって、明莉を保護するというのは明確な代償行為だった。それは独り善がりと言われても仕方ないものだったのだろう。でも、彼女から対価として肉体関係を提供してもらうことは、明莉が庇護しなければならない弱者であるという認識がある以上、彼の心傷には耐えがたいことだったのだ。
明莉にとって、対価を受け取らない無償の……野放図ですらある厚意は不安でしか無く、一方的に与えられ庇護される状態というのは自分の力で生きてきた彼女にとって居たたまれなさと惨めさと共に拠り所をなくしてしまうような恐怖ですらあったのだろう。
二人共お互いに、孤独に寂しさに途方に暮れていたというのに。ようやくそれを埋めあえるだろう可能性と出会えたのに。
広巳にとって明莉は突然現れた迷惑な居候だった。同時に、自分の喪失感と虚無感を埋めてくれる代償行為の相手でもあった。ずっと空っぽだった彼の心の隙間を、代替えとはいえ確かに埋めてくれていたのだ、彼女は。
結局、広巳は自分の過去を明莉に語ることはなかった。それでも、彼の心の空隙は明莉にも伝わったのだろう。それを、自分が確かに一部でも埋められていたことも、感じ取れたのだろう。
ただ与えられるだけではなく、微かにでも自分も彼に与えられていたのだという実感は、彼女のプライドを、寄って立つ柱を立て直すに足りているかはわからないが、それでも足しにはなったのだろう。
詳しく話を聞かなかったのは双方にとっても良かったのだろう。もし詳しい広巳の心の傷を知ってしまえば、明莉はそこに付け込まずにはいられなかっただろうから。それが彼女の処世術であったから、多分彼女自身が好きになれない自分のあり方の一つだっただろうから。

彼らは改めて同じ部屋で暮らし始める。
そこに恋愛感情はない。肉体関係もない。心も繋がっていない。信頼もあるだろうか、疑問だ。
それでも、二人はしばし一緒にいることを選んだ。そこに二人は確かにささやかでも「幸せ」を見出したのだ。
二人にとって縁遠かった、その手に掴むことがないと思われた、その手に届くことがないと思われた、当たり前の幸福感が。
それが本物になるのかは、まだわからない。愛は、まだきっと目覚めていない。

ついに、というべきなんだろうか。ライトノベルというジャンルでここまで直球で、社会構造の搾取と収奪の最下層に位置するだろうアングラ界隈の実像と、その際で足掻いている人間たちの生々しいまでの息遣いを描く作品が出てくるとは。
ぶっちゃけ、一般文芸で出ててもまったくおかしくないんだけれど、ライトノベルだからこそのインパクトか。最近流行りの同居モノの範疇ではあるんだろうけれど、土台となる部分の毛色がまったく違っている。似たような構図として某髭を剃るが思い浮かぶかもしれないけれど、男のあり方も女側のスタンスも彼らが立っている土台もだいぶ違っているように見える。
人の生き辛さ、当たり前の幸せというものの意味、現代社会の虚、心を蝕む寂しさ、そういったものを苦味とともにじっくりと味わえてしまう、刺さるものが多い一作だった。
是非、続きを、彼らの行く末を、顛末を見届けたい。

泥酔彼女 2.「弟クンがんばえー」「助けて」 ★★★☆   



【泥酔彼女 2.「弟クンがんばえー」「助けて」】  串木野たんぼ/加川壱互 GA文庫

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「弟クン、早く成人してよー。弟クンと一緒に飲ーみーたーいー! 」

アンチ酔っ払いの俺の家に入り浸る酒好きダメ美人・和泉七瀬。鬱陶しいけど、でも、そんな彼女がいる日常も思っていたほど悪くない――。そう感じ始めた矢先、俺は自分の恋愛トラウマの元凶と再会してしまう。

「先輩を“私に"酔わせてみせます」

大ブレイク中の若手女優・月浦水守。再会するなり俺とヨリを戻そうとし始めた彼女と、犬猿の仲の羊子は一触即発状態に。さらに、その面倒な状況を酔った七瀬さんが面白半分でひっかき回し――ってなんで七瀬さんが複雑そうな顔してるんだ?

2月14日に笑うのは誰だ! 距離感激近宅飲み青春ラブコメ第2巻!

甲斐甲斐しく手取り足取り気配りが行き届いたお世話を七瀬さん、というよりも穂澄の場合は役者という括りにある人間に対しては、かもしれないけれど、兎に角細やかなフォローから演技力向上のためのプロジェクトまでその有能さを発揮する主人公くん、穂澄だけれど……かと言って彼が精神的に大人なのか、というとやっぱり違うんだなあ、と深く頷かされた次第。
結局、月浦や姉の手のひらの上なんですよね。今、月浦を毛嫌いしている事すらもお釈迦様の手のひらの上、になるんじゃないだろうか。自分の納得できる自信ある脚本を書き上げたら演劇部に戻ろう、なんて考えているのもちょっと子供っぽいじゃないですか。
確かに色々何でも出来る子かもしれないのですが、彼が居ることで七瀬さん達が何倍も能力を発揮できる無くてはならない人になってるかもしれないですけれど、大きな枠組みで見ると穂澄って女性陣に対してまったくイニシアチブを取れていないんですよ。彼女たちに大きな影響を及ぼす事は出来ているかもしれないけれど、彼女たちを自分の思うように動かしたり変えたりすることは全く出来ていない。なんだかんだと根っこの部分が子供っぽくて幼くて、そこを女性陣たちに首根っこ抑えられてると言ってイイ。これじゃあ勝てないですよね、勝負にすらなってないんじゃないだろうか。
だから、実のところ女性陣は穂澄を相手にしているのではなく、同じライバルとなる恋敵の方に視線の焦点をあてながら、穂澄を引っ掻き回していると言ってイイのかもしれない。特に月浦。まったくそれが出来ていない独り相撲というか勝手に自爆し逃げ回っているのがヒツジちゃんで、七瀬さんはそもそも一歩距離をおいてお姉さんとして彼らのラブコメを他人事として見守っていたのが、まーそれはそれは尽くしてくれまくる穂澄くんにキューンときてしまい、やっぱり誰にもあーげない、となって確保に動き出した、といったあたりですか。
ヒツジちゃんはほんとなにやってたんだろうこの娘。ライバル不在で独壇場、いかようにも料理できただろうに、指くわえて眺めてるだけだったんだから、ほんとになにをやってたんだろう。
そりゃ、月浦にも呆れられますわ。主人公、ニブチンの極みですけれどどの分チョロいなんてもんじゃないですからね。イレグイもいいところだったろうに、勿体ない。

さても、主題と言うか問題は月浦が突然アプローチをしかけてきた、ということもよりも本来は七瀬さんの演技ベタの解消、克服だったんだと思うのですが、兎にも角にも月浦の小悪魔っぷりとその積極攻勢が強烈すぎて、穂澄どころか物語そのものが翻弄されてしまった感がある。その存在感の異様なまでの凄まじさが幾度も語られる月浦水守ですが、実際に彼女が喋り彼女が動くとそれだけで物語の焦点が彼女に集中してしまって目が離せなくなるんですよね。何をしでかすかわからない、何を考えているかわからない、という未知というところも魅力的だったのでしょうけれど。なにより、穂澄がなんだかんだと嫌悪丸出しにしながら全然無視できずにいるんだから。
まあでも、本当に何を考えているかわからない、というわけではなく、穂澄に対してべた惚れなのはあからさまなくらいでしたけれど。
これ、五股されて失恋した、という穂澄のトラウマ話、まず事実とは食い違ってるんでしょうね。穂澄の証言以外で月浦がそれらしいことをしてたという話が全然出てきませんもの。当時を知る関係者でもある羊子ですら、五股を責める様子はありませんでしたもんね。月浦に対して穂澄以上に嫌悪感を丸出しにしながらも。
何があったか詳しくは語られていませんけれど、余程拙いことになってたんですかね。穂澄が月浦に狂って散々やらかしてたみたいですし。もう月浦自身にも止められないことになっていたのだとしたら、距離を置くという選択肢を取る、あるいは強制的に取らせるだけの力を持っている人がマネージャーだったり姉だったりする人あたりにはありそうですし。
穂澄の七瀬への献身的なまでのお世話って、役者へのリスペクトにとどまらず彼自身の性格もあるでしょうからね。ちょっと偏執的なところすらある献身性は、のめり込むと、或いは恋愛に絡むとボーダーラインを越えやすい性質なのかもしれません。本質的にヤベえやつ、という可能性も結構ありそう。まあ、今の彼はそれを強く自覚し戒めているのですが。そうなるように誘導されたんだろうなあ。

七瀬さんの演技ベタの原因、わりとサクッと突き止められて克服への道がつけられてしまいましたけれど、本筋は七瀬さんの初恋の自覚と、恋敵達との真っ向勝負への宣戦布告、ということになるんでしょうか。七瀬さんがどうして演技下手だったのか、についての考察はけっこうあれ彼女の闇に繋がっている気がしたのですが。
いやでも、七瀬さんのあのタフさは、闇を闇として惑わされないんだろうなあ。月浦にプレッシャーにもまるで動じず応えず上から笑って宥めてるくらいですし、何気に尋常じゃない大物感が備わっている。酒に酔って気が大きくなっている、というんじゃなくてw
シラフでも、ある意味月浦水守が相手にされなかった、という面すらあったわけですしねえ。そりゃ月浦もモリモリ好敵手感強めますわ。それでいて、本気で仲良いという関係性も結構好きかも。月浦って言動が陰湿なタイプに寄っていると思うのですけれど(それでいて根っこはカラッとしている気もしますが)、七瀬さんってそういう彼女の湿度を諸共しないどころか乾燥させちゃうキャラクターなんだろうなあ、あれ。ヒツジちゃんは逆にさらに湿度に潤いを与えてしまうタイプに思える。おかげで月浦、常にツヤツヤしてそう、ヒツジちゃん相手だとw

なんか人間関係なにも決着していないけれど、ある意味スタートラインが成立して何となく話もまとまった感あるので、もしかしたらこれで完結なんだろうか。
続くと言えば続きそうだし、終わると言えば終わってもおかしくないような、まあ何となく一区切りついた感じのある終わり方でした。




転生魔王の大誤算 3 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート ★★★☆   



【転生魔王の大誤算 3 ~有能魔王軍の世界征服最短ルート】  あわむら赤光/kakao GA文庫

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ケンゴー陛下と結婚パーティーに同行するのは、どの魔将だ!?

人畜無害なヘタレチキン高校生、うっかり魔界の名君に!?
誤算続きで予期せぬ名声を得まくって、魔族全軍から心酔される最強魔王爆誕!
大人気シリーズ第3弾は、【嫉妬】のレヴィ山の真なる力が明らかに……?
魔王の自覚に目覚め始め、魔将たちとの絆がさらに深まってきたケンゴー。
占領した王都の再建を待つ間、しばしの休息を兼ねてレヴィ山の妹の祝賀パーティーに赴くことに。

「で、誰を同伴者に選ぶんです?」
女性同伴がマナーとされる中、ルシ子、マモ代、アス美、さらにはベル乃までもがケンゴーの『正妻』役を名乗り出て一触即発の事態に!
一方ケンゴーを迎えるアザゼル男爵領では魔界の四大実力者に数えられる大物アザールが魔王に認められたいあまり、極上の接待を用意していた。
だが、それがケンゴーの逆鱗に触れる大誤算で――!
“愛する”部下を守る“理想”の魔王の爽快サクセスストーリー第3弾!!

今回はほぼレヴィ山くんが主人公と言って良かったんじゃないだろうか。
まるっきりチャラ男で軽薄そうな態度とは裏腹に、レヴィ山ってマジでイイ男なんですよね。真面目ですし義理堅いですし気配り上手ですし情に厚いし。そもそも、今のチャラい態度もどうしてそうなったのか、どうしてそうしているのかを知ってしまうと彼の人間的な魅力に繋がってくるので、その軽薄さがなんとも愛おしくなってくる。
というか、彼の人生愛される事とそれを理不尽に喪うことの繰り返しで、よく人間性が歪まなかったよなあ、と思えるほどの山あり谷ありなんですよね。これだけの体験をしながら、今のようなレヴィ山になっている事自体が彼の強さを示しているようじゃないですか。
でなかったら、どこかで憎しみや恨みに囚われますよ。どこかで憤懣を抱え、世を嫉み、人を妬んでしまったでしょう。「嫉妬」を司りながら、レヴィ山の嫉妬ってネガティブな側面をあまり持たない。どちらかというと、それは憧れに近いもののように見える。自分にはないもの、持ち得ないものに凄いなあと憧れ、尊敬し、自分もそう在りたいと願う。ちょっと健全なくらいじゃなかろうか。リスペクトが常にある。
その分、それに見合わない詰まらない相手には一顧だにもしない所もあるんでしょうけれど。
彼は常に望まぬ立場を得てきました。今のレヴィアタン家の当主になったのも決して望んでの事ではなく、また魔将としてケンゴーに仕える事になったのも渋々の事でした。でも、彼はそこで掛け替えのないものを与えて貰うのである。
だからだろう、レヴィ山は一際家族や身内への愛情が深いし、実母と引き離され自分を愛してくれた兄たちと死別した事で大切なものがいつ喪われてもおかしくない儚いものがという事を身にしみて実感している。実の息子でない自分を、義母が自分の本当の息子たちを喪いながらもなお立ててくれる事を心から尊敬し、多分尊敬する以上に敬愛してるんじゃないだろうか。そんな義母に倣ってる所も見受けられるし。
そんなレヴィ山ですから、ケンゴーへの過剰なくらいの評価や称賛も実のところ決して的外れだったり誤解や勘違いでもないんですよね。ケンゴー自身は過剰評価されて変に勘違いされてると思ってるみたいですけれど、むしろケンゴー自身が気づいていない所もちゃんと見てる感じですし、ケンゴー自身が評価していない所を正しく認めているとも言える。ケンゴーが戦いを好いていないのもちゃんと知っているし、ケンゴーが思っているよりもずっとケンゴーの事ちゃんと理解してるんじゃなかろうか。
だから、ケンゴーが変に繕って魔王スタイル維持してなくても、レヴィ山の敬愛は何も変わらないんじゃないのかな、と確信して思えるようなレヴィ山くんの回でした。
レヴィ山が一人で抱え込んで我慢しようとした事を、ケンゴーが自分の戦争嫌いを飲み込んで、レヴィ山兄妹を苦しめるやつらは絶対許さん、と勇気振り絞ってレヴィ山への愛情を示してくれた時点で、レヴィ山の忠誠度はもうとどまる所を知らずでしょう。あれはレヴィ山でなくても、惚れる魔王様の御姿でしたし。
あの場面で、ケンゴーと同じノリ、ではないんだけど、ウチの身内になにさらしてくれとんじゃー! と、ばかりに他の七魔将たち全員がやる気みなぎらせて喧嘩売りにいったあたりも大好きなんですよね。
七魔将たち、こいつらもなんだかんだと仲いいなー、と。ちゃんと身内認定なんですよね。同じ上司に仕える同僚ってクールな関係じゃなく、魔王様の寵愛を奪い合うライバルでもなく、魔王様を頂点とした悪ガキ集団、みたいな感じで。一応、魔将ってからには大貴族で大将軍であるはずなんだけど、ケンゴーと魔将たち七人で身内で友達で、打ち解けた家族みたいな雰囲気にいつの間にかなってたんだなあ。
そう考えると、あのダサいレヴィ山とかルシ子というあだ名も、立場とか家柄とかいと高き名前とかうっちゃって、身内同士の中で呼び合う特別な関係の証拠、みたいなもんなんですよね。レヴィ山の妹のシトレンシアが、最後にあだ名つけてもらうシーンで、思わずなるほどと納得してしまいました。

色々と怪しげに暗躍する黒幕の様子が垣間見えてきましたけれど、それ以上に魔王と七魔将たちの関係が勘違いとか思い込みで出来た虚飾の関係じゃなくて、何だかんだと心通じ合った仲間たちである事がわかってきて、敵がどうであろうと心強い限りじゃないですか。うむ、面白くなってきた。




やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 3 ★★★★   



【やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 3】 ふか田さめたろう/ふーみ GA文庫

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小雪の思いも寄らないキスに、大いに動揺する直哉だが、そのことを小雪は全く覚えていない様子。素直になりつつある小雪の無自覚な触れ合いに、直哉は今までのような調子を出せなくなってしまう。
そんなとき、直哉と小雪、ふたつの家族で一緒に旅行に出かけることになる。
不甲斐なさを払拭するため、旅行中の特別な計画を立てる直哉。首尾よく計画通りに進み、小雪との仲もより深まっていくのだが、思いがけない出来事によって、ふたりの関係に転機が訪れる――
「好き」同士が織りなす、すれ違いゼロの甘々ラブコメディ、第3弾!

だだ甘すぎやしませんかーーっ!? いやもう、前巻から付き合っていないにも関わらずイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ、ひたすらイチャイチャしかしてなかったような気がするのですけれど、以前にも増してイチャイチャイチャイチャイチャイチャ。
これでまだ付き合っていないんですよ? 正式に付き合ってないってだけで実質付き合っている以外ないのですけれど。事実婚ならぬ事実恋人なのですけど。
直哉の方からはもう告白しているので、あとは小雪のほうが返事をくれればOKという状態にも関わらず、好きが一杯一杯になりすぎててこれ以上好きになると死んでしまいかねないので告白を保留しているというような状態、ってどんな状態だよ!
もうあとはもっと好きになるしかないような状態にも関わらず、ここで溜めをつくってしまうと余計に大変なことになりそうなのですが、辛うじて耐性というか慣れが出てくるという勘定なのだろうか。
しまいには、直哉の方にも事故でのキスをきっかけに小雪と同じ症状が発症してしまい、小雪が好きすぎてまともに顔も見れなくなってしまう、というオーバーフロー状態に。あれだけイケイケドンドンでぐいぐい行ってたくせにこの男案外キャパ小せえなあ!!
おまけに友人たちからアドバイスを受けた小雪が、逆にぐいぐいと意識的にセクシーアピールしだした上に無意識でもぐいぐい攻め立てはじめて、いつもと逆に直哉のほうがぐいぐい来られてあたふたするという逆転状態に。
動転しまくる直哉の様子は、普段の隙なく余裕で逃げ道潰して詰めてくる姿と裏腹で、これはこれで可愛げあるよねえ、という有様に。小雪さんの変な性癖が目覚めなければいいのですけれど、これ。
ともあれグイグイ行くついでに、今度はこっちから告白し返してやるんだから! と、なぜか告白する相手当人に宣言布告する小雪さん。それもうその布告自体が告白になってやしませんかね!? しかし、二人の間では「告白する」という行為はどうやら必定のもののようで。気持ち自体はお互いに好きというのはもう確かめあっているようなものなので、あとは儀式として告白することでやっと次のステップに進むのだ、という共通認識でいるということなのだろう。
まだ付き合っていないにも関わらず、ここまでだだ甘状態な二人が本当に付き合いだしてしまうと、これタガが外れてしまうんじゃないか、となんだか心配になってくるんだけれど大丈夫なんだろうか、これ。これ以上イチャイチャされてしまうと日常生活に支障が出てこないだろうか、周りにハザード的な悪影響が出やしないだろうか。
まあ今から心配しても仕方ないのだけれど。

ついでに、海外に出てた直哉の両親が返ってきて、これで完全に小雪と直哉の両方の両親のお墨付きの関係になってしまいました。しかしこの直哉パパ、完全に息子の上位互換なのか……いやこれもう化け物じゃね!?
現代に蘇ったシャーロック・ホームズかなにかか。推理する必要もなく、見れば全てがわかってしまう、というこれもう読心というレベルじゃないですよね。心を読む以上にその人の周りで起こっている状況から展開からすべて見えちゃってますよね。もはや千里眼か何かなんじゃないだろうか。
そして、その眼力を惜しみなくつかって、目につく人のトラブルを片っ端から解決しまくるという世界を股にかける屈指のトラブルメーカーっぷりたるや……。
なんか、小雪のパパが偶然直哉パパと巡り合った挙げ句にワトソンくんのポディションに収まっちゃってるんですが。ひっきりなしにトラブルや事件、大騒動に巻き込まれて今回絶叫絶叫を繰り返している小雪パパ、ご愁傷さまである。でもなんか良いコンビになっちゃってるんですよね。
まさかここに来て、直哉パパ、生涯の相棒を見つけてしまったのではないだろうか。
直哉パパと息子の会話が、完全に過程すっ飛ばして顔を合わせた瞬間結論だけで会話してるの、普通に怖いわw 動じないママが大物すぎるw
そしてこんな直哉にベタぼれで、心も行動も何もかも読まれきっているのに好き好き大好きで染め上がってる小雪さん、ある意味踏み外してしまっているのかもしれない、これw

エピローグで、次回小雪の婚約者が登場するという情報が出てきたのですけれど、速攻登場人物全員が婚約者くんが直哉に速攻ぼろくそに処刑される前提でえらいこっちゃー! と騒いでるの、草生えますわw 
それはそれでほんと、楽しそうなのですけど。


泥酔彼女 「弟クンだいしゅきー」「帰れ」 ★★★☆   



【泥酔彼女 「弟クンだいしゅきー」「帰れ」】  串木野たんぼ/加川壱互 GA文庫

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聖夜に近所の年上美人と二人で過ごすことになった。全男子にとって、夢のようなシチュだと思う。相手が泥酔一歩手前でさえなければだけど。
「弟ク~ン、おつまみま~だ~?」
ありえないほど顔がいいのに、それが霞むレベルのお気楽マイペースなダメ女・和泉七瀬。聖夜に俺と残念なかたちで出会ったこの人は、勝手に家に来るしやたら酒好きだし隙あらば弄り倒してくるし、とにかくひたすら面倒くさい。いくら顔がよくても、距離感バグってるタイプの近所のお姉さんって普通に悪夢だろ。
無自覚&無頓着。顔がいいくせに絶妙にガードが緩いハタチのダメ女に男子高校生が付き合わされまくる、酒ヒロイン特化型宅飲みラブコメ!

ほろ酔い美人ってイイですよね。ほんのりと上気した顔色とトロンとした眼差しでほわほわとしている姿の色気と来たら。
これが、酔いが進んで泥酔まで行くと酷いことになります。喚く騒ぐ大声で奇声を発する、軟体生物みたくグデグデに横たわり、酒臭い息を吐き散らしながら理不尽な命令を飛ばしまくる。絡む絡むウザ絡みで鬱陶しく、ピークをすぎると汚物を撒き散らしだす。
飲んでない人からすると災難以外の何者でもないのが、酔っぱらいてなもんである。美人だろうがなんだろうが、酔いどれはご勘弁、という主人公の気持ちもわからなくはない。
わからなくはないのだけれど、この弟くん、酔っぱらいの相手がウマすぎるというか胴が入りすぎているというか、酔っぱらいに対して至れり尽くせり過ぎやしませんかね!?
同じく酔いどれの姉に鍛え上げられてしまったとはいえ、こんなん酔っぱらいにとっては居心地良すぎでしょう。七瀬さんが入り浸ってしまうのもちょっと理解できてしまう。酒飲みと言えど、酒が飲めればいいって人ばかりじゃないですからね。どうせなら、気持ちよく飲みたい。酒の品質も然ることながら、やはりシチュエーションというのは大事で、それ以上に飲酒環境だって大事なのである。
一緒に飲んでくれるわけじゃないけれど、手厚くお世話してくれてツマミまで作ってくれて文句を言いながらもいつだって最善のタイミングで欲しい物を寄越してくれて、して欲しい事をしてくれる。
話し相手にもなってくれるし、ウザがられながらも絡んでも絡んでも相手してくれる。嫌がってるけど、それもエッセンス。楽しいお酒だ。
にしても、気を許すにも程がある無防備っぷりですが。
幾ら酔っ払いに対しての忌避感があると言っても年頃の青少年が、無防備に酔っ払って転がっている美人に対してピクリとも食指が動かないというのは若干どうか、とも思うのだけれどこの瀬戸穂澄という男も少々オカシイたぐいの人間であるように見える。

酔っぱらいとそれに翻弄される少年の日常ラブコメに見える本作だけれど、その実は役者の卵であるヒロインたちと脚本家の卵である主人公のクリエイターストーリーでもある。
彼らは年頃の男女という以前に、演者でありクリエイターであるという生き様に囚われてる狂気の沼に片足をツッコンでしまっている人間たちだ。所々でその行動原理、判断、決断に常人とは異なる狂気が混じる。まともな顔をしているが、穂澄はその筆頭であろう。こいつは大概他人を見る基準がどこかオカシイ気がする。斜に構えているけれど、他人に対する判断基準が純粋なんですよね。純情であると言ってすらいいかもしれない。純情な理想を他者に当てはめている。だから、七瀬がどれだけ美人でも、泥酔してグダグダになっている姿を見せられるとピクリとも魅力を見いだせなくなってしまう。ところが、彼女の中に役者としての気概と根性、才能の煌めきと心意気を見出した途端、彼の思い描く役者の理想像の一端に彼女が足を掛けている事に気がつくと、その一挙手一投足が気になって仕方なくなってくる。
異性としての七瀬への関心と、役者としての七瀬への関心が入り混じっていてどうにもおかしい事になってるんですね。そして、彼のそういう傾向というのはどうやら以前からのものらしく、同級生で一番身近な友人であり役者としてプロからも目をつけ始められている野原羊子へのスタンスもそうなんだけど、前カノである人物に対してもこれ、ただカノジョのタチが悪かったというだけじゃない穂澄の方にも原因があったんじゃ、と思うところがあるんですよね。
月浦水守という娘の関しては、作中でも屈指の狂人、役者としての沼に頭までずっぽりとはまり込んでいる類のやばい人という認識はあるのですけれど、単に役者としての肥やしにするためだけに穂澄とああいう関わり合い方をしたとは思えないんですよねえ。彼女の狂気と化学反応を起こすだけの何かが、ヤバいものが穂澄の方にもあったんじゃないかなあ、と。

月浦水守と言えば中盤までえらい意味深というか、幾度も話題のあがる強烈な存在感を示しながらも微妙に視線が向かない、焦点が合わない扱いに首を傾げていて、実は七瀬さんがあの今躍進中の女優月浦の正体なのでは!? と疑ってもいたんですよ。年齢詐称とか、芸能界あるあるですし。
【アイドランク】という漫画など、10代の美少女を詐称した本当は成人のアイドルたちがこっそり酒飲みまくる、という酔っぱらい漫画の前例もあったことですし。
でも、本当は既に一流の女優、というのじゃなく、才能はあれど現在下積み中の叩き上げの役者、という七瀬さんの立ち位置はいいですねえ、そそるものがあります。
まだ脚本家の卵である穂澄と、二人三脚で女優としての殻を破って輝いていく、というシチュエーションは大変好みです。彼女の役者としての致命的な欠点も含めて。今井雄太郎かよ!

そしてラストの大爆弾。ヒツジちゃんも現場に居合わせさせるとか、修羅場への殺意が高すぎるw
でもシラフだとえらいことになりそうなシチュでも、酔っぱらいが介在すると果たしてどうなるのか。常識も消し飛び空気も読まない酔っぱらいは、狂気をも呑めるのか。
ある意味、舞台が整ったとも言える第1巻。だからこそ、大きく物語として動き出しそうな2巻の動向には期待してしまいます。


僕の軍師は、スカートが短すぎる~サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下 ★★★   



【僕の軍師は、スカートが短すぎる~サラリーマンとJK、ひとつ屋根の下】  七条 剛/パルプピロシ GA文庫

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「おにーさん、助けてくれたお礼に、定時帰り、させてあげよっか」
ブラック企業に勤める史樹。終電帰りのある日、家の前に少女がうずくまっていた。その少女・穂春は、助けてもらったお礼として、史樹の抱える仕事上のトラブルをたちどころに解決してしまう。
どうしても定時帰りしたい史樹と、身を寄せるところを探していた穂春。史樹は衣食住を提供する代わりに、穂春のアドバイスに頼ることにする。
「人は先に親切にされると、お返ししなきゃって思う生き物なんだよ」
二人の同居生活が始まると同時に、史樹の社畜生活は一変するのだった。
サラリーマンとJK の、温かくも奇妙な同居生活ラブコメディ、開幕。
タイトルからすると、生足を見せびらかして誘惑してくる小悪魔的な女子高生がヒロインだと連想してしまいそうになりますけど、むしろこの穂春、そういう女の子を強調するようなアイドルっぽい可愛い衣装は苦手……というよりも自分には似合わないというコンプレックスみたいなものを抱えてるっぽいので、むしろ嫌がってます。
でも、それをわざわざスカートが短い、なんてタイトル引っ張ってくるあたり、ヒロインである彼女が抱えている問題の最重要案件なのかもしれません。
彼女が自分からアイドルをプロデュースしてデビューさせた事を含めて、ずっと引きずっていた家庭問題に関しては、ラストで主人公の北条くんがさらっと解決してしまうのですが。
こうしてみると、北条はけっこう行動力あるんですよね。ぼんやりしているようで、穂春が拘っている部分をちゃんと察して調べ上げ、彼女の父親と連絡を取って穂春のなかで雁字搦めになっていたものを解きほぐした上で解決策を提示する、なんて真似をするのですから。
ただ、若干的外れなところがあり、無自覚であるだけで。穂春が元々求めていた事は、喪われてしまった家族の想い出のヨスガを取り戻すためだったのが、想い出じゃなく新しい家族の温もりと幸せを図らずして穂春に与えてしまったわけで。穂春としては、なんかもう心理的にひっくり返されちゃったんだな、これ。
父親を通じて習い親しんだ心理学を駆使して、デビューからアイドルをプロデュースし、また北条の勤務環境を改善するなど、人の心の動きを読み誘導することに長けた「軍師」としての手腕を振るう穂春。だから、他人の心理を読み取るなんて事はお手の物、のはずなんだけど、案外と自分自身の心理は自覚できないし、家族である父親に関しても一方的な感情が邪魔をして冷静な判断が出来ていなかった、というあたりを見ると人の心を手玉に取り操るような魔女とは程遠い、未熟な少女である事が伺えるんですよね。
そして、頼まれたら断れないという他人からすると都合の良い人間であるはずのおにーさん、北条についても穂春はどうにも思う通りには動かせていないんですよね。いや、ちゃんと口で頼んでお願いすればホイホイというとおりに動いてはくれるのですが、心理を誘導したり気持ちや心を思う方に動かしたりという事になるとどうしても空振りするというか手応えがなく躱されてしまうというか。
お陰で北条相手には、穂春もなんだかモヤモヤしたりヤキモキして気を揉むことに。
そのあたりが、彼女の可愛げにもなっていると思うのですけれど、北条の方が完全に妹扱いで女の子として見ていない証明にもなっちゃってるんですよね。
その北条ですけど、個人的にはあまり好きではないタイプ。頼まれたら断れない、というのを自覚していながらちょっと度が過ぎた引き受け方してるんですよね。それ、好きでやってるなら文句ないのですけど、妹を引き取るという明確な目的があるにも関わらず、どうでもいい頼まれごとの方を流されるように優先して、妹を引き取る条件の方を破綻させてしまっているのは本末転倒もいいところ。
主体性がないのかと思えば、穂春の件では積極的に自分から動いているし、穂春の言われた通りにやっているとはいえ、会社内でも結構派手な立ち回りをしてるんですよね。いや、それだけ自分から動けるなら、なんであんなに流されて無茶振りも悪意ある押し付けもホイホイと引き受けるのか。そういう状態から、穂春と関わってちょっと変わった、というのもあるのかもしれないですけど、どうにもキャラがチグハグというか、よくわからないボンヤリと印象の定まらない人だなあ、という感じでした。
嫌がらせしてくる相手が、本当にしょうもない小物だったのもなんともはや。
しかしこれ、わかりやすい会社内の障害は排除されちゃいましたし、ここから話どう広げるんだろう。軍師としての話よりも、穂春自身をプロデュースみたいな展開になっていきそうに思えるのだが。

七条 剛作品感想

竜歌の巫女と二度目の誓い 2.薬を探す子供 ★★★☆   



【竜歌の巫女と二度目の誓い 2.薬を探す子供】  アマサカナタ/KeG GA文庫

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「初めまして。僕はこの館のかかりつけ医です。彼女は僕のお手伝い」
あの誓いから1か月。平穏な日々を過ごすルゼとギルバートだったが、ドミニクと名乗る青年とラティナという名の女性の訪れによって、静かな時間は急変する……。
「竜の遺骸が、移送中に盗まれた」
それは竜が関わる不穏な報せと、その件に関する調査依頼――事件を追っていく中、ルゼとギルバートは、十二年前に交わした怪我を負った一人の少年と小さな竜の叶うことのない願いから始まった、悲しい誓いにたどり着き……
「ボクの足が治ったなら……お前の背に、ボクを乗せてくれるかい? 」
大切な誓いを巡る物語、第二弾。

お互いをこれ以上無く想いあったからこそ、より深く結ばれるために交わした「約束」が、その想いの深さ故に果たされなくなった時に「呪い」に変わる。
これは前回のルゼとギルバートの話と全く同じ構図になる。約束したらあかんのかい! と思わず思ってしまいそうになるけれど、呪いとなった約束こそが途切れてしまった絆を辛うじて繋ぎ止めていたからこそ、もう一度新しい誓いを交わすことが出来たと思えば、呪いも転じて祝福になるのだろうか。
そもそも約束が誓わなければ、何もかもが潰えてしまった可能性もあるんですよね。とはいえ、それはルゼとギルバートの場合。果たして、ラティナとドミニクのケースではどうだったのか。12年もの離別は彼らに必要だったのか。ラティナが犯してしまった幾多の罪は、負うに足る罪だったのか。
ルゼとギルバートのケースはちょっと他の場合と比較するには重すぎるんですよね。こっちは本当にもうどうしようもない柵と罪業に塗れてしまっているだけに。
裏切り裏切られ殺し殺された関係。どちらも正しくどちらも罪深く、故にお互いをこの上なく強く想い合いながら、お互いに踏み込めない。それは人との繋がり方が不器用というのもあるのだろうけれど、それ以上に内包するシチュエーションが特殊すぎる側面もあるんですよね。
ルゼとギルが行き違ってしまうのも、それぞれに抱える相手に対する罪の意識が強いが故に、というのもあるんでしょうね。二人共自分にこそ罪がある、と思っているだけにどうしたって自分の方を蔑ろにして、相手の方を大事にしようとする。二人共がそうしたら、そりゃ行き違うよね。相手を大事にしようとしたら、相手は自身を思いっきり蔑ろにする。それはもう、自分自身を完全否定されるようなものだ。
そうして苛立つあまり八つ当たりしてしまえば、それもまた大事にスべき相手を傷つける行為で、自分のあり方の否定そのものになってしまうという追い打ちで。
ネガティブスパイラルだなあ。
これ、オズワルドが八面六臂の働きで間を取り持とうとしてくれなかったら、完全に行き詰まっていたんじゃないだろうか。そりゃ荒治療で余計に拗れてしまったけれど、一度お互い致命的な所まで踏み込んで酷い事にならないと自覚すらしなかっただろうし。
オズってはそこまであれこれ世話して手配りして間取り持とうとしてって、過保護もイイ所だと思うほどなんだけど、ルゼたちの関係はあまりにも重すぎるので、それくらいしてやっとこ、なのかもしれない。いやほんと、オズ様様である。働きすぎじゃないのか? 気を使いすぎてストレスマッハじゃないですか?

さて、今回の黒幕、というよりも悪役であるガーウィン。彼はそもそも、約束すら交わして貰えなかった存在なんですよね。誓いもなく、だからこそその想いは彼の中にのみ淀む方向性を喪った呪いとなってしまった。
ギルバートの場合は自分が手を下した、巫女を殺したからこそ、その罪の意識は自分自身へと向けられたけど、ガーウィンの場合は自分の想いを受け取っても貰えず行所もないまま淀み腐り、救えなかった事実は救わなかったものたちへの憎悪へと変換されてしまった。彼の呪いは、竜に、世に向けて解き放たれてしまった。
もし、ギルバートが巫女を裏切らなかったら。世界をこそ裏切り、その果てに巫女を喪ってしまっていたら。彼の想いはどこへと向かっていただろうか。自身に向けて渦巻く殺意が、果たしてどこに放たれていたのか。
ギルバート自身が思い描いたように、ガーウィンというのはもうひとりのギルバートのあったかもしれない可能性だったわけか。
ならば、たとえ呪いに変わろうとも繋がりである事は間違いなかった約束は、祝福に至るものだったのか。
罪の意識を抱えながら、それでも二人で先に進もうと二度目の誓いを結ぶことができたドミニクたちの姿を、ルゼとギルは指針と出来ればいいのですけれど。もう少しオズに楽させてあげてくださいホント。
さて、ドンキーの存在が不明であり不穏のまま今回の話はひとまず片付いたのですが、彼の正体相当怪しいよなあ。そもそも、いったい「いつ」から活動してるんだ、この男は。



ゴブリンスレイヤー 14 ★★★★   



【ゴブリンスレイヤー 14】  蝸牛くも/神奈月昇 GA文庫

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ゴブリンスレイヤーの様子がおかしいという――。そんななか、彼は一党に「冒険」を提案する。
「北の山の向こう。暗い夜の国」
かくして北方辺境に向かう一党。雪山の向こうには、蛮人の英雄譚の舞台、いつもと異なる異文化、言語、そして、この地を治める頭領の美しい奥方がいた。
彼の地の北方の海には幽鬼が潜み、船が戻ってこないという――。
彼らの話を聞いたゴブリンスレイヤーは頷く。
「やはり、彼の人々はゴブリンなぞに負けるわけがないのだ」
そして女神官も誇り高く告げる。
「冒険者に、任せてください! 」
蝸牛くも×神奈月昇が贈るダークファンタジー第14弾!
ゴブスレさんが、あのゴブスレさんがテンションアゲアゲで浮かれてるーー!? 子供みたいにはしゃいでるーー!?
いや、流石にあからさまにキャラ変わっているわけじゃないのですけど、明らかに鉄兜の奥で目をキラキラさせて、北の地のはじめてみるものに目移りして、自重出来ずにあれこれと質問して回ってるんですよね。こんなゴブスレさんはじめて見た。
北の山の向こうの国は、入り江の民(ヴァーキング)たち戦士の国。それは少年たちが憧れる英雄譚の舞台となった地だ。
あのゴブスレさんが童心に帰る、ということ自体がなんとも心擽られる思いである。受付嬢さんが思わず抱き締めたくなるほど愛しさを感じてしまった、というのも凄くわかるんですよね。
この北方辺境の視察という「冒険」を請け負ったのがほかならぬゴブスレさん当人というのも感慨深い。今回の依頼には本当にひとかけらもゴブリン関係なかったですもの。それを「冒険」に行こう、と仲間たちから誘われていくのではなく、ゴブスレさんの方から誘う。行く地はかつて子供の頃に憧れ、いや今もなお憧憬の中にある「物語」の大地。
これ、誘われる方の仲間たちも嬉しかっただろうなあ。にべもないゴブスレさんに、何度も冒険に行くぞと無理やり引っ張り出していた彼らである。それが向こうからだもんなあ。そりゃあ、寒さ全然ダメどころか死活問題のリザードマンな蜥蜴僧侶も頑張ってついてきますわー。
今回の彼は寒さもあって本当に動きが制限されてなるべくじっとしていましたけれど、それが逆にのっそりと寝蔵に横たわる「竜」の風情を醸し出しはじめていて、逆にちょっと大物感すら感じられたのが面白かった。
さても、辿り着いた北方辺境は野蛮な海の蛮族たちが支配する薄暗き国、というのは中央からの偏見の目なんですよね。そこは異なる文化の世界。野蛮とは違う、その土地に合ったルールによって成り立つ世界なのである。初手から、嫁取りのために戦をするという風習に遭遇し面食らう女神官ちゃん。そのあとも、南の常識では仰天させられる様々な風習習慣、神の解釈などに彼女は目を白黒させることになるのですが、驚きながらも素直にそういう文化もあるのかー、と受け入れる彼女は神の使徒としてもおおらかで気持ちの良い器の大きい子なんですよね。
その純真さ、直向きさは間違いなく人を引きつける魅力である。それは文化風習の異なる文化圏の人間にも相通じる人としての魅力。盤上遊戯を通じて、強い弱いじゃなくて、この娘に構ってやらねば、とついつい思わせるその人柄で、信頼を得る……なんて野暮な言葉じゃなくてもっとシンプルに、ヴァーキングの巌のような男たち、そんな男連中を尻に敷く女衆と仲良くなり可愛がられ、輪の中に受け入れられる女神官ちゃん。なんかこう、おっきくなったよなあ。妖精弓手が思わず目を細めるほどに。
そんな北方の地で出会ったヴァーキングたちの頭領とその奥方、この人たちがまた気持ちの良い魅力的な人物で、というか頭領が元は南の王国の騎士というのがまた面白いなあ。それは政治の結果であると同時に甘酸っぱい恋物語の結果でもあり、リアルタイム英雄譚なんですよねえ。
王国の王様たち、結構したたかに政略を進めているんだなあ、と感心した次第。それも、双方がWin-Winになるような形で進めているのがまた素敵。
ゴブスレさんたちを派遣したのもその一貫。冒険者という職業が存在せず、ならず者のたぐいとしか認識されていない北方の地に、ゴブリンスレイヤー一行というメンバー構成見てもあまりにも特殊で、同時にこれ以上無く「冒険者也」というパーティーを派遣することで、北方の地に冒険者という存在を印象づかせようとする試み。何よりゴブスレパーティーをあり方、心意気を見てのチョイスというのがいいんですよね。
いや、このシリーズに出てくる主だった冒険者パーティーって、古参から新参までどこに出しても恥ずかしくない気持ちの良い連中ばかりなので、ぶっちゃけどこを派遣しても悪いことにはならなかったと思いますけど。
それでも。
ゴブリンの船団とヴァーキングの船団が繰り広げる海戦の中に乱入してきた海の怪物を前に、モンスター退治は冒険者のお仕事、そしてこれこそが「冒険也」と勇躍飛び込んでいくゴブスレさんたちの勇姿は素晴らしかった。
合戦に挑む戦士たちの勇気たちとはまた異なる、冒険者たちの勇気。個を尊び同時に一つの生き物のように連携する以心伝心の冒険者の戦い方。そんな心映えが、背中が、闘志が、北方の戦士たちの心をも震わせ奮い立たせる。
自分達とは異なれど、共に戦うを誉れと思えるものたち。まさに「冒険者」なる存在を、北方の地に刻んでいく姿は、カッコいいという以上に胸が熱くなるものがありました。
後にこの地を訪れるようになるだろう後続の冒険者たちと、この地に住まう戦士たちの間に育まれるもの。その最初にして一番大事な芽を、彼らはこの大地と住まう人々の心に植え付けたのでした。
なんか今回は全体的に心をキューッと奮わせてくれるものがありました。異なる文化の国で、お互い心から認め合い尊敬しあい共に戦って笑って別れる物語ほど気持ちの良いものはありません。
そして「家」に帰り着いて、待っていてくれる人にただいまと応えて思い出話とお土産とともに振り返るのだ。
「ああ、楽しかった」と。
今回はその全部がギューッと目一杯詰まっていた、まさに「冒険!」でありました。


天才王子の赤字国家再生術 9 ~そうだ、売国しよう ★★★★   



【天才王子の赤字国家再生術 9 ~そうだ、売国しよう】  鳥羽 徹/ファルまろ GA文庫

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「よし、裏切っちまおう」
選聖侯アガタの招待を受けウルベス連合を訪問したウェイン。そこでは複数の都市が連合内の主導権を巡って勢力争いに明け暮れていた。
アガタから国内統一への助力を依頼されるも、その裏に策謀の気配を感じたウェインは、表向きは協調しながら独自に連合内への介入を開始する。それは連合内のしきたりや因習、パワーバランスを崩し、将来に禍根を残しかねない策だったが――
「でも俺は全く困らないから ! 」
ノリノリでコトを進めるウェイン。一方で連合内の波紋は予想外に拡大し、ニニムまでも巻き込む事態に!?
大人気の弱小国家運営譚、第九弾!
ウェイン王子、お見合い斡旋仲人オジさんと化す!
いやなにやってんだ、と言いたくなるけど、これ真っ当な勢力間の際どいパワーゲームが繰り広げられている中で三面指しで盤面しっちゃかめっちゃかに蹂躙しているの図なんですよね。
ともあれ、選聖侯アガタの協力を得るために彼の領地であるウルベス連合の政争に助っ人として介入する事になったウェインですが、この巻における肝ってウルベス連合云々じゃなくて、ここでのウェインの行動、或いは事件の推移が将来起こる大戦の過程や結果を示唆している、という話が冒頭から置かれたことである。
話としては徹底してウルベス連合という国の旧弊的な柵と閉塞感、自分達ではどうにも出来ない雁字搦めの凝り固まってしまった関係を、ウェインという外部からの刺激物を通り越した劇物、毒物のたぐいによって引っ掻き回されたことで、ようやく突破口が見えてきた、というこの国のお話になっている。将来を暗示するような露骨なエピソードや情報は描かれていない。
ただ、後世にウェインの妹であるフラーニャがこの連合国で起こった出来事が、のちの大戦でのウェインたちの結末を暗示していた、と述懐しているとの記述を見るに、直接は関係ないけれど過去から続く旧弊に捕らわれて身動きが取れなくなった柵を、暗黙の了解を、破壊してしまうにはどうするべきだったのか。とか、一時連合所属国の首班の二人が駆け落ちして行方不明になった、という展開とか。色々と先々に起こりそうな顛末の中でウェインとニニムに当てはめて起こりそうな出来事、というのを想像してしまうのでした。
これまで言葉を濁してきた、ニニムたちフラム人がどうして被差別民になったのか。彼らがフラム人が民族結集して作った国がどうなったのか。そういったかなり重要そうな歴史の話も出てきたわけですしね。
それに、ここにきてウェインの動きがやたら怪しくなってきたんですよね。フラーニャが幾度かの外交で成果をあげ、諸外国でも名望を高めつつあるのにともなって、フラーニャ閥というものが生まれ始め、ウェインではなくフラーニャの方を女王として擁立しようという動きが出はじめているわけですが、これまでもウェインはそれを不自然なくらい「黙認」という形で見逃していたのが、さらに暗に後押しすらしているような素振りを見せ始めているんですよね。
元々、売国しようぜ、なんて言ってたように国民に対して責任は感じて放り投げようとはしていなかったものの、国王という立場に拘りは見せていなかったウェイン王子。むしろ、ナトラ国の王というのは彼にとって足枷になりかねない、とでも思っているのだろうか。
彼の本当の目的がどこにあるか、によるのだろうけれど。
その目的というのも、ほぼ「ニニム」に絞られるだろう事は想像できるんですけどね。
そう言えば、ウェイン王子が「いい人」「優しい人」と思われているという話にちょっとびっくりしてしまったのですが、彼の公的な言動を見ていたら確かに彼のそれは客観的に見て善良公平な賢王(まだ王子だけど)と見られても不思議ではないんですよね。直接対面した人は彼の空恐ろしさを実感するだろうし、決していい人などではない事は理解しているんだろうけど。
でも、彼が売国上等とまで言ってのけるほど、ある種他人に対してどうでもよい、という考えを根底に持っているようなタイプの人間だとわかっている人はどこまでいるのか。
いくらやばくても、王として国を背負って立つ覚悟と責任を持った人物だ、と捉えられているのはおかしくないですしね。実際、ナトラの国民に対して責任を投げ出していないし。
身内に対しては優しいのは間違いないんでしょうけどね。その身内認定がどの範囲までなのか。
今回、ちょっとニニムの身柄に危険が迫っただけでも国一つ潰しかねないラインを綱渡りしたように、ニニムが関わると途端に狂気の魔王化するウェイン王子。こいつって、もしシリーズ開始以前にニニムを喪ってたりしたら、普通によくRPGゲームとか長編大作とかで世界を破滅に追いやるラスボスとして登場してきそうなキャラなんだよなあ。
そんなラスボス系主人公が、果たして一体何を目論んでいるのか。むしろ、このシリーズここからが本番と考えていいのかも知れない。


貴サークルは"救世主"に配置されました ★★★☆   



【貴サークルは"救世主"に配置されました】  小田一文/肋兵器 GA文庫

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GA文庫大賞《金賞》受賞作
100部売れなきゃ世界が滅ぶ!? 同人誌に懸ける青春ファンタジー
「ずっと……ずっと、あなたを探していました、世界を救うために」
自分の同人誌によって、魔王の復活が防がれる。突如現れた女子高生ヒメにそう諭された同人作家のナイト。
ヒメの甲斐甲斐しい協力のもと、新刊制作に取り組むのだが……
「えっ、二年間で六部だけ……?」
「どうして『ふゆこみ』に当選した旨を報告していないのですか?」
「一日三枚イラストを描いて下さい」
「生きた線が引けていません」
即売会で百部完売しないと世界が滅ぶっていうけど、この娘厳しくない!?
「自信を持って下さい。きっと売れます」
同人誌にかける青春ファンタジー、制作開始!

これ、誰にとっての青春かというと、ナイトよりもヒメの方かもしんないね。
同人誌即売会で100部も同人誌を売らないと世界が滅ぶ、なんてフレーズを聞かされると、ついついコメディよりのラブコメで、その世界の危機というのもゆるい感じの話しなのかな、と思ってしまうのですがどうしてどうして。

ガチで人類滅亡じゃないですかー。

人類文明そのものが崩壊しちゃってるし、種の存続そのものがヤバいことになっちゃってるし。ガチのアポカリプスである。
それも予測ではなく確定未来。ヒロインのヒメが実際に何度も体験してきた正史であり、タイムリープによって何度も何度もやり直した末にそれでも変わらなかった未来、という当事者実体験済みの代物である。
いやこれが、なんで同人誌売るのと関係してるんだよ? と思うくらいのシリアスさである。
これでいきなりヒメが、同人誌100部完売してください、でないと世界滅びるから! と押しかけてくるトンチキならコメディ路線一直線なのですけど、ナイトを探して訪ねてきた時はヒメ自身も彼が世界を救うための重要な鍵となる人物であり、救世主なのだ、という事実は知っていても、彼がどのような役割を果たして世界を救うのかはわかってなかったんですよね。
彼女も最初は、ナイトがとてつもない力を秘めた勇者様的な救世主だと思っていたようですけれど。普通はそう思いますよね。強大な「人類の敵」を打ち破るのにはそれ以上に強力な力を持った存在の助けが、と考えるのは破壊と死が渦巻く戦場でずっと生きてきた人間にとっては当たり前の思考のたどり着く果てなのでしょう。
しかし、ようやく見つけた救世主には、何の力も秘められていなかった。
このあと、ヒメがナイトの住むアパートの隣に引っ越してきて、彼の同人誌づくりを手伝い始めるまでにはしばらく間がある。
同人誌なるものの存在すら知らず知識を持たなかった彼女が、それを調べるまで。自分が仲間からもらった最後の、「ナイトと彼の所属する星霜煌炎騎士団同盟が世界を救う。ナイトを支えることが貴女の役割」という預言を、ナイトが同人誌を作ることを支え守ることが世界を救うことに繋がるのだと解釈して、自分の使命を果たすために訪れるわけだけれど。
そんな解釈に至るまでにヒメの中にはどれだけの葛藤があっただろうか。そもそも、ナイトに何の力もないと解った時に絶望を感じなかったわけがないだろう。あれだけストーカーじみた事までして必死に脇目も振らずナイトの存在にたどり着き、彼のもとまで押し掛けてきた彼女である。それが素直に一端引き下がった、というのはそれだけ彼女も混乱しショックを受けていたとは考えられないだろうか。
ヒメがそれでも諦めず、自分が仲間から託された預言を必死で解釈し直してこじつけでも無理矢理にでも納得できる理屈をみつけるまで、決してすんなりいったとは思えない。
そもそも、売れっ子でもない即売会で一部も売れない事も少なくないなんて底辺同人作家の同人誌作りを手伝って、それに何の意味があるのか。同人誌、という存在自体を理解していなくて即席で知識を身に着けたことが逆に偏見を抱かなかった、というのもあるんだろうけれど、もうヒメに預言を疑うだけの余地が、余裕がなかった、とも言えるんですよね。
それだけ、彼女は絶望を繰り返してきた。世界の破滅を目の当たりにしてきた。人類が滅ぶ光景を目にしてきた。何度も何度も、大切な仲間たちが目の前で死んでいくのを、自分の腕の中で冷たくなっていくのを体験していた。
これが最後だと、本当に最期だと思い定めてきたタイムリープである。果たして、平和な時代を生きてきたナイトには想像もつかない感じ取ることもできない狂気が、不退転の覚悟が、彼女の中に蠢いていたとしても全然不思議ではないんですよね。
それ以上に、ヒメにとって預言を託して逝った仲間である、恐らく年齢としてはだいぶ下になるだろう妹みたいな娘であったクラリスという子の遺した言葉を、預言を、疑うなんて出来なかったのだろうけど。

100部、という部数はヒメやナイトの間から出た数字ではない。たまたま、仲の悪い同業者とのトラブルから偶然飛び出した条件だ。しかし、それを目標とすることで彼らは具体的に達成に向かって動き出すことになる。
それまでは、ヒメのナイトへのお世話、日常生活のサポートや同人誌制作のお手伝い、というのはどこか責任感とか義務感に後押しされたものであって、熱量のベクトルはあくまで世界を救うため、あの未来をもう見ないため、というベクトルに向かっていて、必ずしもナイト個人や同人誌というものに向いていたわけじゃないと思うんですよね。
でも、具体的な目標が定まってそれに向けて、プラス1名加わった二人だけのサークル「星霜煌炎騎士団同盟」が動き出したときから、ちょっとずつヒメの意識は変わってくるように見えるのだ。

これまで何度も何度も、彼女の言葉を信じるならば延べ数百年にもなるだろう長い長い時間、繰り返し繰り返し、「魔王」の送り出す正体不明の怪物と戦い続けてきた、戦うことが、破壊と死がいつも隣り合わせで日常だったヒメにとっての、もう思い出せないくらい昔に遠ざかっていた平穏な日常。一つの目標に向かって、毎日毎日ドタバタと大騒ぎして、時に大声を張り上げて意見をぶつけ合い、主張を叩きつけ合いながら、仲間たちと一心不乱に邁進する日々。それは確実に、ヒメの中の熱量の向かう先を変えていく。脇目も振らない、振る余裕もない切羽詰まっているのが常態だった日々が、いつしか「夢中」のなかに埋もれていく。
それは、時守緋芽にとっての、間違いなく青春だったのだ。数百年越しの遅れてきた青春。

これ、本当は主人公ってヒメの方じゃなかったのかな、とすら思えるほどに、彼女は生き生きとしてウンウンと唸るナイトの背中を叱咤激励する。
未来では共に戦った戦友の、平和だった頃の想像もしなかった思わぬ姿を目の当たりにして、でも中身の芯の頼もしくも一本気通った所は何も変わっていないのを実感して、地獄のような未来がどれほど多くの人の将来を歪め潰えさせてしまったのかを改めて実感する。
また今の自分と同じように、いやそれよりも遥かに入れ込んで自分の趣味に、好きな事に夢中になって一途に直向きに邁進した結果を持ち寄ったコミケットというイベントの凄まじい熱気を、集った人々の尋常でない数を目の当たりにして……平和だからこそ人はこんなにも好きな事に打ち込める、こんなにもいっぱいの人たちが夢中になって好きな事に挑める。お祭りだ。こういうものが、自分が守ろうとしてきたものなんだ、と。
ずっと戦ってきたいつしか擦り切れて摩耗してわからなくなっていた平和、いつしか自動的に妄執的にただ世界を救うのだと思い定めて突き進んでいたことを実感し、その救おうとしていた世界がどんなものだったのかを、今こうして思い出し噛みしめることが出来たことに喜びを感じる。
責務でも義務でも使命でもない、ただ心からこの世界を守りたいと思えた。

ヒメとナイト、二人三脚の努力に他にもデスメイドなど手助けしてくれる人たちの友誼も加わり、今までろくに売れることがなかった同人誌が、はじめてどんどん売れていく、その流れと熱を逃さないようにナイトがさらに力を振り絞ってスケブなんかをスタートして場を盛り上げていくという熱さと、会場の外で思わぬ敵からの横槍を未だかつてない意気込みで世界を守るという願いを叶えるために激闘するヒメの熱量が、折り重なって上昇していくクライマックスは実に素晴らしい流れでありました。
トンチキな条件に思えた、同人誌100部売らないと世界が滅びる、逆に言うとナイトが同人誌100部売ったら世界が救われる、という条件がちゃんと真っ当な意味を持っていた。それが本当に世界を滅ぼす、あるいは世界を救う鍵でありきっかけだった、という所なんぞはストーリー展開としてピッタリとピースがキレイにハマる感覚があって、うん良かったです。

これ、続くとなると妙にハードルあがりそうな感じもあるのだけど、これ1巻でもうまく纏められていて面白かった。

我が驍勇にふるえよ天地 10 ~アレクシス帝国興隆記 ★★★☆   



【我が驍勇にふるえよ天地 10 ~アレクシス帝国興隆記】  あわむら赤光/ニリツ GA文庫

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世に常勝不敗の将軍、二人あり。
一人はアレクシス侯レオナート。
いま一人はガビロン三太子マルドゥカンドラ。
ともに百戦して百勝という稀代の名将が、多士済々の勇者賢者英雄女傑を幕下に従え、万の軍を率い、遂にいくさ場にて相見える!
これ矛盾の故事なりや――激戦死闘の果てになお不敗の旗を掲げられるのは一方のみ!
真の常勝将軍は、果たしてレオか? マルドゥカンドラか?
武勇、知略、用兵、戦略、策略、情報、人材、国力――全てを駆使し激突する、シリーズ最大の総力戦に刮目せよ!
魔法がないから面白い、痛快にして本格なるファンタジー戦記の大本命、待望の第10弾!!

古来より戦記小説多々あれど、片方が将星の抱負さ……人材の質と量の両方の高さ多さを強味とする軍勢に対して、同じ多士済々の人材の質量で真っ向から勝負してかかってきた展開は、ちょっとはじめて見たかも知れない。
ただでさえレオナートのアレクシス軍って並の戦記物よりも多種多様なキャラクターの将星が揃っているんですよね。アドモス軍を吸収したものだから、さらに拍車がかかっていますし。
光武帝の雲台二十八将かってなもんで。いや、文字通り雲台二十八将がモデルになってるんですかね。同じ二十八神将なんて名前が後世につけられるみたいですし。
そんなレオナート軍と真っ向から此度かち合うことになったガビロンの常勝将軍マルドゥカンドラ。その不敗の軍団こそ、レオナート軍と同じく様々な得意分野に秀でた人材の宝物庫。オールスターキャストに対して、オールスターキャストで戦いを挑んできたようなもので、レオナート軍の将星たちのお株を奪うような逸材たちが、将棋やチェスで同じ駒が両陣営に揃っているように相互に対応するように、レオナート軍と真っ向からぶつかり合うことになるのである。
まさに、人材と人材の勝負、てなもんでした。そりゃ、これだけ敵方の一軍団にこれだけキャラの個性を考え、戦い方考え、レオナート軍との千差万別の戦闘を考えてたら時間かかりますよ。惜しげもなくネタを掘り起こして投じていくようなものですし。

でもこれ、人材と人材の勝負、と言いはしたものの、終わってみると何気にシェーラとジュカのレオナート軍の二大軍師によって、決戦がはじまったときにはだいたい決着はついていた、という様相になるんじゃないですか、これ。
残念ながら、マルドゥカンドラには盤上を自在に操る智将のたぐいは幾人も居たようですけれど、盤面そのものを用意する軍師は見当たらなかったみたいなんですよね。かといってマルドゥカンドラが自身でそれを成すかというと過去の戦歴を見ても、マルドゥカンドラは提供された戦場で戦うタイプの将軍であって、自分で戦場を用意したり作り上げるタイプじゃないみたいですし。これもアドモスの妖怪爺さんが語っていた、あの兄弟は優秀で仲が良すぎるが故に相手の職分を侵さない、という弱点にあたるのかもしれません。マルドゥカンドラもあくまで軍人に徹していて、言われたところに向かいそこで本分を尽くす、というような行動が伺えますし。
かといって、長兄は政治家としても軍政家としても化け物級みたいですけれど、大戦略家として国家戦略を先々に至るまで見通して操っている、というタイプでもなさそうですし、次兄は謀略家にして情報屋ですけれど、だからこそ裏方に徹しています。天才と言ってもいいんだろうけれど、三人とも限定された局面にしか手を伸ばそうとしないようで。だからこそ、彼ら兄弟は末弟に期待しているのかもしれないなあ。

ともあれ、終わってみれば「役者が違った」と言ってしまっていいくらいに、差が浮き出てしまった感があります。結局、レオナートの側の将星に勝てるような、決定的に上回るような逸材はあれだけ人材が豊富に居たにも関わらず、誰も現れなかったわけですしね。それに、あまりにも多種多様にキャラを出してしまったために、個々に当たるスポットが小さくなって結果として一人ひとりの印象も薄くなってしまった気がします。一番印象に残っているのが、性格最悪のクティルというのがなんともやは。
肝心のマルドゥカンドラも、人の扱いのうまさ、カリスマ性こそが常勝を担ってきた要因なのでしょうけれど、レオナートがトラーメという曲者を意外にもうまいこと使っているのに対して、マルドゥカンドラの方はクティルをはたして上手く使えていたかというと、もろに軍団の弱点になってしまった点を鑑みても、これを重用していた時点でどうなんだろう、と思ってしまった部分もありますし。
部下たちの意見を良く聞く、という点は彼の強みでもあったのでしょうけれど、物語としてはマルドゥカンドラの存在感そのものが薄まっていたような感じがありました。なんとなく軍団全体に主体性というか、主導する強烈な牽引力が見当たらなかったというのもありますし。
レオナート軍の方はシェーラとジュカ、特にジュカがガッツリ手綱握って主導権握って全体を動かしてくれてますしね。既に戦争全体の行程を整えた上で、戦場現場での対応をガンガンとジュカが指揮していってくれるこの安心感安定感。
おまけに、今回の戦いはオスカーとクルスという自ら先頭に立って切り込む個の武勇で活躍していた二人が、後方から一勢を指揮する将帥として一皮むけるステップアップに至った話にもなりましたしね。
こういうところに「役者が違った」という感があったんですよねえ。

やはり、拮抗し得るのは同じステージで戦う相手。この場合はシェーラと同じ目線で戦争を動かせる相手、となるのか。シェヘラザード、そしてキルクス皇子がやはり一番の強敵、ということになるんでしょうな。
作者としての難所を越えたことで、これからはガンガンと続きだしてくれると嬉しいんですけどね。勢い付けて頑張ってほしいな。


処刑少女の生きる道(バージンロード) 5.約束の地 ★★★★   



【処刑少女の生きる道(バージンロード) 5.約束の地】  佐藤真登/ニリツ GA文庫

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「私は清くもないし、強くもないし、正しくもない。そんな悪い奴だもの」
アカリを連れ去った導師「陽炎」を追い、“聖地"に足を踏み入れたメノウ。せめて自分の手でアカリを殺す。そう決意した彼女の目的は、【白】の遺物・塩の剣の確保だった。
幼き日のメノウと導師がかつて辿った旅路の果て。塩の剣が眠る、清浄なる塩の大地。第一身分に封印されたそこへ至るには、【使徒】魔法使いが守護する聖地の中枢・大聖堂の突破が絶対条件。「陽炎」によるアカリ処刑のタイムリミットが迫るなか、圧倒的戦力差を覆すためにメノウが選択した禁忌の手段とは――。
師を超える時は、今。彼女が彼女を殺すための物語、決別の第5巻!!


アニメ化ですって! これはびっくり。これにはびっくり。GA文庫が怒涛の7作品アニメ化(続編含む)に打って出た一環なのですが、それにしてもこの作品が選ばれるとは……。でも、本作もGA文庫の大賞作品なんでしたっけ。それに、この作品のストーリー展開と世界観、ビジュアルはアニメ映えするものだと思うので、これは素直に期待してしまうなあ。

かくして、物語はクライマックスへ。

……クライマックス? いやいやいやいや、ちょっと待ってちょっと待って?
最後の最後で今までの前提全部真反対にひっくり返されちゃったんですけれど。なにこの構成? 本当に全部裏返しになったぞ!?
これ、終盤まで見事なくらいにメノウという少女の成長譚であり覚醒の物語であり、革新に至る真っ当なストーリーだったはずなんですよね。いびつながらも美しく磨き抜かれた師弟愛の物語であり、尊いまでのメノウとアカリの二人の少女の友情を超えた友情の物語であったはず。
二人の間に育まれた絆によって、メノウは自分に課していた枠組みを壊して、人として生きる道をついに見つけた、ついに掴み取った。この5巻までの間に丁寧に丁寧に積み重ねられていったものの集大成であり、メノウが自分を見つめ直して本当の望み本当の自分の姿に気づく、そんな話だったはず。お互いにどこか一方的だったアカリとの友情が、ついに混じって交ざって繋がった、そんな回だったはず。
克服の物語として、越えられなかった壁を超える物語として、新たな自分に出会う物語として、美しいまでに綺麗な線を描いて辿り着いた、天王山だったはず。

……だったんですよ。

しかして明かされた真実は、メノウのあのどこか寄り固まった在り方もアカリとの深すぎる繋がりにも世界の在り方にすら深い深い納得を与えてくれてしまった。凄まじいまでの納得だ。怒涛のような得心だ。
でもそれは、今まで彼女らが歩いてきた道の情景を根こそぎひっくり返すものなんですよね。彼女たちが旅の中で掴んできたものの意味が、そっくりそのまま反転してしまう。ひっくり返されてしまう。
メノウの原点が「白」にある、というのは半ば承知されていた事でしたけれど……その関わり方はあまりにも予想外でした。そこまで残酷な、酷薄で無情な意味を持っているとは思わなかった。
名前からしてそうですよ。普通メノウって……宝石の名前じゃないですか。なんですか、その意味。酷すぎませんか? 名付けたんじゃなくて、自ら名乗ったという無意識な所が余計に酷薄じゃないですか。でも納得なんですよね。それは、メノウのあの自らをどこか突き放したような淡々とした定義づけに、実に沿う。役割であるという事がこれほど似合う子はなかったんじゃあないだろうか。
サハラのメノウへの嫌悪や敵対心の根っこって、実は良いところ突いてたんだなあ、と。今回この巻だけでも、感性感覚のまま振る舞っているサハラだけれど、なかなか侮れないんですよね、この人。

でも、メノウは人形じゃなく、そのはじまりから師匠に憧れあの人のようになりたいと望んだ。役割でありながら、あまりにも彼女は人として生きる道を求め続けてた。
その最果てでアカリと出会い、自分の根源を揺さぶられひっくり返され、自分に課していた壁を乗り越えることが出来た。
その全部が、意味を失いかねない。一番大切なアカリとの繋がりですら、嘘になりかねない。アカリと繋がることで望むことが出来た、善き人を殺さずに世界を変えるという願いも……善き人ってなんだよ!? てことになる。
メノウの覚悟も決意も望みも願いも、これまでのメノウの全部が、ここまで至ったメノウの人生の何もかもが、無価値にされるようじゃないですか。無意味へとひっくり返されたみたいじゃないですか。無造作に踏み躙られたようじゃないですか。
幼い頃から師匠に憧れあの人のようになりたいと思い、成った処刑人としての在り方。それを自分で粉々に砕いてしまい、なにをどうしたらいいのかわからなくなって途方にくれたことも。
虚無の虚脱に呑まれながら生きたいという衝動にすがりついたことも。
ゼロの中から本当に大切なものを見つけて、アカリのもとに辿り着いたことも。
アカリと手を携え一緒になれて、彼我を混ぜ合い分け合って、一心同体というほどにお互いを理解し合えたことも。
二人で自分の生きる道をついに見つけて、そこを歩いていこうと決意して覚悟して、立ちふさがる師匠を超えていくのだと決心したことも。

マノンが見つけた「彼女」は、その登場とともに、その存在を知らしめることで、メノウが示したそれらの意味を、勇気も愛情も友情も罪悪感も、ぜんぶが裏返り台無しにししまった。

きっとこれを冒涜というのだろう。

それをまだ、メノウは知らない。アカリも知らない。フレアですらも知らないのかもしれない。いや、師匠は「知って」いるのかもしかして? 彼女のセリフは、ラストを見てから振り返ると意味深に取れる部分が幾らでもあるように見えてくる。だからもしかして?

そしてそれを知ったマノンは、文字通り……白紙になった。いやマジで? これ本当に? 

未だ知らないメノウたちにひたひたと近づいている真実は、試練と呼ぶには余りにも悍ましい。果たして、メノウたちはこれに耐えられるのだろうか。ここでメノウたちが結実させた輝きは、その真実を前にした時一切の光を泥でもぶちまけられたみたいに無価値にされてしまうだろう。
見事なまでに力強くあげて美しいまでにあげて、見事なまでの落とし方。いや、奈落の落とし穴を開いてみせただけで、未だそこに足を踏み入れず、その少し手前で走り出しているというのが現状か。敢えて未だ落としていないのが逆にエグい。えげつない。

あと、みんなもっとフーズヤースさんに優しくしてあげて! 今回一番ひどい目に遭いまくってたの、この人なんじゃないだろうか。彼女自身、あんまり酷い目にあってる自覚なさそうなのが、自分の有能さに気づいていないところも相まって、不思議な愛嬌と絶妙の存在感がのってるキャラだったんですよね。良いように振り回され翻弄されまくってたフーズヤースさんですが、ある意味一番今回美味しいキャラだったのかも。それにしても、モモはもうちょっと本当に他人に対して丁寧に、というか他人を人間扱いしましょうよw
そんな人非人なモモに対して、メノウちゃん幻想を抱きすぎ!!
 

邪神官に、ちょろい天使が堕とされる日々 2 ★★★☆   



【邪神官に、ちょろい天使が堕とされる日々 2】  千羽十訊/えいひ GA文庫

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「雌獅子の女神が復活した――このままだと、人類は絶滅する」

英雄アウグストがイフリートと相討ちになり死亡して数日後、祈師が殺される事件が教皇顧問団で問題となった。事件現場は、山脈が抉り、消し飛ばされたという。
「丁度いいスタッフがいるではありませんか。有能かつ、死んだら死んだで構わない、そういう祈師が」
そんな事件に送り込まれることになったギィたちは、教団と敵対する亡神結社の刺客と邂逅する。
「で、こいつはチェルシー・ザラ。オレの嫁」
「誰が嫁だ! 」
不良神官と彼に甘やかされる天使が紡ぐファンタジー第2弾!


アストリッド、年齢的にもチェルシーよりも一回り上(アストリッドが千二百歳でチェルシーが八百歳だそうで)ですし、神格でも星の女神アスタルテとして魔王を冠するほどのものであり、月の大天使たるサリエルなチェルシーよりもまあ上かなって所なんですけれど、関係性としてはチェルシーが姉でアストリッドが妹、というポジションに収まってしまうんですか。
逆じゃね? と、思ったんだけれど、アストリッドが一緒に旅するようになってからチェルシーって確かに甘ったれた行動は取らなくなってるんですよね。ギィにはだだ甘えてますけれど、三人一緒のときは先達としてアストリッドの面倒をよく見ているし、どこか落ち着いた雰囲気すら醸し出すようになってるんですね。
これ、無理してお姉さんぶって背伸びしているわけじゃないという所が味噌で、ごく自然にアストリッドの事を見守って、気遣って、寄り添ってあげてるわけですよ。
アストリッドも、天真爛漫で無邪気な子ですけれど別に短慮だったりちゃんと見てないとどこに突っ走るかわからない暴走グセがあるわけでもない。むしろ、裏表のないバカっぽい言動とは裏腹にとても聡明で思慮深いすらあるし、我儘言ったりもしないイイ子なのである。でも、どこかその純真さは見守ってあげたいという庇護欲を掻き立てるので、チェルシーが何だかんだと面倒見てしまうのもわかるんですよね。
それに、今回の事件はアストリッドと縁の深い神様と対決することになり、彼女も恩人であり家族のようでもあった人を討たなければならない、という状況に深く苦悩することになるから、余計にその明るい笑顔を曇らせている彼女には寄り添ってあげたい、と思わせてしまうのでしょう。
もっとも、アストリッドは苦悩はしても迷いは一切していなかったのですが。
その意味では覚悟据わった魔王でもある、と言えるんですよね。同時に、チェルシーやギィ、そして共闘する事になった亡神結社のエドとシャルロットの人神コンビがアストリッドの心の内をかき乱すことなく、彼女を支えるようにその悲しみに常に寄り添ってくれていたから、迷うだけの隙間がなかったんですよね。
ギィもエドも、その意味ではイイ男すぎるし、チェルシーとシャルロットがイイ女で良き友で姉妹同然の同志であった、というべきなのか。
特にエドゥアルドとシャルロットのコンビは、さながらもう一組のギィとチェルシーで以心伝心、息ピッタリだし、価値観もギィとほぼ似通ったものだけに、義もあり仁もあり、という感じで気持ちの良い二人組だったんですよね。って、いきなりギィと故郷での幼馴染という設定が飛び出してきて、びっくりしたんですけど。故郷を滅ぼされて以来、の再会になったんでしたっけ。そして、お互い対立する組織の掃除屋みたいな立場にありながら、変にすれ違って衝突することもなく、いや出会い頭はお互い誰かわかっていなかったので戦闘になりましたけど、お互い幼馴染だった相手とわかったら信じたり疑ったりという概念すら必要ないとばかりに、一緒に行動するようになって……いや、男同士の幼馴染というのもこうしてみると、いいもんだなあ、なんてちょっと思ってしまいました。
ともあれ、そんな連中がアストリッドの苦悩に何も余計なことを言わずに寄り添い、命令や何かを強いる事無くアストリッドの在り方をそのまま受け入れてくれていたから、彼女も迷うことなく暴走する恩人に対して自分が何をするべきかを貫けたんですよね。
その迷いの無さが、覚悟が、またアストリッドの健気さを引き立てていて、天真爛漫でムードメーカーで聡明で可愛らしくて健気な年上の妹格って、パーフェクトかよと言いたくなるんですけど!
エドとシャルの亡神結社のコンビの登場に、アストリッドの掘り下げ、チェルシーのちょっとした成長と、キャラクターに関しては大いに味わわせていただきましたけれど、ストーリーとしてはあんまり進展なかったんじゃないかな。天罰神の復活は遠大な計略かもしれませんけど、怨敵ヤオダバオトの側の動きは見えなかったわけですし。
ただ世界観はやはり面白いなあ。今回はエジプト神話の天罰神が登場、そこにアストリッドの神格であるアスタルテが色んな神話大系に様々な名前で登場しているのを運用して、関わりを持たせて、という形になっていましたし。各地の神話の残滓が今、人の間に入って生き残り、今この世を支配する疑神ヤオダバオト打倒のために雌伏している、というのもワクワクしますし。スクルドって、盾の戦女神でもあるのか、このへんあんまり知らんかった。


転生魔王の大誤算 2~有能魔王軍の世界征服最短ルート ★★★   



【転生魔王の大誤算 2~有能魔王軍の世界征服最短ルート】  あわむら赤光/kakao GA文庫

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臣下達の重すぎる忠義と愛に後押しされ、しぶしぶ世界征服を続けるケンゴー。
ベクター王国を一瞬で攻め落とすと、統治体制を確立するため民心獲得政策を打ち出す。
金と物をバラ撒き、魔王の体面を保ちながら、どれだけ民に媚びることができるか、ヘタレチキン魔王の政治《たたかい》が始まる!
意外にも臣下達も協力的で、むしろ有能すぎてケンゴーもほくほく顔。
「これはうれしい誤算だな! 」
だが、魔族と人族の融和を望まぬ者達が暗躍。
まさかアイツまでもが謀略の糸を張り巡らせ、ケンゴーの優しさ溢れる占領政策を妨害する!?
魔王の自覚が芽生え始め、臣下達の愛もますます深まる、誤算だらけのサクセスストーリー第2弾!!

媚びる媚びる、これでもかとゴマをすって媚びまくる。
これが誰かに仕える立場なら佞臣路線一直線なのだけれど、ケンゴー君は一番偉い魔王なのである。それが偉そうな顔をしながら、幹部である魔将たちに媚を売り、征服した人間の都市の市民たちに媚を売り、と大安売りもイイ所なんですよね。
自分の意図が伝わって無くて、独自解釈で盛大にやらかしてドヤ顔の魔将たちを叱責したり罰を与えたり、なんて小心者の彼に出来るはずもなく、まず褒めて褒めてその上で自分の思ってたのとちょっと違うなあ、というのを伝えつつこれはこれで素晴らしい結果を出していると褒め称え、その有能さと忠誠心を褒め称え、君たちは間違ってはいないしよくやってくれたけれど、ちょっとだけ方向修正するからね、悪く思わないでね。という趣旨の話をふんぞり返って尊大な物言いで覆い隠しながら、実質低姿勢で全力で媚びを売りまくる魔王ケンゴー。
いや、ここまで偉そうにおもねることが出来るのって、それはそれで才能かもしれない。いやいや、ちゃんと話聞いてたら無茶苦茶言ってるなあ、というのが露骨にわかるので別に全然上手いこと言ってるわけじゃないんですよね。凄まじくボロボロとボロを出しまくっていると言える。
それでも魔将たちが褒められたと喜び、超好意的に解釈してくれて、尊敬を深めてくれるのはそれだけ普段も最初からちゃんと話聞いてくれてない、という証左でもあるのかもしれない。
今回は、間違ってぶっかけられた魔法薬によって、冷静さを保てなくなると内面の凶暴さが表に出てしまうという副作用によって、魔将たちが思いえがく理想の魔王様像を何度も実演してみせてしまったのが、思い込みを助長させる結果になってしまっていたのかもしれないが。
いやでも、この副作用状態のケンゴー、ただの性癖全開の中二病に掛かった変態、でしかなかったような。これ、ただのエロ魔王ですよね。
おかげで、ケンゴーの正体を知り小心者としての彼をフォローし守ろうとしてくれているルシ子が、火消しに苦労するはめになるのですが。傲慢を司る彼女があくせくとケンゴーのやらかしをフォローしケアして回ってるというのは何とも皮肉な姿でもあるのですが、彼女の場合傲慢ってのはただのツンデレだから別にいいのか。むしろ、実体は健気で献身的、と言ったところですもんね。自分だけが本当のケンゴーを知っている、という優越感も持っているみたいだし。ある意味、彼を独占しているとも言えますからね。なので、自分だけに弱音を吐いてくるケンゴーに対して、つんつんしているようでこの娘だだ甘で、やたらと甘やかしてやがりますし。ケンゴーも、ルシ子にベタベタなものだから、二人きりになると途端にイチャイチャしてばかりなんだよなあ。

ただ、そのルシ子の優越感もいつまで保てるか。
ケンゴーの中身を理解せず、勝手に自分の理想像を彼に被せてファンか信者のように盛り上がっているように見える魔将たち。実際、ケンゴーはその幻想を裏切らないために四苦八苦しているわけですけれど、本当に一から十まで全部誤解と思い込みで、魔将たちの忠誠心と信仰が成り立っているかというと、彼らは見事に能力はともかく見る目はなくてぼんくらもイイ所ですけれど、完全に何も見ていないし話も聞かない、というわけじゃあないんですよね。
少なくとも、ケンゴーが本当にカッコいい魔王様だというのはわかっている。
小心者で臆病者だけれど、ケンゴーは卑怯者とは程遠い男である。平和主義者で本心ではまず話し合い優先で戦う事は怖いし嫌だし面白いとも思っていないけれど、引いてはいけない場面では決して退かない。理不尽に対して心から怒り、自分を困らせてばかりの部下たちだけれど、その忠臣には本当に感謝して有能さには尊敬すらしている。いざ、彼らがピンチになった時に自ら身体を張って守り助けることに何らの躊躇も抱かない。
魔将たちがオーディエンスと化して、魔王様かっけぇぇぇ! とやんや喝采してる時は本当にちゃんとカッコいいんですよね、魔王ケンゴー。いやそれにしても、ひたすらテンションマックスで大騒ぎしてアゲアゲで居続けるのって、疲れないかな、と思ってしまうのだけれど、推しに夢中な連中というのはこういうものなのかもしれない。
ってか、魔将たちって忠誠心というよりもこれファン心理ですよね。推しのアイドルを一心不乱に応援するドルオタのようなメンタルである。
果たしてそんなファンと理想像と推しの実像には乖離があることは不思議ではないのですけれど……こうして見てるとその乖離は徐々に埋まっていっているような気もするんですよね。徐々に、魔将たちはケンゴーの本質を、実像を理解しつつあるように見える。誤解や思い込みと実像の乖離が埋まりだしてなお、彼らのケンゴーへの敬愛が薄れないとしたら。
ルシ子も、いつまでも自分だけが彼を知ってるのだ、みたいな優越感に浸ってはいられないんじゃないだろうか。既に、アス美あたりはケンゴーの中身について察しはじめているようなきらいもありますし、マモ代は別の意味で盲目的にケンゴーのカッコいい側面に夢中になりはじめているし、レヴィ山くんもあれ、結構ケンゴーのことわかってるんじゃないだろうか。
そんな風に、いつの間にか魔将たちとの距離感詰まってるような感じがあり、面白くなってきた。
しかし、天使サイドはこれ完全に悪役なのか。聖女さまも、見事に狂信者ですし、ケンゴーの怒りに触れる理不尽には事欠かなさそう。





俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ ★★★   



【俺とコイツの推しはサイコーにカワイイ】  りんごかげき/DSマイル GA文庫

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「お前ッ!! いつからギンガちゃんの正体に気づいてた!?」
俺こと、南アズマは電脳アイドル『∞ギンガちゃん』の激推しフォロワー。そんなギンガちゃんの中の人は幼馴染の星夜アゲハなのだが――。

「お前じゃない!……西条院ロコよ」
もう一人の幼馴染・ロコもギンガちゃん推しと判明し、俺たち二人でこっそり応援しようと結託するが??

「ふふ……心から、愛しあっている」
なぜかアゲハちゃんは俺×ロコが【恋人同士】と勘ちがいしちゃう!?

すれ違う幼馴染たちは本当の友達になり、ギンガちゃんをメジャーにできるのか?
これはネットと現実が交差する、ぼっち三人組の交信録。
第12回GA文庫大賞<銀賞>作品。

こ、これって幼馴染なのか? 馴染んでないぞ? 全然馴染んでませんよ!?
正直、これだけ疎遠……昔は仲良かったけど大きくなって疎遠になりました、じゃなくてはじめから今までずっと疎遠! 仲良くないどころか、ろくに話したこともない、というのは果たして幼馴染と言えるのだろうか、と最初真剣に首を傾げてしまいました。
とは言え、小さい頃から同じ学校同じクラスだった三人。アズマとロコとアゲハは、生来のボッチ気質ということもあり、友達同士でグループ作ってー! というアレ、あれをやられると見事に毎度余ってしまう屈指の三人だったがために、幼い頃からなにかと三人一緒にまとめられ、一緒に行動していた、という三人でした。
それなのに疎遠て。ほとんど喋ったことがないて。……逆にもう、すごいな!
あらすじなどから、この作品って仲の良い幼馴染三人組が、一人がこっそり電脳アイドルデビューをしたのをきっかけに、残りの二人もこっそりファン活動をはじめて、それがラブコメに繋がっていくみたいなのを想像していたので、まさか全然仲の良くない幼馴染同士、というシチュエーションはまったく予想していませんでしたぜ。
本来、幼馴染というのはそれだけ人間関係が「完成」されている関係でもあります。ラブコメにおいては、その揺るぎない完成度を楽しむ関係でもあり、その完成された関係を揺るがすような爆弾を投下することで起こる関係の距離感の撹拌を楽しむものでもありました、幼馴染というのは。
ところが、この三人は完成されるどころかまるで始まってもいなかったわけで、アゲハの電脳アイドルデビューをきっかけにして始まったそれは、三人にとって全部が初体験だったわけです。
電脳アイドルデビューしたものの、まったくフォロワーが集まらずに、元からそれがアゲハだと知っていて追いかけたアズマとロコ以外ファンがいない、という閉じたサークルでもあったわけです。
そこで、唯一のアゲハ……ギンガちゃんフォロワー同士ということで交流することになったアズマとロコが、相手の正体を知ってしまった上で協力して推し活動をはじめるわけですが……、ギンガちゃんのファン活動とは別に、ずっと気にしていた幼馴染の一人と仮にも打ち解けて、一緒に行動することになって、という方にアズマもロコも完全にウカレてしまってるんですよね、これ。
もう距離感もむちゃくちゃ。突き放せばいいのか、ベタベタすればいいのか、さっぱり判断できずにテンパったように時につたなく、時に前のめりに交流する様子は、幼馴染の完成度なんてどこにもなく、不器用で初々しいばかりなんですよね。
孤高でいながら、実はアズマとロコのことずっと気にしてずっと見守ってきたアゲハが、二人のこと付き合いだした、と勘違いしたのこれ無理ありませんよ。街でなんかおしゃれして一緒に歩いている二人とバッタリ会ってしまった、というのが決定打ではありますけれど、以前は視線も合わせなかったのがあれだけ露骨に意識しあっている様子を学校でも見せてたわけですから、そりゃなんかあったなー、と思いますし、それだけじゃなくなんかいい雰囲気になってる、と見えてしまうのも仕方ないですよ。
実際、いい雰囲気になってたわけですし。

この三人、これだけ今まで疎遠だったのに。ろくに話もしなかったくせに。まともに視線も合わせられなかったくせに。三人とも、実はお互いの事よく知ってるんですよね。ずっと、相手のこと気にして見続けていたから、相手がどんな人かすごくわかっちゃってるんだ。
だからこそ、アゲハが電脳アイドルはじめたのも速攻気づく、というかその前身であるブログからずっとチェックしていたわけですが。アズマもアゲハもロコのやたらと攻撃的な理由も、その本質が臆病でメンタル弱々な所もちゃんと知ってるし、ロコもアゲハもアズマがどういう男の子かちゃんと知っている。もちろん、アズマとロコは自分たちが推しまくってるギンガちゃんの中の娘がどういう娘か知っているから、あの娘が大好きで応援しているわけだ。
でも、三人ともお互いが自分のことを知っている、見ている、気にしているなんて微塵も思っていなかった。お互いを見つめ合う勇気を持てなかったからこそ、今までずっと疎遠なままだった。
それが、アゲハが自分を変えたいとはじけた電脳アイドル活動をきっかけに、それを追いかけた残る二人が勢い余ってぶつかって、お互いが相手のことをどう思っていたのか、知ることになるのである。
自分のことをわかってくれている、と知ることは、勇気の後押しになるんだなあ。

個人的に、どうしてもあの主人公アズマの茶化したような口語の一人称、合わなかったんですよね。真面目なシーンでも本人は真剣なのかもしれないけれど、茶化したようなふざけたような軽薄なノリと口調で浮ついたように語っていくので、なかなか話にも入り込めなくて、正直読みづらくはありました。
電脳アイドル……Vチューバーのことなんでしょう。これも、さっぱりわからなくて、ギンガちゃんの動画面白いのかどうか全然わかんないし、推しコメントのほうも面白味があってノリのよいというものではなくて、正直何が推しポイントなのか本当にわかんなかったんで、これに関してはわかりませんでした、としか言いようがなく……。
ただ、幼馴染とはとても言えない昔から一緒にいる機会の多かった顔見知りが、本当の意味で幼馴染となり、友達になり、とてもとても固い絆で結ばれるお話としては読み込ませられるものがあったと思うのです。
唯一二人だけ、はじめた時からずっと見ていてくれて、応援してくれていて、ずっと支えてきてくれたファンが、ずっと気にしていつか仲良くなれたらと思っていた幼馴染二人だった、と知ったときのアゲハの想い。あの、ギュッと抱き竦める抱擁がすごく伝えてくれるんですよね。あれは本当に良かった。良きよ、良き。

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6 ★★★★   



【ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 6】  大森 藤ノ/ヤスダ スズヒト GA文庫

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「ヘスティア、君に『戦争遊戯(ウォーゲーム)』を申し込む!」 「な、なんだとアポロン!?」  『戦争遊戯(ウォーゲーム)』──対立する神々の派閥が総力戦を行う神の代理戦争。勝者は敗者の全てを奪う。そして敵神の狙いは──「君の眷族、ベル・クラネルをもらう!」 戦争開始まで期限は一週間。更に追い打ちをかけるように今度はリリが【ソーマ・ファミリア】に捕らえられてしまう! もはや絶望的な状況。それでも少年と『出会い』、幾多の『冒険』を経た絆が今ここに集結する。全ては勝利のために! 「上等だ、アポロン! 僕等は受けて立ってやる、この戦争遊戯(ウォーゲーム)を!」 これは、少年が歩み、女神が記す、──【眷族の物語(ファミリア・ミィス)】


年の暮れということもあって、部屋を掃除ならぬひっくり返していたら、これを発掘。比喩ではなく発掘。これを読めていなかったがために、シリーズここで止まっちゃってたんですよね。
一応アニメでは視聴したんだったか。なので、話の流れは知っているのだけれど改めて小説で読み直し。
とりあえずアポロンはクズ野郎、でいいんですね。いいですね?
少年大好きヤベえやつなアポロン様は、最近名を馳せてきたベルくんが可愛い美少年兎であることをイイことに見初めてしまい、ヘスティアから奪ってしまおうと策略を企てるのでありました。
元々、欲しい男の娘や女の子がいたら、強引に他にファミリアに因縁しかけて嫌がらせをした挙げ句に目的の男女を奪ってしまう、という悪行を重ねていたアポロンさま。
神話においてアポロンにえらい目にあわされたダフネやカサンドラが、彼のファミリアに所属しているというあたりにこのファミリアの因業を感じる。
これ、ファミリアに力があれば弱小ファミリアに何シてもいい、というオラリオの状況って結構酷いですよね。ギルドの縛りとかガネーシャファミリアによる治安維持活動なんかがあるにしても、ヘスティアファミリアへの嫌がらせを通り越したヤクザの詰めみたいなのを真っ昼間に堂々とやっても咎められないのって、つまりほぼやりたい放題。
これから逃れるには、大人しく傘下に入るか他のヤクザ……もとい大手ファミリアの傘下に入るしかないんじゃなかろうか。ギルドは罰則なんかあっても、積極的にこれを掣肘するような意思も戦力もないみたいだし。
ほぼ、ヤクザに牛耳られた悪徳都市みたいなものじゃない。
神様たちは、これに眉をひそめるどころかむしろやんやと喝采をあげて、盛り上げるばかり。神たちの無責任さが伝わってくるお話である。
むしろ良識ある神様は、自分のファミリアへの影響や立場を考えて積極的には動かないし。
もちろん、助けてくれる神様たちもいるものの、そういう立場の柵がないか少ないからこそ動ける少勢力なんで、なかなか大勢には影響を及ぼせないんですよね。タケミカヅチもミアハも、ヘファイストスも。
ヘスティア様に人望がない疑惑w いやまあそんな事ないよね。むしろ、神々のある種突き放したような関係性の中で、これだけ手助けしてくれる神様たちがいる、という事がヘスティア様の人望を物語っている、かもしれない。
まあ、人望についてはやはりベルくんなのだけど。
戦争遊戯(ウォーゲーム)において、先だってベルと何度もいざこざを起こして衝突したモルドなんか、今や完全にベルくん派になっててベルくんにえらい金額賭けて応援してたしなあ。あれはなんというか、微笑ましかったw
ともあれ、窮地に追い込まれオラリオで行き場をなくし、敢えて不利な『戦争遊戯(ウォーゲーム)』を受けることで死中に活を求めるベルくんとヘスティア様。
あの『戦争遊戯(ウォーゲーム)』の対戦方法のクジ、本当に偶然なんだろうか。ヘルメス様、いい神様に見えるんだけれど常に胡散臭いからなあ。でも、ここまではずっと味方なのは間違いないんですよね。腹になにを抱えているにしても。ベルくんがアイズとダンスできたのも、ヘルメスさまの手助け以外のナニモノでもないわけですし。
ファミリアとしては助けられないものの、ベルくんを鍛えるという形で最大の応援をしてくれるアイズにアマゾネス姉妹。毎度のごとく、ベルくんのピンチとなれば真っ先に駆けつけてくれるお助けリューさん。
そして、自分のファミリアを離脱してヘスティア・ファミリアに入ってまで、ベルくんを助けたいとするリリ、命、そしてヴェルフの兄貴。かつてリリの人生を踏み外させた神酒の魔力にも抗って、発狂しかねない魅力を振り切って、ソーマになしをつけてみせたリリもさることながら、師であるヘファイストスに義理を通して、友のため自らの意地も捨てて、封じた魔剣をも開放して戦いに参加するヴェルフ兄貴がカッコいいのなんの。
ヘファイストスさまも、これは誇らしく送り出しますわ。むしろ、自分がベルのもとに駆けつけることこそ、貴女の心に叶うでしょう、とまで言われたらねえ。貴女の心意気、在り方を尊ぶからこそ、自分はかっこよく言われるんだ、とされたら、もうきゅあーーっと来ちゃうじゃないですか。
嫁が八人くらい居てもおかしくない漢じゃねえですか、兄貴は。

こうやって、絶対不利の『戦争遊戯(ウォーゲーム)』に、ベルのために参陣結集してくる得難い仲間たち。これはやっぱり燃えますわー、ちりちり鳥肌立ちますわー。
こういう盛り上げ方に関してはやっぱり本家小説は練達ですよね。魅せ方というものを、心得ている。それぞれが最大限の役目を果たし、堅牢にして敵の数こちらの何十倍という敵城塞を一気呵成に突破する攻城戦の一部始終、手に汗握る面白さでありました。
そりゃ神様たちもやんやと喜び盛り上がるわなあ。ベルくん、ほんと戦い方が魅せますし。

ベルとヘスティアさまの二人きりだったヘスティア・ファミリアの、ここからが本当の活動開始。
頼もしい仲間たちが加わっての、物語のスタート。その号砲として、実に良いカマセっぷりでありました、アポロンw

大森藤ノ・作品感想

〆切前には百合が捗る ★★★☆   



【〆切前には百合が捗る】  平坂読/ U35 GA文庫

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美人小説家と家出少女の日常系百合ラブコメ!

「〆切直前に遊ぶゲームって、なんでこんなに楽しいのかしら……」
家出少女の白川愛結は、従姉妹の白川京の紹介で、人気作家、海老ヒカリの世話係&監視役のバイトをすることになる。
原稿をサボってゲームをしたり釣りや旅行に出かけるヒカリに翻弄されながらも、そんな日常に幸せを感じる愛結。
一方ヒカリも、突然始まった愛結との同居生活の中で、これまで感じたことのない気持ちが芽生えるのだった。
社会から排斥された少女と、容姿才能家柄すべてに恵まれながらも自堕落に生きる小説家、二人の関係の行き着く先は……?
"普通"に生きにくいすべての人に贈る、珠玉の日常系ガールズラブコメディ、誕生。

家出娘というから、もっと不良じみた理由とか自由を求めて家を飛び出してきて、なんやかんやと作家先生の家に上がり込んで、そのフリーダムさで引っ掻き回して引きこもりの固定されがちだった作家生活を破壊して、という想像を勝手にしていたのだけれど、白川愛結が家出するに至った理由が本気で深刻だった! 
いや、これは家出と言っていいのか? 現代では家出としか言いようがないのかもしれないけれど、出奔とか絶縁に等しいものですよ。もう家に戻るという選択肢がない、実家や故郷と縁を切るに等しい二度と戻れない家出じゃないですか。
友人や家族との関係が破綻するに至った理由こそが、愛結のセクシャルマイノリティ、自分がレズビアンである事の告白でした。どれほど口で理解を示していても、それも所詮他人事だからこそ。自分の寛容さを表現するためにあれこれと理解あるような事を宣う人は多いですけれど、いざ自分が当事者になると関係者になると途端に嫌悪と拒絶を示す人の何と多いことか。あくまで少数であるだけで正常の一つであり当たり前の一つである事を理解しようとしない人は決して珍しくない。
そもそも考え方自体が古臭い家族にも自分を全否定され、強固な偏見に居場所を失って家を故郷を飛び出さざるを得なかった愛結が頼ったのは、東京で働く従姉の白川京でした。
って、京!? 【妹さえいればいい】のメインキャラクターの一人だった白川京!? しまった、妹さえの方、あと数冊のところで積んじゃってた。あれからどうなってるんだ!? 幸い京が正式にライトノベルの編集者になっている事以外はあちらの作品については特に関係ある話は入ってこないので、あっちをさっぱり読んでいなくても途中で読むの止まっていても問題なさそうなんですけどね。
そう言えば、作家先生の海老ヒカリこと海老原優佳理は【妹さえ】の終盤に出てきた新人賞受賞作家たちの、その次の世代、次の新人賞の大賞受賞者で尊敬する作家がカニらしいのですけどね。エビのくせにカニを尊敬しているのか。
ともあれ京は自分を頼ってきた従妹を、担当作家の一人でありまともな生活を遅れていないヒカリのもとに住み込みバイトとして送り込む。わりと思いつきみたいに決めちゃったように見えるけれど、前作から京を知っている身からすると、かなり深刻な事情を抱えている風情の親戚の子を考えなしに他人に預けてしまうような女性ではないと知っているだけに、いやそれどころか非常に面倒見が良い上に人間関係にも敏い人で海老ヒカリのみならず、社会不適合者も含む変人クリエイターと何人も深い交流をして信頼関係を築いてきた人物だけに、愛結をヒカリの元に送り込んだのも何らかの考え、或いはそうした方がいいという感覚があったのでは、と思えるんですよね。これは前作を知っているがゆえのキャラに対する信頼なのでしょうけれど。
さても、そうやって生活サポート、家政婦めいた仕事を振るという名目でヒカリのマンションに住み込むことになった愛結。東京に来た際に勢いで派手な服装や髪型を決めた愛結ですけれど、本来は古風な家柄故に礼儀作用や花嫁修業として家事一切を厳しく仕込まれている少女であり、どちらかというと固い真面目寄りの娘であり、だからこそ自分の性向についても深く悩んでしまった所もあるのでしょうが。
ともあれ、最初に想像していたようなフリーダムさで相手を振り回すのは、飛び込んできた家出少女の方ではなく、むしろ飛び込まれた作家先生の方だったのです。
そうですよね、平坂先生の描く作家なんてどいつもこいつも、アレですもんね!
自由人、或いは自堕落民なヒカリ先生に振り回され、からかわれしながらも、その実家で鍛え上げられた家事能力と生来の几帳面さ、ひたむきさで一生懸命ヒカリに奉仕するなかで、美しくも優しく、自分を東京という知らない世界に、都会に、大人の世界に連れ出してくれるヒカリ先生にどんどんと惹かれていく愛結。
一方の優佳理の方も、いつも可愛らしい反応を見せてくれて無垢に自分に懐いてくれる愛結に、今まで知らなかった感情が芽生えてくるのを自覚し始める。
優佳理の方が抱えている闇もこれ、相当なものが伺えるんですよね。複雑な家庭環境ながら、過剰なほどの愛情を注がれて育ってきた優佳理。その家族からの愛情を疎んでいるわけではないのだろうけれど、どうにも彼女は他人からの干渉を鬱陶しいと思っているようで究極的に他人を必要としていない人のようなんですね。
それどころか、他人から求められる事を拒否しているような向きも伺える。新人作家の時代に、相当なことがあったようなのだが。
だからなのか、衣食住に満たされた彼女は本質的に何も欲していない。誰にも何も求めていないし、逆に自分を重く見られる事も何かを背負わされる事も嫌っている。作家としての活動も、どこか本来海老ヒカリという作家が必然的に書かざるを得ない方向性をあえて無視して逆方向に進んでいるように見える。
白川京は、そのへんどう考えているのだろう。愛結を送り込んだのも何かを期待しての事なんだろうか。ヒカリ先生の内側を垣間見ると、この人に担当編集として信頼されるのってかなりの難事であったことが想像できるんですよね。京が担当する前に、海老ヒカリという作家としてズタズタになる何かがあったと思しきことが伺えますし。
遠慮なくズケズケとヒカリ先生に言いたいことを言ってガンガン背中蹴っ飛ばして急き立てているように見える京ですけれど、まだ本当の意味では踏み込まずにじっくりと様子を伺っている段階なのではないかしら、今のこれ。編集者として、海老ヒカリに賭けているという凄みすら見える白川京の姿からみると、今の海老ヒカリはどうにも全力ではないように見えるだけに。
踏み込んでいない、という意味では愛結もまた海老ヒカリの最奥には足を踏み入れていないと言える。まだ愛結は海老ヒカリという外側しか見ていない、見せてもらっていない、というべきか。
最初の分岐点に気づいて、愛結との決別を怖れて愛結の内側に踏み込んだのは海老原優佳理の方でしたが、いざ二人の関係がより深いものに変化した以上、愛結もまた海老原優香理の闇に触れざるを得なくなってくる。
本番は、これからなのだろう。
わざとかき分けているのか、愛結視点のパートだと作家先生はヒカリと呼称されているのだけれど、作家先生視点の方だと自分のことは優香理と表記されてるんですよね。一人称ではなく三人称の作品なので、地の文での事なのだけれど、この書き分けを明確にしているのはちゃんとした意味が込められているんでしょうね。
果たして、この地の文の書き分け部分が変化する時が訪れるのでしょうか。いずれにしても、二人の百合生活の本番はこれがスタート。自堕落が、堕落しきった生活!にならなければ良いのですがw

竜歌の巫女と二度目の誓い ★★★★☆   



【竜歌の巫女と二度目の誓い】  アマサカナタ/ KeG GA文庫

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大切な誓いはね。
違えた時に“呪い"になるの。

これは果たされなかった誓いを巡る
再会と約束の物語。


「私を守ってくださいますか」?
かつて幼き騎士ギルバートと誓った約束は呪いへと変わり、竜歌の巫女は名もなき少女となり再びこの地に生を受けた。
少年に裏切られ、全てを呪いながら生涯を終えたこの世界。十二年の月日が経ち、生まれ変わった少女は奴隷として売られそうになっているところ、青年となった騎士ギルバートに拾われる……それは彼女にとって望まぬ再会。ルゼという名前を与えられ、やがて始まった彼の屋敷でのメイド生活。新鮮な日々、暖かい人たちとの触れ合いと久々に訪れた優しい時間は止まっていたルゼの時間をゆっくりと動かし――。
世界を呪った少女と英雄となった騎士。誓い合った二人が、輪廻を超えて再び巡り合う再会と約束の物語。

傑作。
これだけ、登場人物の心の内側を掘り下げてくれると読み応えがあるなんてものじゃなかった。それに内面と言っても、単純に直滑降に掘り下げてそこから見えない感情を汲み出していくものではなくて、矛盾……そう、相反する矛盾した想いを抱えたまま二度目の生を生きる主人公である少女の心の行方を描ききった傑作でした。
竜たちと通じる一族として繁栄しながら、圧政を敷き悪徳を振りまいた領主一族が、ついに蜂起した民衆によって族滅の憂き目にあったその中に、彼女は居た。
竜歌の巫女。領主の末娘であり、竜たちと交感する能力を継いだ巫女として隔離され、孤独に過ごしていた少女は、革命の折に領主一族の血を引いている事から囚われ、一年の牢獄に閉じ込められた後に断罪の場に引き出され、領主の血を引くという罪によって処刑される事になった。
一族からは遠ざけられ、人里離れた館に隔離されて生きてきた彼女は圧政について何も知らず何も関わりなく、ただ悪徳の一族の血を引いているというだけで、民衆から責められ詰られ罵声を浴びせられ、咎人として殺されることになった。何もしていないのに、何の恩恵も受けていなかったのに。
そして、彼女を捕らえ彼女を殺すのは、館で暮らしていた穏やかな日々に彼女の元を訪れ、親しくなり、やがて誓いを交わす間柄になった少年でした。何があっても絶対に守ると、世界中が敵になろうと自分だけは味方になると、そう騎士の誓いを交わした少年は、革命の立役者たる英雄の弟として、断罪者として処刑台の上で彼女の前に立ったのです。
幼い少女の無垢な思いを、淡い思慕を、踏みにじる裏切りでした。彼女にとって紛れもない理不尽であり、何もかもを信じられなくなる絶望でした。優しく穏やかだった少女の心に、憎しみが宿ることに何の憚りがありましょうか。自分の預かり知らぬ理由で人としての尊厳を踏みにじられ、石を投げられ、言葉で傷つけられて、どうして怒りを抑えられるでしょうか。
呪いあれ、呪いあれ。真っ黒な感情に塗りつぶされながら、彼女は少年を、自分を殺そうという民衆を、こんな末路を負わせた世界を憎みながら、呪いながら、壮絶な自死を選ぶのです。
魔法で、自らの首を切り落とすという凄まじい死に様を、少年に見せつけながら。

さながら、魔王でも生み出してしまいそうな一つの結末からの、生まれ変わり。
記憶はすべて前から引き継がれ、しかし竜と意思を疎通する竜歌の巫女としての力は喪われ、目覚めた場所は自分が死んだ街のスラム。そこで一人、這いずるように孤児として生きながらえながら、彼女は自分の血族によって荒廃し人々が死んだように生きていた灰色の街が、みるみると力を取り戻し、人々の顔に笑顔が浮かび、活気があふれ色彩をおびていく街の姿を、新たな生の中で見続けるのです。再生の、恩恵が殆ど受けられない底辺の世界から、見上げるように見続けたのです。

怒りも憎しみも、消えては居ない。でも、革命はきっと正しかったのだ、という納得が彼女の中に生まれていきました。人々の間に笑顔が戻っていく様子を見て、自分はどうしても死ななくてはならなかったのだ、という理解が得心が、彼女の中に根ざしていきます。
裏切りは悲しく辛く、悔しく、どうしたって許せない。でも、彼の行動はきっと正しかった。人々は彼の行いによって救われた。自分には、確かに罪はあったのだ、と。
ならば、生まれ変わってしまった自分は何なのか、という疑問が彼女の中でずっと渦巻くのです。
存在自体が罪として裁かれたのが正しいのなら、この身に生きる価値はあるのだろうか。
疑問を抱え、生まれ変わってしまった事に迷い苦しみ、何も選べず何も決められず彷徨うように生きていた彼女は、12年の時を経てついに再会してしまうのです。
かつて少年だった、そして今、青年となった、この街を統治する身となった彼に。

憎しみの対象であり思慕の対象であった彼、ギルバートとの再会から、彼に引き取られて彼のもとで従者として暮らすようになってからの、彼女の中で生じる葛藤の複雑さ、その懊悩を丁寧に紐解いていく描写は、凄まじいものがありました。
ギルバートのことをどう捉えればいいのか、ルゼと名付けられた彼女自身、自分の心が分からず彼の姿に、言葉に、揺さぶられ揺れ動く様子の迫真たるや。
そうなんですよね。人の心とは決して単純ではないのです。自分でも全くわからないくらい、幾つもの側面を重ね持っている。同時に並列的に矛盾した感情が併存している。混在している。それは相反する気持ちかもしれないけれど、あるんだから、確かにそこにあるんだから、どうやったって否定できない。
時として吹き上がりそうになる怒り。ふとした瞬間に過去に帰り、胸を締め付けるかつてと同じ淡い情動。場合によっては、その相反する2つの気持ちが、同時に湧き上がってくる。それどころか、言い表せない不定形の感情としてルゼの心を締め付け、急き立てるのである。

そして同時に、そうした懊悩は彼女だけのものではなく、登場人物の殆どが抱えているものだったのですね。あの革命が、竜歌の巫女の壮絶な自死が遺したものは、悪夢の時代が過ぎ去り希望の時代が訪れている真っ最中のこの街にも根強く残っていて、人々の中にしこりとしてこびりついている。
革命の当事者たちなら、尚更だ。
そこにあるのは、後悔。多くの後悔だ。それを、皆が抱えている。
ルゼは、ギルとの再会でそれまで知らずにいた事を多く知ることで、さらに新たな後悔を得ることになる。抱えきれないほどの、後悔を抱くことになる。
こんなにも辛い思いをするために、彼女は生まれ変わったのか、と思ってしまうほどに、彼女は後悔を積み重ねていくのである。
それでも、これは奇跡だったのでしょう。彼女の再誕は、無数の後悔に縛られて囚われて、その重さに辛さに虚しさに耐えられなくなって潰えるはずだった悲劇を、回避する唯一の道だったのです。
ルゼの後悔こそが、皆の後悔という呪いを祓うために必要な鍵だったのではないでしょうか。そして、それこそがルゼ自身の清算へと繋がる橋だったのです。
あの日、わからないまま突き放されたギルバートの心の在り処を知ることで、今度こそ嘘偽り無く心から語り合うことで、怒りも憎しみも後悔も抱えたまま、それでもケリをつけることができた。
許すことを、選べた。許されたいと、望むことが出来た。
竜歌の巫女ではなく、ただのルゼとして生きることを選ぶことが出来た。
そして、彼女を本当の意味で救ったのは、この街の過去と関係ない、革命とは関係ない新しい時代に生まれ、今この時を生きている若者たち。同じメイドのリンナと人の世界に交わるようになった若い竜たちだったのでしょう。何の縛りも過去の後悔もなく、ただ純粋に心からルゼのことを守ると言ってくれたリンネ。そんな彼女と連れ添ってルゼの元を訪れた青の兄弟竜。これはきっと、タイトルにある二度目の誓い、ギルと交わした二度目の誓いに勝るとも劣らない、ルゼにとっての祝福のような守るという誓いだったのではないでしょうか。
人の心の激しさ、繊細さ、奥深さに直接触れるような一作でした。
心に触ると、心が震えるのがよく分かる傑作でした。


やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 2 ★★★★   



【やたらと察しのいい俺は、毒舌クーデレ美少女の小さなデレも見逃さずにぐいぐいいく 2】 ふか田さめたろう/ふーみ GA文庫

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お互いの「好き」という気持ちを確かめあい、小雪に告白した直哉だったが、小雪が素直な気持ちを伝えられるようになるまで返事は「保留」になった。
直哉とのやり取りを繰り返す中で、直哉以外との付き合い方も少しずつ柔らかくなっていく小雪。クラスメイトに直哉とのデートをそそのかされたり、思わぬ恋のライバルが登場したりと、周囲も騒がしくなっていく。そんな中、小雪の「毒舌」を決定づけた過去も、また身近にあったのだった……。
WEB小説発。ハッピーエンドが約束された、すれ違いゼロの甘々ラブコメディ、第2弾。


あっまーーーい! いやもうね、甘いなんてもんじゃないですよ。ひたすらイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャイチャ。
正式に恋人、彼氏彼女の関係になってないだけで実質自他共認める恋人同士だし、もうこれ事実婚の恋人バージョンでいいんじゃないですか? 
恋人未満、な関係だと恋人同士じゃないという事実を盾にしてフリーだというのを前提にして、他の男女が横槍を入れて割って入ってくる、挑戦してくるケースは珍しくはないのですけれど、この直哉と小雪の場合はそれがほぼ不可能なんですよね。本契約こそしていないものの、仮契約的なお互いの意思の確認は済ませていますし、それも周りに周知されている。割って入る余地がどこにもないんですよ。両片思いなんてもんじゃなく、まさに両思いですし。直哉は既に告白済み。小雪もそれを受けていて、ただ素直に好きと返事できていないから保留にしているだけで、直接の言葉以外では直哉を好きという感情は一切隠しもしていないし、本人に直接言葉で伝える以外のあらゆる手段でほぼ伝えているも同然ですし、それを友人達にも親兄弟にも表明していて、周りの人たちもそれを理解して受け入れている。
……事実婚じゃないですか。内縁関係じゃないですか。実質的に恋人同然じゃないですか。
実際、それからの二人がやっている事と言ったら、なりたての恋人と何が違うんだ、って言うくらい仲睦まじくお互いに好き好き光線を撒き散らしながらイチャイチャイチャイチャ。
照れ隠しに毒舌吐いても、もうすぐに折れて撤回してほんとの気持ち言っちゃうようになったし。ってか、ほぼ好きって言っちゃってるよね? どう解釈しても好きとしか言ってないようなこと言いまくってるよね? ちょっと好きすぎてどうしようもないです、というくらいにはのぼせて浮かれてますよね、小雪さん。
もはや、隠そうという意識すら微塵もないw じゃなくて、小雪も自分の気持ちを直哉に知られているのは、彼の察しの良さもあって分かった上で色々とやってるわけですし、友達にも伝わっているのはもう理解しているわけで自分が何を言っても照れ隠しだとバレてるのも分かってるから、完全にオープンマインドだ。
というわけで、友達のアドバイスも素直に聞いて、積極的に直哉のことをデートに誘ったり、直哉がグイグイと来るのに負けないようにグイグイ押し返そうとしたり、といやもう一体何を見せられているんだろう、これw
こんなズブズブの恋人未満関係はあんまり見たことないぞ。これを恋人未満、と言ってしまうと「恋人とは!?」と概念への疑問が生じてしまいそうである。
小雪の対人スキルが未熟でついつい直哉相手にやらかしてしまう場合でも、直哉がもはや察し良いどころじゃなくお前「サトリ」だろう、という読心能力で片っ端からフォローして気持ちも汲んで拾ってすくい上げてくれるので、ある意味完全安心しようである。直哉に誤解される恐れがまったくない、という事実は小雪にこの場合勇気を与えてくれている、というのは面白いなあ。
それだけ、小雪が彼に対する好きという気持ちに自分でも疑う余地がなく、気持ちがぐいぐい伝わっていく事に何の不安も抱いていない、という事でもあるんでしょうなあ。
この気持ちが伝わるという経験は、小雪にとって直哉と交流する以外にもコミュニケーションのリハビリになってるんですなあ。どうしても対応に刺々しいものが含まれてしまい失敗しがちだったクラスメイトなどとの会話も、どんどんと自分の本当の素直な気持ちを出せるようになってきて、周囲との関係も目に見えて軟化していく。
いや、元々クラスの人たち、うまく対応できない小雪に対して温かく見守ってきてくれていた節があるので、彼女の対応の変化にも不器用な子の成長を喜ぶ年長者的な生暖かい眼差しが多分にあったような気が……w
とはいえ、心根の気持ちのよい連中なのも確かなわけで。その中でも筆頭が委員長だったのですけれど、さすがに小雪と直接過去に因縁ある人物だったとは予想外だった。
彼女を猛毒の白雪姫にしてしまった幼い頃のトラウマ。小雪が本当に成長し、素直になれない自分を脱却するにはどうしたってこのトラウマを克服する必要があったのでしょう。直哉たちに支えられてちょっとずつ自分を変えていけたとしても、心の奥底でシコリはずっと消えないまま残ってしまう。
人間、多かれ少なかれそうやって心の傷痕をどこかに遺したまま成長していくものだけれど、解消できるものなら解消できた方がいいですもんね。
妹や幼馴染たちが温かく見守り、また大いに囃し立て盛り上げてくれる中で、順調に仲睦まじく事実恋人関係を深めていく小雪と直哉。さらに重ねてどんどんとお互いを好きな気持が高まっていき、ちょっと双方とも好きすぎてテンション上がって酔っ払ってるんじゃ、というくらいにまで盛り上がっちゃってるけれど、大丈夫か? 取り敢えずもう先に結婚して生活が落ち着いてから告白の返事してもいいんじゃないですか? その辺、もう前後しても問題ないでしょうw

しかし、直哉の察しの良さはもう超能力の域に達してるんじゃないの? 完全に読心かサトリみたくなっていて小雪に本気で怖がられてるぞw 
この主人公なら、ミステリーで犯罪が起こった途端に犯人から完全犯罪のトリックから関係者の因縁から皆の顔見ただけで見通してしまいそう。いや、それ以上にどんな名探偵にも出来ないだろう、犯罪が起こる前に実行者から被害者から犯罪トリックから動機から全部暴いて事件の発生事態を阻止してしまう離れ業すら平然とやってしまいそう。怖っ!!




 

4月1日

紙城 境介
(角川スニーカー文庫)
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燦々SUN
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林 トモアキ
(角川スニーカー文庫)
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あきらあかつき
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鏡 遊
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とがの 丸夫
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底花
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マキダ ノリヤ
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ヤマモト タケシ
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凪木 エコ
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安居院晃
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高橋祐一
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榊一郎
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叶田キズ
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海翔
(HJ文庫)
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おけまる
(HJ文庫)
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衣丘わこ/友麻碧
(B's-LOG COMICS)
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彩月つかさ/さき
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Magica Quartet/PAPA
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ぎんもく
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きららファンタジア製作委員会/鴻巣覚
(FUZコミックス)
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あきばるいき
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江戸屋ぽち/江ノ島アビス
(HJコミックス)
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3月31日

秋山瑞人
(電撃文庫)
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朱雀伸吾
(ヒーロー文庫)
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CLAMP
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いのうえひなこ/棚架ユウ
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3月30日

宮原るり
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えんじ
(エンターブレイン)
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下垣
(ファミ通文庫)
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桜木桜
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としぞう
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ぶんころり
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棚架ユウ
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まさなん
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3月29日

長月 達平
(MF文庫J)
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飴色 みそ/両生類かえる
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彭傑/桂千夏/真野真央
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小町さんぺい/Liars Alliance
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えかきびと/壁首領大公
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炎堂たつや
(アライブ+)
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3月28日

秋月壱葉/望月麻衣
(アクションコミックス)
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糸なつみ
(アクションコミックス)
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3月27日

山崎 響
(一迅社ノベルス)
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TYPE-MOON/大森葵
(REXコミックス)
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中田ゆみ
(REXコミックス)
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山崎響/雪狸
(REXコミックス)
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鎌池和馬/冬川基
(電撃コミックス)
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荒木風羽/ケンノジ
(電撃コミックスNEXT)
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南高春告/鴉ぴえろ
(電撃コミックスNEXT)
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苗川采
(電撃コミックスNEXT)
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湯猫子/未来人A
(電撃コミックスNEXT)
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五十嵐藍
(YKコミックス)
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三上小又
(まんがタイムKRコミックス)
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はんざわかおり
(まんがタイムKRコミックス)
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はんざわかおり
(まんがタイムKRコミックス)
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猫にゃん
(まんがタイムKRコミックス)
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椎野せら
(まんがタイムKRコミックス)
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春日沙生
(まんがタイムKRコミックス)
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ムクロメ
(まんがタイムKRコミックス)
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3月25日

志瑞祐
(MF文庫J)
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御宮 ゆう
(MF文庫J)
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サイトウ ケンジ
(MF文庫J)
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汐月 巴
(MF文庫J)
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ニャンコの穴
(MF文庫J)
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鳴海 雪華
(MF文庫J)
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鏡 遊
(MF文庫J)
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木緒 なち
(MF文庫J)
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両生類 かえる
(MF文庫J)
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久追 遥希
(MF文庫J)
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柳内 たくみ
(MF文庫J単行本)
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道造
(オーバーラップ文庫)
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紙木織々
(オーバーラップ文庫)
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しば犬部隊
(オーバーラップ文庫)
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(オーバーラップ文庫)
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遥 透子
(オーバーラップ文庫)
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赤池 宗
(オーバーラップノベルス)
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上野夕陽
(オーバーラップノベルス)
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風見鶏
(オーバーラップノベルス)
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福田晋一
(ヤングガンガンコミックス)
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工藤マコト
(ヤングガンガンコミックス)
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佐藤真登/三ツ谷亮
(ヤングガンガンコミックス)
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佐和井ムギ/まさみティー
(ガルドコミックス)
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みずのもと
(ガルドコミックス)
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長頼/シゲ
(ガルドコミックス)
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やもりちゃん/じゃき
(ガルドコミックス)
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サワノアキラ/秤猿鬼
(ガルドコミックス)
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ちくわ。(角川コミックス・エース)
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東條チカ/カルロ・ゼン
(角川コミックス・エース)
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ばたこ/中村颯希
(角川コミックス・エース)
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石田あきら/東出祐一郎
(角川コミックス・エース)
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伏見つかさ/渡会けいじ
(角川コミックス・エース)
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九我山レキ/くろかた
(角川コミックス・エース)
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蛍幻飛鳥/志瑞祐
(角川コミックス・エース)
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横田卓馬/伊瀬勝良
(角川コミックス・エース)
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福井晴敏/虎哉孝征
(角川コミックス・エース)
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福井晴敏/大森倖三
(角川コミックス・エース)
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Ark Performance/大河原邦男
(角川コミックス・エース)
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夏元雅人/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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北爪宏幸/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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工藤マコト/矢立肇
(角川コミックス・エース)
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佐々木少年/TYPE-MOON
(角川コミックス・エース)
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犬塚惇平/ヤミザワ
(角川コミックス・エース)
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石井たくま
(角川コミックス・エース)
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ZUN/水炊き
(角川単行本コミックス)
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御眼鏡
(電撃コミックスNEXT)
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押切蓮介
(ビッグガンガンコミックス)
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長田悠幸/町田一八
(ビッグガンガンコミックス)
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オノ・ナツメ
(ビッグガンガンコミックス)
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浅月のりと
(ビッグガンガンコミックス)
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松風水蓮/彩峰舞人
(電撃コミックスNEXT)
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3月24日

棚架ユウ/丸山朝ヲ
(バーズコミックス)
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洋介犬
(バーズコミックス)
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3月23日

殆ど死んでいる
(MFC)
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カガミツキ/和多乃原かぼれん
(MFC)
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洋介犬
(MFC)
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岡まだち/今井真椎
(MFC)
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岡まだち/今井真椎
(MFC)
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ぐう/水無瀬
(MFC)
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hoihoi
(MFC)
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久遠まこと/徳川レモン
(MFC)
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にぃと/アネコユサギ
(MFC)
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倭ヒナ/ぷにちゃん
(MFC)
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橋本良太/時野洋輔
(MFC)
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ハミタ
(MFC)
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大槻 俊也/二八乃端月
(MFC)
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Spider Lily
(MFC)
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阿部かなり/Spider Lily
(MFC)
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雨水龍/細音啓
(MFコミックス アライブシリーズ)
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鬼麻正明/暁なつめ
(MFコミックス アライブシリーズ)
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井冬良/二丸修一
(MFコミックス アライブシリーズ)
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葵季むつみ/二丸修一
(MFコミックス アライブシリーズ)
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新海誠/甘島伝記
(アフタヌーンKC)
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松本明澄
(イブニングKC)
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ハナツカシオリ
(モーニング KC)
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藤本正二/Juan Albarran
(モーニング KC)
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榎本あかまる
(モーニング KC)
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藤田和日郎
(モーニング KC)
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オキモト・シュウ/藤川よつ葉
(モーニング KC)
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田素弘
(モーニング KC)
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江口夏実
(モーニング KC)
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支倉凍砂
(中公文庫)
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入間 人間
(メディアワークス文庫)
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浅葉 なつ
(メディアワークス文庫)
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3月22日

川村拓
(ガンガンコミックスJOKER)
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柊裕一
(ガンガンコミックスJOKER)
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河本ほむら/八嶋諒
(ガンガンコミックスJOKER)
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3月20日

MIZUNA
(TOブックス)
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もちだもちこ
(TOブックス)
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島田征一
(TOブックス)
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暁晴海
(TOブックス)
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星畑旭
(TOブックス)
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Cuvie
(チャンピオンREDコミックス)
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生駒陽
(チャンピオンREDコミックス)
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サイトウケンジ/垣野内成美
(チャンピオンREDコミックス)
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河本ほむら/ズズ
(チャンピオンREDコミックス)
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柚木N’
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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紺野千昭/岩葉
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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佐賀崎しげる/鍋島テツヒロ
(ヤングチャンピオン・コミックス)
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あずまゆき
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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ルーツ/むにゅう
(ヤングチャンピオン烈コミックス)
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3月17日

久住太陽/杉浦理史&Pita
(ヤングジャンプコミックス)
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森本大輔
(ヤングジャンプコミックス)
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藤川よつ葉/うえののの
(ヤングジャンプコミックス)
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二宮裕次
(ヤングジャンプコミックス)
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岡叶/樋口直哉
(ヤングジャンプコミックス)
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(ヤングジャンプコミックス)
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稲葉みのり
(ヤングジャンプコミックス)
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峰浪りょう
(ヤングジャンプコミックス)
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赤坂アカ/横槍メンゴ
(ヤングジャンプコミックス)
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L._SL290_.jpg" title="推しの子" />
奥浩哉/花月仁
(ヤングジャンプコミックス)
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すかいふぁーむ/ぺんたごん
(ヤングジャンプコミックス)
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午子/赤石赫々
(ヤングジャンプコミックス)
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椎橋寛
(ヤングジャンプコミックス)
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こうじ/鳴瀬ひろふみ
(ヤングジャンプコミックス)
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広江礼威
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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えのあきら
(サンデーGXコミックス)
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イダタツヒコ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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やまむらはじめ/広江礼威
(サンデーGXコミックス)
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雨森たきび
(ガガガ文庫)
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冬条 一
(ガガガ文庫)
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ツカサ
(ガガガ文庫)
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伊達 康
(ガガガブックス)
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えんじゅ
(電撃の新文芸)
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美浜ヨシヒコ
(電撃の新文芸)
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結城 涼
(電撃の新文芸)
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急川回レ
(電撃の新文芸)
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一分咲
(電撃の新文芸)
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日日 綴郎
(富士見ファンタジア文庫)
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福山 陽士
(富士見ファンタジア文庫)
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蒼塚 蒼時
(富士見ファンタジア文庫)
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早月 やたか
(富士見ファンタジア文庫)
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ヰ森 奇恋
(富士見ファンタジア文庫)
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竹町
(富士見ファンタジア文庫)
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長岡 マキ子
(富士見ファンタジア文庫)
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竹林 七草
(集英社文庫)
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3月16日

西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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西尾維新/大暮維人
(KCデラックス)
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山本崇一朗
(KCデラックス)
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福地カミオ
(KCデラックス)
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硬梨菜/不二涼介
(KCデラックス)
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樋口彰彦
(マガジンエッジKC)
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吉河美希
(講談社コミックス)
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春場ねぎ
(講談社コミックス)
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金城宗幸/ノ村優介
(講談社コミックス)
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金城宗幸/三宮宏太
(講談社コミックス)
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新川直司
(講談社コミックス)
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コトヤマ
(少年サンデーコミックス)
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畑健二郎
(少年サンデーコミックス)
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山田鐘人/アベツカサ
(少年サンデーコミックス)
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熊之股鍵次
(少年サンデーコミックス)
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ひらかわあや
(少年サンデーコミックス)
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渡井亘
(バンブーコミックス)
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3月14日

あわむら赤光
(GA文庫)
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佐藤真登
(GA文庫)
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大森藤ノ
(GA文庫)
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大森藤ノ
(GA文庫)
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星崎 崑
(GAノベル)
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白石定規
(GAノベル)
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白石定規
(GAノベル)
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白石定規
(GAノベル)
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一ノ谷鈴
(GAノベル)
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よっしゃあっ!
(GAノベル)
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3月10日

四季大雅
(電撃文庫)
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宇野朴人
(電撃文庫)
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宇野朴人
(電撃文庫)
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鎌池和馬
(電撃文庫)
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時雨沢恵一
(電撃文庫)
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眤嫉駛
(電撃文庫)
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三河ごーすと
(電撃文庫)
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真代屋秀晃
(電撃文庫)
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アサクラネル
(電撃文庫)
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仁木克人
(電撃文庫)
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天乃 聖樹
(電撃文庫)
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黒辺 あゆみ
(カドカワBOOKS)
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安崎 依代
(カドカワBOOKS)
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台東 クロウ
(カドカワBOOKS)
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新天新地
(カドカワBOOKS)
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浅葱
(カドカワBOOKS)
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米織
(カドカワBOOKS)
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yocco
(カドカワBOOKS)
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遠野 九重
(カドカワBOOKS)
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橘 由華
(カドカワBOOKS)
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橘 由華
(カドカワBOOKS)
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流優
(カドカワBOOKS)
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naginagi
(TOブックス)
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稲井田そう
(TOブックス)
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やしろ
(TOブックス)
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かのん
(TOブックス)
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 【隻眼・隻腕・隻脚の魔術師 2 〜森の小屋に籠っていたら早2000年。気づけば魔神
すずすけ
(TOブックス)
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福山松江
(DREノベルス)
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熊乃げん骨
(DREノベルス)
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小鳩子鈴
(DREノベルス)
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ななてる
(角川コミックス・エース)
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黒麦はぢめ
(角川コミックス・エース)
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根雪れい
(角川コミックス・エース)
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美月めいあ/雨音恵
(角川コミックス・エース)
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源素水/美月りん
(角川コミックス・エース)
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さわむらリョウ
(角川コミックス・エース)
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TYPE-MOON/中谷
(角川コミックス・エース)
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雨咲はな/有馬ツカサ
(角川コミックス・エース)
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矢神うた/葛原昏
(角川コミックス・エース)
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青木潤太朗/森山慎
(角川コミックス)
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七菜なな/Kamelie
(電撃コミックスNEXT)
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宮月新/下内遼太
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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田岡りき
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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稲葉光史/山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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山本崇一朗
(ゲッサン少年サンデーコミックス)
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3月9日

てにをは/いなば
(ドラゴンコミックスエイジ)
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佐藤夕子/篠浦知螺
(ドラゴンコミックスエイジ)
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白鷺六羽/小宮地千々
(ドラゴンコミックスエイジ)
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文屋リヱ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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つむみ/愛七ひろ
(ドラゴンコミックスエイジ)
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あび/樋辻臥命
(ドラゴンコミックスエイジ)
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ゆきの
(ドラゴンコミックスエイジ)
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(ドラゴンコミックスエイジ)
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たかの雅治/神無月紅
(ドラゴンコミックスエイジ)
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コトバノリアキ
(KCデラックス)
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古川五勢
(KCデラックス)
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ヤチモト/resn
(KCデラックス)
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鷲見九/モンチ02
(KCデラックス)
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御影夏
(KCデラックス)
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あるくひと/小川慧
(KCデラックス)
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高田裕三
(シリウスKC)
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マツモトケンゴ
(シリウスKC)
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NEO草野
(シリウスKC)
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町田とし子
(シリウスKC)
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秋風緋色/ブロッコリーライオン
(シリウスKC)
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中島豊
(シリウスKC)
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園心ふつう/FUNA
(シリウスKC)
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横田卓馬
(シリウスKC)
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加古山寿/朱月十話
(シリウスKC)
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芳橋アツシ/延野正行
(シリウスKC)
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白土悠介/鬱沢色素
(シリウスKC)
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雪あられ/ツカサ
(シリウスKC)
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福田直叶/むらさきゆきや
(シリウスKC)
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タクミユウ/橘ケンチ
(ワイドKC)
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金田陽介
(講談社コミックス)
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三香見サカ
(講談社コミックス)
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奈央晃徳/山川直輝
(講談社コミックス)
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手名町紗帆/燦々SUN
(講談社コミックス)
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ひつじロボ/悠木碧/キメラプロジェクト
(アクションコミックス)
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橙夏りり
(アクションコミックス)
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ノブヨシ侍/クール教信者
(アクションコミックス)
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檜山大輔
(アクションコミックス)
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中村カンコ
(アクションコミックス)
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3月8日

日野草/如月にまる
(モーニング KC)
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湯水快/山座一心
(モーニング KC)
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ありしゃん
(モーニング KC)
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佐々木善章/大地幹
(モーニング KC)
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黒崎リリー/島田英次郎
(モーニング KC)
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倉地千尋
(モーニング KC)
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宗我部としのり
(少年チャンピオン・コミックス)
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板垣恵介/猪原賽
(少年チャンピオン・コミックス)
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佐藤ショーキ
(少年チャンピオン・コミックス)
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やとみ/藤田里奈
(ブシロードコミックス)
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3月7日

かみはら
(ハヤカワ書房)
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FUNA
(SQEXノベル)
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初枝れんげ
(SQEXノベル)
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メアリー=ドゥ
(SQEXノベル)
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空倉シキジ
(アフタヌーンKC)
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赤堀君
(アフタヌーンKC)
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初枝れんげ/柴乃櫂人
(ガンガンコミックスONLINE)
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筧千里/堂島ノリオ
(ガンガンコミックスUP!)
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あざね/大慈
(ガンガンコミックスUP!)
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ふか田さめたろう/植田亮
(ガンガンコミックスUP!)
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IMAGO/エイベックス・ピクチャーズ/こゆびたべる
(ガンガンコミックスUP!)
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機織機/川崎命大
(ガンガンコミックスUP!)
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中村基/中村なかち
(ガンガンコミックスUP!)
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えぞぎんぎつね/阿倍野ちゃこ
(ガンガンコミックスUP!)
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常磐くじら/桃山ひなせ
(ガンガンコミックスUP!)
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白石定規/七緒一綺
(ガンガンコミックスUP!)
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串木野たんぼ/ぽんこつわーくす
(ガンガンコミックスUP!)
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蒼乃暁/BARZ
(ガンガンコミックスUP!)
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3月6日

三好智樹/瀬戸義明
(モーニング KC)
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ずいの/系山冏
(ヤンマガKCスペシャル)
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ippatu
(ヤンマガKCスペシャル)
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藤本ケンシ/井出圭亮
(ヤンマガKCスペシャル)
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山田恵庸
(ヤンマガKCスペシャル)
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岡本倫
(ヤンマガKCスペシャル)
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福本伸行
(ヤンマガKCスペシャル)
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上原求/新井和也
(ヤンマガKCスペシャル)
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3月5日

Kindle B☆W

3月3日

著 緑青・薄浅黄
(ドラゴンノベルス)
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かずなし のなめ
(ドラゴンノベルス)
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いつきみずほ
(ドラゴンノベルス)
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緒二葉
(ドラゴンノベルス)
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猪口
(ドラゴンノベルス)
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河田雄志/行徒
(角川コミックス・エース)
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出内テツオ
(角川コミックス・エース)
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竜騎士07/赤瀬とまと
(角川コミックス・エース)
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東冬/三田誠/TYPE−MOON
(角川コミックス・エース)
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槌田/TYPE−MOON
(角川コミックス・エースエクストラ)
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阿賀沢紅茶
(ジャンプコミックス)
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龍幸伸
(ジャンプコミックス)
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伊科田海
(ジャンプコミックス)
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平方昌宏
(ジャンプコミックス)
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末永裕樹/馬上鷹将
(ジャンプコミックス)
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芥見下々
(ジャンプコミックス)
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尾田栄一郎
(ジャンプコミックス)
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タイザン5
(ジャンプコミックス)
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西尾維新/岩崎優次
(ジャンプコミックス)
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松本直也
(ジャンプコミックス)
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春原ロビンソン/ひらけい
(ジャンプコミックス)
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普津澤画乃新
(ジャンプコミックス)
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鳥山明/とよたろう
(ジャンプコミックス)
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へちぃ
(ジャンプコミックス)
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山崎将
(ジャンプコミックス)
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稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
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稲岡和佐
(ジャンプコミックス)
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山本棗
(ジャンプコミックス)
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矢吹健太朗
(ジャンプコミックス)
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