徒然雑記

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GCノベルズ

失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 4 ★★★★   



【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 4】  樋辻臥命/ えいひ GCノベルズ

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ライノール王国内の銀の流れを追う中でポルク・ナダール伯爵の陰謀を突き止め、王太子セイランの危機を救ったアークス。
その功もありセイランへ謁見することになったのだが、なんとそのまま王太子が興したナダール伯討伐軍への参加を命じられてしまう。意図しない初陣に戸惑うアークスだが……?

〈麒麟(チーリン)〉と謳われる王太子と廃嫡された少年――
二人の出会いが戦場(せかい)を変える。

セイラン殿下、正体隠す気ありますかー!? いや、アークスに謁見許した当初から戦場に到着したはじめくらいまでは、厳しい態度を崩さずに王族としての威厳を示していて、アークスにも現状では正体を明かす気はない、ちゃんと隠しますよ、というつもりがあったのはわかるんですが。
だんだん油断してきて、素の顔が出始めるんですよね。
自分で設置したはずの彼我を隔てる立て付けの壁を、ついつい自分で乗り越え気味に身を乗り出してしまうわ、思わず壁押しのけて「いつもの」距離感で接してしまうわ……。色々自分で台無しにしていましたよ、この子w
まあ戦場のさなかで戦況も佳境、色々切羽詰まった状況にもなっていて、セイラン王子としての仮面を被っている余裕もなくなっていた、というのもあるんでしょうけれど。いや、戦況そっちのけでアークスの見せた新魔法に、普段の魔法オタクっぷりを刺激されまくって場を弁えずに魔法論議を仕掛けてしまいそうになったり、と戦場の緊迫感とかは関係ないかもしれない。
でも、このポロポロとセイラン王子としての立ち居振る舞いを取り落していく、そこの微妙な止めどのない変化が良かったんですよね。ちょっとずつ、本来のこの子の顔になっていく、このちょっとずつの変化量が丁寧に見えたんですよねえ。
アークスの方も初陣ということで、殺し合いなんかは経験済みでも数千の兵士たちが激突する戦場の空気に当てられている状態では、普段の洞察力なんか発揮できるはずもなく、セイラン王子の違和感についてはまったく気づいている様子もなかったのですが。
次期王として、神子として、思わず膝を屈してしまうような王者としての威風、威圧感を纏うセイラン王子も、風格あるし大器を感じさせる佇まいでこれはこれでカリスマなのでしょうけれど、どこか非人間的な存在感が徐々に人間味を溢れさせてきて、見知らぬ魔法にはしゃいでしまったり自分の身を呈してアークスや近衛の兵を守ろうとする姿は、それが本来の彼女らしさでもあり、セイラン王子としての姿とは違う人を惹きつける魅力に溢れていて、これはこれでカリスマなんですよね。あの王にしてこの王子あり、というべきか。良く似た親子じゃないですか。
アークスが、心の底から忠誠を誓い、この人のために生涯を尽くそうと奮い立ったのは、そんな人間味溢れた方のセイラン王子だったわけですしね。
これまで、自分を出来損ないだと、失格者という烙印を押して排斥した両親を見返すため、ある種のネガティブな感情を原動力として頑張ってきたアークス。勿論、これまでの間に彼を支えてくれた人、信じてくれた人、共に戦ってくれた人、様々な人の助けや好意がアークスを奮い立たせ、彼らのためにという想いも育ち、決して仄暗い感情だけを燃料にくべて原動力としてきたわけじゃないのだけれど。それでも根底には、見返してやる、という想いがあったわけです。
でも今、そんな彼自身にとっての根源を塗りつぶす、上回る、光が灯ったのでした。それはまさしく、アークスにとっての人生の岐路だったのではないでしょうか。
この初陣で彼が手にした武勲は、彼の廃嫡の評判を今度こそ覆す大きなもので、あの魔道具開発に比肩する、いや功績を表沙汰になかなか出来ない魔力計よりも、誰しもが認める武勲である以上、それは彼の人生の岐路となるものだったのでしょうけれど、それ以上にアークスの心の赴く先が定まったことこそ、彼の人生を決定づけるものになったのではないでしょうか。
まあ、その対象となるセイラン王子の正体を知った時のアークスの反応がまた楽しみなのですが。

しかし、味方側の国定魔術師たちも、帝国側の最高幹部たちも、純粋な戦力としてはまだまだアークスが及びもつかない強大な存在である、というのが伝わってくる戦争パートでありました。
問答無用でアークスに自分の死を実感させる存在もさることながら、作戦面で王国側を手球に取る指し手もおり、今回はアークスもセイラン王子も崖っぷちを綱渡りするはめに。本気で命の危機を感じさせる連続王手の展開は、文字通りギリギリの瀬戸際で緊張感たっぷりでありました。
それでも、頼もしい人が味方に加わってくれたり、王子の股肱の臣として出世が約束されたような面もありつつ、やたら怪しい人に目をつけられたり、精霊チェインに面倒事を頼まれたり、と厄介の種は尽きぬようで、物語としての大筋でも結構ターニングポイントと成り得る巻だったんじゃないでしょうか。ともあれ、動きの激しい巻でもあり、面白いという感情を大いに揺さぶってもらえました。


賢者の弟子を名乗る賢者 1 ★★★☆   



【賢者の弟子を名乗る賢者 1】  りゅうせんひろつぐ/藤ちょこ GCノベルズ

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VRMMO『アーク・アース オンライン』で、
九賢者の一人という渋い召喚士「ダンブルフ」としてロールプレイしていた咲森鑑(さきもりかがみ)は、
プレイ中の寝落ちを境にゲームが現実となった世界へと飛ばされてしまう。
しかも、老練な渋い賢者の姿ではなく可憐な少女の姿となって……。

このままでは築き上げてきた賢者の威厳が失墜してしまう!

そう考えた咲森鑑(さきもり・かがみ)ことダンブルフは、
賢者の弟子「ミラ」と名乗るのだったが――。
あれ? この作品ってアニメ化予定なのか。知らんかった。
GCノベルズでも創刊最初期からシリーズが続いているレーベルの看板作品の一つです。コミカライズされた漫画の方を見て、これがなかなか面白そうだったので原作の方もいつか手を出してみようと思っていたのですが、思ってからが長かったw
ゲームのキャラクターのまま、現実化してしまったゲームの世界に転生、或いは転移? ともあれゲームの世界へと入ってしまった主人公だけれど、通常と違ったのは転移する直前たまたま自分のキャラクターである渋いジジイの姿をした召喚士「ダンブルフ」のキャラクターデザインを、課金アイテムを使ってついつい趣味で作り込んでしまった美少女キャラへと変更してしまっていたんですね。ちょっと勢い余って造形してしまったというだけで、完全にキャラデザインを変更してしまうつもりは毛頭なかったものの、タイミングが悪すぎた。
結果として、誰も知らない超絶美少女の姿でゲーム世界へと降り立つ羽目になってしまったのである。
かの世界では自キャラ「ダンブルフ」は世界屈指の魔術師の一人であり超有名人ではあったものの、今の自分は誰も知らない美少女。しかも、何やらゲーム世界では前回ログインしていた時から中の時間で三十年もの時間が経ってしまっていたらしい。
おまけに、ゲームが現実化したのか、元々ゲームが異世界に接続されていたのかはわからないものの、ゲームの時に使えていた機能が幾つも使用不能になっていて、キャラデザも変更できなくなってしまった主人公。これでダンブルフを名乗っても信じてもらえるはずもなく、信じて貰ったら貰ったで何やってんだ賢者、てな事になりそうなので急遽賢者の弟子を名乗ることにしたのでありました。
しかし、ゲームならともかく現実化してしまった世界でいきなり「女の子」になってしまうというのは、現実であるからこその困ったことがたくさんあるわけで。
異世界に戸惑うよりもTSしてしまった自分の肉体の方に困惑し慌てふためくダンブルフ改めミラ嬢。

TS願望があるわけじゃなく、それどころかジジイ専じゃないけれど、渋いジジイキャラにこだわりと愛着と趣味がある身としては、女性化というのはどうしたって抵抗があるわけで。かといって、女性の肉体には興味が尽きない、という複雑な心境が女の子パンツを履くこと、女性下着への抵抗感という形でにじみ出ているの、ついに現実に屈するところまで含めて、TSならではの妙というものがあって味わいがありました。
「わし、かわいい」
と、思わずこぼしてしまった瞬間は、ついに後戻りできない一線を越えてしまった感があって、よかよかw

幸いにして、なのかはこの先わかりませんけれど、ミラとは別のゲームプレイヤーたちが何人もミラと同じくこの世界に降り立っている、というのは世界観が広がる感覚があって面白かったです。
元々、知名度も世界における立場や役割なんかも、プレイヤーたちは重たい所にいて超有名人ばかりなんですよね。すぐに旧友とも再会できたのは両者にとっても幸いだったのでしょう。まあ、ミラの降臨はプレイヤーの中でも特に遅い方だったみたいだけれど。何しろ30年ですからね。
それでも、孤独でないというのはそれだけで良いことです。友達はそれだけでもかけがえのないものですし、もう戻れないとしたら、かつてのゲーム時代の想い出を一緒に笑って語れる相手がいる、というのは、生きていく拠り所にもなりえますからねえ。
まだ世界の設定から、キャラの立ち位置や主だった登場人物の紹介といった感じで、事件も起きているけれどまだまだ冒頭。ミラも世界屈指の召喚士である能力をまだまだ見せていない状況なのですが。
語り口が軽妙ゆえなのか、すいすいと読める上に目が滑らずゆるい雰囲気を心から楽しめる読み込ませる作品になっていて、さすがは長期シリーズになっている看板作品なだけあるなあ、と思った次第。いやほんと、まだ大して何も起こってないんですけどね。
ただ、プレイヤーのみならず、元々NPCだったこの世界の元からの住人達も、まだ出始めにも関わらず活きが良くて、好感の持てるキャラが多くて、そういう意味でもミラと同じようにこの世界を見て回り、この世界に暮らしている人たちとお話するのがなんともポワポワして楽しい、と思わせてくれる作品でした。
遅れ馳せながら、ぼちぼちとですがシリーズ全部追いかけてみたいと思います。



というわけで、実はわし「ダンブルフ」

転生したらスライムだった件 18 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 18】  伏瀬/みっつばー GCノベルズ

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最悪だな。ミカエル陣営に、ヴェルザードさんまで加わったのか……」

ミカエル率いるセラフィム軍団の侵攻計画が進む中、
その対策のために開かれたワルプルギスに集結する八星魔王たち。

ミカエルの能力『天使長の支配(アルティメットドミニオン)』により、
竜種の長女でもあるヴェルザードすらも敵の手中に落ちてしまったこの状況を打破するため、
リムルはテンペストの戦力を各所に配置するのだが――。
急遽ワルプルギスを開会して、ミカエル率いるセラフィム軍団出現の情報共有と対策会議を行う八星魔王(オクタグラム)。
一人ひとりが自己主張の強すぎる魔王揃い。喧々諤々、言いたいことを言うばかりで話も全然まとまらないか、と思ったら……いや、リムルは協調性が欠片もなくてグダグダの会合だった、と語っていますけれど、いやそんなことないでしょこれ!?
いやまあ、実際協調性はなかったし、ぐだぐだと言えばグダグダでしたけどさ……大半がリムルさんあなたが原因だったような気がしないでもないぞ、ぐだぐだ加減については。
それに、グダグダと言っても険悪で意見が纏まらずに会議は踊れど進まずってな感じではなく、むしろサクサクと進んでた印象なんですよね。ぐだぐだと言いたいこと言い合ってはいたものの、それで誰かと誰かが喧嘩したり意見が合わずに一触即発みたいな事にはならなくて、むしろ全員みんなめっちゃ仲良くない? という感じで、仲がいいからこそ忌憚のない意見を言い合えるし、多少脱線してダベリモードに入ってグダったり、という感じで終始和気藹々という雰囲気の会合だったんですよね。
誰かが重要な話を持ち出したらそれについてちゃんと話し合って意見出し合って、多少文句は言い合うもののあまり揉めずに結論出して纏めるし、自分の意見ゴリ押しするやつもいなくて譲る所は譲るし、受け入れる所は受け入れるしで、ほんとサクサク議題も進行していた気がします。
だいたい、グダったのってリムルが入手しいた情報を整理しておかずに、割と思い出した順番に脈絡なくしゃべるものだから、話が言ったり来たりしてグダグダになってたんだからなw
そのリムルさんがまたやたらと隠し事多いもので、しかも隠し事あります! とそんな所で自己主張せんでも、という所で自己主張しまくるから、みんなから「こいつわーー」ってなるんですからね。
それでもさほど責められずに、下手に追求もされず、ツッコミやら罵倒やらは山程浴びせられてはいますけれど、それで収めて隠す理由があるなら仕方ない、とみんなが流してくれるのよほど信頼してくれてないとありえないですよ。それでみんなOKなんですから、こいつらホント仲良いなあ、と。
終わってみれば、確かに協調性とか欠片もなかったですけれど、意思統一は出来ましたし一致団結してミカエルたちと戦うという体制も整えられましたし、文句なしの会合だったんじゃないでしょうか。
いや、みんな文句はタラタラだったのですけど。不満や不信を抱えてるというのはそれこそ欠片もなかったですからね。いや、不満は大なり小なりあったですけど。人員配置でとんでもねーの押し付けられた魔王さんたちとかはw
でもほんとギスギスした感じ一切ない和気藹々とした八星魔王会合は、見ててなんかこう楽しかったです。なんて愉快な魔王たち。

だいたいリムルに端を発しているものの、この八星魔王の迎撃体制の充実はミカエル一派の想定をやっぱり上回っちゃってるんですよね。ヴェルグリンドが復活しちゃってるあたりなんか完全に死角ついてますし。随分と実際よりも甘い見通して動き出しちゃってるミカエル陣営に、ついついニコニコしてしまうのでした。
いつの間にか身内に裏切り者が多数発生して魔王勢に通じちゃったりしてますしねえ。

そんな中で一番崖っぷちを走らされているのが、表紙にもあるカザリたち。作中におけるトリックスターとして、敵と味方のラインを行ったり来たりしていた彼らですけれどついに因果応報となってしまったのか。カガリの判断やラプラスの行動などギリギリでアウトラインを跨がずに綱渡りの綱を渡りきってきた感があるだけに、ついに理不尽に押し切られてしまったのは何とも惜しい思いでした。
でも、これでほんとに終わりなのかな? 上記したようにギリギリセーフラインを保ってきただけに、彼らの顛末にはまだ予断を許さないと思うんですよね。
ただユウキの野望に関しては、カガリやラプラス、ティアと最期まで絆通じ合うことで満足してしまった感があるので、今後どうなったとしても書かれているように終わりを迎えたんじゃないかなあ、と。
なにはともあれ、次回リムル御大将が本格参戦してからですねー。次はいつですか?


失格から始める成り上がり魔導師道! 〜呪文開発ときどき戦記〜 3 ★★★☆  



【失格から始める成り上がり魔導師道! 〜呪文開発ときどき戦記〜 3】 樋辻臥命/ふしみさいか GCノベルズ

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アークスが発明した「魔力計」はライノール王国の各所で大きな成果を上げ始めていた。
しかし魔力計の増産に必要な物資「魔法銀」――その原料となる「銀」が不足してるという。
事態を解決するため、アークスはノア、カズィと共に王国の西に位置するラスティネル領を目指し旅立つのだが――

待ち受けるのは新たなる出会い、
張り巡らされた策謀で……?
魔力計の生産、国家機密の塊でその存在も伏せられ、製造についても秘されている以上、その秘匿にはよほど気を使わないといけないとはいえ、原材料不足を作成者のアークス自ら調達しないといけない、というのは大変というか負担大きすぎやしないですかね? と、思ってしまう。まあ国家事業とは言え、余計な横槍なしにアークスが魔力計関連については一切を取り仕切っているからこそ、なんだろうけど。
これまでも、諸外国の諜報の手は伸びていたものの、魔力計の存在についてもその詳細についてもなんとか防諜は出来ていたものの、ここに来て国境地帯が不穏になってきたか。
アークスが自ら調達に動かなくならなくなった国内における銀の流通の不安定化に加えて、小麦や塩といった必需物資までが各地領主の介入を越えて値上がりし、とここまで市場が不自然に動いていたらよっぽどぼんくらでなかったら王国中枢も絶対気づいているでしょう。一般生活に支障が出るくらい急激に市場を動かしてしまったら、拡声器使ってなにかやってます、て言ってるようなものですし。
一応、その動きの根本については隠していたようだけれど、それまでに某伯爵家が銀をかき集めていた、という事実がある以上はまず疑いはそこに向けられるのは自然なわけで。
実際、セイラン王太子による査察が入ろうとしていたわけですしね。ただ、伯爵側が戦争も辞さず、という覚悟で物資を掻き集めていただけに、王太子が領内に入るのは飛んで火に入る夏の虫だったとも言えるので、ちょっと危うい状況でもあったのか。
でも、伯爵が表で買い集められなく為った銀を、謀略使ってさらに集積しようとした際に雇ったメンツの質の悪さを考えると、伯爵もぼんくらではないんだろうけれど指し手としては脇が甘すぎて、所詮使う側じゃなくて使われる側だよなあ、これは。
ただ、ラスティネル側も本来この伯爵を監視する立場にある以上、彼の裏切りを見逃していたのみならず、領内での活動を許してしまっていた、というのは失態ではあるんですよね、確かに。
流通や相場の動きの不自然さには気づいてもその目的や根本まで辿れずにいた、というのはさすがに辺境領主に求めすぎだろうか。ルイーズさんは、見た目からしてまずぶん殴るタイプだしなあ。文治に疎いわけではなく、領内の経済をちゃんと把握し領主として統治もしっかりしているようなので、脳筋一辺倒というわけではないのでしょうけれど、それでも情報戦や諜報戦が得意なタイプとは間違っても言えないでしょうし。
しかし、ルイーズ・ラスティネル。ほんと見た目が凄い。ここまで歴然と女山賊然とした格好してる女領主はここまで来ると逆に珍しいぞ。しかもお母ちゃん。旦那さん、どんな人なんだろうと逆に気になってしまうくらい。
いや、こうしてみると全然貴族っぽくないんですよね。彼女だけではなく、領内の領主格の殆どが最前線を担う武門の豪壮さを垣間見せている。まあ、王都の貴族もあんまり貴族貴族していなくて、軍人や官僚という側面を強く見せていただけに、ライノール王国の貴族というのは貴種というよりも代々続く武家の一門、などという専門職の気風が強いんでしょうね。アークスの家も軍家として名高いわけですし。
さても、辺境の騒乱、ひいては国境地帯でせめぎ合う帝国との不穏な情勢の最前線に飛び込むことになったアークス。まさにここでタイトルの「ときどき戦記」のパートに入ったわけですな。
巻き込まれただけ、と言いたい所だけれど、この自体が起こる遠因となったのはアークスの魔力計の開発が深く関わっている上に、今起こってる激しいアンダーグラウンドでの鬩ぎ合いの中心はまさに魔力計の情報に関することだけに、アークスが無関係に巻き込まれたとは言えないんですよねえ。
まあ魔力計の開発者がアークスだという事は未だほぼ秘匿されているだけに、巻き込まれたのは偶然は偶然なのでしょうけれど。
しかしここで国王陛下と師である伯父と深い因縁を持つ歴戦の魔導師と出会うことで、アークスは今までで最大の敵と対決する事になるのである。
ノアとカズィと三人がかりですら圧倒できず、という格上と戦ったのはこれが初めてだったんじゃないだろうか。威力と革新性を、技量と経験値で払われたという感じで、本物の歴戦の魔導師相手の魔術戦はここまで深い読み合いと捌きあいになるのか。今までここまである意味噛み合った魔術戦が成立することがなかっただけに、彼との一戦は非常に見応えのあるものでした。
でも、お互いまだ命がけでの殺意コメての戦い、というわけではなく様子見の段階でもあっただけに、さてお互い退けない状態での戦いとなればどこまでのものになったのやら。

ここに来て、アークスも初めて同世代の男の子の友人、みたいなものと出会ったわけですけれど……男ですよね? 見た目じゃわかんないんだよなあ。性格的にも快活でわんぱく真っ盛りといった元気な男の子なのですけれど、その母親があの女山賊だけにわっかんないんだよなあw


転生したらスライムだった件 17 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 17】 伏瀬/みっつばー GCノベルズ

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本編では見られないあのキャラたちの活躍が詰まった『転スラ』初の短編集!

魔国連邦の幹部では珍しくも人間であるミョルマイルが西方諸国で暗躍する
――『ミョルマイルの野望』

愛する人の残滓を求め世界を旅するヴェルグリンドが関わった、とある国の物語
――『遠い記憶』

帝国再建に向けて動き出すカリギュリオは、己の過去とも向き合い始める
――『激動の日々』

魔王ギィ・クリムゾンのメイドにして原初の青レイン。そんな彼女も周りが異常ならボヤキたくもなるよね
――『青い悪魔のひとり言』

他、特別収録の1本を加えた『転スラ』本編とは違った視点で描かれる珠玉のSS集!
短編集ということで個々のキャラクターにスポットを当てて、というのは想像できたのだけれど、そのキャラのチョイスがまたぞろメイン級から遠く遠く離れてるあたり、大好きですわー。
特に特筆すべきが帝国の将軍だったカリギュリオ。この人なんてホントちょい役だし、小悪党のヤラレ役以外何者でもないにも関わらず、短編の主人公として描かれてここまで掘り下げてもらえるとか。
元々本作って最初期のベスターに代表されるように、この手の本来なら適当に使い捨てられるような別に強くもないし立派な人物でもない俗物の小悪党でも、結構大切に扱われて汚名返上するような立ち回りをして、ベスターのように後々まで重要人物として活躍することが多いんですよね。他にも何人も居ますし。
それも圧倒的な力にやられて感服して改心しました、という単純な心変わりじゃなくて、俗物だったそれぞれにも実際は人生の積み重ねがあり秘めたる思いがあり、時として道を外れていたりしたとしても、そこに至るまでには努力や奮起があり、それだけ頑張れる背景があり、としっかりと人物像を作り込んだ上で、心変わりというよりも敗北を気に初心を取り戻すような形で、それぞれが一番心輝いていた時期に立ち戻るような、そんな再出発を見せてくれるのでこういう小悪党たちの躍進はほんと嬉しくなるんですよね。
このカリギュリオも、将軍へと出世するまでの紆余曲折の人生には挫折と苦渋が刻み込まれていたのである。ただの野心家じゃなかったんですよね。そして、ただ利用し合うだけだった同僚と本当の意味で同志になり、友情が結ばれ、そこから過去に失ってしまった一番大切だったものを取り戻していく流れは、ちょっとした感動ですらありました。ああいうおっさん同志の多くを語らぬ心配りの友情はやっぱりいいよなあ。そして一番大切なものに裏切られた傷心を乗り越えて、真実に向き合ってもう一度それを取り戻そうとするおっさんの勇気、あれこそ勇気でありますよ。
カリギュリオのこれからに幸あれ、と心から思える短編でありました。

ミョルマイルも最初から強欲商人に見えてその心根が善人そのもの、という登場シーンから好きだったのですけど、この人を早々に取り込んで魔国の最重要人物に取り立てたのは、ただ強いだけが基準じゃない国造りの土台になってて、何気にキープレイヤーだったと思うんですよね。
そのミョルマイルの表舞台裏舞台もひっくるめての大活躍。実質、裏社会も牛耳るはめになったのか。その立場その仕事からどんどん金が懐に入ってくるにも関わらず、それどころじゃない忙しさに仕事の楽しさに、とこの人も人生謳歌してるよなあ。しかしテスタロッサ、もっと豪腕で交渉取りまとめているのかと思ったけれど、本当に繊手を持って丁寧にやってるんだなあ。これはほんと、他の悪魔には出来ない仕事だわ。いや、マジで彼女以外に出来るやついないんじゃないの? 他、色んな意味でバカばっかりだし。ギィのところのレインも澄ました顔して中身おばか、というのがこの短編で明らかになってしまいましたし。ミザリーの方はまだだいぶしっかりしてるんだろうか、これ見ていると。

ヴェルグリンドの話は、ルドラの魂の欠片を追いかけていろんな世界を駆け巡っていた頃のお話。世界が妖魔の謀略によって破滅しかけていて人類滅亡のピンチというさなかにヴェルグリンドが現れるという完全に異世界転移無双のお話じゃないですかー。まさかの近藤少佐のいた世界。あの人、地球の戦中の頃の人間、というわけじゃなかったのか。
ヴェルグリンドがもう圧倒的なんだけれど、彼女が無双する話というわけでもなく、彼女が色々と導くのだけれど基本的に現地の人間たちが頑張るお話になっていて、ヴェルグリンドこれ普通に救世の女神様じゃないですか。ルドラ以外どうでもいい、という態度を見せつつ結構世話好きというか親切にあれこれと手配りしてくれるし助言やフォローや、彼らが手が届かない所では手助けして、といたれりつくせりだったような。ヴェルグリンドも丸くなったものである。
いや、異世界のお話で実質別作品みたいになっているのだけれど、だからこその面白さがあった。この世界でも覚醒した連中は、頑張って転スラの世界まで来るつもりもあるみたいだし、彼らの再登場があったらそれはそれで楽しみ。

しかし、これだけちょい役のキャラですらこういう短編かけるのだから、それこそ登場キャラの分だけ主人公にして話を書けるんじゃないだろうか。長編の続きではなかったですけれど、満足度の高い短編集でありました。


失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 2 ★★★☆   



【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 2】 樋辻臥命/ふしみさいか   GCノベルズ

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現代知識と様々な工夫をもとにアークスが作り上げた「魔力計」は、これまで不可能とされていた「魔力の正確な測定」を可能としたことで、医療や軍事の分野に革新をもたらすことが明らかであった。自らの知らぬところで、王国上層部の間で存在感を増していくアークス。やがてひとつの発明が―世界、そしてアークスの運命を少しずつ変えていく…!現代知識×魔法=無敵!!!!爽快異世界ファンタジー!!

魔力計って地味なように見えるけれど、産業構造を根本からひっくり返すという意味でまさに世界を変えてしまう発明なんですよね。下手をすると中世から近世に時代を進める可能性すらある発明なわけだ。軍事や医療という限定された分野への革新どころじゃないよなあ、これ。
当然、国の上層部や国定魔導師たちはその重要性を正確に把握していて、瞬く間にこれを発明したアークスは時の人に……、とはならず。あまりに重要すぎて、大々的に発表なんて出来ない状況に。
それでも、アークスの功績は魔導師なら誰でも評価するもの。彼の名は知る人ぞ知る超重要人物となっていく。
こうなると、なんでこんな天才児を廃嫡なんてしたんだ、という話になるわけで。これ、魔力計の件が最重要国家機密となり公には伏せられたことで、アークスの父であるジョシュアは首の皮一枚つながった、という事なんだろうか。まあそれも公表されるまでのこと、となりそうだけれど。
ただジョシュアも決して無能な人物ではないんですよね。それどころか、軍関係者の中では一目置かれるほど有能な人物であるし、彼の兄である溶鉄との兄弟関係を見ると情の薄い人間でもないように見える。それだけに、彼があれほど意固地になって魔力量が足りないというだけでアークスを目の敵にして廃嫡した頑なな姿勢には違和感があるんですよね。それが、レイセフト家の家訓だったとしても。
ジョシュアがそこに必要以上にこだわっているのは、弟である彼自身がレイセフト家の当主となり、兄が家を出ている事も大きく関係しているのだろう。これで兄弟いがみ合っているかというと、むしろ仲が良いという風にすら見える関係なんですよね。この複雑な兄弟関係の結果、ジョシュアが当主についているという事実そのものが、彼を何らかの形で縛り付けているようにも見えるのである。
今となってはジョシュアとアークスの父子関係は完全に決裂し、アークスは父への恨みを隠すことなく、父は息子への憎しみを抑えようともしていない。この親子関係が今更和解へとこぎつける事はないように見えるのだけれど、何らかの形でお互い納得する決着を迎えてほしいものである。
不幸中の幸いは、レイセフトの次期当主として育てられている妹のリーシャが今なお兄アークスに絶大な信頼と尊敬を抱いて、彼の真の実力を誰よりも信じているということか。
それがアークスをレイセフト家から完全に離れることを防いでいるとも言えるし、普通に見たら稀代の天才魔導師の道を順調に歩んでいるリーシャに、慢心や増長を許さず常に兄を意識して研鑽を怠らないというパワーアップ要素にもなってるんですよねえ。
その意味では、アークスが廃嫡されたお陰で婚約が破棄されてしまったシャーロットが一番割を食ってしまっているのか。とはいえ、廃嫡されたあとに助けられて親しくなったのだから、もし婚約者のままならと歯噛みするのも可哀想だけど仕方ない。でも、アークスの功績を考えると新しく家を起こせる可能性も高いみたいだし、改めて婚約という道もあるんですねえ。その前に王族の嫁がねじ込まれそうなのだけど、完全にそれに該当する娘さんがいますねえ、はい。

しかし、下手にえらいもんを作ってしまったお陰でその製作に追われるハメになるアークスくん12歳。現代日本なら義務教育の年齢で既に書類に埋もれて悲鳴を上げるブラック環境でのお仕事三昧である。まだまだ背伸びしたくて子供じゃないと言い張る年頃にも関わらず、アークスくんは自分子供だからアピールに余念がなく、そして誰も子供扱いしてくれなくて涙にくれる日々。
そんな時に、精霊ガウンから名指しで仕事のお手伝いをたのまれ、夜の王都を走り回ることになる。死の精霊であるガウンがアークスにああいう親しい態度を取るのは、アークスが転生者であり一度死を経験していることからなのだろうか。明らかに他の人とは接し方違いますもんね。見知った人には親しい態度をみせるガウンですけれど、アークスへのそれはちょっと種類が違う感じでしたし。
ガウンの依頼はちょうど、アークスの作った魔力計にも関わる事件だっただけにアークスも積極的に、って結果的にそうだとわかっただけで最初から積極的に協力はしていたのですけれど、スゥにシャーロットにリーシャとヒロインが全員出揃う今まで何気になかった展開でしたね。やっぱりこの三人がメインヒロインなんだなあ。
魔力計の開発や、それを狙う海外勢力との防諜戦で辣腕を見せたアークスに、否応なく国内外を問わず注目が集まり始める。魔力計とその開発者については入念な秘匿がされているものの、知る人は知っているし海外の要人も抜け目なくその優秀さを見逃さずに目をつけだしている。
これだけ存在感を示してしまうと、ただ茫洋と才能を垂れ流しにしているだけでは済まなくなってくる。今までは自分を無能扱いし、家族であるにも関わらず無慈悲に切り捨てた両親を見返すために奮起してきたわけだけれど、こうなってくると具体的な目標を先々に立てないと進むべき道を迷い出すはめになる。真剣に自分の将来像を考える時期が訪れようとしているのだろう。ただ、今の所は親を見返す手段というだけではなく、ただ好きなこととして魔法の開発を嬉々として勤しんでいるわけで、そこに明確な目的意識を持たすにはまだ彼には体験スべきことがたくさんあるのだろう。
それは、先々に波乱が待っている、とも言えるのでしょうけれど。


転生したらスライムだった件 16 ★★★☆   



【転生したらスライムだった件 16】 伏瀬/みっつばー GCノベルズ

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帝国との戦いに勝利を収めたリムルだったが、
ルドラの身体を乗っ取ったミカエル、妖魔王フェルドウェイの暗躍と、
やっかいな問題はまだ残ったままであった。

リムルが戦っていたその裏で起きていた、地下迷宮のラミリス防衛戦もまた不安を煽る。
とはいえ一先ず窮地は脱したことで、リムルはこの機に部下たちの面談を行うことに……。

さらなるマサユキさんのターンきたー! クソ雑魚キャラで自分の雑魚さ加減を自覚しているのに、裏切った仲間を心配するわ、普段逃げ腰なのにここぞというときは絶対に逃げないわ、そういう所が愛される要素であり、能力抜きでも慕われる所なのでしょう。実際、強くもなんともないし自己評価も低いんだけれど、ヒーローたる資質は十分なんだよなあ。なので、彼のスキルは都合のよいものばかりなのだけれど、それに振り回されずにうまく使われているあたり、スキルもよくマサユキという人物を見込んでいるなあ、と。他の人間が同じスキル付与されても、絶対振り回されて調子に乗って台無しですよ。
リムルが彼のこと気に入ってるのって、わりと中身に関して自分と似ているから、というのもあるかもしらん。さらに今回の一件で自分と同じ素人なのに突然君主に祭り上げられちゃった、というポディションが共感を高めることになってしまいましたし。マサユキとしても、リムルが先人として同じような視点からアドバイスくれるの、これは頼もしいよなあ。
というわけで、早々に仲良し同盟になってしまいそうな気配な魔国連邦と帝国でした。ドワルゴンのガゼル王はなんだかんだとこういう大事な外交イベントではちゃっかり首突っ込んでくるの、偉いと思うぞ。リムルのやりたい放題を掣肘できているわけじゃないけれど、最初期からの兄弟弟子、同盟国家としてパートナーであり助言者という立ち位置を安定してキープしているわけだし、なんだかんだとガゼル王がこういう場で居てくれると頼りになりますしねえ。

さて、今回は敵となる妖魔王兼天使陣営の顔見せと戦後処理のお話だったわけですけど、ほとんど戦後処理だったなあ。そりゃ配下の面々とひとりひとり面談とかやってたら量も増えますがな。存在値についてはヴェルドラがバグってる時点でお察しだし、漠然と最上位グループに含まれているのが誰か、というのがわかったらいい、という程度の認識でいいんじゃないだろうか。いちいちスキルとかも読まなかったよ、うん。そういうのは実地で使う際に見ればいい事だし。
しかし、迷宮での戦いを見ていると覚醒した配下たちと天使との戦いは殆ど優勢だったので、今後も危なげなさそうだなあ。てかゼギオンが強すぎて、これ相手のボス格でも問題ないんじゃないだろうか。ディーノがあちら側になってしまったのは意外だったけれど、正直彼が敵側になってもそれで戦力バランスが変わったかと言うと、それほどでもないわけですし何より本人がやる気ないからなあ。
リムルも最初から許す気満々だし。
ヴェルグリンドが速攻で戻ってくるのも早!てな感じでしたし。いや、彼女自身はそれなりに長い旅をしてきたんだろうけどさ。
マサユキにルドラの記憶がないのはヴェルグリンドも承知しているみたいだけれど、彼女としては記憶を取り戻させるつもりはあるんだろうか。それとも、今から改めて自分のことを好きになってもらうつもりなのか。
ギィの過去編を見ると微妙にいい加減な所はあるけれど、本来のルドラとマサユキとはまただいぶキャラも違うみたいですしねえ。ただ、軽さの違いはあるとはいえ目指す世界が一緒、というのはいいよなあ。そして、それを体現しつつあるのがリムル、というのもまた感慨深いものがある。
ギィとルドラの世界征服を巡る勝負は想像以上にギィのルドラへの友情が基盤にあったわけだけれど、ルドラが消滅したと思っているギィとマサユキが顔を合わせたらどうなるんですかね。果たして、友との再会となり得るのか。ミリムをどうしてギィがあれほど気にかけているのかなど、色々と事情が明らかになるギィの過去編は面白かったんだけど、それだけにギィのもとで起こっているあらたな事態の様相が何もわからないまま、次回へ続く、となるのはまた引っ張るなあ、と。

しかし、大賢者改め誓約之王改めシエルとなった神智核さん、バージョンアップするごとにポンコツ化してしまって、これ大丈夫なんだろうか。こいつ絶対なんかやらかすぞ感が指数関数的に爆上げされてる気がするんだけどw あの頼もしい大賢者さんがどうしてこうなったw
今となってはテスタロッタさんの方がなんか落ち着きあって頼もしいんですけど。暴走せず勝手せずちゃんとリムルの意図を汲んで動いてくれるテスタロッタさんが、側近筆頭でいいんじゃないだろうか。


シリーズ感想

失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1 ★★★★   



【失格から始める成り上がり魔導師道! ~呪文開発ときどき戦記~ 1】 樋辻臥命/ふしみ彩香 GCノベルズ

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生まれ持った魔力の少なさが故に廃嫡された少年アークス。
失意のある日、夢の中で「違う世界の男の人生」を追体験したアークスは、そこから得た知識がこの世界では不可能とされていた数々の魔法や技術を実現するための鍵となることに気がつく。
自らを無能と蔑んだ人々を見返すため――一度はすべてを失った少年が、異世界知識を武器に立ち上がる!
オーバーラップ文庫【異世界魔法は遅れてる!】の樋辻臥命さんの新シリーズ。今回は完全に異世界です。序盤は生まれ持った能力の低さから実家から虐げられて、とオーソドックスな展開なのですが、それを踏まえても面白い。こういうところに如実に腕前が出るんだよなあ。
アークスの場合は実はチートでした、という展開ではなく魔力の低さを努力と発想で補っていくパターンなんですね。それも、我流だけではなくちゃんと国でも有数の実力者である伯父さんに師事する事で魔導師としての土台となる部分を鍛えて貰っているわけですから、堅実でもあるんですよね。
しかし、廃嫡されながらも家を追い出されずに実家ぐらし、というのはこれ辛い環境なのかそれとも家追い出されないで幸いなのか判断しづらい所ですよね。両親のアークスへの態度が本当に酷いので、それをずっと味わわなくてはいけないというのは辛いは辛いのですけれど、衣食住は保証されていますしねー。伯父さんが引き取ってくれるのかとも思ったのですが。
ただあの親父さん、偏狭なろくでなしなのかと思ったら武官としては本当に優秀らしく一角の人物であるのは間違いないようなので、どうしてああなってしまったのか。伯父さんの話でも昔はもうちょっと違ったみたいなのですけど。
それに、新たに後継者に選んだ妹のリーシャ。この娘は本当は戦死した叔父の娘で従妹にあたるので両親からすると実の子ではないのだけど、ちゃんと実の娘のように愛情込めて育ててるんですよね。家の後継者だからと機械的に、或いは高圧的に、子は親の道具と見なして、みたいな感じで育成している様子もないですし。
リーシャが危ない目にあった時も本気で心配して怒ってましたしねー。いや、なんでこういう親御さんが、アークスに対しての態度があれほど豹変してしまったのか。ちょっと謎ですらある。
そういうちゃんと愛情を持っている相手から捨てられる、悪感情ばかり向けられるようになるというのは子供心に傷つかないはずもなく、絶望と哀しみの果てに見返してやると反発心を糧にアークスは奮起するわけですけれど、それでも完全と決別できないまま憎み切る事も恨み切る事も出来ないまま引きずり続け、時々胸を痛めている姿がまたけっこう来るんですよね。
そういう複雑な想いを抱えている子だからこそ、主人公としても色々と思い入れが出来るのでしょう。

さらに面白いことに本作では主人公の右腕左腕となる人物がキャッキャウフフなヒロインではなくて、頼りになるなかなかいい性格をした兄貴分二人なんですよね。いやこれが二人とも個性的で愉快なキャラで、アークスとのコンビあるいはトリオでのやり取りがホントにノリよくいい感じなので凄い好きな組み合わせになったのですけれど、なかなか珍しいのも確かだよなあ、と。
一応は主従という関係に当たるしその辺尊重はしてくれているのですけれど、それ以上にこう二人ともイイ性格してるんですよね。特に執事の兄ちゃんはかなりぶっ飛んでてトリックスターな側面も持っているようで。巻末の幕間を読むと一筋縄ではいかない来歴の持ち主のようで、あれだけネガティブだった人がどうしてああなってるんだ?と思うところもあるのですけれど。
もうひとりの方も強かと言うか世慣れしているというか、あれで相当に苦労性っぽくもあるので破天荒な主人と執事の後始末役に回りそうで今から可愛そうな気もするのですが。
でも、二人とも従者というよりも年上の兄貴分という雰囲気を持ってるのがなんか好きなんですよねー。
ヒロインは妹のリーシャを含めて、許嫁だった貴族令嬢の子と同じ魔導の同好の士であるスウの三人が基本路線でしょうか。何気に全員、性格イケメンな気がするぞ。リーシャも穏やかで優しい貴族の娘さんになってるけれど、あれで武官の娘として凛として悪意に屈しないシャープな強さを持っているみたいだし、許嫁の子はあれもう武士みたいだしw
最後のスウに至っては色んな意味で怖いものを抱えているみたいで、食わせ者どころでないヤバいアレでしょうアレw

伯父さんを筆頭に、大人連中も何気に面白そうな要素をたくさん抱えていて一筋縄ではいかなさそうなんですよね。固定魔導師、ちゃんと全員設定があるようでこういうの私も大好物です、はい。
ただ、主人公にしてもヒロインにしても年齢もうちょっと上、中学生相当でも特に話の進行上不都合なかった気もするんですよねえ。これから作中でも何年も費やす予定があるから今から低めに見積もっている、という事なのかも知れませんけど。
ともあれ、色々と盛りだくさんな要素がたっぷりでこれはシリーズ進めば進むほどもっと面白くなるタイプの作品であるのがひしひしと伝わるだけに、これからが実に楽しみです。

樋辻臥命作品感想

転生したらスライムだった件 15 ★★★☆   



【転生したらスライムだった件 15】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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ヴェルグリンドとの激闘の末、敵の手中に落ちた盟友ヴェルドラ。その事実はリムルを激怒させる。
そして命は下された、敵を殺しつくせ――と。
その命令に力を漲らせるベニマル達テンペスト幹部。さらに悪魔達を大量進化させ、テンペストと東の帝国の最終決戦がついに始まるのだった。そしてリムルは、ヴェルドラを救うため、さらなる進化を遂げる――。
リムル激おこ。いや、前回リムルがヴェルドラを奪われて怒髪天を衝いていざ逆襲を開始する、という所で終わったのでこの巻は冒頭から一気呵成の大逆襲、かと思っていたのに時間を巻き戻しての、並列存在として分裂したヴェルグリンドと悪魔三人娘、ヴェルドラたちとの戦闘を改めて詳しく、という構成になっててちょっと肩透かしを食らってしまった。前のめりになってたからなあ。
ただヴェルドラVSヴェルグリンドの姉弟対決はちゃんと詳しくやってくれないとどうやってヴェルドラが支配されてしまったかがわからなくては困るしなあ。それに、ヴェルドラがリムルとの親友関係をどれだけ大事にしていたのか、というのがよくわかるエピソードでもあるんですよね。リムルがあれだけ本気で怒ったのは、親友であるヴェルドラとの繋がりを絶たれたからなわけで、それだけリムルにとってもヴェルドラの存在は特別であることがわかるのですけれど、ヴェルドラの方もリムルの存在ははじめての友達ということもあって非常に大事にしてるんですよね。怖いお姉ちゃんの襲来に及び腰で迷宮に引きこもってやり過ごそうとまでしていたのが、直接対決する決意を固めたのもルドラの支配をリムルに及ぼさないためにリンクを自ら断ち切ったのも、全部リムルのためですもんね。リムルからもらった服を燃やされてしまったのにもおこでしたし、リムルが関わると引かないんだよなあ。
しかし、ラファエルさんがさらに進化してしまうとは思わなかった。確かに最近、ラファエルさんミス多かったけど本人?も結構気にしてたんだ。現状の『智慧之王』状態でもその計算能力での補助は助かるなんてものじゃなかったのに、神智核「シエル」へと進化してしまって手がつけられないことに。いや元々わりとさり気なく好き勝手やってたけど、それぞれ本人が同意したからといって勝手にリムルの配下たちのスキルを合成進化させまくるというのはなんともはや。オマケに、ほぼ独力でヴェルグリンド完封してしまうし。これシエルさん浮かれまくってかなりイケイケになってしまってたとしか思えない。ご本人幸せそうなのでいいのですが。
ただ個人的には一番最初の「大賢者」呼びが一番好きだったんですよね、何となく。
リムル自身もさらに進化してしまいましたけど、リムルの怒りに呼応して臣下が進化してそのパワーアップ分がリムルに逆流してリムルもパワーアップって、毎度ながらマッチポンプ? 永久機関? 的な循環強化だよなあ、これ。スライムにして竜種にもなってしまったリムル、もう存在自体意味不明なモノになってしまってまあ。
ここで進化の勢いに任せて戦いも一気に決着、と行かずにいちいち登場キャラ全員に活躍の場を用意してしまうのが本作の特徴ではあるんでしょうけれど、今回は特にキャラが多すぎ! 全員拾ってたらそりゃページ数ガンガン増えますわ。さらにカリオンたちまで魔王覚醒させてしまいわけですから、やや展開が間延びした感があるのは否めないんじゃないでしょうか。怒りでパワーアップって、その熱量が保たれている間にガガガガと進めないと、加速度的に熱は冷めてってしまいますしね。まあ結局リムルの怒りもヴェルドラが無事とわかった時点で収まってしまうものでしたし。
ただ、近藤はあれだけ苦戦というか、彼の能力に直接戦闘のみならず謀略や妨害などで苦しめられただけにあっさりではあったなあ、と。ダムラダもずっと怪しいというか不可解な動きをしていた理由がようやく明らかになったけれど、それも結局こっち側に丸投げ、という形になってしまったなあ。
まあルドラの状態が思っていたのとはだいぶ違っていた、というのがわかってスッキリしたけれど。ということは、勇者マサユキの扱いも危惧していたスペア扱いとかではなかったということなのか。
ヴェルグリンド姉さんの純情がどうやらちゃんと報われそうなのは、良かったというべきなのか。マサユキくんにちゃんと春が来そうで良かったというべきなのか。

シリーズ感想

転生したらスライムだった件 14 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 14】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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帝国からの侵略をなんなく退けたリムルは、これ以上の戦争はごめんだと大本を叩くべく帝都へと乗り込む。
事前の計画は帝国幹部へとのし上がっていたユウキが国内でクーデターを起こし、皇帝の座を簒奪する手はずとなっていた。だがリムルは思い知らされる、先遣軍などとは比較にならない、帝国の真の戦力たちの実力を……。

むぎゃーーー! そこで終わるんかー!
なんか一番いいところで終わっちゃいましたがなッ。そこで、そこで止めですの!? このシリーズ、最近購入してこの14巻まで一気読み、というにはたっぷり三ヶ月位かけているのですが、最新刊まで手元において淀み無く読めていただけに、まだ次の巻が発売されていないまさにここで「レイニー止め」な展開をされてしまうとは。おおぅ、おおぅ。

帝国の西方侵攻軍の大半を撃滅してのけ、その論功行賞を行うことにしたリムルさん。そこで貯めた魂を使って大盤振る舞い、大レベルアップ、大覚醒祭りの開幕である。いやいや、そこで覚醒魔王を大量生産って、そりゃガゼル王以下周辺各国の皆々様が白目剥くのも当然ですわな。
リムル本人はもうノリノリで夜通し、覚醒した連中の称号とか考えるの楽しそうでしたけど。この人、八星魔王(オクタグラム)を即興で名付けたときもそうでしたけど、こういう名付けするの好きでしょ、絶対。そして、特に深慮遠謀とかじゃなく、ただ単に部下たちも覚醒させられる条件が整いました、と言われたから、出来るの?じゃあやっちゃおう!と特に何も考えずにやっちゃってますよね、この人絶対。
もうここまで来ると警戒するのも馬鹿らしいというか、西方諸国では抵抗しようのない戦力になっちゃってるのですが、それでもまあリムルなら大丈夫か、とみんなが仕方なさそうにため息つきながらも信頼して信用してくれるのは、リムルさんの人徳ですなあ。まあリムル側だけではなく、そうして信頼してくれるガゼル王たちの人となりもそれだけ大したものなのでしょうけれど。
サリオンのエルメシア皇帝とリムルとミョルマイルの三人の酔っぱらい談義は笑いましたけど。各国の国主のなかでこのエルメシアさんが一番リムルとノリあってるんじゃないだろうか。お互い楽しそうだし、まあいいや大丈夫大丈夫、という楽天的なところが異様に噛み合ってしまってる。おかげで、どんどん相乗効果で暴走しそうな組み合わせですが。

と、論功行賞にあわせてベニマルが無事年貢を納めることに。ベニマルは相手は一人と宣言していましたから正直、モミジの完勝でアルビスの方はちと苦しいかとも思っていたので、これは実質アルビスの粘り勝ちなんじゃないでしょうか。魔物の子作りに関する設定はこうなってくると結構面倒くさいものになってしまってる感もありますけど、望めば即子供が出来るというのはそれはそれで美味しいなあ。

というわけで、覚醒大祭りのおかげで世界の戦力バランスは見事に崩壊。西方を担って当方の帝国とゲームをシていたというギィもまたすっ飛んできたわけですが、これはまあリムルさんが悪いですよね。悪いというわけじゃないけど、誰の責任かというとリムルさんですね。いやまあ、リムルさんからすると知ったコッチャないのですが。そんなゲームとか行われてるの知らないし。
でも、クライマックスの展開を見てしまうとギィってばもうちょっと対戦相手の情報くれても良かったんじゃないだろうか。ヴェルドラがとられてしまう、というのはギィの側からしても殆ど詰みになってしまいかねない展開なわけですし。
いやそもそも、そうなり得るという事自体、ギィもヴェルザード姉さんも知らなかったのかしら。ヴェルザードもヴェルドラに会いに来てるわけですから、何の対策もとってない様子なのは相手の手の内知ってたら変な話ですもんね。
ユウキはこいつホントにやることなすこと何一つうまいこといかなさすぎて、実はガチで無能なんじゃないですか疑惑が。なんかやたらと本人自信満々だから周りも流されて騙されてるだけでw
それにしても、ダムダラの立ち位置というか何を考えているのかが未だに錯綜してよくわかんないですなあ。皇帝に忠誠を誓いつつも近藤中尉とは根本的に方針が違っているみたいですし。これも、今の皇帝ルドラの怪しい状態が関わっているのか。マサユキくんがここに関わっているらしいのは、本人まったく知らないっぽいけれど確実なようですし。まだもう一捻り一筋縄ではいかない展開が待っていそう。
次は9月だそうで、けっこう待つことになりそう。

シリーズ感想

転生したらスライムだった件 13 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 13】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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ジュラの大森林に攻め込む帝国94万の大軍勢。
迎え撃つテンペストは、魔王ラミリスの権能により、ダンジョンへと町を避難させた。
最前線で原初の悪魔であるテスタロッサ、ウルティマが猛威を振るう中、帝国軍はダンジョン攻略に乗り込む。
しかしそこで待っていたのは、圧倒的な武力を誇るテンペストの、凄まじいまでの虐殺劇であった……。

あらすじで虐殺劇って言っちゃってる……。いやもう実際誤解のしようがないくらい虐殺劇になっちゃっているのだけれど。ゴブタとガビルだけであれだけ圧倒できるほどとは思わんかったけれど。まああの二人からしてクレイマン基準で魔王級くらいの力はもうあるっぽいんですよねえ。便利に基準になってくれるクレイマンさん。そろそろ、クレイマンより強い程度だと大して強くないんじゃないか、という段階になってきてしまった気がしますが。
しかしこれだと、テスタロッサとか原初の三人衆を各軍団長の護衛につけたのって完全に過剰でしたよねえ。リムルの配下たちへの愛情からすると、万難を排して安全マージンを取るというのは必然だったのでしょうけれど、逆にゴブタがおかげで死ぬよりもひどい目に遭いかねなかったわけですが。テスタロッサにしたり顔で説教かますゴブタさんは、それこそ「さすゴブ」でありましたよ。
まあその愛情のおかげで帝国軍、可哀想なことになってしまうのですけど。最終的に帝国軍であかんくなったのってほぼほぼ全部原初たち相手にしちゃった連中なんですよねえ、南無南無。

さて、本番は迷宮に潜った魔都を蹂躙するために迷宮攻略をはじめてしまった帝国軍90万によるラミリス迷宮攻略戦である。ってかこれ、どう考えても戦力の逐次投入じゃないですか。迷宮に入った連中と連絡がとれないのに次々と迷宮に戦力送り込んじゃってまあ……。
これって、どう考えても普通のダンジョン攻略イベントでは誰も深層までたどり着かなくていつまで経っても出番ないだろう迷宮十傑のお披露目というか救済措置ですよね。通常ならどうやったってアダルマン階層で行き止まり状態だったもんなあ。ゼギオンとか、絶対に出番回ってこなかったろうし。わざわざ迷宮に入った軍勢を最初から各階層に割り振ったのも、十傑の出番くれーという露骨な要望のおかげでしたし。
でも、数だけはやたらめったら居たとは言え、最終的にゼギオンとクマラ以外の階層主を撃破出来たのって帝国軍、特に近衛というのは伊達ではなかったんだ。まあその分、ゼギオンの無茶苦茶さが際立ってしまったのですが。いや、あれはあかんやろうw リムルさんが、これ外に出しちゃだめなやつだ、というのも無理ないです。色々と頭が残念なヴェルドラさんよりも、これストイックで精神面で隙がないゼギオンの方がヤバイんじゃないだろうか。

しかし、あれだけフラグ立ててリムル狙われてる、狙われてるという状況になっているのにひょいひょい戦いにいっちゃってリムルの傍を離れてしまうシオンとディアブロてば。シオンはまあああいう子なので仕方ないのだけれど、ディアブロもあれ大概ポンコツなところありますなあ。
ちょっとマサユキくんが裏切り者だったのか、とドキドキしてしまいましたがさすがに伏線が露骨でしたか。ジンライがちゃんとマサユキくんの実態をわかっていた上で心から尊敬してついてきていたのは、なんか感動してしまった。そうなんだよなあ、マサユキくん当人に力がなくても決して期待を裏切らない男なんだよなあ。そして、リムルがガチでマサユキくん馬鹿にされたことに怒ったのもね、リムルのそういうところ凄い好きです。
クロエは、あれ切り札に近いジョーカーだと思ってのだけれど、案外使い所が難しい? というかこれ、継戦能力に相当に難ありだなあ。クロエ本人が実際にもっと成長というか年長になっていかないとなかなか自由に力振るえないんじゃなかろうか。
今回攻めてきたファルムス王国の軍勢を鏖殺して魔王になった時を上回る勢いで、敵軍を追い返すような甘い対応をせず本当に一人残らず皆殺しにしていってたので普段にまして容赦ないなあ、と思っていたのですが、ラストでまさかの復活劇に。いやでも、リムルさんのキャラクターからして敵に対しては冷酷非情の魔王なリムルさんよりも自分はこっちのゆるいリムルさんの方がやはり好ましいので、この展開は良かったですし有難かったですよ。
でも、これ下手したらアダルマンを教祖にしてルミナス教に匹敵する新宗教が誕生してしまいかねない危険性がw

シリーズ感想

転生したらスライムだった件 12 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 12】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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順調に勢力拡大を続けるテンペストに向け、ついに『東の帝国』が動き出した。
未来を知る少女“勇者クロエ"の話では、とある時間軸で、その帝国によってリムルが討たれ、テンペストが崩壊したという。
今はその時とは違った運命線にいるとはいえ、可能性が消えたわけではない。
警戒を強めるリムルであったが、そんな折、帝国の密偵がテンペストに潜入する――。


前々からずっと懸念材料、近々攻めてくる可能性大、という噂が流れていた東の帝国がついに本格的に動き出す。ある時間軸では、リムルの命運を絶ち、テンペストを滅ぼした相手なのだからリムルさんもそりゃ気合入るよなあ。
というわけで、帝国編はじまるよー。
で、はじまった途端に帝国の重鎮の一人が寝返って味方になってしまったという超速展開には笑ってしまった。いや、速い! 速いよ! まだ開戦もしてないし、前哨戦みたいな感じで先遣部隊がこっそり潜入してきて衝突が起こった、みたいな戦闘行為すら起こってないよ!?
でも、これに関しては帝国の大魔導師ガドラ老師のフットワークの軽さと判断の早さを褒めるべきなんでしょうね。偶々ラーゼンのお師匠様だったり、不死王のアダルマンと親友だったり、という深い縁があったとはいえ、テンペストやリムルの実情を知るや否や、これはあかん! と寝返っちゃったわけですしね。このシリーズ、正確な情報を得られないまま自分の都合の良い古い情報を信じたまま動いてエライ目に遭う面々には事欠かなかっただけに、これだけ手早く正確な情報を入手した上で躊躇わず適切な判断を選択するその賢明さは大したものだと頷かざるをえないんですよね。
しかも、それだけならただの機会主義者に見えてしまうのですけれど、元々帝国で大魔導師として技術推進を主導していた理由も、アダルマンが七曜に騙されて討たれたことに憤り、七曜とその主であるルミナスを仇討ちで倒そうという厚い友情から頑張っていた、というものですし、仕えていた帝国に対しても、ちゃんとテンペストに所属移る前にテンペストやばいから敵対しちゃだめー、と戦略会議では戦争に反対し皇帝本人にも直訴した上で殺されかかったので、というか蘇生手段を密かに用意していたのが功を奏して、殺されたけれど蘇生してテンペストへ逃げてきた、という義理立てしっかりとしてきてからの亡命ですからね。筋はちゃんと通してるんですよね。
それに、未だ帝国側で働いている自分の弟子として面倒みてきた異世界人たちに関しても、ガドラ老師自身が奔走して、リムル側と戦いになった時は助命嘆願しに駆け回ったり、説得してこっち側に亡命してくるように手回ししたり、と非常に情深くて面倒見良いところを見せてくれるものですから、このお爺ちゃん良い人だなあ、という印象になっちゃいまして。
あれだけ胡散臭くて、実際必要な情報回してくれなくて面倒なことになりかけたユウキに対しても、あの小僧め、と思いながらそれでも見捨てずに情報回してあげたり心配したりしてるわけで。人が良いんだよなあ。
ともあれ、能力的にも非常に高く、異世界人たちにも顔が利き、というかこの世界で生きるためのノウハウを叩き込んで面倒見続けてくれた師匠として大変慕われていて、昨今の帝国の技術発展に寄与し続けていた大人物であったこのガドラ老師が、速攻でテンペスト側に入ってしまった、という時点で帝国側の命運が透けて見えてきてしまったわけで。これは、思ってたよりも帝国側ヤバくはない?
そもそも、あのユウキが速攻で出世して軍の三大大将の一人に収まってしまう、みたいなことになっている時点でアレなんですよね。組織掌握してのし上がる能力に関してはユウキ、天才的なんでしょうけれど、どうしてもこいつっていつまで経っても小物感が抜けきらないというか、ギィにあれだけシバかれたのに懲りてないというか、やっぱりリムルとテンペストのことちゃんと評価しきれてないところとか、残念度が抜けきれてないんですよなあ。アルティメットスキルに目覚めても、あんまり貫目増えてないし。
今は帝国内の獅子身中の虫として蠢動してて、クーデター画策しているわけだけれど、こいつの計画ってなんともうまくいきそうな感じがまったくしないのが逆に面白く思えてきた。

さて、帝国側が異世界人を大量に抱えていることもあって、またぞろ沢山地球からの召喚者たちが出てきたけれど、最初期に敵対した人間として壊れてた三人組と違って、みんなマトモな連中なのでウマウマ。てか、シンジくんあれ何気に主人公体質なんだろうか。けっこう同輩から信頼され慕われてるみたいだけど。女性にモテて、しかもそれに気づいていない鈍感、という定番のアレみたいだしw

着々と進む、侵攻してくるだろう帝国に対する迎撃作戦計画だけど……ひどいねこれw
迷宮に街ごと収納しちゃうってなんだよそれ。防衛としては最強じゃないですか。帝国軍の技術も実際凄くて、このままだったら西側諸国一蹴されて然るべき質と量、戦車や飛空艇とか何世代技術力上回ってるんだ、というそれなんだけれど、それ以上にテンペストが酷いw
特にテンペスト側だけ戦場の霧が存在せず、映像で俯瞰的に敵情を観察できるとか、敵軍の動き丸見えすぎて可哀想になってくるじゃないですか。
帝国側の皇帝とその傍に侍る「元帥」の正体には少々驚かされましたけれど、またぞろこの人たちも目がギィにばかり向いていて、ヴェルドラの現状やリムルについてはさっぱり把握していないあたり、なんか見覚えのある光景というかなんというか。グランベル翁が主敵扱いだった、とか原初たちの動向を把握していなかったりとか、うん情報が古すぎる。この情報の遅れがどう影響してくるのか。とりあえずは、侵攻してきた帝国軍との開戦からか。

シリーズ感想

転生したらスライムだった件 11 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 11】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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勇者が目覚めるとき、運命の歯車が動き出す―。魔王ルミナスとの約束である音楽会を開催するため、神聖法皇国ルベリオスを訪れることになったリムルたち。進む音楽会の準備―だが、その裏側ではリムル、そしてルミナスをも巻き込む狡猾な陰謀が張り巡らされていた。はたして音楽会は無事に開催されるのか!?

思ったよりも早かったクロエの伏線回収、ってこれは自分がほぼまとめ読みしているからそう思うだけで、クロエの登場が4巻なのでむしろ相当に待たされたと捉えるべきなのか。
あの時点ではまさかルベリオスやヒナタに関わる伏線だったとは想像もつかなかったですしね。未来のクロエという正体がわかっていたにしても。
でも、リムルが本来進むはずだった未来がここでは大きく違ってきているというのは驚き。やはりあの魔王化は大きなターニングポイントだったのか。あそこまでとそれ以降では確かにリムルの存在感がバグったのか、と思えるくらいに異なっていますもんね。リムル自身の強さもそうですけど、それ以上に雪崩をうってリムルを取り巻く環境が激変し、そのうねりの中に世界の命運を握るような面々が取り込まれて、一緒にお祭り騒ぎを繰り広げることになっている。今となっては、リムルの手を離れて勝手にお祭り騒ぎに便乗して世界を変えちゃうような発見や発明をしてる人たちも出てきているし、オクタグラムの面々もどんどんこのうねりの中に入っちゃってきてるんですよね。
ルミナスはもとより、今回に至ってはディーノが居候を決め込んできて、さらにレオンも合流してきてギィですらも超然と見下ろしているわけにはいかない状況になってきたわけで。
レオンは、なんか思っていた以上にイイ男でしたね。もうちょっと面倒くさい奴かと思っていたけれど、面倒臭さの方向性が想像していたのと違っていたというか、内面で拗らせているのではなくて内面を表に出さないことで拗れているタイプだったのか。シズさんもそう言えばぶん殴ってほしいという希望はあったものの、それ以上は特に望んでなかったもんなあ。
むしろ、リムルとは内心があんまり周囲に正しく伝わらないモノ同士のシンパシーみたいなものが通じ合っている気がする。なぜか、二人の間だと言葉を介さなくても意図が通じ合っちゃって、妙に噛み合ってたし。ヴェルドラやミリムといったマブダチとはまた違う、気の合う関係になりそうな感じがあるんですよね。
しかし、今回元勇者だというグランベル翁の本性が明らかになって思ったのですけれど、勇者と呼ばれた人たちって確かにみんな相応の勇者らしいあり方をしてたんだなあ、と。レオンも誤解もあり、本人の執着もありで今となっては魔王と成り果ててますけれど、サリオンの女王様から今も可愛がられているように勇者としての善性、或いは人間性というべきものを失ってはいないようですし、グランベル翁も最後には勇者としてのケジメの付け方をビシッと見せてくれたわけで。この世界における勇者ってもっと胡散臭いものだと思ってたのですけれど、それぞれ勇者を名乗った人物の詳細を見ていくと、変に役割立てられていない分立派な存在として機能しているのかもしれない。いやまあ、レンもグラン翁もその過程で盛大に足を踏み外してはいるんですけどw
でもグランベル翁なんか、マリアベルの添え物という認識だっただけにこのリムルと敵対するには既に力不足であったはずなのに、見事に窮地に追い込まれる強敵っぷりを見せられましたからね。何気に、これほど難敵は久々だったんじゃ。

今回一番驚きだったのは、シオンの成長でしょう。いや、能力的にはビシバシ毎回どんどん強くなってたのは間違いなかったのですが、メンタル面ではさっぱり成長せず脳筋のままリムルも目を離すと何をしでかすかわからないと心配するばかりだったのですが、ここにきてようやく精神的な成長を見せてくれたのが、驚いたのなんの。あれはもう成長の余地のない宿痾かと思ってたのにw
もしこのまま、取り敢えずぶん殴って解決、という脳筋思考から解き放たれたのなら、ディアブロよりもマシな扱いになるんじゃないですか? というか、ようやくヒロインらしくなれるというか。
この巻ではクロエが盛大にヒロインとして殴り込んできたのと同時に、ついにヒナタがリムルのことをちゃんと気にし始めるというターニングポイントでもありましたからね。
物語的にも今回の一件ではヒナタこそがメインヒロインみたいな役回りでありましたし、何気にリムルが一番女性として意識してるというか気になってる素振りを見せるのってヒナタなので、いやリムルはスライムで性別に関してはもうトンじゃってるのですけど、それ抜きにして面白くなってきた。

ところで、戦力的に原初悪魔あれだけ加入させたら戦力バランス無茶苦茶になっちゃったのが酷い。ギィさんがわりと真剣に顔色変わっちゃってるのがなんというかご愁傷様である。

シリーズ感想

転生したらスライムだった件 10 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 10】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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張り巡らされた強欲の罠を打ち破れ!

開国祭も無事に終わり、リムルが次に狙うは西方協議会への加盟。それを切っ掛けとしたさらなる経済圏の拡大だ。
しかし西方協議会の影の支配者犇欲のスキル瓩鮖つマリアベルは、リムルの強大な力を警戒し、手が付けられなくなる前に潰さなければならないと固く決意していた。
思惑が交差する中、リムル抹殺の策略が静かに始まる。

マサユキくんがガチでダンジョン作製の相談役として有能だった件について。実際ダンジョンに潜った感想だけじゃなく、テスターとして非常に参考になる意見や有用なアイデアをポンポン出してくれて、これはマジで「さすがマサユキさん!」じゃないですかー。こればっかりは普通の人間でしかも全然強くないがゆえのマサユキくんならではの視点なんですよね。大物相手にもビビりはしても物怖じしなかったり、楽天的なだけなのかもしれないけれど、ちゃんと自分の意見をはっきり言えるし行動も伴っているあたり、実際出来た子だよなあ、マサユキくん。これはちゃんとお給料払って囲っておいた方がいいんじゃないだろうか。バリバリ仕事するタイプじゃ全然ないけれど、居たらかなり助かるタイプだぞ。
ダンジョンのみんなで相談しながら不具合を潰し、バージョンアップして実働への適正化を進めていく展開、やってる本人たちが何より楽しそうなのでやっぱり見ていて楽しいのだけれど。
さすがに当人たちがモンスターのアバター用意して、ダンジョンの中に入って遊びだすのは楽しみすぎじゃないですかね!w
そりゃ、自分たちで創ったダンジョン、自分たちで体験して遊びたいというのはむちゃくちゃよく分かるけど、この中身が魔王と暴風竜なユニークモンスターたちに遭遇する冒険者たち、たまったもんじゃないよなあw

評議会編は、ほぼラファエル先生無双でありました。リムルの強大さの理由は幾つもあるのだけれど、彼がここまで致命傷を受けずに最適解で乗り越えてこれたのって、ほぼラファエル先生のおかげと思えば、彼の一番の強みが何なのかも自然と理解できるでしょう。リムルが一番わかってるんでしょうけれど。でも、周囲からするとラファエル先生の存在を知らないから、その叡智はすべてリムル本人から出ているもの、と勘違いしてしまうんでしょうね。このリムルの中に存在する、リムル当人とラファエル先生の二つのパターンの存在が、リムルというスライムの存在を分析しきれないものにしているのかもしれません。ユウキは直接リムルとよく接触している分、リムルのことをよく理解していると思うんですよね。でも、その分ラファエル先生という要素を見落としてしまっているということにも繋がり、リムルのことを脅威に思い全然侮っていないにも関わらず、それでもまだ甘く見ちゃっているのがラストの展開に繋がっているのかなあ。
その点、マリアベルの方は単純にリムルに関する情報収集と分析の不足じゃないだろうか。或いは、自身の客観評価と相対評価の不足というべきか。リムルは、ラファエル先生がいる分、自分の足らなさについて慎重に把握しているんだけれど、曰く誰も信用しないマリアベルは結局判断基準が自分しかなかったんですよね。いや、グランベル爺さんが居たんだけれど、そういう方面にはあまり参考にはならんかったみたいだし。そもそも、マリアベルからしてあれって自分の強欲の能力に若干なりとも引っ張られてたんじゃなかろうか。どうも自分の「欲望」に振り回されて冷静な損得勘定、というか損切や妥協、信用という要素を見失っていたようにも見えますし。
てか、裏から操って世界経済を牛耳るぜ、型の黒幕さんが自分から表出てきて自分で手を下そうなんてしちゃたらそりゃダメですわな。

本作を自分が好きなのって、エルリック王子みたいなどうしようもないボンクラでも、斬って掃いて捨てるという扱いにせずに、ちゃんと反省したり自分を顧みたりする余地があるのなら、立ち直れる要素を用意してあげるところなんですよね。ファルムス王国の先王さまなんかもそうでしたし。
リムルが捨て駒にされて呆然とする王子にかけてあげた、これからの人生王様になれなくてもやれることは何だってあるさ、という優しい言葉は何気に染み入るものがありました。
まあ、ライナーみたいなどうしようもない勘違いろくでなし野郎は、相応にザマアされますし。ってか、こいつ優しいリムルさんだけならともかく、怖いヒナタさん相手にイキり倒しちゃったもんなあ。自分で処刑嘆願書に判子押しまくってたような、地雷原の上をタップダンスするみたいな愉快な真似をしてたわけですし、自業自得もよいところw

ラファエル先生の最後の「勝手な」判断は見方を変えるとスキルの暴走であり、リムル自身の制御を超えて勝手にリムルの判断材料となる情報を伏せて、リムルの行動を誘導した、とも言えるのですけれど。
それをちゃんとリムルが「ラファエル先生の思いやり」であり「自分の頼りなさがラファエル先生を心配させてしまった」とちゃんとわかってあげているのが嬉しい所。このあたり、お互い気心の知れた信頼し合う主従という感じがして、今までもずっと良い関係でしたけれど、それ以上に絆で結ばれた感があってじんわりとしてしまいました。リムルは、ほんとラファエル先生が中に一緒にいるので安心してみていられる主人公です。

シリーズ感想

転生したらスライムだった件 9 ★★★★  



【転生したらスライムだった件 8】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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大盛況のテンペスト開国祭に、怪しい陰が忍び寄る! ?

ついに始まったテンペスト開国祭。リムルを初めとし、その配下の魔物も出し物の準備に余念がない。
コンサートに始まり、技術者垂涎の研究発表会、更には巨大アトラクションと化した巨大迷宮と、参加者が度肝を抜かれることばかり。そしてメインイベントの闘技会では、“勇者"閃光のマサユキが参加を表明し、観客は否が応でも盛り上がる。
果たして魔王リムルとマサユキの邂逅は何を生み出すのか。
そして迷宮の最奥で冒険者を待つヴェルドラさんの運命は……。
あのシチュエーションで増長したり調子乗ったりしていない……あんまりしていないマサユキくん、あれはあれで結構偉いんじゃないだろうか。何もかもが都合よく転がっていて苦労する必要がなくみんながちやほやしてくれたら、若者でなくたって勘違いしてしまうものだろう。
まあ、都合の良さが強引過ぎる上に彼自身本当に何もしていないので達成感もなにもあったものじゃないですから、得意になるもなにもあったものじゃないのかもしれませんが。それに、マサユキくんが望んだことが叶うんじゃなくて、彼の希望関係なく英雄に祭り上げられちゃってる状況ですからね。何を言っても聞いてもらえず、何も思う通りにいかないというのはかなりのストレスだったろうと想像できます。それで投げやりになったり八つ当たりしたりいい加減な振る舞いに走らなかった時点でも、大した子だなあ、と思うのです。そもそも、彼のユニークが発現したのは間違いなく、彼が何の力も持たない時点で勇気を示したからこそ、スキル発現の条件がクリアされたわけですからね。
まあその後、筋トレすらもしていなかったみたいだけど。調子には乗らなかったかもしれないけど、謙虚に自分を鍛えるとかしなくて楽に流されるにまかせていたのはさすがの現代っ子である。
でも悪い子では全然なかったので酷いことにならなければいいなあ、と心配だっただけにリムルさんの判断には一安心。別にマサユキくん自身思い上がって云々な状態じゃなかったので、一度痛い目見ろみたいなのを期待する場面でもなかったですしね。それでも、勝手にどんどん勝ち上がっていってしまうのはイマイチ観客と違って盛り上がらなかったですけど。
折角の四天王、ゲルドさんじゃなくてゴブタの方かよ! いやこれリムルさんはネタと思ってそうですけど、世間一般では世界そのものが厨二思考みたいなものだから、めっちゃそのまま受け取られちゃうよ。ゲルドさん無役は本当に惜しいので、べつにもっと四天王みたいなの作ったらいいのに。人材は豊富なんだから。
でも、リアル「やつは所詮四天王最弱!」な枠の人が誕生するのは何気にはじめてみたかもしれないw

さてついにお祭りも開幕。クロエら子供たちは連れてってやんないのかなあ、と心配してたらちゃんと招待、リムルが自分で誘いに行ってくれて一安心。お祭りは大人も楽しいけど、子供こそ娯楽少ないんだから遊ばせてあげないとねえ。リムルが引率するのかとも思ったけれど、さすがに王様忙しいか。だからといってヒナタが子供たち預かってくれるとはこれも想像せんかったけど。あんただって偉いんだから遊んでてええんかい、と言いたくなるヒナタさんですが、この人完全に遊ぶ気モードである。後々振り返っても、このお祭り一番満喫してたのって、ヒナタと彼女の主であるルミナスが双璧なんじゃないのか。
技術発表会はともかくとして、音楽演奏会が出色でした。魔物の国、という印象を払拭するのに文化面でこれほどのものを見せられたら、そりゃ考え方見方根本からひっくり返るよなあ。シュナはともかく、シオンがヴァイオリニストできるとはイメージひっくり返るわ。
技術発表会の方も、あれリムルがまったく関わってないというのがいいんですよね。どんどん、みんなが自分の力で花を開かせ、実をなしていっている実感が出てくるじゃないですか。

肝心のダンジョンの方はというと、あのアトラクション、実際に中に入って探索する冒険者たちだけのためのものじゃなくて、その様子を映像で闘技場に映し出して観客に観戦させる、ってそれ凄いじゃないですか。事前に予想していたのと、事業規模や展開の方向性が根本から変わってくるぞ!?
でも、死んで上等なダンジョンなだけに映像18禁なグロいのが連発されそう、ってこの異世界じゃ別に問題にはならないのか。

お祭り中ロッゾが仕掛けてきた経済戦も、なんとかミョルマイルと各国の支援をもってしのげたけど、これ相手方が魔国とドワルゴンはじめとして近隣各国との密接な繋がりを把握していなかった、ということなんでしょうね。魔国単独が相手ならともかく、各国が経済支援はじめたら途端に意味なくなる状況でしたし。既にあれだけ経済圏を確立するような施策を各国に示している状況では、後手後手な攻め方もいいところでしたし。その意味ではリムルの動きがあまりにも早すぎるんでしょうけど。トップダウン型の極地の一つだわな。

で、ラストの爆弾炸裂である。ってかリムルさん、まったくそんな疑ってる素振り見せてなかったじゃないですかー!? おかげで、まったくその人とは考えてなかったですよ。言われてみると、あそこで出てきた人って幕間でちゃんと登場してましたね。しまった、全然気づかなかった。

3巻 4巻 5巻 6巻 7巻 8巻感想

転生したらスライムだった件 8 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 8】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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ヒナタをはじめとする聖騎士団との和解に成功した魔王なスライム―リムルは次なる仕掛けを画策する。それは、自身の魔王襲名をお題目に、盟主を務める国、このテンペストで大規模なお祭りを開催するというもの。最高峰のおもてなしと娯楽を提供するべく、魔王以下幹部達から、末端の一般市民、そして小さな魔王ラミリスも取り込んで、総力をあげての準備が始まった。果たして無事、テンペスト祭は開催されるのか!?

目下の最大の危機だった西方教会との対決も何とか解決することで、当面魔国連邦を脅かす勢力がいなくなり、リムルたちはマッタリモード。これを機会にリムルの魔王襲名お披露目会を兼ねたお祭りを開催することに。というわけで、物騒なお話抜きでのヒナタたちとの和解のどんちゃん騒ぎにお祭り準備編であります。
実際はまだ暗躍していた連中は健在だし、東の帝国の蠢動も確認されているのだけれど、目下の謀略を退けたことで一息つけた、というところか。七曜を全滅させることができた、と勘違いしている部分は若干危ないのかもしれないけれど。
ヒナタたちとの和解の宴、という名目のこれお疲れ様会ですよね。堅苦しいの抜きでお酒に料理にと持て成してのどんちゃん騒ぎ。畏まった場にせずに、日本風の旅館めいた場所で浴衣で着崩しての寛ぎ空間を演出するあたりは緩いリムルさんらしい配慮である。これ、聖騎士団てば討伐に来たんじゃなくて湯治に来たみたいな感じになっちゃってるし。騎士団あげての慰安旅行じゃないですかー。
まあ騎士も魔物たちもひっくるめて美味しい料理に美味しいお酒に露天風呂で楽しくワイワイやってりゃそりゃあわだかまりも解けるってなもんであります。
騎士団の連中はルミナス教の真実を知ってしまって動揺も激しかったでしょうから、こうして寛げたことは良かったんじゃないでしょうか。聖騎士団成立の経緯を知っていると彼らが教義よりもヒナタ優先というのは納得いくところですしね。帰国したら魔国との国交樹立のためにあれこれ奔走して調整やらしないといけないのを考えると、ここでいっぺんリフレッシュしたかったでしょうし。
何だかんだと帰るの引き伸ばして堪能して帰ったのには笑いましたけど。
しかし、リムルさんてば何気にヒナタ相手だと今までで一番女性への興味を示していた、というかおっさんらしい態度を見せてましたね。スライムになって性別がなくなって、殆どその手の反応見せなくなっていたのに。おっぱいは好きだけど。女の人たちに接待される夜のお店とか大好きだけど!
むしろ、ヒナタの方がリムルの前世が男だと知っているからか、男扱いの反応をしていたから、特にそう見えたのかもしれませんが。

さて、ヒナタたちが帰ったあとは、魔国連邦の国を挙げてのお祭りを開催することになり、各国の要人を招待し、ジュラの森の各所から訪れる魔物たちの部族の訪問を受けて、メンバーの総力を結集してあれこれやりだすリムルたちであります。
伝統あるお祭りじゃなくて、これが第一回目ということもあって、やることなすこと初めてばかり。でも逆に言うと何をやってもいいわけですから、あれもやりたいこれもやりたいというそれぞれが持つ得意を持ち寄っての大騒ぎになるわけです。なんか、学園祭的なノリを都市規模にしたようなものですから、なおさら準備期間の大騒ぎも楽しくなろうというもの。みんな自分がやりたいことを見つけて、それに向かって邁進するのですからそりゃあ楽しくもなろうもの。
商人ミョルマイルを本格的に引き込んで、一緒になって金儲けの悪巧み。いや悪巧みといったら語弊があるかもしれないけれど、リムルのアイデアをポンポンと本格的な経済活動に仕立て上げていくミョルマイルとのコンビは、リムル自身めっちゃ楽しそうなんですよね。自分の意を受けて、自分の想像以上に事業を具体的な形にして発案しなおしてくれるミョルマイルとのやり取りは、若干暴走しがちで何しでかすかわからないところがある魔物たちよりも、ガッチリ噛み合ってる感があって楽しいんじゃないだろうか。ミョルマイルの方もリムルからポンポンと飛び出してくる発想にテンションうなぎのぼりでこちらも心底楽しそうですし。
さらに楽しそうだったのが、いきなり訪れてきたラミリスたち迷宮組との、魔国で作ろう新ダンジョン編である。ラミリス、古いだけのなんちゃって魔王じゃなかったのか!
まさかのダンジョンマスター能力は、ダンジョンの制作に関しては魔力さえあればほぼ無制限、ダンジョン内での支配力は無限大。ダンジョン内なら死んでも生き返らせることすらできるよ、という復活機能まである、ということで。みんなで角を突き合わせて「ぼくたちの考えた最強のダンジョン」制作がはじまってしまうことに。
ダンジョンを作ろう、な物語や作品はそれなりに見たことがあるけれど、あれって大概ダンジョンマスターになった主人公が一人で考えて一人で作ることが多くて、他人が関わるにしても言うことを聞く部下が相手だったりするので、結局一人のお仕事で作品なんですよね。
しかし、この魔国ダンジョンはリムルだけが考えたんじゃなくて、ラミリスにヴェルドラにミリムまで関わってきて、それ以外にも何人も関わることになって、みんなで顔を突き合わせて喧々諤々の議論をして、あれもやりたいこれもやりたい、というアイデアを詰め込んで、まさにみんなで考えみんなで悪乗りして、みんなで創った楽しい楽しいアトラクション! という感じなんですよね。
歯止めかけるヤツが存在しないものだから、やりたい放題のとんでもないダンジョンになってしまってますが。まさかのダンジョン最奥に待ち構えるラスボスにヴェルドラ就任。各階層の中ボスも、中で生み出す以外にも外から連れてきたり、クレイマンとの戦いで仲間になった連中に任せたり、とみんなでワイワイとやる手作り感があってホントこういうの好きですわー。ちゃんとダンジョン内に配置される宝箱の中身も用意したり、と運営側の楽しさを堪能しきってる感じですし。
見ているこっちも楽しいし、すごくワクワクしてくるじゃないですか。
お祭りのアトラクションのつもりでやってたら、ミョルマイルくんが関わってきて、ジュラの森が安定したことであぶれ出すだろう冒険者を呼び込んでの、一大事業にもなりそうにですが。
いや、こんな最恐ダンジョンをお祭りの一アトラクションで用意すな、と言いたいところですけれど、各人ノリノリだったしなあ。まあ死んでも復活できる、という安全性が完全に確保されているあたりで、リムルのリミッターもまあ何やってもいいんじゃね?と完全に振り切れてしまったのかもしれませんが。
それにしても、リムルも感心しきりでしたがダンジョンに関してはホントに何でもありなラミリスまじで凄いっす! ただのポンコツ妖精じゃなかったのか。

ジュラの森の正式な支配者となったリムルのもとに、顔つなぎのために訪れてくる魔物たちの面々もなかなかに個性的。その中で、特に前から話にあがっていた天狗族。天狗と聞いて想像するあの鼻が長くて羽が映えてる修験者の格好した妖怪、というのとは……いや、概ね沿っているのだけれど鼻は長くなくて、しかも天狗は天狗でもテンコウという中華の神獣系である天のイヌという側の要素が入った種族だったのですが、何よりも驚きはそこの族長がハクロウの娘さんだった上に、ベニマルとの婚姻話が飛び出すことに。
この世界の魔物たちって、子供を作ると力の大半を持っていかれてしまう、という結構難儀な設定があるのだけれど、そろそろそれに関しても何らかの方針を示していくんだろうか。ぶっちゃけ、この設定は何とか解決してほしいのも実際のところではあるんですよね。当初は麾下の魔物たち、子孫を残すことに関しては自分の存在が消滅かそれに近い形で力を喪ってしまうことから、興味ないという向きの発言をしていましたけれど、皆さんおモテになりますしねえ。

3巻 4巻 5巻 6巻 7巻感想

転生したらスライムだった件 7 ★★★★  



【転生したらスライムだった件 7】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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魔王クレイマンを倒し、“八星魔王”の一柱になったスライム―リムル。それを受け、神聖法皇国ルベリオスは揺れていた。それはまだリムルが魔王になる前、聖騎士団長のヒナタがリムルを襲撃したことで、その報復を恐れているためだ。そんな中、急遽集められた十大聖人の会議で、リムルからの使者としてやってきた、ルミナス教の司祭が殺害されるという事件が起きる。魔王へと進化したリムルの力は底がしれない。全面戦争を避けるべく、全ての責任を自身に負い、ヒナタは単独でテンペストへと向かう!

これ、表紙のヒナタは女性には見えんよなあ、顔怖いw
正直、今回仕組まれていた謀略は決して上質なものではなかったと思うのだけれど、多少荒が見えようと巧妙さに欠けようと、仕組まれていること自体が知られず情報を封殺され主導権を握られ続けた上で、時間的猶予も与えられずに動かざるを得ない状況に追い込まれてしまうと、どうしても嵌められた側は受け身に回らざるを得ず良いように誘導されてしまうのが現実なんですよね。
こればっかりは防諜側は自分たちの周りばかり掃除していても状況の主導権を握れるわけじゃないから、謀略を動かしている主体となっている人物や組織に対して阻止するアプローチを仕掛けなければどうにもならない。しかし、今回に限っては「誰が」暗躍しているかが定かではなかったので、この手の謀にも長けているだろうディアブロですら受け身に回って対処に動き回らなくてはならなくなってしまったわけだ。
その意味でも、状況が上手くハマって相手側に有利に働いた、というところなんだろうな、これは。相手側にもかなりの偏見と思い込み、情報分析の欠如があったにも関わらず最終盤まで企画通りに事が進んでしまいましたからね。リムル側もヒナタ側も判断も行動も無理やりな展開なく自然な形で進行していましたからね、とにかく謀略の意図と首謀者がわからなければ、中々それを止めようがないものである、というのは覚えておいていいものではなかろうか。
何気に本作って、これまでも情報の掌握の有無が展開を左右する場面が見受けられるんですよね。リムルたち味方側だけではなく、ちゃんと敵側黒幕側も全部まるっとお見通し、みたいなのではなく入手した情報の齟齬があったり誤解や勘違い、思い込みなんかがあったりして、その錯誤齟齬が結構大変な事態を引き起こすケースが多々あって、面白さに拍車を掛けてる部分があるんですよね。だから、この手のお話は結構作品としても重要な部分なのかも。
そう考えると、リムルって大賢者がラファエルさんになってから彼女からの情報の共有に失敗してるところがちらほら散見されるので、後々致命的な事態を起こさないかちょっと心配している。既にラファエルさんの言いたいことを聞かずにやらかしかけたことあったわけですし。実はまだラファエルさん使いこなせてないんじゃなかろうか。というか、人格らしきものが生まれてしまったラファエルさんの繊細なハートをきちんと慮れてないんじゃなかろうかw なんか、しょっちゅう言いたいこと言わずに黙り込んで拗ねてる気がするんだけど、ラファエルさんw

ともあれ、最後らへんまで上手くハマった相手の謀略も、リムルたちの実力を全く見誤っていたために殆ど力技で潰されてしまうことに。あれも、最後押しきれなかったから力押しでキメようとしてるあたりがまた粗雑といえば粗雑なわけで。
今回は良いようにやられた感があるんだけれど、先々も脅威かというとあんまりそんな感じしないんですよね。ここで全部出しきったというか運を使い切ったというか。

しかし、ヒナタは最初にかち合ったときのあの聞く耳を持たない、という頑なさを目の当たりにした上で、リムルが何度も繰り返しあの人絶対話し聞かないだろうなあ、話通じなさそうなヤツだよなあ、と強調するもんだからそういう娘さんなんだと思ってたけれど、普通に聞き分けいい子じゃないですか。いやまあ、世間様の評判も完全にヤバいやつ扱いなので、リムルがそう思うのも無理ないのですけど。現世の方でヒナタがかなりヤバイことしでかしている、という回想による前情報も、ヒナタが洒落にならない危険人物である、という先入観を与えてくれる材料になってたんでしょうけど。
ウェブ版では実際なんかもっとヤバイ感じだったのが、書籍版ではだいぶ話が通じるキャラになった、みたいな話をちらっと目にしたこともあるので、本来は噂通りのヤベえやつだったのかもしれないが。
教会勢力そのものも、何しろ宗教団体だし魔物排斥を高らかに謳っている連中でもあるので、これは一筋縄ではいかないだろうな、と思っていたところにその教会の奉る神様があれだったもんだから状況は面白いくらいコロリとひっくり返ることに。いや、教団組織としてこれはちょっとえらいモメることにならないだろうか。まあ対抗勢力は存在しないか、今回で根こそぎ潰されたとも言えるのだけれど、個々人の信者の気持ちとして、ねえ。まあ真実を知るのはあの場に居た連中だけなので、口封じでなんとかなるのかもしれないけど。何しろ、本人納得しなくても精神操作とか記憶操作とかチョロいです、みたいなあの人がいるわけですしね。
それにしても、出てきては色々と盛大に台無しにしてしまうヴェルドラさんは、もうさすがとしか言いようがない。こいつは、ちょっと一度は大人しくシメられた方がいいんじゃないだろうかw
あと、シオンはほんと、いっぺんちゃんと叱った方がいいよ、とこれ毎回言ってるな。
今回面白いな、と思ったのが完全駄王だったファルムス王国のエドマリス王が、心折られ野心を捨てたところから何気にちゃんとした王様らしくなって、良いキャラになってきたところでした。なんか新王擁立予定のヨウムの後ろ盾として頼もしいと思えるくらいになってきたし。あそこまでズタボロにしたキャラをここでもう一度持ち直させて扱うというのは、興味深く面白いなあと思える部分なんですよね、この作品の。
けっこう捨てキャラ居ないんだよなあ。
3巻 4巻 5巻 6巻感想

転生したらスライムだった件 6 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 6】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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魔王種へと進化を遂げたスライム――リムルの元に「魔王達の宴(ワルプルギス)」が発動されたと報せが入った。
それは10人全ての魔王が集う特別な会合。しかもその議題は魔王を僭称するリムルに処罰をというもの。
発起人は、テンペストに災いを呼び寄せた元凶「魔王クレイマン」。クレイマンの謀略を全て理解したリムルは、このワルプルギスを逆手に取り、一気にクレイマンを叩き潰す計画を立てる。
そう、彼がが企てた全ての出来事に終止符を打つために……。

てっきり、前回の終わりの勢いから、そのままクレイマンのところに襲いかかって殲滅じゃー、という流れなのかと思ったら、思いの外冷静に事が運ばれて。
というよりも、実際ここでフューズさんたちブルムンド王国の援軍とガゼル王たちが来なければ、そのまま突撃しててもおかしくはなかったんですよね。
ここで一息入れて間を置けたことで、より悪辣で容赦のないトドメをクレイマンに刺せたと思えば、いやそれ以上に下手をすれば人類各国と対立関係に陥る可能性もあった魔国連邦の行く末に確固たる未来への筋道を立てられたわけですから、フューズさんたちの援軍って会戦には間に合わなかったにせよ、全然ムダなんかじゃなくそれどころか大きなターニングポイントになってたんだなあ。
はっきり言ってかなりリスク高かったはずなのに、日和見せずに即座に援軍差し向けてくれたブルムンド王国、信義の大切さを心得ててホント格好いいですわ。個人的な友誼があったガゼル王とは違い、国同士の付き合いだからこそ魔物の集まりに過ぎないと言えば過ぎない魔国連邦に対等の国として接してくれたブルムンド王国、リムルとしてもめっちゃ嬉しかったんじゃないでしょうか。
あの王様、大した人物だったんだなあ。
エレン繋がりで、魔導王朝サリオンとも国交がモテることとなり、とこっちも意外な展開で。エレンの発言からしてむしろモメる方向に行くかと思っていたのですが。
ヨウムを擁立してファルムス王国を乗っ取ることで影響下に治めるもともとの計画も、他国の支援も加味してのものとなってほぼ成功間違いなしとなったわけで、これで一気に友好国が一大勢力的なものとなってきて、こういうのワクワクしてしまいますなあ。

しかし、ヴェルドラさん、完全にこうなんというか……居るだけで大騒ぎになる存在なのにこの自分の存在の大きさをまるで認識していないようなフットワークの軽さとキャラの軽さが混沌を加速していて、ミリムとかよりもよっぽど迷惑キャラじゃないのか、こいつw
まあ、ほんと居るだけなんだけど。部屋の隅で漫画読んでるだけなんだけど。やたらと光景が具体的に想像できてしまって、存在感がパねえな、この宿六なおっさんw

彼の居るだけ迷惑っぷりは、かのワルプルギスでも全く変わらず、いやなんというかヴェルドラ復活の際は強力な味方として頼もしい存在になるんだろうなあ、と期待していたし、実際強力な味方として頼もしいような感じにはなっているんだけど、この物凄い「すごいけどなんか違う」感がなんかもう此処まで来ると流石である。

その肝心のワルプルギスの方でありましたが、いやさリムルが魔王に覚醒したことでやたらめったら強さの桁があがりまくって、これちょっといきなり魔王の中でも図抜けた存在になっちゃったんじゃないの!? と、思ってた時期もあったのですが、こうして十大魔王勢揃いしてみるとこれがまた誰も彼もがパないわ油断ならない力秘めているわ、そもそも秘めてもいないわ、というようなとんでもない輩ばかりで、ちょっと想像以上だったんですけど。ミリム、確かに魔王の中でも突出しているようだけれど、こうしてみるとそこまで図抜けて突出はしていないのか、と思えてくる。少なくとも、ミリムでも一筋縄ではいかない連中ばかりじゃないですか。
その一方で、これもまた想像以上というか想像の埒外というレベルで……魔王さんたちみんなちょっと変な人たちじゃないですか!? 本人たちシリアスに決めているつもりだし、まあおおよそシリアスに決められているようにも見えるんだけれど、全員ところどころにポンコツ要素がにじみでまくってる気がするんですが。というか、この人たち集めてみると恐ろしく得体の知れない脅威の魔王たち、というよりも「魔王な愉快な仲間たち」な感じになってませんか!? あんたら、何気にミリムやラミリスとアーパーな感じで波長合ってるよ? 方向性わりと似てるよ? 
いわゆる同類じゃね!?

まあそれはそれとして、クレイマンの本拠攻略戦ではベニマルたちが活躍しつつ、なんかこっちでもさらに仲間増やしてるし。下手に倒していくよりもそれ以上に仲間になる連中をすくい上げてるケースの方が多いのが面白いなあ、この作品。
ミリムの信奉者たちの集まりも、思ってたような宗教色の強い感じの連中とは違っていて、意外とミリムとも親密な距離感じゃないですか。いや、あれを親密と言っていいかわからないですけど、全然美味しくない生素材な野菜料理を無表情で黙々と食べてるミリムの姿が、これまたありありと想像できつつも、怒らずなんだかんだと世話受けてるあたり、ミリムそれなりに受け入れてますよね、彼らの存在。いやまあ、流石に嫌気がさして長らく近づいてないみたいですがw

そのミリム、クレイマンの支配を完全には受けていないんだろうなあ、とは思っていたのですがまさか全くこれっぽっちも完全に受けていなかったとまでは思わなかった。いや、あんな殴られて怒らないとか、どれだけ我慢を知ったんだこの娘。
普通に獣王国消し飛ばした時点で、それなりに支配は受けてると思うじゃないですか。この娘さん、素で吹き飛ばしたのかw
フレイが完全にミリム寄りだったのにはこちらもいっぱい食わされましたけれど、この人もちゃんとミリムの友達していたのはなんか嬉しかったですよ。ミリムが裏切られるのは、あの子の純真さを思えば悲しいですもんね。

クレイマンからすると、もう完膚なきまでに自身の策を潰された挙げ句に逆手に取られて、逃げ場なくされたところでフルボッコ。しかも、死に物狂いで覚醒してなお微塵も叶わず叩き潰されてしまったのですから、やはりというべきかご愁傷様な結末に。
彼に関しては自業自得の結末ではありましたけれど、誰かに利用されてその捨て駒で、という憐れな最期ではなく、あくまで彼自身の考えと失敗によるものですから、後悔や未練はあっても本分を尽くしたと言えるのじゃないでしょうか。それに、ちゃんと彼の最期を悲しみ憤ってくれる本当の友人が居たわけですから。寂しいヤツではなかったんだよなあ。


3巻 4巻 5巻感想

転生したらスライムだった件 5 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 5】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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リムル不在のテンペストは、騒がしいながらも穏やかな日々が続いていた。しかしそれは、『武装した人間の集団がテンペストへ向かっている』との奇妙な情報がもたらされた事により終わりを迎える。重ねるようにして、友好を結ぶ獣王国ユーラザニアから、魔王ミリムに宣戦布告されたとの凶報が入った。騒然とする中、遂には主であるリムルとの思念伝達まで途切れてしまう。拠り所を失ったテンペスト幹部達。それは、絶望と狂乱の幕開けでしかなかった。そして、新たなる魔王が誕生する―。
どわーーー! これはまたこれはまた、凄まじいことになってしまった。
これまでリムルのパワーバランスって魔王級に匹敵するほど強いけれど、突出するほどではない、というくらいの感じだったんですよね。カリュブディスに対しても決定打がなかったし。
一方で、引き出しも多くてポテンシャルも底なし、奥の手をいくつも内包している上に敵をまるごと吸収できるような能力もあり、いわゆる格上に対しても勝てはしなくても勝負つかずの引き分けか、最悪逃げを打つことが出来るだろうという安心感みたいなものがあり、これはリムル自身も自覚を持っていたところだと思う。
それを初めて揺るがされるほどの危機感を抱くはめになったのが、ヒナタとの戦いだったわけだけれど、あれほど絶体絶命のピンチに追いやられながら結局シレッと見分けつかない分身を身代わりに逃亡できているあたり、ほんとこのスライム強かナリ、というところなんですけど、それでもまあ勝てない相手というのは珍しくない、というくらいのポディションだったんですよね。
それでも、彼の……リムルの目的からするとそれは特に問題にならないはずだったわけだ。魔物たちを取り纏め、人間たちの国家とも仲良くしてみんなウィンウィンで豊かになろう、という方針においては、何かしらのちょっかいを掛けられてもそれを適当に退けられるくらいの力があれば、負けない力があれば十分、と考えていたのだろう。今までリムルは、それほど力の習得などには執心ではなかったですしね。
でも、それだと一方的な理不尽な悪意を防げないのだと、知らなかった。
自分一人は負けなくても、自分の大事な者たちは守れないかもしれない、という可能性に気づかなかった。
それはやはり、油断であり、甘い考えであり、世の悪意と欲望を過小に見積もっていた、ということなのだろう。思えば、これまでリムルが出会った人々は、人間も魔物たちも善性を強く有したものだった。過剰な悪意というものを、直接突きつけられたことはなかったと言えるだろう。
だからこその悲劇であり、リムルにとっての衝撃だったのだ。

でも、これまでリムルが培ってきたもの、築いてきたもの、結んできた関係というのも決して無駄でも無意味でもなく、それは確かな実績であり、この世界の真実の一つであったのである。
リムルは、世界にも、人にも、裏切られなかった。

悪の魔物を征伐する正義の人間たち、という構図にしたかっただろうファルムス王国や西方教会の意図と異なり、ブルムンド王国やドワルゴンから訪れていた人間たちは攻め寄せてきた軍勢の非道に憤り、情理両面からリムルのこれまでを全肯定してくれた。
そして、エレンたちは攻めてきたファルムス王国の兵士たちとはいえ、おなじ人間である彼らの多くが犠牲になることを承知で、リムルに喪ったはずのものを取り戻すための方法を、教えてくれたんですね。人だとか魔物だとかという種族ではなく、恩人に報いるため、友人を助けるため。彼女らは胸を張って決断したのだ。
もし、彼らがいなければ果たしてリムルが辿ることになっただろうこれ以降の道筋は、いったいどうなっていただろう。三馬鹿冒険者たち、登場した当初は賑やかしの面白連中としか見えなかったんだけれど、まさかこれほど重要なキーキャラクターになるとはねえ。さすがは、シズさんの最後のパーティーメンバーである。
どうやら、エレンたちはただの冒険者たちではなく、事情があって故国を飛び出している結構重要人物な人たちみたいなので、これからも結構物語に深く関わってきそう。でも、裏表なくいい奴らなんで、登場人物の中でもこの娘たちは好きですわー。

にしても、リムル覚醒がまさかここまでどえらいことになるとは。盛りすぎじゃね!? というくらい、詰め込む詰め込む。ほんとなら、大賢者が「智慧之王(ラファエル)」になってアルティメットスキル獲得!ってだけでも一回のパワーアップとしては最大値に近いだろうに、そこからさらに積むわ積むわw
このアルティメットスキルって、一つ持ってるだけでも上級魔王とかの資格貰えるようなレベルのあれなんじゃないだろうか。それをまあ……。
トドメに、今まですっかり忘れられていた、とか言ってしまいたくなるかのヒトの復活である。
とんでもないパワーアップしたリムルだけでも、いきなり世界のパワーバランスを崩しかねないボスキャラ出現! てな感じだったのに、さらにおなじかそれ以上のレベルのあのヒトが再臨である。
ボスキャラが二倍である。おまけに、総じてリムルから名付けを受けた魔物たち、大進化してしまって魔国連邦の戦力の底上げがひどいことになってるのに。
あかん、これオーバーキルする気満々だ。最大HP1万くらいの敵に、一撃で400万くらいのダメージ与えてオーバーキルキルしてしまう気満々だ!
そして、リムルさんが誰かを敵認定していますよ。あいつ、ボコっちゃる件カチコミじゃ皆の衆!的な宣言しちゃってますよ?
はい、ご愁傷様ですクレイマンさんw
次回は、汚え花火が打ち上がりそうだぜぇ。

3巻 4巻感想

転生したらスライムだった件 4 ★★★★   



【転生したらスライムだった件 4】 伏瀬/みっつばー  GCノベルズ

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魔物の主スライムのリムルは、魔国連邦の盟主として着々と勢力を強めていた。魔王カリオンの支配する『獣王国ユーラザニア』との国交、さらにはドワーフ王国ともより良好な関係を築き上げ、盤石の態勢を整えつつあった。そんな折、リムルはある夢を見る。それは自ら捕食した“爆炎の支配者”井沢静江からの、教え子だった子供達を救って欲しいという悲痛な叫び、そしてリムルは子供達に会うべく『イングラシ王国』へと旅立つ―爆炎の想いを受け継ぐ者として。

おお、確かにだいぶアニメでは内容が端折られていたのがよくわかる、アニメ第一期終了までが描かれた第4巻。
でも、確かに端折られた場面ってストーリー的にも重要な場面ではあるんだけれど、ここを描かないとストーリーが成り立たないとかキャラにブレが生じてしまう、というわけではないところを見ると、かなり厳選して慎重に取捨選択していたのもわかるんですね。自分みたいに後から原作をこうして読んだ側からすると、アニメ側との齟齬は殆ど感じませんでしたし、うまいこと作ってたんじゃないかなあ。
というわけで、魔国連邦という国家として成立した以上は、周辺各国との密な外交も重要になってくるわけで、ドワーフ王国の兄弟子陛下の指導を受けもって、ユーラザニアやブルムンド王国ともちゃんと交渉を行うことに。いや、ご近所同士の挨拶程度じゃなく、ちゃんと使者立てて国交結んでたんだ。ベニマルは片腕にふさわしい貫禄はあるんだけれど、彼も彼で鬼人マインドは揺るがないんでやっぱりまともにあれこれ出来るのって、リグルドやリグルのゴブリン衆なんだよなあ。ハイオークのゲルドも渋いくらい落ち着いた安定的な性格してるんだけれど、彼は工部方でどちらかというと技術職っぽいし。
そう考えると、魔国ってドワーフの親方衆も含めて技術・研究職に幹部たちのウェイトが置かれていて、政治や商経に関する人材が欠けているのが実際国家運営はじめてみると見えてくるわけで。
そんな中で鬼人衆が重きを成すのもわかるんだけれど、これもどちらかというと他に人がいないからであいつら戦闘脳だしなあw ただ、ドワルゴンも獣王国も腕っぷしがものをいいそうな国だけに、相性はいいのかもしれないが。
そんな中で、大商人であるミョルマニルさんを勧誘できたのはこの巻でも大きな成果なんじゃないだろうか。アニメではドラゴンに襲われていたところをちょいと助けた縁、という体になってましたけれど、こっちだとおなじ場面でも命がけで通りすがりの母子を助けたり、売り物のポーションただで配って兵士たちを支援してたり、と非常に侠気ある格好いいところを見せていたんですよね。これでただのお人好しというのではなく、裏稼業の方に貸金までやってる強面なところもあるだけに、頼もしい人が加わってくれたという感じ。
仲間というわけじゃないですけど、隣国のブルムンド王国もギルド長の盟友である男爵がいい意味でくせ者であり、何気に人畜無害そうな良い人な感じの国王さまもあの人柄で人材をよく動かしている良い王様みたいなので、そういう国々とちゃんと利益を出し合えるWin−Winの関係な友好を結べたというのは国の始まりとしては幸先良いものだったんじゃないでしょうか。
しかし、リムルって身内に甘いだけじゃなくて打ち解けてその人柄を気に入った相手にはとことん甘いんですなあ。カバルたち三馬鹿冒険者たち、あの連中には結構世話になってるしなんだかんだいい奴らだけれど、ポンと馬車や優れものの武具をプレゼントしちゃうあたり、めちゃめちゃ可愛がってる風情ですし。ヨウムにもリムルの立場以上の肩入れしてますしねえ。
思えば、この御仁ってスライムになる以前の人間時代、前世は短いシーンだけでしたけれどそこだけでもわかるくらい、後輩くんを可愛がっていましたし、もともとこういうタイプの人だったって事なのでしょう。
ただ、子供の扱いに関してはちょっと雑だと思ったぞw
シズさんの心残りであった、中途半端な召喚によって莫大な力を内包してしまい、そのため寿命が残されていない子供たちを救うため、イングラシ王国へと旅立ったリムル。
そこで、シズさんの忘れ形見ともいうべき十歳前後の子供たちの先生になることになったのだけれど、何だかんだと今までリムルが付き合って可愛がってきた連中は一応大人な面々だったので、自己がしっかり確立されている連中は当たりが少々キツくてもそれに適応に対応してくれるけれど、子供たちはもうちょっと繊細だからね!?
いやまあ、反抗期な子供たち、繊細とは程遠かったのでリムルさんが腕まくりしてしまったのもわからなくはないのだけれど、これ見てたらシズさん苦笑案件だったろうなあ。何気にリムルのそれは同じ目線のガキ大将方式だったような気がしないでもない。それで懐かれたわけですから、問題はなかったのでしょうけれどw

クレイマン、これ見ていると全然黒幕じゃないじゃないですかー!
考えてみると、露骨に失敗はしていないけれど「こいつ、なんか企んでて策動してるな」というのを周辺の連中が、リムルみたいに直接知らない奴までそういう風に見てる時点で目立ちすぎているんですよねえ。黒幕としては。これに加えて、変に情報の入手に失敗してたり錯誤を起こしてたり、と隙も多いので、その中途半端さが妙に面白い立ち位置のキャラだなー、と思って見ていたのですが、こうなってくると釣り餌か実際の謀に対する身代わりの囮みたいなものなのか、という気がしてきたぞ。

妖精女王にして魔王の一角であるラミリスとの邂逅。非力だけれど世界の安定のために重要なポディションにいたり、技術的にも優れたものを持ってる彼女の存在が、魔王ってとにかく強い魔族なんでしょ?みたいな大雑把な認識を丁寧にほぐしてくれた感じがする。つまるところ、魔王とはもっと複雑な立ち位置なのだ。勇者から魔王に転身してしまったレオンなどのように。
肝心の勇者の方も、名乗ったやつが勇者だ、みたいな雑な扱いではなく結構難しい存在みたいだけれど。
ってか、ラミリスにけしかけられて壊したロボット、なんか新造した上に悪魔憑依させて新たなキャラ登場させちゃってるじゃないですかー。悪魔関係は今後まだ色々と踏み込んでいきそう。

とまあ、万事順調に物事は進み、子供たちのほうも上位精霊を憑依させることで肉体の崩壊を防ぐことがかなって解決。あとは魔国に戻るだけー、となったところで。
シズの教え子ヒナタ襲来。
シリーズ始まって以来の絶対絶命の大ピンチ! さらに魔国にも危機が迫り、という緊迫したところで次回へと続く、というこの構成! いやでも、実際の刊行時は次の巻も同時刊行だったそうなので流石です、流石です。

3巻感想
 
6月17日

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